モバP「LiPPS再建計画?」

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40 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 15:46:06.44 ID:/qQ60XGi0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

前P「奏さん。志希さんがケガした件について。
   みなさんは志希さんが転んだと言っていますが、本当ですか?」

奏「ええ・・・本当よ。」

前P「そうですか・・・ならこれ以上追求はしません。」

奏「・・・。」

前P「ごめんなさい。私の存在が、重荷になってしまいましたね。」

奏「そんなこと・・・!」

前P「私は今日で終わりですが、どうか思いつめないで。
   笑顔でいることを、どうか忘れないでください。では・・・お元気で。」

奏「待って・・・私は、私は・・・!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

奏(・・・そろそろあいつに話終わった頃かしら。)

奏(志希がアイドルを出来なくなったのは、間違いなく私のせいよ。)

奏(だから私は、志希の分までアイドルとしての努めを果たさないといけない。)

奏(私が志希の代わりを十分務められたといえるようになるまで、あの子には会えない。)

奏「・・・みんな新しいプロデューサーに絆されているようだけど、関係ないわ。」

奏「もっとレッスンしなきゃ。志希に、前Pに、贖罪できるようになるまで・・・!」
41 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 15:47:19.99 ID:/qQ60XGi0
俺達は志希の話を聞いたあと、リハビリセンターを離れた。
周子・美嘉・フレデリカを乗せて、車を走らせた。

車内の会話は決して多くはなかったが、
美嘉とフレデリカの表情は心なしか少しだけ晴れやかだった。
秘密を抱えていたという罪悪感から開放されたからだろうか。

フレデリカ・美嘉の順に、家の近くまで送った。


周子「んじゃ次あたしの番ねー、あたしの家はねー、ここを左で・・・」

周子が自分の家の場所を説明しようとしたが、俺はそれを遮った。

モバP「いや、次に行くのはお前の家じゃない。事務所だ。」

周子「・・・へ?」

モバP「二人きりでじっくり話がしたい。いいか?」

周子「はー・・・そういうこと。プロデューサーさんも人が悪いねー。」

モバP「こうでもしないとお前はのらりくらりと逃げるからな。
     志希の真相は聞かせてもらったが、まだ周子の本心を聞けてない。」

周子「あたしの本心とか・・・どうでもよくない?」

モバP「よくない。お前を含めて、LiPPSだからな。」

周子「はぁ〜あ。どうせ逃げられないし、付き合ってあげるわ。
    はーやだやだ。あたしこういうの嫌いなのにさ〜。」
42 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 15:48:18.43 ID:/qQ60XGi0
−−事務所にて

周子「すっかり日も沈んじゃったのに事務所に監禁されるあたし、不幸だわー。」

モバP「そういうなよ、そんなに長くかけるつもりはない。」

周子「ほんまに?」

モバP「お前が素直に話してくれればすぐ終わる。」

周子「それ無理なやつやわ〜。分かってて言ってるでしょ。」

モバP「そうだな。一方的に聞くだけじゃフェアじゃない。
     俺の方から先に本音を語ろうじゃないか。」

周子「へえ?なになに?そのやる気ない態度はなんだ、とか?
    この前の美嘉ちゃんに言ったことへのお説教?」
43 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 15:48:57.30 ID:/qQ60XGi0
モバP「・・・ありがとな。」

周子「・・・え?」

モバP「俺はお前が何を考えてるのかずっとわからなかった。
     でもようやくすべて繋がった。お前はずっと、メンバーのために動いていたんだな。」

周子「・・・意味わかんなーい。」

モバP「美嘉を煽ったのは、塞込んでいる美嘉をLiPPSから切り離して開放しようとしたから。」

モバP「フレデリカの引退に賛成したのは、フレデリカのやりたいようにさせてあげたかったから。」

モバP「さっき志希に会ったとき2日ぶりだと言ってたな?
     つまりそれぐらいの頻度で会っていた。志希に孤独を感じさせないために。」

モバP「そしてそのやる気のない態度は、暴走する奏へのストッパーになるためだ。」

モバP「これが俺の考えた答えなんだが、どうだ?当たってるか?」

周子「買いかぶりすぎだし。シューコちゃんそこまでいい子じゃないよ。」

モバP「いや、いいやつだ。周子、お前はすごいいいやつだよ。
     この一ヶ月間、ずっと一人でLiPPSを支えてくれてたんだな。」

モバP「だから、ありがとう。そして、気付くのが遅れて・・・すまない。」
44 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 15:50:00.31 ID:/qQ60XGi0
周子「やめてよ。あたし、そんな立派なことしてない。」

周子「美嘉ちゃんを元気付けることも、フレちゃんが辞めないようにすることも、
    志希ちゃんに復帰を決意させることも、奏ちゃんを止めることも出来なかった。」

周子「あたし、何も出来なかったんだよ・・・」


モバP「違う。お前がいなかったら、俺が来る前にLiPPSは解散していたと思う。
     ここまでLiPPSが存在していたのは、お前のがんばりのおかげなんだ。」    

モバP「・・・だからお前に聞きたいんだ。お前はいつもメンバーのために動いていた。
     でもそのなかに、周子自身が含まれていないんだ。」

モバP「お前の行動には、自分がどう思われても構わない、嫌われても構わないという、
     そんな意思が見え隠れするんだ。どうしてそこまで、自分を犠牲にする?」
45 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 15:50:57.54 ID:/qQ60XGi0
周子「・・・あの事件が起きたのは、あたしのせいだもん。」

モバP「そんなことは・・・」


周子「ほんとは、奏ちゃんが暴走し始めたときにあたしが止めなきゃいけなかった。
    ほんとは、フレちゃんと志希ちゃんのことをなだめてあげなきゃいけなかった。
    ほんとは、志希ちゃんと奏ちゃんの間に割って入らなきゃいけなかった!」

周子「でもあたしは、それで誰かに反感を買うのを恐れて・・・
    中立を気取って、何もせずに、ずっと静観してたんだ。
    志希ちゃんがステージから落下する、その時まで。ね、卑怯者でしょ?」


周子「だからね、決めたんだ。
    もうみんなから嫌われても構わない、あたしがみんなを守らなきゃって。
    それで・・・」

周子「・・・・!」

辛そうに話す周子を、俺はそっと抱きしめてやった。

モバP「悪いな、ほんとはこういうの、アイドルにやっちゃまずいんだけどな。」

周子「・・・プロデューサー。」

モバP「今まで辛かっただろう。メンバーのことを、一人で背負って。
     でももういい、もう一人で全部背負う必要はないんだ。」

周子「・・・・・」グスッ

モバP「俺がメンバーみんなを笑顔にしてみせる。
     もちろん周子、お前もだ。だから聞かせてくれ。周子の願いは・・・なんだ?」
46 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 15:51:55.23 ID:/qQ60XGi0
周子「あたしはさ・・・LiPPSで最高のライブをしたいとか、そんな立派なものは持ってないんだ。
    でもさ・・・あたしLiPPSの楽屋が好き。」

周子「本番前だってのに志希ちゃんとフレちゃんがはしゃいでさ、
    被害を受けるのはいっつも美嘉ちゃんでさ。
    奏ちゃんはそれを見てにこにこ笑ってるんよ、面白そうに。」

周子「あたしはそれを見て、自分の気分で好きな方につくの。
    志希ちゃんフレちゃんと一緒にはしゃいでみたり、美嘉ちゃんの味方してみたり、
    奏ちゃんと一緒ににこにこして眺めていたり。」

周子「そういう楽屋に・・・戻りたい。これがあたしの・・・願いだよ。」


俺は周子を抱きしめるのを止めて、周子の潤んだ瞳をまっすぐ見つめる。


モバP「取り戻してやる。お前の好きな、その楽屋の風景を。」
47 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 15:52:25.62 ID:/qQ60XGi0
周子「うん。でも・・・そのためには・・・」

モバP「ああ・・・わかってる。」

周子「お願い、奏ちゃんを・・・助けてあげて。」

周子「あの子、あの事件が全部自分の責任だって思ってる。
    最高のライブをすることでしか、自分は許されないって思ってるんよ。」

周子「それを拠り所にしないと・・・きっと奏ちゃんは潰れちゃう。
    メンバーみんなそれが分かってるから、何も言えない。」

モバP「きっと奏を止めるためには、俺の力だけではだめだ。
     お前を含めたLiPPSみんなの力が必要だ。協力して・・・くれるか?」

周子「・・・うん。」

モバP「みんなの力で、速水奏の笑顔を取り戻そう。」
48 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 15:53:31.16 ID:/qQ60XGi0
ここで一区切り、ちょっと休憩
次でラストまでいきます
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 15:57:11.60 ID:SETrZw1Io
おつ、まっとるで
50 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:00:14.62 ID:/qQ60XGi0
志希に会った翌日。
俺は事務所の廊下を一人で歩いていた奏に、声をかけた。

モバP「おはよう。奏。」

奏「・・・志希に会ったみたいね。」

モバP「ああ。全部聞いたよ。」

奏「そう、それじゃあ私がどれだけ罪深い女か、分かったでしょう?
  勝手に一人で盛り上がってメンバーの反感を買って。」

奏「それで噛み付かれたらステージから突き落とす、最悪よね。」

モバP「結果的にそうなっただけだろう、あれは事故だ。
     志希だって、お前を責めるようなことは言ってはいなかった。」

奏「関係ないわ。結果的に私は志希からアイドル生命と自由を奪ってしまった。
  だから私は、志希のぶんまで最高のライブをしないといけないの。」
51 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:00:52.79 ID:/qQ60XGi0
モバP「・・・今のお前じゃ無理だ。奏。」

奏「・・・なんですって?」

もともと険しい顔をしてた奏の顔が一層険しくなった。
だが、俺は続けた。

モバP「俺が思うアイドルの最高のライブってのはさ。
     ファンもアイドルも一緒になって笑顔になれるライブだと思うんだよな。」

モバP「笑顔を忘れたお前に、ファンを笑顔にすることなんてできっこない。」

奏「・・・!黙って。」

モバP「まだあるぞ、仮にその『最高のライブ』が出来たとして、
     その後は、どうするつもりだ。」

奏「あなたには関係な・・・」

モバP「アイドル、辞めるつもりなんだろう?」

奏「・・・」

モバP「それが志希を含めたLiPPSへの贖罪と思っているんだろうけどな、
     それじゃあLiPPSはずっとバラバラのままだ。そんなことは俺がさせない。」
52 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:01:30.19 ID:/qQ60XGi0
俺は奏に、LiPPS復活ライブの企画書を見せた。

奏「・・・なにこれ。」

モバP「見てのとおりだよ。志希を含めた5人で、復活ライブをする。」

モバP「志希のアイドル生命を奪った?勝手に[ピーーー]なよ。
     志希はもう、ステージに戻る気まんまんだぞ?」

奏「・・・バカげているわ。」

モバP「志希はリハビリセンターで自主連してる。
     さあレッスン場に行くぞ。美嘉とフレデリカと周子が待ってる。」

モバP「お前もこのライブに向けて、『4人一緒に』レッスンをしよう。
     もう1人で無茶なレッスンを繰り返すのは禁止だ。」

奏「・・・」

モバP「どうせ『最高のライブ』をするなら、5人一緒にしようじゃないか。」
53 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:02:09.53 ID:/qQ60XGi0
あっこれNGなのか、ちょっと直します
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 16:03:05.21 ID:ZoZo+4XIo
>>53
メール欄にsaga
sageじゃないぞ、saga
55 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:03:10.51 ID:/qQ60XGi0
>>52はこっちに差し替えで。)

俺は奏に、LiPPS復活ライブの企画書を見せた。

奏「・・・なにこれ。」

モバP「見てのとおりだよ。志希を含めた5人で、復活ライブをする。」

モバP「志希のアイドル生命を奪った?勝手に死んだことにするなよ。
     志希はもう、ステージに戻る気まんまんだぞ?」

奏「・・・バカげているわ。」

モバP「志希はリハビリセンターで自主連してる。
     さあレッスン場に行くぞ。美嘉とフレデリカと周子が待ってる。」

モバP「お前もこのライブに向けて、『4人一緒に』レッスンをしよう。
     もう1人で無茶なレッスンを繰り返すのは禁止だ。」

奏「・・・」

モバP「どうせ『最高のライブ』をするなら、5人一緒にしようじゃないか。」
56 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:04:23.66 ID:/qQ60XGi0
レッスン場にはすでに、美嘉とフレデリカと周子が待っていた。

フレデリカ「奏ちゃん、おそいよ〜!」

美嘉「次のライブに向けて、がんばろ★」

周子「シューコちゃんも珍しくやる気だからね〜!がんばっちゃうよ〜!」

奏「・・・あなた達、本気であいつの言うライブ、やるつもりなの?」

フレデリカ「もっちろん!なんかさ、わくわくしてこない?」

美嘉「ね!また5人でステージに立てるの、楽しみ!」

周子「ファンの人に忘れられる前に、顔見せておかないとねー!」

奏「・・・でも私には、そんな資格・・・」

美嘉「いいからいいから!さっ、レッスン始めよ!」

奏「ちょ、ちょっと・・・」
57 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:04:54.78 ID:/qQ60XGi0
>>54ありがとうございます、次から参考にします
58 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:05:34.68 ID:/qQ60XGi0
美嘉たち3人に引っ張られる形で、しぶしぶ奏もレッスンを始めた。
いろいろあったが、美嘉もフレデリカも周子も、心強い味方になってくれた。

美嘉「〜〜★」

フレデリカ「フンフーン♪」

周子「〜〜〜♪」


3人とも、肩の力が抜けてよい動きが出来ている。
この3人に関しては、もう心配いらないかな。ほっと胸をなでおろす。

奏「・・・・・・」

奏に関してはまだ動きに固さが残る。
連日の無茶な1人レッスンの疲れも見え隠れする。

美嘉「・・・」

そんな奏の様子を見て。美嘉が踊るのを辞めて奏に近づいた。
59 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:06:11.03 ID:/qQ60XGi0
奏「・・・どうしたの美嘉。何か言いたいことでもあるのかしら。」

美嘉「・・・ごめんね、奏。」

奏「・・・あなたに謝られることなんて、何もないわ。」

美嘉「今回のことで一番苦しかったのは奏なのに。
    アタシはただ落ち込んで、被害者ぶって。奏に何もしてあげられなかった。」

奏「何を・・・言ってるの。」

フレデリカ「あ、はいはーい!私も奏ちゃんに謝りたーい!
       ・・・シキちゃんと一緒になって奏ちゃんを煽ったりして、ほんとごめんなさい。」

奏「・・・あれは、あのときは。」

フレデリカ「それだけじゃないよ。あたし奏ちゃん見捨てて、
       シキちゃんの傍に居たいってだけでアイドル辞めようとしたんだもん。
       奏ちゃんだって辛い思いしてたのに、それは違うよね、今だからわかるよ。」

奏「私のことなんて、どうでもいいのよ・・・」

周子「よくない。あたしもプロデューサーに言われたけどさ。
    自分の幸せを除外しちゃダメなんよ。それじゃあほかの人も幸せになれない。」

周子「・・・あたしも謝らないといかんね。みんなが険悪になってるのわかってて、
    傍観者で居続けたのは卑怯やったもん。ごめんね、奏ちゃん。」
60 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:07:19.08 ID:/qQ60XGi0
奏「みんな・・・やめて。悪いのは私よ。私が一番・・・」

美嘉「ううん。今回のことはみんな悪いの、誰が一番悪いとか、そういうのはナシ!」

フレデリカ「うんうん。そうそう〜♪あとファンのみんなにも、謝らないといけないよね〜!
       一ヶ月も空けて、ごめんなさいって!」

周子「だったらなおさら、今度のライブ成功させないあかんね!」

奏「・・・そうね。」

周子「でもさ、奏ちゃん1人で頑張りすぎる必要ないんよ?
    ほら、肩の力抜いてこ?あたしみたいに。」

美嘉「周子ほど抜いたら抜きすぎだけどね★」

周子「あっ、言ったな、このこの〜。」

フレデリカ「このこの〜♪」

美嘉「ちょ、ちょっと!どこ触ってんの!やめてよ!」


・・・意図してか意図せずかわからないが、だんだん元のLiPPSの雰囲気に戻ってきたな。
だがまだ、奏に笑顔は戻らない。もうあと少し、必要なピースがあるんだ。

それはきっと志希と、もう1人・・・


・・・奏はあいつらに任せて、俺も動き始めないとな。
61 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:08:07.29 ID:/qQ60XGi0
それから二週間。奏達はレッスンを重ねた。
この期間はほぼほぼ美嘉たち3人に奏を預けていたことになる。

今の3人なら、不安定な奏を預けていても安心だと信頼していた。
もちろん俺も、ちょくちょく顔を出してはいたがな。

そして今日はライブ前日。俺はリハビリセンターにも顔を出し、志希と話をしていた。

モバP「・・・というわけで会場はステージに車椅子でも上がれる場所を選んだ。
     志希は歌で、ライブに参加してくれ。無理な動きは、しちゃダメだぞ。」

志希「おっけ〜♪さすがに志希ちゃんも二回ステージから落ちるのはごめんだし、
    ちゃんとそのへんは弁えるって〜。」

モバP「歌の練習は、してくれてたんだろ?」

志希「もっちろん!動けないぶん、アタシの美声で魅了しちゃうんだから〜♪」

モバP「ああ、よろしく頼む。」
62 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:08:49.20 ID:/qQ60XGi0
志希「それで・・・奏ちゃんの様子は、どうなの?」

モバP「ああ。美嘉たちのおかげで、前より切羽詰まった感じはなくなった。
     でもまだ・・・笑わないな。」

志希「大丈夫だよ。一ヶ月とまってた時計は、少しずつ動きだしてる。
    ・・・見て見て。」

そう言うと、志希は車椅子から降りようとした

モバP「お、おい!」

志希「いいからいいから〜♪」

志希は足を震わせながらも、立ち上がった。俺の目の前で。

志希「どう?まだ歩けないけど、なんとか立てるようにはなったんだよ?」

モバP「すごいな・・・でも無理するな、明日ライブなんだから。ほら、座ろう。」

俺は志希の身体を支えて、座らせた。

志希「この前秘密を話したあとから、ちょっとずつ回復してきたんだ。
    きっとプロデューサーさんが、あたし達の時計を動かしてくれたんだね。」

モバP「何言ってるんだ。時計を動かしたのは、お前達自身だよ。」

志希「・・・きっと明日のライブで、奏ちゃんの時計も動き出すんだ。
    動かしてみせる。明日、あたしがんばっちゃうからね。」

モバP「ああ・・・、いいライブに、しような。」

志希「・・・うん。」
63 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:09:58.12 ID:/qQ60XGi0
そして、LiPPS復活ライブ当日がやってきた。


周子「はー、結構大きめの会場やったねぇ。」

美嘉「でも、チケットすぐ完売になったらしいよ?」

フレデリカ「みんなフレちゃんたちのこと忘れてなかったんだねぇ♪
       みんなの期待に、こたえなくちゃね!」

美嘉「そうだね★・・・でも、プロデューサーと志希ちゃんがまだ来ないね。」

周子「遅れるとは連絡あったけど、大丈夫かなあ?リハーサルも終わっちゃったやん。」

奏「・・・・」
64 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:10:55.35 ID:/qQ60XGi0
そして、LiPPS復活ライブ当日がやってきた。


周子「はー、結構大きめの会場やったねぇ。」

美嘉「でも、チケットすぐ完売になったらしいよ?」

フレデリカ「みんなフレちゃんたちのこと忘れてなかったんだねぇ♪
       みんなの期待に、こたえなくちゃね!」

美嘉「そうだね★・・・でも、プロデューサーと志希ちゃんがまだ来ないね。」

周子「遅れるとは連絡あったけど、大丈夫かなあ?リハーサルも終わっちゃったやん。」

奏「・・・・」
65 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:11:59.05 ID:/qQ60XGi0
あっすみませんミスった、>>64はなしで
66 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:12:38.43 ID:/qQ60XGi0
モバP「待たせたな。」

俺は志希の車椅子を押しながら、4人の前に姿を見せた。

美嘉「あっ、プロデューサー、遅いよー!」

フレデリカ「シキちゃーん!」ダキッ

志希「フレちゃーん!」ダキッ

周子「なんなん?会うたびにハグしなきゃいけないルールとかあるん?」


フレデリカとの挨拶代わりのハグから開放された志希は、奏に目を向けた。
67 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:13:12.55 ID:/qQ60XGi0
志希「奏ちゃん、お久しぶり〜♪」

奏「・・・そうね、久しぶりね。」

志希「積もる話はあるけど、とりあえずライブしよ!」

奏「足は・・・大丈夫なの?」

志希「志希ちゃんの驚異的回復力で、立てるところまで回復したんだ!すごいでしょ〜。
    ダンスはできないけど、歌で勝負するから!」

奏「・・・そう。」


まだぎこちなさが残るな。仕方ないか。一ヵ月半ぶりだからな。

モバP「みんな、もうすぐ本番だが、その前にちょっといいか?
     お前たちに会わせたい人がいるんだ。」

今日、俺が連れてきたのは志希だけじゃなかった。
この2週間で連絡先を探し出し、頼み込んでこのライブに来てもらった。

美嘉「へ?」

周子「それって・・・」

フレデリカ「もしかして!」
68 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:13:58.00 ID:/qQ60XGi0
モバP「入ってきてください。」

俺が手招きして、入ってきたのは・・・

前P「お久しぶりです、皆さん。」

LiPPSの前のプロデューサーであり、奏の最初のプロデューサーでもある人だった。


奏「・・・・!!」

前P「奏さん、お久しぶりです。」

奏「どう・・・して・・・」

前P「今のプロデューサーさんに頼みこまれましてね。
    奏さんの笑顔を取り戻すには、私が必要だと。」

奏「・・・」
69 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:14:26.72 ID:/qQ60XGi0
前P「みなさんにお願いがあります。どうか、自分が楽しいと思うライブをしてください。
    それが、きっと最高のライブになると思います。」

奏「自分が、楽しい、ライブ・・・」

奏(前Pさんに最高のライブを見せようとするあまり、私は自分が楽しむことを忘れていた・・・?)

美嘉「奏、行こう!」

フレデリカ「久しぶりのライブだもん!楽しもうよ!」

周子「そうすればきっと、ファンも喜んでくれる!」

志希「笑顔笑顔!楽しくやろーよ!」

奏「・・・・そうね。」

その時俺は見た。初めてかもしれない。
奏が少しだけだが、確かに・・・笑顔を見せた。

奏「みんなで、楽しめるライブにしましょう。」
70 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:15:03.18 ID:/qQ60XGi0
満を持して。満員の観客の前に、LiPPSの5人が姿を現した。
車椅子で登場した志希が出てきたとき、会場はどよめいたが

志希「ごめんね〜!最近いなかったのは、足をケガしちゃってたからなのだ〜♪
    でも志希にゃんはこれぐらいでアイドルやめないよ!
    今日は歌だけだけど、またみんなに志希にゃんの華麗なステップ見せるから〜!」

そう宣言すると、会場は大いに沸いた。
一ノ瀬志希というアイドルは、車椅子に乗っていようとトップアイドルなのだ。


そして曲がスタートする。俺と前Pさんは舞台袖で見守っていた。
決して長い付き合いではないが、いろいろとあったこの3週間を思いながら。
71 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:15:38.56 ID:/qQ60XGi0
美嘉「〜〜〜♪」

美嘉が最初に俺にSOSを出してくれた。
美嘉の涙が、俺をここまで動かしたんだ。ありがとう。
他人のために悲しんで、他人のために笑えるところが、お前のいいところだ。

フレデリカ「〜〜〜♪」


フレデリカはマイペースなようで、誰よりも優しいやつだった。
志希の傍に寄り添い、今は奏の傍に寄り添おうとしている。
みんなその優しさに、救われているんだ。

志希「〜〜〜♪」

懸命に歌う志希、とても楽しそうだ。
今回の騒動も、裏を返せばそれだけみんなの中でお前の存在が大きかったことを示す。
リハビリには時間がかかるかもしれないが、お前なら必ず乗り越えられるさ。

周子「〜〜〜♪」

周子のことは最初はドライなやつだと思っていたが、
本当は誰よりもメンバーのこと大事にする気配りのできるやつだった。
お前は自分で思っているよりずっと、みんなから好かれているんだ。


そして、曲はサビに入る。
72 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:16:38.77 ID:/qQ60XGi0
奏、どうだ?


LiPPSの5人でやるライブ


楽しいだろう?


奏「・・・〜〜〜♪」


そうだ、笑顔になれ。全力で楽しめ!


最高のライブだとか、贖罪だとか、そんなくだらないことは考えるな!


お前が全力で楽しんだライブこそが、LiPPSにとって最高のライブになるんだ!


なぜなら、LiPPSのリーダーは、お前なんだから!


奏「・・・なんてね♪」





そして曲が終わり、大歓声の中ライブは終了した。
73 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:17:27.06 ID:/qQ60XGi0
舞台袖に全員が下がる。
そして奏は・・・車椅子に乗った志希に抱きついた。

奏「ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・!」

涙を流しながら、奏は志希を強く抱きしめる。

奏「あなたは縛ってはいけないのを分かっていたはずなのに・・・!
  自由に遊びまわることで、一番輝くのを分かっていたはずなのに・・・!
  あのときの私は、それを忘れて、あなたにひどいことを・・・!」

志希「・・・やめてよ奏ちゃん、あたしも、奏ちゃんが前Pさんのことどれだけ大切に思ってたか、
    分かってたのに、あんなこと言っちゃったんだもん、ごめん・・・ごめん・・・!」

志希も釣られて涙を流して・・・
いや、ほかの3人も一緒だな。志希と奏の様子を見ながら、みんな泣いている。
74 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:18:19.80 ID:/qQ60XGi0
奏は志希から離れて、美嘉たち3人に向き合った。目を真っ赤にしながら。

奏「皆も・・・ごめんなさい。最初に、こうやって謝るべきだった。
  でも私は弱かった・・・勇気が無かった。だから『最高のライブ』なんてものに逃げてたの。」

奏「私は頼れるリーダーなんかじゃなかった。
  大人ぶっていたけど、ただの打たれ弱い女子高生に過ぎなかった。」

奏「こんな私だけど・・・受け入れて、くれる?」

美嘉「あったり前じゃん★」

フレデリカ「そういうところも含めて、私たちの好きな、奏ちゃんだよ!」

周子「奏ちゃんがいなかったら、LiPPSはLiPPSじゃない。今回よく分かったよ。」

志希「にゃはは。今日からまた、5人で一緒にがんばろうね・・・!」

奏「みんな・・・!ありがとう・・・!」
75 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:18:58.45 ID:/qQ60XGi0
涙で顔とメイクをぐしゃぐしゃにしながら、今度は5人で抱き合っている。
俺と前Pはそれを、少し離れた場所で見守っていた。


前P「・・・ありがとうございます。彼女たちを、救ってくれて。」

モバP「行かなくて、いいんですか?」

前P「私はもうプロデューサーを降りた身ですから。
   今彼女たちが必要としているのは、私じゃない、あなたです。
   言葉を返すようですが・・・行ってあげてください。」

モバP「あの中に入れって?正直気後れしますよ。」

前P「大丈夫。あなたはもう、立派なLiPPSのプロデューサーです。・・・ほら!」


前Pさんに背中を押されて、俺は5人の近くまで歩いていく。
76 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:21:01.47 ID:/qQ60XGi0
モバP「みんな・・・お疲れさん!」

俺が声をかけると、5人が揃ってこちらを向いた


「「「「「プロデューサーさん!!」」」」」


こうしてLiPPS再建計画は終了。
今日から再び、個性豊かな5人のユニットLiPPSは活動を再開するのだ。
俺のプロデューサー業も、今日からが本番だ。
77 : ◆5KM6wAIMXVHW :2017/11/25(土) 16:23:22.52 ID:/qQ60XGi0
終わりです。

この話にはモデルがあります。
ジャンプで連載していたソウルキャッチャーズという漫画の「舞う桜」編です。
そのキャラクターをLiPPSに当てはめたらという妄想をしていたのですが、
デレマスとソウルキャッチャーズの両方を知っている人はなかなかいないので
モデルにしたうえで自分なりにオリジナルのシナリオにしました。

初投稿かつ長い話でしたが、お付き合いありがとうございました!
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/25(土) 16:44:02.14 ID:8U5I7/Hl0
すごくよかった。乙
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/25(土) 17:07:17.08 ID:3Y/6vicZ0

周子がよいポジションだったですね
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/25(土) 17:57:12.01 ID:WUTkdE+s0
泣けた
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 18:17:17.60 ID:6UZdCcLR0
おつ
やっぱソルキチだったか

川和→周子
星合→美嘉
舞→フレデリカ
やるわけな井淵→奏
咲良→志希

っぽいね
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 20:00:24.34 ID:kcQvCLd/O
ジャンプから移動する前の最後の話のか
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 23:11:17.45 ID:vQAWNUY3o
後日談が欲しいな
おもろかった
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/26(日) 02:26:34.59 ID:AtxFa0usO
美嘉が幼女スキー過ぎて暴走してたりみたいな話かと
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/26(日) 02:50:41.87 ID:5kleHoLOo
おつー
ソルキチはいいよな ネタ的にもマンガ的にも面白いし
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/26(日) 18:51:49.11 ID:kqjAAO9q0
感動した乙
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/29(水) 13:08:16.18 ID:Wg/8/4HVo
このSSはグッドじゃない
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/30(木) 00:37:41.52 ID:WV2LdmSdo
>>87
最高(ファンタスティック)だ
だっけ
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/30(木) 07:34:47.90 ID:jmJOVxnw0
美嘉「プロデューサーじゃ・・・速見奏は止められない。」

周子「プロデューサーじゃ・・・城ヶ崎美嘉は掴めない。」

フレデリカ「プロデューサーじゃ・・・塩見周子は起こせない。」

奏「やるわけ、ないでしょう。」
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