44:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:49:29.34 ID:8Bqh101l0
「それと、僕は猫じゃない。ラフィと呼んでほしいな」
どう見ても猫なのだが、口元を歪めてそう言うと、ラフィは足元の血溜まりをペロペロと舐めた。
吐き気を抑えたアリスに向けて、しかしラフィは弾かれたように顔を上げてから続けた。
45:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:50:14.81 ID:8Bqh101l0
「……Oh,Happy....day.....」
「Oh...Ha...pyy....day......」
「.......Oh......Happy........」
複数の声がする。
46:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:51:05.85 ID:8Bqh101l0
「今の君に、もう一度セブンスを使えと言っても無理だろうね。だったら逃げるが勝ちさ。ナイトメアには、なるべく接触しないほうがいい。来て、『外』まで案内しよう」
「この……兎みたいなの、一つじゃないの……?」
「聞こえるとおりさ。ラビットは、ナイトメアの中でも働き蜂だからね。相手をしていたらきりがない。それに、君は今怪我をしている」
「…………」
47:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:52:07.08 ID:8Bqh101l0
「それはよくない。とてもよくないね。君の血液は、ナイトメアが涎を垂らして欲しがるものだから。その臭いをさせてる限り、あいつらはどこまでも追ってくる」
「ど……どうすれば……」
「とりあえず『外』に出るよ」
「う、うん……」
48:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:52:44.77 ID:8Bqh101l0
「アリスだ!」
「アリスだアリスだ!」
「生きていたんだね! 今日は記念日だね!」
「おめでとうおめでとう!」
49:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:53:41.56 ID:8Bqh101l0
全速力で、死にもの狂いに駆けながら、アリスは恐怖と混乱で泣きじゃくっていた。
その目の前で、ラフィが半分開いていた赤い扉の中に体を滑り込ませるのが見える。
慌てて後について部屋の中に入る。
「ここだよ」
50:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:54:20.42 ID:8Bqh101l0
「ナイトメアは光の下には出てこれない。乾いてしまうからね。『外』に出れば、一安心さ」
「う……うん!」
アリスは頷いて、ラフィに続いて亀裂に近づいた。
丁度子供一人は通れそうなくらい、石造りの壁が砕けている。
51:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:55:07.61 ID:8Bqh101l0
◇
「まずいぞまずいぞ……」
仮面をつけた奇妙な物体が、暗がりの中でせかせかと動き回っていた。
52:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:55:48.13 ID:8Bqh101l0
「あの子をジューサーにかけて、ギュゥゥゥゥッって足元から絞らなきゃ……新鮮なままでジュースにしないと! ああ、ああ忙しい忙しい」
頭が異様に大きな男だった。
頭身にすると四頭身ほどの、不気味なスタイルをした醜い男だ。
53:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:56:43.84 ID:8Bqh101l0
「私の帽子がない! 今の気分を表す素敵な帽子がない!」
クローゼットを乱暴に足で蹴り、彼はギリギリと歯ぎしりをした。
そして怒りに燃える片目を飛び出しそうに見開き、兎の一匹が差し出したシルクハットをむしり取った。
そしてところどころハゲた白髪の頭に被る。
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