87: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:48:38.27 ID:iX/HvtXE0
その後、私が食器を片付けて洗い物をしていると、今度は紗枝ちゃんが私の横に立ってじいっと観察しだした。
「どうかしたの?」
「んー? べつになーんも、あらしまへんえ」
彼女は含みのある視線を投げかけて言った。
確かに、こうして間近で見られながら作業するというのは、なんだか監視されているようで落ち着かない。
もう、紗枝ちゃんったら、なんて苦笑しつつ、私が洗い物を続けていると、横で彼女が、あっ、と思い出したように叫んで、
「そういえばうちら、もうすぐ誕生日やない?」
「……あ!」
ほんとだね、私は手を止めて彼女の方を振り向いた。
かぞえてみれば、再来週にはもう誕生日である。
それなのに私たち、なんでもない日に限ってこんな祝い事みたいな贅沢をして、間が抜けているというか、そう考えるとなんだかおかしくて、ふふふ、と二人の間に笑みがこぼれた。
「どうしよっか?」
「せやなぁ……旅行とか、行きたいなぁ」
「旅行かぁ。でも確か、平日だよね」
それから私たちはいつものように一緒にお風呂に入って(多くの寮生が帰省していた夏休みと違い、今はもう貸切り状態のお風呂を使うような機会はなかったけれど)、誕生日の計画について思い思いに意見を出し合ったりした。
とはいえ、いますぐ決めるということもなかったので、ひととおり案を思い付いたあと、とりあえず計画は保留することにして、それからは学校の話やら、お仕事の話やら、芸能人の噂話なんぞまで、とりとめのないことばかりしゃべって、その日は眠った。
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