勇者「ドラゴンハート」

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33 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/22(金) 22:25:56.64 ID:Up1ZoiTA0

ドラゴン「いやいや姫、これは儂が悪いのです」

奴隷「やめろ」

ドラゴン「説明もなく、あまりに一方的な魔力の譲渡」

奴隷「やめて」

ドラゴン「渡されたら使いたくなるは道理、つまり彼がとりゃあぁなどと 「ぷふっ!」

ドラゴン「?」

姫「つ、続けてください」

ドラゴン「彼がとりゃあぁと 「ぷぷ!」

ドラゴン「・・・・」

姫「なにか?」


ドラゴン「とりゃあぁぁぁ〜〜〜〜!!!!」バッ


姫「ぷっはぁ〜〜〜♪」

姫「うっふっふっふ」

姫「あっはっはっは」

姫「ひぃひぃひぃひぃ………」

奴隷「」

姫「はぁはぁ…わ、わたし、急用を思い出したので…これで失礼します」

タッタッタッタッ

ドラゴン「とりゃあぁぁぁ〜〜〜!!!」

プッハァ-

奴隷「」

ドラゴン「よし、一歩進展したな」

奴隷「黙れ」
 
34 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2017/12/22(金) 22:27:39.63 ID:Up1ZoiTA0
今日はここまでです
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 23:05:25.07 ID:bD8F8fjJO

ドラゴンさんとお姫様が仲良しで何よりです
36 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:17:39.98 ID:988hXKVA0

ドラゴン「くっくっくっ…、そうむくれるな」

奴隷「うっさい」

ドラゴン「恋愛とは良い面ばかり見せてもいかんのだ、悪い面を見ても呑み込む度量がなければ長続きしないぞ」

奴隷「知るか!」

ゴブリン「おう、サンキュー」ポン

奴隷「?」

オーガ「ありが、と」

奴隷「なんだ?」

妖魔A「お、来たな」
妖魔B「はやく来いよ」
妖魔C「こっちだこっち」

奴隷「??」

闘士A「もう先食べてるぞ」
闘士B「食い溜めてるぞ」
闘士C「食べ終わったぞ」

奴隷「食べてる?」

コボルトA「みんな〜肉追加持って来た〜♪」

コボルトB「まだまだ報償金はヨユ―あるよ〜♪」

コボルトC「全部、奴隷のおごりだよ〜♪」


一同「「「ごちんなります!!」」」


奴隷「ちょっと待てーー!!」
 
37 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:22:14.82 ID:988hXKVA0

奴隷「俺のおごりってどういうことだよ!」

ドラゴン「報償金は勝者の総取り、勇者が勝ってもちゃんと払われる」

ドラゴン「ひとりで使いきるには多い額だ」

奴隷「だからって、何でこんな奴らに!!」

ドラゴン「ふん」ベチッ

奴隷「痛っ」

ドラゴン「ま〜だ、おまえはそんな事言って」

ドラゴン「隅で背中丸めていじけておって、彼等の何を知ったつもりになっておる?」

ドラゴン「おい、ゴブリン!」

ゴブリン「俺か?」

ドラゴン「そうだ。おまえは何故、ここにいる?」

ゴブリン「ん〜…、弟とふたり、家の近くで遊んでたら瘴気浴びちまってさ」

ゴブリン「んで、気がついたらこんな姿よ」

ドラゴン「ところで、妖魔の大多数が瘴気を浴びて変異した元人間だが…、知っておったか??」

奴隷「……いや」

ゴブリン「んで、家追い出されてブラブラしてるとこを妖魔狩りに捕まってここに連れて来られたワケ」

ゴブリン「ちなみに、こいつが8才になる俺の弟」

オーガ「肉うまうま」ガブガブ
 
38 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:24:16.40 ID:988hXKVA0

ドラゴン「コボルト」

コボルトA「わんわん!俺たち、城産まれ」

コボルトB「俺たち、城の地下で産まれる」

コボルトC「俺たちの母ちゃんは普通の犬」

コボルトD「母ちゃんが産んだら、瘴気を吸わせて妖魔にする」

コボルトE「それが、俺たち」

ドラゴン「他も様々な理由だが、望んでここにいる者はひとりもおらぬ…」

ドラゴン「そこは勇者と同じだろ?」

奴隷「だからなんだって!?仲間だから恵んでやれと?」

ドラゴン「はっはっはぁ〜、それもいいな」

ドラゴン「戦士の代わりに妖魔パーティー引き連れて、魔王と戦うわけだ」

奴隷「バッカじゃねえの?」

ドラゴン「それはともかく、タダでくれてやるのではない。ちゃんと見返りは払ってくれるぞ」


「ほう、それは興味深い」
 
39 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:25:27.50 ID:988hXKVA0



魔王「見返りが何なのか、余にも教えてくれ」


 
40 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:32:15.88 ID:988hXKVA0

ドラゴン「ぬあ!魔王!」

魔王「ふっ」

ザシュ!

ドラゴン「ぐあぁ」

奴隷「ドラゴグッ!」

魔王「何を吹き込まれたか知らんが…」グググッ

奴隷「くっ…かっ…」

魔王「はっきり言うが、貴様程度脅威でも何でもない。殺そうと思えばいつでも殺せる」

魔王「生かしておいたのは滑稽な姿を民に見せ、余に逆らおうなどと馬鹿が考えぬようにだ!」ギリッ

奴隷「ぐっ……」

魔王「それを目先の勝利に浮かれ、自らの役割を忘れるならば用はない!」

魔王「この場で殺してやろうか!!」

ゴブリン「何も殺すこたあ…」

ザシュ!

ゴブリン「え?」

魔王「下等妖魔の意見など聞いてない」

ゴブリン「」ドサッ

オーガ「兄ちゃん!」

ゴブリン「ダメだ…来るな……」

魔王「…可哀想に、後を追わせてやろう」

ザシュ!

 
41 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:35:20.23 ID:988hXKVA0

奴隷「はぁ…はぁ…」

魔王「・・・・」ポタッポタッ

奴隷「…これは?」

魔王「今度は爪が生えたか…」ペロッ


魔王「氷結魔法」

奴隷「うわあぁぁ!!」パキパキパキ

魔王「どうだ? 自力で砕かねば、そのまま氷に埋もれて死ぬことになるぞ?」

奴隷「ぐぅ…、くそ!」ガチガチガチ

魔王「氷像と化し、身の程を知れ。貴様は所詮その程度なのだ」

奴隷「ドラ…ゴ…ン……」カチカチ



ドラゴン「ぐおおぉぉぉ!!!」

ガシャーーーン!

魔王「何っ!」

ドゴッ!

魔王「ぐふぅ!」

ドラゴン「ぬぅん、りゃあぁぁ!」ブン!

ドゴン!ガシャン!ドガァン!ゴロゴロ!

魔王「くう…」ザザー

ドラゴン「ふぅ〜」

ドラゴン「ま、この程度よ」ニィッ
 
42 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:38:03.85 ID:988hXKVA0

魔王「やはり、あの場あの時に殺しておくべきだったか!」

魔王「ドラゴン!」

ドラゴン「おい、大丈夫か?」

奴隷「げほっ!ごほっ!…ゴブリンは?」

ゴブリン「はぁ…はぁ…」

ドラゴン「いかん、はやく姫を呼んで来い」

オーガ「わかった!」ダッ


魔王「今度は姫がなんと言おうと貴様を殺す!!」

ドラゴン「くっくっくっ…、やるなら早くやろう」

ドラゴン「娘に無様な格好を見せたくないだろ?」

魔王「無様な姿を見せるのは貴様だ!」

ドラゴン「ふん!」バッ!

魔王「出でよ、魔杖!」

ガキン!

魔王「やるな!」

ガキン!ガキン!

ドラゴン「魔王もな!」

ガキーン!

魔王「吹雪!」

ブュオォォ!

ドラゴン「効かん!」

魔王「馬鹿な!」

ドゴッ!

魔王「くっ…」

ドラゴン「どうした?攻撃が効かず動揺したか?」

魔王「氷壁結界!」

ドラゴン「くっくっくっ…」

ザシュ!

ドラゴン「良い事教えてやろう。氷は熱で溶ける」

ジュウゥゥ……

 
43 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:39:52.13 ID:988hXKVA0

魔王「魔力で体内の熱量を高めて氷を溶かしたか」

魔王「膨大な魔力とそれに耐えうる強靭な肉体をあわせ持った竜族だからこそ出来る力業だな」

ドラゴン「そんな分析している余裕があるのか?」

ダン!

魔王「無論、余裕とは圧倒的な実力差から生まれるのだ」


魔王「凍てつく波動!」


ゴオォォォ!!


ドラゴン「ぐおぉっ!!」

フッ

ドラゴン「熱がかき消された!」

魔王「吹雪」

ザシュザシュザシュ!

ドラゴン「ぐわあぁぁぁ!!」

魔王「さあ、今一度不様に命乞いをしろ!」
 
44 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:44:36.75 ID:988hXKVA0

ドラゴン「命乞いなど、誰がした!」グオッ!

ガキン!

魔王「ほう、下級魔法では耐えるか…。やはり頑丈だな」

ドラゴン「腕がなまったんじゃないか?」ニヤッ

魔王「大口は最上級魔法を浴びてから言え」

魔王「氷壁結界」

ドラゴン「そんな暇など…与えるか!!」

バキャッ!

魔王「残念だが、貴様の弱点は熟知している」

ドラゴン「言ってろ!」

バッ!

衛兵「…これはいったい?」

姫「父様?」

魔王「来たか」グイッ

姫「きゃあ!」ヨロッ

ドラゴン「ぬぉ、いかん!姫にあたる!?」

ピタッ…

魔王「まったく、その甘さには驚嘆する」

魔王「最上級氷結魔法」

ビュウゥゥゥ

ドラゴン「しまった!」ガチガチガチ

姫「ドラゴンさん!」

ドラゴン「儂は大丈夫です、姫はゴブリンを!」パキッペキッ..

魔王「世にも珍しい、竜の氷像は王の間に飾ってやろう」

ドラゴン「ぬぅ…」パキッパキッ

ドラゴン「」カチーン





ドラゴン『狙う相手を間違えるなよ』


奴隷「ああ、よく溶けるよう全力でいく」コオォォォ!


奴隷「ドラゴンブレス!!」カッ!


ドラゴン「」



チュドォォォン!!
 
45 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2017/12/29(金) 00:48:39.58 ID:988hXKVA0

ドラゴン「」メラメラ

ドラゴン「」プスプス

ドラゴン「」

奴隷「そんな…」

魔王「作戦は悪くなかった」

ドゴッ!

奴隷「がはっ!」

魔王「ただ、氷を溶かすには少しばかり火力が不足していた」

奴隷「もう一度!」コオォォォ!

魔王「氷結魔法」

奴隷「ゴォ!」パキパキッ

魔王「自分が勇者であると忘れられぬ哀れな奴隷よ」

魔王「未だ勇者の夢を見るなら、魔王として目を冷ましてやろう!」

奴隷「勇者だなんて、思って…な……い……」パキパキパキッ

奴隷「」





魔王「…そこを退け」

姫「嫌です!」
 
46 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2017/12/29(金) 00:56:47.24 ID:988hXKVA0
今日はここまでです

魔王無双は書いてて楽しいです
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 05:37:08.08 ID:l9KXNiwg0
乙!
魔王と同等のドラゴンさん凄え!
48 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/01(月) 21:25:35.94 ID:r1XfLrOA0

魔王「もう一度だけ言おう…」

魔王「魔王としての命令だ、そこを退け」


姫「嫌です」


魔王「そうか…」

魔王「警告はしたぞ」バチバチ

姫「父様…」

衛兵「ままま、魔王さま、お待ちを!」バッ!

姫「衛兵さん!?」

衛兵「わ、わた、わたしの任務は姫の護衛…も、もし、姫に何か危害を加える者がいるなら…」

衛兵「私が守ります!」

ベシーン!

衛兵「おうっふ!」

ゴブリン「ほっそい体だな、そんなんで魔王の攻撃喰らったら死んじまうぜ!」

衛兵「げほっごほっ…なにをする?」

オーガ「兄ちゃん、死んでない」

ゴブリン「おうよ、つまり盾になるなら俺が適任ってことよ!」

コボルトA「グルル!」

コボルトB「わん!わん!わん!」

妖魔「先越されたな」

闘士「ま、頭数は多いほうが良いわな」

ぞろぞろ…

魔王「貴様ら全員、何のつもりだ?」

ゴブリン「へ、甘く見たな魔王様。ここには姫様に命を救われた奴らがごまんといるんだぜ!」

オーガ「兄ちゃんは、特に多い」

ゴブリン「だからよ、魔王様」

ゴブリン「姫様に手え出すってんなら、ここにいる奴等全員が相手んなるぜ!」
 
49 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/02(火) 00:44:08.77 ID:2UGElP/A0

妖魔A「ゴブリンが代表面してんのは気に食わねえが」ジャキ!

妖魔B「姫の為だ」

闘士A「右に同じ」ガチャ!

姫「いけません、皆さんが束になっても父には敵わないでしょう」

ゴブリン「そんじゃあ俺らが時間稼ぎますんで、姫はその間ドラゴンの旦那を氷から溶かすってのは?」

姫「無理です…」

衛兵「簡単に言ってくれるが魔王様の氷結魔法だぞ? 溶かすには膨大な魔力か深い魔術知識が必要なんだ」

ゴブリン「やべえ、打つ手ねえじゃん」

魔王「ふふふ、今ごろ気づいたか」

闘士A「焦んな!この人数で囲めばなんとかなんだろ」

闘士B「俺らには闘技場で戦い続けた経験値がある」

魔王「そんな脅しで、余が躊躇うと思ったか?」グオォォ!!!


ゴブリン「あ、駄目かもしんねえ」

オーガ「兄ちゃん!?」
 
50 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/02(火) 00:46:45.12 ID:2UGElP/A0

魔王「全員まとめて氷漬けにしてやる! 」

魔王「最上級ひょっ
道化「膝カックン」


魔王「ぬぉ!?」カックン!

道化「か〜ら〜の〜、鎖拘束魔法」


ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ

ガッシャン!


魔王「道化、貴様…」

道化「睨まないでよ、魔王様」

道化「無理をすれば余計こんがらがっちゃいますよ?」

道化「鎖も、子供もね」
 
51 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/02(火) 00:50:29.00 ID:2UGElP/A0

魔王「闘技場はどうした?」

道化「とっくにメインまで終わりましたが…。いやはや参った参った」

道化「メインまで全然盛り上がらないんだもの。こんなの初めてですよ」

魔王「それで? 何の用でこの場に現れた」

道化「だって、み〜んな前座の勇者様を注目してるんだもん」

道化「噂になってますよ? 奴隷に堕ちた勇者がついに使命に目覚めた…、ってね」

魔王「だからこそ、こうして芽のうちに摘もうとしているのだ!」

道化「まったまた!魔王様は噂の怖さをご存じない」

道化「火のないところに煙はたたぬ。たった噂は七十五日も続きますよ?」

魔王「回りくどいな、何が言いたい?」

道化「メインイベント♪」

道化「生かすも殺すも客呼んで、衆人環視の場でつけまっしょう♪」
 
52 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/02(火) 00:54:13.00 ID:2UGElP/A0

魔王「ふん、良いだろう。処分は明日のメインまでいったん保留とする」

道化「流石は魔王様。ほらほら、勇者様もお礼言って」

道化「火炎魔法」ボボボ

奴隷「うっ」ガクッ

道化「ほらね、勇者様も頭を垂れて感謝してますよ」

魔王「帰るぞ」

道化「は〜〜い♪」

奴隷「くそ、ドラゴン無事か?」

ドラゴン「・・・・」

奴隷「無事なわけないよな…」

奴隷「今出してやるよ」チャキ

ガキーン!

姫「…奴隷さん、無理です」

奴隷「くそ!くそ!」

ガキン!ガキン!

奴隷「くっそ!!」コオォォォ!!

奴隷「ドラゴンブレス!」カッ!

ドゴン!

ドラゴン「・・・・」

奴隷「くそ…やっぱり俺は、勝ったらダメだったんだ」

姫「奴隷さん…」


ドラゴン「」コオォォォ!!

奴隷「ドラゴン?」

ドラゴン「」ボフン!

奴隷「」ビクッ!

ドラゴン「」ジュウゥゥゥ〜〜

コボルトA「くんくんくん!肉の焼けたニオイがする」

コボルトB「わぉ?ほんとだ!」


ドラゴン「くっくっくっ…はぁ〜はっはっはぁ〜!」


ドラゴン「 復 活 !!」

ドラゴン「これぞ、氷河期を生き抜いた秘技《ドラゴンブレス体内撃ち》だ」ブスブス

ドラゴン「魔王の奴め、勝ちをゆずってやったのを気づかず得意げにしておった!」
 
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 00:13:15.66 ID:InC/NuDe0
ドラゴンさん可愛い
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 15:44:22.07 ID:Zir6FnTA0
おつんこ
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 10:47:02.42 ID:Nlp8TbvDO
続き!続き!
56 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/11(木) 23:25:01.17 ID:GYg+nuUA0

ドラゴン「くっ、あ〜〜〜〜! 身体がきしむ!」ノッビ---

ドラゴン「やはり変温動物に氷属性はキツいな。体温奪われると急に眠くなっていかん」

奴隷「ふ〜ん」

ドラゴン「何をむくれておる?」

奴隷「別に?ただもっと戦えたと思っただけ」

奴隷「ドラゴンブレスも使わずじまいだし、一撃必殺が聞いてあきれる!」

ドラゴン「そうは言うが不用意に室内でドラゴンブレスを放てば死人が出るしな」

ドラゴン「かといって威力を抑えるのも美学に反する」

奴隷「意味わからん」

ドラゴン「分かりやすく言えば無理な使用は喉を痛める≠セな」

奴隷「それなら分かる」

ドラゴン「機嫌はなおらんか?」

奴隷「…悔しくないのか?」

ドラゴン「くっくっくっ…」

奴隷「何だよ?」

ドラゴン「不思議と悔しいなどとこれっぽっちも思っとらん」

ドラゴン「何故かな?」

ドラゴン「代わりに悔しがってくれる者がいるからかな?」

奴隷「馬鹿じゃねえの…」
 
57 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/11(木) 23:31:28.11 ID:GYg+nuUA0

ドラゴン「馬鹿とはなんだ、馬鹿とは」

奴隷「馬鹿だろ、大馬鹿、馬鹿ドラゴン」

姫「ぷぷぷ」

衛兵「姫様、そろそろ戻りませんと」

姫「あ、そうでした! それでは失礼します」

ドラゴン「おお、姫様を巻き込んでしまいこのドラゴン…。返すべき御恩が増えてしまいました」

姫「恩だとか貸しだとか、気にしてませんよ」

ドラゴン「小僧もただの金魚の糞だと思っておったが、その身を盾にするとは見直したぞ」

衛兵「・・・・」

ドラゴン「ん?どうした?」

姫「あの…」

ゴブリン「あいつ女だぞ」

ドラゴン「!!??」

奴隷「いや、どう見ても女にしか見えないだろ」

オーガ「女だ」

コボルト「臭いでわかるぞ?」

ドラゴン「そうなのか?すまぬな、竜族から見れば人間の性別は分かりにくくてな」

衛兵「いや……」

ドラゴン「だから胸のふくらみで判断しておるのだ」

衛兵「なっ!?」

ドラゴン「だからせめて、せめてもう少し姫のように色気があればわかっただろうに…」

衛兵「殺す!我が家名にかけて、貴様に決闘を申し込む!!」

ドラゴン「は〜〜…、そうか、家系からくる遺伝か…」

衛兵「殺す!!」

姫「はいはい、行きますよ〜」ズルズル

衛兵「姫、放してください!これはプライドの問題なんです!」ズルズル

ドラゴン「また遊びに来てくだされ」パタパタ

衛兵「魔王様に頼み、試合の場を用意していただくから楽しみにしてろ!!」

ドラゴン「ほら、勇者も」パタパタ

奴隷「いや、俺は…」

ドラゴン「ほらほら♪」ガシッ

奴隷「・・・・」パタパタ

姫「ふふふ」ペコ

ドラゴン「くっくっくっ…」

べしーん

奴隷「ごふっ!」

奴隷「げほっ、ごほっ…何で背中叩いた?」

ドラゴン「すごいじゃないか、今日だけで二歩も前進した♪」

奴隷「はぁ!?」
 
58 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/11(木) 23:34:39.10 ID:GYg+nuUA0

ドラゴン「昨日までは恥ずかしくて姫の前に出ることも出来なかった子供が」

ドラゴン「たった1日で姫の側にいながら最後まで寝たふりなどせずに談笑に加わる」

ドラゴン「それを前進と言わずなんと言おう」

奴隷「」

ドラゴン「背中を押す身としても実に感慨深い」

ドラゴン「そうだ、明日勝ったら赤飯を炊こう」

奴隷「言ってろ」

奴隷「だいたい、寝たふりじゃない! 本当に寝てたんだ!」

ドラゴン「うんうん、わかったわかった」

奴隷「それに明日の試合は勝ち目ゼロの実質、処刑だ」

ドラゴン「ほう、気付いていたか。感心感心」

ドラゴン「だが明日を楽しみにしていろ、儂が必勝法を伝授してやる!」
 
59 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/11(木) 23:39:08.58 ID:GYg+nuUA0

【翌日 魔界闘技場】

道化「レディース、あ〜んど、ジェントルメン!!」

道化「奇跡の勝利から一夜明け、本日のメインイベント!」

観客「待ってました!!」
ワー ワー

道化「ありがとうございます! 本日、過去の入場者数を大幅に更新した 満 員 御 礼 !」

道化「大注目のあの人の前に、対戦相手から紹介だ!」

騎士「」チャキッ!

道化「魔王軍の精鋭のみで構成される親衛隊のニューカマー!」

道化「きーしーー!!」


騎士「」ドキドキ

観客「お前にかけたから負けんなよー!」

道化「そして、そして!」

ゴブリン「出番だぞ!」


道化「噂どおりの勇者か、はたまた奴隷か…」


道化「真価はこの試合の勝敗で判明する」


ドラゴン「行ってこい!」ドン!

奴隷「」ガシャン

E はがねのつるぎ
E はがねのたて
E はがねのよろい

奴隷「いっくぞ〜!」

ダン!

道化「あ、まだ口上の途中で!」

奴隷「知ったことかぁ〜!」

ガキィィン!!

 
60 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/11(木) 23:41:53.64 ID:GYg+nuUA0

騎士「ぐぉ…」

ギリギリギリギリ

騎士「馬鹿な、押されてる…」

奴隷「くっくっくっ…」

騎士「?」

奴隷「はぁ〜はっはっはぁ〜!」

奴隷「軽い!」

ガキィン!

騎士「ぐおぁ!」

奴隷「どうしたどうした〜!オーガの一撃はもっと重かった!」

ガッガッガッガッ!

騎士「昨日とまるで別人」

ドゴッ!

奴隷「ゴブリンの攻撃はもっと多彩だったぞ?」

騎士「ごぼっ」

奴隷「複数戦のイロハを教えるため、コボルトが集団で襲っで来るんだ…」


奴隷「ふ、ざ、け、る、な〜〜!!」

ガッガッガキィン!ドガッガキンッガスッ

騎士「」

奴隷「闘士からは得意な得物で入れ替わり立ち代わりで切り刻まれ!」

奴隷「妖魔にぶんまわされて経験値を稼げて良かっただと?」

奴隷「戦闘不能と判断したら、頭をつぶして強制蘇生できるから楽ってなんだ!!」ブワッ

道化「フビン…」

ドラゴン『感謝しろよ、協力を得るため大量の肉で買収したんだからな』

奴隷「それだって、俺の報償金持ちじゃねえか!!」

ドゴアッ!

騎士「げふ」

奴隷「立て〜!騎士!寝たら頭をつぶされるぞ!!」
 
61 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/11(木) 23:44:13.64 ID:GYg+nuUA0

奴隷「ぜはぁ〜、ぜひゅ〜」

騎士「」グッタリ

道化「あ〜、勝っちゃたか〜」

道化「勝っちゃいましたよ、魔王様!」


魔王「うむ、奴隷を勇者と認めよう」


魔王「そして勇者よ、さらばだ」


魔王「これより、勇者を我が野望の脅威となる前に処刑を行い、排除する!!」


魔王「親衛隊よ、総員をもって勇者を取り押さえ、我が前にひざまずかせろ!」


上級騎士×20「はっ!!」

ザザザザッ!

奴隷「ちっ!」


魔王「不死鳥のように復活する勇者よ、貴様を殺す手段は存在するのだ」
 
62 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/11(木) 23:46:31.85 ID:GYg+nuUA0

ドラゴン「うむ、やはりこうなるか」

バサッ!

ドスン!

奴隷「ドラゴン!」

魔王「やはり来たか!かまわん、奴も取り押さえろ!」

ドラゴン「なあ、まだ竜の美学はわからんままか?」

奴隷「今そんな悠長な時じゃねぇだろ!」

ドラゴン「竜の息吹は一撃必殺。ならば、美学それすなわち」コオォォォ!!!


ドラゴン「必ず殺せってことだ」


ドラゴン「ドラゴンブレス!!」カッ!

ゴオォォォォ!!!

上級騎士×20「」

ドッゴォォーーン!!!
 
63 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/11(木) 23:51:13.08 ID:GYg+nuUA0

奴隷「これが、本気のドラゴンブレス…」

観客「すげえ…」
観客「おい、これひょっとしたら」
観客「ひょっとするぞ」

魔王「くぅ、何をしておる増援を


ドラゴン「レディース、あ〜んど、ジェントルメン!!」バッ!

ドラゴン「この少年、勇者に選ばれるも未だ未熟!」

ドラゴン「その実力は奴隷に相応しく、勇者と呼ぶには分不相応」

ドラゴン「よって、勇者の証を立てるまでの猶予をいただきたい!」


ドラゴン「猶予は100日」

ドラゴン「行うは、前人未到の100戦100勝!!」

ドラゴン「100勝の禊《みそぎ》が済みし時こそ少年は、勇者を名乗り魔王を打倒するだろう!」

魔王「」ギリッ

ドラゴン「さあ、これから本番だ!!」
 
64 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2018/01/11(木) 23:53:17.89 ID:GYg+nuUA0
今日はここまでです

なんか書き直してたら遅くなって申し訳ない
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 02:25:42.19 ID:19itHCXDO

良いよ良いよ〜!
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 07:35:46.00 ID:By1hTihB0
やっぱりドラゴンさん強いw
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 22:49:29.95 ID:OuUwxaVbO

面白くなってきたな
68 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/19(金) 01:26:33.32 ID:c9RzZ07A0

観客「・・・・」

シーーン…

ドラゴン「どうした? ここはもっと盛り上がるところだが」

魔王「何を言うかと思えば…」

ふわっ

すたっ

魔王「ふざけるな! そのような戯れ言を余が聞き入れるとでも思ったか!!」

ドラゴン「ならば腕ずくで押し通すまで!」ブオン!

魔王「ふっ!」チャキ!

ガキーーン!!

魔王「奴隷の処刑は必ずおこなう!この決定は何が有ろうとくつがえらぬ!!」

ドラゴン「ならば早よう、処刑人を連れてこい!」コオォォォ

魔王「処刑は余が直々に執り行う」

魔王「最上級氷結魔法!」
ドラゴン「ドラゴンブレス!」カッ!

ゴオォォ!!!

魔王「やはり強い」

ドラゴン「貴様も魔界の王に相応しい力量よ」
 
69 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/19(金) 01:28:26.69 ID:c9RzZ07A0

【魔界闘技場 下層空間】

奴隷「ぼ〜」ナデナデ

コボルト「はっ、はっ、はっ、はっ」

奴隷「はぁ…」ワシャワシャ

コボルト「くぅ〜ん♪」ゴロゴロ

ゴブリン「おうおう、どした〜? そんなとこで黄昏て」

奴隷「思ったんだけどさ…」

ゴブリン「おう?」

奴隷「俺って、いる意味あるんかな?」

ゴブリン「気づいてしまったか…」
 
70 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/19(金) 01:30:10.55 ID:c9RzZ07A0

【魔界闘技場 上層部】

魔王「すでに噂が流れ、勇者に期待する声が出てきている!」ガッ

魔王「中には勇者を畏れ、余が秘密裏に始末するなどと不愉快な噂まで!」ガッ

ドラゴン「ほう、そんな噂まで耳にしたか」

ガッガッガッ!!!

魔王「だからこそ、こうして聴衆の前で勇者を処刑する必要がある!」

ブオン!

ドラゴン「けっこう、けっこう…」

パシッ

ドラゴン「その噂、儂が流した」

魔王「なに?」

ドラゴン「グオォッ!」

ドゴッ!

魔王「ぐふっ!」

ドシャー
 
71 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/19(金) 01:35:26.31 ID:c9RzZ07A0

ドラゴン「昨日、勇者が勝利したのを見届けた後。仲間と協力し、噂を流した」

ガッガッガッ!

魔王「うっ、何故そんな真似を?」

ドラゴン「判らぬか?すべては奴隷をメインイベントで勝利させ」

ガキン!

ドラゴン「魔王である貴様に勇者と認めさせるため!」

ズバッ!

魔王「ぐう。余の動きを読んでいたとでも言うつもりか!」

魔王「吹雪!」ビュオォォ

ドラゴン「勿論。だから昨日の戦闘で儂はあえて氷漬けになったのだ」

ジュウゥゥゥ

ドラゴン「それは、誰かが止めに入ると読んでいたからこそ、貴様に華を持たせてやったのだ!」

ボッゴーン!

魔王「…なるほど、ならば貴様もこの場で処刑することにしよう」

ドラゴン「くっくっくっ…、もう時間切れだ」

魔王「なんだと?」

側近「まおうさまーー!!」

側近「魔王様、大変でございます!」

魔王「何事だ?」

側近「議会にて、勇者助命嘆願の議題が賛成多数により採決されました!」

魔王「なんだと? 議会など、数年前に形骸化したはずだ!」

側近「そうなのですが突然議会を占拠されて…」

ドラゴン「初仕事にしてはゴブリン議長は仕事が速い」

魔王「ゴブリン議長?」

ドラゴン「さよう、形骸化されていたので乗っ取らせてもらった」

ドゴッシャ!!
 
72 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/19(金) 01:45:55.99 ID:c9RzZ07A0

魔王「くっ…まだまだ」プルプルプル

ドラゴン「ほう、今の一撃を耐えたか」

魔王「側近よ! 早急に本来の議員を招集しろ!」

側近「それが本来の議員は皆様、ゴブリン達を正式な議員と申しているのです」

魔王「なん…だと…」

ドラゴン「くっくっくっ…、長年の冷遇が祟ったな」

ドラゴン「すっかり落ちぶれていたので小金を握らせただけで言いなりよ」

魔王「側近! 議員連中にドラゴンの倍払うと伝えろ」

ドラゴン「軽々しい口約束だが良いのか? 儂と資産を競うとなれば国庫が空になるやもしれぬぞ?」

魔王「ぬかせ、奴隷仲間からかき集めたはした金で嘘を語るな!」

ドラゴン「わかっておらぬな、はした金をかき集め…」

ドラゴン「大穴狙いの大博打こそ闘技場の醍醐味であろう」

魔王「奴隷に賭けたか」

ドラゴン「うむ、出会った時にな」

ドラゴン「だが今回賭けたのは勝利条件、勇者の1分以内ノーダメージ完全勝利!!」

ドラゴン「とくと拝め、これがその配当10倍の賭け札よ」ピラッ
 
73 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/19(金) 01:51:43.69 ID:c9RzZ07A0

ドラゴン「賭け金は貴様が殺した、我が竜の同胞達の遺産!」

ドラゴン「いずれ劣らぬ美しき金色の巣穴を彩る、財宝の数々を売り払って捻出した」

ドラゴン「魔王の喉元に突きつける剣となるなら、同胞達も報われよう」

魔王「無効だ…」

ドラゴン「またそのように駄々をこねおって」

魔王「無効だ! 貴様は何者だ?」

魔王「エンシェントエルダードラゴン!! 余が蒐集品のひとつに過ぎぬ!」

魔王「つまり、貴様に人としての権利などない!」

ドラゴン「それは違う! 捕まり、項垂れて死を待つだけの儂の前に!」

ドラゴン「姫様が身を投げ出して乞うてぐださった時に貴様はこういったのだ」

ドラゴン「好きにしろ≠ニな」

魔王「それで? だから自分の命は姫の物だと? ずいぶんと殊勝な話だ」

ドラゴン「いやいや、好きにやらせてもらったという話だ」ニヤッ

ドラゴン「執事《バトラー》出番だ!!」

老執事「およびでしょうか?」
 
74 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/19(金) 01:59:45.18 ID:c9RzZ07A0

魔王「こいつは誰だ! まだ何かあるのか?」

魔王「質問に答えろ!」

ドラゴン「質問に答えろ!」

老執事「なんなりと」

ドラゴン「儂の所有する土地は?」

老執事「南方20の島々とその海岸より1里まででございます」

魔王「え?」

ドラゴン「儂の使用人」

老執事「小作人1855人と家政婦20人、庭師が8人と私でございます」

ドラゴン「儂の爵位!」

魔王「爵位!?」

老執事「伯爵」

魔王「はぁ!?」

ドラゴン「最後に、儂は誰だ!!」

老執事「南方20の島々を治め、魔界有数の穀倉地帯の荘園が主人」

老執事「エンシェントエルダー卿でございます」

ドラゴン「ご苦労、もう下がってよい」

老執事「ご用件があればお呼びください」

側近「魔王様…。エルダー卿と言えば、大量の貢ぎ物を預かっております」

ドラゴン「つまりだ、貴族である儂に人としての権利がないと…そう言うことになるか?」

魔王「貴族? 南方20の島々の大貴族だというのか?」

側近「魔王様、議会が押さえられた状況で貴族と騒動は不味いことに…」

魔王「どうしてこうなった?」

ドラゴン「ちなみに、魔王にはこれから3つの外交問題、2つの政策問題、1つの芸能ゴシップが待っておるのだが…」

ドラゴン「あらためて言ってくれぬか?」

ドラゴン「好きにしろと」
 
75 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2018/01/19(金) 02:02:23.26 ID:c9RzZ07A0

今日はここまでです

ただの戦闘だと前回と同じになってつまんなかったんで
政治圧力をかけて乗りきる方針にしました

この方針がいちばん両者の格を落とさないと思ったけど…

どうなんでしょう?
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 05:14:38.99 ID:KdT3UfJF0
乙!
ゴブリン達が裏で活躍してるのが何かうれしい
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 08:00:20.07 ID:0B7trKWo0
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 15:15:28.37 ID:J40hKBODO

79 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/27(土) 11:55:48.88 ID:+qxayZ0A0

魔王「冗談じゃない!!議会を乗っ取り、爵位持ちの領主になるような奴を」

魔王「これ以上好きになどさせてたまるか!!」

ドラゴン「ケチ臭い、自分の発言に責任も持てんのか?」

魔王「側近よ、早急に対処しろ!」

側近「ど、どうやって?」

魔王「大方、裏切者を金で釣ったに違いない」

ドラゴン「ほう? この国は金で爵位を買えるほど腐敗しておるのか?」

魔王「黙れ! 金品の受け渡しに違法性を見つけしだい爵位も剥奪する!」

ドラゴン「違法な取引などせぬわ、儂はただ住宅事情の相談にのった結果」

ドラゴン「解決法として今は亡き、故竜となった同胞の巣穴を提供しただけよ」

ドラゴン「…まあ、昔の住人が残した家財道具は自由にしていいぐらいは言ったがな」

魔王「黄金の家財道具か! 探しだし、没収するだけでひと財産できそうだ」

ドラゴン「そう言うと思い、予め皆に半年ぐらいは隠ってろと言っておいた」

ドラゴン「探しに人手を割いて、ここを手薄にしたいなら止めはせぬ」
 
80 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/27(土) 12:00:50.16 ID:+qxayZ0A0

魔王「半年? ああ、そうか…。奴隷が100試合終わるまでの時間稼ぎか…」

ドラゴン「そのとおり、奴隷が勇者となる」

魔王「結局そこに行き着くのか…」

魔王「馬鹿馬鹿しい! あいつに何が出来る!!」

魔王「あいつは奴隷として過ごし、今もまだ奴隷の刻印を腕に刻まれた無力な子供だ!!」

ドラゴン「子供もやがては成長し、大人になる」

ドラゴン「成長した勇者はやがて魔王を倒すだろう」

魔王「余が倒されるのを誰が望むと言うのだ!」

魔王「余の目から見れば、自分の復讐の道具に利用してだけに見えるぞ」

ドラゴン「自らの国の腐敗すら見えぬ王よ…」


ドラゴン「民が望んでいるのだ」


ドラゴン「だからこそ、儂は背中を押している」
 
81 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/27(土) 12:08:43.82 ID:+qxayZ0A0

魔王「なにを言うかと思えば……」

魔王「魔界の王たる余の敗北を! いかなる理により民が望むなどと言うか!!」

ドラゴン「まわりを見渡せ」

ドラゴン「ここにはひと目、勇者を見ようと闘技場に押し寄せた大勢の観客であふれている」

ドラゴン「この超満員の観客こそが、勇者を望んでいる民そのものなのだ」

魔王「ぐぬぬぬ」

ドラゴン「…だが、そろそろ話し合いも平行線で飽きてきた」

ドラゴン「折衷案を出そう」
 
82 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/01/27(土) 12:17:53.28 ID:+qxayZ0A0

ドラゴン「この場には魔王にとっての邪魔者が2名おる」

ドラゴン「言わずとしれた儂と勇者だ」

魔王「余は処刑により取り除こうとしている」

ドラゴン「うむ、当然それは儂の持つあらゆるツテを使い妨害させてもらう」

ドラゴン「一方」

ドラゴン「これから行われる100の試合」

ドラゴン「それら全ての対戦条件がどれだけ不利であろうと、我々はそれを承諾する」

魔王「意味がわからぬ、対戦相手は・・・・」

魔王「ああ、そうか・・・・」

魔王「・・・・承諾は例外なく絶対にか?」

ドラゴン「ただし、1日1試合に限定させてもらう」

魔王「奴隷はすでに2勝している」

ドラゴン「こすいことは言わん。2勝は無しにして良い」

魔王「・・・・いいだろう、確かに愉快だ」

魔王「100の勝利にて勇者を名乗るなら」

魔王「99の魔物を用意しよう」

ドラゴン「了解した。勇者を見極める最後の魔物として」

ドラゴン「その一戦に儂自らが戦おう」

魔王「決まりだな。明日より勇者の禊《みそぎ》となる100の試合を始める!!」


観客「うおぉぉぉ〜〜!!」
観客「魔王様バンザーイ!」
観客「魔王様バンザーイ!」
観客「魔王様バンザーイ!」

魔王「実に愉快だ」

魔王「勇者のために、最後は命すら捨てることが出来るか見せてもらおう」
 
83 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2018/01/27(土) 12:21:16.50 ID:+qxayZ0A0
今日はここまでです

100試合やるよーからの最後にドラゴンと戦いますとする流れにもっていくだけですごい苦労しました
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/27(土) 16:56:49.05 ID:frY4qWzd0

最後はドラゴンと戦うのか…
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/28(日) 03:11:07.43 ID:TJRwmMevO
それだけでもう泣きそう
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/28(日) 03:32:50.01 ID:anaJFmDDO
87 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2018/02/25(日) 15:02:37.21 ID:hFpW//rA0
ごめん、歴戦古竜狩れたら一区切りつくと思うからもうちょっとだけ待ってほしい
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 00:59:52.78 ID:0iZJgRDDO
了解
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 01:09:38.65 ID:nHx/b/8OO
がんばれ
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 00:46:05.05 ID:gpNwN/uA0
一区切りついたので再開します
91 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 00:48:38.68 ID:gpNwN/uA0

【魔界闘技場 下層空間】

奴隷「すぅ…すぅ…」

コボルト「あう?」

姫「し〜〜♪」

コボルト「くぅん?」

姫「ふふ」ナデナデ

コボルト「はっ、はっ、はっ、はっ」パタパタ

姫「し〜、奴隷さんが起きちゃいますよ?」

コボルト「ァォッ♪」

姫「いい子ね」ナデナデ

奴隷「ん……、寝てた?」

姫「あ、目が覚めました?」ナデナデ

奴隷「」ワシャワシャ

奴隷「!!!!」ガバッ!

ゴーーーン!!

奴隷「ぐっ…がっ……」

姫「ぷは♪ すごい音でしたが大丈夫ですか?」

奴隷「姫?」

姫「はい、姫です♪」

奴隷「えっと……、なにしてん、です?」

姫「失礼だとは思ったのですが。ほんとに眠っているのは初めて見たので…」

姫「なにか違うところはないかな〜って、調べてました♪」

奴隷「違いなんかないです…。いつもと同じ、見飽きた寝顔です」

姫「ふふふ♪ それでは、そういうことにしておきましょう」
 
92 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 00:52:59.43 ID:gpNwN/uA0

姫「よいしょ」ペタン

奴隷「何故横に座った?」

姫「向かい合ったままが良かったですか?」

奴隷「いえ…」

姫「えへへ♪」

奴隷「なんでこっち見てんすか?」

姫「顔が見たいからです」

奴隷「へぇ…」プィ

姫「じ〜〜♪」

奴隷「・・・・」

姫「じ〜〜♪」

奴隷「」チラッ

姫「ふふ、がんばれ」

奴隷「な、なにを?」

姫「奴隷さんは頑張らないといけません」

姫「なんと言っても勇者の証明に100試合! 100回も勝たないといけないんです」

姫「と〜〜っても大変だと思います! だから、頑張ってください!」

姫「わたしも応援しますね!」フンスッ

奴隷「またその話か…」

姫「何か悩んでます?」

奴隷「…俺がこのままドラゴンの助けで勇者になったとして」

姫「ふんふん」

奴隷「そもそも俺は魔王を倒したいとか思ったこと無いし」

姫「ん〜」

奴隷「俺が勇者になる理由ってなんもないな〜…とか」

姫「そうかもしれません」

奴隷「やっぱりか〜〜」
 
93 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 00:59:05.79 ID:gpNwN/uA0

奴隷「やっぱ、俺ってなんもないんだよな〜」

姫「ふふ、ごめんなさいね。落ち込んでる人に優しくするのは簡単なんですが…」

姫「意地悪したくなりました♪」

奴隷「意外と意地が悪いんだな」

姫「そうなんです。良い子でいないといけないだけで、意外と意地が悪いんです」

奴隷「良い子って自分で言うか?」

姫「まあ、意地悪なわたしは置いといて。 ドラゴンさんの事は信じてあげませんか?」

姫「奴隷さんの事を息子のようだと思っているのは、たぶん本当のことだと思いますから」

奴隷「そうかね? なんか、ふざけてるんだか真面目なんだかわかんない奴だけどな」

姫「疑うならお父さんと呼んでみてください」

姫「きっと、喜んでくれますよ?」

奴隷「あんな大型爬虫類の父親なんていません」

姫「ふふ」
 
94 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 01:03:03.60 ID:gpNwN/uA0

姫「あ〜あ、奴隷さんがうらやましい」

奴隷「ほ乳類の父親がいるのに?」

姫「はい、わたしなんかより絆がある気がします」

奴隷「いやいや、姫は誤解してるだけ、ほんといい加減な奴だから」

姫「そうなんですか?」

奴隷「そうなんです。だいたい、色々やってくれる理由を聞いたらなんて答えたと思う?」

姫「さあ?」

奴隷「あいつが言うには恋に恋する少年少女の背中を押すのは大人の義務≠ネんだと」

奴隷「あり得ないだろ! 少年少女って!!」

奴隷「少年はともかく少女ってなんだよ!」

姫「・・・・」

奴隷「その言い方じゃ、相手のほうも好き……」

姫「相手?」

奴隷「みたいな?」

姫「好きな人が、いるんですか?」

奴隷「……いや?」
 
95 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 01:08:11.15 ID:gpNwN/uA0

姫「いるんですね! 誰なんですか!!」

奴隷「……誰だっていいじゃん」

姫「いいですが、よくないです!」

奴隷「どっちだよ…」

姫「それじゃあ、よくないです!」ズイッ!

奴隷「プライバシーの問題だから…」

姫「よ、く、な、い、で、す!!」ズズイッ!!

奴隷「か、顔が近い!」バッ!

ゴーーーン!!!

奴隷「ぐっ…がっ……また……同じとこ……」

姫「大変! 治癒魔法かけますね」

奴隷「いや、お構い無く…」

姫「ですが、頭を何度もぶつけたら心配になります…」

奴隷「傷薬でも塗っとくから…」

姫「そうです!傷薬といえば!!」

ド ス ン !!

衛兵「奇遇だな、傷薬なら私が持っている」ドッサリ

奴隷「うわぁ…。そんな大量にどうした?」

衛兵「気にするな、さあ軟膏から湿布までなんでもあるぞ?」

衛兵「なんだろうとわ、た、し、が≠ハってやるぞ」

奴隷「お、お構い無く……」

『チッ!』

ドラゴン「良い所で邪魔が入ったか…」ニョキッ

奴隷「どっこから湧いた!!」
 
96 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 01:14:36.69 ID:gpNwN/uA0

ドラゴン「どこからいたかとか細かい事は気にするな」

ドラゴン「儂が魔力を渡した時から感覚の一部を共有しておる」

奴隷「つまり?」

ドラゴン「遠くの会話から感情の変化ぐらいなら筒抜けよ」

姫「え?え?」

奴隷「おまえ、たま〜〜に恐ろしいことをサラッと言うよな」

ドラゴン「そう嫌な顔するな」

ドラゴン「疲労や外傷を一方が肩代わり出来るという利点もちゃんとある」

奴隷「そんな不吉な利点いるか!!」

姫「あの、そんなことより!」

奴隷「そんなことじゃないだろ!かなり重要なことだろ!」

姫「わたし達の会話、ずっと聞いてたんですか?」

ドラゴン「ええ、はじめから」

姫「!!!」

奴隷「姫?」

姫「は、恥ずかしい!!」カァァァ

ドラゴン「わかります、わかります。まわりに誰もいないと思って油断して、かなり素のご自分が出ておりましたからな」

姫「あわわ…」

ドラゴン「しかし儂のような大型爬虫類に聞かれたからと気に病むことは御座いません」

ドラゴン「人間の恋愛など所詮は理解出来ませんからな」

奴隷「意外と傷ついたのか?ごめん」

ドラゴン「なので今回はいっしょに聞いた衛兵殿に解説してもらいましょう」

衛兵「わっ、バカ! 姫様、私は何も聞いてないです!」

姫「あの!用事!大事な用事を思い出しました!だから、あの…」チラッ

奴隷「?」

姫「う〜…、失礼します!!」タッタッタッ
 
97 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 01:18:30.79 ID:gpNwN/uA0

ドラゴン「うむ、実に初々しいとは思わんか?」

奴隷「止めて!俺まで恥ずかしくなるから止めて!」

衛兵「ふん!」ドサッ

奴隷「重っ!」

衛兵「とりあえず集められるだけかき集めた傷薬だ。受け取れ」

奴隷「受け取れるか! 素人の俺が見ても高価な薬品も混ざってるだろ!」

衛兵「魔王様の命令により、明日から姫様はご自分の部屋から出ることを禁じられた」

奴隷「は?」

衛兵「姫様も今回の騒動に加担していると魔王様が疑いになっての処置だ」

奴隷「訳わからん、自分の娘だろ?」

衛兵「家族の絆など、無いからな…」

奴隷「・・・・」

衛兵「受け取れ、そして高価だろうがかまわず使って傷を治せ」

奴隷「よく運べたな、けっこう重いんだが」

衛兵「オマエも、ワタシをオトコみたいだと?」

奴隷「いやいや、まさか」

衛兵「冗談だ」フッ

衛兵「さてと、用事もすんだし姫様を追いかけるかな」

奴隷「なあ」

衛兵「ん?」

奴隷「傷薬ありがと」

衛兵「その感謝の台詞は姫に伝えよう」

奴隷「・・・・」

ドラゴン「どれ、ぶつけた所を見せてみろ。傷薬をぬってやる」
 
98 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 01:21:57.26 ID:gpNwN/uA0

奴隷「ん」グイッ

ドラゴン「あ〜、これは染みるかもしれんな」

奴隷「一気にやってくれ」

ドラゴン「痛ければ言え」

奴隷「なあ、ドラゴン」

ドラゴン「痛むか?」ヌリヌリ

奴隷「おまえが色々世話焼くのって…」

ドラゴン「気付いておるだろうが姫の為だ」

奴隷「…そっか」

ドラゴン「儂にとって姫は処刑される時に助けてもらった命の恩人でな」

ドラゴン「残念なことに、魔王は姫にとって良い父親とは言い切れぬ」

奴隷「そうだよな…」

ドラゴン「とは言え儂も歳だ。 脈が無ければ背中を押さぬぞ」

奴隷「それは、その…」ゴニョゴニョ

ドラゴン「うむ、勇者はもっと自信を持て」

奴隷「その…俺のこと……す、好きって……」モジモジ

ドラゴン「だが忘れてくれ」

奴隷「は?」

ドラゴン「勇者になるための理由がないと悩むなら仕方がない」

奴隷「ドラゴンさん?」

ドラゴン「他をあたるとしよう」ヨイショ

奴隷「ちょっと待った! 待て、出来た! 思い出した、勇者になる理由!!」ガシッ!

ドラゴン「くっくっくっ、そうこなくては話にならん」
 
99 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 01:24:37.35 ID:gpNwN/uA0

ドラゴン「良いか? 糞女神が勝手に決めた魔王を倒す勇者≠ノなんぞならんでいい」

奴隷「そうなのか?」

ドラゴン「そもそも魔王が存在するようになったのは魔界が出来てからの800年以降」

ドラゴン「だがな、勇者はそれ以前から存在する」

ドラゴン「儂が協力するなら当然真の勇者≠ニなってもらわねば」

奴隷「真の勇者…」

奴隷「それで? 真の勇者とはどんなやつなんだ?」

ドラゴン「うむ、真の勇者とは…」

奴隷「真の勇者とは?」

 ド ム ッ !

奴隷「ごふっ!」

ドラゴン「これだ」

奴隷「どれだよ? 俺の背中おもいっきり叩いただけだぞ!」

ドラゴン「解らぬか? 身分違いの姫君に想いを告げる者」

ドラゴン「それを古来より勇者≠ニ呼ぶのだ」
 
100 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 01:27:46.00 ID:gpNwN/uA0

奴隷「あほくさ」

ドラゴン「何がだ?」

奴隷「想いを告げたら真の勇者? ふざけんなら他をあたってくれ」ヨイショ

ドラゴン「まあ待て待て、ちょっと待て」ガシッ

奴隷「想いを告げるって告白しろってことだろ?」

奴隷「いや勘違いしてるみたいだが、別に好きとかそんなんじゃ…」

ドラゴン「照れるでない、初な少年にとって魔王を倒すより難儀だろうが儂がついてる」

奴隷「だから悩んでんだろ」

ドラゴン「よいか勇者? こういう事は古今東西、男からと決まっておるのだ」

ドラゴン「何を隠そう儂ら竜族も麓の村々から金銀財宝を奪い、巣穴を飾り付けるのはオスしかやらぬ」

ドラゴン「そして金色の巣穴と求愛の踊りを用意してこそ一人前」

奴隷「間違ってるのは生態系からか〜」

ドラゴン「何を言うか、永きに渡り人間の営みを見続けた儂ならば、恋愛にも精通しておるのは当然であろう?」

奴隷「人間の性別の区別もつかない癖に」

ドラゴン「は〜、儂が同族にどれだけモテたか知らんからそのようなことが言えるのだ」

ドラゴン「毎晩のように違うメスを巣穴に誘い、踊りあった遠い昔…」

ドラゴン「儂の自慢の巣穴の前では、どれだけ身持ちの硬いメスも朝になれば卵を残していったものよ…」

奴隷「…すまん、大型爬虫類の特殊な繁殖方法とかまったく興味ないから止めろ」
 
101 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/22(木) 01:31:44.28 ID:gpNwN/uA0

ドラゴン「ほう、ならば聞かせてもらおうか」

奴隷「何をだよ?」

ドラゴン「とぼけるな、姫のどこに惚れたかよ」

奴隷「はあ〜? 何で言わなきゃならねえんだよ!」

ドラゴン「まあ良いではないか。感覚感情はわかっても記憶の共有は無理でな」

奴隷「おい、むしろそこらついて詳しく聞かせろ」

ドラゴン「知りたいのだ。 儂の命の恩人の、どこに惹かれたのか」

奴隷「……笑わないか?」

ドラゴン「姫に誓って」

奴隷「……笑ったんだ」

ドラゴン「こうか?」ニィッ

奴隷「そういうんじゃなくて……。俺だって、相手が見下してんのかどうかぐらい分かる」

ドラゴン「ああ、なるほど。 確かに姫の笑い声に侮蔑は込められておらぬからな」

奴隷「・・・・」

ドラゴン「どうした?」

奴隷「やっぱ、言うんじゃなかった」

ドラゴン「くっくっくっ…、話してくれた事に感謝しよう。 やはり勇者は押しがいのある背中をしておる」

奴隷「くそドラゴン」

ドラゴン「はぁ〜はっはっはぁ〜! 拗ねるな拗ねるな!」

ドラゴン「見下してるかどうかぐらい、分かるのであろう?」
 
102 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2018/03/22(木) 01:34:42.63 ID:gpNwN/uA0
今日はここまでです
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 01:44:10.73 ID:crdEtf/DO

待ってたぜ!
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 11:20:44.74 ID:N3CHGZHG0
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 11:26:50.40 ID:6AqNdke/O

おかえり
106 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/28(水) 01:20:23.54 ID:dgPtRM4A0

奴隷「もう知らん! 話しかけるな」ゴロン

ドラゴン「やれやれ、拗ねた子供を物で釣るか」プチッ

奴隷「・・・・」チラッ

ドラゴン「とっておけ、いずれ使うことになる」

奴隷「ウロコ?」

ドラゴン「さよう、竜族のおとぎ話に竜鱗の剣≠ェある」

奴隷「これが剣?」

ドラゴン「古の時代、いくたの国々を滅ぼした邪悪な竜あり」

ドラゴン「荒ぶる竜に対し人々も結託、武器を手に戦いを挑む」

ドラゴン「しかし、あらゆる刃が竜の鱗を傷つける事なく人間側の敗北に終わった」

奴隷「ふんふん」

ドラゴン「生き残った僅かな人々もそのまま滅びるのを待つだけと思われた時、お節介な竜が現れ勇敢な若者に自らの鱗と助言を与えた」

ドラゴン「竜の鱗はあらゆる刃を通さぬ最強の鎧、ならば竜の鱗から最強の剣を作りなさい」

ドラゴン「かくして、助言に従った若者は鱗を研ぎ鋭い剣にし」

ドラゴン「竜鱗の剣は邪悪な竜の鱗を斬り裂き、竜を殺して平和な時代が訪れるのであった」

ドラゴン「以上が竜殺しについて語られた唯一の伝承になる」

 
107 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/28(水) 01:23:55.20 ID:dgPtRM4A0

奴隷「これがか?ナイフにしかならなさそう」チャッキ

ドラゴン「稀に周囲から逆らって鱗が生えることがあってな」

ドラゴン「それを逆鱗とよぶのだが、小振りなれど研ぎさえすれば切れ味は保証しよう」

奴隷「ふ〜〜ん…」

ドラゴン「疑うか?」

奴隷「いや、きれいだなって…」

ドラゴン「そうか?」

奴隷「ああ、明かりが透けてぴかぴか輝いてるよ」

ドラゴン「そうか、まあ機嫌が直ったならいい」クシャクシャ

奴隷「わ、なんだよ…頭に手をのせるな。重いんだよ」

ドラゴン「くっくっくっ、ところでお父さんなどと呼ばれてもこそばゆい」

ドラゴン「どうせ呼ぶなら親父にしてくれ」

奴隷「なっ! 誰が呼ぶか!!」

ドラゴン「どれ、息子の恋路の手助けをしてやるかな」

奴隷「うっさい!」

ドラゴン「何せ限られた時間は少なく、教えることは膨大だ…」

奴隷「そうなのか?」

ドラゴン「うむ、格闘、剣術、魔法に一般常識まで」

ドラゴン「竜の魔力を制御する術を学べば、儂との感覚を共有することもなくなるだろう」

奴隷「それだ!それが一番大事!魔力の制御を教えてくれ!!」

ドラゴン「だが明日の試合に勝たねば未来はないぞ?」

奴隷「ぐっ」

ドラゴン「まずは、大振りな一撃をかわして剣を突き刺すことから始めよう」
 
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 23:52:33.67 ID:VZbbcL3A0
109 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/29(木) 00:20:54.85 ID:3S9dD0TA0

【初戦 闘技場】

道化「レディースあ〜んどジェントルメン!!」

道化「さあ、100試合もあるんだ!巻いていこうか!」

道化「初戦の相手は山羊の頭部に獅子の体躯、おまけに蛇の尾を持つ合成魔獣」

道化「キマイラの登場だ!!」

キマイラ「メエェェェ!!!」

ドラゴン『いいな、大振りな一撃をかわして剣を突き刺す』

ドラゴン『ひたすら避けて一瞬の勝機を逃すな』

奴隷「わかってるよ!」チャキッ
110 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2018/03/30(金) 00:29:22.22 ID:0DiYeKCA0

【5試合後 下層空間】

ドラゴン「ゆっくり行くからちゃんと避けろよ〜」

奴隷「あいよ〜」

ドラゴン「右からの大振りな一撃」

ブオン!

奴隷「避けて」サッ

ドラゴン「尻尾の追撃」グォッ!

奴隷「お?」

ドゴッシャ!!

奴隷「へぷーーーっ!!」

ドゴーーン!!

奴隷「」ピクピク

ドラゴン「当然だが知性がある相手であれば懐に入ることも簡単にはいかん」

ドラゴン「今日からはそういった相手の対処法を詳しく教えるのだが……」

奴隷「」クッタリ

ドラゴン「生きとるか?」

奴隷「ご……」

奴隷「5分待って……」
 
111 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2018/03/30(金) 23:56:24.33 ID:0DiYeKCA0

【10試合目 闘技場】

道化「レディースあんどジェントルメン」

道化「今日の相手は魔界最大の妖魔」

道化「単眼の巨人、ギガンテスの登場だ!!」

ギガンテス「ぐおぉぉぉ!!」

ドラゴン『気を付けろ、棍棒に当たればひとたまりもないぞ』

奴隷「わかってるよ!」ダッ

ギガンテス「ぐぉっ!」

ブオン

奴隷「避けて」

ドラゴン『蹴りが来る!!』

ガキーーン!!

奴隷「くっ」

ドラゴン『焦りすぎだ。教えたことだけやれば良い』

奴隷「たまには人間の戦い方も、見せてやるよ」ダッ

ドラゴン『あ、バカ』

奴隷「振り下ろしの一撃を…」ダッダッダッ

ギガンテス「ぐおぉぉぉ!!」

奴隷「かわして!」

ドシャーーン!!

奴隷「棍棒から腕まで一気に駆け上がって顔面ど真ん中」ダッダッダン!!

奴隷「そのでっかい目ん玉をぶん殴る!」

メシャ!

ギガンテス「ぐあぁぁぁ」
 
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/31(土) 15:22:56.34 ID:aRHF7S1xO
がんばれがんばれ
113 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/03/31(土) 23:51:37.55 ID:1nr26hVA0

【19試合後 下層空間】

ドラゴン「たまには違う者とも戦え」

ゴブリン「いっくぜぇぇ!!!」

奴隷「右下方からのすくい斬り」

ガキン

ゴブリン「やるな!だがまだまだぁ!!」

ガッガッガッガッガッ!!!

奴隷「上段斬りが腰にくるのか。極端な低身長も武器になるな…」

奴隷「そして本命の…」

オーガ「そろ〜り」

ブオン!

奴隷「死角からのオーガの奇襲」

サッ

オーガ「おりょ?」

ゴブリン「ブッブー、ハズレだ」

ベチャ

奴隷「き?」

ゴブリン「本命は、厨房でくすねたタバスコを主成分とした特性目潰し=v

奴隷「きえぇぇぇぇ!?!?!?」ゴロゴロゴロ

ゴブリン「ま、弟に本命やるほど妖魔が出来てないんでね」

奴隷「きえぇぇぇぇ!!!!!」ガリガリガリガリ

ゴブリン「おおっと! つなぎに松ヤニ使ってっからな、なかなか剥がれねえだろ?」

奴隷「ぎえ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙!!!!」

ゴブリン「まっ、もっとも?剥がれたころには腫れて三日三晩はマトモに見ることなんか出来ねえだろうがな!」

オーガ「兄ちゃん…」

ゴブリン「おうよ! 勇者の連勝20を前に俺達が止めてやったぜ!!」

オーガ「目が見えないで明日の試合どうする?」

ゴブリン「あ」

奴隷「」ピクピク
 
114 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/02(月) 00:58:43.63 ID:KKzN3qYA0

【20試合目 闘技場】

ドラゴン『前に話した感覚の共有を覚えているか?』

奴隷「ああ…」

ドラゴン『つまりだ、目が見えぬとも体内の魔力を制御することで儂の視界から見ることも可能なのだ』

奴隷「・・・・」

ドラゴン『見えたか?』

奴隷「いや、まったく」

ゴブリン「あぶねえ、上だ!!」

ドゴーーン!!

道化「レディース、あ〜んどジェントルメン!」

道化「はやいもので今日勝てば全試合の5分の1を終了」

道化「なんで恥らいもなく物量で攻めさせてもらいました!」

ボストロル×20「「「ゴオォォォ!!!」」」

奴隷「だけどさ……」

ゴブリン「回り込まれるぞ! もっと下がれ!!」

オーガ「左に来た!」

奴隷「だけど負ける気はぜんぜんしないんだ!!」

オーガ「今だ!」

ザシュ!

ボストロル「フゴッ!」

ゴブリン「バッカ野郎!後ろに逃げろってんだろ!!」

オーガ「囲まれた、右が少ない」

ゴブリン「う、し、ろ!!」

コボルト「わんわん!う〜わんわんわんわん!!」(興奮)

奴隷「でも指示は統一してくれ!!」
 
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 01:54:28.02 ID:8adrdy+DO
wwwwww乙
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 07:54:24.90 ID:zeu2bTrx0
117 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/08(日) 00:33:02.40 ID:9HG7st7A0

【30試合後 下層空間】

ドラゴン「渾身の一撃」

ブオン!

奴隷「受け流す」

ガギッ!

ドラゴン「尻尾の追撃」

奴隷「避ける」サッ

ドラゴン「テンポを上げて連撃」

奴隷「了解」

ガッガッガッガッガッ!!

ドラゴン「随分と出来るようになったではないか」

奴隷「お陰さんで」

ドラゴン「よしよし、ではそろそろ本気を見せよう」

奴隷「お?」

ドラゴン「渾身の一撃」

ブオン!

奴隷「特に変わらんけど盾で受けるぞ?」サッ

ドラゴン「そしたら掴んで」ムンズ

奴隷「お?お?」

ドラゴン「壁に叩きつける」

ドグッシャ!!

奴隷「ぐへっ!」

ドラゴン「人間達には柔よく剛を制す≠好む傾向があるが」グリグリグリ

奴隷「ぐふっ、放せ…」

ドラゴン「儂はそれと対になる剛よく柔を断つ≠ニいう言葉が好きでな」

奴隷「潰れる…」

ドラゴン「今までは儂の教えでなんとか勝ててはいるが、魔物の圧倒的な暴力の前に一瞬で逆転もおこりうる」

奴隷「中身でる!」ジタバタ

ドラゴン「さあ、その時はどうする?」

奴隷「放せ!」グググッ

ドラゴン「正解」ポイッ

奴隷「うぉ!」どさっ!

奴隷「いった! なにが正解?」

ドラゴン「時には剛で断つことも覚えろって話だ」
 
118 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/08(日) 00:35:18.66 ID:9HG7st7A0

【40試合後 下層空間】

奴隷『しりとり…』

ドラゴン『りんご』

奴隷『ご、ごま』

ドラゴン『孫』

奴隷『また、ご? ご…ご…午後!』

ドラゴン『碁』

奴隷「あ〜もう止めた!!」

ドラゴン「はい、儂の勝ち」

奴隷「ご攻め止めろ!」

ドラゴン「碁で断つ」

奴隷「ふざけてるよな?」

ドラゴン「何度も言うが念による会話は難しい。特に頭を使う場合はな」

ドラゴン「だがこれも感覚の共有の一種だからな、魔力制御の訓練になる」

ドラゴン「魔力制御を怠って、竜になって戻れませんとか笑うに笑えんからな」

奴隷「じゃあ、ご攻め止めたら続ける…」

ドラゴン「わかったわかった…」

ドラゴン『次は、ぎ攻め』

奴隷「うわ〜ん」
 
119 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/08(日) 00:37:33.61 ID:9HG7st7A0

【50試合 下層空間】

ドラゴン『そら、右からの連撃!』

ガッガッガッガッ

奴隷「竜の背中の二枚の翼の真ん中の…」

ドラゴン『盾に頼りすぎると肝心なところで割れたりするぞ』

ガキン!ガキン!

奴隷『硬い鱗のわずかな隙間』

ガキン!ガキン!ガキン!パキッ!

奴隷「体内の火炎袋から心臓までを貫く竜の急所」

ドラゴン『通称、竜穴』

ドラゴン『教えた急所を狙うのも良いが、そろそろ盾が割れるぞ?』

奴隷「気にすんな」

バキッ!

奴隷「魔力で作った分身だからな」ドロッ

ドラゴン『知っとるぞ?』クルッ

奴隷「お?」

ドゴッ!

奴隷「ぐほっ!」

ドラゴン『教えたことを実践するのも良いが、バレバレだぞ?』

奴隷「気にすんな…」
 
120 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/08(日) 00:39:35.68 ID:9HG7st7A0

【60試合後 下層空間】

ドラゴン『また、右からの連撃!』

奴隷『右右左右尻尾上からの叩きつけ…』

ガガガガガキンサッ

ドラゴン『噛みつき!』

グワッ!

奴隷『そのアゴを蹴り飛ばす!』

ミシッ

奴隷『当たった!』

ドラゴン『足を掴んで』

奴隷『お?』

ドラゴン『振り回して』

ブンブンブンブンブンブン!!

奴隷『おおおおおお』

ドラゴン『投げ飛ばす!』

ドゴーーーーン!

奴隷「」

ドラゴン「ふむ、まともな攻撃を受けたのははじめてか…、着実に進歩しておる」

奴隷「…壁から抜けない」

ドラゴン「なんだなんだ? 壁に埋まるなどボストロル戦いらいではないか…」

ドラゴン「進歩がない」

奴隷「うっさい」
 
121 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/08(日) 00:44:12.50 ID:9HG7st7A0

【70試合目 闘技場】

奴隷「横っ面を蹴り飛ばす!」

シュバッ!

上級騎士80「ぐふっ」

どしゃ

道化「おおっと!親衛隊100人で挑んで、今のでちょうど80人目がノックダウン」

道化「このまま親衛隊100人斬り達成なるか!!」

上級騎士81「させるか!」

ガガキン!

奴隷「81…」

ザン!ザシュ!

奴隷「82…、83……」

上級騎士84「あきらめるな!我々は壁際に追い詰めてる」

ドカッ

奴隷「84」

上級騎士85「このまま包囲するぞ!」

ゲシッ

奴隷「これはノーカン」

上級騎士85「俺を踏み台に…」

奴隷「包囲の頭上を飛び越える!」

上級騎士86「こっちきた!」

奴隷「これで85」ゴスッ

上級騎士87「調子にのるなぁ〜〜」

ガシッ!

奴隷「しまった!」

上級騎士87「捕まえた! このままぶっ殺せ!!」

上級騎士88「うおぉぉ!」

ザクッ!

上級騎士「ぬおぉ!!」

ザクッ!ザクザクザクザク

奴隷「」

上級騎士「ぜぇ…ぜぇ…」

上級騎士「どうだ?」

奴隷「残念、分身だ」ドロッ

上級騎士「なにぃ!?」

奴隷「集まったとこ悪いが、一発で決めないと後でうるさいんだ」コオオォォォォ!!!

上級騎士「散れ!」

奴隷「おせえよ」

奴隷「ドラゴンブレス!!」カッ!
 
122 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/08(日) 00:45:50.42 ID:9HG7st7A0

【80試合後 下層空間】

ドラゴン「温い!!」

ドゥッ!!

ドラゴン「渾身の一撃」

奴隷「防いで」

ドラゴン「かまわず振り抜く」

ガキーン!

奴隷「後退して」ザザー

ドラゴン「逃がさず追撃」

奴隷「その攻撃を、殴りかえす!!」

バゴッーーン!

ドラゴン「ぐぅ、見事だ」

奴隷「行くぞ!!」

奴隷「こっからは殴り合いだ!!」
 
123 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/08(日) 00:47:19.54 ID:9HG7st7A0

【90試合目 闘技場】

側近「ぬあぁぁぁ!! 二十五連・爆裂魔法!!」

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

奴隷「効くか!」ダッ!

側近「結界!」

ピキーン!

奴隷「今さらこんなもの!」

ドゴッ!

パリィーーン!

側近「ひぃぃ、こっちに来るなぁ〜〜!!」バチバチ

奴隷「その大振りな一撃を」
 
124 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/08(日) 00:49:08.18 ID:9HG7st7A0

【98試合後 下層空間】

ドラゴン「大振りな一撃を」

奴隷「かわして」

ドラゴン「かわさせて」

奴隷「剣を」チャキッ

ドラゴン「剣を…」

奴隷「突き刺す!」

ドラゴン「突き刺せ!」

ザシュ!

 
125 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/08(日) 00:51:38.80 ID:9HG7st7A0

【99試合目 闘技場】

道化「レディース、あ〜んどジェントルメン!!」

道化「な〜んて、言うとでも思ったか? この恥知らずの薄情者ども!!」

道化「おまえら全員はした金を誰に賭けたか言ってみろ!!」

観客「「「ユ・ウ・シャ!!!」」」

奴隷「」グッ

観客「行け勇者!」
観客「負けんなよ勇者!」
観客「お前に賭けたんだからな」

道化「僕も賭けたぞ勇者さま!」

観客「ユウシャ!」「ユウシャ」
「ユウシャ!」「ユウシャ!」「ユウシャ!」
「ユウシャ」「ユウシャ!」「ユウシャ!」

道化「さぁ、今日勝てばいよいよ明日は大詰め。 最後の山場」

道化「残す試合は、あと1つ」
 
126 : ◆VTkGRpPzmUQh [sage]:2018/04/08(日) 00:55:12.01 ID:9HG7st7A0
今日はここまでです

モンハン第二アップデートまでには更新したいと思います
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 01:28:46.81 ID:2Mu4vjkDO

予定は未定って認識で良いんだな?
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 01:29:49.41 ID:mDvxhf7QO

師弟関係熱い
129 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/19(木) 00:14:41.12 ID:dvLrF4HA0

衛兵「姫さま、お部屋にお戻りください」

姫「い〜や」トタトタ

衛兵「姫さま〜」

姫「お願い、ちょっとだけでいいんです。民の声が聴きたいの」

観客「なぁ、明日の試合どっち勝つと思う」
観客「あ〜?そりゃドラゴンよ」
観客「でもよ、あいつらグルなんだろ?」

姫「・・・・」キョロキョロ

観客「だから勇者の勝目があるってんだろ」
観客「そしたら勇者誕生だな!」

「うおぉぉ!ユウシャ!」
「ユウシャ!」「ユウシャ!」「ユウシャ!」

姫「ふふ、ユウシャ〜♪」

側近「んん!げふん!げふん!」

衛兵「ひ、姫さま?」

魔王「・・・・」

姫「お父さま……」

魔王「部屋から出るなと、命じたはずだが?」

姫「申し訳ありません……」

魔王「だがちょうどいい、あの浮かれきった民を観てみろ」

魔王「あの者達は奴隷が少し勝ったぐらいで余を倒せると本気で信じている…」

魔王「実に滑稽だとは思わんか?」

姫「・・・・」

魔王「黙ってしまったのは姫も同類だからか?」

姫「いえ…」
 
130 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/19(木) 00:18:41.73 ID:dvLrF4HA0

側近「んん、ところで姫さま! アレはどうしましたかな?アレですぞアレアレ!」

姫「アレ?」

衛兵「あ〜〜!! アレだろ?アレアレ?」

姫「アレ?」

側近「そ〜アレアレ!」シッシッ

衛兵「アレアレ!」グィッ

姫「アレってなんです?」

側近「魔王様、姫さまには急な用事がアレのようでして」

衛兵「はい、私が責任を持って、お部屋にお連れします!」

側近「アレですからな!」バイバ-イ

姫「アレってなんですか〜〜?」ズルズル

側近「いや〜アレだった〜〜」フー

魔王「ところで、道化の報告によると奴隷の対戦相手を姫に漏らした粗忽者がいるらしい」

側近「はうあ!!」
 
131 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/19(木) 00:22:29.86 ID:dvLrF4HA0

魔王「その粗忽者は終いには自らの手の内までさらしたらしい」

側近「お、お、お許しを…」

魔王「かまわん、もとより今の奴隷を倒せるとは微塵も思ってなかった」

側近「ほっ」

道化「あれ?そんなもんで許すんですか?」

側近「道化!何時から!?」

道化「万が一、勇者が100勝しちゃったりしたら反魔王の気運が高まっちゃいますよ?」

魔王「かまわん、刺激もない単調さに飽きてきたところだ」

道化「アレアレ? 姫さまも一枚噛んでるのに同じこと言えます?」

魔王「衛兵経由で情報がもれてる件か?」

魔王「若者は濁流を好み、大衆は若者が濁流に呑まれるのを好むものだ」

魔王「ならば余興として若者を濁流に突き落とすのも統治者としての務めだ」

道化「流石です魔王様、余興のためなら娘だろうと濁流に突き落としてみるそのお考え」

道化「なかなか出来るモノではございません」

側近「ど、道化よ、魔王様にそれはあまりにも無礼…」

魔王「ふふ、白状しよう」
 
132 : ◆VTkGRpPzmUQh [saga]:2018/04/19(木) 00:25:51.68 ID:dvLrF4HA0

魔王「余には野心と、野心のためにと温めてきた計画がある」

魔王「しかしいささか、計画にばかり心を囚われ余裕を無くしていたようだ」

魔王「遠方を見るが故にドラゴンに足元をすくわれ、醜態をさらす結果となった」

魔王「……言い訳にしかならんがな」

側近「そのようなことは…」

道化「ほんと、カッコ悪かったよね〜〜」

魔王「ふっ、確かに」

側近「道化!それはあまりにも…」

道化「ですがお気になさらず。これまでの失態も勇者のターンだっただけにございます」

魔王「そうだ、勇者となるならなればよかろう」

魔王「待ち構え、100戦目の決着がつき次第ドラゴンもろとも潰して終わりだ」

道化「そうですとも、終わっちまえばなんてことありません」

道化「耐えて凌げば、魔王様のターンでございます」

魔王「ふふふ、相変わらずよくまわる舌だ」

道化「恐悦至極」
 
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