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【安価で】真・女神転生V 受胎讃歌【創世】 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 03:27:43.58 ID:F7G98WVDO
アナタは停滞した人類社会をさ迷う、小さき命。
社会に生きるヒトの大半が存在すら知らない、淡くうつろな灯火。
しかしアナタの宿す意思の炎が、人を、世界を動かし、やがてはボルテクスに創世をもたらす光となる、かもしれない――――
――このボルテクスに生きとし生ける、異能を持つ者よ。
――己が身命を賭すに相応しいコトワリをさがし、そして見つけよ。
――それが真に世を席巻すべきコトワリなれば、立ちはだかる他のコトワリを打ち砕き、証明するのだ。
――それが、世界に許されし唯ひとつの法であると。
これは、株式会社アトラス様より発売された
『真・女神転生V―NOCTURNE マニアクス クロニクル・エディション』
の設定を利用した、安価スレッドになります。
シナリオの進行は基本、番号や自由記入による安価、もしくはコンマでの判定、
それらを
>>1
が独断と偏見により解釈し、それらしいストーリーを展開していきます。
>注意事項
>>1
はクロニクル版しかやったことがないので、他のバージョンはよくわかりません。
無印版マニアクスには『Devil May Cry』のダンテが登場するそうですが、申し訳ない登場はさせられません。
そもそものキャラがわからないため、おそらく、会話で多少言及されるくらいが限界になります。
ルール説明のあと開始いたします。少しお待ち下さい。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1351535263
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
たてづらい部!! @ 2025/07/17(木) 23:24:46.15 ID:o3A0TqwG0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1752762285/
ゼンレスゾーン淫夢要素ゼロ @ 2025/07/16(水) 18:57:50.86 ID:RQSyJ1Qxo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1752659870/
【ギルデッドエネミー】ウルフ「まるでじゃんけんだ」 @ 2025/07/16(水) 01:49:20.03 ID:ryYxoR/vO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752598160/
■ 萌竜会 ■ @ 2025/07/15(火) 00:40:24.35 ID:LBAUOkqwo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1752507623/
■ 萌竜会 ■ @ 2025/07/15(火) 00:39:16.20 ID:qbAcbrETo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1752507555/
猫饅頭 @ 2025/07/14(月) 19:14:21.34 ID:1knELuPaO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1752488061/
(安価&コンマ)コードギアス・・・ @ 2025/07/13(日) 22:27:49.60 ID:9f2ER2kw0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752413269/
KU-RU-KU-RU Cruller!Neo @ 2025/07/13(日) 21:55:45.76 ID:YIcI6tEGo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1752411332/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 03:30:01.61 ID:F7G98WVDO
【自由記入の安価について】
よほど採り入れるのが難しい内容でない限り、安価の通りに進めたいと思っています。
本人による撤回は可能ですが、あまり繰り返されると
>>1
が混乱して発狂します。ご注意ください。
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 03:31:11.91 ID:F7G98WVDO
【コンマの判定について】
原則として書き込み時間のコンマ下一ケタ、
場合によっては、下二ケタで個別に判定します。
4以下は失敗、5以上で成功。
また、程度に幅を持たせられそうな判定、たとえば戦闘の判定であれば、
1:失敗(大)
2〜4:失敗(小)
5〜8:成功(小)
9:成功(大)
0:クリティカル成功
となります。
連続での成功、失敗には次回以降に補正がかかることもあり、
『???』で示すような、新しい可能性が芽生えることもあります(良い意味でも悪い意味でも、両面で)。
判定の範囲や補正は実際にやってみて、皆さんの反応も見ながら調整していきます。
忌憚のない感想をぶちまけちゃってください。
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 03:32:22.42 ID:F7G98WVDO
【スキル(魔法や技)について】
女神転生やペルソナ、ライドウシリーズでお馴染みのスキル。
MAG(マグネタイト)やマガツヒ、純粋な体力を消費して発動され、
要所要所で使うかどうか、何を使うか、敵味方に判定が行われます。
悪魔もですが、作品やシリーズ毎に強さの序列が異なりますので、基本的に
『女神転生Vクロニクル版』準拠
とします。
属性も同様です。
ただし、作品固有のスキルについてはそちらの設定で。
知らないスキルがあったら調べますが、簡単に説明してくれると助かります。
スキルの効果やなんかはコンマで判定、
腕前や周りの状況により補正を加味します。
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 03:33:33.05 ID:F7G98WVDO
【悪魔合体、悪魔全書による召喚について】
なんというか、話に組み込むと関係がややこしくなるのでなかったことに。
ただ、仲魔変化はあります。
(スパルナからガルーダ、スカアハからスカディなど)
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 03:34:44.06 ID:F7G98WVDO
【仲魔やペルソナについて】
諸事情で一周目は選べませんが、デビルサマナーやペルソナ使いアナタの場合、
デビルサマナー:出会ったり、怪しげな儀式で呼び出したりした悪魔を仲魔にします。
ペルソナ使い:ワイルドでない限り、固有のペルソナ。心境による変化あり。
『ペルソナ2』であった、仲間内でのペルソナ付け替えは見なかったことに。
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 03:37:55.63 ID:F7G98WVDO
とりあえずの説明は以上。質問があれば、随時答えていきます。
今は時間があれなので明日の夜八時からオープニングに移ります。
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/10/30(火) 03:43:34.22 ID:Gf49IqQqo
メガテンものか
まあ始まってみないとなんともだけどとりあえず期待
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 03:44:40.03 ID:rd8fQTato
期待乙
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 05:33:38.00 ID:vLBm0lhIO
【真V安価】陽介「東京が死んで、俺が生まれた」【ペルソナ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1346677933/
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 17:57:51.77 ID:F7G98WVDO
言い方間違えました、明日じゃなく今日の8時です
【補足】
アナタの人格は基本、コンマや安価で決まった言動に左右されます
最初はコンマの比率高め、次第に減っていきます
また、一周目におけるアナタの立ち位置は
・人間
・魔人(人修羅含む)
・悪魔
のいずれかとなります
人間の場合、異能の素養(現有能力)と資質(潜在能力)判定
魔人は与えられた“力”の判定
悪魔は、
属性チェック(low、neutral、chaos)からの種族判定、
コンマ下二ケタで悪魔レベル特定(その種族における近似値をとります。『女神転生V』基準)
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 18:30:26.97 ID:F7G98WVDO
※ここでいう『異能』とは、悪魔使役やペルソナ能力に限らない、常識を超越した能力です。
たとえ単なる体術であっても、受胎した東京の悪魔に一矢なりと報える、
それは『異能』と見なされます。
そういう例外だと体術のほか、話術や読心、指揮能力、カリスマ性なんかがあるでしょうか。
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2012/10/30(火) 19:42:00.32 ID:SxUXvWKoo
ほほう!ほほう!
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/10/30(火) 19:44:15.91 ID:ch+itLPJ0
またメガテンスレが立って俺得
ところで主人公の属性次第で仲魔にできない悪魔とかいたりする?
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 20:00:52.77 ID:F7G98WVDO
不可能な場合、−補正がかかる場合の二つあります
また、最初は不可能でもストーリーの進み方、アナタの言動如何で可能になります
ただし、心を通わせるのはむずかしく殆どは共闘まで、と考えてもらえれば
オープニングはじめます
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 20:02:29.20 ID:F7G98WVDO
光に包まれた屋上で、あなたは女性と向き合っていた。
祐子「もうすぐ、この世に終わりが来るわ」
夜明けを思わせる柔らかな光を背に、彼女が口をひらく。
粛々と、託宣を受けた巫女のように告げられる、破滅の未来。
何がなんだかわからない。
ただならぬ気配に圧倒され、あなたは呆然と見返した。
祐子「でもそれは悲しいことじゃない」
祐子「力を失い、滅びの道を辿るはずだった世界は生まれ変わり、本当の自由を取り戻すの」
祐子「世界に縛られていた人達も、ようやく一歩を踏み出せる」
祐子「……ねえ、聞かせて。あなたの中には、あるべき世界の姿が思い描けている?」
直後、安価
あなたはあるべき世界の姿が思い描けて――――
1、いる
2、いない
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2012/10/30(火) 20:03:13.02 ID:SxUXvWKoo
1
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 20:06:52.71 ID:F7G98WVDO
1、思い描けている
直後、コンマ判定
1ほど私的なコトワリ
0ほど全体を考えたコトワリ
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/10/30(火) 20:07:10.83 ID:DTQFxOi10
s
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 20:08:16.25 ID:Ss7C/uZko
6
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岐阜県)
[sage]:2012/10/30(火) 20:11:33.97 ID:TxT8weo8o
カオス寄りか
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 20:49:59.61 ID:F7G98WVDO
3 割と私的
祐子「……そう。あなたは、あるべき世界の姿が見えているのね」
彼女はそう、少しだけ寂しそうに言って背を向けた。
沈黙のとばりが落ちる。
まるで、時が止まったような静寂。
詮索はされず、そのまま時間だけが過ぎていく。
祐子「――――時間よ」
祐子「じゃあ、またね。世界がどんなカタチに姿を変えても……きっとまた、会うことになる」
祐子「生きて。いま私から言えるのは、それだけ」
視界が渦巻いて、闇に染まっていく。
意識の途切れを予感した。自分はこれから、眠りに落ちようとしているのか。
夢から覚めるのかもしれなかった。どうして彼女と話していたのか、うまく思い出せない。
引きずり込まれる感覚に抗う暇もなく、あなたの意識は途切れた。
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/30(火) 20:52:39.62 ID:F7G98WVDO
直後、目が覚ましたときの状況判定
1ほど安全
0ほど切迫している
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/10/30(火) 20:54:29.07 ID:DTQFxOi10
s
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岐阜県)
[sage]:2012/10/30(火) 20:55:59.49 ID:TxT8weo8o
ガキパトですね、わかります
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 21:13:06.63 ID:F7G98WVDO
7、かなり危険
まどろみから、目を覚ます。
薄目を開けたまま、暫しぼうっとして。
顔をしかめた。
節々が痛む。長い眠りについていたかのようだ。
調子をたしかめようと上体だけ起こすと、
スペクター「ウォォ……ヴァァ……」
ゲル状の怪物に見つめられていた。
スペクター「ウォ、ウォマエェ……」
直後、スペクターを目の当たりにした反応
1ほど恐怖、混乱
0ほど何これ可愛い
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/10/30(火) 21:15:28.04 ID:DTQFxOi10
s
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 21:41:29.93 ID:F7G98WVDO
4、びっくりした
なんだろう、これ。
体をうねうねとさせている怪物に意識が集中する。
スペクター「ウォ、ウォマエ、何、シテル?」
ソプラノにはほど遠い、低く濁った声。
ホラー映画さながらの光景が横合いにあっても、心はそれほど騒がなかった。
沈着冷静とはいかないが、理性的に考える余裕はある。
今起きたところ。そう伝えると、怪物は一瞬、大きく体をくねらせた。
スペクター「ウォマエ、ナニモノ、ダ?」
若干、不機嫌になっている気がする。
何者か問われて、ふと気づく。
あなたの体は――――
1、人間のままだった
2、人でありながら悪魔だった
3、見慣れない、あるいは見慣れた悪魔の姿だった
直後、番号指定
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/10/30(火) 21:41:59.98 ID:ch+itLPJ0
3
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2012/10/30(火) 21:42:41.26 ID:SxUXvWKoo
悪魔か
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 21:47:59.30 ID:F7G98WVDO
3、悪魔の体
直後、経緯判定
4以下で受胎後に変貌
5以上、無意識の海から生じた存在
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/10/30(火) 21:49:06.35 ID:DTQFxOi10
s
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 22:03:27.90 ID:F7G98WVDO
5、生粋の悪魔
直後、番号で属性指定
そのあとコンマでレベル決定します
1、low(秩序)
大天使、天使、軍神、女神、聖獸、神獣、鬼女、堕天使、夜魔、邪神、魔王、
2、neutral(中立)
威霊、夜魔、幻魔、幻獣、龍神、地霊、精霊、妖精、地母神、霊鳥、女神、魔王
3、chaos(混沌)
大魔王、魔王、魔神、外道、幽鬼、破壊神、鬼神、堕天使、妖鬼、妖獣、鬼女、凶鳥、龍王
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2012/10/30(火) 22:06:18.36 ID:SxUXvWKoo
2
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/10/30(火) 22:06:59.25 ID:DTQFxOi10
3
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 22:07:43.86 ID:F7G98WVDO
2、中立
直後、コンマ下ケタがレベル
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/30(火) 22:08:31.42 ID:6VSSO0aIo
ん
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/30(火) 22:11:25.14 ID:8vkDU+nw0
できればトリつけて下さい
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 22:14:36.99 ID:F7G98WVDO
Lv.42
ぴったりの悪魔がいないので近似値から候補だします
1、セタンタ(LV.43)性別男性確定
2、クシナダヒメ(LV.41)性別女性確定
3、ヤクシニー(LV.43)性別女性確定
ヤクシニーはchaosだろうか
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/30(火) 22:16:37.15 ID:8vkDU+nw0
2
41 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/30(火) 22:18:11.62 ID:F7G98WVDO
書き忘れ
直後、番号指定
もう指定あったらそちら採用します
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/30(火) 22:25:23.61 ID:F7G98WVDO
2、クシナダヒメ
クシナダヒメってたしか和装してるあれだったか、ちょっと待って確認します
43 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/30(火) 22:44:57.37 ID:F7G98WVDO
見てきました、竜宮の乙姫さんみたいな感じかー
>>28
――――見慣れた、悪魔(神)の姿だった。
スペクター「ウォ、ウォマエハ、アクマ、カ?」
そう。
自分は――――地母神族、クシナダヒメ(奇稲田姫)。
三貴子が一柱、スサノオの妻であり、オオクニヌシを子に持つ、誇り高き出雲の神。
ヒトの無意識を漂う自分がなぜ、このような場所にいるのか。
葦原の民らしき女性と対面し何か話していたような気もするが、やはり事態の解明には至らない。
44 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/30(火) 23:24:19.47 ID:F7G98WVDO
見れば辺りは、不可思議なつくりの回廊。噂に聞く魔界かとも思ったが、それにしては禍(わざわい)の気配が薄い。むしろ、地霊の根づく、力ある土地に思えた。
「少し、よろしいですか?」
柔らかい物腰を意識して話しかける。
殿方、でいいのだろうか。
間違っていたら失礼に当たるし、機嫌を損なえば、必要な情報も得られない。
言及しないことにした。
「わたくしはクシナダと申す者。目が覚めればここにいて、いささか戸惑っておりますの」
「この場所について、教えてはいただけませんか」
直後、スペクターの感情判定
成功で教えてくれる
大成功は案内つき
失敗すると敵対
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/10/30(火) 23:28:06.37 ID:DTQFxOi10
s
46 :
投下遅くて申し訳ない
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 01:02:31.32 ID:laxWR7vDO
7 成功(小)
スペクター「ウン? ……迷ッテイル、ノカ。バカナヤツ」
嘲りを含む胴間声。
けなしながらも、彼(?)は説明してくれた。
ここはアマラ経絡と呼ばれる地脈。
この世界、ボルテクスに流れる動脈静脈のようだ。
体に血の通り道があって、絶えず通わさないとならないのと同じ。世界もまた、力の循環を必要とする。
ボルテクスなる地は寡聞にして聞かないが、そこは相違ないらしい。
母なる大地にも気場がある。そういえば、異国では気場自体をボルテクス、と言うのではなかったか。
奇妙な繋がりだった。
「そういうことでしたか。どうりで力に満ちているはずですわ」
納得する。精神に依ってたつ存在にとって、この地は居心地がいい。
存在するだけで刻々と消耗してしまう自分も、ここならばあるいは。
消耗の抑制で窮屈な気分になるでもなく、開放感を味わえるだろう。
それだけじゃない、力の底上げもある程度可能だろう。
スペクター「ウォォ……モウ、イイカ」
「ええ、理解はじゅうぶんに行き渡りましたわ」
スペクター「ナラ、モウ帰レ。出口ハ、アッチダ」
軟体の怪物、スペクターが、体を引き伸ばして出口の方向を示す。
「そうですわね……」
1、ここのマガツヒをもらいたいと言ってみる
2、素直に帰る
直後、番号指定
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/31(水) 01:50:07.05 ID:Bg7O29ZI0
1
何か難しくしちゃった?ささみさん読んだばっかだからクシナダヒメ選んじゃったけど…
スサノオとの絡みとか、人修羅どーなってんのとかいろいろ期待してます
48 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 02:18:10.47 ID:laxWR7vDO
1、マガツヒはいただく
「マガツヒ、わたくしにもいただけるかしら?」
スペクター「何ダト?」
スペクターの顔色が目に見えて変わった。
泥のような体にそれらしきものが浮かび上がるという、不恰好な表情。
だが、明らかに怒っていた。口角があり得ない角度までつり上がっている。
スペクター「ウォレ、ウォレノマガツヒ、奪ウ気カァァァァァッ!!」
「あら物騒ね」
みすみすくれるとは思っていなかったが、これは交渉の余地もなさそうだ。
さて、どうしたものか――――
1、この機は逃さない、力づくでもいただく。
2、この場は大人しく引き下がる
直後、番号指定
いえいえ、むずかしいっちゃむずかしいですが、やりがいあります
スサノオ考えてますが戦闘力やばそうだ
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/31(水) 02:22:05.43 ID:tbpWQuxio
1
そういや戦闘とかはどうなるんだろう
50 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 03:20:05.74 ID:laxWR7vDO
1、戦闘も辞さない
こちらが反応を返す前にスペクターは飛びはね、猛然と襲いかかってきた。
あわや組みつかれそうになるが、寸前でかわす。
「わたくし、せっかちな方は嫌いですわ」
飛びじさり、ある程度間合いを取ったところで告げる。
あぶなかった。引き下がる旨でも伝えようものなら、その隙に引き倒されていたかもしれない。
自分の戦術は、術を組み戦うのがセオリー。
針で戦うこともあるが、どちらにせよ近接戦は得意ではない。
それでも葦原の民の言う“異界”――幽世に存在し、現世へと干渉することもある分霊(わけみたま)よりは、まだ、ましなレベルにあったが。
「これでも古より神として生きた身。人間の力を借りなくば保てぬ、脆弱な存在ではありますが……」
「あなたに遠慮するいわれはなくってよ」
お互いに勝利が確定するほどの実力差はないため、戦闘を開始します
1ほど戦況は不利となり、0ほど有利となります
※このクシナダヒメは無意識の海で生じ、純粋な形で存在する神です
その力は受胎前に現出していた彼女と違い、時代の移り変わりによる衰えはありません
戦闘を得手とする神ではありませんが、レベル換算すれば60くらいはあります
(生まれついての悪魔、となった場合こうなります。分霊的な存在もやりたい、という意見あれば次から判定します)
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/31(水) 03:34:37.94 ID:Bg7O29ZI0
ならよかった
クッシー頑張れ
52 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 04:14:37.88 ID:laxWR7vDO
地母神族・クシナダヒメ(原型)
破魔反射、呪殺弱点
他は耐性ノーマル
スキル一覧(スキル限界枠8)
・メディラマ(状態:負傷を二段階まで打ち消し。範囲は周囲の味方全体)
・毒針(戦況判定に補正+1。物理攻撃。対象は単体。別途判定成功で毒付与)
・マハラギオン(戦況判定に補正+2。火属性。範囲は周囲の敵全体)
・パララディ(状態:麻痺打ち消し)
・宝探し(非戦闘スキル)
・ヘッドハント(勧誘全般に補正+1)
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/31(水) 04:15:04.86 ID:laxWR7vDO
基本的に、女神転生本編での効果(小)を補正+1とし、(中)+2、(大)+3、(特大)+4となります。
属性の耐性は
『〜に強い』補正-1、
『〜無効』補正打ち消し
『〜吸収』本来かかる補正の数字分、自身の状態:負傷を回復
『〜反射』術者自身に補正が跳ね返ります。跳ね返った補正も耐性判定ありますが、吸収は無効扱い。また、全体攻撃でも跳ね返る範囲は術者単体。
『〜弱点』補正上乗せ+1。また、別途にweak判定を行い、成功すれば次回に補正+1
【状態:負傷】
戦況判定で不利が二回続くと負傷(小)、三回続くと負傷(中)、四回で負傷(大)がつき、
五回続けば『瀕死』になります。
負傷(小)=負傷LV.1
負傷(中)=負傷LV.2
負傷(小)+負傷(小)=負傷LV.2
負傷(大)=負傷LV.3
瀕死=負傷LV.4
このように一つずつ、段階が繰り上がります。
負傷LV.1(被害軽微。判定影響なし)
負傷LV.2(回復しない限り、戦況判定常に-1。誰かと共闘している場合、個別に戦ってない限り味方も巻き込みます)
負傷LV.3(回復しない限り、戦況判定常に-2。このレベルから『戦闘不能』判定があります。失敗で『戦闘不能』。クリティカルが出ると『死亡』)
負傷LV.4(回復しない限り、戦況判定常に-3。失敗すると『戦闘不能』、大成功以上で『死亡』)
※戦闘不能はリカーム、サマリカームで回復できます
※食いしばりは戦闘中、一度だけ『戦闘不能』もしくは『死亡』判定を無効
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/31(水) 04:32:11.29 ID:laxWR7vDO
即死攻撃は『即死判定』
ベルゼブブ(蝿)のようにダメージ+即死効果の場合、別途に判定します
ただ、名称は『即死判定』でも『死亡』ではなく『戦闘不能』になるだけにしようかと思います
でも理不尽プレイもありか?
ちなみに戦闘で自分含む味方が『戦闘不能』、もしくは戦闘放棄すれば敵次第で死んだり、囚われます
55 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 05:30:03.19 ID:laxWR7vDO
【バッドステータス】
毒:一ターンに一度、負傷(小)がつくかの判定。成功以上でつきます。
麻痺:ターン毎に命中判定。失敗すると攻撃スキルは当たらず、補正打ち消し。
魅了:ターン毎に行動可否判定。成功で行動可能だが、もう一度判定。失敗すると行動が敵味方あべこべになる。
ターン終了時、毎回自動回復判定。
混乱:ターン毎に行動可否判定。失敗した場合のみ、もう一度判定。さらに失敗すると妙な行動をします。
ターン終了時、毎回自動回復判定。
石化:回復するまで行動不能。石化したキャラを狙う選択肢が発生し、選ぶと『即死判定』。自動回復なし。
睡眠:回復するまで行動不能。毎ターン負傷LVが1下がり、スキルポイント回復。
ターン終了時、毎回自動回復判定。
拘束:回復するまで行動不能。
ターン終了時、毎回自動回復判定
封印:回復するまでスキル使用不可。
ターン終了時、毎回自動回復判定
凍結:戦況判定-1。次のターンに自動回復。
感電:戦況判定-1。次のターンに自動回復。
とか考えてましたが、ゲーム本編と違ってそう都合よく耐性のある仲魔できませんよねぇ……
アイテムの扱いどうしよう、睡眠のスキルポイント回復ってなんだ、って感じなのでなくても大丈夫?
とりあえず一度落ちます
遅くまで付き合ってくださった方、感謝!
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 07:47:19.13 ID:P0GxVryIO
携帯から頑張るねー面倒臭くない?
いつエタるんだろーね。楽しみにしてるよ
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 10:49:53.39 ID:dennoJcX0
デビルチルドレンとか魔剣とかガーディアン持ちでプレイ出来ないのかな(チラッ
58 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 17:42:55.96 ID:laxWR7vDO
ガーディアンは死んだ人に憑依するやつで、魔剣は魔剣X?
ゲームやったことないからちと厳しいかも…
デビルチルドレンならいけますぜ
だれかいるかな?
夜7時から再開する前に残った説明投下します
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/10/31(水) 17:50:52.19 ID:Bu7npv8u0
いるぞ
魔剣は未プレイだから知らんけどガーディアンはだいたいそれであってる
60 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 17:51:42.33 ID:laxWR7vDO
各属性の悪魔修正
・low(秩序)
大天使、天使、軍神、女神、聖獸、神獣、鬼女、堕天使、夜魔、邪神、魔王、魔神
・neutral(中立)
威霊、夜魔、幻魔、幻獣、龍神、地霊、精霊、妖精、地母神、霊鳥、女神、魔王、魔神
・chaos(混沌)
大魔王、魔王、外道、幽鬼、破壊神、鬼神、堕天使、妖鬼、妖獣、鬼女、凶鳥、龍王、邪神
注釈
魔神:現代の人界に降りた魔神は、こぞって中立に鞍替えしてます。
LOWの魔神は現代を知らない引きこもりか、時空を越えてやってきたみたいな感じで
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/31(水) 17:52:35.84 ID:laxWR7vDO
【複数回ダメージのスキル】
『ダブルヒット判定』を行い、大成功以上で補正が二倍になります。
【バッドステータス補足】
一先ず、精神・魔力・神経属性のバッドステータスはなし、
>>1
や皆さんが慣れてきたら導入も考える、ということでお願いします
(凍結、感電は判定。大成功以上で凍結、感電状態)
62 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 17:54:43.31 ID:laxWR7vDO
【スキルポイント】
スキルポイントの概念はありません。
マガツヒ、マグネタイトが悪魔や魔人の生命力であり魔力、とします。
人間は原則として物理スキルに体力、魔法スキルにはマガツヒ、マグネタイトを消費します。
スキル多用して戦闘が長引いたりすると、消耗したと判断し度合いにより-補正、深刻だと『消滅判定』。
人間の体力、マグネタイトは時間の経過で回復し、感情の高ぶりで爆発的増加も。
マネカタも体力、マグネタイトは自然回復しますが、量・回復力共に人間には遠く及びません。
どちらも絞りとりたいなら感情の爆発が鍵。
喜び、怒り、悲しみ、恐怖、といった様々な感情により生み出されます。
悪魔、魔人はどこかで補給する必要があります。
回復の泉は存在しません。
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/31(水) 17:56:32.71 ID:laxWR7vDO
【特殊技能による補給】
ハイテク技能者に限り、ぶっちめた悪魔から不活性マグネタイトを奪い、アーム・ターミナルで活性化させられます。
クズノハレベルのサマナーも悪魔の強大さに応じ、少量ですが不活性マグネタイトを取り込み、体内で活性化させられます。
どちらも回復は戦闘後。
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/31(水) 17:58:28.93 ID:laxWR7vDO
クシナダヒメ<原型>の固有スキルについて説明します
(魔界魔法などの枠とは別)
【見覚えの修得】
日頃、普遍的無意識で傍観を決め込み、研鑽に熱心な性格でもなかった。
スキルの習熟度合いは、分霊と変わりません。
しかしその潜在能力はまさしく、古代の神に相応しいもの。
ひと度スキルを目にしたならば、天性の勘でコツを掴み、修得判定が行えます。
ただし、魔界魔法と針スキルに限る。専用スキルは修得不可。
また、高位のスキルは判定が厳しくなります。
限界枠の範囲でスキルの入れ替えは可能。
クシナダヒメ<原型>の固有スキルは以上です。
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 18:01:51.57 ID:dennoJcX0
来たか……!(ガタッ
魔剣はさん転がした相手の精神奪って身体動かしたり記憶読んだり
ノリで言ったがメガテンでは無いからあんま気にしないでくれ
66 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 18:15:48.12 ID:laxWR7vDO
スペクターの強さどうしましょう?
1回目、2回目、3回目、で耐性もスキルも変わってきますが…
このクシナダヒメ、ステータスだけならLV.60相当なので、1回目だとさすがに勝利確定レベル?
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/10/31(水) 18:21:06.69 ID:Bu7npv8u0
スぺクターはあの執念深さが印象的だから1回目でいいんじゃね?
その後何回か遭遇判定設けて遭遇するたびに強化していけば原作っぽくなりそう
68 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 18:34:18.94 ID:laxWR7vDO
では1回目とします
【外道】スペクター
火炎、氷結、電撃、衝撃に強い。
呪殺、破魔、神経、精神無効。
スキル
・アギ(戦況判定に補正+1)
・デスタッチ(+補正なし。わずかに消耗回復)
・邪霊鳥合(群れ集い以降、4体以下になるか3ターン経過で合体)
・群れ集い
69 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 18:41:02.35 ID:laxWR7vDO
ちと早いですが再開
戦況判定
1ほど不利、0ほど有利
補正
格下+1
敵スキル???
直後、スキル使用選択
スキルを使いますか?
1、使う
2、使わない
1の場合、使うスキルも記入してください
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 18:45:18.19 ID:PJ5gEI2v0
1
毒針
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/31(水) 18:46:11.22 ID:laxWR7vDO
1、毒針使用
直後、戦況判定
補正+2
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 18:52:25.57 ID:PJ5gEI2v0
あ
73 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 19:08:31.73 ID:laxWR7vDO
9、成功(大)
「しっ――――!」
懐から愛用の針を取り出し、すかさず叩き込む。
一息に放たれた数本の針は狙い通り、スペクタの体に突き刺さった。
スペクター「ウオォォォォッ!」
叫び声。苦しみ悶え、憎しみのこもった目を向けてくる様子から、かなりの痛打だ。
しかし、消滅には至らない。存外しぶとい。
スペクター「ウォ、ウォマエッ、ヨクモ、ヨクモォォォォォッ!!!」
何を思ったか、不気味に踊り狂うスペクター。
スペクター「グハハ、ウォレ、イッパイイルゾ」
驚いたことに、軟体の怪物が五体、どこからともなくやってくる。
合わせて六体になった。
その姿はうり二つ、同じだけの質量を持っているようだ――――
補正
優勢+1
格下+1
敵スキル???
直後、スキル使用選択
1、使う
2、使わない
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 19:14:34.66 ID:PJ5gEI2v0
1
マハラギオン
75 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 19:17:53.72 ID:laxWR7vDO
1、マハラギオン
直後、戦況判定
補正
格下+1
優勢+1
マハラギオン(対象6体、耐性減算1)+6
アギ×4-4
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 19:18:25.57 ID:PJ5gEI2v0
てい
77 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 19:31:01.78 ID:laxWR7vDO
7+4、成功(大)
(クリティカルは0のみ)
うねうねぞろぞろ、鬱陶しい敵だ。
一掃してしまおう。
即座に印を組み、得意の火炎術式を発動させた。
「マハ・ラギ・オン」
一面が火の渦に包まれ、敵から繰り出されたちんけな炎もろ共、焼き払う。
スペクター「グォォォアァァァ……!」
火の海に飲み込まれた先で、猛烈に苦しむ姿が微かに見えた。
耳障りなうめき声だ。聞くに堪えない。
さっさと引導を渡してやろう――――
直後、スキル使用選択
1、使う
2、使わない
1ならスキル名も
78 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 19:32:50.41 ID:laxWR7vDO
補正忘れた
安価は下
補正
優勢+1
負傷・小(敵1体)+1
格下+1
敵スキル???
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 19:38:06.80 ID:PJ5gEI2v0
1
マハラギオン
80 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 19:45:55.02 ID:laxWR7vDO
1、マハラギオン
補正
格下+1
優勢+1
敵負傷+1
マハラギオン+6
アギ(×3)-3
デスタッチ+0
圧倒的有利確定のため、スペクターに『戦闘不能判定』を行います
直後、判定
1:1体
2〜4:2体
5〜7:3体
8:4体
9:5体
0:全滅
補正
圧倒的有利+1
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 19:54:16.78 ID:PJ5gEI2v0
おりゃ
82 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 20:41:58.15 ID:laxWR7vDO
9、5体消滅
すげー
補正+2くらいにしとくべきだったかと思ってたぜ…
スペクター「ギャァァアァァァァアァッ!!!」
さらなる火炎術式で追い打ちしてやると、スペクターはひと際大きく叫ぶ。
弱い。この程度でよく自分に挑もうなどと思い上がれたものだ。
辺りの炎が沈静化したとき、怪物はわずか一体しか残っていなかった。
スペクター「グォォォアァァァ……ナゼダ、ナゼ、勝テナイ……」
「あなたが弱すぎるからですわ」
冷たい目で射抜く。
スペクターの戦意は明らかに失われていた。
隙だらけで、こちらの油断を誘おうするでもない。
無論、命乞いされても油断などするはずもなかったが。
「さて、これで思う存分補給できますわ」
この哀れな怪物を逃がしてやろう、そんな気は毛頭ない。
倒す利はないが、倒さなければ無駄な禍根がのこるだけ。
情けなど施す道楽は持ち合わせていなかった。
スペクター「ウォアァ、ウォマエ、ウォマエモッ! ウォレヲ馬鹿ニスルノカ!」
馬鹿になどしていない、微塵も興味が持てないだけ――――と答える前に、スペクターは言い募った。
スペクター「弱イ事ガソンナニ面白イカ! ウォマエ、ウォマエモッ、弱者ニナレバ同ジ、」
焼き払う。
それ以上囀ずられるのは不快だった。
「現実が見えてない方は嫌いですわ」
異形の消え去った空間でひとり呟く。
アマラ経絡に満ちるマガツヒを吸い込む。先の戦いのわずかな消耗も、それでお釣りがきた。
ちらほらと悪魔の気配が感じられるが、力の違いを悟ったのか。仕掛けてはこないようだった。
直後、行動安価
1、しばらくここに留まり力を蓄える
2、補給地点は確保できたので、一度ここから出る
3、自由記入
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 20:45:55.41 ID:PJ5gEI2v0
1
今日で一生分の運を使いきった気がする……
84 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 21:10:04.47 ID:laxWR7vDO
1
――――力を蓄えよう。
しばらくここに留まり、さらなる増強を図る。
あのスペクターという怪物、わらわらと、どこからともなく集まってきた。
まだ生き残っているかもしれない。
悪魔でもめずらしい、群体で一個の生命体だろうか。厄介なモンスターだ。
「――ふう、やはりマガツヒが潤沢ですわね」
吸い込んでも吸い込んでも、まるで尽きる様子がない。当たり前か、と笑う。ここはこの世界で最大級の気場。剥き出しにされた霊地なのだから。
「でも……思ったよりは取り込めない。どういうカラクリかしら」
取り込む内に気づく。マガツヒが、どこか別のところに流れていっているのだ。
これでは効率的とは言えない。
取り込めるには取り込めるが、半分以上はひとりでに離れていってしまう――――
直後、行動安価
1、妥協する。このまま蓄え続ける。
2、原因を探る。マガツヒの流れを追って外へ。
3、自由記入
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 21:11:39.09 ID:PJ5gEI2v0
2で
86 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 21:41:23.59 ID:laxWR7vDO
2
――さてさて、一体どなたかしら。
せっかく苦労して確保した霊地だ。こうもあからさまに邪魔されては面白くない。
「ふふっ、やはりヒトかしら」
長年の勘。こういうとき、大抵が人間の仕業だ。
自分たち悪魔の存在の源たるマガツヒ、マグネタイト。
一方の人間には存在するのに必要ないどころか、自身で生み出せるというのに。
いつの時代も、ヒトの欲望は底なしのようだ。
「この流れからして……」
マガツヒの流れを目で追う。
通路と通路が入り組む複雑な形状の回廊。
教えられた出口と同じ方角に向かう、赤い粒を追って歩いていく。
87 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 22:48:07.08 ID:laxWR7vDO
「ここは……街、かしら」
白い光を抜けてまず目に映ったのは、現代風の街並み。続いて、平然と街を練り歩く悪魔たちの姿だった。
ダツエバ「おやあんた、アマラ経絡から来たのかい」
高層ビル群すら建ち並ぶ街にそぐわない、奇妙な取り合わせに突っ立っていると、声をかけられる。
「ええ。ところでここは一体?」
ダツエバ「は? なんじゃ、お上りさんかい」
話しかけてきた老婆が渋い顔をする。
ダツエバ「ここはシブヤ。トウキョウにいくつか点在する、自治区さね」
「自治区?」
ダツエバ「今じゃあ殆どの街がニヒロっちゅうところか、もうひとつの、あー……なんじゃったかのう」
ダツエバ「そうそう、ゴズテンノウじゃ。そのどっちかの勢力に組み込まれとるんじゃが、ここはどちらにも属さぬ小国よ」
「へえ……」
相づちを打ちつつ、目を鋭くする。
聞き捨てならない名前があった。
ゴズテンノウとは、もしや。
単なる偶然の一致か、それとも。
88 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/10/31(水) 23:46:03.91 ID:laxWR7vDO
「ねえ、ひとつお聞きしたいのですけれど」
ダツエバ「なんじゃ、“すりーさいず”以外なら答えてやるぞ」
そんなものに興味はない。
白い目で一瞥してから、真剣な顔になってたずねた。
「そのゴズテンノウという方……どういうお方?」
ダツエバ「うん? ゴズテンノウかね」
ダツエバ「あれは恐ろしい男だよ。
ギンザ周辺は泣く子も黙る鬼がわんさかいたんだがね。
いきなり頭角をあらわしたゴズテンノウに、あっさり従っちまった」
ダツエバ「まあおっかなさに関しちゃあ……ニヒロの悪魔どもを従えてるっていう人間も、いい勝負だがね」
ゴズテンノウの勢力はマントラ、と名乗っているらしい。
親切に教えてくれた老婆にお礼を言って別れ、シブヤの街を見てあるく。
トウキョウ。シブヤ。ニヒロの膝元はギンザというそうだ。
そしてマントラ……ゴズテンノウの取りしきる街の名が、イケブクロ。
奇しくも今の時代、葦原の民が暮らす街と同じ名。
なんの因果か、単なる偶然か。
どうにも嫌な予感がする。
『ニヒロ』と『マントラ』の小競り合いは近ごろ、このシブヤ近辺にも及んでいると聞く。
一山いくらの悪魔に負ける気はないが、軍団規模となると話は別だ。
やはり当たり前のように行き交う悪魔を上の空で眺めつつ歩いていると、
勇「うわっ、と」
だれかと肩がぶつかってしまった。
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/31(水) 23:54:26.61 ID:S5VDX26fo
速さが足りない
90 :
ぐ、すまぬぅ……
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/01(木) 00:29:46.78 ID:xnIDGBGDO
「ああ……申し訳ありません」
上の空で歩いていたせいだろう。
はっとして頭を下げると、
勇「おい、気をつけろよ」
ぶつかった相手がどうも人間らしいと気づく。
「あら、あなた人間?」
勇「……なんだよ、人間で悪いか」
不機嫌に鼻を鳴らす人間。
少年といっていい若さだ。葦原の民のようにも見えるが、さて。
「うーん、サマナーさんではない、のかしら?」
少年の頭からつま先までをぱっと見回して、ことん、と首をかしぐ。
勇「さまなー? 何だそりゃ」
「わたくし達悪魔を現世に繋ぎとめ、使役する者ですわ。ご存知ない?」
勇「……知らない。まあいいや、ちょうどいい。お前悪魔だろ? マントラ軍ってとこに案内してくれよ」
「あなた……正気?」
思わず唖然としてしまう。
悪魔相手にここまで図太くなれる人間もまれだ。
大抵は恐れをなして逃げるものだが。
悪魔のひしめく街で、実に堂々としている。
勇「正気に決まってんだろ。……ったく」
また鼻を鳴らす。
おそれ知らずもここまでくると感心してしまう。
それとも何だろうか、この街には人間を害してはならない法でもあるのか。
「ふふ、なんだか面白い方のようですわね」
勇「……は?」
「わたくしもちょうどマントラとやらに向かう途中でしたの。よければご一緒しません?」
微笑みかけながらそう言うと、少年が眉をひそめる。
しかし、気にせず続けた。
「わたくしは地母神族・クシナダヒメ。以後、よろしくお願いしますわ」
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/11/01(木) 00:34:58.35 ID:Xktnpx9bo
でも見てるよ
オラわくわくしてきたぞ
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage saga]:2012/11/01(木) 00:48:32.55 ID:4SW1LI3c0
LowじゃなくてL A Wだって何遍言えばわかるんだこの……クサレ脳みそがァーーーーーーッ
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/11/01(木) 00:54:33.46 ID:DGIGUuc+o
スクカジャ支援
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/11/01(木) 01:00:42.80 ID:fbQII23F0
とりあえずギンザのディスコいこうぜ
95 :
あら…まじだ気づかなかった
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/01(木) 01:19:26.16 ID:xnIDGBGDO
人間の少年、勇とイケブクロまで同道する約束をしてから数十分、自分たちはまだシブヤにいた。
勇「何もたもたしてんだよ、早くイケブクロにいくぞ」
「お待ちなさいな。今、地図を確認しているのですから」
勇「地図なんかどうだっていいよ。早くいかないと祐子先生が……」
「なら勇、あなたがイケブクロまで案内してくださるの?」
機嫌悪そうにしていた勇がうめく。痛いところを突かれた、という顔だ。
「はあ……道に迷ったら結局、到着が遅れるだけでしょうに」
勇「まあ……そうだけど」
「それより勇、帝都……東京に住んでいたのでしょう? 大まかな場所は変わっていないのではなかったの?」
勇「つっても、色々と地形が変わってんだよ。地下鉄も何もねぇし、歩いていく道なんて覚えてない」
「はあ……今どきのヒトは機械に頼りすぎですわ」
地理の把握に努めるかたわら、勇と情報交換していたのだが、なんとも呆れ果てた事実が浮かび上がってきた。
ここはあの、現世の東京そのものらしい。
勇はこうなる直前まで新宿総合病院にいて、気がついたらこんなことになっていた。そう言っている。
96 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/01(木) 02:19:58.83 ID:xnIDGBGDO
こうなった理由は追々探るとして、とりあえず、イケブクロまで行ける道のりを探すのが急務。
街角に立つ地形図を見上げ、ああでもないこうでもないと頭を悩ましていた。
勇「ああもう、そこいらの悪魔にでも聞けばいいだろ。早くしろよ」
「……致し方ありませんね」
道行く悪魔――イヌガミを呼び止めようとする。
しかし様子がおかしかった。
イヌガミ「何用だ。急いでいる、手短に済ませよ」
呼び止めてこちらを振り返ったはいいが、妙にそわそわしている。
「ええ、実はわたくし達、マントラ軍とやらに」
イヌガミ「マントラ!?」
マントラ、と口にした途端、イヌガミの宙に泳ぐ姿が激しく揺れた。
イヌガミ「馬鹿を申すな! こんなときに縁起でもない!」
「縁起でもない?」
イヌガミ「知らぬのか! これからここ、シブヤにマントラとニヒロ、両方が攻め込んでくるのだぞ!」
隣で勇が目を見開く。
随分と急な話ではないか。
老婆は小競り合い程度だと話していたが、これは少し厄介なことになった。
このあたりは往来が少ない。
しかし耳を澄ましてみれば遠く、喧騒が聞こえる。
イヌガミ「有志の自衛隊を募る者もいるが、悪いことは言わぬやめておけ」
イヌガミ「この街に集う悪魔は多く見積もっても数千……対するマントラ、ニヒロは、数万規模の大軍で押し寄せてくるそうだ」
「それはまた……」
多勢に無勢もいいところだ。
イヌガミ「奴らはおかしい、この混沌としたトウキョウに新たな世界を作り出す、そう言っておる」
イヌガミ「世界などいくら作り変えようと無駄だろうにな……」
忠告してイヌガミは去っていった。
97 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/01(木) 03:03:16.66 ID:xnIDGBGDO
「さて、どうしましょうか」
勇「向こうから来るってんならちょうどいいじゃねぇか。いくぞ」
何くれとなく口にされた言葉に、ぎょっとする。
街の外で軍勢を待ち受けるつもりか、そのまま歩きだそうとする勇の肩をつかんだ。
勇「……なんだよ」
引き止められた勇がこちらに振り向く。帽子の下で光る目が、ぎろりとねめつけた。
「勇、あなた……」
この少年はどこかおかしい。たがが外れすぎている。
もしかして、と思う。
悪魔と接するうち、精神を病んでしまったのではないか。
悪魔と人間が対話する際、人間に送り込まれる精神波。
それは、大抵の人間にとって毒性だ。
精神を操られているわけではないだろうが、うすら寒いものを感じる。
すみません、いったんここで切ります
コンマか安価のところまではsage進行して、そこになったら上げます
今日もお付き合い感謝です!
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/01(木) 03:09:20.72 ID:TjlJOpHao
乙
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2012/11/01(木) 07:15:49.57 ID:/vQBNtObo
乙
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/01(木) 10:11:34.35 ID:9iumbjXA0
乙ー
101 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/02(金) 23:00:16.60 ID:PPgf4P/DO
――うすら寒い?
勇「何だよ、何か文句でもあるのか」
「いえ、……勘違いでしょう」
おもむろに首を振る。違和感。自身の感覚に疑念が生まれ、知らず、肩に置く手の力を緩めていた。
悪魔の膂力に抗えず、渋々ひき止められていた勇はこれ幸いと抜けだし、迷いなく歩きだす。
街の出口へと向かうのだろう。
一瞬、いぶかしむような目でこちらを窺ったが、すぐに視線は外された。
「…………」
黙考する。どうにも違和感が残ってしまう。
悪魔の気にあてられた人間、というだけなら。
それは別段、寒気を覚えることでもない。
いまも昔も、ヒトの心は強くはないのだ。
戦争、迫害、疫病、飢饉。
人間はいつの世もはけ口を必要とする。
過酷な環境に生きる気力が失われ、失望感が世を覆ってしまわないよう。
死後の救済、多生の因果、救世主の到来。
正義や宗教に殉じる生き方が、多くの時代、多くの国でヒトを救ってきた。
だから――――仕方ないのだ。
悪魔という超自然的な力の塊。そんな存在と、フィルターもなしに精神を同調させれば。
どうなるかなど、火を見るより明らかであった。
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/11/02(金) 23:05:45.04 ID:XUNV9NIdo
スクカジャ
103 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/02(金) 23:05:53.63 ID:PPgf4P/DO
「……ついていく義理は、ないのですけれど」
気づけば、自分の足は勇を追っていた。
騒然とするシブヤ。逃げ惑う悪魔でごった返す通りを突っ切って、街の出口へと急ぐ。
祐子先生に会いたい。
彼は、事あるごとにそう漏らす。まだ出会って間もないというのに、そんな印象を受けるのだ。よほど、大切な存在なのだろう。
中天に居座った謎の太陽をあおぐ。
かつて、巫女として仕えた主を思いだす。鬼灯(ほおずき)のように赤い目をした、とても優しい人(神)。
彼は、犠牲者だった。ヒトの意に踊らされ、それでも最後まで役割に殉じて。
最後まで、自分を選んではくれなかった。
「っ、……これは」
故人を偲ぶのをやめた。膨大な力の発現に、唇が引き結ばれる。
地平線の向こう。目も届かぬほど遠く。にわかに、力の奔流が荒れ狂うのを感じた。
もしや、戦端がひらかれているのか。
ニヒロかマントラか、また別の悪魔か。それにしても、なんという力だ。自身を遥かに越えている。
この力の主と相対すべきではないと悟った。
危険すぎる相手だ。
時の運があるとはいえ、まず勝てないだろう。逃げることすらあやしい。
無駄かもしれないが勇に忠告しておく。
もし街の外で悪魔と会ったら後ろに隠れていろと。
勇は「俺が弱いから馬鹿にしてるのか」と怒りを露にしたが、
「別にあなただからではないわ、勇。だれが相手でもそう言っていた」
そう伝えると不服そうにしながらも押し黙った。
そしてほどなくして、ふと漏らす。「……どうして、俺はあいつみたいに……こんなときでも、あいつだったらきっと」。
話の内容はほとんど読み取れなかったが、知人の話だろうか。
また新たな力の発現を感じた。先ほどには劣るが、こちらもかなりの使い手だ。
大まかな方角からしてほど近い場所にいる。
そちらを避けてマントラ軍に接触すべきか。
どんよりと赤く染まる空。
謎の太陽は、脈を打つかのように明滅し、不気味な光を放っていた。
104 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/02(金) 23:10:31.20 ID:PPgf4P/DO
直後、遭遇判定
0ほど危険な相手、集団に遭遇
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/02(金) 23:11:36.79 ID:f2xWA9Mko
r
106 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/02(金) 23:14:17.97 ID:PPgf4P/DO
9 オワタ
ちょっとお待ちを
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/11/02(金) 23:27:17.01 ID:XUNV9NIdo
人修羅さんか?
108 :
人修羅さんはむしろ安全、勇連れてるし
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 01:40:21.53 ID:+KdJdToDO
立て続けにあらわれた強大な力のせいか、先にも増して騒がしい街から出て、まっすぐに南下する。
あの、化け物じみた力の持ち主との鉢合わせは避けた。その一心だった。
悪魔が化け物、と称するのも変な話だが、力量の開きを見れば妥当だ。
緊張に顔を強ばらせ、注意深く進んでいく。
周囲に視線を配った。
草一本見当たらない荒野が広がり、急降下できるような崖があちこちにある。
シブヤから逃げてくる悪魔を避け、あえて険しい道を選んだからだろう。
人気はなかった。
勇「……あー、きっつ…………」
「だらしのない。ニンゲンとはいえ、体力がなさすぎでは?」
人間ではどうにもならない崖は抱きかかえて飛び越えた。
しかし、ただ歩くだけでも勇には重い負担のようだった。
そこまできついものか。
たしかちょっと前にいた『武士』はそこそこの肉体的素養があった。
そこまでは望むべくもなくとも、地方から地方へ行脚する町民も少なくなかったはずだが。
勇「いったい何を基準にしてんだよ……こんなの、運動部の奴でも悲鳴あげるぞ」
額に汗を垂らしながら話す勇。
はて、ウンドウブとはなんであったか。
ズンドゥブ、は近いが食べものだし。
ウンドウブ、ウンドウブ……オンミョウジ?
近からずも遠からず、といったところか。
とりあえず苦言を呈するのはやめ、違う話題にしようとして――――瞠目する。
勇「あ? ……どうした?」
「しっ、悪魔がいます」
口の前に人差し指を立て、静粛を促した。
きっと周囲に視線を投げる。
やはり、いる。
一体だけちらりと見えたが、果たして一体だけか。
鰐のような顔を持つ悪魔だった。
力の抑制に一層気を配る。
そろそろと進み、ただちにこの場を離れようとしたが。
109 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/03(土) 01:42:15.11 ID:+KdJdToDO
オセ「逃げようとしても無駄です、諦めなさい」
崖の陰から突如、人影が飛び出す。
赤いマントを羽織った、あれは豹か。
顔だけでなく全身が体毛に覆われた、しかし二本の足で立って歩く悪魔。
あれは――――、
オセ「私は地獄の大総裁、オセ。マントラ軍の悪魔と見受けました。ここで消えてもらいましょう」
――堕天使族の、オセ。
冷や汗が流れる。
まずい相手と出会った。
ソロモン72柱に数えられる、序列57番の悪魔。
軍団も率いるという、それなりに知られた存在だ。
「あら、わたくしはシブヤから逃げてきた悪魔ですわ。マントラ軍ではありません」
正直に白状して、戦いを回避しようと試みる。
マントラ軍に接触しようとしている、とは口が裂けても言えないが。
西洋風の直剣、その切っ先を向けられ、後ろで息を呑む気配。勇だろう。
自分も、少なからず緊張していた。
オセ「ふむ、なるほど」
オセが話を聞く姿勢を取った。
しかし、剣の切っ先は下がらない。
オセ「名を伺いましょう」
「……地母神族、クシナダヒメですわ」
オセ「ほう、かの女神ですか」
関心を寄せたような様子を見せるオセ。
話から察するに、ニヒロ側の悪魔だろう。
彼らにとって自分の名は爆弾であるやもしれなかったが、この状況で名乗らぬわけにはいかなかった。
110 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 02:52:51.33 ID:+KdJdToDO
オセ「ふむ……」
オセが考え込む。
先ほどちらりと見えた悪魔はオセではなかった。いや、変身する力を持つという伝承だったか。あれはオセか、否か。
判断しかねるが他にもいる、と視野に入れておくべきだろう。
それに気づいていると悟られぬよう、さりげなく周囲を探る。
オセの考えが纏まったようだった。口がひらかれる。緊張のせいか、いやに緩慢な動きに感じられた。
オセ「結論から言いましょう。あなたにはここで倒れてもらいます」
きっぱりと突き放すように告げられる。
顔をしかめた。
「信用ならない、と?」
オセ「有り体にいえばそう。美しい女性を斬るのは、心苦しいのですが」
我が剣の錆になってもらいます。
淡白な口調でオセが言う。
まずい。なんとかして戦闘を避けたい。
かくなる上は表面的にでも恭順するか、と口をひらこうとして。
オセからとんでもない発言が飛びだした。
オセ「……どの道、シブヤの悪魔には残らず消えてもらう予定。さあ、口上はこのくらいにしましょうか」
「なっ……」
恭順も許さない、というのか。
愕然としている暇もなく、オセが両手に剣を持ち襲いかかる。
「はあっ――――!」
とっさに針で応酬する。
投擲された針は剣撃が悉く叩き落としたが、オセをその場に縫いとめることには成功した。
オセ「――見事な投擲。一切の侮りを捨てましょう」
「存分に侮ってもらってかまいませんのに」
もはや、是非もなし。
観念するしかなさそうだ。ならば、消される前に消す。
むざむざ消されてなるものか――――
111 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 03:09:43.85 ID:+KdJdToDO
【堕天使】オセとの戦闘を開始します
〇ステータス
呪殺無効、精神弱点
スキル
・雄叫び(3ターンの間、敵全体の攻撃補正-2。消耗高め)
・ベノンザッパー(敵全体に物理属性の補正+1)
・デカジャ(敵全体のカジャ系打ち消し)
・デクンダ(味方全体のンダ系打ち消し)
・恐喝
・気合い(使用ターン補正+0。次ターン補正2・5倍)
・マカラカーン(万能属性を除く魔法の補正反射。消耗高め)
氷川の右腕として研鑽を積んできたオセ(LV換算で60以上)
補正
足手まとい(勇)-1
オセに勇を狙う気なし+1
オセの葛藤+1
112 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 03:21:20.01 ID:+KdJdToDO
相変わらず書くの遅くて申し訳ない……
どうやったら早く書けるんだろうか……
スキル使用選択
・メディラマ(負傷二段階回復)
・マハラギオン(敵全体に補正+2。火属性)
・毒針(敵単体に補正+1。物理属性)
一度でも優勢とった時点で逃げる選択がとれます
逃げなくても可
スキルを使用しますか?
使う場合スキル名記入
1、使う
2、使わない
※相手のマカラカーンは魔法使用時に相手が使うか判定(判定3以下で使われます)。
無意味に使うこともあります。
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 03:22:35.63 ID:ls19Zxx/o
1 毒針
114 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/03(土) 03:22:37.63 ID:+KdJdToDO
使用選択↓
115 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 03:24:51.61 ID:+KdJdToDO
1、毒針
補正
前提補正+1
毒針+1
マカラカーン+0
直後、戦況判定
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 03:26:12.30 ID:ls19Zxx/o
7
117 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 03:35:46.35 ID:+KdJdToDO
0 すばらしい
「しっ――――!」
応酬の合間、隙を見せたオセの体を針が撃ち抜く。
オセ「ぬ……読み違えましたか」
魔法で反射障壁を張っていたオセだが、完全な空回り。
しかも針のダメージでよろけている――――
直後、行動選択
1、この隙に勇を連れて逃げる(成功以上で逃げおおせる)
2、勇を見捨てて逃げる(3以上で逃げおおせる)
3、戦闘続行(次回戦況補正+2、その次の補正も+1確定)
マカラカーンの習得判定を行えます
行いますか?↓2
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 03:39:32.66 ID:ls19Zxx/o
1
119 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 03:41:30.37 ID:+KdJdToDO
逃走判定
成功以上で
習得選択とってたら↓
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 03:42:05.74 ID:ls19Zxx/o
習得する
121 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 03:42:24.10 ID:+KdJdToDO
直後、逃走判定
↓2マカラカーン習得選択
122 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 03:44:36.83 ID:ls19Zxx/o
r
123 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 03:46:11.98 ID:+KdJdToDO
3 逃走失敗
oh…
直後、習得判定
成功以上で習得
124 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 03:46:47.90 ID:ls19Zxx/o
b
125 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 03:55:31.41 ID:+KdJdToDO
――――今だ、逃げよう。
後ろの勇を手早く抱え、飛びじさろうとするが、
オセ「っ、させません!」
オセが剣を投げ放つ。
不覚だった。
絶妙のタイミングで投げられた剣に牽制され、逃げ損なってしまう。
剣を避けるのが精一杯だった――――
直後、スキル使用選択
使うならスキル名も
補正
前提補正+1
オセ:負傷(小)+0
剣を造るために次回オセスキル使用不能
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 04:00:50.85 ID:ls19Zxx/o
マハラギオン使用
127 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 04:06:06.72 ID:+KdJdToDO
マハラギオン使用
直後、戦況判定
補正合計+3
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 04:10:54.47 ID:ls19Zxx/o
l
129 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 04:15:52.53 ID:+KdJdToDO
7+3 成功(大)
あとマカラカーン習得してますナイス!
オセ状態:負傷(中)
直後、行動選択
1、勇を連れて逃げる
2、勇を置いて逃げる
3、戦闘続行
↑補正と判定は前のものと同じ
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 04:19:08.61 ID:ls19Zxx/o
3
131 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 04:21:37.82 ID:+KdJdToDO
直後、スキル使用選択
使うならスキル名も
補正
前提補正+1
優勢+2
オセ負傷中+1
合計+4
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 04:28:58.10 ID:ls19Zxx/o
毒針
133 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 04:34:28.29 ID:+KdJdToDO
補正
+5
雄叫び(次ターンから効果適用)+0
優勢決定
オセが負傷(大)になりました
直後、オセの戦闘不能判定
失敗で戦闘不能
1だと消滅
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 04:36:24.07 ID:I9vDQgbxo
1
135 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/03(土) 04:43:26.64 ID:+KdJdToDO
7 しぶとい野郎だ…
ちなみに相手を戦闘不能、もしくは消滅に追い込むと、力の最大容量が上がります
(プレイヤーが悪魔の場合、消耗は回復しません)
クシナダヒメ<原型>の場合、守護クラスまでは強くなれます
136 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/03(土) 05:12:13.66 ID:+KdJdToDO
間違えた途中で書き込みしてた
すみません眠気限界なので寝ます……
また今日の夜にきます
今日も遅くまでお付き合いありがとうございました!
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/03(土) 05:14:32.11 ID:ls19Zxx/o
乙
138 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/11/03(土) 08:44:27.41 ID:6tTKdvDBo
otu
139 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/11/03(土) 12:03:34.90 ID:XHrLOBNio
乙
140 :
すみません、昨日は宅帰宅して気づいたら寝てました
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/11/04(日) 07:02:06.86 ID:ZQa00cFDO
オセ「く……これほどとは」
オセが臍を噛む。毒針、必殺の火炎術式と、面白いように決まった。対するこちらは、ほぼ無傷。消耗も、力の総量からすれば微々たるものであった。
はた目にもオセの傷は重い。
至るところに爛れたような火傷ができ上がり、体毛は焼け焦げ、刺傷も目立ってきている。
おまけに、毒も回ってきたらしい。足がふらついていた。
オセ「油断はしていないつもりでしたが……過小評価が過ぎましたか」
いつになく読みが冴え渡る。純粋な力でいえば同格だろうが、だからこそ。
手が読めさえすれば、防げない攻撃も少ない。
「あらあら、もう終わり?」
揶揄するような軽口で応えながら。しかし、内心に一切の傲りはなかった。
ひしひしと伝わってくる。生を掴みとろうとする、裂帛の気迫が。
なまじっか余力のある羊より、手負いの狼が恐ろしいこともある。
何より、敵には未だ、切ってないカードがある気がしてならなかった。
オセ「……いいえ、これからです」
剣を持たない方の腕が振るわれる。ただ頭上で空を切るだけの、何でもない仕草。
しかしそれが、脳裏にとんでもない不吉をよぎらせた。
オセ「私が有しうる戦力すべてで始末します。……とどめをさせなかったことが、運のつきでしたね」
あっ、と後ろの勇が声を上げる。辺り一帯に、おびただしい数の悪魔が出現していた。
「これは……」
崖の陰から、地面の下から、空の彼方から。
次々とあらわれ、一瞬ごとに増していく。
見渡す限り悪魔が取り囲み、冷徹な眼差しを浴びせた。
「……手厚い歓迎ですこと」
オセ「私はニヒロ機構の将軍、オセ。
この度氷川司令より、方面軍全ての指揮を拝命しています」
「一人でお相手してくれたのは戯れ、ということかしら?」
オセは沈黙した。話す気がないらしく、しかと剣を構え、刃先を向ける。
時間稼ぎも儘ならない。
何にせよ、未曾有の危機であった。頭を働かせなければ、万が一にも助からないだろう。
しかし一体、どうしたらよいものか――――
直後、???判定
成功で……
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/04(日) 08:28:45.47 ID:1SHvoNGBo
hai
142 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/06(火) 19:05:20.96 ID:+GNmNbRYo
mdkn
143 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/11/06(火) 23:04:33.38 ID:gFJiwbgLo
こねー
144 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/07(水) 03:01:15.77 ID:SOr/m/XDO
7 成功
包囲の輪が狭まっていく。
追いつめた獲物を逃がす気はないのだろう。
敵の布陣に隙は見当たらず、じりじりと詰めよってくる。
突破に適した場所も認められず、もはや万事休すかと覚悟を決めた矢先、想定外の出来事が起こった。
鼓膜を打ち震わせる大音声(だいおんじょう)。
荒涼とした大地に、破裂音が響き渡る。
なにがしかの弾丸が放たれた。そう察するまで、数秒を要した。
ゴウト「――ライドウ。承知しているだろうが救出目的だ、まともに相手してくれるなよ」
黒い影が視界すれすれを横切る。
一発、二発、三発。
続けざまに放たれた弾丸は、その数だけ悪魔をほふっていく。
凄まじい腕前だった。
射線をずらそうと動く悪魔すら、的確に捉えられ、死のあぎとから逃れ得ない。
飛来する弾丸の出元を追い、背後を振り返ると、
ゴウト「我らについてこい、そこの悪魔! 遅れるな!」
後方から躍り出た黒猫連れの書生にどやされた。
「っ、勇! 舌を噛まないよう注意なさい!」
勇を抱え全速力で追従する。
直感が、この機を逃すなと告げていた。
唐突に降って沸いた救援。
のっぴきならない状況も相まって、決断は迅速かつ迷いなく下された。
ゴウト「ライドウっ! 左後方より悪魔三体だ!」
声に応えて弾丸が射出される。
よくよく観察してみれば、声の主は黒猫だ。
成る程、式や使い魔といったところか。
もしかすると神使かもしれない。
切迫した状況で何とか理解の内に置いていると、横合いから悪魔が躍り出た。
「はっ――――!」
書生の不意を突こうとした悪魔に針をお見舞いする。
ゴウト「ほう、見事な技だ。礼を言うぞ」
「ふふ……その方には余計なお世話だったかもしれないけれど」
事実、助太刀は無用だったに違いない。
しかし万一も考え、多少なりと負担を軽くできるなら、損はないだろう。
書生の邪魔にならないよう、援護に回った。
ゴウト「あと一息だ! 最後まで気を抜くな!」
包囲網の突破はもう目の前。
ひきつった顔で迎える最後の悪魔も易々と撃破し、そのまま安全圏まで駆け抜けた。
145 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/07(水) 03:03:25.06 ID:SOr/m/XDO
ゴウト「成る程……そちらも、マントラの本営に出向くのが目的であったか」
「ということはあなた方も?」
ゴウト「うむ。そうであれば話は早い、我らも人手不足を感じていたところだ」
取りだした手帳にメモを取る黒猫、というシュールな姿を目の当たりにしながら、言葉を交わす。
包囲から抜け出して十数分。
周囲の安全確認を滞りなく済ませ、互いに質問し合っていた。
「勇、どうします?」
勇「……俺はかまわない」
お前だけじゃ頼りないしな、と勇。手痛い意見に苦く笑う。
「そういうことですわ」
ゴウト「ならば交渉は成立だな。今後とも宜しく頼む」
しっぽを振り黒猫は一鳴きした。
ライドウと名乗る書生も会釈する。尤も名乗ったのは黒猫で、彼の声はいまだ耳にしていない。寡黙な人物のようだ。
ともあれ、即席のチームは正式に組まれる事となり、イケブクロへの道程を共に歩みだした。
モー・ショボー「また新しい顔が増えたんだ、よろしくね。キャハッ」
道中、ライドウが悪魔を何体か召喚し、代わる代わる紹介される。
ゴウトが言うには口下手な本人に代わり、賑やかし担当、なのだそうだ。
「宜しくお願いいたしますわ。ええと……」
モー・ショボー「疾風属モー・ショボーだよ」
「地母神族クシナダヒメと申します、モー・ショボー」
無邪気な笑い声を上げて飛び回るモー・ショボー。本来、悪魔として格はそれほど高くないはずだが、中々どうして強大な力を感じる。
やはりあの書生、名うてのサマナーであろうか。
146 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/07(水) 10:03:59.79 ID:zT3BXgEDO
このロリコンが
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/07(水) 15:42:43.63 ID:gvF7fXN3o
はじめる時とやめるときはなんか行ってくれないとわからん
148 :
忘れてた……次からきっちり言います
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/07(水) 19:32:40.27 ID:SOr/m/XDO
ゴウト「もうすぐ街に着く。各自、警戒は怠るな」
想像を巡らしていると黒猫、ゴウトから声がかかった。
「あら、イケブクロはまだ先では?」
道に当てがある、というライドウ達に引率してもらっているが、距離からしてそんなに近くはなかったはず。寄り道するのか、と誤解しかけたが、
ゴウト「そういえば話すのが遅れたな。遠距離を移動するには、うってつけの手段があるのだ」
そう言われてほう、と目を細める。興味が湧いた。
ゴウトによれば“ターミナル”なるものがあり、一瞬で遠距離の移動を可能にするという。
イケブクロには一度訪れたことがあって、直接行くことも可能、とのこと。
「へえ……便利なものがありますのね」
ということは、ライドウ達が人手を求める理由は一体、どこにあるのか。
ターミナルの移動には何かしら、危険や条件が伴うのかもしれない。
それか、イケブクロへ到着してからに意図があるのか。
むやみに神経を尖らす必要はないが、暫くは出方を窺うべきだろう。
やがて街に辿りつく。
その頃にはすっかり日は傾き、鮮やかな夕陽が閑散とした街を照らしていた。
149 :
安価もうちょいです。そこまでいったらageます
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/07(水) 19:36:40.02 ID:SOr/m/XDO
ゴウト「……さて、ターミナルまで向かうとしよう。
複雑な機構で構成されたモノだ、迂闊に触れてくれるなよ」
しん、と静まり返った街の真ん前でゴウトが釘を刺す。
見るからに寂れた街だ。
所々でごみが打ち捨てられっぱなしにされ、生活の名残を感じさせるが、人気はまったくない。
しかも、破壊の傷痕があちこちに見られるあたり、何者かの侵害を想像させた。
勇「まるで廃墟だな。ターミナルってヤツは、ここにあるのか?」
ゴウト「嗚呼、街の一角にある。わかりづらい場所だがな」
質問に応え、さっさと歩きだす黒猫。ライドウはその隣にぴったりとつき、勇と自分は一歩遅れて続く。
先ほどから、勇はライドウ達の言動に目を光らせている。無理もなかった。
自分たちの関係は、窮地を助け助けられた仲であるが、信頼にはほど遠い。
信用すら覚束ない状態だ。
それは勇だけでなく、自分も、そしてライドウ達もまたそうであったろう。
自分は都合のいい助け船に乗っただけで、ライドウ達も何らかの思惑のうち、危機から救いだしたはず。
ニヒロの悪魔がひしめくあの一帯に居合わせ、絶妙のタイミングで介入したのだ。疑う余地は、幾らでもあった。
「ひどい有り様ね。何があったのかしら」
倒壊してそこら中に瓦礫をばらまく建物や、アスファルトに生じた亀裂やクレーター、といったものに視線を移しながら呟く。
この“トウキョウ”で二つ目に見た街だが、これまた結構な景観だ。
150 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/07(水) 19:39:38.39 ID:SOr/m/XDO
投下いったん中断
151 :
訂正、そして投下中断
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/07(水) 19:50:55.43 ID:SOr/m/XDO
>>149
やがて街に辿りつく。
その頃にはすっかり日は傾き、鮮やかな夕陽が閑散とした街を照らしていた。
ゴウト「……さて、ターミナルまで向かうとしよう。
複雑な機構で構成されたモノだ、迂闊に触れてくれるなよ」
しん、と静まり返った街の真ん前でゴウトが釘を刺す。
見るからに寂れた街だ。
所々でごみが打ち捨てっぱなしにされ、生活の名残を感じさせるが、人気はまったくない。
しかも、破壊の傷痕があちこちに見られるあたり、何者かの侵害を想像させた。
勇「まるで廃墟だな。ターミナルってヤツは、ここにあるのか?」
ゴウト「嗚呼、街の一角にある。わかりづらい場所だがな」
質問に応え、さっさと歩きだす黒猫。ライドウはその隣にぴったりとつき、勇と自分は一歩遅れて続く。
先ほどから、勇はライドウ達の言動に目を光らせている。無理もなかった。
自分たちの関係は、窮地を助け助けられた仲であるが、信頼にはほど遠い。
信用すら覚束ない状態だ。
それは勇だけでなく、自分も、そしてライドウ達もまたそうであったろう。
自分は都合のいい助け船に乗っただけで、ライドウ達も何らかの思惑のうち、危機から救いだしたはず。
ニヒロの悪魔がひしめくあの一帯に居合わせ、絶妙のタイミングで介入したのだ。疑う余地は、幾らでもあった。
「ひどい有り様ね。何があったのかしら」
倒壊してそこら中に瓦礫をばらまく建物や、アスファルトに生じた亀裂やクレーター、といったものに視線を移しながら呟く。
この“トウキョウ”で二つ目に見た街だが、これまた結構な景観だ。
152 :
また訂正、すみません。内容変わってないのでどうでもよければスルーしてください
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/07(水) 20:36:35.05 ID:SOr/m/XDO
>>151
やがて街に辿りつく。
その頃にはすっかり日は傾き、鮮やかな夕陽が閑散とする街を照らしていた。
ゴウト「……さて、ターミナルまで向かうとしよう。
複雑な機構で構成されたモノだ、迂闊に触れてくれるなよ」
しん、と静まり返った街の真ん前でゴウトが釘を刺す。
見るからに寂れた街だ。
所々でごみが打ち捨てっぱなしにされ、生活の名残を感じるが人気はまったくない。
しかも、破壊の傷痕があちこちに見られるあたり、何者かの侵害を想像させた。
勇「まるで廃墟だな。ターミナルってヤツは、ここにあるのか?」
ゴウト「嗚呼、街の一角にある。わかりづらい場所だがな」
質問に応え、さっさと歩きだす黒猫。ライドウはその隣にぴったりとつき、勇と自分は一歩遅れて続く。
先ほどから、勇はライドウ達の言動に目を光らせている。無理もなかった。
自分たちの関係は、窮地を助け助けられた仲であるが、信頼にはほど遠い。
信用すら覚束ない状態だ。
それは勇だけでなく、自分も、そしてライドウ達もまたそうであったろう。
自分は都合のいい助け船に乗っただけで、ライドウ達も何らかの思惑のうち、危機から救いだしたはず。
ニヒロの悪魔がひしめくあの一帯に居合わせ、絶妙のタイミングで介入したのだ。疑う余地は、幾らでもあった。
「ひどい有り様ね。何があったのかしら」
倒壊してそこら中に瓦礫をばらまく建物や、アスファルトに生じた亀裂やクレーター、といったものに視線を移しながら呟く。
この“トウキョウ”で二つ目に見た街だが、これまた結構な景観だ。
153 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/10(土) 16:23:18.11 ID:epS6oIO6o
>>1
来ないね
154 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/12(月) 20:56:28.32 ID:mdkqWHVDO
ゴウト「解せんな。以前見かけた際は、活気のある街だと思ったが」
ライドウ達にしても少々勝手が違うらしい。困惑をおくびにも出さず、それでも悠然としているのは流石だ。
ターミナルへの道すがら、廃墟さながらの街を見物しながら歩いていると、一体の悪魔と遭遇した。
オンコット「よお……そこの黒猫……」
前を通りがかる一行に声がかけられ、立ち止まる。
オンコット「何かぁ……見たことがある気がするなぁ……」
コンクリートの壁にもたれかかり、地べたに座り込んで話す悪魔。
放り出した体は衰弱しきって力がなく、幽鬼か何かと見紛うほど青白い顔をしていた。一歩間違えば、消滅してしまいそうな弱々しさである。
ゴウト「……我も見かけた覚えがある。たしか、この街で幅を効かせていた組織で、幹部を務める男だ」
オンコット「へっへっへっ……もう幹部も何もねえよ……皆、死んじまったんだからなぁ……」
何もかも諦めてしまったように笑って、悪魔はぼんやりとこちらを見る。焦点が合っていなかった。
ライドウや勇も足を止め、話に耳を傾ける。
155 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/12(月) 20:58:02.12 ID:mdkqWHVDO
ゴウト「……何があった? この街はならず者ばかりだったが、腕に覚えのある猛者が揃っていたはず。そう易々と陥落はしまい」
オンコット「俺達ぁよ……奴らを手玉にとってるつもりで、踊らされてたんだ……今さら気づいたって、遅いがな……」
悪魔の話はいまいち要領を得ない。ゴウトもそう感じたのだろう、顔をしかめ、重ねて問うた。
ゴウト「“奴ら”とは誰のことだ?」
オンコット「……ニヒロ機構の奴らさ」
悪魔が吐き捨てる。しかし、その忌々しげな顔も直ぐになりを潜め、うつろな表情に変わる。
オンコット「……まあ、いい。なんにせよこの街は終わりだ……」
オンコット「……覇権争いなんぞして、策に溺れたのが間違いだったか……」
遂には、話す気力も尽きたか。それきり悪魔が口をひらくことはなく、呼びかけにも反応すらなかった。
もう情報は得られないだろう。
これ以上の逗留は無益と判断し、一路ターミナルに。
途中、ゴウトが情報を補足してくれた。
156 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/12(月) 21:00:40.30 ID:mdkqWHVDO
ゴウト「我らが以前訪れた折……この街には、件の悪魔も属す組織の他にもう一つ、拮抗する勢力があった」
どちらも極めて強力な動物神を頭に戴く、統制された組織。
当時、全面抗争も近いと専らの噂だったらしい。悪魔の口ぶりからも、この惨状に一枚噛んでいるのでは、という目算が高かった。
「馬鹿みたいに自滅した……というのとは少し、話が違うようですわね」
ゴウト「……恐らくは。蓋を開けてみれば享楽的で刹那的な悪魔も大勢いたが、決して愚鈍な輩ばかりではなかった」
あの悪魔も、組織に関しては優秀な実務能力を持ち、辣腕で鳴らしたという。
それでも力及ばず、壊滅せしめたニヒロ機構はやはり、並々ならぬ脅威か。
それを改めて認識していると勇がつぶやく。
勇「……悪魔も、人間と変わらないな。集まるとろくなことが起きない」
応える声はなかった。
一概にそうとも言い切れないが、一面の真実を突いているとも云えたから、だろうか。
ヒトも悪魔も外部から干渉を受け続ける。
ヒトは特に同族同士で顕著だ。悪魔の場合、それ以上に人災が厄介な事もしばしばだが。
ターミナルに到着する。
それまで、言葉が交わされる事はなかった。
ゴウト「これがターミナルだ」
久しぶりに沈黙を破ったゴウトの紹介を受け、ターミナルと対面する。
見た目は筒状の機械。
これが遠隔地への移動を可能にするとは、いまいち想像の湧かないところだ。
「移動は出来ますの?」
ゴウト「軽く調べたが支障はない。直ぐにも可能だ」
頃合いを見計らう必要性は感じない。
マントラの首領、であればシブヤ方面に出陣した可能性もあるが、それならそれで待てばいい。
もし帰ってこない事があればその時はその時。別にそれでも構わなかった。
他の面子の意思も、直ぐに移動する方向で固まっている。
ゴウトの指示を受け、ライドウがターミナルに触れた。
気づけば。
ターミナルは作業を見ている内に激しく回転しだし、視界が光に包まれた――――。
157 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/11/12(月) 21:19:07.46 ID:mdkqWHVDO
生存報告忘れてました……
回想シーン書くのに手間取ってますが、あと少し……もし行き詰まれば先に進みます
見てくれてた人も離れちゃったかな、本当にすみません
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2012/11/12(月) 21:31:21.85 ID:r65ex7Pwo
乙
159 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/12(月) 21:36:23.56 ID:f6QlPKzBo
乙
160 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/12(月) 22:06:51.17 ID:ynbboA84o
おつ!
161 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/12(月) 23:48:10.51 ID:ABzIB9Cso
お2
162 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/11/13(火) 22:42:49.60 ID:iX4OO6OLo
大丈夫だ問題ない乙
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/13(火) 23:29:51.46 ID:C6HFdeuT0
乙ー
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/18(日) 19:28:15.77 ID:XHoihAaIO
メガテン好きは離れない
ゆめゆめわすれることなかれ
165 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/26(月) 13:46:36.37 ID:O7lyfO2IO
(´・ω・`)
166 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/07(金) 16:46:40.97 ID:0wkGuZdco
(´・ω・`)(´・ω・`)
167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/11(火) 23:32:47.91 ID:CIAAkH9IO
(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 18:41:01.53 ID:aaihppyDO
力の渦に揉まれ、イケブクロへと向かう。一瞬が果てしなく引き伸ばされていくような感覚。
移動は、時間にして数秒ほどで終わっていた。元居た部屋と瓜ふたつの部屋にたどり着く。
ゴウト「……無事たどり着けたようだな。 みな、異常はないか?」
常人には聞き取れない声。
手短に周囲の様子をうかがい、ゴウトは早々に毛繕いを始めていた。
此処は、イケブクロで間違いないらしい。
どうやって判断したかは知らないが、何かしら基準があるのだろう。瓜ふたつに見える部屋とて、目印になる程度の違いはあるのかもしれない。
暫し呆然とする勇と、目が合う。刹那、勇は、はっとして佇まいを整えた。
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 18:42:51.07 ID:aaihppyDO
勇「大丈夫だ。 ……これ、体に害はないのか?」
ゴウト「たまに誤作動を起こすが肉体に影響はない。 乗り物酔いのようなものにかかることはあるかもしれぬが」
こちらにも確認されるが異常はない。ライドウも、悠然とした素振りで無事を伝えていた。
「さて、ここからどうしますか?」
ほどよい頃合いで話題を振る。すると、皆の顔が引き締まり、緊張が高まった。
問題は此処からである。
自らの目的、マントラの首領・ゴズテンノウ。勇のお目当ての『祐子先生』。
どちらにせよ、散策は避けられないだろう。
居場所のあてがろくに無い。マントラ首領の所在は戦の関係であやふやだし、勇のほうはそもそも、イケブクロに居るかすらあやしい。
ライドウらの目的如何では、散策側と目的地を目指す側とで別行動もあり得た。
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 18:45:51.17 ID:aaihppyDO
ゴウト「先にも伝えた通り、我らの目的はお前たちの協力を必要としている。 悪いが共に行動してもらいたい」
「構いませんわ。 勇さえよければ断るに否やはありません」
勇「俺も構わない。 ただ、こっちにも協力してもらうからな」
承知した、とうなずくゴウト。見た目は猫でも仕草は人並みらしい。
これで同時行動は、ほぼ確定した。
ライドウらの求める『協力』というのが曖昧だが、訊いておくべきか。お茶を濁されるかもしれないが、訊くに不都合はないだろう。
徐に口をひらく。
「そちらの目的は?」
ゴウト「お前たちの目的はそれぞれ、目当ての人物がいるのだったな。 ふむ……我らも人捜しといったところか」
人修羅、という名に心当たりがないか問われ肯定した。
とんと聞かない名だ。随分と仰々しい響きである。
勇「……人修羅? どこかで……」
ふと勇がつぶやく。が、内容までは聞き取れなかった。
頭をひねる勇に、「些細な事でも心当たりがあれば話してくれ」とゴウトが喋りかけるが、勇が謝絶したので話は流れた。
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/12/30(日) 18:51:53.47 ID:aaihppyDO
一先ず街へ繰り出そうかという話になる。
しかし、うかつな行動は躊躇われた。仮にも一勢力の本拠である。
ゴウト「見物の許可はあるにはあるのだが……さて、この戦時にどれだけ頼れたものか」
ゴウトは険しい表情を浮かべた。
なんでも初めて訪れた際、軍部を統括するトール将軍に試され、結果街での自由をある程度許されていたのだという。
だが、今は戦時。
小競り合いのようなものではなく、大会戦ともいうべき大規模なものだ。部外者の自由を許す寛容さがあれど、そう悠長に構えてはくれないだろう。
「通用しない前提で動くのが無難かもしれません。 よそ者は区別がつくのですか?」
ゴウト「つくはずだ。 ボルテクスには、排他的な街社会しか基本的に存在しない」
都市部から離れた村落によくみられる現象だが、そういう所では噂の広まりが異様に早い。
それは、住人の間で情報が密に交わされ、効率的な情報網を有す事も少なくないからだ。その網を掻い潜るのは容易ではない。
「難儀なものですわね……まあ、わたくし達の魔界・高天ヶ原もとやかく言えませんが」
ゴウト「……。まだ、ヨヨギなどでないだけ楽だ。 あそこは些細な変化にも敏感な上、多くの住人がそれを嫌うからな」
妖精達の王国であるヨヨギは、排他的の上に閉鎖的という評価がつく。
他勢力と比較した相対的なものだが検問は厳しく、部外者の入国許可はまず降りない。身内、それも長に服従する者以外はことごとく排除される。
172 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 18:52:12.20 ID:u66zcM9eo
来たかっ……!
173 :
しまった上げてた……安価もうすぐです
[sage]:2012/12/30(日) 19:02:15.17 ID:aaihppyDO
沈思するような間を僅かに垣間見せたゴウトに疑問が募るが、今はさておく。
話し合いの進行を優先した。
「隠密裏に行動するのが得策でしょうか。 しっぽを掴まれたら変に勘繰られるかもしれませんが」
ゴウト「ふむ……堂々と姿を晒すよりはましだろう。 要は見つからなければよいのだ」
言葉の裏に自信が見え隠れしていた。これは、期待していいだろう。自分も魔法使いの端くれ。洗練された隠行の業はないが、魔術的な隠蔽ならお手のものだ。
提供されたマッピング資料をもとに、具体的な方針を取り決めていく。順路や留意点、あるいは逃走経路といったものを。
終始滞りなく議論が進む。紛糾することはなかった。
ただ、大きな懸念が一つ。
174 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/12/30(日) 19:05:14.03 ID:aaihppyDO
勇「…………」
隠密裏、と聞いて技能的な話が進むにつれ、勇の表情が焦りを帯び始めていた。
おそらく勇に隠行で役立つ技能はない。
それどころか、いざ戦いになっても戦力にはならない。酷な話だが、足手まといになるだけだろう。
それは、勇も自覚しているようだった。
「勇、申し訳ありませんが此処で待っていてくれませんか? 危険すぎますわ」
勇「待てよ! こんなとこで……じっとしてられるかよ!」
ゴウト「とはいえ、お前……勇といったか。 此度の作戦上、活躍の場はあるまい」
勇「…………」
ゴウト「異能持たぬ人間に無条件で配慮するほど、悪魔という生物は慈悲深くない。 ここまで無事でいられた事、奇跡に等しいと自覚しているか?」
勇「……それは」
苦言に口火が弱まる。
表面上は無鉄砲に見えて、その実、理性的な思考はまだ残っているのか。
勇自身、思い当たる節があるようだった。
ゴウト「心配せずともお前の目的、我らが責任を持って引き受けよう。 それでは不服か?」
勇「……」
押し黙る。苦虫を噛み潰したような表情。
その胸中に去来しているであろう葛藤は、容易に読み取れた。
しかし、こればかりは諦めてもらう他ない。
実際おかしいのだ。
膨大なエナジー、生体マグネタイトの塊である人間は、悪魔にとって最上級の餌。
悪魔は己の存在を保つため、多量のエナジーを搾取し続けなければならない。
捕らえた人間がいれば、労せずして賄えるのだ。
普通ならば勇を道具のように扱い、我先にと奪い合って然るべき。このような、人間の影が薄い世界であれば、尚更。
175 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/12/30(日) 19:18:41.77 ID:aaihppyDO
このボルテクスにおいて、ヒトは支配者ではない。
かつての隆盛は街並みに面影だけを残し、儚く散った。
万物の霊長。それを自称する事さえ儘ならぬヒトが、暴力の餌食にならなかった。その事実が、腑に落ちない。
結局、半ば強引に勇を残し街へと繰り出す。
勇の無事には、何らかの背景があるのではないか。その疑いを強めながら。
ゴウト「やはり、逼迫(ひっぱく)した空気を感じる。 今までにないほど警備も厳重だ」
路地の暗がりから暗がりへと縫うように移る傍ら、ゴウトが機を見て呟く。
街の雰囲気は物々しかった。ゴウトの言葉通り、厳重な警戒体制が敷かれている。
街中には警羅(けいら)の悪魔が定期的に回り、くまなくといった具合で路地も覗き込んでいくため、ひやりとした部分は一度や二度ではない。
だが、魔術や禊祓(みそぎはらえ)、呪(しゅ)を駆使すれば出し抜けた。
ボルテクスに名だたる大勢力といえど、街外れのパトロール程度ならどうにかなるらしい。
本営付近であれば話はまた変わってくるかもしれないが、現時点でさしたる脅威は感じなかった。
176 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2012/12/30(日) 19:24:30.94 ID:aaihppyDO
ゴウト「話や警備の配置を見聞きする限りでは、本営の警備は更に上をいくか。 厄介なことだ」
「なるべくなら深入りは避けたいですわね。 わたくしとしては、首領の行方さえ知れたら充分です」
ゴウト「そうか……ふむ」
それよりも、探りを入れる視線が気になった。
ゴウトのものだ。
隠す気がないのだろう。つぶらな瞳が常にはない鋭さを帯び、なにかを見抜こうとしていた。
疑問に首を傾げる。
「何かありまして? 化かし合いは好みませんから、率直に言ってほしいのですけれど」
ゴウト「……何、あの少年の事だ」
「勇ですか?」
ゴウトは頷いた。
ゴウト「勇と行動を共にする意図が知りたくてな。 詮索するつもりはないが、差し支えなければ教えて貰いたい」
「意図、ですか」
ゴウト「あっさりと勇を残した。 我らに言えた義理ではないが、少し引っ掛かってな」
「…………」
ターミナル内は、基本的に悪魔は立ち入れない。
幾つか条件があるらしかったが、自分はそれを満たしていたのか。阻まれることなく入る事ができた。
条件さえ満たせば侵入は可能なのだ。外よりはよほど安全だが、さりとてターミナル内が安全だという確証はない。
どんな誘惑にも耳を貸さないよう警告した。保険として、呪を用い異界に隔離した。
しかし、警告も保険も。破れるときには破れる。その程度のものだ。万全にはほど遠い。
表面上はそれに関し何でもないふうに装っているが、実際のところはどうだろう。
自分が勇と行動を共にするのは――――
1、遠い日に愛した人々への郷愁
2、征服者たる大和の民への憎しみ
3、意図などない 単なる気まぐれ
安価↓5までの多数決
177 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 19:28:22.20 ID:Khx6DWlYo
1
178 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 20:15:59.27 ID:0o6gxLMT0
1
179 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 21:11:03.98 ID:rXHtReE30
1
180 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 22:00:24.03 ID:In4oj0buo
決まってるが3
181 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2012/12/30(日) 22:39:57.41 ID:aaihppyDO
1に決まりました
また暫く安価やコンマありませんし、後日書き溜めて投下します
安価ありがとうございました!みなさんよいお年を!
182 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 22:44:39.70 ID:0o6gxLMT0
乙
183 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/30(日) 22:46:13.57 ID:we6ZQIQgo
乙
184 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/18(金) 19:40:45.09 ID:GbWNzEJDO
1、遠い日に愛した人々への郷愁
「手短に言うなら利害の一致かしら。 勇は用心棒が必要で、わたくしはマガツヒ目当て。 だから情を傾ける理由がありませんわ、お互いにね」
ゴウト「……成る程。 できる限りのことはしている以上、心配の余地はない。 そういうことか?」
「そうなりますわね。 取引を結べる人間であれば、勇である必然性はありませんから」
ゴウト「…………」
ゴウトは暫く何も言わずに目を閉じ、考え込むような仕草をした。
どちらかといえばドライな考え方を、果たして彼はどう受け取ったか。
微動だにしない表情。鮮やかな緑の瞳が再び姿を見せたときには、目の前の問題にだけ執心する、仕事人の顔になっていた。
185 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/01/18(金) 19:42:20.90 ID:GbWNzEJDO
ゴウト「すまぬ、時間をとらせたな。 次の地点に急ごう」
「ふふ、かまいません。 それでは儀式をしますから、例によって下がってください」
目的を果たす上で彼らの協力は必要だ。少なくとも、敵対は避けたい。だから詮索紛いの詰問を受けようと、事を荒立てはしなかった。
手に入れたいものがある。
それが真に有益か定かではないが、益となる可能性があるなら。予てよりの願いを叶える足掛かりになるなら。
どんなに危険であれ、試さない理由はなかった。
さらりと微笑んで流し、卜占(ぼくせん)の準備に入る。
相の秘術で余人の干渉を確かめ、卜の秘術により進むべき道順を定めていく。
素早く距離をとったゴウトとライドウを避け、自らを中心に円形の幾何学的な紋様が浮かび上がる。狭い路地裏に刻まれたそれは、半径一メートルにも満たない。しかしそれは、縦横無尽に走り、溢れんばかりの力を宿していた。
186 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/01/18(金) 19:43:45.49 ID:GbWNzEJDO
皆の姿とアスファルトに走った紋様は、結界で隠されている。上空から監視されようと窺えない。そして、多少会話した程度で気配が漏れることも、まずなかった。
「カッ!」
意識の隅でそれを確認。高速で印を組み、目を見開く。一拍置いて、怒涛の如く情報が流れ込んできた。
『あーあ、おれも前線にいきたかったぜ』
『スキーズブラズニルの損耗が激しい……これは、我が軍の兵站線そのもの。 なんとしても守らねば……』
『ニヒロめ、蝿のようにぶんぶん飛び回りおって! 猪口才な!』
『シブヤのロキ……噂に違わぬ強者だった。 しかし、どうにも奴は気に入らぬ。 あの傲岸な態度、昔どこかで……』
『ニヒロの輩め……度し難い思考をする。 強者こそいすれ、やはり奴らとは相容れぬ……』
『カリ・ユガは終わり、新たなる世界が到来する! さあ、今こそ飛び立つのだ……苦しみのない、無原罪の世界へ……!』
『あのねー……死んでくれる?』
187 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/18(金) 19:47:14.30 ID:GbWNzEJDO
占いの過程で様々な情報が無作為に拾われ、消えていく。
行き交う人の動き、状態、天候や気温、光に音、或いは何者かの思念までが部分的に集まり、地理的条件なども交えて“結果”が弾きだされる。
結果を生むために費やされたそれらは、この占いの性質上、認識できない。
本来の限界を超えて多角的に情報収集できる反面、一種のトランス状態に入るため、覚えていられないのだ。
その代わり、卜定(ぼくじょう)は成り、答えは出た。それを伝える。
「出ました。 まず、あの通りから大通りに出ます。 それから、突き当たりを右、最後に三番目の角から路地に入り込む……これで抜かりないでしょう」
ゴウト「大通りに出るのか? 確かに、目的のポイントまではぐっと近くなるが……」
「信じられませんか?」
ゴウト「……いや、信じよう。 ライドウ、いいな?」
寡黙な青年は静かに頷いた。腕を組み、瞑目するその姿は、思わず感心してしまうほど鷹揚だった。
たとえ謀られ窮地に陥っても、切り抜ける自信があるのだろう。根拠のない盲信ではなく。理論と経験に裏打ちされた、確信が。
188 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/18(金) 19:50:06.12 ID:GbWNzEJDO
「ではいきましょうか。 準備は宜しくて?」
ゴウト「万端だ。 占いの間に済ませておいた」
「重畳ですわ」
何事もてきぱきと進めてくれる手際のよさに、幾らかの満足と安心を覚える。
無論、伝えた情報に一切の虚偽はない。
悪魔召喚師として円熟した彼らと組めるのは、またとない機会。むざむざ信用を貶める意味は皆無だ。
上っ面はにこやかに受け答えながら、腹の底では冷徹な思索を巡らす。
あれこれ考えて排除するくらいなら、味方にして弾除けでも何でも利用する。利用できないなら排除し、排除できないなら逃げ、逃げる事も叶わないのならば降り、面従腹背の姿勢で雌伏するのみ。
自分にとって最早、他者が存在する意義とはそんなものでしかなかった。利用するかされるか、そのどちらか。そこに親愛のような情は不要であり、感情の揺らぎなど、目的の達成と進展を妨げる毒物でしかない。内心は、遺憾にも複雑だったが。
189 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/18(金) 19:51:28.19 ID:GbWNzEJDO
ゴウト「……? どうした、眉間に皺など寄せて」
「いいえ、何でも。 ……いきましょう」
路地裏から、一歩踏み出す。その瞬間、あらゆる雑念は消え失せ、意識が切り替わる。
惰弱な娘から、卑劣な手も辞さぬ戦闘者に。
ちょうど満天に輝く黒塗りの太陽が、イケブクロの街を見下ろしていた。
190 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/01/18(金) 20:04:19.99 ID:GbWNzEJDO
あけまして……からだいぶ経ちましたね
生存報告も兼ねてちょっとですが投下
あと今さらですがシブヤで千晶出せたの失念してました……
なぜかディスコがギンザにあるという、ありえない勘違いを……
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/18(金) 21:08:51.95 ID:fM+pPprxo
乙
ディスコはネコマタに先制引っかきクリティカルでパトられたのがトラウマ
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/18(金) 22:41:00.31 ID:SaKKfruXo
ありすありすありす!!!!
193 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/01/19(土) 11:24:25.69 ID:RdulGfkDO
あ、要望とか指摘あったらばんばんどうぞ
口調とか大分と記憶が薄くなってる部分もあるんで……
ただ伏線だったりの場合もあるので、返事は基本投下する内容でお返しします!
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/19(土) 11:57:11.45 ID:SnGCfT+Po
モー・ショボーやモコイさんの出番はありますか?
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 19:58:18.83 ID:kYw784LDO
鐘の音が聞こえてくる。
どこで鳴っているか、本当に鐘なのか。
定かではないが、イケブクロにあって目立つ音だ。
――――祇園精舎の鐘。
武士の時代、江戸時代に耳にする機会があったがそれとよく似ている。クシナダヒメはそう感じた。
当時の日本人は、アンコール・ワットを祇園精舎だと思い込んでいた。時の将軍・家光もまた、同様に。
幕府と仏教の関わりは深い。宗教政策の一環として支配構造に組み込んでいた為に、視察の必要があると判断されたのだろう。祇園精舎は聖地とされる。そして、その勘違いがあったので遣わされた人間もアンコール・ワットに赴き、誤った見取り図を作成してしまった。
一連の流れでクシナダヒメは正確な情報を掴めと命じられた。勢力として高天ヶ原が最重要視するのは、泰平の世である。人の住む世界、葦原中国(あしわらのなかつくに)が、結果的に安定するなら構わない。つまり必ずしも、天孫の血脈に与する事を意味しないのである。
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 20:00:14.94 ID:kYw784LDO
そんな理念の下に動いている為、高天ヶ原はその時代の支配者層に取り入り、また適度に貸しを作る。幕府の失態はこれにうってつけだった。謀略に次ぐ謀略。そうして日本の神話世界、高天ヶ原は密かに権勢を振るってきた。
しかしそれも、二度の大戦が変えた。
現世に意を伝える術者の絶対的な不足。祖国の守護を担うため人身御供となった術者には、高天ヶ原が頼りにしてきた一族も含まれている。もはや高天ヶ原の有象無象は、幾重にも層を隔てた異界から傍観することしかできない。
通常現世に顕現し使役される分霊と、本体は別物である。現世への影響力を喪失した高天ヶ原、そして今現在、自分が置かれた状況。それらを鑑みると哄笑さえ漏らしそうになった。
197 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 20:01:45.23 ID:kYw784LDO
願いを妨げる枷はもう存在しない。高天ヶ原という総体は瓦解した。後は鍵を見つけるだけ。
内なる欲望に屈する弱き者も、権利を主張してばかりの愚図も、自らが望む世界には不要である。
そんな連中に唯一の友は虐げられ、辱しめられた。繁栄する礎に蹂躙された生まれ故郷と同様に。
優れた冶金技術、常軌を逸する神憑り。奴らは下に見ている存在が自分にないものを持っているのが我慢ならないのである。
理想郷にそんな屑共の存在は許されない、許してなるものか。
大通りを忍び足で進む。抜き足でつま先を抜くように上げ、差し足でそっと下ろす。これらを素早く、的確に行う。
歓喜と憎しみが胸中に渦を巻いていた。この場に勇が居なくてよかったと思う。何かの弾みで殺してしまっていたかもしれない。
198 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 20:06:40.03 ID:kYw784LDO
ゴウト「手慣れたものだな。 本職に些かも見劣りしない」
「ふふふ、時間はたっぷりありましたから。 忍や細作の観察に明け暮れた甲斐がありました」
かつて自分を縛っていた誓約、能力的な進歩を戒める手枷足枷は、今や存在しない。
魔界魔法などは技術とは別のところに真髄があるが、純粋な技術であれば問題はないのだ。適性さえあるのなら、本来素人もいいはずの技能も達人のそれに姿を変える。
アスファルトを擦るようにして路地の中へと入り込む。一連の動作に音が生まれる余地はなく、わずかも遅れず続くゴウトとライドウも、物音を立てる愚は犯さなかった。
問題があるとすればひとつ。誰とも知れぬ足音が近づいてきていることだ。
199 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 20:09:19.50 ID:kYw784LDO
ゴウト「気づいているか、この足音」
「ええ、どなたかしら」
ゆったりとした仕草で顎に手を添える。
卜占で定めた通りに道を選び、大通りから曲がった路地まで進んできた。順調だ。懸念していた大通りもどうしてか無人で、ほとんど隠行の必要もなく素通りだった。
そこにこの足音。どう動くべきか。
ゴウト「どうする? 大通りの向こうからだ、息を潜めていればやり過ごせると思うが」
ゴウトが尤もな意見を口にする。危険性の低い合理的な案である。この場で隱遁に全力をそそげば、余程察知に長けた存在でもない限り欺ける。
悪魔の根城であろうと魔王に分類されるような化け物は稀だし、準じる存在もそう居ない。とりあえず武力行使は最終手段、保険にしおくとしてゴウトの案に従おう。そう思って、――考え直す。
200 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 20:15:31.82 ID:kYw784LDO
「まあやり過ごすのが最善でしょうけど……あら」
一応の確認程度に賽を振る。ごくごく短期的な吉凶を占う術式だったが、結果は想像以上にはっきりと出た。それも、全くの逆方向に。
路地裏から歩み出る。
ゴウト「まさか出ていくつもりか?」
「うまくいけば中枢まで一っ飛びですわ。 もし下手を打ったら見捨ててくださいな」
本来なら時間をかけて議論するべき場面だが、悠長に説明している時間はなさそうだった。
失敗すれば切り捨てろ。その言葉に嘘はない。精々囮として働く程度はこなしてみせる。
それが独断専行する上で自分に課す、最低限の心構えだった。
三十秒もすれば息せき切って悪魔が駆けてくる。数は一体。クシナダヒメは敵意を極力抑えて話しかけた。
201 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 20:18:02.16 ID:kYw784LDO
「はあっ、はぁっ……た、助けてくれ! 訳のわからない奴らが攻めてきた!」
「訳のわからない奴ら?」
「本当にわからねえんだ! ニヒロじゃないし、こそこそしてる天使共でもねえ! どこの街の連中だ、クソッ!」
口振りからしてマントラに属す悪魔なのだろう。東洋に広く伝わる鬼を思わせる見た目で、二本の鋭い角が頭部に屹立している。
彼はひどく怯えていた。付随して混乱も激しく、こちらを味方だと思い込んでいるようだった。
「他に特徴は?」
「と、とにかく気味が悪い奴らだ……腕を吹き飛ばしたってのに恍惚としてやがるし……だるまになってもケタケタ笑いながらすりよってきやがる! なんなんだアイツら、普通じゃねえよ!」
魔界ではそう珍しくもない光景に思えたが、こうまで言わせるとは只ならぬものを感じる。
しかし、本当に襲撃があったのか。彼の話によると戦闘は四方に設置された砦、街の外縁で行われているそうだが、いまいち信用しきれない。もうかなり中心に近いここでは、音で判断はつかないのだ。耳を澄ましても聞こえてくるのは不思議な鐘の音色くらい。
202 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 20:27:02.99 ID:kYw784LDO
とはいえ、事実大通りは不自然なほどがらがらであるし、それに、目の前の悪魔の怯えよう。とても演技には見えない。真に迫ったものがある。
罠か、思いがけない好機か。賭けだが思い切って乗ってみることにした。事実であれば相当な混乱が予想されるし、機に乗じて中枢まで近づけるかもしれない。
マントラらしき悪魔は本営内部への同行を求めてきた。有り難い申し出だ。こうなれば毒を喰らわば、である。
路地からこちらを窺うライドウとゴウトに目配せし、ショウヘイと名乗った悪魔についていく。
不安を紛らわそうとしているのか。道中、彼はやけに饒舌だった。
「アイツら一体なんなんだ……あんな奴らがいたのか」
「心当たりがありませんの?」
「ああ。ニルヴァーナだ、無原罪がどうたら抜かしてたが……うーん」
「何か?」
「いや、何でもねえ。にしてもアンタ、見かけない顔だな……どこの所属だ?」
少しずつ平静を取り戻しつつあるのか、見覚えのない顔に反応したようだ。
茶飲み話でもするような雰囲気で訊いてくる。
「あらご存知ない?」
致命的な疑惑をかけられている風ではなかったので素知らぬ顔で返す。
とはいえ、一歩間違えば決裂である。いつ仕掛けられても対応できるよう準備はしておく。
「あ〜……まあ多少知らない顔がいても……ん? ああそうか。 アンタ、最近夫婦で入ってきたっていう奴だろ。 確か……アメノウズメ、だっけか」
「アメノウズメ?」
思わず振り向き、繰り返す。知らず立ち止まっていた。
「ありゃ違ったか。 見た感じそれっぽいなりしてるからてっきり……」
「……いえ。ちょっとした知り合いなものですから。 ただ、その方とわたくしは別人ですわ」
同郷の悪魔もいる。予想していた事態ではあったが、思いの外ショックは大きい。複雑な感情。力なく歩き出す。
203 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 20:29:34.47 ID:kYw784LDO
「ふうん、……何か顔色が悪いぞ、大丈夫か」
「ああ、いえ……個人的に受け付けない方なものですから。あと生理的に」
お前らの間に何があったんだ、という感じで見てくる目を曖昧に笑って誤魔化し、話の続きを促す。
あれは存在が猥褻物陳列罪な上に猥褻まで犯す隙のない重犯罪者だが、別段邪魔翌立てしてくるような輩ではない。
根の国からは既に受け入れを拒否されているし、発作じみた猥褻は高慢な皇祖神すら女官を盾に逃走を図らせるほどだが、それさえ我慢すれば基本的に無害な存在なのだ。
ただ、用が済んだらできるだけ早くここを離れようと思った。
「……ま、いいけどよ。 神様ってのにも色々いるんだなあ」
苦笑気味に強面が笑う。面貌は鬼そのものにも関わらず、受ける印象は柔らかった。そこには少年のようなあどけなさも同居している。
マントラに属す悪魔といえば力の信奉者で他者を寄せつけない印象があった。聞いていた話と随分違う。悪魔にこう言うのもなんだが、意外と人間臭い。クシナダヒメは、そういう気性が嫌いではなかった。
204 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/01(金) 20:45:28.54 ID:kYw784LDO
>>194
あります!
マニクロのライドウがスキルで使役する仲魔がとりあえず候補ですが、その二体は確定してます
投下の方ですが一旦切ります
この先が推敲終わってから投下する予定です
HTML化ギリギリになりましたが何とか間に合ってよかった……
205 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 21:10:20.22 ID:36vXlezLo
着てたー!
書き終わってなくてもちょくちょく来てくれると嬉しいな!!!
206 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/01(金) 21:59:04.84 ID:lNiOJQcso
スレがパトられる前に来てくれたか乙
サルタヒコは龍の眼光持ってるから怖いよな
バックアタック→龍の眼光→暴れまくりor地獄突き で何度やられたことか
207 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/02(土) 08:57:47.45 ID:raTU9AcDO
「ところで貴方はどこの部隊?」
「へっへへ、聞いて驚くなよ。 トール様の直属だ」
トール。記憶が確かならマントラの重鎮である。とすればこの悪魔は、こう見えて生え抜きの猛者なのだろうか。
誇らしげに胸を張っていた彼だが、一呼吸置いて肩を落とす。
「……つっても、部下のそのまた部下だがな。 知らない奴だとつい見栄張っちまう。 アイツの下ってのが、いまいち納得いかなくてよ」
「アイツ?」
「チエ……様だよ。 ほら、ヤクシニーの」
仲間面しているが実際は赤の他人である。さっぱりだった。
とは言うものの、尻尾を出すわけにはいかない。
欲をかきすぎるのは危険だが、できる限り情報を絞りだしておきたかった。
208 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/02(土) 09:02:20.62 ID:raTU9AcDO
「あまり好ましくは思ってらっしゃらないようですわね」
「まあ……な。 所詮力で劣るおれは逆らえないけどよ、それにしたって甘っちょろいからな。 愚痴を漏らしたくもなるぜ」
マガツヒの供給源として捕らえたマネカタに擁護的な姿勢を見せたり、戦場で捕虜にする必要もない敵に降伏を呼びかけたりするらしい。
部下としては扱いづらい存在のようだ。上司になってもやりにくいだろう。そもそも兵士に向いていないとも言える。
トールはそれでも重用しているというが、上の方針に従えない兵士など不要ではないだろうか。補って余りある長所があるのか、また別の理由か。
これオフレコで頼むぜ、などと念を押されるが、オフレコとは何だったか。首を傾ぐ。
確か最近の人間が使う、ハイカラな言葉だったはずだ。
最近は次々に新しい言葉が出てくるから困る。なぜ日本語から逸脱していくのか。
とりあえずオフレコなのである。分かった気になっておく。後でゴウトかライドウに聞いておこう。さらりと後に回し、更なる情報を聞き出す。
209 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/02(土) 09:05:17.34 ID:raTU9AcDO
ガネーシャは抜き身の刀を思わせる気迫を漂わす、百戦錬磨の老将。
フレイという悪魔が持つ『スキーズブラズニル』は、伝説さながらの巨大な飛行船で、物資や人員はこれを使い運んでいる。
このところゴズテンノウが不審な言動を繰り返し、よく前線に出陣している。捜し物があるのではないかという噂だ。
ゴズテンノウが本営を頻繁に空ける、という話になって聞き返す。是が非でもそこは詳しく知りたかった。
「首領が居ない、というのは不安ですわね」
「ああ、本当に。 まあ……前線の奴らは喜んでるようだがな」
ゴズテンノウはマントラの、ひいては力の象徴なのだそうだ。
共に戦えることは最高の誉れであり、力という概念の権現であるかのようなゴズテンノウが、味方している。それは、マントラに所属する多くが渇望する『力』に肯定されるかのような、そんな感覚を与えるのかもしれない。
彼らにとってゴズテンノウは『神』であり、その崇敬は、もはや論理を超越したところにあるのだろう。目の前の彼もまた、ゴズテンノウを熱烈に信奉しているようだった。
210 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/02(土) 09:07:32.43 ID:raTU9AcDO
「まあ色々噂はあるが、ゴズテンノウ様なら大丈夫さ。 信じられるか? 慈しみを忘れてはなりませんなんてほざく仏を一撃で粉砕したんだぜ」
彼は思い出話を語った。本当に楽しそうに、自分が幾ら思っても口に出せなかった気持ちを代弁してくれたようだったと、涙すら流しそうな表情で語る。
「……あのお方なら、きっと変えてくれる。 腹の底じゃ誰も信じてない建前ばっか気にして……揃って真逆のことしてたクソみたいな世界も、きっと……」
しばらく何かに酔いしれているかのようだった。
やがて素面に戻ると、彼は気恥ずかしげに頬を掻いた。
「悪い。 なんか脱線しちまったな」
「気になさる必要はありませんわ」
貴方のことを少しだけ知れましたもの、とやんわり笑いかける。
それは建前だった。
自らのものを持て余している現状、他人の事情を気にかける余裕はない。
211 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/02(土) 09:09:40.51 ID:raTU9AcDO
「……へへ、アンタいい奴だな。 でも気をつけた方がいいぜ、お人好しはいつだって馬鹿を見るんだからよ」
お人好し、というのは相手を揶揄して使うこともめずらしくないが、彼の言い方に悪し様な響きは感じなかった。
「そういう貴方こそお人好しなのではなくて?」
「ハハッ、おれはお人好しじゃねえよ。 ただ、良いことしてるはずの奴ほど馬鹿を見る、ってのが納得いかないだけさ」
そんな世の中狂ってる、と彼は言う。
「……そうね、本当にそうだわ」
お人好しだなんだいうのは完全に的はずれだが、そこだけは賛同できた。
「ん? 何ぶつぶつ言ってんだ?」
「いえ、なんでも。 それよりもうすぐ着きますわね」
話している間に、本営はもう目と鼻の先まで迫っていた。
「おお、そうだなあ。 不安だったが何事もなくてよかった」
「ふふ、不謹慎ですけれどお話楽しかったですわ」
これといって道中に障害はなかった。地理も事前に見せてもらった地図通り。
案内役としての価値はあれだが、情報に関しては掛け値なしに貴重だ。
あとは、入り口で門番にでも手こずればこの悪魔を消し飛ばし、その隙に乗り込むなりできる。
葛藤はなかった。
212 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/02(土) 09:13:17.34 ID:raTU9AcDO
「……っと、今さらだけど非常時だったな。 のんびりしちまった」
「仕方ありませんわ。 なんだかんだ言って取り乱していたご様子ですから」
「おれ達は兵士だ、そんなの言い訳にならねえよ。 ……いや、本当にすまねえ。 アンタまで巻き込んじまった」
申し訳なさそうに頭を下げてくる。とはいえ、それもまた見当外れだった。
確かに彼は急ぐことを失念していたようだが、それを伝えなかったのは気遣いなどではない。情報を絞りだしたかったからである。
「アンタの部隊までついていっていいか? どれだけ通じるかわからねえけど、説明するよ」
「気にしてませんわ。 今から急げばそれで構わないのですし」
「当然今から急ぐとして……それじゃあおれの気が済まねえよ。 アンタに落ち度はないんだ、それくらいはさせてくれ」
「……ふふ。 義理堅いんですのね」
頑なに主張するので押し通されてしまった。
無理してまで断る理由がなかったのもあるが、それにしても。
「じいちゃんの受け売りなんだけどよ、気持ちは行動で示せってな。 言葉でだけ謝ったってあんま意味ねえよ」
思った以上にまっすぐな性分のようである。少なくとも、性根が腐ったような輩ではない。
少しやりにくくなった。しかし、それで覚悟を鈍らすほどの優しさはもう、他人に対して発揮されることはなかった。
213 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/02(土) 09:17:33.89 ID:raTU9AcDO
「まあとにかく急ごうぜ、こうなったら一秒でも早く着かないと」
無言でうなずく。促されるまま、死角を選んで後ろを走った。
近代的な家屋が建ち並ぶ大通り。その長い直線を道なりに、突き当たりのT字路を右に曲がる。
そこで彼の足が不意に止まった。
「あれ……誰かいるな」
「あら、味方かしら」
「ありゃあ味方だ。 鬼で敵のやつなんて見たことねえ」
過信は危険だと思ったが、口にはしない。
とはいえ彼の背後から横に出て窺うと、彼とよく似た風貌の鬼がいる。
細部で少しずつ差異はあれど概ね同族、遠くても亜種といったところか。
「何してんだ、ぼうっと突っ立って……案山子じゃあるまいし」
T字路を右に抜けた先は再び長い直線があり、それを挟んで今度は三ツ又路がある。
件の鬼はその内の一つと向き合っていた。だが、その視線の先は建物の陰になっている。判然としない。
「……正面に何か、いるのかもしれません」
「何かって……」
「敵、かもしれませんわね」
目の前の彼がびくりと身体を震わせた。筋骨隆々の精悍な体つきなのに、今は小さく見える。それほど萎縮しており交戦したという敵から受けた恐怖がうかがえた。
「みてきましょうか?」
「いや……大丈夫だ。 悪いな」
味方とおぼしき鬼の背に並び立って向かう。
無論、自分にとってはその鬼も敵。後方のゴウトらを密かに確認しつつ、慎重に距離を詰めていく。
徐々に見えてくる人影。
件の鬼の真正面にいたのは、可愛らしい金髪の少女だった。
214 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/02(土) 09:21:39.52 ID:raTU9AcDO
切れ切れで申し訳ないですがこの先もまた推敲してから投下します
日を空けてしまったらすみません
生存報告だけっていうのはなんだか気が引けたんですが、日が空くようならちょくちょく顔だしますね!
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/02(土) 09:47:39.97 ID:w7bvAjJAO
乙
金髪の少女……
まさかアリスじゃないだろな アリスならオニさんバイバイだわ……
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 03:45:44.61 ID:+mh1hXkDO
アリス「ねえ、もう逃げないの?」
「ひっ……」
血色の悪い肌。ほっそりした小柄な身体に見合う、サイズの小さいワンピース。
青い袖に包まれた腕は、二つ人形を抱えていた。かき抱くようにそれぞれの腕が挟み込んでいる。
片や年端もいかぬ女の子、片や鬼。
幼子の心肝を震え上がらすに足る外見からすれば、女の子が鬼に襲われている。そう判断していたかもしれない、普通ならば。
しかし、間違ってもそんな発想は抱かなかった。
そこにあるのは厳然とした力関係。命を握る者と、握られた者。肉食の猛獣とその獲物にも等しい、圧倒的な力の差。
アリス「つまんない。 あのね、そろそろ死んでくれる?」
「ひっ、ひいいっ!」
悲鳴は鬼のものだ。
哀れになるほど震えた声、音程がひどく外れている。
後ろ姿から表情をうかがえなくとも、恐怖にうち震えていることは想像するに難くない。
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 03:47:28.65 ID:+mh1hXkDO
アリス「あれ?」
視線がこちらを向く。不思議そうな声。何もしていないのに大金が舞い込んできたかのような、思いがけない幸運を喜ぶかのように。
少女は、花ひらくように顔をほころばせた。
アリス「ねえねえ、そっちのふたりも遊んでくれるの?」
まずい。一目でわかった。
これは化け物だ。本能が警鐘を打ち鳴らす。
圧迫すら覚えるほどの顕在した力の壁。オーラとでもいうべき波動が、ひしひしと伝わってくる。
可憐な容姿など忘却の彼方に吹き飛ばされていた。
純粋な力だけでいえばライドウすら凌ぐ。彼自身の戦闘能力は悪魔召喚師としての全力を示さないが、それにしてもシブヤ近郊で察知した膨大な力に迫るものを感じた。
218 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 03:48:52.04 ID:+mh1hXkDO
アリス「もうっ、黙ってちゃわからない」
ぷっくりと頬を膨らまし何事か考えているようだったが、ほどなくして「あっ」と声をあげる。
悠長に会話している余裕などなく周囲を警戒していたのだが、その嬉しそうな声に応援が来ても確認すらできず凍りついていた鬼共々、視線を向けた。
アリス「そういうゲームかあ。 声をださせたらアリスの勝ちでしょ? そうだよね。 そうなんでしょう?」
さも閃いたとばかりに脈絡のないことを言い始める少女。その言動に狂気めいたものを感じ、ぞくりと戦慄が走った。
ほぼ脊髄反射的に火炎術式を撃ち込んでいた。完全にそうでないのは、理性すら警告したからである。
瞬時に練り上げ、少女目掛け飛来した炎の渦は、寸分の狂いもなく直撃した。瞬く間に一面を火の海へと変えていく。
その力は、かつて軟体の化け物相手に放ったものの比ではない。
誓約(うけい)により禁じられていた成長、その制約がなくなった今、マガツヒを取り込まずとも飛躍的な増強が見込める。
億を超える歳月を過ごした経験は飾りではない。誓約が解かれた現在、一足飛びに力を伸ばしていく。
限界までストックされた貯蓄に未だ肉体が追いついていないようだったが、今ならばこの少女からも逃げ仰せられる、
確信めいた予感があった。
219 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 03:53:53.19 ID:+mh1hXkDO
アリス「すごい炎…… こんなに熱い炎、ひさしぶり」
轟々と燃え盛る火の海から少女の形をした化け物が姿をあらわす。
べっとりとまとわりつくような視線が絡みつく。
アリス「ふふふふふ…… すごいね、こっちで見た中では一番かな」
唇の前に持っていった指をぺろりとなめ上げる。成熟した女性を思わせる仕草だった。妖艶さすら振りまいて、群青色の瞳を輝かす。
双眸は、こちらをとらえて離さない。
アリス「ふ、ふふふ……」
そのとき、少女が初めて自分を見た気がした。依然しがみつく猛火が渦を巻いて立ち昇る中、幻か何かを見るような視線が変わり、爛々と煌めく。
アリス「ちょっとだけ服焼けちゃった」
青い無地のワンピース、そのスカート部分をつまみ上げ、焦げ目がついたと見せびからす。
アリス「責任とってくれるよね? おじさん達言ってたもん、傷物にされた女の人は責任をとらせるんだって」
無論彼女は無傷である。
乾いた笑いがこみ上げてくるが飲み干し、索敵。油断なく視線を周囲に這わしていく。
敵方の応援は見当たらない。いるのは敵が三体。かかってくれば一蹴できそうな鬼二人は、銅像のように突っ立っていた。
220 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/03(日) 03:59:29.73 ID:+mh1hXkDO
鬼についてはこの際どうでもいい。脅して口裏を合わさせ本営入り口突破の材料にしたいが、背に腹は代えられない、命あっての物種である。
まずはどうにかしてこの少女を抑える方法を――。
轟音。前触れもなくあらわれた光の槍が大地を砕き、闇色の刃先を埋もれさせている。呼吸が止まった。
アリス「よそ見はダメだよ」
声と共に上空からブリキの玩具みたいな兵士が雨あられと降り注ぐ。舌を打つ。
なんにせよ、盛大に下手を打っている。トランプの柄を模した兵士が突き立ててくる槍をステップで慌ただしくかわし、投擲の追い打ちから逃れるために後転飛びを数回、その間にライドウに目線を送る。
約束は果たす。
意思を込めて飛ばし、うなずくのを確認する暇もなく横っ飛び、闇色の光槍を手に飛びかかってきた少女をかわす。
221 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 04:44:02.08 ID:jdUQagKKo
お2
222 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 05:29:24.88 ID:1oih55Ve0
おお来てた、待ってたよー
223 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 11:03:00.08 ID:JNuzXGeto
アリスか
クシナダヒメは呪殺耐性なかったよな?
224 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/03(日) 20:57:26.53 ID:+mh1hXkDO
一応ステータス貼っておきます
今のところテンポよくコンマ戦闘ができなさそうなので、もうちょっと様子見しつつやり方検討してみます
地母神族・クシナダヒメ(原型)
破魔反射、呪殺弱点
他の耐性ノーマル
スキル一覧(スキル限界枠8)
・テトラカーン(次のターン物理攻撃反射。 された側は行動順序判定を行い、物理攻撃反射時点でされた側のフェイズは終了)予定
・メディラマ(状態:負傷を二段階まで打ち消し。範囲は周囲の味方全体)
・毒針(戦況判定に補正+1。物理攻撃。対象は単体。別途判定成功で毒付与)
・マハラギオン(戦況判定に補正+2。火属性。範囲は周囲の敵全体)
・パララディ(状態:麻痺打ち消し)
・宝探し(非戦闘スキル)
・ヘッドハント(勧誘全般に補正+1)
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 21:06:34.04 ID:+mh1hXkDO
>>224
間違え
テトラカーン→マカラカーン
物理攻撃反射→魔法攻撃反射
あとクシナダヒメとは別にプレイヤーキャラ作ろうと思うんですがどうでしょう?
話的に一段落ついたら視点一旦切り替えるか、替えなくとも動きをコンマや安価で決めつつ内容に反映する感じにしようかなと
226 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/03(日) 21:16:54.90 ID:+mh1hXkDO
上げさせてもらいます
ちなみに話的に一段落っていうのはなし崩しな切り方じゃなく、折り合いがつくなりしてからになります
作成するプレイヤーキャラについては、安価やコンマでどこらへんを決めるか意見聞きたい
クシナダヒメが自由度低かった気がするので、行動原理あたりから決めるのもいいかなと
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 22:23:57.77 ID:jdUQagKKo
いいんじゃないかな
視点変更は
>>1
がやる感じで
228 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/03(日) 22:24:34.08 ID:jdUQagKKo
あ、とりあえず行動方針決めて、それっぽい悪魔をーで、いいんじゃないかな
229 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/04(月) 22:18:01.99 ID:xwnKHeiDO
ご意見助かります!
それじゃあ、プレイヤーキャラは作成する方向でいきますね
明日の夜10時ごろ来るのでそのときに
とりあえず今日は書き溜めしてきます
230 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/05(火) 22:11:34.54 ID:88BP86mDO
あげ
誰かいますか?
231 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:14:14.13 ID:rbdGscTro
ヒーホー
232 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:14:46.09 ID:ruXavR4vo
うい。
233 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/05(火) 22:18:33.74 ID:88BP86mDO
よかったいましたか
それじゃキャラ作成スタートします
――――あなたは何者?
1、悪魔
2、人間(受胎時、新宿衛生病院に居た理由が必要)
3、その他
>>235
234 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:21:23.28 ID:ruXavR4vo
1
235 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:21:33.20 ID:iQOYjRHNo
デビルサマナー
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:21:41.36 ID:rbdGscTro
1
237 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/05(火) 22:25:52.49 ID:88BP86mDO
>>235
サマナー入りました
――――種族は?
1、人間
2、悪魔(?) ライホー的なナニカ
3、その他
安価
>>239
238 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:27:35.99 ID:rbdGscTro
1
239 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:28:32.70 ID:oc6ehwSL0
1
240 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/05(火) 22:31:42.67 ID:88BP86mDO
>>239
人間
デビルサマナーになった理由、あり続ける理由
自由安価
>>242
241 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:34:10.62 ID:rbdGscTro
ksk
242 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:34:25.91 ID:iQOYjRHNo
友達が人修羅になってその相棒として
243 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/05(火) 22:39:46.43 ID:88BP86mDO
>>242
なるほどそうきましたか!
受胎してからデビルサマナーになる決意をしたってことでしょうか?
サマナーとしてのスタイルは――?
1、ライドウを始めとした昔ながらのスタイル
2、ハイテクヒーロー
3、その他
安価
>>244
244 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:41:15.21 ID:oc6ehwSL0
2
245 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/05(火) 22:47:11.08 ID:88BP86mDO
>>244
ハイテクヒーホ、…ハイテクヒーローですね
各人物との関係性
人修羅
>>245
新田勇
>>246
橘千晶
>>247
ヒジリ
>>248
氷川
>>249
祐子先生
>>250
1ほど見知らぬ他人、0ほど(好悪に関わらず)関係が深い
かなりコンマ判定多いのでどんどんとっちゃってください
246 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:48:31.94 ID:iQOYjRHNo
友達以上恋人未満
247 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:51:55.50 ID:B+AlyR5mo
へい
248 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:53:01.83 ID:rbdGscTro
そい
249 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:54:14.71 ID:B+AlyR5mo
アマラ!
250 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 22:56:10.88 ID:rbdGscTro
00
251 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/05(火) 22:59:13.99 ID:88BP86mDO
人修羅 8
新田勇 4
橘千晶 0
ヒジリ 3
氷川 1
祐子先生 8
おお、主人公の同級生だとしたらかなり自然な感じに
そういえば性別忘れてました、安価
>>252
1、男
2、女
3、性別不詳
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:00:12.18 ID:oc6ehwSL0
2
253 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/05(火) 23:05:54.10 ID:88BP86mDO
>>252
女
続いて肩書き、立場、地位
自由安価
>>254
と
>>255
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:14:48.06 ID:oc6ehwSL0
学生
人修羅たちと同級生で同じクラス
ごく普通の家庭で育った
255 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:15:53.36 ID:iQOYjRHNo
中学生、悪魔の知識はある、人修羅と同じクラス
256 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:16:00.15 ID:B+AlyR5mo
デビサマやってないからよくわからん
「新宿の鳳凰」という肩書を持った高校生で、ネットなどを通じて他のサマナーと交流があった
みたいな?
257 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:17:03.67 ID:iQOYjRHNo
間違えた、高校生
258 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/05(火) 23:21:28.48 ID:88BP86mDO
>>254
で
>>255
高校生、人修羅と同じクラス。ごく普通の家庭で育ち、しかしある日“悪魔”という超常の存在を知る。
“悪魔”を知ったきっかけは?
>>258
259 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/05(火) 23:22:04.79 ID:88BP86mDO
しまったミス
自由安価
>>260
260 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:23:19.57 ID:B+AlyR5mo
悪友からの噂話
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/05(火) 23:32:32.77 ID:88BP86mDO
>>260
悪友からの噂話で“悪魔”の存在を聞き齧ってはいた
最後にデビルサマナーとしての素質レベル
01〜00のコンマ下二桁で判定します
>>263
この判定おわったら今日のところは終了、
今までの内容基にして、幾つかキャラ案出しますね
その中から多数決なりで決めていく予定です
皆さんお付き合いありがとうございました!
明日かあさってにはキャラ案出せるかな よろしくお願いします!
262 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:34:18.37 ID:LB7Yi7Yb0
ksk
263 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:34:32.46 ID:iQOYjRHNo
おら
264 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/05(火) 23:46:53.39 ID:88BP86mDO
>>263
46 平凡ちゃん
受胎後に目覚めてからの行動、ハイテク手に入れた経緯云々はキャラを決めてから追々。
何はともあれお疲れ様です。皆さん、あらためてありがとうございました!
265 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:47:31.60 ID:B+AlyR5mo
乙 期待してるよ
266 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/05(火) 23:48:39.25 ID:iQOYjRHNo
人修羅自体は男だっけ?それとも安価?
267 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/06(水) 00:00:24.45 ID:rAgPmlVDO
人修羅は男の予定です。学生組が男女比一致しますしちょうどいいかなと。
もし二週目以降で人修羅がプレイヤーキャラになったら、男女選べるようにしようかな?
これといってこだわりないので
>>1
としてはどちらでもOKです。
268 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/06(水) 01:39:00.11 ID:E0Kaj3SKo
いや、人修羅はそのままでいいかと
269 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/06(水) 16:49:17.03 ID:V4LctviSo
人修羅が女とか違和感しか無いな
270 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/06(水) 17:32:48.04 ID:rAgPmlVDO
女版人修羅はいらなそうですね
ちょっと安心しました
キャラ案(+初期悪魔)ですが、今日の夜10時か遅くとも11時には発表します
あと新宿衛星病院にいた理由って、お見舞いの付き添いでいいですか?
また10時ごろきます
271 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/06(水) 22:51:13.04 ID:rAgPmlVDO
キャラ案出します
パターンA
「うわあ……大変なことになっちゃった。 でもまあ幸い、知り合いはいるみたいだし。 やれることはやっとこうかな。 ……勇くん? うーん、あの人はちょっと苦手だなあアハハ」
解説:
都内の高校に通う少女。人修羅と同じクラス。
明るく勝ち気な言動が目立ち、イベントには率先して参加する。クラスのムードメーカー的存在。
交遊関係も広く社交性がある、と周囲には受け取られているよう。
しかし、その実態は……。
初期悪魔:【妖精】ピクシーor【神獣】マカミor【妖精】ジャックフロスト
272 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/06(水) 22:52:19.42 ID:ONdhraSZo
ヒーホーで
273 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/06(水) 22:53:40.54 ID:GRD1pwneo
ラッキータイプでお願いします
274 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/06(水) 23:08:22.47 ID:rAgPmlVDO
パターンB
「そう……彼が、人修羅。 千晶もこっちに来ちゃったんだね。 ……大丈夫、機械の扱いは割と得意だから」
解説:
やはり都内の高校に通う少女。人修羅と同(ry 。
物事に対する反応は淡白で割かし無口。弁が立つ、とは言い難いようである。
千晶のことを無二の親友だと思っており、ボルテクス界に投げ出され戸惑いつつも、元気をなくす一方の彼女を心配している。
また、人修羅には一定の信頼を置いており、前々から彼のことは悪からず思っていた。
ボルテクス界にあっても誠実さを失わない彼と協力すれば、荒廃したボルテクスの現実もきっと塗り変えられる。
そう頑なに信じ、今日も彼女は歩き続ける。
初期悪魔:【妖精】ピクシーor【魔獣】ネコマタor【妖精】ジャックフロスト
275 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/06(水) 23:46:39.21 ID:rAgPmlVDO
パターンC
「……赦せないよ、こんなことしたやつ。 たとえ世界を造り変えるためだとしても…… 前の世界がもうどうにもならなくなってたんだとしたって…… 今そこにある幸せを踏みにじっていい理由にはならない。 その報いだけは受けさせる、絶対に。 それはそう、――――ご飯、できた?」
解説:
都内の高校に通(ry 。
ごく普通の家庭に育ち、現状と将来に悩みや不安は抱えていたが、それでも以前の生活にはそれなりに満足していた。
トウキョウに散らばる思念体、ひいてはかつての人類が創世を望み、変革を求めていたのだと知っても、以前の生活への未練を断ち切れず葛藤している。
彼女の歩む先に待ち受けるのは正義か復讐か……。
余談だがよくお腹を空かせている。燃費が悪いらしい。
家事全般に破滅的な才能を発揮するため、周りは頑として家事をさせようとしない。
初期悪魔
【魔獣】ネコマタor【女神】サティ(瀕死)or【妖精】ジャックフロスト
276 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/06(水) 23:54:12.30 ID:rAgPmlVDO
遅くなりました、以上三つになります
うっかりメモ消しちゃって書き直しに時間食ってました
例えにわかと言われようとジャックフロストは外せねえ(迫真)
それはともかく、初期悪魔についてはどれ選んでも戦闘能力は大差ない、と考えてもらって構いません。
マガツヒ食ってけば同じくらいの効率で成長しますので
……手間取ってた間に無人だったり?
多数決で安価とりたいんですが大丈夫でしょうか
277 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/06(水) 23:55:03.17 ID:k867JqQV0
ここに一人
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/06(水) 23:55:44.58 ID:cmvUrlXH0
おk
279 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/06(水) 23:59:50.83 ID:V4LctviSo
こい
280 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/07(木) 00:01:15.89 ID:AleuMm9DO
よかった じゃあ安価とりますね
↓5つまでの安価 多数決
重複投票はすみませんがご遠慮ください
A B Cのどれかで回答願います
281 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:01:38.79 ID:XOritck7o
B
282 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:02:13.00 ID:zMTk9HJq0
B
283 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:02:21.14 ID:WuAWRPhxo
B
284 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:02:58.73 ID:GzmjJHfB0
B
285 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/07(木) 00:05:01.93 ID:AleuMm9DO
ストレートで確定……だと
Bに決定しました
初期悪魔も今日決めます?
286 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:06:15.33 ID:GzmjJHfB0
決めよう
287 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:06:31.23 ID:XOritck7o
おっけー
288 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/07(木) 00:08:49.88 ID:AleuMm9DO
では安価↓5つまでの多数決
A 【妖精】ピクシー
B 【魔獣】ネコマタ
C 【妖精】ジャックフロスト
ABCのどれかでお答えください
289 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:09:17.49 ID:GzmjJHfB0
C
290 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:09:24.11 ID:WuAWRPhxo
A
291 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:09:30.69 ID:XOritck7o
Bで
292 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:09:53.01 ID:zMTk9HJq0
A
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:14:15.74 ID:bIY0xwjko
B
294 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:15:40.10 ID:4dE5d1iyo
B
295 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/07(木) 00:16:11.74 ID:AleuMm9DO
A:2
B:2
C:1
AとBが同率ですね
うーんどうしましょう?
296 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:19:07.61 ID:GzmjJHfB0
↓3でもう1回多数決とるか
>>294
も含めてネコマタに決定するか
いっそのこと
>>1
が好きなほう選ぶってのはどうかな?
297 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:19:16.10 ID:XOritck7o
コンマ偶数奇数でいいんじゃね?
298 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/07(木) 00:25:11.92 ID:AleuMm9DO
それじゃあ直後の一つも入れて、初期はネコマタということで
あくまで初期ですし、希望あるようならピクシーやジャックフロストも後々、という形も考えておきますね
ともあれ安価ありがとうございました!かれこれ一時間近く、感謝です!
299 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:25:49.11 ID:4dE5d1iyo
ニャー!ステキ!
300 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:27:17.75 ID:zMTk9HJq0
乙
301 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:27:20.22 ID:GzmjJHfB0
乙
302 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 00:28:36.05 ID:XOritck7o
乙
303 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/07(木) 03:07:27.64 ID:AleuMm9DO
アリスのステータス載っけようとして忘れてました
【魔人】アリス
火炎、氷結、電撃、衝撃に強い
銃撃・精神無効
呪殺吸収
スキル
・マハ・ムドオン
・マリンカリン
・ペトラ
他
一応ライドウ版仲魔基準です
あとこれから地母神族、とか言ってたの【地母神】みたいに統一します
今までの食い違いは……すみません
304 :
休憩中の投下なので前言なく途切れるかもしれません
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/08(金) 15:42:51.98 ID:05JPvTHDO
>>220
約束は果たす。
意思を込めて飛ばし、うなずくのを確認する暇もなく横っ飛び、闇色の光槍を手に飛びかかってきた少女をかわす。
繁華街の道幅はゆとりがある。見る間に十メートルほど間合いが開く。
どうにか凌ぎきった。そう思いかけた瞬間、唸りを上げて刃が飛び込んでくる。
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/08(金) 15:44:54.04 ID:05JPvTHDO
「――はあっ!」
クシナダヒメは咄嗟に槍の柄目掛け針を投擲し、無理やり軌道を反らす。眼前まで刃先が迫っていた。
アリス「っ!」
いつの間にか目の前にあらわれた少女が、ほんの僅か硬直し、目を見開く。
空間跳躍じみた移動。
今の一撃で仕留められる、そう確信していたのかもしれない。
こちらも、身を捻って回避しようものなら槍の鋒先に絡めとられ、無惨な結末を迎える、そんな確信があった。
少女に一瞬の隙が生じる。だが、敢えて攻勢には回らず、防御に専念した。
一息に数回、申し分のない威力を持つ刺突が繰り出され、間髪いれず横薙ぎ。
忽ち引き戻した穂先でまた刺突、突き上げと。絶え間なく襲う。
その全てを、向上した身体能力と小細工を駆使して捌き切り、距離をとる。
乱れた髪を無造作に振り払った。
「問答無用で串刺しにするのは、バーベキューだけにしてもらいたいですわね……まったく」
アリス「っ! やっと口聞いてくれた! ねえねえ、もっとお話しよう?」
ぽつりと漏らしただけなのに目敏く聞きつける。
それも、口にされる言葉といえば、あまりに見た目通りのもの。
頭が痛くなった。
306 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/08(金) 15:46:20.92 ID:05JPvTHDO
「やったあ!」と飛び上がる少女は外見相応には可愛らしい。
しかし、その棘はアスファルトごと大地を粉砕する危険物である。
か細い腕が棒切れのごとく振り回す槍。それが、身の丈を超えて余りあり、魔王すら槍下にしてしまえそうな貫通力を秘めている。
冗談みたいな話だ。
外見にそぐわない卓越した槍さばき。風を切り、一切の無駄が省かれた軌道を描くそれは、明らかに不心得者の業ではない。
何より、そこらの木っ端悪魔など比較にならない、純然たる力。
いつしかトランプ兵は消えていた。手心を加えられているのか、単に維持しておけないのか。
定かでないが居ないに越したことはない。
時間稼ぎしたいこともあり、クシナダヒメは会話に乗った。
307 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/08(金) 15:48:23.58 ID:05JPvTHDO
「できれば戦いたくないのですが、そのあたりはどうかしら? こちらとしてもある程度なら要求を飲みましょう」
アリス「じゃあ死んでくれる?」
「交渉決裂ですわ」
小さく嘆息する。代替案でも考えているのか、少女はしかめっ面で唸りだす。
都合がいい。何もいわず待つ。
やがて閃いたか、ぱあっと顔を輝かせた。
アリス「うーん。 じゃあねー…… そうだ! お姉ちゃんも一緒に“そうせー”ごっこしようよ!」
光の槍をくるくると手で弄び、片腕に集めた人形を掲げる少女。
「ソウセー?」
アリス「うーんとね、世界を好きなように造り変えるの。 世界のあり方を端的に示す“コトワリ”が必要で…… だから、具体的じゃないとだめなんだって」
聞き返してみるが、そのぶん混乱が深まった。
「……ごめんなさい、仰っている意味が、よく」
アリス「もう、ちゃんと聞いてた? しょうがないなあ……」
もう一度だけ説明してあげる、と少女は得意げに笑う。
すっかりふんぞり返っていた。
少しだけ、微笑ましい。
308 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/08(金) 15:53:57.38 ID:05JPvTHDO
「お、おいアンタ、大丈夫なのか……?」
しかしそこに、声が掛かる。
「…………」
「怪我、はなさそうだな。 ……すまねえ、何もできなかった」
声の主は蚊帳の外にいた鬼の一人、ショウヘイだった。苦虫を噛み潰すように渋面を浮かべ、謝ってくる。
未だ困惑から立ち直れない様子で、右往左往する視線。
激闘が一旦沈静化して間もなく、少女の気分次第でいつ崩れるともしれない。そんな仮初めの平穏だったが、彼はこの場に留まることを選んでいた。機に乗じて逃げず、おそらくは、注意が向いて標的にされることもおして。
その陳謝にクシナダヒメは閉口した。
建前で返すことは容易い。気にしてなどいない、仲間ではないか、と表面上寛容な台詞を吐いて、信用を得る。そのうえで利用し、切り捨てる。
そうすることは容易かったし、無理なことだとも思わなかった。
今までもそうしてきたように。
肩を並べて戦った者が預ける背中を刺し、恐怖におののく顔を無慈悲に踏み砕く。同じことは、何度も繰り返している。
強いて違いを挙げるとすれば今までは人間で、今度は悪魔。だがそれにしても、決断を揺るがす要素には到底なり得ない。
相手が悪魔であること、人間であること。同じことだからだ。よしみで贔屓することはあったとしても、倫理観が左右されることはない。
虫も、人間も、悪魔も、獣も。等しく殺生であり、利用である。昔から変わらない、絶対の価値観。
人間が同族に対してそうするように。社会的な制裁を加えることはあれど、本質には如何ほどの違いもない。クシナダヒメはそう考えていた。
しかし一方で、その陳謝は少女の逆鱗に触れる。
得意げな笑みがみるみる薄れ、不機嫌そうに歪んでいく。
向かい合う鬼の顔を、気づけば横殴りに放たれた闇色の球体が消し飛ばしていた。
309 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/08(金) 15:56:45.53 ID:05JPvTHDO
アリス「お姉ちゃんと話してるのはアリスだよ。 邪魔、しないで」
消された鬼、ショウヘイは塵も残らなかった。
もう片方の、名も知らぬ鬼はとっとと逃げている。それが賢明な選択というものだった。
アリス「ふふふふ…… これで静かになった。 それでね、お姉ちゃん」
顔を振り向かせ、少女は再びこちらに視線を送る。
謝る、などというくだらないことの為に残った間抜けはもう居ない。それが悪魔の跳梁するボルテクスという世界だった。
さっさと逃げればいいものを。少しだけ胸が締めつけられた。
アリス「その“そうせー”っていうのに興味ない? 一緒に遊んでくれるなら、アリスが口聞いてあげる」
邪魔者が居なくなって満足したらしく、当の少女は先ほどのように笑みを浮かべ話す。
口を聞いてあげる、とは誰にか知らないが居るのだろう。何らかの組織に属しているのかもしれない。妥当なところで件の襲撃側か。
310 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/08(金) 16:00:09.55 ID:05JPvTHDO
「ふふ…… 仲間を殺されたから遊んであげない、と言われるとは思わなかったのかしら?」
アリス「え?」
何かおかしかったのか。少女は目を丸くして、心底意外そうにこちらを見た。
アリス「仲間じゃないよね? だってお姉ちゃん、あの人のこと、どうでもいいって感じに見てたもん」
「…………」
アリス「仲間をそんなふうには見ないよね。 仲間は大切なものだから」
「……そうですわね、確かに、そう」
少女の言葉が突き刺さる。正論だった。他に言い様がない。
アリス「ふふ、変なお姉ちゃん。 それでアリスと遊んでくれる?」
「……それは」
言葉に詰まる。どうしてか断わってしまいたい衝動がある。しかしそれでは、時間稼ぎできない。最悪死んでしまう。
ただでさえ強大な存在なのだ。それどころか、力の相性まで悪い。
神として光の側面が強い自身は、とある一神教でいう神の子であるヒト同様、破魔属性の攻撃にはめっぽう強い。
しかし反面、呪殺属性や、メギ系――唯一神の怒りの顕現としての、太陽にすら匹敵する超高熱の光には、ヒト同様抗えないのだ。
メギ、メギド、エルエロヒム、エリコ、メギドラオン。
本来メシア教の使徒が扱うそれらは鬼門。
そして、少女の放つ攻撃には呪殺の属性が付加されていた。槍の一撃から先に見せた闇色の球体、最悪なことにトランプ兵が繰り出すものに至るまで、例外なく。
運が悪ければあっけなく、それこそ蝋燭の火を吹き散らすように、死ぬ。
それだけは、絶対に避けなければならなかった。
だから。
311 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/08(金) 16:03:33.41 ID:05JPvTHDO
ゴウト「――――その必要はない。 何故なら、彼女は既に我らと“遊んでいる”」
後ろから不意に答える声が上がった。弾かれるように振り返れば、ゴウト、そしてライドウがアスファルトを踏み鳴らし、歩いてきている。堂々たる姿が眼に映った。
ゴウト「お引き取り願おう。 重ねて言うが、彼女は我らと行動を共にしている。 そして我らはお前と組む気はない、魔人アリス」
彼女と“遊ぶ”というならまず我らとの関係を解消させるのだな、そう不敵に笑い、緑色の瞳を少女に向けるゴウト。
水を差される形となった少女は鬱陶しそうに眉をひそめた。
アリス「……なに? 呼んでないから、あっちいってよ」
ゴウト「成る程、しかし我らも退けぬのでな。 どうにかしたければ先のように消し飛ばすしかあるまい」
アリス「…………」
黙りこくり、おぞけが走るような目でゴウトをねめつける。
そこには純粋な敵意のみがあった。
敵意は苛烈さを増して殺気に変わり、射抜くような鋭さを帯びている。それでも行動に移さないのは、一筋縄でいかないと見抜いたからか。
「先に向かわれたのでは……ありませんでしたの?」
一方、クシナダヒメはがく然としていた。
とっくに離脱しているものとばかり思っていたからだ。
312 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/08(金) 16:06:12.94 ID:05JPvTHDO
ゴウト「……俺は止めたのだがな。 ライドウが言って聞かんのだ。 仮初めとはいえ、仲間をみすみす死なすわけにはいかない、とな」
これがなければお目付け役として文句のつけようがないんだが、とぼやくゴウト。しかし彼の素振りから、本気でそれを嫌っていないのは瞭然だった。
「……そう」
短く答え、うつむく。砕けかけのアスファルトが眼前に広がった。
自分ならあっさり見捨てただろう。もし逆の立場であれば、こうはならなかった。
保身の為に多くが選ぶ道。
それを間違いだとは思わない。
しかしそれをしないひた向きさは、思い出に残る、かつて愛した人々に通ずるものがあった。
おもむろに顔を上げる。
ゴウト「さて、悠長に話している暇はない。 早いところ片をつけて、とびきり渋いカフェオレを啜りたい」
最近嵌まっているのだ、とゴウトが暴露する。それはどうでもいいことだったが、クシナダヒメはうなずき、針を構えた。
頭の中におのずと浮かぶ、少女から逃げ仰すイメージ。
漠然としていたそれは、確固たるものに変わっていた。
313 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/08(金) 16:07:05.05 ID:05JPvTHDO
いったん投下きります
次は少しだけ過去の回想挟む予定です
314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/08(金) 16:25:57.93 ID:r5qxw5kE0
乙
315 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/08(金) 17:51:53.08 ID:05JPvTHDO
>>308
訂正
本質には如何ほどの違いもない。
↓
本質に些かの違いもない。
ところで一つ相談なんですが、戦闘とかコンマや安価でやる案ってないでしょうか?
もしあったら、参考にさせてください
その他要望、指摘、感想等々、参考になるのでしてもらえると喜びます
316 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/08(金) 18:03:55.53 ID:05JPvTHDO
あ 戦闘のやり方についてですが、些細な(部分的な)案で大丈夫です
たとえば魔界魔法やアイテムの効果はこうしたらいい、みたいに
途方に暮れてるのでどうかご協力願います
317 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/08(金) 19:58:27.51 ID:gsA3O7dw0
ハマ系やムド系とか処理難しそうだしね
無理に全部だそうと思わずにいままで通りのシステムで行くって手もあるんじゃないかな
318 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/08(金) 22:11:25.71 ID:dyITS8ppo
ムドとかはコンマ20%とかでやればどうにかなりそうな気もする。技は4つまでにして選択式の安価+命中コンマにするとかでいいかと。
319 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/09(土) 02:52:51.42 ID:vQaZIkrDO
おお、参考になります!
今まで通りかもっとシンプルに、がおおざっぱな方針として良さそうですね
参考にしつつ練り込んでみます
引き続き、というか常時意見募集しております
お気軽にどうぞ
320 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/09(土) 16:33:21.15 ID:enXVK1H10
ハマムドもだけど状態異常もコンマ判定でいけるかな?
321 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/09(土) 20:36:35.60 ID:vQaZIkrDO
大陸へと通じる大海原の沿岸にあるその村は、このところずっと、季節外れの雨に見舞われていた。
降り始めから数えたらもう一週間にもなる。
七月になったというのに往生際の悪い梅雨だ。
村人たちはそんな冗談を叩き合い、最近まことしやかに囁かれる噂に興じていた。なんでも西の大陸から異人たちが落ち延びてきたのだという。
「ねえねえ、ソレー様。 ソレー様はどう思う? そいつらってぼくらをシンリャクしにきたんだって」
「はあ、そんなことを言っている暇があったら家の手伝いでもしてほしいのですが」
村のちょうど中心になるよう建造された家屋。
ソレーと呼ばれた女はその書斎で、暫く走らせっぱなしだった筆を置き、呆れたふうに言った。
「そんなこといってもやることないもん。 ずっと雨だから土を耕したりできないし、家ですることはもうやっちゃったから」
「……うーん、本当みたいですね。 ならまあ仕方ない、ですかね」
ソレーは自宅に押しかけている村の子どもが嘘をついてないか、心の声を聞いて確かめた。
それは村の誰もが持っていない力で、それ故ソレーは村人から敬称されていた。
世が世なら他心通と呼ばれる、仏や菩薩が持つとされる神通力である。
322 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/09(土) 20:41:15.11 ID:vQaZIkrDO
「うう……うたがうなんてひどいよ、ソレー様」
「お黙りなさい! この前言付かった用事をほっぽって、ここでのんびりしてたのは誰ですか」
「あっ……そ、それは」
「もう、あのときは大変だったんですからね。 いきなり来て隠れんぼしたいっていうから何かと思えば…… 村中大騒ぎだし、わたしが遠回しに怒られるし…… 遠回しに怒られるのって、結構つらいんですよ?」
「あ、うう、……ごめん、なさい」
「何より親御さんの言うことはちゃんと聞かないといけません。 あなたの為に言ってくれているのですから」
「はあい……」
きつい物言いにすっかりしょんぼりする子ども。今年で八歳になる彼には厳しかったかもしれないが、こういうものは幼い頃からの習慣が大事、とソレーは自らに言い聞かせた。
「反省しましたね? ならばよし」
とはいえそこでにっこり笑って許してしまうあたり、彼女は育児には向いていなかったかもしれない。
しつけで甘い顔を簡単に見せてしまう性分は致命的なのである。
「それじゃあ、少し出てきますから留守番お願いしますね」
「わかった!」と元気な返事に背を向け、ソレーは書斎をあとにした。
323 :
>>321 訂正 七月になったというのに→ 八月になったというのに
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/09(土) 20:51:47.71 ID:vQaZIkrDO
村の一角に立つ、古ぼけた建造物。村人の間でそれは集会所として機能し、今は子どもの出入りが基本的に禁じられていた。もっともらしい理由をつけて。
時刻はまだ正午を過ぎて間もない。本来なら陽光が燦々と地上を照らしていそうなものだが、あいにく今日はざあざあ降りの雨。
太陽は厚い雨雲に覆われ、自宅を辞したソレーは急ぎ足で集会所に向かう。
「おおっ、ソレー様! お越しくださいましたか」
戸をくぐりソレーが集会所に姿を見せると、室内にざわめきが広がった。
中には十数人ほどの村人が詰めかけている。ソレーはぐるりと見渡してほんわかとした笑みを送った。
「こんにちは皆さん。 体調を崩された方はいないようで、ひとまず安心しました」
ソレー様にご心配をかけるなんて勿体ない、おそれ多い、と声が上がるなか、一人の少女にソレーの目が向く。
大人ばかり、それもどちらかというと年配の男性が目立つここで、彼女の幼さは異色だ。
もっとも、外見に関して言及するならソレーも下から数えた方が早そうであったが、彼女の場合外見は重ねた年月に比例しない。
彼女は、根本的にヒトとは異なる生態を持っていた。
324 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/09(土) 20:56:29.09 ID:vQaZIkrDO
「……いらっしゃらないようですね。 それではわたしから」
前置きして深呼吸。一拍置いて、口火を切った。
「以前もお教えした通り、アッシリアという国とイスラエルという国が争い、イスラエルが滅びました。 文字通り対岸での出来事ですが、知らぬ存ぜぬでは通せません」
そこまではいいですね、とソレーが尋ねると村人達は一様に頷き返す。い並ぶ面々の顔は神妙だ。
「なぜか、大陸から移民が流れ込んできているからです。 その西の大陸での出来事に起因して。 彼らが、この列島にどのような影響をもたらすかわかりません」
一拍置く。ここから先は精度が高くない情報、まだ噂程度に過ぎない。しかし、話しておく必要はある。
ソレーはそう判断し、口を開けた。
「伝聞での話になりますが、近々その移民が結集し、一斉に蜂起する、というものがあります。 彼ら移民は落ち延びてきた勢力、つまりイスラエルという国の民、ということになります」
元ではありますが、とつけ足す。
「ですからそれに備えなければなりません。 『りすく・まねじめんと』の一環というやつです」
「りすく・まねじめんと……ですか?」
「はい。 なにやら不思議な響きですが、ちょうど良い概念でしたので流用させてもらいました」
「我々にはさっぱりですなあ」
「不測の損害を最小限に抑えるべく考案された、実用的な方法論です。 皆さんにはお話したと思いますが、わたしは遥か未来を、こく限られた風景ですが見通す力があります。 遠い未来では、日常的に使われていました」
「ほほう、興味深い。 りすく・まねじめんとですか」
「りすく・まねじめんと…… うーん」
感心したり、響きが病みつきになったのか。頻りに唱えだす村人達。
本題から逸れてしまいそうだった。ソレーは話を引き戻す。
325 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/09(土) 21:00:41.98 ID:vQaZIkrDO
「それで、具体的な方策ですが」
現状に最適だと思われる方策を幾つか、ソレーは打ち出す。
穀物など食料の備蓄、より少ない人手で効率的に荷物を運ぶ手段、新天地へと村人を溶け込ます下準備。
それらを始めとする事案に対し、ソレーは噛み砕いて詳細を説明していく。
そこには遠い未来でしか知りえない、革新的な理論もふんだんに盛り込まれていた。
各地には豪族が割拠し、未だ統一政権を持たないこの列島において、それは破格の代物であった。
「戦、ですか…… ぴんときませんな」
そして。
戦になる可能性がある以上、その対処策も避けては通れなかった。
「経験のないことですから、さっぱりでしょう。 ……わたしとて、そこに関して素人同然、しかしやるしかありません」
室内に動揺が広がっていく。瞬きより早く伝播(でんぱ)したそれは、個々人のものが互いに影響し合う。
結果、絵の具のように場の空気を緊張で塗り重ねていた。
まず彼我の戦力分析、といきたいところだが、敵方に関しては未知数だ。
いかな超人的な能力を持つソレーといえど、全能にはほど遠い。情報の収集にも限界がある。
できるのは地形含む地理的条件、予想される敵の進入経路、そしてこちらの避難経路、逃走経路、といったものの確認。それも暫定的な、である。
村人達の表情は思わしくない。それも当然というもので、この話、戦自体に前例がないのだ。
人間は未知を恐れる傾向にある。人間と接する内に知った特性だが、ソレーも恐ろしくないとは言い切れない。
暗雲が立ち込めていた。
326 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/09(土) 21:02:43.56 ID:WZlGXGaAO
なるほど
327 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/09(土) 21:10:29.63 ID:vQaZIkrDO
「あのう……ソレー様、ちょっといっかな?」
集う村人の一人、若い男がおずおずと手を挙げる。ぼうっとした印象のある大男だ。
ソレーが発言をうながすと、彼はぽりぽりと頬を掻きながら言った。
「そのう……いすらえる人、だっけか? そいつらはどうして戦なんてしようとするのかな」
純粋に疑問なのだろう。
嫌みったらしい響きなどなく、彼はこてんと首をかしげた。
周囲に同意するような空気が広がる。ソレーも同感だった。
「食い物がなけりゃ分け合えばいい、住むところに困ったなら頭下げて頼めばいい。 手を取り合って助け合えば戦する必要なんてないと思うんだ。 そうすりゃあ戦でおっ死んじまう人間もいなくなって、大人も子どももみーんな笑顔でいられるじゃないか」
晴れやかな笑みを浮かべ、彼は豪快に笑った。暗い雰囲気を払拭するように。
若い、といっても三十歳ほど。集まった村人の中では若者に分類されるが、相対的な評価であり、既に所帯を持った一家の大黒柱。
一通りの人生経験を積み、老境への一歩を踏み出しかけている。
集う衆からみればまだまだ若輩ながらも、彼の言葉は肯定的に受け取られた。
328 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/09(土) 21:21:51.04 ID:vQaZIkrDO
「いや、サブの言う通りだぜ。 それがわかんねえんだよなあ」
「島の外から来た人間でも、今はもう島の住人じゃないか。 戦なんて不毛なだけだと思うがなあ」
次々と賛同が巻き起こる。
彼らは長い人生の内に培った豊富な知識を与え、村に貢献してくれる年配者を敬い、立てる。
そんな風習から年配から若輩に向け発言が流れていくが、そのどれもがサブに追従するものだった。
まだサブは三十路に差しかかったばかり。その点、サブは大胆な男だったのかもしれない。
しかし、決して彼の人間性を損なうものではない。
往々にして反発を呼ぶが、型破りな人間はいつの時代も貴重だ。
小さなことだったかもしれないが、彼の勇気ある行動は陰鬱とした場の空気を払拭し、明るくしてくれたのだから。
ソレーも無言で頷いて賛同した。さして驚きはない。
彼らにとってはそれが当たり前で、ソレーは彼ら以外の人間を伝聞という形でしか知らない。
だからソレーにしてみれば、よくも悪くもそれが『普通』の人間だった。
329 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/09(土) 21:39:06.87 ID:vQaZIkrDO
無論彼らとて、怨み辛みといった感情はある。
彼らの争いを嫌う気持ちは、戦の経験がなく、悲惨なしがらみを生む余地をぎりぎりまでなくした暮らしの裏返し。
幾度となく凄惨な闘争を経験してきた存在からみれば、無垢な戯れ言に過ぎなかったかもしれない。
だが、彼らの気持ちに虚飾はなかった。
虚飾を厭い、差別を厭い、争いを厭う。
人間は元来、無垢な生物ではない。誰しもが生まれつき、破壊的な衝動を持ち合わせている。
種としての本能は、他者を傷つけ、なぶり、踏みつけにすることに快楽を覚えるのだ。
他者を組み敷いて自分の下に引きずり下ろした瞬間、その行為は快楽という形で肯定される。
それは欲望と言い換えてもいい。
種としての本能。それからは彼らでさえ逃れられなかっただろう。
しかし、彼らはそれをはねのけ、或いは別の感情に昇華する術を持ち合わせていた。
彼らは、紛れもなく強い人間だった。
「なあソレー様、まずは話し合ってみよう。 戦だなんだ言うのはそのあとだ」
「そうですね。 彼らも、やむを得ない事情があるのかもしれません」
ソレーはそんな彼らを好いていた。この村の長が代々大事にしてきた櫛から生じた、と言われる彼女はその建前を受け入れ、共に歩むことを決めた。
元来彼女は、名前を、呼称される記号を必要としなかった。
ソレーという名は、呼び名に困った村人がおろおろするのを見かね、自らの役割と合致する未来の言葉『祖霊』に因み、名づけたもの。
彼女は村人の先祖とは縁もゆかりもない。
核として村を率いてきた長の力が存続し、これからも見守ってくれるよう願われ、その祈りに呼応して現れた存在である。
彼らの心根がいとおしかった。彼らの望むようにさせてあげたい。
ソレーは村人達の総意である提案を了承した。
しかし、その選択がのちに、彼女を激しく後悔させることになる。
彼女は知らなかったのだ。
ヒトの誰しもが、強く在れるわけではない。
聖人君子とされるような人物が、一生涯かけて悟る境地。そこに生まれつき達していたが為に、そんな至極当たり前の事実にすら彼女は気づけなかった。
330 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/09(土) 21:40:20.81 ID:vQaZIkrDO
回想はここで一旦区切り
次の投下は現在に戻ります
331 :
◆JzBFpWM762
[saga]:2013/03/09(土) 21:49:28.32 ID:vQaZIkrDO
あ まぎらわしい言い方でした
書き溜めなくなったので次はちょっと日が空きます
332 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/09(土) 22:10:19.33 ID:mBD3iGx+0
乙
333 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/10(日) 11:49:21.53 ID:XHnG+QfDO
こんにちは
>>1
です
いきなりですがすみません、
>>321
からの投下やり直させてください
推敲が足りなかったみたいです……今読むと、ちょっと……許容範囲超えてました
できるだけ早く再投下します
334 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/10(日) 23:49:07.81 ID:k5qRW4PE0
把握ー
生存報告くれれば半年は待てる(キリッ
335 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/12(火) 18:12:29.53 ID:SffmH6uDO
死ぬほど励みになりました
ところで話は変わりますが、人修羅側のプレイヤーキャラにもしつけるとしたら、ペルソナ(3、4みたいではなく2) かガーディアン、どちらがいいですか?
参考までに聞かせてください
336 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/12(火) 19:36:21.11 ID:NSKCgJjdo
不要
COMPのみで
337 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/12(火) 22:01:25.08 ID:t0B+r40L0
この間決めたキャラのことならCOMPだけでいいかなと思う
338 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/12(火) 22:07:09.47 ID:SffmH6uDO
一人にごちゃごちゃつけるのは避けた方がよさそうですね
とりあえずCOMPのみで話考えておきます
ご意見助かりました!
339 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/12(火) 22:26:21.78 ID:WkXyV2T2o
異能とcomp
340 :
◆JzBFpWM762
[sage]:2013/03/13(水) 16:44:27.97 ID:3icjQIbDO
投下します
再投下分は元々に訂正加える形にしました
今回文量多めです
341 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 16:45:11.03 ID:3icjQIbDO
大陸へと通じる大海原の沿岸にあるその村は、このところずっと、季節外れの雨に見舞われていた。
降り始めから数えたらもう一週間にもなる。
八月になったというのに往生際の悪い梅雨だ。
村人たちはそんな冗談を叩き合い、最近まことしやかに囁かれる噂に興じていた。なんでも西の大陸から、異人たちが落ち延びてきたのだという。
「ねえねえ、ソレー様。 ソレー様はどう思う? そいつらってぼくらをシンリャクしにきたんだって」
「はあ、そんなことを言っている暇があったら家の手伝いでもしてほしいのですが」
村のちょうど中心になるよう建造された家屋。
ソレーと呼ばれた女はその書斎で、暫く走らせ通しだった筆を置き、呆れたふうに言った。
「そんなこといってもやることないもん。 ずっと雨だから土を耕したりできないし、家ですることはもうやっちゃったから」
「……うーん、本当みたいですね。 ならまあ仕方ない、ですかね」
自宅に押しかけている村の子どもが嘘をついてないか、ソレーは心の声を聞いて確かめた。
それは村の誰もが持っていない力で、それ故ソレーは村人から敬称されていた。
世が世なら他心通と呼ばれる、仏や菩薩が持つとされる神通力である。
342 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 16:46:18.13 ID:3icjQIbDO
「うう……うたがうなんてひどいよ、ソレー様」
「お黙りなさい! この前言付かった用事をほっぽって、ここでのんびりしてたのは誰ですか」
「あっ……そ、それは」
「もう、あのときは大変だったんですからね。 いきなり来て隠れんぼしたいっていうから何かと思えば…… 村中大騒ぎだし、わたしが遠回しに怒られるし…… 気遣われながら怒られるのって、結構つらいんですよ?」
「あ、うう、……ごめん、なさい……」
「何より親御さんの言うことはちゃんと聞かないといけません。 あなたの為に言ってくれているのですから」
「はあい……」
きつい物言いに子どもがすっかりしょんぼりする。
今年で八歳になる彼には厳しかったかもしれない。
しかし、こういうものは幼い頃からの習慣が大事、とソレーは自らに言い聞かせた。
その子の親に全幅に近い信頼を寄せていたのもある。
「反省しましたね? ならばよし」
とはいえそこでにっこり笑って許してしまうあたり、彼女は育児には向いていなかったかもしれない。
しつけで甘い顔を簡単に見せてしまう性分は致命的なのである。
「それじゃあ、少し出てきますから留守番お願いしますね」
「わかった!」という元気な返事に背を向け、ソレーは書斎をあとにした。
343 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 16:48:16.71 ID:3icjQIbDO
村の一角に立つ、古ぼけた建造物。
それは村人の間で集会所として機能し、今は子どもの出入りが基本的に禁じられている。尤もらしい理由をつけて。
時刻はまだ正午を過ぎて間もない。
本来なら陽光が燦々と照らしていそうなものだが、生憎とざあざあ降りの雨。空は厚い雨雲に覆われている。
翳した手の隙間から薄暮れた空を仰ぐ。
そうしてから、自宅を辞したソレーは急ぎ足で集会所へと向かう。
「おおっ、ソレー様! お越しくださいましたか」
戸をくぐりソレーが集会所に姿を見せると、室内にざわめきが広がった。
中には十数人ほどの村人が詰めかけている。ソレーはぐるりと見渡してほんわかとした笑みを送った。
「こんにちは皆さん。 体調を崩された方はいないようで、ひとまず安心しました」
ソレー様にご心配をかけるなんて勿体ない、おそれ多い、と声が上がるなか、一人の少女にソレーの目が向く。
大人ばかり、それもどちらかというと年配の男性が目立つここで、彼女の幼さは異色だ。
もっとも、外見に関して言及するならソレーも下から数えた方が早そうであったが、彼女の場合外見は重ねた年月に比例しない。
彼女は、根本的にヒトとは異なる生態を持っていた。
「早速ですが本題に入りましょう。 何か新しい報告がある方はいらっしゃいますか?」
その一言に対する村人達の反応は顕著だった。
たった一言。
それだけで剣呑な雰囲気が場を包み、常にない険が皆の顔に浮かぶ。
ソレーから注視されそわそわとしていた女の子も、さっと顔を引き締めた。
344 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 16:50:20.96 ID:3icjQIbDO
「……いらっしゃらないようですね。 それではわたしから」
前置きして、深く息を吸う。
一拍置いてから口火を切った。
「以前もお教えした通り、アッシリアという国とイスラエルという国が争い、イスラエルが滅びました。 文字通り対岸での出来事ですが、知らぬ存ぜぬでは通せません」
そこまではいいですね、とソレーが尋ねる。
村人達は一様に頷き返す。
「なぜか、大陸から移民が流れ込んできているからです。 西の大陸での出来事に起因して。 ……彼らが、この列島にどのような影響をもたらすかわかりません」
一拍置く。ここから先は精度の高くない情報。まだ噂程度に過ぎない、信用に欠けるもの。しかし、話しておく必要はあった。
ソレーはそう判断し、冷静に告げる。
「伝聞での話になりますが、近々その移民が結集し、一斉に蜂起する、というものがあります。 彼ら移民は落ち延びてきた勢力、つまりイスラエルという国の民、ということになります」
元ではありますが、とつけ足す。
「ですからそれに備えなければなりません。 『りすく・まねじめんと』の一環というやつです」
「りすく・まねじめんと……ですか?」
「はい。 なにやら不思議な響きですが、ちょうど良い概念でしたので流用させてもらいました」
「我々にはさっぱりですなあ」
「不測の損害を最小限に抑えるべく考案された、実用的な方法論です。 皆さんにはお話したと思いますが、わたしは遥か未来を、こく限られた風景ですが見通す力があります。 遠い未来では、日常的に使われていました」
「ほほう、興味深い。 りすく・まねじめんとですか」
「りすく・まねじめんと…… うーん」
感心したり響きが病みつきになったのか、頻りに唱えだす村人達。
本題から逸れてしまいそうだ。ソレーは話を引き戻した。
345 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 16:52:19.48 ID:3icjQIbDO
「それで、具体的な方策ですが」
ソレーは、現状に最適だと思われる方策を幾つか打ち出す。
穀物など食料の備蓄、より少ない人手で効率的に荷物を運ぶ手段、新天地へと村人を溶け込ます下準備。
それらを始めとする事案に対し、ソレーは噛み砕いて詳細を説明していく。
そこには遠い未来でしか知りえない、革新的な理論もふんだんに盛り込まれていた。
各地で豪族が割拠し、未だ統一政権を持たないこの列島において、それは破格の代物であった。
「戦、ですか…… ぴんときませんな」
そして。
戦になる可能性がある以上、その対処策も避けては通れなかった。
「皆さんの懸念は承知しているつもりです。 無理難題と思われるのも承知の上。 ……ですが、やるしかありません」
不安と恐怖をない交ぜにした動揺が集会所に広がっていく。
それは瞬きより早く伝播(でんぱ)し、改めて場を緊張で塗り重ねた。
彼我の戦力分析がしたくとも敵方に関しては未知数。
いかな超人的な能力を持つソレーといえど、全能にはほど遠い。情報の収集にも限界がある。
できるのは気候や地形、生態系や植生といった地理的条件、予想される敵の進入経路、そしてこちらの避難経路、逃走経路、といったものの確認。その程度である。
それも、ソレーは専門家でもないずぶの素人。
地元民の側面から知識を提供する村人も言わずもがな。
経験が浅いどころではない。小競り合いも含め、彼らには戦の経験そのものがなかった。
346 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 16:53:47.23 ID:3icjQIbDO
「あのう…… ソレー様、ちょっといっかな?」
集う村人の一人、若い男がおずおずと手を挙げる。ぼうっとした印象のある大男だ。
ソレーが発言をうながすと、彼はぽりぽりと頬を掻きながら言った。
「そのう……いすらえる人、だっけか? そいつらはどうして戦なんてしようとするのかな」
純粋に疑問なのだろう。
嫌みったらしい響きなど欠片も見せず、彼はこてんと首をかしげた。
周囲に同意するような空気が広がる。ソレーも同感だった。
若い、といっても三十歳ほど。集まった村人の中では若者に分類される。だがそれは相対的な評価であり、既に所帯を持った一家の大黒柱だ。
一通りの人生経験を積み、老境への一歩を踏み出したばかりの青年。
集う衆からみればまだまだ若輩ながらも、その言葉は概ね肯定的に受け取られた。
「……うーん、それがわからねえんだよなあ……」
「大陸から流れ着いた、ってこたぁ……困ってることでもあんのか?」
「おれらも楽な暮らしとはいかねえからな。 食い物、住むところ…… 遠い土地に来ればそう簡単には馴染めんだろう」
「……なんとも言えねえな。 情報が入ってこないことには」
次々と自らの意見を述べていく村人達。
彼らは、長い人生の内に培った豊富な知識を与え村に貢献してくれる年配者を敬い、立てる。
そんな風習から発言は自然と年配から若輩に向け流れていくが、そのどれもがサブに反発するものではなかった。
サブはまだ三十路に差しかかったばかり。その点、彼は大胆な男だったのかもしれない。
347 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 16:57:57.80 ID:3icjQIbDO
「なあソレー様、まずは情報を集めましょうや。 おれ達ゃまだ、そいつらの事をまるで知らねえ」
村人達の総意はこれと似たような地点に落ち着く。
ソレーも、無言で頷いて賛同した。さして驚きはない。
余人が見れば、侵略されるおそれがあるのに何を悠長な、と感じたかもしれない。だが、それが彼らにとっての普通だった。
彼らは家族を、集団を大事にする。
集団の『和』が何においても尊重されるのだ。
そのためよそ者には敏感で、列島に住む大多数は集団の為に自らを擲ち、歯車となることに美学を見いだすような民族であったが、彼らは島に住む者全てを家族と見なしていた。
無論、集団の和を乱すならば容赦しない。
しかし同じ島の住人である以上、その懐の深さから、ぎりぎりのラインまで無下には扱わないのである。
その姿勢は、この時代、この地域においてありふれたものなようでいて、異質なものだった。巷を席巻する豪族、名のある氏族が覇を唱え、戦乱の時代へと緩やかに移り変わろうとする中、彼らほど見も知らぬ他人を理解しようとする人間は稀だったのである。
誰もが猜疑心に目を光らせていた。切り捨てることでばかり安寧を得ようとしていたのだから。
348 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 17:00:01.94 ID:3icjQIbDO
「それではまず、“いすらえる人”の情報を集めよう。 ソレー様、宜しいですかな?」
「ええ。 ただ、実際に侵攻があったときに備え、撃退策を考えた方がいい。 撃退までいかずとも、陽動や撹乱する方法くらいは必要でしょう」
ソレーはそんな彼らを好いていた。
この村の長が代々大事にしてきた櫛から生じた、と言われる彼女はその建前を受け入れ、共に歩むことを決めた。
元来、彼女は名前を、呼称される記号を必要としない。
ソレーという名は、呼び方に困った村人がおろおろするのを見かね、名乗ったもの。
自らの役割と合致する未来の言葉、祖霊に因んで。
彼女は村人の先祖とは縁もゆかりもない。
核として村を牽引した亡き長の力が存続し、これからも見守ってくれることを望まれ、その願いに呼応した存在である。
彼らの心根がいとおしかった。彼らの望むようにさせてあげたい。
村人の中での代表格、最年長者である老人が取り纏めた総意に、ソレーは一つだけ釘を刺して了承した。
保険はいくつあっても損にはそう転じない。そんな考えからくる忠言であったが、結局、融和路線に異を唱えることはしなかった。
その選択が、のちに、彼女を激しく後悔させることになる。
彼女は知らなかったのだ。
ヒトの誰しもが、強く、真っ直ぐに在れるわけではない。
聖人君子とされるような人物が、一生涯かけて悟る境地。そこに生まれつき達していたが為に。
彼女は、そんな当たり前の事実にすら気づけなかったのである。
349 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 17:02:18.24 ID:3icjQIbDO
イケブクロの街を不穏な空気が覆っていた。
薄気味悪いほど静まり返る、本営へと繋がった通り。
そうかと思えば地響きが微かに鼓膜を震わせ、遠く離れたこの通りまで揺らす。
踏みしめたアスファルトに伝わる微弱な振動。
背中から止めどなく這い上がってくる悪寒に嫌な予感を覚えつつ、クシナダヒメは疲労困憊のゴウトらと共に一路本営を目指す。
「何でしょう……。 身の毛がよだちますわ」
ゴウト「お前もか。 ふむ、……待てライドウ、まだ刀を抜くな」
鯉口を切り剣呑な空気を醸すライドウに忠告するゴウト。
ライドウが殺気をみなぎらせていた。沈着冷静な彼にしてはめずらしい。
ゴウト「どうしたというのだ、お前にしてはあるまじき失態だな」
気配がだだ漏れだったぞ、と苦言を呈す。分かりきっている失態をあえて指摘したのは、彼にしてもそれだけ意外だったのだろう。
会って間もないが、クシナダヒメとて疑問に思う気持ちはある。
彼ほど手練れた者がそう易々と犯すミスではない。万に一つ、いやもっと上か。
彼の目に宿る鋭さは剣林弾雨をくぐり抜け、幾つもの修羅場を経験した者特有のそれ。
ともすれば戦場の空気にあてられる新兵などとは違う、彼が惑わされるところに底知れない無気味さを感じていた。
350 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 17:05:00.73 ID:3icjQIbDO
ゴウト「……一つ、提案がある」
「何でしょう?」
ゴウト「その前に立ち入った質問かもしれないが、一つだけ答えてくれ」
「……承知しました。 あなたがそう仰る以上、必要なことなのでしょう」
あの金髪の少女、アリスを相手取り共闘する前であれば、にべもなく断わっていたかもしれない。
しかし今、クシナダヒメはゴウトやライドウに対し、僅かな信頼を芽生えさせつつあった。
それはあくまで利害関係の延長でしかないが、久しく覚えたことのない感情。
えもいわれぬ虫の居どころの悪さに悩まされていると、ゴウトから質問が飛ぶ。
ゴウト「単刀直入に聞こう。 今の状況でお前の目的が達成される確率はどのくらいだ?」
筋を通すつもりなのだろう。ゴウトは「我らの目的は今、この状況で達成される望みは薄い」と先に明かす。
「……正直、見込みは薄いですわ」
ゴウト「ふむ…… やはりそうか」
「やはり、というと?」
ゴウト「何、お前の目的とはもしやゴズテンノウ絡みでないかと思ってな」
「っ……なぜ、それを」
衝撃が走る。どこから漏れたのか。
ゴウト「あのショウヘイとやらと話しているとき、『ゴズテンノウ』『アメノウズメ』という名に、ただならぬ反応を示したのでな」
その中でも、ゴズテンノウの話題にはやけに食いつく印象を受けた、と話すゴウト。
ゴズテンノウかアメノウズメ。
後者の反応から消去法で判断したのだろう。
鋭い。疑おうと思えば他に余地はごまんとあるだろうに、的確に核心を突いてくる。
素振りにしろ、そこらの他人など煙に巻く自信があったというのに、だ。
351 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 17:07:21.91 ID:3icjQIbDO
「……とんだ探偵さんですこと」
ゴウト「ふむ、そういえばお前には伝えていなかったか。 我らはしがない探偵なのだ」
目を丸くする。狙わずとも事実を言い当てていたらしい。
そう考えると、知らずに呟いた皮肉が滑稽なものに思えてきた。
我知らず薄い笑みが口元に浮かぶ。
ゴウト「……。 とにかく現時点でこの街に潜入する利は薄いようだ。 一度ターミナルへと戻り、出直そう」
「勇が納得するでしょうか?」
彼はマガツヒの供給源だ。大切な存在である。
クシナダヒメとしてはできれば亀裂を生みたくなかった。
ゴウト「…… その辺りも一度話し合った方がいい。 腹を割って、な」
ゴウトの促しで道を引き戻し、逆方向へと歩き出す。
発見される心配はない。やや手狭な通りに人気はなし、隠遁と察知の術は徹底している。
しかし、果たして勇が受け入れるだろうか。
クシナダヒメにはどうも上手くいく想像が浮かばなかった。
理由はさまざまだが、直感として自身と似たようなものを勇に感じるから、というのがある。
他者を厭い、接触を厭い、それでいながら――――。
ゴウト「……話は変わるが、アリスとのこと、あれでよかったのか?」
口を閉ざし、思椎に耽っているとゴウトが異な事を言い出す。
怪訝に顔をしかめた。
352 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 17:10:37.46 ID:3icjQIbDO
「何がですの? あの少女を引き合いに出す理由が見当たりません」
あの少女、アリスとは間違いなく初対面だ。
あれほどの相手、忘れたくとも忘れようがないし、あれがもし過去に単なるヒトであった期間があるとしても、彼女のような西欧の人間と関わる機会はそうなかった。
異国の、それも西欧で並々ならぬ因縁があるのは一人、いや辛うじて二人。どちらも男性だ。
彼女がああ見えて実は男性で、因縁深い二人の変わり果てた姿というなら話は変わってくるが、そんなことはまずない。ないと願いたい。
353 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 17:13:15.73 ID:3icjQIbDO
ゴウト「……ふむ。 何、お節介なら控えよう。 あの少女は、そしてお前も、少なからずシンパシーを覚えている風だったからな、それだけだ」
「…………」
黙りこくる。
ゴウトらとの関係を蹴って、あの少女の誘いに乗れというのか。それにしては疎遠だ。
アリスとの闘いはし烈を極めた。
中堅程度の悪魔など即座に刈り取ってしまう、大技の応酬。
次々と鳴り響く破壊音が戦場を彩る音楽と化し、戦場となった大通りは瞬く間に瓦礫の山となった。
ライドウらが戦列に加わった途端、そうなるのである。やはり手加減されていたようだ。
結果的にはライドウの機転で降し、勝ちを拾いはしたものの。仕留めるまでは至らず、こちらも大きく疲弊した。
去り際、「……お姉ちゃんも一緒だね。 周りにいっぱい人がいても、結局は独り。 誰にも愛されないし、……誰も愛せない」、
そんな謎めいた言葉を残していき、姿を消した。
ゴウト曰く、あのアリスという少女からは知人と似たような、それでいて絶対的に違う『匂い』を感じるそうだ。アリス本人のものではなく、裏に潜む、得体の知れない何か。
もぞもぞと這い回る背中の悪寒も、これに類する原因がありそうだ。
とにかくゴウトの意図を察しかねたが、そう悪い企みではないだろう。そんな気がした。
しん、と静寂が包む通りを時々思い出したように地鳴りが木霊し、イケブクロの街を不気味に蠢かす。
昔日の文明、その面影を色濃く残す街並み。
黒い太陽は依然として脈動を続けていた。
354 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 17:17:40.47 ID:3icjQIbDO
なんら災禍なく消化されていく帰りの道程。
拍子抜けするほど順調だ。
そして、ターミナルが目前に近づいてくると、一行は妙な話し声を聞き取った。
「げへへ…… すけべしようや……」
静止、沈黙する一行。
ゴウト「そら耳か……?」
「……奇遇ですわね。 わたくしの耳も、面妖な音を拾いました」
それきり、沈黙のとばりが落ちる。
道ばたで立ち往生した一行の間に、えもいわれぬ、どどめ色の空気が漂う。
「げへっ、げへへへ…… モーショボーちゃーん……」
「イヤーッ! こないでよあっちいって! イサム、絶対に開けちゃダメだからね! 開けたりしたら食べちゃうから!」
頼まれても開けねえよ、と萎れた声が返す。とてつもなく疲れたような返事だ。
ゴウト「モー・ショボーと、新田勇……か?」
「開けてはいけないと思いつつも、胸をチリチリと焦がすこのジレンマ…… 開けてみたいね、パンドラの箱」
「うがー! 開けたらお前から食べる!」
ゴウト「……モコイもいるようだ」
散々な有り様に、ゴウトがかぶりを振る。
クシナダヒメも唖然としていた。ライドウすらも。
ターミナルに残した勇には保険として護衛、モー・ショボーとモコイもつけたのだが、なんともまあ酷い有り様である。
355 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 17:21:09.83 ID:3icjQIbDO
「悪魔同士で共食いなんて…… チミ、ダメダメだね。 全然イケてないッスよ」
「うあー! もうコイツ殺したい! なんでアタシがこんなの、」
「ぐへへ…… なら私とすけべしようやんか……」
「イヤァーッ! こんな目に遭うくらいならジャンケン負ければよかったぁっ!」
ゴウト「……とりあえずあちらに向かおう」
クシナダヒメは激烈に嫌な顔をして返す。
ゴウト「……このまま放っておく訳にもいくまい」
気持ちは痛いほど分かるが、とたしなめられる。
いいや。彼は分かっていなかった。
クシナダヒメが後ずさりつつ、首を横に振るう。
ゴウト「なあに心配するな、奇人変人の類いには慣れている」
「待っ……本気でやめた方が、」
ゴウト「すぐ帰ってくるさ、そんじょそこらの猫とは訳が違うのでな」
しかし、彼は懸命な制止も虚しくいってしまう。一歩、また一歩と。
ふりふりと揺れる黒いしっぽが遠ざかっていく。
後ろ姿をさらした変態、
ターミナルの扉に蜘蛛のごとくへばりつく、うずで後ろ髪を結った巫女装束の女に近づいていった。
その日、ヴィクトルに匹敵する変態と運命的な()出会いを果たした、とゴウトはのちに語る。
変態と常人の溝は深い。
猫じゃらしの前に屈服したゴウトの姿を目の当たりにして、ライドウとクシナダヒメは思った。
そんじょそこらの猫じゃん、と。
ゴウト「はあっ、ほっ、にゃあっ!」
本能をむき出しにして猫じゃらしと戯れるゴウト。
上下左右、つかみ所のない動きで揺さぶる猫じゃらしは、風に揺れる稲穂のよう。
よく研がれたご自慢の爪で追いかける姿は悲哀を誘った。
あまりにも必死である。
356 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/03/13(水) 17:23:24.45 ID:3icjQIbDO
ゴウト「よしっ! 後っ! 少しで! 俺はやり遂げてみせるぞ、ライドウっ!」
「ああん、猫ちゃんめっちゃ可愛いな。 ほれっ」
ゴウト「あっ、おい! そんなに高く掲げ、にゃあああああんっ!」
信じられるだろうか、これが若きライドウを幾人も育て上げた業斗童子、イの四十八番の姿である。
クシナダヒメは知る由もないが、知る人ぞ知る高名な存在、のはず。
「あれ……助けにいかなくていいんですの?」
ライドウ「大丈夫でしょう。 あちらに敵意はないようです」
「いえ、そういうことではなく彼の名誉として」
ライドウ「問題ありません」
毅然と固辞するライドウ。
そういえば初めて口を聞いた気がする。
ゴウト「うおおおおおっ!」
「うへへへ…… あっ、よだれが」
「…………」
ライドウ「…………」
温度差は酷かった。
357 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/13(水) 17:24:13.37 ID:3icjQIbDO
投下終了
358 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/13(水) 17:33:30.10 ID:yQLoMctg0
乙
ゴウトぇ…
359 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/13(水) 17:51:10.35 ID:3icjQIbDO
>>345
訂正
詳細→仔細
細かいですがこちらのが読感がすっきりする気がしたので、一応
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