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鳴上「月光館学園か」有里「八十稲羽?」ゴールデン 2 -
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1 :
◆e8lME0lo0A
[sage]:2012/09/19(水) 00:01:22.01 ID:qWwLXxcho
前スレ
鳴上「月光館学園か」有里「八十稲羽?」ゴールデン
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341500413/
の続きになります。投下は月〜金毎零時前後。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1347980481
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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]: ID:???
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パンティ「ガーターベルト大丈夫かー」ストッキング「血が止まらないわー」 @ 2025/07/26(土) 02:27:49.65 ID:OmgbeFOdO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753464469/
うんち @ 2025/07/25(金) 23:18:36.55 ID:tsEvWZe2o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753453115/
天龍「イキスギィ!イクイク!ンアーッ!枕がデカすぎる!」加賀「やめなさい」 @ 2025/07/25(金) 19:40:58.85 ID:LGalAgLLo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1753440058/
(安価&コンマ)コードギアス 薄明の者 @ 2025/07/23(水) 22:31:03.79 ID:7O97aVFy0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753277463/
ご褒美にはチョコレート @ 2025/07/23(水) 21:57:52.36 ID:DdkKPHpQ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753275471/
ビーノどっさりパック @ 2025/07/23(水) 20:04:42.82 ID:dVhNYsSZ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753268681/
コナン「博士からメールが来たぞ」 @ 2025/07/23(水) 00:53:42.50 ID:QmEFnDwEO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753199622/
4日も埋まらないということは @ 2025/07/22(火) 00:48:35.91 ID:b9MtQNrio
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753112915/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/19(水) 05:43:29.78 ID:KQKP5SzDO
埋め
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/19(水) 05:44:03.16 ID:KQKP5SzDO
埋め
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/09/19(水) 05:44:21.74 ID:JZdRbbKD0
スレ立て乙
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/19(水) 05:44:27.80 ID:KQKP5SzDO
埋め
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/19(水) 05:44:55.08 ID:KQKP5SzDO
埋め
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/20(木) 00:49:47.90 ID:XZxWo0vA0
今日は来ないのかな?
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(香川県)
[sage]:2012/09/21(金) 00:02:30.87 ID:kCw4boDxo
【7/22 晴れ】
鳴上「あ、周防さん、天野さん。おはようございます」
>喫茶、『シャガール辰巳店』。
>達哉と舞耶は既に座ってコーヒーを飲んでいた。
舞耶「おはよう、鳴上君。これフェロモンコーヒーって言って、飲むだけで異性がメロメロなんですって」
達哉「舞耶姉、それは今いいから。今日はどうした。何かあったのか」
鳴上「あ、いえ……お願いがあって来てもらったんです」
舞耶「お願い?」
>舞耶は不思議そうな顔をしたが、達哉は覚えがあるようで一つ頷いた。
達哉「桐条さんから聞いてるよ。お前が旅行に出る間のこっちの話だろ」
鳴上「ええ、そうです。やっぱり話通ってましたか」
達哉「ああ。どうも大人数引き連れていくみたいじゃないか」
鳴上「気付いたらそうなっちゃってて……とにかく、その間この街をお任せしたいんですが」
達哉「構わない。学生から夏休みを取り上げるのも酷ってもんだろ」
鳴上「ありがとうございます、助かります」
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(香川県)
[sage]:2012/09/21(金) 00:03:04.59 ID:kCw4boDxo
舞耶「ねぇ鳴上君、旅行ってどこに?」
鳴上「あ、知ってるかどうかわからないんですけど、八十稲羽って所です。ちょっと郊外に外れた街なんですけど、のどかで良い所ですよ」
舞耶「いいわねぇ、夏休み。友達がいるとか?」
鳴上「そうなんです。こっちに来る前に一年ほど暮らしてて、それで」
舞耶「そっか、長期の休みだから会いに行くんだ。こっちの友達も連れて」
鳴上「はい。……恥ずかしい話、すごく楽しみで。GWに行った時は、いろいろあってほとんど遊べなかったので……」
舞耶「うんうん、いいじゃない。青春って感じね!」
達哉「友達か。よっぽど仲がいいんだろうな」
鳴上「……そうですね。少なくとも俺はそう思ってます」
>達哉は口元に手をやると、何か考えるような素振りをした。
舞耶「……どうしたの?」
達哉「……鳴上。前に俺達と話した事、覚えてるか」
鳴上「え?……事件の黒幕について、でしょうか」
達哉「そうだ。俺はそいつについて良く知ってる。もし本当にこの事件の裏にヤツがいるなら……そういう感情は捨てた方がいい」
舞耶「ちょっと、何を……」
鳴上「それは、友達だと思うとか、大事に思うとか、そういう感情って事ですか?」
達哉「そうだ」
>狼狽える舞耶をおいて、達哉は続ける。
10 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/21(金) 00:05:11.85 ID:kCw4boDxo
達哉「俺が……舞耶姉達を事件に巻き込んだのは、舞耶姉や仲間たちの事を忘れられなかったからだ。舞耶姉を救う為に世界をやり直しまでしたのに……」
舞耶「でも、それは仕方ないじゃない。それだけ大事だったって事でしょ?」
達哉「舞耶姉。そのせいで自分がどんな目にあったか思い出してくれ」
舞耶「……まぁ、楽では無かったわね」
達哉「俺は、お前が選んだ道でどんな目に遭っても良いと思ってる。それでお前が納得できるのなら。ただ……そのせいで、お前の友達が酷い目に遭うのは良くないと思ってる」
鳴上「でも、俺は……」
達哉「簡単に断ち切れるなら苦労はしない。それに、まだ何かあるって決まったわけじゃない。ただ……一人になる覚悟はしておけ」
>達哉は伝票を取ると立ち上がった。
達哉「その時までは、好きにしたらいい。戦うって事は、時にそういう選択も迫られる。失敗した先輩からの忠告だ」
舞耶「あ、私出すから」
鳴上「俺も俺の分くらいは払いますって」
達哉「俺、公務員だろ。税金を市場に還元しないとな。……色々言ったけど、旅行、楽しんでこい。こっちの事は任せろ」
>そう言うと、達哉はレジで三人分のコーヒー代を払って帰った。
>……大人だ。
舞耶「……かっこ良くなっちゃってまぁ。鳴上君、彼はああ言ったけど、私はちょっと違う考え方なのよ」
鳴上「え?」
舞耶「確かに、言っちゃえば達哉君のせいで私達は色んな厳しい物を見たわ。でもね、それでも少しだけ……嬉しかったのよ」
鳴上「嬉しかった……何故です?」
11 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/21(金) 00:05:54.99 ID:kCw4boDxo
舞耶「世界を越えてまで私達の事を大事に思ってくれてる、それってすごいことじゃない?私はそれが嬉しかったの」
>確かに、別の世界の同一人物を大事に思うというのは……上手く表現出来ないが、すごい事だとは思う。
舞耶「だからね。さっきの話をちゃんと理解した上で、それで私の言い分も覚えておいて」
鳴上「……はい」
舞耶「切り捨てる前に、選んで。自分の信じる仲間たちは、例えどんな戦いでも仲間でいてくれる……そう思えたのなら、きっとずっと仲間でいられるから」
鳴上「どんな戦いでも、ですか」
舞耶「そう。どんな戦いでも。逆に、少しでも……悲しいけど、疑わしい時は、君は一人で戦うしか無くなる。重要なのは、絆を深める事」
>それこそ世界を超えるくらいに、ね。
>そう言って舞耶は笑った。
>仲間を巻き込まない為に仲間から離れる。
>仲間を巻き込む事を恐れず、全てを信じて突き進む。
>対極にあるようで、その実近い思想のように思える。
>二人はやはり、どこか深い部分で繋がっている。
>そんな風に思えた。
>『No.18 月 天野舞耶』のランクが2になった。
>『No.19 太陽 周防達哉』のランクが2になった。
>……。
12 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/21(金) 00:06:28.02 ID:kCw4boDxo
>今日は、本当に偶然だった。
>会いたいと思ったわけでもない。
>しかし、帰り道でここを通らないわけにはいかない。
神条「……やぁ。会えたな」
鳴上「こんにちは、神条さん」
>神条はいつものようにベンチに座っていた。
>今までは、心のどこかで会いたいと思っていた時に会える、不思議な人だった。
神条「解せないといった顔だな」
鳴上「……あ、いえ。別になんでもないんですけど」
神条「何故今日会えたか不思議かな?」
鳴上「まぁ、そうです。今日は会えると思ってなかったし、探しても無かったので」
神条「答えは簡単、私が君に会いたかったからだよ」
鳴上「神条さんが?」
神条「ああ。伝えたい事があってね。君にはもう会えないかもしれない」
>思わず立ち上がってしまった。
13 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/21(金) 00:07:24.26 ID:kCw4boDxo
鳴上「……すみません。え、と、何故なんですか?」
神条「今まで私達が会えていた事の方が余程『何故』だと思うがね。君が私を探す時、私はここにいた。違うか?」
鳴上「確かに、それはそうですが……あの、お仕事の都合とかでしょうか」
神条「そういう訳ではない。ただ、運命が……それぞれの人に敷かれた道で、交差した者同士が出逢うというのなら、その道筋が遠ざかる。そういう話だ」
鳴上「よく、わかりません。俺、神条さんの話を聴くのが好きだったんです」
神条「私の言葉に救いはない。それでも聞きたがるのか」
鳴上「ええ。それでも、です。変な話ですけど、あなたの話は反論したい事ばかりです。でも俺には思いつかないような事ばかりで……」
神条「……これからも、私と君が出逢う事ができるか、だが。不可能ではない」
鳴上「頻度が落ちるって事ですか?」
神条「君次第だ。君がもし、本当に私の話を、私を識ろうと思うなら……また出逢える。ただ、それは私の領域に足を踏み入れるという事だ」
鳴上「神条さんの領域……」
神条「君が君で無くなるかもしれない。正気の在処がわからなくなり、正気と狂気の境目をたやすく越える浮浪の徒となるやもしれない。それでも良ければ、またここで会おう」
鳴上「正気と狂気……ですか。俺にはその境目がわからない。でも、会おうと思った時」
神条「私はきっとここにいる。それだけだ。君にその覚悟があるのなら、また会おう」
>神条は立ち上がり、例の玉をカチャカチャと鳴らしながら立ち去った。
>彼の言う事は抽象的で掴み所が無い。
>本来なら信用できる物ではないはずだ、が……。
>『No.16 塔 神条久鷹』のランクが4になった。
14 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/21(金) 00:08:07.54 ID:kCw4boDxo
【7/23 晴れ】
>波に合わせて船が揺れる。
>甲板で騒ぐ声が聞こえる。
>船旅は初めてだが、どうしてこうも時間がゆったり流れるのだろうか。
>もし自分に並以上の資産と時間があれば、きっとこういう船旅を何度も行えるのだろう。
>が、残念ながら今は並程度なので諦めておく。
>海鳥の声が多くなり、甲板にいる順平と美奈子、アイギスが叫ぶ。
「「「や・く・し・まー!」」」
15 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/21(金) 00:10:05.33 ID:kCw4boDxo
いざ屋久島。
昨日は作者急病の為お休みさせてもらいました。急に寒くなりすぎ。
最初ちょっと酉忘れてたんですけど、とりあえず僕です。
では、また明日。
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/09/21(金) 01:49:53.81 ID:ez2W9u45o
>>1
乙ー身体を大事にしろよ
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/21(金) 06:22:49.45 ID:K5mbZouJo
身体はでぇじにしなよ乙
18 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:01:41.81 ID:3epkjjLao
鳴上「ついたのかな?」
天田「みたいですね」
>寝ていた天田が起き上がった。
鳴上「おはよう。具合は?」
天田「もう随分良くなりました。船旅は……もういいかもしれません」
鳴上「帰りもあるぞ?」
天田「今から憂鬱ですよ」
>乗って十分もしない内に船酔いでダウンしていた天田だったが、到着すると聞いて甲板に出てみる事にしたようだ。
鳴上「海、青いな」
美奈子「すっごいよねー」
鳴上「うん、すごいな」
順平「今年はどうすっかなー、例の企画」
鳴上「例の企画?」
順平「まだ秘密だぜ」
美鶴「皆、そろそろ着くから荷物を持ってきておくといい。ゆっくりと羽を休めてくれ」
>夏休みの旅行第一弾、屋久島旅行。
>滅多に見れない青い海、同じくらい真っ青な空。
>白い砂浜と緑の木々が、夏の太陽を受けて輝いているようにも見える。
19 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:02:17.99 ID:3epkjjLao
鳴上「ここが屋久島か……」
メイド「おかえりなさいませ、お嬢様」
美鶴「そろそろお嬢様はやめてくれ。客人をそれぞれ部屋に案内して欲しい」
メイド「かしこまりました。それではこちらへ……お荷物お預かりします」
鳴上「あ、ど、どうも」
順平「へへ、初めて来るとちょい引くよな」
>……。
鳴上「すごい部屋だったな……」
天田「あれって普通の来客用なんですかね……」
鳴上「ああ、天田も初めてだったか」
天田「前回は置いてけぼりだったんで。でも良い所ですね、自然一杯で」
鳴上「そうだな」
順平「おいおい何やってんだよお前ら!さっさと行くぜ!」
鳴上「え?行くってどこへですか?」
順平「海だよ海!泳ぐっきゃねえだろ!ひゃっほぅ!」
20 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:02:45.77 ID:3epkjjLao
>そう叫ぶと順平は飛び出していった。
真田「全く。成長しない男だな」
有里「いいじゃないですか。僕らも行きましょうよ」
天田「あ、真田さん。遠泳しません?競争しましょうよ」
真田「ほう、ヤル気だな。いいだろう、受けて立つ」
有里「僕らは普通に遊ぼうか、悠」
鳴上「ああ、そうだな」
>建物を出るとすぐ海だ。
>水着に着替えて泳ぎにいこう。
>……。
順平「おっせーよお前ら!何やってんの!」
鳴上「す、すみません」
有里「まぁまぁ」
順平「……あれ?ていうか女性陣は?」
有里「さぁ?半分は水が微妙だと思うしどうかなぁ」
21 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:03:30.97 ID:3epkjjLao
順平「なーんだよぉ。せっかく成長した皆の水着姿が見られると思ったのによぉ」
有里「興味深くはあるけど、どうかな。はしゃぐようなタイプはいないでしょ」
順平「はぁー……ヘコむぜ……」
鳴上「確かに、山岸さんも桐条さんも岳羽さんも、海ではしゃぐより森でゆったりの方を好みそうですよね。ただ……」
美奈子「うーみー!」
>話していた三人の横を走り抜けて、美奈子が海へ飛び込んだ。
有里「はしゃぎそうなのいたね」
鳴上「いたな」
ラビリス「海やー!」
順平「もう一ついったぞ!」
鳴上「お、おいラビリス!水平気なのか!?」
風花「防水対策はばっちりなんですって」
美鶴「そもそもここには桐条のラボがある。浸水程度ならすぐにメンテナンスが出来る環境にあるんだ」
ゆかり「やば、日焼け止め忘れた……」
>ラビリス達に気をとられている内に、背後に美鶴達が立っていた。
順平「……キタ」
有里「……ほぅ」
鳴上「これは……」
22 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:04:09.39 ID:3epkjjLao
ゆかり「はぁーあやだやだ。男って結局そう。美奈子ー、日焼け止め借りていーいー?」
美奈子「バッグに入ってるよー!」
風花「ちょ、あの……あんまり見ないでください」
鳴上「あ、ああ、すみません」
美鶴「仕方あるまい。山岸は随分成長したしな?」
風花「ちょ、ちょっと!桐条先輩……」
有里「いや、美鶴も随分と……」
美鶴「なっ……!あ、有里!皆のいる前で呼び捨てはよせ」
有里「すみません」
順平「ありがとう、夏」
ゆかり「あんまり言ってるとチドリに言いつけるからね?」
順平「げぇ!?お前らいつのまに繋がってんの!?」
>彼女達の水着姿に見蕩れていると、頭数が足りない事に気付く。
鳴上「あれ?メティスとアイギスはどこに?」
風花「あの二人は海より森がいいんだって。屋久杉を見に行くんだって言ってましたよ」
鳴上「あ、そうですか」
>あの二人は海よりそっちが好きそうだ。
23 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:05:05.46 ID:3epkjjLao
順平「ヘーイ!ラビリス!ちょっと人肌演出してみー?」
ラビリス「なんやの順平、このままやと気に入らへん?」
順平「いやーそういう訳じゃないんだけどさ!なんかこう、見てみたいじゃん?」
ラビリス「もー、ほないくで?ほいさっ」
順平「うおおおおおおお!あれ?胸盛った?」
ラビリス「盛ってへんわ!」
順平「だって、うわぁっ!」
>ラビリスと順平は水の掛け合いを始めた。
美鶴「元気のいい事だな」
ゆかり「そーですねー、あいっかわらずですねー」
美奈子「ゆーかーりー!ほら、私達も泳ごう!」
>美奈子がゆかりの手を引いて走る。
ゆかり「おわっ、とと、一蓮托生!」
美鶴「あっ、ま、待てゆかり!紐を引っ張るな、紐を!」
風花「あ、桐条先輩!なんで私の手……キャーッ!」
>女性陣が美奈子によって海へ連れ込まれてしまった。
24 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:05:33.01 ID:3epkjjLao
有里「どうする?」
鳴上「そうだな……ちょっと森の方見に行きたいな」
有里「それじゃ、僕らは散歩でもしようか」
>湊と二人で海岸を歩く。
>朽ちかけた桟橋がある。
有里「あ、懐かしいな」
鳴上「ん?何かあったのか?」
有里「さっきちょっと言ってたけど、この島って桐条のラボがあるんだ。それで、アイギスがいたのもここなんだよ」
鳴上「へぇ。そうだったのか。じゃあここでアイギスに会ったのか?」
有里「うん。あそこで……海を見てた」
鳴上「……屋久杉、見てるって言ってたよな」
有里「そうだね。行ってみようか」
>海岸を外れて、森の方へ入る。
>遊歩道が続いていて、その先に大きな看板があった。
鳴上「あれ?いないな」
有里「……いないのかな、それとも」
アイギス「あ、いや……います」
メティス「私も……」
25 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:06:05.82 ID:3epkjjLao
有里「やっぱり」
>何故か二人は看板の裏に隠れていた。
鳴上「やっぱりって、何で知ってたんだ?」
有里「前もこんな感じだったから」
アイギス「二人で見てる内に、懐かしくなって……つい」
鳴上「そっか、メティスもアイギスの記憶あるんだよな」
メティス「うん、だから姉さんが初めて皆と会った時の事も覚えてるよ」
有里「……懐かしいね」
アイギス「……あなたよりずっと長い間、私は過ごしてきたんだから」
有里「ああ、そっか。それもそうだね」
アイギス「あの、良かったらもう少し……」
順平「こら鳴上!有里!お前らなぁにやってんだよ!」
>背後から順平に呼ばれる。
鳴上「え、散歩してたんですけど……」
順平「こっち来いって!今から面白いことやんだからよ!」
>順平が俺と湊の腕を掴んで引っ張っていく。
アイギス「あ……」
メティス「……もう」
26 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:08:09.78 ID:3epkjjLao
鳴上「で、面白い事ってなんです?」
順平「ふっふっふ……覚えがあるんじゃないかな?有里はよぉ」
有里「……まさか」
順平「そのまさかよ!女子は皆一通り泳いで疲れたっつって帰ったからよ。いよいよ俺達の本番ってわけよ!」
真田「いつかの雪辱、晴らさせてもらおう」
天田「前来た時もこんな事やったんですか……?」
鳴上「こんな事って……?」
順平「ずばり!THE!ナンパ!」
鳴上「な、ナンパ!?」
順平「そう、ナンパ。いやさ、なんだかんだ俺らフリーじゃん?」
>……フリー?
有里「まぁ、僕も嫌いじゃないんだけどさ……」
鳴上「お、おい湊……」
真田「というわけで、誰が一番上手く女性とコミュニケーションを取れるか勝負だ!」
27 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/22(土) 01:08:54.70 ID:3epkjjLao
次回、ナンパ回。
P4A配信みようとしてたら遅刻しました!お許し下さい!
では、また明日。
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/09/22(土) 02:27:03.81 ID:t1m0q5dOo
乙ー
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/09/22(土) 07:21:20.52 ID:FN11EkMr0
番長なら成功しそう
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/22(土) 11:27:51.04 ID:ibfSzs57o
異聞録から通して一番充実してる男だしな。
アイドル次期女将探偵に普通に可愛い席お隣さんに部活のマネージャー、節子にナースに人妻に未亡人……
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(高知県)
[sage]:2012/09/22(土) 12:22:30.12 ID:I3hHFxngo
菜々子「・・・」
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/23(日) 07:07:43.07 ID:oCAcS/4So
菜々子は将来の嫁だからな、ハーレムに含む訳にいかないじゃん?
33 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:06:22.17 ID:BwPQS/w7o
天田「鳴上先輩、諦めた方がいいですよ。前回同じような事して酷い目にあったらしくて、挽回するんだって息巻いてましたから……」
鳴上「……参ったな」
>ナンパか……やったこともない。
>勿論やろうと思った事も無いし、そもそも順平はフリーでは無いのではないか。
>が、もしかしたら「やれやれ、またそんなくだらないことか」とか言って止めてくれそうな真田も、何故か湊までノリ気だ。
>こうなったらなるべく当たり障り無い応答をしよう。
順平「さーてどうするよ?誰から行く?」
真田「そうだな、順番は重要だ。それによっては有利不利も出る」
有里「そんな真剣に考える事でも無いでしょ」
天田「そうですよね。僕らと同じバカンス客もそれなりにいますし、適当に……」
>天田が言いながら俺達から離れた時だった。
女性A「ねぇ、お兄さん一人?」
>すぐに、二人組の女性に声をかけられる。
34 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:06:52.65 ID:BwPQS/w7o
天田「へ?あ、いや友達と……」
女性B「あ、そーなんだ。あれ?お友達って……あの人達?」
天田「はい、そうですけど。友達というか先輩というか」
女性A「先輩?あれ、ちょっと待ってもしかして高校生?」
天田「いえ、中学で……」
>女性は二人で顔を見合わせた。
女性A「ヤバくね?」
女性B「ヤバい。え、嘘でしょ?マジで中学生?」
天田「ええ、そうですよ」
女性A「ちょ、ヤバいかも。すっごいヒットなんだけど私的に」
女性B「でも、そう言われたら何か子供っぽい感じ無くもないよねー。ねーお友達ー?」
順平「はい、なんでしょー!」
>順平が元気よく返事をする。
女性B「あのさ、この子借りていいかな?ちょーっと遊んだら返すからさ」
天田「遊ぶ?えっと、何を……」
女性A「ヤバいヤバい、可愛い。心配しなくても変な事しないって。いいでしょ?」
順平「……あー、はい。全然持ってっちゃっていいっす。好きにしてやってください」
天田「ちょ、順平さ……」
女性A「ねー君名前はー?」
女性B「髪の毛これ天然?くせっ毛なんだ」
>女性二人に両脇を抱えるようにして、天田は連れ去られていった。
35 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:07:52.73 ID:BwPQS/w7o
鳴上「……早いな」
有里「良かったの?順平」
順平「いや、あんなん置いといたら俺らだーれも勝てねって。なんかこう、オーラ出てるもん。女性吸い寄せるオーラみたいのがさ」
真田「……今回は、一番に抜けてやろうと思っていたのに」
順平「ま、まぁ気を取り直して!次行きましょ、次!」
有里「それじゃ僕が……あの、すみません」
女性C「……何か?」
>湊は気品溢れる女性に声をかけた。
有里「ああ、いえ。お一人のようだったので……」
女性C「それが?何か貴方に迷惑をかけたかしら?」
順平「おー、金持ちっぽい女の人。ありゃ難敵だな。さすがの有里もあの走りだしじゃ無理じゃねーかな?」
真田「フッ……ターゲットの選択を誤ったな」
>確かに、簡単になびきそうには無いように見える……。
>しかし湊は動じなかった。
有里「いえ……ただ……ああ、でも失礼かな」
女性C「何かしら。そうやって言い淀まれると気になるわ」
有里「幸運だな、と思いまして。もし退屈なさっているのであれば、僕でもお相手できるかな、と」
>湊が微笑む。
36 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:08:41.43 ID:BwPQS/w7o
>女性は一瞬虚を突かれたような顔をした後、目を逸らして言った。
女性C「古い手だわ。それに単純。もっとエスプリを利かせなさい。私の相手をしたいのならね」
有里「すみません、正直者なので」
女性C「それが嘘でしょう?……仕方ないわね。今日一日しっかり教育してあげるわ」
>女性は湊の手を取った。
順平「なん……」
真田「だと……?」
>湊の手際の良さに感心していると、木陰から何かが飛び出した。
>飛び出した何かは湊の脇腹をかすめると砂浜に着弾し深く深くめりこむ。
>湊の顔から血の気が引いていくのがわかった。
有里「すみません。どうやら用事が出来てしまったようです」
女性C「あっ、こら!ちょっと……何なのよ……」
>湊は一度こちらを見ると、脱兎のごとく森の方へ転がり込んでいった。
>俺は着弾地点の砂をほじくってみる。
>……銃弾だ。
鳴上「アイギスか……」
>待て、アイギスがいるという事は……
>森の方から視線を感じる。
>考えないようにしよう。
37 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:09:14.11 ID:BwPQS/w7o
真田「……あれは、敵前逃亡で不戦敗じゃないか?」
順平「いや、それ苦しいっしょ。見てくださいよあれ」
>女性は湊が走っていった方をちらちらと見ている。
>気取られないように警戒しているのだろうが、傍から見れば一目瞭然だった。
>湊が気になっているのだ。
鳴上「なんというか、流石ですね」
順平「流石ですね、じゃねえよ。俺ら置いてかれてるぜ?」
真田「お、俺は違う。俺は慎重に相手を吟味してだな……」
順平「へいへい。お、あの四人組……」
>順平が見ている先に、四人の女性がいる。
>俺と同じくらいの年齢だろうか。
>……どことなく、八十稲羽の皆に似ている。
順平「っしゃ、ここは俺が……」
鳴上「あ、俺に行かせてください」
順平「あん?いや、構わねえけどよ。四人いるし同時に行こうぜ。上手くやりゃグループ毎くっつけるし」
>真田はいまいち納得行かないようだが文句も無いようだ。
>とりあえず近付いてみる。
>グループの一人、りせ似の子がこちらに気付いた。
りせ似の少女「ね、お兄さんどうしたんですか?」
38 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:10:01.99 ID:BwPQS/w7o
鳴上「え?」
りせ似の少女「あ、もしかしてナンパとかー?やーん、困っちゃうなー」
千枝似の少女「こーらー。知らない人にちょっかい出さないの」
直斗似の少女「すみません、友達が……あれ?あの、どこかでお会いしましたか?」
鳴上「いや、初対面だと思う」
雪子似の少女「あ、逆ナンパ」
直斗似の少女「なっ、ちょっと先輩!ああの、違います!違いますから!」
鳴上「ああ、そんなに慌てなくても。こっちは本当にナンパなわけだし」
順平「うぃっす!」
真田「や、やぁ」
>ここぞとばかりに二人もやってくる。
千枝似の少女「げ、マジナンパなんだ」
鳴上「別に何しようってわけでもないし、良かったらちょっと話さないか?」
りせ似の少女「んー、でもなー」
雪子似の少女「いいんじゃない?別に」
千枝似の少女「え、ほんとに?」
直斗似の少女「別に悪い人達には見えませんし……」
39 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:10:50.32 ID:BwPQS/w7o
>見た目だけではなく、性格や立ち位置まで似ているようだ。
りせ似の少女「まぁ、話するくらいいいか。んじゃ、よろしくね!」
>許可を得て、それぞれ適当な相手に話しかける。
>順平がりせ似の少女と、真田が直斗似の少女と。
>そして俺が千枝にの少女と雪子似の少女に挟まれる形になる。
千枝似の少女「お兄さん……って言っても私達と同じくらいだよね?何歳?」
鳴上「あ、18。今年高3」
雪子似の少女「それならちょうど同じだね。ねぇ、あなたはどうして私達に声かけたの?」
鳴上「どうしてって?」
千枝似の少女「結構人いるのにさ。人数も合わないし、どうして私達なのかなって」
鳴上「……正直に言うと、知り合いに似てたからかな。他人って気がしなくて」
雪子似の少女「お友達?」
鳴上「ああ。けど、そうじゃなくても君達に声かけたかも」
千枝似の少女「え?どして?」
鳴上「だって、皆美人だろ?」
りせ似の少女「やだー嬉しい!お兄さんもイケメンじゃん!」
40 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:11:32.35 ID:BwPQS/w7o
>突然背後からりせ似の少女に抱きつかれる。
千枝似の少女「うわっ!あっちのお兄さんは?」
>りせ似の少女は黙って笑っている。
>ちらりと横を見ると、順平が情けない顔をしていた。
>と、そのとなりでは真田が直斗似の少女に何事か言っている。
>……しばらくすると、真田は立ち上がり、どこかへ走って行った。
>追いかけるように順平も去っていく。
鳴上「ちょ、皆……?」
直斗似の少女「貴方に興味があるようだから、行って来いと。悪いことしちゃったな……」
りせ似の少女「えー、ひっどーい。私は何も言ってないし、ただたまーにこっち見てただけなのにぃー」
千枝似の少女「おっかけなくていいの?」
雪子似の少女「大丈夫なんでしょ?ね?」
鳴上「あ、まぁ、多分」
千枝似の少女「でも、走ってっちゃったよ?」
りせ似の少女「ホントは先輩ももうちょっと話てたいくせにー」
千枝似の少女「な……あんまりからかわないでよ……」
>……。
41 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:12:25.12 ID:BwPQS/w7o
>結局、日が暮れるまで振り回されてしまった。
>何から何まで八十稲羽の皆とそっくりな四人組だった。
千枝似の少女「それじゃ、私達そろそろ戻るね」
雪子似の少女「今日は付きあわせちゃってごめんなさい。疲れたでしょ?」
鳴上「いや、大丈夫だよ」
りせ似の少女「もうちょっと遊びたかったけど、流石にもう時間がねー」
直斗似の少女「仕方ないでしょう。一応連絡先は交換しましたし、もしかするとまた会うこともあるかもしれませんよ?」
鳴上「そうだな。俺もそろそろ帰るよ。それじゃ」
>四人組と別れて美鶴の別荘へ帰ろうとした時、俺は意図的に忘れていた事を思い出す。
>……森からの視線は、もはや怨念に近い物になっている。
>気付かないフリをするか……いや、無理だろう。
>恐る恐る、その視線の正体を確かめる事にした。
42 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/25(火) 00:14:52.38 ID:BwPQS/w7o
ナンパは成功したようだ。一部除いて。
では、また明日。
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/25(火) 15:19:50.04 ID:moEJ6JdK0
乙!
44 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/26(水) 00:07:54.63 ID:QIwnRxjeo
鳴上「……メティス?いるんだろ?」
>がさがさと葉っぱを揺らしながらメティスが現れる。
>視線の主はやはりメティスだったようだ。
鳴上「あー、その、悪かった」
メティス「……何が?」
鳴上「いや……ナンデモナイデス」
>お、怒っている。
>以前美奈子に言われた言葉が頭の中をぐるぐる回る……。
鳴上「い、いや、ただの遊びだからな?別に本当に彼女を作ろうとか、そういう事じゃなくて……」
メティス「いい、別に。私も鳴上君の彼女じゃないし、何をしてても怒る理由はないから」
>いや、怒ってるだろう、これは。
>それとも、それは俺の勘違いで、実はそんなに怒ってないのか……?
>と思っていたらメティスがぼろぼろと泣きだした。
>……突然の事に、今更だが彼女達の目から出る水分はどこから来ているのだろうか、などと思ってしまう。
>が、すぐにそんな場合じゃないと気付く。
鳴上「め、メティス?大丈夫か?どこか痛いのか?」
>彼女の体でどこか痛いもあったものかと思うが、つい聞いてしまった。
45 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/26(水) 00:08:32.34 ID:QIwnRxjeo
>が、メティスは首をぶんぶんと縦に振る。
鳴上「え、ど、どこが……」
メティス「ここ……」
>胸元に手をやる。
メティス「ズキズキって、ずっと痛くて……私、どうしたらいいか……」
鳴上「怪我したのか?」
メティス「そうじゃない……どこにも、異常は無いの。でも、痛い……苦しくて……鳴上君が、あの子達と話しているのを見てると、ずっと……」
>以前、アイギスに聞いた事がある。
>彼女の胸には、彼女を他の機械とは一線を隠す存在とする大基が入っているらしい。
>月の欠片……黄昏の羽根と言われる物。
>それが彼女達に心をもたらしているらしい。
>その部分が痛む……心が、痛む。
鳴上「メティス……怒ってたんじゃないのか」
メティス「最初は、少し怒ってたんだと思う。あんまり無い感覚だったけど、色々総合して見たら、あれが怒りなんだなって思って……」
メティス「でも、すぐに思い直して、私が怒る事は何もないって。私は鳴上君の特別じゃないし、彼の行動を止める理由も無い。そう思ったら、今度は……」
メティス「っ……辛くて……私、鳴上君の特別に……本当は、なりたいんだ……って、わかって……」
>一度は少し落ち着いたメティスが、また嗚咽混じりになる。
46 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/26(水) 00:10:20.61 ID:QIwnRxjeo
>……ここからの選択次第では、取り返しのつかない事になるかもしれない。
鳴上「特別っていうのは、何だ?」
メティス「えっ、えっと……それは……」
鳴上「……恋人、とか?」
メティス「う、うん……人は、好きな人とは恋人になるって聞いて、私もきっと……そうなりたいんだって」
鳴上「メティス、俺は誰ともそういう関係になるつもりは無いんだ」
メティス「でも、もう我慢できないの!熱いのが……溢れてきそうで!私、私は……!」
>メティスはボロボロ涙をこぼす。
>ここまで追い詰めたのは、俺の無神経な行いなのは明白で、ならば俺はその行動の責任を取るべきなんじゃないか?
鳴上「ごめん。俺のせいで」
メティス「違う……私が勝手に好きになっただけなの。人間でも無い私にこんな事言われても、困るだけなのはわかってる……」
鳴上「その……俺も、多分メティスの事は好きだ。だけど、一番好きかって言われるとわからないんだ」
メティス「鳴上君の周りには、素敵な人が一杯いるもの。仕方ないと思う」
鳴上「そうだな。だけど、メティスみたいに真っ直ぐ好きだって言ってくれる人は他にいなかった」
>メティスはきょとんとしている。
>俺の言いたいことを理解できていないのだろうか。
鳴上「だから……メティスさえ良ければ、その……俺達じゃ、恋人って感じじゃないけど、ただの友達じゃなくなっても良いって言いたいんだ」
47 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/26(水) 00:12:47.03 ID:QIwnRxjeo
メティス「それ……って……」
鳴上「……その、これからよろしく」
>メティスは笑顔になったが、まだ泣いていた。
>彼女の感情はあまりにも人間的で、しかしその体はあまりにも人と違って。
>俺は、それを受け入れるつもりでいるが、やはり普通の恋人とはいかないだろう。
>……早計だっただろうか?
>しかし、これ以上の解答を今の俺は見つけ出す事が出来ない。
>あの笑顔が見られただけで、これで良かったと思える。
>『No.12 刑死者 メティス』のランクが8になった。
鳴上「えっと……帰るか」
メティス「うん。あ……」
>メティスがそっと手を差し出す。
鳴上「ん?」
メティス「……」
鳴上「ああ」
>手を握り返すと、メティスは赤くなってうつむいた。
>……。
48 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/26(水) 00:14:54.17 ID:QIwnRxjeo
美鶴「二人とも一緒だったのか。そろそろ夕食だ。着替えてきなさい」
鳴上「あ、はい。それじゃな」
メティス「……うん」
美鶴「……?どうした、何かあったのか?」
鳴上「いや、別に。な?」
メティス「う、うん」
美鶴「そうか。もう皆揃っている。急げよ」
>美鶴はそういうと奥の部屋に入っていった。
>あそこが食堂か。
>着替えて向かう事にする。
鳴上「すみません、遅くなりました」
美鶴「これで揃ったな。では夕食としよう。口に合うかどうかわからないがな」
>……皿に乗った料理が次々と運ばれてくる。
>名前も知らないような料理だ。
美鶴「遠慮せずに食べてくれ」
>スープを一口飲む。
>……美味い!
49 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/26(水) 00:17:37.68 ID:QIwnRxjeo
鳴上「美味しいです、凄く」
美鶴「そうか。シェフも喜ぶだろうな」
ゆかり「うん、やっぱランクが違うわ。ねー」
美奈子「ほんと、おいしー。流石って感じ」
風花「あ、あの……皆さん、どう……」
>風花が男性陣を気にしている。
真田「俺が……また負けた……」
順平「結局世の中……」
有里「コワイ……銃コワイ……」
鳴上「……あれ、そういえばメティス達はどうしたんですか?」
美鶴「ん?彼女達に食事は必要ない。一足早く休んでいるのだろう。席に着くくらいならと思ったのだが……」
ゆかり「アイギスはそこの彼に愛想つかして相席拒否」
美奈子「ラビリスははしゃぎ過ぎて砂が入ったからメンテナンス中」
風花「メティスは何だか胸が一杯だからって部屋に……」
鳴上「あ、そうですか……」
50 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/26(水) 00:18:12.27 ID:QIwnRxjeo
ゆかり「じゅんぺー、さっさと食べちゃいなさいよ。チドリには黙っといてあげるからさ」
順平「うるせー!俺のこの心の傷がわかるか!」
美鶴「明彦も、いつまでも落ち込んでいないで……」
真田「俺は……負けたくないんだ……何事にも……」
風花「あの、有里君?」
有里「コワイ……」
>……とにかく、食事はとても美味しかった。
>部屋に戻るとすぐ、ドアが叩かれる。
鳴上「はい?」
メティス『あの、私……』
鳴上「ああ、メティスか。どうした?」
メティス『少し、散歩しない?夜は夜で風景が違うし……』
>言われて、窓から外を見る。
>確かに、月が照らす海は幻想的に見える。
鳴上「そうだな。少し歩くか」
51 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/26(水) 00:19:08.46 ID:QIwnRxjeo
特別な関係……?
では、また明日。
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/09/26(水) 00:40:52.77 ID:gEXymkKi0
メティスちゃんきゃわわ
フェスやったことないがな!
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/26(水) 00:42:17.62 ID:31g5FI47o
屋上で膝枕な関係……?
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/26(水) 07:18:01.64 ID:kF0W22FE0
>>53
キミの記憶
55 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/27(木) 00:04:28.08 ID:Iy6nx0fYo
>夜の海岸を二人で並んで歩く。
>またメティスが手を出すので、今度は悩まずに握る。
>指が触れた瞬間、一度びくっと手を引いたが、しっかりと握り返してくれる。
>体温は無いはずだが、不思議と熱く感じた。
>お互い何も言わず、ただ歩く。
>ぱしゃんと、魚の跳ねる音がした。
鳴上「……砂、まだちょっと熱いな」
メティス「……うん」
鳴上「昼間は青かったけど、夜見ると銀色なんだな」
メティス「何が?」
鳴上「海。ほら」
>昼間は真っ青だった海が、月を写して銀に輝いている。
メティス「わぁ……」
鳴上「おいおい、風景が違うって言ったのはメティスだろ?」
メティス「そうだけど、色々考えちゃって……見てる余裕無かった」
鳴上「そうか……そうか」
56 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/27(木) 00:06:46.40 ID:Iy6nx0fYo
メティス「鳴上君……えと、あっち」
>森のほうを指差される。
鳴上「暗いぞ?」
メティス「心配しないで。光量補正オンにするから」
鳴上「……はは」
>言葉の通り、木の根や雑草が張り出した遊歩道をすいすいと歩いて行く。
>夜は景色が違うと言ったが、性能をフルに発揮すればそんな違いは些細な事なのだろう。
>俺が躓かないように誘導しながら、目的の場所を見つけたようだ。
メティス「ここ、座って」
鳴上「ん?ああ……」
>休憩用のベンチだ。
>一応手でパンパンと払って、メティスの座る側も同様にした後座るよう促す。
メティス「ありがとう」
鳴上「ん。どうしてここなんだ?」
メティス「昼間歩いてて気付いたんだけど……多分、もうすぐ」
>そう言ってすぐ、辺りの様子が変わる。
57 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/27(木) 00:12:06.05 ID:Iy6nx0fYo
>月がちょうど良い角度になったのだろう。
>複雑に絡み合う木々の枝、そこから伸びる葉の間をすり抜けて月光が注ぐ。
>アトランダムな模様が地面に、俺達に写った。
鳴上「おお……すごいな」
メティス「昼間は太陽光が強いからわかんないけど、夜になったらこうなるだろうねって姉さんと話してたの」
鳴上「これが見せたかったのか?」
メティス「見せたかった、じゃなくて……一緒に見たかった」
>メティスは微笑む。
鳴上「……本当に綺麗だ」
メティス「うん……」
>そう言うと、メティスが目を閉じた。
>何度も深呼吸している……意味は無いのだろうが、気持ちは落ち着くのだろう。
メティス「あの、鳴上君。……悠」
鳴上「なんだ?」
メティス「私……体硬いの」
鳴上「……ん?」
58 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/27(木) 00:13:19.92 ID:Iy6nx0fYo
メティス「あ、いや、そうじゃなくて。関節が硬いとかじゃなくてね。基本的には硬質素材だから……」
鳴上「ああ、そういう事か。別に気にしないけど」
メティス「……でもね、柔らかい所もあるの。表情を作る為の可動域はとにかく広くないといけなくて、だからそこが一番人に近い感触にできてて……」
>要するに、顔だろうか。
メティス「あの……そこを、感じて欲しいな、って」
鳴上「触ればいいのか?」
>顔を人差し指でつついてみる。
>確かに柔らかい。
メティス「あぅっ、そうじゃなくて!恋人は、するんでしょ……?」
鳴上「するって?」
メティス「キ……キス」
>……なるほど、そういう事か。
鳴上「……作法とか、わかんないぞ」
メティス「ん、うん。多少乱暴にしても平気だよ」
鳴上「じゃあ……」
メティス「……あ……」
>……。
59 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/27(木) 00:15:18.83 ID:Iy6nx0fYo
メティス「どこかショートしたかと思った……」
鳴上「ごめん、勢い余って……」
メティス「ううん、平気。……ふふ」
鳴上「……帰るか」
メティス「ん……」
>また手を繋ぎ立ち上がる。
>バキっと音がした。
>俺やメティスの足元からじゃない。
鳴上「誰かいるのか?」
メティス「……走って行ったみたい」
鳴上「誰だろう?知り合いなら声掛けるだろうし」
メティス「いや、声掛けにくいと思う。さっきまで、その……」
鳴上「……ああ、それもそうか」
>メティスは唇に指を当てて目を逸らしている。
>やりすぎた。
鳴上「まぁ、見られて困るような事はしてない……よな、多分。帰ろう」
メティス「うん。足元、気をつけてね」
>『No.12 刑死者 メティス』のランクが9になった。
60 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/27(木) 00:16:42.62 ID:Iy6nx0fYo
【7/24 晴れ】
>蚊に噛まれたらしく、肘の赤く腫れた部分が痒い。
鳴上「なんで蚊って関節とか狙うんだ……?」
>微妙にイラッと来る。
メイド『鳴上様』
鳴上「あ、はい」
>ドアの向こうから名前を呼ばれた。
>この声は、昨日案内してくれたメイドさんだろう。
メイド『朝食ですが……皆さんと一緒にとられますか?それとも何かお持ちしましょうか』
鳴上「ああ、行きます。わざわざ有り難うございます」
メイド『食堂までご案内いたしましょうか?』
鳴上「大丈夫です」
メイド『そうですか。それでは失礼致します』
>……本当に至れり尽せりだな。
61 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/27(木) 00:18:25.73 ID:Iy6nx0fYo
>着替えをして食堂に向かった。
美鶴「おはよう。君は出てきたか」
鳴上「おはようございます。……俺は?」
美鶴「うん、皆部屋で朝食をとるらしくてな。君と、ほら」
有里「や、おはよう」
鳴上「湊か、おはよう」
美鶴「私と彼だけの朝食というのも寂しい物だと思って、他の皆を呼びに行かせたんだがな」
ゆかり「ふわぁ……おはようございまー、って、なんだ鳴上君いるんじゃないですか」
美奈子「いいじゃん、私もみんなで食べたかったし」
風花「ご飯はみんなで食べた方が美味しいですよ」
美鶴「結局他の皆は来ないのか?」
メイド「お声はおかけしましたが、後で何か持ってきてくれ、と」
美鶴「そうか。まぁそれも自由だな。では朝食にしよう」
>それぞれ席に着くと、軽い朝食が運ばれてきた。
>これも美味い。
>素材が違うのだろうか……?
62 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/27(木) 00:20:08.61 ID:Iy6nx0fYo
ゆかり「朝ごはんも美味しいなー。普通のサンドイッチっぽいけど、何が違うんだろ?」
風花「うーん、これ……マヨネーズとかも多分自家製のを使ってるんじゃないかな?細かい所まで手がかかってる感じ」
美奈子「とにかく美味しければよし!」
有里「ふぁあ……」
美鶴「ほら、有里。こぼれるぞ?」
鳴上「湊、子供みたいだな」
>雑談しながら朝食を終える。
>今度はコーヒーが運ばれてくる。
美奈子「座ってて何でも出てくるっていいわー」
美鶴「そうか?何もかも自分でやれるというのもいい事だと思うが」
風花「まぁ、誰にも気兼ねしなくていいっていうのはありますね」
ゆかり「先輩が言うと嫌味通り越して説得力ありますよね……あ、そうだ、鳴上君」
鳴上「はい?」
>コーヒーを口に含みかけた所でゆかりに話しかけられる。
ゆかり「昨夜メティスとどこ行ってたの?」
>むせた。
63 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/27(木) 01:00:24.00 ID:Iy6nx0fYo
いろいろ大変な予感。
では、また明日。
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/09/27(木) 01:45:50.56 ID:hrDn6sTTo
乙ー
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/27(木) 01:59:38.38 ID:elVQ4oCDo
む せ る
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/09/27(木) 07:45:14.08 ID:ndjhLobf0
どうする鳴上!
67 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/28(金) 00:18:53.28 ID:hL0slvsGo
鳴上「うぇほっ!げっほげっほ!ごほっ!」
ゆかり「ちょ、どしたの!?大丈夫!?」
鳴上「だいじょっ、げほっ!です!っはぁ……見てたんですか」
ゆかり「え、うん。出ていくとこをね。何かあったの?」
鳴上「ああ、いや。見られてると思わなかったんで驚いて。散歩してたんですよ」
ゆかり「あ、そうなんだ。……デート?」
鳴上「かもしれませんね」
>出る所を見ていた、という事は、昨夜いたのはゆかりとは別人のようだ。
ゆかり「あらっ、案外あっさり」
風花「メティスがやたらつやつやしてたのは鳴上君といたからなのね」
美奈子「ほほー……やるじゃん、悠」
美鶴「ほう、君達は仲が良いんだな。素晴らしい」
>……笑顔で追求をごまかして朝食を食べ終える。
>結局昨夜見ていたのは誰だったのだろうか。
>もし最初から見られていたのなら……
>気まずい。
68 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/28(金) 00:19:21.44 ID:hL0slvsGo
有里「悠」
鳴上「おわぁっ!」
>廊下で考えこんでいると、背後から名前を呼ばれた。
有里「……大丈夫?」
鳴上「湊か……いや、大丈夫だ。どうかしたのか?」
有里「そう?……まぁいいけど。あのね、悠。君は事件を解決するんだったよね?」
鳴上「ああ、そりゃそうだろ。このままにできるわけないし」
有里「そうだよね。だったら、余り深く入り込まない事だ」
鳴上「え……?」
有里「忘れてないよね?僕らは……」
>ようやく言いたい事を理解した。
>湊もメティスも……事件の影響でここにいるだけに過ぎない。
鳴上「でも、ここにいるんだ。俺は間違っているとは思わないよ」
有里「恩着せがましい言い方だけど、君の為に言ってるんだ。いつか別れる時がきっと来る。その時の為に……」
鳴上「それはまだわからない。俺は……」
有里「……いいさ、君がそういうなら好きにするといい。警告はしたし、覚悟はあるみたいだからね。だけど、覚えておいて。人は自分が思うより強くない」
69 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/28(金) 00:20:05.90 ID:hL0slvsGo
鳴上「良く、わかってる」
有里「だろうね」
>湊はいつもの無表情だ。
>……軽率な行動だっただろうか?
>いや、あれは俺の諦めないという意思表示でもある。
>応えると決めた以上、誰も離さない覚悟で進むしかない。
有里「……だけど、それを選ぶのは君だけじゃない」
>湊がそう呟いたが、俺はまだ意味がわかっていなかった。
>……。
鳴上「昨日も泳いだけど、一日じゃとても慣れないな」
>海は今日も鮮烈に輝いている。
ラビリス「な、なぁ悠?」
鳴上「ん?ラビリスか」
ラビリス「うん。えと……間違うてたら言うてな。昨夜、向こうの森におったんって悠?」
>体が硬直した。
70 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/28(金) 00:20:44.69 ID:hL0slvsGo
鳴上「ああ、そうだよ。もしかして……」
ラビリス「うん、その……見てもうたんやけど……」
鳴上「やっぱりそうか。そうだよ、俺達だ」
ラビリス「やっぱりそうやんな。メンテナンス終わって帰りやったんやけどな。や、別に何があるってわけでもないんやけど、ナニしてたんかなーって」
鳴上「いや、メティスと散歩してただけだよ」
ラビリス「そうなん?」
鳴上「ああ。森の中に綺麗な場所があるんだって、それで」
ラビリス「ああ、そうなんや。そんなに綺麗な所やったん?」
鳴上「うん、すごかったぞ。なんなら……あ。夜だったから場所わかるかな」
ラビリス「あ、いやええわ。ウチは別に……」
鳴上「そうか?」
ラビリス「うん。さてと、ウチちょっとラボ行ってくるわ」
鳴上「ああ、行ってらっしゃい」
ラビリス「ん。ほなな。……つき」
>最後に小さく何か言ったが、よく聞き取れなかった。
71 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/28(金) 00:58:52.82 ID:hL0slvsGo
>『No.08 正義 ラビリス』との関係がリバースになってしまった……。
鳴上「ん?あ……行っちゃったか」
>なんて言ったのだろう。
順平「いやー話のわかるお姉さんだわ!素晴らしい!」
>順平がやたら大きな声で騒いでいる。
鳴上「順平さん?」
順平「おう、鳴上!聞いてくれよ、このお姉さんがさぁ……」
エリザベス「どうも、お久しぶりです」
>絶句した。
>濃紺のビキニを着て、しかし帽子は脱がないという奇妙なスタイルで立っているのはエリザベス。
>色々な言葉が頭を回ったが、一番大きいのは何故?だった。
鳴上「えっと……」
順平「お、知り合い?確かになー俺もどっかで会ったような気が……」
エリザベス「邪魔、でございます」
順平「ぐおっ!?」
>順平が首筋に手刀を受け倒れた。
72 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/28(金) 00:59:39.17 ID:hL0slvsGo
鳴上「わっとと……エリザベス、だよな?」
>順平を抱えてエリザベスに向き直る。
エリザベス「ええ、その通りです」
鳴上「何でここに?」
エリザベス「私、一度バカンスという物をしてみたかったのでございます」
鳴上「ああ、そうか……」
エリザベス「中々素晴らしい物ですね。どうでしょう?それなりに腐心して水着を選んでみたのですが……」
鳴上「似合ってるよ」
エリザベス「まぁ、お上手。……ところで、ですが。あなたと一緒にあの方もいらしているはずなのですが」
鳴上「あの方……?」
エリザベス「以前、ベルベットルームの客人であった方です」
鳴上「ああ、湊か。来てるぞ」
エリザベス「その方には、私がいる事を内緒にしてもらいたいのです」
鳴上「内緒に?まぁ、かまわないけど」
エリザベス「そして良ければ、私と少しこの辺りを散策して欲しいのです」
73 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/28(金) 01:05:54.53 ID:hL0slvsGo
鳴上「要は散歩か」
エリザベス「いろいろと気になる物もありまして……」
鳴上「わかった、じゃあどこから行く?」
エリザベス「とりあえず、そちらの方をそこへ」
>エリザベスが順平を無造作に掴んで砂の上に寝かせた。
>……目覚めた時には、見事な方焼けが出来上がるだろう。
エリザベス「では、参りましょう」
>エリザベスに手を引かれて周囲を散策した。
>……。
鳴上「なぁ、エリザベス」
エリザベス「何でしょう?」
鳴上「いや……どうして湊に会わないんだ?」
エリザベス「……あの方は、今や欠片から作られた、いわば贋作に過ぎません」
鳴上「え……?でも、あいつは……」
エリザベス「ええ。きっと匂いも声も、表情や仕草まで完璧にあの方なのでしょう。しかし、それでも贋作は贋作なのです」
鳴上「そうかもしれないけど、それでも会ったらきっと喜ぶぞ」
74 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/28(金) 01:07:03.44 ID:hL0slvsGo
エリザベス「私も嬉しいでしょう。でも、それでは駄目なのです。私は彼を救うと決めた。今の彼に会ってしまうと……」
>その決意が揺らぎそうなのです。とエリザベスは言った。
>初めて見る、悲しい表情だった。
鳴上「……そうか。わかった」
エリザベス「いわば我慢比べなのです」
鳴上「誰とのだ?」
エリザベス「……さぁ?」
鳴上「前から思ってたけど、変だよな、エリザベスって」
エリザベス「そんな事はございません」
鳴上「はは……もうちょっと歩くか」
エリザベス「嬉しい申し出です。では、参りましょう」
>二人で海岸を歩いた。
>『No.14 節制 エリザベス』のランクが3になった。
75 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/28(金) 01:07:37.48 ID:hL0slvsGo
嘘は言ってない!嘘は言ってない!
最近ちょくちょくネットの調子がおかしくて不安です。
では、また明日。
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2012/09/28(金) 03:19:44.67 ID:5V0tW4NLo
乙
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/28(金) 05:23:31.89 ID:qMMzpcWBo
エリザベスからにじみ出る圧倒的ヒロイン力
乙
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/28(金) 06:35:40.17 ID:OAWEc/HZ0
ベスさんがP3真ヒロインでしょ?
乙
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/28(金) 07:36:09.82 ID:OucOixtDO
おつー
>>71
>濃紺のビキニを着て、しかし帽子は脱がないという奇妙なスタイル
本当に奇妙か確かめるから参考画像はよ(迫真)
80 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/29(土) 00:00:26.89 ID:s66ZDimTo
順平「……はっ!」
鳴上「あ、気が付きましたか」
>既に太陽は沈もうとしている。
順平「あれ……確か俺……」
鳴上「はしゃぎ過ぎて疲れてたんじゃないですか?」
順平「ん……?そうだっけか?」
鳴上「寝ちゃってましたよ、そんな所で。ほら」
順平「おわー!んだこりゃ!片側真っ赤!」
鳴上「まぁ半日もそっち上で寝転んでたらそうなりますよ」
順平「おま、笑い事じゃねーって!痛い!ヒリヒリする!なんで放ったらかしなんだよ!」
鳴上「あ、じゃあ転がした方がよかったですかね?」
順平「鳥の卵かよ!くっそどうすっかな……ここまで見事だといっそネタにするか……」
鳴上「あ、それじゃ俺戻りますんで」
順平「お前急に冷たくない!?」
>騒ぐ順平を尻目に、海岸を後にした。
>……。
81 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/29(土) 00:00:58.22 ID:s66ZDimTo
美鶴「今日は全員揃っているな。では夕食だ」
>今日は全員テーブルについている。
美鶴「明日、帰る事になるが……皆、楽しめただろうか?日々戦っている君達が少しでも羽根を休められたのなら良いと思う」
美奈子「やー、サイコーでしたー」
風花「美奈子ちゃん、真っ黒だもんね。ずっと走り回ってたから」
ゆかり「真っ黒といや、あっちの二人もでしょ」
真田「こういう環境だと普段出来ないトレーニングができるからな」
天田「ずっと付き合わせるんですもん、あんまり休めませんでしたよ」
ラビリス「んで、そこがちょうど白い組との境界線な」
順平「うるせー!好きで半分焼けてねーよ!」
アイギス「まるで前衛芸術ですね……」
メティス「ふふ……」
82 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/29(土) 00:02:42.85 ID:s66ZDimTo
有里「悠、外にいた割りには焼けてないね」
鳴上「あんまり日向にいなかったからな」
美鶴「楽しんでもらったようで何よりだ。明日からはまた戦いの毎日が待っている。最後まで余さず楽しんでおくといい。それでは……」
>例のごとくメイドさん達が料理を運んでくる。
>昨日より豪華だ。
順平「こうなりゃヤケ食いだ!ちくしょー!真田先輩!どんだけ食えるか勝負っすよ勝負!」
真田「勝負だと?トレーニング後の俺の胃袋を舐めるなよ?」
ゆかり「あーあ、お下品」
風花「いいじゃないですか、楽しそうで」
>屋久島での最後の晩餐を楽しんだ。
>『No.00 愚者 特別課外活動部』のランクが4になった。
>……。
83 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/29(土) 00:03:35.72 ID:s66ZDimTo
鳴上「明日には戻るのかぁ」
>また船旅ができるのはいいが、この景色み見納めだ。
>屋久島は素晴らしい所だった。
>……いろんな事もあったし。
>思い出すと少し照れる。
鳴上「ん?」
>窓の外に人影が2つ。
>あれは……ラビリスとメティスか。
>何か話しているようだが……。
鳴上「あれ、あそこにも誰か……」
>二人から少し離れた所にもう一人人がいるようだが、暗くてよく見えない。
鳴上「何の話だろう」
>嫌な感じがする。
>……見に行った方がいいか?
>……あ。
>考えている間に話が終わったようだ。
>どうやら帰ってくるらしい。
鳴上「まぁ、明日聞けばいいだけか」
>今日はエリザベスと歩きまわって少し疲れた。
>ゆっくり寝て、明日に備えよう。
84 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/29(土) 00:04:26.62 ID:s66ZDimTo
【7/25 晴れ】
>今日で屋久島ともお別れだ。
>この馬鹿みたいに青い海も、深い樹の匂いも、しばらくは出会う事は無いだろう。
天田「先輩、準備できました?」
鳴上「ああ。……もう帰るのか」
天田「随分気に入ったみたいですね。なんなら桐条さんに言ってみればどうですか?また来たいですって」
鳴上「そこまでわがままは言えないよ。今度は自分で来よう」
天田「その時は連れてってくださいよ」
鳴上「考えとくよ」
>荷物を持って部屋を出る。
>最後に屋久島の空気を思い切り吸い込んで、船に乗り込んだ。
有里「……や」
鳴上「……ん」
>船室には既に湊が座っている。
>実は、頭の中に一つの疑念がある。
85 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/29(土) 00:06:34.78 ID:s66ZDimTo
>昨日、良く見えなかった人影……あれは湊ではないのか。
>だとしたら、湊はあの二人と何を話していた?
>聞けば済む話なのだろうが、もし秘密の話なのだとしたらどうしようか。
>何か俺や他の皆に聞かれたくない話があって……。
有里「悠」
鳴上「なんだ?」
有里「昨夜、僕らが話してるの見てたよね」
鳴上「なんだ、気付いてたのか」
有里「うん。隠すような話じゃないからいいんだけどね」
鳴上「じゃあ聞いていいか?何の話だったんだ?」
有里「君の話だよ」
鳴上「俺の?」
有里「君がメティスの気持ちに応える事にしたっていうのはわかった。でも、それで納得いかないって人がいるからね」
鳴上「それがラビリスか」
有里「うん。それから僕はメティスの気持ちを確かめて……」
鳴上「待て、何を聞いた」
有里「まぁ、いろいろ。安心してよ、他の人に言ったりはしない」
86 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/29(土) 00:07:06.45 ID:s66ZDimTo
鳴上「ならいいけど……」
有里「彼女、よっぽど君の事が好きなんだね」
鳴上「……そうか」
有里「茨の道だって事はわかってるみたいだから、もう何も言わないよ」
鳴上「俺だってわかってる。俺達がどうこうなれるとは思ってない」
有里「……そう。何かちょっと悔しいよ」
鳴上「何がだ?」
有里「そこまではっきり言える事がさ。それなら、僕だってこんな思いはしなくて済んだかもしれない」
鳴上「湊……」
有里「楽しかったね、屋久島」
鳴上「帰ったら今度は八十稲羽だな」
有里「皆、どんな顔で出迎えてくれるかな?」
鳴上「どうだろうな」
>船中、二人でずっと話していた。
>『No.10 運命 有里湊』のランクが4になった。
87 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/09/29(土) 00:07:32.38 ID:s66ZDimTo
楽しかった屋久島旅行 おわり
次は月曜日です。
では、また来週。
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/09/30(日) 11:50:21.80 ID:BaWSIRHR0
乙
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/01(月) 09:48:59.43 ID:1kci+Bqb0
乙!
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/10/02(火) 07:01:46.07 ID:oiCwsHJr0
まさかの来なかった…
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/02(火) 17:18:36.13 ID:gTOqKHyc0
今日こそは大丈夫だ
92 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/03(水) 00:30:36.99 ID:qh92Zfyjo
鳴上「二日離れてただけなのに随分久しぶりに思えるな」
>一度寮に帰って荷物を置いて、街をうろうろしてみる。
>こうして見るとやっぱり人は多いし建物は密集しているし、景観はそこまででも無い……。
鳴上「いやいや。屋久島と比べるのが間違ってるだろ」
>我ながら気に入りすぎだ。
ライドウ「都会は都会で見るべき物は多いと思うが」
鳴上「ん?ライドウじゃないか」
>気がつくとライドウが隣に立っている。
ライドウ「学校で毎日顔を合わせていると、少しの休みでも久しぶりに思えますね」
鳴上「そうだな。今日は大学芋じゃないのか」
ライドウ「そこのご婦人にひどく推されたもので」
>オクトパシーのおばちゃんがサムズアップしている。
>商売上手だ。
鳴上「俺もひとつもらうか。おばちゃん、一パック」
>おばちゃんからたこ焼きを受け取り、ベンチに座る。
93 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/03(水) 00:32:16.22 ID:qh92Zfyjo
鳴上「ライドウも座ったらどうだ?」
ライドウ「失礼しますよ」
>二人で並んでたこ焼きをつつく。
ライドウ「屋久島旅行はどうでした?」
鳴上「ああ、すごかったぞ。でも海外とかだともっと青い海とかあるんだよな」
ライドウ「自分も行った事は無いのでわからないが、そうらしいですね」
鳴上「一度、色んな物を見に海外にも行ってみようかな」
ライドウ「学生の身の上では難しいかもしれないが、卒業後もその志を持っていれば平気でしょう」
鳴上「そうだよな」
ライドウ「……実入りのある旅だったと見受ける」
鳴上「何でそう思う?」
ライドウ「顔つきが変わった。吹っ切れたというか、何か決めた男の顔に」
鳴上「そ、そうか?」
ライドウ「勘違いかもしれませんが」
鳴上「まぁ、色々あったんだよ。色々」
ライドウ「その色々はいずれ聞かせてもらうとして。鳴上君は将来どうするつもりですか?」
鳴上「突然なんだ」
ライドウ「先ほどの話です。卒業したらどうするのか」
鳴上「ああ……俺は進学だな」
94 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/03(水) 00:34:25.70 ID:qh92Zfyjo
ライドウ「ほう」
鳴上「ちょっとやりたい事があってさ。大学出ないといけないから」
ライドウ「せっかくできた桐条のコネは使わないと」
鳴上「あの人は……まぁ、元締めではあるけど飽くまで仲間だと思ってるから。下で働いたりっていうのは違うかなって」
ライドウ「なるほど」
鳴上「そういうライドウはどうなんだ?そのまま探偵やるのか?」
ライドウ「ええ、そうでしょうね。……いえ、実は少し悩んでいる」
鳴上「え?だってお前は……」
ライドウ「そう、デビルサマナーとして生きていくしかない」
>ライドウの一族はそういう一族だったはずだ。
ライドウ「表向きは探偵だったり……まぁ、色々ですが。自分は裏の方が専門になるので、仕事以外で表舞台に出る事は稀かと」
鳴上「なるほどな……大変なんだな」
ライドウ「以前まではそうも思わなかったのですが、最近は少々息苦しい」
鳴上「まぁ、そりゃあな……」
ライドウ「主に貴方方のせいですよ」
鳴上「俺……達?」
95 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/03(水) 00:34:55.64 ID:qh92Zfyjo
ライドウ「ええ。貴方や周りの皆を見ている内に、自分も立場さえ違えば……などと思うようにった」
ライドウ「本当なら、今度の八十稲羽行きについて行きたいくらいです。と言っても、本職を疎かには出来ないので無理なんですが」
>ライドウは苦笑する。
ライドウ「こうして一つ所に留まっている事も珍しいのです。悪魔を倒してすぐ退場、が本来あるべき姿なので」
鳴上「今、楽しいのか?」
ライドウ「ええ、実の所。そのせいで、まぁ色々と考える事もある、と」
鳴上「……俺は、お前と知りあえて、友達になれて良かったと思うよ」
ライドウ「それについては全く同意です。自分は今の状態を喜ばしく思う。これは内密に願いますよ」
鳴上「いいじゃないか。自分が今楽しいって言えるのはいい事だ」
ライドウ「しかし、将来に悩んでいる……などと言う事はできない立場なのです。そうですね、言うならば……とっぷしーくれっと、とでも言いましょうか」
鳴上「随分ハイカラな言葉を覚えたな」
ライドウ「ふふふ、でしょう」
>ライドウは笑うと、食べ終わったたこ焼きのパックをゴミ箱に捨てた。
ライドウ「さて、それでは失礼します。調べたいことがあるので」
鳴上「ああ。そうだ、向こうで何か土産でも買ってこようか?」
ライドウ「……そうですね、でしたら、ジュネスのフードコートで売っている大学芋を」
鳴上「た、食べ物か」
ライドウ「期待しています。では」
>ジュネスに大学芋なんてあったかな……?
>『No.11 剛毅 葛葉ライドウ』のランクが3になった。
>……。
96 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/03(水) 00:36:26.85 ID:qh92Zfyjo
【7/29 晴れ】
>支度は完璧。
>天気も快晴。
>今日は八十稲羽行きの日だ。
鳴上「というわけで行ってきます」
風花「行ってらっしゃい。こっちの事は任せてね」
天田「部活なかったら連れてってもらうんですけどね」
鳴上「今度な。ええと……皆いるか?」
>一緒に行く予定のメンバーは、湊、アイギス、メティス、ラビリス、綾時。
>綾時とは駅で合流するから、四人引き連れて移動になるのだが……。
有里「いるよ」
アイギス「私も大丈夫です」
メティス「……」
鳴上「ラビリスがいないな」
>他の皆は揃っているが一人だけいない。
>屋久島から帰ってこっち、どうも様子がおかしかったし、もしかしたら調子でも悪いのかもしれない。
97 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/03(水) 00:40:35.37 ID:qh92Zfyjo
鳴上「ちょっと呼んでこようか」
有里「待った」
>湊に静止される。
有里「僕が行くよ。悠は先に駅行ってて」
鳴上「そうか?でも俺もちょっと心配だし」
有里「大丈夫。一応、事情は聞いてるから」
>柔らかい物言いだが、どうやら俺に行かせる気は無いようだ。
鳴上「まぁ、お前がそういうなら任せる。じゃあ俺達は先に行ってるから」
アイギス「あの、えっと……」
>アイギスが心配そうに湊を見ている。
有里「大丈夫だから」
アイギス「はい……」
鳴上「えっと……行こうか」
>メティスとアイギスは黙ってついてきてくれるようだ。
>……気まずい。
>三人で駅まで歩いた。
>……。
98 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/03(水) 00:50:12.97 ID:qh92Zfyjo
綾時「あのさ……その登場は無いんじゃない?」
鳴上「いや、それは俺もそう思うんだが」
綾時「まぁ、その内機嫌も直るよね多分」
>アイギスとメティスはずっと無言だ。
>ラビリスの事が気にかかるのだろう。
綾時「あ、二人も来たね」
有里「やぁ。どうしたの、そんな顔して」
ラビリス「せやせや。楽しい旅路が台無しやで?」
鳴上「ラビリス、大丈夫なのか?」
ラビリス「ちょっと準備手間取っただけやで。心配かけてごめんな?」
アイギス「姉さん、本当に大丈夫なの?」
ラビリス「なんやぁ、アイギス。心配ないて。な?」
>アイギスもメティスもほっとしたような顔をした。
>どうやらラビリスはいつも通りのようだ……良かった。
鳴上「よし、それじゃ行くか。忘れ物ないか?」
99 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/03(水) 00:51:24.57 ID:qh92Zfyjo
アイギス「おー!」
ラビリス「子供やないんやから……」
メティス「あ、ハンカチ持ったかな……」
綾時「僕の使う?」
有里「……どうでもいい」
>皆で八十稲羽に向かう事になった。
>向こうの皆に会うのはGW以来だ。
>……楽しみだ。
100 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/03(水) 00:56:55.18 ID:qh92Zfyjo
八十稲羽行き。
あ、あの、違うんです。土日休みにしたら月曜日忘れちゃってて……あの……すみませんでした!
では、また明日。
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2012/10/03(水) 01:05:45.28 ID:sOLpxK0Bo
乙
102 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:02:09.44 ID:xObuKtSdo
>電車の中でさり気なく様子を見ていたが、ラビリスは本当に平気なようだ。
>アイギス達と談笑している。
有里「……悠はあまり気にしない方がいいと思うよ」
鳴上「あ、いや……そうか」
有里「うん。彼女は人間じゃないけど、心は人間と同じだ。普通の人よりもさらに複雑なんだ」
鳴上「それは確かにそうなんだろうけど」
有里「触れられたくない相手や触れられたくない時っていうのがあるんだと思う」
鳴上「……湊なら平気なのにか?」
有里「僕は必要以上に触れたりしないからね」
鳴上「加減が難しいな」
有里「だから、まぁ……ちょっと気にかけとくくらいで」
鳴上「とりあえずアドバイスは聞いておくよ。ありがとう」
有里「ん。……ちょっと寝る」
鳴上「着いたら起こすよ」
103 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:03:14.39 ID:xObuKtSdo
>湊が目を閉じてもたれかかってくる。
>どうせなら女の子が良かった。
アイギス「鳴上さん、トランプ混ざりませんか?」
鳴上「悪いけど今は、遠慮するよ。ほら、こんなだから」
アイギス「あ……」
>アイギスはくすりと笑った。
アイギス「では、なるべく静かにしますね」
鳴上「ああ、頼む」
綾時「ねぇ悠!ババ抜きのババって何なんだろうね!」
鳴上「お、おい、綾時。今湊が……」
有里「……タナトス!」
>……。
鳴上「着いたぞ」
有里「ん……」
アイギス「久しぶりですね」
ラビリス「ほんまやなぁ。うわー変わってへんわー」
メティス「ここが、八十稲羽……」
綾時「おお、時代をちょっと遡った気分だね」
>電車を降りて駅を出る。
>ポートアイランドより少し涼しい気がする。
104 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:04:00.82 ID:xObuKtSdo
「相棒!」
>この声は……
鳴上「陽介!」
陽介「ヘヘッ、久しぶりだな!って……また大所帯だなぁ」
有里「や、久しぶり」
陽介「おー!有里も来たのか!お前もひっさしぶりだなぁ!」
>駅の外には既に出迎えが来てくれていた。
綾時「君達が悠と湊のお友達だね。僕は……」
>そこまで言って綾時が目を見開く。
綾時「望月綾時。あの二人とはそれはもう深い仲でね。君達は?」
千枝「え、えと、あの……」
雪子「私達もお友達。望月君か……よろしくね」
りせ「なーんかノリかるーい。ナンパなタイプ?」
綾時「心外だなぁ。僕は一途で有名なんだよ?ねぇ?」
アイギス「いえ、全く」
ラビリス「みんな久しぶりー、元気しとった?」
クマ「むはー!ラビチャンお久しぶりー!クマはもう元気元気よー」
メティス「クマ?……本当にクマなの……?」
105 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:04:52.62 ID:xObuKtSdo
>メティスは少し戸惑っているが、初対面の二人ももう馴染んでいるようだ。
>……あれ?
鳴上「完二と直斗は?忙しいのか?」
陽介「あー、完二は直斗の迎えだな」
りせ「なんかなれない用意があるから遅れるんだって」
有里「用意……?」
千枝「って、あれ?あれ完二君じゃない?」
>千枝の指差す方を見るが、それらしき人影は見えない。
>が、良く知った人物を見つけた。
鳴上「菜々子!」
>菜々子がこちらに気付いて走り寄ってくる。
>……?
>知らない男と一緒だ。
菜々子「おにいちゃん!」
鳴上「ただいま、菜々子。元気だったか?」
菜々子「うん!」
鳴上「えっと……その人は?」
「先輩。俺ッス。俺ッスよ」
106 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:05:58.65 ID:xObuKtSdo
鳴上「俺……?」
>俺、と言われても。
>髪は真っ黒で七三分け、漫画に出るような瓶底メガネを掛けた男は知り合いにはいない。
陽介「くっくっく……そっか、相棒も有里も知らねーんだよな」
千枝「ああ、そうじゃん。こうなったのって、二人共いない時だし」
有里「こうなった?」
「ああもう、これでわかるっしょ!」
>男は髪をかき上げオールバックにし、メガネを外し……
鳴上「……ああ!?」
有里「おお……」
完二「俺ッスよぉ!本気で気付かねーんだからヘコむぜ……」
りせ「完二ね、出席もヤバいし内申もヤバいしで留年間際だったんだって」
鳴上「ああ、それでそんな格好に……」
完二「まぁ夏休み中までやんなくていいんスけど、田舎って噂広まるの早いんでなるべく……」
有里「よく頑張ってるね」
完二「へへ、そっスか?」
107 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:07:57.58 ID:xObuKtSdo
雪子「あれ?それで直斗君は?」
完二「あー、それが……」
菜々子「もう来てるよ?」
千枝「え、いないじゃん」
陽介「んぉ?お、おい、あれ……」
>直斗が電柱の影から顔だけ出している。
有里「妙な事になってるね」
綾時「悠の友達ってどうしてこう可愛い子ばかりなのかな?」
鳴上「よくわかるな」
綾時「え?いや、どう見ても女の子でしょ」
りせ「もー、ちょっと何やってんの?ほらこっち……あ、ちょっとこれ……」
>りせが笑いながら直斗の方へ駆け寄り、一瞬驚いた後にんまりと笑う。
りせ「ほら、どーん!」
直斗「う、わ……あ、ははは……お久しぶりです、二人共」
108 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:14:41.80 ID:xObuKtSdo
>直斗はいつもの男装では無かった。
>いつだったか、女子制服を着てみせてくれた事があるが、今日は私服だ。
>スカートの直斗を見るのはこれが二回目か。
有里「あれ、今日はそういう格好なんだね」
千枝「うわ、可愛いー。そんな服持ってたんだ」
陽介「お、おお……なんか……すげえな」
クマ「ナオチャン!ナオチャンかわいーい!ステキー!」
直斗「や、やめてください、恥ずかしくて……」
鳴上「もう平気なのか?」
直斗「い、いや……本当はまだ出歩くほどは。ただ、先輩に久しぶりに会えるって思ったら、いいかな、とか」
>直斗は照れたように笑った。
りせ「うー、私だっておしゃれしてきたのにぃ!このインパクトはずるいでしょ!」
雪子「そっか、私も普段男の子のかっこしてれば……」
アイギス「いえ、多分そういう事では無いと思います」
ラビリス「あははは、みんな元気そうで良かったわ!」
綾時「ところで、これから食事でもどうかな?」
>こうやって皆に囲まれていると、ライドウの言っていた意味がわかる気がする。
>この楽しさを知ってしまうと……抜け出せないだろうな。
>……。
109 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:16:59.02 ID:xObuKtSdo
陽介「へぇー、やっぱ大変なことんなってんな」
鳴上「ああ。一応全力は尽くすけど、今後どうなるかは……」
菜々子「なんの話?」
千枝「あ、え、えと、ま、まぁさ!こっちにいる間はそういうの忘れようよ!」
りせ「そうそう!先輩の為に新しい水着も買ったんだよ!」
雪子「すっごい無理言って私もお休みもらったから、いっぱい遊ぼうよ」
綾時「お休み?バイトか何かの?」
千枝「ああ、雪子ん家って旅館やっててさ。それで……」
有里「ちなみに僕らがお世話になるのも天城さんとこだよ」
アイギス「またよろしくお願いします」
メティス「旅館……温泉はありますか?」
りせ「あるよー、すっごいのが」
メティス「おお……事故には気をつけましょう」
ラビリス「事故?」
110 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:17:41.17 ID:xObuKtSdo
直斗「そういえば、葛葉さんはお元気ですか?」
鳴上「ああ、元気だったぞ。皆のことも気にしてた」
千枝「なんだかんだ良い人なんだよねぇ、彼も」
クマ「クマもう立ってるの疲れたクマー……」
>クマが地べたに座り込んだ。
陽介「こらこら、みっともないからやめろっての。……でもま、こんなとこで立ち話も変な話だよな」
鳴上「とりあえず、荷物だけ置いてまた後で集合しなおすか」
菜々子「菜々子、ちょっと疲れちゃったからお家で待ってるね」
鳴上「そうか。堂島さんは?」
菜々子「お仕事。最近また忙しいんだって」
鳴上「そうか……なるべく早く帰るよ」
菜々子「うん!待ってるね!」
有里「じゃ、僕らも行こうか」
>荷物を置いたらジュネスに集合だ。
>俺のいない間にいろんな事があったようだから、聞きたい事もたくさんある。
>菜々子と二人で家に向かった。
>……。
111 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/04(木) 00:19:16.46 ID:xObuKtSdo
楽しい八十稲羽 はじまり
では、また明日。
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/04(木) 01:04:42.32 ID:KEplVCPSo
乙
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2012/10/04(木) 03:55:48.90 ID:oXqvBZjwo
乙
114 :
◆e8lME0lo0A
[sage saga]:2012/10/04(木) 23:13:36.82 ID:xObuKtSdo
申し訳ない、一週間・・・いや二週間ほどお休みいただきます。
農家の忙しい時期がやってきてしまいました・・・。
ちょっとずつ書き溜めて復活するので、二週間後にまた。
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2012/10/04(木) 23:26:32.63 ID:oXqvBZjwo
まってる
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/05(金) 02:52:25.21 ID:MGrt+wRs0
了解した てか
>>1
農家だったのか 頑張ってね
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/21(日) 00:26:32.78 ID:IszozivK0
待ってる
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/10/21(日) 15:06:57.38 ID:CbqThPHHo
そろそろか
119 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:01:49.96 ID:2UlFcp6Do
鳴上「だけど、皆変わったな」
陽介「そうかぁ?そりゃ、完二はエライことになってるけどさ」
完二「先輩、ようやくイジられなくなった所なんでその話題パスでたのんます」
鳴上「い、いや、けど、ほら。他の皆もさ」
陽介「そうかぁ?大して変わってないだろ」
クマ「ヨースケは成長が無いだけクマー」
有里「いや、結構変わってるよ。目つきというか、顔つきというか」
鳴上「ああ。しばらく会わなかっただけなのにな」
陽介「んー……あんまりこういう言い方ってどうなのかなって感じだけどよ。なんつーか、お前らがいなくなったからだよ」
鳴上「俺達が?」
陽介「お前らがいるとさ、こう、引っ張ってくれそうな感じがすんじゃん。それに甘えてたとこも、正直あるっつーか」
完二「情けねぇ……たぁ言えねぇか。実際、俺も似たようなもんスよ。先輩達って頼り甲斐あるんスけど、そのせいでたるんじまってたかもしんねっス」
有里「参ったな……」
鳴上「じゃあ帰ってこない方が良かったか?」
陽介「いやいや!そうじゃねえって!」
完二「そうっスよ!褒めてるんスから!」
120 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:02:17.74 ID:2UlFcp6Do
クマ「センセー?クマはいつだってセンセーの味方クマよー?いつでも遊んでくれていーのよー?」
有里「だって。じゃあ陽介達はおいといてクマと遊ぼうか」
鳴上「そうするか」
陽介「おーい!勘弁してくれよぉ」
完二「ホームランバー一本でどうだ?」
クマ「三本で手を打つクマ」
完二「ちっ、足元見やがって……」
鳴上「ははは……」
有里「あれ、そういえば綾時は?」
陽介「ああ、アイツなら女子ん中に混じってるぜ」
完二「実際すげーよな……あんなナチュラルにガールズトークに混ざれんの、あの人くらいだろ……」
クマ「リョージもセンセーって呼んでいいクマ?」
鳴上「じゃあ俺はどうなるんだ?」
クマ「ムムム……じゃあリョージはシショークマ!」
綾時「何?僕の話?」
121 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:02:56.96 ID:2UlFcp6Do
完二「おわっ!どっから出たんスかあんた!」
綾時「いや、たまたま戻ってきただけだけど」
有里「お帰り。何の話してたの?」
陽介「そうだよ、俺ら閉めだされちまったし。何かアレか?コイバナってヤツか!?」
綾時「んー?うーん……まぁ、そうと言えばそう」
クマ「コイバナ?お魚の話?」
陽介「天城にりせちーに、アイギスさん、ラビリス、メティスちゃんの恋話か……すげえ気になる」
鳴上「里中と直斗はどうした?」
陽介「や、あいつらは俺の中で男勘定っつーか」
完二「アンタ、またぶっ飛ばされんぜ……」
綾時「でも僕も閉め出し食らっちゃった。核心は聞かせてもらえないみたい」
陽介「あー?まぁ、仕方ねえか」
完二「あ、あのよ、綾時サン?直斗のヤツ、俺の事何か言ってなかったか?」
綾時「言ってたよー」
完二「な!?なんつってた!?教えろコラァ!」
綾時「最近はまじめに勉強もしてるみたいだし、不器用だけどよく気遣ってくれてるし、見直したってさ」
完二「うぉおおおおお!お、俺もアンタの事師匠って呼ばせてくれ!」
綾時「え、ええ?」
完二「しぃしょおおおおおおおお!」
122 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:04:38.46 ID:2UlFcp6Do
鳴上「何か聞き覚えあるな」
有里「気のせいじゃない?」
クマ「で、何の話してたクマー?」
綾時「女の子達は誰が好きかーって話だよ」
クマ「く、クマは!?クマは出てきたクマ!?」
綾時「残念だけど……」
クマ「およよ……」
陽介「あ、あのよぉ。俺の事は……何か……」
綾時「いや全く」
陽介「ま、わかってたよ……」
綾時「けど魔女裁判が始まってさー」
鳴上「魔女裁判?」
有里「誰が吊し上げられたの?」
綾時「メティスちゃん」
有里「あー……」
鳴上「……そ、そうか」
陽介「おい、何した。俺の知らない間に随分差がついちまったんじゃねえのか!?」
有里「元からじゃない?」
陽介「うっせ!うっせ!」
123 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:05:07.56 ID:2UlFcp6Do
ラビリス「はーただいまぁ」
クマ「およ?ラビちゃんおかえりクマー」
ラビリス「ただいまークマさん」
鳴上「話は終ったのか?」
ラビリス「いや、ウチはああいうの苦手やわ、やっぱり。こっちで皆と話してた方が楽でええ」
有里「そう。ま、そうかもね」
陽介「おお……殺伐とした空間に一輪の花が……」
ラビリス「ところで、完二君ナニしてるん?なんや叫んでたけど」
綾時「僕が師匠になったんだよ」
ラビリス「……?」
クマ「ラビちゃんは誰の事が好きクマー?」
ラビリス「へっ……なんやのいきなり!?」
クマ「クマ聞いたクマー。コイバナって、そういうお話だーって」
ラビリス「ま、まぁ向こうはそんな話してたみたいやけど、ウチは別に……」
綾時「あっれぇ、てっきり悠が好きなのかと思った」
鳴上「お、おいおい」
ラビリス「いややなぁ、悠はただのお友達。んで一緒に戦う仲間や」
124 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:05:37.01 ID:2UlFcp6Do
>……あれ?
>なんとなく、『ち、ちゃうわ!何でそんな事……』みたいになるかと思ったんだが。
>本当に俺は恋愛対象じゃ無いらしい。
>……当たり前か。
綾時「なんだ、見込み違いかぁ。じゃあ今はフリー?僕なんかどう?」
ラビリス「……ほんま、呆れるわ。そうや、皆で海行くんやって?」
陽介「おう!夏っつったら海だろ!」
クマ「水着ギャルとウハウハークマー!」
完二「へっ、くだらねぇな」
有里「お帰り」
綾時「だけど、今日の感じだと白鐘さんも水着着るんじゃない?」
完二「師匠!しぃしょおおおおおお!」
綾時「見よ!東方は赤く!」
完二「燃えているぅううううう!」
鳴上「……そっとしておこう」
>……。
125 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:06:16.36 ID:2UlFcp6Do
千枝「あー……がっくりきたー……」
陽介「あれ、里中じゃん。女子会終わり?」
千枝「んー、ていうか一旦解散って感じ?」
有里「もう夕方だけど、まだやるの?」
千枝「これから雪子んちで再集合。私ら先に行くから、皆も適当に解散してねって話」
鳴上「そうか。皆と話したかったんだけどな」
千枝「ごめんね、けど……なんていうか、看過できない話題といいますか」
有里「まぁまだ日はあるしね。遊びに行くときにでもたっぷり話したらいいじゃない」
鳴上「それもそうだな」
千枝「うぅー、私も皆と話ししたいからね!別にどうでもいいとかじゃないから!」
有里「わかってるよ」
鳴上「じゃあ、また明日な」
千枝「うん、それじゃね!」
陽介「……なぁ、綾時と有里さ、旅館泊まりだよな」
有里「うん」
綾時「花村君。わかってるよ」
126 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:07:01.95 ID:2UlFcp6Do
陽介「くれぐれも俺の名前は出さないように、頼んだぜ!」
綾時「任せてよ」
完二「師匠、あの、直斗に……」
綾時「言わなくても大丈夫。わかってるさ」
完二「流石ッス!」
クマ「クマなー、今日はセンセーのお家行ってもいいかー?」
鳴上「ん?……構わないとは思うけど」
陽介「ばっか、今日は駄目だっつの。菜々子ちゃんどんだけ待ってたかわかってんだろ」
クマ「ムムム、しゃーないクマ……」
鳴上「悪いな。じゃあ、俺はそろそろ……」
陽介「おう!じゃあな!また明日!」
有里「綾時、僕らも帰ろうか」
綾時「うん。さーて腕が鳴るなー」
>……。
127 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:07:34.54 ID:2UlFcp6Do
菜々子「おかえり!お兄ちゃん!」
鳴上「ただいま。堂島さんは?」
堂島「もう帰ってるよ。……おかえり」
鳴上「ただいま帰りました」
堂島「ああ。芸が無くて悪いが、寿司買ってきた。食おう、三人で」
菜々子「えへへ、お兄ちゃんと一緒のご飯、久しぶり」
鳴上「そうだな。俺のいない間に何かあったか?」
菜々子「んっとね、クラスでお魚をね……」
堂島「こらこら菜々子。居間に座ってからでもいいだろ」
菜々子「あっ、ごめんなさい……」
鳴上「慌てないでもこれからしばらくいるから。ゆっくり聞くよ」
菜々子「うん!」
>三人で食卓を囲んだ……。
128 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:08:24.14 ID:2UlFcp6Do
鳴上「それで……」
菜々子「うん……うん……」
堂島「菜々子はもう寝なさい。明日も朝顔に水やるんだろう?」
菜々子「まだ、お兄ちゃんとお話したい……」
鳴上「明日、俺も早く起きるから。その時にな」
菜々子「……わかった。おやすみなさーい」
鳴上「おやすみ」
堂島「おやすみ……。さて、と。まぁ座れ」
鳴上「座ってますよ」
堂島「そうだな。酒……はまだだよな」
鳴上「堂島さんも飲んだら酷いんですから、無しにしましょう」
堂島「ははは、すまんな。なんというか、お前が随分大人になったように思ってな」
鳴上「大人に……?」
堂島「自分ではわからんもんだ。目とか、立ち振舞とかがな。お前は前から大人びてたけど、今日は見違えた」
129 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:08:53.33 ID:2UlFcp6Do
鳴上「久しぶりに会ったからじゃないですか?」
堂島「いや、それだけじゃないな。何かあったか?」
鳴上「どうでしょう。毎日戦ってたからですかね」
堂島「また危ない事してるのか……」
鳴上「まさか。人生って戦いでしょう」
堂島「そういう冗談が言えるようになったのもな。昔のお前なら嘘がつきたくないって黙ってた所だ」
鳴上「……そういえば、そうかもしれませんね」
堂島「複雑な所だがな、子供が大人になるっていうのは。今の話で言うと……そうだな」
堂島「昔は、俺が心配してるのもわかる。だけど巻き込めない。だから黙っとく……だったのが、今はきっちり判断できるようになった」
堂島「心配はわかるが、巻き込む方が危ないってな。ついでに言うなら、隠しておけば俺がある程度以上追求しない事もわかってる」
鳴上「……」
130 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:13:28.45 ID:2UlFcp6Do
堂島「昔の事があるからな。俺になんとも出来ない事はわかってるんだ。だけど、あんまり心配は」
鳴上「大丈夫ですよ。無茶出来ない立場にいるんで」
堂島「……信用するか。大人になったお前を」
鳴上「ええ。……いろいろ、考えたからかもしれません」
堂島「なんだ、悩み事か?」
鳴上「というか、進路とかですね」
堂島「進路なぁ。そういえば、お前の友達……里中だったか。あの子が警察官になるって相談に来たぞ」
鳴上「ああ、らしいですね」
>堂島と遅くまで話した。
>……。
131 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/23(火) 00:14:18.54 ID:2UlFcp6Do
再開。
いやぁ大変だった。
この辺りからラストに向かって走っていきますのでもうしばらくお付き合いください。
では、また明日。
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/23(火) 00:39:21.73 ID:mgSEec2Zo
農作業もSSもお疲れ様です!
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福島県)
[sage]:2012/10/23(火) 00:41:07.18 ID:8knKmgzCo
乙
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/23(火) 01:01:06.79 ID:viB9qeaf0
乙
135 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:00:24.17 ID:hyI78Kdeo
【7/30 晴れ】
菜々子「おはよう!お兄ちゃん!」
鳴上「ああ……」
菜々子「お兄ちゃん、眠そうだよ?大丈夫?」
鳴上「平気だ。朝顔に水やるんだろ?」
菜々子「うん。観察日記つけるんだ」
鳴上「あったなぁ、昔」
菜々子「お兄ちゃんもやったの?」
鳴上「菜々子と同じくらいの時にね」
菜々子「そうなんだ。お父さんもやったって言ってたし、皆そうなのかな?」
鳴上「定番だから、そうなんじゃないか?」
菜々子「そうなんだー。お兄ちゃん、水出してー」
鳴上「行くぞー」
>菜々子と朝顔の水やりをした。
>……。
136 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:01:08.33 ID:hyI78Kdeo
鳴上「ふぅ。それじゃ今日は……」
陽介「おはようございまーす!」
菜々子「あ、ジュネスのお兄ちゃん、おはよう!」
陽介「おーう菜々子ちゃん!おっはよーう!お兄ちゃんいるか?」
菜々子「いるよー。お兄ちゃーん」
鳴上「聞こえてるよ」
陽介「おっ、いたか相棒!今日ヒマだろ?」
鳴上「まぁ、暇だな」
陽介「釣り行こうぜ釣り!久しぶりにさ!」
鳴上「釣りか……いいな。行こう」
陽介「よっしゃ!んじゃこれ、ほい」
鳴上「ん?麦わら帽子?」
陽介「勿論ジュネスでお買い求めいただけます」
菜々子「あー、いいなー」
陽介「菜々子ちゃんのもあるぞー」
菜々子「ほんと!?やったー!」
陽介「ははは、じゃあ行こうぜ!」
>今日は陽介と釣りに行く事になった。
>……。
137 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:01:36.55 ID:hyI78Kdeo
>二人で並んで釣り糸を垂らした……。
陽介「いーい天気だなー」
鳴上「そうだな」
陽介「お前さ、何かあった?」
鳴上「いや?何も無いけど」
陽介「そっか。じゃあ気のせいか」
鳴上「どうかしたのか?」
陽介「や、なんつーか、空気っつーかさ。前よりこう、薄くなったっつーか」
鳴上「薄く……?」
陽介「んー、俺の頭じゃなんて言ったらいいかわかんねーや」
鳴上「堂島さんには大人になったって言われたけど」
陽介「ああ……そうなのかもな。俺らといた時ってさ、お前、なんつーか燃えてたじゃん?」
鳴上「そうか?」
陽介「あん時はほら、事件があって、解決できるのは俺らだけで、多分そのせいだと思うんだけど」
>確かに、毎日全力だった気がする。
138 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:02:11.47 ID:hyI78Kdeo
陽介「今のお前はそれが無いっていうか、余裕があるっていうか。それが大人になったってんなら、多分そうなんだと思う」
鳴上「そんな風に見えるか」
陽介「俺の勝手な感想だから気にすんなよ。おい、引いてんぞ」
鳴上「あ、ああ」
陽介「へへっ、ま、そんな事よりさ。お前、メティスちゃんと何かあっただろ」
鳴上「!?」
陽介「こら、竿離すなって!流石に俺でもわかるぜ、昨日の話聞いたら」
鳴上「まぁ、あったといえばあったな……」
陽介「でもさ、ぶっちゃけあの子も機械だろ?どうすんの?」
鳴上「どうするって……」
陽介「いろいろさ、不都合とかあるんじゃねえの?どのくらいのつもりなんだよ」
鳴上「考えてなかったな」
陽介「駄目だぜ、勢いだけで決めちゃよ……結婚とかどうなんのかね?」
鳴上「うーん……難しいな」
陽介「ああ、もしかしてそれで悩んでんのか?」
鳴上「それもある」
139 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:02:44.52 ID:hyI78Kdeo
陽介「悪いけどそっち方面は力になれないぜ?」
鳴上「知ってる」
陽介「相棒まで……」
>確かに、深く考えてなかった。
>……どうするべきなのだろう。
>俺は、メティスは、どうなりたいのだろうか。
>……。
陽介「いやー釣れたなー」
鳴上「いろいろ交換してもらえたな」
陽介「うっし、帰るか!あ、そうだ。明日海行くからな」
鳴上「明日なのか」
陽介「おう。旅館の連中には天城から伝えてもらうから、お前だけな」
鳴上「わかった。あ……菜々子も連れて行っていいかな?」
陽介「もちろんだぜ。んじゃ明日な!早めに寝ろよ!遅刻すっからな!」
鳴上「わかったよ。じゃあ、また明日」
140 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:03:35.80 ID:hyI78Kdeo
>明日は海か。
>楽しみだ。
>PiPiPi……
鳴上「ん?メールか」
>アイギスからだ。
鳴上「……メティスが?」
>急いで旅館へ向かおう。
>……。
鳴上「アイギス!」
アイギス「鳴上さん!すみません、突然」
鳴上「いや、いい。で、メティスがいなくなったって?」
アイギス「ええ。夕方になっても帰ってこないから連絡したんですけど、通信も無視されて……」
鳴上「そうか……有里達は?」
アイギス「姉さんと一緒に探しに行ってくれてます。どうしよう、昨日あんな事あったから……」
鳴上「あんなこと?」
アイギス「あ、なんでもありません……とにかく、あの子が本気で動けば相当遠くまでいけてしまうはず……なるべく早く見つけないと」
141 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:04:11.70 ID:hyI78Kdeo
鳴上「GPSとかついてないのか?」
アイギス「元々はあったんですけど、美鶴さんが私達にもプライバシーがあるべきだって取り外して……今はありません」
>優しさが裏目に出たか……。
鳴上「仕方ない、とにかくうろついてみる。戻ってきたら連絡を」
アイギス「天城さんに頼んであります。私もこれから探しに出ます……私は向こうを」
鳴上「じゃあ俺はこっちを。急ごう」
>メティス……どこへ行ったんだ。
>急いで探さなければ!
>……。
ラビリス「悠!」
鳴上「ラビリスか。って事はこっちはもう探したんだな」
ラビリス「あ、うん、一応……」
鳴上「一応?」
ラビリス「いや、ちゃんと探したで。けど見当たらへん……」
鳴上「そうか。参ったな……」
ラビリス「やっぱり、心配なん?」
142 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:04:42.50 ID:hyI78Kdeo
鳴上「当たり前だろ。何でそんな事聞くんだ?」
ラビリス「……それは、メティスやから?それとも仲間やから?」
鳴上「どっちもだよ。そんな事よりメティスを……」
ラビリス「大丈夫やろ。あの子やったら壊れる事も無いやろうし、最悪ポートアイランドまで帰れるやろ」
鳴上「おい、ラビリス。何を……」
ラビリス「メティスは特別なんやろ?悠にとって……ウチらと違って」
鳴上「どうしたんだよ……」
ラビリス「ウチ知ってるんよ。二人が屋久島でしてた事」
鳴上「……そうか」
ラビリス「ウチ、最低な事言ってると思う。けど……ずっとモヤモヤしてるんや。悠とメティスの事思うと」
ラビリス「ウチは、多分悠の事好きなんやと思う。これが嫉妬やっていうのもなんとなくわかる。けど、わかってても止められへん!」
ラビリス「なんでウチやないん!?なんでメティスなん!?あの子と私の何が違うん!?」
>涙こそ流さないものの、悲痛な叫びをあげる。
ラビリス「……ごめんな。ほんまはそういう事やあらへんよな。誰が勝ったとか、そんなんやない。それはわかってる」
ラビリス「けど、苦しくて……メティスにも辛く当たってしもて、悠と会ってても楽しないし、ウチもうどうしたらええんか……」
143 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:05:10.04 ID:hyI78Kdeo
鳴上「……ごめん」
ラビリス「悠のせいやない。けど、答えて欲しいんよ。メティスとウチと、どこに差があったんか」
鳴上「二人に差なんて無いよ。ただ、最初に打ち明けてくれたのがメティスだっただけだ」
ラビリス「……そっか。そうなんやな。ウチはちょっと遅かっただけ、か」
鳴上「ごめん」
ラビリス「謝らんでええって。はっきり聞けてちょっとすっきりしたわ。ごめんな、変に気遣わせて」
鳴上「いや……」
ラビリス「あーあ、さっさと言うとけばよかった。恥ずかしがってる場合やなかったんやなぁ」
鳴上「……」
ラビリス「もう、黙らんでよ。そうや、悠からメティスに連絡してみたらどうかな?悠からやったら……」
鳴上「あ、ああ。そうしようか。ラビリスから通信飛ばせるか?」
ラビリス「うん、大丈夫やで。ちょっとこっちに……」
鳴上「どうすればいいんだ?こうか?」
ラビリス「うん、そのまま……ん」
鳴上「う、わ!」
ラビリス「えっへっへ、やってもた。これが最後。これからは……ただの仲間で、友達や。メティスには内緒な!」
>唇の感触はやはり柔らかかった。
>PiPiPi……
144 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:05:59.48 ID:hyI78Kdeo
鳴上「っと、アイギスからだ。もしもし?」
アイギス『鳴上さん。メティス、帰ってきました』
鳴上「本当か!?良かった。どうしてたんだ?」
アイギス『猫を追いかけるのに夢中になっていたようで……』
ラビリス「なんや、そんな事……もー、あの子も困ったもんやなぁ」
鳴上「わかった。一回帰るよ。メティスは叱っておいてくれ。じゃ」
ラビリス「ほな、帰ろか。送ってってくれる?」
鳴上「ああ。旅館まで行こう。明日、海行くんだって。行くよな?」
ラビリス「行く行く!ウチ、海好きなんよ」
>ラビリスが胸の内を打ち明けてくれた。
>『No.08 正義 ラビリス』のランクが5になった。
145 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/24(水) 00:06:31.17 ID:hyI78Kdeo
現実見てる陽介。
では、また明日。
146 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2012/10/24(水) 00:18:11.09 ID:vTbNoVAno
乙
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/10/24(水) 00:59:25.19 ID:kwdEAEr7o
おひさー乙ー
148 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/24(水) 06:19:31.38 ID:9lBjqnGoo
この番長はブロークン起こしかねないハラハラ番長
149 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:04:04.37 ID:lsvILpdVo
【7/31 雨】
ラビリス「雨やん!」
陽介「いや、しゃーねーだろ。天気はどうしようもねえって」
メティス「海……」
直斗「まぁ、明日には止むでしょう。そうしたら行けばいいじゃないですか」
完二「あ、あのよぉ。直斗は、アレか?泳ぐのか?」
直斗「え?ええ、そのつもりですが……」
綾時「すごいガッツポーズだねぇ」
りせ「あーあ、気合い入れてたのにぃ。朝起きたらザーザー降ってるんだもん。がっくりだよ」
千枝「急にだもんねー。天気予報でも言ってなかったのに」
雪子「今日はゆっくりしてようよ。部屋でも遊べるでしょ?」
アイギス「そうですね。流石に少し手狭ですが」
150 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:04:33.08 ID:lsvILpdVo
鳴上「流石に人数がな」
有里「多いよね、どう見ても」
ラビリス「あれ?そういえばクマさんは?」
陽介「バイト。普段サボってるからまとまった休み取れねんだ。本当は明日だったんだけど、明日海行くなら今日働けっつっておいてきた」
ラビリス「そうなんや。残念」
陽介「トランプ持ってきたからなんかやろうぜー」
千枝「この人数じゃ手札すっごい少なくならない?」
りせ「私パース……気分じゃないかもー」
メティス「私も遠慮します……」
鳴上「人数多いなら俺も抜けるよ。……見てるだけで面白そうだし」
雪子「バツゲームつけてやったらいいんじゃないかな?」
千枝「い゛、マジで?」
綾時「いいねぇ。やろうやろう」
ラビリス「ウチもやるー!」
>トランプを囲んで皆が騒いでいる。
151 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:05:02.38 ID:lsvILpdVo
有里「よいしょ……っと」
鳴上「湊もやらないのか?」
有里「うん。その内誰かが音を上げると思うから、そうしたら入るよ」
鳴上「ああ、罰ゲームか。俺はおとなしく見学しとくよ」
有里「悠。昨日は大変だったね」
鳴上「昨日?ああ、メティスか?」
有里「ラビリスだよ」
鳴上「……ああ、そうだな」
有里「吹っ切れた顔してたよ。何て言ったの?」
鳴上「内緒だ」
有里「そう。実はね、焚き付けたのは僕なんだ」
鳴上「焚き付けた?」
有里「ラビリスをね。はっきり言った方がいいって」
鳴上「どうしてそんな事を?」
有里「溜め込んでると、いつか壊れると思ったからね。彼女達にも心があって、それが壊れると……きっと、取り返しのつかない事になる」
鳴上「そうだな、それはそうだ。なら、俺はお前に礼を言わなきゃならない」
152 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:05:31.47 ID:lsvILpdVo
有里「どうして?」
鳴上「俺だけじゃ気付けなかったからだ。多分、ずっとほったらかしてただろうな。お前が手を打ってくれて助かった」
有里「嫌な思いしたでしょ」
鳴上「まぁ、驚いたな。けど嫌じゃなかったよ」
有里「……そう」
陽介「ぬわー!マジかよ!」
千枝「はい花村の負けーよわーい」
陽介「最後まで競ってたヤツの台詞じゃねえよ!」
千枝「か、勝ちは勝ちだもんね!ほら、さっさと行ってきてよ!」
陽介「おいおいマジかよ結構降ってんぞ……」
完二「ご愁傷様っス」
有里「ほら、早速リタイアが出たよ」
陽介「完二ィ!お前も来い!」
完二「なんでだよ!俺勝っただろが!」
陽介「先輩命令だよ!じゃねえと直斗に……」
完二「何吹き込むつもりだよ!クソが……」
153 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:05:58.31 ID:lsvILpdVo
雪子「いってらっしゃーい」
綾時「二人はまだやる気にならない?」
メティス「いいです……」
りせ「メティスちゃん、指きれーだねー……」
直斗「罰ゲームがあるなら僕も遠慮します」
有里「僕らが入るよ。ね、悠」
鳴上「ん?ああ、じゃあやろうか」
雪子「……何か、二人空気違うね」
綾時「また仲良くなった?」
鳴上「ちょっとな」
>『No.10 運命 有里湊』のランクが5になった。
……。
千枝「ちょっと皆強くない?私が弱いのかな」
綾時「里中さんは見た目でわかりやすいからね」
ラビリス「センサー使わんでも顔でまるわかりや」
154 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:06:25.90 ID:lsvILpdVo
有里「ちょっとコレ持ってみて」
千枝「ん?ジョーカーとエース?」
有里「僕が一枚引くから、ジョーカーを引かせてね」
千枝「なにそれ、難しくない?」
有里「ババ抜きみたいなものだよ」
千枝「なるほどね。よっしゃ、しっかり混ぜるかんね!」
有里「それで、天城さん。僕がカード選んでる時の里中さんを携帯で撮っといて」
雪子「ん、わかった」
千枝「さぁこい!」
有里「じゃあ……これかな?」
千枝「うー……」
有里「こっち?」
千枝「むっ」
有里「……これだ」
千枝「あー!なんでわかったの!?」
155 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:06:51.37 ID:lsvILpdVo
鳴上「里中。ちょっとこれ見てみろ」
千枝「雪子が撮ってたヤツね。……えー!なにこれ!めっちゃ顔に出てるじゃん!」
雪子「気付いて……なかったんだ」
千枝「全然気付かなかった……」
綾時「それでよく花村くんに勝てたよねぇ」
千枝「花村?適当に引いてたら勝てたよ?」
鳴上「ああ……運が……」
綾時「なるほど……」
有里「さて……それじゃ罰ゲームと行こうか」
千枝「げっ、ほんとにやんの?」
有里「陽介にだけやらせるつもりだったの?」
千枝「でも買い出しは言ったし、もうやることが……」
有里「……ふむ」
綾時「じゃあさ、野球拳しよう。ていうか、野球ババ抜き」
千枝「……はぁ!?」
綾時「いやいやいや!ちょっと待った!そのステップはやめよう!」
雪子「そうだよ、千枝。埃がたつでしょ?」
直斗「そうじゃないと思いますが」
156 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:07:17.75 ID:lsvILpdVo
綾時「別にそのまま脱げってんじゃなくてさ。水着、あるでしょ。それを先に見せてもらおうかなって」
千枝「室内で着てたらバカみたいじゃん!」
有里「いや……悪くない」
鳴上「悪くないな」
千枝「一応、持ってきてはいるけどさ……」
雪子「私もあるよ?あるけど……」
鳴上「里中と、天城と……人数が足りないな」
ラビリス「こら、ウチ省いたやろ」
有里「水着、見たことあるし」
ラビリス「ぐぬぬ……」
綾時「僕見てなーい」
鳴上「明日のお楽しみだ」
りせ「はいはーい!私やってもいーよ!」
鳴上「直斗」
有里「直斗だね」
綾時「白鐘さんだね」
157 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:07:51.57 ID:lsvILpdVo
りせ「ちょ、ちょっとぉ!」
千枝「ほら、りせちゃんは水着、全国的に有名だから……」
雪子「あれ?けど鳴上君は林間学校の時に……」
鳴上「忘れた。忘れたんだ」
雪子「……あ、そう」
直斗「僕は嫌ですよ!」
千枝「こうなったらイチレンタクショーだよ!水着持ってきてるでしょ?」
直斗「え、まぁ、一応……」
有里「チームでやる方が里中さんにも勝機があるだろうしね。最後まで残ってた側のチームが勝ちって事で」
千枝「そっか、そうじゃん。雪子ー、直斗君、お願いっ!」
雪子「じゃあ向こうが負けたら即席コントやってもらおうよ」
直斗「まぁ、仕方ないですね……」
>ノってきたか……。
>だが、女たちは知らない。
>本能に従う時の、男たちの強さを!
>……。
158 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:08:18.89 ID:lsvILpdVo
千枝「私一人になっちゃった……」
綾時「ナイスアシスト、二人共」
鳴上「当然です」
有里「あと一回戦だね。僕らはストック2だけど、まだやる?」
千枝「わ、私じゃ勝てないよ……ごめーん、二人共」
アイギス「……」
千枝「もう棄権しちゃってもいいかな?み、水着見られるくらいだし……」
アイギス「いけません、里中さん。お耳を」
千枝「えっ?何……そ、そんなのズルじゃん!」
アイギス「ですが、向こうもそれに近い事をしています」
千枝「えっ?」
有里「……何のことかわからないね」
鳴上「全くだ」
綾時「僕らはただお互い心が通じあってるんだよねー」
雪子「どういう事?」
アイギス「彼らは、基本的には似たもの同士です。口に出さずとも思考を理解するくらい容易い程度の」
直斗「そんな……確かにイカサマではありませんし、咎める事も出来ませんが……こちらが自分チームの人間にババを渡す事があっても、向こうは無いってことですか」
159 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:09:26.81 ID:lsvILpdVo
有里「そんな事ないと思うけど」
アイギス「ですから、これでフェアかと」
千枝「むー……わかった、お願いね!」
アイギス「ええ。メティス、姉さん」
ラビリス「ほい来た」
メティス「わかりました」
鳴上「何をするつもりだ……?」
千枝「じゃあ行くよ!負けないんだから!」
>……。
綾時「……ババだ。僕の負け」
千枝「や、やたっ!勝った!」
有里「……いや、まぁ」
鳴上「俺達の後ろにメティスとラビリスを配置して、内臓無線でカンニングか」
綾時「流石に勝ち目ないね」
アイギス「グルになって女性をいじめるから、であります」
160 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:12:27.68 ID:lsvILpdVo
綾時「仕方ない。ショートコント、『コンビニ』を披露するしかないか……」
鳴上「待て、俺知らないぞ」
有里「僕もやるの?」
千枝「あ、ナシでいいから。罰ゲームが嫌だっただけで、別にコントなんて見たくないし。ね?」
雪子「私は見たい」
直斗「……ちょっと、興味ありますね」
りせ「先輩の笑いのセンスとか、気になるカモ?」
ラビリス「お笑いか……楽しみやなぁ」
千枝「ちょ、でも勝ったのはズルしたからだし!ナシって事にしてあげようよ!ほら綾時君泣いてるじゃん!」
綾時「よよよ……」
アイギス「自業自得ですね」
鳴上「やるしか……」
有里「無いのか……」
>……。
161 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:13:02.21 ID:lsvILpdVo
鳴上「ひどい目にあった」
>結局、買い出しから戻ってきた陽介と完二を巻き込んでコントは行われた。
>脚本・望月綾時の自信作は天城だけが大爆笑するという結果に終わった。
>地獄のような時間だった。
菜々子「おにいちゃーん、お風呂入れるよー」
鳴上「ああ、後で入るよ」
>雨は降り続いている。
>こっちに来て、雨が降ると……
>嫌でも思い出す。
鳴上「ゴールデンウィークでも結局は……」
>時間はまだ早い。
>今夜も見てみようか。
鳴上「……忘れよう。今は事件の事は全部忘れて休みたい」
>菜々子には後で入ると言ったが、もう寝てしまおう。
>明日の朝、シャワーだけ浴びて……。
>晴れればいいのだが……。
>……。
「やぁ、久しぶり。迎えに来たよ」
162 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/27(土) 00:16:43.12 ID:lsvILpdVo
海はお流れかも。
ちょいとサボってしまいました。失敬。
ちゃんと通常営業するのでご安心を。
では、また月曜日。
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/10/27(土) 03:53:09.83 ID:c+GLMUDX0
おつ
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/28(日) 13:27:10.81 ID:ePPGts7j0
帰ってきてた、おかえり そして乙
165 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/29(月) 20:02:54.22 ID:dqEqDOyg0
乙
166 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/30(火) 00:28:02.00 ID:qSEmjrYLo
【8/1 雨】
有里「……で?」
陽介『いや、だからよ!大変なんだって!』
有里「わかった。どこ行けばいいかな?」
陽介『と、とりあえずジュネスな!他の連中も良かったら連れてきてくれよ!んじゃ後でっ!』
>電話が切れた。
有里「……やれやれ。今度はなんだろう」
>アイギス達に話をして、ジュネスに向かわなければ……。
>……なんとなく、嫌な予感がする。
>……。
167 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/30(火) 00:29:58.48 ID:qSEmjrYLo
>ジュネス、フードコート。
>既に皆揃っている。
>僕達と同じく、詳しい理由を聞かされずに集まったのだろう、不満気な顔もいくつかある。
陽介「悪いな、急に……うし、揃ったし、説明するぜ。何で皆を呼んだのか」
有里「かなり焦ってたみたいだけど、どうかしたの?」
陽介「どうもこうもねえよ。今朝、堂島さんから電話あってさ」
千枝「え、堂島さん……?」
陽介「仕事行く前にな。で、何事かと思って聞いたらよ……」
>陽介はため息をこぼした。
陽介「相棒が、消えちまったんだと」
>一瞬、沈黙。
千枝「えぇー!?」
直斗「どういう事なんです?」
完二「消えた……って、いなくなったって事だよなぁ!?」
りせ「先輩が……消えた……ウソ、そんな……」
168 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/30(火) 00:30:34.12 ID:qSEmjrYLo
雪子「どうして花村君に連絡がいったの?」
陽介「堂島さんもなんとなく察したっぽいんだよ。どうも外に出た形跡が無いのに、アイツがいない。あ、こりゃ俺らの管轄だなって」
有里「もちろん、皆どこに行ったかは」
陽介「知ってたら慌ててねえって」
有里「だよね……」
陽介「でよ、クマに向こうに行ってもらってんだけど、できたら……」
りせ「わかった。私も行ってくる!クマもいるんだよね!」
陽介「おう、悪いな。俺らはこれからの話してっから」
りせ「大丈夫、任せて。じゃあ行ってきます!」
>……鳴上悠が消えた。
>堂島さんの判断は正しいように思う。
>彼は恨みを買うような人間ではないし、ああ見えて修羅場を何度も経験している。
>そう簡単に何かに巻き込まれるような男ではない。
>もちろん、僕達に何も言わずにどこかへ消えるような男でもない。
>……恨み?
169 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/30(火) 00:31:20.31 ID:qSEmjrYLo
有里「あの、少し良いかな。以前の事件について聞きたいんだけど」
千枝「以前の?」
有里「僕が知らない事件の話。君たちが最初に出会った事件の」
直斗「それなら、僕から。あの事件の顛末と、関係者についてお話します。ですが……」
>流石に直斗は頭の回転が早い。
直斗「無関係とは言いませんが、考えにくい線である事は確かです。一応、程度ですね」
有里「構わないよ。頼む」
陽介「じゃあ俺らは……とりあえず、あの二人待ちか?」
雪子「そうだね……もしかすると本当にどこかに行っただけかもしれないし」
完二「だったら誰か知ってんだろ?……まぁ、他に打つ手もねえけどよ」
千枝「うぅー……どうしたのよー……」
アイギス「メティス、大丈夫?」
メティス「あ、うん……」
綾時「僕、ペルソナ使えないんだけど大丈夫かなぁ」
クマ「えらいこっちゃクマー!」
陽介「おっ、帰ってきたな!」
170 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/30(火) 00:32:00.16 ID:qSEmjrYLo
りせ「先輩、やっぱりテレビの中にいるよ!ただ……」
直斗「何かあったんですか?」
りせ「テレビの中、あの時みたいになってるの。足立さんが逃げ込んだ時みたいに……」
完二「足立だぁ?ってことはアイツもいんのかよ」
有里「足立って?」
雪子「前の事件の、犯人……だった人。まだ釈放前のはずなんだけど」
千枝「でも、テレビさえあれば抜け出せるはずだし……どこかで隙があったのかも」
クマ「とにかくシャドウだらけクマ!」
陽介「とりあえず、ちゃちゃっと準備して行こうぜ!えーと、俺とクマと……」
完二「俺も行くッス!」
陽介「っしゃ、それから……有里、頼めるか?」
有里「……少し、気になる事があるんだ。綾時と、直斗。残って、僕らはこっち側から真相を探ろう」
直斗「そうですね。全員が行くわけにもいかないでしょうし、僕らは待機で」
ラビリス「ウチ、行くわ。悠に助けられたんやし、今度は悠を助けなアカン」
陽介「頼もしいぜ!それじゃ……」
メティス「わ、私も!」
有里「メティスはアイギスと一緒に美鶴……桐条先輩と連携を。もしかすると助けが必要になるかもしれない」
171 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/30(火) 00:33:10.32 ID:qSEmjrYLo
メティス「でも……」
アイギス「考えがあるんですね?」
有里「まぁ、ね」
アイギス「わかりました。メティス、大丈夫だから。私たちは信じて待ちましょう」
陽介「里中と天城は待機な!」
雪子「うん、待ってる。何かあったらすぐ呼んでね」
千枝「帰ってこなかったりしたら怒るかんね!」
完二「心配ねえッスよ」
りせ「私は準備オッケーだよ!」
クマ「じゃあ出発クマー!」
ラビリス「悠……待っててや!」
>陽介達は慌ただしくテレビの中へ向かった。
千枝「うわー心配……どうしよう、雪子……」
雪子「大丈夫だよ、皆なら。それより有里君はどうするの?」
綾時「そうだよ。僕まで巻き込んでさ」
有里「ちょっと一緒に来て欲しいんだ。直斗、頼める?」
直斗「何をでしょう?」
172 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/30(火) 00:33:38.76 ID:qSEmjrYLo
有里「足立さんに会いたい。警察に連絡を」
直斗「ええっ!?それは……不可能ではないですが」
アイギス「……私達は別で動きます。何かあったら連絡を」
メティス「……」
>メティスの不安そうな、恨みがましい視線が突き刺さった。
千枝「私達はじゃあここで待機?」
有里「そうだね。帰ってきたらすぐに迎えてあげて欲しい。それで、僕らに連絡を」
雪子「わかった。行ってらっしゃい」
有里「うん。直斗、今すぐにって難しい?」
直斗「無理ではない、とだけ。移動時間の内に準備してもらえばなんとか……堂島さんの協力も仰いでみます」
綾時「僕、良くわかってないんだけど?」
有里「いいから。それじゃ行こう。どこにいけばいいのかな」
直斗「稲羽署でしょうね。……何が目的なんです?」
有里「確認さ、ただの……ね」
>……。
173 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/30(火) 00:34:04.97 ID:qSEmjrYLo
鳴上「う……」
「お目覚めかな?」
鳴上「ここは……テレビの中か」
「その通り。流石によくわかるねぇ」
鳴上「何故俺をテレビの中に?」
「何でだと思う?」
鳴上「……」
「あっは、そんな怖い顔しないでよぉ。なんとなく、わかってるんでしょ?」
鳴上「足立……」
足立「おいおい呼び捨てかよ。まぁいいけどね。今まで楽しかったかい?」
鳴上「……」
足立「ゆっくり待とうよ。きっと今頃お仲間が助けに飛び込んでるからさ」
鳴上「……くそっ」
>……。
174 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/30(火) 00:34:46.26 ID:qSEmjrYLo
さらっと物語の深部へ。
では、また明日。
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 00:53:02.25 ID:gmZ6lkyO0
乙
やっぱりでてきた足立さん
176 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:01:27.10 ID:HSnxv4Zxo
警官「こちらです」
直斗「すみません、無理を言ってしまって……」
警官「……まぁ、例の事件の話を出されては、我々はあなたに何も言えない」
直斗「忘れます。あれは……僕も、悪かったんです」
警官「申し訳ありませんでした。では……会話は録音されます。我々は部屋の外で監視する形になりますが」
直斗「承知しています」
警官「では、失礼します」
>警官は最後に僕達をじろりと見て立ち去った。
>直斗はともかく僕達は完全に部外者だろうから、当然か……。
直斗「では、これから面会できますが……そろそろ教えてもらえませんか。確認って何のですか?」
有里「なんてことないさ。ここに足立さんがいる事の確認だよ」
直斗「いる……?ああ、なるほど。犯人が足立で無いという事の確認ですね」
有里「そうだね。半ば以上確信があるんだけど、最後の一押しって事で」
綾時「僕は何で連れてこられたのかな?」
177 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:02:03.25 ID:HSnxv4Zxo
有里「多分、テレビの中へは行っちゃ駄目なんだ。出来るならあの場にもいちゃいけない」
綾時「……有里君も同じ事を?」
有里「だからメティスも遠ざけたんだ」
直斗「何を言っているんですか?」
有里「僕達にしかない感覚なんだろうね、これは。きっと、僕達を創りだした当人が近くにいる」
直斗「……何を、言っているんです?」
綾時「まだ気にしなくてもいい事さ。それじゃ、入ろうか」
>扉を開けると、テレビで見たことのあるような部屋だった。
>ガラスの向こうに男が一人座っている。
直斗「……お久しぶりですね」
足立「急に面会だなんて、何かと思ったら君か」
直斗「すみません、急に。非常事態でして、できれば協力してもらいたいんですが」
足立「僕が君に?バカ言うなよ、そんな義理はないね」
直斗「ッ……」
178 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:03:02.91 ID:HSnxv4Zxo
有里「僕が話すよ」
足立「君は……?」
有里「初めまして、直斗達の友人の有里湊と言います」
足立「新しいお仲間かよ。楽しそうだねぇ」
有里「単刀直入に言います。鳴上悠がテレビに落とされました。何かご存知では?」
足立「アイツが……?へぇえ……」
>足立はにやついている。
直斗「何か知っているなら話してください」
足立「いぃや?知らないねぇ。いや、これは本当。バカにしてるわけじゃないんだよ。本当に知らない」
綾時「その割りには気になる表情をしてますねぇ」
足立「そりゃそうだろ。アイツの影が見られるんだぜ。行かなかった君等はきっと後悔するよ」
直斗「先輩の影……?でも、先輩は何度テレビに入っても」
足立「僕や生田目と同じだったからね。でもきっともう違うよ」
有里「何故そう思うんです?」
足立「なんとなくさ、わかるんだ。ああ、もったいない。こんなとこに入れられてなけりゃすぐにでも見に行くのに。あのガキの最悪の姿を」
直斗「それ以上言うな!」
足立「怒るなよぉ。お前こそ、先輩先輩って何を見てたんだ?」
179 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:03:32.76 ID:HSnxv4Zxo
直斗「何を……先輩は、頼もしくて、僕達のリーダーで……」
足立「随分と見方が違うね。彼は俺とそっくりだよ」
直斗「ふざけるな!あんたなんかと同じなもんか!」
足立「お前、俺のペルソナを見ただろ?似てたよなぁ、アイツのとさ」
直斗「……それは」
足立「根っこがそっくりなのさ、アイツとは。何を抱えてるのか知らないが、世の中に不平不満をたっぷり持ってる」
足立「断言するよ。あいつは今自分の影と対面してる。それで、きっとアイツはこういうよ」
『お前なんか、俺じゃない』
>……。
足立?「暇だねぇ。ちょっとシャドウが多すぎたかな?」
鳴上「……」
足立?「ありゃ、だんまりかい?暇なのになぁ。じゃあ喋らざるを得ない話題を振ろうか」
>足立は地べたに胡座をかいて座る。
足立?「君、目の存在を感じた事はないかい?」
鳴上「……目?」
180 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:04:17.21 ID:HSnxv4Zxo
足立?「そう、目。視線さ。八十稲羽に来た頃からずっと、君を見ている目に気付いているかな?」
鳴上「何の事だ?こっちに来て3日、そんな視線は……」
足立?「ノってきたね。けど違うよ。もっと前さ」
鳴上「ゴールデンウィークからか?」
足立?「もっと前。僕と出会う更に前さ」
鳴上「俺が、転校してきた時か」
足立?「そう、その頃からさ。気付いてたはずだぜ、君は」
鳴上「……何の事かさっぱりわからない」
足立?「人の目じゃない。もっと大きな物さ。シュレディンガーの猫を知ってるかい?波動関数は?」
鳴上「待て、何を言ってるんだ?」
足立?「誰かが認めて初めて、事象はその形を成すって事さ。君が君として成立する為には誰か、大きな観測者が必要なんだ」
鳴上「何の話だ」
足立?「誰かはそれを神と呼ぶんだろうね。一つ上の次元の何者か。君を、特別なキャラクターたらしめる存在」
>……頭が、痛い。
>……。
181 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:04:47.06 ID:HSnxv4Zxo
陽介「くそっ、どんだけいんだよシャドウ!」
クマ「もうちょっとクマ、もうちょっとのはずクマ……!」
完二「流石に、ちっとくたびれた……ッスね」
ラビリス「みんな、シャキっとしいや!もうちょいや言うてるし!」
陽介「わかってっけどよ……」
完二「あ、あれそうじゃねえか!?扉あんぞ!」
クマ「あの向こう、センセイの匂いするクマー!」
りせ『うん、その次の部屋!先輩がいるよ!』
ラビリス「ほな行くでぇ!悠!」
陽介「相棒!」
完二「センパイ!」
クマ「センセー!」
りせ『先輩……!』
足立?「やぁ、久しぶり」
鳴上「みんな……」
182 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:33:17.51 ID:HSnxv4Zxo
ラビリス「悠!今助けたるからな!」
陽介「足立!?なんでここに……」
足立?「待て待て、忘れるなよ。テレビに落ちたヤツを助けに来たら、まずやることがあるだろ?」
完二「ざけたこと言ってんじゃねえぞコラァ!」
足立?「聞けよ」
完二「ぅ……んだ、アイツ。本当にあの刑事なのかよ……」
クマ「違う……あの感じ、違うクマ」
りせ『それ、シャドウだよ!多分、先輩のシャドウ!』
陽介「ああ!?なんで今さらそんなのが出てくんだよ!」
完二「今まで何回入ったかわかんねえけど、一回も出て来なかっただろ!?」
足立?「だから、さ」
>足立の姿が溶けるように変わっていく。
鳴上の影「俺は、あいつの影だ。あいつの心の闇が形になったのさ」
鳴上「俺の影……」
クマ「センセーわかってるクマ!?アイツの話、聞いちゃダメクマ!」
183 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:34:00.94 ID:HSnxv4Zxo
鳴上「わ、わかってる……」
鳴上の影「出来るわけないだろ。俺の声はあいつの声なんだから。さて……それじゃ独白を始めようか」
鳴上の影「俺は……怖かったんだ。お前たちが」
陽介「俺達が……?」
クマ「何言ってるクマ、クマたち仲間クマ……」
鳴上「待て……やめろ」
鳴上の影「いや、お前達が離れて行くのが怖かったんだよ。俺はお前達の仲間だ。それは疑ってない。でもな……」
鳴上の影「俺が特別じゃなくなった時、お前達は俺の横に並んでいてくれるだろうか。そう思ったのさ」
鳴上「やめろ……!」
鳴上の影「俺は特別な力を持ってる。お前達はそんな俺を頼ってくれる。気分良かったな。だけど、もう違う」
鳴上の影「同じ力を持った……いや、アイツは俺より強いな。そんなヤツが現れた。俺の立場はどうなる?」
陽介「アイツ……?」
ラビリス「もしかして、有里君の事……?」
鳴上の影「アイツは俺よりスマートに物事をこなす。俺に見えない視点から物を見る。陽介、お前じゃないけど、嫉妬したよ」
鳴上の影「そして、たった一人の特別じゃなくなった俺はどうなるんだろうって、怯えた。お前達は本当に仲間でいてくれるのか?」
りせ『そんなの関係ない!先輩は私達の大事な仲間だもん!』
鳴上の影「そう言ってくれると思ったよ。だけど、俺が出るって事はどういう事かわかるか?」
184 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:35:37.17 ID:HSnxv4Zxo
鳴上「それ以上言うな!」
鳴上の影「こいつは腹の底ではお前達を信用しきってないんだよ。信じてくれるだろうって思いながら、もっと深い所で疑ってるのさ」
鳴上「黙れ!お前は……」
陽介「相棒!完二、相棒ぶん殴ってでも止めるぞ!」
完二「しゃあねえか!」
鳴上の影「お前は俺だ!わかるだろう?お前は仲間を疑い世間を疑い、保身に必死なただの高校生にすぎないのさ!」
鳴上「違う!お前は……お前なんか」
ラビリス「アカン!」
クマ「センセー!それ以上……」
りせ『ダメー!!』
鳴上「お前なんか、俺じゃない!」
185 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/10/31(水) 00:38:51.99 ID:HSnxv4Zxo
お約束。
では、また明日。
186 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 00:57:54.67 ID:9kUrtKsx0
乙
みんな一度はみてみたかったであろう番長の影
あとP3勢の影もみてみたい
187 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/10/31(水) 01:13:49.39 ID:sLZzXaer0
P3とP4のクロス作品によくある 総合的なキタロー>番長 の問題に直面したな……
188 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 01:22:31.15 ID:9kUrtKsx0
キタロー>番長 の構図が生まれたのはいったいなぜだろうか
189 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/10/31(水) 01:59:02.93 ID:/O3GSAi0o
何故っつーか、性格とか抜きの客観的なスペックなら(身長以外)キタローが全て上回ってるだろ
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 06:29:58.15 ID:VZPWuXLGo
不幸加減もキタロー圧勝だよな
女関係→キタロー六股確定(ブロークン率高)、番長選択可能(ブロークン率低)
力を司る存在→キタロータイマン、番長仲間と共に
世界を救った後→キタロー封印、番長普通に生活
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2012/10/31(水) 07:39:55.30 ID:lrSuuMT3o
番長はアトラス1の幸せ者だろ
幸福度は比べるまでもない
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/10/31(水) 11:24:52.07 ID:67CE+/YWo
いつもの貼っときますね。
http://i.imgur.com/3XtFU.jpg
193 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:05:32.01 ID:mTBrLw9qo
陽介「どわぁっ!」
千枝「あれっ!?花村!?」
雪子「皆もう帰ってきたの?」
ラビリス「へ?あれ、ここ……」
クマ「ありゃ?ジュネスクマ?」
りせ「ちょ、マズいって!先輩、あのまま……」
完二「おい、テレビ!テレビ見てみろよ!」
陽介「なんだよ、テレビがどうし……これって……?」
千枝「ウソ、全部のテレビが映って……」
>……。
警官「すみません!緊急です!皆さんのご意見が伺いたいと!」
直斗「何事ですか?」
警官「テレビが……とにかく、ついてきてください!」
足立「あっはっは、急いだ方がいいんじゃないかい?きっと君の大好きな先輩のピンチだぜ」
直斗「先輩が……?すみません、案内お願いします!」
警官「こちらです!」
194 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:06:01.53 ID:mTBrLw9qo
>直斗と綾時が警官に急かされて出ていく。
足立「君は行かないのか?」
有里「行きますよ。その前に一つだけ。あなたは本当に何も知らないんですか?」
足立「しつこいな、知らないよ。……って、言って見逃してもらえる程甘く無さそうだね」
有里「何度でも来ますよ」
足立「それは面倒だなぁ。じゃあ話しておくよ。あの事件が終わって僕が逮捕されてからしばらくして……ペルソナが使えなくなった」
有里「ペルソナが?」
足立「出さなくても自分の中に存在を感じるもんだろ?ペルソナってさ」
有里「それがなくなったと」
足立「そうだね。あれは確か……3月の終わりだ。その日、僕の中からペルソナが消えた」
有里「それが……?」
足立「さぁね、僕は一切情報を得られなかったから、彼らに何が起きてるかもわからない。ただ、与えられた力が消えたって事はどういう事なんだろうね?」
有里「……与えられていた力が、消えた」
足立「元々ペルソナが使えなかった生田目は何も気付いていないかもしれないねぇ。それから、力を独自に成長させた彼も」
有里「……ありがとうございました」
足立「礼なんかよせよ。僕は君達みたいなガキが大っ嫌いなんだ」
有里「そうですか。でも、彼の事は認めている。ですよね?」
足立「……いけよ。さっさとさ」
195 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:06:48.31 ID:mTBrLw9qo
有里「では、失礼します」
>少し理解出来たような気がする。
>彼らには力を与えた者がいて、その力が消えて行っている。
>それは何故か?
>まだ確証には至れないが、恐らくこれから見せられる映像で答えが出るだろう。
直斗「先輩!くそっ、テレビに入れない……!?」
>直斗の悲鳴に近い声が聞こえる。
有里「……なるほど、こうなったか」
>テレビには、悠と見知らぬ人物が対峙する場面が映っていた。
>……。
196 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:07:43.89 ID:mTBrLw9qo
鳴上「お前は……」
「ようやく、ここまでの力が戻った……」
鳴上「お前は……倒したはずだ。イザナミ!」
イザナミ「そう、私は倒された。しかし……忘れたのか?お前や、他の者に力を与えたのが誰だったか」
イザナミ「お前だけは私の手を抜け出したが……お前のお陰でこうしてここに戻ってくる事が出来た」
鳴上「どういう事だ……?」
イザナミ「お前達に与えた力は本来私の力のほんの一部だった。お前に倒された後、残されたほんのわずかな私とあわせても、とてもここまでは戻らない程に」
イザナミ「だが、お前は随分とその力を大きく育てていたようだ。人の可能性……ここまでのものか」
鳴上「俺の力……ペルソナか」
イザナミ「人と人との繋がりが、大きな力を与える。私を元の姿に戻せる程に」
鳴上「お前はずっと俺の中にいたのか」
イザナミ「小さな欠片となって、な。お前とその大きな力が徐々に乖離していく……その時を待ち続けていた」
鳴上「まさか……イザナギ!」
>何も起こらない。
>心の中に、何も感じない。
>……ペルソナが、出ない!
197 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:08:20.57 ID:mTBrLw9qo
イザナミ「返してもらった。……お前を不憫にも思うよ。お前はただ選ばれただけに過ぎない」
鳴上「何を……」
イザナミ「私に見せたあの力は本物だった。しかし、それでも何も変わらないのだ。人はその心に滅びと退廃への憧憬を抱えている」
鳴上「なら、どうするつもりだ」
イザナミ「あの時と同じ事を。もうお前にも止められない」
鳴上「そんな事、させてたまるか!」
>事態に頭がついていかない。
>しかし、戦わないわけにもいかない。
>ペルソナが無くても、俺には仲魔がいる。
>テレビの中に呼び出せるかはわからないが……。
鳴上「ケルベロス!!」
>いつものように魔法陣が展開される。
>よし、呼べる!
パスカル「どこだ、ここは……主よ」
鳴上「説明は後だ。あいつと戦ってくれ!」
パスカル「……勝てるとは、思わんがな」
>言いながらも口から炎が漏れる。
198 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:08:58.59 ID:mTBrLw9qo
>確かに、勝てるとは思えない。
>しかし、負けるわけにはいかない。
イザナミ「……愚かな。もうお前達に用はない。この場の入り口も閉じる事にする。さらば、選ばれた者」
鳴上「……ぐっ!?」
パスカル「なんだ、これは……!」
>強烈な力で押し出される!
鳴上「イザナミ……イザナミィ!!」
イザナミ「……だが、願わくば。お前が再び私の前に立てる事を……」
>最後に小さく何かが聞こえたが、気付けばそこにはパスカルと俺しかいなかった。
パスカル「なんだったのだ、一体……ここは、どこだ?」
>見たこともない場所にいる。
>教会だろうか?
>大きなステンドグラスがあるが……。
鳴上「……くそっ、何で今更アイツが……!」
パスカル「主、まずは落ち着け。頭の中を整理した方がいい。……俺は一度帰る」
鳴上「あ、ああ。ありがとう、パスカル」
パスカル「……何も無いと良いがな」
199 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:09:34.63 ID:mTBrLw9qo
>俺のペルソナ……力を、奪われた。
>正確には、取り戻された、か。
>ペルソナ無しでこれから戦っていけるのか?
>いや、まず入り口を閉じると言っていた。
>またイザナミに会う事すら出来ないのではないか?
鳴上「……とにかく、ここはどこなのか把握しないと」
>携帯のGPSで居場所を確認する。
鳴上「港区?ポートアイランドのすぐ側だな」
>ここからなら八十稲羽よりも寮の方が遥かに近い。
>立ち上がろうとした時、足音が聞こえた。
鳴上「誰だ!?」
「こちらの台詞だが……突然現れた人が知り合いというのも面白いものだな」
鳴上「あなたは……」
神条「あの場所以外で会うのは初めてだな」
鳴上「神条さん……」
神条「……事情は聞かないが、私ならいつまでも留まっていないがね。直に、君は問答無用で渦に飲み込まれる」
鳴上「渦?何のことですか?」
200 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:10:56.64 ID:mTBrLw9qo
神条「すぐにわかるさ。立って動きたまえ。道はわかるか?」
鳴上「ああ、はい。多分……じゃあ、失礼します」
神条「最後に一つだけ。神条久鷹というのは偽名でね。本名は神取鷹久というんだ」
鳴上「偽名?何故偽名を?」
神条「大した理由はない。……願わくば、また君に会える事を」
鳴上「……はい」
>最後の台詞がイザナミと似ていたのが気にかかる。
>だが、今はそれを気にする余裕が無い。
>仲間の誰かと合流しなければ、頭がぐちゃぐちゃで何も考えられそうもない。
>一度落ち着く必要がある……。
>教会を出てすぐ、携帯が鳴った。
鳴上「桐条さん?……もしもし」
美鶴『鳴上か?今どこに……待て、言わなくていい』
鳴上「え……何事ですか?」
美鶴『単刀直入に言う。逃げろ。私達の所に帰って来ようとするな』
201 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:11:44.04 ID:mTBrLw9qo
鳴上「何を言ってるのかわからないんですが……」
美鶴『今、君とイザナミという者との会話が全世界に放送された。結果……君を拘束すべきだという意見が公安内部で出ている』
鳴上「なっ……!?」
美鶴『我々も君を捕らえる側だ。……心情的には反対したいのだが、立場上そうもいかない。支援はするつもりだが、おおっぴらに協力は出来ない事を言っておく』
鳴上「ちょっと待ってください。何で俺が?」
美鶴『君が、悪魔騒動など一連の事件の黒幕と通じているという疑惑が出ている』
鳴上「バカな!?」
美鶴『その通りだと思う。が、そうではないという証拠が何も出ない以上……私に覆す権限は無い。本当にすまない』
鳴上「そんな……俺はどうすれば」
美鶴『とにかく逃げろ。だが携帯は捨てるな、連絡や位置の把握に使う。なんとか我々が君の追跡の主力になれれば……』
鳴上「わ、わかりました。とにかくこの場を離れます」
美鶴『そうしてくれ。アイギスかメティスを使いに出す。適当な場所を用意するから、それまでは決して立ち止まらず、移動を続けてくれ』
鳴上「はい。あの……」
美鶴『悪いが長々話している時間は無い。切るぞ』
鳴上「は、はい。ありがとうございました」
202 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:12:30.12 ID:mTBrLw9qo
>通話が切れる。
>知らない間に、ありもしない疑いをかけられてしまったようだ。
>何故こんな事になった?
>わからない……。
>足元がふらつくが、なんとか踏みとどまって歩き始めた。
>……行く宛など、なかったが。
203 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 00:13:44.31 ID:mTBrLw9qo
急転直下も良い所。
では、また明日。
204 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/01(木) 20:13:57.22 ID:mTBrLw9qo
所要で今日明日書けなさそうなので次回更新は月曜になります。
申し訳ないがいろいろ予定外だったのでどうしようもなく……。
では、また来週。
205 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/01(木) 20:25:09.41 ID:/CtENYEa0
乙
主人公が犯人に仕立て上げられるのはよくあること
206 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/11/01(木) 21:03:39.20 ID:+2dcKarro
乙
きっとネコミミ辺りが助けてくれるさ
207 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/02(金) 21:20:19.06 ID:cDV7ZMWX0
追いついてしまっただがしかし
乙である
208 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/06(火) 01:07:48.18 ID:6HqKk+0no
有里「そうですか、わかりました。ありがとうございます」
>美鶴との通話を切る。
>陽介達が心配そうな顔でこっちを見ている。
有里「とりあえずは無事、とだけ。ただ、こっちに帰ってくる事も、君たちに会いに来る事も難しいと思う」
陽介「どういう事だよ?」
有里「彼は今追われの身になってるみたい。上手く仲間と連絡がとれたから無事だけど、表を歩きまわったりは出来ないようだね」
完二「はぁ!?なんで先輩がんなこと……」
有里「君たちも見たと思うけど、あのテレビ放送は世界規模だったらしい」
千枝「そっか、それで変な疑いが……」
りせ「でも、お互い敵にしか見えなかったよ?」
直斗「何も進まない現状、少しでも手がかりが欲しかったんでしょう。要するに、生贄ですね」
りせ「そんな……!」
雪子「……有里君。私たちはどうすればいいの?」
有里「……事態がどう転ぶかわからない。君たちは、出来れば」
陽介「待てよ、いつかみたいな話ならもう聞けねえぞ」
完二「関わるな、なんて言ってみろ、アンタでもぶっ飛ばすぞ」
209 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/06(火) 01:08:20.22 ID:6HqKk+0no
>皆の顔から決意が感じ取れる。
>丁度、Nyxと戦う事を決めたあの時のような。
有里「逆、さ」
りせ「逆……?」
有里「一番真実に近かっただろう彼が動けない以上、彼の近く……君達が動くしかない」
綾時「……へぇ」
陽介「お、おう!へへっ、また危ないからやめとけって言われんのかと思ったぜ」
有里「君達の仲間が今回の被害者なんだ。それに……」
有里「仲間が関わった時の君達は、多分普段より力を発揮できるんだろう。僕はそれを信用しておくよ」
完二「へっ……まぁ、よ」
千枝「でもさ、実際どうしたらいいんだろう……」
直斗「テレビに入れなくなった以上、僕達に出来る事はかなり限られてくるでしょうね……」
雪子「だけど、有里君の先輩達も鳴上君を捕まえる側なんでしょ?」
有里「うん、そうみたいだ。飽くまで立場上だけどね」
210 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/06(火) 01:08:53.77 ID:6HqKk+0no
千枝「じゃあどうやって助けたら……」
りせ「あれっ?そういえばクマは?」
陽介「ん?……あれ、いねぇな」
雪子「テレビから出てきた時はいたよね?」
完二「……アイツ、もしかしてテレビん中にいんじゃねえか?」
直斗「……なるほど、僕達が無理でも元々テレビの中の存在であるクマ君なら」
有里「もしそうだとして、彼が出てこられるなら何かヒントがつかめるかもね」
陽介「普段役立たないけど、こういう時ほんっと頼もしいぜクマ!」
直斗「まず彼の所在を確認しましょう、それから……」
有里「僕は一度帰る。皆、後は任せたよ」
陽介「おう!……お前も、気をつけてな」
有里「心配いらないよ。じゃあ……何かあったら連絡して。それじゃ」
>一度、港区に帰ろう。
>また何かあればやってくる事になるだろうが……。
211 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/06(火) 01:10:04.43 ID:6HqKk+0no
>恐らく、そうはならない。
>事件の中心が彼で、彼がここにいない以上、そういう事になる。
綾時「ウソでしょ、アレ」
有里「何が?」
綾時「信用してるっていうの。嘘だよね」
有里「嘘じゃない。彼らは仲間の為に戦う時に本領を発揮する、それは間違いないよ」
綾時「だけど、信用はしてない。だよね?」
有里「……近すぎる、からね。もしもの時に、決断できる人間じゃないと、ここから先は厳しいと思う」
綾時「全く、なんていうか……厳しい、ねぇ」
有里「人生だからね」
>綾時は大袈裟にやれやれとポーズをとった。
>……。
212 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/06(火) 01:10:59.67 ID:6HqKk+0no
>その夜。
アイギス「この部屋を使ってください。ですが、外への連絡や外出は控えてください」
鳴上「ああ、わかってる……」
アイギス「……大丈夫です、美鶴さんは頼りになりますから」
鳴上「そうだな……」
アイギス「……連絡は、これで。桐条の専用回線で私か姉さんに繋がります」
鳴上「そうか。メティスには繋がらないのか?」
アイギス「あの子は……ちょっと今、取り乱してて」
鳴上「そう、か。世話になるな」
アイギス「いえ……」
鳴上「……」
アイギス「あの、私は……信じてますし、出来るかぎりの事はしますから」
鳴上「ああ……」
アイギス「また、来ます」
213 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/06(火) 01:12:26.97 ID:6HqKk+0no
>あるマンションの一室に案内された。
>歩き通しだった為に脚がパンパンだ。
鳴上「……ふぅ」
>やっと、少し頭が落ち着いた。
>俺は今どういう状況にあるのだろう。
>公安に追われている、つまりは国に追われている……?
鳴上「なんなんだ、一体。俺が何をしたっていうんだ」
>これから俺はどうなるんだ?
>この部屋でしばらく過ごすとして、その後は?
>疑いが晴れなかったらどうなるんだ?
>美鶴は、その場合でも俺を信じ切るか?
鳴上「あの人達との間には、確かに絆は感じる……だが……」
>一線を、超えられない。
>壁……というのでは無い。
>きちんと受け入れてくれているのはわかる。
214 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/06(火) 01:15:59.85 ID:6HqKk+0no
>だが、彼らの中には俺じゃない誰かが居座っていて、それが最上にある。
鳴上「特に女性陣がな……くそっ」
>有里湊。
>確かに、俺はお前を、それからお前が持ってくるだろう結果を恐れていた。
>今更だが認められる。
鳴上「お前が来る前にここに来たかった。そうしたら……」
>……やめよう。先の事を考えるべきだ。
鳴上「イザナミの言うとおり、テレビの中に入れなくなったとしてだ。俺は何が出来る?」
鳴上「……自らの疑いを晴らす為に」
>まずはそこだ。何をするにもそれが最初だ。
鳴上「今までどれだけ行き当たりばったりだったか実感するな」
>テレビに入って戦えば答えが出た頃とは状況が違いすぎる。
鳴上「頭の良い協力者が必要だ。俺の代わりに情報を集めていそうな、そんなヤツが」
>そして、テレビには関係無い方がいい。
215 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/06(火) 01:17:39.89 ID:6HqKk+0no
>真っ先に思い浮かんだのは直斗だが、直斗もまずテレビの方面から当たるはずだ。
>なるべく警察関係者に顔が利き、テレビを後回しにし、かつSEESでは無い……。
鳴上「ライドウ……そうだ、ライドウだ」
>確か、代々続くデビルサマナーの一族は国防にも関わりがあるとか。
>警察……とりわけ公安に顔が効くかもしれない。
鳴上「一度、連絡してもらうか。早速これの出番だ」
>通信機を使ってアイギスに連絡する。
アイギス『はい』
鳴上「アイギスか?ライドウを探して連絡して欲しいんだが」
アイギス『ライドウ……さん、ですか』
鳴上「ああ。多分近くにいると思うんだが」
アイギス『その、黙っているつもりはなかったんですが、動揺する材料を増やすのもどうかと思い……』
鳴上「……何かあったのか?」
アイギス『あなたの、例の放送があってから……悪魔が急に活性化して。葛葉さんは別の指令を受けて、この街を去りました』
鳴上「……何だって?」
216 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/06(火) 01:22:29.36 ID:6HqKk+0no
ちょっとずつ、進む。
では、また明日。
217 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/07(水) 00:08:03.22 ID:f88/se6Yo
アイギス『現在は連絡も取れない状況です。すみません……』
鳴上「そう、か。……あの、じゃあ周防さんは」
アイギス『鳴上さん』
鳴上「どうした?」
アイギス『今は、じっと耐える時だと思います。動いても良い方向に向かうとは思えません』
鳴上「じゃあ俺はここでじっとしていればいいのか?」
アイギス『……私達を、信じてください』
鳴上「信じて待つだけか。ずっとこの部屋の中で」
アイギス『そうする他無いんです。今、美鶴さん達も尽力して……』
鳴上「だけど、確証は無い。出来る事はやっておきたい」
アイギス『だから、それは危険が……』
鳴上「……わかった。後は任せる」
アイギス『あの……ごめんなさい』
鳴上「あっ、いや……俺の方こそすまない。どうにも気分が落ち着かなくて……」
アイギス『いえ、それは……状況が状況ですから。また用事があれば連絡ください。荷物は桐条の使用人さんが届けるようになっていますから』
鳴上「わかった、ありがとう。それじゃ」
218 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/07(水) 00:08:42.34 ID:f88/se6Yo
>……信じて、か。
>信じられないわけじゃないが、不安は纏わりつく。
鳴上「もどかしいな……」
>ベッドに倒れこんで、少し泣きそうになった。
鳴上「……情けないな。一人になるとここまで弱いのか」
>今日は寝てしまおう。
>寝ている間だけは、全て忘れられるかもしれない。
>……夢の中では、誰も出てこない事を祈ろう。
>……。
219 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/07(水) 00:09:28.20 ID:f88/se6Yo
【8/2 曇り】
>体が重い。
>これは、精神が体を引きずっているのだろうか。
鳴上「……ああ、そうだっけ」
>寮でも堂島さんの家でも無い。
鳴上「食事はどうなるんだ?そういえば誰かが持ってきてくれるとか……」
>アイギスに連絡してみようか?
>今の時刻は……
メイド「失礼します」
>ドアの向こうから声がする。
メイド「お目覚めになりましたでしょうか?」
鳴上「ああ、はい……」
メイド「昨夜は夕食をお持ちしたのですが、お休みになられていたようで……」
鳴上「すみません、疲れていて。あの、それで」
メイド「朝食をお持ちしました」
220 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/07(水) 00:11:02.33 ID:f88/se6Yo
鳴上「そうですか、わざわざすみません。今開けます」
>ドアを開ける。
鳴上「どうも、あり……」
有里「や」
メイド「では、私はこれで」
>朝食を載せた盆を渡し、メイドは去っていく。
>湊を残して。
鳴上「なんでお前が?」
有里「なんでだと思う?」
鳴上「桐条さんに聞いたのか」
有里「そうだね」
鳴上「……まぁ、入ってくれ」
>湊は黙って部屋に入る。
鳴上「励ましにでも来てくれたのか?」
有里「残念だけど」
鳴上「だろうな。じゃあ何の用だ?用も無しに来るヤツじゃないだろ」
有里「意外と僕の事わかってるね」
221 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/07(水) 00:11:39.52 ID:f88/se6Yo
鳴上「そういう冗談を言いに来るヤツでもない。何の用だ?」
有里「恨み言でも、と思ってね」
鳴上「俺に?」
有里「せっかくのバカンスをフイにされたからね」
鳴上「俺だってそうだよ」
有里「そうだったね」
>湊はくすりと笑った。珍しいことに。
有里「……国まで敵に回して、仲間の手は借りられない。こんな事態は僕でも未体験だ」
鳴上「だろうな。普通一生経験しない」
有里「それでも、君が戦うのかを問いに来た」
鳴上「何……?」
有里「このまま、ほとぼりが冷めるまでここでいることだって出来る。アイギスやメティスがたまには様子を見に来るだろうし、生活は桐条が保障する。悪くない」
鳴上「だが、解決するかどうかわからない」
有里「するさ。してみせる。だって、僕がいる」
>他の誰かが言えばただの自信過剰でも、こいつならやれる気もする。
222 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/07(水) 00:13:09.32 ID:f88/se6Yo
>考えたことも無かった。
>他人に自分の行先を預け、信じる事。
>皆はこんな気分だったんだろうか。心地よくも気味の悪い感覚だ。
鳴上「悪いが、却下だ。今は迂闊に動けないけど、このまま終わるつもりはない」
有里「どうするの?」
鳴上「……イザナミにもう一度会う。テレビに入らなくても、あの場所に行く事は出来るはずだ」
有里「根拠は?」
鳴上「昔、夢で行った事がある。心の中にある場所なら、なんとかして入れない事もないだろう?」
有里「なるほど。特に君にはうってつけの協力者がいる。呼べば出てくるだろうね」
鳴上「うってつけの……?」
有里「君がまだやる気なら、僕は別方面から動くよ。邪魔して悪かった……じゃあ、ゆっくり朝食を」
鳴上「あ、おい!」
223 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/07(水) 00:14:39.33 ID:f88/se6Yo
>声を掛けた時には、湊はもう部屋の外だった。
鳴上「……信じてじっとしておく事が出来ないっていうのは、性分かな」
>それとも、俺はそこまで仲間たちの事を信用していないのか?
>誰かに頼ることに慣れていない……。自分が主導で動くのとは違う。
>今まで仲間と支えあってきたつもりだったが、もしかするとそうじゃなかったのかもしれない。
鳴上「仲間以前に自分を信じられてないな。そんな事でどうするんだ」
>持ったままだった盆を置いて、乗っていたパンを取る。
>一口齧ったが、何の味もしなかった。
鳴上「……っと、そうだ。うってつけの協力者、誰の事か考えよう」
>呼べば出てくる。
>連絡方法さえ限られてる俺に、会いに来れる人?
>……あ。
鳴上「一人いたな、むちゃくちゃが服着て歩いてるような人が」
>だが、どうやって連絡すればいいのか。
>神出鬼没な彼女を呼び出す方法とは……。
224 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/07(水) 00:16:28.99 ID:f88/se6Yo
>味のしないパンを置いてベッドに腰掛ける。
>こちらから連絡を取る方法が思いつかない。
>確かに彼女なら、あの場所に行く事ができそうなものだが……。
鳴上「エリザベス、か。どうやって……」
エリザベス「ここに」
鳴上「……うわぁ!」
>エリザベスが、いつもの微笑を浮かべて隣に座っていた。
225 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/07(水) 00:24:42.20 ID:f88/se6Yo
困った時のベス頼み。
では、また明日。
226 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/07(水) 00:47:04.07 ID:FAOuVNx20
乙
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/07(水) 06:16:55.31 ID:xbBhFromo
マガ姐さんも一緒に来たらイザナミ泣くんじゃね?
228 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/08(木) 00:16:32.55 ID:V5ppBhHbo
鳴上「エリザベス!なんで……いや丁度いいんだけど」
エリザベス「私、常日頃より付かず離れず観察しておりますので」
鳴上「あ、そう……だったっけ。そうだ、相談があるんだよ」
エリザベス「聞いておりました。……確かに、あの場所にお連れする事は可能です」
鳴上「そうか、よかった!だったら……」
エリザベス「しかし、それはしません」
鳴上「……何でだ?」
エリザベス「……あの方と会ってから、私は変化を続けています」
鳴上「ああ。それがどうしたんだ」
エリザベス「本当なら、疑う事も求める事も、考える事もしなかったでしょう。しかし今は違います。私は自分で考えるという事を……初めてしました」
エリザベス「そして思ったのです。あの場所は確かに何かの核心に迫れる場所……しかし重要な何かが欠けている、と」
鳴上「何かが、欠けている……」
>ふと思い当たった事がある。
>イザナミが出てきた事で、黒幕はイザナミなのだと勝手に思っていたが……。
>イザナミの言葉を信用するなら、最近まで俺の中で動けずにいた、という。
229 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/08(木) 00:17:14.66 ID:V5ppBhHbo
>なら……一連の事件を起こす事が出来たのか?
>黒幕は、別にいるんじゃないか?
鳴上「そういうことか……なら、誰が黒幕なんだ?」
エリザベス「それは、私の知る所に御座いません。これを」
>電話を手渡される。
エリザベス「元主から借り受けた物です。私に連絡できますので、お使いください」
鳴上「ただの携帯みたいだけど……」
エリザベス「特別製です。次に私を呼ぶ時は、真実に辿り着いたその時に……」
鳴上「……ああ。わかった」
エリザベス「お忘れ無きよう。あなたはいつも、事件の中心にいた。その事を考えれば……」
鳴上「俺が事件の中心に、か」
>一度目を閉じて、また開くと既にエリザベスはいなかった。
>イザナミも言っていた。
>俺は何者かに選ばれて、特別でいられたのだと。
>さながら、物語の主人公のように。
>なら、俺がぼやぼやしているわけにもいかないな。
鳴上「……アイギスに連絡しよう。とにかく、一人ずつだ」
230 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/08(木) 00:17:42.31 ID:V5ppBhHbo
>去年もそうだった。
>犯人は、然るべき時には然るべき所にいるはずなんだ。
>ここはきっと分水嶺、俺は仲間を信じる前に、自分を信じなければならない。
鳴上「心の奥で、否定もした。自分が特別である事」
>俺は特別だから良い仲間が出来た。そう思いたくなくて。
>だけど、俺はやっぱり特別なんだろう。
>鍵は、他の誰でもない。
>俺自身が、俺自身の特別を理解して信じる事。
>手がかりは揃っているはずだ。
鳴上「まさか、運命とやらに身を任せる時が来るとはな」
>逆らって、自分の手で掴んできたはずなのに。
鳴上「だが……」
>利用できる物は全部利用してやる。
>神とやらが使えるなら、それだって。
>……。
231 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/08(木) 00:18:31.90 ID:V5ppBhHbo
鳴上「……ふぅ」
藤堂「で、用は?」
鳴上「少し、話をしたかっただけです」
藤堂「にしてはダルそうだな」
鳴上「まさか一人しか呼べないと思って無かったので」
藤堂「仕方ないだろ、お前今大変なんだろ?」
鳴上「ええ、まぁ。桐条さん達はおおっぴらに会えないですし、藤堂さんだけ連絡がついたんですよ」
藤堂「暇人だったってことか?」
鳴上「いえいえ、そうじゃないです」
>集められるだけ、と思ったが、どうも困った事になった。
>まさか一人とは。
232 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/08(木) 00:19:27.08 ID:V5ppBhHbo
藤堂「……どうするんだ、これから」
鳴上「今まで出会った人達一人一人を当たっていこうと思ってます」
藤堂「おいおい、俺は容疑者で呼ばれたのか?」
鳴上「飽くまで参考に、ですよ。まだ聞いてない事も聞けるかもしれない」
藤堂「つってもなぁ。ほら、俺も被害者だったわけだし」
鳴上「あっ……」
>そういえばそうだ。
>藤堂とはテレビの中で出会った。
>あの時落とされたと言っていたはずだ。
鳴上「というか、本音で言わせてもらうと疑いたくはないんですよ」
藤堂「そりゃそうだろうな。安心したよ、嬉々として取り調べしてこなくてさ」
鳴上「でも、多分もうどこかで会ってるはずなんですよ。この局面で何も出てこないはずがない」
藤堂「そうか?そういう事もあると思うが……」
鳴上「おかしな話をしますが、いいですか?」
藤堂「ああ。慣れてる」
鳴上「一種の確信があるんですよ。この事件が俺を中心に動いてるって確信が。探偵小説で言う名探偵役が俺なんじゃないかって」
>藤堂は大きく口を開けている。
鳴上「だから変な話をするって言ったじゃないですか」
藤堂「ああ、いや……驚いただけだ。そっか、そういう事もあるか」
233 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/08(木) 00:23:04.83 ID:V5ppBhHbo
鳴上「そういう事も……?」
藤堂「昔、俺がお前くらいの時にある事件を解決した事がある。世界規模のでかい事件だったんだが……」
藤堂「その時、俺も近い感覚を持った事があるんだ。自分が今中心にいる感覚っていうか、これを解決するのは俺なんだろうなっていうか」
鳴上「そうなんですか」
藤堂「俺だけかと思ってた。あれ以降そんな事なかったし、気のせいかもってな。けど、なるほど……」
>今度はにやりと笑う。
藤堂「なら安心してよさそうだな。それは勘違いなんかじゃない。きっと何かがお前に味方してるんだろ」
鳴上「俺も開き直ってそう信じる事にしました。これから、事件が始まって出会った人皆と話して行こうと思ってます」
藤堂「俺は無罪放免って事か?」
鳴上「まだ容疑者ですけど、心情的にはシロですね。それは全員同じですけど」
藤堂「あ、そう。後は誰に話聞くんだ?」
鳴上「そうですね……桐条さんや他の寮の皆、それから周防さんと天野さん、刹那さんと未来さんと……」
藤堂「随分多いな。けど、一緒に戦った仲間も疑ってるわけか?」
鳴上「寮の皆に関してはまず無いと思ってます。というより、皆違う気が……ああ、あと神条さんだ」
藤堂「そいつは知らないな」
234 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/08(木) 00:23:50.47 ID:V5ppBhHbo
鳴上「神条久鷹っていう……ああ、違うな。神取鷹久だったか。偽名を使ってたらしいし」
藤堂「へー。神取鷹久ね」
>がたんっと派手な音を立てて藤堂が立ち上がる。
藤堂「待て、待て待て。神取?」
鳴上「え、ええ。偶然出会った人なので、疑う要素は余り無いと思うんですけど」
藤堂「お前が運命ってのを信じる事にしたなら、偶然が一番怪しいだろ。それに、神取って名前を俺は知ってる」
鳴上「え?」
藤堂「俺達の戦いはそいつとの戦いだった。もしアイツがまた出たっていうなら、背後にはやっぱりアレがいるんだろう」
鳴上「ちょ、ちょっと待ってください。アレってなんですか?」
藤堂「最悪のペルソナだよ。名前は……ニャルラトホテプ」
鳴上「嘘だろ……」
藤堂「どうやら、最初に疑うヤツははっきりしたみたいだな」
鳴上「……ありがとうございます。随分しっかり方向性が定まりました」
藤堂「それが外れだった時にはまた呼べよ。一緒に考えよう」
鳴上「とりあえず、一人で考える事にします。ありがとうございました」
藤堂「ああ……しかし、予想外だ。くそっ、思い出すだけで胸糞悪いな」
>藤堂は頭を掻きながら部屋を出た。
鳴上「さて、と……覚悟を決める時かもしれないな」
235 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/08(木) 00:24:22.41 ID:V5ppBhHbo
あっさりバレるラスボスの居所。
では、また明日。
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/08(木) 10:29:16.30 ID:KIu9HyNA0
乙
237 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/11/09(金) 01:17:03.47 ID:8kWaI8YNo
今日は無いのかい?
238 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(沖縄県)
:2012/11/10(土) 22:27:09.05 ID:FlBPn67l0
なるほど前スレの最後の酷いことってこれかな?
239 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/11(日) 22:44:02.54 ID:rU/oWodCo
私生活がガタガタで定期更新が辛い・・・
今週はちょっと遠征しないといけない用事がありましてお休みさせていただきます。
すんません・・・すんません・・・
240 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/11/11(日) 23:29:14.37 ID:NIzcQWjBo
そっか
241 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/11/11(日) 23:32:56.68 ID:X2Cze+R9o
連絡があればいいよ
242 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/20(火) 00:17:54.34 ID:75V6wC9C0
来るかな?
243 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/20(火) 01:38:40.34 ID:YU6Cwmtmo
神取「来たか」
鳴上「来ました」
神取「……その様子だと聞いたようだね」
鳴上「ええ。あなたは、藤堂さんの事も知ってましたね?」
神取「もちろん。全ては私の掌の上だ」
鳴上「もう、取り繕う必要もない。本性を現したらどうだ」
神取「本性など無い。千の顔が全て私だ。さぁ、それじゃあ答え合わせといこうか」
鳴上「まず、あんたは何者なんだ?」
神取「わかっているはずだろう?千の貌を持ちながら無貌。人類を飲み込む“這い寄る混沌”」
鳴上「ニャルラトホテプ」
神取「……の、現身の一つ。今、世間を騒がせ君の動きを封じている全ての事件は私の仕業だ」
鳴上「狙いは何なんだ。なぜこんな事をした」
神取「それを聞くかね?人を掻き回し、疑心暗鬼に陥らせる事こそ私の愉しみだ」
鳴上「……事を治めるつもりは無いのか」
神取「君がやってみればいい。私にそのつもりは無いよ」
鳴上「それを聞いて、ちょっと安心した」
神取「ペルソナの使えない身でどうするつもりかね?」
鳴上「ペルソナの使えない身で、事件の黒幕とただ対峙すると思うか?」
>背後から黒い影が走る。
244 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/20(火) 01:39:09.02 ID:YU6Cwmtmo
神取「おっと」
メティス「動かないでください」
>もし戦う事になった時の為に、メティスに連絡しておいた。
>一瞬で神取に近付いたメティスは、獲物を相手の首にあてがって静止する。
鳴上「さあ、もう少し話を続けよう」
神取「……残念だが、お断りだ」
メティス「動くなと……ッ!?」
>メティスが何故か膝から崩れ落ちる。
鳴上「メティス!?」
神取「人選を誤った、と言っておこうか。余り時間をかけると他の者達も来てしまいそうだから、手短に行こう」
鳴上「人選を……そうか、メティスは……」
神取「忘れていたのかもしれないが、君の仲間の内何人かは私が送り込んだ物だ。彼女もその一人」
鳴上「……聞かせてくれ。あんたを倒したとして、その仲間達はどうなる?」
神取「それは、その時のお楽しみだ。残念ながら君はまだ私と戦う資格を持っていない。取り戻す事だ。君の力を」
245 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/20(火) 01:39:57.09 ID:YU6Cwmtmo
鳴上「俺の力……ペルソナのことか」
神取「……誰かの意に沿って動くのは私の本質ではない。だから、本当ならこんな事は……」
>神取が苦々しげに何かつぶやいている。
鳴上「なんだ……?」
神取「だが、私は君が気に入ってしまった。連中に踊らされているフリもいいだろう、とね。ヒントを一つあげよう」
鳴上「信じると思うか?」
神取「まぁ、聞け。私と戦う事を選べば、多くの者が悲しむ事になる。だが逃げていれば、滅ぶ時は同じだ」
鳴上「何がヒントだ。何もわからないじゃないか」
神取「ははは、ヒントは君のすぐ近くにいるじゃないか。私と戦う事ができても、倒す事は出来ない。なぜなら……」
神取「私は君達人間の望みを叶える存在だからだ。君達の心の底、集合的無意識に棲む者だからだ」
鳴上「……」
神取「以前、エレボスという名で対峙したのが、私だ。正確には、私の一つの姿だ」
鳴上「エレボス、か」
神取「理解したら、どうすべきかもわかったはずだ」
>もし、それが本当なのだとしたら。
246 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/20(火) 01:40:26.18 ID:YU6Cwmtmo
鳴上「……俺がやるしか無いんだな」
神取「憐れにも選ばれたのは君だからだ。この世の全ての物は何か大きな力によって動かされている」
鳴上「イザナミも似たようなことを言ってたな。一体何なんだ?」
神取「私はそれから逃れてみたかっただけなんだが、どうやらそれが毎度人の怒りに触れるらしくてね。いつも邪魔されるんだ」
鳴上「俺や藤堂さんを選んだのもその大きな力ってヤツなのか」
神取「彼だけじゃない。周防達哉、天野舞耶、有里湊、皆その力によって“特別”に仕立て上げられた者だ」
鳴上「……その力っていうのの正体は知ってるのか?」
神取「さて、ね。そろそろお喋りは終わりだ。私は一度逃げるが、追おうと思えばいつでも追えるだろう。あの場所で会おう」
鳴上「ああ。きっと会いに行く。きっと、倒しに行く。また会おう」
>神取は笑ったまま消えた。
鳴上「……せっかくイザナミに俺たちの可能性を見せても、あんなのが生まれるんじゃな」
>倒れたままのメティスを抱え上げる。
鳴上「大丈夫か?」
メティス「う……ごめんなさい、役に立てなくて」
247 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/20(火) 01:41:09.24 ID:YU6Cwmtmo
鳴上「いや、俺の責任だよ。……なぁ、メティス。もし俺がこれから先、世界を救う為に何かを犠牲にしたとしてさ」
メティス「何かを……?」
鳴上「ああ。例えば、そうだな……今のメティスや、他の皆の生活を全部壊してしまうような事」
メティス「……すごく、辛いと思う。だけど、あなたがそうしようって決めたのなら。きっと、すごく色々考えてから出した答えだと思うから」
鳴上「そうか。……ごめんな」
メティス「……何か、するの?」
鳴上「きっと、メティスや他の皆が悲しむ事をするよ。いや、思い上がりかもしれないけど」
メティス「他に、やり方は無い……んだよ、ね」
鳴上「少なくとも今は思いつかないな。あのな、メティス」
メティス「待って。……少しだけ、言わせて」
>メティスがそっと俺の手を握る。
メティス「私と違う、温かい手……血の通った手」
メティス「あなたがその手に掴めるのは、剣だけじゃない。きっと誰も悲しまない未来も掴めるはず」
248 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/20(火) 01:42:22.03 ID:YU6Cwmtmo
鳴上「だけど、俺には……」
メティス「もう決めてるのはわかってる。だけど、皆にもう一度会って。それからもう一度だけ考えて」
メティス「それから決めた答えなら、私は何も言わない。あなたを、信じてるから」
鳴上「……わかった。そうするよ」
メティス「それから……もう一度だけ、触れて欲しい」
鳴上「……」
>メティスと長い時間を過ごした。
>『No.12 刑死者 メティス』のランクが10になった。
>頭の中に声が響く……。
『我は汝、汝は我……
汝、ついに真実の絆を得たり。
真実の絆……それは即ち、
真実の目なり。
今こそ、汝には見ゆるべし。
究極の力の汝が内に目覚めんことを……』
>“メティス”コミュをマスターした!
>メティスは小さく震えていた……。
>俺は、この余りにも人間らしい機械の少女を強く抱きしめた。
249 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/20(火) 01:48:19.10 ID:YU6Cwmtmo
>許しは請わない。
>………。
>……。
>…。
鳴上「まだ、半年も経ってないのか」
>いろんな事があった気がする。
>春にやってきて、今が夏。
>長く感じていたが随分短かった。
>俺は彼らのとってどんな存在になっただろうか。
>俺にとって彼らはどうだろうか。
鳴上「大切な仲間だ、よな?」
>自問自答しても答えは見えない。
>大切な仲間ではある。
>それは間違いない。
>だが、それ以上踏み込んだ仲になれなかったのは何故か。
250 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/20(火) 01:48:46.55 ID:YU6Cwmtmo
鳴上「結構、悔しかったんだ。お前さえいなければ、なんて思ったりもした」
有里「へぇ、そう」
鳴上「馬鹿馬鹿しいけどな」
有里「いや……僕も同じ事考えてたよ」
鳴上「そうか……綾時は何て?」
>湊は黙って笑っている。
鳴上「……アイツらしいな。さて」
有里「そうだね、僕らは」
鳴上「戦おう」
有里「越えてみせて」
有里「僕を」
美奈子「私を」
鳴上「……任せろ!」
>刀をキツく握った。
251 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/20(火) 01:50:29.39 ID:YU6Cwmtmo
バトル・バトル。
では、また明日。
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/11/20(火) 10:18:58.56 ID:vVXymS+P0
乙ダイン!
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/20(火) 16:27:12.96 ID:G5Ll/XtO0
乙
新旧主人公の対決というのはかなり燃えるシチュだな
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/20(火) 22:25:09.71 ID:bBXKsqij0
乙。
旧主人公と現主人公バトルか。ニャル様来るなら…イゴールの上司来そうだな。
255 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/11/20(火) 23:40:15.74 ID:t69AVBLDO
某アンソロのお陰で、美少年好きな変態イメージしかないなあ、イゴ上司。
256 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/21(水) 01:12:15.69 ID:QeLS4Brwo
美奈子「私達も妙な仲だよねー」
有里「どうしてこうなっちゃったのかな」
鳴上「出会う時や場所が違えば……」
美奈子「多分、最高の友達になれたのに」
>二人がかりでの攻めを凌ぎながら、それでも言わずにはいられない。
>薙刀と長剣それぞれの長所を活かした連携攻撃。
>流石に同一人物だ。
美奈子「もっともっと、いろんな事話したかったね」
鳴上「そうだな。二人の思った事、感じた事、いろいろ聞きたかった」
有里「それは僕だって同じだよ。あの仲間たちの中にいて、君が何を思ったか……聞きたかった」
鳴上「今からでも遅くないぞ」
有里「遅すぎるよ。君が道を決めてしまったから」
美奈子「後輩をたしなめるのも先輩の仕事だよね、やっぱり」
鳴上「俺を止めて、それからどうするんだ?」
有里「……」
美奈子「……ま、それはその時ってことで」
鳴上「じゃあ、負けてやるわけにはいかないな!」
>そう、負けるわけにはいかない。
>俺がやると決めたんだから。
>……。
257 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/21(水) 01:12:44.23 ID:QeLS4Brwo
順平「……マジ?」
鳴上「らしいです」
天田「またアレと戦うんですかね……」
真田「ふん、一度倒した相手をもう一度叩くだけにすぎん。深く考える必要もないな」
ゆかり「でも、一度倒したのにまた現れたんですよね」
風花「それなら、何か別の方法を取らなきゃいけないんじゃ……」
美鶴「そもそも、倒すだの消滅させるだのとは縁遠い存在なんじゃないだろうか。だからこそ彼は……」
順平「そういやそうだよ。有里のヤツどこ行ってんだ?」
ゆかり「美奈子もいないね。鳴上君、呼ばなかったの?」
鳴上「ええ。今回は、皆さんにだけ話しておきたかったんです。あいつらには別口で話します」
アイギス「……それは、あなたのしようとしている事と関係があるんですね?」
鳴上「……その通りです」
順平「どういう事よ?お前、何するって?」
風花「あの二人と、鳴上君……もしかして、それって……」
鳴上「封印、しようと思います」
>……。
258 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/21(水) 01:14:58.50 ID:QeLS4Brwo
藤堂「そうか……」
舞耶「他に方法は無いの?」
鳴上「少なくとも、思いつきません。なにより実績がある」
舞耶「でも、それって君は……」
鳴上「わかっています。わかった上で、決めたんです」
舞耶「まだ時間はあるんでしょう?なら皆で考えて……」
周防「わかった。お前がそうしたいならそうすればいい」
舞耶「ちょっと、達哉君!?」
藤堂「周防、早計だとは思わないのか?確かに、上手くいけば現状は打破出来るだろうけど」
周防「鳴上が考えた事が間違っているとは思わない。多分俺でもそうすると思うから」
舞耶「だからって……」
鳴上「いいんです、俺は。誰かに言われてするわけじゃない。俺の意志で動いてるんだから」
藤堂「……いいんだな?本当に」
鳴上「ええ。後のことは皆さんにお任せします」
舞耶「……どうして、あなたなの」
鳴上「さぁ、それはわかりません。けど、俺で良かったと思います。何も出来ないよりは、ずっと」
舞耶「鳴上君……」
>……。
259 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/21(水) 01:20:04.11 ID:QeLS4Brwo
藤堂「やってんなぁ」
舞耶「あの子達も、どうしてわざわざ戦おうなんて……」
アイギス「有里さんと美奈子さんは鳴上さんを止めたい。許されるなら私もそうしていた所です」
舞耶「でも、他にいくらでも言い方があったはずよ。あんな、下手したら死んでしまうような事しなくても」
藤堂「馬鹿馬鹿しいけど一番なんじゃないかな。あいつら、アレで腹に一物あったみたいだし」
舞耶「……青春ってヤツなのかしら」
周防「俺たちにも似たような時期があったかもしれないな」
藤堂「周防。お前どっちだと思う?」
周防「有里達だと」
藤堂「へぇ。まぁ二人がかりだもんな。でも鳴上は体格勝ってるし、意外といけると思うんだけど」
周防「肉弾戦ならそうかもしれない。けど、あの三人はそうじゃない」
アイギス「美奈子さんのスペックが有里さんと同じとするなら、鳴上さんが勝てる可能性はゼロに等しいと思います」
藤堂「それはどうして?」
アイギス「ペルソナ能力の、桁が違いますから」
>……。
260 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/21(水) 01:20:30.98 ID:QeLS4Brwo
鳴上「ふぅ……」
有里「そろそろいいかな?」
美奈子「手ぇ痺れたぁ〜……悠、力強いんだね」
鳴上「まぁ、それなりにな。でも、普通に戦うなら俺達じゃなくていい」
有里「その通り。ペルソナ使いは、ペルソナで戦わないとね」
>湊は指を銃の形にしてこめかみに押し付ける。
有里「ペ」
>美奈子が胸の前で右手を握る。
美奈子「ル」
>俺は……。
>皆に事情を話した後、それぞれに言葉をもらった。
>その時、初めてわかった事がある。
>俺のペルソナ……心の力はなくなってなんかいない。
>奪われたのは、イザナミに与えられた力だけ。
>それから大きく育った絆の力は、今も俺の中にある。
鳴上「ソ」
「ナ」
>パキィン、と、澄んだ音が響いた。
261 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/21(水) 01:22:10.51 ID:QeLS4Brwo
有里「タナトス!」
美奈子「オルフェウス!」
鳴上「イザナギ!」
有里「一人ずつでもいいよ?」
鳴上「バカ言うなよ。二人で来い。それで止められる程度なら、やめた方がマシだ」
>湊と美奈子が笑った。
鳴上「美奈子はともかく、お前の笑顔っていうのは……」
有里「珍しい?」
鳴上「綾時みたいだ」
有里「タナトスを呼んだから、彼が出てきたのかもね」
鳴上「アイツは……どんな気持ちでお前の所に戻ったんだろうな」
美奈子「わかんないの?」
有里「……さて、ね」
鳴上「いや、多分わかるよ。友達を失くしたくない……かな」
美奈子「ご明察。……本気で行くから、そっちも緩めないでね」
鳴上「そんな余裕無いよ」
>空気が歪むのを感じた。
262 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/21(水) 01:24:05.16 ID:QeLS4Brwo
有里「最後に一度だけ聞くよ」
美奈子「大いなる封印……悠の全部を使って、ニャルラトホテプを封じる事。それ、やめにしない?」
鳴上「……」
有里「僕らはそうした。エレボスとニュクス……内に向けてと外に向けての違いはあれどね」
美奈子「だからこそ言える。あの結末じゃ誰も、喜ばないから」
鳴上「誰かのためだ、とか」
>言いたいことはわかる。
>この二人の……特に、湊のいなくなった後の皆は見てきたから。
>だけど、でも、だ。
鳴上「そういうのは、やめたんだ。俺は、俺がやりたいと思ったからやる。皆が泣いたって、生きてる方がずっと良いんだから」
有里「エゴだとは?」
鳴上「思う。けど、人間だからさ」
>携帯を取り出して、悪魔召喚プログラムを起動する。
>パスカルには事前に話してある。
パスカル「……気は、進まないがな」
鳴上「まぁ、そう言うなよ……?」
>パスカルの横に誰かが見える。
>俺達と同じ年頃の少年……誰だろう、彼は。
263 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/21(水) 01:24:38.13 ID:QeLS4Brwo
鳴上「いつか言ったよな、パスカル。俺は善にでも悪にでもなる。その通りだ。どう転ぶかは誰にもわからない」
鳴上「でも、それでいいんだ。俺は俺の意志を持って、悪に、善に、あるいは中庸であり続ける。俺のやりたい事を信じる。それが、俺の答えだ」
>少年が俺に笑いかけた。
>彼の隣に天使のような男と鎧武者のような男が立つ。
>パスカルが一度鼻を鳴らしたら、三人とも消えて失せた。
有里「……なら僕は、僕の意志の下君に生きて欲しいと願う」
美奈子「後始末は私達、一回死んだ組に任せなさいって」
鳴上「悪いが聞けない。そういうもんだろ?」
有里「だろうと思った。それじゃ……」
鳴上「第二ラウンドだ」
>イザナギとタナトスがお互いに剣をぶつけ合う。
>オルフェウスの放つ炎をパスカルの炎が堰き止める。
>辺りが赤く染まっていった。
264 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/21(水) 01:26:28.77 ID:QeLS4Brwo
なくなってなかったよ、ペルソナ。
では、また明日。
265 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/21(水) 11:57:50.62 ID:fnXl5exIO
乙ー
266 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/22(木) 00:44:11.31 ID:SVV4y/Mm0
乙!
イゴ上司何やってんだよ。またぶん殴るぞ。
267 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:13:53.65 ID:ZwiNR/OQo
鳴上「五分、か」
有里「だね」
美奈子「パスカルー、ジャーキーあげるから手加減してくれない?」
パスカル「よくもこの状況でそんな事が……」
美奈子「ほんとはこんな事したくないしね。戦わなくて済むなら、それが一番」
鳴上「じゃあ引いてくれないか?」
美奈子「それはムリ」
>一瞬赤く照らされた周囲がまた暗く沈み始める。
アイギス「あれが、鳴上さんが二人に勝てない理由です」
藤堂「……どういう事だ?」
周防「ペルソナがダブって……?」
鳴上「出たか……」
有里「長引かせるつもりは無いから。一番大きいので行くよ」
268 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:14:25.71 ID:ZwiNR/OQo
>湊と最初に会った時に見た。
>あれは……天使と悪魔の力を同時に放つミックスレイド。
>俺には出来ない、ペルソナの同時使用。
有里「サタン、ルシフェル」
>だが!
鳴上「それは一度見た」
>この二人が俺を止めに来る事はなんとなく予想できていた。
>なら、対策しないわけがない。
>ペルソナの切り替え、湊の精神力を全て注ぎ込む大技……。
>凌げば、切り込むチャンスがあるはずだ!
鳴上「パスカル、退けっ!」
パスカル「わかった!だが、主は……」
鳴上「……これを超えて、初めて勝ちだ」
パスカル「……」
>パスカルは全力で後ろに下がる。
269 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:15:24.76 ID:ZwiNR/OQo
>あそこまでいけば大丈夫だろうか。
>いや、どうせ受け止める。
鳴上「来い!」
有里「ハルマゲドン!」
>イザナギを間に挟むも、青白い炎が周囲全てを覆う。
>文句なし、最強だ。
>エリザベスにも勝るとも劣らないだろう。
鳴上「……ぐっ、あああああああああ!」
有里「……」
美奈子「ありゃ?終わり?」
有里「後は、僕達に任せて。誰か悠を……」
鳴上「……まだだ!」
>食いしばって耐える。
>対策とは名ばかりの、一種の根性論だ。
>しかし、湊が無防備に間合いに入ってくれたのはそのお陰だろう。
270 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:18:05.26 ID:ZwiNR/OQo
鳴上「油断してくれたな。行くぞ!」
>自身の刀で横薙ぎに一閃。
>イザナギが真上から縦に一文字斬り。
>合わせて、十文字斬り。
鳴上「これで、どうだ!」
美奈子「……ごめんね」
>美奈子の手元にある……あれは……
>宝石?
有里「手加減は、しない」
>湊は俺の振るった刀をがっちりと手で受け止めている。
>握り締めているにもかかわらず出血もない。
美奈子「ミックスレイドを使えるのは、湊だけじゃないの。宝石使っちゃうから、値は張るんだけどね」
鳴上「冗談だろ……」
美奈子「……インフィニティ」
>ギリギリで食いしばった俺の体力は残り少ない。
>押せば倒されるレベルだ。
271 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:18:36.00 ID:ZwiNR/OQo
鳴上「お前と俺の差は何なんだ?」
有里「美奈子がいたからかな?」
鳴上「……勝ちたかったな、くそ」
>タナトスがじっとこっちを見ている。
>そんな目で見るなよ。
有里「君が同じ事をしようとする度、僕達は何度でも止める。君は……未来を生きて欲しい。僕達は過去に帰る」
美奈子「悠……わかって、とは言わない」
鳴上「ああ。負けは負けだ」
藤堂「お疲れ。さて、帰るか」
パスカル「良いのか?」
鳴上「いいさ。俺じゃ、この二人には勝てない」
>二人には、な。
周防「鳴上……ほとぼりが冷めるまで、またしばらく篭っておけよ」
アイギス「私が警護しますから、大丈夫とは思います」
舞耶「その……気を落とさないでね。正直、ホッとしてるわ。やっぱり仲間が戦うなんて駄目よ」
>みんな至極あっさりしている。
>俺もそうだ。
272 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:19:02.54 ID:ZwiNR/OQo
>元から勝つ気が希薄だったからだろうか?
>そう、湊一人にすら勝てるかどうかわからない俺が、二人相手に勝てるはずがない。
>わかっていた事をはっきりさせただけだ。
>そう、それだけだ。
>アイギスに周囲を探ってもらいながら、何か二言三言会話したと思うが覚えていない。
>塒に帰って、ベッドに倒れこんで、それから……
鳴上「くそっ……くそっ……!」
>少しだけ、悔しさを吐き出して、眠った。
【8/3 深夜】
>通信機から声が聞こえて目が覚めた。
鳴上「……誰だ?」
>アイギスの声ではない。
>これは……美鶴?
美鶴『……ギス、アイギス!ラビリス!応答しろ!』
鳴上「あの、鳴上です」
美鶴『君か!良かった、君とは連絡がついたな。他のメンバーと至急連絡が取りたかったんだが』
273 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:19:30.45 ID:ZwiNR/OQo
鳴上「どうしたんです?こんな時間に」
美鶴『悪魔共が突然暴れ始めた。どうやら日本各地で同じ現象が起こっているらしい!』
鳴上「悪魔が?」
美鶴『目撃証言によるとシャドウも混ざっているそうだ。私達で迎撃に当たる必要がある』
鳴上「一体何故……って、考えるまでもないか」
>あいつの仕業だ。
美鶴『それに伴って、君の周りを警護する余裕が無くなった。そこは今無防備だ!君にも戦列に加わって欲しい所だが……』
鳴上「どさくさ紛れになんとかなりませんか?」
美鶴『どさくさ紛れだからこそ君がどうにかされる可能性がある。決して動くな。危険を感じた時のみ移動を許可する!わかったな!』
鳴上「わかりました。あの、お気をつけて!」
美鶴『ああ。アイギス達がそこを訪れたら、私に連絡するように言ってくれ。恐らく自分の判断で動いていると思うが……』
>ノイズが走り、通信が切れた。
鳴上「危険を感じた時、か」
>なら、今がそうだ。
>俺の危険ではなく、世界の危機。
>心のなかで、美鶴に謝っておいた。
274 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:19:56.84 ID:ZwiNR/OQo
鳴上「エリザベス!近くにいるのか!?」
>声を上げてみるも、もちろん返事は無い。
鳴上「そうか、アレを使うんだっけ」
>エリザベスに渡された電話を取り出す。
>……番号とか、わからないぞ?
>適当にぽちぽちと押して、耳に当てる。
鳴上「……」
エリザベス「はい、エリザベスでございます」
鳴上「なぁ、呼べば出てくるならこれいらないんじゃないか?」
エリザベス「今日ここにいたのはただの偶然でございますから」
鳴上「そうか。エリザベス。頼みがある」
エリザベス「承知しております。あの場所へ向かわれるのですね」
鳴上「ああ。決着つけてくる」
エリザベス「見届けさせていただきます。しかし、何やらお疲れの様子……」
鳴上「平気だ。全然な。行こう」
>最後の、戦いだ。
>……。
275 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:20:22.49 ID:ZwiNR/OQo
鳴上「さて、と。説明から聞かせてくれ」
>テレビの中……もうテレビから入る事が出来ないらしいから、その言い方であっているのかわからないが……
>とにかく、例の場所に向かう途中。
>有里湊が、立っていた。
有里「君が同じ事をしようとするなら、僕は止める。そう言ったはずだよ」
鳴上「どうやって来たんだ?」
有里「僕らはこっち側の存在だから。普通に入れたよ」
鳴上「美奈子はどうした?」
有里「ポートアイランドを守ってる。彼女は僕と同じで、だけど違うから。君の事より街を優先した」
鳴上「お前もそうしてくれればよかったんだがな」
有里「僕は……綾時の分も、君の面倒を見なければならないからね」
鳴上「そうか」
エリザベス「……お元気そうで、何よりでございます」
有里「久しぶりだね」
エリザベス「その挨拶は、私が真に貴方を救える時までとっておきましょう」
有里「そう。それじゃ……」
276 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:22:11.56 ID:ZwiNR/OQo
鳴上「さて、と。説明から聞かせてくれ」
>テレビの中……もうテレビから入る事が出来ないらしいから、その言い方であっているのかわからないが……
>とにかく、例の場所に向かう途中。
>有里湊が、立っていた。
有里「君が同じ事をしようとするなら、僕は止める。そう言ったはずだよ」
鳴上「どうやって来たんだ?」
有里「僕らはこっち側の存在だから。普通に入れたよ」
鳴上「美奈子はどうした?」
有里「ポートアイランドを守ってる。彼女は僕と同じで、だけど違うから。君の事より街を優先した」
鳴上「お前もそうしてくれればよかったんだがな」
有里「僕は……綾時の分も、君の面倒を見なければならないからね」
鳴上「そうか」
エリザベス「……お元気そうで、何よりでございます」
有里「久しぶりだね」
エリザベス「その挨拶は、私が真に貴方を救える時までとっておきましょう」
有里「そう。それじゃ……」
277 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:22:42.95 ID:ZwiNR/OQo
>湊が剣を構える。
有里「君がここから先に進むなら、僕を倒してから行くといい。今までの全部を出しきって、僕を倒せたなら」
鳴上「止める物は何もない、か」
有里「どうする?」
鳴上「……お前もそうだけど、俺、結構無表情なんだよ」
有里「そうだね。仏頂面だ」
鳴上「あんまり表に出ないだけだけどな。そんな俺がな」
>ぐっと拳を握る。
>つい数時間前の感情を、忘れるわけがない。
鳴上「危うく泣く程悔しかったんだ。お前に負けたのが。誰に負けたっていい。だけどお前にだけは負けたくない」
有里「……僕も、さ」
鳴上「やろう。今度は一対一。全部を出し切って、今度こそお前を……」
鳴上「倒す」
>エリザベスが微笑んだのが、視界の端に見えた。
278 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/23(金) 00:25:05.01 ID:ZwiNR/OQo
結局、超えるべきは。
書き込み失敗とか怖いわ・・・では、また明日。
279 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/11/23(金) 00:26:55.26 ID:pQvDosKA0
おつカレー。
いやー盛り上がってまいりました
280 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/11/23(金) 00:29:17.45 ID:LPMQWTKKo
激化乙ダイン
盛り上がってまいりました
281 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/23(金) 00:48:39.75 ID:0EKEkDYz0
マハ乙
新旧主人公対決、本番だ
282 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:00:54.34 ID:ByZEUoDNo
>白銀の鎧に黒衣を纏ったペルソナ、もう一人の俺……イザナギ。
>漆黒の体に白磁の仮面をつけたもう一人の湊……タナトス。
>静かに間合いを詰めていく。
>ゆっくりと、静かに。
>もうどちらも喋らない。
>冷たい何かを感じる。
>殺意?敵意?いや、それとは別の……
>あいつ特有の、言葉に出来ない感情。
>俺とは全く正反対。
>俺のそれがまるで炎のように熱を持つのとは逆に、あいつはどんどん冷えていくのだろう。
>俺と湊の間には何もない。
>何もないにも関わらず、二人は同時に足を止める。
>ここが、ぎりぎりのライン。
>膨らみきった風船を間に挟むように。
>押せば、破裂する。
283 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:01:59.61 ID:ByZEUoDNo
パチン
>何かが弾ける音がした。
>音の主は湊ではない。
>恐らくエリザベスだが、それを確認するより先に叫んだ。
「イザナギ!!」
「タナトス!!」
>湊から感じる温度とは真逆の、熱い咆哮をあげてタナトスが突進する。
>俺の中から感じる熱とは真逆で、鋭く冷たく研ぎ上げた刃のように、イザナギが突進する。
>お互いのちょうど中間で衝突。
>金属のぶち当たる音、噴き上がるエネルギー同士が混ざり合い、溢れ出し、周囲に風を起こす。
>イザナギに全ての力を注ぎながらもその反動か、頭はすっと冷えて行った。
>湊が見える。
>あの冷静な仮面の奥に獣のような獰猛さを見せる。
>俺はどう見えているだろう。
>ペルソナ同士で戦いながら、同時にお互いの仮面の内を見せ合っている。
>こうして戦う間、相手の事が少しわかるのはなんだろう。
>拳で語る、とはこういう物なのだろうか。
>これはそんなレベルでは無い気がするが……。
>いつかテレビで見た映像、湊の戦いの一部始終が頭の中に流れ込んでくる。
284 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:02:26.41 ID:ByZEUoDNo
『それも、少し変わった力みたいだ』
>俺と同じ、いやそれ以上に強い力。
『切り札にもなる力』
>そうだな、俺も良く知ってる。
>考えてみれば、本当に奇妙な縁だ。
>本来出会うはずの無かった男と出会い、その仲間と共に戦い……。
>俺達のしてきたような戦いを、遥かに以前からしてきた人達と出会い。
>手に入れたのは、少しの劣等感と、大きな安心感。
>俺が駄目でも、誰かがいる。
>彼らが駄目でも、きっとまた誰かが。
>俺は、
>俺達は、
>一人じゃない。
>風船が割れた。
285 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:02:54.60 ID:ByZEUoDNo
鳴上「う……」
>気付けば仰向けに倒れていた。
鳴上「また、負けたのか……」
>不思議と悔しさは無かった。
>二度目だからか?それとももう悔しいと思うエネルギーも使い果たしたのか。
>何にせよ、俺は……
有里「まさか」
鳴上「湊?」
>首だけ動かして声のする方を見る。
鳴上「どうしてそうなった」
有里「動けないからね」
>湊が同じように倒れ、エリザベスのふとももに頭を預けている。
エリザベス「負けではありません。私が止めに入らなければ、倒れていたのは……」
鳴上「……そうか。はは、そうか」
286 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:03:54.59 ID:ByZEUoDNo
>確かに、動けはしないが痛みは無い。
>どうやら器用に止めてくれたらしい。
>雪辱は、一撃の元に晴れた。
エリザベス「お見事です。あなたは……決して超えられないであろう壁を打ち破り、通り抜けました」
有里「僕はしばらく動けそうもないし、後の事は……好きにするといい」
>湊はいつもと変わらない様子で言う。
>だが、俺にはわかる。
鳴上「湊、お前今悔しいだろ」
有里「……悠もこんな気分だった?」
鳴上「ああ。……やっと、勝てた。っと」
>回復してきた体をなんとか立ち上がらせる。
有里「次は、負けない」
鳴上「言ってろ。俺は今回本気じゃなかった。パスカル呼ばなかったしな」
有里「ケルベロスか。だけど僕だって、悪魔のトモダチはいるよ」
鳴上「何?そうなのか?……でも一勝一敗で五分だろ」
有里「勝ちたかったなぁ。目的よりも何よりも、君にだけは負けたくなかった」
鳴上「……次があれば、その時にな。俺は進む」
>湊は何も言わない。
>俺は、奥へ進む事にした。
287 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:04:23.59 ID:ByZEUoDNo
エリザベス「……良かったのですか?」
有里「これで、いいんだ」
エリザベス「本気を出していなかったのは、鳴上様ではなく」
有里「内緒にしておいて欲しい。そろそろ起きてもいいかな」
エリザベス「ええ、名残惜しいですが……」
有里「僕が枕にするのはアイギスの膝って決まってるんだ。さて、と」
エリザベス「どちらに?」
有里「僕に出来る最後の仕事をしに。悠には先輩らしい事、全然してあげられなかったな……エリザベス、頼みたい事がある」
エリザベス「……なんなりと」
>エリザベスの笑顔が少し寂しそうに見えた。
288 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:04:50.76 ID:ByZEUoDNo
鳴上「まだ先があるのか……?」
>随分と歩いた気がするが、終わりが見えない。
>道を間違えたわけでは無さそうだが……。
鳴上「くそ、こんな所で疲れてる場合じゃないんだが」
>再び歩き出そうとした時、声が聞こえた。
「心配せずとも、ここで終点だ」
>気付けば今まで一本道だったはずの場所が、巨大な岩の上になっている。
鳴上「お前は……」
>正面に立っているのは……男か、女か、それすらもわからない。
>かつてイザナミに同じ感想を抱いたが、あいつはイザナミなのか?
>それも違うように感じる。とにかく警戒は解けない。
「わからないなら、わかりやすい姿になってあげよう」
>姿がしゅるしゅると変わり、今度は男になる。
>神条……いや、神取鷹久。
>ニャルラトホテプ。
289 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:05:21.03 ID:ByZEUoDNo
鳴上「イザナミはどこにいる。今お前に構っている暇はない」
神取「まだわからないのか?ここにいるじゃないか」
>今度は、神取の姿が変わりイザナミが現れる。
鳴上「まさか、イザナミもニャルラトホテプの……」
イザナミ「違うな。私は人に全てを任せる事にしたのだ」
>相変わらずの、男とも女ともとれる声でイザナミが言う。
イザナミ「あの男……いや、あれ、というべきだろうな。あれが人の望みであるのなら、私は人に力を与えてみようと思った」
鳴上「それで、どうなったんだ」
イザナミ「見ての通り、私の全てをあれに与えた。あれが人を代表するというのなら、その望みのままにするのみだ」
>姿がまた神取に戻る。
神取「聞いての通りだ。今や神と私は同一となった」
鳴上「……お前は、その力で何をする?」
>神取が大声で笑う。
神取「混沌を。それが望みだ」
鳴上「人はそんな物望んじゃいない!」
290 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:05:59.09 ID:ByZEUoDNo
神取「混沌の中でこそ輝く物がある。そして……多くの人間は、それを見たがっている。そう、英雄とは混沌の中で生まれるのだ」
鳴上「お前の哲学を聞くつもりもない!」
神取「私の、ではなく人の、だ。そして……お前もまた、混沌から生まれた星」
鳴上「……確かに、そう思った時もあった」
>事件が終わればどうなるのか。
>確かに、その不安は俺の中にあった。
鳴上「だけど!」
>困難の中だからこそ求められたのかもしれない。
>最初はきっとそうだったのだろう。
鳴上「だけど、違うんだ。その中で育った絆は、仲間との関係は、決して消えない。一人でなんでも出来るお前達には、わからないのかもしれないけど」
神取「……なら、見せてみろ。絆の力、お前の言う人間の力を」
鳴上「今のはどっちの言葉だ?」
神取「さて、な」
>神取だった物から触手がうねうねと伸びる。
>いや、伸びるのではなく触手そのものが集まって形を成しているようだ。
>タコの吸盤のように、マーヤの仮面がいくつもついている。
291 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:06:25.49 ID:ByZEUoDNo
鳴上「……負けるはずないさ。俺達は、滅びを望んだりしていないから」
>自分に言い聞かせて、心を奮い立たせる。
>ニャルラトホテプから伝わってくる威圧感は、かつてのイザナミの物より強い。
ニャルラトホテプ『……怯えているのか?』
鳴上「……行くぞ」
>悪魔召喚プログラムを起動する。
パスカル「……これが、悪か?」
鳴上「それはわからない。だけど、認めちゃいけない相手なんだ」
パスカル「善と悪を決めるのは誰でもない。迷った時、従うのは己の意志なんだろう。やはり、主に感じた感覚は間違いではなかった」
鳴上「どっちにせよ、これで最後だ。付き合ってくれるか?」
パスカル「勿論だ」
>パスカルが戦闘態勢に入る。
鳴上「行くぞ……イザナギ!」
パスカル「アォオオオオオオン」
>パスカルが吠えた時、地面からニャルラトホテプの触手が何本も伸び上がった。
>その内の何本かが俺とパスカルに襲いかかる。
>自分の刀とイザナギの刀で切り払い、パスカルの様子を窺う。
>どうやら無事なようだ。
292 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:06:53.37 ID:ByZEUoDNo
鳴上「パスカル!行け!」
パスカル「グルルルルル」
>パスカルの進む道を確保すべく、迫る触手を切って落とす。
ニャルラトホテプ『頑張るな。しかし無駄だ』
>何本切ってもキリがない。
>それでもじりじりと前進していたが、ついには先に進む事すらできなくなる。
鳴上「くっ……手数が違いすぎるか」
パスカル「主!」
>パスカルが合図を送る。
パスカル「力を貸す!全力で切り抜けろ!」
>パスカルが炎を吐く。
パスカル「少し熱いが我慢してくれ!」
鳴上「っ、ああ!行くぞ!」
>炎の真ん中にイザナギを突っ込ませる。
>火炎を大刀に乗せて、そのままの勢いで触手の群れを切る。
パスカル「合体魔法、真・火炎撃!」
293 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:07:20.04 ID:ByZEUoDNo
鳴上「今だ!パスカル!」
>炎の一撃で触手の壁が途切れる。
>その隙間を縫うようにパスカルが突進する。
ニャルラトホテプ『ほう……だが……』
>あの隙間では、通れるのはパスカルだけだ。
>俺とイザナギは通る事ができない。
鳴上「イザナギなら、な」
>ペルソナチェンジ。
>あの小さい隙間を通れるペルソナは……。
鳴上「ジャックフロスト!」
ジャックフロスト「HO!」
パスカル「マハラギダイン!」
鳴上「マハブフダイン!」
>炎と氷が辺りの触手ごと薙ぎ払う。
>触手が焼かれ、あるいは砕けていく。
294 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:07:47.03 ID:ByZEUoDNo
>目も開けられない程に轟々と周囲を覆う二つの呪文。
>しばらくして、勢いが収まり……ようやく視界が確保された頃。
>辺りには、パスカル以外の何者もいなかった。
鳴上「やった……のか?」
>何の返事もない。
鳴上「パスカル、どうなっ……!?」
>パスカルが、どさりと倒れた。
鳴上「パスカル!」
『……その程度が、お前の力か。失望した』
>どこかから声が聞こえる。
>足元が揺れ、再び触手が現れる。
神取?「お前ならあるいは、とも思ったのだが……」
鳴上「くそ、まだか……」
神取?「もういい、消えろ」
>足首に違和感を覚える。
295 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:08:34.75 ID:ByZEUoDNo
>地面を這っていた触手が右足の足首に痛いほど絡んでいる。
鳴上「なっ、いつの間に……!」
>触手を切ろうと刀を持つ手に力を込めた瞬間、天地が逆転する。
鳴上「うわっあああ!」
>触手に逆さに吊られ、そのまま振り回される。
>ぐんぐんと加速して、前後も上下もわからなくなる。
>ペルソナを使う暇も無く、地面にたたきつけられる。
>一度、二度、三度、四度……。
>繰り返される度に、体の各部から砕けるような、切れるような音が聞こえてくる。
>口中に広がるのは血と砂の味。
>意識が……
>途切れ……
ニャルラトホテプ『さようなら、選ばれし者』
>……。
296 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:09:02.44 ID:ByZEUoDNo
「う……」
「ここは……」
「ああ、そうか……俺は、また……」
「声……」
「仲間の、声が……」
「……これは……?」
297 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:33:54.06 ID:ByZEUoDNo
【珠阯レ市】
周防「……お前はまだ戦ってたんだな」
舞耶「じゃあ、私達もしっかりやらないとね!」
金髪の女「激氣!後輩にみっともないトコ、見せられないって!」
メイクをした男「フゥウウウ!しっかし久しぶりだなぁ、お前ら!」
黒髪の男「大丈夫、僕達は絶望なんかに負けないよ」
サングラスの男「……少し、こたえるがな」
周防『鳴上、立て。お前は俺達の……』
舞耶『戦って、鳴上君。あなたが戦う限り……』
298 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:34:49.82 ID:ByZEUoDNo
【シンジュク】
刹那「未来!そっち任せた!」
未来「もう、手一杯だって!」
刹那「アイツが戦ってんだぜ、俺達がサボってられないだろ!」
未来「だからって……!?」
緑の髪の少年「久しぶり、セッちゃん、未来ちゃん」
未来「あなた……」
刹那「……手伝うってか?」
緑の髪の少年「うん。オ邪魔かな?」
刹那「いいや、ありがてえ!いくぞ未来、ゼット!」
刹那『鳴上、負けんなよ!こっちは俺達に任せとけ!』
299 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:35:27.03 ID:ByZEUoDNo
【日本・どこか】
ライドウ「はぁ、はぁ、はぁ……」
ライドウ「なんとか、ひと通り片付いたか」
黒猫「……ニャン」
ライドウ「わかっている。元々、これが僕の仕事だ」
ライドウ「……そう、僕はこれが仕事。だけど、彼らは違う。だから!」
ライドウ「僕が戦わないわけにはいかない!」
ライドウ『鳴上君。僕は戦い続けます。だから、君も……』
300 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:36:27.12 ID:ByZEUoDNo
【御影町】
藤堂「ふぅ、流石に疲れるな」
リボンの女「もう、そんな事言ってる場合じゃないでしょう?」
NO.1を背負った男「呼ばれて出てきたのい、呼んだ本人がもうダウンか?」
ニット帽の男「まだまだいるぜ、悪魔ども」
意志の強そうな女「ほらほら、さっさと立って!戦うよ!」
妖精「回復だったらボクに任せて!いつでもWelcome!」
藤堂『お前が負けるなんて思ってないから、俺も戦うよ。さっさと片付けて帰ってこいよ』
301 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:39:13.05 ID:ByZEUoDNo
「これは……違う。心の中に聞こえてる声だけど、あの時とは違う」
「この感覚……」
風花『鳴上君、聞こえてる!?』
りせ『先輩!大丈夫!?』
「これは……二人のペルソナを通して聞こえているのか」
風花『うん、実は……』
有里『僕が連れてきた。二人の力なら、きっと君に声が届くと思って』
「……そうか」
有里『余計なお世話だったかな?』
「いや、ありがたい……」
りせ『先輩、あのね……』
風花『これから、私達が……』
有里『君の一番聞きたい声を聞かせてくれるよ。立てないなら、その声を聞いて』
「……」
302 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:42:12.80 ID:ByZEUoDNo
【八十稲羽】
陽介「くっそ、キリねえな!」
千枝「でもやるしかないって!」
雪子「完二君、大丈夫?」
完二「っててて……大丈夫ッス!この程度の怪我、ケンカん時にしょちゅうっしたから」
直斗「それでも危険です。一度下がって治療を受けてください」
クマ「センセーとリセチャンは今テレビん中で戦ってるクマ!クマ達が負けるわけにいかんクマ!」
雪子「そう、きっと鳴上君は勝ってくるから」
千枝「戻ってくる場所、守らないと!」
陽介「信じてるぜ、相棒!」
直斗「意地とか気合いなんて、ガラじゃないけど……」
完二「ここは意地でも退けねえって!」
「みんな……」
303 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:46:35.19 ID:ByZEUoDNo
【ポートアイランド】
美鶴「明彦、伊織、一度退け!」
真田「不覚を取った……情けない」
順平「いてーいてー……つってもよぉ」
ゆかり「風花と鳴上君は、テレビの中にいるんだよね」
美奈子「うん。きっと、私達よりキツイ戦いだと思う」
天田「だったら、僕達も全力尽くしましょうよ」
ラビリス「元からそのつもりやって。さ、立て直したら行くでぇ!」
アイギス「……鳴上さん、そして、湊さん……私達、負けませんから!」
美鶴「行くぞ!各々連携を忘れるな!」
順平「ゆかりッチ!バックアップ任せた!」
真田「行くぞ天田!」
アイギス「オルギアモード、スクランブル!」
ラビリス「うらああああああ!」
「……メティス?」
304 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:48:14.92 ID:ByZEUoDNo
【???】
メティス「この戦いが終わったら、私達は消えてしまうんだと思う」
メティス「それは、とても……とてもさみしい事」
メティス「私の体はなくなって、私の記憶もなくなって……」
メティス「けど、都合の良い望みかもしれないけど、きっと、残る物もある」
メティス「私との思い出……私が居た証……」
メティス「私は、人の中に居続けるから。だから」
メティス「勝って!!」
305 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:58:48.41 ID:ByZEUoDNo
「ぐ、ああ……戦うさ。戦って……」
鳴上「勝ってみせる!」
>体の底から力が湧いて来る。
>さっきまで感じていた威圧感も無い。
>今は、負ける気がしない。
ニャルラトホテプ『……絆の力、見せてもらった。だが』
>気付けば触手も離れている。
>ニャルラトホテプは宣言通り、俺の力の根源を“見て”いたらしい。
ニャルラトホテプ『所詮人類の極一部に過ぎないだろう。他の大勢が私を望めば……』
鳴上「違う!」
有里『そう、違う。僕のアルカナは……世界。この場所からなら、出来る事がある』
>さっきから聞こえている小さな声。
>その声の出処は、きっと……。
306 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 00:59:31.51 ID:ByZEUoDNo
有里『全ての人間の無意識のつながる場所がここだというなら、全ての人類の無意識にアクセスする事も出来る』
有里『僕だけでは無理でも、風花とりせの力があれば出来るんだ』
鳴上「心の奥に響いてる声が、お前には聞こえないのか。全世界の、人の、望みが!」
ニャルラトホテプ『これは……また、お前が邪魔をするのか』
>自分の隣に、仮面をつけた男が立っているように見えた。
鳴上「人は弱い。だから、楽な方に進もうともする。だが……」
鳴上「それでも、心の奥では生きようと、良く生きようと思っている。俺がここに立っていられるのはその力のお陰だ」
鳴上「誰とも言えない、遥かに多数の人の意志……人の、希み。それが俺の背中をずっと押していたんだ」
鳴上「人の希みは絶望なんかじゃない。それは、希望って言うんだ!」
>心の力が大きく膨らんでいく。
>今なら、出来る。
>湊がやった……
鳴上「大いなる封印」
ニャルラトホテプ?『……それでいい。我が子の堕落した姿など、誰が見たいものか』
>最後の声が、ニャルラトホテプの物だったのか……それともイザナミの物だったのかはわからない。
>イザナギが光に包まれて、その姿を変える。
>イザナギは伊邪那岐大神に転生した!
307 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 01:00:34.76 ID:ByZEUoDNo
鳴上「消えろ、絶望。人は未来へ進む。自分たちの足で立って、しっかりと」
鳴上「消えろ、ニャルラトホテプ。……俺も、付き合うから」
>伊邪那岐大神から放たれた光が辺りを包む。
>温かい光に目を細め、そしてゆっくりと……
>全てが……
>消える。
308 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/11/30(金) 01:01:59.81 ID:ByZEUoDNo
一週間サボって蓄えてました。
次で、終わり。
では、また明日。
309 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/30(金) 01:04:55.33 ID:bkwVfrhko
乙!
310 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:01:31.50 ID:8w3Ub3Jfo
【八十神高校・屋上】
>……。
アイギス「やっぱり、ここに」
鳴上「ああ、アイギスか」
アイギス「ここからなら、街が一望出来る……ですか?」
鳴上「まぁ、な」
アイギス「どうでしたか?」
鳴上「ん?」
アイギス「あなたが……守った街です。あなたが守った日常です」
鳴上「そんな気はしないけどな。あの力はほとんど俺の物じゃない」
アイギス「それでも、動いたのはあなたです」
311 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:02:06.48 ID:8w3Ub3Jfo
鳴上「……初めて、ここに来た日な。たまたま寄ったガソリンスタンドで、たまたまイザナミにあって」
鳴上「いや、もっと前か。たまたま両親が転勤になって、たまたま親戚がこの街にいて。俺は色んな偶然に振り回されてきた」
アイギス「しかし、それは単なる偶然ではありません」
鳴上「そうなんだろうな。なるべくして、ってヤツ。太宰治のさ、走れメロスって知ってるか?」
アイギス「読んだことはありませんが、データにはあります」
鳴上「その最後でさ、主人公のメロスが言うんだよ」
『私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ』
アイギス「なんだか恐ろしく大きいもの……」
鳴上「多分、絆とか信じる心とか、そういう綺麗な言葉が入るんだと思うんだけどさ。そうじゃないのかも、って思った」
アイギス「なら、何だと思ったのですか?」
鳴上「運命」
アイギス「運命……ですか」
鳴上「ああ。メロスは正義感が強いだけの農民なんだ。だけど、それを……神に見込まれたんだと思う」
鳴上「劇中に、自分の愛と正義を神に見せてやりたい!って弱音を吐くシーンがあるんだけど、多分見られてたと思う」
312 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:03:08.57 ID:8w3Ub3Jfo
鳴上「あの世界の神は、作者である太宰治で、読者である俺達なんだと思うんだ。そいつらに、正義と絆を伝える為の主人公として選ばれた」
鳴上「だからメロスは間に合った。だから、メロスは主人公なんだ」
アイギス「誰かに選ばれたような感覚は、私も感じた事があります」
>アイギスが隣に座る。
アイギス「だけど、悲劇であれ喜劇であれ……主人公に選ばれた人物が、ただ操られるままにしか過ごせないとしたら……」
アイギス「それは、とても残酷な事ではないでしょうか」
鳴上「だよな。神を呪うべきなのか、それとも……」
鳴上「運命を粛々と受け入れるだけでなく、戦うべきだと気付かせている、そんな神に」
鳴上「感謝すべきなのか……」
>……。
313 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:03:48.56 ID:8w3Ub3Jfo
アイギス「そろそろ、でしょうか」
鳴上「うん……」
アイギス「では、どうぞ」
鳴上「いや、そこはアイツの場所だろ?」
アイギス「わたしではありません」
鳴上「……ああ、そうか。アイギスの中に」
アイギス「あの子の望みですから」
鳴上「そうか……俺は……」
アイギス?「……ありがとう」
鳴上「それが聞けただけで、良かった」
>アイギスの膝に頭を乗せて横たわる。
>空が青からオレンジを通して紫に変わる時間。
>都会と違い、もう薄っすらと星が見えている。
>あれは、何の星だろうか。
>……なんだか、眠くなってきた。
>眼を、閉じますか?
>……。
314 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:29:18.95 ID:8w3Ub3Jfo
【ジュネス・フードコート】
陽介「悪い悪い、閉店まで待たせちまってさ」
千枝「いいよ、仕事でしょ?」
雪子「それより、久し振りだね。こうやって集まるの」
完二「ッスねぇ。ま、俺らも忙しくなったッスから」
直斗「高校生とは身分が違いますから。これだけの人数集まるというのは中々、ね」
りせ「正直、キツかったー……。なんとかねじ込んだけど、本当は今日もお仕事だったんですよー」
陽介「今はその辺の話置いとこうぜ。でさ、話って……」
千枝「多分、皆も同じだと思う」
雪子「……うん。昨日の夜、だよね」
直斗「やはりそうでしたか……」
りせ「あれから、何年だっけ」
完二「えーと……七年か」
陽介「だな。俺達がペルソナを使えなくなって七年が経った。にもかかわらず、だ」
315 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:34:17.13 ID:8w3Ub3Jfo
直斗「昨日の夜、恐らくは同じ時間に感じたと思いますが、またあの頃と同じ感覚が戻って来ました」
完二「俺もそうだぜ。上手く説明できねェけど、なんつーか、な」
りせ「ペルソナ使えそーって感じ、だよね」
千枝「やっぱり皆そうだったんだ。でも、これってさ……」
雪子「何かあった、って事だよね」
陽介「だと思うぜ。でも無きゃ急にこんな風になんねーだろ」
直斗「それで、僕が皆さんに連絡を。昨日の今日で集まれたのは奇跡的と言うより他ありません」
りせ「だよねー。私も来れると思ってなかったもん」
千枝「私が警官になって、雪子が本式に女将さんになって……完二くんは家継いだんだよね」
完二「そッス。んで、直斗は相変わらず色んなとこ飛び回って探偵業。花村先輩は親父さんの下で店長補佐」
陽介「りせちーはもうテレビで見ない日無いもんな。んで……」
316 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:45:44.52 ID:8w3Ub3Jfo
鳴上「俺は教員だな」
>七年前のあの日、俺は舞台から降りるつもりでいた。
>しかし、それはある男によって阻まれる事になる。
>その男の名は有里湊。
>最早神とも言える存在と化した、ペルソナ使い。
>あの戦いの最後、倒したと思ったニャルラトホテプはあいつによって“吸収”されたらしい。
>人格を残したまま、世界と一つになり、神の力を手に入れたあいつは、俺を生かし、メティスを生かし、他の皆を生かし……
>エリザベスと共に、消えていった。
陽介「でも、何もわかんねーな。実際何かあったのかよ?」
千枝「少なくとも私の管轄内じゃ何も。その手の事件あったら、堂島刑事がまっさきに私に回してくるから」
雪子「お客さんからも変な噂は聞かなかったけど……」
りせ「私なんてずっとこっちに居なかったんだから、何もわかんないよ」
完二「手詰まりじゃねえか、これじゃ……」
直斗「しかし、何かある。それはきっと間違いないはずです」
陽介「だったら、アレだろ」
千枝「うそ、マジで言ってんの?私本職なんだけど」
雪子「ふふっ、でも楽しそうじゃない?」
りせ「そーそー、久しぶりだしいいじゃんいいじゃん!」
完二「腕が鳴るぜ……ちっと鈍ってっけどよ」
直斗「それじゃ、お願いします。先輩」
鳴上「ああ……。大人になった今、言うのも少し恥ずかしいけど……」
鳴上「もう一度、特別捜査隊、やってみないか?」
>……。
317 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:55:58.30 ID:8w3Ub3Jfo
【堂島宅】
鳴上「ふぅ……」
>本当に恥ずかしかった。
>生徒達に見られでもしたら偉いことだ。
>しかし、ペルソナが戻った、か……。
鳴上「俺はずっと使えたんだけどな、実は」
>少し特殊な立場だから、なんとも言えないが。
鳴上「もう終わりにしたつもりだったのに、な。妙なもんだ、運命ってやつは本当に」
>ドアがノックされる。
菜々子『お兄ちゃん、今いい?』
鳴上「ああ。どうかしたのか?」
>中学生になった菜々子がドアを開ける。
菜々子「ごめんね、ちょっと相談いい?」
鳴上「勉強か?」
菜々子「じゃなくて……すごく、変な話なんだけど」
>頭の中で曲が流れ始める。
>いつか、陽介に借りたCDに入っていた曲。
>タイトルは何だったか……。
318 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:56:57.37 ID:8w3Ub3Jfo
鳴上「……笑ったりしないから、言ってみてくれ」
菜々子「うん。あのね、お兄ちゃんはさ……ペルソナ様って知ってる?」
>思い出した。俺達の心境にぴったりな曲だったから覚えているんだ。
>あの時も、俺達は“真実を追っていた”。
鳴上「良く、知ってるよ」
>ザザー。
>砂嵐が映り、テレビの画面が動きはじめる。
>同時に、窓をこんこんと叩く音がした。
鳴上「窓じゃなくて玄関から入ってくれ、メティス」
メティス「すみません。ですが、緊急事態なんです。富山県のある街で起こった事件にペルソナが関係していると……」
>メティスの説明を聞いていると、砂嵐が晴れていく。
テレビ『……ンセー、センセー!クマクマー!やっと帰ってこれたクマー!今テレビん中すっごい事になってるクマー!』
>電話だ。
>表示名は、葛葉ライドウ。
319 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 00:57:28.81 ID:8w3Ub3Jfo
>ああ、騒がしい。
>もう全て終わって、落ち着こうと思っていたのに。
>俺はまだ、舞台から降りることを許されないらしい。
>藤堂さん、周防さん、天野さん。
>あの人達はきっとこんな気分だったんだろう。
>新たに道を示す先導役、きっと俺はそれに選ばれた。
鳴上「曲のタイトルは……」
>Reach Out To The Truth。
>俺は、どれから片付けようか考える事にした。
320 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 01:03:09.27 ID:8w3Ub3Jfo
【ベルベットルーム】
エリザベス「よろしかったのですか?」
有里「ん?」
エリザベス「鳴上様に任せて」
有里「まぁ、久しぶりに会いたかったしね」
エリザベス「あなたの力なら、いつでも会えたはず」
有里「……あんまり頻繁に会うもんじゃないと思う。特に神なんていうのは」
マーガレット「主。主はどうなされるつもりなのですか?」
有里「どう、っていうのは?」
マーガレット「全てを、です」
有里「……僕は、お世辞にも人間が好きじゃない。醜い部分をたくさん見たからね」
有里「ニャルラトホテプやイザナミが、滅びようとする人類の監視者だったとしたら、僕はその役を引き継ごうと思う」
有里「なんとかするのは、彼らに任せて。それで駄目なら、いつか僕の手で滅ぼす事にするよ」
エリザベス「……あなたは、相変わらず嘘吐きでございます」
有里「人間だからね。テオドア」
テオドア「はい」
有里「美奈子も呼んでおいてよ。また、面白い物が見られそうだし」
エリザベス「すっかり悪の総大将といった貫禄……私、惚れ直しました」
マーガレット「……呆れた」
有里「……また遊ぼう、悠」
321 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 01:03:45.47 ID:8w3Ub3Jfo
END
322 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/12/01(土) 01:06:44.17 ID:Xk32JYFA0
有里パネェ!乙でした!
323 :
◆e8lME0lo0A
[saga]:2012/12/01(土) 01:07:21.13 ID:8w3Ub3Jfo
以上でウチの鳴上君と有里君のお話は終わりになります。
終盤駆け足になってしまいましたが、なんとか終わりたい所に終わらせる事ができました。
軽く始めた物が随分長い物になってしまいなんともはや困ったもんだなあと。
計画的にやらないと駄目ですね、何事も。
では長々と失礼しました。
また何かを書いた時にも読んでくださると嬉しいです。
長のお付き合い、ありがとうございました。
324 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/12/01(土) 01:09:31.37 ID:Xk32JYFA0
乙でした!
325 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/01(土) 06:15:31.80 ID:qH24LgWno
ついに完結か。お疲れ様でした
326 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(滋賀県)
:2012/12/01(土) 09:13:34.56 ID:W63WyHNv0
乙ダイン
最初から追ってたけど、無事終わって良かった。
327 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/12/01(土) 09:43:24.39 ID:lZxz9pAX0
HTML依頼だしてねー
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1344511790/-20
328 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/12/01(土) 10:03:17.83 ID:DMtZgyuD0
乙 乙ンガ 乙ダイン!
329 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/01(土) 12:08:53.04 ID:JVFgygi1o
乙!
とても面白かったです! また、どこかで。
330 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/12/01(土) 14:32:47.78 ID:qEev4jxqo
お疲れ様でした
331 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/12/01(土) 18:09:23.93 ID:KeCAJ7e3o
乙ー楽しかったぜ!
また書いてくれよな!!
332 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/01(土) 21:54:34.43 ID:6VzVk/l7o
リメイク前からずっと見てた、面白かったです
乙!
333 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/03(月) 00:04:18.60 ID:qMQ3xqfLo
乙!
湊がベルベットの主か……
334 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/03(月) 04:55:44.68 ID:wThndqDv0
乙!
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