【安価・コンマ】Cランク神獣「Sランクまでよじ登る」(その3)
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◆lFOXrxX/4g
[saga]
2022/08/19(金) 23:21:01.51 ID:9NuVOgoC0
◆
ウォルフ「すっかり夜になっちゃった……でも、夜のほうが良いかな」
宮殿の屋根に寝転がりながら、夜空を見回す。
まだ太陽が沈んだばかりで月も出ておらず、星も少ない。
1日の中で最も暗い時間だ。
ウォルフの背後の闇から音もなく何かが現れ、耳元で囁いた。
???「……セ、ン、パ、イ♡」
かぷっ
ちぅぅぅ……♡
ウォルフ「んぁ……」
首筋が冷たくなり、そこから少し体温が奪われる。
30秒ほど後、口が離された。
???「ぷはぁ〜……♡ あっ、あっ……♡ センパイの血……おいしひ……っスぅ……♡」
それは恍惚とした表情で、フルフルと震える指で、口の端の血を拭って舐める。
ウォルフ「……チキ♡」
チキ「今日の分のゴハン、ごちそーさまっス、センパイ♡ 変わらぬウマさ……流石、センパイっスよぉ……♡」
それもそのはず、ウォルフはこの世界樹で最強の生命体だ。
その血がマズいはずがない。
チキはウォルフの6本のツノに指を這わせた。
チキ「……真っ暗っスね」
ウォルフ「月も、出てないからね」
チキ「センパイのツノが、一番明るかったっスから……直ぐに、見つけられたっスよ♡」
ウォルフ「そう?」
チキ「っス♡」
チキもまた、この2年で進化した。
種族の名は、エンプレスオブダークネスバット。
闇を掌握し、夜を味方につける闇の女帝。
短い間ではあるが、昼と夜の狭間、太陽も月も出ていない明け方と夕方、『闇の刻』の間は彼女の独壇場。
闇の女帝は無敵となる。
チキ「……先輩には、これ以上強くならないで欲しいっス」
ツノを弄りながら、チキがそう漏らした。
ウォルフ「……どうして?」
チキ「だって、もしこれ以上強くなられたら……無敵の自分でも歯が通らなくなっちゃうっス。血が、飲めなくなっちゃうっス……」
2年前、ウォルフが1つ前の姿に進化した時、チキの歯はついにウォルフの肌に傷を付けることが出来なくなってしまったのだ。
ウォルフ「それなら、また僕が自分で血を出すからさ」
チキ「やっス……後ろからかぷってやって、自分の歯で肌を裂いて飲みたいんっスよぉ……コウモリは、そうやって飲むんっスよぉ……飲みたいんスよぉ……」
ポロポロとチキの目から涙がこぼれる。
ウォルフの爪ならば自身を傷つけて、チキはそこから血を飲むことが出来る。
だが、それはチキにとっては良い事ではないのだ。
チキはもしこれ以上ウォルフが進化すれば、闇の刻の自分でも歯が通らなくなると危惧していた。
ウォルフ「……大丈夫だよ。多分、僕はこれ以上進化しない。物知りな神獣のおじいちゃんが、今の姿が最終進化形の可能性が高いって言ってた」
チキ「……で、でもっ、もっと強くなるかも……!」
ウォルフ「……なるかもね」
チキ「……っ!」
ウォルフのその言葉に、チキはわっと泣き出した。
するとその肩に、ウォルフの前脚が乗せられる。
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