【ミリマスR-18】ギターを弾きに自宅に入り浸るジュリアと関係するようになる話
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5:名前の無いラブソング 4/16[sage saga]
2021/04/29(木) 23:48:48.40 ID:lIHN2UCG0
 ジュリアが近過ぎる。自分だけの領域に留めておき過ぎてしまった。彼女がアイドルであり続けるために、遠ざけて健全な距離感を保たなければ。道徳観が、手遅れかもしれない警報を鳴らしている。追い出す、とまではいかずとも、ウチには近寄りがたい状況を作っておかなければ、このままずるずると禁忌の領域に落ちてしまいそうだった。

 手帳の内にしまったままの、不要なはずのスペアキー。折ってしまえば、決心もつくだろうか。

 数週間前から、ジュリアは曲を作っているようだった。探るようにギターを鳴らし、単音だったものが脈絡を持ってフレーズになっていく。真剣な時間だった。リリースする曲にするかどうかはまだ不明。歌詞も書き上がってはいるが、どういった内容なのかは教えてもらえなかった。真面目なミュージシャンの顔になって作曲に励むジュリアに向かって厳しいことを言えないまま、日々が過ぎていった。

 午後休を取って早帰りした今日、ジュリアは自慢気に吊り上げた口角と共に、姿を現した。

「できたぜ、プロデューサー」
「できたって、何が」
「曲。今日、スタジオに行って録ってきたんだ。ギター借りてね」

 いつものようにジュリアはソファーに腰を下ろし、ギターを手に取って、出来上がった曲を早速弾き始めた。ところが、セクシーな響きを纏うあの歌声を待てども待てども、ギターの音しか聞こえてこない。

「インストなのか?」
「歌詞のお披露目にはまだ早いよ」

 曲調はバラードだろうか。作り始めの頃はもっとテンポが速かったが、最終的にはゆったりと湿った雰囲気に落ち着いたらしい。

「どんな方向性の歌なのか、ヒントだけでも貰えないか?」
「一度聴いたら分かるよ。その時まで待っててくれ」

 ジュリアがはぐらかしている内にリタルダンドが始まり、切なげなメロディを残して、そのまま一曲が終わってしまった。

「……ま、雰囲気だけでも伝わったろ」
「しっとりした曲だけど、暗い訳でもないな……ほんのりと緊張感もあって……。ラブソングか? もしそうだとしたら意外だな」

 蒼い瞳が、ぎゅうっと収縮した。

「い……意外で悪かったな」
「いや、悪いとは思ってないぞ。そういう乙女な一面もあるんだな、って」
「あーもう! うるさいうるさい! そういうことを顔見ながら言うんじゃないっての! シャワー借りるからな。ちょっと汗かいてたんだ、今日は」

 そうまくしたてると、ジュリアはリュックから着替えを取り出し、そそくさと浴室へ逃げていってしまった。



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