【ミリマスR-18】桜守歌織「お友達から始めませんか?」なお話
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My god(dess) 6/18
[sage saga]
2020/12/12(土) 00:01:29.32 ID:MTPtsTI60
「歌織さん」
「ふふ、あったかいですね」
二人だけになった空間。外套越しに抱いた背中から、微かな体温が伝わってくる。外気に晒されていた掌は、向こうにとって冷たかったかもしれない。お互い立っていると、長身の歌織さんとは自然と顔が近くなる。翡翠色の瞳に心を吸い寄せられて硬直しかかったが、ぼやぼやしていたらまた先手を取られてしまう。目蓋が閉じられるのを待つ前にマスクをずらし、唇を重ねた。だがそれすらも、満足気に笑みをこぼす歌織さんの手の上で踊らされているに過ぎないのかもしれない。
一人でいる時は滅多に見ない、台所の湯気。炒めてから粗熱を取ったみじん切りの玉葱を挽肉に混ぜ込んで手で捏ねている間、歌織さんはキャベツの外側の葉を剥がして、芯を取り除いていた。任された以上はやり遂げなければ、と挽肉をキャベツで包むのに四苦八苦していると、細くてしなやかな指が、こうですよ、と俺の手の甲に添えられる。恥じ入る気持ちをこらえている間、奥のコンロでは空腹感を呼び起こす匂いをカレーが立て始めていた。ロールキャベツに使った分の残りはどうなるのだろう、と疑問に思っていたら、いつの間にか千切りにされていて、輪切りにしたゆで卵やらキュウリやらと一緒にサラダが出来上がっていた。簡素なものですが、と歌織さんは照れ笑いを浮かべていたが、二人で囲む食卓には十分だった。
成人同士のテーブルには、酒が並ぶのがありがちな光景だ。テーブルの上には、ビールの缶と白ワインの小さなボトルが、仲良く並んでいる。だが、それ以上のアルコールは買ってこなかった。二人揃ってオフを取れた折角の機会に酩酊するなんてもっての外だったし、いくらここが俺の自宅だからといって、歌織さんの前で無様な姿は見せたくないという見栄もあった。
「あ、ちょうど歌織さんが出てる所ですね」
「自分がテレビに出てるのを見るって、何度見ても慣れませんね」
先日収録に行ってきたトーク番組のオンエアが、テレビ画面に映し出されている。食事を終えて食器を片付ける頃、歌織さんの出番がやってきた。スタジオの端から眺めていた光景と、アングルが違えばこうも変わってくるものか。内容は全て見ていたのにどこか新鮮に見えるのは、局側の編集の賜物といった所なのだろうか。画面の構成や、お茶の間に映し出される歌織さんの見え方にああだこうだとコメントしながら視線を走らせていると、肩に歌織さんの頭が乗っかってきて、薔薇が香った。
「その香水、いい匂いですね」
「自分でも気に入ってるんです。いいものを選んで下さって、ありがとうございます」
さっきは斜向かいに座っていたはずの歌織さんは、じりじりと距離を詰めてきていて、今はもう、互いの体温が伝わるまでに接近していた。モニターの向こう側にいるアイドルが、こんな近くに。ほんの少し腕を伸ばせば腰を抱くことができるし、左へ首を向ければ、つやっとした唇がすぐそこにある。こういった距離感になると、体の内側でざわざわとさざ波が立ち始める。人間の男性である以上、生物のオスである以上、当然に抱く本能。崇拝すらしているこんなに清らかな人に劣情を催してはならないと、強力なブレーキをかける理性。二者ががっぷり四つを組んで押し合いを始めるが、何度か家に誘っている内に、理性は衰えを見せるようになってきていた。劇場のアイドルが出演しているのを見届ける義務、そのつっかえ棒がもし無かったら……。
「私の出番、終わってしまいましたね」
「歌織さん、結構目立ってて、いい感じだったんじゃないですか?」
画面に流れている慌ただしいスタッフロールには、収録時に打ち合わせたスタッフの名前がちらほら混じっているのが見えた。事務所の子が出演する番組は、今日はもう無い。歌織さんの興味がテレビ画面から離れたのと、隣の肩に俺が手を伸ばしたのは、ほぼ同時だった。
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