佐久間まゆ「悪い人でよかった」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

146 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 06:59:27.90 ID:c6PUDvkw0

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「……」

凛「ただいまー」

まゆ「あ、おかえりなさぁい」

凛「ふふふ」

まゆ「? どうしたんですかぁ?」

凛「いや、なんか新婚さんみたいだなぁって」

まゆ「……え?」

凛「いや、冗談だよ。冗談。まゆをお嫁さんにする人は幸せだろうなって思っただけ」

まゆ「そんな、まゆなんて……」

凛「ああ、そんな困った顔しないでよ。悪かったから。ほら、アイス食べよ?」

まゆ「あ、まゆのぶんも買ってくれたんですか? ならお金を……」

凛「大丈夫大丈夫。ほら。じゃん」ガサガサ

まゆ「これは……月見大福ですね」

凛「そ。私、これ好きなんだ。でも一人で二つ食べるのは欲張りすぎだから……ね?」

まゆ「…………凛ちゃんは意地悪です」

凛「一応アイドルだしね。夜食は控えるようにPからも言われてるし……」

まゆ「……Pさんですかぁ」

凛「?」

147 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:00:34.58 ID:c6PUDvkw0

まゆ「……それじゃ、ありがたく頂きますねぇ」

凛「ん。これで私とまゆは共犯者だ……おいし」ヒョイパク

まゆ「まゆは無罪ですよぉ? 悪いのはまゆを唆した凛ちゃんです……ちべたっ」

凛「世の中には共謀罪ってのがあるんだよ。私の口車に乗った時点で、まゆは犯罪の片棒を担いだことになってるんだ」モグモグ

まゆ「理不尽です……」ペロペロ

凛「ぷにまゆになっちゃうね」

まゆ「でぶりんになっちゃえばいいんです……」

凛「辛辣だね」

まゆ「お互いさまですよぉ」

凛「ふふっ」

まゆ「ふふっ」

凛まゆ「あははははははっ」

148 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:01:27.10 ID:c6PUDvkw0

まゆ「あ、凛ちゃん」

凛「どうしたの? まゆ」

まゆ「ついてますよ? ほっぺにアイス」

凛「え、ほんと? 取って」

まゆ「仕方ない凛ちゃんですねぇ……はい、取れました」

凛「ん。ありがと」

まゆ「……今日は泊まるんですかぁ?」

凛「……そうしようかな。実はもう連絡は入れてるんだ」

まゆ「そうだったんですかぁ。じゃあお風呂、入れますね。凛ちゃんから入っていいですから……」

凛「……」

凛「一緒に入る?」

149 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:02:18.03 ID:c6PUDvkw0

まゆ「背中流しますねぇ」ゴシゴシ

凛「あー気持ちいい。あ、そこもうちょっと強めにお願い」

まゆ「このくらいですかぁ?」

凛「そうそう。まゆ、背中流すの上手だよね」

まゆ「うふふ、ありがとうございます」

凛「……なんか久しぶりだね。二人でお風呂に入るのって」

まゆ「そうですねぇ。やっぱりちょっと狭いですけど……」

凛「でもこのくらい狭いほうが、むしろ遠慮しなくていいよ」

まゆ「そうですかぁ?まゆは凛ちゃんがいいならいいんですけど……。流しますね」ザー

凛「ありがとう。じゃあ次は私の番ね」

まゆ「……」

凛「? どうしたの?」

まゆ「……いえ、なんでもないです。お願いしますねぇ」

150 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:03:45.90 ID:c6PUDvkw0

凛「はー、やっぱりまゆの肌って綺麗だよね」コシコシ

まゆ「凛ちゃんの方が綺麗ですよぉ」

凛「いやー。私にはこの感じは無いなぁ。なんというか、きめ細かさ? 人形みたいというか」

まゆ「それを言うなら、凛ちゃんの肌にはハリがあります」

凛「そんなの後数年もしたら無くなるって。川島さんが言ってたもん」

まゆ「あれ、でも菜々さんは……」

凛「……あの人は例外中の例外だよ、まゆ」

まゆ「……そうですよねぇ」

凛「……ま、数年経ったら経ったで、それこそ川島さんみたいな大人っぽさがあったら、まだアイドルもやっていけるかな」

まゆ「……凛ちゃんはいつまでアイドルをするつもりなんですかぁ?」

凛「んー。考え中」

まゆ「……そうですかぁ」

凛「親もPもじっくり考えろって言ってるし。とりあえずは目の前のことに集中かな。泡、流すね」ザバー

まゆ「……ありがとうございます」

凛「先に髪、洗いなよ。浸かってるから」

まゆ「はい」

151 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:05:21.14 ID:c6PUDvkw0

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」チラッ

まゆ「……」

凛「……」ジー

まゆ「……」

凛「……」ジィー

まゆ「……」

まゆ「……どこ見てるんですかぁ?」

凛「……気付いてたか」

まゆ「そんなにじろじろ見られたら、嫌でも気づきますよぉ……」

凛「いやー、柔らかそうだなって」

まゆ「セクハラ……」

凛「同性の友達だからセーフ」

まゆ「凛ちゃんじゃなかったらはっ倒してますよぉ?」

凛「そもそも私以外とは一緒にお風呂に入んないでしょ」

まゆ「それもそうですけど……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

152 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:06:08.55 ID:c6PUDvkw0

凛「……まゆの髪ってさ、いい匂いするよね」

まゆ「また変なこと言って……」

凛「ね。私も髪洗う時、同じシャンプー使っていい?」

まゆ「……」

凛「まゆ?」

まゆ「……それは駄目です。凛ちゃんはこっちのを使ってください」

凛「え、なんで?」

まゆ「……」

凛「……あ、ごめんね? 変なこと言って」

まゆ「いえ。こちらこそ……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……ねえ」

まゆ「なんですかぁ?」

凛「……私たちって、変かな」

まゆ「……」

凛「……ごめん。また困らせちゃった」

まゆ「……変じゃないですよぉ」

まゆ「まゆたちは、普通の女の子ですから」

凛「……そっか」

まゆ「……」

凛「……」

153 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:07:15.90 ID:c6PUDvkw0

まゆ「電気、消しますねぇ?」

凛「うん。おやすみ」

まゆ「はい。おやすみなさい」カチッ

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……凛ちゃん?」

凛「……どうしたの?」

まゆ「……好きな人でもできたんですか?」

凛「……なんでそう思うの?」

まゆ「……なんとなくです」

凛「……そっか」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……まゆは凛ちゃんの味方ですよ」

凛「……ありがとう。でも、大丈夫だよ」

まゆ「そうなんですかぁ?」

凛「うん。だって好きな人がいるわけじゃないからね」

まゆ「あら。じゃあまゆの勘違いですか」

凛「ふふっ。そうだね」

まゆ「なんだか悔しいです……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……まゆ?」

まゆ「……」

凛「……」

凛「……おやすみ」

154 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:09:21.03 ID:c6PUDvkw0

P「凛! 今回の収録はすごくよかったぞ! しっかりと、緊張せずに喋れたな」

凛「……まぁ、このくらいはね」

P「……」

凛「な、何?なんか顔についてる?」

P「いや、凛も最初に比べて成長したなーって思ってな」

凛「そ、そう?」

P「うん。見違えるくらいだ」

凛「……Pのおかげだよ」

P「……ありがとな」

凛「……」

P「……で、いきなり呼び出してどうしたんだ? まだ衣装も着替えてないじゃないか。待っててやるから早く……」

凛「……」ダキッ

P「り、凛?」

凛「……なんでもない」

P「なんでもないことないだろ。いきなり抱き着いてくるなんて。人が来たらまずい……」

凛「なんでもないから!」

P「!」

凛「なんでもないから、少しの間、このままでいさせて……」

P「……凛」

155 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:10:33.62 ID:c6PUDvkw0

凛「…………」

P「…………」

凛「…………」

P「…………凛? もうそろそろ……」

凛「好き」

P「…………え?」

凛「……」スッ

P「……凛?」



凛「私、Pのことが好き」

156 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:11:59.41 ID:c6PUDvkw0

P「…………」

凛「……おかしいよね。私みたいな女子高生が、Pみたいなおっさんを好きになるなんて」

P「……おっさんって歳でもないだろ。まだ三十代だ」

凛「でも、本気なんだ」

P「……」

凛「…………返事は?」

P「…………」



P「すまん」



凛「…………わかってたよ。そう言われることは」

P「…………すまん」

凛「……謝らないで」

P「…………」

凛「…………」

P「…………凛、俺は」


ドーン


凛「な、何? 今の音」

P「地震……じゃなかったな。楽屋の方からした……」

凛「……行ったほうがいいんじゃない?」

P「……」

凛「……」

P「……すまん」ダッ


157 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:13:39.07 ID:c6PUDvkw0

凛「お邪魔します」

まゆ「はぁい。どうぞ上がってください」

凛「……」

まゆ「あら、浮かない顔」

凛「え、そ、そう?」

まゆ「えぇ。なんだか元気がないみたい」

凛「……」

まゆ「仕事で失敗でもしちゃいましたかぁ?」

凛「……うん。そんなところ、かな」

まゆ「……大丈夫ですよぉ。まゆは凛ちゃんがいい子だってしってますから」

凛「……」

まゆ「……今日は泊まるんですかぁ?」

凛「……いや、今日はやめとくよ」

まゆ「そうですかぁ。じゃあなにして……」

凛「……ごめん、まゆ。やっぱり私、帰るね」

まゆ「……いいですよ。何か事情があるんでしょう?」

凛「……ごめん」

まゆ「謝らないでくださいよぉ。まゆは凛ちゃんの友達ですから……」

凛「……ごめん」

158 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:14:37.55 ID:c6PUDvkw0

ちひろ「……私はそれには加担できません」

まゆ「……そうですかぁ。残念です」

ちひろ「どうするつもりなの?」

まゆ「決まってるじゃないですか、そんなの」

ちひろ「……Pさんはあなたのことを好きになったりはしないですよ」

まゆ「凛ちゃんがいるからですか?」

ちひろ「……よくPさんを見てるんですね」

まゆ「当然です」

ちひろ「なんで私にそのことを話したんですか? 私はここの事務員です。アイドルが勝手に危ないことをしようとしたら、止めなきゃいけないんですよ?」

まゆ「だって、ちひろさんは私と似ています」

ちひろ「……」

まゆ「……私は悪い子です。他人を利用して、他人の心を覗こうとしてるんですから」

ちひろ「……まゆちゃんはいい子ですよ」

まゆ「本当にそう思ってますか?」

ちひろ「勿論です」

まゆ「……ありがとうございます」

ちひろ「……」

159 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:15:27.75 ID:c6PUDvkw0

まゆ「私を止めますか?」

ちひろ「……いえ。他人の恋路を邪魔するのは事務員の仕事じゃないですから」

まゆ「……」

ちひろ「私とまゆちゃんは似てますか?」

まゆ「はい。とっても」

ちひろ「……事務員としての私はそれには加担できません。けれど」

ちひろ「……友達としてなら、協力させてもらいますよ」

まゆ「ちひろさんも悪い人になっちゃいますよ?」

ちひろ「もう十分悪い大人ですから」

まゆ「ふふっ」

ちひろ「……一つ、教えてくれますか?」

まゆ「なんですかぁ?」

ちひろ「……この計画が終わった時、まゆちゃんは幸せになってるんですか?」

まゆ「……当然です。そのための計画なんですから」

160 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:16:38.04 ID:c6PUDvkw0

凛「……お邪魔します」

まゆ「……はぁい。どうぞ上がってください」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……どうしたんですかぁ?」

凛「……あのこと」

まゆ「……誰から聞いたんですかぁ」

凛「ちひろさんから……」

凛「わ、私、なんて言ったらいいか……」

まゆ「いいですよぉ。大事にはなりませんでしたし。それに……」

まゆ「凛ちゃんには、何も関係無いはずですから」

凛「……っ!」

まゆ「あら、どうしたんですかぁ?」

凛「まゆ、私……!」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「な」

凛「なんでも、ない」

まゆ「……お茶、淹れてきますね」

161 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:17:57.44 ID:c6PUDvkw0

凛「……」

まゆ「お待たせしました……凛ちゃん?」

凛「あ、ありがとう……」

まゆ「ふふっ。変な凛ちゃん」

凛「……」

まゆ「……飲まないんですかぁ?」

凛「あ、ごめん……」

まゆ「謝るほどのことでもないですよぉ」

凛「……」ズズッ

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……で、何しに来たんですか? 今日は特に約束はしてなかったはずですけど……」

凛「! 私はまゆが心配で……」

まゆ「……今日の凛ちゃん、なんだかおかしいです」

凛「え、おかしいって……どういう……」フラッ

凛「あれ……? なんで私、倒れて……?」

まゆ「だってほら。顔色もこんなに悪いですよぉ?」

凛「あたま、が……おも……」バタリ

まゆ「……」

まゆ「……うふふ」

162 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:19:11.50 ID:c6PUDvkw0

凛「んぅ……」

まゆ「あ、起きましたかぁ?」

凛「まゆ……?ここは……」ゴシゴシ

凛「……!」

凛「え、私、縛られ……!」

まゆ「はい。眠ってる間にちょっとイタズラしちゃいました」

まゆ「ちなみにここはまゆの部屋のトイレですよぉ」

凛「な、なんでこんなことするの」

まゆ「……」

凛「わ、私たち、友達でしょ?どうして……」

まゆ「……」

まゆ「……友達なんかじゃ」ボソッ

凛「え、何?なんて言ったの?」

まゆ「……なんでもありませんよぉ」ギュッ

凛「痛い!」

163 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:20:13.20 ID:c6PUDvkw0

まゆ「大丈夫ですよぉ。ちゃんと跡が付かないように縛ってますから……うふふ」

凛「ちょ、ちょっと……なにするの!」

まゆ「何するって……大体想像できるでしょう?」

凛「…………まさか……」

まゆ「……凛ちゃんを監禁します。うふふ。私らしいでしょう?」

凛「まゆ、まさかPさんのこと……」

まゆ「そうですよぉ? 勿論、知ってます」

凛「!」

まゆ「……まゆっておかしいですよね。自分でも分かってるんです」

凛「まゆ、あのことは……」

まゆ「黙ってください」ギュ

凛「! むぐ、うーっ!」

まゆ「……まゆは悪い子です。でもそれで幸せになれるなら、まゆはどんなに悪い人にでもなってみせます」ギュッ

まゆ「…………はい。完成です♪ これで喋れない、動けない、何も見えない。でしょう?」

凛「うーっ! うーっ!」

まゆ「……ごめんなさい。でももう戻れないんです」

凛「……!」

まゆ「……静かにしててくださいねぇ?」パタン、カチャ

164 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:22:22.28 ID:c6PUDvkw0

まゆ「すぐに済みますからねぇ……」ガチャ、ガチャリ

P「……分かった」バタン

まゆ「……」ガチャ

まゆ「……」カチャ

まゆ「……静かにしてますね。いい子です♪」

凛「……!」

まゆ「……喋れるようにしてあげます。でも大きな声は、駄目ですよ?」シュル

凛「! ぷはっ、けほ」

凛「……けほ……なんでPが……?」

まゆ「……なんででしょうねぇ?」

凛「……こんなこと、もうやめて」

まゆ「それはできません。ここまで来たら、あとちょっとなんですから」

凛「……まゆは何がしたいの?」

凛「私とPを監禁して、それで……」

まゆ「……さぁねぇ?」シュル

凛「!! ちょっと、どこ触って……!」

まゆ「どこって、脱がないとできないでしょう?」

凛「じ、自分でするから……」

まゆ「……そうですかぁ。じゃあまゆとPさんは買い物に行ってきますねぇ」

凛「……」




凛「……行った……のかな」

凛(やっぱりあのことが……でもこんなことになるなんて)

凛(……)

凛(Pに告白なんて、しなきゃよかったのかな……)

165 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:23:47.14 ID:c6PUDvkw0

凛「……」

凛「……」

まゆ「……凛ちゃん」カチャ

凛「……まゆ」

まゆ「これを飲んでください」

凛「……これはなに? 毒?」

まゆ「ちょっと眠くなるだけですよぉ」

凛「……」ゴクッ

凛「それで、どうするの?」

まゆ「……こうするんです」ゴクッ

凛「! なんで……」

まゆ「……これでまゆの出番は終了です。後は、全てがうまくいくはず」

凛「そんな……こと」

まゆ「……うふふ」

凛「……ねえ、まゆ?」

凛「……私は、まゆの友達だよね」

まゆ「……はい」

凛「……じゃあ、大丈夫、なんだよ……ね」フラッ

まゆ「……大丈夫。大丈夫です」フラッ

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……凛ちゃん?」

凛「……」

まゆ「……」





まゆ「……ごめんなさい」



166 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:24:31.52 ID:c6PUDvkw0
*
167 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:26:35.10 ID:c6PUDvkw0

P「……」

凛「……」スースー

P「……」

凛「……」スースー

P「……」

P(凛はまだ、目を覚まさない)

凛「……」スースー

P(……凛。頼むから起きてくれ)

P(じゃないとこの手紙も渡せない。俺の気持ちも、伝えられない)

P(だから……)

168 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:28:01.99 ID:c6PUDvkw0

凛「……」

?「……ゃん、……ちゃん」

凛「……ん、……誰?」

?「凛ちゃん、起きて。凛ちゃん」

凛「! その声はまゆ!?」バッ

まゆ「うふふ、そうですよぉ? やっと気が付きましたね」

凛「まゆ! えっと、その」

まゆ「ああ、大丈夫ですよ? 喋りたいこと、伝えたいことは全部、分かってますから」

凛「……ごめん」

まゆ「……分かってるって言ったのに」

凛「……」

まゆ「しかも謝らなきゃいけないのは私のほうです。凛ちゃんに乱暴なことをして……」

凛「そんな……何か事情があったんでしょ?」

まゆ「……」

凛「……ここはどこ?」キョロ

まゆ「……言うなれば、地獄ですかねぇ?」

凛「地獄!?」

まゆ「そうですよぉ」

凛「え! じゃあ私たち……」

まゆ「違いますよぉ? まゆはともかく、凛ちゃんはまだこっちに落ちてませんから」

凛「まゆはともかくって……!」

まゆ「……いいですかぁ? これからまゆが言うことを、しっかりと聞いてくださいね」

凛「……うん」

169 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:29:19.14 ID:c6PUDvkw0

まゆ「……凛ちゃんは今、眠っています。それは深い眠りです。けど、起きなきゃいけない。わかりますねぇ?」

凛「……うん。分かるよ」

まゆ「それは沢山の人が待ってるからです。卯月ちゃんや未央ちゃん。加蓮ちゃんや奈緒ちゃん。ちひろさん。もちろん、Pさんも」

凛「……! Pも……」

まゆ「だから、起きてください。そして……」

凛「そして?」

まゆ「……まゆからの手紙を読んでください。まゆが凛ちゃんに宛てた、最後の言葉ですから」

凛「! 最後の、ってことはやっぱり……!」

まゆ「全く。こんな時間があるなんて、聞いてなかったですよぉ? なんだか恥ずかしいじゃないですかぁ……」

凛「まゆ! どこ行くの! 私も付いて行くから!」

まゆ「駄目ですよぉ? 凛ちゃんはまだこっちにきちゃ駄目です」

まゆ「そっちで、精々Pさんと幸せに暮らしてください♪」

凛「まゆ! まゆは私の……!」

まゆ「……聞きません。言わないでください」

凛「まゆぅ! どうして!」

まゆ「……さぁ。そろそろ目覚める時間ですよ」

凛「まゆ! ねえ! まゆ!」

まゆ「……そんなに名前を呼んでくれて」

まゆ「……ありがとうございます」

凛「まゆ! まゆ! まゆ!」

170 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:30:13.25 ID:c6PUDvkw0

凛「…………!」パチッ

凛「……まゆ」

P「……!」

凛「……え?」キョロ

P「凛! 目が覚めたのか! 良かった!」

凛「へ? ぷ、ぷろでゅーさー!?」

P「すぐ医者を呼ぶからな! じっとしてろよ!」ダッ

凛「……! まゆは!?」

P「……!」ピタッ

凛「……私、夢を見たの」

P「……」

171 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:31:18.90 ID:c6PUDvkw0

凛「…………まゆから何か、預かってない?」

凛「手紙……とか」

P「……!!!」

凛「……あるんだ」

P「…………」

凛「……見せて」

P「…………あぁ」

凛「……」

凛「…………読んでいい?」

P「……あぁ。勿論だ」

凛「……ありがとう」

P「…………俺は外にいるから。読み終わったら、呼んでくれ」ガラッ

凛「…………」

凛「…………」スー

凛「…………」ハー

凛「…………よし」

凛「……」ペリペリ

凛「……」パサッ

凛「……」

172 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:34:41.27 ID:c6PUDvkw0

凛ちゃんへ

凛ちゃんへ。凛ちゃんがこれを読んでいるとき、まゆはもう凛ちゃんと話をすることはできないでしょう。なぜなら、まゆはもう死んでいるだろうから。

これは遺書ではありません。最後の最後に、自分勝手な私が縋りたかった一本の蜘蛛の糸です。悪魔の私が行く先はきっと地獄だから。凛ちゃんがこれを読むことで、まゆは凛ちゃんの中で永遠に生き続ける。だからこれは遺書ではありません。

凛ちゃんがPさんのことを好きになっていたこと、気付いてました。凛ちゃんは不器用だから、すぐに分かりましたよ?もうちょっと演技の練習をした方がいいかもしれませんね。

まゆがPさんのことを好きだから、遠慮してたんでしょう?ありがとうございます。でもそれは余計なお世話でした。そしてそれ以上に、まゆは凛ちゃんに嘘をついてほしくなかった。嘘をつく人は悪い人です。だから嘘をつく凛ちゃんは、悪い凛ちゃんです。凛ちゃんには悪い人になってほしくない。なんて、まるでまゆがお母さんみたいですね。

でも改めて考えてみると、凛ちゃんが悪い人でよかった。だってまゆも嘘をついていたから。悪い人だったから。これでおあいこ、お互い様です。

そうです。まゆは嘘をついていました。

凛ちゃんが告白してたとき、まゆがファンの人に襲われた事件のことです。実はあれはまゆが仕組んだことだったんですよ。不自然に思いませんでしたか?たまたま凛ちゃんがPさんに告白しているタイミングで。たまたま警備員さんが出払ってて。たまたままゆの楽屋に鍵がかかっていなくて、スタッフの中にまゆの熱烈なファンがいた、なんて。どう考えても出来すぎでしょう?

まゆがいつもPさんに盗聴器付きのGPSを付けていたこと、知ってましたか?知らなかったなら、これもまゆの悪いところの一つですね。実はPさんにつけてたものと同じものを、凛ちゃんにこっそり付けてたんです。場所はどこでもよかったんです。二人が一緒になったタイミングで、凛ちゃんがPさんに告白しているのが聞こえたとき。その時を見計らって、誰かにまゆを襲ってもらうようにしたんです。

あの収録の時は本当に運が良かったんですよ。たまたま、これは本当にたまたま、まゆが凛ちゃんと同じスタジオの収録で、尚且つ計画に協力してくれそうな男の人が番組スタッフの中にいたんです。協力と言っても、こっそりまゆの連絡先を渡して、楽屋に呼び出して誘惑しただけですけど。普通の男の人って単純ですよね。ちょっと流し目で見たり、ボディータッチしたり、奥の方の肌を見せるだけですぐに襲ってきました。まゆはスタンガンを隠し持ってたから、いいところで止めようと思ってたんですけど。まさか茄子さんが通りかかるなんて思ってませんでした。もしかしたら計画がうまくいったのも茄子さんのお陰だったのかもしれませんね。

なんでそんなことをしたかって?その理由だけは教えられません。凛ちゃんは知らなくていい。それはまゆの心の檻で飼い殺しておくことにします。この手紙は蜘蛛の糸と言いましたが、誰かが縋った蜘蛛の糸はいつか切れるものです。それならまゆは最初から切れ目を入れておきます。まゆが地獄に堕ちていく姿を、しっかりと目に焼き付けておいてくださいね。

ただ一つだけ言うとしたら。まゆは決して凛ちゃんやPさんが憎くてやったわけじゃありません。これはあくまでもまゆのための計画でした。その辺に転がっている滑稽な、青臭い幸せじゃなくて、私が本当に幸せになるための。

凛ちゃん。あなたは今、幸せですか?

凛ちゃんと二人で過ごした毎日は夢みたいに楽しかったです。一緒に夜ご飯を食べたり、一緒に映画を見て笑ったり、一緒に綺麗な夕焼けを眺めたり。思い返せば下らないことばかりしてたような気がするけど、まゆにとっては大切な宝物でした。凛ちゃんがまゆにハナコの写真を見せてくれたこと、ありましたよね?とてもかわいかったですよ。

でも、そのささやかな幸せは、まゆにとって本当の幸せじゃないんです。だからまゆはこの計画を立てました。そして、実行しました。

死ぬことは怖くありません。後悔もしていません。でもなんででしょう?文字を書く手が震えるんです。涙が溢れて、止まらないんです。文字が掠れて読みにくかったらごめんなさい。

さて、そろそろ垂らした糸が切れる頃です。まゆの下らない感傷は置いといて、凛ちゃんは自分の人生を選んでください。

最後に凛ちゃんへ。言いたいことは色々あるけれど、やっぱりこの手紙は凛ちゃんへの感謝の言葉で結びます。

時間は有限です。永遠のように感じてもそれは錯覚、嘘っぱちです。有限だからこそ儚く、美しく見える。そう思いませんか?そう考えたらまゆの人生なんか夢みたいに一瞬でした。でもその一瞬の隣に、凛ちゃんがいてくれて本当によかった。

ありがとうございます。

そして、さようなら。




おわり

173 : ◆Si5ECPaBLY [sage saga]:2017/09/07(木) 07:40:41.75 ID:c6PUDvkw0
以上です。
ありがとうございました。
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 07:44:05.56 ID:dzSnqPdoo
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 08:04:00.31 ID:HDs6aLhio
救いが無さ過ぎて不快だなぁ…
なんかこう虐待動画みたいな嫌な感じがする
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 09:19:32.52 ID:F9uMLnaBo
不思議な感じになった乙
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 09:19:33.89 ID:rMlfYwD5o
おっつおっつ。こういうの好き
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 10:02:35.74 ID:Rx7RVNFSo
乙ー
179 :全治全能の未来を予言するイケメン金髪須賀京太郎様に純潔を捧げる [sage saga]:2017/09/07(木) 14:45:29.71 ID:KdHydlbg0
モバマス次のイベントとアニメは何時だ次は須賀P弘世P誠子P西條P重課金民月5000円の課金は当たり前

目当てはアーニャ幸子楓さん蘭子とシブリンハ持ってる

何時か二代目シンデレラガール上位50名限定イベント開催しそう【予言】

艦これの軽空母一隻残り空母出禁イベント化しそう後無料10連ガチャは善い文明後は10枚以上持ってる宝くじで5等以上を当てるだけ祝リリース2周年
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 16:05:41.85 ID:mm1YOEyTO
一気読みしちゃった、乙
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 16:52:51.34 ID:IsR0R4zNO
長いだけって感じだなぁ……つまり結局何?
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 17:42:18.54 ID:lNNofOFW0
元々P←まゆ←凛だったのが徐々にP←凛←まゆ寄りになっていったってこと?
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 17:56:44.74 ID:SkO8EHfjo
友情を選んだということだろ どの時点で選んだのかよくわからんけど
誕生日にそのキャラをころすSSとか初めて読みました
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 18:44:36.09 ID:aZBKTjFpO
おつ
>>182と同じような考えに至ったけどよわからん
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/07(木) 20:33:20.87 ID:GCsIMzMA0
アンデスとか絡めておきながら
それでも初期のまゆっぽさを突き詰めた感じ
結構悪くなかった…というと語弊があるかもだけど

書式は台本なのに内実は小説的ってのもレア
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 21:28:08.53 ID:wt226WgaO
無駄が多い気がする
女子寮の設定、ちひろ、アンデクの二人、奈緒いじり
これら登場させなくても良かったんじゃないか?
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 21:31:09.91 ID:Y+yg3/bNo
演劇の脚本の書き方っぽいね、俺は好きだよ、こういうの
作者の意図通り感じ取れてる気はしないけど、これはまゆは賭けに勝ってるってことでいいんだよな…?
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 21:39:35.21 ID:GCsIMzMA0
奇しくもちっひの言った闇云々は正しかったと
事務所の今後は先行き暗そうで気になるが
こういう〆方をするからにはその後のエピローグとか無いだろな
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 21:54:59.58 ID:R4GU1McSO
よくわからなかった
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 23:22:46.87 ID:bKN516eKo
これはまた珍しいな
作者が意図していたのかはわからんが中々不条理な作品に仕上がってる
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 00:15:29.80 ID:1rsvfi8wo
気持ちがいい作品ではなかった
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 01:59:59.65 ID:auHjSv75o
深い溜め息が出るが不思議と不快にならない作品だ
心的描写が過不足なくきちんとしてるからなんだろうなぁ…お見事です。
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 00:41:10.34 ID:82mjU4eBo
この作品に出会えたことに感謝だ
おつおつ
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 00:03:06.84 ID:TIMJsb8gO
名作かって言われるとそうじゃないけど駄作かって言われてもそうでもないかな
まゆが死んだのはちょっと陳腐かなと思わなくもないけどそれ以外は嫌いじゃない
何かを伝えたくて書きたかったというよりはただ正解はひとつじゃない人間の生をそのまま書いたって感じ
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 02:39:02.85 ID:HJc3UVV3o
読む人のことを考えないで書きたいことを書いた感じだね
175.13 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)