491: ◆M0wTTx2gAU[saga]
2025/07/22(火) 19:03:11.82 ID:uOVwJCWxO
10連勝で連戦は止まった。動きが鈍い口で運営に聞いてみれば、俺の存在が認められたらしい。俺のたどたどしい話し方は癇に触るらしく、どいつもこいつも相変わらず口振りは冷たい。
ともかく俺は闘技場の生け贄ではなく、一戦士として登録された。ゴブリンがそんなことになるのは初めてのことで、ちょっとした話題になっていたらしい。そしてこれまでの戦いの褒美として、人間の女が差し出された。
「おま。オ゛……お前。俺のもの?」
「ひっ」
「そうだ、この女は某勇者パーティの魔法使いだった女だ。魔力は封じられている。くくく、見た目は良いだろ。奴隷にするも、売り払うも、犯すも殺すもお前の自由だ」
勇者パーティの魔法使い。確かにその女は美しかった。ゴブリンは美的感覚は人間どもや上級魔物と同じ。そのくせ自分達は醜いんだからやってられねえ。与えられている広めの部屋に、その女を連れ込んだ。
「ゴブリン……っ……私に何をするつもり……」
勇者パーティともあろう女がたかがゴブリンの俺に怯えた視線を向ける。ギヒヒと笑いが漏れた。悪くない。だが、何をするって…何をする?俺はこの女を奴隷にするのか。犯すのか。力を封じたって言っても警戒は解けない。しかも、俺は今後も戦いが控えている。この女に構っていて油断して、殺されたら意味が分からない。
俺はゴブリンにしては力が強く、俊敏で、闘いが上手いらしい。だがあくまでゴブリンにしてはで、今までの闘いも何度も死ぬかと思ったことはあった。一時的に連戦が途切れても必ず闘いにまた駆り出される。俺の命が風前の灯火なのは変わらないのだ。訓練しなくては。なんだこの女!邪魔だ!
「ギギ…」
俺は兄貴がやっていた戯れ、小指折りを思い出した。ゴブリンの纏め役だった兄貴は俺や部下のゴブリンの小指をへし折る遊びを不定期で行っていたのだ。意味はない。逆らえない俺達を見て楽しんでいたのだろう。俺がやられたときも、俺は小指の激痛に悶えながら、兄貴に媚びた笑顔を向けるだけだった。それ、この女にしてやるかと一瞬思った。勇者パーティが泣き叫ぶのか俺に媚びた顔を向けるのか、気になる。
「……?」
だがすぐに思い直す。そんなことをするために近づいて、奥の手で殺されたら死にきれない。俺ができるのは死の可能性を僅かでも減らすこと。そのためにはこの女はマジで邪魔!
「き、きき、き、きギヒ!消えロ!どっか…行け!!」
「え、ええ、えーっ!?」
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