230:イッチ[saga]
2026/08/19(水) 00:26:56.01 ID:AgtrdeAa0
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カッパ「ごめん、叔父ちゃん。……他の河童に会えるだなンて、思ってなかったから……」
カッパの叔父は、河吉と名乗った。
2人は、河を歩いて上りながら、話す。
???→河吉「大丈夫だ。大丈夫。お前はまだちいせぇからな。……そうか。河蔵と、波美は、逝ったか……」
カッパの両手に持つ皿を見て、河吉は寂しそうな顔をした。
河吉「……2人は、幸せだったか?」
カッパ「……んだ!」
河吉「そう言えるなら、良かった。………………なあ、河美」
カッパの名は、河美と言った。
カッパ→河美「なンだ。叔父ちゃん」
河吉「これは二度とないチャンスだ。最近、酷く暑くなって来ただろ? みんな皿の渇きがひどくてな。川の中にいても、茹で上がっちまいそうなんだ。だから、もう何日もしないうちに北の方に……だいぶ北の方に、里ごとみんなで引っ越しするつもりなんだ」
河美「みんな……」
河吉「そうだ、みんなだ。上流に、俺たちの里がある。仲間もたくさんいる。良かったら来ないか。みんな、お前の事を歓迎するだろう。みんな、すぐにでもお前を仲間に、一族に迎え入れる」
河美「……んだ」
河吉「俺の息子がな。お前と同じぐらいの年頃でな。……きっと仲良くできる。将来、お前を幸せにする。お前は、こっちに来れば、河童として幸せに暮らせる」
河美「……嬉しいなァ」
河吉は、そう答える河美の顔を横目で見つめる。
河吉「…………でも。……そうか」
河吉は河美の頭をなでた。
河吉「……お前には、帰る場所があるんだな」
河美は立ち止った。
河美「……んだ。オラには、帰る場所がある。生まれ育った、カッパ池が。オラを『カッパ』って呼ぶヤツの腕ン中が」
カッパはにこ、と笑った。
カッパ「だから、そっちにはいけね。ごめん」
河吉「……そうか。ああ。分かったよ。……元気でな。……幸せにな」
カッパ「んだ! 叔父ちゃんこそ、元気でな! みんなに……よろしくなァ!」
バチャン……!
そうして、カッパは手を振り、河吉に満面の笑みを残すと、水の中に姿を消したのだった。
河吉「……」
河吉は腰蓑からタバコを取り出すと、火をつけた。
チッ……シュボッ…………ジジジ……
河吉「スーーー……………………フゥゥゥー……。…………ふっ。……達者でなァ。カッパ」
そう言い残すと、河吉は1人、みんなが待つ上流へと姿を消した。
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