234:イッチ[saga]
2026/08/31(月) 00:40:35.97 ID:nBqzAEnV0
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俺「なるほど。……で、俺を釣ったと……」
人魚「おほほほ♡ 釣るだなんてお人聞きがお悪い……♡ これはお試練……そう、わたくしの旦那様にふさわしいかを確かめるための試練なのですわ〜♡」
推定水深100mの海の底にある、場違いに煌びやかな一角。
それが、人魚の言っていた「スウィ〜ト・ホォ〜ム」だった。
木製の難破船を土台に、本棚やソファなどの家具、だれかの写真やサンゴ、海綿といったインテリアも並べられている。
今いるここはリビングらしい。
そんな中で俺は、人魚が俺を水中に引きずり込んだ動機を聞き出していた。
人魚「それにしても……まさに、貴方こそわたくしの理想の旦那様〜♡ この男らしいお顔に、男らしいお体……♡ 泳ぐこともできるし、お優しい……ああ、これこそ運命ですわ〜♡」
俺「いや、運命じゃなくて君の努力の賜物だろ」
人魚はそのフワフワとした気持ちに合わせるように、ふわ〜♡ と浮かび上がった。
え?
水中なのにどうやって息をしているかって?
多分、俺が溺れかけた時にされた口づけが原因だろう。
あの時「ぷぅっ」と吹き込まれた何かが、水中における呼吸や会話、そして水深100mでの明瞭な視界や水圧に対する耐性をもたらしたのだと思われる。
仕組みは不明だが、不思議現象を深く考えても仕方ない。
人魚「更に運命的な事に、このご本の王子様にもそっくり♡」
俺「それはほんとに知らん」
そう言いながら人魚が俺と比べるのは、本棚から取り出したる『人魚姫』の絵本の王子様。
王子様の絵を指でなぞって、次に俺の顔を手のひらでなでて……
人魚「きゃ〜♡ 本物の王〜子様が目の前にいますわ〜♡」
俺「そんな似てないと思うなぁ……」
ちなみに、その絵本は古い方の「人魚が泡になる」パターンじゃなくて、最近の「人魚と王子様が結ばれる」パターンの絵本だ。
人魚ちゃん、本で読んだお姫様と王子様に憧れて、旦那様を探すためにああして溺れた人間のふりをしていたんだとさ。
なんともハタ迷惑な話だが、そもそも人魚ちゃんはかわいい。
人魚「ね、旦那様。わたくし、ご本のお姫様と王子様みたいな事したいですの♡ まずは……お、お、おデートなんて、いかがでしょう……?」
海に舞う金色の髪に、赤い鱗、貝殻や海藻で作られたティアラや服。
美人で大人っぽい顔つきに、お胸もかなり大きいお姉さまタイプ。
初々しいしぐさもとても良い。
一言でいうと俺は、まんざらでもなかった。
俺「ああ。まずはおデートと行こうか」
人魚「きゃ〜♡ ささ、早速、難破船(スウィ〜ト・ホォ〜ム)ツアーと行きますわ〜♡」スイイイイイ〜
俺「まって引っ張らないで速い!!!」
人魚めっちゃ泳ぐの速いのね!!!
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人魚「ね、ね、旦那様♡」
俺「なんだい人魚ちゃん」
あれから2時間ほど難破船の中を見回って、楽しいお話をしてリビングに戻ってきた俺。
とくとくとく、と自家製海藻ティーを俺のカップに注ぎながら、人魚ちゃんが聞いてくる。
人魚「……幸せですの?」
水より重い海藻ティーは、すすればちゃんと味がする。
とろりとしたとろろのようなものを飲み込めば、しっかりお腹にたまった。
俺「ああ、幸せだ。まさか、俺にこんなに綺麗な妻ができるなんて」
人魚「うふふふ♡ もー、旦那様ったらぁ♡」どん!♡
俺「いて」
……妻はまあ他にいるし、実質妻みたいな子も10人以上いるけど、今言って夢を壊す必要もない。
いつも通り抱けば、そこらへんはどうでもなる。
ーーーその時、俺はそう思っていた。
俺「……そういえば、あの部屋って何があるんだ?」
ふと、リビングの一角にある扉について聞いてみた。
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