【ミリマスR-18】桜守歌織「お友達から始めませんか?」なお話
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My god(dess) 3/18
[sage saga]
2020/12/11(金) 23:59:58.48 ID:qeiWDl9S0
* * * * *
昼食を御馳走になり、事務所へ帰ろうとする俺に、駅まで送っていく、と歌織さんが申し出てきた。お父さんの言葉の真意は、食卓で尋ねるわけにもいかず、結局のところ宙ぶらりんのままになっている。歌織さんは車のキーを持っていたが、時間にも余裕があるし徒歩で行こうと思っていると話すと、そのまま鍵をしまい込んで、隣に並んだ。
歌織さんの家から最寄り駅までは、徒歩だと二〇分近くの道のりだ。前回ここを訪れた時は車だったし、辺りが暗かったせいで近くの風景もよく分かっていなかった。塀つきの一軒家ばかりが立ち並んでいて、集合住宅特有の、縦長の建造物は遠目に見えるばかりだ。人通りの少なさに、夜道のことが気にかかった。だが、未だかつて、そういった目に遭ったことは無い、と以前に歌織さんは話していたのを思い出した。頭上いっぱいに広がる晴れた空と午後の日差しは、涼しさを感じるぐらいの陽気にあって心地よかったが、歌織さんは、隣で誰の目にも分かるぐらい、そわそわしている。
「歌織さん、落ち着きが無いようですが、どうかされましたか?」
「ええ、その……父と、何をお話しされていたのだろうと、気になってしまって」
「ウエディングの仕事の件で訪問した後、歌織さんと喧嘩してしまった、と伺いましたよ」
「……過保護な父への、ちょっとした反抗に過ぎません。喧嘩だなんて、そんな」
歌織さんは眉根を下げて苦笑していた。
「それから……そうだ。話をしている時に、郵便物が届いて。縁談の話だったそうですが、今後も含めてそういう話は断る方針だ、とおっしゃっていました。まぁ、正直に言うと、安心しましたよ」
「そ、そうなんですね……」
同じペースで鳴っていた足音が、曲がり角でぴたりと止んだ。
「歌織さん?」
「あの……プロデューサーさん」
歌織さんは俯いていた。胸元に上げた手が、拳を形作っている。
「……プロデューサーさんには、将来を約束している方は、いらっしゃるのですか?」
「えっ」
顔を上げた彼女から飛び出してきたのは、お父さんと、ほぼ一言一句違わない質問だった。
「いいえ、いませんし、そういう予定も……」
「でしたら……候補に入れて頂けませんか?」
「かっ、歌織さん……」
逃げることを許さないその眼差しは、まっすぐと俺を見据えていた。曲がり角の向こう側は行き止まりになっている、と告げるように。
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