9: ◆GARzbuxPIs[saga]
2026/07/31(金) 06:46:29.56 ID:hEBn5ISXO
クロエ「ここで話しましょうか」
少し歩いた先でクロエが一軒の店へと入る。大通りの喫茶店。いつも見かけはしているが、訪れたことのない店だ。丁寧な物腰でドアを開いてリアを中へ招き、店員に案内され席に座る。
容姿端麗で個性的な衣装のメイドさん。リアは店内の客から視線をチラチラ向けられるのを感じながら、店員へ注文を告げる彼女を待つ。
飲食店といえばもっぱら食堂かレストランな少年にとって縁がないおしゃれな店内。自分が浮いているようで落ち着かず、あちこちを見ているとテーブルの上に数枚の書類が置かれた。
クロエ「契約書です」
リア「あっはい」
流石都会の冒険者パーティ。本格的である。初めて尽くしな展開に背筋を伸ばし、少年は自分へ寄せられた書類に目を通す。
リア(給料、仕事の内容、期間⋯⋯)
クロエ「ご覧になりながらお聞きしてください。リア様を選んだ理由は当パーティの前衛不足。あなたはまだ経験が浅い冒険者の中でもかなりの実力者。そして謙虚で報酬も相手の条件に合わせる真面目な性格。是非その力を貸していただければと」
リア(一緒に仕事をしたことないけど、仲間を探していて、俺の噂を聞いた⋯⋯ってことなのかな。尾ひれがついてるような)
クロエ「後の理由はあなたの才能、そして容姿と私の好みです」
リア「⋯⋯え? 今なんて」
紙面から顔を上げる。向かいの席に何食わぬ顔で、しっかりした姿勢で座るメイドがいた。
クロエ「私の趣味嗜好にあなたがマッチしていました。そしてパーティが求める条件にも一致。まさに求めていた人材です」
リア「⋯⋯」
臆面もなく暗い瞳でまっすぐ見つめながら彼女は言う。雲行きが怪しくなってきたのを少年は感じた。
彼女の標準から感情を読み取るのは難しいが、うっすら赤い頬にわずかに緩んだ口元。こうして対面し、しっかり見つめると――メイドさんから好意と、下心を感じ取れた。
たまに男性から女性と間違われて見られた時に感じる感覚と似ている。
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