57:名無しNIPPER[saga]
2025/07/07(月) 13:27:22.36 ID:L/cJ6cUz0
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〇年前。
俺とサナは、小学校で知り合った。
妙に馬が合い、友達になり、それから家も近い事が判明したのでよくお互いの家に遊びに行った。
中学では別の中学校に通う事になったのでなんとなく一時疎遠となってしまったのだが、毎年の初詣にはバッタリ会って言葉を交わしたりしていた。
高校では再び同じ高校を通うことになり、交流が再開。
別クラスだったが、休み時間にはよくお互いの教室に行き、同級生から「夫婦」と揶揄される事もややあった。
今思えばこの時、俺はサナの事を好きだったかもしれない。
でも、それに気づけなかったというか、気づかないようにしていたというか。
まだ時間はある、そんな気のゆるみもあったのかもしれない。
だから、高校3年生の、夏。
サナのお母さんから電話が来て、サナが事故に合った、という電話が来ても、なにも考える事が出来なかった。
それから、2時間後くらいに、狂ったように泣き叫ぶサナのお母さんからの電話が来ても。
涙も出なかった。
数日後、クラスのグループラインで発足した「サナのためにみんなで花を買う」という企画にも、俺だけは参加しなかった。
俺は1人で近くの花屋に行き、「友達の女の子の誕生日に」と、真っ白なブーケを買った。
その足でサナの家のインターホンを押すと、憔悴した様子のサナのお母さんが出て来たので、俺は「サナに渡して欲しい」とそのブーケを渡した。
サナのお母さんはしばらくそれを見つめた後、「ありがとう、じゃあ、渡しておくね」と言い、扉を閉めた。
サナのお葬式は、家族だけで行われた。
その夏の夏休みの記憶は、ない。
なんだか、ボーっと過ごしていた気がする。
卒業式で、サナは写真だった。
その写真がどんな表情だったかは、覚えていない。
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そして、〇年ぶりに、俺とサナは再会した。
サナが幽霊として化けて出てきた事で。
サナは、あの時の姿のままだった。
恰好は、白いブラウスに白いスカート、それに裸足。
よくよく思い出してみれば、俺と最後に会った時の姿だったかもしれない。
部屋着だから裸足、しかし幽霊だからか熱されたアスファルトの上を難なく歩く。
俺とサナは、それから川で遊んだり、駄菓子屋で好きな物を買い漁ったり、ショッピングモールのゲームセンターで遊んだりした。
ミーン、ミーンミーン……ミーンミン…………
D「……楽しい?」
サナ「うん、すっごく楽しい!!! ありがと!!!」
ぎゅっ、と抱き着いて来たサナ。
ひんやりと冷たい腕の感覚が、しっかりとある。
D「……まだまだ、遊べるな」
これだけ遊んだのに、まだ昼だ。
子供であれば、もうとっくのとうに日が沈んでいる所だ。
大人に、なったからなのかな。
D「次は、どこ行きたい?」
サナ「次はね……Dの家に行きたいかな……♪」
D「あー……俺の家か。うん。あの時と違うけど、いい?」
サナ「うん♪ 入っても良い?」
D「いいよ」
帰り道。
俺とサナは、手を繋いで歩いていた。
もう少しでマンション。
その時、パッ、とサナが手を離して、少し前を歩き始めた。
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