【ミリマスR-18】桜守歌織「お友達から始めませんか?」なお話
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8:My god(dess) 7/18[sage saga]
2020/12/12(土) 00:01:55.64 ID:MTPtsTI60
「あ……」

 華奢な体幹に緊張が走るのが伝わってきた。自分の巣においてでさえもムードのある誘い方とは言えなかったが、歌織さんは体を離そうとはしなかった。コマーシャルの賑やかさも、今は煩わしい背景音でしかない。手の届く所にあったリモコンを操作して画面を落とす。部屋の中の音がぷつんと消失した。その静けさは、踏みとどまるための準備時間のように思える。だが、最早そんな時間は無意味なものでしかない。その証拠に、映像の消えたモニターがまだ放熱している間に、照明はもう常夜灯の薄暗い光だけになっている。

「歌織」
「っ! ん……」

 玄関で交わしたのよりも深い口づけをして、もう一歩踏み込む合図を送る。舌を入れる前に一度顔を離すと、歌織さんは伏し目になって、小さく息を吐いた。押し退けられる雰囲気が無いことを確かめながら唇の向こう側をノックすると、潤いをたっぷりと帯びた舌が顔を出してきた。初めてディープキスに及んだ時は戸惑ってばかりだったが、今では歌織さんも、やや消極的ながらこちらに応じてくれるようになった。口腔の中から、粘っこい唾液の絡み合う音が漏れ出てくる。息苦しさと、ジンと来る緩やかな刺激に頭がぼやける。一方の歌織さんの呼吸にも、色っぽい声が混じっている。唇と唇を、一本の糸が繋いでいた。

「ぁ……は……」
「キスするのも上手になったね、歌織」

 目を潤ませている歌織さんの頭を、あやすように撫でる。言動や行動が幼く見えたりしないか、と気にするコンプレックスをくすぐるのか、子どもに承認を与えるような接し方は、歌織さんの興奮を煽るらしかった。母性を備えた気品ある振る舞いを崩さない歌織さんの、歪んだ一面であるのかもしれない。

「始めようか」
「あ……っ、は、はい……お願い、します」

 歌織さんが積極的なのは、表面的な接触までだ。高校生の頃にいた初めての恋人とは、父親からの干渉ですぐに別れてしまったと、酒の席で一度だけ耳にした。以来、異性との交際が一切無いままに二十歳を過ぎてしまったことで、歌織さんは肌の触れ合いへ踏み出すことにすっかり臆病になってしまっていた。

 レッスンと称して少しずつ少しずつ、歌織さんを解きほぐしてきた。聞こえはいいが、オブラートに包まない表現をしてしまうのならば、セックスの準備教育以外の何物でもなかった。

 初めて腰を抱き寄せた時は怯えながら謝罪の言葉を口にするほどだったのに、こうしてベッドサイドに腰かけて背中や腰を撫で回されている今は、向こうから仕掛けてくることは無いにしても、余計な力を入れることなく俺に身を任せていた。

 私服姿の歌織さんはほとんど肌を見せない。それなのに、コルセット状に絞られたハイウエストのスカートが、細い腰つきと、ボリュームのあるバストのシルエットを、却って強調している。首元に結ばれたリボンを解くのは難しくない。白い首の根元が露わになるだけでも喉が鳴った。ブラウスのボタンを上から三つ外して見えた肌が、オスに火を注ぐ。跡がつかないように注意を払いながら、頸動脈の通う首筋に唇を這わせ、歌織さんの興奮にも火種を投じた。わざと聞こえるようにしたリップ音が、物音のなくなった部屋の中に反響する。その音に追従するような、七割の息と、三割の切なげな声。

「前回の復習はちゃんとしてきたかい?」

 昂りか羞恥か、そのどちらともつかない赤に頬を染めながら、歌織さんは静かに頷いた。歌の先生をしていた人を相手に先生役を務めるなんて滑稽だったが、このロールプレイは俺の性的嗜好によくマッチしていた。歌織さんも、いい大人でありながら出来のいい生徒として扱われることに、倒錯的な悦びを覚えていた。真っ白なキャンバスを自分の色で染めていく愉悦と、畏敬の念すら抱く相手を自分の手で汚してしまう背徳感に、肌がぞくぞくと粟立つ。恋人に相応しい男になろう、という立派な建前を声高に叫び努力を重ねる真面目な青年は、今や猿轡を噛まされて隅っこに追いやられている。いや、そうやって、不浄な欲に身を浸していなければ、自らの行いに対する罪悪感で耐えきれなくなって、潰れてしまっていた。


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