魔王「リインカーネーション」

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568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 01:34:37.44 ID:+OJS5t9rO

老人「まあよい、今はお主の疑問に答えをくれてやろう」

老人「王女とは我が子の輪転器。王の輪転器は別にある。誰の手も届かぬ場所にな」

騎士団長「…………」

老人「今すぐにでも転生したいところだが、あれは儂が動かずともやって来る。自らの意志で、あの忌々しい鴉と共にな」

騎士団長「……貴方は、一体……」

老人「儂については既に聞き及んでいるはずだ」

騎士団長「……王の力。今の陛下に宿っているのは、王の力そのものだと……」

老人「宿っている? そう言ったのか?」

王女「…………」

老人「フフッ…そうか。己が犯した罪を告げることなく、それを真実としたか。何とも醜い娘よ」
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 20:27:44.77 ID:LELbxQRDO

王女「………」キュッ

騎士団長「罪?」

老人「その娘は儂から力を奪った。大義や世の為などではなく、たった一人の男の為にな」

騎士団長「……馬鹿な。王の力とは相容れぬ意志を持つ存在、それ故に封じられたはずだ」

老人「封じた?封じただと? それは間違いだ。その女は愛に狂った。狂った末に輪廻さえも狂わせた」

騎士団長「何を……」

老人「儂が真実を与えてやる。お主は真実を得るために此処に来た。これまでのように」

騎士団長「これまで? 何を言ってーー」

老人「三百年毎に起きたニンゲンとの戦を疑問に思ったことはないか? ニンゲンとお主等種族が別たれたことを疑問に思ったことはないか? ニンゲンと別たれた原因が何であるか知っているか?」
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 20:30:52.06 ID:LELbxQRDO

騎士団長「だから何をーー」

老人「全ての原因はその娘にある。神の一柱として生まれながら、愚かにもニンゲンを愛した憐れな女」

老人「鴉は人の子。世に在る全ての者の為に我と戦い、戦いの果てに散って逝ったニンゲンだ」

老人「しかし、その女は鴉の死を受け入れなかった。あろうことか儂から力を奪うことを選択した」

老人「元々は我を亡き者にすべくニンゲンとお主等種族は手を取り合っていた。だが、その女が『それ』を選択したことでニンゲンとお主等は別たれた」

老人「分かるか? 全ての原因、今に至る全てはその女の『選択』によって生じたのだ」

老人「最後の最後に倒すべき者の力を欲し、全てを裏切った。逆らう者は奪った力でねじ伏せた。それこそが魔王と呼ばれる所以」

老人「その身に我が力を宿し、器が老いては転生を繰り返す化け物。愛する男との再会を千年以上も待ち続けた狂神よ」
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 20:33:41.09 ID:LELbxQRDO

王女「………」

騎士団長「な、何故黙っているのです。こんな馬鹿げた話はーー」

老人「その沈黙こそ肯定の証。これは揺るがぬ真実である」

騎士団長「ッ、そんな突飛な話を信じられるものか。空想や妄想の類にしか聞こえん」

老人「まあよい、いずれは信じる。いや、望む望まざると信じざるを得ない時がやって来る」

老人「今は信じずとも、お主は知らねばならない。これまでと同じように、真実の語り部として」

騎士団長「……真実の、語り部?」

老人「これもまた狂わされた輪廻。三百年毎に現れる歴史の語り部、真実の求道者。それがお前だ」

老人「始まりの時から数えて四人目になる。おそらく、お主が最後の語り部となるだろう」

騎士団長「……馬鹿げている」

老人「そう言うだろうと思っていた。しかし、お前には否定は出来ない。否定しようがない」
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 20:39:25.43 ID:LELbxQRDO

騎士団長「ッ、何が言いたい」

老人「お前という存在に対して言うことなど何もない。重要なのは知るということだ」

老人「これはお前自身の為ではない。聞け、そして知れ。それがお前に出来る唯一だ」

騎士団長「(声がのし掛かってくるようだ。この呑み込まれるような感覚は何だ……最早、声を出すことすら……)」

老人「話を続けよう。その娘は儂から生まれ出た一つ。神の一柱にして維持を司る者」

騎士団長「(神? 神だと?)」

老人「お主等の言葉を借りればな。ただ、そもそも儂は神などという存在ではなかった。無論、王の力でもない」

老人「神という存在に堕とされたのだ」

老人「森羅万象、触れ得ぬ全て、それが儂だった。貴様等が神などと名付け提議定説し崇めるまでは……」
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 20:49:52.83 ID:LELbxQRDO

騎士団長「…………」

老人「神と名付けられたそれは意志を持ち、触れ得ぬはずの存在は実体を得て世に降り立った。それが儂だ」

老人「そこから生まれ出たのがその娘よ。神の一柱、世を維持する者としての役目を持ってな」

老人「同じ神であるからこそ儂の力を御することが出来た。人の身では器となることすら不可能」

騎士団長「(不可能? では、人の身である輪転器は何故ーー)」

老人「実に模範的な疑問だ。人の身で不可能あるのなら何故に輪転器は我の力に耐えられたのか」

老人「その女が『封じた』と言うのはその点だ。輪転器から溢れ出さぬよう、自らを力の器としたのは事実だ」

老人「しかし、これらはあの男の為に行った処置に過ぎない。醜く歪んだ愛によって生じた因と果」

老人「百年が経った頃から狂い始め、遂には儂の力を使って鴉の輪転器を生み出した。此度は己の輪転器さえも生み出した」

老人「全てはあの時に叶えられられなかった夢を叶えるため……」

老人「愛する男と添い遂げる為だけに我を解き放ったのだ。あの時をなぞるように」

騎士団長「(……たった一人の意志。それが世界を創造したというのか? これが事実だとしたら……)」
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 20:54:24.60 ID:LELbxQRDO

老人「そうだ。狂っている」

老人「下らぬ愛などに執着した結果がこれだ。その女が世界と輪廻を歪めたのだ。己の意志でな」

王女「……終わりにする為です。間違いを正すにはこうするしかなかった」

老人「正す?正すだと? お前がか? 狂った神が何を正す? 笑わせるな、正せるわけがない」

老人「結果など目に見えている。お前が何をしようと更に狂わせるだけだ」

王女「あなたには分からないでしょうね。全てを始まりに戻そうとする、あなたには……」

騎士団長「(……どういう意味だ)」

王女「この者は元に……全てに還ろうとしているのですよ。世に在る全てを呑み込んで……」

老人「聞き間違えでなければ罵っているように聞こえるな。己がしでかした事は棚上げか、どこまでも自分本位な醜女よ」

王女「先程から聞いていれば随分とそれらしい口を利くようになりましたね。全てであった者、全ての力であった者よ」
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 21:39:49.83 ID:LELbxQRDO

老人「……何が言いたい」

王女「あなたは強烈な自我を得た。そうなった今でも元に戻ることが出来ると思いますか?」

老人「我に出来ぬことなど無い。どうあろうと結果は変わらぬ。あの時と同じように鴉は死ぬ」

老人「ただ一つ違うとすれば、此度は貴様も死ぬということだ。望みを叶えられぬまま消え去るがいい」

王女「あの時とは何もかもが違いますよ。あなたもわたしも、辿る結末も……そして、彼も……」

老人「……欠片を渡したな」

王女「ええ」

老人「奴を鴉に仕立ててどうする? 再び我と戦わせる気か? それで何が変わる?」

王女「何もかも。わたしの選択すらも」

老人「愛する男に尻拭いをさせる気か? 醜悪な神もいたものだな。貴様のような女に愛された鴉が不憫でならん」

王女「……否定はしません。ですが、あなたには消えてもらいます。次こそは、世の為に……」

老人「戯言を抜かすな。鴉は彼の地に在り、輪転器と共に此処へ来るが定め。何も変えられはしない」
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 00:57:07.58 ID:XdNm6z2wO

王女「果たしてそうでしょうか」

老人「……何?」

王女「人の心は時に予想外の行動を生む。愛というものは男女間だけのものではありません」

老人「愛に狂った貴様が真っ当な愛を語るか。いや、狂っているからこそか? 何にせよ滑稽なことだ」

王女「全ての出来事は想いから始まると言っているのです。それが愛であれ憎しみであれ、変化はそこから訪れる」

老人「………」

王女「そう言えば、あなたには息子がいましたね。彼はあなたをどう思っていましたか?」

老人「何とも下らん問いだ。貴様もこの器の中にいたのだから知っているだろう」

王女「ええ、知っています。あなたが父であるのかどうかを何度か疑っていましたね」

老人「そんなことか、最早どうでもよいことだ。あれならば既に破棄してある」

老人「貴様がその輪転器に移った時でも良かったのだが、何やら策が見えたものでな」
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 00:58:59.44 ID:XdNm6z2wO

騎士団長「(破棄……)」

騎士団長「(やはり、この者は我々とは違う。いや、この者だけではない。姫様の中に在る者も……)」

王女「策とは?」

老人「あれは貴様が此処へ来るきっかけ、鴉が彼の地へと旅立つきっかけを作った。そうなれば用は無い」

老人「父上などと慕ってくる様は鬱陶しくて仕方が無かったが、存外使える男だった。もう使い物にはならんだろうが」

王女「……そうですか」

老人「何だ、まさか身を案じているのか? 魔王として数え切れぬ命を奪った貴様が」

王女「いえ、案じてなどいませんよ。ただ、想像通りの答えに落胆しただけです」

老人「貴様が何を期待していたのか知らんが事は順調に運んでいる。後は輪転器を待つのみだ」

王女「器が此処まで無事に辿り着けると? 随分と信頼しているのですね」
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 01:03:12.96 ID:XdNm6z2wO

老人「……信頼、それは鴉のことを言っているのか?」

王女「ええ、もちろん。彼以外の誰が器を守ると言うのですか?」

老人「……奴はしぶとい。能力的には有角族や獣人族より劣っているが、種族を超えた何かを持っている」

老人「思い出すだけでも忌々しいが、我は奴のそこに敗れたのだ。貴様が言うところの想いとやらにな」

王女「怖れているようですね。彼を」

老人「怖れ? そんなものはない。確かに奴には敗れた。しかし、我を殺す術など存在しない」

王女「……己の変化にすら気付いていないとは、あなたも憐れですね」

老人「挑発のつもりだろうが、あまり図に乗るな。新たな器に入らずとも貴様を消すことなど容易い」

王女「そうですか。では、出来るのにそうしないのは何故です?」

老人「貴様のことは鴉の目の前で消すと決めているからだ。そうなれば我が手を下さずとも鴉は壊れる。死は、貴様の存在なくして保てない」

王女「随分と悪趣味になりましたね。全てであった者の言葉とは到底思えませんよ?」

老人「貴様にだけは言われたくはない。己の欲望の為だけに数多の命を奪った気狂い女が」
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/24(日) 15:24:52.13 ID:0dgDXaPvO
乙ー
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 02:48:27.37 ID:fIdUKdx/O

王女「………」

老人「そうだ。本来なら語ることなど出来はしない。いや、口を開くことすら許されない」

老人「事の発端であり歪みの根源である貴様に、自戒や弁解など許されるはずがない」

老人「何せ、己の望みを果たす為に数え切れぬ者共の運命を狂わせた大罪人なのだからな」

老人「その元凶たる貴様が、開き直った挙げ句に間違いを正すなどど言い出すとは恐れ入る」

王女「…………」

老人「……まあよい。鴉が来れば全てが終わるのだ。結末は変わらん」

騎士団長「(……全てはこの者達によって引き起こされたことなのか。これまでの、全てが?)」

騎士団長「(これが真実であるなら悪夢としか言い様がない。この者達の意志によって、世界は無に帰すというのか……)」
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 02:52:32.04 ID:fIdUKdx/O

老人「そうであった。まだ、お主がいたな」カツン

騎士団長「(……何だ…)」

老人「先程語ったことは貴様を通して世に伝わった。此処には居らぬ者、誰も彼も何もかもが真実を知ったであろう」

老人「つまり、貴様は語らずして語り部の役目を果たしたと言うわけだ」

老人「何故そんなことが出来るかなどと聞いてくれるなよ。理屈など必要ない、儂にはそれを可能にする力がある」

騎士団長「(……あり得ない。そんなことが出来る者がいるとしたら、それはーー)」

老人「神だ」

騎士団長「(ッ、重い。言葉を発しているだけだというのに何という圧力だ……)」

騎士団長「(先程の比では無い、見えない何かに体を抑え付けられているようだ。指先はおろか視線さえも動かせん)」
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 02:55:11.26 ID:fIdUKdx/O

老人「………」スッ

ゾブッ…

騎士団長「!!?」

老人「信じたか? いや、信じざるを得まい」

騎士団長「(ば、馬鹿な。腕が胴を突き抜けた?いや、すり抜けたのか? 何故だ、何故何の感覚もない。出血どころか一切の痛みも……)」

老人「理屈など要らぬ、儂には出来る。このまま手を引き抜けば、お主は死ぬ」

騎士団長「(……傲慢で冷酷無慈悲、己以外のことなど一切省みず、己以外は物か何かとしか見ていない)」

騎士団長「(これが神であるなら何とも救われない話だ。教会で祈る人々が不憫でならない」

老人「我を神としたのは貴様等だ。こうなった原因の一端は貴様等にあるとも言える」

老人「貴様等は無自覚に罪なる存在だ……まあ、よい。ともかく、お主は役を果たした」
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 02:59:56.21 ID:fIdUKdx/O

老人「故にーー」ズッ

騎士団長「がッ…」

ブシュッ…ボタボタッ…

老人「故に、存在する必要は無い」

騎士団長「(……意識が薄れていく……それはそうだ。腹に穴が空いたのだから当然だ……)」

騎士団長「(これまでにも死を覚悟したことはあったが、いざこうなると実感が湧かんな)」

騎士団長「(……しかし呆気ないものだ。詰まるところ、私は神に弄ばれただけというわけか)」

騎士団長「(姫様は……)」

王女「………」

騎士団長「(姫様は、あの者の中で生きておられるのだろうか? そうであって欲しい。そうでなければ、あまりに救いがなさ過ぎる)」

騎士団長「(……姫様、申し訳ありません。騎士として誓いを守れずに逝ってしまうこと、どうかお許し下さい………)」
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/25(月) 07:43:42.29 ID:8vN9wdCIo
乙ー
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 09:34:40.32 ID:Q6pOnf+Co
団長さん死んじゃうの?
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 14:20:22.63 ID:dzwBbH6TO
これで生きてたら冷めるだろ
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 13:33:59.67 ID:NpHs2oA3o
ご都合主義で助かるっていうくそつまんない展開になりそう
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 21:46:26.85 ID:tSlelXHYO
ドラクエみたいに教会もないし魔法もないみたいだから助かるとは思えないな
キャラの好き嫌いは関係無しに、死ぬ時は死んだ方が良い
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/06(金) 08:27:42.69 ID:OvrNoxW8O
失踪した
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/06(金) 16:56:03.13 ID:ewOtf+N6O
>>1的には生きます設定でいこうと思ってたんやろな生きてた方がきっと読者喜んでくれる!って誰も望んで無かったんやけどな
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/06(金) 18:00:16.88 ID:lxVOuFm4O
>>590 お前みたいな奴がいるから書く気が失せるんだよ
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/06(金) 21:12:17.59 ID:CN51SG9YO
>>590 まるで作者の頭の中を見透かしたようなこと言ってるけどさ
お前程度の奴が思い付くような安易な展開にするわけねえだろ
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/06(金) 23:14:29.37 ID:c/JScqa4O
下げ
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/07(土) 07:10:00.01 ID:FFFR1IZPO
さげ
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/07(土) 13:29:45.52 ID:nzYaHbhHo
>>592
いや>>590>>1の自作だぞ?
別ssの時に使ってるのと同じだよ
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/07(土) 16:05:03.10 ID:3dlENJgwO
>>595 自演って言いたいのか?
別SSと同じって言ってるが何が同じなんだ?
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/07(土) 19:14:00.34 ID:nzYaHbhHo
>>596
毎回この方のssは誰かが亡くなったなと思わせて無事でしたパターンが必ずある
そして毎回同じ内容の投稿を別IDで投稿する儀式
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/07(土) 20:55:36.11 ID:lVtmYGBwO
どのSSの作者と混同してるのか知らんが
「そして毎回同じ内容の投稿を別IDで投稿する儀式」って何だよ
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/07(土) 23:51:30.67 ID:8cAR3YUMO

騎士団長「……姫……さ……」

老人「……逝ったか。最期に恨み言の一つでも吐くかと思ったのだが、当てが外れたな」

老人「しかし大したものだ。守ると誓った者を想って逝くとは……この輪転器が騎士の長を任せただけのことはある」

王女「…………」

老人「満足か」

王女「問いの意味が分かりません」

老人「ふざけるな、此処に来なければ死ぬことはなかった。死に追いやったの貴様だ」

王女「何を言い出すかと思えば……実際に手を下したのはあなたでしょう」

老人「ああそうだ、確かにその通りだ。否定はしない。だが、貴様には分かっていたはずだ」
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/07(土) 23:53:15.46 ID:8cAR3YUMO

王女「分かっていた? 何をです?」

老人「惚けるな。この男が真実を求めることを貴様は分かっていた。分かっていながら共に来た」

王女「分かっていたらどうだと言うのです? これは騎士団長自身の選択。その結果でしょう?」

王女「わたしが踏み止まるように言っても頑として同行すると言った。真実を知りたいと、自らの意志で……」

老人「物は言い様だな」

王女「あなたこそ、自分の手で殺めておきながらわたしの所為にするのはどうかと思いますが」

老人「何がどうあれ、貴様の選択が発端だ。全てはそこから生じた。この男の死さえもな」

王女「そうかもしれませんね。ですが、彼なら変えられるでしょう。今に至る全てを……」

老人「何が変わろうとも貴様の罪が消えることはない。許されもしない。決してな」

王女「言われずとも分かっていますよ。だから待っているのです、彼を……」
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/07(土) 23:55:28.25 ID:8cAR3YUMO

老人「何を言うにも彼、彼、彼」

老人「常軌を逸した執着心と独占欲。吐き気を催す程のそれを貴様は愛と曰う」

老人「貴様は与えられた役割を放棄し、世を歪め輪廻すらも歪めた。それすらも愛の為か」

王女「そうです」

老人「くっ、はははっ!! これまでの千年、その間に払った犠牲を愛だと言い切るか。大したものだ」

老人「その異常さが貴様にとって正常なのだろうな。現に、目の前で起きた死に眉一つ動かしはしなかった」

王女「それはあなたも同じでしょう。その手で殺めておきながら何も感じていないのですから」

老人「幾らかも心を痛めていないのは認めよう。だが、これだけは言える。貴様とは違う」

王女「そうですか、あなたがそう仰るならそうなのでしょう。しかし、妙ですね……」
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/07(土) 23:58:24.66 ID:8cAR3YUMO

王女「しかし妙ですね。いつまで経っても王宮内に変化がない」

王女「世の全てに真実を伝えたのであれば、今頃は大混乱に陥っているはずです」

王女「真実を告げたのはニンゲンに対してのみですね? 向こうから戦を仕掛けさせるつもりですか?」

老人「どうなるかはニンゲン次第だ。あれを真実として額面通りに受け入れる者はまずいまい」

老人「だが、動揺はする」

老人「動揺は混乱へ変わり、混乱は戦を呼ぶ。内乱か大戦か、それは然したる問題ではない」

老人「戦は戦を呼ぶ。例えニンゲンが手を出して来ずとも、此方側でも戦は起きる」

王女「……起きるのではなく起こすのでしょう? 二番目を使って」

老人「ああそうだ。そうしなければ鴉を殺すことは叶わぬ」
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/08(日) 00:00:28.79 ID:F5x8ReqfO

王女「クスクス…そうですか」

老人「……何を嗤う」

王女「わたしとは違うと仰いましたが、結局はわたしと同じ。理由はどうあれ、あなたも彼を求めているのですよ」

王女「憎んでいながら彼の為に騎士を利用し、彼を鴉として殺す為に戦を起そうとしている」

老人「…………」

王女「かつて自分を追い詰めた者をその手で殺す為に如何なるものも犠牲にする。その執着心と独占欲を狂っていると言わず何と言いましょう?」

王女「わたしにはそれが可笑しくて可笑しくて……ですから、あなたを嗤いました」

老人「……精神も肉体も二度と立ち上がれぬ程の、想像し得る限り最悪の恥辱や凌辱をくれてやろうか」

老人「それとも二度と会えぬ面にしてやろうか。奴に顔向け出来ぬ姿に変わり果てるまで……」

王女「そのようにしたければ、お好きにして下さい。何をされても、わたしは『変わりません』ので」
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/08(日) 00:45:07.26 ID:F5x8ReqfO

老人「………」ズッ

ゾブッ…ボタボタッ

王女「……満足ですか?」

老人「いいや、満足などしていない。気を静める為にしただけのことだ。だが、認めよう」ズッ

王女「…けほっ…何をです?」

老人「貴様が言ったことだ……まあ、よい。そろそろ鴉も彼の地へと足を踏み入れた頃だろう」

ーーーー
ーーー
ーー


ドガッ!

盗賊「けほっ…熱烈な歓迎だな。これもしきたりかい? にしても男だけってのはーー」

バキッ!

盗賊「ぐッ…」ドサッ

『黙れ、何が鴉だ。薄汚いニンゲンが』

『こんな奴が我等を救う存在であるわけがない。こんな、ニンゲンが……』

『下手に希望など持たせるからこうなるんだ。これで巫女も終わりだな』
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/08(日) 01:40:09.32 ID:RzM+t76yo
乙ー
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 20:25:17.47 ID:doeFq7vfO
支援
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/10(日) 03:17:23.37 ID:22BjhRFtO
まだ?
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 04:28:33.37 ID:fRppWXu2O
はよ
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/10(土) 01:21:49.75 ID:3wFhA0N2o
まだ?
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/08(木) 07:40:10.80 ID:uY/qn8IjO
はよ
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/02(月) 22:26:57.78 ID:aMQpWNiAO
まだ?
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/03(木) 00:40:37.61 ID:xtmJJD7Ro
はよ
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/04(月) 23:43:34.41 ID:B/8Zb7gfo
まだー?
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/04(水) 22:50:11.48 ID:9qDScssgO
はよ
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/06(月) 23:34:58.49 ID:cCOPTcmFo
まだー?
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/19(月) 22:12:12.73 ID:+gCp9tdr0
一年更新なくても落ちないのか
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/08(土) 17:43:35.48 ID:NDSQ8Tsl0
ほしゅ
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