R-18 安価とコンマでダンジョンタワー攻略 Part4
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塔の主
◆VfcsCSY7us
[saga]
2023/09/04(月) 21:29:39.58 ID:rSUN50VM0
「そ… それが本当だとして」
驚愕の真実を聞かされ、まだ動揺の収まらないミルキィであったが、何とか話を続ける。
「このまま街が壊されたら…街の人々はどうなるの?」
「どうもこうも。元から生きてる人なんていないんだから。街が無くなれば、そこで動いている幻も消えるってだけの話」
あまりにも突き放すようなようじょの物言いに、プリうさの二人はまたも絶句する。
「今この街にいる本当の存在はあんたたちみたいな外からきた人間だけ。避難するならあんたたちだけで行けば?」
「…そんな」
たとえ人々が幻だったとしても、プリうさの面々にとって彼らの営みが作り出す活気や賑わいは心地の良いものであった。
それが消えてなくなるというのか。
幻だから、気にする必要など無い…それで済ませるというのか。
「―そういうわけだ。お嬢ちゃん、あんたたちはさっさと街から逃げな」
複雑な思いに捕らわれるミルキィに声をかけたのは。
「犬のおじさん…」
ミルキィがこのファンタズマの街に訪れた時に最初に出会った、コボルトの男だった。
「あんたたち冒険者たちが来て、色々話を聞いてるうちになんとなく思ったんだよ。そういや街の外はどうなってんだ、俺たちはいつから生きているんだ…ってな。考えても考えてもわからねぇ。そりゃそうだ、俺たちは本当には存在しない幻だったんだから」
犬頭の男はそう言うと寂しげに笑った。
「だからさ、お嬢ちゃんたちが気にすることなんて何一つねぇ。誰もいない街が壊れて、幻が消えるだけさ」
「でも…」
「今は自分の命を大事にしな。幻なんかに気を使っている間に死んじまったら元も子もねぇぞ」
確かにそうだ。
実在しない幻より確かに存在している命の方が大事。
だが、それでも―
「ツバキ。この街を守ろう」
ミルキィははっきりとそう言った。
「お、おい! なに血迷ってんだ! わかったんだろ、この街がただのゴーストタウンで、俺たちは幻にしかすぎないって!」
声を荒げるコボルトの男。
しかしミルキィはそんな彼の手をぎゅうっと握って、言った。
「―だって、おじさん震えてんじゃん」
茶色のふさふさの獣毛に覆われた手は、確かに小刻みに震えている。
「本当にただの幻なら怖がって震えたりなんてしないよ」
「…っ」
「ね、ツバキ。ダメかな?」
振り返って尋ねてくるミルキィに、ツバキはやや苦笑して言った。
「あんな得体の知れないモノを相手にしようとは、随分無茶を言うじゃないか」
「正義感の強い誰かさんの影響かもね」
ミルキィの返しに、ツバキの苦笑が不敵な笑みに変わる。
「そうか、なら仕方ないな」
迫る危機に震える人々の姿を背に、ミルキィとツバキが天を見上げる。
迫る植物群に対してどのような手段で立ち向かうのか、まだわからない。
「でも戦うよ。私、この街けっこう気に入ってるんだから!」
青い瞳に闘志を宿し、金髪のレンジャーは高らかに宣戦布告するのだった。
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