憧「個人戦、見学してくのね」【咲‐Saki‐】 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/01/31(日) 14:32:22.87 ID:6P8lk+I40

憧「しっかり見てレベルアップよ！」

穏乃「楽しみですね！」


灼「羽目を外しすぎないように……」


晴絵「信用してるけど、問題起こさないようにね」


「「はーい」」」




三つ前：晴絵「個人戦は見学していくからね」http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405084782/

二つ前：灼「個人戦は見学して行くから……」http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1412412627/

一つ前：穏乃「個人戦、見学していくんですね！」【咲ｰSaki-】https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429626227/



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ひな消えたな ＠ 2024/11/24(日) 15:56:12.49 ID:fF+a+kQZO
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比企谷「由比ヶ浜がパパ活をしてる？」雪ノ下雪乃「ええ…」 ＠ 2024/11/24(日) 10:52:44.78 ID:0z7sCkyU0
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空を自由に飛びたいな ＠ 2024/11/22(金) 15:47:22.22 ID:UV495csLo
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■　萌竜会　■ ＠ 2024/11/22(金) 07:20:24.33 ID:WpWM+xYMo
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■　萌竜会　■ ＠ 2024/11/22(金) 07:18:35.89 ID:Vr506SRJo
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■　萌竜会　■ ＠ 2024/11/22(金) 07:17:49.87 ID:t6dKBjAuo
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■　萌竜会　■ ＠ 2024/11/22(金) 07:17:17.71 ID:/UbTl3Hgo
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■　萌竜会　■ ＠ 2024/11/22(金) 07:16:22.54 ID:Un8tNByuo
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2 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/01/31(日) 14:34:55.28 ID:6P8lk+I40

咲SS

・阿知賀キャラ＋他校キャラ

・短いのをちょこちょこ投下するスタイル

・のんやり進行

・安価は出しませんが、適当に拾って書けたものから順次投下します

引き続きよろしくお願いします

3 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/01/31(日) 14:39:49.71 ID:fQSSgrLiO

この一人よがりなスレまだ続けるの？

4 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/01/31(日) 14:47:53.24 ID:BiTFSO/oo

立て乙

5 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/01/31(日) 14:57:31.97 ID:gJprgc6O0

立て乙

6 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/01/31(日) 16:21:05.38 ID:aP0CsZIMO

初見では分からんな
ネタでも提供すればいいんか？

7 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/01/31(日) 22:09:36.61 ID:khtjwmJ5O

立て乙です

8 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/01(月) 03:04:01.04 ID:Wg9s2u2g0

穏乃「個人戦、見学していくんですね！」【咲ｰSaki-】http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429626227/l50
前スレちゃんと貼れてなかったので

>>6シチュエーションとか書いておくと拾ったりキャラ名だけ書いておくとこちらでイメージしやすい組み合わせで拾ったりな場所です。放っておいても好き勝手書いてきます
基本的にインターハイ団体戦終了後（順位は清澄→白糸台→阿知賀→臨海）個人戦開始前時空ですが○○たんイェイ〜だったり時事イベントネタだったりはリアル連動で時が流れてます（三月に玄と灼が阿知賀女子卒業）

明日明後日にでも適当にネタ用意して前スレ埋めるつもりです

9 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/03(水) 02:06:04.95 ID:xVmTQ9TN0

立て乙
バレンタインネタが待ち遠しいな
あと節分ネタとかも見てみたいかも

10 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/03(水) 03:15:05.06 ID:sbP3mni50

前スレ埋めてきました
>>9節分とかすっかり忘れてました…明日中に書ければ短いの投下しますがノープランです

11 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/03(水) 10:18:56.97 ID:P9hQeMqqo

梅乙
何となくトシさんが監督になりそうな予感が

12 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/04(木) 00:15:13.32 ID:gFnoEBIT0

灼「おかえり」

やえ「どうも。 久しぶりね、元気してた？」

灼「……そこそこ？」

やえ「ふぅん……いきなりこんなこと聞くのもなんだけど、受験勉強はどう？ 私と会ってて平気なの？」

灼「ちょっと息抜きってことで。 今さら焦っても仕方ないし……ちゃんとやることやってるし大丈夫だと思」

やえ「落ち着いてんのね……私が受験の時……っても高校受験だけど、晩成受ける前なんてかなり緊張したけどね」

灼「奈良で麻雀するならほとんど晩成一択だし、緊張するのは仕方ないと思うけど……照さん元気？」

やえ「元気も元気、相変わらずよあいつは……今日だって別件の仕事入ってるのに『やえだけお休みなんてズルい！ 私も灼に会いに行く！』とかってゴネて……」

灼「……照さん」

やえ「あいつもなんだかんだストレス溜まってんのかしらね……日に日にアホになってる気がするわ。 ロールケーキ買ってやったらおとなしくなったから置いてきたけど」

灼「ロールケーキ？」

やえ「節分でしょ？ 恵方巻に見立てたロールケーキとか売ってんのよ」

灼「ああ……それにしても照さん……」

やえ「呆れたやつよね、ほんと」

灼「なんだかんだ世話やいてあげてる癖に」

やえ「好きでやってんじゃないわよ！ 面倒見てやらないと回りに迷惑かかるから……仕方なくだかんね！」

灼「はいはい、そですね」

やえ「ふんっ」

13 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/04(木) 00:17:58.91 ID:gFnoEBIT0

やえ「……松実は実家の旅館で働くんだっけ？」

灼「ん……打ちたいの？」

やえ「あいつに時間があるなら。 あいつのせいで去年の夏は一生忘れらんなくなったかんね……」

灼「あんまり威嚇しないでね？ 玄、怯えちゃうから」

やえ「別に威嚇なんかしないわよ！ あいつがビビりなだけでしょ！」

灼「玄もわかってるけどね……やえさん、誤解されやすいタイプだし」

やえ「……ずっとこうやって生きてきたんだから仕方ないでしょ。 今さら変えられないわよ」

灼「ふふ、そうかもね……あ、そこだよ、憧んち」

やえ「聞いてはいたけど神社なのね……つーか新子んちでよかったの？」

灼「広いし卓もあるから……麻雀クラブの子達も集まったり、普段からいつもお世話になってる」

やえ「そうなの……ちゃんと挨拶しとかないとね」

灼「今日はちょっとイベントやってるみたいだし、後でいいと思……忙しそうだったから」

やえ「……忙しいのにお邪魔しちゃっていいのかしら」

灼「いつものことだから構わないわよ、って」

やえ「……本当に申し訳ないわね」

14 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/04(木) 00:20:14.34 ID:gFnoEBIT0

やえ「お邪魔し……あ痛っ！？」

もこ「！！ ……！？ …………！！」

穏乃「あ、小走さん！ お久しぶりです！ 灼さんもお帰りなさい！」

灼「ただいま……もこ、もう来てたんだね」

もこ「…………！」

やえ「……い、いきなりなにすんのよ！ 痛いじゃないの！」

もこ「……！！」

穏乃「あ、もこ！ ダメだよちゃんと謝らないと！」

灼「……豆？」

憧「節分だし豆まきしようってしずが……そこにタイミング良くと言うか悪くと言うか……」

もこ「…………」

やえ「誰が鬼よ！ 誰が！ こんのクソガキ……！」

やえ「……ふん、元気そうじゃないの」

もこ「…………、……！」

やえ「相変わらず口の減らないガキね……ったく、ほんと腹立つわ」

穏乃「もう……もこも素直じゃないんだから……小走さん、もこもこんな風に言ってますけど本当は……」

もこ「……！！！！」

穏乃「いっ痛い痛い！ ちょ、もこ！ 噛まないで！ 引っ掻かないでってば！」

もこ「……！ ……！！」

穏乃「ごめん！ ごめんって！ もう言わないから！」

憧「……やえさんが帰ってくるって話をしたら会いに来るってもこから言い出したらしいですよ」

やえ「……あいつが？」

憧「そうなんですよ……百鬼さんも『もこがひとりで遠出なんて大丈夫なの！？』って……もこがこっち来るまでの間に滅茶苦茶心配して電話やメールが凄い来て……」

やえ「あいつも相変わらず過保護ね……そう、にしてももこがね……照にはよく懐いてたけど」

灼「もこもやえさんに似て素直じゃないから……ほんとはやえさんのことも好きなんで……痛っ」

もこ「！！ ……！！！」

灼「お、落ち着いて……そんな顔真っ赤にして怒らな……じゃなくて照れてるのか」

もこ「……！！」

灼「いったたたたたい！ 痛いっ！」

15 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/04(木) 00:21:36.57 ID:gFnoEBIT0

やえ「……こら、暴力に訴えるのやめなさいって前から言ってんでしょ」

もこ「……！」

灼「それをいいながら頭叩くのはどうかと……」

やえ「こ、これは……躾よ、躾！」

憧「躾って……犬猫じゃないんですから」

もこ「……！ ……っ！！」

やえ「痛っ……こら！ ちょ、豆を投げつけるのやめなさいよ！」

もこ「……！」

やえ「節分だから、じゃないわよ！ だから誰が鬼だっての！」

灼「やえさんは鬼の面被ってるしね」

穏乃「ほんとは優しいんですけどねぇ」

憧「ただのツンデレでしょ」

やえ「新子！ あんま調子乗ってんじゃないわよ！」

憧「なんで私だけ怒られるんですか！？」

もこ「……！ ……！！ ……？ ……！？」

やえ「あら……弾切れみたいね？ どうすんの？ ……っていうかどんだけ豆投げてんのよ」

もこ「…………」

やえ「なに？ 言いたいことがあるならはっきり言いなさいって前から言ってんでしょ」

もこ「……、…………」

やえ「……へ！？ な、なに！？ なによ急に！？」

穏乃「もこ！ 急に飛びついたら小走さんがびっくりするでしょ！」

灼「武器がなくなって素直になったね」

16 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/04(木) 00:23:29.24 ID:gFnoEBIT0

もこ「…………」

やえ「え、そりゃまあ、私だって試合は頑張ってたけど……私よりも照の方が……」

もこ「…………！」

穏乃「もこの言う通りですよ！ 小走さんの頑張りと照さんの活躍は別の話ですって！」

もこ「…………」

やえ「……ま、まあ、そうね……わ、私も……あ、会いたかったけど……試合、見ててくれたのね、ありがと」

憧「あ、デレた」

やえ「新子！」

憧「はーい……」

もこ「…………！」

やえ「え、ええ……ありがと。 あんたも……今日はひとりで来たんでしょ、偉いじゃない」

もこ「……！」

憧「いやいや、小学生じゃないんですから……」

灼「もこはほめられて喜んでるからいいんじゃない？」

もこ「…………」

やえ「うん……あ、あんたも元気そうでよかったわ。 百鬼のやつとも仲良くやってるみたいだし……」

憧「……なんかいちゃいちゃしてるしほっときましょうか」

灼「……そだね」

憧「あ、しず？ キッチン行けばまだ豆まき用の豆あるし取ってきましょ。 お姉ちゃんが恵方巻の材料も用意してあるって言ってたし……」

穏乃「おお！ さすが望さん！ よぉし、玄さんと宥さん来る前に準備しちゃおっか！」

灼「……玄のことだから準備して持ってきそうだけど」

憧「……食べ物増える分には困らないっしょ！ ちょっとぐらい多くてもしずが食べるし……」

穏乃「まかせてください！」

17 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/04(木) 00:25:04.75 ID:gFnoEBIT0

もこ「…………！」

やえ「なに？ 食べろって？ じ、自分で食べられるわよ」

もこ「……？」

やえ「……わ、わかったわよ、食べればいいんでしょ、食べれば！」

もこ「…………！」

やえ「むぐっ！？ んむ……ぐっ……」

もこ「…………！！」

やえ「…………！ ……！？」

もこ「…………！」

やえ「ぐ……げほっげほっ！ ちょ、どんだけ詰め込むのよ！ おいしい？ じゃないわよ！」

もこ「…………」

やえ「あ……その、別に怒ってないわよ？ ただ、加減と言うかね……」

穏乃「もこは加減を知らないからなぁ」

灼「律儀に黙ったまま食べきったね、恵方巻」

憧「……なーんか、ふたりとも牙抜けた感じになってつまんない」

灼「久々に会うしね……っていうかギスギスするの楽しみに待つのやめなよ」

憧「楽しみにってわけじゃないけど……ツンデレ大将軍の小走さんがこれだと……」

やえ「新子！ 変なあだ名つけてんじゃないわよ！」

憧「はいっ！ すみません！ ……もう、なんか小走さん私にだけキツくないですか？ 嫌われてるの……？」

やえ「なっ……き、嫌いだなんて言ってないでしょ！？ べ、別にあんたの事なんて全然好きでもないけどね！」

憧「思ったより好かれてた！」

灼「おめでと」

もこ「……！」

やえ「あーもう！ いいから黙ってなさいよ！」


カン！

18 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/04(木) 00:27:31.61 ID:gFnoEBIT0

節分
鬼役で真っ先に思い浮かんだのは某コーチだったけど友達ならともかく他校のコーチは距離遠くてパッと書けなかったでござる

19 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/04(木) 00:31:16.15 ID:hm21+kB7O

乙です

20 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/04(木) 00:33:52.01 ID:e2gOhj2F0

鬼役と言ったら角が生えてるのが…

21 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/04(木) 00:33:54.63 ID:D6dWpLgPo

コーチは鬼だし！



乙

22 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/04(木) 00:39:13.74 ID:pXkpJgJ+o

もこちゃんセリフ書くの楽そう

23 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/04(木) 00:54:23.96 ID:duhoXm8s0

乙&節分ネタ感謝です
もこちゃん…なんだこのかわいい生き物・・

24 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/04(木) 01:20:31.39 ID:IP72IhMJo

鬼と言ったら霞さ（自主規制）

25 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]：2016/02/13(土) 02:34:12.06 ID:PpxpXrZK0

一応保守

26 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 19:58:34.68 ID:1EUqKclE0

>>24霞さんってのどちゃん系かわいい枠じゃないんですかね…？初美ちゃん置いて海に行きましょうのくだりとか霞さんの好きな子に意地悪しちゃう子どもっぽさ好き。泣かれた途端手のひら返しちゃうとこも好き。内心焦ってるんだと思うとたまらんです

さえたんイェイ〜
バレンタイン過ぎちゃったけど投下。

27 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 19:59:59.23 ID:1EUqKclE0

憧「…………」

バレンタイン……勝負の日が近づいている

料理やおかし作りなんかも練習はし続けているものの、やっぱりあまり自信はない

身近なところで相談するとしたら……お姉ちゃんに相談するのもなんか恥ずかしいし、そうするとやっぱり玄が適役になるんだけど……

憧「……近いのよね」

なにがって、送り先がだ。 相談して、一緒に作ったとして……あちらに届いたところで同じものが出てきたら特別感がないと思うし……

こう、やっぱり勝負に出たいわけだし、そういうのは大事にしたい……一応、玄に相談して別々のものを作るって手もあるけど、一緒にやったらなんだかんだでほとんど玄に作ってもらうことになるような気がしなくもない

どうせなら自力で用意したものを贈りたいし……

憧「むぅ……」

穏乃「おっはよー！ ……どしたの？ なんか難しい顔してるけど」

憧「…………」

しずか……しずかぁ……なんか、こういうことの相談相手に向いてるとは思えない……というか、全くもって向いてないんだけど……

憧「……ほら、そろそろバレンタインでしょ？ こう、どうせなら凄いの用意したいんだけどさあ……」

穏乃「うーん……」

穏乃「あ！ プロテインチョコとかどう？」

憧「……なんかいろんな意味で凄いけど却下」

穏乃「え！？ なんで！？」

憧「いや、プロテインって……無いでしょ。 普通に考えて」

なにより乙女感ないし。 つーかそれチョコじゃなくってチョコ味のプロテインでしょ。 根本的に間違ってるから

28 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:00:55.40 ID:1EUqKclE0

憧「…………うーん」

案の定しずは役に立たなかった……どうしよっかなあ……灼さんはまだ忙しそうだから個人的すぎることで相談しにいくのも躊躇われるし……

宥姉……結局玄のとこに行くことになりそうだし、そもそも……うん、正直宥姉に相談してもチョコに関してはどうにもならないだろう。 背中は押してもらえるだろうけど

初瀬……散々からかわれるだろうし、あっちも得意分野ってわけじゃないからなあ……っていうか晩成ってガチの進学校だからすでに受験勉強始まってるみたいだし……そこまで根詰めてやってるわけじゃないだろうけど

憧「……というか、別に相談相手を近場に限定することもないわよね」

せっかくの文明の利器だし活用しない理由はないもんね

電話を取り出して……頼りになる人と言ったら……



巴『もしもし？ 憧ちゃん？』

憧「巴さん！ 助けてください！」

巴『え？ え……ど、どうしたの！？ なにかあったの！？』

憧「あ、いや……すみません、つい……その、そろそろ……ほら、あるじゃないですか……？」

巴『ある？ なにが？』

憧「バレンタインですよ！ 乙女的一大イベントじゃないですか！ その、どうしようかなーって……」

巴『バレ……？ あ、ああ、なるほどね……そっか、バレンタイン……』

憧「……あんまり興味ない感じでしたか？」

巴『ううん、そういうわけじゃないんだけど……うちはそういう……西洋由来のイベントってやらないから』

憧「あ……そっか、そういえばクリスマスに初美さんがそんなこと言ってたっけ……」

巴『バレンタインってことは、チョコレートの相談かな？ 和菓子ならまだ知識もあるんだけど……あんまり力にはなれなそうかなあ』

憧「そうですか……」

29 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:03:27.82 ID:1EUqKclE0

巴『ごめんね、せっかく連絡してくれたのに……』

憧「いえ、そんな！ こっちこそ急にすみませんでした！」

巴『ふふ、私は憧ちゃんが頼ってくれるのすっごくうれしいから遠慮しないでいつでも連絡してほしいな。 ……ところで』

憧「？」

巴『一応聞いておくけど、渡す相手って……』

憧「き、聞かなくてもわかってますよね？」

巴『あ、うん……だよね。 憧ちゃんも玄ちゃんも一途だし……っていうか、玄ちゃんに相談しないの？』

憧「……物が被ったらアレかなって思って」

巴『なるほど……それにしても大変らしいね？ はっちゃん経由で聞いたけど、純くんすっごくモテるらしいし』

憧「そうなんですよね……なんでも一さんから聞いた話だと、あの龍門渕さんがバレンタインが近づくとテンション下がってくるレベルらしいですから」

巴『え！？ ま、まさか龍門渕さんも……』

憧「ぅえ！？ え、い、いや！ そんなまさか！ 純さん一人勝ちのイベントで自分が目立たないからってテンション下がるらしいですよ！？」

巴『ああ、そういうことか……びっくりしたあ』

憧「こっちの台詞ですよぉ！ さ、さすがにまさか、そんな……ありえな……」

……いや、でも純さん控えめに言っても超カッコいいし

っていうか純さんと龍門渕さんって仲いいわよね、すごく

……いやいや、そういうのじゃないわよね？ ありえないって！ それならまだ一さんの方が疑わし……

……一さんも純さんとめちゃんこ仲いいわよね。 いつも一緒にいる気がするし……

……いや、でもなんだかんだ一さんは応援してくれてるしそういうのじゃ……

ああ、なんかもう全部が全部そういうアレに見えてきた……沢村さんも天江さんもそれぞれ純さんと仲いいしなあ……

そういえば、あの人たち龍門渕さんのお屋敷でみんな一緒に住んでるのよね……羨ま……じゃなくって、そんな、家も学校も一緒とか一日中一緒にいるのと同じじゃないの！

そんな、それだけチャンスがあればいくらでも……

憧「ととと巴さん！ どど、どうしよう、そんな……ふきゅ」

巴『……うん、とりあえず落ち着こう？ なにを想像したのかわからないけどたぶん大丈夫だから』

30 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:04:15.56 ID:1EUqKclE0

憧「……ふぅ、よし！ すみません、取り乱しました」

巴『気にしないで、なんというか……もう慣れたから』

憧「あぅ……そ、そんな、私がしょっちゅう取り乱してるみたいに言わなくても……」

巴『ふふ、どうだったかな？』

憧「うぅ……まあ、そりゃあそういうこともなきにしもあらずかもしれないですけど……」

巴『憧ちゃんは……うーん、頭の回転も早いし、だから余計なことまで考えちゃうのかもね』

巴『大丈夫だよ、憧ちゃん前からお料理やおかし作るのも練習してたじゃない。 贈り物って大切なのは気持ちだと思うから……憧ちゃんが一生懸命作ったチョコを贈ればいいと思うな』

憧「巴さん……！」

巴『……純くん、すっごく鈍いらしいけど』

憧「……ちょっとぐらい気づいてくれてもいいと思うんですけどね」

巴『そうだね……もういっそはっきり言ってみたら？』

憧「ふきゅ」

憧「……が、頑張ってるんですよ？ っていうか言ったこともありますし！ それでも気づいてもらえないんですけど！」

巴『……それは、なんというか……御愁傷様です』

憧「……まあ、逆に言えば他の……ライバルたちも同じ状況の可能性も高いですし？ この際長期戦で……」

31 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:06:17.61 ID:1EUqKclE0

――――――

うん、巴さんに相談したのは正解だった……色々とアドバイスももらえたし

……とはいえ、やっぱりチョコについてももう少し案が欲しいというか……よし！



和『もしもし？ お久しぶりです、憧』

憧「和！ ごめんね急に、今平気？」

和『ええ、少々作業中ですが……問題はありませんよ』

憧「作業？ なにしてんの？」

和『もうそろそろバレンタインですから……当日に向けて準備を……』

憧「おっ！ ナイスタイミング！ ちょっとバレンタインの件で相談しようと思ってさぁ……」

憧「っていうかちょっと待った！ 和、チョコ渡すような相手できたわけ！？ どんな男！？」

和『いえ、いわゆる友チョコというやつです。 ゆーきに咲さんに……染谷先輩や竹井先輩にもお世話になっていますし……』

憧「なんだ……つまんないの」

和『つまんないって……そういう憧はどうなんですか？』

憧「ふきゅ」

憧「……そ、そりゃあ、なんというか……そ、相談したいって言ってるでしょ……そういうことよ」

和『ふふ、知ってますけどね』

憧「むぅ……で、和はどんなの用意してんの？」

和『タコスです』

憧「……ん？ タコス？」

和『はい、チョコタコスを』

憧「…………それ、クレープって言わない？」

和『タコスです。 誰がなんと言おうとタコスなんです』

憧「えぇ……？ っていうかなんでタコス？」

和『クレープよりもタコスの方がゆーきが喜んでくれるじゃないですか』

憧「わかるけど……なんか違くない？」

和『？ なにがですか？』

憧「え……そう言われると難しいけど……」

優希『なにも間違ってないじょ！』

憧「あ、優希！ なに、一緒に作ってんの？」

優希『いや、今日は私は試食係だじょ！ のどちゃんがタコスをたくさん作ってくれるって言うからな！』

憧「……優希はチョコとか用意しないの？」

優希『私は私で用意するじょ？ でもほら、今日はのどちゃんが私のためにタコスを作ってくれるから……自分が作ってる暇なんてないじぇ！ もりもり食べるじょ！』

和『ふふ、ゆーきが喜んでくれると私も嬉しいです』

憧「……本番前に渡しちゃっていいの？」

和『どうせならおいしいものを用意したいですし……それならやっぱりゆーきに食べてもらう方が』

優希『さすがはのどちゃん私の嫁！ こんなにおいしいタコスならいくらでも食べるじょ！』

和『ゆーき！』

優希『のどちゃーん！』

憧「……はいはい、ありがとねー」

32 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:08:26.29 ID:1EUqKclE0

なんなのよもう……いちゃいちゃしよってからに……！

それにしても、タコスか……まあ珍しいって点では目を引くかも……って言ってもまんまパクったとして和よりおいしいもの作れるとも思えないし……

憧「……玄のとこ行こ」

……仕方ないよね、うん。 やっぱり玄が一番の安牌だし、普段はともかくこういうのなら間違いなく頼りになるし……



――――――



憧「失礼しまーす……玄ー？ いるー？」

……返事がない。 勝手知ったる人の家とはいえ、さすがにずかずか上がってくわけにもいかないし……

宥「ただい……あ、憧ちゃん、いらっしゃ〜い」

憧「あ、宥姉お帰り！」

宥「うち来るの久しぶりじゃない？ どうしたの〜？」

憧「ほら、そろそろバレンタインでしょ？ 玄にちょっと相談しようかなーって」

宥「ああ、そういうのなら玄ちゃんだよね〜」

宥「今日、ちょっと特別なお客様来てるからたぶん松実館の方にいると思うんだけど……」

憧「あれ、忙しいやつ？ そしたらまた日を改めて……」

宥「ううん、憧ちゃんが行って平気なやつだから……旅館の一番奥の部屋にいると思うから」

憧「……ああ、私も知ってる人？ どこの誰？」

宥「ふふ、行ってからのお楽しみだよ〜」

怜「んっふふ……にしてもバレンタインかぁ……青春しとるなあ」

憧「ふきゅっ……お、おお、園城寺さん！？ いたんですか！？」

怜「そりゃあ居るやろ……なんたって大学には宥ちゃんしか友だち居らんしな」

憧「えっ……」

怜「冗談やからそんな顔せんでほしいんやけど……ふふ、それにしても憧ちゃんもええ感じのふとももになってきたなぁ……」

憧「ふきゅ！？ ちょ、ふともも撫で回さないでくださいよ！ っていうかどういう意味ですか！？ 太ったってこと！？」

怜「大丈夫大丈夫、男だってちょっと肉付いてるくらいの方が好きやって」

憧「やっぱり太ったってことなんですか！？ う、嘘よ、そんな……」

33 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:09:31.38 ID:1EUqKclE0

……とはいえ、ここ最近は麻雀以外はほとんどこたつでおかしつまみながらだらだらと過ごしてたし……

せ、制服のスカートも若干キツくなったような気がしなくもないような……

憧「……しずに相談してダイエットメニューでも組んでもらおっかな……」

怜「だから大丈夫やって！ 私としてはもうちょっと肉付けてもええと思うで？ 膝枕ソムリエの私が言うんやから間違いないわ」

憧「なんで私が園城寺さんに膝枕しなくちゃいけないんですか！？」

怜「いや、別に私にしなくてもその意中の相手にしてやりゃええんやない？」

憧「ふきゅ」

怜「まあ、当然私にも膝枕してくれたらうれしいんやけどな」

宥「怜ちゃんは相変わらず浮気者だねぇ……清水谷さんが聞いたら泣いちゃうよ？」

怜「そんなこと言うたら宥ちゃんが一番の浮気相手なんやけどな……はぁ、竜華のふとももが恋しいわ……」

憧「はぁ……玄んとこ行ってくる……」

怜「おー、私は宥ちゃんとおこたでだらだらしとるからな。 チョコの試作品ができたら持ってきてなー」

宥「わーい、憧ちゃんの手作りチョコだー」

憧「え、いや、別に今から作るとは……っていうかこたつでだらだらしておかし食べてなんて……太りますよ」

怜「私はちょっとぐらい太った方がええんや」

宥「うぅ……うーん、あんまり太っちゃったら嫌だなあ」

怜「ふふ、任せとき。 宥ちゃんのふとももは私がちょうどええ肉付きが維持できるように管理したるわ」

宥「それなら安心だねぇ」

憧「いやいや、なんでそれで安心できんのよ……」

34 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:10:28.89 ID:1EUqKclE0

園城寺さん、相変わらず変な人だ……でも、宥姉の面倒見てくれてるみたいだし……いや、宥姉が面倒見てるのかな？

……まあいいや、仲よくやってるみたいだし

…………太っただなんてさすがにダメージでかいなあ……せめてウエストだけでも絞って……っていうかどうせお肉付くなら胸の方から付いてくれればいいのに……

憧「はぁ……へこむなあほんと…………えっと……奥の部屋だから……っていたいた、玄ー」

玄「あ、憧ちゃん！ ちょうどいいところに！ これから呼ぼうと思ってたんだあ」

憧「私も玄に用があって……っていうか今日はお仕事？ また今度にした方がいい？」

玄「平気だよっ！ えへへ、このお客様の案内だけしたらそのまま自由でいいって言われてるから」

憧「あ、誰が来てんの？ 宥姉もなんか言ってたんだけど秘密だって……」

胡桃「あれ、もしかして憧ちゃん来てる？」

憧「胡桃さんじゃないですか！ どうしてここに！？」

胡桃「久しぶりっ！ いやあ、余裕あるときに遊びに来てのんびりしようって話をしててね？ 期末の課題超速攻で終わらせてのんびりしに来ちゃった！」

憧「会いたかったです！ 胡桃さんに相談したかったこともあって……」

胡桃「へぇ、なになに？ あ、とりあえず部屋入ろっか廊下寒いし！」

玄「私もちょっとお片付けしたら来ますね！ お茶とおかしも持ってきますから！」

胡桃「いいよいいよ、そんな気を遣わなくて！ それ、松実館のサービスと別でしょ？ シロと豊音がおかしたくさん持ってるし！」

玄「そうですか？ でも、小瀬川さんが……」

胡桃「シロのことは甘やかさなくっていいから！ シロのためにならないからほっといて！」

玄「えぇ……っと……だけど……」

憧「玄、あんたも世話焼き過ぎだって。 ほどほどでいいのよ、ほどほどで」

玄「はぁい……」

35 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:11:44.39 ID:1EUqKclE0

憧「お久しぶりです！」

塞「あ、新子さん久しぶり！ 元気そうだね」

白望「ども」

豊音「わぁ！ 新子さんちょー久しぶりだよー！ 元気？ 他のみんなはどうー？」

憧「みんな元気ですよ！ ……あの、エイスリンさんは……」

塞「さすがに日本までは来れなくてね……長期休暇入ったらみんなであっち行こうかって話をしてるんだけどね」

白望「パスポート取得ダルい……」

胡桃「そこをめんどくさがらない！ エイちゃんに会いに行くんでしょ！」

豊音「シロ、松実館行くためにって課題とか一番に終わらせたのに……」

白望「将来の怠惰のためなら……ほら、こうしてるうちにも」

玄「お待たせしました！ お茶とおかし用意してきましたよっ！」

胡桃「結局用意してる！？」

憧「あんた話聞いてなかったの？」

玄「えっと……ほら、お姉ちゃんたちに用意したついでだから……ね？」

白望「ありがと」

豊音「もらってばかりじゃ悪いし……ほら、玄さんも食べて食べて！ おかしたくさんあるよー！」

玄「ありがとうございます、いただきますね！」

36 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:12:34.22 ID:1EUqKclE0

玄「そういえば憧ちゃん、私に用事って？」

憧「ほら、バレンタインの……」

塞「へぇ？ なになに、お姉さんも相談に乗ってあげるよ？」

憧「……あからさまにニヤニヤしながら入ってくるのやめてくださいよ、臼沢さん」

塞「だってそんな面白そうな話、聞いておいてほっとけないでしょー」

豊音「わぁ、本命チョコってやつだよねー？」

憧「え、あ……ま、まあそうなんですけど……玄はどうするのかなーって……」

玄「わ、私？ えーっと……」

白望「協力するよ、玄ちゃん」

胡桃「シロが！？ ダルくないんだ！？」

白望「玄ちゃんが世話してくれるなら作戦ぐらい考える……」

憧「お世話を対価に……？ わ、私だって玄ほどじゃないけど小瀬川さんの面倒ぐらい……」

塞「んっふふ、いいねぇ、青春してるねえ……私ももうちょっと若ければ……」

胡桃「塞は今より若いときもなにもなかったでしょ！」

塞「うるさいなぁ！ 胡桃も同じだろ！？」

胡桃「い、言ってはいけないことを……！」

白望「ダルい……」

豊音「えー？ でもでも、さえって結構モテてると思うんだけどなー」

塞「嘘っ！？ マジで！？ どこ情報！？」

37 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:13:46.79 ID:1EUqKclE0

豊音「どこって……私が見てる感じだけどー……」

塞「え！？ マジで！？ マジなの！？ 気のせいじゃなく！？」

豊音「えっ……そ、そこまで疑われると自信ないよー……」

憧「……そこんとこどうなんですか？」

胡桃「……まあ、私たちの中じゃ一番かな？」

白望「面倒見いいし気も利くから……」

胡桃「大学でも基本シロの介護してるしそもそも鈍いから自分では気づいてないんだよね」

塞「えー……そうだったの？ シロの世話とかしてる場合じゃないじゃん……少しぐらいチョコとか用意しとけば良かった……！」

白望「塞が私の面倒見ないと学校で胡桃に余計な負担かかるからちゃんと面倒見てよ」

胡桃「私が面倒見る前提なの！？」

塞「というか私の負担は気にしないの！？」

豊音「じゃあじゃあ！ 私が頑張ってシロの面倒見るよー？ おんぶだってできちゃうよー！」

白望「……豊音にそこまでさせるのも悪いし」

塞「私ならいいの！？ もっと遠慮してよ！」

白望「だって塞だし」

胡桃「塞だからね」

塞「この扱いはおかしいでしょ！？」

白望「今は塞に、将来的には玄ちゃんにお世話してもらう腹積もりだからよろしく」

玄「おまかせあれ！」

憧「……安請け合いしていいの？」

胡桃「言っとくけどシロ本気だからね！？」

塞「よっしゃ言質取った！ とか思ってるからね！？」

38 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:14:36.02 ID:1EUqKclE0

憧「……で、実際どうするの？」

玄「あの……実はそんなに凄いのとかは考えてなくって……」

憧「え！？ なんで！？ 気合入れて凄いの作るもんじゃないの！？」

玄「き、気合は入ってるよ？ その……なんていうか、シンプルにいこうかなって」

胡桃「シンプル？」

白望「つまり色仕掛けで……」

玄「はわぁ！？」

豊音「ぅわー……さ、最近の高校生って進んでるんだね……」

塞「豊音も去年まで高校生だったでしょ！？ ってかなんでシロはすぐそっち方向に行くわけ！？」

白望「一番シンプルじゃない？ 男なんて単純……」

胡桃「たいした経験もないくせに男を語らない！」

玄「その……そ、そういうのではなくって……ふ、普通に！ おっきいハートのチョコにしようかなって……」

憧「ふむ……本当にシンプルね」

玄「だって……ほら、一番わかりやすいかなって」

豊音「うんうん！ すっごくいいと思うなー！ 素直な気持ちを伝えるのがきっと一番だよー！」

憧「わかりやすい……かぁ」

胡桃「憧ちゃんもそういう路線でもいいんじゃない？ 純くん鈍いし」

憧「……たしかにそういうところもあるんですよね……でも、純さん食べるのも好きだからアピール的に凝ったものも作りたくなるというか……」

白望「いっそ本人にどんなのが欲しいか聞けば？」

塞「それはさすがにどうなんだろう……そりゃあ外れは無くなるけどさぁ」

39 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:15:26.69 ID:1EUqKclE0

憧「……っていうかさ、アレなの？ こ、告白するの？ 真面目なやつ？」

玄「……卒業したら、なかなか会える機会もなくなっちゃうだろうし……玉砕してみるのもありかなあって……」

白望「砕けるとは限らないと思うけど」

胡桃「なにもしないで後悔するよりはいいと思うよ！」

塞「なにもしないよりは……うーん、買ってあるけど今からでも手作りチョコ用意しようか……」

胡桃「……前から思ってたんだけどお歳暮感覚でチョコ配るのやめたら？」

白望「別にお目当ての相手がいるわけでもないんだし……気合入れてもダルいだけでしょ」

豊音「えー？ 私はいいことだと思うけどなー」

玄「それじゃあ、せっかくですし一緒にチョコ作りますか？ 材料はたくさん用意してあるので……」

塞「え、いいの？ それじゃあ……」

白望「せっかく旅行に来たのにそんな……」

塞「シロはだらだらしてていいよ。 味見係でいいから」

白望「頑張って！」

豊音「おお！ シロもやる気満々だよー！」

胡桃「満々なのはやる気じゃなくってだらける気だよ！？」

憧「臼沢さんは……」

塞「あはは、心配しなくても得意分野だから安心してよ！ 作ったこともあるし！」

豊音「そうなんだ……手作りチョコ渡す相手がいたんだねー」

塞「……いや、シロと胡桃と父親ぐらいだけど……」

豊音「あっ……ご、ごめんなさい……」

塞「謝らないで！？ 別に謝るところじゃないから！ 気にして……気にしてないから！」

40 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:16:06.92 ID:1EUqKclE0

塞「うぅ……別にいいんだ、麻雀にかけた青春でも……気のいい友人に囲まれて……貧しい青春送ってるわけじゃないもん……」

憧「思いっきり気にしてるじゃないですか……」

塞「いや、別に彼氏が欲しくないとは言わないけどさあ……好きな人がいるのかと言われれば別に……」

豊音「無理して相手見つけなくてもいいと思うんだけどなー……きっといつか運命の人が現れるよー！」

塞「私はそこまで乙女チックな思考にはなれないなぁ……」

白望「待ってたら勝手に来てくれるんなら楽でいいのに……」

胡桃「待ってるだけでうまくいくなら苦労しないの！ シロはやればできるんだからいちいちダルがらなければいいのに……」

玄「…………」

憧「……どしたの？」

玄「うん……私も、いつも待ってるばかりだったから……えへへ、やっぱり頑張らないとかなって」

憧「……そうね、頑張りましょ」

玄「うん！ ふふ、憧ちゃんはチョコどうするの？」

憧「……考え中」


カン！

41 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/15(月) 20:17:39.56 ID:1EUqKclE0

当日までに投下したかったからこんな内容に…
てるたんイェイ〜にでも合わせてもっかいバレンタインネタ引っ張って一回投下しようかと

42 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/15(月) 20:30:02.32 ID:A8IwCnxKo

乙
全身にチョコを塗りたくって突撃するのが効果的だと思います（小並感？）

43 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/15(月) 22:12:48.11 ID:wQRbJHrlO

乙です

44 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:01:29.87 ID:QPt8H+1j0

バレンタインもてるたんイェイ〜も遅刻だけど投下

45 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:02:46.59 ID:QPt8H+1j0

照『ハッピーバレンタイン！！』

灼「……テンション高いですね」

照『なんとチョコが食べ放題の日です』

灼「バレンタインってそういう日じゃないと思いますけど」

照『え……？』

灼「むしろバレンタイン過ぎてから安売りされたりしますから、バレンタインは過ぎるにつれチョコは食べやすくなります」

照『！！』

灼「……そんなに驚くとこ？」

照『……灼は天才。 いつも当日に買い込んでた。 チョコの日だと思って』

灼「……なるほど」

照『今年は凄い。 プロになって手持ちのお金もたくさんあるからいっぱいチョコが買える』

灼「照さん今後もガンガン稼ぎそうだもんね……作ったりしないの？ 玄や憧は気合入れてたけど」

照『？ おかしは食べるもの。 つくるものじゃない』

灼「……照さんはそうだよね」

照『……私だって用意しようとは思ってる。 でも、正直上手くいく気がしないし上手くできたとしても我慢できずに食べちゃう』

灼「……自己分析しっかりできてますね」

照『敵を知り己を知ればなんとやら。 自分のことぐらいわかってないと麻雀も勝てない』

灼「かっこいいこと言ってるけど内容は結構酷……」

46 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:03:36.26 ID:QPt8H+1j0

照『今度の誕生日、実家に戻るつもりだから……少し遅れちゃうけど咲とお父さんには用意しておこうと思ったんだけど』

灼「うん……いいと思うよ。 手作りが不安なら買っていってもいいと思うし……咲もお父さんも喜ぶと思」

照『……手作りでさえ自分で食べちゃいそうなのに高価ないいチョコなんて買ったら……』

灼「……頑張って我慢して」

照『うん……自分で食べる分も買えば大丈夫だよね』

灼「……ひとつ食べたら我慢できずに残りも食べちゃいそ」

照『…………その危険性は高い』

灼「…………」

照『……ど、どうしよう』

灼「我慢してください」

照『…………がんばる』

照『……あ、ちょっと待って。 やえが呼んでる』

灼「ん」

灼「……………………」

照『灼……』

灼「どしたの？ 元気なくなったね」

照『怒られた……練習試合前にいつまで電話してるんだ、って……』

灼「……それは、こっちもごめ……」

照『やえは意地悪。 自分は休みの間に里帰りして灼と会ってたのに私には電話もさせてくれない』

灼「やえさんは意地悪で言ってるわけじゃないよ？」

照『……わかってるけど』

47 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:04:53.29 ID:QPt8H+1j0

灼「あんまりわがまま言ってやえさん困らせちゃダメだよ？」

照『わかってる……灼こそ、私の方がお姉さんなの忘れてない？ そんな風に言い聞かせなくてもいい』

灼「ふふ……ごめ、つい……」

照『別にいいんだけどね』

灼「ん……ま、ちょっとぐらい甘えすぎてもやえさんは構ってくれると思」

照『……私がやえに構ってほしくてわがまま言ってるみたいに言わないでほしい』

灼「違うの？」

照『違う。 素で言ってる』

灼「……それはそれでどうかと思」

照『……本当は構ってもらいたくてちょっとわがまま言ってる』

灼「……それもどうかと思」

照『……私はどうすれば』

灼「……いつも通りでいいと思。 私もやえさんもそういう照さんが好きなんだし」

照『…………』

灼「どしたの？」

照『……さすがに照れる』

灼「ふふ……ああ、それと……チョコレート、咲のところに一緒に送っておいたから……バレンタインと誕生日を兼ねて……帰ったら食べてほし」

照『ありがとう！ これで今日の対局も全力以上で戦える』

灼「……おかしで戦えるならいくらでも送るけど……それじゃあ、対局頑張って……ハルちゃんにもよろしく」

照『うん、ありがとう灼』

48 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:09:21.52 ID:QPt8H+1j0

やえ「……ったく、やっと終わったの？」

照「灼が家にチョコ送ってくれたって！」

やえ「……ガキじゃないんだからそんなんでいちいち目ぇキラキラさせてんじゃないわよ、このバカ」

照「むぅ……バカバカ言わないでほしい。 本当にバカになったら困る」

やえ「あら、もう手遅れじゃない？」

照「……そんなことない。 それに、これ以上私がバカになったら困るのはやえ」

やえ「……なんで私が困らないといけないのよ」

照「？ だってやえは宮永照係だよ？」

やえ「勝手に変な役職に就けんじゃないわよこのバカ！」

照「……またバカって言った。 酷い」

やえ「ふん、本当のことでしょ！ だいたいあんたは……」

晴絵「よっ！ 相変わらず仲いいな、今日はよろしく！」

やえ「別に仲よくなんか……！」
照「うん、仲よし」

照「……な、仲よしだよね？」

やえ「だ、誰が……あーもう！ そうね！ 仲いいわよね！」

照「うん！」

49 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:10:45.14 ID:QPt8H+1j0

やえ「ったく、なんなのよもう……！ っと、すみません赤土プロ。 今日はよろしくお願いします」

晴絵「ああ、練習試合とはいえ打つのが楽しみだったんだよ……ふたりとはシーズン中もう打つ機会ほとんどなかったしな」

やえ「そうですね、私も……弘世？ どうしたの、この世の終わりみたいな顔して」

菫「……ん？ ああ、小走に照じゃないか……久しぶりだな……」

照「どうしたの？ お腹空いてる？」

菫「お前と一緒にするな……はぁ……」

晴絵「……菫は、ほら……今日は来てないうちのエースのことでな」

やえ「ああ……瑞原プロは今日はライブでしたっけ」

菫「……この練習試合のせいで行けなかったんだ！ くそっ！ はやりんのバレンタインライブが……！」

やえ「……あんたはここ一年ちょっとで随分アホになったわね……照と変わらないわよ？」

照「待って。 さすがに一緒にしないでほしい」

晴絵「あはは、どっちもどっちだと思うぞ」

やえ「類は友を呼ぶって言うしね」

照「やえも同類ってこと？」

やえ「どうしてそうなんのよ！」

照「チームも一緒だし、ここ最近で一番親しく付き合ってるのはやえ」

やえ「一緒にすんな！ あんたがバカばっかやってるから面倒見てやってんでしょ！」

晴絵「世話役も大変だよなぁ……結果としてずっと近くで面倒見てる分同類扱いされるという……」

やえ「赤土プロまで……！」

晴絵「いいコンビだと思うけどな、私は」

やえ「…………はぁ……弘世、あんた横浜来なさいよ。 宮永照係くれてやるから」

菫「バカを言うな。 はやりんがいるのに移籍するわけないだろ。 バカなのか？」

やえ「……バカに真顔でバカって言われるととてつもなく腹立つわね」

50 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:12:34.47 ID:QPt8H+1j0

菫「はぁ……開幕前だし調整のためにも大事な練習試合なのはわかっているんだ……だが！ 今こうしている間にもはやりんはステージに向かっているんだと思うと……」

晴絵「……お、瑞原さんからメール来てるぞ。 菫にも」

菫「なんだって！？」

菫「……………………」

菫「……あの、ハルちゃん…………」

晴絵「……相変わらずだな、瑞原さん…………あー、そうだな……『今日の練習試合頑張ってね☆ はやりは行けないけど応援してるぞっ☆』ってところか……」

菫「照、小走！ 練習試合とはいえ手は抜かんぞっ！ 今日の勝利をはやりんに捧げるっ！」

やえ「……なんでこんなめんどくさい奴になっちゃったのかしら」

照「昔から結構面倒だよ、菫は。 すぐに怒るし、おかしは取り上げるし……」

やえ「…………アホらし」

晴絵「ま、そう言ってやるなって……こいつらは真剣なんだし……菫だっていろんな意味で吹っ切れてから麻雀もいい方向に吹っ切れたぞ」

やえ「……こいつらと同じ方向に吹っ切るのは無理です。 ここまでバカにゃなれませんよ……って、また似たようなのが来たわね……」

晴絵「ん？」

やえ「そこの通路の陰……」

哩「…………」

晴絵「お！ 哩じゃないか、今日はよろしくな！ どうしたんだ？ そんなとこで……」

哩「え、あ、は、ハルちゃん！ その、あの……おああー！？」

晴絵「だ、大丈夫か？」

やえ「なにもないとこで転ぶのやめなさいよ……どんだけ焦ってんだっつーの」

照「……咲みたい。 かわいい」

菫「……シスコンめ」

照「菫に言われたくない。 菫だってはやりんのこと大好き」

菫「それがどうかしたか？」

照「……別に」

51 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:14:45.12 ID:QPt8H+1j0

哩「ハルちゃん、これ……！」

晴絵「ん？ なんだこれ？」

哩「その、これ、バレンタインのチョコで……」

晴絵「へ？ ……お、おう、ありがとう」

菫「ふふ……さすが、モテますね、ハルちゃん」

晴絵「お前ほどじゃないさ……というか哩、一応試合後の方がいいんじゃないか？ 練習試合とはいえ……」

菫「ハルちゃん、受け取ってやってください……私には白水の気持ちがよくわかる……」

哩「ひ、弘世……！」

晴絵「…………いや、それはそれとしてもだな……」

咏「まーまー、別にいいんじゃね？ 知らんけど」

晴絵「……咏ちゃん」

咏「うーっす、久しぶりだねハルちゃん」

やえ「三尋木プロ、お疲れさまです」

咏「こらこらやえ、その堅苦しいのやめろって言ってるだろー？」

照「咏ちゃん先輩」

咏「ほら、照みたいにしろってー」

やえ「そんな……勘弁してくださいよ……」

晴絵「今日、来てたんだね。 新人試す時期だろ？」

咏「公式戦じゃハルちゃんと打つまでまだかかりそうだからさぁ……ほら、プライベートで打つにしても時間と場所がなかなか合わんし？」

晴絵「……あんまり待たせても悪いしね……さっさとランク上げてタイトルごと貰いに行くよ」

咏「早くしてくんないと世界行っちゃうぜ？ ま、その前に小鍛治さんは倒さなきゃだけどねー……小鍛治健夜から逃げたとか言われんのも癪だし」

菫「……逃げる先が世界？ スケールが違うな……」

哩「ばってん、互角に戦える瑞原プロやハルちゃんはやっぱりすごかね」

菫「だよな！ やっぱりはやりんは最高だ！」

哩「ハルちゃんほどじゃなかがな！」

やえ「…………はぁ」

52 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:16:27.98 ID:QPt8H+1j0

咏「ほら、やえも照もさっさと準備しろよー？ そろそろ始まるぞ？ 知らんけど」

やえ「すみません、つい無駄話を……」

照「無駄じゃない。 久々に菫やハルちゃんと話せて楽しかった」

やえ「あんたねぇ……」

咏「あっはっは！ 別に怒ってねーからいいって！ 開幕に向けてしっかりコンディション整えるんだぞー」

やえ「はい！ それでは、失礼します。 赤土プロ、対局場で」

晴絵「ああ、あとでな」

菫「……私は無視か？」
哩「……私は無視か？」

やえ「あら、正気に戻ってたのね。 ファン根性燃やしたまま対局に臨まないでよ」

哩「対局中はしっかりやるけん、余計なお世話ばい」

菫「私ははやりんに力をもらって打ってるんだ。 はやりんを忘れるなどもってのほかだ」

やえ「……まさか白水の方がまともだなんてね」

照「行くよ、やえ。 対局前に少しおかし分も補給したい」

やえ「……最近同期で真面目にやってんの私だけなんじゃないかって気がしてきたわ」

照「私は真面目にやってる」

やえ「……はいはい」

哩「あ、私も戻らないと……は、ハルちゃん！ あの……」

晴絵「ああ、哩。 今日の試合の後時間あるか？ 久しぶり会ったんだし飯でも食いに行こうよ」

哩「は、はい！ 是非！」

53 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:20:34.52 ID:QPt8H+1j0

咏「……プレイボーイだねぇ、ハルちゃん」

晴絵「誰がボーイだ誰が……そっちこそちゃんと先輩やってるんだな」

咏「当然っしょ？ そんなに意外かい？」

晴絵「そりゃあね。 ひとりで好き勝手やってるもんかと……」

咏「わっかんねー……なんでそうなっかな……ま、いいや。 今日はハルちゃんの奢りらしいし照とやえも連れてってやるかねぃ」

晴絵「おいおい……一番稼いでるの咏ちゃんだろ？」

咏「ハルちゃん年下にたかるつもりなん？」

晴絵「プロの世界じゃそっちが先輩だろ……せめて折半で」

咏「ケチケチすんなよなー」

晴絵「こっちの台詞だトッププロめ……つーか菫や照たちに奢るのはともかく咏ちゃんに奢るのは絶対違うし」

咏「わっかんねー！ なに言ってんのかわっかんねー！」

晴絵「はぁ……ま、いいや。 今日はトッププロの咏ちゃんと打てるわけだしね。 ファイトマネーってことで」

咏「お、さっすがハルちゃん太っ腹！ 毎晩ビール飲んだりしてない？」

晴絵「太ってないよ！ ったく、相変わらず一言多い奴だなこのチビっ子は」

咏「……誰がチビだっつーの！ 調子乗らないで欲しいねぃ……今日はトップとの差ってやつを思い知らせてやっからな！」

晴絵「はっ、そんなこと言っていいのか？ 負けた時に言い訳できないぞ？」

咏「負けねーから関係ないねぃ！ ふん、ハルちゃんが万が一にでも私に勝てたら今日の飯代飲み代全部出してやるっての」

晴絵「お、たいして飲めないくせに飲み代まで出してくれるのか？ 悪いな、試合でも酒でも潰してやるよ」

咏「やれるもんならやってみろってーの！ ほら、さっさと対局室行くぞ！ どっちか知らんけど！」

晴絵「それは知っとけよ！」


カン！

54 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:21:25.22 ID:QPt8H+1j0

――――――

玄「あ、灼ちゃん電話終わったの？」

灼「うん、照さんから」

玄「ああ、宮永さん！ そういえば今日、赤土先生や白水さんのチームと練習試合だったよね？」

灼「ん……公開試合だけどテレビ放送なんかはしてないし……あとで牌譜だけ探そうと思ってる」

玄「うんうん、やっぱり気になるもんねぇ」

灼「……それよりも気になることが」

玄「え？」

灼「照さん、バレンタインで盛り上がってたなぁ」

玄「ふぇ！？」

灼「送ったんでしょ？ チョコ」

玄「……う、うん」

灼「どつなの？ 返事とか来た？」

玄「え、その……まだだけど……」

憧「おっじゃましまーす！ 灼さん、お姉ちゃんの古い参考書もらってきたよ！ 古いから参考にならないかもだけど」

玄「望さんに聞かれたら怒られるよ……？」

灼「ども……憧は？」

憧「へ？ 何が？」

灼「バレンタイン」

憧「ふきゅ」

憧「わ、私はその……ぅわあ！」

玄「な、なに！？」

憧「で、電話……純さんから！」

55 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:22:14.80 ID:QPt8H+1j0

憧「も、もしもし！？」

純『よっ！ 憧、チョコサンキューな！ 届いたぜ！』

憧「は、はい！ その、どうでした……？」

純『ん？ おう！ 今年も大漁だったぜ！ ここ三日ぐらいはおやつには困らねぇぜ！』

憧「……いや、そうじゃなくってですね…………」

純『はは、冗談冗談。 大漁なのはマジだけど。 うまかったぜ、また食いたいわ』

憧「は、はい！ よかったらまた作りますから！」

純『よっしゃ！ 頼んだぜ！ 来月にはこっちもなんか作って送るからよ』

憧「え……？」

純『ホワイトデーってやつだよ。 バレンタインになんか作ろうかとも思ったんだが……国広くんがホワイトデーにお返し配る方が純くんらしいよ、とかって……どういう意味だっつーの、ったく』

憧「あ、あはは！ どういう意味なんですかね！？ あはは！ ありがとうございます！ 来月楽しみにしてます！」

純『おう、期待しとけよ？ オレもたまには派手なもん作らないと腕が鈍るしな……あ、玄いるか？ 代わってくんね？』

憧「玄ですか？ はい、ちょっと待ってください……玄、純さんが代わってって」

玄「そんな怖い顔しないでよ憧ちゃん……もしもし？ お電話代わりました！」

56 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:23:57.79 ID:QPt8H+1j0

純『おう、玄！ ちょっと待ってな……あ、いたいたヨッシー！』

玄「ふぇ！？」

ハギヨシ『え、あの……井上さん……なにを……？』

純『いいから！ さっさと話せって！ もう先延ばしにすんのは無しだろ！』

玄「ちょ、ちょっと待ってください！ ……こ、心の準備が……」

ハギヨシ『…………もしもし？ 萩原です』

玄「ひゃい！？ あわわ……あ、は、はい、松実です！」

ハギヨシ『お久しぶりです……ええと、その……ありがとうございました。 チョコレート、いただきました』

玄「い、いえ……その、はい……」

ハギヨシ『それで……同封されていたお手紙の方も……』

玄「……！ あ、あのっ！」

ハギヨシ『は、はい、いかがされましたか？』

玄「……ら、らいげつ」

ハギヨシ『……はい？』

玄「お、お返事は来月にいただければ……と、というか！ ダメだったら無視してくださってかまいませんから！」

ハギヨシ『え、あの……』

玄「そ、それでは！ 失礼します！」

ハギヨシ『あの、玄さ』

玄「はぁ……あうぅ……緊張した……」

憧「……ヘタレ」

玄「だ、だってぇ……」

灼「憧が言うと笑えるね」

憧「うっさい！」

57 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:24:55.10 ID:QPt8H+1j0

ハギヨシ「……切れてしまいました」

一「まあ、玄さんが来月でって言うならいいんじゃないですか？ 一ヶ月ゆっくり玄さんのことだけを考えてあげてくださいよ」

ハギヨシ「……だけを考えるのはさすがに無理があるのでは」

純「なんだよ、ったく……せっかく背中を押してやったのにさー」

智紀「むしろ純のせいで一ヶ月引き延ばしになった気もするけど」

衣「純！ 純！ 衣はまだ食べたりないぞ！ チョコを分けてくれ！」

純「おう、いくらでもあるから好きなだけ食っていいぞー」

一「あまり食べ過ぎないでよ？ 晩御飯残したらダメだからね？」

衣「言われなくてもわかってる！ 子ども扱いするな！」

智紀「……口の回り、チョコ付いてる……あ、ハンカチあるから袖で拭わないで」

衣「む……うにゅ、すまんな智紀」

ハギヨシ「…………それでは、私は夕食の準備を……透華お嬢様、なにかリクエストはありますか？」

透華「…………」

ハギヨシ「……お嬢様？」

透華「バレンタインなどと……純ばかり目立って……私がまるで脇役……」

一「でもさ、透華だっていっぱいチョコもらってたじゃない。 学校でもたくさん話しかけられてたしさ」

智紀「うん……『井上さんはどちらに？』『これ、井上さんに渡しておいてください』って……」

透華「お黙りなさいな！ くっ……屈辱ですわ！ 私が……この私が！ 純の引き立て役に！」

純「はっはっは！ わりぃな透華、オレの方が人気者で」

透華「くぅぅぅっ！」

一「もう、面倒だから透華を煽らないでよ……そりゃあ、純くんの方が女子にモテモテのイケメンだったのは事実だけどさ」

純「オレは女だっ！」

智紀「……ふたりともめんどくさい」


もいっこカン！

58 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/02/20(土) 00:31:01.24 ID:QPt8H+1j0

しばらくネタにするような時事イベントもない気がするしいろいろ投下できればいいなぁと思いつつ
原作は決勝前に五位決定戦挟むようですがそれはそれで楽しみです。洋榎対セーラとか新道寺にも出番来るのはうれしいです

59 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/20(土) 00:31:57.70 ID:TALqrW/do

乙ﾃﾙｰﾝ

60 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/20(土) 00:40:00.95 ID:sSi5HwXxo

乙
来月が楽しみだな

61 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/20(土) 01:01:28.99 ID:aNOF14oZO

乙です

62 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/02/21(日) 06:47:24.34 ID:vkoTutCAO

遅れましたが…乙です。
五位決定戦…どんな展開に成って>>1さんにどんな影響を与えるのか？
楽しみです。

63 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/05(土) 20:38:07.62 ID:0p8fjSN00

おつ

64 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:35:57.51 ID:kTINN+Nw0

ともきーお誕生日おめ！ともたんイェイ〜
今月末の新刊の購入特典も少しづつ出てきましたね。楽しみです
投下

65 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:36:42.14 ID:kTINN+Nw0

灼「なんか、変な感じ」

玄「そうだね……」

灼「……早かったね、三年」

玄「うん……もう三年経ったんだね」

灼「……玄」

玄「なぁに？」

灼「……ありがと」

玄「ふふ、改まってどうしたの？」

灼「まあ……一応、最後だしね」

玄「そうだね……こちらこそ、ありがとうございました」

灼「お礼言われるようなこと、してな」

玄「えー？ そんなことないよ、ありがとうでいっぱいだもん……灼ちゃんが来てくれたから、またみんなで麻雀もできたんだし」

灼「それは……むしろ、こっちの台詞。 玄が誘ってくれなかったらまた麻雀やろうなんて思わなかっただろうし」

66 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:37:16.50 ID:kTINN+Nw0

卒業式……とうとう来たか、って気もするし、もう卒業なのか、って気もする

この制服に袖を通すのも最後になるのだと思うと感慨深い……多くの大会を一緒に戦ってきたハルちゃんのネクタイも、また宝物として引き出しの奥にしまわれることになるのだろう

玄「……お疲れさまでした。 部長には苦労ばかりかけてしまって……」

灼「ふふ、なにそれ。 そんなこと言ったら、玄こそ一番大変なポジションだったでしょ？ エースとして戦ってもらって……なのに部の運営もいろいろ助けてもらったし」

玄「灼ちゃんほとんどひとりでできてたじゃない。 むしろ手を出しちゃって邪魔になってないか心配だったんだけど……」

灼「邪魔だったらその時に言ってる……玄にはいろいろやってもらいすぎたかなって思ってるぐらい」

玄「いいんだよ、私は灼ちゃんのお手伝いしたかったから」

灼「……そか」

玄「そうなのです」

灼「……そろそろ、部室行く？」

玄「うん、そうだね……教室もなんだかんだで名残惜しいけど」

灼「うん……でも、キリがなくなっちゃいそうだし」

玄「ふふ、たしかにそうかも……穏乃ちゃんや憧ちゃんたちも待たせちゃってるし、行こっか」

67 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:37:45.76 ID:kTINN+Nw0

玄「灼ちゃんは四月から大学生だね〜」

灼「ん……大学生ってなにやってるのかいまいちイメージできないけど」

玄「お姉ちゃんは園城寺さんと一緒に課題やったり麻雀したり遊びに行ったり……うちでごろごろしたりしてるけど」

灼「園城寺さんもよくこっちまで来るよね……結構大変な気がするんだけど」

玄「快適でいいんだって〜」

灼「……玄がお世話するからか」

玄「えへへ、園城寺さんにはお姉ちゃんがいつもお世話になってるしね」

玄「……灼ちゃんも、お姉ちゃんのことをよろしくお願いします」

灼「お世話になるのは私だと思……宥さんが一緒なら心強いし」

玄「それならいいんだけど……灼ちゃんが学校決めるときにお姉ちゃんが……ほら、すっごくアピールしてたからさ……」

灼「……別に嫌々決めた訳じゃないし……実際、宥さんや園城寺さんの通ってるとこ麻雀も強いし……たしかに、ちょっと遠いけどね」

68 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:38:13.66 ID:kTINN+Nw0

――数ヵ月前

宥『灼ちゃんは、志望校とか決めたのかな？』

灼『ある程度は……近畿圏で、実家から通えて……麻雀強いとこから選んでるとこですけと』

宥『そっかあ……私も似たような選び方したから力になれるかも！』

灼『それは頼もし……』

宥『えっへん、お姉さんのこと頼ってくれていいんだよ〜？ 灼ちゃんの成績なら……リストアップしてるとこはだいたい狙えるよねえ？』

灼『ん……一応、成績も考えてリストアップしてるし……頑張ればどこでも射程圏内だと思』

宥『だよね！ あのね、あのね？ 私のおすすめはここだよ！』

灼『……ここ、宥さんの通ってるとこですよね』

宥『えっと、えっと、麻雀やるのにもチームは強いし、監督さんや先輩も厳しいけど面白いんだよ？ あとは、私は玄ちゃんにお弁当つくってもらってるけど……食堂も綺麗でおいしいし！ なによりも、中庭が絶好のひなたぼっこスポットでね？ 怜ちゃんとよくお昼寝したりしてるんだぁ』

灼『…………あの』

宥『通学は片道二時間ぐらいかかっちゃうけど……灼ちゃんも私と一緒なら寂しくないんじゃないかなぁ……？』

灼『……ひとりで通うの寂しいんですか？』

宥『えぇっ！？ えっと、その……そんなことないよ？ 私、お姉ちゃんだし……たまに怜ちゃんもお泊まりに来るから一緒に行ったりするし……』

宥『……でも、灼ちゃんと一緒に通えたらうれしいなぁ』

69 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:38:50.98 ID:kTINN+Nw0

灼「……宥さんはちょっとかわいすぎるよね」

玄「お姉ちゃんのかわいさについては自信があります！」

灼「ふふ……私は、またしばらく宥さんたちと麻雀頑張ってみるから……玄も、頑張って」

玄「うん、ありがとう灼ちゃん……私もとうとう本格的におうちのお手伝いが……ううん、松実館の運営に関われるから……最初はいろいろ難しいと思うけど、頑張るよ！ 夢のひとつだったから！」

灼「夢……」

玄「そう、お母さんとお父さんの松実館を守っていくこと……もうひとつは、みんなでまた……あの部室で、一緒に麻雀をすることだったから……えへへ、もう叶ってるんだ。 ……灼ちゃんは、なにかやりたいこと見つかった？」

灼「私は……まだ、わからないけど……」

やりたいこと。 もう見つかっていて、それに向かってずっと歩んでいた玄のことは、正直羨ましいとも思う

将来は……家業を継ぐ、のかな……なんて漠然と思っていたけれど、おばあちゃんには好きなことをやっていい、なんて言われてて……

灼「……私は、阿知賀で、みんなと麻雀したのが……すごく大事な思い出で……麻雀も、ここも好きだから……」

この先、また他にやりたいことができたりするかもしれないけど……

灼「……今は、教員免許とか取ってみようかと思ってる……ハルちゃんみたいに、またここに戻ってくるのも、いいかなって」

玄「……うん！ すごく素敵だと思う！」

70 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:39:32.68 ID:kTINN+Nw0

灼「…………」

玄「……どうしたの？」

灼「……なんか、こういうこと言うのってすごく照れくさ……」

玄「ふふふ……照れなくてもいいのに。 私もみんなと打った……阿知賀ってすごく大切な場所だから……今度は灼ちゃんが戻ってきてインターハイ制覇！ なんてなったらすっごくうれしいよ？」

灼「……じゃあ、もし私が戻ってきたら……玄もOGとして指導とか来てね。 スーパーエース、阿知賀のドラゴンロードとして……」

玄「うう……もしそうなったら全然構わないんだけど……やっぱりそのあだ名ちょっと恥ずかしいよぅ」

灼「ふふっ」

玄「笑わないでよぉ……灼ちゃんだって、晩成を倒して、県人未踏のインターハイ決勝まで行った部長さんなんだからね？ 阿知賀のレジェンド二世だよ？」

灼「……それ、恥ずかしいからやめてほし」

玄「いいじゃない、まさに赤土先生の弟子って感じで」

灼「……ハルちゃんはかっこいいけど、正直レジェンド二世とか言われても……あんまり……ね？」

玄「ふふ、灼ちゃんひどーい」

71 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:40:05.62 ID:kTINN+Nw0

……なんだか、玄にからかわれるっていうのも悔しいのでちょっとやり返してみることにする

灼「……それにしても」

玄「ふふ、今度はなぁに？」

むぅ……玄がここまで余裕を見せてるのも珍しい

しっかりもので世話焼きの玄は宥さんや穏乃、憧と一緒の時はいかにもお姉さん、って感じだけれど……自分で言うのもなんだけど、割合しっかりしてる私と一緒の時は結構慌てんぼのうっかりさんだったりするからなんとなく新鮮だ

灼「……玄もあとひとつだね、夢」

玄「あとひとつ？ わたしはもう……またみんなと麻雀できたし、松実館で働けるから……」

灼「昔した話、私は覚えてるから……」



あらた『……しょーらいのゆめ？』

くろ『うん！ わたしはねぇ……』



灼「……かわいいお嫁さん」

玄「ほわぁ！？」

灼「どうなの？」

玄「え、いや、その……それはもちろん憧れはあるんだけど、でもほら、なかなか……ね？ 松実館でお勤めはじめたら……その、男性との出会いの機会も……」

灼「ひとつ進行形のがあるでしょ……バレンタイン、告白したんじゃないの？」

玄「う、そのぅ……それは、そうなんだけど……」

灼「恋文っていうのがまた玄らしいよね……どんなこと書いたの？」

玄「ぇ、それは……普通に……ら、らら、らぶれたー、らしい内容というか……」

灼「ふーん……」

72 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:40:46.55 ID:kTINN+Nw0

灼「好きです、って？」

玄「あぅ……あの、まあ……なんと言うか、総合するとそんな感じです……」

灼「一ヶ月先延ばしにして……そろそろだよね」

玄「う、うん」

灼「自信のほどは？」

玄「うぅ……そんなの、全然ないよぅ……」

灼「……ないの？」

玄「だって、私なんかじゃ全然釣り合わないし……高校最後の思い出に玉砕覚悟でアタックしてみたっていうか……」

灼「玉砕覚悟……」

玄「……私、なにをするにしても待ってばかりだったから……なにもしないで諦めるよりは、と思って……」

灼「……それ、いいことだと思。 あと、もうちょっと自信持っていいから……玄、私の目から見てもかわいいし性格もいいしスタイルもいいし……超優良物件だから」

玄「そ、そんなにほめられても逆に困っちゃうというか……」

灼「……ま、こればっかりは結果が出るのを待つしかないか」

73 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:41:23.02 ID:kTINN+Nw0

どうなるかは気になるけれど……まあ、なにか動きがあれば玄の方からすぐに連絡が来るだろう

こう言うのもなんだけど、ハルちゃんの麻雀クラブで一緒だった穏乃や憧には負けるかもしれないけど、付き合いの長さだけで言うなら私の方が長いし、同い年だからこその話しやすさみたいなのもあると思うし、力になれたかはともかく結構相談も受けてたんだから真っ先に私に……

……なんで穏乃や憧に対抗心燃やしてんだろ。 アホらし……

灼「……あ、ごめ。 電話」

玄「あ、うん……ゆっくりしすぎて憧ちゃんたちも痺れきらしちゃったかな？」

灼「それはあるかも……あ、違……ともきーだ」

玄「沢村さん？」

灼「ん……もしもし？」

智紀『灼、久しぶり。 卒業おめでとう。 阿知賀、今日だったよね？』

灼「うん、ども……ともきーも、卒業と……お誕生日おめでとう。 後で連絡しようと思ってたんだけど……」

智紀『ん……別に、お祝いの催促じゃなくって……灼、きっと電話くれると思ったから先に連絡しようと思って』

灼「……？」

智紀『これから、みんなでドイツに行く。 国際電話は高いから』

灼「へぇ……卒業旅行？」

智紀『そんな感じ。 純の両親があっちにいて……高校通ってる間好き勝手やらせてもらったし、このまま日本に残るからちゃんと挨拶しときてぇ……って』

灼「……けじめってやつ？ 純くん、結構律儀だよね」

智紀『筋は通す、って……透華も大事な息子さんを預かっているのですからって……まあ、卒業旅行も兼ねてみんなで行こうって』

灼「……オレは女だ」

智紀『言ってた』

灼「ふふっ」

智紀『ふふ……』

74 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:42:08.40 ID:kTINN+Nw0

智紀『ああ、それと……もう少ししたら、そっちにも遊びに行く』

灼「阿知賀に？」

智紀『うん……卒業旅行第二弾……それとほら、気になるイベントもある』

灼「……ホワイトデー」

玄「えっ！？」

智紀『憧ちゃんに楽しみにしといて、って……あと、玄ちゃんにも……今度は逃がさないし、逃がさせもしないから』

灼「……もしかして、気になるから出歯亀に……」

智紀『建前はただの友達に会いに行く卒業旅行……隠れた目的は萩原さんを逃がさないため。 真の目的は……まあ、その通りだけど』

灼「そりゃあ、気になるよね」

智紀『純はともかく、萩原さんは年貢の納め時……どうなるかはともかく、決着はつけてもらわないと』

灼「……電話だとどんな感じかわからないから直接会わせる？」

智紀『うん。 そして陰からみんなで見守る』

灼「……覗きなんて趣味悪」

智紀『灼も気になるでしょ？』

灼「もち」

智紀『灼も人のこと言えない……それに、うまくいったら直接会えた方がいい。 ホワイトデーの翌日、玄ちゃんは誕生日、だよね？』

灼「うん……あ、誕生日デートできるね」

玄「え！？ えぇ！？」

智紀『その通り。 透華も旅行中は休暇扱いにするから自由行動で構いませんわ！ って萩原さんに言ってたし』

灼「だって。 やったね、玄」

玄「！？！？！？」

75 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:42:50.35 ID:kTINN+Nw0

智紀『14、15で松実館にもう予約入れてるから』

灼「予約、入ってるってよ？」

玄「えぇ！？ わ、私、聞いてないよ！？」

智紀『ああ……宥さんに電話して、秘密にしといてね、って……予約も龍門渕じゃなくて井上でとったし』

玄「六名の井上様って純さんの井上だったの！？」

智紀『気づいてなかった……作戦成功』

灼「……今ばらしちゃったけど」

智紀『……あ』

智紀『…………ほら、玄ちゃんにも心の準備がいる……でしょ……？』

灼「ともきー……」

智紀『……言わないで、恥ずかしいから』

76 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:43:29.71 ID:kTINN+Nw0

智紀『……と、とにかく、そういうことで……またすぐ会えるから。 今日のところは卒業の方で感傷に浸ってて。 邪魔してごめん』

灼「邪魔なんかじゃ……ありがとともきー。 また今度」

智紀『うん、それじゃあ』

灼「……玄、14、15予定空けときなよ」

玄「ぅえ、でも、うまくいくとは……」

灼「龍門渕さんたちがみんなで遊びに来るんだし……少しくらいお話しする時間ぐらい取っておきなよ」

玄「でも……う、うん……お父さんにもお話ししてみる」

灼「誕生日デートできるといいね」

玄「あぅ」

灼「パーティーの準備はしとくから。 残念会にならないとは思うし、いろいろお祝いできるといいよね」

玄「あうぅ……が、頑張るよ……」

灼「それじゃあ、憧と穏乃にも教えてあげないとね…………部室、騒がし」

玄「あ……えへへ、やっぱりみんなで待っててくれたみたいだね」

灼「さすがに待たせ過ぎたかな……行こっか」

玄「うん！ みんなにもちゃんと挨拶しなきゃね！」

77 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:44:28.52 ID:kTINN+Nw0

灼「お待たせ」

玄「遅くなってごめんね！」

穏乃「おお！ 待ってました！ 玄さん！ 灼さん！ 卒業おめでとうございます！」

部室に入ると穏乃をはじめとした後輩たちに囲まれる。 一年生たちもこれからは先輩として穏乃や憧を支える立場になっていくんだと思うと感慨深い……ん？

灼「……憧は？」

穏乃「ああ、憧ならほら、そっちの方に……」

憧「あ……灼さん、玄も。 おめでと」

灼「……なんか、そっけな」

穏乃「それが聞いてくださいよ！ 憧ったら「ちょ、しず！ な、なな、なにを言う気よ！？」いや、別に事実を……「やめなさい！」……はーい」

灼「……で？」

穏乃「いやあ、私が『玄さんと灼さんが阿知賀の麻雀部員なのも今日で最後なんだね……』って言ったら感極まっちゃったみたいで憧ったらすごい勢いで泣いちゃって……」

憧「しーずー！！」

穏乃「あはは！ 憧がすごいことになってたから私なんて逆に涙止まっちゃいましたよ！」

灼「ふふ……私たちがいなくなるの、そんなにさびし？」

憧「だ、だから私は別に……！」

灼「寂しくないんだ……？ それはそれでさびし……」

憧「……そんなの、寂しいに決まってんじゃん！ 玄とはちっさい頃からの付き合いだし……灼さんとは高校からだけど……」

憧「それでも、私……玄も、灼さんも……」

灼「ちょ……ちょっと、ストップ……それ、聞いたらたぶん私も泣く……」

憧「うー……い、言わせようとしといて……灼さんのばか……大好き！ 卒業おべでどゔ！」

灼「な、泣かないでよ……憧……」

……憧に泣かれると、ちょっと……さすがに、来る

78 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:45:21.89 ID:kTINN+Nw0

憧「うぅ……ゔゔぅ……」

灼「……憧……ありがと……麻雀部、穏乃だけじゃ大変だろうから……目の届かないところは、助けてあげて？」

憧「うん……わかってる。 しずがみんなを引っ張ってまっすぐ突っ走るから……私は今まで通り、ちゃんとサポートするから……灼さんも、頑張ってね……宥ねえのこともよろしく……ぅぅ……」

灼「ん……ほら、お、落ち着いて……」

憧「あ、灼さんも、泣きそうなくせにぃ……」

灼「憧があんまり泣くからつられて……も、もう……泣き止んでってば」

憧「無理言わないでよぅ……じゃあ灼さんも卒業なんてやめて！」

灼「それこそ無理だってば……」

憧「それじゃあ私も泣くから！ もう……灼さんのばかぁ……！」

灼「……よしよし、いい子いい子」

穏乃「……また、憧は灼さんに甘えて……」

憧「ま、またってなによぉ！」

穏乃「言葉通りだけど？ 玄さーん！ 憧が灼さんにベッタリでお祝いできないでーす！」

玄「もう、憧ちゃんは相変わらず甘えんぼさんなんだから……」

憧「うるさい！ ばかぁ！ うぅ……玄も、卒業おめでと……松実館、頑張ってね」

玄「おまかせあれ！ ……あ、松実館と言えば……」

灼「……ホワイトデーの辺りで、龍門渕のみんなが松実館に泊まりに来るって」

憧「……ふぇ？」

79 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:46:04.44 ID:kTINN+Nw0

灼「楽しみだよね、いろいろ」

玄「あぅ……わ、私は、そのぅ……」

穏乃「そうなんですか！ へへ、一さんや龍門渕さんに会うのも久しぶりですね！」

憧「え、それって、つまり……？」

穏乃「楽しみだね！ バレンタインのお返しも貰えるんじゃない？」

憧「ふきゅ」

灼「ちなみに、今龍門渕のみんなは純くんの両親に挨拶しにドイツに向かってるらしいよ」

憧「ふきゅ！？ りょ、両親にご挨拶！ いつの間に！？ だ、誰が相手なの！？」

玄「そ、そういうのじゃないと思うけど……」

……憧は相変わらずちょっとアレなんで心配だ。 麻雀部は大丈夫なんだろうか？

穏乃「……灼さん」

灼「……穏乃」

穏乃「卒業、本当におめでとうございます……私、頑張りますから！ 灼さんも……！」

灼「うん、ありがと……穏乃も……」

灼「穏乃も、頑張って……あとはよろしく、阿知賀の大将……阿知賀の、新部長」

穏乃「はい！ 精一杯やりますから……！ 任せてください、灼さん！」


カン！

80 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/10(木) 02:48:27.15 ID:kTINN+Nw0

おまけっぽい扱いになっちゃって申し訳ないしともきーにはそのうち出番を回したい…
次は１４か１５には投下したい…できるだけ遅れないようにします

81 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/10(木) 02:54:53.78 ID:+AIvU+JRo

おしゃべりともきーかわいい乙

82 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/10(木) 03:06:45.26 ID:kASClSelo

乙
ハギヨシもいよいよ年貢の納め時だなー

83 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/10(木) 06:47:58.34 ID:Mjz9U9tto

乙です

84 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/10(木) 09:30:32.73 ID:/jfjEc7AO

乙乙

85 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/15(火) 19:50:20.70 ID:32uZvJpSO

くろたんイェイ〜
事情により投下が明日にずれ込みそうなのでとりあえず報告だけ…

86 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/15(火) 19:59:46.82 ID:NexdXYBfo

待照

87 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:01:15.26 ID:Px85VIlM0

イベント絶対遅刻するマン。もう玉子の誕生日ですよ…たまたんイェイ〜

88 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:02:07.70 ID:Px85VIlM0

玄ちゃんと灼ちゃんが高校を卒業して数日……私は既に冬休みに入っているし、時間の空いた灼ちゃんと朝からのんびりおこたでお茶を飲んだりしちゃって……のどかな日々を送っています

そして今日は、憧ちゃんと穏乃ちゃんも午前中で授業が終わるのでもう少ししたら遊びに来てくれる予定なのです

灼「……どうかしました？」

宥「……えー？ なんで？」

灼「いや……にこにこしてるから」

宥「んー……えへへ、灼ちゃんとのんびりするの、楽しいなぁって」

灼「……そですか」

宥「あ、灼ちゃん照れてるー……ふふ、かわいー」

灼「……はぁ」

宥「ため息つかないでよぉ」

灼「……こゆとき、宥さんには勝てないなって思」

宥「だって私、お姉ちゃんだし、先輩だから〜……えへへ、四月から一緒に学校通うの楽しみだねぇ」

灼「……講義の取り方によっては行きの時間も被らないんじゃ」

宥「！？ ……そ、そう……だね……そうだよね……」

灼「あ……その、それでも、はじめてで不安なんで、一緒に行ってもらえると……」

宥「……！ うん！ 一緒に行こうね！」

灼「……お願いしま」

89 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:02:44.64 ID:Px85VIlM0

宥「ふふふ……楽しみだなぁ……あ、怜ちゃんから聞いたんだけどね？ 絹恵ちゃんやふなきゅーちゃんも入学するんだって！」

灼「ん……この間本人から聞きました。 今までライバルだったし……一緒になるのが残念なような心強いような……」

宥「そういうものかあ」

灼「そゆものです」

私は単純に楽しみなんだけど……灼ちゃんとふなきゅーちゃんは副将の部長ってことで対戦の機会も多かったし、いつの間にやらふなきゅーちゃんが赤土先生の……麻雀講義？ を受けてたりしてたから……思うところがあるらしい

まあ、見ている感じ仲良しさんだから心配はしてないんだけどね

玄「お姉ちゃん、灼ちゃん、お茶とお茶菓子持ってきたよ〜」

宥「わぁ、ありがとう玄ちゃん」

灼「ありがと……松実館の方はいいの？」

玄「休憩時間だから大丈夫だよ〜」

灼「……なにも休憩中まで給仕しなくても」

玄「お姉ちゃんと灼ちゃんとお話ししに来たんだからついでだよ、ついで」

宥「……忙しそうだし、私もなにかお手伝いしよっか？」

玄「気にしないで！ お姉ちゃんは学生さんで、私は松実館のスタッフなんだからいいんです！ ……まあ、まだまだ見習いだけどね」

灼「昔からお手伝いしてたのに？」

玄「本格的にお仕事で始めるからね！ 一からきっちりやるんだよ！」

灼「そか……ふふ、玄……たのしそ」

玄「やりたいことやってるんだもん、そりゃあ楽しいよ〜」

90 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:03:33.50 ID:Px85VIlM0

私は学生で、玄ちゃんは従業員……玄ちゃんの言ってることはわかるんだけど、なんだか私ばっかりおこたでごろごろしてて……すっごく悪いことしてる気分になる

今日なんかお寝坊した上に起きてからはずっとおこたで……しかも灼ちゃんとお話ししてるし……

こう、お姉ちゃんとしては……やっぱりダメダメな感じがするなぁ

灼「今日は、いつまでお仕事？」

玄「今日は夕方頃まででいいって。 朝から出てるし……お父さんも……その、お、お客さんが来るなら、って……」

宥「えへへ、楽しみだねぇ……龍門渕さんたちが来るの」

玄「う、うん……そ、そうだね……！」

灼「……今日、14日だね」

宥「楽しみだよね？」

玄「……あわわわ」

灼「……今から緊張しすぎ。 落ち着いて」

玄「だ、だってぇ……あぅぅ……」

宥「大丈夫だよ。 玄ちゃん、世界で一番かわいい自慢の妹だもん」

灼「とゆか、自分で引き延ばしたんだし……結果はどうあれ、覚悟はしときなよ」

玄「あ、灼ちゃん……そんなこと言われても……こういうことは、そう簡単にはいかないと言うか……」

宥「今からでも落ち着いて臨む作戦とか考えよっか？ このあと憧ちゃんも来るし相談してみるとか……」

玄「そ、そうだよね！ 憧ちゃんなら……」

灼「……なんかさ、この手の話題は憧に！ みたいな風潮私たちの中であるけど……正直今までのこと考えると実はあんまり適材じゃないんじゃ」

宥「え……えっと……ほら！ あ、憧ちゃんが失敗しちゃうのは自分のことだけだから！」

灼「それ、フォローになってな……」

91 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:04:19.52 ID:Px85VIlM0

灼「まあ、私は経験値ないし……いいアドバイスする自信もないけど。 穏乃も同じ感じだし……」

宥「私もあんまり……」

灼「大学ではモテてるって園城寺さんからの情報が……」

宥「お、男の子って得意じゃなくって……つい逃げちゃうと言うか……麻雀部で話したりはするけど麻雀以外の話はあんまり……」

灼「宥さんも奥手だもんね……で、憧になっちゃうと」

玄「あ、憧ちゃんは今までもたくさん相談に乗ってくれたよ？ いろいろ作戦も考えてくれて……」

灼「……それ、うまくいったの？」

玄「……わ、わりと？」

灼「……あやし」

玄「そ、そんなことないよ！ わ、私は苦手だけど……憧ちゃんよく言ってるもん、恋は駆け引き、計算高いは誉め言葉！ って……」

宥「憧ちゃん、昔から頭の回転早いし賢いもんね〜」

灼「……その頭の回転の早さを活かして、すごい勢いで頭脳を空回りさせてるよね。 計算もそもそも計算式から間違ってると言うか……」

玄「そ、そんなことないってば！ 憧ちゃんは阿知賀の恋愛マスターだよ！」

灼「その信頼はどこから……端から見てるとラブコメ要員というかラブコメディアンみたいなとこあるし……」

宥「……っ」

玄「えぇ……？ 憧ちゃん、頼りになるのになぁ……」

灼「もしかして憧のせいでなかなか進展しなかったんじゃ……とゆか、今、宥さん笑ったでしょ？」

宥「……そ、そんなことないよ？」

92 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:05:24.78 ID:Px85VIlM0

憧「ちょっとぉ！ な、なにを失礼なこと言ってんの！？ 灼さん、私のことそんな風に思ってたわけ！？ 宥ねえも笑ってるし！」

宥「わ、笑ってないよ？ 本当だよ？」

玄「あ、憧ちゃん穏乃ちゃんいらっしゃい」

穏乃「お邪魔します！ こんにちは！」

灼「お疲れ……穏乃、恋愛芸人憧」

憧「変な肩書き付けないでよ！ 失礼しちゃうわね！」

穏乃「い、いや……でもさ、あながち間違ってなくない……？」

憧「しずもなに笑いこらえてんのよ！？」

穏乃「だ、だって……ふふっ……憧って純さん前にするとテンパりまくってなんか訳のわかんないこと言いはじめるし……」

灼「ああ、頭が良すぎて理論が飛躍した結果わけわからないこと言ってるとか？」

憧「い、いつだって筋道立てて話してるでしょ！？」

灼「こないだ、純くんの両親に挨拶しにドイツに行ってるって言ったら真っ先に……」

穏乃「卒業式の日ですね！ 『誰と！？』とか言っちゃって……あはは、あの時の憧の取り乱し様と言ったらすごかったですよね」

灼「『だ、誰が相手なの！？ 龍門渕さん！？ 沢村さん！？ いや、っていうか一さん！？ 一さんなの！？ 実際親友って感じですごく仲いいし……むしろ天江さん！？ あそこも仲いいわよね！？ たまに一緒に寝てるとか……ね、寝るってそういうことだったの！？』とか……」

憧「ちょ、ちょっと！ やめてよ！ あ、あれは……ちょ、ちょっと混乱しただけだから！」

宥「えー？ そんなことあったの？」

玄「えっと……憧ちゃん、すっごく慌てちゃって……」

灼「そういう寝る、とか……発想がやらし……」

憧「や、やらしくないもん！」

穏乃「……憧って本当に頭いいの？」

憧「しずよりは断然いいっての！」

93 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:06:29.93 ID:Px85VIlM0

宥「ふふふ……もう、喧嘩しちゃ、めっ！ だよ〜？」

穏乃「はーい」

憧「むぅ……納得いかないなぁ……」

玄「あ、穏乃ちゃんと憧ちゃんの分もお茶淹れてくるね！ ゆっくりしてて！」

穏乃「あ、すみません玄さん！ 忙しいのに……」

憧「っていうかなんで今日まで働いてんのよ……いよいよ本番でしょ？ いろいろ準備とか……」

玄「そ、それはそうなんだけど……お仕事してないとむしろ落ち着かないし……透華さんたちをちゃんとお迎えしたいから……」

灼「龍門渕さんたち？」

憧「違うでしょー？」

玄「か、からかわないでよ！ もう……それじゃあ、私はそろそろ戻らなきゃだから……透華さんたちが来るまでゆっくりしていってね」

穏乃「はい！ のんびりさせてもらいます！」

憧「……悪いわね、働いてんのに」

玄「気にしないでいいんだよ？ そんなことより、憧ちゃんだって井上さんに会う準備しといた方がいいんじゃないかな？」

憧「ふきゅ」

灼「出た、ラブコメディアン憧の持ちネタ……」

憧「ネタとかじゃないし！ そもそもコメディアンじゃないし！ っていうか何よラブコメディアンって！？」

灼「さあ……？」

穏乃「憧みたいな人のこと？」

憧「しずも灼さんも……！」

宥「まあまあ、落ち着いて……憧ちゃんもちゃーんと笑顔で待ってないとダメだよ？ 怒ってたらせっかくのかわいいお顔も台無しだよ？」

憧「……はーい」

94 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:07:40.11 ID:Px85VIlM0

……最近、ちょっぴり思うんだけど……玄ちゃんや憧ちゃんが羨ましい

私にも玄ちゃんやお父さん……灼ちゃんに憧ちゃんに穏乃ちゃん、それに怜ちゃんや泉ちゃんたち……たくさんの大切な人たちがいるけれど……そういう好きっていうのは私にはよくわからないから

昔、やんちゃな男の子たちに少しいじめられちゃったりだとか、ずっと女子校だったからあんまりお話しする機会もなかったとか…………なんとなく男の子ってものに苦手意識があるというか……

それでも、好きな人のことを考えている時の玄ちゃんや憧ちゃんはすっごく楽しそうだし、とってもかわいいから……

私も、いつか……そのうち……

……うん、まあいっかあ……やっぱりそういうのちょっと苦手だし、今は麻雀が恋人で……

春からはまた、怜ちゃんや灼ちゃんたちと一緒にインカレ制覇を目指して頑張るんだし！

お姉さんとしてしっかりしないと……

……お姉さんとして、玄ちゃんと憧ちゃんの恋路も応援してあげないとね！

夕方頃に来るって聞いてるし……うーん、従業員の皆さんをこっそり誘導して玄ちゃんや憧ちゃんがそれぞれふたりきりでお話しできるようなタイミングを作ればいいのかなぁ？

……やっぱり、よくわかんないや

95 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:08:26.59 ID:Px85VIlM0

――――――

まったく、本当に失礼しちゃう……しずも灼さんも、私をなんだと思ってるわけ？

バカにしてくれちゃって……っていうかさ、す、好きな人を前にしたらちょっとぐらいテンパっちゃったって仕方ないじゃん……仕方ないよね？

灼「ごめんごめん……それじゃあ、阿知賀の恋愛マスター憧ちゃんの今日の作戦を聞かせてもらいた」

憧「れ、恋愛マスター！？」

なにそれ、初耳なんだけど

灼「玄が言ってた」

憧「……そ、それはさすがに言い過ぎじゃない？」

穏乃「さすがにというか……明らかに言い過ぎじゃない？」

憧「うっさい！ しずよりはマシだし！」

穏乃「なにぃ？ こう見えて私だって……」

憧「嘘！？ マジで！？」
灼「穏乃が！？」
宥「えぇ！？」

穏乃「……や、山と言う立派な恋人が……」

憧「あー……そういう……はぁ、びっくらこいた……」

灼「安心した」

宥「心臓止まるかと思ったよ……」

穏乃「ちょっとした冗談のつもりだったのに……そこまで言われるとなんか……腑に落ちないなぁ」

96 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:08:58.13 ID:Px85VIlM0

穏乃「……で？」

憧「で？」

穏乃「阿知賀の恋愛マスターらしく今日も作戦があるんでしょ？」

憧「だからそれやめてって！ ……ま、まあ？ そりゃあ私だって約256通りのパターンを考慮して……」

穏乃「さすがに嘘でしょ」

灼「実際に考えてたとしてもテンパってひとつも使えないしね」

憧「くっ……そ、そうだとしても前もってイメージトレーニングしておくことで本番でなにかあってもある程度対応が可能に……」

穏乃「……いままで対応できてたことありましたっけ？」

灼「さあ……？」

憧「す、好き勝手言ってくれちゃって……！ 宥ねえもなんとか言ってやってよ！」

宥「え……えっと……ふたりとも、憧ちゃんだって頑張ってるんだからあんまりからかっちゃダメだよ？」

穏乃「宥さんがそう言うなら……」

灼「憧で遊ぶのはこの辺で……」

……なんなのよ、この私と宥ねえへの態度の違い。 まあ、そういう感じもわかるけどさぁ……

97 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:09:33.05 ID:Px85VIlM0

灼「それにしても、憧には感服する」

憧「へ？ な、なによ急に……」

灼「まさか約256ものシチュエーションを妄想しているなんて……」

憧「言い方！」

穏乃「でもさ、つまるところはそういうことだよね！」

憧「元気に言いきるな！」

宥「……ちなみに、どんな状況を想定してるの？」

憧「え？ そりゃあ……まずみんなが松実館に着いて、挨拶しに行く時点で32通りのパターンを想定して……」

灼「いいことを教えてあげる」

憧「え？ なに？」

灼「結果としてすぐテンパると思うから1パターンにまとめといていいよ」

憧「余計なお世話よ！ っていうかそれも想定済みだし！ むしろ考慮してるパターンのうちの半分ぐらいがテンパったとこからの建て直しだし！」

穏乃「……憧って頭いいけどバカだよね」

憧「しずはバカな上にバカじゃん」

穏乃「それただの悪口だよね！？ 酷くない！？」

98 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:10:15.23 ID:Px85VIlM0

灼「……失敗する前提で組み立ててばっかりなのもどうかと思」

憧「む……まあ、それはそうよね」

宥「でも、残りの半分はうまくいってるパターンってことだよね？ どんな感じなの？」

憧「それは……」

憧「…………」

憧「ふきゅ」

憧「……な、なな、何を言わせる気なのよ！？宥ねえのばか！」

宥「えぇ……？」

穏乃「最近……いや、結構前からなんですけどね？ 憧のことが心配で心配で……」

灼「脳内ピンクなのはわかったけど……」

憧「ぴ、ピンクじゃないし！ 超健全だし！ 正当派ラブコメだから！ 少女漫画だから！」

穏乃「憧は結構ロマンチストだもんねー」

宥「憧ちゃん、玄ちゃんとそういう話しも合うもんね〜」

灼「最近の少女漫画ってわりとエグい気がするけど」

憧「灼さんはいちいち余計なこと言わないでよ！」

99 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:11:06.81 ID:Px85VIlM0

憧「もう……灼さんもさ、いい性格になったよね……変なのと付き合い持ちはじめてから影響受けすぎ！ 昔はおとなしくてかわいかったのに！」

灼「変なのって……まあ誰を指してるかはよくわかってるけど」

穏乃「バカと天才は紙一重って言うしね！ 揺杏さんは圧倒的天才だと思うけど！」

憧「一応名前伏せてあげたのに……しず、本音透けてるわよ」

穏乃「え？ なにが？」

憧「……まあいいや」

宥「……憧ちゃん！」

憧「へ？ な、なに？ どしたの急に……」

宥「今の言い方だと灼ちゃんが今はかわいくないみたいだよ！ こんなに灼ちゃんかわいいのに！」

憧「……はぁ？」

灼「……宥さん、やめてください……それはさすがに恥ずかし……」

宥「えー……？ 大事なところなのに……」

憧「……なんかさ、最近前にも増して仲いい感じだよね」

なんか進学先も一緒だし……今日も朝から宥ねえと灼さん一緒にこたつでのんびりしてたらしいし……

宥「えへへ、だって大学でも先輩後輩だもんねー？」

灼「……ねー」

宥「私、お姉ちゃんだから！」

灼「そうですね」

宥「頼ってね！」

灼「はい、頼りにしてます」

宥「えへへー」

……なんじゃそりゃ

100 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:11:59.38 ID:Px85VIlM0

穏乃「ほらほら、あんまりいちゃついてると憧が妬きますよ」

憧「妬かないし！」

灼「そゆのは取っときなよ、純くん来るまで」

憧「ううう、うるさいわね！ 余計なお世話！」

穏乃「はぁ……龍門渕さんたち早く来ないかなぁ……久しぶりだし麻雀も打ちたいし話したいこともたくさんあるし……」

憧「……一さんと変な会議すんのはやめなさいよ」

穏乃「うん！ 変な話なんかしてないし大丈夫だよ！」

憧「…………」

……しずは変な話してる自覚ないんだった

灼「そっち止めに行くより自分のことに集中したら？ しょっちゅう会えるわけでもないんだし」

憧「……わ、わかってるわよ……私だって……玄みたいになにかしたってわけじゃないけど」

穏乃「玄さんは頑張ったからねー……憧も頑張らなきゃ！」

憧「私は長期戦でいいのよ。 焦ったってテンパって失敗するだけだし」

灼「完璧な自己分析だね」

宥「憧ちゃんはお利口さんだから〜」

憧「……すっごくバカにされてる気がしてるんだけども」

灼「ほめてるよ？」

憧「……まあ、そういうことにしとくけど」

101 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:12:55.79 ID:Px85VIlM0

灼「ま、まだまだ時間もあることだし……」

宥「のんびりしよっかー」

穏乃「あ、はいはい！ 私、久しぶりに宥さんと打ちたいです！」

宥「ふふっ、インカレで鍛えた腕前を見せちゃうよー？」

灼「それじゃあ、改めて先輩の腕前拝見ってことで」

宥「！ よぉし……かっこいいとこ見せちゃうんだから！」

憧「え、ちょっと……ま、いっか」

今から慌てても仕方ないし……一番の課題はわかってるんだから……いつも通りでいいのよ、平常心平常心……

憧「……よし！ とりあえず東風一回やったらお昼食べましょ」

穏乃「えー？ 一回だけー？」

憧「時間あるんだからお昼食べてから打てばいいでしょ」

宥「ご飯はちゃんと食べないとダメだよね〜」

灼「そいえば、玄はお昼は……？」

宥「ちょっと前にあっちで賄い食べてると思うから……残念だけど別々だね……」

灼「そか……」

穏乃「……なんか寂しいですね……今までずっと一緒だったのに……」

憧「はぁ……別に、まだいい方でしょ。 もし東京の大学通う、とかになってたらそれこそ気軽に会ったりできなくなってたんだし……松実館来ればいつでも会えるんだからさ」

灼「それはたしかにそうかもね」

穏乃「……そうだね！ つい数日前に卒業式でボロボロ泣いてた憧に言われるとちょっと気になるけど！」

憧「そ、それはまたちょっと違うじゃん！」

宥「ふふ、今まで通りいつでも遊びに来てくれていいからね。 私も玄ちゃんもうれしいから」

穏乃「はい！ ありがとうございます、宥さん！」

憧「ん……ありがと、宥ねえ」

102 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:13:39.96 ID:Px85VIlM0

――――――

結局、打ってれば時間なんてあっという間に過ぎるもので……たまに休憩時間に入った玄が顔を出すぐらいで、しずと灼さんと宥ねえと四人でずっと打っていた

麻雀部を再結成した時のメンバーも、ハルエはプロに、宥ねえが卒業して、ついこの間には玄と灼さんも卒業しちゃって……しずとふたりで後輩たちを引っ張ってかなきゃなー、とか、不安だったり楽しみだったりいろいろと思うところはあるけれど……やっぱりちょっと寂しいなーってのもあるわけで

こうやって、今までみたいにこのメンバーで卓を囲んでいると落ち着くし安心する……なんだかんだ言ってもしずだって相当の寂しがり屋だし、強がるタイプだから私がしっかりしないといけないんだけどな……

……灼さんにも後のことは頼まれちゃってるしね

穏乃「……あ！」

憧「ふきゅっ……しず、急に大声出さないでよ！」

穏乃「一さんから連絡来たよ！ そろそろ着くって！」

憧「えっ！？」

宥「それじゃあ、お迎えする準備しよっか！ ……とは言っても、うちじゃなくて松実館のお客様だから私たちは特にやることないんだけど……」

灼「とゆか、私たち客でもスタッフでもないし……松実館入れないんじゃ」

宥「……少しお片付けしてこっちで遊ぼっか？」

穏乃「いいんですか！？ ……あ、でもドイツ行ってたんですよね？ それでまた奈良じゃあ……長旅で疲れてるだろうしあんまりはしゃいだら迷惑かなあ……」

灼「わざわざ会いに来てくれたんだからいいんじゃない？ それに、何泊かするんだろうし今日はゆっくり休んで明日以降とかでも……」

憧「……今日じゃないとダメな用事もあるけどね」

宥「玄ちゃんの勝負の日ですから！ 憧ちゃんも、ね？」

憧「わ、私はいいから！ 普通に……普通にするし！ 純さんが、お、お返し持ってきてくれるって言ってたからそれは楽しみだけど……べ、べつになんもないし！？」

灼「はい、一回落ち着こっか？」

穏乃「早速テンパり始めてるよ？ ほら、ひっひっふー」

憧「それ違うから！ なにも産まないから！」

103 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:14:13.81 ID:Px85VIlM0

――――――

基本を一からしっかりと

正式に松実館の従業員として働きたい、ってお父さんにお話ししたときに言われたことだ

今までもお手伝いはしてきたし、しっかりできていた……と、思うけど……とにかく、将来的には松実館を継いでやっていくつもりなので不足があってはいけない

……というわけで、ここしばらくはひたすら館内のお掃除をすることになっている

今日も今日とてお掃除だ。 透華さんたちも来ることだし、万全のサービスを提供したい！ お世話になってるし、大切なお友だちだもんね……お客様に差はないけれど、気合も入っちゃうよね

……廊下がピカピカになったかな、というところで時計に目をやると、ちょうど16時を過ぎようかというところだ

玄「……そろそろかなぁ」

あぅ……ちょっと緊張してきた……みんな、来るんだよね……

透華さん、国広さん、井上さん、沢村さん、天江さん……それと、萩原さんも……

玄「……ど、どど、どうしよう…………」

いや、今からどうしようもないのはわかってるんだけど……

先月、バレンタインにチョコと一緒に気持ちを綴ったお手紙を送って……当日中に連絡もくれたのにこっちから引き延ばしちゃって……

うう……そっちから言っといて、とかって悪い印象与えちゃってないかなぁ…………あんなの逃げたようなものだし……っていうか逃げたんだし……

……嫌われてはいない、と思う。 話もかなり合ったし、夏の大会中なんかはみんなが協力してくれてふたりで買い出しに行ったりとか……

でも、前に付き合ったりとかはないって言ってたしなぁ……吉野と長野じゃ距離もあるし、高校卒業しちゃったから練習試合とかもできないし、そもそも松実館のお仕事があるし……

104 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:15:03.54 ID:Px85VIlM0

……あう……色々考えてたらますます玉砕しか道がないような気が……



「はーじーめーさーん！」

「穏乃ちゃん！」

「来ましたわ！ 吉野の地にこの龍門渕透華が颯爽と……」



あ、透華さんたち到着したんだ！ ……騒がしいからすぐにわかるなぁ…………と、とにかくお出迎えしないと！

うぅ……やっぱり緊張するなぁ……深呼吸して、ちょっと落ち着いて……



玄「よ、ようこそいらっしゃいまし……ひゃあっ！？」

穏乃「く、玄さんっ！？」

灼「……なにもないとこで転ぶのって才能だよね」

智紀「慌てすぎ」

純「おいおい……大丈夫か？ 怪我は？」

玄「だ、大丈夫です……ありがとうございます……」

一「あのさぁ……空気読みなよ。 なんで純くんが抱き止めちゃうのさ」

透華「純はダメダメですわね」

衣「純だから仕方あるまい」

純「いや、目の前だったから咄嗟に……なんで責められてんだ！？ いいことしたよな！？」

一「怪我したらしたで看病イベントって手も……」

宥「さ、さすがに怪我しちゃうのはどうかと……」

憧「……玄！ ちょっと、気をつけて歩きなさいってば！ 危ないわよ！？」

玄「う、うん……ごめんね、心配してくれてありがとう憧ちゃん……」

灼「憧はいちいち妬かないの」

憧「そ、そういうのと違うし！」

一「憧ちゃんも一発転んどく？ なんなら背中押してあげよっか？」

憧「ななななに言ってるんですかそういうのは
タイミング見てお願いしますよ！？」

純「お前こそなに言ってんだ！？ 危ないからやめろって！ そりゃあ受け止めるけどよ！」

憧「ふきゅ」

105 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:16:23.18 ID:Px85VIlM0

玄「あうぅ……し、失礼しました……お部屋の方にご案内します……」

透華「ふふ、よろしくお願いしますわね、玄さん」

な、なにもないところで……は、恥ずかしい……萩原さんに見られてなくてよかっ……

ハギヨシ「……あ……その、お久しぶりです」

玄「……お、お久しぶりです」

み、見られてた……ど、どうしよう……絶対抜けてる変な子だと思われたよぅ……

灼「今までもたまにやってたし気にしなくていいと思」

玄「！？ あ、灼ちゃん心読むのやめてよぉ！」

灼「玄はすぐ顔に出るから……」

透華「玄さんはその様なところも含めてかわいらしいのですから気にしなくてよろしくってよ？」

玄「そ、そう言われても……」

穏乃「……あ、あの、玄さん！今日は龍門渕さんたちをご案内したらあがりですよね？ とりあえず私たちは裏の方で待ってようかなって話をしてたんですけど！」

玄「え……あ、うん！ そしたら、いろいろとお片付けしたらそっちに行くから！」

衣「それじゃあ、衣たちも裏手の方に回ればいいのか？」

宥「ええと……私のお部屋でよければ……旅館の方は、他のお客様もいるしあんまり騒げないかなーって……」

灼「ゆっくりしたいならのんびりしててくれても……私たちは暇だし明日とかでも……」

純「バーカ、お前たちに会いに来たんだぜ？ ゆっくりすんのは後でいいからさ……暇なら付き合ってくれよ」

憧「わ、私でよければいくらでもお付き合いしますけど！？ む、むむむしろつつ、付き合ってください！」

純「はは、よろしく頼むぜ」

憧「！？！？！？」

灼「違うから。 落ち着いて」

智紀「純はもうアレだよね。 新子さんを弄ぶのを楽しんでるよね」

一「違うよともきー。 ただのタラシだよ」

透華「純、あまり感心しませんわよ？ そろそろ態度をハッキリとさせるべきですわ」

純「なんの話だよ？」

衣「ふふん、純はまだまだお子さまだな」

純「一番の子どもがなに言ってんだよ」

衣「衣は子どもじゃない！」

106 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:17:15.24 ID:Px85VIlM0

……憧ちゃん、頑張ってるなあ……その、まるで届いてなさそうなのが気の毒だけど……

…………私も、もうちょっとああいう感じでアピールできてたら……

一番後ろを歩く萩原さんの姿を振り返る

玄「…………」

ハギヨシ「……？」

玄「！！」

め、目があったと思ったら微笑みかけられちゃった……か、顔が熱い……っていうか思いっきり顔背けちゃったけど、感じ悪かったかなあ……

玄「うう……それでは、こちらのお部屋になります……萩原さんのお部屋は、部屋の広さが違うのでもう少し奥の方に……」

透華「ありがとうございます！ それでは、玄さんはハギヨシをお部屋の方に案内してあげてくださいな」

玄「え、あ、は、はい！」

穏乃「じゃあ、私たちは外で待ってますから！」

純「ああ、すぐ行くから待っててくれよ」

憧「い、いつまでも待ってます！」

衣「そんなには待たせないぞ？ 衣も遊びたいからな！」

灼「……とりあえず憧は反射で返事するのやめたら？ そのせいで火傷してる場合が多い気がするんだけど」

智紀「そこが面白……かわいいんだけどね」

宥「おも……うん、まあそうだね……」

107 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:17:54.33 ID:Px85VIlM0

玄「…………」

ハギヨシ「…………」

ど、どうしよう、なにか言った方が……でもなにを言えば……

えっと、えっと……

ハギヨシ「……あの、玄さん」

玄「ひゃい！？ あ、あの……お、お部屋！ こ、こちらになりますので！ ご、ごゆっくり！」

ハギヨシ「玄さん、落ち着いてください」

玄「あう……」

ハギヨシ「その……私も、落ち着いて話がしたいと思っていますので……玄さんはお仕事中ですし、私たちも到着したばかりですから……」

玄「は、はい」

ハギヨシ「玄さんのタイミングで構いませんから……連絡をください。 落ち着いて、話をしましょう」

玄「……はい、すみません……お、お手数を、お掛けしまして……」

ハギヨシ「いえ……すみません、私もこういうことは不慣れでして……みなさん合流されているでしょうから、玄さんも用意して来たらどうでしょう？ 透華お嬢様も、玄さんとお話しするのを楽しみにしておられましたから」

玄「はい、そうします……私も、透華さんたちと会うのを楽しみにしてましたから」

108 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:18:32.37 ID:Px85VIlM0

はうぅ……き、緊張した……私があんまり緊張してるからわざわざ時間置いてくれたのかなあ……

落ち着いて……って、ちゃんと覚悟してね？ ってことなのかなあ……やっぱり全然自信ないよぅ……

玄「……あ、お父さん、予約の井上様六名いらっしゃいました！ それで……」

「ああ、今日はあがりなさい。 いつものお友だちだろう？ 清掃の方も行き届いていたからね」

玄「はい！ ありがとうございます！ お先に失礼します！」

話の流れからすると、たぶんお姉ちゃんのお部屋で麻雀とかしてるのかな？ 着替えて、裏手に回ると部屋に入る前から既に盛り上がっているのがわかる……主に憧ちゃんが大変なことになっているみたいだ



玄「お姉ちゃん？ 入るよー？」

宥「あ、玄ちゃんどうぞー」



純「ほら、いろいろと作ったり買ってきたんだぜ！ まずはマシュマロ！」

憧「！？」

マシュマロ……お返しだと『嫌い』だったよね……おいしいのになんでそんな意味になっちゃったんだろう……？ 憧ちゃんは泣きそ……というか泣いちゃってるよ！？

憧「あ、あ……」

純「キャンディもあるぜ！」

憧「ふきゅ」

キャンディは『あなたが好き』だよね……憧ちゃんは今度は顔真っ赤にして口をパクパクさせている

純「クッキーも焼いてみたり！」

憧「……あ、ありがとうございます！」

クッキーは『お友だちでいよう』かな？ 憧ちゃんはようやく落ち着いたらしい

憧「……こ、これってどういうこと！？ 嫌いなとこも好きなとこもあるからとりあえず友だちでいよう、的な！？」

玄「え？ えー……そ、そんなのわからないよぅ……」

一「純くんがそんなに色々考えてると思ってるの？」

智紀「お返しの定番らしいとこは押さえておこうぐらいのチョイス」

穏乃「っていうかちゃんと告ったわけでもないのに意味とか求めちゃダメなんじゃない？」

灼「穏乃……そういうことわりとハッキリ言うよね」

穏乃「最近の憧はポンコツっぷりに磨きがかかりすぎてるんで……親友としてしっかり支えてあげようかと！」

衣「うむ！ 持つべきものは友だちだ！」

109 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:19:14.06 ID:Px85VIlM0

純「あ、前にケーキもらったろ？ 今回は焼いてきたんだ！ マカロンも作ってきたぜ！ あ、キャラメルも！ いやぁ、久々におかしなんて作ったからつい熱くなっちまったぜ！」

憧「す、すみません……私、チョコ贈っただけなのにこんなに……」

純「いいんだよ、作るの楽しかったからさ！ ってもたしかに量が多すぎたか……ま、穏乃とかと分けてくれて構わねぇから」

穏乃「わぁ！ いいんですか！？」

憧「な、なに言ってんのよ！？ こ、これは私が純さんにもらったんだから！」

純「はは、意外と食いしん坊だったんだな」

透華「……ここまで来ると純もよほどですわね」

純「なにがだよ？ ……あ、そう言えばさ」

憧「は、はい？」

純「なんかおかしとかに意味あるらしいけどよ……」

憧「ふきゅ」

一「あ、さすがにそこら辺は知ってるんだ」

純「時期が時期だからレシピとか探してたら色々出てきたんだよ……」

宥「し、知ってるならマシュマロは外してあげても良かったんじゃ……」

智紀「で、それを今言う意図は？」

純「いやさ、マシュマロやらキャンディはわりとメジャーでオレもなんとなく聞いたことあったんだけどよ……」

玄「あ、他にもあったんですか？ 知らなかったです」

純「キャラメルは、一緒にいると安心する……なんて意味があるらしい」

宥「へぇ……」

穏乃「あはは、憧は純さんといるとちっとも心が休まらなそうですけど」

憧「うっさいしず！ よ、余計なことは言わないの！」

智紀「ケーキやマカロンは？」

純「ケーキは特に意味はないらしいけど……マカロンは……」

憧「……マカロンは？」

純「お前が特別、だってよ」

憧「ふきゅ」

110 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:19:58.29 ID:Px85VIlM0

一「あ、また純くんが憧ちゃんコマしてる」

透華「……純にはホストでもやらせたらジャンジャンバリバリ稼いでくるのではなくって？」

純「……？ おい、憧？ どうした？」

憧「え、あ、うあ……」

純「真っ赤だぞ？ 熱でもあんのか？」

憧「ふきゅ」

灼「……おでこにおでこくっつけるのってさ……もうさ、アレだよね。 落としにかかってるよね」

智紀「普通やらないよね」

憧「だ、だだ、大丈夫れすよ！？」

純「そうか？ じゃあこれ食ってくれよ！ マカロン！ 今回一番自信あっからよ！」

憧「ふきゅ」

宥「あ、憧ちゃんがすごくあったかそうに……」

衣「人間とはあそこまで赤くなれるのだな……」

灼「……憧は幸せそうだからいいとして」

玄「……え？」

透華「……どうだったんですの？ 随分と落ち着いておられますけれど……」

玄「あ、その……あ、あとで？」

灼「……また逃げてきたの？」

玄「わ、私があんまり緊張してたから時間を置いてくれたみたいで……」

透華「……これは、どうやらハギヨシの方ですわね」

玄「え？ え？」

111 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:20:33.07 ID:Px85VIlM0

透華「むむ……それで、どのような感じなんですの？」

玄「……その、私のタイミングでいいから、連絡してくれって……」

透華「……まったく！ ハギヨシも意気地のないこと！ 自分が話す覚悟がなかっただけではありませんの？」

玄「そ、そんなことはないと思うんですけど……」

宥「玄ちゃん、それじゃあどうするの？ いつ頃お話しするの？」

玄「え……それは……その、タイミングを見てというか……」

灼「今。 もう今行こうか」

玄「ふぇぇ！？ で、でも……」

透華「このままではタイミング自体を逃しましてよ？ 玄さん、しっかりしてくださいな！ ここまで来たら押せ押せ、ですわ！」

玄「そ、そう言われても……」

透華「というか！ ハギヨシはどこでなにをしていますの！？」

ハギヨシ「お呼びでしょうか？」

宥「ふぇ！？ あれ、どこに……？」

灼「扉の外？」

ハギヨシ「女性の部屋に勝手に上がるわけにはいきませんので……」

透華「ハギヨシ！ しっかりしなさいな！ 中途半端な状態で放っておくなんて最低ですわ！」

ハギヨシ「も、申し訳ございません……」

透華「謝る相手が違いましてよ！」

ハギヨシ「は、はい……そ、その……」

透華「あ、ちょっとお待ちなさいな……玄さん、勝手に申し訳ありません……平気ですの？」

玄「う……その、か、覚悟はできてます……憧ちゃん見てたらだいぶ落ち着いてきましたし……」

灼「テンパりすぎて回りの精神安定剤になる憧……」

透華「それでは……頑張ってきてくださいな」

玄「は、はい！ そ、その……あの……」

宥「大丈夫だよ。 がんばってね、玄ちゃん」

玄「……うん！」

112 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:21:15.90 ID:Px85VIlM0

玄「……えと、とりあえず……こ、こちらの部屋に……」

ハギヨシ「……は、はい、それでは……失礼いたします…………あの、この部屋はもしかして……」

玄「え？ 私の部屋ですけど……」

ハギヨシ「そ、それはさすがに不味いのでは……」

玄「？ でも、ふたりで話すなら私の部屋の方が……」

ハギヨシ「それはたしかにそうかもしれませんが……」

……あ

と、とりあえずふたりで落ち着いて話せる場所！ って思って自分のお部屋に案内したけど……よ、よく考えたら、これってとんでもないことしてるんじゃ……お部屋に、男性を……

玄「あ、う……えっと、気にしないでください……その、萩原さんだったら、私……お部屋にあげるぐらい……」

ハギヨシ「……く、玄さん、しかしですね……」

玄「……は、萩原さん！」

ハギヨシ「！」

すっごく緊張してるし、こういう時にどうすればいいのかもわからないけど……私は駆け引きなんてできないから、素直に気持ちを伝えるしかない

玄「その……わ、私は……先月、お伝えした通り……萩原さんのことが……す、好き……です」

玄「その、今日は……お、お返事を、いただければと……」

ハギヨシ「……す、すみません」

玄「！」

113 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:21:47.25 ID:Px85VIlM0

玄「そ、そう……ですよね……わ、わたし、なんかじゃ……」

ハギヨシ「え……あ、ああ！ 待ってください！ 違うんです、その、私も……ええ、動揺してしまって……」

玄「……え？」

ハギヨシ「し、少々お待ちを……」

……自分のことにいっぱいいっぱいで気がつかなかったけど……

玄「……萩原さん、真っ赤ですよ？」

ハギヨシ「……私だって、人並みに照れたりするのです」

玄「ふふ……萩原さんってかっこいいだけじゃなくって意外とかわいいところもあるんですね」

ハギヨシ「玄さん……ご、ご勘弁を……」

玄「あっ……す、すみません！ 男性にかわいいだなんて失礼でしたよね……」

ハギヨシ「そ、そこではないのですが…………コホン、それでは、玄さん」

玄「……！ は、はい！」

ハギヨシ「その……まずは、謝罪をさせてください……申し訳ありませんでした」

玄「え……！？ な、どうしたんですか？ そんな、急に……」

ハギヨシ「……玄さんは、以前から私に対して好意を示してくださっていたのに……私は、その事に気づいていながらなにも行動をせずに……」

玄「そ、そんなこと……気にしないでください！」

ハギヨシ「いえ、先ほど透華お嬢様にもお叱りを受けましたが……曖昧な態度をとっていたのは事実ですから……」

玄「……私、本当に覚悟はしていますから……ハッキリと言ってくださって大丈夫ですよ？ 萩原さん、優しいから……言いづらいのかもしれないですけど……」

ハギヨシ「……そう、ですね……私も、覚悟を決めて、ハッキリと言うべきでしょう……玄さんが、勇気を出して想いを伝えてくださったのですから」

114 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:22:33.49 ID:Px85VIlM0

ハギヨシ「……どうするのがベストなのか、私には検討もつかなくて……この一ヶ月色々と悩んだのですが……」

玄「あ……い、一ヶ月も悩ませてしまってすみません……バレンタイン、連絡していただいたのに……」

ハギヨシ「い、いえ！ 私も、色々と考える時間ができましたから……それでは、先月のお返しです。 よろしければ、受け取っていただけると……私も、うれしいのですが」

そう言って、萩原さんが取り出したのは一輪の赤い薔薇

ハギヨシ「……女性に贈るのならば花、と……なんとも発想が乏しくて申し訳ないのですが……花束を、とも思ったのですが……あまり大きいと邪魔になりそうですし、きれいな状態で持ってこられるか自信もなかったので……」

玄「……え？ え、その、薔薇って……え？ その、どういう……」

ハギヨシ「ああ……すみません、言い訳ばかりしていますね……その、つまり……」

赤く染まった頬を掻きながら、照れ臭そうに口を開く萩原さんが見える……正直、頭は真っ白でなかなか情報が頭に入ってこないけれど……私の耳は、その言葉だけはしっかりと捉えてくれたようだ



ハギヨシ「私も……玄さんのことが……好き、なのです……よろしければ、今後は、今までのような、友人としてではなく……恋人としてのお付き合いを、していただけたらと……思っています……」

115 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:23:09.04 ID:Px85VIlM0

玄「え、あ、う……え？」

ハギヨシ「……好きです、玄さんのことが」

玄「……う、うそ……ですよね？」

ハギヨシ「こんな質の悪い嘘はつきませんよ……」

玄「で、でも……前に、私とお付き合いをする気はないって……」

ハギヨシ「え……あ、ああ……あれは……あの時は、その……い、今ほど親しい付き合いでもありませんでしたし……いえ！ あの頃から好ましい方だとは思っていましたが……玄さんは高校生でしたし、私も龍門渕の執事として……」

ハギヨシ「……あ！ す、すみません！ 高校のご卒業のお祝いもしたいと思っていたのですがすっかり頭から抜けていました！ 私も、かなり緊張していたので……」

珍しく顔を赤くして少し早口でまくし立てるように話す萩原さんは今までに見たことのない姿で少し驚いたけれど……でも、そんな姿も普段と違ってなんだかかわいらしくって……ふふ、そんなところも素敵かも。 なんてね

玄「……あの、それじゃあ……？」

ハギヨシ「……はい、玄さんさえ問題がなければ……」

玄「わ、わたしたち、こっ……恋人同士、なんですか？」

ハギヨシ「ええ……その、私も長野で龍門渕の執事として働いていますし、玄さんもこれから松実館で勤務される以上会う機会も減っていってしまうと思いますが……」

玄「……う、うぅ……あううぅ……」

ハギヨシ「く、玄さん！？ す、すみません！ やはりなにか不手際が！？ ど、どうにも不馴れで、勝手がわからず……不快にさせてしまったのなら本当に申し訳ありません！」

玄「ち、ちがっ……わ、わたし、ぜったい、フラれるとおもってて……」

玄「わたし、萩原さんに比べたら全然お子様で、ちんちくりんだし……」

ハギヨシ「そんな……私にとっては、玄さんは……魅力的な女性ですよ？」

玄「あぅ……は、恥ずかしいからそういうこと言わないでください……」

ハギヨシ「す、すみません……気をつけます」

玄「あ……ち、違うんです！ その、それでも、うれしくって、あの……や、やっぱり、たまに言ってください……」

ハギヨシ「……はい。 私も……なかなか、こういうことは言えないので……玄さんに喜んでいただけるのなら、できるだけ言葉にしようと思います」

116 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:24:00.82 ID:Px85VIlM0

ハギヨシ「……それにしても、すみませんでした……私が早くからハッキリとした態度をとっていれば……玄さんを泣かせてしまうこともなかったでしょうに……ハンカチ、よろしければ使ってください」

玄「あ、ありがとうございます……すみません、私も……その、うれしくって泣いちゃったので……別に、嫌だとかそういうことじゃないんですよ？」

ハギヨシ「それでしたら、よかったのですけれど……」

ポンポンと大きな手で頭を撫でられて……少し恥ずかしいけれど、すっごく落ち着く

ハギヨシ「……あ、す、すみません……無断で髪に触れてしまって……女性の命とも言われるものですのに……」

玄「……いいんですよ？ だって……その、は、萩原さんは……私の……か、彼氏さん、なんですから……」

ハギヨシ「そ、そう、ですか……」

玄「……そ、そうなんです」

ハギヨシ「…………」

玄「…………」

は、恥ずかしい……！ というか、なんか、もう、よくわからないうちに……なんか、なんか、もう！ こ、恋人、だって！ ど、どうすればいいんだろう……

玄「……」

ハギヨシ「……あ」

玄「あぅ……」

目、合っちゃった……どうしよう、なんか、さっきからどうしよう、って感じだ

恥ずかしいのとうれしいのと他にも色々でどうすればいいのか全然わかんないよ……

玄「……は、萩原さん」

ハギヨシ「は、はい……どうされました？」

玄「……こ、恋人って、なにすればいいんでしょうかね……？」

ハギヨシ「……わ、私もあまりそういうことには明るくなくて……そ、それでは」

玄「は、はい！」

ハギヨシ「玄さんは、明日がお誕生日、でしたよね？ もし、お時間に余裕があるのならば……どこか、お出掛けしてみませんか？ その……ふたりで」

玄「そ、それはつまり……で、でぇとのお誘いでしょうか？」

ハギヨシ「その、つもりです……やはり、恋人といいますと、そういうことを、してしまうのではないでしょうか」

玄「そう、ですよね……きっと、世間の恋人って……デート、したり……き、キスとか、したり……してるんですよね」

ハギヨシ「……！？ そ、それでは、その……」

玄「……ふぇ！？ あ、い、いや……ち、違いますっ！ いまの、今のは無しでっ！ き、急に、そんな……あのっ！ は、早いです！ ま、まだお付き合い始めたばかりなのに……っ！」

ハギヨシ「そ、そうですよね！ し、失礼しました！ あの、私も……ええ、清い交際をするべきだと、思っていますので！ い、いきなり……き、キスなどと……」

玄「あう」

ハギヨシ「う……」

117 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:24:38.20 ID:Px85VIlM0

は、反応しちゃった……だって、そんな……き、キスとか……うう……わ、私も、お年頃の女の子というか……興味あったりするし……うう……私、いやらしい子だなぁ……幻滅されちゃうかも……

玄「…………」

……でも、萩原さんって唇の形も綺麗だなぁ……ファーストキスはレモン味だなんて言うけど、本当なのかなぁ……

ハギヨシ「……く、玄さん？」

玄「……あ、す、すみません！ その、つい……き、綺麗な唇だなって！」

ハギヨシ「え、その、それは……」

玄「……ほわぁ！？ す、すみません！ 違います、違いますから！」

ハギヨシ「え、ええ……」

玄「あうぅ……」

ハギヨシ「…………」

玄「…………」

ハギヨシ「……玄さん」

玄「は、はい！ どうしました！？」

ハギヨシ「その……して、みますか？」

玄「え……」

ハギヨシ「……恋人、らしいことを」

玄「！？！？！？」

玄「え、でも、そんな……あのっ！ そ、それは、し、してみたいですけどっ！ じゃなくって、えっと、えっと……うわああぅぅ……」

玄「……は、はじめてなので、やさしくしてください……」

ハギヨシ「わ、私も経験はないのですが……その、努力します」

そっと髪を撫でられて、その手が流れるように頬をなぞって顎に添えられる

少し顔を上げて瞳を閉じると、萩原さんの少し大人な男性の匂いに包まれて、扉の外からは『ふきゅ』って声が聞こえた気がした

118 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:25:22.12 ID:Px85VIlM0

……ん？

玄「うぇ！？ あ、憧ちゃん！？」

ハギヨシ「えっ」

「……い、いないわよ？」

玄「返事してるよ！？ の、覗いてたなんて酷いよぉ！」

憧「ち、ちがうわよ！ これは、灼さんが……」

灼「憧はただの野次馬だけど私は玄が心配で……」

智紀「ね」

憧「はぁ！？ ちょ、なんでそうなるんですか！？」

衣「おい！ なんで衣に目隠しするんだ！？ 何が起きてるんだ！？」

穏乃「宥さん、なんで私の顔にマフラー巻くんですか？ あったかいですけど……」

透華「衣にはまだ早いですわ！」

宥「穏乃ちゃんももう少し大人になってからね〜」

玄「あ、あう……み、みんなして……」

純「あーあー……なんでやめちゃうんっすか……そこはガッとヤってチュッと……」

ハギヨシ「な、なにを言っているんですか！？ そ、そもそも人前でするようなことでは……」

一「これだけの気配に気がつかないなんて萩原さんもだいぶいっぱいいっぱいだったんですね……」

透華「……なんにせよ、お邪魔してしまったのは申し訳ございません……玄さん、よかったですわね」

玄「と、透華さん……その、ありがとうございます」

透華「ふふっ……ハギヨシ？ 私の大切な友人を泣かせるようなことがあればいくら貴方でも許しませんわよ？」

ハギヨシ「……肝に銘じておきましょう」

灼「よかったね」

宥「ふふ、心配はしてなかったけど……おめでとう、玄ちゃん」

玄「あ、ありがとう灼ちゃん、お姉ちゃん……」

119 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:26:31.39 ID:Px85VIlM0

透華「それにしても大変めでたいことですわ！ 早速お祝いといきましょう！ 」

衣「麻雀パーティーだな！」

穏乃「おっ！ 打ちますか！」

純「それじゃあ菓子でも買ってくるか……憧、ここら辺コンビニとかどこだ？」

憧「あ、そ、そしたら一緒に買い出し行きましょうか！」

一「憧ちゃん、少しぐらい迷子になってきてもいいからね」

憧「ふきゅ」

穏乃「龍門渕のみなさんと玄さんと灼さんの卒業祝もありますからね！ 大パーティーにしたしないと！」

智紀「麻雀交えた時点でいつも通りな気がするけど」

灼「ま、それはそれで楽し」

宥「それにしても玄ちゃんもとうとう彼氏さん持ちかぁ……お父さんにバレたら倒れちゃうんじゃないかなあ」

灼「おじさん、玄と宥さん溺愛してるしね」

透華「ふふん、うちのハギヨシに不満点などありませんでしょう？ まあ、子を思う親の気持ちはわからなくもないですが……」

透華「とにかく、主役のお二人はこのままのんびりしてなさいな」

ハギヨシ「お嬢様、しかし……」

透華「今日はオフなのですから……私よりも恋人を優先して差し上げてくださいな。 ね？」

玄「と、透華さん……」

透華「ふふ、全員連れていくので存分にいちゃいちゃしてくださいまし」

玄「と、透華さん！」

透華「ふふ、それでは用意ができたら呼びますわ」

120 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:27:08.94 ID:Px85VIlM0

玄「も、もう……みんなして」

ハギヨシ「……は、恥ずかしい……」

玄「うう……本当ですよね……」

ハギヨシ「…………」

玄「…………」

ハギヨシ「…………」

玄「……あ、あの」

ハギヨシ「は、はい」

玄「……手、繋いでもいいですか？」

ハギヨシ「……ええ、もちろん」

玄「……えへへ」

ハギヨシ「……ふふっ」



私の夢……あの場所でみんなで麻雀を打つこと……お母さんとお父さんの松実館を継ぐこと……ふたつは、もう叶った

最後のひとつは……かわいいお嫁さんになること

いつか、叶ったらいいと思う

繋いだ手は暖かかった


カン！

121 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/18(金) 01:32:44.13 ID:t/2Jyw6jo

乙エンダァァァァ！！

122 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/18(金) 01:32:57.92 ID:Px85VIlM0

誰が得してるのかはわからないけど玄ハギもひと段落。もっと時間かけていろいろやりたかったけど時間作れなかった落ち度もあるから仕方がない…
あと一週間で単行本も発売ですね。末原ちゃんと豊音の身長差が可愛すぎて特典がやばい。どうせほとんど集めちゃうんですがね…

123 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/18(金) 02:03:32.15 ID:ZPkbSJP4o

乙
くろおめ

124 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/18(金) 03:44:44.87 ID:KeXroq20o

乙です

125 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/20(日) 23:48:04.32 ID:fM6oztLg0

やえたんイェイ〜
日付跨ぐけどあとで短いの投下します

126 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/21(月) 00:55:21.93 ID:1vlcHSMe0

照『やえ、誕生日おめでとう』

灼「……なぜそれを私に？」

照『やえ、一緒にいるでしょ？ 休暇、地元帰るって言ってた』

灼「……ええ、まあ、居ますけど」



藍子「ほら、もこ！ 照れてないで渡しなよ、準備してきたんだからさ」

もこ「……、…………っ……！」

やえ「わ、わざわざ悪いわね……その……あ
、ありがと……あら、リボン？ ……これって」

藍子「もこのとお揃いなんだよなー？」

もこ「っ！ ……！！ ……！！！」

藍子「あ痛っ！ こ、こら！ 照れ隠しに噛みつくな！ 引っ掻かないでって！」

やえ「……髪結ぶにはちょっと派手すぎない？ フリフリだし……」

灼「かわいいよ」

やえ「……っ……あっそ、どうも！」

灼「やえさん喜んでるよ。 よかったね」

もこ「…………！」

藍子「わかった！ うれしいのもわかったから二の腕に噛みつかないでって！ おいしくないだろ！？」

玉子「やえ、誕生日おめでとう！ いやあ、めでたいのである！」

やえ「あ、あんたもついこないだだったでしょ……遅れて悪かったわね、よかったら受け取って」

玉子「おお、わざわざすまないのである！ ありがたく受けとるのである！」

やえ「こっちこそ、悪いわね……こっちまで旅費もバカにならないでしょ？」

玉子「どうせ冬休みだし旅行にはちょうどいいタイミングであるからな！ 旅行ついでに友にも会えるのあればいいことづくめである！」



灼「……玉子さんと、もこと百鬼さんも来てますよ」

照『えっ…………』

127 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/21(月) 00:58:22.24 ID:1vlcHSMe0

照『……私だけ仲間はずれ？』

灼「そういうわけでは……お仕事だから、仕方ないんじゃ」

照『でも……やえに着信拒否されたし……もしかして嫌われちゃったんじゃ』

灼「え……着拒？ なんでそんな……」

照『わからない……夜は電話繋がったのに……』

灼「夜？」

照『そう、夜中の三時頃に目が覚めて……やえの誕生日が来ていることに気がついた。 お祝いが言いたくて電話をして……』

灼「……夜中の三時頃に？」

照『うん。 なかなか出ないから何回もかけて……』

灼「……それが原因です」

照『えっ！？ なんで……やえ、やっと電話に出て、今日誕生日だよね？ って言った途端に電話切っちゃって……それから繋がらなくって……』

灼「完全にそれが原因です」

照『なんで？』

灼「……えと、その時間って普段なにしてます？」

照『寝てるよ？』

灼「……やえさんも寝てたと思」

照『うん。 寝てたよ？ でも、どうしたの？ こんな夜中になんかあった？ って……だから、今日誕生日だよね？って……そしたら』

灼「いや、それ……なにもその時間じゃなくっても……それこそ今みたいにお昼頃に電話すればよかったんじゃ」

照『なるべく早くお祝いしたくて……』

灼「……やえさん、照さんから電話です」

やえ「切っていいわよ」

灼「……やえさん、ちょっとおこです」

照『うう……やえ……どうして……』

128 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/21(月) 01:00:09.78 ID:1vlcHSMe0

灼「……やえさん、照さん泣きそうです」

やえ「ほっときなさいよ。 あのバカが悪いんだから」

玉子「なにかあったのであるか？」

やえ「あのバカ、真夜中に何回も電話かけてきて……それで起こされて、なにかあったのかと思って出てみたら……今日誕生日だよね？って……アホらしくなって着拒して寝たわ」

藍子「……なんかさ、小走さんしょっちゅう宮永着拒してない？」

やえ「してるわよ。 鬱陶しいかんね」

もこ「…………」

やえ「いいのよ別に。 ちょっとは反省してもらわないとこっちの手間ばっか増えるかんね」

灼「照さん、やえさんあんまり怒ってないです。 あと、電話するなら時間を考えてほしいって……」

照『うん、わかった。 反省した』

やえ「ちょっと灼！」

灼「照さんが気の毒で……それに、たぶんずっとそのやり方でやってるんだろうけど改善されたの？」

やえ「……されてたら困ってないっての」

灼「じゃあ、たぶん別のやり方を考えた方がいい」

やえ「……はぁ」

照『灼、やえなにか言ってる？』

灼「お土産買って帰るから楽しみにしててって」

照『わかった！ 楽しみに待ってる！ それじゃあ、私はそろそろ練習があるから……』

灼「ん、頑張って」

照『またね』

やえ「……灼」

灼「どうせなにか買ってくでしょ」

やえ「……そうね」

129 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/21(月) 01:03:39.07 ID:1vlcHSMe0

玉子「相変わらず仲良くやっているようであるなぁ」

藍子「同じチームでよかったよな……宮永、普段のポンコツっぷり見てると小走さんいないとどうなってたんだか……」

やえ「実際、高校三年間面倒見てた弘世はすごいと思うわ……照の世話係としてうちに来てくんないかしらね」

もこ「……、……？」

灼「まあ……たしかにね。 弘世さんもだいぶアレな感じになっちゃってるから」

藍子「来たとして世話する相手が増えるだけだったり？」

やえ「……そうなったら最悪ね……いっそ、赤土さんでも来てくれれば……」

玉子「そうなったらそうなったで残念な気もするであるなあ……三尋木プロと赤土プロの対局も見てみたいところであるし！」

灼「やえさんもハルちゃんのファンだもんね……この前、ちょっと打ったんでしょ？」

やえ「べ、別にファンってわけじゃ……！ ……まあ、勉強させてもらったわよ……点数自体はそこまで開かなかったけど、完全に卓を支配されたって感じ」

藍子「マジっすか？ 結構いい勝負したんだなーって印象で牌譜見てたんすけど」

やえ「牌譜じゃあの感じはわかんないかもね……思い通りに動かされたって感じ。 読みの精度が違うわ」

もこ「……？ …………！」

やえ「たしかにまどろっこしい戦法かもしれないけど、他家を使うのも立派な技だかんね。 赤土プロは……今年一年小鍛治プロとやりあって、やっぱり力勝負じゃ押し負けるって結論になったみたい。 違うやり方も考え中だって言ってたわ」

藍子「つまり、その違うやり方の実験台にされたと」

やえ「うっさいわね！」

灼「……でも、ハルちゃんは元々そういう打ち方得意なんだよね。 真っ向勝負で叩き潰すよりも他家を使ったり変化をつけたり……」

やえ「観察と分析に重きを置く打ち手だかんね……私もああいう打ち方を……いえ、あれ以上の打ち筋を身に付けなきゃね。 尊敬する打ち手とはいえライバルなわけだし」

玉子「そういう意識は大切であるな！ あんまり萎縮すると勝てなくなるのである」

もこ「……、…………！ ……？」

やえ「ああ……そうね、あんたはあんまり知らないわよね……昔のことはもとより、プロの試合とか興味無さそうだし」

灼「ハルちゃんは凄いんだよ。 なんなら今から一日語ってもいいよ」

もこ「……！」

藍子「うん、さすがに一日は長いよ……まあ、私も赤土プロの対局は結構参考にさせてもらってるけどさ」

灼「そうなの？」

藍子「うん。 参考になるよ、あれは」

130 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/21(月) 01:07:16.61 ID:1vlcHSMe0

藍子「まず、特殊な技とか使ってないからね……誰でもできることを誰よりも上手くやっているってだけでさ」

やえ「ああ……たしかにね。 それこそ小鍛治プロや三尋木プロみたいなのは真似できるもんでもないし」

灼「ま、ハルちゃんのも真似しようと思ってすぐできるものでもないけど」

やえ「そうなのよね……赤土プロにもちょっと相談したんだけどね……やっぱり、相手の研究にも時間はかけなきゃいけないし、観察と分析にもコツとか技術みたいなのは必要だしね……」

玉子「私はそういうのは不得手である……コツとかあるのならば是非とも聞きたいところであるがなぁ」

藍子「宇津木さんらしいね。 もうちょっと考えて打った方がいいんじゃない？」

玉子「返す言葉もないのである……すぐに強くなれるような手があればいいのであるがなあ」

やえ「はぁ……そんな手があったら苦労しないっての」

灼「練習あるのみ……ふふ、麻雀部を作った頃ハルちゃんに聞いたことあるけどね……晩成に勝つなんて普通にやってたら無理だし、急に強くなる方法とかあるの？ って」

やえ「なによそれ……で？ 私たちは負けたわけだけどなんか方法があったの？」

灼「まさか……急に強くなる手なんて無い、余程のことがあればまた別だけどそれは人為的に切っ掛けが作れるようなものじゃないから……強くなるには練習するしかない。 気持ちが急くのはわかるけどそれなら練習しろ。 急がば学べ……ってね」

やえ「教師らしいこと言うわね……私はその考え方はもっともだと思うけど。 私だって強くなるために研鑽を重ねてるんだから。 …………それにしても……」

もこ「？」

やえ「……私がどれだけ練習しても、おかしばっか食べてるあのアホには追いつけないってのがね……嫌になるわよ、まったく」

玉子「はは……照はやはり別格であるからなあ」

藍子「……だからと言って、諦めるつもり無いんでしょ？」

やえ「当然よ。 負け犬にはなりたくないかんね……同じチームに国内トップの三尋木プロがいて、同期のトップの照がいる……しっかり目に焼き付けて、努力と修練でいずれは越えてやるわ」

131 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/21(月) 01:11:19.65 ID:1vlcHSMe0

灼「…………」

やえ「……なによ？」

灼「ん……やっぱりやえさんはかっこいいな、って」

やえ「はぁ！？ な、なに言ってんのよ急に！？」

藍子「しっかりしてるよねー……天才型ってよりも秀才型だし、こう、応援したくなるっつーか」

やえ「な、なんなのよ！ って言うか、照だって天才型だけどちゃんと頑張ってんだかんね！？ おかしばっかり食べてるけどそれだけってわけじゃないし……！」

玉子「照がどうこうとは別に言ってないのであるが……」

もこ「…………！」

灼「うん、デレたね。 なんだかんだでやえさんも照さんのこと好きだし」

やえ「はっ……はぁ！？ べ、別にあんなやつのこと好きでもなんでもないかんね！？ 同じチームってだけで……そ、そりゃああんなバカでも打ち手としては尊敬できるとこもあるし、世間にも騒がれてプレッシャー感じてるのも知ってるから友達として助けてあげなきゃとか思っているけど……」

藍子「なんなの？ ノロケ？ やんなっちゃうよな、もこ」

もこ「……！ ……、…………！」

藍子「ほら、もこだって宮永のことばっかり言ってないでかまってほしいって……痛っ！ こら、もこ！ 悪かったって！ 腕に噛みつくなって！ せめて利き手はやめて！ 打てなくなったら困る！」

玉子「はっはっは。 打てなくなるほどの重傷はさすがに負わせられんと思うのである！」

灼「……やえさん」

やえ「……私だって、同期で同じチームに照みたいなのが居るのは、どうしても比べられるしプレッシャーに感じるけど……あいつだって人並みに緊張したりしてて……」

やえ「……最初は横浜の新人王者コンビとか、適当にネタにされてたけど、私だっていつまでもあいつの背中ばっか見てらんないわよ……コンビって言うんなら、対等な立場に居なきゃでしょ？ 」

やえ「……あんなんでも、友達で、戦友で、ライバルで……一応、今の私の目標でもあるんだから」

灼「……ふふ」

やえ「笑ってんじゃないわよ。 ……あと、あいつには言わないでよ？ こっ恥ずかしいし……あいつ、調子乗るかんね」

灼「わかってる……照さんだって……」

やえ「それこそ、言われなくてもわかってるわよ。 もうそこそこの付き合いだし……不本意ながら、宮永照係だかんね」

132 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/21(月) 01:14:45.91 ID:1vlcHSMe0

灼「……頑張って。 応援してるから」

やえ「ふんっ……言われなくたって頑張るわよ。 プロになるのは夢だったけど、叶ったらそこで終わりって訳じゃないわ……プロとしてやりたいことだって沢山あるんだから」

灼「日本一とか、タイトルホルダーとか？ 」

やえ「まあね……チームの日本一は横浜にいる以上味わうチャンスはいくらでもあるだろうけど……個人のことは努力次第だし……それに、そういうのだけじゃなくって……」

灼「……ふふ」

やえ「……やってやるわよ。 力をつけて、一軍に上がって、照と一緒に日本一になって……全国に、世界に見せてやるのよ」



やえ「そう、王者の打ち筋を！」


カン！

133 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/21(月) 01:25:00.92 ID:DZ2qRmEmo

乙
テルーには鹿せんべいを大量に買っていってやればいいんじゃないかな

134 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/21(月) 01:26:17.07 ID:1vlcHSMe0

やえさん好きです。決勝始まったら副将戦辺りでちらっとでいいから出てこないかなー

のどちゃんママ出てきて個人的には恵さんが注目株です。仕事のついでに応援していくって明らかにただ娘の応援に東京出てきてるよね。もしくは言い訳するために仕事入れてるよね。せっかくだから母さん呼んで飯食おうって一家団欒したいだけだよね。東京の事務所に移動したいのも嫁さんと一緒に暮らしたいからだよね。他にもいろいろあるけど若い嫁さんよりおっさんに萌えてる自分が頭悪すぎて楽しい
だれかのどっちパパママのssください

135 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/21(月) 01:28:12.37 ID:9int5qIFo

乙
真の王者の道は険しい……

136 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/21(月) 01:29:58.06 ID:DlPOlHxlo

乙です

137 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/21(月) 02:24:18.26 ID:HNYIT4lIo

乙
恵さん萌え分かるわｗｗ

138 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/21(月) 17:32:31.47 ID:U6kf64rAO

乙です！
其処は穏乃さん家の和菓子でしょう！

139 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/03/26(土) 00:29:15.84 ID:ru3T6eJE0

>>137恵さん萌えが過ぎて捗ってます。パパママss書きたいレベルです。時間足りないんで諦めてますけど

25、26で巴さんと姫子のお誕生日ですね。ともたん＆ひめたんイェイ〜
新刊発売日でしたね。シノハユは慕リチャやはやりん…というか湯町メインにいろいろ考えてたけどそろそろ本格的にニワチョコは考えた方がいいのかもしれないですね。地味に謎の慕ちゃん死ぬ説否定材料出てきたのもうれしい…！
日和見るたびに哩さんと美子でなんかやりたくなるけど言葉の壁が厚くてメゲてます
スピンオフうれしいけどこれ以上立先生仕事増やして平気なんですかね…？ただでさえヤンガン本誌の作画間に合ってないから心配


三月中は投下厳しそうなんで一応四月バカ候補だけ


ネリー「今日はネリーの奢りね！」穏乃「ええっ！？」智葉「なんだと！？」ダヴァン「天変地異の前触れでスカ！？」


純「オレ、実は男だったんだ！」憧「ふきゅ！？」一「知ってた」智紀「知ってた」


照「おかしにも飽きた」やえ「それじゃあ、これもういらないわね」灼「ごちそうさまです」もこ「！！」照「！？！？！？」


白望「そろそろバイトとかしてみようかな」玄「えっ！？」豊音「シロが！？」塞「明らかにする気ないよね？」


怜「実はあと70年しか生きられないってお医者さんに……」宥「ええ！？」泉「いやいや！ それむしろ長生きですよね！？」いちご「園城寺はむしろそれ以上に長生きしそうじゃがな」


健夜「……か、彼氏ができ……」晴絵「待ってください。速攻虚しくなる嘘はやめましょう」恒子「すぐバレる嘘もやめよう！」はやり「そもそも嘘なんてついちゃダメだぞっ☆」

予定は未定…無理だったら最悪次はしずたんになりそう…

140 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/26(土) 01:52:50.69 ID:Ze0HSMxdo

アラフォーｗｗ

141 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/30(水) 06:33:00.28 ID:4oblhufUo

すこやん可愛いのにな…麻雀の時の雰囲気がイカンのかね

142 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/30(水) 14:10:58.75 ID:RGk5ppwN0

アラサー連中はのどっちママに検事の男紹介してもらえばいいんや

143 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/03/31(木) 21:01:34.39 ID:MU/RmR0AO

>>142
其れは確実ですね！
雅枝監督に相談するって言う手も有りますが…

144 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:01:02.25 ID:biZB9R5i0

のどっちママの名前が公開されて恵嘉帆SSが書けるよやったね！
投下です

145 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:02:28.68 ID:biZB9R5i0

晴絵「うぁー……」

はやり「はるえちゃん、お疲れだね？」

晴絵「テレビカメラってのはやっぱり慣れませんよ……対局の中継なんかは全然気にならないんですけど」

はやり「はるえちゃん、最初の方はメディア露出抑え目だったからね……はるえちゃん注目されてるし、今後もテレビのお仕事も増えると思うから……」

晴絵「慣れないと……ですよね。 はぁ……そういうの、気にしないで麻雀だけ打ってたいんですけどねー」

はやり「プロっていうのはこういうものだから……ふふっ、はやりがちゃんとサポートするから頑張って☆」

晴絵「実際、瑞原さんにはほんと助けられてますよ……」

今日は、某テレビ局での仕事……プロの仕事ってのは麻雀を打つだけじゃないってのはわかっていたけれどなかなか精神を磨り減らす

同じチームにこういう仕事に慣れている瑞原さんが居るのはありがたい。 小鍛治さんや咏ちゃんのお蔭……というか、せいというか ……で、私自身結構話題にもしてもらっているのでチームの看板で大人気アイドルでもある瑞原さんと一緒に、と声がかかることが多いのも助かる

隣に居ると安心するんだよな、いろんな意味で

146 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:03:26.03 ID:biZB9R5i0

晴絵「……それにしても、予定よりも早く終わりましたね。 瑞原さんはこのあと……」

はやり「今日はこれでお仕事終わりっ！ はるえちゃん、時間あったらご飯食べに行かない？」

晴絵「ええ、是非。 なにか食べたいものとかありますか？ 今日は私が……」

はやり「いいよそんな、はやりが誘ったんだからはやりが出すよ？」

晴絵「瑞原さん、誘おうとするといつも先回りするんですから……この前も奢ってもらっちゃいましたし、今日は私に出させてくださいって」

はやり「ダメダメ！ はやりの方がお姉さんだし先輩なんだから！ それに、今日ははるえちゃん頑張ったから……はやりからのご褒美っ☆ ……ね？」

晴絵「……ね？ じゃないですよ、かわいいなぁもう……次は絶対私が出しますからね？」

はやり「うんっ！ えへへ、またはるえちゃんとご飯食べに行くの楽しみだなぁ」

……なんかもう、瑞原さんには――麻雀は別として――勝てる気がしない

しかもなんか超かわいいし。 疲れてるときにはほんと癒される……あー、ヤバい。 菫のせいか？ なんか瑞原さんのこと好きになりそう。 いや、変な意味でなく前から好きなんだけど



「……それじ……、次に……あっ…………」

「どうし……いう…………るの！？」



はやり「あ、この声は……」

晴絵「……相変わらずだなぁ……さすがにちょっと騒がしいよ、こーこちゃん」

恒子「ん？ おおっ！ ハルちゃん！ に、はやりん！ お久しぶりー！」

健夜「あっ…………えと、赤土さん、はやりちゃん……こんにちは」

はやり「こんにちはっ！ ……すこやちゃん、どうしたの？ なんていうか……どこか、調子わるい？」

健夜「え？ いや、そういうわけじゃないんだけど…………」

147 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:04:20.81 ID:biZB9R5i0

恒子「えー？ なになに、今日はテレビのお仕事？ はやりんと？」

晴絵「うん、麻雀関係でちょろっとね……そっちは……ああ、ラジオの収録？」

恒子「そそ！ まあすこやんと一緒だし遊びに来てるようなもんだけどね！」

健夜「なに言ってるの！？ 結構大事なお仕事だよ！？」

恒子「いやいや、冗談だって冗談！ つーか私もそろそろ三年目に差し掛かるし？ そろそろ落ち着いたところも見せていきたいって言うか？」

健夜「本当に見せる気あるの！？ っていうか落ち着いてるつもりなの！？」

はやり「まあまあ、元気なのもこーこちゃんのいいところだから……それで？」

健夜「え……あの、うん……えっと、ね……」

晴絵「……？」

妙に話しづらそうに……というか、挙動不審だなあ、小鍛治さん……視線がフラフラと定まらないし……

健夜「じ、実は……か、彼氏ができ……」

晴絵「待ってください。 虚しくなる嘘はやめましょう……っていうか、もう言いながらちょっと後悔してるじゃないですか……」

恒子「あーあー……ちょっとすこやん！ せめてすぐバレない嘘つこうよ……」

はやり「もうっ……すこやちゃん、嘘なんてついちゃダメだぞっ☆」

晴絵「というか、なんでいきなりそんな……」

健夜「こーこちゃんが……」

恒子「ほら、エイプリルフールじゃん？ ラジオの収録で面白いこと言えなかったから次知り合いに会ったらなんか嘘ついて、って！」

健夜「っていうか私たちのラジオは麻雀の情報番組であって面白いことを言う番組じゃないんだよ！？ なんでこんな……余計なダメージ受けないといけないの！？」

恒子「そのダメージは自爆だよね！？」

晴絵「小鍛治さんとこーこちゃんのラジオが続いたのって二人の掛け合いが人気なのも一因ですし、面白いこと言いにいっていいと思いますけど」

健夜「そんなこと言われてもそうそう面白いこととか言えないからね！？ 私トーク苦手だし！」

はやり「そう？ すこやちゃんはかなり喋れると思うんだけど……」

健夜「はやりちゃんの方が余程でしょ！？ かわいいし気の利いたコメントとか出せるし羨ましいよ！」

恒子「すこやんツッコミは一級品だけどそれ以外がね……やっぱり私がいないとね！」

健夜「私はこーこちゃんのせいで凄い疲れるんだけど！？」

148 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:05:11.58 ID:biZB9R5i0

晴絵「とはいえ、こーこちゃんとやる仕事凄く楽しんでるじゃないですか」

健夜「……まあね。 楽しくなかったら別の……それこそはやりちゃんや咏ちゃんにでも代わってもらってるよ」

恒子「その二人は滅茶苦茶忙しそうだし別の人に回る気がするけど……」

はやり「それに、はやりは他局でちひろちゃんと麻雀情報番組持ってるからさすがに……」

恒子「大人の事情ってやつ？ でも私も入社当初からすこやんとラジオやらせてもらったりで麻雀関係の仕事結構回してもらってるし……はやりんやハルちゃんとの仕事ももっと来ればいいんだけどなー」

晴絵「はは、こーこちゃんとの仕事だったら私も歓迎だけどな」

健夜「よかったらまたゲストで来てよ」

晴絵「ラジオですか？ はは、世間では一応私たちライバル扱いされてますけどいいんですか？」

健夜「ああ……私はそれとこれとは別だと思ってるんだけどそうもいかないのかな……？」

恒子「逆に盛り上がるんじゃない？」

はやり「たしかにそうかもね……というか、なんならはやりもお邪魔しに行くからいつでも呼んでねっ☆」

健夜「はやりちゃん忙しいのに平気なの？ っていうか八橋アナとの番組は……」

はやり「……友情出演？」

恒子「友情ならしかたないな！」

晴絵「まあ、瑞原さんがゲストなら盛り上がるだろうなあ……」

プロ雀士も人気商売だし、実力だけじゃあ生き残れない……幸い、私は出だしから回りのお蔭で話題にしてもらえたし、自分で言うのもなんだが結構打てる方なので当分は消えないと思うけど

……こーこちゃんもなんだかんだで一年目から売れっ子でやってるんだし結構やり手なんだよな……

恒子「あ、そういえばもう二人とも暇？ すこやんとご飯食べに行くんだけど一緒にどう？」

はやり「ふふ、はるえちゃんはライバルとご飯に行くのはアウト？」

晴絵「仕事ならともかく、プライベートならそういうの気にしませんって……」

健夜「普通に友だちだからね……対局のあとでも普通にご飯行ったりするし」

はやり「よぉし、それじゃあ一緒に行こっか！」

恒子「おーっ☆」

はやり「わ、こーこちゃんいいねっ」

恒子「いやあ、スーパーアナウンサーたるもの☆くらい飛ばせないとっ！」

健夜「なに言ってるのこの子たち……？」

晴絵「こう、キラキラしてるタイプの人だけの技ですから……私たちは気にしなくていいんじゃないですかね」

149 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:06:20.76 ID:biZB9R5i0

――――――

恒子「かんぱーいっ！」

健夜「わー」

はやり「おつかれさまっ☆」

晴絵「……なぜ流れるように飲み屋に……」

恒子「え？ だってお酒飲むでしょ？」

晴絵「……うん、まあいいや」

はやり「それにしても、すこやちゃんとこーこちゃんと一緒って久しぶりだよねっ！ 最近対局も他のお仕事も被らなかったし……」

健夜「そうだね……早くはやりちゃんとも公式戦で打ちたいんだけど」

恒子「一年じゃどんなに頑張ってもグイッとランク上がったりしないんだよねー……すこやんは一回散々下げたから仕方ないんだろうけど」

晴絵「それなのに今の位置につけてる小鍛治さんはやっぱりおかしいんですって……この一年でほとんどトップ狙える場所まで上がってきてるじゃないですか……」

はやり「うんうん……このペースだと今期中には対局組まれそうだよねっ」

健夜「へへ……去年はかなり頑張っちゃったから」

晴絵「そういう問題じゃないんだけどなあ……」

恒子「そういうハルちゃんだって、一年目から個人のタイトル予選、ほとんど二次三次リーグまで上げていってんじゃん！ 団体戦も後半戦はほとんど出場してたし！」

晴絵「あー……まあ、これでも実業団リーグあがりだし、やっぱりある程度は即戦力として仕事できないとだしな」

恒子「これくらい当然ってか？ 言うねぇ！」

晴絵「痛い痛い！ 叩くにしても加減してくれって……もう酔ってんのか？」

はやり「ふふん、はるえちゃんは頼りになるよー？ はやりはやっぱり先鋒オーダーが多いけど、後ろに居てくれると心強いもんねっ！ 他のチームメイトと比べてもやっぱり安定してるし……ふふ、やっぱり付き合いが長いからっていうのもあるかもしれないけど」

健夜「高校……じゃなくて、インターミドルでも打ってるんだっけ？ その頃からの知り合いかぁ」

晴絵「そうですね…………それに、高校の……暫く打たなくなってた時期も、瑞原さんずっと連絡くれてましたし……」

はやり「ふふ、そうだね……実業団で打ってる頃からずっとラブコールしてたし、去年うちに来てくれるってなった時はうれしかったなぁ……うう……ほんとうに……」

晴絵「ちょ、泣かないでくださいよ……！ っていうか瑞原さん弱いんだから無理して飲まないでくださいって！ こーこちゃんのペースに付き合ってたらすぐに潰されますよ？」

はやり「無理してないもんっ！ はやりは、はやりは……はるえちゃんとまた一緒に打てるんだって……ほんとうにうれしくってぇ……」

晴絵「あぁもう……そう言ってくれるのはすっごくうれしいんですけど……」

150 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:07:19.68 ID:biZB9R5i0

これはダメだ。 帰る頃には瑞原さん確実に意識ないコースだ……明日はホームで昼頃から対局だし午前はフリーだったよな……？

……なんで来て早々に帰りの心配を……うん、仕方ないし潰れたら寝かせておいてとりあえずうちに連れてこう

とりあえず、面白い話してんなー！ 今度ラジオでネタにしてやろ！ みたいな顔してるこーこちゃんに目配せする

晴絵(……ちょっと、瑞原さんこのまま泣きっぱになっても困るから話題変えて！)

恒子「……？ ……！」

よっしゃまかせろ！ みたいな顔でウインクしてるけど……むしろ嫌な予感しかないなこれ

恒子「あっ！ そういえばさ！ さっきのすこやんさー！ 嘘つくにしてもなんであれを選んだわけ？ 騙せると思ったの？ すこやんに彼氏が！？ とかなる前になんかかわいそうになったんだけど！」

健夜「う る さ い よ！！」

恒子「っていうかさ、いい加減マジで彼氏できないの？ お母さん心配してんじゃん！ 今年で40だしそろそろ親孝行っていうかさー」

健夜「余計なお世話だよ！っていうか十年多いよ！ まだ三十路だよ！！ ……あ、私……今年で30なんだ……30…………」

晴絵「…………はぁ」

恒子「あ！ はやりんは？ ほら、そろそろアイドルにしても一区切りっていうか？ 結婚とか考えないの？」

はやり「アイドルは恋愛しないのっ！ はやりはみんなのはやりなのっ！」

晴絵「……だからさ、なんでその話題を選ぶんだよ……つーか瑞原さんにまで飛び火させんなって……」

健夜「あのさ！ 赤土さんも私のことそっち方面で弄るのはオッケーみたいになってない！？ 別に持ちネタにしてるつもりないからね！？」

晴絵「あ……えーっと……ほら、そういうこーこちゃんは？ そろそろ浮いた話のひとつやふたつあるんじゃないの？」

恒子「んー？ んふふ……売れっ子女子アナとしてスキャンダルは厳禁なのだ！ ま、誘われるからご飯ぐらいは行くけど……ほら、私のキャラ的に？ ちょっと遊んどこうかなーって感じ？」

晴絵「ああ、本気の感じではないと……つーかイメージ作りで飯行くのか……」

恒子「仕事に対しては真面目だから！」

晴絵「……なんか方向性間違ってない？」

健夜「それなら私とのラジオも真面目にやってよ！？ っていうかそういう自慢話別に聞きたくないから！ なんなの！？ あてつけ！？ そりゃあ変な嘘ついた私も悪いかもしれないけど！」

はやり「こーこちゃんかわいいもんね……うん、きっと素敵な恋をして素敵な旦那様を見つけるんだろうなあ……はやりも、はやりだって……うぅ……」

151 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:09:04.14 ID:biZB9R5i0

ああ……また収拾つかない感じに……

恒子「で？」

晴絵「ん？」

恒子「ハルちゃんは？ 去年は話題の人って感じだったしモテたんじゃないの〜？」

晴絵「ん……とはいえ、私って昔から同性や子どもにモテるというか……」

はやり「たしかに、はるえちゃんのファンって女の人多いよねー」

晴絵「あとは子どもとか？ まあ、瑞原さんにのファン層の広さにはかないませんけど」

恒子「へぇ！ すこやんはお年寄りと子どもに人気だし似たような感じだね！ まあハルちゃんのがモテそうだけど！」

健夜「いちいち一言多いよ！」

恒子「あっはっは！ で？ ハルちゃん誤魔化さないでさ、実際どうなのよ？」

晴絵「…………まあ、ちょっとはな」

健夜「えっ！？」

はやり「そうだったの！？ はやり初耳だよ！？」

恒子「マジでか！ どこのどいつ！？ 年収は！？」

晴絵「最初に年収聞くか？ ……その、実業団時代に知り合った人でさ。 プロ入りして上京してきてから偶然再会して……」

健夜「えっ……え！？ 赤土さん！？ そんな、麻雀一筋じゃないの！？ 裏切ったの！？」

はやり「は、はるえちゃん……話してくれなかったのは少し寂しいけど……はやりは祝福するからね……」

恒子「うわー……うわー！ ヤバいなこれ！ 次のラジオの収録でネタにするよ！？」

晴絵「いいよ別に。 嘘だし」

恒子「へ？」

健夜「嘘！？ ……嘘？ え、嘘なの！？」

晴絵「エイプリルフールなんで」

はやり「エイプリルフール……？ あ、そういえば……」

152 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:10:40.34 ID:biZB9R5i0

恒子「くっそー……普通のトーンで話すからうっかり信じちゃったよ……悔しい！ 私が騙されるなんて！」

健夜「びっくりして心臓が止まるかと思ったよ……もうさ、プロ雀士が結婚する度に見えないプレッシャーというかさ……そういうのがひしひしと……」

はやり「むぅ……はるえちゃんは演技派だね……今度ドラマの仕事とかする？」

晴絵「それは勘弁してください……っていうかまったく同じ嘘ついたのにこんな簡単に引っ掛かります？」

恒子「いや、すこやんのは態度からして嘘だったし内容も明らかにおかしかったから……」

健夜「ちょっと！？ 態度はともかく内容が明らかにおかしいってどういうこと！？」

はやり「もうっ……嘘なんてついちゃダメだぞ？ 悪い子にははやりがお仕置きしちゃうんだからっ☆」

晴絵「うわっ……いやいや、瑞原さんにベアハッグとかされても菫辺りが泣いて喜ぶご褒美……っていうかただ抱きつかれてるだけじゃないですか？ ……瑞原さん？ あの、寝てません？ ちょっと？ おーい……」

恒子「落ちた？」

晴絵「落ちた……はぁ……なんだかんだで久々にこーこちゃんや小鍛治さんと会ったからテンション上がってたんだろうけど……」

健夜「はやりちゃんはお酒弱いよね……私も人に言えたほどじゃないけど……どうするの？ 明日対局でしょ？」

晴絵「幸い寝てくれたんで逆に面倒が少ないと言うか……このままうちに連れてって寝かせときますよ。 朝ちゃんと起こせば十分準備も間に合うんで」

恒子「ほほう？ スキャンダラスですなぁ……赤土晴絵！ チームのエースにしてアイドルを酒で潰してお持ち帰り！」

晴絵「……ばーか」

恒子「あはは！ 夜道は気をつけてね！ 狙撃される危険性が……」

晴絵「そげ……ぶっ！ ちょ、やめてくれよ！ 菫ならやりかねないってちょっと思っちゃったじゃないか！」

健夜「……ああ、弘世さん……あの子、はやりちゃんの大ファンなんだってね。 はやりちゃんや赤土さんと同じチームになって白糸台時代より伸びたよね……努力してるんだろうし、ふたりがスピードや観察や分析の仕方教えてるからなんだろうけど狙い撃ちも精度上がってるし……」

晴絵「へぇ……小鍛治さんに覚えられてるとなれば菫も喜びますよ。 新人としては他に比べて目立たないって気にしてるみたいですし」

恒子「え？ むしろ滅茶苦茶目立ってない？ はやりんファン代表兼ハートビーツ選手の弘世様って有名だし」

晴絵「……そっち方面の話ではなく……まあ、菫はそこまで気にしてないみたいだからいいけども……」

恒子「ハルちゃんと弘世様ではやりんを取り合う……複雑な三角関係だね……」

晴絵「だから違うっつーの！」

153 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:11:41.40 ID:biZB9R5i0

恒子「でもほら！ 弘世様なんて『はやりんとの出会いは運命の出会いだった』とかなんとかって豪語してるし」

晴絵「なんでそんな菫について詳しいんだよ！？」

恒子「ネット上でネタにされてるから！」

晴絵「そのノリでラジオでネタにしないでくれよ……？」

健夜「はぁ……運命の出会いね……私も今は麻雀だけだけどそのうち……いずれは……」

恒子「そのうちとか言ってる間はいつになってもそのうちは来ないからね！」

健夜「いちいち抉りに来るのやめてよ！」

晴絵「それでも言う通りではあるんだよな……まあ、私は当分麻雀一筋だけど」

健夜「だよね！ 麻雀打たなきゃだよね！ やっぱり今じゃなきゃ打てない麻雀ってあるし！」

恒子「はぁ……まったく、私がネタにできるうちに結婚してよ？ そのうち笑えなくなってくるからさ」

健夜「最初からネタにしないでよ！？ 持ちネタ扱いは非常に不本意だよ！！」

恒子「はいはい、ごめんね？ ハルちゃんも悠長なこと言ってるとすこやんコースまっしぐらだよ？」

健夜「その表現やめてよ！ 人の名前を行き遅れの代表格みたいな使い方するのやめてよ！！」

晴絵「いやー……そうは言ってもさ、私にとっての運命の出会いってのは……」

健夜「既にそういう候補がいるの！？」

晴絵「いや、そういうことではなく……運命って一口に言っても色々ある訳じゃないですか？ 私にとっては……やっぱり、小鍛治さんとの出会いがそれだったってわけで」

健夜「……へ？ 私？」

晴絵「そりゃあそうですよ……麻雀始めた小学生の頃から……今になっても麻雀しかないってこの私が、小鍛治さんと卓で出会って暫く離れてたんですからね？ 人生変わってますもん」

恒子「……ふふ、運命ってよりも、宿命のライバルって感じ？」

晴絵「私にとってはね。 少なくとも、小鍛治さんに勝つまではそういう話はパスで」

健夜「……赤土さんにそこまで言ってもらえるっていうのも、雀士冥利に尽きるよね……」

健夜「私だって、これからも赤土さんと真剣勝負して、切磋琢磨していきたいって思ってるし、赤土さんだけじゃなく……はやりちゃんや、理沙ちゃんも……みんなと打つことでまだまだ上が目指せるんじゃないか、って……最近凄く感じるんだよね……」

晴絵「そうじゃなきゃ困りますよ。 一回越えて、それで終わりじゃあまりにもつまらないですから」

健夜「ふふ、簡単に越えられる気もないけどね」

恒子「はぁ……まったく、麻雀バカどもがまたまた火花を散らし始めちゃいましたよ……っと」

154 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:13:16.94 ID:biZB9R5i0

健夜「あ……ごめんね、こーこちゃん……ついつい熱くなっちゃって……」

晴絵「雀士の本能だからね……強い相手がいると打ちたくなる……」

恒子「これから場所変えて打つとかやめてよ？」

健夜「さすがにしないってば……赤土さんたち明日公式戦だし……」

晴絵「というか、酔っぱらいの小鍛治さんと打ってもしょうがないからね……ちゃんと公式戦で土つけたいし」

健夜「ふふ、その日が来るのが楽しみだよ……国内無敗は伊達じゃないよ？」

晴絵「ほら、こういうこと言うときは酔ってるんだよな……普段そういう自信とか肩書き出す人じゃないんだもん」

恒子「すこやんは自信無さそうな態度からの素で上から辛口でものを言う感じだしね！」

健夜「私が嫌な人間みたいな言い方やめて！？」

恒子「ハルちゃんもさ、最悪麻雀で勝てなくても先に結婚しちゃえば女としては勝ちだよ！」

晴絵「待って。 私それで勝った気になりたくない」

健夜「それされたら私たぶん本気で負けた気になってへこむけどね…………」

晴絵「する前からへこむのやめてくださいよ！」

はやり「むぅ……んん……」

晴絵「あ、すみません……うるさかったですか？」

はやり「はるえちゃーん……んにゅ……ねむい……」

晴絵「いや、寝てますよね？ ……起きれます？」

はやり「……むり。 だっこぉ……」

晴絵「……はいはい、そのまま寝ててください……すみません、これ以上は瑞原さん明日に響きそうなんで」

健夜「はは……しょうがないね」

恒子「ねね、今写メ撮ったのSNSに貼っていい？」

晴絵「やめろ！ 瑞原さんのファンに殺されるから！ つーか菫に殺される！」

恒子「あはは、冗談だって冗談！ 私、そこら辺は弁えてるから！」

健夜「弁えてるなら普段からいろいろ自重してよ！？」

155 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:15:23.32 ID:biZB9R5i0

――――――

恒子「じゃあ、また！」

晴絵「うん、また……よっと……ほら、瑞原さん？ 立てます？」

はやり「はるえちゃーん……」

晴絵「ああ、はい。 無理ですね。 せめてちゃんと掴まっててくださいね、タクシー呼びましたから」

はやり「んー……」

恒子「熱愛発覚！ 夜の町で腕組みデート！」

晴絵「だからやめろって！ 洒落にならないし心臓に悪いから！」

恒子「大丈夫大丈夫！ エイプリルフールだからネタで済むって！」

晴絵「済まないから絶対流出させないでくれよ！？ っていうか撮るなって！」

健夜「こーこちゃんもいい加減にしなよ……ほら、まだ騒ぎ足りないなら付き合うからさ……」

恒子「え、でもこの時間だとお母さん心配するんじゃ……」

健夜「大丈夫だよ！ いくつだと思ってるの！？」

恒子「今年で三十だよね！」

健夜「年の話はしないでよ！！」

恒子「自分で言ったんじゃん……」

健夜「っていうかむしろ朝帰りぐらいしろって言われるぐらいだよ……そっちの方を心配されてるよ……」

恒子「……うん、やっぱりそろそろシャレにならないよね」

健夜「うるさいよ！ ほっとい……いや、そろそろ真面目に何とかした方が……」

恒子「……よしよし！ おねーさんが相談のってあげるからまだまだ飲もうぜ！ 夜は長いぜ！」

健夜「うぅ……いったいどうすれば……」

晴絵「はは……お疲れさまです……」

156 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:16:54.07 ID:biZB9R5i0

小鍛治さんとこーこちゃんと別れて、暫くしてやって来たタクシーに乗り込む

はやり「……ふにゃ…………」

……明日の試合、大丈夫なのか？ まあ、今までの経験上瑞原さんは次の日には案外けろっとしてるけど

それにしても……

晴絵「……さすがに、運命だのなんだのって……ちょっとくさかったな……」

思い出すとやっぱり恥ずかしい。 たいして飲んでないのに……空気に流されて酔ったかな

はやり「……はるえちゃん」

晴絵「……瑞原さん？」

はやり「……うんめいってさ、やっぱりあると思うよ……はやりも、まふかさんと会って……じんせい、変わったから……」

晴絵「……聞いてたんですか？」

はやり「……なんとなく……？」

晴絵「恥ずかしいなあ……ほら、寝てていいですから。 ……ああ、うちに連れてくつもりだったんですけど、帰ります？」

はやり「ん……はるえちゃんちいく」

晴絵「わかりました……着いたら声かけますんで」

はやり「……ね、はるえちゃん」

晴絵「はい？」

はやり「……がんばろうねー……」

晴絵「……ええ」

……結局、一年やって小鍛治さんには勝てなかった

いい勝負ができても、最終的に勝てなければそれはやっぱり負けなわけで

小鍛治さんに、勝ちたい……いや、勝つ

教え子たちが見せてくれたインターハイの戦いは、私の中で今でも輝いていて……立ち直るきっかけをくれた、あの子達との出会いもまた運命だった

私の意思をも背負って戦ってくれたあの子達にも報いたい……

晴絵「……必ず、小鍛治さんに勝ってみせる」

この決意は、嘘にしたくないから



カン！

157 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/01(金) 02:22:50.77 ID:biZB9R5i0

ハルちゃんはなんかなんちゃってシリアス要素をぶっこんでしまう不思議。もっと時間かけてしっかりやった方がいいんじゃないかって気もする…
とりあえず割と本気でのどっちパパママ熱いんでなにかしたい…ネタだけため込んで出力できないのってあるあるですよね…

158 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/01(金) 03:14:02.88 ID:0eWwBZv30

乙
このはやりんとハルちゃんの関係好きだわー

159 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/01(金) 06:27:46.31 ID:CN5s+/1Vo

乙です

160 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/01(金) 08:07:25.19 ID:LsEuPFqgo

乙
菫だけじゃなくてかいのーさんも警戒したほうがいいんじゃないかなー

161 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/01(金) 13:29:15.68 ID:ByC1auCjo

そげ……ぶっ！でなんか笑った
乙ー

162 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/07(木) 17:37:47.91 ID:2YBDvN+AO

遅く成りましたが…乙です…
そろそろ穏ちゃーのＢＤですが…
ラーメン祭り(希望登場人物…のどっちさんと優希ちゃんとメグさんと透華お嬢様と衣お姉さん)か服飾祭り(希望登場人物…一さんと初美さんと揺杏さんと子供麻雀クラブの子供達)のどちらかを希望したいのですが…
如何でしょうか？

163 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/08(金) 23:00:26.22 ID:X03vf0AO0

しずたんイェイ〜
投下は明日…おそらくきっと…いつになったら時間的余裕ができるのか

>>158ハルちゃんはやりんは個人的にひっそりと推していきたい…！シノハユで絡むのはいつになるのか
>>160かいのーさんってまだ描写少なくて固まりきってないんですよね…今のところははやりんをはじめとしたプロ組の妹分あたりに脳内で位置づけてます

本編で関西勢絡んでテンション上がってます。いろいろ考えた結果怜＋末原ちゃんが熱いのでそのうち書きたい…

164 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/08(金) 23:04:07.39 ID:x1svb5oAO

怜さんと末原さんですか！
其処に阿知賀女子の誰が絡むのか今から楽しみです！

165 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:24:38.74 ID:m7hvE0bs0

遅刻イェイ〜
投下

166 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:27:18.23 ID:m7hvE0bs0

憧「……よし！ 準備オッケー！」

灼「ん……穏乃呼びに行こっか」

宥「そうだねー……それじゃあ、みんなで……は、無理かなあ……」

憧「……いつの間にか打ち始めてるし……」

今日は穏乃ちゃんのお誕生日。 憧ちゃんのおうちでパーティーで、その準備が終わったところだ

憧ちゃんや穏乃ちゃんと一緒に子ども麻雀クラブで打っていた子達も、今年でみんな中学生になって……阿知賀と阿太中で半々くらいに別れてしまったけれど、こうしてみんな集まってくれている

……私は赤土先生の麻雀クラブには通ってなかったけど、こういうのを見てるとなんだかちょっとうれしいよね

灼「……じゃ、こっちは私が見てるから穏乃よろしく」

憧「わかった、それじゃあ任せるわよ……ジュースはともかくケーキには手ぇ出さないでよ？」

灼「……私、そゆことする風に見えてた？」

憧「冗談だから頭抱えてまで悩まないでよ……じゃ、行こっか宥ねえ」

宥「うん！ きっと穏乃ちゃんも待ちくたびれてるよ」

憧「そうねー……なんたって『私も準備するから早めに行く！』とか言ってんの止めなきゃいけないぐらいだったし……」

灼「早く行ってあげて……私は桜子たちと打ってるから」

憧「……打ちたかったの？」

灼「……とゆか、私って子ども好きなのかも」

宥「ふふ、もうみんな中学生だけどねー」

167 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:29:24.10 ID:m7hvE0bs0

――――――

憧「……っていうか、もうあの子たちも中学生なのね……時が経つのは早い……」

宥「そうだねぇ……私だって今年で20才だもん」

憧「あー……そっか、そうなんのね……20才ってちっちゃい頃はすごい大人な感じがしてたけど……」

宥「たいして変わらないよねぇ……20になったら急に大人になるわけじゃないし……」

憧「そうよねー……私も気づけば高３だしあっという間って感じ…………あ」

宥「なぁに？」

憧「……しずも今日で18なのね……うわ、変なの……ギャグ？」

宥「いやいや……そんな……あはは……」

憧「宥ねえも笑って誤魔化してるし……」

宥「そ、そんなことないよ？ 穏乃ちゃんだって、あれで結構しっかりしてるじゃない」

憧「そうかなあ……そうかも？ うーん……まあいいか……しずー？ 準備できたけど出れるー？」



憧「……出てこない」

宥「聞こえてないのかなあ？ すみませーん」



憧「……もう入っちゃおっか。しずの家だし」

宥「うーん……おばさまもお出掛け中みたいだし……仕方ない……かな？」

憧「いいわよね、別に……みんな勝手にうちにあがってくるし」

宥「あはは……それじゃあ、今回は特別ってことで……」

168 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:30:30.11 ID:m7hvE0bs0

憧「しーずー！ ちょっと？ いる？ もしかして寝てんじゃないでしょうね！？」

宥「あれ？ でも声が聞こえるよ？ 誰か来てるのかなあ……」




ダヴァン「おいしいデス！ やっぱりラーメンは日本に限りマス！ 久しぶりに来たらこんなにも新作が出ているトハ！」

穏乃「カップ麺もレベル上がってますからね！ いやあ、それにしてもわざわざ来てくれるなんて感激ですよ！」

ダヴァン「ハハ、シズノのバースデーですカラ、当然デス！ 私、日本好きでスシ！」

一「もう、ダヴァンさんもそんなに食べちゃうと本番が食べられなくなっちゃいますよ？」

ダヴァン「ラーメンは別腹ですカラ」

初美「ラーメンしか食べてないですよー？ それにしてもいい食べっぷりですねー……私もお腹空いてきちゃいましたよー」

憧「…………」

穏乃「あれ？ 憧じゃん、どうしたの？」

ダヴァン「お久しぶりデス。 お邪魔してマス」

一「あ、憧ちゃんに宥さん、こんにちは」

初美「おや、お久しぶりですねー！ あとで挨拶に行こうと思ってたんですが、先を越されてしまいましたかー」

宥「わぁ、お久しぶりです！」

憧「いやいや！ なんでこの人たちいるの！？」

穏乃「え？ ああ、話すと長くなるんだけど……実は昨日……」

169 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:34:26.92 ID:m7hvE0bs0

ダヴァン『シズノ、明日誕生日でしたヨネ？ 会いに行きマス』

一『穏乃ちゃん、明日誕生日だよね？ 遊びに行くから待っててね！』

初美『え？ 一ちゃん行くんですか？ これは私も山から山まで飛んでいくしかありませんねー！』

穏乃「……というわけでみなさん来てくれてー」

憧「一瞬！ 説明一瞬！ っていうかそんな気軽に来ちゃいます！？」

ダヴァン「前々から準備してましタヨ？ もともとサプライズで来ようと思っていたのでスガ……それで会えなかったら元も子もないですカラ、昨日連絡した次第デス」

初美「私は……学生でもないですし、身軽と言えば身軽なのでー……かわりに神境の方は霞ちゃんと巴ちゃんに任せて来ちゃいましたけど」

憧「そうだ！ 一さん学校は！？ 進学したんですよね！？」

一「え！？ ボクは……まあ、ほら……ね？ 穏乃ちゃんの誕生日だし？」

憧「サボりってこと！？ ダメでしょそれ！」

一「えっと……それじゃあ憧ちゃんは純くんの時に学校お休みしていいから！」

憧「えっ！？ ま、まあ……そ、そういうことなら……」

宥「あ、憧ちゃん？ なんかいろいろ間違っているような……」

ダヴァン「シズノ！ 大変なことに気がつきまシタ！ ラーメンを食べている間に次の分にお湯を注いでおくこトデ、食べ終わった頃に丁度次のラーメンが食べられマス！ 永久機関デス！」

穏乃「メグさん天才ですか！？」

憧「言っちゃ悪いけどバカなの！？」

宥「あ、あの……」

ハギヨシ「みなさん、例のラーメンができましたよ」

穏乃「わぁ！」

ダヴァン「待ってまシタ！」

宥「あ、あれ！？ 萩原さんまで！？」

ハギヨシ「これは……宥さん、新子さん、こんにちは」

宥「こ、こんにちは……？」

憧「ってなんでこんなところでラーメンなんか作ってるんですか！？」

穏乃「こんなところって……私の家なんだけどなぁ……」

憧「玄に会いに行ってあげてくださいよ！」

穏乃「あ、そこかぁ」

ハギヨシ「そ、それは……ええ、後程……」

170 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:37:01.63 ID:m7hvE0bs0

一「まあまあ、萩原さんがここでラーメン作ってるのには深い理由があって……」

憧「理由？」

ハギヨシ「ええ……原村さんと片岡さんと宮永さんからレシピを預かってきておりまして」

憧「レシピ？」

穏乃「そう！ 見てよこれ！ 特製タコスラーメンだって！」

憧「タコスとラーメンって……合うのそれ？」

穏乃「食べたことないからわかんない！」

ハギヨシ「おいしいと思いますよ。 原村さんと片岡さんと宮永さんが、高鴨さんのために時間をかけて一生懸命に作られたものですから」

一「調理したのも萩原さんだしね……ヘタしたら元のレシピよりおいしくなっちゃうんじゃない？」

ハギヨシ「三人からのの誕生日プレゼントですから……余計な手を加えたりはしませんよ」

初美「しかし……こう、食欲が刺激されるにおいですねー」

ダヴァン「本当に私もいただいてしまっていいんでスカ？ こちらとしては願ったり叶ったりですケド」

穏乃「みんなで食べた方がおいしいですよ！ あ、憧と宥さんもよかったら……」

憧「え、でも今から作ってもらうのも悪いし……じゃなくって！ うちでお祝いするって言ってたでしょ！？ 灼さんや桜子たち待ってるわよ！？」

穏乃「わ、わかってるよ？ でも……その……誘惑に耐えられなかったと言うか……」

憧「見たまんまじゃないのよ！」

穏乃「ちょ、ちょっとだけ待って！ これ食べるまで！ 食べないともったいないし！ 三人からのプレゼントだし！？」

宥「あったかーいうちに食べないと……ね？」

憧「むぅ……早くしてよね」

穏乃「わかってるって！ おいしそうだしすぐ食べちゃうよ！」

ダヴァン「御馳走様デス。 とてもおいしかったデス」

初美「メグちゃん食べるの早すぎじゃないですかー！？」

ダヴァン「とてもおいしかったノデ！」

ハギヨシ「ふふ……三人にはしっかり伝えておきますね」

171 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:38:28.86 ID:m7hvE0bs0

――――――

穏乃「いやあ、本当においしかった！ あとで電話してお礼言わないと！」

宥「料理のレシピっていうのはなかなか変わったプレゼントだったねー」

一「さすがにラーメン作って送るのは無理があるしね」

初美「……萩原さんでも無理なんですかー？」

ハギヨシ「え……あの、薄墨さんはいったい私をなんだと思っているんでしょうか？」

初美「それは……ああ、玄ちゃんの彼氏さんですよねー？」

ハギヨシ「…………え」

初美「ふっふーん、さっき一ちゃんと穏乃ちゃんから聞きましたよー？ やっとその気になられたんですねー？」

ハギヨシ「え、いや、その……」

一「今回は透華に頼んで萩原さんに車出してもらってさ……ほら、もう任務完了ですし玄さんのところ行ってきていいですよ？」

ハギヨシ「し、しかしですね……何分急なことでしたし、玄さんもお仕事中なのでは……」

憧「……萩原さんが慌ててるのってやっぱり見慣れないと言うか……なんか不思議な感じよね」

宥「ふふ、そうだねぇ」

……こう、玄ちゃんのお姉ちゃんとしてはいろいろと思うところがあったりするわけなのですが……

…………萩原さんって特に文句の付け所もないし、小姑気分を味わう隙もないんだよね

見た目は……私から見てもかっこいいと思うし、真面目で誠実な人柄だっていうのはよくわかっている

お料理やお掃除だって……私より全然しっかりできるだろうしなあ……

宥「……萩原さん」

ハギヨシ「は、はい？」

宥「玄ちゃんのこと、どうぞよろしくお願いします」

ハギヨシ「えっ？ あ、それは、はい……」

初美「やりましたねーお姉さんも公認ですよー？」

穏乃「とはいえ松実のおじさんは二人の娘を溺愛してるって有名ですからね！ まだまだ頑張らないとですよ！」

一「萩原さんって大抵の条件乗り越えるスペックはあるけどね」

ハギヨシ「いえ、そんな、私などまだまだ……」

172 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:39:12.03 ID:m7hvE0bs0

灼「……なんか、増えてる？」

憧「うん……なんか、しずんち行ったら増えた」

初美「なんかとはひどいですよー……そりゃあ、憧ちゃん的には私より巴ちゃんが来た方がうれしいのかも知れないですけど……」

憧「べ、別にそんなこと言ってないですけど！？」

桜子「しずちゃー！ 誕生日おめでとー！」

ひな「大変おめでたい所存ー」

穏乃「おうよ！ どーもどーも！みんな中学生になって大きくなったなあ！ ……なんか既に私より大きいし……」

綾「そ、それは穏乃ちゃんが……うん、その……ね？」

憧「もとからしずがちっちゃいんでしょ」

穏乃「はっきり言わなくても！」

ダヴァン「ちっちゃくてかわいいでスヨ」

穏乃「え？ えへへ、照れるなぁ……」

凛「あ、玄ちゃんの彼氏だー」

ハギヨシ「！？」

春菜「あ、本当だ！」

よし子「うわ……噂には聞いてたけど背ぇ高……しかもイケメン」

ハギヨシ「え……う、噂に？ 何故そんな……？」

憧「……田舎の狭いコミュニティの情報伝達速度は尋常じゃないですから……」

宥「うーん……玄ちゃんのお誕生日に一緒に外歩いていたのが広まっちゃったみたいで……」

ハギヨシ「……な、なるほど」

173 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:40:04.64 ID:m7hvE0bs0

宥「……な、何かあったら私に頼ってくださいね！ 未来のお姉ちゃんですから！」

ハギヨシ「ええ、ありがとうござ……ゆ、宥さん？ さ、さすがにそれは気が早いのでは……」

宥「えへへ、年上の弟って言うのも変な感じだよねぇ」

穏乃「一人っ子だから兄弟姉妹ってのも羨ましいなぁ……」

一「それじゃあ、誕生日プレゼントにご両親にお願いして……」

憧「ふきゅ！？ なななななに言ってんですか！？」

一「あはは、冗談だよ冗談」

初美「ああ、兄弟姉妹といえば憧ちゃんはお姉さんがいらっしゃるんですよねー……お邪魔したからにはちゃんと挨拶しておかないと……」

灼「初美さん、意外とそういうとこしっかりしてるよね……」

初美「そりゃあ、うちでは私が一番のお姉さんですからねー！ 巴ちゃんや霞ちゃんがいないところでは私だってそれらしく振る舞うんですよー？」

穏乃「初美さんのお姉さんっぷりは尋常じゃないですからね！ めちゃくちゃ頼りになりますし！」

一「ボクらのリーダーだしね！ やっぱり他とはひと味違うと言うか……」

初美「ふふっ、そんなにほめてもなんにも出ませんよー？ まあ、誕生日プレゼントは出るんですが！」

穏乃「おお！」

憧「う……嫌な予感……」

一「ボクと初美さんでかなり長いこと話し合ったからね……自信作だよ！ 揺杏ちゃんの！」

初美「かなりギリギリまで悩んだからかなりの突貫作業だったのにしっかり間に合わせてくれましたからねー……もはやプロですよ、プロ！」

灼「……ああ、それで……」

憧「……な、なにか心当たりがあるわけ？」

灼「これ、最近の揺杏からの連絡……」

174 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:42:00.24 ID:m7hvE0bs0

揺杏『新作にとりかかるよ！ 今度灼にも送るから楽しみにしてて！』

揺杏『作業楽しいわ！ すげー脳から出てるわ！』

揺杏『なんかヤバいのがキテる！』

揺杏『そういや、吉野って桜有名だよな！ 写真送ってよ！』

揺杏『久しぶりに打ちたいな……作業終わったらネットでいいから付き合ってー』

揺杏『締め切りありとか辛い……辛くない……』

揺杏『あと少し！ 頑張るぞー！』

揺杏『基本デザインから変更とか死ねる』

揺杏『ねむい』

揺杏『シュークリームが食べたい！ 食べたい！！』

揺杏『つかれた』

揺杏『なんで鳥って空を飛ぶんだろうな……』

揺杏『ごめん今まで黙ってたけど灼のことしゃくで変換してた』

揺杏『ねむい』

揺杏『完成したと思ったら夢だった……』

揺杏『灼あらたで辞書登録したわ』

揺杏『あと少し……少し……』

揺杏『シュークリームうめぇ』

揺杏『死ぬ。死んだ。』

揺杏『いまねたらまにあわぬえ』

揺杏『むりだこれ』

揺杏『爽wwwインタビューで放送事故wwwバカだアイツwww』

揺杏『ばーかwww爽wwwアイツなんなのwww』

揺杏『めちゃくちゃ眠いけどやりきったよ！』

揺杏『すげー楽しかったわ！』

揺杏『ねむいねる』

175 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:42:45.16 ID:m7hvE0bs0

憧「……なんかめちゃくちゃ精神不安定じゃない……？」

灼「作業が大変なときは大体こんな感じ」

ダヴァン「サワヤ……何かあったんでスカ？」

宥「……あはは」

灼「……聞きたい？」

ダヴァン「……なんとなく察しまシタ」

穏乃「おお！ これがその新作ですか！」

初美「こう……今回は素材を厳選して一ちゃんに取り寄せてもらってですねー」

一「龍門渕のネットワーク使ってもらってさあ……ほら、肌触りが全然違うでしょ？」

穏乃「すごい！ すごいですよこれ！ さすがです！ わぁ……わぁ！ 早速着替えてきます！ 憧！ 隣の部屋借りるから！」

憧「え、ちょ……ちょっと待って！ 着て平気なやつなの！？ チェックさせなさい！」

灼「……相変わらず騒がし」

宥「ふふ、楽しそうでいいじゃない……穏乃ちゃんのお誕生日だし、楽しんでもらわないと」

灼「ん……そですね」

初美「穏乃ちゃんがお着替え中は……あ！ それでそれでー？ 玄ちゃんとはどこまで行ったんですかー？」

ハギヨシ「は、はい？ それは、そこの山まで……」

一「そういうことじゃなくってですね……」

綾「ど、どこまで……ちょっと気になるかも……」

ひな「後学のために是非とも聞かせていただきたい所存ー」

桜子「そこの山だよ！ 玄ちゃんと彼氏さんがふたりで手作りのお弁当食べてたって噂になってたもん！」

一「いや、だからそうじゃなくって……ねえ？」

初美「うーん……今日はお子様がいることですし別の機会にしましょうかー……ちょっと刺激が強すぎるかもしれないですしー？」

ハギヨシ「え、ちょ、そのようなことはなにも……！」

一「そのようなことって？」

ハギヨシ「あ、いや……」

灼「……憧みたいな弄られ方してる」

宥「ふふ、弟になると思うと微笑ましいなぁ」

灼「……宥さん、だからちょっと気が早」

176 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:44:17.18 ID:m7hvE0bs0

穏乃「じゃーん！ どうですか！ なかなか決まってません！？」

初美「おー！ カッコいいですよ穏乃ちゃん！」

一「ボクたちの目に狂いはなかった……！」

憧「あー！ いやぁぁぁぁ！！ しず！ ちょっ……目っていうかそこら中狂ってますから！ ふたりとも頭のネジからいくつか締め直してくれませんかね！？」

初美「憧ちゃんは未だに理解できませんか……」

一「憧ちゃんこんなにかわいいのに……かわいそう……」

憧「なんで私が憐れまれてるのよぉ！？」

灼「……このままだと憧のストレスが……揺杏みたいになっちゃうかも」

宥「そ、それは……なかなか危なそうだね……」

灼「とゆことで、落ち着かせてきます……宥さん、そっちケーキあるから……」

宥「うん、出してくるよ……おまかせあれ！ だよ〜」

灼「ふふ……ほら、穏乃……うれしいのはわかるけど一回ストップ。 憧も、落ち着いて」

穏乃「了解です！」

憧「はぁ……これが落ち着いていられるかって感じなんだけど……」

灼「はいはい……じゃ、いつもの」

一「はいはーい！ 作詞・作曲:龍門渕透華！」



「「「しずたんイェイ〜」」」


穏乃「ありがとうございます！」


カン！

177 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/10(日) 01:46:49.22 ID:m7hvE0bs0

このままだんだんとズレていって季節感完全になくしそうで怖い
全国編やってた頃にコラボでタコスラーメンやってましたよね。食べに行けなかったのが悔しくて妙に覚えてます

178 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/10(日) 01:51:26.28 ID:VjCixmiFo

乙
揺杏の自信作とやらを着た穏乃の画像うｐよろ

179 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/10(日) 02:17:39.32 ID:CZDgXlQJo

乙
自信作（布切れ）

180 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/10(日) 07:23:28.30 ID:y/MCpZ+/o

乙です

181 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/14(木) 20:59:56.97 ID:wy5u8X9AO

穏ちゃーのＢＤ…乙です！
まさかラーメン祭りと服飾祭りの合わせ技で来るとは…
凄く楽しめました。
そう言えばこちらだとプロアマ戦ってやらないんでしょうか？

182 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:12:00.56 ID:EpWT8sZZ0

>>178-179自信作布切れ定期。画像というか、絵が描ける人って羨ましいですよね。オタクする楽しさ数倍になりそう
>>181カツ丼さんと衣がやったらしいぐらいしか原作ではふれられてないですね、プロアマ交流戦。普段からいろいろ妄想はしてるけど言われるまで考え付かないこともありますし…ちょっと考えてみます。まあ、闘牌スレじゃないからただのプロアマの絡むネタになると思いますが

あらたそ！あらたそのお誕生日！あらたんイェイ〜

183 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:14:16.00 ID:EpWT8sZZ0

浩子「こう、お友達価格で安くなったりしないんですかね？」

灼「お友達ならお金落としてってほし。 シューズやボールやグローブも自分専用にしてみる？」

浩子「なるほど……まあ、そこら辺のアイテムはレンタルで十分ですわ」

絹恵「にしても、ボウリングなんて久しぶりやなぁ」

怜「フナQも絹ちゃんもここ最近は受験勉強、それまでは麻雀ばっかやったからなあ……たまには身体動かさんとアカンで？」

浩子「園城寺先輩が言いますか……運動なんかろくにしとらんやろ」

絹恵「それこそ、園城寺さんかて麻雀しかしてないんやないんですか？」

怜「なめたらアカンで！ ここ最近は宥ちゃんと食べ歩きしたりゴロゴロしたりしてるわ！ なー？」

宥「ねー」

浩子「運動はしてないんやな」

怜「ほら、私病弱やし？」

浩子「相変わらずのアピールやめぇや」

玄「園城寺さんは身体弱いんだから無理しちゃダメですよ？ はい、みなさん飲み物をお持ちしました！」

絹恵「玄さんどうもです！」

宥「ありがとう玄ちゃん！ ……よぉし、それじゃあ第一回、灼ちゃんお誕生日杯はじめるよー！」

玄「わーわー！」

怜「どんどんぱふぱふー！」

灼「まいどー」

184 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:17:02.38 ID:EpWT8sZZ0

宥「それでは玄ちゃんからルール説明です！」

玄「おまかせあれ！ えっと……みんなでボウリングをします！」

浩子「……ええ、それはまあそうでしょうね」

玄「一番スコアが低かった人はなんと！ 今日の鷺森レーン使用料金のお支払いと灼ちゃんに誕生日ケーキを奢ることができるのです！」

怜「なかなかの賞品やな……！」

絹恵「スコアが高かった人はどうなるんです？」

玄「勝ったら？……えっと、うれしいですね！」

宥「そうだね〜」

浩子「うれしいだけですか」

玄「え？ ……じゃあ、なんと灼ちゃんとデートの権利が！」

灼「え」

宥「おおー……これは頑張るしかないね！」

怜「ふふ……こいつは盛り上がってきたな」

浩子「今鷺森さんなにそれ的反応してましたが」

玄「……だ、だめかなあ？」

灼「いや……私は別にいいけど……それでいいの？」

玄「灼ちゃん杯だし！」

宥「うれしいよねー」

怜「なー」

浩子「わりと普段から遊び行ったりするし賞品にする意味がないような……まあ、ええですけど」

絹恵「なにか賞品あった方が盛り上がるしな！」

灼「……まあ、まかせるけど」

185 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:18:33.22 ID:EpWT8sZZ0

私が誕生日を迎えたということで、進学先で一緒になった顔馴染みがわざわざうちに集まってくれている……玄は、今日はお休みらしい。 穏乃の時は半休だったからなんとか融通してきたそうだ

……なんか、気がついたら賞品にされてしまったけど……楽しそうだからいいか

怜「それじゃあ、ゲームを始める前にひとつ提案や！」

宥「どうしたの、怜ちゃん？」

怜「個人戦やと私が不利や！ 病弱やし！ チーム戦を希望するで！」

浩子「まあ、そう来ますよね……私は構いませんよ」

玄「なるほど……チーム戦の方が盛り上がりますしねっ！」

絹恵「と言ってもチーム分けはどうします？ あ、灼ちゃんに入ってもらえば……」

灼「……いちお、店番中だから。 こっちでだべるのはともかく、参加するのはさすがに……」

絹恵「残念やなあ……じゃあチームは……」

浩子「松実姉妹vs愛宕一族vs園城寺先輩で行きましょうか」

玄「ふぅ〜むなるほどなるほどなるほどー」

怜「待って！？ それなにひとつ解決になってへんで！？ 私不利すぎやろ！ 支払えるようになった場合も個人で支払いやし！」

絹恵「ああ、そこも見据えての提案でしたか……」

浩子「ちっ」

怜「フナQ舌打ちした！？ 今舌打ちしたやんな！？」

浩子「冗談ですって。 じゃあ、2対3でやります？ 宥さん、玄さん、園城寺先輩あげますよ」

怜「足手まとい扱いで押しつけようとするのやめーや！ ちょっぴり傷つくで！？」

浩子「もちろん、冗談ですってば」

灼「人数揃えないと結局いろいろと有利不利出てくると思」

宥「うーん……憧ちゃんと穏乃ちゃんが学校終わるまで待つ？」

絹恵「……二人増えたら結局同じことじゃないですか？」

宥「あ……そっか、そうだね……」

……別に、遊びなんだから適当にやっちゃえばいいと思うけど

そもそもルールもろくに考えてないがばがばの大会なんだし……

「あらたぁぁぁぁぁ！！」

灼「えっ？」

186 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:19:56.23 ID:EpWT8sZZ0

ゴンッ


灼「…………痛そ」

自分の名前を呼ぶ叫び声が聞こえたと思ったら、店の自動ドアに勢い余ってぶつかってる不審者

……いや、名前呼ばれてたしたぶん知り合いなんだろうけど……ん？

灼「……揺杏！？ どうしてここに！？ 頭だいじょぶ！？」

揺杏「い、いた……それ、どっちの意味で言ってる？」

灼「どっちも」

揺杏「両方の意味で大丈夫じゃないかも……」

灼「うん、知ってる」

揺杏「冗談じゃなくって！」

灼「え？ そんなに痛かった？ っていうか頭おかしいの？」

揺杏「うん……私、頭おかしいのかもしれない……」

灼「え……」

宥「揺杏ちゃん？」

玄「あ、頭打ってたけど……大丈夫？ 平気？」

揺杏「……うん、いたい…………」

浩子「有珠山の岩館？ なんで奈良に？」

揺杏「いろいろあってちょっと相談に……あ、今は被服の勉強するために東京の専門進学したから関東住みなんだけどさー」

絹恵「よかったーわりと普通そうやね……深刻な顔で飛び込んでくるから何事かと思ったわー」

揺杏「おキヌ！ いや、これがわりとマジで悩んでてここまでアポ無しで来ちゃったわけでして……」

灼「……どしたの？」

187 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:21:39.63 ID:EpWT8sZZ0

揺杏「あ！ 灼！ 誕生日おめでとう！ これ、プレゼントね！ 受け取って！」

灼「え？ あ、ども……開けてい？」

揺杏「開けろ！ そして感想をくれ！」

渡された包みを開けると、落ち着いた色合いの『普通に』お洒落なスカートが……

浩子「へぇ……いいですね」

絹恵「相変わらずすごいなぁ……」

揺杏「どう？ どう？」

灼「控えめに言ってすごくかわいい。 憧が欲しがりそ」

揺杏「控えめに言わなくていいから！」

灼「揺杏って天才だよね」

揺杏「だよな！ ……だよな？」

灼「……どしたの？」

揺杏「実は……」

怜「そんなことより！」

揺杏「そんなこと！？」

怜「これで六人や！ 3対3でやれるで！」

浩子「二人組三つでもええですよ？」

怜「二人組でこの子と一緒になったらどうするんや！ あんま知らんしちょっと気まずいやろ！」

揺杏「え？ え？ なんの話？」

宥「みんなでボウリングしようってお話だよ〜」

揺杏「え？ なんで急にボウリング？」

灼「いや……ここ、ボウリング場だし」

揺杏「ほんとだ！ 灼んちボウリング場じゃん！ 混ぜて混ぜてー」

灼「…………じゃ、チームはくじ引きで」

188 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:22:36.72 ID:EpWT8sZZ0

宥「よぉし、頑張ろうね！ 怜ちゃん、ふなきゅーちゃん！」

浩子「足引っ張らないでくださいね、園城寺先輩」

怜「……なあ、フナQあんた自信ありっぽいけどアベレージどんなもんなん？」

浩子「いえ、やるのははじめてですが」

怜「へぁ！？」

浩子「安心してください、勉強してきましたんで……データも完璧です。 ボールの突入角度と回転を計算してしかるべきところに投げ込めばミスはあり得ませんわ」

怜「……だ、大丈夫なんか……？ 宥ちゃんは？」

宥「私？ うーん……玄ちゃんと同じくらい？」

怜「ってことはそこで相殺するとして……パワーバランス取るにはフナQがマジで完璧じゃないとヤバいやん……」

揺杏「ボウリングとか久しぶりー！ 私は普通ぐらいだけど玄ちゃんとおキヌは？」

玄「私は……灼ちゃんのおうちだし、みんなで結構遊びに来るから……穏乃ちゃんや憧ちゃんには負けるけど、そこそこいけるよっ！」

絹恵「私はボールは蹴る方専門やったんやけど……まあ、苦手ではないで？」

揺杏「……この球蹴っ飛ばしたらさすがに足イッちゃうから気をつけてな？」

絹恵「だ、大丈夫やって、大丈夫……」

灼「……絹ちゃんウズウズしてない？」

絹恵「へ、平気やって！ サッカーボールこんなに重くないし！ 今感覚慣らしてるだけやから！ 前やったときもなんとか蹴らんかったし！」

揺杏「なんとか！？」

玄「ほ、本当に大丈夫なの……？」

……大阪組がなんとなく不安だけど、とりあえずゲームは始まりそうだ

189 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:24:36.18 ID:EpWT8sZZ0

宥「えいっ」

怜「おおっ！ ストライクやん！ 宥ちゃんやるなぁ」

宥「えへへ、たまたまだよ、たまたま」

玄「むむ、さすがお姉ちゃん……私も負けてられないよっ……やっ！」

揺杏「おっ！ 玄ちゃんもやるねぇ！ 松実姉妹もしかしてすごい？」

灼「ふたりとも結構長いこと通ってくれてるから……超上手いって程じゃないけど大崩れはしないよ」

怜「……よし、フナQ後は任せた」

浩子「はい？ 園城寺先輩が先に投げるんじゃなかったんですか？」

怜「……もう投げたんや」

浩子「え？ でもピンが……ああ、溝に……」

怜「私、病弱な上に運痴やから……」

揺杏「お姉さんお姉さん、女子らしくお上品な会話してくれよー」

怜「誰もトイレの話とかしとらんわ！」

絹恵「浩ちゃんが取らんと宥さんのストライクもったいないでー？」

浩子「ふふ、心理戦は無駄やで？ データを活かすには常に冷静に……な！」

揺杏「おおっ！」

玄「これは……！」

怜「…………」

絹恵「…………」

浩子「ふっ……データは完璧でしたが、私の運動能力ではどうにもならないようですわ」

怜「アホか！！ どうすんやこれ！ 実質戦力宥ちゃん一人やで！？」

揺杏「やべっ、残っちゃった……おキヌよろしく！」

絹恵「端っこかあ……っよし！ スペアや！」

玄「やったね！ いぇいっ！」

190 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:26:09.50 ID:EpWT8sZZ0

怜「くぅ……ちょ、フナQ！ あっち楽しそうにハイタッチとかしとるで！ このままただ負けるとかさすがに無いで！」

浩子「ふむ……絹ちゃんは元々サッカーやっててしかもキーパーでしたからね。ボールの扱いにも慣れていますし、 運動能力で私と大きな差があることは自明の理でしたね」

怜「冷静に分析しとる場合とちゃうで！ やるからには勝たんと！」

浩子「意外と燃えてますね……それじゃあいくつか作戦を……」

宥「わぁ！ またストライクだったよ〜！」

怜「さすがや宥ちゃん！」

浩子「ええ、宥さんが稼いでくれる限りチャンスは残りますから……じゃあまずは……」

玄「お姉ちゃん2連続かぁ……よし、私だって！」

怜「そういや玄ちゃん、彼氏できたって？」

玄「はわっ！？」

揺杏「あっ！ 投球中に卑怯だぞ！ だいたいそれはボウリング終わってからいじろうと思ってたのに！」

玄「ええっ！？ ゆ、揺杏ちゃんまでなに言って……」

絹恵「へぇ……ええなあ、羨ましい……」

怜「言うて絹ちゃんは洋榎ちゃんの三倍はモテるやろ？ 乳も太もももエエ感じやしなあ……うへへ……」

絹恵「ちょ、園城寺さん顔怖いですって！ 涎吹いてくださいよ！」

宥「あーあー怜ちゃんまた浮気してる……」

怜「あ、ち、違うんやで？ 私はほら、今は宥ちゃんだけやし？ ほら太ももにパワーあげるからー」

宥「もう、調子いいんだから……清水谷さん泣いちゃうよー？」

揺杏「流れるように太ももにダイブした！？ ……なかなかの変人だな……！」

灼「揺杏に負けず劣らずね……」

191 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:28:25.86 ID:EpWT8sZZ0

灼「……で？ どしたの？」

揺杏「ん？ ああ……その、さ……こないだ、穏乃に服贈ったろ？ 一とはっちゃんさんに頼まれてたやつ」

灼「ん……すごく喜んでたよ？」

揺杏「うん……」

灼「…………」

揺杏「……私、服飾関係の……今、デザイナー目指してるって前言ったろ？ それで、さ……」

揺杏「……ほら、なんと言うか……やっぱりさ、アレって……普通ではないというか、なんというか……」

灼「まあ、明らかに普通ではないね」

揺杏「それでも、アレがいいって人がいて、私もアレ作るの楽しいんだけどさ……こう、同じ道を目指すやつらと集まって意見交換とかしてると、やっぱり私頭おかしいんじゃないかって……」

灼「あー……でもほら、流行って作ってくものだし？ 穏乃たちも言ってるけど、そのうち世の中が追いつくかもしれないし……？」

揺杏「それはそれで追いついたらこの世界怖ぇな……いや、私もこうやってさ、普通に……って言うと違うけど、良いもの作れるわけだし……」

灼「……こういう、他と違ったモノを作れる感性があるのは強みなんじゃない？ 今あるものだけ作ってても大成しないと思」

揺杏「……そうかな？」

灼「そうだよ。 揺杏天才だし、努力もしてるし」

揺杏「そっか！ そうかもな！ いやあ、奈良まで来てグダグダ悩むのもバカらしいしな！ せっかくだから楽しませてもらうぜ！ 勝ったら灼とデートできるらしいし！」

灼「……ばーか。 …… 都合つくならいつでも付き合う」

揺杏「あ、やっぱり？ 灼は私のこと大好きだからなぁ」

灼「……揺杏が私を好きなほどじゃないでしょ」

揺杏「ん？ ふふ、そーかもな！ ……よっしゃ！ 行くぞ玄ちゃん、おキヌ！ 宥さんさえ抑えれば楽勝だぜ！」

絹恵「あー……その、玄さんが……」

怜「もうちゅーしたん？」

玄「ちゅ、ちゅー！？」

絹恵「ガター連発してもうてて……」

揺杏「……いい勝負になりそうだな！」

192 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:30:14.15 ID:EpWT8sZZ0

穏乃「こんにちはーっ！ ってああ！ もう始まってる！」

憧「そりゃ仕方ないでしょ……ってなんで揺杏までいんの！？ えー！ なにしてんのよ！」

揺杏「いやあ、ちょっと小旅行？」

憧「ちょっとって身軽すぎでしょ……あっ！ なにこのスカートかわいいじゃん！ 新作！？」

灼「ん、もらった」

憧「えーいいじゃんいいじゃん！ 私もほしいなー」

揺杏「あからさまにねだるなよ……結構大変なんだぞ？ 最近忙しくてそこまで余裕無いし……色違いでいい？」

憧「いいの？ やったぁ！ んじゃ、えっと……はい！ ジュース奢ったげる！」

揺杏「私のスカートやっすいなぁ……」

怜「おお、これまた良さそうな太ももが二組……」

宥「太もも換算しないのっ」

絹恵「穏乃ちゃん、相変わらず元気やね！ 学校お疲れさん、ほら、ジュース好きなの飲み！」

穏乃「え、でも奢ってもらうのは……」

絹恵「先輩には甘えるもんやで？ ほら、早く選ばないとおかしもつけるでー」

穏乃「わわっ！ そんな……えっと、コーラいただきますっ！ ゴチですっ！」

絹恵「おう！ 気にせんでええよ！」

玄「ちゅ、ちゅーなんてそんな……まだ早いというか、その……でも、えへ、えへへ……」

憧「……玄どうしたの？」

揺杏「んー……いつもの憧ちゃんみたいな？」

憧「どういう意味！？」

揺杏「そのまんまだよ？ なー」

灼「そだね……ふふ」

193 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:32:40.51 ID:EpWT8sZZ0

憧「灼さんまで……もうっ！ まあいいや、途中でもいいから混ぜてよ……ってなにこのスコア……両チームガター連発って泥仕合すぎでしょ」

浩子「ボウリングはデータじゃない……奥が深い競技だというのは理解しましたわ。 ……ちなみに、二人の腕は？」

憧「え？ 宥ねえと玄よりは上手いかな……？ しずと私は五分ぐらいですけど」

絹恵「じゃあ穏乃ちゃんこっちチームでもらいや！」

穏乃「えっと……絹恵さんと玄さんと揺杏さんと一緒ですか！ まかせてくださいっ！」

揺杏「……体育会系ってみんな穏乃のこと大好きだよな」

灼「気持ちはわかる」

憧「……船久保さん、これ大丈夫なんですか？」

浩子「データは完璧ですよ。 活かせる程の運動能力が無いだけで」

怜「私、病弱やから……あ、憧ちゃんが膝枕してくれたらちょっと頑張れるかも……」

憧「宥ねえ、園城寺さん係お願いね」

宥「えー？ ふふ、おまかせあれ〜」

憧「よしっ！ いくわよっ！」

揺杏「燃えてるなあ、憧ちゃん……デート権は純じゃなくって灼とだぞ？」

憧「ふきゅ」

怜「あ」

憧「なっ……な、なに言ってんのよ！？ べ、別に関係ないでしょ！ っていうか灼さんでもうれしっ……あ」

揺杏「うれしいんだ？」

灼「……て、照れるぜ」

憧「ち、違っ……あ、いや、違くはないんだけど、そのっ……！」

浩子「…………これは、勝ち目無さそうですね」

穏乃「っしゃあ！ ストライーク！ 灼さんはもらった！」

玄「穏乃ちゃんさっすがあ！」

絹恵「穏乃ちゃんえらいっ！ 勝利へ一直線やなっ！」

揺杏「へへっ、バースデーデート、行き先考えとけよ？」

灼「……はいはい」


カン！

194 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/04/14(木) 23:36:46.98 ID:EpWT8sZZ0

あらたんイェイ〜
最近イベント系しか投下できてないのとそれさえ遅刻しまくってるという事実に気が付いたからなんとかしたい…何とかしたいんですが…！

195 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/14(木) 23:42:05.58 ID:gu0ZEO0Jo

乙
理屈じゃない！！

196 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/14(木) 23:46:21.09 ID:YAia9tW7o

乙です

197 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/15(金) 00:00:02.19 ID:WwcWAQZyo

乙あらたそ
愛されてるなぁ

198 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/04/15(金) 01:42:29.31 ID:MLWRSlMko

乙
まともな感性の仲間ができて悩む揺杏ワロタ

199 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/03(火) 20:23:58.08 ID:MO52e+p2O

更新マダー？

200 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/03(火) 23:41:18.80 ID:zbeeq2HAO

おばんです！
明後日はまこたんですが…
揺杏製作のメイド服をまこのお店と龍門渕家と松実館に提供するお話を希望致します！

201 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/04(水) 23:53:41.74 ID:AkZvsV8y0

生きてます。ゴールデンウィーク休み無いマンで辛い
正直なんも用意してないけどまこ大好きなんで気合で何とかします
更新してない間も短いけどシノハユss投下したりしてたんで許してくだせぇ…まあこっち書けよって話かもですが

>>142とか準備してるんで落ち着いたらそこら辺から投下することになるのではないのかと

202 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:10:54.17 ID:AjzMI2UY0

まこ「これは……わかっとるのう」

揺杏「そりゃあ、わかってますとも」

灼「私はよくわからないけど……揺杏なら間違いないよ」

揺杏「んふふ……この篤い信頼、ドキドキしちゃうね」

久「見事なもんねぇ……まこ、早速着替えてきてよ」

まこ「……しかしのう、こう……ちょっと、わしが着るにはかわいすぎんか？」

久「なに言ってるのよ！ まこが着ないでどうするの！」

揺杏「そーだぞ！ 久姉の言うとおり！ つーかまこのために作ったんだからな？ 着てくれよ！ 私のためだと思って！」

まこ「……そこまで言われたらしょうがないのう……別に、嫌ってわけじゃないんじゃよ？ ただ、ちょっと気恥ずかしいと言うかのう……」

揺杏「わかってるわかってる！ 渾身のメイド服だからな！ ちゃんと着てくれれば私はおっけー！」

灼「まこ、似合うと思うけど」

まこ「そういうこと、ボソッと言うのやめんさい……んじゃ、着てくるわ」

久「待ってるわよ〜」

203 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:12:06.03 ID:AjzMI2UY0

ゴールデンウィークの連休を利用して、長野までやって来た。 休暇の最終日……５日はまこの誕生日だということもある。 帰りがスケジュール的に辛いけど、ギリギリまでこっちで遊ぶことにした

今は、まこの実家……噂のメイド雀荘『Roof-top』にお邪魔している

揺杏は関東に出てきたことで身軽に動き回れていいわー、なんて言ってた……誕生日プレゼントにメイド服を作って持ってきている

……いつも思うんだけど、揺杏は作業スピードがおかしい気がする。 月に何着服作ってるんだろう……

久「いやあ、まこのためにありがとね、揺杏」

揺杏「いやいや、趣味と実益を兼ねてるんで気にすることないって……噂のメイド雀荘も面白かったし！」

久「昨日はほぼ一日打ってたもんね……かわいい女の子見ながら麻雀打ち放題なんて最高でしょ？」

揺杏「打つの自体久々だったから滅茶苦茶楽しかった！ しかも今日から看板娘が私の作った衣装を……最高だぜまったくよぉ！」

灼「テンション高……あのさ、揺杏……服作ったり遠出したりって結構お金バカにならないんじゃ……」

揺杏「ん？ まあな……体力とか時間とか結構キツいし……とはいえ今回は臨時収入もあったんで！」

灼「臨時収入？」

揺杏「ふっふっふ……ふふ、ははは！ ちょっと思い出すだけでテンション上がるぜ！ 透華お嬢様がメイド服買い取ってくれた！ 私の！ 私の作品を！ 買ってくれた！ 正直コネ有りきなとこあると思うし実力だけってわけじゃないけど！ 売れたんだよ私の服が！」

久「あら、凄いじゃない！」

揺杏「いやあ、苦労したぜ……まあ何着も作るのキツかったし三着だけなんだけどな……純と一とともきーの分！」

灼「へえ……見たかったな。昨日渡してたやつ？」

揺杏「そうそう！ 今日このあと見れると思うぜ！ それぞれかなりこだわってさ……まあ、龍門渕のお屋敷で使うってのだからあんまり弾けた感じではないけど……」

久「まあ、国広さんの私服みたいなのじゃお客様のお出迎えはできないわよねぇ」

灼「たしかに……」

揺杏「それでも一のはかなり冒険したけどな！ 背中とか肩とかこっそりとちょっと出る感じにしたし……ともきーのはまこに渡したのみたいなクラシカルな感じでがっつりロングスカートで！ ともきー美人だしってか黒髪ロングって最高だよな！ 王道って王道だけに難しかった！ ……とはいえ、純のが一番苦労したな」

久「あら、井上さんの？ まあ、あんまりメイド服ってイメージ無いけど……イケメンだし、龍門渕の執事さんみたいな格好の方が似合いそうよねぇ」

揺杏「うん、だからいっそ開き直ってパンツルックにした」

久「へ？」

揺杏「いや、純にスカート履かせたかったけどさ！ 元々の龍門渕のメイド服着てるとこ見せてもらったし！ それならイケメン枠らしくカッコいい感じにしたいじゃん！ それぞれに合わせてるわけだし！」

灼「……う、うん……そだね」

揺杏「ともきーのを王道メイド服、一のは萌え系にバランス振ったし？ 純にはやっぱりカッコいい系というか！？ その方がみんな得するだろ！？ 純もスカートヒラヒラして気になるって言ってたし！」

204 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:13:20.52 ID:AjzMI2UY0

揺杏が凄い勢いで語り始めたので若干気圧される……楽しそうだからいいんだけど

……とゆか、パンツルックってもはやメイドじゃなくて普通に執事なんじゃ……

久「というか、三着だけなのね……天江さんや龍門渕さんの分は？」

揺杏「二人はメイドじゃないから……あの二人はあの二人で着せたい服とかあるしそのうちなんか作らせてもらいたいなぁ……」

灼「…………ねえ、前から気になってたんだけど……私とか、結構服とか作ってもらっちゃってたけど、やっぱりお金とか……」

揺杏「気にすんな！ 趣味だから！ ……まあ、私って天才だし？ そのうち売れっ子デザイナーになってちゃんと仕事として服作って、買ってもらうからさ！」

灼「……揺杏」

揺杏「安心しろって、お友だち価格でいいからさ」

灼「……ふふ、ありがと」

揺杏「おう！ ……つーかさ、今回透華お嬢様が……ちょっとビビる額くれてさ……今まで一が貰いっぱなしでしたし、遠慮なく貰ってくださいな！ とか、これからもよろしくお願いしますわね、とか言って……今までの分軽く取り返したというか……」

灼「ああ……透華さんならそうするかもね」

久「……ねえ、ちなみにどれくらい……？」

揺杏「……ほら、振り込みで……こんくらい……」

久「うぇ！？ ちょ、ちょっと……え！？ マジ？」

揺杏「うん……そりゃ、今まで結構な量生産してたけどさ……ちょっと、学生がポンと渡されていい額じゃないというか……」

灼「……うわ」

揺杏「し、しかもさ、困ったことがあったらこちらに連絡くださいな、とかって……め、名刺もくれて……」

久「め、名刺？ 普通にプライベートなアドレスとか知ってるわよね？」

揺杏「うん……だ、だからさ、これって……アレだよな？ 透華お嬢様個人じゃなくって、龍門渕グループの透華お嬢様としても助けてくれるってことだよな……？ 龍門渕って、最近ファッション関係の事業も始めたし……」

灼「……ともきーから聞いたんだけど、透華さん、グループの新興の小さい部門の方とか少し任されて勉強中だって……」

久「……龍門渕グループに就職とかなったら超エリートじゃないの」

揺杏「い、いや、実力の世界だしコネ使わないでやっていくつもりだけど……な、なんなんだろうな、ちょっと怖い……」

久「……龍門渕さん、人情派だけど実力主義でもあるから……結構本気で揺杏のこと評価してくれてるんじゃない？」

灼「龍門渕グループって……人生の保険としては大きすぎるぐらいだよね……透華さん、人を見る目もあるし自信持っていいと思。 この買い取り額も……量もあるんだろうけど、評価してなければ出てこないと思うし」

揺杏「う、うん……思い出すだけでテンション上がるけど、変に上手いこといってる感じがやっぱりちょっと怖くなるわ……」

205 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:14:46.51 ID:AjzMI2UY0

まこ「どうしたんじゃ？ みんなで微妙な表情して……」

揺杏「お、戻ったか……っていい！ 凄くいい！ さすが私！」

久「かわいい！ ベリーキュート！ 結婚して！」

まこ「アホなこと言うとらんで……しかし、これはええのう……揺杏、ありがとうな」

揺杏「え……いや、そんな改めて言われっと照れるっつーか……」

久「まこが静かにテンション上がっててなんか悔しいんだけど……私がプレゼントあげたときよりも喜んでない？」

灼「なにあげたんですか？」

久「えーと……ケーキと夏の大会の有力な対戦相手の牌譜と手帳と……」

揺杏「いや、二個目なんか違くね？」

まこ「こういうもんは気持ちが大切なんじゃから……揺杏がくれたんも久がくれたんも嬉しいし、差なんか無いわ」

揺杏「いいこと言うねーこのこのー」

久「まこがそう言うのはわかってるけどねー」

灼「ふふ……まこ、おめでと」

まこ「ん、どうも……わざわざ奈良から来てくれて嬉しいわ」

206 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:15:43.44 ID:AjzMI2UY0

まこ「……ほんじゃまあ、そろそろ行くかのう？」

久「もうそんな時間？ んー……移動時間考えたらそろそろかー」

まこ「今から行けばお昼頃には着くじゃろ」

揺杏「夏の大会前に合宿だっけ？ ぶっちゃけあの三人残ってりゃ余裕な気もすっけど」

灼「そういう問題じゃないと思」

久「風越みたいな名門には層で負けるしこっちはデータ割れてるからねぇ……個人戦でも東横さんとか南浦さんとかがいるし……」

まこ「高鴨さんたちは昨日からあっちに行っとるしのう……」

灼「ん……昨日、夜にLINE来てたよ。 楽しそ……私も、咲たちと会って打つの楽しみだし」

まこ「今日は龍門渕さんとこも遊びに来てくれるみたいだしのう……わしも一回着替えてくるわ」

揺杏「あっ！ ちゃんとその服持ってってくれよ？ 一たちにも着てるとこ見たいから持ってこいって言ってあるし！」

まこ「はいよ、そっちの方も楽しみじゃね」

揺杏「おうよ！ 憧ちゃんもいるしな……純の分の目標は『憧ちゃんが鼻血出して喜ぶ』だし、イケメンっぷりを存分に発揮してもらわないと……」

灼「いくら憧でもそこまではいかないと思うけど……」

揺杏「あくまでも目標だから！ イケメン向け執事服！」

久「やっぱりメイド服じゃないじゃないのよ……」

207 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:16:53.34 ID:AjzMI2UY0

――――――

灼「……ここが、清澄の合宿所？ 聞いてはいたけど……」

揺杏「はぁー……いいもん持ってんなぁ……しかも温泉つきだろ？ 羨ましい」

久「ふふ、私の代でインハイ優勝したし連休の時期にも予約取れるようになったのよねー」

まこ「懐かしいのう……咲たちが入ってきた時は、連休終わって県予選前ギリギリじゃったからのう」

久「新一年生たちも入ってきてることだし、ビシッと先輩らしいとこ見せてあげないとね！ ほら、行くわよ！」

揺杏「突撃じゃー！」

灼「落ち着いて」

まこ「しかし、龍門渕に阿知賀……と、揺杏かい……随分とゲストの多い合宿になったのう……」



咲「あっ！ 染谷先輩！ 竹井先輩！ 灼ちゃんに岩舘さんも！」

久「はぁい、来たわよー」

和「お待ちしてました！」

優希「待ってたじぇ！ 京太郎！ 例のブツを出してこい！」

京太郎「あいよっ！ ども、お疲れさんです！ わりいムロ、ちょっと手借りていいか？」

裕子「はい、今行きます！」

マホ「あっ！ マホもお手伝いします！」

裕子「……マホは先輩方のお出迎え、任せた！」

マホ「りょうかいですー！」

憧「お出迎えって……」

裕子「……あいつ、危なっかしいんで」

穏乃「ケーキ倒しちゃったりしたらもったいないもんね……」

憧「あ、しずも負けず劣らず危なっかしいからお出迎え担当でいいわよ」

穏乃「えっ！？ 私そこまでドジんないって！」

優希「フラグっぽいじぇ」

穏乃「えー！？ っていうか優希だって人のこと言えないだろー？」

優希「私ほどしっかりしてる奴もいないじぇ？」

咲「優希ちゃん、それもフラグっぽいよ……」

208 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:17:46.14 ID:AjzMI2UY0

まこ「みんな相変わらずじゃのう……龍門渕さんらはまだなんか？」

和「はい、そろそろこちらに着くと先ほど連絡が……先輩たちも来てくださいましたし、ちょうどいい時間なので一旦お昼にしようかと」

穏乃「みなさん昨日ぶりですっ！ なんか豪華なお食事出るみたいですよっ！」

玄「清澄の子達はね……私たちは飛び入り参加だから自前で用意しないとっ」

宥「くろちゃーん、ご飯炊けたよ〜」

玄「ありがとうお姉ちゃん！ それじゃあ、下拵えもしてあるし、ささっと用意しちゃうねっ」

揺杏「あ、なんか手伝う？ ただでもらうのも悪いし……私料理もできんのよ？」

玄「大丈夫！ 揺杏ちゃんには前に服とかも貰っちゃってるし……」

揺杏「あ！ 服と言えばさ、メイド服とか着る？ 今いろいろ作っててはまってんだけど！ まこにもRoof-top用で誕プレであげたり一たちに作ったりで！」

玄「えっ？ えっと、うちは旅館だしちょっとイメージにも合わないから……」

久「いいじゃないの、貰っておけば……執事の彼氏さんともお揃いになるし」

玄「ふぇ！？ お、お揃いってそんな……」

揺杏「萩原さんもさ、メイド服好きだから執事やってるとこあると思うし！」

玄「そ、そうだったの！？」

灼「そんなことはないでしょ」

京太郎「いや、断言させてもらいますけどね！」

玄「はわっ！？」

京太郎「男はメイドさん大好きですっ！ 萩原さんだってそれは変わらないはずっ！」

和「何を熱弁してるんですか」

優希「このバカ！ ケーキはどうした？」

京太郎「ちゃんと用意してあるって！ 昼食ったらすぐ出せるよ！ ……そんじゃ、染谷先輩は今日の主役ですからね！ 上座でどうぞ！」

まこ「……合宿中なんじゃから、そこまで気ぃ遣わんでええのに……」

和「私たちがやりたくてやってるんですよ？」

優希「染谷先輩こそ気を遣わないで欲しいじぇ！ 卒業したとはいえ、ここはまだまだホームだじょ？」

まこ「……あんがとな」

久「ふふ、よかったじゃない」

まこ「ん……ほんと、嬉しいもんじゃ」

209 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:20:04.26 ID:AjzMI2UY0

京太郎「ところでですね……竹井先輩、ちょっと気になる発言が……」

久「え？ 私なにか言った？」

京太郎「いや、聞き間違えだと思うんですけどね？ 今、玄さんに……し、執事の彼氏さんって……」

久「？ 言ったけど？」

京太郎「いやいや、おかしいじゃないですか、彼氏さんって、そんな、玄さんと萩原さんが……つ、付き合ってる、みたいな……」

咲「え？ 京ちゃん今さらなに言ってるの？」

和「知らなかったんですか？」

優希「三月末ぐらいにそんな話があっただろ？」

京太郎「は、はは……そんな、嘘……だろ……？ エイプリルフールは先月だぜ？」

まこ「こんなん、嘘つくことじゃないじゃろ」

京太郎「……そんなっ！ 嘘だっ！ 俺、聞いてないっすもん！ このあと萩原さん来るんですよね！？ 問い詰めて……」

玄「あっ！ は、萩原さんもう来ちゃうの！？」

和「身支度してきていいですよ、玄さん。 下拵えしてあるのなら私が仕上げちゃいますから」

玄「で、でも……」

憧「いいから準備してきなさいよ。 まあ、特に変なとこはないけど……気になるならベストな状態に持ってくべきでしょ」

咲「憧ちゃんも準備してきていいんだよ？」

憧「…………そ、それじゃあちょっと……ね、変じゃないよね？ スカート皺になってない？」

優希「ばっちし！ ずっと座ってたし気になるよなー」

京太郎「……し、信じないぞ、そんな……は、萩原さんが、玄さんに……」

210 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:22:16.23 ID:AjzMI2UY0

透華「さあ、来ましたわよ！ 本日の主役が！ 原村和！ 勝負ですわ！」

衣「遊びに来たぞー！」

和「あ、龍門渕さん、天江さん」

智紀「今日の主役は染谷さんでしょ……おめでとう」

まこ「おう、ありがとう」

純「お、もう阿知賀面子も揃ってんのな」

憧「！？」

一「お邪魔します！ あ、揺杏ちゃん！ 昨日もらったメイド服、着てきたよ！ どうかな？」

揺杏「自分の才能が怖い！」

穏乃「素敵です一さん！」

一「えへへ、ありがとっ！ でも、やっぱり今回の注目は純くんだよね」

純「揺杏！ これメイド服じゃなくて執事服だろ！ オレは女だっ！」

揺杏「え？ フリフリのかわいいメイド服がよかったの？」

純「こっちのがいいけど！」

揺杏「じゃあ文句言うなよなー」

純「いや、とりあえず言っとかねぇとダメかなーと……」

灼「……持ちネタ？」

一「お約束は大事だよね……ほら純くん、昨日やった執事喫茶ごっこの成果を見せてよ！」

純「えぇ……？ 別にいいけどよ……」

純「……ん……んん、……っし」

純「お帰りなさいませ、お嬢様」

憧「ふきゅ」

憧「……っ、え、あの、え！？ た、ただいま！？」

灼「憧、ちょっと落ち着いて」

揺杏「どうだ憧ちゃん！ いいだろ！ 完璧だろ！？」

憧「ちょ、ゆ、揺杏！ いい仕事するじゃないのよ！」

揺杏「かっけぇだろ？ 鼻血出そうだろ？」

憧「さ、さすがに鼻血なんて出さないわよっ！！ どんだけ興奮してんのよ！？」

211 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:24:00.02 ID:AjzMI2UY0

ハギヨシ「失礼いたします」

玄「！ あ、は、萩原さ……」

京太郎「萩原さん！！ ちょっと！！ お話が！！」

ハギヨシ「須賀くん？ どうかされましたか？」

京太郎「どうかされましたか？ じゃないですよ！ 玄さんと付き合ってるってマジなんすか！？ 聞いてないんですけど！？」

ハギヨシ「え……」

ハギヨシ「……その……言ってませんでしたか？」

京太郎「ギルティィィィィ！！」

ハギヨシ「は、はい！？」

京太郎「どういうことっすか！？ なんですか！？ つまり、アレですか！？ 玄さんと致しちゃったんですか！？」

ハギヨシ「な、なにをでしょうか？」

京太郎「ヤったのかって聞いてんすよ！！ 」

ハギヨシ「お、大声で何を言ってるんですか！？ し、してないですよ！」

京太郎「嘘だ！ 付き合ってるなんて……もうアレなんでしょ！？ ヤりたい放題なんでしょ！？」

ハギヨシ「だから何を言ってるんですか！ してませんよ！」

京太郎「でも乳くらい揉んだんでしょう！？」

ハギヨシ「してませんよ！！」

玄「あわわ……」

揺杏「おー、玄ちゃん真っ赤っかだ」

宥「あったかそうだねー」

憧「相変わらず最低ね……」

咲「フォローのしようがないなあ……」

212 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:25:52.21 ID:AjzMI2UY0

まこ「京太郎は……アレさえなけりゃあのう……」

灼「みんな相変わらずみたいで……」

まこ「ま、変わらんのもええことじゃ……変わらんといけんこともあるがのう」

久「少なくとも須賀くんは変わらないといけないことだらけねぇ」

和「後輩の子たちも引いてますよ……？ もう、他校のみなさんもいるのに恥ずかしい……」

咲「ほんとにね……和ちゃん、ご飯の準備、行こ？ 染谷先輩や灼ちゃんたちの分用意しないと……」

和「……はあ、そうですね……玄さんが準備してくださったようですから……」

まこ「わしも手伝……」

咲「染谷先輩は主役なんですから働かなくていいんです！ 灼ちゃんも、ね？」

灼「……手伝いくらいたいしたことじゃないのに」

咲「たいしたことじゃないからゆっくりしてて？ 遠出してきてくれてるのに余計なお仕事まで任せられないよー」

和「はい、私たちに任せてください」

優希「ノッポたちも来たことだしさっさと準備するじぇ！ タコスも用意せねば！」

和「ちょっ……ゆーき！ 材料にも限りがあるんですから片っ端からタコスにするのは……！」

灼「……ほんと、相変わらずだね」

まこ「うん……ふふ、この調子なら安心してみてられるわ」

213 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:27:10.50 ID:AjzMI2UY0

灼「……新部長、優希なんだよね」

まこ「ああ。 優希が真っ直ぐ引っ張ってくれるのを期待しとるよ……そっちは、高鴨さんじゃったな？」

灼「ん……うちは、やっぱり穏乃がチームの中心だから…………憧はリーダー型というよりも参謀型だし」

久「ふふ、新子さんはテンパり癖だけ抜ければもっとよくなりそうなのにねえ」

揺杏「アレがかわいくていいんじゃんか」

灼「ん……アレがかわいいから、あのままでもいいよ」

久「かわいいは正義よねー」

まこ「あんたらのう……」

灼「穏乃もかわいいしね。 うちの後輩ヤバい」

久「かわいさならうちの後輩たちも負けてないわよ！」

揺杏「なんで張り合ってんの？」

灼「揺杏のとこは？」

揺杏「うちにはユキがいるんだぞ？ かわいいに決まってんだろうが！」

まこ「なんであんたも張り合っとるんじゃ……」

揺杏「自慢の後輩ですからね！ まこだってそうだろ？」

まこ「そりゃ、当然じゃろ？」

214 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:28:33.93 ID:AjzMI2UY0

まこ「優希も、咲も、和も……しっかりしとる。 わしの、インハイへの想いを託させてもろうて……それも背負ってきっと優勝してくれると信じとるよ」

灼「……うちだって、負けないから……穏乃も憧も、私の分まで戦ってくれる……」

久「ほんと。いい後輩を持ったわよねぇ……ちょろっと見てきたけど、ケーキもなかなか豪華そうよ？」

まこ「物で判断することでもないじゃろ……まあ、うれしいんだがのう」

揺杏「あ、いろいろ出てきたな……始めますかね」

灼「ん……そだね。 ほら、まこ……席ついて」

まこ「はいはい……んじゃあ、ありがたく祝ってもらうとするかのう」

優希「さあさあ！ 準備はいいか野郎共！」

純「オレは女だ！」

智紀「もうノルマ達成してるからいいよ」

優希「ジュースは持ったな？ 行っくじぇ！ かんぱーい！」


「「「まこたんイェイ〜」」」


カン！

215 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/06(金) 03:31:59.45 ID:AjzMI2UY0

まこたんイェイ〜
清澄はなんだかんだで別に立てて書くことが多いからそっちで満足しちゃってあまり書いてない気がするけどやっぱり楽しい
しっかり時間とって書きたいなぁ

216 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/06(金) 07:46:45.91 ID:SCs1HR/co

乙
かいわいすぎるメイド服を着たまこりんの画像はよ

217 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/06(金) 08:18:24.24 ID:2LAoG7XAO

乙です！
其れから面白かったです！
久々に本編時空(個人戦前)の話をリクします。
はやりんファンによるはやりんのお菓子作り講座を是非！

218 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/06(金) 10:02:00.74 ID:3EKoUqy3o

乙です

219 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/07(土) 21:40:47.47 ID:qkZQ/lHq0

乙！

220 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 01:50:23.63 ID:ANQf6yUL0

はっちゃんと塞さんが仲良しで和んでます。霞さんの無茶ぶり芸も好きです
投下。ハルちゃんたちと原村夫妻

221 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 01:53:05.94 ID:ANQf6yUL0

晴絵「そろそろ個人戦始まりますけど……特別注目してる子とかいます？」

健夜「本命は素直に白糸台の宮永さんだよね。 そのまま終わっても面白くないし去年競ってた辻垣内さんや荒川さんにも頑張って欲しいけど……赤土さんのとこの子は出てないんだよね？ もう少し見てみたかったんだけど……残念だなぁ」

はやり「個人的には有珠山のさわやちゃんかな？ よしこちゃんみたいに……あの子もなにか持ってるし」

晴絵「ああ……あの子、面白いですよね。 瑞原さんは和とかの方が気になるのかなーと思ったんですけど」

はやり「ふふ、のどかちゃんは別の意味でも気になるかな……だってほら、ねえ？」

理沙「キャラ被り！」

はやり「その言い方はちょっと……牌のお姉さん的な意味でならそれこそてるちゃんとか鹿老渡のいちごちゃんとか千里山のりゅーかちゃんとかも……」

健夜「かわいい子多いもんね……佐々野さんなんかはメディアがそっち系の取り上げ方してたし……理沙ちゃんは気になるとこは？」

理沙「白水！ ……愛宕！」

晴絵「哩は新道寺の後輩ですもんね。 愛宕は……少し野依さんに似てるかもしれませんね、防御というか、危機察知能力が。 基本はやっぱり愛宕元プロに印象近いんですけど」

健夜「見てると現役の頃の愛宕プロ思い出すよね……いくら固くても宮永さんはある程度自分で引いてこれるから攻め勝てるかとなると難しそうだけど」

はやり「でもひろえちゃん、攻め手も結構手堅いし隙を突くのも上手だから……やっぱり鼻が利くんだよね。 三連覇に待ったをかけるなら期待したいかなあ……はるえちゃんはどうなの？」

晴絵「そうですね……奈良一位の小走や長野一位の福路辺りにはちょっと期待してますね」

健夜「二人とも団体戦敗退校の子だね……福路さんは一昨年インハイで見たかな、一年生のわりに安定した打ち手だったけど……」

理沙「巧い！」

晴絵「ええ、二人とも立ち回り巧いんですよね。 状況ごとに対応できる引き出しの多さが魅力の打ち手です」

222 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 01:54:51.78 ID:ANQf6yUL0

団体戦が終わり、プロとして活躍する知人たちも少し時間的余裕があるようで……

今日はみんなそれぞれ取材を受けていたらしい。 丁度揃って時間が空いたらしく、わざわざ声をかけてくれたので……私もこうして教え子たちを放置して出向いているというわけで

……まあ、あいつらもしっかりしてるし大丈夫だろ、うん

はやり「前にもやえちゃんの名前挙げてたよね？ やっぱり同郷だし気になる？」

晴絵「それはありますね……というか、教え子たちが打ってますし……やっぱり玄に初見でしっかり対応してきた衝撃が強いんですよ。 晩成と当たったのが一回戦じゃなかったらどうなったやら……」

理沙「ドラ！ 見切った！」

健夜「たしかに、アレをいきなり大会本番でパッと見てそれに対応できるのは評価できるよね……火力に差も出るのにかなり取り返してたしね」

晴絵「福路も観察力高いですし、うまいこと周りを使って宮永を止めたり……できることを期待したいですね」

健夜「単純に三連覇じゃ大会もつまらないしね」

はやり「三連覇見たいって気持ちもあるけどねー」

理沙「複雑！」

晴絵「ですねー」

まあ、照とは顔馴染みだし頑張ってほしいけどな……大会的に面白いかどうかと言えばやっぱり接戦で盛り上げてくれた方が見応えがある

個人戦は教え子たちも出てないしある程度お祭り気分で見れるのも気が楽だよな……来年以降のライバルになる可能性があるからただ見てるってわけにもいかないんだけど

223 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 01:56:03.58 ID:ANQf6yUL0

健夜「……せっかく集まったのにまた麻雀の話ばっかりしちゃってるね」

理沙「仕方ない！」

はやり「お仕事だし、好きでやってることだもん……すこやちゃん、なにか面白い話あったりする？」

健夜「えっと……あ、そういえばこの間国外のジュニア大会の牌譜見てたら……」

晴絵「小鍛治さん、それ麻雀の話じゃないですか？」

健夜「え？ あ、そっか……うーん……じゃあ、この前協会の人が来て……」

理沙「麻雀協会？」

健夜「…………カレーとシチューを混ぜると……」

はやり「それってカレーの味が勝っちゃうんじゃない？」

健夜「……はやりちゃん、料理も得意だったね」

はやり「女の子としての嗜みですっ☆」

健夜「……だってよ理沙ちゃん」

理沙「…………！」

晴絵「……いや、私も最低限ぐらいはやりますけど……福岡居たときは一人だったし……」

理沙「意外！」

晴絵「……はっきり言いますね……まあ、別に得意ってほどではないですけど」

健夜「……り、料理できなくってもその分バリバリ稼いでるし……」

はやり「すこやちゃん、今のは女子力減点だよっ」

健夜「…………女子って年でも、ないし……」

晴絵「自虐に走るのやめましょうよ……」

224 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 01:57:02.43 ID:ANQf6yUL0

理沙「……結婚」

晴絵「……ボソッと言うのもやめません？」

健夜「ま……まだ焦るようなタイミングじゃないと思うんだよね……回りが急かすからヤバいような気がするだけだし……」

晴絵「その顔で言われても説得力がないというか……」

……というか、麻雀の話から離れようとするとすぐこっちの話題にシフトするのもどうなんだ？

思いっきり気にしてるよな……気持ちはわからなくもないけど

晴絵「……いっそ、こーこちゃんに合コンでもセッティングしてもらえばいいんじゃないですか？」

健夜「……そういうの苦手だし……面倒だし……ね？」

理沙「面倒！ 怖い！」

健夜「ねー……理沙ちゃんも結構人見知りするしね」

晴絵「面倒って……」

……こう、努力する気がないならもうどうしようもないんじゃ……口には出せないけど

晴絵「……瑞原さん、二人にちょうど良さそうな人とかいないんですか？」

はやり「はやっ？ うーん……はやりはたしかに顔広い方かもしれないけど……」

健夜「まあ、はやりちゃん自身もそういうお話がまだだし他人に回す余裕なんかないよね……」

はやり「はやりはアイドルだから恋愛はしないのっ！ もう、すこやちゃんはまたそうやって意地悪言って……」

理沙「自分のこと！」

はやり「りさちゃんまで！ むぅ……はやりのことはいいの！ はやりは二人のこと心配して……」

健夜「余計なお世話だよ……ほら、そのうちなんとかなるし……ね」

理沙「なんとかなる！ ……なんとかなる！」

……楽観なのか諦めなのか……このままじゃどのみちダメそうだけど

225 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 01:58:16.43 ID:ANQf6yUL0

理沙「……ご飯！」

健夜「そうだね、ご飯食べに行こっか。 そして楽しい話をしようよ」

理沙「麻雀！」

健夜「うん、麻雀の話をしよう。 麻雀って楽しいよね」

理沙「楽しい！」

あ、ダメだ。 ただの逃避だこれ。 知ってたけど

晴絵「はぁ……それじゃ、行きましょうか？ 瑞原さんは……瑞原さん？」

はやり「二人ともまたそうやって……！ お仕事だって大切だけど女の子を切り捨ててくのは……！」

晴絵「ちょ、み、瑞原さん？ 落ち着いてくださいよ……この展開も、なんと言うかまあ、いつものことというか……」

はやり「いつものことだからダメなんでしょ！ はるえちゃんだって今は麻雀が一番かもしれないけど、人生は麻雀だけじゃないんだから！」

健夜「私はもう麻雀一筋で行くから……たまに実家帰ってお母さんのご飯食べて、それだけで幸せだし……」

理沙「もともと実家暮らし！」

健夜「……そ、そのうち実家出るかもしれないし……」

はやり「そのうち、いつか、って言ってるうちはやる気ないって言ってるのと一緒だよ！」

理沙「…………」

健夜「うっ……はやりちゃんってさ、いつもすっごくパワーくれるけど……輝きが強すぎると言うか……そっとしておいてよ……」

はやり「ほっとけるわけないでしょ！ すこやちゃんは大切な友達なんだから！」

健夜「……はやりちゃんが眩しい……」

はやり「りさちゃんも目を逸らさないの！ 自分のことでもあるってわかってるでしょ！」

理沙「……ご、ごめんなさい」

はやり「ふたりともシャキッとする！ 麻雀も女も両立できます！」

晴絵「瑞原さんが言うとちゃんとできる気がしてくるなあ……」

健夜「……でもはやりちゃんだって別に特定の男性がいるわけじゃないし」

理沙「……うん」

はやり「はやりはアイドルだから！ みんなのはやりだから！」

晴絵「というかプロ雀士とアイドルの両立ってよほど凄いと思いますけど……」

226 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:00:06.33 ID:ANQf6yUL0

――――――

健夜「……まあ、はやりちゃんの言うことはわかったよ……うん。 でさ、具体的にどうすればいいの？」

理沙「わからない！」

晴絵「自信満々に言い切らないでくださいよ……」

健夜「だってほら、私たち麻雀に青春かけてたし……男の人との接し方とかよくわからないし……ね」

理沙「うん！ わからない！」

はやり「だから自信満々に言い切らないの！」

晴絵「……小鍛治さん、麻雀始めたの高三ですよね？」

健夜「…………な、なんのことだか……」

はやり「……すっごい目が泳いでるけど」

晴絵「えぇ……そこまで誤魔化し下手ってどういうことなんですか……麻雀打ってる時は全然表情見えないのに……」

理沙「ダメダメ！」

健夜「理沙ちゃんに言われたくないよ！ 麻雀打ってない時のダメ加減はどっこいどっこいでしょ！？」

理沙「言われたくない！」

晴絵「目立ちますししょうもない喧嘩しないでくださいよ……っていうかふたりとも変装とかしないんですか？ 名の売れた雀士なのに……」

健夜「え？ うん。 私、打ってるとき以外オーラ無いってよく言われるし」

理沙「私も！」

晴絵「いや、それも胸張って言うことじゃないんじゃ……」

227 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:01:58.15 ID:ANQf6yUL0

健夜「……はやりちゃんだって髪下ろして眼鏡かけたくらいだよ？」

はやり「髪型変わるとけっこう印象変わるよ？ 意外とわからないものだよ〜」

理沙「喋りでバレる！」

健夜「しかもはやりちゃん、サービスし過ぎというか……けっこう町中でもファンの人と話したりするよね」

晴絵「あー……この前、菫と会ったときとかも……」

はやり「……まあ、騒ぎにならない範囲で時間が許す限りは……無視されちゃったら悲しいし寂しいでしょ？ はやりはみんなに笑顔になってほしいんだから当然だよっ☆」

はやり「……ほどほどにするのも難しいんだけどねー」

晴絵「ほんと、アイドルですよね……瑞原さんは」

晴絵「……で、それはそれとして……変装してても見る人が見たらすぐバレちゃうんじゃないですか？ 今日なんかは特に……小鍛治さんと野依さんも一緒ですし。 人気のトッププロ揃い踏みですよ？」

健夜「ここ数年ランキングに関わる対局やってないしトップでは……」

理沙「実力！」

晴絵「国内無敗がなに言ってんですか……」

健夜「あ、あんまり持ち上げないでよ……なんか居心地悪くなるから……だいたいトップって言うなら理沙ちゃんなんか年間防御率トップで賞もらったり……」

はやり「……国内無敗とか防御率トップとか、そういう話してたら余計バレやすくなるような気がするんだけどなぁ……」

「あっ！ もしかして……！」

理沙「！！」

健夜「あっ……」

はやり「ほらぁ……」

晴絵「そりゃ、目立ちますもん……瑞原さんなんて変装してても明らかに美人ですし」

「赤土晴絵さん？ 赤土先生じゃありません？」

晴絵「って私！？」

はやり「ふふ、はるえちゃんも有名人だねっ」

228 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:04:42.97 ID:ANQf6yUL0

晴絵「はい、あ、赤土ですけど……」

「ああ、やっぱり！ お久しぶりですねー」

晴絵「え、ええ……えっと」

知り合い？ でも東京に知り合いなんて……でもどっかで見たような……

……ん？ この顔、それにこの……

晴絵「……ああ、本当にお久しぶりですね。 原村さんは、和の応援で東京に？」

嘉帆「いえ、今は仕事の都合でこっちに住んでまして……単身赴任ってやつ？」

晴絵「そうなんですか……和とは会われたんですか？」

嘉帆「ええ、団体戦準決勝の夜に……いやあ、何だかんだで優勝しちゃったみたいで私としても鼻が高いのなんのって」

晴絵「和、大活躍でしたしね。 個人戦も楽しみですよ」

嘉帆「ええ、本当に！ 決勝はうちの人と観たんだけど……驚いたわ、見知った顔だと思ったら穏乃ちゃんたちに赤土先生までいるんだもの！ 先生、実業団チームに行かれたって聞いてたから……」

晴絵「あー……まあ、色々ありまして……しずたちはインターミドルで活躍する和を見て奮起したみたいですよ。あの子達にとってもいい刺激になったみたいで」

嘉帆「ふふ、あの子が回りにいい影響与えてるなら私もうれしいわ……赤土先生もすっかり有名人って感じなんです？ 麻雀詳しくない私でもわかる程度には豪華なメンバーですけど」

晴絵「はは……学生時代に打った仲でして……」

理沙「こ、こんばんは！」

健夜「ど、どうも……？」

はやり「こんばんは！ 瑞原はやりですっ☆ えっと、のどかちゃんのお姉さんですか？」

嘉帆「そうです！」

晴絵「えー……」

嘉帆「ダメ？」

晴絵「いや、見えますけど……こちら、和の……清澄の原村さんのお母様です」

理沙「母親……ははおや！？」

健夜「高校生の子持ち！？ 嘘でしょ！？ 私たちと同じくらい……というかもっと若く見えるのに！？」

嘉帆「いやあ、やっぱりこの瞬間は最高に気持ちいいわねー」

晴絵「いい笑顔やめてくださいよ……」

229 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:06:16.89 ID:ANQf6yUL0

健夜「……し、初対面で大変失礼だとは思いますが……」

嘉帆「原村嘉帆、44でーす」

健夜「よ、よんじゅうよん……？」

理沙「嘘！ 出鱈目！」

嘉帆「これだけ見た目若いと嘘つく意味もないでしょ？」

はやり「真深さんと同い年……」

嘉帆「あ！ 懐かしい名前！ アレよね、牌のお姉さん！ そっか、はやりんの先輩だ！」

はやり「真深さん、知ってるんですか？」

嘉帆「まふふ、大人気だったもの……たぶん、うちの人ファンだったし」

晴絵「えっ！？」

嘉帆「意外？」

晴絵「いやいやいや！ そりゃあ意外ですよ！ あ、あのお父様が？ アイドルとか全然興味無さそうですけど！？」

嘉帆「あの人わかりにくいようでわかりやすいからねー……別に好きだとか言ってたわけじゃないけど、当時テレビに映った時とかちらちら見てたし」

晴絵「は、はぁ……そういうものですか」

嘉帆「それに、私と結婚しちゃってんのよ？ 私って性格はともかく見た目は結構そっち系統じゃない？」

晴絵「性格はともかくって……」

はやり「お母様ならアイドルだって目指せますよっ☆」

嘉帆「いやあ、さすがにこの年でアイドルは無理ですよー」

はやり「アイドルに年齢は関係ないですからっ！ 大切なのは、ハートですっ！」

健夜「……28にもなってアイドルやってるはやりちゃんが言うと含蓄あるよね」

230 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:07:35.95 ID:ANQf6yUL0

はやり「……なんか棘があるなぁ……すこやちゃんもやってみる？ 楽しいよ？」

健夜「人前で歌って踊るとか無理だから……というか、そもそも人前じゃなくても踊ったりできないよ」

理沙「運動不足！」

健夜「それは理沙ちゃんもでしょ……」

はやり「多少不格好でもみんなを楽しませたいって気持ちが大切なんだよ？」

健夜「……はぁ……今は他人よりも自分の幸せが大事だよ……回りがプレッシャーかけるから……だいたいまだ現役でやっていけるし結婚なんて……」

嘉帆「あら、あの小鍛治健夜でもそっち関係は苦労しちゃうんですね」

健夜「うう……正直、高三からここまで麻雀ばっかりで……」

晴絵「小鍛治さん、卒業後即プロ入りしてからトントン拍子でタイトル戦やら国際戦やら休む暇もなかったですもんね……というか原村さん、今の小鍛治さんと同じ年で和産んでるのか……」

健夜「やめて！ そういうこと言うの！ 一緒にインターハイ出たメンバーだってもう半分は子持ちだとか思い出したくもないよ！」

理沙「…………ふふっ」

晴絵「二人して本気でへこみ始めるのやめてくださいよ……」

嘉帆「あはは、なんならここで会ったのもなにかの縁ですし、うちの後輩たちでも紹介しましょうか？」

健夜「えっ」

理沙「！？」

晴絵「えぇ……さすがにそこまで……」

嘉帆「赤土先生だってそろそろ同級生とかぼちぼち結婚したりしてるんじゃないんですか？」

晴絵「うっ……それはまあ……でも、私はまだ夢を追ってる段階というか……身を固めるにはまだ早いかなーって……」

嘉帆「大丈夫ですって、私も仕事しながら結婚して娘もいるんだし！ むしろそう言ってるうちにタイミング逃しちゃうわよ？」

晴絵「そ、それを言われると……」

健夜「こっち見ながら実感するのやめてよ！」

231 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:09:32.16 ID:ANQf6yUL0

はやり「……まあ、みんなきっかけがないと動けないんだろうし、お言葉に甘えてみてもいいんじゃない？」

理沙「……はやりん！」

はやり「はい、はやりはアイドルなので付き合いませんけど」

理沙「……っ！」

はやり「そんなあからさまに不安そうにしないでよ、りさちゃん……というか、意外と乗り気？」

理沙「べ、べつにっ！」

晴絵「えーと……原村さん、弁護士でしたっけ？」

嘉帆「それは旦那の方です。 私は検事で……」

はやり「旦那さん、弁護士さんなんですか……ご立派ですねぇ」

嘉帆「あはは、たいした仕事してないですから褒めなくていいですよ」

健夜「検事さん……こーこちゃんに頼むよりはしっかりした人出てきそうだけど……」

嘉帆「ふふ、なんなら今から呼び出しても……」

晴絵「い、いや、さすがにそれは……」

嘉帆「安心して！ 私に逆らえるような奴もいないし、声かければすぐにでも……」

恵「……何をやっているんだ、お前は」

嘉帆「へ？」

232 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:10:59.17 ID:ANQf6yUL0

嘉帆「……あら、遅かったじゃないの。 さんざん待たせて……私、忙しいのよー？」

恵「こっちも仕事なんだ、勘弁してくれ……お久しぶりです、赤土先生。 娘が世話になっております」

晴絵「お、お久しぶりです……その……」

嘉帆「ああ、たまにしか会えないんだから食事ぐらい行こうってこの人がうるさくって……私は赤土先生たちの女子会に混ぜてもらっちゃってもいいんですけど」

恵「娘の恩師に迷惑をかけるなよ……失礼、これの奔放さには私も手を焼いていて……」

健夜「……奥さんというより娘さんに使う言葉な気がするんだけど」

はやり「のどかちゃん、しっかりしてるからねっ」

恵「……その、そちらは……？」

晴絵「私の……友人で、プロの打ち手です。 小鍛治健夜さん、野依理沙さん、瑞原はやりさん」

健夜「……どうも」

理沙「こんばんは！」

はやり「はじめましてっ！ 瑞原はやりですっ☆」

恵「……原村恵、弁護士をしております。 なにかあればお力に……」

嘉帆「あんたの世話するような事件は起きない方がいいでしょうが……っていうかはやりんぐらい知ってるでしょ？」

恵「……和がファンだしな」

はやり「応援ありがとうございますっ☆」

嘉帆「…………そういえばさ、あんたまふふのファンだったでしょ」

恵「いや、別にファンというわけでは……というか、いつの話だ。 活動していたのも……もう二十年ほど前だろう」

嘉帆「すぐに活動時期とか出てくるのね？」

恵「……ちょうど、お前と一緒にいた頃だったと思っただけだ」

233 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:13:03.46 ID:ANQf6yUL0

嘉帆「……やっぱり、和はあんたに似たわよね……なんだっけ？ ほら、あの不気味なペンギンの……」

恵「エトペンか？」

嘉帆「そうそれ！ ちっちゃい頃あんたが和に渡した絵本の！ あの子大会中もぬいぐるみ抱いたまま打ってて大爆笑だったんだけど！」

はやり「エトペン、かわいいですよねっ！」

健夜「……エトペンっていうんだ、アレ」

理沙「かわいい！」

健夜「えぇ……？ なんか不気味な感じじゃない？」

嘉帆「っていうかそれ！ なんですぐに名前とか出てくるわけ？ やっぱりああいうの好きなんでしょ？」

恵「…………和が気に入っているから覚えていただけだ。 お前こそ、もう少し娘のことを気にかけてやったらどうだ？」

嘉帆「私が冷たいみたいな言い方やめてよねー……たしかに、あの子しっかりしてるからあんまり心配はしてないけどさー」

晴絵「信頼してるってことですか」

はやり「そういうものかぁ……ご家族と離れて、寂しくないんですか？」

嘉帆「ぜーんぜん！ 仕事も楽しいし、若い男どもをこき使うのもなかなかいいものよ？」

恵「…………」

嘉帆「あ、なに？ ちょっと寂しかったりする？」

恵「……いや……そんなことはないが」

嘉帆「いい年して拗ねないでよー」

恵「拗ねてない」

234 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:14:06.37 ID:ANQf6yUL0

恵「……ところで、今更だが、なぜ……」

嘉帆「ん？ ああ、赤土先生見かけたからつい声かけちゃって……すみません、引き留めちゃって。 予定とかありましたよね？」

晴絵「まあ、正直こっちも一仕事終わってご飯食べ行こーぐらいだったんで……お気になさらず」

嘉帆「そう？ それじゃあ、例の話はまたの機会に……あっ、連絡先交換しましょうよ。 時間合う時に……」

晴絵「な、なにもそこまでしてもらわなくても……」

はやり「……してもらった方がいいんじゃないかな？」

健夜「だからいちいち視線寄越さないでよっ！」

理沙「遺憾！」

嘉帆「そうだ、あんたも事務所の若いのとか、いい男いない？ 紹介してよ」

恵「……お前な、流石に俺に若い男紹介しろって……」

嘉帆「いや、私にじゃないってば。 私にはあんたがいるでしょ……ほら、赤土先生たちに……」

恵「……将来有望で、フリーの者もいないでもないですが」

晴絵「い、いえ！ そ、そこまでしていただくのはやはり……！」

健夜「弁護士……」

理沙「……良物件？」

晴絵「やっぱり結構乗り気ですよね！？」

健夜「こう……不安を煽られてつい……ね？」

理沙「……うん」

235 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:16:03.78 ID:ANQf6yUL0

嘉帆「……よし！ 赤土先生ありがとうございます。 いつでも連絡くださいね。 男の紹介だろうと法廷だろうとお助けしますよ」

晴絵「……ほ、法廷に用事はありませんけど……よろしくお願いします……？」

嘉帆「それじゃあ、私たちも行きましょうか？ 時間、間に合う？」

恵「ああ、余裕はある。 ……それでは、失礼します。 個人戦、良ければ和の応援もしてやってください」

晴絵「ええ、それはもちろん！ 和も私の大事な生徒ですから！」

嘉帆「ありがとうございます！ 私も穏乃ちゃんたちの応援……」

恵「……阿知賀の生徒は個人戦に出ていないぞ」

嘉帆「え？ そうなの？ よく知ってるわね」

恵「……あの子が奈良にいた頃の友達も試合に出ていると言っていたから……」

嘉帆「調べたんだ？ ……和が麻雀続けるのにいい顔しなかったわりにしっかり応援してるわよねえ」

恵「……いや、別に……」

嘉帆「一回反対した手前素直に応援できないってのもわかるけどねぇ……ほら、行くわよ！ 久々のデートなんだからちゃんと楽しませてよー」

恵「……努力はするが」

236 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:18:58.69 ID:ANQf6yUL0

健夜「…………」

理沙「…………」

晴絵「……どうしたんですか？」

健夜「いや……原村さん、面白い人だったし、いい人だったけどさ……」

晴絵「けど？」

健夜「なんかさ、ちょくちょくのろけてるのかなんなのか知らないけどいちゃいちゃするのなんなの！？」

理沙「あてつけ！」

晴絵「えぇー……ふたりともそれは気にしすぎなんじゃ……」

はやり「仲良し夫婦で羨ましいねー」

健夜「こちとら行き遅れだのなんだのって変にいじられてるっていうのに……もうっ！やってらんないよっ！」

理沙「やってられない！」

晴絵「……め、めんどくさいなぁ……このひとたち……」

はやり「複雑なお年頃なんだよ……」

健夜「はやりちゃん私と同い年でしょ！？ 少しぐらい焦ったら！？」

はやり「はやりはアイドルだから……!」

健夜「いつまで？」

はやり「いつまでって……うぅぅ……ね、年齢になんて負けないもんっ！ 生涯アイドルでいけるもんっ！」

晴絵「……はぁ……ほんとにもう、この人たちは……」

手がかかるというかなんというか……私より年上なんだよな？

打ち手としては尊敬できる人たちなんだけど……

晴絵(…………変に拗らせないよう気をつけよう、うん)


カン！

237 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/16(月) 02:22:14.64 ID:ANQf6yUL0

恵さんかわいい説を推していきたい所存ー
両親そろってるのも珍しいケースだしおいしいと思うんですよねー

気が付けばあこちゃー誕生日もすぐそこですね…用意を急がねば

238 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/16(月) 09:09:36.82 ID:MxWfwpHCo

乙
この母キツ・・・くない

239 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/16(月) 09:22:28.85 ID:ulJ3Equvo

乙です

240 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/17(火) 01:25:02.22 ID:45wAPHfG0

乙
のどママ普通に女子大生でも通用しそうなレベル

241 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/17(火) 17:33:37.12 ID:4LvoXRPAO

乙です…
いやはや現場に大阪の監督達(愛宕雅枝監督と善野一美前監督と赤阪郁乃監督)が来なくて良かったです…

242 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/17(火) 18:31:35.88 ID:1OBvOVpj0

あこたんイェイ〜
今日中に帰れなそうな上明日も早いんで毎度のごとく遅刻で明日か明後日に投下します

243 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/17(火) 18:51:47.69 ID:4Ulh5yjVo

おｋ

244 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:24:36.14 ID:oSw1mLVd0

友清一年かよ！！しかもいい子だ！！千里のサブメンバーとか新道寺の先生とか、キャラが増えるといろいろ捗りますね

大遅刻イェイ〜
まあ、ほら、投下しないよりはいいと思うんですよね…

245 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:25:30.21 ID:oSw1mLVd0

穏乃「憧ーっ！ 早く早くっ！ 電車来ちゃうよっ！」

憧「いや、かなり余裕あるでしょ……ちょっと落ち着きなさいよ」

初瀬「テンション上がるのもわかるけどねぇ……小走先輩が試合のチケット送ってくれるなんて！」

灼「チケットの送り方が素直じゃないよね。 いつもの事だけど」

初瀬「ほんとですよ……私のとこに『そういえば、新子が誕生日だったわよね？ 暇そうなら誘ってやれば？』なんて言ってたわりに……」

灼「照さんから私にも送られてきてるんだよね……『やえが新子さんにチケット送ってるから一緒に来たら？』って」

憧「マジでありがたいんだけどね……プロの試合はやっぱり勉強になるし……」

穏乃「中継で見るよりもやっぱり会場で見る方がテンション上がるしね！」

憧「しずは今からテンション上げすぎだって！……で、やえさんと照さんからチケット二枚ずつで……」

宥「江口さんと清水谷さんから二枚ずつでさらに四枚、だね……怜ちゃんたちとは現地合流になるけど……」

憧「江口セーラも律儀よね……別にそこまで親しく付き合ってたわけでもないのに……」

宥「江口さんと清水谷さんは私と怜ちゃん繋がりかな……それに、ふたりとも穏乃ちゃんお気に入りだし」

穏乃「いやあ、お世話になってばかりで申し訳ないんですけどね！ 今日はしっかり応援しますよ！」

憧「って言うか私はどっちを応援すればいいのよ……別々のチームからチケット送ってもらっちゃってんだけど……」

灼「いいんじゃない？ 知り合い応援するぐらいで」

初瀬「あんまり固く考えなくてもいいんじゃない？ ただ応援してても意味ないしね、夏に憧たちに勝つためにもしっかり勉強しないと……！」

穏乃「初瀬は真面目だなぁ……」

初瀬「当然！ 王者晩成の看板背負ってるんだもん！ ……穏乃はお気楽すぎ！ っていうかなに？ 晩成なめてるの？」

穏乃「まさか！ 試合見に行くってだけでテンション上がっちゃって……っていうかうちの方が圧倒的に層薄いし春は憧が初瀬にやられちゃったしそこまで余裕ないって」

憧「う、うっさいわね！ 次は負けないっての！」

初瀬「ふふ、オーダー位置によるけどね……私だって負けないんだから！」

246 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:26:21.28 ID:oSw1mLVd0

初瀬は、相当腕を上げた

一年生の時、私たちが晩成を破って全国に行って……中学時代に同じぐらいの実力だった私と差をつけられたように感じたらしく特訓に特訓を重ねたらしい

応援席から控えに、去年の秋には控えからスタメンに昇格して……春は、他家に気をとられてるうちに隙を突かれてひっくり返されるという失態をおかした

……これ以上やられるつもりはないけど。 私だって強くなってるし……

……っていうかやっぱり晩成強いのよねー……私としずはともかく後輩たちがどこまでやれるか……

宥「……玄ちゃんも来れたら良かったんだけどなあ」

灼「連休も終わってるし、余裕あるんじゃないの？」

宥「余裕あるうちにお勉強するんだー……って……私ばっかり遊んでてなんか……」

憧「……まあ、玄がやりたくてやってるんだし……あんま気にしても仕方ないっしょ」

宥「うん……あ、お仕事終わったら望さんと一緒にケーキ焼いておくって」

憧「えー！？ 帰ったら食べなきゃじゃん！ 太ったらどうすんのよー！」

穏乃「食べなきゃいいんじゃない？」

憧「食べるに決まってんでしょ！ あー……しばらく節制しないと……」

初瀬「じゃあ、試合見終わったらなんか美味しいものでも奢ってやろうと思ってたけど憧のためにもやめてあげるかー」

灼「そだね。 残念だけど……」

憧「遠慮しなくていいって！ 食べる！ 食べるから！」

灼「太るよ」

憧「意地悪言わないでよ……むぅ、宥ねえもなんとか言ってやってよ！」

宥「え？ えっと……大丈夫、憧ちゃん細いし少しぐらい太っちゃっても……」

憧「太れってか！？」

穏乃「よし、一緒にトレーニングしようか！」

憧「しずのトレーニングはダイエット感覚でやれるレベルじゃないから！」

247 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:27:49.56 ID:oSw1mLVd0

初瀬「っていうかまだ山とか走り回ってんの？ そろそろ県予選も近いってのに余裕じゃん」

穏乃「いやいや、むしろ山に行かないと力がでないと言うか……」

憧「……練習した後に山ひとっ走りして帰る、みたいな」

初瀬「……穏乃はなんで麻雀やってるの？ 陸上とかやったら？」

穏乃「好きだから麻雀やってるんだって！」

憧「ま、無駄体力よねぇ」

灼「どうせ余ってるなら走って発散するぐらいでいいんじゃない？」

宥「元気なのは穏乃ちゃんのいいところだよ〜」

穏乃「えっへへ！ そうですか？」

灼「……電車では静かに」

穏乃「あっ、ごめんなさい……」

灼「…………」

穏乃「あっ、えっ、なんで撫でるんですか？」

灼「いや、しゅんとしてるから……つい」

穏乃「もう、へへ、やめてくださいよぉ、子どもじゃないんですから……」

248 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:29:26.68 ID:oSw1mLVd0

初瀬「……超うれしそうだけど」

憧「しずは子どもだからね」

穏乃「子ども扱いするなよー！ 憧だって言うほど……」

宥「大声出したらめっ、だよ〜？」

穏乃「ご、ごめんなさい……」

宥「…………」

穏乃「ゆ、宥さんまで……わ、私もう18なんですよ？」

宥「えへへ、穏乃ちゃんかわいいからつい、ねー？」

灼「ん」

穏乃「えへへへ、なんなんですかもう……」

憧「まったく……しずはいつになっても子どもなんだから……」

初瀬「……憧も撫でてほしいの？」

憧「なっ……んなわけないでしょ！」

初瀬「私が撫でてやろうか？」

憧「いらないっての！」

灼「憧、大きな声出さない」

憧「あ、ごめん……」

灼「…………」

憧「…………」

灼「今待った？ 撫でられるの待った？」

憧「…………待ってないもん！！」

初瀬「……顔真っ赤だぞ、憧」

249 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:30:31.92 ID:oSw1mLVd0

灼「よしよし」

宥「いいこいいこ」

憧「〜〜〜〜っ！！」

初瀬「で、結局大人しく撫でられると」

憧「さ、騒いだら回りに迷惑だし……っ！」

穏乃「まったく、素直じゃないなあ」

憧「…………そ、そういえば、あっちの駅で合流するんだよね？ 園城寺さんたち！」

初瀬「誤魔化すのも下手だなあ……」

宥「怜ちゃんと、泉ちゃんと、ふなきゅーちゃんが待ってるよ〜」

穏乃「絹恵さん、今日は一緒じゃないんですね……」

宥「絹ちゃん、どうしてもはずせない用事が……って」

灼「仕方な……むしろ、わりと急だったのにこれだけ集まれたのが凄い」

憧「ま、チケット余らせるわけにもいかないし誰かしら呼んでたんでしょうけどね」

初瀬「……つーかさ、いつまで撫でられてんの？」

憧「べ、別に私が頼んだわけじゃないし！ 宥ねえと灼さんに聞いてよ！」

灼「憧が撫でられたそうにしてる間は撫でてるけど」

憧「別に撫でられたそうにしてるつもりないんだけど！？」

灼「じゃあやめとく」

憧「あ……」

灼「…………」

宥「かわいいかわいい」

憧「だ、だからもういいってば！ 灼さんもニヤニヤしないで！」

初瀬「……阿知賀は上下とかあんまないし仲いいよね」

穏乃「人数少ないしもともと幼馴染みの集まりみたいなとこあるから……晩成だって仲いいじゃん」

初瀬「うん、まあ……とはいえ基本的に上下関係厳しいし進学校で名門でもあるから全体的に競争意識強いからさー」

250 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:31:43.06 ID:oSw1mLVd0

灼「……ほら、そろそろ着くよ。 宥さんもそろそろ……」

宥「うん……憧ちゃん、撫でるのやめてもいい？」

憧「いつでもやめていいってば！ もう……ここまで私がどれだけ恥ずかしかったと思ってんのよ……」

初瀬「気持ち良さそうに撫でられてたよな？」

穏乃「うん。 うれしそうに撫でられてたね」

憧「う、うっさいわね！ そんなことないわよ！」

宥「そ、そんなに嫌だった……？」

憧「あ、その……べ、別に嫌とか、それほどのアレじゃないけど……」

宥「そっかあ。 よかったぁ」

初瀬「なんだよアレって」

穏乃「なんだろうねぇ」

憧「……だからニヤニヤしてんじゃないわよっ！」

灼「……ふたりとも、それくらいにしてあげて」

憧「灼さん……！」

灼「誕生日だし、今日は憧を甘やかすって決めてるから。 あんまりからかって拗ねちゃってもかわいいけどめんどくさ」

穏乃「あー」

初瀬「たしかに」

憧「めんどくさいってなによぉ！ つーか納得すんな！」

251 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:33:04.77 ID:oSw1mLVd0

――――――

怜「お、来たな」

宥「おはよー」

泉「おはようって時間でもないですけどね……新子、誕生日やってな？ おめでとさん」

憧「どうもー」

初瀬「おっす二条、地区予選抜けられそ？」

泉「天下の千里山やで？ 三箇牧の荒川さんも卒業したことやし……総合力はこっちが上や。 そっちこそ、全国はどっちが出てくるん？」

穏乃「当然阿知賀！」
初瀬「晩成に決まってるじゃん！」

初瀬「……いやいや、それこそこっちのが総合力では段違いだし？」

穏乃「例えそうだとしても阿知賀は晩成と相性いいって言うか？ よしんば不利だとしても負ける気はないし！」

初瀬「穏乃と憧さえ抑えれば怖いもんないし？ 層の厚さが違うし？」

穏乃「私と憧で稼いじゃえばいいし？ うちの後輩たちだって特訓積んでるし実力だってちゃんと……」

泉「あー、悪かったから前哨戦始めんのはやめとかん？ 県大会で決着つけましょ？」

憧「最初から煽らなきゃいいでしょ……あれ？ 船久保さんは？」

怜「フナQならあっちにおるで？」

252 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:33:59.67 ID:oSw1mLVd0

浩子「これ、今日の登録メンバーのデータですわ」

智紀「ありがとう。 プロのデータは有名どころしか持ってないから助かる」

浩子「言うて私も持ってるのは基本関西方面の打ち手のデータばかりですけどね。 まあ、セーラや清水谷元部長のチームメイトぐらいは知っとこうと思いまして」

憧「……沢村さん？」

智紀「どうも。 誕生日おめでとう」

灼「ともきー！ 来たの？」

智紀「うん。 透華が……プロの試合も勉強になるし、見に行ってこいって……新子さんが誕生日で、試合見に行くって聞いたからチケット取ってくれたみたい。 人数分とはいかなかったけど」

憧「へ、へー……そうなんですか……」

智紀「なにキョロキョロしてるの？」

灼「わかってて聞かなくても……」

憧「べ、別に！？ 純さん探してるとかじゃないですけど！？そもそも呼んだわけでもないですし来てなくたって別に……！」

穏乃「あ、純さんこんにちは！」

憧「ふきゅ」

純「おっす！ 穏乃、ハンバーガーだけど食うか？ ほれ、お前らも」

泉「ども！ ゴチになります！」

初瀬「あ、なんかすみません」

怜「も、もらってええんか！？ は、ハンバーガーにお芋さんを！？」

宥「怜ちゃん、体に……」

怜「わかっとる！ わかっとるが……！」

純「……ほどほどにしとけよ？ 体に悪い味がするぞ」

智紀「純」

純「……なんだよ？」

智紀「新子さん、来た」

憧「あ、あの……」

純「……なんか、お呼びじゃねぇみたいだし…………ほら、食えよ」

怜「ありがとう！ さすがイケメンは違うわ！」

宥「怜ちゃん……もう、今日だけだよー？」

253 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:34:59.72 ID:oSw1mLVd0

憧「あ……ああ……」

智紀「……純、拗ねてる……くくっ……」

灼「結構かわいいとこあるよね」

智紀「子どもっぽいだけ」

憧「ちょ、あの……えっ、ど、どうしよう！？」

灼「どうしようというか……最初から素直にしてれば良かったのに」

智紀「ま、そのうち機嫌なおるから大丈夫」

憧「え……え？ 本当に？ 大丈夫なんですか？」

智紀「たぶんね」

浩子「新子さんは井上と仲ええでしょう？ そこまで気にすることです？」

憧「なっ、仲よく見えますかっ！？」

浩子「……急に元気になったな？ ちょっとびっくりしたわ」

智紀「新子さん、そういう……ちょっと変なとこあるから」

憧「変って！ 普通ですよ！ 阿知賀一の常識人ですよ！？」

浩子「その枠は鷺森やろ」

智紀「灼」

灼「ども……憧も、まあ……基本は普通にまともな子なんだけど……」

憧「ちょ、え！？ 灼さんなんでそんなに歯切れ悪いの！？ 嘘でしょ！？」

灼「……私は、憧のこと信頼してるよ」

憧「なんかその言葉が信用しづらいんだけど！？ うぅ……な、なんなのよ、今日は……」

智紀「誕生日」

浩子「おめでとうございます」

灼「おめでとう、憧」

憧「……ありがとうございます」

254 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:36:21.40 ID:oSw1mLVd0

憧「……いつの間に仲よくなったんですか？」

智紀「私？」

浩子「実は一昨年の夏からちょくちょくデータの共有をする仲でして……」

灼「最近だと、ハルちゃんの対局の中継一緒に見たりしてた」

浩子「最初は通話繋げてたのに沢村が喋るより早いから、って結局チャット使い始めたときは笑ってもうたわ」

智紀「……実際に早いから」

灼「ふたりが早すぎて今度は私が会話に入れなくなるという……」

浩子「最終的に両方使ってましたからね。 まあ、今日は一緒に会場で試合見るってことでそこら辺のラグとか面倒なのはなくなりますから」

智紀「……席、遠いけどね」

灼「別々に取ったチケットだからしょうがな」

浩子「まあ、これだけ知り合い集まったんだしちょっとぐらい交換してもいいんじゃないですか？ そっち、どこの応援席なんです？」

智紀「横浜。 宮永さんと小走さんからチケット貰ったって聞いてたから」

浩子「それじゃあ、新子さんとチェンジで」

憧「へ？」

浩子「で、私は……高鴨と代わってもらいますわ。 あの子セーラと清水谷先輩に懐いてますし問題ないでしょう。 泉ともええ感じにライバルっぽくやってますし」

灼「……初瀬、私たちの中に放り込むの？」

浩子「うーん……まあ、仕方ないでしょう。晩成とは練習試合もしてますし知らない仲でも無いし……小走さんの後輩でしょう？ かなりできるでしょうし、かわいがってやりましょう」

憧「いきなり沢村さんと船久保さんの間に突っ込むのは初瀬もさすがに……って、え？ あの……」

智紀「新子さん、今日の席どこ？」

憧「えっと、Dの……」

智紀「ありがとう」

憧「あっ」

智紀「はい、交換。 位置は少し悪くなるけど、たぶん新子さんには一番いい席だから」

憧「ちょっ……」

怜「おーい！ 竜華たちが試合前に少し会えそうやって！ 早めに来てよかったなあ」

浩子「直接会うの久々ですわ……」

灼「ちょっと緊張？」

浩子「……まさか。 はよ行きましょうか」

憧「あの」

灼「行くよ、憧。 やえさんと照さんも話せるかもって連絡来た」

憧「あ、うん……」

255 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:38:13.48 ID:oSw1mLVd0

竜華「わーっ！ 憧ちゃーん！ お誕生日おめでとーっ！！」

憧「！？ ……あ、ありがとうございます」

セーラ「やめえや竜華。 急にハイテンションで行くから引かれとるやん……憧ちゃんおめでとなー」

怜「竜華！ セーラ！ ひっさしぶりやなあ！」

竜華「怜！ 怜もおめでとーっ！」

怜「え？ なにが？」

竜華「え？ それは……ほら、うちらの再会を祝して？」

泉「こっちに聞かれても……にしてもマジで引くぐらいハイテンションですね、清水谷先輩」

セーラ「お前らと会うのも久々やしな……浮かれっぱなしでちょっと鬱陶しいくらいやったわ……元気そうやな、泉。 今年は行けそうか？」

泉「当然ですっ！ 先輩たちの分までしっかりてっぺん取ったりますわ！」

セーラ「……どーせ俺らはインハイ優勝できなかったわ」

浩子「私が部長の代のエースは泉だったような気がするんやけど……」

泉「べ、別に先輩が優勝できんかったのをクサしてるつもりじゃなくてですね……！」

宥「もう、ふたりとも泉ちゃんいじめちゃダメだよー」

浩子「ちょっとかわいがってやってるだけですって」

セーラ「泉はこうやってかわいがるもんなんやで？」

宥「……そうなの？」

泉「それは信じなくていいですから！」

竜華「あっ！ お姉ちゃんっ！ 宥お姉ちゃん！ お久しぶりですーっ！ 怜にふともも貸してもらってるみたいでありがとなー！」

宥「いえいえ、お気になさらず〜」

怜「さあ、竜華！ 久々にそのふともも、を……」

竜華「……怜？」

怜「り、竜華……あんた……ふ、太ったか……？」

竜華「――――――っ！！」

256 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:39:15.27 ID:oSw1mLVd0

――――――


セーラ『竜華！ 凄いやん！ 副将戦収支トップやで！ 今日は晩飯奢ったるわ！』

竜華『ホンマにー？ ありがとー！』



セーラ『すんません先輩……今日は、俺のせいで……』

理沙『違う！ セーラ頑張った！ 気にしない！』

竜華『こういう日もあるって！ ほら、なんかおいしいもんでも食べ行こー？』

理沙『奢る！』



洋榎『おう、今日は久しぶりに打ったなぁ！ 久しぶりついでに飯でも行かん？ 今日は気分いいから奢ったるで！』

竜華『あんだけこっぴどく負かせといてよくご飯誘えるなあ……そういうとこ洋榎ちゃんらしくて好きなんやけどなー』



セーラ『お、竜華エエもん持っとるやん……つーかマジで高いケーキやん。 どしたんそれ？』

竜華『お給料貰ったからつい……この前対局で会ったときに宮永照ちゃんがこのお店おすすめやって言ってたから……』

257 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:40:28.99 ID:oSw1mLVd0

竜華「ふ、ふふ……太るとか、そんなん……あ、あああ、ありえないやろ……？」

浩子「アホみたいに動揺してますね」

セーラ「……竜華、プロ上がってからいいもんばっか食ってたからなあ……理沙先輩もしょっちゅう飯誘ってくれたし……」

泉「はー！ 野依プロとご飯に……先輩たちもやっぱりプロになったんですねえ」

怜「あ、アカン……竜華……アカンわ……ふとももの肉が……肉付きか明らかに良くなっとる……」

竜華「う、嘘やん……そ、そんな……見てわかるほど太るわけ……」

怜「私は膝枕ソムリエやで？ ……竜華……今のあんたのふとももじゃあ……」

竜華「と、怜……？ ま、まさか……」

怜「宥ちゃん、膝枕してー」

宥「え？ いいけど……」

竜華「怜ぃぃぃぃぃぃ！！」

憧「……どっか行っちゃいましたけど」

セーラ「まあ、さすがに試合開始には戻るやろ……試合前にヘコますのやめてほしいんやけどなー」

怜「い、いや……それにしても……アレはマジでアカン……竜華の……至高のふとももが……」

セーラ「怜もガチヘコみするんかい……言うてそこまで変わらんやろ？ たしかにちょっとばかしムチムチし始めたような気もするけど……」

怜「セーラ！ あんたなんで側にいるのに止めてやれんかったんや！！」

セーラ「そこまで責められる流れなんか！？」

初瀬「……千里山の清水谷さんって、変な人だったんだね」

憧「……変というか……ちょっと天然なだけで変なのは園城寺さんというか……」

258 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:41:57.55 ID:oSw1mLVd0

やえ「……なんか、清水谷が凄い勢いで駆け抜けてったけどなんかあった？」

セーラ「おう、小走！ 今日はよろしくな！ なんつーか、大したことじゃないから気にせんでエエで」

やえ「あっそ。 あいつも相変わらずよくわかんないわね……」

初瀬「小走先輩！ 今日はありがとうございます！ ばっちり応援させてもらいますから！」

やえ「ん、よく来たわね……夏、期待してるわ。 少しでも学んでいきなさい」

初瀬「はい！」

やえ「新子も、おめでと……なんか元気ないわね？」

憧「……そんなことないですよ？」

穏乃「憧、さっき純さんに……」

憧「なんでもないですから！」

セーラ「なんや？ 憧ちゃんこの男女になんかされたんか？」

純「あ？ うっせーぞこの男女。 なんもしてねーよ」

セーラ「ダメやなあ、憧ちゃんみたいなかわいい子泣かせるなんて男の風上にもおけないやっちゃなー」

純「オレは女だ！ つーか泣かせてねぇよ！」

セーラ「本当か？」

穏乃「憧が自爆しただけですね！」

セーラ「あ、そうなん？ 悪いなあ……ま、精々試合楽しんでけや」

純「ふん……無様なとこ見せんなよ」

セーラ「俺がそんなヘマするわきゃないやろ？ 応援よろしく頼むでー」

純「……オレの席横浜の応援席だけどな」

259 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:43:16.77 ID:oSw1mLVd0

セーラ「えー？ つれないなあ……あ、でも俺と竜華の送った分は怜と浩子と泉と宥姉ちゃんに行っとんのか……」

灼「さっき交換してたけど……」

浩子「あー！ ちゃんと見ててやるからしっかりやるんやで、セーラ！」

セーラ「おうよ！」

穏乃「みなさん応援してます！」

やえ「ありがと……高鴨も新子も、少しでもなんか掴めるといいわね。 夏は晩成がいただくけど」

穏乃「へへ、まだまだわかりませんよ？ 成長し続けてますから！ 夏までには更に……！」

憧「身長は止まったけどねー」

穏乃「うるさいなあ！ ほっといてよ！」

やえ「……気にしてたのね」

灼「穏乃は今のままでいいよ。 かわいいから」

穏乃「えへへ、そうですかあ？」

初瀬「うーん……たしかにかわいい……」

憧「……はぁ」

灼「……憧もかわいいよ？」

憧「っ……そういうため息じゃないから！」

初瀬「結構やきもち妬きだよね、憧って」

穏乃「すぐ拗ねるんだよね……そこもかわいいんだけど」

憧「うるさい！！」

260 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:44:42.01 ID:oSw1mLVd0

灼「……そいえば、照さんは？」

やえ「そういや、さっきから一言も………………後ろにいなかった？」

穏乃「いなかったですけど……」

やえ「……どっかの売店に釣られて消えたわね。 ったく、成長しないんだから……」

穏乃「あ！ そういえば売店回ってなかった！」

純「始まる前に食べ物買ってこなきゃな！ 行くぜ穏乃！」

穏乃「了解です！」

憧「あ、ちょっと！」

穏乃「まかせといて！ いろいろ！」

憧「いや……その、よろしく……」

怜「まだ食べるんか……健康体で羨ましいわ」

宥「怜ちゃんもなにか食べる？」

怜「さっきのハンバーガーでお腹いっぱいや」

セーラ「そんなん食べて平気なんか？ ちょっと前まで食事制限としてたやろ？」

怜「最近かなり調子ええんや。 平気やで。 にしても、たまーにああいうジャンキーなもん食べるとめちゃくちゃおいしいなあ……ちょっと感動したで」

セーラ「ふふ、あんま無理すんなよ？ ……そろそろ試合前のミーティングもあるし行くわ。 もし竜華見つけたら戻るよう言っといてや」

宥「はい、まかせてください。 頑張ってくださいね」

セーラ「へへ、今日もぶっちぎるで！ みんな見に来とるのにカッコ悪いとこ見せれんしな！ 憧ちゃんへのバースデープレゼントは今日の勝ち星や！」

261 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:45:43.32 ID:oSw1mLVd0

やえ「それじゃあ、私もそろそろ行くわ……考えたくないけど、もし売店で照のやつ見つけたら無理矢理にでも帰らせて」

灼「ん……頑張って」

やえ「言われなくても。 あんたたちも来てるし、かわいい後輩も来てるかんね」

初瀬「小走先輩！」

やえ「ふっ……心配しなさんな。 張り切ってた江口には悪いけど今日勝つのは」

照「やえ！ 大阪の会場はたこ焼きやお好み焼きがいっぱいあってすごい！」

やえ「祭りか！？ このバカ！ どこ行ってたのよ！」

照「？ だから売店に……」

やえ「あーもうっ！ それはわかってるわよ！」

照「じゃあなんで聞くの？」

やえ「…………怒るだけ無駄、対局前に変に体力使う必要は無いのよ……うん」

灼「照さん、あんまりやえさん困らせたら……」

照「大丈夫。 やえとは仲よくやってる。 問題ない」

灼「……そうですね」

照「あ、そうだ。 新子さん誕生日おめでとう。 食べて」

憧「へ？ あ、ありがとうございます……」

照「ケーキは売ってなかったから、たこ焼きで悪いけど……前に愛宕さんもこの会場で食べてたし味は保証されてるはず」

憧「は、はぁ……？」

やえ「……ほら、時間ないから行くわよ。 はぐれないでよね」

照「迷子になったりしない。 咲じゃあるまいし……」

やえ「……いいから来なさい！ んじゃ、あんたたちもしっかり見てなさいよ！ 王者横浜の打ち筋、見せてやっかんね！」

262 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:46:49.02 ID:oSw1mLVd0

灼「……照さん、変わりなくて安心したような、心配なような……」

泉「おかし以外も食べるようになってましたね」

灼「……まあ、おかしだけ食べるよりは体にもいいかな？」

憧「照さんより小走さんのストレスが心配なんだけど……っていうか私たちもそろそろ行かない？ 試合開始まではもう少しあるけど混雑する前に席行った方が楽だし」

泉「それもそうですね。 穏乃と井上さん戻りはったら行きましょか。 あ、お手洗いとか飲み物買ったりとか先に済ませといた方がいいですよ。 なんなら荷物見てるんで……」

浩子「急に仕切りだしたな」

泉「えっ！？ あ、す、すみませんつい！」

宥「それじゃああったかーい飲み物買ってくるから少しお願いね、泉ちゃん」

泉「はい！ 了解っす！」

初瀬「しかし、二条はしっかりしてるよな……私も見習わないと……」

憧「……たしかに、結構テキパキ仕切るのよね……しずができない分そこは私のお仕事なんだけど」

初瀬「……ちゃんとできてんの？」

憧「……うちは人数少ないしね。 そっちのが大変じゃない？」

初瀬「それこそ、うちはみんなしっかりしてるから……監督も厳しいし」

穏乃「憧っ！ 憧はどれ食べたいっ？ なんかたこ焼きやお好み焼きとか超いっぱいお店あった！」

憧「だから祭りか！？ そんなに買ってどうすんのよ！？」

穏乃「食べるけど？」

憧「そりゃそうよね！ ごめんね！？」

純「フランクフルト、焼きそば、たい焼き、ポップコーン……」

智紀「食べきれる？」

純「当然。 つーかお前らも食うだろ？」

怜「ああ、食欲を刺激するにおいが……」

浩子「食べすぎないでくださいよ？ 調子崩されても困りますんで」

灼「……とりあえず、食べ物分配して宥さん戻ったら移動ってことで」

263 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:47:47.45 ID:oSw1mLVd0

純「あれ？ オレの隣、智紀じゃねぇの？」

憧「あ、あの、灼さんや船久保さんと話すから席取り替えてって……その……」

純「ああ……鷺森と仲いいのは知ってたけど千里山の眼鏡参謀とも仲よくなってたのか……知らなかったわ」

憧「そ、そうなんですか？」

純「いつも一緒でもわからねぇことってあるしな……あ、つーかよ」

憧「は、はいっ！？」

純「……いや、そんな構えんなよ……別になんもしねぇから」

憧「いや、でも……その……」

純「……悪かったって、あんなんで拗ねて……ただ、ちょっと祝ってやろうと思って来たとこに別にどうでもいいみたいなこと言われて……」

憧「ご、誤解ですから！ なんというか、言葉のあやと言うか……純さん来てくれて本当は超うれしいですし！」

純「……そうか？ ならいいけどよ」

な、なんかよくわからない内に席取っ替えられたと思ったら……そ、そっか、沢村さんと純さんのは一緒に席取ったから隣なのか……！

ちょっと気まずいかと思ったけど、純さんももういつもの感じだし大丈夫かな……？

純「なんか食うか？」

憧「あ、はい！ いただきます！ おいしそうですね、たこ焼き」

純「ん、なかなかいいぞ。 ほれ」

憧「！？ ……い、いただきます……」

純「うまいだろ？」

憧「は、はい……」

264 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:48:37.55 ID:oSw1mLVd0

……こう、別になんでもないんだろうけど……純さん、普通にあーんってしてくるのなんなのよ！？

単に自分で食べるのが忙しいからひょいひょいこっちに出してくるんだろうけど！ ちょっとビビるっていうか！？ なんかいちゃいちゃしてるみたいで……なんか、もう、アレじゃん！

純「つーか、試合始まってもいねえのに盛り上がってんな……うるせーのなんのって……まだなんか食いたいのあるか？ 好きなの持ってっていいからな」

憧「ど、どうも……」

って言うか近い！ 近いってば！ 隣の席だから当然だけど！ 回り騒がしいせいでちょっと話すのにも顔が……！ なんでこんなに盛り上がってんのよもう！ ありがとうございます！

純「……そろそろ県大会だろ？ どうだ、調子の方は？」

憧「ん……まあ、そこそこですね。 私としずは結構いい感じに調整できてるんで……後は後輩たちが晩成に気圧されないように……やっぱり、奈良ってずっと晩成一強だったんでビビっちゃってるみたいで……」

純「そういうもんか……ま、もっととんでもない化物とも打ってるんだから自信持つように言ってやれよ。 ちょっと前に衣連れてったときとかヤバかったじゃねぇか」

純「……ヤバすぎて折れた奴とかいないよな？」

憧「そ、それはまあ……なんだかんだ加減してくれてましたし……」

純「衣のやつ、最近また腕上げてるみたいでな……ったく、オレもちゃんとレベル上げてるはずなのにちっとも歯が立たねぇでやんの」

憧「そ、そんなになっちゃってるんですか！？」

純「おう……あいつも、しっかり成長してるってことなんだよな……ちょっと寂し……いや、ほら、アレだけどよ……」

憧「……そうですねえ」

265 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:49:46.72 ID:oSw1mLVd0

龍門渕のみんながそのままグループの大学に進学した中で、天江さんは一人、よその学校に進学していた

『衣ももう大人だからな！ そろそろ外の世界も見てみたいんだ』

そんな風に言っていたらしい……透華さんとちょっと揉めたらしいけど結局その一言で折れたと聞いている

純「はぁ……麻雀の推薦使えばどこでも行けたろうに、それならプロになっても同じだ！ とか言って普通入試でそこそこ麻雀強いとこ入っちまうしさ……」

憧「天江さん、意外と……あ、いや、勉強もできるんですね」

純「はは、意外だよな？ ガチガチの文系でさ、古典とか歴史は超強いんだよあいつ」

憧「……たしかにそれっぽいかも」

純「偶然なのか狙ったのか知らねぇけど……ほら、風越の猫娘。 あいつと進学先一緒でさ、仲よくやってるみたいだぜ」

憧「池田さんですか……ああ、でも前から結構親しげでしたよね」

純「あいつや宮永のお陰で衣も変われたとこあるしな……やっぱり、特別なダチみたいだ。 帰ってくると華菜が、華菜がって毎日楽しそうに話してるよ……あいつも結構な世話焼きだし、任せといても安心だろ」

憧「……とかなんとか言って、ちょっと寂しそうですけど？」

純「む……まあ、ちょっとな？ こう、娘が段々と手がかからなくなっていく感じで……でもほら、かわいい子には旅をさせよって言うし？」

憧「完全に父親目線じゃないですか」

純「うっせ！ オレは女だ！」

266 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:50:51.23 ID:oSw1mLVd0

純「……衣よりも、透華の方が心配なんだよな。 無理してそうでよ……」

憧「学生やりながら、龍門渕グループのお仕事、少しずつ関わってるんですよね？」

純「ああ。 国広くんのせいか岩館のせいか知らねぇけどファッション業界に殴り込みですわ！ とかなんとか……バイト代出すからモデルやれって言われたときはビビったぜ」

憧「えっ！？ 純さんがモデルやったんですか！？ 雑誌とか載るんですか！？」

純「あー……たぶんな。 面倒だったけどそこまで割り悪い訳でもねぇし……透華の頼みだし……」

憧「買います！ いつ出るんですか！？」

純「え、いや……聞いてねぇから知らねぇけど……こ、今度透華に聞いとくわ」

憧「ありがとうございますっ！」

純「……なんか恥ずいし買わなくていいぞ？」

憧「いやいや！ 絶対買いますって！ 百パーカッコいいじゃないですかそんなの！ 買いますよ！」

純「お、おう……どうも……」

もうっ！ そんな話あるなら一さんとか教えてくれてもいいのにっ！ いつもの感じならニヤニヤしながら教えてくれ……いや、秘密にしてただけ！？ サプライズ的に教えるつもりだったとか！？

っていうかいつ出るのよマジで！ 買うしかないじゃん！ ……ん？

憧「あ、あの……も、もしかして一さんみたいな……」

純「んなわけあるかっ！ 着ねぇよあんな布切れ！」

憧「で、ですよね……安心したあ……」

267 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:51:45.06 ID:oSw1mLVd0

そんな話をしている間に会場中で歓声が上がる……どうやら試合開始らしい

憧「……横浜、先鋒照さん！？」

純「あいつはマジで化物だな……普段は完全に馬鹿者なのに……神戸の野依がいるしそこに三尋木当てると思ったんだが」

憧「捨て石……ではないですよね。 去年の新人王だし、全然渡り合えるって判断かあ……三尋木プロは大将ですね」

純「神戸は先鋒野依の次鋒江口か……で、副将に清水谷ね」

憧「小走さんも副将ですね……どっち応援しよ……」

純「どっちもでいいだろ。 どうせ四人いるんだし……他の面子はあいつらよりプロ歴も長いし苦戦すんだろーけど」

……やっぱり、みんな凄い人たちなんだなあ……一昨年、インハイで打ち合ったのが嘘みたいだ

純「……すげーよな、あいつら」

憧「はい、本当に……」

純「……憧はさ、プロ目指してんの？」

憧「えっ……それは……」

憧「…………なれるなら、なりたいですけど……やっぱり、難しいとは思うんですよね。 どこまで通用するか挑戦したい気持ちもありますけど、勝てなきゃたいして稼げずひっそり消えちゃうわけですし……」

憧「……普通に大学行って、普通に就職するのがいいんでしょうけどね……」

純「……やっぱり、そういう感じになっちまうよな……」

憧「……純さん？」

268 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:53:05.15 ID:oSw1mLVd0

純「……本気なのかどうなのかわかんねぇけど……いや、透華が言うんだから本気なんだろうな……あいつ、龍門渕グループでプロチーム持ちたいとか言っててさ」

憧「うぇ！？ ち、チーム作っちゃうんですか！？」

純「あいつの性格なら他所から買収してくるとかよりは一から作るだろうよ……今までだってそうやって来たんだから」

純「……あいつが本当にやりたいことでもあるんだろうけどさ……自分がオーナーで監督で選手やるとかわけわかんねぇこと言ってたし」

憧「……透華さんならやっちゃいそうですね」

純「なー……オレさ、思うんだけど……」

憧「はい」

純「透華がそこを目指すのは、自分のためでもあるだろうけど……衣のためでもあるんじゃねえかなって」

純「衣のやつ、お前らと初めて会ったときにはもう今の感じだったけどよ、そのちょっと前までは本当に……自分の殻に閉じ籠ってたっつーか……」

純「それが、麻雀を通してダチ作ったり、段々と世界広げてってさ……だから、そういう場所を作ってやりたいんじゃねえかなーと思うわけよ」

純「それこそ、チームにいれば衣はずっとダチと打てるわけだしさ」

純「……最近、それこそ衣が一人立ちし始めたからなんとなく寂しそうにしてるんだけどな」

憧「……透華さん、凄く情に厚い人ですからね」

純「最近、空回ってる気もするから心配なんだよなー……」

269 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:54:09.62 ID:oSw1mLVd0

純「……まあ、他にも色々あるんだけどよ……とにかく、透華の夢のひとつに『プロチームを作る』ってのがあるのは確実なんだよな……オレは、その手伝いもしてやりてぇんだが……」

憧「……だが？」

純「……今のままじゃ、力が足りねぇ…………そこらのプロには勝てる自信があるが、ああいう化物どもとは渡り合えねぇ……」

憧「……私も、照さんと打ち合う自信は正直……」

純「透華の夢の構想に、オレの姿はあるはずだ……衣と一緒に、みんなで、プロの世界に殴り込む……だが、今のオレじゃあ……」

憧「…………」

純「……透華のやつが心配だけどよ……オレ、一回離れることを考えてる」

憧「え……離れるって……龍門渕をですか？」

純「ん……武者修行って言うとアレだが……一回、ドイツに戻ろうかと思ってる」

憧「ドイツ！？」

純「元々あっちいたから伝はいくらでもあるしな……世界チャンピオンのニーマンが出た国でもあるし、かなりレベル高いんだよな」

憧「え、え……？」

純「休学して留学って形になんのかな？ ……あ、まだ誰にも言ってねえから秘密にしとけよ？」

憧「え、あ、はい……え？ 留学？」

純「ちょっと前に好き勝手して悪いって挨拶しに行ったばっかなんだけど……まあ、親に迷惑かけられんのも今のうちぐらいだしな……」

憧「え、あの……本気ですか？」

純「おう……変か？」

憧「いえ……純さんらしいと思いますけど……なんで私に？」

純「透華たちにはまだ言えねえし……お前なら真面目に聞いてくれるだろ」

憧「……そりゃあ、ちゃんと聞きますけど！？」

270 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:54:56.97 ID:oSw1mLVd0

信頼されてる！ 嬉しい……じゃなくって！

え？ 留学？ ドイツに！？ えぇ！？

純「それに、お前も……似たような気持ちあるだろ？」

憧「え……？」

純「麻雀好きだろ？ 強くなりてぇだろ？」

憧「それは……」

負ける気はない……けれど、照さんどころか、同学年の咲や和にだって、冷静な目で見たら私は力不足なんじゃないかって思うことはある

当然、練習はしてるけど……本気の本気で打ち合って、勝てるかと言われると……

たとえプロに行っても、通用するかは……

純「熱くなってバカみたいだと自分でも思うけど……わかるだろ？ オレの言いたいこと」

憧「……それは、はい」

純「……適当に言い訳して諦める方が、ダサいよな」

純「……おかし狂いのバカでも、ああして打ってるとかっこよく見えるんだから不思議だぜ」

大画面のモニターに目を向けると、いつの間にやら東二局の一本場、照さんが連続和了を決めたところだ

憧「……たしかに、カッコいいですよね……ちゃんと、戦ってるから……」

純「……オレ、やっぱドイツ行くわ。 インカレの予選もあるから……敗退するか優勝したら……夏の始めか終わり頃からになっかな？」

憧「夏……」

純「いつまでにするか……最低一年……いや、納得できるまでか？ 強くならなきゃ意味がねぇし……」

憧「さ、最低一年ですか！？」

純「さあな？ 一週間でアホみたいに強くなって帰ってくるかもしれねぇし……やってみなくちゃわかんねぇよな」

憧「そ、それは……そうですよね」

271 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:56:03.29 ID:oSw1mLVd0

ってことは……純さんが自分が強くなったって自信持つまではドイツに……！？

それって、つまりは……アレよね？ 当分会えなくなるってことよね……？

純「よし、決めた！ 決めたからには準備しねぇとな……透華たちにも話さなきゃだし……親父にも連絡しなきゃ……」

うっわ、なんか段取り考え始めてる……っていうか決心すると純さん行動も早いのよね……決意した表情もカッコいい！ とか言ってる場合じゃなくって……！

純「あ、憧。 そんでさ……」

憧「は、はい！？ なんですか！？」

純「……お前はこれから最後のインハイもあるし……まだ考える時期じゃねえだろうけど、一応な？」

憧「え、えっと……？」

純「だから、選択肢のひとつになるかなって……高校卒業して進学すんのもいいけど……麻雀続けんならマジで修行してみるっつーか……」

憧「それって、つまり……」

純「……その気があるなら、オレが面倒見てやるからあっちで麻雀の勉強してみねえかって話」

憧「え……」

272 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:57:07.89 ID:oSw1mLVd0

純「……いや、今年阿知賀が優勝して憧が真っ直ぐプロ入りする可能性だって全然あるけどな？ その、マジで麻雀やるなら……って話で声かけるなら憧と……強いて言うならタコス娘か？ そこら辺かなーっと思ったんで……」

憧「…………」

純「……別に一人であっち行くのが寂しいとか不安とか、そういうのじゃねえぞ？ 元々あっちいたしむしろホームだからな。 透華のとこに国広くんや智紀残しとかねぇと心配だし……」

憧「…………」

純「マジでガチに麻雀やってるのってオレのダチからなら憧とタコス娘だろって……おい、聞いてるか？」

憧「聞いてますよ！ もちろん！ つ、つまり……」

ドイツで、純さんと一緒に麻雀の勉強……

高校卒業したら、留学……？

ドイツに純さん伝もたくさんあって、ご両親もいて……

『その気があるなら、オレが面倒見てやるからあっちで麻雀の勉強してみねえかって話』

『オレが面倒見てやるから――』

憧「け、けけ、結婚するってことですか！？」

純「なにがどうしてそうなった！？」

273 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:58:02.17 ID:oSw1mLVd0

――――――

憧「す、すみません……取り乱しました……」

純「おう、なに言ってんのかと思ったわ……」

憧「だ、だって……親に挨拶とか面倒見るとか……」

純「麻雀するって話はどこ行ったんだよ！？ ったく、そもそも女同士じゃ結婚できねぇとかいろいろ突っ込みどころがあるが……あ」

憧「な、なんですか？」

純「いや、そういやあっちは法律違うからできるんだったか？ あっちは叔父と姪で結婚できるらしいぞ」

憧「え、なんですかその情報……」

純「いや、なんかふと思い出したから……」

憧「ってええええ！？ ドイツ行ったら私たち結婚できるんですか！？ じゃあもうするしかないじゃないですか！？」

純「なんでだよ！？ 落ち着け！ そんなに結婚願望強かったのか！？ つーかどこから突っ込めばいいんだよ！？ とりあえず今日で18なんだから日本でも法的にはとっくに結婚できるだろ！」

憧「い、いや、誰かと結婚したいとかじゃなくってですね……誰かさんのことが、その、好きと言うかなんと言うか……」

純「あ、つーか忘れてた！ 憧！」

憧「……やっぱり遠回しにそれとなく伝えようとしてもちっとも伝わらない……」

純「なあ、おい？ 聞いてるか？」

憧「はいっ！ なんですか！？」

純「だから、言ってなかったからさ……誕生日、おめでと。 これやるよ」

憧「あ……ありがとう、ございます……開けていいですか？」

純「おう」

274 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:58:42.96 ID:oSw1mLVd0

憧「これ……ブレスレット、ですか？」

純「んー……前に装飾品貰ったし、そういうののがいいかなーと……野依プロさすがだな。 宮永の打点上がる前にきっちり抑えやがった……連続和了させたのもただの様子見だったか？」

憧「野依プロは守備の方が注目されがちですけど攻めも全然早いですからね……っていうか！ いいんですか？ なんか、結構高価そうな……」

純「たいしたことねぇから気にすんなよ。 ……宮永もすげぇな、また和了ったぞ……二年目でトッププロと渡り合うとか普通じゃねえぞ……」

憧「照さんは普通じゃないですからね……いや！ でもこれ……！」

純「いらねぇなら別にいいけど……」

憧「いやいやいや！ そんなまさか！ いただきますけど！」

純「プロになると、ああいうのに勝たねぇといけねぇんだよな……団体戦だとしても、後ろにまかせっぱなしになるんじゃやってる意味がねぇしよ」

憧「はい……私も、今年は先鋒の予定なので……後ろを信頼してはいますけど、やっぱりみんなのためにもしっかり稼がなきゃですし……」

純「エースポジション、大変だよな……まあ、うちは大将の衣が稼ぎ頭だから役割的にはオレの立ち位置は多少変わってくるんだが……」

憧「他校は先鋒にエース据えるんですから大変なのは変わらないじゃないですか……っていうか綺麗ですねこれ。 絶対そこそこの値段ですよね！？」

純「だから気にすんなって！ つーか、憧がかわいい分なんか贈るにも微妙にハードル高いっていうか……それなりのものを用意しようとだな……」

憧「ふきゅ！？ か、かわっ……な、なにを……！？」

純「だぁーもう！ うっせーな！ 気に入ったなら着けろ！ いらねぇなら捨てろ！ いいな！？ 試合見るぞ！」

憧「は、はい……」

275 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 00:59:21.13 ID:oSw1mLVd0

純「……ほとんどの和了りが宮永なのに、収支トップは野依か……やっば格が違うのか……いや、それでもやっぱり宮永の和了率は異常だな……連続和了で火力上げてく特性を見越した上で流れに乗りきる前に高打点でしっかり切るのが……」

憧「…………」

右腕にブレスレットをつけてみる。 うん、かわいい

普通にセンスいいし……お洒落だよね、これ

純さんがくれた……ふふふ……ヤバい、どうしよ、にやけちゃう……

純「江口のやつ、出てきたな……見たところ気合い十分って感じか。 そういや、お前に勝ち星プレゼントとか言ってたよな。 派手で羨ましいこった」

憧「そんな！ わ、私！ 純さんに頂いたプレゼント！ スーパーメガメガ嬉しいですから！」

純「……なんか超喜んでくれたのはわかったから落ち着けよ」

憧「……は、はい……すみません」

純「…………江口のやつも、この一年結構結果良かったんだよな……インハイじゃ結局打たなかったが……今あいつと打ったら……」

憧「…………強くなりたい、ですね」

純「……ああ、強くなりてぇ」

276 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 01:00:01.45 ID:oSw1mLVd0

強くなりたい……

子どもの頃から、ハルエとお姉ちゃんが戦う背中を見ていた……

その姿に憧れて……私も、いつか同じような麻雀を打ちたいって……

今の私じゃ、きっとプロには……インハイだって、当然優勝を目指してるけど……現状、晩成に勝てるかだって怪しいし……

憧「……純さん、ありがとうございます」

純「だから気にすんなって」

憧「いえ……インハイや国麻もあるからどうなるかわからないですけど……麻雀やってく上で大きな選択肢くれて、うれしいです」

純「……それも、気にすんなよ。 オレとお前の仲じゃねえか」

憧「……そ、そそ、そうですね」

純「あ？ どうした？」

憧「いえ！ 別に！」

……ほんと、すぐそういうこと言うんだから……こっちの気も知らないで……

……ドイツ、かあ……言葉とか、勉強しておいた方がいいかしら？

……いやいや！ その前にまずはインハイ！ 国麻もあるし、頑張れば世界ジュニアの候補にだって残れるかもだし……！

……プロになれなかったとしたら、大学はやっぱり出た方がいいわよね……そしたら入試通って一年目から休学届け出して留学……

学費とか考えるとキツいかなぁ……その時期になったらお母さんやお姉ちゃんにも相談しないと……

……ドイツ行くことになったら、あっちの、純さんのご両親のいる家にお世話になることになるのかしら……？

憧「……あの！」

純「ん？」

憧「や、やっぱりご両親に挨拶するときはちゃんとした格好で行った方がいいですよね！？ あんまり派手な格好で遊んでる子だと思われるのも嫌だし！ シックな感じでまとめた方が……！」

純「いや、別に普通でいいだろ！？ なんでそんな話になるんだ！？」


カン！

277 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 01:01:40.03 ID:oSw1mLVd0

進路と言うか、玄と灼は阿知賀に残るイメージ
憧は外に出て行きそう。宥姉は外で就職見つけても実家暮らしのイメージ。休日は家の手伝いしたりとか
しずは阿知賀に残るけどたまに長い休暇とって冒険とか出そう

278 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/22(日) 01:02:57.65 ID:oSw1mLVd0

あ、一応言いたかったので

あこたんイェイ〜

おやすみなさい

279 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/22(日) 01:04:04.49 ID:uHCmn/jCo

シ○チャー「呼ばれた気がしたので」

280 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/22(日) 01:19:52.27 ID:GOzI7LBOo

乙です

281 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/22(日) 07:30:03.64 ID:HMGp4Npeo

乙です

282 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/22(日) 09:43:38.21 ID:ng32Cd/xo

乙
即答するかと思ったらそこはアコチャー
しっかり考えているね

283 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/22(日) 22:54:34.74 ID:BH0e/9L40

乙
ドイツ編期待しています

284 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:02:19.11 ID:B017FHUj0

怜-Toki-も来月から始まりますね。小学生スタートっぽいし数年単位で楽しめそうです
ビッグガンガンがますます咲の雑誌になっていく……
池田と衣とかゆーきとか日和はいちいちわかってて素晴らしい。シノハユも相変わらず面白いっす

はったんイェイ〜
内容は関係ないけど少し投下

285 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:03:27.60 ID:B017FHUj0

≫283



優希「どうせならタコスの本場に行きたかったんだが……」

純「……そっちが良ければ勝手に行けよ」

優希「冗談だ、本気にするな！ ……おい、ノッポ」

純「あ？」

優希「強くなるチャンスをくれたこと、感謝するじぇ」

純「……お前を誘ったのだって自分が強くなるためだ。 気にすんな」

優希「ふっ……ところで、本当に一緒に行っていいのか？ お邪魔じゃないか？」

憧「……な、なんでそんな風に思うのよ！？
優希を邪魔に思うわけないでしょ！？」

優希「ふふん、憧ちゃんがいいならいいんだけどな」

純「……？ ほら、よくわかんねぇけどさっさと行くぜ」

286 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:04:39.56 ID:B017FHUj0

――――――

優希「で、これから私たちはどうなるんだ？」

純「とりあえず、伝を使ってあっちのマイナーリーグのチームに仮所属する形になる……まあ、暫くは練習試合やチーム内のリーグ戦に参加させてもらうぐらいになっかな？ 正式な契約するわけでもないし」

憧「そういえば、伝って……」

純「……非常に不本意だが、一番確実で安全なのがこのルートでな……オレひとりなら意地でも別の方法を探したんだが」

優希「……なんだ？ 問題アリなのか？ 確実で安全じゃないのか？」

純「……いや、オレが個人的に苦手なだけだ……ほら、あいつ」

アレクサンドラ「よく来てくれた！ 待ってたぞ！」

憧「ヴィントハイム監督！？」

287 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:05:10.77 ID:B017FHUj0

――――――

純「寮の部屋？ いらねぇよ」

アレクサンドラ「なんだ、わざわざ許可取っといたんだぞ？ 打てる時間も増えるし、君たちにもプラスだろう？ 私だってジュンたちだけを構ってるわけにはいかないんだ。 学ぶ時間は多い方がいい」

純「……わかった、世話になる」

アレクサンドラ「そんなに嫌そうな顔をするなよ。 貸し１つなんて考えなくていいぞ？ 私のものになった以上きっちり面倒見させてもらう」

純「誰がてめえのものになったんだよ！？」

憧「そそそ、そうですよ！ そりゃあお世話になりますけどなんて言うかその言い方だと誤解を生むと言いますか……！」

アレクサンドラ「誤解ってどんな？」

憧「ふきゅ」

アレクサンドラ「はは、相変わらず面白いな。 まあ、私はそっちの意味でも全然いけるが……」

憧「ふきゅ！？」

純「冗談もいい加減にしとけよ！？」

アレクサンドラ「ははは。 で、個室でも相部屋でも用意できるがどっちがいい？」

憧「相部屋！？」

純「オレは個室でいい。 部屋あるならこいつら一緒にしてやれよ、知らない土地で言葉も通じねぇんだ。 心細いだろ」

優希「……私は別に個室でもいいぞ？ 憧ちゃんはノッポと一緒の方が……」

憧「べべ、別に私はっ……！」

288 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:05:53.22 ID:B017FHUj0

――――――

アレクサンドラ「ここと、隣の部屋だ。 好きに使ってくれ」

優希「了解だじぇ！ ……ところで、監督は臨海の監督じゃないのか？ 日本にいなくていいのか？」

アレクサンドラ「ここ数年優勝もできてないしな。 辞めてきた」

憧「え！？ 辞めちゃったんですか！？」

アレクサンドラ「こっちで暫く人材育成と発掘に回ろうと思ってな。 日本でもいい人脈が作れたし拾い物も多かった。 君たちとかな」

純「……他にも拾ってきたみたいな口ぶりだな？」

アレクサンドラ「まあな。 せっかくだし紹介しておくか……部屋は、ええと……おい、私だ。 入るぞ」

エイスリン「アレックス？」

恭子「ちょ、勝手に入らんでくださいよ！ 一応プライベートっちゅうもんが……」

憧「末原さんにエイスリンさん！？」

恭子「新子？ それに、片岡に井上……監督の言ってた日本での拾い物ってあんたらか」

エイスリン「Oh！ 久しぶりやん！ 元気しとった？」

憧「何故関西弁！？」

エイスリン「恭子ちゃんに日本語習っててん！ 次日本行ったときには流暢な日本語でシロたち驚かせたるんや！」

憧「ち、違う意味で驚くと思いますけど……」

恭子「しゃーないやん、私関西人やし……」

289 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:06:21.29 ID:B017FHUj0

――――――

エイスリン「短期の交換留学でこっち来た時にアレックスに拾われてなー」

優希「おねーさん、日本にドイツにと国際派だなー」

エイスリン「ドイツ、麻雀強い！ 宮守で覚えた麻雀、楽しかったし……シロ、クルミ、サエ、トヨネ……みんなとの大事な繋がりやから、続けようと思ってん」

恭子「で、こっち来たエイスリンをたまたま見かけた監督が勧誘してきたわけや。 エイスリンは全国でこそ二回戦で敗退したが地区予選ではトップの和了率やったしな」

純「日本で活躍したからこそってわけか」

憧「それじゃあ、末原さんはどうしてこちらに……？」

恭子「……高校卒業前、進路で悩んどったんや……プロからの誘いもあったが、自信がなかった。 でも、諦めることもできなかった……」

恭子「そんで、赤阪監督に相談したらヴィントハイム監督を紹介してくれてな……ま、武者修行やな……はぁ……」

純「なにため息ついてんだよ」

エイスリン「恭子ちゃん、今……そう、ちょっとスランプやねん」

290 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:07:03.47 ID:B017FHUj0

――――――

優希「恭子おねーさんはもうドイツ語もペラペラなのか？」

恭子「いや……こっち来てすぐに勉強しようとしたらヴィントハイム監督に止められてな……」

憧「なんでまたそんな……」

恭子「『そんな暇があったら麻雀の勉強をしろ。 他の選手とのコミュニケーション？ 雀士なら卓で語れ』って……」

純「……あいつなら言いそうだな」

憧「いや、でも毎日二十四時間打ちっぱなしってわけでもあるまいし……買いものとか……」

恭子「……『そんなもん身振り手振りでどうにでもなる。 なんなら誰か連れてけ』ってな」

エイスリン「最近は私といつも一緒なんよー」

優希「言葉が通じないと不便じゃないですか？」

恭子「不便や！ ……つーか不安や……打った後とかこっち見て話しとるのとか超気になるやん……やっぱりあの時の鳴きは失敗やったとか、オリる手順間違ったとか……そういうこと言われとるに決まっとる……」

純「……そういうの気にしてるからスランプになるんじゃねーの？」

エイスリン「私もそう思うんやけどなー……というか、そういうの気にしないメンタル持てるようになるまでアレックスは恭子ちゃんにドイツ語勉強させてくれへんと思うんやけど」

291 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:07:42.08 ID:B017FHUj0

――――――

恭子「いつまでも燻ってられん……私を連れてきたヴィントハイム監督にも迷惑がかかるし、果ては私を紹介した赤阪監督の顔にも泥を塗ることになってまう……」

純「……いつまでもぐだぐだ悩んでんなよ。 ま、これもなにかの縁だしよ……」

恭子「……？」

純「加速、変化、流れを喰い取る……使い方こそ違えど、オレたちは同じ『鳴き』って武器を持ってる」

憧「へ？ わ、私ですか？」

恭子「……仲よくやろうってか？ あんたがそういうこと言うとは思わんかったわ」

純「……別に、そうは言ってねぇよ。 オレたちは利用し合えるだろ、ってぐらいだ」

優希「ノッポは相変わらず素直じゃないじぇ」

エイスリン「まあまあ、同じ日本人同士仲よくやればええやん！ もとから顔見知りなんやし！」

292 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:08:16.90 ID:B017FHUj0

――――――

エイスリン「よぉし！ 再会を祝してたこ焼きパーティーや！」

憧「何故たこ焼き！？」

優希「おおう！ タコと名のつくものは大好物だじぇ！」

純「……あのたこ焼き機、お前が持ち込んだのか？」

恭子「……あーいう、故郷を感じれるものを１つくらい持ってこようと思ってなぁ……エイスリンがドハマりしてん。 タコ無いから素たこ焼きやけど」

純「……ただの粉のかたまりじゃねぇか」

恭子「……ソースとかマヨネーズはあるし、なんとなくそれっぽい感じはするで」

憧「っていうか、妙に調味料とか日本の物充実してますね」

恭子「やっぱり、故郷の味が恋しくてなぁ……オカンに頼んでまとめて送ってもろうてん……ヴィントハイム監督もちょこちょこ日本から物送ってくれたりしてくれてたんやけど」

純「意外と面倒見いいよな、あいつ……」

293 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:09:01.77 ID:B017FHUj0

――――――

純「オレは、強くなる……こっちで腕を磨いて、透華たちのところに帰る……」

エイスリン「強くなれば、アレックスが日本に連れてってくれる！ そんでもって、またみんなに会いに行くんや！」

恭子「力と、自信をつけて日本に戻る……私が雀士として名を売ることが、赤阪監督……世話になった人たちへの恩返しになるはずや……！」

優希「私も、強くなるじょ！ 日本でプロになってる仲間たちに遅れはとらん！ ふっ、一足先に国際戦でデビューを飾るってのも派手でいいじょ！ な、憧ちゃん！」

憧「そうね……わざわざ日本を飛び出してきたんだから強くならなきゃ意味がないもの！」


みんなで強くなって、日本に戻ったら……


今度はインターハイじゃない、プロの舞台で！


――――――輝く舞台で、また遊ぼう！


ドイツ予告編

カン！

294 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 22:11:07.45 ID:B017FHUj0

※予告通りになる保証はございません

個人的に憧、優希、末原ちゃんは麻雀ガチ勢のイメージが強いです。関西弁話すエイちゃんやりたかっただけなところはある

295 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/28(土) 22:13:16.10 ID:SH7Uu3g8o

乙
意外と人数が多かった

296 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/28(土) 22:38:34.91 ID:1Jn3SSpGo

乙です

297 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 23:13:29.69 ID:B017FHUj0

>>295やっぱり咲といえば五人で１チームかなっていう…
せっかくだからはったんイェイ〜

298 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 23:14:20.39 ID:B017FHUj0

初美「ふふん、私も今日で二十歳ですよ、二十歳！」

霞「おめでとう、初美ちゃん」

春「プレゼント……」

初美「はるる！ ありがとうございま……食べかけの黒糖ってさすがに……」

春「……いらなかった？」

初美「そ、そんなまさか！ いただきます！ うれしいですよー！」

春「よかった……はい、年の数まで」

初美「節分かなんかですかー！？ いえ、おいしいからいいんですけど……」

小蒔「それにしても二十歳だなんて凄いです！ 初美ちゃんももう大人って感じですね！」

初美「おや、流石は姫様わかってますねー！ ふふ、こう、どうですか？ 大人の女の魅力的なのものがムンムン出ちゃってるんじゃないですかー？」

小蒔「…………」

春「あ、寝た……」

初美「……どういうことなんですかねー」

霞「大丈夫よ、初美ちゃん。 いつも通りだから」

初美「そんなっ！？」

299 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 23:15:38.64 ID:B017FHUj0

初美「そ、そんなはずはないですよー……なんと言っても二十歳ですよー？ 相当変化があるはずですよー！」

巴「いや、いくら誕生日になったといってもそんな急に変わるはずがないと思うんだけど……」

初美「そ、そんな……」

霞「！ なんて、冗談よ。 初美ちゃんはやっぱり一番のお姉さんだもの。 いつも通り大人のお姉さんの魅力で一杯よ？」

初美「！ えへへ、そうですかー？ 霞ちゃんが言うならそうなんでしょうねー」

巴「霞ちゃん……またそうやって……」

霞「ほら、明星ちゃんと湧ちゃんもそう言ってたもの。 初美ちゃんのために豪華なプレゼントも用意してるって」

明星「えっ」
湧「えっ」

初美「そうなんですかー？ ふふ、うれしいですねー……それじゃあ早速……」

明星「え、あの……ちょ、ちょっと待ってください……」

湧「じゅ、準備と言うか……」

初美「準備が必要な程豪華なんですかー？ これは期待しちゃいますよー！」

明星「あっ」
湧「あっ」

巴「……困ったら下の子二人に無茶ぶりするのやめてあげてくださいよ」

霞「あらあら」

明星「……ふ、不安になってきたので追加でなにか買ってきます……」

湧「急いで行ってきますので……！」

巴「うん、ここは私が見ておくから……」

霞「あっ！ 小蒔ちゃんが寝ちゃったからお布団も用意してもらってもいいかしら？」

明星「えっ」
湧「えっ」

巴「だから二人をいじめないであげてってば……」

春「……お布団、用意してくる」

明星「おっ、お願いします……！」

湧「申し訳ないです……！」

巴「ほら、いいから行っておいで？」

300 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 23:16:46.39 ID:B017FHUj0

巴「……霞ちゃん」

霞「……だって、初美ちゃんがちょっと落ち込んでたから……」

巴「だって、じゃないでしょ？ もう、すぐに下の子に無茶ぶりして……そういうの、よくないと思うよ？」

霞「……ごめんなさい」

巴「そもそも霞ちゃんがいちいち少し意地悪するから……」

霞「……だって、初美ちゃんかわいいんだもの」

巴「…………いちいち意地悪して気を引こうとしなくてもはっちゃんも霞ちゃんのこと好きだから安心してね」

霞「べ、別にそういう話しはしてないと思うのだけど？」

初美「さっきから二人でなんのお話ですかー？ サプライズの相談なら私がいないところでやらないとダメですよー？」

霞「あら、そうね。 それじゃあ巴ちゃん、あっちで……」

巴「だから！ そこまで大それた用意もしてないのにパーティーのハードルガンガン上げるのやめよう！？」

霞「……ごめんなさい」

初美「なんだ、違ったんですかー？」

霞「だ、大丈夫よ！？ ちゃんとプレゼントもケーキも用意してあるしお料理だって初美ちゃんの好きなものをたくさん……！」

巴「なんで今度は全部ばらしちゃうの！？」

霞「あっ」

初美「……ふふ、霞ちゃんはうっかりさんですねー。 やっぱりお姉さんの私がいないとダメですねー」

巴「……本当にね。 霞ちゃんがしっかりしてくれないと、私たちみんな困っちゃうよ？」

霞「……初美ちゃんと巴ちゃんが助けてくれるでしょう？」

巴「もちろん！」

初美「当然ですよー！」

霞「……ふふ、ありがとう。 それと……」

初美「なんですかー？」

霞「ううん、改めて……初美ちゃん、お誕生日おめでとう」

初美「はいっ！ ありがとうございますー！」


カン！

301 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/05/28(土) 23:19:06.37 ID:B017FHUj0

バレてるだろうけど永水は三年生の三人推しです
はったんイェイ〜

302 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/28(土) 23:58:40.49 ID:O1zTzfFAO

乙です…
先ずはドイツ編(仮)ですが…
まさかのメンバーでしたね…
特に末原さんは大学行って教員免許を取って赤阪監督の後を継ぐかと思ったんですが…
其れから初たんいぇい〜に関しては阿知賀女子勢(中等部生含む)が絡まなかったのが意外でした。

303 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/29(日) 01:26:47.22 ID:oFTbnB/Po

おつおつ
永水の巴さんのポジションいいよね
ドイツ組は監督を含めておもち偏差値がひどいことに……

304 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/05/30(月) 21:53:34.88 ID:3Z7WKD6vO

エイちゃん関西弁は笑ったけど意外と

アリですね

乙

305 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/05(日) 01:22:37.04 ID:lG37LT1y0

>>302個人的に、末原ちゃんの進路に関してはプロでも進学→教師ルートでも普通に就職ルートでもあまり違和感がないというか、どれも納得できるかなっていうのはあります。
なんというか、例えば「インハイ負けてもうたけど、全力出しきったし満足や」って台詞を洋榎が言うと納得して切り替えてスッキリした顔で前に進んでいける感じがするけど、末原ちゃんが言うと諦めと悔しさとが入り交じってて無理矢理納得するために言ってる感じがするというか……すこやんに潰された後のハルちゃんルートに行っちゃうイメージ？
納得できるまで力を試して、本当にダメだと思ったらそこで初めて次に行ける子って印象です。修行→プロ→引退後外部コーチとして赤阪監督にいじられながら姫松で後進を育てる、なんてのもアリだと思ってます
それをssにしろよって話なんだけど時間上手く作れなくて……頭で考えたことがそのまま文章に出力されたら楽なのに

>>303純くんはイケメン枠だしあこちゃー念願の(相対的)巨乳ヒロイン枠だね！ やったね！
永水はみんな揃うと霞さんが一番のお姉さんなんだけど三年生だけになると一番後輩でちょっと子どもの霞ちゃんとみんなを引っ張る初美お姉ちゃん、世話焼きの巴お姉さんになる、みたいな妄想
原作の少ない描写から血筋とか立場的に石戸は神代分家のトップだと思ってるので……一番遅れて神境に来たけど六女仙をまとめないといけない霞さんの難しい立場とか、全国編アニメの追加描写からはるるは学年の先輩後輩すら壁に感じてるっぽい描写もあったし家格の差は大きそうだとか、いろいろ考えてますが
昔からずっと仲の良かったはっちゃんや、同い年で六女仙の先輩でもある巴さんは霞さんが甘えられる数少ない相手なんじゃないかと思ってます
そんな妄想をしてるから今までも巴さんは状況によって霞さん呼びだったり霞ちゃん呼びになってたり
まあそれもssに書けよって話ですが

数年ぶりに風邪とかひいてダウンしてたのでまったく投下の準備できてません……ハルちゃんのお誕生日までに一、二回は投下しようと思ってます。思ってるだけにならないように頑張ります
生存報告を兼ねた妄想垂れ流しでした。さーせん

306 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/05(日) 16:02:52.66 ID:YgMM7kaAO

そう言えば弘世様って咲-Saki-作中では“かなりお嬢様”にカテゴライズされて居た筈ですが…
この世界観ではお嬢様色を見せて居ませんよね？
“すごいお嬢様”ってカテゴライズされて居る透華お嬢様はお嬢様色をがっつり見せて居るのに…
やはり“すごいお嬢様”にカテゴライズされないとお嬢様色を見せないんでしょうか？
出来ればお嬢様達(透華お嬢様と弘世様と由子さんと劔谷のレギュラー達)とジャージ組との絡みが見たいのですが…

307 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/11(土) 16:36:42.04 ID:OaOcWB9q0

初カキコだけど、ちょくちょく読ませてもらってます♪
余力あったら、１さんの思うちゃちゃのんと洋榎の絡みなんかも見てみたいけど、阿知賀絡みだとやっぱり宥姉が起点になるのかな？
自分の場合、３年生に好きなキャラ多い気がします。

308 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:25:38.10 ID:z3ex4eXX0

>>306透華はわかりやすく漫画お嬢様で劔谷なんかはリアルお嬢様な感じしますね。ここの弘世様は変な方向に吹っ切れてるのでそのうちお嬢様設定絡めてなんか書きますかね
>>307原作で接点あるところは絡めやすいのでそのうち…>>1は学年分けしたら二年生に好きなキャラ多いかもしれないですね。灼や揺杏、染谷先輩に龍門渕も全員二年生ですし…

ちょろっと投下します。くろちゃーとおもちの人たちとか

309 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:27:01.79 ID:z3ex4eXX0

和「こんにちは、玄さん」

優希「こんにちは！ 玄おねーさん！」

玄「ようこそいらっしゃいました！ 和ちゃんは相変わらず立派なおもちをお持ちで……」

優希「まあ、のどちゃんのおっぱいに勝てる奴はそうそういないじぇ」

和「帰りますよ？」

玄「ごめんなさい！」

和「ゆーきも余計なことを云わないでください……それにしても、玄さんは変わりませんね……残念なような安心したような……」

玄「あはは……それで、相談なんだけど……あれ？ 咲ちゃんは？」

和「えっ？」

優希「そこに……いないな」

和「……いつの間にはぐれたんですか！？」

優希「ちゃんと手を繋がないとダメだな……まあ、ホテルに着いた時には一緒だったしどっかにいるだろ！ しずちゃんや憧ちゃん辺りに拾われてるかもしれないし……」

玄「電話してみたら？」

和「咲さんは携帯電話を持っていないので……」

玄「……だ、大丈夫なの？」

和「おそらく……」

優希「平気だと思うけど……なんならささっと探してくるじょ？ 探検も兼ねて！」

和「探すならしっかりと探してくださいよ……」

310 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:28:23.30 ID:z3ex4eXX0

優希「まあまあ、とりあえず咲ちゃんのことはいったん置いておいて……」

和「置いといちゃうんですか」

優希「玄おねーさんの相談ってのはいったい何事なんだ？ 協力できることなら私も協力するじぇ？」

玄「その、お料理のことで……」

優希「タコスか？」

玄「あ、その、タコスに限った話ではなくて……」

優希「タコと名の付くものなら力になれるじょ？」

玄「えっと、ごめん……タコにこだわる予定は今のところ……」

優希「咲ちゃん探してくるじぇ！ 見つけたら連絡するから心配するな！」

和「はい、いってらっしゃいゆーき」

優希「玄おねーさん！ 力になれなくて申し訳ないじょ！」

玄「ううん、優希ちゃんの気持ちだけでもうれしいよ」

優希「それじゃあいってきます！ あ、なにかおいしいものを作るならできた頃に呼んでくれ！ 味見は得意分野だじょ！」

玄「ふふ、その時はよろしくね」

優希「まかせとくじぇ！ 咲ちゃーんどこだー！」

和「……騒がしくてすみません」

玄「ふふ、優希ちゃんは元気でかわいいよね」

和「そうなんですよね！」

311 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:29:35.60 ID:z3ex4eXX0

和「ところで、お料理のことですか？ 私もそれなりにできる自信はありますが……玄さんの方がいろいろ作れるような……私でお力になれることがあるのでしょうか？」

玄「その、実は……」

和「実は？」

玄「……あの、あのね？ えっと……」

和「……なにか、話しづらいことなのでしょうか？」

玄「ち、違うの！ いや、違くはないんだけど……」

玄「……その、実は、私……す、好きな人ができて……」

和「ああ」

玄「えっ？」

和「あ、いえ……そうだったんですか。 知らなかったです」

玄「う、うん……そ、それでね？ 憧ちゃんに相談したら『男のハートはは胃袋から掴むのよ！ 料理の練習をしなさい！』って……」

和「…………憧って料理できましたっけ？」

玄「あんまり得意じゃないから今度教えて、って頼まれちゃった」

和「……ですよね」

312 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:30:59.76 ID:z3ex4eXX0

和「しかし、それで料理ですか……」

玄「和ちゃん、お料理得意だったなって……どういうものを作れたらいいのかなぁ」

和「そうですね……レシピに関しては私もお力になれるかもしれませんが……私たちがいいと思うものと、男性が作ってもらってうれしいものは違うかもしれません」

玄「あ……そっか、そうだね……人それぞれ好みもあるだろうし……」

和「ここは、料理の練習に取り組む前に男性の意見を求めた方がいいかもしれません」

玄「和ちゃん、さすがだね……私、そんなこと考えつかなかったよ」

和「しかし、ここでひとつ問題が……」

玄「問題？」

和「男性の知り合いってどなたかいらっしゃいますか？」

玄「あ……えっと…………は、萩原さんと……須賀くんとか？」

和「しかし、意中の相手に直接聞くと言うのも……」

玄「それはたしかに……えぇ！？ わ、私、す、好きな人が誰か言ったっけ！？」

和「あ……いえ、その……見てればわかりますよ……？」

玄「…………そ、そっか……」

和「と、とにかく！ あまり気は進みませんが……仕方がないですし、須賀くんに協力してもらいましょう。 料理に関しては、染谷先輩にも助けてもらえますね！ 連絡してみます」

玄「染谷さんの玉子焼き、絶品らしいね」

和「あれは特に凄いです！ 悔しいですが、正直勝てる気がしません……」

313 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:32:14.79 ID:z3ex4eXX0

――――――

京太郎「和！ 俺に用って……あ、玄さんまで！ これは……ああ……あー……」

京太郎「……お、俺に協力できることなら……協力するぜ……」

まこ「少しは学んだようじゃのう。 ……ちょっと気の毒じゃが」

和「話が早くて助かります」

玄「ありがとう、須賀くん！」

京太郎「お気になさらず！」

まこ「ん？ 優希と咲はどうしたんじゃ？ 一緒に出てったじゃろ？」

和「……ゆーきは咲さんを探しに行ってます」

まこ「……またはぐれたんか」

和「ホテルに着いた時には一緒だったのですぐに見つかるとは思うのですが……」

京太郎「あいつはほんと……見つからねぇようなら俺も後で行ってくるわ。 で、どうしたんっすか？」

和「須賀くんは、恋人に……いえ、女性に食事を作ってもらえるとしたらどんなメニューが好ましいですか？」

京太郎「俺恋人いないからわかんねぇや！ とりあえず和が一回俺と付き合ってみるってのはどうだ？」

和「ありがとうございました。 帰っていいですよ」

京太郎「冗談！ 冗談だから！ そんな目で見ないで！ いや、これはこれでいいんだけど！」

まこ「…………」

314 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:33:35.71 ID:z3ex4eXX0

京太郎「手料理っていうと……肉じゃがとか、定番じゃねーの？」

和「普通ですね」

京太郎「う……まあ、そうかもしれないけど、ベタをおさえるのも大事だと思うぞ？ 言い替えれば王道だぜ？」

まこ「何をするにも基本は大切じゃからな……どうなんじゃ、玄さん？」

玄「得意料理ですよ！」

和「問題は無さそうですね。 現段階でも玄さんの腕前なら充分男性の心を掴めると思います」

京太郎「あ、ちょっと待ってくれよ。 そうは言っても……」

和「なんですか？ また余計なことを言うつもりですか？」

京太郎「冷たい！ でも癖になるかも……」

まこ「日頃の行いじゃな……というか、変な方向に目覚められても困るんじゃが……」

玄「どうしたの？ なにか気になることがあった？」

京太郎「気になることなんてたくさんありますよ！ 玄さんの胸のサイズとか……」

玄「え？ えっと、今年の健康診断の時は……」

和「玄さん！ それは言わなくていいです！！ あと、そこの人は帰ってください！」

京太郎「そこの人！？ 」

まこ「さすがに見過ごせんぞ、京太郎？」

京太郎「いや、これはマジで冗談だったんすけど……お、教えてくれるんならまた今度こっそりと……」

まこ「その冗談ひとつでどれだけ評価落とすつもりなんじゃ……」

和「玄さん、そこの人は危険なので近づかないようにしてください。 絶対に二人きりになったりしないように」

玄「え？ う、うん、わかったよ」

京太郎「わかっちゃった！？」

315 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:34:54.19 ID:z3ex4eXX0

まこ「……で？ なんなんじゃ？ なんもないなら本気で追い出すけえね？」

京太郎「あ、ちょっと待ってください！ これはマジでひとつあるんで！」

和「……一応聞いておきますけど、なんですか？」

京太郎「いやさ、そういう家庭料理ってやっぱ家ごとに味付けとか違うじゃん？ おふくろの味ってやつ？ そこが噛み合わないといくらおいしくてもなんか違うっつーか……」

玄「……な、なるほど」

まこ「急にまともなこと言ってどうしたんじゃ？」

京太郎「染谷先輩にまで冷たくされるとマジで傷つくんですけど！？ っていうかむしろ本気で目覚めそう！」

まこ「やめんかアホ」

和「しかし、よくそんな視点を持てましたね……気がつきませんでした」

京太郎「ああ、中学の時にハンドの試合で遠征してさ、んで家の鍵持ってくの忘れて帰れなくなったときに一回咲に晩飯世話になったことがあってさ……うまかったんだけどなんか味付けとか違うんだなーって思ったことが……」

まこ「なるほどのう」

玄「つ、つまり……萩原さんの味付けの好みとか、そういうのもきちんと知らないとダメってこと？」

京太郎「知ってた方がいいと思いますよ。 まあ、萩原さんとは話す機会も多いんでそれとなく探っておきますね！」

玄「本当に？ ありがとう、須賀くん！」

京太郎「いやあ、いいんすよ……でへへ……」

316 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:35:58.85 ID:z3ex4eXX0

由暉子「あの……すみません、失礼します」

玄「あっ、ユキちゃん」

和「真屋さん？」

京太郎「うぉ！ でけぇ！」

まこ「黙っとれ」

和「…………」

由暉子「あ……すみません、取り込み中でしたか？」

玄「大丈夫だよ！ 今日はどうしたの？」

由暉子「高鴨さんが筋トレグッズを分けてくれるということで会いに来たのですが連絡がつかなくて……」

和「き、筋トレ……？ たしかに穏乃は得意分野でしょうが何故真屋さんが筋トレを……？」

由暉子「体力と筋力をつけて勝たないといけない相手がいるんです」

和「……格闘技でも始めるんですか？」

由暉子「格闘技……なるほど。 象を倒せる格闘技ってありますかね？」

和「象と戦うんですか！？」

まこ「……さすがに象を倒せる格闘技は無いんじゃないかのう」

玄「穏乃ちゃんかあ……和ちゃんたちが来るまでは部屋にいたし、約束忘れたりする子じゃないから……ちょっとお買い物に出てるとかかな？ よかったらここで待ってても……」

由暉子「いいんですか？ それでは、お邪魔させてもらいます」

317 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:37:05.36 ID:z3ex4eXX0

由暉子「今日は、どんなお話をされていたんですか？」

和「実は、玄さんが……」

由暉子「ああ、あの執事さん……なるほど、いいですね」

玄「も、もう……恥ずかしいからあんまり言わないでよぉ……」

京太郎「……ここはアレですかね？ 天国ですかね？」

まこ「いっぺん死んだら天国に行けるんじゃないかのう？ アホも治るかもしれんぞ？」

京太郎「……あ、あの優しい染谷先輩が蔑むような目で俺を罵って……！」

まこ「すまん、いつも通り優しくしてやるから変な方向に行くのはやめてくれんか？ 結構本気で」

京太郎「うす。 それにしてもヤバイっすね。 目の保養っす」

まこ「……みんなの迷惑になりそうじゃしあんたは咲を探しに行くってのはどうじゃ？」

京太郎「咲なら大丈夫です！ お腹へったら帰ってきますって！」

まこ「帰ってこられるんなら苦労はないんじゃがなあ……」

由暉子「……なるほど、お料理を……岩館先輩ならお力になれるかも……」

和「真屋さんはお料理されないんですか？」

由暉子「私はあまり……というか、苦手ですね。 けっこう不器用でして……」

玄「ふふ、ユキちゃん素直で余計なことしないから練習したらすぐに上達すると思うけどなぁ」

由暉子「そうですか？ 練習してみるのもいいかもしれませんね……はやりんも料理上手ですし」

和「はやりんはなんでもできますからね！」

318 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:38:31.39 ID:z3ex4eXX0

霞「失礼します。 初美ちゃんこちらに来ていませんか？」

玄「いっ……石戸さん！？」

京太郎「うおおおおお！ 超でけぇぇぇぇぇ！！」

霞「！？」

まこ「京太郎、急に買い物に行かなきゃいかんのを思い出したわ。 荷物持たせてやるから付き合ってくれんかのう？」

京太郎「え？ 付き合ってだなんてそんな……」

まこ「ん？」

京太郎「いや……その、ちょっと待ってくださいよ！ なんでですか！？ 俺からこの楽園を奪うつもりですか！？」

和「すみません、染谷先輩……どう考えても話が進みませんし皆さんに迷惑がかかってしまうので……」

まこ「レッドカードみたいじゃぞ？ ほれ、行くぞ京太郎」

京太郎「そ、そんなっ……！ いや、そりゃあ染谷先輩は優しいし実は美人だし料理も上手くてこれで胸さえあればドストライクでしたけどこの状況で……」

まこ「ほうかい。 わしもあんたが余計なことをなに一つ口に出さなくてアホじゃなけりゃアリだったんじゃがのう」

京太郎「マジですか！？ じゃあ染谷先輩の胸が大きくなったら結婚してください！」

まこ「あんたのアホが治らんから無理じゃな。 ほれ、ついてきんさい」

京太郎「うぅ……そんな……っていうか待ってください！ その言い方だと胸は大きくなる的な……」

まこ「そんなん知らんわ。 これ以上立場を悪くしたくなきゃおとなしくしとれ」

京太郎「くっ……和！ なんかあったら協力するからすぐに呼んでくれよな！」

和「あ、結構です。 間に合ってますので」

京太郎「やっぱり冷たい！？」

319 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:39:36.38 ID:z3ex4eXX0

霞「……な、なんだったのかしら？」

和「お気になさらず。 最初からなにもなかったんです」

玄「い、石戸さん……は、初美さんですか？」

霞「ええ……『同志に会いに行ってきますよー』って行ってたから高鴨さんのところかと……国広さんの方だったのかしら？ 初美ちゃん携帯忘れていっちゃって連絡が取れなくて……」

由暉子「今日は、私が高鴨さんと会う予定があったので……そちらの方かもしれませんね」

和「穏乃、薄墨さんとも仲がいいんですか……相変わらず顔が広いというか……」

玄「そ、そそ、そんなことより石戸さん！ せっかくいらっしゃったんですしゆっくりしていってください！ 穏乃ちゃんが戻ってきたら初美さんの居場所もわかるかもしれませんし！！」

霞「あらあら……でも、こんな急にお邪魔していいのかしら？」

玄「石戸さんなら大歓迎ですよ！！」

和「……玄さん」

玄「ち、違うよ！？ おもちとか関係ないから！！ 石戸さんのこと好きなだけだからね！？」

霞「えっ……も、もう、ふふ……照れちゃうわねぇ」

由暉子「いっそのことその勢いで告白してみると言うのはどうでしょうか」

玄「えぇ！？ そ、そんなの無理だよぉ……」

霞「あらあら？ もしかして……こ、恋ばなというやつかしら？」

由暉子「そうなんです」

玄「わっ！ わわっ！ だからあんまりみんなに言わないでってば……！」

霞「な、なんだかドキドキするわね……私も聞かせてもらってもいいのかしら？」

由暉子「実は私もちょっとドキドキしてます」

玄「そ、そんなあからさまにウキウキしなくても……」

霞「だって……ねぇ？」

和「仕方がありませんよね」

由暉子「楽しいですからね、恋ばな……特に人のは」

320 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:41:11.52 ID:z3ex4eXX0

霞「ふんふむ……なるほど、お料理で……」

由暉子「私は苦手なのでその分野ではあまり……でも、石戸さんならきっと玄さんの力になってくれそうですね！」

霞「えっ？」

由暉子「お料理、すごく上手そうです！」

霞「……ええ、まあ…………わ、私よりも、巴ちゃんの方がお料理は上手なんだけれど」

和「狩宿さんですか。 なるほど……」

霞「だ、大丈夫よ？ 私だって、小蒔ちゃんよりはお料理できるもの」

玄「へぇ……神代さんもお料理できるんですね」

霞「……い、今いない小蒔ちゃんのことよりも、ほら！ 玄さんのためだもの、私だって協力しちゃうわ。 なにか作戦を考えましょう？」

由暉子「三人寄れば文殊の知恵と言います。 四人もいるんですからきっといい案が浮かびますね！」

和「そうですね……最初から、頼る相手を間違えていました。 ちゃんとした人が集まればその方がいいに決まっています」

霞「……そういえば、さっきの染谷さんと一緒に出ていった子は……？」

和「……お恥ずかしい。 うちの麻雀部の男子部員です。 男性の視点から意見をもらえればと呼んだのですが……」

由暉子「役に立たなかったんですか？」

和「問題が多い人なので……」

玄「そ、そんな……ほら、須賀くんいいことも言ってたじゃない。 協力もしてくれるみたいだし……」

和「……まあ、萩原さんと親しいようですからそういった面では助けになるかと思いますが……」

玄「須賀くんの意見には私も思うところはあったよ……いろいろ考え直さなきゃなって」

和「……玄さんの役に立ったのならいいんですけれど……」

321 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:42:20.30 ID:z3ex4eXX0

由暉子「参考になる意見があったんですね……なんだか、急に叫んでは染谷さんに注意されるだけの人だと思ってました」

和「間違ってはいないですね」

霞「私も来た途端に大きな声で叫んでたからビックリしちゃったわ……」

和「どうも、ご迷惑をおかけしまして……」

玄(……須賀くんの言う通り…………ここは楽園だよね！ おもちが！ すっごいおもちが！ こんなにも！)

玄(っと……ダメダメ！ おもちのことばっかり考えてちゃ！ おもちがどうとか言うの止めないと引かれちゃうって憧ちゃんにも言われたし……)

玄(……それにしても)

由暉子「玄さんのアピールポイントというのをしっかり押し出していくのが大切だと思います」

和「やはり、いわゆる『女性らしさ』でしょうか？ 玄さんはお料理だけでなく家事全般が得意ですし……」

霞「容姿も性格もかわいらしいものねぇ」

玄(やっぱりおもちがとんでもないことに！！ わ、私はいったいどうすれば……)

和「玄さんはどう思いますか？」

玄「えっ？ えっと、その……おもちが……」

和「……聞いてなかったんですね？」

玄「ち、違うよ！？ み、みんながせっかく助けてくれるって言ってるのに聞いてないなんて、そんなわけないよ！」

和「……それでは、その……おもちとやらが、なんだと言うんですか？」

玄「いや、その……それは……」

玄(そういえば、さっき……)

322 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:43:28.92 ID:z3ex4eXX0

京太郎『気になることなんてたくさんありますよ！ 玄さんの胸のサイズとか……』

京太郎『うぉ！ でけぇ！』

京太郎『うおおおおお！ 超でけぇぇぇぇぇ！！』

京太郎『――これで胸さえあれば……』

京太郎『――胸が大きくなったら結婚してください！』

京太郎『その言い方だと胸は大きくなる的な……』

323 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:44:52.10 ID:z3ex4eXX0

玄(やっぱり、男の子の目から見ると……とってもおもちじゃないと駄目なんじゃ……！？)

由暉子「お餅……ですか？」

霞「ふふ、春ちゃんが好きでね、うちでもけっこう食べるのよ」

和「……それとはまた違うのですが……まあいいです。 むしろ知らない方がいいです」

玄「…………あの」

霞「あら、どうしたのかしら？ 急に暗い顔して……」

玄「……どうしたら、みなさんのように胸が大きくなりますか……？」

和「いきなり何を言い出してるんですか」

由暉子「どうして急にそんな……」

玄「だ、だって……須賀くんも胸のことばっかり言ってたし……やっぱり大きくないと……」

霞「男の子ってやっぱりそういうものなのかしらね……とは言っても、なにぶん、勝手にこうなってしまったから……」

由暉子「私も、特別なにかをしたというわけでは……」

和「……どうしてこうなってしまったのか、私が知りたいくらいですが……遺伝ですかね？ お母さんも……その、大きいですし」

玄「うう……それじゃあ、やっぱり今からじゃどうにもならないのかなぁ……」

和「あの執事さんはそういうことを気にする方にも見えませんが……」

324 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:45:37.95 ID:z3ex4eXX0

穏乃「ただいま戻りましたーっ！ ってやっぱり真屋さん来てた！ 待たせちゃってごめん！ 憧とコンビニ行ってたら咲と優希に会ってついつい話し込んじゃって……」

由暉子「あ、高鴨さん……いえ、大丈夫ですよ。 玄さんたちと楽しくお話しさせてもらってました」

和「咲さん見つかったんですね、ゆーき」

優希「いやあ、ふと外を見たら咲ちゃんの姿が見えてな！ まさか本当に外に出てるとは思わなかったじょ」

咲「あはは……な、なんでだろうね……？」

憧「こっちの台詞……何をどうやったら外に出ちゃうのよ……っていうか石戸さんまでいらしてたんですね、こんにちは！ 玄が迷惑かけてません？」

霞「ふふ、まさか……玄さんがそんなことしないのは新子さんだってわかってるでしょう？」

憧「いや……玄のことよく知ってるからこそこのメンバーは嫌な予感しかしないと言うか……」

憧「……あれ？ テンション低いわね、どうしたのよ？ いつもなら引くぐらいテンション上げてる場面でしょうに……なにかあった？」

玄「憧ちゃん……あの、相談が……」

憧「へ？ ……はっはーん、また恋愛相談ね。 いいわよ、この私にまかせなさい！」

由暉子「新子さん、頼りになりますね。 カッコいいです」

咲「憧ちゃんすごいなあ……かわいいしオシャレだしモテるんだろうなぁ……」

和「…………憧」

穏乃「いや……憧のその自信って本当にどこから来るの？」

憧「う、うるさいわね！ 少なくともしずよりは絶対に役立つから！ ほら、とりあえず言ってみなさいよ」

玄「憧ちゃん……その……」

325 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:46:51.75 ID:z3ex4eXX0

玄「どうやったら胸って大きくなるのかなあ……？」


憧「知るか！」


すっごく怒られました


カン！

326 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/11(土) 22:53:18.25 ID:z3ex4eXX0

未来の巨乳ヒロイン枠あこちゃー（普乳）
六女仙は当番制で順番に料理とかしてそうなイメージ。霞さんは普通に料理できるけど他に勉強することが多くて仲間内ではそれほどできる方じゃないから自分はできない方だと思い込んでるとかだといい。はっちゃんは意外と器用にこなすけど巴ちゃんが作った方がおいしいですしーとか言ってあんまり料理とかしない子なイメージ

327 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/11(土) 23:01:18.23 ID:Ei3458gno

乙です

328 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/11(土) 23:53:32.43 ID:S0x+oq1AO

乙っした

329 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/12(日) 00:54:57.94 ID:9cdaoUXFo

乙
小林神に祈るのだクロチャー

330 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/13(月) 13:52:32.88 ID:DTuxg/DAO

乙です…
憧ちゃーとあわあわはこの夏で急成長しましたからね…(描き手が変わった影響だけかもしれませんが…)

331 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:42:57.32 ID:hIrvdinG0

池田に注意されてちょっとしゅんってするゆーきがかわいかったです。五位決定戦で掘り下げ少なかったキャラにもスポット当たるといいなぁ
ちょいとばかし投下

332 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:44:48.33 ID:hIrvdinG0

憧「だいたいねぇ……どうやったら胸が大きくなるかですって！？ こっちが知りたいっつーの！ だいたい玄は胸でかいじゃん！ もういらないでしょ！」

玄「で、でも……」

憧「でもじゃない！ っていうか余分にあるでしょ！ ちょっとは分けなさいよ！」

玄「む、無理言わないでよ憧ちゃん……」

穏乃「憧もなんでそんなに胸の大きさにこだわるかなあ……そういうのってさ、あったらあったで、なかったらなかったでそれぞれいろいろあるもんじゃん。 変に気にすることないって」

憧「どれくらい欲しいかだってこっちの勝手でしょ！」

穏乃「そしたら玄さんがもうちょっと欲しいなって思ったって憧が口出しすることじゃないでしょ」

憧「ぐっ……むむむぅ……」

穏乃「っていうかここ数日ずっとそれ言ってるよね。 いい加減飽きない？」

憧「うるさいわよ！ しずにあのときの私の気持ちが……自分よりもちょっと胸のでかい玄にどうすれば胸が大きくなるかなんて聞かれた私の気持ちは……」

穏乃「ちょっと？」

憧「あーもう！ 見栄はって悪かったわね！ かなり！ かなり胸のサイズには差がありますよ！！」

玄「そ、そんなことないんじゃ……」

憧「玄に慰められてもムカつく！」

玄「えぇ……ご、ごめんなさい……」

333 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:46:04.56 ID:hIrvdinG0

和ちゃんやユキちゃん、石戸さんに相談をしていたあの日からどうも憧ちゃんはご機嫌斜めで……よく怒られてしまっている

憧ちゃんならなにか知ってるかもと思って聞いたんだけど……うう、なんというか、配慮が足りなかったみたいです……灼ちゃんにも叱られちゃった

揺杏「まあまあ、憧ちゃんの胸のサイズはちょうどいいって！ 大きすぎず小さすぎず……細身だしむしろ理想の体型！ いい服たくさん着れるって！」

憧「う……それは、まあ……でもやっぱりもうちょっとぐらい欲しいと言うか……」

久「私にまかせなさいっ！！」

玄「た、竹井さん？」

揺杏「お、久姉ちーっす」

久「はぁい、元気そうね」

穏乃「こんにちは！ 珍しいですね、お一人で来られるなんて……」

久「いやあ、まこと和から話を聞いてね……面白そうな話してたらしいじゃないの！ 仲間はずれなんて酷いわ」

玄「そ、そういうつもりじゃ……」

久「冗談冗談、どうせ料理は力になれないし……ふふ、とにかく私も一枚噛ませてもらうわっ！ 必ずや玄さんの恋を成就させてみせるっ！」

穏乃「た、頼もしい……！」

揺杏「あはは、さすが、よっ部長！ カッコいいよ！ ……というか、私もユキに聞いて面白そうだから一枚噛ませてもらおうと思ってきたんだけどさー」

憧「あ、そうなの？ 灼さんのとこいかないから珍しいなーとは思ってたけど」

揺杏「灼なら今頃宥姉ちゃんとともきーんとこ行って……あ、なんなら純と執事さん呼んでもらう？」

玄「そ、そんな、急に言われても心の準備が……」

揺杏「あはは、それじゃあまた今度だなー」

334 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:47:05.63 ID:hIrvdinG0

久「キャベツ」

玄「キャベツ？」

久「胸にいいらしいわよ？」

憧「キャベツ買ってくる！」

久「生で毎日何十玉も食べないといけないみたいだけど」

憧「さすがにそれは無理！」

揺杏「あ、ほら、揉めば大きくなるとか言うじゃん」

玄「でも、自分の胸揉んだって面白くないよ？」

穏乃「面白い面白くないなんですか？」

久「それじゃあ新子さんの胸揉んであげたら？」

玄「え、でも憧ちゃんの胸揉んだって……」

憧「どうせ私の胸揉んだって面白くもなんともないわよ！ 悪かったわね！！」

玄「ご、ごめん……そういうつもりじゃ……」

憧「というか、それガセよ！ 効かないから！」

穏乃「試したんだ」

久「試したのね」

揺杏「もう試してたのかぁ」

憧「うぅぅうるさい！ いいでしょ別に！」

揺杏「努力するのはいいことだよなぁ」

久「うんうん、えらいえらい」

憧「な、なによぅ、バカにして……」

335 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:48:04.98 ID:hIrvdinG0

巴「こんにちは……取り込み中だったかな？」

憧「あっ、巴さん！ 酷いんですよ！ 私が悩んでるのにみんなバカにしてっ……！」

穏乃「別にバカにはしてないと思うんだけどなあ……」

揺杏「そりゃあ被害妄想だって」

久「頑張ってて微笑ましいなって……ねえ？」

玄「え？ はい、そうですね……？ 狩宿さん、今日は憧ちゃんに……？」

巴「うん、憧ちゃんに会いに来たのと、霞さんが玄さんの力になってあげて、って……お料理でなにか、って聞いてたんだけど、今日はまた別の話かな？」

玄「は、はい……実は……」

揺杏「玄ちゃんがおっぱい大きくしたいんだって！」

玄「な、なにもそんな大声で言わなくても……！」

巴「あはは……今いるメンバーで一番胸おっきい玄ちゃんがその相談をするんだ……？」

玄「うぅ……だって、その……」

久「まあほら、私はわざわざ胸大きくしなくても充分魅力的だし？」

穏乃「竹井さん美人な上カッコいいですからね！」

憧「自分に自信のある人っていいわよね……実際竹井さん魅力的だし……」

玄「うう……きっと萩原さんも竹井さんみたいな素敵な人が……」

久「えっ……ちょっと、な、なんで褒めるのよ……こう、鋭いツッコミを求めてるんだけど……」

揺杏「くっ……くくっ……」

久「わかっててスルーしないでよ！ もう、まこも連れて来ればよかったわ……は、恥ずかしい……」

336 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:49:58.58 ID:hIrvdinG0

巴「胸かあ……」

憧「巴さんだってやっぱり多少は欲しいですよねっ！？」

巴「いや……なんていうか、霞さんをはじめとして回りがみんなあれだから……今からその路線を追いかけるのも……はっちゃんは見た目的にバランス取れてるから比べるのも違うし……」

玄「永水はおもち度高いですよね！」

巴「ああ……おもちってそういう……」

憧「ご、ごめんなさい巴さん！ 玄がまたアホなことを……」

巴「そんな、憧ちゃんが変に謝ることじゃないよ……あはは、けっこう面白い例えかもね」

揺杏「……あ！」

久「なに？ どうかした？」

揺杏「いや、今ちょっと調べてたら面白いの出てきて……」

久「どれどれ……ほほう……なるほど……」

憧「揺杏も竹井さんもなにニヤニヤして……」

穏乃「なになに？ ……トキメキ……女性ホルモンが…………どういうことですか？」

久「つまり！ 要約すると……」

揺杏「好きな相手に揉まれるとでかくなる！」

憧「ふきゅ」

久「試してみたら？」

玄「い、いやいやいやいや！！ そ、そんな、さすがにそれはダメですよ！！ だ、だって、そんなの……あ、あわわわ……」

337 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:54:03.24 ID:hIrvdinG0

憧「そんっ……な、なにを言ってるんですかね！？ は、破廉恥な！」

揺杏「落ち着けよ憧ちゃーん」

久「ほら、興奮しないの」

憧「興奮とかしてませんけど！？」

穏乃「……憧の場合、それってあんまり問題ないんじゃ」

憧「問題だらけでしょ！ は、はは、恥ずかしいじゃないの！！」

久「新子さんって意外とうぶよねぇ」

穏乃「憧は別に彼氏いるわけでもないですし……」

揺杏「せっかくかわいいのに変に拗らせて男前の女を追っかけてると言う……」

憧「な、なによ！ 別にいいでしょ！？ 私の人生で一番かっこいいのが井上さんよ！」

巴「たしかに井上くんかっこいいけど……」

憧「ライバル！？」

巴「違うよ！？」

久「……新子さんってけっこう落ち着きないわよね」

穏乃「そりゃあ、私の親友ですからね！」

揺杏「えー……自分で言う？ 類は友を呼ぶってやつかー」

穏乃「ほら、落ち着いてる人は他に居ますし！ 玄さんとか！」

揺杏「……玄ちゃん落ち着いてるかぁ？」

玄「……あわ、あわわわ…………」

久「……今はショートしてるわね」

揺杏「やっぱり類友だな……憧ちゃんとそっくりだわ」

憧「一緒にしないでよ！」

久「一緒じゃない？」

揺杏「いや、憧ちゃんの方が酷い」

久「あー」

憧「なんで納得してるんですか！？」

338 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:55:09.65 ID:hIrvdinG0

揺杏「ま、いいや。 とりあえず玄ちゃんは執事さん呼び出して乳揉んでもらえば解決だな！」

玄「だ、ダメだよそんなの！ そ、そういうことは結婚してから……」

久「大丈夫よ！ ほら、うまくいったら結果的にはそういうこともするわけだし？ ちょっと順番が変わるだけだから！」

玄「え……？ そ、そうですかね……？」

揺杏「しかも！ それで胸がでかくなったらより好かれるかもしれないんだろ？ 一石二鳥だぜ！」

玄「な、なるほど！」

巴「えっ……ちょっと、玄ちゃん？ なんで納得してるの？ いろいろ間違ってないかな？」

憧「そ、そんないきなり胸なんか触らせちゃダメよ！ も、もっとちゃんと順番を……て、手を繋ぐぐらいから……」

穏乃「順番は大切ですよね。 オリるにしても手順ひとつ間違えただけで酷いことになる可能性もありますし……」

久「……ちょっとずれてるけど高鴨さんって急に冷静になったりするわよね」

穏乃「回りが浮き足立ってる時こそ私がしっかりしないとですから！」

揺杏「穏乃は意外としっかりしてるからなあ……いろいろずれてるところはあるけど」

穏乃「えー？ 私どこか変ですか？」

揺杏「うん……まあ……ちょっとな？」

久「ちょっと……そう、ユニークよね」

憧「い、いい？ そ、そういうのは何回かデートもして、ちゃんと順序を踏んでから……」

玄「わ、わかってるよ？ そ、そう！ ちょっと混乱していただけで……」

穏乃「……憧や玄さんも中々ユニークなキャラだと思うんだけどなぁ……」

339 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:56:30.02 ID:hIrvdinG0

灼「ちょっと」

揺杏「おわぁ！？ ……あ、灼か……驚いたぁ……」

穏乃「お帰りなさい、灼さん、宥さん！」

宥「ただいま〜」

灼「ただいま……憧と玄で遊ぶのはほどほどにしてよ……暴走しかねないし」

久「ほどほどならいいのね？」

灼「はい、ほどほどで」

巴「か、庇うのかそうじゃないのかはっきりしないね……」

灼「だって、その……あの子達かわいいから……」

巴「……なるほど……なら、仕方ない……のかな？」

宥「いくらかわいくっても、あんまりいじめたらダメですよ？」

久「はぁーい」

智紀「かわいいは正義」

揺杏「あ、ともきーも一緒なのね」

智紀「ん……他にもいろいろ…………じゃーん、正義の塊」

衣「こら、智紀！ 衣を抱えるな！」

灼「かわいい」

宥「わぁ、天江さんかわいい……」

久「かわいい……」

智紀「ね」

衣「やめろ！ みんなして撫でるな！ 衣は子どもじゃないんだぞ！」

340 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:57:59.02 ID:hIrvdinG0

純「おいおい、そっちもほどほどにしてくれよ？ 衣が拗ねるだろうが」

憧「ふきゅ」

揺杏「おっ、純じゃん！ 元気？ 相変わらずスタイルいいな！ しかも男前っ！」

純「な、なんだよ、急に褒め……ってオレは女だっ！」

揺杏「はい、いただきましたー」

宥「わー」

純「持ちネタじゃねぇよ！ つーか反応が雑なんだよ！どうせならしっかり『待ってました！』みたいな反応しろよ！」

久「もう完全に持ちネタじゃないの」

純「うっせーな！ ったく……で？ なんか盛り上がってたみてぇだけどなんの話してたんだ？」

憧「え？ あ、いや、えっと……」

久「ちょっと胸の話をね！」

揺杏「憧ちゃんのおっぱいどう思う？」

憧「ふきゅ」

純「は？ いや、どうとか言われても……」

久「そうね！ 触ってみないと感想も言えないわよね！」

揺杏「行け！ 揉めっ！ 揉みしだけっ！」

憧「なっ……ななな、なにを好き勝手言ってるんですか！！ そんっ……も、揉むとかなんとか……ふきゅ」

巴「悪ノリしてるなぁ……」

灼「揺杏と竹井さんじゃ仕方な……」

智紀「いつものこと」

衣「いいから三人ともいい加減に撫でるのをやめろ！ いつまでやってる気だ！ 降ろせ智紀！ おーろーせー！」

341 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 02:59:02.91 ID:hIrvdinG0

純「いや……智紀とか宥……さん、みたいにでかくても邪魔そうだし……」

宥「わたし？」

智紀「私は、純みたいに運動しないしそこまで邪魔な場面もないけど」

揺杏「つーか純もけっこうあるよな。 背ぇ高くて細身な上に着痩せすっからわかりづらいけど」

純「あ？ あー……まあ、憧よりは……あるけどな」

憧「ふきゅ！？ な、なんっ……ななな、なにさりげなく触ってるんですかっ！？」

純「え？ いや、なんか触る流れだったし……」

憧「そそ、そんっ……そんな流れありませんよっ！ せ、責任取ってくださいよっ！？」

純「なんの責任！？ いや、つーか別に女同士だし問題なくね？」

揺杏「えっ？」

久「女同士？」

純「オレは女だっ！！」

揺杏「ぶふっ」

久「くっくく……」

純「笑ってんじゃねぇよ！ しつけぇなお前ら！」

342 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:00:05.97 ID:hIrvdinG0

憧「む、むむ、胸を触られれれれ……」

宥「え、えっと、えっと……ほら、揉まれてないからセーフだよ！」

灼「とゆか、揉まれたかったんじゃ……」

憧「そそそそそそんっなわけないでしょ！」

灼「？ 胸をでかくしたいって話だったんじゃ……」

憧「そ、そうだけどっ！ そ、その言い方だと、な、なんか私が井上さんに胸揉まれたがってる変態みたいじゃないのっ！」

灼「そ？ 言い方が悪かったみたいでごめ」

憧「わ、わかればいいのよ、わかれば」

灼「まあそれはそれでちょっと揉まれたそうに見えたけど」

憧「ふきゅ」

宥「図星なの？」

憧「違いますけどね！？」

宥「なんで敬語に……？」

憧「べ、別に……なんでもないです……」

宥「また敬語……」

灼「距離感じるからやめなよ……宥さん泣きそうだよ」

宥「えっ？」

憧「え……？ ご、ごめん……宥ねえ……そんなつもりじゃ……！」

宥「な、泣かないよ？ 大丈夫だよ？」

揺杏「灼もなんだかんだで積極的に憧ちゃんいじってるよね」

灼「……かわいいから、つい」

純「お前も大概だよな……おい、玄？ どうした、さっきからボケッとして」

玄「ふぇ？」

343 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:01:17.24 ID:hIrvdinG0

玄「わ、私は……その……」

純「ふーん？ …………は？ お前、相変わらずとんちんかんなことを……」

玄「こ、これでも真面目に考えてて……」

純「いや、そもそも胸がどうこうってヨッシーじゃなくて須賀の趣味だろ？ つーかお前普通に胸でかくね？ 」

玄「うひゃあ！？」

憧「！？ ちょちょちょっと！ な、なに普通に玄の胸まで触ってるんですか！？」

純「へ？ ダメなのか？」

憧「ダメですよ！ どうしても触るってんなら私のに……」

久「やっぱり触られたいのね……」

揺杏「痴女だ痴女」

憧「ち、違うわよっ！ 私は純粋に玄を守る的なあれこれで……！」

玄「……い、言われてみれば……！」

純「だろ？ だから胸のサイズなんか気になるんなら直接聞けばいいんだよ」

玄「たしかに！ ……え？」

純「なぁ衣、ヨッシー呼んでくれよ」

衣「む？ 別に構わんが……」

智紀「どうしたの？」

灼「なにか……？」

衣「とにかく撫でるのをやめろ！！」

巴「……どうしよう、天江さん……ちょっと、たまらないんだけど……」

灼「かわいいでしょ」

智紀「……なんで灼が得意気に？」

衣「いいから離せと言ってるだろう！」

344 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:02:16.53 ID:hIrvdinG0

衣「はぁ、はぁ……ハギヨシ！」

ハギヨシ「はい、お呼びでしょうか？」

玄「！！」

衣「うむ、それが……ハギヨシになんの用なんだ？」

純「あ、ヨッシーってさ、玄……じゃなくって……」

智紀「あ、なんか気を遣ってる……」

揺杏「珍しいなー」

純「……そうだ！ 原村と透華どっちが好き？」

ハギヨシ「はい？」

久「……極端でわかりやすいけど身内過ぎてアレじゃない？」

智紀「透華が聞いたら怒りそう……」

灼「とゆか、大事なとこが抜けてるけど」

ハギヨシ「ええと……急で意図が全くわからないのですが……私は原村さんとはほとんど話したこともありませんし……」

純「あー……つまりだな…………めんどくせぇな！ だから、乳でかいのと普通のとちっさいのどれが好き？」

ハギヨシ「……………………はい？」

345 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:03:45.68 ID:hIrvdinG0

ハギヨシ「……それは、つまり……どういう……」

純「いや、そのまんまの意味で」

久「あ、男性にアンケート的な？ 恋する乙女たちのために？ 因みにうちの須賀くんは胸のことしか頭にないぐらいの巨乳好きだけど！」

ハギヨシ「……須賀くんは、どうしてあそこまでおおっぴらにそういうことを言えるんでしょうか……？」

久「あの子は言わなくてもわかるけどねー」

憧「……視線からしていやらしいのよ、あいつは」

穏乃「そうなの？」

憧「そうなの！ しずも気をつけなさい！」

揺杏「まあ、憧ちゃんの胸だと巨乳好きには注目されなそうだけどな」

憧「うるさいわね！ 揺杏はちょっと黙ってて！！」

揺杏「怒られたー」

灼「よしよし」

巴「憧ちゃんも、あんまり怒ってたらかわいい顔が台無しだよ？ 落ち着いて、おしとやかに、ね？」

憧「あ……は、はい……気をつけます」

宥「……憧ちゃん、狩宿さんには素直だよねえ」

穏乃「狩宿さん、少し望さんに似てますから」

憧「人をシスコンみたいに言うな！」

穏乃「え？ 憧ってけっこう……」

憧「なによ！？」

穏乃「……なんでもない」

宥「ふふ、私も望さん好きだよ〜」

346 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:05:00.55 ID:hIrvdinG0

ハギヨシ「……私は、女性の……」

純「いやいや！ わかってるぜ？ ヨッシーは女を胸で判断するようなやつじゃないってのはさ！ でもさ、ほら、胸だって個性の一部だし？」

ハギヨシ「それは、そうかもしれませんが……」

久「萩原さんだって男ならなんだかんだ言ったってそういう好みだってあるでしょ？」

揺杏「参考にするからさ、恥ずかしがらずに教えてくれよ〜」

ハギヨシ「……何故逃げ道を塞ぐかのように囲むのですか……？」

久「そりゃあ、逃げられないように、ねぇ？」

揺杏「おらおら、吐け吐けー！ 吐いて楽になっちゃえよー」

純「で？ ヨッシーもやっぱでかいのが好きなの？」

ハギヨシ「えー……私は、特に、こだわりはなく……」

久「いやいやいや！ そんなまさか！」

純「ちょっとぐらいなんかあるだろ？」

揺杏「あ、じゃあ今まで付き合った女の子とかはどうだったんですかー？」

ハギヨシ「……わ、私は、女性とそういう関係になったことがなくて……」

久「嘘っ！？ 須賀くんの数百倍はモテそうなのに！」

揺杏「アレの数百倍じゃたいしたこと無さそうに聞こえない？」

久「須賀くんと比べ物にならないくらいモテそうなのに！」

ハギヨシ「わ、わざわざ言い直さなくても……」

347 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:05:56.95 ID:hIrvdinG0

衣「ハギヨシは学生時代は勉学に励み、透華や衣の世話をし、空いた時間は執事としての修行に明け暮れていたからな……女にうつつを抜かす暇など無かっただろう」

巴「修行かあ……本気の修行って本当に大変だからね……」

穏乃「あっ！ 初美さんに聞きましたよ！ 山籠りとかするんですよね！」

憧「なんで修行したそうにしてんのよ……」

灼「……巫女と執事じゃ修行の内容が全然違うと思」

純「まあなんにしろさ、好みはあるだろ？ 例えば……ほら、玄とか胸でかいじゃん？ 触りたくね？」

ハギヨシ「なっ……」

玄「いいい井上さん！？ なっ、なんっ……！？」

揺杏「つーか純さっき玄ちゃんの胸触ってたじゃん！ どうだった？」

純「そうだな、やわらかくって……」

玄「か、解説しないでくださいっ！ は、恥ずかしいですからっ！！」

久「良かったのね」

純「おう、正直びびったね」

憧「くぅっ……！」

穏乃「そんなに悔しそうにしなくても……」

巴「憧ちゃんだって魅力的だよ？」

憧「それでも、そうだとしても！ 私はもう少し胸が欲しいんですよ……！」

348 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:06:59.00 ID:hIrvdinG0

純「ほら、気になんだろー？ 素直に言えよ」

ハギヨシ「それは……ええ、まあ……私も、当然女性に対する興味と言うのはありますが……」

久「よし！ とりあえずホモじゃない！」

ハギヨシ「……ちょっと待ってください、どこからそんな話が？」

久「え……だって龍門渕さんと一緒の時以外はいつも須賀くんと一緒だし……」

ハギヨシ「……た、竹井さんの生活範囲で私が目に入るタイミングって、概ね……透華お嬢様の側に控えている時か須賀くんといるときだけですよね？」

久「あは、たまたまかぁ」

ハギヨシ「……まさかそのような疑惑を向けられていたとは……」

揺杏「そんなホモじゃない執事さんにお願いがあるんですけど！」

ハギヨシ「ホモホモ言うのはやめてほしいのですが……なんでしょうか？ 私にできることならば」

揺杏「玄ちゃんの胸を揉んでやってくれ！」

ハギヨシ「！？」

玄「！？！？！？」

349 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:08:19.75 ID:hIrvdinG0

玄「い、岩館さん！？ なにを……なにを言って……えぇ！？」

ハギヨシ「……と、とりあえず、いろいろと整理をしたいので理由を聞かせていただいても……？」

揺杏「ちょっと訳があって……玄ちゃんが胸を大きくしたいんだって！ だから揉んであげて！」

ハギヨシ「……えー、それは、私がするのはおかしくありませんか？ その、問題がいろいろと……」

揺杏「萩原さんじゃないとダメな理由があるんです！」

ハギヨシ「……そ、その理由とは？」

純「それは玄のためにも言えねぇな……」

久「なにも言わずに玄さんの胸を！ 思いっきり揉んでいいので！」

玄「よ、よくないですよ！？ さ、さすがにそういうのはまだ早いですからね！？」

揺杏「なるほど、まだ早い……」

久「将来的には望むところだ、と……」

玄「そ、そこまで言ってないですよ！？ そ、その、順序をしっかり……」

揺杏「じゃあとりあえず今からデートしてちゅーして、それから胸を……」

玄「そんなハイペースで進んだら私パンクしちゃうよぉ！」

宥「玄ちゃん落ち着いて……はい、深呼吸して……」

玄「すー……はー……」

久「はい、それじゃあ遠慮なくどうぞ」

揺杏「好みのサイズになるまで揉んでやってくださいな」

ハギヨシ「え、いや……ですから……」

玄「竹井さんも岩館さんもやめてってばぁ！」

350 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:09:31.41 ID:hIrvdinG0

衣「ふむ……ハギヨシ、すまなかったな。 一回下がってくれ……さすがに悪ノリが過ぎるな」

ハギヨシ「は……はい、失礼しました」

久「消えたっ！？」

揺杏「逃がしたかっ！」

純「なにしてんだよ衣ー」

衣「お前たちこそなにをしているんだ。 ハギヨシも玄も困っているではないか」

巴「……天江さん、こんなにちっちゃくてかわいいのにしっかりしてるんだね」

智紀「そんなところもかわいい」

灼「衣おねえさんかわいい……」

衣「だから！ 撫でるなと言うに！！」

玄「うう……もう、どうしようかと思ったよ……」

宥「大丈夫？ 玄ちゃん落ち着いた？」

玄「う、うん……なんとか……」

穏乃「萩原さん帰っちゃって残念ですね！」

玄「う、うん……そうだけど、ちょっと安心したかな……」

久「残念そうね？」

揺杏「やっぱり玄ちゃんも萩原さんに胸を触られたかったんじゃ……」

玄「そ、そんなことないもんっ！」

憧「というか『も』ってなによ！ ま、まるで私が、そうだったみたいな前提で話をするのは……」

揺杏「その通りだろ？」

久「違うの？」

憧「ち、違いますっ！ 違うんだってば！」

351 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:11:06.41 ID:hIrvdinG0

灼「……ま、さすがに今日は酷く悪ノリしてたけど、みんな玄のこと応援してるのは間違いないから」

玄「わ、わかってるよ、うん……」

久「うーん、今日は失敗しちゃったけど……次回のリベンジに期待してちょうだい！ 今度こそ二人の関係を進めて見せるわ！」

純「玄にはうまい飯も食わせてもらったしな……デートのセッティングぐらいしてやるからよ」

揺杏「デートに着てく勝負服は私が作るからさ、よかったら着てってくれよな」

玄「み、みんな……！」

純「しかし、結局ヨッシーの胸の好みははっきりしなかったな」

久「まあ、また今度聞いてみましょうか」

揺杏「結局そこまでこだわってないみたいだしそこまで気にしなくてもいいような……」

純「玄はいい乳してるしな」

玄「なっ……あうう……恥ずかしい……」

久「触った実感が籠ってるわねぇ」

揺杏「そんなに？」

純「男が女の胸にこだわる理由がちょっとわかったね」

久「また一歩、真の男に近づいたわね……」

揺杏「もはや男そのものだな」

純「オレは女だっ！」

憧「……ぐぬぅ…………玄めぇ……！」

穏乃「……結局、一番胸にこだわってるのって憧ですよね」

巴「……そうかもね」


カン！

352 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/18(土) 03:15:05.75 ID:hIrvdinG0

某女子高生漫画家が胸を盛るのは仕方ないけど>>1はあまりやりすぎない方が好きです
具体的に言うときつくないあこちゃーが好きです

353 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/18(土) 08:39:33.07 ID:dSV4s68ko

K・Iさんはキツいと申すか！？




乙

354 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/18(土) 09:49:29.82 ID:DWLxmvSvo

乙
最新号でおもちが削られたキャラがいるらしい

355 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/18(土) 14:19:39.69 ID:SHvCznM50

乙
胸の話になってから咲ちゃん全く会話に参加してない件
和のおもち羨ましがってた事あったし日々成長してる親友をどう思ってるのだろうか

356 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/18(土) 14:28:00.81 ID:plwdWHr7o

乙です

357 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/18(土) 17:09:46.68 ID:iT5+HpwAO

乙です。
今回の話で一番大人な態度を見せたのは一番小さな衣お姉さんでしたね…

次はいよいよ赤土先生のバースデーですが…
其処でプロアマ戦の打ち上げなんて如何でしょう？

358 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:06:42.84 ID:yY+atX3f0

慕ちゃんとこーすけが癒しすぎて困る。怜-toki-に合わせてか日和も関西二本で楽しかったです
今日は荒川さんのお誕生日ですね。けいたんイェイ〜

投下。は、ハルちゃん誕生日おめでとうございました…

359 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:07:45.93 ID:yY+atX3f0

晴絵「ただいまー」

灼「お帰りハルちゃん！」

宥「赤土先生お帰りなさい〜」

望「あんたの家じゃないでしょ……お疲れさま、飲み物なにがいい？」

晴絵「ビール」

望「平日の真っ昼間からなに言ってんのよあんたは」

晴絵「平日の昼間から飲むのがいいんじゃないか……冗談だって、怖い顔すんなよ」

望「教育に悪い教師だなぁ……」

晴絵「今は教師じゃないし……ふたりとも学校は？」

宥「今日は講義無いので……ふふ、望さんにお願いして待たせてもらってたんです」

灼「憧と穏乃はがっこ終わったら来ると思……玄も、今日はこっち来るって」

晴絵「そっか。 玄は今松実館で修行中だったよな……頑張ってるか？」

灼「ん」

宥「今日もお仕事だから、って玄ちゃんは言ってたんですけど……お父さんに赤土先生帰ってくるって話したらちゃんと会ってこい！ って言われちゃって……ふふ、玄ちゃんもうれしそうでしたけど」

望「あんたが絡むとなるとここらの人間はみーんな優しくなるからねぇ」

晴絵「……なんか、こう……悪いなぁ」

灼「悪いことはないと思……」

望「あんた人気者だからねぇ……挨拶回り行ってきたら？」

晴絵「帰ってくるたびにするのも大変だし……まあ、松実館には顔出しとくかな……さんざん世話になったし」

360 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:08:48.65 ID:yY+atX3f0

望「ま、いつまでも玄関居るのもなんだし入りなさいよ」

晴絵「ん、上がらせてもらうわ……あ、そういえば客連れてきたんだけど」

望「客？」

菫「あの……失礼します、お邪魔しても大丈夫なんですか？」

望「あら、弘世様」

宥「わぁ、お久しぶりです」

灼「弘世さん」

菫「久しぶりだな……その」

望「上がって上がって！ ったく、連れてくるなら前もって言っときなさいよ……料理とか足りなくなったらどうするのよ」

晴絵「サプライズゲストってことで……別にいいだろー」

望「そりゃ全然いいけど……むしろみんな喜ぶし……はじめまして、新子望です。 よろしくね、弘世プロ」

菫「よろしくお願いします、望さん。 それと今はオフですから、菫と」

望「……うーん、それにしても」

菫「な、なんでしょうか？」

望「菫ちゃん、やっぱカッコいいよね。 人気者だし」

菫「は、はぁ……そうでしょうか……？」

宥「弘世さん、阿知賀でも人気者ですよ〜？」

菫「そうなのか？」

灼「ん……ハルちゃんがハートビーツ入ってからチーム自体の注目度が上がってるから」

晴絵「みんな見てくれてるのか……照れくさいけど、うれしいね」

望「私も応援してるからね、菫ちゃん」

菫「ありがとうございます」

晴絵「私の応援もしてくれよー」

望「ん？ まあ、そこそこねー」

361 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:09:57.92 ID:yY+atX3f0

望「じゃ、ゆっくりしていってね」

晴絵「おう、さんきゅ」

灼「弘世さん、ハルちゃんと一緒に来たってことは……」

菫「ああ、明日の試合は私も出場予定なんだ。 会場が大阪で……ハルちゃんが部屋に泊めてくれると」

晴絵「うちからなら近いし、楽だからなー」

菫「鷺森たちにも久しぶりに会いたかったしな……どうだ？ 学生生活というやつは」

灼「ん……楽しくやってる。 宥さんも一緒だし」

宥「えへへ、楽しいよ〜？ 弘世さんも、プロは大変じゃないですか？」

菫「ああ、白糸台の時とは比べ物にならないくらい人前にも出るしな……大変だが、それでも毎日楽しいよ」

灼「それは知ってた」

宥「ふふ、今日は瑞原プロはご一緒されてないんですね」

菫「瑞原プロは午前中に取材が入っていてな……」

晴絵「あ」

灼「？」

晴絵「いや、今瑞原さんから……仕事早く終わりそうだから、終わったらこっち向かうって」

菫「！！」

晴絵「日が沈む頃には着くんじゃないかな」

菫「そうですか！！」

灼「……やっぱり楽しそ」

宥「憧ちゃんも喜ぶねぇ」

362 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:10:56.12 ID:yY+atX3f0

灼「麻雀の方はど？」

晴絵「悪くないよ、小鍛治さんに勝つにはまだまだ足りなそうだけどな」

宥「赤土先生なら勝てますよ！」

菫「時間の問題です、期待してますから」

灼「ハルちゃんの方が強いし」

晴絵「簡単に言うよなぁ……あの人の記録知ってるか？ 完全に化物だぞ、化物」

宥「そんなこと言うと小鍛治プロ傷つきますよ？」

菫「ほとんど同じ土俵に立ってるハルちゃんが言っても……」

晴絵「期待してくれるのはうれしいけどさぁ……あんまり過剰に評価されるとさぁ……」

望「そうやってプレッシャーかけてあげた方が力発揮する子だからその調子でガンガンやっちゃってねー……はい、飲み物どうぞ」

菫「ありがとうございます、望さん」

灼「どもです」

宥「ありがとうございます〜」

晴絵「望も勝手なこと言って……ま、頑張るけどさぁ」

363 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:12:25.30 ID:yY+atX3f0

望「晴絵は打倒小鍛治プロだとして、菫ちゃんは目標とかあるの？」

菫「そうですね……私の打ち方だと、スタメン定着は難しいですから……目標というか、今は与えられた仕事をしっかりこなすことでしょうか。 私が機能すれば試合の決め手にもなれますし」

晴絵「菫はこの一年でかなり伸びたしな。 ワンポイントでしっかり下位との差を広げたり、上位を撃ち落としたり……速度も精度も上がってるから頼りになるよ」

菫「ハルちゃんと瑞原プロのお陰です。 お二人は実力は当然として、教えるのも上手い」

宥「なんていっても赤土先生は先生だもん」

灼「子ども麻雀クラブに、牌のお姉さん……小さい子どもにもわかりやすくしっかり教えられる人だから」

晴絵「私はともかく、菫は瑞原さんに教えてもらえるから特に気合入ってるんだろ？ 私も瑞原さんからは学ぶことは多いけどな」

菫「気合が入るのは否定できませんね。 はやりんが隣にいるんですからもう……もう！ たまらないですよ！ 興奮しますよ！」

灼「興奮するんだ……」

菫「そりゃあ、興奮もするだろう！ 隣にはやりんがいるんだぞ？ あのはやりんが！」

望「……キャラ付けじゃないんだね、ハートビーツのはやりんファン代表兼任選手」

宥「弘世さん、本気の本気ですから……」

菫「夏のツアーも何口も応募したのに抽選落ちてへこんでるんだ……」

晴絵「瑞原さんは関係者席とか用意してくれるじゃないか」

菫「それはそうですが！ そういう問題ではないんですよ！ 勝ち取りたいんですよ！」

灼「わかる」

晴絵「うーん……ここら辺の感覚がわからん……」

宥「瑞原プロ本人から席用意してもらえるなんて、よほど……なんというか、勝ってる感じしますけど……」

菫「それはそれ、これはこれだ！」

宥「そ、そうなんですか……」

364 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:14:02.81 ID:yY+atX3f0

憧「ただいまっ！ お姉ちゃん、ハルエはー？ もう来てるのー？」

穏乃「おじゃましまーす！ あ、靴いっぱいある！ たぶん来てるよ！」

玄「穏乃ちゃん、あんまりはしゃいだら迷惑になっちゃうよ？」

憧「別に他にお客さんもいないから大丈夫だって……あ、いた！ ハルエ、久しぶり！ ……あ、菫さんも！」

菫「久しぶり、新子。 元気そうだな」

憧「はい！ もちろん！ …………」

晴絵「悪いけど、瑞原さんならいないぞ」

憧「べ、別に何も言ってないでしょ！」

穏乃「弘世さん、赤土先生！ お久しぶりです！」

晴絵「久しぶり、しずはいつも元気だなあ」

穏乃「もちろんです！ 元気満点ですよ！」

晴絵「そんなしずに元気もらってるよ！ あー、帰ってきてよかったー……癒されるー」

穏乃「えへへ、そうですか？」

玄「赤土先生、いつもお疲れさまです。 弘世さんも阿知賀へようこそ！ いいところですから、のんびりしていってくださいね！ ご宿泊の際はぜひ松実館へ！」

菫「流れるような宣伝だな……悪いが今日はハルちゃんの部屋に泊まらせてもらうんだ、またの機会に邪魔させてもらうよ」

玄「赤土先生のところにですか！ それは楽しそうですね！」

晴絵「菫も飲める歳になったしな……瑞原さんも来るし三人……いや、望もいるから……」

憧「ってなによ！ 瑞原プロも来るの！？」

菫「ああ！ 夕方ごろには到着する見通しだ！」

憧「そうなんだ……あ、あのさ、わざわざハルエの狭い部屋に帰らなくてもうちに泊まればいいんじゃない？ ハルエなんて昔から入り浸ってたんだし、菫さんや瑞原プロが増えたところでたいして変わらないし……」

晴絵「あからさまだなあ」

灼「わかりやす……」

憧「な、なによ！ 人が好意で言ってるのに！」

365 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:14:45.98 ID:yY+atX3f0

望「ま、うちなら全然構わないんだけどね……晴絵だけでも大歓迎なのにはやりんと弘世様まで付いてくるとなればもうお祭りよ」

晴絵「お祭り騒ぎまではしたくないんだけど……明日も試合だし」

菫「たしかに、影響が出るようでは困りますね……私もハルちゃんも二年目に入って大事な時期だ」

晴絵「しっかり仕事してチームに定着したいしな……」

灼「充分定着してると思うけど……ふたりとも人気だし」

菫「そうか？ ハルちゃんはともかく、私は……正直ネタ含みな面もあるだろう？ はやりんの……！？」

穏乃「どうしたんですか？」

菫「……お、おい！ 大変なことに気がついたぞ！」

宥「大変なこと？」

菫「ハルちゃんの部屋に泊まるにしろ、ここで世話になるにしろ、はやりんとひとつ屋根の下で過ごすということじゃないか！！」

玄「……そ、そうですね」

菫「ど、どうしよう！？」

宥「ど、どうしようと言われましても……」

晴絵「今までも遠征で同じホテルに泊まったことはあっただろ？ 部屋は違ったけど」

菫「なっ……！ 気がつかなかった……！ そんな一大イベントを既に複数回体験していただと……！？」

憧「…………」

穏乃「……今、小声でいいなって」

憧「ぃぃ言ってないわよ！ 気のせいでしょ！」

晴絵「……のぞみー、お茶おかわりー」

望「はいはい……ちょっと待っててねー」

366 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:16:03.61 ID:yY+atX3f0

灼「相変わらずだね、弘世さん」

晴絵「あれでもかなり落ち着いた方だぞ？ ……なあ玄、なんだそのでっかい荷物？」

玄「え？ これですか？ ……えっと、うーん……」

灼「いいんじゃない？ 望さんが他にもいろいろ用意してくれてるし」

玄「……そうだね！ それじゃあ……はい、赤土先生！ バースデーケーキなのです！」

晴絵「……本当に？ え、でっかくない？」

玄「ちょっと気合入れすぎちゃいましたかね？」

灼「人数いるから余裕で食べきれると思」

晴絵「というかわざわざ手作りしてくれたのか？ うわ、うれしい！ ありがとう玄！」

玄「へへ、どういたしまして！ 赤土先生お誕生日おめでとうございます！」

灼「ハルちゃんおめでと」

晴絵「ありがとうな！」

憧「ぅわ、もうそれ出しちゃうの？ たしかに大量に用意してあるけど桜子とか綾とか来てないのに……」

穏乃「大量にあるからいいんじゃない？ 今からずっとパーティーしてればいいんだし！」

菫「ずっととはまた……まあ、年に一度の特別な日だものな……」

晴絵「そろそろ誕生日もうれしくないものだけど……こうして祝ってもらえること自体はやっぱりうれしいね」

憧「もうハルエも……28？ そろそろおばさんねー」

望「おっと、聞き捨てならない発言ねえ」

憧「あ、いや……お、お姉ちゃんがどうとかってわけじゃ……」

晴絵「発言する時はちゃんと考えてからしようなー……憧はそれで失敗することも多そうだし」

憧「そ、そんなことないわよっ！ そういうのはしずの専売特許だし！」

穏乃「私だってちゃんと考えてるよ！？ たしかに憧の方がちゃんと考えられてるかもしれないけどポロッと口にするのは憧の方でしょ」

憧「むぅ……しずのくせに生意気な……」

宥「憧ちゃん、ダメだよ？ そんなこと言っちゃ」

憧「……はぁーい」

367 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:16:55.36 ID:yY+atX3f0

望「ま、そのつもりならどんどん食べ物も出しちゃうわよ？ 食べきったら次のケーキも出すからね」

穏乃「はーい！ 玄さんの焼いたケーキも望さんの焼いたケーキも楽しみだなあ」

晴絵「なんだ、望もケーキ焼いてくれたのか？」

望「あんたのためじゃないわよ？ 楽しみにしてくれてるみんなのために、ね」

宥「望さんはお料理上手だよね〜」

玄「うん、私もいろいろ教えてもらって……」

灼「花嫁修行？」

玄「ふぇ！？ え、いや、その……そういう訳じゃ……！」

晴絵「……友達甲斐のないやつめ……あ、そういや玄、聞いたぞ〜？ とうとう萩原さんと付き合い始めたんだって？」

玄「うぇ！？ だ、誰から聞いたんですか！？」

灼「…………」

宥「…………」

憧「…………」

穏乃「…………」

晴絵「みんなから？」

玄「えぇ！？」

灼「一大事件だったし……」

憧「別に口止めされてなかったし……ハルエのこと煽ってやろうと思って……」

穏乃「良いことはみんなで共有した方がいいですよね！」

宥「私も嬉しかったからつい……」

玄「憧ちゃんだけなんか酷くない！？」

晴絵「まあ、実際な、いつまでも独り身なのに教え子に先越されてどんな気持ち？ ねえねえ？ とか煽られたのはそこそこダメージが……」

玄「ご、ごめんなさい……？」

穏乃「憧……」

憧「いや、ちょっとした冗談のつもりだったんだけどね……」

368 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:17:58.51 ID:yY+atX3f0

菫「ふむ、彼氏か……羨ましいな」

晴絵「え？ 羨ましいんだ……意外だな。 いつもは今は麻雀が一番で余所見をしている余裕はない、とかなんとか言ってるじゃないか」

菫「それはそうですが、ね……私はずっと女子校だったし、あまりそういう機会にも恵まれなかったので……人並みに恋愛に憧れも持っていますし」

灼「はやりんじゃなくて麻雀が一番なんだ」

菫「はやりんに順位なんて付けられるはずがないだろう。 はやりんは人生だ」

灼「……そか」

望「晴絵もちょっとは焦ったら？」

晴絵「お前が言うなって。 たいして私と状況変わらないだろうが」

望「あんたは頑張ってるうちにどんどんタイミング逃しそうでねぇ……」

晴絵「う……まあ、否定はしきれないけど……」

晴絵「…………い、いいんだよ！ 小鍛治さんが結婚するまでは！」

憧「結婚しないつもりなの？」

宥「あ、憧ちゃん……もうちょっと、なんというか……」

穏乃「憧、失礼だよ！ 小鍛治プロだってそのうちいい人見つかるよ！」

晴絵「そ、そうだよ。 小鍛治さんだってそのうちなんとかするよ、きっと……」

菫「ハルちゃんまで目を逸らさないでくださいよ……」

玄「結婚かあ……」

灼「したいの？」

玄「え！？ ま、まあ、そりゃあ……いつかはね！？ 今すぐとかじゃなくてね！？」

369 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:19:18.29 ID:yY+atX3f0

晴絵「しかし……たしかにちょっと羨ましいかもな、玄も楽しそうだし」

玄「そ、それは……楽しいですけど……おうちで……松実館で働くのもずっとやりたかったことですし」

灼「あとは『かわいいお嫁さん』になれば夢は全部叶うもんね」

玄「む、昔のこと言うのはやめてよぉ……」

晴絵「はは、もうすぐ全部叶うんじゃないか？ 最近の若い子は進んでるって言うしなぁ」

玄「す、進んでるだなんてそんな……！」

憧「ハルエ、その発言は……やっぱりもうおばさんね……」

晴絵「やめてくれよ……ま、まだお姉さんでいけるし……」

菫「はやりんだってハルちゃんより二つ年上だが牌のお姉さんをやっているぞ」

望「……それはちょっと違うと思うけど」

灼「……とゆか、玄の慌てっぷりの方が気になるんだけど。 進んでるの？」

玄「えぇ！？ そこ突っ込んできちゃうの！？」

憧「ちょ、ちょっと待ちなさいよ！ どういうこと！？ 玄なのに！？」

穏乃「それは玄さんに失礼なんじゃ……」

宥「はぁー……玄ちゃんも大人になってるんだねぇ……」

憧「！？！？！？ お、おおおお大人になっちゃったの！？ まさか、越えたの！？ 一線越えちゃったの！？」

玄「そそそそんなわけないよ！ 手を繋いだくらいだよ！」

憧「小学生か！」

玄「なっ……むぅ……ほ、ほっぺにちゅーくらいはしたもん！」

憧「だから小学生かっての！」

370 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:20:50.86 ID:yY+atX3f0

晴絵「なんともまあ、玄らしいというか……」

穏乃「憧も何だかんだと言ってますけど一番進んでるの玄さんですよね？」

灼「彼氏持ちの肩書きを持ってるのは玄だけだね」

菫「0と1の差は大きいな。 あるのと無いのでは全く違う」

憧「誰の胸がゼロですか！」

菫「それは言ってないぞ！？」

灼「……0か1かで言うなら憧はあるでしょ」

穏乃「存在するんだから気にしなくていいと思うんですけどねぇ」

望「ほら、憧はそういうの気になっちゃうお年頃だから」

宥「みんな同世代ですけど…………」

晴絵「お、ケーキうまいな。 さすが玄……」

憧「ってなに自然にケーキ食べてんのよ！ もっと流れとか段取りとかあるでしょ！」

晴絵「なんか騒いでるから……」

穏乃「ほうだよ！ あこがにゃんか……んぐ……おいしい！」

憧「せめて言いきりなさいよ！」

宥「弘世さんはどれくらい食べますか？」

菫「む……おいしそうだが、あまり食べると……」

晴絵「打つのにカロリー消費してるから大丈夫だって」

菫「……そうですね。 では、遠慮なくいただくとしようか」

望「まだまだ出てくるからどんどん食べちゃってねー」

玄「あ、望さん！ お料理追加するなら私もお手伝いしますから！」

371 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:21:58.90 ID:yY+atX3f0

灼「……玄はまた料理の腕上げたよね」

玄「えへへ、いい先生についてますから！」

望「生徒が優秀だからよ？ ……憧ももう少し頑張った方がいいんじゃない？ 最近良くなってきたけど」

憧「く、玄と比べないでよ……地力の差というか、スタートラインが違うんだし……」

穏乃「憧も地道に頑張ってるよね……」

晴絵「しずは未だに全くやらないのか？」

穏乃「お腹減った時にパッと食べる分だけ作るとかぐらいなら……人に振る舞えるレベルじゃないですよ？」

憧「嘘！？ いつの間に！？」

穏乃「いや、だっておかしばっかり食べるのもよくないし……ちゃんとご飯作ってくれるお母さんにちょっとお腹減ったからなんか作って！ とか言うのも悪いし……」

菫「……どこかの誰かに聞かせてやりたいな」

灼「……あの人、おかしばっかりですけど料理とかは……」

菫「できるわけがないだろう。 おかし作りに挑戦したことはあったが……」

宥「あったが？」

菫「作り始める前に材料が半分なくなる」

玄「……あ、味見ですね！」

憧「それは味見って言わないから」

晴絵「我慢できないのか……最後まで作ってから食べた方がおいしいだろうに」

菫「しかも亦野に減った分の材料を買いに行かせた挙げ句、帰ってくる頃には残りの材料も食べきってな」

宥「……それは、誠子ちゃんも気の毒に…………」

菫「紆余曲折を経てかろうじて完成した分は少し目を離した隙に何故か全て無くなってな」

灼「これはひどい」

菫「白糸台麻雀部の部訓になったぞ、おかしは買ってくるもの」

憧「……まあ、無難っちゃ無難ですよね、確実ですし」

菫「確実に自分で食べたいものは鞄から出すな、誰の目にもつかないところで食べろ、というものもあったな」

灼「照さん……」

372 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:23:15.03 ID:yY+atX3f0

望「ま、おかしはともかくとしても料理は少しぐらいできた方がいいわよ？ いつまでも誰かが作ってくれるわけじゃないし、それこそ好きな人できたときに全く料理できないんじゃマイナスよ？」

穏乃「憧はそれで焦って料理始めたんだもんね！」

憧「別にいいでしょ！ 頑張ってるんだから！」

菫「努力するのは良いことだ。 かくいう私も最近料理を学び始めてな」

灼「へぇ……まさか、意中の相手にお近づきになるために？」

菫「……そういう下心があるのは否定しないが……」

玄「そうなんですか！？」

憧「えっ！ どんな人なんですか！？」

菫「天使だ」

宥「あっ……」

菫「そう、はやりんに料理を教えてもらっているんだ！」

晴絵「意中の相手に料理を習ってるんだよ……瑞原さん料理もレベル高いからなあ……」

憧「えっ……ってことは菫さんもハルエもはやりんに料理習ったり、はやりんの手料理食べてるの！？ なにそれズルい！ 羨ましい！」

灼「とうとう本音が隠せなくなったね」

望「我が妹ながらなかなかミーハーでねぇ……」

玄「弘世さんはお料理しない方だったんですか？」

菫「こう見えて箱入り娘でな。 包丁だってつい最近まで調理実習ぐらいでしか触ったことなかったぞ」

宥「……白糸台でおかし作ろうって話になったときは……」

菫「照と淡の思い付きを亦野と尭深が介護する形でな……私も役に立たないからせいぜい照と淡がつまみ食いするのを止めていたぐらいだったが」

灼「しかも止めきれなかったんですよね」

菫「仕方ないだろう。 あいつらを止めるのがどれだけ大変だと思っているんだ……おかしが絡んだ照なんて……」

灼「……お察しします」

373 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:24:32.21 ID:yY+atX3f0

望「……それにしても、みんな仲いいのね。 菫ちゃんだってあんたのチームメイトとはいえ元々ライバル同士だったのに」

晴絵「私たちの時だって、インハイで打った相手と仲良くなったりしただろ？ それこそ瑞原さんなんてそれだし」

望「まあねー……私、瑞原さんに会うの久しぶりだし結構楽しみかも」

晴絵「……望も憧のこと言えないんじゃないか？ お前もわりとミーハーだろ」

望「ちょっと違うでしょ？ 私は瑞原さんとはもともと知り合いなんだし……ま、はやりんにも興味はあるけど。 憧がどっぷりはまってるし」

晴絵「あの人はやっぱりすごいよ……それしか言えないぐらい」

望「本当は晴絵も瑞原さんのファンなんでしょ？ 話聞いてるだけでもあんたがあの人好きなのよくわかるわ。 ……ま、憧も喜ぶしね。 忙しいのはわかるけど、たまには菫ちゃんとか瑞原さんとか連れて……吉野に帰ってきなさいよ。 みんな待ってるから」

晴絵「おう……なんだかんだ、ここが一番落ち着くんだよな。 しっかり充電して明日からまた頑張るさ」

望「そう言ってくれるのはうれしいけどねぇ……実家よりうちが落ち着くってどういうことよ」

晴絵「学生時代から入り浸り立ったからなあ……今でもみんな来るんだろ？」

望「もちろん。 綾ちゃんたちも学校終わったからこっち来るって連絡あったわよ？ ふふ、桜子ちゃんがはやりん好きだからきっと喜ぶわね」

晴絵「はやりんはどの世代にも一定以上のファンがいるからすごいよなぁ……」

望「吉野にははやりんよりあんたのファンの方が多いから自信持ちなさい？」

晴絵「それはさすがに言い過ぎ……お世辞よりも誕生日プレゼントとかくれよ。 年に一回のめでたい日だぞ」

望「食べ物も飲物も場所も用意してあげたでしょ？ あんまり欲張らないの」

晴絵「はいはい……いつもありがとな、いろいろと」

望「どういたしまして。 あんたも、一応おめでとうね」

晴絵「気持ちがこもってないなぁ……ま、一応ありがとうございます」


カン！

374 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/06/27(月) 03:26:58.89 ID:yY+atX3f0

時間取れてないのに月末はシノハユ最新話が来て慕リチャしたくなる病気で困る
七月はいくつの誕生日を祝えるのか…

375 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/27(月) 06:57:25.81 ID:y/PSrYXRo

乙です

376 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/27(月) 09:17:12.75 ID:dT8urieQo

乙
はやりんは吉野ではキツい扱いなんだよなー

377 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/27(月) 09:46:06.41 ID:1x8u9oyU0

乙です

378 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/27(月) 16:47:42.32 ID:k39uRnXAO

乙です…
ここでの弘世様ってどことなくまふふ的な思考の持ち主ですよね？
用意して貰うよりも勝ち取る事へのこだわりを持って居ますから…
そんな弘世様がまふふや慕ちゃー達はやりんの友人達と出会うのは何時に成りますかね？

379 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/06/28(火) 14:14:45.40 ID:0zHkC6zdO

＞望「あら、弘世様」
誰だバラした奴！
ただの愛称……かも？

乙

380 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/07/01(金) 16:54:57.36 ID:R6BAVUwAO

えぇと…次ははやりんの誕生日でしょうか？
そろそろはやりんが最も恐れる爽さんのパウチカムイの話を！
参加メンバーはとりあえず横浜ＲＳからは三尋木プロと照姉さんとやえさん…ＨＢ大宮からははやりんと赤土先生と弘世様…松山Ｆからは戒能プロと爽さんと智葉先生…Ｅ神戸からは野依プロと竜華ちゃんとセーラさん…つくばＢＣからは小鍛治プロと哩さんと姫子ちゃん…佐久Ｆからは藤田プロとミッポさんと百鬼さん…大阪からは洋榎姉さんと由子さんと憩ちゃん…にお願いしたいですね…
後…怜さんと宥姉さんと船Ｑさんと絹ちゃんと灼ちゃーと雅枝監督と善野さんと郁乃ちゃんと透華お嬢様と衣お姉さんとネリーちゃんと久保コーチと池田四姉妹を加えて頂ければ…

381 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 02:58:39.95 ID:45kQkiHG0

>>379プロになってから露出が増えてネット上でバレてしまった設定です。ファンからは親しみを込めて弘世様と呼ばれています

はやりん間に合わなかった辛い。7/16は霞さんのお誕生日です！かすたんイェイ〜

382 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 02:59:37.86 ID:45kQkiHG0

初美「――というわけで、霞ちゃんの誕生日なのでなにか贈りたいんですよー」

穏乃「なるほど！ 大切な友達へのプレゼントですから悩みますよねぇ……」

憧「いやいや！ え！？ 初美さん！？ どこから沸いたんですか！？」

初美「はい、ちょっと山の方からー」

穏乃「ちょっと憧、そんな言い方初美さんに失礼だよ？」

初美「気にしてないからいいんですよー」

穏乃「でも、親しき仲にも礼儀ありって言いますし……」

憧「いや、あの……えぇ？」

初美「まあまあ憧ちゃんも気にしないで！ ちょっとアドバイスをいただいたら帰りますからー」

憧「だから！ 山からとか……鹿児島からなんでそんな気軽に来れるんですか！？ 暇なんですか！？ お金持ちですか！？」

初美「えー……はい、そうですね！ そういうことにしておきますよー」

憧「ぬぅ……もやもやするなぁ……」

穏乃「初美さんは現にここにいるんだしさ！ 細かいこと気にしなくてもいいじゃん！ 私は初美さんに会えてうれしいですし！」

初美「えへへー穏乃ちゃんは素直でいいですねー……憧ちゃんも私に会えたことを素直に喜んでも良いんですよー？」

憧「……はいはい、どうも、ようこそお越しくださいました」

初美「やっぱり素直さが足りないですねー」

383 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:00:25.81 ID:45kQkiHG0

憧「……それで？ なにも考えてないってことはないんですよね？」

穏乃「憧、なんだかんだ言って相談乗る気満々じゃん」

憧「な、なによ、当然でしょ！ わ、私だって…………えっと、石戸さんだって変なもの贈られたって困るだろうしっ」

初美「そうですねー……とりあえず最初は服でも贈ろうかと……」

憧「はいストップ！ ダメです！ 考え直してください！」

穏乃「えー？ なんで？ 服もらったらうれしいじゃん」

憧「そうだけど！ 問題が山積みだから！」

初美「そうなんですよねー……霞ちゃんは胸が規格外だからちょうど良いサイズのものを購入するのが難しくて……」

憧「問題はそこじゃな……いや、それもたしかに問題なんですけどね！？」

穏乃「まったく、憧ったら……確かに石戸さんは胸おっきいけどさ、そんなに嫉妬しなくても……」

憧「さすがにあんなに要らないわよっ！ そこじゃないって言ってるでしょ！」

初美「うーん……さすがに今から霞ちゃんサイズになるのは難しいんじゃ」

憧「だから！ 違いますってば！！」

穏乃「もう18になるんだからさ、そろそろ折り合いつけなよ……私も身長止まったときは結構悩んだりしたけど……」

憧「しーず！ 話聞いてる！？ 違うって言ってるでしょ！？」

初美「私も昔は身長高い方だったんですけどねー……あんなに小さかった霞ちゃんも今では背も胸も私とは比べ物にならないぐらい大きくなって……」

憧「だーかーらー！！」

穏乃「まあ、憧をからかうのもこれくらいにして真面目に考えますか」

初美「そうですねー」

憧「この……このっ……！」

384 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:01:32.64 ID:45kQkiHG0

玄「お誕生日といえば、やっぱりケーキではないでしょうか！」

初美「あっ！ 玄ちゃんじゃないですかー！」

玄「この前赤土先生がお誕生日に戻ってこられたときには私もケーキを焼いたんですけど、すっごく喜んでくれましたよ！」

憧「玄……あんた仕事中じゃないの？」

玄「さっき穏乃ちゃんが連絡くれて……休憩時間になったので抜けてきたのです！ なんと言っても石戸さんのお祝いをしたいということでしたし！！」

憧「……あんたはさぁ……本当に……」

初美「玄ちゃんも私と一緒で霞ちゃんのこと大好きですよねー」

玄「えへへ、そうなんですよぉ」

穏乃「いやあ、やっぱり玄さんほど頼りになる人もなかなかいないですからね！」

玄「えっへん！ おまかせあれ！」

憧「……そう？ 玄ってしっかりしてるけどうっかりもしてるし……正直灼さんの方が信頼度高いって言うか……」

玄「えぇ！？ せ、せっかくなんだしここは素直に頼ってよ！ そ、そりゃあ灼ちゃんの方がしっかりきっちりしてるかもしれないけど……」

憧「……冗談だから涙目になるのやめてって」

385 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:05:38.36 ID:45kQkiHG0

初美「しかし、ケーキですかぁ……王道過ぎて逆に思いつかなかったですよー……たいてい買っちゃいますし」

憧「そっか、そういうものなんですかね」

穏乃「私たちの時は玄さんとか望さんとか毎回用意してくれるもんねー」

初美「それは羨ましいですねー……しかし、普通のお料理ならともかくケーキは焼いたことないですよー」

玄「私におまかせあれ！ うちに材料もあるので使っちゃって大丈夫ですから！」

初美「いいんですかー？ ありがとうございますー！」

穏乃「玄さんも居ますし、これでまず間違いなくちゃんとしたものが用意できそうですね！」

憧「うん……っていうかそれこそ灼さんは？ 声かけてないの？」

穏乃「部活で学校だって。 宥さんと一緒に」

憧「あー……それで玄に……」

玄「なんで灼ちゃんがいないから仕方なく私に、みたいな感じになってるの！？ 違うよね！？ 私頼りになるよね！？」

穏乃「はい！ もちろんです！」

憧「うん、まあ……」

玄「憧ちゃん……」

憧「だから冗談だってば！」

初美「ふふ、それじゃあ玄ちゃんを頼りにさせてもらいますよー！」

玄「うぅ……おまかせあれ……」

386 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:07:49.05 ID:45kQkiHG0

――――――

玄「材料と、こっちがレシピで……」

初美「ふむふむ、なるほどー」

穏乃「……あこー」

憧「ん？ なに？」

穏乃「気持ちはわからないでもないけどさ、あんまり玄さんいじめちゃダメだよ」

憧「別にそういうつもりじゃ……」

穏乃「玄さんが忙しくてあんまりかまってもらえないからってさー」

憧「ち、違うわよ！ 別にそんなこと……」

憧「…………まあ、ちょっとは寂しいけど」

穏乃「宥さんと赤土先生に続いて玄さんも灼さんも卒業しちゃったけどさ……ほら、私がいるじゃん？」

憧「……しずと他のみんなじゃ全然違うでしょ」

穏乃「それを言われるとなー……でもほら、玄さんだって頑張っててさ、昔よりも更にしっかりした感じになってるし！」

憧「実家が勤め先とはいえ社会人だもんね」

穏乃「冗談でもあんまり言うと玄さん気にしちゃうと思うよ？ もっとしっかりしなきゃーって卒業前からよく言ってたし」

憧「……しずに言われなくてもわかってるし」

穏乃「えっへへ、そっか！ まあ、憧は意外とかまってちゃんだからなー」

憧「そんなことないし！ そういうしずこそ結構さびしんぼじゃん」

穏乃「そうだけどー……ほら、憧が一緒にいるし？ 全然へーきだって！」

憧「……そ、そう……ふーん……」

穏乃「…………」

憧「……なにニヤニヤしてんのよ」

穏乃「そっちこそなに照れてんだよー」

憧「照れてないし！」

387 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:08:43.49 ID:45kQkiHG0

玄「おー……初美さん結構手際いいですねぇ」

初美「書いてある通りにするだけなら余裕ですよー？ お料理だって嫌いじゃありませんし……まあ、巴ちゃんの方が上手なんでだいたい任せちゃうんですけどねー」

玄「そうなんですか？ これだけできるなら練習すればもっと色々作れるようになると思いますよ？」

初美「どちらかと言うと食べる方が好きなのでー……それでも今日は霞ちゃんのためですからね！ 穏乃ちゃんと憧ちゃんがイチャイチャしてる間にバッチリ仕上げちゃいますよー！」

憧「い、イチャイチャなんてっ……！」

穏乃「照れんな照れんな！ よぉし、初美さん！ 私もお手伝いしますよ！」

憧「むぅ……わ、私も」

初美「いいんですかー？」

穏乃「私も石戸さんにはお世話になってますし！ 初美さんが頑張ってるのをただ見てるのも変じゃないですか！」

憧「お姉ちゃんや玄に色々教えてもらってるし……私だってちゃんとできるんですからね！」

初美「ありがとうございますー！ やっぱり持つべきものは友人ですねー！」

玄「ふふ、石戸さんに喜んでもらえるように頑張りましょう！」

穏乃「ま、初美さんが贈ったものならなんだって喜んでくれると思いますけどね！」

初美「え？ なんでですかー？」

穏乃「はい！ だって私だったら憧や玄さんからなにか貰ったら絶対うれしいですから！ 石戸さんだって初美さんがいろいろ考えて準備したものだったら絶対喜んでくれますよ！」

玄「穏乃ちゃん……うん！ そうだね！」

憧「……は、恥ずかしい奴だなあもう……」

初美「えっへへ、そうですねー！ よし！ 更に気合入れて作っちゃいますよー！」

388 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:09:53.79 ID:45kQkiHG0

――――――

霞「……あ、春ちゃん」

春「？」

霞「今日、朝から初美ちゃんを見かけないのだけれど……」

春「黒糖」

霞「え？」

春「食べますか？」

霞「え……ええ、ありがとう。 いただくわ」

霞「……あの、それで初美ちゃんは……」

春「あっ」

霞「え？」

春「姫様……」

小蒔「あっ！ 霞ちゃん！ お誕生日おめでとうございます！ 今日はみんなでたくさんお祝いしますからねっ！」

霞「あ、ありがとう、うれしいわ！ ……えっと、小蒔ちゃん、初美ちゃん見なかったかしら？」

小蒔「…………」

春「あ、寝た……」

霞「…………あの、春ちゃん？」

春「黒糖？」

霞「え？ えー……うん、いただくわね」

389 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:11:06.23 ID:45kQkiHG0

巴「は、春ちゃんの誤魔化し方が下手すぎる……黒糖でごり押しって……」

湧「巴さん！ こっち、準備できました！」

明星「あとは初美さんがケーキを持ってきてくれれば……」

巴「ありがとう、お疲れさま！ ……もう、はっちゃんったら急に出ていったと思ったらケーキは用意してきますよー！ だなんて……霞さんはずっと初美ちゃん探してるし……」

湧「初美さんも、こう……思い立ったら！ って感じですからね……」

明星「せめてお祝いぐらい言ってから出掛ければ良かったのに……」

巴「まあ、行っちゃったものは仕方ないんだけどね……二人は少し休んでていいよ。 準備お疲れさま」

湧「いえ！ 先輩たちに全部やってもらうわけにもいきませんから！」

明星「しっかりお祝いしたかったので……春さんが大変そうですし、霞さんの方に行ってきます！」

巴「あらあら……ふふ、ありがとう」

巴「……さて、と……それじゃあ、はっちゃんが帰ってくるまでにお料理の方も仕上げておかないとね」

390 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:12:01.32 ID:45kQkiHG0

――

――――

――――――――

初美「ただいま帰りましたよー！」

巴「はっちゃん……遅いよ！ もう日が沈んじゃうよ！？」

初美「いやあ、一から作るとなるとなかなか手間取ってしまって……」

巴「えっ？ 用意するって……はっちゃんが焼いたの？」

初美「はい！ ちょっと山から山を渡って奈良まで行って来たんですよー！ 玄ちゃんと穏乃ちゃんと憧ちゃんが手伝ってくれてですねー」

巴「へぇ、すごいじゃない……じゃなくって！ 霞ちゃん、ずっとはっちゃんのこと探してたよ？ ほんと、お祝いぐらい言ってから行けばよかったのに……」

初美「いやあ、プレゼントを用意するにはしてたんですけどー……朝早く目が覚めたからなにかもう少し用意できるんじゃないかと思っちゃいましてねー」

巴「ほんと、はっちゃんらしいけど……霞ちゃん、首を長くして待ってたんだからね？ ちゃんとお祝いしてあげてよ？」

初美「もちろんですよー！ なんといっても霞ちゃんのお誕生日ですからねー！」

巴「あと、こっちのお料理も運んでね？ はっちゃん、私とお料理当番だったのにほっぽって行っちゃうんだもん……」

初美「あ……そういえば……あはは、ごめんなさい……」

391 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:12:51.94 ID:45kQkiHG0

初美「霞ちゃん！」

霞「あっ……初美ちゃん！ ……お、お帰りなさい。 どこに行ってたの？」

初美「えへへ、ちょっと霞ちゃんのためにですねー……そんなことより！ お誕生日おめでとうございますー！ ふふ、また同い年になっちゃいましたねー」

霞「……ふふ、ありがとう初美ちゃん」

春「おめでとう……あ、姫様」

小蒔「うぅん……いいにおいが……あ、初美ちゃん？ おかえりなさい……」

初美「姫様、お目覚めですかー？ ふふふ、ところで！ 見てください姫様、霞ちゃん！ じゃーん！」

小蒔「わぁ！ これ、ケーキですか！？ すごいです！ おっきいです！」

初美「えっへへ、霞ちゃんのために頑張って作ってきましたよー！」

霞「えっ？ これ、初美ちゃんが作ったの？」

初美「はい！ ちょっと知り合いにいい先生がいたのでー……あ、霞ちゃんにおめでとうのお手紙も預かってきてますよ！」

霞「あ……玄さんに、穏乃ちゃんに、憧ちゃんも？」

初美「たくさんお手伝いもしてもらっちゃいました！ 霞ちゃんによろしくって！」

霞「わぁ……ふふ、うれしいわね。 ありがとう、初美ちゃん」

初美「いえいえ！ これくらい霞ちゃんのためなら！」

巴「それじゃあ、やっと揃ったことだし始めよっか？ 霞さん、二十歳の誕生日おめでとうございます」

霞「ええ……ありがとう、巴ちゃん。 六女仙の長として……これからも頑張るわ」

巴「はい、私もしっかり支えさせていただきますので……」

初美「まあまあ！ 固いのは後にしてさっさと始めましょう！ 姫様の我慢も限界っぽいですしー」

小蒔「ふぇ！？ い、いえ、そんな！ ちゃんと挨拶終わるまで待てますよ！？」

春「……姫様、よだれが……」

小蒔「ああっ！？」

巴「……もう、締まらないなぁ……霞ちゃん、お誕生日おめでとう！」

初美「おめでとうございますー！」

霞「ええ、みんなありがとう！」


カン！

392 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/07/17(日) 03:18:41.40 ID:45kQkiHG0

霞さんはやっぱりかわいい枠だと思うのでそういうアピールも今後していきたい所存ー
インハイ前ぐらいの時期に投下したかったネタもあったけどもう夏季休暇入るような時期になってしまった…
まあ仕方ないので今後ものんびり投下続けていくつもりです

393 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/07/17(日) 09:34:56.64 ID:jgjjKqHwo

乙
いいねすばらだね

394 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/07/17(日) 09:35:06.09 ID:or9qtb4AO

ふんふむ…
先ずは乙です…
爽とはやりんのパウチカムイ問題は見たかったんですが…
次回に持ち越しですかね？

395 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/07/17(日) 09:56:33.53 ID:yr3/blPOo

乙です

396 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/07/17(日) 15:49:35.51 ID:daR3VJtNO

>>381
てっきりカラオケ動画がバレたのかと……

乙
いやあ永水の微妙に上下関係ありそうな中でのナチュラルな仲良し感はいいものだ

397 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/07/17(日) 15:51:12.37 ID:wp4kaCJQo

>>394
お前偉そうで押し付けがましいやつやな

398 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:35:18.30 ID:pITajI7K0

シノハユは面白いし日和は癒しだし月末からやっぱりテンション上がるマン
すっかり月刊ペースなのは情けないですが投下します

399 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:36:34.99 ID:pITajI7K0

灼「ゲームかあ」

穏乃「はい！ なんでも面白いのが手に入ったから息抜きにどうかって誘われまして！」

灼「……私たち団体戦終わってから息抜きっぱなしじゃ」

憧「うちら個人戦もないからねー」

穏乃「ま、まあいいじゃないですか！ せっかく誘われたんですし……憧だってノリノリでついてきたじゃん！」

憧「ちょっと！ やめてよね、私がゲームに釣られたみたいな言い方……子どもみたいじゃん」

智紀「純に釣られた」

憧「な、違っ……！ べ、別にそういうわけじゃ！」

灼「ともきーがゲーム好きだって聞いてたから誘ったんだけど……」

智紀「まかせて。 好きだし得意」

純「智紀はムダに得意だよな、テレビゲームとかさー」

智紀「ゲームの成績で透華が私を見つけてくれたんだからムダじゃない……そういう純は好きなわりに下手だよね、テレビゲーム」

純「うっせーな！ 智紀や透華が強すぎんだよ！ なにやっても勝てる気しねぇ……」

智紀「衣にテニスで負けたときは不覚にも笑った」

純「ゲームの話だろ！？ リアルでやったら負けねぇから！」

灼「リアルスポーツで純くんに勝てる女子はそうそういないと思」

穏乃「私も運動は自信ありますけど身長差もあるしなぁ……バスケはセーラさんといい勝負でしたよね！」

純「けっ……次やったらオレが勝つっつーの」

400 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:37:11.64 ID:pITajI7K0

智紀「……それにしても」

灼「？」

智紀「珍しい面子」

灼「たしかに」

穏乃「一さんがちょうど玄さんにアタック用の勝負服薦めてるところじゃなければみんなで行けたかもしれなかったのになぁ……」

憧「はい！？ ちょっと、そんな恐ろしいことやってたの！？」

灼「玄の隣で宥さんが『その服はあんまりあったかくなさそうだねぇ……』ってブルブル震えてたからたぶん大丈夫だよ」

憧「それは宥ねえが大丈夫なの！？」

純「透華と衣もちょうど原村に絡みに行ってるとこだったからな……ま、あんまり大人数で押し掛けても迷惑だろ……既に大人数な気もするが」

智紀「ただでさえ純はスペース取るしね」

純「うっせ！ 高鴨と鷺森がちっせぇからセットでちょうどいいぐらいになんだろ！」

穏乃「あはは、私たち小柄ですからねー」

灼「むぅ……認めざるをえないけど……」

憧「……ふんっ！」

灼「妬かない妬かない」

智紀「新子さんも充分小柄だしセットでちょうどいい」

憧「や、妬いてないし！ そういうことを気にしてるわけじゃ……！」

灼「……ああ、胸…………」

智紀「……その、ごめん……」

憧「誰の胸が小柄よっ！？ ……ってちーがーいーまーすー！ いや、気にしてるけどっ！ 沢村さんも謝らないでくださいよ！ なんかみじめになるから！」

401 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:37:48.04 ID:pITajI7K0

純「つーかさ、手土産ほんとにこれでよかったのか？ カップ麺だけこんなに持ってっても……」

穏乃「大丈夫です！ すっごく喜んでくれますから！ ……あ！ ここですね！ えっと……こんにちはー！ 来ましたよー！」

憧「普通にインターホン押しなさいよ恥ずかしい……」

灼「元気があってよろしい」

穏乃「えへへ、ありがとうございます！」

憧「……灼さんしずに甘くない？ いや、うちの人たちみんなしずに甘いけど……」

灼「憧も充分甘やかしてるつもりなんだけど」

智紀「わざとなんだ」

灼「この子たちかわいくって」

憧「ま、またそうやって適当に誤魔化して……」

灼「憧、かわいいよね？」

純「ん？ おう」

憧「だっ、だから！ そうやってまた……うー……もう……」

灼「ほらね」

智紀「うん」

憧「……灼さんのばか」

智紀「たまらん」

灼「ね」

憧「……〜〜！！」

402 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:38:26.59 ID:pITajI7K0

ダヴァン「シズノ！ 待ってまシタ！」

穏乃「メグさん！ お待たせしました！」

純「ほれ、土産……おい、アイツはいねぇよな？」

ダヴァン「オオ！ ありがとうございマス！ ラーメン大好きデス！ ……アイツって監督でスカ？ 寮には滅多に顔出しませんから安心していいでスヨ、ジュン」

純「ならいいけどよ……」

灼「とゆか……」

ダヴァン「なんでスカ？」

灼「なんというか……こういう部屋なのは意外と言うか……」

憧「たしかに……臨海、留学生多いし寮の設備とかしっかりしてるって聞いてましたけど……」

ダヴァン「ああ、この部屋は趣味と言いまスカ……寮はもっとしっかりしたとこでスヨ？ 私は学校の近場で安い部屋借りてるんデス。 部屋代負担してもらえまスシ、こういう場所の方が落ち着くんですヨネ」

智紀「珍しい」

穏乃「私はなんかわかりますけどねー」

ダヴァン「まあ立ち話もなんでスシ、どうぞお入りくだサイ。 狭いところでスガ」

穏乃「お邪魔します！」

純「大勢で押し掛けてわりぃな」

ダヴァン「人数多い方が楽しいですカラ」

403 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:39:13.50 ID:pITajI7K0

ネリー「ちょっと明華！ はしっこでずっとしゃがんでるのズルいよ！ 卑怯だよ！」

ハオ「近づけばいいのでは？」

ネリー「だってなんか飛ばしてくるんだもん！」

明華「遠距離攻撃は遠距離攻撃で相殺できるみたいですよ？」

ネリー「ネリーの選んだやつなんか遠距離技無いんだもん！ 電気ビリビリ出るけどゼロ距離しか当たらないみたいだし！」

ハオ「ジャンプ！ ジャンプして近づきましょう！」

明華「あ、このサマーソルトキックで対空も完璧みたいですね」

ネリー「もう！ もう！ 無理だよこれ！ 勝てないって！ キャラ的に！」

ハオ「手持ちの戦力でいかに戦うかというのも実力のうちではないですか？」

明華「ふっ……つまり、これが実力の差というやつですね」

ネリー「納得いかない！ それじゃあキャラ交換して戦おうよ！」

明華「まあまあ、待ってください。 ネリーは負けたから一回交代です」

ハオ「仇は取りますから」

ネリー「えー！」



穏乃「わぁ！ スーファミだ！」

憧「……め、滅茶苦茶楽しそうに古いゲームやってる……」

智紀「古くても良いものは良い。 名作は名作だから」

灼「……ともきーも目付き変わったね」

智紀「格ゲーは得意」

ダヴァン「中古で安かったんデス。 つい目を引かれて買ってしまいまシタ……みなサン、シズノたちが来ましタヨ、挨拶ぐらいしたらどうでスカ？」

明華「話しかけないでください！ 今忙しいので！」

ネリー「ハオ！ ジャンプして近づくとキックされるよ！」

ハオ「見てたからわかってますってば！」

404 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:39:55.45 ID:pITajI7K0

純「……遊びに来たオレが言うのもなんだがよ、お前らゲームに夢中になってていいのか？」

ダヴァン「……たまの息抜きですカラ」

ネリー「ネリーたちは個人戦出れないし……メグの部屋でゲームする分にはタダだし！」

穏乃「あはは、ネリーはほんとそればっかだなあ」

ネリー「お金は大事だからね！」

ハオ「ネリー！ 背中にひっつくのやめてください！ 重いです！」

ネリー「ネリーは軽いでしょ！ 重いわけないよ！」

ハオ「そういうことではなく！ 集中できないので！」

明華「ﾌｧﾈｯﾌｰ!! ﾌｧﾈｯﾌｰ!!」

ハオ「ああ！ もう、また撃ち落とされたじゃないですか！」

ネリー「ふふん、じゃあそれがハオの実力だね！」

ハオ「くぅ……！」

明華「ﾌｧﾈｯﾌｰ!! ｻﾏｿｯ!!」

灼「……明華さん、ちょっと落ち着いて」

明華「だって！ これ！ すっごく面白いですよ！！」

智紀「だよね」

ダヴァン「ハハ、まさかみんなここまでハマるとは思ってませんでシタ」

憧「……みんな麻雀ばっかやってたからこういう娯楽に耐性無かったんですかね」

灼「……かもね」

405 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:40:51.85 ID:pITajI7K0

智紀「それじゃあ私も……」

純「ダメだ！ 智紀は参戦禁止！」

智紀「……なんで？」

ダヴァン「そうでスヨ、みんなで遊ぼうと声をかけたんですカラ……」

純「ダメだ！ ガチな奴が入るとバランス崩れるんだよ！ 技のフレーム数がどうとか見てから対応余裕とか言い始めるじゃねぇか！」

智紀「敗北を知りたい」

純「うるせーバカ！」

智紀「……バカって」

穏乃「沢村さん、そんなに強いんですか？」

智紀「……格ゲーはいくつかオンラインで上位ランカーだったことがある。 龍門渕に来てからはあまりやってないけど……」

憧「ゲームの上位ランカーとかあんまりわかんないなぁ……『のどっち』みたいなものですか？」

智紀「そんな感じかも。 あそこまで圧倒的じゃないけど」

純「素人集団にそんなのが入ったらクソつまらねぇだろうが！ 下手したらリアルファイトになるぞ！」

智紀「……みんなそこまで子どもじゃないと思うけど」

ダヴァン「フム……そこまで言われるとその強さを見てみたい気もしまスガ……楽しく遊ぶのが目的ですし喧嘩になったら嫌でスネ」

ネリー「ちょっとー！ 明華はもうそれ使うの禁止！ 近づけないよ！ ズルだよ！」

明華「ズルじゃないです！ こういう戦い方をするキャラなんです！」

ハオ「ネリー、素直に遠距離攻撃のできるキャラを使った方が……」

ネリー「負けっぱなしじゃ納得いかないもん！」

明華「ふふん、キャラを変えて負けたら言い訳もできなくなっちゃいますしね」

ネリー「もう！ 明華調子乗りすぎだよ！ ムカつく！」

灼「……既に手遅れな気が」

ダヴァン「……こ、これくらいは日常茶飯事ですカラ」

憧「それはそれでどうかと思いますけど……」

406 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:41:52.92 ID:pITajI7K0

智紀「……他にもソフト買った？」

ダヴァン「サトハに話したら実家の倉からいろいろ持ってきてくれたんでスヨ。 ファイナルなファンタジーとか」

智紀「ほほう」

灼「ともきーさっきから静かにテンション上がってるよね」

純「珍しく口数多いよな」

憧「そのシリーズなら私もさすがに知ってるなぁ……アレでしょ？ 金髪のツンツン頭の主人公がでっかい剣振り回してるやつ」

穏乃「それより古いやつでしょ。 スーファミだし」

灼「お前に相応しいソイルは決まった」

智紀「……合ってるけど、それはちょっと違う」

ダヴァン「RPG、はじめてやりましたが面白かったデス。 奥深いストーリーや魅力的なキャラクター……参考になりマス」

憧「……ん？ 参考？」

ハオ「私、あの火のボス好きですよ。 敵なのに正々堂々としていて……」

明華「ああ、戦う前に回復してくれたボスですね」

ネリー「ボス来ると思って回復アイテム使っちゃったからすごく損した気分になったけどね……」

ハオ「正々堂々と戦う……この姿勢を魅力的に感じたのですから取り入れるべきですね。 例えば、団体戦でも取り入れて……先鋒でサトハが稼いだ点数を平らになるまで吐き出して……」

憧「それ正々堂々と違いませんか！？」

灼「さあ、持ち点を回復してやろう」

智紀「舐めプ？」

ハオ「強者の余裕というやつです」

穏乃「おお……カッコいい！」

純「カッコいいかぁ？」

407 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:42:33.98 ID:pITajI7K0

憧「うぅ……また収拾つかなそうな感じが……そういえば辻垣内さんは！？ 大切なツッコミ要因が……」

明華「私をお呼びですか？」

憧「呼んでませんから！」

明華「なんでやねん！」

憧「だからお呼びじゃないですから！」

明華「むぅ……完璧なツッコミのはずなんですが……」

純「お前のは天然ボケってんだよ」

明華「え？ 計算され尽くした完璧なツッコミじゃないですか」

純「…………そうだな」

憧「諦めないでくださいよぉ！」

ダヴァン「サトハは今日は個人戦に向けて練習中なんでスヨ」

灼「……付き合ってあげないんですか？」

ダヴァン「学校のスケジュール的には私たちはオフなんデス。 勝てなかった傭兵に居場所は……」

穏乃「め、メグさん……」

ダヴァン「冗談デス。 いつも練習自主参加してて疲れもたまってきたノデ、たまにはみんなで息抜きしようと思っただけでスヨ」

純「あ、傭兵と言えばオレやってみたいゲームあるんだけどよ」

ハオ「随分急な話題転換ですね」

智紀「なに？」

純「サバゲー」

穏乃「あっ！ それ私もやってみたいです！ 銃撃ちたい！」

憧「しずは銃とか好きよねー」

408 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:44:12.58 ID:pITajI7K0

明華「サバゲーってなんですか？」

純「んー……なんつーか、戦争ごっこ？」

穏乃「モデルガンとか用意してやるんですよね？ こう……バーン！」

ダヴァン「グハッ！」

穏乃「メグさんノリいい！」

憧「バーン！」

穏乃「ぐわっ！」

憧「バーン！ バーン！」

穏乃「うっ！ ……ぎゃー！」

憧「バーン！ バーン！」

穏乃「ちょっ……！ 憧！ 撃ちすぎ！ オーバーキル！」

ハオ「無駄弾は撃ってはいけませんよ。 補給線が確保できるとも限りませんし……」

ネリー「残弾数は生死を分けるよ？」

憧「真面目につっこまれた！？ っていうかツッコミできるのね！？」

灼「かなり説明噛み砕くね」

純「わかりやすいだろ？」

ネリー「でもそれってお金かかるやつでしょ？ 装備とか揃えなきゃだし」

純「透華に言ったら揃えてくれそうだし……」

ネリー「お金持ちいいなぁ！！」

409 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:45:09.16 ID:pITajI7K0

智紀「……私の思ってたゲームと違う」

灼「ともきーはそういうのは苦手だよね」

智紀「元引きこもりだから……」

純「いいじゃん！ みんなでやろうぜ！ ほら、原村たち誘えば透華もすぐその気になるだろうし！ 智紀は参謀役でもやればいいじゃんか」

智紀「……まあ、そういうのも嫌いじゃないけど」

穏乃「いいですね！ 今度やりましょうよ！ 人数どれくらいいればいいんだろ？ うわあ、楽しみだなぁ……！」

憧「まだなにも形になってないのに気が早いんだから……っていうか撃たれたら痛そうよね。 肌に傷でもついたら嫌だし……」

純「大丈夫だよ。 オレが守ってやるからさ」

憧「ふきゅ」

灼「あっ、憧が死んだ」

智紀「見事なワンショットキル」

ハオ「外でやるんですよね？ 日本では外で遊ぶときはおかしは300円までだと聞いています」

明華「そうなんですか！？ こ、これは選別が難航しそうですね……」

ネリー「おかし代は誰が出すの？ 自腹ならネリーは持ってかないからみんな分けてよね！」

穏乃「バナナはおやつに入るかどうかちゃんとルール決めないと！」

ダヴァン「そのような細かいルールまで決めるのでスカ……日本人は几帳面でスネ」

智紀「…………またカオスになる予兆が」

灼「憧がつっこめなくなったからバランス崩れたね」

純「そういうお前らは……」

智紀「面白いからほっとく」

灼「いちいちつっこむの大変だし……」

純「ひでぇ奴ら……」

灼「そっちが言う？」

智紀「純こそ酷い。 新子さんを弄んで」

純「なんのことだよ！？」

410 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:45:52.25 ID:pITajI7K0

――――――――――――

――――――――

――――


智葉「邪魔するぞ。 おい、お前らちょっと騒ぎすぎだ……近所迷惑に……」

ダヴァン「あ、サトハお疲れさまデス」

穏乃「こんにちは、辻垣内さん！ お邪魔してます！」

智葉「よう、高鴨。 来てるとは聞いてたがいったいなんの騒ぎ……」

明華「ああっ！ な、なんですかその動きは！？」

智紀「ふふふ……」

ハオ「もう30連勝ですよ……なんという強さ……！」

ネリー「明華負けっぱなしだね！ 調子乗ってたしいい気味だよ！」

純「だから言ったじゃねーか！ 智紀と格ゲーやったらダメだって！」

智葉「…………」

憧「結局ゲーム始めちゃってから結構経ちますけど……」

灼「いいんじゃない？ 楽しそうだし……憧、そっちのゴミ片付けて。 食べっぱなしきたないよ」

憧「こ、これ食べたの私じゃないわよ！」

灼「お邪魔してるんだからあんまり汚さないで帰らないと」

憧「わかってるけど……私じゃないってば……もう、片付けるけどさぁ」

智葉「……なんで鷺森と新子が掃除しててお前ら遊んでんだ？」

ダヴァン「……流れですカネ？」

穏乃「いやー、なんかこうなっちゃいまして……」

智葉「お前らなぁ……」

411 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:46:46.79 ID:pITajI7K0

智葉「……おい！」

ネリー「あ、サトハ！ おかえり！」

ハオ「お疲れさまです」

明華「あっ！ 見てくださいサトハ！ 沢村さんすっごく強いんです！ 全然勝てないんですよ！」

智葉「へぇ……じゃなくって！ なにやってんだお前ら！ 練習休むのはともかく客に片付けさせてゲームって……っていうか！ そもそもお前ら日本に麻雀しに来たんだろうが！ ここ最近ゲームばっかりして……！」

ハオ「そういえば、日本では教育熱心な母親は子どもにゲームは一日一時間の制限をつけるらしいです」

ネリー「えー！？ たった一時間じゃ全然出番来ないで終わっちゃうよ！」

明華「あっ、さてはサトハも一緒に遊びたいんですね？ 遠慮しないで言ってくれれば……」

智葉「違う！ お前ら……休むのはいいけどオフでもしっかり麻雀の勉強しろよ！ それぞれちゃんと目的あって来てるんだろうが！」

ネリー「！」

明華「！」

ハオ「！」

ダヴァン「！」

穏乃「おぉ……空気が引き締まった……！」

憧「さすが……やっぱり風格があるわね」

灼「威圧感……」

智紀「つよそう」

純「いや、あいつ強いけどな」

412 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:47:21.71 ID:pITajI7K0

ダヴァン「……そうでスネ。 サトハの言うことももっともデス」

智葉「メグ……」

ネリー「うー……まあ、たしかにタダだからって最近遊びすぎたかもだけど……」

ハオ「……ちょっとした息抜きのつもりが、熱中しすぎていたかもしれませんね」

明華「……ありがとうございます、サトハ。 目が覚めました」

智葉「……わかってくれたならいい。 まあ、客も来てるし分をわきまえて遊ぶ分には……」

明華「いえ、麻雀をしましょう！ このまま続けても沢村さんに勝てる気がしませんし！」

智葉「それが本音か！？」

明華「いえいえ！ 麻雀を打ちに日本に来たんですから！ね！」

ハオ「ええ、打ちましょうか」

ネリー「はぁ……みんなやる気になっちゃったならしょうがないかな」

ダヴァン「フフ、みんなやる気満々でスネ」

明華「当然です！ さあ、打ちましょう！」



明華「わたしは しょうきに もどった！」



智葉「ダメなやつじゃねぇか！！」


カン！

413 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/02(火) 02:54:58.10 ID:pITajI7K0

某ハイスコアな少女が連載再開したので…
ゲームとかは有珠山のイメージが個人的に強いですがメグの狭い部屋に集まってわいわいゲームとかやってたらかわいいと思いました（こなみ）
狭いしネリーはメグの膝に座ったりハオや明華の背中にひっついたりするんだよきっと（願望）


>>396流出させてるとしたら爽あたりな気もしますがここの弘世様は流出してなくても同じようなことしょっちゅうやってそうなんで遅かれ早かれ世間にバレそうです

414 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/08/02(火) 09:06:58.05 ID:+WAWC/dho

乙
正気正気ってなんだ

415 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/08/02(火) 09:56:13.04 ID:dqEOjCKHo

乙です

416 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:46:40.39 ID:kyXOg2II0

暑くなってきてすっかり宥姉の季節ですね
投下します

417 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:48:15.88 ID:kyXOg2II0

いちご「……なあ、宥ちゃん」

宥「いちごちゃん、どうしたの？ そんな深刻な顔して……」

いちご「……ちゃちゃのんな、ずっと考えとるんじゃが……やっぱり、プロになりたいんよ」

宥「うん」

いちご「そうすると、やっぱり団体戦でのミスはマイナスが大きいし、個人戦で結果を出さないといかんわけじゃ」

宥「うん、そうなるねぇ」

いちご「じゃろ？ しかし、こう見えてちゃちゃのんも麻雀やって長いけえ、自分の実力っちゅうもんもよーくわかっとるつもりじゃ」

宥「うんうん」

いちご「結果を出すっちゅうても、宮永や辻垣内に勝つのは……まあ、正直難しいじゃろ？ それに、荒川や神代みたいなのだけじゃなく今年は一年生も活きがいいしのう……」

宥「みんな凄いよねえ……」

いちご「ちゃちゃのんの力はこの全国じゃあせいぜい中の上……あ、いや、上の下くらいじゃから……」

宥「……ちょっぴり見栄張ったね」

いちご「う……いいんじゃ！ それくらいの自信はあるってことじゃ！」

宥「ふふふ」

いちご「うぅ……とにかく、全国優勝が目標なのは変わらんが、現実的にはベスト16ぐらいがいいとこじゃと考えとるんじゃが……」

宥「……うん、十分狙えるんじゃないかな。 対局の組み合わせにも多少は左右されると思うけど……」

いちご「宥ちゃんがそう言うならちゃちゃのんの分析も的外れってことは無さそうじゃな……ぼんやりしとるように見えて宥ちゃん意外としっかり見とるからのう」

宥「ふふ、うちの先生がそういうの得意だから……これでも、ちゃーんと見てるんだよ？」

418 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:49:41.39 ID:kyXOg2II0

いちご「ま、そうは言ってもベスト16じゃやっぱりちょっと弱いけえ……順位だけじゃなく、上の奴を二、三人食うぐらいの活躍をしたいのう」

宥「そうだねぇ……卓は四人で囲むものだし、面子や状況によっては大きな一撃を入れることだっていちごちゃんなら狙えると思うよ？」

いちご「ふふ、そうじゃろ？ そうじゃなあ……ここはやっぱり、憎っくき愛宕に役満ぶち当てて意趣返しぐらいはしたいのう……」

宥「あはは……役満は狙って出せるものじゃないけど……でも、そうだね、団体戦の借りは返したいよねえ」

いちご「インハイ終わっても国麻があるとはいえ、やっぱりやられたまま広島帰るんじゃ気持ち悪いからのう……個人戦で雪辱を果たしたいとこじゃ」

宥「まあ、愛宕さんに限らないけどしっかり対策練らないとだねぇ……今年からの淡ちゃんや咲ちゃんはともかく、三年生や二年生は牌譜もたくさん残ってるし」

いちご「うん、あまり時間はないができるだけ戦い方煮詰めとかんとな……ところでのう、宥ちゃん」

宥「はぁい、なんでしょう？」

いちご「少し言いにくいんじゃがな……」

宥「そんな、私たちの仲じゃない。 遠慮なく言ってよ」

いちご「あのな……」

宥「……うん」

いちご「宥ちゃんにはちょうどええんかもしれんがのう……この時期、外でお喋りするんはちゃちゃのんには辛いんじゃ……」

宥「えっ」

いちご「今日もあっついのう……」

宥「い、いちごちゃん？ 大丈夫？」

いちご「うあー………………」

宥「え、えっと、お水と……ど、どこか冷房のきいたところに……」

419 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:50:51.26 ID:kyXOg2II0

――――――

いちご「うう……きもちわる……」

宥「ご、ごめんね、いちごちゃん！ 無理させちゃってたなんて……お、お水！ いっぱいもらってきたから！」

いちご「ありがとー……」

宥「ごめんね、ごめんね……ど、どりんくばー！ 好きなだけ飲んでいいから！」

いちご「ドリンクバーって元からそういうものじゃろ……ちゅうか、とりあえずは水でええわー……」

宥「あ、そっか、そうだね！ えっと、えっと……あ、アイスとかケーキとか！ 好きなだけ食べていいから！ お詫びに私がおごるからね！」

いちご「うぅ……これ以上ちゃちゃのんを太らそうだなんて宥ちゃんは鬼じゃな……」

宥「うえぇ！？ ご、ごめんなさい……」

いちご「いや、冗談じゃ……復活したら……少しいただくとするかのう……」

宥「う、うん！ 遠慮しないでね？」

いちご「いや、ファミレスってやっぱり割高な感じするしのう……それならここでは遠慮しておいて後日もっとええもんおごってもらう方が……」

宥「結構打算的！？」

いちご「あっはは、冗談じゃあ……」

420 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:52:25.99 ID:kyXOg2II0

いちご「はぁ……」

宥「ま、まだ気持ち悪い？」

いちご「いやな、店内は冷房効いとるしこうやってテーブルに突っ伏しとると冷えててなかなかこれがええ具合なんよ」

宥「そう？ それならいいんだけど……」

いちご「そういう宥ちゃんは大丈夫か？ 冷房効いとるけど」

宥「うん、私結構厚着だし……」

いちご「結構っちゅうか真夏にマフラーはなかなかアレじゃぞ？ 見てるだけであっついわ」

宥「ご、ごめんなさい」

いちご「いや、別に謝らんくてもええけど……うん、だいぶよくなってきたし今後のこともしっかり考えとかんとな！ ……そういや宥ちゃん、姫松やら千里山の方は結構交流深いって聞いとるんじゃが……」

宥「あ、うん。 仲いいみたいだよ？ 私たち、三箇牧の荒川さんとも練習試合したことがあるんどけど、三箇牧も含めてよく練習試合組んだりしてるって聞いたから」

いちご「……泉でも呼び出して愛宕の弱点でも聞けんかのう」

洋榎「うちに弱点なんかないで？」

いちご「おわぁ！？」

宥「あ……愛宕さん？ こ、こんにちは……？」

洋榎「あ、強いて言うなら天才美少女雀士で向かうとこ敵無しで退屈なこととか？ あ、佐々野ちょっとつめてーな！ 相席ええやろ？」

いちご「えっ、あっ、ちょ！ あぁ！？」

恭子「アホなこと言うとらんで……どーもすみません！ 黙らせますんで！ むしろ追い出すんで！ 主将！ 知り合いだからって絡まんでください！ 迷惑やろ！」

由子「天才美少女雀士とか……寝言は寝て言えなのよー」

421 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:53:18.07 ID:kyXOg2II0

洋榎「いやー今日もあっついな！ いや、監督がな、詰め込みすぎてもアカンから今日はオフでええよーなんて言うもんやからちょっと観光でもしようかと思ったんやけどな？ あんまり暑いんでとりあえずそこら辺で飯でもー言うてたら松実姉が目に入ってなぁ！」

宥「わ、私ですか？」

洋榎「この真夏にマフラーなんて目立ちまくりやで！ すぐにわかったわ！ 今日は阿知賀のみんな居らんのな？ 佐々野と仲ええん？」

宥「あ、はい、その、友達で……」

洋榎「あ！ そういや佐々野！ 団体戦じゃどうもな！ いやーこの私ともあろうものがちょっとヤバいかなーとか思ったけどなぁ！ 人生初の公式戦での役満和了り！ むっちゃテンション上がったわ！ いや、結局臨海と清澄にやられて姫松敗退してもうたけど……」

恭子「主将！！」

洋榎「あ？ なんや恭子、そんな大声出して……腹減っとんの？ 先に注文しててええよ？」

由子「ひとりでペラペラうっさいのよー」

洋榎「そんなんいつもやろ」

恭子「開き直るなや！」

由子「宥ちゃんもぼーぜんとしてるのよー？ ちゃちゃのんもごめんなのよー……ちょっとデリカシーの無い子だけど悪気はないのよー」

いちご「……お、おう。 ほうかいね」

洋榎「そや！ 悪気はなかったんや！ ほら、恭子も謝り」

恭子「え？はあ……？ こりゃどうも、えろうすんません」

由子「てめーが謝れって話なのよー」

洋榎「ははは、すまんな！ あ、おねーちゃん！ 注文ええかー？ えっとな、これとこれと……」

宥「……えっと……あれぇ？」

いちご「……ん？ あ！ ……い、勢いで相席されてもうた……」

422 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:54:21.89 ID:kyXOg2II0

恭子「いや……ほんま、申し訳ないです……邪魔してもうて……」

宥「あ、いえ……私は別に……」

いちご「まったくじゃ！ っちゅうかなんでよりにもよってちゃちゃのんの隣に来るんじゃ！ ちょっと離れんか！ 近いわ！」

洋榎「なんや、そんな邪見にせんでもええやろ？ インハイで打ち合った仲やんか〜」

いちご「うっさいのう！ 馴れ馴れしいわ！ このアホ！」

洋榎「えぇ……なんでこんな嫌われとるん？」

恭子「いや……そりゃあ……なあ？」

由子「洋榎は勝った側なのに遠慮無さすぎなのよー」

洋榎「そんなん、もう過ぎたことやんか」

恭子「誰もが主将みたいに切り替えられるわけやないんですよ」

洋榎「そういうもんか？」

由子「そういうもんよー……それこそ恭子とか見てればよくわかるのよー」

洋榎「あー」

恭子「……こう、遠慮のなさで言ったらゆーこもええ勝負やと思うで」

由子「他所様にはちゃんと気を遣ってるから問題ないのよー」

恭子「……まあ、別にええけどな」

いちご「なにひとつよくないじゃろ……」

洋榎「ま、ええやんええやん！ あんま気にすんなや！」

いちご「だからあんたが言うことじゃないじゃろ！？」

423 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:55:51.22 ID:kyXOg2II0

宥「……ま、まあ、いちごちゃんも落ち着いて……最初っから喧嘩腰なのもよくないよ？ 愛宕さんだって悪い人じゃないんだから……」

いちご「少なくともちゃちゃのんとは相性が悪い人なんじゃ！」

洋榎「おっ、上手いこと言うやん」

由子「ちなみに洋榎は頭が悪いのよー」

恭子「頭は悪くないやろ。 バカだとは思うけど」

洋榎「恭子も結構容赦ないな！？」

いちご「だからぎゃーぎゃーうるさいんじゃ！ これだから大阪人は……」

洋榎「あ、そういや泉がどうのー言うてたな？ なんや、あいつとも仲ええん？」

いちご「仲よくないわ！」

宥「いちごちゃんと泉ちゃんは仲いいですよ」

いちご「仲よくないわ！！」

恭子「仲ええんやな」

洋榎「はっは！ ま、うちがあまりにも強すぎるからどうにか弱点を探りたいって気持ちもわからなくはないがな！」

いちご「そういうこと自分で言うか普通！？」

由子「洋榎はそういうこと言うのよー」

洋榎「しっかし泉に聞いてもどうしようもないやろ？ 一年にしてはなかなかやる方やけどうちの弱点見抜けるほどじゃないわ……ま、元から弱点なんかないけどな！」

宥「す、すごい自信ですね……」

由子「しかしそんな洋榎にも弱点はあるのよー」

いちご「なんじゃと！？」

洋榎「はぁ！？ ちょ、なんやそれ初耳なんやけど！」

424 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:57:14.21 ID:kyXOg2II0

由子「ずばり、千里山の愛宕監督よー」

いちご「それをどう対局に活かせと！？」

洋榎「別に弱点でもないわ！ 全然怖くないし！ むしろ毎日唐突に夕飯のリクエストとか言って困らせてるし！」

恭子「ただの我が儘な娘やん……」

由子「えー？ それじゃあ、絹ちゃん」

いちご「だからそれをどう対局に活かせと！？」

恭子「まあ、絹ちゃんにはかなわんなぁ」

洋榎「そんなことないやろ！ むしろお姉ちゃん風ぴゅーぴゅー吹かせとるし！ そりゃあちょっとは甘いかもしれんけど！」

宥「ふふ、それじゃあ私の弱点は玄ちゃんだなぁ」

恭子「……ちょっと？」

洋榎「ちょっとや！ むしろ絹に甘いのは恭子の方やろ！」

恭子「……そうか？ 厳しい先輩やっとるつもりやったんやけど……」

由子「あ！ それじゃあ洋榎の弱点はマナー悪いところなのよー」

洋榎「別にマナー悪くないやろ！」

いちご「いやいや、マナーは悪いじゃろ」

恭子「残念やけど……」

宥「あはは……」

洋榎「はぁ！？ マジでか！？ マジで言うとるんか！？」

425 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:58:13.98 ID:kyXOg2II0

洋榎「いったいうちのどこがマナー悪いって言うんや！ ちょっと言ってみぃ！」

由子「まずトラッシュトーク激しいのよー」

恭子「対局相手煽ったりすんのほんとよくないですよ、主将」

いちご「対局中にあんなに喋るの全国でもあんたぐらいじゃぞ」

洋榎「いや、セーラとかもかなりうるさいやん！ なんでうちだけ！？」

由子「それは洋榎が話しかけるから返事してるだけなのよー」

恭子「無視するのも感じ悪いしなぁ……なんだかんだ律儀な人ですし」

由子「対局中にペラペラ喋り始めたら審判を呼んでジャッジキルを狙うのよー」

いちご「ふむ、なるほど……」

洋榎「真に受けるなや！ ってか失格になるほど喋っとらんやろ！！」

恭子「いや、それでも普通じゃないぐらいは喋ってますよ」

宥「あの……話す量よりも、その、内容が……」

洋榎「そんなに煽っとるつもりないんやけど！？ つーか松実姉も意外と結構言うな！？」

宥「え、あの、ごめんなさい……」

由子「言ってることは正しいから謝らなくていいのよー」

恭子「いや、実際私もあの態度の悪さはなんとかしてほしいと前々から……」

洋榎「え？ え？ そこまで！？ うち責められる流れなん！？」

426 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 22:59:24.41 ID:kyXOg2II0

いちご「……まあ、別にマナー悪すぎて失格になる分にはいい気味じゃが」

洋榎「失格にはならんって！ 今までも失格になったことないし！」

恭子「結構頻繁に注意は受けてますけどね」

由子「さすが洋榎は普通じゃないのよー」

洋榎「それは誉めてないやんな！？」

宥「普通は注意も受けないですからねえ」

洋榎「……お姉ちゃんみたいな子にしみじみ言われるとさすがにちょっとダメージ受けるで……」

いちご「……やっぱり、卓での借りは卓で返さんと気持ち悪いからのう……個人戦、あんたをはっ倒すのを楽しみにしとるんじゃからな。 ちゃちゃのんと当たるまで敗退せんようにな」

洋榎「……ふふん、いっぱしにライバル気取りか？ 悪いがうちの相手は宮永やセーラなんでな……そっちこそ、そんなにうちにやられたいんなら精々頑張って勝ち残るんやな」

由子「また偉そうになんか言ってるのよー」

恭子「気合入れるのはええですけど、江口とはほぼ五分ですし宮永には今まで勝ててないですからね……しっかり練習せんとアカンで。 うちのまとめたデータしっかり頭入れたんか？」

洋榎「だから大丈夫やって！ 今年こそ全員倒してうちが頂点立ったるから黙って見とき！」

いちご「ほんと、根拠のない自信に溢れとるやつじゃなあ……」

洋榎「ふん、自信が持てんなら最初から打たない方がマシや。 うちは全試合サンコロにするつもりで打っとるで？ 自分に自信持てなくなったらおしまいや」

いちご「……ちゃちゃのんだって負ける気なんかないけえね」

宥「おおー……いちごちゃん、燃えてるねぇ」

いちご「そりゃそうじゃ！ やっぱり愛宕はいちいち鼻についてムカつくし……こんなのに負けたまんまじゃすっきりせんけえね！」

427 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 23:00:48.93 ID:kyXOg2II0

洋榎「ほんとに嫌われたもんやなあ……まま、うちは別にあんたのことは嫌いじゃないんや。 あんまり敵視されたまんまでもちょっと気分悪いし……」

由子「それならとりあえず煽るの止めたらいいと思うのよー」

洋榎「え？ だから別に煽っとるつもりないんやけど……」

恭子「それが一番の問題やな」

洋榎「むぅ……とにかく、気を悪くしたなら悪かったわ。 ここは奢るから好きなもん頼めや！」

いちご「えっ？ ええんか？」

洋榎「もちろんや！ な、恭子！」

恭子「へ？ あ、うん……ん？ おい！ もしかして私に払わせる気じゃ……！」

洋榎「ほら！ 恭子が奢ってくれるって！」

恭子「洋榎！！ おい！！」

いちご「えっとな、それじゃあ……」

由子「目に見えてうきうきしはじめたのよー」

宥「いちごちゃん、それでいいんだ……」

いちご「ちゃちゃのんな、ちゃちゃのんなあ……この、おっきないちごのパフェが食べたいんじゃ」

洋榎「共食いか！」

いちご「あ痛ったぁ！？」

洋榎「い、いちごがいちごのパフェって……くくっ……な、なかなか面白いやつやな、あんた……」

いちご「なんも面白いこと言ってないじゃろ！」

洋榎「はっはっは！ 気に入ったでいちご！ これからは仲良くやろうや！」

いちご「ちゃちゃのんはあんたのこと気に入らんわ！ こんのアホがぁ！」

宥「い、いちごちゃん……」

恭子「……ほら、あんまり騒がんでくださいよ……宥さんも困っとるし……」

宥「ふふ、いちごちゃん元気になったみたいでよかったあ」

恭子「やっぱり宥さんもどっかずれてますね！？」

由子「さすが全国、変な子ばっかなのよー」


カン！

428 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/13(土) 23:04:31.28 ID:kyXOg2II0

五位決定戦やスピンオフ開始で怜をはじめとして関西勢は出番や掘り下げが期待できるので注目していきたいです
ほぼずっと半泣きの成香ちゃんかわいい

429 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/08/13(土) 23:12:24.45 ID:VFrsMsgco

乙です

430 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/08/13(土) 23:29:09.01 ID:/P1TbPcGo

乙です

431 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/08/14(日) 00:12:53.90 ID:nczHssfAO

乙です
姫松三年生トリオと宥姉&ちゃちゃのんですか！
面白かったです！
って言うか由子さんは財布を出さないんですね
お嬢様なのに

432 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/24(水) 21:30:52.66 ID:ZKM+NakPO

ゆうたんイェイ〜
ちょっと事情でPC触れないんでまた後日投下しに来ます

433 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/08/24(水) 21:36:00.04 ID:7lpskxlAo

待っ照

434 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:31:48.26 ID:+5+n5KN80

>>431ひとりで好きなもの食べて自分の分だけパッと払ってそう。ゆーこは本編で描写増えるにつれマイペースな毒舌家ってイメージになってます
今更ながら投下。一週間経ってしまった…

435 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:32:32.52 ID:+5+n5KN80

「……、…………」

宥「んー……」

「おは…………、……朝御飯が……」

宥「んにゅ…………あと五分……」

声をかけられて、目が覚める

……とは言っても、今は夏の長期休暇中。 いわゆる夏休み。 ゆっくりお休みしてても大丈夫なのです

ぺちぺちとほっぺたを叩かれているのを感じるけれど、今日はもうちょっとゆっくりしたい気分なのです。 ……今日はというか、いつもだけど

宥「うー……くろちゃーん……もうちょっとぉ…………」

灼「いつもこんななの？」

玄「え、えっと……その、夏休み中は……な、夏休み中だけだよ？ お姉ちゃん、しっかりしてるもん」

灼「……そか。 それじゃあ、そういうことにしとく」

宥「……！？ あ、ああ、灼ちゃん！？」

灼「おはようございます、先輩」

宥「え……や、やだっ！ もう……な、なんでぇ！？ ち、違うの！ い、いつもはもっとちゃんと……た、たまたま！ 今日はたまたまのんびりしたい気分だっただけで……」

灼「寝顔、かわいかったです」

宥「あう……は、恥ずかしぃ…………く、玄ちゃん！」

玄「は、はいっ！ どうしたの、お姉ちゃん」

宥「どうしたの、じゃないよぉ……あ、灼ちゃんが来るなら先に言ってよぉ！」

玄「ご、ごめんなさい……」

灼「……珍しく姉妹っぽい力関係が」

436 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:33:11.79 ID:+5+n5KN80

灼「とゆか、わりと急に来たので」

宥「うぅー……そうなの？」

灼「変に早い時間に目が覚めて……」

玄「私はもう動いてる時間だったからちょっとお話ししてたんだよ」

灼「こっち来るとき穏乃とすれ違ってびっくりした……なんか目が覚めちゃったんで山行ってきますっ！ って走ってっちゃったけど」

玄「インターハイで東京行ってたから、しばらく山行ってなかったもんね」

宥「そうなんだ……穏乃ちゃんは相変わらず元気だね…………あ、それじゃあ憧ちゃんは？」

灼「休みだし寝てると思」

玄「夏休みだもんね……宿題は終わらせたって言ってたし、ゆっくりできるんじゃないかな」

宥「……私も、課題は終わらせてあるよ？」

灼「そうですか。 私もです」

宥「うー……灼ちゃん……」

灼「なんですか？」

宥「……なんでもないけど…………」

灼「……宥さん、やっぱりかわいいですよね」

宥「……もうっ！ そういうのは、ちょっと違うのに……」

玄「ふふ……灼ちゃん、あんまりお姉ちゃんいじめたらダメだよ？」

灼「わかってるけど、ついね」

宥「むぅ……」

437 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:33:56.52 ID:+5+n5KN80

灼ちゃんは、しっかりしている。 私なんかよりも、全然しっかりしているのだ

阿知賀の麻雀部の時も灼ちゃんが部長になって……まあ、これは私もその方がいろいろと助かったからいいんだけれど

ともかく、阿知賀の麻雀部に入った時にはじめて後輩を持った私にとっては、灼ちゃんと穏乃ちゃんは初の後輩さんなのだ

……憧ちゃんは家の付き合いもあってずっとお友だちな感じだったからちょっと違うんだよね

残念ながら、灼ちゃんとは昔はよく一緒に遊んだけれど当時はちょっぴり疎遠な感じになってたし……

まあ、なにが言いたいのかというと、結局私は先輩ぶりたいのだ

しっかりものの頼れる先輩というものになりたいのだ

こういう、ちょっとだらしなくしているところを見られると……やっちゃったなぁといった感じで……

宥「うううう…………」

玄「ほら、お姉ちゃん！ 灼ちゃんも来てくれてるし、一緒に朝御飯にしよ？ 着替えて着替えて！」

灼「……抱っこして起こした方がい？」

宥「……く、玄ちゃん！ 灼ちゃんに変なこと言わないでよぉ！」

玄「ご、ごめんなさい！」

……ちょっと起き上がれない日は玄ちゃんに起こしてもらってるけど、なにもそんなことまで言わなくても……玄ちゃんが灼ちゃんと仲良しなのは知ってるけど……

宥「もう……灼ちゃんのいじわる……」

灼「ふふ、ごめんなさ……」

灼ちゃんは、大学に進学してからは特に、私が先輩ぶりたいのをわかっている節がある

わかっていて甘えてくれたり、頼ったりしてくれているんだろうなーって感じることも多いから、やっぱり灼ちゃんはしっかりしてるんだなあって思うんだけれど……それはそれで、やっぱり悔しいなあ

灼「……あ、宥さん」

宥「……なぁに？」

灼「誕生日、おめでとうございます」

宥「あ……」

玄「えへへ、おめでとうお姉ちゃん！ 今日で二十歳だね！ もう大人なんだね〜」

灼「お寝坊さんだけどね」

宥「あっ……灼ちゃん！」

灼「ふふ、あっちで待ってますから」

宥「うぅ……もう……！」

……明日からは、ちゃんと早起きしよう。 うん……明日から……

438 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:35:06.63 ID:+5+n5KN80

パジャマから着替えて、ちょちょいっと身支度を整えてから居間に向かうと玄ちゃんと灼ちゃんがちょこんと座って待っている

宥「待たせちゃってごめんねっ！」

灼「いえ、私こそ朝からご飯いただいちゃって……」

玄「灼ちゃんの分ぐらいすぐに用意できるから気にしないでっ！ 早くから一緒だったから準備自体は急にでもなかったし……あ、お姉ちゃん」

宥「どうしたの、玄ちゃん？」

玄「こっち、ちょっと髪跳ねてるよ」

宥「えっ？」

玄「動かないでねっ！ 私が整えてあげるっ！」

宥「だ、大丈夫だよ、自分で……」

玄「いいからいいから！ 遠慮しないでっ！」

灼「……こういうとき急に活き活きとするよね、玄は」

宥「や、やめてよ玄ちゃん……灼ちゃんもいるのに……」

玄「えー？ そんな、今さらじゃない」

宥「あう……」

そ、それはたしかにそうなんだけど……そうなんだけど……

灼「玄、たしかにその通りだけど宥さんはそれを気にしてるんだから」

宥「うぅ……」

あ、灼ちゃんも今さらだって思ってるんだ……そりゃあ、私もそう思ってるんだから当然なんだけど……

灼「……ちょっと玄にお世話されてるぐらい気にすることないですから。 そもそもみんななにかしら世話焼かれてるし……」

玄「そう？ 灼ちゃんはいっつもきちっとしてるからなあ……」

灼「……ま、世話されるにしても宥さんにならともかく、玄にってのもね」

玄「え？ どういうこと？」

灼「そゆこと」

玄「えぇ〜？」

439 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:36:34.89 ID:+5+n5KN80

玄「私のなにがいけないの……？」

灼「いけないとかじゃなくて、同い年の友達に世話されっぱっていうのも……先輩の宥さんに面倒見てもらうのとは違うし」

玄「そっかあ……なるほど、つまり私が嫌いとかってわけじゃ……」

灼「そんなわけないでしょ……むしろ玄はいいとこばっかだし」

玄「えっ？ えへへ、そうかな……？」

灼「器量よし性格よし家事全般完璧だし嫁に欲しいぐらい」

玄「えへへ、そんなに褒めてもおかわりぐらいしか出せないよ〜？」

灼「おかわり。 おいしい」

玄「ふふ、いっぱい食べてね！」

灼「ありがと」

宥「……灼ちゃん、朝から結構食べるね」

灼「朝早かったので……なによりおいしいから、つい」

玄「〜〜♪」

灼ちゃんに褒められて玄ちゃんも上機嫌だ。 いつも以上ににこにこしながら灼ちゃんのお茶碗にご飯をよそっている

私にとって玄ちゃんは自慢の妹だし、玄ちゃんが褒められるのは私にとってもうれしいことなのだ

……灼ちゃん、私にお世話されるのはいいんだぁ……

宥「……ふふふ」

玄「？ お姉ちゃん、どうかした？」

宥「なんでもないよ〜？」

よぉし、これからもお姉ちゃんとして……じゃなかった、先輩として灼ちゃんの面倒を見てあげないと！

宥「〜〜♪」

玄「〜〜♪」

灼「…………ふふっ」

440 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:37:37.84 ID:+5+n5KN80

穏乃「おはようございますっ！」

宥「わわっ、穏乃ちゃん？ おはよう〜」

穏乃「あっ！ すみません！ お邪魔します！ 宥さんお誕生日おめでとうございますっ！ えっと、あと……」

灼「夏休みの宿題は？」

穏乃「えっ！？ えっと、その……あ、あと少し……残ってて……あ、あの……」

灼「…………」

穏乃「あ、いえ！ ちゃんとやりますよ！？ ちょっと止まっちゃってますけど……インハイもあったし……」

灼「憧はこの間終わったって言ってたけど」

穏乃「あー……それは、ほら、憧は……私より頭いいですし？ 進度にも多少差が出るのは仕方ないというか……」

灼「もう夏休み一週間も無いけど」

穏乃「は、はい……そ、そうなんですけど……」

宥「それじゃあ、私がお手伝いしてあげるよ〜」

穏乃「！！ いいんですか！？」

灼「手伝ってあげるのはいいですけど、あんまりやり過ぎたらダメですよ。 穏乃のためになりませんし」

宥「う、うん……気をつけるね」

玄「灼ちゃんは厳しいねぇ……」

灼「玄は甘過ぎ」

玄「そうかなあ……？」

灼「私が宿題手伝い禁止令出してなかったら全部やっちゃってたでしょ。 玄だって忙しいのに……」

玄「ま、まさかあ！ さすがにそこまではやらないよお……」

穏乃「えっ？ あ、灼さんそんな、禁止令なんて出してたんですか！？」

441 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:38:59.00 ID:+5+n5KN80

灼「ダメだった？」

穏乃「いや、ダメとかでは……でも、その……知っての通り私はあんまりお勉強は得意ではなくて……」

灼「憧に聞いてみたら？」

穏乃「だって憧、自分でやらなきゃ意味ないでしょ、って……少ししか教えてくれないし……」

灼「自分でやれるところまで頑張りなさい」

穏乃「それは、もちろん頑張りますけど……」

宥「憧ちゃんも少しは教えてくれるんだね」

穏乃「でもですね！ 憧の場合私のためとかじゃなくって単純に教えるのめんどくさがってるだけですよ！？」

玄「そ、そんなことはないと思うけど……」

穏乃「うあー……誰だよ宿題とか考えたやつー！ もう！ せっかくの夏休みなのにー！」

灼「ギリギリまで遊んだんだから残りはお勉強も頑張りなさい」

穏乃「はーい……」

玄「厳しいお父さんだねぇ」

灼「誰が……玄」

玄「はぁい……お茶淹れたよ」

灼「ありがと」

玄「ほらほら、穏乃ちゃんもいっぱいあるから食べてね〜」

穏乃「いただきます！ いやあ、朝からご馳走になっちゃってすみません！」

玄「いえいえ、私も朝から穏乃ちゃんに会えてうれしいよ〜」

442 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:40:17.56 ID:+5+n5KN80

穏乃ちゃんも少し山を駆け回って満足したのだろう、スッキリした顔で入ってきた……んだけど、どうも宿題の話は痛いところだったらしい

灼ちゃんに叱られてしょんぼりして……

穏乃「おいしいです！ 玄さん！ おかわりしてもいいですか！」

玄「もちろん！」

……もう元気になってた……まあ、元気になってくれたんならなんにも問題はないんだけど

宥「……それじゃあ、ご飯食べたら穏乃ちゃんの宿題やろっか？」

穏乃「うっ……あ、はいっ！ よろしくお願いします！」

灼「……ちなみに、どれくらい残ってるの？」

穏乃「……いや！ 本当にそこそこは終わらせてあるんですよ！？ 憧と初瀬がちょっと手を貸してくれたし……」

玄「憧ちゃんと初瀬ちゃんなら心強いね！」

穏乃「いやあ、アレがなかったらちょっとヤバかったですね……」

灼「どれくらい残ってるの？」

穏乃「……えーごがまったく手がついてないです…………」

灼「そこ残しちゃったか」

穏乃「数学は初瀬の晩成パワーでなんとか終わらせたんですけどね……教えるの上手くて助かっちゃいましたよ。 憧んちで集まってやったんですけど桜子とか中学生組にまで勉強教えてましたし」

宥「初瀬ちゃん、けっこう面倒見いいよねぇ」

穏乃「憧がアレでけっこう抜けてるとこありますしねー……中学時代は世話焼いてくれてたんじゃないですかね」

玄「ふふ、憧ちゃんはけっこううっかりしてるとこあるからね」

灼「……玄には言われたくないって思ってそうだけど」

玄「あはは、憧ちゃんによく言われてるよ。 私、自分で言うのもなんだけど最近はしっかりしてると思うんだけどなぁ」

443 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:41:06.00 ID:+5+n5KN80

実際、元々しっかりしている玄ちゃんがますますしっかりしてきたので私もそこに甘えてのんびりしているところもあったし……

……さっきも灼ちゃんに恥ずかしいところ見られちゃったし

お姉ちゃんとしてしっかりしたいんだけど、ついつい玄ちゃんに甘えちゃうんだよなあ……

穏乃「？ 宥さん？」

宥「あ、なんでもないよ？ ……ね、やっぱり憧ちゃんにも声かけようよ。 仲間はずれにしてるみたいだしさ」

穏乃「そうですね！ 声かけないと拗ねちゃいますし！ ……でもまだ寝てると思いますよ？ 望さんに叩き起こされてなければ」

灼「……あと30分ってとこ？」

穏乃「そうですねー……朝御飯食べて二度寝する前に連絡すれば……あ、でも今日は平気かな？ 龍門渕さんたち来る予定ですし！」

玄「ふふ、そうだね。 むしろそのせいで身仕度にたくさん時間かかっちゃうかもだけど」

灼「玄は準備しなくていいの？」

玄「え？ 私はいつでも平気だよっ！ 松実館のスタッフとして身だしなみには気をつけてるし宿泊予定のお部屋もバッチリ準備して……」

灼「……スタッフとしてじゃなくて」

玄「そ、それは……ど、どうしよう、変なとこないよね？ 大丈夫だよね？」

穏乃「完璧です！」

宥「今日も玄ちゃんはかわいいよ〜」

玄「そ、そう？ そうかな？ よぉし……」

灼「毎度毎度そこまで緊張しなくてもいいと思うんだけど……じゃ、ちょっと憧に電話してくる」

穏乃「お願いします！ あ、玄さん！ おかわりもう一杯いいですか！」

玄「はーい！ 穏乃ちゃん、かなりお腹減ってた？」

穏乃「山行ってたので！ いやあ、気持ちよくご飯が食べられますよ！」

444 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:41:52.33 ID:+5+n5KN80

朝ごはんを食べて少しゆっくりして、玄ちゃんがお仕事に戻ったぐらいから穏乃ちゃんの宿題を一緒にはじめて――灼ちゃんにちょっと手を出しすぎって叱られちゃった。 加減が難しいなぁ

穏乃「うー……宥さん宥さん、これで合ってます？」

宥「どれどれ……えっと……うん、大丈夫。 ちゃんと文法も頭に入ったみたいだね！ えらいえらい」

穏乃「えへへ……よかったあ」

灼「穏乃は一回集中できれば一気に進むんだけどね……明日になったら忘れてた、とかにならないように」

穏乃「はーい」

灼「それじゃ、終わりも見えてきたし少し休憩しよっか」

宥「いいの？」

灼「適度に休憩した方が効率いいと思いますし……龍門渕軍団が到着するまでに終わらせるのがベストだと思いますけど」

宥「軍団って……」

穏乃「あっ！ そっか！ 一さんたちが来るんだった！ このまま一気に終わらせちゃいますっ！」

灼「無理しなくてもいいよ？」

穏乃「いえ！ 今集中できてるし気持ちも乗ってるんで！ パーっとやっちゃいますっ！」

灼「……そか。 じゃ、頑張って」

穏乃「はいっ！ 頑張りますっ！」

憧「おはよー……あ、 しず宿題中？」

宥「憧ちゃんおはよう〜」

憧「宥ねえ誕生日おめでとっ！ 声かけたけど返事無かったからあがっちゃった」

宥「ごめんね、気がつかなくって」

憧「こっちこそ勝手にあがっちゃって……大変だったでしょ？ しずの面倒見るの」

穏乃「そ、そこまでじゃないもん！ ある程度は自分でなんとかしてるし！」

憧「ある程度、ねぇ……」

穏乃「むー！ なんだよその含みのある言い方！」

灼「……やっぱり休憩にしよっか」

445 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:42:41.30 ID:+5+n5KN80

憧「っていうか早くから集まって宿題とか何事？ しずらしくもない……」

穏乃「別にちゃんと宿題してるんだからいいだろー」

憧「ほとんど宥ねえと灼さんに聞いてやってたりしない？ 自分でやらなきゃ意味ないわよ？」

穏乃「わかってるってば！」

宥「ふふ……憧ちゃん、灼ちゃんと同じこと言ってる」

憧「当然のこと言ってるだけだってば……宥ねえも、解き方とか教えるぐらいならいいけどあんまり手を出しすぎたらダメだからね」

宥「……それも灼ちゃんに言われました」

灼「憧とは教育方針が近いようで」

憧「ま、今年はうちら受験生だしねー……ちゃんと身につくように勉強させないとしずのためにならないし」

宥「憧ちゃんと穏乃ちゃんは、どこの学校受けるの？」

穏乃「んー……正直私はまだ決めてないんですよねー……インハイに集中したかったし……候補はいくつか決めてますけど」

憧「しずはのんびりしすぎだってば……ちょっとしたらすぐに入試本番になっちゃうんだから」

穏乃「わかってるけど……インハイでそこそこ結果出てるし先生には推薦も狙えるって言われてるから……でも、推薦で進学するにしてもちゃんと勉強しとかないとあとで困るだろうしなぁ」

灼「ん……勉強する気があるのは偉いね」

穏乃「へへ、そりゃあ灼さんにも憧にも散々言われてますから！ ……あ、そういえば憧は結局どうするつもりなのさ」

憧「私は…………うん……ちょっと、考え中」

穏乃「人に言っといてそれかよー」

憧「……いろいろあんのよ、私も」

穏乃「いろいろ？」

446 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:43:56.71 ID:+5+n5KN80

灼「憧はしっかり決めてるものだと思ってたけど」

宥「うん、私も……でも、なにか悩んでるならちゃんと考えて決めた方がいいと思うから……」

……そういえば、憧ちゃんは高校も元々晩成に行くつもりだったんだもんね。 穏乃ちゃんに誘われて考えた末に阿知賀に決めたって聞いたけど

宥「進路は将来にかかわる大切なことだからね……よかったら、話聞くよ？」

憧「ありがと、宥ねえ……うーん……でも、もうちょっと待ってね。 自分の中で整理してるとこだから……進学するにしてもそっち用の準備もしてるしそこまで心配しなくても……」

穏乃「え？ 進学するにしても、って……進学しないことも考えてるの？」

憧「…………しず、なんでそういうとこは気づくわけ？」

穏乃「そりゃ、憧のことだもん」

灼「進学しない場合、なにするつもりなの？」

憧「ん、んー……なんというか……麻雀……？」

宥「？ インカレでも打てるよ？ それじゃあダメなの？」

憧「……ダメってわけじゃないけど、もっと上を目指したいっていうか……その、純さんに……」

穏乃「なんだ、いつものか」

灼「一時の勢いじゃなくてちゃんと考えた方がいいと思」

憧「なによその反応！？ 違うってば！ ちゃんといろいろ真面目に考えてんの！ とにかく、今日純さんと話してから考えたい部分もあるから……」

穏乃「とうとう玉砕するの！？」

灼「ついに決心？」

憧「そういう話じゃないんだってば！ そういうのは、またタイミングを見計らって……じゃなくて！ もう！ とりあえずこの話はあとで！ 少なくとも純さんと話さないと進まないのよ！」

穏乃「ふーん？」

灼「へー」

憧「だからその反応はなんなのよ！！」

447 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:44:55.83 ID:+5+n5KN80

またふたりで憧ちゃんをからかって……まあ、気持ちはわかるけど……

宥「憧ちゃん、ふたりはちょっと意地悪してるけどちゃんと心配してるんだからね？ 話せるようになったら話してくれるとうれしいなあ」

憧「わかってるけど……はあ、ちゃんと話聞いてくれるのは宥ねえだけね」

灼「親身になって聞いてるのに」

穏乃「ひどいなあ、憧は」

憧「……はいはい、ごめんなさいね！」

穏乃「拗ねるなよー」

灼「ごめんごめん」

穏乃「お饅頭食べる？」

灼「アメちゃんいる？」

憧「食べ物なんかで釣られるわけないでしょ！？」

ふたりして憧ちゃんを拗ねさせて、今度はご機嫌とりを……いや、ご機嫌とりをする気もなさそうだ

いったい何がしたいんだか……いや、からかって遊んでいるんだろうけど

……進学しないで、麻雀をする……？ っていうと、プロとか実業団チームとか……かな？

でもそこに井上さんが関わってくる……？ なんだろう、わからないなあ……そういえば、龍門渕さんが麻雀のチームを作りたい、みたいな話をしていた気がするけど……それなら井上さんじゃなくて龍門渕さんと話すって言うよねえ……

うーん……考えてもわからないし仕方ないかあ……憧ちゃんも話してくれるって言ってるし……

448 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:45:33.93 ID:+5+n5KN80

そんな風に憧ちゃんの将来について思いを馳せているとインターホンが鳴る

宥「あっ、お客様かな？」

憧「！」

穏乃「待ち人来たり？」

灼「反応いいね」

憧「うるさいなあもう！」

怜「私や！ 宥ちゃんお誕生日おめでとう〜」

宥「怜ちゃん！ わざわざありがとうございます〜」

怜「いえいえ、部活で来れない泉たちの分もお祝いさせてもらうで。 あ、これケーキな。 人数まだ増えるん？ 増えないうちに食べよ？ うちもうこれだけが楽しみで楽しみで……」

憧「……ケーキ食べに来たんですか？」

怜「あーんもう憧ちゃんもそんな不機嫌そうにしなくてもええやんか〜？ お目当ての人じゃなかったのは申し訳ないけどなー？」

憧「べ、別にそういうわけじゃないですけど……っ！」

灼「とゆか、そもそも松実館で予約してるんだからこっち来る前に松実館行くよね」

穏乃「あ、そういえばそうですよね。 そもそも着く前に連絡くれたり玄さんが教えてくれたりするでしょうし」

灼「むしろ、到着したらしたでその場で気づけそうだよね」

穏乃「透華さんが来ますからねー」

怜「あ、龍門渕の子たち来るん？ あの子らおもろいよなあ……ってそんな団体客来るんやったらなおさらはよケーキ食べようや。 私は久々のケーキを思う存分食べたいんや」

憧「ほんとになにしに来たんですか……」

怜「宥ちゃんのお祝い」

宥「怜ちゃん……！」

憧「いやなんか騙されてるって宥ねえ……」

449 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:46:35.52 ID:+5+n5KN80

怜「いやいや、別に騙しとらんし！ むしろ私、かなり正直やん？」

宥「うん、そうだね」

怜「やろ？ あ、玄ちゃんは？ お仕事中？」

灼「ん……」

怜「そっか、そりゃあ残念やな……宥ちゃんの膝枕で玄ちゃんにお世話してもらうのが私の最高状態なんやけど……」

憧「…………宥ねえ、やっぱり園城寺さんとの付き合い考えた方がいいって」

宥「怜ちゃんのことなら心配ないよ？ 私も外で走り回ろうってタイプじゃないし……最近は調子崩すことも少なくなってきて……」

憧「いや、そういうことじゃなくって！ この人変だって！ 今さら言うのもなんだけど！」

怜「あはは、宥ちゃん私以外にも変な友達いっぱいおるやん……それに憧ちゃんだって充分……なあ？」

穏乃「常識こそあれ憧も充分変ですからね！」

憧「はぁ！？ しずなんか常識もないでしょ！」

穏乃「えっ？」

灼「穏乃は充分常識あるでしょ。 ……センスが独特なだけで」

憧「それが常識無いって言ってんの！」

穏乃「やだなぁもう！ そんなに褒めないでくださいよ！ 灼さんだって滅茶苦茶素敵なセンスじゃないですか！」

灼「……ありがと」

憧「だーかーらー！！」

450 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:47:50.72 ID:+5+n5KN80

怜「…………ところでな、宥ちゃん」

宥「どうしたの？ そんなにこそこそと……」

怜「いや、今日で宥ちゃんも二十歳になったわけやろ？ つまり……宥ちゃんもお酒が堂々と飲める年になったってことや」

宥「うん……ってもしかして……！」

怜「ちょっとな、お酒買ってきてみたんや……どうや？ せっかくやし一緒に飲んでみん？」

宥「えぇ！？ だ、ダメだよそんな……怜ちゃんアルコール類とかもダメだってお医者さんに言われてるでしょ？」

怜「ちょっとくらい大丈夫やって！ それに、ここまでいい子ちゃんでやって来てうちら一滴も飲んでないやろ？ 合法になったんやしええやんか〜」

宥「そ、そういう問題じゃ……」

怜「ええやんええやん〜おめでたい日やし羽目外したって〜」

宥「ダメっ！ 怜ちゃんの体が心配だもんっ！」

怜「……宥ちゃんはほんとええ子やなぁ。 私ちょっと感動して泣きそうや……」

宥「ほ、褒めてもダメだよっ！ だいたい、こんなお昼から……」

怜「あ、親戚のおっちゃんに聞いたんやけどな？」

宥「え？」

怜「いっちゃん美味しいお酒は平日の真っ昼間、他の人間が働いてる時間に麻雀の試合でも見ながら飲む酒だ、って」

宥「へぇ……ってだから美味しい美味しくないの問題でもないのっ！」

怜「ちぇー」

451 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:48:49.10 ID:+5+n5KN80

……まったくもう……怜ちゃんは、たまーにこうやって悪い子になっちゃうから困ったものだ

…………私だって、お酒に興味がないってわけじゃないけど。 お父さんだってお酒は好きだし、赤土先生もたまに吉野に戻ってくると望さんと一緒に美味しそうにお酒を飲んでいるし

お酒を飲むと体があったかーくなるって聞く

…………いやいや、ダメダメ！ 私が誘惑に負けちゃったら怜ちゃんにもお酒を飲む口実ができちゃうし！

……挑戦するときはまた別の機会にしよう、うん。 それこそまた赤土先生が帰ってきたときとか……

穏乃「あっ！ 一さんたち、もうすぐ到着するそうですっ！ あと30分程だそうですっ！」

憧「ほんとにっ！？ もうすぐじゃん！」

怜「あかん！ 早くケーキ食べようケーキ！」

宥「もう……怜ちゃん、どうせそんなに食べられないでしょ？」

怜「気分の問題なんよ！ でっかいケーキが目の前にあるってだけで……こう……テンション上がるやん！」

穏乃「あ、園城寺さん！ 龍門渕さんたちがでっかいケーキ持ってきてくれるらしいですよ！」

怜「おお！？ それじゃあ、とりあえずこれは先に食べ……いや、みんなで……むむ……よし！ やっぱり先に食べようや！」

灼「……まあ、別にどっちでもいいと思いますけど」

憧「えー？ でもそんなにケーキ食べたら太っちゃうし……」

怜「別に無理して食べなくてもええんやで？ 人数おるし食べきれるやろ」

憧「…………いや、食べますけど」

穏乃「だから憧はダメなんじゃん……いっつもダイエットする！ からの頑張ったしちょっとご褒美に食べてもいいよね……の繰り返しで……」

憧「ちょ、しず！ やめてよー！ 聞きたくないー！」

灼「……で、食べるの？」

憧「……たべる」

穏乃「あーあ」

宥「だ、大丈夫だよっ！ 憧ちゃんすっごいスレンダーだし！」

憧「太るの前提みたいに言わないでよっ！」

宥「ご、ごめん……」

452 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:49:33.76 ID:+5+n5KN80

うぅん……フォローしたつもりだったんだけど……難しいなぁ……

灼「失言でしたね」

宥「うん、怒られちゃったよ」

灼「憧は意思が強いんだか弱いんだか……」

怜「私の好みで言えばもうちょっとふとももに肉をつけてくれた方がええんやけどなあ」

憧「園城寺さんの好みとかどうでもいいですしっ！ 膝枕もしませんし！」

怜「……え？ なんで？」

憧「どうしてそこまで本気で疑問を抱けるんですかね！？」

怜「だって宥ちゃんは膝枕してくれるで？ な？」

宥「うん、するよー」

怜「ほら！」

憧「ほら！ じゃないでしょ！ なんですかその勝ち誇った顔！？ 関係ないですし！」

怜「えっ……？ で、でも……穏乃ちゃん！ 膝枕して！」

穏乃「え、私ですか？ 全然構いませんけど」

怜「ほら！！」

憧「いやいや！ だから宥ねえが膝枕しようがしずが膝枕しようが私には関係ないですよね！？」

怜「……？ あかん、全然意味わからん……」

憧「こっちの台詞ですよ！」

453 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:50:28.13 ID:+5+n5KN80

穏乃「憧は照れてるんですよ」

憧「照れてない！」

灼「憧は意中の相手にしか肌を許さないタイプで……」

怜「私じゃダメなん？」

憧「べ、別にそれって普通でしょ！？ だいたい園城寺さんって変態っぽいし！ なんかキモいもん！」

怜「うへへ……こんな美少女に罵られるとか興奮するわ……」

憧「変態だー！？」

怜「冗談やって……なあ、この扱いは酷くない？ 膝枕を要求するわ」

憧「嫌ですよ！」

宥「もう、私のでよかったらどうぞ」

怜「うへへ……どうもどうも。 それじゃあ遠慮なく……」

憧「宥ねえこの人やっぱおかしいって！ ヤバいって！」

怜「だから冗談やってのに……じゃあ、憧ちゃんは誰なら膝枕してもええの？」

憧「え？ だ、誰って……」

穏乃「私は？」

憧「む……ま、まあしずなら別に……」

灼「私は？」

憧「う、うん……その、どうしてもって言うなら……やってあげなくもないけど？」

灼「玄や宥さんなら？」

憧「それならするよりもしてもらいたいかなー」

怜「なんや、だれでもええんやん」

憧「誰でもじゃないっつーの！ 誤解を招くようなこと言うな！」

怜「とうとうタメ口になったで……この子怖いわー」

憧「もうやだこの人！ めんどくさい！」

454 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:51:12.48 ID:+5+n5KN80

宥「……怜ちゃん、結構憧ちゃんのこと好きでしょ」

怜「うん。 なかなかええふとももしとるし、からかい甲斐もあるしな」

宥「みんなそうやって憧ちゃんのことからかうんだもん……拗ねちゃうから程ほどにしてね」

怜「拗ねたところもかわええやん？」

宥「だから困っちゃうんだよねぇ……」

憧「……ちょっと？ 宥ねえもなに言ってるわけ？」

宥「えー？ 憧ちゃんがかわいいって話を……」

憧「……もう！ いいからほら！ ケーキ食べるんでしょ！？ 園城寺さんもごろごろしてないで！」

怜「やきもち妬きやなぁ……そんなに私を宥ちゃんから引き剥がしたいん？」

憧「……私この人嫌い！」

怜「あーあ、嫌われてもうたわ」

宥「ふふ、残念だねぇ」

灼「ほら、園城寺さんの持ってきてくれたケーキ。 すごく美味しそうだよ。 カロリーも高そうだよ」

憧「余計な一言！」

穏乃「ほら、憧！ 一緒に食べよっ！ 太っちゃいそうだけど！」

憧「だから要らんこと言うな！」

455 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:52:24.40 ID:+5+n5KN80

玄「みんな〜透華さんたち到着したよ〜」

透華「ごきげんよう、失礼いたしますわ」

一「お邪魔します」

智紀「どうも」

穏乃「いらっしゃいっ！ って私が言うのもおかしいか……玄さんと宥さんの家だし……」

灼「久しぶり……でもないか。 東京で会ったし」

衣「おお、園城寺ではないか。 壮健か？」

怜「天江ちゃんやん。 元気やで〜？ 宥ちゃんに膝枕してもらってるしなあ……憧ちゃんは意地悪して膝枕どころかふとももに頬擦りもさせてくれへんのやけど」

憧「気持ち悪い！ っていうか！ ふ、ふとももに頬擦りとか！ そんなの誰にもさせないですし！」

灼「純くんがしたいって言ったら？」

憧「えっ、そんなの……いや、だって……え！？ し、したいんですか！？」

智紀「…………」

一「…………」

憧「……あれ？ 純さんは？」

透華「……申し訳ないのですが、純は今回一緒ではないのです」

憧「えっ！？」

穏乃「純さん、何かあったんですか？ 風邪とか……」

衣「いや、純は独逸にな。 急な話だったが武者修行と言っていたぞ」

宥「ドイツに麻雀修行……？」

憧「…………そっか、もう……」

456 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:53:16.09 ID:+5+n5KN80

透華「……！ その反応ですと、新子さんは純に聞いていましたの？」

憧「あ、はい……その、五月末頃に……夏の大会が終わる頃には、みたいな……」

透華「そうですか……」

穏乃「……あの、どういうことですか？」

一「んー……夏の大会前ぐらいに純くんが大会終わったらドイツ行くって言い出してさ。 ボクたちは最初里帰り的なやつだと思ってたんだけと……」

智紀「大会終わったら急にドイツ行く、いつ戻るかわからねぇけど強くなって帰ってくる、とかなんとか……」

衣「まあ、そんなこんなで透華と純がちょっと揉めてな……喧嘩別れのような形で純は独逸に、衣たちは吉野にな」

透華「……それは、私も悪かったですけれど……純だって、あんな急に、相談もなく…………」

ハギヨシ「透華お嬢様、心中お察しいたしますが……」

透華「ハギヨシ……ええ、そうですわね。 失礼いたしました。 祝いの席に暗い顔では今日の主役に失礼ですわね。 宥さん、お誕生日おめでとうございます」

宥「透華さん……はい、ありがとうございます」

透華「ハギヨシ」

ハギヨシ「はい。 ケーキやお飲み物を用意しております。 皆さまでどうぞ」

怜「……なんで人のおうちで自然にお茶淹れてるのこの人」

穏乃「いいんじゃないですか？ 将来的には萩原さんもこの家の……」

玄「し、穏乃ちゃん！？ き、気が早いよ！ け、けけけ、結婚なんて……！」

穏乃「……私、結婚なんて一言も言ってませんよ〜？」

玄「はわっ！？ え、えっと、その……あううう……」

ハギヨシ「……く、玄さん？ その、落ち着いて……」

玄「は、はいっ！ だ、大丈夫です！ 落ち着いてますからっ！ ……うう、穏乃ちゃんまでからかって……」

457 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:53:57.40 ID:+5+n5KN80

灼「……ちゃんと説明もしないでささっとドイツに行っちゃった？」

一「ボクらからしたら大体そんな感じかな？ 純くんは純くんで色々考えてたのはわかってるし、なにも言えないけどね……」

智紀「……ズルかったよね、純は」

灼「……なにが？」

智紀「……今の透華にはお前らが必要だから側にいてやってくれ、って」

一「自分は離れてくくせにね……ま、それを言ったら距離が離れても心は一緒だ、とかクサいこと言ってたけど」

憧「……ふーん」

灼「今、カッコいいなって思ったでしょ」

憧「はぁ！？ べ、別に！？」

一「純くんが透華のこと心配してるのも、将来的に力になりたいってのも聞いたしわかってるけどさあ……なんでも急に決めすぎなんだよ、ほんと」

智紀「最近、透華も忙しくて……いろいろ焦ってる様なとこもあると思う。 だからこそ純にも居てほしかったんだけど……」

衣「まあ、純が一時離れてしまった分も衣たちが透華を支えればよいのだ。 家族で友だちなのだから」

一「……まあね」

衣「ところで、園城寺よ」

怜「んー？ なんや？ 天江ちゃんのふとももだとさすがに頭のせたら潰れちゃいそうでなあ……いくら私でも膝枕は頼めんわ」

衣「衣は子どもじゃない！ 膝枕ぐらいできる！」

怜「じゃあしてもらおー」

衣「おわっ！ ……む……い、意外と重い……」

怜「はっはっは……で？ なぁに？」

衣「純が急に独逸に行ったので松実館に用意してもらっていた食事やらが余ってしまうのだ。 もったいないし、よければ代わりに部屋に泊まらんか？」

怜「！！ ええんか！？ 私、一回松実館に泊まってみたかったんや！」

衣「ふふん、衣お姉さんに感謝するのだな！」

玄「しっかりおもてなしさせていただきますっ！」

怜「ひゃあっ！？ く、玄ちゃん急に出てこないでくれんか……？ 心臓に悪いわ……」

玄「えへへ、松実館の名前が出たからつい……」

458 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:55:06.57 ID:+5+n5KN80

一「あ、そうだ……憧ちゃんこれ」

憧「はい？ なんですかこのメモ……」

一「純くんのあっちでの連絡先だって。 憧ちゃんに渡してくれって」

憧「……ありがとうございます」

智紀「……純はなんて言ってたの？」

憧「……透華さんのためにも強くなりたいからドイツで腕を磨くって……それと……その、面倒見てやるからその気があるならドイツに来ないかって……」

宥「……憧ちゃんがさっき言ってたのってそれかあ」

灼「……なんでそんなプロポーズみたいな言葉選びを」

穏乃「さすが、男前ですねぇ」

一「いや、実際純くん相当憧ちゃんのこと好きだと思うけどね……もう結婚しちゃえば？」

憧「か、からかわないでくださいよ……私だって、かなり真面目に考えてるんですから……」

智紀「結婚を？」

憧「ドイツ行って麻雀の勉強することをですよ！ 具体的にいろいろ決まってるなら話聞きたかったんですけど……」

一「連絡先伝えとけってぐらいだからいつでも電話してあげていいと思うよ？ 優希ちゃんにも渡してって頼まれたから誘ったのは二人なのかなあ」

憧「ああ……修行に誘うなら私と優希かな、とは言ってましたね」

智紀「今回、向こうの……受け入れ先の都合ですぐに行かないといけなかったみたいで……出発自体もバタバタしちゃって」

憧「まあ、仕方ないですよね……会えなかったのは残念ですけど……」

一「でもあっちに誘われてるんでしょ？ 追いかけていけばすぐに会えるじゃない」

憧「そんな、勢いだけで軽々しく決められるものじゃないじゃないですか。 本気で麻雀やるにしてもあっちでレベルアップを図るのか、こっちでプロを目指すのか……インカレで活躍すればプロへの道も開かれるかもしれないし、実業団リーグからプロ入りした人だっているわけだし……ドイツに渡るにしても本当に強くなれるのかもわからないし……」

459 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:56:13.03 ID:+5+n5KN80

一「…………」

智紀「…………」

憧「……？ なんですか？」

一「いや……その、ちゃんと考えてるんだね」

智紀「二つ返事で行っちゃうものかと」

憧「……二人とも私をなんだと思ってるんですかね」

一「いやー……あはは……」

智紀「色ボケの面白い子」

一「ともきー！ なんでそんな直接的に言っちゃうのさ！ ボク、それとなく誤魔化そうとしたのに！」

憧「ちょっとぉ！ そういう風に思われてるのは薄々感づいてたけど！」

灼「普段はちゃんとした子なんだよ」

憧「灼さん……！」

怜「いやいや、さっきまで一緒になってからかっとったで？」

憧「そうだった！ だいたい灼さんは……」

灼「え、私が怒られるの？」

憧「先輩としてさ、かわいい後輩をからかってばかりじゃなくてさあ……もっとほら、あるじゃん？」

穏乃「憧が甘えたいモードに入った！」

灼「よし、本気出す」

憧「へ？ ちょ、そういうのじゃなくって……」

灼「憧はかわいいなあ」

智紀「ケーキ食べる？ あーん」

憧「え？ え？ あ、どうも……」

穏乃「今の一口でカロリーどれくらいだろうね？」

一「んー……そうだなあ、だいたい……」

憧「やめてくださいよ！ やめてよ！！ やめろ！！！」

460 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 21:57:13.41 ID:+5+n5KN80

怜「憧ちゃんは本当におもしろいなあ」

宥「もう……」

怜「あ、ところで色ボケと言えば宥ちゃん？」

宥「？」

怜「例の……玄ちゃんのお相手ってあの龍門渕の執事さんなんやろ？」

宥「あ、うん。 そうだよ〜」

怜「ふむ……」



玄「萩原さんもお客様なんですからゆっくりしてくださいね？ お茶も淹れましたから……」

ハギヨシ「いえ、玄さんこそお仕事でお疲れでしょう？ せっかく皆さんでお揃いなのですからどうぞごゆっくり……」

透華「……それこそせっかく揃っているのですから、おふたりとも少しお休みになられたらいかがですの？」

玄「あ……えっと、それじゃあ……そうしようかな……」

ハギヨシ「……それでは、お言葉に甘えさせていただきます」



怜「ふーむ……やっぱり、こうして見てもアレやな。 ハンサムさんやな」

宥「そうだよねえ……しかも、萩原さんはなんでもできちゃうすごい人なんだよ？」

怜「……こう、お姉ちゃんとして焦ったりせんの？」

宥「え？ 焦る？」

怜「妹の玄ちゃんに素敵な彼氏さんおるのに自分は……とか？ そういうやつ？」

宥「あー……そういう考え方もあるんだねぇ」

461 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 22:00:43.77 ID:+5+n5KN80

そういえば、赤土先生はご両親からそういうプレッシャーかけられて嫌だって言ってたなあ……

私は別にお父さんに結婚がどうのとか言われてないし……いや、むしろうちのお父さんは玄ちゃんに悪い虫がついたって怒ったり心配したり大変なことになっているぐらいだ

……萩原さんでダメならどういう男の人を見つけてくればいいんだろう……？ 容姿も人格も文句をつけるところがないし、お仕事だってあの龍門渕グループのお嬢様(こんな言い方をすると龍門渕さんは嫌がるだろうけど)のお側に仕える執事さんだ。 これ以上ないってくらいにはしっかりしてると思うんだけど

……って前に赤土先生に言ってみたら親ってそういうもんだよ、って言われたっけ……難しいなぁ

まあ、私の気持ちとしては……

宥「玄ちゃんが幸せなら喜ぶことはあっても焦ったりはしないかなぁ……」

怜「宥ちゃんはほんとええ子やなぁ……私だったら……あ、私ひとりっこやった……えっと、じゃあ竜華に男ができたとして……」

怜「……ん？ むしろ竜華レベルでなんでいまだに男の一人もおらんのや？ 男がおって当然レベルのスペックやない？」

宥「清水谷さん、すっごい美人だもんねぇ……お料理とかも得意なんでしょ？」

怜「なによりふとももがええしな。 んー……それじゃあ、例えばセーラに男ができたとして……できたとして……ぶふっ！ セーラに男って！ そんなん面白すぎるやろ！ 字面からしておもろい！」

宥「えぇ……江口さん、かわいいじゃない」

怜「男前系乙女やからな、セーラは。 いやあ、もしそんなんになったら全力でからかうわー」

宥「……怜ちゃんも別に焦らないじゃない」

怜「そうやな。 ま、あと十年もしたら変わってくるかもしれんけどなあ」

透華「焦るようになったら私にお声をかけてくださいな。 ハギヨシ程の者は他に知りませんが、きっといい殿方を探して紹介しますわよ？」

怜「おおっと……なんや、聞いとったん？」

透華「私だって年相応に恋バナに興味がありますもの……玄さんはハギヨシと仲よくしておられるようで安心ですわ。 距離があると心も離れがちですし」

怜「距離が離れても心は一緒だって、おたくのイケメンが言ってたんやろ？ それに、会えない時間が愛を深めるとも言うしなぁ」

透華「……純は勝手ですわ！ もっとちゃんと相談してくれれば……しっかり送り出しましたのに……全部一人で決めて飛び出していってしまうんですもの……」

宥「……透華さん、早く仲直りするのが一番ですよ？ おふたりの関係ならちゃんとお話しすればなにも問題なんて無くなると思いますし」

透華「それは、そうなんですけれど……どうにも、つい、カッとなってしまいまして……」

宥「怒っちゃったから気まずいんですね……」

透華「最近、どうにも忙しなくて……イライラと当たってしまったようなところもあったやも……私らしくないですわね。 疲れているのかもしれません……」

宥「ふふ……せっかくいらしたんですから、静養してくださいね。 松実館のサービスは完璧ですし、穏乃ちゃんたちも透華さんたちが来るの楽しみにしてましたから」

透華「ふふ、ご実家の宣伝などなさらなくても、十分にこちらの良さは存じておりますのよ？ ……こちらで、しっかり休養を取らせていただきますわ。 それと、宥さんのお誕生日のお祝いも」

宥「えへへ、ありがとうございます」

462 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 22:01:57.99 ID:+5+n5KN80

怜「……宥ちゃん、膝枕して！」

宥「え？ いいけど……急にどうしたの？」

怜「……ちょっとやきもち？ 龍門渕さんと仲ええんやなー宥ちゃんは」

宥「んー？ うふふ……実はね、私は透華さんのこと凄く好きなんだよねぇ」

透華「あら、私も宥さんのことはとても好ましく思ってますのよ？」

宥「わーい、両想いだあ」

衣「……透華！ 衣も！ 衣にもアレをやってくれ！ 膝枕だ！」

透華「あらあら、衣もやきもちですの？」

衣「……違う！ 園城寺が随分と心地良さそうにしているから試してみたくなっただけだ！」

透華「そうですか？ では、どうぞ。 ……それにしても、衣とこうしてゆっくりするのも久しぶりですわね……学校は別れてしまいましたし、最近は華菜さんと仲良くしておられるようですし」

衣「む？ 透華こそ妬いておるのではないか？ ふふん、最近は透華も忙しくてあまり構ってやれなかったからな！ 衣お姉さんに甘えてもいいんだぞ？」

透華「ふふっ……膝枕されながら言う台詞ではありませんわよ？」

衣「衣は透華よりもお姉さんなんだぞ？ 透華が衣に甘えてほしいのを知っているからあえてこうして甘えて、それこそがその実衣お姉さんが透華を甘やかしているという状況を作っているのだ」

怜「何がなんだか……こんがらがってくるなあ」

宥「ふふ、なんでもいいじゃない。 天江さん、どう？ 透華さんの膝枕」

衣「ふむ……心地よいのだが……透華はもうちょっと肉をつけた方がいいな」

透華「なんですって！？」

463 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 22:02:57.43 ID:+5+n5KN80

怜「龍門渕さん細っこいもんなぁ……膝枕ソムリエとしての視点から言わせてもらえばもうちょっと肉付きのいい方が……」

透華「そんな資格がありますの！？」

怜「いや、あるわけないやろ……自称や。 自称膝枕ソムリエや」

透華「驚きましたわ……ハギヨシも多くの資格を持っていますがそのようなものは聞いたことがありませんでしたし……」

怜「ほほう？ ……ふむ、まあこの膝枕ソムリエっちゅうんは超高等技術が必要やしな。 私レベルになればふとももを一目見ただけでだいたいの寝心地すらわかるんやで？ 簡単に習得できるもんやないわ」

透華「むっ……それは挑戦ですの！？ ハギヨシならその程度の技能すぐに身に付けられますわっ！」

ハギヨシ「……透華お嬢様？ その技能は私が職務を行う上で必要になることはないのでは……」

怜「まあまあ、この技能を習得するにはまず数こなさなきゃアカンからなぁ……な、宥ちゃん？」

宥「え？ ああ……そうだね、玄ちゃん協力してあげたら？」

玄「えっ！？」

怜「膝枕してあげたらええやん。 彼氏さんも龍門渕での激務で疲れとるんやろー？ 恋人として癒してやらなあかんで？」

透華「……それは、忙しいですけれど……労働環境はしっかりしておりますのよ？」

玄「で、でも、そんな、恥ずかしいですし……」

怜「でもほら、うれしいやろ？」

ハギヨシ「たしかに、魅力的な提案ではありますが……私は、その……膝枕ソムリエ？ とやらになるつもりは……」

怜「うれしいって！ ほら！」

玄「……ど、どうぞ！ わ、私でよければお好きなだけ！」

ハギヨシ「……さすがに皆さんの前でそういうことをするのは私も恥ずかしいのですが……」

玄「そ、そうですよねっ！？ えっと、あとでふたりきりになったらしますね！」

憧「……玄が堂々といちゃつく相談してる……」

宥「玄ちゃん、大人になったねぇ……」

怜「まあまあ、たまにしか会えないんやしそれくらい多目に見てあげぇや？ 憧ちゃんは今回意中の相手に会えなくて僻むのもわかるけどな」

憧「僻んでないしっ！ ……ちょっと羨ましいとは思うけど……」

464 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 22:04:53.93 ID:+5+n5KN80

怜「……どうや？ ええ仕事したやろ？」

宥「ふふ、幸せそうな玄ちゃんを見てると私もうれしいよ〜」

怜「それに膝枕が最高の癒しっていうのは間違いないからな」

衣「うむ……その言葉には、衣も、納得だ…………」

透華「……疲れているのでしょう？ 数日逗留するのですから、このまま少しお休みなさいな」

衣「んー……ふふ、やはり……透華の側にいると落ち着くな…………少しばかり、その言葉に甘えるとしよう…………」

透華「…………」

怜「……膝枕、ええやろ？」

透華「ええ……そうですわね。 少々足が痺れるのが珠に瑕ですけど」

怜「んっふふ、膝枕の特訓が必要やな」

透華「膝枕の道もなかなか険しく奥深いのですね……ふふふ、考えておきましょう」

宥「ふふ……ねえ、怜ちゃん？ 私、膝枕の特訓してないけど大丈夫？」

怜「そりゃあもう、宥ちゃんも私に膝枕をすること一年以上の時が経ってるしな……膝枕ソムリエたるこの私を存分に満足させているで？」

宥「そっか、よかったあ」

怜「あー……私もなんか眠くなってきたわ……ケーキもちょっと食べたしな。 次食べるときにまた起こしてー……」

宥「うん、早くからこっちまで来るのに疲れたでしょ？ ゆっくり休んでね」

怜「…………ありがとー……」

465 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 22:06:15.03 ID:+5+n5KN80

宥「……怜ちゃんも天江さんも眠っちゃいましたね」

透華「衣はこちらに向かう車でもはしゃいでいましたし、園城寺さんもお体があまり強くないのでしょう？ 疲れているのならばゆっくりお休みになられた方がよろしいですわ」

宥「そうですね……透華さんも松実館でどうぞゆっくりしていってくださいね」

透華「ええ。 私もう、長期の休暇にはこちらにお邪魔するのが楽しみで楽しみで……宥さんたちにも会えますしね」

宥「こっちでも、透華さんたちがいらっしゃるのをみんな楽しみにしてますから」

透華「……次は、純も一緒に来たいものです」

宥「……はい、楽しみにしてますね」

透華「……それにしても、あちらでは一や高鴨さんたちが盛り上がってますわね……いつの間にやら卓まで出てきていますし」

宥「ふふ、いつも気がついたらそうなってるんですよねぇ」

透華「私たちも混ぜてもらうとしましょうか……あちらのふたりが遠慮してしまうでしょうし」

宥「あとは若いふたりに任せて……ってやつですね」

玄「い、いや、私は、その……別に……」

ハギヨシ「……私は透華お嬢様と宥さんよりも年上ですが」

宥「照れなくてもいいのに……それじゃあ……あっ……」

透華「どうかしまし……あ」

宥「…………これじゃあ、動けないですね」

透華「……またひとつ、膝枕の欠点を見つけてしまいましたわ」

宥「……こっちでゆっくりしてましょうか」

透華「そうですわね……ケーキ、お食べになります？」

宥「はい、いただきます……ふふ、ケーキ食べ過ぎて太っちゃいそう」

透華「気を付けないといけませんわよ？ ソムリエさんお気に入りのふとももが台無しになってしまうかもしれませんわ」

宥「えへへ、気をつけます」

玄「それじゃあ、ケーキ切り分けるねっ」

ハギヨシ「では、私はお茶を用意して参ります」

宥「あっ……でも、さっきから用意してもらってばかりだし、今度は私が……」

玄「だけど、お姉ちゃん動けないでしょ？」

宥「……そうでした」

透華「ふふっ、いっそ園城寺さんを起こしてしまえばよろしいのでは？ ケーキも食べたがっておられましたし」

宥「うーん……それでも、今眠ったところだし、さっきちょっと食べたから……あんまり食べると怜ちゃんの体に良くないし……もうちょっとお休みさせてあげます」

宥「……私も、ケーキたくさん食べたいですし」

透華「ふふっ……それでは、このままのんびりといただくとしましょうか」

宥「そうしましょう……ふふふっ」

透華「ご機嫌ですわね？」

宥「はい！ だって……」

仲のいいお友だちが集まってくれて、お祝いをしてくれる。 ついでに、おいしいケーキもたくさんあって……


宥「今日も、とってもあったかい日になりましたから」


カン！

466 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/08/31(水) 22:09:20.49 ID:+5+n5KN80

九月頭の龍門渕ウィーク乗り越えられる気がしない…
ヤンガン次号で重大発表あるらしいですが準決アニメ化とか来ませんかね

467 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/08/31(水) 22:16:08.16 ID:nfHQxzOWo

乙
宥姉行き遅れる気がしないでもない
重大発表は…

468 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/08/31(水) 23:31:04.98 ID:9y2HYREfo

乙です

469 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/01(木) 00:25:20.20 ID:jVVspttAO

乙です
いやはや純くんもう渡独しましたか
次回は衣お姉さんのバースデーですから龍門渕グループ主催のプロアマ戦の打ち上げなんて如何でしょうか？

470 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2016/09/01(木) 01:23:39.04 ID:DkhWcUYAO

乙なのよー
癒されました

471 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/02(金) 08:05:50.62 ID:Zgzew7fc0

乙
咲の実写化とか誰得なんだ…

472 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/09(金) 09:50:38.95 ID:cGnuW8yAO

衣お姉さんの誕生日が過ぎて透華お嬢様の誕生日が近づいて居ますが
やっぱり龍門渕高校麻雀部の誕生日は合同誕生日って言う形にするんでしょうか？
もしそうするのでしたら透華お嬢様主催のプロアマ戦の打ち上げをやって欲しかったりします！
勿論アマ側には主催大学の透華お嬢様の大学は勿論宥姉さんや怜さんの大学とか衣お姉さんや華菜ちゃんの大学に阿知賀女子(中等部含む)、清澄、千里山女子、鶴賀、風越女子、白糸台、劔谷辺りを絡めて頂いて
プロ側では照姉さん等が居る横浜とか、藤田プロ等が居る佐久とか、弘世様等が居る大宮とか、小鍛治プロ等が居るつくばとか、のよりん等が居る神戸とか、洋榎姉さん等が居る大阪辺りを絡めて欲しいですね
あ…玄ちゃーにはハギヨシさん率いる龍門渕使用人チーム(一ちゃん、沢村さん、歩ちゃん等)の助っ人として登場して欲しかったりします！

473 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:07:24.32 ID:RzzgaLUi0

日付回ったけどとうたんイェイ〜
実写化とか不安しかないけど文句は見てから言うことにします。不安だとは言いますけど

474 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:08:18.38 ID:RzzgaLUi0

憧「…………ねえ」

穏乃「…………」

憧「……しず？」

穏乃「…………」

憧「……しーずー？ 高鴨穏乃さーん？」

穏乃「…………ぁぃ」

憧「……ぁぃ、じゃないわよ！ 起きろっ！」

穏乃「うぉわぁ！ え？ な、なにっ！？」

憧「今寝てたでしょ！ 思いっきり！」

穏乃「おお、お、起きてたよ…………？」

憧「嘘つけっ！ ノート写すならさっさと書き写して！ しずがやってる間私もその教科復習できないんだからね？」

穏乃「いや、だから別にコピーさせてくれれば……」

憧「そしたらささっと流し見するぐらいでろくに使わないでしょうがっ！ しっかり書いて覚えろ！」

穏乃「うぅ……でもこの量を手書きで写すのは……」

憧「しずが授業中寝ちゃうからでしょ！ ったく、ちゃんと集中して聞いてるとこは頭入ってんのに気が抜けてるところはほんとにまっさら状態って……」

穏乃「あはは……憧のお陰で助かるよ……」

憧「とにかく、夏休み明けの実力テスト……ある程度点取っとかないとマジでヤバイからね？ うちらインハイ行ってるし、しずもたぶん推薦枠で行けるけど学力もある程度必要になるんだから」

穏乃「わ、わかってるよ……何回も聞いたっててば」

憧「わかってるならわかってるなりに行動で示しなさい」

穏乃「……はーい…………あーやだもう！ 数字苦手ー……」

憧「点数移動の計算だってしっかりできるんだから数学ぐらい余裕っしょ」

穏乃「麻雀とは全然違うんだよー……」

憧「……とりあえず公式は全部覚えなさい。 それだけで多少マシになるから……っていうか、そこが最低ラインだから」

穏乃「はいはい」

憧「はいは一回！」

穏乃「……はーい」

475 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:08:49.78 ID:RzzgaLUi0

夏休みが終わり、周囲も受験ムードが強くなってきている

高校生活でインターハイに複数回出場して、しかもそこそこの成績を修めている私たちは推薦による進学も視野に入る……というか、しずは学力が高いとはお世辞にも言えないし、推薦狙いになるだろう

ただ、だからといって勉強しないというわけにもいかない。 落ちる可能性だってあるしそもそも進学してからまったく勉強できないんじゃ意味がない……とは言わないけど、まあ学生としての本分を満たしているとは言えないだろう

しずはアレでけっこう真面目だし、興味のあることは普通に頭に入るから上手いこと軌道に乗せてやればそこまで教えるのも苦労しないんだよね……上手いこと乗せるってのが難しいんだけど

特に、高校生活はほぼほぼ麻雀に全力だったしずは授業内容よりも有力選手の牌譜の方が頭に入ってるぐらいだ

……もう少しすれば国麻もあるし、あんまり今詰め込ませても忘れちゃうかなあ……

とりあえず、試験を無事に終えられる程度には勉強させなきゃなんだけど

しずの将来のためにも、勉強法に関してはまた今度灼さんにでも相談するとしよう

穏乃「憧！ はい！ 数学オッケー！」

憧「はい、じゃあ次は英語ね」

穏乃「えぇ！？ ち、ちょっと休憩とか……」

憧「さっき休んだばっかでしょ。 受験生なんだから頑張りなさい。 今ごろ和たちだって試験勉強頑張ってるはずよ？」

穏乃「むっ……わかってるって！ どんどんやるよ！」

……まあ、頑張ってるのは和というか優希だと思うけど

……和はズルいよなー……かわいいし胸でかいし麻雀強くて頭もいいし胸でかいし……あと胸でかいし

麻雀や成績なんかは努力である程度はなんとかなるとして、かわいさとかも人それぞれだし？ そこら辺は羨ましがっても仕方ないんだけど……胸……胸はなぁ……こればっかりは努力してもどうにもならないってことがわかってきたからなぁ……

和んちのお母さんも胸でかい上に超美人だったもんね……こないだのインハイ応援来てて小学生ぶりに見たけどあの頃と全然変わってなかったし……

うちはお母さんもお姉ちゃんも控え目な方だしなぁ……

憧「……やっぱり、遺伝的な問題が…………」

望「ん？ なに、生物の問題？」

憧「おおおおお姉ちゃん！？ え、あ、そ、そう！ ちょっと復習中っていうか！？」

望「？ なに慌ててんのよ……穏乃ちゃん頑張ってる？ はい、お菓子とジュース」

穏乃「わぁ！ ありがとうございます望さん！」

476 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:09:33.53 ID:RzzgaLUi0

穏乃「よぉし！ エネルギー補給したし頑張るぞー！」

望「頑張るのはいいけどあんまり無理しないのよー？ 憧も穏乃ちゃんのことばっかりじゃなくて自分のことしっかりね」

憧「わかってるってば……もう、余計なお世話！ ほら、用が済んだなら出てってよ！」

望「もう、反抗期？ かわいい妹の世話ぐらい焼かせなさいよ……その点穏乃ちゃんは素直でいいわね〜」

穏乃「えへへ……憧はほら、難しいお年頃ですから！ 望さんのこと好きだけど甘えるのが恥ずかしいんですよ」

望「あはは、知ってる知ってる」

憧「しーずー！ お姉ちゃんも！」

穏乃「はいはい」

望「ふふ、邪魔になっちゃうみたいだし退散しようかな……何かあったら呼んでね」

穏乃「はい！ ありがとうございます！」

憧「どーも！……ありがと、お姉ちゃん」

望「頑張ってね〜」

穏乃「…………」

憧「……なによ？」

穏乃「なんでも？」

憧「…………ニヤニヤすんな！」

穏乃「んふふ……それじゃあ続きやるぞー！」

憧「むぅ……まったくもう……」

477 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:10:23.00 ID:RzzgaLUi0

お姉ちゃんになんとなくやる気を挫かれて……いや、しずは差し入れでテンション上がったみたいだけど……勉強に戻ったけどなんとなく集中できない

……そもそも、試験の範囲ってぶっちゃけ余裕なのよね。 受験するしないはともかく、勉強自体はちゃんとやってるし……

お姉ちゃんの持ってきたクッキーをかじりながら試験の範囲をもう一回確認して……あ、これおいしい

あーもうどうすんのよこれ止まらないやつじゃないの……口の中の水分奪われたと思ったらちょうどいいところにジュースまで置いてあるし……

食べ過ぎるとまた危険が危ないけどまあ頭使ってるし今食べた分ぐらいは勉強分で採算とれるはず……食べても平気……平気よね、うん

穏乃「……憧、ちょっと食べ過ぎじゃ」

憧「そ、そんなことないわよ！ 頭使ってるし！ 大丈夫だって！」

穏乃「いや、私の分も残しといてって言おうと……」

憧「あ、ああ、うん……そうね、ごめん……」

穏乃「そんなに気になるなら食べなきゃいいのに……」

憧「う、うるさいわねっ！ 仕方ないでしょ、おいしいんだから！ そういうしずこそちょっとは気にしたら？」

穏乃「私、昔からいくら食べても太らない体質だから！」

憧「知ってるけどムカつく……！」

穏乃「いやあ、せめて身長に行って欲しかったけどなあ……」

憧「いいじゃない別に。 ちっこくてかわいいわよ」

穏乃「んー……今はそういう感じで納得することにしてるけどねぇ……」

憧「今さらでかくなったって違和感ありまくりだって……って雑談してる場合じゃないでしょ？ さっさと進める！」

穏乃「はぁい……まったく、憧はスパルタだなぁ……」

憧「嫌ならノート返してよ。 私だって自分の勉強あるんだからね？」

穏乃「冗談だって、冗談！ ……うぅ……英語とか何語だよもう……全然わかんない……」

憧「英語は英語でしょ……」

478 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:11:17.52 ID:RzzgaLUi0

あーうー唸りながら英語をそれこそ呪文のように唱えるしずを尻目に、今度こそ自分の勉強に集中するためノートを広げる

試験範囲の復習自体はもう２周ほどしているので応用問題をいくつか解いて自分で完璧だと思えたらそこまででいいだろう

穏乃「うー……むむむ……」

……国麻に備えて麻雀の方もしっかりやっておきたいのもある。 奈良からは私としずはまあ固いだろうし、残りはどうせ初瀬をはじめとした晩成メンバーになるだろうから……いい加減長い付き合いだし、連携面はどうとでもなるだろう

他県がなぁ……それこそ長野なんて清澄の後輩メンバーが東横さんやら南浦さんやらに替わる感じだから苦戦は必須……というかかなり厳しい戦いになるだろうし……

穏乃「……ん？ ……んー……あ、あー……」

大阪や東京も相変わらず戦力層厚いし、巴さんのとこの後輩二人とか、警戒するところはいくらでも……

穏乃「うー……あー…………あ？ あっ……んー……」

憧「……しず！ うるさい！」

穏乃「えっ？ あ、ごめん、声出てた？」

憧「わざとかってくらい出てたわよ」

穏乃「ごめんごめん……うーん……」

憧「…………はぁ」

穏乃「……あっ！」

憧「だからうるさいってば！」

穏乃「電話！ 透華さんからだ！」

キラキラとした目で、出てもいいよね？ って訴えかけてくるしず。 しかし、私がかける言葉は決まっている

憧「はい、没収」

穏乃「なんでだよー！ 大事な話だったらどうすんだよー！」

憧「それなら私が聞いといてあげるからさっさと終わらせなさい」

穏乃「あー！ くっそー！ すぐ終わらせてやるからなー！」

憧「ちゃんと頭に入れないと意味ないからね？ ……もしもし？」

479 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:12:36.26 ID:RzzgaLUi0

透華『あら、新子さん？』

憧「すみません、今ちょっと取り込み中で……阿知賀、試験前なんですよ」

透華『ああ……それはすみませんでした。 お二人とも今年は受験生ですものね』

憧「私はともかくしずはちょっとヤバいんで……」

穏乃「憧！ 透華さんに変なこと言わないでよ！」

憧「恥ずかしいと思うなら頑張って成績上げなさいよ」

穏乃「わかってるよぉ！ むー……」

憧「すみません、騒がしくって……」

透華『いえいえ、こちらこそお邪魔してしまって……高鴨さんにお伝えしてもらってもよろしいですか？ 頑張ってください……それと、ありがとうございます、と』

憧「わかりました。 まあ、日が落ちるくらいには一段落すると思うんでよかったらまた連絡してあげてください……あ、それと……」

透華『はい。 なんでしょう？』

憧「いえ、私まだだったんで……お誕生日でしたよね。 おめでとうございます！」

透華『あら……ふふ、ありがとうございます。 うれしいですわ！』

憧「今日もお忙しい感じですか？」

透華『いえ、去年は忙しくてろくに時間も取れませんでしたので……今日だけはなんとか空くように調整しましたの。 久しぶりに午前中は学校で講義を受けてきましたわ……これから帰って、衣たちとのんびりする予定ですの』

憧「へぇ……いいですね」

透華『ええ、家族とゆっくりする時間は大切ですわね。 この間松実館にお邪魔したときに痛感しましたわ……一人いないのが少し残念ですけれど』

憧「あー……そうですね……」

480 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:14:08.22 ID:RzzgaLUi0

……純さんがドイツに飛び出していったのがだいぶ堪えてる……ってこの間一さんが言ってたっけ

ちょっと揉めたって聞いてるけど大丈夫なのかな……？

透華『……そんなに心配しなくても大丈夫ですわよ？ この間、電話してしっかり話もしましたし……問題ありませんわ』

憧「あ……そうですか、よかったです……純さん、元気そうでした？」

透華『元気も元気！ 強敵に囲まれて楽しくって仕方がないって感じでしたわよ？ まったく……こちらの気も知らないで……』

憧「あはは……まあ、らしいですねえ……」

透華『ええ、いつも通りで安心しましたわ……新子さんは純に連絡してませんの？ 連絡先、聞いていますわよね？』

憧「はい！ えっとだからその……手紙を出しました……」

透華『手紙？ なんでまたそんな……』

憧「……いや、文通とか……ちょっと、いいなって……」

透華『……ふふ』

憧「うぅ……いや、私だってわかってますけど……なにも笑わなくても……」

透華『いえいえ、私もわかりますわ。 ロマンがありますものねぇ……ハギヨシと玄さんは毎日のように電話しているみたいですけれど』

憧「あー……なんか、しっかり仲いいみたいですね。 この間もベタベタしてるってほどではないですけどいちゃついてましたし」

透華『ハギヨシも玄さんもかなり奥手ですからねぇ……私としては、もっとこう……仲睦まじくしてもよいと思うのですが』

憧「うーん……玄は基本受け身なんで萩原さんがもっとリードしてあげた方がいいと思いますけどね」

透華『そうですか？ 玄さん、あれで意外と積極的なような……』

憧「回りで煽ってやるとこう……やらなきゃ！ みたいになるみたいなんですけどね……それでもやっぱり男の方から！ 年上なんですし！」

透華『なるほど……私からもそれとなく言っておくとしましょう』

憧「……とはいえ、回りがあんまり口出しするのも良くないかもしれないですけど……」

透華『……そうですわね。 なかなか難しい……』

憧「多少は背中押してあげた方がいいとも思うんですけど……あ、しず。 そこ間違ってるわよ」

穏乃「えっ！？ 嘘！？ えーと、あー……」

憧「問題文もっかい見直して。 あと文法もちょっとおかしいから確認して」

穏乃「う、うん……むうう……」

透華『……大変そうですわね』

憧「なんとかしますんでお気遣いなく」

481 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:15:10.42 ID:RzzgaLUi0

透華『この時期は皆さん大変そうですわね……新子さんたちだけでなく、原村和たちも受験勉強に入っているようですし……』

憧「あ、やっぱりあっちも勉強中なんですね」

透華『片岡さんが大変なようですわよ？ プロに行った方々もこの時期は団体リーグが大詰めの時期ですし……』

憧「今年も横浜ですかねー……三尋木プロと照さんが稼ぎまくってますし……」

透華『あそこは相変わらずド派手ですわね……大宮がかなり追い上げているのでひっくり返さないかと期待しているのですが』

憧「ハルエ、なかなか頑張ってますからね……それにしてもこの間のはやりんの先鋒戦見ました？ 完璧でしたよねっ！」

透華『芸術的な打ち回しでしたわね！ 周囲の抵抗をすり抜けての華麗なる和了！ 惚れ惚れとしてしまいましたわ！』

憧「ですよね！ もう素敵すぎて何回も見ちゃいましたよ！ ああいう風に打てるようになりたいなぁ……」

透華『ええ、本当に……それで、新子さんは……どうされるおつもりですの？』

憧「え？」

透華『その……純に誘われているのでしょう？ やはり、ドイツに……？』

憧「…………まだ、ちょっと考え中です……純さんからちゃんと話聞いて、それからお姉ちゃんや親とも相談しなきゃだと思いますし……」

穏乃「…………」

透華『……そうですわよね。 簡単に決められることではありませんし……お気持ちとしては、どうなのでしょうか？』

憧「……私は…………麻雀やりたいし、強くなりたいです。 だから……」

透華『……そうですか』

憧「……とはいえ、やっぱりそう簡単に決められることでもないんで……はい、まあ……いろいろ考えつつって感じで……最終的にはやっぱりプロになりたいって気持ちは強いんですけど」

透華『そうですか……わかりましたわ。 お話ししてくださってありがとうございます』

憧「いえ、私としても……こう、口に出してちょっと気持ち固まってきたって言うか……ありがとうございます」

482 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:16:26.11 ID:RzzgaLUi0

やっぱり、麻雀好きなんだよなぁ……昔からお姉ちゃんやハルエの打ってるとこ見てきて、ハルエの麻雀教室、阿太中、阿知賀とずっと打ってきて……インハイでも超優秀って程じゃないけど爪痕ぐらいは残してきたと思うし……

とはいえプロ行きは厳しいし、行けたとしても通用するかは……って感じだし

憧「…………」

透華『それでは、私の話も聞いていただきたいのですが……』

憧「あ、はい！ 是非！」

透華『なんとなく聞いているとは思いますが……私、龍門渕で麻雀チームを持ちたいんですの。 それも、できればプロの』

憧「はい……純さんや一さんがそんなことを……」

透華『他から買ってきてもいいのですが、やはりそういうのは性に合いませんので……一から私のチームを作りたいのです』

憧「……純さん、言ってました。 そこで活躍するために強くなるんだって……」

透華『ええ……私と、衣と、一と、智紀と、純と……全員でまた戦いたいと私も思っていますもの。 うれしいことです……』

透華『……とにかく、そのためにも急な業界参入と言うのも難しいので今から龍門渕グループ内に麻雀事業部を立ち上げるためにここ半年ほど動いていたのですが……』

憧「え？ 透華さん、なんかファッション業界に殴り込みとかって活動してませんでしたっけ！？ っていうか純さんがモデルやってた雑誌買いましたよ！ 凄く良かったですよ！」

透華『あら、ふふ、ありがとうございます！ あれもかなり力を入れていましたのよ？ 純も女性受けがかなり良かったようですし、ドイツに行ってしまわなければまたいくつかやってもらおうと思っていたんですけど……』

憧「……それは、残念ですね……」

透華『そこまで残念そうにしていただけると私もプロデュースのし甲斐がありましたわ！』

透華『……とにかく、あちらでそこそこの結果を出しましたので次は本命を！ というところでそちらの準備をしていましたのよ……いきなりチームを立ち上げてプロリーグに、というのも難しいのでいろいろ手回しやコネ作りをしていまして……』

憧「……よくわからないですけど、それは大変そうですね……今やってる分と掛け持ちしてってことですよね？」

透華『ええ、本当に大変で……夢のためですから、努力のし甲斐もありますけれど』

483 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:17:15.07 ID:RzzgaLUi0

透華さん、大変そうだなぁ……夢に向かって、か…………なんか、スケールが違うけど……私も頑張らないと

透華『正式に事業部を立ち上げたら、まずはイベントの企画等から始めていこうと思っていまして……幸い、場所も人員も用意するのは得意ですし、そこを足掛かりに麻雀協会の方とも人脈を作っていこうかと。 単にプロの方ということなら、学生時代に知り合った方たちが居ますけれどそれだけではどうにもなりませんし……』

憧「あー……たしかに、照さんや小走さんと知り合いでもプロチーム立ち上げたときにどうにもなりませんしね……」

透華『ええ、ですから業界の上の方にも……といったところです。 最初は内々にシーズン外に顔見知りの方に声をかけてプロアマ混合の交流戦などをやってみたいと思っているのですけど』

憧「へぇ……いいかもしれませんね。 オフシーズンならプロの人たちもスケジュールに余裕あるでしょうし」

透華『ええ、ちょっとした同窓会のような感じで……面白そうでしょう？ 私としても大会運営の練習になりますし』

憧「はい！ いいなぁ……そんな大会があったら私も腕試しに参加したいなぁ……」

透華『お受験の一段落する時期に企画しようと思っているのです……その頃ならプロリーグもちょうどオフシーズンでしょう？ 新子さんも……卒業前の時期ならば参加できるでしょう？』

憧「透華さん……はい！ 是非！ 是非ともお願いしたいです！」

透華『ふふ、まだ企画段階……というより、そうしたいと思っている程度のことですから……残念ながら部門の立ち上げが上手くいくとも限りませんし……まあ、これに関しては個人的に企画するつもりですので楽しみにしていて欲しいですわ！』

憧「はい！ もちろんですよ！」

穏乃「え！？ なに！？ 大会！？ なんの話！？ ねえ、憧！ ちょっと！」

憧「しずは勉強！ 後で教えてあげるから早く終わらせなさい！」

穏乃「もう！ ズルいよ憧ばっかり！ 私も透華さんとお話ししたいー！」

憧「はいはい、頑張ってねー」

穏乃「むー！！ はいは一回だろー！」

憧「はーい……ごめんなさい透華さん、ほんとしずはうるさくって……」

透華『……ふふ、私も高鴨さんのお邪魔をせずにお話ししたいですから……お勉強の方、しっかり見てあげてくださいね？』

憧「得意分野なんで任せてください！ 今日中にはきりいいとこまでやらせて電話させるんで！ ……終わらせなさいよ？」

穏乃「終わらせるよ！ ちゃんと透華さんにお誕生日おめでとうございます！ って言うからね！？」

透華『ふふふ……全部、聞こえてしまっていますけど……』

憧「初めて聞く感じで聞いてやってください……」

484 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:18:18.00 ID:RzzgaLUi0

透華『それでは……そろそろ失礼させていただきますわ。 新子さんもお勉強中でしょう？ お時間取らせて申し訳ございません』

憧「いえ、そんな！ いいお話も聞けましたし、卒業まで……勉強も麻雀も頑張れそうです！」

穏乃「えっ？ ちょ、電話終わる感じ！？ 待って！あと四ページぐらいだから！」

憧「どんだけ待たせる気なのよ……すみません、ありがとうございました！ また、お時間ある時にお話ししたいです」

透華『ええ……私も、新子さんには大切な家族を……純を任せることになるでしょうから……純は勝手に行ってしまいましたけれど、新子さんが彼方に渡ることになったら多少の支援はさせてくださいな』

憧「えぇ！？ い、いや……そんな、ありがたいですけどそれはさすがに……」

透華『あら？ 私だって将来的に自分のチームを持つことになったら貴女みたいな優秀で将来有望な打ち手が欲しいですもの……先行投資ですわ』

憧「…………透華さんにそういう評価をしていただけてるってだけで、更にテンション上がっちゃいますよ……期待を裏切らないように、私も特訓しますんで……もし、その時が来たらよろしくお願いしたいですね」

穏乃「憧！ 憧！ ねえ、なんの話してるの！？ ちょっと！ 気ーにーなーるー！」

憧「うるさい！ 後で教えてあげるから！」

穏乃「むー！！ もう！ もう！」

透華『ふふ……それでは、また』

憧「はい！」

穏乃「あ、切った！？ 電話切った！？ もう！ 待ってって言ったのにー！」

憧「無茶言うな！ 透華さんだって忙しいの！ だいたいまだ終わってないでしょ！」

穏乃「うぅ……終わったら透華さんに電話するからなー！」

憧「わかったから手を動かす！」

穏乃「くっそー……」



穏乃「……ねえ、憧」

憧「……なに？」

穏乃「……私はさ、憧がやりたいこと応援するつもりだからさ……なんかあったらちゃんと言ってよ」

憧「……当然っしょ。 なんか話すならしずに一番に言うわよ」

穏乃「……へへへ、親友だもんなー」

憧「……恥ずかしい台詞禁止」

穏乃「ふっへへ、照れんなよー」

憧「照れてない！ いいから手を動かせってば！ 透華さんに電話する時間取らせないわよ！」

穏乃「意地悪すんなよ親友ー」

憧「だからやめてってば！ ったくもう……」

……透華さんのやっていることなんて、難しそうで私にはよくわからないけど……とにかく、打ち手としては評価してもらえてるのよね

……ちゃんと力つけて期待を裏切らないように……いや、プロになるために、自分のためにもしっかり力をつけないと……

憧「……ファイト！」

穏乃「おう！」

憧「……いや、しずに言ったわけじゃないんだけど」

穏乃「あれ！？ 頑張ってるんだから憧も私を応援してよ！」

憧「……まあ、大学落ちないように頑張んなさい」

穏乃「雑！ 冷たい！」

憧「……勉強終わったら遊んであげるから」

穏乃「よっしゃあ！ 頑張るぞー！」

憧「……単純で羨ましいわ、まったく……」


カン！

485 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 02:21:14.01 ID:RzzgaLUi0

考えれば考えるほど実写化辛いんで情報出るまで考えないことにします
今のうちにアニメ一期から見直そうかな…

486 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/11(日) 02:45:49.14 ID:AbMoYdERo

乙
恥ずかしい台詞禁止は憧じゃなく淡に言わせてほしかった

487 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/11(日) 08:51:17.71 ID:t9rLjbePo

乙
お嬢様バイタリティーすげぇ

488 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/11(日) 09:26:42.24 ID:F9S+LRBMo

乙です

489 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/11(日) 23:09:36.80 ID:RzzgaLUi0

>>472そんなこんなで交流戦はそのうち…キャラ多すぎると扱いきれないのでご期待にそえるかはわかりませんが…

>>486

淡「……どーして亦野先輩が出てくんの」

誠子「どうしてって、お前なぁ……」

淡「亦野先輩は関係ないじゃん！ 私、あーいうの慣れてるし……実力無いから群れて来るんだよね。 情けないやつらだよ、ほんと！」

誠子「お前みたいに実力があれば何でも言っていいわけじゃないんだよ。 いい加減わかるだろ？」

淡「……私、あーいうの慣れてるの！ 亦野先輩は関係ないんだからさ、ほっといてよ……生意気な私に構ってると、亦野先輩まで悪く言われちゃうよ？」

誠子「いいんだよ、気にしてないから」

淡「……私が気にするから、やめてよ！ 私のことで関係ない亦野先輩が悪く言われるのは……私、嫌だからね」

誠子「それなら少しは自重してくれよ」

淡「……ほっといてって言ってんじゃん」

誠子「ダーメ。 後輩を守るのも先輩の役目だからな」

淡「…………」


a.淡「……恥ずかしい台詞、禁止だから」

誠子「え？ 私、なにか変なこと言ったか？」

淡「……知らない！ 亦野先輩のバーカ！」

誠子「あ、おい……！ ……難しいやつだな、まったく」



b.淡「…………まっ、かわいい淡ちゃんを構いたくなっちゃうのは当然だよね！ まったく、亦野先輩は仕方ないなー」

誠子「はいはい、そうだな」

淡「……でも、あんま無理しないでよ？」

誠子「……ふふっ、お前に気を遣われるってなんか変な感じ」

淡「……はぁ！？ なによ、せっかく心配してやってんのにさ！ ふんだ！ もう知らない！ 勝手に首突っ込んで胃でも痛めてろ！」

誠子「……洒落にならないから勘弁してくれよ」


淡はぱっと出てくるシチュエーションがこういうのばっかりで…白糸台だとせーあわが個人的に強いから仕方ない…個人的にはｂの方がしっくりくるけど長期のシナリオで白糸台やるならaになりそう。どっちでも展開はあまり変わらなそうだけども



菫「……ん！？ おい、今そこ通ったのはやりんじゃなかったか！？」

照「本当に？ 解説で呼ばれてるから会場に居てもおかしくはないと思うけど」

菫「だよな！？ よし、ちょっと追いかけて……！」

淡「ちょっと！ 恥ずかしいからやめてよね！ 仲間だと思われるじゃん！」

尭深「…………」

誠子「……距離とっても制服同じだから仲間だと思われるのは変わらないよ、尭深」


あとは安定の弘世様。台詞のニュアンスが明らかに違うのはご愛敬

490 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/12(月) 00:15:06.31 ID:PIMZTLOAO

>>489
大丈夫っすよ
大会の打ち上げでの阿知賀女子(赤土先生&中等部の面々含む)が見られれば

491 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/12(月) 00:31:11.64 ID:4Ry1al84o

　　　　　　 　 　 　 　 　 ,. -､
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　　　　　　　　 ,.-=7..:.:.:.:,:lｰ､::ヽ...､
　　　　 　 　 〃　/:::/:／lj`_ ｀;:::l｀､.､
　　 　 　 　 //　 ｸ:l(::ﾌ　 l:.::j ｌ::::l　 l i
　　　　 　 ,' ;'　　ゝl �−｀l　�＝L):!　 .! l　　　恥ずかしいセリフ、禁止っ
　　　　 　 i l 　 　 (＼..|_」､-,'ﾆ､　　 l .!
　　　　　 ,! l　　_,/_ゝ. ＼／　　.}　　 l l
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492 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:31:42.35 ID:ab9xZgI50

日付変わってるけどゆーきたんイェイ〜

493 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:32:21.42 ID:ab9xZgI50

穏乃「……で、どうだった？ 実力テスト……」

優希『赤点は取ってない！ ……はずだじょ。 穏乃ちゃんは？』

穏乃「わ、私も……なんとかなってる……はずだよね？」

優希『私に聞かれても……まあ、麻雀部部長として、補習に捕まってるようじゃ後輩たちに示しがつかないしな……』

穏乃「うっ……そ、それやめよう。 たしかにその通りだけど引っ掛かってたら本気でヘコむから……！」

優希『……それもそうだな』

憧の特訓のおかげでなんとか試験を乗り越えて……乗り越えたよね？ あんま自信ないけど……

……と、とにかく、試験も終わったことだし！ 勉強もちょっと一息ついて国麻に向けて特訓を……したいところだけど、たぶん憧に勉強漬けにされるんだよなあ……

……いやいや、どうせある程度勉強しないといけないんだからもう気にしないことにしよう……うん、ちょっと勉強することは慣れてきたし…………身に付いてるかはともかく……

優希『で、どうしたんだ？ まさか勉強の話がメインなわけないよな？ 私と穏乃ちゃんの間で』

穏乃「もちろん！ ……って言い切っちゃっていいのかな？ 一応受験生だよ私たち……」

優希『一応じゃなくてれっきとした受験生だじょ？』

穏乃「それもそうだね！ まあいいや、まだ先の話だよ！」

優希『そうだな！ 国麻終わってからでもなんとかなるだろ！』

穏乃「そうそう！ なるようになるよね！」

……別に、現実逃避とかじゃないし……目の前のこと一つ一つに集中したいっていうか？ そういうアレだから！

494 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:33:05.37 ID:ab9xZgI50

穏乃「まあ、いくつか用事はあるんだけど……」

優希『ほほう？ 何でも言ってみるといいじょ』

穏乃「よしっ！ それじゃあ誕生日おめでとう！ 次会うのは……国麻かな？ タコスでも奢るから！」

優希『おおう、ありがとう穏乃ちゃん！ 友情のタコスで国麻も優勝決定だじぇ！』

穏乃「あれ！？ いやいや、私たちも負けないからね！ それなら私も熱血パワーで優勝決定だ！」

優希『……引き分け、か』

穏乃「参ったねこりゃ……もう両方優勝でいいんじゃないかな！」

優希『そうだな！ 国麻では敵同士だけど全力で戦うじょ！』

穏乃「おうよ！ へへっ、楽しみだなー」

優希『ちなみに私が怖かったら別にタコス以外でも構わんじょ？ プレゼントはどれだけ遅れても受けつけてるじぇ〜』

穏乃「全力で打ち合うから楽しいんだろ？ 私のタコスで優希がパワーアップするならいくらだって持ってくよ！」

優希『ふふん、いい度胸だじょ！ 私だっていくらでもタコス食べてやるじぇ！』

穏乃「ちょっと待ってよ！ いくらでもって……私のお小遣い無くなっちゃう！」

優希『それは穏乃ちゃんに申しわけないじょ……うむ、その気持ちだけ受け取っておくじぇ！』

穏乃「そう？ よしっ！ 気持ちだけなら誰にも負けないよっ！ 誕生日おめでとう！ おめでとう！！」

優希『ありがとう！ ありがとうっ！！』

穏乃「 お め で と う ！ ！」

優希『 あ り が と う ！ ！ 』

495 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:33:53.82 ID:ab9xZgI50

優希とは、憧と違う感じで波長が合う

いやあ、ついノリと勢いでしゃべっちゃうんだよねー

そういえば和が私と優希は似てるって言ってたっけ……

優希『穏乃ちゃんの気持ちはバッチリ受け取ったじょ！ ま、私たちなら国麻の選出漏れることもないだろうしな！ 会えるのとタコスを楽しみにしてるじぇ！』

穏乃「おう！ まかせとけ！」

穏乃「……あの、それでさ……ちょっと、優希に聞きたいことがあるんだけど……」

優希『ん？ スリーサイズは秘密だじょ？ 残念ながら穏乃ちゃんとあまり変わらなそうだがな……』

穏乃「そりゃあ残念……じゃなくて！ あ、でも実際どうなの？ じきに高校も卒業するわけだけど……」

優希『む……たしかにな。だいたい………………穏乃ちゃんは？』

穏乃「むむ……私はこの間測った時は………………」

優希『……やっぱりあまり変わらないな』

穏乃「うん……というか高校上がってからほとんど変わってないよ、私……」

優希『くっ……実は私も…………ちなみにのどちゃんの胸は……更に…………』

穏乃「……えぇ！？ ちょ、なにそれ！？ 私は憧ほど気にしてるわけじゃないけど……それにしても……なんと言うか、すごいなぁ……」

優希『さすがの私も……この差は……くっ……』

穏乃「…………ま、まあさ！ 気にすることないって！ 優希超かわいいし！」

優希『……だよな！ 穏乃ちゃんだってベリーベリーキュートだじょ！ 気にすることないじぇ！』

496 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:34:36.66 ID:ab9xZgI50

穏乃「とはいえ、やっぱりもうちょっと身長は欲しかったかなー……その方がカッコいいし！」

優希『ふむ、穏乃ちゃんはカッコいい系女子になりたいのか』

穏乃「そりゃあね！ 赤土先生とか、純さんとか、セーラさんとか、辻垣内さんとかー……憧れちゃうよね！」

優希『なるほどな！ ……とはいえ、ノッポはちょっと違うだろ……？ あいつはけっこうしょうもない奴だじょ？ 憧ちゃんはちょっと男の趣味悪いよなー』

穏乃「そう？ 私はカッコいいと思うんだけどなー……あ、でも龍門渕だと透華さんもカッコいいよね！ ビシッとバシッとしてて！」

優希『……龍門渕のおねーさんは……まあ、美人だと思うが……カッコいいのか？ けっこう……面白おかしい残念美人タイプだろ？』

穏乃「えー？ そんなことないでしょ」

優希『むむ……私にはどうにものどちゃんと……いや、のどちゃんにギャーコラやってる印象が強すぎるじぇ……』

穏乃「あはは、透華さんと和仲いいよね〜」

優希『仲がいい……のか？ うーん……たしかにそうかもな……』

穏乃「って話が逸れた！ その透華さんや純さんに関係してることなんだけど……」

優希『ああ……ノッポの話か？ ドイツに武者修行とはなかなか見上げた根性だじぇ』

穏乃「うん……その、優希も声かけられたって聞いたから……」

優希『おう！ 憧ちゃんも誘われてるんだよな？』

穏乃「うん……だから、その……憧、まだ考え中だし詳細わからないから、ってあんまり話してくれなくてさ……」

優希『そうか……憧ちゃんなら、すぐに穏乃ちゃんに話すと思ってたじょ』

穏乃「あ、うん……憧もなんかあったらすぐ話すとは言ってくれてるんだけどさ……やっぱり、ちょっと心配で……優希は、どうするの？」

優希『私か？ 私もまだ考え中ではあるが…………そうだな、うん。 たぶん、卒業したらあっち行くんじゃないかな……』

穏乃「……そっかぁ」

497 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:35:43.58 ID:ab9xZgI50

優希『……寂しいのか？』

穏乃「え？ うん……うーん…………うん、まあ……たぶん、憧もさ……考え中って言っても、行く方向に気持ち固めてると思うんだよね……」

穏乃「憧ってさ、本当に麻雀好きで……中学上がるときも麻雀強いとこ行くって阿知賀から出てってさあ……」

優希『……その割には、高校は阿知賀だったな？ 奈良といえば晩成だろ？』

穏乃「……へへっ、それはまあ……私の熱い友情の説得による結果？」

優希『穏乃ちゃんと憧ちゃんは仲いいよなあ』

穏乃「親友だからね！」

優希『おおう、なんとも力強い返答だじぇ……』

穏乃「そりゃあ、これは揺るがないし！」

優希『おう！ 私たちの友情も不滅だじぇ！』

穏乃「もちろんだ！」

穏乃「……とにかく、私としては当然憧の応援をしたいんだけど……」

優希『けど？』

穏乃「…………なんって言うかなー……あーもう！ わかんないっ！ モヤモヤするっ！」

優希『あはは、穏乃ちゃんもまだまだ考え中ってやつか』

穏乃「うーん……そうかも。 いや、うまく言葉にできないだけで……」

優希『……心配なら、穏乃ちゃんも行くか？』

穏乃「へ？」

498 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:37:09.77 ID:ab9xZgI50

行く？ 私も？ ドイツに？

優希『ノッポなら、たぶん頼めば世話してくれるだろ。 アレでなかなか義理堅い奴だしな』

穏乃「…………おお？」

優希『私は……そうだな……麻雀続けたいんだ。 でもさ……やっぱり、咲ちゃんやのどちゃんに比べると私って……悔しいけど、ちょっと落ちるだろ？ そういう……そういうとこなんだよな……』

穏乃「そういう、とこ……？」

優希『親友だし、一緒に戦ってきた仲間だけど……負けっぱなしじゃいられないからな。 今のまま一緒に……インカレだろうが、プロだろうが……行ったとしても、たぶん二人より強くはなれないから……』

穏乃「……優希は、和や咲にも勝ちたいんだね」

優希『とーぜんだじぇ！ 悔しいだろ？ 私が公式戦で二人よりも個人の成績いいのって東風でやる地区予選ぐらいだからな』

優希『……ちょっと違う環境に身を置いて修行するのも、いいかなって思ってる』

優希『……なにより、ドイツに行くなら受験勉強しなくていいしな！』

穏乃「なるほど！！」

優希『すまん、穏乃ちゃん……今のは笑うとこだじぇ』

穏乃「え？ そうなの？ ご、ごめん……受験しなくていいんだーって思ったらつい……」

優希『いや、受験勉強しなくていいのはたしかにうれしいことなんだけどな……で、穏乃ちゃんは？ どうする？ 私からノッポに口利きしてやってもいいじょ？』

穏乃「……あ、っと……私は…………」

499 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:38:15.09 ID:ab9xZgI50

麻雀……好きだし、当然これからも続けるつもりだけど……

強くなりたいし、勝ちたい……そういう気持ちは私だって当然持ってる……けど……

穏乃「…………」

優希『……ごめん、急にこんなこと言われても困るよな。 私だって最初にノッポにドイツで麻雀やらねぇ？ とか言われたときは急になに言ってんだこいつ？ って思ったし』

穏乃「……いや、私は行かないよ。 吉野に残る」

優希『……そっか。 それにしても決断早いな穏乃ちゃんは』

穏乃「んー……だってさ、憧が強くなって日本に帰ってきたときに誰かがちゃんと待ってないとかわいそうじゃん？」

優希『……ふふっ、なるほどな』

穏乃「はは、なーんて言ってみたけどさ……私、吉野好きなんだよね。 あんまり離れるとか想像つかないや……あ、でも旅とかはちょっとしてみたいかなあ……世界中の山登ってみたりとか」

優希『旅か！ うむ、それはたしかにいいな……メキシコに行く時には声をかけてくれ！ 本場のタコスを味わいたいしな！』

穏乃「あはは！ それいいね！ 優希と一緒なら楽しそうだし！」

うん、本当に楽しそうだ

世界中回ってみたいっていうのは実際に思ってて……大学上がってから時間作ってぶわーっと一気に山を上って回ったりとかしてみようとなんとなく考えてはいるんだけど

……吉野に、帰る場所があるから……旅だってできるんだよなぁ

穏乃「…………純さんはさ」

優希『ん？ ノッポがどうした？』

穏乃「強くなるまで帰らないって言ったんだよね？」

優希『うん……龍門渕のおねーさんたちのためにも、自分のためにも、絶対強くなって帰るって……強くなるまでは帰らないって言ってたじょ』

穏乃「……そしたらさ、憧も強くなるまでは……少なくとも自分が納得できるまではこっちに戻って来ないと思うんだよね。 アレで結構頑固っていうか……麻雀に対して本気で、大好きだからさ、あいつ」

優希『……そうだな。 私だって、たいした結果も出せずに逃げ帰ってくるなんて絶対に嫌だじょ』

穏乃「……ふふ、純さんはそういうとこわかってて誘ったんだろうなぁ……憧も優希も本気の本気で打ち込んでるもんね、麻雀に」

500 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:39:35.47 ID:ab9xZgI50

優希『でも、穏乃ちゃんだって本気でやってるだろ？』

穏乃「もちろん！ ……でもさ、やっぱり……私は吉野を捨てる覚悟で飛び出してくのは無理かなぁ……」

なんというか、麻雀に対する気持ちは私だって強いけど……それ以上に吉野や、吉野の人たちのことが好きで……

穏乃「……憧はさ、見違えるほど強くならないと絶対に帰ってこないね！ 見栄っ張りだし……大口叩いといて成果無しで帰ってくるとかあり得ないもん！ あっちの大会で結果出すとかして名前挙げてからじゃないとダメだとか思ってそうだし……」

穏乃「……そういうとこあるんだよ。 それにちゃっかりしっかりしてるように見えて意外とうっかりしててさ……心配なんだよね」

穏乃「だからさ、憧のこと頼むよ。 優希が居れば安心だしさ」

優希『……おうよ！ まかせろ！ 私はノッポよりもよっぽど頼りになるじょ？』

穏乃「……へへ、まかせたぞ！ 優希！」

憧は絶対にドイツに行く。 これは確信を持って言える。 考え中とか言ったって、行くのは前提でどうやって親を説得しようかなーとか、言葉わかんないけどどうしようとか、そんなとこだろう……まあ、たとえおじさんたちが反対したとしても望さんが後押ししてくれると思うから結局ドイツには行くはずだ

……もし……考えたくもないけど……もし、うまくいかなくて、本当にどうにもならなくて帰ってくることになったとしても、私がちゃんと迎えてあげられるようにしてあげたい

……当然、憧は成功して帰ってくるけどね！ その時は望さんや玄さんと一緒に盛大に迎えてやるんだけど！

優希『……穏乃ちゃんもさ、別に……気にすることはないんだじょ？』

穏乃「え？」

優希『穏乃ちゃんがちゃんと考えて決めたんだからさ……私や憧ちゃんみたいに麻雀のために旅立つことができなくたって、本気さが足りないとか、誰もそんな風には思わないじょ？』

穏乃「あ……あはは、ありがとう優希。 なに？ 何でそういうこと言ってないのにわかっちゃうかなー」

優希『結構鋭いんだ。 友達のことに関しては特にな！』

穏乃「いやあ、敵わないね、まったく……」

501 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:40:48.63 ID:ab9xZgI50

優希『まあ、むしろ普通に考えたら麻雀するためにドイツに行くとかなかなかおかしいこと言ってるしな。 麻雀好きにしてもプロになれないなら素直に進学してインカレや実業団チームで打ってくのが無難だじょ』

穏乃「まあ、それが普通だよね」

優希『麻雀のために海外留学は賢い選択とは言えんな！ 芽が出なけりゃ高卒で職歴もない美少女が残るだけだじょ……ああ、最悪結婚して家庭に入るって選択肢も……』

穏乃「け、結婚！？ 相手いるの！？」

優希『いや、言葉のあやというか……ま、まあ
、私や憧ちゃん程の美少女なら相手ぐらい見つかるじょ！ 最悪ノッポが憧ちゃんを誑かした責任をとって一生面倒見るからな！』

穏乃「マジでか！ さすが純さん男前……」

優希『ま、とにかく……麻雀に打ち込むにしても選択肢は色々あってさ……ノッポや
私や憧ちゃんは、あまり賢くないにしても、一番強くなれそうな道を自分で考えて選んだんだから！ 穏乃ちゃんも自分の道を行けばいいんだじょ』

穏乃「……うん、そうだね。 違う道を行くことになっても私たちが親友なのは変わらないし……中学別れたけど高校は一緒になったみたいに、また道が交わることもあるよね！」

優希『そうそう！ なんなら私たちが戻ってくる前に穏乃ちゃんもプロになっててくれてもいいんだじょ？ その方が私たちも張り合いが出るしな！』

穏乃「あははっ！ その手もあるか！ プロかあ……そういう道も、あるんだよね」

優希『あれ？ もしかして穏乃ちゃんあんまり考えてなかった？』

穏乃「うん……そうだなあ……麻雀好きだけど、なんとなく……家で店の手伝いとかしながら、ずっと吉野で暮らしてくのかなあ……って」

優希『……吉野好きすぎて離れるって発想が本気でなかったのか』

穏乃「あはは！ そうかも、そんな感じ！ 将来のこととか言われても、やっぱりなんか漠然としててさ……やりたいことだけ挙げてけば色々あるのにね」

502 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:43:39.03 ID:ab9xZgI50

綾乃「穏乃ー？ 憧ちゃん来てるわよー」

憧「しずー？ いるの！？ なにやってんの！？ 試験終わっても勉強はするって言ったでしょ！ さっさと参考書とノート持って出てきなさーい！」

穏乃「うげ……」

優希『ははは！ こっちまで聞こえたじょ？ そっちは大変そうだなぁ』

穏乃「ぐぐ……そ、そういう優希はどうなんだよ？」

優希『む……まあ、私は補習食らわない程度に勉強してやり過ごすじょ？ ドイツに渡るつもりだしな！ それに、今日はこれから京太郎の作ったタコスとのどちゃんと咲ちゃんが焼いてくれたケーキが待ってて……』

和『ゆーき！ 主役が来ないと始められませんよ？ こっちは準備できてますからねー！』

優希『おっと、こっちもお呼びがかかったじょ！ それじゃあ、穏乃ちゃんご愁傷さま！ 私は楽しいパーティーだじぇ！』

穏乃「ぐぬぬ……くっそー……勉強よりも国麻に向けた特訓したいのになあ……」

優希『……ま、憧ちゃんに聞きにくいこともあるんだろ？ なんかあったら私に言ってくれ！ ノッポと話すのは大変だろうしな。 国際電話って高いらしいし』

穏乃「……さんきゅー優希！ またな！」

優希『おう！ またな、穏乃ちゃん！』

穏乃「……さてと、ノートと参考書は…………めんどくさいなあ……」

憧「しーずー……？ 何をやってるのかしらねぇ？」

穏乃「うげっ！？ あ、いや……ちょっと電話を……」

憧「誰と？ 何の話？ しずの成績で無駄にしてる時間なんて無いのよ？」

穏乃「ぐっ……はっきり言うなあ……」

憧「現状をちゃんと理解しないと受験なんて乗り越えられないわよ！ 推薦だってまだ確定してないんだからちゃんと勉強しなさい！」

穏乃「わかってるよお……もう、スパルタなんだから……」

憧「……で、誰と無駄話してたわけ？」

穏乃「……ゆーき」

憧「へ？ 優希？ ああ、誕生日だもんね……私も後で電話しよっと……話したいこともあるし……」

穏乃「……あ、優希と話してたんだけどさ」

憧「うん？」

穏乃「……何かあったら純さんが一生憧の面倒見るってさ」

憧「ふきゅ！？」

憧「え、い、一生って、それは、えっと……だだだだってそんな、それって、え！？ え！？ なに！？ どういうこと！？ アレなの！？ オッケーなの！？」

穏乃「あ、私なんか今すっごくケーキ食べたいかも。優希の誕生日だし」」

憧「ちょっとケーキ買ってくるわ！」

穏乃「……憧が帰ってくるまで国麻に向けて牌譜でも整理するかあ」



カン！

503 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/09/17(土) 01:47:14.55 ID:ab9xZgI50

今後もしばらくはちょこちょこドイツ編？の前ふりをしながら好き勝手やっていく予定

立先生がまともな服装にしておけばよかったとか言っててつい吹き出しちゃったけどやっぱり実写では国広くんはいろいろ引っかかって削除されてしまうんです？

504 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/17(土) 02:27:05.26 ID:aPI48fr1o

乙
一足先にドイツで禁断の恋を成就させたシノチャーがアコチャーにアドバイスするところまで妄想した

505 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/17(土) 07:05:30.92 ID:QLlER+Fqo

乙です

506 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/17(土) 21:07:49.64 ID:WvTCMJQbo

乙
ドイツは理想郷ですな

507 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/18(日) 00:01:01.77 ID:uSpnQrdAO

>>504
え？慕ちゃーがドイツで記憶無くしたお母さんとレズ近親相姦したとですか？(違)
あ…遅く成りましたが…乙です

508 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/18(日) 01:46:42.10 ID:0ZQcwRlGo

ドイツでは叔姪婚が合法でなんたらとかそういう話かと
調べたら同性結婚はドイツでは認められていない（結婚に準じた関係を認める法はある）けど
近隣諸国では結構認められてる国があるみたいですね

509 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/09/30(金) 01:04:01.75 ID:m3o2rnnAO

そう言えば霞さんがはっちゃん巫女服を着たフィギュアが出て居ましたが
霞さんもハイセンスファッション側の人間なんでしょうかね？
久々に憧ちゃー対穏乃ちゃーによるファッションイデオロギー対決をのどっちさんのバースデーを使ってやって欲しいかも
希望登場人物は…一さん、初美さん、穏乃ちゃー、憧ちゃー、霞さん、のどっちさん、花田先輩、友清朱里さん、優希ちゃん、咲さん、揺杏さん、灼ちゃー、衣お姉さん、透華お嬢様、玄ちゃー、宥姉さんでお願い致します！

510 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:43:36.05 ID:JZOJR53M0

あの、あこちゃーが麻雀するためにドイツに行くって話の流れじゃありませんでしたかね…？
>>508ネタにするからにはと思ってどんな感じなのかなーって調べましたがあっちはそんな感じみたいですね。
慕リチャに関しては家族愛派だけどふたりともかわいいからなんでも許せる
>>509本当は恥ずかしいけど初美ちゃんに頼まれたら断れない…ここの霞ちゃんはそんな子

もこたんイェイ〜
投下します

511 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:44:41.92 ID:JZOJR53M0

灼「いらっしゃいませ…………いいの？ 遊んでて」

穏乃「あんまり良くないです！」

憧「胸張って言うことじゃないわよ……今日はまあ、特別ってことで。 レアキャラもいるしね」

灼「レアキャラ？」

穏乃「あれ……もう！ 隠れてないで出てきなよ！ 灼さんのおうちのお店だし怖くないって！」

もこ「……、……！」

灼「あ、もこ……久しぶりだね、元気にしてた？ 遊びに来たの？」

もこ「……！ …………、……！」

灼「ふふ、そっか。 前もって言ってくれればなにか用意しておいたのに……」

憧「そんな気にしなくても、バースデー割引でいいわよ？」

灼「……よし、もこはただでいいよ。 誕生日おめでと」

もこ「…………！」

灼「いいよ。 お祝いだから……ドリンクもサービスしてあげる」

憧「やっりぃ！」

灼「……憧は誕生日じゃないでしょ」

憧「えー！ いいじゃん別に！ かわいい後輩割引ってことで」

灼「うちも商売なんだけど……」

穏乃「憧、あんまり無理言うなよなー……最近試験勉強や国麻の準備で忙しかったり、純さんもドイツ行っちゃったからって灼さんに過剰に甘えていい理由にはならないんだから」

憧「なっ……！ べ、別にそんなんじゃないけど！？」

灼「これで好きなジュース買いなさい」

憧「わ、やったあ！」

穏乃「灼さん甘い！」

灼「つい……ほら、穏乃も」

穏乃「え、でも……」

灼「いいから」

穏乃「……ありがとうございます！ ご馳走さまです！」

512 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:45:24.34 ID:JZOJR53M0

もこ「…………」

灼「……ま、そうなんだけど……やっぱりね、かわいい後輩なんだよね」

憧「えっへっへ〜……もう、灼さん優しいから好き〜」

灼「そしてつい甘やかしてしまうのであった」

もこ「……」

灼「こんなにかわいい後輩がいたらバカになっても仕方がない」

憧「……ちょ、ちょっと、灼さん。 あ、あんまりそういうこと言わないでよ……」

灼「こっちが言うとすぐ照れちゃって……」

穏乃「憧は相変わらず照れ屋だなあ」

灼「かわいいやつめ」

憧「あーもう！ うるさいってば！ あ、灼さん、後で初瀬も来るから」

灼「……ああ、国麻の作戦会議？」

憧「そそ、灼さんも相談乗ってよ」

灼「ん、力になれるなら……そういえば、もこは？ 国麻、選抜されてるでしょ」

もこ「…………」

穏乃「知らないって……大丈夫なの？」

もこ「……！」

憧「今までもそうだったって……ま、もこならたしかにその場で対応とかもできるんだろうけどねぇ」

もこ「…………、……」

灼「いちおチームメイトなんだし、仲よくして損はないと思うけど……」

もこ「………………………………！」

穏乃「……人見知り激しいのは変わらないね」

憧「しずみたいに出会った瞬間みんな友達！ みたいなのもいい加減どうかと思うけどね……」

穏乃「そこまで単純じゃないってば！ ……たしかにだいたいそんな感じだけど……」

もこ「…………」

憧「え？ なに？」

もこ「……、…………！」

憧「きゃ！ ちょっと！ 引っ掻かないでよ！」

穏乃「ふふ……ま、たしかにそのお陰でもこともすぐに仲良くなれたんだもんね！」

もこ「……！」

穏乃「うわぁ！？ ……もう、もこはほんと照れ隠し激しいんだから……」

もこ「…………！」

穏乃「はいはい、ごめんごめん」

513 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:46:10.69 ID:JZOJR53M0

初瀬「こんにちはー」

灼「いらっしゃいませ……憧たち、もう来てるよ」

初瀬「あ、すみません鷺森さん。 お邪魔します……あ、もこちゃんだ！」

憧「ちょっと、こっちは無視？」

もこ「……！」

初瀬「わー、久しぶり〜！ 相変わらずかわいいなぁ……ね、撫でていい？」

もこ「……、…………！」

初瀬「えへへ、いいじゃんいいじゃん。 なにもそんなに警戒しなくても……」

もこ「！」

初瀬「あぃったぁ！」

穏乃「もこ！ 噛みつき禁止だってば！」

憧「こら！ ばっちいからペッして！」

初瀬「ばっちくない！ 失礼な！ 清潔だっての！」

もこ「…………！ ……、…………！」

初瀬「うぅ……まだ慣れてくれないか……もこちゃん小走先輩とは仲いいのに……」

穏乃「もこ、初瀬はいい奴だよ！ もこの大好きな小走さんの後輩だし！」

もこ「……、……っ！！」

穏乃「ふぎゃ！？ ちょ、ず、頭突きが来るとは……いったぁ……」

憧「その言葉選びじゃそうなるでしょうよ……」

灼「……なんでもいいけど、はしゃぐなら他のお客様の迷惑にならない程度にね」

514 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:46:53.93 ID:JZOJR53M0

――――――

初瀬「え、もこちゃんボウリングはじめてなの？」

もこ「…………！」

穏乃「大丈夫だって！ 簡単簡単、ボール投げてあのピン倒すだけだからさ」

憧「とりあえずやってみたら？」

もこ「…………！」

穏乃「よし、いっけぇ！ もこ！ 目指せストライクだ！」

もこ「…………」

もこ「…………！！」

穏乃「ってちょっと待ったぁ！ 危ない！ 危ないから！」

憧「下から！ 下からね！？ 野球じゃないんだから！ 危ないから！」

初瀬「か、片手で……力持ちだなぁ……」

もこ「……？」

穏乃「そう！ そう、下から！ ごめんね、それじゃあ私が見本を見せるから！ ……そりゃっ！」

初瀬「お、穏乃うまいじゃん」

穏乃「へっへーん！ 鷺森レーンで鍛えたこの腕前！」

もこ「…………？」

灼「ん？ ……いや、私は普通ぐらい。 店番してたらボウリングできないし」

もこ「…………、………………！」

灼「グローブ？ いいよ、貸してあげる」

もこ「……！」

穏乃「あ、いいなぁ……それ、カッコいいですよね！」

憧「カッコいいかぁ？」

初瀬「もこちゃんも意外と形から入るタイプか……」

515 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:47:32.94 ID:JZOJR53M0

もこ「…………！」

穏乃「おおー……またストライク……」

憧「……なんか、あっという間に上手くなったわね」

初瀬「さっきも思ったけど……見た目に反してパワーあるね、もこちゃん……」

もこ「……！ …………！ ……、……！」

灼「そんなに楽しんでもらえるとは……こっちとしてもうれしいけど」

穏乃「あはは！ ちょっと落ち着きなよ、興奮しすぎだってば」

初瀬「くっ……やっぱりかわいいなぁ……もこちゃん！ ハイタッチ！ イェイ！」

もこ「！」

初瀬「やった！ 一歩前進！」

憧「ようやく打ち解けてきたか……でさ、国麻なんだけど……」

穏乃「よっしゃあ！ こっちも取ったぞ！」

初瀬「むむ……みんな上手いなぁ……私ももう少し練習しよっかな……」

もこ「…………！ ……！」

初瀬「あはは、ありがとうもこちゃん」

憧「……ちょっと！ 国麻……」

灼「みんな、宥さんがあとでケーキ買ってきてくれるって」

穏乃「ほんとですかっ！？ やったあ！」

もこ「……！ …………！ ……、…………！」

初瀬「うーん、ご馳走になってばっかりじゃ悪いし……今度私もなにか持ってきますね」

穏乃「そんなの気にしなくていいのに……」

初瀬「いやいや、そういうわけにもいかないって」

もこ「……！ …………！」

初瀬「え？ いまから？ ま、誕生日だしね。 しょうがないなあ……それじゃあこのゲーム終わったらなにか買ってくるよ」

もこ「…………！」

憧「……ねえ！ ちょっと！」

516 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:48:09.76 ID:JZOJR53M0

穏乃「？ どうしたの？ でかい声だして……」

初瀬「ケーキでテンション上がったんだろ？ 憧、ケーキ好きだし」

もこ「…………」

穏乃「ふふ、そうなんだよね……憧ったら太るの気にしてるわりにはひとりでかなり食べるから……宥さんの誕生日の時に龍門渕さんがおっきなケーキ持ってきてくれたんだけどその時なんか……」

憧「ちょっとちょっと！ な、なんの話してるのよ！？ そうじゃなくて、いい加減国麻の……」

灼「わかった。 後でケーキのいちご分けてあげるから落ち着いて……」

憧「えっ？ ほんとに！？」

灼「…………」

もこ「…………」

初瀬「……食い意地張ってるなあ」

穏乃「ほんと、人にはいろいろ言うくせに……」

憧「〜〜〜〜！！ もうっ！ なによ！ 私が悪いわけ！？」

穏乃「いや、別に悪くないけど……」

灼「かわいい」

初瀬「まあまあ、そんなに焦らなくてもいいじゃん。 他県のデータはうちでかなり集めてるし今度代表の顔合わせの時に細かいところは詰めれば……あ、これ牌譜とかのデータ入ったUSBね」

憧「そういうのは最初に渡しなさいよっ！」

初瀬「そんなに急いでなかったし……もこちゃんもいるし……」

憧「あんたなんでそんなにもこのこと好きなのよ……」

初瀬「かわいいから」

もこ「…………！」

穏乃「あはは、言われなれてるでしょ？ 照れなくていいのに」

初瀬「っていうか今日桜子ちゃんとかひなちゃんとかいないの？ 会いたかったのに……」

憧「……あんたそんなに子ども好きだったっけ？」

初瀬「かわいいんだもん……っていうかあの子らももう中学生でしょ」

灼「あの子たち、いい意味で子どもっぽいから……ま、本当に子どもの時から付き合いある憧たちはそういうイメージになっちゃってるのもわかるけど」

517 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:49:23.72 ID:JZOJR53M0

穏乃「とにかくさ！ せっかくもこもいるんだし……今日は遊ぼう！」

憧「しずは遊びたいだけでしょ……」

穏乃「遊びたいけど！ いや！ 国麻も当然大事だけどね！？」

もこ「……？」

穏乃「そうだね！ 一通り遊んだら打とっか！」

初瀬「……ね、他県の代表と野試合していいんだっけ？ 大会規定大丈夫？」

憧「国麻はそこまでキツキツじゃなかったような……ちょっと調べてみる」

灼「結局麻雀か……売り上げをのばすためにもいろいろ考えないと……」

穏乃「あ！ それじゃあ、染谷さんのとこみたいに麻雀が打てるボウリング場にするっていうのはどうでしょう！？」

灼「……それは、なんともカオスな施設だね」

憧「思いつきで適当言うのやめなさいよ……そんなことしたら、卓置くスペースとかも用意しないとだし自動卓のメンテ費用とか……」

灼「……休憩スペースにマットと牌を置けば……」

憧「検討しちゃうの！？」

初瀬「国麻なあ……晩成の名に恥じない活躍をしないと……高校卒業前最後のチャンスだし」

穏乃「そうだね……初瀬も進学組だよね？」

初瀬「うん。 麻雀強いとこ行くよ。 推薦取れそうだし……まあ一般受験でも余裕だけど」

穏乃「……さすが晩成」

初瀬「ま、ちゃんと勉強してるからね。 勉強よりも麻雀したいなあ……名門校いったらまた応援席スタートになっちゃうだろうし……」

もこ「…………？」

初瀬「うん、やっぱりプロ目指したいな……現実的じゃないのはわかってるけど……一年の夏、応援席だった私だって今年は部長やってたんだもん。 努力すればまだまだ伸びるって思いたいな」

憧「初瀬、一年の終わり頃には別人レベルで強くなってたもんね」

初瀬「憧が夏に中学の時とは別人レベルで強くなってたから滅茶苦茶悔しかったんだよ！ 成績落とさないで特訓するのすっごく大変だったんだぞ？」

灼「晩成は進学校だもんね……成績も落とせないよね」

初瀬「というか、定期的にやる実力テストの成績が一定以下だと麻雀部出させてもらえなくなるんですよ……」

穏乃「え！？」

初瀬「監督の方針で……学生の本分は勉学にあり！ ってね……ほんと厳しくて……」

憧「しず、晩成じゃなくてよかったわね」

穏乃「うん……まあ、そもそも私の頭じゃ晩成はどうやっても無理だけど」

518 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:51:09.44 ID:JZOJR53M0

初瀬「……っていうか、憧はどうするんだよ？ 穏乃は進学するって聞いてるけど、お前あんまりはっきりしたこと言わないじゃん」

憧「え？ あ、うーん……なんというか……まぁ……ねぇ？」

初瀬「いや、それじゃわかんないって」

憧「……考え中って、いうか……」

穏乃「考え中ねぇ……」

憧「……なによ？」

穏乃「いや、別に……いいんだけどさ」

もこ「……？」

灼「ん……ま、憧にもいろいろあるんだよ」

初瀬「……こんなこと言うのも、ちょっとアレなんだけど……」

憧「な、なによ？」

初瀬「いや……だから、なんつーか……」

憧「……そんなに言いにくいことなわけ？」

初瀬「……わ、私はさ、憧のこと……その……親友だと、思ってるから」

憧「……な、何を言い出すのよ急に……」

初瀬「お前さ、結構なんでも……大事なことは特に、自分だけで決めちゃうし……高校上がるときも、一緒に晩成行こうって話してたのに、いつの間にか阿知賀に行ってて……」

憧「それは……うん……」

初瀬「……国麻もさ、また……あの頃みたいに、お前と一緒に打ったり作戦立てたりできるのも、うれしくて……」

初瀬「……憧の力になりたいんだよ！ 悩んでるなら話だって聞けるし、今の私は晩成の部長なんだ、できることだっていろいろあるだろ？」

初瀬「…………お前にとっては、やっぱり頼りないのかもしれないけど……」

憧「……そんな、それは……違うわよ！」

初瀬「……憧？」

519 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:53:00.51 ID:JZOJR53M0

憧「私だって……初瀬のことは……その……」

憧「……阿知賀行くって決めたときは、勢いもあってパッと決めちゃったけど……阿知賀で全国行きたいって想いは本気だったし……」

憧「あの時だって、ちゃんと話そうと思ってたんだけど……あの頃もう部活も引退してたし、初瀬も受験勉強すごく忙しくなってて……」

憧「……麻雀やるなら晩成行くのが当然だったし、なんか、言いづらくって……タイミング逃してるうちに、なんかずるずると…………」

もこ「……！」

憧「そこ！ ヘタレ言うな！」

穏乃「いや、言われても仕方ないんじゃ……」

憧「むむ…………あのさ、一年の夏の大会前に久々に会った時さ、初瀬が、結構普通に接してくれて私うれしかった。 その、そりゃあ怒られたけど、当然だと思うし……」

初瀬「あの時、お前だって全然普通だったじゃんかよ」

憧「内心かなりテンパってたわよ。 なんか、全然話せないまま中学卒業しちゃってたし……」

初瀬「……憧が麻雀好きなのはよく知ってるしさ、それこそ中学上がったときには晩成でインハイ行くって話までしたぐらいだし……いざ進学したらお前居ないし……」

灼「……実は受験したけど落ちてたとか」

憧「落ちてないっ！ っていうか受けてないし！ 受けてたら合格してるし！」

初瀬「憧が落ちるとは思ってなかったから本気で驚いたんだぞ、私……」

憧「うん……その、ほんと、ごめん……」

初瀬「……いいよ、そのことは今さらだし…………憧が阿知賀で強くなったからこそ、私も強くなれたんだから」

520 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:54:34.94 ID:JZOJR53M0

もこ「……？ …………！」

初瀬「うん……でもさ、ライバルがいるからこそ頑張れるってこともあるでしょ？」

憧「初瀬……あのさ、私…………高校卒業したら、ドイツに……行こうかと、思ってる」

初瀬「……ドイツ？」

憧「うん……知り合いが、あっちに居てさ。 武者修行のお誘いっていうか……してもらっててね？ 私も、プロになりたいけど……今のままじゃ通用しないと思うから……」

初瀬「……そっか。 そうなんだ……どれくらいあっち行くわけ？」

憧「ん……わかんないけど、強くなってから帰ってくる……プロの世界に乗り込むためにね」

初瀬「……わかった。 それじゃ、私はこっちで先にプロになって待ってるから」

憧「……へへ、なに？ 大きく出たじゃん」

初瀬「憧が強くなるのに私だけ今のままってわけにはいかないでしょ」



穏乃「…………」

灼「……どした？」

穏乃「……憧、やっとドイツ行くってはっきり言ったなぁって……」

灼「……うん、そだね」

穏乃「そういう気持ちなのはわかってたけど……やっぱり、私としても？ それこそ話してほしかったっていうか……」

灼「初瀬に負けた気分？」

穏乃「勝ち負けじゃないのはわかってるんですけど……」

灼「……よしよし」

穏乃「…………あはは、なんか、すみません」

もこ「…………！」

穏乃「へへ、もこもさんきゅー！」

521 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:56:05.84 ID:JZOJR53M0

灼「……そういえば、もこはどうするの？」

もこ「？」

灼「進路」

もこ「…………、…………！」

穏乃「へぇ、プロ志望届出したんだ……」

灼「……実力的には大丈夫だけど、ひとつ問題があるね」

もこ「……？ ……、…………！」

灼「プロって人前に出るし、私たちは付き合いもそこそこだし意思疏通もできるけど、もっとはっきり喋れるようにならないと」

もこ「！」

穏乃「あー……たしかに、憧とかはじめて会った頃全然もこと会話できてなかったもんね」

もこ「……！ …………！」

憧「ちょっと！ それは違うでしょ！ そりゃ、今はわかるけど……もこ、今のままじゃ苦労するわよ？」

もこ「…………！ ……！」

穏乃「……ま、まあ、たしかに……野依プロはかなりの口下手で有名だけど……」

初瀬「……それでも、野依プロって話すときは要点は……要点だけはビシッとはっきり発言するし、もこちゃんも話せた方がいいんじゃないかな？」

もこ「…………」

灼「今までは拒否とかもできたかもしれないけど、プロともなれば取材とか、話さないといけない機会も……」

もこ「…………」

穏乃「……よし！ もこ、せっかくだし練習してみよっか！」

もこ「？」

522 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:57:16.50 ID:JZOJR53M0

穏乃「私たちがインタビューするから、もこはそれに答える！ これだ！」

もこ「…………」

憧「……なにもしないよりはいいんじゃない？ 私たちが聞きたいこと聞くついでに練習にもなるし」

灼「聞きたいことって例えば？」

憧「んー……それじゃあさ、もこはどこのチームに入りたいとかある？」

もこ「…………！」

灼「もこ、それじゃダメだよ。 しっかり話さないと」

もこ「…………」

穏乃「頑張って！ ほら、回りにいるのも私たちだけだし！ 今の内に慣れとこう？」

もこ「ぇ…………ぁ、ぅ…………」

もこ「…………ょ、よこ、はま……」

初瀬「わ！ いいよ、もこちゃん！ ちゃんと言えた！」

穏乃「横浜か！ いいよね、強いチームだしエースの三尋木プロもカッコいいし！」

灼「……ね、なんで横浜がいいの？」

もこ「……そ、それ……は……ぁ、ぁの……」

もこ「…………〜〜！！」

灼「ぅわっ！」

穏乃「ちょ、もこ！ 落ち着いて！ ダメだよ、癇癪起こしたら！」

憧「はいはい、一回落ち着いて……もっかいチャレンジ！」

もこ「ぅ……、…………ょ、よこ、はま……には、……ゃぇ……も、てる……も……ぃ……る、し……」

もこ「プロ……なり、たぃ……け、ど…………ひとり、は……ふ……ぁんで……」

523 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 21:59:09.67 ID:JZOJR53M0

もこ「…………、…………！ ……！！ ……！！」

灼「ごめんごめん……でも、普段通りになるとやっぱり言葉遣い汚いよ、もこ。 気をつけないと」

もこ「……！ ……！！」

灼「ごめんってば……そんなに照れなくってもいいのに」

穏乃「ふふ、もこは本当に小走さんと照さん好きだよねぇ」

もこ「……！」

穏乃「いったぁ！！ ちょ、だから引っ掻きと噛みつきは禁止だってば！」

初瀬「でも、そうだなあ……私もいつかは小走先輩と同じチームに入って一緒に戦いたいなぁ……」

憧「横浜はレベル高いわよ〜？」

初瀬「わかってるよ、私だってまだまだ頑張るんだから！ ……そういう憧は？ やっぱり赤土監督のいるハートビーツ？」

憧「え？ あ、そ、そうね！？ ハルエがいるしね！ ハルエが！」

穏乃「……初瀬、憧は高校上がってからはやりんの大ファンになってて……」

初瀬「え！？ マジで！？ 昔はキツいだのなんだの言ってたのに……そういえば、なんとなく思い当たる節が……」

憧「い、いいでしょ！別に！ ……まあ、ハートビーツもだけど、私はチームは……」

初瀬「……なんだよ？ だからちゃんと話せって」

憧「ん……あはは、いや、まだ存在しないチームだからこの話はパスで。 今入りたいって言うなら私はやっぱりハートビーツかなぁ……」

524 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 22:00:22.12 ID:JZOJR53M0

灼「……もこは、なんでプロに？」

もこ「……！ ……、…………、…………！ ……！」

灼「だーめ。 さっきの続き。 頑張って話してみよ？」

もこ「ぇ……ぁ、と…………ゎ、たし、……麻雀、しか、……でき、なぃ……し……」

もこ「藍子ちゃん、と、……ぉなじ、がっこ……ぃく、の、は……むり…………だし……」

もこ「藍子ちゃん、も、……だぃが、く……そつ、ぎょ……う、したら……プロ、なる……から……だ、から……」

灼「うん、そっか……頑張ったね、偉いよ」

もこ「…………、……！！ ……！」

灼「……ギャップが酷いなぁ」

穏乃「百鬼さん、そういえば進学したんですよね。 プロ行く腕あるのに……」

憧「インカレに倒さないといけない相手がいるとか言ってなかったっけ？」

もこ「……！ …………！ ……、…………！」

穏乃「高校時代に負けた相手がインカレで活躍してる？ へぇ……」

灼「心残りがあるままプロには行かないってことだよね……けっこう、執念深いというか……」

初瀬「そういう勝負に対する拘りとかは持ってる人も結構いると思いますけどね。 晩成の先輩方も結構……それこそ、小走先輩だって……」

灼「……ああ」

憧「小走さん、いまだにこっち戻ってくると言うわよね……ねぇ、今日松実は？ 打てんの？」

穏乃「あはは！ 似てる似てる！」

初瀬「トータルではもう勝ち越してるのに……ま、先輩らしいかなぁ」

525 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 22:01:44.42 ID:JZOJR53M0

もこ「……、…………？ ……！」

灼「ん、それは……私も麻雀好きだけど、プロになることだけが麻雀続ける道じゃないから……」

もこ「…………！ ……、…………？ ……！」

灼「うちの店もあるし……まあ、卒業してすぐってわけじゃないだろうけど……」

穏乃「家業があるとやっぱりいろいろありますからねぇ……憧のとこみたいに望さんが……上の兄弟がいるとまた違うけど」

憧「うん……まあ、家の方はお姉ちゃんがやってくれてるから……好きなことやんなさい、って言われてる」

初瀬「望さんはねぇ……憧のこと凄く大切にしてるからねぇ」

穏乃「ああ見えて溺愛してるよねー」

憧「なっ……なに言ってんのよ！ 別にそんなこと、な、ないでしょ！ 普通よ普通！」

初瀬「おーおー、動揺してるよこの子は」

穏乃「憧は憧で凄く望さんのこと好きだからね」

憧「ふ、普通よ！ 普通だって言ってんでしょ！」

穏乃「大丈夫大丈夫！ 憧の気持ちはよくわかってるから！」

憧「絶対わかってないでしょ！？ 話を聞きなさいよ！」

初瀬「安心しろって。 わかってるからさ」

憧「だーかーらー！」

526 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 22:02:49.94 ID:JZOJR53M0

もこ「…………」

灼「……どうしたの？」

もこ「……ぁ、らた、は……」

灼「！」

もこ「ぷ……プロに、は、……なら、な……ぃ……の……？」

灼「……どう、だろう……なぁ……」

もこ「ゎ、たし……は、ぁら……た、と……ぃっ……一緒に、打て、たら……ぅれ……しぃ、よ……」

灼「……私は、学生で……まだ、考える時間はあるから……やっぱり、麻雀好きだし……なってみたいって、気持ちが無いわけじゃないから……」

もこ「……しずの……も、プロ、に……は、なら、なぃ……ん、だよね……？」

灼「ん……進学するために、一生懸命勉強してるよ」

もこ「…………」

灼「……さびし？」

もこ「…………！」

灼「……ふふ…………わかったから、無言でローキック連打は止めてほしいかな……」

もこ「…………」

灼「……ん、大丈夫だよ。 もこなら」

もこ「……ぁ、あり、がと…………が、がん、ばる……ね」

灼「…………ふふふ」

もこ「……………………！」

灼「だって……もこ、一生懸命喋ってる時は、素直で……ふふ、かわいいよ」

もこ「……！ ……、……！ …………！！」

灼「……恥ずかしいのはわかったから……その、暴力はやめよう……？ 的確に脛にローキック打ち込むのやめよう……？」

527 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 22:03:33.35 ID:JZOJR53M0

宥「みんな〜！ 遅くなっちゃってごめんね〜」

憧「あっ！ 宥姉！」

穏乃「宥さん！ おかえりなさいっ！」

初瀬「こんにちは、宥さん！」

宥「えへへ、こんにちは〜……もこちゃん、誕生日おめでとう！ ケーキ、買ってきたよ〜！」

もこ「！ ……！ ……、……！ ……！！」

宥「ふふ、そんなに喜んでもらえるとうれしいなあ……」

灼「宥さん、すみません急に……」

宥「いえいえ、お気になさらず……私もケーキ好きだし…………最近、ちょっと食べ過ぎで危険かなあってぐらいで……」

憧「や、やめてよ宥姉……ケーキを前にしてそういうこと言うのは……」

穏乃「……2！」

初瀬「……んー……じゃあ、2.5で」

憧「……なんの数字よ、それ」

穏乃「一ヶ月でどれくらい増えるかなーって」

初瀬「数字が遠かった方がケーキ奢りね」

穏乃「あはは！ それじゃあ私たちまで太っちゃうじゃん！」

憧「ちょっと！！ 私たちまでってどういう意味よ！？ 私は太らないわよ！ そんなに太るわけないでしょ！？」

宥「…………そ、そうだよ。 そ、そんなに、急に、太るわけ……な、ない、よ……？」

灼「……宥さん？ もしかして、心当たりが……」

宥「そ、そんなこと無いよ！？ 夏休みからしばらく食べて寝てを繰り返して太っちゃったなんてことはないよ！？ わ、私、お姉ちゃんだし……先輩だし……じ、自己管理できてるもん！」

灼「……そういう、ちょっとだらしないところもかわいくて好きですよ」

宥「ち、違うの！ 灼ちゃん！ 違うのぉ……」

憧「…………しず？ 一口分けてあげてもいいわよ？」

穏乃「……今さら、手遅れじゃないかな？」

初瀬「うーん……ノーコメント」

憧「大丈夫よ！ 大丈夫だから！」

528 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 22:04:12.97 ID:JZOJR53M0

もこ「……！ …………！」

宥「あ……ご、ごめんねもこちゃん……ほら、じゃーん！ おっきなチョコケーキだよ〜」

穏乃「わぁ！ おいしそう！」

憧「……いちご乗ってない」

灼「…………一口分けてあげるから」

憧「えっ！？ いいの？ やったぁ！」

穏乃「あっ……」

初瀬「これはもう……」

憧「…………だ、大丈夫よ。 うん……食べた分しっかり消費すればなんの問題もないし……宥姉みたいに食べて寝ての繰り返しをしなければなんの問題も……」

宥「だ、だから違うんだってば……その、たしかにちょっとは……ちょっとはね！？ ふ、太っちゃった……かも、しれないけど！」

憧「けど？」

宥「えっと……そう、誤差！ 誤差の範囲内だから！ 怜ちゃんだって、この前膝枕したときに……うん、これはこれでええな！ なんて言っていい笑顔してたもん！」

穏乃「……あの、言いにくいんですけど……それって結局……」

憧「なんだ、やっぱり太っちゃったんじゃない」

宥「！？」

初瀬「こら憧、もうちょっとオブラートに包むとか……」

もこ「…………！」

宥「！？！？！？」

初瀬「もこちゃん！ デリケートなことなんだから！ もう少し歯に衣着せて！」

宥「あ、あの……うぅ……あ、灼ちゃん……」

灼「それじゃ、ちょっと失礼して……」

宥「ひゃあ！？」

529 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 22:05:00.28 ID:JZOJR53M0

灼「…………ん……これは……」

宥「え、えと……あ、灼ちゃん……？」

灼「……大丈夫です。 宥さん厚着だし、抱き心地じゃ太ったのわからないです」

宥「そっかあ！ それなら大丈夫だよね！」

憧「いや、なにひとつ解決してないんじゃ……」

宥「灼ちゃんが大丈夫って言ってるんだよ？ 大丈夫だよ〜」

もこ「……！ ……、……！」

宥「もう、もこちゃんったら……そんな汚い言葉使ったらダメだよ？」

憧「……急に余裕かまし始めたわね」

宥「えへへ、だって大丈夫だってわかったもん！ よゆーだよ、よゆー」

憧「現実見ようよ、宥姉……」

初瀬「……鷺森さん、その……なんというか、はっきり言ってあげた方が宥さんのためなんじゃ……」

灼「だいじょぶ。 宥さんかわいいから」

初瀬「そういう問題じゃないのでは……」

穏乃「大丈夫だよ、初瀬！ 灼さんが大丈夫って言ってるんだし！」

初瀬「え？ いや、だから……え？ ……えっと……信頼されてますね、鷺森さん」

灼「…………あんまり無条件に信頼されるとそれはそれで居心地が悪いというか……」

もこ「……、…………！」

灼「ん……たしかに、全然悪い気はしないけどね」

530 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 22:06:24.46 ID:JZOJR53M0

もこ「…………、…………！」

灼「……そだね。 せっかくだし、食べよっか。 早く食べた方がおいしいし……」

宥「あ、ごめんね。 無駄話しちゃって……もこちゃんのお誕生日！ しっかりお祝いして、ケーキを食べないと！」

穏乃「そうですね！ やっぱり、ケーキを食べるとお祝いしてる感じもしますし！」

憧「……なに？ 宥姉は今後食いしん坊キャラで行くの？」

宥「く、食いしん坊じゃないもん！ た、たしかに最近、玄ちゃんがまたお料理上手になってご飯おかわりしちゃったりしてるけど……」

憧「玄が宥姉太らせてるのか……」

穏乃「玄さんのご飯、ほんとおいしいですからねぇ……」

宥「ふ、太ってないもん！ 大丈夫だもん！」

もこ「……！」

宥「ふ、太ってないもん……太って……ない……もん…………」

もこ「…………、………………！」

宥「う……うぅ……ううぅ…………ふ、太りました……ごめんなさい……嘘つきました…………」

もこ「…………、……！ ……！」

宥「はい…………ごめんなさい……」

憧「……ちょっと、もこ？ 宥姉泣かせないでよ……」

もこ「…………！ ……、……！」

憧「うぐっ……い、いや、だから……その、食べた分ちゃんと消費すれば…………」

もこ「……！」

憧「い、いや、口だけじゃなくてちゃんと……」

もこ「…………！ ……、…………！」

憧「…………ふ、太ってないよ？」

もこ「…………」

憧「いや、あの……」

もこ「……！」

憧「…………ごめんなさい……すみませんでした……」

穏乃「……あ、憧が……まさか、これは本気でダイエットが始まる！？」

初瀬「明日には忘れてると思うなあ」

531 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 22:07:45.61 ID:JZOJR53M0

灼「いただきます」

もこ「！」

初瀬「いただきまーす」

穏乃「いただきます！」

憧「…………いただき、ます……」

宥「うぅ……い、いただきます……」

穏乃「わぁ、このケーキ、おいしいね！」

もこ「……！ ……、…………、……！」

初瀬「うん……宥さん、いいところで買ってきてくれたんですね」

宥「うん……すごくおいしいよね…………ふふ、これでまた太っちゃうなあ…………」

灼「一口あげよっか？」

憧「……だ、大丈夫です……遠慮しておきます…………」

穏乃「……こんなにおいしいのに憧と宥さんがひどい顔してる……」

初瀬「……なんだかんだで食べてるからほっといていいんじゃないかな」

灼「もこが加減しないから……」

もこ「…………！」

宥「うっ……」

憧「ぐぬぬ……」

もこ「…………で、でも……」

憧「！？」

宥「！？」

もこ「ぁ……ぁり、がと……ぅ…………ぉ、ぉぃ、ゎぃ……して、くれて…………う、ぅ……れし、ぃ……よ……？」

憧「かわいいから許した」

宥「ゆるしたー」

もこ「…………！」

灼(あ、今チョロいなって思ったな)


カン！

532 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/01(土) 22:09:51.81 ID:JZOJR53M0

もこちゃんが原作で活躍する機会はいつになるのか
インハイ自体まだ数年は終わらなそうだし長く楽しめると前向きに待ってますけど

533 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/01(土) 22:29:03.39 ID:XvmGP8ioo

乙です

534 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/01(土) 23:59:04.63 ID:7wMnedTy0

さらっと決断しおったな
前回から今回の間に憧なりに決心がついたのかそれとも一度逃げた初瀬の面前逃げられなくなったか
とりあえず宥姉かわいい
おつ

535 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/02(日) 06:17:32.81 ID:htnI1cKAO

乙です
どんどんこの世界での憧ちゃー達の進路が決まって行きますね
所で衣お姉さん達の学年でプロ入りした人(高卒プロ)って居るのでしょうか？

536 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/05(水) 01:50:25.38 ID:BxUspB150

のどたんイェイ〜
投下は後日遅刻で…

>>534気持ち自体はほぼほぼ決まってたのを初瀬に後押しされたような感じで…
初瀬って凄いいい奴だと思うんですよね。憧の応援にあこちゃーの家まで行ってるくらいだから望さんとも仲が良かったんだろうし、裏切られた側の対応としてはとてつもなく心が広い…

>>535二年組だと荒川さんや姫子ですかね？もしかしたら晩成の巽さんとかも…華菜ちゃんなんかは大卒プロのイメージはあります

537 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/06(木) 21:02:48.38 ID:VfFsckPA0

>>536
やっぱりその二人なんですか
特に姫子さんは哩さんと同じチームに入団してそうですからね
って言うか哩さんはどのチームに入団したんでしょう？
大宮、横浜、神戸じゃない事は解りますが
有り得そうなのは…つくば、大阪、松山、佐久、なんですが…如何でしょうか？

538 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/11(火) 17:44:19.20 ID:suj3US1j0

久しぶりにまとめ読みしに来ましたが、まだ続いててくれて嬉しい♪

洋榎とちゃちゃのんの絡みはやっぱ好き（原作の由子は想像の斜め上をいく性格でしたね）
実写化は〜〜〜 とりあえず咲ＳＳ界隈が賑わってくれるとすばらな感じですね（苦笑）

539 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:26:11.40 ID:XSbA0efh0

最新話で宮永家関連の大事な情報が出てきたりゆーきがスーパーかわいいことが改めてわかりましたね
最近ろくに時間もとれなし投下間隔もグダグダだけど本編の設定関係とか書くネタとかは考えていきたい…

これだけ過ぎるともう誕生日でも何でもないけど投下

540 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:27:45.99 ID:XSbA0efh0

玄「こんにちはー」

まこ「おう、いらっしゃい。 久しぶりじゃのう」

優希「待ってたじぇ！ おねーさんがたも元気そうだな」

灼「ん……勉強頑張ってる？」

優希「補習を受けない程度にな！」

咲「そういう灼ちゃんはどうなの？ 今日、平日だよ？」

灼「……大学生ってね、結構時間に融通がきくんだよ……ね？」

宥「う、うん。 大丈夫だよ？」

灼「いつもお昼寝したり友達と食べ歩きしてる宥さんが言うんだから間違いないよ」

宥「あ、灼ちゃん！？ ち、違うよ？ ちゃんとお勉強もしてるからね！？」

久「たまにはサボって遊ぶのもいいわよねぇ」

まこ「たまにならええじゃろうなあ……たまになら」

久「……なんでちょっと含みのある感じなのよ」

まこ「さてのう？」

京太郎「玄さんは今日はお仕事お休みなんすか？」

玄「うん、うちは平日の方がむしろ余裕あるし……穏乃ちゃんと憧ちゃんから預かってきたものもあるから！ はい、和ちゃん！ お誕生日おめでとう！」

和「ありがとうございます！ 遠いところわざわざ会いに来てくださって……うれしいです」

玄「えへへ、私も久しぶりに会えてうれしいな」

541 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:28:34.21 ID:XSbA0efh0

玄「で、これ……穏乃ちゃんから！ 服だって！」

和「穏乃が？ ……ふふ、珍しいですね。 昔はいつもジャージだった、のに……」

玄「これは……ジャージだね」

和「…………いえ、穏乃がくれたものですから！ もちろん、大切に使わせてもらいます！」

灼「憧も服だって言ってたけど……被ったというよりは被せた気が」

和「憧のセンスなら安心ですね。 私の方がよほどズレていますし」

咲「憧ちゃんはお洒落さんだもんね」

京太郎「お前も少しは見習ったらどうだ？」

咲「むっ……うるさいなあ、ほっといてよ」



久「今日はどうするの？ 日帰り？」

灼「いえ、さすがに日帰りはキツいので……」

宥「透華さんがお屋敷に泊めてくれるって言うから、お世話になることにしたんですよ」

久「ほほう？ 龍門渕さんのとこに？ それはそれは……」

優希「お泊まりだなんて……いやーんなイベントが起こっちゃうのか？」

京太郎「なんだと！？」

玄「ふぇ！？ え、いや、そんな！ そんなことはないよ！？ だ、だいたいお姉ちゃんと灼ちゃんも居るんだし！」

灼「邪魔なら宥さんと一緒に退散するけど」

宥「うゎゎ……玄ちゃんがまたひとつ大人に……」

玄「ま、待ってよぉ！ そ、そんなつもりなかったし！ ふ、普通にみんなでお喋りしたりしようよ！」

まこ「修学旅行かなんかかい」

久「お泊まり会なんてそんなもんじゃない？ ……楽しそうねぇ……私もお邪魔しちゃおうかしら？」

まこ「また急に無理なことを言うて……龍門渕さんの迷惑になるからやめんさい」

久「龍門渕さんなら普通に混ぜてくれると思うけどなー」

542 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:29:47.05 ID:XSbA0efh0

まこ「ま、とりあえずいつまでもこのままなのもなんじゃし、好きな席に座ってええよ。 飲み物も出すけえ」

灼「ん、ありがと……じゃ、久しぶりに打とっか」

咲「うん！ ふふ……私、また強くなったからね？ 負けないよっ」

宥「私たちだってインカレで鍛えてるんだよ！ 咲ちゃんもインハイで活躍してたけどそう簡単にはいかないからね」

優希「のどちゃん、先に打っていいじょ？ 今日の主役だからな！」

和「いいんですか？ それでは、お言葉に甘えて……」

玄「あ、染谷さん！ それじゃあ私、お給仕のお手伝いするよ！」

まこ「ほう？ それは助かるのう……それじゃあ、ちょっと奥でこれに着替えてきてもらってもええか？」

玄「え？ 着替え？」

まこ「うちの店の制服じゃけえ。 せっかくじゃし、のう？」

京太郎「はい！ 是非！ 玄さんなら絶対似合いますよ！」

玄「それじゃあ……着替えてくるね」

久「……まこも好きねぇ。 別に制服ではないでしょ、メイド服」

まこ「おう、わしゃあかわいい服着るのも着せるのも大好きじゃけえ……せっかく集めとるメイド服もタンスの肥やしじゃもったいないしのう」

京太郎「ち、ちなみに！ 今渡してたのは……」

まこ「和や咲によう着てもらっとる萌え系のやつじゃ」

京太郎「っしゃあ！」

久「……人のものなんだからさ、須賀くんも玄さんにどうこうするのやめなさいよ」

京太郎「いや、別にどうもしないっすよ？ たんに目の保養になることを喜んでいるだけで……だいたい萩原さんに勝てるはずが……」

優希「身の程を知るのはいいことだじょ？ ま、そのうちお前みたいなのが良いって言う酔狂な女も現れるだろうから気長に待つんだな」

京太郎「……なんか励まされてる気がしたけど実はお前、微妙にバカにしてるだろ？」

優希「おお！ そこに気づくとは成長したな！」

京太郎「優希！ てめぇこの野郎！」

543 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:30:56.67 ID:XSbA0efh0

玄「着替えてきたよー」

まこ「うん！ よう似合っとる！ ええか？ お客様がいらっしゃったら『お帰りなさいませ、ご主人様』じゃ」

玄「め、珍しい挨拶だね……うん、わかったよ！ おまかせあれ！」

灼「メイドさん、お茶」

玄「かしこまりました！ ご主人様！」

灼「……順応はや」

和「アリですね。 よく似合っています……玄さん、かわいいです」

咲「和ちゃんはああいうフリフリのかわいいの好きだよね……」

宥「咲ちゃんもああいうの似合うと思うけどなあ」

咲「わ、私は……もうちょっと普通の方が……」

灼「メイド服着てる時点で普通もなにもない気がするけど」

咲「そう言われると……メイド服なんてRoof-topとりゅーもんさんのお屋敷でしか見たことないなあ」

まこ「ああ、そうじゃ和。 今日は誕生日だしのう……わしのコレクションから一着好きなの持ってってええよ」

和「！？ いいんですか！？ ありがとうございます！！」

久「……今日一番の笑顔ね」

優希「むむ……負けてられんじょ」

まこ「和は喜んでくれるしよく似合うからこっちとしても悔い無くコレクションを放出できるってもんじゃ」

宥「……メイド服なんて、どこで着るの？」

和「普段着にします」

宥「普段着！？」

灼「そもそも普段着れる服が少なそうだよね」

和「ええ……その、サイズが……しかし、せっかくいただくのですし……どう使うかはしっかり考えないと……」

544 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:34:19.68 ID:XSbA0efh0

京太郎「玄さん！ 俺！ 俺もお茶欲しいです！ 」

玄「はーい！ かしこまりました、ご主人様！ すぐにお持ちしますね！」

京太郎「…………いやー……いいっすね、これ」

久「だからさあ……」

京太郎「いや！ なにも！ 邪な考えとか持ってませんし！ 俺はただ純粋に……！」

優希「その切り返しが邪な考え持ってますって言ってるようなもんだじぇ」

京太郎「ほんとに！ 純粋に玄さんかわいいなって！ メイドさんいいなって思っただけだから！」

宥「えへへ、かわいい自慢の妹なんですよ〜」

咲「ふふ、相変わらず仲よし姉妹なんですね」

宥「もちろん！ 咲ちゃんは？ どう？ お姉さんとは」

咲「はい！ 仲よくやってますよ！ お姉ちゃん、忙しいからたまにしか戻ってこれないけど……いつもおみやげとか買って帰ってきてくれて……」

灼「……おかしとか？」

咲「うん、この前はすっごく高そうなチョコレート持ってきて……」

灼「ひとりで食べてた？」

咲「……わ、私も少しもらったよ？」

和「自分で食べちゃうんですか……」

咲「お、お姉ちゃんあんまりおいしそうに食べるからもらうのもなんだか申し訳なくて……」

545 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:35:19.68 ID:XSbA0efh0

まこ「……それにしても、玄さんはよう働くのう……三人分ぐらいの戦力になりそうじゃ。 というか、これはバイト代出さんといかんなあ」

灼「時給ってどれくらいなの？ ちなみにうちはバイトの時給は……」

まこ「うんうん……そうじゃな、だいたい……人件費もなかなか遣り繰りがのう……」

玄「大変だよねぇ……というか、私がやりたくてやってるだけだから！ そんな気を使わなくていいよ」

まこ「いやいや、これはさすがにちょっとお手伝いの範囲外じゃろ……和にたまに来てもらうときだってちゃんとバイト代出しとるし……それこそ気にせんでええよ。 なんならデート代の足しにでもするとええ」

玄「で……！ そ、そんな、その……」

まこ「なんじゃ、違うんか？ 龍門渕さんたちも来る言うとったけえ……和の祝いっちゅうても運転手で来るじゃろ？」

玄「え、あー……その、はい……ありがとうございます……」

まこ「はは、なにもそんな照れんでもええじゃろ？ 付き合っとるんもみんな知っとるんじゃし、堂々としてりゃええ」

玄「そ、それはまあそうかもしれないけど……」

和「実際どうなんですか？ 私、気になります！」

玄「な、なにもそんなに食い付かなくても……」

和「どうなんですか！」

久「うんうん、私も気になるなぁ」

灼「どうなの？」

玄「え、その、えっと……」

咲「……京ちゃんは何か聞いてないの？ 萩原さんから」

京太郎「聞いてない。 聞きたくない！ のろけなんて！ しかも玄さんとの！」

久「僻んでばっかいないで少しは話聞いて女心を学んだ方がいいんじゃない？」

優希「京太郎に理解できるものとも思えんがなー」

京太郎「くっそー……俺だってそのうちかわいくて巨乳の彼女を作ってやる……！」

546 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:36:28.64 ID:XSbA0efh0

透華「失礼いたします。 本日はお招きしていただきありがとうございます」

まこ「おう、いらっしゃい」

玄「お帰りなさいませ、ご主人様！」

ハギヨシ「え…………」

玄「す、すみません…… つい反射的に……」

透華「玄さん！ 旅館の女将は廃業ですの！？ メイドになるなら是非龍門渕の屋敷で……！ 私がご主人様にならせていただきますわ！」

玄「え！？ え、その……」

透華「もちろん住み込みで！ 部屋ならすぐに用意しますわ！ いえ、二人の新居を用意した方がよろしいのでしょうか！？ 挙式の費用だって私が……！」

玄「挙式！？ そ、そんな、気が早……というか、そもそも女将は廃業してなくって、えっと、その、ですから……！」

ハギヨシ「透華お嬢様、玄さんも、一度落ち着いて……」

京太郎「萩原さぁぁぁん！」

ハギヨシ「は、はい？」

京太郎「許しませんよ！ 俺は！ 玄さんとメイドさんプレイだなんて！ 羨ましい！ じゃない、いかがわしいですよそんな！」

ハギヨシ「は……？ め、メイドさんプレイ……？」

京太郎「するんでしょ！？」

ハギヨシ「しませんよ！？」

京太郎「嘘だ！ するに決まってる！ 俺だったらしたいもん！」

一「別に改めてやらなくても萩原さんはうちのメイドさんたちにモテモテだしなぁ……」

京太郎「毎日がメイドさんプレイ！？」

ハギヨシ「仕事ですよ！」

智紀「なるほど、趣味と仕事の両立……」

ハギヨシ「たしかに仕事は趣味のようなものですが……それは違いますよね？」

547 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:37:34.87 ID:XSbA0efh0

衣「ののかー！ 咲ー！ 久しぶりだな！ 遊びに……いや、祝いに来たぞ！」

和「ありがとうございます、天江さん。 うれしいです！」

咲「久しぶりだね、衣ちゃん」

衣「ちゃんではなく！ 衣は大学生なんだぞ？ 衣お姉さんと呼べ！」

咲「あはは……ごめんね、衣ちゃん」

衣「だからちゃんではなく！」

優希「おう、衣ちゃん！ タコス食うか？ おいしいじょ！」

衣「おお、優希！ ありがたくいただくぞ！」

灼「食べ物につられてちゃん呼びを許容する衣お姉さんかわいい」

宥「天江さんこんにちは……えへへ、打つ？ 交替しよっか？」

衣「いいのか？ 衣も打ちたい！」

宥「じゃあ、はい。 ここにどうぞ！」

衣「うむ！ 失礼するぞ！」

灼「あ……！ ず、ずるい！ 宥さんずるい！ 膝の上に衣お姉さん乗せるのずるい！」

宥「えっへっへ、いいでしょー」

灼「……いいなぁ」

優希「灼おねーさん！ 任せろ！ まだ私がいるじぇ！」

灼「！ 優希！」

優希「いっくじぇー！」

548 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:38:28.86 ID:XSbA0efh0

灼「……前が見えない」

優希「身長同じくらいだしそうなるだろうな！」

和「……ゆーき、灼さんの迷惑になっちゃいますからほどほどにしてくださいね」

優希「のどちゃん……悪いが、エトペンをどかしてくれないとそっちには行けないじょ？」

和「べ、別にこっちに来てほしいだなんて言ってないじゃないですか！」

優希「顔を見ればわかるじょ」

咲「いいな……って顔してたよ。 っていうかしてるよ」

和「えぇ！？ し、してませんよ……」

宥「……和ちゃんもかわいくてだっこしたくなるなあ」

和「え……そ、そんな、私は……え、遠慮しておきます……」

咲「和ちゃん、それカン！ ツモ、嶺上開花！」

和「えぇ！？」

久「久しぶりにリアルの情報に惑わされたわね？ ダメよ〜集中しないと」

和「うう……精進します……」

衣「しっかりしろののか！ せっかく遊びに来たんだから十全な状態で相手してもらわなければ困る！」

和「面目ないです……」

衣「これからも麻雀は続けるのだろう？ これは衣にしても同じことだが、強者との戦いは成長の糧になるからな。 真剣に臨んだ方が身のためだぞ？」

和「はい……仰る通りです。 ここからは、しっかりお相手させていただきますから」

549 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:39:43.08 ID:XSbA0efh0

灼「……そういえば」

和「はい？」

灼「進路は、やっぱりプロに？」

和「私は……はい、プロ志望です。 将来の夢、というのは色々とありましたが……麻雀プロは、今を逃すとタイミングも難しくなるでしょうし」

久「前に色々言ってたわねぇ……学校の先生とか、お嫁さんとか？」

宥「お嫁さんになる機会はまだまだありそうだねぇ」

和「え、あぅ……その、それに関しては今は相手の方がいませんので……」

優希「のどちゃんなら男なんか選び放題だじょ！ のんびり探せばいいじぇ」

灼「優希は純くんに誘われてるんだよね？ どうするの？」

優希「よくぞ聞いてくれた！ 私は卒業したらあっちに行くつもりだじょ！ 腕を磨いてくるじぇ……世界を知って一回りも二回りも大きくなって帰ってくるじょ！」

和「……本当に行っちゃうんですか？ ゆーきなら、いまのままでもプロでも通用すると思いますが……」

優希「たしかに、ある程度は通用するだろうが……今のままじゃのどちゃんや咲ちゃんに勝ち越せないからな！ 私はまだまだ強くなる必要があるのだ！」

和「……ゆーきが行っちゃったら、寂しいです」

優希「かわいいやつめ！ 安心しろ！ 私たちの友情に変わりはないじょ！」

和「……ゆーきぃ…………」

優希「……よっと……灼おねーさん、失礼したじょ」

灼「ん」

優希「ま、私ものどちゃんや咲ちゃんたちと離れると寂しくなるしな……今のうちにいちゃついておくじぇ。 すまんなエトペン！ ちょっと退いてもらうじぇ」

和「……ゆーき！」

優希「……おっぱいがでかすぎて座りにくいな！」

和「す、すみません……」

550 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:40:49.94 ID:XSbA0efh0

咲「もう……和ちゃん、今から泣きそうなんだもん。 私だって寂しいけどさ」

優希「のどちゃんは泣き虫だからなぁ」

和「泣いてません！ 泣き虫じゃないですから！」

衣「純のことを頼むぞ、優希。 しっかり修行はしてるだろうが、純はだらしないところがあるからな。 面倒を見てやってくれ」

優希「んー……まあ、麻雀以外は右も左もわからんしあちらで面倒を見てもらうのは私だろうが…………代わりに身の回りの世話をしてやるってのはごめんだじぇ。 麻雀しに行くんだからな！」

和「ゆーき、自分の部屋はちゃんとお片付けしないとダメですよ？」

灼「掃除とか洗濯なら憧がやるんじゃない？ 点数稼ぎに」

宥「そ、その言い方はどうかなあ……たしかに、憧ちゃんはそういうとこ頑張るタイプだと思うけど……」

咲「憧ちゃんもあっち行くんだ……優希ちゃんも心強いね」

優希「おう！ 一緒に強くなって帰ってくるじょ！」

和「そうですか、憧も……憧はあちらでいろいろ頑張らないとですね」

久「いろいろ空回りして変に疲れちゃわないといいけどねえ」

灼「麻雀の方がメイン……のはずだから、まあ変に心配しなくてもいいんじゃないかな」

まこ「あっちでの生活がどうなるんかは正直全然予想もつかんが……応援しとるけえ、こっちから送れるもんとかあったらいくらでも送っちゃるからな。 たまには連絡寄越すんじゃぞ」

優希「うん！ ……って、染谷先輩も気が早いじょ。 まだ少し先の話だじぇ？」

まこ「ふっ……そうじゃったのう。 まずはしっかり卒業せんとな。 成績は大丈夫なんか？」

優希「う……も、もちろん平気だじょ？ 今年は勉強も頑張ったし……この間の定期テストだって赤点取らなかったし！」

咲「勉強、一緒に頑張ったもんね」

和「普段からちゃんとやってればあんなに苦労しなくても済んだんですよ？」

優希「……むしろ今回は普段頑張ってたからのどちゃんと咲ちゃんとの勉強合宿でなんとかなったと思ってたじぇ……」

和「……そ、そうでしたか…………いえ、私もゆーきは勉強も頑張るようになったなーと思ってはいましたが、その……」

灼「フォロー苦しそ」

宥「嫌な認識の差があったねぇ……」

551 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:42:04.53 ID:XSbA0efh0

優希「……頑張ってたんだけどな……特に、二年の後半ぐらいから……」

和「そ、そうですよね！ 部長を引き継いでからは特に勉強にも力を入れてましたし……！」

優希「……うぅ…………」

和「あの、えっと……ゆ、ゆーきぃ…………」

灼「…………咲は？」

咲「え？ 何が？」

灼「進路。 プロ？」

咲「……私は考え中かな。 お姉ちゃんの話も聞いてみたりして……ギリギリまで考えるつもり」

灼「そか」

和「さ、咲さんならお姉さんみたいにプロ入りしてからすぐにでも活躍できると思いますけど！」

優希「……そうだよな。 まあ、進路のことだし悩むのもわかるけど……」

和「ですよね！ そうですよね、ゆーき！」

優希「お、おう……どうしたのどちゃん？」

和「いえ、なにも！」

宥「大切なことだからね、たくさん悩んでいいんだよ〜」

久「プロ行くかどうかなんて、それこそ活躍中のお姉さんもいるんだしね。いろんな話を聞いてみるといいと思うわ。 なんなら靖子でも呼びつける？」

衣「いらん！ 余計なことはするな！」

久「あっはは、靖子のやつ相変わらず嫌われてるわねー」

まこ「というかな、プロ雀士じゃぞ？ 忙しいじゃろうしそう気安く呼びつけるもんじゃないわ」

靖子「どうもー、いつものよろしく」

まこ「…………いらっしゃいませ、カツ丼ですね」

552 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:43:12.59 ID:XSbA0efh0

優希「……プロ雀士って暇なんだな」

宥「ふふ、いいねえ……それなら私もプロになって対局時間以外はのんびりお昼寝とかしたいなぁ」

久「タイミングよく現れたわね！ 暇なの？ 暇よね？ ちょっとこっち来なさい！」

靖子「あぁ？ ……なんだ、なんか勢揃いだな……赤土さんのとこの子達までいるし……そっちで龍門渕たちも騒いでるし」

和「え？」



透華「大丈夫ですわ！ お給料だってたくさん出せますし苦労はさせませんわ！ 家族で友達ですものね！」

玄「あ、あの！ そりゃあ、と、友達ですけど……か、家族って……」

透華「いずれはそうなるのですから！ ああ、私は後々龍門渕を継ぐことにはなるでしょうがやはりハギヨシは兄のようなものですし玄さんのことはお姉さまとお呼びした方がよろしいのでしょうか？ そうなれば宥さんも私のお姉さまですわね！ 大変喜ばしいですわ！」

玄「あ、あの、えっと、えっと……そのぅ……えへへ……じゃなくって！ だから、女将は廃業していなくて……！」



ハギヨシ「いいですか？ なにか勘違いなされているようですがメイドという職業は須賀くんが思い描いているようないかがわしい職ではなく……」

京太郎「なに言ってるんですか！ メイドさんはエロいじゃないですか！」

ハギヨシ「……えー、多少違いますが……そう、私は執事でしょう？ 私の女性版がメイドだと思っていただければ……」

智紀「……メイドのハードル上げないでください」

一「萩原さんレベルの働きを期待されたらボクたちなんにもできなくなっちゃうよね……」

京太郎「萩原さんの女版……？ …………！？ 見損ないましたよ萩原さん！」

ハギヨシ「……はい？」

京太郎「つまり、玄さんと付き合ってるのに毎日龍門渕さんと執事プレイをしてるってことでしょう！？」

ハギヨシ「だから仕事なんですよ！ プレイではなく！」

553 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:44:11.24 ID:XSbA0efh0

灼「……透華さん、いい感じにハッスルしてるね」

宥「えへへ、私が透華さんのお姉さんかぁ……ふふふ……」

咲「……京ちゃんが凄く恥ずかしいハッスルしてるんだけど」

優希「よし！ 他人のふりだ！」

和「嫌ですね、あの男性……染谷先輩のお店であんなに大騒ぎして……」

咲「既に他人モードだ！？」

靖子「……なあ、衣はいないのか？ 井上も見当たらないが、珍しいな」

和「えっ？ 天江さんなら先ほどまで宥さんの膝の上に……」

宥「あれ？ おかしいなぁ……さっきまでだっこしてたのに……」

まこ「カツ丼来ましたよ。どうぞ……藤田プロ、あっち」

靖子「ありがと……ん？」

衣「…………」

靖子「こーろーもー！ なに隠れてんだよ！ 耳が見えてるぞぉ〜？」

衣「なっ！ ふ、不覚……見つかるとは……って離せー！ 抱えるな！ な、撫でるなぁ……！」

靖子「いいじゃないか。 さっきまで松実にだっこされてたんだろー？ 私がやってもいいじゃないかよー」

久「……あんまり役に立たなそうね！」

咲「い、いえ……そんなことは……」

靖子「で、なんなの？ 私に用事？」

久「私のかわいい後輩が進路に悩んでるのよ。 プロの話してあげてよ。 っていうか真面目に話してくれるなら私も聞きたいし」

靖子「なんだよ、私がいつも真面目じゃないみたいな言い方するなよな。 特訓だってしっかり付き合ったじゃないか……なあ？」

咲「……は、はい！ そうですね！」

久「……カツ丼食べつつの天江さん撫でつつだと全くもって説得力ないわよ」

554 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:45:18.19 ID:XSbA0efh0

衣「うぅ……そ、それにしても、すまんなののか。 祝いに来たというに、透華は玄に構いっぱなしだ」

和「い、いえ……その、天江さん、大丈夫ですか？」

衣「な、なんのことだ？ 意味がわからん」

靖子「お？ なんだ？ 無視することにしたのか？ 冷たいなあ……私は寂しいぞ」

衣「あぅ……な、撫でるなって……！ いや、その、プレゼントを持ってきたのだが……ハギヨシ、は……」



京太郎「いや、だからそもそもの前提がおかしいんですよ！ メイドさんはエロいものでしょう？」

ハギヨシ「いや、ですから須賀くんのその先入観がまず間違っていまして……なんでそういうものってことになってるんですか……？」

京太郎「お金持ちの家のメイドさんなんてみんな美人でちょっとえっちなメイド服着てるに決まってるじゃないですか！」

ハギヨシ「……ああ、もう……なんと言えばいいのか……」

京太郎「玄さんが今着てるみたいな！ ちょっとフリフリで胸とか強調されるやつでしょ？ 知ってるんですよ、俺は！」

ハギヨシ「龍門渕の何を知っていると……というか、お屋敷のメイドの制服は……そう、染谷さんが今着ておられるものに近いもので……」

京太郎「それはそれでエロい！」

ハギヨシ「もうなんでもいいんじゃないですか！」

一「でもまあ、容姿のレベルもけっこう高い子揃ってるんじゃない？ ボク、黒髪ロングで美人の巨乳の子に心当たりがあるよ」

京太郎「！？ ほら！！ やっぱり！！」

智紀「……そんな子いた？ メイド服に関しては普通だと思うけど……そう、かわいくて私服がちょっとえっちな……いや、明らかにアウトな子には私も心当たりがあるけど」

京太郎「ほら！ ほら！！ やっぱりいるんじゃないですか！！」

ハギヨシ「…………」

一「そんな子いた？ って……はぁ、ともきーはほんと……っていうか私服変な子とかいたっけ？ みんな普通じゃない？」

智紀「……ノーコメントで」



衣「……どうやら忙しそうなのであとで渡させてもらおう。 少々大きいのでな」

和「ありがとうございます……すみません、気を遣わせてしまって」

衣「気にするな！ 友達だろう？」

和「……はい！」

555 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:46:20.11 ID:XSbA0efh0

まこ「…………」

久「なぁに微妙な顔してんのよ？」

まこ「いや……のう？ 半ば趣味、半ば客引きでこれを着てるわけじゃが……」

久「大丈夫よ！ 少なくとも身内にメイド服に思いっきり釣られてる男がいたじゃないの」

まこ「……だからこそちょっと複雑な気分な訳じゃが」

久「うーん……しかし、そういう目で見てみるとまこってたしかにけっこう色っぽいかも……」

まこ「……やめんか、気色悪い」

宥「でもでも、メイド服似合ってるしかわいいよ〜」

和「アリですよね！」

まこ「そう言ってもらえるんはうれしいがなぁ……」

久「ちょっと！ 私だって褒めてるじゃないの！ 喜びなさいよ！」

まこ「いや、あんたのはなんか違うじゃろ……」

灼「まこはメイド長感あるよね。 というかお母さんだよね」

まこ「……それは褒めとるんか？」

優希「染谷先輩のメイド服姿、すっごくセクシーだじぇ！」

まこ「ほうかい、ありがとなあ」

久「ちょっと！ なんで優希のそれがよくて私のは違うってなるわけ！？」

まこ「いや、さっきみたいにガチっぽく言われるとなんか本気で引くんじゃが」

久「それじゃあ私はどうやってまこを褒めればいいのよ！？」

まこ「いや、怒られても……」

556 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:47:34.16 ID:XSbA0efh0

透華「原村和！」

和「あ……龍門渕さん」

透華「お誕生日おめでとうございます！ とてもめでたいので私からバースデーソングをお贈りしても？」

和「ありがとうございま……え！？ その、歌は……お気持ちだけで十分ですので……」

透華「あら、そうですの？ 遠慮なさらなくてもよろしいのに……」

玄「う、歌はさすがにお祝いされる方も気恥ずかしいと思いますよ……」

灼「話、まとまったの？」

透華「玄さんは松実館の若女将を続けるということですので、メイドとして屋敷で働いていただくことは諦めましたわ……」

玄「その、お話自体は大変魅力的なんですけど……私も大切な家のことですから……」

透華「はい。 しかし、気が変わったらおっしゃってくださいね？ いつでも大歓迎ですわ！ ……原村和！ 貴女も進路に迷いがあるのならばうちでメイドとして使ってあげてもよろしくてよ！」

和「ふふ、ありがとうございます。 しかし、私は進路はプロ志望ですので……メイド服は着てみたいですが」

透華「……そう、プロに……少し残念ですわね。 進学するのでしたらインカレでまたすぐに競えたのですが」

玄「和ちゃんならきっとすぐに活躍できるよ！ 赤土先生と打ったりもするのかなあ」

和「無事にプロになれたらそういうこともあるかもしれませんね……私の希望としては、同じチームで一緒に打てたらうれしいですけど……」

透華「ハートビーツ希望ですのね」

和「はい！ ……赤土先生がいらっしゃいますし……それに私、はやりんの、瑞原プロのファンなので……」

透華「瑞原プロの試合は私も参考にさせていただいておりますわ！ 牌のお姉さんとしての活動も……パイの…………」

和「……どうかしましたか？」

透華「くっ……勝ったと思わないでくださいなっ！ わ、私だって、まだ、成長する可能性はなくはないですものっ！」

和「な、なんの話でしょうか？」

灼「……ちょっと成長したぐらいじゃ和には勝てな」

玄「み、瑞原プロと和ちゃんが同じチームに……！？」

557 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:48:40.90 ID:XSbA0efh0

玄「…………」

玄「………………」

玄「……………………」

玄「それは素晴らしいね！ 最高だよっ！ ハートビーツに入れるといいねっ！ 私、試合も絶対応援に行くからっ！」

和「あ……あ、ありがとうございます……」

灼「……玄、また病気が出てるよ」

玄「病気じゃないもん！ 和ちゃんもはやりんも素晴らしいおもちが……！」

灼「変な子だと思われるよ……彼氏に」

玄「！ あ、いや！ その、私は……おもちが……は、萩原さん……！」

ハギヨシ「は、はい？ なんでしょうか？」

玄「え……いや、えっと…………き、聞いてなかったのなら大丈夫です……」

ハギヨシ「そ、そうですか。 すみません……ちょっと須賀くんが……」

京太郎「ほら！ ほら！ 見てくださいよ萩原さん！ 玄さんのこのメイド服姿！ どうですか！？」

玄「えっ！？ ……そ、その、どうでしょうか？ 変じゃないですか？」

ハギヨシ「よく似合ってますよ。 かわいいです」

玄「えへへ、そうですか？ ありがとうございます！」

京太郎「って違う！ なにいちゃついてんですか！」

ハギヨシ「違う……？ 私はよく似合っていると思ったのですが……」

玄「い、いまいちだった……かな？」

京太郎「違いますよ！ 俺も凄くいいと思いますけど！ そういうことではなくって！」

ハギヨシ「では、いったい……？」

京太郎「いちいちいちゃつくなって言ってるんですよ！ 僻んでるんですよ！」

一「須賀くんって良くも悪くも素直だよね」

智紀「リア充爆発しろ」

灼「ともきーもそっちなんだ」

智紀「私、引きこもり長いからつい……」

灼「……彼氏欲しいの？」

智紀「…………そういう気持ちがないことはない。 透華たちに会った時と同じように、世界が広がると思う」

558 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:50:17.05 ID:XSbA0efh0

京太郎「はい！ はいはい！ ヘイヘイヘイ！ 俺！ 俺とかどうですか！」

智紀「ごめん無理」

京太郎「即答！？」

智紀「馬鹿はちょっと……」

京太郎「結構酷いこと言われた！？」

和「わかります」

京太郎「しかも力強く肯定された！？」

灼「言われても仕方ないと思」

京太郎「そこまで言います！？」

灼「……じゃあ……そうだね、黙ってればいい男に見えないこともなくはないから。 そのうちいいことあるよ」

京太郎「励ましが雑！ でもありがとうございます！？」

久「ほら、灼がこう言ってるのよ？ 少し黙ってみたら？」

京太郎「了解です！」

一「……まあ、ボクは普通にいちゃついてていいと思うよ？ たまにしか会えないんだし」

玄「で、でも……みんなの前でベタベタするのはちょっと……」

透華「存分にベタベタすればよろしいのに……」

久「というか、二人の時はベタベタしてるのね？」

玄「ふぇ！？ そ、そういう意味では……」

灼「ベタベタしてるんですか？」

ハギヨシ「え…………」

灼「してるんですか？」

ハギヨシ「……してない、とは言いませんが……」

京太郎「してるのかよ！？ 羨ましいな畜生！！」

久「やっぱり黙っていられないのね……」

559 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:51:43.35 ID:XSbA0efh0

灼「へえ」

まこ「ほう」

和「そうなんですか」

優希「なるほどなー」

玄「え、あう……その……ち、違うの！ 月に一回とか二回とかしか会えないし……だから私、つい……」

灼「……いや、なにが違うの？」

和「玄さんから……積極的なんですね」

玄「あぅぅ……ちょ、ちょっと待って！ 今のなしで！」

優希「そいつは無理な相談だじぇ……で？ どんな感じなんだ？」

玄「も、黙秘！ 黙秘するよ！ 恥ずかしいもん！」

灼「玄は喋らせれば喋らせるだけボロ出すよ」

まこ「ベタベタって、具体的にはどんなもんじゃ？」

和「私も気になります！ ……く、玄さん！ その、仲がいいのは良いことだと思いますが……だ、ダメですよ！ 節度を持ったお付き合いをしないと！」

透華「安心なさいな原村和！ ハギヨシはしっかり責任を取ります！」

宥「わ、私！ いつ年上の弟ができても良いように覚悟してるからね、玄ちゃん！」

玄「気が早すぎるよお姉ちゃん！」

一「……なんか、すごい勢いで外堀固められてるって言うか……逃げられそうにないですね？」

ハギヨシ「……逃げ出すつもりはありませんが…………それに、ああなってしまうと玄さんも逃げられないでしょうし」

智紀「あっちから逃げてくのは……今のところ想像つかない」

久「玄さんも一途だもんねぇ……月に一、二回会ってるって結構頑張ってるんじゃないですか？ そこそこ距離もあるし大変そうですけど」

ハギヨシ「玄さんとお付き合いをさせていただくまでは、休日は資格取得の勉強などに当てていましたので……その時間を玄さんに会うために使っているだけですので。 特に大変とは……」

京太郎「……あの、凄く気になるんですけど……資格ってどんな？」

ハギヨシ「役に立ちそうなものを片っ端から……」

一「萩原さん一人いればだいたいどうにかなるもんね……SP、通訳、事務仕事も完璧だし……」

智紀「家事全般もメイドたちよりクオリティ高いし……」

久「……前から思ってたんですけど、何者なんですか？」

ハギヨシ「ただの執事ですよ」

京太郎「執事ってすごいんだなぁ……」

一「……そんな執事、たぶん萩原さんだけだよ」

560 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:53:20.02 ID:XSbA0efh0

透華「ああ、それで話を戻させていただきますが……原村和！」

和「は、はい！ なんでしょう？」

優希「龍門渕のおねーさん、のどちゃんは今玄おねーさんの恋バナに興味津々だじょ？」

透華「あら、そうなんですの？ まあ、私も興味がありますけど……」

和「い、いえ！ 大丈夫ですから！ どうぞ！ ……ゆーきも、へ、変なこと言わないでください！」

優希「んー？ 別に変なことを言ったつもりはないんだがなあ……」

宥「やっぱり気になるよねぇ……私も玄ちゃんがうまくやれてるのか心配で心配で……」

和「うぅ……様子を見るにうまくやってそうですが……」

透華「ええ、問題ないでしょう。 あの二人ならきっと円満な家庭を築いてくれますわ！」

宥「うーん……私としては、やっぱり最初は女の子がいいかなあ……玄ちゃんに似ても萩原さんに似てもかわいい姪っ子になるとおもうんだよねえ」

優希「だから二人は気が早すぎるじょ……当人同士も困ると思うじぇ？」

透華「……そうですわね。 ここは静かに見守るとしましょう」

優希「表情からして事あるごとに口出しするのが目に見えるじぇ……」

透華「……では、改めまして……原村和！」

和「は、はいっ！」

透華「プロになるということですが……」

宥「……あの、ごめんね？ ちょっと割り込んじゃうけど……」

透華「……はい？ 宥さん、どうかされましたか？」

宥「私、良くないと思うんです……」

透華「な……なんでしょうか？ 私にどこか手落ちがありましたか？」

宥「うーん……その、原村和！ って、ビシッとフルネームで呼びつけるの、私は良くないと思います。 攻撃的な感じ、するもん」

透華「う……いえ、しかしですね……」

和「あ、あの……私は全然気にしてませんから……」

宥「だーめっ！ みんなで仲良くするのが一番だもん……透華さんも、本当は和ちゃんの事好きなんですから……」

透華「な……っ！？ ななな、何を仰いますの！？ わ、私！ 原村和のことなんて全然好きじゃありませんからねっ！」

宥「ふふ、私知ってますよ？ それって大好きって意味ですもんね。 小走さんとかもそういう言い方するんだよねぇ」

透華「な、なんっ……わ、わたくし、べつに、そんな……そのような、アレでは……」

561 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:54:33.65 ID:XSbA0efh0

優希「……正直、それは透けて見えてたからそこまで気にすることはないじょ？」

透華「なっ！？ な、なんっ……〜〜！！」

宥「透華さんは、これからは和ちゃんのことちゃんと和ちゃん、って呼びましょう！ あ、名前で呼び捨ての方がらしいのかなあ？」

透華「い、いや、ですが……そ、それは、なんというか、今さら呼び方を変えるのも……違和感と言いますか……」

和「……私も、昔は咲さんの事を宮永さんと呼んでいて、変えるのは妙に照れ臭かったのを覚えています」

透華「そ、そうでしょう！？ なにも、今さら無理に変えなくても……」

和「こ、こういう切っ掛けがないと難しいことですから……わ、私は……その、引っ込み思案で、友人を作るのも下手ですから……集まると、いつも絡んでくれるりゅ……と、透華さんにはとても感謝してます……」

透華「な、なな、なななな……！」

優希「おおう、のどちゃんも龍門渕のおねーさんも真っ赤だじぇ」

和「ゆ、ゆーきは余計なことを言わないでください！ 怒りますよっ！」

優希「もう怒ってるじょ……」

宥「それじゃあ、ほら、透華さんも！」

透華「い、いえ、しかし……」

宥「和ちゃんは素直にできたのになぁ……」

智紀「透華……原村さんにはできたのにできないんだ……」

透華「なっ！？ と、智紀！ 何を言いますの！？ は、原村和にできて私にできないわけが……！」

宥「あっ、ダメですよ透華さん。 またフルネームで呼びつけて……」

透華「むっ……むむ……その、それでは……の、のどっ……」

和「…………！」

透華「の、の、のの……のど…………」

和「…………！！」

宥「透華さん！ 頑張って！」

優希「のどちゃんまでそわそわしすぎだじょ」

透華「……は、ハギヨシっ！ 喉が渇きましたわっ！ お茶でも淹れてくださいなっ！」

ハギヨシ「かしこまりました、透華お嬢様」

宥「…………」

智紀「…………」

透華「……な、なんですのっ！？」

智紀「……ヘタレ」

宥「がっかりです……」

透華「んなっ！？」

和「…………」

優希「のどちゃんも心なしかしゅんとしてるな」

和「そ、そんなことありませんよ？」

562 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:55:30.35 ID:XSbA0efh0

透華「と、とにかくっ！ 私もいずれ必ずプロの世界に殴り込みをかけますわっ！」

和「え……？ でも、と……透華さんは、龍門渕グループを継がれるのでは……？」

透華「ぅ……え、ええ！ それはもちろんそうなのですが……ま、まあ、麻雀プロ界へ殴り込みと言っても色々なやり方があると言うことです……私らしい、スケールの大きな殴り込みをして見せますわっ！」

和「……透華さんがどんなことを考えているのか私にはわかりませんが、透華さんがそう仰られるのなら、きっとすごいことをしてくれるのでしょうね」

透華「ええ、当然ですわっ！ ですから、先にプロの世界で私を待ってなさいな、和！」

和「あっ……は、はいっ！」

ハギヨシ「透華お嬢様、お茶の用意ができました」

透華「あ、ありがとうございますっ！ そ、それでは私、少し失礼しますわっ！」

宥「……透華さんは照れ屋さんだねぇ」

智紀「透華はずっと……なんというか、そう……原村さんのファンだから」

和「えっ？ そ、そうなんですか？」

一「……どっちかと言うと、のどっちのね。 打ち筋で特定するぐらい」

和「え……そんな、わかるものなんですか？」

一「……のどっちは……原村さんは完璧なデジタル打ちでしょ？ 透華の目指してるところはそこだから……目立つためにブレたりするけど」

宥「……どうしたの？ 国広さん、そんな不機嫌そうな……」

智紀「やきもち」

一「うるさいなあ……べつに、いいでしょ！」

優希「ふむ……まあ、私としてもちょっとは妬けるな。 でも、それ以上に良かったな、のどちゃん！ 龍門渕のおねーさんともこれで
マブダチって感じだじょ！」

和「そ、そうでしょうか……？ でも、はい……名前で呼び合うと、やはり以前よりも親しい感じがしますよねっ」

宥「うんっ！ よかったあ、透華さんが素直になれて」

和「ふふ、宥さんには感謝ですね。 お陰で素敵な友人ができました」

宥「たまたまだよ。 今まで切っ掛けがなかっただけだもん」

和「いえ、それでもありがとうございます。 とっても素敵な誕生日プレゼントでした」

宥「あっ！ 誕生日プレゼントと言えば……」

563 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 01:56:56.83 ID:XSbA0efh0

――――――

穏乃「あっ！ 憧！和から連絡来たよっ！」

憧「とうとう来たわね……」

初瀬「ん？ 原村和？ なんかあるの？」

穏乃「今日誕生日なんだっ！ 二人で別々に服を贈ったから、私のと憧のどっちを気に入るか勝負！ なんだ！」

憧「いやいや、さすがにしずのジャージには負けないっつーの……ほら、和に言ってよ。 気に入った方着て写メ撮って送って、って！」

穏乃「よぉし……言っておくけど、私、自信あるから！」

初瀬「盛り上がるのはいいけど、穏乃はちゃんと過去問解いてね……憧、これ東京の大星淡の牌譜。 今年のインハイ分ね。 言うまでもなく読み込んでると思うけど……」

憧「ん、大丈夫。 東京はどっかで当たる相手だからねぇ……何回でも確認するだけ損はないっしょ」

穏乃「……ねえ、私本当に初瀬と同じ学校行けるの……？ ちょっと意味わかんないんだけど……」

初瀬「県内で一番麻雀強いとこってここだよ？ ほぼほぼ晩成の生徒も流れるし……ま、勉強は頑張らないとねー」

穏乃「うぅ……やっぱりもうちょっと基礎しっかりさせないと厳しいかなぁ……」

初瀬「晩成受けるよりは楽だと思うけどね……推薦通ると思うけど、だからって今手を抜くとあとで絶対後悔するよー」

穏乃「わかってる！ 頑張るよ！ ……頑張るけど…………あっ！ 憧！ 来たよ、返信っ！」

憧「来たかっ！ ……ま、見るまでもないけどね。 あのフリフリ好きの和だよ？ 私の趣味からは外れるけどかなり好み寄せて選んだしジャージに負けるわけ……」

穏乃「よっしゃあ！ ジャージ来た着た来たぁ！」

憧「うっそでしょ！？ え！？ なんで！？ ちょ、携帯貸してっ！」

和『ありがとうございます、とても着心地もいいです。 大切に使わせてもらいます』

憧「……いや、いやいや！ なんで！？ ……な、なんでジャージを……っと……」

和『すみません、憧が贈ってくれた服はとても好みで気に入ったのですが……胸がつっかえてしまって……』

憧「…………」

初瀬「あー……まあ、あの胸じゃね……仕方ないんじゃない？」

穏乃「伸縮自在のパーフェクトなジャージを贈った私に隙はなかった！」

憧「…………む、むねって…………つっかえるって…………」

穏乃「仕方ないって！ 元気出せ！」

憧「……巨乳なんて大っ嫌い！」

穏乃「和は？」

憧「好きだけど！ ふざけんなもう！ ありえないでしょ！！」


カン！

564 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/13(木) 02:04:36.82 ID:XSbA0efh0

そういえば、本編は単行本出るからっぽいですがしばらく休載みたいですね。またシノハユと咲日和だけを燃料に過ごす日々が…
実写は追加情報いつになったら出るのでしょうか…なにもないと判断できない…

地味にゆーきは照＝咲の姉で認識してたけど咲が話してる描写なかった気がするんですが見落とし？アニメ一期の原作とズレる部分でもゆーきはいなかった気が…
まあゆーきかわいいからいいか！

565 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/13(木) 02:07:44.73 ID:wONy3ns5o

乙
穏乃にしては頭使ったなぁ（猿並感）

566 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/13(木) 08:20:29.61 ID:V8o3UcyAO

乙だじぇ

567 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/13(木) 09:57:43.23 ID:cPKeqnhzo

乙です乙です

568 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/13(木) 10:39:15.75 ID:/AuoC1rA0

乙です
ふんふむ…この世界ののどっちさんはてっきり神泉(はやりんの出身大学)の法学部を目指して居るのかと思ったんですが
直接プロ入りを目指すんですね
ま…恵さんから｢大学には行っておけ…｣と言われてそうですが
所で…ユキは神泉(はやりんの出身大学)を目指して居たりするんでしょうか？
其れともプロ入りを目指して居るんでしょうか？

569 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/22(土) 09:23:29.15 ID:tXMXhkSA0

さて…咲さんの誕生日が近づいて居ますが
すばら先輩&友清朱里さんを出して欲しいですね！
其れで話の中身は佐久のホームゲームを咲さん達が観戦するって事で
対局チームは照姉さんが居る横浜と哩姫が所属するチームとはやりん率いる大宮と勿論ホームの佐久でお願い致します！

570 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:18:11.09 ID:ZmR+mVPo0

かわいいは無敵、無敵と言えば閑無ちゃん、つまり閑無ちゃんかわいいの隙のない理論
慕ちゃんのはやりちゃんに対する男子目線は、慕ちゃん的な女子の理想像がはやりちゃんなのかなーとか思ったり

さきたんイェイ〜
誕生日に合わせて実写キャストも発表来ましたが結構似せる努力してきたなーとは
文堂さんそっくりでちょっと笑いました

571 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:19:33.20 ID:ZmR+mVPo0

晴絵「あー…………」

菫「お疲れさまです、ハルちゃん」

はやり「はるえちゃんお疲れさま！ 大丈夫？」

晴絵「今日はマジで疲れた……つーか稼ぎ負けたの超悔しい……」

はやり「先鋒うたちゃんは鉄板にしても、まさかはるえちゃんにてるちゃん当ててくるとはねぇ……」

晴絵「プロとしては同期とはいえ、やっぱり教え子たちと同年代の子に負けるのは悔しいんだよなぁ……照も良子ちゃんと並んで既に若手トップのポジションを確立してるのはわかってるんだが……」

はやり「よしこちゃんがプロ入りした辺りから若手の子達がグイグイ下から突き上げてくるんだよねぇ……はやりもまだまだ若いけど、そろそろ力負けしそうで……」

菫「私からしたら照はもう異次元の強さですよ……高校時代からとんでもなかったが、プロに上がってからは更に……あいつがチームの日本一を決める戦いで活躍してると言うのに私は補欠で……」

晴絵「ベンチメンバーに入れてるんだからいいんだよ。 菫に出番がなかったのは今日に関しては私のせいだしな……瑞原さんがしっかり咏ちゃん抑えて平たい場で回してくれたのに私が照に稼がせ過ぎた」

はやり「すみれちゃんがお仕事しにくい盤面にはなっちゃったね……それでも、はるえちゃんだって十分稼いだんだからっ！ 収支プラスなんだから自信持って☆」

晴絵「収支プラスでも、横浜に日本一持ってかれたことには変わりないですから……くそっ！ やっぱり悔しい……！」

菫「今年こそ横浜の天下を崩してやるつもりだったんですがね……まあ、過ぎたことを気にしすぎても仕方がないですし、来年こそは勝ちましょう」

はやり「そうだねっ！ 今日の負けもちゃんと反省して、次の対局にしっかり活かそう！ ……来年と言えば、新人さんはどんな子が来るかなぁ……」

菫「そうですね……この前後輩に稽古をつけに白糸台に行ったんですが、淡はプロになって照と同じチームに入るって言ってましたね」

晴絵「自由に選べるものでもないんだがな……というか、淡まで横浜とか考えたくないぞ。 あいつも即戦力だろ……」

はやり「……てるちゃんの妹のさきちゃんって……」

晴絵「あー、なんか教え子たちに聞いた話じゃプロ入りはまだ悩んでるとか……横浜に姉妹で宮永持ってかれたら、とか……こっちも考えたくない……」

572 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:20:38.48 ID:ZmR+mVPo0

菫「……そういえば、うちはどんな新人を取るんでしょう？それこそ、淡や宮永咲なんかは一位指名候補になると思うんですが」

はやり「そうだねぇ……はやりが自分で言うのもなんだけど。やっぱりはやりがチームの顔でしょ？ ここ最近は、それこそはるえちゃんやすみれちゃんみたいな……『カッコいい系』の子を取ってたんだけど……」

晴絵「え、ちょっと待ってください。 私たちビジュアル面での採用なんですか？ 実力でなく？」

はやり「まさか！ 実力前提に決まってるでしょ？ ただ、個々の戦力の中に広報面とか、そういう対局以外の面でも活躍することを求めてる比重が他のチームに比べると大きいからね、ハートビーツは」

菫「ファンサービスが一番強いのは大宮だ、というのもよく言われてますからね。 グッズ展開も多いですし」

はやり「そこら辺ははやりのせいでもあるけどね……」

菫「はやりんのお陰、でしょう。 いいことだと思いますよ。 そりゃあ、選手としては大変なこともありますけど……ファンとしては嬉しいことです」

晴絵「……菫、お前いい加減試合前にチームの公式ショップ行って瑞原さんのグッズ買うの止めろよ……」

菫「新しいグッズが出たときだけです！ ちゃんと変装していってるし問題はないでしょう？」

晴絵「お前行く度にすぐばれてるじゃないか……ファンのみんなも多少気を遣ってくれてるみたいだがSNSとか見ると『試合前に売店で弘世様見かけた！』『今日もはやりんのグッズ買ってた！』とか言われてるぞ」

はやり「というか、チームの人間なんだしわざわざ買いに行かなくても担当の方にお話しして回してもらうとか……」

菫「はやりんファンの一人として、他のはやりんファンの方たちが争奪戦をしている中、私だけズルをするわけにはいきません！ 人気のグッズはすぐに売り切れてしまうし……」

はやり「ふふ、すみれちゃんのそういう所、はやりは好きだけどねっ☆」

菫「わ、私もはやりんのこと大好きです！ ありがとうございますっ！」

晴絵「……お前が瑞原さんの一ファンとしてそういう気持ちがあることはよくわかってるけどさ……もうプロの選手でもあるんだから、そこら辺は自覚持てよー」

菫「はい、気をつけます……試合会場で発見されてるのは照も同じみたいですが」

晴絵「……照は売店でおかし買ってるからな。 なんなんだよもう……」

はやり「てるちゃん、対局前に買ってたおかしごとに勝率まとめられてるね」

晴絵「えぇ……なんですかそれ」

菫「ファンの方が面白がってやってるみたいですね。 まったく、試合前になると毎回おかし買ってるところ撮られてるなんて……あいつはプロとしての自覚が足りないな……」

晴絵「……お前が言うなよ」

573 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:21:33.38 ID:ZmR+mVPo0

はやり「……とにかく、そろそろ本格的にはやりの路線に近い子を探したいみたいだから……今年はそっち路線に行くかもね……長野ののどかちゃんとか、北海道のゆきちゃんとか」

菫「原村に真屋ですか。 たしかに、ビジュアル的には……実力的にも少し経験を積ませれば通用するかもしれませんね。 個人的にも、彼女たちとは話が合いますし……」

晴絵「瑞原さんのファンばっかり集めて芸人集団になられても困るんだけどなぁ……というか、本格的に教え子がプロ入りする年になるのか……」

はやり「高校卒業したのももう10年以上前かぁ……なんか、ほんと……まだまだアイドルだって現役で行けるのに……」

菫「お、お二人ともまだ若いじゃないですか！ 何もへこむようなことはないですって！」

晴絵「……そうだな、そういうことにしよう……しみじみ考える方がキツいし……」

はやり「……よしっ！ 切り替えていこうか！ それじゃあ残念会……反省会でもする？ みんなでご飯食べに行こっか！」

菫「是非！ お供します！」

晴絵「あー……瑞原さん、すみません……実は今日、教え子たちが観戦に来てて……」

はやり「わぁ！ そうだったんだ！ わざわざ来てくれるなんていい子達だねっ！ 横浜まで遠いのに……」

晴絵「だからこそ勝ちたかったんですが……まあ、せっかく来てくれてるんで会ってこようかと……」

菫「そうなんですか……迷惑でなかったら、私も挨拶ぐらいはしていきたいんですが……」

はやり「そうだねっ！ なんならみんな一緒にご飯にでも……なーんて、迷惑だよね……？」

晴絵「まさかそんな！ 瑞原さんのファンもいるし、菫とはあいつらも親交があるし……むしろ、迷惑じゃないなら是非一緒に」

はやり「やったあ！ よぉし、張り切って勧誘しちゃうぞっ☆」

晴絵「瑞原さーん……いや、たしかに私としてもあいつらと一緒に戦えたら楽しいですけどね……」

菫「そうか、阿知賀のみんなが……新子に最終戦限定で発売したグッズを見せてやらないとな！ 初日で売り切れてしまったから買えてないだろうし！」

晴絵「菫も……ブレないな、お前……」

574 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:22:34.51 ID:ZmR+mVPo0

――――――

晴絵「……ああ、いたいた。 あそこ…………わかっちゃいたけど、かなりの大所帯だなぁ」

菫「というか、あれは……」



咲「お姉ちゃん！ カッコよかったよ、優勝おめでとう！」

照「うん、ありがとう。 咲も誕生日おめでとう。 お祝いに花を添えたくて頑張った」

灼「まさかハルちゃんがやられるなんて……」

照「ふふ、ごめんね。 私、殴りあいは得意だから」

やえ「あんたの場合はほぼほぼ一方的に殴ってるでしょうが……ま、頑張ったんじゃない？」

照「ありがと。 試合に出れないやえの分も頑張った」

やえ「……来年こそは出場枠取って見せるわよ」

初瀬「小走先輩！ 宮永さんも！ 優勝おめでとうございます！」

やえ「あんがとね。 せっかく来てくれたのに補欠で出番なかったのは申し訳ないけど」

初瀬「いえ！ 勉強になりました！ 来期こそスタメン期待してますから！」

やえ「当然！ こんなのが活躍してるんだから、私だって絶対上に行って見せるかんね！」

穏乃「いやあ、息の詰まる戦いでしたね！ 私もう興奮しちゃって……！」

憧「しずは落ち着きなすぎ！ ギャーギャー騒いで恥ずかしかったんだから……」

宥「ふふ、はやりんの出番の時の憧ちゃんもなかなかすごかったけどなあ」

玄「気合入ってたよねぇ」

憧「う……し、仕方ないじゃん！ 試合も凄かったし！」

咲「私は、灼ちゃんが一番凄かったと思うけどなあ」

灼「ハルちゃんと照さんが打ってる時はどっちを応援すればいいのかわからなくって……」

穏乃「一緒に滅茶苦茶応援しましたもんね！」

憧「灼さんあんなに声出るのはじめて知ったわ……」

575 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:23:51.85 ID:ZmR+mVPo0

晴絵「よっ、待たせたな」

灼「ハルちゃん！」

晴絵「久しぶり〜」

穏乃「赤土先生お疲れさまです！ カッコよかったです！」

憧「情けないわよハルエ、照さんにやられちゃってんじゃ……っては、はや……！ 瑞原プロ……！」

はやり「こんばんはっ☆」

菫「久しぶり。 照も、お疲れ。 来年はこうはいかんぞ」

照「お疲れさまです、瑞原プロ、ハルちゃん……菫は、来年は試合出れるといいね」

菫「ふん、たまたま私が仕事をする盤面にならなかっただけだ。 普段の試合では使ってもらえてるし、まだまだこれからさ」

やえ「そうよ、まだまだこれからだかんね！ オフシーズン中に力つけて上喰ってくわよ」

照「上って……チームの先輩でしょ？」

やえ「そこが身近なライバルでしょ。 あんたは……昔から圧倒的だからあんまり意識ないのかもしんないけど」

照「む……そっか。 私もライバル？」

やえ「一番のね。 あんたに勝つまでは絶対辞めないわよ」

照「ふふ、じゃあずっと一緒に打てるね」

やえ「くっ……ちょっと活躍したぐらいで調子乗ってんじゃないわよ！ 上には上がいるんだかんね！ そりゃ、今はあんたに勝てないけど……いつまでもそうだと思ったら大間違いなんだから！」

照「わかってる……一緒に強くなろうね」

やえ「なっ……！ …………う、うん……あんたに負けないぐらい、強くなってやるわよ」

576 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:25:12.56 ID:ZmR+mVPo0

玄「小走さんは相変わらずですねぇ」

やえ「な、なによ！ そういうあんたも相変わらずぽやっとしてるわね、大丈夫なの？」

玄「こ、これでもしっかりしてきたと自負しているんですが……」

灼「玄はパッと見ぽわぽわしてるけどその実しっかりしてるから」

宥「しっかり者の頼りになる妹です！」

玄「お姉ちゃんだってしっかり者の頼りになるお姉ちゃんだよ〜」

やえ「……なんか調子狂うわね」

照「かわいい自慢の妹」

咲「もう、やめてよお姉ちゃん……恥ずかしいなぁ」

やえ「……あんたはちょっと黙ってなさい」

照「対抗した方がいいかと思って」

やえ「チョコあげるから黙ってなさい」

照「わかった」

菫「お前はそれでいいのか……」

晴絵「さて、自慢のかわいい教え子たちと合流できたことだし飯食い行くかー」

やえ「赤土さんも乗るんですか……」

穏乃「ラーメン食べたいですっ！ ラーメンっ！」

初瀬「穏乃、いつもそれ言ってない？ 飽きないの？」

穏乃「全然飽きない！」

憧「ラーメンばっかり食べてるから栄養片寄って背が伸びなかったんじゃないのー」

穏乃「……そういう憧も、好き嫌いするから胸が……」

憧「胸は関係ないでしょ！」

晴絵「あー……この人数でラーメン屋ってのも……中華街でも行くか。 ラーメンも食べられるだろ」

はやり「大人組の奢りだからみーんな安心して食べてねっ！」

照「ご飯よりもケーキが食べたい……」

咲「さすがにご飯食べてからにしなよ……」

やえ「っていうか自然についてく感じになってるけどいいわけ？ 咲、ご両親と来てるんでしょ？」

照「デートしてるみたいだし放っておこうかと」

咲「明日もありますし……私は、今日はみんなと一緒に居ようかなって」

晴絵「宮永姉妹は参加な。 やえ、どうする？」

やえ「……お邪魔でなければ」

晴絵「よし！ 行くぞー」

577 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:26:12.44 ID:ZmR+mVPo0

晴絵「咲は、今日は両親と来たのか……咲が来るなら和たちも来るのかなって思ってたんだけど」

咲「私も誘ったんですけど……和ちゃん、是非ご一緒したいですが、平日ですよ？ 麻雀で学校は休めません！ って……」

穏乃「和らしいなぁ」

憧「一時期父親に麻雀続けるの反対されてたとか言ってたし、仕方ないんじゃない？ ま、元から真面目なのもあると思うけど」

灼「それじゃあ優希は……」

咲「私がついていったらのどちゃんが仲間外れになっちゃうからな！ って……ふふ、優希ちゃんらしいなって」

晴絵「片岡さんははいい子だよね……で、学校休んじゃったしずは大丈夫なの？ 受験勉強は？」

穏乃「あう……今日は赤土先生の大一番だったし……今日の分は明日以降取り戻しますから！」

憧「しずの勉強は私と初瀬でしっかり面倒見るから大丈夫よ。 しずが頑張れば、たぶんね」

初瀬「穏乃は頑張ってますから！ 絶対合格させて見せますよ！」

はやり「はやっ？ ふたりがしずのちゃんのお勉強見てあげてるんだ。 すごいねー」

憧「え、い、いや……その、それほどでも……」

初瀬「……そうなんですよ！ 特に憧ったら超成績良くって！ 教えるのも上手いし晩成来てないのが不思議なくらいで……面倒見も良くって私も穏乃も色々普段からお世話になっちゃってー」

はやり「わ、憧ちゃんすごいんだ！ はやりも学生の頃は友達のお勉強見てあげたりしてたんだよ！ ふふ、見えないかな？」

憧「い、いえ！ そんな……」



穏乃「……初瀬っていい奴だよね」

初瀬「まぁねー……知らなかった？」

穏乃「知ってた！」

灼「実際に世話焼いてるの初瀬でしょ。 今とか」

初瀬「いやあ、まあこれくらいのアシストは……憧がさっきからアイコンタクトすごい……」

咲「ありがとう！ かな？」

宥「初瀬大好き！ かもよ〜？」

玄「はやりんのおもちが近い！ じゃないかな！」

晴絵「それは玄だけじゃないかなー……」

灼「テンパってそれどころじゃないけどとりあえず初瀬にアイコンタクトしてみてるだけじゃないかな。 感謝とかヘルプとかいろいろ出てそう」

初瀬「たぶんそれですねー」

578 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:27:16.03 ID:ZmR+mVPo0

やえ「高鴨の勉強見てやってんの？ 全然いいと思うけど、自分のこと疎かにしちゃダメよ」

初瀬「はい！ わかってます！ ちゃんと勉強して……インカレで活躍して、プロ行きますから！」

やえ「ふっ……楽しみにしてるわ。 敵になっても味方になってもかわいがってやるかんね」

初瀬「はい！ お願いします、先輩！」

照「……やえは先輩してるね」

やえ「……なによ、急に」

照「私もそういうのやってみたかった」

菫「こうしてみていると全くもって信じられんが、白糸台時代は後輩たちからはカッコいい先輩に見られていたがな」

照「それはどっちかと言うと菫の方。 私には親衛隊は居なかったし宮永様なんて呼ばれたことない。 別に呼ばれたくないけど」

咲「あはは……たしかに、様付けなんてされたら困っちゃうよね……」

菫「…………そうか？」

照「咲、菫はちやほやされて内心喜んでたから」

咲「えっ？ そ、そうなの……？ その……すみません……」

菫「おいやめろ照！ 咲も、謝らなくていいから！」

やえ「弘世も弘世で大概よね……大星なんかはプロ来るんじゃないの？ 先輩風吹かせたいならすりゃいいじゃない」

照「淡とじゃ……違う。 なんと言うか……淡、変わってるし」

やえ「あんたが言う？」

晴絵「淡は照のこと慕ってるけどねぇ……やえと初瀬みたいにはならないだろうね」

菫「先輩後輩とかじゃなくて……犬とかがなついてくる方が近いよな。 動き的には」

照「かわいいんだけどね。 誠子や尭深だったら……」

宥「尭深ちゃんがお茶とおかし用意してくれますねっ」

菫「照が食べて、亦野が片付ける……いつもの見慣れた光景だな」

照「む……心外。 私だって、その気になればカッコ良く先輩できる」

菫「ほう？ それじゃあ、何かそれらしいことを言ってみろ」

579 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:28:27.29 ID:ZmR+mVPo0

照「それらしいこと……」

晴絵「じゃあほら、後輩役な」

灼「照さ……宮永先輩！」

照「！ …………！」

照「……ちょっとやり直し。 灼がそっちから歩いてきて、私が先輩らしいことをビシッと言う」

灼「了解です」

菫「早速テイク2なのか？」

やえ「その中途半端な状況設定いる？」

咲「お姉ちゃん、頑張って！」

照「うん、まかせて。 ちゃんとできるところを見せる」

灼「…………」

照「……あ、灼！」

灼「はい、宮永先輩。 どうかしましたか？」

照「…………」

照「…………」

照「…………」

照「……廊下は、走ってはいけない」

灼「…………はい、すみません」

やえ「無理ね、これ」

菫「歩いてくるって設定したのお前だろ」

晴絵「廊下なの？ 学校？」

照「……ちょっと、みんなでいろいろ言うのは良くない。 混乱する」

宥「先輩らしく注意できてたと思いますよ〜」

照「！ やっぱり？ ほら！」

やえ「ほら！ じゃないわよ。 あんたの目指すカッコいい先輩ってそれでいいの？」

初瀬「……お姉さんって面白い人なんだね」

咲「あはは……うちのお姉ちゃん、結構天然さんで……」

灼「宥さんも結構ふわふわしてる人だから……」

580 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:29:39.78 ID:ZmR+mVPo0

照「ふむ……私の目指すカッコいい先輩……」

菫「わざわざ言うからにはなにかあるんだろ？ 理想像が」

宥「理想の先輩…………ねえねえ、灼ちゃんはどんな人が先輩だったらうれしい？」

灼「……宥さんみたいな素敵な人が先輩でうれしいですよ」

宥「！ えへへ、そうかな？ えへへ……そっかぁ……」

晴絵「麻雀でもなんでもそうだが、最初は模倣から入るものだ。 目標があるなら真似から入ってみるのはどうだ？」

照「真似……わかりました。 ちょっとやってみます」

咲「お姉ちゃんの憧れる人かあ……どんな人なの？」

照「…………」

照「うっさいわね、あんたに関係ないでしょ！」

咲「へ？」

照「そ、そういえばあんた、今日誕生日でしょ。 これあげるわ。 別に、前から用意してたとかじゃないんだから！ さっきふと思い出して適当に買っただけで……勘違いしないでよね！」

咲「……あ、ありがとう、お姉ちゃん」

やえ「……なんでこっち見んのよ」

咲「い、いえ！ 別に……他意はないです……はい」

穏乃「初瀬がすでに笑いを堪えきれてないんですけど……」

初瀬「い、いや……だって、ふふっ……め、滅茶苦茶似てる……っふふ……っていうか晩成時代にまったく同じこと言ってるとこ見たことある……」

照「どうだった？」

やえ「バカにしてんの？」

照「似てたでしょ」

やえ「バカにしてんのね？」

照「今のは自信がある」

やえ「というかバカなのね？」

581 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:30:44.56 ID:ZmR+mVPo0

照「……似てたよね？」

灼「似てました」

初瀬「似てましたね」

咲「そっくりだったよ」

菫「照の芸にしては珍しくクオリティが高かったな」

照「ほら」

やえ「なんで勝ち誇ってんのよ！」

灼「……照さん、やえさんの物真似はそっくりでしたけど」

照「けど？」

灼「先輩要素取り込めてないです。 ただのツンデレです」

照「！」

やえ「……あんたもバカにしてんの？」

灼「まさか」

照「さっきのは失敗。 ただのツンデレだった」

やえ「張っ倒すわよ？」

照「もう一回やる」

やえ「やらなくていいわよ！」

宥「まあまあ、せっかくやる気に溢れてるみたいですし……」

菫「面白いからやらせてやれよ」

晴絵「チャレンジすることは大切だからな。 ほら、照、やってみな」

やえ「赤土さんまで……！」

照「よし！」

照「…………」

照「…………」

照「…………」

照「ごめん、ちょっとやえからツンデレ以外の要素が拾えなかった」

やえ「なんで私の真似しようとしたのか思い出してみなさいよ！！」

582 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:32:24.79 ID:ZmR+mVPo0

照「カッコいい先輩してるやえの真似をしようと思って」

やえ「なっ……」

初瀬「小走先輩カッコいいですからね！ 私も尊敬してますっ！」

穏乃「たしかに、小走さんはカッコいいよね！」

宥「カッコいいよねぇ……私も憧れちゃうよ」

やえ「な、なっ……なん、なんなのよ、急に！」

晴絵「褒められてるんだから素直に喜べばー？」

菫「顔真っ赤だぞー熱でもあるのかー？」

やえ「うっさいわよ弘世！ 余計なお世話！」

咲「あはは……お姉ちゃん、悪気はないので……」

やえ「それは、わかってるんだけど……どうにかなんないの？ あのアホ具合は……」

咲「あ、あれでも……その、えっと……お姉ちゃんは……はい……ごめんなさい」

菫「おい、お前の妹お前のせいで謝ってるぞ」

照「私のせいなの？」

やえ「あ……その、ごめんね。 咲は悪くないんだから謝ることないのよ……それと咲、そういえば……」

咲「は、はい！ お姉ちゃんがまた何か……」

菫「おい、妹にまたって言われてるぞ」

照「……言うほど問題起こしてない」

やえ「これ、あげるわ」

咲「え……これは……？」

やえ「誕生日プレゼント！ 照がしつこく言ってたから……知っててなにもしないのも、なんか……悪いでしょ」

咲「……やえさん、やっぱり優しいですよね。ふふ、ありがとうございます」

やえ「べ、別に……私が気持ち悪いから勝手にやってるだけなんだから、感謝なんかしなくていいのよ。 ありがたく思うんなら、姉貴を少しでも手がかからないように躾てよね！」

咲「えへへ……お姉ちゃんがお世話になりっぱなしで申し訳ないです」

583 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:33:21.81 ID:ZmR+mVPo0

菫「……なんか、咲と小走普通に仲いいよな」

照「うん、正直ちょっと妬ける。 試合の後とか、せっかく咲が会いに来てくれてもやえとふたりで盛り上がってたりするし……」

灼「……咲、やえさんのことかなり好きでしょ」

咲「え？ ……うん。 だってやえさん、カッコいいけどかわいいお姉さんって感じで……」

灼「……咲の好きな先輩像だね」

咲「えへへ……私、先輩って言えるような先輩、少ないんだけどね」

やえ「…………」

灼「……照れてる」

やえ「……うっさい」

菫「お前も咲のこと好きだろ。 照とはまた違った方面で世話の焼ける子で……」

やえ「うっさい！」

灼「咲みたいな癖の少ない子からもこみたいな癖の強い子まで……年下好き？」

やえ「なんか変な意味に聞こえるからやめなさいよ！ だいたい……弘世！」

菫「なんだ？ 私か？」

やえ「いいの？ あんたのはやりん、新子に付きっきりよ？」

菫「……なんだと？」



はやり「へぇ……麻雀の勉強にドイツに！ いいねえ、すごいすごい！ ……でも、残念だなぁ」

憧「え？ ざ、残念……ですか？」

はやり「だって、あこちゃんなら……ハートビーツの戦力になってくれるかも、って思ってたのに……」

憧「え？ え？ そ、そんな……か、買いかぶりですよぅ……わ、私なんて、まだまだ……」



菫「ふっ……よかったな、新子」

やえ「……はぁ？」

菫「いいか？ はやりんは私のはやりんじゃない。 みんなのはやりんなんだ。 私と同じはやりんのファンである新子がはやりんに褒められているなら、それは私にとっても喜ばしいことだ。 新子が笑顔になればはやりんも嬉しい。 はやりんが嬉しいのなら私も嬉しい」

やえ「…………あんた、ちょっと怖いわよ」

菫「なんでだ？」

照「やえ、菫は取り返しのつかないところまで行っちゃってるから」

菫「なんだそれは……お前だってはやりん好きだろ」

照「うん。 かわいいし、麻雀も強いし……すごく素敵な人」

やえ「瑞原プロは素敵な人だけど……そういうことじゃなくて……」

584 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:34:19.90 ID:ZmR+mVPo0

はやり「はい！ 私なんて、はダメだよっ！ 何事も自信を持ってやらないと！ あこちゃんは卒業したらドイツで恋に麻雀に激しい戦いが待ってるんだから！」

憧「ふきゅ！？」

玄「好きな人を追いかけてドイツまで……憧ちゃんって情熱的だよねぇ」

憧「ちょっ……ち、違う！ 違うから！ いや、違わないんだけど！ 語弊があるから！ 麻雀！ メインは麻雀だから！ 玄は知ってるでしょ！？」

はやり「メインは……ってことは、サブの目的ではあるんだよね！ はやりは恋する女の子の味方だよっ☆」

憧「いっ……いえ、その……！ わ、私は純粋に麻雀を……！」

玄「憧ちゃん、なかなか素直になれなくて……しかも、いざ気持ちを伝えようとしても相手の人が鈍くて気づいてくれなくって……」

はやり「あこちゃんみたいなかわいい子の気持ちに気がつかないなんて……罪な子だねぇ」

憧「なんで玄が私の恋愛相談してんのよっ！？ するなら自分の話をしなさいよっ！」

玄「えっ……えっと、じゃあ……その、私……お、お付き合いして半年とちょっとほどになる方がいるんですけど……」

憧「ほんとに相談するんだ！？」

はやり「しかも遠距離？ それじゃあ大変だね……寂しくなぁい？」

玄「それは、少し……でも、その分会えたときすっごくうれしくて……」

晴絵「くーろー？ のろけは後で聞いてやるからさ、そろそろどっか店入ろうよ。 騒いでたのはこっちもだけどさ。 腹へったわ、私」

玄「はわっ！？ す、すみません……」

憧「……ハルエ、いくら彼氏持ちが妬ましいからって……」

晴絵「違うよ！ たしかにスペック高い彼氏羨ましいけど！」

照「玄さんの彼氏……？」

穏乃「龍門渕の執事さんです！ 覚えてますか？」

照「ああ、あの……どこからともなくおかしを持ってきてくれる人」

咲「お姉ちゃん……」

灼「照さん的には合ってるから……」

585 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:35:49.16 ID:ZmR+mVPo0

――――――

晴絵「お疲れさま！ 乾杯！」

照「なにに？」

はやり「それじゃあ、さきちゃんのお誕生日に！ おめでとうっ！」

咲「えっ！？ わ、私メインでいいんですか！？」

やえ「そこが一番丸いんじゃない？」

灼「ハルちゃんたちとやえさんたちでチーム違うしね……」

菫「優勝おめでとう、じゃたしかに少々複雑だな……まあ、こちらの敗けは敗けで優勝は優勝だ。 おめでとう。 来年はうちが勝つ」

やえ「ありがと。 来年は……試合出るわよ。 あんたもね」

菫「そのつもりだ。 照ばかり活躍しているのは面白くない」

照「私は面白いよ。 たくさん打てて楽しい」

菫「…………そうか、よかったな」

照「うん。 菫ややえも一緒に打てたらもっと楽しい。 頑張って試合出て」

やえ「……出たくて出れるんなら出てるっつーの」

照「咲とも久しぶりに打ちたい。 これからも一緒に打てたらなお良い」

咲「お姉ちゃん……そうだね、そうできたらいいけど」

照「……咲ならそうできる。 でしょ？」

586 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:37:22.49 ID:ZmR+mVPo0

咲「やっぱりいろいろ悩んでて……プロってどんな感じなの？」

照「いろんな人とたくさん打てて楽しいよ」

菫「誰もがお前みたいに一年目から試合に出て活躍できる訳じゃないんだぞ？」

照「咲ならたぶんできる」

やえ「楽しいことばかりじゃないでしょ。 そういうこともちゃんと教えてあげなさいよ」

灼「……裏ではやっぱりドロドロとした蹴落としあいが……」

晴絵「まあ、多少はな……私も少しあったぞ、そういうの」

はやり「えっ！？ そうなの！？」

晴絵「瑞原さんいない時にちょこちょこ……とはいえ、即戦力で使ってもらえたし、瑞原さんとも仲良いからすぐになくなりましたけど……」

菫「お前、そういうの無かったのか？ 新人であれだけ使われてるとやっかみもあったろう？」

照「ない。 みんないい人」

やえ「……鈍くて気づいてないだけでしょ」

照「…………そんなことない。 気にするほどのことはされてないし、いい人の方が多い。 咏ちゃん先輩とか」

やえ「……ま、実力の世界だしね……今のあんたに文句言えるやつもそうそういないだろうけど」

咲「……やっぱり、大変なんですね」

やえ「人前で話したりとか、そういう機会も多くなると思うわよ。 咲、そういうの苦手でしょ？」

咲「それは……はい、苦手ですね……」

宥「わかるわかる、私もそういうの苦手で……阿知賀の時は灼ちゃんが部長やってくれて助かったなぁ」

やえ「……どうでもいいけど、人前に立ったりとか、そういう面倒でも必要なことをやるのがしっかりした先輩なんじゃないの？」

宥「！？ ……あ、灼ちゃん……わ、私、やっぱり頼りない先輩だったよね……面倒なお仕事を灼ちゃんに押しつけて……先輩失格だよね……」

灼「そんなことないですよ。 宥さん、頼りになりますし……今も頼りにしてますから」

宥「そ、そう？ 本当に？ 無理しなくて良いんだよ？」

灼「無理とかじゃなくて…………えと」

宥「あ、灼ちゃん……やっぱり……」

灼「違います。 大丈夫です。 私、そういうの関係なく宥さんのこと好きなので」

宥「！ そっかあ！ よかった！ 私も灼ちゃんのこと大好きだよ！」

587 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:38:28.84 ID:ZmR+mVPo0

憧「……宥姉、また誤魔化されてる……」

晴絵「宥はかわいいよな、ああいうとこ」

玄「し、しっかりもののお姉ちゃんなんですよ！？」

晴絵「わかってるって。 お前たちが赤ん坊の頃から知ってるんだぞ？」

はやり「へえ？ そんなに付き合い長いんだ」

晴絵「私の麻雀の先生が玄と宥の母親で……本当にお世話になったんですよ」

玄「その縁もあって私もお姉ちゃんも赤土先生にお世話になったんですから……良い縁に恵まれましたよねぇ」

憧「……そうよねー、玄は素敵な恋人もいますしー」

玄「はわっ！？」

穏乃「……みっともないから僻むなよー」

初瀬「大好きなはやりんが見てるぞー」

憧「べ、別に僻んでないもんっ！」

はやり「あこちゃん！ やっぱり気持ちははっきり伝えないとっ！ せっかく追いかけていくんだしっ！」

憧「え、はい！？ な、なにを急に……！」

はやり「はやりだって、はるえちゃんを口説き落としたときは……」

憧「ハルエ！？ あ、あんたはやりんに手を出して……」

晴絵「ないよ！ なんでそうなるんだよっ！？ いろいろ落ち着け！」

はやり「素直に、根気よくねっ！ はるえちゃん大好き！ 一緒に麻雀打とっ☆ って勧誘し続けた結果、今ハートビーツの主力としてはるえちゃんが……」

憧「ハルエっ！！」

晴絵「違うっ！ 怒るなよ！？」

588 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:39:39.34 ID:ZmR+mVPo0

穏乃「……咲はプロに行かないの？」

咲「穏乃ちゃんだって……受験勉強してるんでしょ？」

穏乃「うん！ 憧と初瀬が勉強見てくれるし！ 頑張ってるよ！」

照「高鴨さんも実力あるのに……」

やえ「プロになるだけが人生の道じゃないでしょ。 他にやりたいこともあるんだろうし」

穏乃「プロになったら登山の旅とかはできなそうですよねぇ……」

菫「私もプロになってから大変だぞ。 はやりんのイベントがある日に対局が入ると休むわけにもいかないし……」

やえ「……内容はともかく、対局日程はそこまで自由きかないかんね。 個人タイトルのリーグ戦なんかは早めに連絡いれとけば多少は都合つけてもらえるけどチームの対局はどうしようもないし」

憧「瑞原プロは……」

はやり「はやりは最初っからチームの対局ある日に被らないようにアイドルのスケジュール組むから……」

憧「……それでも被っちゃうんですか？」

菫「仕方ないんだよ……はやりんのいる上位リーグと私のいるリーグじゃ日程もずれるし……」

玄「チームで会えるのにイベントにも行くんですね？」

菫「そりゃあ行くだろう！ 君だって、恋人が同じ職場にいたとして、休日はデートするはずだ！」

玄「……た、たしかに……！」

やえ「……それ、なんか違くない？」

菫「好きな人に会いに行く点で差はない」

初瀬「一理あるような、ないような……」

589 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:41:22.83 ID:ZmR+mVPo0

咲「……宥さんは、どうしてプロにならなかったんですか？ インターハイも、とっても成績良かったですけど……」

宥「うん……私、麻雀は好きだけど……やっぱり、人前に出たりとか、そういうの苦手だし……あ、ネガティブな理由を挙げるのは良くないかな？ プロにならなかった理由よりも大学に行った理由だよね」

宥「私、昔から……ちょっと変わった子だったし、友達も少なかったから……阿知賀で玄ちゃんたちと一緒にみんなで麻雀頑張ったのがすっごく楽しかったの。 だから、今度は……新しい友達もたくさん作って、また仲間と頑張りたいなって……」

宥「プロの選手だと、麻雀もお仕事になっちゃうしね。 それよりは、もっとのびのびと楽しくやれるかな、って思って……」

宥「……咲ちゃんは、プロになる！ って選択肢が選べる力があるんだから、それを大事にしても良いと思うけど……それでも、やっぱり一番やりたいことをできる道を選ぶのが良いと思うなあ……できるだけ後悔しないですむように……ね？」

咲「宥さん……ありがとうございます！ 参考になりました！ 頼りになるなあ……本当のお姉ちゃんみたい！」

照「えっ」

晴絵「立派になったなあ……」

玄「自慢のお姉ちゃんですよ！私のお姉ちゃんですよ！」

照「ちょっと待って」

宥「えへへ……そんなにお姉ちゃんっぽかった？ 頼りになる？」

咲「頼りになります！」

照「私も……私だって、これからいいこと言おうとしてた。 ちょっと最初に自分の希望を言ってみただけ。 お姉ちゃんだから、ちゃんといいこと言える」

咲「でも……お姉ちゃん、さっきちょっと失敗してたし……」

照「違う。 あれは……テーマが悪かった。 やえが悪い」

やえ「ちょっと？ さすがに怒るわよ？」

照「……やえはいつも怒ってる」

やえ「怒るわよ！？」

590 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:42:46.88 ID:ZmR+mVPo0

咲「……でも、やえさんだってすごくしっかりしてるし、面倒見もよくって……頼りになるお姉ちゃんって感じだよね」

照「！？」

やえ「……そ、そう？ まあ……私も、咲みたいなかわいい妹だったら大歓迎だけど」

照「！？」

宥「えへへ、そうだよね〜！ 咲ちゃん、うちの子になる？ 松実三姉妹で〜」

咲「わ！ そうなると宥さんと玄さんがお姉ちゃんになるんですね！」

照「ちょっと！ ちょっと待って！」

宥「えへへへへ、わーい！ かわいい妹が増えるよ〜えへへへ」

やえ「……ちょっと、あんた大丈夫？」

宥「大丈夫だよーっへへへへ、えへへへ」

晴絵「本当に大丈夫か？ ……飲ませない方がよかった？ 妙に飲みたがってたからお酒好きなのかと……」

宥「今日はじめて飲みました〜っふふ、大丈夫ですよー赤土先生みたいな頼りになる大人もいるし……咲ちゃんみたいなかわいい妹もできるしー」

照「ちょっと！ ねえ！」

宥「お姉ちゃんって呼んで！」

咲「お姉ちゃーん」

宥「はーい！」

照「はーい！ じゃない！ 咲は私の妹！ あなたの妹はあっち！」

宥「くろちゃーん」

玄「はい！ どうしたの、お姉ちゃん？」

宥「ふたりとも私の妹です！」

照「違う……違うよね？」

灼「なんで自信なくなってきてるんですか？」

591 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:43:34.85 ID:ZmR+mVPo0

照「……もういい」

咲「もう、お姉ちゃん……冗談だから拗ねないでよ」

照「知らない。 私に妹はいない」

咲「もう……お姉ちゃんってば」

照「……そうだ。 じゃあ、咲が取られたから私もやり返す。 玄さん私の妹になっていいよ」

玄「えっ……でも……」

宥「んー？」

玄「私のお姉ちゃんはお姉ちゃんですからー」

照「ねえ、なんで胸を見比べたの？ 関係ないよね？ 関係ないよね？」

灼「玄の場合は関係ある可能性が……とゆか、妹いないって言ったそばから……」

照「そうだ！ それなら灼が私の妹になればいい」

灼「なにがそうだ！ なんですか？」

照「お姉ちゃんって呼んで」

宥「待ってください！ 灼ちゃんにだって、お姉ちゃんを選ぶ権利はありますよ！ 灼ちゃんだって私がお姉ちゃんの方がいいよね？」

照「そんなことない。 灼だって私がお姉ちゃんの方が良いに違いない」

灼「…………照さんはお姉ちゃんというより、友達だから……」

照「！？」

宥「やったぁ！ 松実四姉妹だぁ〜えへへ、わーい！」

照「ずるい！ 一人取ったら一人返すべき！ 私の妹がいなくなる！」

咲「別にいなくならないけど……」

灼「照さんも酔ってる？」

照「酔ってない！」

初瀬「酔っぱらいはみんなそう言うんですよねー」

やえ「そいつジュースしか飲んでないからマジで酔ってないはずなんだけどね」

592 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:44:25.87 ID:ZmR+mVPo0

菫「ああ、照も小走も誕生日まだだったな」

やえ「うっかり飲酒して問題になったりしたら困るかんね。 照はなんも考えてないから間違って飲んだりしないように気をつけてよ」

菫「……お前は姉というより母親だな」

やえ「うっさいわね！ くだらないこと言うんじゃないわよ！」

晴絵「……瑞原さんも、飲みすぎないでくださいよ。 弱いんですから」

はやり「弱くないもん！ はやりは、はやりは……うう、そりゃあうたちゃんとの差を詰めるのにいっぱいいっぱいになっちゃったけど……」

晴絵「……す、既に……そ、そういう意味じゃないですから！ 瑞原さんがうちのエースでチーム引っ張ってくれてるんですし……！」

はやり「ごめんねぇ……はやりが、はやりの力が足りないばっかりに……」

晴絵「そ、そんな……あーもう！ 酒入れるとすぐこれなんだから……！」

憧「瑞原プロ！ 元気出してください！ わ、私！ 瑞原プロの対局を見て勇気もらいましたから！ 瑞原プロみたいに打てるようになりたいから頑張ろうって！」

はやり「あ、あこちゃん……ありがとうっ！ 大好きっ！ はやりも頑張るからねっ！」

憧「ふきゅ！？ は、ははは、はやりん！？ は、ハグはさすがにサービスしすぎですよぉっ！？」

晴絵「み、瑞原さーん？ あの、憧もテンパっちゃってるんでそれくらいで……」

はやり「それじゃあはるえちゃんにハグっ！」

晴絵「おわっ！？」

菫「いいな、羨ましい……」

憧「幸せな一時だった……あれ？ そういう弘世さんはお酒飲まないんですか？」

菫「いや、いただいているぞ。 けっこうたくさん」

穏乃「お酒飲むともっと、わー！ とかぎゃー！ ってなるんじゃないんですか？」

菫「私はそういうタイプではないみたいでな」

晴絵「むしろ飲んでないときの方が落ち着きないぞ、菫は……瑞原さん、ほら、菫も瑞原さんとハグしたいって言ってますよ」

はやり「そうなの？ じゃあ……すみれちゃん、おいでっ☆」

菫「は……はやりーんっ！」

はやり「ぎゅーっ☆」

菫「幸せだ……」

憧「……いつもの弘世さんね」

穏乃「いつも通りだね！」

593 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:45:43.70 ID:ZmR+mVPo0

晴絵「……いや、そりゃ私も今日は飲もうと思ってたけど……宥？ お前も、はじめてなら余計に無理するなよ？ 頼りにしてくれてるのは嬉しいんだが……」

宥「えへへ、大丈夫ですよぉ〜なんだかぽかぽかしてきましたし……へへ、えへへ」

晴絵「…………やえ、君だけが頼りだ」

やえ「……このポジションに収まるのもいつものことなんで……お気になさらず」

穏乃「……お酒って、そんなに良いものなんですか？ 宥さんとかすごく楽しそうですけど」

晴絵「興味津々か？ ダメだぞー飲んだら」

穏乃「あはは、それはわかってますよ」

初瀬「この時期に……っていうかどの時期でもあり得ないもんね……推薦取り消し、出場辞退……不祥事ひとつでなにが起こるか……」

晴絵「そういう危機感持ってるのは偉いね。 ルール破るのは周囲を巻き込むからなぁ」

はやり「あこちゃんが行く予定のドイツだと、18歳になったらもうお酒もオッケーらしいよ？」

憧「へぇ……そうなんだ」

晴絵「日本じゃダメだからな？ 我慢しろよ」

憧「わかってるって！ ……あの、瑞原プロ、弘世さんは？」

はやり「ほっぺにちゅーしたら寝ちゃったよ？」

晴絵「……瑞原さん、菫にあまり過剰なスキンシップは危険なので……酔っぱらいに言っても無駄か」

はやり「むっ……さては、はるえちゃんやきもち？」

晴絵「はい？」

はやり「言ってくれたらはるえちゃんにもしてあげたのにー」

晴絵「いや、そういうのではなく……そういうのじゃないんですってば！ ち、近い近い！ 瑞原さん！？」

はやり「はるえちゃんもさ、そろそろ瑞原さんなんて他人行儀な呼び方やめてほしいな……はやりは悲しいよっ」

菫「はやりんを悲しませないでくださいよなに考えてるんですかまったくだいたい十年来の友人なんですからそんなによそよそしなくてもいいと私は常々……」

晴絵「あっ！ くそ、菫が一番めんどくさい状態に……というか、よそよそしくはしてないだろ？ かなり親しく付き合ってると思うんだけど……」

はやり「はーるーえーちゃーん」

晴絵「わかりました！ わかりましたからちょっと離れてくださいよはやりさん！」

594 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:46:44.29 ID:ZmR+mVPo0

はやり「……はるえちゃん」

晴絵「……今度はなんですか？」

はやり「好きっ！」

晴絵「あー……はいはい、ありがとうございます」

菫「ハルちゃんなんですかはやりんのそのぞんざいな扱いは怒りますよはやりんが可憐に微笑んで好きだなんてそんな羨ましい状況でよくそんな態度が取れますねだいたいハルちゃんは……」

やえ「弘世、ちょっとこっち来なさい。 うるさいから」

菫「うるさいとはなんだだいたい私は……」

晴絵「……ありがと、やえ」

やえ「いえ、お疲れでしょうしこういうめんどくさいのは私が引き受けますので……」

晴絵「……こっちもどうにかしてくんない？」

やえ「瑞原プロは大先輩ですよ？ さすがに無理です。 自分でなんとかしてください」

はやり「なぁに？ はるえちゃんははやりが迷惑？」

晴絵「そんなことないですよ。 もう……くっついてていいので、ちょっとおとなしくしててくださいね、はやりさん。私はまだ飲み食いしますので」

はやり「うん！ わかったよ☆」

憧「……前にうち来たときも思ったけど、ハルエってほんとに瑞原プロと仲良いのね」

晴絵「ん？ まあ、そうだな……私がチームで一番親しくしてるのが瑞原さんだし……」

はやり「はるえちゃん？」

晴絵「……はやりさんだし」

はやり「よし！」

憧「……ハルエは酔っぱらうとそりゃあ酷いもんだけど、はやりんはかわいいわね」

晴絵「私はそこまで悪酔いした記憶はないぞ……憧も気をつけろよ。 酒とか、トラブルにも繋がりやすいし……国が変わればまたいろいろ変わるだろうから。 ドイツは行ったことないからよくわからないけど」

憧「ん……ありがとね。 あっちのことは……純さんもいるし、余計なトラブルには巻き込まれないと思うけど……気をつける」

晴絵「うん、頼りになる人がいる分そこは安心かな。 なんかあったら相談してくれよ？ 望に言いづらいこともあるだろ」

憧「……それ、ハルエに話したら全部お姉ちゃんに言っちゃうじゃないのよ」

晴絵「だからだよ。 何やってたって心配かけるのはしょうがないけど、かけすぎないようにしてやれよな」

憧「……うん」

595 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:47:32.04 ID:ZmR+mVPo0

咲「あの、赤土監督……」

晴絵「おう、咲。 大丈夫か？ 照の方は」

咲「お姉ちゃんと宥さん、まだじゃれてるんで灼ちゃんと玄さんにまかせてきちゃいました……それで、ちょっとお話しを聞きたいんですけど……」

晴絵「うん、いいよ。 どこから話せばいいのかな？」

咲「赤土監督も、一時期麻雀から離れてたって聞いてます……それで、復帰して、今はプロで活動してて……どうして、そうなったのかなって……」

晴絵「そっか。 咲も、高校上がるまで麻雀から離れてたんだったね……そうだな……私は、結局麻雀が好きだったって、それだけだよ」

咲「それだけ……ですか？」

晴絵「うん。 私は、小鍛治さんにボロボロに負けて、悔しくて、情けなくて、逃げ出して……それでもやっぱり離れられなくて……麻雀以上にやりたいことができなかったんだよな」

憧「麻雀以外にできることもないしねー」

晴絵「茶化すなよ、憧……咲も、麻雀好きだろ？ 私から見てても楽しく打ってるのよくわかるし」

咲「はい！」

晴絵「だったら、プロになってもいいんじゃないかな？ 麻雀好きでもプロになれない人間だってたくさんいる中で、咲にはなれるだけの力もあるんだからさ」

晴絵「ま、結局やりたいことやるのが一番…………ん？ なんか、これさっき宥が言ってたな……思った以上に酔ってるのかもしれない……」

憧「教え子のパクリってカッコつかないわよ？」

晴絵「だよなあ……ごめんな咲、あんま役に立ってないかも」

咲「いえ、そんなことないです……赤土監督がいろいろあった上で、今こうしてプロで活躍してらっしゃるんですから……そうですね……私も、プロになっていいのかなあ……」

穏乃「なっていいに決まってるよ！」

咲「穏乃ちゃん……」

596 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:49:32.15 ID:ZmR+mVPo0

憧「しず、さっきまでなんか息つめて黙ってたけど急にどうしたの？」

穏乃「いや、なんか真面目な話してるから黙ってようかと思って……お酒のにおいもなんか苦手だし……」

はやり「は、はやりお酒くさい！？ ごめんね！？」

晴絵「いや、はやりさん不思議といいにおいしかしないんで……たぶん私です。 ごめんな、しず」

穏乃「あ、いえ！ 全然大丈夫ですから！」

穏乃「……咲はさ、麻雀大好きで、楽しくって……それだけでいいんだよ！ 打つ理由としてはさ、全然十分じゃん！」

咲「うん……そうだね、うん！ 私……プロ、なってみたい。 いろんな人とたくさん打ちたいんだ……楽しい麻雀！」

穏乃「うん！ 私も、応援するからさ！ 頑張って！」

晴絵「こう……悩んでる子には、しずくらい真っ直ぐに物を言ってあげる方がいいんですかねぇ」

はやり「ああいう風に言えるのも、ひとつの才能だよねえ……はやりも、ラジオでお悩み相談とか受けるけど……」

晴絵「え？ 麻雀の情報番組で？」

はやり「そっちじゃなくって、アイドルの方で！ はるえちゃん、聞いてくれてないの……？」

晴絵「いえ……その、私には麻雀プロ瑞原はやりのイメージが強いのでつい……」

穏乃「ねね、そういえばさ、和、私のあげたジャージ着てくれてる？」

咲「うん！ すごく着やすいって！ 体育の時間とか使ってるよ〜」

穏乃「そっか！ よかったあ……」

憧「むぅ……」

咲「あ、憧ちゃんのも……和ちゃん本当に気に入ってたんだよ？ でも、その……胸が……」

憧「聞いたわよっ！ か、かなり余裕があるサイズだと思って買ったのに……」

穏乃「まあ、憧に余裕があっても和のサイズじゃねぇ……」

憧「うっさい！ だいたい、私が小さいんじゃなくって和がでかすぎるの！」

咲「うん……ほんと、なんでまだ成長してるんだろうね……私なんて……高校上がったくらいはまだちょっと期待してたけど……お姉ちゃん見てもお母さん見ても、もう成長は……」

憧「……咲！」

咲「憧ちゃん！」

穏乃「はぁ……私は胸よりも身長が欲しい……」

晴絵「誕生日プレゼントはあげたいけど……さすがに胸はなぁ」

はやり「あげられるなら分けてあげたいんだけどね……」

憧「……そう言えば、麻雀プロって大きい人が多いような……活躍してる瑞原プロや戒能プロとか……」

咲「まさか……麻雀プロになにか秘密が……！」

憧「……咲！ なるわよ、プロに！ 互いに頑張りましょうね！」

咲「うん！ 私、日本で頑張るから！ 憧ちゃんもあっちで頑張って！」

晴絵「……照とか咏ちゃんみたいなのもいるんだけどなあ」


カン！

597 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/28(金) 00:59:18.00 ID:ZmR+mVPo0

>>568最近の恵さん見てるとなんだかんだ折れる気がするんですよね。嘉帆さんは好きなことやらせてやんなさいよーって言いそうですし
学校は…プロ志望じゃないですかね。はやりんを目指す＝牌のお姉さん、プロ雀士のはやりんになるでしょうし

改めて咲さん誕生日おめでとうございました。単行本新刊に実写にいろいろ出てきますし今後も期待していきたいです

598 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/28(金) 01:47:39.25 ID:3zfO8wKA0

>>597
ふんふむ…牌のお姉さんに成る条件として学生麻雀での実績って言うのも有りましたし
はやりんみたいに大学行ってインカレで活躍して牌のお姉さんの称号受け継いでからプロ入り目指すのかな？とおもったんですが
のどっちさん&ユキ的には“牌のお姉さん＝はやりん”で確定して居て後を継ぐなんて微塵も思って居なかったりして

さて…次回こそ新道寺女子関連(のよりんと哩姫&すばら先輩ｗｗｉｔｈ友清朱里ちゃん＋加藤ミカちゃん)との共演が見たいですね

599 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/28(金) 04:05:25.50 ID:wP0Hf7KBo

乙
松実四姉妹になるにはおもちが足りない…

600 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/28(金) 09:25:34.06 ID:MtApa9p0o

乙です

601 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/28(金) 20:43:51.94 ID:Rqgi5UF90

乙
咲さんかわいい

602 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2016/10/29(土) 00:53:33.01 ID:7q3oayFAO

乙乙
松実咲ちゃんかわいい

603 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:21:44.44 ID:Aw9c8zd80

>>598はやりんの大学進学って学生麻雀の実績じゃなくて研究者の道の方に比重があるんじゃないかと思ってます。芸能関係に元からが籍あるわけですし大学生と牌のお姉さん並行してた可能性も高いんじゃないかと
ハロウィンですし少し投下

604 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:22:39.38 ID:Aw9c8zd80

穏乃「お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞっ！」

憧「真面目に勉強しないとお仕置きするわよ」

穏乃「ごめんなさい」

憧「よし、問題解いて」

穏乃「はい、すみません」

初瀬「そこまで厳しくしなくてもいいじゃん……別に仮装して浮かれまくってるわけじゃないんだしさー」

憧「しずの頭じゃ遊んでる余裕なんてないわよ？」

初瀬「……お菓子出てきてうっかり食べ過ぎるのが嫌なだけだろ」

憧「……そんなわけないでしょ」

初瀬「なら目を逸らすなよ……」

穏乃「はぁ……たしかに別に毎年ハロウィンって言ったって何かするわけじゃないけどさ……ちょっと息抜きって言うかさー」

憧「さっきちょっと三麻打ったでしょ。 息抜いた分頑張る！」

穏乃「ほんとにちょっとじゃん……それにやっぱり三麻ってちょっと違うゲームだし……」

憧「愚痴る暇があるなら問題解く！」

穏乃「ぶー……」

初瀬「相変わらずスパルタだなぁ……穏乃、そこ間違ってるよ」

穏乃「えっ！？ ……うーんと…………」

憧「ほら、頑張って解いて。 それ終わったら……」

穏乃「休憩！？」

憧「小論文書いて。 推薦対策するよー」

穏乃「うにゃー……」

605 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:23:26.60 ID:Aw9c8zd80

望「はいはーい、お疲れさま、頑張ってる？」

穏乃「望さん！」

憧「お姉ちゃん、どうしたの？」

望「ハロウィンだし、カボチャのケーキを作ったのよ。 よかったらみんなで食べて」

穏乃「ケーキ！」

憧「ケーキ…………！」

初瀬「いつもご馳走になっちゃってすみません、望さん」

望「いいのいいの、気にしないで。 初瀬ちゃんも穏乃ちゃんも頑張ってるんだから」

憧「…………」

望「あれ？ カボチャ嫌いだったっけ？」

憧「いや、そんなことは…………おいしそう……」

望「でしょ？ 自信作よー」

穏乃「それじゃあ早速……！」

憧「ダメ！ そのページ終わってから！」

穏乃「はぁい……」

初瀬「じゃ、穏乃がそれ解き終わったら一旦休憩だな」

憧「あー……もうやだ、また太る恐れが……」

穏乃「食べなきゃいいじゃん。 なんなら私が食べてあげるよ！」

憧「は？」

穏乃「はい、ごめんなさい」

初瀬「……こえーよ」

憧「うっさい！ ……うぅ……お姉ちゃんのバカ……よくもこんなおいしそうなものを……」

望「かわいい妹のためにも頑張って用意したのに……お菓子よりもいたずらしてあげた方がよかった？」

憧「……お菓子の方がいい」

望「でしょー」

606 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:24:28.40 ID:Aw9c8zd80

望「それじゃ、頑張ってね。 私は仕事戻るけど……必要なものがあったらなんでも言ってねー」

穏乃「はい！ ありがとうございます！」

初瀬「ありがとうございます！」

憧「……ありがと」

憧「…………ほら、早く解きなさいよ。 食べるの待っててあげるから」

穏乃「はーい……それじゃ、憧が早く食べたくて仕方ないみたいだし頑張って解くかあ……」

憧「別にそんなこと言ってないでしょ！」

初瀬「目が口以上に物を言ってるよ……」

憧「…………まったくもう、ハロウィンだからってどうってこともないでしょ」

穏乃「ちょっと望さんがおいしいお菓子作ってくれるだけだもんねー」

初瀬「いいお姉さんだよねーほんと」

憧「…………は、ハロウィンは英語圏の国では結構盛大にやるらしいわよ？ それこそ休日になったり仮装したり……」

初瀬「話題転換へたくそか」

穏乃「望さんほめられてうれしいんだろー」

憧「……うるさい！ さっさと問題解け！」

穏乃「はいはい……たしかにハロウィンは外国のお祭りであっちの方が盛り上がってるイメージあるけど……純さんと今ごろあっちでハロウィンしてたりするのかなぁ」

憧「……さ、さあ？ どうかしらね？ ……元気にしてたらいいけど……」

607 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:25:21.37 ID:Aw9c8zd80

――――――

純「腹へった。 メシ」

恭子「……あのな、私はあんたのオカンでも嫁でもないんやで？」

純「あ、この前恭子が作ったお好み焼きうまかったわ。 アレ作れよ」

恭子「なんで命令形なんや……それにな……アレはお好み焼きやない……末原焼きや……」

純「へ？ なんだ、なんか秘伝のレシピ的な！？」

恭子「ホンマもんのお好み焼きはな……あんなもんやない……漫ちゃんちの店なんか行ったらもっとすごいもんが出てくるんや……あんな紛い物がお好み焼きなんて名乗るのはおこがましいわ……」

純「いやうまかったって言ってるだろ……なんでそこまで卑屈になれるんだよ……」

恭子「というか純の方がレパートリー広いし腕もあるやんか！ あんたが作ればええやろ！」

純「え？ やだよ。 オレは作るより食べる方が好きなんだ。 他人の作った物を食べるのがなお好きだ」

恭子「めんどくさいから作れってことやん……」

純「オレ一人で食うならなんでもいいけどよ……お前らの分まで作るとなると下手なもん出せねぇし味付けの好みとかいろいろ考えるのめんどくさいじゃねぇか」

恭子「やっぱりめんどくさいだけやん……」

エイスリン「んー……ジュンは、優しいんやな。 私らのこと考えるからめんどくさくなるんやもんね」

純「……めんどくさいだけだって」

エイスリン「へへ、じゃ、そういうことにしとくかー」

608 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:26:18.04 ID:Aw9c8zd80

エイスリン「んー……ところでな？ ちょっと、言いたいことあるんやけど……」

恭子「ん？ どした、エイスリン？」

エイスリン「この牌譜な、さっきまで研究に使ってたやつ」

恭子「うん」

エイスリン「やっぱり……日本語だけでやる、まだ難しい……」

純「そうか？ たまに片言っぽくなるけどお前の日本語だいぶ違和感ねぇぞ。 関西弁なことに違和感あるぐらいで」

恭子「しゃあないやん……私が一年ちょっと日本語教えたんやし……そりゃうつるやろ、関西弁……」

エイスリン「話す、だいぶ慣れたんやけど……やっぱり、聞くの大変……わからない言葉、たまに出るしな？」

恭子「む……まあ、それもそうか。 それじゃあ……」

エイスリン「だからジュン、ちょっとイラスト付で解説してくれへん？」

恭子「何故イラスト！？」

純「よっしゃまかせろ！」

恭子「しかもノリノリ！？ 腕捲りまでして！？」

純「つまり……ここの四萬切りの意図は……こういうことだ！」

エイスリン「いや、わからんって！ 相変わらずジュンは絵下手やなぁ」

純「知ってたよ！ つかやらせんなよ！」

エイスリン「あっはは！ いや、でも私、ジュンの絵好きやで？ 味があって……」

純「けっ！ またそうやって馬鹿にしやがって……」

エイスリン「違う違う！ ほんと、絵って人柄出るしな。 ジュンの優しさ、わかるで」

純「……急に持ち上げるのやめろよな。 なんも出ねぇぞ」

エイスリン「あは、そりゃ残念やなー」

609 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:27:02.57 ID:Aw9c8zd80

純「……んで、オレもひとつ言いたいこと……というか、聞きたいことがあるんだが」

恭子「なんや？ ここの鳴きの有効性は……」

純「いや、それじゃなくて。 エイスリンさ、お前……なんだよ、その格好？」

エイスリン「遅っ！ 遅いわそのツッコミ！ 待ちわびてたわ！ 恭子ちゃんもちっとも触れてくれへんし！ ハロウィンやろ！？ 魔女の仮装やん！ 魔女っ子エイちゃんやん！？ かわいいやろ！？」

純「自分で言うか？ ……まあ、かわいいけど」

恭子「いや、研究中やったし……しかもすごくツッコミ待ちしてる感じがしたから……逆に触れにくくて……」

エイスリン「なんなんそれ！？ アレやろ？ 関西人はボケとツッコミが大事なんやろ？ クルミの方がよほど威勢よくつっこむでホンマ！」

恭子「ダメだしされるとか……メゲるわ……」

純「つーかエイスリンの威勢のよさにビビるわ」

エイスリン「元気いっぱい！ 大切！」

純「まあ、それはたしかに大切だけどよ……」

エイスリン「……なんでそんな歯切れ悪いん？ かわいくなかった？」

恭子「かわいいで」

純「かわいいな」

エイスリン「もう、それならそうと言ってくれりゃええやん、不安になるやろー」

純「言ったぞ、さっき」

エイスリン「何回言われてもうれしいやん？」

純「……前から思ってたけど、お前って結構いい性格してるよな」

エイスリン「性格いい？ もちろん！ 私、いい子！」

純「…………おい」

恭子「いや、そういう日本語のニュアンスって難しいやん……なんで私の教え方が悪いみたいな……」

610 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:28:12.47 ID:Aw9c8zd80

アレクサンドラ「おい、いくら寮でもあんまり騒ぐと回りから苦情が……お、どうしたエイスリンその格好」

エイスリン「アレックス！ ハロウィンやハロウィン！ Hey! Trick or treat!」

アレクサンドラ「ひとつだけ言わせてもらうが、私は物を貰うのは好きだがあげるのは嫌いだ」

エイスリン「真顔やめーや！」

アレクサンドラ「ぐぉ！？ くっ……鋭いツッコミ……恭子、あんまり仕込むなよ。 痛いんだぞ」

恭子「勝手に覚えたんですよ！ 日本語は教えてますけどボケとかツッコミは教えるもんでもないですし！ というか本当にいいツッコミは派手な音こそ出ても痛くないんで！」

エイスリン「ん……修行不足？ これからも頑張る！」

恭子「そういうことではなく！」

アレクサンドラ「ハロウィンって子どもが大人からおかしをもらうんだろ？ でも、そんなの不公平だ。 大人だっておかし食べたいやつもいるんだぞ」

純「……くだらないことを真面目に語るなよ」

アレクサンドラ「くだらなくないだろ！ じゃあ、ほら！ この際いたずらしていいからおかしくれよ！」

純「ふざけんな！ オレが食べ物やるわけがないだろ！ 自分で食うっつーの！」

恭子「くだらないとか言っときながらあんたが一番必死やんか……」

純「うるせー！ いいから恭子は早くメシ作れよ！」

恭子「なんで私が用意するの決定事項になってんや！？」

アレクサンドラ「なんだ、これから食事か？ 私も食べてくぞ。 いいよな？ あ、喉渇いたんだお茶でも淹れてくれ」

エイスリン「はーい！」

恭子「もう居座る気満々じゃないですか！ 返事すら待たずに！」

611 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:29:19.77 ID:Aw9c8zd80

アレクサンドラ「で、今日の献立は？」

純「恭子がお好み焼き作る」

恭子「決定なんか！？ ちょ、材料とか……」

アレクサンドラ「ほう？ アレだな？ 本場の味ってやつだな？ 楽しみだ」

恭子「ハードル上がっとる！？ いや、ほんとそんな大層なものやなくて……」

純「腹へった」

アレクサンドラ「恭子、早く！ すぐできるのか？」

恭子「……材料買ってきますんで、ちょっと待っててください」

エイスリン「恭子ちゃん！」

恭子「なんや？」

エイスリン「ハロウィンやしー？ なんかーおいしいおかしとかー？ 食べたいなーってー」

恭子「……なんか買ってくるわ」

エイスリン「Yes! ダッシュでな！」

恭子「……はいはい、行ってきます」

純「……お前、ほんといい性格してるよな」

エイスリン「why? これも、性格いい？ 日本語は不思議やなぁ……」

純「……日本語って難しいんだな」

アレクサンドラ「おい、なんか食べ物ないのか？ 待ちきれないぞ」

純「自由か！ 棚を漁るな！」

アレクサンドラ「おかしをくれないからいたずらしてるんだよ！」

純「なに開き直ってんだよ！」


カン！

612 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/10/31(月) 21:30:56.89 ID:Aw9c8zd80

ドイツ組現況。アレクサンドラ監督ってすごくかわいいと思うんですけど

613 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/31(月) 22:25:58.47 ID:wsmckTMGo

乙です

614 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/10/31(月) 23:56:21.82 ID:k3lMm0xA0

乙です
この世界の末原さん…漫ちゃんも誘えば良かったって後悔してそうですよね？
そう言えば漫ちゃんは大学行ってるんでしょうか？
直接指導を受けてた末原さんは渡独して居ますし…もしかして漫ちゃんも渡独しようとして居たりして
後姫松で不明なのは由子さんですよね
劔谷の面々と同じ大学(お嬢様しか通えない大学)に通って居たりするんでしょうか？

615 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/12(土) 15:14:27.57 ID:Wk/m2LDA0

連書き失礼します
所でこの世界でドイツと言えばはやりんと赤土先生と善野監督と咏ちゃんにとっては忘れてはならない友人こと白築慕さんが行って居る設定でしたよね？
久部長の誕生日(&日本シリーズ打ち上げ)にでも慕さんの話をして欲しいかも
シリーズ進出チームは横浜(咏ちゃんと照姉さんとやえさんと後誰か)と大宮(はやりんと赤土先生と弘世様と後誰か)と神戸(のよりんとセーラさんと竜華さんと後誰か)と佐久(藤田プロとミッポさんと後誰か)でお願い致します
其れで打ち上げに来て居るプロ以外のメンバーは阿知賀の面々と清澄の面々と風越の面々と衣お姉さんが良いですね

616 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/12(土) 15:41:47.85 ID:ddQUqYJ4O

今更だけど
ハルエドラ1菫ドラ2？
もしかして同年ドラフトじゃない？

現実(の野球)なら強豪校の二番手はめちゃくちゃすごくて2、普通なら4、5あたりだろうけど

617 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/12(土) 21:12:24.75 ID:PRwrwCe90

ハルちゃんと弘世様は同期じゃなかったっけ
だとすると照って化物が同期にいるし流石にハルちゃん一位指名はないんじゃないかな

618 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/12(土) 21:55:00.38 ID:Wk/m2LDA0

そう言えば咲-Saki-世界のプロ麻雀のチームってどう言う入団方式なんでしょう？
ドラフト方式(現実のプロ野球と同じ)？
其れともＪリーグ方式(要はスカウト方式)？
>>1さん是非ともお教え頂きたいですね！

619 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/13(日) 12:12:23.30 ID:f0ea5jDnO

>>617
テルーは横浜だからまあ横浜ドラ1だろうけど
ハルエも即戦力らしいし大宮のドラ1でもおかしくないかなーって
イップス明けだからドラ3ぐらいかもしれないけど

620 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/14(月) 11:05:24.93 ID:kcIiSsRA0

話変わっちゃいますけど
まふふの誕生日の時にでもはやりんが赤土先生と弘世様をまふふのバースデーミニライブに連れて行って
同じ様にまふふのミニライブに来て居たのどっちさん一家と鉢合わせしてのどっちさんとまふふが顔見知りだと知ってはやりん達がびっくりするってエピソードをやって欲しいんですが如何でしょうか？

621 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/21(月) 02:56:34.03 ID:bvWWwuvQ0

>>615慕ちゃんに関してはドイツ関係に話を伸ばすのにネタにはしましたが特に言及はしていないような気がします…シノハユ本編でナナさんがニーマンと絡んでるんで実際にそっちに行くような可能性もあるかとは思いますが。個人的にドイツ関連の話で公式から欲しいのはぶっちぎりで純くんの話なんですがね！

>>プロ→ここでの設定だとハルちゃんと弘世様は同期ですね。阿知賀編アニメでエバーグリーンズ解体後にハルちゃんが「みずはらさん」…まあはやりんで確定でいいでしょうけど電話でチームに誘われている描写があるんでスカウト制濃厚な気もしますが傍から見てる分にはドラフトの方が面白いしそれでもいい様な気も。三年生世代でドラフトとか全チーム照一位指名しそうですが

一応、シノハユのキャラに関しては現状そこまで大きく取り扱う予定はないです。たまに慕リチャっぽいの書いて勝手に満足してるので…というか原作時点でキャラ数尋常じゃない上に人間関係ごちゃごちゃしてるので扱いきる自信が…



あわすこ

「えー！？うそー！なんでー！？」

「え？なんでって言われても……これくらい普通に破れるよ……？」

「これくらい！？普通に！？」

「うん……たいしたことないし……」

「たいしたことない！？この淡ちゃんが！？」

「え……あ、その！大星さんがダメってわけじゃなくってね！？その……上には上がいる的なアレだから！相対的に！？」

「ぐぬぬ……悔しいけどすごーい！おばさんのくせにやるじゃん！」

「アラサーだよ！まだ……まだ！おばさんじゃ……ないよっ！」

「えー？もうおばさんでしょ？」

「最近の若い子怖いよ！もっと気を遣おうよ！」

「そっちだって結構好き放題言ってるでしょー！？」



まいひめあわ

「ねーねーまいるーおなかすいたー」

「ん。飯行くか。おごっちゃるけん」

「大星！そげんしてぶちょーんこと呼び捨てにすっのばやめって何度も……！」

「姫子、もう部長じゃなかとね」

「ぷぷ、恥ずかしー」

「……大星っ！」

「ヒメコなにイライラしてんの？疲れない？」

「姫子、大星も新入りやけん、優しくしてやらんと」

「…………」

「ヒメコー？返事はー？」

「…………っ！」

「なんでほっぺ抓るのー！？やめてよー！ヒメコがいじめるー！」

「姫子、後輩いびりなんてみっともなかよ」

「……はい、すみませんぶちょー」

「だから部長じゃないって言ってるじゃん。おバカさんなの？」

「……くっそ生意気な奴！」


あわあわはこんな感じのプロ入り後想定してるんですがチームの先輩候補とか誰がいいですかね？わりと誰でも行けるような気もしてるんですが

今月中にはなにかしらちゃんと投下するつもりです

622 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/21(月) 08:51:06.38 ID:OgZQVF3A0

ふんふむ…
何かあわあわはつくばか横浜が良いかも…
哩姫が揃ってつくば入りして居れば単独でつくば…
そうじゃ無ければ咲さんと一緒に横浜入りして欲しいかも…
ま…すこやんの古巣…恵比寿が黙って居ないとは思いますが

623 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/21(月) 22:17:00.12 ID:OgZQVF3A0

えぇと…連書き失礼します
本日は熊倉さんの誕生日なんですが
杏果さんの誕生日迄で構いませんので大宮(はやりんと赤土先生と弘世様)&横浜(咏さんと照姉さんとやえさん)によるドイツ遠征をお願い致します

624 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/22(火) 01:11:59.36 ID:A4e1fuMrO

>>621
>>572で一位指名って言ってるんでてっきりドラフトかと……
スカウトだったらサッカーっぽい感じですかね

625 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:33:22.36 ID:RIAQCJc70

>>624ドラフトならネタにしやすいし面白いじゃん！って思ったけど盛大にタイミングを逃しただけの人です…一応ここではドラフト制らしいぐらいに思っていただければ…明言されていない以上何とも言えませんが原作世界はスカウト制（サッカーに近い）制度をとってるような気はしていますが。現実の麻雀プロは筆記試験とかもやるみたいですが

今月は日和もシノハユでシノハユ成分マシマシでしたね。ラーメンからのお嫁さん慕ちゃんでなんか笑ってしまった。はやりちゃん＋杏果ちゃんとか最強の組み合わせではなかろうか。閑無ちゃんマジレボリューション

全然関係ない短いのを投下します

626 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:34:00.92 ID:RIAQCJc70

穏乃「井上さん、背が高いですよね」

純「おう、なんかな……回りでオレよりでかいの萩原さんぐらいだし」

穏乃「羨ましいです！ どうやったら身長伸びるんですかね……」

純「さぁ……なんか勝手に伸びたからな……バスケとかすればいいとか言うよな」

穏乃「今から本気で打ち込むのも……麻雀やってますし……」

純「だよなぁ……じゃあもうよく食べてよく寝るしかねぇな。 オレは食うのも寝るのも好きだ！」

穏乃「なるほど！ それは私も得意です！」

純「よし！ 腹へったし飯でも食いに行くか！ オレが奢ってやるぜ！」

穏乃「え、でも……」

純「いいから行くぞ高鴨！ ひとりで飯食うのも味気ないだろ？ 付き合ってくれよ」

穏乃「……ありがとうございます！ お供します！」

627 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:34:54.81 ID:RIAQCJc70

穏乃「……というわけでふたりでお出かけしてたんだけど……」

憧「そ、そう……ふーん……なんか、仲いいのね……」

穏乃「いや、別に憧が心配するようなことはないと思うんだけど……そういう憧だって楽しそうに遊び行っちゃってさ……」

憧「別にいいでしょ、こっちのことは！ い、今問題なのは、しずが、井上さんと、ふたりで！ 楽しそうに食事に行くところだったということで……」

穏乃「だからなんでそれが問題になるの？ 憧だって胡桃さんと豊音さんと一緒じゃん！」

憧「ふたりなのと三人いるのじゃ全然話が変わってくるじゃん！」

豊音「えっと、えっと、この場合だとそこまで話は変わらないんじゃないかなーって思うんだけど……」

胡桃「純くん、相変わらず無駄にでかいね」

純「そういうお前も相変わらず無駄にチビだな」

胡桃「チビって言うな！ ちょっと小柄なだけだから！」

純「ちょっとねぇ……見たところ衣とたいして変わらねぇけど」

胡桃「うるさいそこ！ さすがに天江さんよりは大きいから！」

豊音「あの、喧嘩しないでほしいなー……それに、胡桃だって小さくてかわいいし、井上さんだって背も高くてカッコいいし、全然ムダじゃないって思うなー」

純「つかお前の方がでけぇよ！？ っていうか本当にでかいな！？ ちょっとビビるわ！」

豊音「ひぅ！？ ご、ごめんなさい……」

628 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:35:35.61 ID:RIAQCJc70

胡桃「ちょっと！ 豊音をいじめない！」

純「別にいじめてねぇよ！ ただ……うん……ほんとでかいなお前……滅多に自分よりでかい奴見ねぇから……威圧感ヤバい……」

豊音「ご、ごめんなさい！ その、威圧してるつもりはないんだけどー……」

胡桃「豊音はおっきくてもかわいいからいいの！」

純「おい待てよ……それじゃあまるでオレがかわいくないみたいじゃねぇか」

胡桃「まさかのかわいいキャラ狙ってたの！？」

純「冗談に決まってんだろ！」

憧「い、井上さんはどちらかと言うと滅茶苦茶カッコいいですよ！？」

純「おう、よく言われるぜ」

豊音「言われてそうだよねー……私も、お付き合いするなら背が高くてカッコいい人がいいなぁ……」

純「……悪いけど、お前よりでかい人類ってそうそういないと思うぞ？」

豊音「人類カテゴリからはみ出ちゃうの！？」

穏乃「姉帯さんも身長すごく高いですよね……いいなぁ……」

豊音「そう？ 私は高鴨さんが羨ましいなぁ……私は高鴨さんと同じくらいの身長がよかったんだけどなー」

穏乃「そうなんですか？ 背が高い方がカッコよくていいと思いますけど……」

豊音「ちょっと背が低いくらいの方がかわいくていいよー！ それに、でっかいと不便なこともたくさんあるよ？」

胡桃「小さくても不便なことはいっぱいあるけどね……」

純「お前ら、ジェットコースターとか乗れなそうだよな」

胡桃「うるさいそこ！ 黙ってなさい！」

純「……わりぃ」

629 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:37:28.42 ID:RIAQCJc70

豊音「屈まないと鴨居に頭ぶつけたり、普通の扉も通れない時があったりー」

純「あー……お前ぐらいでかいとそうかもな」

豊音「え！？ 井上さんもあるよね！？」

純「……まあ、頭ぶつけたりはあるかな」

穏乃「羨ましい……」

胡桃「一回ぐらいそんなこと言ってみたいよね……」

憧「さすがにそこまで身長要らなくないですか……？」

穏乃「憧にはわかんないよ！ この気持ちは！」

胡桃「憧ちゃんも小柄だけど！ 着る服にも困る私の気持ちはわからないでしょ！」

豊音「あ、私も服のサイズは困っちゃうよー」

純「お前はほんとでかすぎ……」

胡桃「っていうか純くん！ 私たち先輩なんだよ？ お前とか言わない！」

純「……わかったよ、胡桃」

憧「！？」

胡桃「胡桃さん、でしょ！ もしくは鹿倉先輩！」

純「別に先輩ではねーだろ」

胡桃「いちいち口答えしないの！」

純「……おい、こいつめんどくせーぞ豊音」

豊音「！ あ、えっと、胡桃は礼儀正しい子だからー……あのあの、私も井上さんのこと、純くんって呼んでもいいかなー……？」

純「ん？ 別に好きに呼んでくれて構わねーけど」

豊音「わーい！やったあ、うれしいよー！ やっぱり名前で呼び合うのって友達って感じでいいよねー！」

630 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:38:13.59 ID:RIAQCJc70

憧「ちょっと……ちょっと！ しず！ どうなってんの！？」

穏乃「え……いや、どうなってるもなにも……普通に仲良くなってるだけじゃ……」

憧「でも！ ほら！ なんか姉帯さんとかすごく嬉しそうだし！ も、もしかしてライバル……」

穏乃「違うでしょ。 落ち着きなよ……豊音さん！ 私、やっぱりおっきい方が得なこといっぱいある気がするんですけど……」

豊音「え？ そうかなー？ この前胡桃と写真撮ろうとしたときなんてすっごく大変で……」

純「……そのサイズ差じゃ大変だろうな」

胡桃「豊音がしゃがむしかなかったもんね……」

豊音「え？ でもでも、あの時は私が胡桃を抱っこして……」

胡桃「豊音！」

豊音「あっ……ご、ごめんね？」

純「へぇ……なに？ 豊音に抱っこしてもらったの？ よかったなぁ」

胡桃「うるさいそこ！ ニヤニヤしない！」

純「いいじゃん別に、オレだってよく衣肩に乗せたり腕にぶら下げたりしてるぞ？」

胡桃「父親か！」

純「オレは女だ！」

豊音「わー！ いいねー！ 純くんはいいお父さんになれそうだねー」

純「どうやってもお父さんにはなれねぇよ！？」

穏乃「肩に……井上さんや豊音さんぐらいの視線の高さだと全然違う世界に見えそうですね……」

豊音「！ それじゃあ、一回やってみようか！」

穏乃「え！？ い、いいんですか……？ わ、私こう見えても鍛えてるしちょっと重いかも……」

豊音「そんなことないよー！ ほら！」

穏乃「うわっ！ ……わぁ！ すごっ……高い！ すっごく高い！ なんだこれ！」

胡桃「ちょ、ちょっと豊音！ こんなところで目立つってば！」

純「いや、豊音が規格外にでかいし元から目立ってたけどな」

憧「しず！ 恥ずかしいからせめて宿についてからとか……！」

穏乃「でもこれ！ 本当に凄いって！ わー……わぁ……！」

豊音「えへへ、喜んでもらえて私もちょーうれしいよー」

631 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:39:35.00 ID:RIAQCJc70

穏乃「すごい……本当に凄いんだって！ 他に言葉が出てこないくらい！ 憧もやってもらえば？」

憧「わ、私はいいわよ……」

豊音「……！ そうだよ！ 私は今高鴨さんを肩車してるから純くんに……」

憧「ふきゅ！？」

純「ん？ 別にいいけど……」

憧「だ、だだ、大丈夫ですから！ は、恥ずかしいですし……そ、それに！ 肩車って！ 太ももで井上さんの頭挟むなんて恥ずかしすぎて無理ですから！」

胡桃「憧ちゃんは落ち着く！ 自分で変な言い方しないの！」

豊音「うー……いいパス送ったつもりだったんだけどー……」

穏乃「憧だから仕方ないですよ！ 豊音さんのせいじゃないですから！」

憧「どういう意味よぉ！？」

胡桃「もう……もう……まったく！」

純「……なに？ 羨ましいのか？」

胡桃「違うってば！」

純「ほら、オレが抱いてやってもいいけど？」

憧「だ、だっだだだだだだだ！？」

胡桃「抱き上げても、ってちゃんと言う！ 誤解を招くでしょ！？ っていうか既に憧ちゃんが大変なことになっちゃってるでしょ！？」

憧「そそ、そんな、そんな！ アレですよ！？ は、はしたないですよ！？ く、胡桃さんもそんな、そんな、ダメですよ！？ あの、だって、ほら！ ね！？」

胡桃「いいから落ち着く！ しないから！ 無いから！」

純「だからオレは別にいいって……」

胡桃「うるさいそこ！ とりあえず黙る！ わざとなの！？ 」

632 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:40:40.94 ID:RIAQCJc70

純「冗談冗談……ほれっ！」

胡桃「うわぁっ！？」

穏乃「わっ！ すごい！ 片手で持ち上げられるんですか！？」

純「軽いなお前……ちゃんと食ってるか？」

胡桃「食べても身長伸びなかったの！」

純「衣とかわんねー」

胡桃「そんなはずないでしょ！ 私の方が背も高いし！」

純「いやマジで。 これくらいなら逆の腕に高鴨ぶら下げられるぜ」

穏乃「いやいや、それはさすがに……」

純「試してみるか？」

豊音「わーいいなー！ 楽しそうだよー！」

穏乃「よぉし……行きますよっ！」

純「うらっ！」

穏乃「わ！ わ！ 持ち上がった！」

純「うっしゃ！ 行くぜ！ ダッシュだ！」

穏乃「あはは！ あははは！ すごい！ すごいです！ 早い早い！」

胡桃「ちょ、ちょっと！ 恥ずかしいからやめて……！」

純「ちゃんと掴まってないと危ないぞー」

胡桃「下ろしてよー！」

憧「両腕にしずと胡桃さんぶら下げて……か、完全に二人の娘と遊ぶ父親ですね……」

豊音「いいなー！ 私もしてもらいたいなー……」

純「無茶言うなよ！ お前オレよりでかいだろうが！」

豊音「あっ！ じゃあ純くんが私の腕にぶら下がってみる？」

純「え……お、お前本気で言ってんの……？ できちゃうの……？」

豊音「じょ、冗談だよー！？ さすがに純くんは両手でだっこしないと持ち上がらないと思うよー！？」

純「マジでオレ持ち上がるの！？ 女に抱えられるとか体験したことない世界だぞ！？」

豊音「たぶんできちゃうよー？ えへへ、純くんに初体験させちゃうよー？」

憧「ふきゅ！？」

胡桃「憧ちゃん！ 一回考えるのやめて深呼吸しよっか！？」

633 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:42:27.78 ID:RIAQCJc70

胡桃「はぁ……まったく！ 純くんのお陰で酷い目にあったよ！」

純「わりと楽しそうにしてたじゃねぇか」

胡桃「そんなことないから！ 子どもじゃないんだからさぁ……」

穏乃「私は楽しかったですけど……」

胡桃「え？ えーと……」

憧「しずは子どもだからね」

穏乃「ほら、たまには童心に帰ることもあるじゃん？」

憧「あんた帰りっぱなしじゃないのよ。 むしろ高校生に帰ってきなさいよ」

穏乃「私、子どもだから！ 高校生なんてまだまだ子どもだよ！」

憧「それは大人が言う台詞でしょ」

豊音「私もちょー楽しかったよー？」

憧「え？ えーとですね……」

胡桃「豊音は純粋な心を失ってないだけだから！ 天使だから！」

純「豊音はどっちかと言うと巨人だろ」

胡桃「見たまんまだよ！？ というか純くんだって私から見たら巨人だよ！」

豊音「あはは、強そうでカッコいいかもー」

胡桃「意外と受け入れてる！？」

豊音「あのねー、巨人の豊音ちゃんはちっちゃくてかわいいものが大好きなんだよー？」

胡桃「きゃっ！？ ちょっと、だから抱えあげないでってば！ スカートだし！」

純「誰もお前のスカートの中身なんか興味ねぇから安心しろよ」

胡桃「それはそれで悔しい！ ……いや、そういう問題じゃないから！ 」

634 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:43:36.30 ID:RIAQCJc70

豊音「あはは！ こうやってれば胡桃ともたくさん遊べるねー！」

胡桃「いや、子どもと遊ぶんじゃないんだから……！ もっとこう、年頃のレディを扱う感じでさ！？」

純「サイズ差は不便だが逆に活用もできるからな……オレも衣とはいろいろな遊びを開発してきたが……」

豊音「えー！？ なにそれ！ ちょー興味あるよー！」

胡桃「全然聞いてない！？」

憧「あ、あの！ 胡桃さん困ってますし！ 子どもじゃないですから！ 立派なレディですから！」

純「んー？ こんなちんちくりんじゃなぁ……お前をレディ扱いしろってんならまだわかるけどよ」

憧「ふきゅ！？」

胡桃「憧ちゃんしっかり！ 助けて！」

穏乃「あ、あの！ 井上さん！ 豊音さん！」

純「ん？」

豊音「どうしたのー？」

胡桃「し、穏乃ちゃん……！」

穏乃「わ、私もまた肩車してもらいたいなーなんて……」

胡桃「遊びに夢中か！」

純「よーし、任せろ！ ……衣に比べると身長もあるし多少は来るな……」

穏乃「いやあ、そこは嘘でも天江さんの方が重いって言ってあげないと……」

豊音「高鴨さんは先輩を気遣えるいい子だねぇ」

胡桃「全然気遣われてないよ！？ 楽しそうに遊んでる場合じゃないよ！？」

豊音「……胡桃、もしかして楽しくなかったかなー……？」

胡桃「正直すっごく面白いよ！？」

憧「解決した！？」


カン！

635 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/11/27(日) 21:48:34.17 ID:RIAQCJc70

唐突にインハイ時間軸になったりする。岩手はとよくる好きです。純くんと衣とかもとっても和む。サイズ差いい…

今日は副会長こと内木一太くんの誕生日みたいですね。久と一太は妄想の余地と可能性に溢れてると思うけどほとんど見たことがない…時間に余裕があったらなんか形にしたいとは思うんですがねー

636 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/27(日) 23:36:08.41 ID:klcaYEeFo

乙です

637 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/11/28(月) 00:23:27.93 ID:ZSHIPMZA0

乙です
久々の本編時間ですね
次回は愛宕姉妹の私服のセンスが意外と灼ちゃーに近かったって言う話をお願い致します！
登場人物は
灼ちゃーと憧ちゃーと愛宕一族(雅枝監督と洋榎姉さんと船Ｑさんと絹ちゃん)とセーラさんと揺杏さんとハイセンストリオ(初美さんと一ちゃんと穏ちゃー)と豊音さんと霞さんで！

638 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/08(木) 00:57:09.08 ID:QKyVQYIA0

えぇと…連書き失礼します
前に灼ちゃーが久部長に部員勧誘に関する相談する話が有りましたが
其れ関連でワハハさん&かじゅさんに相談するって言う話をお願いしたいのですが
如何でしょうか？
部員勧誘と言えば鶴賀のネット戦略ですから

639 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2016/12/12(月) 19:19:24.60 ID:ka9sN1w30

乙です
11月から読み始めてやっと追いつきました
咲愛に溢れたすばらなssだと感じます
本編が面白いのは勿論、ドイツ編からのエイスリン関西弁はかならツボりましたw
次回更新も楽しみに待ってます

640 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/15(木) 01:18:39.76 ID:/lV2SFrw0

>>639ありがとうございます！最近は本当に更新頻度低くて心苦しいですがのんびり楽しんでいただけると幸いです

実写ドラマも二話まで放映されていろいろと言いたいことはありますが正直期待以上の出来な気がしています。ゆーきが咲さんよりでけぇ！とか見た目の違和感あったけど声頑張りすぎてて許せた…京ちゃんカットは残念でしたがその分染谷先輩台詞増えた…？

ちゃちゃのん&あわたんイェイ〜
ちゃちゃのんに関しては後日投下を。毎度毎度遅刻上等で情けないことですが…

641 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/15(木) 03:31:55.29 ID:P4pApwnnO

え？咲のドラマはじまってたのか
……うちの地域じゃやってないからそりゃ気づかないわ

642 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/15(木) 14:09:42.61 ID:6V7rZW1A0

>>640
ふんふむ…ちゃちゃたんと来れば主役は宥姉さんですね？
其れではちゃちゃのんのチームが皇后杯(プロアマ参加のオープントーナメント)予選の為に松実館へチームメイトと来たって言うのは如何でしょうか？
え？ちゃちゃのんの所属チーム？
フロティーラ(戒能プロ&爽さん所属)で良いと思いますが
フロティーラはちゃちゃのんの地元広島に近いですし
如何でしょうか？

643 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:39:54.02 ID://2bMDm40

>>641実写って人を選ぶのは当然だし絶対見てね！とは言えませんが>>1は楽しんでます。長野勢好きだし清澄や龍門渕は咲全体通してもトップクラスで好きですし…タイミング逃して文章に起こしてなかった清澄ネタとかちゃんと書きたいなぁって思えてますし

ちゃちゃのんと、淡で短いのふたつ

644 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:42:13.51 ID://2bMDm40

はやり「お疲れさまっ☆ ごめんね？ 待たせちゃったよね」

晴絵「お疲れさまです。 いや、私は午前中に雑誌の取材一本だけでしたしほぼオフだったので……はやりさんは忙しいですね。 とてつもなく」

はやり「団体戦のシーズンが終わったら個人の対局参加しながらアイドル活動だからねっ！ 新曲の宣伝にクリスマスライブもあるからもうしばらくは忙しいかなあ」

晴絵「そのまま年末年始迎えて二月もバレンタインでライブと休む暇もないじゃないですか……ちゃんと休まないとダメですよ？ 身体が資本ですからね」

はやり「えへへ、心配してくれてありがとう。 そこら辺は弁えてるから大丈夫っ！」

晴絵「ほんと、無理しないでくださいよ」

はやり「はやりはね、ファンのみんなの笑顔があるから頑張れるんだよっ☆ ふふ、それにプライベートな時間ははるえちゃんたちが一緒に居てくれるしねっ！」

晴絵「……まあ、はやりさんがいいならそれでいいんですけど」

はやり「照れてる？」

晴絵「……いえ、別に」

はやり「もう、はるえちゃんってばかわいいんだから！」

晴絵「勘弁してくださいよ……私はかわいいって柄じゃないんで」

はやり「ふふ、はるえちゃんはカッコいい！ って言われる方が多いもんねぇ……はるえちゃん、かわいいのに！」

晴絵「私はそっち方面じゃ売れないですって……うちはただでさえとびきりかわいいはやりさんがいるんですし」

はやり「え〜？ もう、ほめたってなんにも出ないよ？ まあ、はやりもはるえちゃんはカッコいい系で押した方がいいと思うけど！ このまますみれちゃんと一緒にさ！」

晴絵「菫は正統派でも行けるのに既に芸人枠でも人気出ちゃってるのが……」

はやり「すみれちゃんは……ズルいよね！ カッコいいのにかわいいところもたくさんあって……」

晴絵「菫はまだまだ人気出ますね……どんどん力もつけてますし……将来的にはチームの柱になりますよ。 はやりさんがいる限りチームを離脱することもないでしょうから」

はやり「そうだとうれしいなぁ……はるえちゃんは？ どう？」

晴絵「はは、私だって拾ってもらった恩義もありますし……そうですね、チームというよりも……はやりさんについていきますよ」

はやり「……あれ？ もしかしてはやりってモテモテ？」

晴絵「それは今さらでしょう」

645 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:43:12.98 ID://2bMDm40

晴絵「そういえば、来期の新人もはやりさんのファンですよ？」

はやり「えへへ、この前ちゃんと挨拶したよ？ 無事に優秀な選手が獲得できてひと安心だねっ」

晴絵「とうとう教え子が同僚に……はぁ……そういう年齢なんですねぇ……」

はやり「ま、まだ若いから！ 少なくともはるえちゃんははやりよりも年下だし！」

晴絵「あー……すみません、なんか気を遣わせちゃって……ま、なんにせよ楽しみですね。 和と一緒に打つのは」

はやり「のどかちゃんのデジタル打ちは完成度すっごく高いからねぇ……」

晴絵「インターミドルから顔も名前も売れてますし、チームの新しい顔になってくれると思いますよ」

はやり「のどかちゃんは絶対人気出るよ！ かわいいし、おっぱい大きいし！」

晴絵「いやいや、その言い方は……私も思いますけど」

はやり「あはは、はやりが中学生ぐらいの時から友達によく言われてたんだよね、これ」

晴絵「あぁ……はやりさんもそういえば昔から……」

はやり「……そんなにじっと見られると、恥ずかしいんだけど……」

晴絵「……はは、すみません。 つい……」

はやり「もう……とりあえず、出よっか？ はやりお腹すいちゃったよ」

晴絵「そうですね、なにか食べたいものとかあります？」

はやり「そうだなぁ……夜景の見える素敵なレストランで……」

晴絵「デートじゃないんですから……」

はやり「そうだね、はやりはアイドルだしデートしてるの見られたらいけないし……今日はデートじゃないってことで！」

晴絵「いや、なんか、そういうことではなく……おかしくありませんかね……？」

646 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:44:29.87 ID://2bMDm40

はやり「大丈夫大丈夫、はるえちゃんはカッコいい枠だから……あ、お疲れさまですっ☆」

いちご「……あ、お疲れさまで……み、瑞原プロっ！？ あ、赤土先生も……お、お疲れさまですっ！」

晴絵「あ、ちゃちゃのん……っと、失礼。 お疲れさまです、佐々野さん。 ……先生？」

いちご「あ、その、宥ちゃんが、じゃなくてえっと……ま、松実さん、友達で、あの……」

晴絵「あはは、落ち着いてよ。 ちょっと驚いただけだからさ。 宥と友達だったんだ？ 知らなかったよ」

いちご「高三のインハイで仲ようなって……宥ちゃん、よく赤土先生がーって話も聞くんで、つい……すみません」

晴絵「気にしないで、そう呼ばれたの久しぶりで……今日はテレビのお仕事？」

いちご「は、はい！ 瑞原プロとご一緒させていただいて……歌番組だったんですけど……」

晴絵「人気、だんだん出てきたよね。 テレビでもよく見るよ」

いちご「あー……はい、ありがとうございます」

はやり「……いちごちゃん、あんまりうれしくない？」

いちご「あ、いえ！ そういうことではなく……！ ただ、その……歌とか、やらせてもらってますけど……ちゃちゃのんとしては……やっぱり麻雀で……」

いちご「あ！ 瑞原プロがどうとかってつもりは無くって……！」

はやり「ふふ、いちごちゃん、そんなに気を遣わなくていいよ？ むしろはやりがアイドルと麻雀プロやってるのって牌のお姉さんって特殊な立場あってこそだし……いちごちゃんみたいな子が出てきたのも時代の流れかなあ……」

いちご「ちゃちゃのん的にも、その流れのお陰で……かわいくて歌って踊れるってことでプロになれたようなものですから……感謝してると言えばしてるんじゃけど……」

晴絵「……複雑な気持ちなわけね」

いちご「はい……やっぱり麻雀でもっと評価されたいけえ……いや、今の立ち位置になることは承知の上でプロになったんじゃけど……」

いちご「同期は宮永を筆頭に清水谷や獅子原、あとはあの愛宕なんかも結果出し始めてて……アイドル的な活動でお茶の間で人気者になっても、たまの出場機会で結果を出せないんじゃしょうがないけえ……」

いちご「歌やダンスの練習をしてれば麻雀の練習する時間は減るし……」

晴絵「……負のスパイラル状態なのね」

いちご「うう……遅れを取り戻そうと練習すればするほど体力は削られて結局パフォーマンス落ちるし……ちゃちゃのんどうすればいいんじゃ……」

647 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:45:48.03 ID://2bMDm40

晴絵「……その手の話なら、ちょうどよくここに大先輩がいるけど」

はやり「うーん……はやりは両方やりたいから両方やってる訳だし、目標があるからこそ頑張れるんだもん……無理して両方続けるのは、いちごちゃんのためにはならないんじゃないかな？」

いちご「やっぱり、そうなるんじゃろうか……でも、今のちゃちゃのんの力じゃ麻雀一本じゃ生き残れんっちゅうのもようわかっとるけえね……」

晴絵「ふむ……まあ、人気という点においては佐々野さんは強いよね。 次期牌のお姉さんの呼び声も高いし」

はやり「そうだよね……はやりはまだまだ辞めるつもりないけどっ」

いちご「ちゃちゃのんかて口が裂けてもはやりんポジに収まろうなんて言えませんて……もちろん、今の活動的に相当参考にさせていただいてますけど……」

はやり「……いちごちゃんは、今の活動嫌いなの？ さっきの収録も良かったし、頑張ってるんだなあって思ってたんだけど……」

いちご「いえ、歌って踊ってっちゅうのはそれはそれで好きなんじゃけど……一番はやっぱり麻雀なんじゃ！」

いちご「こう……気がついたら麻雀がしたいがためにそれ以外の頑張らないといけないことが増えすぎて……」

いちご「……ちょっと疲れてしもうたんじゃ……」

いちご「……その、すみません。 申し訳ないです、なんか急に愚痴っちゃったりして……」

はやり「いいんだよ、誰だってそういう時はあるもん……ね、いちごちゃんこれから時間あるかな？」

いちご「へ？ はい、今日はさっきの収録で終わりなので……」

はやり「一緒にご飯食べに行こっ！ ね、はるえちゃんいいでしょ？」

晴絵「ええ、佐々野さんが構わないのなら」

いちご「……え？ ちゃちゃのんが、瑞原プロと赤土先生とですか！？ そ、そんな……ちゃちゃのんなんかがええんですか！？」

はやり「はい、自分なんか、は禁止っ！ いちごちゃんはいいところもたくさんあって、いっぱい頑張ってるんだから……そうやって自分を落とすのだって疲れちゃう原因だよ？」

いちご「あぅ……そうですね、ありがとうございます！ よ、よかったらご一緒させていただきたいです」

はやり「よかった！ はやり、この道ではいちごちゃんの先輩だし、アドバイスできることもあると思うから……これからは遠慮無く頼ってね！」

いちご「……なんなんじゃ、はやりん優しすぎじゃろ……」

晴絵「こういう人だから、はやりさんは」

648 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:47:13.34 ID://2bMDm40

いちご「はぁ……宥ちゃんたちに会いたいのう……」

晴絵「ふふ、そんなに仲良かったのか？」

いちご「ほら、宥ちゃんって癒しパワー凄いじゃないですか？」

晴絵「うん、それはすごくわかる」

いちご「はじめて話をしたときも、インハイの団体戦で愛宕の役満に振り込んで……かなり弱ってる時だったんです。 あの時一緒に話した白糸台の亦野や千里山の二条なんかとは不思議と連絡取り合ってて……」

はやり「他校の選手ばっかりなんだね……ふふ、不思議な縁だね」

いちご「はい……ほんと、不思議なもんです……最後のインハイを役満振り込んで終わるっていう今でも夢に見るような最悪なシチュエーションで終わったちゃちゃのんを助けてくれたのはあの子達で……」

晴絵「……いい友達なんだな。 私も、インハイの思い出って小鍛治さんに酷くやられたことで……助けてくれたのはチームメイトだった望や、はやりさんだったから……今でも感謝してる」

はやり「ふふ、そんな風に言われると照れちゃうけど……」

いちご「宥ちゃんや亦野が励ましてくれて……あの時開き直れたのは泉のお陰でしたね。 かわいいだけでも武器になるって言われて……どんな形でもプロになって麻雀ができるんなら、って思えましたから」

はやり「そうだね……夢を追いかけるのに形振りかまっていられないっていうのはあるよね。 はやりも牌のお姉さんになりたくて……いろいろと打算的なことも考えたことあったし」

いちご「はやりんでも、そういうことがあったんですか？」

はやり「もちろん、そういうこともあるよ。 やっぱり、気持ちが大切だと思うけど……気持ちだけじゃどうにもならない世界でもあるから……」

晴絵「そういう点では、佐々野さんはもっと自信を持っていいと思うよ。 プロになれたのだって、前提に高校生時代からかわいくて人気があったっていうのはあると思うけど……打ち手としての力を認められていなかったらプロには決してなれないんだからさ」

いちご「……そう、ですかね……？ へへ、まあ元々諦める気はないんです。 やっぱり麻雀が好きなので」

いちご「……それに、来年にはあの生意気な泉のやつもプロ入りするって言うんだから、負けてらんないんじゃ！」

晴絵「はは、二条さんはそういう枠なの？」

いちご「ま、千里山で三年間頑張ってプロ入りするってんじゃから……認めてやらんこともないんですがね」

はやり「いずみちゃん……よしこちゃんの所だったよね？」

いちご「はい、ちゃちゃのんの同期じゃと獅子原のやつが……今年は宮永、大星、原村辺りがやっぱり人気でしたね」

はやり「えへへ、うちは無事にのどかちゃん取れたからよかったよねぇ」

晴絵「チームカラー的にうちに合うのは和でしたからね……ほんと、無事に取れて良かったです」

いちご「ちゃちゃのん的には下からもいいのがどんどん入ってくるから崖っぷちに追いやられてく気分じゃ……このまま燻ってられないしのう……」

649 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:48:23.27 ID://2bMDm40

はやり「あっ！ そうだ、いちごちゃん！ 写真撮ってもいーい？」

いちご「え？ 構いませんけど、なんでじゃろうか？」

はやり「写真、ブログに載せるから！ 共演した番組の番宣も兼ねて……」

いちご「み、瑞原プロのブログにちゃちゃのんが！？ ちゃちゃのん的にはプラスしかないしうれしいんじゃけど……チームも違いますし……」

はやり「遠慮しなくていーの！ はやりはいちごちゃんみたいに頑張ってる子の味方だからねっ☆」

いちご「あうぅ……そ、そしたらちゃちゃのんも写真撮らせていただいてもええじゃろうか？ ちゃちゃのんも宣伝せんと……」

はやり「もちろんっ！ あ、はるえちゃんも入ってね。 もうちょっと寄って寄って！」

晴絵「いや、私は大丈夫ですって。 番組にも関係ないですし、かわいい子二人と並ぶのはちょっと……」

いちご「まあまあ、せっかくですからええじゃないですか」

はやり「はやりたちと写真撮るのいやなの……？」

晴絵「そういう言い方はズルいよなぁ……じゃあほら、佐々野さん真ん中ね。 主役だし」

いちご「ちゃちゃのんが一番格下なのにええんじゃろうか……」

はやり「だからそういうの気にしないの！ はい、チーズ☆」

いちご「……よしっ！ ちゃちゃのんもSNS更新じゃ！」

晴絵「どれどれ……あ」

はやり「どうしたの？」

晴絵「……佐々野さん、今日誕生日じゃないか」

はやり「えっ！ そうだったの！？ おめでとう！ 誘っちゃって大丈夫だった！？ 断りづらかったよね！？」

いちご「……いや、そのぅ……」

650 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:49:50.87 ID://2bMDm40

いちご「今ちゃちゃのんの立ち位置って……やっぱりはやりんに近い感じじゃないですか？」

はやり「うん、そうだよね」

いちご「まあ、瑞原プロに実力じゃ全然及ばないし、はやりんにも人気は遠く及ばないんじゃが……それでも最近はそこそこ知名度も出てきたし人気もあるんじゃ」

いちご「……そのせいか、いまいち年の近いチームメイトとは合わなくて……実力無いくせに媚びて試合出てるとかなんとか……アイドルの真似事してる暇があったら麻雀練習しろだとか……」

晴絵「あー……」

いちご「ちゃちゃのんがかわいいから妬まれるのは仕方ないんじゃがやっぱりちょっと辛くてのう……つーかむしろちゃちゃのんは練習したいんじゃ！ この売り方だってチームの方針じゃし！」

晴絵「……いや、なんて言うか……佐々野さん、結構図太いよね……」

いちご「そうじゃなきゃやってられんっちゅうのはちゃちゃのんよーくわかっとるんじゃ……」

はやり「回りになにを言われたって自信を持っていいんだよ！ いちごちゃんが
頑張ってるのははやりもよくわかったし、見てくれてる人はちゃんと見てくれてるからね！ 応援してくれてるファンの人たちもいるんだから！」

いちご「はい！ めげずに頑張ります！」

はやり「その意気だよ！ よぉし、それじゃあおいしいケーキの食べられるところに行こっか！ 誕生日だし！」

いちご「やっぱりケーキですよね！ いやあ、ひとりで食べるのも寂しいなぁって思っとったんじゃ〜」

はやり「おいしいお店連れてってあげる！ はやりはケーキにはちょっとうるさいからねっ☆」

晴絵「はやりさん、ご実家ケーキ屋さんでしたよね」

はやり「うん！ お母さんいまだにはやりの誕生日にはケーキ贈ってくれるんだよ！ ……この年になっても……」

晴絵「い、いいお母さんじゃないですか！ うれしいですよね、やっぱり！」

はやり「うん！ この年になると誕生日自体はね……ライブとかイベントとか毎年忙しいんだけど……プライベートでうれしいことのひとつだよ。 お母さんのケーキやっぱりおいしくってねぇ……」

はやり「っと、とにかく行こっ！ ケーキは待ってくれないよっ☆」

晴絵「いや、まだ買ってないし待つも何も……」

いちご「ちゃちゃのんな、ちゃちゃのんなぁ……あの、いちごのたくさん乗ってるやつが好きなんじゃけど……」

はやり「まかせて！ いいところ知ってるから！ やっぱりケーキはいちごだよねぇ〜」

晴絵「……まあ、お供しますけどね？ ふたりともテンション高いなぁ……」

651 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:51:47.60 ID://2bMDm40

――――――

いちご「…………」

いちご「…………」

いちご「……あ、電話……！」

宥『いちごちゃん、今大丈夫？』

いちご「宥ちゃん！ もちろんじゃ！」

宥『えへへ、良かったあ。 お仕事忙しいかなーって思ったんだけど……お誕生日おめでとうっ！ ちゃんと言えて良かったよ〜』

いちご「……うぅ、宥ちゃん……ありがとう〜……うれしいんじゃあ……」

宥『ふふ、もう大袈裟だよぉ』

いちご「いやいや！ 本当にうれしいんじゃ！ ちゃちゃのん忙しくて会える友達もおらんかったし！」

宥『いつもお疲れさま。 いちごちゃんたくさん頑張ってるもんね……いつお休み取れるのかわからないけど、また会いたいなあ』

いちご「……宥ちゃん！ ちゃちゃのんも会いたいけぇ、お休みとれるときは松実館までお泊まりで遊びに行かせてもらうけえね！ 待っててほしいんじゃ！」

宥『うん！ もちろん、いつでも待ってるよ！ いちごちゃんのイベントとか、行けるときは私も行きたいなぁって思ってるから……』

いちご「ふふ、ちゃちゃのんのお仕事は地元か関東かって感じじゃし、無理せんでええからの？」

宥『無理なんてしてないもん。 ふふ、そういえばさ、泉ちゃんもプロになれたから……もしかしたらいちごちゃんと対局したりすることもあるかもしれないねえ』

いちご「ふふっ、個人参加のリーグ戦なんかですぐに顔会わせることになるかもしれんのう……プロの世界の厳しさを教えてやるんじゃ！」

宥『ふふ、あんまりいじめちゃダメだよ？』

いちご「泉のやつはちょっと叩いてやった方が伸びるタイプじゃけえ、精々揉んでやるわ」

652 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:53:51.32 ID://2bMDm40

いちご「……そういえばのう、今日は赤土先生に会ったんじゃ！ はやりんと歌番組の収録で一緒になってのう……ふたりにご飯にケーキまでご馳走になってしもうたんじゃ」

宥『わぁ、そうなんだ！ 赤土先生、元気そうだった？』

宥『うん！ 赤土先生とはやりんにいろんな話聞かせてもらってのう……勉強になったし、元気も出たわ！ ケーキもすっごくおいしかった！』

宥『そっかぁ！ 良かったねぇ〜』

いちご「うん！ 本当にいいことばっかりじゃった……最近、ちょっと疲れてたからのう……今、宥ちゃんからもたくさん元気もらってるわ」

宥『えへ、そう？ 私もね、いつもいちごちゃんから元気もらってるから力になれたならうれしいなぁ』

いちご「……いつも？」

宥『へへ、いちごちゃんのCDちゃんと買ったもん。 毎日聴いてるよ〜？』

いちご「……宥ちゃん！」

宥『なぁに？』

いちご「ほんっとうに！ いちごは宥ちゃんから元気たくさんもらってるからのう！ ふふふ、まだまだ頑張れそうじゃ！」

宥『？ うん、頑張ってね！ 私も、話聞くぐらいはできるし……忙しいかもしれないけどいつでも連絡待ってるから！』

いちご「うん……うん！ ありがとな、宥ちゃん！」


カン！

653 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:55:18.83 ID://2bMDm40

淡「はい！ 淡ちゃんプロ入りあーんどお誕生日おめでとうパーティーはじまりはじまりー！ どんどんぱふぱふー！」

尭深「わー」

誠子「わー……なあ、何回プロ入りおめでとうパーティーするんだ？ しかも私の部屋で……」

淡「めでたいからいいでしょ？」

誠子「え、いや……うん……いいけどさ、別に……」

淡「じゃあほら！ お祝いしていいから！ 誕生日プレゼントとかちょうだい！」

誠子「そこまではっきりねだられるといっそ清々しいな……はいこれ」

尭深「私からはこれを……」

淡「ありがとー！ ほら、そっちのふたりも！ 遠慮しないで淡ちゃんにプレゼントしていいよ？」

哩「ん、ケーキ買ってきたぞ」

姫子「……ぶちょー、やっぱりいいですって。 礼儀知らんにも程が……」

淡「だってほら、私今日は主役だし？」

姫子「……」

誠子「すみません、白水さんわざわざ……来年から淡のことよろしくお願いしますね」

哩「おう、インハイでは敵だったが来期からは後輩やけん……きっちり面倒見る」

誠子「……鶴田も、その……苦情はいつでも受け付けてるから……」

姫子「まあ、苦情は言わせてもらうけど……亦野もいつまでもこいつの尻拭いしなくていいと思うがね。 プロの世界の厳しさってやつをちゃんと……」

淡「ねーねーヒメコはなんかくれないのー？」

姫子「……亦野、こいつはほんと……！」

誠子「ごめん！ ほんとごめんな！？ とりあえず殴るのは勘弁してやってな！？」

尭深「お茶です。 これでも飲んで一回落ち着いて……」

姫子「……はあ」

哩「すまんな、渋谷。 それじゃあいただ……おあっ！？ ぅあっつっ！？ っおああー！？ あ、あつっ！ あっつい！」

姫子「大丈夫ですかぶちょー！？」

尭深「ふ、布巾を……」

誠子「し、しろーずさん……えっと、着替え、私のでよければ貸すんで……」

哩「……す、すまんな亦野……世話になる……あっつぅ……」

654 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:56:52.00 ID://2bMDm40

誠子「……白水さん、意外と抜けてるんですね。 大会で打った時とイメージ違うなあ」

哩「……ん、よく言われる」

姫子「だ、大丈夫ですよぶちょー！ カッコいいですから！」

淡「あはは、今のは滅茶苦茶ダサかったでしょ！ ヒメコって変なのー！」

姫子「……大星ぃ！」

淡「ふぎゃ！？ な、なんでほっぺた引っ張るのー！？ やめてよー！」

尭深「……仲良しだね」

誠子「……淡がわりかし鶴田のこと気に入ってるだけに鶴田のストレスが心配だなぁ……」

哩「姫子もアレで大星のことは気に入っとるけん、心配せんでよかよ」

誠子「……本当ですか？」

哩「…………」

哩「…………たぶん」

誠子「……不安だなぁ」

尭深「私はむしろ安心かな。 今までとあんまり変わらなそうだし」

誠子「今までとって……」



照『おかしたべたい』

誠子『ちょっと待ってくださいね！ すぐに買ってきますから……』

淡『おう！ ダッシュでな！』

菫『はやりんはかわいいなぁ』

誠子『はやりんは後にして仕事してくださいよ弘世先輩！』

淡『麻雀麻雀〜♪』

尭深『お茶です』

照『ありがとう尭深。 おかしたべたい』

尭深『それは聞きました』

菫『なあ、はやりんの新曲聴いたか？ 今回も最高だったよなぁ……』

尭深『そうですね』

淡『あ、私今すっごくチョコ食べたいかも！ ちょっと高いやつ！』

照『それだ！』

誠子『うぅ……胃が……』

655 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 01:58:36.81 ID://2bMDm40

誠子「…………抜けてる先輩」

哩「ん？」

誠子「……イライラしてるチームメイト」

姫子「ん？」

誠子「……好き勝手してる淡」

淡「ねーねーローソク立てていい？ 電気消すよ？」

誠子「火をつけてから消して！ 危ないから！」

尭深「……心労がひどい誠子ちゃん」

誠子「白糸台卒業したのにこの枠固定なんだーおかしいなーあははー」

尭深「……いつもお疲れさま」


もいっこカン！

656 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/16(金) 02:03:10.68 ID://2bMDm40

いつの間にかアイドルっぽいことさせられて一人で頑張ってたちゃちゃのん。
淡はいつも通り。亦野さんもいつも通り。姫子は今後ひたすら花田と亦野さんに愚痴り続けると思われる編成に

657 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/16(金) 02:23:03.91 ID:uLwQvva3o

乙
ちゃちゃのんの境遇がいかにもな感じで泣ける

658 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/16(金) 09:26:48.51 ID:qid5cl1A0

乙です
ちゃちゃのんの所属チーム…首都圏のチームなんですね
其れからあわあわが入団したチームが何処かも気に成りますね
哩姫の所属チームでも有りますし
少なくとも横浜&大宮じゃないとは思いますが
恵比須ｏｒつくば
どっちでしょう？

659 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/16(金) 13:35:12.36 ID:bD1O3HZ7o

乙です

660 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/16(金) 19:53:40.91 ID:Q3OHAD+W0

乙です
相変わらずのクオリティすばらです
更新あるとテンション上がります
来週にはコミック発売ですし、楽しみがいっぱいってイイよね！！

661 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/20(火) 01:23:25.42 ID:x5fk9VL+0

>>657ここのちゃちゃのんはいろいろ考慮してるからハートも強くなっているのです。辛くても頑張れるのです。でも考慮してないことが起こったらきっと泣いちゃう

単行本の特典も出そろいましたね。どれを買うか悩むのでもう全部買えばいいんじゃないかな…

ちょろっと投下。プロの先輩にごあいさつ。咲さんと泉ちゃん

662 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/20(火) 01:24:29.68 ID:x5fk9VL+0

咲「み、宮永咲です……よ、よろしくお願いします！」

理沙「よろしく！ 野依理沙！」

咲「あ、はい、その、ご活躍はかねがね……」

理沙「うん！」

咲「あ、その……」

理沙「なに！？」

咲「え、あの、その……え、えっとぉ……」

セーラ「宮永、ビビんなくてええから！ 理沙先輩ちょーっと口下手なだけなんや！ 緊張してはるだけなんや！」

理沙「し、してない！」

セーラ「ほら、今の宮永みたいに新人にビビられるのもよくあることなんや。 何度も繰り返すから理沙先輩もつい緊張してもうて、また失敗してと負の連鎖が……」

理沙「セーラ！」

セーラ「あ、はい！ すみません余計なことを……で、俺は江口セーラや。 よろしく！」

咲「はい！ よろしくお願いします！」

セーラ「つーかアレやな。 宮永やと姉貴の方とややこしいから咲って呼ぶで？ ええよな？」

咲「は、はい、もちろんです！」

663 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/20(火) 01:25:37.19 ID:x5fk9VL+0

竜華「咲ちゃんプロ入りおめでとー！ あ、うちも咲ちゃんって呼ぶで？ もう、かわいい後輩ができてうれしいわー！」

咲「え、えっと……」

セーラ「テンション高すぎて引かれとるで、竜華」

竜華「えっ、嘘！？ うちウザい！？」

咲「そ、そんなことないですよ！？」

竜華「なんやもうセーラ驚かせんといてー！ うち、清水谷竜華！ 入ったばかりで心細いかもしれんけどなんかあったらなんでもうちに言ってな！」

咲「あ、ありがとうございます、竜華さん」

竜華「やだもう！ 咲ちゃんかわいいんやけど！」

セーラ「竜華、マジでテンション高くて軽くウザいで。 ちょっと落ち着けや」

理沙「落ち着いて！」

セーラ「理沙先輩も落ち着いてください」

理沙「……！ ……う、うん！ 落ち着く！」

竜華「だって咲ちゃんかわいすぎるんやもん！ さっきもこの狭い建物で迷子になってちょっと涙目になっとったし！」

咲「あぅ……ば、ばらさないでくださいよぅ……」

竜華「あっ！ ごめんな！ 別に意地悪しようと思った訳やないんやで！？ ただ咲ちゃんのかわいさをセーラに教えたくて……」

セーラ「竜華、あんまり構いすぎると嫌われるで」

竜華「ホンマに！？」

咲「そ、そんな……あの、私結構抜けてるところあるって言われるし……竜華さんみたいな頼りになる先輩がいて心強いです」

竜華「！ うんうん！ うちにまかせといてー！」

664 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/20(火) 01:27:15.23 ID:x5fk9VL+0

セーラ「あんまり気を遣わなくてもええんやで？ 竜華もかなり抜けとるからなぁ……」

竜華「え！？それ本気で言っとるん！？」

セーラ「マジやで」

竜華「マジかぁ……」

セーラ「咲、見ての通りやからな」

咲「え、えっと……その、それでも頼りにさせてもらいますから！ わ、私すぐに道に迷っちゃったりするし……」

竜華「じゃあ対局行くときは手ぇつないだげる！」

セーラ「幼稚園児か！」

セーラ「……まあ、インハイなんかは見させてもろうたし、実力の方も問題はないと思うけど……プロの世界っちゅうんはインハイともまた違うで？」

咲「はい……だから私、楽しみなんです。 インハイよりもいろんな人と打てますし……お姉ちゃんとも、また打てる……」

セーラ「お、気合は十分って感じやな」

竜華「そや！ せっかくやしちょっと打ってみん？ うち、すっごく楽しみにしててん！」

咲「いいんですか？ うれしいです！ 私、強い人とたくさん打ちたくって……」

セーラ「……なかなかいけそうですね、理沙先輩」

理沙「……強い！」

セーラ「ええ……今年こそは横浜叩いてリーグ優勝しましょう」

理沙「勝つ！」

セーラ「うす！ ……よっしゃ！ 竜華、咲、俺も入るで！ 咲とは一度打ってみたいと思ってたんや！」

665 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/20(火) 01:28:34.12 ID:x5fk9VL+0

――――――


爽「……お、来たな」

泉「あ、獅子原さん。 どうも、二条泉です。 これからお世話になりま……」

爽「バカヤロウッ！」

泉「あいったぁ！？ はぁ！？ い、いきなり何するんですか！？」

爽「私のことは爽お姉さまとお呼びっ！」

泉「はい！？ あんたそういうキャラじゃないやろ！？」

爽「うちのチームのルールでな」

泉「んなルールあるわけないやろ！？」

爽「私は戒能良子プロのことは良子お姉さまと呼んでいるぞ」

泉「えぇ……意味わからんのですけど……」

爽「チームメイトはいわば戦場を共にする家族だ！ それなら先輩はお姉さまだろ！」

泉「な、なんちゅう暴論……」

爽「なんだ？ 先輩に文句あるのか？」

泉「……わ、わかりましたよ！ それでは、これからよろしくお願いします……爽お姉さま」

爽「よし！」

良子「爽？ なんの騒ぎですか？」

爽「あ、良子お姉さま！ いえ、ちょっと新人に教育を……」

666 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/20(火) 01:29:35.45 ID:x5fk9VL+0

泉「あ……えー、二条泉です！ よろしくお願いします、良子お姉さま！」

良子「えっ？」

泉「えっ」

爽「くっ……くくく……」

泉「獅子原さん！！」

爽「あははは！ 信じるか普通！？ お嬢様学校かよ！ マジうけるわー」

泉「あーもう！ 恥かいたやないですか！ 冗談ならちゃんとなんちゃってをつけてくださいよ！」

良子「あー……爽、あんまり新人をからかって遊ばないでくださいね」

爽「あはは、わかってますって！ ノーウェイノーウェイ」

良子「…………」

爽「あ、今ちょっとイラッとしました？」

良子「いえ、別に……」

泉「あんたトッププロの先輩に向かって自由すぎやろ！？」

爽「そういうお前も新入りの癖に先輩に向かってたいした態度だな？」

泉「え、あ、その……す、すみません……」

爽「なんちゃって！ いや、なかなか素直で面白いやつだな！ 気に入ったぞ泉！ 私のおもちゃとしてこれからは頑張ってくれ！」

泉「プロ雀士として頑張りますよ！」

爽「冗談冗談！ なんちゃって！」

泉「なんちゃってって言ったら何言ってもいいとは言ってませんからね！？」

667 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/20(火) 01:30:27.67 ID:x5fk9VL+0

良子「…………はぁ」

爽「あっ！ また爽のやつひとりでうるさいなーとか思ったでしょ！」

良子「はい、思いましたよ」

爽「これからは泉が突っ込んでくれるからますます騒がしくなりますよ！ ざまーみろ！」

良子「…………」

泉「ちょっと！ 初顔合わせからチームのエースの印象最悪やないですか！？ どうしてくれるんですか！？」

爽「大丈夫大丈夫。 私が遊んでやるから」

泉「なにひとつ大丈夫じゃない！？ お断りですよ！」

爽「なんだよ……そんな寂しいこと言うなよ……私だって新人が来てうれしくってついちょっと舞い上がっちゃっただけなのに……」

泉「え……あ、あの……獅子原さん……その」

爽「なんちゃって！」

泉「うざっ！ 滅茶苦茶鬱陶しいわこいつ！」

良子「爽、ほどほどに……泉も、適当に付き合ってあげればいいですからね」

668 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/20(火) 01:35:47.95 ID:x5fk9VL+0

咲さんと竜華はたぶん仲良く迷子になったりする。理沙先輩ともどもセーラがまとめて面倒見るで！
泉はプロとして先輩の爽に遊ばれたりツッコミ入れたりと忙しくなりそうです。爽が泉で遊ぶから戒能さんは少し負担が減ってちょっと楽に。でもちょっとっ寂しい感じ

そのうちもこやのどちゃんも。クリスマスとかあるしそっちのネタが先になりそうですが
チーム未判明の子たちもそのうち

669 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/20(火) 08:53:28.52 ID:img1avtA0

乙です
咲さん神戸に入ったんですね
これは照姉さんテンションだだ下がりでしょうね
あ…もこちゃんが横浜に入団して居たら慰めて貰えるかも？

其れで泉さんは松山入りで戒能プロ&爽さんによる北海道カムイ探しツアーに無理やり同行させられると

670 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2016/12/20(火) 08:58:53.38 ID:urKIItgy0

おおぅ、更新されてた。
最近は咲ｓｓ少なくなってきたし、応援するから頑張ってな~

671 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2016/12/20(火) 08:59:19.74 ID:urKIItgy0

おおぅ、更新されてた。
最近は咲ｓｓ少なくなってきたし、応援するから頑張ってな~

672 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2016/12/20(火) 09:01:05.98 ID:urKIItgy0

おおぅ、更新されてた。
最近は咲ｓｓ少なくなってきたし、応援するから頑張ってな~

673 ：sage ：2016/12/20(火) 09:09:39.34 ID:urKIItgy0

ミスった

674 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/20(火) 16:55:52.02 ID:0b0grlhro

乙です

675 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/21(水) 18:43:25.01 ID:uwduHWB00

乙
咲さんは遠征の度に迷子になってそのうち咲さん迷子探索も予定に組まれそう

676 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/21(水) 19:26:20.00 ID:3FDNtV520

乙です
そろそろキャラの進路があやふやになってきたw
これは初めから読み返さないとw
次回更新も楽しみに待ってます

677 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/22(木) 16:51:45.72 ID:lg7hF3nA0

そう言えば
憧ちゃー達が高校卒業の年度って言う事は
元子供麻雀クラブの綾ちゃん&よし子ちゃんの中学卒業の年度で
池田家の三つ子の卒園の年度でもある訳ですよね？
綾ちゃんは阿知賀女子中等部ですからエスカレーター方式で高等部へ来ますが
よし子ちゃんの場合はどうするんでしょ？
かつての憧ちゃーと同じ帰路に立たされて居ますからね
綾ちゃんから｢阿知賀で一緒に麻雀しよう！｣って誘われて居たりして

678 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:04:24.27 ID:FpqZOfeB0

カバー裏の杏果ちゃん若返ってませんかね…？妖精さんかなにか？
立先生の恵くん呼びが可愛くて笑う。嘉帆さんと二人の時は恵くん嘉帆呼びなんですかね。原村夫妻は推していきたいです

メリークリスマス…投下

679 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:05:30.98 ID:FpqZOfeB0

灼「……いらっしゃいませ」

揺杏「おう、いらっしゃったぞ〜」

灼「……揺杏、よく来たね」

揺杏「おう、超久しぶり！ 寂しくて泣いたりしてない？」

灼「してない」

揺杏「今からでもしてもいいのよ？」

灼「もう揺杏来たし寂しくないでしょ」

揺杏「つまり来るまでは寂しかった？」

灼「ちょっとなに言ってるかわからな」

揺杏「マジかよ。 わかりやすく言ってるっしょ」

灼「お客さんお代払って」

揺杏「大丈夫、客じゃないから。 ひやかしだから」

灼「おい」

揺杏「おいじゃないよ私は客だぞ」

灼「お客さんお代払って」

揺杏「そのパターンは考えてなかったわー」

680 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:06:34.17 ID:FpqZOfeB0

宥「あ、揺杏ちゃん！ いらっしゃーい！ 遠いところからお疲れさま〜」

揺杏「あれ、宥さん？ なにしてんのこんなところで」

灼「こんなところ？」

宥「それじゃあ、問題です！ ジャジャン！ どうして私が鷺森レーンにいるんでしょうか〜？」

揺杏「おっ！ クイズか！ よっしゃあ当ててやるぞ！ 実はある程度見当がついてて……」

宥「制限時間は五分！ すたーとっ！」

揺杏「五分！？ ヤバいこれは私が想像してたよりもだいぶ複雑で面倒な事情があるんじゃ……」

灼「なんで五分も？」

宥「あんまり短いとかわいそうかなぁって……」

揺杏「優しい！」

灼「このクイズなら十秒ぐらいでいいですよ」

宥「そう？ じゃあ十秒で！」

揺杏「えっ！？ それじゃあやっぱり最初に思ってたので合ってるんじゃ……」

宥「あ、もう十秒経ってるね。 ぶっぶー！ 不正解です！」

揺杏「四分五十秒返して！？」

宥「正解はCMの後！」

揺杏「CM！？」

灼「みんなで楽しくボウリング……」

揺杏「鷺森レーンのCM始まった！？」

681 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:07:35.39 ID:FpqZOfeB0

揺杏「なんだよ、コンビネーション良くなりすぎだろ……」

宥「正解は……でれでれでれでれ……」

揺杏「ドラムロール舌回ってない！ かわいいかよ！」

灼「宥さんはかわいいでしょ」

揺杏「かわいいよね！」

宥「じゃーん！ 私、今鷺森レーンでアルバイトしてるんだ〜」

揺杏「やっぱり！」

宥「ふふふ、ちょっと難しかったかな？」

灼「難しかったね？」

揺杏「難しかったです！」

宥「えへへ、それじゃあ揺杏ちゃん……えっと、ボウリングしてく？」

揺杏「いや、ひとりでボウリングする気分でもないんで大丈夫です……」

灼「ボウリングしないのに何故ボウリング場に来たのか」

揺杏「灼に会いに来たに決まってんだろ？」

灼「……そうだね」

揺杏「なに照れてんだよ〜」

灼「照れてな」

揺杏「へへ、まあいいや。 今回は泊まらせてもらっちゃうし悪いねー」

灼「いいよ別に……松実館の方が良かったんじゃない？」

宥「いつでも歓迎だよ？」

揺杏「いやー松実館泊まってみたいんすけどちょっとハードル高いっすねー主に金銭面が」

宥「あー……そうかもねぇ……」

682 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:08:33.46 ID:FpqZOfeB0

揺杏「それにしても……」

灼「？」

揺杏「いやー花の女子大生が雁首揃えてクリスマスまでバイトって寂しいですなぁ……デートする相手とかいないの？」

灼「こっちに遊び来てる揺杏に言われたくないんだけど」

宥「冬休み、実家とか帰らないの？」

揺杏「んー……年末年始辺りは顔出そうかなーって思ってるんすけどね。 クリスマスに戻ると……チカセンんち教会だしなんか面倒かなーって」

灼「有珠山ってそっち系の学校じゃない」

揺杏「それ自体が嫌ってわけじゃなくて……ほら、めんどくさいじゃん？」

灼「とにかくめんどくさいのはわかった」

揺杏「それに、このタイミングが一番こっちに遊び来やすいかなーってのもあったし……連絡なんか取り放題だけどたまには顔会わせたいじゃん？」

灼「……今度は私がそっち行くから」

揺杏「そうだなー……毎回奈良まで来るんじゃ交通費もバカにならないし頼むわ。 その時までには片付けとくから」

宥「……揺杏ちゃん、あんまりお片付けしないタイプ？」

揺杏「いや、こう見えてそういうのはマメにするタイプなんすけどね。 部屋狭いのにいろいろとお勉強するのに資料とかなんやら物が多くて……」

宥「ああ、なるほどねぇ」

灼「宥さんはあんまり片付けとかしないタイプですもんね」

揺杏「あー、宥さん結構だらしないっすもんね」

宥「そ、そんなことないよ！？ いつもちゃんと綺麗にしてるもん」

灼「玄がですよね」

宥「……わ、私がする前に玄ちゃんが全部やっちゃうんだもん……ちゃんとお片付けする気はあるんだよ？」

灼「おこたに入ってると全部玄がやってくれるんですよね」

宥「……うん」

683 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:09:28.29 ID:FpqZOfeB0

揺杏「おいおい宥さんいじめんなよー」

灼「私、好きな子をいじめたくなるタイプみたいで……」

宥「えへへ、それじゃあしょうがないねぇ」

揺杏「おい、なんで私のことはいじめないんだよ！」

灼「え……なに？ そういう感じの嗜好なの？」

揺杏「普通に好きって言われる方がいいかな。 遠慮なくどうぞ！」

灼「言わないけど」

揺杏「言わないけど、本当は揺杏のこと大好きなんだからね！恥ずかしいから言わせないでよ！ まで把握した！」

灼「揺杏」

揺杏「はい」

灼「うるさ」

揺杏「はい」

684 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:10:47.14 ID:FpqZOfeB0

揺杏「っていうか、結構勢いで決めてわりと急に来ちゃったけどマジで平気だった？ ほら、付き合いとかあるっしょ？」

宥「イブはいつも通り憧ちゃんのおうちに集まってみんなでパーティーして、明日は学校の麻雀部のみんなでパーティーするから〜」

灼「揺杏も参加ね」

揺杏「へ？ マジで？ いいの？ 私意外と気を遣う方だからまずいかなーって思ってたんだけど」

灼「遊び来といて言う？ ……憧や穏乃も喜ぶと思」

宥「学校のみんなって怜ちゃんとか絹ちゃんとかふなきゅーちゃんたちだもん。 揺杏ちゃんが来たって歓迎されるだけだよ〜」

揺杏「……それじゃあお邪魔しちゃうかな。 ……ん？ あのさ、もしかして……」

灼「なに？」

揺杏「そこもみんな彼氏いないわけ？」

灼「…………」

宥「えっとぉ……そうだね……そういうことかな……」

揺杏「うっわぁ……悲しい……」

宥「お、女の子みんなで集まって遊ぶからいいんだよ！ すっごく楽しいし！」

灼「だから人のこと言えないでしょ」

揺杏「宥さんとか絹ちゃんとかモテそうだけど？」

宥「わ、私にはまだそういうのは早いって言うか……」

灼「宥さんはこれだし、絹ちゃんもあんまり積極的な感じではないかな。 男友達は多いけど……みたいな」

揺杏「絹恵さん罪な人っすねー……絶対気があるやつ多いだろ」

灼「結構鈍いんだよ、あの子」

685 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:12:31.58 ID:FpqZOfeB0

揺杏「ところで宥さん！」

宥「は、はい！ なに？」

揺杏「まだ早いって……妹の玄ちゃんが彼氏持ちなのにいいんすかねー？ そろそろ焦ってもいいんじゃないっすか〜？」

宥「う……で、でもほら、私、人付き合いとか得意じゃないし……好きじゃない人とお付き合いなんて難しいって言うか……」

揺杏「あ、なに？ そもそもいい男いないの？」

灼「あんまり相性よくないのかもね。 宥さん相当おっとりしてるし……そもそも私と園城寺さんがガードついてるし」

揺杏「過保護だなぁ……」

灼「そこらの男に宥さんは渡せない」

揺杏「父親かよ」

宥「私にだって、きっといつか玄ちゃんみたいに……素敵な人と出会える時が来るよ。 焦ったって仕方ないもんねぇ」

揺杏「松実姉妹はアレだよね。 結構なロマンチストだよね……玄ちゃんはどうなん？ パーティー参加できんの？」

灼「今日は仕事あがってから合流だって。 デートは明日」

宥「萩原さん、今日の夕方頃にこっちに来るんだって。 お休み取れてよかったよねぇ……玄ちゃんもうれしそうだったよ！」

揺杏「ほほう……つまり、お泊まりなわけですな？」

宥「松実館にご宿泊予定なの。 萩原さん、すっかり常連のお客様だよ」

揺杏「そういう意味でなく……というか、本当にお客様なわけですか」

宥「よく玄ちゃんに会いに来てくれるから……松実館にお泊まりしたり、よそに宿取ったりまちまちみたいだけどね」

灼「……萩原さん来ると松実のおじさん機嫌悪くなっちゃって」

揺杏「気の遣い方難しいな……旅館の娘さんと付き合ってんのによそで宿とるのもアレだし、かといってしょっちゅう顔出しても親父さん複雑だろうし……」

宥「萩原さんすっごくいい人なのに……お父さんももうちょっと玄ちゃんのこと信じてあげればいいのになぁ」

686 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:13:51.80 ID:FpqZOfeB0

灼「……とりあえず、もう少し待ってて。 あと二時間もすればあがりだから」

揺杏「結構あるな」

灼「なんなら先に憧んち行ってて。 もう集まってわいわいやってると思うし」

揺杏「んー……じゃあそうすっかな！ お仕事中に邪魔しちゃ悪いし！」

灼「今さらだね」

揺杏「そう言うなよー。 んじゃ頑張って！」

宥「ひとりで行ける？」

揺杏「大丈夫だと思うけど……念のため穏乃か憧ちゃん呼んで連れてってもらうかー……そっちのはしっこ座ってるから」

灼「ん……ごめんね、せっかく来てくれたのにお構いできませんで」

揺杏「しゃーないっしょ。 あがったらちゃんとかまってよ！」

灼「ん……まかせて」

687 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2016/12/26(月) 02:15:29.96 ID:FpqZOfeB0

――――――

穏乃「あ！」

憧「どしたの？」

穏乃「揺杏さん、鷺森レーン来てるって！ 迎えに行ってくる！」

憧「んー……じゃよろしく。 外寒いし待ってるわ」

穏乃「ちゃんと準備しといてよ！」

憧「わかってるわかってる」

初瀬「……ね、穏乃」

穏乃「なに初瀬？」

初瀬「着替えてったら？ ジャージじゃ寒くない？」

穏乃「子どもは風の子！ 大丈夫！」

憧「いつまで子ども気分なのよ……もう大学生になろうってんだからさぁ……普段からちゃんとした服装しなさいって」

穏乃「ジャージはちゃんとした服装だよ！ あの小鍛治プロだって実家ではジャージってもっぱらの噂だよ！」

憧「もうちょっと女子力に数値振りなさいって言ってんの！ ジャージは無いでしょジャージは！ 前から言ってるけど！」

初瀬「憧、その言い方だと小鍛治プロは……」

憧「あの人は麻雀全振りじゃん」

初瀬「それもそうね」

688 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:17:06.74 ID:FpqZOfeB0

穏乃「はぁ……また憧はそんなこと言っちゃって……」

初瀬「でもさ、憧の言うことにも一理あると思うよ？ 個人の趣味とかってのもあるとは思うけど……やっぱりTPOをわきまえた服装じゃないと」

穏乃「ジャージは？」

初瀬「運動する時とか部屋着とか……」

憧「ちょっと待って！ しずもしかしてその格好で大学通うつもりだったわけ！？」

穏乃「？ うん、そうだけど？」

初瀬「えぇ……」

憧「だからそれは普通じゃないんだってば！」

穏乃「それこそそういうセンスの違いを指摘されても私たちの間の意識の差ってやつはさー」

桜子「こんにちはーっ！ 憧ちゃーん！ 遊びに来たよーっ！」

綾「桜子ちゃん声おっきい……」

憧「あ、いらっしゃい。 適当に入っちゃってー」

ひな「失礼する所存ー……穏乃ちゃんはお出掛け？」

穏乃「うん、ちょっと人迎えに行ってくるから！ メリークリスマス！」

桜子「メリークリスマス！」

689 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:19:24.40 ID:FpqZOfeB0

初瀬「……ああいうさ」

穏乃「うん？」

初瀬「桜子ちゃんとか、やっぱり後輩として穏乃のこと慕ってくれてるわけじゃん？」

穏乃「あはは……まあ、そうだね、うん。 高校上がったら阿知賀で私たちみたいに打ちたいって言ってくれてるし……」

初瀬「そんでさ、桜子ちゃんたちが穏乃の真似してジャージで大会とか出ちゃったりして恥ずかしい思いとかしちゃったら嫌でしょ？ 私たちの時はそこそこ緩かったけど……千里山にいた江口プロとかも普段学ラン試合は制服ってきっちり使い分けてたし」

穏乃「う……うん、まあ……たしかにね」

憧「！？」

初瀬「この辺なら穏乃がその格好しててもみんな慣れてるし特になんにも言わなかったかもしれないけど、新しい学校の方はそうじゃない可能性も高いでしょ？」

穏乃「あー……そう、なのかな？」

初瀬「やっぱり先輩として後輩たちにはいいお手本でありたいじゃん？ 大学上がるっていうひとつの節目でもあるわけだし、ここらで服装の方もちょっと見直してみるとか……」

穏乃「う……うん、わかった……」

憧「！？！？！？」

初瀬「それじゃ、今度また一緒に買い物行こうよ。 憧も出発近いわけだし……今のうちにみんなで……どうした、憧？」

憧「いや……え？ は？ どういうこと？」

初瀬「どういうこともなにも……」

憧「私がアレだけ言っても聞く耳持たなかったのに！！」

穏乃「いや、だって……私みたいなのでも、やっぱり桜子たち妹分はかわいいし……」

憧「そういう攻め筋があったかぁ……！」

初瀬「な、なんで私を恨めしそうに睨むんだよ……」

憧「……初瀬、ジャージのしずと一緒に大学通うの嫌だったんでしょ」

初瀬「……いや、そりゃ穏乃と一緒に通うわけだし……ある程度はな？ 普通の格好してほしいなーとは……」

憧「あー……ここ数年の努力がなんだったのかって気分に……」

穏乃「憧」

憧「なによ？」

穏乃「その……私、普通のオシャレな格好とかよくわかんないし……頼りにしてるから」

憧「……！！ ま、まかせときなさい！ 超かわいくしてあげるんだから！」

690 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:20:31.87 ID:FpqZOfeB0

穏乃「……今はこのままでもいいよね？」

憧「今ぐらいはいいんじゃない！？ 今後はしっかり見てあげるし！」

初瀬「なんだよ、急にテンション高いな」

憧「よくよく考えたらこれ！ 私にとっても最高に嬉しい状況だった！」

初瀬「へー……」

穏乃「……たまにはジャージ着てもいいよね？」

憧「部屋着とかなら全然いいんじゃない！？ 外出るときにちゃんとするなら多少はね！？」

初瀬「憧の規制が緩くなった……」

穏乃「一さんや初美さんと服の話するのは……」

憧「だっ……！ ……いや、でも、あんまり縛って反抗されても……！」

初瀬「……穏乃の好きにしなよ。 私的には時と場所によって考えてほしいってだけで……趣味やセンスに口出ししようとは思ってないから」

穏乃「そっか！」

憧「ちょっ……初瀬！ あんまり自由にさせるのも……！」

望「あっ！ 穏乃ちゃーん！ そういうことなら時と場所をわきまえた素敵な衣装がここに……」

穏乃「望さん！」

憧「お姉ちゃん？ ……なにその紙袋」

望「ミニスカサンタ衣装」

憧「は？」

望「クリスマスだし」

憧「はぁ？」

穏乃「わぁ！ いいですね！ ちょっと着替えてきます！」

691 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:21:46.43 ID:FpqZOfeB0

憧「え？ ちょっ……どこから出したのよ、それ」

望「この間お買い物行ったら売ってたから」

憧「なんで買ったわけ？」

望「かわいかったから憧にでも着せようかと思って」

憧「わ、私は着ないわよっ！？」

望「そういうと思ってたから穏乃ちゃんに渡したんだけどね」

穏乃「望さんっ！ どうですか？」

憧「あ、かわいい……」

望「かわいいっ！ ばっちり！ あとで写真撮らせてね！」

穏乃「了解でっす！ それじゃあちょっと行ってきます！」

望「いってらっしゃーい」

望「……もう一着あるけど」

憧「……き、着ないわよっ！」

望「それじゃああとで玄ちゃんにでも着てもらおうかな……」

初瀬「どうせ私たちしかいないんだから照れなくてもいいのに」

憧「う、うるさいわねっ！ そんな、いかにも浮かれてますみたいな格好しないわよっ！」

初瀬「憧ってこういうとこ変に意地張りますよねー」

望「そこもかわいいんだけどねー」

憧「う、うるさいわよっ！」

初瀬「なんだかんだ解散までに一回は着ますよね、憧は」

望「最悪でもみんなが帰ったあとに部屋でこっそり着てみると思うわね」

憧「あーもう！ そういうのやめてってばぁ！」

692 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:22:39.35 ID:FpqZOfeB0

――――――

玄「ようこそお越しくださいました！ ……あ、萩原さん！」

ハギヨシ「お世話になります……こんにちは、玄さん」

玄「こんにちは！ ……その、もっと遅くに来られるんだと思ってました。 お仕事大丈夫だったんですか？」

ハギヨシ「……その、透華お嬢様に追い出されてしまいまして……」

玄「追い出すだなんて……萩原さん、なんだか顔色が悪くありませんか？ お身体の方は……？」

ハギヨシ「いえ、問題はありません。 ただ……」

玄「ただ？」

ハギヨシ「24、25日と透華お嬢様のスケジュールも過密なものですし、大勢の集まるパーティーにも出席されるのですが……このような大切な日に透華お嬢様の護衛から外されるのははじめてで……」

ハギヨシ「なんとも言えないのですが……不安というか……心配で。 いえ、私が居なくても龍門渕には優秀な人材が揃っていますし、もしものことなどあるはずもないのですが……」

玄「そんな大切な時に、お休みをくださったんですか？ あぅ……透華さん、あんまり気を遣ってくださらなくてもいいのに……」

ハギヨシ「せめて予定通りに午前中だけでもお側に控えさせていただくように言ったのですが聞き入れてもらえず、さっさと玄さんのところにお行きなさい！ と……」

玄「うぅ……透華さんにはお礼言わないと……萩原さんが一番信頼できるって言ってたのに……申し訳ないです……」

ハギヨシ「ああ、いえ、玄さんが気に病むことでは……」

玄「だって、私……透華さんが大変なのに、萩原さんと会えたのがすっごくうれしくて……」

ハギヨシ「玄さん……」

玄「それに、萩原さんせっかく会えたのに透華さんのことばっかり……萩原さんにとって透華さんがとっても大切な人なのはわかってても……ちょっとやきもち妬いちゃいます」

ハギヨシ「それは……ええ、すみません。 私に落ち度がありますね。 玄さんにも、送り出してくださった透華お嬢様にも失礼でした」

ハギヨシ「……私も、玄さんにお会いできてうれしいです」

玄「えへへ……はい！ ありがとうございます！」

693 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:23:35.99 ID:FpqZOfeB0

ハギヨシ「今日は、阿知賀の皆さんでパーティーをなさるのでしたよね？」

玄「はい、あがったら憧ちゃんのおうちに……その、萩原さんがお仕事終わってからいらっしゃると聞いていたので……」

ハギヨシ「明日にお時間をいただいてしまうわけですし、私のことは気にせずに楽しんできてください」

玄「でも……というよりも、萩原さんもご一緒にどうですか？」

ハギヨシ「私が……？ いえ、しかしお邪魔になってしまうのでは……」

玄「そんなことないです！ みんなとも知り合いなんですし、穏乃ちゃんたちに透華さんや一さんのお話してあげてください！ 私も聞きたいですし、みんな喜んでくれると思いますから！」

ハギヨシ「……それでは、ご迷惑にならない程度にお邪魔させていただきます。 しかし……」

玄「？」

ハギヨシ「ふふ、玄さんがやきもちを妬いてしまわれるのでは？」

玄「……やきもち妬いちゃうので、その分いっぱいかまってくださいね……？」

ハギヨシ「これは……ええ、その……善処させていただきます」

玄「ふふっ……萩原さん、顔赤いですよ？」

ハギヨシ「……玄さんも、どうやら人のことは言えないようですが」

玄「えへへ……それでは、お部屋の方にご案内しますねっ！」

ハギヨシ「ええ、お願いします……玄さんのお仕事が終わるまで、ゆっくりさせていただきますので」

玄「先に行っちゃってもいいですよ？ お待たせするのも申し訳ないですし……」

ハギヨシ「私だけで行くのも……それに、玄さんと一緒に行きたいですから」

玄「……それじゃあ、少し待っててくださいね！ 温泉の方もいつでも入れるようになってますからよろしければ！」

ハギヨシ「はい、少し休ませていただきますね」

694 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:25:31.94 ID:FpqZOfeB0

――――――

穏乃「揺杏さーんっ！」

揺杏「お、穏乃……ってどうしたそれ！？ かわいいな！」

穏乃「はい！ 望さんが用意してくれたんです！」

灼「望さんナイス」

宥「穏乃ちゃんかわいい〜」

穏乃「えへ、ありがとうございます！」

揺杏「灼もせっかくクリスマスなんだしサンタで接客すべきだったな……」

灼「いや、私はちょっと……そういうのはまこの十八番だから」

揺杏「たしかに！ 連絡してみよう！」

まこ『本日サンタデー！』

揺杏「しっかりやってるし！」

灼「やっぱりやってるんだ……」

揺杏「うわ、久姉似合ってんなー」

灼「まこの写真は？」

揺杏「まこの写真くれーっと」

穏乃「どうですか？」

揺杏「うん、既読無視！」

宥「きっとお仕事忙しいんだよ〜」

灼「照れてるだけだと思」

695 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:26:57.22 ID:FpqZOfeB0

穏乃「ただいま戻りましたーっ！」

憧「うぇっ！？ もう！？」

望「おかえりなさーい」

初瀬「もう着てるよ」

揺杏「お、久しぶり憧ちゃん！ 浮かれてるねぇ」

憧「ち、違うのよ！ これは初瀬とお姉ちゃんが無理矢理……！」

初瀬「ノリノリでしたよね？」

望「言われるから仕方なくみたいに言ってたけど絶対着たがってたもんね」

憧「あーもう、うるさいうるさい！ 違うってばぁ！」

宥「憧ちゃんかわいいよ〜」

憧「……あ、ありがと宥ねえ。 知ってるけど！」

穏乃「なんだ、やっぱり結局着るんじゃん」

憧「い、いいでしょ別に！ クリスマスだし！」

穏乃「へへ、お揃いだね」

憧「……そ、そうね」

揺杏「よし、せっかくだし並んで写真を……まこに久姉の写真もらっちゃったしこっちも返さないとな」

憧「え、なにそれ！ あとで見せて！」

揺杏「あいよー」

696 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:28:10.29 ID:FpqZOfeB0

望「はいはーい、ちょっと道開けてねー。 ケーキ出すよー」

桜子「わぁ！ ケーキだぁー！」

穏乃「桜子！ テンション上がるのはわかるけど落ち着いて！ みんな座って座って！」

初瀬「ふふ、下の子いるとしっかりお姉さんするよね、穏乃は」

憧「普段からしっかりしてくれりゃ私も楽なのにねー」

灼「憧も普段からしっかりしてくれるともっと安心して見ていられるんだけど」

憧「わ、私はちゃんとしてるでしょ？」

宥「あ、望さん。 あとで玄ちゃんもケーキ追加で持ってきてくれますから……」

憧「なんであからさまに話逸らしたの！？」

宥「そ、そういうつもりじゃ……」

揺杏「憧ちゃん、あんまりハッスルするとそのスカート丈だとパンツ見えちゃうぞ〜？」

憧「きゃあ！？ ちょ、ちょっと！ 変なこと言わないでよっ！」

穏乃「私たちしかいないんだからそこまで気にしなくても……」

憧「しずはもっと気にしてよ！ いろいろ見えてたりしたら普通は恥ずかしいのっ！」

玄「こんにちは〜！ お邪魔しますね！」

望「あ、玄ちゃんいらっしゃい」

ハギヨシ「失礼します」

望「あら、萩原さんまで。 もういらっしゃってたんですね」

ハギヨシ「予定よりもかなり早く来てしまって……お邪魔でなければ私も上がらせていただいても……」

望「当然じゃないですか、うちにしてみれば玄ちゃんの彼氏なんて家族みたいなものですからねー……松実のおじさんはどうです？」

ハギヨシ「いえ、どうにも嫌われてしまっているようで……」

玄「……お父さん、話もほとんど聞いてくれないんですよ？ ひどいと思いませんか？」

望「別にまだ結婚するって話でもないのにねぇ……まあ、私も憧になんかあったら気にするだろうしおじさんの気持ちもわかるんだけど」

憧「……お姉ちゃん、いつの間に萩原さんと？」

望「え？ 龍門渕の方々がこちらに来られてる時とかしっかり挨拶しに来てくれてたわよ？ 憧も玄ちゃんに負けてらんないわよ？ 萩原さんみたいないい男捕まえなさいよ」

憧「わ、私はっ……！」

697 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:30:08.72 ID:FpqZOfeB0

ハギヨシ「おや、かわいらしいサンタさんがいらっしゃいますね」

憧「うぇ！？ あ、いや！ 別にクリスマスだからって浮かれてるわけでは……！」

穏乃「えへへ、ありがとうございますっ！ クリスマスだからって浮かれてますよっ！」

ハギヨシ「よろしければ、私も写真を撮らせていただいても？」

憧「えっ！？」

ハギヨシ「井上さんや国広さんにも見せて差しあげたいな、と思いまして」

憧「かわいく撮ってくださいよっ！？」

灼「それは憧次第じゃない？」

玄「……望さん、これ。 ケーキ持ってきましたのでみんなで……」

望「ありがと玄ちゃん。 ……ふくれちゃって、かわいいわねぇ」

玄「あ……べ、別に、私は……そういうことではなくてですね……」

望「なんとこちらにサンタさん衣装がもう一着……」

玄「お借りしますっ！」

望「玄ちゃんは素直でいいわねぇ」

宥「もう、うちの妹がかわいくてかわいくて……」

望「妹のかわいさではうちも負けてないんだけどねー」

698 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:32:37.60 ID:FpqZOfeB0

穏乃「お皿っ！ フォークっ！ オッケー！」

望「飲み物もまとめてこっち置いとくからねー」

灼「ケーキ切り分けたよ」

揺杏「うまそうだなぁ……手作り？」

憧「お姉ちゃんが焼いてくれたっ！」

宥「玄ちゃんのも手作りだよー？」

玄「はい！ こっちも切ってきたよっ！」

ハギヨシ「……玄さん」

玄「……ど、どうですか？」

ハギヨシ「……いえ、その……かわいいですよ……？」

玄「そ、そうですか……？」

ハギヨシ「…………」

玄「…………」

揺杏「いちゃつくなら端でやってくれよー？ ったく、一組だけリア充紛れ込みやがって……」

灼「爆発しろ」

穏乃「爆発したら大変ですよ？」

初瀬「本当に爆発するとも爆発しろとも思ってないから……」

憧「……そういや初瀬は彼氏とかいないの？」

初瀬「いたらここに居ないっつーの」

憧「たしかに」

宥「ああ……おいしそうだなぁ……どれくらいなら食べても太らないかなぁ……」

憧「宥ねえそれ系の発言禁止っ！」

穏乃「よーしっ！ いくぞーっ！ メリークリスマス！ 乾杯っ！」


カン！

699 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/26(月) 02:35:21.87 ID:FpqZOfeB0

メリークリスマスでした
年内にもう一回ぐらいなにか投下できればなと

700 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/26(月) 03:14:57.85 ID:HuuYokpQ0

冷静に考えたら彼氏いない女子連中の集まりにカップル突っ込むのって最悪だなｗｗｗｗｗｗ
まあ阿知賀だし玄とハギヨシさんだから大丈夫だろうけど
おつ

701 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/26(月) 08:49:19.41 ID:4sbifFAA0

>>699
乙です
年内にもう一回って言う事は大晦日ネタですね？
所で奇跡のアラフィフ瑞原美月さんを出して欲しかったりしますが
勿論他の登場人物は大宮組(はやりん、赤土先生、弘世様、のどっちさん)と松山組(戒能プロ、爽さん、泉ちゃん)と横浜組(三尋木プロ、照姉さん、やえさん、もこちゃん)とはやりんの友人達(慕ちゃー、閑無ちゃー、杏果ちゃー)で
舞台ははやりんの地元…杏果ちゃーの旅館でお願い致します！

702 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/26(月) 09:55:31.24 ID:m3SOeAnOo

乙です

703 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/26(月) 21:10:30.59 ID:ou3qvwA40

乙です
アコちゃーのパンツ？ふんふむパンツって？
それはともかく、久々の阿知賀子供麻雀クラブ登場にテンション上がる(ギバ子かわいい)

704 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/26(月) 22:44:50.67 ID:sM/CH8kA0

乙乙
灼宥揺杏の絡みかわいい

705 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/29(木) 21:57:19.97 ID:kN3rGKCf0

>>703見えないだけではいてる派です
ちょろっと投下

706 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/29(木) 21:58:12.43 ID:kN3rGKCf0

揺杏「つーかさー、普通彼氏連れてくるかぁ？ 独り身の女子ばっか集まってる中にさぁ」

玄「あう……で、でも、せっかく来てくれたのに放っておくわけにも……」

揺杏「別にこっちブッチしてデートでもよかったんじゃない？ 誰もなにも言わなかったっしょ。 みんな知ってるんだし」

玄「そ、そういうわけにも……」

灼「回りがどうとかより萩原さんが居づらいんじゃない？ ほら」

玄「え？」



桜子「玄ちゃんの彼氏さんなんですよねー？」

ハギヨシ「ええ……はい、お付き合いさせていただいてます。 萩原です。 よろしくお願いします」

綾「大人の男の人だ……しかもイケメンだよ……」

凛「玄ちゃんって結構面食いだったんだねー」

春菜「萩原さんは何をやってる人なんですか？」

ハギヨシ「職業ですか？ 執事をしています」

桜子「羊？」

よし子「執事！ ほら、喫茶店とかにいる人でしょ？」

凛「ああ、アレだよね！ お帰りなさいませお嬢様、とかってやつ！」

ひな「一回やってみてほしい所存ー」

ハギヨシ「あ、いえ、コスプレではなくて……」

707 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/29(木) 21:59:14.80 ID:kN3rGKCf0

灼「下の子たちが興味津々」

揺杏「囲まれてるねぇ」

玄「はわぁ！？」

憧「気になるんじゃない？ 玄の彼氏だし、萩原さんは……ほら、控えめに言ってもカッコいいし」

玄「あ……うん、そうだよね、カッコいいもんね」

揺杏「のろけんなよー」

玄「あ、ご、ごめんなさいっ！ そういうつもりじゃ……！」

灼「いちゃいちゃするなら帰ってからにしてね」

玄「だ、大丈夫だよ！ 私だってみんなの前でそんな……」

宥「玄ちゃん！」

玄「お、お姉ちゃん？」

宥「お姉ちゃんは、玄ちゃんはいちゃいちゃしてもいいと思う！せっかくなんだから！ 遠慮しなくていいよ！」

玄「お姉ちゃん！？ え、いや、そう言われても……」



ハギヨシ「お帰りなさいませ、お嬢様」

よし子「すげー本物だー！」

綾「……ちょ、ちょっといいかも……」

桜子「でも！ だからと言ってうちの娘をそう簡単に渡すわけにはいきません！」

ハギヨシ「む、娘？」

凛「あんた、なにもそこまで言わなくても……」

桜子「母さんは黙ってなさい！」

ハギヨシ「…………」

ハギヨシ「おとうさん、話を……」

桜子「君にお義父さんと呼ばれる筋合いはない！」




憧「新しい遊びが始まってる……」

揺杏「つーか、結構ノリいいよな。 萩原さん」

灼「龍門渕の人だからね」

揺杏「……なんかそれ、魔法の言葉だな。 それでだいたい納得できそうな……」

708 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/29(木) 22:00:03.39 ID:kN3rGKCf0

揺杏「純くんなんであんなにイケメンなわけ？」

灼「龍門渕の人だからね」

揺杏「ともきーは胸でかくてうらやましいわー」

灼「龍門渕の人だからね」

揺杏「でも透華お嬢様の方は壁……」

灼「龍門渕の人だからね」

揺杏「一のファッションセンス……」

灼「龍門渕の人だからね」

揺杏「萩原さん、なんか消えたり分身したりする気がするのは？」

灼「龍門渕の人だからね」

揺杏「衣は子どもなのに大学生になってるな」

灼「龍門渕の人だからね」

揺杏「おおむね納得できてしまった……」

灼「龍門渕関係ないけどね」

揺杏「ほんとだよな」

憧「なにも考えずに会話するのやめなさいよ……」

揺杏「ほんとだよな」

灼「龍門渕の人だからね」

憧「……話聞いてる？」

揺杏「ほんとだよな」

灼「龍門渕の人だからね」

憧「……おちょくってんの？」

灼「うん」

揺杏「うん」

憧「……灼さんのばか！」

灼「拗ねちゃった」

揺杏「灼だけ？」

憧「揺杏は言うまでもなくバカじゃないの」

揺杏「ひっでー」

709 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/29(木) 22:01:02.68 ID:kN3rGKCf0

穏乃「こら！ みんな、萩原さんを困らせちゃダメだろっ！ せっかく吉野まで遊びに来てくれたのに！ 玄さんとお話しさせてあげなよ！」

初瀬「穏乃、この状況でそれは余計なお世話というか……」

桜子「いちゃいちゃするんだ！」

ひな「玄ちゃんといちゃいちゃするんだー」

未来「玄ちゃん遠慮しないで！」

春菜「ほら、こっち来なよ！」

玄「え……ちょっと……えぇ！？」

望「ほらほら、はしゃぐのはいいけどあんまり羽目外しちゃダメよー？ 玄ちゃんもね」

玄「の、望さんまでっ！」

望「あ、あいたお皿下げるわよー」

ハギヨシ「ああ、お手伝いしますよ」

よし子「あっ、逃げられた！」

玄「わ、私もお手伝い……」

凛「逃がすなーっ！」

ひな「玄ちゃんにはいろいろと詳しく聞きたい所存ー」

玄「い、いろいろ！？ いろいろってなにを……？」

綾「……それは……ごにょごにょ……なこととか……」

玄「ふぇ！？ そ、そそ、そんなの！ まままま、まだ早いよ！」

綾「や、やっぱりそういう話もあるんですね！？」

玄「ち、ちがっ……！ ま、まだ！ そういうアレはまだないから！」



憧「……まだないのね」

灼「興味津々だね」

揺杏「憧ちゃんのえっちー」

憧「うううるさいわね！ ふたりは興味ないわけ！？」

灼「多少は」

揺杏「かなり気になる！」

憧「それなら人のことばっかり言うな！」

710 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/29(木) 22:01:59.42 ID:kN3rGKCf0

――――――

玄「な、なんでずっと裏方行っちゃうんですかぁ！？」

ハギヨシ「すみません、つい……」

望「いやー、お客さんに手伝わせちゃって申し訳ないんだけど……本当助かりました。 みんな思ったよりも全然食べるから……」

ハギヨシ「中学生ぐらいですと、女の子でもかなり食べられるのですね。 腕の振るい甲斐がありましたが……」

玄「だ、だからなんでずっと裏でお料理とかお片付けとか……望さんと一緒に！」

望「ああ、ごめんね？ 配慮が足りなかったか……」

ハギヨシ「いえ、私の方こそみなさんに圧倒されて半ば逃げるように引っ込んでしまったので……」

玄「あっ……そ、そういうことでは……えっと……つまりですね……」

望「萩原さんありがとうございました。 もう最後のお片付けぐらいなので……そっちの部屋が空いてるのでちょっと休んじゃってください」

ハギヨシ「ありがとうございます、望さん。 ……それでは、よろしかったら少しお話ししませんか？」

玄「……そうします」

望「久しぶりの逢瀬とはいえ、あんまり盛り上がり過ぎないでねー」

玄「そ、そそ、そういうアレは無いですから！」

ハギヨシ「アレ？」

玄「な、なんでもないです！なんでもないですから！」

望「若いっていいわねー」

玄「望さんだって若いじゃないですかぁ！」

望「あら、ありがと」


カン！

711 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2016/12/29(木) 22:06:44.98 ID:kN3rGKCf0

阿知賀子ども麻雀クラブちょっとやりたかったので
>>700ちょっといじられた後は気配を消していつの間にか裏方に回っちゃうハギヨシさん。特に迷惑はかけずに望さんに感謝はされた模様です

立先生から「ちゃちゃのんめっちゃ強い子」来たのでちゃちゃのんネタにはしばらく困らない予感。どれくらい出番が来るのかはさておきですが

712 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/29(木) 23:01:53.79 ID:41JRXDpGo

乙です

713 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/30(金) 00:12:23.56 ID:JUn49HlA0

乙です！
クリスマスの続きと来ましたか！
所で今回&前回と赤土先生が出て居ませんでしたが
やっぱりはやりんの地元(杏果さんの旅館)でチームメイト(はやりんと弘世様とのどっちさん)や友人達(戒能プロと爽さんと泉ちゃんと三尋木プロと照姉さんとやえさんともこちゃんと慕ちゃーと閑無ちゃー)や奇跡のアラフィフ瑞原美月さんと忘年会&新年会して居たんでしょうかね？

714 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/30(金) 00:28:50.02 ID:Csv3PVCc0

さすハギ

おつ

715 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/30(金) 07:53:20.46 ID:/hoMiVqD0

乙です
立先生のブログも内容盛りだくさんでしたね
(パウチカムイ再登場に期待MAXw)
次回更新も楽しみに待ってます

716 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2016/12/30(金) 08:51:32.06 ID:JUn49HlA0

そう言えばこの頃劔谷のお嬢様達が出て居ませんでしたよね？
しかも椿野美幸さんは元旦生まれと言う事で
是非とも劔谷のお嬢様達が新子神社へ参拝するって言う話をお願い致します
m(_ _)m

717 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:48:57.97 ID:diFRb6920

今更ながらあけましておめでとうございます。今年ものんびりやっていきますのでよろしくおねがいしますー

白糸台がちょこちょこ掘り下げ始まりましたがチーム制度の理由が絆パワーで勝つぞ！は予想外でした
虎姫は攻撃特化発言から白糸台はチームごとに得意な戦術で組織してるイメージがあって、大会制度が特別な子を探す云々に変化してる、だとかから白糸台の監督も藤田プロみたいな何らかの代表選手選考に関わる立場でオカルト持ちの選別に力を入れているから部内の実力上から五人を使うわけじゃない。みたいな予想というか妄想でチーム制度に関しては考えていたんで白糸台自体のイメージがだいぶ変わっていきそうです

とりあえず投下

718 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:49:52.62 ID:diFRb6920

灼「宥さん、安定の寝正月でしたね」

宥「そ、そんなこと……」

灼「ありますよね」

宥「はい……寝てました……寝て起きてご飯食べて寝てました……」

灼「またちょっとお肉ついちゃったんじゃないですか」

宥「うう……だってぇ……玄ちゃんがおいしいご飯たくさん出してくれるんだもん……お正月だから豪華にしないと！って……」

灼「おいしかったですよね、玄の作ったおせち料理」

宥「うん！ すっごくおいしかったぁ！ これならいつお嫁に行っても……じゃなくって、お婿さんとっても大丈夫だね！」

灼「大声でそんなこと言ったらまたおじさん機嫌悪くしちゃいますよ」

宥「お父さんはねぇ……私だって玄ちゃんが変な男の人連れてきたら、めっ！ って言うけど……萩原さんなら心配ないだろうし……」

灼「親心ってやつなんでしょうけど」

宥「それに、玄ちゃんは松実館を継ぐ！ って豪語してるわけで結婚するならお婿さんとるって言ってるし……」

灼「萩原さん相手だとその他諸々よりもそっちがハードルになりそうですけどね」

宥「そうだよねぇ……だから私も頑張ってるんだけど」

灼「？……宥さんがなにを頑張るんですか？ ダイエット？」

宥「か、関係ないでしょ！？違うよぉ……そうじゃなくって……」

灼「ダイエットはしないんですね」

宥「そ、それはそれで頑張るつもりだけどね！？」

719 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:50:35.37 ID:diFRb6920

灼「それで、なにを頑張ってるんですか？」

宥「ふふふ、それはねぇ……もちろん！ 玄ちゃんかわいいアピールだよ！」

灼「……と言うと？」

宥「萩原さんに玄ちゃんのかわいいところをたくさん教えてあげるの！」

灼「……もしかして、宥さん頻繁に萩原さんと連絡とってるんですか？」

宥「え？ うん……そうだね、頻繁ってほどじゃないけど……玄ちゃんとお付き合いはじめてちょっと経ってからたまにやりとりしてるよ？」

灼「でも、そのわりにはこっちに来てる時とかもそんなに話してないですよね？」

宥「だって、玄ちゃんがお話ししないと！ たまにしか会えないんだもん！」

灼「……なるほど」

宥「特に人気のコーナーは今日の玄ちゃん！」

灼「……人気？ ……コーナー？」

宥「私がかわいい！と思った玄ちゃんの写真を送って、今日の玄ちゃんもかわいいですよ〜って！」

灼「……勝手に写真送ったりするのはよくないんじゃ」

宥「大丈夫だよ！だって、こんなに玄ちゃんかわいいんだもん！ほら、見て見て灼ちゃん！」

灼「いや、そういうことではなく……ふむ」

宥「どうどう？ かわいいでしょ、玄ちゃん」

灼「やりますな」

宥「ますな？」

灼「忘れがちだけど玄って普通に美人ですからね」

宥「忘れがちなの！？」

灼「最近は大人っぽくなってきましたし……」

宥「そうなの！ かわいい玄ちゃんだけじゃなくって綺麗な玄ちゃんもいるんです！ ここ、テストに出るから！メモしてねっ！」

灼「なんのテスト……？」

720 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:51:21.93 ID:diFRb6920

灼「……まあ、本当に……玄はアレさえなければ……」

宥「アレって？」

灼「おっぱ」

宥「あー……まあ……最近はそんなにね？ やってないしね？」

灼「いろいろ忙しくてやってる暇もないって感じですが」

宥「うん……でも、大丈夫だよ！ たとえ少しぐらい欠点があっても！ 玄ちゃんにはそれを補って余りある良いところがたーくさんあるからね！」

灼「ん……そですね」

宥「灼ちゃん灼ちゃん、ほら、どう？ この玄ちゃんなんて……」

灼「……とゆか、玄の写真フォルダすごい枚数になってますね」

宥「え？ うん！ だって、玄ちゃんっていっつも写真撮る側だったから……けーたいのカメラって最近は性能もいいし、私がいっぱい玄ちゃんの写真を撮ろうって思って」

灼「……そうですね。前に麻雀部でアルバム作ったときも玄の写真枚数少な目でしたし……いいと思います」

宥「だよねっ！ あーもう、玄ちゃんはかわいいなぁ……」

玄「……お、お姉ちゃん？ 何やってるの……？」

宥「あっ！ 玄ちゃんお疲れ様〜」

灼「おつかれ。 宥さんの玄アルバム見てた」

玄「わ、私のアルバム……？」

宥「うん！ もうそろそろ玄ちゃん写真集できるんじゃないかな〜ってくらい写真も増えてきたよ！」

玄「そんなに！？ ……え？ そんなに？ お姉ちゃんそんなに私の写真撮ってたっけ……？」

宥「ああ……玄ちゃんがお仕事頑張ってるところとかこっそり撮ってたから玄ちゃんが知らない写真もいっぱいあるかも……」

玄「ええ！？ は、恥ずかしいなぁ……変な写真とか無いよね……？」

宥「例えばこれとか……」

灼「かわいい寝顔だけど……この年でよだれ垂らして寝るのはちょっとどうかな……」

玄「ひゃあああ！？」

721 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:52:50.55 ID:diFRb6920

玄「ちょっ……お姉ちゃん！ 恥ずかしいから消してよぉ！」

宥「いつもの一生懸命頑張ってるしっかりものの玄ちゃんもいいけど、こういうちょっと気を抜いてる玄ちゃんもかわいくていいよねぇ」

灼「……あの、宥さん？ もしかしてそれ萩原さんに……？」

宥「あ、やっぱり見せてあげた方がいいかな？ こういう姿も玄ちゃんの魅力だもんね！」

玄「やめて！ そ、そんなところ見られて幻滅されちゃったら……」

灼「萩原さんは玄がしっかりしてるから好きなわけじゃないと思うけど」

玄「そ、そうだとしてもこんなだらしないところ……」

灼「……玄は宥さんがこの状態だったらどう思う？」

玄「え？ いつもは仕方ないなあ……って思って、お布団かけ直して口元拭って……」

灼「萩原さんもそゆタイプでしょ……とゆか」

玄「？」

灼「やっぱり宥さんはいつもそんな感じなんですね」

宥「えぇ！？ な、なんでわかっ…………ち、ちがうよ！？ わ、私は普段からしっかりしたお姉ちゃんで……」

灼「玄が今いつもって」

宥「玄ちゃん！！」

玄「ご、ごめんねお姉ちゃん！」

灼「まあ、年末年始にかけてずっとおこたでごろごろしてるの見てましたけど」

宥「あぅ」

灼「そんな宥さんが好きです」

宥「灼ちゃん好き！」

玄「……わ、私も……」

灼「玄は彼氏いるでしょ」

宥「浮気はダメだよー」

玄「えぇ……？ 仲間はずれにしないでよ……」

722 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:53:50.51 ID:diFRb6920

玄「むぅ……それじゃあ、とりあえず着替えてくるからね」

灼「ん……玄が準備できたら行こうか」

宥「あっ、待って……わ、私も今ジャージだから着替えてくる……」

灼「……ずっとおこたに潜ってたから気づかなかったけど、ジャージだったんですか」

宥「お、お部屋にいるんだし部屋着でもいいでしょ？」

灼「……お客さん来てるのに部屋着はどうかと」

宥「……あ、灼ちゃんは家族みたいなものだし？ ね？」

灼「そゆことなら……」

玄「灼ちゃん……どうしてたまにお姉ちゃんを甘やかしちゃうのかな……？」

灼「玄はいつも甘やかしてるでしょ」

玄「そ、そんなこと……」

灼「あるよね？」

玄「……えー……と、ですねぇ……」

宥「え？ なんで？ 私が玄ちゃんを甘やかしてるんじゃなくて？」

灼「たしかに宥さんは玄に甘いですね。 最近特に甘いですね」

宥「だって私、玄ちゃんのこと大好きだから〜」

玄「私もお姉ちゃんのこと大好きだよっ！」

灼「……そゆのいいから、早く準備してきて。 ハルちゃん帰ってきちゃうし」

宥「はぁい」

玄「灼ちゃんもやってたのに……」

723 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:55:47.52 ID:diFRb6920

――――――


晴絵「ただいまー今年もよろしくなー」

穏乃「赤土先生おかえりなさい！ 今年もよろしくお願いします！」

望「おかえり。おつかれさま。 今年もよろしくね」

憧「おかえりー。 ハルエ、あんた正月くらいちゃんと帰ってきなさいよね」

晴絵「私だって正月くらい帰ってきてゆっくりしたかったんだけどな……忙しかったんだよ」

穏乃「お正月、瑞原プロたちとテレビ出てましたよね！ 見てましたよ！」

晴絵「見てたのか？ なんか恥ずかしいな……うちのチームメディア露出多くて……素直に麻雀打つだけだったらもっと気が楽なんだけど」

望「はやりんとセットなんだからいいじゃない。 今は吉野の外でも人気者みたいねー？」

晴絵「からかうなって……まあ、ありがたいね。 今年は試合もたくさん出れたし、みなさんの応援のお陰ですよ、っと」

穏乃「はい！ 今年もバリバリ応援しますからね！」

憧「一番応援してんのは灼さんだけどね。 ハルエのグッズ買い漁ってるわよ」

晴絵「……うん、うれしいんだけどさ……」

望「微妙な顔しないの。 かわいい教え子が一生懸命応援してくれてるんだから」

晴絵「だからだって。 かわいい教え子が自分にお金つぎ込んでるって複雑だぞ……私よりももっといろいろあるだろ……」

憧「それ、灼さんに言ったら怒るからやめなさいよー」

望「昔っから晴絵のファンだもんねぇ……ま、たしかに使いすぎもよくないけど、ね？ 憧」

憧「な、なんで私に言うの！？」

望「そりゃあ……ねえ？」

穏乃「はやりんグッズ地道に増やしてってるよね、憧」

憧「む、無駄遣いしてるわけじゃないもん！ 別にいいでしょ！」

724 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:57:10.59 ID:diFRb6920

憧「はぁ……ハルエはいいわよね。 プロになった上にはやりんと同じようにチームな上超仲いいし……」

晴絵「……悪いけど、はやりさんは収録あるから今日は東京だぞ？」

憧「ちゃんと連れてきなさいよ！ なんのために帰ってきたの！？」

晴絵「少なくともはやりさん連れてくるためじゃないぞ！？」

穏乃「憧！ そんな言い方ないだろ！ まったく……赤土先生帰ってくるの楽しみにしてたくせにそうやって……」

憧「そ、そんなこと……しずほどじゃないわよ！」

晴絵「しずほどじゃないにしても楽しみにはしててくれたのか」

望「ずっとそわそわしてたわよ」

憧「してないもん！」

晴絵「もっと素直に歓迎してくれよー」

憧「はいはい！ おかえりおかえり！ ハルエに会えてうれしいなー！」

晴絵「雑だなぁ」

望「いつまでもこれじゃあ心配よねぇ……かわいいんだけど、もっと素直になれないとお嫁の貰い手が……」

憧「よ、余計なお世話！ まだ若いし！ 猶予ありまくりだから！」

晴絵「私だってまだ若いよ！」

憧「もうアラフォーでしょ」

晴絵「アラサーだよ！ ……やめろ！ 小鍛治さんに怒られるよ！」

望「小鍛治プロは別に怒らないと思うけど」

穏乃「え？ でも小鍛治プロの持ちネタ……」

憧「ネタっていうかもうガチ三十路だけどね」

晴絵「だからやめろって！ 年齢でいじるなって！」

725 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:58:08.44 ID:diFRb6920

玄「憧ちゃーん！ いるー？ 来たよーっ！」

憧「あ、玄ー？ 勝手に入っちゃってー！」

玄「お邪魔しまーす」

灼「ハルちゃん！ おかえりなさい！」

宥「出遅れちゃったねぇ……赤土先生、今年もよろしくお願いします」

玄「よろしくお願いします！」

晴絵「おう、今年もよろしくな！ みんな元気そうでよかったよ」

灼「ハルちゃんも……年末年始おつかれさま。 全部見たよ、番組」

晴絵「ありがとな……っても、うちのメインははやりさんだし私の出番はそんなに……」

灼「それでも、よかったよ！」

晴絵「あはは、ありがとな」

灼「あと、ハートビーツの新しいタオル買ったからよかったらここにサインしてほし」

晴絵「……うん、全然いいけどなんか戻ってくる度になにかしらにサインしてる気が……」

灼「グッズ買ってるから」

晴絵「……あの、うれしいけどあんまり無駄遣いするなよ？」

灼「無駄遣いじゃないから大丈夫」

憧「だから言ったでしょ？ っていうかハルエ！ 灼さんばっかズルいじゃん！ 私も同じの買ってるからこれに瑞原プロのサインもらってきてよ！」

晴絵「お前たちふたりともすっかりハートビーツのファンだよな！？ うれしいけど！ ありがたいけど！」

726 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 00:59:40.90 ID:diFRb6920

宥「赤土先生、この間いちごちゃんとお話ししたって……」

晴絵「ああ、佐々野さん。 宥によろしくって」

宥「いちごちゃん、どうでした〜？ たまに電話はしてるんですけど、直接はなかなか会えなくて……」

晴絵「ん……まあ、彼女もいろいろあるみたいだけど……やる気満々だったし、元気ないい子だったよ」

宥「いちごちゃん、すっごく頑張ってますから！ 元気そうならよかったです！」

玄「ちゃちゃのん……佐々野さんも素敵ですよね！ お姉ちゃんがよく見てるから私も好きになっちゃったよ〜」

憧「……ちゃちゃのんも結構胸あるもんね」

玄「そそそそそれは別に関係ないよ！？」

宥「あからさまに動揺しないでよぉ……」

望「なにか食べる？ ささっと作っちゃうけど」

晴絵「お、サンキュ」

穏乃「ラーメンにしましょう！ ラーメン！」

憧「なに食べたい？ って聞かれて二回に一回はラーメンって言うのどうなの？」

穏乃「聞かれたときに食べたいだけなんだから仕方ないじゃん！」

望「穏乃ちゃんが食べたいなら仕方ないなぁ」

憧「なんでお姉ちゃんはしずに甘いのよ！？」

望「かわいいから」

晴絵「それなら仕方ないな」

憧「ちょっとぉ！ それなら私、今日は塩の気分だから！」

望「はいはい」

晴絵「文句言いながらリクエストまでするのな……」

727 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 01:01:33.89 ID:diFRb6920

――――――

晴絵「いや、それにしても本当に久しぶりだな……とりあえず改めて、しずは推薦通ったってな。 おめでとう」

穏乃「はい！ ありがとうございます！」

晴絵「ちゃんと勉強はしろよー」

穏乃「わかってます！ いやあ、憧と初瀬が一生懸命勉強教えてくれたし、いろいろわかるようになるのが楽しくって！ 最近は勉強もそんなに悪くないかなって！」

晴絵「おー……しず、成長したなぁ……」

穏乃「いやあ、へへ、それほどでも……」

晴絵「私が授業持ってた時もそうだったらなぁ……」

穏乃「う……す、すみません……」

晴絵「冗談だって。 授業中に居眠りしなくなったんならいいことだ」

憧「居眠りはしてるわよ」

穏乃「ち、違うんですよ！ その、家で一生懸命勉強してたら授業中に眠くなっちゃって……！」

晴絵「本末転倒だなぁ……憧は？ 卒業したらドイツだろ？ ちゃんと準備してる？」

憧「そりゃあ……そこら辺は抜かりないわよ。 ちゃんと準備してるって」

晴絵「余計なものばっか持ってくなよ。 麻雀しに行くんだから」

穏乃「服あんなに持ってかなくていいんじゃないの？」

憧「服は大事でしょ！ 変な格好するわけにもいかないし！」

灼「現地で買いなよ。 あっちはまた流行も違うかもだし」

憧「そ、それはたしかに……」

玄「荷物だけ先に送らせてもらえるにしても、しまっておく場所とかもあるし……」

憧「……ま、まあ、考えておくわ……純さんに迷惑かけたくないし……」

728 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 01:02:39.88 ID:diFRb6920

晴絵「ああ、そういえばこの間龍門渕さんと会ったよ」

憧「ほんと？ へぇ、ハルエ長野行ったんだ？」

晴絵「いや、東京でね。 なんか忙しそうだったしあんまり話せなかったんだけど……ちょっと面白い話聞いてさ」

宥「面白い話ですか？ なんで忙しいのにそんな話を……」

晴絵「一応言っとくけど笑い話ってことじゃないぞ？ なんか、来月辺り身内集めて大会やるとか……」

憧「あ！ 前に透華さんが言ってたやつ！」

晴絵「プロアマ関係なく知り合いには声かけてるって言っててさ……私も声かけられたんだよね。 よかったら来ないかって」

穏乃「わ！ やったぁ！ それじゃあ透華さんの大会で赤土先生とも打てるかもしれないんですねっ！」

晴絵「その時一緒にいたはやりさんも結構ノリノリでさぁ……」

憧「え！？ ちょ、はやりん来るの！？」

晴絵「仕事で一緒の時で……どうですか？ って言われたら行きたい！ って……」

玄「豪華なメンバーですねぇ……赤土先生と瑞原プロが来られるなら弘世さんも来るんですよね？」

晴絵「うん。 菫もいい腕試しになりそうだって乗り気だったよ。 龍門渕さんの話じゃ照とかも来るみたいだし」

穏乃「うわぁ……今をときめく宮永プロですよ！ ほんとに豪華ですね！」

灼「清澄のメンバーとか、長野のみんなも来るって聞いてるし……人数自体もかなり大規模になってそうだね」

憧「参加面子的には腕試し兼同窓会な感じになりそうだーなんて言ってたから……どれだけ集まってんだろ」

玄「なんにせよ、楽しい大会になりそうだね！」

729 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 01:03:45.88 ID:diFRb6920

晴絵「龍門渕さんにはみんな世輪になってるしちゃんと改めて挨拶しないとな……憧は純くんとドイツだし、玄は……」

玄「なな、なんですか！？ 別にいじるほどのことはなかったですよ！？」

晴絵「……最近なにかあったの？」

穏乃「クリスマスに萩原さんがこっちにいらしてデートしてました！」

憧「玄がサンタコスで迫ってたわよ」

玄「迫ってないよ！？」

灼「憧と穏乃もサンタさんの格好してたよ。 ほら……」

晴絵「お、似合ってるじゃん。 かわいー」

憧「灼さんなにハルエに見せてんのよ！ 恥ずかしいじゃん！」

晴絵「なにをいまさら……どうせ望が用意したんだろ？ で、嫌がってる素振りだけは見せながらノリノリで着た、と……」

宥「わ、さすが赤土先生」

穏乃「バレバレだよ、憧！」

憧「うるさい！」

晴絵「で？ どうだったの？ サンタ効果はあったのかな〜？」

玄「え、い、いやいやいや！ なにも……！ その、かわいいですよ、って言ってくれましたけど……」

晴絵「……普通にのろけられた」

灼「へこむならやらなければいいのに」

憧「ハルエもさっさと男作りなさいよ」

晴絵「言われても仕方ないけど憧に言われるのちょっと嫌！」

730 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 01:04:50.61 ID:diFRb6920

晴絵「……そっちはどうなの？ そっち方面は」

穏乃「受験勉強頑張ってました！」

灼「なにもな」

宥「特にないです……」

晴絵「……まあ、急ぐ必要はないからな？ 私も独り身だけど人生楽しいし……」

望「教え子たちをひとりの道に引きずり込まない！ ほら、ラーメンできたわよ」

穏乃「やったぁ！ いただきます！」

憧「早っ！ ちょっと、落ち着いて食べなさいよしず……」

灼「……すみません、私たちの分まで……」

望「あ、ごめんね？ 食べられる？ ついつい全員分用意しちゃって……」

穏乃「残すなら私が食べますよ！」

憧「まだ箸つけてもいないのに奪う気満々なんて意地汚いわよ……」

宥「あったか〜い……えへへ、ありがとうございます。 いただいちゃいます」

玄「む！ 望さんのお料理やっぱりおいしい……」

望「今度またレシピ交換しようねー」

玄「はい！」

灼「玄が地道に嫁力を高めていく……」

晴絵「灼はどうなの？」

灼「……私は宥さんを嫁にもらうから」

宥「わーい」

灼「あ、宥さん家事やってくれないしやっぱり私が頑張らないと……」

宥「わ、わたしだって頑張れるよ！？」

731 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 01:05:54.54 ID:diFRb6920

望「で、あんたはどうなのよ？」

晴絵「私はそれどころじゃないから……」

望「またそれか」

晴絵「小鍛治さんに勝ってから！」

望「大変な道のりねぇ……それでもいつ頃までには結婚したいとかあるでしょ」

晴絵「う……まあ、遅くても三十半ばぐらいまでには……」

望「小鍛治プロにそれまで勝てなくてもいいんだ？」

晴絵「それとこれとは別だから！ 今年こそ勝つっての！」

望「別なら先に結婚でもいいんじゃない？」

晴絵「うぐっ……ま、まあいいだろ。 ほっとけ！ そういう望だって……」

望「私はまだ結婚する気無いしねぇ」

晴絵「人のこと言えないじゃないか……」

望「ま、こっちだって心配して言ってるんだから……あんた麻雀やってる間にタイミング逃しそうだし」

晴絵「ちゃんと心の片隅に置いとくから……っし！ それじゃあラーメン食べたら久しぶりに打つか！ 相手してくれよ」

穏乃「お願いします！ 最近勉強ばっかで麻雀控えめだったんで……うー、鈍ってないか心配だなぁ」

玄「私も最近あまり……透華さんの大会までにはしっかり打てるようにしとかないと！」

灼「萩原さんにいいとこ見せたいもんね」

玄「そ、それだけじゃないもん！」

灼「それもあるんだ……」

宥「私たちも透華さんの大会だけじゃなくって春の大会もあるし、頑張らないとね！」

憧「ハルエも今は最前線で戦うプロだもんね……勉強させてもらおうじゃない」

晴絵「教え子たちがどれくらい成長してるか楽しみにしてたんだぞ？ あんまり情けない麻雀打つなよなー？」

望「はぁ……本当、みんな麻雀麻雀ってそればっかりねー……」



カン！

732 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/08(日) 01:08:18.24 ID:diFRb6920

あらためて今年もよろしくです
去年は投下頻度低いわ少ないわだったんで改善できるといいなぁ

733 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/08(日) 09:22:34.62 ID:CQKYQKc5o

あの事実が出てすぐにお友達枠としてネタにされた亦野さん…

734 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/08(日) 10:56:03.70 ID:Y01o7qoLo

乙です

735 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/08(日) 11:39:05.45 ID:29eKXb7dO

おつ

736 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/08(日) 14:09:40.29 ID:O1N7OCFA0

乙です
憧ちゃーのドイツ行き&透華お嬢様主催のプロアマ戦が近付いて居ますね
さて…赤土先生が借りを返したい相手はすこやんの他にもう一人居ますが
そんな彼女はドイツから来ますかね？
え？誰かって？
はやりんの小学生時代からの友人にして
赤土先生に公式戦初黒星を刻んだ娘にして
咏ちゃんとの対局経験が有って
善野元監督とも対局経験が有る
横浜生まれの松江育ちの麻雀狂！
白築慕さんを！
え？透華お嬢様と無関係ですって？
咏ちゃんかはやりん辺りが連絡するか
透華お嬢様が純くんに連絡した時に
慕｢私も行く！｣
とか言って呼ばれた面々に着いて行きそう

737 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/08(日) 19:58:45.71 ID:nBWeHZ5z0

縦読みじゃないのか……

738 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/08(日) 21:15:18.42 ID:qfbnramA0

乙乙
大会楽しみ

739 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/09(月) 01:34:27.30 ID:/PzmEnzI0

>>733白糸台の方針的にチーム全員友達枠ってことだと思うんですけどね。一番強い仲良し五人組が大会出る制度だったってことですし。逆に一人だけ名字呼び捨てだったり名字＋先輩呼びでも別に距離があるわけではないことが確実になって安心しました。

プロ入り。もこちゃん

740 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/09(月) 01:35:26.59 ID:/PzmEnzI0

もこ「…………」

やえ「いい？ この部屋に三尋木プロがいらっしゃるから……しっかり挨拶しなさいよ」

もこ「…………！」

やえ「いつもの感じで行くのやめなさいよ？ 暴言禁止！ あとちゃんと喋る！ ぼそぼそ喋っても私と照しかわかんないかんね？」

もこ「…………？ …………、…………！ 」

やえ「アレでもうちの……というか、日本のエースなの！ スゴい人なのよ！ 第一印象って大切なんだかんね！？ 適当に見えて結構ちゃんとした人だから！ 挨拶ぐらいしっかりして、顔と名前覚えてもらいなさい」

もこ「…………！」

やえ「ああ、大切なことだけどたかだか挨拶なんだからそこまで緊張しなくていいのよ？ ちゃんとついてってあげるから……」

やえ「あ！ たかだか挨拶って言っても適当に済ませちゃダメなのよ！？ そこんとこ勘違いしないでよね！」

やえ「あーもう、ちょっとリボン曲がってるわよ？ 身だしなみはちゃんと整えてから……」

照「やえは母親かなにかなの？」

やえ「どういう意味よ！？」

照「そのまんまの意味だけど」

もこ「…………」

やえ「お母さんはやめなさい！ お姉ちゃんとかならともかく……！」

照「やえ、ちょっと待って。 お姉ちゃんは私のキャラだから。 被せてくるのやめてほしい」

やえ「はぁ？」

照「……なに？ その反応」

やえ「そのまんまの意味だけど？ あんたそれ本気で言ってるわけ？」

照「もちろん」

741 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/09(月) 01:36:36.18 ID:/PzmEnzI0

照「お姉ちゃんと言えば私。 咲というかわいい妹もいる。 私は素敵なお姉ちゃん」

やえ「面白いこと言うわね」

もこ「ふふっ」

照「！ もこが笑った！ それで咏ちゃん先輩のところに行くといい。 かわいくてきっと印象もいい」

もこ「……！？ …………、……！」

照「照れなくてもいいのに」

やえ「まあ照のギャグでなごんだところで……」

照「ギャグなんか言ってないよ！？」

やえ「ここ最近のあんたの発言で一番だったわ」

照「なんで！？ むぅ……それじゃあ、ちょっと真面目に言わせてもらうけど……」

もこ「……！」

照「そういう意味じゃない！ これから更に真面目なことを言うって流れだから！」

やえ「……で？ 結局なにが言いたいわけ？」

照「やえは、もこに構いすぎ。 心配なのは私も同じだけど、もこだってこれからはひとりのプロとして頑張らないといけない。 最低限のことはひとりで頑張らないと」

やえ「……照のくせになかなかいいこと言うじゃない」

もこ「…………」

照「そんなにほめられると照れる」

やえ「あんた本当に照なの？」

もこ「……？ …………！」

照「本物！ ふたりしてひどい！」

742 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/09(月) 01:39:34.47 ID:/PzmEnzI0

やえ「まあ、いいこと言ったけど、それはそれとして……ひとつ言わせてもらうけど……」

照「なに？」

やえ「あんた自身が最低限のことひとりでできてないじゃないのよ！ 偉そうなこと言ってんじゃないわよ！ このバカ！」

照「なっ……！ ひどい！ そんなこと言ったらもこが誤解する！ まるで私がひとりでなにもできないみたいに聞こえる！」

やえ「そう言ってるんだから聞こえていいのよ！ だいたいあんたはいつもいつも……！」

照「やえもそうやって意地悪ばっかり……！」

もこ「…………」

咏「おーい？ なんか騒がしいけどなにやってんの？」

もこ「！」

咏「お、新入りの……」

もこ「…………！」

もこ「……ぁ、ぁの……！ …対木……もこ……で、す！ ょ…………ょ、ろしく、ぉ………ねが、しま………！」

咏「おーよろしく東海王者！ ま、いきなり試合出たりはできねぃと思うけど頑張ってればそのうちチャンスも来ると思うから頑張ってな！ 知らんけど！」

もこ「…………」

咏「チビじゃねーよ！ つーかもこちゃん私よりちっちぇーだろ！？」

もこ「…………」

咏「舌打ちした！？ 今舌打ちよね！？ 知らんけど！」

もこ「…………！」

咏「なに！？ ちゃんと言って！ わっかんねー！ なに言ってんのかわっかんねー！」

もこ「…………！ ……、…………！」

やえ「もこ！！ だからやめろって言ったでしょうがぁ！ 三尋木プロ！ すみません！ この子ちょっと口下手で！ つい口悪くなっちゃうだけと言いますか……！」

照「咏ちゃん先輩、聞いて！ やえがいじめる……！」

やえ「小学生みたいな告げ口してるんじゃないわよ！」

咏「なにがなんだかわっかんねー！」


カン！

743 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/01/09(月) 01:46:16.81 ID:/PzmEnzI0

最初だしちゃんとやらせないと！って過保護になっちゃうやえさんとわりと放任気味の照さん。

龍門渕大会に関しては別に麻雀自体の描写する気はないですが団体戦的なお話もするつもりなんで絡ませたい子たちとかいたら適当に拾います。三人一組で何チームか…

744 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/09(月) 02:11:55.40 ID:g5FhHkXg0

この空間にいるのは頭の回転が速くないとダメそうだ……
あと胃薬もいるかな
おつ

745 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/09(月) 03:55:38.55 ID:x4T8ppkJo

乙です

746 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/09(月) 04:20:17.09 ID:WE+RCqHk0

乙です
大会楽しみ過ぎるw
リクはすばら、玄、怜のトリオが見たい所存
次回更新も楽しみに待ってます

747 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/09(月) 06:44:18.72 ID:WDT6KZ2A0

乙です
チーム戦ですか？
組み合わせ的には
・末原さん＋エイちゃん＋慕さん
・哩姫＋あわあわ
・いくのん＋由子さん＋漫ちゃん
・善野元監督＋咏さん＋藤田プロ
・竜華さん＋セーラさん＋咲さん
・照姉さん＋やえさん＋もこちゃん
・洋榎姉さん＋憩ちゃん＋絹ちゃん
・怜ちゃん＋宥姉さん＋灼ちゃー
・はやりん＋弘世様＋のどっちさん
・赤土先生＋玄ちゃー＋望さん
・純くん＋憧ちゃー＋優希ちゃん
・雅枝監督＋船Ｑさん＋のよりん
・花田先輩＋友清さん＋ミカさん
・初美さん＋一ちゃん＋穏乃ちゃー
・霞さん＋巴さん＋小蒔ちゃん
・衣お姉さん＋華奈ちゃん＋みはるん
辺りをリクエストしたいですね

748 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/10(火) 08:02:53.30 ID:LlMKG0jBo

毎回ポップする粘着リク荒らしはなんなんだ

749 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/01/11(水) 01:32:43.13 ID:+quB9khoO

一応荒らしじゃないぞ
縦読みを探したくなるけど

750 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/02/02(木) 20:58:41.16 ID:fBnupRaA0

えぇと…
明日は節分ですが
憧ちゃーの家に永水の六女仙の皆さんと劔谷のお嬢様達＋真瀬由子さんを集わせて欲しいですね

751 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 21:54:32.59 ID:QYxnptjT0

めちゃくちゃ間空きましたが復活
一日遅れのバレンタイン投下

752 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 21:55:31.35 ID:QYxnptjT0

一「それじゃあ、こっちの部屋をどうぞ。 好きに使ってくれてかまわないからね」

玄「はい！ ありがとうございます！」

一「まあ、いつもの部屋なんだけどね。 ボクはそろそろこの部屋玄さんの部屋にしちゃっていいんじゃないかと思ってるんだけど」

玄「そ、そういうわけにはいかないですよ！ というか、それ透華さんに言っちゃダメですよ？ 透華さん本当にやりかねないですし……」

一「透華は家を建てかねないけどね……部屋で済むならいいんじゃない？」

玄「う……い、いやいや！ そういう問題でもないですから！ ちょっと納得しかけちゃいましたけど！」

一「あはは、荷物置いたら離れの方に行こ？ 衣も待ってるからさ」

玄「はい！」

この部屋……つまり、ここ一年ほどの間、龍門渕のお屋敷にお邪魔した際に使わせてもらっている部屋だ

萩原さんとお付き合いをはじめてから約一年。 月に一回あるかないかの頻度で龍門渕のお屋敷にお邪魔させてもらっている

長野には和ちゃんたちもいるし、この小旅行は毎月の楽しみだ。 時間が作れればお姉ちゃんや灼ちゃん、穏乃ちゃんに憧ちゃんとも一緒に来たりして……

……ただ、お友だちに会いに行く、ってお父さんには説明していたんだけど、そのお友だちのおうちに萩原さんが……つまり、私の……その、彼氏がいるのがとても気に入らないようで、最近はちょっといやな顔をされてしまう。 それだけはちょっと残念かなあ……

萩原さん、私にはもったいないくらいの人なのに……

753 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 21:56:17.70 ID:QYxnptjT0

衣「おお、待っていたぞ！」

智紀「いらっしゃい」

玄「こんにちは！ お久しぶりです！」

智紀「毎月顔合わせてるからあまり久しぶりな感じもしないけどね」

衣「それでも、衣は玄がやって来るのを待ちわびていたぞっ！」

玄「えへへ、私も会いたかったですよ！」

衣「……そういうのは衣じゃなくてハギヨシに言えばいいんじゃないのか？」

玄「ふぇ……あ、そんな！ その……わ、私！ 本当に天江さんに会いたかったんですよ！？」

衣「別に疑ってるわけではないぞ？」

智紀「からかってるだけ」

一「主にからかう気しかないからね、今回は特に」

玄「あうぅ……な、なんでそんな……」

智紀「わざわざバレンタインに合わせて来るから」

一「まあ特になにもなくてもいじるけどね」

衣「しかし、玄が来てくれたのは心強いぞ！ さあ、チョコを作るぞ！ 指導を頼む！」

玄「おまかせあれ！」

754 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 21:57:03.26 ID:QYxnptjT0

智紀「それにしても、意外」

玄「なにがですか？」

智紀「衣、いつも食べるの専門だし」

衣「む……ま、まあな。 ほら……今年は純がいないからチョコをたくさん食べられないだろう？ せっかく玄が来てくれるのだし自給自足してみると言うのも……」

玄「うん！ こういう機会に日頃の感謝を伝えるのはとってもいいことだと思うよ！ 素敵なチョコを用意して透華さんに渡そうねっ！」

衣「玄！ なにを言ってるんだ！！」

玄「え？ だって電話した時はそういう風に……」

衣「そういうのは言わなくていいっ！」

一「へぇ？」

智紀「そうなんだ」

衣「違うっ！ 衣はチョコを食べたいだけだっ！ つ、ついでにみんなに渡す分も作ってやってもいいかと思ったぐらいで……」

一「みんなに？ ボクらにもくれるの？」

智紀「ありがとう」

衣「あっ……う、うるさいぞ！ ちょっと静かにしてろ！ 衣は忙しいんだ！」

一「衣がチョコくれるって。 やったね」

智紀「うれしい」

衣「うー……」

玄「えっ……と、その……ご、ごめんなさい……？」

衣「玄のバカ！ 余計なことを言って……まったく！ もう！」

玄「ごめんなさい……」

一「まあまあ、衣もそんなことで怒ってないでさ。早く始めようよ」

智紀「透華と萩原さん、帰ってきちゃう」

衣「むぅ……よし！ 始めるぞ！」

755 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 21:58:25.03 ID:QYxnptjT0

一さんに案内されて離れの調理場に向かう

……お屋敷の調理場も見せてもらったことあるけど、こっちの方も立派だなぁ……

衣「……こっちにも調理場があれば便利だろう？ 衣も、わざわざあちらの屋敷に出向く必要もないしな」

玄「そ、そうかもしれないけど……」

一「……衣、もういいじゃない。 今は昔に比べれば全然……」

衣「む……すまん、ついな」

玄「……？」

智紀「……離れは衣のお城だけど、檻でもあったから」

玄「…………？ よくわからないんですけど……」

衣「まあ、いろいろあったのだ。 昔のことだ。 気にしないでくれ」

一「そうそう、過去を振り返るよりも今を生きようよ！ 玄さんもさしあたり彼氏に本命チョコ用意しなきゃなんだし！」

玄「え、あ、その……じ、実はもう用意してあって……」

一「え！？ ……ってまあ、それはそうか。 衣にいろいろ教えながらじゃ時間もかかるし当日準備で失敗したら取り返しつかないし……」

玄「あ、それでも私も一緒に作りますから！ せっかくですし！」

智紀「本命は用意してあるから私たちにもおこぼれとして作ってくれる……？」

玄「ふぇ！？ そ、そういう、適当なつもりでは……！ というか！ 既にみんなの分も洋一用意してあって……！」

一「え？ 本当に？」

玄「う、嘘なんかつきませんよ！ えっと……はい！ どうぞ！」

衣「わぁ！」

一「ありがとう、玄さん」

智紀「本命のついででもうれしい……」

玄「だ、だからついでとかじゃないですってば！」

智紀「ふふ……冗談。 ありがとう」

756 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 21:59:34.61 ID:QYxnptjT0

沢村さんは、表情を変えずに冗談を言うからなかなかわかりにくい……灼ちゃんに似てるんだよね、そういうところ

うう、いつもからかわれてる気がするよ……

衣「おいしい！ さすがだな、玄！」

玄「あっ！ 本当に？ よかったあ……」

智紀「……味見してないの？」

玄「してるよ！？ でも、好みに合うかわからなかったし……」

一「玄さんの作るものならなんでもおいしいよ」

智紀「って萩原さんなら言ってくれるよ」

玄「ふぇ」

一「たぶん純くんも言うね」

衣「違いない。 実際玄がいままで作ってくれた料理に衣の舌を楽しませないものはなかったしな！」

玄「えへへ……そうですか？」

衣「ああ！ 衣が保証するぞ！」

一「……そういえば、憧ちゃん今年はどうしたの？ 純くんいないしのんびりしてるの？」

玄「憧ちゃんは……うん、今回は友チョコ配るだけだから、って……チョコ準備してる間ずっとからかわれたけど……」

智紀「新子さんは彼氏持ちの玄さんが妬ましいんだね」

玄「そ、そうなのかなあ……？」

智紀「私は妬ましい」

玄「そうだったの！？」

智紀「そうなの？」

一「知らないよ！？」

衣「智紀も器量は良いのだからその気になればどうとでもなるのではないか？」

智紀「……ほら、私人見知りするし」

一「そうだっけ？」

智紀「……めんどくさいし」

一「それ言ってたらどうにもならないんじゃないかなあ……」

衣「結局その気がないんじゃないか」

757 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:00:36.57 ID:QYxnptjT0

沢村さん、人見知りするって感じの印象はないんだけどなあ……たしかに、物静かな印象はあるけど、初めて会ったときから結構話す人だったし……

……ああ、透華さんが目立つから影にかくれてるだけだ

衣「そもそも、智紀は人付き合いを好まぬものなあ」

智紀「元引きこもりとしては人付き合いなんて……チャットとかなら」

一「またまたそんなこと言って……玄さんとか穏乃ちゃんたちとは最初から普通に話してたじゃない」

智紀「女子は一や透華で慣れたけど……男子との対話は経験値不足なので」

玄「学校で声かけられたりしないんですか？」

智紀「するけど……」

玄「けど？」

智紀「…………そんなことより、早くチョコを作らないと。 間に合わないよ」

衣「むっ！ そうだ！ 玄、早く早く！ 衣はどうすればいいんだ？」

玄「えっと、とりあえず材料を……」

智紀「……あまりにも簡単に話逸らされすぎじゃない？」

一「逸らしたかったんじゃないの？」

智紀「……いや、わりとどうでもいいけど話広げる自信無くて……」

一「……少し話広げる努力しよ？」

智紀「私が頑張ってないとでも？」

一「頑張ってたの？」

智紀「それほどでも……」

一「頑張りなよ……」

758 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:01:41.25 ID:QYxnptjT0

玄「チョコ、どれくらい用意するの？」

衣「透華と一と智紀とハギヨシと……華菜と未春。 あとは……ののかたちか？」

玄「わ、結構たくさんだね！」

衣「ま、まあ……その、普段、世話になっているからな……チョコぐらい、用意してやってもいいかと……」

玄「ふふ、照れることないよ！ 素敵な考えだと思うなっ！」

智紀「玄さんは萩原さんのどこが好きなの？」

玄「ふぇ！？ な、なな、なにをいきなり！？」

智紀「照れることないよ」

玄「あ、あぅ……あうぅぅ……」

一「ともきー結構アグレッシブに絡むよね」

智紀「……絡むのは得意かもしれない。 絡まれるのは苦手だけど」

一「めんどくさいなあ」

智紀「傷つくからそういうのちょっとやめてほしい。 ガラスのハートだから」

一「自分で言えるなら相当図太いよ」

智紀「私、太い？」

一「うん、胸囲とか」

智紀「邪魔なんだけどね」

一「ボク、今はじめてともきー殴りたいと思った」

玄「邪魔だなんてとんでもない！ そんなに素晴らしいおもちが！ 邪魔だなんて！」

一「……玄さん、その残念な言動だけなければ完璧にただの美少女なのにね」

智紀「……玄さんは私の身体目当てだった？」

玄「ご、誤解を招く発言はやめてくださいよぉ！」

衣「玄の言動が誤解を招く原因じゃないのか？」

759 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:03:05.40 ID:QYxnptjT0

ーーーーーー



玄「…………」

衣「……ん？ どうした？」

玄「いえ……なんというか、手際いいなあって」

衣「む……意外か？」

玄「えっ？ えー……その……」

衣「ふふん、そうだろう！ しかし、衣とて予習もなしに挑むほど考え無しではないぞ！」

玄「お勉強してきたんですねっ！ さすがですっ！」

智紀「教えること無くて暇？」

玄「えぇ！？ そ、そんなことは……」

衣「…………その、退屈かもしれないが……失敗しないように、見ててほしいんだけど……」

玄「も、もちろん！ 当然じゃないですか！ 全然退屈なんかじゃないですっ！」

衣「そうか！ よぉし……」

一「衣、頑張ってるねぇ」

衣「……からかうなら、一の分は用意しないぞ」

一「えー？ 意地悪しないでよ」

智紀「ちょっとからかわれてツンツンしちゃう衣かわいい」

衣「智紀！ 智紀もからかうならチョコ用意しないからなっ！」

智紀「……これは、好きな子に意地悪しちゃうってやつ？」

衣「智紀の分は無しだっ！」

智紀「ごめん衣、冗談だから」

760 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:04:19.81 ID:QYxnptjT0

一「……ちなみに、玄さんは萩原さんにどんなチョコを用意したのかな？ 本命だし、やっぱりボクらにくれたのとは違うんでしょ？」

玄「う……その、はい……ちょっと気合入ったやつを……」

智紀「プレゼントは私、的な……」

玄「ちっ、違いますよ！！ そ、そんっ……そんなの！ ダメですからっ！ は、はしたないですしっ！」

一「やらないの？」

玄「や、やりませんっ！ 絶対やりませんっ！」

一「やらないんだ……」

智紀「本当はやりたいんじゃないの？」

玄「ふぇ！？ そ、そんっ……えぇ！？ な、なにを……！？」

智紀「冗談だったのにガチっぽい」

一「玄さんやらしー」

玄「ち、違いますってば！ き、急に変なこと言うから驚いただけでっ……！」

衣「よしっ！ あとは固まるのを待つだけだなっ！ 包装の用意をするぞっ！」

玄「あれっ！？ 終わっちゃった！？」

衣「……見てなかったのか？」

玄「ふぇ……え、その……」

衣「……見ててくれるって言ったのに……」

玄「ご、ごめんなさい天江さんっ！ その、えっと、私が見てた限りとても良くできてますしっ！」

衣「そうか……玄が観てない間に変なミスをしていなければいいが……」

玄「あ、天江さん……」

一「玄さん、衣に意地悪しないでよ」

智紀「先生に言いつけるよ」

玄「えぇ！？ っていうか先生って誰！？」

智紀「…………萩原さん？」

玄「やめてくださいぃ……」

761 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:05:35.79 ID:QYxnptjT0

衣「まあ、過ぎたものは仕方ない。 せめて味の確認だけでもしてくれ……変なものは入れてないから問題ないと思うんだが……」

玄「それではおひとつ……」

衣「あーん」

玄「あむっ」

智紀「衣、私も……」

衣「智紀には後で完成品をやるから我慢しろっ！」

智紀「…………ん」

一「そんなに残念そうにしなくても」

智紀「ずるいと思わない？」

一「んー……まあたしかに」

衣「どうだ？ おいしい？ 透華たちにあげても大丈夫かな……？」

玄「……はいっ！ おいしいですっ！ きっと透華さんたちも喜んでくれるよっ！」

衣「そ、そうか！ よかった……」

一「完成した？」

智紀「ぎぶみーちょこれいと」

衣「だから完成まで待ってろ！ っていうかそもそもなんで一緒にいるんだ！ こっそり作って渡そうと思ってたのに！」

一「え、ダメだったの？」

智紀「衣が一生懸命チョコを作る姿だけでお腹いっぱい」

衣「お腹いっぱいならチョコはいらないな」

智紀「……甘いものは別腹だから」

衣「なるほど」

一「納得するんだね」

762 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:06:35.93 ID:QYxnptjT0

玄「ところで、今さらですけど……透華さんは今日……」

一「いろいろ調整中でねー」

智紀「朝、急に出なきゃいけなくなって……玄さん来るのに！ ってすっごい仏頂面で出てったよ」

一「萩原さんも一緒だし……下手したら玄さん来る前に全部終わらせてくるんじゃないかと思ったんだけど、さすがに無理だったね」

衣「月末には透華主催の例の大会もあるしなっ！ 最近は透華も忙しなくてあまり衣とも遊んでくれないが……大会が楽しみだっ！」

玄「そうですねっ！ いろんな人が来るって聞いてますから……」

智紀「玄さん、麻雀久しぶりなんじゃない？」

一「あんまり鈍ってるとすぐに脱落しちゃうよ？ そうそうたるメンバーって感じだからね」

玄「む……わ、私はたしかに最近あんまり打ててませんけど……それでも阿知賀のみんなやお姉ちゃんのお友だちたちともたまに打たせてもらってますしっ！ 少なくても濃密な時間を過ごしてますからっ！ そう簡単には負けませんよっ！」

智紀「萩原さんとも短くとも濃密な時間を……？」

一「えっ、やだ！ 玄さんやらしー！」

玄「そ、そんっ……や、やらしーことなんて！ してませんからねっ！？」

衣「なんだ、もうそろそろ一年にもなろうというのにしてないのか？」

玄「…………してないです」

衣「ハギヨシもしょうがないやつだな……玄も待っているというのに」

玄「ふぇ！？」

衣「ん？ 違うのか？」

玄「い、いや、その……そのですね」

一「うん？」

智紀「なになに？」

玄「な、なんでそんな食い付きいいんですか！？」

一「だって気になるんだもん」

智紀「ね」

763 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:08:03.62 ID:QYxnptjT0

玄「…………いや、私としてもですね。 たしかに、その……そういうアレがないのは……私に女の子としての魅力が足りないのではないかとか思ったりはするんですけど……」

衣「気にするな。 ハギヨシがヘタレなだけだろう」

一「そんなにはっきり言うと萩原さんも気の毒だよ……？」

智紀「萩原さんは玄さんを大切にしてるだけだよ」

一「大人ならこういう気を利かせた言い回しをさあ」

衣「！ 衣は大人だからな！ そういうのは得意だ！」

一「さすが衣！ 期待感あるよ！」

智紀「かっこいい」

衣「ふふん、そうだろうそうだろう」

智紀「というか、なんかわかってる感出してるけど……まさか衣、大学で彼氏作ったり……」

衣「いや、そういうことはないが……」

一「えっ？ ないの？ 大人なら普通にあるんじゃないのー？」

智紀「衣はやっぱり子ども」

衣「なっ……こ、衣だってその気になれば……！」

玄「ふ、ふたりともっ！ そうやって煽るのよくないですよ！ 天江さんがもしそれで変な男の人に騙されちゃったりしたら……」

智紀「そんなことあったら相手の人間消すから」

一「物理的にも社会的にも消すよ」

玄「ふ、ふたりとも……そ、そんな、冗談にしても物騒ですよ……？」

一「いや、ボクらが冗談で済んでも透華が……」

智紀「冗談なの？」

一「えっ」

衣「そもそも衣は騙されたりしない！」

764 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:09:43.82 ID:QYxnptjT0

透華「なにやら物騒なお話が聞こえたのですがっ！？」

一「あ、おかえり透華」

透華「誰を消せばいいんですのっ！？」

玄「誰も消さないでくださいねっ！？」

智紀「透華が一番物騒」

ハギヨシ「私がいる限りそのような事態は起きません、透華お嬢様。 なにか起こる前に相手を……」

一「萩原さんは透華を止めてくださいね！？ 萩原さんが本気出したらリアルに二、三人の存在が闇に葬られそうなんですけど！？」

ハギヨシ「無論、冗談ですよ。 玄さん、お待たせしてしまって申し訳ありません」

玄「いえっ！ お仕事お疲れさまでしたっ！」

透華「本当に、申し訳ありませんわ……急な用事で思ったよりも時間をとられてしまいまして……」

玄「そんな……私よりもお仕事の方が大切ですからっ！ 天江さんたちと楽しく過ごさせていただきましたし、気にしないでくださいね」

透華「……立場上、玄さんの方が大切ですとも口にできないので……本当に、申し訳ありませんわ……ところで、今日は珍しく打ってなかったのですね？」

玄「はい、天江さんが……」

衣「玄！ ちょっと待て！ 待って！ 衣が……衣が言うっ！」

透華「？」

765 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:10:59.25 ID:QYxnptjT0

衣「透華……その、今日は……今日は、バレンタインだろう？ いつも……世話になっているから……」

透華「こ、衣……これは、もしかして……」

衣「と、溶かして固めただけだけど…………衣からの気持ちだ。 受け取ってくれるか……？」

透華「ええ……もちろん、もちろんですわ！ ありがとうございます、衣！ 私とってもうれしいですわ！」

一「なにも泣かなくても……」

透華「だって！ うれしいんですもの！」

智紀「ふふ、よかったね」

透華「ええ！ 本当に！」

衣「ハギヨシにも……はい、これ」

ハギヨシ「衣様……ありがとうございます」

衣「彼女の手前、扱いにくいようであれば処分してもいいのだぞ？」

ハギヨシ「そ、そんな！ おそれ多いこと……」

玄「ふ、普通に受け取ってあげてくださいね！？ っていうか一緒に用意したじゃないですか！？」

衣「ふふ、冗談だ。 玄のお陰で透華たちに喜んでもらえたぞっ！ ありがとう！」

玄「そんな……私なんか、何にもしてないですし…………本当に見てただけでしたし」

衣「それでも、ありがとうだ！ 玄が見ててくれたから安心して用意できたんだからな！ だから……これは礼だ。 受け取ってくれ」

玄「天江さん……わ、私にも？」

衣「……玄にも、世話になってるからな……うー……いらないならそう言ってくれ」

玄「も、もらいます！ いただきます！ えへへ、うれしいなぁ」

766 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:11:59.29 ID:QYxnptjT0

えへへ、私までチョコもらっちゃった

天江さん、上手くいってよかったなぁ……透華さんも、みんなすっごく喜んでるし……

智紀「ニコニコしてる場合？」

玄「へ？」

一「玄さんも渡すものがあるでしょ？」

玄「う……えっと、透華さん！」

透華「はい？」

玄「これ、私から……いつもお世話になってます」

透華「あら、ありがとうございます！ うれしいですわ！」

玄「…………えっと、萩原さんにも……その……」

ハギヨシ「はい」

玄「…………チョコを、用意してきたんですけど……」

一「……もじもじしてないで早く渡したら？」

玄「うぅ……だ、だって、みんなの前でなんて……なんか恥ずかしくて……」

智紀「やっぱり、プレゼントは私……？」

玄「ち、違いますっ！ ふ、普通に！ チョコレートですけどっ！」

透華「ふふ、お邪魔したら悪いですわね。 あとは若い二人にまかせて……というやつですわ！」

一「照れ屋さんだなあ」

智紀「頑張って」

衣「ハギヨシ、しっかりな」

ハギヨシ「は、はい、衣様」

767 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:12:53.04 ID:QYxnptjT0

玄「あうぅ……な、なんか、すみません……」

ハギヨシ「ふふ、なにも謝ることなんかないではありませんか」

玄「そ、そうですね……そうですよね。 な、なんか……ごめんなさい、緊張しちゃって……」

玄「……ど、どうぞ！ 好きです！」

ハギヨシ「あ、ありがとうございます。 いただきます」

ハギヨシ「……改めてこうすると、照れますね」

玄「えへへ、本当に……チョコ、平気ですか？ あんまり手の込んだ物を作れなかったので……」

ハギヨシ「おいしいです。 それに、いただけだだけでもとてもうれしかったので」

玄「ふふ……萩原さん、おかし関係も造詣が深いですから。 付け焼き刃で無理して作るよりも作れる範囲でしっかり用意してこようと思って」

ハギヨシ「私で教えられることがあればなんでも……なんなら、パティシエとしての修行もしてきましょうか。 透華お嬢様や衣様にも喜んでいただけるでしょうし……」

玄「ああ、いいですねぇ……私ももっとしっかりお勉強したらお姉ちゃんや憧ちゃんの好きなおかし作ってあげられるなあ……」

ハギヨシ「では、その方面も本格的に勉強してみましょうか……」

玄「お忙しいんですから、あんまり無理しないでくださいね」

ハギヨシ「無理だなんて……学ぶことが好きなので。 玄さんや、透華お嬢様たちのお役に立てるのなら尚更うれしいことですから」

768 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:14:04.11 ID:QYxnptjT0

玄「……透華さん、また忙しそうですね」

ハギヨシ「ええ、学生をしながら龍門渕のお仕事をして……龍門渕に麻雀部門を作るために奔走されていますから」

玄「例の大会。もうそろそろですね」

ハギヨシ「はい、参加者もたくさん集まっていただけていますので……万が一にも失敗はできませんから。 透華お嬢様の夢のためにも、参加してくださる皆様のためにも」

玄「透華さんのこと、お手伝いしてあげてくださいね」

ハギヨシ「ええ、もちろん。 透華お嬢様の喜びが私の喜びです」

玄「萩原さんがうれしいなら私もうれしいですから……やっぱりちょっと妬けちゃいますけど」

ハギヨシ「それは……そうですね、どうすればいいのでしょうか……？」

玄「…………いえ、どうしようもないですし。 私の気持ちの問題ですから……」

ハギヨシ「……一方的に我慢していただくと言うのも変な話でしょう。 私も……玄さんのことが好きなのですから」

玄「…………」

ハギヨシ「……どうされました？」

玄「……えへへ、今の一言だけでかなり満足しちゃいました」

ハギヨシ「……もっと、いろいろと言ってくださっていいんですからね？ 遠慮しないでください」

玄「それじゃあ…………来月のお返し、期待してますね？」

ハギヨシ「……ご満足いただけるよう、努力しますね」


カン！

769 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/02/15(水) 22:16:46.89 ID:QYxnptjT0

実写の映画とかまだ見てないんですが面白いんですかね。見に行きたいけど時間がない…
二月末から三月頭に龍門渕杯で投下予定です。余裕があればなにかしら挟むかも
さえたんイェイ〜何も用意がなくて塞さんには申し訳ない…

770 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/02/15(水) 22:31:12.47 ID:A9NHlDw3o

乙
3月14日も期待

771 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/02/15(水) 23:25:54.65 ID:GcKvihvuo

乙です

772 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/02/16(木) 00:31:15.38 ID:SpAV3h4A0

>>769
いよいよっすか！
前夜祭と後夜祭どんな話に成るか今から楽しみです！
特に弘世様と劔谷のお嬢様達と由子さんに期待したいですな
勿論大人組(雅枝監督、善野元監督、いくのん、比与森監督、久保コーチ、プロ勢、元朝酌女子勢、ニワチョコ等)の登場にも期待したいです！

773 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/02/19(日) 12:56:38.86 ID:0IuDIrJ00

更新乙です
シノリチャの方も楽しく読ませて頂きました
いよいよ大会間近、楽しみに待ってます

774 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 21:50:44.79 ID:rDkoKMmh0

最近二話掲載も多かったし日和休載されると飢餓感ありますね…
おじさんが試合見に来てくれるのはうれしいけど送ってもらうのは恥ずかしい慕ちゃんの思春期感たまらなくかわいい

投下します

775 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 21:52:33.44 ID:rDkoKMmh0

穏乃「透華さーんっ！」

透華「高鴨さん！ みなさん、いらしてくださったのですね！」

憧「もちろんですっ！ この機会を逃す手はないですって！」

灼「……とゆか、会場凄く広いですね」

透華「ええ、片っ端から声をかけていたら参加人数がとんでもないことになってしまいましたので……まあ、これも私の人望の成せる技ですわねっ！」

一「ふふ、これだけ集まるんだしボクはその通りだと思うけどね」

智紀「東京で知り合った子達ほとんどに声かけて……ほとんどの子が来てくれるみたいだから。 全国からレベルの高い打ち手が集まってくる」

玄「あの時のインターハイのメンバーがほとんど揃っちゃうってことですもんね……」

宥「同窓会みたいだねぇ」

透華「プロになった方も多いですから……話を聞いて興味を持った有名なプロの方も何名か参加してくださるんですの！ 瑞原プロに三尋木プロとか……」

穏乃「嘘っ！？ 三尋木プロまで来られるんですかっ！？」

一「宮永さん……照さんの方ね。 声かけたら来るって言ってたなんて軽く言われてさ……とんでもないよね、実際」

憧「はー……超豪華……」

透華「それで対戦表ですが……智紀！」

智紀「はい。 これ……参加者の皆様に配布しております。 会場の電子掲示板にも表示されるのでそちらも参考にしてください」

灼「お仕事モードだ」

智紀「今日は運営側だから。 お仕事もする」

宥「……あれ、透華さんの名前がありませんけど……」

透華「はい、私の主催するイベントですから。 運営に不備があってはいけませんもの。 まずはそちらに尽力させていただきますわ」

穏乃「それじゃあ、透華さんとは打てないんですか……？」

透華「まさか！ せっかくこれだけの人間が集まるのに私が実力を披露しないわけにもいかないでしょう！ 必ず時間は作りますわ！」

776 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 21:54:17.39 ID:rDkoKMmh0

憧「4ブロックに別れてリーグ戦……午前中の成績で上位4人づつ……16人で決勝トーナメントですか」

透華「人数が多くなってしまいましたので……まあ、このような形に落ち着きましたわ」

智紀「リーグ戦で脱落した選手も有意義に過ごせるように各種イベントも用意している。 お昼休みには瑞原プロが……」

憧「え！？ もしかして生ライブですか！？」

透華「秘密ですわ！ 楽しみにしててくださいまし」

憧「うっわ！ ヤバいヤバい！ どうしよう！」

灼「楽しみに待ってれば？」

憧「そうする！」

一「で、お昼休みから団体戦のエントリー受け付けるからね」

玄「え？ 団体戦ですか？」

一「そうそう。 三人一組で東風戦ね。 あとはだいたいインハイと同じルールだから。 レギュレーションも張り出してあるから一応確認しといてね」

透華「いろんな方が集まってくれますから。 即興チームで親交を深めていただこうかと……メインの大会以外でも打てるようにサブイベントとして企画させていただきましたわ！」

穏乃「めちゃくちゃ面白そう！」

透華「でしょう？ プロの方もいらっしゃいますし、この機会にお近づきになりたい方がいるのでしたら声をかけてみたらどうでしょう？」

宥「なるほど！ お友だちを増やすチャンスだね！」

玄「……おもちな方と仲良くなるチャンス？」

灼「その発想からスタートするのやめなよ」

777 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 21:55:53.21 ID:rDkoKMmh0

ハギヨシ「透華お嬢様、開会式の準備ができました。 トラブルも特にございません」

透華「ご苦労様です。 しばらく任せますわ。 時間まで私は挨拶して回りますので」

ハギヨシ「かしこまりました。 ……みなさん、ようこそお越しくださいました。 楽しんでいってくださいね」

玄「はい！ 萩原さんも、お仕事頑張ってくださいね！」

ハギヨシ「ありがとうございます、玄さん。 それでは、失礼します」

宥「……もうちょっとお話ししなくてよかったの？」

玄「お仕事の邪魔はしたくないから……お喋りする時間だってどこかで取れるだろうし、忙しいときに無理してもらわなくてもいいかなぁって……」

灼「とりあえずあんまりいちゃつかないでよ。 恥ずかしいから」

玄「だ、大丈夫だよっ！ わ、私だってそういうのはわきまえてるもん！」

宥「玄ちゃん！ お姉ちゃんは遠慮しなくてもいいと思う！ せっかく会えたんだから！」

玄「だ、だから大丈夫だってば！ 私だって人前でそういうのは恥ずかしいもん！ そんなに気を遣わなくてもいいから！」

穏乃「それにしても団体戦かぁ……勝ち抜いたら参加できなくなるわけですけど、組みたい相手がいるなら早めに約束しちゃった方がいいですよね？」

灼「たしかに……参加人数もいるし、何人か勝ち抜いてもすぐに欠員も埋まるだろうから声だけかけ得かもね……ともきーたちは出られるの？」

智紀「私は運営に集中……せっかくの機会だし、ちょっとは打つ時間も作るつもりだけど」

灼「そか……残念」

一「ボクは時間作れるから参加するつもりだけどね。 衣はそもそも打つ方専門で池田さんたちと一緒に来るって言ってたし」

玄「天江さんらしいなぁ……」

智紀「サブイベントとはいえ上位チームには賞品も用意してあるので頑張ってほしい」

憧「へぇ……上位狙うなら早めにいいメンバー集めた方がいいってことね」

宥「人も増えてきたし、久々に会う子にも声かけてみようかなあ」

778 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 21:58:05.21 ID:rDkoKMmh0

ーーーーーー

初美「いやぁー久しぶりに山から降りてきましたねー！ もう楽しみで楽しみで仕方がなかったんですよー！」

小蒔「はい！ 私も楽しみで楽しみで眠れませんでした！」

春「……？ 姫様、ずっと寝てたよね……？」

巴「ほらほら、みんなあんまりはしゃがないで……まずは受付で大会にエントリーしないと」

霞「あら……初美ちゃん、これ見て。 サブイ
ベントで団体戦だって。 三人一組のチームでお昼からエントリーを受け付けるみたいよ？」

初美「団体戦ですかー！ それはまた懐かしい響きですねー……ますます燃えてきましたよー！」

霞「それじゃあ、よかったら……」

初美「では、三人一組ということなら早速穏乃ちゃんと一ちゃんを誘わないとですねー！ ちょっと探してきますよー」

霞「あっ……初美ちゃん……」

小蒔「霞ちゃん！ 私も参加したいです！ 一緒に出ませんか？」

霞「……そうね、それじゃあ……あ、でもそれだと一人余っちゃうわ。 巴ちゃんと春ちゃんと出たらどう？」

春「私でいいの……？」

巴「んー…………姫様、せっかくですし今日ははっちゃんみたいに他所の子と組んでみたらどうですか？ ほら、宮守の子達も来るって聞いてますし……」

小蒔「なるほど！ そうですね……たしかに、こういう機会にいろいろな方と遊んでおかないと！ ちょっと、声をかけてみます！」

霞「うふふ、あんまり慌てちゃダメよ？ 気をつけてね」

春「…………よし。 それじゃあ、私も……黒糖のよさを理解してくれる人を探してくる」

巴「普通にチームメイト探しなよ……」

霞「……巴ちゃんも一緒に出る子探してきたら？」

巴「そうですね……そうします。 霞さんも……」

霞「私は大丈夫よ。 小蒔ちゃんが心配だし、様子を見てるわ」

779 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 21:59:28.35 ID:rDkoKMmh0

巴「……拗ねないでよ霞ちゃん」

霞「……別に、拗ねてないわよ？」

巴「初美ちゃんチームの誰かが勝ち上がって枠が空くかもしれないし……」

霞「別に関係ないってば」

巴「はっちゃんと組めなくてもインハイで活躍したのはみんな覚えてるだろうし、きっといろんな子に誘われると思うよ？」

霞「だから違うのよ」

巴「一緒に団体戦出る？」

霞「……この流れで私が巴ちゃんと一緒に出たら、私だけ余っちゃったみたいじゃない」

巴「私が余ったように見えるかもしれないね」

霞「……それじゃあ、巴ちゃんに悪いわ」

巴「ふふ、仲良し同士で出る子が多いだろうから気にしなくてもいいと思うけど……」

霞「とにかく、大丈夫よ！ ……お兄さん、大会受付いいかしら？」

京太郎「うぉ！」

霞「？ あの……？」

京太郎「あ、いえ、すみません！ 大丈夫です！」

霞「石戸霞、狩宿巴、薄墨初美、神代小蒔、滝見春の5人、お願いします。 あ、小蒔ちゃんたち連れてきた方がいいかしら？」

京太郎「さっき一緒に居られるの見てたんで大丈夫です！ 永水女子の巫女さん5人組ですよね！ いやあ、懐かしい……」

巴「……あ！ えっと……清澄の！ 咲ちゃんの彼氏だ！」

京太郎「はい！ そうで……いや、違いますよ！？」

巴「あれ？ 人違いでしたか……すみません」

京太郎「いや、人違いではないんですけどね！？ 咲の彼氏ではないですから！ 絶賛募集中ですから！ 石戸さんどうです？ 俺なんて！」

霞「ふふ、いやだわもう……からかわないでくださいよ」

京太郎「いや、俺は結構本気で……」

ハギヨシ「須賀くん？」

京太郎「うげっ……」

780 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:01:00.79 ID:rDkoKMmh0

ハギヨシ「今日は会場スタッフとしてこの場にいる以上あなたも龍門渕の人間です。 龍門渕に……ひいては透華お嬢様の顔に泥を塗るようなことがあれば……」

京太郎「す、すみません萩原さん……つい……石戸さんの魔力が強すぎて……」

霞「魔力？」

巴「気にしなくていいと思うよ……今日はご招待いただきありがとうございます」

ハギヨシ「いえ、こちらこそお越しいただき……よろしければ、透華お嬢様の元までご案内しますのでご挨拶していただけるのならば、そちらに」

巴「ええ、では是非！ 霞ちゃ……霞さんはどうします？」

霞「私もご挨拶に伺うわ。 こういうことは私がしっかりしないとね」

ハギヨシ「それでは、こちらに……須賀くん、次に受付でナンパをしているところを見かけたら容赦なくつまみ出しますので」

京太郎「う、うす……すみません……」

ハギヨシ「節度をもって行動してください……休憩時間ならば、多少は多目に見ますので」

京太郎「……了解です！ ありがとうございます！」

巴「またね、咲ちゃんたちにもよろしく」

京太郎「はい！ つか、あいつらも来てるんでよかったら会ってやってください！」



京太郎「……いやー、相変わらずすげぇなアレ……ついついやっちまった……」

京太郎「さすがに男一人で混ざるのも厳しいからって諦めるつもりだったのに萩原さんがわざわざ会場スタッフのバイトで入れてくれたんだもんな！ 仕事は仕事、きっちりやらねぇと……」

京太郎「かなり貰えるし弁当も豪華だしで滅茶苦茶お得なバイトだしな……しかもかわいい女の子がいっぱい……」

ハギヨシ「須賀くん？」

京太郎「おわぁ！？ す、すみません！ ……って今石戸さんたちとあっちに行ったんじゃ！？」

ハギヨシ「とにかく、あんまり邪念を漏らさないでください……」

京太郎「はい！ 気をつけます！」

京太郎「…………自分は彼女も来てるくせに……俺だってちょっとくらい……」

ハギヨシ「須賀くん？」

京太郎「なんでもないっす！ すみません！」

781 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:02:25.48 ID:rDkoKMmh0

優希「おい！ 来たぞ京太郎！」

京太郎「お、おう、来たのか……」

咲「京ちゃん……恥ずかしいからさっきみたいなのやめてよ……」

和「ちょっとどうかと思いますよ」

京太郎「み、見てたのか！？」

久「適当にあしらわれてたわね」

まこ「あんまり迷惑かけちゃいかんぞ？ 参加者のみんなにも、龍門渕さんの方にも」

京太郎「わ、わかってますって……あ！ そ、そういやさっき阿知賀の子達も来てたぞ？ 龍門渕さんたちが対応してたから俺は話してないけど！」

和「穏乃たち、もう来てるんですね」

優希「憧ちゃんとは今後のこともあるしちゃんと話しておかないとな！」

咲「またそうやって誤魔化して……」

京太郎「べ、別に誤魔化しとかじゃねーし！ 善意で教えただけだし！ ほ、ほら！ 団体戦とかもやるんだってよ？ 三人の即席チームで！ 声かけてきたらどうだ？」

まこ「ん？ 大会は個人戦じゃないんか？」

京太郎「午前で上位に絞って午後から決勝トーナメントに移行するんで手が空いた人用の大会っすね！」

久「あら残念。 私は勝ち残っちゃうから団体戦出られないわね」

まこ「はいはい、残念じゃのう」

咲「……それじゃあ、私もお姉ちゃんとチーム組んだりできるんだ……」

和「ふふ、相談してきたらどうですか？ きっともういらしてますよ」

京太郎「いや、宮永姉妹揃って予選落ちとかどんだけ恐ろしい大会だよ……」

優希「想像できないししたくもないじぇ……」

782 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:03:55.10 ID:rDkoKMmh0

咲「よし！ それじゃあ、ちょっとお姉ちゃん探してくるね！」

和「あっ！ 一人で行かないでください咲さん！ また迷子になりますよ！」

優希「とりあえず一緒に阿知賀のみんなに挨拶行こうじぇ！ 会場にいればどこかで会えるだろ！」

京太郎「いってらー。 頑張れなー」

まこ「……のう、京太郎はどっかで時間空くんか？」

京太郎「俺っすか？ 人数も足りてるしお昼ぐらいからは長めの休憩取れるから自由にしてていいって言われてるんですけど……」

まこ「ほうかい。 んじゃ、一緒に団体戦出んか？」

京太郎「へ？」

久「須賀くんとは一緒に出れる大会もなかったもんねぇ……まあ、私が勝ち上がっちゃうからお流れになるかもしれないけどっ」

京太郎「ま、マジっすか？ 参加者のレベル的に俺出たとしてもなんもできそうにないっすよ？」

まこ「支え合ってこその団体戦で、仲間じゃろ？ わしらがインハイ出た時にあんたがいろいろ雑務こなして助けてくれたみたいにのう」

久「ゆみや美穂子誘うのもアリだけど……せっかくのかわいい後輩と組める機会だしねぇ」

京太郎「せ、先輩……！」

久「とりあえず、それまではあんまり恥ずかしい真似はしないでね」

京太郎「信用してくださいよ！ かわいい後輩でしょ！？」

久「いや、ついさっき信頼が揺らいだばっかだから……というか、信じてるからこそ？ 須賀くんってかわいい女の子……というか胸のでかい子には……ねぇ？」

京太郎「ぐぬぬ……」

まこ「はぁ……ま、しっかり働くんじゃぞ」

京太郎「はい！ ありがとうございます！ 頑張ります！」

783 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:05:48.15 ID:rDkoKMmh0

ーーーーーー

穏乃「最強チームが完成してしまった……」

初美「先鋒の私が必殺の四喜和で稼いでトリックスターの一ちゃんが戦況をかき回す……そして最後に穏乃ちゃんが山を抑えて相手の得点をシャットアウト！ 完璧ですねー！」

一「いやあ、これは優勝狙えちゃうね」

憧「うん、素直に結構強そうで困惑してるんだけど……」

灼「薄墨さんの火力が単純に高いからね……東風だと役満ってほぼ取り返せないし」

初美「いやあ、お久しぶりですねー！ 元気そうで何よりですよー」

憧「初美さんひとり……なわけないですよね？」

初美「巴ちゃんなら受付の方に……いや、たぶんそろそろ龍門渕さんのところに挨拶に行ってるんじゃないですかねー」

憧「あ、じゃあ入れ違いになっちゃいましたかね……」

玄「石戸さんたちは……」

灼「自重しなよ」

玄「べ、別に変な意味はないよ！？ 単純にお友だちの様子が気になっただけで……！」

初美「霞ちゃんは巴ちゃんと一緒じゃないですかねー……姫様はお友だち探しの旅に、はるるは……黒糖持ってふらふらしてますよー？」

灼「後ろの二人なんか不安になるんだけど……」

初美「龍門渕さん主催のイベントですし、なにか起こるってこともないでしょう！ なにかあったとしても巴ちゃんがちゃんと目を光らせてくれていますからー」

灼「ま、それもそか」

一「そうそう、たとえテロリストに襲撃されても萩原さんがなんとかしてくれるからさ。 安全安心の会場だよ」

宥「て、テロリスト！？」

憧「いやいや、そんな中学生の妄想じゃないんだから……」

一「あはは、まあ本当に襲撃されることはないと思うけどね。 警備体制もしっかりしてるから」

憧「え、ちょっと？万が一の可能性があるかのような言い方しないでくださいよ……」

一「大丈夫大丈夫。 狙われるなら透華じゃなくて旦那様の方だから」

憧「それ本気なんですか！？ 冗談なんですか！？」

一「やだなあ、冗談だよ冗談。 いくら龍門渕が大きくてもそんなのに狙われるようなことしてないからさ。 安心してよ」

784 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:07:25.12 ID:rDkoKMmh0

穏乃「憧って結構ビビりだよね」

憧「ちがっ……！ 透華さんって普通とスケール違うから判断しづらいじゃない！」

一「あ、それ透華に言ってあげるとよろこぶよ」

揺杏「ドイツ行く飛行機、落ちないといいなー」

憧「お、落ちないわよっ！ 飛行機って安全なんだから！ ってあんたいつの間に……！」

揺杏「よっ、元気？ 飛行機乗ったことあんの？ 離陸するときとか結構ガタガタ揺れるし意外と怖い……」

憧「て、適当なこと言うんじゃないわよ！」

灼「揺杏、憧をからかって遊ぶのは楽しいけどほどほどにしてよ」

憧「止めるならちゃんと止めてよ！？ っていうか灼さん楽しんでるの！？」

灼「憧がかわいいから私もついつい……」

憧「あ、灼さんは毎回それで誤魔化そうとしてない！？ 騙されないからね！？」

初美「私としてははるるや姫様よりも憧ちゃんが心配ですねー」

一「揺杏ちゃん、久しぶり！ 元気そうでよかったよ」

揺杏「おいっす！ 一もはっちゃんさんも相変わらずで安心というかなんというか……」

初美「微妙な言い方ですねー……揺杏ちゃんは最近どうですかー？ 新作とか……」

揺杏「んー……頑張ってるんすけどね、なかなか時間とれなくて……いろいろ作っちゃいるんですけど」

初美「あのですねー、私いくつかこういうのがいいなーっていうイメージがですねー……」

一「あ、そういうことならボクも ……」

揺杏「それじゃあ大会終わり頃にでもまとめてくださいな。 ほら、今日は息抜きもかねて麻雀しに来てるんで！ たいした腕じゃないとはいえ有名人多数だしちょっと集中してやりたいからさー」

一「ああ、ごめんねつい……楽しみに来てくれたならボクもうれしいな。 楽しんでもらえるようにボクらも一生懸命やるからね！」

初美「ふふ、そうですねー……私も久しぶりの下界ですから！ しっかりばっちり打たせてもらいますよー！」

穏乃「はい！ 頑張りましょう！ それじゃあチーム……チーム……そういえば、チーム名とか決めた方がいいですかね？」

初美「むむ！ それはたしかに重要ですねー……結束力が更に上がる予感がしますよー！」

一「団結力とか気合が違うもんねぇ」

785 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:10:22.68 ID:rDkoKMmh0

揺杏「あの三人でチーム組むの？ あはは、ウケるわー」

灼「まあ、三人組だと妥当な組み合わせになるんじゃない？」

揺杏「仲いいもんねー……つかさ、もしかして、もう仲いい同士ある程度固まっちゃってる？ 私勝ち残るわけないし組んでくれる子いないと困っちゃうんだけど」

灼「それは大変だね」

揺杏「……いや、うん。 ほんと困っちゃうのよ」

灼「うん」

揺杏「…………」

灼「…………」

揺杏「……意地悪すんなよー」

灼「ふふ……まあ？ どうしてもって言うなら考えなくもないけど？」

揺杏「なんだよー今日は本当に意地悪ちゃんだなー」

宥「灼ちゃんは揺杏ちゃんのこと好きだからつい意地悪しちゃうんだよ〜」

灼「はいはい、特に予定ないし揺杏と組んでもいいよ」

揺杏「え？ なにそれ照れ隠し？」

灼「で？ あとひとりどうする？」

揺杏「やだ冷たい……みんなはどうすんの？」

憧「私は……まだ考え中？」

宥「うーん……私もどうしようかなあ……」

揺杏「玄ちゃんは？」

玄「……え？ ごめん、なぁに？」

揺杏「……今なにしてたの？」

玄「あっ、その……あっちの萩原さんと目が合ったから手を振ってて……」

揺杏「げっろ」

憧「うっざ」

玄「ひどい！？」

揺杏「うわーもうあれですねーこの子ほんともうねぇ」

憧「むかつくわー」

灼「ね」

玄「そ、そんな……えぇ……」

宥「玄ちゃん！ お姉ちゃんは全然いいと思う！ 応援してるからね！」

玄「だ、だから！ お姉ちゃんもそこまで力強く言ってくれなくていいから！」

786 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:12:14.50 ID:rDkoKMmh0

優希「あっ！ 発見！ 見つけたじょ！ 阿知賀のみんなーっ！」

憧「優希！」

玄「優希ちゃん！ 久しぶりだね！ ……あれ？ ひとりなの？」

優希「じょ？ のどちゃんと咲ちゃんも一緒に…………むむ、また迷子か？」

灼「咲ならありえる……」

揺杏「いや、あそこ……あれじゃね？」



咲「ゆ、優希ちゃん……は、はやぃ……」

和「ま、待ってくだ……さ、はぁ……はぁ……ゆ、ゆーきぃ……」



優希「……ちょっと足早すぎたかな！」

憧「はしゃぎすぎでしょ……」

優希「ついつい楽しくなっちゃったじぇ！ ……む？ 穏乃ちゃんは？」

宥「え？ そこに…………いたんだけどなぁ……」

灼「チーム三人でどっか行っちゃったけど」

優希「そう！ チーム！ まあ私レベルなら勝ち上がってしまうだろうが……せっかくだし前もってチームメイトを探しておこうと思ってな！」

和「はぁ……ふぅ…………そ、そんな話じゃなかったですよね……ゆーき……？」

咲「もう、優希ちゃんは……あ、お姉ちゃん見ませんでした？」

灼「照さん？ まだ見てな」


和「はっ……ふ……ま、まあ……会場には来られるそうですし……対局が始まれば、確実に、会えるのでは…………」

玄「……和ちゃん、お水飲む？」

和「あ……ありがとう、ございます……玄さん……」

787 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:14:29.17 ID:rDkoKMmh0

憧「やっぱりお姉ちゃんと話したいんだ？ このシスコンめ」

灼「憧ってブーメラン投げるの得意だよね」

憧「なによ！？」

咲「あはは……まあ……その、せっかくの機会だし……お姉ちゃんとチーム組みたいなぁって……」

玄「さ、咲ちゃんと照さんで？」

宥「あわわわ……」

優希「うーん……やっぱりそれは難しいと思うじょ？」

咲「えっ？ な、なんで……？ お、お姉ちゃん、まだ私のこと嫌いなのかな……？」

優希「そうじゃなくって！」

灼「いや、勝つでしょ。 咲か照さんか二人ともが」

咲「あ……そっか……勝っちゃうと団体戦は出られないんだ……」

和「……咲さん？ もしや、またプラマイゼロで個人戦を終わらそうだとか考えたりは……」

咲「し、しないよそんなこと！ こんな、プロの人とか、いろんな凄い人と打てる機会なんて滅多にないし！ 全力で打つよ！」

和「その意気です！」

憧「うへぇ……望むところだけどちょっと怖い……和は？ 団体戦、出るとしたら！」

和「わ、私ですか？ そうですね……個人戦で勝ち抜きたいですが、団体戦に出るとしたら……」

優希「……ん？ どうしたのどちゃん？」

和「あ、その……ゆーきは卒業したら、憧と一緒にドイツに武者修行に行っちゃいますよね？ ……その、今後はこういう、チームで打つ機会もなかなかないでしょうし……」

優希「ふむ……私としてものどちゃんと一緒にやるのは望むところだ！ だけど……のどちゃん、今後チームメイトになる人たちも来るんだろ？ そっちと一緒にやった方がいいんじゃないか？」

和「え……ゆーき……」

優希「のどちゃん人見知りするし早く仲良くなっておいた方が……」

和「べ、別に人見知りしませんよっ！ あ、赤土先生もいますし、弘世さんとももう打ち解けてますしっ！」

優希「ん？ そうなのか？ それならよかったじょ！」

788 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:15:34.82 ID:rDkoKMmh0

優希「憧ちゃん、一緒に出るか？」

憧「んー……それもいいけど、優希と和とは打ち合いたいかなー」

優希「ふふ、たしかにな！ 一緒に打つ機会は今後増えるだろうし、ライバルの腕前をしっかり見ておくのもいいじょ！」

憧「負けないわよっ！ っていうか、個人戦で勝ち残るし！」

優希「なら私は勝ち残るどころか優勝するじょ！」

憧「ず、随分な自信ね……」

和「そう簡単な大会ではないと思いますよ？」

優希「こういうのは気迫が大事なんだじぇ？ 気持ちが負けてちゃ勝てないじょ！」

玄「うん！ その通りだよっ！ 優希ちゃんいいこと言うねっ！」

憧「それもそうね。 二年前のインハイだってぼこぼこにされて泣きべそかいてた玄がやる気出してやっとこ照さんに一矢報いたわけだし」

玄「な、泣きべそなんて……」

灼「かいてたよ」

玄「あうぅ……」

宥「ふふ、懐かしいねぇ」

咲「あの時のお姉ちゃんすごかったもんなぁ……」

優希「ん？ 咲ちゃんあの試合は見てなかっただろ？」

咲「あとから映像見たから……」

優希「あー」

揺杏「ひとりで稼ぐ点数じゃないよなあ……プロでも当然のように稼ぎまくってるし……化物だよ化物」

咲「い、一応うちのお姉ちゃんなんですけど……」

揺杏「あ、ごめんごめん」

789 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:16:57.77 ID:rDkoKMmh0

照「……化物って言われた」

揺杏「うげっ」

照「こう見えてひとりのかわいい女の子。 よく言われるけど」

揺杏「あ、はい……すみません……悪気はなかったんですけど……」

灼「揺杏、おかしあげると機嫌なおるよ」

揺杏「あ！ これ！ お詫びの印っす！ ただのチョコなんすけど！」

照「！ ありがとう。 私は気にしてないから気にしないでほしい」

揺杏「……どーもっす」

咲「お姉ちゃん！」

照「……咲！ 久しぶり、会いたかった」

咲「えへへ……うん、私も」

優希「よかったな咲ちゃん！ 無事に会えたぞ！」

灼「ひとりで来た……わけないですよね？」

照「その言い方だと私がひとりでここにたどり着けないみたいに聞こえる。 私はたしかに、多少はドジっ子な面もあるかもしれないけど、咲みたいに方向音痴じゃない」

咲「わ、私だって別に方向音痴ってわけじゃ……」

和「咲さん」

憧「嘘はよくないわよ」

咲「むぅ…………や、やえさんは？ 一緒なんでしょ？」

照「そこに…………」

玄「……い、いませんよ？」

照「……はぁ。 迷子になったみたい。 まったく、世話が焼ける」

灼「……大変ですね」

照「うん」

790 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:18:23.21 ID:rDkoKMmh0

咲「あ、あの！ お姉ちゃん……その、今日の大会のこと、聞いた？」

照「？ 聞いたからここに来たんだよ？ 透華お姉さんが誘ってくれた」

咲「お、お姉さん……？」

照「透華お姉さんは高価でおいしいおかしをたくさんくれるいい人」

咲「お姉ちゃん……」

照「なに？」

咲「…………ううん、なんでもないよ……？」

照「咲、元気ない？ それじゃあ……これ、分けてあげる。 透華お姉さんがさっき高そうなおかしをくれた」

咲「……ありがとうお姉ちゃん」

灼「照さん。 ちょっと咲ががっかりしてますから」

照「え……これよりいいおかしは持ち合わせがない……」

灼「そゆことではないです」

優希「おかしよりタコスってことか！」

和「そういうことでもないですよ、ゆーき」

照「……？ ……！ 玄さん」

玄「は、はい！」

照「二年前のインハイでは泣かせてごめん」

玄「はぇ！？」

照「いじめるつもりはなかった」

玄「い、いえいえ！ その、わ、私こそ、な、泣いちゃうつもりは……あぅぅ……」

咲「お姉ちゃん……」

灼「照さん、いっそ黙った方がいいかと」

照「？」

791 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:19:31.71 ID:rDkoKMmh0

咲「もう……あのね、お姉ちゃん……その、今日の大会、午後から団体戦もやるらしくって……」

照「へぇ……ということは、午前で脱落した人のためのイベント？ 本選は午後からトーナメントになるって聞いた」

咲「うん。 その、それで……それでね？ も、もし、私たちが午前中で終わっちゃったら……」

竜華「あっ！ 咲ちゃーんっ！ やっと見つけたで！」

咲「あ、竜華さん」

照「む……清水谷さん」

竜華「あ、宮永さんもお久しぶり！ シーズン以来やなぁ……来期は負けへんでっ！」

照「……そうですか」

竜華「……あれ？ なんか機嫌悪い？ うちなんかした？」

照「別に……」

灼「……エミネンシアに咲取られて拗ねてるんじゃ」

照「拗ねてない！」

灼「ほんとに拗ねてたんだ……」

セーラ「はは、姉妹仲が良好なようで何よりやなあ」

咲「セーラさんも、お疲れ様です」

セーラ「おう！ 憧ちゃんも久しぶりやなぁ、元気かー？」

憧「ど、どうも……」

セーラ「宥ちゃんも！ 怜が世話になっとるなぁ」

宥「いえいえ、こちらこそ〜」

792 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:20:48.46 ID:rDkoKMmh0

竜華「咲ちゃん咲ちゃん！ なんかなー、午後から団体戦もあるんやって！ 一緒に出よーっ！」

咲「え？ あ、あの、私は……」

竜華「あ、もちろん本番から勝ちにいくけどな！？ ほら、もしもの時な！？ もし負けたら！」

セーラ「最初から負けたときのこと考えるなんて性に合わんのやけどなぁ……」

竜華「ええやんええやん！ ほら、これは新しい後輩との絆を育むための素敵な提案やん？」

セーラ「自分で素敵とか言うかあ？」

和「あ……でも、その……咲さんは……」

照「…………別に、いいんじゃない。それなら私もやえともこと出る。 すごく仲良くなる」

咲「え……」

照「ふんっ」

竜華「ほらほら、お姉さんもああ言っとるし！ 咲ちゃんうちらと仲よくしよーっ！」

咲「お、お姉ちゃん……」

照「おかし食べたい。 持ってない？」

玄「え、えっと、その、どうぞ！」

照「ありがとう。 おいしい」

咲「…………むぅ」

灼「……チームは咲のせいじゃないんですから」

照「知らない。 私はおかしのことしか考えてない」

灼「……拗ねてるのか本気なのかわかりにく」

憧「あーあー、くだらないことで姉妹喧嘩して……」

宥「望さんは怒らないもんねぇ」

憧「……どういう意味？」

宥「ふふ、別に〜？」

793 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:22:28.18 ID:rDkoKMmh0

竜華「ほら！ セーラ！ 咲ちゃんとラブラブ大作戦第一段階成功やで！」

セーラ「その頭悪そうな作戦名なんなん？」

竜華「ええやん！ このまま仲よくなって今後の神戸エミネンシアの結束をさらに強めるんや！ 咲ちゃんかわええし！」

怜「…………ほーん」

竜華「と、怜っ！？」

怜「随分と楽しそうやなぁ竜華ぁ……」

宥「あっ、怜ちゃんおはよう〜」

怜「宥ちゃんおはー」

浩子「なんですか？ さっそく修羅場ですか？」

絹恵「浩ちゃん面白がるのやめーや……」

怜「……久しぶりに三人で麻雀とかって思ったんやけど……」

竜華「あ、いや！ 怜？ その、うちも……と、怜とチーム組みたいなーって……」

咲「えっ……それじゃあ私は……」

竜華「ああっ！？ ち、ちがっ！ 違うんよ！？」

セーラ「竜華、話聞いた瞬間咲ちゃん誘おーっ！ って言っとったやん」

竜華「セーラ！？」

怜「そうやなぁ……竜華もプロで楽しくやってるみたいやし……私のことなんてもう忘れてもうても仕方ないわなぁ……」

竜華「ち、違うんや！ これは誤解……っ！」

咲「誤解って……」

竜華「あ、その……えっと……」

浩子「なんですかこれマジで修羅場やないですか」

灼「……すごく楽しそ」

浩子「楽しいで？」

灼「だよね」

794 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:23:52.95 ID:rDkoKMmh0

灼「そもそも、園城寺さんだって普段宥さんにべったりでわりと清水谷さんのこと忘れてるよね」

浩子「あの人はそういう人ですから」

宥「清水谷さんをからかってるのかやきもち妬いてるのかわかりにくいねぇ」

絹恵「どっちもじゃないですかね？」

揺杏「関西チームお久しぶり〜元気？」

浩子「岩館さんもお元気そうで」

揺杏「なんか姉妹喧嘩に修羅場にと話に入れなくて暇でさー」

浩子「見てるの楽しいじゃないですか」

揺杏「そうなんだよな！ 咲ちゃんの方はもらい事故で気の毒だけどさー」

憧「楽しんでるやつが言う台詞じゃないでしょ」

絹恵「間でアワアワ言ってる玄さんが一番気の毒な気もしますけど……」




玄「あ、あの、落ち着いて……」

怜「玄ちゃんには悪いけどな……これはアカンわ……友情にヒビが入るわ……」

竜華「と、怜……その、うちもやっぱり先輩としていろいろ考えたりとか……」

咲「わ、私……竜華さんが誘ってくれてうれしかったですよ？ ……お姉ちゃんが怒っちゃったけど……」

竜華「え！？ あ、その、う、うちのせい……なんかな？ やっぱり？」

セーラ「こっち見んなや。 自分でなんとかせぇ」

竜華「セーラ！」

セーラ「俺、腹減ったしなんか買ってくるわー」

竜華「セーラぁ……」

照「おかし食べる？」

セーラ「……お前は怒ってるんかなんも考えてないんかどっちなん？」

照「……知らない」

優希「タコス食べますか？」

セーラ「おっ、それじゃあ遠慮なく……」

和「ゆーきっ！ なんというか、もっと空気を読んでくださいっ……！」

795 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:25:10.79 ID:rDkoKMmh0

煌「おやおや？ なにか揉め事ですか？」

怜「花田ちゃんやん、お久しぶり〜」

優希「花田先輩っ！ なぜここにっ！？」

煌「いやあ、姫子から面白い大会があるって話を聞いて……久しぶりに長野にーと思って来てみたんですが……」

和「お元気そうでなによりです、花田先輩」

煌「和もプロ入りおめでとうございます！ たいへんすばらですっ！」

怜「おめでとうなー。 でも、竜華みたいに昔の友達忘れるようになったらアカンでー？」

竜華「怜！ だ、だから違うんやって……！」

和「わ、私は……ゆーきのこと、忘れたりしませんよっ！？」

優希「そんな心配してないじょ？ 一番の親友だもんなっ！」

和「はいっ！」

怜「私も……そう思ってたんやけどな……」

竜華「とーきーっ！」

和「な、なんだか漠然とした不安に襲われるのでやめてくださいっ！」

怜「ふん、もう竜華なんて知らん！ 私は私のチームで竜華たちをぼこぼこにしてやるわ！」

浩子「チームってどうするんです？ 面倒ごとに巻き込まれるんは勘弁ですよ？」

絹恵「あはは、大変ですねぇ」

怜「声かける前に予防線張るなやっ！ 絹ちゃんも他人事かいっ！」

咲「お姉ちゃん……」

照「…………」

怜「…………！ よしっ！ 玄ちゃん！ 花田ちゃん！」

玄「は、はいっ！？ な、なんでしょうかっ！？」

煌「どうしました？」

怜「うちらでチーム組もう！」

玄「えぇ！？ わ、私は構いませんけど……」

優希「なぬっ！？ チーム高遠原再結成の流れじゃないのかっ！？」

和「わ、私は……その、花田先輩が構わなければそれでよかったんですけど……」

796 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:26:21.90 ID:rDkoKMmh0

揺杏「なんか急にモテモテっすねー」

煌「うーん……なんだかよくわかりませんけど、必要とされているようですねっ！ すばらです！」

宥「……私じゃなくって、玄ちゃんなの？」

浩子「ん？ さらに修羅場拡大ですか？」

絹恵「浩ちゃん今日は本当に楽しそうやなぁ」

灼「趣味悪いよ」

浩子「自分かて楽しんどるくせによう言うわ」

灼「それは言わないお約束」

怜「だってほら、チャンピオンも咲ちゃんを悲しませとるようやしなぁ？」

照「むっ」

怜「こんないい太ももの子を泣かせるなんて私の敵やっ！ 二年前のインハイの雪辱戦やっ！ このメンバーで今度こそ倒してやるわっ！」

照「……負けないよ」

憧「あの……園城寺さん？」

怜「なんや憧ちゃん、太もも撫でてええの？」

憧「んなわけあるかっ！ そうじゃなくて……あの、同じチームになったら同時には卓囲めないんじゃ……」

怜「…………おお？ そう言われるとたしかに……」

竜華「ほ、ほら！ そうやろ？ だからここは怜も落ち着いて……」

怜「この事と竜華のことは話が別やからな」

竜華「そ、そんな……」

797 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:29:06.72 ID:rDkoKMmh0

怜「まあええわ。 旧交を温めるってことでどうや？」

煌「まあ、これも縁ってやつでしょうか……園城寺さんに玄さんほどの実力者と一緒に打てるとなれば私も勉強になりますから！ すばらです！」

優希「むむ……花田先輩も咲ちゃんも取られちゃったじょ……こうなったら本格的にチームメイトを探さねばっ！」

和「あっ！ ゆーきっ！？ ま、またっ……し、失礼しますっ！ またあとでっ！ 待ってくださいよ！ ゆーきっ！」

憧「あーあ……忙しないなぁ……ドイツ行く話とかちゃんとしたかったのに……」

宥「むー……でも、これはたしかに大変だよ。 私たちもチームメイト探さないとっ！ 余っちゃったら寂しいもん」

憧「余り物……たしかにそれは嫌ね」

揺杏「どうしてもって言うなら、混ぜてやってもいいけど〜？」

憧「……なんかムカつくから、やだ」

揺杏「嫌われちまったな、灼」

灼「…………そか」

憧「ぅえ！？ え、あの、灼さんじゃなくって、揺杏が……！」

揺杏「あ、憧ちゃんに嫌われた……ショックだ……」

憧「あんた絶対思ってないでしょ！」

揺杏「灼だって別にショック受けてなかっただろ！」

灼「まあ……これでも憧に好かれてる自信あるし」

憧「は……はぁ！？ な、なに言ってんの！？」

灼「え……？ だって憧、私のこと好きでしょ」

憧「べ、別に！ そ、そんなこと……！」

憧「…………あるけど」

灼「ほら」

揺杏「くっそーいいなー灼は。 デレ期来てて」

灼「揺杏にもそのうち来るよ」

揺杏「マジで！？ よっしゃ！」

憧「来ないわよ！」

揺杏「なんで！？」

憧「な、なんでって言われても……わ、私は別に、揺杏のことなんてっ……！」

揺杏「へっへー！ ツンデレはツンツンした以上デレるしかねーんだよ！ 楽しみだなー！」

憧「黙っててよもう！」

798 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:30:58.51 ID:rDkoKMmh0

怜「くっ……なんかみんな仲良さげやで！ 負けてられんわ！ とりあえず太もも撫で回すで？ ん？」

煌「ひゃっ！？」

怜「おほっほほ！ なかなかええ太ももやなあ！ すばらやすばら！」

煌「お、園城寺さん！？ えっと、その、なんというか素直に恥ずかしいのですが……」

玄「あ、あの。園城寺さん、花田さんも困ってますし……」

怜「なんや？ つまり花田ちゃんが困ってるからかわりに玄ちゃんの太ももを撫でろってことか？」

玄「え！？ えっと……そういうことでは、ないんですけど……」

煌「ああ、いえいえ、玄さんお気になさらず！ これも園城寺さんと友好を深めるためのスキンシップですから！」

玄「……い、いえ！ そんな、無理しなくても……わ、私がかわりに……」

怜「なんやもうふたりともそんなに私に太ももを撫で回されたいんか！ 最高やな！ 天国か！」

煌「あっ……ちょ、ちょっと園城寺さん！？ あの、な、撫でるのはこの際構いませんので少し落ち着いて……」

玄「あぅ……そ、そんな風に触るのはちょっと……あの、遠慮していただけると……」

怜「うへへへへ」

竜華「と、怜っ！ ふたりとも困っとるようやしここはひとつ……」

怜「竜華は今日は敵や！ あっち行け！ アホー！」

竜華「うっ……な、なんやもう！ そっちがそのつもりならこっちかて咲ちゃんと仲よくするからええもん！」

咲「あ、あの、竜華さん？ 仲良くしてくださるのは私もうれしいんですけど喧嘩は……」

竜華「ほら！ 咲ちゃんもうれしいって！ もうラブラブ大作戦は大成功やな！」

照「…………むぅ」

竜華「ほら咲ちゃん行こ！ 大会始まるまでおかしとか食べさせあいっこしよ！」

照「なっ……！ そ、そんな！私もしたことないのに！」

灼「ないの？」

咲「お姉ちゃん自分で食べちゃうから……」

宥「あぁ……」

799 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:32:14.86 ID:rDkoKMmh0

竜華「バーカ！ 怜のバーカ！ もう知らんもん！」

怜「うっさいわ！ あっち行けシッシッ！」

竜華「むー！ 行くで咲ちゃん！」

咲「あ、はい……お、お姉ちゃん……？」

照「…………ふんっ」

咲「……お姉ちゃんのばか」

照「っ！」

灼「……照さん？」

照「…………咲に嫌われた」

灼「嫌なら最初から素直にしてればいいのに……」

照「…………こうなったら、おかしをやけ食いするしかない！」

やえ「なんでそうなんのよ！」

照「やえ……」

やえ「あーもうちょっと目を離すとすぐにはぐれて……で？ 咲は？ 見つけたんじゃないの？」

照「うっ……うう……咲に嫌われた……ばかって、ばかって言われた……！」

やえ「…………何があったのか知らないけど……どうせしょうもないことでしょ？」

灼「…………まあ」

照「しょうもなくない！」

もこ「…………！」

照「うぅ……ありがとうもこ……おかし分けてあげる……透華お姉さんがくれた高価でおいしいおかしだよ」

もこ「！ ……！ …………！」

やえ「あっ！ こら！ 落ち着いて食べなさい！ またこぼして服汚れたりしたらどうすんの！」

灼「すっかりお母さんだね」

やえ「誰がよ誰が！」

800 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:33:56.19 ID:rDkoKMmh0

怜「うへへ……そうやなあ……チーム名は素晴らしき太ももの会、略して太ももすばらでどうや？」

煌「ふ、太ももですか？ えー、チームらしく私の要素も取ってくれてるのはうれしいですが……」

玄「んっ……お、園城寺さん、その、手が…………あ、あと！ 私としては太ももよりもおもちの方が……」

憧「玄はなんでその方向に乗っかってくわけ？」

浩子「玄さんは残念美人ってやつですよね」

絹恵「人を残念なんて言ったらアカンよー」

宥「玄ちゃんはああいうところもかわいいところだから！」

浩子「……宥さんも結構なシスコンですよねぇ」

絹恵「仲がええのは良いことやん」

浩子「絹ちゃんも……」

絹恵「あははー」

浩子「……まあ、いいですけどね。 どうする？ 洋榎探して一族チームでも組むか？」

絹恵「んー……声かけてもええけど、お姉ちゃんも負けたときのこと今から考えるか！ って言うんやないかなあ」

浩子「……それもそうやな。 ま、私としては大量にデータ取れそうだから観戦に回っても全然ええんやけど」

灼「そこはいつも通りなんだね」

浩子「趣味と実益を兼ねてますんで。 あんまり楽しみで昨日は眠れませんでしたよ」

宥「ダメだよふなきゅーちゃん！ちゃんと寝ないと調子悪くなっちゃう！」

浩子「……ああ、はい。 すみません言い過ぎましたね。 ちゃんと寝てますからご心配なく」

801 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:36:24.65 ID:rDkoKMmh0

もこ「……！ …………？ ……！」

憧「え？ ああ、しずならさっき初美さんと一さんとどっか行っちゃったけど……」

もこ「…………！」

やえ「はいはい、わかったからひとりで行くのは止めときなさい。 照みたいに迷子になっても困るでしょ」

照「私は迷子になってない」

絹恵「それじゃあ対木さん！ 私と一緒に穏乃ちゃん探しに行こっか！ 私も穏乃ちゃんとお話ししたいし！」

もこ「！？」

浩子「相変わらず高鴨さんお気に入りやな」

絹恵「え？ うん！」

浩子「……おう」

絹恵「？……じゃ、行こっか？ 浩ちゃんも！」

浩子「ふむ……薄墨に国広ですか。 まあ、ついでにデータ収集しときますか」

もこ「…………！」

やえ「あーもう、いい加減人見知りすんのやめなさいよ……仕方ないわね。 私も一緒に行くから」

絹恵「あはは、お久しぶりです小走さん！ 今日はよろしくお願いしますねっ！」

やえ「ん、よろしく。 あんたたちも元気そうね」

もこ「…………」

やえ「隠れてないでちゃんと挨拶しなさい！ っとにもう……その調子だとこれから苦労するわよ」

浩子「面倒見いいですね、相変わらず」

やえ「……この子が普通より手がかかるってだけよ」

照「そうだね」

やえ「あんたが言うことじゃないわよ」

照「？」

やえ「不思議そうな顔すんなっ！ ……とりあえず高鴨探し行くけど、あんたは？」

照「…………一緒に行く。 それじゃ、また」

灼「ん……ちゃんと咲に謝ってね。 早めに」

照「うん……わかってる、けど……」

灼「けどじゃないでしょ」

照「…………うん」

やえ「じゃ、当たったら本気で来なさいよ。 今日もプロで磨いた私の実力見せてやるわ！」

玄「は、はいっ！ よろしくお願いします！」

802 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:38:52.31 ID:rDkoKMmh0

憧「小走さん、まだこだわってんのね」

灼「かなりこだわってるね」

玄「あうぅ……小走さん私と打つときいっつも怖い顔してるから……っひゃ！？」

怜「どうした玄ちゃん？ 大丈夫か？」

玄「だ、大丈夫かって……お、園城寺さん今お尻撫で……」

怜「すまんなぁ、勢いあまってつい……」

憧「玄、あんたそろそろ怒っていいのよ」

宥「怜ちゃん？ 玄ちゃんにあんまり変なことしたら私も怒っちゃうからね？」

怜「わ、わかっとるわかっとる！ 大丈夫やって！ ちょっと興奮してきただけやから！」

憧「この人やっぱおかしいって！ 危ないって！」

煌「園城寺さん、あまりお身体も丈夫ではないんですし、大会で気が逸るのもわかりますが少し気を鎮めた方がよろしいのでは……」

憧「花田さん解釈の仕方が優しすぎ！ その人そんなおとなしい感じの人じゃないですから！」

怜「うん、そうやなぁ……そしたらちょっと花田ちゃんか玄ちゃんが膝枕してくれると……」

玄「おまかせあれ！」

憧「あんたちょっと疑いなさいよ！ 太ももとかお尻とか撫で回されてなんで平気にしてるの！」

怜「憧ちゃん、お尻はまだちょっと撫でただけで撫で回してないで？」

憧「園城寺さんちょっと黙っててくれませんか！？」

怜「女の子同士なんやからそこまで気にせんでも……ああ、でもたしかに彼氏さんには少し悪いか。 まだなのに私が先に身体触りまくりっちゅうんも……」

玄「園城寺さん！？ な、なな、なにを言って……！？」

怜「え？ まだなんやろ？ もしかしていつの間にかヤって……」

玄「ないです！ ないですけど！！ そ、そそそそういうことじゃなくってですね！？」

灼「あの二人だと園城寺さん好き放題なんじゃ……」

宥「大丈夫だよ。 一応釘も刺したし……怜ちゃんだってちゃんと節度を守って……」

憧「既にあんま守れてない気がするんだけど……」

803 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:40:28.99 ID:rDkoKMmh0

白望「……しまった」

憧「うわっ！？」

宥「あ、小瀬川さんお久しぶりです〜」

白望「どうも。 ……出遅れた。 玄ちゃん取られた……遠路はるばる玄ちゃんを求めてやって来たというのに……」

塞「いや、麻雀打ちに来たんでしょうが」

白望「私は玄ちゃんと萩原さんにお世話されるために来た。 そのためなら打てなくてもかまわない」

塞「なに言ってんの！？」

白望「もうダメ……ダルい……」

胡桃「シロ！ こんなとこでぐでっとしないでよ！ 恥ずかしい！」

白望「でもほら、あそこ……」

怜「うへへ、やっぱり膝枕は最高やなぁ」

玄「園城寺さん、あの……あんまり太ももを撫でるのは……そのぅ……」

怜「あー、さっきのは悪かったって！ もうやらんから！ 太ももだけは奪わんといて！」

玄「う……は、はい……」

煌「はい、飲み物を持ってきましたよ！ いやあ、それにしてもすばらです！ このような大会に参加する機会もいただけて、みなさんとまたこうして会えたこともとてもうれしく……」

白望「くっ……！ あんな……あんな素晴らしい環境を整えて……っ！」

塞「落ち着いてってば！ キャラおかしいよ！？」

胡桃「いや、むしろブレてない気もするけど……まあいいや。 みんな！ 久しぶり！」

憧「胡桃さん！ ……小瀬川さんは相変わらずですね」

宥「皆さんお揃い……じゃない？ 姉帯さんは？」

塞「豊音は……ほら、ここプロとか有名人いっぱい来てるでしょ？」

胡桃「さっきはやりん見つけてサインもらってくる！ って……」

憧「わ！ はやりんもう来てるんだ！」

宥「ってことは、きっと赤土先生と弘世さんも一緒だね！ 挨拶しにいかないとね」

804 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:42:07.44 ID:rDkoKMmh0

白望「はぁ…………」

宥「だ、大丈夫ですか……？」

白望「無理…………絶望しかない…………」

灼「そこまで……？」

宥「そこまで玄ちゃんのこと好きでいてくれるなんて……！」

揺杏「あ、感動するとこなんです？」

塞「じゃあほら、頑張って取り返してきなよ」

白望「え？」

塞「黙って見てたら取られるだけだよ？ 戦って取り返さないと！」

胡桃「いやいや……シロにそんなこと言っても……」

白望「なるほど、たしかに」

胡桃「はい！？ なに言ってんの！？」

白望「玄ちゃんを取り戻すためなら……戦える……戦うしかない！」

塞「目先の苦労より未来の楽を取ったね」

憧「なに楽しそうにしてるんですか……」

塞「シロが動いてるの見るの珍しくて面白いから」

胡桃「不気味でしょ」

塞「半々ぐらい？」

灼「お二人の中で小瀬川さんはどういう……」

白望「……よし、ちょっと行ってくる」

塞「マジで？」

胡桃「迷惑かけないようにね！」

805 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:43:45.01 ID:rDkoKMmh0

白望「あの……」

怜「ん？」

玄「あ、小瀬川さん」

煌「えーと、たしか岩手の……」

白望「玄ちゃんは私のだから手を出さないでほしい」

玄「はぇ！？」

怜「……急に出てきてなに言うとるん？ 玄ちゃんはあんたのものじゃないで？ この太ももは私のもんや！」

白望「……ちょいタンマ」

怜「ん？」

煌「早速ですか」

白望「…………」

怜「……まあ、私としては百歩譲ってこの太ももさえキープできるなら貸し出してもええんやけど……」

玄「か、貸し出すとか、ちょっと話がおかしくなってませんか？」

憧「だからちゃんと怒っときなさいって」

白望「……そもそも、あなたは玄ちゃんのなに？」

怜「友達や！ な？」

玄「は、はい……そうですね 」

白望「私は玄ちゃんの娘だから」

怜「……おぉ？」

白望「私の方が……その、近い……」

怜「……産んだの？」

玄「産んでませんよ！？ というか小瀬川さんの方が年上ですし……」

白望「将来的に養子になるから」

怜「……そうなん？」

玄「え？ えーと……」

806 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:45:13.71 ID:rDkoKMmh0

白望「私は玄ちゃんにお世話されて生きるのが将来の夢だから」

玄「そうなんですか！？」

白望「というか、私の人生設計では大学卒業したら養子縁組してそのままお世話されて暮らすことになってる」

玄「えっ、えっと……それじゃあもう何年もないですね……準備しておかないと……」

憧「なんで受け入れてんの？」

玄「だ、だってお断りしたら小瀬川さん困っちゃうんじゃ……」

憧「……いやいや、ほっときなさいよ。勝手に言ってるんだから……今日いきなり萩原さんが結婚して一緒に暮らそうとか言ってきたって受けらんないでしょ」

玄「け、けけ、結婚！？」

憧「例えばだから！ 落ち着きなさいよ！」

灼「憧が落ち着かせる側になるなんて……」

揺杏「ウケるわー」

憧「言いたいことはわかるけど……普段からしず止める側だったりするでしょ！？」

宥「結構一緒にノリノリで遊んでるような……」

憧「……今はそういうのいいから！」

白望「……そう！ そもそも玄ちゃんは萩原さんのものであなたのものではない」

玄「こっ……小瀬川さん！？ そ、そのっ……！ その言い方はなんというか……あうぅ……」

怜「む……まあ、それを言われると……でもそれだとあんたかて……」

白望「私は玄ちゃんと萩原さんの娘になるから」

怜「なるほど」

煌「納得するところなんですかね……？」

807 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:46:46.91 ID:rDkoKMmh0

怜「しかし、そうなると家族構成はどうなるんや？ 玄ちゃん松実館で実家やし結構な大家族やろ？」

白望「まずは玄ちゃんと萩原さん夫婦、娘の私」

怜「うん」

憧「いや、だから前提として娘になってるのはおかしい……」

白望「ごめん、ちょっと今大事な話してるから」

憧「…………灼さん！」

灼「おーよしよし」

揺杏「犬猫じゃないんだから……」

白望「宥ちゃん……叔母さんか」

宥「……おばさんはちょっと複雑だから宥ちゃんがいいかなあ」

白望「じゃあ宥ちゃんで……あとは玄ちゃんのお父さん」

怜「松実家の人たちやな」

白望「あとは……じゃあ、おばあちゃんの塞」

塞「誰がおばあちゃんだよ！？」

白望「胡桃……胡桃はお姉ちゃんでいいかな」

胡桃「私も玄ちゃんの娘になるの？」

玄「なるんですかね……？」

白望「仲間はずれにしたらかわいそうだし、豊音も……」

宥「そろそろお部屋足りなくなっちゃうねぇ」

白望「どうだこの布陣」

怜「いや、どうだと言われてもやな……」

808 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:48:15.96 ID:rDkoKMmh0

白望「冬場は宥ちゃんと一緒におこたでのんびり……」

宥「おこた！ いいよね！」

白望「ご飯や飲み物は玄ちゃんと萩原さんが出してくれます」

宥「いつもお世話になってます〜」

憧「いや、宥ねえ萩原さんにお世話されてんの？ お客さんでしょ？」

白望「みかんの皮とか、塞が剥いてくれるし」

塞「私を便利アイテムかなんかだと思ってない？」

白望「全自動みかん皮剥き機……」

塞「ぅおい！？ シロ！？」

胡桃「几帳面に筋とか取ってくれるんだよね」

宥「わぁ、食べやすくて素敵だねっ」

塞「宥ちゃんがその気になってきてる！？」

揺杏「あはは、なんかプレゼン成功してるよ？」

憧「全てが間違ってるけど宥ねえを味方につけるのは正解よね……」

灼「とゆか、松実家は姉妹どっちか味方にすればもれなくもう一人ついてくるし……」

胡桃「いや、そもそも私と塞は関係なくない？」

白望「豊音は関係していた……？」

塞「してないでしょ」

809 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:50:30.87 ID:rDkoKMmh0

怜「……私もその中にいれてくれればすべて解決するんやない？」

白望「あなたは私のお世話をしてくれない上に玄ちゃんを拘束する。 百害あって一理なし」

怜「くっ……どうしても譲る気はないようやな……そっちがそのつもりなら……」

宥「喧嘩しちゃ、めっ！」

怜「……はい」

白望「…………ダルい」

灼「一瞬で収まった……」

煌「すばらです！」

玄「えっと……結局のところどういうことに……？」

白望「たくさん喋ったら喉乾いた」

玄「あ、お飲み物持ってきますね！」

塞「シロ……あんたさぁ……」

怜「くっ……今日のところは宥ちゃんの顔をたてて玄ちゃんの太ももは貸しといたるわ。 私にはまだ花田ちゃんもおるしな」

煌「ご、ご期待に沿えるかわかりませんが……」

白望「別に太ももはどうでもいいんだけど……」

怜「どうでもいいやって！？」

白望「……あー、うん。 大事なことだけど。 うん……」

怜「団体戦始まる時には返してな？ なんたって私たちで宮永照や竜華を倒すんやから」

白望「ふーん……」

怜「なんやその気のない返事！」

白望「いや、大変そうだなぁって……」

怜「あんたちょっとはそういう……やる気とかないんか？」

白望「ダルいし……」

810 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:51:36.89 ID:rDkoKMmh0

怜「あー……そやな。 それはまあわかるわ。 ちょっと張り切ったら私もだいぶ疲れてきたもんな……」

煌「すばっ！？ ま、まだ大会始まってすらいませんけど……」

怜「早起きしてきたからもうちょっと眠いし……」

白望「わかる」

怜「花田ちゃん膝枕して〜」

煌「はい、どうぞ！」

怜「じゃあ、ちょっと始まるまで寝るから」

煌「は、はぁ……了解しました！ 時間になったら起こしますので！ ……もうじき始まってしまうと思いますが」

宥「怜ちゃん一回眠るとなかなか起きないからビシッと起こしてあげないとだよ〜」

白望「くっ……だらける環境の作り方が上手い……！」

胡桃「変なとこに対抗意識燃やさなくても……」

白望「私にとっては大切なことだから」

胡桃「どれくらい？」

白望「……塞よりも」

塞「ちょっと！？ どういうこと！？」

宥「友だちは大切しないと！」

白望「…………んー」

塞「扱い！ 私の扱い！ おかしいよね！？」

白望「塞だし」

胡桃「塞だからね」

塞「くぅぅぅ……」

憧「……大変ですね」

811 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:54:03.56 ID:rDkoKMmh0

豊音「みんなー！ 見て見て！ 大豊作だよー！」

胡桃「あ！豊音おかえり！」

塞「大豊作って？」

豊音「ほらほら！ こっちがはやりんでー、赤土プロにー、弘世様にー、こっちが三尋木プロでー」

灼「あ、やっぱりハルちゃんたち固まってるんだ」

小蒔「私もたくさんいただいてしまいました！」

胡桃「わ、神代さん！ 豊音で見えなかったよ」

塞「神代さんまで一緒になってサインもらってたの？」

小蒔「はい！ せっかくなので思い出にと！」

豊音「えへへ、しかもしかも！ なんと！ 神代さんにチーム戦のお仲間にって誘われちゃったよー！ ちょーうれしいよー！」

白望「よかったね、豊音」

豊音「うん！ シロはどうだった？ 玄さん！」

白望「…………園城寺許すまじ」

豊音「許すマジ？ 喧嘩したけど仲直りしたの？」

塞「豊音、たぶんなんか間違ってる」

豊音「っていうか園城寺さんもいるの！？」

煌「すみません、今ちょうどお休みになられたところで……」

豊音「あっ、こちらこそすみません……ついはしゃいじゃって……」

宥「怜ちゃんこれくらいじゃ起きないから平気だよ〜」

小蒔「……………ん………ふぁ……」

塞「ちょっ、神代さん！？ 起きて起きて！ 眠気誘われるのはわかるけど！」

812 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:56:16.45 ID:rDkoKMmh0

揺杏「はー……相変わらずでっかいっすねー……」

豊音「えへへ、よく言われるよー」

揺杏「……かわいい系？ かっこいい系？ どっちが好き？」

豊音「かわいいの！」

揺杏「よっしゃ！」

灼「……麻雀終わってからじゃなかったの？」

揺杏「強烈な個性が目に入ってつい……」

豊音「なんかほめられてるー？ えへ、とにかく！ サインもたくさんもらえたし、あとはもう一人の仲間を見つけるだけだよー！」

小蒔「誰を誘いましょうか……皆さんはもうお決まりなのですか？」

塞「うちらはまだ全然……」

白望「……私はダルいしいいや」

塞「だからなにしに来たのさ！？」

胡桃「憧ちゃん、一緒に出よっか！」

憧「わ！ いいんですか？ それじゃああとは巴さん誘いましょうよ！」

胡桃「そうだね！ 巴ちゃんは一緒じゃないんだ？」

小蒔「えっと、巴ちゃんなら……」

灼「さっき龍門渕さんのとこ行ってるんじゃないかって聞きましたよ」

小蒔「……そういうことらしいです！」

胡桃「ああ、そういえばせっかく呼んでもらったのに挨拶してないね……」

塞「あとで龍門渕さんのとこ行こっか……」

813 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 22:58:43.39 ID:rDkoKMmh0

利仙「見つけましたよ、神代小蒔！」

小蒔「あ……利仙さん！ いらしていたんですね！」

憧「うわ、滅茶苦茶お久しぶりです！」

灼「龍門渕さんと知り合いだった……？」

利仙「その節はどうも。 対木さんからこの大会のお話を伺いまして……プロの間でも噂が流れていていましたよ。 なにやら面白そうな大会があると……」

豊音「ふ、藤原プロ！ よろしければサインくださいっ！」

利仙「え？ ええ、構いませんけど……」

豊音「あのあの、豊音ちゃんへ、って……」

利仙「は、はい……これで大丈夫ですか？」

豊音「ありがとうございます！ わぁー！ 達筆だよー！」

利仙「こ、この程度は当然のことで……こほん、では……」

利仙「見つけましたよ、神代小蒔！」

灼「わざわざやり直さなくても……」

小蒔「……私を探してくれていたんですか？」

利仙「ふふ、その通りです。 ここまで出向いたのも学生の頃つけられなかった決着を……」

小蒔「探してくれていたということは、もしかして団体戦のお誘いですか！？」

利仙「え？ ち、ちが……私は貴女と決着を……」

小蒔「うれしいです！ 利仙さんが私を誘ってくれるなんて！」

利仙「い、いや、だから決着……」

小蒔「私、こちらの姉帯豊音さんとチームを組むお約束をしていたのですが……」

豊音「わぁ！ すごいよー！ 神代さんと藤原プロと組めるなんて……！ あ、さ、最後のチームメイト、私でもいいですかー……？」

利仙「あの、ですから……」

小蒔「もちろんですよ！ 利仙さんはとてもお優しい方ですから！ さっきも快くサインしてくださったじゃないですか！」

豊音「か、感激だよー！ すっごい思い出になるよー！」

利仙「あの、決着……」

小蒔「よろしくお願いしますね！ 利仙さん！」

利仙「……はい、よろしくお願いします…………」

814 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 23:00:52.35 ID:rDkoKMmh0

胡桃「小蒔ちゃん強い……」

憧「あれは天然ですね……」

塞「いやー……神代さんと豊音の純粋な瞳に見つめられたら勝てる気はしないかな……」

豊音「鹿児島さいきょーのお二人と一緒に打てるなんて……私もちょー張り切っちゃうよー！」

小蒔「はい！ 私も利仙さんが誘ってくれるなんて思ってもいなかったので……とっても嬉しいです！ 張り切っちゃいます！」

利仙「……ま、まあ、張り切ってくださるのならこの際なんでも構いません。 団体戦よりも、個人戦では予選リーグのブロックが違うようですしちゃんと勝ち上がって今度こそ私と決着を……」

小蒔「そういえば！ 初美ちゃんたちはチーム名を考えているとか！」

豊音「おー！ それは大切ですね！ 私たち三人もかっこいいチーム名を考えないと！」

利仙「あ、あの……」

小蒔「利仙さんはなにかいい案がありますか？」

利仙「え？ えー……」

灼「すっかり飲まれてる……」

揺杏「あれだけ主導権取られてたらそりゃあ勝てないわなー」

利仙「むっ……そ、そういうことですか……神代小蒔！ そのような小細工で私のペースを崩そうとしても無駄……」

小蒔「えっ！？ 利仙さん調子悪いんですか！？」

利仙「え」

豊音「大変だよー！ しっかりお休みしないと！」

利仙「い、いや、大丈夫……」

小蒔「無理はなさらないでください！ せっかく一緒に打てる機会なのに……そうだ！ あちらで園城寺さんたちがやってるみたいに膝枕してあげますね！」

利仙「え！？ い、いや、そんな、こんなところで……」

小蒔「ダメですよ！ 無理をしたら！ ほら、こちらに！」

豊音「そうですよ！ 大会始まるまでに少しでも休んで回復しないと！」

利仙「あ、あの……ですから……」

815 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 23:02:43.85 ID:rDkoKMmh0

利仙「お、おのれ神代小蒔……この辱しめは絶対に忘れません……！」

憧「顔真っ赤にして膝枕されてる……」

塞「これは……麻雀はともかくとしてねぇ……」

灼「勝ち目なさそ」

利仙「くぅ……！」

小蒔「ふふ、私もよく霞ちゃんにしてもらうんですけどよく眠れるんですよね！」

豊音「わぁ！ 石戸さんの膝枕ならたしかによーくお休みできそうですねー！」

小蒔「はい！ ぐっすりです！」

灼「いつでもどこでもぐっすりな気が……」

白望「どこでも寝れるなんてうらやましい……」

豊音「！ シロ！ シロも膝枕する？」

白望「いや、大会も始まるし別に……」

豊音「……そっかぁ」

白望「……じゃあ、ちょっとだけ」

豊音「！ うん！ まかせて！」

胡桃「前から思ってたけどみんな豊音と小蒔ちゃんに甘くない？」

塞「いや、勝てないって……胡桃だってそうだろ？」

胡桃「あ！ そうか！ だから塞の扱いはいつもあんな感じになるんだ！」

塞「どういうこと！？」

胡桃「塞って誰になら勝てるの？」

塞「…………」

灼「……小瀬川さんの世話焼いてる限りは」

塞「やめて！ 言わないで！ そんな予感はしたけど！」

816 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 23:04:34.21 ID:rDkoKMmh0

塞「灼は凄いよね……宥ちゃんにも結構はっきり言ったりできるし……」

灼「…………すみません、私も宥さんには結局甘いです」

塞「あれ、そうなの？」

揺杏「だらけてるのをねちねちと詰ったあとに甘やかすよな」

灼「つい……」

宥「えへへ、愛されてますから〜」

灼「……どうにかなりませんかね？」

塞「うん、私が聞きたい……シロは別にかわいくもなんともないんどけどなぁ……」

胡桃「ほっとけばいいのに」

塞「それができたらこうはなってない！」

胡桃「だよね」

塞「あー……なんか気が重くなってきた……」

胡桃「気にしたってしょうがないじゃん、元気出しなよ！ 今さらなんだし！」

塞「一言余計だよ！」

巴「あ、いたいた姫様たち……利仙さん、お久しぶりです。 ……なにしてるんですか？」

利仙「見ないで！ 見ないでください……！」

小蒔「巴ちゃん！ えへへ、利仙さんに団体戦誘われちゃいました！ 豊音さんと三人で出るんですよ！」

巴「よかったですね、姫様！ ……そうなんですか？」

豊音「はい！ えへへ、藤原プロと仲良くなれてうれしいよー！」

利仙「くぅ……な、なにやらいつの間にかそういうことに……」

巴「……よろしくお願いしますね、利仙さん。 姫様喜んでますし仲良くしてくださると……」

利仙「わ、わかってるでしょう貴女！ 私はただ神代小蒔と決着を……！」

巴「決着って……そもそも、高校時代は姫様が勝ち越したのでは……？」

利仙「ぐっ……し、しかし私はまだ敗北を認めたわけでは……」

巴「まあ、何はともあれ姫様も喜んでますし……よろしくお願いしますね？」

利仙「…………うぅ……何故こんなことに……」

817 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 23:06:28.07 ID:rDkoKMmh0

霞「あらあら、ダメよ、小蒔ちゃん。 利仙さんを困らせたら」

小蒔「大丈夫です！ とっても仲良くなりましたから！ ですよね、利仙さん！」

利仙「わ、私は……その…………」

小蒔「？」

利仙「…………え、ええ……まあ……」

霞「うふふ、よろしくお願いしますね」

利仙「くっ……ど、どうしてこの人たちはこう…………！」

胡桃「巴ちゃん、団体戦一緒に出ない？ 憧ちゃんと三人で！」

巴「私でいいの？ それなら是非！」

憧「えへ、やった！ 巴さんもお久しぶりですね！」

巴「うん、本当に……憧ちゃん、もうすぐドイツだよね？ 忙しいね」

憧「日本での最後の大会ですから！ いい腕試しになりますし、張り切ってますよ！」

巴「ふふ、水を差すわけにもいかないし足を引っ張らないようにしないと」

霞「ふふ、巴ちゃんまで張り切っちゃって……」

塞「そういう石戸さんはどうなの？」

霞「あら……それはもちろん、ね？」

塞「わざわざ遠くから来てるんですもん、そりゃそうですよね……いまいちなのはうちのぐらいですよね……」

霞「いまいちって……ああ、小瀬川さん」

塞「ダルいダルいって……まあいつものことなんですけど」

巴「ふふ、本当にやる気がないわけじゃないでしょ？」

塞「わかってるんですけど……わかってるからこそ最初からしっかりやってほしいっていうか……」

818 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 23:08:26.14 ID:rDkoKMmh0

『まもなく、開会式を始めます。 大会にご参加の方は……』

灼「あ、会場のアナウンスともきーだ」

塞「はぁ……よしっ！ とりあえず行くか！ ほら、シロ起きて！」

白望「寝てないけど……」

煌「園城寺さん？ 園城寺さーん？ 時間ですよー？」

怜「……んん……あと三時間……」

煌「大会終わっちゃいますよ！？」

宥「ほら、怜ちゃん起きて！ えいっ！」

怜「ぐへっ！？」

煌「！？」

怜「ゆ、宥ちゃん？ い、今パンチ……パンチした？」

宥「んー？ 気のせいじゃないかなあ？」

怜「……せやな、宥ちゃんがそんなことするわけあらへんし……」

憧「宥ねえ……強くなったね……」

宥「怜ちゃん、あれぐらいしないとダメだから……ふふ、もう結構付き合いも長いしね」

煌「お二人の絆があってこそということですね！ すばらです！」

玄「うぅ……時間になっちゃったよ……」

灼「玄。 遅かったね？ どうしたの？」

玄「飲み物、みんなの分持ってこようと思ったんだけど持ちきれなくて……」

灼「……そこで無理しなくてもいいのに」

揺杏「せっかく玄ちゃんの大好きな石戸さんも来てたのにな」

玄「なんと！ うう……間が悪かったなあ……」

胡桃「ほらほらみんな！ テキパキ移動する！ 始まっちゃうよ！」

巴「行きますよ……姫様？」

小蒔「…………」

利仙「神代小蒔！？ な、なんで貴女が寝てるんですか！ 早く起きなさい！ 時間ですよ！」

霞「あらあら、小蒔ちゃんったら」

豊音「神代さーん！ ほらほら、始まっちゃいますよ！」

小蒔「むにゅ……ふぁい……おきてますよー……」

憧「絶対寝てるやつじゃないですか……」

819 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 23:09:48.51 ID:rDkoKMmh0

透華『本日はお忙しい中お集まりいただき……』

穏乃「わわ、透華さんの挨拶始まっちゃってる！」

憧「しず……なにやってたのよ」

穏乃「いやあ、初美さんと一さんと盛り上がっちゃって……」

憧「盛り上がりすぎでしょ……どんだけ話してたのよ」

穏乃「へへん、本当に盛り上がるのはこれからだけどね！」

憧「……まあね。 今の私がどこまで通用するか、思いっきり打ってやるんだから！」

玄「ふふ、大会なんて久しぶりだなあ……私も頑張るからねっ！」

宥「とりあえず、午前中のリーグ戦勝ち残るのを目指して頑張ろっか！」

穏乃「いやいや宥さん！ 目指すは優勝ですよ！ せっかくですし！」

灼「ま、言うだけタダですから」

宥「ふふ、そうだね……それじゃあみんな、優勝目指して頑張ろう！」

透華『ーーーーーーそれでは、皆様お楽しみくださいましっ！ 大会開始ですわっ！』



前半カンっ！

820 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/03/02(木) 23:11:14.40 ID:rDkoKMmh0

人多すぎ問題
ある程度日を置いてまとまったら後半も投下しに来ます

821 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/03/02(木) 23:26:15.07 ID:gmmW3KFpo

乙
ゆあんちゃんが勝ちますように

822 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/03/02(木) 23:56:33.47 ID:XhP2KYLLo

乙です

823 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/03/03(金) 01:26:16.32 ID:UY0fDiXA0

乙です
果たしてドイツからスペシャルゲスト(エイちゃんと末原ちゃんと慕ちゃん)は来て居るのか？
善野さんや赤阪さんや雅枝監督と言った監督達も来て居るのか？
其の答えは後半戦に有るのかもしれません！
楽しみにして居ます！

824 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/03/03(金) 20:01:55.56 ID:gJ1+Xj8U0

更新きてたwすばらです
主に盛大なすばらを送ります
咲シリーズ本編の次に楽しく読ませて頂いてます
てか怜の存在感マジきめぇ(誉め言葉)
怜とシロの絡みってなんか新鮮でした
後半も楽しみに待ってます

825 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/03/19(日) 00:09:07.44 ID:vjxNE64A0

龍門渕グループ主催のプロアマ戦後夜祭を待ち続けて居る内に憧ちゃー達の卒業式の時期に成りましたが
憧ちゃー&優希ちゃんの渡独のお見送りをやるんでしょうかね？

826 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/03/19(日) 01:27:37.55 ID:lt9FteCj0

いつも乙です♪ 貯まった頃にまとめて読ませてもらってます。
ちゃちゃのん誕生日ＳＳになんかほっこりしました。
リップサービスかもだけど、立先生の「ちゃちゃのんめっちゃ強い子」は一ファンとして嬉しかったよ。 個人戦で出て欲しいな〜

827 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/03/20(月) 11:42:27.40 ID:alDIBKEa0

待ってる

828 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/04/01(土) 14:40:13.67 ID:mZyfuTsA0

さて４月に成りましたが
透華お嬢様主催のプロアマ戦後夜祭と
憧ちゃー&優希ちゃんの渡独
今月中に書けますかね？

829 ： ◆FYW.3i5lks [sage saga]：2017/04/28(金) 01:58:27.27 ID:jD94nvyT0

近日復活予定です…過ぎ去ったあれやこれやは回想やらの形で補填したいとは思っていますがどうなるか…

怜-toki-にまさかの泉ちゃん登場で個人的に注目度上がってます。日和もしず＋宥姉とか珍しい組み合わせ来てうれしい
灼ちゃんとてもかわいくて気力湧く

830 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/04/28(金) 12:11:20.79 ID:VrtdXLWf0

1乙です
のんやり待ってる

831 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/05/10(水) 18:42:31.79 ID:mPDtUxLmO

追いつきました。(2回目)
あの頃はまだ淡の胸は平坦だった……、あれはなんなんでしょうね？

リクエストが通るならマホ＋佳織＋爽の何しでかすか解らん組でお願いします。無理ならマホちゃんだけでも……

832 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/05/10(水) 18:57:59.83 ID:mPDtUxLmO

追いつきました。(2回目)
希望が通るならマホ＋佳織＋爽の何しでかすか解らん組でお願いします。無理ならマホちゃんだけでも……
もしくは憧と淡の話(胸)とか

833 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/05/11(木) 06:25:13.31 ID:h+rOte5MO

すみません、いろいろミスりました

834 ： ◆FYW.3i5lks [sage saga]：2017/05/25(木) 21:53:57.24 ID:yO3MSwmg0

セーラや洋榎に勝てるとは思えないけど揺杏も一矢報いるぐらいはできるといいなぁ
サトハとメグかわいい
慕ちゃんは天使
今月の感想。間空いたけど投下

835 ： ◆FYW.3i5lks [sage saga]：2017/05/25(木) 22:01:58.11 ID:yO3MSwmg0

いちご「宥ちゃーん！」

宥「いちごちゃん！ 来れたんだね！ よかったぁ」

いちご「宥ちゃんに会いたかったしのう！ 誘ってくれてありがとな！」

宥「ううん！ 私も会いたかったから……いつもお仕事お疲れ様」

いちご「……宥ちゃーん！」

宥「わわ、いちごちゃん？ どうしたの？」

いちご「久しぶりだから宥ちゃん成分補給じゃ！ たっぷり癒されんとのう」

宥「えへへ、それじゃあいっぱいハグしてあげるっ！」

いちご「……いや、ほどほどでええよ？ 宥ちゃん成分過剰接種すると動けなくなりそうじゃし」

宥「ええ……でも私だっていちごちゃん成分補給しないとだし……」

いちご「そ、そう来たか……仕方ないのう、宥ちゃんは特別にちゃちゃのんがハグしてやるわ」

宥「わーい」

いちご「では改めて」

宥「ぎゅー」

いちご「…………暑っ！ 宥ちゃん暑っ！ 相変わらず！ たしかにまだまだ寒いけど！ 厚着しすぎじゃろ！？ 空調ちゃんときいとるぞ！？」

宥「あぅ……ご、ごめんねぇ……」

836 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:05:17.52 ID:yO3MSwmg0

誠子「相変わらずそれやってるんですね……」

宥「誠子ちゃん！ 久しぶりだね」

いちご「おう、亦野はかわりなさそうじゃ……それ、どうしたんじゃ？ むすっとして」

淡「……………………むー」

誠子「あー……さっき宮永先輩と会ったんですけど……」



ーーーーーー



淡「えー！？ もう約束しちゃったの！？」

照「うん……もことやえと……む、おいしい……」

春「自慢の一品」

淡「まあ私もテルーもどうせ勝ち上がるから関係ないけどさー」

照「そうだね……このしつこすぎない甘さ……癖になる」

春「取り寄せもできるので」

照「興味深い」

春「お茶にも合う」

照「尭深！ 尭深！」

尭深「どうぞ」

照「……素晴らしい」

淡「テルー！？ ねえ、ちょっと話聞いてる？」

照「黒糖の話だよね？」

淡「全然違うよ！？」

照「あ、淡も食べたいんでしょ？ あげる」

淡「わーい！」

春「おいしいでしょ」

淡「おいしー！」

淡「……じゃなくって！」

春「おいしくなかった……？」

淡「おいしいけど！ そうじゃなくってさー！」

837 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:07:10.81 ID:yO3MSwmg0

誠子「おい、とりあえず少し落ち着けよ……」

尭深「淡ちゃんは団体戦の話がしたいんだよね？」

淡「そーなの！ ……まあ？ 私ももう大人だし？ テルー取られたぐらいで拗ねたりしないけど？」

誠子「ちょっと拗ねてるじゃないか……」

淡「違うもん！ テルーと打つのも楽しみだし！ まあどうせ個人戦で勝つんだし団体戦の方はそんなに関係ないんだけど！」

誠子「じゃあなんでそんなに……」

照「おかわりください」

春「どうぞ」

淡「……こいつちょっとムカつく！」

誠子「やっぱり妬いてるじゃんか……」

尭深「淡ちゃん、お茶でも飲んで落ち着いて……で、チームのことなんだけど」

淡「うん！ あ、たかみーと亦野先輩がどうしてもって言うなら」

誠子「そうだ！ 鶴田や白水さんと一緒に出たらいいんじゃないか？ 宮永先輩たちも後輩と親交を深めるために組む約束してるんだし、お前迷惑かけがちなんだから……」

淡「…………」

尭深「誠子ちゃん……」

誠子「え？ なに？」

838 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:09:44.27 ID:yO3MSwmg0

ーーーーーー


誠子「うーん、どうにも宮永先輩が黒糖に夢中でスルー気味だったのが気に入らなかったみたいで……」

尭深「誠子ちゃん……」

誠子「ん？」

淡「……亦野先輩のばーか！」

誠子「なんでだよ！？」

いちご「あんた……なんかもう……ほんと、残念じゃな……」

尭深「誠子ちゃんは淡ちゃんのこと好きなわりにわかってないよね」

誠子「えぇ……？」

淡「亦野先輩が私のこと好きなのは知ってるけど！ 知ってるけどね！ ふふーん」

宥「ふふふ、まだまだ修行が足りないねぇ」

誠子「なんでですか？ なにがですか？ というか、実際問題白水さんはともかく鶴田は淡と相性いまいちだし今のうちに多少なりとも……」

淡「もうその話はいーから！ まあヒメコたちと遊んであげてもいーんだけどー……」

誠子「けどなんだよ？」

淡「…………亦野先輩はどーすんの？」

誠子「私？ 私は尭深と……あと一人誰か…………あ、あー……ああ、え？ うん？ ……そういうこと？」

尭深「さあ？」

誠子「んー……あー、よし」

誠子「……あー、淡ならまあ確実に勝ち残るだろうけど、万が一があったら私たちと一緒に団体戦出てくれないか？」

淡「しょうがないなあ！ 億が一私が団体戦に出るような羽目になったら一緒に出てあげる！ 亦野先輩がどうしてもって言うし特別だからね！」

誠子「お、おう……ありがとう……」

尭深「ふふ、チームで打つのって久しぶりだよね」

淡「たかみーと亦野先輩の引退以来だよねー」

尭深「楽しみだね」

淡「んっふふーまあねー」

839 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/05/25(木) 22:11:05.91 ID:yO3MSwmg0

誠子「……ふぅ」

いちご「なに疲れとるんじゃ」

誠子「いや、あいつ本当に扱いが難しいというかなんというか……」

いちご「かなりわかりやすいじゃろ」

誠子「ちょっと間違えるとすぐ拗ねるんですよ……」

宥「振り回されてるねぇ」

誠子「もう慣れっこですけどね……今さらですし。 振り回されてると言えば二条のやつも大変そうでしたけど」

宥「わ、泉ちゃんと会ったんだ！」

誠子「はい。 あっちで獅子原に遊ばれてましたよ」

宥「ああ……それは、大変そうだねぇ……」

いちご「泉のやつも変なとこで真面目じゃからのう……獅子原にはいいおもちゃじゃろうな」

誠子「打つ前から疲労困憊って感じだったんでちょっと気の毒ですね……まあ、気に入られてるみたいですし、心配はなさそうですけど」

いちご「むしろ気に入られてるとか心配なんじゃが」

誠子「…………あー……そう言われると……たしかに……？」

宥「獅子原さん、ちょっと加減知らないからねぇ」

いちご「楽しくなると周りが見えなくなるタイプじゃからのう」

誠子「……二条も、ほら、振り回されるのには慣れてそうですし……」

いちご「……あんたも泉のやつも大変じゃのう」

宥「あ、あんまり無理しないでね……？」

誠子「いやあ、はは、私は今さら気にしてませんよー……」

いちご「あからさまに疲れが出とるぞ」

誠子「……とはいえ、今後は淡もプロになって、今までほど気軽に会えなくなるわけで……そういう大変なのともしばらくはおさらば……」

840 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:12:10.25 ID:yO3MSwmg0

淡「またまたぁ！ そんなこと言っちゃってさ〜」

誠子「ぐぇっ！？ き、聞いてたのか……というか、飛びつくなって。 重いから」

淡「私に会えないと寂しいくせに〜」

誠子「…………」

淡「んー？」

誠子「…………いやいや」

尭深「強がっちゃって」

誠子「強がってないよ！」

淡「仕方ないなあ、亦野先輩はほんっと私のこと好きなんだからー」

誠子「…………」

淡「なぁに？」

誠子「……ノーコメントで」

淡「ふーん？ まあいいけど！」

宥「…………仲良しだねぇ」

尭深「そうなんですよ」

いちご「はぁ……あれだけ仲いいとちょっと羨ましいのう」

宥「ふふ、淡ちゃんみたいな後輩が欲しかった？」

いちご「いや、あんなめんどくさそうなのはいらんけど」

宥「そ、そっか……」

いちご「ま、ちゃちゃのんにも宥ちゃんや亦野がおるしの！」

宥「えへへ……泉ちゃんもいるしね」

いちご「泉とはそこまででもないけど」

宥「素直じゃないねぇ」

いちご「ふん……まあええわ。 そろそろ一回戦始まってまうぞ？ 宥ちゃんも頑張ってな！」

宥「うん！ いちごちゃんも、頑張って！」

いちご「今日は強敵揃いじゃからのう！ 勝ちまくって名を上げるんじゃ！」

841 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:13:43.03 ID:yO3MSwmg0

晴絵「いやあ、公式戦じゃないとはいえ……なかなかいい舞台なんじゃないか？ 名のあるプロや学生が大勢来てるし……教え子たちも来てるんだ。 せっかくだしいいとこ見せたいんだよね」

咏「おうおう、そりゃあかわいそうだねぃ……教え子にカッコ悪いとこ見られるハルちゃんも、先生のカッコ悪いとこ見せられる生徒さんたちも」

靖子「え、なんですかやめてくださいよ……仲良しですか？ やる気満々なんですか？」

咏「え、なに？ 靖子ちゃんやる気ねーの？」

靖子「いや、もちろんやる気ありますよ？ 衣も久もあいつら私のことなめくさってるし……いい加減私の力を見せてやらないと……」

晴絵「いいですね、こっちも燃えてきましたよ……さて、咏ちゃんには教え子たちにいいとこ見せるための踏み台になってもらおうかな」

靖子「日本一の踏み台ですね」

咏「そう簡単にはいかないぜぃ？」

いちご「そんなん考慮しとらんよぉ……」

晴絵「あ、佐々野さん久しぶり。 元気だった？」

いちご「うぅ……さっきまで元気だったんじゃがのう……なんちゅうしんどい面子なんじゃ……よろしくお願いします……」

咏「よろしくねぃ」

靖子「よろしく」

晴絵「よろしく！ いいじゃないか、日本のエースにまくりの女王が相手なんて名を上げる絶好のチャンスだぞ？」

いちご「ちゃちゃのんもその意気込みで来たんじゃけど……なんというか、もっとこう……手心というか……」

咏「だいたいハルちゃんだってレジェンドとか呼ばれていい感じに調子乗ってるしねぃ」

晴絵「調子乗ってるってなんだよ……」

靖子「私は大将戦が定位置ですし、三尋木さんや赤土さんとはあまり打てないですからうれしいですけどね」

いちご「むぅ……ちゃちゃのんのランクからして皆さんレベルとは打つ機会そうそう無いし……怯んでられん！ 爪痕のひとつやふたつはしっかり残させてもらいますけえね！」

靖子「……いいね。 こういう元気な子は好きだよ」

晴絵「藤田プロ、佐々野さん今のところは活躍の機会に恵まれてないですけどかなり強いですから油断しない方がいいですよ？」

靖子「へぇ？ そりゃまた楽しみですね」

咏「ハルちゃんがその評価してるなら本物だろうねぃ……ま、期待してるぜぃ？」

いちご「……とりあえず、ちゃちゃのんの名前だけでも覚えて帰ってもらいます！」

842 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:15:58.52 ID:yO3MSwmg0

いちご「ふえぇ……」

晴絵「ほら、そんな落ち込まなくても……咏ちゃんなんか国内トップの選手だしさ、しょうがないって」

いちご「三尋木プロはなんであんな息をするように和了れるんじゃ……赤土先生は赤土先生で互角に渡り合っとるし！ 化物揃いじゃな！？」

晴絵「あはは……結局オーラスまで潰しあった挙げ句に藤田プロにまくられてるからどうしようもないんだけどな……親被りで咏ちゃんにも負けるし……！」

いちご「藤田プロは藤田プロでなんなんじゃ！？ オーラスの動きおかしかったじゃろ！？」

晴絵「あれがあの人の持ち味だから……くっそ、読み違えたなぁ……最終的に咏ちゃんに振らせるつもりだったんだけど」

いちご「そ、そんなん狙っとったんですか？ 三尋木プロ狙い撃ち？」

晴絵「ほら、菫の技の応用というか……そう上手くいかないね。 想定より咏ちゃんの手の伸びも良かったし……」

いちご「やっぱり赤土先生もおかしいわ……」

晴絵「ふふ、そんな中で佐々野さんもしっかり戦ったじゃないか。 自信持ちなよ」

いちご「いやー……とはいえ負けとるしのう……」

晴絵「結果も大事だけど中身も大事だろ？ 特に今日は公式戦でもないんだし」

いちご「それもそうじゃな！ トッププロたち相手によく打てたしのう！」

晴絵「あ、相変わらず立ち直り早いね……」

いちご「まあ、わりと内容良かったからのう！ 安かったけど焼き鳥も回避したし！」

晴絵「いい和了だったよ。 咏ちゃんと競り合ってる所に上手く滑り込まれたというか……綺麗に隙を突かれた形になっちゃったね。 うん、巧かった」

いちご「えへへ、赤土先生にそう言ってもらえると自信つくのう」

843 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:19:22.09 ID:yO3MSwmg0

菫「ハルちゃん」

晴絵「菫。 初戦どうだった？」

菫「こちらはなんとか。 惜しかったですね」

晴絵「見られてたか。 悔しいね、うん」

菫「佐々野は久しぶりだな。 悪くはなかったんじゃないか？」

いちご「そこそこじゃったろ？」

菫「ドヤ顔するなよ。 負けは負けだぞ？」

いちご「ぐぬ……」

由子「まあまあ、今回の経験を次に活かせばいいのよー」

いちご「もちろんそのつもりじゃが！ ……にしても久々に見る顔じゃのう……愛宕のアホ一緒だったりせんじゃろうな？」

由子「そんなに警戒しなくてもいいのよー」

菫「真瀬とは初戦で当たってな。 久しぶりだったので少し話していた」

由子「相変わらず洋榎嫌われてるのね？」

いちご「おう！ ちゃちゃのんはあいつのこと嫌いなんじゃ！ 」

晴絵「そんなに力強く言わなくても……」

いちご「ちゃちゃのんのプライドと戦歴に大きな傷をつけた宿敵じゃからのう……早いとこ叩き潰してやりたいんじゃが公式戦でもなかなか当たらんし、今日も別ブロックに振られてしもうた」

由子「そんなに洋榎と打ちたいのならフツーに紹介するのよー？」

いちご「いんや、わざわざプライベートで会いたくない程度には嫌っとるし結構じゃ。 プライベートで勝ったとしてもたいして溜飲下がらんしのう」

由子「ちゃちゃのんって意外と結構な性格してるのよー」

菫「真瀬も結構なものだと思うが」

由子「真顔で言われるとちょっと困っちゃうのよー」

844 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/05/25(木) 22:21:13.92 ID:yO3MSwmg0

いちご「ちゅーか、相変わらず愛宕とつるんどるんか？ 大変じゃのう」

由子「まあ、付き合いも長いしねー？ 直で会うのは久々だけど……ちゃちゃのんも付き合い長い友だちだっていっぱいいるでしょ？」

いちご「……ちゃちゃのんはプロ入りしてアイドル売りされはじめてからよく覚えとらん連中からも連絡が来るようになって正直なんじゃこれ状態になったりとか」

由子「……有名になるのも大変ねー」

菫「あまり変わった気はしないがな……はやりんと毎日のように会えるようになったことが最大にして最高の変化だったが」

晴絵「菫はほんとそればっかだな……」

菫「大事なことですから」

由子「まあ、高校卒業してからは新しい友だちもできたけど寂しいっちゃ寂しいかもー……洋榎はプロだし恭子は武者修行の旅に出ちゃうし……」

晴絵「む、武者修行？」

由子「赤阪監督の伝でどっか行っちゃって……日本にはいないみたいなのよー」

いちご「行方不明なんか！？」

由子「赤阪監督とは連絡取ってるみたいだから心配はいらないみたいよー？ 何か掴むまでは帰らないとかって……」

菫「……末原らしいといえばらしい気もするな」

晴絵「末原さんならプロ行く話もあったろうに……」

由子「なんか、持ってるヤツと持ってないヤツの壁を越えない限り続けてもどうにもならないって……」

晴絵「……あの子も十分持ってる側だろうに」

由子「恭子は凄く自己評価低いのよー……高校時代もスランプになったり……上しか見てないから大変なのよねー……クソ真面目な上に麻雀好きだから手も抜けないし」

菫「そういうやつだったな。 私なんかは照が隣にいたせいで……なんというか、明らかに他と違うヤツがいるということはすぐにわかったが」

晴絵「私も思い知らされた側だからなー……立ち直るのに年単位でかかった私に比べたら前向きに進んでる末原さんはよほど素質あるかもね」

由子「そうは言っても、恭子は表面のメンタル弱いからボロボロになってそうで心配よー」

いちご「なんじゃ表面って……」

由子「どうせ麻雀やめる選択肢なんか持ってないくせに、すぐ自分は向いてないんじゃないかーとか、本当に持ってるヤツには勝てないんじゃないかーとか、修行先でもグダグダ悩んで時間をドブに捨ててるに違いないのよー」

菫「お前本当に辛辣だな……」

晴絵「やめてあげて……」

いちご「赤土先生までダメージ受けて……」

晴絵「私も結局捨てれずにグダグダ悩んでたからね……」

845 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:24:01.60 ID:yO3MSwmg0

菫「む……そろそろ次の対局の時間か」

由子「あら、急がないとなのよー」

いちご「あー……いきなり削られた分頑張らなきゃのう……」

晴絵「私も取り返さないとな。 教え子の手前予選落ちはカッコ悪いし」

菫「阿知賀のメンバーなら勝ち上がる可能性もありますしね。 負けられませんよ？」

晴絵「ほんとになー……まあ、いずれは私を越えてってほしいけど」

由子「やっぱり教え子には成長して欲しいものなんですか？」

晴絵「そりゃあね。 教え子の成長は師の喜びだよ。 私よりも強くなってくれたら一番！ まあ、まだ現役だし簡単に越えさせる気はないけどね……まだまだあいつらの目標でいたいかな」

由子「……なるほどー」

菫「どうした？」

由子「いやあ、赤阪監督はどういう気持ちで恭子を修行の旅に送り出したのかなーって」

由子「……修行したからって確実に強くなれるわけじゃないし、強くなったとしても麻雀で食べていけるかはわからないし……高卒でプロ行きの夢に破れた子もたくさんいるのよー」

いちご「……プロになれたとしても、描いた夢の通りになるとも限らんしのう」

菫「……佐々野も大変なんだな」

いちご「弘世は恵まれとるわ。 希望のチームで憧れの選手と一緒に試合出て活躍して……いや、すまん。 ただの僻みじゃな……」

由子「……恭子は、頑固だから……私じゃダメでも、赤阪監督の話なら聞いたんじゃないかなーって」

晴絵「……諦めさせた方が良かったって？」

由子「良いとは言いませんけど……きっと、恭子は辛い思いたくさんしてるのよー……」

晴絵「ん……まあ、そうかもね」

晴絵「…………そうだとしても、教え子が決めた道なら、応援したいと思うよ。 少なくとも私は」

由子「……赤阪監督、いまいちなに考えてるかわからない人だけど、いい人なのは間違いないのよー」

晴絵「うん、私もそう思うよ。 ……それに、赤阪さん……末原さんのこと気に入ってたからなぁ」

由子「いろいろかまったり、厳しかったり優しかったりだったけど……たしかに、一番目をかけてたのよねー」

846 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:27:43.41 ID:yO3MSwmg0

晴絵「赤阪さんとは、特別親しいってほどじゃないから実際のところはどうなのかわからないけど……」

晴絵「赤阪さんは、末原さんに託したのかもね」

由子「託す？」

晴絵「プロって、やっぱりインハイ出るような打ち手なら誰でも目指すところではあると思うんだよね……赤阪さんもそうだったんじゃないかな？」

晴絵「私の場合は、教え子たちにインハイへの……いろんな想いを託して、いろいろ越えて今プロやってるわけだし……」

由子「……なるほどー……なにかを託すって点なら洋榎よりは恭子の方が納得するのよー」

いちご「あんなのに託せないじゃろ」

菫「そうか？ 実力で言えば十分だろう。 実績もあるし佐々野にも勝ってるじゃないか」

いちご「いちいち過去のことをほじくり返すんじゃないわ！」

菫「お前がこだわるから忘れられないんだが……」

由子「洋榎は昔から強かったし良くも悪くも変わらないからー……そういう点では恭子は監督が面倒見たとこも大きいのよー」

菫「手のかかる子ほどかわいいと言うやつか？」

晴絵「そういうのもあるかもしれないけど……重ねてるんじゃないかな、自分と」

由子「え？」

晴絵「赤阪さんと末原さん、似てるとこあるから」

由子「……そう、ですかね？」

晴絵「ん……まあ、私の印象だから全然的外れかもしれないけどね」

晴絵「でも、赤阪さんは末原さんのためを思って送り出したのは間違いないと思うよ。 何回か一緒にご飯行ったりしたこともあるけどさ、麻雀と生徒の話ばっかりするからねあの人」

菫「……それはハルちゃんも同じでは？」

晴絵「はは、そりゃあ私にとっても大切なものだからさ。 赤阪さんも一緒なんだろ」

由子「……そうねー……ふふ、赤阪監督だしねー」

いちご「なんじゃ、にやにやして」

由子「赤阪監督、いつも笑顔で優しかったけど……一定の距離は置く人だったから……大事に思ってもらえてたのならうれしいのよー」

由子「ふふ……だって、私にとっても、恭子たちにとっても、大好きな監督さんだったのよー！」

晴絵「それ聞いたら、赤阪さんすごく喜ぶと思うよ」

由子「ふふ、恥ずかしいから内緒にしてほしいのよー」

847 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:31:45.75 ID:yO3MSwmg0

晴絵「…………」

灼「ハルちゃん！ ……どうしたの？」

晴絵「灼……いや、いろいろ思うところがあってね」

灼「……三尋木プロたちにやられたこと？」

晴絵「いや、それもあるけどそこじゃなくって……というか見てた？」

灼「結果だけ。 ……内容は？」

晴絵「読み違いがあったからそこはデータの修正が必要だね。 いろいろ試したのは悪くなかったけど」

灼「新しい戦術！？ ……ともきーたちに頼めば牌譜とか映像もらえるかな……」

晴絵「どうだろうね……まあ、わざわざ頼まなくてもこれから見れるだろ？」

灼「…………！」

晴絵「当然っちゃ当然だけど、非公式とはいえ灼と大会で打つっていうのははじめてだなぁ」

灼「……し、正直……インハイの決勝よりも緊張してる」

晴絵「そんなに！？ なんで！？」

灼「私が何年ハルちゃんのファンやってると思ってるの」

晴絵「……灼、私のこと好き？」

灼「もちろん」

晴絵「…………」

灼「……なににやにやしてんの」

晴絵「え？ いやあ、やっぱうれしいなって」

灼「はぁ……よくわかんないけど、本気で打ってよ」

晴絵「そりゃあ、一番のファンにがっかりされたくないしね」

晴絵「……カッコいいとこ、見せてやるよ」

848 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:33:06.02 ID:yO3MSwmg0

ーーーーーー



穏乃「……どうだった？」

憧「負けた！ くっそー……さすがにレベル高いわ……しずは？」

穏乃「ダメだった……むぅ、悔しい……あ、でも瑞原プロと打ったよ！ すっごく強かった！」

憧「はやりんと打ったの！？ いいなー羨ましい！ 私もブロック一緒だったらなぁ……」

穏乃「勝ち残れば打てたのにー」

憧「うー……まあ負けちゃったもんは仕方ないし、団体戦に切り替えてくから！」

宥「そうそう、まだまだ打てるんだからそっちで頑張ろう？」

玄「そ、そうだね……落ち込んでても仕方ないし……」

憧「滅茶苦茶落ち込んでるし！」

玄「麻雀はともかく……大会はやっぱりブランクあったからかなあ……上手くいかなかったよ……」

灼「まあ、玄は仕方ないんじゃない？ 手牌の偏り極端なのみんな知ってるし」

穏乃「玄さん有名人なんですね！」

憧「単純に同世代多いからでしょ」

灼「阿知賀は全滅か……」

憧「あ、灼さんもダメだったんだ」

灼「ん……ハルちゃんは無事決勝トーナメント進出したよ」

玄「灼ちゃん、赤土先生とブロック同じだったもんね」

灼「打ったよ。 ハルちゃん超強かった！」

晴絵「そこまで言われると照れくさいんだけどなあ」

宥「赤土先生！」

晴絵「よっ！ みんな久しぶり！」

849 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:34:53.44 ID:yO3MSwmg0

憧「えーハルエ勝ったんだ……」

晴絵「え、なんで不満気！？」

穏乃「赤土先生！ 決勝トーナメント頑張ってくださいね！ 目指せ優勝ですよ！」

晴絵「おう！ 咏ちゃんにもさっきの借りを返さないとだしな」

玄「あ、赤土先生！ 私、お弁当つくって来たのでよかったら食べてください！ 決勝トーナメントに向けて力つけないと！」

晴絵「うれしいけど……私じゃなくて萩原さんと食べたら？」

玄「はわっ！？」

宥「お昼休みぐらいきっと萩原さんもお休みしてるよ！ 探しに行こうよ玄ちゃん！」

玄「だ、だからなんでお姉ちゃんがテンション上げるの！？」

憧「ちっ」

玄「憧ちゃんも舌打ちしないでよぅ……」

穏乃「そんなに僻まなくても……」

憧「僻んでないけど？」

憧「……僻んでないけど！？」

穏乃「あからさまに僻んでる……」

灼「ほら、ご飯なら私が一緒に食べてあげるから」

憧「……それはなんか違うじゃん」

灼「……嫌ならいいけど」

憧「べ、別に嫌とは言ってないでしょ？」

晴絵「……お前ら相変わらず仲いいな。 安心するけど」

穏乃「私たちの友情パワーは上がる一方ですよ！」

宥「えへへ〜だよね〜」

玄「特に灼ちゃん、最近はずっと憧ちゃんと一緒にいるよね？」

灼「まあ、今のうちに憧で遊んでおかないと……」

憧「ちょっと待って！？ 今憧でって言ったよね！？ とじゃなくてでって！」

灼「間違えただけだから気にしないで。 ほら、早くお昼食べないと時間なくなっちゃうよ」

菫「その通りだぞ、新子！ 急いで食事を済ませろ！」

憧「え！？ 菫さん！？」

850 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:36:39.50 ID:yO3MSwmg0

晴絵「どうしたんだ菫？ 妙に慌ただしいな……」

菫「昼休み終了間際にはやりんが二曲ほど歌うと！ 情報が！」

憧「わ！ マジでやるんだ！？」

菫「知っていたのか！？」

憧「会場着いたときに龍門渕の人からちょろっとそんな感じの話を……」

菫「くっ！ 情報が遅かったか！ なにやらイベントを盛り上げるためにと……はやりんがそれを承諾したらしくてな！ ステージの時間も短いし見逃せんぞ！ 早く向かっていい場所を確保しなければ！」

晴絵「いや、一応シークレットなんだし場所とかわからないだろ？」

菫「会場のスタッフが南側に多目に集まっているからおそらくあちらでやるはずです！ 急なイベントでチケット等もないから人の整列や事故の防止に警備が集まるのは必定！」

晴絵「なんつー無駄な観察眼……あ、あんまりはしゃぎすぎて怪我とかするなよ……？」

菫「安心してください！ 私は熱狂的ファンであると同時にマナーのいいファンとしても有名なんです！」

晴絵「あ、そう……」

和「憧！ 憧！ 早く行きましょう！ はやりんのステージを間近で見るチャンスですよ！」

穏乃「和テンション高っ！？」

和「だって！ はやりん程になるとライブの会場も大きいところばっかりでこんなに近くで見れることなんてほぼないんですよ！？ それに、弘世先輩が真っ先に声をかけてくれたんです！ うれしいです！」

玄「すっかり仲良しなんだね……」

菫「ふっ、チームの後輩だし、同じはやりんのファンだからな。 そんなことより、君も一緒にどうだ？ 彼氏さん、龍門渕の執事さんなんだろう？」

玄「ふぇ！？ え、あ、そうですけど……そ、それとなんの関係が！？」

菫「龍門渕透華の側近でなんでもできる万能の人だと噂には聞いている。 おそらく、ステージ周辺の警備を担当してるんじゃないのか？」

玄「な、なるほど……まあ、私もはやりんのステージ気になりますし……」

菫「よし！ 決まりだな！ ああ、事前にステージがあるとわかっていたらいろいろ持ってきたんだが……！」

851 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:39:10.23 ID:yO3MSwmg0

灼「……弘世様、相変わらずだね」

晴絵「うん……まあ、はやりさん絡む時とそうでない時でテンション差が激しい以外は常識ある奴だから……」

宥「ふふ、対局してるところとか見ると凛々しい人なのに子どもみたいでかわいいですねぇ」

菫「や、やめてくれ……かわいいとか、そんなのは柄じゃないんだ……」

晴絵「とか言いつつ実はかわいいもの好きでいろいろ隠し持ってるんだけどな」

菫「ちょっ……な、なんで知ってるんですか！？」

晴絵「はやりんグッズは隠さなくなったのになんでそっちは隠してるんだか……」

菫「は、はやりんに関してはもう世間にも知れ渡ってしまいましたし……だ、だいたいかわいい系のものはそもそも私のイメージじゃないでしょう！？ それくらい自覚してるんですよ！」

晴絵「いや、カッコいいイメージとかもはやりんファンカミングアウトした時点で崩れまくってるけどな……」

灼「こうしてみるとキャラ欲張ってますね。 はやりんファンの芸人キャラにイケメンキャラに……」

菫「ま、まあ待て！ そもそもだな、どちらかと言うと私は元来真面目な委員長キャラで……」

灼「そっち系統の胃痛ポジションはだいぶ昔に亦野さんに丸投げしてた気が……」

宥「ふふ、そうだよねぇ」

菫「やめろ！ いじられキャラまで追加するんじゃない！」

和「弘世先輩は、頼りになる先輩だと思います！」

菫「原村……！」

穏乃「まあまあ！ その辺にしておいて……早く行かないとまずいんじゃないですか？ はやりんのステージが……」

菫「そうだった！ よし、行くぞ！」

和「はいっ！」

憧「あっ！ ちょっと待って……！ じゃ、私も行ってくるから！」

玄「それじゃあ私も……」

宥「いってらっしゃーい」

852 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:40:41.69 ID:yO3MSwmg0

穏乃「……せっかくだし私も見てこようかな！」

灼「ん……まあ、滅多に見れるものでもないし行ってみようか」

宥「きっと凄いんだろうねぇ……」

晴絵「まあ、はやりさんのステージを生で、しかも無料で見れるなんて凄いことだしなぁ……」

穏乃「んー……やっぱり気になってきました！ 行ってみましょうよ！」

晴絵「はは、まあはやりさんのステージの凄さは保証するぞ……まあ、特に用もないし私も……」

アレクサンドラ「赤土さん！ 阿知賀のレジェンド！ 探しましたよ！」

晴絵「アレックスさん？ ……あー、私はちょっと挨拶してくるから先行っててくれ」

灼「ん」

穏乃「よーし！ 憧たち追いかけましょう！」

宥「おー！」

灼「それじゃ、また後で……決勝トーナメント頑張ってね、ハルちゃん！」

晴絵「おう！ まかせとけ！」

853 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:43:33.73 ID:yO3MSwmg0

晴絵「どうも、ご無沙汰してます」

アレクサンドラ「ああ、本当に久しぶりだな！ プロでの活躍、拝見させてもらってますよ」

晴絵「はは、そりゃどうもありが……」

アレクサンドラ「で！ 本題なんだが！」

晴絵「あ、はい……」

アレクサンドラ「私のものになる気はないか！？」

晴絵「はい！？」

アレクサンドラ「やはり貴女の腕は本物だ！ それにまだまだ強くなれる！ 是非とも私の元でその力を……」

晴絵「いや！ いやいやいや！ いきなり何を言ってるんですか！？」

アレクサンドラ「ん？ そりゃあもちろん勧誘だが？」

晴絵「い、移籍とかは考えてないので！ そもそもアレックスさんのチームって国外でしょう！？ 国内に倒さないと行けない相手がたくさんいるんですよ！」

アレクサンドラ「ふむ、それは残念だな……」

晴絵「はやりさんにも恩がありますし……少なくともハートビーツで一緒に優勝して、小鍛治さんにも勝たないとだしですね……」

アレクサンドラ「なるほどね……でも、そこで満足できるのかい？」

晴絵「はい？」

アレクサンドラ「たとえ優勝して、小鍛治健夜を倒したとして……瑞原はやりとは戦えないだろう？」

晴絵「……！」

アレクサンドラ「目の前にいる強者を前に戦わずに済ませるだなんて……貴女の雀士としての本能が許すのかい？」

晴絵「…………」

晴絵「いや、なんかそれっぽいこと言って惑わそうとしないでくださいよ……たしかに公式戦で打てないのは残念ですけど……」

アレクサンドラ「ハハ、ダメか」

854 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:46:50.42 ID:yO3MSwmg0

透華「ちょっとそこ！ アレックスさん！？」

アレクサンドラ「おっと、見つかったか」

透華「変な勧誘はよしてくださいと先程も言ったではありませんか！」

アレクサンドラ「いやいや、これは違うんだよ。 ただの挨拶みたいなもので……な？」

晴絵「いや、知りませんけど……」

透華「アレックスさん！？」

アレクサンドラ「わかったわかった！ 落ち着いてくれ！ 本当に挨拶がしたかっただけなんだよ！」

透華「あんまり度が過ぎるようですと非常に遺憾ですが退場していただきますからね！？」

アレクサンドラ「わかってるわかってる！ 本当にすまないと思ってるんだ！ つい癖で！」

透華「それはそれで性質が悪いですわよ！？」

晴絵「あー……そういえば、アレックスさんもいらしていたんですね？ 驚きましたよ」

アレクサンドラ「ああ、天江衣がネリーに声をかけてくれてね」

晴絵「……ネリーさん、出場登録されてませんでしたけど」

アレクサンドラ「今はメグの……アメリカの方に行っているんだ。 ちょうど賞金の出る大会をやっていてね」

晴絵「……なるほど」

アレクサンドラ「まあそれで代わりに来させてもらったんだ。龍門渕さんの主催する大会なら赤土さんにも会えるだろうと思ってね」

晴絵「……いや、ですから勧誘の類いは……」

アレクサンドラ「あー違う違う。 いや、うちに来てくれるのならもちろん歓迎するが……大切な生徒さんを預かるわけだしね。 挨拶しておきたくて」

晴絵「はい？ なんの話ですか？」

アレクサンドラ「ん？ 聞いてないのか？」

透華「ちょっと、大丈夫ですの？ 新手の詐欺とかだったりしません？」

アレクサンドラ「は？ いや、待て待て。 君も何を言っているんだ？」

透華「はい？」

アレクサンドラ「んん？」

855 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:48:53.70 ID:yO3MSwmg0

透華「えっ……純のドイツでの伝ってアレックスさんでしたの！？」

晴絵「マジのやつですか！？」

アレクサンドラ「えっ……いや、本当に知らなかったのか！？ なんかいじめられてるのかと思ってちょっと焦ったぞ？」

透華「そ、それはなんとまあ……大変失礼をいたしました。 うちの純がお世話になっております」

アレクサンドラ「ああ、そんなにかしこまらなくてもいいんだが……ジュンとは連絡取ってないのか？」

透華「……純ったら、一人で勝手に決めてさっさと出ていってしまうんですもの……」

アレクサンドラ「……喧嘩別れしてなんとなく気まずくて連絡取れてないってことか？」

透華「…………まあ」

アレクサンドラ「ハハ、意外と子どもっぽいところもあるんだな。 まあ、私の元にいる以上色々と保証はするが……まあ、一応万が一ということもある。 早いとこ仲直りしてしまうといい」

透華「……ええ、そうですわね」

晴絵「……ということは、憧はアレックスさんのところでお世話になるってことなんですね」

アレクサンドラ「ああ。 まあ、安心してまかせてくれ。 間違いなく強くするぞ。 ずっと私の元に居てくれたらうれしいんだがね」

晴絵「それは憧が決めることですから……井上さんの所って時点で安心して預けられるとは思ってましたけど、アレックスさんの所なら変なところに預けるよりは全然安心……」

アレクサンドラ「……ん？ どうした？」

晴絵「……ああ、いや……アレックスさんは変な人ですけどそれでもまあ知らない人のところよりは安心かな……」

アレクサンドラ「信用してくれよ……私はたしかに人格に多少問題はあるかもしれないが、麻雀に関しては間違いないぞ？」

晴絵「人格に問題あるって認めるのやめてくれませんか？ 不安になりますんで」

アレクサンドラ「ハハ、すまんすまん」

856 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:51:04.80 ID:yO3MSwmg0

透華「……あの、アレックスさん？」

アレクサンドラ「なんだい？」

透華「その……純は元気ですの？」

アレクサンドラ「ああ、元気にやってるよ。 土地も元々ホームではあるし、日本人の仲間もいるしね」

晴絵「へえ、他にも日本人の子がいるんですか。 憧も多少は気が楽になりそうですね」

アレクサンドラ「ああ、キョウコも新子と同じで鳴きによる仕掛けの得意なタイプだし……なんだ、そう、切磋琢磨できるんじゃないかな」

晴絵「へえ、鳴きが武器の……キョウコ……キョウコ？」

アレクサンドラ「ん？ 知ってるだろ？ 末原恭子。 元姫松の……ほら、赤阪のところの」

晴絵「えぇ！？ 末原さんもドイツにいたんですか！？」

アレクサンドラ「ああ、真面目に修行頑張ってるぞ？ 最近軽くスランプ気味だが……」

晴絵「しかも真瀬さんの予想当たってるっぽいし……」

アレクサンドラ「ん？ キョウコがどうかしたのか？」

晴絵「いや、本当についさっき末原さんの同級生だった真瀬さんと話してて……音信不通らしくて心配してましたよ？」

アレクサンドラ「ああ、キョウコのやつたまーに赤阪に連絡取るぐらいみたいだからな……まあ、本人が故郷に未練を残しすぎると修行に打ち込めないって言ってるし……」

晴絵「あぁ……あの子も自分を無駄に追い詰めるタイプか……」

透華「……な、なにやら皆さん大変なようですわね……」

アレクサンドラ「ま、君は心配しなくてもいいさ。 ジュンは透華の所に戻るためにも強くなるって言っているし、私の元に残る気はないらしい。 あいつが満足するまで預けておいてくれ。 損はさせん」

透華「……貴女の指導者としての手腕は信頼できます。 どうか純をよろしくお願いしますね」

アレクサンドラ「まかせてくれ。 新子もね」

晴絵「はい、よろしくお願いします」

アレクサンドラ「じゃ、私はまだまだ挨拶済ませてないんでね。 この辺で失礼させてもらうよ」

透華「……会場での勧誘行為は禁止ですわよ？」

アレクサンドラ「うんうんわかってるわかってる。 では…………あ！ そこの君！ よかったら私の元で……」

透華「……ハギヨシ！」

ハギヨシ「ヴィントハイムさん？ 大変失礼ですが少しこちらでお話を……」

アレクサンドラ「ああ！ 違う！ 違うんだ！ 冗談だって！」

857 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:53:59.73 ID:yO3MSwmg0

透華「まったく……本当、アレさえなければ素晴らしい方なのですが……」

晴絵「はは……面白い人なんだけどね」

透華「それにしても、赤土先生。 しっかりとした挨拶もなく大変失礼いたしましたわ。 本日はようこそお越しくださいました」

晴絵「いえ、こちらこそ……楽しませてもらっているよ。 よくこれだけ集めたね」

透華「ふふ、顔が広い友人が多くて助かりましたわ。 予想外にプロの……それも、トップクラスの方々がお越しくださって私も嬉しい悲鳴がとまりませんの」

晴絵「イベントは大成功だね。 今後もこういう大会は続けていくのかい？」

透華「続けていければ……とは思っていますわ。 それに、大会もまだまだ前半戦が終わって折り返し。 大成功させるためにもまだまだ気は抜けません！」

晴絵「失礼、それもそうか」

透華「ふふ、赤土先生が活躍してくださればそれだけ大会も盛り上がりますわ。 決勝トーナメントも頑張ってくださいましね。 健闘を祈っていますわ」

晴絵「ありがとう。 優勝目指してやらせてもらうよ」

透華「……ところで、こんなところで申し訳ないのですが」

晴絵「……何か相談かな？ 私で良ければ聞かせてもらうけど」

透華「新子さんたちから聞いていらっしゃるかもしれませんが……私、自分の……龍門渕でプロチームを持ちたいのです」

晴絵「うん、龍門渕グループが徐々に麻雀業界に進出してきているって巷でも話題になってるね」

透華「ええ、その事でお話なのですが……」

晴絵「うん」

透華「赤土先生、ハートビーツから移籍したりしてみるおつもりはありませんこと？」

晴絵「まさかの勧誘！？」

858 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:56:03.20 ID:yO3MSwmg0

透華「その、チームの本拠地の候補のひとつに吉野を考えていまして……」

晴絵「え？ いや、たしかにあの辺はプロチームないけど……それ以前になんにもないぞ？」

透華「そうなんですの。 今現在は龍門渕との縁の強い土地でもありませんし、阿知賀のレジェンドと呼ばれる赤土先生が龍門渕に来てくださればそれだけでもかなり地元の方たちからの印象も良くなるのではないかと……」

晴絵「いや、なんにもないって言うのは吉野の方で……知ってると思うけど山しかないよ？」

透華「いろいろあるではありませんか。 ……松実館とか」

晴絵「はい？」

透華「私、やはりハギヨシと玄さんの仲がなかなか進展しないのは物理的な距離にも原因があると思いますの」

晴絵「え、いや……それが理由……？」

透華「私、夢も家族も大切なんですの」

晴絵「……えっと」

透華「ふふ、冗談……ではありませんけど、まあ理由のひとつですわ」

透華「単純に何度も足を運ぶうちに吉野の地が好きになってしまったというのもありますしね……余所者の私たちにも皆さんとてもよくしてくださって」

晴絵「そう言ってもらえるとうれしいね。 これでも地元愛は強いつもりだし」

透華「赤土先生がいらしてくださると戦力的にも地域への展開的にもとても助かるのですが……」

晴絵「あはは……いや、龍門渕さんもいろいろ考えないとで大変だね……」

透華「いずれはの龍門渕を継ぐのです！ 次期当主として色々と考えるのは当然ですわ！」

晴絵「……龍門渕さんは若いのにしっかりしてるよね」

透華「あら、ふふふ、赤土先生だってお若いではありませんか」

晴絵「いやー、30目前にすると年取った気がしてくるもんで……それに、私が龍門渕さんの年のころなんて……本当になんにもしてなかったからなあ……」

透華「その時期に悩んで苦しんだ結果、今こうしてプロとして輝かしい道を歩んでいるのではありませんか。 なにも恥じることはありませんわ」

晴絵「……龍門渕さん、私よりも大人なんじゃないかな……」

859 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:57:05.49 ID:yO3MSwmg0

透華「ふふ、私などまだまだ小娘ですわ。 だからこそ、ちょっと背伸びしないといけないのですけれど」

晴絵「ん……あー、そっか……大変だよな、いろいろと……」

透華「龍門渕の人間としていろいろと仕事もしていますが、こればかりはやはりどうにも難しいですわね……」

透華「多少は実績も出していますが、やはり侮られることも多いのです。 早く大人らしい態度を身につけられれば良いのですが……どうしても子どもに見られてしまって」

晴絵「同世代に比べて大人でも、10や20やそれ以上のを相手取るんじゃなぁ」

透華「我儘で滅茶苦茶やるタイプですから余計に……最近は多少抑えるようにはしているつもりなのですが」

晴絵「滅茶苦茶やるにしても龍門渕さんは考えなしに好き勝手やってる訳じゃないんだしさ」

晴絵「夢や仲間のために頑張る龍門渕さんはカッコいいと思うよ。 難しいことだしね、年を取ってくると尚更……」

透華「あら、ではやはり赤土先生もまだまだお若いですわね。 打倒小鍛治プロ、期待しておりますわ」

晴絵「ありがとう、頑張るよ」

透華「ふふ、早くしないと私もチームを率いて打倒小鍛治プロに名乗りをあげますわよ？」

晴絵「そりゃ、急がないとだね。 龍門渕さんのチームは手強そうだ……獲物を横取りされたくないしね」

透華「あら？ 言っておきますけれど、私チームオーナー兼監督兼選手として華々しくデビューするつもりですわよ？ 強敵はこの手で打ち倒してこそですわ！」

晴絵「ますます手強そうだな……というか、そこまで兼任すると忙しいなんてものじゃないと思うけど……龍門渕のお仕事もあるんだろ？」

透華「夢を持つのは自由ですわ！ そのために努力をするのも私の自由ですし！」

透華「……なにはともあれ、まずは龍門渕のプロリーグ参入からですわね」

晴絵「……途方もない話だけど……龍門渕さんなら夢で終わらせなそうだよね。 実際にもういろいろ動いてるんだろ？」

透華「詳しくは企業秘密ですわ。 常に努力はしているとだけ言わせていただきますわね」

透華「それに……当然ですが、ただの夢で終わらせるつもりはないのです」

透華「……純が、私たちのために強くなって帰ってくると言うのならば、私も強くなった純の力が活かせる環境を用意しておかないといけませんし」

晴絵「……早く仲直りしなよ？」

透華「…………ええ、大丈夫です。 わかっていますわ」

860 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 22:58:52.67 ID:yO3MSwmg0

キャー！ キャー！


晴絵「うぉ！？ な、なんだ？」

透華「ああ、おそらく瑞原プロ……いえ、はやりんのステージが……」

菫「キャァァァァァァアアア！！ はやりーん！ はやりーん！！」

透華「……ひ、弘世さん、あんな、黄色い声も出るんですのね……？」

晴絵「あ、ああ……私もはじめて見たときは驚いたよ……はやりさん関係でしか出ないみたいだけど……」

透華「ファンなのは存じていましたが改めて見ると……こう、インパクトが強いですわね。 腹立たしいことに私よりも目立っていますわ……」

晴絵「うん……というか、やっぱり知ってても衝撃強いし……下手したら今もはやりさんよりも目立ってるんじゃ……」

透華「ええ……それにしても、やはり瑞原プロは流石ですわね。 ファン層は男性がメインのはずですのにあれだけ人が集まるとは……」

晴絵「ああ……たしかに男性がメインのファン層みたいだけど、基本的に男女問わず全年齢層に人気あるからね。 特に、今日会場に来てる龍門渕さんぐらいの子達はちょうど直撃世代だし……」

透華「……随分とお詳しいのですね？」

晴絵「……菫がよく語ってるからはやりん関連の知識が意図せずついちゃって……」

透華「……大変そうですわね」

晴絵「……うん、まあ……そうだね」

透華「ええと……しかし、ダメ元で頼んでみて正解でしたわね！ 瑞原プロのおかげでかなり盛り上がっておりますし……」

晴絵「うん、そこに関してははやりさんはやっぱり間違いないね。 流石のアイドルだよ」

透華「ふむ……麻雀界にアイドルとして殴り込みをかける計画の方は見合わせた方が良さそうですわね」

晴絵「そっちも諦めてないんだね……」

透華「ふふ、まあ私は実力で見せるタイプですし！ 経営者として、指揮官として、そしてゆくゆくは打ち手としていつかは多くの人を魅了したいものです」

晴絵「龍門渕さんはカリスマ性あるからなぁ……本気でプロデビューとかしたらすぐに人気でると思うけど」

透華「そんなことはありますけど！ ふふ、私単純ですし煽てると何でも出てきてしまいますわよ！？」

晴絵「自覚してるなら直した方がいいんじゃないかな……」

861 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/05/25(木) 23:02:05.01 ID:yO3MSwmg0

透華「ふふ、では名残惜しいですが瑞原プロのステージが終われば午後の部も始まりますから……仕事に戻りますわ。 お話できて良かったです」

晴絵「こちらこそ。 忙しいのに捕まえちゃって悪かったね」

透華「いえ、お昼の時間拘束してしまったのはこちらですから……例のお話も考えておいてくださるとうれしいですわ」

晴絵「あー……はは、アレックスさんと目的一緒になってない？」

透華「思った以上に大物が集まってしまいましたので……人脈作りも大切ですから。 それでは」

晴絵「お疲れさま。 頑張ってね」

晴絵「……うーん……まあ、友達に声かけてたらはやりさんやら咏ちゃんまで出てくるなんて思わないよなぁ」

咏「ほんとほんと、後は小鍛治さんも来てたら完璧だったんだけどねぃ」

晴絵「うわ」

咏「え？ うわ、ってなに？ ねぇ？ 傷ついちゃうんだけど？」

晴絵「咏ちゃんめんどくさいから……」

咏「ひっでーな！ ハルちゃんひっでー！ つーかさ、なんで小鍛治さん誘わなかったん？ 私打ちたかったんだけど」

晴絵「小鍛治さん今日生放送の仕事あったはずだし……あの人を倒すなら公式戦でしょ」

咏「ハルちゃんはそこそこ対戦機会あるかもしんねーけどこっちはそうそう戦えないんだって！ あー、小鍛治さんもさっさとデカいチームに移籍すりゃいいのに……わっかんねーなぁ、もう」

晴絵「小鍛治さんもチームに愛着あったりとかいろいろ理由はあるんだろ？」

咏「そうかもしんねーけどこっちからしたら関係ないんだって！ ハルちゃん負けんのビビって呼ばなかったんじゃねーの？」

晴絵「はぁ！？ そんなわけないだろ！ まず間違いなく勝っちゃうから呼ばなかっただけだし！ 小鍛治さんからの初白星は公式の対局であげるって決めてるんだよ私は！」

咏「さっき私に負けたばっかでよく言えるねぃ？ ん？」

晴絵「午後が本番だから！ さっきのはただの前哨戦！ 様子見してただけだから！ 咏ちゃんこそこっちの実力が見抜けないようじゃまだまだだな！ 小鍛治さんに勝つには程遠いな！」

咏「はぁ！？ んなことねーし！ むしろこっちこそ様子見してたし！ 小鍛治さんと当たったら初戦で確実に勝つから！」

晴絵「小鍛治さんの実力わかってるのかよ？ 咏ちゃんじゃまだまだ力不足だってーの！」

咏「そりゃあ何回も負けてるハルちゃんの方が小鍛治さんの力はわかってるかもしんねーけど！ こっちだって日本のエースで打点王だっての！」

862 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 23:04:06.66 ID:yO3MSwmg0

晴絵「……ふん、とりあえず決着は決勝でつけてやろうじゃないか」

咏「私がまたボコボコにしてやっから負けんなよー」

晴絵「そっちこそ。 天江衣は本物だからな。 足元掬われんなよ」

咏「うちの照もなかなかだからねぃ……ま、あの子と打つことになってもそれはそれで面白いからいいんだけど」

晴絵「照にも勝つっての！ まだまだ若いのに負けてられないって」

咏「……ハルちゃんババくせー」

晴絵「うるさいなあ！ 最近生徒世代と絡む機会多いから結構気にしてんだよ！ そのせいで余計に年取った気がするのかもしんないけど！」

咏「はっはっは！ んじゃまた後で会えると信じてるぜーおばちゃん。 一応ライバルなんだからガッカリさせんなよー」

晴絵「こっちの台詞！ 負けるのは私にだけにしときなよ！」

晴絵「はぁ……くっそー自分は見た目若いからって……」

晴絵「……午前にあれだけ打ったのに今から照と打つのか……体力いるなー……」

晴絵「……ま、教え子とライバルの手前、負けてられないか」

晴絵「さて、と……それじゃあ、気合入れて行くかっ！」


カン！

863 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/05/25(木) 23:06:51.57 ID:yO3MSwmg0

たぶんファンのみんなの声援を受けてパワーアップしたはやりんが優勝したりしてます
カラーページでちゃちゃのんとその後輩が出てきたりしてますが活躍の機会はいつごろになるんですかね…

864 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/05/25(木) 23:13:31.39 ID:/QYm17DX0

なんだかすっごい久々な気がしてたらほんとに久々だった
スレ落とさず書いてくれるだけでも嬉しい
おつ

865 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/05/25(木) 23:20:54.01 ID:j1zsSvQQO

まだ地獄で鬼と戦って無いですしねえ、いつになることやら

866 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/05/25(木) 23:22:27.32 ID:Dnu15fzo0

いつも乙です♪
カラーページでちゃちゃのんと噂の鹿老渡先鋒さん出てましたね（やっぱりちゃちゃのん可愛い）
話しぶり的に二人とも個人戦出られそうですし、首を長くして広島の活躍を待つとしましょう。

867 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/05/25(木) 23:25:03.92 ID:vdanYEuoo

乙です

868 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/05/26(金) 00:53:51.95 ID:hpY7baYA0

乙です
流石にアレクサンドラ監督しか来て居ませんか
後…咏さんの天敵な善野さんも来て居ないっぽいですよね？
いや…来て居るのか？
咏さんの善野さんと晴ちゃんとはやりんによる慕ちゃー話が見たかったりします

869 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/05/26(金) 12:15:50.15 ID:6gWvwYP70

すばらです
何時も楽しく読ませて頂いてます

870 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:00:51.12 ID:JCRyFl930

揺杏が頑張っててかわいくてもう大満足なのです。羊先輩に献金したい
投下

871 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:03:16.61 ID:JCRyFl930

ーーーーーー


望「じゃ、気をつけてね」

憧「ん。 行ってくる」

望「たまには連絡よこしなさいよ？ 心配するんだから」

憧「便りがないのは元気な証拠って言うでしょ？ もう子どもじゃないんだし……」

穏乃「憧は絶対寂しくなってすぐに電話してきますよねー」

灼「ね」

憧「うるさいそこ！」

玄「まあまあ、喧嘩しないで……」

宥「憧ちゃん、頑張ってね！」

憧「うん！ 滅茶苦茶強くなって帰ってくるから！ 宥姉よりも！」

宥「ふふふ、私も負けないよ〜？」

初瀬「……しっかりな」

憧「初瀬もね。 しずのお世話もよろしく」

穏乃「ペット扱いかよー」

憧「似たようなもんでしょ」

初瀬「大丈夫大丈夫。 ちゃんと勉強も見るし」

穏乃「…………」

初瀬「なんだよその顔？」

穏乃「見てくれるのは助かるけど勉強自体はそこまでしたくないというかなんというか……」

初瀬「はぁ……しっかりしてくれよなー」

灼「ま、ちゃんとかわいがっとくから安心して」

憧「…………よろしく」

872 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:05:11.18 ID:JCRyFl930

灼「……はい」

憧「……なに？」

灼「いや、なんか寂しそうだから旅立つ前におねーさんがハグでもしてあげようかと」

憧「別に寂しくないし！」

穏乃「じゃあ代わりに私が！」

灼「よし来い」

穏乃「えへへ〜」

憧「なにその勝ち誇った顔！？」

穏乃「いいだろー」

憧「べ、別に羨ましくないし！」

玄「羨ましいんだね……」

宥「憧ちゃん！ お姉ちゃんはいつでもいいよ！」

憧「大丈夫だって！」

望「お姉ちゃんもいつでもいいのよ〜？」

憧「だーかーらー！」

初瀬「憧」

憧「初瀬まで！？」

初瀬「違うよ！ したいならしてやるけど！？」

憧「だ、だからいらないってば！」

873 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:07:12.39 ID:JCRyFl930

初瀬「まったく……浮かれてないでしっかりしろよ、マジで。 何しに行くんだよ、お前？」

憧「わ、わかってるって……」

初瀬「……まあ、友達として応援してるから。 ちゃんと強くなって来いよ！」

憧「当然でしょ！ わざわざドイツまで行くんだし……半端な覚悟じゃないんだからね！」

初瀬「うん！ ……でも、私も負けないから！ 憧が強くなってもそれを越えるくらいもっと強くなってるからな！」

憧「……へへ、楽しみにしてる！ 負けないけどね！」

玄「気をつけてね、憧ちゃん。 井上さんや優希ちゃんと仲良くね？」

憧「言われなくても大丈夫だって。 保護者みたいなこと言わないでよ」

望「気をつけてね、憧。 純くんや優希ちゃんと仲良くね」

憧「……だからわかってるってば！」

望「もう、いちいち怒らないでよ……はぁ、憧も当分帰ってこないし寂しくなるわね……穏乃ちゃん代わりにうち来ない？」

穏乃「えっ？ でも、迷惑になっちゃいますし……じゃあ週三ぐらいで……」

憧「わりと通いつめる気満々ね！？」

灼「今までとそれほど変わらない気もするけど」

宥「よく憧ちゃんのおうちに集まってたからねぇ」

穏乃「ま、憧の分まで私が望さんに甘えといてやるから安心して行ってきなって！」

憧「余計なことはしなくていいから！」

望「やきもち？」

穏乃「やきもちですね」

宥「ふふ、かわいいなあ憧ちゃんは」

憧「違うけど！？ 違いますけど！？」

初瀬「憧、そろそろ行かないと時間……」

憧「え！？ 嘘！？ マジじゃん！ つーかこれで別れんの！？ い、一応言っとくけど私はシスコンじゃないから！」

灼「最後にそれ？」

初瀬「シスコンアピール？」

憧「アピッてないし！」

穏乃「憧！」

憧「なに！？」

穏乃「頑張れよ！！」

憧「……うん！ 行ってくる！」

874 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:09:48.89 ID:JCRyFl930

ーーーーーー



……とかなんとか、ごちゃごちゃとみんなと別れてからドイツに渡って二ヶ月とちょっと……純さんや優希もいるし、新生活にもすぐに慣れるかなーなんて思ってたんだけど……

エイスリン「おう！ 憧ちゃんおはようさん！ 今日はちょっとお寝坊さんやなぁ」

憧「……お、おはようございます」

エイスリン「んー？ どした？ お腹減っとるん？ 今純と優希ちゃんが朝飯用意しとるで？」

憧「あ……はい……大丈夫です」

……な、慣れない……ちっとも慣れる気がしない！

そもそもエイスリンさん居ただけでかなり驚いたのに……関西弁だし！ 意味わかんないし！

起き抜けに来るエイスリンさんはいまだにインパクト強すぎる……

恭子「私が昨日遅くまで付き合わせたからやな……すまんな、今日は休日やしもう少し寝ててもええよ？ 洗濯ぐらいかわりにやっとくで？」

憧「いえ、今日は私の当番ですし……むしろ私こそ遅くまで付き合ってもらっちゃってありがとうございました。 恭子さんとの研究凄い勉強になるんで」

恭子「そう言ってもらえるとうれしいけどな……ま、憧ちゃんは洞察力あるし理解が早いしでこっちとしてもやりやすいけどな。 漫ちゃんとは大違いや」

エイスリン「漫ちゃんってオデコに落書きの子やんな？ もし会ったら私もなんか描いてあげたいわー」

憧「い、いや、アレは好きでやってるわけじゃないんじゃ……」

恭子「エイスリンの絵なら漫ちゃんも喜ぶやろ。 アートなオデコにしたってや」

エイスリン「よっしゃ！ まかしときー！」

憧「…………ま、いっか」

上重さんだし。 というかエイスリンさんに説明するのもなんか大変そうだし

やっぱりなんかズレてるんだよなぁ……

875 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:11:54.97 ID:JCRyFl930

恭子さんとは、こちらに来てからすぐに仲良くなった

恭子『ま、知らん仲でもないし……折角こんなとこで再会できたんやから……恭子でええよ。 一緒に強くなろうな』

そんな風に言ってくれた

純さんと優希が居るとはいえ、心細いは心細かったので、頼れる先輩ができたことはかなり心強くて、うれしかったのだ

私も恭子さんも……そして純さんも、使い方に差はあれど鳴きを武器に戦うスタイルなので互いに学ぶところは多いし、理論派で研究者気質の恭子さんとは相性も良かった

戦術に関する思考の組み立ても近い……いや、恭子さんの方が緻密で計算されているんだけど……まあ、とにかく話が合うってことだ

話もハルエと同じくらい分かりやすいし……流石名門姫松の頭脳を担っていただけのことはある。 プレイヤーとしての適性はもちろんだけど、指導者としての適性も凄く高いと思う

恭子「つーか、朝飯担当優希だったか……ってことは……」

エイスリン「タコスやな！」

恭子「せやろなぁ……」

憧「お、おいしいじゃないですか。 レパートリー豊富だし……」

恭子「タコスのバリエーションだけ多くてもなぁ……こう、いくら美味しくてもな？ あんま続くと……な？」

憧「……まあ、そうなんですけどね」

エイスリン「純も一緒に行っとるし平気やろ」

恭子「純が朝から気合入れて料理するわけもないし……タコスと男飯か」

エイスリン「純は男前やからな！ な！ 憧ちゃん！」

憧「うぇ！？ え、ええ、そ、そうですね！？ じゃなくって、男前なのとは関係がないのでは……」

エイスリン「そういうもんなん？ 日本語難しいわー」

憧「日本語の問題なんですかね……？」

恭子「憧ちゃん、遠慮せんとツッコミ入れたってや」

憧「でもなんか……恭子さんが担当じゃないですか。 本場ですし」

恭子「ツッコミ担当も疲れるんや……こっち来てからも一人でずっとツッコミやったし……」

憧「ツッコミ疲れする気持ちはわかりますけど……」

恭子「しかも憧ちゃん思ったよりもボケの比重大きいし……」

憧「嘘！？ そんなことありませんって！」

恭子「うん……気持ちの比重はツッコミなんやろうけどな……」

憧「えぇ……？ どういう意味ですか、それ？」

エイスリン「憧ちゃんって意外とけっこうアホやもんね！」

憧「そんな風に思ってたんですか！？」

恭子「エイスリンも意外と口悪いわな」

エイスリン「そんなことないって！ 日本語教えてくれたの恭子やし、恭子が悪いんやない？ 」

恭子「酷い言いがかりや……」

876 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:13:25.62 ID:JCRyFl930

優希「おっはよー！ 朝ご飯の準備ができたじぇ！」

憧「おはよ、優希」

優希「おう！ 起きたか憧ちゃん！ 今日はとびきりおいしいタコスだじょ！」

憧「今日も、でしょ？」

優希「むっ？ タコスに不満があるのか？ おいしいじょ？」

純「味の問題じゃなくてタコス一本なのが問題なんだよ。 まあ、オレはうまけりゃなんでもいいけどな」

憧「じゅ、純さん！ おはようございます！」

純「おう、おはよ。 よく寝てたみてぇだな？」

憧「あぅ……あは、ちょっと寝坊しちゃって……」

純「あ、こっち寝癖ついてんぞ。 珍しいな」

憧「ぅえ！？ あ、す、すす、すみません見苦しくて！ ほんと起き抜けで……」

恥ずかしい。 死ぬほど恥ずかしい。 もはや死にたいというか髪触られて撫でられてうわああああああ

恭子「……純も後ろの方、跳ねてるで」

純「んあ？ あー、まあどっか出る前には直すわ」

恭子「だらしないなあ……だいたい最近髪伸びすぎちゃうん？ そろそろ切らんのか？」

純「んー……まあ切ってもいいけど……変かこれ？」

憧「え！？ いや！ 今のもこれはこれで素敵だと思いますけど！？」

純「んじゃあこのままでもいいか。 いっそこのまま伸ばすか」

優希「お前ある程度伸びたら鬱陶しいとか言って切りそうだけどな……とりあえずせめて縛っといたらどうだ？」

純「縛るからゴムかなんか貸してくれ」

優希「恭子おねーさん！ 折角だからとびきりかわいいリボンでも貸してやるじぇ！」

恭子「かわいいのかわいいの……」

純「探すな！ 似合わねーからいいよ！ 普通に縛るだけでいいから！」

エイスリン「もうちょい伸びたら髪いじらせてな！ とびきりかわいくしたるから！」

純「だから似合わねーからいいって！」

エイスリン「似合わないから面白いんやろ！」

純「お前ちょっと嫌なやつだよな！？」

877 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:15:49.64 ID:JCRyFl930

久しぶりに会った純さんは髪が伸びていて……それでも変わらずイケメンだった

これはこれでいい。 似合ってるし。 というか今まで以上になんか男前オーラ出てて緊張し通しだ

こっちでも腹立つぐらい女性にモテてるし……本人は迷惑そうにしてたけど

私と優希が来るまでは恭子さんとエイスリンさんと真面目に修行してたらしい

日本ではあまり見ないような国外の選手の牌譜もたくさん集められており、恭子さんの解説も相まってそれだけでもかなりレベルアップできたように思う

……もっとも、牌譜は主に恭子さんの研究資料で、後はエイスリンさんが空いた時間に読み込んで描き出す盤面のバリエーションを増やすのに使われていて、純さんはあまり触っていないようだけど

純さんと優希は理論より実戦派なので暇さえあればひたすら打ってるって感じだ

純「あー、ほら、とりあえず飯にしようぜ？ オレは腹減ってんだよ！」

恭子「……ちなみに、今日のメニューは？」

優希「タコスだじぇ！」

純「あと、クラブハウスサンドな。 選べ、そして食え」

恭子「なんかカフェのメニューみたいなの来た！？」

純「だってこの前朝からチャーハン作ったら文句言ったじゃねぇか！ これなら文句ないだろ！？」

エイスリン「いや、アレはアホみたいな量作ってきた純も悪かったと思うで？」

恭子「つーか今回も量はアホみたいにあるけどな……」

優希「少なくともタコスは残らないから安心するじぇ！」

純「残ったらオレと優希で食うから気にすんな」

恭子「あんたらは朝からよう食うなぁ……」

エイスリン「あ、なんか飲むか？ コーヒーでええ？」

純「よろしく」

優希「私は牛乳！ まだ背も伸びるはずだじょ……！」

憧「いい加減もう厳しいんじゃない……？ すみません、私もお願いします」

恭子「すまんな、私も頼むわ」

エイスリン「あいよー！」

878 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:17:52.05 ID:JCRyFl930

恭子「ん、うまい」

純「そりゃ、オレが作ってんだからな」

エイスリン「恭子ちゃん、食べながら牌譜読むの行儀悪いで？」

恭子「あ……すまんついな……」

優希「折角片手で食べられるんだし有効活用してもいいんじゃないか？」

憧「そう言いながら優希はしっかり食べるだけなのね」

優希「タコスを食べるときはタコスに集中しないとタコスに失礼だろ？」

エイスリン「そういうもんか！」

純「どういうもんだよ？」

優希「タコスうまー」

純「聞けよ！」

優希「タコス食うか？」

純「食うよ！」

恭子「食うんかい……」

純「そりゃ食うだろ。 うまいぞ？」

恭子「うん……いや、知っとるけど……」

エイスリン「そんないちいちツッコミ入れて恭子ちゃん疲れんの？」

恭子「既に疲れてるわ……」

879 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:21:05.47 ID:JCRyFl930

優希「ま、折角の休日だし今日はのんびりするといいじょ！」

エイスリン「恭子ちゃんいつも頑張っとるしたまには休んでええんちゃう？ みんなは予定あるん？」

優希「予定無し！ 今日も修行だじぇ！」

純「オレも特に決めてねぇな。 チームのやつ適当に捕まえて打とうかと思ってたが……」

憧「私も……午前中に参考になりそうな牌譜集めて、午後から研究しようかと思ってたんですけど」

恭子「それなら付き合うで。 資料は多ければ多いほどええしな」

エイスリン「いやだからたまには恭子ちゃん休めって言うとるやん！？」

恭子「休んどる暇なんか無いわ。 どんどん力つけて早く結果に繋げんと……」

エイスリン「そうやって根詰めても効率悪いやろ！？ たまにはゆっくりしよ！」

恭子「んー……そうは言ってもなあ……」

エイスリン「ほら！ 憧ちゃんもなんとか言うたってや！」

憧「え？ えー……まあ休みも大切ですけど、強くならなきゃっていうのは私も同意見で……」

エイスリン「恭子ちゃんが休むなら優希ちゃんとまとめて面倒見とくから、な？ 純誘ってデートでもしてくればええやん」

憧「はっ……！？ な、なな、なに言ってるんですか！？ そ、そそそ、そんな、そんな……」

エイスリン「な？」

憧「……恭子さん、やっぱりたまには休息も大切ですよ！ あくまでも恭子さんの体を心配して言ってるんですけど、やっぱり体壊したらどうにもならないですし！ ね？」

いや、うん、別にデートにつられたわけじゃなくてね？ 単純に恭子さんの心配をしてるだけだからね？

休んだ方がいいっていうのは事実だし、息抜きも大切だしね、うん

880 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:23:09.04 ID:JCRyFl930

恭子「……まあ、ふたりの言うこともわかるんやけど……」

エイスリン「恭子ちゃん、ちゃんと強くなってるで？ それに、アレックスかてしっかり面倒見るって言うてくれとるし……」

恭子「それは、まだ期待してもらえとるからや。 結局見限られたらそこまでで路頭に迷うしかないんやで？」

恭子「たしかに、力はついてきてるとは思うけど……今のままじゃアカンのや。 もっとわかりやすく結果に繋げんと……」

純「恭子」

恭子「なんや」

純「焦んなよ。 焦ったって仕方ねぇだろ」

恭子「……私は、純よりも長いことここで世話になっとるんや。 赤阪監督やヴィントハイム監督に面倒もかけとるし、その分……」

優希「そんなこと誰も気にしてないじぇ！ タコス食うか？ 元気が出るじょ？」

恭子「……いただくわ」

優希「うむ！」

純「……早く強くならなきゃって気持ちはオレももちろんあるけどよ……お前も覚悟決めてここまで来たんだろ？」

恭子「そりゃあ……半端な気持ちじゃドイツまで来ないわ」

純「オレたち全員そうだろうが。 まあ、エイスリンはまた少し事情が違うけどよ」

エイスリン「仲間はずれよくないで！ イジメ、カッコ悪い！」

純「そういうことじゃねーだろ！ ……とにかく、気持ちは固まってんだしよ、焦ったって疲れるだけだぜ。 時間かかったとしても絶対強くなるんだ、オレたちは……そうじゃなきゃ帰れねぇ」

恭子「…………せやな」

憧「それじゃ、折角だし今日はのんびりしましょうよ！ なんかおいしいものでも食べて、ゴロゴロして……」

エイスリン「太るで！」

憧「そういうこと言うのやめてください！」

純「ま、オレも賛成だぜ。 なんか食いたいものとか……」

優希「タコス！」

純「いつも食ってるだろうが！」

エイスリン「タコパやろタコパ！」

優希「タコスパーティー！？」

純「そこはたこ焼きじゃねぇのか！？」

恭子「……タコなんてそう都合よくストックしてないで？」

エイスリン「じゃあねお好み焼き！ 恭子ちゃん作ってや！」

恭子「はぁ……ま、ええけどな」

憧「コナモノ好きなんですか？」

エイスリン「恭子ちゃんが作ってくれるのがおいしくてなぁ」

恭子「うちなんて……あんなん末原焼きやで。 真のお好み焼きには程遠い……」

純「変なとこでネガるなよ……十分うまいって」

881 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:24:13.39 ID:JCRyFl930

恭子「……すまんな、一人で空回って。 気遣わせたな」

憧「いえ、そんな……みんないつもお世話になってますし、恭子さんもたまには甘えてのんびりしちゃってください」

恭子「ん……ありがと」

優希「よし！ そうと決まれば買い出しだな！ タコスの材料を買ってこなければ！」

純「タコスはタコスで作るのな……」

優希「当然だ！ まかせたじょノッポ！」

純「はぁ？ なんでオレが……」

優希「お前がバイク出すのが一番早いからに決まってるだろ！」

純「あー……まあいいけどよ」

エイスリン「じゃあ、純と憧ちゃんが買い出し担当な！ よろしく！」

憧「は、はい！ 了解です！」

純「あー……んじゃさっさと用意してくるわ。 ごちそうさま」

優希「おう！ お粗末様だじぇ！」

882 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:25:26.25 ID:JCRyFl930

エイスリン「……ごめんな？ なんかノリで喋ってたらみんなでだらだらする感じに……」

憧「いえ！ そんな、全然！」

エイスリン「頑張りや！」

憧「べ、別にそんな、頑張るとかそういうんじゃないですけどね！？ ちょっと買い物行くだけですし！？」

エイスリン「はいはい」

優希「こっちはこっちで準備しとくから少しぐらいのんびりしてきていいじょ？」

憧「だ、だから変に気を遣わなくていいってば！ でもありがとね！？」

恭子「なにもそんなに慌てんでも……憧ちゃん、とりあえずこれ買い出しリストな。 これで足りると思うんやけど……」

憧「あ、はい。 日用品もこないだ補充したんで平気かと……」

エイスリン「あ、私ほしい画材が……」

憧「それはわからないので自分で行ってください……」

エイスリン「ちぇー」

優希「いつものボードとペンじゃダメなのか？」

エイスリン「たまーにちゃんとしたので描きたくなったりするんよー」

恭子「エイスリンは絵うまいもんなぁ」

エイスリン「純と違ってな！」

恭子「……アレはアレで味があってええけどな」

エイスリン「ふふ、私も純の絵好きやで？」

優希「……素直にヘタクソだと言ってやるのも優しさじゃないか？」

エイスリン「いや、バカにしてるわけやないんやで？ 純、楽しんで描いてるしな！ それに、ヘタクソなのは自覚してるし今さら言うまでもないやろ！」

憧「も、もうちょっと言い方ありませんかね……？」

883 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:26:29.01 ID:JCRyFl930

純「おい！ なんかオレの悪口言ってたろ！？ わかんだぞ！ そういうの！」

エイスリン「あ、出る準備できたん？」

純「おう、いつでも行けるけど……」

エイスリン「いやいや、いやいや！ ほめてたんやで？」

恭子「あー、そうそう、ほめてたで」

優希「お前の絵をな！」

純「バカにしてたんじゃねーか！」

優希「というかお前準備早いな？ 一瞬じゃないか」

純「あ？ そうか？ こんなもんだろ」

恭子「女子と違って準備早いな」

純「オレは女だ！」

エイスリン「おー」

純「なんの拍手だよ！？」

エイスリン「いや、流石の定番ネタなだけあってキレッキレやなあって」

純「別にネタじゃねぇからな！？」

憧「っ、ごちそうさまっ！ ちょっと待っててくださいね！ すぐ準備しますんでっ！」

純「ん？ いいよ別に急ぎじゃねーしのんびりで……」

憧「準備時間かかっちゃうんで！ ああ、すぐに、すぐに準備しますけどっ！」

恭子「女子は準備に時間かかるからなぁ」

優希「お前とは違うんだじょ？」

純「だからオレは女だ！」

エイスリン「あっはっは！」

純「うるせーぞエイスリン！ バカ笑いしてんじゃねぇ！」

884 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:28:30.35 ID:JCRyFl930

みんな楽しそうにしてるから少し名残惜しいけど、駆け足で準備にとりかかる

ちょっとした買い出しとはいえ、ふたりで出かけるならデートみたいなものだ

いや、ただの買い出しをデートのレベルまで楽しめるものにできるかは私の努力次第だ

努力は大切だ。 努力無しに成功することは……まあ、場合によってはあるかもしれないけど、ハルエだって和だって努力の結果プロになってるわけだし、透華さんだって夢のために努力しているところだ

私たちだって、今こうやって麻雀修行に励んでいるんだし……とにかく、なにが言いたいかというと努力は大切だってことだ

着替えて、髪も……ああ、寝癖直さなくっちゃ！ あーもう思い出すだけで恥ずかしい……

純さんは急ぎじゃないからゆっくりでいいって言ってたけど、つまるところ急ぎで準備すればその分浮いた時間を遊んで過ごせるってことだし！

……こっち来てからは麻雀漬けだったし、たまにはいいよね、うん。 みんなでお休みの日ってことにしたんだし……

純「憧ー？ 行けるかー？」

憧「うぇ！？ ちょ、ちょっと待ってください！ あー、あと……さ、三十分！ 三十分で準備しますから！」

恭子「さっきゆっくりでいいって言うとったやん……」

優希「堪え性のない男だな」

純「オレは女だ！」

エイスリン「マジウケるわー」

純「あっ！ お前飽きてきただろ！？ さんざんいじる割にもう飽きてきただろ！？」

エイスリン「てへっ☆」

純「かわいければ許されると思ってんじゃねーぞ！？」

優希「かわいくないよりはいいじぇ」

恭子「せやな。 洋榎だと許せなくても絹ちゃんなら許せるみたいなこと今までたくさんあったし……」

純「でもオレがこれやったら許さねーだろ！？」

恭子「いや、だってそれはかわいくないやろ？」

優希「寝言は寝て言えバーカ」

純「腹立つなお前ら……」

エイスリン「純」

純「なんだよ」

エイスリン「ドンマイ」

純「お前が一番腹立つんだよ！ なに勝ち誇った顔してんだ！」

エイスリン「私、かわいいから……」

純「うるせーバーカ！」

885 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:29:35.01 ID:JCRyFl930

ーーーーーー


純「ったくよ……あいつら散々好き放題言いやがって……」

憧「あはは……前より全然仲良くなってますね？ エイスリンさんもだいぶ遠慮なくなってますし……」

純「恭子はともかく、エイスリンは前から遠慮ねーだろ……結構酷いこと言うぞあいつ……」

憧「に、日本語難しいですから！ しょうがないですって！」

純「いやいや！ 絶対言葉じゃなくって性格の問題だって！ アイツほんといい性格してんぞ！？」

憧「そ、そういうところも含めてエイスリンさんですから……」

純「はぁー……まあ、退屈しなくていいけどさ」

……結局、一時間かけて用意をしてやっと部屋を出てきた

ところで、バイクって素晴らしい乗り物よね

カッコいい純さんが乗ることで更にカッコよさが上がるし、なによりも運転してる純さんに合法的にくっつけるし！ 合法的に！

いや、特に法を侵すようなことは起きないし起こすつもりもないけど！

純「……なんかよお」

憧「は、はひっ！？」

純「いや、憧や優希が来てからは特に麻雀漬けだったからさ……休日に休むってのも久々でさ」

憧「……私も優希も来てからずっと麻雀しかしてませんしね」

純「……観光とかも全然してねぇだろ？ 適当にここら回ってくか？」

憧「えっ！？ い、いいんですか！？」

純「まあ、たまにはいいだろ」

憧「そ、それじゃあ！ ……あー、でもみんな待たせるのも悪いし……」

純「じゃ、適当に流すからどっか行きたいとこ考えとけよ。 次の休みにでも連れてってやるからさ」

憧「ま、マジですか！？ やった！」

純「はは、やっぱり憧もちょっとは遊びに出たいんだな」

憧「え？ ええ、まぁ……えへへ」

これはズバリ、次の休みはデートしようぜ！ ってことだもんね！？ まあ次の休みがいつになるかはわからないけど！

886 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:31:37.90 ID:JCRyFl930

純「こっち来てからも、ほとんど麻雀の話しかしてなかったよな、そういや」

憧「あはは、そうですね……そのために来たから間違っちゃいないんですけど」

純「…………あのよぉ」

憧「なんですか？」

純「…………透華たち元気にしてんのか？」

憧「……それ、ずっと聞きたかったんですか？」

純「……別に、今思いついただけだけど」

憧「へぇ？」

純「……んだよ」

憧「いや、かわいいなって」

純「……ふんっ」

憧「拗ねないでくださいよぉ」

純「拗ねてねーし」

憧「ふふふ」

素直じゃない人だ。 私が言えたことではないけど

887 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:32:52.65 ID:JCRyFl930

憧「みなさん元気にしてますよ。 透華さんも衣さんも一さんも智紀さんも萩原さんも」

純「……そうか」

憧「透華さん、ちょっと寂しそうでしたけどね」

純「……ちょっとかよ」

憧「……拗ねてます？」

純「拗ねてねー！」

憧「でも、透華さん凄く頑張ってますよ。 純さんが強くなって帰ったときに、力を活かせる場所を用意しておかないと、って」

純「……ふーん」

憧「信頼されてますよね」

純「……裏切れねえな」

憧「……ですよね」

純「透華が……あいつらがオレのこと信じて待ってんなら、やっぱりオレも強くなって帰らねぇと……透華が用意した場所を無駄にするわけにはいかねぇしな」

憧「そうですね……私も、強くならないと……」

和や咲は一足先にプロとして戦ってる。 ずっと追いかけてたハルエだって……初瀬みたいなライバルもいるし、お姉ちゃんにも心配かけてこっち来てるわけだし……

憧「うん、強くならなきゃ」

888 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:34:24.36 ID:JCRyFl930

純「材料、これで全部か？」

憧「えー…………はい！ バッチリおっけーです！」

純「んじゃ、戻るか……ま、折角だし今日はしっかり休んで、明日からまた頑張ろうぜ」

憧「後半だけ聞くとダメな人ですねー」

純「今日以外はしっかり頑張ってるからいいんだよ」

憧「ふふ、そうですね」

純「……穏乃たちとはたまに連絡とってんだろ？」

憧「え？ はい……今まで二、三回は……」

純「……それとなくあっちの様子聞いといてくれよ」

憧「ふふっ、もう、自分で連絡とればいいじゃないですか」

純「オレはそーいうキャラじゃねーの」

憧「意地っ張り」

純「こっち来たのも意地だからな……オレは、まだまだ強くなる……」

憧「私だって！ 和たちに負けてられませんし！」

純「……強くなって帰ろうぜ。 一緒にさ」

憧「！ はい！ 一緒に！」


結構単純なもので、私は当分頑張れそうだ


カン！

889 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/12(月) 00:44:51.77 ID:JCRyFl930

末原ちゃんは化物ども全員風邪ひけ！とか思いながら一生懸命頑張ってます
エイちゃんは末原ちゃんに習った日本語と強くなった麻雀の腕を引っ提げて日本に行ってシロたちをびっくりさせるのが目標

890 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/12(月) 01:09:44.08 ID:x1pyYwqno

乙です

891 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/12(月) 07:32:38.17 ID:I+f1kAQA0

乙です
遂に憧ちゃーと優希ちゃん渡独しましたか
ドイツと言えば白築母娘ですが
出て来ますかね？
咲-Saki-世界有数の料理の鉄人系アラサー女子な慕ちゃーと会ってちみっ子時代の善野さんと赤土先生の話で盛り上がって欲しいのですが

892 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/12(月) 17:42:56.69 ID:BIryWFnxO

風邪ひいたらひいたで優しく看病するんだろうなあ

893 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/12(月) 23:18:02.38 ID:5w+t5SWG0

1番びっくりされるのは関西弁なんじゃ……
おつ

894 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/16(金) 12:18:43.96 ID:PdaRW/XL0

乙です
休憩中に見に来たら更新されてた
帰ってからじっくり読ませて頂きます

895 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/16(金) 21:34:56.85 ID:PdaRW/XL0

連投失礼します
すばら、エイちゃんの関西弁ハマりすぎw
宮守勢との会合が楽しみすぎる
フライングで電話とかのシチュもあっても良いのよ(ﾁﾗｯﾁﾗ)

896 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:31:16.50 ID:Jsyd8Lhd0

>>893エイちゃん的には関西弁どうこうじゃなくって私、日本語喋ってる！ってとこが重要なのです
>>895直で電話で会話はしないけど似たようなのはそのうち…

三日連続で寝落ちしてたいへん不甲斐ないですがはるたんイェイ〜

897 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:32:16.78 ID:Jsyd8Lhd0

和「お誕生日、おめでとうございます！ 赤土先生！」

晴絵「はは、ありがとな和。 そろそろ誕生日が来るのも憂鬱だけど……こうやって祝ってもらえるとやっぱり嬉しいもんだね」

和「ふふ、楽しみにしていてくださいね！ 寮に戻る頃には弘世先輩がいろいろ準備してくださっていますし……私、はやりんと一緒にケーキも焼いたんです！」

晴絵「そりゃあ楽しみだなあ。 和とはやりさんなら間違いなくおいしいし」

和「はい！ 保証しますよ、自信作ですから！ 実家がケーキ屋さんだというのは知っていましたが、はやりんとっても手際が良くって……」

晴絵「小学生の頃から作ったお菓子店に出してたなんて話も聞いたことあるし……すごいよな、ほんと」

和「お料理やお菓子づくりに関しては私も自信がありましたけど……はやりんには敵いませんでした。 あ、でも今度また一緒にお料理しようって誘っていただけたんですよ！」

晴絵「はは、良かったな」

和「はい！ ふふ、こちらに来る前は環境が変わることに対して不安もありましたけど杞憂でしたね。 はやりんをはじめとしてみなさんとても良くしてくれますから……」

晴絵「そう言ってもらえるとこちらとしても嬉しいね。 和は期待の新人さんだし、やめられちゃあ困る」

和「もう、私はそんな簡単に辞めたりしませんよっ！」

晴絵「わかってるわかってる。 和は昔からしっかりしてるし心配してないって。 ……ただ、なんかあったらすぐに相談してくれよ？ いくらでも話聞けるからさ」

和「赤土先生が居てくださるのも心強いです！ 私、これからも頑張りますからね！」

晴絵「頼りにさせてもらうよ」

898 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:33:13.83 ID:Jsyd8Lhd0

和はハートビーツに入団し、春からチームの選手寮に引っ越してきた

聞いた話ではご両親がだいぶ心配していたらしいが、信頼できる大人が側にいるという事で寮に入ることを説得したそうだ(私のことらしい。 正直照れくさい)

実際、こちらに来てすぐにチームメイトとも馴染んだし、特に菫とは意気投合してかなり親しくしているようだ

菫も最近ははやりんファンとしての奇行が目立っているが、それさえ無ければ真面目で世話焼きな子だ

和は少し世間知らずで天然なところがあるけれど、照の世話を焼いてきた経験のある菫にはたいした問題ではないらしく、年も近いし趣味も合うという事でよく一緒にいるのを見かける

和は結構人見知りをする子だったから、これでひと安心……なんて、まだまだ先生気分が抜けなくて、和ももう子どもじゃないんだからこんな心配するのも失礼かもしれないけど……

晴絵「…………和、なんか今日はご機嫌だな？」

和「はいっ！ 今日は赤土先生のお誕生日でとてもおめでたいですし、はやりんとお料理する約束もできましたし、それに弘世先輩が数年前のはやりんのライブツアーの限定版ディスクを実家から持ってきてくださって！ 私、手に入れられなかった奴なんですよ！ 今晩一緒に見る約束をしてるんですっ！」

晴絵「……へ、へぇ……よかったな」

和「はいっ！ 今からちょっと興奮してますっ！」

…………やっぱりまだ子どもかも

899 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:35:04.90 ID:Jsyd8Lhd0

晴絵「ただいまー」

和「戻りました！」

菫「お帰りなさい。 もう準備もできてますよ、ハルちゃん。それと原村、お姉さんが来てるぞ」

和「……お姉さん？」

菫「ああ。 ……？ お姉さんだろ？」

嘉帆「やっ！ 久しぶり、和。 お姉ちゃんだぞっ」

和「お母さんっ！？」

菫「おか……？」

晴絵「……なにやってるんですか原村さん」

嘉帆「いやあ、仕事で近くまで来たもんだからかわいい妹の様子でも見てこうかと……」

和「いつ母親から姉に変わったんですか！？ そりゃあ、お姉ちゃんがほしいと思ったことはありますけど……」

嘉帆「あー…………それは、そうね……姉は無理だけど妹ならお父さんに頑張ってもらえば……」

晴絵「原村さん！？ ちょ、何言ってるんですかいきなり！？」

菫「……あの、話が見えないんですが……」

嘉帆「え？ だから私と旦那が……こう、頑張れば、和にも妹が……」

晴絵「原村さんっ！！」

嘉帆「いや、私まだ若いし大丈夫よ！ ギリギリ産めるって！ あ、そりゃあ弟になっちゃう可能性も……」

晴絵「原村さんっ！ ちょっと！ やめましょうよ！！」

嘉帆「やだなぁ冗談ですよ怒らないでくださいよ赤土先生」

菫「……えっと？」

和「……母です」

菫「……冗談だろ？」

900 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:36:34.95 ID:Jsyd8Lhd0

菫「だって、若いじゃないか。 私より少し上ぐらいだろ？」

嘉帆「えっと、ちょっと待ってね。えー……弘世弘世……」

晴絵「……なんで選手名鑑持ち歩いてるんですか？」

嘉帆「いや、さっき買ったんですよ。 和もプロになったことだしちょっとくらい知っておいてもって……あった！ 弘世さん、今年で21？」

菫「え？ ええ、まあ……」

嘉帆「それじゃあ、私は今年で26よ！」

晴絵「それじゃあ！？」

菫「やっぱり若いじゃないか」

和「弘世先輩！？ 落ち着いてください、私にとっても若くて綺麗で自慢の母親ですが……」

嘉帆「姉は廃業します！ 和の母です、よろしくね弘世さんっ！」

菫「んん！？ しかし、今年で26ってそれじゃあいくつで原村を……？」

和「年齢！ 年齢が嘘なんです弘世先輩っ！」

嘉帆「えっと、28で和を産んだから……今年で26？」

和「どういう計算式ですか……」

菫「28で、って……小鍛治プロよりも若い時に……」

晴絵「小鍛治さん関係ないだろ！？ 引き合いに出すのやめてあげて！？」

菫「ああ、すみませんつい……って、それじゃあ嘉帆さん今年で……いやいや、嘘でしょう？ 見えませんよ」

嘉帆「私、弘世さんのこととっても気に入ったわ！ 応援してるからこれからも頑張ってね！」

菫「あ、ありがとうございます、嘉帆さん」

和「お母さん……」

901 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:37:43.52 ID:Jsyd8Lhd0

嘉帆「あ、そうそう。 これ、お土産です。 赤土先生もお誕生日だって聞いていたので……」

晴絵「え……いやいや！ そんな、ありがたいですけど受け取れませんよ！ 生徒のお母様からなんて……！」

嘉帆「いやいや、それこそ今は赤土先生も和の同僚じゃないですか。 教師と生徒の母親じゃないんですから」

晴絵「あ、そっか……すみませんつい……」

嘉帆「いえいえ、先生がしっかりした方だって再認識できましたよ。 ケーキも買ってきたんですけど、多分用意してありますよね？」

和「はい、はやりんと一緒にケーキを焼いて……」

嘉帆「やだ！ さっすが私の娘なんでもできるわね！」

和「いえ、そんな、なんでもとはいきませんけど！」

菫「そんなに謙遜しなくても、実際いろいろとできるじゃないか。 私と違って女子っぽいこといろいろできて羨ましいぞ」

和「そ、そんな……ありがとうございます……」

嘉帆「あ、あとワインとかも買ってきたんですけど赤土先生お酒は……」

晴絵「好きです好きです。 結構なんでも飲みますんでありがたいです！」

嘉帆「よかった！ あ、和は飲んじゃダメよ？ まだ成人してないし……」

和「言われなくてもわかってます！」

嘉帆「いやあ、親として司法に携わる者として一応ね？ 弘世さんは飲める？」

菫「少しは……あまり強くないですが、飲むこと自体はわりと好きです」

嘉帆「よしよし、高級品の味をお姉さんが教えてあげよう」

晴絵「え、そんな高価な物持ってきてくださったんですか！？」

嘉帆「ああ、気にしないでください。 半分は貰い物なんで……」

和「半分はって……どれだけ持ってきたんですか……」

嘉帆「ほら、うちに置いておいてもお父さんあんまりお酒飲まないでしょ？ おいしく飲んでくれる人のところに行った方がこの子達も幸せなはずだから」

和「言っていることはわかりますけど……」

902 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:40:20.76 ID:Jsyd8Lhd0

嘉帆「おっと、そろそろ行かなきゃ……」

和「えっ？ もう帰っちゃうんですか……？」

嘉帆「そんなに寂しそうにされたら帰りにくいじゃないのよ！ まったく、和はお母さんっ子なんだから！」

和「ええ、その……久しぶりでしたので……ごめんなさい……」

嘉帆「私の娘滅茶苦茶かわいくない？ 大丈夫？」

晴絵「大丈夫ですよ」

嘉帆「いやーもう娘も旦那も私のこと好きすぎて怖いくらいね。 単身赴任してる間に愛が深まっちゃった？」

和「私もお父さんも昔からお母さんのこと大好きですよ？ 昔、お父さんに『お母さんのどこを好きになったの？』 って聞いたことありますけど『全部だよ』って言ってましたし……」

嘉帆「あら……そ、それいつの話？」

和「小学校上がる前ぐらいだったかと……」

晴絵「へぇ……あのお父様が……そういうこと言うんだ。 言っちゃなんだが結構意外な……」

嘉帆「……む、娘の夢を壊さないために言ったんじゃないかしらね？ そういうこと口にするタイプじゃないし……」

晴絵「……なに照れてるんですか」

嘉帆「いや、さすがにちょっとね……まったく、どうせ言うなら私に直接言えばいいものを……」

菫「やっぱり言われたいですか」

嘉帆「いや、せっかくならねえ？ 弘世さんだってどうせなら言われたいでしょ？」

菫「…………いえ、私は……相手もいないですし……」

嘉帆「えっ！？ 弘世さんも相手いないの！？ えー……ちょっと、言っちゃ悪いかもですけど麻雀プロ界どうなってんの！？ 恋愛禁止なの！？」

菫「小鍛治プロなんかはむしろ奨励すらされているような気も……」

晴絵「だから小鍛治さん！ いちいち引き合いに出すのやめよう！？」

菫「すみません……でもやっぱりここは小鍛治プロのテリトリーというか……」

晴絵「おおいに苦手としてるフィールドだよ！？ ネタにして弄ってるのは主にこーこちゃんとかだから！」

903 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/06/25(日) 02:41:51.19 ID:Jsyd8Lhd0

嘉帆「なんか本当に心配になるわよ……和も大丈夫？ あんた男友達すらいないでしょ？」

和「と、友達くらいならいますよ！ 麻雀部にも男子いましたし！」

嘉帆「恋愛に発展とかは……」

和「え？ それは無いですね。 あり得ません」

嘉帆「それじゃあ意味無いじゃないのよ……」

晴絵「ここまで脈なしだとかわいそうだなぁ……」

嘉帆「まあ、なんならうちの若いの紹介するからね！ もちろん赤土先生にも！」

晴絵「いやーお話はありがたいですけど……」

菫「い、いえいえ！ そんな、私は、む、無理ですよ！ 麻雀とはやりんの話ぐらいしかできませんし！」

嘉帆「いやいや、そんな弘世さんのファンもうちにはいるからさ。 やっぱり娘がプロ入りしたってことでいろいろ言われるけど弘世さん結構人気者よ？」

菫「そ、そうなんですか？ それは……その、はい。 ありがとうございます……」

嘉帆「またまた、照れちゃってかわいいんだから〜」

和「しかし、お母さんのところの方というと検事さんですか。 それならしっかりした人が……」

嘉帆「あ、一応言っとくけどあんたはダメよ」

和「え……な、なんで私だけ仲間外れなんですか！？」

嘉帆「部下にお義母さんなんて呼ばれることになったら嫌だからよ！ 人に紹介できるスペックの人材でも部下にお義母さんって呼ばれるのは絶対に嫌！」

菫「複雑なんですね……」

嘉帆「女子麻雀プロは婚期逃すってもっぱらの噂だし早いとこいい相手見つけてほしいんだけどねぇ……」

晴絵「た、ただの噂ですから……」

904 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:43:24.75 ID:Jsyd8Lhd0

和「むぅ……あ、お母さん？ ところで、お時間の方は大丈夫なんですか？ お仕事あるんじゃ……」

嘉帆「おっと、危ない危ない……まあ、仕事じゃないんだけど。 お父さんも珍しく早く帰れそうって言ってたから久しぶりに手料理でも振る舞ってあげようかと思ってね」

和「お父さんもお母さんもやっぱり忙しいんですね……」

嘉帆「こればっかりはしかたないわねー……ま、私も単身赴任長かったしやっと一緒に住むようになってもなかなか顔会わせられなかったから……しっかり家族サービスしてあげないと」

晴絵「……なんだかんだ言って、嘉帆さんも旦那さんのこと好きですよねえ」

嘉帆「そりゃあね。 あれでなかなかいい男なのよ、うちの人」

和「私もお母さんがお父さんを見つけたみたいに、きっといい人を見つけますから！」

嘉帆「うんうん、頑張れ頑張れ！ 恋も麻雀もしっかりね。 弘世さんもプロ雀士の仲間とか集めといてくれればまとめて何人か紹介するわよ？」

菫「ご、合コンというやつですか？ いや、しかし……ああ、だけど小鍛治プロの二の舞は嫌だな……」

晴絵「だからさ……いや、しかし小鍛治さんのおかげで若手が結婚に対する危機感をもって晩婚化が緩和される可能性が……」

嘉帆「むしろ小鍛治プロが結婚した方がいいんじゃないかしらね？ パワーバランス崩れて戦争状態になるんじゃない？」

晴絵「……そんなことになったら焦った小鍛治世代が相次いで結婚しそうだなぁ……」

嘉帆「ふふ、まあ赤土先生もいつでも声かけてくれていいですからね？ 小鍛治プロにも伝えておいてくださいな」

晴絵「あはは……小鍛治さんは、まあ……そうですね。 ありがとうございます」

嘉帆「それじゃあ、お邪魔しました。 和も、みなさんも頑張ってくださいね。 応援してますから」

菫「はい、ありがとうございます！」

和「ありがとうございます！ 会えてうれしかったです！」

905 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:45:57.97 ID:Jsyd8Lhd0

はやり「遅くなっちゃってごめんねっ！ 来たよ〜」

菫「瑞原プロ！ お疲れさまです！」

和「お待ちしてました！」

はやり「えへへ、お仕事長引いちゃって……はるえちゃん、お誕生日おめでとうっ！ はやり、はるえちゃんのためになんでも歌っちゃうよ☆」

菫「！」

和「！」

晴絵「ありがとうございます。 えっと……ふたりとも、なにかおすすめの曲とか……」

和「あの！ それなら先月リリースした新曲が……！」

菫「この間ドラマとタイアップした曲も良くって……！」

和「それにですね、そろそろ夏になりますしこの季節なら……！」

菫「いやいや、それならこっちの曲も……！」

晴絵「……まとまったらはやりさんにリクエストしてくれな？」

菫「はい！」
和「はい！」

はやり「ふふっ、ふたりとも相変わらず仲よしでいいねっ☆」

晴絵「ええ、本当に……馴染みすぎて驚いてるぐらいですよ」

はやり「そうだよねぇ……あ、驚きといったらさっきそこで嘉帆さんに会ったよっ！ 和ちゃんに会いに？」

晴絵「ええ、和もますます元気が出たみたいで良かったです。 私もお酒とかケーキとかもらっちゃって……これ」

はやり「わ、また高価そうな……嘉帆さん、お仕事バリバリできます！ 稼いでます！ って感じだもんねぇ」

晴絵「ですよね……まあ、貰い物も混じってるって言ってましたけど……」

はやり「お父様も弁護士さんだって言ってたしお礼に貰ったりするのかな？ なんにせよすごいねぇ」

906 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:48:45.39 ID:Jsyd8Lhd0

晴絵「で、早速飲んじゃおうかと思ってるんですけど……はやりさんはどうします？」

はやり「んー……ちょっとだけいただこうかな？ 明日も朝早いし……」

晴絵「はやりさん弱いんだから気をつけてくださいね」

はやり「大丈夫っ！ ……今日泊まってもいい？」

晴絵「構いませんけど既に寝落ちする気満々ですよね？ ……最近普通に着替えとか置いてるし週の半分くらい私の部屋で生活してません……？」

はやり「だってはやりだけ寮暮らしじゃないんだもん……みんな集まってるのにマンション帰るのも寂しいし……迷惑ならやめるよ……？」

晴絵「全然迷惑とは思ってませんけど……」

はやり「よかったぁ！ ……はやりが起きれなそうだったら起こしてね？」

晴絵「お酒入れるといつもぐっすりですもんね……まあ、まかせてください」

はやり「ありがとうはるえちゃん！」

晴絵「もはやいつものことですし……こちらこそありがとうございます。 和とケーキ用意してくれたんですよね」

はやり「えへへ、すっごく上手にできたから期待してねっ！ あっ！ そうだ、はやりが食べさせてあげよっか？」

菫「！？」

和「！？」

晴絵「え……いや、大丈夫ですよ、自分で食べられますし……」

はやり「遠慮しないでいいよっ！ お誕生日だから特別っ！」

菫「羨ましい……」

和「わ、私の誕生日10月ですよ……まだまだ遠いです……」

菫「私なんかもう今年の誕生日終わってるぞ……一年近く待たないとはやりんにあーんしてもらえないんだぞ……」

晴絵「……はやりさん、私よりもあの二人にお願いします」

はやり「いいよっ☆」

菫「！！」

和「！！」

はやり「でも、今日の主役ははるえちゃんだからはるえちゃんからねっ！お誕生日おめでとうっ！ はい、あーん」

晴絵「…………いただきます」

907 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:50:04.71 ID:Jsyd8Lhd0

ーーーーーー


晴絵「……ふぅ」

和「ふふ、ゆっくりお休みしてください赤土先生。 私の部屋ですし、後は私が片付けますから」

晴絵「そういうわけにもいかないよ。 一番飲み食いしたの私だし……」

和「今日の主役なんですからいいんですよ。 それより、はやりんをお願いします」

晴絵「ああ……まあ、ソファーに寝かしっぱなしってのもな」

はやりさんはおいしそうにワインに舌鼓を打ったあと速攻で潰れた

菫もはやりさんの寝顔を見てなんか知らないけど妙にいい笑顔で気絶した。 菫もたぶん酒が回ったんだろう

和「今日は素敵な日でしたねっ！ 赤土先生のお誕生日で、はやりんとケーキを作って食べさせあいっこして、歌まで歌っていただいて！ お母さんとも久しぶりに会えましたし……あ、なんだか私ばかりにいいことが起きてますね……」

晴絵「ふふ、そんなことないさ。 私だってみんなにお祝いしてもらえて、ケーキもお酒もおいしかったし、和が嬉しいなら私も嬉しい」

和「……えへへ、ありがとうございます、赤土先生」

晴絵「っと……それじゃあ、はやりさん私の部屋に置いてくるから悪いけどよろしくな」

和「はい！ ……あ、いくらはやりんがかわいいからって変なことしちゃダメですよっ！」

晴絵「するわけないだろ……」

和「ええ、そうなんですけど一応言っておこうかと……」

晴絵「和も菫もそういうところは……あ、菫は大丈夫か？」

和「弘世先輩はまかせてください！ それに、そろそろ気がつかれると思いますので……」

晴絵「じゃあお願いしちゃうかな……はやりさーん？はやりさん、聞こえます？」

はやり「……………………」

晴絵「……ダメか。 っしょ、と……はやりさん軽いなあ……」

和「はやりんは綿菓子ぐらいの重さだともっぱらの噂ですからね」

晴絵「さすがに綿菓子よりは重いかな……」

908 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:51:41.31 ID:Jsyd8Lhd0

はやりさんをベッドに寝かせて、とりあえず一息つく

……そろそろ布団の一組ぐらい買ってこようか。 床で寝るとさすがに体が痛くなるし二人で横になるには私のベッドは狭い

…………うん、多少財布に打撃が来るけど買った方がいいな。 はやりさんを床に投げる訳にもいかないし、ちゃんと寝ないと私も体力的に厳しいし……

学生の頃なんかは全然寝なくてもよゆうで動けたのに……

晴絵「……やっぱり年か？」

誕生日来たし。 そろそろ三十路だし。 小鍛治さんじゃないけどアラサーだよ……菫や和はやっぱり若いよな。 たまに徹夜ではやりさんのライブのディスク見たりしてるらしいし……っていうか和が今晩一緒に見るって言ってたっけ？

菫が復活できるのかわからないけど……いや、はやりさんのライブのディスク見るんだから復活するんだろうな……若さってすごいな……

あ、なんか自分で言っててへこんできた……

晴絵「はぁ……そうだよなぁ……和も同じチームで……職場の同僚だもんなぁ……年取ってるよなぁ……」

晴絵「……シャワー浴びてさっさと寝よう。 これ以上は考えるだけ不毛……っと」

そろそろ日付も変わろうかという時間に電話……珍しいな。 こんな時間に連絡寄越すようなのって望とかぐらいだけど午前中に電話来たし……

晴絵「……小鍛治さん？」

……本当に珍しいな

909 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 02:53:09.76 ID:Jsyd8Lhd0

晴絵「……もしもし？」

健夜『あ、赤土さん。 遅くにごめんなさい。 今大丈夫？』

晴絵「ええ、こんばんは。 珍しいですね、小鍛治さんが電話なんて……」

健夜『うん、私も久しぶりに仕事関係以外で電話なんてかけたよ……たまにこーこちゃんがイタ電かけてくるぐらいだし……』

晴絵「……はは」

こーこちゃんなにしてんだ？ つーか相変わらず仲いいな

健夜『あ、そのこーこちゃんから聞いて思い出してさ。 赤土さん、今日誕生日だったなあって。 今度一緒に飲みいこうよ。 私が奢るからさ』

晴絵「ありがとうございます、是非」

健夜『ふふ……赤土さんもまたひとつ三十路に近づいたね……28だから私がこーこちゃんに出会って年齢をネタにされ始めた頃だね……』

晴絵「だいぶ屈折してますね！？ お祝いじゃなくて呪いですか！？」

健夜『大丈夫大丈夫！ 30になって結婚できなくても人生楽しいから！ 一緒に麻雀を恋人に頑張ろうね！ ね！？』

晴絵「呪いでもなく牽制の電話ですか！？」

健夜『い、いないよね！？ 実は恋人と過ごしてたとか無いよね！？ 隣で恋人が寝てるとか無いよね！？』

晴絵「いませんよ……あ、はやりさんが隣で寝てますけど……」

健夜『はやりちゃんとそういう関係に！？ いくら男性と縁がないからってそれは私よりもマズイんじゃないの！？』

晴絵「違いますよ！？」

健夜『な、なんだ……あんまり驚かせないでよ……ふたりとも凄く仲いいしもしかしたらって……』

晴絵「いやいやいやいや……さすがに同性に走るくらいならいい男の人探しますよ……あ、そういえば」

健夜『そういう候補がいるの！？ 裏切り者！』

晴絵「せめて話を聞いてから怒ってくださいよ！」

健夜『怒らないといけないような話なの！？ や、やっぱり……裏切り者！！』

晴絵「違いますよ！！」

910 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/06/25(日) 02:54:47.40 ID:Jsyd8Lhd0

晴絵「実は今日、嘉帆さんと会いまして」

健夜『ああ……そっか、原村さん大宮に入団したんだもんね。 ……ま、まさか一人だけいい人でも紹介してもらうつもり！？』

晴絵「そういうことじゃなくって……嘉帆さんと話してると色々と思うところがありまして……嘉帆さん、旦那さんと凄く仲いいじゃないですか」

健夜『うん……結構のろけるよね……自慢かな……』

晴絵「卑屈になる必要はないと思うんですが……まあ、やっぱり少し羨ましいって気持ちはあるんですよね。 それに、嘉帆さんが和を産んだのって28の時だって話を聞いて……」

健夜『あー！ あーあーあー！ 聞こえない聞こえない！ 子どもも結婚もまだまだ先の話だから！ 聞きたくない！』

晴絵「小鍛治さん……いや、私も今のとこ浮いた話も無いですけど、そろそろ現実を見据えて……」

健夜『誕生日おめでとうっ！ おやすみなさいっ！』

晴絵「……切れた」

小鍛治さん……いつまでもあんな感じだからいつまでもいじられるんじゃ……

……しかし、あの調子じゃやっぱり小鍛治さんも当分は独り身だな

つまり……私もそこまで急がなくても大丈夫ってことだよな！

晴絵「うん、結婚も考えないとだけど……優先順位的にはやっぱり小鍛治さんに勝つことだしな」

拾ってくれたチームに……はやりさんに恩返ししないとだし、プロになったのも小鍛治さんと戦って勝つためだ。 それに、小鍛治さんだけじゃなくて咏ちゃんや野依さんみたいなライバルたちもいることだし……よそ見をしてて勝てる相手たちじゃないもんな！

30までに結婚することよりも……小鍛治さんたちに勝って、タイトルのひとつやふたつ勝ち取ることの方が私にとっては大切な目標だ

晴絵「……よし！ 明日からますます麻雀頑張るぞ！」

……決して逃避じゃないぞ。 これが現実を見て夢を追うことを選択してきた私の出した結論なんだから

……逃避じゃないぞ！


カン！

911 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/06/25(日) 03:00:46.97 ID:Jsyd8Lhd0

原村家は咲世界一の円満家庭だと勝手に思ってます。次点で愛宕一族。とにかく原村夫妻はアピール機会少ないけどイチ押し
原作はとうとう副将戦入りますね。見開き白水哩ってだけで笑っちゃうからズルい

912 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/25(日) 12:18:15.75 ID:rV1ektYA0

乙です
赤土先生のＢＤ(バースデー)でしたね
次回ははやりんのＢＤですかね？
関無ちゃーからのキツい祝電は有りましたから
そろそろ慕ちゃーからの祝電&プレゼントが来ますかね？
其れとも大宮のメンバーと松山のメンバーと美月さんと一緒に杏果さんの旅館で祝うんでしょうか？
楽しみです

913 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/25(日) 13:25:55.22 ID:4d0Q7mOVo

乙です

914 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/25(日) 21:19:54.07 ID:ldJGTAMnO

テンパってiPSとか言い出すのかと

915 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/26(月) 03:33:37.32 ID:cDSM7kZ/o

更新多くて嬉しいんじゃ

916 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/27(火) 12:03:16.30 ID:dAb9quU7O

おつ
すこやん……
のどっちテンション高いね

917 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/27(火) 12:17:24.57 ID:RElG+WsT0

乙です

918 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/06/27(火) 19:47:26.59 ID:RElG+WsT0

すばらです
昼休憩の時に投下したはずが反映されてなかった・・・
イヤー更新あると二度は読んでしまう
次回更新も楽しみ待ってます

919 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/01(土) 03:19:13.84 ID:MA46FlI10

>>915精々月2レベルだし多くないですよ！騙されてますよ！…今のところ週一ぐらいまでペース上げたいとは思ってますがたぶん厳しいかなぁ…
>>916和はこの日は様々な要因が合わさってテンション高めです。個人的イメージだと和って転校が多くて友達が少なく大人しめに→しずや優希ははしゃぎまわるから止める側にって感じでうまくわーわー騒げない子、みたいなイメージというか…ここの環境だと年上+ストッパー側の人間に囲まれてるのでわりと安心してテンション上げる側に回れてる感じです

投下>>895電話

920 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/01(土) 03:20:11.50 ID:MA46FlI10

エイスリン「あれ、憧ちゃんなにしとるん？」

憧「エイスリンさん……いえ、久しぶりにしずにでも電話してやろうかと……」

エイスリン「電話……電話かぁ……」

憧「……そういえば、エイスリンさんは胡桃さんたちに電話したりしないんですか？」

エイスリン「んー…………そりゃあ、もちろん私かてみんなと話したいんやで？ でもな……」

憧「……なにか理由が？」

エイスリン「いやあ、だってやっぱり直接会って驚かせたいやん？ 今の私は恭子ちゃんのおかげで日本語もペラペラやしな！ きっとみんな驚くで！」

憧「あー……はい……凄く驚くと思いますよ、いろいろと」

エイスリン「ふふ、せやろ？ これだけ流暢に喋れるようになっとるからな……きっと、あのシロだって驚くで！ ひっくり返ってベンチから転げ落ちるに違いないわ！」

憧「……なんでベンチ？」

エイスリン「？ シロはベンチでよく寝とるやろ？」

憧「あ、そうなんですか……そういえば龍門渕さんの大会の時も……というか、あれはちょっとどうかと思いますけど……」

エイスリン「ちょっとどころか普通にどうかと思うけどな！」

憧「そうですね……はい、どうかと思いますよ。 結構マジで」

921 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/01(土) 03:21:10.80 ID:MA46FlI10

エイスリン「……そういえば、憧ちゃんはこっち来る前にその大会でみんなにも会ったんやろ？ どんな感じだった？」

憧「みなさん元気そうでしたよ。 小瀬川さんは相変わらずな感じでゴロゴロしてましたし……」

エイスリン「はは、まあきびきび働いてたって言われた方が心配になるしシロはそんな感じでエエな」

憧「臼沢さんも変わらずですね……世話焼いたりいじられたり……」

エイスリン「塞らしいなあ」

憧「胡桃さんと姉帯さんも特に変わりは無かったですけど……今、ふたりでルームシェアしてるらしいですよ」

エイスリン「へぇ！」

憧「胡桃さんが進学の時に実家出て一人暮らし始めたのは知ってると思うんですけど……姉帯さんがお世話になってた熊倉さんがお仕事で岩手を離れることになったときに……」

エイスリン「そのまま胡桃のとこ転がり込んだんか！ ええなあ、楽しそうやなぁ」

憧「その時に一回引っ越したらしいですけどね。 元々ロフトある部屋だったらしいんですけど姉帯さんのサイズだと生活しづらかったらしくて」

エイスリン「豊音、馬鹿げたデカさやもんなぁ……しかし引っ越すほどとは……」

憧「家賃折半のおかげでもっといい場所で広めの部屋借りられたから良かったって胡桃さん言ってましたけどね」

エイスリン「はは、それもそうか！ 胡桃もなんだかんだで一人暮らし寂しかったろうし豊音が一緒なのは心強いんやないかな？」

憧「姉帯さんが新聞とか断れなくってちょっと大変だったって言ってましたけどね」

エイスリン「ふふ、それも豊音らしいわ」

憧「あとは、なまじ学校に近いとこに部屋借りたせいで小瀬川さんが寝床作りはじめて大変だって……そろそろ家賃取ろうかなーなんて」

エイスリン「それは胡桃が悪いな！ シロが楽しようとするのはわかってたろうになぁ……」

憧「臼沢さんが引っ張って帰るか逆に晩御飯の材料とか買ってきてみんなで泊まるかとかって……かなり楽しそうでしたよ」

エイスリン「ええなぁ……学生さんって感じやね」

憧「講義とバイトと麻雀ばっかやってるって言ってましたし……まあ、たしかに学生って感じですかねぇ」

922 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/01(土) 03:23:24.13 ID:MA46FlI10

エイスリン「あっ！ そういや憧ちゃん電話するとこやったやんな？ ごめんなぁ邪魔してもうて……」

憧「いえいえそんな……別に用事があるって訳でもないですし」

エイスリン「まあまあ、遠慮せず電話してーな！ あ、でも私が一緒なのは内緒やで？」

憧「ふふ、わかってます。 しずに言ったらたぶん伝わっちゃいますしね。 ……それじゃあ、ちょっと失礼して……」

憧「…………」

憧「…………」

穏乃『…………もしもし』

憧「あ、しずお久しぶりー寝てたー？」

穏乃『ねてた…………こっちまだ……ごぜんよじ……なんだけど……』

憧「知ってる。 この間こっちもかまされたしお返しってやつ？」

穏乃『このやろー…………あこー……このやろー……』

憧「……しず、起きてる？」

穏乃『…………あれ！？ 憧だ！』

憧「おはよー」

穏乃『おはよーじゃないよ！ こっちは寝てるっつーの！ 今何時だと思ってんの！？』

憧「午前4時？」

穏乃『正解だよ！ 寝てたよ！』

憧「うん、知ってるけど……」

穏乃『あっ！ この間私が時差忘れて電話したの根に持ってるんだろ！ 酷いよ！ こっちはわざとじゃなかったのに！』

憧「いや、うん、仕返しのつもりなんだけど……それさっき全部言ったからね？」

穏乃『え！？ そうなの！？』

憧「……じゃあ遅くにごめんねーおやすみー」

穏乃『用事無いの！？』

憧「無いわよ」

穏乃『バカ！ 寝る！』

憧「おやすみーみんなによろしくー」

穏乃『こっちの台詞だ！ 優希や純さんによろしく！ おやすみ！』

憧「はーい。 じゃあねー」

エイスリン「……そんなんで良かったん？」

憧「えー、まあ……ほんと、ちょっとの嫌がらせってだけだったんで……」

エイスリン「……ふふ、ま、声聞くだけでもなんかちょっと安心するよなぁ」

憧「……別にそんなんじゃないですけど」

エイスリン「はいはい、せやね」

923 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/01(土) 03:24:13.31 ID:MA46FlI10

エイスリン「ふぅーむ……しかし、憧ちゃん見てたらやっぱりちょっと羨ましいなぁ……電話することも考えてみようか……」

憧「いいんじゃないですか？ 電話でも十分びっくりすると思いますよ？」

エイスリン「うーん…………」





エイスリン『もしもし？ みんな久しぶりやなぁ！ 元気やった？』

豊音『エイスリンさんお久しぶりだよー！ 元気そうでよかったー！』

エイスリン『おう！ 豊音も相変わらずでっかいなぁ！』

豊音『えへへ、また身長伸びちゃったよー』

胡桃『……あれ？ エイちゃん日本語喋ってる！？』

塞『わ、ほんとだ！ すごいじゃん勉強したの！？』

白望『！？』←驚きのあまり寝床から跳び起きる

豊音『わぁ！ 本当だ！ 全然気がつかなかったよー！ エイスリンさんすごーい！』

エイスリン『へへへ、まあな！ ええ先生が居るねん……麻雀も超強くなったからな！ 今度日本に行くからその時は勝負やで！』




エイスリン「こんな感じになるやろうから……」

憧「えー……たぶんもうちょっといろいろ……」

エイスリン「あ！ せやな！ 憧ちゃんや優希ちゃんに純や恭子ちゃんのことも話すし、そしたらもっと驚くやんな！？ うーん……これは、しっかりイメージトレーニングしといて来る日に備えんと……」

憧「…………うーん」

924 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/01(土) 03:25:18.69 ID:MA46FlI10

エイスリン『もしもし？ みんな久しぶりやなぁ！ 元気やった？』

豊音『エイスリンさんお久しぶりだよー！ 元気そうでよかったー！』

エイスリン『おう！ 豊音も相変わらずでっかいなぁ！』

豊音『えへへ、また身長伸びちゃったよー』

塞(……なんで関西弁？)←驚きのあまり硬直

胡桃『なんで関西弁！？』

白望『……………………』←胡桃が突っ込んだからツッコミ放棄

豊音『わぁ！ 本当だ！ 全然気がつかなかったよー！ エイスリンさんすごーい！』

エイスリン『へへ、日本語一生懸命勉強したんや！ いい先生も居ってなあ……』

塞(……なんで関西人の先生を？)

胡桃『なんで関西人の先生呼んだの！？』

白望『…………』←胡桃がいるとツッコミいれなくて良いから楽だなあ、と思っている

豊音『エイスリンさん！ わーわー！ すごーい！ すっごく日本語上手になってるよー！ 頑張ったんだねー！』

エイスリン『うん！ みんなとちゃんと話したくって……一生懸命勉強したんやで！』




憧「……こんな感じなんじゃ」

エイスリン「ん？ なんか言うた？」

憧「あ、いえ……エイスリンさん日本語完璧ですしきっとみなさん驚きますよ」

エイスリン「うん！ へへっ、楽しみやなあ」

憧「……まあ、いいか」


カン！

925 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/01(土) 03:40:17.15 ID:MA46FlI10

短めですが。これくらいの長さならマメに投下できるかも…？

胡桃ちゃんの物件調べたことあるっぽい＝家出たいのかな？　小柄なの気にして早くひとり立ちしたいみたいな考えはあるのかもなぁ
塞さんは結構流されるしノリもいいけどなんだかんだで話まとめてるとこ好き

立先生のブログで優希のだじぇだじょはだぜだぞがうまく言えてないとかいう情報
時が経ってちゃんと言えるようになったとして

優希（16）「タコス食うか？おいしいじょ！」
優希（28）「タコス食うか？おいしいぞ？」

これはかわいい
優希は清澄内で誰と絡んでもおいしいし長野内でも友情パワー育てまくってるからなんでも行ける気がするんですよね
南浦さんも単純に好きだしライバル枠としておいしいし…
何が言いたいかというと優希メインのSSください

926 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/07/01(土) 08:25:07.20 ID:hSMr0j6C0

すばらです
朝からニヤニヤ読ませて頂いてます
リク採用とかありがた山のとんびからすやで
次回更新も楽しみ待ってます

927 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/07/01(土) 08:25:37.62 ID:V4vUnfkBo

乙です

928 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 22:51:33.05 ID:dI4/yFwg0

怜-toki-の方もセーラ来そうですね。日和もセーラとてもよかった。あと泉ちゃんはかわいい
結局一か月近く止まったけど投下。>>831これ

929 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 22:52:32.36 ID:dI4/yFwg0

宥「よーし……それじゃあ、始めるよ〜？」

佳織「はい！」

マホ「お願いします！」

宥「宥お姉ちゃんの、わくわく麻雀教室〜」

マホ「わぁ〜！」

佳織「パチパチパチ〜！」

爽「ドンドンパフパフ〜！」

宥「ふたりとも、頑張って特訓してみんなをびっくりさせちゃおうね！」

マホ「はい！ 和先輩に内緒で強くなってびっくりさせちゃいます！」

佳織「私も……智美ちゃんたちは練習したらダメって言ってたけど……次の大会で足を引っ張りたくないし……頑張ります！」

宥「うん！ 一生懸命練習すれば絶対に強くなれるよ！ ふたりとも回りに強い人多いし……」

爽「しっかり見てるだけでも勉強になるからな！ 私は勉強嫌いだけど！」

宥「…………あの」

爽「ん？ どうした宥姉ちゃん？ トイレ？」

宥「そうじゃなくて……」

爽「あ、いいよいいよお茶なんて！ 気を遣ってくれなくても！」

宥「そうでもなくって……」

爽「なんだよ？ 私と宥姉ちゃんの仲だろ？ はっきり言えって〜」

宥「なんでいるの？」

爽「なんか言い方！ 冷たくない！？」

宥「そんなことないよ？」

930 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 22:53:38.56 ID:dI4/yFwg0

爽「んー……まあいいや。 話せば長くなるんだが……」

宥「じゃあいいや。 それじゃあマホちゃん、妹尾さん、早速練習に……」

爽「聞いて！ 聞いてよ！ 宥姉ちゃんやっぱり冷たいよね！？ そんなに私のこと嫌い！？」

宥「え？ えっと、そういう訳じゃないんだけど……」

爽「じゃあ好きなの！？ 好きの裏返しなの！？」

宥「あ、それは違うよ」

爽「違った！ でもそんなにはっきり言わなくても！」

宥「……いちごちゃんと仲直りしたの？」

爽「……も、もちろん」

宥「…………」

爽「いやいや！ めちゃくちゃ仲いいし！ ちゃちゃのん獅子原の仲だし！」

宥「え、あの……うん？」

マホ「？」

佳織「…………？」

宥「えー……と、……ん？」

佳織「…………あの、それって特に仲がいいわけではないんじゃ」

爽「間が長いよ！ もっとすっきり突っ込んでよ！ 遠慮しなくていいから！」

宥「獅子原さん、今からちょっと大切なお話するから静かにしててくれないかなぁ？」

爽「遠慮なく排除しないで！ 混ぜてよ！ 寂しいじゃん！」

931 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 22:54:45.91 ID:dI4/yFwg0

マホ「すみません、質問です！」

宥「どうしたの、マホちゃん？」

マホ「あの、この方はどちら様でしょうか？」

爽「うぉい！？ 私を知らないだと！？ ほら、テレビで見たりしなかった！？」

マホ「えっと、芸能人の方なんですか？ すみません、マホあんまり詳しくなくって……」

爽「そうじゃなくって！ インターハイ！ 出てたんだけど！」

宥「有珠山高校の獅子原爽さんだよ。 北海道の大将さん。 獅子原さん、こちら夢乃マホちゃん。 長野の……原村和ちゃんの中学の後輩さんなの」

マホ「…………！ 言われてみたら、マホ、この人試合の中継で見た気がします！」

爽「気がするって言うか確実に見てるよね！？ 清澄と打ってるんだけど！？」

宥「こちらが妹尾佳織さん。 長野の鶴賀学園の次鋒で県大会決勝では区間トップだったんだよ」

佳織「せ、妹尾です。 よろしくお願いします」

爽「よろしく！ にしても次鋒ってことは染谷や龍門渕の沢村抑えたんだろ？ すげーじゃん！」

佳織「え、あ、ありがとうございます……その、たまたまなんですけど……」

爽「はは、たまたまで勝てる相手じゃないだろ〜」

宥「うん！ 私も妹尾さん才能あると思うよ！ 麻雀始めたばっかりなのにすごいよ！」

爽「麻雀始めたばっかりなの！？」

宥「今日は……ほら、初心者向け麻雀教室の時間だったんだもん」

マホ「マホ、すぐにミスしちゃうんです……先輩にも基本からしっかり覚えなさいってよく怒られて……」

佳織「わ、私も……役とか点数計算とかなかなか覚えられなくて……」

爽「それで区間トップだったの！？ かおりん凄いね！？」

932 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 22:55:45.15 ID:dI4/yFwg0

佳織「かおりん……」

宥「……あのさ、そんな急に距離感詰めてくと妹尾さんも戸惑っちゃうから……」

爽「えー！？ いいじゃん、仲良くしてよかおりーん」

佳織「え、ええ……その、別にかおりんで構いませんけど……」

爽「ほらほら！ かおりんもいいって言ってるし！ むしろ宥姉ちゃんこそ妹尾さんなんて距離を感じるぞ！ そういうのよくない！」

宥「えぇ……？」

マホ「それじゃあ、かおりん先輩ですね！ 改めてよろしくお願いします！」

佳織「あ、うん。 よろしくねマホちゃん。 一緒に頑張ろうね」

マホ「はい！ マホ、頑張ります！」

爽「いいぞいいぞ！ やる気のあるやつは強くなるぞ！」

宥「えっと……マホちゃん、佳織ちゃん、それじゃあ、最初は今話にも出たし役や点数計算のお勉強する？ 団体戦だと点数移動の計算もすっごく大切になるし……」

爽「いやいや！ 習うより慣れろだ！ 取り敢えず打とうぜ！ 二人とも麻雀部ならとりあえずは打てるんだろ？」

マホ「ええっと、チョンボしちゃうかもしれませんけど……」

佳織「打つのは好きです！ 時間かかっちゃうかもしれませんけど……」

爽「よっしゃ！ 打とう！」

宥「ちょ、ちょっと獅子原さん……」

爽「いいからいいから！ せっかく四人いるんだし！ 遊ぼ……打とうぜ！ 実践経験を積むのが大切なんだよ！」

宥「あの、えっと……」

爽「はい牌どーん！ 積め！ 手積みで行くぞ！ ひゃっほー！」

宥「…………はぁ」

933 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 22:56:53.33 ID:dI4/yFwg0

ーーーーーー


宥「……獅子原さん、それだよ。 3900よろしくね」

爽「えーもう和了るの？ 速いなー」

宥「獅子原さんこそ真面目にやりなよ……」

爽「いやほら、序盤は様子見だから！ マホとかおりんの感じ見たいし？ かおりんちゃんとオリれるじゃん」

佳織「ちょ、ちょっと前に赤土先生や宥さんにアドバイスももらいましたから……和了も遠そうな手だったので……」

マホ「むむ……かおりん先輩流石です！ マホも褒めてもらえるように頑張ります！」

宥「マ、マホちゃん、それツモったら多牌だよ……」

マホ「！？！？！？ あ、危ないところでした……」

爽「マホはもっと落ち着きを持たないとダメだな」

宥「獅子原さんも落ち着き無い子だと思うけど……」

爽「普段はね！？ 打ってるときは冷静沈着だから！ できる女だから！」

宥「…………」

爽「そんな疑問の目を向けなくてもよくない！？ インハイ参加校の大将なの私！ 知ってた！？」

宥「それなら普段からもっと落ち着けるんじゃ」

爽「みんなではしゃぎたいお年頃なの！ ……はい、ツモった！ 2000・4000！」

佳織「獅子原さんも速いですね……」

マホ「流石大将さんです！」

爽「ふふん、まあな！ あ、二人ともいいこと教えてやるよ！ 毎回満貫以上で和了ると点数計算楽だぞ！」

マホ「！ 獅子原先輩天才です！ マホ、ちっとも気がつきませんでした！」

宥「い、いや、そう簡単にいくなら苦労しないよ……？」

爽「苦労知らずですまんな！」

マホ「獅子原先輩カッコいいです！ 憧れちゃいます！」

爽「はっはっは！ 存分に讃えたまえ！」

宥「……あんまり参考にしちゃダメだよ……？」

佳織「は、はい……というか、無理ですよね……？ そんな、毎回大打点で和了するなんて……」

宥「うん……普通はね。 玄ちゃんとか、ちょっと特別な子もいるけど……」

934 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 22:58:02.74 ID:dI4/yFwg0

ーーーーーー


佳織「あっ、ツモです！」

爽「おっ！ かおりん和了ったじゃん！ 私と宥姉ちゃんを差し置いて！ なかなかやるねっ！」

宥「点数、大丈夫？」

佳織「はいっ！ これはこの間染谷さんたちに教えてもらったので……緑一色です！ 役満なんですよね？」

爽「えっ」

マホ「わぁー！ すごいです！ 役満なんてマホはじめて見ました！ 本当に和了れるんですねっ！ カッコいいです！」

佳織「えへへ……ありがとうマホちゃん」

爽「す、すごいな。 緑一色なんて珍しい……はじめて見たぞ」

宥「私は佳織ちゃんが和了ってるの何回か見てるから……3、4回目かなあ」

爽「そんなに！？ 緑一色ってそんなに出る役じゃないよね！？ かおりんもしかしてヤバイ子！？」

宥「佳織ちゃんは結構あーいう感じだよ」

爽「はー……とんでもないな……」

マホ「マホも役満和了ってみたいです！」

宥「ふふ、憧れる気持ちはわかるけど、あんまり狙うものじゃないからね？」

マホ「は、はいっ！ 和先輩にもよく言われるんです……牌こーりつとか、そういうのを考えないとダメなんですよね？」

宥「和ちゃんほど完璧に計算するのは難しいんだけどね……」

935 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 22:59:06.23 ID:dI4/yFwg0

ーーーーーー


宥「……ところで、本当になんで獅子原さんはここに……？」

爽「ん？ いや、近くまで遊びに来てたらわくわく麻雀教室なんて、宥姉ちゃんがはやりん路線に転換するかのようなワードが聞こえたから」

宥「あのタイミングで急に入ってくるのおかしいよね……？」

佳織「獅子原さん、宥さんに会いに来たんですか？」

爽「いやね、最初は宿でかくれんぼしてたんだけどさぁ……」

マホ「わぁ！ 楽しそうですね！」

爽「うん。 でも飽きてきたから揺杏と一緒にこっち来たんだけど」

佳織「……え？かくれんぼの途中でですか？」

爽「大丈夫大丈夫！ 鬼の成香が涙目になるかチカが飽きてイライラしてきたらばらしていいってユキに言ってきたし！」

宥「そんな、ダメだよそんなの……本内さんかわいそうだし戻ってあげた方が」

爽「別に宿の外に隠れたらダメなんてルール作ってなかったし？ 私は悪くねぇ！ 私は悪くねぇ！」

宥「ずるっ子だなあ……」

爽「賢いって言ってよ！」

マホ「獅子原先輩は本当にすごいですね！ マホが考えつかないことばっかりです……！」

宥「毒されちゃダメだよマホちゃん……」

爽「そんなことより！ 宥姉ちゃんははやりん路線に行くの！？ ユキのライバルになるの！？」

宥「な、ならないよぉ……わ、私、そういうの苦手だもん……」

爽「それは残念半分安心半分って感じだな……宥姉ちゃん素材がいいからそっち路線も全然……私がプロデュースしよっか？」

宥「遠慮します……」

936 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 23:01:43.27 ID:dI4/yFwg0

爽「もったいないなー」

宥「も、もう……いいからほら、獅子原さんのツモ番だよ？」

爽「へいへい……ほいどうぞ。 ……マホ、なんか良さそうな手張ってるね？」

マホ「うぇっ！？ な、なんでわかったんですか！？ 獅子原先輩エスパーなんですか！？」

爽「マホは顔に出すぎ。 それこそほら、先輩の原村みたいにポーカーフェイスの方が対局では有利だぞ？」

マホ「うぅー……き、気をつけます……でも、今回はなんか調子いいんです！ 配牌もよかったですし！」

佳織「あの……マホちゃん、そういうのも言わない方がいいんじゃないかな……？」

マホ「あっ！ そ、そうでした……」

宥「ま、まあまあ、練習だし、ね？ 次から気をつけよう？」

爽「宥姉ちゃん優しすぎだって……先生役をするならちゃんと厳しいところは厳しくしないと」

宥「……獅子原さんだってそんなに厳しくしてないじゃない」

爽「ん？ だって私は遊びに来ただけだし」

宥「…………」

爽「お、怒んないでよ……」

宥「……別に、怒ってないもん」

爽「宥姉ちゃんみたいにおとなしい子が怒ると怖いんだよ……前にからかいすぎて泣くかと思ったら成香がマジ切れした時なんてもう……」

佳織「し、獅子原さん……その、やんちゃなんですね……？」

爽「こう見えてね！」

宥「見た通りだよ？」

937 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 23:03:56.03 ID:dI4/yFwg0

マホ「獅子原先輩みたいにできたらカッコいいんですけど……、……！」

爽「だからそんなキラキラした顔でツモ牌手に入れたら手が進んだのバレちゃうよ？」

マホ「あっ！ ……む、難しいです……」

爽「うーん……ユキとは違う感じでいいなマホも。 かわいいねこいつ」

宥「へ、変な計画に巻き込むのやめてね……？」

爽「変なは酷いでしょー……真剣にユキをアイドル売りするためにプロデュースしてるというのに」

佳織「もはやインターハイ関係ないですよね……」

爽「麻雀してるから！ 目指せ牌のお姉さんだから！」

マホ「牌のお姉さんもカッコいいですよね！ 獅子原先輩も宥さんもかおりん先輩もカッコいいですし……マホももっと強くなりたいです！」

爽「はは、まあ私と宥姉ちゃん相手に和了れたらなかなかのもんだと思うよ？ チームの稼ぎ頭だからねーうちら」

宥「そういえばそうなるんだねぇ……」

爽「忘れないでね！？ 私これでも気を遣ってマホとかおりん見ようとしてるんたから！ 本気出したらアレよ！？ 一瞬でアレよ！？」

宥「アレってどれなの……」

マホ「……あ！ マホ、なんだかいける気がします……！」

爽「お、強気だなーそんなにいい手なの？」

マホ「はい！ かおりん先輩みたいにカッコよく和了れる気がします……！」

佳織「え？ 私？」

爽「はは、そりゃさっきのは凄かったけど役満ってそうそう出るもんじゃ……」

マホ「そ、それです！ ロ、ロンです獅子原先輩！」

爽「ほぇ？」

マホ「えっと、えっと……ち、ちんろーとーです！ 役満ですよね！？ 合ってますよね！？」

佳織「ちんろーとー？ えっと……あ、本当だ！ すごいねマホちゃん！」

爽「……わぁ」

938 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 23:05:34.38 ID:dI4/yFwg0

宥「……清老頭だね」

爽「うん……」

マホ「どうですか！？ 宥さん、マホすごかったですか！？」

宥「うん！ すごいよマホちゃん！ 役満ってだけでもすごいのにインターハイベスト8に残る学校の三年生の大将から直撃取っちゃうんだもん！」

爽「ぐっ」

佳織「マホちゃんやったね！ 成長してるんだよ！」

マホ「はい！ この調子で和先輩にも褒めてもらえるように頑張ります！」

宥「…………獅子原さん」

爽「うん……役満直撃って……すげーへこむなこれ……まさか中学生にトバされるとは……」

宥「……いくら練習とはいってもねぇ」

爽「……はい」

宥「もし大会だったらすっごく悔しいだろうなあ」

爽「はい……そうですね……」

宥「…………考慮してなかったの？」

爽「考慮してませんでした！！ 悪かったって！ 本当に！ 前に煽ったことちゃちゃのんにはちゃんと謝るから！」

宥「お姉ちゃんとの約束だよ？」

爽「…………」

宥「……獅子原さん？」

爽「宥姉ちゃんやっぱりアイドル路線に……」

宥「なりませんっ！ 反省してるのっ！？」


カン！

939 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/07/26(水) 23:12:04.44 ID:dI4/yFwg0

確認したら爽くんがちゃちゃのん泣かせた話が前スレ頭で二年前でいろいろ戦慄しました。投下ペース遅くなりすぎとかいろいろ…
いろいろ投下したい気持ちはあるので拾えそうなのは拾うつもり…です
出番間隔広いのがあらたそとくろちゃーですかね。次はどっちかかふたりが出番あるのにしようかと思ってます

940 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/07/27(木) 00:31:03.30 ID:Vccb6jsA0

乙です
玄ちゃーと灼ちゃーですか
灼ちゃーの大学が秋の関西大学リーグに備えた合宿を松実館で行うなんて如何でしょうか？
時期的にインカレ後だから宥姉さんや怜ちゃんの代が部長ですけど
そんな部長にはもーちゃんこと椿野美幸さんにやって居て欲しいですね！
如何でしょうか？

941 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/07/27(木) 12:15:12.45 ID:Pp+X2vni0

乙です
久しぶりのサザエさん時空ですねw

942 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/07/27(木) 23:05:32.70 ID:a34mraxqo

乙

投下ペース遅くてもいいから投稿の割合を
サザエさん時空の本編２：その他１にして

943 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:31:02.47 ID:23kJMMaN0

投下。ちょうど爽出したしそのまま本編時間であらたそ

944 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:32:57.71 ID:23kJMMaN0

灼「……前から思ってたんだけどさ、なんでそんなに本内さんの扱い酷いの？」

揺杏「んー？ 灼が憧ちゃんいじめるのと同じっしょ」

灼「なるほど」

穏乃「納得しちゃうんですか……」

灼「かわいいからついいじめたくなるやつ」

揺杏「成香はなぁ……私もね、ちょっと爽の気持ちわかるね」

灼「というか実際に今日放置してきたんでしょ？」

揺杏「まあかくれんぼも一時間もやったらだいぶ飽きちゃってなあ」

灼「むしろよくそこまで白熱したねかくれんぼ 」

揺杏「いやー、ホテルで隠れてるときに全然関係ない人に見られたときの恥ずかしさったらないね！ 誰にも見られたくないから真剣に隠れ場所探すし……」

穏乃「なんというか……自由ですよね、有珠山の方たちって……」

灼「穏乃にこういうこと言われるのって余程だよ」

揺杏「まあ、私が一番常識あるって時点でなかなかのもんだよなー」

灼「ブレーキ踏むのが揺杏と爽の率先してやらかす組なのもやばいよね」

揺杏「楽しいうちはなかなか止めないからな……実際問題無自覚にやらかすチカセンの方が危険人物だと思うよ？」

灼「わかっててやらかすのも大概だから」

揺杏「それなー」

945 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:34:58.93 ID:23kJMMaN0

穏乃「……ところでですね」

灼「？」

穏乃「あー、その、別にたいしたことじゃないんですけど……」

灼「珍しく歯切れ悪……どしたの？」

穏乃「いや、ちょっと気になったっていうか……その、本内さんとか、憧とか……」

揺杏「あ、いや！ いじめちゃうって言ってもほら、愛ゆえに！？ 嫌ってるわけじゃなくってね！？」

灼「その……い、いじりの範疇だと思うし……その、小学生男子的な心理というか……」

揺杏「そうそう！ 私たち小学生レベルだから！」

灼「一緒にしないでほし……」

揺杏「えっ！？ なんで！？ そこで裏切るの！？」

灼「一緒にされるのはなんというか……非常に不愉快なので……」

揺杏「うわひでぇ！ そんなこと言ったら私だって爽よりはマシだし！ 一緒にしないで！」

穏乃「お二人とも結構酷いこと言ってますよ！？ あの、いじめカッコ悪い的な話でもなくってですね……」

揺杏「なーんだ焦って損した」

灼「じゃ、なに？」

穏乃「そのー……いえ、わかってるんですよ？ 憧とか本内さんとかかわいいですし……」

灼「うん？」

穏乃「灼さんいつも優しくって……別にいじめられたいわけじゃないですけど……やっぱり私ががさつでかわいくないから……」

灼「…………」

揺杏「は？ かわいいかよ」

穏乃「え？ え？ なんで撫でるんですか？」

灼「穏乃はもう……もう……」

揺杏「なんなの？ かわいいんだけど？」

灼「たまらん」

穏乃「？？？」

946 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:37:37.57 ID:23kJMMaN0

灼「穏乃は素直でかわいいからこっちも素直にかわいがりたくなるわけで」

揺杏「そうそう！ ユキもそんな感じなんだよなー」

灼「穏乃いじめたりとかできない……」

揺杏「絶対こっちが悪いことしてる気分になるもんな……」

灼「あー穏乃かわいい」

揺杏「かわいいかわいい」

穏乃「え、えへへ、もう、なんですか急に……へへ」

灼「しかし、穏乃が私の愛に疑問を持っていたとはゆゆしき事態」

揺杏「もっと先輩らしいことしないとー」

灼「穏乃、今日のお昼は私が出してあげる」

穏乃「えっ……い、いえいえ！ ダメですよそんな！ 悪いですし！」

揺杏「先輩に先輩面させるのも後輩の仕事だぞー？」

灼「それに、今日も自作のラーメンマップ埋めるって言うから暇だしついてきたけど……穏乃、ラーメン食べ過ぎてそろそろ財布の中身が……」

穏乃「……そ、そんなことありませんよ？」

揺杏「すっげー目が泳いでるぞ」

穏乃「いや、そんなこと！ そ、それにこのラーメンマップだってメグさんと共同で作ってるから実質半額……」

灼「いやその理屈はおかしい」

揺杏「どうせメグが埋めたとこ後で一緒に食べ行ったりしてるんだろ？」

穏乃「な、なんでわかるんですか！？」

灼「予想通りすぎて……」

揺杏「そりゃ食べに行くよな……」

947 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:39:24.92 ID:23kJMMaN0

灼「しかもこれだと一回行った店もっかい行ってるよね」

揺杏「あ、そっか。 メグ連れて二回目だ」

穏乃「…………で、でも、お母さんや桜子達へのお土産代は残してますし……」

灼「でもとかそういう問題では」

穏乃「あぅ」

灼「まあ、そういうことで今日はお姉さんがかわいい後輩にご飯をおごってやろう」

揺杏「やったな穏乃！ ごちでーす」

灼「揺杏は自分のお小遣いあるでしょ」

揺杏「いや、私も実は結構ピンチで……」

灼「ちゃんと計画的に管理しないから……」

揺杏「ほら……衣装代とか……」

灼「……………………ああ……それは……」

穏乃「わ、私！ 私が出しますから！」

揺杏「あ、いや気にすんなって！ 好きでやってることだし！ ユキのとか本業？ でやってるのは部費から出してるし！」

灼「部費から服代出るっていうのもなかなか異常……」

穏乃「い、いつもいつも本当にお世話になって……」

揺杏「そ、そんな目で見るなって！ 本当にいいから！ 私も趣味と実益を兼ねてるし！ な？」

灼「…………とりあえず、予定のラーメン屋行こうよ。 堂々巡りしそうだし……今日は私が出すからさ」

揺杏「いや、だからマジで……」

灼「もらってばかりじゃ悪いし……穏乃や憧もお世話になってるし……一食分じゃ足りないけど、とりあえずね」

揺杏「……次は私が奢るから！」

灼「それじゃ意味ないでしょ。 とりあえず今日は穏乃の手前お姉さん面させてもらうから」

揺杏「……灼って実はカッコいいよな」

灼「気のせいじゃない？」

948 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:41:20.97 ID:23kJMMaN0

穏乃「うぅ……いつもいつも本当にお世話になって……」

灼「後輩の面倒見るのは普通……それに、穏乃とご飯食べるの好きだよ、私。 だからいいの」

穏乃「……灼さん！」

灼「？」

穏乃「私も灼さんのこと好きです！」

灼「…………」

揺杏「灼にやにやしすぎだぞ」

灼「いやだってもう……なにこれもう……」

揺杏「……私も灼のこと好きだぞっ」

灼「ちょっとせっかくのいい気分に水差さないで」

揺杏「ひでぇ」

灼「あーもう穏乃かわいいほんとかわいい」

穏乃「えっへへ〜」

灼「素直に撫でられる穏乃かわいい……」

揺杏「憧ちゃんだとこうはいかないからなー」

灼「憧は憧で口では嫌そうにしながらちょっと屈んで撫でられに来るのヤバイけどね」

揺杏「あの子なんだかんだ甘えん坊だよな」

穏乃「憧は下っ子ですからねぇ……望さんに相当かわいがられて来てますし」

灼「そりゃあそうだよね……私だって今5才の妹とかいたら絶対かわいいし」

穏乃「そうですよねぇ……そう考えたら絶対甘やかしちゃいますよ、私も」

揺杏「ああ……それはたしかに……」

949 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:43:03.75 ID:23kJMMaN0

穏乃「2つや3つ下の子でもあれだけかわいいんですから10も下になったら……とてつもないでしょうねえ……」

灼「ああ、麻雀クラブの……穏乃には妹みたいなものか」

穏乃「そうですね！ みんな妹みたいなものですよ！ へへ、でもあの子たち灼さんにもかなりなついてるじゃないですか」

灼「人懐っこいよね、あの子たち……最初はちょっと戸惑ったけど」

揺杏「噂の阿知賀のレジェンド麻雀クラブか。 灼は参加してなかったんだっけ？」

灼「ん……まあ。 今は、あんまり気にしてないけど」

穏乃「今は赤土先生と一緒に麻雀打ててますし、みんなとも仲良しですもんね！」

灼「…………」

穏乃「あ、あれ？」

揺杏「そこは照れんのかよー」

灼「……別に、そゆんじゃないけど」

揺杏「灼はかわいいなぁ」

灼「うっさ」

穏乃「でも、かわいい先輩っていうのもアリだと思うんですよね……宥さんとか」

灼「宥さんはかわいい」

揺杏「うん、あれはかわいいわ」

穏乃「あんなにかわいいのにすごく頼りになる先輩なんですよねぇ」

揺杏「そうなん？ なんか……年上なのにすごくお世話したくなる感じなんだけど」

灼「普段は結構ダメなお姉さんなんだけどね」

穏乃「ダ、ダメなって……」

灼「ダメでしょ？」

穏乃「あー……その……うー……」

灼「ま、そこがかわいいんだけど」

揺杏「灼って結構意地悪だよな」

灼「揺杏から悪い影響受けすぎだってよく憧に言われる」

揺杏「人のせいにすんなよー……つか憧ちゃん酷くね？ 私が悪いの？」

灼「揺杏のせいで私が憧に嫌われたらどうするの？」

揺杏「いや、どうもできないけど……」

穏乃「憧はあれで相当灼さんのこと好きだからその心配はいりませんよ！」

灼「それもそか」

揺杏「納得するのか……」

950 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:46:13.12 ID:23kJMMaN0

灼「納得せざるを得ないでしょ。 憧、私のこと大好きだし」

揺杏「なんでそこはいつも自信満々なの……」

灼「そりゃあ……うわっ」

揺杏「な、なんだぁ？ 今のすごい勢いで抜けてった黒い影……」

穏乃「あっ！ セーラさんですよ！ こんにちはー！」

セーラ「ん？ ……お、おう！ 高鴨に鷺森に……北海道の！ す、すまんなちょっと急いでて……」

灼「いえ、大丈夫です……ちょっと驚きましたけど」

揺杏「どもっす。 この暑いなか相変わらずの学ランっすか」

セーラ「スカートよりはマシや！ 俺はあのヒラヒラしたのがどうも苦手で……」

穏乃「あはは、制服も似合ってますけどね」

セーラ「や、やめぇや。 ほんと無理やねん……制服着ないの入学条件にまで入れて特待で千里山行ったのに試合じゃ着ろとか詐欺もいいとこやでほんま……」

灼「……あの、急いでたんじゃ」

セーラ「お？ あ、あー、それな。 それはもうええねん……そ、そっちこそなにしとったん？」

穏乃「これから三人でラーメン食べに行くところだったんですよ！ あ、お昼まだだったら一緒にどうですか？」

セーラ「ラーメン……ええな！ なんか聞いたら脳がラーメンになってきてもうた……」

揺杏「んじゃ、ご一緒しましょうかー」

セーラ「急に悪いな！ 岩館とは五決以来かー」

揺杏「あの時はどうもっす。 勉強させていただきました」

セーラ「なかなかよかったで！ 洋榎のやつも感心してたしな」

揺杏「マジっすか？ いやー関西の名プレイヤーのお二人に褒められたとなるとちょっと自信に繋がりますねー」

灼「あんま調子に乗らない」

揺杏「わーってるって……でも来年もあるしさ、ちょっとぐらい……なぁ？」

穏乃「そうですね！ 自信を持つのは大事ですよ！」

セーラ「せやな。 自信持って堂々と打てばええんや！ 高鴨はええこと言うなぁ」

穏乃「えへへ、ありがとうございます！」

951 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:47:54.53 ID:23kJMMaN0

セーラ「…………」

穏乃「……？ なんですか？」

セーラ「……高鴨は……やっぱこう、ええなぁ……素直さが眩しいわ……」

灼「同意します」

揺杏「穏乃大人気だな」

穏乃「な、なんか照れちゃいますね……へへ」

セーラ「だってな？ ほら……泉は小生意気でなぁ……あれはあれでええんやけど」

灼「二条さん、宥さんと仲いいですよね」

セーラ「みたいやなあ。 世話になっとるみたいやしよろしく言っといてや」

灼「了解です」

セーラ「頼むわ！ はぁ……泉はまだかわいげがあるけど浩子なんかはタメ口やで？」

揺杏「やっぱそういうの気になります？」

セーラ「いんや、付き合いも長いしたいして気にしとらんけど……でもやっぱ『おう、セーラ』って言われるのと『おはようございます先輩！』って言われるんじゃ全然違うやろ？」

揺杏「そりゃさすがに違うっすねー」

灼「後輩力に差が出ますね」

穏乃「後輩力！？」

セーラ「高鴨は高いな。 後輩力」

揺杏「穏乃は高いっすね」

穏乃「え、あの……ありがとうございます……？」

灼「さっきからずっとうちの後輩がかわいいって話をしていて……」

穏乃「さ、最後は先輩もかわいいって話でしたけどね！」

揺杏「なんだよ全員かわいいとか最強かよー」

セーラ「阿知賀はホンマ仲良しチームやなあ……羨ましいで」

穏乃「？ 千里山のみなさんも仲いいじゃないですか？」

セーラ「……それがな」

952 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:49:15.86 ID:23kJMMaN0

セーラ「…………」

穏乃「…………」

揺杏「…………」

灼「……それが？」

セーラ「いや、ちょっとタンマ！ これ言うのちょっと恥ずいっちゅうか……」

揺杏「へぇ、なんか恥ずかしいことあったんすか？」

セーラ「なな、なんも！ なんもないで！？ ニヤニヤすんな！」

灼「絶対なにかありましたよね」

セーラ「いやいや！ なんもないねん！ ただちょっと犬が……」

穏乃「犬ですか？」

セーラ「あ、いやぁ……」

灼「麻雀離れると隠し事できない人多すぎ問題」

揺杏「灼はポーカーフェイス得意だもんなぁ」

灼「揺杏もいつもへらへらしてるじゃない」

揺杏「合ってるけどさ、ちょっと言い方さ」

穏乃「犬、かわいいですよね！」

セーラ「ああ！ 俺、犬好きやねん……でもな……なんか、めっちゃ吠えられるんや……」

揺杏「へぇ、意外っすね。 先輩動物に好かれそうっすけど」

セーラ「知らん犬マジ怖いで！？ 理不尽なくらい吠えられるんやけど！？ なんで！？」

灼「さぁ……」

セーラ「子犬すら……こんなちっちゃい子犬すら……」

揺杏「つまり、子犬に吠えられて逃げてきた？」

セーラ「…………うん」

953 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:50:57.00 ID:23kJMMaN0

灼「それはまた……意外な弱点で」

セーラ「だ、だっていきなり吠えられたらビックリするやん！？ なぁ！？」

穏乃「そ、そうですよね！ いくら子犬でも急に吠えられたら驚きますよね！」

セーラ「なのに……怜も浩子も指差して笑っとったやで！？ ひどない！？ ﾌﾟｰｸｽｸｽって感じで笑っとった！」

揺杏「文句言ってやればいいじゃないですか」

セーラ「はっ！ 俺はその時既に全力疾走中やったからな！」

揺杏「い、意外とビビりっすね……」

セーラ「な、なにをもってして俺がビビってたって証拠やねん！？」

揺杏「えぇ！？ 逃げてきてるじゃないっすかー」

セーラ「せやった……」

灼「あ」

穏乃「灼さん？」

灼「船久保さんから……添付動画『子犬に吠えられて全力で逃げるセーラ』」

セーラ「なんで拡散しとるんや！？ ちょっ……消せ！ 消して！？」

揺杏「後で見せてー」

灼「ん」

セーラ「待て待て待て！ ほんっ……ほんと恥ずかしいから！ 止めて！ 見んといて！」

揺杏「こういうのは拡散される運命なんすよ……ほら、白糸台の弘世様とか……」

セーラ「ぶっ！ ふふ、いやあアレは傑作やったな！ あの弘世がはやりんって……」

穏乃「千里山にまで広がってるんですか……」

揺杏「ねえねえ送って送って！ 帰ったら爽にも見せてやんないと」

灼「ん」

セーラ「ちょぉぉぉい！ 岩館こら！ 鷺森も素直に頷くなって！」

灼「素直な方がかわいいってさっき江口さんも言ってたので」

セーラ「素直に俺の言うことも聞いて！？」

954 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:52:51.35 ID:23kJMMaN0

セーラ「ほ、ほら！ 高鴨もなんとか言うたってや！ お前の先輩やろ？」

穏乃「あ、灼さん……あんまりセーラさんからかうのも……」

揺杏「うわー思った以上に全力で逃げてる……」

灼「足速……」

セーラ「なんで見てるん！？ 俺待ってって言ったのに！」

灼「あ」

揺杏「お、今度はどうした？」

灼「いや、他に面白いのない？ って聞いたら次の動画が……」

セーラ「浩子のアホ！ 鷺森もなに言うてんの！？ それも消せって！」

灼「ふむ……『セーラ乙女モード』」

セーラ「おい！！」

怜『お、ええやんセーラ(笑)』

浩子『似合ってますよ(笑)』

セーラ『と、撮るなって言うとるやろ……！』

揺杏「……先輩かわいいっすね」

灼「……ギャップ萌え？」

セーラ「ああああああ！！ もう……もう！ このアホー！ お、覚えとけ！」

穏乃「ちょ、セーラさん……足速っ！？」

灼「……やっぱりアリだね、かわいい先輩」

揺杏「うん……私に衣装作らせてくれないかなあ……」

穏乃「……もう！ ダメですよ灼さん、揺杏さん！ やりすぎですって！」

灼「叱られちゃった」

揺杏「叱られちゃったな」

穏乃「なんで満足そうなんですかっ！？」

灼「……これはこれでアリ」

揺杏「わかるわ」

穏乃「なに言ってるんですか！？」

955 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:54:31.84 ID:23kJMMaN0

灼「……かわいいは正義？」

穏乃「……揺杏さん！ 灼さんによくわかんないこと教えないでくださいよっ！」

揺杏「えっ！？ 私のせいなの！？」

穏乃「灼さんが変になったのはだいたい揺杏さんのせいって憧が言ってましたもん！」

揺杏「それは素直に信じなくていいよっ！？」

灼「だいたい合ってる」

揺杏「全部私のせいにするの止めて！？」

灼「とにかくラーメン食べよラーメン」

穏乃「うわっ、そうだった！ 聞いたら脳がラーメンに……」

揺杏「誤魔化されないよ！？」

穏乃「あ、誤魔化されるところだった！ ちょっと灼さん！」

揺杏「そういうところは素直だね！？」

灼「穏乃かわいくて和む」

揺杏「それはわかる」

穏乃「え？ えへへ、そうですか？」

灼(誤魔化された)

揺杏(誤魔化されたな)

揺杏「うん、やっぱりかわいいは正義だな！」

穏乃「あっ！ やっぱり揺杏さんの影響じゃないですか！」

灼「そうだよ」

揺杏「あれっ！？」


カン！

956 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/08/09(水) 23:58:15.25 ID:23kJMMaN0

日和のセーラがかわいかったのとやっぱりしずがかわいいので

椿野さんは調整中。次回はくろちゃーとだれかで
そういえばなんも用意してなかったけど末原ちゃん誕生日でした！きょうたんイェイ〜

957 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/08/10(木) 05:56:04.31 ID:gDutFkLgo

乙です

958 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/08/10(木) 06:48:42.15 ID:iloiOGic0

更新乙です
日和良いよね

959 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/09/01(金) 17:20:14.12 ID:hlD+ar8A0

>>956
およ？
次は本編時空でインハイベスト８先鋒組(玄ちゃー、智葉先生、照姉さん、優希ちゃん、怜ちゃん、漫ちゃん、すばら先輩、成香ちゃん)によるタコパでしょうか？

960 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/07(木) 00:49:06.02 ID:tlvDUqCk0

結局間空くやつ
くろちゃーとたかみー

961 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/07(木) 00:50:20.55 ID:tlvDUqCk0

玄「あ……渋谷さん」

尭深「……どうも」

玄「こんにちは！ お散歩ですか？」

尭深「ええ、まあ……そんなところです」

玄「ふふ、こんな暑い中お散歩するのなんてうちのお姉ちゃんぐらいだと思ってました」

尭深「ああ……宥さんといえば、お姉さんには誠子ちゃんや淡ちゃんたちがお世話になってるみたいで……よろしくお伝えください」

玄「いえいえ、こちらこそ灼ちゃんが宮永さんに良くしてもらってるみたいで……」

尭深「…………」

尭深「……宮永先輩までお世話していただいてしまって……すみません……」

玄「あ、あれ？ そ、そんなことありませんって！……その、たぶん」

尭深「……赤土監督にもお世話になりましたし、弘世先輩も……なんか、とてつもなく……その、アレな感じでご迷惑を……」

玄「あー……」

尭深「…………チームメイトが揃ってご迷惑をおかけしてますよね」

玄「あ、あの、みんな迷惑だとは思ってないので……そ、それに！ 弘世さんのは……その、あんな感じになってしまったのは私たちの側にも責任があると言いますか……」

尭深「きっかけ自体は瑞原プロと直接出会ってしまったことにあると思いますので……アレはアレで面白いんですけど」

玄「あ、やっぱり面白いでいいんですね、弘世さん……」

尭深「…………」

尭深「……まあ、面白いですよね。 どう考えても」

玄「……はい」

962 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/07(木) 00:51:33.98 ID:tlvDUqCk0

尭深「弘世先輩、もともと隠してたんですよ。 瑞原プロのファンだってこと」

玄「そうなんですか？」

尭深「イメージじゃないとは自分でも思ってたみたいで……宮永先輩は知ってたみたいですけど」

玄「ええ……まあ、そうですね。 弘世さんとはやりんって結びつきませんし……」

尭深「それが、急にアレですからね。 みんな戸惑ってて……」

玄「それは、そうでしょうね……虎姫のみなさんはともかく、後輩さんたちとか驚いてるんじゃないですか？」

尭深「はい。 それはもう……」

尭深「…………」

尭深「すみません。 親衛隊の子たちはそんな弘世様も素敵！ で早々に落ち着きましたし、戸惑ってるの私だけかもしれません……」

玄「……そ、それはまた……なんといいますか、大変ですね……」

尭深「……誠子ちゃん、世話焼きでツッコミ気質で順応性かなり高いからすぐになれちゃったみたいで……今はもう元気にツッコミ入れてて……」

玄「……そ、それはそれで亦野さんも大変そうですけど」

尭深「ええ……ひとりでツッコミこなしてるものですから、とても大変そうで心配なんですけど……」

玄「……渋谷さん手伝ってあげないんですか……？」

尭深「あ、そういえば。 お茶、飲みますか？ 水筒に淹れて来てるんです」

玄「え？ あ、それじゃあいただきます」

尭深「どうぞ」

玄「では……えへへ、おいしいです」

尭深「ふふ、よかったです」

玄「……あれ？」

尭深「どうかしましたか？」

玄「……いえ、別に……？」

963 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/07(木) 00:52:43.65 ID:tlvDUqCk0

玄「それにしても、白糸台も大変ですね……個人戦を控えているのに……」

尭深「本当に……今日も本来は個人戦に向けて作戦会議の予定だったんですが」

玄「なにかあったんですか？」

尭深「宮永先輩と淡ちゃんが、ちょっと口論になってしまって……」

玄「大変じゃないですか！ やっぱり練習方法とか戦術論の相違とか……」

尭深「あ、いえ……淡ちゃんが間違って宮永先輩のプリンを食べてしまって喧嘩に……」

玄「プリン！？」

尭深「名前も書いておいたのに！ って宮永先輩が凄く怒って……」

玄「えー…… 」

尭深「淡ちゃんは淡ちゃんでプリンぐらいでそんなに怒んなくてもいいじゃん！ って反抗して……」

玄「う、うーん……それはたしかにそうかもしれないけど食べた人が言っちゃうのもちょっと……」

尭深「結局誠子ちゃんが自分の分を宮永先輩にあげることで一度は落ち着いたんですけど」

玄「亦野さん大変ですね……」

尭深「宮永先輩が淡のせいで食べられるはずのプリンがひとつ減ったとか言うからまた面倒なことに……」

玄「なんか亦野さんの分はもらえる前提になってませんか！？」

964 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/07(木) 00:54:48.91 ID:tlvDUqCk0

尭深「弘世先輩もくだらない争いに介入したくない、なんて言ってひとりで部屋でデータを纏めるって引っ込んじゃうし……」

玄「……うん、まあ、弘世さんも自分の個人戦のことで大変ですよね」

尭深「まあ、部屋に籠ってはやりんのライブのディスク見ながらひとりでニヤニヤしてたんですけど」

玄「え、それは、あの……よ、余裕ですね……」

尭深「誠子ちゃんは一生懸命宮永先輩と淡ちゃんの仲裁してたんですけど……」

玄「ああ、チームのエースが喧嘩してたんじゃ個人戦どころじゃないですしね……」

尭深「私はもう巻き込まれたくなかったので逃げてきちゃいました……」

玄「えぇ……」

尭深「なんかもう、誠子ちゃんに申し訳なくて帰りづらくて……」

玄「は、早く戻って上げた方がいいんじゃないですかね？」

尭深「でもやっぱり巻き込まれるの嫌ですし、できればほとぼりが冷めてから戻りたいんですよね……」

玄「いやいやいやいや……」

965 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/07(木) 00:55:49.72 ID:tlvDUqCk0

尭深「あの二人、そんな喧嘩するぐらいには子どもなので」

玄「は、はぁ……」

尭深「回りにいると確実に巻き込まれるので」

玄「大変なんでしょうけどそれじゃあ亦野さんは……？」

尭深「今頃宮永先輩と淡ちゃんにどっちの味方なの！ って二人に無駄に怒られて謝ってますよ、きっと」

玄「助けてあげてくださいよ……」

尭深「なんかもう、私も疲れちゃって……」

玄「気持ちはわかりますけど……」

尭深「何が悪いのかな……やっぱり弘世先輩かな……」

玄「まさかの弘世さん！？」

尭深「あの人が変なハッスルしちゃってからなんかもう……もう……」

玄「し、渋谷さん！？ 大丈夫ですか！？ 元気出してください！」

尭深「ほら、なんか疲れてくるとたまにはゆっくりお茶飲んだりとかしたくなるじゃないですか……」

玄「え、ええ、そうですね……そうですけど……」

尭深「外暑いし……なんだか余計に疲労が……」

玄「やっぱり外辛いんじゃないですか……」

尭深「そろそろ帰ろうかな……誠子ちゃんも心配だし……冷房効いてるし」

玄「そ、そうですよ！ きっと亦野さんもお疲れでしょうし！ あ、なにかお土産とか買っていくといいんじゃないでしょうか！」

尭深「なるほど……では、事件の補填も兼ねてプリンでも買って帰りましょうか」

玄「それがいいですよ！ きっと喜んでくれますよ！」

尭深「それでは、私はこれで……」

玄「はい！ 頑張ってくださいね！」

尭深「…………あの」

玄「はい？」

尭深「すみません、なんだか愚痴ばっかり聞かせてしまって……」

玄「いえいえ！ 私も渋谷さんとお話ししてて楽しかったので！ おいしいお茶もいただいてしまいましたし……」

尭深「……ふふ、本当にありがとうございます。 よかったら、またお話ししてくださいね、玄さん」

玄「はい！ もちろん、大歓迎ですよ！」

966 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/07(木) 00:57:49.38 ID:tlvDUqCk0

玄「ただいまー」

憧「おかえりー遅かったじゃん、なにしてたの？ ちょっと買い出し行くって言ってたのにさ」

玄「えへへ、ちょっと渋谷さんと会ってね？お話ししてたんだ〜」

憧「白糸台の？ へぇ、どんな話してたの？」

玄「んー……チームのこととか？」

憧「ふぅん？ にしてもなんかご機嫌ね」

玄「いやあ、渋谷さんもちょっとおもちだと思ってたけど間近で見てみるとこれがなかなかのものをお持ちで……」

憧「…………」

玄「あ、じゃなくて、えっと、その……」

憧「玄ってバカよね」

玄「はぅあ！？ そ、そんなことないよ！ その、普通に仲良くなれてうれしかっただけだから！」

憧「あっそ」

玄「うぅ……憧ちゃん冷たい……」

憧「気のせいでしょ」

玄「…………はぁ」

憧「ねぇ！？ ちょっと今のため息何！？ 私の胸見てため息ついたでしょ今！？」

玄「そ、そそ、そんなことないよ！？ 気のせいだよ気のせい！」

憧「私だって好きでこのサイズなわけじゃ……というか別にそこまで無くないし！ そりゃあもう少し欲しいとは思うけど……！」

玄「いやいや！ もっと欲しいよ！ 憧ちゃん全然物足りないよ！！」

憧「ちょっとひっぱたくけどいいわね？」

玄「よくないよ！？ なんで！？」

灼「今のは玄が悪いかな」

玄「灼ちゃん！？」

灼「おかえり」

玄「あ、うん、ただいま」

灼「じゃあちょっと押さえとくから」

憧「ありがと灼さん」

玄「灼ちゃん！？！？！？」

967 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/07(木) 00:58:52.66 ID:tlvDUqCk0

ーーーーーー


尭深「ただいま戻りました……」

淡「あっ！ たかみー！ たかみーは私の味方だよね！？ ちょっと間違ってプリン食べちゃったぐらいでこんなに怒ってさ！ 先輩なのに器が小さいと思うよね！？」

照「反省の色が見えない。 それに先輩がどうとかの問題じゃない。 私がどれだけ楽しみにしていたか……名前も！ こんなに！ 大きく！ 書いてあったのに！」

誠子「尭深！？ どこ行ってたんだよ！ 私がどれだけ大変だったか……」

尭深「プリン買ってきたんですけど食べますか」

照「食べる！」
淡「食べる！」

尭深「どうぞ」

照「いただきます」

淡「おいしー！ たかみーありがとー！」

尭深「いえいえ」

誠子「尭深……ありがとう助かったよ……！」

尭深「ううん……無事に収まって良かった」

誠子「うぅ……本当に……これでやっとまともに宮永先輩と大星も個人戦の練習に入れるよ……尭深のお陰だね」

尭深「…………」

尭深(なんか凄く感謝されて心が痛い)



カン！

968 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/07(木) 01:02:52.95 ID:tlvDUqCk0

弘世様事件で疲れちょっと荒んだたかみー。信頼してるから亦野さんに任せてるのです。丸投げしてるとか言わない
くろちゃーはいつも通り

969 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/09/07(木) 05:57:29.47 ID:6uktvaz6o

乙です

970 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/09/07(木) 07:05:53.02 ID:J3u5bgoA0

乙です
照姉さんとあわあわやっぱりお菓子ファーストなんですね
其れにしても尭深さんは玄ちゃーに出会わなければ宇野沢先輩や棚橋先輩に泣きついて居たんでしょうね

971 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/09/07(木) 12:12:03.01 ID:KZEJ2UXW0

更新乙です

972 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/09/09(土) 03:53:19.39 ID:fKXneuG70

おつ
尭深さんそれ一番美味しいポジションじゃないですかやだー

973 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/15(金) 02:54:20.49 ID:XZ2e4urS0

日付変わってくるたんイェイ〜だけどじゅんたんイェイ〜

974 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/15(金) 02:55:27.99 ID:XZ2e4urS0

……よし、何ひとつとして問題はない。 寝癖も直したし、服もバッチリ決まってるし、私かわいいし

……うん、いけるいける。 私かわいい。 完璧。 超かわいい。

落ち着いて、変に気負わず、さりげなく声かければいいだけだから。 なんも問題ない。

24通りは声をかけるパターンを用意してあるし、予想されるトラブルも52パターンは対応できるし、あとは何かあったとしても高度な柔軟性を維持したまま臨機応変に対処すれば……

純「ふぁ……あ、おはよ」

憧「おはようございます！ 誕生日おめでとうございます純さん！ ど、どうれす？ 今日はわたすとデデデデートでも！？」

うわああああああめっちゃ噛んだあああああ恥ずいいいいいいいうわあああああああああ

純「ん？ いいぜ、どこ行く？」

ーーーーーーあああああぁぁぁぁぁあ！？！？！？

975 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/15(金) 02:57:13.04 ID:XZ2e4urS0

純「いやあ、久しぶりじゃねえか？ 全員纏まって出かけるのとかさ」

憧「そ、そうですね……本当に……」

優希「…………で？ どうしてそれがこうなるんだ？」

恭子「憧ちゃんも難儀な子やね……」

エイスリン「ヘタレやなあ」

憧「な、なんかテンパっちゃって……」

エイスリン「いつもやん。 どうにかならんの？」

憧「そんなハッキリ言わないでくださいよ！ 私だってどうにかしたいんですけど！？」

エイスリン「逆ギレされたんやけど……」

恭子「エイスリンはいろいろハッキリ言いすぎなんやって……こう、もうちょっと相手の気持ちを慮ることをやな……」

エイスリン「はー、日本語は難しいなあ」

恭子「言語というよりは民族性な気もするけどな……」

優希「まあ、ノッポの誕生日を名目に美味しいものを食べ歩けると考えればそう悪くもないじぇ。 ある程度遊んで満足したら私たちは空気を読んではぐれるから憧ちゃんは頑張れ！」

憧「ちょっとなんではぐれるのよ二人きりとか緊張するじゃないの」

優希「……憧ちゃんだんだんポンコツになってないか？ 大丈夫か？ タコス食うか？」

恭子「タコス食べてもどうにもならんやろ……」

エイスリン「んじゃ私が食べるわ！ ちょうど小腹が空いてきたとこやねん」

恭子「あんたも大概自由やな……」

976 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/15(金) 02:58:33.04 ID:XZ2e4urS0

憧「ま、まあいいじゃないですか！ みんなでお祝いするのはいいことじゃないですか！」

恭子「憧ちゃんがええなら別にええんやけどな……」

憧「いいんですよ！ もう！ みんなで遊ぶの楽しいですし！？」

恭子「……なんかやけになっとらん？」

エイスリン「まあまあ、憧ちゃんの言うとおり！ 隙あらばパーティーしたいくらいやで私は」

優希「次こそタコスパーティーだじぇ！」

純「……おい！ なにやってんだ？ 早くしろよ置いてくぞー」

優希「お前が早いんだノッポ！ ひとりで先行くとはぐれるぞ！」

純「だからちゃんとついてこいって言ってんだろうが！」

エイスリン「……ちゅーかどこ行くん？ 純の行きたいとこ行くって話やったしなんも考えないでついてきてたけど……」

優希「そうだそうだ！ ちゃんと説明しろノッポ！ 私たちは何も考えてないんだじょ！」

恭子「それはけっして自慢気に胸を張って言うことやないんやで？」

純「……ほら、そこ。 今日ドイツリーグの上位戦対局やってるから会場で観戦をだな……」

優希「……ノッポの癖に真面目だと！？」

エイスリン「頭でも打ったん？」

純「オレをなんだと思ってんだよ！？」

977 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/15(金) 03:00:25.58 ID:XZ2e4urS0

純「とにかく、ここなら全員身になるだろうし、少しでも力をつけて……」

優希「おい！ ちょっと待て！ 美味しいものを食べ歩けると思っていた私の期待感はどうなる！？」

純「売店でなんか買ってこいよ……」

恭子「あーいうのってどこでも無駄に高くてちょっと買うの躊躇せん？」

エイスリン「たしかに高いけど……ああいうとこの食べ物ってなんか妙に美味しく感じん？」

優希「わかるじぇ！ よし、問題なし！ 早速タコスを探しに行くじぇ！」

エイスリン「突撃やー！」

恭子「あ、こら、またそうやって好き勝手に行くとはぐれるって……！」

憧「…………」

純「……あ、もしかしてイマイチだったか？ やっぱりどっか別のとこに……」

憧「あ、いえ！ 違います違います！ ただちょっと……ええ、変に浮かれてしまったなあ、と……」

恭子「まあ、浮き足立ってはいたな、うん」

純「……お前も諦めんなよ」

恭子「優希もエイスリンも言っても止まらんし……はぁ」

純「……いつも大変だな恭子は……ま、憧もいつも真面目にやってるんだからたまにはいいんじゃねぇの？」

憧「いいえ！ やっぱり目的を見失っちゃダメですって！ どんどん実力つけてかないと……こっちに来た結果何も得られず実家に帰り穀潰しになるとか考えただけでもう……！」

恭子「あぁ……わかるわ……それが一番怖いんや……うぅ……」

純「そこまで深刻に考えんなって！ 恭子！ お前は特に！」

恭子「ぐぅ……わかっちゃいるんや……やっぱりメンタル面の強化が一番の課題なんや私は……ああ、胃が……」

純「忘れろ！ 今日はせっかく試合見に来たんだし楽しもうぜ！ な、憧！」

憧「そ、そうですよ！ とりあえず一回忘れて楽しみましょう！ ね！？」

恭子「お、おう……気を遣わせてすまんな……」

978 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/15(金) 03:03:02.54 ID:XZ2e4urS0

優希「おう！ まだここにいたか！ いろいろ買ってきたじょ！」

純「祭りか！？ なんだその量！？」

エイスリン「いやいや上位リーグの対局なんて祭りみたいなもんやろ……だいたい純やってこれくらい食べるやろ？」

純「……まあそれもそうだな。 なんかくれよ」

エイスリン「おう！ 好きなの食ってな！ 誕生日やし！」

純「誕生日すげぇ！ んじゃこれとこれと……」

エイスリン「え、ちょ、ちょっちょっちょっ……どんだけ食べるん！？」

純「たくさん」

エイスリン「知ってたけど……知ってたけど……！」

優希「エイスリンおねーさん迂闊すぎるじょ……こいつは私がタコスを食べるの以上に食べるというのに……」

エイスリン「……まあええか！ 誕生日やしな！ 祭りや祭り！」

優希「太っ腹だじぇ……」

恭子「あー……その、あんまり使いすぎんようにな？」

エイスリン「恭子ちゃんはそうやってすぐオカンみたいなこと言うー」

優希「そこら辺はわきまえてるから安心していいじょ？」

恭子「本当にわきまえとるんか……？ あんま無駄遣いするとなんかあったときに……」

エイスリン「大丈夫大丈夫！ ほら、恭子ちゃんも食べ！」

恭子「あ、どうも……いただくわ」

優希「憧ちゃんもほら、アイスを買ってきたからわけてやろう！」

憧「あ、ありがと」

優希「なんか買ってこないと憧ちゃん太るとかなんとか気にしてあんま食べないしな！ 気兼ねなく食べるといいじょ！」

憧「余計な一言添えないでよ！ 食べづらくなるでしょ！？」

979 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/15(金) 03:04:32.82 ID:XZ2e4urS0

優希「そのアイス結構評判いいらしいじょ？」

憧「……あ、うん、おいしいわこれ……」

エイスリン「ホンマに？ 私も後で買ってこよ！」

優希「そのわりにはテンション低いじょ？」

憧「わ、私はもう子どもじゃないんだから！ アイスとかでそこまでテンション上がったりしないの！」

エイスリン「……そのわりには凄い勢いで食べとるけど……」

恭子「葛藤があるんやろ……」

憧「ふ、太りませんよアイスのひとつやふたつじゃ！」

恭子「……それ言って食べる子は大抵の場合……つか二個目いくんか？」

憧「恭子さん！」

恭子「ん、ごめんな、黙るわ……」

エイスリン「恭子ちゃん！ 憧ちゃんのことを思うならハッキリ言ってやるとこやで！」

恭子「……憧ちゃん、太るで」

憧「うぅううう……」

純「ま、少しぐらい平気だろ。 憧は細すぎるぐらいだしちょっとぐらい肉ついたとこでかわいいから特に……」

憧「そそ、そうですかね！？」

優希「口説いてんのか？」

純「なにがだよ？」

エイスリン「純……いろいろといい加減にせえな？」

純「あ？ なに？ なにが？」

恭子「はぁ……」

980 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/15(金) 03:06:32.36 ID:XZ2e4urS0

恭子「ほら、いつまでも騒いどらんでさっさと行くで。 試合始まってまうし……憧ちゃんもはよ口元拭いて」

憧「へ？」

恭子「アイス」

優希「憧ちゃんもまだまだ子どもだじぇ」

憧「優希に言われたくないんだけど！？」

優希「私みたいなレディを捕まえてなんてことを……」

エイスリン「相変わらず優希ちゃんは面白いなぁ」

優希「ん？ エイスリンおねーさんさりげなくバカにしたか？」

エイスリン「いやいやまさか」

純「つーかそんなにうまいのか？ 一口くれよ」

憧「え？ あ、は、はい、ど、どどどどどどうぞ！？」

純「んじゃ……」

憧「！？！？！？」

純「ども、ごちそうさん……甘いな」

憧「な、なんっ……！？ な、な、舐め……舐めっ……！？！？！？」

優希「……アイツちょっとどうにかした方がいいぞ」

エイスリン「アレわざとやないんやろ？ おかしいでいろいろ……」

恭子「……憧ちゃん？ 大丈夫かー？」

憧「純さんは！ す、すぐ！ すぐああいうことする！ なんっ……なん、なんなんですかね！？」

優希「アホ」

エイスリン「バカ」

恭子「否定できんな」


カン！

981 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/09/15(金) 03:09:10.86 ID:XZ2e4urS0

ドイツ組。ヴィントハイム監督はお仕事

そろそろ埋める分と次立てて投下する分ぐらいを用意しないとですね…

982 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/09/15(金) 05:56:38.42 ID:QVx4bw0ho

乙です

983 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/09/15(金) 06:40:12.67 ID:KkQ5TgzC0

新しいの来てた
更新乙です
今日は咲重大発表もあるし朝からテンションすばらw
大穴のシノハユor日和アニメ化に期待

984 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/09/15(金) 15:14:53.76 ID:QKAhW/UA0

乙です！
阿知賀編実写化記念に相応しい内容でしたね！
はてさて彼女達が観戦する上位リーグの試合の面子の中に元朝酌女子の鳥使いさんや同じく元朝酌女子のホンイツ使いな貴腐人さんは入って居るんでしょうかね？

985 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/11/15(水) 00:32:31.77 ID:rbNIun+G0

玄「個人戦、しっかり見学していこうね！」【咲‐Saki‐】

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510673295/

次。とうとう原作よりペース遅くなりましたが一応続けていきますので…

こっちにひとつ、新スレに一つ投下します

986 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/11/15(水) 00:33:27.61 ID:rbNIun+G0

菫「……やあ、鷺森。 邪魔するぞ」

灼「弘世さん？ めずらし……いらっしゃい」

菫「…………」

灼「……弘世さん？」

菫「席がな……ないんだ……」

灼「……はい？」

菫「私の席が……ないんだ……」

灼「…………？」

憧「あ、まさか……」



淡『ごめんねー？ 菫先輩、悪いけどこの雀卓は四人用なんだ！』



憧「的な？」

灼「雀卓って基本四人用じゃない？」

憧「あ、そっか……」

穏乃「ってことは……もしかしてもっとシンプルに……？」



淡『おめーの席ねーから！』



穏乃「ってやつですか！？」

灼「どうでもいいけどなんで大星さんに言わせるの？」

憧「一番やりそうじゃん」

穏乃「ちょ、ちょっと憧！ いくらなんでもそんなハッキリと言わなくても……」

憧「しずだってそう思ってんでしょ」

穏乃「あ、いや……まあうん、そうだけど……」

菫「ああ……それはやられたことはあるが、今回はそれではなく……」

憧「やられたんですか……」

穏乃「大星さんはまた先輩にそういう……」

987 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/11/15(水) 00:34:30.87 ID:rbNIun+G0

菫「……これを見てくれ」

灼「メール？ ふむ……『抽選の結果、残念ながらﾁｹｯﾄをご用意することができませんでした』……？」

菫「まただ！ また行けないのか！！ はやりんのライブ！！」

憧「こ、これが噂の当落通知ってやつですか……」

菫「何度も味わってきたが……！ くっ！」

灼「やっぱり争奪戦なんですか」

菫「はやりんは大人気アイドルだからな。 毎回戦争だ」

穏乃「……？ チケット買えないんですか？ どうして？」

菫「私が聞きたい」

憧「ですよねぇ」

菫「先行抽選で落ちてしまったからチケット購入戦争に参加しないといけない……販売開始が個人戦の後だから良かったものの……試合日程と重なっていたらと思うと恐ろしい……」

灼「……ライブのチケットより個人戦の心配した方がいいのでは」

菫「それはそれ！ これはこれだ！」

灼「……はい」

穏乃「す、凄い気迫……灼さんが黙っちゃった……」

憧「灼さんはもともと無口な方でしょ」

灼「なんなら喋るけど？」

憧「いや、無理に喋らなくても……」

灼「さて、なにを話そうかなっ」

憧「なんでやる気満々なの！？」

菫「はやりん！ はやりんの話をしよう！」

憧「弘世さんのテンション！」

灼「く、詳しくないので……」

憧「弘世さん圧！ 圧強すぎますから！」

988 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/11/15(水) 00:35:42.29 ID:rbNIun+G0

菫「……すまない、つい興奮してしまって……」

灼「いえ、気持ちはわかりますから……」

菫「そうか、ありがとう……はやりんのかわいさについてならいつまでも喋っていられるぞ私は」

灼「私もハルちゃんのカッコよさについてなら延々と喋れますよ」

穏乃「わ、私も！山とラーメンについてなら！？」

憧「なんで張り合ってんの？ っていうか誰か麻雀挙げなさいよ……」

灼「ま、たしかに持ちネタがバラバラだし……みんなで好き勝手喋っても仕方ないので……」

憧「そうそう、弘世さんは個人戦もあるんだし麻雀の……」

灼「憧のかわいいところ話そうか」

憧「はい！？」

菫「む……まあ、単純に容姿がかわいいよな。 私は似合わないが新子ならはやりんみたいなフリフリフワフワも……」

憧「え！？ え！？ いや、ちょっとタイプが違うって言うか……」

穏乃「憧はお洒落さんですからねぇ……私とは路線が違いますけど」

憧「しず路線はむしろ仲間が見つかった方が驚きなんだけど！？」

灼「なんだかんだ言いつつかわいいって言われて喜んでるのかわいい」

憧「べ、別に喜んでないし！」

灼「言動は素直じゃないけどわりと表情に出てるとこもかわいい」

憧「えっ！？ か、顔出てる！？ 嘘！」

灼「テンパって簡単に誘導尋問にかかるとこもかわいい」

憧「ああっ！？」

菫「なんだ、やっぱり嬉しかったのか」

穏乃「憧は結構わかりやすいですからねー……付き合い長いのもあるかもしれませんけど」

憧「ぐぬぬ……しずにまで言われるなんて……」

989 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/11/15(水) 00:37:10.07 ID:rbNIun+G0

菫「まあ、とはいえかわいいと言われるのは嬉しいものだろう。 私はかわいいだなんて子どもの頃以来言われた覚えがないぞ」

穏乃「弘世さんは背も高いですし凛々しくてカッコいいですもんねぇ」

菫「ああ、よく言われる。 ちょっと複雑だが……」

穏乃「私なんか背も低いしカッコいいとか言われたいけどなかなか……ねえ？」

憧「しずは……まあ、カッコいいはちょっと難しいわよねぇ」

灼「そう？ 穏乃は結構中身男前でカッコいいなって思うことあるけど」

穏乃「えっ！？ 本当ですか？ えへへ」

灼「……穏乃はかわいいなぁ」

穏乃「あれー？」

菫「高鴨はカッコいいとかわいいが両立できるなんて凄いな……はやりんクラスじゃないか……」

穏乃「ぅえ！？ い、言い過ぎですよ流石に！」

憧「ほんと言い過ぎですよ」

穏乃「憧もさぁ！ たまには私のこと褒めてみたりしてもいいんじゃないかなぁ！？」

憧「私は躾は厳しくする方だから」

菫「私もどちらかというとそういう方針だな……淡の奴がどうにもならないんだが」

灼「ほめて伸ばすのも大事」

菫「あいつは限りなく調子に乗るからな。 加減が難しい」

灼「なるほど……ああいうちょっと生意気なのもかわいいと思いますけどね」

菫「あいつの生意気はちょっとどころじゃないぞ……まあ、なんだかんだかわいがってるのは認めるが……」

憧「認めるが……？」

菫「やっぱり非常にめんどくさい。 かわいいからなんでも許されると思ってる節もあるしな。 実際亦野と尭深は淡に甘いし」

穏乃「あー……」

憧「照さんは？ 意外とそうでもないんですか？」

菫「あの二人はわりと同じレベルで争う事が多くてな。 この前もプリン食べた食べないで喧嘩してたし……」

灼「照さん……」

菫「普段は……あー、先輩らしくはしている……と、思うんだが……あいつは、その……うん、麻雀に関しては凄いんだがな。 そういう奴だ」

灼「知ってましたけど……こうして聞くとやっぱり微妙な気持ちになりますね……」

穏乃「こ、高校生雀士の頂点ですよ！？ 凄いですから！ ね！？」

憧「あー……うん……そうよね……」

菫「無理に庇わなくていいぞ」

穏乃「……あはは」

990 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/11/15(水) 00:38:08.26 ID:rbNIun+G0

灼「ところで弘世さん」

菫「なんだ？」

灼「アレですか」

菫「アレ？」

灼「かわいいって言われたいんですか」

菫「え、あ！ いや、それは……なんっ……というか、その……あー……」

菫「に、似合わないのは自覚しているがな……その、私もこれでも女子なものでな……うん……」

灼「言われたいんですね」

菫「…………」

菫「……うん」

灼「かわいらし……」

菫「えっ？」

灼「今のはかわいかったです」

憧「やりますね……」

穏乃「なんかドキドキしちゃいましたよ」

菫「なっ……その、そ、そうなのか？ えっと、うん……あ、ありがとう……」

991 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/11/15(水) 00:40:03.59 ID:rbNIun+G0

灼「……これはヤバい」

憧「ヤバいわね……」

灼「憧のかわいいところなんて挙げてる場合じゃないね」

憧「そうね……ってちょっと！？」

穏乃「ほらー灼さんそんな言い方したら憧が拗ねちゃいますよ」

憧「拗ねてない！」

灼「ほら、私の中で憧はいじっていじって最後ちょっと拗ねさせるまでが1セットみたいなところあるから……」

憧「なにそれどういうこと！？」

灼「だって……不服そうにちょっと口尖らせるとことか凄くかわいくて……」

憧「え！？ えっと、その、わ、私は普通にしててもかわいいんだから素直にかわいがりなさいよっ！」

菫「凄い自信だな、新子」

穏乃「たぶん今自分でなに言ってるかわかってないので……」

灼「そんなわけでここからは弘世さんのかわいいところを……」

菫「！？ ま、待て鷺森！ それは流石に、その、気恥ずかしいというかだな……！」

灼「ダメですか？」

菫「ダメじゃないけど、ダメじゃないけど！ えっと、その、あ！ 新子の件が途中だろう？」

灼「…………」

憧「なにその目！？ なんなの！？ 私のこと嫌いなの！？」

灼「好きだけど」

憧「じゃあ私の好きなとこ十個言って！」

穏乃「憧、凄いめんどくさい女みたいになってるよ？」

菫「みたいというかなってるぞ？」

灼「十個でいいの？」

菫「……めんどくさいバカップルになってるぞ？」

穏乃「もうほっときます？」

992 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/11/15(水) 00:42:13.83 ID:rbNIun+G0

ーーーーーー


穏乃「なんですか？ あの光る棒……フォースの導き的なやつで戦うアレですか！？」

菫「いや、これはライブの際に振って演者を……つまり、はやりんを応援するためのものでだな……」

穏乃「なるほどー……いやあ、それにしてもはやりんカッコいいですね！ 私麻雀打ってるところと子ども向け麻雀番組で歌ってるところぐらいしか知らなかったので新鮮です！」

菫「ああ、凄いだろう？ なんならこのライブのディスクは貸してやろう。 奈良に帰る前に返してくれればいい」

穏乃「えっ……いいんですか！？ でも、大事なものなんじゃ……」

菫「はやりんのことをわかってもらえるのならこのくらい……それに、手元にあると個人戦を控えているというのについつい見たくなってしまって……」

穏乃「あー、わかりますわかります。 テスト前に掃除始めちゃったり的な類いですね」

菫「ああ。 私にはこのはやりんのディスクは吸引力が強すぎて……」

憧「ってなんではやりんのライブの円盤見てんのよ！？ 私も誘ってくださいよ！！」

菫「ん？ ああ、もういいのか？ 取り込み中だったから……」

穏乃「愛はしっかり確認できた？」

憧「そっ、そういうんじゃないわよ！ 私はただ、ここ最近の灼さんの私に対するぞんざいな扱いについて物申しただけで……！」

灼「私はちゃんと十個以上言ったのに憧ったら照れちゃって全然私の好きなとこ言ってくれなくて……」

憧「照れてないもん！」

灼「かわいいやつめ」

穏乃「憧ってそういうとこありますよねー」

菫「ふむ、参考にさせてもらおうか……」

灼「いえいえ、弘世さんには弘世さんのいいところがありますので」

菫「っ……そ、そうか？ うん、わかった……」

穏乃「ありのままでいいんですよ！ ほら、はやりんだってさっきそんな感じの曲歌ってましたし！」

菫「！！ そうか！ そうだな！！」

憧「しずはもうちょっとオシャレとか覚えた方がいいと思うけどね」

穏乃「むー……わかってるけどさぁ……じゃあ今度一さんや初美さんに相談してみるよ」

憧「人選！！ そういうのは私に相談してよ！！！」



カン！

993 ： ◆FYW.3i5lks [saga]：2017/11/15(水) 00:45:41.09 ID:rbNIun+G0

久しぶりだったので弘世様を
今月は単行本も出ますし楽しみですね

994 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/11/15(水) 00:50:45.48 ID:2/4xFlS60

しず？シズ？

995 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2017/11/15(水) 11:52:16.49 ID:ELyVFjEA0

乙です
弘世様のかわいさですか
この世界の弘世様ってまふふ的なかわいさを保有してそうですよね

996 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/11/16(木) 03:57:43.78 ID:gUFShhOM0

女子７番・白鳥里子（しらとり・さとこ）

バスケットボール部。女子主流派グループ。
陽気な性格で、クラスのムードメーカー。
特技は早食いで、その結果ぽっちゃり体型になってしまった。

身長／160cm
愛称／里子、里子ちゃん、しらちゃん、しら子

能力値

知力：

体力：

精神力：

敏捷性：

攻撃性：

決断力：

★★★☆☆

★★★★★

★★★☆☆

★★★☆☆

★★★☆☆

★★☆☆☆
　

以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。

支給武器：

Vz61（スコーピオン）
kill：

なし
killed：

滝川渉（男子８番）
死亡話数：

１９話
凶器：

ミニウージー
　

安藤悌吾（男子１番）のことが好き。

Ｆ＝０３にて潜伏していたが、渉に襲われる。野島三奈子（女子１５番）が殺害されたことにより腰が抜ける。谷口まどか（女子８番）・近原公孝（男子９番）と共に逃げようとするが、頭部に被弾。＜第19話＞

　

陽気な子のはずなのに、晶嫌いっ子になってました。
いや、そのつもりではありましたが。
裏話として、部活ではレギュラーになれず、それも含めて晶に嫉妬していました。
　

997 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/11/16(木) 03:58:28.70 ID:gUFShhOM0

女子１番・東ちとせ（あずま・ちとせ）

部活は無所属。女子不良組。
いつもぼーっとしていて何事にもやる気が感じられない。
普段はまったり口調だが、キレると口調が一気に変わる。

身長／159cm
愛称／ちとせ、ちとせちゃん

能力値

知力：

体力：

精神力：

敏捷性：

攻撃性：

決断力：

★☆☆☆☆

★★★★☆

★★★★☆

★★★★☆

★★☆☆☆

★☆☆☆☆
　

以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。

支給武器：

フライパン
kill：

なし
killed：

上総真央（女子４番）
死亡話数：

３３話
凶器：

Ｓ＆Ｗ　Ｍ３６　チーフススペシャル
　

Ｇ＝０３エリアでやる気なくぼーっとしていたところに荒れている真央が現れる。普段見たことのないような真央の様子に興味を持ち、真央の神経を逆撫でた。結果、全身に被弾し死亡。

　

しかし人の不幸に興味を持つとはいけない子ですね、この子は。
改稿前よりも早い退場になってしまいましたが、ちとせ好きですよ。
暴れさせられなかったのがちょっと残念ですが・・・
　

998 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/11/16(木) 03:59:18.84 ID:gUFShhOM0

女子２番・上田昌美（うえだ・まさみ）

家庭科部。ゲーム組。
内気な性格で、人と関わる事が苦手。
クラス１小柄で目立たない。

身長／146cm
愛称／昌美

能力値

知力：

体力：

精神力：

敏捷性：

攻撃性：

決断力：

★★★★☆

★☆☆☆☆

★★★★☆

★★☆☆☆

★★☆☆☆

★★★★☆
　

以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。

支給武器：

アイスピック
kill：

中田智江子（女子１２番）
天道千夏（女子１０番）
killed：

近原公孝（男子９番）
死亡話数：

５２話
凶器：

Ｖｚ６１　“スコーピオン”
　

因幡彰人（男子２番）に恋心を抱いている。

Ｇ＝０４エリアで智江子と遭遇。智江子の小刀で刺殺。小刀入手。＜12話＞
↓
Ｄ＝０６エリアに潜伏していたところに、彰人・大塚豊（男子３番）に発見される。自分のことを何とも思っていない彰人に怒り攻撃するが、彰人の態度に殺害を断念。別れた後、自分のやり方に疑問をもつ。＜35・36話＞
↓
Ｉ＝０５エリアで恐怖に駆られ背後から千夏を襲撃、殺害する。相模晶（女子６番）にそのことを詰問された。＜44・45話＞
↓
自分の今までのことを悩んでいたが、「自分は悪くない」という決断を下す。そこを近原公孝（男子９番）・谷口まどか（女子８番）に発見され、襲い掛かるが、公孝に諭され、生き続けることを決意。しかし、突然上総真央（女子４番）に襲われる。逃げる途中で真央に撃たれそうになったが、まどかを盾にして凌いだ。しかし、それが公孝の怒りに触れ、全身を撃たれて死亡。＜51・52話＞

　

改稿前に比べて考えをつなげた・・・つもりです。悩みがうまく表現できていればいいなぁ。
最後は、人を庇うシーンはよく見るので、逆に人を盾にして死を逃れようとするという行動を書いてみました、いかがでしょう。
　

999 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/11/16(木) 03:59:45.64 ID:gUFShhOM0

奈良敬子

1000 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2017/11/16(木) 04:00:21.45 ID:gUFShhOM0

ああ、どうして――



水色と朱色のグラデーションの空。
薄汚れた校舎の壁。
愛用していた錆びた非常階段。
一部が切り取られたように欠けた手摺。
そこから差し伸べられた手。

それらが遠ざかっていくのが、妙にゆっくりと感じられた。


大きな音。
後頭部に、背中に、走る衝撃。
全身を走る激痛。

悲鳴。
駆け寄る足音。
騒ぐ、いくつもの声。


ああ、落ちたのか。
そう自覚した時には、意識は朦朧としていた。

それでも、確実に、聞こえた。
声の主が誰かまでは、朦朧とした意識の中で判別することができなかったけれど。



「　　　　　　　　」



どうして。

どうしてこんなことになってしまったのか。

わからない。
わからない。



ただ、これだけはわかる。

自分の考えは、間違っていたこと。

そして――

守護星は、偽りであったこと。

1001 ：1001 ：Over 1000 Thread

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　　　　　　　　/　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　こんなにもスレ住民達がおじぎに飢えてるとは思わなかった
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　　　　　　　 |　　ィ rっﾌ ,　弋ﾐｱ　|ｒ,　　　　　　　　　わたしの愛を　　全てのスレ住民に!!!
　　　　　　　_|　　"''"~ ﾊ 　 ハ　 　.i;{　
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