勇者「ドラゴンハート」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:00:11.44 ID:PP+Zd6eA0

魔王「ほう、この子供が勇者だと?」

少年「う……あ……」ガタガタ

奴隷商「疑うのであればこの勇者の紋章をご覧ください」

魔王「ふん、まさか商人風情が勇者を生け捕るとはな」

奴隷商「もちろん様々な困難がございましたがそれはそれ」

奴隷商「偉大なる魔王様が地上侵略を計画中と聞き、及ばずながら何かお手伝いできないかと…」

魔王「よく回る舌だがまあ良い。誰か、この者に望むだけの褒美を与えよ」

家臣「はっ!」

奴隷商「商談成立ですな。さすればこれ≠ヘ魔王様のモノでございます」

魔王「ふふ、まずは目障りな紋章を消すか。焼印の用意は?」

家臣「こちらに」

魔王「皆も心得よ!この者、この時より勇者にあらず!!」


ジュウゥゥゥ!!!

少年「ぎゃあぁぁぁぁ!!!」


魔王「我が、奴隷なり!!」

 

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1513778406
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:05:39.35 ID:PP+Zd6eA0

【数年後 魔界闘技場】

道化「レディースあ〜んど、ジェントルメン!!」

道化「今宵、皆さまがご覧いたしますわ勇者様の一大スペクタクルショー!」

観客「「「ブーー!ブーー!」」」
観客「しね勇者!」ポイ

奴隷「・・・・」ベシャ

道化「はいはい、モノ投げない」

道化「対するは神話の時代からの生きた伝説」

道化「鋭利な爪はあらゆる盾を切り裂き、強固な鱗はあらゆる剣でも傷付けず、空を飛び、地上を焼きつくす…」

道化「最古にて最強、そして、おそらくは最後の一頭」

道化「ドラゴンの登場だ!!」

ドラゴン「グオォォォ!!!」

観客「「「うおぉぉぉ!!!」」」
観客「すげえ」「かっけえ!」
観客「勇者なんかぶっ殺せ!」

奴隷「・・・・」
 
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:09:40.82 ID:PP+Zd6eA0

道化「さあ、両者構えて」

ドラゴン「グルル」

奴隷「・・・・」

道化「おい、もうちっとやる気見せろ」ボソッ

道化「あんま呆気ないと惨めな姿を期待した皆さんから苦情出んだよ」

奴隷「・・・・」

道化「チッ!しゃ〜ない!ドラゴンさん、やっちゃってください!!」

ドラゴン「グオォォォ!!」ドスドスドス

奴隷(やる気を見せろ?)

奴隷(戦い方もわからず、どうやって見せろってんだ!!)

ドラゴン「ふん!」
ドゴッ!

奴隷「がはっ!」

奴隷(ほら見ろよ、一撃で腕が折れたぞ)

奴隷「げふっ、ごほっ!」

ドラゴン「・・・・」ギロッ

奴隷「ひい!」

奴隷(ぼろい剣でこんなんが斬れると思ってんのかよ…)

ドラゴン「・・・・」

観客「いいぞドラゴン!そのまま殺せ!」
観客「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」

奴隷(もういいや、どうせ、だれも、おれなんて……)


ドラゴン「情けない…」


奴隷「え?」

ドラゴン「少しは、期待したんだがな…」


グ シ ャ !

 
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:15:35.27 ID:PP+Zd6eA0

奴隷「」

オーガ「よいしょ」ポイ

奴隷「」ドシャ!

ゴブリン「ったく、オレラも闘奴だぜ?死体運びまでやらすんじゃねえってえの」

奴隷「」

オーガ「運んだの、俺だぞ?」

ゴブリン「いいんだよ。そのでっかい図体の正しい使い方じゃねえか」

オーガ「こいつ、どうする?」

ゴブリン「水汲んでぶっかけてやんな」

オーガ「わかった」

奴隷「ごほっ!」

ゴブリン「あ、生き返った」

オーガ「水汲んで来たぞ」

ゴブリン「よ〜し、ぶっかけろ」

オーガ「わかった」

バシャッ!

奴隷「・・・・」ポタッ

ゴブリン「よう、起きたな。生き返るとはうらやましい」

ゴブリン「だが女神の加護は健在だろうが、闘技場のど真ん中で踏まれ続けてたのを運んでやった、こいつに礼の一言でも…」

奴隷「・・・・」ヨロッ

ゴブリン「お、おい…」

奴隷「」スタスタ

ゴブリン「行っちまった…」

オーガ「ケガ、治ってたな」
 
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:21:46.53 ID:PP+Zd6eA0

奴隷「・・・・」スタスタ

「あ、おい…」
「チッ、あれだけやられてピンピンしてら」
「忌々しい」「化物が」

奴隷(見世物にされて数年)

奴隷(好き勝手言うだけの連中にも慣れた…)ゴロン

奴隷(部屋の隅で体を丸めて、耳を閉じてなにもかもやり過ごせば…)



ドラゴン「どっこいしょ!!」ドスン!

奴隷「!!」

ドラゴン「隣座るぞ」

奴隷「・・・・」

ドラゴン「大量♪大量♪」っレタス

ドサドサドサ

奴隷「・・・・」

ドラゴン「食べるか?」モシャモシャ

奴隷「・・・・」

ドラゴン「まったく、1個だけだぞ?」

っレタス

奴隷「いらん…」

ドラゴン「ん?言っとくがこれ以上はやらんからな」

勇者「いらんって…」

ドラゴン「・・・・」

奴隷「・・・・」

ドラゴン「はぁ…」

っレタス(2個目)

奴隷「おい」

ドラゴン「わかっておる、確かに農作物は日の差さぬ魔界では貴重品だ…」

ドラゴン「だがな、食べ盛りが遠慮などするな」

奴隷「いらないって言っでりゅんだ!!」

「噛んだ?」「噛んだぞ」
「普段喋らないから…」
「急に大声出して噛んだ!?」

奴隷「////」
 
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:27:37.69 ID:PP+Zd6eA0

奴隷「・・・・」プイッ

ドラゴン「まあそう言わずもらってくれ」

ドラゴン「なんせ、先ほどお前さんと戦った報償金で得たレタスだからな」

奴隷「・・・・」

ドラゴン「くっくっくっ、一方的でつまらん試合に見合わん、驚くほどの金額に気が引けてな」

奴隷「……俺が、」

ドラゴン「うん?」

奴隷「俺が、ぼろぼろになるほど、魔王が喜ぶんだよ」

ドラゴン「ふむ、自分に仇なす勇者が魔物相手に手も足も出ぬのは愉快かも知れんな」

奴隷「…やっぱりな」

ドラゴン「ん?」

奴隷「たまにいるんだ、勇者の肩書きに釣られて来るのが」

ドラゴン「儂がか?」

奴隷「ああ、女神の加護だか知らんが、どいつもこいつも期待するだけ期待して…」

ドラゴン「くっくっくっ…」

奴隷「勝手に失望して消えて……何笑ってんだ?」

ドラゴン「くはっ!幾百万を超える歳月を生きた儂が新参ぺてん師のおちからを期待していると言うか?」

奴隷「どういう意味だ?」

ドラゴン「くだらんという事だ。儂も神とは縁があるが拝む価値なしだ」

奴隷「…それじゃあ、なんで俺なんかに話しかけてきた?」

ドラゴン「それは…


衛兵「全員、静まれ!!」
 
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:31:57.04 ID:PP+Zd6eA0

ドラゴン「ん?」

衛兵「静まれ!静まれ!!」

衛兵「おそれ多くも魔王様がご息女、姫様が貴様らに治癒魔法をかけてくださる」

衛兵「傷ついた者は軽微にかかわらず名乗り出よ!」

姫「よ、よろしくお願いいたします…」

「姫さま…」
「ありがとうございます」
「お腹さわって…」
「はあはあ、なでなでして…」


ドラゴン「ふむ、列に並ばんのか?」

奴隷「すぅ…すぅ…」

ドラゴン「おや?」
 
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:37:08.85 ID:PP+Zd6eA0

ドラゴン「さっきまで起きておったがどうした?」

奴隷「す〜〜す〜〜」

ドラゴン「ふむ、急な昏睡状態はいかんな。もしや強く殴りすぎたか…」

奴隷「す〜」

ドラゴン「それとも、可愛い姫の前に出るのは照れるのか?」

奴隷「!!」

奴隷「げふっ!げふっ!ごほっ!げふっ!」

ドラゴン「ふ〜〜〜ん」ニヤ----リ

「姫さま〜」
「ぼくも」「わたしにも…」

姫「あ、あの…、ちゃんと全員治療しますからおとなしくしてくださいね」

ドラゴン「ふむふむ、このタイミングで眠るとは残念だ。あの魔王の娘とは信じられぬ、可憐な姫君だというのに」

奴隷「ぐ〜!ぐ〜!」

ドラゴン「それに見ろ、あの細く美しいくびれから下に続くなめらかな曲線…」

奴隷「ぐ〜」

ドラゴン「まさに男を虜にする造形美よ!」

奴隷「ぐ〜…」

奴隷「」チラッ

ドラゴン「気が合うな、勇者も尻派か?」

奴隷「ぅぁ.....」

ドラゴン「くっくっくっ」ニヤニヤ
 
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:46:08.37 ID:PP+Zd6eA0

姫「あ、あの…」

ドラゴン「おおっ♪」

姫「よろしければ、治療しましょうか?」

ドラゴン「どうぞどうぞ♪」グイッ

奴隷「ぐ〜」フルフル

姫「それとも…ご迷惑でした?」

奴隷「ぐ〜」コクコク

ドラゴン「とんでもない!」ガシッ!

奴隷「ぐっ!」ボキッ

ドラゴン「繁殖期のオスが同世代のメスに話しかけられて迷惑などとあるはずがありましょうか?」

ドラゴン「彼の態度はお気になさらず、求愛用の巣を黄金で飾り付けできなくて照れておるのです」

奴隷「」

姫「は、はぁ…」

衛兵「姫様、お待ちを、この者はよいのです」

ドラゴン「ああん?」

姫「え?ですが、先ほどの試合では目を背けたくなるような大怪我をおっていたではありませんか」

ドラゴン「そうだそうだ〜!」

衛兵「姫様もこいつが誰かご存知のはず、本来はお父上に仇なす勇者なのです」

姫「でもね、折れた腕はきちんと治療しないと癖になってしまうし。潰された衝撃で内出血してるかもしれないでしょう?」

衛兵「だから何だと言うんです? 野垂れ死のうが関係ありません」

ドラゴン「黙れ小僧!! 貴様には姫様の慈愛に満ちたお心がわからぬか!!」


衛兵「おまえがやったんだろうが!!」

ドラゴン「それを言ったら…」ガクッ
 
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:51:30.93 ID:PP+Zd6eA0

ドラゴン「儂がどんなに強く、賢く、生命体として高位の存在だとしても、闘技場奴隷である以上命じられたら戦うしかないのです」シクシク

姫「ええ、つらいですよね」

ドラゴン「はい、竜とは本来は温厚で嘘を嫌う心優しき生物、誰も傷つけたくなどないのです…」

姫「それなのに父に無理矢理連れてこられて恨んでますよね」

ドラゴン「よいのです、姫様には命を助けていただき感謝しております」

ドラゴン「ですが儂で最後の一頭、死ねばこの世に何も残せぬ身にして。この少年が、何故か死んだ息子と重なってしまうのです」

姫「まあ!!」

ドラゴン「というわけで、思春期の若者が気になる異性の接近で慌てふためく様子を笑い、からかい、面白がる」

ドラゴン「などと、そんなことは全くなく、純粋な気持ちで心配しておるのです」

姫「まかせてください!」

衛兵「騙されてますよ!!」
 
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:56:36.02 ID:PP+Zd6eA0

衛兵「そろそろ部屋にお戻りになりませんと。魔王様より許された時間を過ぎてしまいます」

姫「衛兵、控えなさい」

衛兵「姫さま?」

姫「あなたはドラゴンさんがどんなにこの方を心配しているかわからないのですか?」

衛兵「はい」

姫「え?ほんとにわかりませんか?でも…」

衛兵「…ですが、姫様が一度言い出したら聞かないのも知ってますから手短にしてください」

姫「……衛兵さん、ありがとう」

姫「それでは、はじめましょう!」

ドラゴン「はい!ベッタベッタ触って治療しましょう」グイッ

奴隷(いや!ダメだって!)

姫「は〜い、じっとしててくださいね〜♪」

奴隷(物心つくぐらいに誘拐されて。これが女子との初接触なんです)

姫「・・・・」す〜

奴隷(近い!ヤバい!ニオイとか!もろもろヤバい!)

姫「ん…」ピトッ

ぽうっ

奴隷()ビクン!ビクン!
 
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 23:59:31.66 ID:PP+Zd6eA0

【30分後】

姫「思っていたより体内の損傷が蓄積して残ってましたね」

奴隷「」グッタリ

姫「あとは何か栄養のあるものが…」

ドラゴン「レタスがあります!」

ドラゴン「だがレタスは嫌いなようでな、姫様からも食べるよう言ってもらえませんか」

姫「ふふ、好き嫌いしちゃダメですよ」

奴隷「・・・・」

姫「じ〜〜〜」

奴隷「……わかりました」

姫「ふふ、約束ですからね?」

ドラゴン「くっくっくっ」ニヤニヤ

衛兵「…姫様」

姫「は〜い、それではお大事に」

ドラゴン「はは〜!姫様の恩情はこのドラゴン、いつか必ずお返しいたします」ドゲザ

衛兵「・・・・」

ドラゴン「?」
 
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 00:06:28.10 ID:D1ozbiZA0

ドラゴン「いつまで寝たフリしておる?もうとっくに行ったぞ」

奴隷「ぷはっ!!」

ドラゴン「息まで止めておったのか?情けない」

奴隷「お前ほんとなんなんだ!」

ドラゴン「子供にはわからぬだろうが、恋に恋する少年少女の背中を押してやるのが大人の義務というものなのだ」

奴隷「わけわからん!」

ドラゴン「まあ、今日のように情けない負け方してるようでは話にならんがな」

ドラゴン「もっと格好いいところを見せねば」

奴隷「戦うなと言われ続けて来たのに、格好つけかたなんかわかんねえよ!」

ドラゴン「儂でよければ教えてやろうか?」

奴隷「…聞けば強くなれるか?」

ドラゴン「何事もやってみなければわからんさ」

奴隷「そうだな…」

ドラゴン「どうやら負けん気は残っておるようだな」

ドラゴン「ならば自己紹介といこう。最古にて最強、そして最後のエンシェントエルダードラゴン」

ドラゴン「まあ、ドラゴンでいい」

奴隷「…奴隷。ただの、奴隷」

ドラゴン「よろしく、ただの奴隷」アクシュ

奴隷「…ほんとに強くしてくれるんだろうな?」

ドラゴン「勿論。竜の心臓にかけて、望むなら魔王にだってしてやろう」
 
14 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2017/12/21(木) 00:09:18.12 ID:D1ozbiZA0
今日はここまでです

こんな感じで勇者の下剋上風魔王堕ちを目指していこうと思ってます
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 02:14:34.67 ID:rzPk9847O
ドラゴンさん調子良いなww
映画は名作だよね
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 09:26:12.04 ID:wHYhHIY9O

楽しみにしてる
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 10:26:06.78 ID:p0gOjEJdo
ドラゴンハートdvd持ってる!楽しみ!
18 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2017/12/21(木) 22:08:12.20 ID:D1ozbiZA0
乙ありがとうございます。更新します

映画俺も好きです
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 22:13:14.64 ID:D1ozbiZA0

【翌日 魔界闘技場】

道化「レディースあ〜んど、ジェントルメン!!」

道化「さあ、始まりましたるは勇者様の殺戮ショー」

道化「まぁ、ぶっちゃけ前座なんですが」

奴隷「・・・・」

キュイィィィン!!

奴隷「痛っ…」

『お…い……』

奴隷「頭が、痛い…」

ドラゴン『何を呆けておる?』

奴隷「え?」

ドラゴン『さあ、始まるぞ、準備はいいな?』

奴隷「え?は?なにこれ?」

ドラゴン『どうした!何か問題発生か!』

奴隷「頭ん中でおまえの声がすることだよ!!」

ドラゴン『ま、気にするな』

奴隷「気にするわ!!」

奴隷「え?呪い?病気的な何か?」

ドラゴン『すぐに分かるから前を見ろ。対戦相手が出てくるぞ』

道化「今宵の玩具は魔王様が御自ら作り上げた特注品」

道化「気性の荒いトロルを厳選し、瘴気をふんだんに吸い込ませてより巨大に!より狂暴に進化した!」

道化「ボストロルの登場だ!!」

ボストロル「ゴオオォォォ!!!」ガシャン!
 
20 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/21(木) 22:18:39.28 ID:D1ozbiZA0

ボストロル「フゴッ!フゴッ!」ガシャン!ガシャン!

道化「さあ、この鎖が切れた時!血に飢えた妖魔が今宵も勇者を血祭りに上げる」

ドラゴン『ふむ、さてどう戦ったものか』

観客「いいぞ〜!勇者をぶっ殺せ!」
観客「今日もぶざまに死にな!」

ドラゴン『殺すと一口に言っても色々ある。あの巨躯だ、捕まったら一握りで圧死』

奴隷「おい」

ドラゴン『地面に叩きつけて、引き裂かれて、散々殴られて…』

奴隷「おい!」

ドラゴン『くっくっくっ…、まあ、なんだろうと即死だな』

観客「ま…

奴隷「もう黙ってろ!!」


シーーン


奴隷「あれ?」

観客「だ、黙ってろとは何様だ!」

観客「そうだ!さっさと殺されてしまえ!」
観客「死ーね」「死ーね」「死ーね」


ドラゴン『よく言った。ああいう手合いにはガツンと言ってやらんとな』

奴隷「今のわざとだな?」

ドラゴン『心外な、儂がそんな狡猾なドラゴン見えるか?』

奴隷「今までのなかで一番、狡猾に見える」

ドラゴン『だろ?つまり儂にまかせとけば勝てるってことだ』

ボストロル「フッゴ!」ギリギリ

ブツン!

ドラゴン『くるぞ!捕まるなよ』
 
21 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/21(木) 22:24:15.72 ID:D1ozbiZA0

奴隷「くそっ、簡単に言いやがって!」タッ


ドゴッ!


奴隷「あ…れ?」

ボストロル「ふご?」ポカーン

奴隷「…今の衝撃は?」

ドラゴン『おい、大丈夫か?』

奴隷「…殴られたのか?」

ドラゴン『いや、違うな』

奴隷「でも、なんで俺、壁に埋もれてんだ?」

ドラゴン『自分で後ろに下がっただろ?』

奴隷「下がったけどさ…、なんでボストロルがあんなに遠くにいるんだ?」

ボストロル「フガァァ!!」ドスドス

奴隷「とりあえず壁から出ないと!」グググ

ドラゴン『あ、待て!そんな力の調整も出来ぬうちに全力出せば…』

すぽーん

奴隷「うおぉぉぉ!!」

ひゅ〜〜ん…

奴隷「飛んだ!」

ドラゴン『正確には跳んだ≠セ』

ドラゴン『だから落ちる』

奴隷「へ?」

ベチョ!

奴隷「ぐふっ!」

ドラゴン『もっと地に足つけろ!筋肉を意識的に動かせ!』

ドラゴン『そんな有り様ではせっかく分け与えた儂の魔力が無駄になる』

奴隷「ちょっと待て!今の儂の魔力ってなんだ!」

ドラゴン『儂の魔力は儂の魔力だ』

ドラゴン『昨日の食事に竜の魔力≠混ぜといた』
 
22 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/21(木) 22:26:37.28 ID:D1ozbiZA0



ドラゴン『つまり、竜の眷族になったのだ』


 
23 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/21(木) 22:28:57.39 ID:D1ozbiZA0

奴隷「け…けんぞく?」

ドラゴン『呆ける時間はないぞ!前を見ろ!』

奴隷「はっ!」

ボストロル「グオオォ!!」

ブオン!

奴隷「くっ」タッ

ドゴン!

奴隷「・・・・」パラパラパラ

ドラゴン『動くたびに壁に埋まる気か?いい加減馴れろ!』

奴隷「状況整理もままならないのに無理言うな…」パラパラ

ボストロル「フッゴッ!」ドスドスドス

奴隷「あれ?」ググッ

ドラゴン『どうした?さっさと逃げろ』

奴隷「抜けない…」グググ

ボストロル「フガァァ!!」

ブオン!


ドラゴン『もう間に合わん!腕を交差して防げ!』

奴隷「くっ!」サッ


ガキーン!


ボストロル「うが?」

奴隷「痛くない?」

ドラゴン『腕に生えた鱗が身を守ったからな』

奴隷「もうなんでもありだな…」

ボストロル「グガアアァァァ!!!」


ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!

奴隷「があ!」

ドラゴン『奴め、攻撃がきかんことにプライドを傷つけられたのか?がむしゃらに殴ってきおったわ』

奴隷「落ちついてないでなんとかしろ!」


ドラゴン『ならば深呼吸しろ』
 
24 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/21(木) 22:32:03.55 ID:D1ozbiZA0

奴隷「はあ!?」

ドラゴン『深呼吸だ』

奴隷「おまえ、ふざけ…」

ボストロル「グッガ…」

グッグッグッ…

ボストロル「グガアアァァァ!!!」

ブオン!


ガキーーン!!


奴隷「ぐっ…」ミシミシミシ

ドラゴン『攻撃きかずともそのままでは生き埋めだぞ?』

奴隷「だから…」

ドラゴン『だからこそ深呼吸だ!!』

奴隷「・・・・」スゥ

ドラゴン『まだまだもっと!』

奴隷「」スゥゥ

ドラゴン『恥や外聞は捨てろ』

奴隷「」フォォォ!

ドラゴン『まだだ!胸に溜めた空気を燃焼させるイメージで更に空気を取り込んでいけ!』

奴隷「」コオォォォォ

ドラゴン『ならば共に叫ぼう!』

ドラゴン『ドラゴンブレス!!』


奴隷「」カッ!


ゴオォォォ!


ボストロル「うが?」


チュドォォォォン!!!


ボストロル「グワアァァァ!!」
 
25 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/21(木) 22:33:44.77 ID:D1ozbiZA0

ボストロル「」フラフラ

ボストロル「」ドサッ

奴隷「」

道化「」

観客「」


シーーン…



ドラゴン『よし!』グッ!


奴隷「『よし!』じゃねえよ!!」
 
26 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/21(木) 22:38:12.34 ID:D1ozbiZA0

奴隷「なんか出た!なんか、口から、火の玉が!出たぞ!!」

ドラゴン『これぞ、必殺の竜の息吹《ドラゴンブレス》だ』

奴隷「ぺっぺっ、口の中が焦げ臭い…」

ドラゴン『下手だからな、始めてなら仕方ないが数をこなせば上達しよう』

奴隷「…今何処にいる?」

ドラゴン『ずっと後ろにいたぞ』
ドラゴン「ずっと後ろにいたぞ」

奴隷「そうか…。ところで、こうか?」コォォ

ドラゴン「違う違う、もっと息を丸める感じだ」

奴隷「こう?」コォォォォ

ドラゴン「だいぶ良くなった。儂の息吹は火球だからな、その形を作るように心がければ良い」

奴隷「そう…」コォォォォォォォォ!!

ドラゴン「それだ!そして叫ぶのも忘れるな」

ドラゴン「意外と軽視されがちだが儂は叫ぶことで簡単に身体のリミッターが解除できる説を侮ってはいかんと思うておる」

奴隷「わかった、やってみる」

奴隷「ドラゴンブレス!」カッ!




ドラゴン「oh」


チュドォォォォン!!!

 
27 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2017/12/21(木) 22:40:56.12 ID:D1ozbiZA0
今日はここまでです

書き溜めなくなったし筆遅いけど出来るだけ早く更新したいです
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 01:22:10.27 ID:mYgzFGvwO

少年とドラゴンはいいものだ
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 08:23:58.03 ID:QAa1pU/KO
やったねドラゴン友達がふえたよ
30 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/22(金) 22:16:25.73 ID:Up1ZoiTA0

ドラゴン「」メラメラ

奴隷「確かに、叫んだ方が威力上がった気がするな」

ドラゴン『くっくっくっ…、まだまだ甘いな』

奴隷「なに!?」

ドラゴン『あれは魔力で作った分身だ』

ドラゴン「」ドロッ

奴隷「何処にいる!!」

ドラゴン『くっくっくっ…』

ドラゴン『はぁ〜はっはっはぁ〜!儂は昨日と同じ場所にいる!』

ドラゴン『心の準備が出来たらはやく来い』

奴隷「上等だ!聞きたいことが山ほどある」

道化「you win !」

奴隷「あ…」

道化「いや〜びっくりしたよ、驚いたよ♪」

道化「壁まで一瞬で移動するかと思ったら飛んだり跳ねたり」

道化「あれ、鱗生えてたよね?」

道化「おまけに最後は口から火の玉…」

道化「ねえねえ、君と僕との仲だろ?ちょ〜っと教えてほしいな〜♪」

奴隷「・・・・」

奴隷(ガツンと言ってやらねば、か…)

奴隷「」スウ

奴隷「惨めな姿が見れなくて、残念だったな」

道化「なっ!?」

奴隷「じゃあな」タッ
 
31 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/22(金) 22:19:59.64 ID:Up1ZoiTA0

奴隷「言ってしまった…」

タッタッタッ

奴隷「いや、今までの事を思えばあれぐらい当然だよな?」

ピタッ

奴隷「影響受けてる気がする…」


奴隷「・・・・」

奴隷(ま、まあ、悪い奴ではないよな?)

奴隷(魔力だっておかげで体が軽いし)ピョンピョン

奴隷「試してみるか…」

奴隷「走って」タッタッタッ

奴隷「壁走り」ダダダダダ

奴隷「そのまま天井走り」シュババババ

奴隷「天井蹴って床に着地」シュタッ

奴隷「・・・・ふふっ」

奴隷(ふぉぉ〜!ちょう楽し〜〜いぃ!!)

奴隷(はっ!これもしかして空飛べんじゃない!?)

奴隷(あ、ありえる…、鱗生えるぐらいなら羽根も生えるでしょ)

奴隷(どうする?ドラゴンに聞けば…)

奴隷(いやいや、ないない…、文句言って結局喜んでるとか思われたらシャクだし)

奴隷「そう!これは実験!!」

奴隷「自分の、体の異変を確認するのは、とても大切!」

奴隷「すぅ〜はぁ〜〜」

奴隷「いくぞ!」カッ!

ドラゴン「あ、おりましたぞ」

姫「奴隷さん」


奴隷「とりゃあぁぁぁ!!!」バッ!


 
32 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/22(金) 22:22:57.80 ID:Up1ZoiTA0

奴隷「とりやあぁ……」

ドラゴン「・・・・」

姫「・・・・」

ドラゴン「…空は飛べんぞ」

奴隷「と、鳥や…草木が、生い茂り……」

姫「あ、あの…初勝利おめでとうございます……」

姫「その…ドラゴンさんが直接伝えたら喜んでくれるって」

姫「えっと、それから……」

姫「何も見てませんから!!」

奴隷「ぐ〜」

ドラゴン「寝たふりするな」
 
183.69 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)