【ミリマスR-18】秋月律子「私、悪い子になっちゃいました」
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7:悪い子 6/20[sage]
2020/11/14(土) 23:58:11.33 ID:LClhfPZl0
「……そんなにじっと見ないで下さいよ」

 眉根を下げて、律子が居心地悪そうに笑った。
 
「見てちゃダメか?」
「見てるだけってのはダメです。ほら、行きましょう。面接試験の始まりですよ」
「なぁ、面接試験って言っても結局何をするんだよ。これってデ――」
「面接です、面接っ」

 何をするのか、どこに行くのか。そういったことを告げないまま、無目的に律子は歩き出した。

 面接、面接と律子は何度も繰り返していたが、自己PRを求められることも無かったし、志望動機を尋ねられたりもしなかった。神社に繋がる商店街をぶらぶら歩きまわったり、隣駅まで足を伸ばして公園を散歩したり、休憩がてら喫茶店に入ったり、まるで、無駄とも言える時間を共有することだけが目的であるようにすら思えた。真面目にアイドルを続けている律子だが、ただの女の子でいたい時がやはりある、ということなのだろうか。不思議なぐらい、律子の口から仕事の話は出てこなかった。街中で聞かれるには不自然な単語だったからか、俺のこともプロデューサーと呼ばずに名字で呼びかけてきた。だから俺も、努めて仕事に関することは口にしないようにして、食べ物の好み、旅に出るとしたら行きたい場所、最近見た面白い映画、尊敬する人、子供の頃の話……そういう他愛もないことを次から次へと尋ねてくる律子に相槌を打ちながら、時間を言葉に溶かしていた。

 律子がアイドルを始めて以来、プライベートで会うことを目的に休日を合わせたのなんて、初めてのことだった、と、コーヒーを飲みながら思い出していた。

 空がオレンジ色に変わり始めたと思ったら、すぐに日が落ちた。ちょうどいい具合に見かけた天ぷら屋で夕食を済ませて店を後にする頃には、もう結構な時間になっていた。腕時計から視線を上げると、律子と目があった。二人でいるから当然なのだろうが、今日は本当によく目が合った。結局面接試験とやらの内容は明らかにされなかったが、可愛らしさをめいっぱい振りまいて機嫌良くニコニコしている律子と一日過ごすのは、時間が過ぎるのが惜しいぐらいで、数週間前の失態を忘れて浮かれてしまう程に楽しかった。そして『いいな』に対する期待は一日中胸の内で膨らみ続けていて、別れ際には切なさを覚えている自分がいた。「次の面接試験の日程を」と言われた瞬間、次があるのか、とホッとしてしまったのが顔に出ていて、律子には苦笑いされてしまった。


 オスというものは本当に罪深い生き物だ。家に帰って一人きりになって、余韻が醒める頃になると、劇場の休憩室での一件を思い出して盛ってしまい、今日会った律子の痴態を思い描かずにはいられなかった。ピュアな一日を過ごしたと思ったらこの始末。催した性欲を一人で処理することに罪悪感を覚えたのは久しぶりだった。


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