56:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:59:55.14 ID:8Bqh101l0
「あれ……何なの……?」
猫を追いかけながら震える声で問いかけると、ラフィは木立の中を歩きながら言った。
「ナイトメアだよ。覚えてないの?」
57:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 20:00:38.04 ID:8Bqh101l0
今度は、どこまでも続く森だった。
しかし、異様なほど生物の気配がない。
虫一匹見当たらない。
「気づいた?」
58:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 20:01:56.15 ID:8Bqh101l0
アリスが問いかけると、ラフィは首を振ってまた歩き出した。
少女が慌ててそれに続く。
「違うよ。あれはただのレプリカ。血を集める働き蜂だからね。問題は、ラビットを統率してるオリジナル達がいること。そいつらはセブンスを使う。君と同じような」
59:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 20:03:00.71 ID:8Bqh101l0
「ラフィ……さん? 私、これからどうすれば……」
「ラフィ、でいいよ、アリス」
小さな声で問いかけたアリスに優しく返し、ラフィは口の端を歪めて笑った。
60:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 20:03:46.17 ID:8Bqh101l0
黒猫は淡々と言った。
「僕の能力は『喋るだけ』……君を守ることはできない。夜だけはシェルターに避難しないと、すぐに今回もゲームオーバーになってしまう」
「…………」
「アポカリクファの終焉まではまだ時間がある。人間達なら、薬や医療器具をもってる筈だから、君の怪我も治療できるかもしれない」
61:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 20:04:30.90 ID:8Bqh101l0
アリスは泣きそうな顔でそれを見て、そして視界に小川が流れているのを見て嬌声をあげた。
「水……!」
小さく叫んで駆け出す。
62:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 20:05:18.40 ID:8Bqh101l0
ラフィはそれをぴちゃぴちゃと舐めてから、アリスを見上げた。
「ダメだね。このあたりも汚染されてる。流石に君の体でも耐えきれないと思う」
「どういうことなの? これは水じゃないの?」
63:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 20:06:22.97 ID:8Bqh101l0
訳の分からない問答をしながら、一人と一匹はやがて少し開けた場所に出た。
崖になっていて、なだらかな斜面の下の方……奥に白いドーム型の建物が見える。
「ここから一番近いシェルターはあそこだね」
64:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 20:07:19.07 ID:8Bqh101l0
アリスは何度も小さく頷いた。
裸足の足の裏は切れてしまい、そこからも血が流れている。
走り回ったことと恐怖で、体中が硬直していた。
足は悲鳴を上げている。
65:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 20:08:17.59 ID:8Bqh101l0
◇
数時間も歩き、太陽が少し傾いた頃、アリスとラフィは白いドーム型の建物、その近くまでやっと到達した。
へたり込んだアリスに頬をこすりつけ、ラフィが言う。
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