【安価とコンマ】剣と魔法の世界で姫と結ばれたい9
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779: ◆gEU9La026k[saga]
2021/09/20(月) 22:46:52.82 ID:5djU/GNZ0

「ど、どうしたのみんな……?」


言葉を発さずに、自分を取り囲んでくる兵士に僅かに怯えるカタリナ。
彼らの呼吸は荒くなっており、もしかすると体調が優れないのかもしれないと思うが、
ではこの動きの意味が何なのかがわからない。

彼女は影響を受けていないからわからないが、兵士達はたっぷりと媚毒の香を吸いこんでしまっているのだ。
敬愛する女王の前であるからこそ、なんとか抗おうとはしていたが……
そんな者達の前に動けない極上の肉が置かれたら、どうなるか。



「――っ、カタリナ様……もうしわけ、ありませんッ!」

「きゃっ……!?」



やがて兵士の一人が、とうとう耐えきれずにカタリナへと飛びかかる。
男女の体格差、そしてここに来るまでに戦いに次ぐ戦いで消耗しきった身体。
一瞬の抵抗もできないままに、カタリナは床へと組み伏せられた。
それにあわせてジャラリと鳴る鎖の無機質な音に、冷えた石畳の硬い感触……
そんな中で、カタリナの長い長い髪が広がる。
それはさながら、草原のようで。
暗く冷たく希望などどこにもないようなこの状況下で、そこだけは色づき、明るさを示していた。


「カタリナ様!」


その光を求めるように、残る四人も次々に群がっていく。
無数に伸ばされる男の腕を前に、カタリナは本能的に身を捩り逃れようとする。
しかしそれは叶わない。一人でも厳しいというのに、どうしてこの体勢で五人を跳ねのけられるというのか。


「や、やめ……! 落ち着いて……ね?」


それでも、表情だけは穏やかに。
兵士達を落ち着かせようと、柔らかな微笑みを浮かべてみせた。

この光景を誰かが見ていたならば、どう思ったのだろうか。


――こんな状況下でも部下を案ずることのできる女王の優しさに感銘を受けるのか。



或いは。



――蜘蛛の巣に捕まった美しい蝶の無残な最期を見まいと、目を背けるのか。



そしてこの場には、そのどちらもいない。
何もできない蝶と、蜘蛛以上の獰猛な獣しか存在しない。





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