70:名無しNIPPER[sage]
2021/07/19(月) 21:22:59.86 ID:XoSE8cTWo
たんおつ
71:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 21:48:08.26 ID:8Bqh101l0
◎作者より
帰宅したので、更新を再開します。
72:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 21:54:27.28 ID:8Bqh101l0
◇
黒い雨が降っていた。
どこまでも続く黒い雲から、黒い雨が止めどなく流れ落ちてくる。
73:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 21:56:16.47 ID:8Bqh101l0
不思議なことに、彼の顔にはぐしゃぐしゃの金網を擦りつけたかのようなモザイクがかかっていた。
彼は、私達が立っている樹の下で、黒い雨粒を手で受けてから悲しそうな声で続けた。
「僕と、君のユートピアもこれでおしまいだ。アリス……残念だけど、物事にはすべからく終焉が訪れる」
74:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 21:57:04.44 ID:8Bqh101l0
彼はしばらく私の顔を見下ろしていたが、やがてゆっくりと首を振った。
「それは無理だよアリス。終焉はもう、すぐそこまで来てる。君も、僕と同じような存在になってしまう」
「それでも……!」
75:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 21:57:51.79 ID:8Bqh101l0
離したくなかった。
離れたくなかった。
彼のいない世界なんて、到底思い浮かべる事はできなかった。
「お願い……終わりだなんて、そんな悲しいことを言わないで。私も、あなたと一緒に連れて行って……」
76:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 21:59:05.52 ID:8Bqh101l0
呆然として顔を上げた私に、彼は断固とした口調で続けた。
「君も僕と同じになってはいけない。君はもともと、この世界の住人ではないんだ。いずれ目覚めなければいけない。ラビリンスだって永遠じゃない。いつかは壊れる時が来る」
「…………」
「エラーを吐き出した時に、気づくべきだったんだ。こんな世界は、こんな汚染はあってはならないことだって。でも……」
77:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 22:01:11.15 ID:8Bqh101l0
「君がここにいたから……僕にはラビリンスを止めることができなかった。本当ならあの時に僕はシステムと一緒に消えるべきだったんだ……」
「そんなこと……そんなことないよ。あなたは私を救ってくれた! 私をこんなにも助けてくれた! あなたは死ぬべきじゃない、生きるべきよ!」
私は必死に叫んだ。
彼の服を掴んで、黒い雨にかき消されないように。
78:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 22:02:17.56 ID:8Bqh101l0
「泣かないでアリス。僕も、君のことは好きだ。愛している。だから、このまま何もしないで朽ちていくつもりはない」
「でも……でも!」
「君は帰るんだ。こんな汚染された世界からは抜け出して。元の世界に戻るんだ」
彼ははっきりそう言って、私の頭を優しく撫でた。
79:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 22:03:09.77 ID:8Bqh101l0
◇
ゆっくりと目を開ける。
しばらく、ここがどこだか分からなかった。
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