【艦これ】 続 外地鎮守府管理番号88

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:32:01.15 ID:O5Yg9HcV0
私事でばたばたしてきておりますが更新にきました
お時間よろしければお付き合いいただけますと幸い
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:33:42.88 ID:O5Yg9HcV0
提督達救援対象鎮守府



その鎮守府の指揮は提督が嘆いたように少佐が執っていた。

階級としてそれは余りにも低く提督として新米と言えた。

しかし、彼は踏ん張り救援が来るまで耐えきった。



少佐「敵が。敵が撤退していく?!」



目の前の包囲網が解かれ、敵が撤退していくのが見える。



少佐「ここは敵の追撃を!」



今まで篭城戦を戦ってきていた全員に命令を下す少佐提督。



「島風の仇!」

「仲間の恨みを!」



目の前で惨殺された島風、

そして、幾度にも及ぶ攻撃で散っていった仲間達の仇を討つ。

その強い意志が極限まで追い詰められ疲労しているはずの彼女達に力を与えた!



ウォォォォォォオオオ!


596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:34:51.56 ID:O5Yg9HcV0


古姫「包囲していた敵が追ってきたわね…。」



予想の範疇。

既に深海勢は撤退戦に切り替えて部隊を素早く退いている。



タ級「空母水鬼様撃沈の報!」

戦鬼「空母水鬼が撃沈?!」



彼女程の豪の者であれば

包囲網を抜けられると思っていたのにも関わらず轟沈したと?

包囲網の穴と思われる所へ斬り込みを掛けていた自分の部下、

指揮官級がやられた事は戦艦水鬼に更なる衝撃を与えた。



古姫「戦艦水鬼様!立ち止まられてはいけません!」

古姫「空母水鬼様が何の為に沈んだと思っているのです!」

戦水「駆逐古姫……。ここを攻めたのは間違いだったのかしら?」

戦水「戦艦棲姫を始めとした優秀な部下を失ってまで獲るべき場所だったのかしら?」



自身の部下が次々と為すすべなくやられていく戦況というのは

今まで負けなしできていた戦艦水鬼には実に耐えられない物の様であった。


597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:36:15.40 ID:O5Yg9HcV0

空姫「戦艦水鬼様?」

戦鬼「敵は強いわねぇ、私達、皆、死ぬのかしら……。」

戦鬼「ねぇ、どうせ皆死ぬのなら敵の旗艦を潰して…「この痴れ者!」パァン!



自暴自棄になりかけた戦艦水鬼に駆逐古姫の張り手が決まる。



古姫「貴方という方は何を考えているんですか!!」



戦艦水鬼の発言に怒り心頭に発した駆逐古姫が戦艦水鬼の服の襟首を掴む。



古姫「戦艦棲姫や空母水鬼様が何故に死んだと思っているのです!?」

古姫「皆、貴方に次の、深海棲艦の未来を託し、

   生き延びて欲しいが為に死んでいったのですよ!?」

古姫「この世界の支配者の器たる才を貴方に視たからこそ

   彼女達は命を賭して貴方が逃げる為の時間を稼ぎ敵を防いだんです!」

古姫「ここで貴方が折れてどうするんですか!」

古姫「死んでいった者達にすまないと思うなら

   生きて敵を滅ぼす為に再起を誓うべきではありませんか!」



激昂し、その怒りのままに戦艦水鬼を叱り飛ばす駆逐古姫。

そして、戦艦水鬼のドレスの襟首を掴む手は怒りに震えていた。



戦鬼「手を……。手を服からどけてもらえるかしら。」

古姫「これは…、無礼いたしました…。」

戦鬼「いえ、私が愚かだったわ。」



その顔からは迷いが消えた。



戦鬼「私は全力で逃げるわ!」

戦鬼「駆逐古姫!空母棲姫!二人とも殿は頼んだわ!」



そして、戦艦水鬼は護衛を連れ全力で海域を離脱していった。


598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:37:41.07 ID:O5Yg9HcV0


古姫「ふ ―――― …。

   戦艦水鬼様が全力で逃げるなら追いつけないでしょうや。」

空姫「流石に戦艦水鬼様ほどの方になると逃げっぷりもさまになるわねぇ。」

古姫「あれくらい豪快に逃げてもらわないと困るわ?」

空姫「そうね。戦艦水鬼様には逃げて深海棲艦の戦力を立て直していただかないと。」

空姫「それにしても、始めに敵の本隊の力量を見誤っていなければ

   犠牲は少なかったかもしれないと思うのだけれど。」

古姫「やめときましょう。戦の『たら』『れば』なんて言い出したらきりがない。」

古姫「今回は敵がたまたま一枚上手だっただけよ。」

古姫「私達はここで私達がなすべきことをしましょう。」

空姫「えぇ。そうしましょう。」

空姫「エンドロールが流れ始めたからといってまだ完全に終わった訳ではないですもの。」



二人の姫が敵へ向き直り咆哮を挙げた。

599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:40:48.40 ID:O5Yg9HcV0


強襲揚陸艦内 艦橋司令室

不知火「秋津洲さんから入電です!」

提督「どうした?」

不知火「撤退中敵旗艦艦隊と思しき艦隊を発見するも

    敵艦隊の攻勢激しく警戒機の護衛が落とされたので

    撤収するとの事です。」

提督「敵さんも必死こいて逃げているようだな。」

提督「位置は?」

不知火「此方です。」



机代わりにしている大型モニターにタップして敵を表示させていく不知火。



大佐「ははぁ。これは敵に天晴れな才を持った者が居たようですね。」

提督「確かに。これは上手い事こちらの隙間を突いて来ています。」



駆逐古姫が戦艦水鬼を逃がす為に戦闘を行っている場所は

丁度、提督達88鎮守府組み本隊と周辺鎮守府連中の合わせ目だった。

三角形をイメージしていただけるだろうか。

包囲網が三角形で構成された場合、一辺を瑞鶴達遊撃隊、

もう一辺が周辺鎮守府部隊。

そして、底辺が提督達本隊。

ただ弱いところを突くというのであれば周辺鎮守府部隊を潰せばいいのだろう。

だが、思い出していただきたい。

深海棲艦達が攻め立てた場所の特徴を。

そう、この場所は敵、深海棲艦の陣地へと食い込む形に突出した場所である。

だけに周辺鎮守府で構成された部隊の方向を突き抜ければ

そこは深海棲艦達にとって敵である艦娘側勢力下なのだ。

寡兵でもって敵の支配地域を追撃を交しながら逃げるというはとても困難である。

たまたま上手くいった狂人集団達が歴史にその名を残してはいるが普通は行わないもの。

失敗した者の方が多いのは当たり前でそれが語られる事が無いのは歴史が雄弁に物語る。

で、あればという事で駆逐古姫が目をつけたのが包囲網端である。

中心部分からの面の構成ははどうしても端の部分の展開が遅れる。

駆逐古姫はそれを巧みに見抜き一番脱出できる可能性がある方向を目指していた。

600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:42:03.15 ID:O5Yg9HcV0


提督(……、救援の目的は達したと言えなくは無いか。)

提督(敵の指揮官をどうみるか……。)



後顧の憂いを断つのは基本なれど。



提督(手札が足りない。大役は狙うべきではないか。)

提督(現状で目的は達して後はボーナスを狙うかどうか。)

提督(ポーカーにしてもなんにしても賭け事ってのは引き際が肝心だ。)

提督(伏せ札で一枚とっておきがあるとは言え、

   今時点で幕を下ろすのもありか。)

提督(周辺鎮守府連中には期待できんしな……。)



88鎮守府の主力に負傷者が出ている現状で最優先の目的は達成済み。

となれば逃げる敵は追うべきではないか?

死に物狂いで逃げる敵と言うのは時として予想以上の力を発揮する事がままある。

その必死の力に盆を返されてはたまらない。

提督がそう考えた時だった。

601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:44:02.54 ID:O5Yg9HcV0


不知火「司令。瑞鶴さんから無線通信が入っています。」

提督「繋いでくれ。」

瑞鶴「提督。空母棲姫が頑張っているって?」(無線)

提督「あぁ。」(無線)

瑞鶴「私がやるわ。」(無線)

提督「そうか。頼んだ。」(無線)



そして、瑞鶴からの無線通信を終えたくらいに

また一人の艦娘からの通信が入る。



不知火「司令。時雨さんからも通信が入っています。」

時雨「提督。」(無線)

提督「瑞鶴の護衛ではなく移動していたんだな?」(無線)

時雨「うん。察しが良くて助かるよ。僕も行くよ。」(無線)

提督「頼んだ。」(無線)



瑞鶴からの許可を得て、

手勢を連れ遊撃隊として行動していた時雨は

予め包囲網の穴となりそうな場所を予測して動いていた。



提督(敵の殲滅……、いけるか?)

提督(総大将を逃がす為に敵は必死になるだろうが。)

提督(瑞鶴に時雨…。自分で考え動く事が出来る、

   更に有効打を打てる兵というのは実に得難い。)

提督(指揮官として将として。次代を担える存在だ。)

提督(追撃戦は大事だが。二人を失う愚は避けないといけないな…。)


602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:47:34.02 ID:O5Yg9HcV0
88鎮守府敵後方襲撃部隊


瑞鶴「川内!私の体の護衛頼まれてくれない?!」

川内「……。全力でいくの?」

瑞鶴「敵の艦隊を追っかけるのに

   私が向っていちゃ間に合わないしね。」

瑞鶴「今飛んでるのを直接向わせるしかないでしょ。」

川内「そっか。」

瑞鶴「魂降ろし(フルダイブ)をやるわ。」

川内「了解。お姫様の体には指一本触れさせないよう頑張るよ。」

瑞鶴「宜しく。」



そして瑞鶴は意識を集中させ両手を顔前で合掌した。

嘗て、深海棲艦への対抗策として艦娘が出始めた頃の事。

まだ二つ名持ち(ネームド)制度が始まる前の事。

比類なき強さを誇った、

その種類の艦娘として艤装の製造番号が初期の艦娘が居た。

一人は呑波の赤鬼と呼ばれもう一人は呑舟の青鬼と呼ばれた。

呑波、呑舟、どちらも意味は同じで舟を喰らう程の大魚。

二人はその名の通りに多くの舟、深海棲艦を喰らい沈めた。

そしていつしか、二人を合わせて呑波呑舟、大喰らいの一航戦と呼ぶようになる。

その強さ比肩する者なし、時として国士無双と賞されるほどだった。

強すぎた艦娘。

強すぎた為に敵深海棲艦に徹底的に狙われ

最優先排除対象とされ最期は水底へと消えていった。

その半ば伝説として語られる二人が得意とした、

いや二人だけが使えた特殊な艦載機操縦方法がある。

それは艦載機に自己の意識を載せるやり方『 魂降し 』と呼ばれ、

それは艦載機の搭乗員妖精と自己を完全に同化する手法だった。

同化した艦載機達は一個の群体として動き敵を屠っていった。

ある程度の指示を与えた後は搭乗員妖精に任せる通常の操縦方法と違い

艦載機全てを操り自己の視界とするするその操縦方法は

艦載機妖精同士の連携が不要となり最強を誇った。

しかし、それを行う艦娘への負担は計り知れないほど大きく、

結局、この二人以外行えた者は居ないとされる。



瑞鶴「加賀さんみたいに降ろした後にお握り摘むような余裕は無いけどね。」



パンと改めて一拍。


瑞鶴「88鎮守府筆頭空母、瑞鶴!相手仕る!戦技!魂降し!」


その瞬間、瑞鶴が繰る艦載機達の纏う気配が変わった。

603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:49:49.64 ID:O5Yg9HcV0


殿軍部隊 空母棲姫



空姫「敵の攻撃隊は温いわねぇ!」



撤退する深海棲艦軍の殿軍を駆逐古姫と

空母棲姫は自己の手勢と共に勤めていた。



古姫「予想通り後方を襲撃した連中と比べて練度が低いわね。」



機関全速で撤退する中で追撃を仕掛けてくる敵の艦載機攻撃隊は動きが鈍重。

そして、艦娘による砲撃も雷撃も命中精度は低かった。



古姫「回避しやすい単調な攻撃というのは助かる。」



ひょいひょいと敵の攻撃を交し追撃部隊にお返しとばかりに砲雷撃。



古姫(これなら私と空母棲姫も脱出できるかもしれない。)



そんな淡い夢を見たときだった。

戦う二人の間を一陣の風が吹き抜けた。


604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:51:16.67 ID:O5Yg9HcV0

空姫「駆逐古姫様……。」



急に敬称をつけて駆逐古姫を呼ぶ空母棲姫。

一体どうしたというのか。



古姫「どうしたの?」

空姫「重要機関をやられました。」



そんなばかな。たった今のその一瞬で?

そんな動きの取れる敵機は対空戦闘が始まった先程からまったく見ていない。



空姫「胴体シンボルに加賀梅鉢。尾翼マークに二羽飛び鶴。」

空姫「私の真横を一瞬ですが見せ付けるように飛んでいった部隊がいました…。」

空姫「青鬼の弟子でしょうや……。」

古姫「あの!あの青鬼に弟子がいたの!?」



駆逐古姫程の古参となれば敵の強兵の名を知っているのは当然であり

その名は驚愕を伴いつつ古い記憶を呼び起こした。



空姫「過去の因果が追いついたと言うところでしょうか。」

空姫「あれの弟子がここにいる以上は足止め出来るのは私だけでしょう。」

空姫「操る艦載機全てが落とされるまであがき時間を稼ぎます。」

空姫「戦艦水鬼様をどうぞ。よろしくお願いいたします。」



畏まり深々と頭を垂れる空母棲姫。



空姫「お行きください。」



そして駆逐古姫を見送ると空母棲姫は改めて追撃部隊の方へ向きなおる。


605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:52:53.39 ID:O5Yg9HcV0


空姫「殿軍としての務め。しっかりと果たしてみせましょう。」

瑞鶴「いいじゃない。その覚悟。受取った。」



瑞鶴の意思が乗った艦載機、いや、瑞鶴そのものと言って過言ではないだろう航空隊が

覚悟を決めた空母棲姫へ襲い掛かる。



空姫「動きが捉えきれない!」



敵の攻撃隊を一言で形容するなら俊足俊英。

一機が魚雷を落せばその機体とまったく同じ高度、位置につけた二番機がそれに続く。

前衛の機体を盾に後続が全て突撃。突撃タイミングはコンマ以下秒のずれもない、

そして迎撃機が敵の死角位置から後ろを取れば迎撃機の死角に敵が居る。

背中に目がついているのかはたまたその敵機は本当にそこに居たのか或いは未来予知?

いいように翻弄され空母棲姫はあっという間にダメージを重ねていく。



空姫「私が相手をするには力不足だったようね……。」

空姫「……、青鬼の弟子という事であればこんな戦場では

   仮に旗艦を勤めているのであったとしても役不足なのでしょうけれど。」

空姫「自分の命を奪っていく相手の顔くらいは拝みたかったわね。」



既に艦攻からの魚雷の命中弾が数発。

そして、艦爆からの直撃弾も食らっている。

錬度の低い敵攻撃隊に上手く紛れて攻撃してくる精鋭。

その姿、気配を見ることは最期まで敵わなかった。



空姫「ここまでですか……。」

空姫「これほどの強さを誇る艦娘がまだ隠れていたとは……。」

空姫「我々の完敗ですね……。」

空姫「駆逐古姫様……。

   後は、どうぞ、どうぞ…よろしくお願いいたします。」
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:54:05.63 ID:O5Yg9HcV0

瑞鶴「ふん。なかなか頑張ったじゃない。」

瑞鶴「でもね。ひとつだけ訂正して逝きなさい。」

瑞鶴「私に技を教えてくれたあの人はこんなもんじゃないわよ。

   正しく鎧袖一触だったわ?」

瑞鶴「私はあの伝説の足元にも及ばないんだから。」

瑞鶴「私はあの伝説と比べて自分がそれに並べるなんて思っちゃいないわ。」

瑞鶴「あんたがここで負けたのは、

   たまたまあんたが私より弱かっただけよ……。」



意識を載せた艦載機達の視界に

空母棲姫が炎上、轟沈する様を捉え瑞鶴は意識を体へと戻した。

607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 00:55:49.25 ID:O5Yg9HcV0


瑞鶴「……、川内?」

川内「お帰り。」

瑞鶴「迷惑掛けたわね。」

川内「いえいえ。戻ってきたなら何より。」



敵の必死の猛攻は意識がなくなり

棒立ち状態だった瑞鶴を格好の的としていたようである。

瑞鶴が自分の体に戻ってきた時、

体の護衛を頼んでいた川内はかなり消耗しているようだった。



瑞鶴「あの人達みたいに意識を飛ばしていても

   自分の体を動かすなんて芸当は無理ね。」

瑞鶴「まだまだ修行が足りない事を痛感したわ。」

川内「んー、まぁ、瑞鶴は瑞鶴でいいんじゃない?」

川内「まっ、確かに明確な目標があったほうが

   やりやすいってのはあるかもだけどね。」

川内「で、首尾は?」

瑞鶴「上々よ。」

川内「じゃま、後は時雨にまかせますか。」

瑞鶴「そうね。さすがに疲れたわ。」

瑞鶴「ウォースパイト?」(無線)



瑞鶴が無線でウォースパイトを呼び出す。



スパ「お呼びですか?」(無線)

瑞鶴「疲れたから旗艦よろしく。

   副官として補助はしてあげるから頑張んなさい。」(無線)

スパ「えぇ!?」(無線)



そして、二の句を告げさせず無線を切る。



川内「いいの?」

瑞鶴「そろそろ一人立ちさせるべきでしょ?」

瑞鶴「這えば立て、立てば歩めの親心よ。」

川内「スパルタだねぇ。」

瑞鶴「雪風が過保護なのよ。」



そう川内に返し瑞鶴はゆっくりと自己の艦載機を再度発艦させた。


608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 01:06:09.77 ID:O5Yg9HcV0
以上更新終わりで御座います

590様、そういっていただけると何よりです
深海側のドラマもある程度あると主人公側も引き立てられるかと思いながらの話づくり
主人公側を面白く見せるには魅力あふれる敵役も重要と自分は思っています

591様、乙レスありがとうございます

592様、いつも話の展開を考えて感想レスを下さっている方でしょうか?
考察ありがとうございます、戦国史好きなら外せない戦いですよね、自分も好きです

593様、レスありがとうございます
軍艦としてではなくあくまで艦娘だから出来る作戦や手法をいくつか足した話し作りのほうが
他の艦これ2次と差別化できるかしら?と無い知恵をうんうん絞ったかいがありました

次回は時雨が満を持して主役(?)の貫禄。ヒーローは遅れてやってくる!
何とか年内に終われるよう頑張ります、この救援話しだけでスレの半分くらい消費している事実
もっと上手くまとめれないと駄目ですね…
いただいているレスには目を通して返せる場合はレスを返しますのでどうぞお気軽にレスを残していただけると嬉しいです
では、次回もお時間の都合が宜しければお読みいただけると幸いです
ここまでお読み頂きまことにありがとうございました
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/21(金) 00:39:25.78 ID:k98FMmF90
乙です
既に戦没している一航戦のヤバさが半端なくてなんとも
ここの瑞鶴的に他の鎮守府の一航戦(特に加賀)が自分に対し
舐めた態度とったりするとやっぱブチギレ案件なんでしょうかね
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/21(金) 01:04:16.11 ID:yBUtarlV0
たまたま上手くいった狂人集団(名指し)

深海は札2枚、提督は1枚 うーむ
提督としてはうまいこと少佐提督が大将首を挙げる状況を創出出来れば功の上げすぎも多少隠せるがそんな状況意図してでっち上げるのは難しいなあ
そういやでっちの姿見ないような
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/12/21(金) 06:41:36.27 ID:f4OjJbdSO
私の艦載機は最近航続距離や威力が弱い気がする
亜鉛飲んだほうがいいのかなぁ
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/21(金) 10:15:02.90 ID:SE5IBpml0

フルダイブって敵味方の動きをほぼ随時把握しつつリアルタイムで細かく指示できるようなものなのか
鬼かよ
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:23:13.35 ID:KSP3WUqy0
室内の吐く息が白い、少しだけ更新します
イベントやる気が出ない、皆様もう突っ込まれてます?
新艦は可愛いなぁと思うのですが、にんともかんとも
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:25:05.97 ID:KSP3WUqy0

深海棲艦達の撤退は三々五々、

四分五裂といったいかにもな敗残軍の撤退ではなく。

駆逐古姫が逃げるべき方向を示し、

その他の姫級たちが死ぬ最後まで指揮を執っていたことも有り只の敗残兵とは違った。



提督「負けているにも関わらず統制が執れている敵というのは厄介ですね。」

大佐「えぇ、平時の練度と敵の統率力の高さを窺い知れます。」



ここで多くの敵指揮官を倒せた事は後々有利に働くと二人は考える。



提督「時雨はそろそろか。」



先の無線時に聞いた座標から秋津洲が連絡してきた敵旗艦艦隊の座標とを見比べ、

手元の時計を見て呟く。

本隊の艦載機部隊は提督の指示の元、

撤退しつつある敵旗艦艦隊以外の敵を先に始末していっている。



大佐「丁寧な仕事ですね。」

提督「今、敵主力に向っている部下が任せろと言ったんです。」

提督「上がやれることはその言を信用して

   周りの邪魔が入らないようにすることですよ。」

大佐「部下を育てる為に裁量を与え見守るという事ですか。」

提督「最悪仕留めきれずともこの戦域における絶対的勝利は我々のものです。」

提督「我々の強さを知れば復讐を誓うにしても相応の期間を置くでしょう。」

提督「現状、時間は我々にも必要です。」



提督の言葉には大佐から示唆された色々な面倒事を片付ける為の時間が居るという事であり。



大佐「銃後の面倒事、政治の方は厄介ですからね。」

大佐のこの一言は根が恐ろしく深い事をしめしている。

615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:27:09.10 ID:KSP3WUqy0

深海棲艦 殿軍 駆逐古姫隊



古姫(電探に敵機影が映り始めたわね。)



空母棲姫を残し自軍の直参を連れ

戦艦水姫の殿軍を勤める駆逐古姫の部隊にも

グラーフや瑞鳳の艦載機達が迫ってきていた。

しかし。



ツ級「ツァ!」



駆逐古姫直参部隊ともなれば、深海を支える精鋭なのだ。



グラ「ふむ。さすがに普段使わない52型だと操作に難ありか。」

瑞鳳「へぇー、あそこまで海面スレスレに飛んでる艦攻隊を落せるかぁ。」



艦攻隊が海面スレスレを低く飛ぶのは対空機銃の俯角には限界値があるため。

機銃を下向きにした範囲内で狙えなくなる範囲の内側にまで入り込めば

雷撃はやり放題になる。

だが、敵の殿軍の精鋭達はそれをさせてくれない。



グラ「雷撃のコースに乗る前に落とされると抱えた魚雷が無駄になるな。」

瑞鳳「うん。余り意味の無い物になっちゃう。」



追撃隊の艦載機達が落とされ始めた時にグラーフ達の無線に連絡が入った。



時雨「ようやく敵殿軍に追いついたよ。」(無線)

グラ「時雨か。」(無線)

時雨「道中の抵抗もなかなか厳しくてね。」

瑞鳳「直接やる?」(無線)

時雨「うん。僕がやる。任せて貰えるかな?」(無線)

グラ「上空は任せて貰えるか?」(無線)

時雨「お願いするよ。」(無線)

瑞鳳「それじゃぁ、周辺のお掃除はこっちがするね!」(無線)

時雨「うん。お願いする。」(無線)


616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:28:11.64 ID:KSP3WUqy0


古姫(ここに来て、まだ強兵の手札を切れるか……。)

古姫(敵の…、敵の救援部隊の層のなんと厚いことよ…。)



迫ってきた時雨の纏う雰囲気は歴戦の古参兵のそれ。



古姫(なれど、救援部隊の中核のみが頭抜けて質が高いだけのようね。)

古姫(全体の軍の質であれば我ら深海側の方が上なのは揺るがない。)

古姫(それだけ相手は全体的に追い詰められてきている。)

古姫(なればこそ、今回は相手が一枚上手だった。)

古姫「それにつきるわね。」

時雨「?」

古姫「こちらの独り言よ。」

古姫「今、この場に立つということは

   あなたもそれなりに名のある艦娘と思うのだけれど。」

古姫「名乗る名があるのなら聞いてもいいかしら?」



古姫が連れていた直参の深海棲艦達は

時雨が瑞鶴に任された部下達が相手取り

グラーフ、瑞鳳の攻撃隊がそれを援護する。
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:29:37.91 ID:KSP3WUqy0

時雨「名乗れる程の名は無いけれど。」

時雨「そうだね。

   僕は外地鎮守府管理番号88所属。」

時雨「白露型二番艦、時雨だよ。」

古姫「此方の求めに応じてくれて感謝するわ。」

古姫「流石にこの首、

   知らない相手にくれてやるには惜しいかと思っていたのよ。」

時雨「それで、君は?」

古姫「深海南方方面軍戦艦水鬼艦隊が参謀長駆逐古姫。」



名乗りを終え、武者両名の戦が始まった。

先の先、先の後、後の先。

剣道でよく言われる試合運びの為の対峙法であるが

武芸者同士での戦い方の心得の一つ。

相手の動きを先読みしそれに対して先に動く。

また、相手が仕掛けてきた際に出来た隙に対してカウンターを返す。

先に長門と戦艦棲姫が演じた演武の様に戦うが。

その駆逐艦たる二人の動きは正しく自由自在。

砲が擬装に固定され砲の動きが制限される戦艦達と比べ

駆逐艦である二人の砲は携行式。

そこには仰角、俯角という艦艇に固定される砲の概念はない。

更には。

618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:31:42.59 ID:KSP3WUqy0

時雨「流石にいい所に魚雷を撃ってくる。」



ひらりとかわし避けきれない魚雷を砲撃。



古姫「軽くかわしてくれるものねぇ。」



時雨がお返しとばかりに

返してくる魚雷を避けた先の砲撃を交しつつ返す駆逐古姫。

ただ、戦艦同士の戦いと違い。

こちらは駆逐艦である。

一撃一撃はお互いに致命傷になる確実なダメージとなる。

駆逐古姫の方に装甲の分があるとは言え

流石にそれに頼った戦いは出来ないだろう。

お互いに死への一撃を軽くいなす戦い。



時雨「そろそろ観念してその首、渡しておくれよ。」

古姫「今はまだあげられないわねぇ。」



魚雷を放った後にその後ろで加速して突っ込んで来る時雨。

これは駆逐古姫が魚雷を避けきると確信しているからこそ出来る芸当。



古姫「自身の放った攻撃を

   一撃も無駄にしないその心意気は素敵だと思うわよ?」

古姫「でも、魚雷が私に当っていたら貴方、爆発に巻き込まれていたわよ?」


ほいと時雨の放った牽制の蹴りを

海老ぞりで交しつつ言葉をかける駆逐古姫。



時雨「あれに当ってくれるような君なら

   僕が此処で戦っていなくて済むんだけどね。」



蹴り抜けた足の勢いを活かし

駆逐古姫の後ろを取ろうとした時雨に駆逐古姫が砲身の先を向けてくる。

それを体を捻らせ砲撃で逸らし言葉を返す時雨。



古姫「本当に困った相手がいたものね。」

時雨「どうも。」



この期に及んでというのが正しいのかは別として。

相手を褒めるに困った相手というのは適切なのかどうか、

そしてそれに謙遜ともとれる無気力な返事。

弛緩した雰囲気が漂うが周囲は敵味方入り乱れ命のやり取りが行われている愁嘆場。
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:33:52.28 ID:KSP3WUqy0

古姫「貴方が敵でなければ

   野点の一つでもと誘いたいところなのだけれどね。」



幾度にも及ぶ砲雷撃。

それを交わし続ける二人に少しづつの変化が出始めていた。

方や明石によりつねに最新の技術を投下され進化し続けている兵装。

そして、その体力は無尽蔵ともいえる若さからくる。

対峙する駆逐古姫は、その名の示すように時雨と比べれば年をとっている。

更に、艤装そのものが持つ性能は決して悪い物ではないのだが。

事、ここに至っては総合力で時雨に分があるのである。

更に元々の戦況も今は時雨に味方する。

時間が経てば経つほどにこの海域に敵が、

艦娘が集まってくるのは明らかである。

時雨の三つに編んだお下げが回避行動にあわせくるりと揺れる。



古姫(美しいものよな。)



だが、見惚れていては自分の首に当てられた死神の鎌が振り下ろされる事になる。



時雨「なかなかに時間を稼いでくれるね。」

古姫「あら、流石に見抜かれていたわね。」

時雨「消極的な戦い方をされているとね。」

時雨「ここに僕の仲間が集中すれば

   君が逃がそうとしている総旗艦を追う者は少なくなるからね。」

時雨「かといって君の相手が単騎で出来るのは僕くらいだろうしね。」

時雨「乱戦で戦う方が得意なタイプと見るよ。」

古姫(本当に困った相手だ。)



その双眸はこちらを良く観察しこちらが得意とする戦いへ持ち込ませないように

周囲の部下へ戦闘の参加を禁じ、自分たちを無視し本来の追撃を行わせている。



古姫(こちらの手をきっちりと封じてくる。)


会話を楽しんでいるように語っているが実際は

自分を引きとめ戦艦水鬼へ追撃隊を殺到させているのだろう。

お互いにお互いを引きとめておきたいという意味では利害が一致しているとも言えるが。
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:35:07.03 ID:KSP3WUqy0

古姫「貴方だけしか止められないのであればそれは意味無き事。」

時雨「なんだ、こっちの意図も読まれてたか。」

古姫(涼しい顔で。子憎たらしい。)



しかし、その内心は晴れやか。

死出の旅路によき敵に合間見えた事、その喜びが大きい。



古姫「今、再び、一武人として戦える。」

古姫「時雨。あなたに感謝を。」

古姫(といっても体がもう気持ちに追いついて来ないわね。)

古姫(歳はとりたくないものね。)

時雨「……。」

時雨「改めて。僕は外地鎮守府管理番号88所属。白露型二番艦時雨。」

時雨「相手をさせて貰うよ。」

古姫「深海南方方面軍戦艦水姫参謀長 駆逐古姫。」

古姫(あぁ、成程。)

古姫(此方が一息入れるだけの。その一息で調子を戻せと。)



時雨が改めて自分の名乗りをあげ、敢えて作った間の意図を見抜き。

621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:36:41.60 ID:KSP3WUqy0

古姫(尚も全力を出せと目の前の将は言うか。)

古姫「貴方は貴方の指揮官に老人を敬えと教わらなかったのかしら?」

時雨「労わらなければいけないほどの歳なのかい?」



ここに来て、駆逐古姫はようやっと時雨の意図を理解し

その行為に敬意を払いたいという、いや払うべき行為と気付いた。

時雨は自分に全力を出し切らせ、そして武人として死なせる。

最大限の名誉を与え死なせる心算なのである。

殿軍の将といえば追撃され命を落とす事が多いのが常。

更には名の知らぬ者に狩られその死体は切り刻まれ辱めを受ける事が多い。

時雨が味方から信頼されて部下を良く使っているのを見れば分かる。

時雨自身、それなりの位置にいる者なのだろう。

実力で他のものに自分の命令を聞かせるだけの力がある。

その者が自ら自分を倒し、

誰とも知らぬ者に首を獲らせ不名誉な死に方はさせぬとの意思表示。

名誉ある死を与えると言っているのだ。

戦い、銃口を、魚雷を突きつけ合わせた僅かな時間で時雨の人となりは理解出来た。


622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:38:21.36 ID:KSP3WUqy0

古姫(………。

   戦艦水姫様が電探の感知範囲から消えて大分たつ。)



一呼吸入れさせて貰ったものの時雨の動きに自分の老いた体は再び遅れ始めている。



古姫(………、どうやらここまでですか。)

古姫(いえ、よく持ったといえますか。)



反応速度の遅れから時雨の放った魚雷が駆逐古姫に命中した。



古姫「時雨。貴方の勝ちよ。」

時雨「君はまだ動ける。」

古姫「流石に老体にこれ以上は無理よ。」

古姫「そして、時雨、ごめんなさいね。

   この体。貴方達の研究材料にくれてやる訳にはいかないわ。」



時雨程の人物がそれをするとは思わないが。



古姫「代わりにこれを討ち取った証拠にしなさい。」



シュルリと髪を解き纏めていた、りぼんを時雨に投げる。



時雨「とっとっと。」



時雨が手を出して拾おうと目を一瞬だけ離した隙だった。

623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:40:38.12 ID:KSP3WUqy0
ズドン!



時雨「!」



駆逐古姫は自分の主砲を自分に向け発砲。

そして、自沈した。



時雨「なんて覚悟だ。」



自らの腹部を吹き飛ばした後、

艤装に残っていた砲弾を砲身内でわざとに爆発。

誘爆がおきて駆逐古姫が沈み消えるまではあっと言う間だった。



古姫(これで、これでいい……。)

古姫(戦艦水姫様に足りなかったもの。敗北の経験。)

古姫(それが、やっと、やっと足りた……。)

古姫(電探の範囲から消えて大分たつ。

   無事逃げおおせたでしょう。)

古姫(この敗北の経験は戦艦水鬼様を真の名将にしてくれるでしょう。)

古姫(皆さん、やりおおせました。)

古姫(先に逝った戦艦棲姫や空母棲姫。空母棲鬼様にこれで顔向け出来る。)

古姫(笑って出迎えてくれるでしょうね…。)



海底へ向け沈み行く体、薄れ行く意識の中で駆逐古姫は考える。

その表情は笑顔。



古姫(後は……、今しばらく、今しばらくの時間を。)



目の前で駆逐古姫が沈んでいくのを見届け

時雨はようやく自身の電探を起動させた。

時雨は余裕をある風を装っていたが

電探を切りそれで生じた処理能力の余分を艤装の他の動作処理に回していたのだ。

いや、回さざるを得なかった。

実際はそこまでしなければならないほどに駆逐古姫は手強かった。

そして、電探の範囲内には敵の部隊と言えるものが残っていない事に勝利を確信。

そしてまた敵の大将はまんまと逃げおおせた事を把握した。

624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/29(土) 00:41:56.83 ID:KSP3WUqy0

瑞鶴「とまれ勝利は勝利よ。」(無線)



測ったように。いや。

ブィィィィィン---



瑞鶴「見てたわよ。彩雲を通して。」(無線)

時雨「やれやれ。壁に耳あり空には彩雲ありか。」(無線)

瑞鶴「お疲れ。」(無線)

時雨「うん。ありがとう。」(無線)

川内「今回はお守りだったぁ ―――― 。」(無線)

瑞鶴「あんたは縁の下の力持ちやったんだから誇りなさい。」(無線)

川内「えぇ ―――――― 。」(無線)



時雨と瑞鶴の無線に活躍の場が無かった川内が割り込む。

実際には瑞鶴の護衛として充分以上の働きをしていたのだけれど。



瑞鶴「は ―――― 。あんたには私の報奨金あげるから。」(無線)



それで満足しなさいと恐らく言葉が続いたのであろうが。



川内「わ ――――― い。」(無線)



無邪気な歓声でそれはかき消された。
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/29(土) 00:48:43.83 ID:KSP3WUqy0
相変わらず地の文多めです
クリスマスギャグスレ建てたらRに飛ばされちゃいました
スレ建てバグ直ってないみたいですね、新スレ建てるのに専ブラどうなのさ日向状態
このお話はもうちょっとだけ続きます!今年もあと少し!
ねっ年内には終わらせるし!31日の12時までは年内だし!
E3の輸送で涼月掘りたい、所持制限無いみたいですよみなさん(尚、掘れるとは)
イベ、やる気持が出らんですねぇ、複数持ちしたくなるのが涼月くらいしかない
乙レス、感想レス、いつもありがたく拝読しています、どうぞ、お気軽にレスを残していただけるとありがたいです
では、次回で最後の更新とできる様に頑張りたいと思っています
ここまでお読み頂きありがとうございました
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/29(土) 00:50:57.06 ID:KSP3WUqy0
ところどころ水鬼が水姫になっているのは
お読みいただいている皆様の心の中で訂正いただけると感謝いたします
いっちの不始末です
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/29(土) 05:24:19.06 ID:kUOKECOpO
乙!
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/29(土) 19:16:11.69 ID:asNWcBC30
更新乙です
どっちの陣営にも魅力的なキャラが多すぎぃ
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 03:24:36.04 ID:8mCFG6w50

ゲームでこんなんが相手じゃなくてよかった
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 22:59:08.23 ID:N0c9OvKf0
S勝利絶対させないウーマンさん流石の捨てがまり
足枷気味の部下抜きで鬼姫級連合艦隊と88主力連合艦隊の激突なら結果は逆になってたんだろうなあ
生き死ににたらればはないけど
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:05:47.60 ID:ihf9M2Jd0
年内間に合わなかったぁ!?
いや!まだ2018年12月31日25時!?(悪あがき)
最後の更新となります、お時間よろしければお付き合いください
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 01:08:56.44 ID:ihf9M2Jd0

深海勢力と人類側勢力の境界付近



チャプ

時刻は夕暮れを迎え日は水平線の向うへと消えようとしていた。



伊58「敵艦影、いまだ発見せず。」

伊8「目視範囲内には敵は居ないよ。」

伊13「同じくこちらも見つけられません。」

伊58「もうすぐ日が暮れるでち。」



夜は潜水艦にとって一番襲撃を掛けやすくなる時間帯。

だが、今、待ち伏せをしている場所は敵と自勢力の境目。

彼女達に指示を出した提督は敵を沈められなくてもいいと言った。

それは初めの会敵後に魚雷と燃料の補給の為に一旦戻った時の事だった。



提督「この方角に逃げてくるだろうぐらいしか分からん。」

提督「海は広いからな。」

伊58「適当でち。」

提督「柔軟性を持った対応といってくれ。」ハハ

提督「まっ、それはさておきだ。」

提督「この作戦を終了すればお前さん達は晴れて自由の身だが国内には戻せない。」



58達の過去を考えれば当然。

633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:10:45.89 ID:ihf9M2Jd0

提督「でだ、再就職先に米軍の新設潜水艦艦隊の教導の席を用意した。」

提督「収監中の伊14については既にアラスカ経由でアメリカに入ってる。」



こいつを見てくれと提督がノートPCを取り出す。



「あっ!姉貴−!」



通話アプリに姿が写るのは伊14。



伊13「イヨちゃん!?」



暫しの会話の後、伊14がアメリカに間違いなく居る事を確認。



伊58「どんな手品でち?」

提督「例のウォースパイトが頑張った作戦があるだろ?」

提督「あの後に色々米軍と仲良くしておいたんでな。」

提督「お前さん達は今回の仕事が終わったら

   こっちの方向へ向かってくれ。」

提督「米軍の収容部隊が来ている。

   表向きには観戦、情報収集という形だ。」

提督「相手先はこの時間には引き上げるから絶対に遅れるなよ?

   遅刻は無しだ。」

提督「いいな。この船には戻るな。」



そういうと三人に小冊子を渡し始める。



提督「本物の偽物だ。

   米国に着いたらグリーンカードに切り替えるから直ぐに不要になるが

   とりあえずの身分証明に必要だからな。渡しておく。」



そして続いて渡すのはプラスチック製のカード。



提督「洗濯機を回して綺麗にした奴を入れてある

   バンカメのキャッシュカードだ。」

提督「暗証番号はここでの個人認識番号の下4桁だ。向うに着いたら直ぐ変えとけよ。」



最後に3人へと腕時計を取り出す提督。
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:12:46.39 ID:ihf9M2Jd0

伊8「これは…、パネライ、ですか?」

提督「流石、博識だな。」

提督「餞別だ。金に困ったら売るといい。」



一人ひとりの腕に巻く姿を見た後に一言。



提督「二度と帰ってくるな。せっかく生きて出られるんだからな。」

提督「新天地で頑張れよ。」



ポンと伊58の肩を叩き提督は司令室へと踵を帰す。



伊13「あっ、あの!」

提督「なんだ?」

伊13「ありがとうございます!」



司令室に戻りかけた体を再度三人の方に向け、

思い出したように敬礼。

そして、伊13の言葉に笑みを返し提督は艦橋へと帰っていった。

635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:13:44.99 ID:ihf9M2Jd0


伊58「最後の大立ち回り。」

伊8「なんとか成功させたいですね。」



だが、自分たちを収容する予定の艦隊との合流時間は迫っている。



伊58「………、時間でち。」



提督が示した敵の退却経路。

移動を考えればその範囲内に留まれる時間はもう無い。



伊13「敵艦隊発見!」



待ち伏せである為に電探で

自己の位置を逆探される様な電波を出すわけには行かない中。

そして、夕暮れを迎え夜の帳が下り、

目視での敵艦影が発見しにくくなるギリギリ。

伊13が敵旗艦艦隊を見つけた。

636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:15:14.10 ID:ihf9M2Jd0

伊58「敵艦確認!」

伊58「魚雷発射後全力離脱!」

伊58達が発射した魚雷は敵へ向って一気に殺到した!

ネ級「右舷30度!距離300!敵魚雷!」



魚雷の針路は図ったようにまっすぐと戦艦水鬼への衝突コース。

命中かと思われたタイミングだった!

ズドン!



タ級「どうにか、お役目果たせたようです。」

戦鬼「タ級!?」

タ級「戦艦棲姫様に胸を張って会いに行けます。」

タ級「後ろを振り返らずこのままお逃げ下さい。」

タ級「敵の艦影が見当たらない以上は潜水艦からの攻撃。」

タ級「立ち止まれば敵の思う壺です。」

戦鬼「タ級、ごめんなさい。」



その謝罪は曳航せず、置いていかざるを得ない事への物であり。



タ級「覚悟の上です。いえ、最後の奉公が出来てよかったです。」



タ級が戦艦水鬼を庇って被弾したのは伊58達にも見えていた。

637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:16:19.19 ID:ihf9M2Jd0

伊8「もう夜になるからもっと近付かないと視認出来ないよ!」

伊13「聴音襲撃だと敵艦隊の隊列が密だから聞き分けが困難です!」

伊8「どうする!?」

伊58「………。」

伊58「撤収でち。」

伊8「!?」

伊13「ここまで来てですか!?」

伊58「ゴーヤ達をアメリカへ送り出す為に

   提督は危ない橋を渡っているのは間違いない。」

伊58「わざわざ腕時計を餞別に贈って来た意味を考えろ。」

伊58「時間だ。」



敵艦隊の艦種までは判別出来ないほどに既に周囲は暗闇の中。

そして、敵勢力圏は直ぐそこ。

いや、既に内側に入っていておかしくない。

提督がなぜそこまでをしたのかを考えれば。

伊58が強い口調で撤退を言うのは当然ともいえる。

638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:17:57.83 ID:ihf9M2Jd0

伊58「もう一度言う。撤退。」

伊8「……、了解。」

伊13「了解しました……。」



提督が仕掛けた最後の罠はタ級の献身的犠牲により不発に終わった。

そして、明けて翌日、残敵の掃討終了、

当該海域での戦闘終結宣言がなされこの海域での戦闘は終了した。



一ヶ月後  88鎮守府 荷揚げ用埠頭


長門「こんな所にいたのか。」

提督「色々な処理がある程度落ち着いたんでな。」

提督「さぼりだ。」

長門「そうか。それでよかったのか?」

提督「よかったのか、というのは?」

長門「例の不正を行っていた鎮守府の提督連中は処分保留だそうだが?」

提督「首をほいほい挿げ替えられるほど人間が残ってないのさ。」

提督「お前が提督になるのを受けてくれていれば話は違ったんだがな。」


先の作戦時に島風が救援を求めて立ち寄った鎮守府の提督達は

救援を断った事、他にも色々とあった不正への処分は保留されていた。

639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:19:28.89 ID:ihf9M2Jd0

提督「だいぶ前の作戦のときに首を飛ばしすぎた。」

提督「これ以上飛ばすとなり手が居ないだとさ。」

長門「私はやらんよ。」

提督「艦娘でベテランの連中を

   提督へってのは前から少しずつは進められているんだがなぁ。」

提督「要件を満たせる奴がほとんどいない。」

長門「だから私はやらんよ。」

提督「分かってるよ。二度も繰り返すな。」

長門「大事な事だからな。」

提督「処分保留にして

   手綱を握っておいたほうがいいだろうと考えたらしい。」

長門「大丈夫なのか?」

提督「一応あの辺りの人事異動はやったそうだ。」

提督「例の救援にいった所な?

   あそこの提督は後ろに下げて不正をやらかしてた連中で

   一番階級の高かったやつらから近い順に最前線。」

長門「ははぁ。死にたくなければ頑張れよと。」

提督「あぁ、例の頑張った少佐は昇進して周辺に睨みを利かせる事が出来る位置に移動だ。」

長門「なるほどなぁ。」
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:20:50.42 ID:ihf9M2Jd0

長門「ところで、教導の昔の部下だった娘から

   今回の救援作戦が艦娘養成学校の教科書に掲載されたと聞いたのだが?」

提督「月並みだがな。人の寿命は二つあるって奴だ。」

長門「肉体の、命が尽きたときと人の記憶から忘れ去られた時の二つだったな。」

提督「そうだ。島風が生きた記憶を。生き抜いてなした事を。」

提督「島風の自己犠牲の精神を真似ろとは言わないが、その高潔さを知って欲しい。」

提督「そして、皆の記憶の中に残れば、残っている間は島風も死んでいないだろ?」

長門「……、そうだな。島風は皆の心の中で行き続けるだろうな。」

提督「あぁ。」



そして少しの間があって長門がまた提督に話しかける。

641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:24:54.10 ID:ihf9M2Jd0

長門「グラーフやポーラが本国へ帰ると聞いたのだが。」

提督「今回俺たちは目立ち過ぎた。」

提督「グラーフに関しては

   それを面白く思わない連中が手を回してうちの弱体化を狙ったんだろ。」

提督「ポーラはもともと志願だ。契約が終われば帰るだろうさ。」

長門「他にも人員が抜けるようだが?」

提督「出る杭は打たれるのが世の慣わしだろ?」

長門「打たれるどころか引っこ抜かれそうな勢いだな。」

提督「今回は目立ち過ぎた。それだけだ。」

提督「日陰者は日陰者らしくしとけという事さ。」

長門「これから厳しくなるな。」

長門「我々は守れただけだからな。」

提督「それが理解出来ているお前はさっさと艦娘やめて提督になってくれよ。」

長門「だからならぬと言っているだろうが。」

提督「あー…、そうだったな、すまん。」

長門「………。」



そして、また、しばしの沈黙。



提督「………。なぁ、長門。」

長門「なんだ?」

提督「島風は死ななきゃいけなかったのかな?」

長門「止められたのに止めなかった事を悔いているのか?」

提督「お前は察しがいいな。」

長門「付き合いは長いからな。だが、それは、たら、ればだろう?」

提督「……、そうだな。議論するだけ意味の無い事だったな。」



そして、また間が空き提督が口を開く。
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/01(火) 01:27:35.47 ID:ihf9M2Jd0

提督「長門。煙草を吸ってもいいか?」

長門「……、あぁ、いいぞ。」



そして、一本取り出し。火をつける提督。



長門「……、鬼の目にも涙か?」

提督「ちげえよ。煙草の煙がな……。」

提督「煙草の煙が、目に染みただけさ……。」



人生の最後が幸せに迎えられたかどうか。

それを決められるのは本人だけだろう。

或る者は裏切られ、また或る者は金を稼ぐ為。

或る者は復讐を胸に誓い、或る者は世話になった者への忠誠を誓う。

ここは外地鎮守府管理番号88。

様々な艦娘達の人生が交差し、また離れていく場所でもある。

ここへ送られてくるのは人生が終わりの一方通行ではなく交差点である。

彼女達の活躍は仲間の心に、記憶に残る。

それだけで充分だろと彼女らは今日も出撃する。






続外地鎮守府管理番号88 完
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 01:31:47.63 ID:ihf9M2Jd0
以上一年近く長々と続きました第二部完でございます
お付き合いいただき本当にありがとうございました、途中でネタやおまけなど色々脱線ありましたが…
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました
お読みいただいている皆様の乙レス、感想レスにやる気をいただきながらの作成でした
本当にありがとうございました、依頼を出しに行き、このスレは終了とさせていただきます
スレがあまっているのでボツネタの投下等に使うかもしれませんがその際は生暖かい目で見てやっていただけると幸いです
ではでは、本当にお付き合いいただきありがとうございました!
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 02:55:20.98 ID:x60SYXEX0
おつ 完結は惜しいがお疲れ様でした
最後の一枚は不発だったがでっちが出番あって何より
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 08:06:32.99 ID:nuOcqu1j0
第3部に期待
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 14:41:02.99 ID:ytlaAwaU0
お疲れ様でした
海外勢以外のメインキャラの中から多くの移動者が出ていたら
本当にきつそうですね
(現地裁量でメリケンからの人員支援を受けるてもあるかもしれませんが)

第三部の開始期待してます
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 23:47:21.89 ID:91iE+9l40
お疲れ様です
熱いストーリー良かったっす
自分も3部期待です
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 14:33:30.76 ID:7UJ5uOv70
乙!
完走お疲れ様でした、第3部も期待してる。
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 20:34:04.42 ID:zbHNqNyT0
別スレのおまけにボツネタ供養でちょっと書かれた話を
もっと書いてとお願いしたのは1年以上前でしたか。
本当に良かったです。
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 03:44:41.65 ID:ul40+rcH0
お疲れ様
知識が浅いから難しい所はあったけど戦い方は凝ってて読んでてワクワクした。
熱い艦これ待ってます!
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/07(月) 00:07:36.63 ID:S4P9bhGd0
おまけネタ 日常を少しな話し
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/07(月) 00:08:41.94 ID:S4P9bhGd0


提督「今日は何曜日だったか…。」



或る冬の日、窓からの日差しは暖かくまさしく小春日和だった。



不知火「今日は月曜日ですね。どうされました?」

提督「あぁ。今度、定例の提督会議があるだろ?」



各方面軍事での提督が集まっての戦略会議。

提督曰くおっさん達の同窓会だとか。

早い話、中身がないという事でもある。

以前に時間の無駄とばっさり言いきっていた程でもある。



提督「出席しないと後の割り当てにケチが付く。」



防衛を担当している戦域からの『 あがり 』。

燃料等のその他工業製品の割り当てはこの会議の後の打ち合わせで決まる。

当然の様に戦果が一番大きい提督の所が割り当ては大きいわけだが、

その打ち合わせの場に居なければ減らされてしまうというのもありえてしまう。

必要な所に必要なだけ送るという基本的な事にも、

袖の下、派閥、階級なんてものが付いて回るのである。

653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/07(月) 00:10:00.56 ID:S4P9bhGd0

不知火「鼻薬、手土産、お歳暮は手配しております。」

提督「あぁ、いつも助かっている。」

不知火「では?」



何か落ち度でも?と言いたげに首を傾ける不知火。



提督「月曜日は理髪店協会の加盟店は営業しないんだ。」



自身の頭をぽんぽんと叩く提督。

なるほど散発かと合点がいく不知火。



不知火「それでしたら。」

提督「ん?」

不知火「お切りします。」ヌイ!

提督「そうか。では頼もうか。」



そして、窓辺の明るい場所で散髪が行われたのだった。
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/07(月) 00:11:24.21 ID:S4P9bhGd0

チョキチョキチョキ

軽快な鋏音。



提督(窓ガラス越しの日差しというのは暖かいな……。)

南方というのを考えれば暑いくらい。

提督(少し、眠くなってきたな……。)zzzz

提督 Zzzzzzzzzz



チョキチョキチョキ



そして、悲劇は起こる。



提督 Zzzzzzzzzz カクッ



チ゛ョ゛キ゛ン゛



不知火「!」

不知火「ヌイィィィ!!」



眠りに落ちた提督の首が傾く。

そして、鋏はそれに対応できず、

余分に切りすぎてしまった……。



不知火「バッバランスを!」



チョキチョキチョキ



不知火「まっ、まだなんとかなるはずです……。」



チョキチョキチョキチョキ



不知火「こっ、こっちを……。」



チョキチョキチョキチョキチョキ

655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/07(月) 00:13:11.14 ID:S4P9bhGd0

30分後



提督「と、思わず寝てしまった。」

提督「不知火。すまなかったな。」

不知火「………。」

提督「?」

提督「随分とさっぱりしたのか気持ち頭が軽くなった気がするよ。」

不知火「!!」

提督「鏡はあるか?」

不知火「申訳有りません……。」

提督「あぁ、鏡なかったか。まぁ、いいさ。」

提督「少し、眠気覚ましに散歩に行って来る。

   どうにも眠くてな。」フワァ



そして、提督は執務室を出て散歩へと向った。



長門「おっ、提督。」



提督の後ろ姿を見て声をかける長門。



提督「ん?なんだ?」クルリ

長門「………。その、随分と思い切ったイメチェンだな。」

提督「そうか。不知火に頼んだんだ。」

長門「そうか。」

提督「眠気覚ましに散歩中でな。どうだ?付き合うか?」

長門「いや、遠慮しておこう。」

提督「そうか。」



その後、長門以外にも幾人かと会話を交わしたのだが

何故か皆、歯切れの悪い会話。

そして、提督はウォースパイトとの会話で気付いた。

656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/07(月) 00:14:44.98 ID:S4P9bhGd0

スパ「Admiral」

提督「ん?どうした?」クルリ

スパ「あっ、Admiralのお客様でマフィアの方でしたか。」

スパ「勘違い失礼いたしました。」ペコリ

提督「…………。」



埠頭まで来ていたこともあり明石の工廠に立ち寄れば。



明石「どこのヤクザの組長が来たかと。」

秋津洲「マフィアのボスでも相当ヤバイクラスかも!」

提督「忌憚無い感想ありがとうな。」ハァ―



提督は自分の状態を把握した。



明石「なるほど道理で皆さんが

   紫電改を注文に来ると思いました。」

提督「艦載機のか?」

秋津洲「育毛剤かも。」

提督「あー、成程……。」



なお、育毛剤は間に合わず、

この状態で提督会議に出席した提督は

他の提督にいつも以上の威圧を周囲に与えていたそうである。



不知火「この不知火。自沈してお詫びを……。」

提督「いいさ。結果的に上手く事は運んだし暫く髪を切る必要もなくなったし。」

提督「前向きに考えるさ。」

スパ「元々少なかったですしね。」



余計な一言が原因でこの後ウォースパイトが

楽しい演習に参加する事となったのは言うまでもない。

657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 00:17:30.50 ID:S4P9bhGd0
ちょっとした鎮守府の日常ほのぼの
お読み頂きありがとうございました
完結にあたっての第三部期待のコメント沢山ありがとうございます
改めてここに御礼もうしあげます
コネタや日常ネタなんかで今後もこちらにあげることあるかもしれませんが
その際は温かい目でみてやっていただけると幸いです
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 05:52:52.69 ID:SIB406j6o

スパ子…
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 09:00:14.46 ID:T2YiU9iLO

ヤポンスキー的な空気の読み方は難しいのかな
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/07(月) 09:34:32.19 ID:3FOkM2/5O
ヤクザの組長は金子信夫の演じる役は最高
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 10:30:01.67 ID:LeL6M+b5o

ここのスパ子ほんと好きだ
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 11:57:24.20 ID:MP8xFXdx0

信頼と安心のオチ担当
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 19:30:25.52 ID:5pJ1sCJv0
提督は進化すると禿になるからね仕方ないね
リアップが良いらしい
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/18(金) 23:53:29.98 ID:CIcpqvvX0
艦これ小ネタスレにだいぶ昔に投下して
色々考えて続きを書いたけど結局やめたものを供養代わりに投下します
御笑納ください(続きはかかないんだからね!)
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/18(金) 23:56:35.07 ID:CIcpqvvX0

『 赤備え 』


じゃらん。

錫丈の鐶の音が響く。

暗闇に、水底に敵を引きずり沈めゆく。

奴等は赤備え。

奴等が通った後には深海棲艦は一隻として残らない。

全てが灰燼に。

灰は灰に塵は塵に。

軽巡陸人の近接切り込み戦隊。

彼女達を知るものは言う。

陸人の女武芸者達には近寄るなと。

鐶の音が聞こえた時には手遅れだと。

奴等の艤装は敵の返り血で染められたものだと。

冥府の使者、黄泉比良坂の案内人。

血濡れの錫丈、仕込三味線、地蔵菩薩の代弁者。

彼女らを表現する言葉は無数に有る。

魂を送り届ける先は黄泉の国か、はたまた冥府か。

面頬に隠れたその下を覗くはその命、無きものと知れ。

彼女らが何処から現われ何処へ消えるか知る者は居ない。

ただ、その艤装が赤く染められている事からか

海軍の公式記録には

『 赤備え 』の所属不明な壱団有りと記されている。

666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/18(金) 23:57:43.45 ID:CIcpqvvX0
『 闇に咲くは地獄華 』



都内高級料亭 上客用離れ



大将「いや、座敷遊びまで手配しておるとはな。」

中将「大将閣下には日頃お世話になっておりますので。」



ベンベンベンベべべべ。

はぁーっ!

〽  妖も人も 死ねば変わりは無き事よ

大将「舞を踊っている舞妓もだが、三味線奏者もなかなかだな。」

〽  少し渚に人待てば 果てる命はなかるるに

中将「向島の置屋で一番の綺麗所をお願いしていますので。」

〽  この世儚く 夢落つる

大将「ふん。なかなか美形さな。」

〽  憂き捨てて 捨てて憂き世の浜千鳥

ぺぺぺぺぺん。いよっ!


中将「次の作戦であの鎮守府を・・・・。」

大将「あぁ、あの生意気な若造を潰す。

無理な作戦海域を割り当てて引責よ。」

中将「まぁ、口のきき方も弁えぬ小僧でしたからな。」

大将「ふん。」



酒をほとほとと飲み始める二人。

酔いが回り始めた頃にそれは起きた。

じょあぁぁぁーーーん。

三味線の音と共に照明が一斉に消えたのだった。



大将「むっ?停電?まぁ、直ぐに元に戻るだろう。」

「さぁて、灯りが戻るまで命が持てばいいけどねぇ。」



言うが早いか白刃一閃。

大将の首が椿の花が落ちるが如くぼとりと落ちる。
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/18(金) 23:58:52.79 ID:CIcpqvvX0

中将「なっ!何事?!何も見えない、聴こえないぞ!?」

「あの世で閻魔にあったら私の名前を出すといい。

刑期の割引をしてくれるはずだよ。」

「川内にやられたってね。」



背中側を三味線の撥による袈裟斬り。

斬った本人は撥に付いた血を相手の軍服で拭う。



「撥には毒が塗ってあるんだー。

えへへ、万が一にも助からないよねー。」

「姉さん、早めの撤収を・・・。」



カラリと襖が開く。



「姐さん、こっちも終わりやした。」

「天さん達も終了かい。こっちも今、方が付いたよ。」

「那珂。そこの鞄を忘れずにね。」

「はーい!」

「書類鞄は後でじっくりと拝見と行こうじゃないか。」

「姉さん、ここはこのままで?」

「海軍の偉いさんが何をしていたって話でしょ。表沙汰には出来まいよ。」

「帰ったら風呂にするよ!豚の血は臭くて敵わないわ。」

「姐さん、そいつは豚に失礼ですぜ。」

「あぁ、俺もそう思うな。」

「姉さん、私もそう思います。」

「そうねぇ〜。私は豚の方がまだ可愛いと思うわ〜。」

「那珂ちゃんも完全同意!」

「あらま。まぁ、いいや。フタフタマルマル、作戦終了。帰投するよ。」

「了!」



東京不夜城。

夜の闇に今日も命の灯が消えた。

668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/19(土) 00:00:48.48 ID:7HM3/1m90

『 始まりの詩 』



2×××年

人ならざる者達が諸国沿岸に現われ人類へ攻撃を開始した。

始めは大型海洋哺乳類のような異形の物達が

統率されることなくただ暴れていた。

多くの国家は自国の軍事力で多大な労力と犠牲を払い撃退。

そして、段々と敵は人型を取るようになり

ある一定の水準を超えたとき劇的に進化した。

彼らの進化により現代兵器での戦闘は割りに合わなくなった。

世界はその敵を深海棲艦と名付けた。

敵は現代兵器を満載した船舶をあざ笑うかのごとく沈めていく。

しかし、海に出ない限りは襲ってこない。

結果として巨大輸送船団の護衛に軍を回せる国のみが生き残る。

大陸諸国は自国が生き残る為に弱い国を侵略。資源の収奪を繰り返す。

世界最強の国は自国だけで全てが回せる為沈黙を貫く。

そんな中、極東の島国がオカルト的アプローチにより事態の解決を図る。

『 相手が得体の知れない化け物ならこっちも化け物で応じればいい 』

これがプロジェクトを進めたものの台詞。

研究は進められ、嘗て皇国の四方を守った鉄の城達の御霊。

これを燃料、弾薬、鋼材、ボーキ、そして開発資材という名の有機物。

5つの要素をいい塩梅で混ぜて御霊を降し、艦娘と呼ばれる兵士を作り上げた。

彼女ら兵士は強かった、

そして海軍は分霊(わけみたま)で同じ艦娘を複数作り上げて行った。

人ならざるものに人ならざるもので戦う。

倫理観等はそこに有る訳も無く

彼女達を押し込み留めた場所は鎮守府と呼ばれる収容施設。

ここには幾人もの兵士が押し込まれていた。

同じ武器、同じ顔、同じ名前。ややこしいと思うだろう。

同じ物であったとしてもそれが価値あるものであれば

双方とって置くのだろうが特に価値が無ければ?

取り置くのは片方だけ、それも先に有る方だけだろう。

兵士から『 魂 』を抜き元の無機物に戻す作業を彼ら海軍は『 解体 』と呼んでいた。

これはある収容施設に拾われ解体されるはずだった者達が逃げ出したことから始まる物語。
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/19(土) 00:02:17.79 ID:7HM3/1m90

『 不要とされた者 必要とした者 』



ザザーン。



大淀「こちらが本日ドロップ現象で

入手したと連絡のあった艦娘の報告です。」


艦娘を海軍が創り出した時、

黄泉路は開かれ偶に海軍の意図しない降霊が起きる事があった。

海上の有機物、海草の塊や、水生生物の死体といった有機物を憑代として

艦娘が海上に生まれることを海軍は魂が堕ちるという意味も含め

ドロップ現象と名付けていた。



提督「ちっ、レアはいないんだろ?」

大淀「・・・・、川内型が3人です。」

提督「けっ、ハズレかよ・・・、ったく。

艦隊が戻り次第全員解体にまわしてくれ。」

提督「いや・・・・、今日は何曜日だ?」

大淀「日曜日ですが。」

提督「ちっ、めんどくせぇ。

明日の任務入れ替わりの際の近代化合成任務用においといてくれ。」

提督「逃げ出したりしないように営倉につっこんどけ。」

大淀「・・・・、了解しました。」

提督「まったく、今更夜偵なんざいらねぇし。育てる資材も勿体ねぇ。」



ぶつくさと太った身体をゆすらせながら

提督と呼ばれた男は鎮守府建屋へと消えて行った。

程なく帰投を告げる無線の声が聴こえ、

出撃をしていた艦娘達が帰ってきた。

そして、大淀は連れて帰ってこられた艦娘の一人に目を留める。

自分と同じ。

純粋じゃない目。

混ざり者の目。

大淀はそれを見て予てよりの計画を実行に移す決意をした。

670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 00:05:07.03 ID:7HM3/1m90
以上導入部分だけ
お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが隼鷹さんを始めとする
軽空母や空母の艦載機の設定は元々はこっち用で用意していたものです
こういうシリアス系の奴は書いていて乙レスいただけにくいのでモチベが保てない奴です
モチベが保てないとエタっちゃう……、うん、ごめんなさいです
お読み頂きありがとうございました、とりあえずのボツネタ供養でした
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 01:01:47.47 ID:c5Ong7Rw0
もしやゴーヤは海を漂う野菜から生まれたのかw
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:33:39.92 ID:jo7lW8fX0
ボツネタその2
カウボーイビバップとブラックラグーンを足して割らない感じのをやろうとして止めた奴です
それと、瑞鶴の師匠との思い出話しを少し
お時間よろしければお読み下さい
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:36:04.39 ID:jo7lW8fX0

阿賀野型が主人公になるSSってみないなぁとの考えからのお話です




Cowgirl 阿賀野



※この作品は喫煙、暴力、麻薬、キャラ下げ等の内容が含まれます。
 これらが駄目という方は読むのは御遠慮いただきますようお願いいたします。



人類と深海棲艦達の長期にわたる戦争は終結し世界は平和を取り戻した。

人類と深海棲艦達の間には和平が結ばれ世界は復興へ向け歩み始める。

嘗て深海棲艦を敵として人類は一つとなり世界政府という、壮大な。

そう、戦争前には夢物語と言われた物が樹立され

その構成メンバーに深海棲艦を迎え入れるという形で平和を得た。

だが、深海棲艦達の中には破壊と殺戮を好む者も多く残り

彼女らは本能の赴くままに破壊活動を行っていた。

更には退役した艦娘が犯罪組織を作り非合法活動を行うなど

正しく魑魅魍魎が跳梁跋扈し戦争中より混沌とした状況となってしまう。

その為、事態を打開すべく嘗て艦娘として人類を守り、

平和を向かえ人員削減を迎えることとなった彼女達の一部へ

世界政府はある許可を与えた。

そう、さながら、アメリカ西部開拓時代のように賞金稼ぎ、

Cowgirlとして無法者達を取り締まるべく新たな活躍の場を彼女達へ与えたのだ。

674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:38:17.17 ID:jo7lW8fX0

大型クルーザー 前部甲板



ペコリ

ペコリ

フン! ハッ

      ガッ ゴッ ベキ!

ヅン!  ホッ!

阿賀野「ねぇ!能代!矢矧!ごはん出来たよ!」

酒匂「ぴゃん!阿賀野お姉ちゃんの特製炒飯だよ!」



クルーザー内 食堂



矢矧「ねぇ、阿賀野姉。

   海老無し具無し焼き飯は炒飯って言わないんじゃないかしら?」

阿賀野「矢矧、お金が無い時はただの焼き飯も炒飯っていうんだよ。」

能代「今月はちょっと厳しいからね。

   船の燃料と税金払ったらかつかつだわ。」

酒匂「そんな皆にグッドニュースだよ!」

能代「あら、何かしら?」

酒匂「ジャーン。空母イントレピッド、賞金100万ドル。」

阿賀野「何したのその芋。」モグモグ

矢矧「えーっと?麻薬密売、臓器売買に政府機関への襲撃。」

能代「悪の総合デパートかしら?」

酒匂「艦娘として働いていた時からの悪事みたいだよ!」

阿賀野「あー、アメリ艦でも一人だけ白系華人っぽい顔立ちだったからねぇ。」

矢矧「中共のスパイ説もあったわね。」

能代「華が無かった。」

矢矧「華人なのに華が無いとはこれ如何に。」

阿賀野「まぁ、それらはおいておくとして100万はでかいわ。」

矢矧「確かに。」

能代「矢矧は今度は気をつけなさいよ?

   この間捕まえた相手ぼこぼこにしすぎて顔が変わっていた所為で引き渡した後、

   阿賀野姉と二人、警察に文句を言われたんだから。」

矢矧「能代姉もかなり殴ってなかったかしら?」

酒匂「とりあえず、今回はこの元艦娘が獲物だよ!」

一同「了解。」

675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:40:27.50 ID:jo7lW8fX0


アジアのとある港町



ガン「さてと、ラングレーの人間が

   こんな辺鄙な所にバカンスへ来た理由を聞こうか?」

ヴェル「同志、葉巻を持ってきたよ。」

ガン「あぁ、ありがとう。さてと、ヤンキーの貴方は煙草は好きかね?」ン?

ガン「私は大好きでね。特に葉巻が好きなんだよ。」

ガン「君も吸うかね、1本どうだ?

   シガーパンチで吸い口を作ってあげようじゃないか。」

バチン

ガン「どうだね?此処へ来た理由を話してみないかな?」

フン

ガン「そうか。実に残念だ。

   ところで葉巻と指の太さは近い物があると思わないか?」

ガン「あぁ、いやいや。君がそう震えなくても大丈夫だ。」

ガン「ここには10本ある。ゆっくりと考えてくれて大丈夫だ。

   私もゆっくりと切るからな。」

ブツン

ギャァ!!

ガン「やれやれ、まだ1本しか切っていないんだがな。」フゥ

ガン「話したくなったかね。そうかそれは実にいいことだ。」

ガン「君にはこの葉巻を進呈しよう。何、遠慮なくたっぷりと吸ってくれ。」

ガン「キューバ産の上物だ。」

ゴトゴトゴト

ヴェル「同志大佐。準備が出来たよ。」

ガン「Молодец では、我々は帰るとするか。」

ガン「あぁ、その葉巻は落すなよ?命が惜しければな。

   ん?何?燃えるのが早い?」

ガン「君用の特別な葉巻だからな。ゆっくりと味わってくれ。」

ギィィ

バタン

ドゴン!!

ヴェル「同志大佐。欲しい情報は手に入ったのかい?」

ガン「あぁ、ヤンキー共が戦争の下調べに来た理由は分かったよ。」

ガン「予想通り例の麻薬絡みだ。雪風に繋ぎを取ってくれ。

   陽炎と直接話をしなければいけないな。」

ヴェル「了解。」

ガン「まったく厄介な芋が。」

ガン「同じ芋でも酒の原料にもなりゃしない。」

ガン「頭が痛い話だ。」

676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:42:27.45 ID:jo7lW8fX0
とあるアジアの仏教国

阿賀野「入港の手続きも終わったから情報を集めに行きましょ!」

矢矧「阿賀野姉ぇ。ここは確か。」

能代「陽炎ちゃんが仕切ってた街だよね。」

酒匂「今は雪風ちゃんが代表しているみたいだよ!」

阿賀野「雪風と連絡とってるの?」

酒匂「うん!陽炎ちゃんは今、日本の本拠地を固めてるんだって。」

酒匂「それで東アジア地域は雪風ちゃんが担当してるんだよ!」

阿賀野「雪風なら話がしやすいわね。」

酒匂「うん!」



とある酒場

ドラムがテンポを刻み始め、

トランペットの音が甲高く流れる。

続いてサックスが謳い始める。

ガン!

入り口扉を蹴破る音がした後、二人の少女が入り口に立っていた。



「ちょうどいい曲ではないか。踊って貰おうか。」

「磯の字。曲名はSingじゃけぇ踊るゆうより謳うやわ。」

「むっ?そうか?」

「まぁ、ジャズダンスいうのもあるからあながちハズレやないかもしれんけど。」



元艦娘の1人が取り出したのはM134



「うちのシマで勝手やってくれとるのを

  見逃すんは他に示しがつかんからねぇ。」



ドドドドドドド キンキンキン



「セッションにはちょいと無粋な金属音やったかねぇ。」

「浦風よ、今気付いたのだが生存者が残らないな。挽肉だ。」

「肉屋を開店出来る勢いだぞ。」

「あぁ、まぁ仕方ないねぇ。

 うちらのシマで薬物捌いてるあほぼん残すんは雪風も嫌っていたし。」

「ふむ。まぁいいか。火は付けて置くか?」

「そうやね。後始末が楽でええね。」

「ふむ。秋刀魚を持ってきていれば良かったな。料理にいい感じの火力になりそうなのだが。」

「せやろか。」

「うむ。料理は火加減こそ大事だと浜の子も言っていたからな。」ムフー

「帰るか。」

「せやねぇ。」


677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:43:41.02 ID:jo7lW8fX0
以上これまた導入でとまったボツネタ供養

続いて瑞鶴の過去話、おまけです
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:46:51.68 ID:jo7lW8fX0

「やれやれ、どっこい祥鳳」

「ちょっ。(笑)」


目の前で疲れたとばかりにブイのように漂う敵の死体を腰掛にするのは

私の教導を勤める先輩というか師匠の加賀さん。

そしてその僚艦の赤城さんは先の駄洒落におなかを抱えて笑っている。



加賀「これに喧嘩売るにはまだ早いっていったでしょう。」ゲシッ



これ、とはレ級である。



加賀「喧嘩を売ってでも仲間を逃がす為に時間を稼ごうとした心意気は褒めますがね?」

加賀「あのね?そういうのは実力があって初めてかっこよくやれるのですからね?」

赤城「加賀さん、おこ?」

加賀「おこです。下手したら死んでいたのかもしれないんですよ?」



げしと尻下のレ級だった物に蹴りを入れる師匠。



加賀「瑞鶴?あなたに死なれると目覚めが悪いんですから。」

赤城「加賀さんね?貴女が殿を務めているって聞いて全力で来たんですよ?」


それは分かる。

自分をしとめに来たレ級その他が目の前で瞬殺されたのをみて

それが出来るのは自分が知る限り2人しか居ないから。

679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:48:26.61 ID:jo7lW8fX0

加賀「反省しました?」

瑞鶴「はい。」

加賀「うん。よろしい、では、帰りましょうか。」

赤城「今日の夕飯のデザートは瑞鶴さんの奢りということで。」



加賀がそういうと周囲にいた駆逐艦の娘達もわあと歓声をあげる。



瑞鶴「えっ。」

加賀「あらん?」ギギギギギ



ニッコリと笑っているが鬼の形相で振り返る加賀。



瑞鶴「おごらさせていただきまぁす。」

赤城「よろしくお願いしますね。」キャッ

瑞鶴「はぁー、強くなりたい。」



二人の、伝説といわれる二人の

大きな背中を見ながらぼやきを入れる毎日である。



提督「まぁ、無事でよかったよ。」



そういってくれるのはここの提督で初老に見えるのは苦労が耐えないからか。



提督「うちに新人が配属されるなんて何年ぶりだったか。」



いやまて、本当にここだったのかと突っ込みを入れたいが。



提督「しかも最新鋭空母だなんてねぇ。」シミジミ

瑞鶴「頑張ります。」

提督「一航戦の二人とは仲良くやれてる?破天荒な二人だから苦労していない?」

瑞鶴「あの、今更ですけどここって特殊というか結構激戦地?なんですか?」

提督「あの二人が強いからね。

   色々な戦役を重ねていたら精鋭ばっかりになっちゃってね。」



一航戦の二人が戦果を重ねるほどにやらされる事が増え

結果それに付いていける者だけが残ったという事である。

実際駆逐艦娘も精鋭ばかりで毎日足をひっぱる日々で肩身が狭い。

680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:50:01.09 ID:jo7lW8fX0

提督「だから新人なんて来る筈がないと思ってたんだよ。」



いきなり右も左も分からないひよっこを最前線に叩き込めばどうなるか?

当たり前の話だが訃報の電報が着任の翌日に遺族に送られる事になるのは想像に難くない。

では、なぜ瑞鶴がそんな所へというのは。



瑞鶴(辞令書がどうも配属先の鎮守府の管理番号を間違えていた臭いのよね…。)



そう、この激戦区の鎮守府は横須賀鎮守府第108番。

そして瑞鶴が本当は着任するかもだった新人向け鎮守府は111番。

お気付きだろうか?辞令書は漢数字で書かれるのが慣わしであるため。

111、この文字列が百と11に別れ、

手書きでその草案を書いた担当者の字が汚かった不幸もかさなり。



「えーっと?百……八?」



養成学校から卒業した後に大量に作成される着任の辞令書の前に

そのうっかりはそのまま何事も無かったようにスルーされ。



瑞鶴「気が付いたら激戦地。」



しかし、新人が来た事に鎮守府あげて歓迎してくれた事もあり。



瑞鶴「笑顔が絶えない明るい職場だけれど瑞鶴は元気です。」



実家への手紙にはそう書くしかなかった。

そして、一航戦の二人の指導は、はちゃめちゃだった。


681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:51:15.07 ID:jo7lW8fX0

加賀「矢なんてとりあえず飛べばいいのよ。」

瑞鶴「えぇ!?」

加賀「当たり前田のクラッカーでしてよ?」



養成学校では的へ命中させる事とか

射るときの姿勢とか煩かったのになぁ。



加賀「無駄ね。」

瑞鶴「えぇ!?」

加賀「じゃぁ聞くけど、あなたの敵は的なの?」

瑞鶴「いえ、深海棲艦です。」

加賀「そう。深海棲艦の相手は矢に降ろした艦載機の妖精さん達が殺るわね。」

瑞鶴「うっす。」

加賀「だから本当に重要なのは矢を放った後の艦載機の動きへの指示ね。」

瑞鶴「まじですかー。」

加賀「学校では指示の出し方とか色々教えたと思うのだけれどね。」

加賀「妖精さんがある程度勝手に敵を倒すからあんまり深く教えなかったでしょ?」

瑞鶴「えーっと。そうですね。」

赤城「学校では深く教えてくれない!何故か!」

加賀「無知だからよ。」

瑞鶴「えー…。」

加賀「例えば駆逐艦が輪形陣で守る空母がいたとします。」

瑞鶴「はい。」

加賀「これを妖精さんにまかせちゃうとどうなるか分かります?」

瑞鶴「空母から攻撃ですか?」

赤城「ファイナルアンサー?」

加賀「ライフライン残っていますよ?」

瑞鶴「ファイナルアンサーです。」

赤城 加賀「「…………。」」

赤城 加賀「「正解。」」


682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/24(木) 01:52:44.36 ID:jo7lW8fX0

瑞鶴「でも、攻撃方法として敵の頭を叩くのは重要なのじゃないでしょうか?」

加賀「最後はそうあるべきよ。

   でもやるべきは先に周りの駆逐艦を潰すのが先。」

赤城「天下に名高い堅城として知られた大阪城も

   堀を埋められたらあっという間に落ちたですよね。」

赤城「それと同じで『 将を射んと欲するならばまずは馬を射よ 』という事なんです。」

加賀「駆逐艦は的が小さいから精密操作をして指定してあげないといけないの。」

赤城「特に魚雷を落すタイミングなんかは近すぎても遠すぎても駄目なんですよ。」

瑞鶴「成程。」

加賀「そういうわけで今日の訓練は!」

赤城「流星隊チキチキ艦攻勝負!」ヒャッホウ!

瑞鶴「あの。」

加賀「なにかしら?」キリッ

瑞鶴「敵に囲まれつつあるこの状況で訓練ですか?」



偵察機に電探の情報では既に周囲を敵機動部隊が

2艦隊程迫って来ているようなのだが?



加賀「習うより慣れろ!でしてよ!」オホホホ!

赤城「実戦こそ最高の訓練と偉い人はいいましてよ!」オホホ!

瑞鶴「お嬢様口調で騙されませんから!」

加賀「生き残れれば名誉一航戦の称号を与えます!」ヒャッホゥ!

赤城「ワォ!こいつはすごいや!ジョンに連絡しなくっちゃ!」ヒャッハァ!

瑞鶴「命の危機感ゼロだ ―――― !後、ジョンって誰だぁ!」ウワーン!



そして月日は流れ現在。



瑞鶴(よくもまぁ、あの人外の後ろを付いていけてたものね。)

瑞鶴(とはいえ無茶はさせても無理はさせない人達だったからなぁ。)

瑞鶴(だからこその強さだったんだろうな。)

瑞鶴(まだまだ背中が遠い。)

瑞鶴「つくづくとんでもない人達と肩を並べて戦っていたものね。」



在りし日の記憶。今は昔の記憶である。

683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 01:58:31.30 ID:jo7lW8fX0
あくまで個人的な話しですが弓道うんぬんって敵が迫ってる状態で姿勢うんぬんなんじゃいなーと
とりあえず矢がとべばいいんだ、こまけぇこたぁいいんだよな感じの姿勢の一航戦がいてもいいじゃないと
とにかく数をあげる、弾幕うすいよ!じゃないですけど艦載機をさっさと飛ばせやぁ!って感じでしょうか?
こんな師匠たちと一緒に戦っていればそりゃ強くなりますって奴です
冒頭のどっこら祥鳳はツイ?だったかでみかけたよっこら翔鶴の派生、元ネタのよっこい正一の派生と思います
今後もこちらには小ネタなどをあげて行きますので宜しければお読みいただけると幸いです
メンバーの話しとかで気になる部分とかありましたら可能な限りはお答えしたいなぁとも思っています
お読み頂きありがとうございました
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 03:22:03.92 ID:dxLx/UMt0
戦国時代、一歩半の間合いまで接近してきた敵を弓で射殺できる名人が結構いたときく
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/01/24(木) 15:10:18.19 ID:VQ6uKs2rO
乙です
このすてきな一航戦が既に故人なのが残念です
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 02:57:42.14 ID:geK92fWH0
乙乙
強いから生き残ることもあれば強いから生き残れないこともあるって、いいよね…
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 15:57:52.79 ID:8NUmY+3h0
瑞鶴の敵空母に関する反応から一航戦絡みだろうとは思っていたけど
ここまでの一航戦だとは思いませんでした(月並みな感想)
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 00:52:58.54 ID:MNrFkHzD0

ある日の食堂

時雨「そういえば瑞鶴と初月ってコンビを組んでる事が多いけど

此処に来る前からの付き合いなのかい?」

瑞鶴「いきなりなにかと思えば…。」

初月「そうだな。僕が瑞鶴とコンビを組んでいるのは瑞鶴の師匠によるものが大きいな。」

雪風「あー、あの、知らずの一航戦のお二人が関わっていたんですか。」アキレ

瑞鶴「あれはそうね…、私が着任一周年を迎えた日の事だったかしら……。」

689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 00:55:34.05 ID:MNrFkHzD0
それは丁度着任一年目の事だった


回想

加賀「赤城さん、懐かしいですね。」ナツカシイ

赤城「えぇ、ボストンバッグを肩にした瑞鶴さんが

青褪めた顔をしていたのを思い出します。」シミジミ


ゴトゴト バタバタ

瑞鶴が着任した日は丁度大規模作戦の真っ最中で。



瑞鶴「野戦病院さながらでしたねー。」

瑞鶴「周囲に転がる死者累々。」

赤城「バケツぶっ掛けるのが追いつかずで入渠待ちがいっぱいいました。」

加賀「ドックとセットで使用しないといけないというのはもどかしいものです。」

瑞鶴「最前線の空気というのを感じました。」

加賀「それからでしたねぇ。とりあえず手が足りないから空母なら直ぐに来てと。」

赤城「ボストンバッグを奪い、艤装をつけさせて出撃させたのでしたねぇ。」

瑞鶴「いきなり矢筒渡されて、大丈夫だから背中はちゃんと守るからと言われたのを思い出しました。」

瑞鶴「沈んでも直ぐ引き上げるからとか言われたの忘れていませんよ!?」

加賀「いやぁ、懐かしい。」

赤城「懐かしいです。」

加賀「ほんとに1年ちゃんと生き抜いてくれて…。」ベソベソ

赤城「立派になりました。」ベソベソ

加賀「よく戦力に……。」



ムームー!ゴトゴト!



瑞鶴「あの、やっぱり1年持たないんですか?」

加賀「うちの損耗率は極端に低いですが、理由はあります。」

赤城「それは全員が余所の鎮守府であればその艦種のエース。

切り札足りえる程に精鋭だからなんですね。」

瑞鶴「異常に練度は高いですよね。」

加賀「ここが出来た当初は酷かったんですよ?そりゃもう。」

赤城「2人に2人が死ぬ状況でしたねぇ。」

瑞鶴「あれ?それだと致死率100%…。」

加賀「あれ?」

赤城「あら?」

瑞鶴「あれ?」

加賀「………。」

加賀「そんな訳で生き残れば誰でも精鋭になれる状況だったわけです。」
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 00:59:26.64 ID:MNrFkHzD0

瑞鶴「さらっと流したぁ!?」

赤城「私達二人は空母として苦労しましたから

後輩が出来る事があれば苦労させたくないねと

以前から話しをしていたんです。」

瑞鶴「うっそだ ―――― 。」

加賀「いえいえほんとのほんとですよ?」

赤城「最短で戦力になるように所謂パワーレベリングをやってきたわけです。」

加賀「私達ベテランが新人の貴方をお守りしながら危険地帯にハイキング。」

赤城「あれですよMMORPGとかでギルドのベテランが初心者のレベリングに装備作り。」

加賀「さらにはハイランクモンスターの狩り方の立ち回りとかを全て教えてあげるあれです。」

瑞鶴「確かに最初から命の危機に瀕した状況スタートだと

物事を覚えるのは早かったです。」

加賀「でしょ!」ドヤッ!

赤城「ですよね!」ドヤドヤッ!

瑞鶴(うわっ、なんか腹立つわ)



モガモガ!ジタバタジタバタ!



瑞鶴「その、それで先程から気になっているんですけど……。」

瑞鶴「その動いているのはなんですか?」ユビサシ

加賀「よくぞ聞いてくださいました!」

赤城「瑞鶴さんの着任1周年記念に私達からのプレゼントです!」


691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:00:18.99 ID:MNrFkHzD0




時雨「あっ、なんとなくオチが読めたよ…。」

瑞鶴「まぁ、予想通りよ。

その袋のなかに猿轡嚙まされた初月が突っ込まれたのよ。」

雪風「流石(常識)知らずの一航戦……。」




692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:01:35.64 ID:MNrFkHzD0

瑞鶴「なにしてるんですか!

なにしてるんですか、真面目に、ほんっと!」

瑞鶴「貴方達馬鹿ですか!?

うちに新人というか最新鋭駆逐艦の新人とか着任するわけないじゃないですか!!」

瑞鶴「どっから拉致してきたんですか!!」

加賀「拉致だなんて人聞きが悪い。」

赤城「きちんと配属希望申請出ていますよ。」

つ 配属希望書類

瑞鶴「あれ、本当だ……。」


693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:04:24.94 ID:MNrFkHzD0


時雨「その、それは捏造とかでは無かったんだね。」

瑞鶴「まぁ、捏造に近いかしらね……。」

初月「あぁ、養成学校卒業前の僕に

   しこたま酒を飲ませて酩酊状態にした挙句。」

初月「外泊証明書と嘘を言ってサインさせたのが捏造で無ければね。」

瑞鶴「手続き上はサインを本人が書いた物である以上は希望が通るのよ。」

雪風「あぁ、そうなんでしたか…。」

初月「そして僕がそれに気が付いて再度の訂正をしようとする前に。」

雪風「拉致されたという事なんですね。」

初月「朝起きたらどうやって生徒寮に侵入したのか

   如何にもエージェント然とした二人が立っていて、

   バチッとされて気が付いたら袋の中だったんだ。」

瑞鶴「で、私が謝罪したおして着任してもらった感じかなぁ。」

初月「その後も色々と演習や前線に引き摺られて行ったのは

   今となってはいい思い出かな。」

850.15 KB Speed:0.4   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)