33: ◆M0wTTx2gAU[saga]
2025/11/24(月) 23:14:05.31 ID:I2DGOtKaO
☆☆
セピア『これ以上立ち塞がらないでくださいゼスティアル。私は決めました。魔王軍へ往きます』
数十年前のセピア国でセピアとゼスティアルは衝突していた。人間の密猟者の多さに業を煮やし、魔王軍に加入することでその威を借りようと決心したのだ。
ゼスティアル『セピアさん……うぐ』
ゼスティアルの真の姿は2mの二足歩行の蜘蛛の魔物。2本足で器用に立ちながら、腹部に刺さった矢を抜いた。
ゼスティアル『げほ。魔王軍は巧妙に隠蔽しているにすぎません。我々の仲間は、魔王軍に所属する魔物にも蹂躙されている』
セピア『…』
ゼスティアル『私は回復魔法だけでなく外科技術も利用し同胞達を施術してきました、手遅れな者も。だから、その傷口から加害者の姿も予想がつきます』
キイキイと異形の口を器用に動かしながらゼスティアルがセピアに追いすがる。セピアが魔王軍の軍門に下るのは、良いように使われているだけだと説く。
セピア『魔王軍に従えば今後は助けを受けられます。ゼスティアル、あなたを殺したくはありません。この国の私の家族と言うべき魔物達を治療し続けた恩人です』
エルフに伝わる弓術でゼスティアルを狙いながら無慈悲に告げるセピア。自分が良いように使われようが、家族が守れればそれで良いという決意がダークエルフの心中にあった。それほど記憶に新しいか弱い家族は無惨な狩られ方をしていた。
バスバスッ!!
ゼスティアル『ぐはぁ』
セピア『国のことは任せました』
さらに手足に2本を矢を受けたゼスティアルがセピアの背中を見送る。彼にも数百年の付き合いがあるダークエルフの悲痛な心は痛いほど分かる。
☆☆
ゼスティアル(そしてセピアさんは死んだ…魔王軍に期待していたわけではありませんがやはり彼らは次に私に兵隊となることを強いてきた)
イースと共に移動用のドラゴンに乗っているゼスティアルは精神を虚無の嵐に蝕まれながら、表面上は穏やかを装っていた。
紳士的な笑みを浮かべ、勇者達を殺しに向かうゼスティアルは強烈なアイロニーを感じていた。勇者が勝とうと魔王が勝とうと、弱者に居場所は無いのではないか。
ゼスティアル(いや…一年ほど前に来たアップル王国の使者、彼らは真摯だった。しかし…悲しいかな一国では魔王軍から守りきれはしない。勇者が常に居てくれるならば別だがそんなことは現実的じゃない。結局目の前の暴力に屈するしかないのです)
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