545: ◆M0wTTx2gAU[saga]
2025/05/22(木) 05:37:22.75 ID:ms2EWqK00
ゴブリンはその女の戦力を敏感に感じ取った。弱さゆえに相手の強さには敏感なのだ。
「ケケケ!ゴ、ゴミだ人間なんてな!ゴミゴミぃ〜〜!お前も散々闘技場でボロボロにされたんだろ。さっさと自分の牢獄に戻れ」
ウルシ「他の勇者さん達の扱いは見させていただきやした。やはり魔王さんを討たねぇとなりませんね。長ドス一本で遠路はるばる徒ってきた甲斐がありやすぜ」
着物もこの女の話し方も、あまり馴染みがない。しかし人間ごときが魔王を討つという発言にゴブリンは激昂した。
「てめ、いい加減にしやがれ〜〜〜〜っ」
ウルシが手のひらをゴブリンに向け、光属性魔法を発動させる。これは月の光と名付けられたウルシのみが使える魔法で、荒ぶる感情を窘める効果がある。慈愛の勇者のこの魔法に付けられた名でもあるのだ。
パアアアァ
ウルシ「るならいとしゃわぁ。小鬼の旦那お控えなすって。あっしはあんたさんより強ぇ、分かるはずでさ。」
「お、おおお……お……」
ウルシ「あっしはこれで。魔王さんの部屋は別の人に聞きやす。長生きしてくだせぇよ」
廊下を通り抜けるウルシ。その背中を見送るゴブリンの戦意は喪失していた。
☆☆☆
ウルシは勇者狩りに会い、連れこられた訳でない。優秀な勇者であるウルシは何体もの魔物を返り討ちにしていた。それが縛られる前の大幹部ゼノンの耳に入り、直々の討伐対象となる。しかしウルシにはかつてテイムし、相棒となったレッドドラゴンの親子アイとラブが控えており、その親子と龍人族の王の対話で一度見逃された過去があった。
ゼノンが人間に温情を見せた理由にウルシの固有魔法月の光の存在もあっただろう。ゼノンから話を聞いた魔王ルシファーが使者を送り、ウルシを魔王城に招待したのだ。薄暗い廊下を歩きながらウルシは考える。
ウルシ(一階上がっただけでなんて粘っこい空気。寒気がしやすぜ。だけど、あっしが魔王さんと対面する代わりにアイとラブ、そして国へ手を出さねえと証文(契約魔法)結んじまった。賽は投げられた以上、やるしかねぇですぜ)
ウルシは優秀な勇者だが、魔族のトップである魔王に容易く勝てると思う程能天気ではない。ましてやここは敵の本拠地。恐らく既に自分が来ていることは知っているだろう。何故使いの者に案内させないのかは謎だが。兎に角、命を賭けて相討ちに持っていく覚悟だった。命は既に捨てている。
ウルシが腰に差しているサムライブレードはアップル王国では出回っていない形状。飾り気のない刃が神速の抜刀術を可能にする島国の叡知が詰まっていた。
ウルシ「む」
リン「お待ちしておりました慈愛の勇者。魔王様がお待ちかねです。着いてきなさい」
ウルシ「こいつぁベッピンさんだ。恐縮です」
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