【艦これ】 続 外地鎮守府管理番号88

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202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/12(土) 00:47:37.16 ID:s6Hdwak90

その後、チームが結成してから暫く。

彼女達は民間からの仕事を請け多額の報酬を得ていた。



卯月「金剛ネキは砲撃準備!」

卯月「雲龍はタンカーの艦橋を攻撃準備!停船しなかったら爆撃!」

卯月「天さんは護衛艦娘に停船勧告及び退避勧告を複数チャンネルかつ平文で!」

卯月「後で聞いていないなんていわれないようにね!」

卯月「加古ちゃん!」(無線)

加古「あいあいよー、雪風とお客様をエスコートしてるよー。」(無線)

卯月「やるぴょん!」



ザッザリザリザリ

卯月が拡声器をもってタンカーへ向けて停船勧告を行う。
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/12(土) 00:49:14.19 ID:s6Hdwak90


「あっ、あぁー……。こちら○×カンパニーの債務取立てを頼まれた

 88鎮守府所属卯月ぴょーん。」

「○○国保有××資源公社への○×カンパニーの投資資産を

 ○○国政府が行った強権的国有化に対し国際刑事裁判所が

 ○×カンパニーへ対抗措置を認めた為、貴船を差し押さえするぴょん。」

「停船しない場合は軍事行動が認められているぴょん!

 なお!捕虜の取り扱いについては投降した場合において

 ジュネーブ条約における捕虜、民間人の取り扱いに基づき丁重に取り扱うぴょん!」

天龍「卯月、ありゃ停まるかね?」



タンカーは停まる素振りを見せず寧ろ海賊と判断したか増速する選択をしたのか煙突からは黒煙が上がり出す。



卯月「ネキ!ブリッジの端をやっちゃって!」

金剛「Yes!死ねやぁ!」



戦艦の砲撃が見事に決まり轟音と共に艦橋の端が吹き飛び脅しではないと判断したタンカーは停船した。



卯月「まぁ、航行に支障はないでしょ。」



そして、数十分の後、プレジャーボートより少し大きめのボートが雪風と加古の護衛つきで近づいてくる。
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/12(土) 00:51:13.07 ID:s6Hdwak90


「いやぁ、お嬢さん達すごいねぇ。おじさん感心しちゃったよ。」

卯月「あんたが○×カンパニーの代理人?」

「と、これは失礼。私、蔵王の柳と申します。」コレメイシ



眼鏡をかけたいかにもジャパニーズビジネスマンと言った風体の男が畏まった様子で名刺を指しだす。



卯月「へぇ、超大手の総合商社じゃん。いつから町金の真似事を?」

柳「いやね。差し押さえた石油製品。まぁ、ナフサなんだけどね。」

柳「差し押さえの実行部隊に後の護衛も

  うちが手配するから割引価格で一部債務譲渡して貰ったんだよ。」

卯月「日本の総合商社は利益が出るなら悪魔とでも商売しそうだね。」

柳「おたくの明石さんと私が個人的に知り合いじゃなかったらうちも買わないよ。」

柳「もう少ししたらうちが手配したボースン達が来るからもう少し待って貰える?」

柳「後、出来れば次の目的地まで護衛をお願いしたいかなぁと。」ニコニコ

卯月「うーちゃん達の仕事はここまで。後は追加料金。」

柳「5000ドル。」

卯月「一人に付き2万。」



その後、暫しの間、価格交渉が熱く行われ。



卯月「12500。これ以上はビタ一文もまけないぴょん。」



降参と相手が両手を挙げて見せた事で交渉終了。



卯月「お宅はいい取引をしたぴょんよ?」

柳「そうありたいね。」

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/12(土) 00:52:25.84 ID:s6Hdwak90

鎮守府埠頭



卯月「今日も儲けた!」

金剛「卯月が商売上手なおかげで儲かるネー。」

天龍「このまま行けば来月には俺はここを卒業出来るぜ。」

卯月「またチームメイト集めはだるいから天さん契約延長してよぉ。」

天龍「金は十分稼いだからな。お断りするぜ。」

卯月「また軽巡探しかぁ。」

金剛「私も順調に稼げてるネー。でも、もう暫くは世話になるヨー!」

卯月「ネキ。愛してる。」



護衛を終えた一同は夜も遅くに帰ってくる。

そして、そんな一同を待ちわびたかのように提督は港で待っていた。



提督「全員お疲れ。

   お前さん達が現地で請け負った護衛の報酬払い込み確認の紙を持って待っていたぞ。」

雲龍「ありがとうございます。」

雪風「しれぇ!ありがとうございます!」

提督「礼にはおよばんよ。出番が欲しいだけさ。」ユキカゼノアタマナデナデ

提督「後な、今月のチーム別戦果ランキング1位の報酬だ。

   休暇3日もしくは1000。好きなのを選べ。」



そう言い残し提督は各書類を卯月に渡し去っていった。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 00:53:50.43 ID:z9suzpUxo
ELANも懐かしいな
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/12(土) 00:54:00.04 ID:s6Hdwak90

卯月「ここはなんだかんだで艦娘が優遇されているよね。」



去り往く提督の後姿を見送りなんとなく出た感想。



雪風「しれぇは艦娘をぞんざいに扱って後ろ弾くらう愚を冒すより

   気持ちよく働いてもらって戦果をあげた方が賢いって

   以前お話をした際に雪風に語ってくれました!」

金剛「確かにその方が賢いネー。ここの提督は信賞必罰がしっかりしてるヨ。」

加古「あぁ、賢い。あたしが前に居たところなんか働いても働かなくても最低保障があったもん。

   それならだらだらしていた方がずっといいってなる。」

加古「でもここは戦果稼がないと即あの世だからね。

   まぁ、あたしは志願で好んで来た口だから稼げるここの仕組みは大好きだね。」

天龍「俺なんかやる気はあっても旧型で非力だからってことで前線に出してもらえなかったからな。」

天龍「自分で戦場を選べて尚且つがっつり稼げる。前の糞鎮守府から比べれば天国だ。」

天龍「んでもって現場での裁量がでかいから

   今日みたいに追加の仕事もその場の自己判断でいけるからありがてぇ。」

加古「確かにねー。普通だったら鎮守府に連絡して許可貰ってーって感じで時間掛かるよねー。」

加古「ただ、本当に実力がないと生き残れないけどね。」

金剛「確かにその通りデース。指示を貰う事に慣れているとここでは生き残れないネ。」

金剛「雪風は提督との付き合いがここに来る前からあったと聞きましたが

   此処に来る前はどんな提督だったデス?」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/12(土) 00:56:30.47 ID:s6Hdwak90

雪風「負けもありましたが大きな負けはなかったです!」

卯月「………。」

金剛「………。」

天龍「まぁ、常に勝ち続ける提督なんていねぇわな。」

加古「どうせ、なんかやらかして左遷くらったんだろうと思っていたけど

   負けがあるんなら意外と並の提督なのかもね。」



雪風の言った言葉の意味を金剛と卯月は正しく理解。



金剛(被害を最小限に抑える、被害を数字で考えられる提督デスか。)

金剛(優秀ゆえに上に煙たがられたタイプですネー。)

金剛(更にいえば、ここに左遷される原因となったのも

   大きな負けをした訳では無いというのが別の原因がある事を物語ってるデース。)

卯月(数字の先にある命を敢えて無視出来るタイプかぁ。怖いタイプだね。)

卯月(戦略参謀でもやっていたのかな。触らぬ神になんとやらだねぇ。)

卯月「それじゃぁ今日は解散で!明日もよろしくぴょーん。」

雲龍「あの、こんなにお金いただいてもいいのでしょうか?」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/12(土) 00:58:19.55 ID:s6Hdwak90

ようやっと声を上げたのは先程まで提督から渡された振込み通知書に書いてある金額に目を回していた雲龍。



卯月「おぅ。何事かと思ったぴょんよ?」

金剛「雲龍は志願だったネー。」

雲龍「あっ、はい。弟妹達を食べさせるために志願したのですが

   お金がとても足りなかったのでより稼げると聞いてこちらへ来ました。」



ずびしっとでも音が聞こえてきそうな勢いで手をあげ此処へきた理由を述べる雲龍。



金剛「弟妹達の生活費稼ぎ。大変ネー。」オウ

雲龍「はい、ですが稼ぎ頭のチームにお誘いいただきありがとうございます、です!」



ぐぅ〜。



卯月 ブホッ

加古 ブハハ

雪風 クスクス

雲龍「あっ。」



照れて赤面する雲龍。



卯月「あっ、あぁー、うん。ごめん、なんか意味不明の笑いが。」フフフッ

天龍「酷い。」フフフフ

卯月「食堂は只なんだからしっかり食べないと。」

加古「でも時間が夜8時までなんだよね。

   夜間作戦の時が閉まってて自販機しか使えないのが辛い。」

天龍「あー、それな。しかも週に1回全休の日があるのがなぁ。味はいいのに。」

金剛「Oh、今日は全休だったネー。調理士増やして欲しいデース。」

雪風「お腹が空いたです……。」



そして、全員の視線が卯月に注がれる。
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/12(土) 01:00:01.75 ID:s6Hdwak90

卯月「仕方ない。うーちゃんが飯を作ってあげるぴょんよ?」

卯月「ヌーベルキュイジーヌ、特と味わえぴょい。」

金剛「卯月はキャラがぶれぶれネー。」

加古「まっ、余所の卯月と根本から違うよね。」

卯月「ここは演技しなくて素でいれるいい所だと思うよ。

   後、料理はフレンチ以外もいけるから好きなの注文してね。」

卯月「無理なのは作らないだけだから。」

金剛「oh、せめて無理の一言は欲しいデース……。」

天龍「あー、これは作れない料理とか頼むと

   最後まで出てこなくて空きっ腹抱えないといけなくなる奴だ。」

雪風「そういえば卯月さんは煙草辞められたのですか?」

卯月「もともと極々たまーになんとなく吸ってただけだしね。」

卯月「それにいつまでたっても美味しく感じられないし。」

卯月「司令官はあんな糞まずい草の塊を好んで吸ってるけどね。」



そこで何か思い出したように言葉を切る。



卯月「いつぞや貸した携帯灰皿はあげるって司令官に伝えておいてよ。」

雪風「はい!雪風了解しました!」

雲龍「お料理、楽しみです。」



こうして料理上手のリーダーがいる『 チーム兎さん 』はより結束を強めるべく食堂へ向け抜錨したのだった。
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/12(土) 01:01:45.48 ID:s6Hdwak90

執務室

提督「………そろそろか?」

不知火「申訳ありません。」

コトッ

提督「カップ麺。」

不知火「申し訳ありません。」



席を立ち給湯室の台所を覗こうとすると全力で阻止されそうになるが。



提督「んっ………。」



フライパンの上には卵焼きを作ろうとしたのか失敗したなにか。



提督「そぼろにして刻み海苔を作って、そうだな。挽肉があっただろ。」

提督「三色丼でも作るか。」

不知火「!」

提督「不知火が手伝ってくれたからな。きっと美味いだろうさ。」

不知火 ぬい!

提督(部下の笑顔はPriceless か……、買えるものなら千金積んでも惜しくはないな。)



うきうきと提督の手料理を、箸を握りながら待つ不知火の姿をみてそんな益体のない事を提督は考える。

明日をも知れぬ命なら今を楽しむ事が大事だとある古参の艦娘は言った。

それぞれが食事への思いを馳せながら激戦区の夜は更けてゆく。
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 01:09:39.55 ID:s6Hdwak90
以上で本日の更新終了でございます
蔵王の柳に気付かれるとは恐るべし、割とマイナー作だと思ってたのですが
関係ないですが応援させていただいていた方の艦これ2次が無事に新スレたってて一安心の今日この頃です
更新の間がかなり空くかただったので立ってくれぇと念じていたのは内緒
イチャコラ成分の少ない物は書き手が少ないと思うのですが皆様はどう思われますでしょうか
ビバップとかブラックラグーンみたいなのを書く、書こうとしてエタるのはたまに見るのですが
需要はあれど供給が少ないのがなぁ……と思ってしまいます(自分でやれと言われそうなのがまたなんとも)
いつも感想、乙のレスいただきありがとうございます
SS速報自体が過疎なんて事もたまに聞きますがこれからも可能な限りは更新を続けてまいりますので
今後とも宜しくお願いいたします
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 01:39:12.33 ID:ApEJ5A6A0
おつおつ
商魂の逞しさとえぐさに笑ったw
次回が怖いなあ…
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 10:06:13.41 ID:ALDA5f5LO
うーちゃん料理食いたい
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 18:32:39.31 ID:/5RZSnR70
火付けの柳キタか!

……ELANの柳さん蔵王だったか。
ジェントル萬での活躍は認識してたけど、ガッデムには不参加だったのはその影響かよ

次はクレオパトラかアイリーンあたりが出てくれるのかな?
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 19:05:31.16 ID:3lu/pmZUo
正確には『座』王だわな
砂の薔薇は相性よさそうだけどアメリ艦娘で固めるか、国内でまとめるか悩ましいな
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 11:44:00.45 ID:FugZg+KIO
蔵王… キツネ村行きテェ
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:24:45.40 ID:7jmJC1/U0
ナチュラルに座王を蔵王と勘違いしておりました、読者の皆様申訳ありません…
書く前に読み直しておけという話ですね……
相変わらずのぐだぐだですが、今日の更新もお時間宜しければお付き合い下さいますと幸いです
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:25:42.76 ID:7jmJC1/U0

第九話 嘘つき兎と泣き虫駆逐艦 後編

220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:26:23.25 ID:7jmJC1/U0



以下の者 ポイントD-97にて撃沈の為除籍手続きを行うもの也。

艦娘名 卯月 

2×××年○月×日 外地鎮守府管理番号88より除籍

敵魚雷4本を被雷し航行不能となった所を敵集中砲撃にあい撃沈

艤装登録番号 8-8-U-so800 製造番号 a-L-I4ve5963 両番号を同日付で抹消



221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:28:03.86 ID:7jmJC1/U0


提督「と、終わりかな。」

不知火「艦隊司令部へ送る今月の戦死報告書を受け取りに来ました。」

提督「あぁ、丁度まとめ終わった所だ。これも頼む。」

不知火「今月も多いですね。」

提督「金持ちだろうと貧乏人だろうと教皇だろうと麻薬の売人だろうと。」

提督「死だけは平等に訪れる。」

提督「仕方の無いことだ。」

不知火「その……。」

提督「あぁ、まぁ、その何だ。淡泊と言いたいんだろ?」

提督「感覚が麻痺してくるというより淡々と処理した方が哀しみというのは少ないものだ。」

提督「嘆いても死者は帰らない。俺に出来るのは忘れない事だけだ。」

不知火「不知火も忘れない、いえ、忘れません。」



鎮守府埠頭


提督「チームに居た者は雪風以外みな本土へ帰還か。」

提督「五体満足でここを出られるのは喜ばしい事だ。

   生きている喜びを噛締めてくれ。」

金剛「提督の呼びかけならいつでも応じるネ。」

提督「そういって貰えると嬉しいが此処には二度と来るな。俺が言えるのはそれだけだ。」

提督「志願にしても金を必要分稼いだら自分から地獄を覗くような真似はするな。」

天龍「なんつーか面白い提督だよな。」

加古「提督に最初に会えていたらと思うよ。」

天龍「それな。」

提督「ここでの事は忘れろ。全ては邯鄲の夢だ。良いも悪いも夢だ……。」

雲龍「提督。」

提督「卯月からの頼まれだ。あいつの残した金は全て雲龍に渡してくれと言われている。」

提督「あいつは身寄りが無くてな。雲龍の弟妹への生活費に当ててくれだそうだ。」

提督「それなりの額がある。受け取ってやってくれ、それがあいつへの手向けになる。」

提督「死者に囚われるな。……、俺が言えた台詞じゃないがな。」



そういい提督は鎮守府から日本本土への定期船便が来るのを待ち、

それへ乗り込む一同を見送り執務室へと踵を返したのだった。


222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:30:06.68 ID:7jmJC1/U0


執務室

雪風「しれぇ。」

提督「雪風。辛いと思うが卯月がどうしてああなったのか聞かせてもらえるか?」

提督「知っておきたいんだ。」

雪風「はい。」



そして、雪風は語り始める。卯月がなぜ撃沈したのか。

それは卯月がチームリーダー、艦隊旗艦として作戦を受けた最後の出撃。

その日の波は穏やかだった。



卯月「おおまかに掃討終ったかな。」

卯月「皆!ごはんにするよ!」



そう一声かけて取り出すはカツサンド。



雪風「ちょっと温かいです。」

卯月「艤装の排気煙突付近で食べる前に暖めるのが秘訣なのじゃよ。」フォッフォッフォ

金剛「どこの怪しい仙人デス。」



卯月が取り出したカツサンドを頬張りつつ帰投後どうすると楽しげに会話をする一同。



天龍「にしても本営から仕事を受け持った正規の連中はなんつーかなぁ。」モグモグ

加古「言われた通りにこなすだけだから他に気が回んないのよねー。」モチモチ

金剛「自分の出来る範囲内で好きにやれるのは楽しいですネー。」モグモグ

金剛「けれど敵を潰すほどに金になるのは欲張りすぎるからいけないデース。」コウチャホシイネー



大規模作戦に出た正規軍の露払いを終え先へ進む正規軍の艦隊を見送っての帰路。

その雰囲気は一仕事終えた高揚感もあり和気藹々としたものだった。



223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:31:31.23 ID:7jmJC1/U0


ぞわり

ぬるぬるとした足元からまとわり付く、滑りのある、あの世からの湿った空気。

足を絡め取る手。無数の亡者の手。

水底へ引き摺りこもうとする……。

その、黄泉の入り口から流れてくる瘴気に真っ先に気付いたのは雪風、そして卯月だった。



雪風「黄泉路が開いたようです。」

卯月「血と脂の匂いがする。」



そして、続いて気付いたのは金剛。



金剛「……、Hey! 地獄の釜蓋が開いたネー。死にたくなければ褌締めやがれネ。」

卯月「雲龍。周辺の索敵状況を教えて!」



促され慌てて四方へ索敵機を飛ばす雲龍。



雲龍「向うに死体が沢山。食人鬼がたくさん。」

雲龍「たくさん……。」



青褪めた顔をして索敵機からの状況を伝える雲龍。

艦娘の死体を漁る深海棲艦が食人鬼に見えるのは仕方無い事か。



卯月「チッ。」



盛大に舌打ちを一つ。



卯月「馬鹿が……。」

天龍「卯月。どうする?」

卯月「雪風。」

雪風「はい。」

卯月「どうみる?」



天龍への答えは当然撤収、ただ、艦隊を預かる卯月が考えるのは

自艦隊が被害無く撤収出来るかという事。

自分だけの考えではなく同じ、いや、それ以上の技量にある者に意見を求めるのは当然であり。

雪風の返答は。

224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:33:23.98 ID:7jmJC1/U0


雪風「雪風達だけなら帰りつけると判断します。」



自分達だけなら可能、それが意味する所は。



加古「友軍の生存は無いものと考えますかねぇ。」ヤレヤレ



居たとしても連れ帰るは困難。

金で命を売り買いする一同なれば天秤の針の位置は自ずと決まる。



卯月「全力で海域離脱。敵からの追撃に注意。」



ほんの数十秒で素早く判断を下すが雲龍の動きが鈍かった、

いや、離れたくないようだった。

そして、泣き始めた。



卯月(ちぃ。断末魔を拾ったか。)

雪風(生存者に偵察機を見つかりましたか。)

雲龍「あの、前に所属していた鎮守府の娘が……。」

卯月「同名艦娘の間違いじゃないのと言いたいけど。」

卯月「雪風、私に万一の事があれば旗艦宜しく。雲龍何人残ってる!?」



卯月の発言に誰も異を唱える事無く新たに陣形を組みなおす一同。

軍隊である以上の最低限のルール。

負傷者は可能である限り収容し連れ帰ること。

つまり、気付かなければ負傷者は存在し得ない、しかし、雲龍が気付いた。

そして、何がしかの交信をしている、

故にここで見捨てて行ってしまうと友軍を見捨てたとの『 けち 』が付くのだ。

その『 けち 』は時として軍法会議という結論ありきの軍事法廷への招待状となるから厄介なのだ。


225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:34:53.61 ID:7jmJC1/U0


卯月「生存者はいる!?」



現場へ向かい、いくつかの無線周波数帯で呼びかける。

うっうぅ……。

イ級に食い散らかされたか所々パーツがない艦娘を見つける。



卯月「楽になるための鉛弾なら只だけど?」



相手の目が頷くように閉じたのを確認して卯月は主砲を向け撃つ。



卯月「お疲れ。」



ドン



卯月「救いようの無い馬鹿な作戦をさせられているもんだ……。」

卯月が楽にした相手の装備は何にでも対応できるようごちゃ混ぜに持たされていた。



敵姫級達への情報が不足していたのであろう。

その所為で道中の敵に対応が出来ず無駄死にとなってしまっている。



金剛「大方こうなる事も踏まえての編成ですネー。」

金剛「死んで情報とって来いのやり方ネ。気に入らないヨ。」

金剛「雲龍、前の鎮守府の提督はどんな奴だったデス?」

卯月「ネキ。提督が代わっているかもしれないし聞くだけ詮無いことだよ。」

天龍「さてと皆さんおまた〜?」

天龍「一応周囲捜索で五体満足で生きてたのはこの娘だけ。」



ぺいと天龍が肩から下ろしたのは睦月。
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:37:26.32 ID:7jmJC1/U0


卯月「あー、輸送任務で連れて来られていたぴょん?

   今の状況分かるぴょん?」



卯月の口調で形式上の姉に語りかける卯月。



卯月「体が小さくてよかったぴょん。

   被弾面積が小さくて済む。生き残りやすいぴょん。」



この一言が余計だった。



睦月「あああぁあぁぁぁあああ!!!!」

加古「あらら。精神的にきちゃってたか。」

加古「軽口に反応できないんじゃ寝てもらってた方がいいか。」



笑顔で腹に拳を決める加古。



加古「で、どうする?救援依頼だしても仲間が来るには少し時間かかるよ?」

卯月「どうもこうも、帰るしか無い訳ですから。」

金剛「とんだ残業ですネー。」

卯月「サビ残で残業代が出ないのはどうしたものか…。」



軽口が叩けるうちはまだまだ余裕がある証拠。



金剛「といっても。周囲にだいぶ敵が集まってきてるヨ。」

金剛「禿鷲どもが死肉を漁りに来てるネー。」

卯月「全力で撤退!加古ちゃんは睦月を担いで!」

加古「あいよ。」

卯月「雪風、天さん!露払いは宜しく!うーちゃんは殿をやる!」

卯月「残業代の払いは敵の命!

   うちらの残業代は高くつくと身を持って知ってもらおうじゃないの!」



しかし、敵の追撃は凄まじく帰路であった事もあり、弾薬の残りも少なく

時間経過と共にだんだんと追撃を裁ききれなくなっていっていた。
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:38:33.24 ID:7jmJC1/U0


卯月「あっちにスコールの雨雲が溜まっている。」

卯月「このまま直進すれば最短距離。さてどうする?」

雪風「スコールに紛れて敵をやり過ごし救援を待つのが最適です。

   救援に向かってきている方々に不知火さんが居ますので心丈夫です。」

天龍「だが、敵さんも楽に逃がしてはくれないみたいだぜ。」



ふーっと大きく一つ息を吐く卯月。



卯月「ネキは傷病兵として足を飛ばした元提督と添い遂げる為の資金稼ぎ。」

卯月「天さんは出身の児童福祉施設の経営建て直しの資金稼ぎ。」

卯月「加古ちゃんは相棒の古鷹だった娘の目の手術代稼ぎ。雲龍は弟妹の生活費。」

卯月「雪風は司令官との腐れ縁。」

金剛「卯月、急にどうしたネ?」

卯月「んー、みんなが生き残らないといけない理由。」

天龍「この状況での生き残らないといけない理由って俗に言う死亡フラグって奴じゃね?」

卯月「違う違う、あれよ、立てすぎた死亡フラグは生存フラグって奴よ。」

卯月「こんだけ建てておけば大丈夫でしょ?」

加古「よっ、一級フラグ建築士!」


そして、スコールの中へ転進し敵をやり過ごし、88鎮守府からの救援との合流まで後僅かとなったとき。


228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:39:29.24 ID:7jmJC1/U0


卯月「なんとか帰ってこれたぁ。」フゥ



この一瞬の気の緩みが首に死神の大鎌を当てさせる事となる。

シューッ

ドン!

それはスコールにより荒れた海面を走ってきた為に発見が遅れた。

そして殿を務めていた卯月に命中。



卯月「あっ、これ駄目なやつだわ。」



被雷とともに停止した主機にさっさと見切りをつける卯月。



卯月「まいったねぇ。生存フラグは他人からの借り物で建てるのは効果が無いらしいや。」



ボフボフボフ モスン



卯月「まっ、標的艦程度にはなるでしょ。」ウシッ

卯月「それじゃ皆、私はここまでだから!雪風、荷物は佐世保に宜しく!」



そう言い卯月は全員へ自分を残し撤収するようへ指示を出した。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:40:35.43 ID:7jmJC1/U0


提督「後は皆が指示にしたがい救援部隊との合流を急いだ訳だな。」

雪風「はい。」

提督「救援部隊と合流後に卯月を救援へと向かったが時既に遅しだったという事か。」

雪風「はい。」

提督「雪風、卯月は最後まで闘ったか?」

雪風「はい。」

提督「そうか。」

雪風「しれぇ。」

提督「ん?」

雪風「雪風は最後まで沈みませんから!」

雪風「沈みません!」

提督「ん。」ナデナデ
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:42:12.24 ID:7jmJC1/U0


時は過ぎ、現在。

時雨「夜間出撃前に食事を採る事が出来る様に

   食堂が24時間営業ってのは改めて凄いと思う。」

雪風「ここが出来た当初は営業時間が限られていたのですが

   優秀な調理士さんをお迎えできたので24時間営業が可能になったんです!」

スパ「実際かなりの腕前ですよね。」

「おまちどおさまー。ゆっくりしていってね!」



ウォースパイトが注文していたのはカツ丼である。



スパ「いただきます。」



器用に箸をとりどんぶりの蓋を開け、

上がる蒸気のふわりとした鼻腔をくすぐる甘い香りを楽しみ、ウォースパイトはカツを一切れ。

そう、ふわりととじられた卵からカツを取りだし、ゆっくりと。

口へ、運んだ。



ザクリ。 ジュワァッ。



下ごしらえがしっかりとされた豚肉のロースにはあえて脂身が多く残されている。

そして、サックリとした食感を残す為に衣は厚めで煮込む時間は短め。

カツ丼のメイン食材のカツはフランス料理のコートレットが起源と言われている。

そのカツは脂身の脂が溶け出すギリギリのタイミングで油からあげるのが肝なのだ。

その揚げられた豚肉に付いた脂身からは

甘みが溶け出し衣に少しだけ湿り気を与え、その味の良さと来たら……。

231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:44:13.78 ID:7jmJC1/U0


スパ「絶妙。」



新玉葱をざっくりと切りこちらは適量を丼つゆに入れカツをその玉葱の上に載せる。

そして贅沢に卵を大量にときその上からかけ鍋の蓋を閉じる。

そのふんわりとした食感はオムレツをほうふつとさせ、食道をつるんと通過してゆく。



スパ「あぁ……。」



すでに言葉にならない程の味に震える状態だがカツ丼の良さはこれで終わりではない。

否、カツ丼の味を語るのであればその味の良さは寧ろこれからが本番なのだ。

カツを卵でとじ少しの間、煮てカツへ味をつける、その丼つゆこそが隠れた主役。

丼つゆはこの食堂では鰹節、昆布をベースとしたものを使い、醤油は九州産の甘口。

これらがおりなす絶妙な味のハーモニーは想像に難くないだろう。

その丼つゆが米へと染み、カツから染み出た脂が飯に染み、

丼つゆの効いた卵とカツとあつあつの飯を同時に口へ運べば……。



スパ「うっまぁぁああああ―――――い!」



高貴な出自?やんごとない身分?

そんなものなど糞食らえとばかりに品なくガツガツと音をたて食べるウォースパイト。

胃袋へそれらが落ちしっかりと満たされていく感覚に幸せを覚えつつ。



スパ「お代わり!」



ウォースパイトはお代わりを頼んだ。



提督「実にいい食いっぷりだな。」

提督「料理人も料理人冥利に尽きるだろう。」

スパ「そほふへつへへかへひたひでふ。」モグモグ

提督「この時間帯の料理人はフランス料理が得意でな。

   歴史的にイギリスの貴族はフランス料理人を雇っていたとは聞くから

   舌に馴染みのある味なのかもな。」

スパ「この味はフランス料理がルーツ……。

   成程、懐かしい感じがしたのはその所為ですね。」モグモグ

時雨「本当にお貴族様なんだね。」アキレ

雪風「何でこんな所でカツ丼食べて感動してるんですか。」マッタク



232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:45:38.72 ID:7jmJC1/U0


「お代わり持ってきたよー。」

「あれ〜?司令官この時間は珍しいね。って、相変わらず食が細いね。」

提督「あぁ、まぁな。」

「不知火からもしっかり食べろって言われてない?」

提督「あー、あいつには黙っててくれ。」

「分かった。この寸胴の決裁通してくれたらね。」

提督「まったく、お前は調理器具コレクターだな。」

「料理が私に残された最後の戦場だからね。」

「ここから皆を支えるのさね。」

提督「確かに食は重要だな。」

提督「これからも頼む。」

「提督もさ、たまにはフランス料理のコース食べに来てよ。」

「ジョエル・ロブションの弟子の弟子、つまり孫弟子が美味しい料理つくるからさ。」

提督「そのうちな。」



提督は料理人の熱いお誘いをにこやかにかわし食堂を去っていった。



「雪風、司令官は相変わらず?」

雪風「いいえ、最近は以前より少しだけ楽しそうです。」

「ふーん、そっか、それならいい感じなのかな。」

雪風「はい!」

雪風「では、雪風はそろそろ失礼しますね。」

「そう?じゃ、これ注文の二人分のカツサンド。」

「食べる前に艤装の排気煙突から少し離れた所において置くといい感じに暖められるよ。」

雪風「懐かしいですね。」

雪風「では!」



雪風はそう挨拶し時雨と二人夜の海へと出撃していった。



時雨「雪風はあの料理人と知り合いなの?」

雪風「はい。あの方とは古い知り合いであり戦友だった方ですよ。」

雪風「昔の話ですが。」

時雨「そう…。そっか。」



233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/19(土) 00:48:02.17 ID:7jmJC1/U0


おまけ超短編!  不知火の改二!



不知火 ぬい!

提督「ん。」

不知火 ドヤァ

提督「ん。」

明石「いや、提督。そこは何か言ってあげましょうよ。」

提督「ん?今までもこれからも俺が頼りにするのには変わらんだろ?」

提督「確かに戦力として改二が実装されたのは喜ばしいが……。」

提督「公試のデーター見る限りうちでの改造艤装以下のスペじゃねぇか。」

明石「いや、まぁそうなんですけどね。」

提督「量産機が試作機に及ばないのは良くあることだ。気にするな。」

不知火 ぬい〜ん

提督「結局の所はがわの流用だな。」

明石「まぁ、中身は以前以上に弄ってますけどね。」

提督「ベースが底上げされた分だけ全体的にスペがあがったという事か。」

明石「そうですね。例えていうなら今まで軽自動車にフェラーリのエンジン積んでたのを

   今度はフェラーリの車体にフェラーリのエンジンを積んだ感じです!」

提督「成程な、スペックを無理なく引き出せるようになったという事か。」

明石「マージンが、がっつり増えたんで色々改造余地もありますよ!」

提督「そうか、逞しく、頼もしくなった訳だな。」

提督「これからも宜しくな。」

不知火 ぬい!

明石「何格好良く話をまとめてるんですか。」

提督「たまには格好つけても良いだろう?」

提督「薄毛のおっさんが格好良くあらんとするなら

   気取った言葉の一つくらいは言えんといかんもんさ。」

明石「難儀ですねぇ。」

提督「そういうものさ。」

提督「不知火。」

不知火「はい!」

提督「改めてだが、これからはよりいっそう頼りにするぞ。頼んだぞ。」

不知火「お任せ下さい。」ヌイ!

明石「よっ!禿げてても男前!」

不知火 ぬい? ギロリ



この後、不知火の新型魚雷発射装置、火器管制、

アサルトライフル式主砲のテストに明石が喜んで付き合わされたのは言うまでも無い事である。



時雨「明石さんが標的艦役やるって珍しいね。」

スパ「アルゼンチンタンゴ踊ってますね。」

雪風「ひぇ……。あの状態の不知火さんに近づいたらいけませんよ。」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/19(土) 00:56:24.44 ID:7jmJC1/U0
以上で本日分の更新終了です
皆様、春のミニイベされていますでしょうか?
1は現在偏りという悪魔に魅入られており 米36 梅干3 海苔2 お茶2 という有様です
S勝利とってこんなに偏るなんて……、米どんだけ出やすく設定してるんだというお話
しかもこれ 米 と他の食材が出るところが被ってしまっている所為で余計に他のが出にくくなっているので辛い
今後の予定ですが後、1つか2つ程やってこのスレを落すような形になるかと思います
こちらで活動を始める前に活動していたSS投稿サイトで更新が止まっているのに
未だにしおりをつけたくださったり、お気に入りに登録してくださっている方がいるので
そっちの方の更新もしなくちゃという感じです、はい、エターナルはやっちゃいけませんです、はい……
ではでは、次回もお付き合いいただけると幸いです
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/19(土) 01:30:16.86 ID:or4ML6fA0
おつおつ
新たな道が開けてなにより…
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/19(土) 07:01:43.55 ID:z6wpXQKYO
生きてた
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/19(土) 19:25:42.52 ID:bwX9ROqU0
まあ死なないよね
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/20(日) 10:15:50.41 ID:g9q9r3fTO
艤装番号が嘘八百で製造番号がご苦労さんだった。

うーちゃんの轟沈自体偽装工作だったり?
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/21(月) 22:50:32.05 ID:1gvq7mE60
>>238
しれっと食堂の主やってるみたいだな。
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 23:58:51.17 ID:cd4B+0uA0
なんだage荒らしか
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/23(水) 12:26:13.12 ID:DlY+gEt8O
新スレあったのかよ気づかなかった俺のバカ
乙!!!!
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/25(金) 12:08:43.86 ID:6CPUfdoS0
ところで、スパ子はカツ丼食いながらなんて言ってるんだろ。
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/25(金) 12:18:15.14 ID:D9ff12A5o
多分「祖国へ連れて帰りたいです」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/29(火) 22:13:56.42 ID:9fFsrfIG0
俺も持ち帰りたい
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:08:52.83 ID:PHQWvqIW0
皆様、こんばんは、更新に参りました
春イベの進捗状況は如何でしょうか?
2-4で福江を掘り当てバケツと資源で殴るハイペースで任務を片付けたので
後はカタパルト1枚分確保すれば1は終了です、現在のんびりモード中
変態仮面のSSで次回のおぱんつ様の安価?を頂いておりましたので
雪風、川内、くまのん、陸奥の順番でやっていけたらなぁと思っています(利根は履いていないから無理なのだ!)
ただ、筆が遅いのでそっちはこちらの気分転換で書く様になるので多分、間が空くかなぁと……
では、前書きが長くなりましたが本日もお時間宜しければお付き合いの程宜しくお願いいたします
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:09:37.22 ID:PHQWvqIW0


第十話 天国への扉 前編


247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:10:16.11 ID:PHQWvqIW0


彼女は誰にも理解をして貰えず。

彼女は誰にも助けて貰えなかった。

それでも彼女は戦い続けた。

傷つき。

油も、弾もつき、その最期の時が来るまで。

いつか自分を理解してくれる。

仲間が現れるその時を夢見て。


248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:11:24.97 ID:PHQWvqIW0


88鎮守府 食堂



雪風「しれぇ、胡椒をとっていただいていいですか?」

提督「ん。これか?」

雪風「ありがとうございます!」

提督「雪風はよく食べるな。」

雪風「体が資本ですから!」

提督「そうか。すまんがこれも食べて貰えるか。俺には量が多くてな。」

雪風「餃子が10個。まったく箸をつけられていないようですが。」

提督「流石に食べさしを食ってくれと言って差し出すほどあれじゃない。」

雪風「雪風は食べさしでもかまいませんが。しれぇは食が細くないですか?」

提督「俺は事務屋だからな、それほど腹がへらないのさ。」

雪風「ではいただきます。」



提督が雪風と一緒のテーブルを離れた所にウォースパイトが食事を載せたトレー片手に現れる。


249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:12:05.53 ID:PHQWvqIW0


スパ「雪姉さん、一緒いいですか?」

雪風「どうぞどうぞ。」

スパ「今いたのはAdmiral?」

雪風「しれぇですね。」

スパ「先日もでしたけど士官も私達と一緒の食堂で食べるんですね。」

雪風「しれぇは一人で食事をするのは好きじゃないという事でここを利用されています。」

雪風「それに一人だけ特別メニュー等を食べるのも嫌われる方ですから。」

スパ「軍隊で士官が兵卒と同じ所で同じ食事を取るって珍しい。」

雪風「それも含めてここですよ。」

雪風「個性的な食事を食べたいのでしたら明石さんの所に行くといいですよ。」


250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:13:31.97 ID:PHQWvqIW0


明石の工廠

秋津洲「明石さん、最近お肉ばっかりでバランス悪いかも。」

明石「お肉は大事ですよ!?いいですか?

   お肉はタンパク質です。体を作るのに欠かせない栄養源ですよ?」

明石「米軍の特売を買ったら肉しか入ってなかったんですよ。我慢してください。」

秋津洲「提督にお願いして果物貰ってこようかなぁ……。毎食ステーキは辛いなぁ。」ベソベソ

明石「あんまり提督に迷惑かけちゃだめですよ。

   私達の経歴を誤魔化すのにも色々骨折って貰ったんですから。」

明石「私の元旦那が提督の恩師だった縁もあってここにおいて貰っているのですから。」

秋津洲「そうだったかも。でも、果物は欲しいかも。」

提督「だろうと思って持ってきたぞ。野菜と果物だ。」

明石「あっ、提督。」

提督「すまんな。南太平洋の悲劇の生き証人は

   全員最前線の弾除けに配置換えされていたからな。」

提督「海軍の大失態で証人が生きていちゃまずい訳だ。死んだ奴だけがいい奴だってな。」

提督「可能な限り師匠の部下だった連中は退役させて伝手を頼って逃げさせたが…。」

秋津洲「他の鎮守府の娘達は水底に還っていったかも。」


251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:14:58.19 ID:PHQWvqIW0

明石「私らは一番の危険人物ですからね。」

明石「何が起きて何が原因で負けたか。

   うちの旦那が懇切丁寧に私達に解説して逝きましたからね。」

提督「師匠の手紙を持って来た時に何が起きたかは悟ったがな。」

提督「流石の師匠だよ。

   死んだ後の事まで見越して大まかな敵の動きを予測して対処のやり方を細かく指示。」

提督「手紙の末尾にお前なら適当にやっても勝てるだろ、だからな。」

明石「あの人らしい。」

提督「あげくに艤装管理の穴をついて死者を生者に生者を死者にする手品を教えたりと。」

明石「昔から壁の上を歩いて落ちなければセーフと言っていましたから。」

提督「道徳、倫理観は横においておくとして、

   取り締まる法律が無ければ法律違反ではないという奴だな。」

明石「ここに送られてきた中で何人かそれで外に出していますよね。」

提督 ………。

提督「なぁ、明石。お前は最近の敵の動きどうみる?」

明石「どう、ですか……。」

明石「海軍の上の方に敵に通じている奴が居ませんか?」

提督「やはりそういう感想になるか。」

明石「それか、敵に知恵の回る参謀職の個体が複数生まれたか。」

明石「敵の作戦行動の質が上がってきている雰囲気はありますね。」

明石「よく言う『 他人の嫌がる事は率先してやりましょう 』を理解して動いています。」

提督「こっちは提督になる連中の質の低下は激しいってのに……。」ヤレヤレ

明石「珍しいですね提督がぼやきをいれるなんて。」

提督「いれたくもなるさ。海軍参謀……、

   軍令部の不始末を現場が必死こいて尻拭いしてるんだからな。」

252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:16:45.07 ID:PHQWvqIW0

提督「艦娘にしても初期から居る

  『 二つ名持ち(ネームド) 』の殆どが水底だからな。」

提督「精鋭が簡単に死んでいく戦場なんざ悪夢以外の何物でもない。」

秋津洲「そもそもネームド制度が時代の徒花かも。」

提督「まぁな。今は無くなってしまったが

   ネームドとして二つ名を登録する事が

   艦娘の目標みたいな時期はあったくらいだがな。」

提督「大量の個人戦果と幾つかの叙勲、

   そして所属鎮守府の提督からの推薦で登録なんていう

   華々しい経歴持ちでもないと申請が出来なかった制度だ。」

提督「その実、ネームドなんて危険な前線に回されて使い潰されるのが関の山で

   給料が増える訳でもなければおまけとして個別認識マークが許されたくらい。」

提督「艦娘側にまったくメリットのない制度だったな。」

提督「更に言えば一緒に出撃した他の娘から戦果を期待され無駄なプレッシャーに押し潰される者もいたらしい。」

明石「まぁ、国威発揚目的で導入した制度ですからね。

   聞こえは良いけどその実は地獄行き特急のグリーン席に座れます程度の実しかなかった糞制度。」

明石「秋津洲さんが登録した年が最後でしたっけ?」

秋津洲「かも!前の提督さんが付けてくれたかも!」

253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:18:29.28 ID:PHQWvqIW0


提督「師匠はそういうの好きだったからなぁ。

   部下の功績をきちんと評価してどうおだててれば

   気持ちよく働いてくれるかを知っている方だったよ。」

提督「時代が英雄とか英傑ってもんを必要としていたのさ……。」

明石「時代ですかね。」

秋津洲「ネームド制度が終了した事を差し引いてもここは結構異常かも。」

提督「まぁな。ネームドとして登録しているのが秋津洲いれて4人。」

提督「更に言えば4名全員公式での複数名持ちだからな、

   頭の螺子が捻じ切れているとかでもない限り

   複数名が付けられるなんて事はめったにない。」

提督「艦娘同士の渾名での二つ名ではなく公式での二つ名持ちは今や絶滅危惧種だ。」

秋津洲「もっと褒めていいかもよ!?」ドヤァ

提督「たればこそ、上の胡乱げな動きへの備えになるのさ。」

提督「ある訳が無いという事が無い訳が無いという事だ。」

秋津洲「禅問答かも?」

提督「全ての可能性を捨てるなという事だ。」

提督「いつだって最悪の結果というのはそこにある。

   俺がその結果を踏まないのは運がいいだけさ。」

254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:19:32.70 ID:PHQWvqIW0


明石「それはそうと頼まれていたのを提督が来てくれたのでついでで渡しておきますね。」

明石「知り合いから引っ張ってきたロイズの戦争保険のアンダーライターの名簿です。」

バサリ

明石「きな臭い匂いだらけですよ。でも、どうしてこれが必要に?」

提督「今更だがウォースパイトがここに来た話がちょいと引っかかったんでな。」

提督「吹き飛ばした島がな。」

明石「金融のエアポケット。租税回避地で名高いバージン諸島の島でしたっけ?」

提督「後、付け足すならマネーロンダリングに会社の登記誤魔化しの温床でもある。」

提督「そんでイギリス領でありながらドルが公的通貨として採用されている。」

提督「なんでな、ユダ公に恨みでもあったかと思ったんだがな。」

提督「金融関係者かと思ってウォースパイトの出自を調べたんだが。」

提督「どうにも出自が上位過ぎるんだ。それも、アホみたいにな。」

255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:21:36.27 ID:PHQWvqIW0


明石「どの位上の方だったんですか?」

提督「スチュアート家の血を引いた嫡出子、更に言えば直系だ。」

明石「まじもんのやべぇ奴じゃないですか………。」

提督「案外国内で命を狙われていて亡命目的のカモフラージュかもしれんぞ。」

明石「そんなので地獄の一丁目に送り込みますかね?」

提督「憶測だ。冗談とでも思ってくれ。」

提督「でだ、まぁ、本題なんだが。取り寄せた理由についてだが。」

明石「はい。」

提督「深海棲艦が出てから船舶、海上保険なんてもんは機能しなくなっただろ?」

明石「ですね。船を出した端から撃沈じゃぁ、保険そのものが引き受けできませんからね。」

提督「だが、物流において船程一度に大量に運べるものはないから

   艦娘システムが出来てからこの方、色々な国、

   企業といった団体が艦娘による船の護衛に飛びついた。」

提督「日本政府にしても艦娘制度の維持には莫大な金が掛かるからな。」

明石「日本単独ですと国家予算における割合が半端ないですからね。」

提督「そうだ、金融屋ってのはどんな物でも金に出来る頭があるから金融屋なんだ。」

提督「昔のサブプライムローン問題も本来は借金出来ない連中がした借金を

   優良顧客の借金と合わせて証券化して一見まともな債権金融商品に見せかけた。」

提督「優良顧客の債権はだいたいが格付けとして上位だったから

   抱き合わせの債権も当然のように格付けが良かった。」

明石「で、みんな買っていざ借金が返せない人達が続発してくると

   債権の価値は一気に下がって紙くずへ、でしたっけ。」

秋津洲「始めに売り逃げた人だけが得したかも。」

提督「そういう事。話を戻すと保険も金融債権の一種な訳でな。」

256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:23:30.95 ID:PHQWvqIW0


明石「話が見えてきましたよ。

   艦娘が護衛する航路を決める権限のある連中が

   保険証券で金儲けをしているという事ですか。」

提督「どこを受け持つか、そして、どの艦種の艦娘が護衛に付くかで保険料率は大きく変わる。

   保険を受ける時の掛け金が大幅にだ。」

提督「ロイズのアンダーライターにそれを決める位置に居る奴がいたりすると……。」

明石「勝ち馬が分かった競馬ですね。

   しかも気に入らない相手には駄馬に糞騎手をあてがう事が出来る。」

提督「その通りだ。ロイズはあくまで保険の取引の場を提供しているだけに過ぎないから

   そこを通過する保険の内容については引受人であるアンダーライターと

   保険の加入者の問題でしかないからな。」

提督「だからウォースパイトを利用してその辺りを強化しようとしたらそのあてが外れ、

   儲けの仕組みを知ったウーォスパイトがここに逃げて来たのかなと思ったんだよ。」

明石「もしくは護衛を自由に引き受けるここを利用している同業への探り目的のスパイですか?」

提督「何が信用できて何が信用できないかなんてのは分からんからな。」

提督「探照灯が明るかろうが人生の先の闇は見通せんからな。」

明石「分かる頃には死人がどれだけ出る事やら。」

秋津洲「命のバーゲンセールかも……。」

明石「にしてもユダ公って。昔からシティもウォールも雲の上はそうですけど。」フフ

提督「皮肉が効いてんだろ。裏切り者だけにな。まぁ、気にするな。」

257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:24:55.64 ID:PHQWvqIW0


秋津洲「これも万が一の備えかも?」

提督「外れていてくれるとありがたいんだがなぁ。」

提督「それにぱっと見ただけで分かるような事するほど敵さんも馬鹿じゃないとは思うがね。」

提督「保険だよ。」

明石「保険屋相手に保険ですか。気の利いた冗談ですね。」

提督「見えてるだけじゃないからな。

   金融屋ってのは戦争を飯の種にする連中の中で一番性質が悪い。」

明石「お金の出し手は一番強いですからね。」

提督「実弾の前に跪かない人間は珍しいからな。」

秋津洲「時雨ちゃんの件に繋がっているかも?」

提督「お前は時にするどいな。」

提督「だが、分からんとしか言いようが無い。

   実際、上の連中はどっかで繋がりはあるだろうし、

   繋がりの無い奴を探す方が難しいだろうよ。」

提督「用心に越した事は無いがな。

   連中の手は長い、絡め手は意外とそこら辺りにまで伸びてるかもしれんぞ?」ニヤリ

明石「実際分からないってのは薄ら寒いものがありますね。」

提督「見えているものにしか対処出来ないからな。」

提督「やらざるを得ない状態にされるってのは好きじゃない。」

提督「だが、そうせざるを得ないのが今の状況だ。」

提督「実際、この戦争の落し所を探る動きが上層部にある感じがする。」

提督「ただ、平和にしても勝ち取って得た平和と与えられた平和の2種類があるからな。」

提督「どっちを望んでいるのかが分からん。」

258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:25:59.59 ID:PHQWvqIW0


秋津洲「2種類の平和?」

提督「難しかったな。忘れてくれ。俺の立場で口にしていいものじゃない。」

明石「国の先行きを考えるとどちらが正解かって所ですね。」

提督「誇りで飯は食えんが誇りがないと国は保てん。」

提督「……と、飯時の茶のみ話にしちゃぁ、ちょいと内容が重かったな。」

明石「いいですよ。不知火さん相手じゃ出来ない話もあるでしょ。」

明石「私も心得ていますよ。」

提督「すまんな。また何かあったら頼む。」

明石「お話1時間1万円なら。」

提督「キャバクラ並だなとも思ったが……、器量じゃキャバクラが負けるか。」

秋津洲 エヘヘ

提督「じゃぁ、まぁ、その時は頼むよ。」

秋津洲「お待ちしているかも!」



提督を見送る二人。



明石「本当に支払う気ですかね?」

秋津洲「お金とるようだと私、明石さんの事を本当に見下げ果てた奴だと思うかも。」

明石「挨拶みたいなもんですよ。」

明石「もうかりまっか?ぼちぼちでんな。みたいなね。」

秋津洲「かも。」

明石「元旦那より先に提督に会ってたらと思うときはありますけどねー。」

秋津洲「提督の想い人には勝てないかも。」

明石「流石に相手がこの世にいないんじゃ勝負が成り立たないですからね…。」

259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:26:48.50 ID:PHQWvqIW0


執務室

不知火「司令。艦隊司令部より辞令が届いています。」

提督「ん?辞令?」



厳封され封筒の口には古式ゆかしい封蝋。



提督「めんどくさそうな予感しかないなぁ。」



ペーパーナイフを隙間にあて封を開ける。



不知火「中身はなんでしょうか?」

提督「俺を少将に格上げだとさ。」

不知火「おめでとうございます。」

提督「そんなにめでたいもんでもないさ。」

不知火「ぬい?」

提督「階級があがればそれだけ面倒が増えるって事だ。」

260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:27:37.43 ID:PHQWvqIW0


提督「しかも、俺を上に上げた推薦人。まぁ、これを見てくれ。」

不知火「三元帥のうちの深海融和派と中立派のお二人ですね。」

提督「元帥方が三人でそれぞれ意見対立をして一方に傾かないようにして均衡を保ってる。」

提督「そんななかで荒くればっかり集めた一見、強固派に見えるここの指揮官をだ。」

不知火「まったく別の派閥の長が推薦して昇格人事ですか。」

提督「何を企んでいるのか不気味だ。」

提督「流石に辞退はできんよなぁ。将官も大分減ってきているとも聞くし。」

不知火「人材の枯渇ですか。」

提督「そんな所だ。」

不知火「人は育てるのに時間が掛かりますから。」

提督「育つ前に使い潰しているのが今の状況だからな。」

提督「艦娘を提督にするって話も進んでいるらしいし先が見えないのは良くないな。」

不知火「………。」

提督「なんとか俺達の代で終らせたいもんだ。」

不知火「はい。」

提督「年をとると面倒臭がりが増すのと、なにかと涙もろくなるから良くない。」

提督「年はとりたくないなぁ。」

不知火「不知火は今の司令が好きです。」

提督「ありがとうな。」


261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:28:19.99 ID:PHQWvqIW0


88鎮守府近海

一人の艦娘が単艦で海上を駆け抜けていた。

彼女が身につける制服はボロボロ。

そして、彼女が彼女足りうる理由の連装砲も1体は小脇に抱えられ。

他の2体も彼女の後ろを付いていくのがやっとの状態。

しかし、彼女は足を止める事無く、何かに取り付かれたように航行を続けていた。

262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:28:58.99 ID:PHQWvqIW0



「うちからの救援は出せない。」

「そんな!一番近いのがここなのに!」

「みんなが死んじゃう!」

「うちも助けを出せる程余裕がなくてね。」

「余所をあたってくれ。」


263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:29:35.59 ID:PHQWvqIW0


「うちからは助けにいけないなぁ。」

「なにぶんここは要衝なのでね。」

「敵からの攻勢が激しいから救援を出すほどの余裕がないんだよ。」

「本土まで行けば救援を出して貰えるかも知れない。」

「そんな!ここから本土までなんて!」

「燃料と弾薬くらいの補給は分けてあげよう。」

「私のところもなにぶん資材の余裕は少なくてね。」


264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:31:51.81 ID:PHQWvqIW0

「本土まで後、どれくらいかなぁ。」

「周りの鎮守府全てに救援を断られるだなんて……。」

「後、何日かかるかなぁ………。」

「でも、急がないと皆が待ってるし。」

ボン!

「あっ。」

「もう、駄目なのかな。」

「ここまで来たのに……。皆、ごめんなさい。」グス

川内「諦めるのはまだ早いよ。」

川内「と言うかどうしたのよ。」



機関が火を噴きついに力尽き前のめりに

沈んでいこうとしていた少女を抱き起こしたのは川内だった。



雪風「随分とボロボロですが何があったのですか?」

時雨「単艦でここら辺を航行している事から

   何かあったんだろうとは思うのだけど。」

長門「グラーフが島風を偵察機で発見したと連絡して来たから急行したが。」

長門「随分と酷い有様だ。」

島風「あっ。」



ぐるりと周囲を見渡せば同じ艦娘仲間達の顔。



島風「お願い!皆を助けて!」

川内「ん?」



そう一言、言うと島風は力尽き気絶した。
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:33:22.97 ID:PHQWvqIW0


88鎮守府埠頭



提督「何拾ってきた。」

雪風「付近を単艦で航行中でギリ中破でした。」



島風の状況を一瞥。

そして、付いてきていた不知火に、物珍しがって見に来た明石の二人に指示。



提督「不知火、所属全艦娘に出撃状態で待機命令を出してくれ。」

提督「その後、横須賀に問い合わせてくれ。」

不知火「何をですか?」

提督「救援依頼を出している鎮守府があるかどうか。」

提督「それと、俺の少将権限の再確認だ。」

提督「本来の意味での提督、1個戦闘団の指揮官としての提督なのかだ。」

提督「明石、所属を洗ってくれ。」

提督「それから治すのに時間はどれくらいかかる?」

明石「治せるかじゃなくて治すのに掛かる時間を聞いてきますか。」

提督「当たり前だろ。」

明石「なるだけ早くやりましょう。所属は直ぐに分かると思います。」ニカ

提督「頼む。」

時雨「提督、何か大事なのかな?」

提督「単艦でそれも、速さといえば艦娘で右に出る者のいない島風が

   こんな状態で彷徨ってるとくれば相場は決まってる。」

提督「所属鎮守府が襲撃にあい包囲網を強行突破。

   更に周辺鎮守府からの応援を望めなかったから本土へ向けて全力航行。」

提督「ここまでは頭がめでたい奴でも想像はつく。」


266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 00:35:02.13 ID:PHQWvqIW0


長門「で、不知火に自身の権限の確認をさせた理由は?」

提督「俺が最近昇進したんでな。将官といえば本来の意味での提督だ。」

提督「司令長官とか呼ばれて、そうだな旧海軍でいえば艦隊指揮を執る立場だ。」

提督「米軍とからな第○艦隊司令官とかの立場だな。」

提督「なんでな、場合によっちゃ現地の部隊再編も可能。後は分かるな?」

長門「成程な。与えられた権限は良く考えて有効に。

   そして上の言質をとった上でか。」

長門「悪党だな。」

提督「前にも言った事があると思うが俺ほど善人はいやしないさ。」

グラ「どうだろうか?」

摩耶「詐欺師は自分の事を詐欺師とは自己紹介しないもんな。」

川内「提督は詐欺師というより博打打ちの方が近いかな。」

川内「ポーカーとかで負け札でも平気でレイズして相手に心理的揺さぶり掛けた挙句。」

時雨「口八丁で相手を騙すのは得意そうだよね。」

雪風「相手にドロップさせる最低の博打打ちです。」

提督「やれやれ、散々な評価だな。」

長門「なに、それだけ皆提督が凄いと褒めているのさ。」

提督「博打ってのは運じゃねぇ。

   モナコのカジノに入店禁止になった、かの名将も言っている。」

提督「高等数学の確立から言って必ず勝てる時が来るから

   それまでひたすら待ち続ける事がカジノで勝つには重要ってな。」

提督「俺が運に頼るのは最後の最後さ。最悪の結果を踏まないように祈る時だけだ。」

長門「そうか。」

提督「そうだ。」

267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/02(土) 00:43:53.75 ID:PHQWvqIW0
本日の更新はここまでです
今回のお話は今までの話と比べて一番重たくなる感じです(1基準で)
なので明るいSSを書いて気分転換を図りたくもなる訳です、はい
提督の呼称ですがゲーム内の提督は鎮守府責任者の扱いですが本来の意味で行くと将官以上(少将以上)
米軍基準でいくと准将、代将も含める形で艦隊指揮官、第七艦隊とかのあれを指揮する指揮官の事みたいですね
本来の鎮守府であれば提督でも間違いないのですが階級が少佐とか佐官がいるからあれれ?という状況
○○水雷戦隊とかの指揮官は司令官とか司令長官という呼称が正しいようです、ややこしいですね
その辺りは不備が有るかもしれない為詳しい方がいらっしゃいましたら指摘頂けると感謝です
ではでは、次回もお付き合い頂けると大変ありがたく思います
乙レス、感想レス、励みになっております、本当にありがとうございます
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/02(土) 01:08:20.69 ID:+x2f0qNA0
おつおつ
色々とどす黒くて笑うべきか呆れるべきかw
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/02(土) 07:29:25.39 ID:llkzI4mv0
オツカーレ

そもそもスタートの時点で新米少佐が鎮守府を任される末期状態だものw

秋津洲が可愛くて仕方ないかも!
出番増えて欲しいかも!
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/02(土) 09:09:19.12 ID:DJ7zjYtHO
おつ!
毎度読み応えあって良いね
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/02(土) 18:44:32.39 ID:9gvFvlMs0
やったぁ、連装砲ちゃんキター!
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:18:41.55 ID:AIWieGRW0
1です、1週間に1回の更新を目指すもあえなく失敗
また、中編を1度の更新で終わらせようと企むも2回に分けるような形に…
計画性ない作者だなという謗りが聞こえてきそう
感想レス、いつもありがとうございます、読み応えがあるとのありがたいお言葉
今後も精進してまいりますので引き続きお読みいただけると感謝
では、本日分の更新をさせていただきます、お時間宜しければお付き合い宜しくお願いいたします
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:19:46.26 ID:AIWieGRW0


第十一話 天国への扉 中編

274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:23:44.75 ID:AIWieGRW0

明石の工廠内

提督は簡素な椅子に座り紙巻に火を付けずに咥えていた。



秋津洲「吸わないの?」

提督「ん、なんとなくな。」

提督「火気厳禁じゃなかったか?」

秋津洲「アークにアセチレンやるから今更かも?」

提督「まぁ、屋内の灰皿が無いところでは吸うべきではないだろ。大人のマナーだ。」

提督「連装砲は直ったか?」

秋津洲「うん!直ったよ!」



工作艦としての経験もある秋津洲は手先が器用な為、

明石の艤装修理を手伝う事も多く、明石が島風の様態を見ている間に連装砲の修理を行っていた。



秋津洲「長10cm砲ちゃんの部品と共通が多いから割と助かったかも。」

提督「首から下は部品を共有できる所は共有しないと製造コストが跳ね上がるからな。」

提督「島風型はただでさえ姉妹艦がいない分、部品供給がきつい艦娘だからな。」

秋津洲「そうだね。生産数は確かに少ないかも。」

秋津洲「ほとんどワンオフに近い高価な艤装かも。」

秋津洲「テストベッドの天津風ちゃんとも違う部品が多いし。」

秋津洲「天津風ちゃんは陽炎型だから意外と使いまわせる部品が多いんだよ!」

提督「ほう、結構奇抜な艤装と思っていたがそうでもないんだな。」

秋津洲「実は雪風ちゃんや時津風ちゃんと部品の交換が可能かも。」

提督「艤装は色々知らない事が多いから勉強になるな。」
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:27:26.89 ID:AIWieGRW0


秋津洲「連装砲ちゃんが自立型艤装の走りなのは提督も知っていると思うけど

    自立型は使用者負担が重いから適正のある子は意外と少ないかも。」

提督「? 自立型なら使用者が操作しなくていいから負担は少ないんじゃないのか?」

秋津洲「AI自体が処理してくれるから索敵とか迎撃とかは使用者が指示すれば良い訳なんだけど。」

秋津洲「連装砲ちゃんへの命令を出すのは使用者だから

    常にデーターのやり取りを使用者とする事になるのね。」

提督「あー……、つまり、つねに3人から、

   ねぇねぇ、どうする、どうする?って話しかけられるみたいな物か。」

提督「恐ろしくうざいな。」

秋津洲「長10cm砲はその辺を押さえたんだけど……。」

提督「成程、長10cm砲が単独で水上航行出来ないのは使用者負担軽減の為に機能をオミットしたからか。」

明石「ですね。機能削除しただけで使用者への負担が60%減ですからね。」

提督「おっ、明石、治療は終ったのか。」

明石「えぇ、後は王子のキスを待つだけです。」

提督「洒落た事を。」

明石「島風型の量産性が無いのは艤装の軽量化の為に演算処理を使用者の脳負担に任せている所為ですよ。

   内緒のお話ですけどね。」

明石「連装砲の一番大きいサイズを3つ運用させたら脳負担が大きすぎて被験者が廃人に。」

提督「そんなやばい代物だったのか。」ウヘァ

明石「そんなギリギリのやばい代物だから島風型以外の自立型航行機能付きの艤装は出て無いんですよ。」

明石「負担が増すと脳が沸騰しますからね。」

提督「なかなか酷ぇ代物なんだな。」

明石「艦娘運用初期に出てきて色々模索されていた時期だからこそ黙認された倫理観の欠如って奴です。」

明石「秋月型なんかは自立型ではありますが自力航行はしませんし

   普段使用は腰の艤装と接続して使用者負担の処理をかなり減らしていますから。」

提督「島風の適正持ちが個体能力値が高いのはそういった理由があったからなんだな。」

明石「艤装も今は大分見直しが入っていますし初期の娘達の艤装も

   改二や丁改、乙改等で見直し、機能、性能の向上は進んでいますしね。」

明石「今の技術ならもう少し負担を減らして性能向上はやれますよ。」

提督「時間が経てば積み上げた屍から経験値を重ねられるという事か。」

明石「そうなりますかね。」



提督の言葉にどちらの屍かという事を問わず。

しらけたとも、やるせないともとれる表情で言葉を返す明石。


276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:31:12.31 ID:AIWieGRW0


提督「島風の所属は分かったか?」

明石「修理に合わせて色々機関の入れ替えもやりましたからね。」

明石「通常整備ではやらない、

   封印入っている箇所も分解してやりましたので艤装の製造番号から辿れましたよ。」

明石「そしてですね、提督。驚く事無かれ、

   彼女、あのネームドの『 最速 』の島風です。」

提督「あの…、あの、ブルーリボンのか……。」



まさしく絶句。



提督「俺が提督候補生として海軍大学に通っていた頃の憧れみたいな艦娘がねぇ。」

明石「あら、珍しい話ですね。」

提督「大学生の皆で観覧した観艦式の余興でな、ネームド達による模擬戦で一際目を引く強さと速さだった。」

提督「敵の魚雷をその速度で交し、艦載機による急降下爆撃をその身のこなしの軽さで交し。」

提督「俺達提督候補生は皆、一様に駆逐艦島風すげぇって、それこそ少年の様に目をキラキラさせていたもんだ。」

明石「どこの小学生ですか。」

提督「航空主兵論ばっかりの提督の卵には劣勢の中、

   敵の攻撃をものともせずに一矢報いようとする島風が御伽噺の主人公の用に見えただけさ。」

明石「大艦巨砲主義とかいなかったんですか?」

提督「そんな頭のめでたい奴はそもそも入学できねぇよ。」

提督「だいたいそれが前大戦の敗因の一因でもあるだろうが。」

明石「ですよねー。」

提督「日本人は判官贔屓、勧善懲悪。とにかく弱い奴が強い敵を倒すって言うのは大好物だろ。」

提督「提督候補生皆がいつかは自分達もあんな凄い部下を持ちたいものだって夢を語ったものさ。」ホウ



提督の昔話、それも提督になる前の、いや、提督になる志を抱いた者達を虜にした憧れ。

そんな懐かしみを、遠くを見る目で提督はしみじみと語った。


277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:33:17.99 ID:AIWieGRW0


時雨「ブルーリボンって何だい?」

提督「何だ、いたのか。」



時雨がいた事に少し照れを感じたのかぶっきらぼうに返す。



時雨「島風の様子を見にね。それで、ブルーリボンって何だい?」

提督「昔の話だ。20世紀初頭にな大西洋航路最速の客船に贈られたブルーリボン賞ってのになぞらえてな。

   海軍の中で速さの記録持ちをそう呼んでいた時期があったのさ。」

提督「トラックやパラオといった南方と本土を物資を積んで行き来する。

   その掛かった日数の少ない艦娘を毎年選んで表彰していたんだ。」

提督「その速さ類まれなる優秀艦、体のいい飛脚便みたいな扱いだったがな。」

提督「艦娘が積める物資なんざ、たかがしれているしな。」

時雨「それは、その…。」

提督「察しの通りだ。激戦地で独楽鼠の様に休み無く働かせたんだよ。」

提督「島風って艦娘になる奴はどいつもこいつも気のいい奴らでなぁ。」

提督「自分が利用されているってのが分かっていても動くけなげな奴よ。」

提督「俺が提督になって直ぐに持った鎮守府でパシリ扱いしていた戦艦連中をどつきまわした事もあったなぁ。」

時雨「提督、意外と苛烈な一面もあったんだね。」

提督「最初に持った鎮守府は他人の異動により空いた所に就いた形だったからな。」

提督「戦力は整っていたが艦種によるヒエラルキーがあったんだ。」

提督「ついたその日に目の前で駆逐艦に銀蝿を強用する連中をみたりと最悪だったな。」

提督「んで、意識改革して艦娘の戦艦と空母連中を半分くらい他所と入れ替えたりとかな。」

提督「とにかく派閥解体工作よ。そして、駆逐艦の地位向上の為にまぁ、色々だ。」ニヤリ

時雨「あっ、悪党の顔だ。」

提督「初期艦にして秘書艦の叢雲が新任新米の俺には過ぎた出来た奴でな。」

提督「その後も幾つか鎮守府を渡り歩く事になるんだが随分助けてもらったもんさ。」



昔を懐かしむ滅多に見せない提督の顔に意外と人らしい所もあったんだなと思う時雨。

はたと気付く事もあったがそれは今、聞くべき事ではないのだろう。

そして、タイミングよく不知火が提督の下へやって来る。


278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:33:52.13 ID:AIWieGRW0


時雨「ブルーリボンって何だい?」

提督「何だ、いたのか。」



時雨がいた事に少し照れを感じたのかぶっきらぼうに返す。



時雨「島風の様子を見にね。それで、ブルーリボンって何だい?」

提督「昔の話だ。20世紀初頭にな大西洋航路最速の客船に贈られたブルーリボン賞ってのになぞらえてな。

   海軍の中で速さの記録持ちをそう呼んでいた時期があったのさ。」

提督「トラックやパラオといった南方と本土を物資を積んで行き来する。

   その掛かった日数の少ない艦娘を毎年選んで表彰していたんだ。」

提督「その速さ類まれなる優秀艦、体のいい飛脚便みたいな扱いだったがな。」

提督「艦娘が積める物資なんざ、たかがしれているしな。」

時雨「それは、その…。」

提督「察しの通りだ。激戦地で独楽鼠の様に休み無く働かせたんだよ。」

提督「島風って艦娘になる奴はどいつもこいつも気のいい奴らでなぁ。」

提督「自分が利用されているってのが分かっていても動くけなげな奴よ。」

提督「俺が提督になって直ぐに持った鎮守府でパシリ扱いしていた戦艦連中をどつきまわした事もあったなぁ。」

時雨「提督、意外と苛烈な一面もあったんだね。」

提督「最初に持った鎮守府は他人の異動により空いた所に就いた形だったからな。」

提督「戦力は整っていたが艦種によるヒエラルキーがあったんだ。」

提督「ついたその日に目の前で駆逐艦に銀蝿を強用する連中をみたりと最悪だったな。」

提督「んで、意識改革して艦娘の戦艦と空母連中を半分くらい他所と入れ替えたりとかな。」

提督「とにかく派閥解体工作よ。そして、駆逐艦の地位向上の為にまぁ、色々だ。」ニヤリ

時雨「あっ、悪党の顔だ。」

提督「初期艦にして秘書艦の叢雲が新任新米の俺には過ぎた出来た奴でな。」

提督「その後も幾つか鎮守府を渡り歩く事になるんだが随分助けてもらったもんさ。」



昔を懐かしむ滅多に見せない提督の顔に意外と人らしい所もあったんだなと思う時雨。

はたと気付く事もあったがそれは今、聞くべき事ではないのだろう。

そして、タイミングよく不知火が提督の下へやって来る。


279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 00:35:31.41 ID:AIWieGRW0
あっ、ダッブってしまった……
>>278は無しでお願いいたします、申訳けありません
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:37:24.92 ID:AIWieGRW0


不知火「司令。仰せつかった件。調べて参りました。」



不知火は一気呵成に報告を始める。

それは、先程までの会話を聞いていてその先に続いたかもしれない言葉を遮るためかのように。



不知火「艦隊司令部では意味がないと思い軍令部へ直接連絡を取りました。」

不知火「権限の確認の為、人事局責任者へ話を通し人事参謀長へ確認。」

不知火「人事における将官の権限ですが現地部隊の再編の人事権も

    緊急時に於いて認めると言質を引き出しました。」

提督「ほう。あまり時間が経っていない割りによくそこまで連絡を取れたな。」

提督「人事参謀長の言質について録音は?」

不知火「抜かりなく。」

提督「救援依頼を出している鎮守府については?」

不知火「現状としては無い事を確認しています。」

提督「もし、それを受けていながら報告をせずに握りつぶしている鎮守府があったとしたら?」

不知火「海軍省法務局に問い合わせ、万一その様な事態があったと証明されるのであれば

    利敵行為として軍法会議への出頭を命じる可能性も有り得ると確認済みです。」

不知火「当然ですがこれも担当者とのやり取りは録音済みです。」

提督「俺が次に何を考えているか分かるな?」

不知火「先日、陥落させ現在米軍が管理している基地に連絡をとり

    観戦武官の参加と引き換えに揚陸指揮艦のレンタル交渉を行っています。」

不知火「あちらからは二つ返事で了承を頂いています。補給艦も手配済みです。」

不知火「また潜水艦の娘達にも作戦の発令に向け待機させています。」

提督「パーフェクトだ、不知火。」ニチャァ

不知火「感謝の極み。」



正しく不敵。

そう表現するのがぴったりな笑顔を見せ提督は明石の方へ向き直る。


281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:38:28.52 ID:AIWieGRW0


提督「明石、何機用意出来る?」

明石「何機御所望で?」

提督「予算の範囲内でだ。」ニタリ

明石「標準でいいですか?」

提督「あぁ、今回は数重視だ。」

提督「不知火。今年の予算割り当ての残額だが。」

不知火「こちらに。」



ここに回される任務だけでは緊急時、それこそ突発的な事態に対応出来ない事もある。

そんな時の為に毎年幾らかの予算が組まれていて提督が不知火に訊ねたのはその残り。

言うまでも無いが明石の協力の下、毎年の予算の残りは形を変えプールされていたりする。

戦争とはとかく金が掛かるものなのだ。



提督「全員に払う金はあるか。」フン



不知火の提示した書類に記載された金額を確認。



提督「でだ、明石、島風の所属はどこだ?」

明石「こちらですね。」



明石が女袴の笹ひだ部につけたポケットから海図を取り出し位置を示す。

ふーっと提督が大きな溜息を一つ。


282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:40:18.26 ID:AIWieGRW0


提督「明石、お前の事だからここの提督の素性も調べていると思うんだが。」

提督「優秀か?」

明石「並ですかね。」

明石「ただ、周辺から比べれば階級こそ低いものの良。ですね。」



頭に手を当てやれやれと言いたげな提督。



提督「凸部じゃねぇか。まったく。せめてそこそこの階級の奴をあてがえよ上も。」

時雨「凸部?」

提督「あぁ、敵さんへ食い込む形での凸部だ。救援に行くにも相当面倒な事になる。」

提督「敵もそりゃ本腰いれて落としに来る訳だ。」

提督「明石。すまないが島風が目を覚ましたら執務室によこしてくれ。」

提督「ちょいと気軽に助けに行ける場所じゃない。」

提督「きっちり作戦を練らないとこっちがやられちまう。」

不知火「執務室へ戻り必要な物を用意しておきます。」

提督「頼む。」



そして、提督は足早に執務室へ戻ろうとして振り向く。



提督「秋津洲。お前が重要になる。島風が目を覚ましたら来てくれ。」

秋津洲「かも!?」


283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:41:44.78 ID:AIWieGRW0


執務室



提督「さぁてと、上の盆暗ぶりに嫌気が差してきたな。」

提督「さらに言えば周辺鎮守府の提督どもを皆、物理的に首を挿げ替えたいくらいだ。」



不知火が用意した海図にマジックで色々と書き込み現状確認を進めていく提督。



提督「ここの重要性を軍令部で理解出来る奴がいないってのは質の低下が激しいのか。」

提督「はたまた襲撃されている事を知らないから暢気に構えているのか。」

提督「どちらなのかねぇ。」

グラ「Admiral、入るぞ。」

提督「ん?どうした?」

グラ「あぁ、明石から頼まれたので島風を連れてきた。」



目を覚ました島風を連れて執務室に来たのはグラーフ。



提督「明石は?」

グラ「予想される物資の用意に忙しいんだそうだ。

   だから私が島風の付き添いで来たんだ。」

グラ「各所に追加注文をしなきゃと慌しく動いていたぞ。」

提督「商売人だな。」

グラ「それと秋津洲も一緒だ。」

秋津洲「提督、来たかも!」


284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:43:20.26 ID:AIWieGRW0


島風「あの!助けていただきありがとうございました!」

提督「礼にはおよばんよ。」



島風の謝辞に返事を返し、海図を再度見直しフムと考え、一同に向き直る。



提督「グラーフも居てくれた方がいいか。守りの要はグラーフになるだろうしな。」

提督「と、私がこの鎮守府の指揮官である提督だ。」

提督「普通の鎮守府には場所が知らされていない中、

   ここの近くを航行していたのは運が良かったと言える。」

提督「おおよその状況は理解している。詳細を島風の口から話してもらってもいいかな?」

提督「あぁ、そうだ。島風が自分の所の提督に義理立て等があるなら

   俺の呼称は適当に呼んでくれてかまわんよ。」

島風「あの、おじさんがここの提督さんなの?」



妥協の上での提督『 さん 』呼び。

おじさんかと苦笑しつつそうだと答える提督。


285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:45:09.05 ID:AIWieGRW0


島風「提督さん、あのね、私の居た所がね。」



そして、島風から、島風が包囲網を抜け出てきた段階での敵勢の確認。



提督「日数的に陥落していてもおかしくないな。」



情報を改めて整理して感想を一言。



島風「そんなぁ……。」

提督「おいおい。俺は救援に向わないとは一言も言ってないぞ?」

提督「最悪敵の手に渡っているかもしれないが落されてすぐなら奪還する。」

グラ「それ程の要衝なのか?」

提督「まぁ、見てくれ。」

グラ「………。」

グラ「これは、攻守の違いがあれど、バルジの戦いみたいな状態だな。」

提督「日本でなら有名所で長篠の戦だな。」

提督「面で構成される敵との防御線にこちら側が敵側に凸る形で食い込んでいる。」

提督「陸の場合でもそう変わりはないんだがこういう風に

   飛び出た部分は敵地へと侵攻していくのに重要な火点に成る場所だ。」

提督「逆に敵からしてみればわざわざ飛び出てくれているから叩きつぶしやすいという一面もある。」

提督「そして、敵にしてみれば放っておくと蟻の一穴になりかねない。」

提督「攻める側にしても守る側にしても確保しておきたい場所だな。」

秋津洲「それで私が呼ばれた理由はなにかも?」

提督「先日の瑞鶴とグラーフの模擬戦覚えているだろ?」

秋津洲「あぁ、明石さんが試していた新システムの奴かも?」

提督「あれの幾つかの問題点を考えられる範囲内での改善をして実戦に投入してみようと思ってな。」


286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:46:54.56 ID:AIWieGRW0


提督「それでいくと航空管制でバトルオブブリテンを経験している

   ドイツ娘のグラーフに守りを任せるのが適任だろ?」

グラ「負けた側だがいいのかな?」クックック

提督「なぁに、問題ないさ。紅茶ジャンキーどもが構築したシステムだ。」

提督「科学技術だけなら何処にも負けないドイツ様のお前がやるんだ。」

提督「他の誰よりもあてにしているさ。」

グラ「嬉しい事を言ってくれるなぁAdmiralよ。

   だが、電探等の性能は英国の方が上だ。」

提督「今回の戦争は前の戦争の勝ち組、負け組み皆仲間だ。負けようがない。」

グラ「イタリアも一緒だが?」クックック

提督「………、ポーランドボールネタはやめてくれ。」クックック

グラ「だが、かなりの距離の移動に拠点確保も難しいようだが

   艦載機の補充が追いつくだろうか。」

提督「それは心配しないでくれ。我に秘策有りだ。」

287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:48:57.55 ID:AIWieGRW0


提督「不知火。留守番組の選定は任せる。」

提督「これより3時間後にブリーフィングを行う。

   その後、米軍に挨拶して救援へ向うぞ。」

島風「あの!提督さん!救援を待っているみんなの所に知らせに行ってもいい!?」

提督「それは許可出来ない。」



島風からの問いに即答。



島風「どうしてぇ!?」

提督「お前さんが単独で航行していたことから鎮守府通信設備が

   破壊されている等で艦娘が直接乗り込んで知らせるしかないというのは分かっている。」

島風「だから私が!」



島風の必死の訴えを手で制し言葉を続ける提督。



提督「更に敵からしてみれば島風が包囲網から抜けた事で

   何がしかの救援が来る事は予想している筈だ。」

提督「つまり、島風が今から救援が来るよと知らせに帰るのは

   敵が手ぐすね引いて待っている所に自分から突っ込んでいく愚行だ。」

提督「俺たちは戦争をしている。だから犠牲を出さずに勝てるなんて甘っちょろい青二才な考えは持っていない。」

提督「だがな、出す必要性のない犠牲を出す気は毛頭無い。」

提督「救援が出ている事を知らせる為だけの犠牲を出すような真似をするのは無駄の極みだ。」

島風「………。」



切り捨てるような言い方だが提督のいう事は最も。

しかし、理屈では分かっても感情では理解できない事も時としてあるのだ。

今しばらく食い下がるかと思ったがあっさりと引いたのを見てとる提督。


288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:49:52.42 ID:AIWieGRW0


提督「不知火。暫く島風を監視しておいてくれ。」

提督「単独で抜け出して救援先に行くような素振りを見せたら力尽くでとめろ。」

不知火「了解しました。」



とぼとぼと執務室を出て行く島風の後姿を見送り不知火に指示。



提督(止められるだろうか…。)



艦娘としての最古参、そして最速の名を頂く駆逐艦。

手負いなれば止められるかもだが明石が修理して万全の状態ともなれば。



提督(止めようとしたという口実作りでもあるが…。)

提督(不知火には損な役回りをさせる。)



そして、提督が執務室にて秋津洲とグラーフとで綿密な打ち合わせを行って丁度3時間後。

いつぞやの敵北海道侵攻作戦を挫いた時の再現のように大会議室には艦娘達が勢ぞろいしていた。


289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 00:51:58.52 ID:AIWieGRW0


提督「今回の救援については敵を徹底的に叩く事が主目的だ。

   そこはいつもと変わりがない。」

提督「ただ、敵の指揮官については今までと毛色が違う事が予想される。」

川内「どーしてー?」

提督「今までどおりにお馬鹿さんな相手なら

   自陣地に凸った地点なんか放置していただろうからさ。」

提督「現に今回の救援対象の鎮守府は設立されて結構な年数経っている。」

提督「俺が敵の指揮官なら鎮守府施設なんか作られる前に潰しているよ。」

長門「今回の作戦にはゴーヤ達も参加するのか?」

提督「俺の学生時代に潜水艦娘を上手く指揮して演習で痛い目合わせてくれた同期が居てな。」

提督「そいつから面白い手品の種を聞いているんだ。」

提督「敵のほうが数は多い。当然ながら潜水艦連中もいるだろうよ。」

提督「ならこっちも使って遊んだところでばちは当たらんだろ?」

長門「米軍から海底データを貰うつもりか。」

提督「あぁ、目的地周辺はあちらの方が詳しいだろうからな。」



提督と部下達の軽い冗談のようでお互い手の内を知っている者同士の応酬。

それが終われば留守番の者達も含めて全員に作戦内容の連絡。



時雨「それで、提督。勝てるのかな?」

提督「勝てるのかな?じゃない。勝つだ。」

提督「勝算の無い作戦など立てんよ。」

摩耶「提督ぅ〜、えらい自信が有るみたいだけど大丈夫かよ〜。」

提督「当たり前だ。いいか?物語ってのは主人公が勝つように出来てんだよ。」

提督「人外の良く分からん生物対人間とくれば

   古今東西、人間様の勝ちって相場が決まってんだ。」

提督「それなら人間側の俺達の勝ちだろが。」

摩耶「ひでぇ根拠だな。」

雪風「ですが、何故か説得力があります。」

グラ「まぁ、我々はやるべき事をやる。それは今までとなんら変わらんさ。」



こうしてブリーフィグを済ませた一同は米軍基地へと移動を始めたのである。



290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 01:02:19.00 ID:AIWieGRW0
本日の更新は此処までです
残りは近日中に更新を予定しております、お待ちいただけると幸いです
そして中編の山場は後半、次回更新の方……、計画性無くてすみません
連投が途中あり御迷惑をお掛けしました、今後の予定としてはこの島風の話が終われば
スレを落そうかどうか思案している所です、燃え系のSSって増えないですね……、なんでだろう……
スレの始めの方で触れましたが砂の薔薇的な番外のような本編の様なのもプロット書きが終了して
少しずつ書き溜めをしている所なのでどこかのタイミングで上げれればなぁとは思っています
最近SSまとめ速報なる存在を知り、このSSも纏められコメントがついて居る事に驚きました
SSまとめ速報でコメントを下さっている読者の皆様、コメントありがとうございます
後、もし宜しければ本スレの此方も覗いてこちらにレスいただけるとありがたいです(←レス乞食)
長々と長文での挨拶失礼いたしました、感想レス、応援レス、いつもありがたく拝読しています
次回以降の更新も宜しければお付き合いいただけると感謝です
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 01:06:14.67 ID:MpivStNto
初期艦叢雲で沈没済み……いや、違うんだろうけど
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 01:06:55.22 ID:MpivStNto
っと乙、HKの方も期待してます
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 06:54:04.24 ID:Q/uTBaQqO
おつ
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 07:24:48.10 ID:WPmZlLt80

まじで面白いからいつも更新楽しみにしてる
できるだけ長く続けて欲しいなあ
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 11:45:01.05 ID:0GkYu2uh0
島風鳥居強右衛門説
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 14:45:58.69 ID:YjPL8qXA0
まだ時雨の謎と不知火登場編見てないんだが
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 14:36:58.53 ID:xUswDFZdO
オツカーレ

実はまとめからきたんですよね
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/13(水) 19:11:59.53 ID:E2AFYQFiO
まとめから来ました。
今まで見てきた艦これのssの中で最高に面白い!
毎回更新楽しみにしてるので、最後まで書ききって欲しいです。

299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 23:43:16.61 ID:S8287FqX0
おつ
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/14(木) 03:56:49.47 ID:Pj3sFZoho
まとめサイトとかいうクソみたいな悪習もSS作者からしてみればいい宣伝の場にもなるのよなぁ
不愉快な思いをするのが元々いる住人だけってのがせめてもの救いか
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/14(木) 10:33:23.43 ID:eD/fmY0JO
個人的にはお間抜け熊さんのガンちゃんのその後が見たくある
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