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魔法少女×仮面ライダー まどか&W SS大戦GIGA MAX - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [saga]:2012/02/20(月) 23:55:12.11 ID:2epjN1OX0
・ハッピーエンド至上主義の>>1がお送りする馬鹿なお話
・歴代ムービー大戦でも最高だったと(少なくとも俺の中では)評判のMEGAMAXに倣って五章構成
・ご都合も、超展開も、あるんだよ
・話の整合性なんて、あるわけない
・マジで馬鹿なお話なので、「設定違ってね?」「このキャラはこんなんじゃない!」とか思っても、
 寛容な精神でスルーしていただけるとありがたいです
・でも寂しいと死んでしまう>>1が死んでしまわない程度にはレスをくれると嬉しいです
 過疎るくらいだったら雑談して下さっても全然構わないです
・ご覧の通りのかまってちゃんなので、>>1の言うことは話半分に聞いていただいて結構です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1329749711(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
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「ただのクマです、通して下さい」デスガイド「よし通れ」 @ 2025/07/01(火) 01:46:57.85 ID:AZqAU1up0
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速水奏「プロデューサーさんにスカウトされた話」 @ 2025/06/30(月) 23:35:01.77 ID:EyxvIr6M0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751294101/

invest in reverberations dull fallout hoopla @ 2025/06/29(日) 12:49:23.56 ID:fSRAeK0bo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1751168963/

テスト @ 2025/06/29(日) 01:16:24.52 ID:VUhgeNEw0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1751127384/

おトイレ @ 2025/06/29(日) 01:03:06.12 ID:YzFWZ2ToO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1751126586/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part7 @ 2025/06/28(土) 18:43:24.71 ID:5y5+uScJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751103804/

頼む! @ 2025/06/28(土) 02:14:21.86 ID:wTso3bhIO
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頼む!見逃してくれ! @ 2025/06/28(土) 02:12:47.45 ID:t/vvooNwo
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [saga]:2012/02/20(月) 23:56:06.90 ID:2epjN1OX0





第一章:Mの邂逅/正義のヒーロー




3 :(OP:W-B-X 〜W Boiled Extreme〜) [saga]:2012/02/20(月) 23:57:09.26 ID:2epjN1OX0
近未来的に発展した都市、見滝原。
その中に蠢く魔女を打ち倒す魔女……を狩る者、魔法少女……と知り合った普通の少女らの会話から物語は始まる。
全世界を巻き込んで唸りを上げる物語が。

「ねえ、さやかちゃん。風都の都市伝説って知ってる?」

「風都って、隣町の? えっと……確かあれでしょ、仮面ライダーだっけ? 胡散臭いよねぇ」

「うん……でも、魔法少女なんてものがいるなら、仮面ライダーがいてもおかしくないよね」

「ははっ、そりゃそうだ! でも、なんでいきなりこんな話を?」

「えっとね、風都にね、ママの知り合いの探偵さんがいるの」

「ほう。それであの転校生のことを調べてもらおうと?」

「……うん。だって、ほむらちゃんだって同じ魔法少女なんだよ。きっと仲良くなれるはずだよ」

「探偵使おうとしてる時点で、まどかも転校生を信用してないよね」

「うぅ……でも、本当に頼りになる探偵さんなんだよ!」

「へえ。何て名前なの? その探偵さん」

「左翔太郎さん、っていうの」

魔法少女と仮面ライダーが出会う時、何が起こるのか?
果たして悲しみを、苦しみを、覆すことはできるのか?
これは、絶望の運命に抗う人間達の物語である。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [saga]:2012/02/20(月) 23:59:25.36 ID:2epjN1OX0
様々な事件を乗り越えて、やっと手に入れた束の間の平和。
風都タワーは修復されたし、フィリップは帰ってきた。
照井と亜樹子は仲直りしたし、大道克己の真実を知ることも出来た。
後輩ライダーに手も貸してやって、今は久しぶりに事務所でお気に入りの探偵小説を読んでいる。
俺がその小説に熱中していたところ、めったに鳴らない呼び鈴が鳴った。

「はいはい、鳴海探偵事務所へようこそ――あ、まどかちゃんじゃねーか。久しぶり」

「ひ、久しぶりです……翔太郎さん」

「へー……ここがまどかの言ってた? なんか、モロ形から入った感じだねー」

「……えっと、そこの娘は初めましてかな? いきなり俺の事務所にケチをつけてくれやがって」

「あ、あたしは美樹さやかっていいます。いやいやだって、今時こんな古風な事務所ありませんってー」

なんか腹立たしい友達を連れてはいるが、あの詢子さんの娘ことまどかちゃんが来たからには、丁重にもてなさなければなるまい。
だがしかしこの娘ら、なぜにこの事務所に来たのか? まどかちゃんが俺のことを話したにしても、今日平日だぞ?

「あ、あの、翔太郎さん。私達……依頼があるんです」

「そうそう! ちょっと、調べてほしい人がいてさ……」

依頼。
中学生の女の子が使う言葉にしては、随分堅く、重いものに思われたが……この時の俺はまだ、
もっと重い状況に放り込まれることになるとは、全く考えていなかったのだ。
そう、再び命懸けの戦いに身を投じることになるとは。


とりあえず彼女らの依頼内容を聞きながら、久しぶりに鹿目家を訪ねることにした。
まどかちゃんが依頼をしてきたことを明かすわけにはいかないが、まあそれはついでである。
現在、一人ならば乗せることも出来たのだが二人ではそうもいかないので、
俺は愛車ハードボイルダーを押して彼女らと並んで歩きながら、依頼の詳細を聞いているのだ。

「……んで、転校生の行動がおかしいから、ちょっと調べてほしい……か」

「本当はもっと色々事情があるんですけど、話して信じてもらえる類のものじゃないですしねー」

「う、うん……流石に、翔太郎さんでも信じてくれないと思う」

「なんかそう言われるとショックだぜ? せっかく依頼に来てくれたんだ、信じてほしいな」

緊張を解してやろうと俺はわざと軽口を叩いていたが、どうにもうまくいかない。
彼女らが抱える秘密とは、一体何なのか。
まさか魔法少女がマジカルにこの世の悪と戦ってますよなんて話が出てくるはずもないし。
そんな下らないことを考えていると、気付けば辺りの様子がおかしい。

先程まで河原を歩いていたはずなのに、俺達の周囲の空間が、まるで青空のごとく変化している。
上も下もなく、360度全てが青空……疑うまでもなく、異様な空間。
まさか、ドーパント? よりにもよって、女子中学生を二人も連れてるときにか?
しかも直接俺のところに現れるという事は、俺に恨みがある? 以前の事件で関わった人間の犯行か?
俺が二人を庇いながらそんな考えを巡らせていると、俺の背後で二人が叫んだ。

「さ、さやかちゃん! これ、まさか……!」

「そうだよ! 最悪だ……魔女の結界!」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [saga]:2012/02/21(火) 00:00:28.99 ID:lUwU5Obt0
なんなんだ。
まさか本当にマジカルな魔法少女の話なのか。有り得ねえ。
そうこうしている内に足場はどんどん悪くなり、俺達は紐のように細い何かの上でふらついているという有様に。
更に更に悪い事に、セーラー服の化け物が現れた。
普段ならドーパントだと断定できるが――二人の発言が気になる。

「二人とも、落ち着いて。教えてくれ、魔女ってのはどういうことなんだ」

「えっと、手短に言うと……人を食べる悪いヤツだよぅ!」

「翔太郎さん! なんとか逃げないと……!」

「そうもいかねーだろうよ。この足場じゃあ逃げ切る前に追いつかれる」

「あああ! 逃げなきゃ死ぬって言ってんの! 待ってればマミさんが助けに来てくれるから!」

「その必要はないぜ……フィリップ!」

俺は懐からダブルドライバーを取り出す。
こいつと共に、俺は幾多の戦いを切り抜けてきた。
そう、こいつと――相棒と共に。

『どうしたんだい、翔太郎? なんだかとんでもないことになってるみたいだけど……』

「言ってる暇はねえ。変身だ!」

『……ああ、一般人もいるなら仕方ないね。急いであれを倒そう』



『変身!』――【CYCLONE!! JOKER!!】


6 :(BGM:Cyclone Effect) [saga]:2012/02/21(火) 00:01:46.75 ID:lUwU5Obt0
ガイアウィスパーが鳴り響き、派手な起動音と共にダブルドライバーから発せられるエネルギーが俺を変身させる。
しがないハードボイルド探偵から……正義の味方、仮面ライダーへ!

『さあ、お前の罪を――数えろ!』

「変身した――っ!?」

「と、都市伝説見ちゃったー!」

……おっと。この二人を忘れてたな。一般人にこの足場は辛いだろう。
俺はスパイダーショックを取り出し、これをライブモードに。
更にルナメモリを挿し込んで蜘蛛の糸を作り出し、紐を繋いで二人が落ちずにいられるような足場を作った。

「詳しい事は後で、な。ここで待っててくれ」

「――クラスの皆には、内緒にしてくれよ!」

そう言って俺は魔女とやらへ向かって悪い足場を駆け出した。
セーラー服の化け物……名前は分からないし能力も分からない。
ならば、早めに決めてしまうしかないだろう。

『ああ、そうだね。後ろの娘達もいることだし、長引かせるのは得策じゃない』

「おうよ。一撃で決めてやるぜ!」

ドライバーからジョーカーメモリを抜き出し、ベルト脇のマキシマムスロットに挿し込む。

――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

再び鳴り響くガイアウィスパー。待機音と共に疾風が吹き荒れ、俺を浮遊させる。
十分な高度に達してからスイッチを入れると、充填されたエネルギーが脚部へと送られる。
繰り出されるは、悪を裁く正義の鉄槌。名付けて――

『ジョーカーエクストリーム!』

それは、俺達の切札。弱きを助け悪しきを挫く、極限の切札。

「はぁああッ!」『たぁぁあっ!』

超高空からのドロップキック。
魔女とやらも俺達の切札の前には無力。
耐え切れずにそれは爆散し、異様な空間も解除された。
安全を確認してから、俺は変身を解いた。

「しょ、翔太郎さん……」

「……い、いいい今のって、か、かかか……」

「そう、仮面ライダー。街の涙を拭う緑と黒のハンカチ……それが俺達、仮面ライダーWだ」


「……格好つけすぎで台無しっす、翔太郎さん」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [saga]:2012/02/21(火) 00:02:57.34 ID:lUwU5Obt0
投下終了

・知らなくても全然問題ない、このSSの独自設定
おやっさんと詢子さんは古い知り合い
よって翔太郎くんは詢子さんに頭が上がらないとかなんとか
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/21(火) 19:58:16.81 ID:WaRRNXsDO
嫌いじゃないわ!
9 :1 [saga]:2012/02/22(水) 00:17:48.82 ID:we0ifsJt0
案の定レスつかなさすぎワロタ
投下開始
10 :1 [saga]:2012/02/22(水) 00:18:24.73 ID:we0ifsJt0
異様な空間が完全に解除され、俺達が先程までいた河原に戻ったその時、
見滝原の方から駆けてくる少女がいた。
金髪に、歳の割には成長が早いといえる身体。
……決してそういう目で見てるわけじゃないからな。勘違いすんなよ。

「かっ、鹿目さんっ、美樹さんっ……大丈夫!?」

「あ、マミさん!」

「大丈夫っす! このにーさんに助けてもらったんで!」

俺が二人を助けたと聞いて、驚きに目を見開く金髪の子。
そりゃあ俺が仮面ライダーだとは知らないだろうが……そこまで驚かれると、わりとショックだな。

「そんな、魔法少女でもないのに魔女を倒したというの?」

「ええ! なんてったって正義のヒーロー仮面ライダーさんですから!」

「……仮面ライダー? 詳しく聞かせてもらえるかしら?」

「だったら、魔法少女と魔女とやらについて教えてもらいてぇな」

巴マミと名乗ったその少女から、俺は少女達の厳しい戦いについて知らされることとなった。
希望を振り撒く魔法少女と、絶望を撒き散らす魔女……。よくできた話だが、どうも引っ掛かるな。
ガイアメモリに副作用があるように、魔法少女にだって何かあってもおかしくないんだが……。
ああ、駄目だ。考えが纏まらねえ。後でフィリップに頼むか。

「ま、そういうことだからその暁美ほむらちゃんとやらについては、俺に任せてくれ」

「ええ。宜しくお願いしますね」

魔法少女と魔女の関係には裏がある……これは、俺の憶測だが。
そして暗躍する魔法少女、暁美ほむらちゃんについての調査。これが本命の依頼。
そして、魔女そのものへの対処。そういうものだとは知っていても、
やはりマミちゃんのような少女が化物と戦わねばならないというのは納得し難い。
出来れば、魔女との戦いは俺が請け負ってやりたいと思う。

「だが、まずはフィリップの力が必要だな」

詢子さんを訪ねるのは残念だがパスだ。
まどかちゃんとさやかちゃんはマミちゃんに任せ、俺はフィリップを迎えに行こう。
恐らく――フィリップの力が必要になる。
知識の面でも、戦いの面でも。

「……あー、フィリップ。俺だ。今回の件、思ったよりヤバい感じでな……一度お前を迎えに戻るから、頼む」

『ほう? あの化物が何体も居たとしても、ファングやエクストリームの力が必要だとは思えないが……』

「そっちじゃねえ、必要なのは地球の本棚だ。お前の口から直接聞きたい事や聞かせたい事があるんでな」

『ふむ、いいだろう。キーワードを教えてくれ。君が来るまでに検索をしておこうじゃないか』

「ああ、頼むぜ。キーワードは『魔法少女』、『ソウルジェム』、『グリーフシード』だ」

『……了解した。それでは、検索を始めよう』

そして俺がハードボイルダーを駆って事務所へ辿り着いたとき、見たのは。
怒りに震え、頭を掻き毟るフィリップの姿だった。
11 :1 [saga]:2012/02/22(水) 00:19:26.54 ID:we0ifsJt0
「有り得ない……酷過ぎる。こんな運命がただの少女に課されていいはずがない」

「どうしたフィリップ……お前がそんなに取り乱すなんて、何があったんだ」

「……急いで、君の言う三人のところへ行こう。そこで纏めて話をする」

「おいおい、流石に時間が……」

「頼む。これは本当に、早急に伝えなければならないことなんだ」

本当に、こんなフィリップははじめて見る。
こいつがここまで感情を見せることなんてそうそうないぞ……一体、何があったって言うんだ。
俺も内心穏やかではないものの、先程交換した電話番号にコールをする。
マミちゃんの家に集合。そう決まった。



……嘘、だろ。
魔法少女の契約が魂を抜きとる儀式で、ソウルジェムがその産物?
穢れを溜めたソウルジェムは、いずれグリーフシードへと変質し、魔女になる?
嘘だろ、冗談なんだろ、そう言ってくれよフィリップ。
じゃあ、マミちゃんは――

「信じらんないわねー。第一、キュゥべえがあたし達に嘘吐いて何の得があるのよ」

「じゃあ聞くけれど、魔法少女の契約で、キュゥべえとやらは何の得をするんだい?」

「……っ」

「魔女は人を襲う。魔法少女はそれを退治する。そのサイクルの中にキュゥべえの利益になる事は今のところないよ」

「で、でも、キュゥべえが私達のために動いてくれてる可能性だって……」

「あのね、鹿目まどか。片方にしか利益の出ない取り決めを、普通は契約なんて言わないよ」

まどかちゃんやさやかちゃんの当然の疑問を、フィリップが一つ一つ潰してゆく。
その最中、マミちゃんはずっと俯いて、何かぼそぼそと呟いている。
不穏な空気を、辺りに撒き散らしながら。

「……嘘、嘘よ。信じられないわ。いきなり現れたこの人達の言うことを、信じろっていうの?」

「ああ、僕だって信じ難い。だから、出来ればキュゥべえとやらに直接確認してくれ」

「呼んだかい?」

『……っ!』

突然、三人の少女の表情が凍る。
俺達には見えないが、キュゥべえとやらが現れたようだ。
しかし不便だな……見えも聞こえもしないものを相手取らなきゃならないってのか?

「違うよ翔太郎。僕達は、別に今からそのキュゥべえとやらと戦うわけじゃないんだ」

「マミ。そして、まどか、さやか。勘違いしないでほしいんだけど」


『僕達(キュゥべえとやら)は、君(彼女)達に悪意があるわけじゃないんだ』


「宇宙の寿命を延ばすという、崇高な目的のために僕達は君たちの魂を利用させてもらっている」

「そもそも、僕達の――」

しばらく、キュゥべえが自らの目的やらなんやらを話し続けている……らしい。
ちなみに俺はフィリップからその話を聞いているだけだ。
何が宇宙の寿命だ。何が感情エネルギーだ。
そんなもん、勝手に発展したてめーらで勝手に解決しとけよ。

「ふざけんなッ! ……ってぇぇええ!」

マミちゃん達の視線を当てに当てずっぽうで殴りかかるものの、勿論当たらなかった。
ちくしょう、キュゥべえが見えさえすればしっかり殴ってやったのに。

「……そんな、そんなことって。魔女が、元々は、魔法少女……?」

「……! マミちゃん、やめろっ!」

突然魔法少女に変身し、自らのソウルジェムに銃を向けたマミちゃんを、なんとか止める。
凄まじい力で、今にも拘束を振り解かれそうだ……これが、魔法少女の力なのか。
魂を犠牲にして得た力が、これなのか。
12 :1 [saga]:2012/02/22(水) 00:20:59.68 ID:we0ifsJt0
「やめてっ、離して!」

「離すか! まずはマミちゃんがそのマスケット銃離せ!」

「嫌です! だって、だって、魔法少女が魔女を産むっていうなら……!」

「死ぬしかない、とでも言う気か!?」

「そうですよ! 私は今まで正義の味方面して、キュゥべえに騙されてた魔法少女達を撃ち殺してたんですよ!?」

「そして私自身も、いずれそうなる! 正義を志した私は消えて、いずれ悪の化身として無惨に殺される!」

「そうなるっていうなら、じゃあ……っ!」

なんでだよ。
なんで、こんな娘がここまで思い悩まなきゃならねえんだ。
こんなの絶対、おかしいだろ……。

「……マミちゃん。じゃあ、一つだけ聞こう。今、君はすげー苦しんでるよな。君はその苦しみに任せて……」

「まどかちゃんやさやかちゃんを殺すことを、肯定できるか? そうしたいと、思うか?」

「そ、そんなわけ、ないじゃないですか……」

「だったら、魔女になってしまった魔法少女だって、そう思っているとは考えられないか?」

「う……ぅ」

「希望のために願ったのに、魔女はそれを自ら壊さなくちゃならなくなったんだ。そんなの、彼女達が望んでるわけない」

「……嫌なら、それでいい。同年代の女の子を撃つなんて、したくなくて当然だ。だったら、俺達がやってやる」

「希望を奪われて魔女になったその娘達は、俺達が救ってみせる。なぁ、フィリップ?」

「……全く。相変わらずハーフボイルドだね、君は。だがしかし僕も賛成だ。魔女は、殺すことでその魂を救ってやるべきだろう」

そうだ。ただの女子中学生に、同族殺しなんてさせられるものか。
亜樹子には怒られるだろうけれど、構うものか。早速、今晩から魔女退治だ。
ほむらちゃんとやらの調査は……まどかちゃん、すまねえ。ちょいと待っといてくれ。近日中には、必ず結果を出すから。



「俺達に魔女を探すことはできねえ。だから、ついてきてくれ。それだけでいい」

「ああ。魔女さえ探し出してくれたら、あとは僕達に任せてくれ」

「でも、そんな、翔太郎さん……危ないんですよ? 魔女は、人を……」

「……マミちゃんは、そんなもんと今までずっと戦ってきたんだろ?」

「その細くか弱い腕で武骨な銃を構えて、ずっと戦ってきたのだろう?」

『その頑張りを仮面ライダーは受け止めて、背中を押してやるだけさ』

まどかちゃんとさやかちゃんは帰らせて、不本意ではあるがマミちゃんを連れて、
俺達は魔女の捜索へ出た。すると公園付近で反応があったという。
簡単に見つかるというのは一見楽だが、それはつまりこの街の人達は簡単に殺される危険性を抱えているということだ。
……全く、風都以上に物騒な街だぜ。
13 :1 [saga]:2012/02/22(水) 00:22:00.16 ID:we0ifsJt0
「……あれは、使い魔です。魔女が産み出す手下で、成長すると発生源の魔女へと成長します」

「ふむ。だったらあれも、倒しておくべきだろうね」

「おうよ。行くぜフィリップ!」

『変身!』――【CYCLONE!! JOKER!!】

黒い小動物のような姿をしているが、油断はすべきではないだろう。
だからといってこれに苦戦しているようでは魔女は倒せまい。
それに俺達は、既に魔女を一体倒しているではないか。負ける気は、しない!

「さあ、お前の罪を数えろ!」

「……あれが使い魔なんだったら、まだ罪は犯していないかもしれないけどね」

「そういうこと言うなよ! 倒し辛くなるじゃねえか!」

相手は変身能力を持っているようだが、それも大したものではない。
変身したところで、結局弱いのだ。マキシマムドライブも必要なく、その使い魔を撃破した。
だがしかし、次の瞬間、公園の灯りを破壊しながら別の魔女が飛来した。

「ちっ……なんだこいつは! 姿を見る限り、さっきの奴の親玉か!?」

「ああ、恐らくそうだろう。翔太郎、エクストリームだ。油断はできない」

「っし、行くぞ!」

――【XTREME!!!】

俺達の呼ぶ声に呼応し、飛来したのは鳥型のガイアメモリ、エクストリーム。
それは俺達の意志と身体を完全に一つのものとさせる。
仮面ライダーWの、真の姿だ。

「……検索を完了した。あれは暗闇の魔女、名の通り暗闇を好み、暗ければ暗いほど強くなる」

「だから灯りをぶっ壊したのか……どうすりゃいいんだ?」

「光さえあればいいということだよ」

「はっ……手加減なしだってことだな!」

――【CYCLONE!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【HEAT!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【LUNA!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

眩い七色の光が収束する。
四つのメモリのマキシマムドライブという超大技だ。
暗闇の魔女も、危険を察知したのか猛然とこちらへ向かってくる。
間に合うか……? いや、この射程なら、攻撃を喰らう前に撃ち切れるはず――!

『ビッカー……ファイナリュージョン!』
14 :1 [saga]:2012/02/22(水) 00:22:46.77 ID:we0ifsJt0
投下終了

暗闇の中ならばほぼ無敵だと言うので、暗闇にしてみた
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 01:03:16.59 ID:USjLVbVb0
乙。なかなか面白い導入だね。ただちょっと展開が速いように感じるなぁ。俺だけ?
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/02/22(水) 04:05:05.49 ID:PvS971O9o
いきなり魔法少女の秘密がばれたのか面白い
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 08:08:29.27 ID:Rjmt0qfDO
フィリップ容赦なく教えるのね、嫌いじゃないわ!
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 12:52:40.88 ID:XH1GY+kIO
ゾクゾクするねぇ
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 21:52:29.40 ID:NGvnNlpqo
フィリップが居れば大体のゴタゴタ一瞬で解決しちゃうから困るww

20 :1 [saga]:2012/02/22(水) 23:23:03.65 ID:we0ifsJt0
投下開始します

やたら展開が早いのは、今後グッダグダになるからです
今のところ書き溜めは第三章途中まで行ってるんですけど、第三章が長すぎワロス
21 :1 [saga]:2012/02/22(水) 23:25:07.90 ID:we0ifsJt0
――【CYCLONE!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【HEAT!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【LUNA!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

眩い七色の光が収束する。
四つのメモリのマキシマムドライブという超大技だ。
暗闇の魔女も、危険を察知したのか猛然とこちらへ向かってくる。
間に合うか……? いや、この射程なら、攻撃を喰らう前に撃ち切れるはず――!

『ビッカー……ファイナリュージョン!』

収束された光の塊に、しかし一瞬早く魔女の腕が追いついた。
形態変化……暗闇の魔女の真価だ。灯りを破壊されていたことを確認しておきながら、そこまで頭が回らなかった。
自分達の判断を後悔するより先に、弾き飛ばされたプリズムビッカーが背後に落ちる音が空しく響く。
魔女の攻撃をまともに喰らい、俺達も続いて地に落ちる。
……マミちゃんの悲鳴が、やたらと遠くに聞こえた。



「がっ、は……!」

「ぐぅ……っ!」

衝撃に耐えきれず、変身が解除される。
特化型がその型に嵌めちまうとヤバいのは、ドーパントも魔女も一緒だろうが。
くそ、自分が情けない。かといってそれを悔いても始まらない。
とにかく、今は光が必要だ。

「フィリップ、行くぞ――ルナトリガーだ」

「……ああ。今はそれしかないね」

――【LUNA!! TRIGGER!!】

スタートアップに適した疾風の切札サイクロンジョーカーを経て、幻想の銃撃手ルナトリガーへ。
輝く光弾の弾道を操るこの形態ならば、魔女を少しは弱体化できるはずだ。

「喰らえぇぇぇ!」

可能な限りの連射で、魔女を牽制する。
狙い通り、魔女の動きに先程までの鋭さや力強さが無くなった。
だがしかし、ルナトリガーの光弾では威力が足りない。
魔女の攻撃がこちらの身体を掠める度に、俺の身体にはダメージが蓄積されてゆく。
対して魔女は、光弾を何発直撃させても全く応えていない。

「……くっ、まずいぜフィリップ……この状況、ジリ貧だ」

「ああ。かといって、今の状態ではどうしようも……」

そう、今の状態ではどうしようもない。
メモリを変えればその隙に魔女は暗闇の力を取り戻すだろう。
マキシマムドライブを使おうにも、その隙に魔女は俺達を攻撃する。
だから、今の状態を維持するしかない。
かといってルナトリガーの光弾を連射し続けている今の状態も決していいわけではない。
こちらの体力と集中力はがっつり削られていくからだ。更に、魔女の攻撃によるダメージも無視できない。
22 :(BGM:Free your Heat) [saga]:2012/02/22(水) 23:26:30.59 ID:we0ifsJt0
「! がああぁぁっ!」

「……っ、翔太郎! 大丈夫か!?」

魔女の突撃を回避しようとしたところ足がもつれ、まともに喰らってしまった。
体力が限界に来たか。それに、ダメージもそろそろ限界を超える。
次に一撃貰えば、また変身解除だ……!

「……ヒートトリガーで焼き尽くす、これしかねぇ。一撃勝負だ」

「……もう、それしかないか。全く、分の悪い賭けというのは好きじゃないんだけど」

「はっ、言いっこなしだろ。それに――」

――勝ちゃいいんだ。
魔女がどんなに強力でも。
それを上回る火力で迎え撃ってやればいい。

――【HEAT!! TRIGGER!!】

だがしかし実際問題、暗闇の魔女を喰い止められない。
光弾の弾幕が消えた事で、魔女はさらに力を増した。
恐らく何度マキシマムドライブを撃ち込んだところで、今の魔女には掠りもしないだろう。
だから、賭けだ。
魔女の攻撃を喰らうその瞬間に、俺は引き金を引く。
運が良けりゃ相討ちだ。まあ、実際のところは俺だけが殺られる可能性の方が高いんだろうが。

引き金には既に指を掛けている。
喰らった瞬間に撃つ。
俺は衝撃に備えて眼を閉じた。
……だがしかし、いつまで経っても魔女は俺のもとへ来ない。
どころか、魔女が苦しむ声が聞こえるような……?

「……翔太郎さん! 今の内に!」

「マ、マミちゃん!? 戦うのか!?」

「速く! 長くは……もちません!」

マミちゃんが、溢れ出る魔力で輝くリボンで魔女を拘束していた。
魔女には基本的には知能はないらしいから、恐らく脇にいたマミちゃんは視界に無かったのだろう。
何はともあれ、ラッキーだ。
これだけ隙があれば十分……マミちゃん、助かったぜ。

――【TRIGGER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

火炎放射。ただただ単純な圧倒的火力。
それが、ヒートトリガーの必殺技だ。
正義の炎であらゆる悪を焼き尽くす、その名は――

『トリガー……エクスプロージョン!』
23 :1 [saga]:2012/02/22(水) 23:27:20.41 ID:we0ifsJt0
マミちゃんのリボンごと、暗闇の魔女は掻き消えた。
結界は消え、グリーフシードが転がる音だけが辺りに響いた。
……だがしかし、ちょっとこれは……身体痛ぇ。超痛ぇ。
変身を解除して、公園の砂場にふらふらと倒れ込む。
ああ、お気に入りのベストが。スラックスが。ちくしょう、ウインドスケールの新作なのに。
そんなことを思うけれど、身体は俺の言うことを聞かない。
フィリップでさえ、ブランコの周りの柵でなんとか身体を支えているという有様だ。

「二人とも、じっとしてて下さい……今すぐ、治しますから」

「魔法ってのは、そんな事も出来るのか……実に興味深い……」

「……マミちゃん、大丈夫なのか? 君は、これからも魔女と戦えるのか?」

聞きたくないし、彼女の精神を思えば聞かないのが優しさかもしれない。
だが、聞かないわけにはいかない。もし彼女が今、俺達を救うためだけに衝動的に魔法を使ったのならば、
今後の戦いで確実に命を落とす。魔女との戦いがそんな甘いものではないという事は、今しがた身を以って知った。
マミちゃんは俯き、一度深呼吸をしてから、はっきりと言った。

「私は、戦います。それが私の誓いだから。今までは街の人を悪い魔女から守るためだったけど……」

「それは、訂正ですね。私は、皆救うために戦います。理不尽に殺される街の人々も、哀れな魔女も」

「私が、救ってみせる。私は、そのための力を持っているんだから」

「……強いな、マミちゃんは」

俺は、立ち上がれなかった。一人では、決して立ち上がれなかった。
フィリップが、亜樹子が、照井が、刃さんがマッキーが、クイーンがエリザベスが、風都の皆がいたから、俺は立ち上がれた。
それを、マミちゃんは一人でやってのけた。
本当に……強い。

「……そんなこと、ないです。翔太郎さん達がいたから」

「絶望的な状況でも立ち上がる、正義のヒーローがいたから」

「私は、もう一度立ち上がろうと思えたんですから」

「……そっか。だったら、正義のヒーロー同盟結成だな」

俺は拳を突き出す。マミちゃんはそれに応える。
一人では駄目でも、二人いれば、三人いれば、立ち上がれる。立ち向かえる。そうに決まってる。
だったら、ほむらちゃんとやらだって、一緒に戦えるはずだ。
まどかちゃんが言うには、何か秘密を抱えていそうな不思議系少女とのことだが。
同じ魔法少女なんだ、分かりあえるはずだ。
マミちゃんだって受け止められたんだ、魔女の真実だって受け入れてくれるはずだ。
それを諦めることは簡単だけれど、諦めるわけには、いかないよな。
24 :1 [saga]:2012/02/22(水) 23:27:54.42 ID:we0ifsJt0
投下終了

マミさんは魔女化の事実さえ乗り越えることが出来たら文字通り最強だと思う
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 20:12:43.54 ID:JRzzlZ9DO
他のSSでも恐怖を乗り越えたマミさんはメチャクチャ強いよね






嫌いじゃないわ!
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [saga]:2012/02/26(日) 00:33:15.80 ID:Ni6vdcUf0
やっぱりレスつかないね
だがしかし投下開始
誰得かと言われたら俺得なのでしょうがない
27 :1 [saga]:2012/02/26(日) 00:33:58.60 ID:Ni6vdcUf0
翌日。
魔法ってすごい。改めてそう思ったぜ。
あれだけ魔女にボコされたのに、どこも痛くない。全快だ。
ちなみに、昨日はマミちゃんの家に泊まらせてもらった。
本人は一人暮らしで寂しいからむしろありがたいです、なんて笑っていたけど、こちらは恐縮ものだった。
照井に逮捕されても何も文句言えねえよ。
疾しい事は何もなかったとはいえ。

マミちゃんは学校。
ほむらちゃんとやらも同じ学校にいるそうだが、まさか着いていくわけにもいくまい。
そんなわけで今、フィリップは地球の本棚で『暁美ほむら』を調べている。
場所はマミちゃんの家のまま。手持ち無沙汰な俺は適当に問題の無さそうなところを掃除したり……
ああ、ハードボイルドさの欠片もない! ブラックでコーヒー飲みたい! 読みかけの探偵小説読みたい!

「……まさか。ねえ翔太郎、鹿目まどか達の言っていたことは本当なのかい?」

「どういうことだよフィリップ、あの子たちを疑うってのか?」

「いや……だが、これは厳然たる事実だ。暁美ほむらが……」


「暁美ほむらが魔法少女になったなんて事実は、地球の記憶に存在しない」


「……はぁ?」


暁美ほむら。
現在は見滝原中学校の二年生。
心臓に病を患っており、その治療のために転校を繰り返していた。
両親は治療費のために共働きで、一人暮らしをしている。
魔法少女になったという記録は――ない。

「どういうことだ……地球の本棚の情報が間違ってた事なんて今までないよな? かといってまどかちゃん達が嘘をついてるとは……」

「ふむ……例えば、僕達の大先輩である仮面ライダー達のことを考えてみようか」

「ん? あー……例えば、ライダーマンとかか? 厳密には改造人間ではなく、強化スーツを着ているだけ……」

「そう。そのようにして、彼女は独自に魔女と戦っているのかもしれないね。他には?」

「……仮面ライダー電王とか? 未来で魔法少女になり、この時代に戻ってきてるとか」

「それもあるかもしれない。暁美ほむらは鹿目まどかに執着しているようだし……未来で、彼女絡みで何かあったのかもしれない」

「おお。流石だなフィリップ、こんだけの情報からよくもこれだけ推測が出来るもんだ」

「……推測じゃない、憶測さ。実際のところは本人を捕まえて話を聞いてみるまで分からない」
28 :1 [saga]:2012/02/26(日) 00:34:30.63 ID:Ni6vdcUf0
ならば、ここからは俺の出番だな。
学校の近くの喫茶店に張り込み、まどかちゃんに聞いた通りの姿を探す。
ロングの黒髪に、同じく黒のカチューシャ。無表情。……あの娘か。よし、気は進まねえが尾行開始だ。
歩き方一つとっても、隙がない。どれほどの修羅場を潜ってきたのか……マミちゃんもだけど、あんな歳の女の子が。
念のためガジェットもいくつか起動させて尾行を続けていたのだが――

(――消えた!?)

曲がり角に入ったわけでも、人ごみに紛れたわけでもない。
ほむらちゃんは一応魔法少女らしいから、透明化の魔法でも使ったのか?
くそ、しくじっ……

「……私の質問に答えなさい。場合によっては撃つわ」

次の瞬間、俺の背に冷たい感触。
……まさか、拳銃?

「ほむらちゃん……だよな?」

「ええ。さて、あなたは何者?」

「左翔太郎。探偵だ」

「なぜ私を尾行していたの?」

「まどかちゃんの依頼でな。君が何者か、調べていた」

「そう。なら、去りなさい。今後一切、私には関わらないことね。さもなくば、死ぬことになるわよ」

「……ほむらちゃん。魔法少女について、君はどこまで知ってるんだ?」

「質問を許した覚えは――」

「ソウルジェム。魔女。これらの真実について、君は知っているのか?」

背中の冷たい感触が揺れる。
俺の出したキーワードに、ほむらちゃんは明らかに反応した。
これで、繋がった。まどかちゃんの話と、魔法少女の真実と、
ほむらちゃんがキュゥべえを殺そうとし、まどかちゃんに意味深長な言葉を投げかけていた理由とが。

「……あなたは、何を知っているというの」

「全てを。とんでもない検索オタクの相棒がいるもんでな」

「……あなたの目的は?」

「今のところは、君をマミちゃんやさやかちゃんと仲直りさせてやることかな」

「……その二人は、真実には耐えられない。私は知っている……無駄な干渉はやめなさい」

「二人とも、俺達から真実を知らせた。二人とも、受け入れてくれた」

「……まさか」

その一言が俺の耳に届くとともに、冷たい感触が消えた。
この場を去ったか……ああ、寿命縮んだ。
だがしかし、何がほむらちゃんをそこまでさせるんだ?
ともあれ、まどかちゃん達にこの成果は伝えてやるべきだろう。
29 :1 [saga]:2012/02/26(日) 00:35:07.68 ID:Ni6vdcUf0
その日、マミはパトロールに出る為に一度家に戻った。
気持ちを新たに、また今日から魔女退治の日々だ。
荷物を置き、紅茶を一杯飲んでから家を出ようとしたと頃、チャイムが鳴った。

「……暁美さん。だったかしら? 何をしに来たの?」

「巴マミ。私ははじめから敵意なんてない。それだけは信じて。……一つだけ、質問をしに来た」

「……随分な焦りようね。初対面でそれくらい感情を出してくれていたら、もっと違った対応も出来たのに」

「茶化さないで。……巴マミ。魔法少女の真実を知ったというのは、本当?」

「っ……! え、ええ。ソウルジェムが私達の魂だということも、キュゥべえが私達を騙してたって事も……」

「……魔女の、正体も」

ほむらの顔が驚愕に染まる。
マミはそれを見て、それまでのほむらに対する評価を変えた。
この子は冷酷でも、恐らくグリーフシード目当てでもない。
きっとこの子も、希望のために祈って――そしてその希望を、打ち砕かれたのだ。
そう。私が一緒にいてあげられなかった、あの子のように。

「……あなたは、それでも戦うの」

「戦うわ。今までみたいに正義の味方ってわけにはいかないけれど……正義のヒーローに、助けてもらったからね」

「そう。それだけ聞けたら十分だわ。……お願いします。どうか、まどかを守ってあげて」

「え? ちょっと暁美さん、今なんて――」

――いない。
瞬きもしていない筈の一瞬で、ほむらの姿は消えていた。
今の会話が夢か何かだと勘違いしてしまいそうなほど、マミがいる玄関は静寂に包まれている。
不可思議に思いながらも、マミは気を取り直してパトロールに出た。

「……不思議な子。でも、仲良くなれないのかな? こうして話してみたら、やっぱり悪い子ではなさそうなんだけど……」
30 :1 [saga]:2012/02/26(日) 00:36:06.64 ID:Ni6vdcUf0
時は数十分ほど遡る。
さやかは、病院から出てきた。
別に病気だとか怪我だとかではない。
大好きな幼馴染のお見舞いだ。リハビリがどうとかで追い返されてしまったが。

「あ、まどか? 待たせてごめんね」

「ううん、大丈夫。じゃあ行こっか、さやかちゃん」

「ん……、まどか、あれ、あれ……まさか!」

さやかの視界に入ったのは、病院の外壁に刺さっている黒い球状の物体。
それは、魔女の卵。そして、魔法少女のなれの果て。その名は――

「ぐ、グリーフシード……」

「まどか! マミさんの番号持ってる!?」

「あ、聞いとけばよかったよぉ……で、でも翔太郎さんのならあるから、呼ぶね!」

「頼んだ! んで、すぐマミさん呼んできて!」

「わ、分かった!」

まどかは走り出す。入れ違いに、キュゥべえが現れた。
それに呼応するように、辺りが結界に包まれ始める。

「無茶なことをするね、さやか」

「気安く呼ぶなよ、悪質詐欺師!」

「これは嫌われたものだ。別に僕は、悪意が……」

「黙って。ああもう、今ならあの転校生の気持ちすら分かる気がするわ」

「……実際、どうするんだい? 今はまだだけど、孵化したら君なんてひとたまりもなく魔女の餌食だよ?」

「……最悪、あんたと契約するかもね」

「それは……意外だね。君みたいなタイプは真実を知ったら絶対に」

「黙って。あんたいちいち話が長いのよ。……最悪の場合って言ってるでしょ。叶えたい願いだって……あるし」

それだけ言って、さやかは押し黙る。
考えてるのは謎の転校生――暁美ほむらのこと。

初対面、キツそうな奴だと思った。あと、まどかを睨んでいた……気がした。
二度目、奴は魔法少女だった。拳銃構えてまどかを狙ってた……と思ったが、
実際狙ってたのはキュゥべえだった。あたしはそれで奴を動物虐待のサイテーな奴だと思った。
そして、今現在。キュゥべえはあたし達から見て悪だった。敵だった。
本人には悪意も何もないようだが、それであたし達の評価が変わるわけではない。

ここで一つ、問題だ。
転校生は、一体どういう理由でキュゥべえを狙ってたのか?
もしかしたら、魔法少女の真実を……そりゃあ全部とはいかないにしろ、幾らか知っていて、それでキュゥべえを止めようとしていた。
そんな可能性も、あるのではないか。奴がただ単にマミさんやキュゥべえの言うようなグリーフシード狙いの悪い奴なら、
わざわざあんな風にマミさんと敵対してまでキュゥべえを狙う必要はないもんね。

だからといって、全面的に奴を信じていいわけではない。
敵の敵は味方、という漫画の中の言葉を簡単に信じられるほど、魔法少女の世界は甘くない。
それくらいは、契約してないあたしにも、わかる。
31 :1 [saga]:2012/02/26(日) 00:37:01.30 ID:Ni6vdcUf0
「……相変わらず無茶な判断をするのね、美樹さやか」

「…………………うおぉぉうっ!?」

突然、あたしの真横に転校生が現れた。瞬間移動!?
なんにせよ、警戒レベルを上げておく必要があるか……?

「転校生。なんでアンタがここにいるの」

「鹿目まどかからの連絡を受けていた左翔太郎と一緒にいたのよ。私一人でも来ておいたほうが安全でしょう」

「……どういう意味だよ。誰の安全?」

「あなたのよ」

……信じられない言葉を聞いた。
転校生が、あたしの安全を考えている?
冗談半分で言うけれど、逆に怪しいぞ、おい。

「ねぇ、転校生。アンタってさ、知ってたの?」

「……ま、魔法少女の真実とか、そのへんのこと」

「ええ。ソウルジェムが私の魂であることも、私の身体は今や死体と同義であることも、私はいずれ魔女になるということも」

駆け巡る戦慄。
なんだよ、こんな中学生がいていいのかよ。
それだけの真実を知って、それであんな風に生きられるっていうの?
マミさんでさえ一晩は立ち直れなかったって、翔太郎さんから聞いた。
今でも、あたしですら分かるくらいにマミさんの雰囲気は変わってしまっているというのに。

「じゃあ聞くけれど、転校生。アンタの目的って何?」

「鹿目まどかの契約阻止。それ以外には何もないわ」

「……それは、なんのために?」

「約束のために。たとえ世界を敵に回そうと譲れない、たった一人の大切な友達との約束のために」

「……負けた、負けだよ。あたしの負けだ、転校生」

「何が言いたいの? 美樹さやか」

「あたしは今後、アンタの言う事一切を信用する」

「……そう。勝手にしなさい」

確信した。証拠は不十分だけど、確信した。
こいつは信用に値する。
少なくとも、どこぞの敵性宇宙人よりは。

「だったら、聞きなさい。ここの魔女は危険だわ。二つの形態を持っていて、一つ目で油断を誘い二つ目で相手を喰らう」

「まともな戦闘能力があるのは二つ目だけね。ただしかなり厄介な再生能力があって、巴マミとの相性は最悪と言っていい」

「ふーん……ん? なんで?」

「巴マミの銃は基本的には装弾数一発の使い捨て式。彼女が銃を生成し撃ち捨て次を生成するその間に、魔女は再生を完了する」

「あー、そういうこと。いたちごっこみたいになっちゃうわけだ。で、あたしはどうすればいいの?」

「何もしないで。強いて言うならそこの淫獣と決して契約しないで」

「淫獣て。何そのナイスネーミング、あたしも使っていい?」

「……はぁ。勝手にしなさい。左翔太郎は巴マミに連絡を入れると言っていたから、おそらく鹿目まどかも含めて三人で来るわ」

「ふーん。ま、マミさんに加えて翔太郎さんが来てくれるとなったら安心だね」

「……? あの探偵が来て、何か意味があるの?」

……あ、こいつ、仮面ライダーのこと知らないんだ。
なんだかくだらない優越感いただきました。
32 :1 [saga]:2012/02/26(日) 00:37:23.32 ID:Ni6vdcUf0
投下終了
我ながらサクサク進ませ過ぎな気もする
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 00:56:58.87 ID:brafC2Bwo

最近、ほむさやも正義なんじゃないかと思い始めた自分にとってはこの二人の関係改善はいいことだ
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 04:18:58.95 ID:LhIm2xSO0
おお、以前より厚みが出てきた。いい感じだ。
というか、普通の小説よんでる感覚だったな。感動的だな。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 13:44:32.18 ID:+Qg5S8kIO
なんかホムッてなったわ
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/02/27(月) 15:52:44.98 ID:5z4NYSsi0
………つかオーズ出してオーズ!!
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 16:09:39.84 ID:nZ71UvI1o
今全部読んだけどいいな
続き楽しみにしてます
38 :1 [saga]:2012/02/27(月) 22:32:13.27 ID:Nqde99Sv0
>>36
このSSはMEGAMAXに倣って五章構成になっています
後は分かるな?


投下開始
39 :1 [saga]:2012/02/27(月) 22:33:30.58 ID:Nqde99Sv0
結界内の嫌な空気が、素人のあたしにも分かるほどに濃度を増した。
まるであたし達を喰い尽くさんばかりの、どろりとした殺気を感じる。
それを言ったら、転校生……いやさほむらには、あなたってやっぱり鋭いのね、と言われた。
どういう意味だろう。

『巴マミ。速く来なさい……いずれ魔女が孵化するわ』

『……暁美さん、ね? びっくりするから急にテレパシーは勘弁してくれる?』

『速く来なさい。ふざけてる場合ではないわ』

『大丈夫、バイクに乗ってる翔太郎さんが先に行ってくれてるから』

『だから、あの男が来たところで何になると……』

『えっ? ……あ、そうか。あなたはまだ知らなかったのね』

『えっ? 美樹さやかも変なことを言っているし……あなた達、もっと危機感を持ったほうが……』

恐らく今、ほむらはテレパシーでマミさんと話しているのだろう。
何を話しているかしらないが、もうそろそろこの空気に耐えられなくなってきた。
本当に、今にも膝をついてしまいそうなほどのプレッシャーがあるんだけど……ほむらは動じていない。
まさか気付いてないってことはないだろうし。

「ねえ、ほむらぁ……マジでこれ大丈夫なの? 勢いでここに残っちゃったけど、あたしってかなり足手まといじゃない?」

「いつの間に名前で……まぁ、いいわ。ここの魔女は中々の強敵だけど、あなた一人守るくらいならできると思う」

「そう。端っからそういう態度でいてくれたら、あたしも消火器なんかぶっかけなくて済んだのにー」

「五月蝿いわね。だったらあなた、私の口からキュゥべえの真実なんて聞いて、信じたかしら?」

「……あたしが悪かった」

そうこうしている内に、不快感はマックスへ。
ただただ不気味なだけだった結界が、決まった形を取り始めた。
大量のお菓子と、注射器を始めとした病院的なアイテムに彩られた、相変わらず趣味の悪い結界。

「……さて、私は進むわ。あなたには簡易の結界を張っておく……巴マミが来るまでくらいはもつはずよ」

「大丈夫でしょうね……使い魔に攻撃されたりしても平気なの?」

「だから、巴マミが来るまでくらいは大丈夫よ。だからといって私の魔力では不安なのも確かだけど」

「怖いこと言うなよぉ!」

「出来れば魔女が目覚めてすぐに狩ってしまいたいから、お願い。ここで待ってて」

それだけ言って、ほむらは行ってしまった。
思わず手を出すと、簡易の結界とやらに弾かれた。
その時の音に反応したのか使い魔が現れたけど、使い魔も弾かれていた。
ちょっとだけ安心した。
40 :1 [saga]:2012/02/27(月) 22:34:57.13 ID:Nqde99Sv0
結界内を進むほむら。
彼女は今から戦う魔女――お菓子の魔女、シャルロッテ――について、思考を巡らせていた。
二つ目の姿が発現する条件は、一体何なのか。

(ああやって二つ目の姿を出すのは、『緊急避難』なのか『通常の戦法』なのか……)

(前者ならば自然よね。普通の人間は一つ目の姿のまま喰らう。危険な存在に対しては二つ目の姿で対処する)

(後者だとすれば、あの魔女の能力は、対魔法少女に特化しすぎてる……そこは、不可思議なのよね)

(ただただ欲望に従い人を喰らうだけの魔女が、どうして戦闘に特化した能力を持っているのか……)

(……まあ、どっちだとしてもやることは変わらないのだけれど。出来れば時間停止は節約したい)

前回の時間軸ではマミが殺されたせいで、まどかとさやかを救うために時間停止を使わなければならなかった。
ただ、今回の時間軸では真実を知ってそのうえで戦う巴マミという非常に心強い存在がいる。
ならば、時間停止を多少無駄にしてでもここで魔女を倒しておく意味はある。

(とりあえずは正解が前者である可能性に賭けて、出現の瞬間に一撃で倒すことを目指してみましょう)

使い魔は適度に倒す。
わざわざ放置するのも気分が悪いけど、どうせ後から巴マミが来るのだから。
だがしかし、結界最奥に辿り着いたところで、ほむらは異常を察知する。

「この気配……魔女が既に目覚めている?」

まさか、有り得ない。
前回の時間軸では確か、巴マミが来るまでは魔女は眠っていたはずだ。
何者かが、結界を刺激したに違いな――

「うおぉおぉぉおおおっ!」

爆音を上げ、結界最奥にバイクが侵入してくる。犯人はこいつか!
私の姿を見てバイクを降り、メットを外したその男は――左翔太郎だった。

「あなた、何を考えているの? 戦えもしない癖にここまで来て……大人しく美樹さやかの傍にいてくれれば」

「……ん? あ、そういえばほむらちゃんには言っても見せてもなかったか。俺は別に戦えないわけじゃないぜ」

「何を言って……ただの人間が、魔女と戦えるわけがないでしょう」

私が言っていることは間違っていないはずなのだが、どうも様子がおかしい。
美樹さやかも巴マミも、妙にこの男を信用していたし……。
私が訝しんでいる間に、左翔太郎は懐から謎の装飾が施されたベルトと、USBメモリのようなものを取り出していた。

「……何? それは」

「ん、これが俺の、俺達の戦い方さ。行くぜフィリップ! 変身!」

左翔太郎が腰に巻いたドライバーに、どこからともなく緑色のUSBメモリが挿し込まれる。
それを強く押し込んだあと、自らの手に収まっている黒色のUSBメモリを更に挿し込む。
ドライバーを展開させると、辺りは疾風に包まれ――その後にいたのは、二色の怪人だった。

右半身は緑。左半身は黒。たなびく銀のマフラーに、赤の複眼。
そういえば、昔聞いたことがある。隣町の、都市伝説。
弱気を助け悪しきを挫く、正義のヒーロー……

「……仮面、ライダー?」

「ああ、そうだ。俺達は、仮面ライダー……仮面ライダー、W」
41 :1 [saga]:2012/02/27(月) 22:36:08.32 ID:Nqde99Sv0
左翔太郎にも今回の魔女の特徴を伝える。
代わりに仮面ライダーについての話を聞き、事態を了解した。
そんな戦士がいるのなら、確かにこれほど心強い事はない。
なにせ、どれほど戦い続けても魔女化することがないのだから。

さて、魔女は目覚めてしまったようだし、巴マミが来ると分かっているのにわざわざ無茶をすることはない。
そんなわけで一度退いて、使い魔を退治しに向かった。

「ほっ……ほむらぁ! それに翔太郎さんも!あたしを放ってくなんて酷いよ! 怖かったよ!」

「その様子なら結界は正常に作用してたでしょう?」

「ま、なんにしても先に使い魔だ。ここの魔女がほむらちゃんの言う通りの性質を持ってるなら、成長させちまうと面倒だろ?」

『そうだね。以前戦った暗闇の魔女にしてもそうだけど、使い魔の内に潰しておくに越したことはないだろう』

仮面ライダーの力は圧倒的で、使い魔を一撃で何体も撃破してゆく。
幾つかの戦闘形態を持っていて、今は風を操る近距離格闘形態……だったか? とにかく、戦いは一方的なものになった。
最後に残った一団を仮面ライダーが風を纏ったキックで打倒し、結界内の使い魔は一掃された。

「あとは最奥に残ってるごく少数と、魔女自身ね。そろそろ巴マミも着く頃でしょう」

そう言うと、丁度結界が開かれたのが感覚で伝わった。
巴マミと鹿目まどかが到着したようだ。

「……はっ、はっ……お待たせ」

「巴マミ。鹿目まどかを連れてくる必要はあったのかしら」

「私も出来れば置いてきたかったのだけど……どうしてもって聞かなくて」

「だ、だって、だって、さやかちゃんがこんなとこにいるのに……」

『その優しさは人として長所だろうけれど……鹿目まどか、無用な危険を冒すものじゃない』

「はう、ごめんなさいぃ……」

「まぁいいだろ、そんなカリカリしなくても。使い魔はもう倒した、まどかちゃんとさやかちゃんはここで待ってな」

「は、はい!」

三人……いや、厳密には四人か? ともあれ、考え得る限りの最強メンツで結界最奥へ進む。
油断は禁物とはいえ、それは逆に言えば油断さえしなければ負ける相手ではないということ。
巴マミにも魔女の特徴を伝え、万全の策を練って最奥へと足を進めた。
たった一つの誤算は――

お菓子の魔女が、既に二つ目の形態を取っていたこと。

迫る鎌首が巴マミを狙う。
その速さが、その剛力が、その悪意が、その殺気が、巴マミの戦意を刈り取る。
私は、反応出来ない。
42 :(BGM:Credens justitiam) [saga]:2012/02/27(月) 22:41:39.12 ID:Nqde99Sv0
――【CYCLONE!! METAL!!】

とっさに、仮面ライダーが魔女と巴マミの間に入った。
かろうじて視界の端に捉えたその姿は、左半身が黒から銀に変わっている。
そして彼が突き出した左腕は、魔女の牙をあっさりと受け止めてのけた。

「っつぅ……流石に痛ぇな!」

『無茶なことを……しかしナイスフォローだよ、翔太郎。さて、魔法少女達。あとは作戦通り決めよう』

「……っえ、ええ!」

「わ、分かったわ!」

私と巴マミは、魔女を囲むように左右に散開する。
牽制の銃撃を何度か撃ち込んで魔女のライダーに対する拘束を外し、大技の準備に取り掛かる。
私は自作の爆弾をあらん限りに。巴マミはかつての世界で呉キリカを倒してみせた炸裂弾の装填を。

――【LUNA!! METAL!!】

そして仮面ライダーは、その姿を鮮やかな金と銀に変える。
左翔太郎が、叫んだ。

「いくぜ二人とも! タイミング合わせてトリプルマキシマムだ!」

(なにそれかっこいい……)

「……とりぷるまきしまむ……?」

そうか、左翔太郎も巴マミと同じタイプの人間だったのか。気は合いそうにない。
……まあどうでもいいことだ。マキシマムドライブでもティロ・フィナーレでも好きにすればいい。
彼らのように、華麗で華美な技を以って自らを鼓舞することで最高のパフォーマンスを見せるタイプの戦士もいる。
ただそれだけの話だ。そして彼らは、時に最高以上の力を発揮する。

――【METAL!! MAXIMUM-DRIVE!!】

『メタルイリュージョン!』

「喰らいなさい……ティロ・エスプロジョーネ!」

「……爆ぜなさい」

仮面ライダーの空を舞う光輪が、巴マミのゆうに百は超えようかという炸裂弾が、
そして私の、同じく百を超える自作爆弾が。お菓子の魔女を、幾重にも焼き尽くす。
数えて十度目の脱皮の後、魔女はその活動を止めた。
魔女の結界が消え始める。

「……仮面ライダー。そして、巴マミ。協力、感謝するわ」

これは本心。
おかげで、時間停止を使うことなくあの厄介な魔女を倒すことが出来たのだから。
もう用はない、私への無駄な敵意も消えたようだし、私がこれ以上ここにいる意味もないだろう。
そう思って立ち去ろうとすると、変身を解除した左翔太郎に止められた。

「ほむらちゃん。まだ俺は、君の目的を聞いていないぜ」

「……それが何か? 話す義理はないわ」

「そりゃないんじゃねーか? 俺達の協力に感謝してくれてるってんなら、話の一つや二つ、してくれたっていいだろ?」

「……見かけによらず、狡猾なのね。あなたは何も考えずにただ人助けをするタイプだと思ってたわ」

「それを否定はできねえが……まどかちゃんからの依頼だからな。ここで君を帰すわけにはいかないのさ」

まずい。早くこの場を去らなければ、美樹さやかや鹿目まどかまでこの場に来て私を止めようとするだろう。
そうなれば、時間停止なしでこの場を抜けることは難しくなる。
かといって、インキュベーターがいるのに時間停止を使うことは出来れば避けたい。
そこで、一つ思い付いた。思い付いて、しまった。

今は、せっかく共闘できたのだから。
せっかく、敵視するのをやめてくれたのだから。
素直に、頼ってみてもいいのではないか。

それは。初めて会った頃のように『巴さん』と共に戦えるのではないか、という望みは。
私にとってあまりに魅力的なアイディアで。

「……ええ、いいでしょう。分かったわ。私の目的を話す」

しかし実際のところ嘘を吐いて『巴マミ』を騙し、利用しようとする私がいた。
43 :1 [saga]:2012/02/27(月) 22:42:25.76 ID:Nqde99Sv0
投下終了

マミさん大好きの俺がマミさんをみすみすマミらせる展開にするわけがないのでしたとさ
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 23:02:15.18 ID:ATMnZ4K9o


つまりフォーゼも出るかもしれない…?
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 23:39:21.14 ID:5NiLeeTSO
そしたら四部構成になるぞ



期待はするが
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/02/28(火) 05:03:16.46 ID:lyOBCAago
フォーゼはなぁ
ss的にはスイッチが面倒だな
47 :1 [saga]:2012/02/29(水) 23:18:46.23 ID:5EpYoG++0
メモリの時点で文にするのは十分めんどくさいww
投下開始
48 :1 [saga]:2012/02/29(水) 23:19:17.25 ID:5EpYoG++0
「私の目的は、魔法少女が増えることの阻止。ひいては、魔女の孵化の阻止」

「なぜ私が魔法少女の真実を知っているのか、という問に対する答えは、『実際に見たから』よ」

「大切な友達が正義のために戦って力及ばず死んだところも、絶望に負けて魔力を使い果たし魔女化したところも……」

「私は見てきた。だから、それを止めたいと願った。結果として私は、時間の流れを観測し、干渉する力を得た」

「……生憎私に巴マミほどの素質はなかったから、私が干渉できるのは私の契約から、精々一か月前までなのだけどね」

「そして、その一カ月で救えそうな魔法少女候補は、あなた達しかいなかったのよ。鹿目まどか、美樹さやか」

……ほむらちゃんが語る、彼女の過去。マミちゃんとまどかちゃんは信じきっているようだが、
俺とフィリップはどうもそれを信じられずにいた。さやかちゃんも訝しげな顔をしている。
嘘を吐いている、とは思わない。だが、真実の全てを話してはいないのではないか……と。

「……ほむらちゃん。話の通りならほむらちゃんは、真実を知ってから契約したってことになるよな?」

「……ええ、そうね」

「なぜ、契約していないただの人間が魔法少女の死を目撃できたんだ?」

「巴マミのように、魔法少女の候補に戦闘を見せている物好きがいたもので、ね」

「……そうか」

しかし、話に矛盾は見つけられない。
彼女が全てを話していないことは、明らかなのだが。
それがどうしようもなく情けなかった。


「そういえば翔太郎さん、ほむらちゃんの調査についての報酬って……幾らになるんでしょうか……」

おっと、そうだったな。
……露骨におどおどしているまどかちゃんから金を取るのは非常に心苦しいのだが……、
一応こちらも仕事だし、ロハなんてことにしたら亜樹子にどやされちまうし……、
うん、そうだな。風都と見滝原の往復分の、ハードボイルダーのガソリン代ってことにしといてくれ。

「は、はい。わかりました。それくらいなら、すぐに払えると思います」

「翔太郎さんとフィリップさんのおかげであいつに騙されずに済んだわけだし……あたしも一緒に払うよ、まどか」

「……だったら翔太郎さん、もう帰ってしまうんですか?」

そう聞いてきたのは、寂しそうな顔をしたマミちゃん。
……ううん、俺もそこは不安なんだよなぁ。だが風都には早く戻らなきゃならないし、風都でキュゥべえが活動していないとも……
いや、それはないか。多分、ミュージアムの連中はそれを快く思わなかっただろうから。
第一、俺がマミちゃん達を甘やかすべきではないとも思う。
話によると他の街にも魔法少女は存在しているわけで、だとすればマミちゃん達だけ救っても、なんの意味もない。
例えそれが悪質な詐欺を伴うものだったとしても、願いだけは叶っているのだから。
……ああでもマミちゃんの場合は、それ以外に選択肢がなかったんだっけか。

「ならば、左翔太郎。私が依頼をするわ」

「……ほむらちゃん、どういうことだ?」

「……近い内に、ワルプルギスの夜が来る。あなた達にはその討伐を手伝ってほしい」

「わるぷるぎすぅ? なんだそりゃ」

「えっと……、ドイツの行事『ヴァルプルギスナハト』のことかな? 日本語に訳して『魔女の夜』という」

「……あなたはフィリップ、といったかしら? その知識は大したものだけど、私が言っているのはその名を冠した弩級の魔女よ」

「ちょっと待って暁美さん、それは本当なの? だとしたら、この街は……」

「ええ、ただでは済まない。時間干渉によって私はワルプルギスの夜がこの街に訪れることを知ったの」

「なんの対処もしなければ、見滝原は誇張でもなんでもなく……壊滅してしまう」

「だから。巴マミ、左翔太郎、フィリップ。私に協力してほしい」

「魔女の夜を、乗り越える為に」

毅然とした、それでいて冷たさを兼ね備えた、とても中学生とは思えないほむらちゃんの表情。
一体この娘は、俺達にどれほどの秘密を隠しているのだろうか。
49 :1 [saga]:2012/02/29(水) 23:20:33.84 ID:5EpYoG++0
「……一応聞くが、報酬は払えるのか? 俺だって協力はしてやりたいが、タダってわけにゃいかないんだ」

「冷たいと感じるかもしれないが……こちらも、一応生活が懸かっているものでね」

「言い値で払うわ。金ならなんとでもなる」

「ほむらちゃん、そんな、どうやって……」

「鹿目まどか、今は黙っていて。命さえあれば金なんて幾らでも作れるわ」

「じゃ、じゃあ私も手伝う!」

「しっかたないなぁ。謎の転校生ほむらちゃんがそこまでするんなら、さやかちゃんが協力しないわけにはいかないじゃん」

「ええ、ワルプルギスの夜は伝説になるほどの魔女だから……翔太郎さん、私からもお願いします」

少女達からの依頼。
街一つが滅びるほど、と聞けばまあ、協力しないわけにはいくまい。
……亜樹子にはどやされるだろうが、知り合い価格で安くしといてやるか。

「いいだろう。その依頼、確かに受けたぜ」


ほむらちゃんの依頼を受けたことにより、俺は見滝原に留まる必要が生じてきた。
一応照井に連絡を入れたが、帰ってから亜樹子が怖いぜ。
それなりの長期間ここに留まることになるのでホテルを利用しようと思ったが、結局マミちゃんに押し切られた。
無駄な経費を使わなくて済むのはありがたいが……もう、マミちゃんには頭が上がらないぜ。

また、マミちゃんとほむらちゃんは結局共闘することにしたようだ。
仲良きことはなんとやらだ。女子中学生が互いに銃を向け合うなんて、間違ってるどころの話じゃないからな。
そして俺達は、ワルプルギスの夜に向けたチームワーク、連携の構築という名目で彼女らのパトロールに同伴することになった。
マミちゃん曰く、補導される心配がなくなって嬉しいです、とのこと。
……いや、もう、女子中学生にこんな心配させる世の中っておかしいぜ……。

「確か今晩は、廃工場に魔女が出るはずだから、そこへ向かうわよ。左翔太郎、巴マミ」

「了解だ」

「暁美さん、魔女の特徴は分かる?」

「いや……悪いけど、分からないわね。私が直接相手をしたわけじゃないの」

「……そう」

「でもこの三人ならば、それこそワルプルギスの夜でも相手にしない限り負けはないわ。油断さえなければ……ね」

たった一度の共闘で、ほむらちゃんは驚くほどにこちらに心を開いてくれていた。
……逆に疑わざるを得ないほどに。そして昨晩抱いた疑念も相まって、俺は不安になる。
心を開いているというのは見せかけなんじゃないか?
ただ単に隠す必要のない情報だからぺらぺら喋ってるだけじゃないか?
結局この子は一体、どれほどの情報を隠しているんだ?
それは、しばらく後――魔女との戦いにおいて、明かされることとなる。
50 :1 [saga]:2012/02/29(水) 23:21:42.72 ID:5EpYoG++0
さやかはまた、病院に来ていた。
大好きな幼馴染、上条恭介を見舞うためだ。
彼への見舞い品として今日も買ったCDを抱えて、病室の前で深呼吸。
意を決してドアを開け、いつも通りにCDを渡して……怒鳴られた。

「さやかは、僕をいじめてるのかい?」

そんな言葉が彼の口から出たなんて、信じられなかった。
でもそれは、厳然たる事実で。

「自分で弾けもしないバイオリンなんて、聞きたくないんだよ!」

恭介は怒りのままに左腕をCDプレイヤーに叩きつける。
鮮血が、ベッドに飛び散った。

「や、やめて! 恭介、落ち着いて! だ、だいじょうぶ、治るよ、諦めなかったら、きっと、いつか治るよ」

制止の声も、震えてしまう。
何が彼をここまでさせたのか。
何が彼をここまで追い詰めたのか。
――自分の、考えの浅さだ。

「諦めろって、言われたのさ……奇跡か、魔法でもない限り……この手は、治らないって……」

奇跡か、魔法。
そう言われて思い付くものはあったけれど。
奇跡も魔法もあると、そう知ってはいるけれど。
それについて知った真実を考えると……とても、言い出せなかった。

「ごめん、なさい……ウザかったよね、嫌だったよね……ごめん……」

涙が零れそうになる。駄目だ、泣いちゃいけない。恭介は、あたしなんかよりもっと辛いんだから。
結局あたしは病室を出るまで、意味のない単語を並べて謝り続けることしかできなかった。
病室を出てからは、無意味に自分を責め続けることしかできなかった。
そして――失意の帰り道、キュゥべえに出会った。

「……真実を知ったうえで、君がどう行動するかは君の自由だ」

「しかし、僕は君に、偽りの希望を与えてあげられる。それもまた、事実だ」

「どうだい? 美樹さやか。君は、今も――いや、違うね。今は、契約を望んでいるかな?」

そうだ、契約すれば。
契約して、恭介の腕を、いやどうせなら全身治してもらえばいい。
そうすれば、恭介を傷つけたことに対して、お詫びが出来る。
例え恭介にはそれが知られないとしても、それがただの自己満足だとしても。
それはあまりに魅力的な提案で、あたしに抗う術などなかった。
51 :1 [saga]:2012/02/29(水) 23:22:33.66 ID:5EpYoG++0
投下終了
自分で書いてなんだけどこのQBには本編のような狡猾さが足りない
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/01(木) 18:58:18.05 ID:4jYT5GDUo
面白い
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 21:36:34.16 ID:QWoLsNxPo
乙!
続きが楽しみだ
54 :1 [saga]:2012/03/02(金) 23:08:02.27 ID:qSC19DzH0
感想レスがもっと欲しいという欲望ッ!!

投下開始
55 :1 [saga]:2012/03/02(金) 23:08:36.60 ID:qSC19DzH0
俺とほむらちゃん、マミちゃんで廃工場へ向かう。
ちなみにフィリップはマミちゃんの家で待機。
その道すがら、怪しい人の流れを見つけた。

「……何人も、俺らと同じ方向に向かってるな……」

「ええ。巴マミ、ちょっと見てきて頂戴」

「はいはい。全く、先輩使いが荒いんだから……っ!? これは!」

魔女のくちづけ……魔女に喰われる前兆だそうだ。
つまりこの人達は、今魔女の結界に向かっているということか。
そしてその先には――

「……俺らが目指していた廃工場、か」

「まさか、こんな大掛かりな事をする魔女だったとはね……」

「それは驚きに値するけど……それはつまり、戦闘能力は低い可能性が高いということよ」

「ん? そうなのか?」

「ええ。直接相手を襲って喰うだけの力がないから、こうして人をおびき寄せるの」

「ふうん」

ともかく、廃工場へ向かう。
この人達が到着するより先に魔女を始末してしまいたいと思っていたが、
俺達が到着したときには既に、かなりの人数が廃工場にいた。
しかも、集団自殺を図っている。趣味の悪い魔女だ……!

「マミちゃん! ほむらちゃん! ここは俺に任せて、魔女を叩いてくれ!」

「了解したわ」

「翔太郎さん、気をつけて!」

とりあえず薬品を混ぜようとしていたバケツを蹴り飛ばす。
正気を失った人の群れが襲いかかってくるが、大したことはない。
しかし、喰う予定だった人々がまだ死んでいないことに気付いたのか、使い魔がこちらに現れ始めた。
その姿は片翼の天使、といったところか。よし、ここらでいいだろう。
俺は人の群れと使い魔の集団をいなしながら、ダブルドライバーを装着する。
フィリップに連絡だ。

「フィリップ! 変身より先に検索を頼む。キーワードは『集団自殺』、『片翼の天使』だ!」

『オーケー、了解だ。しばらく耐えてくれ……検索を始めよう』

人の群れについては大したことはない、ドーパントの相手をすることを思えば楽なものだ。
出来る限り傷をつけないよう、回避と防御に専念する(首筋を叩いて気絶させるアレを試してみたけど、無理だった。残念だ)。
厄介なのは使い魔だ。どうやらこいつに触られると身体が軟体化させられてしまうようで、防御が出来ない。

「フィ、フィリップ! まだなのか!?」

『……検索を完了した。恐らくこの魔女は『ハコの魔女』。人のトラウマである記憶を見せることで絶望させ、喰らう』

「だ、だったらマミちゃん達も危ないんじゃないか!?」

『ああ。戦闘能力とは関係のない、恐ろしい力だ』

「対処法は!?」

『考える前に殴ればいい。それでは、反撃開始だ』――【CYCLONE!!】

「はっ、単純で良いぜ! 変身ッ!」――【JOKER!!】


――【CYCLONE!! JOKER!!】
56 :1 [saga]:2012/03/02(金) 23:10:25.62 ID:qSC19DzH0
一方魔女の討伐に向かったマミとほむらは、絶望的な光景を目の当たりにしていた。
ワルプルギスの夜に為す術もなく殺されるマミとまどか。
マミの犠牲のもとワルプルギスの夜を撃破するも、まどかが魔女化。
仲間割れを繰り返した末さやかは魔女化、マミが絶望に狂い赤い魔法少女を射殺。
まどかはほむらをも殺そうとしたマミを止める為、彼女のソウルジェムを撃ち抜いた。
そして、まどかとほむらがワルプルギスの夜と戦い――エトセトラ、エトセトラ。

このまま紙幅にして小説が何冊出来るだろうかという量の絶望の光景を書き起こしていくのもいいだろうが、
それでは話が進まない。それを見た、マミとほむらに話を戻そう。

「暁美さん。これは、どういうこと?」

「……」

「……暁美さん?」


「ううぅぅううぅうああぁぁぁぁぁぁあああぁあぁああぁぁあぁぁぁああああああっ!」


普段の無駄のない華麗な動きとは正反対の、荒々しく無駄だらけの動きで、ほむらは魔女への攻撃を開始した。
雄叫びをあげながら左手の盾から火器(専門外のマミにはよく分からないが、おそらくマシンガン)を取り出し、
まともに狙いも定めずに乱射する。当然、使い魔に運ばれた魔女にその弾丸は当たらない。

「死ね! 死ね! 死ねええぇええええええぇええぇぇぇええっ!」

忌々しい記憶。
人間を喰らう分にはそれを見せつけることは有効な作戦であっただろう。
だがしかし、こと暁美ほむらに限っては、それは全くの逆効果だった。

「消えろぉぉおぉぉぉおぉおぉおぉおぉおおおっ!」

何度目かの乱射が魔女に命中する。しかし、まだ魔女は死んでいない。
狂ったように攻撃してくるほむらから逃れようと、使い魔は魔女を抱えたまま上方へ飛ぶ。

一方仮面ライダーWは、使い魔に対処するためにその姿を変えていた。
幻想の右半身に銃撃手の左半身、ルナトリガーである。
これならば使い魔のみに攻撃をヒットさせられる。
そして、ルナトリガーの弾丸は使い魔を倒すには十分な威力を備えていた。

「フィリップ、俺達も結界に急ぐぞ!」

『ああ。忘れちゃいけないよ、翔太郎。考える前に殴る――だ』

「ああ。突入したらすぐにマキシマムドライブをかましてやる!」

Wは結界に進入し、その姿は現実世界から消えた。
そして結界の最上部で、仮面ライダーと魔女と魔法少女が鉢合わせる。
一見有利な状況だが仮面ライダーは結界内の様相に戸惑っており、魔法少女は正気を失っていた。


「うぉ!? な、なんだこれ!?」

『翔太郎、落ち着け! 早く魔女を撃つんだ!』

「お、おう!」

「うぅぅうぅうううおぉおぉおおぉおぉぉおおおっ!」

――【TRIGGER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

Wは焦りつつもトリガーメモリをトリガーマグナムに挿し込む。
対してほむらは確実に魔女を仕留めるため、またも大量の爆弾を取り出した。

『トリガーフルバースト!』

「消えろ消えろ消えろぉぉおぉぉおぉぉおぉおぉおぉおおおっ!」
57 :1 [saga]:2012/03/02(金) 23:11:35.64 ID:qSC19DzH0
自在に軌道を変える光弾と、全てを焼き尽くす爆風が、使い魔諸共魔女を消し去った。
だがしかし、一匹だけ生き残った使い魔が、必死で逃げ出そうとしている。
マミがそれを仕留めようにも、射線にはほむらがいる。
Wはマキシマムドライブを空中で放った反動で身動きが取れない。
ほむらはそもそも、取り逃がした使い魔に気付いていない。

「まずいっ……」

そこに、一筋の蒼い光が煌めいた。
使い魔を一瞬で八つ裂きにした、彼女は――

「――美樹さやか?」

それは、ほむらが正気を取り戻すほどの衝撃。
なぜ。魔法少女の真実は伝えたのに。
なぜ? 美樹さやかだって、それを知り怯えていたはずだ。
彼女の想いは、その事実すら凌駕するほどのものだったのか?
私は、真実を知っていたとしたら契約できたのだろうか。その問いに意味はないけれど、ともかく。

「……なぜ契約してしまったの、美樹さやか!」
58 :1 [saga]:2012/03/02(金) 23:12:58.43 ID:qSC19DzH0


第一章:Mの邂逅/正義のヒーロー:了





第二章:魔女とメダルと怪事件 へ続く

 
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/03/02(金) 23:33:54.43 ID:sRF3ks2AO
乙!

このサブタイ……OOOクルー!?
60 :36 [sage]:2012/03/02(金) 23:43:50.40 ID:f6stVq2U0
オーズキター!!!!!!!
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/03(土) 00:12:32.86 ID:Xgb46cpPo
一章から十分長いなオイ

乙!
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 00:31:23.79 ID:45PGNbwyo
オエージさん登場か

乙!
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/03(土) 01:27:40.62 ID:Xgb46cpPo
続きは明日かね
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/03(土) 06:43:49.74 ID:YD0gnn9Qo
>>1
第ニ章だと…
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/04(日) 10:06:52.18 ID:DzB092Ayo
オーズと聞いて飛んできたわ!!嫌いじゃないわ!!嫌いじゃないわ!!(クネクネ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/05(月) 03:39:03.38 ID:xtaEPdrKo
時系列は冬映画いこうかな?
67 :1 [saga]:2012/03/06(火) 22:30:21.07 ID:C6pNIXN/0
オーズ編に湧いてくれてるところ悪いんだけど、
実はオーズ編すげー短いんだ。MEGAMAXでいう一章とか三章みたいんもんなんだ。
ごめんね
68 :1 [saga]:2012/03/06(火) 22:30:55.73 ID:C6pNIXN/0




第二章:魔女とメダルと怪事件



 
69 :(OP:Anything Goes!) [saga]:2012/03/06(火) 22:32:25.84 ID:C6pNIXN/0
旅人がとある街のとある道を、どこから探してきたのか太い木の枝になぜかパンツを引っ掛けて陽気に歩いていた。
当然たまにすれ違うその街の人々からはとんでもない目で見られているのだが、旅人はそんな細かいことを気にしない。
だが流石にそんな泰然自若とした旅人も、自分の前に錆びたバイクのような姿をした怪人が現れれば驚かずにはいられなかったようだ。

「……ヤミー? じゃ、なさそうだけど……君、なに? 悪い奴なの?」

旅人の名は、火野映司。幾度となく世界の危機を救ってきた男だ。
だから、こんな呑気そうなことを言っていながらも、その手には既にメダルを握っていた。
かつて戦友が、自分に残してくれた力を。

「……返事は、ないか。君、喋れないの?」

バイクの怪人は喋らない。
ただ、その鈍重そうな姿を晒し続けるのみ……いや、辺りの様子がおかしい。
映司は確か、寂れた裏路地を歩いていたはずなのだが……いつの間にか、ハイウェイのような謎の空間に誘い込まれている。

「おっかしいなぁ……気付かなかったや」

それでも映司の余裕は崩れない。
危機感が足りないのではないか、と思わされるがそれは違う。
映司にとって、この程度は危機ではないのだ。


だがしかしそこに、必要もないのに助けが入った。
映司を助けに、正義……とはまあ一般的には言い難いものの、それでも自らの正義に愚直に従う、魔法少女の集団が現れた。
まあ、今の映司が彼女らの正体を知る由もないのだが。

「さぁさぁさぁ! 織莉子! 見ていてくれ、見惚れていてくれ! 私が華麗にアレを刻んでみせるからっ!」

その中の一人、黒い眼帯少女が怪人に向かって駆け出した。
映司は驚きのあまり反応出来ず、まず『彼女を止めて、守らないと』と思ったが、すぐにその考えは棄却された。
彼女の手から輝く爪が現れ、怪人に炸裂したからだ。
仮面ライダーのようなものだろうか、などと見当違いのことを思った。
実態はどちらかというとグリードに近い、というのは後に知ったことである。

「……っな!? 馬鹿な、私の攻撃が効かないなんて!」

「ったくよぉキリカァ! てめえなんのために共闘してるか分かってんのか!? 退け!」

続いて赤い少女が槍を構えて空中から怪人に迫る。
槍はばらばらに分かれてヌンチャクの様になり、幾重にも怪人に撃ち込まれた。
……だがしかし、怪人はびくともしない。
見かねた映司は、後ろで待機している二人の内、冷静そうな白い少女の方を選び話しかける。

「えっと、そこの君達? あの怪人が何か知ってる?」

「何か……と言われましても、話は長くなりますが」

「んー……じゃあ、一つだけ。あれって倒した方がいいやつ?」

「ええ。あれは人間の敵です」

「よし、わかった。じゃあ後は任せて」

人間の敵なら、迷うことはない。
例え姿が怪人でも、仲良くなれないことはない……映司はそう考えているが、敵だというならしょうがない。
欲望の象徴であるこの力は、人を守るために振るうと決めている。

三つのスロットがあるドライバーを装着する。
そのスロットに、右から順に赤、黄、緑のメダルを挿入。
然る後に、ドライバー右にセットされたスキャナーを取り出す。
オースキャナーと名付けられたそれを装着したオーズドライバーに通し、叫んだ。

「――変身!」
70 :1 [saga]:2012/03/06(火) 22:33:48.97 ID:C6pNIXN/0
――【タカ!】【トラ!】【バッタ!】――【タ・ト・バ! タトバ タ・ト・バ!】


軽快なコールと眩い光と共に、映司の姿が変わった。
黒を基調とし、顔には赤、腕には黄、足には緑が彩られている。
全てを見通す眼と、悪を貫く爪と、空高く跳ぶための脚。
それらの力で人を守る、正義の戦士。
その名は――仮面ライダーOOO タトバコンボ。


『ん、んなっ……!?』

先走って怪人に攻撃を仕掛けた、黒の少女と赤の少女の驚きの声がシンクロする。
映司と会話を交わした白い少女も、驚きに目を見開いている。
ここまで大人しくしていた緑の幼女も、何やら叫びをあげている。

「君達、ここは俺に任せて。こういう怪人は俺の専門なんだ」

驚きのあまり冷静な判断が出来なくなったのか、少女達は一度下がる。
OOOはそれを確認してから、足に力を込め――大きく跳び上がった。

「ふっ……せいやぁあ!」

空中で手元のトラクローを展開させて斬りかかるものの、成程硬い。
決してあの少女達が弱かった、というわけではないんだな。
だとすれば、こうだ。スロットの真ん中、黄色のメダルを取り出し、銀色のそれを代わりに挿し込む。

――【タカ!】【ゴリラ!】【バッタ!】

腕が、鋭い爪を備えたトラアームから屈強なガントレットを装備したゴリラアームへと切り替わる。
パワー任せの近接戦闘に優れたOOO亜種形態、タカゴリバだ。

「はぁっ!! だぁあ!!」

ゴリラアームに付随するガントレット状の武器、名はゴリバゴーン。
力任せに振り回すだけでかなりの破壊力を発揮するそれだが、怪人に対して有効打は与えられないようだ。
また、少女達はその戦闘の様子を見ながら呆然としていた。

ちなみに彼女らは、それぞれ黒の少女が呉キリカ、赤の少女が佐倉杏子、白の少女が美国繊莉子、緑の幼女は千歳ゆまという。
奇怪な縁で現在共闘している彼女らだが、
今映司が戦って居る怪人――彼女らの言うところの魔女だが――には異常を感じずにはいられなかった。
まず、結界を展開しているにも関わらず使い魔は全くいない。
更に、近接戦闘能力に長けている呉キリカと佐倉杏子の攻撃が全く通じない。
どちらも、彼女らにとっては初めてのことだった。

「……んで、結局あいつ何者なんだよ」

「答えを急ぎ過ぎるのが悪い癖。だからキミは美しくないのさ、戦友!」

「うぜー……んで、どうなんだよ繊莉子!」

「私の予知に現れた仮面の戦士……とは、若干姿が違うけれど。まあ同類とみていいんじゃないかしら?」

「んー……ゆまにむずかしいことは分からないけど、あの人きっといい人だよ!」

そうね、と微笑みながら繊莉子はゆまの頭を撫でた。
予知の力でとんでもない天啓を得たはいいが、この幼女がいなければ今の状況はあるまい。
ゆまが巻き込まれていた結界において、杏子と、繊莉子とキリカのコンビとは出会ったのだ。
その魔女の討伐以来、様々な協定のもと彼女らは行動を共にしている。

(私が見たのは、悪が跋扈する世界とそれを防ぐために戦う仮面の戦士達……)

(だけど、その先は分からない。仮面の戦士が世界を守るのか、それとも――)

(ともあれ、私は戦わねばならない。世界を救うために)
71 :(BGM:Sun Goes Up) [saga]:2012/03/06(火) 22:35:38.27 ID:C6pNIXN/0
一方OOOは、バイクの怪人に苦戦していた。
なにせ、OOO最大の攻撃力を誇るゴリラアームの攻撃でも、有効打を与えられないのだ。
怪人の動きは遅いが一撃が重く徐々にではあるがこちらはダメージを負っていて、今のままではジリ貧だ。

(コンボを使うしかないか……? でも、後ろの子たちを巻き込みかねないし……)

だがしかし、さっきこの子たちはこの怪人に攻撃を仕掛けていた。
何か戦う術――少なくとも、身を守る術はあるとみていいだろう。

「君達! もっと後ろに下がって!」

それでも一言注意を促しつつ、OOOはさらに二枚、銀色のメダルを取り出した。

――【サイ!】【ゴリラ!】【ゾウ!】【サゴーゾ……サゴーゾォ!】


力強く天を衝く大角に、頑強な腕、不動の足。
重力すら操ってのけるOOO最強のパワーを誇るその名は――仮面ライダーOOO サゴーゾコンボ。

「……ぅぅぅぅぅううううおおおおおおおおおおあああああああああああああ!!」

その身体の中を駆け抜ける、暴力的な力の奔流に身を任せ、
OOOは雄叫びをあげながらまるで本物のゴリラのようなドラミングを始める。
そのリズムに従い、銀に輝く重力波が辺りに広がってゆく。

……不意に、バイクの怪人の身体が宙に浮いた。
その高さが10mにも達したか、というところでOOOはドラミングをやめる。
途端、重力は元通りになりバイクの怪人は落下。
自らの質量に従って落下時の多大な衝撃を受け、怪人は悶え苦しむ。
その隙にOOOはもう一度オースキャナーをオーズドライバーに通した。

――【SCANNING-CHARGE!!】

両脚を揃えて、力の限り地面を蹴る。
軽減された重力のもと高く高く跳び上がり、逆に重力を強めて全力で落下する。
着地の際に発生した重力波が怪人を捕えると、怪人は強引に引き摺られてしまう。
その先には――力を込め、拳を構えたOOOの姿が。

「ヒッ……」

「ぁぁぁああ……せいっやぁぁぁぁああああああああああああああああああああっ!!!」

全力全開の頭突きと挟み込むような両腕の鉄槌が炸裂する。
断末魔を上げることすら許されず、怪人は爆発四散した。
後にはただ、銀色のメダルが降り注ぐのみ。

「……あれ? やっぱりヤミーだったんだ」

ぽつりと、いつの間にか変身を解いていた映司が呟いた。
72 :1 [saga]:2012/03/06(火) 22:36:47.30 ID:C6pNIXN/0
「……で、君達がその魔女っていうのと戦う魔法少女ってこと?」

「……で、あなたがそのヤミーとやらを倒す仮面ライダーということですか?」

「うん、そんなところだね。仮面ライダーは一人じゃないし、戦ってきた相手も違うんだけど」

「大体合ってますね、はい。だからさっきのヤミーとやらには違和感があるんですが」

「ああ、それは俺も。ヤミーがあんな風に辺りの風景を変えちゃうことなんて、今までなかったから」

「ええ。あれは確かに魔女の結界でした……」

「……――…――……」

「…――………――…」

戦闘を終え、とりあえず魔法少女達は仮面ライダーを住処に案内することにした。
つまり、美国繊莉子の屋敷である。現在、繊莉子と映司が、それぞれ自らの持つ情報の開示を進めているところだ。
先程の怪人は、なぜかヤミーの特徴と魔女の特徴を兼ね備えていた。そんなことが自然に起こるわけもなく、
そもそもヤミーは自然発生するものではないので、この奇怪な現象には黒幕がいるはずなのだ。

「……ねえ、戦友。つまらないから相手をしてくれよ」

「うっせ、つまんねーのはあたしもだよ。ゆまを見習って大人しくしてなよ」

「そーだよ! キリカにはがまんが足りないんだー!」

「むぅ……幼女にまで言われてしまうとはねぇ」

その一方で、三人の魔法少女は話に参加出来ず、暇を持て余していた。
ただ一人、杏子だけはキリカの話を聞き流しながら最近の隣町についての情報を思い出している。

喧嘩別れをして以来、魔法少女同士として必要最低限の情報を交換するだけの仲になっていた彼女から聞いた話だ。
信憑性は、高いと言えるだろう。聞くところによるとイレギュラーが現れて仮面の戦士が現れてイレギュラーと仲直りをしたそうだが、
その時の彼女がずいぶん嬉しそうにしていたのがなんだか気に入らなかった。
あたしと別れて以来、マミの奴があんな表情で笑うのを見たことがあったっけ。
……やめやめ。考えるだけ下らな……ん、待てよ?
73 :1 [saga]:2012/03/06(火) 22:37:23.54 ID:C6pNIXN/0
「おい、繊莉子」

「なあに、杏子? お菓子なら後で」

「刺すぞ! 人をなんだと思ってる! ……よく考えたら、あたし仮面の戦士に心当たりあるわ」

「え、どういうこと? 杏子ちゃん……だったかな? 詳しく聞かせてよ」

「あたしは杏子であってるけど……そういえばお前は?」

「あ、まだ名乗ってなかったっけ。戦いの最中だったからしょうがないか……俺は、映司。火野映司だよ」

「そっか、じゃあ映司。とりあえず……食うかい?」

とりあえず、敵対しない予定の初対面の相手には、手持ちの菓子を差し出すことにしている。
これがあたしなりの、一線。ここを踏み越えてこないような相手とは付き合いをもたないようにしているのさ。

「ん、ありがと……で、杏子ちゃん、心当たりって?」

「戦友、流石にそれは酷いんじゃないかな? かれこれ一週間以上は行動を共にしているというのに!」

「そうね、杏子。一応私達は共闘しようとしているのだから、あまり隠し事をされると困るわ」

「キョーコ! かくしごとはダメだよ!」

「あーあーうるせー! あたしだって聞いたのは昨日かそこらだよ!」

「えっと……なんでも隣町に、魔法少女から依頼を受けて共闘してる仮面の戦士がいるって話だ」

「なんか、右と左で二色で変身らしいぞ。映司、縦割り三色のお前と似てるよな」

「二色!? それ、左さんとフィリップさんだよ!」

「ひ、火野さん、知り合いなのですか?」

「うん。えっと、どこから話したらいいのかな……」

点と点とが繋がり、線を成す。線と線とが繋がり、形を成す。
魔法少女と仮面ライダーが織りなす物語は、今加速し唸りを上げる。
蠢く陰謀と潜む悪を打ち倒す正義のヒーローが今、見滝原市に集結する!
74 :1 [saga]:2012/03/06(火) 22:38:52.17 ID:C6pNIXN/0


第二章:魔女とメダルと怪事件:了





第三章:Rの合流/仮面ライダーと仮面ライダーと魔法少女 へ続く

 
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/06(火) 22:53:16.86 ID:kAxdTxIpo
オツゥ!!マキシマムドライヴ!!
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 23:12:54.27 ID:6/VrSc6Ao
乙!

ヤミー+魔女…
これはウヴァさんフラグ
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/07(水) 01:52:58.10 ID:wEMv2nnjo
乙ットブレイク

3章からフォーゼだっけか
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 14:22:14.82 ID:c32SS9c0o
本来は
序章(7人ライダー編)
  ↓
オーズ編
  ↓
ブリッジ(W編)
  ↓
フォーゼ編
  ↓
MOVIE大戦編

って流れなんだけどな
今更言っても遅すぎた
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/03/07(水) 17:36:59.13 ID:dYMsiQXf0
乙です!
クロス元のライダーの映画は見てないんだけど、最終話でコアメダルって使えなくなってなかったっけ?
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 18:08:51.33 ID:rr9y/vkVo
映画でまた使えるようになった
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/09(金) 09:45:54.55 ID:PmZkI1zPo
乙〜
続きが楽しみだ
82 :1 [saga]:2012/03/10(土) 21:54:50.27 ID:Cq6ZcMPg0
>>78
その順で第一章〜第五章って勝手に脳内補完してた
多分序章のせいだ

投下開始
83 :1 [saga]:2012/03/10(土) 21:55:26.70 ID:Cq6ZcMPg0




第三章:Rの合流/仮面ライダーと仮面ライダーと魔法少女



 
84 :1 [saga]:2012/03/10(土) 21:56:11.05 ID:Cq6ZcMPg0
「ほらほら、みんなはやくー! おいてっちゃうよー!」

「あっ、ちょ、ゆまちゃん! 一人で行ったら危ないってー!」

「映司は心配性だなぁ……大丈夫、あいつもそれくらい分かってるって」

現在、映司と繊莉子たち魔法少女四人は見滝原市に向かって歩を進めている。
繊莉子の固有能力――予知によると、近々見滝原市で世界の命運を決めるほどの大きな戦いがあるというのだ。
そして、それには仮面ライダーが大きく関わってくるという。
当然映司はそんなことを聞いて放っておけるような性格でもなく、また繊莉子から直々に頼まれたこともあり、同行している。

(魔法少女と魔女の真実……か。いきなりすぎて現実感がないよなぁ)

(そういえば、左さん、フィリップさんや今から行く見滝原の子たちは、このことを知ってるのかな?)

(……フィリップさんがいるから、多分もう知ってるよな)

あまりに残酷な事実を知って、映司は途方に暮れていた。自分の力ではどうしようもない。
出来るのは、せいぜい戦闘を請け負ってやることで彼女らのソウルジェムへの負担を抑えることくらいか。
そして、ヤミーが融合した魔女というのも気になる。もう現代にグリードはいない筈だし、
だとすればまた財団Xが動き出しているんだろうか……ま、その辺も左さん達に調べてもらうべきかな。
彼らは見滝原市にいる魔法少女とは既に仲良くなっているらしいから、問題なく合流できるはず。
よし、頑張ろう。
85 :1 [saga]:2012/03/10(土) 21:56:57.06 ID:Cq6ZcMPg0
隣町で起きた小さな戦いから数時間の後。
見滝原では、契約してしまったさやかをほむらが責め立てていた。
その姿はこの場にいる誰もが見たことがないほど必死で、真摯で、ひたむきだった。

「どうして!? どうして契約してしまったの! あれだけ、あれだけ言ったのに! 真実も全て知って、そのうえで!?」

「……恭介を、傷付けちゃったんだ。あいつの幼馴染だ親友だなんて言っといて、その実あいつを一番傷つけてたのはあたしだった」

「だとしても、その傷は癒せる! 治らないと断定された傷だって、時間が経てば、新技術が開発される可能性だってある!」

「そんなものに期待して、恭介の貴重な時間を食い潰させろっていうの?」

「ちょっと上手くいかないからって幼馴染の女の子に八つ当たりするような男のために、なぜあなたが人間をやめる必要がある!」

「恭介を侮辱しないで。あたしにとって恭介は、何より大切な幼馴染なんだ」

「腕一本と人一人の魂、どちらが大切だと思ってるの!?」

話は平行線を描き続ける。俺は、何も言えない。
当然だ。美樹さやかと暁美ほむら、この二人の信念は正反対なようで似通っていて、鏡映しの様でその実真逆。
眩い太陽のような心ゆえに、一度の挫折さえも許せないのがさやかちゃん。
鬱屈した心の中で唯一光る存在のために全てを懸けられるのがほむらちゃん。
この二人の主張は、どこまでいっても交わることなどない……はぁ。だったら俺が止めなきゃなんねーか。そうだよな。
マミちゃんはなんかショック受けてるみたいだし。結界でなんかあったのか?

「あーあーもう、二人とも、やめろ! いい加減にしろ、ほむらちゃん! しちまったもんはしょうがねーだろ! その後どうするか考えろ!」

「んで、さやかちゃん! なんで契約してんだ! 何を願ったか知らないけどな、重要なことは人に相談してから決めろって教わっただろ!」

「……あと、マミちゃんいい加減に復活してくれ! 俺一人じゃこの場が収まらねえ!」

それを聞いてのことかどうかは分からないが、マミちゃんは意を決したかのように顔を上げ、
おずおずとではあるが、言った。

「……暁美さん。さっきの、何?」

「あなたには関係のないことよ」

「そういうわけにはいかないわ。一応、共闘するということになっているのだから。私、嘘を吐かれるのは嫌いなの」

「そう。だったら、共闘をやめてもいいわ」

「だから、そういうわけにもいかないでしょう。左さん達への依頼は私達全員からという事になっているんだから」

「……だったら、あなた達が抜けてくれてもいいし私一人が抜けてもいい。好きなように――」
86 :1 [saga]:2012/03/10(土) 21:57:30.58 ID:Cq6ZcMPg0
そこまで聞いて、最後まで言わせずに。
ほむらちゃんの頬をマミちゃんが思い切り引っ叩いた。
……恐らく、魔法を使って。
ほむらちゃん、変身してない状態で3mくらい飛んでったけど、大丈夫なのか?

「暁美さん。あなたが抱えてること、私には全部は分からないけれど」

「流石にあれだけのものを見せられて、以前のあなたの言葉をそのまま信じられるほど私は呑気じゃないわ」

「出来ればあなたの口から、あなたの意志で聞かせてほしいの」

「……聞くことは前提なのね。ああ、もういい。わかったわ。話す。話すから拳を握り込むのをやめて」

「ただしこの話は、鹿目まどかだけには決して言わないで」

のそり、とほむらちゃんが立ちあがる。
その姿に、俺はなぜか恐怖を感じた。
知ってはならないことを、知ろうとしているのではないか、と。
なぜかそう思った。
87 :(BGM:W) [saga]:2012/03/10(土) 22:00:29.22 ID:Cq6ZcMPg0
「私は、かつてただの女子中学生だった。いえ、ただの女子中学生ですらなかった」

「入院生活が長く続いてたせいで勉強も出来ない。体育の授業では準備体操で貧血を起こし」

「唯一クラスで私に優しくしてくれた女の子とすら、ロクに会話も出来なかった」

「そんな生活に嫌気がさして、その心に付け入られた私は魔女の結界に巻き込まれて――」

「――そんな私を助けてくれたのが、巴マミ、あなたと……鹿目まどかだったのよ」

まどかちゃんが、魔女からほむらちゃんを助けた?
それはつまり、まどかちゃんが……。

「そう、彼女は契約していた。契約して、魔法少女として巴マミと共に街を守っていた」

「ワルプルギスの夜に、殺されるまでは」

ワルプルギスの夜……か。
マミちゃんのあれだけの火力に加えて、実力のほどは分からないがまどかちゃんと共闘して、それでも駄目だったんだな。

「駄目だった、なんでものじゃないわ。街はずたずたにされた。人はぐちゃぐちゃにされた。それでも、彼女達は私を守ってくれたのよ」

「私がついていくなんて言わなければ、私を守ろうとしなければ、結果は何かしら変わっていたかもしれなかったのに」

「だから私は契約した。やり直したい、と」

「鹿目まどかとの出会いをやり直して、彼女を守れる私になりたい、と」

それが彼女の最初の願い。最初の想い。
――そして、今やそれは彼女を構成する唯一の要素となった。

「二周目。私が加入したことにより、無惨な敗北は悲惨な相討ち程度には変わったわ」

「巴マミはまた戦死。そして鹿目まどかは力を使い切って魔女化。その事実を知った私は再びやり直した」

「三周目。魔女の真実を皆に伝えようとした。結果として不信からチームワークを乱し、巴マミに心労をかけて……」

「美樹さやかの魔女化とともに彼女の精神は限界を迎え発狂し、仲間割れに仲間割れを重ねた挙句私と鹿目まどかだけが残った」

「……結果は同じ、相討ち。鹿目まどかは魔女化の前に私がソウルジェムを撃ち砕いた」

「四周目。魔女化の事実を信じてもらえないならば、一人で戦えばいい。そう思った」

「結果は惨敗。私独りで出来ることなどなかったわ。鹿目まどかが契約してワルプルギスの夜を倒して、そのまま魔女化」

「それからもやり直して、やり直して、やり直して……その度に鹿目まどかが何らかの要因で死ぬ様ばかりを見てきた」

「無数の鹿目まどかの死とともに、私は在る。今となっては彼女を契約させずに生存させること……いえ」

「あのときのまどかとの約束を守ること。ただその一点のみが私の存在意義」


話し終えたほむらちゃんは、なんだか少しだけ、ほんの少しだけだが、そしてあくまで俺が勝手に受けた印象だが……
なんだか憑きものが落ちたかのように、すっきりして見えた。
そりゃあそうだろう。まだまだ幼い心と体にそれだけの事情を抱えて生きてきたんだ。
抱いてきた絶望だって、並大抵のものではないだろうから。
88 :1 [saga]:2012/03/10(土) 22:01:21.24 ID:Cq6ZcMPg0
「……そっか。話してくれてありがとな、ほむらちゃん」

「ええ、そうね。ありがとう、暁美さん」

「……感謝の必要はないわ。ところで美樹さやか、これで分かったかしら」

「私があなたの契約を止めようとしていた、本当の理由が」

「……まどかが悲しむから、だろ」

「ご名答。今まで私がやり直してきた中で、契約したあなたの半分以上が魔女化して、鹿目まどかを悲しませ続けてきた」

「半分以上……か。でもその中に、真実を知ってから契約したあたしはいたの?」

「……」

「左さんはいた? フィリップさんは? こうして今共闘している、ほむらとマミさんのコンビなんてあった?」

「……」

「未来は、変えられる。どんなに辛くて苦しいことだって、使い方次第できっとそれは素晴らしいものに変えてゆける」

「あたしは、そう信じてる」

力強く言い放つさやかちゃん。
俺はどちらかというとその言葉に共感を覚えるタイプだが、きっとフィリップならまた違う感想を持つのだろう。
ほむらちゃんも、そう。

「私はそれを信じるには、色々と余計なものを知りすぎたわ。今だって眼前にいるあなたを信じられない」

「……どうせすぐに絶望して魔女になるんだろう、って、そう思ってしまう……!」

涙を堪えるように俯くほむらちゃん。
これだけの闇を抱えたまま今まで頑張ってきた彼女を、どうにかして救ってやりたい。
ここに関しちゃ、きっとフィリップもそう思うだろう。

「……なら、ほむらちゃん。今までいなかったらしい俺達に懸けてみてくれよ」

「さやかちゃんを魔女になんてさせない。マミちゃんも守り抜く。ほむらちゃんの目的だって果たしてみせる」

「なにせ俺達は、仮面ライダーなんだからな」

「……格好つけ過ぎ。でも、いいでしょう。信じてみるわ……いえ、私だって、希望を信じてみたい」

格好つけ過ぎ……さやかちゃんにも言われたが。
ま、まあ今時の女子中学生にハードボイルドは理解できないよな。うんそうだそうに違いない。しょうがないことなのさ。

「ったく。ほら、皆帰るぞ。いい加減帰らねえと明日眠いぞ」

「あと、ほむらちゃんはさっさと帰ってまどかちゃんに電話の一つでもかけて、彼女を安心させてやるんだな」

そう言って振り向いた俺の視界には。
白服の男が、一本のガイアメモリを携えて立っていた。
89 :1 [saga]:2012/03/10(土) 22:01:48.39 ID:Cq6ZcMPg0



――【ELSA-MARIA!!】


 
90 :1 [saga]:2012/03/10(土) 22:02:46.01 ID:Cq6ZcMPg0
投下終了

ここらへんからオリジナル設定の嵐になるので色んな意味で注意
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 23:07:57.82 ID:VN/Uhhk8o
頑張れよ、>>1

正直仮面ライダー良く解らないからレスなんて出来ないし、

総合スレから来たばかりだけど、>>1から読む。

だから、エターだけはしないように。頼むよ。
92 :1 [saga]:2012/03/16(金) 23:08:56.72 ID:AWWnvpkI0
レスが欲しいという欲望!
それが満たされるまで俺は滅びぬ、何度でも蘇(ry
93 :1 [saga]:2012/03/16(金) 23:09:35.78 ID:AWWnvpkI0
エルザマリア?
聞くからに聖職者といった雰囲気だが、現れたドーパントは醜い触手の集合体だった。
さっきの白服、恐らく財団Xだろう……今度は一体、何を企んでやがる。

「悪いな……皆、こいつらはこっちの領分だ」

再びダブルドライバーを装着。
感覚の共有で察してくれたのか、無駄な会話もないままサイクロンメモリが転送されてきた。
俺も懐からジョーカーメモリを取り出し、ドライバーのスロットに挿入する。

「……変身」――【CYCLONE!! JOKER!!】

疾風と切札の戦士、仮面ライダーW サイクロンジョーカー。
俺達の変身形態の名だ。そのままガイアメモリの名を使っている。
ガイアメモリとは地球の記憶。
地球上にあまねく存在している記憶から力を得るこのメモリは、そのまま記憶の名を冠している。
ならば、エルザマリアとはなんだ? なんの記憶を司る、どういう能力を持つメモリなんだ?

『……翔太郎。検索の結果なんだが……エルザマリアは、魔女の名だ』

「はぁ!?」

その言葉に驚く間もなく、魔女の結界が展開された。
……ドーパントを中心に。どうやらフィリップの言葉に嘘はないようだ。
財団X、今度は魔女に目をつけやがったってことか……!

「ほむらちゃん、マミちゃん、さやかちゃん! 援護を頼む!」

迫りくる大量の触手を蹴り飛ばしながら叫ぶ。
あまりに突然な敵の登場に呆けていた三人も再び変身し、俺の前を塞ぐ触手への対処を始めてくれた。
マミちゃんは的確に俺を狙う触手を撃ち抜く。さやかちゃんはとんでもないスピードで突っ込んで触手を斬り裂いてゆくが、
経験の浅い彼女は何本かの触手を取り逃がしてしまう。それをほむらちゃんが拳銃で撃ち抜き、触手の数は順調に減ってゆく。
よし、今のうちに本体を叩く!

「こいつで決めてやる!」――【HEAT!! METAL!!】

熱き闘士、ヒートメタル。
武器を使った中距離戦闘においてこいつの右に出るものはいねえ。
先端に炎が灯ったメタルシャフトをぶん回して触手をかわしながら、俺はドーパント本体へと迫る。

『ま、待て翔太郎!』

「……待って、左翔太郎! 駄目っ!」

その瞬間ドーパントの身体がパクリと割れて、中から大樹の如き腕が飛び出した。
俺は為す術もなくその腕に捕らわれ、握り潰され――
94 :1 [saga]:2012/03/16(金) 23:10:12.92 ID:AWWnvpkI0




――【SCANNING-CHARGE!!】



 
95 :1 [saga]:2012/03/16(金) 23:11:27.25 ID:AWWnvpkI0
「はぁぁあっ……せいやぁああ――ッ!!!」

タトバキックで大きな腕を切り落とす。しかし着地して振り返るとそれは既に再生を始めていた。
無事に左さんは助け出せたが……危なかった、あれも多分魔女と融合したヤミーだろう。
左さんがあれだけ追い詰められるなんて、相当な強さだな。
繊莉子ちゃん達が結界をこじ開けてくれなかったら、間に合わないところだった。
黒髪の女の子が驚きに目を見開いている。黄色の髪の女の子は驚きのあまり固まってる。
青い髪の子はなんか「また仮面ライダーか」とか言ってる。……全員、魔法少女。
彼女たちがそれを知ってるか、受け入れているかは別にしても、辛い運命を背負わされた子たちで、
見滝原市で起きるという戦いに巻き込まれるらしい子たち。
……助けなきゃ、な!

「左さん! 大丈夫ですか?」

「悪い、助かった。柄にもなく油断しちまったぜ」

今回のヤミーは大量の触手を使って攻撃してくるみたいだ。
既に繊莉子ちゃん達は触手への攻撃を始めてるし、さっきからいた子たちも攻撃を続けてるけど、
手数が足りないみたいだ。触手は増え続ける一方。

「……左さん、あれ、どう思います?」

「触手はどうにでもなるが、本体だな。生半可な火力じゃ倒せねえ」

「ですよね……そっち、任せていいですか? 触手は全部、俺がどうにかするんで」

「……よし、任せる」

大丈夫、左さん達ならやってくれるさ。
俺はあの触手を全て叩き落とすことに集中すればいい。

「皆! そっちの魔法少女さん達も! ここは俺達に任せて下がって!」

面識のない黒い子や黄色い子、青い子は渋っていたけど繊莉子ちゃん達が無理矢理下がらせてくれた。
このコンボは、油断すると制御しきれずにあの子たちまで巻き込んじゃう可能性があるからな。

「いきますよ左さん!」

「おう映司!」

――【クワガタ!】【カマキリ!】【バッタ!】【ガータッガタガタキリッバ! ガタキリバッ!】

――【XTREME!!!】
96 :1 [saga]:2012/03/16(金) 23:12:55.85 ID:AWWnvpkI0
「うおぉぉおおぉおぉおおおぉぉおおぉおぉおおぉおおおぉぉぉおおおおぉおおっ!!」

『……プリズムビッカー!』

OOO ガタキリバコンボ。最大で50体の分身が可能な昆虫系コンボで、数にものを言わせる相手にはもってこいだ。
また、Wは翔太郎とフィリップの完全なる融合を可能にしたエクストリームメモリの力でドーパント本体の突破を狙う。

「何アレ……ほむら、どう思う?」

「どうせ仮面ライダーでしょ……私は知らないわ」

「勿論私も……佐倉さん、あの人は?」

「あたしもよくは知らねーけど……火野映司っつって、仮面ライダー」

「話は後、あの怪人を倒してからでいいでしょう?」

話を制する繊莉子。
その姿にかつての記憶を刺激され、ほむらは動揺する。
また、こいつに条件のいい時間軸を潰されるのではないかと。

「あなた、何を企んでいるの? 美国繊莉子」

「……驚いた。なんで私の名を知っているの?」

「いいから目的を……」

「その話も後。彼らを交えて話しますわ」

「……ちっ」

この時間軸も、イレギュラーだらけだ。
心底鬱陶しそうに、ほむらが呟いた。
97 :(BGM:Got to keep it real) [saga]:2012/03/16(金) 23:14:24.39 ID:AWWnvpkI0
雄叫びと共に、OOOが分身する。
その全てが触手目掛けて駆け出し、戦闘を始めた。
ある者は触手を蹴り飛ばし、ある者は触手を斬り落とし、ある者は触手を殴り倒す。
だがしかし、一向に触手の数は減らない。減らした分だけ増殖し、OOOを襲う。

「ちょっと、アレ手伝った方がいいんじゃないの!? そこの白い人!」

「いえ、これでいいんです青の魔法少女さん。火野さんが言うには、あれは制御が難しいらしいので」

「あたし達も巻き込みかねないってことか……ちっくしょう」

クワガタヘッドからの雷撃、カマキリソードの斬撃、バッタレッグによる跳躍、そして鋭い蹴り。
それら全てを50人分動員しても、ドーパントの触手攻撃を突破できない。
ならば、こうだ。

――【【【SCANNING-CHARGE!!】】】

分身の全てがスキャナーをドライバーに通し、力を充填する。
50人の仮面ライダーが飛び上がった。

『ハァァアアア……セイヤァアッ!!!』

触手の全てに必殺の飛び蹴りが降り注ぎ、爆発する。
すぐさま触手の再生が始まってはいるが、もう遅い。
丸裸にされたドーパントが見上げた視線の先では、Wが4本のメモリを手にした武器に挿し込む姿が映っていた。

――【CYCLONE!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【HEAT!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【LUNA!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

プリズムビッカー……形状としては、盾に収納された片手剣ということになる。
盾の部分には4本のガイアメモリを挿すことが出来、これによりWが持つ数々の技の中でも一、二を争う大技が発動する。
まるで虹の如き輝きを見せる光の束が悪を討つ、その技の名は――

『――ビッカーファイナリュージョン!』

七色の眩い光線がドーパントを包み込み、結界が消えた。
先程の廃工場へ、仮面ライダーと魔法少女は帰還する。

「メモリブレイクだ……おい財団X、お前ら一体――」

翔太郎が白服の男を問い詰めようとするが……男は、砂のようになって消えた。
恐らくはNEVER。酵素を与えられず、捨て駒として扱われたのだろう。
……翔太郎は、静かに男の冥福を祈った。
98 :1 [saga]:2012/03/16(金) 23:16:43.38 ID:AWWnvpkI0
投下おわり

それにしてもスーパーヒーロー大戦楽しみですね!

士ェ…お前何回他のヒーローに喧嘩売るのさ…あとその髪型は一体何があったのさ…
あと弦ちゃん…君なら「俺はスーパー戦隊とも友達になる男だ!」って言ってくれるって信じてたのに…

…た、楽しみですね!
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/03/17(土) 00:51:47.01 ID:XBcsTasvo
おつ

ヒーロー対戦とかもう何がなんだかわからないくらいの人数だよなぁ
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/03/17(土) 19:39:30.79 ID:e9Xb3s1Ko
一乙ですー
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/03/17(土) 21:34:44.43 ID:5zhQWOX10
ここまで一気読みした、乙乙

理屈は知らんが、大首領もやしはパーマという決まりなんだろうな
102 :1 [saga]:2012/03/21(水) 22:00:28.47 ID:InVJxIAn0
恭さやが見たい……
キャラ単体で一番好きなのはマミさんだし、
どのカプが一番好きかといわれるとほむマミほむなんだけど、
それでも恭さやが見たい……幸せなさやかちゃんを拝みたい……
投下開始です
103 :1 [saga]:2012/03/21(水) 22:01:43.78 ID:InVJxIAn0
結界から抜けた俺は、まず状況を確認する。
どういうわけか助けに来てくれた映司と、見たことのない、恐らくは魔法少女が更に四人。
こいつは一体どういう状況なんだ? さっきの財団Xと思われる白服の目的も気になる……。

「ま、ともあれありがとな映司。助かった」

「いえ、そんな。仮面ライダーは助け合いですから」

「はは、そうだったな」

「それにしても、あっちの四人は?」

「あの子たちが、俺に魔法少女のことを教えてくれたんです。その、裏のところも」

「……魔女のところも?」

「……はい」

む、なら話は早いか。
俺は映司に今の目的を話した。
ワルプルギスの夜が来ること、その退治が俺達にされた依頼であることなど。
映司からも色々と情報を貰い、ほむらちゃん達に目を向ける。

「ほむらちゃん、マミちゃんにさやかちゃん、そんでそこの四人も。一回互いが持ってる情報をまとめ直したい。どっかで集まれないか」

「そういうことなら、私の家が適当でしょう。フィリップさんもいますし」

「あ、巴マミ。出来れば私の家でお願いしたいわ。必要な資料は私に家に揃っているから」

「了解しました、仮面ライダーさん。火野さんもそれでよろしいですね?」

「うん、わかったよ繊莉子ちゃん」

「繊莉子が行くならば私はどこにでも行くよ!」

「ちょっとは黙っとけねーのかよ、キリカ」

そんなわけで、ほむらちゃんの家へ。俺はフィリップにほむらちゃんの家に集まる旨を伝えた。
ちなみにフィリップは、以前の検索の際にほむらちゃんの住所を知っているのだ。
そしてこの人数で一人暮らしの女の子の部屋は狭いだろうから、
俺達と映司は廊下にでも立っとくかなんて呑気なことを考えながらドアを開けたら――

「なんっじゃこりゃぁぁぁああああっ!?」

――俺の眼前に広がっていたのは、訳の分からんデザインのスタイリッシュ広大空間だった。
コーヒーを飲んでいる最中でなくて良かったと、心から思った。
104 :1 [saga]:2012/03/21(水) 22:03:42.15 ID:InVJxIAn0
簡単な自己紹介を済ませてから、情報交換を始めた。
見滝原の魔法少女から提出された情報は、ワルプルギスの夜が来ることとほむらちゃんの出自・目的。
今日会った魔法少女四人組から提出された情報は、近い内に見滝原で世界の命運を決めるほどの戦いが起きること。
そして俺達仮面ライダーから提出出来た情報は、恐らく今回の件の黒幕は財団Xである、ということ。
魔女の真実については、既にこの場の全員が知っていた。

財団X。
俺達が何度も戦ってきた、死の商人。
奴らのすることは基本的に自身による戦いや侵略ではなく、ただの資金提供だ。
その見返りに様々な技術を吸収し、無尽蔵に増大してゆく最悪の集団。
メダルとガイアメモリと白服。これらが要素を持っていて財団Xでないと考える方が難しい。
今度は、魔女に目をつけたという事か。

「奴らはガチで危険な集団だ。しかもこの分だと、今後グリーフシードが一切手に入らない危険性すらある」

「どういうこと、左翔太郎」

「それは僕が説明しよう。先程の触手使い……エルザマリア、といったか」

「あれは既に完全なドーパントだ。固有の能力として結界を展開しているだけで、あれは最早魔女じゃない」

「よってグリーフシードも落とさない……ということ?」

「無論そうじゃない可能性もあるし、そもそも財団Xが本格的に作戦を進めているというのが僕達の勘違いという可能性もある」

「でも、そう考えるのは楽観的に過ぎる……ということね」

これは、かなり重要な事実だ。
魔法少女がこの場に七人いて、その七人の回復は実質封じられたのだから。
現在ほむらちゃんが三つ、隣町の魔法少女達が二つストックを残しているようだが、それだけでしかない。

「その通り。だから今後、君たちは戦わないでくれ。結界を探すことだけに専念し、魔女の退治は仮面ライダーに任せるんだ」

「ちっ……心底ウザくてしょうがねーけど、死にたくはねーからな」

「そうだね、戦友。死んでしまっては繊莉子を守れない! 繊莉子のために死ぬならばともかく、これでは犬死にだ」

「で、でもそれじゃどっちみちワルプルギスの夜は超えられないんじゃ……」

「ああ、それについては安心してくれ美樹さやか。これについては僕がどうにかしよう」

「ど、どうやってさ!」

「魔法少女が太古から地球に存在した以上、必ず地球の記憶に魔法少女は存在する。ガイアメモリで出来ることはあるはずだ」

そう、フィリップは戦線を離脱しなければならない。
どれだけ時間をかけてでも、グリーフシードに代わる魔法少女の回復手段を探さねばならないからだ。
戦力ダウンとしてはかなり痛いのだが、背に腹は代えられない。

「じゃ、じゃあ左さんも戦えないんじゃないですか?」

「あ、安心してくれマミちゃん。大幅な弱体化は避けられねぇが、戦う術はある」

だがしかし、今後の魔女との戦いで戦力になるのは、俺と映司だけなのだ。
映司は全力で戦えるそうだが、俺はそもそも一人ではさほど強くない。
相手によってはかなりの苦戦を強いられるだろうが、それも仕方ない。

「あ、じゃあ俺、鴻上さんに頼んでバースドライバーを貸してもらいます」

「バース? ……あ、仮面ライダーのシステムか。よろしく頼むぜ」

「君たちの中で一番戦い慣れてる子に装着してもらえば、かなりの戦力になると思うよ」

「そう、じゃあそれは私の役割になるでしょうね。火野映司……だったかしら、マニュアルも一緒に寄越しなさい」

あ、後藤さんタイプだ。
映司のその呟きの意味は分からなかったけれど。ちなみに財団Xが関わっているというのならば、
俺達が戦うのは当然のことなので(元は俺達の敵だったのだから、本来は俺達が倒しておかなければならなかったのだ)、
ほむらちゃん達からの依頼は結局ロハということにしておいた。
また、明日からは俺、映司、ほむらちゃんの三手に分かれてパトロールをするということに決定。
これで話はまとまった。一応依頼主の一人であるまどかちゃんにも話は伝えておかなきゃな。
105 :1 [saga]:2012/03/21(水) 22:05:20.49 ID:InVJxIAn0
prrr…prrr…

「あ、はい、まどかです。翔太郎さん、どうかしましたか?」

『まどかちゃん、色々と話があってだな。ちょっと長くなるけど大丈夫か?』

「はい。な、何かまずいことでもあったんですか……?」

『あー……まずいっちゃ超まずいんだけどな。とりあえず、ワルプルギスの夜を越える依頼、あれはロハってことにしといてくれ』

「え、ええ!? な、なんでですか、翔太郎さん」

『今回の件、財団Xっていうこっちの敵も絡んでるってことが分かったからな。君達から金を取るわけにはいかなくなった』

「大丈夫なんですか!? そんな、魔女だけでも危ないのに、うぅ……」

『大丈夫、大丈夫だよ。安心してくれ。どうしても心配だってんなら今度のパトロール、俺に着いてきてくれてもいい』

「は、はい……わかりました」

『んじゃ、おやすみ。早く寝ろよー』

「はい、おやすみなさい。それじゃあ切りますね」

電話を切り、まどかはそのままベッドに転がった。
たった一晩の間に、私達を取り巻く状況は随分と様変わりしてしまっていたらしい。
……心配だ。
勿論翔太郎さんもマミさんも、皆は強くて、私なんかが心配するようなことじゃないのは分かってるけど……それでも。
でも契約なんてできない。私は、怖い。怖くなってしまった。
魔法少女。ソウルジェム。その身体。グリーフシード、魔女。
思い浮かべるだけで体が震えてしまう。
ほむらちゃんやマミさんが、私達に構う必要なんてない翔太郎さん達まで、皆皆頑張ってるのに……私だけが、何も出来ずにいる。
私……駄目な子だ。
106 :1 [saga]:2012/03/21(水) 22:06:27.44 ID:InVJxIAn0
投下終了

どうも俺はまどっちを活躍させるのが苦手らしい。
ほむほむ好きだからまどっちに契約はさせたくないし、
かといって心理描写苦手だしで、どうも扱い辛い。
ごめんねまどっち……
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/03/21(水) 22:25:28.79 ID:IJ/eqZL70


まどかが魔法少女の記憶+ロスドラで…?
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 22:55:19.52 ID:XtkEhB9IO
しかし今更だが、ほむほむはライダー達にも命令口調(呼び捨て)なんだな…

らしいちゃ、らしいかもだが
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/22(木) 00:28:13.99 ID:1rehB2iyo
ジョーカーきたー!
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/03/22(木) 00:46:59.18 ID:6dFGQT1O0


>>108
語弊がある言い方かもしれんが、基本的にほむほむは誰に対しても態度が偉そうというか不遜なんだよな。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 00:49:15.58 ID:82/bDJKLo
敬語使ってたらなんか違和感があるかもだしそのままでいいと思うで
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 11:50:55.86 ID:AzwOIe/DO
>>110
もやしみたいな感じだな
敬語ってキャラじゃないんだよな
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 21:31:53.95 ID:EAZrk5Rj0
>>112
いや、もやしっていうより天道だろ。
尊大な口のきき方とか、肝心な事は何も言わない所とか、あと意外にヘタレな所とか…。
114 :1 [saga]:2012/03/24(土) 22:15:07.02 ID:6bv1NwYo0
恭さや分もほむマミ分も足りないんだけど、どこかに良い燃料は落ちてませんか
投下開始
115 :1 [saga]:2012/03/24(土) 22:16:15.26 ID:6bv1NwYo0
翌日、俺達は学校の授業が終わる時間を見計らってマミちゃんの家に集合した。
美味しい紅茶を頂いてから、三手に分かれてパトロールを開始する。
俺、まどかちゃん、さやかちゃん、杏子ちゃんで北を、
映司、マミちゃん、ゆまちゃんで東を、
ほむらちゃん、キリカちゃん、繊莉子ちゃんが西を、それぞれ担当することになった。


「さぁて……さやかちゃんとまどかちゃんに、そっちは杏子ちゃんだったか?」

「ああ、よろしくな翔太郎。食うかい?」

「……ああ、もらっとく」

たとえ年下の女の子に呼び捨てにされようと、好みではない菓子を渡されようと、
ハードボイルド探偵はその程度では機嫌を悪くなどしないのだ。
さやかちゃんと杏子ちゃんに魔女を探してもらいながら、俺達は街中を練り歩く。

「あ、でもよく考えたら反応があるとは限らないんじゃないの? アレってもう魔女とは別物なんでしょ?」

「そんな……どうしよう、翔太郎さん」

さやかちゃんとまどかちゃんは不安そうにしているが、恐らくその心配はあるまい。
財団Xはせっかく開発した魔女ドーパントや魔女ヤミーの性能を試したがっているはず。
こうしてぶらぶらしてれば向こうから食い付いてくるはずだ。
それに映司が最初に会ったという魔女ヤミーは、杏子ちゃん達曰くちゃんとソウルジェムに反応したそうだ。
……そんなことより、俺としてはまどかちゃんがどうやらさやかちゃんの契約に対して怒っているらしいことが心配だ。
時折とんでもない空気になるんだが、誰か俺を助けてくれ。

「ま、そういうわけさ……グダグダ言ってないでとっとと怪人とやらを探すんだな」

「感じ悪っ……あんた一体なんなの? もっと魔法少女らしく、正義! って感じで行く気ないの?」

「ねーな。つーかアンタも知ってるだろ。魔法少女に希望なんてねーし、まさか正義の味方でもねーよ」

「むぅ……」

……この二人、相性悪そうだな。
まどかちゃんが後ろでおろおろしてやがる。
あーはいはい、二人とも落ち着け。一般人怖がらせちゃ駄目だろ。

「へーへー、悪うござんしたー。……おい、翔太郎」

「ん、翔太郎さん。反応あった。そっちの路地裏」

「……了解。んじゃ、俺一人でも戦えるってとこ、しっかり見せてやんねーとな」 
116 :(BGM:運命のジョーカー) [saga]:2012/03/24(土) 22:18:15.83 ID:6bv1NwYo0
懐からロストドライバーを取り出す。備えたスロットは右側の一つだけ。
それはたったひとりで戦い抜く強さを得るための力。
かつておやっさんが使い、大道克己が使い、そしてフィリップが俺に与えてくれた――大切な力だ。
ジョーカーメモリを挿し、ゆっくりと固有の構えを取ってから(後にさやかちゃんに格好つけ過ぎと言われた。またか)スロットを倒す。

「――変身」

黒い紋様が俺を包み込み、肉体を変質させる。
ガイアメモリに刻まれる『切札』の記憶。
俺は今、街を守るための切札へと変身する。

――【JOKER!!】

黒単色。戦闘手段は徒手空拳の喧嘩殺法。
このうえなくシンプルな格闘戦士、それが仮面ライダージョーカーだ。
さやかちゃん達が見つけた反応を追って、対峙したのは顔を隠した人形のような怪人。
見たところ武器などはなく、相手も徒手空拳のようだ。
……運がいい。徒手空拳同士なら、負ける気はしないぜ。

「さあ、お前の罪を数えろ!」

いつも通りの決め台詞の後駆け出すが、怪人が放った弾丸に出鼻を挫かれる。
脚を止めて、出来る限り最小限の動きで躱し、最後の一つを掴み取ると、それは小型の人形を模していた。
……趣味悪いぜ。

「しょ、翔太郎さん! 大丈夫ですか!?」

「おお、安心しろまどかちゃん! なんともねえよ!」

気を取り直して再び駆け出す。
あの程度の弾丸なら対処のしようは幾らでもある、恐れる必要はない。
見た目こそかなり違うが、タイプとしてはアノマロカリス・ドーパントに近いか?
どちらにせよ、勝てない相手ではない。

「……っし、オラァ!」

放たれる弾丸を躱しいなし弾き飛ばしながら、なんとか接近に成功する。
そのまま駆けこんだ勢いで思い切り殴り掛かると、怪人は容易く吹き飛んだ。
どうやら防御に優れたタイプではないらしい。
よし、ならば戸惑うことはない。このまま決める!

「……喰らえっ!」

殴った姿勢から一歩で踏み切り怪人に飛び掛かる。
思い切り蹴りをぶちかまして、着地の衝撃を和らげるため前転。
勢いを殺さず、なんとか立ち上がった怪人にパンチの応酬を喰らわせる。
反撃の拳を避けて背後に回り、思い切り後ろに蹴り飛ばした。

「……さぁ、フィナーレだ」

ドライバーからメモリを抜き出し、脇のマキシマムスロットに装填する。
背後の怪人が立ちあがり、こちらに飛び掛かってくるのを確認してから、俺はスイッチを入れた。

――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

こちらもジャンプし、怪人の攻撃を回避する。
そのままの勢いで後方宙返りを決め、更に怪人の背後に回った。

「――ライダーパンチ」

紫に輝く拳が怪人を貫き、爆発させる。
爆風の中から大量の銀色のメダルが噴出した。

「すっげー! 翔太郎さんすっげー!」

「うっわ、どういうことだ、仮面ライダーやべぇなオイ!」

「よ、よかった……」

俺の圧勝を見てやたらとテンションを上げているさやかちゃんと杏子ちゃん。
今にも泣き出しそうな顔で俺の無事を喜んでいるまどかちゃんとは対照的だ。
……それにしても、財団Xの目的は一体何なのか?
第一魔女を利用するとなるとキュウべえも敵に回すことになりそうなもんだが……わからん。
いつも通り、後手後手で対処するしかなさそうだな。悔しいが。
117 :1 [saga]:2012/03/24(土) 22:20:34.98 ID:6bv1NwYo0
さて、パトロールだ。オーズの力があれば魔女にも十分対応できることは分かっているから心配はないけど、
魔女を探してくれるマミちゃんとゆまちゃんに危険が及ばないように気をつけないと。
二人とも、自衛の手段くらいはもってるってことは分かってるけど、それでも。

「二人とも、俺が結界に入って5分出てこなかったら、すぐに他の人に連絡を取ってね」

「5分は早すぎますよ……それに、魔法を使ってもすぐにソウルジェムが濁り切ってしまうわけではないし、助けに行きます」

「そーだよ、エージは一人でがんばろうとしすぎ! けがしたらゆまがなおすからね!」

「だから魔法を使っちゃ駄目なんでしょ……? フィリップさんがこの問題を解決するのにどれくらいかかるか、わからないんだから」

「だったら頑張って、怪我しないで帰ってきてくださいね♪」

「……わかった」

はぁ、マミちゃんには敵わないな。
ゆまちゃんも、心配することが馬鹿らしくなるほどに素直で元気だ。
これなら俺は、安心して頑張れる。

「じゃあ、行ってくるよ」

ドライバーを腰に巻き、メダルを三枚取り出す。
右から順に、赤・黄・緑。端からスロットに挿入して、ドライバーを傾け……スキャナーを通す。

「変身!」――【タカ!】【トラ!】【バッタ!】【タ・ト・バ! タトバ タ・ト・バ!】

マミちゃんとゆまちゃんに結界をこじ開けてもらい、俺だけが突入する。
毛糸玉やら何やらが並ぶ、よく分からない空間だ。
それにしても、あの怪物を『魔女』と呼ぶのには抵抗があるよなぁ。
その成り立ちを聞けば、魔女としか呼べないというのは分かるけど。

「……いた」

しばらく結界内をぶらぶらしていると、魔女を見つけた。
それがドーパントなのかヤミーなのか、はたまたゾディアーツなのかは分からないけど、倒す方法は一緒だよな。
魔女の外見は猫の着ぐるみのような感じ……頭が大きすぎるのが気になるけど。
まぁ、関係ないよね。メダジャリバーを取り出して、駆け出す!

「おおぉぉぉおおっ!」

魔女の眼前で思い切り地を蹴り、落下速度も加えてメダジャリバーを叩きつける。
せっかくバッタを使ってるんだし、多分これが一番威力出るはず!
……そう思ったが、甘かった。というより、見立ては間違ってなかったんだけど、予想外の事態が起きちゃった。

「……どっからそれ出てきたんだよぉ!」

そう、猫の着ぐるみの背後から、突然巨大な掌のようなものが生成され、俺を拘束しに来たのだ。
空中で拘束され身動きを封じられ、メダジャリバーを取り落としてしまう。

(ま、まずいっ……)

手首すら思うように動かせない中なんとか指先の感覚でメダルを選び、姿を変える。
全てを切り裂く力を持った、OOO亜種形態――

――【タカ!】【カマキリ!】【バッタ!】

「はぁぁあっ!」

振るわれたカマキリソードで自分を拘束していた紐を分断する。
なんとか着地し、更にメダルを入れ替える。

「くそ、もうこうはいかないぞ! 猫には猫だ!」――【ライオン!】【トラ!】【チーター!】【ラタラタァ! ラトラ―タ―ァ!】
118 :(BGM:Ride on Right time) [saga]:2012/03/24(土) 22:21:38.66 ID:6bv1NwYo0
猫科動物の力を集約した仮面ライダーOOO ラトラーターコンボ。
その身体は金色の輝きを帯び、やがて破壊力を伴った熱線へと変質する。
熱線に眼を焼かれた魔女が苦しむ間に、OOOは圧倒的なスピードで魔女に接近した。

「はっ、たっ……せいやぁぁあ!」

鋭い爪を何度も振るい、魔女にダメージを与えてゆく。
魔女の視力が回復する頃には、大勢は決していた。
OOOが軽く地を蹴り、空中で魔女に対して連続でキックを繰り出す。
チーターの脚力を模したその力が超高速の脚の動きと絶大な破壊力を実現し、魔女を弾き飛ばす。

――【SCANNING-CHARGE!!】

その隙にOOOは必殺技の準備を整えた。
OOOと魔女との間に金色の輪が三つ連なる。
魔女はよたよたと立ち上がるものの、それは無駄なあがきですらない。
最早、勝負は決していた。

「はぁぁああっ……せいやああぁぁぁあああぁぁああっ!!!」

火の輪潜りのごとくOOOは金色の輪を貫きながら魔女に接近し、魔女がそれを認識する暇すら与えず切り裂いた。
甲高い悲鳴と共に魔女は爆発四散し、結界は解れ消えた。
メダルは出ず、メモリ使用者も現れなかった――いや、スイッチが落ちている。
弦太朗くんが戦ってるゾディアーツのシステムか……確か、スイッチをもう一度押してやればよかったんだったっけ?
映司がそれを実行すると、スイッチは暗い光に包まれて消える。
それを確認して変身を解いた映司を待っていたのは、笑顔のマミとゆまだった。

「4分ちょっとでした。映司さんもお強いんですね」

「エージ、おかえり!」

「……うん」

やっぱりこの子達には叶わないな。
映司はそう思い、苦笑した。
119 :1 [saga]:2012/03/24(土) 22:23:36.96 ID:6bv1NwYo0
投下終わり

文章の中でまるまるはジャンプしたとか書いてるところは、
俺の脳内では坂本監督の全面監修による超絶ワイヤーアクションが展開されています。
俺の脳内では今回のジョーカーの戦闘もバリバリワイヤーアクションなのです。
脳内ではちょうかっこいいのです。
それを上手く文に出来るようになりたいです。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/24(土) 22:34:02.17 ID:179kQnOqo
乙ベント

>>119
十分伝わってるよ―
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 12:43:38.39 ID:0FMMVm4DO


お?これはもしやフォーゼパートもあるのか?
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 19:19:23.37 ID:d788aAAIO
>>121
MEGA MAXに倣った構成だからあるんじゃないかな
123 :1 [saga]:2012/03/27(火) 23:18:19.11 ID:eyhatQVs0
近い内に引っ越しして県変わっちゃうから、そん時はそん時だけ酉つけるのでよろしくです
>>120さんの一言が嬉しくてたまらないです
投下開始です
124 :1 [saga]:2012/03/27(火) 23:19:17.03 ID:eyhatQVs0
他の二組がそこそこ和やかにパトロールを進めている頃。
西に向かった魔法少女組は淡々と作戦会議を進めていた。

「……マニュアルを熟読したのだけど、やはりこのシステムの一番のネックはメダルの補給なの」

「ふむ。そこを私とキリカで補えばいいんですね」

「ええ。私の合図とともに正確かつ迅速に、ね」

「無茶なことを言うね、暁美ほむら」

「CLAW's使用分は手元に用意しておくとして……バースバスターの使用時は、どうしても大量にメダルが必要になるから」

「私もマニュアルは読ませていただきましたけど、アレってどうしても使わなければならないほど威力ないでしょう」

「主な用途は牽制用よ。そしてセルバーストには十分な破壊力があるわ」

まあ、面子が見滝原で最も冷徹な魔法少女ことほむらと風見野で最も冷酷な魔法少女こと繊莉子、
そしてそのお供キリカだという時点で和やかな雰囲気など夢のまた夢である。

「それなら使う価値もあるでしょうが……ん、暁美さん、キリカ」

「気付いてるわ。向こうの路地ね」

「ったく、どうせなら私が華麗に戦うところを繊莉子に見せたいのになぁ」

「駄目でしょ、キリカ。フィリップさんが成果を上げるのを待たないと」

「……はぁい」

一人は未だに不満そうだが、ともあれ三人は結界へ突入した。
ほむらは予め用意しておいたメダルを、特に構えることも投げることもなく、
さっさと巻いたドライバーに挿入した。ガチャポンの要領でバックル右のグラップアクセラレーターを回す。

「……変身」

その掛け声も、どこか覇気のないものだった。
125 :(BGM:Symposium magarum) [saga]:2012/03/27(火) 23:22:59.08 ID:eyhatQVs0
そこかしこに刃物が浮いている物騒な結界を、一人のライダーと二人の少女が進んでゆく。
今回慣れない武装で戦闘に臨むほむらは出来れば弱い魔女とぶつかりたいと思っていたが、現実はそう甘くなかった。

「結界の様相から予想してはいたけれど、鎧の魔女……ね」

「ま、魔女の場合鎧だから硬い! とも言えないよね。暁美ほむら、精々私と繊莉子を失望させないよう頑張るんだ」

「その心配は、必要ないわ」――【CUTTER WING!!】

ドライバーに更に一枚、映司を通じて鴻上ファウンデーションから譲り受けたセルメダルを投入する。
ほむらが魔女と戦うに当たって最初に選んだツールは、自在な飛行を可能とする翼――カッターウイングだった。

「おお、飛んだ!」

「アレがカッターウイング……うん、火野さんのオーズに勝るとも劣らない、便利な力ね」

「……さて、いくわよ」

ほむら――仮面ライダーバースは空中でバースバスターを構える。
狙いを定めて連射するものの、鎧の魔女は火花を散らすのみでまるで応えていない……やはり、火力不足か。

(近接戦闘は嫌いなんだけど……しょうがないわね)――【DRILL ARM!!】

「……喰らいなさいっ!」

右腕に装着したドリルを構え、バースは急降下し魔女に攻撃を仕掛ける。
相手が普通のヤミーならばこの一撃で決着がつくのだが、そうはいかなかった。
魔女の強度に打ち勝てず、弾かれてしまう。

(その鎧は伊達じゃなかったのね……ならば、こうよ)――【SHOVEL ARM!!】

次は左腕にショベルを装備。
貫くことが出来ないならば叩き潰すという算段だ。
刺突に強いからといって、打撃に強いとは限らない。

「はぁぁぁああっ!」

気合の声と共に左腕を振り下ろすものの、魔女には傷一つない。
耐久力は並大抵ではないようだ。この時点でバースは焦り始める。
なにせ、近接戦闘用のメインウエポンが二つとも効かなかったのだ。
ブレストキャノンを撃ち込めばまた話は違うのだろうが、あれは発射までの隙が大きい。
魔女が間断無く投擲してくる数々の武器を避けながらでは、恐らく発射まで持ち込めない。

「あーあつまんない、ねえ繊莉子、やっぱりアレ私がやった方がいいんじゃないかい?」

「駄目って言ってるでしょ。全くキリカは、子供なんだから」

「むー! いつもキミは私を子供扱いする!」

(うるさい……)

外野の野次に腹が立つ。
一見クールで無感情に見えるが、暁美ほむらは実際のところコンプレックスの塊である。
誰かに自分を悪く言われるのに耐えられない。
昔は、それで委縮してしまっていた。
今は、それに対し怒りが湧き上がるようになった。
私のことを分かっていないくせに。
私の祈りを理解していないくせに。
それが自分の行動の結果であることは重々理解しているが。
あのまどかの苦しみすら知らない者に、私を愚弄されたくない。

(隙なんて知ったことか! ギリギリまで接近してブレストキャノンを撃ち込んでやる!)

(私らしくないと言わば言え――私の知る仮面ライダーは、いつだってそうやって戦っていた!)

(自らに降りかかる危険を顧みず――ただひたすらに、自らの志のために!)

――【BREAST CANON!!】
――【CELL BURST!!】【CELL BURST!!】
126 :(BGM:Symposium magarum) [saga]:2012/03/27(火) 23:23:40.63 ID:eyhatQVs0
何度も魔女の武器をその身に受け火花を散らしながらも、バースは発射準備を整えた。
ブレストキャノン起動に一枚、エネルギーの充填に二枚。
たったそれだけのセルメダルが生み出す破壊力を魔女に知らしめるために。

「ふっ……うおぉぉおおおぉぉぉぉおおっ!」

雄叫びをあげながら、カッターウイングによる飛行の最高速度、時速300kmに達して猛然と魔女に接近する。
勿論その間も魔女の攻撃を受け続け、バースの体中から火花が散っているが気にも留めない。
そして、遂にバースは、システムが限界を迎える前に魔女に接近することに成功した。

「ブレストキャノンシュート」

「ギッ……」

「はぁぁぁああッ!」

真紅の光線が魔女を貫く。
腹に風穴を空けられた鎧は、罅割れ崩れ消え去った。
代わりに現れたのは、砕け散ったガイアメモリと風化して消えてゆく白服の男。
バースはそれを確認してからドライバーを外し、ほむらへと戻る。

「ふぅん……本当にグリーフシードは落とさないんだね」

「そうみたいね。フィリップさんには、早く結果を出してもらわないと……」

「それは楽観的に過ぎるわ……そもそも、解決手段が存在しないという可能性もあるのだから」

「暁美ほむら、キミは悲観的に過ぎるね。繊莉子、どうなの? キミの予知で、何か見えないのかい?」

「だから、魔法は使っちゃ駄目なのよキリカ……」

相も変わらず不満そうな顔をしたキリカと、呆れ顔の繊莉子とほむら。
再び全員で集合することになっているマミの家に向かいながら、ほむらは思う。
この世界には、期待していいのだろうか、と。
今のところ自分の理想とする世界が見事に実現している――かえって、不安になるほどに。
魔女の真実を受け入れた巴マミ。まどかを殺そうとしない美国繊莉子と呉キリカ。
しかも、仮面ライダーとやらの力添えまである。
……ああ、いや。不安要素は、確かにあった。
美樹さやかの様子が――今までのどの世界で見た彼女とも、一致しないことだ。
127 :1 [saga]:2012/03/27(火) 23:26:58.80 ID:eyhatQVs0
ここで物語は、一度日常へ回帰する。
願いのために戦う者がいれば、願われる者もいる。
願いのために戦う者を語るのならば、願われる者も語らなければ不公平だろう。
だから――美樹さやかに願われた者、上条恭介に視点を移そう。

彼は今、病室で項垂れていた。
身体は治った。彼の主治医はこれは奇跡だ、と言った。
それが事実なのではないかと思ってしまうほど、彼の腕は完全に治っていた。
リハビリが終わっていなかった脚も、驚くほどの速度で治癒した。
事故に遭ったというのが嘘なのではないか、というほどに。

ならばなぜ、彼は項垂れているのか?
――幼馴染、さやかのことである。
理不尽な八つ当たりをしてしまった彼女に一言謝りたい、そう思ってはいるのだがいかんせんその機会がない。
彼女に八つ当たりをしてしまい、その晩には身体が治った。
次の日は午前中はまるまる検査で潰れ、その後も主治医と家族を交えて、今後の話になった。
主治医曰くすぐにでも退院できるが、怪我が怪我だから様子を見た方がいいとのことだったので、
彼は出来得る限り早く退院させてもらえるよう頼んだのだった。

(あれから丸一日経っちゃったからな……もう、電話するには時間が遅すぎるし)

学校に行ったら、さやかに謝らないと。
そう思うばかりであれほど焦がれたバイオリンの練習にものめりこめず、ただ項垂れるのみ。

(……なんで僕、こんなに落ち込んでるんだろ。さやかと喧嘩したことなんて、今までにもあっただろうに)

その疑問に答えを出す者はいない。
多感な少年の悩みは続く。


同刻、美樹さやかは。
自室に引きこもっていた。枕を抱えて布団に座り込み、現状を憂う。

魔女を模した怪人のこと。今は翔太郎さん、映司さん、ほむらの三人だけが戦っている。
今日のところはそれで問題なくパトロールを終えられたが、今後どうなるのか。
もしかしたら翔太郎さんの言う財団Xとやらが、本気で仮面ライダーを潰しに来るかもしれないじゃないか。
そうなったら、あたしはどうすればいいんだろう。
……やめだ、やめ。あたしが頭使ったところで、ほむらや繊莉子とやら、それにフィリップさんなんかより冴えた策がでてくるわけがない。

頭を切り替える。上条恭介、大好きな幼馴染について。
もう、彼とは会えないだろう。あそこまで明確に拒絶されて、それでまた会いに行けるほどあたしは図太くない。
それに、あたしはもうゾンビなのだ。奇跡を祈り、魂を失い、やがては魔女に至る存在なのだ。
魔女になる前にソウルジェムを砕いてやる、という気概こそあるものの、
いざあたしが絶望したときそれを実現できるかどうかは分からない。
あたしのことだから、案外ビビってそのまま魔女になってしまうかもしれない。
こんな状態で、恭介に会いに行けるものか。

……とっくに自分の中で結論が出ていたことだ。考えるのをやめる。
ならば、自分のことだ。
突発的かつ衝動的に契約してしまった感はあるけれど、それでもあたしは契約の際、
街を守る魔法少女を志していたはずだ。マミさんのように街を守り、ほむらのように想いを貫こうと、そう思っていたはずだ。
だがしかし現実はどうだ、仮面ライダーに守られるばかりで結局何も出来ていない。

(……ま、これに関しちゃしょうがないんだけど……魔女にはなりたくないしね)

少女は悩み続ける。正義を志した黄も白も、
自らのエゴを貫き通す紫も黒も、偽悪の赤も爛漫な緑も、等しく悩み続ける。
誰もかれもが悩み続ける薄暗い夜が、更けてゆく。
128 :1 [saga]:2012/03/27(火) 23:27:46.21 ID:eyhatQVs0
更に視点は風都へと移る。
鳴海探偵事務所の最奥で、フィリップはここ数年で最も不健康な状態にあった。
まるでネットゲームに傾倒しすぎた若者のようにラボを散らかしながら、ひたすら地球の本棚を巡っている。

(ソウルジェム……魔法少女の契約により身体から切り離された少女の魂……)

(魂の力……想いの力、感情の力、なんとでもいえるがともあれ精神的な力を魔力へと変換する、外宇宙の科学……)

(感情を魔力へと変換する過程で、魂は疲弊する……自然な流れだ、強い感情の発露は疲労を伴う)

(ならばその疲弊を軽減する方法を……あるいは回復する方法を……)

(ソウルジェムのページだけでは足りない、魔法少女、グリーフシード、魔女、インキュベーター……全てを検索する必要がある)

(手段がないはずがない……インキュベーター、彼らは合理的、効率的であることを病的なまでに望んでいる)

(システム暴走時のセーフティネットが、あるはずなんだ……)

照井や亜樹子、イレギュラーズなど探偵の不在を心配する声は大きい。
風都もまるっきり平和ではない以上、それも当然のことだ。
……やはり仮面ライダーなどガラではない、僕達には街を守るただの『ダブル』の方が、性に合っている。
そんな事を思いながら、フィリップはより深く思考の海に沈んでゆく。
129 :1 [saga]:2012/03/27(火) 23:28:27.96 ID:eyhatQVs0
投下終了

どうも視点や場面の転換を書くのが苦手だ。
ぶつ切りみたいになってしまう。
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/28(水) 10:04:38.89 ID:naB9Wlg/o

Wのメモリは特殊能力に秀でたのが多かったけど回復系はあんまりいなかったよね
最近だとキュアスイッチだっけ、あれも肉体的にしか回復しなさそうだかしな
フィリップだけが頼りだな
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/03/28(水) 17:39:44.99 ID:Nj/TxZu/o
>>130
プリキュアみたいになってるぞ
正しくはメディカルスイッチだ
132 :1 [saga]:2012/03/31(土) 00:19:02.00 ID:sK8uAICK0
レスは青春(と書いてSS書きと読む)の救いなんだ!
と妄言をほざきつつ投下開始。
2ちゃんの大規模規制のせいで生きるのが辛い
133 :1 [saga]:2012/03/31(土) 00:19:54.29 ID:sK8uAICK0
三者三様の方法で魔女もどきの怪人を撃破した、翌日。
マミちゃん達は学校だが、風見野から来た四人……繊莉子ちゃん、キリカちゃん、杏子ちゃん、ゆまちゃん。
彼女らは、まぁ、結構色々な事情を抱えているらしく学校には通っていないとのこと。
そういうわけで今、俺と映司は彼女らのソウルジェムを頼りに魔女もどきの捜索を進めている。

「いやまぁ、俺だって人に褒められた職の人間じゃねえし、強くは言わねーけど……学校くらい行ったほうがいいと思うぞ?」

「あたし、世間的には死んでるし」

「ゆま、おうちにはかえりたくない……」

「私も、美国の名が悪い意味で知れ渡りすぎて正直人前には出たくないですね……」

「私は繊莉子から離れる気はないっ!」

「キミだけただの不登校だな、キリカちゃん!」

「ひ、左さん落ち着いて。ほら、皆。反応ない?」

「うーん……魔女はそもそも夕刻のほうが出やすいし……あ、でも財団Xは夜行性じゃないのか」

道行く人々からはとんでもない視線を貰っている俺達だが、一応真剣である。
というより、どうしても突っ込んでしまう……なんでだろう、俺って一応ハードボイルド探偵なのに、どうしても突っ込みを我慢できねえ。
亜樹子菌でも移ったか?

「……ん、怪しい反応一つ。ただ結構弱い反応だから、使い魔かもしれないね。どうする、繊莉子」

「当然、倒しにいきます。……ライダーに戦わせることになるのは、申し訳ありませんが」

「ま、いいだろ。戦うのはライダーだし、あたしが損しないなら文句はねーよ」

「……なーんか釈然としねえ」

「ひ、左さん、ほらあっちですって、ゆまちゃんが先に行っちゃいますよ」

どうも女子中学生の相手というのは調子が狂う……映司の奴は、慣れてるみたいだけど。
映司の相方は、この子たちよりもっと社会不適合者っぽかったしな。
ともあれ、結界の入り口に辿り着いた。

「さ、行きましょう左さん!」

「おう、映司……だが、その前に」

「ん? なんですか?」

「翔太郎でいい」

「……はい、翔太郎さん!」

『――変身!』 
134 :1 [saga]:2012/03/31(土) 00:20:25.94 ID:sK8uAICK0
二人の仮面ライダーが結界に突入する。
様々なお菓子で彩られたその内部を見て、ジョーカーこと翔太郎は呻いた。

「翔太郎さん、この結界知ってるんですか?」

「ああ……気ィ引き締めろよ映司。ここの魔女は厄介だぜ」

お菓子の魔女。
伸縮自在の身体を使った不意打ちは、単純ながら圧倒的な力を誇る。
前回の戦いでも、咄嗟にメタルを使っていなければ恐らくWの左腕は噛み千切られていただろう。
そして怪人と化した魔女は基本的に使い魔を持たず――こちらを見つけ次第、直接攻撃を仕掛けてくる。

「か……っ」

声を出すことすらできず肺の空気が根こそぎ吐き出される。
一通り魔女の特徴を伝え終わり結界内を進んでいたところ、ジョーカーは一瞬で弾き飛ばされた。
黒い蛇のようなその身体の随所に星の輝きが見られる――シャルロッテ・ゾディアーツの突進によって。

「しょ、翔太郎さん!」

バッタレッグの脚力による跳躍で続く突進を避け、OOOはジョーカーに駆け寄る。
幸い喰らった攻撃は噛みつきでなく突進であったので、ダメージこそ大きいものの目立った外傷はない。
続いて魔女の姿を確認する。口は開いていない……というか、口が見当たらない。
お菓子の魔女の能力のうち、伸縮自在の身体による突進能力に特化して怪人化させられたようだ。
それはつまり、財団Xによる魔女の改造が、相当高いレベルに達しているということである。

「くぅ……この魔女は、使い魔までまとめて全部倒したはずだってのによ……」

ちなみに今回現れた怪人は、お菓子の魔女の結界最奥において魔女の相手をしている女装した使い魔が成長し、
魔女となったところを財団Xに捕えられゾディアーツへと改造されたものであるが、それを翔太郎が知る由もない。

「ともかく、あのスピードは厄介ですね……」

「ああ。俺が囮になるから、映司が魔女を叩いてくれ」

「大丈夫ですか? あいつの攻撃は相当強いですが……」

「適材適所だ。俺にはあいつを倒し切るだけのパワーがないからな」

「……分かりました!」

OOOはメダルを入れ替え、スピード自慢のラトラーターコンボへと姿を変える。
ジョーカーは再び魔女の眼前に躍り出て、誘うように手を振って挑発。
魔女はその挑発に乗り、またもジョーカーに向かって突進してきた。

「さぁ、頼むぜフィリップ……力を貸してくれ!」

ジョーカーはそう言って、三本のガイアメモリを取り出した。
その色は――涼やかに輝く緑と、燃える炎のような赤と、幻想的な黄色。
緑のものを手にとって、ジョーカーは駆け出す。

――【CYCLONE!! MAXIMUM-DRIVE!!】
135 :!ninja [sage]:2012/03/31(土) 00:20:38.27 ID:3uyhXItLo
1
136 :1 [saga]:2012/03/31(土) 00:20:48.52 ID:sK8uAICK0
今回はこれだけ
短い我ながら短い
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/31(土) 17:54:39.35 ID:fSeKc3iDO
めっちゃ面白いな
支援支援

138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/31(土) 20:03:48.59 ID:J9EUsL9bo
いちおつー!
面白いな!
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/04/01(日) 22:33:14.01 ID:SWVi3Yi60
乙!マキシマムドライブ!

レッツゴー仮面ライダー公開からもう1年なんだな
140 :1 [saga]:2012/04/02(月) 22:31:32.24 ID:Begwozsd0
レスがつかないと濁る、なのに急に絶賛されると何かあったのかとビビる
小心者極まりない俺が投下開始
141 :1 [saga]:2012/04/02(月) 22:32:23.42 ID:Begwozsd0
「うおおおぉぉぉぉおおおおっ!」

緑の疾風を纏った右脚を前方へ突き出し、魔女と激突させる。
風のキックと魔女のタックル、それは一瞬だけ拮抗したように見えたもののすぐに風の側へと崩れた。
声にならない呻き声をあげながら再びジョーカーが吹き飛ばされるが、その隙にOOOが魔女の背後に迫る。

――【SCANNING-CHARGE!!】

「せいやぁぁぁあああああっ!!」

ガッシュクロス。
超高速で接近してのトラクローでの斬撃で魔女を切り裂いたものの、当然のごとく魔女は脱皮して死から逃れる。
反撃の手痛いタックルを貰い、OOOも吹き飛ばされてしまう。ジョーカーはマキシマムスロット内のメモリを入れ替え、
今度は左腕を鞭のようにしならせ魔女に対抗するもののやはり為す術もなくその突進の前に倒れる。

「映司! さっきも言ったがこいつの脱皮は厄介だ……連続して、しかもかなりの火力をぶつけなきゃならねえ!」

「で、でもこの有様じゃ……」

「俺を信じろ! 相棒の力まで借りてここにきてんだ、お前が大技撃つまでくらいの時間、稼いでやる!」

OOOはそれでも迷うように眼を泳がせていたが……再びこちらに狙いを定めた魔女の姿を見て、遂に腹を括った。
赤のメダルを三枚取り出し、変身する。
司る力は炎。与えられた役目は奇跡。相棒から預かった、最強の力。

――【タカ!】【クジャク!】【コンドル!】【タァアジャァアドルゥウッ!!】

対して翔太郎は、魔女の突進をどうにかこうにか回避しながら、再びマキシマムスロットに別のメモリを装填する。
奇しくも同じ、炎の力。ある意味ではサイクロンよりも、翔太郎らしさを表しているといえる――熱き力。

――【HEAT!! MAXIMUM-DRIVE!!】

右腕に真っ赤な炎を纏い、魔女に背を向けて逃げるのをやめ、足を止めて相対する。
強く強く拳を握り、来たる衝撃に備えて身を構える。
不利は承知の上。OOOが自分より少し上で滞空しながら大技の準備を始めているのをちらりと見て、自分の成すべきことを確認する。
狙いは決まった。覚悟などとっくのとうに決まっている。

「――ライダー……ヒートパンチ!」

技術も何もない、ただ力だけを込めた燃える右の拳が魔女を迎え撃つ。
当然押し負けてまたもジョーカーは吹き飛ばされてしまうものの――役割は果たした。
渾身の一撃が魔女に負わせたほんの小さな火傷。それを気にして魔女は鬱陶しそうに首を振る。
一連の動作にかかった時間はせいぜい数秒だったが、そしてその数秒は、OOOにとって十分な隙であった。
OOOの体内から噴き出した炎が不死鳥を形作り、OOOを囲い込む。
142 :1 [saga]:2012/04/02(月) 22:33:56.29 ID:Begwozsd0
――【タカ!】【クジャク!】【コンドル!】【ギン!】【ギン!】【ギン!】【GIGA-SCAN!!!】

「はぁぁああああっ……せいやあああぁぁぁああああぁぁあああっ!!!」

左手に備えた盾、タジャスピナーから超高熱の弾丸を射出しながら、自身も不死鳥を纏い飛び込む。
その弾丸一つ一つが魔女に壊滅的なダメージを与えていくが、勿論魔女は脱皮で対抗する。
しかし最後の一撃であるOOO自身の突進には耐え切れず、幾度か爆発を起こしたのち魔女は消滅した。
同時に結界も揺らぎ、崩れ落ちる。スイッチを解除し、自分達が路地に戻ってきたことを確認して二人は変身を解除。
そのまま倒れ込んだ。

「凄く攻撃が重い相手でしたね……いてて」

「おう……魔女のときより厄介になってやがった……この調子だと、ワルプルギスとやらもドーパントか何かになってたりしてな」

「か、勘弁して下さい……」

魔法少女達と合流し、そのまま繊莉子ちゃん達の家へ向かう。
かなり広い屋敷であり、ほぼ空き家だそうなので(事情は聞くに聞けない)平日の俺達の拠点として貸してもらう事になったのだ。
繊莉子ちゃんが淹れてくれた紅茶を飲みながら、今後の方針について話す。
とはいえど財団Xの尻尾をつかむことなど現実的には不可能なので、やはり後手での対策の話になってしまうのだが。
話は進まず戦いは滞り、俺達は不安を抱えたまま過ごすことになった。


そして数日間魔女退治を続けたところ、その強さが日に日に強くなっているらしいことが確認された。
俺も映司も生傷を残して帰ってくることが多くなり、
ほむらちゃんも他の子たちには見せないようにはしているが、その身体には多くの傷を刻んでいる。
遂に昨晩マミちゃんの家に集まりその日の成果を報告しあった際に、映司がかなり深い傷を負ってしまったことが分かったので、
今日は人員をまとめ、俺とほむらちゃんが二人一緒に魔女退治に当たることになった。

「左翔太郎。魔女が強くなってること……どう思う?」

「あ? そりゃまあ、財団Xが魔女の扱いに慣れてきたんだろうよ」

「でしょうね。だとすれば最悪、ワルプルギスの夜は……」

「ああ、それは映司とも話したんだが。現時点じゃどうしようもないってのが答えだな」

ちなみに他の魔法少女達は連れてきていない。
ほむらちゃんがいるから魔女の探索には困らないし、ならばわざわざ守るべき対象を増やす必要はないからだ。
マミちゃんの家に集まってもらい、ほむらちゃんが持つワルプルギスの夜の資料を再度確認するように言ってあるが……
なんだろう、不安が拭えない。具体的にはさやかちゃんとか杏子ちゃんとかキリカちゃんとか。
まともに話が進む気がしねえ。

「……左翔太郎。反応よ……かなり強いわ」

「マジかよ……んじゃ、行くか。どっちだ?」

「こっちね。覚悟だけは決めておきなさい」

「それだけは、とっくのとうに決まってるぜ」

寂れた工事現場へと歩を進めながら、俺は懐からドライバーとメモリを取り出す。
メモリがいつものように手に馴染まない……変に汗をかいてるな。嫌な予感がするぜ。

俺もほむらちゃんも変身してから結界に突入する。
結界はまるで墓場のように、薄暗く気味の悪い空間だった。
魔女は――どこから現れる?
純粋な魔女と財団X製の怪人魔女との差異は、使い魔の有無と魔女の積極性。
前者は使い魔を持ち基本的に結界最奥に待機しているが、後者は使い魔を持たずこちらを認知し次第攻撃に入ってくる。
だがしかし……

「……現れねえな」

「油断しないで……何があるかは分からないのだから」

「分かってらぁ」

二人で背中合わせになり、360度全体を警戒しながらじりじりと結界内を進んでゆく。
いつ魔女が出てくるか分からないという緊張感と恐怖感が、俺達を蝕み続ける。
まだ魔女が現れてすらいないのに、俺達は既に酷い疲労感を感じていた。
そしてその緊張も恐怖も疲労も、全てが全くの無駄であったことを、俺達は知ることになる。
143 :1 [saga]:2012/04/02(月) 22:34:42.72 ID:Begwozsd0
「―――ッ!?」

「なっ……!?」

俺達を襲ったのは『真下からの』攻撃。
丸で最初からそこに在ったかのように一瞬で地に突き立てられた――いや、突き出てきた十字架。
俺達二人とも出現を全く感知できなかったそれに、捕らわれてしまったのだ。
更に追い討ちをかけるように、俺達の周囲に大量の荊が生成される。

「ま、まさかな。おい……嘘だろぉぉおおっ!?」

「うっ……うあぁぁあああっ!?」

気付けば魔女の本体が現れている。ハートマーク……いや恐らくは心臓を模した身体に、
まるで繋がれた点滴のように生えている荊。
ぶちぶちぶちという不気味な魔女の鳴き声と共に、
その荊が全てまるで生き物のようにうねうねと動いて、こちらに迫ってくる。
そして――俺達は、貫かれた。
二人の悲鳴が結界内に響き渡る。


異物が身体の中で暴れまわる感触を体感する。
身体中で荊が駆けずり回って俺をぶち壊そうとする。
ロストドライバーに攻撃が及んでないのが不幸中の幸いだが――あまり、意味はないだろう。
もはや俺に、戦闘の続行は不可能だった。

「……が、はっ」

翔太郎を捕えていた十字架が消滅した。
同時に変身が解除され、どう見ても一直線上にない入り口と出口から荊がずるずると抜け出て、
その度に彼の身体からは黒ずんだ血がだばだばと溢れだす。
同じく変身は解除されたものの辛うじて意識を保っていたほむらは、それを見て歯噛みする。

(まずい……咄嗟に痛覚を遮断したから助かったものの……)

打つ手が全くない。
両手首・両足首を荊に縛られているため十字架から抜け出ることもできないし、
盾から銃器を出そうにもそれを構えることが出来ない。
なんとか右手にはバースバスターを持っていたものの、だから何が出来るというのだ。

(どうすればっ……!)

その時、翔太郎の懐から蜘蛛がひょっこりと顔を出す。
ほむらは一瞬、魔女の仕業かと疑ったが……違う。

(アレは確か……スパイダーショック、だったかしら)

翔太郎が、意識を失う寸前にどうにか起動させたのだろう。
ほむらは内心舌を巻いた。仮面ライダー、中々どうして侮れない……正直、甘く見ていたかもしれない。
痛覚遮断も肉体再生も出来ない彼らには、それら後付けの機能を凌駕し得る鋼の精神がある、ということか。
スパイダーショックは発信器を結界内に置き、結界を脱出して魔法少女達に救援を求めるべく駆け出す。

魔女がそれを察知し、小さな蜘蛛を刈り取るべく多量の荊を展開させた。
ほむらは片手と視線のみでなんとか照準を合わせ、バースバスターを連射して蜘蛛の逃走を援護する。
代償として右腕の骨が折れた音を聞く羽目になったが、まあ、安いものだろう。

(……後は頼んだわよ)

そしてそれを鬱陶しがった魔女は対象をほむらに変え――再び荊で、貫いた。
何度も何度も、入口も出口も分からなくなるくらいにしっちゃかめっちゃかに、貫いた。
144 :1 [saga]:2012/04/02(月) 22:36:08.35 ID:Begwozsd0
相変わらず坂本監督は分かってるなぁ
メテオの神アクションにエンドレスプレイと至れり尽くせりな今回のフォーゼを見て俺はそう思ったのでした
ただ、今回出てきた女の子は攻撃対象が見境なさ過ぎてDQN一歩手前だと思いました
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/04/03(火) 10:12:41.81 ID:PaMzn5zU0


荊突き刺しでぐちゃぐちゃ二人想像したらうわあああああ
146 :1 ◆J0nZQhi5n4XG [saga]:2012/04/04(水) 00:27:14.21 ID:j+sNRJjz0
引っ越して県変わるから本人証明のために酉つけます
全然書き溜めは進んでないけど本人証明のためにちょっとだけ投下もします
147 :1 [saga]:2012/04/04(水) 00:27:57.09 ID:j+sNRJjz0
「……よし、出来た」

鳴海探偵事務所最奥のラボにて、フィリップは作業を終えて汗を拭いた。
魔法少女全員分の、『切札』を作り終えたのだ。

「さて、この時間だと翔太郎たちはパトロールに出ているのかな? まずは鹿目まどか達に連絡を取ってみるか」

スタッグフォンで、予め聞いておいたマミのマンションの固定電話の番号にコール。
切札の完成と今からそちらに向かう旨を伝えて、フィリップはハードボイルダーに乗り込んだ。

「……無免許運転というのは、気が引けるけれどねぇ。今更だけど」


「はい、はい。分かりました。では、今から来て下さい……フィリップさん、完成させたそうよ」

マミがフィリップからの電話に応答し、彼の成果を知る。
怪我が悪化しないよう奥の部屋で寝かせている映司を起こさないよう、静かに仲間たちにそれを伝えるが、
だがしかし呉キリカは彼女のそんな気遣いに気付きもせず大音量で喜びの声を上げた。

「ああ、待ち侘びたよ! 繊莉子、明日からはまた私の雄姿を見せてあげるからね!」

「はいはい、分かってるわキリカ。だから静かに……ん、そっちから音がしますね?」

まず繊莉子が異常に気付く。
玄関から――外から音がすることに。

「……なんだろね、アレ? ほむらはわざわざノックするような奴じゃないし」

こん、こん。こん、こん。
小さくドアを小突くような音が続く。

「ビビってても仕方ねーだろ。開けるぞ」

「ま、待ちなさい佐倉さん。財団Xの刺客って可能性も……」

マミの制止も聞かず、杏子はあっさりとドアを開ける。
……誰もいない。杏子が若干の苛立ちを覚えながらドアを閉めようとしたとき、ふと彼女の脚を小突く感触が。

「……なんだぁ? この蜘蛛みたいの」

スパイダーショック。
それを見たことがあるまどかとさやかはすぐに異常に気付いた。

「そっ、それ! 翔太郎さんの……!」

「何かあったんだ! ど、どうしよう!」

しかし、二人とも、この蜘蛛が翔太郎のものだということは知っていても、その機能は知らない。
今翔太郎とほむらが窮地に陥っており、この蜘蛛が救援を求めに来たことになど、気付けるはずもない。
だがしかし、魔法少女としてはベテランであるマミと杏子が別のことに気付いた。
実力こそあれど魔法少女としてのキャリアは浅い他の少女達には気付けなかった事実に。

「――暁美さんのソウルジェムの反応が……」

「……感知できなくなった」
148 :1 [saga]:2012/04/04(水) 00:28:44.00 ID:j+sNRJjz0
フィリップはハードボイルダーを駆り夜の街を駆け抜ける。
折り返し、マミの家から電話がかかってきたからだ。
ほむらの反応の消失。
そして現れたスパイダーショック。
二つの事象が意味するところは――二人の敗北。
フィリップは取り急ぎスパイダーショックの発信機機能を教え、現場に向かわせることにした。
彼自身はまず魔法少女と合流し、切札を渡すことを最優先に行動する。

「くそっ、翔太郎! 何をしているんだ……!」

対して魔法少女達も、すぐさま翔太郎達が向かった場所を突き止めて全力でそこへと走る。
人間の姿のまま、息が上がっても脚が痛くなっても走り続ける。

「ソウルジェムの反応が完全に消えたなら、暁美さんは死んだということ……」

「だがしかし、あたしもマミも感知は専門じゃねえ。多分感知出来ねーほど魔力が弱まってるってことだ」

一刻を争う状況。
出来れば変身して駆け抜けたかったが、だがしかしマミと繊莉子が強く止めた。
こういう時こそ落ち着いて行動するべきだ、と。
さやかやキリカは当然反論したが――彼女たちが握った拳から流れ出る血を見て、押し黙ってしまう。

「翔太郎さん、無事でいてよ……!」

「死んだりなんかしたら、許さないんだから……」

十分弱程走り続けて、フィリップと魔法少女達は合流する。
遂に手に入れた、財団Xに対する切札。
それは――魔法少女の人数分のドライバーと、ガイアメモリだった。
149 :1 [saga]:2012/04/04(水) 00:29:42.10 ID:j+sNRJjz0
引っ越しやら何やら色々とごたごたするので次の投下は結構先になるかもです
あくまでかもなので、ひょっこり明日顔をだすかもです
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/04(水) 22:27:20.86 ID:yo80HU0ho
乙ベント
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/05(木) 01:04:36.37 ID:HV6RPdiOo
おもしろくなってきたなー乙ー
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 12:25:24.40 ID:OmsoXkhDO

こりゃ盛り上がりを感じさせる
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 20:47:22.75 ID:d4UvCjEIO
マミさんがお菓子のガイアメモリで変身すると首から上が
154 :1 ◆J0nZQhi5n4XG [saga]:2012/04/15(日) 07:32:31.23 ID:iTXn64QK0
やっと引っ越し先でネットが繋がりました
このSSが続くことを誰かが望んでいると信じて
復活の狼煙ということで今回は予告編を投下してみたりみなかったり
155 :1 [saga]:2012/04/15(日) 07:33:57.17 ID:iTXn64QK0
QB「魔法少女と――」

ナレーター(立木ボイス)「――仮面ライダー」

Qナレ『二つの物語が、今交差する!』

マミ「もう何も怖くない!」

さやか「これでトドメだぁぁあああぁぁああっ!」

杏子「チャラチャラ踊ってんじゃねーよ、ウスノロがッ!」

ほむら「決着を……つけてやる!」

まどか「クラスの皆には、内緒だよ!」


QB「戦いを続ける魔法少女と……」


翔太郎「さあ、お前の罪を数えろ!」

フィリップ「……検索を完了した」

映司「せいやぁぁああッッ!!」

弦太朗「今日からお前らも、俺のダチだ!」


ナレーター「戦いを続ける仮面ライダー。二つの戦いは、財団Xを中心に収束する……」


マミ「だったら、もう、死ぬしか――」

さやか「……あたしって、ほんとバカ」

杏子「独りぼっちは、寂しいもんな」

ほむら「何度やっても、あいつに勝てない……っ」

まどか「いやだ……やだよぅ……」


QB「財団の巨大な悪意に圧し潰される魔法少女。仮面ライダーは少女たちを救えるのか?」


翔太郎「ぐあぁぁあぁあああっ!」

フィリップ「くっ、ここまでとは……」

映司「う……うわぁぁぁああああっ!」

弦太朗「ちっ、ちくしょぉおおッ!」


ナレーター「魔女の猛攻に傷つき倒れる仮面ライダー。魔法少女達は奇跡を起こせるのか?」


まどか「劇場で、数量限定魔法少女×仮面ライダーストラップが貰えるよ!」

翔太郎「前売り券には特製ガンバライドカードが付いてくる。なんと必殺技で魔法少女たちが登場するぜ!」

まど翔『魔法少女×仮面ライダー まどか&W SS大戦GIGA MAX、今冬12/15から公開開始(嘘)!』
156 :1 [saga]:2012/04/15(日) 07:36:44.62 ID:iTXn64QK0
ストラップ→フォーゼコスのまどか、OOOコスのさやか、Wコスのマミさん、バースコスのほむら、アクセルコスの杏子
カード→W(必殺技:トリガーフルバースト+ティロ・フィナーレ)、
     OOO(必殺技:オーズバッシュ+スパークエッジ)、
     フォーゼ(必殺技:ライダー超電磁ボンバー+シューティングスター)
     バース(必殺技:ブレストキャノン+対艦ミサイル)
     アクセル(必殺技:マシンガンスパイク+疾風迅雷

SS書いてると、こういう下らないおまけ考えるほうが楽しくなってきて困る。
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 09:13:46.84 ID:7bj0zWMIO
待ってたぜ?
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 10:39:23.23 ID:7L52SD8DO
待ってました

なんなら次のライダーまで出してもいいのよ?
159 :1 [saga]:2012/04/16(月) 20:55:18.12 ID:jQva5Ujy0
投下開始。
今週の仮面ライダーメテオは! で笑ったのはきっと俺だけじゃないはず
160 :1 [saga]:2012/04/16(月) 20:55:58.91 ID:jQva5Ujy0
「フィ、フィリップさん何これ!? あたし達にも変身しろっていうの?」

「いいや違う……いや、合ってるか。説明は後にしよう。使い方だけ教えておく」

「ドライバーの右に君たちのソウルジェムを。左に今渡したギジメモリ『マギカ』を挿してくれ」

「こう……ですか?」

「そう、後は僕たちがしているようにドライバーを倒せばいい。急いで現場に向かおう」

久し振りの、魔法少女達の変身。
若干名が仮面ライダーのように変身コールをしたがその様子は割愛する。
誰がしたかは大体想像がつくだろう。
ともあれ彼女らの速度は一気に上がり、そこからせいぜい数分で結界まで辿り着くことができた。


一方結界内では、ほむらも十字架から解放されていた。
つまりそれは、あらん限りに血を抜かれて瀕死の状態にまで追い込まれているということを意味する。
ただしほむらは魔法少女なので、血を抜かれること自体には何の問題もない。
なんなら全身の骨を折り砕かれたうえでビルをぶつけられたこともあるくらいだ。
問題は、彼女の回復魔法は決して優れておらず、治癒に数分とはいえ時間がかかってしまうことだ。

(つまり、眼前の魔女を前にこの肉塊同然の身体とソウルジェムを晒し続けなければならないということ……)

更に言えば、身体はただの人間である左翔太郎が心配だ。
ほむらに医学の知識はないが、どう見ても致死量以上の血が出ているように見える。

(騙して利用するつもりだったとはいえ……目の前で死なれると、流石にこちらも気分が悪いのだけれど)

どちらにせよ自分も動けないし、このままでは二人ともお陀仏だ。
自らの誓いに懸けてそんな事になるわけにはいかないのだが、思いとは裏腹に身体は動かない。
というか、最早身体は原形を留めていないといってもいいくらいだ。
私がやたら冷静なのも、諦めが早いからではなく単に現状出来ることがないだけの話だ。
そんな私の自己観察など気にもかけず、再び魔女の荊が鎌首をもたげた蛇のようにうねり、私に向かって――
161 :1 [saga]:2012/04/16(月) 20:58:03.97 ID:jQva5Ujy0
「させるかァ!」

「喰らいやがれッ!」

「見ててね繊莉子ッ!」

――来たところを、三人の魔法少女によってずたずたに切り裂かれる。魔女が痛みに叫び声を上げた。
その隙にゆまが魔女と翔太郎・ほむらの間に割って入り、すかさず治癒魔法で二人を治療する。
続いてマミがマスケットを乱射。八割近くが魔女に命中し、残りの二割はリボンへと変質し魔女を捕える。
流れるような一連の技に、ほむらは驚きを禁じ得なかった。

そして一足遅れて結界内に進入してきたフィリップは、その手に小さな恐竜のようなものを携えていた。
したり顔で戦況を満足そうに眺めながら、傷こそ癒えたものの未だ地に伏している相棒に声をかける。

「翔太郎。トドメは僕たちで刺そうじゃないか……行けるね?」

「ふぃ、フィリップさん! ダメだよ、キズはなおったけどしょーたろーはまだうごいちゃダメ!」

「ええ、そうね。あまりいい判断とは言えないわ」

「それは承知している。だから今回は僕が行くのさ。ねえ、翔太郎」――【FANG!!】

「……あー。相変わらず人使いが荒いぜ……わーったよ、相棒」――【JOKER!!】


――【FANG!! JOKER!!】


それは、戦いを共にする魔法少女達も初めて見る形態。
本来のプロセスとは逆に、翔太郎が気を失って――現れたのは獣の如く荒々しく刺々しいフォルムの、白と黒に彩られた戦士。

『……さあ、お前の罪を数えろ!』



「さて、魔法少女諸君。今後の戦いで必要になるのは連携だと教えたね」

変身を終えたフィリップが言う。
初めての共闘にしては良すぎる先程の連携は、彼の仕込みだったのかとほむらは得心した。

「だから、今回は君達に策を決めてもらおう。それを見て僕は君達の適性を判断することにするよ」

尊大なもの言いに若干名が反感を覚え拳を握ったものの、他のメンバーに止められる。
マミの拘束によりいくらかの時間的余裕はあるので新米であるさやかとキリカに案を出させてみたが、
大勢の予想通り駄目だった。まー駄目だった。どれくらい駄目かというとゆまにすら駄目出しされるレベルで駄目だった。
結局マミと繊莉子、ほむらの案を採用し攻めに出る。

「さて、そろそろ巴マミのリボンによる拘束も限界だ。さて、拘束を解いた魔女の最初の行動はなんだ?」

答えは荊による攻撃。
十字架による拘束はあくまで初見殺しであり、全速力の魔法少女達を捕えられるほどの性能はない。
そしてその荊は、さやか・杏子・キリカによる斬撃で問題無く対処できる。
魔女は奇声を上げて荊を振り回すが、三人が全ての荊を寸断し魔女に隙をつくる。

「トドメは僕達に任せるという前提のもとで、必要な行動はなんだ?」

答えは、仮面ライダーの射程圏内に魔女を引き摺りこむこと。
基本的に仮面ライダーに空中での戦闘力は無い。
圧倒的なジャンプ力こそあるものの、飛行が出来る訳ではない。
その欠点を補うために再びマミが魔女を拘束し動きを止め、繊莉子がライダーと魔女との間に水晶玉を幾つも浮かべる。
これで準備は整った。

「オーケー、魔法少女達。上出来だ」――【FANG!! MAXIMUM-DRIVE!!】

満足そうに頷き、Wはファングメモリのタクティカルホーンを三度弾く。
他の形態とは違う手法であるが、出る結果は同じ。
正義の力で悪をぶち抜く、右脚に現れた一筋の刃。その名は――
162 :1 [saga]:2012/04/16(月) 20:58:56.87 ID:jQva5Ujy0
『ファングストライザー! はぁぁああッ!!』

水晶玉を足場にして何度も跳躍し、魔女の頭上に至る。
そしてWは高速で回転を始め、遂には魔法少女達がその姿を眼で追いきれないほどの速度に達し、
そのまま高速で落下することで右脚の刃を何度も何度も命中させ、魔女を頭から尻まで完全に切り裂いた。
噴出するメダルを尻目に、仮面ライダーWことフィリップは、魔法少女たちを見渡す。


「やりー! やるじゃんフィリップさーん!」

「すっげ、仮面ライダーいいねェ!」

無邪気にはしゃぐ美樹さやかと佐倉杏子。
まあ馬鹿だけれど、上手く舵を取ってやれば彼女らほど頼りになる存在もあるまい。

「ご苦労様でした。フィリップさん、翔太郎さん」

「今回は危なかったですね……左さんのほうは大丈夫ですか?」

落ち着いてこちらを心配してくれている巴マミと美国繊莉子。
彼女らは安心して魔法少女間での指揮を任せられる。

「ふふん、繊莉子のためなら私はもっと頑張れるよ」

「……死ぬかと思ったわ、わりと本気で」

呉キリカと暁美ほむら。
……まあ、実力は確かだ。相当扱い辛いけど。

「やったね、フィリップ! しょーたろー!」

天真爛漫な千歳ゆま。
うん、この子が一番扱いやすい。戦力としては一番アテにならないが。
……まあ、悪くないか。財団Xとの戦いに赴くメンバーとしては幾分真剣味が足りないような気もするけど。
163 :1 [saga]:2012/04/16(月) 21:01:13.84 ID:jQva5Ujy0
ソウルジェムをドライバーのソウルサイドに挿す、というある種の一発ネタ。
ちなみにこれで変身すると例えば
――『まどかのソウルジェム!』『マギカァ!』『まどか☆マギカァ!』
と言い張ることも出来なくもない。どっちにせよ一発ネタ。
そんなこんなで投下終了。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/16(月) 21:42:54.41 ID:ojIhirJGo

ビッカーと擬似メモリを使えばマドカ!マキシマムドライブ!ホムラ!マキシマムドライブ!マミ!マキシマムドライブ!アンコ!マキシマムドライブ!
さやか「ビッカー!チャージブレイク!」
1人余るね…
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/04/16(月) 23:13:57.87 ID:ahvVkX+v0
乙!

次は全ソウルジェムでのギガスキャンですねわかります
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/16(月) 23:31:18.42 ID:rvzKTnQBo
乙です

なるほど、次はほむスキャンか
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/04/18(水) 22:43:10.09 ID:KHPW0jbw0
マジカルアンバーさんか
168 :1 [saga]:2012/04/18(水) 23:17:47.34 ID:xu4QL4tY0
投下開始。
スーパーヒーロー大戦に翔太郎くんとフィリップくんが出ないかなあと密やかに願っています。
願うだけなら自由ですけれど、多分裏切られるんだろうなぁと思います。
169 :1 [saga]:2012/04/18(水) 23:19:14.95 ID:xu4QL4tY0
魔女退治を終えて、俺達はマミちゃんの部屋へ戻った。
マミちゃんの部屋には映司を寝かせてあるし、その映司はまどかに看病させている。
ああ、詢子さんが怖ぇ。会いたくねえ。今回の件を詢子さん相手に誤魔化すとか無理だろ。ああ、憂鬱だ。
ともあれ死なずに済んでよかった。我ながら今回は危なかったぜ。

「にしてもフィリップ、解決したってのは凄ぇけど一体どういう理屈で解決したんだ?」

「巴マミの部屋に戻ったら皆にも話すよ。まずはさっさと帰ろうじゃないか」

「……ま、いいけどよ。あー、あとほむらちゃん。悪かったな、足引っ張っちまって」

「……問題無いわ。というより、私も何も出来なかったから」

「あ、そうなのか。まああの魔女相手じゃ仕方ねぇか」

身の毛もよだつというか、思い出したくないというか……とにかく、もう二度とアレとは戦いたくねぇな。
生前の彼女がどんな魔法少女だったかは知らないが、とんでもない魔女になってくれたもんだぜ。


「さて、魔法少女諸君。質問はあるかい? それとも僕が一通り説明した方がいいのかな?」

「まずは説明からお願いします。いきなり質問とか言われてもそもそもこのベルトが何なのかから分かりませんし」

「いいだろう。では、説明を始めよう」

……フィリップ、テンション高ぇな。アレは間違いなく徹夜のノリだ。
一応話を聞いておこうと起きてきた映司も一緒に、皆で三角のローテーブルの周りに座ってそんなフィリップの話を聞く。

「君たちに渡したそれは名付けて『マギカドライバー』。ソウルジェムの働きを最適化し、君たちの魂にかかる負担を軽減するものだ」

「そもそも魔法少女システムにおけるソウルジェムというのはガイアメモリでいう直挿しに近いものがあり、つまりは使用者にかかる負担が大きい」

「インキュベーターも、魔法少女の魔女化が目的だから敢えて魔力の運用効率を改善しようとはしなかったのだろうね」

「だから、僕たちと同じようにドライバーを通してフィルタを掛けて濾過してやれば、ソウルジェムの濁りは格段に抑えられるのさ」

「ソウルサイドにソウルジェム、ボディサイドには魔力を増幅させるギジメモリ『マギカ』を装填することにより効果は最大限に発揮される」

「魔力の運用効率は従来のシステムと比較して300%アップ。単純計算で同じ魔力で4倍の魔法が使えることになる」

「そして特筆すべきは、ギジメモリ『マギカ』により――」

「ああもういいフィリップ。うんまあ、凄いってことは分かった」
170 :1 [saga]:2012/04/18(水) 23:20:08.20 ID:xu4QL4tY0
多分俺の今の発言はこの場の魔法少女達皆の気持ちを代弁している。と思う。
周囲を見回したところほむらちゃんだけはある程度理解できているようだったが。
そのほむらちゃんが口を開いた。

「……とりあえず、今後は魔法少女も戦闘していいということなのね?」

「そういうことになるけど、それがどうかしたかい?」

「ならば今後しばらくは、私は戦線を離脱させてもらうわ」

ほむらちゃんが言うには、バースドライバーとセルメダルの貸与の代償に、バースシステムのアップデートを頼まれたのだとか。
ループによって知識や経験を重ねているとはいえ、女子中学生に仮面ライダーのシステムを開発させるってどうなんだ……。
俺は思わず苦笑いしてしまったが、映司は呆れ顔で納得していた。

「鴻上さん、相変わらずだなぁ……」

「まあそんなわけだから、数日はそちらで頑張って頂戴。施設を借りて大規模にやることになっているから、学校もしばらく休むわ」


魔法少女の戦線復帰により、魔女との戦いは格段に楽になった。
映司は負荷のかかるコンボを使う必要がなくなり、俺も再びWに変身できるようになった。

「一手で……十手!」

「駄目よ、キリカ! 相手は群体、一度に殲滅しないと倒せないわ」

「それなら任せて! 繊莉子ちゃん、キリカちゃん、少し時間稼いで……」

――【ライオン!】【クジャク!】【コンドル!】【ギン!】【ギン!】【ギン!】――【GIGA-SCAN!!】

「せいやぁあッ!」


「杏子ちゃんさやかちゃん、大技頼むぜ! マミちゃん、俺と拘束に回ってくれ!」

「分かりました!」

――【LUNA!! METAL!!】
――【SPIDER】【METAL!! MAXIMUM-DRIVE!!】

「メタル・スパイダーバインド!」

「レガーレ・ヴァスタアリア!」

「ナイス! いくよ……コラテラルエッジ!」

「ふっ……喰らいな!」

今日は繊莉子ちゃん・キリカちゃん・映司とマミちゃん・さやかちゃん・杏子ちゃんに俺達の組み合わせで戦った。
どちらの組もさしたる問題もなく魔女を倒せたようで、皆見える範囲では傷を負っていない。
ちなみにゆまちゃんは治療に専念してもらうために(そりゃ戦えないことはないのだが、俺も映司も幼女が戦う様など見ていられない)、
マミちゃんの家に待機してもらっている。緊急時にはこちらから連絡を入れて、来てもらうという取り決めだ。
俺はガジェットがあるし、映司にはカンドロイドがあるから、結界内からでも連絡は可能だしな。
171 :1 [saga]:2012/04/18(水) 23:21:09.69 ID:xu4QL4tY0
「さてッ! 暁美ほむら君! 既に伝えてはあるが君にはバースシステムの改良を頼みたいッ!」

「ええ、了解しているわ」

携帯端末を通して、ほむらは鴻上ファウンデーションの会長、鴻上光生と会話していた。
強面の外見に似合わずハイテンションに声を上げる鴻上に若干圧倒されつつも、ほむらは至って冷静だ。

「更にもう一つ、バースシステムの複製を頼みたいのだが、構わないね?」

「構うわよ、面倒臭いわ。バースシステムの貸与の代償がバースシステムの改良なのであって、私にボランティア精神は無いわ」

「その厚顔、素晴らしいッ! だがしかァし、君にはあと二つこちらへの借りがある!」

「……何よ」

「セルメダルの譲渡、及び現在鴻上ファウンデーションの協力者である火野映司の派遣だ!」

「……前者はともかく、後者は別に頼んでないのだけれど」

「だったら今すぐ火野くんをこちらへ返してくれたまえ。彼には出来ればすぐにでも海外へ飛んでもらいたいのだ」

「……本人が認めないでしょうね」

流石のほむらも、鴻上に口では敵わないようだ。
というか、むしろ相性最悪の相手であろう。
結局ほむらはバースシステムの複製及び財団の研究への協力を約束させられるのであった。


「……はぁ、ねっむいわー」

「さやかちゃん、大丈夫?」

「寝不足ですの? さやかさん」

さやかはかなりの疲労感を覚えながら学校へと歩を進める。
愛すべき親友たちの心配の声もあまり耳に入らない。
まさか魔法少女業がここまでしんどいものだったとは。
これを二年以上続けてるって、マミさん化物かよ。

「ん、大丈夫だよ」

それでも笑顔を作り親友たちとの談笑に勤しむ。
我ながら、新米なりに上手いこと正義の味方を出来ているのではないだろうかと思う。
最終的に、この愛すべき友人たちに心配をさせないようになれば完璧だ。
そんな風に自己批評をしながら辺りを見回すと、幼馴染の姿が見えた。

「……恭、介」

「あ、上条くん退院したんだね」

おいおいちょっと待ってよ、流石に退院の知らせ無しは酷くねぇ?
そりゃ嫌われた自覚くらいはあるけどさ、流石に――いや、よそう。
あたしは恭介に嫌われた。だから報告すらもしてもらえない。
今後あたしが、恭介に笑顔を向けてもらうことなどない。
たぶん、それだけの話なんだろう。
172 :1 [saga]:2012/04/18(水) 23:21:55.82 ID:xu4QL4tY0
「だねー。ま、よきかなよきかな。恭介にはまどかとの仲を見せ付けてやらなきゃねー!」

「きゃっ! や、やめっ……さやかちゃぁん!?」

「ふっ、二人とも駄目ですわ、それは禁断の愛の形ですのよー!」

こうしていつも通りに馬鹿をやって白い目と生温かい視線を半々で浴びるくらいが、あたしには丁度いい。
巻き込まれるまどかと仁美には、まあホント申し訳ないんだけどね。

「そういえばさやかちゃん、上条くんに話しかけに行かないの?」

「い、行かないよ。……行けないよ」

「?」

まどかも仁美も訝しむような目であたしを見る。
そりゃ、あたしが恭介に嫌われたっていう最新情報を知らないから当然なんだけど、
こっちとしてもそんな目で見られ続けるのは気分が悪い。

「ほら、幼馴染だからっていっつもベタベタしてるわけじゃないし?」

毎日のようにCD貢いでたあたしが言っても、説得力は皆無だった。
我ながらけっこう痛々しいと思った。

一方恭介も、さやかと同じように憂鬱な気分を味わっていた。
途中で一緒になった中沢には一応笑顔で応対しているが、それでも気分は優れない。
電話で謝るというのも誠意がないような気がするし、かといって呼び出すのもどうか。
そんな風に言い訳をして、結局今まで謝るどころか会うことも出来ずにずるずる来てしまった。
そして登校中、一瞬目が合ったのにすぐに逸らされてしまったことで恭介は確信したのだった。

(……やっぱり、さやかはもう僕のことなんか嫌いになったんだよな)

そりゃあ、理不尽な八つ当たりでせっかく持ってきたCDを叩き割るような奴はこっちだって願い下げだ。
思い当たる節があるだけに、恭介は完全にさやかとの仲をそう判断してしまった。


教室について授業を受けて、放課後になってもやはりさやかと恭介は鬱々としていた。
クラスメイト達も何やら様子がおかしいらしいことは察して、二人を遠巻きに見ている。
それでもさやかの隣にはまどかがいるのだが、そこに更に仁美が向かった。

「……さやかさん。お話があります」

「ん、どしたの? 大事な話なら、場所変えるけど」

「では、そのようにお願いします。すみませんがまどかさん、今日は席を外していただけないでしょうか」

「う、うん。じゃあさやかちゃん、私は今日もマミさんの家に行くね。話が終わったら来てね」

「おっけ。じゃあ、行こうか仁美」
173 :1 [saga]:2012/04/18(水) 23:23:08.41 ID:xu4QL4tY0
投下終了。

台詞と地の文のバランスが変で見栄えが良くない。
相変わらず場面転換がぶつ切り。
この辺、どうにかなんねーかな。難しい問題だわ
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/18(水) 23:43:44.68 ID:ICWdTmA7o
お疲れ様でしたー
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/19(木) 07:51:01.05 ID:CcTFZrBeo
マギカドライバーほしいな
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/19(木) 13:37:51.10 ID:DfOe1UJDO

マギカメモリの秘密が気になる
177 :1 [saga]:2012/04/22(日) 10:32:28.24 ID:6tLBh8zf0
コズミックステイツ格好良すぎwwwwwwww
つか今回凄く良かったね。
ライダー部&昴星の子たちを助けに来たとき、流星くんを初めて格好いいと思った
まあとりあえず、今後のスイッチ連携に期待!

投下開始
178 :1 [saga]:2012/04/22(日) 10:33:42.91 ID:6tLBh8zf0
右、左、脚下。連続攻撃をいなし、飛び退って回避し姿勢を立て直す。
接近して蹴りを立て続けに三発、全て回避される。代わりに掌底の一撃を貰う。
舌打ちしながら更に接近、足払いをかけるものの上手く受け身を取られ、追撃は失敗。

「……ったく、強ぇな映司」

「伊達に世界中を旅してませんから。翔太郎さんこそ、その体術はただの探偵ってレベルじゃないですよ」

「ただの探偵じゃなくて、風都を守るハードボイルド探偵だからな」

こちら見滝原郊外の橋の下。
一通りのパトロールを終えた俺と映司は現在特訓の最中である。
学校に通っていない杏子ちゃんとキリカちゃんも参加……というか、この子達の特訓がメインの目的なのだが、
杏子ちゃんの方はベテランというだけあって中々の動きを見せてくれた(それでも流石に、俺にも映司にも敵わなかったけどな)。
対してキリカちゃんは強いといえど新米だそうなので動きが滅茶苦茶で、まあ鍛えがいがありそうだった。

「よし、次キリカちゃん行くか。そろそろ休憩もいいだろ」

「無論だ。繊莉子をより満たせる私になるために、私は努力を惜しまない」

俺も映司も正しい型など習っていないし誰かを鍛えたこともないのだが、まあやれることはやっておけというもんだ。
繊莉子ちゃんに呆れられたのはちっとばかしショックだったが。
悔しいので俺はキリカちゃんを見事に鍛え上げて彼女を見返すことに決めた。
流石世間一般のイメージとはズレた血生臭い魔法少女達というべきか、杏子ちゃんもキリカちゃんもめきめき実力を上げている。
今から繊莉子ちゃんが驚く姿が目に浮かぶぜ。なあ、キリカちゃん。

「ああ。磨きに磨き抜かれた新たな私の力を見れば、きっと繊莉子も喜んでくれるよ!」

うん、全く関係の無い話なんだが、キリカちゃんとは不思議と気が合うんだよなぁ。
最初は、なんだこの社会不適合者はとか思ったものだがこうして共に闘う内に随分話が分かる奴だということが分かった。
キリカちゃん、そして実はマミちゃんも、今では俺の愛すべき友人だ。うん、不思議なくらいに気が合うんだよな。
今回の件が一段落ついたら、互いに愛読書を貸しあおうと約束したくらいだ。
本当に関係の無い話なんだが、先を見据える余裕があるということは大事なことだからな。
その場限りで生きてる奴に、未来はねえ。そういう意味では、ほむらちゃんは相当に危うい状態にあるのだが……
まあ、彼女を救うのは俺じゃないだろうということくらいは、わかる。
179 :1 [saga]:2012/04/22(日) 10:34:25.12 ID:6tLBh8zf0
普段利用しているファストフード店でとりあえず席を取って、仁美が話を切り出した。
道中仁美は全くの無言であり、さやかもそれに釣られて言葉が出ず。
とにかく重要な話なんだろうな、程度に考えていたさやかは度肝を抜かれることになる。

「さやかさん。私……上条君に、告白しようと思います」

「……っ!? ひ、仁美って恭介のこと好きだったの? っやー、い、意外だなぁ」

「誤魔化さないでください、さやかさん。私がわざわざあなたにこのことを伝えた意味を考えてくださる?」

「ど、どういうことよ」

「……私、さやかさんの親友を自負しています。だから、さやかさんを裏切るような真似はしたくなかった」

「さやかさんも上条君のこと好きなんでしょう? 見ていればわかりますわ」

……そっか、バレバレだったか。
でも仁美、喧嘩を売るにはちょっとばかし遅すぎたよ。
どうせならあたしが恭介に嫌われちゃう前に――あるいはゾンビになっちゃう前に、教えてくれたらよかったのにさ。

「……うん、好きだよ。でもダメ、あたしはもう嫌われちゃったから」

「嫌われ……? まさか、さやかさんに限ってそんなこと」

「あるんだな、これが。入院中、ちょっとあたしデリカシーないことしちゃって……恭介を、傷つけちゃって」


「だからさ、あたしに負い目なんて感じてないで、今からさっさと当たって砕けてこい!」


よかった、一応笑顔で言えた。
これでいいんだ、あたしじゃ恭介を傷つけることしかできなかったから。
これが一番いいはずなんだ。
そう思えば思うほどにじくじくと痛む胸の感覚を切り離し、あたしは仁美と別れた。
180 :1 [saga]:2012/04/22(日) 10:34:58.22 ID:6tLBh8zf0
「さやかちゃん、結局今日は来なかったな」

「けっ、甘っちょろい。魔法少女なんだからクラスの奴なんて相手にしなけりゃいいのに」

「こら佐倉さん、そんなこと言わないの」

まどかちゃんによるとさやかちゃんはクラスメイトに呼び出されたそうなので、
仕方なく今日はさやかちゃん抜きでパトロールをした。
まあWの力があれば魔女の相手は十分にできるので、今日も特に問題はなかったが。
ちなみに今日は俺達とマミちゃん、杏子ちゃん。それに映司と繊莉子ちゃん、キリカちゃんの組み合わせで戦った。
ワルプルギスの夜に向けて出来れば色々な組み合わせで戦いたいのだが、キリカちゃんが言うことを聞かないのだ。
そしてマミちゃんの家への帰り道、俺たちはさやかちゃんを見つけた。


「……あ、翔太郎さんか」

「さやかちゃん。クラスメイトの子との話があったんだってな」

「うん。まあ、そんなことはどうでもいいんだけど」

……様子がおかしいな。
さやかちゃんは間違っても友人のことをどうでもいいなんて言わないと思うが。
いつものように眼が輝いていないし、どう見ても様子がおかしい。

「翔太郎さん、あたし……」


「もう、皆とは一緒に戦えないよ」


「……どういうことだ? ワルプルギスの夜が怖くなったのか?」

「まさか。そんなわけないじゃん」

それはまあ見ればわかるが。さやかちゃんの目から感じられるのは恐怖というよりは諦観。
なんだか嫌な予感がする。

「今日さ、親友に呼び出されたんですよ。で、あたしの幼馴染に告白するって言われて」

「あたしは魔法少女になったときそいつのことは諦めたはずだったし、代わりにこうして正義の味方になったはずだった」

「なのに、あたしその時、『こいつさえいなければ』って、思っちゃったんだ。正義の味方失格だよ……」

「こんな気持ちじゃ、街を守るために頑張ってる皆と一緒になんて戦えないよ……!」

今にも泣き出しそうな表情で、なんとか言葉を絞り出しているさやかちゃん。
その高すぎる理想と悲痛なまでの正義感は、かつての照井を思い出させなくもない。
とにかく、なんとかして彼女を止めないと。

「何言ってんだ、そんなことで負い目を感じるこたねえよ。さやかちゃんはまだ中学生なんだ、そういうこともある」

「俺達としてはさやかちゃんに抜けられるほうが困るんだから――」

どう止めようか。
言葉で止めるには俺とさやかちゃんの関係は薄すぎる。
これがまどかちゃんならまた別かもしれないが、俺も……後ろにいるマミちゃんも杏子ちゃんも、
彼女を止められるほどの言葉は持ち合わせていない。
だから今にもマジギレしそうな杏子ちゃんを抑えてから、俺はこう言った。

「だから、どうしても抜けたいって言うなら、俺を倒してから行くんだな」
181 :1 [saga]:2012/04/22(日) 10:35:52.75 ID:6tLBh8zf0
『変身!』

人気のない橋の下まで来て、俺とさやかちゃんは同時に変身する。俺は仮面ライダージョーカーに。
さやかちゃんはフィリップ製のドライバーを使っているので、言うなれば仮面ライダーマギカといったところか。
装飾は多少ゴツくなったとはいえ、見た目はまるっきり魔法少女なのだが。

「……Wじゃないの?」

「二人がかりで倒されたんじゃあ、さやかちゃんも納得できねえだろ? それに……」

「それに?」

「さやかちゃん相手なら、俺一人で十分だ。マミちゃんと杏子ちゃんは先に帰ってな」

「……任せるわ、翔太郎さん」

「ちっ。ヒヨッ子の癇癪に苦戦なんかするんじゃねーぞ」

「っ! ナメるんじゃないわよッ!」

そう言われても、実際十分だからしょうがねえ。
ベテランの杏子ちゃんですら最初は俺に敵わなかったのに、初心者のさやかちゃんが俺に勝てるかよ。
振り下ろされる剣の腹を殴って弾き飛ばすと、頭に血が上ったさやかちゃんも流石に接近戦は不利だと悟ったのか距離を取る。
そう、それで正解だぜ。ちょっと手荒になるがさやかちゃんも修行してやる、くらいの気持ちで相手してやるか。
今度は剣を投擲してきた。問題ない、全て叩き落とす。その隙にさやかちゃんは剣の柄についたトリガーを引き、
刀身のみを射出する。重量が下がった分かなり速くなっているが、まだ問題はない。
上半身の動きだけで避けて、間に合わない分は叩き落とした。

「はっ、甘いぜ!」

「ちっ……くしょぅ!」

追撃の剣を更に回避して強引に接近する。
さやかちゃんの肘の裏に思い切り肘鉄をかましてやると、やはり彼女は戦闘経験が足りないのか、簡単に姿勢を崩してしまった。
その隙に、腹に掌底の一撃。女の子の顔なんて狙えないからな。

「ぐぅうっ!」

苦し紛れに後方に飛んださやかちゃんは、魔法陣を足場にしてこちらに突進してきた。
俺より数m前で着地しつつも勢いを殺さず、真一文字に剣を向ける。

「甘いな、そんなんじゃ勝てねえぜ!」

その斬撃をほんの一歩下がるだけで避けて、更に肩を狙ってハイキック。
だがしかし、狙い通りに決まったはずのその蹴りは、狙い通りのダメージを弾き出してはくれなかった。
さやかちゃんは何事もなかったかのように追撃を繰り出してくる。
おいおい、やり過ぎたんじゃないかと思うくらいの、会心の一撃だぞ? まさか、さやかちゃん……!
182 :1 [saga]:2012/04/22(日) 10:36:18.96 ID:6tLBh8zf0
「……あは。本当だ」

「その気になれば痛みなんて、完全に消しちゃえるんだ。おかしいと思ったよ」

「仁美の話を聞いてから胸が痛くてたまらなかったはずなのに、いつの間にか何も感じなくなってたからね――!」

「ぐっ……!」

まずい、これはまずい。
完全に形勢が逆転してしまった。さやかちゃんは完全に防御を捨てて猛然と攻撃してくる。
対して俺は余り強過ぎる打撃はできないし、かといって痛覚を遮断したさやかちゃんは生半可な攻撃じゃ止められない。
……仕方ない、許してくれよさやかちゃん、あとさやかちゃんの親御さん!

「くっ……さやかちゃん、おいたが過ぎるぜ!」

なんとかさやかちゃんの猛攻を掻い潜り、俺は彼女に掴みかかった。
そう、痛覚を遮断していようが確かなダメージになる攻撃……すなわち、関節を外そうとしたのだ。
だがしかし、一つだと思っていた俺の誤算は二つあった。
一つはそのまま、さやかちゃんが痛覚の遮断をしてまで戦うとは思っていなかったこと。
もう一つは、俺は修行をつけてやるくらいのつもりだったが、さやかちゃんは俺を本気で倒そうとしていたことだ。

肩が外れたにも関わらず、さやかちゃんは逆の手で俺の腕を掴んで地面に叩き付ける。
次いで馬乗りになって、俺に剣を振るった。
斬る、というよりは叩き付ける、というふうに。
ただひたすらに力任せの、それゆえにえげつない威力を発揮する、剣戟。

「がはっ!」

俺が呻く姿を見てさやかちゃんは一瞬だけ泣き出しそうな顔をしたたものの、
次の瞬間には悪魔のような形相で再び剣を振り下ろした。

「くそっ! くそっ! くそっ! あたしはっ……あたしはあたしはあたしは……うああぁぁあああぁぁああぁぁぁぁああっ!」

何度も何度も斬りつけられ、次第に薄れていく意識の中で最後に俺が見たものは。
涙をぽろぽろと溢しながら剣を振るう、さやかちゃんの痛々しい姿だった。
183 :1 [saga]:2012/04/22(日) 10:37:42.09 ID:6tLBh8zf0
投下終了。
ワイヤーアクションで動く魔法少女たちを妄想するのがマジで楽しくてしょうがない。
スーパーヒーロー大戦見にいきてえ……

ちなみにフォーゼが参戦する場合は、時系列は今日の話終了後になると思います。
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/22(日) 12:04:26.51 ID:TLCDWtHIO
乙!

ということは最強F集結か…
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/22(日) 12:11:01.64 ID:r98rcvJWo
乙!!乙!!!乙!!!!カモーン!!
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/04/22(日) 15:30:44.34 ID:Y3+vDVNAO
流星と伊達さんと後藤さんと照井は出てくるんだよな?
7人ライダー揃うんだよな?
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/25(水) 21:23:55.77 ID:EjUQKev90
投下開始
スーパーヒーロー大戦を見に行きたくてしょうがない…
でもオールライダー系はどうせガッカリなんだろと思ってる自分もいる…
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/25(水) 21:24:28.09 ID:EjUQKev90
「中々帰ってこねーから見に来てみたら……ホントに負けてんじゃねーよ、翔太郎」

「負けたにしては、身体に傷は見当たらないけれど……」

声がする。最近よく聞く声だ。
その声に導かれるように目を開けると、既にさやかちゃんは姿を消していた。

「……悪かった」

「うわっ、いきなり起きるんじゃねー!」

「どうしろってんだよ……くそ、止められなかったか」

「美樹さん、行ってしまったのね……」

とりあえずはさやかちゃん抜きで魔女退治を続けるしかねえだろうな。
俺も杏子ちゃんとキリカちゃんの修行は取り止めにしてさやかちゃんを探すことにしよう。
あの様子だと、素直に家に帰ったとも考え辛いしな。でもまあ一応帰ってきてた時のために、まどかちゃんに連絡を頼んでおくか。
あー……情けねえなぁ。女子中学生に負けちまった。


マミちゃんの家に戻り、マミちゃんと居候の杏子ちゃん、繊莉子ちゃんにキリカちゃんが寝静まった頃に、
俺とフィリップ、映司は話し合いを始めた。勿論、さやかちゃんのことについてだ。

「それにしても翔太郎、情けないね。普通にWで戦っていれば勝てただろうに」

「分かってるが面と向かって言われるとムカつくからやめろ。それに、勝てたかどうかは案外分からねえぜ」

そう、痛覚遮断が厄介すぎた。
どんな傷にも怯まず攻め続けられるというのは、当然それだけで圧倒的な優位点になる。
かといってさやかちゃんほどの自己回復力がなければ実戦では使えないだろうし、
マミちゃんに確認したところ魔力の消費が馬鹿にならないらしいから、決して褒められた戦法ではない。
それに、誰もさやかちゃんの身体が魔女によってずたぼろにされてゆく様など見たくはない。
……たぶん、さやかちゃんはそれも分かってて単独行動をとりたがったんだろうな。
彼女が一番、こういう事態に弱そうなまどかちゃんのことを分かっているだろうから。

「ともあれ、さっさと連れ戻さないとな。出来ればこのことはまどかちゃんには知らせたくない」

「無理でしょうね。もしさやかちゃんが学校に行かなかったら、それでバレちゃいますし」

「……だよなぁ。あーっ! もう、やることが多すぎて面倒くせぇ!」

さやかちゃんを探さなきゃいけないし、ワルプルギスの夜には備えなきゃならないし、出来れば財団Xの尻尾も掴んでやりたいし。
まあ、現状はさやかちゃんを探すのが最優先だろうな。出来る限り早く見つけて、ワルプルギスの夜に向けて連携を鍛えないといけない。
探す手段っつったらガジェットとカンドロイド飛ばして、あとは足頼みだ。地道な仕事になるが、探偵の本領発揮だ。
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/25(水) 21:25:21.39 ID:EjUQKev90
「上条君。ちょっとお話したいことがあるのですが……よろしいでしょうか」

一方。仁美はさやかに背を押された後、久しぶりに走った。
帰り道、松葉杖をついて歩いているはずの恭介に追いつくために。

「えっと……志筑さん? 別に問題ないけど、あれ? 志筑さんって家こっちだったっけ」

「いえ、全然逆ですわ。上条君とお話したくて、走ってきたんですの」

「そ、そう。疲れたでしょ。じゃああっちのベンチにでも行こうか」

柄にもなく息が上がって、膝に手をついている仁美の様子を訝しみながらも、とりあえず恭介は話は聞くことにした。
更に言えば仁美は普段まどかやさやかと仲良くしているので、多分、
さやかと喧嘩でもしたのか、とかそんなことを聞かれるんじゃないかと思っていた。

「……はぁ。松葉杖だとこの程度の距離を歩くのにもすごく疲れちゃうね。それで、何の用かな」

「えっ……と。驚かないで聞いてくださいね? 私、その……」

顔を赤らめて俯く仁美。
その姿は彼女の顔に射す夕日の色も相まって、とても美しかった。

「上条君のこと、ずっと前からお慕いしておりましたの。よろしければ、私を貴方の恋人にしてくださいっ」

捲し立てるようにして早口で、ではあったもののそれでも顔を上げて毅然とした表情で、仁美は告白した。
ごく普通の男子中学生なら天にも昇る心地になるだろうその言葉を聞いても、
やはり恭介の気分はいまいち盛り上がらない。

「あっ……あー。志筑さん、その気持ちは、その、嬉しいんだけど……うーん、なんて言おうかな、今はそういうことは考えられなくて……」

この言葉に嘘はない。
何せ今、人生の全てを懸けてきたバイオリンにすら気持ちが籠らないのだ。
他のことに目を向ける余裕があろうはずもない。

「……やっぱり、さやかさんのことですか?」

「え?」

「さやかさんも上条君も、なんだか今日は様子がおかしかったわ。何か、あったんですの? とても悩んでいるように見えますわ」

そりゃあ、様子だっておかしくなるだろう。
長年付き合ってきた幼馴染に愛想を尽かされたのだから。
ただ、悩んでいるのがさやかのことかと聞かれると答えはノーだ。
喧嘩をすることなら何度でもあったのに、今回だけこんなにも気分が落ち込んでしまうのが何故かと悩んでいるのであって。
……うーん、これはやっぱりさやかのことってことになるのか?

「えっとさ、さやかのことって言ったらそうなんだけど。入院してたとき、ちょっと彼女に八つ当たりしちゃって……」

それを聞いて、なんとなく仁美は事情を察した。
もしかして自分は物凄く損な役回りを自分から演じに行ってしまったのではないかと。

「皮肉にもその日の晩に腕が治ってさ。謝らなきゃ謝らなきゃとは思ってたんだけど」

「その日以来、さやかがお見舞いに来てくれることもなくなって、言い出す機会もなくなっちゃってさ」

「そりゃそうだよね、僕だってせっかくお土産まで持ってきてるのに理不尽な八つ当たりをする奴のお見舞いなんて行きたくないもの」

「……ぷっ、あはははっ!」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/25(水) 21:26:07.64 ID:EjUQKev90
想像以上だ。
仁美は流石に笑うしかなかった。

(なんですのこの人達、見事なまでに思考がシンクロしていますわ……)

これじゃあ、自分の入る隙なんてありはしないじゃないですか。
上条君のほうはそういう目でさやかさんを見ているわけではないようですけれど……
多分、それで私が上条君の『恋人』になったとしても、上条君にとっての優先度は『幼馴染で親友』のさやかさんを越えられない。
どうにも、そんな気がします。……そんなの、こっちから願い下げですわ。

「わっ、笑うなんて酷いじゃないか! そりゃ僕が全面的に悪いけど、一応真剣に……」

「上条君。さやかさんも似たようなことを仰っていましたよ」

「へ?」

「上条君を傷つけて、嫌われちゃった……って。本当、幼馴染だけあって似た者同士なんですね」

「僕が、さやかを……? そんな、謝らなきゃならないのはこっちなのに」

「それは、さやかさんに言ってあげてくださいな」

「うっ。そりゃ、そうだけど……」

「ふふっ。これ、本当はさやかさんに言おうと思ってたことなんですけど……上条君」

「あなたの、本当の気持ちと向き合ってくださいな。それが貴方に振られた女の、最後の望みです」

「……そう、だね」

自分が情けない。
悪いことをしてしまったら、ちゃんと謝ればいい。償えばいい。
逆に言えば、謝らなきゃならないし、償わなければいけない。
志筑さんにこうして背中を押してもらうまで、こんな簡単なことに気付けなかったなんて。
そして、さやかとの友情が一度の喧嘩なんかで壊れるものじゃないと知っていたのに、嫌われたのだと勘違いしたことにも反省。
いつだって二言目にはバイオリンの話が出て、バイオリンのレッスンのために遊びの約束をすっぽかすような僕を、
さやかは今まで見捨てないでいてくれたのにね。志筑さんと別れたら、すぐにさやかに電話を掛けよう。八つ当たりしてしまったことを謝るんだ。

「ありがとう、志筑さん。謝る勇気、出たみたいだ。すぐにさやかに電話をかけてみるよ」

「……それは良かった。それでは、私はこの辺で失礼しますわ」

志筑さんを見送ってから(男の子として送ってあげなきゃいけない気もするけど、杖を突いていてはかえって迷惑だろう)、
すぐに携帯電話で見慣れた番号をプッシュする。
僕のしてしまったことは取り返しのつかないことだ。それでも、さやかには謝っておきたい。
……中々出ない。普段のさやかはすぐに出てくれるけど……実は、本当に嫌われていたのかな?
そんなことは有り得ないと分かってはいても、無機質な電子音声を聞くと否応なしにそう思わされてしまった。

――ただいま、電話に出ることができません。電源が切られているか、電波の届かないところに―― 
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/25(水) 21:27:27.49 ID:EjUQKev90
投下終了
レスが付いたら嬉しいなって
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/25(水) 21:31:18.78 ID:0JW3rJaBo
乙っすよー
期待通りのさや恭な雰囲気がたまらねぇぜ……頼むから結ばれてくれよ
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/25(水) 21:32:12.77 ID:eBvPw3oYo
乙ヤルレートフラッシュ
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/25(水) 22:57:11.87 ID:EjUQKev90
>>192
(このSSでは恭さやの予定はなくて)スマンな
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/25(水) 23:03:29.80 ID:EjUQKev90
(sage忘れて)スマンな…
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 23:45:29.67 ID:hcrm0HZDO

このすれ違い加減が平成ライダーらしいね
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 19:33:36.49 ID:AKYbOxYDO
555といいキバといい井上脚本のすれ違いは見ててくるものがあるよな。
案外虚淵と似てるかも。
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/29(日) 13:58:30.15 ID:8HtxXWAx0
追いついた。
俺のさやかちゃんvsジョーカーとか最高じゃない!
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/30(月) 22:29:40.15 ID:R4HlJXg10
投下開始ですおー

スーパーヒーロー大戦は相変わらず見に行けないでござるおー
くっそ、見たい……ゴーカイジャーがオーズキーで変身するとこだけでも見たい…
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/30(月) 22:30:24.37 ID:R4HlJXg10
さやかちゃんが俺を倒してチームを抜けた翌日。映司のタカカンドロイドが、さやかちゃんを発見した。
思ったより発見が早かったので逆に怪しいような気もしたが、まあ徒歩の女子中学生の行動範囲なんてそんなものだろう。
フィリップやマミちゃんは止めたが、緊急時にはちゃんとWになることを条件として今回も俺一人で向かわせてもらうことにした。
さやかちゃんを説得するためにやりたいことがあったから、ついでにフィリップに確認したところそっちも無事に許可をもらったので、
後はさやかちゃんを見つけるだけだ。場所の特定はできているから、足頼みというほどのものでもない。ただの作業だ。

見滝原市の繁華街……その寂れた路地裏。
近未来的発展都市である見滝原は、そんな場所さえも凝ったデザインが施されていて、
こんな場所で杏子ちゃんあたりが戦えば大層いい絵になるだろうなという気がする。
そしてその路地裏に、さやかちゃんは蹲っていた。

「やぁっと見つけたぜ、さやかちゃん」

「……翔太郎さん。……その、昨日のこと……ごめんなさい」

「気にすんなって。第一、斬ったのはさやかちゃんだけど治してくれたのもさやかちゃんだろ?」

「そりゃ、そうですけど……それで、罪が消えるわけじゃないし」

「昨日も言ったが、女子中学生なんてそんなもんだ。戻ってくる気にはなったか?」

「……はは、本当、優しすぎますよ……フィリップさんに聞いた通りじゃないですか。ハーフボイルドだ、って」

「フィ、フィリップの野郎……教えなくてもいいことを、畜生。まあいい、さやかちゃん……」

昨日よりも酷く落ち込んでいて、見た通り家にも帰ってなかったようで心なしか薄汚れたさやかちゃんに手を差し伸べる。
さやかちゃんは蹲ったまま応えてくれないので、そのまま引っ掴んで立ち上がらせようとしたのだが……そこで、魔女の結界が出現した。

「さやかちゃん!」

「分かってる。大丈夫です、翔太郎さん。昨日は迷惑かけちゃってごめんなさい。あたし、もう大丈夫です」

「大丈夫なもんか。女子中学生なんて、すぐ落ち込むわりにずっと落ち込んでるもんさ。無理したっていいこたないんだぜ」

「でも! それでも、あたしは魔法少女だから……!」

「ほれ、さやかちゃん」

「うわっ! しょ、翔太郎さんいきなり何を投げて……こっ、これ!」

「さやかちゃん、自分が正義の味方っぽくないことを考えちゃったのが許せなかったんだよな」

「それだけ、自分が正義の味方であることに誇りを持ってたんだよな。その鉄の意志を、俺は信じるぜ。そいつがその証だ」

俺の言葉を聞いて、昨日からずっと輝きを失っていたさやかちゃんの目に光が戻った。
魔法少女として――それ以前に正義の味方として。戦う決意が戻ってくれたのだろう。

「ははっ、翔太郎さんったらあたしみたいな才能もない、いち魔法少女に期待しすぎですよ」

「俺だって似たようなもんさ。才能なんてない、それでも自分の信じるもののために戦ってる……だからこそ、俺はさやかちゃんを信じられる」

「魔法少女である前に正義の味方を志した、素直な女の子だからこそな」

「……ほんと、期待が重いよ翔太郎さん。でも……」


「それに応えられなきゃ、正義の味方は務まらないよね! だからさ……見ててよ、あたしの変身!」


久々に見る晴れやかな笑顔でさやかちゃんはそう言い放つと立ち上がり、ドライバーを巻く。
予め挿してあったマギカメモリを抜いて新たに俺が渡したメモリを挿し、両腕をゆっくりと回してから勢い良くスロットを傾けた。
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/30(月) 22:31:09.00 ID:R4HlJXg10




「……変身ッ!!」――【METAL!!】



 
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/30(月) 22:32:26.81 ID:R4HlJXg10
銀色の光がさやかちゃんを包み込み、青い炎とともに弾け飛ぶ。
ボディは銀。俺の変身とは違い女性的、曲線的な身体のフォルム。四肢を青い装飾が彩っていて、
肩にはメタルシャフトではなく細身で片刃の両手剣が備えられている……名付けるなら、メタルブレードといったところか。
そしてその変身者がさやかちゃんであることを何より明確に示す、たなびく優雅な白マント。

「……仮面ライダーメタル、参上!」

上手くいったな。
俺の見立て通り、さやかちゃんとメタルの相性は抜群だ。
おまけにアッパーボルテージマターの精神高揚が、いい具合にさやかちゃんの憂鬱を弾き飛ばしてくれたようだ。

「さぁてフィリップ、俺達もいくか」――【JOKER!!】

『ああ翔太郎。魔女はさっさと倒してしまうに限る』――【CYCLONE!!】

――【CYCLONE!! JOKER!!】

「俺達はさやかちゃんのフォローに回ってやるぞ。せっかくの復帰戦だしな」

『相変わらず翔太郎は甘いねえ。でもまあ、だったらこれかな』

――【LUNA!! TRIGGER!!】

魔女は、小さな身体に何本もの触手を生やした気味の悪い姿をしている。
だがしかし、量的にはルナトリガーで相手ができるし、触手に対してはさやかちゃんの剣の相性が良さそうだ。
さやかちゃんが立ち直ってさえいれば、楽勝だろうな。

「いくぜさやかちゃん! 今日は俺と君とでダブルライダーだ!」

『それを言うなら俺達と、だろう?』

「……うん! あたし、頑張るよ! 速攻で決めちゃおう、翔太郎さん! フィリップさん!」

触手を避け、斬りながら俺達の言葉に応えるさやかちゃん。
その姿は、以前同様……いや、以前以上に勇ましく、美しい。

「おうよ、だったらツインマキシマムで決めてやる! やり方はわかるな?」――【TRIGGER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

「うん、大丈夫だよっ! このメモリを抜いて……剣のここに、挿す!」――【METAL!! MAXIMUM-DRIVE!!】

俺達は銃を構え息を整え狙いをつける。
さやかちゃんは剣を片手で持ち直し、鞘に納めるような形で力を溜める。
さあ、魔女に見せつけてやろう。
今晩限りの、これがライダーツインマキシマムだ――!
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/30(月) 22:33:08.65 ID:R4HlJXg10
『トリガーフルバースト!』

『メタル……スパークエッジ!』

何十もの光弾が魔女の触手を爆散させ、裸同然になった魔女をさやかちゃんの剣戟が襲った。
結界ごと魔女が両断され、目を覆うほどの閃光が結界中を満たす。
そして俺に正常な視界が戻ってきた頃、結界は無事に解除され俺達は見滝原市の路地裏に帰ってきていた。
それとほぼ同時に、糸の切れた人形のようになったさやかちゃんがへなへなと膝をつく。

「っあー……疲れたぁ。これ、凄く体力持ってかれるじゃん……これであんなに戦えるなんて、翔太郎さんすっごいよ」

「そうだろ。見直したか」

「そう言わなかったら大分見直したのに……」

減らず口叩く余裕があるならもう大丈夫だな。
今すぐマミちゃんの家行って、皆に謝ってこい。

「うぇ。そこ、どうにかなあなあに出来ません?」

「馬鹿、正義の味方だろ? けじめはきっちりつけなきゃな」

「うえ〜……」

そう言ってぐずるふりをするさやかちゃんだったが、
その目の輝きは以前の彼女の活発さを取り戻していた。
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/04/30(月) 22:34:01.38 ID:R4HlJXg10
投下おしまい。
超展開の連続なのは映画館でオールライダーものを見てるんだと思ってくれればきっと納得できるレベル

のはず
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/01(火) 02:43:22.60 ID:11GE8Jazo
ごちそうさまでした
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/01(火) 02:43:22.60 ID:11GE8Jazo
ごちそうさまでした
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/01(火) 07:46:16.86 ID:h/7mri/No
さやか「俺のメモリィイイイイイ」
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/05/01(火) 17:43:23.70 ID:2/wBWWhD0
投下乙です!
>「うん、大丈夫だよっ! このメモリを抜いて……剣のここに、挿す!」――【METAL!! MAXIMUM-DRIVE!!】

何故か「割って、挿す!」という弦太郎の声が聞こえた気がする…。
割ったらメモリを割ったらアウトですがなww
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/05/01(火) 20:08:29.04 ID:yIyc1icAO


さやかちゃんあっさり立ち直り過ぎじゃね?
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/02(水) 08:52:02.92 ID:YZSDLX2DO
乙!

>>208
バリズンソード…
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/10(木) 21:21:19.07 ID:tVQ4T7K/0
>>209
ドヤ顔で「アッパーボルテージマターのおかげです」って言う気満々だったんですけど、
よく確認したらアッパーボルテージマター出るのはヒートであってメタルじゃなかった死にたい。


ちなみにさやかちゃんメタルのマキシマムドライブは、OOOのオーズバッシュみたいなもんだと考えてください。
んじゃ短い短い今回の投下、開始〜
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/10(木) 21:21:46.54 ID:tVQ4T7K/0
翌日、土曜日。
ほむらちゃん曰く月曜にはワルプルギスの夜が来るらしいので、
この土日が俺達にとって最後の準備期間ということになる。
ほむらちゃんも鴻上コーポレーションとの契約内容を全うしたらしく、ぎりぎりのタイミングで見滝原に帰ってきてくれた。
そこで俺はとりあえずさやかちゃんに華麗なる土下座を披露させたあと、魔法少女たちに例の橋の下に集合してもらった。

「さて、今日は魔女退治の前に特訓だ。とりあえず連携をちゃんと連携と呼べるとこまで持ってく」

「ワルプルギスの夜の巨大さを考えるとここで出来ることには限りはあるが……」

「あるが、なんなのさフィリップさん」

「まあ、最低でも君たちから任意に二人抜き出せば僕たちを倒せるくらいには強くなってもらおう」

「……結構ハードル高いっすね。しかも任意ってことは全員と組めなきゃダメってこと?」

「当然だ。戦場で常に息がぴったり合う者が隣にいるとは限らないのだからね」

フィリップの独断で最初に選ばれたのはさやかちゃんとキリカちゃん。
曰く、二人とも近接戦闘の専門家同士。戦場においても必然的に近くにいることが多くなるだろうからだとのこと。

「さあ、おいで二人とも。目標は5分以内に僕達を倒すことだ」――【FANG!! JOKER!!】

「メタルメモリは返しちゃったけど……舐めないでよね! あたし、翔太郎さん一人には勝ってるんだから!」

「右に同じだ。先日までの修行で、私は師匠と競れるようにはなっているのだからね!」

「ふっ、いいだろう。かかってくるといい」――【ARM-FANG!!】

さやかちゃんとキリカちゃんが飛び掛かってくる。
……てんでばらばらに。こりゃ俺が本気で力を貸すまでもなさそうだ。フィリップ、適当にいなしてやってくれ。

「おうとも。幾ら僕が引きこもりの検索オタクだからといって、女子中学生に後れは取らないよ」

スピードに優れるさやかちゃんがまずこちらに到達するが、俺達はそれを躱してすぐ後ろの、
速度低下を発動してから動くがゆえに一呼吸遅れたキリカちゃんを迎撃する。
背後からステップを切り返したさやかちゃんが剣を突き出すが、間一髪回避してその剣をはたき落とす。
続いてキリカちゃんの追撃をいなして蹴りを一発。更にさやかちゃんの剣をアームセイバーで受け止めてパンチ一発。

……もう気付いただろうか? この二人、連携がさっぱりなっていないのである。
そもそもキリカちゃんの速度低下の影響をさやかちゃんも受けてしまっている。論外だ。

「はい不合格。二人は後で特別訓練コースだ」

「うげっ!?」「むぎゃっ!?」

最終的に二人は、俺達が攻撃を躱したことにより互いに衝突。あえなく気絶することになった。
これを見て、他の皆も今回の訓練の意味を分かってくれただろう。次からは舐めてかかると痛い目に遭うぜ、フィリップ。

「ああ、じゃあ選手交代といこうか」

「……お、お前。一番楽そうな娘達の相手買って出ただろ」

「何のことやら。さ、次は佐倉杏子と巴マミと美国繊莉子。三人がかりでWとOOOのを相手してもらう」

「むっ……これは骨が折れそうね。佐倉さん、昔の連携覚えてるかしら?」

「……繊莉子はどうなんだよ」

「私は二人の戦法だけなら、ある程度知っていますわ。私自身強くはないから、後方支援に回らせていただきます」

「それがいいわね。ところで、佐倉さん?」

「……覚えてねーわけねーだろ、ばぁか」

「そう、それは良かった♪」

「厄介そうだな……ちくしょうフィリップめ」――【CYCLONE!! JOKER!!】

「あはは……まあ、仮面ライダーらしくていいですよね、特訓」――【タ・ト・バ! タトバ タ・ト・バ!】

『……さぁ、いくぞっ!』

ワルプルギスの夜が来るその日まで、俺達は地道な特訓と魔女退治を続けた。
ワルプルギスの夜の全てを知り尽くしたほむらちゃんが立てた作戦の通りに準備を進めた。
そして俺達は知ることになる。人智の全く及ばない、異次元の力を。
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/10(木) 21:22:29.20 ID:tVQ4T7K/0


第三章:Rの合流/仮面ライダーと仮面ライダーと魔法少女:了





第四章:仮・面・大・戦 へ続く

 
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/10(木) 21:23:12.41 ID:tVQ4T7K/0
今回の投下がたった1レスになったのは、前回の投下の時点で投下ペースの配分を間違えた私の責任だ。
だが私は謝らない。
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/05/10(木) 21:32:38.99 ID:LKNlFaTV0
乙です!
次はいよいよフォーゼの出番ですかな?
ステイツはどこまで出すのか気になります。
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/10(木) 22:32:38.94 ID:ktz+xexDO

遂に次からフォーゼ編か!
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/16(水) 20:56:13.06 ID:ycVxg3G7o
某スレで晒し間違えてしまった
ほんとすんません
荒らしが来たらスルーして俺を叩いてください
本当に申し訳ない
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/16(水) 20:58:08.21 ID:CkLPmSa7o
ちーっす^^ なんか楽しそうなことしてんね
なんのSS書いてんのー?
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/05/16(水) 21:10:25.17 ID:V2ajTnYa0
>>217
どのスレだよwww
何と間違えて俺のスレを晒したんだよwwwww
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/16(水) 21:13:38.21 ID:ycVxg3G7o
>>219
レスがつかなくて悩む作者スレ
いやあ本当にすまん・・・
インキュベーターお前の罪を数えろスレと間違えた
本当にマジですんません・・・
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/05/16(水) 21:14:12.02 ID:V2ajTnYa0
>>220
あ、それなら無問題
俺も悩んでるから
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/16(水) 21:15:39.95 ID:ycVxg3G7o
>>221
そう言ってくれると助かる
お詫びに更新があったら毎回乙だけでもレスさせてもらう
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/16(水) 21:19:42.63 ID:8eegHQNIO
読者が増えたよやったねたえちゃん!
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/16(水) 23:42:53.93 ID:K2fPy8+DO
その捻じくれた根性もみんなまとめて受け入れる!
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/17(木) 13:36:44.35 ID:aVExFyLIO
ライダーは成長して強くなる!
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2012/05/17(木) 22:00:32.94 ID:umeK965F0
オーツ!!
皆の絆でこの夜を超える!!
ですね、分かります。
続きを楽しみに待ってます!
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/22(火) 01:36:44.14 ID:SXIEZlKs0
乙乙
キャラクターの動かし方が凄まじく上手いのが好印象

あと、この世界にはスタッグとスパイダー以外のメモリガジェットは存在しないと考えた方が良さそう?
バットショットにルナを刺してフラッシュ焚けば暗闇の魔女に楽に勝てたりとか、デンデン使えば翔太郎でもキュゥべえ目視出来たりしそうだけど(ry
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 00:57:12.65 ID:b5aT89400
>>227
そんなに褒められると調子に乗っちゃいますぜ!

質問のほうですが、ちゃんと他のガジェットたん達もいますよ。
でもまあ>>1が扱いきれないってか>>1の頭じゃ思いつかなかった。
バットたんとデンデンたんとフロッグたんは、風都で照井を手伝ってると思ってちょうだい。
あるいはオールライダー映画のノリだと思って許してちょうだい
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 00:57:59.44 ID:b5aT89400




第四章:仮・面・大・戦



 
230 :(OP:Switch on!) [saga]:2012/05/23(水) 00:59:28.38 ID:b5aT89400
場面は変わって天の川学園高校……の、立ち入り禁止の物置から繋がる月面基地、ラビットハッチ。
ここでは学園の自由と平和を守るために集った少年少女が仮面ライダー部を名乗り、日々何やら怪しい活動を続けている。
最近やたらとテンションの高い先生が顧問に就任し、その怪しさは増す一方だという。
ハッチ内では筋力トレーニングに励む者もいれば、ギターを弾くのに夢中な者もいる。
何やら怪しいお祈りをしている者もいれば、化粧の具合を調整するために鏡と睨めっこをしている者もいる。
そんな正直普通一般の人間には立ち入り難い空間が、突如として大きく揺れた。

「何事だ!? ここは月面だぞ、一体何があったんだ!」

「け、賢吾くん! 外、外! 月面に何かいるよ!」

皆が慌てふためく中いち早く落ち着きを取り戻した仮面ライダー部のブレイン、歌星賢吾の呼びかけに、
いまいち頼りない新部長、城島ユウキが応えた。それを聞いて部員皆が外を見ると。

ラビットハッチが大量の怪人に包囲されていた。

「んなぁ!? ヤバいっすよこれ、ヤバいっすよ〜!」

「……こういう時こそ、落ち着くべし……」

「落ち着いてる場合じゃないって野座間ちゃぁーん!」

「弦太朗、行きなさい!」

「おう! ラビットハッチの平和は俺が守る!」

「弦太朗、今回は任せる」

「パワーダイザーさえあれば、俺も行けるんだが……」

「うわぁ〜! なんだよあれぇ〜!」

「大杉先生、落ち着いてぇ!」

パニック状態になっている頼れぬ顧問大杉をどうにか諌め、如月弦太朗はドライバーを取り出した。
セットされた四つのスイッチを入れて起動させると、鳴り響くは正義のカウントダウン。

『3!』

『2!』

『1!』


「変身!」

 
231 :(BGM:ENDLESS PLAY) [saga]:2012/05/23(水) 01:00:59.67 ID:b5aT89400
凄まじい量の蒸気を振り払い、現れたるは仮面ライダーフォーゼ。
友達を傷つける奴は許さない。いつだってその正義は友達のために。
そんな今時珍しい程の熱血少年である如月弦太朗が変身する、仮面ライダーだ。

『宇宙、キタ――――――――――ッッ!!』

その雄叫びと共に、怪人の群れとの戦いの火蓋が切って落とされた。
手始めにフォーゼはドライバーの一番右、オレンジ色の『ロケットスイッチ』をオンにする。

――【ROCKET,ON】

「でりゃぁあああっ!」

すると瞬く間にフォーゼの右腕に、オレンジ色のロケット型ガントレット『ロケットモジュール』が装着される。
その推進力で怪人の群れの真っただ中に突入し、何体かを撃破した。
更にそこで真ん中左の『ドリルスイッチ』をオン。

――【DRILL,ON】

今度は左脚に、巨大なドリル『ドリルモジュール』が装着される。
更にドライバーの右に備えられたレバーを引くと、フォーゼに装着された二つのモジュールに、さらなる力が充填される。
フォーゼは高く高く飛び、怪人の群れに狙いをつけた。

――【LIMIT-BREAK!!】

「ライダーロケットドリルキィィイイ――ック!!」

ロケットの推進力とドリルの貫通力を以て繰り出されたキックは、怪人を大量に巻き込むと大爆発を引き起こした。
だがしかし、怪人はまだ十体近くも残っている。
フォーゼは更に別のスイッチを取り出し、ロケットスイッチと入れ替えた。
迸る電撃がフォーゼの身体を包み、そのボディをエレキステイツへと変化させる。

――【ELEC,ON】

――【LIMIT-BREAK!!】

「ライダー百億ボルトブレェエイク!!」

広範囲を巻き込む高圧電流がまたも多くの怪人を巻き込み撃破するものの、
まだ数体、怪人は残っている。それらはラビットハッチへの侵入を狙い、歩を進めていた。
それを見たフォーゼは、慌ててスイッチを入れ替える。

「さっ、させるか! ならこいつだ!」

――【FIRE,ON】

――【LIMIT-BREAK!!】

「ライダー爆熱シュゥウ――ト!!」
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 01:02:13.20 ID:b5aT89400
爆熱を纏った光線が、残る怪人全てを焼き尽くした。
歓声を上げるライダー部。フォーゼも、それに応えながらラビットハッチへ戻る。
その時、フォーゼのレーダーモジュールに通信が入った。

「……誰だ? とりあえず出てみるか」

「ば、馬鹿! 何かの罠だったらどうする!」

無警戒にその通信を繋ぐフォーゼ。
果たしてそれは、先輩からの救援要請だった。


『フォーゼ。仮面ライダーフォーゼ。聞こえているか?』

『衛星を経由してだが、なんとか繋がったみたいだな』

『私は仮面ライダースーパー1。今は北欧で戦いに身を投じている』

『君に頼みがある。力を貸してほしい』

『近い内に、また大きな戦いが起こる。財団Xが、また大きな陰謀を企てているのだ』

『それを止めるべく、今はWとOOOが戦っている。出来れば私も向かいたいのだが……』

『財団Xの手先の妨害を受けていて、ここを離れられないのだ。恐らく君のところへも敵は向かっているだろう』

『そこで、君に頼みがある。今すぐ日本の見滝原市へ向かってくれ』

『恐らく、財団X最大の作戦がその地で展開される。すまないが、今動ける仮面ライダーは君だけなのだ』

『む、すまない。また怪人に見つかったようだ。数が多い……通信を切らせてもらう!』

「……っな、ちょ、おい先輩! 待っ……!」

一方的に切られた通信が、却って状況が逼迫していることを示していた。
それを察したライダー部は、弦太朗の発言を待たず準備を始める。
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 01:03:02.83 ID:b5aT89400
「……如月、今調べたんだが見滝原はここから結構遠くて、東に……」

「弦ちゃん、はいこれあたし特製の宇宙丼! お弁当に持ってって!」

「これ……お守り……」

「お前がいない間は任せろ、ダイザーで頑張るから」

「俺もいる。安心して戦ってこい」

「何もできないっすけど、戦況報告くらいはしちゃうっすよぉ〜」

「弦太朗、会長として命じるわ……思うまま、戦ってきなさい!」

「み、皆……へっ、やっぱ俺はいい友達に恵まれたな! じゃあ、行ってくる!」


物語は今、終焉に向かって加速する。
如月弦太朗がこうして学園を出発した時点において、
ワルプルギスの夜の到来まで、既に3時間を切っていた。
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 01:04:13.33 ID:b5aT89400



第四章:仮・面・大・戦:了



第五章:SS大戦GIGA MAX へ続く


 
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 01:05:30.46 ID:b5aT89400
フォーゼは完結してないこともあり、このスレではMEGAMAXにおけるWのような扱いです。
どうでもいいことだけれど、フォーゼってキャラ付けが凄く漫画っぽいよね。

読んでたSSが遂に完結しちゃったので今後はもうちょいハイペースに投下できると思います。多分。
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/05/23(水) 02:58:04.90 ID:/i6xVXag0

今日から>>1は俺のダチだー!
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [saga]:2012/05/23(水) 08:36:39.40 ID:RpdV49Dt0
乙です!
セリフから察するに今回は流星はお留守番かな?
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 10:44:06.76 ID:NKEdiifDO
乙!
遂に平成第2期ライダーが集う時か
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 11:30:07.98 ID:X9MtVgPIO
乙!
フォーゼキタ━━!!
そしてまさかのスーパー1もキタ━━!!
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/23(水) 19:28:53.66 ID:8dONmD0+o
読んでないけど乙
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 22:04:58.60 ID:b5aT89400
>>240
読んでもないのに乙されても困る


投下開始
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 22:05:27.61 ID:b5aT89400



第五章:SS大戦GIGA MAX


 
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 22:06:25.54 ID:b5aT89400
「……勝負は、今日よ」

「……いよいよなのね」

「うっは、すんげー風だぁ」

「当然ね。もうすぐ暴風警報も発令されるでしょう」

「進化した私の力を見ていてくれよ、繊莉子」

「みんな、ケガしたらすぐゆまのところにきてね!」

「まどかは避難所から出ちゃだめだよ?」

「ん、分かってる……頑張ってね、皆」

「おう、任せとけ。んじゃフィリップ、行くか」

「ああ。とはいっても、僕も避難所で待機だがね」

「皆、準備はいい?」

俺達はマミちゃんの家に集まり、結団式のようなものをした。
せめてまどかちゃんに皆と会う時間を作ってやりたいというのが大きな目的だった。
いつも通り皆でマミちゃんの淹れた紅茶を飲み、作戦を再確認し、後は雑談をしただけだったが、
それでも少しくらいは皆の緊張はほぐれてくれたと思う。

「それじゃ、行こ……」

そして映司が先頭に立ち、玄関のドアを開けようとしたとき――
爆音とともに、ドアが外から開かれた。
その場にいた全員が固まる。まさか、財団Xの使者か?
せっかくほぐれた緊張が再び皆を襲った中、俺たちの視界に入ってきたのは。

「やぁっと見つけたぜ、先輩方! 仮面ライダーフォーゼ如月弦太朗! 手助けしに来たぜ!」

やかましく騒々しく若干鬱陶しくもあるが、それでも底抜けに明るく漢気溢れる、
頼れる後輩ライダーの姿だった。

弦太朗に話を聞いたところ、財団Xの作戦は見滝原がメインであるというだけで世界中に及んでおり、
先輩ライダー達はそちらの対処に追われているそうだ。まあ、そりゃあそうだろうという話だが。
財団Xがピンポイントで狙うにしては見滝原は(多少他より発展しているとはいえ)普通の都市でしかないし、
ワルプルギスの夜という魔女が、しかも恐らくは財団Xに何らかの強化をされて来るとなっちゃあ放っておかない仮面ライダーは多いはずだ。
まあ、それを聞いたところで少女たちには何の関係もないし、精々俺達に若干プレッシャーがかかる程度のことなのだが。

「せ、責任重大だね……」

「ああ。先輩方が頑張ってんだ、俺達がここでワルプルギスを潰さねえとな」

「……話はよく分からないけれど、この五月蝿いのも手伝ってくれるということでいいのかしら」

「五月蝿いのたぁ、キッツいなぁ……まあそういうこった! ダチのダチはダチだからな、お前らも俺のダチだ!」

「……調子が狂うわ」
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 22:07:09.28 ID:b5aT89400
見滝原市。
川沿いの公園近く、作戦通りの位置に俺達は散開した。
辺りには既に使い魔と思しきサーカス団のようなものが湧き出ている。
避難所と魔女の出現地点の間に位置どった俺達は一言も発していないが、
互いの息遣いは暴風にさらわれて聞こえない。
暴風が一際強くなり、皆が思わず目を閉じた次の瞬間――絶望の夜が訪れた。


「キャッハハハハハハハ!! アハハハハハッ!」


まるで新しい玩具を見つけた幼児のような哄笑。
ほむらちゃん以外の少女たちは少し怯んでしまったようだが、
もともと先陣を切るのは俺達だから、まあいいだろう。
俺達が景気よく――奴をボッコボコにして、流れを作ってやる!

「変身!」

――【CYCLONE!! JOKER!!】――【HEAT!! TRIGGER!!】

「さぁてほむらちゃん、ゆまちゃん。頼むぜ」――【TRIGGER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

「ええ、分かっているわ。千歳ゆま、あなたの魔法のタイミングが重要よ」

「う、うん! しょーたろー、がんばってね!」

「……おうよ」――【HEAT!! MAXIMUM-DRIVE!!】


限界を超えたツインマキシマムドライブ。
それにより発生した爆熱が俺の身体を焼く。
同時にほむらちゃんが時を止め、ゆまちゃんが俺の身体を魔法で回復させる。

「うおおおぉぉおおぉおぉおおおおぉぉぉおおっ!」

隕石かと見紛うような爆炎の弾丸が発射され……すぐに灰色の世界と同化し、動きを止める。
すかさず俺は再度ツインマキシマムドライブを起動。ゆまちゃんの治療を受け再び発射。
ほむらちゃんの時間停止が限界を迎えるまで、俺達はこれを6度続けた。

「名付けて、トリガーメテオバレットだ! 食らいやがれェ!」

幾重にも連なる業炎をまともに喰らい、ワルプルギスの夜は後退する。
だがしかしその笑い声は一切変わることがなく、まだまだ大したダメージを与えられていないことが伺える。
……マジかよ。

「……だがな、そっちにゃ行かねえほうがいいぜ」

ワルプルギスの夜がふらふらと後退していった先には、映司がいる。
そう、所有するすべてのメダルを用意した映司が。

――【クワガタ!】【カマキリ!】【バッタ!】【ガタキリバッ!!】
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 22:08:38.37 ID:b5aT89400
作戦通り、翔太郎さんがワルプルギスの夜をこちらに誘い出してくれた。
そこに追撃をかけるのが俺の役目だ。
前やった時よりはメダルが減っちゃったから、あの時ほどの力は出せないだろうけれど。
今回は、手助けしてくれる子たちがいる。だからそう、こんな巨大な魔女にだって俺は手を伸ばせる。
救えないなら、せめて眠らせてあげたいから。

「変身!」

――【ライオン!】【トラ!】【チーター!】【ラトラーターァ!!】
――【サイ!】【ゴリラ!】【ゾウ!】【サゴーゾォ!!】
――【タカ!】【クジャク!】【コンドル!】【タァアジャァアドルゥウッ!!】
――【シャチ!】【ウナギ!】【タコ!】【シャ・シャ・シャウタッ!!】
――【コブラ!】【カメ!】【ワニ!】【ブラカーァワニッ!!】

――【【【【【【SCANNING-CHARGE!!!!!】】】】】】

「じゃ、手はず通り頼むよ……杏子ちゃん、繊莉子ちゃん」

「おうよ。あたし特製槍の道、好きなだけ使いやがれ」

「ええ。でもあくまで私が作れる足場は球体ですから、気をつけて下さいね」

まずはサゴーゾコンボの重力操作で魔女の動きを止める。
その隙にラトラーターとブラカワニで、それぞれ繊莉子ちゃんの水晶玉と杏子ちゃんが目一杯伸ばした槍を足場にして進む。
ラトラーターは軽快に繊莉子ちゃんの水晶玉を跳び移る。ブラカワニは杏子ちゃんの槍の上を滑ってゆく。

『セイヤァァアアアッ!!』

そしてラトラーターの両腕の爪と、ブラカワニの挟み込むような両脚蹴りが魔女に炸裂する。
そのダメージによってほんの一瞬だけ魔女の動きが止まったところに、ガタキリバが残りの分身を従えて突進する。

『『『セイヤアァ――ッ!』』』

40以上のライダーキックが連続して魔女に撃ち込まれるが、当然まだ俺の攻撃は終わらない。
更に更に、自分にかかる重力を軽減して魔女の眼前まで飛び上がったサゴーゾが、両腕のガントレットを射出する。

「せいやぁああああ!!」

二つともが魔女の歯車に突き刺さる。
だがまだまだ終わらない。トドメにタジャドルとシャウタで、そのガントレットを狙って必殺キックを叩き込む。

『はぁぁあああ……せいっやぁあああぁぁぁああああっっっ!!!』

魔女に突き刺さったガントレットが、抉るように深く深く打ち込まれて魔女は遂に悲鳴を上げる。
これだけのコンボを同時に使ってしまうと、しばらくは動けなさそうだ。
とりあえず、俺の役目はここまでかな……あ、やばい着地のこと考えてなかっ……と、
そこで分身も解けて落下するだけの俺の手を少女が掴み、そのままゆっくりと地に降りる。

「――全く、詰めが甘いよ英雄」

「キッ、キリカちゃん! ありがとう……」
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 22:10:31.11 ID:b5aT89400
戦場から少し離れた、未だ魔女の影響を受けていない高層ビルの屋上。
そこで、マミは一人待機していた。来たる自分の出番に備えてひたすら魔力を練り上げながら。
既に魔女の周囲には、彼女が創り上げた大量のマスケット銃が浮かべられており、攻撃の準備は着々と進められている。

「火野さん、ちゃんと作戦通りの位置までワルプルギスの夜を誘導してくれたわね……そろそろ、いいかしら?」

「私の銃が描く円の半径はワルプルギスの夜を中心に300m。これだけ撃てば、少なくともダメージにはなるでしょう。いくわよ――」

「……パロット・ラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ!!」

戦場にいた翔太郎たち仮面ライダーと魔法少女は、一瞬視界を奪われた。
火薬の爆発、銃弾の炸裂、そして巻き起こる凄まじい大爆発によって。

煙がワルプルギスの夜の炎によって吹き飛ばされる。
あちこちに傷を負いながらもまだ奴は笑い続けているが、こちらとてこれで終わりじゃあない。
砂埃と硝煙の中からほむらちゃんとさやかちゃんが飛び出し、追撃を加えにかかる。

「足引っ張んなよ、ほむら!」

さやかちゃんは、再び貸してやったメタルメモリを取り出した。

「……そっちこそ、ね。美樹さやか」

ほむらちゃんは、銀色のメダルを軽く指で弾いた。

『変身!』

――【METAL!!】【METAL!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【CATERPILLAR LEG!!】【CUTTER WING!】【SHOVEL ARM!!】【CRANE ARM!!】【DRILL ARM!!】【CELL BURST!!】

「メタル・スプラッシュスティンガー! ぅらぁぁあああぁぁああッ!!」

「バースデイ・アタック……はぁぁぁああああッ!」

無数の剣を象った光弾と一縷の深紅の光線が魔女に突き刺さる。
更なる追撃として、弦太朗こと仮面ライダーフォーゼが飛び、魔女の身体を貫く。

――【ROCKET】【DRILL】【LIMIT-BREAK!!】

「ライダーロケットドリルキィィイイイイ――――ック!!」

だがしかし、魔女はまだ堕ちない。……いや、確かにダメージは通ってる。その分、確かに勝ちに近づいているはずだ。
しかし、ほむらちゃんの今までの繰り返しからの統計が正しければこれで倒せたはずだというのも確か。
まさか本当に財団Xが何かしたってのか? それとも、ほむらちゃんの予想通りに奴が強くなっているのか?
最高の攻撃をしたにも関わらず倒せない魔女を相手に、皆が一瞬凍りつく。

『くっ……翔太郎も! 魔法少女たちも! 奴に行動させるな、更に追撃を加えるんだ!』

フィリップの喝で皆が我に返り、再び攻撃を始めた。
砲撃が斬撃が突撃が銃撃が、辺り一帯を飛び交う。
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 22:12:12.35 ID:b5aT89400
「ボンバルダメント!」「喰らいやがれ!」「行くよっ!」

マミちゃんが召喚した巨大な大砲の陰から杏子ちゃんとゆまちゃんが飛び出して、
上空から鉄槌を下すかのような一撃を与える。

「メタル・ハードエッジ!」「一手で十手……改め、二十手!」

さやかちゃんが魔力とメモリの力で強化を重ねた剣で連撃を加えれば、
キリカちゃんは俺との修行で身につけた魔力による光の爪の増殖で多段攻撃。

『喰らいなさい!』

ほむらちゃんと繊莉子ちゃんは、それぞれバースバスターと水晶玉で弾幕を張る。

「さぁて、俺達も気張るぜ!」――【MAXIMUM-DRIVE!!】
「ええ、負けちゃいられない!」――【TRIPLE!! SCANNING-CHARGE!!】
「ああ、行こうぜ先輩たち!」――【LIMIT-BREAK!!】

俺達仮面ライダー組も、必殺技で援護する。
こいつで駄目なら、本気で厳しいが……どう出るか。

『ビッカーチャージブレイク!』
「せいやぁあッ!!!」
「ライダー超銀河フィニィィイイッシュ!!」

俺達が放つ虹色の斬撃。映司が放つ空間をも切り裂く斬撃。そして弦太朗のド派手な一撃。
それら全てが確かに命中したのに、実際にその傷も魔女に刻まれているのに――
ワルプルギスの夜は未だ倒れない。

「……嘘だろ」

そして全員が全員、最大の力で攻撃してしまったがために生じた隙を、魔女は見逃さなかった。
極彩色の業炎が魔女から放たれ、まずはマミちゃん、杏子ちゃん、そしてゆまちゃんが狙われた。
極限まで圧縮された体感時間の中、彼女たちを殺させまいと俺達は炎と彼女らの間に割って入る。
メタルメモリをさやかちゃんに貸しちまったのはミスだった、こいつで防ぎきれるか……?

――【CYCLONE!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【HEAT!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【LUNA!! MAXIMUM-DRIVE!!】
――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

『ビッカーファイナリュージョン! うぉぉおおおおおぉぉおおぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!』
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/23(水) 22:12:45.72 ID:b5aT89400
投下おしまい
ワルさんのSSにおける強さの変動率は異常
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/23(水) 22:13:58.58 ID:XW+40PQ+o
乙!!乙!!!乙!!!ギガスキャン!!!!

>>248
でも仮面ライダーがいてくれるだけでこの安心感だよ!!
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 22:21:28.70 ID:NKEdiifDO

エクストリームとコズミックが居てもまだ駄目なのか!?
だけど魔法少女とライダーの力を結集してるんだもん、負ける気しないはず
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/05/23(水) 22:40:18.91 ID:qzgXxUNBo
ライダーがいると負ける気がしない、不思議!
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 23:16:25.68 ID:o/uIGxmIO
更新が速い乙!
まさかのブラカワニにいきなりのコズミックだと…
次は真・最強Fか?
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/05/24(木) 09:44:04.41 ID:TGTibjyAO

ええーい、スーパーは、スーパータトバはまだか!?
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/24(木) 09:46:52.59 ID:myYogCiDO
かくなる上は攻撃翌力1000tのタマシーコンボしかないな
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/05/24(木) 20:24:24.11 ID:VnBn9lDw0
本当にどうしても駄目なら通りすがりの仮面ライダーが通りすがったり、不思議なことが起こったりするってあたし信じてる
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/25(金) 21:10:55.89 ID:FWqBJgWDO
間に合うか分からないがビッカーファイナリュージョン…
スレ最初の方にもあったなと思ったら>>13だった
緊迫度段違いだけど
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/25(金) 22:58:35.03 ID:5mspMvK/0
>>256
俺がファイナリュージョン好きなだけです。
ホントならワルさん戦ではメタルでファイナリュージョンするはずだったんだけど、
なんか話の流れでさやかちゃんに貸しちゃったもんだから困った困った


投下開始
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/25(金) 22:59:30.17 ID:5mspMvK/0
私は、余りの事態に反応できずにいた。
佐倉さんもゆまちゃんも、私と同じく硬直してしまっている。

「……おい、嘘だろ。嘘なんだろ? そう言ってくれよ、なあ、マ、マミ……」

考えなしに大技を放ったせいで隙を作り、動きを止めてしまっていた私達を、ワルプルギスの夜が狙った。
たとえ万全を期していても避けられたかどうか怪しいような大きさと速さの業炎が、私達の眼前に迫り……
仮面ライダーW。翔太郎さんとフィリップさんが、間に入ってくれなければ、私達は確実に今の一撃で終わっていただろう。

3人の犠牲と、2人の犠牲。どちらが安いかは知らないけれど……
少なくとも、業炎を相殺しきれず焼かれたライダーが、私達のせいでその傷を負ったことは確かだ。
緑、白、黒で綺麗に彩られていた身体は今や醜く爛れ焼け落ち、原形を留めてはいない。
……待て。ライダーのボディがこれだけぼろぼろになっているということは、中の二人は、どうなっている……!?

一陣の風が舞い、仮面ライダーWの変身は強制解除された。
中から姿を現した二人は、がくりと力無く崩れ落ちる。
すぐに私と佐倉さんで二人の状態を確認する。あちこちから大量に出血しているし、体中に酷い火傷を負っている。

「やっ、いやぁ! しょーたろーもフィリップも、しんじゃいやだよ!」

ゆまちゃんが必死に回復魔法をかけて二人の傷を癒すが、二人が目覚める気配はない。
……当然だ。それくらい、真っ先に確認した。

「……ゆま、やめろ」

「え、なんで!? しょーたろーとフィリップ、なおさなきゃ……」

「もう……やめなさい、ゆまちゃん」

「……2人は、もう、死んでる、わ」

ゆまちゃんは、まだ私の言ったことが理解できていないのか、蹲ったまま動こうとしない。
そんな彼女を尻目に、私と佐倉さんは立ち上がり、恐らくは今までで最も冷えた瞳でワルプルギスの夜を見つめた。
奴は連続で業炎を放ってはビルを投げつけ、こちらを滅茶苦茶に攻め立てている。
最早今まで練習してきた連携攻撃など、使う余地はないだろう。

「……分かってるわね、佐倉さん」

「ああ。こいつぁ……犠牲なしで勝てる相手じゃあねえ。今更ゆまを連れて逃げても多分無駄だな。背中燃やされて終いだ」

「私は、だからこそ犠牲になろうと思うけれど……どうする? 逃げるというなら、その補助くらいはするけど」

「舐めんなよ、マミ……いや、マミさん。あたしだって、最後くらい格好つけてーのさ」

「……そう。ほんと、バカね」

「アンタにゃ言われたかねーな」

そう言って、私たちは最後に拳を打ち付けた。
弦太朗さんのそれほど格好良くは決まらなかったけれど、私と佐倉さんとの間は、これくらいで丁度いい。
最後の最後に、またこうして二人で戦えるのだから。

「レガーレ・ヴァスタアリアァァアアッッ!!」

「捕縛結界ィィイイイイイイッッ!!」

私の広域拘束魔法と佐倉さんの障壁魔法で、ワルプルギスの夜の動きを止めようと試みたが、
とても奴をとらえて動きを封じる余裕などなく、今こうして奴の動きを妨げているだけで魔力が尽き果てそうだ。

(私達はここで終わってもいい……だから、最後にありったけの魔力で……!)

『はぁぁぁあああああああああっっっ!!!!』

私のリボンと佐倉さんの札が、より一層強くワルプルギスの夜に絡みつく。
そして――私達は、ソウルジェムをマギカドライバーから取り出し、軽く投げ上げた。
皆なら、きっとやってくれる。私達の今から行う最大の攻撃を無駄にせず、きっとワルプルギスの夜を退治してくれる。
そう信じて、残存魔力をすべて解放した。
私達が最後に見たのは、ソウルジェムが魔力の負荷に耐え切れず砕け散る様だった。
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/25(金) 23:00:31.82 ID:5mspMvK/0
「そんなっ……巴マミ、佐倉杏子……!」

「嘘っ……いやぁぁあああっ!」

魔女に絡みついたリボンと札が、眩く輝いた次の瞬間。
目を覆うほどの大爆発が巻き起こり、魔女にさらなるダメージを与えた。
しかし、その代償は。確認は出来ていないが、恐らく二人は……。

「くっそ、ほむら! マミさんたちのこと、確認してきて!」

「無駄よ、美樹さやか。あれは確実に、ソウルジェムを使った自爆……」

「五月蝿い! 五月蝿い五月蝿い、確認するまでは認めない! それに、マミさんと杏子の近くにはゆまちゃんがいた!」

「……そうね。千歳ゆまの安否は確認する必要がある」

「ちっ! ホント、あんたのそういうとこ嫌いだわ!」――【METAL!! MAXIMUM-DRIVE!!】

「……死んだら許さないからね」

ほむらは時間停止を使ってその場から去った。
……分かってる。マミさんも杏子も、多分助かっちゃいない。
それにほむらの眼、潤んでた。どうせ自分じゃ気付いちゃいないんだろうけどさ。
でも、ごめんな。許さなくていいから、なんとかあのチート魔女やっつけてやってよね。

「あたしがこれ以上生き残ってても、多分あのチート魔女倒す切り札にはなれないっぽいし……」――【MAGICA!! MAXIMUM-DRIVE!!】

「ここが、命の懸け時ってやつだよね……」

ツインマキシマムドライブ。
フィリップさんからは止められてたけど、しょうがないよね。
あの魔女、やたら硬いんだもん。

マギカメモリ、そのマキシマムドライブの効果。
こいつは、従来以上に魔力の消費を早める代わりに、魔力を攻撃力に変換する効率を最大限に上げてくれる。
すなわち、最後の切り札……今のあたしのソウルジェムを見る限り、この一撃であたしはおしまいね。
でも、それならそれで構わない。ほむらやキリカ、繊莉子さんやゆまちゃん、それに仮面ライダー達。
きっと皆が、魔女を倒してくれる。
それこそ、あたしが付けた傷に皆で総攻撃して魔女をやっつけるとか、少年漫画みたいでいいんじゃないかな。

「マギカメタル……スパァァァァアアアアーク……エェェェエエエエッジ!!!」

オーズの剣みたいに後ろの空間ごとぶった斬るってわけにはいかないし、
ダブルの剣みたいにキラッキラ光って超格好いいってわけにもいかない。
それでも、これがあたしにとって最強の剣戟だから。
剣がどっかに飛んでっちゃうほど、思い切り振りきった。

青白く輝く剣の形をした光が飛び、ワルプルギスの夜に見事ヒットした。
よかった、これ外してたらさやかちゃん無駄死にどころの騒ぎじゃなかったや。
あとお願いね、みんな……。まずい、もう指一本動かないや。どうにかしてソウルジェム割らなきゃ、魔女になっちゃう……。
意識が、切れ、て――
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/25(金) 23:01:18.98 ID:5mspMvK/0

仰向けに倒れている一つの死体。
見滝原中学の制服を着て、とても満足そうな顔をしているその死体。何やら仰々しいベルトを巻いているが、
銀色の剣が突き刺さっているせいでベルトのバックルは見るも無残に壊れていて、デザインは確認できない。
 
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/25(金) 23:02:05.92 ID:5mspMvK/0
投下おしまい。

いいぜ、お前らが「ライダーさえいればワルプルにだって勝てる」と、
本気でそう思っているんならまずはその幻想をry
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/05/25(金) 23:06:03.76 ID:t82CXjiAO

もやしー!もしくはてつをー!
早く来てくれー!
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/25(金) 23:15:17.67 ID:VPRW3Odgo


さぁどうなる
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/25(金) 23:23:55.70 ID:+kDCJtldo


時間遡行能力持ちは平成第二世代にはいないのにどうなっちゃうんだ
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [saga]:2012/05/26(土) 00:24:00.21 ID:Yn13kHBR0
乙!
大丈夫、まだ慌てるような時間じゃない。
世界中で戦ってる先輩方が一堂に会してこの状況を打破してくれるに違いない。
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/05/26(土) 09:04:55.01 ID:SrBSk0R7o
それでもスーパータトバなら・・・スーパータトバならなんとかしてくれる!
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/26(土) 09:06:52.06 ID:oZ/Au0WGo
正直ハードル上げすぎ
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/26(土) 10:16:47.72 ID:StQgHhyDO
ほむらちゃんがイエスタディを使えばGER状態に…
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/26(土) 12:52:22.74 ID:XPO1fiMKo
HYPER CLOCK UP!!!
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/05/26(土) 16:12:15.19 ID:SqkyBM+AO
まだだ、まだアクアが…!
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/26(土) 19:46:39.61 ID:1l2ygi4DO


まさに死々累々…
デンライナー組が何とかしてくれる事を願う
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/28(月) 22:23:37.70 ID:TcnUAKJJ0
速攻魔法発動! バーサーカーソウルジェム!
まだワルプルギスの夜のアタックは終わっていないぜ!
ドロー、マミさん! ドロー、杏子! ドロー、さやか! ドローry

さて次にドローされるのは誰なんでしょうか
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/28(月) 22:24:02.89 ID:TcnUAKJJ0
「くそ……近付けねえ!」

シールドモジュールのリミットブレイクでなんとか魔女の攻撃を捌きながら飛行し、弦太朗は反撃の機会を伺っていた。
しかし実際は攻撃するどころか近づくことも出来ず、防御もままならないというジリ貧状態に陥ってしまっている。

「他の皆はどうなっちまったんだよ……」

魔女の攻撃がこちらに来る頻度が先ほどより増している。
つまりは魔女が狙いをこちらに絞ってきているということ。
それは、狙うべき対象が減ったから――?

「いや、そんなわけがねえ! 皆死んだりするもんか、先輩方だっているんだ……ぐあっ!?」

魔女の業炎はリミットブレイクしてすら軌道を逸らすのが限界だというのに、
捌き切れずシールドモジュールに直撃させてしまった。勿論モジュールは一撃で破壊され、スイッチが焼け焦げる。
賢吾に説教喰らいそうだなと思いつつも、弦太朗はロケットモジュールを起動し必死で魔女の攻撃を避け始めた。

「ぐっ……どうしろってんだ、畜生!」

もはやスイッチを入れ替える余裕さえない。
波状攻撃という言葉すら生温い猛攻を前に、フォーゼのボディは徐々に焼かれ始める。
しかし最期まで、弦太朗は勝利を――反撃を諦めなかった。

「ぬっ、ぐぅうう……ううううううううううううううぉおおおおおおおおおあぁぁぁあああああああああッ!!」

ロケットモジュールの全速力で魔女に接近する。勿論近づけば近づくほど魔女の攻撃の密度は増し、ボディは焼かれてゆく。
しかしそれでも、弦太朗は魔女のもとへ辿り着いた。

「らぁぁぁああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああッ!!」――【ROCKET】【LIMIT-BREAK!!】

魔女に橙色の流星が炸裂すると同時に、一際大きな業炎をまともに喰らったフォーゼが爆発四散した。
壮絶なまでの大爆発が魔女を襲ったものの――まだ、魔女は止まらない。
ワルプルギスの夜は、終わらない。
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/28(月) 22:24:42.35 ID:TcnUAKJJ0
≪繊莉子! どう、するっ……!?≫

≪まずいわ……魔力を予知なんかに使っている余裕はない。全力で身体能力を強化してなんとか避けてる≫

時折テレパシーで互いの安否を確認しながら、繊莉子とキリカはどうにか魔女の猛攻をしのいでいた。
しかし矢継ぎ早に繰り出される攻撃を避けるうちにだんだん二人は引き離され、
最早攻撃を避けながらではまともに通信が繋がらなくなってきている。

「くっ、さて、これはどうしたものか……む、幼女」

「……キリカおねーちゃん」

「ほら、そんなとこ座ってると死ぬよ?」

「マミおねーちゃんとキョーコ、しんじゃった」

「……そうか! 確かに! 恩人と戦友の死は! 悼むべきことだがっ! それより先にここを離れよう! 死ぬぞ!?」

しかしゆまは、蹲ったまま立ち上がろうとしない。
キリカは必死にワルプルギスの夜が投げつけてくるビルの破片や吐き出す業炎を避け続けているが、
2人が殺されてしまうのも時間の問題だろう。


≪繊莉子! 繊莉子、幼女が動かない。恩人と戦友の死を見てショックで放心状態みたい。どうすればいい?≫

≪……≫

≪……繊莉子? はやく、返事してよ。確かに通信状態悪いけどさ、繊莉子?≫

≪……カ。……ん……≫

≪繊莉子!? ねえ、繊莉子、ねえ! おかしいよ、繊莉子、早く返事して!≫

≪……ごめ……ね、キ……カ……≫


「……うそだ」

テレパシーでの通信が途絶えた。
状態が悪くなる、とか繊莉子がテレパシーを切った、とかではなく、途絶えた。
それが意味することは一つ。

「うそだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/28(月) 22:25:35.27 ID:TcnUAKJJ0
「これは……巴マミと佐倉杏子の死体ね。……それ、よりも……千歳ゆまを、探さないと……」

時間を飛ばしながら戦場を駆け抜け、ゆまを探すほむら。
先ほどの爆発のせいで原形を留めていないが、なんとか判別できたマミと杏子の死体からはすぐに目を逸らした。

「……左翔太郎、それにフィリップ……そう、貴方達でも駄目だったのね」

更にもう一組の凄惨な死体。ほむらはやはりすぐに目を逸らした。
そして、ワルプルギスの夜とは別の魔女結界の反応を探知する。

「なっ……こんなこと、今までなかったのに!」

急いで結界に飛び込む。ほむらは時を止めて大量に爆弾を取出した。
この魔女はノータイムで倒してしまわないとまずい。
ただでさえこちらの陣営は崩壊しているのだ、更にもう一体の魔女など相手をしていられるわけが――

「……呉キリカ。それに……千歳、ゆま……」

結界内でほむらが見たものは、女性のマネキンが連なったような醜悪な姿をさらす魔女とその足元に眠るキリカ、
そして最早僅かに残った髪からしかもとの姿を想像できないほどに体中を引き裂かれた、ゆまの姿だった。
一瞬呆然として動きを止めてしまったほむらだが、魔女がこちらを認識して攻撃を始めたことで我に返り、すぐさま時を止める。

「……呉キリカが魔女化した、ということは……恐らく美国繊莉子も……!」

なんでだ。これ以上ないほどの戦力を集められたのに、なんでうまくいかないんだ。
これで駄目なら、これ以上どうしろというのだ?
その答えは、分からないけれど――それでもほむらは時限爆弾で魔女を取り囲み、一撃で勝負を決めた。

「……そっか、駄目なんだ」

「仮面ライダーが三体に、魔法少女が七人。これで駄目なんだったら、もうワルプルギスの夜なんて倒せっこない……」

「私のやってきたことなんて、ぜんぶ――」

キリカの魔女の結界が掻き消える。
同時に、キリカの死体もゆまの死体も、この世界から完全に消滅する。
現実味のない結界から、これまた現実味のない現実世界に戻ってきたほむらは、力なく崩れ落ちた。
当然だ。少なくとも一介の女子中学生が考え得る限りは最強にして最高の戦力が揃ったこの時間軸において、結果は惨敗。
これはつまり、結局のところまどかが魔法少女になる以外にワルプルギスの夜を倒す術は存在しないことを意味する。

「――むだだったんだ」
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/28(月) 22:26:10.51 ID:TcnUAKJJ0
極彩色の業炎が迫る。
それにも気づかず膝をついたままのほむらを、オーズが抱き上げて飛んだ。

――【タァアジャァアドルゥウッ!】

間一髪、後一瞬遅れていればほむらは全身を隈なく焼かれていただろう。
それを考えれば、この結果はむしろ歓迎すべきことなのかもしれない。
しかし、それでも映司は納得がいかなかった。自分が後一瞬速くほむらに達していれば、と。
だから目の前でその事実に気付いていないかのように黙りこくったままの少女に、思わず声を荒げてしまった。

「……ほむらちゃん! 左腕がっ……」

そう。
ほむらの左腕はワルプルギスの夜の業炎に焼かれ、炭化していた。
かつての映司や彼の相棒の如くまるで別の生き物にでも取り憑かれたかのようで、惨たらしいほどに黒かった。

「……いいのよ。どうせ、むだなんだから」

「な、何を言ってるんだほむらちゃん! まだ諦めるには早いよ、絶対何とかなる!」

「いえ、もうむだよ……左翔太郎もフィリップも、巴マミも佐倉杏子も呉キリカも千歳ゆまも、死んだ」

「嘘……でしょ? まさか、そんな……」

「……本当よ。死体も確認してる。呉キリカは魔女になっていた……つまり恐らくは、美国繊莉子も死んだんでしょう」

「だとすると……もう皆ばらばらになっちゃったから確認はできないけど、今生き残ってるのは俺とほむらちゃん、それに……」

「美樹さやか、そして如月弦太朗……それだけね。二人が生きてる保証もない」

ほむらの話を聞いた映司は押し黙ってしまう。
会って二週間も経っていないくらいのほむらにも分かるほどのお人好しである彼は、受けたショックも大きかったのだろう。
それに、過去のトラウマを思い出してしまったというのもあるかもしれない。
とにかく映司は、止まってしまった。魔女を前にして、逃げ場のない空中で動きを止めてしまった。

「……火野映司?」

余りに長い時間彼が黙っていたため、ほむらが訝しげに映司のほうを見遣る。
その瞬間、鈍い光とともに映司の変身が解除された。
何をやっているのかと怒鳴ろうとしたほむらは……彼の腹に大きな穴が空いていることに気付いた。
咄嗟にほむらは魔法で空を蹴り退避する。遮二無二逃げて逃げ続けて、
最後に振り返ったとき、映司は幾重にもその体を業炎に貫かれて見るも無残な焼死体と化していた。

「ああぁぁぁああっ……ああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/28(月) 22:28:55.25 ID:/pCPWH7Qo
デンライナーさんこっちです
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/28(月) 22:29:04.86 ID:TcnUAKJJ0
「やはり、こうなったか」

見滝原市の避難所を目前にして、キュウべぇことインキュベーターが呟いた。
感情はないと言い張るはずのこの生物が、実に満足げに呟いた。

「舞台は整った。さあ、幕引きをしよう――」

キュウべぇは避難所の中へと歩を進める。
ひたひたと、小さな足をゆっくりゆっくり動かしながら。

「――鹿目まどか」
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/28(月) 22:31:00.57 ID:TcnUAKJJ0
投下おしまい。


話の展開とは全く関係のないことだけれど、
まどマギはもっと昨今のアニメよろしくキャラソン商法やっても良かったと思う。
今からでも遅くない、ほむほむとマミさんのキャラソンを出すんだ! なんならほむマミのデュエットでもいいぞ!
特にマミさんなんてA面でシリアスな歌、B面で恋のティロ・フィナーレとかやってくれれば、
俺は少なくとも5枚買うぜ?
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/28(月) 22:32:39.91 ID:/pCPWH7Qo
乙ベント
すっごくタイムベントしたいです
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/05/28(月) 22:41:20.27 ID:0qcp35yq0
乙。どうするこの絶望感…!

タイムベントでもハイパーゼクターでも時の列車でも不思議なことでもいいからまだなのかあああああ
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/28(月) 22:51:25.71 ID:/pCPWH7Qo
(俺がベルトを出す音)
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/28(月) 22:58:22.20 ID:+CHHgA3DO
乙…もうゴーバスターズとかゴーカイジャー呼ぶしかない
巨大ロボじゃなきゃ無理だろ
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/05/28(月) 23:00:35.11 ID:r11VF+MJo
その時、不思議な事が起こった
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/28(月) 23:22:25.86 ID:4ok0zeNUo

QB(悪)に報いはあるのだ!QB(悪)に報いは必ずあるのだ!……あるはずだ。
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 01:00:14.17 ID:FrpsYW6mo
>>283
ファイナルフォームライドディディディディケイドを忘れるとは
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 01:51:55.97 ID:R04l+hMao
天の道を往き総てを司る人はよ
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 02:11:36.70 ID:g+HHRuYDO
ディケイドコンプリからの全最強フォーム集合&ジャンボディケイドライバーがあるぞ!
ARゲキジョウバンもだ!
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/05/29(火) 09:21:37.45 ID:8UkcRJRAO
誰か説教用BGMはよ
このさいマジレンジャーでも構わん
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/05/29(火) 13:51:36.36 ID:bIXg9uC/0
もうやめて!俺のソウルジェムは真っ黒よ!
各地の先輩ライダー達が駆けつけてくれる事を祈るしかない
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/05/29(火) 15:05:40.75 ID:TCZcMk7AO
あぁそっか
先輩ライダーが各地にいるってことはてつをもカブトも電王もディケイドも存在してる世界か
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/30(水) 20:34:48.94 ID:p9cysrO30
投下開始
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/30(水) 20:35:49.06 ID:p9cysrO30
「――え?」

「だから、ワルプルギスの夜に敗れて、暁美ほむらを除いて彼らは全員命を落とした。僕はそう言ったのさ」

避難所のトイレ。
その中でまどかは、キュウべぇの話を聞いていた。
告げられた真実を信じられず狼狽えるが、少なくとも嘘は言わないことだけが取り柄のキュウべぇが言うことを、
そのまま完全に無視することも出来ずに、まどかはそのままトイレの窓から避難所を飛び出した。


「……あは、はは、あはははは……」

ほむらは力なく笑う。
荒廃した街で、ただ一人残された絶望感が、彼女の全てを叩き壊してしまった。
抱えた希望全てを、ひとつ残らず絶望に塗り潰された彼女は、もはや正気ではいられなかった。
左腕が炭化し、当然備えた時空移動の盾も跡形もなく破壊されている。
もはや、何もできない。

「ははは、あはははっ……」

何をする気にも、ならない。
さあ、早くこの哀れな小娘を殺してくれ、ワルプルギスの夜。出来れば一思いに、さあ。
そう思えば思うほど、ワルプルギスの夜は全く見当違いのほうを攻撃し続ける。……一体何が起こっている?
ほむらはやはり力ない笑いを止めないまま、ワルプルギスの夜が業炎を吐き続けるほうへ目をやった。

「ほむらちゃん……ごめんね」

こちらにゆっくりと歩み寄ってくる。桃色の髪をした少女がいた。
足元には、白い獣を引き連れている。

「――まどか?」

「私……契約、するよ」


瞬間的に頭が冷えた。
まどかの契約。いの一番に避けるべき最大級の懸案事項。
それでももう、今のほむらに、彼女を止める術はなかった。
あの時の、自分を救ってくれた鹿目まどかと同じ目をしている彼女に――
戦う術すら失った暁美ほむらは、返す言葉を持たなかった。

「……そう」

「止めない……んだね」

「ええ。無駄だと、知ってるから」

「ほむらちゃん。最後に……聞かせてもらってもいいかな」

「……何?」

「どうしてあなたは、私を守ってくれたの? どうしてこんなになってまで、頑張ってくれるの?」

「……今これを言うのは、なんだか如月弦太朗のパクりみたいになるから嫌なんだけど……」


「あなたが、私の友達だからよ」

 
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/30(水) 20:36:19.03 ID:p9cysrO30
ほむらは、まどかに顔を見せなかった。
あらゆる感情が混ぜこぜになったぐちゃぐちゃの表情で泣いているのを、見られたくなかったから。
だから立ち上がってまだ動く右腕でベルトを巻きメダルを投げ上げ、最後の変身をした。

「あなたはあなたの為したいことを成せばいい。その間くらいは、私がワルプルギスの夜を食い止めてみせる」

――【CATERPILLAR LEG!!】【CUTTER WING!】【SHOVEL ARM!!】【CRANE ARM!!】【DRILL ARM!!】【CELL BURST!!】

「どうして、そこまで……」

「魔法少女だから。いつかどこかの世界で、貴女のために祈った、魔法少女だから――」


「私は、戦うの」


ほむらが変身した仮面ライダーバースが飛び立つ。
後に残されたまどかは、名残惜しそうにしばらく空を見上げた後、ゆっくりと振り返った。

「キュウべぇ。契約だよ」

「待ち詫びたよ。ようやくかい? 君がもっと早く契約していれば、彼らも死なずに済んだだろうにね」

「ん、分かってる。でも、翔太郎さん達が守ってくれたから、今の私がある。……今の私の、このきもちがあるの」

「『きもち』……か。結局僕には理解できないけれど。なぜ君たちのきもちとやらは、エネルギーを持つんだろうね」

「知らないよ。どうでもいいし、知ったことじゃない。キュウべぇらしくないよ?」

「……どうでもいい、か。そうだね、じゃあまどか、聞こうじゃないか。君はその魂を代償に、何を願うんだい?」

まどかがゆっくりと口を開く。
その背後で一際大きな爆発が起こり、鈍い銀色をしたドリルが、キュウべぇの足元に突き刺さった。
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/30(水) 20:37:18.78 ID:p9cysrO30
荒廃した街。そこかしこに転がる少女と男達の死体。
あたりをビルの残骸で囲われ、あたかも闘技場か何かのようになっているこの大地で、
鹿目まどかは願った。孵化器を名乗る契約者に、思いの丈をぶつけた。

「私はね。幸せになりたい」

「希望のために祈った魔法少女が魔女になって絶望を振り撒くとか」

「正義のために戦った仮面ライダーが悪に負けて死んじゃうとか」

「そんな悲しい世界、私は要らない」

翔太郎さんは、さやかちゃんは、私に勇気をくれた。
ほむらちゃんは、マミさんは、私を守ってくれた。
杏子ちゃん、ゆまちゃん、繊莉子さんとキリカさん。それに映司さんに、弦太朗さん。
会ったばかりだけど、皆、凄く格好良くて、とてもいい人で、まるで物語の中に出てくる正義の味方のようで。

「ご都合主義でもなんでもいい! 一流のお話じゃなくていい! だから私は、私達は!」

彼らが死ぬことによってバッドエンドで完結する物語など――

この世の誰が許そうと、この私だけは許すものか。


「こんな終わりを、認めたくない!!」

 
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/05/30(水) 20:40:00.98 ID:p9cysrO30
投下終わり


以前書いてたSSではワルプルさんを「皆で力を合わせたらなんとか犠牲なしで勝てる」程度の強さにしてたので、
今回は「皆で力を合わせても絶対に勝てない」強さにしました。
これは書き始めの時点で決めていました。

そしたら書いてて自分で絶望しました。
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/30(水) 20:41:17.07 ID:RvH6rMoeo
乙ベント
そしててつをさんこっちです
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga  sage]:2012/05/30(水) 21:16:50.77 ID:DKNAur1t0
乙でした
既に>>1を見てるから怖くない!
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 22:24:57.61 ID:wVDyyILDO


なるほどな、>>1の願いはだいたいわかった
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [saga]:2012/05/30(水) 22:31:14.67 ID:SMzbRnv60
乙です!

ハッピーエンドで終わるなら、まどかもまど神様にはならないのかな?
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/05/30(水) 23:22:26.51 ID:5X55VEju0
超乙

フィリップ「彼女は何故、僕の名前を呼んでくれないんだい?」
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2012/05/31(木) 03:42:07.77 ID:tyzQYZ+40
>>301
ワロタwwwwww
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/31(木) 08:00:13.71 ID:eM52FX6d0
>>301
まどか「だってフィリップさんの言ってること、難しくてよくわかんないんだもん…」

いやまぁ、フィリップ君の活躍の場にまどっちがことごとくいなかったからな。
確か最初に魔女のことを明かした時くらいしか、二人の絡みもなかったはず
Wとして変身する場にフィリップ君自身はいないことのほうが多いし、
マギカドライバー作ったりしてるのは知っててもそれがどう凄いのか目の当たりにしてないし
まどっちが前線で戦うほうに憧れても無理はないのですよ


……すみません書き忘れてました
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/01(金) 00:16:32.16 ID:QKamFZYg0
誰かが言ってたな
一流のバッドエンドより三流のハッピーエンドって
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/01(金) 19:57:44.46 ID:T0k3A2HDO
>>304
ガンダム0080ノベライズの作者だっけか

本当は綺麗事が一番いいからこそ現実にしたいじゃない
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/01(金) 22:20:33.74 ID:DTER6c200
投下開始

BD見てて、やっぱりMEGAMAXは最高だと思った
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/01(金) 22:21:13.33 ID:DTER6c200

眩い、それでいて優しい桃色の光が辺り一体を包み込み、世界中を照らした。
救済の願いはあらゆる魔女を包み込み、その魂を赦した。
救済の願いがあらゆる正義を認め、世界を変えた。

ワルプルギスの夜が消え去ってゆく。
その身に宿した呪いが、業が、罪が、全て洗い流されて。
最後の最後まで哄笑を続けたまま、消えてゆく。
そして同時に、生成されたまどかのソウルジェムがドス黒く濁り始めた。
巨大すぎる願いを叶えた代償として、潜在魔力をすべて解放してしまったのだ。

「……うん、そうなるよね。わかってるよ」

まどかは更に魔力を使って魔弓を生成。
自らのソウルジェムを壊すべく、魔力を込め始めた。
魔力が溜まり切り、まどかが今にも自らのソウルジェムを破壊せんとした、その時――
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/01(金) 22:22:00.84 ID:DTER6c200
ソウルジェムに溜まった濁りが、解き放たれた。
ソウルジェムはそのままに、濁りだけが世界に解き放たれ拡散し、穢れが世界中を覆う。
それは勿論見滝原市も、まどかの周囲も例外ではなく。
拡散した穢れは徐々に集まり形を作り、最終的に数千に達しようかという怪人の軍団が現れた。

「――え?」

「ありがとう、鹿目まどか。僕としてもここまで上手く事が運ぶとは思っていなかったよ」

まどかが振り返る。
キュウべぇも拡散した穢れをその身に受けたのか、めきめきと身体が変質し、だんだん巨大化してゆく。
真っ白な体躯に鋭い刃のような尾を持ち、獰猛な狼のような顔に、もとのキュウべぇの面影を唯一残す紅の眼。

「僕と財団Xの計画はここに成就した。エネルギー問題もこれでひとまずの解決を見る。ありがとう、鹿目まどか」

「どういう……ことなの」

「利害の一致、さ」

財団Xとインキュベーターの間には、ある協定が結ばれていた。
インキュベーターは、財団Xに魔女を提供する。財団Xはその魔女を解析し、
ソウルジェムやグリーフシードに溜まる穢れについて精査して、
魔女化自体に使われるエネルギーすら浪費せずしての現実世界への解放を目指す。
そして解放した穢れで怪人軍団を生成し、世界を制圧。

つまり、財団Xがインキュベーターに引き渡すのは財団Xを除いた地球の全人類だ。
怪人によって制圧された人間のうち、深い絶望に陥っている者を少数選び出す。
この場から解放してやるという甘言で魔法少女の契約を結び、直後に真相を明かす。
そうすれば当然、ソウルジェムは絶望に負けてグリーフシードと化す。
無論ある程度の例外はあるだろうが、そのようなイレギュラーは怪人軍団で甚振り魔力を浪費させて魔女にする。
老若男女関係なく、強制的に希望から絶望への相転移を発生させる。
奴隷化した人間を絶滅させないようにすれば、地球は永久的に感情エネルギーが得られる牧場と化すのだ。
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/01(金) 22:22:40.81 ID:DTER6c200
「君を魔女化させても、そのエネルギーだっていつかは尽きるからね。恒常的なエネルギー回収手段は非常に魅力的だったのさ」

「そん……な。だってあなた、人間に敵意はないって、言ってたじゃない……」

「無論だ。感謝しているよ、財団Xには。彼らにはここより発達したある惑星への移住とエネルギーの提供を約束している」

「うそだ、そんな……やだ、私……っ」

「ありがとう、鹿目まどか。これで宇宙は永遠に安泰だ」

「私のせいで、地球が……?」

桃色のソウルジェムに、今度こそ穢れが溜まり始める。
見滝原に数千の怪人を出現させた穢れは、全体の1%にも満たないものだった。
つまり、この世界中に、自分のせいで、あれよりもっともっと大量の怪人が現れているということになる。
私の、せいで。

「ぜんぶ、わたしのせいで――」




「そんなことはねーぜ、まどかちゃん」


 
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/01(金) 22:23:07.41 ID:DTER6c200





――BGM:運命のジョーカー



 
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/01(金) 22:23:52.42 ID:DTER6c200
投下終わり。
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/01(金) 22:24:31.57 ID:KjMLCHWZo
乙!乙!!乙!!!ギガスキャン!!!!
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/06/01(金) 22:33:31.18 ID:ET/DMpS+0
きたああああああああ!
大逆転きたあああああああ!
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/01(金) 23:19:23.20 ID:7VNRKif5o
乙!
QBに報いを!吐き気のする邪悪に報いを!
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/02(土) 03:13:16.02 ID:KkbcFNo6o
盛り上がって参りました!
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/02(土) 18:25:43.60 ID:3NL1iFsDO
乙!
そこに悪がある限り、仮面ライダーは死なんぜ
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage saga]:2012/06/03(日) 19:05:47.70 ID:f6Dd9RO10
乙!乙!乙!乙!
QBは死んでも死んでもオールライダーキックでフルボッコされ続ければいいと思うよ
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 18:05:59.74 ID:D5pv0xY+o
続きまだかなー?

319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 21:39:21.85 ID:1MjArkKDO
すげーいい所で来週に続いた気分
こんなにワクワク感じたのいつぶりだろう
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/06(水) 21:03:32.13 ID:w8Oq6Xtp0
やったー! SSwiki書けたよー\(^o^)/
でも自分で自分のSSのwiki編集してると悲しいから気が向いたら編集してほしいな(チラッ
http://ss.vip2ch.com/ss/%E9%AD%94%E6%B3%95%E5%B0%91%E5%A5%B3%C3%97%E4%BB%AE%E9%9D%A2%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC_%E3%81%BE%E3%81%A9%E3%81%8B%EF%BC%86W_SS%E5%A4%A7%E6%88%A6GIGA_MAX

あと、嬉しいことにまどかSSwikiさんにこのSSが載せてもらえたよー\(^o^)/
http://www50.atwiki.jp/madoka-ss/pages/65.html
前作ってどういうことだってばよ……ともあれ、投下開始
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/06(水) 21:04:23.60 ID:w8Oq6Xtp0
まどかとインキュベーターの周囲には、ワルプルギスの夜が撒き散らした瓦礫が山のように積み重なっていた。
声のしたほうに、目を赤くしたまどかと、もはや可愛らしさを全く残していない凶悪な顔つきをしたインキュベーターが振り向いた。
瓦礫の中の一つ、一際大きなものの上に人影が見える。それも一人や二人ではなく……。
この街を守るために立ち上がった戦士達が皆、再びこの場に集っていたのだ。
その一人であるフィリップが、実に愉快そうに笑いながら言った。

「お手柄だよ、鹿目まどか。君の願いのおかげで勝ちが見えた」

「『幸せになりたい』……実に曖昧な願いだ。僕ならば恐らく、具体的にどうしたいのかと聞き返していただろう。ねえ、インキュベーター?」

「ともあれ、凡人がそれを願ったところで素質も魔力も足りず、願いは捻じ曲げられ矮小化されて絶望を産んだであろうことは想像に難くない」

「つまりは肥大化し、全世界の因果に影響を与えるまでになった鹿目まどかの魔力があってこそ、この状況が――」

「だー! もういいだろ、フィリップ! まずはあの怪人どもの相手だ!」

数千を超える怪人の軍団。流石の彼らでも全てを殲滅するのは困難であるように思われるが、
今の彼らはそんなごく当たり前の予想を遥かに凌駕する力を持っていた。

「翔太郎さん。あのスーツの骸骨や、ミイラや、黒子さんみたいなのは使い魔のようなものだと思っていいのかしら?」

「ん? ああ、まあそんなもんだな、マミちゃん。つっても魔女に成長はしねえが」

「ふーん。だったらそいつらはあたしらに任せな」

「杏子ちゃん、大丈夫なの?」

「いやー、ねえ? あたしらにあの強そうな一団の相手は無理そうですし、ライダー組はそっちを相手取ってもらう方向で一つ」

「ふむ、いいだろう美樹さやか。君にしては賢明な判断だ」

今の彼らを止められるものなど――きっと、この世に存在しない。
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/06(水) 21:05:07.18 ID:w8Oq6Xtp0
まずは彼らの中心にいた翔太郎とフィリップが、瓦礫の山から一歩踏み出す。
翔太郎が懐からダブルドライバーを取り出し腰に巻くと、フィリップの腰にも同様のものが浮かび上がる。
更に二人とも、自分に最も適合する……言わば相棒であるガイアメモリを掲げ、起動させた。

「じゃあ、行こうか相棒。いつも通り、僕たちのやることは実にシンプルなたった一つだ」――【CYCLONE!!】

「ああ相棒。身一つになっても食らいついて悪を倒す、その気概をなくしちまわない限り俺達のやることは変わらねえ」――【JOKER!!】


『変身!』――【CYCLONE!! JOKER!!】


フィリップが手にしたメモリをドライバーに挿入する。
それは翔太郎のドライバーへと転送され、翔太郎自身が挿したものと合わせてメモリは二つ。
その二つを備えたドライバーを翔太郎が展開させると、描かれる紋様はまさに『W』。

一陣の風と共に翔太郎の身体を圧倒的なエネルギーの奔流が包み、
しがない私立探偵の肉体を正義の戦士へと作り変えてゆく。
風が止んだときその場に立っていたのは、緑と黒に彩られた異形の戦士。
彼……いや、『彼ら』は瓦礫の山から飛び降りて、マフラーをたなびかせながら高らかに言い放った。

『仮面ライダーW。さあ、お前の罪を数えろ!』


続いて、二人の左に立っていた映司が一歩前へ出る。
オーズドライバーを腰に巻き、三枚のメダルを懐から取り出す。
右手には赤と黄色のメダルを、左手には緑のメダルを。

「世界がどうとかはよく分からないけど……それが俺の手の届く範囲にあるなら、絶対に手を伸ばす。伸ばして、掴み取ってみせる」

まずは赤と緑のメダルをバックル両端のスロットに挿入。
続いて黄色のメダルを真ん中のスロットに挿入。
最後にバックルを傾けて、ベルト脇のスキャナーを手に取り、メダルを通した。

「変身!」――【タカ!】【トラ!】【バッタ!】――【タ・ト・バ! タトバ タ・ト・バ!】

メダルのビジョンが映司を取り囲み、最終的に上から順に赤、黄、緑のビジョンが映司の前に描き出された。
次の瞬間眩い光が映司を包んで、幾度かの瞬きの後その身体が変質する。
そして光が飛び散り、その場に立っていたのは黒地のボディにカラフルな装飾を備えた異形の戦士。
彼は同じく瓦礫の山から飛び降りて、Wに並び立ち名乗りを上げた。

「仮面ライダーオーズ。目の前に光があるなら……この手で守ってみせる!」


「くぅ〜っ、流石先輩方! シビれるぜ!」

そう叫んで前に出たのは弦太朗。
同じくドライバーを取り出して腰に巻きつける。
4つのスイッチを弾いてから大きく腕を振って構える。
それに合わせて、カウントダウンが始まった。

――【3】――【2】――【1】

「変身ッ!」

弦太朗はそう叫ぶとドライバーのレバーを引き、天高く腕を上げる。
凄まじい量の蒸気が辺りを包み込み、弦太朗の身体を強化スーツが包み込んだ。
変身が完了し異形の戦士へと姿を変え、蒸気を振り払うと彼もまた飛び降り、
二人に並んで怪人たちに向けて宣言した。

「しゃぁッ、宇宙キタ――――――ッ!! 仮面ライダーフォーゼ、全員まとめてタイマン張らせてもらうぜ!」
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/06(水) 21:05:57.33 ID:w8Oq6Xtp0
「それってタイマンとは言わないわよね……」

「細かいこといいなさんなって。あたしらも行くよ!」

「ええ。早くあの沢山いる使い魔さん達を倒しちゃわないと」

「今更正義の味方か……似合わないねぇ。はんっ、行くよゆま!」

「うん、キョーコ!」

「それでは行きましょうか、キリカ。私達の世界を守りに」

「ああ、繊莉子! 今こそ逆襲の時だ」

――【【【MAGICA!!】】】

魔法少女たちも次々に瓦礫の山から飛び降りて、魔法少女の姿へと変身する。
其々のソウルジェムを掲げてドライバーにセットし、予めセットしておいたマギカメモリを展開。
鮮やかな光とともに、7人の魔法少女が再び見滝原に降り立った。
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/06(水) 21:06:43.25 ID:w8Oq6Xtp0
投下終わり。

ちなみにラストの魔法少女が降り立つシーンは、MEGAMAXで7人ライダーが復活するシーンのイメージ
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/06(水) 21:53:32.93 ID:dpkMzDKUo
乙―!!
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 22:38:28.72 ID:OTTjGMFDO
マキシマム乙
無双タイムはじまるよー!!
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/13(水) 22:02:36.15 ID:+cOa7eWDO
続きマダー?
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/06/14(木) 18:11:37.91 ID:JM1WxW3I0
まだー?
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/06/16(土) 15:41:55.70 ID:ER/YMC/AO
ワルプルギスが強すぎだろ…
全員相討ち→まどか契約→ヒーロー無双が望ましかった

でも…キレた海東みたいな事をもう一つ何か仕込んでると期待する
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/18(月) 21:02:09.63 ID:hGQ6fxYj0
(いつの間にか一週間以上も放置してたとは)知らなかった
ここからは勢いで魅せてかなきゃいけない部分なんだけど、
いまいち書き溜めが進んでないので結構投下ペースがゆっくりになると思われ。すまんな。
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/18(月) 21:02:52.02 ID:hGQ6fxYj0
まどかも、仮面ライダーと魔法少女に合わせて再び立ち上がる。
感動に震え涙を溢しながらではあったが、それでもはっきりとした決意とともに。
インキュベーターと、その後ろの怪人たちを見据えた。

「……行こう、皆」

『おうっ!』

まどかの声に呼応して、魔法少女達は怪人の群れに突入し戦いを始める。
対して仮面ライダーは、インキュベーターと対峙したままだ。

「君たち人間のやることは、いつだって理解できないね。無駄だということがわからないのかな」

「……どういうことだ?」

「もし万が一この場で君たちが勝利を収めたとしても、怪人の軍団は世界中に散らばっている。君たちには止められないよ」

人類全てを嘲り笑うかのような台詞に、仮面ライダー達はあっけにとられたかのように押し黙る。
しばらく無言が続いたが、その沈黙を破ったのは仮面ライダーの側だった。

『ふっ……くくっ、はっはっはっは!』

「……何がおかしい? 仮面ライダー」

「だっ、だって、なぁ。映司に弦太朗よぉ」

『ここまで愉快なのは久しぶりだよ……』

「くくっ……ええ、本当に」

「こりゃ笑えるぜ……はははっ!」

「だから何が――」

次はインキュベーターが黙る番だった。
すぐに笑いを止め、仮面ライダー達は言う。
嘲り笑ったインキュベーターに対し……彼らは、勝ち誇るように言った。

「キュウべぇ。いやインキュベーター……人間を舐めるなよ」

『仮面ライダーは僕たちだけじゃあない。むしろ僕達は新米もいいところでね』

「ああ。お前の計画は絶対に果たされない」

「ヒーローは俺達だけじゃねえ。それに、仮面ライダーだけでもねぇんだよ!」
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/18(月) 21:03:23.93 ID:hGQ6fxYj0
――ヨーロッパ某所

人里離れた荒れ地に、穢れのエネルギーによって復活した戦闘員の大隊が集まっていた。
それらを纏め指揮するのは、財団Xによって強化改造を施され、仕上げに穢れのエネルギーで復活を遂げたショッカーグリード。
準備は整っている。今にも醜悪なその群れが人里向けて駆け出そうとしたその時。
三人の男達がこちらへ向かって歩いてきた。

「……後輩達の情報はどんぴしゃだったようだな」

「へへ、頼りになる後輩を持ったもんだ」

「はぁ……俺も飽きないもんだな……」

三人のうち、二人は精々二十歳そこそこといった風体の青年。一人は見たところ五十歳半ば程度の中年男性。
中年男性はしきりに何かぼやいているが、しかしその瞳は二人の若者と同じく気力に満ち、義侠心にギラついていた。
二人の青年の名は本郷猛と一文字隼人。中年男性の名は滝和也。
かつて人類の自由と平和のために戦い、今も形を変えてその戦いを続けている男達だ。

「貴様ら……何者だ?」

戦闘員の群れの最前列に立つショッカーグリードが訝しげに言う。
勿論殺すことは確定しているのだが、戯れのようなものだ。
あるいは、グリードゆえの知識欲だったのかもしれない。
しかしその問いは、確かに良くないものを呼び覚ました。

「ふっ……まさか忘れられているとはな。屈辱的だ……なあ一文字」

「おうよ。積りに積もったこの恨み、ついこの間晴らしたばかりだが……また腹が立ってきやがったぜ、本郷」

「……ったく。後ろの雑魚どもは俺に任せておけ。お前らはあのボスを叩いてこい」

「ああ、ありがとう滝」

「感謝するぜ」

そう言って二人の青年は一歩前に出て、其々独特の構えを取った。
一人は左手を腰に当て、右腕を大きく回す。
もう一人は、両腕を体の右から左へ、頭上を通してゆっくり回す。

「ライダ――……変身!」

「変ん……身!」

疾風が荒れ地に吹き荒れる。
意志を持たない戦闘員ですら思わず目を庇うほどの突風の後、
二人の青年は二人の戦士へとその姿を変えていた。

「仮面ライダー1号!」

「仮面ライダー2号!」

『トォ!』

大して中年男性は、着込んだ漆黒のライダースーツに自前のマシンガン、
後は高圧電流が流れるように細工したナイフとナックル、そしてブーツで戦闘員の軍団に挑む。

「人間代表滝和也だ……覚えとけ!」
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/18(月) 21:04:02.19 ID:hGQ6fxYj0
――地中海某所

市街地においてマスカレイド・ドーパントの群れが大量に出現し、ドクトルGの指示のもと住民達を襲おうとしていた。
しかしそれは通路の幅や道端に落ちているもの、それに愛車のバイクを活かして道を阻んだ二人の青年によって悉く防がれ、
ドーパント達は手をこまねいている。そうしている内にどんどん住民は逃げ出し、街に残っているのは二人の青年だけになった。

「結城、これで全員逃がしたな?」

「ああ。ちゃんとレーダーで確認してある」

「そうか、ならいい。いくぞ……ヌウン!」

手短に会話を済ませ、二人の青年はドーパントの群れに向き直る。
気合の声とともに構えを取った青年の名は風見志郎。
乗っていたバイクから特製のヘルメットを取り出した青年の名は結城丈二。

「変……身。V3!!」

「ヤー!」

眩い閃光が一瞬走り、二人の姿が変わる。
片や偉大な先輩の力を受け継ぐ力と技の戦士。
片や人間の底力を見せつける、知と智の戦士。

「仮面ライダーV3ァ!」

「ライダーマンッ!」


――アフリカ某所

「アマゾン、そっちに行った! 止めてくれ!」

「おうケイスケ! ガァアアゥゥゥウウウ!!」

人里離れた森の中、人のいるほうへ向かおうとする屑ヤミーの大軍を二人の青年が押し留めていた。
アポロガイストと十面鬼に指揮されたその大群は、一人目の青年の空手と、
もう一人の青年の野性味溢れる戦いを前に攻めあぐねている。

「く、流石に数が多いな! キリがない、変身だアマゾン!」

「むっ、この怪人、倒しても立ち上がってくる……おう、行くぞケイスケ!」

「大! 変! 身!」

「アアァァァァアアア! マアアァァァァァァア! ゾオオォォォォォォオオオオオオンッ!!」

精悍な顔つきをした長身の青年、神敬介は両腕を挙げた後それを左右に開いた。
森に溶け込むような軽装の青年、アマゾンこと山本大介は爪を立てるが如く両腕を構えた。
次の瞬間、二人の姿は豹変する。

「仮面ライダーX!」

「仮面ライダーアマゾン!」
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/18(月) 21:04:35.53 ID:hGQ6fxYj0
――欧米某所

「おうおうおう、羽虫どもが大量に湧いてやがる」

「……」

ビルの屋上から、郊外に群がるダスタードの群れを見張る二人の青年。
一人は派手なジャケットを羽織り、機嫌よく口笛を吹いている。
もう一人は、押し黙ったまま冷静に怪人を観察している。
ダスタードの群れを率いているのは、どうやらジェネラルシャドウとタイガーロイドのようだ。

「俺はジェネラルシャドウを狙うが、どうするよ? 村雨」

「……好きにしてくれ。どっちにせよ、アレは全部倒すんだろう?」

「当然だ」

ジャケットの青年はニカッと笑いながら革のグローブを噛んで外し、両腕を伸ばす。
それに合わせて、寡黙な青年も独特の構えを取った。

「変……身! STRONGERRR!!」

「変ん……身!」

身体が眩く輝き始めると同時に、二人はビルから飛び降りて怪人の群れの前に降り立った。
二人ともが自らの構えを維持したまま、高らかに名乗りを上げる。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ! 悪を倒せと俺を呼ぶ! 俺は正義の戦士……仮面ライダーストロンガー!」

「仮面ライダー……ZX!!」


――北欧某所

超銀河王率いる戦闘員の混成軍団が、今にも市街地を攻めんとしていた。
するとその時、二人の青年がその前に立ち塞がる。
一人は動き易そうなジャケットにジーンズ、もう一人は道着を着ている。

「ハッ!」

「トォ!」

先陣を切っていた戦闘員を軽くあしらうと、二人は構え直した。
ジャケットの青年は左手を開き大きく振る。
道着の青年は、恐らく彼が扱う流派であろう拳法の構えをとった。

「スカーイ……変身!」

「行くぞォ! 変身ッ!」

眩い光が彼らを包み、現れたるは正義の戦士。
明るい緑のライダーと、輝く銀のライダー。

「スカイライダー!!」

「仮面ライダースーパー1!」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/18(月) 21:05:13.32 ID:hGQ6fxYj0
――風都郊外

迫りくるマスカレイド・ドーパントの大群を前に一人の青年が立ち塞がった。
全身を真っ赤に彩る尖ったファッションで、手には一本のガイアメモリ。
風都警察署超常犯罪捜査課に所属する警視、照井竜である。

「全く、まる一ヶ月も街を空けた挙句これの相手を俺に投げるとは、あの探偵ども……まあ、仕方あるまい」

心底呆れかえったふうにそう言うと、彼は懐からバイクのハンドルを模したドライバーを取り出し腰に巻いた。

「変……身ッ!!」

溜めに溜めてその言葉を叫ぶとともに、手にしたメモリをドライバーに挿す。
彼の身体を高熱と鎧が包み込み、仮面ライダーの形を成した。

「仮面ライダーアクセル……絶望がお前たちのゴールだァ!」


――鴻上コーポレーション本社前

「おーおー、こりゃまた大量に集まりなすって」

「油断しないでください伊達さん。いくら相手が屑ヤミーとはいえ、この数は厄介です」

「分かってるって」

今にも社内に侵入せんと蠢く屑ヤミーの大群を前にしても全く怯まず、
こつこつと足音を立てて二人の青年は現れた。手にはバースドライバー。
ほむらが鴻上との契約を果たすために、必死の思いで複製した正規品だ。

「さーてそれじゃあ、また一丁稼ぎますか」

「はぁ、今度は何に使うんです?」

二人のうち、体格のいいほう――伊達明は、懐から取り出した一枚のセルメダルを、
右手の指で弾いて投げ上げてそれを左手で受け止めるとドライバーに挿入。
対して華奢なほう――後藤慎太郎は、左手のリストバンドに備えたセルメダルを、そのままドライバーに投げ込んだ。

『変身!』


――天の川学園高校前

大量のダスタードが現れ、校内に侵入しようとしていた。
しかし、怪人たちは知らない。既にライダー部の活躍により校内はもぬけの殻であることを。
そして、怪人たちは知らない。自分たちが死地に赴きつつあることを。

「ウオオオォォォッ!」――【POWER-DIZER】

「M-BUS変身認証だ! 変身ッ!」

巨大なロボが突如現れ、数体のダスタードを吹き飛ばした。
直後、青白く輝く球体が飛来し、更にダスタードの群れを引っ掻き回す。
果たして球体の中から現れたのは、青と黒のライダーだった。

「仮面ライダーメテオ。お前たちの運命は俺が決める!」
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/18(月) 21:06:03.72 ID:hGQ6fxYj0
――日本某所

とあるレストランで、真っ赤なコートを羽織った青年がとても旨そうにカレーを食べていた。
同席している青年や女性も、各々好きなものを好きなように食べている。
そんな平和な時間が流れているレストランのすぐ外で、爆音がした。

青年たちがそちらを見遣ると、怪人の軍団が現れている。
逃げ惑う人々、あちこちに上がる火の手。怪人の攻撃はすぐにレストランにも及んだ。
一瞬でレストランが爆発する。幸いにしてほとんどの人は怪人を見た時点で逃げ出していたため被害はなかったようだが、
青年が食べていたカレーは建物とともに消えた。

「てめえ……許さねえぞ、ザンギャックだかショッカーだか知らねえがな、てめえらは潰す! お前ら、派手に行くぜ!」

「……はぁ。だそうだが、どうする?」

「そりゃ行くけど……なんで地球に来た時に限ってこうなるんだよ〜!」

「ガタガタ言わない! 男でしょ、もう」

「全く、無粋なことを……」

「許せません! 罪のない人たちを、こんなに……!」

多くの人々が逃げ惑うなか、真っ赤なコートの青年を始めとした6人だけが、反対に怪人に向かって駆け出した。
彼らは揃って変わった形の携帯電話を懐から取出し、手にしたキーを挿し込む。

『ゴーカイチェンジ!』――【ゴォォー……カイジャーッ!!】

海賊の汚名を誇りとして名乗る、彼らの名は海賊戦隊ゴーカイジャー。


――同じく、日本某所

エネルギー管理局特命部内において、怪人の群れが街を襲っていることが知らせられた。
司令官の黒木タケシの命のもと、特命戦隊である三人が街を守るために出動する。

「ったく、ヴァグラスがいつ襲ってくるかもわからないのに……」

「まあまあ、だからこうして三人で向かうんでしょうが」

「そうそう。見たとこいるのは雑魚ばっかりだし、早く終わらせましょう」

三人は手にしたブレスのダイヤルを操作し、ボタンを二度押す。
すると一度目で全身を特殊スーツが包み込み、二度目で頭部をヘルメットとグラスが装備された。
そう――彼らこそが、特命戦隊ゴーバスターズ。

『レッツ、モーフィン!』――【It's Morphin Time!!】

『バスターズ、レディー……ゴー!!』


――日本、あすなろ市。

ここでもやはり、怪人の群れが暴れていた。
しかし既に市民の姿は見当たらず、街のあちこちで魔法少女が戦いを始めていた。
どうやら彼女たちが、事前に市民を逃がすことに成功していたようだ。

「サキ、危ない! この怪人め、喰らえ! ラ・ベスティア・リファーレ!」

「ありがとう、みらい。おっと、お前の相手はこっちだぞ。喰らえ! ……それにしても、本当にこんな化物が来るとはな」

「マミさんの言う通りだったね……っと、危なっ! リーミティ・エステールニ!!」

「ああ、予め海香と里美に準備させといてよかった……おっと、カピターノ・ポテンザ!」

少女たちは怪人の攻撃をひらりひらりとかわしながら、大技を的確に撃ち込んでいく。
誰が指揮を執っているわけでもないのに、彼女らの連携は崩れない。
彼女らの名はプレイアデス聖団。かつての世界で魔法少女の運命を変えるために集った少女達だが、
この世界でも、何の因果か正義の味方として手を結んでいるようだ。

「くっ……いくよ、あいり!」「うん、ユウリ!」『合体魔法、イル・トリアンゴロ!』

飛鳥ユウリと杏里あいり。最近聖団に加入したばかりであるこの二人も、
今ではすっかり馴染んで正義の味方として協力し合っている。
世界が改変したからこそ生まれた希望――それを彼女らが知る由もないが、それでも……

『そう、私達こそがプレイアデス聖団! あらゆる正義の希望たる存在だッ!』
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/18(月) 21:06:38.80 ID:hGQ6fxYj0
そして舞台は見滝原へ戻る。
インキュベーターは、その頭脳に信じがたい報告を連続で受けていた。

≪こちら第十二隊、黒いボディに真っ赤な眼のライダーが襲っ『罪のない人々を暴力で制圧しようなど、許さんッ』ぎゃあああッ!≫
≪こちら第八隊、三体の怪人が裏切り……いや違う、あれはライダー!? くっ、来るな――ぐあああああっ≫
≪こちら第十六隊! 相手の攻撃がまるで見えない……『人の夢は俺が守る! 邪魔はさせない!』うわあああああ!≫
≪こ、こちら第二十隊! 同じく相手が見えな――『おばあちゃんは言っていた……この世に悪が栄えたためしはないと』ぎゃあ!≫
≪こちら第六隊、緑と黒の怪人が我が部隊を滅茶苦ty『ウェェエアアアアアッ!!』やっ、やめ、ヴェェアアアア!≫

「こ、これはどういうことなんだ!? 確実に仮面ライダーが勝てないだけの戦力を作り出したはずだ!」

「はっ、無駄だぜインキュベーター……お前がそうして打算と理屈だけで動いてる限り、俺達仮面ライダーには勝てやしねえ」

「くっ、戯言を! ならば君達はどうなのかな? 君達が過去に苦戦してきた怪人だけを用意した! 君達はここで終わりさ」

インキュベーターのその声とともに、後ろに控えていた戦闘員以外の怪人の群れがライダーの前に立ち塞がった。
Wの前には、ドーパントが。OOOの前には、グリードが。フォーゼの前には、勿論ホロスコープスが。
どれもこれもかつてライダーを苦しめ、何度も苦汁を舐めさせてきた者ばかりであったが――しかし、ライダーに不安はなかった。
軽く会話を交わし、それぞれの相手に向かって駆け出す。

「後輩。ドーパントは俺達が倒すぜ」

「ええ。グリードは俺に任せてください」

「ホロスコープスの連中は俺がやるっス!」

『いくぞ! うおぉぉおおおおっ!!』
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/06/18(月) 21:07:34.46 ID:hGQ6fxYj0
投下終わり。
>>1はライスピが大好きなので反省も後悔もしていない。
出来ればモバゲの魔法少女も出してやりたかったが、モバゲやってないので無理だった。
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/18(月) 21:47:52.64 ID:Ozt3Y+UAo

仮面ライダー以外にもわさわさと出てきたなwww
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/06/18(月) 23:05:59.70 ID:Scl2SOrAO
乙乙!
世界中のライダー達の活躍に正直魂が奮えた!
ところで第八隊をヤッた怪人に間違われた三体のライダーって?
一体は真さんだろうけど
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/19(火) 00:17:46.21 ID:HsCnLrXDO
イッツタイムフォー乙
先輩方のみならず、ゴーカイもゴーバスもプレイアデスの面々も…これは読んでて震えるぜ
とにかくすごく応援を送りたくなった
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/19(火) 00:49:42.99 ID:7T3TOrXTo
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/19(火) 00:49:48.60 ID:Q2r6o2s0o

ストロンガー&ZXはライスピ的にニヤリとする組み合わせだよなぁww
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/19(火) 00:55:58.24 ID:A+cVtn8jo

一方ユウスケは「士!危ない!」をしていた
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/06/19(火) 01:36:44.45 ID:Hwy0t+dAO
>>340
俺は響鬼勢かと思った
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/19(火) 07:57:00.40 ID:bUkLRmbIO
乙乙
第八隊はアギト勢かと思ったけどライダーのポジションは4人いるしやっぱり響鬼かな?
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/19(火) 16:36:48.93 ID:wg2shjTe0
怪人に間違われたのはネオライダーのZO・J・真ってことで頼む
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/19(火) 19:34:27.78 ID:Q2r6o2s0o
プレアデスとユウリたちが共闘する世界なんだから
ZOとドラスが共闘しててもおかしくないんじゃないか
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/06/19(火) 20:30:16.07 ID:Hwy0t+dAO
シン・アナザーアギト・エクシードギルスかもしれん
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/20(水) 00:22:24.66 ID:iX+3eD7go
欲を言うなら、各地で戦ってるモブ魔法少女の描写も欲しかった
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/06/20(水) 20:00:34.13 ID:YE/0wjrAO
欲を言うなら尾室率いるG5部隊や田所さん率いるゼクトルーパー部隊の描写も欲しかった
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/20(水) 22:03:07.36 ID:s4crbKNDO
マサトと樹液がいない…
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/06/22(金) 22:51:09.99 ID:OOpr6JRF0
これ全部ディケイドがつれてきたんだろ?
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [saga sage]:2012/06/23(土) 00:28:39.12 ID:ADyvzNXv0
フォーゼの世界では昭和・平成問わず仮面ライダーが人知れず悪と戦っているって都市伝説があるから、全ライダーが一堂に会するディケイドいらずな世界なんだろう。龍騎が生きてたり、ブレイドがアンデッド化してなかったりしてるかも知れないが
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 21:21:27.21 ID:QBCPpK4DO
オールライダー世界でも、ディケイドだけは世界のどこかにいる訳じゃなくて、どこからともなく異世界通って現れるイメージ
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/25(月) 14:07:27.56 ID:hAkSOfSIO
フォーゼって昭和ライダーとダブルからの平成ライダーだけじゃなかった?
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/06/25(月) 19:00:04.86 ID:V0JTwG7k0
>>356
2話だかの都市伝説の動画にクウガいたぞ
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/06/27(水) 22:42:03.60 ID:tKeKanNB0
続きマダー?
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/06/28(木) 21:21:54.57 ID:b4Pmlb8AO
ディケイドが一度破壊して全てを繋げたから過去のライダーが1つの世界でなんやかんやらしい
つまりディケイドがいなければ真さんは今も怪人扱い
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/29(金) 01:37:30.31 ID:k7ItvO810
この度は投下間隔が1週間以上にもなりましたことをお詫び申し上げます。
リアルが忙しくてロクに書き溜めが出来てないんです。リアル代行はよ
落としはしないしあと1週間以内には投下できるようにするので、どうか気長にお待ちいただきたく存じます。


あと、期待してSSwikiまで編集してくれた人には悪いんですけれども、もやしは出ません(断言)
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/06/29(金) 20:26:14.08 ID:hEKdwn+m0
>>360
ウゾダドンドコドーン!!

だがしかし
フォーゼとゴーバスターズが同世界にいて、等身大では歯が立たない巨大な敵がいるという事はだ…
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/29(金) 22:41:00.16 ID:hXCdv+hDO
ウィザードくる?
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/30(土) 12:26:17.94 ID:d+P430Yxo
じゃあ、ウルトラマンゼロ辺りが降ってくる可能性が微レ存?
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/06/30(土) 13:48:49.96 ID:ktVRunZAO
>>360
もうムービー大戦MEGA MAXじゃなくてヒーロー大戦になってますよね?
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/30(土) 19:38:05.93 ID:d+P430Yxo
まあ、もやしがシンケンの世界行ったしさ
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/06/30(土) 23:24:48.46 ID:JCVK1QHX0
次回ライダーの情報出揃うの待って登場させるつもりだろww
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/01(日) 19:50:00.75 ID:dDZphdcDO
わざわざ待たなくても、1週〜2週に1話ペースなら
エピローグにウィザード出せるぐらいの進行具合には自ずとなるんじゃね
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/07/01(日) 22:42:23.59 ID:8PoAbIcQ0
どうでもいんだけどこの映司はなんでメダル全部持ってるの?
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 01:18:22.73 ID:n+izHX2DO
>>368
MEGAMAXで恐竜と爬虫類以外全部全部戻ってきた。
(アンクは割れたまま)
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [saga sage]:2012/07/02(月) 10:08:46.97 ID:oSQqtFVS0
>>363
ライダーにウルトラマンまで来ちゃったらそれなんてコンパチヒーローシリーズになっちゃうなw
9月6日発売のロストヒーローズが楽しみだぜー
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 18:02:59.87 ID:ZfjaWy0DO
主人公の名は操真晴人(そうま・はると、白石隼也)。
本井プロデューサーらによると、日食の日に魔法と化学を融合させ、人間から怪獣を生み出す恐ろしい実験が行われた。晴人は怪獣にならずに生き残った青年で、「謎の白い魔法使い」から指輪とベルトを渡される。
指輪には魔法の力を宿した宝石が埋め込まれており、これをベルトに付いた手形にかざすと「仮面ライダーウィザード」に変身。魔法を駆使し、人々を絶望させる魔物「ファントム」に立ち向かう。


宇都宮プロデューサーの解説によると、仮面ライダーウィザードに立ちはだかるのは「絶望の無限連鎖」。
ファントムによって絶望させられた人々は、心の中で新たなファントムを生み出す。
絶望した人間を救う最後の手段は、約束の指輪「エンゲージリング」をはめてあげること。
そうすることで、ウィザードは絶望した人の心の中にダイブし、新たに生まれたファントムと戦って連鎖を断ち切ろうとする。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/120630/ent12063018010012-n1.htm



すっごくいいクロス題材きた予感
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/02(月) 18:12:49.57 ID:Co84u+UGo
敵の目的はバットエナジーを集めるんだな
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/07/04(水) 21:37:17.91 ID:6u1dtMM+0
>>369
それは映画の話だけどこのSSだとなんか知らんけど最初からメダル持ってるから気になった
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/07/04(水) 22:44:03.44 ID:+LGKLdwAO
>>373
オーズ最終回〜MEGAMAX→このSSになるんだろ
新世代平成ライダー映画は一部を除きパラレルはないからな
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 21:13:40.58 ID:8n3iPFiDO
>>374
少なくともフォーゼ本編とMEGAMAXは繋がってるの確定したな
となればオーズもWも然り、となる訳で


ヒーロー大戦?ディケイドの通りすがったパラレルワールドですよ
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/05(木) 21:34:35.10 ID:h9E9BKQh0
使ってないだけで持ってたロケットスイッチS-1があるなら
使ってないだけで持ってたスーパーメダルもあるはず…
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/05(木) 22:40:31.97 ID:ghS960nLo
オーズはMEGAMAXとは繋がってると思うけど他の映画は繋がってる気がしない
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/07/06(金) 00:53:09.53 ID:7NMLdgXg0
一週間以内に投下すると言ったな、あれは嘘だ
…いや、書けたら投下するけどね。期待はしないでくださいってことですよ。
マジでリアル代行はよ

お詫びがてら没設定垂れ流していきます
@W×まどか
マミさん助けてさやか魔女化阻止してワルプル倒すだけの、ぶっちゃけた話がテンプレまどかクロス
おもしろそうだった発想は魔女の記憶から作ったウィッチメモリでさやかの魔女化を防ぐ、くらいか
最後はほむマミさや杏の魔力を受け取ってCJGX化し、ゴールデンエクストリームでワルプル撃破。

AOOO×まどか
OOO最終回の後に思いついた話。欲望の器が限り無くデカい映司なら契約できるんじゃないか、という発想。
映司が契約してメダルを取り戻し、グリード達はメダルを管理するだけの人間として復活。
もちろnマミさん助けてさやか魔女化阻止して全員生存ハッピーハッピー。
最後はガタキリバでオール意識コアコンボorタジャドルでオール意識コアマグナブレイズ。

Bディケイド×W×OOO SS大戦mission・魔法少女を救え
@とAを同時進行して、かつディケイドを教育実習生として見滝原に召喚。
ラストは@+A+ディケイドがFFR『まどか』でまどかを女神まどか化させ、一斉攻撃。

…で、MEGAMAXを劇場で見てこの辺の設定全部捨てた。
それほどに俺にとってのMEGAMAXは衝撃的な作品だったということです。
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/07/06(金) 01:04:02.23 ID:qhW6DwxAO
>>378
それがどうしてヒーロー大戦になった…
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/06(金) 11:56:52.14 ID:vaKqyj/Q0
>>378
今までのオールライダーみたく先輩達みんながみんなモブじゃなく、ちゃんと見せ場出しつつ引き立て役に徹してるのがいいよね
Wも決して必要以上には出しゃばってないし、みんなが後を固めて現行ライダーを送り出してるからホッとすると言うかさ
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 23:46:42.55 ID:TobOeyWDO
ウィザードの指輪の中にコネクトってあって一瞬ドキッとした
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/07/09(月) 09:03:00.77 ID:+2YPDhD+0
>>374
何が一部をのぞきだ
オーズメインの映画は二作とも(ノブナガ、将軍)パラレルだろ


383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/07/09(月) 09:13:39.34 ID:2ohjBaea0
>>382
正史だろ
あとあげるな
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/09(月) 20:43:21.86 ID:JopL2/ol0
壁殴り代行はよく見かけますがリアル代行は未だ見つかりません。
あんまり間空けすぎるとモチベーションも落ちちゃうので、書けてる分だけでも投下してきます
385 :(BGM:コネクト) [saga]:2012/07/09(月) 20:43:55.22 ID:JopL2/ol0
大量の怪人たちを相手に戦場を駆け回る繊莉子とキリカ。
背中合わせに互いを庇いながら、絶妙な動きで敵を倒してゆく。

「喰らうがいい、二手で、五十手だ! ほらほらほらほらほらァッ!」

「後ろは任せなさい! はァ!」

キリカがまず敵陣に斬り込み、連続攻撃で怪人たちを薙ぎ払う。
繊莉子はそのすぐ後ろにつき従い、後方から現れる第二波を確実に対処する。
互いが互いに依存しているからこその超連携を前に、怪人たちはあまりに無力だった。
そして相手の攻勢がひとまず落ち着いたところで、二人は高らかに名乗りを上げる。

「魔法少女、呉キリカ! 繊莉子に害をなす奴は私が刻む!」

「魔法少女、美国繊莉子! 私の……いえ、私達の世界を、守ってみせる!」


「オラオラオラァ! 喰らいやがれ雑魚どもがッ」

「キョーコにこうげきはさせないよっ!」

対して、杏子とゆまはマスカレイド・ドーパントの軍団を相手に多節槍と槌とでパワフルな戦いを繰り広げていた。
杏子は凄まじい速度で多節槍を振り回して広範囲を攻撃し、一度に何匹ものドーパントを蹴散らしてゆく。
ゆまはその間隙を縫うように立ち回り、杏子の死角を狙うドーパントを逐一叩きのめしていた。

「魔法少女佐倉杏子! あたしにゃ似合わねえが、正義の味方やってやらァ!」

「まほーしょうじょ、千歳ゆま! キョーコたちはわたしがまもる!」
386 :(BGM:コネクト) [saga]:2012/07/09(月) 20:44:48.40 ID:JopL2/ol0
「おらおらおらァ! 雑魚敵ごときがさやかちゃんを止められると思うなよーッ!!」

戦場を軽やかに駆け巡りながらさやかは戦う。
楽譜模様の魔法陣が戦場を埋め尽くし、さやかは舞うように剣を振るった。

「これでも……喰らえぇぇッ!」

そして鋭く体を回転させ、その勢いで捻りを加えた刀身射出をお見舞いする。
上手く群れの足元に撃ちこまれたそれは地面を破裂させ、何体もの怪人を空に巻き上げた。

「魔法少女美樹さやか! 正義の味方見習い舐めんなよ!」


四方八方から飛びかかってくる怪人を冷静に、かつ華麗に吹き飛ばす。
死角からの怪人に銃を向け、正面の怪人に蹴りをお見舞いし、左右の怪人に同時に鉛玉を喰らわせ、
撃ち終えた銃は次の怪人に投げつけ、更に銃を生成して撃っては投げ捨てを繰り返し怪人を近寄らせない。

「優雅に、華麗に……それが魔法少女だもの!」

周囲を取り囲んだ怪人がこれはまずいと動きを止めたその瞬間を見逃さず、マミは大きく飛び上がった。
空中で更に大量の銃を召喚して発砲し、大爆発を起こして怪人達を巻き込み殲滅する。

「魔法少女巴マミ。いくらでもお相手してあげるわよ?」


「これが私の新しい武器……こんなの使ったことないのだけれど……」

「ほむらちゃん、後ろ!」

「分かってる。はぁッ!」

二人で並んで戦場を駆け巡るまどかとほむら。
まどかの願いの影響なのか所持する盾が変形し、何故かボウガンになってしまったほむらは戸惑いを隠せないが、
それを上手くまどかがフォローしている。まどか自身も戦いは初めてなので動きが危なっかしいが、
そこはほむらが上手くカバーできているようだ。
ほむらは慣れないボウガンを過信せず主に体術で戦い、まどかは弓を必死に引き絞っている。

「魔法少女暁美ほむら。たとえこの世の何が変わろうと、まどかは私が守り抜く」

「魔法少女鹿目まどか! この世の全てを変えてでも、絶対に皆を守ってみせる!」
387 :(BGM:Switch on!) [saga]:2012/07/09(月) 20:45:37.24 ID:JopL2/ol0
フォーゼの眼前に立ち塞がるは、かつて倒してきたホロスコープスのゾディアーツ達。
スコーピオン、キャンサー、アリエスにカプリコーン、そしてアクエリアス。
どれもこれも一筋縄ではいかない相手ばかりだが、フォーゼは臆せず立ち向かう。

「っしゃ、いくぜ! オラァァアアアッ!!」――【ROCKET,ON】

ロケットモジュールを起動して突進し、一か所に固まっているゾディアーツを分断する。
フォーゼは、まず先頭に立っていたせいで攻撃を避けきれず体勢を崩したスコーピオンに狙いをつけた。

「うおおおおおおっ!」――【STAMPA,ON】

ロケットの推進力で飛び上がり、高所からスタンパーモジュールを使った踏み付けを喰らわせる。
更にその反動で高く飛び上がると、空中でスイッチを入れ替えた。

「喰らえ! ライダーロケットドリル反転キィィイイイイック!!」――【DRILL,ON】【LIMIT-BREAK!!】

「グアァァアア!」

ドリルキックの炸裂と同時にスタンパーが爆発し、通常の数倍ものダメージを与えた。
スコーピオンはその衝撃に耐え切れず爆散する。
着地とともにモジュールのマテリアライズを解き、背後からのキャンサーとアクエリアスの攻撃を避ける。
次に狙うのは催眠能力が危険なアリエス。戦闘の能力は低いとはいえ、油断は禁物だ。

「次はこいつだ!」――【ELEC,CHAIN-SAW,SCREW,SCISSORS,ON】

「ライダー百億ボルトスラァァアアアッシュ!!」――【LIMIT-BREAK!!】

背中からのジェット噴射で飛び上がり、四肢全てに刃物系統のモジュールを装備する。
更にエレキのリミットブレイクにより、その全てが高圧電流を纏ってゆく。
そしてフォーゼはジェット噴射でアリエスに突貫し、計四度の斬撃を喰らわせた。

「ギャァァアアッ!」

アリエス・ゾディアーツは催眠能力に優れるが、戦闘能力自体は低い。
フォーゼの四連リミットブレイクになど耐えられるはずもなく、たまらず爆散してしまった。

「まだまだ!」――【FIRE,LAUNCHER,GATLING,RADAR,ON】

「ライダー爆熱バァァア――――スト!!」――【LIMIT-BREAK!!】

「ア゛アァァッ」

着地後すぐにスイッチを入れ替え、レーダーモジュールでアクエリアスの両肩の瓶に狙いを定める。
次の瞬間高熱を纏った光線と無数の実弾がアクエリアス・ゾディアーツを襲い、これを爆散させた。

「次だ! 割って、挿す!」――【N.S.MAGNET,ON】――【LIMIT-BREAK!!】

「ライダー超電磁ボンバ――――ッ!!」

「グヌゥウウウッ!」

ジェット噴射で間合いを取り、カプリコーン・ゾディアーツに狙いを定める。
スイッチに備わったトリガーを引き、両肩の砲身から電磁エネルギー砲弾を射出。
避け損なったカプリコーンは超磁力空間に閉じ込められ、圧潰した。

「次でラストだ……いくぜ蟹野郎!」――【COSMIC…ON】

溢れ出るコズミックエナジーがフォーゼの身体を包み、究極形態であるコズミックステイツへと変身を遂げる。
携えた大剣『バリズンソード』のレバーを引き刀身を露出させ、キャンサー・ゾディアーツに斬りかかる。

「オラオラァ! どうした、前はこんな攻撃屁でもなかったろ!」

「グゥ……!」

連続攻撃でキャンサーを圧倒し、フォーゼは大剣による突きで弾き飛ばした。
そこで攻撃の手を止め、ドライバーからコズミックスイッチを抜き出し大剣の柄に挿し込む。

――【LIMIT-BREAK!!】

キャンサーの背後で空間が歪み、ワームホールが出現した。
一瞬たじろいだその隙を見逃さず、フォーゼはブースターで加速しキャンサーを捕えワームホールを潜る。
その先に広がっていたのは無限に広がる宇宙。そしてそこで再度コズミックスイッチをセットし、フォーゼは大剣を構えた。

「ライダー……超銀河フィニィィィイイイイイ――ッシュ!!!」

「ウオアァァアア!」
388 :(BGM:Anything Goes! OOO Special Edit) [saga]:2012/07/09(月) 20:46:48.60 ID:JopL2/ol0
「さーて……手加減はしてられないなぁ!」

六体のグリードにガラ・怪人態を加えた、映司の知る限りは最強にして最悪の相手。
しかし全てのメダルを携えて戦う今、負ける気などない。

「まずは真木さんから、行かせてもらいますよ!」――【SCANNING-CHARGE!!】

「おおぉぉぉおっ……せいやぁぁあああ――ッ!!」

「グアァアアッ!」

オーズはグリード達の猛攻を躱して飛び上がると、空中で脚部をよりバッタに近い形へと変質させた。
次の瞬間恐竜グリードとオーズとの間に三つのリングが出現。
オーズが急降下してそれを潜り抜けてゆく度に、身体中に凄まじいまでのエネルギーが充填される。
最後のリングを潜り抜けるとともに、両足蹴りがグリードに命中して大爆発を巻き起こす。

「うお、危なっ! 次はウヴァか……ならこうだ!」――【クワガタ!】【カマキリ!】【バッタ!】【ガタキリバッ!!】

ウヴァから放たれた雷撃をすんでのところで避けて変身すると、反撃の雷を喰らわせる。
更に迫ってきたガメルとメズールを両腕のカマで牽制し、バッタレッグの脚力で跳躍してウヴァから距離を取った。

「これでトドメだ!」――【SCANNING-CHARGE!!】

「ハァァアアア……セイヤアーッ!「セイヤアーッ!「セイヤアーッ!「セイヤアーッ!「セイヤアーッ!「セイヤアーッ!」

「ヌゥオオォォ!」

更に接近してきたグリードの攻撃とほぼ同時に飛び上がり、空中でウヴァに狙いをつけてから分身。
十数発の蹴りをほぼ同時に叩き込み、ウヴァを爆散させた。

「まだだ! ハァアアアッ!」――【ライオン!】【トラ!】【チーター!】【ラトラーターァ!!】

ネコ科のコンボラトラーターに変身し、ライオディアスでグリード達の眼を焼く。
その隙にカザリに接近し、チーターレッグを活かした連続蹴りをぶちかます。
たまらずカザリはセルメダルを撒き散らしながら吹っ飛んだが、当然それでは終わらせない。

「いくぞ! オラオラオラオラオラオラ、セイヤァァアーッ!!」――【SCANNING-CHARGE!!】

「ギャアアァァァ!」

火の輪潜りのごとく金色のリングを駆け抜けて、トラクローで何度も引っ掻く。
大爆発とともに黄金の斬痕を残し、カザリは息絶えた。

――【サイ!】【ゴリラ!】【ゾウ!】【サゴーゾォ!!】

次は重量計コンボのサゴーゾで敵陣に殴り込み、並み居るグリードを次々に投げ飛ばす。
さらに重力制御で軽く飛び上がり、最奥にいたガメルにドロップキックを喰らわせた。

「ふぅん! はああぁぁぁ……せいやああぁぁぁぁッ!!」――【SCANNING-CHARGE!!】

「グアアアァァァッ」

もんどりうって倒れこんだガメルに対して更に重力波を撃ち込み、地面に埋め込み拘束する。
サゴーゾの能力によりガメルは段々とオーズに引き寄せられて、
避けることすら出来ずに額の大角と両腕のガントレットによる重い三連撃を喰らい爆散した。
389 :(BGM:Anything Goes! OOO Special Edit) [saga]:2012/07/09(月) 20:47:26.27 ID:JopL2/ol0
――【シャチ!】【ウナギ!】【タコ!】【シャ・シャ・シャウタッ!!】

素早くメダルを入れ替え、水棲コンボのシャウタに変身。鋭い蹴りを放つが流体化したメズールに避けられてしまう。
対抗してオーズも流体化、両者とも水を撒き散らしながら戦場を飛び回る。
互いに流体化していれば物理的にも干渉できるのか、衝突の度にメズールに電流が走りダメージが蓄積されてゆく。
シャウタコンボの得意技、ボルタームウィップによる電撃である。

「キャァアッ!」

「トドメだ! よっと、ハァアアアッ……セイッヤアアアアアァァァァァアアッ!!」――【SCANNING-CHARGE!!】

そしてダメージに耐え切れず、遂にメズールが流体化を解いた。
その隙にウナギウィップでメズールを捕え、必殺キックを叩き込む。

――【コブラ!】【カメ!】【ワニ!】【ブラカーァワニッ!!】――【SCANNING-CHARGE!!】

「おおおぉぉぉぉぉっ、せいやああぁぁぁぁぁああっ!!」

すかさずメダルを入れ替え、背後から襲ってきたガラとアンクの攻撃をゴウラガードナーで受け止めた。
相手を蹴り飛ばして距離を取ってから力を溜め、橙に輝く両足で挟み込むようにガラを蹴る。
アンクの追撃を再びゴウラガードナーでいなし、映司は更にメダルを入れ替えた。

「はあぁぁぁッ!」――【タカ!】――【クジャク!】――【コンドル!】――【タァアジャァアドルゥウッ!!】

変身と同時に折りたたまれた翼を展開、火炎弾を連続で射出する。
アンクも対抗して火炎弾を撃つが、完全に力負けしてしまい大ダメージを負った。

「グリード達を……アンクを……侮辱するな!」――【SCANNING-CHARGE!!】

「はぁッ! おおおぉぉぉぉぉぉおおおお! セイッヤアアアアアアァァァァァアアアアアアアアッ!!」

オーズは天高く飛翔し両脚を猛禽類の爪の如く変形させ、そのまま全身に炎を纏って急降下する。
アンクも対抗して飛び上がって火炎弾を更に射出するものの全く通用せず、渾身の一撃をまともにくらって炎上した。
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/09(月) 20:51:44.82 ID:JopL2/ol0
映像で無双シーンを見るのは尋常じゃなく燃えるけど、
文字で無双シーンを書くのは面白くもなんともないということが分かった。
なので俺は脳内映像で燃え成分を補填し事なきを得たのであった。
参考までに戦闘映像のイメージ
杏子→ルナメタル
さやかの「これでも……喰らえぇぇッ!」→MEGAMAXでのチェーンアレイで「これでも喰らえーッ!」

ちなみに、ほむらの武器を弓ではなく敢えてボウガンにしたのは、個人的な解釈から。
改変後ほむらが弓を持ったのは、まどかのやりたかったことを文字通り「継いだ」からだと思うんですよね。
この作品におけるほむらはまどかの遺志を継いでなどいないし、今後もほむらとしてほむらなりに戦っていく。
だから弓を装備させる気は最初からありませんでした。「時間停止を継続」か「弓系装備」かで迷いましたけど。
そんなわけで、次回投下はまたまた大分先になりそうです。
リアル代行もしくは夏休みはよ
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/09(月) 20:59:16.46 ID:/P1FshZZo
乙ベント
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/10(火) 00:03:51.80 ID:NdolwgNf0

ほむほむにはラルクバックル貸してあげたら似合うかも
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/11(水) 00:51:57.52 ID:CWFC04a20
>>383
正史・・・?
「ノブナガ」は何故か後藤さんがバース変身してる(この時点で矛盾)

「将軍」は誰もがご存知の通り グリード一味が全員一致団結している(ウヴァが生きてる)状態で伊達が裏切ってないというストーリー状どこにも合致しない状態なんで全くパラレルだぞ。
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/11(水) 20:28:09.60 ID:4P/dLqOFo
こまけえこたあいいんだよ!!
ヒーローはカッコいい!!それだけでいい
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 21:55:18.53 ID:g6uwzxF+o
>>394
確かに。ssなんだからこまけえ(ry
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:51:58.12 ID:tkqhw6xDO
>>393
レッツゴーで歴史が変わっちゃったのを修正してから微妙に歴史ずれた説
もちろん無理矢理納得する必要などないんだが

それこそ、こまけぇこたぁ(ry
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 01:58:23.36 ID:zEqQg6eio
正史のMEGAMAXで将軍のガラ戦に絡む発言あるけど
将軍はオーズのどの時期にも合致せずフォーゼから考えても矛盾があるから
細かいこと気にすると禿げる
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/12(木) 08:43:47.24 ID:rsz9hMab0
>>396
あれを混ぜるのはさすがに無いだろww

ちなみにライダーxまどかSSならこんなのもある
http://ssflash.net/archives/1416814.html
暇つぶしにでもどうぞ
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 12:47:20.25 ID:5LHdWgoDO
>>398
これ好きだわ
正しい意味で世界の破壊者って感じで
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/16(月) 23:33:53.35 ID:qUqGyGDt0
夏映画待ちって事にして開き直ってもいいのよ
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/17(火) 20:03:37.28 ID:jJb0OaQ40
予め言っとくけどウィザードは出さないですからねwww…いや、今の時期くらいに完結出来てたら
「インキュベーター事件の残りカスか…つまらないな…」くらいはやらせたでしょうけれど。

没ネタその2。GIGA MAX執筆中に没にしたもの
・スターアレグロ・ザ・ワールド
ワルプル戦でキリカが魔女化しましたね。作中ではほむらが瞬殺しましたが、
当初はさやかをそっちに向かわせる予定だったのです。
速度低下によってまともに動けず苦戦するさやかは、スピードの限界を超えて一瞬だけ時を止める…
って展開にしようと思ってたけど、ダルいしさやかちゃんは主役じゃないしやめた。
決戦前の特訓シーンでさやかとキリカが共闘してるのはその名残だったりする。
402 :(BGM:W-B-X 〜W Boiled Extreme〜) [saga]:2012/07/17(火) 20:04:45.51 ID:jJb0OaQ40
Wとなった二人の前に立ちはだかるのは10体ものドーパント達。
タブー・スミロドン・クレイドールにテラー、そして二色のナスカ。更にヒート、メタル、ウェザー、ユートピア。
いずれもかつて彼らを苦戦させた強者ばかりだが、それでもWは軽く笑った。

「魂の篭らない力に強さはねえ。それを教えてやる」

『ああ。行こう、相棒』

『……さあ! お前たちの罪を数えろッ』

いつもの掛け声とともに相手を指さしてから駆け出して、並み居るドーパントの攻撃をあしらいながら、
既に翔太郎は最初の狙いを決めていた――かつて、自分の前で儚く消えていった彼女に。

「まずはお前だ、ファイヤーガール……今度こそ安らかに眠りな」――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

Wがジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填してインサートしたその瞬間、
周囲に突風が吹き荒れてドーパント達を弾き飛ばした。その突風に乗ってWは上昇し、
突風が止むと同時に急降下して必殺の両足蹴りを叩き込む。
果たしてヒート・ドーパントは、疾風とともに掻き消えた。

『ジョーカーエクストリーム! はぁッ!!』

「キャアアァァァッ!」

「ふっ……おっと危ねぇ、オラァ!」――【HEAT!! JOKER!!】

着地とともに背後から殴りかかってきたメタルの攻撃を間一髪かわして反撃の蹴りを入れ、
その隙にWはメモリを入れ替えた。次の瞬間、炎を纏った追撃がメタルを襲う。

「さーて勝負だマッチョメン! いくぜ……」――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

『ジョーカーグレネイド! オラァアアッ』

「グヌォォオオッ」

理性を失い突進してくるメタル・ドーパントの攻撃をWは自身の身体を正中線から分割することで回避し、
そのまま挟み込むように燃える拳を見舞った。メタルは高熱にその身を溶かされ燃え尽きる。

「まだまだ序の口だぜ、喰ら……って、ちょこまか逃げんじゃねえ!」――【LUNA!! JOKER!!】【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

そのままの勢いでタブー・ドーパントに殴りかかるが空中へ退避されてしまう。
それを追ってWは再びメモリを入れ替え、ルナの右腕を伸ばしタブーを捕えた。
更にマキシマムドライブを使用して右半身だけを分身させ、更に強くタブーを絡め捕る。

『ジョーカーストレンジ! はああぁぁぁっ!!』

「ギャァァアッ」

タブーを拘束し終えると、続いて身動きの取れないタブーに向かってWの左半身が跳び、渾身のチョップを喰らわせた。
その瞬間右半身は一つに戻りWの姿も元に戻って、一瞬遅れてタブーが爆散した。
すぐさまスピード自慢のナスカとスミロドンに囲まれるが、Wは慌てずメモリを入れ替える。
403 :(BGM:W-B-X 〜W Boiled Extreme〜) [saga]:2012/07/17(火) 20:05:41.11 ID:jJb0OaQ40
「どんどん行くぜ……ハッ!」――【LUNA!! METAL!!】

伸縮自在のシャフトを駆動させ、高速で攻撃をしてくる二人のナスカとスミロドンの攻撃を防ぐ。
更にWは手首のスナップでシャフトを振るい、接近してきたドーパントを薙ぎ払った。

「ほらどうした、こんなもんか?」――【METAL!! MAXIMUM-DRIVE!!】

『メタルイリュージョン!! でやああああっ!!』

その隙にWはメタルシャフトを一際大きく振るった。
それとともに無数の光輪がシャフトから生成され、ドーパント達に向かって飛んでゆく。
しかしその全てが間一髪で避けられてしまい、Wの背後にはRナスカ・ドーパントが迫っていたが――
次の瞬間、ブーメランの如く急旋回した全ての光輪がRナスカに命中し、大爆発を起こした。

「グアアアアアアッ」

「はッ、ざっとこんなもんよ。まだまだ終わらねえぜ。獣には火だろ!」――【HEAT!! METAL!!】【METAL!! MAXIMUM-DRIVE!!】

『メタルブランディング! ハアァァッ!!』

「キシャアアア!」

続けざまに姿を変え、燃えるシャフトを構えたWは、突進してきたスミロドンの攻撃を間一髪のところで避け、
それを追うように跳び、メタルシャフトを叩き付けてスミロドンを爆散させた。
その隙を狙って攻撃してきたナスカをなんとかいなして、更にメモリを入れ替える。

「そういやお前とは決着つけてなかったなァ霧彦! ここで決めてやるぜ!」――【CYCLONE!! METAL!!】【METAL!! MAXIMUM-DRIVE!!】

竜巻を纏ったメタルシャフトを構えてWが地を蹴る。ナスカもそれに合わせて跳び、二人は空中で打ち合った。
一撃目、互いの武器をぶつけ合い互いに弾かれた。返す刃と言わんばかりに二撃目、これも相打ち。
三度目の交錯で若干ナスカの姿勢が崩れ、それを見逃さなかったWの四度目の攻撃でナスカの剣は弾き飛ばされた。
そして五撃目――

『メタルツイスター!』

「グ……ゥ……カ、ゼ……? ガアアアアァァァッ!!」

Wはガラ空きになったナスカの胴を全力で薙ぎ払った。
ナスカ・ドーパントは凄まじい爆風とともに消滅し、ほぼ同時にWが着地する。
間髪入れずにまたもWはメモリを再装填する。

「さぁてこっからはちゃっちゃと済ませるぜ。来な、若菜姫!」――【CYCLONE!! TRIGGER!!】【TRIGGER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

『トリガーエアロバスター!!』

「チッ……ウァアアッ」

Wは銃口から小型の竜巻を連射する。
クレイドール・ドーパントは何度か身体を再生させて対抗するものの再生が破壊に追いつかず、
数えて七度目の破壊の後に爆散した。

「お次はお前だ、井坂ァ!」――【HEAT!! TRIGGER!!】【TRIGGER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

『トリガーエクスプロージョン! うおおおおぉぉぉッ!』

「ヌ……ウォアアアアッ!!」

Wが放った熱線とウェザー・ドーパントの冷気がぶつかり合う。
二つの攻撃はほんの一瞬だけ拮抗したかに見えたが、すぐに熱が冷気を溶かし、
ウェザーに大熱量の一撃を叩き込んで消滅させた。

「はっ、こんなもんか……うぉっと危ねぇ!」

その瞬間、Wを青黒い液体が襲う。Wはその場から飛び退ってなんとか回避し、液体が放たれてきた先を見る。
最後に残っていたのはテラー・ドーパントとユートピア・ドーパントだった。先の攻撃は、テラーのものだろう。

「あの攻撃だけは喰らうわけにはいかねぇな……こいつで決めるぜ!」――【LUNA!! TRIGGER!!】【TRIGGER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

『トリガー……フルバースト!!』

テラーが放つ、潜在的な恐怖を煽る攻撃を全て自在に軌道を変える光弾で撃ち落とす。
そのまま光弾を何十発も喰らわせ、テラー・ドーパントを消滅させた。
404 :(BGM:W-B-X 〜W Boiled Extreme〜) [saga]:2012/07/17(火) 20:06:55.47 ID:jJb0OaQ40
「さぁ、お前で最後だな加頭順……これで決まりだ!」――【XTREME!!!】

「フンッ!」

『無駄だ。プリズムビッカー!』

Wが変身を終え切らぬうちにユートピアは手にした錫杖で攻撃を仕掛けてくるが、
ぎりぎりのところで変身を終え、クリスタルサーバーからプリズムビッカーを召喚し、
ビッカーシールドでその攻撃を受け止めた後隙だらけの胴に蹴りを加えてユートピアを吹き飛ばす。

『無駄だ。君の攻撃は既に全て検索を終えている』――【CYCLONE!! MAXIMUM-DRIVE!!】

クオークスの力で放つ炎をビッカーシールドで防ぎつつ、サイクロンメモリをシールドに装填。

「今の俺達は、誰にも止められないぜ」――【HEAT!! MAXIMUM-DRIVE!!】

再び飛びかかってきたユートピアに掌底と蹴りの連続攻撃で更にダメージを加えた後、ヒートメモリをシールドに装填。

『あそこで少女たちが頑張ってるからね。僕らが不甲斐ないところを見せるわけにはいかないさ』――【LUNA!! MAXIMUM-DRIVE!!】

倒れこんだユートピアを更に蹴り飛ばして、ルナメモリをシールドに装填。

「マキシマムの大盤振る舞いだ、とくと見やがれ」――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】

最後にジョーカーメモリを装填して、プリズムソードをシールドから抜く。
Wは地上を滑るように駆け抜けてユートピアに接近。ユートピアはなんとか起き上がり錫杖を振るうが、
眼前で飛び上がって難なくそれを避け、ユートピアの真上から急降下し、四色の光とともにソードを突き刺した。
身体の中心に虹色の傷痕を刻んだユートピアは、膝をつき倒れこんだ後に消滅する。

『ビッカー! チャ――ジ……ブレイク!!』

「グッ……ウオォォオオアアァァァアアッ!!」

「ま、ざっとこんなもんさ」

『後はインキュベーターだけだね……』
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/17(火) 20:15:27.84 ID:jJb0OaQ40
正史云々について荒れてたようなので、「このSSにおける」正史を公開します。

ライスピ→ブラック以降の昭和&平成→ディケイド→ディケイドが平成ライダーの世界を回り終えたくらいからW開始
→ディケイド映画→MOVIE大戦2010→Wのエクストリーム回くらいからOOO開始
→AtoZ(この頃OOO、ヤミーを追って風都へ。ヤミーは倒したが爆風でメダルが屋上へ吹っ飛び、Wと会う)
→CORE(あの時のバースバスターは試作品だったので後藤さんでも装備できたという設定)
→レッツゴー(世界は修正されたが、仮面ライダーと関わった少年たちには事件の記憶が残った。大量のエキストラにも、
ヒーロースゲーっていう漠然とした記憶は残っている)→OOO終盤にフォーゼ開始
→将軍(敵対していたウヴァだけは別のところからメダルを投げたという設定)→MEGAMAX→数か月後、このSS
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 11:45:09.83 ID:J3CQt0nDO
乙!

ぼっちでもコア貸してくれるウヴァさんマジツンデレ
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/19(木) 20:15:01.87 ID:v+oycCrA0

映画みたいな無双タイムがまざまざと思い描かれる
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 13:00:50.83 ID:uyYcz1JDO
この分だとアメリカじゃマーブル社とDC社のヒーローが暴れてそうだ
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/07/20(金) 15:08:47.00 ID:Pse7+xPAO
キカイダーs、イナズマン、ズバット「解せぬ」
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 21:09:41.93 ID:jdLOVZuDO
しかも海賊達一度地球去った後=レンジャーキー返した後だろうから
それはそれは負ける気がしないな
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 23:49:23.92 ID:uyYcz1JDO
あと、47代目大統領や筋肉モリモリマッチョマンで変態な州知事、元プレスラーの市長、元特殊部隊のコック、フリーのジャーナリストがいつものノリで銃火器、鉄パイプ、素手で暴れてるシーンを受信した
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 18:49:58.03 ID:/6sU1cqDO
宇宙刑事's「インキュベーターの本星は任せろ」

またギャバン映画化するらしいしな
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 23:05:49.13 ID:ZoBh6qYDO
宇宙警備隊の方々「解せぬ」
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/27(金) 22:58:45.33 ID:g4yGQC9D0
映画公開されたらきっと更新速度は上がるって、あたし信じてる
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/28(土) 21:21:01.28 ID:t79I4PVA0
とりあえず書けてる分だけでもちょっとずつ落としていこう
もうしばらくすれば書き溜める時間も出来るはず(希望的観測)
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/28(土) 21:21:42.05 ID:t79I4PVA0
「トォ!」

「ハァッ!」

「ぐっ……」

二人の仮面ライダーは、完璧な連携でショッカーグリードを圧倒する。
1号が相手の攻撃を躱した隙に2号が強力な拳を叩き込み、
2号が攻撃を防げば1号が見事な蹴りを炸裂させる。

「ガッ……何故だ! 何故このショッカーグリードが、貴様ら旧式の改造人間などに圧倒されている!?」

「貴様には分からんだろうな、ショッカーグリード! 正義の魂滅びぬ限り……」

「仮面ライダーは負けねえのさ! トオォッ!」

「ガァアッ!」

闇雲に殴りかかったところを巧く避けられ、カウンター気味に二人同時のパンチを貰い吹っ飛ばされる。
もはやだれの目から見ても勝負は見えていた。ショッカーグリードはもはやふらついて立ち上がることすら覚束ない。
対してダブルライダーは、一つの手傷すら負わずにその前に立ち塞がっていた。

「……行くぞ一文字!」

「おう本郷! 決着だ!」

『トォ! ライダ――……ダブルキィィイイ――――ック!!』

「ッガアアァァァアアッ!」

完全にシンクロした動きでダブルライダーが軽く飛び上がり、空中で一回転した後に痛烈な飛び蹴りを見舞った。
ライダーダブルキック……幾多の怪人を屠ってきた、正義の必殺技だ。
ショッカーグリードは十数mも吹っ飛んだあともんどりうって倒れこみ、遂には爆発する。

「……あっちは終わったか。ったく俺も物好きなもんだ……ぜっ!」

二人の様子を一瞥した後、滝は未だ衰えぬ技のキレで戦闘員を叩き伏せる。
正義の力はなくとも、正義の魂は決して消えない。その魂こそが滝の力であるのだ。

「ライダー……パァ――ンチッ!」

最後に残った戦闘員を高圧電流付きのパンチで思い切り殴り飛ばし、
これで三人の戦士たちは、全ての敵を倒しきった。


全てのマスカレイドを倒し、ドクトルGの変身したカニレーザーを追い詰めたV3とライダーマン。
カニレーザーの顔には焦燥の色が見え、対する二人のライダーには余裕が見える。

「これで終わりだ! マシンガンア――ム!」

「グッ……」

ライダーマンが放った弾丸はカニレーザーの眼を正確に狙って飛ぶ。
なんとかそれは防いだものの、当然視界は自らの腕で塞がった。
そしてその隙を、V3は決して見逃さない。

「V3――ッ! フル回転……キィィイ――ック!!」

「ヌ……グオォォォオオオ!!」
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/28(土) 21:22:31.40 ID:t79I4PVA0
屑ヤミーの群れを突破したXはアポロガイストに掴みかかり、
高く飛び上がるとアポロガイストを何度も地面に叩き付け始めた。

「これが貴様の最後だ! 真空地獄車ぁぁああ!」

「ぐ、ううっ……まだだ、この……っ!」

アポロガイストは爆弾を仕込んだ左腕でXを巻き添えにしようと図るが、
それを察知したXは幾度かの叩き付けの後に手を放し、空中で身体を捻る。

「Xキィィイーック!!」

「が、はっ……!」

最後の手段さえ見破られ、防がれたアポロガイストは為す術もなく爆散した。
対してアマゾンは十面鬼を機敏な動きで翻弄して斬撃を加え続けているが、なかなか有効打が与えられない。

「クッ、硬い……ジャングラー!」

主の命令に従い操縦なしで駆動するバイクが、カウルから何かを吐き出す。
それはアマゾンの左腕に備わる装飾と遂になる、古代の秘宝。それが合わさったとき、凄まじい力を生み出す。

「ガッ……アアアアァァァァァアアウウウウゥゥゥゥゥ!!」

両腕のひれカッターがより鋭く、より大きく姿を変える。
アマゾンは高く高く飛び上がると、雄叫びとともにその刃を十面鬼に喰らわせた。
両の腕で二度裂かれ、身体を四等分にされた十面鬼は断末魔の叫びとともに消滅する。

「ス――パ――大、切、断ッ!!!」

「グオオォォォオオッ!!」


ダスタードの群れを押し通り、ジェネラルシャドウに突撃するストロンガー。
そのまま全力で飛び上がり、全ての力を解放して蹴りをぶちかました。

「こいつで決まりだぜ、チャージアップ! 超電子……ドリルキイイィィィック!!」

「ッガアァアア……それでこそ、我が好敵手だ……グアアアアッ!」

対してZXは体中に仕込んだ装備で周囲のダスタードを全滅させたのち、
因縁の相手であるタイガーロイドに向き直った。
両腕を力強く振って竜巻を発生させ、その中を自身も高速で回転しつつ進み、必殺キックを見舞う。

「……止めだ三影……今度こそ、な。ZX穿孔キィィ――ック!!」

「ガ、ガガッ……アガアアアアァァァァ!」


「止めだ超銀河王! 行くぞ、沖! トォッ!」

「ああ、筑波さん! ハァッ!」

「何故だ! 何故、銀河を総べるべく再生したこの私がッ……!」

時を止める能力を用いても逃げることすらできないほどの猛攻を前に、超銀河王は既にボロボロにされていた。
そしてそんな状態で二人のライダーの必殺の一撃を避けられるわけもなく、ダブルキックをまともに受けてしまう。
超銀河王は凄まじい爆発とともに、消滅した。

「大回転……スカ――イキィイ――ック!!」

「スーパ――ライダ――……月面キイイィ――ック!」

「残、念……無念ッ……グアアアアァァァァ!」
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/28(土) 21:23:31.03 ID:t79I4PVA0
アクセルは手にした剣で大量のマスカレイドを薙ぎ払う。
しかしその数は余りも多く、今にも風都に入り込まれそうになっていた。

「これで終わりだ、雑魚どもが……ッ!」――【ACCEL!! UPGRADE!!】

業を煮やしたアクセルは、ドライバーから一旦メモリを取出し、アダプタを取り付けて再変身した。
瞬間、燃える炎のような紅の鎧が剥がれ落ち、雷電の如き金色の鎧が現出する。

「絶望がお前達の……ゴールだアアァァァッ!!」――【ENGINE!! MAXIMUM-DRIVE!!】

全身から炎を噴き出してアクセルは空中を舞う。
手にした剣にエネルギーを充填し、急降下しながらそれを振るい、全てのマスカレイドを撃破した。


「さぁて後藤ちゃん、新搭載されたっていうCLAW'sで決めようじゃないの!」――【RIDER-ARM!! CELL-BURST!!】

「分かりました。行きますよ……!」――【RIDER-LEG!! CELLBURST!!】

二人がドライバーにセルメダルを挿入すると、伊達が変身するバースの右腕には巨大な腕が。
そして後藤が変身するバースの右足には、巨大な脚が顕現した。
バースを改良したほむらにとっての、最も分かり易い仮面ライダーとしての力を備えた腕と脚。即ち――

「ライダーパァアアアンチ!!」

「ライダーキイィィィーック!!」


「これで終わりだ。俺の運命は嵐を呼ぶぜ……メテオストームパニッシャー!」――【METEOR-STORM!! LIMIT-BREAK!!】

青く輝く金の流星が戦場を舞い、朱く煌めく弾丸を射出する。
星屑の兵士たちはその攻撃の前に為す術もなく掻き消えていった。
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/07/28(土) 21:24:42.61 ID:t79I4PVA0
無双パート見るの好き
無双パート書くの難しい
次回投下は、まあ、出来る限り早く…
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/28(土) 21:47:23.64 ID:Qht/2Id4o
乙ベント
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/28(土) 22:50:57.10 ID:tSbicu7S0
ライダー大宇宙乙
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/08/01(水) 21:46:49.06 ID:9RJhk6JT0
ライジェネ2のテキストにはぜひ期待したい
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/02(木) 02:16:18.86 ID:fWHq1ccDO
そういや魔法少女とNEVERって色々、共通点あるよな
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/02(木) 04:56:09.44 ID:xC9XrO/IO
嫌いじゃないわ!
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/02(木) 21:26:53.12 ID:Nv/m52eDO
>>423
さやか「あたし……もうゾンビなんだよ!」大道克巳「それがどうした!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1336024012

これとかオススメ
一時期はこのスレと合わせて2スレ掛け持ちして見るのが日課だった
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/03(金) 00:42:02.58 ID:uL/Xt1sT0
>>425
まさかアンタがあのスレでこのスレの名前を出した犯人か!?
恥ずかしかったんだぞ、勘弁してくれよ! なんならレスが付かなくて悩むスレに晒された時より困ったよ!
違ったらごめん


寝る前にちょっと投下。
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/03(金) 00:42:33.29 ID:uL/Xt1sT0
三人の仮面ライダーがインキュベーターの前に立つ。
用意した精鋭を全て倒されたにもかかわらず、インキュベーターは表情を崩さない。

「……はぁ。過去のデータとはアテにならないものだね。どの怪人も、データ上では君達を倒してもおかしくなかったはずなんだが」

そうぼやきながら、インキュベーターは軽く重心を下げ、戦闘態勢を整えた。

「来なよ。越えられない技術力の差を見せてあげる」

「ごちゃごちゃ言いやがって! まずは俺が行くぜ、うおおぉぉぉおおっ!」

あっさりと挑発に乗り、フォーゼが手にした大剣を構え突撃する。
しかしその攻撃は一度たりともインキュベーターを捉えることなく躱され、
一瞬の隙を突いたインキュベーターの攻撃でフォーゼは吹っ飛ばされてしまう。

「くっ……なら俺が!」

続いてオーズが右の拳と左手のスピナーを併せて舞うように攻撃を仕掛けるが、これも通じず、全て受け切られてしまう。
オーズは続いて飛び上がりコンドルの脚力を活かして連続キックを繰り出すものの、
かえってその脚を掴み取られて反対方向に投げ飛ばされてしまった。

「喰らえッ!」

『隙有りだ……!』

「違うね。この程度、僕にとっては隙にはならないのさ」

その瞬間Wが背後から斬りかかるが身長の半分ほどもある尾で受け止められる。
両手の剣と盾を活かしてWはインキュベーターと互角に戦うものの遂には押し切られ、
胸元に重い掌底の一撃を喰らい、十数メートルも弾き飛ばされてしまった。
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/03(金) 00:44:09.78 ID:uL/Xt1sT0
「がっ……ぁあッ!」

殴られた個所を押さえ悶えるWを尻目に、インキュベーターは語り始める。

「今のこのボディにはかつて存在した悪の組織の技術を全て搭載してある」

「ショッカーの生体改造。ゲルショッカーの生体合成。デストロンの生体と機械の合成」

「GODの神話実現・悪意顕現。ゲドン・ガランダーの獣性特化。ブラックサタンの機械再現」

「ネオショッカーの改造技術。ドグマ・ジンドグマの戦闘技術。それらの力をバダンの技術で過不足なく合成した」

「ゴルゴムのキングストーンを疑似的に再現し、クライシス帝国の強化細胞を改良して搭載」

「更に改造兵士の技術を応用し、ネオ生命体の生命力を抽出し、フォッグの力を身に纏った」

「グロンギの階級ンの力をコピーし、エルロードの超越能力を得、ミラーモンスターの特性を修得した」

「オルフェノクの進化過程を追い、アンデッドの不死性を会得し、魔化魍の怪異性を宿した」

「ワームのクロックアップ、イマジンの童話再現、ファンガイアの吸血性。全て数倍にも強化されてこの身体に在る」

「およそ地球に存在する技術では――今の僕を殺すことはできないよ」

そう言ってインキュベーターは倒れ伏すWに歩み寄り、その首に手刀を叩き付けんとする。
凄まじい勢いで振り下ろされるその腕を見ながらも、Wは動けない。
その攻撃がWの首に達する寸前、剣と刃が割って入り、インキュベーターの腕を止めた。

「っぶなー……大丈夫? 翔太郎さん」

「師匠、随分とやられたようだね?」

美樹さやかと呉キリカ。
力で言うなら仮面ライダー達には及ばないはずの二人の力が、確かにインキュベーターを止めていた。
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/03(金) 00:45:19.49 ID:uL/Xt1sT0
「地球に存在する技術じゃ止められない……ねえ? こればっかりはバカのあたしにもわかるわ」

「そうだね。繊莉子以外のことを記憶する脳を持たない私にも、これくらいは分かるさ」

二人はちらりと目を合わせたあとにやりと笑い――
全力で刃を振るった。瞬間、インキュベーターの腕は思い切り弾き飛ばされ、腕に胴が引っ張られ、胴に脚が引っ張られ、
インキュベーターは吹き飛ばされた。

「地球の技術じゃ倒せないキュゥべえねえ。だったら、あたし達魔法少女ならどうなのかしら?」

「君達自身が宇宙からもたらしたこの力なら……君を止め得るということじゃないかな?」

「……くだらない言葉遊びだね。僕たちが作り出した力を、僕たちが制御できないと思うのかい……?」

しかし当のインキュベーターは口調ひとつ崩さず、冷静に切り返す。
空間が捻じ曲がったような錯覚とともに凄まじい速度で接近し、今度はさやかとキリカが殴り飛ばされた。
そこでついに、さやかとキリカに続いて他の魔法少女達も駆けつけた。

「お、皆来た?」

「じゃあ、そろそろ魅せようか……私達の本気を」

さやかとキリカが若干ふらつきながらも立ち上がる。
この場に揃った八人の魔法少女のうち、七人がドライバーからメモリを抜き出す。

「キュゥべえ。私達の本気――見せてあげる」


――【MAGICA!! MAXIMUM-DRIVE!!】
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/03(金) 00:52:03.52 ID:uL/Xt1sT0
〜よくわかるマギカドライバー解説〜

普段のマミさんのティロ・フィナーレを威力40/MP消費40とします

   , -─-、
  ,rヽ-─-'、
 ν*(ノノ`ヽ)
  ξゝ ゚ ヮ゚ノξ
    ノ7\7、        SG浄化無しだと連射は2,3発が限度ね
   (J_/±|っへ<
.   〈_/_」    \

マギカドライバーを装着すると、ティロ・フィナーレは威力40/MP消費10の低燃費でお得な技になります

   , -─-、
  ,マミ-─-'、
 ν*(ノノ`ヽ)
  ξゝ*^ヮ゚ノξ
   ⊂) 巴)つ
   く/±|jゝ       10発近く撃てるわ! もう何も恐くない!
    .し'ノ

マギカメモリをマキシマムドライブすると、ティロ・フィナーレは威力100/MP消費80の大技になります

    , -─-、
   ,マミ-─-'、
  ν*(ノノ`ヽ)    ティロ・フィナーレ
   ξゝ ゚ ヮ゚ノ((ニ(ニ(l            ,  ''"´"''': ; . ,
    ノつつ|三三二弌ll============lニlll),,'   . : ;  _,; "=−
   ゝ_/±| ニ〃l,=l┘            "'' -''''"´
.    〈_/_」         ズドゥーン


ワルプル戦でのさやかちゃんは、残りMPが少ない時にマキシマムドライブをして大技撃ったので、魔力が尽きてしまったのです。
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/03(金) 03:31:55.25 ID:YrcaqZoDO
オリコ原作よんだが香川教授と東条君をそのまま足したようなキャラだな
んで、相方はまんま東条君でわらた
このSSではまともだったからビックラこいた
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2012/08/03(金) 07:04:27.23 ID:0w0u1M7k0
なんと言う説明ゼリフwww
べぇさん、それフラグです。
それで今までどれだけの敵が倒されたと思ってるんだよwww
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/03(金) 11:42:35.48 ID:WwIMakIDO
>>426
だが私は謝らない
その恐怖心を克服して、必ず執筆に戻ってくれると信じているからな


いややっぱりごめんなさい
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/03(金) 14:32:26.00 ID:1hMlXq88o
ふう、全部読んできた…
なぜリアルタイムで読まなかったのか、勿体ない事をした。
面白いよー続き読みたいよ はよはよ
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/08/03(金) 18:04:10.90 ID:dCnC23VP0
>>432
剣崎乙
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 23:18:58.44 ID:gYygtk6DO
次のウィザードは魔法使いらしいな
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/08/06(月) 12:37:07.73 ID:LOnp4nLT0
>>436
>>371
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/06(月) 12:42:20.67 ID:mNAbM6tKo
童貞を奪われたら変身できなくなるのか胸熱だな
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/06(月) 19:03:12.79 ID:10dvi6iDO
映画を見に行く時は、スイッチ40個の内どれか一つを持ってく事を強くお勧めする
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/07(火) 16:14:42.94 ID:GpqCKXvDO
あそこはもう少し短く纏めてほしかった
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/07(火) 17:31:48.53 ID:DTZPY6VDO
きっと今>>1はお節介な魔法使い登場シーンを加筆中
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/08(水) 01:08:14.97 ID:yQfNQ7Bg0
だからウィザードは出ないって言ってるじゃないですか! やだー!
つかフォーゼ映画見に行ってねえよ! 見てえよ畜生!
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/08(水) 01:09:35.29 ID:yQfNQ7Bg0


――【MAGICA!! MAXIMUM-DRIVE!!】


凄まじい量の魔力が一度に解き放たれ、次の瞬間魔力のオーラに包まれたさやかとキリカが再び大地を蹴る。
一瞬でインキュベーターとの距離を詰め、一糸乱れぬ連携で連続攻撃を浴びせた。
だがしかしその攻撃はほぼすべてが避けられ、回避を許さなかったものも全て受け流されてしまう。

「だから無駄なんだって。この様子じゃ君の速度低下魔法もまともに働いちゃいないんじゃないかい?」

「まさか。今は他の物を遅くするのに魔力を費やしているだけさ」

「なにを……っ!?」

インキュベーターは気付く。ほぼ同時に攻撃を仕掛け、ほぼ同じ頻度で剣戟を繰り出していたはずのさやかが、
次第に攻撃の手を緩めていることに。直接攻撃するのをやめ――インキュベーターの周囲に大量の剣を浮かべていることに。

「これがあたし達二人なりの、『無限の魔剣』……なんつってね!」

「さあ、喰らうがいい!」

キリカの掛け声とともに、投擲速度を大幅に制限されていた剣の群れが一斉に射出される。
同時に、インキュベーターの身体は硬直する。思考速度に身体速度が追い付かなくなる。
自由自在に対象を選びその速度を制限する――これが、呉キリカの速度低下魔法だ。

「ぐッ……!」

十数の剣が体に突き刺さる。勿論インキュベーターはその程度のダメージを苦にしない。
しかし同時に、インキュベーターは忘れていた。さやかの剣の特異性を。

「!? ごはァ!」

身体中に突き刺さった剣の柄が全て炸裂し、刀身を無理矢理押し込んだ。
流石に深く突き刺さればある程度のダメージはそれなりにあったようで、インキュベーターは膝をつく。
しかしすぐに立ち上がり筋肉の伸縮で刀身を破壊すると、反撃に出るべく一歩踏み出す。

「――!?」

踏み出した足が動かない。それは――地面から突き出ている槍を踏みつけてしまったからに他ならない。
悪態をつきながら顔を上げると予想通り、杏子がさやかとキリカの陰で地に槍を突き刺していた。
地中で多節槍を展開させ、足元まで伸ばしたということだろう。

「ぃよう、ざまあないなキュゥべえ!」

「くっ……!」

思い切り力を入れて足を槍から引き抜く。鮮血が迸ったが、瞬きするほどの間もなくその傷は塞がった。

(まずい――彼女達の今の力は、僕の与えた力を遥かに上回っている……!)

超高速のバックステップで距離を取るインキュベーターの背を、ふいに二つの異物感が襲う。
汗腺の類は搭載されていないはずだが、インキュベーターは冷や汗を流すような感覚を知ることになった。
果たしてその異物感の正体は――鹿目まどかと暁美ほむらに突き付けられた、二人の得物であった。

『フィニトラ――フレティア!!』

「ぐあばあああぁぁぁああッ!」

超高速で来た道を戻るかの如く吹き飛ばされ、何度か地面を跳ねた後もんどりうって倒れ込む。
ふらつきながら起き上がると、その瞬間に両肩が外された。
繊莉子の水晶玉と、ゆまのハンマーによる打撃が原因だ。

「くっ……このカスどもがっ!」

何とか下半身だけで起き上がるが、時既に遅し。
マミが召喚した大砲が、魔力の充填を終えていた。
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/08(水) 01:10:35.09 ID:yQfNQ7Bg0
「ティロ……フィナーレ!!」

極太の光線がインキュベーターの身体をまるごと包み込み、辺り一帯を激しく照らした。
凄まじい爆音とともに弾き飛ばされたインキュベーターはぼとりと地に落ち倒れ伏す。
身体中が黒焦げになってはいるが、しかしまだ立ち上がれる程度の体力は残しているようだ。

「くっ……この、下等生物どもが……!」

「いい加減……くたばりやがれ!」――【JOKER!! MAXIMUM-DRIVE!!】
「おぉぉおッ、せいやぁぁああッ!」――【GIGA-SCAN!!】
「おりゃああぁぁぁぁああああ!!」――【LIMIT-BREAK!!】

「ごあぁぁあッ!!」

しかしその体は、再び立ち上がった仮面ライダーの猛攻を受け天高く弾き飛ばされる。
白い毛並は鮮血で滲み、目は充血し牙に涎を滴らせ、それでもインキュベーターは吠えた。

「いいだろう、認めよう。僕は追い詰められている。だがしかし、それでも僕の勝ちは揺るがない!」

「僕はこれから残存エネルギーを解放し、宇宙から君達を狙撃する。避けようが受けようがこの街は壊滅さ」

「事前の計算を超える君達さえ抑えてしまえば、後の連中など如何様にも叩き潰せる!」

ぎょん、と空間が歪む音とともにインキュベーターが急上昇し、姿を消す。
宇宙からの超長距離狙撃。受けようが避けようが、そのエネルギーの余波で見滝原市は壊滅するだろう。
だから撃たせるわけにはいかない――だから。

「参ったな……流石の私でも、宇宙には行けない」

「……そうね。最後の最後まで貴方達に任せることになって申し訳ないのだけれど」

「――行けますか? 仮面ライダー」

『おう!』

これが正真正銘、最後の決戦だ。
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/08(水) 01:11:55.35 ID:yQfNQ7Bg0
現在の目標は、1レスあたりの文量をある程度揃えることです。
このスレ当初からの目標なんですが、一向に改善の兆しが見えません。
でもそんなことはどうでもいいからフォーゼの映画が見たいよママン…
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/08(水) 01:44:55.77 ID:WeQbPB0DO

映画見てないなら今回の投稿分、映画内容にかなり近いのは偶然なのか
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/08(水) 02:02:40.19 ID:sWNmtMwDO
このQBさん、歴代敵組織の特性を備えてるわりには小物感がパネェ
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/08/08(水) 02:55:00.05 ID:LJneD4XAO
技術は流用できても、悪の美学までは習得出来なかったって事だな

キュウべぇは歴代の技術なんかより、誇り高き強敵達の精神を見習うべきだった
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/08(水) 10:00:33.09 ID:8O982UOro
だれからあれほど遠距離攻撃は怪人カメバズーカの遺伝子を取り入れろと言ったのに…
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/10(金) 01:57:44.04 ID:p9Yc08HDO
あの亀デンライナーの破壊という偉業を成し遂げてるからな
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:27:49.11 ID:gNWhQj9I0

今宵、完結編
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:28:48.53 ID:gNWhQj9I0
Wとオーズとフォーゼ。三人のライダーが並び立ち、空を見上げる。
舞台装置の魔女という名の嵐が消え去った今、雲一つないこれ以上ない晴天だ。
そしてその先に、インキュベーターがいる。

「……なぁ、皆」

翔太郎が、ぼそりと呟いた。

「一つ、頼みがあるんだ」

「……何?」

「簡単な事さ。俺達の勝利を祈っててほしい、ってだけだよ」

「……それだけ、ですか?」

魔法少女たちは訝しげな顔をする。
しかし、ただ一人まどかだけはすぐに手を合わせて目を閉じきゅぅ、と身体を縮こませるようにして祈りを始める。
それを見てほむらとさやかが、続いてマミとキリカが。最終的には、魔法少女全員が祈りのポーズをとった。

その、瞬間。

まるで再び嵐が来たかのような突風が、見滝原を襲った。
魔法少女たちはとたんに身を強張らせるが、彼女らが想像したような事態は起きない。
突風は見滝原市のある一点へと収束し、吸収されてゆく――そう、仮面ライダーWのベルトに。


――【X T R E M E !!】


エクスタイフーンが全ての突風を取り込んだ。
それを受けてガイアプロセッサ及びエクストリームプロセッサが高速で演算を開始。
Wの力の源となる風力は限界値を越え、余剰エネルギーは更にWを包み込む。

一際大きな風が吹いた。その場にいた全員が目を覆う。
彼女らが目を開いたとき、Wの姿は既に変化を終えていた。

「金色の――」

「――仮面ライダー?」

仮面ライダーW。サイクロンジョーカーゴールドエクストリーム。
その姿が顕現するとき、あらゆる悪は殲滅し、この世界に奇跡をもたらす。
魔法少女という絶望の上に成り立つ仮初のそれではない――真の奇跡の体現者。

「俺も……負けてられないな」

「そっスね、映司さん!」

映司と弦太朗も、懐から新たなメダルとスイッチを取出し、姿を変える。

――【SUPER!】【SUPERR!!】【SUPERRR!!!】
――【SUPER-TAKA!!】【SUPER-TORA!!】【SUPER-BATTA!!】
――【S・U・PER!! TATOBA TA・TO・BA!! SUPERRR!!!】

金色の輝きとともにメダルのビジョンがオーズを包み込み、進化させる。
真紅の頭部、黄金の胴、そして深緑の脚部。それらに内包されたるは未来の力。
あらゆる欲望をエネルギーとして変換する、歴史の奔流の中で生み出された力。
仮面ライダーオーズ・スーパータトバコンボ。

――【ROCKET:SUPER!!】
――【ROCKET,ON!!】

フォーゼドライバーに収まりきらないコズミックエナジーが凄まじい勢いで蒸気として噴出される。
それとともにフォーゼの身体を山吹色のオーラが包み込み、最後に両腕に一対のロケットモジュールが装着された。
外宇宙より来たる生命の種が、進化の過程で生み出した力。
外宇宙より来たる生命の種と心を通わせた彼が受け継いだ力。
仮面ライダーフォーゼ・ロケットステイツ。

「行くぜ、相棒!」

「あぁ、これで決着だ……!」

「この3人で戦うのは、初めてですね」

「燃えてきたぜッ!」

三人のライダーが同時に地を蹴る。
一陣の風と共に、魔法少女の視界からライダーは消え去った。
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:30:18.89 ID:gNWhQj9I0
「くそ、くそっ! なんて醜態だ、この僕が……!」

既に地球の衛星軌道上まで到達したインキュベーターは、いらいらと呪詛を吐き散らしながらエネルギーを充填していた。
一応、本星に連絡を取ったが繋がらなかった。恐らくは鹿目まどかの世界改変の影響だろう。
財団Xの技術を利用して自身に対する強化改造を施していた自分以外は、改変後の世界の目的に従っているようだ。
恐らく彼らには、自分はただの精神疾患を起こした裏切り者にしか見えていないのだろう。

「くそ、鬱陶しい……こうなってしまったら、僕は本星に戻ることすら出来ないじゃないか」

だから殺す。仮面ライダーも、魔法少女も。
この始末が上手くいけば、自分は財団Xの中でも相当重要なポストに収まることが出来るだろう。
そうなれば、もうそれでいい。
僕は僕なりの位置から、この世界のエネルギー問題を解決する。
それだけだ。
だから。

「――来いよ! この忌々しい、糞下等生物どもが!」

インキュベーターは、青い星を背景に飛来した三人の仮面ライダーに、吠えた。


「――下等生物、か」

『僕達に言わせれば、感情すら理解できない君のほうが下等生物であるように思われるけどね』

「……とにかく、これで終わりだよ」

「ああ! これでトドメだぜ!」

――【DRILL,ON】【ROCKET】【DRILL】【LIMIT-BREAK!!】【LIMIT-BREAK!!!】
――【SCANNING-CHARGE!!】
――【PRISM!! MAXIMUM-DRIVE!!】【XTREME!! MAXIMUM-DRIVE!!!】

「ライダーダブルロケットドリル大宇宙キィィィイイイイ――ック!!!」

「うおぉぉおおおお!! セイッヤアアァァァァアアアアアッッ!!!」

『ゴールデンプリズムエクストリーム!! はぁぁあああああッ!!!』

三色の流星が、白色のオーラを纏ったインキュベーターに激突する。
その力は拮抗し、全く動かない。仮面ライダーは、あらん限りの力を振り絞って更なる威力を生み出すべく吠える。
対するインキュベーターも、地球に向けて射出すべく充填したエネルギーを限界まで解放し、三人のキックを受け止めている。

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

「があああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

地上にいる魔法少女達にもその余波が視認できるほどのエネルギーがぶつかり合う。
拮抗し合う暴力的なまでの想いの激突はしかし遂に傾き、インキュベーターのボディを蝕み始める。
それを見た仮面ライダーW――左翔太郎とフィリップが、ふいに口を開いた。

「……インキュベーター」

『宇宙の寿命を引き延ばす……なるほど、その目的のみについては君は正義だ』

「しかし、てめえの行動の陰で罪のない少女達が苦しみ絶望し、死んでいったのも確かな事実だ」

『つまり、今まで君が結んできた契約の数――それがそのまま、君の罪の数だ。だから』
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:30:54.43 ID:gNWhQj9I0



――さあ、お前の罪を数えろ!

455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:31:29.24 ID:gNWhQj9I0


「わっ……」

ぱりぱりと、装甲が剥がれるかのように徐々に崩れ落ちてゆくインキュベーター。
圧倒的なエネルギーの奔流に包まれて消えゆくその断末魔は、地上にまで届いた。

「わけ、ガ……わかラなイよぉおオオお!!」

月の大きさに達しようかという大爆発を起こし、全ての戦いに終止符が打たれた。インキュベーターは爆散し、
また、インキュベーターがエネルギーの補填に使ったため世界中を襲っていた怪人も消滅した。
これにて、見滝原にて発生し世界中に伝播したインキュベーター事件は……ひとまずの終息を迎えた。

 
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:34:04.97 ID:gNWhQj9I0

koushite, zensekai wo makikonda inkyube-ta- jiken ha owari wo mukaeta.
mahou shoujo tachi no tatakai ga owatta wake deha naiga, kanojora wo torimaku kankyouha
izen yori kakujitsu ni yokunatta no darou.

「やあ。初めまして、というべきかな?」

――あの後、すぐにキュゥべえが現れた。
そいつ曰く、まどかちゃんの世界改変によって魔法少女システムは完全にその性質を変えてしまったらしい。
人の負の感情から生まれる魔獣。それを倒すことによって現出するグリーフシードそのものが、キュゥべえの収集対象となったようだ。
つまり、魔獣を倒し得る魔法少女の死はそのままキュゥべえの損失となるため、両者の関係は改善されるだろう。
キュゥべえが言うには、全ての真実を知らせたうえでそれでも戦う意思を持つ者のみと契約をすることにしたそうだ。
それどころか、ソウルジェムの体内への出し入れが可能になったらしい。
要するに、変身していない魔法少女は人間と同じになったというわけだ。
改めてまどかちゃんの魔法の恐ろしさを痛感した。
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:35:01.62 ID:gNWhQj9I0

madoka chan no okage de oretachi ha ikinokoru koto ga dekita.
kongo ha, kanojora no majuu taiji ni kyouryoku surukoto mo ookunaru no darou.
kanojora ni hazukashii tatakai ha miserarenaishi, hunuketeha iraremai.

なんでも、俺達が戦ったインキュベーターは財団Xによって洗脳を受けていた個体らしい。
そうでなければ魔法少女を積極的に傷つけるような行動はしない、とのことだ。

「無論、僕達は地球上においては契約以外は出来ないように能力に制限をかけられてるんだけどね」

「そうなのか?」

「ああ。本星の技術を使えば、財団Xに頼らずとも地球をエネルギー牧場にするくらいは容易いさ」

「……!」

「……というのが、本星の見解だったんだけどね。どうやらこの事件を見る限り、その見解は改める必要がありそうだ」

「君達の力は僕達が算出した予測値を平然と超える。恐らくは、それも感情に起因しているのだろうね。俄然興味が湧いてきたよ」

……どうやら、今回の件でキュゥべえに一目置かれるようになったらしい。
なんだか気味が悪いが、まあ、これで奴らが感情を理解しようとするならばそれも良いだろう。
また、このシステムにおいて重要なのは、魔獣を倒すのが魔法少女である必要がないということだ。
グリーフシードさえ手に入ればいいので、キュゥべえは世界中にいる、仮面ライダーをはじめとしたヒーロー達にも協力を募ると言っていた。
俺達仮面ライダーWにしたって、隣町のマミちゃん達に協力する意味でも、今後キュゥべえと関わる機会は多いだろう。
……こちらも生活がかかっているので、なんらかの報酬は貰う予定だけどな。
キュゥべえの側も、地球人の生活にかかる程度の費用で宇宙のエネルギーが賄えるなら、とそれなりに前向きだった。
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:36:03.93 ID:gNWhQj9I0

homura chan ha, nagai tabi wo oete, kono sekai de kurasite ikukoto ni natta.
buki ga kawatte simatta koto mo ari, mamichan ni siji si, madoka chan, sayaka chan to tomoni,
yonin de machi wo mamotte iku souda.

「鹿目さん暁美さん、後ろの魔獣を抑えて! 私がまとめて拘束するから、美樹さんが前の魔獣を!」

「わっ、わかりました!」

「了解したわ!」

「っし、さやかちゃんいっきますよー!」

mata, yuiitsu kinsetsu sentou wo konaseru koto to,
oretachi tono shugyou de ookiku seichou sita koto de,
jitsu ha, genzai no mitakihara no e-su ha sayaka chan nanodatoka.
kanojo no kengi niha me wo miharu tokoro ga attanode, sore mo nattoku daga.
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:36:56.76 ID:gNWhQj9I0

「あっ、あの……」

「その……」

『デリカシーないことばっかりして(さやかには悪気なんてなかったのに、八つ当たりして)ゴメンナサイ!!』

『……へっ?』

sayaka chan to ieba, osananajimi toha buji ni nakanaori dekita souda.
madoka chan tachi no kyouryoku ga ookikatta koto ha iumademo naiga.
ore niha kanojo no osanai rennai wo tedasuke shiteyaru koto ha dekinai ga,
kanojo no yuujin to shite, kanojo ga kanashimi ni kureru youna ketsumatsu wo mukaenai koto wo inoru.
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:37:58.55 ID:gNWhQj9I0

(あー、昨日は魔獣の数が多かったから、眠いわね……)

朝のホームルームを聞き流しながら、マミはうとうとしている。
しかし先生の話とともに教室に入ってきた女性を見て、眠気はすっかり吹き飛んでしまった。

「この度転入してまいりました、呉繊莉子です。よろしくお願いしますね」

「繊莉子ー! 待ってたよ! 今日からは私の学園生活も薔薇色だよー!」

(……そもそも、この子同じクラスだったの!?)

mata, ichiban odoroita noga kirika chan no koudou datta.
oya no inai oriko chan wo youshi tosite mukaeireru you, ryoushin wo settoku shiteshimatta rashii.
sonosai kanojo ga itta "oriko wo konomama houtteoku to iunonara, watashi ha kusatte hateruyo"
toiu kotoba de, kirika chan no ryoushin ha sottou shite shimatta rashii.
kongo mo kurou ga taenai de arou kanojo no ryoushin niha, awaremi sura kanjiru.
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:38:45.55 ID:gNWhQj9I0

「よーしグリーフシード一丁上がり!」

「やったね! キョーコ、ゆまもがんばったよ!」

「おー、分かってるって。さ、マミの家にでも行くか」

kyouko chan to yuma chan ha, saikin ha oriko chan no teitaku ni sumitsuki, kimama ni kurashite iru rashii.
yuma chan wo shougakkou ni kayowaseru beku, chikadika katachi dake shisetsu ni ireru koto wo kangaeteirusouda.
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:41:05.01 ID:gNWhQj9I0
「……ま、こんなとこか」

タイプライターから手を放し、しばし放心する。
今回の件は金を取る正式な依頼でもないし、わざわざ報告書を書く必要はなかったのだが、
何の記録にも残さないというのはどうにも気が引けて、つい長々と書きたててしまった。
心地よい疲労感に浸りながら、俺はコーヒーを啜る。

「何を書いていたんだい?」

「ブ――ッ! キュゥべえ、いきなり現れるんじゃねえ!」

「それはすまない。見滝原でまた大量に魔獣が発生したんだ。マミ達だけじゃ数の問題で対処しきれなくてね」

「あー、分かった分かった! いつも通り報酬は出してもらうからな!」

「承知しているよ」

俺が帽子を取出しジャケットを羽織り、事務所を出ようとしたところで突然フィリップが奥の部屋から現れる。
目を輝かせマーカーを持ちはしゃいでいる姿を見るに、また余計なものを検索して楽しんでいるのだろう。

「翔太郎! 君は伊勢海老を知っているかい? とっても美味しいらしいんだ!」

「フィリップ! しばらくしたら変身すっから準備しとけよ」

「……ちぇ、分かったよ。検索はまた後にしておこう」

愛車に跨りエンジンをかけ、見滝原市へ直行する。
魔女と魔獣。魔法少女にとっては単体では弱い魔獣のほうがやりやすいだろうだが、
数が多くあちこちに現れる魔獣のほうが、考え方次第では一般人にとっては脅威だろう。
そういう意味では、まどかちゃんの行いも完全な正義とは言えないのかもしれない。
しかし、今の世界を作るために必死になって戦った少女たちがいることを、俺は知っている。
それをいつまでだって覚えている。決して忘れたりしない。
だから俺達は、この世界を守るために――戦い続ける。

下らない考えをしている内に見滝原市へ到着した。
マミちゃん達は奮闘しているが、魔獣の数は一向に減らないようだ。

「……あ、翔太郎さん!」

「おう。加勢しに来たぜ」

バイクを止め、懐からダブルドライバーとジョーカーメモリを取り出す。
ダブルドライバーを装着。
ガイアウィスパーを鳴らす。
いつも通り、これからもずっと。


――変身!
 
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:45:31.04 ID:gNWhQj9I0



◆日本某所

「き、貴様何をしにここへ……グァア!」
「止まれ! ここから先へは……グオォ!」
「三下に用はないわ。私が欲しいのは――」

「――これよ」

――【WALPURGIS!!】
 
 
 
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:46:56.07 ID:gNWhQj9I0
終わったあああああああああああああああああああああああああ!!
まさか本当に終わるとは思わなかったよママン…(問題発言)
とりあえずこれ以上説明することもないんですが、自己満足で色々語っていきますね。

・キリカについて
とあるスレでキリカ熱が燃え上がって以来、何かしらの形で活躍させたいとは思っていた。
結局、マミさん・翔太郎と厨二仲間になるだけで済ませたけど。
あと、正直マミさんは厨二じゃなくて小二だと思うんだ。無限とか最後のとかは小二でしょ。
厨二ってのは「知っている」を「識っている」と言ってみたり、やたら世界がどうこう言ったりするような……あれ、俺こんな人知ってる気がする

・マミさんについて
もっと活躍させたかったよおおおおおおおおおおおおおおおおお!
どうにもマミさんは活躍させ辛い。元が元だけに活躍させるだけで贔屓してるような気になるんだよなぁ。
……まあ、よく考えれば生き残らせる時点で相当贔屓してるか。

・翔太郎とフィリップについて
本当はワルプル戦ではメタルでファイナリュージョンして、遺言を残して死ぬ予定でした。
で、その遺言の影響でマミと杏子が自爆する流れに持っていく、と。
でもメタルメモリがなかったから即死させるしかなかった。ごめん翔ちゃん。
フィリップについてはまどかの叫びに入れ忘れてごめん。本当ごめん。

・ラストについて
書き始めた頃は、ほむら→CJGX、侵食する黒い翼→CJGXの翼で置換して本編最終回を再現する予定だった。
でもまあ、なんやかんやで無しになった。流石にCJGXを二回出すのはちょっと白けるかな、と

・恭さやについて
皆様のご想像にお任せします。恭さやは書かない、そう誓って書き始めたお話ですので俺から明かせる情報はございません。
でもまあ未変身の魔法少女は人間という唐突な改変を付け加えたのは恭さやのためです。そこは認めます。
ただ、元気になった恭介に仁美が再アタックしない道理はないでしょうねww

・ラストについて
……まあ、続編を書くとしたらここから始まりますよ、的な。
深い意味はありませんし、多分書きません。むしろ誰か書いてくれたら、それはとっても嬉しいなって。
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/08/16(木) 21:48:33.32 ID:gNWhQj9I0
他にも質問があれば答えますが、まあとりあえずこれでお開きということで。その内依頼出しときます。
気が向いたらウィザードとのクロスなんかを書きに舞い戻ってくるかもしれませんが、とりあえずはさようならです。
筆者の前作、恭介「さやか可愛いよさやか」もよろしく! 気が向いたらご一読してやってください!
以下、翔太郎の報告書を読みやすくした奴を載せておきますね〜。


こうして、全世界を巻き込んだインキュベーター事件は終わりを迎えた。
魔法少女たちの戦いが終わったわけではないが、彼女らを取り巻く環境は以前より確実に良くなったのだろう。
まどかちゃんのおかげで俺達は生き残ることが出来た。
今後は、彼女らの魔獣胎児に協力することも多くなるのだろう。
彼女らに恥ずかしい戦いは見せられないし、腑抜けてはいられまい。
ほむらちゃんは、長い旅を終えて、この世界で暮らしていくことになった。
武器が変わってしまったこともあり、マミちゃんに師事し、まどかちゃん、さやかちゃんと共に、
四人で街を守っていくそうだ。
また、唯一近接戦闘をこなせることと、
俺達との修行で大きく成長したことで、
実は、現在の見滝原のエースはさやかちゃんなのだとか。
彼女の剣技には目を見張るところがあったので、それも納得だが。
さやかちゃんと言えば、幼馴染とは無事に仲直りできたそうだ。
まどかちゃん達の協力が大きかったことは言うまでもないが。
俺には彼女の幼い恋愛を手助けしてやることはできないが、
彼女の友人として、彼女が悲しみに暮れるような結末を迎えないことを祈る。
また、一番驚いたのがキリカちゃんの行動だった。
親のいない繊莉子ちゃんを養子として迎え入れるよう、両親を説得してしまったらしい。
その際彼女が言った「繊莉子をこのまま放っておくというのなら、私は腐って果てるよ!」
という言葉で、キリカちゃんの両親は卒倒してしまったらしい。
今後も苦労が絶えないであろう彼女の両親には、哀れみすら感じる。
杏子ちゃんとゆまちゃんは、最近は繊莉子ちゃんの邸宅に住みつき、気ままに暮らしているらしい。
ゆまちゃんを小学校に通わせるべく、近々形だけ施設に入れることを考えているそうだ。
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 21:55:16.78 ID:IoklIF9DO
乙彼!! b

長い長い話を最初からリアルタイムで追えた事は幸せだった
一時はまどか達と一緒に絶望したけど、ハッピーエンドで本当良かった

また>>1の作品を読める日を楽しみにしてる
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/16(木) 22:02:27.04 ID:ol5k3fEdo
オツゥ!マキシマムドライヴ!!

>>とあるスレでキリカ熱が燃え上がって以来

(お前がどこの長屋かわかったけど黙っておこう・・・)
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 22:03:11.46 ID:+o6hNRXOo
乙、面白かったのに。

最後がくさい
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/16(木) 22:04:37.55 ID:ol5k3fEdo
>>468
クサくてなんぼ
こまけえこたあ(ry
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/08/16(木) 22:43:26.64 ID:AkGHbQzv0
乙!乙!乙!乙!

最終決戦シーンも実にらしい
全員映画限定強化フォームがあって、しかも全員飛べるとこんなにかっこいい絵になる訳だな
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 01:57:02.69 ID:Ls8c35fDO
>>470
(0H0)…
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 06:32:33.80 ID:YuUrA5C0o
乙!
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/17(金) 06:35:03.51 ID:Z8BvFmK6o
オーツ
474 :sage :2012/08/17(金) 22:30:50.10 ID:iaqybtjA0
乙!!
楽しかったです。ありがとう!!
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/08/18(土) 00:22:20.08 ID:4ymt4YF30
乙!乙!乙!ギン!ギン!ギン! \ギガスキャーン!!!/
終わっちまった…超面白かった!
GIGAMAX級の感動をありがとう!!
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 00:55:21.42 ID:g7sfTkEDO
乙・プリーズ

絶望からのひっくり返しは
いやあヒーローっていいものですね、と思い返させてくれた
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 10:08:55.42 ID:XQdxCwYoo
乙!

某スレとはもしかして主人公がずたぼろによくなるあのスレ?
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/18(土) 14:53:48.17 ID:2EnBb53B0
>>1なんですけど、HTML依頼スレが開けないんですけどどうすりゃいいんですか
しばらく放置してて大丈夫なんですかコレ
怒られたりしませんよね?
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 15:14:43.07 ID:XFI/V+Xto
少しくらいは平気じゃないですかね。一応こちらでは開くことが出来ましたが

あと遅れましたが、完結おめでとうございます。お疲れ様でした。
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/08/18(土) 15:53:19.93 ID:ZpLMXNOJ0

今まで見た中で一番熱くて面白いSSだった
まさかSSに元気を貰えるとは…
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/18(土) 16:44:41.82 ID:2EnBb53B0
>>479
いやなんかSS速報のトップにHTMLスレへのリンク貼ってあるけどそれが使えなかったって話
しかもスレタイ検索も効かないとかいう状態だったんだよ

スレ一覧から見つけられたから、ちょっくら依頼出してくる
次は恭さやでこってこてのラブコメとか書きたいな…(実際に書く気はない)
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/18(土) 21:03:37.02 ID:uZOu/S0P0
やあ、まとめからきましたよ。乙
次回もきたいしております。
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 23:03:00.07 ID:aI8lP9a7o
無事完結乙
マギカ×ウィザードも楽しみにしてるわww
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/19(日) 00:02:34.39 ID:peAi/YBL0
まとめってなんぞと思ってスレタイでググったらまとめサイトのってたあああああああああああああ
うわ嬉しい、クロスの長編だから絶対乗らないだろと思ってた! うわぁ超嬉しい!


…エンディングテーマはEXTREME DREAMにしようと心に決めてたのに、書き忘れた…辛いです
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/08/19(日) 07:11:30.90 ID:pyl3T0VM0
いろんな意味で長い戦いだったぜ・・・
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/19(日) 12:39:56.32 ID:xH80LXXDO
>>484
まとおめ

BGMはセルフで流すから心配なさるな
…宇宙行ったからイメージ的にはCOSMIC MINDだったけどね
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/19(日) 15:56:31.72 ID:peAi/YBL0
>>486
このSSはあくまで仮面ライダーWが主役のSSだから、Wからとろうとは決めてたんだ。
書き始めた当初はほむらと合うなってことでcodEにするつもりだったけど偉大なる先人と被ったので却下。
じゃあそのままWにしようかと思ったけどついうっかり挿入歌扱いにしちゃったから却下。
残ったのがEXTREME DREAMだけだったのと、あとまどマギらしからぬ悲観的な要素が一つもない明るい歌だったから、なんかイイな、って思ってさ。
カラオケではとても歌えないようなハイテンションな歌だけどお気に入りの歌なのです、はい
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