チェイス「雛見沢…」

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457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 00:18:59.89 ID:vy8CvGM0o
乙彼!

>鷹野「古手梨花!!」
>鷹野「…貴方の親が、どうして死んだのか…」
ここ神社長の宝生永夢ゥ!口調で脳内再生されて雛見沢症候群発症しかけた
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 01:46:14.29 ID:X54JW5OsO

サブキャラまで全員救う展開は爽快
胸が熱くなる良い物語だったよ
もう一度、オツカーレ!
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 20:09:54.42 ID:KNn/QD4DO

ここまで綺麗なハッピーエンドをするのはクロス含めて早々無いな
強いて言うなら雪絵さん死んでる時空なくらいか
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/18(日) 01:53:18.66 ID:59c7Hszl0
丁寧に爽やかに終わらせたもんだな……大したもんだ
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 20:16:59.61 ID:rX4T9Qs50
>>459
雪絵さん生きてるぞ・・・

マジで感動したわ
読みやすいし、ひぐらしの世界観もよく分かった
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 22:36:59.07 ID:s4IdQPySo
>>394らへんを参照
463 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/21(水) 21:57:18.54 ID:4WyIfy8XO
今更ですが後日談書けたらその内投下します
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 22:16:58.67 ID:ud3FGDnXo
期待
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 22:22:40.35 ID:xleL0hqqO
乙!
おかわりまであるとは!
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 22:58:24.04 ID:BixbqXLNO
やったー!!
467 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:47:31.29 ID:7Kx31DSxO
…。

赤坂「…どういうことですか?」

「俺に聞くなよ…」

赤坂「確かに鷹野は依然、何も話しません。ですが確かに「彼」との繋がりが…」

「シッ!!…お前、何処で誰が聞いてんのか分からないんだぞ…!」

赤坂「…上からのお達し。ですね…?」

「…何…も!…言わない」

赤坂「…」

「それと、もう鷹野はいい加減起訴しろ。もう期限が迫ってんだぞ」

赤坂「…あの状態で、どう起訴するんですか…!」

「…まあ、そこは…ほら。任せとけば…」

赤坂「そんな適当に済ませて良い事件じゃないんですよ!!これは!!!」

「…」

赤坂「人が何人も死んでる!!何百人も殺されかけてる!!!」

「…」

赤坂「それを…彼女一人に罪を負わせて終わらせるですって…?」

「…それが、上の判断だ」

赤坂「…そんな…!」

「赤坂」

赤坂「…!」

「…これはお前の為に言ってんだぞ」

赤坂「…」

「仮に、この証拠書類「らしき」ものが本物だとしようか」

赤坂「…」

「…上層部だけじゃない。この国を作り上げてきた政府までひっくり返るぞ」

赤坂「…それが…!」

「…後は察しろ。俺は絶対にこんなものは認めん。以上だ」

赤坂「…!!」

「…」

…。
468 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:48:50.63 ID:7Kx31DSxO
大石『ははあ…そうですかぁ…』

赤坂「…」

大石『私達、とんでもない人とお関わりになってたんですねぇ』

赤坂「…そんな悠長な…」

大石『赤坂さん。貴方、お子さんが産まれたんですって?』

赤坂「え?…え、ええ…」

大石『…おめでとうございます。一度、顔を見てみたいもんですなぁ』

赤坂「…」

大石『…私は独り身ですから。これから一生拝めませんからねぇ』

赤坂「…」

大石『良いですか?赤坂さん』

赤坂「…」

大石『確かに、上司に逆らってまで自分の意思を貫き通すのは、決して間違っていることではありません。…事実私もそうしてきました』

赤坂「…」

大石『ですが、今貴方には二人。本当に守らなければならない存在がいらっしゃる。違いますか?』

赤坂「…」

大石『聞こえは良いでしょう。…が、私は賛成出来かねますなぁ』

赤坂「…」

大石『これは警察官としてのアドバイスではありません。人生の先輩としてのアドバイスです』

赤坂「…大石さん…」

大石『…その証拠書類、とやら。まだお持ちでしょう?』

赤坂「…え?」

大石『それは貴方が持つには重過ぎる荷物です』

赤坂「…!!」

大石『私が預かりましょう』

赤坂「そんな…!」

大石『なぁに。どうせ「ただの紙」数十枚。証拠じゃないなら貰っても良いじゃありませんかぁ』

赤坂「しかし!これは…!」

大石『…私もね、いい加減成仏したいんですよ』

赤坂「…!」

大石『このままじゃ、私は一生雛見沢に束縛されてしまいます』

赤坂「…」

大石『…ご面倒はかけませんよ。ただ、その捨てる紙を再利用するだけです』

赤坂「…」

大石『私の生き霊。いい加減消させてくれませんか?』

赤坂「…大石…さん…!」

…。
469 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:50:13.27 ID:7Kx31DSxO
…。

あれ…。

『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』

『グツグツ…』

…何だっけ、これ…。

…暑い…。

『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』

『ジュー…』

暑いし…でも眠い…。

…でも暑い…。

『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』

『カチャカチャ』

…学校…行くんだっけ…。

…あれ?今何月?何日?

…羽入は…。

『ジーーーーーーーーーーーーーーーー』

梨花「うるさい!!!!」ガバッ

沙都子「!?」ビクゥ
470 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:51:23.40 ID:7Kx31DSxO
梨花「・・・」

沙都子「…危ないですわね。お皿落とすとこでしたわよ…」

梨花「…あれ?」

沙都子「あれじゃないですわよ。後もうその反応何回も見ましたから、そろそろ別のリアクションを起こしてくれませんこと?」

梨花「…」

沙都子「ま、それよりも早く布団を干して、朝ご飯を食べて歯を磨く事ですわ」

羽入「でないとボクが食べてしまうのですよ」

梨花「…あ…」

沙都子「…まだ寝ぼけてるんですの?でしたらどうぞカレンダーをご覧になって下さいな」

梨花「…」

【8月1日】

梨花「…あ…」

沙都子「そうですのよ。…今だに信じられませんが、梨花の言う「運命」というのはもう乗り越えたんですのよ」

羽入「そうなのですよ」モグモグ

沙都子「…それにそのお話が本当でしたら、この蝉の声も100年以上聞いてないという事ですから…」

『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』

梨花「…これ、何ゼミだっけ…」

沙都子「さあ?見に行きます?」

羽入「幸いにも今は夏休みなのです。時間はたっぷりあるのですよ」モグモグ

梨花「…」

沙都子「そうですわねぇ…なら今年の自由研究は蝉の生態にでもします?」

羽入「全員一種類ずつやれば被らないのです。これで万事解決なのですゲフッ」

梨花「…羽入」

羽入「はい?」

梨花「お は よ う」ギリギリギリギリギリ

羽入「痛いぃぃぃぃひぃぃぃいいいいい」
471 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:53:02.07 ID:7Kx31DSxO
羽入「痛いのです…最近梨花はバイオレンスなのです…」

梨花「触れられるって分かったからね」

沙都子「それよりも梨花のおかずがひもじいことになってしまいましたわね」

梨花「止めなさいよ。そうなる前に」

沙都子「あんな堂々と食べてたら寧ろそれが正解かなって思ってしまいましたわ」

梨花「アンタは最近食い意地が張ってきたって思わない?」

羽入「今までは梨花を介してでしか食べられませんでしたが今は自分の意思で食べられるようになったのです。当たり前の事ですが、とても幸せなのですよ」

梨花「沙都子はこんな業突く張りになっちゃダメよ。太るから」

沙都子「気をつけますわ」

羽入「ボクが太っている体で話を進めないで欲しいのです」

梨花「違うの?」

羽入「梨花に任せると辛いものや苦いものばかり食べられるのです。ボクの胃の梨花に対する恨みは凄まじいものなのですよ」

沙都子「それはありますわね。私も梨花がキムチをそう簡単に取れないよう買い物の時は常に注意を払ってますから」

梨花「好みは人それぞれじゃない」

羽入「ボクも同じなのです。でもいつも梨花はシュークリームを一つしか食べてくれなかったのでとてもひもじかったのです」

梨花「私あれ食べ過ぎると吐きそうになるのよ」

羽入「だからと言って2個までは少ないのです」

沙都子「胃が繋がってるということは、そこも繋がるんですの?」

羽入「ええ。まあ」

梨花「ええ」

沙都子「…あっ…」
472 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:53:50.08 ID:7Kx31DSxO
…。

『では次のニュースです…』

沙都子「…」

『一昨日、大阪府大阪市北区で起きたひったくり事件で…』

梨花「…」

『被害者は…』

羽入「…ニュースしかやってないのです?」

梨花「当たり前じゃない」

沙都子「…確か、33年後の未来を知っているのでしたっけ?」

羽入「全てを知っているわけではないのです。ボクが出来たのはあくまで空から見渡す程度でしたので」

梨花「どうだったの?やっぱり技術とか進化してた?それくらいは分かるでしょ?」

羽入「…ほとんどの人が俯きながら歩いていました…」

沙都子「…えええ…?」

梨花「…何か、あったのかしらね…」

羽入「…それでも、その中で、ボク達を助けてくれる存在を探し続けました」

沙都子「…あ…」

梨花「…」

羽入「…彼のおかげで、こうしてボク達は話し、触れ合い、生きる事が出来るようになったのです」

沙都子「…」カタン

梨花「…あいつ、結局1枚しか写真撮らせてくれなかったわね」

沙都子「…ええ。それも不意打ちで」

羽入「これは、どういった状況なのですか?やけにブレてますですが…」

沙都子「買い物の帰りに袋を全て持たせて両手を塞いでから撮りましたわ」

羽入「必死だったのは分かりました」

沙都子「…」

羽入「…」

梨花「…チェイス…」
473 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:55:15.46 ID:7Kx31DSxO
…。

チェイス『もう一人、助けなければならない者がいる』

梨花『…え?』

チェイス『…』

梨花『!!』

チェイス『…』シュウウ…

梨花『…アンタ…身体が…!!』

チェイス『…』

梨花『そんな…!!チェイス!!』

チェイス『…元々、俺はここに居てはいけない存在だ』シュウウ…

梨花『そんなことない!!アンタは…アタシの…!!』

チェイス『…それに…』

梨花『…!!』

チェイス『どうやら、俺が必要になったらしい』シュウウ…

梨花『…!!』

チェイス『…俺は行かなければならない。ダチの元へ』シュウウ…

梨花『…行かないで…!』

チェイス『…33年後に、また会おう…』

梨花『…チェイス!!!!!』

…。

梨花「…ホント、あっさり去っていったわよね」

沙都子「…その方が、彼らしいですわ」

梨花「…こっちは、そういう訳にいかないってのに」

羽入「…」

梨花「振り回すだけ振り回しておいて、パッと離してどっか行っちゃって」

沙都子「…」

梨花「与えた影響がどれだけ大きいのか、理解して欲しいもんね」

羽入「…チェイスは、初めからこうするつもりだったのでしょうか?」

梨花「…さあ?」

羽入「…命を犠牲にするくらいなら、ボクなんて放っておいてくれれば…」

梨花「…!」
474 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:56:35.90 ID:7Kx31DSxO
沙都子「…羽入さん」

羽入「?」

沙都子「それは、チェイスさんを裏切ることになりますわよ」

羽入「…」

沙都子「彼は生きとし生けるもの全てを守ると誓った、正義のヒーロー」

梨花「…」

沙都子「その彼が守ったこの村と、住人。そして羽入さん」

羽入「…」

沙都子「そして、絆」

羽入「…絆…」

沙都子「その絆を自ら断ち切るような発言は、彼の覚悟を裏切ることになりますわ」

梨花「…羽入」

羽入「?」

梨花「…」ゴンッ

羽入「!?痛い!痛いのですぅぅぅ!!」

沙都子「んま」

梨花「…沙都子の言うこともそうだけど…」

羽入「…?」スリスリ

梨花「…アンタが消えて、どれだけ心配したか、分かってる?」

羽入「…」

梨花「…33年。会えるかどうかも分からない。力が尽きかけてたアンタが本当に消えるかもしれない。その時私がどれだけ悲しかったか分かる?」

羽入「…梨花…」

梨花「…そんな事、二度と言うんじゃないわよ」

羽入「…」

沙都子「…幼い頃からずっと一緒にいたのですから。…ね」

羽入「…」

梨花「…」

羽入「…はい!なのです」
475 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:57:28.53 ID:7Kx31DSxO
…。

梨花「…で、よ」

羽入「はい?」

梨花「…いや、アンタいきなり来たじゃない。着の身着のままで」

羽入「…まあ」

梨花「また微妙な時期に来たもんよね。夏休み一歩手前って」

沙都子「都会だったら寂しい夏休みを送ってましたわね。間違いなく」

羽入「仕方ないのですよ」

梨花「力戻してもらったならこっちの出来事が終わった瞬間に来なさいよ。何でちょっとスパン空けるのよ」

沙都子「そうすれば一応夏休み前に入学手続きが取れましたのに。制服も私服も無いものですから困ったものでしたわ」

梨花「みんなびっくりしてたわよ。自己紹介して帰っちゃうって」

羽入「…事の顛末を、見ていたのです」

梨花「…」

羽入「何が、どうなっていたのか。答えを知りたかったですから」

梨花「…あ、そ…」

羽入「梨花。ボクからも言うことがありますよ」

梨花「…」

羽入「例えどのような事があっても。殺してしまえば鷹野達と変わりません」

沙都子「…」

羽入「…よく、耐えてくれました」

梨花「…もし、あの時」

沙都子「…」

梨花「…チェイスがいなかったら。チェイスが止めていなかったら」

羽入「…」

梨花「間違いなく…引き金を引いたわね」

羽入「…」

梨花「…だから、耐えたってのは間違いよ」

沙都子「…梨花…」

梨花「今でも思ってる。憎い。殺してやりたいって」

羽入「…」
476 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:58:48.83 ID:7Kx31DSxO
羽入「梨花」

梨花「…」

羽入「…とぅっ」デュクシ

梨花「オッフ!!!」

沙都子「あ。角の有効活用…」

梨花「意外と痛い…!!お腹…!!」

羽入「ボクだってやる時はやるのです」

梨花「…はあ…!?」

羽入「…憎い。殺してやりたい。その思い。抱くなとは言いません。誰しもそういう事はあるかもしれませんから」

梨花「…だから何よ…」

羽入「しかし、その「一線」を越えれば最早それは、同情に値するものではありません。ただの犯罪ですから」

梨花「…」

羽入「たった一本の線でも、その溝はとても深いものなのです。分かり合う事など出来ない程に」

沙都子「…その通りですわね」

梨花「…ごめん」

羽入「だからもう、そんな事は…」

梨花「でもさっきのは結構痛かったんだけど?」ギリギリギリギリギリ

羽入「痛いぃぃぃぃひぃぃぃいいいいいごめんなさぃぃぃぃぃいいいい」

沙都子「・・・」
477 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 22:59:46.38 ID:7Kx31DSxO
…。

『次のニュースです』

沙都子「…」

梨花「…」

羽入「…」

『三重県で熱中症患者が急増…』

梨花「…」

沙都子「…分かっては、いましたけれど…」

羽入「…報道規制。なのですね」

梨花「その方が良いわよ。バイオテロの標的にされるような村ですよだなんて言われてみなさいよ」

羽入「…誰も…」

沙都子「…来たがらない、ですわね…」

梨花「でしょ?…おかげでこっちは何も分からず終いだけど」

沙都子「…忘れたい気持ちも、確かにありますわ」

梨花「…まあね」

羽入「皆、前を向いて歩き出しています」

梨花「…」

羽入「…ですから、梨花も…」

梨花「…無理ね」

羽入「…」

梨花「これでも親殺された身だから。一応、何かしらで関わることにはなると思うわ」

沙都子「…」

梨花「…その時、あいつがどんな顔してるか、よね」

沙都子「捕まえられた方は少なくとも50人…」

梨花「主犯は鷹野、小此木。…富竹と入江は…微妙な立ち位置だったわね」

沙都子「監督は庇えても、富竹さんは…」

梨花「鷹野に着いていったきりね。かれこれ1ヶ月経つけど顔も見てないわ」

羽入「元々ここには目的があって来たのですから。それが無くなった今、いる理由もないのでしょう」

沙都子「…監督、こちらに身を置くとおっしゃってましたわね」

梨花「本人は罪滅ぼしだって言ってたけど、その前にあの人の身体が滅ぶんじゃないかって思うわね」

羽入「…それだけ、鷹野の影響が大きかったのですよ」

梨花「…これだけの規模の犯罪なのに、報道がされないってことは、最早用無しってことなんでしょ」

羽入「…きっと、赤坂が全てを明かしてくれますですよ」

梨花「…そうね」
478 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:00:37.36 ID:7Kx31DSxO
沙都子「…さ!て!!」パン

羽入「?」

梨花「何?」

沙都子「何じゃありませんわよ。学生の本分を忘れてはいませんこと?」

梨花「…あ」

沙都子「今までは言いませんでしたが、早めにやらないと後で大変でしてよ」

梨花「…これも、100年以上振りね」

沙都子「黄昏たって宿題は減りませんわよ」

羽入「大袈裟なのです」

梨花「やらないとは言ってないでしょやらないとは」

沙都子「そう言って明日から明日からと梨花は…」

羽入「これは間違いなく宿題をやらずに最終日に泣くパターンなのです」

梨花「半分はアンタにやらせるわ」

羽入「報酬無しではやらないのです」

沙都子「やるにはやるんでございますの?」

梨花「大体ね、絵日記なんて今更書けないわよ。何を書けって言うのよ」

羽入「その日にあったことを書くのです」

梨花「殺されかけた恐怖が忘れられませんって書こうかしら」

沙都子「知恵先生の困った顔が目に浮かびますわ」

梨花「…正直これどころじゃなかったから…」

沙都子「100年振りだとしても、思い出というものは関係ありませんわ」

梨花「…そうよね」

沙都子「今から作れば良い。それだけの話ですから」

羽入「…梨花やボクにとっては、当たり前の日常が既に思い出なのです」

梨花「角の生えたのに寄生されました、と」

羽入「言葉の虐待なのです」

沙都子「ペット扱いされてますけどそこは大丈夫ですの?」
479 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:01:35.49 ID:7Kx31DSxO
…。

『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』

梨花「ん…あー…外はやっぱり日差しが暑いわね…」

沙都子「当たり前ですわ。夏ですもの」

梨花「…こんな暑いもんだったかしら」

沙都子「それもまた思い出の一つになっていくんですのよ」

梨花「…でも家よりマシね。風が吹く分」

羽入「エアコンを買うべきなのです」

梨花「そんな高いもん買う余裕は無いのよ。アンタの食費のせいで」

沙都子「未来はエアコンが安くなってるんですの?」

羽入「一家に一台の時代だったのです」

梨花「アンタまあまあ楽しんでたのね。羨ましいわ」

羽入「…ボクだって、梨花を連れ出そうとしたのですよ」

梨花「…」

羽入「でも、あの世界を見てしまったら、きっと梨花はさらに閉じこもってしまうと思ったのです」

梨花「…」

羽入「これからは、共に歩んで行きましょう」

梨花「…」

沙都子「…小難しい話は抜きにして、早く行かないと日が暮れてしまいますわよ」

羽入「そうなのです。1日というのは限られてますから」

梨花「…こういう、何もしない1日っていうのも良いじゃない」

沙都子「梨花がこう言って宿題をやろうとしません、と…」

梨花「やめてよ」

沙都子「…あら」

梨花「…あ」

羽入「!」

レナ「♪」

圭一「…おっ」
480 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:02:31.38 ID:7Kx31DSxO
…。

「ぃよーし!!昼メシにすんぞ!!」

鉄平「…お」

リナ「…っあー!!お腹空いたー!」

「おーいリナちゃん!お握り作ってくれよ!」

リナ「え!?アタシが!?」

「いやー、ここ数年女の作った飯を食ってねえからなぁ。ここの奴らは」

「おー!良いねぇ!リナちゃんが作ってくれたもんなら何でも食うぜー!!」

「船長のは毛が入ってってからなぁ」

「何ィ!?」

リナ「あっはは!分かった分かった!…でもアタシが出来るのなんて知れてるよ?」

鉄平「良え機会じゃ。嫁入りする前の修行で料理くらい覚えんか」

リナ「んガッ…それは関係無いでしょ!!」

「いやいや、折角嫁入りすんのに何も出来ねぇんじゃ先々危ねえぞ?」

リナ「うえー…後片付けとか面倒臭いんだよねぇ…」

鉄平「10歳程度のガキでもやっとるんじゃ。お前が出来んくてどうするんね」

リナ「う…分かった!分かりましたー!!」

「よーし!!なら今日からリナちゃんには炊事の手伝いもしてもらうぞー!!」

リナ「ええええええええ!!?」

「よっしゃー!!これでメシが楽しみになるぞー!!」

「おおー!!!」

リナ「…はぁ…」

鉄平「…」
481 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:04:06.16 ID:7Kx31DSxO
…。

リナ「…あのさ」

鉄平「…何じゃ」

リナ「…ほら、前に竜宮さんの家の判子、探してたって言ってたじゃない」

鉄平「…おお。見つからんかったらしいが…」

リナ「あれね。レナちゃんがずっと持ってたんだ」

鉄平「…最初っから疑われとったっちゅうことじゃろ」

リナ「…あの左之助とか言う学校の先生に言われたよ」

鉄平「?」

リナ「悪意のある人間は、悪意のこもった顔をするって」

鉄平「…」

リナ「やっぱり、分かるんだね。嫌な女だって」

鉄平「…それが自分で分かるようになったんなら、上出来じゃろ」

リナ「…ね、鉄平」

鉄平「ん?」

リナ「…アタシ、今どんな顔してる?」

鉄平「…」

リナ「…」

鉄平「目が細くなった」

リナ「すっぴんだからね」
482 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:06:00.60 ID:7Kx31DSxO
鉄平「…しかし、今でも現実とは思えんわ。あの出来事は」

リナ「まあ…ね」

鉄平「…人を殺してしまうような病気っちゅうんが、末恐ろしいもんじゃ」

リナ「…竜宮さんも、そうなっちゃったのかな。アタシのせいで」

鉄平「…」

リナ「…」

鉄平「精神的なもんはどうしようもない。じゃが金は返せる」

リナ「…ん」

鉄平「…というより、それしか償う方法は無い」

リナ「…」

鉄平「後は、お前の出方次第じゃ」

リナ「…ん」

鉄平「…しかし、あの富竹っちゅう若造は、とんでもないもんを残していったもんじゃ」

リナ「…聞いたのは、アタシらだから」

鉄平「分かっとる。…じゃが複雑な気分ではある」

リナ「…叔母さん殺したの、沙都子ちゃんって子のお兄さんだってね」

鉄平「…」
483 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:06:54.58 ID:7Kx31DSxO
…。

鉄平『…ったく、何たってこんなカビ臭い地下に…』

富竹『噂には聞いてたけど…本当だったのか…』

鉄平『…まあ、ええわ。ここなら警戒することもない。ゆっくり話せる』

富竹『…?』

鉄平『知っていることを洗いざらい話せ。何故あのアマはこんなことをしとるんか…』

富竹『…』

リナ『アタシも気になる。教えてよ』

富竹『…確か、貴方は…北条さん…でしたね?』

鉄平『…おう』

富竹『…貴方の奥さん、玉枝さんが鬼隠しの4年目の被害者…』

鉄平『…そうじゃ。じゃがあれはどう見ても殺人じゃろ…』

富竹『ええ。決して鬼隠しなんてものではない』

鉄平『…それで?』

富竹『…貴方も、分かっているとは思いますが…』

鉄平『…』

リナ『?』

鉄平『…沙都子の、兄か?』

リナ『…!』

富竹『…ええ』

鉄平『…』

富竹『北条玉枝さんや…貴方による…その…』

鉄平『度重なる虐待に耐えかねて…かい』

リナ『…』

富竹『…』

鉄平『…ほうか』

富竹『…』

鉄平『…因果応報。…自分らが蒔いた種とは言え…』

リナ『…でも、病気だったんでしょ?』

鉄平『分かっとる。悟史を責める気は無い』

富竹『…』

鉄平『そうさせたんはワシらじゃ。責任は此方にある』

リナ『…』

鉄平『…それでも…』

富竹『…』

リナ『…』

鉄平『…この溝は、埋まるんかのう…』

…。
484 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:07:44.56 ID:7Kx31DSxO
リナ「…まあ、仲良くしようってのは、時間かかるよね」

鉄平「良くしてやりたい気持ちはある。受け入れてやりたい気持ちはある」

リナ「…それでも、複雑…か」

鉄平「…向こうも、じゃろうな」

リナ「…時間なら、いくらでもあるよ」

鉄平「アホか。こういうもんは時間がいくらあっても解決出来るもんじゃない」

リナ「そうじゃないって」

鉄平「…?」

リナ「悟史君と腹割って話す内容。考えとけばって話よ」

鉄平「…」

リナ「…アタシも、竜宮さんに何て言おうか思案中だし」

鉄平「…お前がか?幾らでも出てくるじゃろ」

リナ「そんな上っ面のもんじゃないよ」

鉄平「…」

リナ「…ちゃんと、全部話して謝んなきゃな…ってさ」

鉄平「…それが良えわ」

リナ「…時間なら、幾らでもあるから、ね」

「あるわけねぇだろ!!!」

鉄平「!?」

リナ「!!?」
485 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:09:02.84 ID:7Kx31DSxO
「…ったく…こっそり聞いてりゃ何だ?ガキ一人おっさん一人にウジウジしやがって…」

鉄平「…」

リナ「船長…」

「ここは託児所じゃねぇ。金を稼ぐ場だぜ。そんな甘ったれた考えの奴なんざいらねぇよ」

鉄平「…」

「…ギャンブルで借金。最後に行き着いたのがここ…」

リナ「…?」

「あそこのジジィだ。逃げられねぇと観念してようやく働くようになりやがった」

鉄平「…」

「給料日にゃあちらこちらに支払って、残った額なんざ知れたもんだ」

鉄平「…」

「それと、リナちゃんに良く話しかけるあいつ」

リナ「?」

「あいつは元受刑者だ。殺人のな」

リナ「!」

「…行く当てが無ぇんだとよ。自分から園崎組に頼み込んできやがった」

リナ「…あの人が…」

「ウチはそんな奴らばっかだぜ」

鉄平「…」

「それに比べてお前らは何だ?ガキの生活費?将来の旦那との生活資金?」

リナ「…」

「…立派なもんじゃねえか。そんな理由でここに来た奴なんざ初めてだ」

鉄平「…」

「そんなお前らがな、こんな掃き溜めみてぇなトコにいつまでも居るもんじゃねぇ」

リナ「…船長…」

「…分かったらさっさと働け!ここじゃでけぇもん釣り上げた奴がヒーローなんだからよ!!!」

リナ「は、はーい!!」

鉄平「…おう」

「…」

鉄平「…のう、船長」

「お?」

鉄平「…すまんかった」

「…気にすんなって」
486 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:10:40.54 ID:7Kx31DSxO
沙都子「それにしてもどうしたんですの?随分ご機嫌だったようですけれど」

圭一「ん?ああ…」

レナ「えへへ。お父さん、新しい仕事が決まったんだぁ」

沙都子「本当ですの!?それは良かったですわね…」

圭一「リナさんとの件があってから、自分のせいだって反省してたらしいんだ。それで…」

梨花「…良いことね」

レナ「頑張るって、お父さん。今度はちゃんとリナさんと向き合うんだって言ってたんだよ。だよっ!」

梨花「…リナも、レナ達と向き合うと言っていたからね…」

圭一「…でも、まさか梨花ちゃんが本当はこんな感じだったなんてなぁ…」

梨花「…」

圭一「…裏に隠したミステリアスな性格!!くぅぅ…こりゃ新しい萌え路線だ!!!」

梨花「…」グシャ

圭一「痛っでぇ!!!」

梨花「…圭一に甲斐性を求めるのは、まだ先ね」

圭一「爪先…!!爪先踏むのは…!!!」

レナ「あはは。でも悪いのは圭一君だからね」

圭一「うう…梨花ちゃんだけは癒しで居てくれると思ったのに…」

羽入「大丈夫ですか?」

圭一「…!いや、そうかぁ…羽入は俺の癒しになってくれるかぁ…」

羽入「とぅっ」デュクシ

圭一「オッフ!!!」
487 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:11:29.42 ID:7Kx31DSxO
梨花「…そういえば、魅音は?ここ最近見ないけど…」

圭一「いや、それがさ。何だか用事があるの一点張りで…」

レナ「レナ達も、よく分からないの」

梨花「…」

沙都子「園崎家の当主は魅音さんのお婆様なのでしょう?でしたらそんな毎日忙しい程では…」

梨花「…魅音に気を遣ってるのよ。学業に影響が出ないように出来る限り当主を続けるつもりみたい」

沙都子「…あの方が…」

梨花「見た目は鬼でも心はお婆ちゃんなのよ」

レナ「でも…そういった用事じゃないなら、何だろ…?」

梨花「…さあ…ね」

羽入「…」

圭一「…」
488 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:12:27.38 ID:7Kx31DSxO
沙都子「そういえば、ですわ」ポン

圭一「?」

沙都子「本題を忘れていましたのよ」

レナ「それって、何かな?かな?」

羽入「夏休みの課題のお話なのです」

圭一「課題?」

羽入「梨花はまだ開いてすらいないのです。このままでは梨花は不良まっしぐらなのですよ」

圭一「…そんなあったかな?」

レナ「圭一君はもう終わるんだよね?」

圭一「ああ。こういうのって、先にやっとけば後は楽だし…」

レナ「都会の時はやっぱり沢山あったの?」

圭一「そりゃなぁ…流石にぶっ続けでやっても2週間はかかるなぁ」

沙都子「…そんなにやって意味はあるんですの?」

圭一「気を引き締めるって意味では良いと思うんだ。勉強代わりにこれをやれってさ」

梨花「進学校ならではね。遊んでる暇があるなら勉強しなさいって」

圭一「はは。…まぁ…うん」

レナ「で、でも!遊んでるばっかじゃダメだもんね!勉強もしなきゃ!」

圭一「まあでも、全部真面目に取り組んでた奴なんてホント極一部だったぜ?めんどくさいからって答え丸写しとか」

沙都子「それじゃ本末転倒ですわ。頭に入らないんじゃありませんこと?」

圭一「そういう姿勢はテストで出るからな。まあお察しの通りだよ」
489 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:13:35.12 ID:7Kx31DSxO
レナ「わぁ…絵日記とか自由研究なんて久し振りだよぉ」

圭一「そうだな。こんなのは課題っていうより思い出作りの一貫みたいなもんだし…」

梨花「でも書けって言われてパッと思い浮かぶものじゃないでしょ」

沙都子「見て下さいな。梨花の絵日記」

レナ「…本日の献立…」

圭一「あ、あはは…でもあったことを書くんだから、間違ってないよな」

梨花「…正直、気分も乗らないから…」

羽入「む。梨花はチェイスに言われた事をお忘れなのですか?」

梨花「…」

羽入「ボクは見てきましたから。ちゃんと分かってるのですよ」

圭一「?何か言われたのか?」

梨花「…」

羽入「お前は年齢を重ねたように振舞ってはいるが、その思考は年相応な子供と大差無い…」

沙都子「似てませんわよ」

梨花「…無駄に長く過ごしただけだってのは、確かに分かるけど…」

圭一「へー…左之助先せ…あ」

レナ「あははっ。やっぱりそっちで呼んじゃうよね」

圭一「いやだって、いきなり本名はチェイスだなんて言われても…」

レナ「うん。レナもびっくりしたよ」

沙都子「私もですわよ。逃げる時に振り向いたら…」

圭一「…今思えば、あの時間が止まったのも、チェイスさんがやったんだよな」

レナ「うん。きっとオヤシロサマなんだって、思ったかな…」

羽入「オヤシロサマはボク!!ボクなのですー!!!」ジタバタ

レナ「羽入ちゃんが?」

圭一「オヤシロサマ?」

羽入「何度も説明してるのです!!あんまり疑うと時間を止めて顔に落書きするのですよ!!」

梨花「これが雛見沢の神よ」

圭一「・・・」

レナ「・・・」
490 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:14:27.64 ID:7Kx31DSxO
圭一「…梨花ちゃんは、さ」

梨花「?」

圭一「今までずっと、同じ時間を過ごしてきてたんだろ?」

梨花「…ええ。そうよ」

圭一「…それに慣れちゃって、今は色んなものが新鮮に思えるのかもしれないけどさ」

梨花「?」

圭一「いつか。…今度はそっちに慣れてくんだと思う。普通に生きていくってことに」

梨花「…」

圭一「…でも、忘れちゃダメなんだ。今までの苦しみ。辛さ。全部」

梨花「…」

圭一「忘れちまったら、全部ダメになる」

梨花「…」

レナ「今までの辛さに比べたら、ちょっとめんどくさい事なんて平気だよ」

梨花「…」

圭一「何だって出来るんだ。だって今、梨花ちゃんの止まった時間は動き出したんだから」

梨花「…」

レナ「…その長い間、色んな未来を思い浮かべたんだよね?」

梨花「…ええ。沢山」

レナ「だったら、今度はその未来に…夢に向かって、歩き出してみたら?」

梨花「…未来…」

レナ「うん!未来だよ!」

梨花「…未来…」

レナ「梨花ちゃんの将来の夢。レナ、聞きたいな!」

沙都子「私も興味ありますわ」

圭一「そうだな!俺も聞きたい!」

梨花「…」
491 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:15:23.27 ID:7Kx31DSxO
羽入「…梨花」

梨花「…」

羽入「…ちょっとずつで良いのです」

梨花「…」

羽入「百年振りの、普通。踏み入れた足が止まる事もあるでしょう」

梨花「…」

羽入「ここから先は、梨花も知らない沢山の未来が待っているのです」

梨花「…羽入…」

羽入「みんなと迎える、明るい未来」

梨花「…」

羽入「…ほら。やってきましたですよ」

梨花「え…?」
492 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:16:19.32 ID:7Kx31DSxO
魅音「みーんなー!!」

詩音「お待たせしましたー!!!」

圭一「あっ!いつの間に!!」

魅音「何さそれぇ…折角こうして走ってきたのに!!」ムギュ

圭一「!?か、感触が…!!」

レナ「あっ!魅ぃちゃんズルいよ!!」

魅音「へへー。早いもん勝ちなんでしょー?」

圭一「う…」

レナ「むー…」

詩音「うふふ。お姉もすっかりヤル気になっちゃって…」

圭一「うむむ…」

魅音「…どお?」ムギュ

圭一「うぐぐ…」

レナ「むー…」

圭一「いや…魅音…」

魅音「?」

詩音「…」

圭一「…汗、かきすぎ…」ビッチョリ

魅音「あっ」

レナ「あっ」

沙都子「あっ」

詩音「あーあ…」
493 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:18:25.52 ID:7Kx31DSxO
詩音「まぁ、そりゃ興宮から全力疾走ですからね」

魅音「アンタが原付の後ろ乗せてってくれれば良かったでしょ!!!」

詩音「いや知りませんよ!!そもそも会ったのすぐそこじゃないですか!!」

魅音「うー…」

圭一「え?詩音と魅音は同じ用事じゃなかったのか?」グッチョリ

詩音「違いますよ。私は私の用事がありましたから。ホントたまたま見かけただけで」

レナ「…それで、何の用事だったの?」

魅音「…うーん…それは、どーして…も!言えない…」

沙都子「…気になりますわね…」

圭一「気になるな…」

魅音「秘密秘密!!こればっかりは口が裂けても言えないなぁ…」

沙都子「…あ!ちなみにですけど…」

魅音「ん?何?」

沙都子「…夏休みの宿題、やってますの?」

魅音「え?そんなん終わり際で良いでしょ」

詩音「テキトーで良いんですよテキトーで」

圭一「ほら」

沙都子「成る程」

魅音「えっ?」

詩音「えっ?」
494 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:19:36.70 ID:7Kx31DSxO
…。

詩音「…ま、宿題よりも!ですよ。…沙都子!」

沙都子「な、何ですの…?」

詩音「貴方にビッグなニュースがありますよ!」

沙都子「?」

レナ「ビッグ?」

詩音「ええ。…沙都子なら、分かるんじゃないですか?」

沙都子「…!」

詩音「はい!…では……悟史君!!」

悟史「…」ヒョコ

沙都子「!」

悟史「…」

沙都子「…あ…」

悟史「…あ、あはは…」

沙都子「…にーにー!!」ガバッ

悟史「うわっ!!」

圭一「…」

レナ「悟史君。…身体の方は大丈夫なの?」

悟史「…うん。まだちょっと動きづらいけど…」

魅音「保護観察…それと暫く通院生活なんだって」

悟史「…うん」

圭一「…悟史…」

悟史「…うん。ちょっと、久し振りだね。圭一」

圭一「ああ。…いやでもちょっと太ったか?」

悟史「少しずつだけど、食べられるようになってきたからね」

圭一「…そっか」

悟史「…約束。忘れてないからね」

圭一「…え?」

悟史「…罪を償う。それを心に刻んで生きていく」

圭一「…や、約束って…」

悟史「僕はそう思ったんだ。…いや、思わなきゃいけない」

沙都子「…」

悟史「叔父さんとも、自分とも向き合って、一生をかけて償う」

詩音「…悟史君…」

悟史「それと、真っ白なキャンバスに、描き続ける」

圭一「…」

悟史「…だから。先ずは勉強かなぁ」

圭一「…ぃよっし来た!!俺が一から鍛え直してやるからな!」パンッ

悟史「うん!よろしく!圭一!」

圭一「おう!宜しく!」グッショリ

悟史「うわっ!手がジットリしてる!!」

魅音「・・・」

詩音「・・・」
495 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:21:02.32 ID:7Kx31DSxO
梨花「…真っ白なキャンバス、ね…」

羽入「ええ。今の梨花と同じなのです」

梨花「…どんな絵でも、良いのよね」

羽入「はい!だって今、梨花は生きているんですから!」

梨花「…そうねぇ…」

羽入「決まりましたか?将来の夢」

梨花「…夢っていうよりは、人生設計、かしら?」

羽入「!そう!それで良いのですよ!梨花の人生設計!」

梨花「大袈裟ねぇ…」

羽入「何なのですか?梨花の、人生設計!教えて欲しいのです!」

梨花「…そうねぇ…まずは…」

羽入「うんうん!」

梨花「…」

羽入「…」

梨花「…お嫁さん、かしら?」

羽入「は?」

梨花「は?」

レナ「えええっ!?梨花ちゃんおぉぉお嫁そ、さんになるのぉ!?」

圭一「マジか!?相手とかどんなのが良いんだ!?」

魅音「えー!?梨花ちゃんがそんなことを!?」

梨花「…」

羽入「…なんだかんだで、いつも通りなのです」

梨花「…ふふっ」

羽入「?」

梨花「良いじゃない。それで」

羽入「…」

梨花「今日の絵日記は、決まりね」

羽入「…そう、ですねぇ」

梨花「…」

羽入「…」

梨花・羽入「友達と、仲良く過ごしました!」
496 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:22:13.94 ID:7Kx31DSxO
…。

……。

『…』

茜「…」

お魎「…」

葛西「茜さん!!!!い、今すぐテレビを…!!」バタァン

茜「うるさいねぇ。静かにしな」

葛西「…!」

『…元、興宮署所属刑事、大石蔵人さんから送られてきたものです。実名を出してくれとの事でしたので発表させて頂きます。尚入手ルートに関しては不明…』

葛西「…」

『…もう一度、端的に読み上げます…』

お魎「…」

葛西「…」

『ファイル、雛見沢症候群について。鷹野三四』

茜「…」

『雛見沢村という田舎のみで発生する寄生虫による奇病であり、完治させる方法は具体的には見つかっていない』

葛西「…」

『尚、一時的に寄生虫の動きを止める事は可能である。しかしこの寄生虫は宿主の死と共に消滅するため、取り出す方法は難しい』

茜「…」

『そこで雛見沢村の住人の中にいる女王感染者たる古手家の人間を生きたまま解体、寄生虫を取り出し研究』

お魎「…」

『これにより寄生虫を取り出す事が可能。しかし女王一匹ではワクチンを作る事は不可能な為、更なる女王感染体が必要』

葛西「…」

『…少し飛ばします。…○月○日、政府から支援の打ち止めを打診される…』

茜「…」

『しかし○日、警視庁幹部○○、政府、○○大臣と個人的な契約を結ぶ事に成功』

お魎「…」

『雛見沢の住人を毒ガスにより殺害、これを後に雛見沢大災害と呼ぶこととし、雛見沢症候群の危険性を訴える…』

茜「…」

『尚、古手現当主古手梨花については前述した通り生きたまま解体。サンプルを取り出すこととする…』

葛西「…」

『以上、鷹野三四のパソコンから押収されたこれらを○○大臣、警視庁幹部○○さんの歴史的大罪を示す証拠として皆さんに提示させて頂きます』

茜「…」

『尚、時間の都合上質問は一人一つずつでお願いします』

『○○代表!!』
『○○代表!!』
『○○だ』ブチッ
497 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:23:49.56 ID:7Kx31DSxO
葛西「…」

茜「…全く。大石から当主と話がしたいって言われるもんだから、魅音を送ったんだがねぇ…」

お魎「…」

茜「…あの狸刑事、どうしてもこの雛見沢との因縁を解決しなきゃ成仏出来ないらしい」

葛西「…」

茜「…魅音を当主として、任せてはみたんだけれど、ねぇ…」

お魎「野党側の…政治家の知り合いを紹介せぇっちゅうから、まさかとは思ったぎゃー…」

茜「…とんだ成仏のさせ方もあったもんだ」

お魎「あいつは将来園崎を背負って立つんじゃ。この程度、何ちゅうこたぁねぇ」

茜「あー怖い怖い。くわばらくわばら…」

葛西「…」
498 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:24:57.08 ID:7Kx31DSxO
…。

魅音『園崎次期当主、園崎魅音です』

大石『ああ、堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。遠慮せずにどうぞ』

魅音『…』

大石『…早速本題に入りましょうかね。これを…』カサ

魅音『…?』

大石『どうぞ?お読みになって下さい』

魅音『…』ペラ

大石『…』

魅音『…』ペラ

大石『…』

魅音『…!!!』
499 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:28:01.78 ID:7Kx31DSxO
大石『ね?特ダネでしょう?』

魅音『…何故、こんなものが…』

大石『鷹野さんのパソコンに残っていたデータらしいですよ。ファイルというよりはただの日記ですが…』

魅音『そうではありません。何故あの計算高い女がこのようなものを残していたのか、ということです』

大石『…あくまで、予想ですよ。もう彼女が喋ることは一生無いでしょうからなぁ…』

魅音『…』

大石『…きっと、鷹野…いえ、田無さんは、心の片隅。ほんの小さな小さな隅に、ほん…のちょこっとだけ、良心が残っていたのではないか、と思うんですよぉ』

魅音『…』

大石『富竹ジロウに心を開き、本当の笑顔を見せた田無さん。その感情がまだあったのでは、と…』

魅音『…』

大石『自分がしたことを忘れない為に、それを残したのではないか、と』

魅音『…』

大石『どうです?女性の貴方的には…』

魅音『…それも、あるかもしれませんが…』

大石『む…?』

魅音『この、個人的な契約…というものが気になります』

大石『…ああ。こんなのはまあ、お察しですよ。ええ…』

魅音『…鷹野は、ここに行き着くまでに、恐らくその身が、心が擦り切れるほどまで酷使したのでしょう』

大石『…』

魅音『これは、その絶望。女を、人間を捨てた鷹野の怨念が宿っているようにも思えます』

大石『…はー…流石、目の付け所が違う。貴方、才能ありますよぉ?』

魅音『…これを、どうしろと?』

大石『…お力を、貸して頂きたい』

魅音『…』
500 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:29:25.04 ID:7Kx31DSxO
大石『…退職願は、出しておきました』

魅音『…』

大石『ああ、それと。私はもう少しで逮捕されるでしょうな』

魅音『…は?』

大石『罪状は、暴行…いや盗ってきちゃいましたから、強盗致傷ですかね?」

魅音『…何を…』

大石『だってねぇ。赤坂さんが私にこれを渡したなんてバレたら彼の立場も危ういでしょう?ですから彼の隙を見てちょちょっと…』

魅音『…』

大石『ああ、話が逸れました。それで、貴方にやって頂きたいことなんですがねぇ』

魅音『…』

大石『…』

魅音『…』

大石『…政治家のお知り合い。なんて、いらっしゃいます?』

魅音『…』

…。

……。
501 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:31:02.16 ID:7Kx31DSxO
茜「証拠能力が無くても、これじゃもうこの二人はダメだね。警視庁もてんやわんやだ」

葛西「…」

茜「…末恐ろしい男だよ。あの狸…いや、熊刑事は」

葛西「…」

茜「…やっぱ一番怖いのはバケモンでも神でも幽霊でもないね。生きてる人間だ」

葛西「…」

茜「…さー…て」

葛西「…」

茜「これから、ここがどうなんのか…」

お魎「…」

葛西「…」

茜「…見ものだねぇ…」
502 : ◆GWARj2QOL2 [saga]:2017/06/23(金) 23:32:52.17 ID:7Kx31DSxO
終わります
人死んでる時点で完璧なハッピーエンドとか無いと思います
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 23:47:17.37 ID:WoyAgYsn0
乙。
ギャグでもない限り、物語の開始時期を考えるとこれ以上のハッピーエンドはないでしょ。
特に北条家に『父親』が出来るのは大きいし、竜宮家も原作以上にしっかりと前に進めてるし。
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 02:06:41.46 ID:yidESyjWo


原作の相違点ってあれか、三四が拳銃も下手くそな点だけか
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 20:20:03.57 ID:G3aWil+F0
>羽入「たった一本の線でも、その溝はとても深いものなのです。分かり合う事など出来ない程に」

これって何気に凄い名言だと思うわ
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/26(月) 19:16:21.21 ID:PlvODm4p0

この終わり方、相棒の劇場版第一作のラストだよな
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