【可愛そうにね、元気くん】「進まない」【SS】
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27:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:45:18.58 ID:JzXNw/sm0

「ん……あ、ああ」

鷺沢に遅れて、俺もグラスを持ち上げる。
こうして偶然の再会を果たして、二人きりで酒を飲むからって、俺と鷺沢の何かが変わるわけではないだろう、となんとなく思う。
以下略 AAS



28:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:45:45.07 ID:JzXNw/sm0


「……鷺沢ってさ。今何やってんの……仕事とか」

「んー? ……内緒」
以下略 AAS



29:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:46:26.39 ID:JzXNw/sm0


「……ここ、よく来るの?」

「時々。付き合いとかでね」
以下略 AAS



30:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:47:05.21 ID:JzXNw/sm0


「元気くんはさ、まだ漫画描いてるの?」

「ちょっ……んんっ、まあ……うん」
以下略 AAS



31:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:47:59.99 ID:JzXNw/sm0


「……だからげんきくんはさぁ、ぜんぜんれんらくもしないでぇ……わたしがどれだけぇ……ひっく、すみませぇーん。カシオレおかわりぃー……」

「……さ……鷺沢、飲みすぎじゃ……」
以下略 AAS



32:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:48:35.29 ID:JzXNw/sm0


クラスメイトで、暴君で、俺のご主人様で、理解者だった、鷺沢守という女。
原稿を奪われた思い出――初めて殴られた時の痛みと、捕食者の笑み――血の味のキスと痣――ピアス――寝泊り――理解者であることを教えてくれた、最後の冬の射抜くような視線。
正直に言えば……記憶にこびりついた感情の強さなら、八千緑さんより鷺沢の方が少しだけ上だ。
以下略 AAS



33:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:50:02.35 ID:JzXNw/sm0


……もちろん、八千緑さんと鷺沢では歪みの方向もカタチも違う。とはいえ――順風満帆とはいかないかもしれないけれど――十年も経てば鷺沢なりに折り合いをつけて生きていっているんだろうって、心のどこかでそんな風に思い捨てていた。

「んん〜……」
以下略 AAS



34:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:50:53.24 ID:JzXNw/sm0


「お待たせしました。カシスオレンジです……あら」

バーテンダーっぽい妙齢の女性が、鷺沢の注文を運んできた。通ってたのか、さっきの。
以下略 AAS



35:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:51:41.90 ID:JzXNw/sm0


「あなた、守ちゃんの彼氏?」

とか思ってたら爆弾を投げられた。本人に聞かれたらヤバいと思って、慌てて否定した。
以下略 AAS



36:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:53:21.23 ID:JzXNw/sm0


驚いて一瞬言葉を失った俺に、店主さんはクスクスと笑いかける。微笑ましいものを見守るような慈しみの笑顔だった。

「それだけ気を許してるって事でしょう? ……きっとあなたに会えて嬉しかったのね」
以下略 AAS



37:名無しNIPPER
2021/08/14(土) 02:54:06.89 ID:JzXNw/sm0


理解できないモノを見た時、人は困惑する。そこから生じる不安は、言葉では表せないような曖昧な苦しみを与える。
その結果が、学園祭の終わり――励一くんが現れたあの時の教室であり、俺の退学だ。

以下略 AAS



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