朝潮「制裁」

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572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/29(金) 20:35:48.80 ID:2Pg02aX+O
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/30(土) 00:56:52.07 ID:a94ne2Ebo
あと38年くらい見といたら確実に完結するかな
574 : ◆oUFoaE/FvU [saga sage]:2016/07/30(土) 02:34:04.56 ID:tL0mbxFs0
遅ればせながら保守お米の皆様有難うございます。

>>568
読んで頂けるだけで大感謝です。
お上品な文章を書けるよう精進してまいります。

>>569>>570>>572
お米励みになります、有難うございます。

>>571
朝潮ちゃああああああああん
エタってらっしゃいますね。私とどちらが先に終わりますかね。

>>573
お米有難うございます。今後も頑張ります。

最後に以前作った作品の宣伝を。
両方ラブストーリーで、片方は夏にぴったりなものなので。
今作と違い、今作の投下一回分8000文字前後の文量でさっくり読むことができるものとなっています。
尚、作品ごとの全て(鎮守府・提督・艦娘・世界観等)が全く別物となっていますので、ご注意を。

時雨 「西村艦隊はむらむら」
http://elephant.2chblog.jp/archives/52106640.html

提督「朧駕籠」
http://elephant.2chblog.jp/archives/52110528.html
575 : ◆oUFoaE/FvU [saga sage]:2016/08/10(水) 13:41:07.28 ID:SpMIzKFy0
・本SSは後2-3回の投下で終わります。
・終わりまでの進捗率は50%で、8月中には終了する予定です。
お盆までに、終わらせるか一回投下して、楽しんでもらおうと思っていました。
しかし、間に合わなそうなのでご報告です。とんでもなく暑いので皆様ご自愛ください。
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 15:14:45.88 ID:4cC2O9mcO
了解です
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 20:49:41.16 ID:+jylYusbO
ほっしゅ
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 00:01:05.34 ID:4HnP5Wa5O
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/02(日) 21:09:58.74 ID:jWNu3PpS0
ほしゅ
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/22(土) 23:53:36.46 ID:ht9whAjRO
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 22:09:06.54 ID:fyzx0S+y0
ほ?
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/03(土) 14:05:01.64 ID:ALKRKhFvo
ほし
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/22(木) 21:54:30.05 ID:prNfKKJYO
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 21:55:11.03 ID:2q2Lj09co
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/09(月) 12:26:53.99 ID:uS+HeBoCO
586 : ◆oUFoaE/FvU [sage saga]:2017/01/10(火) 01:16:43.39 ID:vyNtEHEa0
謹賀新春です。保守の人ありがとうございます。
以前もあった推敲している内に殆ど書き直したくなるという症状が出て、時間をかけていました。申し訳ありません。
ひとまず、次回分の投下が今週中できそうで、最終分の投下を1/24までにできるようせっせと書いています。
なにとぞ宜しくお願い申し上げます。
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 01:38:59.72 ID:UjoxqQGq0
??????
??????????I
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 01:42:22.55 ID:UjoxqQGq0
待ってた
デモフブキチャンガ!
>>587 の文字化けごめんなさい)
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 07:22:23.47 ID:V7i1QlZOO
待ってたよ
590 : ◆oUFoaE/FvU [sage saga]:2017/01/15(日) 03:11:04.25 ID:3KTl2DBd0
投下再開します
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:15:39.72 ID:3KTl2DBd0



 息の白さがはっきりわかる外灯の元でようやく人心地がつく。


 噴き出すような大和の同調の高鳴りに四肢を吹き飛ばされたような錯覚が全身に残る。

 朝潮は自身の両手両足をさするようにあらためた。


朝潮 (良かった・・・)


 艤装との同調を解除していた小さい体は冷え切っていた。

 かじかむ手をニギニギしつつ、深呼吸をすると朝潮は艤装と同調する。


 暗闇で背負い直したためか、艤装の肩紐は変によれていた。

 肩紐と制服の間に小さい親指をすべらせ、それを正しつつ考える。


朝潮 (艤装に付いた盗聴器で、私が盗み聞きしてたのはばれるかもしれない)

朝潮 (どうしよう・・・)

朝潮 (いっそ今、艤装に付いた盗聴器を壊す?・・・・・・)

朝潮 (そんなこと・・・盗み聞きしてたのを自白するようなものよね)ハァ


 闇に吸い込まれるように、ため息が風に流され消えていく。

 白い息を照らす外灯は、訓練所のものだった。


朝潮 (訓練所・・・)

朝潮 (さっきの埠頭と殆ど同じ音のする訓練所にいたということにすれば・・・)


 誤魔化せるかもしれない、淡い期待で朝潮は訓練所に入る。

 ドアを開けると、室内に充満した熱気と火薬の匂いが朝潮を出迎える。

 間近に感じる砲声による振動が、冷やした肌に心地いい。

 戦場にいるという異常な感覚は、今の朝潮を逆に冷静にさせた。


 朝潮は壁際に並べられた待機用の椅子に腰をおろす。

 吹き荒れる混乱は、朝潮の心の風車を音が鳴るほどかき回す。


朝潮 (・・・どうなっているの?)

朝潮 (味方だと思っていた大和さんは、提督を好きで・・・命令違反を密告してた)

592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:18:26.66 ID:3KTl2DBd0


 提督に裏切られた時の怒りや絶望がごちゃ混ぜになった感覚が朝潮に蘇る。

 命令違反をした艦娘の末路・・・、提督に言われた「死刑は確実だ」という言葉が頭で響く。

 朝潮は体を震わせる。


朝潮 (あんな親身になってくれていた人が密告して、私を・・・殺そうと・・・・・・)

朝潮 (いえ・・・命令違反未遂は事実。大和さんだって好きで通報したわけじゃ・・・)

朝潮 (いや、大和さんの行動は・・・いや、そんなわけ・・・)


 信じたくない気持ちから、朝潮は自身の善良な心根を大和へも投影していた。

 それが提督に裏切られていたにも関わらず。


朝潮 (そんなことより、荒潮の轟沈に真実はあるの・・・)

朝潮 (大和さんが私に話した情報は、執務室を盗聴して得たもので正しいのよね?)

朝潮 (加賀も、大和さんの推理材料を事実だと言ってたもの)

朝潮 (なら、加賀が私を殺そうとしたことも、私の能力を認めていることも・・・事実)

朝潮 (加賀は否定しなかった)

朝潮 (けど、加賀が荒潮を殺した犯人というのは本当だったのかしら?)

朝潮 (否定はしていないけど、肯定もしてない)

朝潮 (寧ろ…荒潮の轟沈に関して私が知覚で気付くこと、これで何かわかるっていうの?)

朝潮 (完全にわからないこともある)

朝潮 (舟遊び?損傷度を誤認させる方法?過去の轟沈?・・・)

朝潮 (いえ、わからないことがあっても問題ないわ)

朝潮 (私の知覚が、確かであるとわかったのだから・・・それで、きっと十分・・・)


 危険を冒してまで盗み聞きして良かったと思えた。

 決意を固めるように、右腕の砲塔艤装を強く握る。

593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:19:57.69 ID:3KTl2DBd0


朝潮 (この力で・・・


瑞鶴 「朝潮、大丈夫?」

朝潮 「・・・え?」


 瑞鶴と翔鶴が並んで朝潮の前に立っていた。

 戦場にそぐわない美しさを感じた。


朝潮 「大丈夫?・・・ですけど」

翔鶴 「思い詰めた顔をしていたから・・・」

瑞鶴 「悩み事があるんなら聞くわよ、色々あったでしょ?今日」

朝潮 「あ、はい・・・ご心配ありがとうございます」

朝潮 「けど・・・大丈夫です」

翔鶴 「?」

瑞鶴 「なら、いいけど・・・」

瑞鶴 「そうだ、朝潮の前を空母の人が通らなかった?」

朝潮 「すいません、考えこんでたので・・・」

瑞鶴 「そうかー」ガックリ

朝潮 「どうされたんですか?」

翔鶴 「実は訓練用の矢が所定の数から減ってて探してるの」


 訓練所では、専用の模擬弾や訓練用の矢が使われた。

 専用弾は、弾頭や炸薬量が違うという物理的な違い以外に、

 海上より狭い射撃場で同調が互いに干渉しないよう、同調を必要としない作りになっていた。

594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:21:59.42 ID:3KTl2DBd0


朝潮 「どなたかが、間違えて持ち帰ったかもしれないんですか?」

翔鶴 「訓練場を一通り探してなかったから、そうだと思うんだけど・・・」

翔鶴 「こうなると、訓練所にいた空母の人たち全員に聞くしかないわね」

瑞鶴 「あーもう最悪・・・全員に聞けば流石にばれるわよね、大目玉だわ」

翔鶴 「困ったわね」

朝潮 「ばれるって誰にですか?」

瑞鶴 「決まってるじゃない、加賀さんよ」

朝潮 「・・・加賀・・・さん」

瑞鶴 「空母のトップなのはわかるけど、ことある毎にうるさいったらないわ」

瑞鶴 「ほんと、あおっちろい顔のまま無表情で怒るから不気味だし怖いのよねぇ」

翔鶴 「瑞鶴、陰口はお止めなさい」

瑞鶴 「別にいいじゃない、加賀さんの前でも言うんだし」

翔鶴 「あのねぇ・・・」

瑞鶴 「翔鶴姉は加賀さんの肩を持ち過ぎじゃないの?」

翔鶴 「加賀さんがいて上手く回ってる部分もあるのよ」

瑞鶴 「上手くって空母に轟沈がないこと?」

朝潮 「?」

瑞鶴 「だったら、赤城さんが仕切ってた時からでしょ」

朝潮 「空母に轟沈がない?」

瑞鶴 「知らなかったの?」

朝潮 (自身の仕切ってる空母艦娘に轟沈がない?)

朝潮 「はい・・・、え、じゃあ空母の人で轟沈した人はいないんですか」

瑞鶴 「そういうことになるけど」

朝潮 「これまでずっとですか?」

翔鶴 「ずっとね、鎮守府が始まって以来じゃないかしら」

朝潮 「凄い・・・」

595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:25:09.36 ID:3KTl2DBd0


瑞鶴 「そんなに凄いことじゃないのよ」

朝潮 「どういうことですか?」

瑞鶴 「提督が原因なの、空母を旗艦に編成することが多いのよ」

瑞鶴 「別に空母が特別強いからとかじゃないわ」

朝潮 「旗艦は、陣形の中心にいるから比較的安全とは聞きますけど・・・」

瑞鶴 「よく知ってるわね、その通り」

瑞鶴 「射線が通らなくて元々狙われにくいし、攻撃されても庇われることが多いの」

瑞鶴 「だから、この鎮守府は元々空母が轟沈しにくいってわけ」

朝潮 「ほぉ・・・何か、加賀さんが特別にやっていることはないんですか?」

瑞鶴 「何か?空母が轟沈しないために?」

朝潮 「はい」

瑞鶴 「訓練訓練訓練、訓練くらいよ・・・」

翔鶴 「訓練ね」

朝潮 「ただの訓練ですか」

瑞鶴 「文字通りただの訓練よ、それも実戦を離れた基礎的な内容ばかりよ」

瑞鶴 「何の意味があるんだか」ハァ

瑞鶴 「普通の訓練で轟沈しない同じ成果を出してた赤城さんの方が、よっぽど優秀だったわよ」

朝潮 「そうなんですか・・・」

翔鶴 「余り言いすぎては駄目よ、瑞鶴」

翔鶴 「空母だって重点育成艦娘がいる時は旗艦を外れるのだから、轟沈する危険はあるわ」

翔鶴 「それに、訓練で私達空母の攻撃力が増せば、それだけ他艦の轟沈を防ぐことに繋がる」

瑞鶴 「あの基礎的な訓練で?!」

翔鶴 「基礎が一番大切って言うでしょう?」

翔鶴 「それを別にしても、轟沈がないせいで空母に対して他艦の子から風当たりが強かったわ」

翔鶴 「あの時の、お互いにぎすぎすしてた空気を瑞鶴は覚えてるでしょ?」

瑞鶴 「まぁね・・・」

翔鶴 「轟沈しないのは空母が卑怯だからとか、轟沈は空母のせいじゃないかとか・・・」

翔鶴 「言われてたわよね?」

瑞鶴 「・・・」

翔鶴 「加賀さんが猛特訓を始めたお陰で、あの空気がなくなったのも事実じゃないかしら」

瑞鶴 「加賀さんの訓練が厳しすぎて他のみんながドン引きしただけでしょ?」

翔鶴 「それもあるでしょうけど、結果は結果よ」

翔鶴 「基礎的な訓練も何か深い目的があってのことと思うわ」

瑞鶴 「うーん・・・」

瑞鶴 「私達への嫌がらせじゃない?」

翔鶴 「もう・・・」

596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:27:02.78 ID:3KTl2DBd0


朝潮 「具体的にどんな訓練をするんですか?」

瑞鶴 「艤装との同調・解除を100セットとか」

朝潮 「え、えぇ・・・」

瑞鶴 「ほら、朝潮も引いてるじゃない?翔鶴姉」

翔鶴 「はぁ・・・そうね」

瑞鶴 「朝潮も似たようなもんでしょ、戦闘の合間に加賀の艤装と同調させられてるんでしょ?」

翔鶴 「朝潮さんの同調は、他艦種艤装への同調で私達と比べられるものじゃないわ」

瑞鶴 「まぁね」

瑞鶴 「なんであんな危険なことさせるのかしら。いつも考えてることわからないわ、あの人」

翔鶴 「上には上の考え方があるのだし、余り考えすぎても混乱するだけよ」

瑞鶴 「その考え方が私達下々のもののためでもあってほしいわねー」

朝潮 「あの・・・」

瑞鶴 「ん?」


 朝潮は喉から出掛かった加賀のことを聞きたい、知りたいという気持ちを抑える。

 まだ艤装には盗聴器が付いているはずで、怪しい動きはできなかった。


朝潮 「・・・訓練用の矢を探すの手伝いましょうか?」

597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:29:35.01 ID:3KTl2DBd0


瑞鶴 「ありがとう、けどさっき言った通り訓練所は一通り探したのよ」

翔鶴 「もう覚悟するしかないわね」

翔鶴 「訓練用とは言え備品を失くすのは不味いものね」

瑞鶴 「訓練用の矢なんて弓道に使われるような普通の矢だから殺傷力は低いけど・・・」

瑞鶴 「そういう問題じゃないもんね・・・」ハァ

朝潮 「弓道・・・訓練用の矢・・・」


 大和の足に刺さった矢が、折られて海に投げられたのを思い出す。

 あの矢は訓練用の矢と、加賀が言っていた筈だった。


朝潮 「矢なら加賀さんが・・・も・・・」

瑞鶴 「加賀さん?」

朝潮 「!」


 朝潮は背後から急に現れた同調に、振り返る。


朝潮 「加賀っ・・・さん」

瑞鶴 「げぇっ!!」

翔鶴 「すいません!!訓練用の矢を紛しっ

加賀 「朝潮・・・何で矢のことを知っているのかしら?」

朝潮 「!!!」


 朝潮は弾かれたように飛び出した、加賀の脇を縫って出口へ。

 朝潮が加賀の脇を抜けようかという瞬間に、加賀は艤装をがっちりと掴み引き戻す。


朝潮 (くっ・・・・・・)


 慣性で突き進む体に肩紐が大和の時より深くめり込み、朝潮の小さい心臓だけが前に飛び出しそうになる。

 少し漏れたような気がした。



―――――
―――


598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:33:11.58 ID:3KTl2DBd0



 朝潮は、自身の艤装を武器庫に収めるために暗い廊下を歩いていた。

 非番の時、警戒要員以外の艤装は、武器庫に保管することになっている。


朝潮 (加賀の言葉)


 あの後、加賀は一言耳打ちすると、朝潮をすぐ解放した。


加賀 「死にたくなかったら・・・明日の出撃で、全ての攻撃を避けなさい」


朝潮 (どういうこと?)

朝潮 (加賀には、会話を盗み聞きしていたのはばれてる、それは間違いない)

朝潮 (あそこで殺すことができなくても、私を捕まえて連れ出すなり出来たはず)

朝潮 (そんな素振りもなかった)

朝潮 (だったら、加賀にとってあの会話は聞かれても問題ないということ???)

朝潮 (それより・・・言葉の意味は?)

朝潮 (加賀の言った”荒潮の死に付いて私が能力で気付くこと”・・・)

朝潮 (それが、明日の全ての攻撃を知覚で避ければ、わかるってこと?)


 考え込みながらも体はいつもの通り動き、武器庫に着いていた。

 朝潮は定形の挨拶をして、自身の艤装を担当の陸奥に差し出す。


朝潮 「艤装をよろしくお願いします」

陸奥 「はーい、お疲れ様」

朝潮 「陸奥さんもお疲れ様です。では、失礼します」

陸奥 「あ、朝潮ちゃん、ちょっと待って」

朝潮 「はい?」

陸奥 「大和さんが朝潮ちゃんが来たら衣料室に呼ぶようにと言ってたから」

朝潮 「そうですか・・・」

陸奥 「制服に何かあったの?」

朝潮 「あっ・・・っはい、そうなんです」

陸奥 「?」

朝潮 「・・改めて失礼します!」ササッ

陸奥 「行ってらっしゃ〜い、若いんだから早く寝なさいよ〜」ヒラヒラ

朝潮 (大和さんと加賀の会話で呼ばれるのはわかってたけど)トコトコ

朝潮 「早すぎる・・・」ボソ


 加賀に盗み聞きが露呈したことへの動揺がぶり返す。

 大和にも盗み聞きがばれるのではないかという不安が、朝潮の頭をかすめた。


朝潮 (ありえない・・・わよね?)

599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:35:42.45 ID:3KTl2DBd0


 歩く朝潮の横で海風に吹かれ窓がカタカタと鳴っていた。

 朝潮は立ち止まり、窓に映る自分の顔を見る。

 疲れて血色が悪くハリのない顔が、廊下の切れかけた蛍光灯に照らされていた。

 それを拭うように首を振る、意味がないのはわかっていた。

 悶々としたまま衣料室に着く。部屋の前で大和が待っていた。


大和 「顔色が優れませんけど、大丈夫ですか」

朝潮 「いえ、頭を整理しようと訓練所にいたら加賀が来て・・・逃げてきました」

朝潮 (本当のことだ、これなら・・・動揺していてもおかしくない)

大和 「そうですか、何もなかったんですか?」

朝潮 「はい、すぐ逃げたので」

大和 「本当ですか?」

朝潮 「え・・・本当です」


 大和が朝潮を覗き込むように見ている。

 緊張から来る汗が朝潮の皮膚を這う。


朝潮 (話を変えないと・・・)

朝潮 「そうです!何で私を呼んだんですか?」

大和 「ここからは・・・衣料室の中で話しましょうか」

朝潮 「はい」

大和 「どうぞ」


 大和の手に導かれて入室する。

 武器庫からそう遠くない白い一室。

 窓口が付いており、ここで朝潮は何度も新しい制服を支給してもらっていた。

 しかし、中に入るのは初めてだった。


朝潮 「失礼します」


 中は窓口近くに机と椅子が二つずつある以外、棚が壁に沿って所狭しと並んでいる。

 朝潮は純粋な興味のまま、並んだ棚を眺める。

600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:40:56.65 ID:3KTl2DBd0


朝潮 「この棚は・・・制服を収める棚ですか?」

大和 「そうです」

朝潮 「これ、全部が・・・」

大和 「ふふっ、中を見るのは初めてですか」

朝潮 「はい」

大和 「この鎮守府も300人を超える大所帯ですから」

大和 「種類だけでなく皆さんが安心して戦えるようにそれぞれの在庫の量も多くなってます」

朝潮 「なるほど・・・、棚の中を見てもいいですか?」

大和 「どうぞ」


 棚の側面には艦種・艦型のタグが貼り付けられていた。

 朝潮は一通り棚の側面を歩きながら眺めると、「朝潮型」のタグが付いた列に入る。

 自身や同じ朝潮型の制服が、綺麗に積み重ねられていた。


朝潮 (霞、大潮・・・荒潮・・・朝潮、これが)コ


 朝潮がちらりと横目で見ると、大和は窓口にカーテンを引いている。

 朝潮は、それを確認すると梱包された自身の制服に無言で手を伸ばす。


朝潮 (この制服が・・・原因かもしれない)ゴクリ


 鼓動は速く、手は慣れないことに戸惑い止まりかけのオルゴールのように小刻みに震えた。


朝潮 (盗る?盗ってもどうやって隠して持ち出すの?)


大和 「初めてで興味深く気になってしまうのはわかります」

朝潮 「っ」ビクッ

大和 「しかし、制服も燃料弾薬のように重要な戦略物資です」

大和 「触るだけにして、間違いのないよう元に戻してくださいね」

朝潮 「はっはいっ」パッ


 朝潮は、反射的に手を引っ込める。

 声の方を見ると、大和は朝潮が入った棚と棚の入り口にもたれかかって朝潮を見ていた。

 棚は部屋の壁面に垂直に並べられており、朝潮から見て大和の反対側には壁しかない。

 息苦しさを感じ、引っ込めた手を再び伸ばし自身の制服を手に取り、食い入るように見る。

 梱包する半透明の袋が、パリパリとその場の空気にそぐわない軽快な音を発している。

 その奥の制服は、何時も支給されている何の変哲もない制服でしかなかった。

601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:46:11.59 ID:3KTl2DBd0


朝潮 「何時もの制服ですね」シゲシゲ

大和 「それはそうですよ」

大和 「梱包で密封されて、空調の利いたこの部屋で数量を含めしっかり管理されています」

大和 「轟沈を防ぐためのものですから、当然ですけどね」

朝潮 「なるほど・・・」

朝潮 (無理・・・か)


 手に取った自身の制服を元あった場所に置く。

 大和の方を向くと、大和が悲しそうな顔で口を開いた。


大和 「朝潮さん、重要な話があります」

大和 「大和は明日の模擬演習を辞退します」

朝潮 「え??・・・何でですか!?」


 衣料保管のためか、空調のきいた室内は清浄で乾燥していた。舌が乾く。


朝潮 「説明してもらえますか?」

大和 「申し訳ありませんが、理由は言えません」

朝潮 「加賀が・・・犯人ではなかったんですか?」

大和 「何で、そう思ったんですか?」

朝潮 「あ、いえ・・・止めるということはそういうことかと」

大和 「・・・加賀さんとは決着をつけます」

大和 「後日、改めて、模擬演習を挑んで」

朝潮 「加賀が受ける保証はあるんですか?」

大和 「受けざるを得なくします」

大和 「けれど、加賀さんが懲らしめられる姿は、朝潮さんは見られないかも知れません」ニコ


 質問を許さない大和自信満々の笑顔。


朝潮 (加賀がやられる姿を私が見られない???・・・)

朝潮 (再戦を加賀に約束させるために邪魔な私を・・・)


 制服は密封されており、少々の血が付いても簡単に処理できるだろう。

 この密室は、朝潮を縊り殺すのにちょうどよく思えた。


朝潮 (まさか・・・)ハハ

602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:49:08.12 ID:3KTl2DBd0


朝潮 「何で見られないんでしょうか?」

大和 「私達の会話は全て聞かれていましたから」

朝潮 「えっ・・・」

朝潮 (ばれたの?!)

大和 「そんなに驚かなくても・・・」

大和 「会話を聞かれていたのは、加賀さんの口振りから想像がつくかと思いましたけど」

朝潮 (・・・大和さんと加賀のじゃなく、大和さんと私の会話か)

朝潮 「すいません・・・全てということは、作戦の方も?」

大和 「勿論です」

大和 「なので、加賀さんに再戦してもらうため、朝潮さんに新たな協力をしてもらいたいんです」

朝潮 「出撃中に加賀の同調に私が介入する、とかですか?」

大和 「作戦は聞かれていたんです」

大和 「あの抜け目ない加賀さんなら何か対策をするでしょうし、同じ手は通じないでしょう」

大和 「そもそも、その方法では同調の解ける朝潮さんが実戦だと非常に危険です」

大和 「それに、同調が解けていれば犯人というのも周囲に丸わかりです」

朝潮 「確かに…」

朝潮 (そうか、同調を解けば沈むわよね・・・)

大和 「なので、朝潮さんに同調へ介入してもらうのは止めるということです」

大和 「ただし、大和が模擬演習を加賀さんに改めて申し込む日に・・・・」

大和 「大和が提督にお願いして、朝潮さんには遠征などで鎮守府を離れてもらうことになります」

朝潮 「私がいなければ、公正な模擬演習として加賀も受けざるを得ないということですか…」

大和 「その通りです、今日も一度は受けたんです」

大和 「改めて申し込んでも、プライドの高い加賀さんなら絶対に受けるでしょう」

朝潮 「わかりました」

大和 「ありがとうございます」

大和 「協力して頂けると思っていました」ニコ

603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:51:59.64 ID:3KTl2DBd0


 言い終えるか、大和が朝潮に近付いた。

 抜き身の刃物のような威圧感が、朝潮のほぼ直上から叩きつけられる。

 朝潮は直前の様子から想像できない事態に、後ずさる。


大和 「ところで・・・」

朝潮 「?」

大和 「何を聞いたんですか?」

朝潮 「っ!!!!!!」

朝潮 (今度こそ埠頭での盗み聞き?!ばれっ?!!何で!!!)


 想定した問答を終え、朝潮は油断していたのもある。

 後退する朝潮の体を、大和がしっかりと両腕で捉えた。

604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:57:50.34 ID:3KTl2DBd0


朝潮 「なっ、何のことですかっ?」

大和 「朝潮さんはわかりやすいですね」

大和 「何か隠していることはわかっていました、最初から」

大和 「大和と話していた時に比べて、加賀さんに対し攻撃的でなくなっていませんか?」

大和 「大和と話していた時のままなら、訓練場で一悶着ある方が自然というものです」

朝潮 「・・・」

大和 「訓練所で加賀さんに何かされたか・・・吹き込まれたんじゃないですか?」

大和 「その動揺が証左です、素直に教えてくれませんか?」

朝潮 (埠頭の盗み聞きは、ばれてない!??)


 ほっと吐きたい息を飲み込み、俯き動揺したふりをしたまま答える。


朝潮 「ここで言わなくても良いようなことでしたので・・・」

大和 「というのは?」

朝潮 「”明日の出撃で全ての攻撃を避けなさい”、と」

大和 「・・・」

朝潮 「どういう意味なんでしょう?」

朝潮 「あんな危険海域で、わざと攻撃に当たることなんてありえないのに・・・」


 頭に突き刺すような大和からの視線を感じる。

605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 03:59:07.09 ID:3KTl2DBd0


大和 「そうですか・・・」ジッ

大和 「本当のようですね」パッ

大和 「しかし、それは・・・大和にも意味がわかりませんね」トコトコ

大和 「気負わせて朝潮さんにプレッシャーをかける積もりではないですか?」

大和 「現に朝潮さんは動揺していらっしゃるわけですから」

朝潮 「なるほど・・・」

大和 「しかし、朝潮さん、安心なさってください」

大和 「提督が朝潮さんを気遣って、明日出撃させる際は旗艦にして様子を見ると仰っていました」

朝潮 「そうなんですか・・・」

朝潮 (執務室盗聴で得た情報?)

大和 「正直に話してくれてありがとうございます」

大和 「また何か加賀さんに言われたり、されたら、大和に話して下さいね」

大和 「出来る限りお力になりますから」

朝潮 「はい」

大和 「さ、話はお終いです。夜も遅いですし解散しましょう」

大和 「これから大和は提督に明日の模擬演習辞退を伝えないといけないんです」

大和 「おやすみなさい、朝潮さん」

朝潮 「はい、おやすみなさい、大和さん」


 追い立てられるように朝潮は衣料室を出される。

 時間を置いて、大和も衣料室を出て鍵をかける。

 提督のもとへ向かう大和の手元の紙袋から、パリパリと音がなっていた。



―――――
―――


606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:02:35.71 ID:3KTl2DBd0


 朝潮は、鎮守府から寮への廊下を歩く。

 消灯時間の過ぎた寮は非常灯以外の照明が切れ暗く、闇が住人に代わり息づいている。


朝潮 (大和さんに会っても、わからないことが多過ぎる)

朝潮 (もう、私がどうするかを考えるしかない)

朝潮 (次の轟沈が出る前に、轟沈が人の手によるものか・・・私が判明させる)

朝潮 (でも・・・できるの?未だに何をすればいいのかもわからないのに・・・)


 思い出したように、歩く足が震えていた。


朝潮 (情けない・・・)

朝潮 (そもそも犯人がいたとして、こんな私に何ができるのかしら・・・)


 悪い考えは蓋を外すと一斉に溢れ出しそうになる。

 それでも両足に力を込めて進む。


朝潮 (わかること、できることからやっていくしかないわよね)

朝潮 (まず、加賀の言うように知覚で逃げ回って何が・・・)


加賀 「死にたくなかったら・・・明日の出撃で、全ての攻撃を避けなさい」


朝潮 (死にたくなかったら・・・死にたくない、ん?)

朝潮 (この意味って・・・被弾したら危ない、ということじゃ・・・ない!??)

朝潮 (明日の出撃で私が被弾すると、加賀に不都合だから許さない殺すって意味にも・・・)

朝潮 (だとしたら・・・)

朝潮 (損傷度の確認で、加賀に不都合な事実があるってこと??)


 制服を触ったり引っ張ったりしてみる。いつもの制服だ。

607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:05:14.84 ID:3KTl2DBd0


朝潮 (大和さんの言葉を信じるなら、明日は私が旗艦)

朝潮 (まず轟沈しないのも、この予感を裏付ける・・・)

朝潮 (私が確かめるしかない・・・被弾してでも)

朝潮 (もし、本当に被弾が危険でも、私なら損傷度が知覚でわかる)

朝潮 (私にしかできない!!)

朝潮 (けど・・・私が損傷度や制服におかしい点がある、と出撃中に報告しても・・・)

朝潮 (提督は進撃を止める?)

朝潮 (止めなければ・・・その時は、同調が落ちていようが、知覚で避けるしかない)

朝潮 (同調が、落ちていようが?・・・無理よね、昨日は中破でさえ・・・あれ・・・)

朝潮 (昨日の荒潮大破と私の中破・・・違和感・・・荒潮の日記・・・一昨日の制服交換)


 記憶が手品師の口から出る万国旗のようにハタハタと繋がり飛び出してくる。

 朝潮は自身の部屋の前で踵を返し、霞と大潮の部屋へ歩き出した。


朝潮 「・・・」コンコン

大潮 「は〜い」

霞 「誰よ、こんな時間に」ガチャ

大潮 「朝潮ちゃん?」

霞 「はぁ・・・寂しいの?しょうがないわね!一緒に寝てあげてもいいわよ」

大潮 「お泊りですか?!」

朝潮 「霞・・・」

霞 「?・・・何よ?じろじろ見て」

朝潮 「服、脱いで」

霞 「はぁ?!///////////」



―――――
―――


608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:09:25.78 ID:3KTl2DBd0



〜翌日 深夜 洋上〜


 指揮作戦艇は照明も付けず、自動操縦である地点に向かって闇の中を走っている。

 艇内、朝潮を絞った部屋に提督と加賀はいた。


加賀 「二日連続で出撃が少なかったわね」

提督 「そんなこともある」

加賀 「朝潮のせいよね?」

提督 「お前の言った通り・・・混乱した朝潮が、戦闘中やけに被弾してな」

加賀 「報告書を見たけど、旗艦の朝潮を狙った攻撃には殆ど当たっていたようね」

提督 「そうだ・・・で、加賀に聞こうと思っていた」

提督 「何で朝潮がこうなったかわかるか?」

加賀 「元々不安定な能力なのよ」

加賀 「友人の死、能力の否定、不幸が重なったとしか言えないわね」

提督 「そんなことくらいで満足に能力も発揮できないのか」

加賀 「これまでも言ってきた筈よ」

提督 「それにしても、一戦目二戦目・・・雑魚ばかりの海域で満足に動けんとは」

加賀 「ふーん・・・」

提督 「おい、まさか・・・、知覚は強い敵の動きしか察知できないとは言わんよな?」

加賀 「半分正解ね」

加賀 「光に例えるとわかりやすいわ」

加賀 「強力な深海棲艦ほど同調の高まりは大きい、言い換えれば強い光だと思えばいいわ」

加賀 「その中で、弱い深海棲艦の攻撃、つまり弱い光を捉えるのは、慣れや経験がいるわ」

提督 「知覚に開眼したばかりの朝潮は、文字通り目の開いたばかりの赤子と同じということか」

提督 「だから、昨日”朝潮が混乱の末に大破する”と言ってたのか」

609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:11:24.93 ID:3KTl2DBd0


加賀 「そうよ」

提督 「見えてきたぞ」

提督 「昨日の戦闘で、加賀が弱い攻撃にわざと当たって、荒潮を見捨てたように見えたのも」

加賀 「ご名答、タ級は弱い攻撃で意図的に私の体勢を崩しに来ていたわ」

提督 「矢張り・・・」

提督 「敵はお前の能力に気付いていたのか?」

加賀 「さぁ・・・、タイミングやタ級の戦闘能力を考えれば限りなく黒でしょうね」

加賀 「こちらからも質問いいかしら?」

提督 「ん?」

加賀 「被弾が多かったとは言え、報告書で朝潮は中破となっているわよね」

加賀 「何で大破もしていないのに撤退したの?」

提督 「被弾を怖がってな・・・」

加賀 「ふーん」

提督 「何だ」

加賀 「てっきり・・・制服が中破なのに大破してる気がする、と朝潮が言い出したのかと思ったわ」

提督 「やけに具体的だな」

加賀 「違うの?」

提督 「間違ってない、これも朝潮の不安定な知覚のせいか」

加賀 「かもしれないわね」

加賀 「それにしても・・・出撃後、あなたが私でなく大和さんを執務室に呼んでいたけど」

加賀 「あなたも大和さんと朝潮が仲がいいのを知っていたのね」

提督 「・・・あぁ、大和には朝潮の精神的フォローを頼んだ」

提督 「PTSDだったら、除隊させることも考える」

加賀 「ありえないわね」

提督 「PTSDがか?」

加賀 「そう」

提督 「だろうな」クク

提督 「朝潮はもう壊れてるよ」

610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:14:05.00 ID:3KTl2DBd0


加賀 「?」

提督 「加賀は艦娘が人を殴る時に、何%の力が出るかわかるか?」

加賀 「身体を壊さないよう脳がストッパーをかけて、人間は10%前後しか力が出せないって話?」

加賀 「そうなら、艦娘はそのストッパーを外すから、100%じゃないかしら?」

提督 「次第点の回答だな、実際は50%かそこいらだろ」

提督 「人を殴るのに脳内でかかるストッパーは、自身の保護だけじゃない」

提督 「一人の人間を終わらせることへの躊躇い、いわゆる精神的なストッパーも働く」

提督 「非力な女に多いと思われてる滅多刺しな、確実に殺すために何度も刺すことだが」

提督 「余り知られていないが男も多い、無意識に加減して男でも人一人簡単に殺せやしない」

加賀 「それと朝潮に何か」

提督 「朝潮はな、荒潮が轟沈した戦闘で、タ級へ攻撃した時、躊躇いが一つもなかった」

加賀 「はい?人間の話から何で対象が深海棲艦の話になるの?」

提督 「深海棲艦は強いものほど、人型に近付き知識を持ち人語を解し感情を持つ」

提督 「言ってしまえば、人間臭くなる」

加賀 「そこに躊躇いが生まれる・・・」

提督 「そうだ、お前のように生粋の職業軍人のように処理できる者は少ない」

提督 「が、朝潮にもその資質がある」

提督 「おれがそうした」

加賀 「それを壊れてるというなら、この鎮守府は崩壊しているも同然ね」

加賀 「これだけ沢山深海棲艦を殺し、轟沈で味方に死人を出し、戦意が落ちないのだから」

提督 「理想の鎮守府だ」

加賀 「偉くなったら離れることになるわよ、この海とも」

提督 「そうだな」

加賀 「あなたはどうする積もりなの?偉くなって」

611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:17:12.97 ID:3KTl2DBd0


提督 「おれは何も変わらない、これまで通り力を求めるだけだよ」

加賀 「力? 私や大和さんじゃ足りないの?」

提督 「あぁ、足りんな」

提督 「それに、そもそも力として質が違う」

加賀 「質が?」

提督 「お前は力を何だと思ってる?」

加賀 「敵を打ち倒す能力じゃないの?」

提督 「実にお前らしいな、間違ってない」

提督 「力とは、目的を実現する能力だ」

提督 「その目的が、お前は敵を打ち倒す能力だったということだ」

加賀 「だとしたら、あなたの目的は?」

提督 「おれの戦術・思想で結果を出し、軍をおれ色に染めることだ」

加賀 「本気?」

提督 「人間どこかで欲望の限界を知る」

提督 「法、社会、道徳、能力、どこかでな・・・おれは未だ折れたことはない、が」

提督 「おれの目的を、我を通すのに、いつしかおれじゃなく周囲を折れば良いと気付いたんだよ」

加賀 「回りくどいことをしないで、政府でも転覆させれば?」

提督 「できると思うか?」

加賀 「・・・」

提督 「艦娘が兵器として優れていることは論を俟たないが、所詮生身の小娘よ」

提督 「補給がなければ戦闘継続は困難、毒でも盛られれば一瞬で終わるだろうな」

提督 「それに艦娘としての弱点もある」

加賀 「海から離れるほど艤装能力が発揮できなくなること?」

提督 「それも一つだ」

提督 「入居ドックと開発工廠の技術を一部の国が握り込んで離さないのも大きい」

提督 「だから、商売になる訳でもあるが・・・」

加賀 「取引のこと?」

提督 「それはいいとして、今はこんなものもあるしな」


 提督が鉄の塊を加賀に投げてよこす。

 加賀はそれを受け取ると、手で回しながら見る。

612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:19:39.52 ID:3KTl2DBd0


加賀 「ただの自動拳銃じゃ・・・ないわね」

提督 「お前ならすぐ気付くと思ったよ」

提督 「横のマガジンリリースボタン、そうだ、その出っ張りを押してマガジンを見てみろ」

加賀 「これ・・・まさか」

提督 「そのまさかだ」

提督 「この拳銃弾は、深海棲艦のコアを削り化学処理をかけて作られた特殊弾頭になってる」

加賀 「地上軍が、対深海棲艦用に火砲弾として使ってるとは聞いていたけど・・・」

提督 「拳銃弾まで小型化されてるのは極秘だ、これは一部提督にしか配られていない」

加賀 「轟沈などが多くて、艦娘に寝首をかかれそうな提督かしら?」

提督 「そうだ」クク

加賀 「つまり、これなら艦娘も・・・」

提督 「防御壁を中和して貫通し殺せる、ということだ」

提督 「今や、人間にとって艦娘はそこまで脅威でないということだな」


 一頻り眺めた加賀は、マガジンを拳銃に収めると、提督に手渡す。

613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:21:49.89 ID:3KTl2DBd0


提督 「ところで、女には男の権力・身分・地位と結婚する人種がいる」

加賀 「は?」

提督 「そういう女にお前を見習わせたいよ」

加賀 「いきなり何?」

提督 「月が綺麗ですね、という言葉を知ってるか」

加賀 「文豪が英語の愛してるを翻訳したという話かしら」

提督 「そうだ」

提督 「愛とは、究極なところ価値観や思想の同化もしくは共有とは思わんか?」

加賀 「セックスしてお互い気持ち良ければ愛なのかしら?随分チープね」

提督 「確かにそれも一つの愛だ」クク

提督 「おれはこの鎮守府を愛し、おれ色に染めた」

提督 「死と戦闘への恐怖は練度に、怒りは戦意に」

加賀 「次は地方本部を愛して、血みどろの戦場に変えるの?」

提督 「おかしいのは制服の損傷度でほぼ安全に戦える今と思ったことはないか?」

提督 「剣、弓、鉄砲、大砲、空爆、ミサイル、ドローン、兵器だけじゃない」

提督 「命令系統も、上に上にと、上意下達の絶対服従、殺し殺される対象は今や国が決めてる」

提督 「戦争の歴史は、殺し殺される感覚・意識からどれだけ兵士を遠ざけるかという歴史と言っていい」

加賀 「士官学校の復習は結構なのだけど」

提督 「まぁ、聞け」

提督 「それで強い兵士ができると思うか? Noだ」

提督 「空爆やドローン、地上戦ではNVゴーグルで一方的な戦闘を展開してる某軍隊が」

提督 「年々排出するPTSD患者がどれだけいると思う? 大戦時より多いぞ 」

提督 「人間は弱くなったんだよ、戦争が安全に清潔になってな」

提督 「おれはその戦場に牙を取り戻そうというんだ」


 その時、提督はモニターに現れた輝点を認める。

614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:27:53.16 ID:3KTl2DBd0


提督 「時間だ、上がるぞ」

加賀 「本当に私は何もしなくていいの?」

提督 「あぁ」

提督 「この紙袋と相手のブツを交換したら、下部扉を解放してコアを流しながら当海域を離脱するだけだ」

提督 「取引はスマートにしないとな」

加賀 「そう」


 歩く提督が揺らす紙袋からパリパリと音が漏れる。

 天気は曇り、甲板からは宇宙を臨むような暗黒が広がっていた。

 提督は甲板に上がるとライトを振る。

 すると、暗闇からエンジン音とともに外国語で識別記号の書かれた船体が滑り出してきた。

 同時に、指揮作戦艇と取引相手の正体不明の船体が、カッと照らされる。


?? 「そこの所属不明艦二隻、臨検を行うので直ちに停止しなさい」

提督 「はぁ?!・・・甲板から身を隠せ!!!」

加賀 「はいっ!」


 二隻の船上でカンカンと、騒がしく人間が蠢く音が交差し、ほぼ同時に逆方向に発進した。


提督 「ははははは、憲兵か」

加賀 「そのようね、どうするの?」

提督 「鎮守府に戻る」

加賀 「正気?」

提督 「あぁ」

提督 「少ししたら、加賀は甲板に上がって憲兵が追ってくるか確認しろ」

提督 「もし、追いつきそうなら・・・そうだな」

提督 「向こうが証拠と誤認しそうな艇内の備品をばらまけ、追撃の手も鈍る」

加賀 「わかったわ」


 重い沈黙が、艇内を包む。

 それでも提督に悲壮感はなく、寧ろ胸が踊っていそうなほどにこやかだった。


―――――
―――


615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:44:18.10 ID:3KTl2DBd0


 提督の指示で加賀は甲板に立ち、後方を警戒している。

 あれから暫く、提督は指揮作戦艇を蛇行させ続けていた。

 加賀が、追手が確認しないのを待って鎮守府へ戻る算段だ。

 加賀の後ろで足音がする。


提督 「追手は来ているか?」カツカツ

加賀 「いえ、今のところは」

提督 「そうか」

加賀 「無事で良かったわね」

提督 「ハッ、憲兵も流石にいきなり撃ってくることはないだろ?」

加賀 「そちらじゃないわ、取引相手よ」

加賀 「こちらを沈まない程度に攻撃すれば、指揮作戦艇が沈まないように憲兵隊を一隻・・・」

加賀 「こちらが重傷を負えば、軍病院への搬送でもう一隻、足を止められたわ」

提督 「なるほど」

加賀 「殺されるかもしれなかったのよ?!」

提督 「心配してくれて嬉しいよ」

提督 「けど、お別れだ」ゴリ


 冷たい鉄の感覚が加賀の頭に押し付けられる。

 さっき触った対艦娘用自動拳銃が、自身に突きつけられていることに加賀は気付く。

616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 04:45:59.11 ID:3KTl2DBd0


加賀 「どういうことかしら」

提督 「シナリオはこうだ」

提督 「お前に脅迫され、嫌々取引に参加していたおれが、隙を突きお前を殺す」

提督 「鎮守府の再評価には時間がかかるが、仕方ないだろう」

加賀 「あなたに情はないの?」

提督 「残念だと思ってるよ」

提督 「できれば、追ってくる憲兵にお前が証拠品を投棄する姿を見せ、主犯と思わせてから殺したかったんだがな」

加賀 「人でなし!!」

加賀 「私の能力がなくて、やっていける積もり?!」

提督 「問題ない、知覚のある朝潮をおれ色に染めて使うことにした」

加賀 「っ・・・!!!!」

提督 「せめてもの情けで楽に殺してやる」


 引き金は軽かった。

 パンパンパン、三発の乾いた銃声が海上に響き、すぐ波音に消えた。



―――――
―――


617 : ◆oUFoaE/FvU [saga sage]:2017/01/15(日) 04:48:07.70 ID:3KTl2DBd0
本日分投下終了です。
ご読了有難うございました。
次回、最終投下予定です。最後まで宜しくお願い申し上げます。
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 11:00:49.83 ID:hoNAola4O

面白くなってきたな
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 11:11:29.43 ID:pbl2FvVRO
おつおつ
加賀さんが死んでこれは大和さん大勝利ですわ
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 15:55:42.69 ID:UDCaDj3n0

続きがめっちゃ気になってきたので、ラスト楽しみ

ところで霞ちゃんを脱がすシーンの回想はまだですか?
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/16(月) 00:41:05.86 ID:fyN3IFBl0
エタったかとおもってた
続きが読めて嬉しいゾ
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/19(木) 06:42:26.83 ID:B+T50EHLo
続きあく頼む
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/25(水) 00:28:16.59 ID:26UqdTCTo
これは最終回詐欺の予感……!
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/13(月) 07:48:01.44 ID:DLmHF/HBO
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/14(火) 10:00:43.43 ID:AUTOLIbq0
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/27(月) 11:12:05.44 ID:bG0qADiAO
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/11(土) 00:19:42.36 ID:Gl6quoDeO
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/24(金) 09:49:50.58 ID:gmB0g8C4O
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 23:33:09.20 ID:IcSaExDCO
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 23:17:05.33 ID:thYXRPiqO
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/17(水) 20:20:21.10 ID:QkG1v+4LO
ほっしゅ
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 23:50:56.90 ID:bikLIdNeO
633 : ◆oUFoaE/FvU [sage]:2017/06/17(土) 04:09:41.20 ID:rrPIBLhv0
お待たせし申し訳ありません。生存報告です。
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 06:41:10.90 ID:DmEDgDBXO
良かった生きてたか
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 23:40:32.56 ID:ZZwDViBAo
 
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 17:42:01.11 ID:krQUfC+G0


637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/24(土) 20:53:21.04 ID:dguoe2yCo
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/06/25(日) 12:23:01.79 ID:WCMyY0aU0
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/12(水) 07:19:30.66 ID:VD/0SoBaO
640 : ◆oUFoaE/FvU [sage saga]:2017/07/15(土) 00:27:59.93 ID:AV7gH2v10
誤字修正
>>611
を、次のレスと入れ替えお願いします。
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/15(土) 00:28:45.03 ID:AV7gH2v10

提督 「おれは何も変わらない、これまで通り力を求めるだけだよ」

加賀 「力? 私や大和さんじゃ足りないの?」

提督 「あぁ、足りんな」

提督 「それに、そもそも力として質が違う」

加賀 「質が?」

提督 「お前は力を何だと思ってる?」

加賀 「敵を打ち倒す能力じゃないの?」

提督 「実にお前らしいな、間違ってない」

提督 「力とは、目的を実現する能力だ」

提督 「その目的が、お前は敵を打ち倒す能力だったということだ」

加賀 「だとしたら、あなたの目的は?」

提督 「おれの戦術・思想で結果を出し、軍をおれ色に染めることだ」

加賀 「本気?」

提督 「人間どこかで欲望の限界を知る」

提督 「法、社会、道徳、能力、どこかでな・・・おれは未だ折れたことはない、が」

提督 「おれの目的を、我を通すのに、いつしかおれじゃなく周囲を折れば良いと気付いたんだよ」

加賀 「回りくどいことをしないで、政府でも転覆させれば?」

提督 「できると思うか?」

加賀 「・・・」

提督 「艦娘が兵器として優れていることは論を俟たないが、所詮生身の小娘よ」

提督 「補給がなければ戦闘継続は困難、毒でも盛られれば一瞬で終わるだろうな」

提督 「それに艦娘としての弱点もある」

加賀 「海から離れるほど艤装能力が発揮できなくなること?」

提督 「それも一つだ」

提督 「入渠ドックと開発工廠の技術を一部の国が握り込んで離さないのも大きい」

提督 「だから、商売になる訳でもあるが・・・」

加賀 「取引のこと?」

提督 「それはいいとして、今はこんなものもあるしな」


 提督が鉄の塊を加賀に投げてよこす。

 加賀はそれを受け取ると、手で回しながら見る。

642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 14:59:48.55 ID:ZpGWGg8eO
ktkr
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 12:14:14.61 ID:nU9VEFNgO
644 : ◆oUFoaE/FvU [sage saga]:2017/08/07(月) 02:44:56.38 ID:k1kaA+zU0
投下再開します。
投下の遅れに加え、レスにて指摘のあった最終回詐欺を強行することをご容赦願いたく。
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 02:47:05.42 ID:k1kaA+zU0



 〜少し前 鎮守府〜


 カーテンの隙間から差し込む夜の暗い光が、机の上のきれいに畳んだ制服に当たる。

 朝潮はベッドに体を倒し、布団を被り暗闇を睨んでいた。


朝潮 (今日の出撃も・・・私は絶対に大破してた)

朝潮 (それは間違いないけど・・・)


 連日の事件で朝潮は心も体も擦り減っていた。

 しかし、掴み取った事実は、モルヒネを打ったように朝潮の意識を覚醒させていた。

 その時、窓から入る複数のエンジン音に気付く。


朝潮 (司令官に来客?・・・それにしては少し時間が遅いような)


 ベッドから身を起こし、窓のカーテンを開ける。

 艦娘寮からは鎮守府の建物に遮られて、姿形は確認できない。

 しかし、動く照明と駆動音から、数台の車が鎮守府正面に乗り付けたのがわかった。

 続いて、暗闇に砂利を踏む音が大量に聞こえ、最低限の明かりを残し消灯されていた鎮守府が全灯される。


朝潮 「何?・・・」


 明るくなった鎮守府の廊下を、見慣れない制服を着た人間が列を成し進んでいる。

 統率のとれた集団は、執務室と提督の自室に綺麗に吸い込まれていった。


朝潮 「・・・!」


 朝潮が部屋から出ると、同じように異変を察知した艦娘が薄暗い廊下のそこかしこで塊を作っていた。

 その塊を縫いながら寮と鎮守府を繋ぐ連絡通路へ歩き出す。

 そこでは、先程の制服を着た男が二人、集まった艦娘たちを押し留めていた。

 前列で年長者である戦艦や空母の艦娘が、その男たちと押し問答をしている。


憲兵 「この鎮守府の提督に、軍を脱走した嫌疑がかかっている」

憲兵 「証拠品の押収に、鎮守府は一時閉鎖する」

憲兵 「寮も一部艦娘の部屋には、証拠品の押収に立ち入る予定だ」

艦娘達 「ざわざわ」


 男の背後に見える鎮守府の廊下では、同じ制服の男たちがダンボールをせわしなくピストン輸送している。

646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 02:48:02.48 ID:8suOUahN0
ktkr
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 02:49:39.45 ID:k1kaA+zU0



長門 「深海棲艦が強襲してきたらどうする積もりだ!」

憲兵 「鎮守府にいた当直の艦娘たちには、そのまま部屋で待機してもらっている」

憲兵 「代わりに指揮できる者、代理の提督と指揮作戦艇も用意してある」

憲兵 「安心して部屋で休むといい」

長門 「そうは行くか!!提督がいなくなったらこの鎮守府はどうなる!?」

憲兵 「それを決めるのは我々ではない」

長門 「明日からの出撃は?代理提督がずっと指揮をするのか???」

憲兵 「明日と言わず沙汰が下りるまで、緊急事態を除き出撃はありえない」

憲兵 「それだけでなく、鎮守府と寮からは出ないでもらうことになる」

長門 「軟禁か?!私達も疑っているということか!」

憲兵 「変に抵抗をすれば、その嫌疑も濃くなるだろうな」

長門 「ぐぅ・・・」

赤城 「すいません」オズ

憲兵 「何だ?」

赤城 「加賀さんがいないのですけど・・・」

憲兵 「その者は、提督と一緒に脱走した疑いがある」

赤城 「え?!」

憲兵 「代わりの加賀の艤装は既に武器庫に収めてある」

憲兵 「後、大和は臨時秘書艦としての引き継ぎと事情聴取のため、鎮守府にいる」

憲兵 「もし、他に寮にいない艦娘がいるようだったら、可及速やかに申し出るように」

憲兵 「以上だ、これ以上話すことはない」


艦娘達 「ざわざわざわざわざわ」


 その後、男たちは寮の加賀の部屋にも立ち入り、全ての荷物を運び出し、深夜には消えていた。

 空のダンボールが転がされた執務室にいる代理提督は、外出禁止を命じる以外は何も知らないと言う。

 残された艦娘たちの喧騒は行き場をなくし、やがて静かになる。

 静寂の中でゆったりと夜が更け、提督がいないことは実感に変わり、

 残された艦娘の殆どが、鎮守府の、地獄の終わりを受け入れ始めていた。

 しかし、朝潮は違った。


朝潮 (何も終わってない・・・何も・・・)


 部屋に戻った朝潮は、机に向かいボタンのようなものを手で転がしている。

 その時、部屋のドアノブが回った。



―――――
―――

648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 02:51:46.06 ID:k1kaA+zU0



ドア 「ガチャ」

提督 「っ・・・」ビクッ


 ドアの音に覚醒した提督は、起き抜けには眩しい光に目を細める。

 その目は、何かを察したように正面のドアに向けられ動かない。

 ドアから顔の白い女が入ってくる。

 その存在は白い部屋の壁に相まって虚ろに感じられた。


提督 「どこだ、ここは」

?? 「さぁ・・・」

提督 「天国か?」

?? 「面白い冗談ね」


 提督がポケットを探ると煙草だけで、ライターはなくなっていた。

 凝り固まった首を鳴らしながら回す。

 腰に手を当てるとベルトは抜き取られ、椅子を触っても一切動く気配がない。


提督 (溶接されて動かない椅子、机もか)グルリ

提督 (右手の壁面には大きな鏡・・・いや、マジックミラーか)コキコキ


 椅子に座ったまま部屋を見渡し、腕を回し体の各所をひねってほぐす。


提督 「俗に言う・・・取調室か」

?? 「ほぼ正解」

提督 「ほぼ・・・ね」


 目の前の女は、持ってきた書類・電気じかけの四角い箱を机に置き、そのまま座った。


提督 「しかし、いつも見られているような気はしていたが、まさかお前がな・・・」

提督 「てっきり好意からのものだと思っていたが」クク

??「・・・」ガサリ

ビニール袋 「ゴトン」


 女が最後に懐から何かを取り出し机に置く。

 ビニールに包まれたひしゃげた黒い鉄塊に、提督は見覚えがあった。



―――――
―――

649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 02:57:10.06 ID:k1kaA+zU0



 〜数時間前 海上〜


提督 「せめてもの情けで楽に殺してやる」


 加賀の後頭部に突き付けた拳銃の引き金を絞る。

 薄明りの中、加賀が両手を挙げようとしているのを提督は辛うじて確認していた。


提督 (超常の力を持つ艦娘でもここからの脱出はできまい)

提督 (だからといって、命乞いか? つまらん・・・)


 哀れみの表情を浮かべる提督の前で、

 上げられかけた加賀の左手は腰に付けられた矢筒の底に到達していた。

 加賀はその左手の掌底で、矢筒の端を思い切り叩き回転させる。

 矢筒は繋がれた腰紐を中心に戦闘機のプロペラのように回転し、

 後頭部に突き付けられていた提督の拳銃を弾いた。

 勢いで飛び出した矢が矢筒から船上に散らばりバラバラと音を立てる。


提督 「くっ」


 提督は飛ばされそうになった拳銃を握りしめると、再度狙いを定めようとする。

 しかし、次に提督の視界が捉えたのは自身に対し正面を向いた加賀であった。

 加賀は矢筒を押すと同時に、体を捻り提督の正面に向きを変えていた。

 提督は本能的に加賀と距離を取るために後ずさろうとする。

 しかし、自動拳銃がぴくりとも動かず、その行動は中止された。

 視線を落とすと銃身がガッチリと加賀に握られている。

650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 02:58:26.17 ID:k1kaA+zU0


 〜現在 白い部屋〜


提督 (あの時、おれは即座に引き金を引いていた)

提督 (スライドの抽挿で加賀の手が離れると思ったからだ)

提督 (甘かった・・・三発目の発砲でスライドは後退したまま動かなくなった)

提督 (拳銃が軋む音がした時には、天地がひっくり返っていた・・・)

提督 (強かに投げられ、堅い甲板に叩きつけられたところから今まで記憶がない)

提督 (それより、どれだけ経ってる!?)


 腕時計を見ると、正午を回っていた。

 提督は薄ら笑いを浮かべる。


提督 「で、この取調室ではVIPをどうもてなしてくれるんだ・・・加賀」

?? 「もう私はあなたの加賀じゃないの・・・加賀は死んだわ」

提督 「なら、お前をどう呼べばいい?」

?? 「今の制服でわかるでしょう?」


提督 「加賀・・・いや、あきつ丸、煙草を吸うから火をよこせ」

あきつ丸 「・・・」

提督 「だんまりか」フー


 あきつ丸は表情を変えずに提督を見つめる。

 一方で提督はマジックミラーに向かい、髪を整えていた。



―――――
―――


651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:01:29.33 ID:k1kaA+zU0



提督 「あの馬鹿みたいな陸軍言葉で話さなくていいのか?ん?」

あきつ丸 「陸軍言葉?・・・あきつ丸のかしら」

あきつ丸 「あれは敢えてあの特徴的な言葉遣いをしているだけよ・・・憲兵隊所属のあきつ丸は、ね」

提督 「敢えて・・・か」

あきつ丸 「他艦娘として内偵をする、もしくは内偵任務から戻る時に口調を間違えないようにね」

提督 「ハハハ、廓言葉みたいなものか」

あきつ丸 「・・・」

提督 「今思えば、その強さで前いた鎮守府が手放したこと、出撃したことが殆どないのかというほど青白い肌・・・」

提督 「不審感を持つべき点はいくらでもあったな」フフ

提督 「気付かなかったおれも悪いが、お前も悪いぞ」

あきつ丸 「何が?」

提督 「周囲に溶け込めないばかりか、突出して戦果を上げて目立つ・・・スパイとしてどうなんだ?え?」クク

あきつ丸 「今回は慣れないことをしたと思ってるわ」

あきつ丸 「確かに内偵のために、あなたの鎮守府にいた」

あきつ丸 「けれど、本来私は内偵要員ではないのよ」

提督 「内偵要員でないなら憲兵隊でのお前の役目は何なんだ?」

あきつ丸 「憲兵隊付きの機動部隊よ、抵抗する艦娘の鎮圧が主なお仕事」

提督 「ほぉ、なるほど」
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:02:36.89 ID:k1kaA+zU0

提督 「加賀の艤装は、鎮圧任務に使っていたから同調できたわけだ」

あきつ丸 「いいえ、任務中はあきつ丸の艤装を装備しているわ」

提督 「はぁ??あきつ丸の艤装じゃまるゆ位としかまともに戦えないだろう?」

提督 「改造されたらすぐ放逐されるからまるゆに不満分子が多いのは有名だが・・・」

提督 「お前、まるゆ専用の鎮圧部隊か?」ハハハ

あきつ丸 「・・・」

提督 「それにしても、機動部隊のお前に内偵をさせるほど人員不足なのか、憲兵は」

あきつ丸 「違うわね」

あきつ丸 「轟沈が多発するような鎮守府に、貴重な内偵要員を潜らせるのは博打過ぎるというだけよ」

提督 「だから戦闘能力の高いお前が抜擢された・・・」

あきつ丸 「その通りよ・・・結果としてあなたも気付かなかったし、正解じゃないかしら?」

提督 「尤もだ」クク

提督 「で、そんなにペラペラ内情を喋ってもいいのか?」

あきつ丸 「わかっているでしょう?」

あきつ丸 「あなたには、外患通謀・殺人・殺人未遂・贈賄・横領・強姦・偽造その他の嫌疑がかかってる」

あきつ丸 「あなたが日の当たる場所に出ることはもうない」

提督 「なら、そのまま軍法会議にぶち込めば良い」フ

提督 「できないから、おれを取調室に呼んだんだろう?違うか?」

あきつ丸 「・・・」



―――――
―――


653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:04:44.50 ID:k1kaA+zU0



提督 「で・・・何時からおれを疑っていた?」

あきつ丸 「ここ数日ね」

提督 「ん?・・・随分と最近だな」

提督 「危険海域への出撃を再開した辺りか」

あきつ丸 「それまでは特に何の疑問も抱いてなかったわ」

提督 「疑問も抱かない?あれだけ轟沈があって?」

提督 「内偵で潜り込んだんじゃなかったのか?」

あきつ丸 「轟沈多発に対しての内偵ではないわ、地方長官に足るかという内偵だったのよ」

あきつ丸 「それに着任前に一通り資料に目を通して、轟沈が多いことは知っていたわ」

提督 「ふん・・・道理でな、着任当初に動揺も怪しさのかけらもなかった訳だ」

提督 「ここ最近の不穏さは大和との痴話喧嘩の延長かとすっかり騙された」

提督 「で、危険海域へのどの出撃で気付いた?」

あきつ丸 「朝潮」

提督 「朝潮?」

あきつ丸 「大破進軍の可能性に気付いたのは三日前、荒潮が轟沈する前日・・・」

あきつ丸 「初戦にて、荒潮が大破・朝潮が中破した出撃があったわよね?」

提督 「あったな」

提督 「編成は、加賀・日向・利根・筑摩・朝潮・荒潮」

提督 「結果は、荒潮の大破で道中撤退」

あきつ丸 「よく覚えているわね」

提督 「当然だろう?」

提督 「お前が自身で第一艦隊入りを推した朝潮の危険海域への初出撃だったというのに・・・」

提督 「中破した朝潮を殴るわ、帰投中に殺せと言い出すわ・・・お前が情緒不安定過ぎてな」

提督 「・・・朝潮よりお前を心配した記憶がある」クク

あきつ丸 「艦娘を心配する良心が残っていたのね」

提督 「艦娘を・・・か」フ
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:09:02.31 ID:k1kaA+zU0

提督 「そういえば、知覚についてお前がおれに話したのもこの出撃の帰投中だったな」

あきつ丸 「そうね」

あきつ丸 「あの説明の時、他人の同調から損傷度を計るのは難しいと言ったわよね?」

提督 「近くないとできない上に精度が低い、というやつだな」

提督 「ん、近くないとできない?・・・まさか・・・だから朝潮を殴ったのか」

あきつ丸 「そうよ、だから殴ったの・・・朝潮の損傷度を正確に調べるために」

あきつ丸 「・・・そしてあの時・・・朝潮の同調は弱く、間違いなく大破していた」

あきつ丸 「制服の損傷は中破だったのに、よ」

提督 「ふむ・・・」

あきつ丸 「わかっていたことでしょう?」

あきつ丸 「大破していても、外見は中破のままの艦娘を進撃させて轟沈しようが戦果を稼ぐ」

あきつ丸 「そうしてきたんでしょう?」

提督 「どうだったかな」フ

あきつ丸 「私は急がないといけなかった」

あきつ丸 「この時点で私はあなたが大破進軍させる方法さえわからなかった」

あきつ丸 「制服への細工か、損傷表の改竄か、他の方法か」

あきつ丸 「調べようにも元々私の任務はあなたの身元調査、大破進軍の捜査までは許可が下りてなかった」

提督 「許可を取ればいい」

あきつ丸 「もし私がのんびり正式に許可を取っていたら、十数人は追加で轟沈していたでしょうね」

あきつ丸 「だから、私で勝手に捜査を進めた」

あきつ丸 「中破した朝潮の制服、その切れ端を伝手のある科学捜査員に渡し・・・」

あきつ丸 「本来なら上から取り寄せるだけで済む損傷表を、あなたのいない執務室にもぐりこんで逐一確認した」

提督 「執務室に侵入していたのは大和から聞いていたよ」

あきつ丸 「大和さんから?」

提督 「おれのいない間に朝潮と喧嘩までしていたそうじゃないか・・・見損ねてがっかりだ」
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:10:54.91 ID:k1kaA+zU0

提督 「にしても、何であの出撃の帰投中あのタイミングで知覚について説明したのかとは思っていたが」

提督 「時間稼ぎだったとはな・・・」

あきつ丸 「知覚を知れば、慎重なあなたなら大破進軍を止めると思ったいたわ」

提督 「そんな仏心を見せながら、同じ帰投中に朝潮を殺そうと提案したのか」フフ

提督 「おれが朝潮を轟沈させれば、轟沈の真相がわかると思ったのか?」

あきつ丸 「そうね」

提督 「加賀の艤装と同調させたり、てっきり本気で朝潮を殺そうとしてるのかと思ってたがな」ハハハ

提督 「なるほど・・・これもか」

あきつ丸 「恐らく想像の通り、朝潮に触れて損傷度を確認する機会を作るためよ」

あきつ丸 「一番新しく入隊して未熟な朝潮が狙われ易いと思ったから」

提督 「酷なことをするなぁ、お前も」

提督 「生贄にしたのか、入隊して間もない朝潮を・・・」フ

あきつ丸 「あなたほどじゃないわ、それに私は朝潮を買っていたのよ」

あきつ丸 「加賀の艤装へ同調させたのは、私が抜けた後に加賀の艤装を任せたかったから」

提督 「朝潮の上昇志向なら、それを受け入れていたかもな」

提督 「それにしても・・・完全に騙されていたのか、おれは」

提督 「知覚の説明でお前が心を開いたのかと油断して、取引にまで連れて行って・・・」ククク

あきつ丸 「そうでもないわよ」

あきつ丸 「私の目論見は殆どが外れた」
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:11:44.30 ID:k1kaA+zU0

提督 「・・・」

あきつ丸 「あなたは私を朝潮殺しに巻き込まなかった」

あきつ丸 「それに、私の警告を無視して二日前に荒潮を殺し、昨日また朝潮を偽物の制服で出撃させてる」

あきつ丸 「あなたの嗅覚には驚かされるわ」

提督 「”偽物の制服”か・・・どこまで知っている?」



―――――
―――

657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:14:32.10 ID:k1kaA+zU0



あきつ丸 「大和さんが知ってる範囲で素直に話してくれたわ」

あきつ丸 「取引で、あの国に本物の制服とコアを流して、見返りに金銭と偽物の制服を受け取る」

あきつ丸 「偽物の制服は大和さんに保管させ、秘書艦と出撃部隊を決めた後、制服の交換を大和さんに指示する」

あきつ丸 「偽物の制服で出撃した娘は、実際は大破していても制服は小破から中破の損傷しかしない」

あきつ丸 「当然そのまま進撃すれば・・・轟沈する」

提督 「なんだ、そんなことまで喋ったのか」

あきつ丸 「実に協力的だったわ」

あきつ丸 「あの子が好きだったのは、あなたでなく・・・あなたの地位や名声だったみたいね」

提督 「違いない」クク

あきつ丸 「艦娘の技術は、当時艦艇を持っていた国の半独占状態」

あきつ丸 「あの国も沿岸の国防は、日本から支給されるコアと制服に頼っている状態」

あきつ丸 「あなたの流したコアと制服は、あの国の予備戦力としてだけでなく・・・」

あきつ丸 「制服量産とコア精製の技術研究に、さぞ役立ったでしょうね」

あきつ丸 「あなたはあなたで、見返りの金銭を上官にばらまいて買収・・・」

あきつ丸 「偽物の制服で大破進軍を繰り返し、戦果を上げ昇進を重ねる」

あきつ丸 「ここまで何か違うところはある?」

提督 「実に面白い作り話だ」パチパチ

提督 「そんな極悪人がこの世にいると思うと肝が冷える」

あきつ丸 「大和さんが、本物と偽物の制服交換記録まで素直に提出してくれたわよ」

あきつ丸 「大和さんはよく知らないで記録を取っていたと言っていたけど」

あきつ丸 「無理もないわよね」

あきつ丸 「大した縫製技術よ、外見は完全に同じで容易に判別が付かないような仕上がりだもの」
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:15:56.25 ID:k1kaA+zU0

提督 「・・・もう鎮守府には踏み込んだのか?」

あきつ丸 「数時間前に」

提督 「それでも・・・さっき言ったように軍法会議に持ち込めない」ククク

あきつ丸 「・・・」

提督 「理由を当ててやろうか?」

提督 「おれを犯人と示す直接的な証拠が見つかってない、違うか?」

あきつ丸 「・・・」

提督 「国として外交衝突は避けたい、軍は腐敗を隠したい」

提督 「関係者の証言や状況証拠だけでは重い腰を上げないだろうな」

提督 「同情するよ」

あきつ丸 「同情するなら、証拠の在り処を教えてくれない?」

提督 「・・・」フ

あきつ丸 「ここに呼んだ目的はそれだけじゃないわ」

あきつ丸 「共犯者の有無・海外との繋ぎをどう作ったのか・・・それに、あなたのその余裕がどこからくるのか」

あきつ丸 「いくらでも聞きたいことはあるわ」

提督 「おれは最初から無実だと言っている」

提督 「なら、そんなこと知るわけがないし、焦る必要だったてないだろう?」

あきつ丸 「話す積もりはないのね、その方が燃えるからいいけれど」

提督 「ははは」

提督 「しかし、犯人がおれとしても証拠がない可能性もあるんじゃないか」

あきつ丸 「贈賄していた金額と期間から考えても、取引の記録がないと管理は不可能よ」

提督 「ほう」

あきつ丸 「それに、偽物を使うよう大和さんに何度も命令しているのだから、いくらか証拠として残っているのが自然でしょう?」

提督 「・・・それをおれが白状すると思うか?」ニヤ
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:18:16.45 ID:k1kaA+zU0

あきつ丸 「観念してこちらに協力した方が身のためよ」

提督 「”協力した方が身のため”というのは、極刑にホイップクリームか何かオプションでも付けてくれるのか?」

提督 「犯人と確定すれば、極刑未満はあり得ないのに自白する・・・と本当に思うか?」

あきつ丸 「どれだけ殺したと思ってるの?・・・あなたはそれだけのことをした」

あきつ丸 「いずれ死ぬなら教えてくれてもいいんじゃないの」

提督 「どれだけ殺した?・・・語弊があるな、あきつ丸」

提督 「おれは、艦娘をふるいにかけただけだ」

提督 「自然が弱肉強食であるように、この社会が無能を弾き出すように、な」

あきつ丸 「そうね・・・そして、おめでとう」

あきつ丸 「あなたも弾き出される無能の仲間入りじゃない」

あきつ丸 「時計はもう見たのかしら?」

提督 「はぁ?」

あきつ丸 「あなたに余裕があるのは、何か助け舟を期待してでしょう?」

あきつ丸 「来るのなら遅すぎるんじゃないの?もうお昼よ」

提督 「時計ねぇ・・・この時間が進められた腕時計のことか?」コツコツ

あきつ丸 「・・・」

提督 「何故わかったのかという顔だな・・・腹具合だよ」

提督 「・・・というのは冗談だが、細工されてることくらいわかる」

提督 「何故なら、本当にこの時間なら、おれはもうここにいないからな」

あきつ丸 「いない?・・・逃げられるとでも思っているの?」

提督 「なんだ、外交ルートでお前の上に話が行ってないのか?」

提督 「てっきり、それを知ってて、おれを焦らせるために腕時計の時間を進めたのかと思っていたが」

あきつ丸 「どういうことか説明してもらえる?」

提督 「じきに向こうの国の大使館から、おれの書いた亡命申請書とあちらの認定書類一式を持った外交官が来る」

あきつ丸 「まさか・・・」

提督 「その”まさか”だ」

提督 「そしたら、おれはあちらの国へ亡命、この国ともおさらばだ」

あきつ丸 「取引先の国にコアや制服だけじゃなく、自分も売っていたとはね」

提督 「お前はおれが轟沈させた数が気になるようだが、同時にどれだけの深海棲艦を屠ったと思ってる?」

提督 「おれの能力・経験・実績を欲しがる国はいくらでもいるということだ」

提督 「この問題を公にしたくないこの国も軍も、あちらの国も、全てそう望んでいる」

あきつ丸 「公にしないと思う?」

提督 「できるか?・・・偽物の制服が出回ってるなんて情報」

提督 「全鎮守府の士気を下げ、提督と艦娘の不和を招くだけじゃない」

提督 「おれの鎮守府精鋭数百の艦娘が憲兵庁舎に殺到するぞ・・・おれを殺しにな」

提督 「お前らに止められるかな?」

あきつ丸 「・・・」



―――――
―――


660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:22:16.95 ID:k1kaA+zU0



提督 「折角だから教えてやろう」

提督 「この国や軍より、あの国はおれをずっと高く買ってくれてるよ」

提督 「おれは、あちらで高い地位を得て、今より遥かに大きい権力を扱うことになる」

あきつ丸 「あれだけ殺して、のうのうと自分は国外に脱出するつもり?」

提督 「素直に捕まるなんて、力のない屑だけだ・・・おれにはある」

あきつ丸 「・・・」

提督 「そう睨むな」

提督 「おれだって一応死んだものには感謝してる・・・ありがとう死んだ艦娘、ありがとう死んだ深海棲艦」

提督 「お陰様で、おれは向こうの国で鎮守府の運用を教えながら贅沢三昧・・・」

提督 「国内が沿岸だらけで深海棲艦の侵攻に心休まることのない日本とあの国は違う」

提督 「死にものぐるいで足掻くこの国を肴に内陸で安穏な隠居暮らしも良い、今からでも楽しみだ」

あきつ丸 「・・・ふざけてる」

提督 「おれを殺すべきだったなぁ」ハハハハハハ

提督 「取引の直前に臨検に入ったのは、万が一向こうが証拠隠滅におれを殺すのを防ぐためだろう?」

提督 「おれに銃を突き付けられたのをいなした時も事故を装って殺せたよな?」

提督 「お前と出撃した回数を加えれば、いくらでも殺す機会はあった」

提督 「悔しいか?殺したいか?」

あきつ丸 「・・・」

提督 「もう加賀の演技をする必要はない、感情を出しても問題ないだろう?」

あきつ丸 「隠された証拠、亡命の準備・・・」

あきつ丸 「危ない橋を渡るには渡るなりの準備をしていた・・・別にそれだけよね」

提督 「犯罪者にありがちだ、怒るまでもない・・・とでも言いたいのか?」

提督 「はぁ・・・あきつ丸、お前にはつくづく落胆させられる」

あきつ丸 「煙草を吸えないのをまだ根に持ってるの?」

提督 「違う・・・」

提督 「お前の正義や、その取り澄ました態度に・・・だ」

あきつ丸 「自分のやることを粛々とこなしているだけよ」
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:24:19.23 ID:k1kaA+zU0

提督 「あきつ丸・・・おれは、欲望を実現する能力が力だと言ったな?」

あきつ丸 「それがどうしたの?」

提督 「・・・もっと欲望を、感情を、開放しろ」

提督 「お前の力はそのためにある」

あきつ丸 「人間は社会的な動物よ、我儘ばかりで生きてはいけるほど甘くない」

提督 「我儘を通さないで何の生きる意味がある?」

あきつ丸 「これでも楽しく生きている積もりよ」

提督 「お前には力がある、もっとそれを使えと言っている」

あきつ丸 「・・・」

提督 「力は行使せずに飾っておくものじゃない、使ってこそ意味がある」

提督 「強烈な自我が形成した欲望や激情にのせて力が行使され、より自我は強烈さを増し輝きを放つ」

提督 「おれはそこに美しささえ感じる」

あきつ丸 「・・・」

提督 「欲を言えば、その力は圧倒的で、無秩序で、大多数の人間を虐げる性質のものであれば・・・尚、素晴らしい」

提督 「この世界は力のあるもののためにあると教えてくれる」

あきつ丸 「まるで戦争や災害ね」

提督 「だから、鎮守府を戦場に変えた」

あきつ丸 「で、私にも感情的になれと?・・・あなた私に殺されたいの?」

提督 「できるならな・・・しかし、お前にはできない」

提督 「お前が弱いからだ」

あきつ丸 「力があるのに弱い?」

あきつ丸 「あなたにとって弱者って何なの?」

提督 「弱者?・・・自身の実現できない欲望から目を反らしている屑だ」

提督 「挑戦せず責任を負う気もない癖に、家族・友人・仲間・国・正義のためと大義に寄りかかり、ちっぽけな自我を保つ」

提督 「いただろう?おれの鎮守府にいくらでも、そして死んだ」

あきつ丸 「それを煽っていたのはあなたでしょう?」

提督 「そう、屑どもが踊りやすいように大義を用意してやった、このおれが」

あきつ丸 「・・・・」

提督 「あいつらが死に物狂いで踊る様は、まだ見てて楽しかったよ」

提督 「それに対しお前は何だ」
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 03:25:32.49 ID:kZd3IEN20
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:26:58.53 ID:k1kaA+zU0

提督 「力があるのに体制に用意された正義なんかに従って・・・」

提督 「お前の正義では、許可が下り諸々の手続きが終わるまで、おれに何の裁きも与えられまい」

提督 「そんなことだから証拠を逃す」

あきつ丸 「・・・」

提督 「おれにはな、力を持っているくせに正義の奴隷になってるお前のことが、屑どもよりよっぽど窮屈に見えるよ」

提督 「こんな国で燻るくらいなら、あきつ丸・・・お前もおれと一緒に来い」

提督 「国を変え欲望の果てで自分の正義を探せばいい、楽しいぞ」

あきつ丸 「お断りよ・・・窮屈かどうか決めるのはあなたでないわ、私自身よ」

提督 「ふ、間違いではないな」

提督 「それにしても、頑固だな・・・朝潮もそうだった、才能があるのにがっかりさせてくれた」

提督 「おれを殺そうと朝潮が暴れたのを、執務室に忍び込んでたお前がなだめたらしいな」
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 03:27:12.86 ID:kZd3IEN20
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:29:14.47 ID:k1kaA+zU0

あきつ丸 「?・・・あぁ、大和さんからそこまで聞いていたのね」

提督 「おれを殺すより、家族を優先したんだってな」

あきつ丸 「そう説得したわ、姉のため止めるよう私が言った」

提督 「そんなことだから本来の目的を、欲望を見失う」

あきつ丸 「本来の目的?」

提督 「欲望は自分を写す鏡だ」

提督 「あいつの本来の目的は、欲望は何だ?」

提督 「姉のような悲劇を起こさないことが大事なんだろう?」

提督 「なら、朝潮はおれを排除すべきだった何が何でも、な」

提督 「くだらん秩序や情にほだされ、自分を折った」

あきつ丸 「戦争開始の混乱期を朝潮は経験しているのよ、秩序に縋るのも仕方ないでしょう」

提督 「そういう自分以外に責任を押し付けるのは弱者がすることだと言った筈だ」

あきつ丸 「・・・」

提督 「その点、荒潮轟沈時の朝潮はぞくぞくさせてくれた」

提督 「おれを見捨ててタ級の殲滅を優先しやがった、終わった後の怯えはあっても朝潮は自分を通した、立派だよ」

提督 「これからのあいつが楽しみだった・・・それだけが、唯一この国での心残りだ」

あきつ丸 「それだけ・・・ね」

提督 「無論、お前と話すのも最後と思うと寂しいよ」

あきつ丸 「良く舌が回るわね」

提督 「ものわかりの悪い人間相手だとな」

提督 「さて、どうしようもないことが理解できたら、いい加減たばこの火をくれないか?」

あきつ丸 「わかったのは、あなたが轟沈させた艦娘に対する謝罪の念が一片もないことよ」

あきつ丸 「それに、あなたが自白する気がないこともね」

提督 「わかったらどうする?」

あきつ丸 「・・・一番効果のある拷問って何かわかる?」



―――――
―――


666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 03:30:53.38 ID:kZd3IEN20
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:31:43.85 ID:k1kaA+zU0



提督 「はぁ?」

あきつ丸 「答えてみて」

提督 「爪を剥がしたり、局部を爪切りで切ったり、口にドリル突っ込だり、とかしか知らないが・・・」

あきつ丸 「神経が多く通う部位、人体の急所、後遺症を残すような方法・・・」

あきつ丸 「実に創作物が好みそうな説得力だけはある拷問の数々ね」

提督 「無茶を言うな、専門家じゃあるまいし3つも挙げられただけでも褒めてもらいたいね」

提督 「そうだ、ヒントをくれ」

あきつ丸 「そうね・・・」

あきつ丸 「殺すのも目的ならまだしも、余り酷い外傷を与えるのは合理的じゃないわね」

提督 「熱したコテを当てるのも・・・火傷の処理が面倒か」

提督 「そうだな・・・水だ、水攻めは?」

あきつ丸 「落ち(気絶)グセが付いたら終わりね」

提督 「なら、自白剤か?」

あきつ丸 「虚ろにさせたり、不安定にさせたり、広義では麻薬中毒にするのも自白剤の一種ね」

あきつ丸 「ただ、そう都合の良い物ではないわ」

あきつ丸 「時間がかかるし、効果の有無が明確にわからないという致命的な問題がある」

あきつ丸 「不正解よ」

提督 「もう降参だ、わからん」


 あきつ丸はスッと立ち上がる。

 そして、提督に背を向けた機械仕掛けの箱の後ろから伸びるプラグを持ち上げる。

 そのプラグを壁に向かいコンセントへ差し込んだ。

 あきつ丸は席に戻ると箱の頭をなでる。

668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:33:24.00 ID:k1kaA+zU0


提督 「・・・その箱が関係あるのか?」

あきつ丸 「さぁ・・・」

提督 「・・・電気ショックか」

あきつ丸 「正解よ、これなら軽い火傷で延々痛みを与えられる」

あきつ丸 「しかも、その痛みも外傷と違い神経に直接働きかけるから、慣れることがないそうよ」

提督 「ということは、その箱は電気ショックを与える装置か」

あきつ丸 「・・・」


 あきつ丸は、機械仕掛けの箱の両脇を持ち笑う。


あきつ丸 「冗談よ・・・お腹すいてない?」フフ


 あきつ丸の方向に向いていた機械仕掛けの箱を滑らせて回転させ、提督の方向に向ける。

 それはありふれた電子レンジだった。

 中は見えない。


提督 「・・・さっき腹具合とは言ったが、腹はすいてない」

あきつ丸 「遠慮しなくていいわよ」

あきつ丸 「それに、VIPに食事も出さなかったと後で言われては敵わないわ」

提督 「メニューは何だ? カツどんでも食べさせてくれるのか」

あきつ丸 「肉なのは正解よ」

あきつ丸 「加熱してすぐ、熱々のまま食べてもらいたくて」

提督 「サービスがいいな」

あきつ丸 「自分で押して貰える?」

提督 「こった演出だ」フ


 今や提督の方に向いた電子レンジを提督自身が押すことに何の違和感もなかった。

 提督が温めのボタンを押し込む。


 すると、ブーンと言う駆動音と重なって微かに肉が焼ける音と連続した破裂音が静かな室内に響いた。


電子レンジ 「プシュー」


 暫くすると、電子レンジ内に煙が充満し一部が扉の隙間から湧き出る。

669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 03:33:33.81 ID:kZd3IEN20
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 03:34:48.64 ID:kZd3IEN20
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:35:32.10 ID:k1kaA+zU0


提督 (なんだ、この鼻の奥を突き刺すような臭いは・・・)

提督 「大丈夫か?、これ・・・」

あきつ 「大丈夫」

電子レンジ 「電子音」


 加賀が電子レンジの扉をあけると、閉じ込められていた黒煙が机を床を這って逃げ出した。

 同時にこれまで以上の臭気が提督を襲い、提督は鼻呼吸を止め口呼吸へ反射的に移行していた。


提督 「カッハ・・・」

提督 (この臭い・・・酷い赤潮で鎮守府周辺に魚の死骸が大量に打ち上げられた時と同じ)

提督 (・・・死の臭いだ)


 口をぱくぱくさせる提督の前で、煙のベールを脱いだそれが現れた。


提督 「おい、モルモットか?これ」

あきつ丸 「そうよ」

提督 「そうよって、パット見じゃわからんぞ」

あきつ丸 「白色と茶色と黒色の三色が可愛いでしょ?・・・今は四色だけど」

提督 「何のモルモットだ?食用な訳ないよな?」

あきつ丸 「自白剤の治験用モルモット」

あきつ丸 「奇しくも名前はあなたが殺した一人、武蔵と同じよ」

あきつ丸 「色が似ているでしょう?」


 一目ではモルモットとはわからないほど変形したものが白い皿の上に横たわっていた。

 皿の上に鎮座したそれは、嗅覚的にも視覚的にも提督の吐き気を誘った。


 毛はちぢれて焦げ、所々の毛の間からぶつぶつと肉がめくれて飛び出し、

 まるで黒い蛆虫がモルモットの全身を今なお這っているかのような、そんな絶望的な汚さがあった。

 今なお泡と一緒にジュクジュク音を発しながら噴き出ている赤い体液は、モルモットの下の皿にべっとりとした沼を作っている。

672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:37:40.38 ID:k1kaA+zU0


提督 「・・・」


 黙った提督を見据えながら、あきつ丸は立ち上がる。

 そして、ゆっくりと提督の周りを歩き出す。


あきつ 「どうぞ、遠慮しなくていいわよ」テクテク


あきつ 「おいしそうでしょ?」テクテク


 提督は直視に耐えないそれから目をそらし、あきつ丸を苦い目で追っていた。

 あきつ丸が視界内にいればそれを、いなければマジックミラー越しに。


あきつ丸 「私に何か付いてる?」

提督 「どういうつもりだ、やはりここは

あきつ丸 「拷問室よ」

提督 「おれに何かして無事に済むと思っているのか、記録はとっているんだろう?」

あきつ丸 「よく知っているわね」


 あきつ丸が懐のスイッチを押すと、マジックミラーの向こう側が照らし出され見えるようになる。

 そこにはテレビのミキサー室のように幾つもの機材とモニター、それにPCが並んでいた。

 しかし、全ての機器が電源の赤ランプさえ消え沈黙している。


あきつ丸 「カメラ、心音・呼吸・瞬きのセンサー類、サーモグラフィー、瞳・体表面上の水分計、声紋採取機、他色々」

あきつ丸 「便利な時代よね、拷問する相手にパットをベタベタ貼らなくてもわかるって」

提督 「全て止まっているようだが」

あきつ丸 「私とあなただけにするようお願いしたの」

あきつ丸 「だからここは記録も一切されない本当の密室よ」

提督 「・・・なんのためだ、亡命する気にでもなったのか?」


 あきつ丸は、未だゆっくりと提督の周囲を歩いていた。

 その歩みを提督の背後で止めると、自身のポケットから白い手袋を出し両手に嵌める。

 マジックミラーを失い背後を確認できない提督は、気付かないまま機器類を眺めている。

 あきつ丸は提督の背後に静かに近づくと、顔を提督の耳に近づけ囁いた。


あきつ丸 「拷問しても、記録に残らないようにするためよ」ボソリ

提督 「なっ

673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:40:08.51 ID:k1kaA+zU0


 あきつ丸は提督の片腕を後ろ手に捻り上げて極める。

 もう一方の手でモルモットののった皿を提督の顔の前にずいと突き出した。

 提督は自由なもう一方の手で暴れたものの、船上の一件もありすぐ諦めた。


あきつ丸 「口と目が見える?」

提督 「んんんん」


 提督が何とか顔を背けようとすると、あきつ丸は皿を少しずつ提督の口に近づける。


提督 「見える!止めろ!」

あきつ丸 「どうなってる?」


 提督はせめてと背けていた目をモルモットだったものに向ける。

 あきつ丸が止めていた皿をまた口に近づけようとした。


提督 「言えば良いんだろう!!目は赤く窪んでる!!」

あきつ丸 「もっと詳しく」

提督 「目から・・・目には赤い血と違う赤黒い液体?がたまってる」


 あきつ丸は更に皿を口に近づけ、傾斜させる。

 皿の底に溜まっていた液体がどろどろと少しずつ提督の方へ、そしてポタポタと降下を始めた。

 提督の顔と制服に赤い斑点が付く。


提督 「お、おい、言っただろ、止めろおおお」

あきつ丸 「口は?」

提督 「ッ・・・目と同じ?あ、赤黒い粘液、いやワタみたいなものが出てる」

あきつ丸 「そうね」


 あきつ丸の満足した声に安堵し気を緩めた提督の口からは

 堰を切ったように吐瀉物が噴射され机と自分の制服を吐瀉物まみれにする。


提督 「うおぉああああぁぇ」

あきつ丸 「服に付いた吐瀉物がよだれかけみたいね、赤い斑点の付いた」

提督 「うおあぇ」

あきつ丸 「ふふ」

あきつ丸 「どう?吐いた気分は?証拠のある場所も吐く気になった?」

提督 「・・・誰が」

あきつ丸 「じゃあ、食べましょうか」


 あきつ丸は、モルモットだったものごと皿を提督の口にあてがいねじる。

674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:42:47.02 ID:k1kaA+zU0


提督 「んん、んんんんんんn」

あきつ丸 「ふふ、ふふふふふ」


 押し付けてねじられたため、モルモットだったものはぼろぼろとこぼれ落ちる。

 あきつ丸が押し付けた皿を離すと、そこには毛と肉片が混ざりあった粘液がこびり付いた提督の顔があった。


提督 「酷い臭いだ、お前こんなことして・・・おえぅぺっぺっ」

あきつ丸 「どうなるのかしら、残るような傷はないようだけど」ニコニコ

提督 「モルモットの自白剤で吐かせる気か?」

あきつ丸 「自白剤は麻酔より投与量が繊細なの、わかる?」

あきつ丸 「こんないい加減な量を摂取させても吐かせるなんて、到底不可能」

あきつ丸 「安心していいわよ」

提督 「どうだかな」ッペ

あきつ丸 「そもそも、あなたのように意思が強く、頭の回る人間に拷問は無意味なのよ」

あきつ丸 「適当なこと・裏付けの取りにくいことを延々と話して捜査を混乱させるだけでしょうね」

あきつ丸 「だから、上に言って治験までしてた自白剤を止めさせた」

あきつ丸 「そして、あなたと二人だけになった」

提督 「憂さ晴らしにおれへ嫌がらせするためか・・・」

提督 「人間らしいところもあるじゃないか、お前が今更ながら好きになれそうだよ」ッペ

あきつ丸 「私は嫌いよ・・・殺したい位に」ニコリ

提督 (背後のあきつ丸の顔は見えないが・・・間違いなく笑ってやがる)ゾッ

提督 「・・・気が済んだら離せ」ググ

あきつ丸 「始まったばかりじゃない?」グイ

提督 「!?」


 そう言うと、あきつ丸は提督の腕を決めていない方の手で、提督の襟後ろを掴んだ。

 そして、少しずつ提督にお辞儀をさせるように下へ向けてゆっくりと押した。

675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:45:06.55 ID:k1kaA+zU0


提督 「おいッ、これ以上ッッ何を!?」

あきつ丸 「さっきのモルモット・・・目と口と鼻から赤い血と違う赤黒いワタが出てたわよね」

提督 「?」

あきつ丸 「あれ、なんだと思う?」グググ

提督 「知るか!おい、何をする気だ?止めろ!」

あきつ丸 「正解なら止めるわよ」グググ

提督 「血だ!静脈血が熱で固まったとかか?!」

あきつ丸 「不正解なので20度ダウン」グググググ

提督 「もう20度・・・どころか・・・机が目の前だぞ、なんで頭を下げさせるッ?」

あきつ丸 「こうするためよ」ガッ


 言うが早いか提督の頭が鐘付き棒のように衝撃音を発しながら、電子レンジに対し真っ直ぐ突き刺さる。

 3重構造の扉が割れ、すっぽりはまった扉の隙間から提督の呻き声が聞こえる。

 提督が電子レンジに食われているかのような異様な光景が机の上に広がった。


あきつ丸 「提督、どうかしら?真っ暗?」

提督 「っ痛ぅー・・・お前とうとうおれに怪我をさせたな」

あきつ丸 「先ほどの正解だけど、あのワタ

提督 「どうでもいい!!!すぐに出せ!!」ガンガン

あきつ丸 「あー、もう暴れないでくれない? 反響してご自身も五月蝿いでしょう」

あきつ丸 「それに、割ったガラスの扉が鋭い刃物となって提督の首を囲んでるのよ、危ないわよ」

提督 「ぐっ・・・」ピタ
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 03:46:10.09 ID:kZd3IEN20
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 03:47:04.40 ID:k1kaA+zU0

あきつ丸 「赤黒いワタの話にもどるけれどね」

あきつ丸 「説明のために、この中に入ったモルモット武蔵ちゃんの話をしましょうか」

あきつ丸 「電子レンジは液体を振動させて加熱する偉大なる発明というのはご存知?」

提督 「知るかッ、お前は早くおれを出せば良い、丁寧になッ」

あきつ丸 「この電子レンジに生き物を入れるとどうなるか?」

あきつ丸 「肉体を構成する蛋白質は加熱で硬化するのに、体の60パーセント超を構成する水分が膨張する」

あきつ丸 「これは大変なことよ」

提督 「既に大変なことになってるぞ、この馬鹿」

あきつ丸 「体のいたるところで熱膨張と破裂が起こるわけだから」

あきつ丸 「まず最初に体液でも水分の多い血液が気化するわ」

あきつ丸 「血管は破れ、血の集まる心臓は膨張に耐えきれず爆発」

あきつ丸 「次に体液の多い順に体の各内蔵が変形もしくは破裂していく」

提督 「その説明に何の意味がある??」ッペ

あきつ丸 「頭部も例に漏れずよ、特に脳や眼は80パーセント超と水分が多い」

あきつ丸 「眼球は膨張して眼窩に収まり切らなくなり、飛び出しやがて破裂する、あなたが見た通りね」

あきつ丸 「では、脳はどうなるかしら?」

提督 「脳だぁ?」
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 03:47:08.18 ID:kZd3IEN20
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/08/07(月) 03:50:16.73 ID:k1kaA+zU0

あきつ丸 「頭蓋骨って意外に固いのよ」

あきつ丸 「膨張する脳、堅い頭蓋骨、上がる圧力・・・電子レンジに入れた卵を想像するとわかりやすいかしら」

提督 「爆発するってことか」

あきつ丸 「その通り」

あきつ丸 「熱膨張で脳内の圧力が高まり、沸点が上昇、限界まで温度が上がり熱膨張が進む」

あきつ丸 「限界を迎えた圧力は、眼窩や鼻骨といった脳に面する比較的柔らかい骨を破壊し噴出する」

あきつ丸 「それがあの赤黒いワタの正体・・・脳よ」

あきつ丸 「実際に昔のエジプトでミイラ加工をするのに脳を取り出す時も、骨が柔らかい鼻や目から掻き出したそうよ」

あきつ丸 「実に合理的だったようね」

提督 「だから何だ、何でそんな説明がいる?」

あきつ丸 「わからない?今あなたがいる場所で」

提督 「気は確かか?」

あきつ丸 「いたいけな少女たちを殺すほど狂ってはいない積もりよ」

提督 「お前もおれも立派な狂人だと思うがな」

提督 「それにしても、ボートで深海棲艦のいる海域に放置とか、もっと皮肉に富んだ拷問の方法はなかったのか」

あきつ丸 「贅沢ね」

あきつ丸 「今・・・真っ暗でしょう?」

提督 「見たらわかるだろう」

あきつ丸 「人間は、暗闇とか未知のものに対して遺伝子レベルで恐怖を感じるようになっているそうよ」

あきつ丸 「だから、視覚や聴覚を奪って拷問すると、その拷問を普通にするより効果的なの」

あきつ丸 「ところで、暗闇でいつ何の拷問をされるかわからないあなたの状況、似てると思わない?」

提督 「・・・鎮守府か」

あきつ丸 「鎮守府の少女達も、原因のわからない轟沈の恐怖と戦いながら出撃してた」

提督 「だから、おれも恐怖と戦ってみろと?」

提督 「ここまでお膳立てされて未知の恐怖も糞もあるか」
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/08/07(月) 03:52:59.80 ID:k1kaA+zU0

あきつ丸 「そうかしら?」

あきつ丸 「さっき一番効果的な拷問は電気ショックと言ったわよね」

提督 「だから何だ」

あきつ丸 「電気ショック以外の拷問で感じる苦痛は、経験や経験からの延長で想像ができる」

あきつ丸 「想像ができるから、覚悟もできるし我慢もできる」

あきつ丸 「けれど、電気ショックの苦痛は未知の苦痛なのよ」

あきつ丸 「想像ができないから、頭の中で恐怖は際限なく高まって行き簡単に精神が壊れるの」

あきつ丸 「未知の苦痛と言えば、提督殿は電子レンジでチンされた経験は?」

提督 「あったら生きてないだろうな」

提督 「そろそろ猿芝居を止めて諦めたらどうだ? おれはいくら脅しても証拠の場所も何も吐かん」

あきつ丸 「諦める?それはあなたの願望でしょう?」

提督 「国賓を殺すのか?」

あきつ丸 「国賓?えらく大きく出たわね」

あきつ丸 「私は外交官じゃないから、知るわけないじゃない」

提督 「それで済むと

あきつ丸 「そもそも外交問題にならないわよ」

あきつ丸 「軍法会議にかけられそうになった提督が自殺しようとした、それだけよ」

提督 「はぁ??・・・」

提督 「まさか、電子レンジのボタンを押させたのはッ

あきつ丸 「そう、あなたの指紋だけがボタンに残ってくれないと、自殺にでっち上げられないから」


 あきつ丸は襟後ろを抑えていた手を離し、

 その手で提督の首を手袋の感触を確かめさせるようにゆっくりなでる。

681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/08/07(月) 04:00:41.94 ID:k1kaA+zU0


あきつ丸 「最後に一応聞くけれど、証拠の場所を話す気になった?」

提督 「ふぅ・・・黙ってとっとと押せッ」

提督 「力を信奉するおれが力に殺される・・・悪くない結末だ」

あきつ丸 「望んだ結末とでも言いたいの? 殺さないわよ?・・・あなたを壊すだけ」

提督 「はぁ???」

あきつ丸 「電子レンジにかけたあなたの脳は外側の大脳から加熱され固まっていく、そこで止める」

提督 「??」

あきつ丸 「小脳はレアで残すということよ」

提督 「殺すことに変わりはないだろう?」

あきつ丸 「わからないという反応ね・・・私は壊すと言ったのよ」

あきつ丸 「脳は、外側の大脳が思考や記憶を、内側の小脳が生命維持機能を司っているの」

あきつ丸 「そして、私はその大脳だけ焼いて、小脳だけ残すと言った」

あきつ丸 「小脳があればね、人間って生命維持だけは可能なのよ」

提督 「何も考えられない、生命維持機能だけ残った廃人を

あきつ丸 「廃人とは実に他人行儀ね、すぐそうなるのに」

あきつ丸 「そうなったら、向こうの国は外交衝突の危険を冒してまで、回復も怪しい廃人を亡命させようと動くかしらね?」

提督 「・・・」

あきつ丸 「見捨てられたあなたは、証拠のある犯罪だけで軍刑務所送り」

あきつ丸 「今、軍刑務所にいる男の何%が罪のりんごに手を付けた性豪か知ってる?」

あきつ丸 「女のいない生活・・・抵抗しないあなたは、良い慰み者になるでしょうね」

提督 「しょ、正気か・・・」

あきつ丸 「さっきまでの威勢はどうしたの?」

あきつ丸 「力のある人間に滅茶苦茶にされたいんでしょう?」

あきつ丸 「だから、力を奪ってあげる・・・出来る限り惨めに死ぬように」

提督 「ぐ・・・」

682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/08/07(月) 04:04:33.67 ID:k1kaA+zU0

あきつ丸 「どう言葉で取り繕おうが、あなたは自分の過ぎた欲望の代償に少女の命を捧げ、それを楽しんでた屑よ」

あきつ丸 「けど、私は優しいから苦しくないようにして壊してあげる」

あきつ丸 「すぐ視界を失い意識レベルが下がって行きどうでもよくなるから安心するといいわ」

あきつ丸 「けれど・・・心配だわ、私も人間を電子レンジにかけるのは初めてだから・・・」

提督 「・・・」

あきつ丸 「あなたが刑務所でこれまで見下していた力のない屑に犯され続けてる間・・・あなたはしっかり意識や思考を失えているかしら」

提督 「・・・」ゾゾゾ

あきつ丸 「どの加熱方法にしようかしら」ピッピッピッピ

提督 「・・・・は、話す」

あきつ丸 「聞こえないわね」

提督 「話す!!!!」

あきつ丸 「言い終わったら止めるか考えてあげる」ポチッ

電子レンジ 「ぶぶぶうううううううううんんん」

提督 「加賀あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛」



―――――
―――


683 : ◆oUFoaE/FvU [saga sage]:2017/08/07(月) 04:06:37.80 ID:k1kaA+zU0
投下終了です。
文量が想定より多くなり、最終投下予定分をニつに分けました。その前半が今回投下分です。
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 08:21:37.71 ID:FiUVZJJSO
陸軍こわい
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 09:23:16.87 ID:zDTImqElO
乙です
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 15:40:20.98 ID:oNs9IOr60
廃人にするのまで許可されてたら諦めるしかないわな(´・ω・`)
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 21:07:02.83 ID:VAN3IJ1/O
そもそも人間みたいな個が弱い個体で、大量に敵を作る時点で論外なのだよ。
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 11:41:10.05 ID:jm/neEN30
ホモのオモチャを生産する陸軍もホモ、はっきりわかんだね
689 : ◆oUFoaE/FvU [sage]:2017/08/11(金) 09:30:59.31 ID:8ccAsPym0
ご読了お米ありがとうございます。
いつもお米に全レスとお客様臭いことをしていたのを止めているのは、
万が一展開に関し私が漏らして皆様の興を削ぐのは不本意なためとなっています。
近く投下できる最終回投下の後にお返しできればと考えています。
最後までよろしくお願いします。
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 23:47:57.84 ID:uGqC0g31O
最終回期待してる
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 18:14:49.87 ID:vjIbhY8Q0
このマッポーめいた様…ブッダは寝ているのだろうか?
あるいはゲイのサディストだからか
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 11:42:45.63 ID:K85m77MxO
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/12(木) 03:59:23.62 ID:XGI0HEqpO
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/02(木) 00:05:07.19 ID:CcKyWzCuO
695 : ◆oUFoaE/FvU [sage]:2017/11/23(木) 01:33:14.73 ID:+67uiGai0
投下再開します。
再三の詐欺をお詫び申し上げます。
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/23(木) 01:36:33.64 ID:+67uiGai0



〜 ほぼ同時刻の早朝 鎮守府 埠頭 〜


 埠頭の岸壁と指揮作戦艇の舷側の間で、波が遊びぺちゃぺちゃと軽い音を立てている。

 その上では、船の低い駆動音と甲板を叩く金属音が踊っていた。

 風はなく、それらの音は早朝の冷たい空気によく響いた。

 海鳥が風に乗れず窒息寸前のように翼を忙しくばたつかせている。


 指揮作戦艇すぐ横の岸から船に向かい朝潮は声をかける。

 その背に艤装はない。


朝潮 「外出禁止令が出ているのに、外で何をやってるんですか」


 甲板に並ぶ幌布の山脈から大和とその巨大な艤装がひょっこり姿を現す。


大和 「朝潮さんですか」


 大和は驚くでもなく、甲板からタラップを伝い岸にいる朝潮の前までやってきた。

 その手は綺麗だった。

697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 01:39:05.72 ID:+67uiGai0


大和 「同じ型とは言え、違う指揮作戦艇です」

大和 「念のため、エンジンや燃料の点検をしています」

大和 「出撃になって困るのは私達ですから」

大和 「・・・聞きたいことはそれだけですか?」

朝潮 「・・・」

大和 「でしたら・・・見逃してあげます」

大和 「軟禁されてますから、気晴らしに外に出たくなるのもわかります」

大和 「ですけど、代理の提督に見つかって外出を怒られる前に寮へ戻りなさい」


 大和が優しく微笑む。


朝潮 「・・・見つかる?」

朝潮 「艤装の代わりに武器庫に閉じ込めた代理の司令官に、ですか?」

朝潮 「できますかね?」

大和 「待って下さい・・・艤装の代わりに?」

朝潮 「その甲板の幌布の下・・・主力艦娘達の艤装ですよね?」

朝潮 「それを持ってどこへ行く積もりですか?」

大和 「・・・」

大和 「朝潮さんは・・・何のためにここへ来たんですか」ニコリ

朝潮 「大和さんに罪を償ってもらうためです」

大和 「・・・朝潮さん」ハァ

大和 「まさか私が、艤装を指揮作戦艇で持ち出そうとしている、だなんて思っています?」

大和 「でしたら、それは朝潮さんの勘違いですよ」

朝潮 「今はそのことについて議論する気はありません」

朝潮 「私が言っているのは別の罪です」

大和 「別のですか?」

698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 01:41:00.58 ID:+67uiGai0



朝潮 「・・・荒潮を殺した罪です」




―――――
―――


699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 01:44:56.40 ID:+67uiGai0



大和 「朝潮さん・・・昨日の出撃で中破とは言え、酷く被弾したと聞いています」

大和 「休息が足りないのではないですか?」

大和 「あなた明らかにおかしいですよ」

朝潮 「おかしいのは平気で人を殺せる大和さんではないんですか!!!!」

大和 「・・・」

朝潮 「実際には大破していても、外見は中破までしか損傷しないよう細工された制服・・・」

朝潮 「その制服を第一艦隊の艦娘へ支給していましたよね」


 朝潮は真っ直ぐ大和の目を見る。


大和 「私が・・・ですか?」

大和 「加賀さんに吹き込まれたんですか?」

朝潮 「いいえ」

大和 「でしたら、何故です」

朝潮 「全ては、あの夜・・・鎮守府で大破進撃が行われている、という大和さんの言葉からです」

朝潮 「それが本当なら止めないといけない・・・そう思いました」

朝潮 「もう、失うのは嫌でした」

大和 「加賀さんと朝潮さんと私でお話した夜のことですね」

大和 「あの夜、私は”損傷表を細工している加賀さんが犯人です”と言った筈です」

大和 「そこからどうすれば私が犯人と言う突飛な結論になるんですか?」フフ


 大和が優しく聞く。

700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 01:47:54.54 ID:+67uiGai0


朝潮 「私なりにこの問題を考え始めた時に、一つ思い当たることがあったんです」

朝潮 「これは司令官にも誰にも言っていませんけど・・・」

朝潮 「私は、知覚が覚醒する前から、自分の同調の状態から損傷度がわかったんです」

朝潮 「例えば、同調が弱まっていれば、その程度で中破か大破かもわかりました」

大和 「凄いじゃないですか」

大和 「知覚が覚醒し他者の同調状態がわかる前から、才能の萌芽はあったということですね」

朝潮 「大和さんは・・・三日前、私と荒潮が参加した出撃を知っていますか?」

朝潮 「危険海域への初出撃で・・・荒潮が大破し私が中破した出撃です」

大和 「港の・・・まさにこの場所でしたか?」

大和 「死にそうな顔をして艤装を運ぶ朝潮さんと会った日ですよね」

朝潮 「そうです」

朝潮 「あの日、私の制服の損傷は中破を示していました」

朝潮 「けれど、同調は弱り切り、私は間違いなく大破していました・・・大破していたんです!!」

朝潮 「もし、荒潮が中破だったなら・・・進撃は続き、大破の私は轟沈、死んでいました」

大和 「信じられませんね」

朝潮 「私の知覚を保証してくれたのは、大和さんでしたよね」

大和 「確かにそうですけど・・・」

朝潮 「その大破の感覚を思い出した時、疑問に思うことがあったんです」

大和 「・・・」

朝潮 「司令官が最初から大破進撃をさせる積もりだったなら・・・」

朝潮 「何故、私だけなのか・・・と」

大和 「どういう意味ですか?」
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 01:51:38.67 ID:+67uiGai0

朝潮 「司令官は、一応・・・誰か一人でも大破すれば道中撤退しますよね?」

大和 「当然です」

大和 「轟沈が多いものの、軍上層部に干されず艦娘が反旗を翻さないのは、適切に道中撤退をしているからです」

朝潮 「でしたら、大破進撃のための細工は、少なくとも弱い艦種・・・」

朝潮 「もっと言えば、駆逐艦全員にはしておかないと意味がない・・・そう思いませんか?」

朝潮 「一人でも大破すれば、撤退しないといけなくなるんですから」

大和 「朝潮さんの仮定が事実だとすると、その通りかもしれません」

朝潮 「そうすると、普通に大破した荒潮・・・中破に細工されていた私・・・」

朝潮 「あの日、私達二人の違いは何だったんでしょうか?」

朝潮 「大和さんもこれは不思議ではありませんでしたか?」

大和 「私は犯人ではないので考えもしませんでした」

朝潮 「二人の違いは、荒潮が死んでからわかったんです」

朝潮 「荒潮は、第一艦隊でない遠征艦隊所属の、朝潮型艦娘(霞)と出撃前日に制服を交換していました」

朝潮 「あの日、荒潮はその交換した制服で出撃していたんです」

大和 「制服を?とんでもないことを・・・」

大和 「軍規に触れるのは置いておいても、それが出撃においてどれだけ危険かわかっていますか?」

朝潮 「元通りにしたので今は問題ありません」

大和 「はい?」

朝潮 「このことを知って、大破進撃と制服が私の中で漠然と繋がったんです」

朝潮 「ただ、何の確証もありませんでした」

大和 「”でした”?」
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 01:56:14.31 ID:+67uiGai0

朝潮 「昨日の私の出撃で・・・調べたんです」

大和 「・・・方法を聞いても?」

朝潮 「ある戦闘後に、私が司令官に対して言っただけです」

朝潮 「”制服は中破だけど、知覚で大破してるように感じる”、と」

朝潮 「結果は大和さんも知っての通りです」

朝潮 「私の報告を聞いてすぐ、司令官は道中撤退を決めてくれました」

大和 「虚偽報告で提督を騙したということですか?」

朝潮 「そんなことはどうでもいいんです」

朝潮 「私の発言で知覚を信じている司令官が、道中撤退を決めたんですよ?」

朝潮 「中破に見えるのに大破している可能性がある、と司令官はわかっていたんです」

大和 「・・・」

朝潮 「ここからは私の想像ですけど・・・」

朝潮 「私の知覚を信じ、大破の可能性を考えた司令官は・・・」

朝潮 「大破進撃のため細工した制服の、取り違えか混入を警戒したのではないでしょうか」

大和 「そして、道中撤退したとでも?」

大和 「他にも提督が道中撤退を決めた理由は考えられるのではないですか?」

朝潮 「例えば何ですか?」

大和 「提督が知覚を持った朝潮さんを心配した・・・とか」

朝潮 「そのような立派な人間ですか?」

大和 「・・・前日に荒潮さんの轟沈がありましたから、警戒した可能性だってあります」

朝潮 「これまでどれだけ轟沈しても怖気付かず出撃していた司令官がですか?」

朝潮 「ありえません」
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 01:59:38.49 ID:+67uiGai0

大和 「確かに今は・・・他に理由が思い当たりません」

大和 「ですけれど、朝潮さんの考える道中撤退の理由が正しいと言い切れますか?」

朝潮 「・・・」

大和 「できないでしょうね」

大和 「確証があると言うから聞いてみれば・・・がっかりです」

大和 「現実は朝潮さんが提督を騙し撤退させただけで、そこからは全て憶測未満の妄想ではないですか」

朝潮 「そうですね」

朝潮 「今わかってることは、「司令官が大破進撃の存在を知ってる可能性がある」・・・”それだけ”です」

朝潮 「制服と大破進撃を結び付ける明確な証拠にはなりません」

朝潮 「それに、加賀さんが損傷表を細工した可能性も未だ残っています」

大和 「その通りです」


 大和さんが微笑む。


朝潮 「ここまで調べた内容だけなら、そうなります」

大和 「はい?」

朝潮 「全て調べたんです・・・大和さんが細工した制服で」

朝潮 「深海棲艦の放火に身を晒し、旗艦として出撃前に損傷表を確認し・・・」

朝潮 「細工された制服が存在し、その制服は大破しても制服の損傷が中破止まりになること」

朝潮 「損傷表が荒潮が轟沈した日と変わりなく、損傷表は細工されていなかったこと」

朝潮 「二つの事実が、大破進撃させる細工が制服に施されていたことを私に教えてくれました」

大和 「朝潮さん自身が証拠・・・ということですか」

大和 「その細工された制服はどうやって?」

朝潮 「三日前に荒潮が着る筈だった制服を持つ艦娘(霞)に、制服を返してもらっただけです」

大和 「先程の”元に戻した”とは、そういうことですか」

朝潮 「そうです」

大和 「ですから、制服を管理する私を犯人と疑った・・・と、そういう訳ですか?」

朝潮 「それだけが理由ではありません」

大和 「?」
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 02:08:20.59 ID:+67uiGai0

朝潮 「確かに私は昨日の出撃で、「知覚で大破してるように感じる」と司令官に"言いました"」

大和 「それはもう聞きました」

朝潮 「ですけれど、大和さんが言ったように・・・」

朝潮 「「知覚で大破してるように感じる」と司令官に"嘘を付いた"とか"騙した"とは、私は一言も言ってないんです」

大和 「それがどうしたと言うんですか?」

朝潮 「昨日の出撃で、私が”嘘を付いて”いると思うのは・・・」

朝潮 「大破進撃させる細工の有無を、大和さんが知っていたからですよね?」

大和 「意味がわかりません」

大和 「何でそうなるんですか?」

朝潮 「大和さんは、昨日出撃した私の制服に大破進撃させる細工をしなかった」

朝潮 「ですから、私が司令官にした「知覚で大破してるように感じる」と言う報告を無視し・・・」

朝潮 「制服の損傷通り中破していると思い込んだ」

朝潮 「直前に私が知覚で自身の損傷度がわかると言っているにも関わらず、です」

大和 「・・・」

朝潮 「そして、”嘘を付いた””騙した”と間違った思い込みを口に出してしまったんですよね?」

大和 「それは・・・」
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 02:10:15.17 ID:+67uiGai0

朝潮 「大和さんが制服に大破進撃させる細工をしていたんですね」

朝潮 「その細工した制服で、荒潮を含め何人手にかけたんですか?」

大和 「・・・」

朝潮 「大和さん!!!」


 朝潮の怒気が空気を揺らす。


大和 「提督に・・・」


 大和が悔しそうに顔を伏せ涙が落ちる。


大和 「提督に命令されたんです・・・仕方がなかったんです!!」

大和 「私だって!!!・・・出来るならやりたくなかった!!!!!!!!」


 言葉と共に、更に涙が落ちた。



―――――
―――


706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 02:15:32.31 ID:+67uiGai0



朝潮 「まだ嘘を重ねるんですか?」

大和 「嘘なんて・・・」

朝潮 「最初は私もそう思ったんです、騙されていました」

朝潮 「出撃編成を決めている司令官が、轟沈しても良い艦娘の制服へ細工するよう大和さんに命令する」

朝潮 「そういうものだと・・・」

大和 「その通りですよ」

大和 「私は・・・提督の命令通りに何人もの艦娘を手にかけてしまいました」

大和 「許されることではありません」

朝潮 「違いますよね」

大和 「え?」

朝潮 「大破進撃の目的が、司令官の望む進撃率やボス到達率を上げるためなら、変なことがいくつもあるんです」

大和 「どういうことですか?」

朝潮 「一昨日の荒潮が轟沈した出撃と昨日の私が大破していた出撃で・・・」

朝潮 「司令官がわざわざ旗艦を駆逐艦にしたのも、その一つです」

朝潮 「進撃率を考えるなら、大破即撤退の旗艦に弱い艦種の駆逐艦を据えるのは非効率的です」

朝潮 「あの司令官なら、駆逐艦は随伴艦にして、何時でも切り捨てられるようにするのが道理ではないですか」

大和 「駆逐艦を旗艦にしたのは、朝潮さんが頼み込んだからではないんですか」

朝潮 「それは事実ですけど、そんなことで温情を示す司令官ですか?」

大和 「示したではないですか?」
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 02:18:33.02 ID:+67uiGai0

朝潮 「本当に私や荒潮のことを司令官が考えていたなら、すぐ第一艦隊から外した筈です」

朝潮 「司令官側に轟沈を避けたがる事情があったからとか、他に理由があったとしか思えません」

朝潮 「その事情が上からのものか何なのかまではわかりませんけど」

大和 「・・・」

朝潮 「それに、何より異常に感じたのは・・・」

朝潮 「司令官が昨日の旗艦を知覚に覚醒した私にしたことです」

大和 「どこもおかしいところはないのではないですか」

大和 「知覚を持った朝潮さんを大事にしようという提督の心遣いですよね」

朝潮 「知覚には、自身や友軍の同調の状態がわかる能力もあるんですよ?」

朝潮 「これは司令官も知っています」

大和 「何か問題がありますか?」

朝潮 「大アリです」

朝潮 「随伴艦でも第五や第六のような、陣形で外側になる配置ならわかるんです」

朝潮 「それが陣形の中心となる旗艦に配置となると、艦隊のほぼ全員の同調がわかってしまいます」

朝潮 「大破進撃、ひいては制服へ細工したことが露呈する可能性が高くなるんです」

大和 「昨日は、提督に制服への細工を命令されていません」

大和 「そのせいではないですか?」
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 02:22:11.74 ID:+67uiGai0

朝潮 「制服への細工を命令されていない???」

朝潮 「でしたら、私を旗艦にする必要は益々なくなるのではないですか?」

朝潮 「大破進撃も轟沈の可能性もないんですから!!」

大和 「それは・・・」

朝潮 「ここまでの不審なことは全て・・・」

朝潮 「司令官が制服への細工を正確に知らなかったと考えれば、辻褄が合うんです」

大和 「正確に知らなかった?」

朝潮 「司令官は、大和さんが制服へ細工をして大破進撃できるようにしているのを知り、利用していた」

朝潮 「しかし、命令できなかったか、しなかったということです」

大和 「具体的ですね」

朝潮 「そうやって大破進撃し轟沈を起こしてきた」

朝潮 「そんな時、先程言った轟沈を減らさないといけない事情ができた」

朝潮 「駆逐艦を旗艦に配し、大和さんにも事情を伝えたかもしれません」

朝潮 「けれど、そこで荒潮の轟沈が起こった」

朝潮 「司令官は、大和さんへの不信感を募らせ・・・自分が消される可能性も考えた」

朝潮 「そこで、自身を守るために知覚で損傷度がわかる私を旗艦にしたのではないでしょうか」

朝潮 「大和さんも下手に手出しできないと考えて」

朝潮 「違いますか?!」

大和 「随分、大胆な推理ですね」

大和 「提督でなく、私が勝手に大破進撃をさせていたと思っているんですね」

大和 「けれど、この推理には大きな穴があるのではないですか」

朝潮 「穴?」
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 02:24:43.47 ID:+67uiGai0

大和 「私は秘書艦から外れた身です」

大和 「秘書艦だった昔なら兎も角ですよ?」

大和 「提督からの情報がなければ、今の私には正確な出撃編成を知ることができません」

大和 「私が大破進撃をさせていたなら、もっと無差別に轟沈するのではないですか?」

朝潮 「正確な出撃編成?大和さんならわかっていましたよね?」

大和 「不可能です」

朝潮 「執務室に盗聴器を仕掛けているのですよね?」

朝潮 「そして毎日、加賀さんか当日の秘書艦が司令官と相談する出撃編成を盗み聞きしていた」

大和 「え?、あっはは、そうですか、そう・・・」

大和 「あの夜の・・・私と加賀さんの話を盗み聞きしていたんですか」

大和 「本当に・・・・・・小賢しい子ですね」

朝潮 「どうでしょうか、友人は守れませんでした」

大和 「はぁ・・・フ、おっかしい、フフフ」

大和 「この涙で憲兵は騙せたんですけどね」

朝潮 「え?!」

大和 「あなた達にどう説明されたか知りませんけど・・・」

大和 「昨晩来た憲兵は提督の脱走でなく大破進撃の捜査に乗り込んできていたんです」

朝潮 「・・・聞いていません」

大和 「既に制服が原因ということ”まで”は憲兵も突き止めていましたよ」

大和 「私が提督に命令されて仕方なくと泣き叫んだら素直に撤収してしまいましたけどね」

朝潮 「そんな・・・」

大和 「そう、制服ですけどね」

大和 「朝潮さんは”細工された制服”と言いますけど、正確には”偽物の制服”なんです」

朝潮 「偽物??」

大和 「その制服も捜査のためと根こそぎ回収されたんです」
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/23(木) 02:26:38.21 ID:+67uiGai0

大和 「朝潮さんは、提督が交代するから私が偽物の制服を昨晩中に処分すると思いましたか?」

大和 「昨晩、霞さんや大潮さんと交代で私を見張っていたようですけど」

朝潮 「気付いていたんですか?」

大和 「屋内での尾行監視なんて、玄人にだって難しいのですよ?」

朝潮 「・・・」

大和 「ところで、見張っている時に何か不審な点はありましたか?」

朝潮 「代理の司令官を眠らせて武器庫に閉じ込めて、主力艦娘の艤装を持ち出した以外は特に・・・」

朝潮 「後は、宿直の艦娘に差し入れをしたり秘書艦として施設の見回りをしていたり、おかしいところはなかったと思います」

大和 「ふふ、そうですか」

大和 「お仲間の二人は今どうしているんですか?」

朝潮 「霞は宿直室へ艤装を持った西村艦隊の人たちを呼びに、大潮は主力の長門さん達を起こしに向かっています」

朝潮 「大和さん、諦めて除装して下さい」



―――――
―――


711 : ◆oUFoaE/FvU [saga sage]:2017/11/23(木) 02:29:12.10 ID:+67uiGai0
投下終了です。
イベントでまた投下が遅れそうなので生存報告に最終回予定分を半分投下しました。
ご読了有難うございました。
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 03:34:21.56 ID:1rdkDmYcO

待ってた
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 04:22:18.05 ID:4Q9MTLyt0

艤装を持った西村艦隊の人たち、今はイベントで忙しいだろうから続きはイベント後まで待ってる
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 04:24:04.65 ID:hp+AfZEp0
例え決定的証拠を押さえていたとして、大和を拘束できるのか……
乙です
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 09:30:53.59 ID:hbLOHl/MO
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 18:17:11.84 ID:t5MFIIYDO
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 15:09:23.05 ID:DN7UOo27o
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 10:01:25.46 ID:2zpb6vocO
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 19:53:40.20 ID:vxTJkc4VO
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/24(土) 09:56:03.09 ID:WZdJ8m2H0
期末で忙しい中で時間をやりくりし足りない資源を大量のお金で補ったにも関わらず
全甲どころかクリアもままならず嫁ズイのクリア台詞も聞けなかったので艦これをこの度引退します

一応続きは殆ど書き上がっているものの、艦これに触れるのが嫌になっています。
書けるようになり投下できるのはかなり先となりそうです。
そのため、html化で一度落としてもらうようにします。
続きをご期待されていた方には誠に申し訳ありません。
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 23:55:43.32 ID:sa+tvrjeO
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/06(水) 21:51:00.66 ID:bPCiY3ItO
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 20:50:05.38 ID:M4wyWTPvO
昨日見つけて追い付いたと思ったらラストでエタってるやないかーい
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/13(月) 15:11:18.37 ID:HPSAkvHCO
725 : ◆WVTr7CRmMjyL :2019/01/06(日) 04:27:04.86 ID:mSkxF5xf0
てst
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/17(金) 14:13:16.29 ID:7kN3LQ7Q0
加賀の正体は潜入捜査のため変装したあきつ丸
大和は猫を被っていただけで提督とグル
提督と大和は共謀して制服を改造し、艦娘の轟沈を誘発していた
↑スレがやたら長いけど、大体こんなもん
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 21:29:35.66 ID:ZASHiCd6o
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