【ミリマスR-18】桜守歌織「お友達から始めませんか?」なお話
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My god(dess) 2/18
[sage saga]
2020/12/11(金) 23:59:29.04 ID:qeiWDl9S0
* * * * *
「前回ご訪問頂いた際の非礼を、まずお詫びさせて下さい」
庭先で立ち話が始まるなり、お父さんは頭を下げてきた。そんな滅相も無い、と答える俺に、彼は「娘と喧嘩になってしまいました」と言い、ばつが悪そうに頭を掻いた。
「『自分の人生のことはもう自分で決められます!』と、かつてない剣幕で言われてしまいましてね。すぐ傍にいた妻も歌織に味方しており、集中砲火を浴びてしまいました。激昂した私も大人気なく言い返したりはしましたが、口喧嘩で、男が女に適う道理など、あろうはずもありません」
電柱の周りを飛び回っていたカラスの声が遠くなっていく。鬼のいぬ間の洗濯とばかりに、どこからか集まって来た雀が電線の上で横並びになった。
「どうかお気になさらないで下さい。ウエディングのお仕事でしたから、ご家族からすれば過敏になりかねない所でした。お父様が気にされるのも無理のないことですから、あの時にお受けしたご批判も、納得して受け止めております」
「今となっては、まことにお恥ずかしい」
彼は、口元にたたえた髭を撫でている。
「男というのは、何歳になってもお子様です。私も、こんな歳になったというのに、未だに小僧から成長できていないことを、日々痛感しております」
「とても、そのようには……少なくとも、私のような未熟者からすれば、積み上げた人生経験が威厳や渋みとなって備わっているようにお見受けします」
「娘はよく、貴方のことを嬉しそうに話しています。優しくて、頼りがいがあると。私があの子にあんな笑顔をさせることができたのはもう随分昔のことで……。情けないことに、妻と娘の見ている前で、嫉妬に心を囚われ、露骨に機嫌を悪くしてしまうことも少なくないのです」
遠くからバイクの音が迫ってきて、門の前でアイドリングを始めた。何かの郵便物だったようで、お父さんはそれを受け取りに出て行った。門から戻って来た彼の手には、何かの封筒が収められている。
「時に、プロデューサーさん。将来を約束された方は、いらっしゃるのですか?」
「えっ? いっ、いえ、そのような相手は全くおりませんし、特に、そういった予定も……何しろ機会がございませんので」
「……そうですか」
受け取ったばかりの封筒は、封が開かれていた。
「縁談の話でした、あの子の。『結婚など早すぎる、言語道断だ』と思って、ずっと断り続けていたのですが……」
「……結婚、ですか。アイドルとしては難しい所ですが、歌織さんは色々な方面への適性を持っていますし、新しいことへのチャレンジにも意欲的です。配偶者がいても平気な方向へ活動をシフトすることも十分可能でしょう。無理に――」
「いえ、そうではないのです」
お父さんの手の中で、封筒は二つに折り畳まれてしまった。
「縁談の話は今後受けることは無いでしょう。あの子は最早、籠の中で大事にされる小鳥ではありません。自分の意思で生き方を決める権利があるし、また、そうしなければならない。家を出る、という話が出たら、もう引き留めないつもりです。親が子どもの選択へ干渉するのは、せいぜい……学生時代まででしょう。妻はもう、心の準備が済んでいるようです。子離れできていないのは私だけ、ということですな」
小さく溜息をつき、彼は遠い目で空を見上げた。太陽を覆い隠していた雲がちょうど晴れていくところだった。
「街中の広告や、テレビ画面に映るあの子は、実に生き生きしています。非日常に酔い痴れているのではなく、日々挑戦し、壁を乗り越えていく充実感に漲っています。劇場の公演も見に行きましたが、会場の視線を一身に浴びて眩しく輝く我が子の姿は、私と妻が思い描く以上のものでした。そういった、私達の知らなかった歌織の可能性を拓いてくれたのが、貴方のような人であるのなら――」
「……えっ、お待ちください、それって――」
我が家は貴方を歓迎します、というお父さんの一言に対する疑問は、歌織さんの呼び出しによって、喉の奥で詰まったままにされてしまった。
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