607: ◆M0wTTx2gAU[saga]
2025/01/16(木) 22:03:23.81 ID:dyqGpSpWO
ミルカ「ん、はあ……その顔よく知ってるわ……師匠と初めて本気の組み手したときの顔ね」
ジェン「な、なんだと……」
ミルカ「ビビってるときの顔だってんのよ」
ミルカに言われるまでもない。ジェンは自分で自分の本質を理解していた。小心者の調子乗りが性格の根元にある。村を出て6年、相手を選び闘い、少しずつ技を鍛え上げ克服したと思った。しかし、それは誤りだった。
ミルカ「け、ケリを……つけてやる…!」
ジェン「ち……!」
自分が強くなり強敵が少なくなったことで克服したと勘違いしていた。背筋が凍り、足がすくむ。そもそもがトラウマを想起させる姉弟子ミルカである上、原因不明にその力が跳ね上がったのだ。
ジェン(ダメだ!俺も強くなったからわかる。この震えが身体に出る時は……勝てねえんだ!むしろそれで俺は生き延びてきた。震えは臆病じゃなく、俺の命を守る生命線だった!)
敵が強大でも知性薄い魔物ならば逃げることも出来た。真摯に技を磨く目的で達人と闘うなら、負けても故意に命を奪われるなんてことは無かっただろう。しかし彼は闇堕ちし、道を踏み外した。怒り心頭の勇者パーティーから逃れる術などない。
ジェン「ーっ」
ジェンは一瞬、ミルカの情けに期待しようかとも考えた。泣きわめき土下座すれば、同じ釜の飯を食った者同士…。しかし、ミルカの眼がそれを否定していた。ジェンの死が確定したことで、双眸から再び涙を溢れさせていたのだ。それがミルカに出来る唯一の慰めだった。ジェンは構える以外に無い。
ジェン「か、か……勝った気かよ!」
ミルカ「よく思い直したな……弱虫の泣き虫が…そう、お前は闘って散るしかない」
ジェン「格闘職としてのプライドがある!一度犯した女になんか負けるかよ」
啖呵を切るが、ミルカが両腕を構えるだけで肩が跳ね上がる。優秀な観察眼が逃げろと叫ぶ。
ミルカ「お前が10歳の時…師匠から盗んだ果実酒一緒に飲んだの覚えてるか」
ジェン「あ、あぁ?いきなり何を…」
ミルカ「同じものをお前の墓標に捧げてやる」
ジェン「〜っ……!舐めるなボケっ」
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