多分、素直になると、死んでしまう病気(艦隊これくしょん)

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1 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:42:06.35 ID:kQreYH8g0
――執務室

叢雲「何やってんのよ、アンタは。こんなミスして……書類が倍になって帰ってきてるじゃない」

曙「ホントクソ提督ね。なんでこんなのが提督なんかやってんのかしら」

満潮「あーあ、こんな司令官のところに配属されるなんて……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1476636126
2 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:43:09.53 ID:kQreYH8g0
叢雲「それ、一人で終わらせておきなさいよ。いい? じゃ、みんな帰りましょ」

曙「反省することね。ま、クソ提督には無理かもしれないけど」

満潮「二度とこんなミスしないで」

――三人の艦娘が部屋を出て行く……
3 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:45:33.52 ID:kQreYH8g0
――数時間後 執務室の扉が開いた

叢雲「……まだやってんの? ほんとダメなんだから……」

叢雲「哀れになってきたから、手伝ってあげる。……なによ、言いたいことがあるなら言えば?」

――二人で書類に取り組むことになった……

叢雲「…………」

叢雲「あのさ……」

叢雲「その……さっきはああ言ったけど。でも、たまにはミスもあると思うわ」

叢雲「けどね、こういうミスが続くと、こうやって夜遅くまで仕事する羽目になるから……」

叢雲「べ、別にアンタがどうなろうと構わないんだけど、アンタが体調を崩すとみんなが迷惑するのよ!」
4 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:48:10.71 ID:kQreYH8g0
叢雲「……そういえば司令官、夕食の時にいなかったけど……。はあ? 何も食べないで仕事してるわけ? ……仕方ないわね……」

叢雲「特別に、私が夕餉の用意をしてあげる。感謝しなさいよ?」

――叢雲が食事を用意してくれた。彼女は自分が食べる姿をじっと見ている。

叢雲「……何よ。味に文句があるわけ? ……美味しい? ふーん……そう……。……よかった」

叢雲「……あっ、上手に作れてよかったって意味よ。勘違いしないでよ。……何も言ってない? だから何よ! さっさと食べて残りを片付けるわよ!」

――全ての書類が片付いた。

叢雲「……ふう、終わったわね。お疲れ様。……お礼? 何よ、改まって。そんなものいらない……」

叢雲「ケーキ!? ふ、ふーん。まあアンタにしては上等じゃない?」

叢雲「ま、たまにはアンタと一緒に休日を過ごしてあげるのも悪くないかしら。……そういう顔、やめてよね、もう……」
5 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:50:11.04 ID:kQreYH8g0
――翌日。廊下で曙が話しかけてきた。

曙「……あ、いた。昨日のことだけど……」

曙「聞いたわよ、叢雲と一緒に徹夜したって」

曙「はあ……ったく、他人にまで迷惑かけて、ほんとクソ提督ね」

曙「何も徹夜なんかしなくてもいいじゃない。……終わらせないと他人に迷惑? うざいわね、あたし達はあんたがいるだけで迷惑なのよ!」

曙「だから……まあ……もうちょっとぐらい迷惑かけられたって大して変わんないわよ、あたしは」

曙「……わかんないの!? ほんと頭カラッポね! あたしに言えば手伝ってやったって言ってんのよ!」
6 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:51:36.17 ID:kQreYH8g0
曙「あーもう、なんでここまで言わなきゃわかんないのかしら。……それともなに? あたしが嫌いだから頼りたくない?」

曙「そうでしょうよ、どうせあたしはこんなだし、嫌われたって全然構やしないんだけど」

曙「……そんなことはない? ふん、口では何とでも言えるでしょ。別にあたしのご機嫌取りなんかする必要……」

曙「……!? な、なに言ってんのよ……バカじゃないの!?」

曙「……わ、わかったわかった、わかったわよ……」

曙「と、とにかく、そういうことだから。今度があったら、ちゃんと言いなさいよ。……無いのが一番? あ、当たり前でしょ!」

曙「じゃ、あたしは行くから」

――曙は振り向いて、去ろうとして……立ち止まった。

曙「…………」
7 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:53:48.85 ID:kQreYH8g0
曙「…………あの……」

曙「別に、さっきの、本気で言ったわけじゃないわよ……いるだけで迷惑、とか……」

曙「それだけ。じゃあね」

――曙は走って去っていった……。
8 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:55:49.81 ID:kQreYH8g0
――夜、仕事をしていると満潮が執務室に入ってきた。

満潮「司令官? 何してるの、こんな時間まで……」

満潮「は? 書類のチェック? そんなもの、いつもはもっと早く……」

満潮「ひょっとして、この前のこと気にしてるの?」

満潮「……」

――なぜか満潮が、隣に座った。
9 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:57:43.56 ID:kQreYH8g0
満潮「終わってない書類はこっち?」

満潮「……なんなの、その目。ただでさえ司令官みたいなのがいる鎮守府なんだから、わたしがちゃんとしなきゃ仕方ないでしょ」

満潮「……うるさいな、お礼なんか言わなくていいからさっさと黙って手を動かしなさいよ」

満潮「……」

満潮「……」

満潮「……」

満潮「何でずっと黙ってるのよ!」

――急に満潮が怒り出した。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 01:59:03.10 ID:GyU+JP0/O
理不尽だ
11 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 01:59:55.47 ID:kQreYH8g0
満潮「……黙ってろって言った? じゃあなに? 司令官はわたしが死ねって言ったら死ぬわけ?」

満潮「……そ、そんな顔しなくてもいいじゃない。……言わないわよ、死ねなんて……」

満潮「ただ、なんか……なんでも真に受けて、無理されたら……嫌だから」

満潮「……べ、別に心配なんて……。一応、ここの司令官なんだから気を使ってあげてるだけ! それだけ!」

満潮「……そんな嬉しそうな顔しないでよ、これじゃ憎まれ口も叩けないじゃない……」

満潮「……気持ちを汲み取れるように努力する? ……そんなことしなくても……今のままでも……わたしは……」

満潮「……わけがわからないって顔しないの! 女は複雑なのよ!」
12 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 02:01:03.39 ID:kQreYH8g0
満潮「とにかく! 司令官は無理せずちゃんと仕事してればいいのよ。……大変だったら、言ってくれれば手伝うから」

満潮「はい、これ終わった分! それじゃ、わたしはもう行くから!」

――満潮が立ち上がって、部屋を駆け出すように出て行く。
13 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 02:04:09.01 ID:kQreYH8g0
――工廠

明石「なるほど、艦娘の気持ちがわかるようになりたい、ですか」

明石「そういうことでしたら、この眼鏡がおすすめです!」

明石「これは艦娘の気持ちを読み取って、文字の形で表示してくれる逸品!」

明石「元々は戦闘時に個々が的確に目標を定めて、高度な連携をするために感情パターンを読み取る装備のつもりだったのですが……なぜかこうなっちゃいまして」

明石「……プライバシー的に問題? んー、まあ……バレなきゃいいんじゃないですか?」

明石「まあまあ、物は試しだと思って! ダメだと思ったら返してもらって結構ですから!」

――強引に眼鏡を押し付けられた……。
14 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 02:05:12.28 ID:kQreYH8g0
続きはまた書きあがったら投下します
読んでくださった方、レスをくださった方ありがとうございました
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 02:11:36.42 ID:x929vy40o

続き楽しみ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 02:28:32.18 ID:GtTwWc/wo
霞ちゃんも、霞ちゃんも頼む…
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 06:07:24.99 ID:L8RVtUcYO
乙です。
しかし何という事か、ツンデレ四天王の一角がいないなんて……。
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 06:31:37.57 ID:96VK8ESko
霞はもう落ちてるからな
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 07:50:30.61 ID:pluNwDPfO
乙乙
霞ちゃん始まる前から堕ちてるのかな?
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 09:59:51.82 ID:qPM43kgHO
霞とかいうブサイク要らね
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 12:39:17.42 ID:WAG0cZnpo
あー霞ちゃんの目の前で自殺してぇなぁ
22 : ◆vMSeYbSya. [sage]:2016/10/17(月) 14:43:42.29 ID:kQreYH8g0
>>21
わかる
23 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 14:45:46.33 ID:kQreYH8g0
――翌日。今日は叢雲に先日のお礼をするため、一緒に間宮へと向かう日だ。

叢雲「なによ、その眼鏡? まあどうでもいいんだけど」
(きゅ、急に眼鏡なんかかけて、雰囲気変わっちゃったからびっくりした……)

叢雲「……は? 似合ってるか? 知らないわよそんなの」
(すごく似合ってる……。ずっと見てたいくらい)

叢雲「……どうしたの、急に眼鏡外して。……え? そんな、ひっくりかえして見なくても、眼鏡が壊れてたら一発でわかるでしょ、間抜けなこと言わないでよ」

叢雲「結局またかけるのね。ふーん……」
(眼鏡を外す時とか、かける時とかの仕草って……ちょっといいかも)

叢雲「もう眼鏡はいい? じゃ、ちゃんと私にお礼をしてよね」
(……あんまりじろじろ見てたら変に思われるかも、話をそらしちゃおう)
24 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 14:47:31.77 ID:kQreYH8g0
叢雲「……は? 今日が楽しみだった? 何言ってんの」
(えっ!? 楽しみって、ど、どういう意味で!?)

叢雲「アンタが私におごるのよ、そこんとこ忘れてない? ……なら、いいけど」
(そ、それってつまりケーキを食べたかったってこと? それともまさか、私と一緒に過ごすのを楽しみにしててくれたってこと? だったら嬉しい……!)

――叢雲は急に顔を背けて歩き出した。

叢雲「ほら、さっさと行きましょ。もたもたしてるとケーキがなくなっちゃうかもしれないから」
(顔、赤くなってないかな? 見られないようにしないと……。……さりげなく手を繋ごうかな、なんて考えてたけどあきらめよう)

叢雲「……!? な、な、なに手つかんでんのよ、私はそんなに子供じゃないわよ! 離して!」
(ウソ!? ひょっとして声に出てた!? ど、どうしようどうしよう……!)

叢雲「……あっ……。ふ、ふん、それでいいのよ。急に手を繋いだりするから焦ったじゃない」
(離しちゃった……。もっと繋いでたかったな……なんで離してなんて言っちゃったんだろう……)
25 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/17(月) 14:48:26.77 ID:kQreYH8g0
叢雲「……えっ、な、なんでまた繋いで……?」
(やっぱり声に出してる!? それとも顔に出ちゃった……? 恥ずかしい……)

叢雲「そ、そんなに私と手を繋ぎたいわけ? ……なら、いいわよ別に。繋いであげる……から……。……代金はこれからもらうからね」
(恥ずかしいけど……やっぱり離したくない……)

――叢雲と手を繋いだまま、間宮へと向かった……。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 17:35:31.48 ID:quBNCneNo
あぁ^〜
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 17:46:32.85 ID:5NoFuX/I0
いいゾ〜コレ〜
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 01:47:51.64 ID:UgO9P7Z9o
これは良いぞ
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 23:37:15.70 ID:Ux7wb8TNo
とてもよい
30 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/19(水) 14:03:38.68 ID:bUw+LdI80
――叢雲はケーキのメニューを開いている。戦いももうすぐ一段落つくという戦況だが、まだまだケーキは割高だ……。

叢雲「うーん……」
(前よりはずいぶんと安くなったけど、まだまだ高いわね。こっちのチョコレートケーキも食べてみたいんだけどな……)

叢雲「そうね、じゃ、私はこのシフォンケーキでいいわ。これが好きなの」
(高いのを頼むと図々しいって思われるかもしれないし、いつもこうやって艦娘にご馳走してる司令官にも悪いし。いつも通り一番安いシフォンケーキにしよう……)

叢雲「……チョ、チョコレートケーキ!? 何言ってるのよ、私はシフォンケーキが好きだからこれを選んだだけで!」
(そ、そんなに物欲しげに見てた? 今日はすごく司令官が鋭い気がする)

叢雲「……あ、自分で頼むの? そう、じゃあいいわ」
(びっくりした……。結構高いのに、司令官もケーキ好きなのかしら)
31 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/19(水) 14:05:36.64 ID:bUw+LdI80
――注文をしてしばらくすると、二皿のケーキが運ばれてきた。

叢雲「あ、きた。……おいしそうね」
(チョコレートケーキもやっぱりいいなあ……)

叢雲「いただきます。遠慮なくおごってもらうわね。んー、おいしい」
(司令官がご馳走してくれたからかしら、シフォンケーキもいつもよりおいしい気がする)

叢雲「こんなに美味しい想いができるなら、毎回手伝ってあげてもいいわよ? ……ちょ、ちょっと、冗談よ」
(仕事を手伝うくらいで、毎回ご馳走になったら悪いし……)

叢雲「そっちのケーキはどう? ……ふーん、おいしいの。よかったわね」
(……やっぱり目の前で食べてるのを見てると、気になる……)
32 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/19(水) 14:06:49.01 ID:bUw+LdI80
叢雲「……た、食べるか、って、いいわよ私は」
(あ、あんまり見ないようにしてたのに……)

叢雲「……シフォンケーキも食べてみたい? そ、そうなの? じゃ、じゃあ、えーっと……。……お皿を交換したい? あ、そうね、そうしましょ! もう、わがままなんだから。感謝してよね!」
(なーんだ、そういうことだったのね、うん。……びっくりした、食べさせてくれるのかと思っちゃった)

叢雲「……うん、こっちもおいしいわね」
(チョコレートケーキ、おいしい! もっと食べたい……!)

叢雲「……え、良かったらもう一皿ご馳走してくれる……? って……。いいわよ、そんなに食べると太っちゃうし。……もう、わかったわよ、おごられてあげるから」
(うう、まるで心が読まれてるみたい……。そんなにわかりやすい顔してるかしら。恥ずかしい……でもうれしい)

叢雲「……あー、でも、そうね。私だけ食べるのもなんだか気が引けるわ。アンタも食べなさい。これは私がご馳走してあげる! ……遠慮なんかしなくていいの、私が気分良く食べたいってだけなんだから。……うん、よろしい」
(……我ながらこういう言い方しかできないのかしら。でも、ありがとう……司令官)

叢雲「アンタは何を頼むわけ? ……フルーツタルト? ふーん……」
(……これもおいしそう)

――この後、もう一度叢雲とお皿を交換した……。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/19(水) 14:45:35.56 ID:6EnOcFDpO
かわいい
34 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/10/19(水) 15:51:27.33 ID:bUw+LdI80
――翌日、廊下で曙と顔を合わせた……。

曙「あんた……!? なによ、その眼鏡!」
(ひょっとして、ずっと一人で仕事して、目を悪くしたんじゃ……!)

曙「視力が落ちるまで仕事を抱え込むなんて無能の証よ、クソ提督!」
(そんなことになる前に誰かに、あたしに、頼ってくれればこんなことにはならなかったのに!)

曙「前も言ったけど、あんたにちょっとぐらい迷惑かけられたって構いやしないのよ!」
(……なんて言ったけど、こんな言い方しかできないあたしを頼ったりはしないわよね……。もっと他の艦娘にも相談して、提督の負担を減らすようにしなきゃ)

曙「……え? 伊達メガネ? ファッション? ……はあ、紛らわしいことするんじゃないわよ!」
(よかった……。でも、目を離すとすぐに無理するから心配。もっとあたしが提督の力になれればいいのに……)

曙「……なにメガネ外してんの。それであんたが美形になったりはしないわよ。……はあ? どこが壊れてるってのよ」

曙「……似合ってるかって? どうでもいいわ」
(……結構似合ってるかも。そういえば、モニターの光を低減するメガネとかあったわよね……。今度買って、誰かに渡してもらおうかしら)

曙「……え? きゅ、急になによ、気持ち悪い」
(なに? なんなの? メガネで歪んであたしが美少女にでも見えた? ……こんな口が悪けりゃ美少女もないか)
35 : ◆vMSeYbSya. [sage]:2016/10/19(水) 15:52:17.56 ID:bUw+LdI80
つづきはまたそのうちです
ありがとうございました
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/19(水) 15:59:11.84 ID:vXq9sAQCO
らぶりーまいえんじぇるぼのたそ
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/19(水) 17:03:15.97 ID:ybE2iqzQ0
かわいい
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/19(水) 17:05:50.83 ID:+sEhaSQf0
(かわいい)
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/20(木) 01:44:05.87 ID:o6YKTj6f0
なんだ、ただの神スレか。
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/20(木) 01:56:14.46 ID:reHk867J0
ツンデレたちのヴァルハラか…いつか行ってみたいものだ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 18:58:26.89 ID:3iQPqvfGo
続きはよはよ
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/04(金) 22:32:34.17 ID:qMWsLgk10
まだかよお!?
43 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/11/09(水) 02:41:42.16 ID:xlAJoiay0
曙「……お礼をしたい? だから急になんなのよ……。お礼って言われても、ううん……」
(そんなこと言われても、急に思いつかないわよ! というか、さっきから何のお礼なの? いつもあたしは提督をののしってるだけなのに……)

曙「……何かをおごる? ふん、あんたの財布なんかあてにしやしないわよ。食堂でうどんでも……」
(……そういえば、この前はじまった映画……とか……。でもいわれの無いお礼なんか貰うわけにはいかないし……)

曙「え? 映画? べ、別にそんなもの観たくないわよ!」
(ど、どうしてわかったの!? 誰かに聞いた!? あたし、誰かに喋ったっけ!?)

曙「……ああ、そういうこと。って、自分が観たいからつきあってほしいって、あんた、小学生か何かなの?」
(なんだ、びっくりした……。でも、一人で映画を観にいくのが恥ずかしいって結構かわいいかも……)

曙「で、どんな映画なの? ……れ、恋愛映画? 一人じゃ恥ずかしいって、そういうわけ……?」
(……ええっ、これってどういう意味……!? い、いやいや、意味なんかないわよね?)

曙「……ん? 最近やってる映画って、それってひょっとしてあの? ……ふーん。ま、いいわよ。あんたに付き合ってあげても」
(あの映画を提督も観たがってたなんて、すごい偶然じゃない? ……ここでナシにしちゃうのは、もったいないわよね)

曙「で、いつ行くの? ……明日ぁ!? べ、別に問題なんかないわよ! はいはい、明日ね。時間は……近所の映画館で朝の回? わかったわ。遅れたら承知しないわよ、クソ提督」
(この前買ったワンピースどこにしまったっけ! ああ、急いで潮も呼んでコーディネートをチェックしてもらわなきゃ!)

――何事もないかのように曙は歩き去った……。
44 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/11/09(水) 02:42:09.13 ID:xlAJoiay0


――廊下の角を曲がった瞬間、激しく靴が床を叩く音が連続して響き、遠ざかっていった。


45 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/11/09(水) 02:42:58.58 ID:xlAJoiay0
――他の艦娘とも眼鏡をかけて対面してみることにした。


雷「あら? 司令官、どうしたの?」
(何かあったのかしら。……眼鏡、似合ってるわね)

雷「え? その眼鏡? とっても似合ってると思うわ!」
(眼鏡って、ちょっと頭がよさそうでかっこいいわ)


初月「ん、どうかしたのか、提督。なんだ、その眼鏡は」
(急に目が悪くなるということもないだろうし、何があったのか気になるな)

初月「……お洒落? ふうん……。うん、悪くないと思うぞ」
(そういうものもあるのか……。なかなか似合っているな。僕もかけてみたい)


吹雪「こんにちは、司令官! ……あれ、眼鏡ですか?」
(普段はかけてなかったのに……ひょっとして、コンタクトレンズだったのかな?)

吹雪「え、伊達眼鏡? ……はい! とっても似合ってると思います!」
(いつもの司令官もいいけど、眼鏡の司令官もいいなあ……)


――本当にこの眼鏡は壊れていないのだろうか……?
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 03:24:42.90 ID:DPgP3z9l0
MOTTOMOTTO
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/09(水) 03:48:50.54 ID:fmWBFnhd0
とても素晴らしい
早く続きが読みたいですな
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 06:26:33.99 ID:rtPLxg8/0
これぞ王道のツンデレ。攻撃翌力がヤバい!
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 06:51:37.26 ID:LLZmIpORo
乙です
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 07:44:42.03 ID:R56gpHUaO
ぜひともオコトワリ勢も見てみたいものだ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/09(水) 09:04:48.48 ID:XcNeCSqQO
ひたすら可愛い
続きが待ち遠しい
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 09:08:56.62 ID:T+ZfsOQSO
味方より敵を堕とすほうが捗るな
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 10:51:36.29 ID:fhvc0/DYO
>>44で吹き出した
54 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/11/10(木) 03:38:07.51 ID:tizzqOB70
――翌朝、着替えて廊下を歩いていると潮に声をかけられた……。

潮「あ、あれ? おはようございます、提督?」

潮「……何かあったのかって、その。朝早く、曙ちゃんが出ていったから、私、てっきり……」

潮「……約束の時間まで、二時間もあるんですか? それじゃあ、街に何か用事があったのかな……」

潮「……いつごろ出て行ったか、ですか。えっと、二時間くらい前です」

潮「あっ、提督……!?」

――予感があった。慌てて外へと走り出した……。
55 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/11/10(木) 03:40:13.97 ID:tizzqOB70
――街中の噴水広場。約束の場所でワンピース姿の曙が座っていた……。

曙「……ん? えっ、えっ! な、なんであんたがここにいるのよ! まだ約束の時間まで、あと1時間半はあるのに……」

曙「……え、あたしもいる? あ、あたしはその、別に……。時間に遅れるようなマヌケになるのが嫌だから、早めに来ただけよ!」

曙「あ、言っておくけど、今ちょうど来たところなんだからね。別に待ってなんか……え、潮が……? さ、さっきまで街中を歩いてたの!」

曙「ん? そういえばあんた、メガネはどうしたの?」

――忘れていた。一応、かけておくことにした……。

曙「……忘れてたの? ま、どうでもいいんだけど」
(……ふう、話を逸らせたかな……。絶対に遅れちゃいけないから4時間前に鎮守府を出たなんて、言えないし……)
56 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/11/10(木) 03:49:51.19 ID:tizzqOB70
曙「ま、いいわ。じゃあちょっと早いけど、映画館に行きましょ。……朝食? あ、忘れ……じゃなくて、あたしはダイエット中なの」
(昨日の約束から何にも食べてなかった……。それどころじゃなかったからだけど、気づいたらお腹空いてきちゃった……)

曙「……どこかで食べていくかって? だ、だからあたしはダイエット中だから!」
(そんなにお腹が空いていそうな顔してた? 恥ずかしい)

曙「……そ、そりゃ無理はよくないけど、でもあたしは無理なんか……。……ああ、わかったから、もう。あんたにつきあってあげる! 感謝しなさいよ」
(うう、何やってるんだろう、あたし……。でも、変なところでお腹が鳴ったりしたら恥ずかしいし……。ちゃんと食べられてよかったのかも。うん、きっとそう)

――近くの店で軽く食事を済ませた。曙は強引にこちらの分まで支払った……。
57 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2016/11/10(木) 04:12:45.46 ID:tizzqOB70
――映画館

曙「……そろそろ始まるわね。あ、照明が落ちたら、喋るんじゃないわよ。わかってると思うけど」
(……映画が始まるまでの、この時間が好きなのよね。……隣に提督がいると思うと、いつもよりドキドキするけど)

――映画が始まった。恋愛映画であるという以外の内容を知らない。タイトルは『海面 ―みなも― 』というらしい……。

――驚いたことに、この映画は艦娘が在籍している架空の鎮守府が舞台だった。そして、描かれるのは艦娘と提督の恋愛模様だ……。居心地の悪さがある。

――曙の様子を見ると、真剣な表情でスクリーンを見つめている。映画に集中しているようだ……。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 07:17:47.91 ID:r7y+IUUO0
貴方はツンデレを良く判ってるw昔のツンデレは暴力に出るものが多く嫌だった。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 08:11:41.60 ID:QbQ6wD4CO
ツンデレとは心情の変化であると思う
ツン期→デレ期
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 09:21:41.04 ID:j4zvPBdS0
でもこれって眼鏡で感情を読んで行動してるってわかったらいっきにシュラバヤ海戦だな
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 09:34:35.90 ID:y/YI15NPo
わかる照明が落ちる瞬間っていいよね…
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 11:40:17.48 ID:mW/RasdZO
同意
堕ちる瞬間は良いものだ
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 13:40:28.16 ID:yqhXUxWXo
微妙に噛み合ってない会話が聞こえた
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/27(日) 01:39:39.27 ID:CtNBKQr80
待ち
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 03:28:24.87 ID:u6Dw/0N9O
偽作者
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/30(金) 14:11:47.82 ID:sEWf6wsDO
保守
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/22(日) 01:33:46.72 ID:qJdEwyXwO
まだかな
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/17(金) 15:53:41.09 ID:5YOiwKLDO
保守
69 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2017/02/23(木) 11:56:41.38 ID:3bhNRafd0
――驚いたことに、この映画は艦娘が在籍している架空の鎮守府が舞台だった。そして、描かれているのは艦娘と提督の恋愛模様だ……。

――曙の様子を見ると、真剣な表情でスクリーンを見つめている。映画に集中しているようだ……。

――映画が進むにつれて気がついたが、舞台となっている鎮守府の内装はどこかで見たことがある。かつて自分が訪れたことのある、他の鎮守府をモデルにしているようだ。

――取材を元に作られたのであろうセットは、細部まで再現されていて、よくできている。すぐにでもここで仕事をはじめられそうだ。

――……しかし、出演者演じる艦娘たちは、なんと全員かしこまった様子で敬語を使って提督と話している。まるで軍人のようだ。取材時にはどれほどしっかりと猫をかぶっていたのか……。
70 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2017/02/23(木) 11:58:21.40 ID:3bhNRafd0
――終盤。主人公の提督と艦娘は、両想いとなっているが、立場を気にかけてお互いに想いを伝えられない。そのまま危険な大規模作戦へと参加する艦娘。それを見送る提督。

――そして艦娘は無事に帰還し、二人は結ばれた。スタッフロールが流れはじめる……。

曙「………………」

――……映画が終わっても曙は無言のままだった。はじめて見る表情をしている。

――はずしておいたメガネをかけるのはやめておいた。そのまま、二人で映画館のすぐ側の喫茶店に入ることにした……。
71 : ◆vMSeYbSya. [saga]:2017/02/23(木) 11:59:14.78 ID:3bhNRafd0
曙「……あたしはアイスコーヒー。あんたは? ……同じでいい? そう」

――曙は何かを考え込んでいるようだ。何を思ったのだろう……。

曙「あのさ……。映画、どうだった?」

曙「……ああ。ふーん……アンタらしい感想ね」

――なぜか曙はため息をついている。どこか呆れたような顔をしている……。

曙「……あたしは……さ、なんていうか……」

曙「…………」

曙「あたし、あんたのことが好きなの」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 12:09:47.37 ID:VtB9mr0+O
グエー死んだンゴ
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 12:43:16.85 ID:cMU6ZyWFO
おお、続ききとるやんけ
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/21(火) 08:18:12.49 ID:7m10jwYDO
保守
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 17:07:34.56 ID:603LH3sDO
保守
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/14(日) 00:15:46.84 ID:9HuAHGhDO
保守
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 10:53:48.35 ID:Hrd8PlEF0
保守
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/01(土) 22:26:59.58 ID:V56chk3o0
奉秋
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/04(火) 23:32:25.35 ID:1o3UECwT0
ぼのたんktkr
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/12(水) 22:15:48.47 ID:79Y2uSoG0
まだー?
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/01(火) 12:45:11.77 ID:IFvKWTUuO
まだ?
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 08:17:12.33 ID:cEQVV+GDO
保守
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 20:21:04.35 ID:TJfonSvq0
芳洲
84 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/15(日) 13:55:37.79 ID:WB9ZN7NC0
当時使っていたトリップを完全に忘れたので新しいのでやります
もうしわけない

85 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/15(日) 13:57:21.00 ID:WB9ZN7NC0
曙「あたし、あんたのことが好きなの」

曙「…………」

曙「どういう意味ってそのままの意味よ」

曙「……なんか最近、鋭くなった気がしてたんだけど。気のせいだったわね。ちょっと安心した」

曙「……本当は、言うつもり、なかったんだけど。……言う勇気がなかっただけかな」

曙「でも、今の映画……みたいに……生きるか死ぬかって時が、きたら……」

曙「そう思ったら……だから……」

曙「一人で見てたら、こんなこと思わなかったのかもしれない。でも、今日は違ったから……」

曙「…………」

曙「……何も言わなくていいわ。ううん、何も言わないで」

曙「……あたし、きっとダメになるから。だから全部終わってから……お願い」

曙「わがままだけど……」

曙「…………」

曙「……帰りましょ。ね、提督」

――曙と、少しだけ映画の話をしながら鎮守府に戻った……。
86 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/15(日) 14:00:37.72 ID:WB9ZN7NC0
――1週間ほど経ったある日、満潮が執務室に入ってきた。なぜか扉のカギをかけ、こちらに歩いてくる……。

満潮「……あのさあ、単刀直入に聞くけど。何があったわけ」

満潮「何のことって、曙と司令官。何かあったんでしょ」

満潮「……そんなの、見ればわかるわよ」

満潮「噂されてるの気づいてないの? 二人で出かけてから、様子がおかしいって。無理やり手を出したんじゃないのかー、とかね」

満潮「……違う? それはわかってるわよ、だからこうして聞いてるの」

満潮「……話せない? ……私だから?」

満潮「……そうじゃない。ああそう。……わかった。この話は終わりね」

満潮「じゃあ別の話をするわ。司令官、メガネかけてたらしいわね」

満潮「私は見てないんだけど。なんで今はかけてないの?」

満潮「……ふうん。そうなんだ」

満潮「嘘ね」
87 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/15(日) 14:01:56.48 ID:WB9ZN7NC0
満潮「……なんでって? ……そうね……ん……」

満潮「……明石さんに聞いたの」

満潮「……そう、そういうことよ。全部わかってる。ほら、そのメガネ貸して」

――満潮がメガネをかけた……。

満潮「どう、似合ってる? ……そう? ま、そんなことはいいわ」

満潮「これで私たちのことを見てたんでしょ? どうだった?」

満潮「……ふうん……そんなに私たちのことを知りたかったんだ」

満潮「……ねえ。明石さんに聞いたんだけど。知ってた? 司令官がこのメガネをかけたら、私たちのことがわかる」

満潮「だから、私たちがかけたら、司令官のことがわかるのよ」

満潮「……そんなに驚くようなことじゃないでしょ? むしろ当たり前なくらい」

満潮「ねえ、司令官?」

――レンズ越しの満潮の視線が刃となり、自分を切り分けるように感じる……。
88 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/15(日) 14:02:37.79 ID:WB9ZN7NC0
満潮「後悔してるのね? こんなメガネをかけたこと」

満潮「そうよね。もちろんそう。でも、わかってたのよね、最初から」

満潮「そうせずにはいられなかった。……どうして?」

満潮「怖いから? 不安だから? ……好きだから?」

――満潮は、言葉と共にゆっくりと顔を近づけてくる……。

満潮「…………」

満潮「……やっぱりね」

――満潮がメガネを外した。

満潮「……あーあ、つまらない……」
89 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/15(日) 14:04:53.89 ID:WB9ZN7NC0
満潮「…………」

満潮「曙と話をしたほうがいいんじゃないかしら」

満潮「多分、早いほうがいいわ。だって……」

――廊下から激しい足音が近づき、ドアがノックされる。

潮「し、失礼します! ……あれ? 開いてない!?」

満潮「……遅かったかな。今開けるわ!」

――満潮が鍵を開くと、潮が蒼白な顔で飛び込んでくる。

潮「て、提督……! 曙、曙ちゃんが……!」
90 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/15(日) 14:09:16.03 ID:WB9ZN7NC0
――白い病室で、病衣の曙がベッドの上で目を閉じている。

――見えている頭や腕の多くが、白い包帯で包まれている……。

曙「…………」

曙「ん…………あ…………」

曙「……あれ? ……あたし……」

曙「……あっ。……何変な顔してんのよ、クソ提督……」

曙「あたし、生きてるみたいね。よかった」

曙「さすがに……あんなこと言った後に死んじゃったら、あんたも目覚めが悪くなるでしょ……だから、よかった」

曙「……無理するなって……? ん……そうね……」

曙「………………」

曙「………………でも、ひとつだけ」

曙「あたしは、ここまでみたい」
91 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/15(日) 14:10:59.23 ID:WB9ZN7NC0
曙「……退役するわ。艤装は煮るなり焼くなり好きにして」

曙「……ううん、たぶん、身体は大丈夫……このくらいのケガなら、今までだって……」

曙「でも……」

曙「……んっ……」

曙「ごめん。続きはまた後でね……ちょっとだけ、休ませて……」

曙「……謝ることないわよ。まったく……」

曙「来てくれて、嬉しかった。……うん。おやすみなさい」

――曙は再び目を閉じた……。
92 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/17(火) 00:25:26.15 ID:+uii157N0
――病室を出ると、そこで満潮が待っていた。

満潮「曙、どうだった?」

満潮「……そう。身体は問題ないの。よかった」

満潮「で? それだけ?」

満潮「……それだけじゃないでしょ。何か曙に言われた? いいから言いなさいよ」

満潮「……え……。そう……」

満潮「…………」

満潮「ねえ、曙がどうして退役するって言い出したか知りたいわよね? ……気になるでしょ?」

――満潮は手に持っていたメガネを自分に見せた……

満潮「……欲しい? 司令官が一番知りたいことがわかるわよ。あの娘は多分、気づかないわ」

――…………

満潮「……そ」

――満潮は両手でメガネを掴み、真っ二つに折って、そのままゴミ箱に放り込んだ……
93 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/17(火) 00:27:35.49 ID:+uii157N0
満潮「…………」

満潮「……勘違いしないでほしいんだけど、責めてるつもりはないわよ」

満潮「司令官は間違ってたわけじゃない」

満潮「ただ、たまたまこうなっただけ。運が悪かったのね」

満潮「ひょっとしたら、良かったのかもしれないけど。……知らないけど」

満潮「…………」

満潮「なんにせよ、決めたのは曙でしょ。……曙が後悔してるとは限らないんじゃないの?」

満潮「……ふん。せいぜい今度こそ、ちゃんと話すのね。司令官もどうするつもりかは知らないけど、ちゃんとしなさいよ」

満潮「……じゃ、わたしは行くから。あーあ、まったく司令官がこんなだと苦労するわ、ほんとに」

満潮「……だから、わたしにお礼とかいらないから。それより曙のことでしょ。それじゃ」

――満潮は足早に去っていった……
94 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/17(火) 00:29:25.46 ID:+uii157N0
――真っ二つになったメガネを持って、明石に会いに行った……

明石「あれ? 提督、どうしたんですか?」

明石「……ああ、あのメガネですか。うわ。真っ二つですね。さすがにこれは直せないかも……」

明石「……直さなくてもいい? ……そうですか」

明石「で、どうでした? 使ってみて」

明石「……いやいや、壊れてませんでしたって。少なくとも真っ二つになるまでは」

明石「もー、私を信じてくださいよ。……もしくは、提督が見た誰かを信じてあげてくださいよ。誰に使ったのかは聞きませんけど、ふふふ」

明石「……え? え? どういうことですか?」

明石「……なんで満潮ちゃんに喋ってしまったのか、ですか……?」

明石「……ん、んん、んんん〜〜」

明石「それはそのー、とってもシンプルですけど答えるのが難しい問いですね……」

明石「……そ、そうですか。いやー、その、も、申し訳ないですアハハ……そっか満潮ちゃんかー……」
95 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/17(火) 00:30:48.01 ID:+uii157N0
明石「……あの、そんな顔してるのは、ひょっとして後悔してるんですか? 何かよくないことが……?」

明石「……そうですか……曙ちゃんが退役……」

明石「…………」

明石「……えっと。こういうメガネを渡した私が言うのもおかしいかも、ですけど。私は提督が間違っていたとは思わないですよ」

明石「だから、曙ちゃんが決めたなら、それは……え? ……満潮ちゃんも同じことを言ってた……」

明石「あー、そうですかー……はい……。いいこと言おうとしたら、先に言われてたって恥ずかしいですねー」

明石「えーと、じゃあ私から、もう一つだけ」

明石「提督が私たち一人一人を見ているのと同じように、私たちも提督のことを見ているんですよ」

明石「だから……提督のことを見ている艦娘と、ちゃんと目をあわせてあげてくださいね」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/17(火) 19:32:40.36 ID:+JaQaQ1Oo
完全にエタったと思ってから続いてすげぇ嬉しい
しかしぼのたん…
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 19:01:55.39 ID:3I63zuKc0
ぼのたん…
98 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/24(火) 15:18:30.03 ID:s3HZ+f+G0
――執務室で仕事をしていると、叢雲がやってきた……

叢雲「あのさ……もう聞いてるわよね? 曙のこと」

叢雲「なんで辞めるかって、聞いた? 私も聞いてみたんだけど、何も言わないから……」

叢雲「その代わりにね……。笑って、あんたのことよろしくね、だって」

叢雲「……ああ、悪かったわ。そんな顔させるつもりはなくて……」

叢雲「…………」

叢雲「……私たちが最初にここに来た時は、たったの二人だけだった」

叢雲「あれから、ずいぶんと艦娘も増えたわよね……。いろんな娘と出会って、一人、また一人って……。どんどんにぎやかになったわ」

叢雲「でも、その分……別れも増えていくのかもしれない……」

叢雲「…………」

叢雲「……でも、それでもね。私は……」

叢雲「えっと……」

叢雲「えーと…………」

叢雲「あー……」
99 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/24(火) 15:19:04.65 ID:s3HZ+f+G0
叢雲「……あーあー、やっぱりごめん、なしで」

叢雲「……き、気になる? いや、大したことじゃないから、ほんとに」

叢雲「……いいのよ、そんなに気にしなくて!」

叢雲「ほら、仕事があるんでしょ! 手伝ってあげるから貸しなさいよ!」

――叢雲に強引に書類を奪われた……
100 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/24(火) 15:19:37.14 ID:s3HZ+f+G0
潮「あの……少しいいですか?」

潮「曙ちゃんのことです」

潮「……い、いえ、違います。提督が、曙ちゃんに何かしたって思ってるわけじゃありません」

潮「でも……曙ちゃん、わたしたち……漣ちゃんと朧ちゃんにも、何も話してくれないんです」

潮「だから、提督に聞いておきたくて……」

潮「……そうですか、提督も何も聞いてないんですね」

潮「…………」

潮「あの……。お願いです、提督」

潮「曙ちゃんに、理由を聞いてあげてください」

潮「……ううん、違うんです。わたしたちの代わりに聞いてほしいんじゃなくて」

潮「きっと……。曙ちゃんは提督にしか、話さない……。もしかしたら、話せないんだと思うから」

潮「その理由は、わたし達には……いえ、誰にも話さなくていいんです。ただ、聞いてあげてほしいんです」

潮「お願いします!」

潮「……あ。……はい! ありがとうございます!」
101 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/24(火) 15:21:24.41 ID:s3HZ+f+G0
曙「はい、これ。書類」

曙「これにハンコを押してもらえば、あたしも艦娘を卒業して、ただの一民間人ってわけね」

曙「キツイ、キケン、キモイの3K尽くしな艦娘業ともおさらばよ。清々するわ」

曙「……な、なによ」

曙「……本当に、いいのか、って?」

曙「あは、うん。ええ、本当にいいのよ。あたしはここまでなの」

曙「……どうして、か」

曙「そうね、あんたには話しておかないとね」

曙「ま、ここまでもったいぶっておいて悪いんだけど……。つまんない理由よ」

曙「というか、もう言ってるんだけどね……」

曙「艦娘はほんとにキツいし危ないし、どこまで行ってもキモい深海棲艦と殴りあわないといけない」

曙「それがつらくて、耐えられなくなったからやめるの」
102 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/10/24(火) 15:23:01.10 ID:s3HZ+f+G0
曙「ま、それでも……。もうちょっと頑張ろうかと思ってたんだけどね。……この前、喫茶店で……あれ、言っちゃったでしょ、あたし」

曙「そしたら、なんだかスッキリしちゃって。それで、大怪我したのをきっかけに、もうやめようって決めたのよ」

曙「このままだと、あたしは多分死んじゃうって気づいた。そうしたら、死ぬのが怖くなった」

曙「どう? ありきたりすぎて、逆にびっくりしたんじゃない? 臆病者って笑ってくれてもいいわ」

曙「……気を使わないで。あたしは本当に臆病なの」

曙「こんな理由でやめて、みんなにさげすまれるのが怖くて何もいえないんだから」

曙「……ああ、もう。はいはい。……わかったってば」

曙「……あんたの、そういう風に妙に優しいところがよくなかったのよね。あーあ、うっかりよ、あたしも。ほんと嫌になっちゃうわ」

曙「それじゃ、ね。書類置いとくから。ハンコとサイン、よろしく」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 01:10:09.07 ID:6soQjkbA0
はよ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:01:06.90 ID:GZHBOvCa0
叢雲「……あ、この書類。じゃあ、曙は本当に……」

叢雲「ねえ、アンタ、曙から何か聞いた?」

叢雲「……そう。ま、それはそれでいいわよ。私も聞かないわ。言いふらされたいものじゃないだろうしね」

叢雲「でもね、アンタはそれでい……」

――叢雲に、もう一組の書類を渡した。

叢雲「……え、なに? これ?」

叢雲「ええと……。……ああ、ふーん。なるほどね。そういうこと。はいはい。わかったわよ」

叢雲「仕方ないわね。仕方のない司令官さまのために、私が手伝ってあげる。せいぜい感謝しなさいよ?」

叢雲「……また奢ってくれるって? ふふん、当然でしょ。今度は1ホールまるごと頼むわよ。……え」

叢雲「……太らない! 艦娘は毎日運動してるから太らないの!」

――叢雲に蹴飛ばされた……
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:01:38.94 ID:GZHBOvCa0
――執務室を出て、廊下を歩いていると、満潮が窓によりかかっていた。

満潮「ん……」

満潮「…………」

満潮「……大丈夫そうね」

満潮「じゃ、せいぜい頑張りなさい」

――満潮はそれだけ言うと、背を向けて歩き去った……
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:02:08.22 ID:GZHBOvCa0
――今日は曙が、この鎮守府を去る日だ。

――最寄の駅から、転居先へと旅立つらしい。

――曙は一切の会も式も見送りも拒否して、黙って鎮守府を去ると言った。

――その言葉通り、同室だった潮にそっけない別れを告げ、鎮守府の敷地外へと歩き出す曙が見えた。
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:02:39.48 ID:GZHBOvCa0
曙「なによ……結局来たわけ?」

曙「あんだけいらないって言ったのに、まったくもう……」

曙「ま、わざわざ提督様が貴重な勤務時間を浪費してくださったわけだし、一応挨拶はしてさしあげるわ」

曙「じゃあね」

――曙はそれだけを言うと、門扉を通って敷地の外へ出た……
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:03:44.81 ID:GZHBOvCa0
――その隣に並び、歩きはじめた。

曙「……ちょっと、なにやってんのよ」

曙「仕事を放り出して、戦場から逃げ出す艦娘についてこようっての?」

曙「あんたはね、国民の血税で食べさせてもらってるのよ。それをちゃんと自覚して……」

曙「……え? 休暇?」

曙「……午後だけ? そんな急に……」

曙「……叢雲が、ね。あ、そう。はあ……」

曙「あのさあ、あんたにはやるべきことがあるでしょ。あたしなんかに構ってないで、他の子を見てあげなさいよ」

曙「それに、あたしはもう民間人なんだから、これは立派なストーカーよストーカー。110番ものね」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:04:24.49 ID:GZHBOvCa0
曙「……い、嫌なのか、って。嫌よ、嫌に決まってるでしょ。通報するわよ」

曙「……だ、だから……本当に嫌なの……」

曙「……別に……」

曙「……そんなに言うなら……いいけど……」

曙「…………ばか」

曙「…………」

――曙が、自分の袖を少しだけ掴んだ……

曙「…………」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:05:09.22 ID:GZHBOvCa0
曙「…………」

――…………

曙「…………」

――…………

曙「……あ」

――冷たい雫が頬に触れた。雨が降ってきたようだ……

曙「傘、持ってないわ。……まあ、駅なんてすぐそこだし、走ればいいだけ……」

――折り畳み傘を取り出し、曙の上に広げる。

曙「ふーん……用意いいのね。……天気予報を見た? へえ」

曙「でも、そんなにあたしの方に傾けたらあんたが濡れちゃうでしょ」

曙「……よくないってば。前も言ったけど。もっとあんたは自分を大切にしなさいよ」

曙「これからは……あたしは手伝ってあげられないんだから」

曙「……だから、もっとみんなに助けてもらうのよ。いい? ……よし」

曙「うん。みんながいれば大丈夫よね、きっと。……そうよ、あんたなんか一番信用できないんだから」

曙「…………なんてね」

――曙は、再び言葉を切った……
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:06:51.23 ID:GZHBOvCa0


――沈黙は、不思議と心地よかった。

――ただ身体を近づけて歩いているだけで、曙の熱が自分に伝わってくるような気がする。


112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:10:47.89 ID:GZHBOvCa0
曙「……あたしね」

曙「ほんとは、たぶん、ずっとまともじゃなかった」



曙「自分で思ってるよりもずっと……艦娘が辛くて、苦しくて、それを我慢してた」

曙「普通の女の子みたいに、誰かと映画を観たり……そういう生活にあこがれてた」



曙「そんなこと言ったらみんなが心配するから……強がってたのかな」

曙「だから、素直になれなくて……」



曙「辛くても、役立たずにはなりたくなかったわ」

曙「だからあたしはそれでよかった」



曙「いつ死んでもいいって……ううん、死にたかったのかも」

曙「きっとそう」

曙「死にたかった」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:11:42.41 ID:GZHBOvCa0

曙「………………」



曙「……あなたのために死にたかった」

曙「死んで……役に立ちたかった。力になりたかった」

曙「あたしを全部使って、そうして、そのかわり……ずっと覚えていてほしかった」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/29(水) 01:13:13.69 ID:GZHBOvCa0
曙「でもね……あたし……」

曙「あの時……言えたから……」

曙「だから、やっぱり死にたくなくなって」

曙「そうしたら……生きたいって思えたの」

曙「ねえ、提督……ううん……」

――曙は、自分の名前をそっと口にした……

曙「返事……聞かせてね」

曙「全部、終わったら……」


――気がつけば、駅が目の前にある……
115 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/11/29(水) 12:08:27.36 ID:GZHBOvCa0
曙「あーあ。もう、着いちゃった」

曙「ここまででいいわ」

曙「じゃあ、ね」

曙「……え? 傘……くれるの? ……降りた後に、まだ降ってるかも、って。心配性ね。でも、ありがとう」

曙「ん、なによその顔。あたし変なこと……」

曙「あ」

曙「あは」

曙「そうか。初めて、言ったっけ。ありがとうって」

曙「うん。そうかも」

曙「ふふふ」

曙「ありがとう。さようなら」
116 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/11/29(水) 12:08:54.65 ID:GZHBOvCa0
――曙はほほえんで前を振り向き、改札へと歩いていった……

――切符を改札に入れようとして……

――曙は立ち止まった……
117 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/11/29(水) 12:10:27.46 ID:GZHBOvCa0
曙「…………」

――…………

曙「っ」

――振り向き、こちらに走り寄った曙が……

――……!

曙「んっ……!」
118 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/11/29(水) 12:10:59.39 ID:GZHBOvCa0
曙「……ん……は……」

曙「ふ……はあ……ん……」

――…………

曙「……はあ」

――そっと、曙が身体を離した……
119 : ◆yJGN1SPTmzFo [sage saga]:2017/11/29(水) 12:11:31.94 ID:GZHBOvCa0

曙「……不思議ね」

曙「……後悔、少しだけしてた」

曙「……でも、今は」

曙「……これでいいって思えるの」

曙「…………」

曙「……そっか」

曙「……よかった……」

曙「うん。またね」


――改札の向こう側へと消えていく姿を、見送った……
120 : ◆yJGN1SPTmzFo [saga]:2017/11/29(水) 12:12:55.01 ID:GZHBOvCa0
――振り返ると、駅の入り口に叢雲がいた。

叢雲「………………」



――傘を二本持っている……

叢雲「………………」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/29(水) 14:47:56.31 ID:2uc6+PY30
待ってたそして待ってる
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 16:02:47.71 ID:uJGfHq7A0
まだか?
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/07(水) 11:07:55.81 ID:r8a/9PTL0
まだっすか?
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/07(水) 11:10:45.29 ID:79FdEo5SO
恥ずか死ぬ
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/20(火) 01:05:10.23 ID:dYHK/vnd0
まだか?
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/06(金) 22:55:42.20 ID:hXs6cXUY0
おーい
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 11:41:04.54 ID:O4Kkv0hDO
保守
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/28(水) 02:20:36.76 ID:zoEtQxJs0
あけましておめでとうございます
129 : ◆yJGN1SPTmzFo [saga]:2018/11/28(水) 02:23:26.36 ID:zoEtQxJs0
叢雲「……なによ。いたら悪いわけ?」

叢雲「あーそうねそうよね、そうですね。大変悪うございました。お邪魔をして申し訳ありませんでした、司令官殿」

叢雲「何よ。バカじゃないの。まったく。バカは私か。バカ見たわ」

叢雲「ふんっ」

――叢雲は乱暴に傘を投げつけてきた……

叢雲「とっとと帰るわよ! 休暇は終わり! 仕事をする!」

――叢雲はそう言って、早足で歩き始める。慌てて後を追いかけた……

叢雲「ほんと、冗談じゃないわよまったく、やめた艦娘に、即手を出すなんて、なんなのかしらこれ、あー、もう馬鹿馬鹿しいったらほんとに……」

叢雲「そもそも急に曙がやめるって言い出したのもおかしいのよ最初からこのつもりだったんじゃもう二人の間で全部話が済んでたからきっとこうやってマヌケに仕事を押し付けて見送りにかこつけた逢引をしてたのねそそうかそうよそういうこと」

叢雲「こんなことになるなら臨時で秘書艦なんか引き受けずに砲撃訓練でもしてればよかったわよ標的に写真でも貼り付けて念入りに手足をすこしずつ吹き飛ばして最後に頭をそうだ今からでも遅くないわ今ここに本人がいるわけだし」

叢雲「いっそ手足全部と頭に魚雷をくくりつけて別方向に発射して全身を引きちぎってやるのも面白いかも最後にどの部位が身体にくっついてるかで賭けもできるしさぞ見物だわねえ聞いてる!!」

叢雲「……わかってるわよ! 悪いのは全部曙だって言いたいんでしょ! だから自分には責任がないし私は何一つ文句を言わず粛々と仕事に戻れと言いたいのね! そうでしょ!」

叢雲「あ? 違う? 違うっていうのはどういう意味よ」

叢雲「違わないならやっぱり共謀して……!」

叢雲「……………………………………………」

叢雲「…………………………………はあ……」

叢雲「なんだかな……」

叢雲「あーあ……」
130 : ◆yJGN1SPTmzFo [saga]:2018/11/28(水) 02:25:20.30 ID:zoEtQxJs0
叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「……あ?」

叢雲「何謝ってるのよ。自分が悪いことをしたって思ってるわけ? へえ? じゃ、アンタの何が悪いのよ、言ってみなさいよ」

叢雲「……ほら、そうやって口ごもって。何が悪いかもわからないのに謝るって何のつもり!」

叢雲「そうよ! 私は八つ当たりをしてんの!! だからアンタが謝る必要なんてこれっぽっちもないのよ!!」

叢雲「……だから……」

叢雲「だから、……ごめん」

叢雲「………………」

叢雲「はあ……ホント……格好のつかないこと」

――叢雲はまた黙って、前を歩いていく。しばらくそのまま無言で歩いた……

――雨が降る道に、人影はない。叢雲とその後ろを歩く自分の二人だけだ。

――前を歩く叢雲は、急に立ち止まって、こちらを向いた。

叢雲「……で、さあ」

叢雲「実際、曙のことどう思ってるの? 好きなの? 結婚とかするわけ?」

叢雲「……まだわからない? はっきりしないわね」

叢雲「………………じゃあさ」

叢雲「アンタ、好きな人、とか……っているの? ……曙以外で」

叢雲「……いない? あっ……そう……。フーン」
131 : ◆yJGN1SPTmzFo [saga]:2018/11/28(水) 02:26:00.93 ID:zoEtQxJs0
――叢雲はまた、前を向いて歩きはじめた。自分もその後ろについていく……

――雨が降る道に、やはり人影はない。叢雲とその後ろを歩く自分の二人だけだ。

――前を歩く叢雲は、またも急に立ち止まって、こちらを向いた。

叢雲「あのさ……」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

――叢雲はまたまた、前を向いて歩きはじめた。自分もその後ろについていく……
132 : ◆yJGN1SPTmzFo [saga]:2018/11/28(水) 02:26:38.61 ID:zoEtQxJs0
――雨が降る道に、変わらず人影はない。叢雲とその後ろを歩く自分の二人だけだ。

――前を歩く叢雲は、またも急に立ち止まって、こちらを向いた。

叢雲「あの、さ……」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

――叢雲は三度、前を向いて歩きはじめた。自分もその後ろについていく……
133 : ◆yJGN1SPTmzFo [saga]:2018/11/28(水) 02:27:41.37 ID:zoEtQxJs0
――雨が降る道には、本当に人影がない。世界に存在するのが、叢雲とその後ろを歩く自分の二人だけになったようだ。

――……そして、前を歩く叢雲は、急に立ち止まって、こちらを向く。

叢雲「あの……ええと……」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「やっぱり、何でもない……」

――叢雲はふたたび、前を向いて歩きはじめようとする。その肩に手をかけた。

叢雲「っ!?」
134 : ◆yJGN1SPTmzFo [saga]:2018/11/28(水) 02:28:32.79 ID:zoEtQxJs0
叢雲「な、なによ!?」

叢雲「……言いたいことがあるなら言え、って!? 別にないわよそんなもの!!」

叢雲「何でもないって言ったでしょ! だから本当に……

叢雲「何、でも…………ないの」

叢雲「本当だから……離してよ……」

叢雲「お願いだから……」

叢雲「………………」

――叢雲は弱々しく、うつむいている……

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「あのさ」

叢雲「私、アンタのことが好きなの」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「なんか言いなさいよ」

叢雲「……どうなのよ。私のことを好きになったとか、全然好きになってないとか、何かあるでしょ」

叢雲「……わからない? またそれ?」

叢雲「……ダメだからね、私に言わせたのはアンタなんだから。もう誤魔化させないんだから」

叢雲「ほら! 言いなさいよ!」

――叢雲は傘を落とし、両手で自分の頬をつねり、ひっぱりはじめた……

――こちらを見上げる叢雲の顔は、怒り顔だ。

――顔に雨が落ちて、目元から流れている……

叢雲「……言ってよ。……言ってったら」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「……言えないの……?」

叢雲「………………」

叢雲「………………」

叢雲「そう。わかった」

――叢雲は手を離して、傘を拾った。

叢雲「…………はあ。スッキリした」

叢雲「大丈夫よ。私は曙みたいにはならないから」

叢雲「言葉を探してるんじゃなくて、本当に言えないだけだってことも、わかった……だから、大丈夫」

叢雲「じゃ、帰るわよ。司令官」

――叢雲と、無言で雨の中を並んで歩いた……
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 03:04:18.94 ID:u2FJ55OA0

待ってた
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