【艦これ】 続 外地鎮守府管理番号88

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688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 00:52:58.54 ID:MNrFkHzD0

ある日の食堂

時雨「そういえば瑞鶴と初月ってコンビを組んでる事が多いけど

此処に来る前からの付き合いなのかい?」

瑞鶴「いきなりなにかと思えば…。」

初月「そうだな。僕が瑞鶴とコンビを組んでいるのは瑞鶴の師匠によるものが大きいな。」

雪風「あー、あの、知らずの一航戦のお二人が関わっていたんですか。」アキレ

瑞鶴「あれはそうね…、私が着任一周年を迎えた日の事だったかしら……。」

689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 00:55:34.05 ID:MNrFkHzD0
それは丁度着任一年目の事だった


回想

加賀「赤城さん、懐かしいですね。」ナツカシイ

赤城「えぇ、ボストンバッグを肩にした瑞鶴さんが

青褪めた顔をしていたのを思い出します。」シミジミ


ゴトゴト バタバタ

瑞鶴が着任した日は丁度大規模作戦の真っ最中で。



瑞鶴「野戦病院さながらでしたねー。」

瑞鶴「周囲に転がる死者累々。」

赤城「バケツぶっ掛けるのが追いつかずで入渠待ちがいっぱいいました。」

加賀「ドックとセットで使用しないといけないというのはもどかしいものです。」

瑞鶴「最前線の空気というのを感じました。」

加賀「それからでしたねぇ。とりあえず手が足りないから空母なら直ぐに来てと。」

赤城「ボストンバッグを奪い、艤装をつけさせて出撃させたのでしたねぇ。」

瑞鶴「いきなり矢筒渡されて、大丈夫だから背中はちゃんと守るからと言われたのを思い出しました。」

瑞鶴「沈んでも直ぐ引き上げるからとか言われたの忘れていませんよ!?」

加賀「いやぁ、懐かしい。」

赤城「懐かしいです。」

加賀「ほんとに1年ちゃんと生き抜いてくれて…。」ベソベソ

赤城「立派になりました。」ベソベソ

加賀「よく戦力に……。」



ムームー!ゴトゴト!



瑞鶴「あの、やっぱり1年持たないんですか?」

加賀「うちの損耗率は極端に低いですが、理由はあります。」

赤城「それは全員が余所の鎮守府であればその艦種のエース。

切り札足りえる程に精鋭だからなんですね。」

瑞鶴「異常に練度は高いですよね。」

加賀「ここが出来た当初は酷かったんですよ?そりゃもう。」

赤城「2人に2人が死ぬ状況でしたねぇ。」

瑞鶴「あれ?それだと致死率100%…。」

加賀「あれ?」

赤城「あら?」

瑞鶴「あれ?」

加賀「………。」

加賀「そんな訳で生き残れば誰でも精鋭になれる状況だったわけです。」
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 00:59:26.64 ID:MNrFkHzD0

瑞鶴「さらっと流したぁ!?」

赤城「私達二人は空母として苦労しましたから

後輩が出来る事があれば苦労させたくないねと

以前から話しをしていたんです。」

瑞鶴「うっそだ ―――― 。」

加賀「いえいえほんとのほんとですよ?」

赤城「最短で戦力になるように所謂パワーレベリングをやってきたわけです。」

加賀「私達ベテランが新人の貴方をお守りしながら危険地帯にハイキング。」

赤城「あれですよMMORPGとかでギルドのベテランが初心者のレベリングに装備作り。」

加賀「さらにはハイランクモンスターの狩り方の立ち回りとかを全て教えてあげるあれです。」

瑞鶴「確かに最初から命の危機に瀕した状況スタートだと

物事を覚えるのは早かったです。」

加賀「でしょ!」ドヤッ!

赤城「ですよね!」ドヤドヤッ!

瑞鶴(うわっ、なんか腹立つわ)



モガモガ!ジタバタジタバタ!



瑞鶴「その、それで先程から気になっているんですけど……。」

瑞鶴「その動いているのはなんですか?」ユビサシ

加賀「よくぞ聞いてくださいました!」

赤城「瑞鶴さんの着任1周年記念に私達からのプレゼントです!」


691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:00:18.99 ID:MNrFkHzD0




時雨「あっ、なんとなくオチが読めたよ…。」

瑞鶴「まぁ、予想通りよ。

その袋のなかに猿轡嚙まされた初月が突っ込まれたのよ。」

雪風「流石(常識)知らずの一航戦……。」




692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:01:35.64 ID:MNrFkHzD0

瑞鶴「なにしてるんですか!

なにしてるんですか、真面目に、ほんっと!」

瑞鶴「貴方達馬鹿ですか!?

うちに新人というか最新鋭駆逐艦の新人とか着任するわけないじゃないですか!!」

瑞鶴「どっから拉致してきたんですか!!」

加賀「拉致だなんて人聞きが悪い。」

赤城「きちんと配属希望申請出ていますよ。」

つ 配属希望書類

瑞鶴「あれ、本当だ……。」


693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:04:24.94 ID:MNrFkHzD0


時雨「その、それは捏造とかでは無かったんだね。」

瑞鶴「まぁ、捏造に近いかしらね……。」

初月「あぁ、養成学校卒業前の僕に

   しこたま酒を飲ませて酩酊状態にした挙句。」

初月「外泊証明書と嘘を言ってサインさせたのが捏造で無ければね。」

瑞鶴「手続き上はサインを本人が書いた物である以上は希望が通るのよ。」

雪風「あぁ、そうなんでしたか…。」

初月「そして僕がそれに気が付いて再度の訂正をしようとする前に。」

雪風「拉致されたという事なんですね。」

初月「朝起きたらどうやって生徒寮に侵入したのか

   如何にもエージェント然とした二人が立っていて、

   バチッとされて気が付いたら袋の中だったんだ。」

瑞鶴「で、私が謝罪したおして着任してもらった感じかなぁ。」

初月「その後も色々と演習や前線に引き摺られて行ったのは

   今となってはいい思い出かな。」

694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:05:56.68 ID:MNrFkHzD0

対空訓練中


加賀「初月さん!

   あなたと言う方は一体いつになったら

   撃ち落すべき艦爆の区別がつくようになるんですかねぇ!?」



ギューン!



赤城「回避すべきなのと撃墜する必要のある物の区別がつけられないなんて

   駄目ですねぇ!?」

初月「明日までにはなんとか!なんとかする!」タタタタ!テテテテテ!

加賀「明日の何時になれば一体習得できるんですか!?」

初月「明日の、明日の6時までには!」ドドドドド!

加賀「6時!?一体いつの6時ですかねぇ!?」

初月「夕方だ!」ダダダダダダ!

加賀「赤城さん!!」

赤城「えぇ!」サッ ←携帯を取り出す



ピポパポ



赤城「あっ、いつもお世話になっています。

   横須賀第108鎮守府の赤城です。」

赤城「はい。はい…。えぇ、はい。」

赤城「加賀さん!何人で予約しておきますか!」

加賀「とりあえず明日の非番は20人くらい居たので25人くらいで!」

加賀「足りない時はお隣の大笑いの二人を連れてきます。」キリッ

赤城「加賀さん!いつもの焼肉店の予約とれました!」

加賀「初月さん!明日は終われば焼肉食べ放題に飲み放題です!」

加賀「頑張りましょう!」

初月「あぁ!頑張る!」トトトトト!


695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:06:28.10 ID:MNrFkHzD0


時雨「ツンデレかな?」

初月「とはいえ出撃とかは無茶苦茶だったよ。」

初月「初陣は対空母棲姫だったかな。」

瑞鶴「あぁ、あの裸踊り事件だったわね……。」

雪風「なにをさせたんですか……。」

瑞鶴「艦隊は守ったんだけど迎撃段階で中破した初月に師匠達が切れてねぇ……。」



696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:09:04.35 ID:MNrFkHzD0

加賀「あっといっちまい!」イヨッ

赤城「あっといっちまい!」ゲラゲラゲラ

陸奥「あの、とどめ刺してもいいかしら?」ヤレヤレ

加賀「あっ、いいですよ。」

赤城「装甲を少しずつ剥いていくのも飽きましたんで。」

陸奥「身につけてるのが下一枚って器用な攻撃するわね。」

加賀「うちの新人を可愛がってくれたお礼です。」ニタリ

赤城「覚えとけ糞虫が、うちの新人を中破させたらどうなるか。」Fuck!

加賀「あの世でしっかり敗北を噛締めるといいわ。」b→q ビシッ!

赤城「日が昇る東の水平線から、日が沈む西の水平線まで。」

加賀「私達一航戦は敵を討ち地獄へ送る。」

赤城「私達の支配する領域に貴方達の居場所はありません。」

加賀 赤城「「あの世へ特等席で待っていなさい。」」

ボガーン!

697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:11:30.95 ID:MNrFkHzD0

瑞鶴「師匠の二人が本気で切れてたからなぁ…。」

初月「今だから言えるがあの時加賀達の恐ろしさに

   少しだけ漏らしてしまったんだ。」

雪風「仕方ないかと。初陣で生死の境に触れれば無理もないですよ。」

雪風「さらに言えば、瘴気纏った一航戦が近くにいれば、まぁ…。」

時雨「そうだね。

   それを笑う者が居るとしたらこっちとあっちの

   境界が分からない鈍感くらいだろうさ。」

雪風「にしても聞きしに勝る規格外だったんですね。」

瑞鶴「いまだに語り継がれる変態だからね……。」

瑞鶴「さてと、まぁ、そういう訳でコンビをずっと組んでるわけよ。」

初月「あぁ、どちらかが死なない限りは解消される事もないだろう。」


698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2019/02/20(水) 01:12:49.18 ID:MNrFkHzD0

食堂で時雨達の近くにいた長門



長門(死が二人を別つまでか……、夫婦かな?)

長門(まぁ、大方瑞鶴は守るものがあったほうが

   強さを発揮できるタイプだからな。)

長門(そういう所を見抜いた上でのコンビを組ませたんだろうな。)

長門(守るものが無い時に強さを発揮できるもの。)

長門(或る方がより発揮できるもの。)

長門(その辺りは人それぞれだ。……、瑞鶴が少し羨ましくはあるな。)

瑞鶴「あっ!長門!」

長門「うん?なんだ?」

瑞鶴「戦艦の随伴お願いしたいんだけど!」

長門「私は高いぞ?」

瑞鶴「敵の泊地強襲のピンポンダッシュやるから報酬はいい作戦よ。」

長門「報酬と危険度は比例するぞ?」

瑞鶴「今更でしょ?成功10万の頭割りよ。」

長門「チームは私を入れて何人だ?」

瑞鶴「今居る5人にかわうち入れて6人。割ったときの細かいのはかわうち行き。」

長門「いいだろう。一口乗ろうか。」

瑞鶴「じゃ、食事終わったら出撃ドックで。」

長門「あぁ。」

モグモグモグ

長門「さてと、明日の飯代の為に仕事に行きますか……。」

長門「料理長。食器は返しておくぞ。」

「了解。」

「長門!」

長門「む?」

「いってらっしゃいぴょん!」b ビシッ

長門「あぁ、いってきます。」ニヤリ


699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/20(水) 01:15:14.88 ID:MNrFkHzD0
メインのPCお亡くなり、サブのPCも挙動が怪しい、お金ない…
プロットが全部飛んだのが痛い……
香港編も死んだし、変態仮面も死んだし、はぁ……
久しぶりに少しです、お読み頂きありがとうございました
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 06:57:15.88 ID:NXN5ibhG0
更新感謝
一航戦と言うか生え抜きのエースはみんなおかしい!!
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 14:01:58.53 ID:NoK+7gIB0
そういう大事なもんはクラウドにも保管しとくんだ!
onedriveやDropboxといった無料分で充分使えるもんがある
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 03:42:42.24 ID:x6Mn1+l00
乙乙
思ってた以上に変態だ一航戦。
バックアップ大事慢心ダメ絶対
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:29:23.20 ID:+N3qmstH0
少しばかりはお話前、後編
香港編を記憶に頼りに再度書いてますが艦娘同士の戦闘分が少ない!と感じたのでこっちで補給
なにやってんだ!さっさと更新しろ馬鹿!という声が聞こえてきそう…
お時間宜しければ読んでやってください
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:31:00.71 ID:+N3qmstH0

それはほんの軽い冗談のような切欠だった。

それは、ある日の食堂での仲間同士での軽い会話だった。



スパ「駆逐艦の方々は妙にオーラというか雰囲気のある方が多いですけど、

   実際誰が一番強いんですか?」

提督「うん?それは俺への質問か?」



食堂でウォースパイト達の席近くでうどんを啜っていた提督が

自分への質問かと確認の声をあげる。



スパ「もちろんですよ。」



提督の答えに近くに座っていた一同が聞き耳を立てる。



提督「そうだな。普段任務に出る奴らでなら時雨か雪風だな。」



妥当。



周囲に居るもの達はみな納得という風に頷く。



スパ「任務にでる娘っていう事はその他も加えると

   更に上がいるという事ですか?」



後日、川内は語った。

こんな時だけなぜに聡いのかと。



提督「あぁ。まぁ、そうだな。全員という事でなら不知火を推す。」

提督「総合的に判断してだがな。」ズルズル

スパ「えー、前回の作戦で早々に戦闘不能になっていませんでしたっけ?」



馬鹿者というのは時として地雷原を全裸で全力疾走することが有る。

705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:33:24.92 ID:+N3qmstH0

長門(さっ、寒い!なんだこの空気の冷え込みは!?)

瑞鶴(体感気温が急に下がった!)

提督「あれは俺の不始末だ。不知火に責はねぇ。」

スパ「前回の作戦で駆逐艦で一番戦果を上げたのは時雨さんですよ。」

スパ「最強は時雨さんなのでは?」

提督「お前は不知火に散々可愛がられた記憶が抜けているのか?」

スパ「あっ、いえ、そういう訳では無いですけど……。」ガタガタ

提督「なら議論しなくても分かるだろう?」

スパ「………。でも、普段事務職されていますし……。」

提督「それは俺がそれを望んでいるからだ。」



提督がウォースパイトの議論を切ろうと手を翳すが……。

提督は何かに気付く。



提督「………、時雨。

   3日後、予定を空けられるか?」ハァ……

時雨「僕に用かな?」

提督「あー、まぁ、そのなんだ。

   あっちの入り口で静かに闘志を燃やしている奴がいてな。」

提督「もし良ければ演習の相手をしてやって欲しい。」

時雨「僕で相手が務まるかな?」

提督「あぁ、大丈夫だ。気軽に付き合ってやってくれ。」

提督「不知火。3日後だ。

   ルールはありあり、戦闘システムダウン、

   もしくは降参宣言させた方の勝ち。いいな。」



言い切った後にうどんのスープを飲み干し。



提督「時雨、迷惑掛けるな。」

提督はそういい残し出て行った。

雪風「時雨さん、御武運を。」

時雨「一度、全力ではやってみたかったんだ。

   胸を借りるつもりでいくよ。」

706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:35:37.04 ID:+N3qmstH0
そして迎えた3日後



明石「えー、おせんにキャラメルいかがですかー?」

秋津洲「キンキンに冷えたビールあるかもー!」

摩耶「あるの?ないの?」

秋津洲「あるかも!じゃなかったあるよ!」

摩耶「一つ貰おうか。」

秋津洲「毎度ありかもー!」

提督「ちょいとしたお祭り騒ぎになってるな……。」

明石「まぁ、時雨さんに不知火さんの演習対決ともなればですねぇ。」

提督「一応聞いておくが賭博なんかやってないよな?」

提督「まぁ、成立するとは思わんがな。」

明石「ところがどっこい。」



提督が明石の言葉に頭を抱える。



明石「ウォースパイトさんが逆貼りで。」

提督「………。」

明石「ちゃんと証文も作ってますよ!」

提督「あー、なになに?

   負けた者が勝った者に酒を一杯奢る。か…。」

提督「時雨が勝てばウォースパイトの総獲りでその酒代がお前の丸儲け。」

明石「負けてもウォースパイトさんが皆に奢るので私のお店は潤います。」

提督「お前、二枚舌外交の本家のお国をよくもまぁ……。」

明石「日本語は難しいですからねぇ。」ニヤニヤ

提督「まぁ、身から出たなんとかだな。」

明石「ですとも。」ニヤニヤ



そして、提督が埠頭に用意した椅子に腰掛け。

明石がその近くの大型陸上設置型電波探信儀の電源を入れた。

707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:37:33.35 ID:+N3qmstH0

提督「アメリカ製か?平面座標表示が出来るようだが?」

明石「戦後の技術を突っ込んで改良できるといっても

   ベースが二次戦ですからね。」

明石「元のスペックが良いものを観戦用に用意しました。」

提督「どうせ実験的データー獲りも兼ねているんだろ?」

明石「御明察。後は秋津洲さんの大艇で現場の映像をライブで流しますよ。」

明石「提督はどうみます?」

提督「途中までは五分だな。」

提督「だが、最後は不知火が勝つ。

   どう勝つかは分からんが結末は読める。」

提督「それだけだ。」

明石「さようで。」

提督「見届け人で長門と瑞鶴にでばってもらっちゃいるが……。」

雪風「止め時は見誤らないようお願いします!」

提督「あぁ、分かっているさ。」

明石「一応お二人の艤装にダメージ計測装置積んで演習用モードにしちゃいますがね?」

提督「あの二人なら演習用モードでも敵をぶっ殺せるからな。」

提督「長門達にもまずいと思ったら俺の判断待たずに止めに入れともいっちゃいる。」

雪風「しれぇ!万一の時は雪風も行きます!」

提督「そこまで理性のなくなるような事にならない様祈るよ……。」


なんで許可しちゃったかなぁと言いたげに提督が雪風に答える。

708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:38:54.22 ID:+N3qmstH0

そして、埠頭から離れた本日の演習用にわざわざ設定された海域では。



長門「という訳だ。万一の際は我々の判断で止めに入るからな。」

時雨「うん。宜しくお願いするよ。」

瑞鶴「といってもま、気の済むまでやるといいわ。」

不知火「お気遣い感謝します。」

不知火「時雨さん。」

時雨「なんだい?」

不知火「胸をお借りします。」ヌイッ!



艶やかに、そして神々しいまでに白い

陽炎型専用手袋を再度きっちりと嵌めなおし。

時雨へと礼儀とばかりに頭を下げる不知火。



時雨「それは僕の台詞だ。」

時雨「今の僕が君に何処まで通用するかは分からないけど……。」

時雨「全力で行かせて貰うよ。」

不知火「望むところです。」ギチギチッ



手袋の嵌り具合を確かめるようにグーパーを行う不知火。



長門(やれやれ。頼むから我を忘れるような事にはなってほしくないもんだ。)

長門「それでは。両者いいかな?」

時雨 不知火「「勿論」」

瑞鶴「では、只今より演習開始!」


709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:40:31.73 ID:+N3qmstH0

モモモモモモモモ

演習の火蓋が切って落とされると同時に

時雨の機関から大量の黒煙が上がり始める。



長門「初手煙幕か。」

瑞鶴「悪くわないわね。」



埠頭



提督「成程。やはり初手煙幕か。」



双眼鏡を最大倍率で覗きながら提督が言う。



川内「これは不知火との実戦経験の差をつめるためのものかな?」

雪風「ですね。目視下での攻撃であれば

   不知火さんの方に間違いなく軍配が上がります。」

スパ「それほど差があるんですか?」

雪風「実戦に出る機会が少ないですが不知火さんの強さは本物です。」

雪風「砲撃の精度はその類まれなる感性に寄るものです。」

川内「でも、どんなに狙撃能力に優れようと敵を目視、照準を決めて、撃つ。」

川内「この動作は避けられない。」

川内「不知火はそこに居るという気配だけで撃ってくるような化け物だけどね。」

川内「だけど、その気配だけで撃つ事を続けるのは

   通常の砲撃から比べると精神的な負担は大きい。

   いつまでもやることは出来ない。」

雪風「その通りです。ですので煙幕でその視界を奪うというのは理にかなっています。」

雪風「本来の煙幕の使用方法とは違いますが……。」


710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:42:07.48 ID:+N3qmstH0

演習海域



瑞鶴「なかなか考えたものね。」

長門「あぁ、だが……。」

瑞鶴「やっぱり?」

長門「昨日、提督と話しをしたのだがまぁ、予想していたぞ。」

瑞鶴「あのハゲ親爺はほんと食えないわねぇ。」

長門「起こりうる事象を複数考えて

   それに一つずつ対処方法を考えるのが参謀職といってたからな。」

長門「といっても負けをやる前から悟っているなら

   やらせないのが仕事とも言っていたぞ?」

瑞鶴「どの口が言うかと言いたいわね……。」

瑞鶴「まっ、公正を期すために不知火に対処法を教えたりはしていないんでしょうけど。」

長門「秘書が長いからなその思考は似通っている。

   不知火もまぁ、読んでいるだろうよ。」

瑞鶴「まったく食えない上だわね。」

長門「まったくだ。」

711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:43:20.27 ID:+N3qmstH0

煙幕内



時雨「煙幕内であれば電探性能にまさる僕の方が有利だよ。」



時雨の艤装につまれている電探は最新鋭のアメリカ製。

オシロスコープで敵の映像を捉え電探の方向を手動で変えている

旧式の日本製と異なり最新鋭で全てが自動で行われ。

その受像機である平面座標表示には敵への距離、方角が明確に表示される。



時雨「艤装の性能差が実力差を埋めてくれる。」

時雨「そして、それをカバーする為に不知火が集中するならば。」

不知火「私の消耗が早いという計算ですか……。」



ドゴン!

煙幕内での砲撃が開始された。



不知火「流石に艤装の性能差は致し方ありませんね。」

不知火「ですが、音の方向でより正確に方角が分かりました。」



そして始まる砲撃戦。


712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:44:43.12 ID:+N3qmstH0

埠頭



摩耶「煙幕内での戦い方となると魚雷の使い所が難しいだろうね。」

提督「あぁ。闇夜での戦闘と変わりないからな。」

提督「闇夜ってのは思っている以上に感覚を狂わせる。」

提督「艦娘の皆は夜戦を幾度もなく行っているからわかると思うが

   戦闘に集中してしまうと自艦の位置を見失いやすい。」

雪風「夜間の戦闘は魚雷が見えにくくなりますから味方にうっかり魚雷が怖いです。」

スパ「でも、一対一での演習ですよね?」

提督「あぁ、だからお互いに魚雷は撃ち放題。」

提督「だがな、魚雷を撃つって事はお互いの必殺アイテムを減らす事になる。」

提督「駆逐艦の砲撃ってのは大したダメージを与えねぇ、あくまで本命は魚雷だ。」

雪風「ですのでそれをそうそうに撃ち尽くすのは勝率を自分から落す事になります。」

川内「どこで撃つかを考えながら煙幕内を接近していっている感じかな?」

提督「不知火からしたらそれしかないからな。」

提督「不知火の艤装の電探性能では相手の懐に入らないとどうしようもならん。」

提督「あいつは俺の部下扱いになるから艤装の改造の自由が少ないのが裏目にでちまってる。」

スパ「あぁ、それでノーマルに近いんですね。」

提督「機関の交換とかはしているがな、あいつには悪い事をしてると思っているさ……。」

713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:51:47.96 ID:+N3qmstH0

演習海域


時雨「流石に距離を開けさせてくれないか。」



砲撃を繰り返しながら一定の距離を保ちつつお互いに煙幕中を移動していた。



不知火「時雨さんの方が正確な砲撃をしてきますね……。」

不知火「やはり砲撃タイプの違いも影響しますね。」



ドン!

冷静に分析する不知火の頬を時雨の砲撃が掠めていく。



不知火「着弾の位置を調節しつつ当てて来ますね。」

不知火「二丁拳銃の強みをしっかりと生かされています。」



時雨の砲は単装砲のように一つずつ手にもつ二丁拳銃スタイル。

対して不知火の砲はアサルトライフルの様に構えスタイル。

駆逐艦の砲は艤装に固定されない。

その為、一度に砲撃できる範囲については時雨の砲に優位である。

これはやろうと思えば前方と後方を一度に撃つ事が可能な

二丁拳銃スタイルの強みでもある。

砲撃の際にカバーできる高さの範囲についても

二点同時砲撃可能な時雨有利になるのである。

上、中、下の高さで砲撃をしようと思った際に時雨は

上、下あるいは上、中さらには中、下等といった組み合わせで砲撃が可能となる。

対して不知火の場合は上で撃った後に高さを変えて持ち替える必要がある。

それは当然ながら反応の遅れとなり敵への砲撃の遅れとなる。

結果、仰角、俯角、手に持っての調整で

より多くの範囲を時雨の場合はカバーできることになるのだ。
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:52:37.31 ID:+N3qmstH0


不知火「煙幕で此方の視界を奪い、電探で位置を測り。」



ゴン!

不知火の艤装に演習弾が掠め着弾を示すペイントが広がる。



不知火「音で微調整ですか?」



スイッ。

細かく移動し位置を掴みにくく行動する時雨。

それに対して不知火は電探の性能上、時雨を探知する為にあまり激しく動く事が出来ない。

いや、敢えて動こうとせずに単調な動きを続けている。



時雨「反攻戦に誘っているということか。」

時雨「いいね。流石、その誘い、乗ろうか。」



ここまで煙幕を張ってまで慎重に運んできたかのように振舞ってきた時雨にしては大胆な。

いや、ともすれば愚かとも言える挑発にのる。

715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 00:53:53.59 ID:+N3qmstH0

埠頭



川内「あら?時雨が不知火の思惑にのるのかな?」



電探の受像機に表示されている光点を見ながら川内が呟く。



摩耶「らしくねぇな。」

雪風「当然の様に策があっての物だと思いますが……。」



雪風が時雨に何を売った?と明石を見れば。



明石「おおっとそれはこれからのお楽しみですよ?」ニヒヒ

提督「まぁ、何が起こるか。楽しもうじゃないか。」

秋津洲「提督余裕の表情かも!」

提督「時雨にゃぁ悪いが俺の中での絶対的評価は変わらねぇ。」

提督「どうせ最後に勝つのは不知火だ。」

提督「過程なんざ糞喰らえだよ。」

明石「上に立つものの言葉じゃないですねぇ。」ニヤニヤ

提督「俺があいつを信用しなくて誰が信用してやんだよ。」

提督「あいつが勝つと言ったなら俺は黙って結果を待っていればいいんだ。」

提督「今の俺に出来る事は黙って待っていることだけさ。」



提督はそういうと煙幕で見えないはずの向こうに再び双眼鏡を向けるのだった。

716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 01:00:04.24 ID:+N3qmstH0
次回決着!
日本とアメリカのというか二次戦時の電探で最も技術が進んでいたのはイギリスです
日本もですね、大戦末期には追いついてきてはいたようです、ようです…
作中にも触れていますが受像機がそもそもしょっぼい、アメリカ側は全自動で敵を追尾して距離も方角も自動表示してくれるのに
日本側はオシロスコープみたいなものにぼやーん…、そして計算尺で計算!そら負けますわ
冶金術が連合国と比べて劣っていた所為も有り純度の高い銅が作れなかった為真空管の性能についてもかなり低かったそうです
というかですね?電探(探知機、探信儀)の基礎理論ね?マイクロウェーブ含めて日本の先生が提唱ですよ?
ホント、新しい物を積極的に取り入れていなかった所為でという奴ですね
といっても取り入れていたところで物量に勝る米帝に勝てていたかというとまた別のお話にすぎません
どうせ負けています、早いか、遅いかだけです、はい、春イベ、モチーフどこでしょうねー、資源備蓄してまってます!
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/01(月) 06:08:57.23 ID:YcDuEXdb0
乙です
馬乗りになったりなられたりの殴り合いになる前に誰かが止めてくれれば良いのですが
金マンと銀マンの争いの末路だけは勘弁してください
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/01(月) 13:25:09.77 ID:T7lRSDE60
電探の死角をかいくぐって肉薄攻撃を仕掛けてきた時雨を組み伏せ、手にしていた計算尺で尻をペンペンするぬいぬいか
胸が熱いな
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/01(月) 17:13:11.50 ID:LqH2JZLE0

下手な電探より優秀そうだなぬいぬいのカン
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:26:10.57 ID:aBfZ3KXR0
デデン!
3部へ向けてプロット作っているデース!
金剛改二丙デース!デース!
とりあえず、続きになります、お時間宜しければお読み下さい
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:27:21.62 ID:aBfZ3KXR0


スパ「にしても、なんでわざわざ煙幕内で?」

提督「それはあれだな。

   魚雷を装備として使わない者だから出てくる意見だな。」

雪風「確かに煙幕内で戦うのは最善手とは言えません。

   ですが、駆逐艦の主兵装は魚雷です。」

雪風「煙幕を嫌って外に出れば電探の性能上

   一方的に魚雷を撃たれてしまう可能性が高くなってしまいます。」

提督「そうだ。少なくともお互いに魚雷を打ち合ったときに

   安全距離をとれない状態を維持していれば鍔迫り合いの状況に持っていける。」

提督「レーダーレンジ(電探の感知できる範囲)が不知火の方が狭いからな。」

提督「その外から移動しながら撃たれると不知火も被弾の危険性が高くなる。」

提督「さらに言えば魚雷は電探に写らないからな。雷跡を見て避けるしかない。」

雪風「ですが、時間を掛ければ不知火さん有利な状況ではあります。」

雪風「いずれ煙幕は晴れますから。

   時雨さんにしても何度も張り直せるほどの追加は持っていないでしょう。」

スパ「だから不知火さんが仕掛けたのに時雨さんは敢えて乗ったという事?」

提督「勝算があっての賭けだろうがな。」

722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:28:44.77 ID:aBfZ3KXR0
煙幕外


長門「と、この反応は……。」

瑞鶴「時雨がデコイを蒔いたみたいね。」



煙幕内



不知火「……、こちらの電探が低性能である事をとことん突くようですね。」

不知火「敵の弱点を分析した上で利用できるだけしますか。流石ですね。」ヌイ!

時雨(大方、関心されているんだろうなぁ。)



埠頭



ガン「あの〜、今、どんな状況なんでしょうか?」

提督「ん?なんだお前も居たのか。」

ガン(ひどい!)



着任時のぐだぐだの所為で若干空気気味なガングートが

恐る恐るといった感じに提督に声をかける。



川内「そうだねぇ。明石のレーダーの情報を見る限りは

   これは時雨がいつぞやのデコイを蒔いたようだね。」

摩耶「だね。だけど、不知火の電探の性能を考えるにこいつは不利なんじゃね?」

提督「そうだな。明石のこれはアメリカ製だから有る程度の数が分かるが…。」コンコン

明石「日本製電探の不知火さんのだと多分、塊になってるでしょうね。」コワサナイデクダサイヨ?

川内「いいとこ大きな円表示かなぁ。」

ガン「という事は、不知火さんは時雨さんの位置が分かっていない状態という事ですね?」



そう、時雨が使ったのはいつぞやの千島列島作戦で使用されたデコイつき魚雷。

それは電探に実像を写すデコイ付き。

速度に関しても駆逐艦の範囲内に納まるように調整された代物である。

723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:30:29.10 ID:aBfZ3KXR0


煙幕外



長門「密集状態だと電波の反射が拾いにくくなるな。」

瑞鶴「そうね。艦戦、艦攻が編隊組んで飛ぶのと同じ理由になるわね。」

長門「あぁ、確かまとまる事によって

   電波反射での数の把握をしにくくする目的があったな。」

瑞鶴「そうよ。攻撃機の全体数の把握を抑える効果があるわ。」

長門「となると、不知火はこの煙幕の中だと時雨本体が探しにくくなるか……。」

瑞鶴「不知火が煙幕の中から出ずに戦う事を

   選択する事を見越した上での準備だったと見るべきでしょうね。」

長門「確かにな。時雨が作り出した時雨に有利な状況に敢えて乗ったわけだからな。」

瑞鶴「不知火の慢心、或いは。」

長門「それを力で捻じ伏せれるだけの策があるのか。」

瑞鶴「はたまたそれすらも利用するつもりだったのか?かしらね。」

長門「なぁ瑞鶴。こんな言葉を知っているか?」

瑞鶴「何?」

長門「飼い犬は飼い主に似るそうだぞ?」



それは個体差はあるものの艦娘の不知火という艦が提督の指示を忠実に、

そう、狂気的に守る事から狂犬とも忠犬とも言われる事を揶揄したものだろうか。



瑞鶴「あれが犬?狼かなにかの間違いじゃないの?」ジョウダン

長門「………、確かにな。」ジョウダンダ

瑞鶴「飼い主というとあの曲者だものねー。」

長門「提督だからな…、不知火が何手先まで読んでいるかだな。」

瑞鶴「詰め将棋みたいね。」

長門「結局は相手との心理戦だ。

   いかに騙し、相手を躍らせるか。だ。」

瑞鶴「時雨は割と純だからねぇ。」

長門「いい意味で汚れてないからな。」

瑞鶴「あら、私達がひねくれているみたいじゃない。」

長門「自覚がないのか?」

瑞鶴「あるわよ。大有り。」クスクス

長門「さて、どうなるかな。」

瑞鶴「楽しんでるわね。」

長門「まぁな。」

724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:32:13.83 ID:aBfZ3KXR0

煙幕内



不知火(成程、いい判断です。)

不知火「間違いなく最後尾に陣取っているのでしょうが、

    このデコイに使用している魚雷は弾頭有りや無しや?」

不知火「それを判断するに当って

    行動分析においての最適解の建て方をよく理解されています。」

不知火「不知火にとって敗北につながるのはこの魚雷が弾頭有りであった場合、

    そして、もう一つのパターンが無弾頭であり

    時雨さんがこのデコイに紛れて不知火に接近、

    致命傷を負わせる事を狙う場合です。」

不知火「私がそれを防ぐには当然ですが飽和的に魚雷を撃ち接近を防ぐしかありません。」

不知火「成程、考えたものです。」

不知火「不知火が安全策、つまり最悪を事前に潰す事を好むのを良く考えられていますね。」



不知火が喋りながら魚雷を次々と発射するのは

自身に爆発の衝撃が来ないようにする安全距離ギリギリの為。



時雨「そう、不知火は魚雷で対処しなければならない。」

時雨「自分が不利になる可能性を考えた際に

   それを無視することが最悪の結果を齎すと判断するのであれば。」

時雨「例えそれが無弾頭のデコイであったとしてもだよ。」



正面のデコイへ向けて放たれた魚雷の第一陣だろうか、深度設定を間違えたのか。

デコイ群をすり抜け時雨のはるか下の海中を魚雷が抜けていく。

魚雷が深度設定の問題から敵の艦底をすり抜けて行くことは稀にある事。

だから時雨はこれをあまり気に留めなかった。



不知火「……、やはり無弾頭でしたか。」

時雨「であったとしても、潰さなければならない状況なのは辛いよね。」

不知火「さすがに先手を取られてしまった状況ですので。」ヌイッ


725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:33:16.62 ID:aBfZ3KXR0

埠頭



提督「煙幕が薄れだしたな。」

雪風「煙幕内での魚雷の爆発音もかなりありましたから

   それで煙もそれなりに流れたと思います。」

川内「魚雷の残りの残段数で行くと不知火が不利だろうね。」

摩耶「といっても有視界での戦闘になってくると不知火に軍配があがるかな?」

スパ「ここからは砲撃もお互いに精度の高い争いになるという事ですか?」

提督「そうだな。

   だが煙幕内での戦闘においてダメージを蓄積させられているのは不知火の方だな。」



お互いの損傷状況を知らせるモニターをちらりと見る提督。



雪風「不知火さんの魚雷の残弾数は最大で残っていても一斉射分。」

川内「四連装2基に残る8本で終わりだろうね。」

摩耶「いざという時までは撃てない。」

提督「そうだな、使い方を誤ると負けだな。」

スパ(勝ったな。)



中破寸前の不知火に対し、カスダメ程度の時雨。

726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:34:03.03 ID:aBfZ3KXR0

演習海域近く



長門「まさしく土俵際といった所か。」

瑞鶴「古典的な言い方をするなら俵を割る寸前かしらね。」

長門「で、どっちが勝つと思う?」

長門の質問に無駄な質問をといわんばかりに鼻を鳴らし。

瑞鶴「勝敗が読めないほど仲間の力量を見誤るもんじゃないでしょ?」

長門「まぁ、そうだがな。」

瑞鶴「時雨は強いわよ。私の背中を任せていいくらいにはね。」

長門「ほう。」

瑞鶴「だけど、敵は深海棲艦ではなく不知火だった。」

長門「あぁ。」

瑞鶴「それだけよ。」

727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:35:14.28 ID:aBfZ3KXR0

演習海域



煙幕が薄れてきてお互いの姿をしっかりと捉えてからの砲撃戦が始まる。

時雨が煙幕を張ったのは電探の優位性を生かし

視界不良下でのレーダー射撃を行うのが主目的。

と思わせておいてその実は不知火の継戦能力を奪うべく

魚雷を大量に使用させることが目的だった。

そして、視界がクリアになれば不知火は一撃必殺の為の残り少ない魚雷を生かし。

尚且つそれを叩き込む為の一瞬の隙を狙うべく砲撃を行う。

となれば。



時雨「狙ってくるのは勿論」

不知火「魚雷発射装置。」



時雨と不知火はお互いに距離を保ちつつ再び砲撃戦に興じている。

ただ、砲撃の弾を当てるだけであれば面積の多い胴体を狙うが常套。

しかし、魚雷の誘爆を狙うのであれば正確な射撃が必要となる。



時雨「残りの魚雷をここで使うのかい!?」



自分の進路を遮るかのように放たれる4本の魚雷。

煙幕内であれば雷跡、発射のタイミングは見えない為避ける事は難しいだろう。



時雨「でも、もう煙幕は薄れている状態だ。」



だからこそ回避は容易。



不知火「太腿の魚雷発射装置を狙うために方向転換をしていただく必要性がありましたので。」ヌイ!



時雨の魚雷発射装置は足、対して不知火の魚雷発射装置は背中の機関のサイド。

正面から撃ちあいすれ違う反攻戦を繰り返すのであれば狙いやすさについて。


728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:36:10.06 ID:aBfZ3KXR0

時雨「不知火に分がある。」

不知火「ギリギリで耐えてきたかいもあると言うもの。」



さらに言えば魚雷を先に撃てるだけ撃ってしまっている分、

不知火の方が魚雷の誘爆の危険度は少ない。

いや、既に1基分は空の為、

背負い式の艤装の機関を守る防御盾、装甲代わりに使えなくも無い。



不知火「すれ違う際に既に空になっているサイドを盾にさせてもらいます。」



そして、すれ違い相手の背中をとる一瞬を逃さず狙いを付ける不知火。



時雨「目に頼りすぎて電探を忘れちゃ駄目だよ。」

時雨「せっかくの2丁拳銃スタイルなんだ。」

時雨「あちこち撃てなきゃ意味が無いよね!」



ドン!

しかし、電探の反応に従い後ろを振り返らずに砲撃をする時雨。

それにより一瞬のチャンスは潰された。

シャーッ!

そしてここぞとばかりの魚雷のおまけつき。



不知火「なかなかこれは面白いですね。」

729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:37:21.49 ID:aBfZ3KXR0
埠頭



スパ「勝てそう!」

雪風「時雨さんが確実にポイント貯めて来ていますね。」

提督「問題ない。」

明石(あれ?なんかやばい?)

摩耶「不知火は後、2〜3発もらうと終わりか?」

川内「不知火らしいといえばらしいかなぁ。」

雪風(劇的な逆転劇を演じて後々の

   トラウマを植えつけるおつもりでしょうか?)

雪風(心底恐ろしい)

提督「そうでもないさ。

   不知火は時雨と演習ができるのを本気で楽しみにしていた。」

提督「トラウマみたいなものを与える心算なら初めから全開でやるさ。」

提督「あいつはスロースターターだからな。」

提督「それに演習用の炸薬量が抑えられた魚雷にペイント弾だ。」

提督「ステゴロをやらかすような事にはならんよ。」



身震いをしていた雪風の頭に

その考えを見透かしたかのように手をポンと置く提督。

まもなく演習海域では雌雄を決する時が訪れようとしてた。

730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:39:28.75 ID:aBfZ3KXR0

演習海域

時雨(なかなかしぶとい!)



それは時雨が不知火の方へ向け進行方向を変えた時だった。

ドン!

轟音を立て、足元の海中が急に爆発。



時雨「えっ!?何が!?」



何が起きたかは分からない、

だが、この一瞬を相手が見逃すわけが無い。



時雨「不知火は!?」



バランスを建て直し不知火の方向を顔を向けた。

正にその瞬間だった。

一瞬の出来事に気がとられ電探ではなく

直接目で見て不知火の位置を確認しようとしたのが裏目にでる。



時雨「あぁ!!」



強烈な光、探照灯の灯りを目に当てられ完全に視界が消失する時雨。

駆逐艦用の探照灯でも約10万カンデラ、ワット数で凡そ1600W。

それだけの明りを照射されれば視力は一時的に失われる。

その一瞬を不知火が見逃すわけが無い、

瞬時に判断を下した時雨が次にとった行動は。



時雨「降参。」

時雨「不知火はここまで読んでたの?」



電探の端に魚雷の安全距離に位置取る不知火を捉え敗北宣言をする時雨。



不知火「不知火の仕事は司令の事務仕事の手伝いです。」

時雨「うん。そうだね。」

不知火「日々、皆さんの提出される戦闘映像を分析し報酬の支払い査定を行っています。」

時雨「うん。」

不知火「ですので、皆さんの戦闘行動時の思考パターン、

    行動パターンはある程度トレースが可能です。」

時雨「あー、つまり初めから全て読まれていたという事か。」

時雨「どうやら僕は孫悟空だったようだ。」
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:40:38.24 ID:aBfZ3KXR0

一瞬の照射だったおかげでようやく視力が戻ってきた時雨が

不知火の方へ近付き手を差し伸べてくる。



不知火「彼を知り己を知れば百戦殆うからず、

    戦う前に相手の情報を徹底的に洗える相手。」

不知火「つまり時雨さんだったからこそ勝ちを拾うことが出来たといえます。」



握手を交わし、時雨へと感謝を述べる不知火。



不知火「いい演習、ありがとうございました。」ペコリ

時雨「は ――――――。君の爽やかさに毒気が抜かれるよ。」

時雨「僕の完敗だ。まだまだ君には敵いそうにないや。」

不知火「いえ、いずれ、すぐに抜かれてしまうかと。」

不知火「ですが、不知火より強い方が増えるのは

    全体の戦力の底上げになりますので大変喜ばしい事と思っています。」

時雨「やれやれ、かな……。」



器の大きさも負けた。本当の意味での完敗である。

732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:42:16.63 ID:aBfZ3KXR0


埠頭



提督「勝負が付いたようだな。」

雪風「しれぇ、不知火さんはどういう手品を?」

提督「ん?雪風ほどの者でも分からないか。」

ガン「あの、解説お願いします…。」

川内「足元の爆発は魚雷?」

摩耶「機雷を用意していたようには見えなかったし、

   そもそも自分も危ないもんな。」

提督「あれは遅延信管を仕込んだ魚雷の接触信管を感度あげまくってたんだろ。」

提督「信管の感度設定をみすると魚雷が海中で波などの衝撃で

   作動した結果、敵に当る前に爆発する事があるだろ?」

雪風「感度設定は確かに難しいです。」

提督「その感度を良くした状況で魚雷を投げれば勝手に作動するわけだ。」

川内「成程、つまり本来は戦艦等の装甲を破って突き刺さった後に

   破孔をより大きくする為に使う遅延信管を使用した事で

   魚雷が時限爆弾に化けたわけか。」

提督「うまいこと爆発するタイミングを見計らったという事なんだろ。」

摩耶「よくもまぁ、上手くいったもんだな。」

提督「さらに言えば燃料も少なめにして魚雷が余り走り過ぎないように調整したんだろ。」

川内「全ては時雨のデコイを掃除する時に仕込んでいたってわけか……。」

提督「それ以外に進路を読まれないように砲撃で制限し、

   魚雷が潜んでいるところに誘導したり、

   自分の残り少ない魚雷を使ったというのが手品の種明かしだ。」

733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:44:11.58 ID:aBfZ3KXR0

ガン「でも、時雨さんがその場所へ行く保障なんてないのでは?」

提督「人間だれしもピンチに陥った時の一瞬の閃きを勘とかよく言うだろ?」

川内「あぁ、やま勘って奴だね。」

提督「そうだ、だがな。勘なんてものはあるようでないもんなのさ。」

雪風「?」

提督「勘だの閃きだのと思うのは全て、

   本当は自分の今までの経験や知識の中から最短距離で

   自分が正解と思えるものを導きだしているだけなのさ。」

摩耶「てことは時雨が勘で避けてくるのは折込済みだった?」

提督「普段の業務で得た時雨の戦闘データーで全て読んでいたということだな。」

提督「どこを狙えばどう避けるか、魚雷の回避は右と左、どちらを好むか。」

提督「全て、想定内、いや、そう思わせることすらも不知火の術中なのかもしれないな。」



胸元から煙草を取り出し、一本咥え、火をつけふいと煙を吐く。

提督の周りの艦娘はその圧倒的格上な不知火の実力に溜息を漏らす。



提督「さてと、勝負は付いたわけだ。」

摩耶「あっ、そうだった。」

川内「宴会だねぇ。」

明石「ウォースパイトさん!これ。支払い宜しくお願いしますね!」



そして渡される請求書。



スパ「えっ、何この金額。」

提督「俺は助けないからな。」

明石「いっぱい(many)飲まれる方が多いですからねぇ。」

スパ「a cup of (一杯)じゃないんですか!?」

明石「契約書は絶対。」ニヤニヤ

スパ「Nooooooooooooo !!」


絶叫を上げるウォースパイトを背に

提督は戻ってきている不知火達を迎えにいったのだった。
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:45:01.61 ID:aBfZ3KXR0

長門「なかなかいい試合だったな。」

瑞鶴「探照灯で視力を奪うとはね。」

長門「らいしといえばらしいな。

   時雨がああすれば負けを認めると読んでいたんだろうな。」

瑞鶴「そうね。あっさりと負けを認めたというのがよかったわね。」

長門「我々の出番もなかったからほっとしたよ。」ヤレヤレ

瑞鶴「そうね。殴りあいはまだしも虐殺状態になるのは勘弁だったわ。」

長門「不知火がその辺は弁えたという事かな?」

瑞鶴「そうでしょうね。いい意味で丸くなったと思うわ。」

長門「確かに、見ていてそう思う。」

瑞鶴「何が切欠なんでしょうね?」

長門「さぁな。」



そして長門達もまた宴会に参加すべく鎮守府へと戻ったのである。

尚、皆が飲んだ酒代の所為で

ウォースパイトが数ヶ月ただ働き状態だったのはまた別の話である。

735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:46:35.68 ID:aBfZ3KXR0

とある日の鎮守府会議室

提督は米軍の将校二人と会議を行っていた。



提督「と、以上で打ち合わせについては終了ですかね?」

米中将「あぁ、実に有意義な会談だったよ。」

提督「いえ、先日の救援作戦においては色々助けていただきましたし

   その際の礼もありますので。」

米大佐「こちらに我が国から派遣する駆逐艦に付いてですが

    最新鋭に交代させていただいて宜しいんですね?」

提督「えぇ、そのくらいの変更を受け入れないほど狭量でもありませんよ。」

米中将「最新鋭の方が抜けるデーターも多い?」

提督「虐めるのはお良し下さいな。」ハハ

提督「と、先日の救援のお礼という訳では無いですが

   宴席を用意させていただいるのでどうぞ食べていっていただけませんか?」

提督「うちの料理長が腕を奮っておりますので是非。」

米中将「大佐から腕のいい料理人がいると聞いている。是非に食べさせていただくよこう。」

提督「ありがとうございます。」



そして。
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:47:51.32 ID:aBfZ3KXR0


「こちら前菜でございます。」



いつもと違い、シェフ然とした格好の料理長が配膳を行う。



米大佐「実に素晴らしい彩……。」

「桜と薔薇をイメージし、当鎮守府周辺で取れた野菜を使用しております。」

米中将「実に素晴らしい味わいだ。」



一つ一つの料理に料理長が素材の産地や料理方法を説明していく。

前菜が終わり、メインのスープが終わる。

そして、魚介料理へとメニューが移ってゆく。



「こちら、あこや貝の貝柱バターポワレ、

 ほうれん草のグリーンソース添えになります」

米中将「あこや貝かね?」

「はい、あこや貝そのものは食べれたものではありませんが、その貝柱は別物」

「本日の貝柱は三重県、伊勢湾産を使用しています」

米大佐「うーん。お酒は日本酒ですか?」

「えぇ、獺祭ですよ。

 日本酒は魚貝にあう物が多いので気に入っていただけたのでしたら幸いです。」



そして尚もコースは続いてゆく。

737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:50:11.77 ID:aBfZ3KXR0

「此方、鳩肉の唐揚げ香草添えになります。」

米大佐「鳩肉ですか。」

「えぇ、フレンチのではなく中華の香炸。

 予め下味をつけた物を揚げています。」

「蜂蜜や老酒で下味をつけています。詳細はお教えできませんが…。」

米大佐「実に食感も素晴らしいですね。」



そしてメインデイッシュも終盤へ。



米中将「目の前で切り分けるパフォーマンスかね?実に素晴らしい」

「牛フィレ肉フォアグラと抱き合わせにしロッシーニ風に仕上げ」

「どうぞ」

提督「ソースのコントラストが美しいものですな」

米大佐「あぁ、ジョエル・ロブションの期間限定メニューで見た事がありますね。」

米中将「……、再現出来る腕前とは恐れ入る。」

提督「肉が綺麗な円形に整形されている。」

「その様な形になるように型にいれ整えておきましたので。」

そして楽しい食事会は最後のデセール(デザート)へ。

「こちらミニャルディーズ、プチフール、

 季節の果物、春の香り添えになります」

米中将「あぁ、実にいい香り、味。」

米大佐「実に素晴らしい。」



人は本当に美味しいものを食べると語彙力が無くなるとか。

提督が設けた二人の米軍高官をもてなす食事会は無事終了したのだった。

そして、帰路に着いた米軍人の二人は船内で改めて提督について話をしていた。



米中将「会議で表明できない自分の立ち位置を料理で伝えてくるとはな。恐れ入る。」

米大佐「大使館勤務経験のある料理人だったのでしょうか?」

米中将「かもしれん、そこは分からんが。超一流なのは間違いない。

    それと、少なくとも、あの提督は我々と事を構えるつもりは無いようだ。」

米大佐「歴史に従うという事ですか。」

米中将「あぁ、そして脅威となる連中についてもある程度示唆してきていたな。」

米大佐「終わった後の事でも共闘できる部分はするということでしょうか?」

米中将「あの料理のメニューで判断する限りではな。」



738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:51:17.37 ID:aBfZ3KXR0

鎮守府食堂



提督「上手く伝わったかな?」

「司令官の意思に添える料理は出したと思うよ?」

「ただ、それを読み取れるかどうかは相手次第でしょ?」

「それにそれを読み取れない程度のニブチンならかえって扱いやすいんじゃないの?」

提督「まっ、そうだな。」

「司令官も大変だねぇ。」

提督「なに、手元に有効な手札があったんだ。使いたくもなるさ。」

提督「今日はありがとうな。また、頼むよ。」



戦場は何も魚雷と砲弾が飛び交う場所だけではない。

政治の駆け引きもまた戦争なのである。

739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/19(金) 02:55:26.45 ID:aBfZ3KXR0
以上で更新おわりでございます!
首脳会談時の晩餐会や昼食会での料理のメニューは様々なメッセージがこめられている事が多いので
興味をもたれましたら調べてみるのも面白いかもしれません
個人的に記憶に残っているのは習近平がイギリスに行った時の皮肉たっぷりな晩餐会メニュー
色々、隠されたメッセージを受信出来ないと無能呼ばわりされる外交の世界
こわいですね!ここまでお読みいただきありがとうございました!
また、更新間隔がのびのびになっていることをお詫び申し上げます
乙レス、感想レスいつもありがとうございます、お気軽に残していただけるといっちが喜びます
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/19(金) 06:37:39.75 ID:v2h3PD9i0
乙です。
うーちゃん うーちゃん うーちゃん∩( ・ω・)∩ ばんじゃーい
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/19(金) 11:40:37.78 ID:bHIkmmrD0

うーちゃん意外と出番あるどころか切り札になってて嬉しい
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/19(金) 19:22:50.63 ID:ibELC143O
ここのうーちゃん大好きだわ
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/20(土) 19:07:35.85 ID:9mofOjPQ0
あの有名店を再現出来る腕前って一体…

でも有能なうーちゃんって好きだなぁ
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/21(日) 19:38:00.35 ID:RgAMSUgF0
半分くらいは料理のメッセージ読み取れたと思うけど第3部ヤバすぎやしませんかねこれw
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/08(水) 00:30:33.58 ID:nFQLBL4F0


「はぁ ――――――――― 。」



大きな溜息を一つ。

いや、分かっている、自分が原因である事は。

しかし、あれを見過ごす事は断じて許せないのだ。



「といっても4回目の出戻りはなぁ ――――― 。」



初期艦として選ばれて提督の秘書艦として本来は仕事していたはずなのだ。



「いや、犠牲が出ることがあるのは当たり前なのよ。」



そう、その犠牲の出し方が糞なのは実に許しがたいのだ。



「だからといって意見具申も許されないなんて。まったくやになっちゃう。」



恐らくは自分が更迭された後、自分が助ける為に動いたあの娘達は水底へ。だろう。

それを考えれば。



「はぁ ――――――――――― 。」



巨大な溜息が出るのは仕方のない事だろう。


746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/08(水) 00:32:10.31 ID:nFQLBL4F0


「あら、今度もお早いお帰りでしたね。」

「あぁ、教官。また、お世話になります。」

「いったじゃありませんか。あの方は叢雲さんとは真逆ですよって。」

「そうはいいましてもですね。向うが指名してきた以上はですね。」



にこりとこちらを威圧してくる教官は

艦娘養成校にその人有りと知られる練習巡洋艦鹿島。

鹿島といえば可愛さが売りなんて思われているけれど

今、私の目の前にいるこの女は全然違う。

いや、見た目を最大限に擬装欺瞞、

相手の油断を誘う事に費やしているのだから一番危険なタイプだろう。

中身が陸上自衛隊で格闘徽章持ちの美女にして野獣とよばれ

一体何人の男性を正しくベッドへと沈めて来たことやら。

艦娘の適正があった為海軍に編入する事になった際、

別れへの悲しみの涙……、ではなくうれし涙を流した隊員が多かったとか。

そういえば昔、私、脱いだら凄いんですなんてCMあったなぁと。

もっとも目の前のゴリラは筋肉ダルマなのだ。ふふ。そりゃ彼氏も出来ませんよねぇ。



「叢雲さん?余計な事を考えていませんか?」

「いえ!考えていないです!」ビシッ



目が笑っていない。

あっ、これ後でお説教というなの楽しい格闘訓練時間だ。泣きたい。

だが、神というものは時として降臨あそばされるものなのだ。



747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/08(水) 00:32:56.18 ID:nFQLBL4F0

「あー、お嬢さん方。申し訳ないのだがこちらの校長室はどちらか教えていただけないだろうか?」



やった!この場を離れられると振り返ったそこに居たのは。

まぁ、このうだつが上がらない雰囲気のセールスマンが私の最初の印象だったかしら。

その後もこのそうと思わせない見た目に騙され続けていく事になるんだけど。

そうね。とりあえず、私が最初に感じた印象は胡乱げな、

それこそ詐欺師かなにかみたいなだったわ。

後々、あんた、お前の仲になるなんてまったく思っていなかったわ。

748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/08(水) 00:34:44.03 ID:nFQLBL4F0
提督の初期艦叢雲との出会いを少し
しょっぱなから詐欺師扱いの提督、仕方無いね!
お読み頂きありがとうございました、番外編の方も宜しくお願いいたします!
感想、おつレスいつもありがとうございます!お気軽にレスいただきますといちが喜びます
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 04:05:17.92 ID:VKqyDi2aO
乙!
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 08:20:08.64 ID:IERZX957O
乙!楽しみにしてる!
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 12:47:01.14 ID:cPzWr1k90
カシマ・カシマ
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/09(木) 07:12:57.52 ID:kgM+/xCGo
お嬢の浴室的鹿島か。
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/12(日) 00:26:55.58 ID:TYakSQdC0
ちょっぴりばかりの更新
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/12(日) 00:28:35.14 ID:TYakSQdC0

校長室に案内して聞き耳を立てたところで。



「叢雲さーん。」ネットリ

「あぁぁぁぁ ―――――――― !」ズルズルズル



私は曳航されたのだった。



「外でなにやら断末魔が聞こえたようですが?」

「あぁ、まぁ、君が気にする事ではないよ。中……。」

「申訳ありません。階級については。」

「あぁ、そうか。にしても君が前線に回されるとはね。

 いよいよ人材の底が見えるようだ。」

「いえいえ。私が動ける、動かせる状態であればこそです。」

「軍令の全員で前線整理の道筋つけて後方のお片づけをしてです。」

「ここだけの話しですが南太平洋の悲劇。

 あれは戦線を押し下げる抜群の効果がありました。」

「君の師匠はつねづね撤退を提案していたのだったか?」

「えぇ、教授は拡大を続ける戦線の整理縮小の必要性を言われていました。」

「国力全てを注いでの維持はいずれ破綻が来る。歴史に学べという事です。」

「力を貯めてまた取り戻せばいい、国際社会を巻き込めと。」

「そして、それが敵わないが故に前線で嫌がらせを続け

 戦術的に対処療法的な止血作業をされておりました。」

「おしい方をなくした。」

「最後まで軍人であったようです。」

「奥方がいらしたと風の噂で聞いていたがどうされている事やら。」

「艦娘と結婚をしたと聞いてはおりました。

 年をいった上での初婚だったからか手紙にのろけが多かったですね。」

「あの鉄面皮がね。」

「教授はあれで表情豊かではあったと思うのですが。」

「私が軍令に居た頃とは大分違ったようだな。」

「でだ。本題に入ろう。事前に受取ったこの書類に間違いないのかね?」



机の上に出される軍令部の各部署の責任者の名前が連ねられた一枚の書類。

755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/12(日) 00:29:35.35 ID:TYakSQdC0

「えぇ、士官学校で提督課程は学びはしましたが

 最低限ですので改めて学びなおしたいと思いました。」

「君なら不要と思うが上には私も逆らえん。」

「にしても、ここを卒業後の君は各鎮守府の建て直し作業が主になるのかね?」

「どうしても戦闘ドクトリンを徹底させるには

 現場に出向いて指導する者がいりますからね。」

「といってもやらかした所の建て直し。

 例えるならピアノの調律師の様なものです。」

「正しく、綺麗な音が出るように調整。調整後は演奏者に任せる。」

「私はあくまで裏方ですよ。

 そのうちどこかに腰をすえるかもしれませんが今はその時ではないです。」

「軍令の戦略参謀長の渋面が思い浮かぶようだよ。」

「兄弟子筋に当る方ですから可愛がっていただきました。

 だけにお前以外に頼めないとも言われましたので腰を上げたという状態です。」

「縁は時として有効であり時として己を縛る……だな。」

「私のような無能が参謀の末席を汚すのは

 偲びありませんのでまじめに仕事をする次第です。」



(狸め。)

(狐野郎。)


756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/12(日) 00:33:00.52 ID:TYakSQdC0

笑顔で楽しい世間話という名の腹の探りあいは社会人の嗜み。

否、社会人の名刺交換という初級講座レベルの基本スキルである。

そう、オンシャノツギノプロジェクト、ジュチュウヨロシクネー!の言葉の後に

モットヤスクシテクレマスカ?ヨロシクヨー!が続いたかと思えば。

ザッケンナコラー!ミツモリタケエゾコラー!

ザッケンナコラー!ノウキギリギダゾコラー!

の楽しい宣戦布告となるあれである。

先日まで情報の坩堝にして中枢に居た相手から

何某か有益たる情報を引き出せたらと水を向けるも

相手もそれを知ったもので自分が知る以上の話しを語ろうとしない。

情報の統制がしっかりとされていることと

相手は自分が把握している情報のレベルを

しっかりと知っている事を確認できたに過ぎない。

なれば。



「君につける補佐の艦娘だが。

 大和型、翔鶴型、君の望む娘をつけようじゃないか。」

「あー、余計な気遣いは不要です。校長。」

「寧ろ通常の提督候補生と同じように初期艦課程を修了している者をお願いします。」



艦娘養成校でのそれは士官学校におけるそれとあまり代わらない。

提督候補生に艦娘一人を補佐につけ無事任官(卒業)した後は

そのまま一緒に鎮守府に着任となる形なのだ。

そんななかで即戦力として活躍可能な戦艦、空母をつけましょうと申し出てくる。

つまるところ、ようはこの校長。



(おべっかを使ってでも軍令、本営に近いところに知己を得たいという事か。)



参ったものである。



(好意をうけとれや若造!)

(ふざけんなや!はげ!後、俺はもうおっさんだっつーの!)

(黙れこの若造!

 手前もハゲだろうがハゲって言う方がハゲじゃ!!)

(薄毛ですぅ!?薄毛!!

 ないのと薄毛は天と地ほどの差があるわ!!)



お互いに目で鍔迫り合いを行う、

恐らくモノローグが見えるのであれば上の様なやり取りが見えた事だろう。

757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/12(日) 00:35:53.38 ID:TYakSQdC0


「では、挨拶はこのくらいで。提督候補生向の寮へ向わせていただきます。」

「あぁ、そうか。であれば、教官との顔合わせも兼ねて案内させよう。」



校内での専用電話的なもので呼び出してきたのは……。



「練習巡洋艦鹿島、お呼び出しに従い参りました。」

「こちらの方を部屋まで案内してさしあげて。」

「了解です!」



廊下を歩く道すがら。



「提督候補生さんは民間候補生に偽装ですか?」

「こちら側の匂いがしますねぇ。こらからもよしなに。」



手身近に自己紹介をされる。

これはあれだろうか?

胡散臭いもの同士は惹かれあう。

昔見た漫画の一節を思い出す。

成程、前を行く艦娘の背中は何かを語るには充分すぎる。



(なんとか神拳とかの伝承者と名乗られても納得するやもしれん。)



それほどに目の前の艦娘の背中は自己主張をしていた。

漢なら背中で語れ。目の前の背中はそう語っていた。



(いや、艦娘は女性だよ………な?)



益体もない事を考えている内に割り当てられた寮の部屋へと辿り着いたのだった。

そして野戦将校の行李並に小さく荷物を纏めたトランクからノートPCを取り出す。

文明の利器というのは昔のように

大量の書類などと言うものを持ち運ばなくてもいいようにしてくれる。

しかし、逆に出来る事を増やすという事でも有る。



「軍令の参謀職から離れたにも関わらず椅子がそのままか……。」



おぉ素晴らしき官僚機構。

万一提督として卒業できなくても参謀として

再度お仕事出来るように籍はそのままにしておくよとの「ありがたい」お言葉。

裏を返せば参謀の人数足りないから

提督課程を勉強している間も出来る事はやってね!という事である。

758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/12(日) 00:37:40.88 ID:TYakSQdC0


「人手の足りなさ、いや、足らぬ足らぬは工夫が足らぬか。」



つねに軍令部に詰める形とは代わる為仕事の量は減っているものの。



「確認して対策とらねぇといけないことが多すぎねぇかこれ?」



支給されたPCで軍令部の専用クラウドにアクセスすれば

スパムメールが如き書類の量。

軍令部の参謀総長の顔が思い出される。



いずれ仕事の量は減らすといった………。

今回、まだ、その時と場所の指定まではしていない……。

君はそのことをどうか思い出していただきたい。

つまり、参謀本部がその気になれば仕事を減らすのは10年後、20年後ということも

可能だろう……ということ!



「死者を生き返らせてでも仕事をさせそうだ。」



提督候補として軍令部を離れる間の仕事量は減るかなと

期待した方が間違いだったようである。



「実際、こちら側の人材の不足も戦線の縮小理由ではあったんだよな。」

「師匠もとんでもねぇ宿題を残してくれやがるぜ、まったく。」



そして、人事部から手に入れた艦娘養成学校の所属艦娘候補生の資料に再度目を通し。
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/12(日) 00:40:43.78 ID:TYakSQdC0


「提督秘書以外の仕事のつぶしも効く奴を見繕わにゃならんな。」



彼、便宜上、提督とするが提督が軍令部の戦略畑の長、

軍令部総長から受けていた指令に一つ艦娘の中で

提督の資質がある奴がいれば引き抜けという指令があった。



「提督になる為にはただ単純に士官としての資質があればいいってわけでもないか…。」



艦娘を総べる提督と呼ばれる職位は

単純に提督として勉強をすればいいというものでもなかった。

単純かつ絶対的な要素「艦娘から無条件で好かれる」これがなければならない。

組織の長ともなれば調整能力は必要であるが女性を、ともすれば100から200人。

それだけの人数運用ともなれば間違いが起きればそく内部崩壊。

艦娘として生まれ変わった元人間の女性たちに早い話

「なんかいい人ね」と思わせる何かがいるのだ。

何か?とぼんやりした物なのはそれが判明していれば

今頃提督を量産出来ているという上側の恨み的な物が入っている事なのは言うまでもない。

提督候補として艦娘養成学校に送られてくるのは最低限をクリアしている事になる。

軍令、司令部付きの艦娘達が士官学校、

或いはその他選考過程で○、×をつけている事は上の方の人間の一部しかしらないのである。

現場の鎮守府で真っ黒運用をやらかしてもめったに後ろ弾案件が起きないのはそういう事。

ともすれば狂信的な好意があるおかげで

運営がなりたっている鎮守府があるのもそういう訳なのだ。

だけになれる人間が少なく民間人の積極的(但し適正者は少ない)募集も行うという

人手不足が極まっている状態なのだ。

しかし、艦娘になれる適性を持つ女性は意外に多い。

ならば艦娘に提督を兼ねさせて人数不足をとなるのは自然の流れでもあったわけである。

人材の不足というのが組織の大小関わらずなのは悲しい世の現実なのだ。

叩き上げの将の出現を待つよりは早いうちに芽を見つけて

悪い方向へ育たないように植え替えてという事。



「まぁ、現場叩き上げの方が結局は面白い奴が育つんだがねぇ。」



優先度は低く、掛けられる時間は少ない。


「頑張って提督になるべく勉強をしますか……。」

といっても士官学校を卒業し、参謀課程を修了、

尚且つ直近で軍略参謀を務めていれば児戯が如き内容な訳であり。


「ベッドってこんなに柔らかかったんだねぇ……。」スヤァ


改めて提督向の教本等を読む気にもならず日頃の疲れからか睡魔に勝てる訳もなく、

提督はのんびりと久方ぶりのベッドの感触を楽しむのだった。
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/12(日) 00:43:30.06 ID:TYakSQdC0
以外!それはボクカワウソ!
あれが着ぐるみになるとかよそう出来た人いるわけないと思います
イベントの具体的日程はステージでご案内とかとか
まぁ、そうなるな
秋津洲4人目でねぇといいつづけて暇暇周回してきていてS勝利100超えました、出ない時は出ない
バケツがやばいですね、ここまでお読み頂きありがとございました
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 14:27:37.96 ID:6Ah90Ll+O
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/18(土) 19:09:35.67 ID:fPhBGAbI0
乙乙ボーキくれる遠征はもちっと欲しい
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:10:20.75 ID:o6WlkERf0
今回のイベント難易度おかしくないですかね?
後、甲限定装備全般オーパーツ気味…
運営さん、ちょっと?さすがにおかC
すみません愚痴入りました、お時間宜しければ少し更新しますのでお読みいただけると幸いです
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:11:23.02 ID:o6WlkERf0

「うわっ、煙い」



そいつの部屋に入っての最初の感想はそれ。



「この部屋はバルサンでも焚いてるの?」



締め切った個室に充満する煙草の煙。

物流が死んだこの情勢で煙草をこれだけすきに吸えているって時点で

それなりに怪しい奴と気付くべきだったと今にして思う。

まぁ、あれよね、私が未熟だった。それにつきるわ。



「お嬢ちゃんが、叢雲かい。」

「提督候補生として今後とも宜しく。」



差し出してくる手は見た目の胡散臭さとは別にしっかりとした厚みがある手。



「わたしを選ぶなんて物好きね。」

「今までの経歴には目を通した実に立派な経歴だ。」



何かの皮肉かしら?私は今まで4回も秘書艦を首になってるんですけど?



「上官反抗の角で秘書艦解任。実に面白い。」



こいつ、意図的に地雷を踏み抜きに行く奴かしら?

765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:12:29.49 ID:o6WlkERf0

「意見具申として記録に残っているものに関して目を通させてもらった。」

「俺の意見を言えば叢雲。嬢ちゃんの意見が正しい。」

「広い視野、現場に出撃したものならではの戦況判断。」

「熟練の兵の指揮と言われても俺は納得するだろうな。」

「ただ、相手を説得するには言葉を選んだ方がいい。」

「美辞麗句でもって相手を褒めて煽てて

 きちんと思考誘導してやった方がいい。」

「人間、欠点を直で指摘されると腹立つもんだ。

 特にそれが正しい場合は尚更だ。」

「合理的に割り切れる人間ならいい。

 が、曲りなりに組織の長だ、顔を立ててやれ。」

「嬢ちゃんは恐ろしく頭が切れるのは俺には分かる。」

「だからな、少しは馬鹿の気持ち、そうだな下々の思考もちょいと配慮してやってくれ。」


なんだろう、この胡散臭い詐欺師みたいな奴の言葉が

この時はすっと入ってきたのよね。

例えるなら子を諭す親みたいな話し方に……、まぁ、いいわ。

どうせ深く考えた所で結論が出ない事だってあるわけだし。

それで、まっ、この詐欺師との共同生活がスタートしたってわけ。


766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:13:31.68 ID:o6WlkERf0

「えーっと。」



名前そういえば聞いてなかったわねと詐欺師の顔を見る。



「あぁ、俺の事なら好きに呼んでくれ。

 中二っぽくMr,CigaretteとかSmokingmanでも。」

「普通に候補生何某でも。呼び名に大した意味などないからな。」



顔に似合わず茶目っ気を、いや、これ私をおちょくってるじゃない!



「あんたなんか煙男(けむお)煙男で充分よ!」

「というかもうね!あんた呼びにしてやる!名前なんて勿体ないわ!」

「ひでぇや。だが、まぁ、それでいいか。」



で、まぁ、こいつとの候補生、その秘書艦生活がスタートしたって訳。

提督候補生といってもまぁやる事自体は普通に鎮守府運営でやる事と変わりないわ。

艦娘訓練課程の娘達が通うこの学校で所属艦娘を指揮して演習しての毎日。

後は座学で鎮守府運営の基礎や艦隊指揮を学ぶって訳。

そうしていくなかで当たり前のように……、

そう派閥って物も出来るのよね。

まったくめんどくさいったらありゃしない。馬鹿よね。馬鹿。


767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:14:37.91 ID:o6WlkERf0

「あー、これはこれは。」



講堂でおべっかを使うあいつ。

基本的に候補生同士の個人情報、

民間出身だとか軍大学出身だとか?

そういうのは学校側がばらすことは無い。

教官や艦娘達へも先入観の排除という事でわざわざ知らせることはない。

自分から吹聴して回らない限りは

誰がどんなご出身でございなんて分からない。

私から言えばそういうのを自分から吹聴して回るのって

いかにも小者って感じがするのよね。

あいつみたいにおべっかを使ってくれる相手が欲しいんでしょうね。

まったく。

にしてもまぁ、なんというかヨイショが堂に入ったものね……。

民間ならきっと上に気に入られるタイプなんだろうなぁ。

ああいう言葉づかいは見習わなきゃかしらね。

そしてあいつの部屋で細々とした話しをしていたときに一言。



「口が軽いやつは情報を得やすくて助かるな。」

「叢雲もそう思うだろ?豚もおだてればなんとやらだ。」



同意を求めるなっての!ほんと、厄介な奴だわ!

にしても……。

768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:16:00.80 ID:o6WlkERf0

「一体何者なの?」



直球で聞く。



「さぁて?」

「とぼけないで、私が4回も戻されている事が連絡されていたとしても。」



そう、初対面の時に感じた胡散臭さはこれ。



「どういう状況でどういう内容の意見具申をしたかなんてまでは

 候補生風情で調べられるわけがないわ。」



その断言に、にこにことした笑顔。



「やっと気付いたか。まっ、心して聞けよ?秘密だからな。」



結局ここで騙されたのよね。ほんと詐欺師なんだから。



「俺はな、海軍の特務機関、諜報畑の人間なんだよ。

 ちょいとな内部調査でな。」

「色々調べてるんだ。なに、叢雲。お前の立場に身分は保証しようじゃないか。」

「条件があるなら言ってくれ。可能な限り応じる。」

「条件ね。まぁ、それは後でもいいわ。」

「それより私にそんな事打ち明けて大丈夫なの?」

「なんだ?心配してくれるのか?

 この部屋は毎日『 掃除 』してるから安全だ。」

「相手を思いやれるたぁ、見かけよりずっといい女だな。」

「ばか!」



辻褄も合うしそれっぽいなと思ったのがすべての終わり。

769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:17:03.73 ID:o6WlkERf0

こいつがすべて終わって卒業した後で言った言葉。



『 嘘をつくときは相手が望む、信じたいと思っている嘘をつく事。 』



えぇ、騙されたって訳。

まっ、学校を卒業した後は私に対して嘘はつく事なかったから許してあげるって所かしらね。



「それで、なんで私はパシリの手伝いさせられているのかしら?」

「まぁ、まぁ。」



あいつが色々な連中におべっか使って取り入って…、

までは良かったんだけど。

いや、よくはないか。ううん、あいつだけで完結してたからいいのよ。

で、それで調子づいた連中があいつに色々本来するべき事を押し付けてきたのよね。

提督としての仕事を学ぶ為に色々な資材の手配のやり方とか、

指揮の実務経験を積む為に割り当てられた艦娘達の訓練、

演習カリキュラムを組んだりとか。

まぁ、めんどくさい事務仕事が色々あるわけよね。

それをあいつはぜ ――――――― んぶ引き受けたってわけ。

そしてあいつは私にもその片づけを手伝わせるんだから信じらんないわ!



「その候補生Aのところの戦艦だが命中率に難ありだ。」

「じゃぁ、砲撃訓練を集中強化ね。」

「あぁ、頼む。それとそれに伴う燃料、弾薬の手配もだな。」

「ついでで演習相手に候補生Bのとこを組むと相互でいい塩梅になる。」

「わかったわ。」



まっ、優秀な私に掛かればこの程度の手伝いなんて朝飯前ね。

770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:18:04.14 ID:o6WlkERf0
「きっちり、がっちり、俺たちは優秀だろぉ?」

「おべっかを使うのといらない仕事を増やす程度にはね!」



にたりと笑うあいつに怒りの返事。

私達が受け持った娘達の演習、

訓練カリキュラムもやらないといけないわけだし。

こういっちゃなんだけど同時に並行して

いくつものを鎮守府運営をやっているような気分になるわね。


「楽しくなってきただろ?」

「そんなわけあるか!」



図星の指摘をされ照れ隠し。

まっ、この作業が後々重要だったって気付くのもまた別の話し。

人生に余裕と無駄がない男って本当に退屈だわ。
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:23:04.79 ID:o6WlkERf0
今日は此処まで
お気付きかとは思いますが小説形式になれるべく少し書き方を変えて練習をしております
こうしたらいいよとか、読みにくいとか色々意見をいただけるとありがたいなぁと…
にしても、今回のイベ色々おかC E2のラスダンまではいきました、はい
正直な話しボスへ陸攻を飛ばすより21熟練MAXや基地の陸戦で対空値高いのを大艇でのばすなどして飛ばした方が
空母おばさんの艦載機を枯らせますのでそっちの方がいいと思います、陸攻はどうせダメでません…
ぜかましさんなんかをみながら色々攻略サイトを見ながら試行錯誤
普段から予備艦などを鍛えていてよかったと思うことひとしおです、ですが、一言いいたい
運営、かげんしろ馬鹿と
ここまでお読み頂きありがとうございました、乙レス、感想レス気軽に残していただけるとイチが喜びます
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 00:34:23.32 ID:f4CPZcTI0
乙で。
今からE2輸送を始める身としましては戦力yゲージ攻略が恐ろしくて仕方ない次第です
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 00:53:07.42 ID:DrYnfxxx0
陸偵+陸戦を当てて涼月のCIが綺麗に入れば割とおばさんは黙らせられると計算したけど到達までのリスク管理が偶然頼みで実質無理と判断して噴進砲ルートで楽して叩き潰した
E3-2ラスダンなう

嘘は適度に真実を入れておくと信じやすくなるからそのさじ加減こそ腕の優劣だとどこぞの軍学署に書いてあったなあ
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 04:22:08.46 ID:82eRS9qA0
乙乙
難易度もそうだけど最終回域まで御札はお辛い
最後くらい何でもありの総力戦にして欲しい
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/30(木) 17:15:52.89 ID:wAudkZcn0
久し振りにブックマークで残して有った某纏めサイトで読み返ししてたら
>>459の次が>>466と端折られていたので
「あれ?あきつ丸?雲龍じゃ無かったの?」と混乱したわ
やっぱ、途中の雑談も大事よねー
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/01(土) 00:20:02.62 ID:PUP4laW20
特定の艦娘(故人)をイメージした香水を自作してその香りでトランス状態に入って故人を降ろし闘う降霊術系のオシャレなコマさんとかふと思いついた
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:32:58.74 ID:2HdN4PtG0
>>776様 シャーマン系でしょうか面白いですね今やってる候補生時代が終わりましたら
    ちょこっと書かせていただきたいなと思います

イベントも終り焦げ付いた資源をかき集め日々の艦隊運営を行っているイチの鎮守府
今月のEOもぼちぼちやらななーです、後、ネジ任務、イベについては他で触れたのでもう不知火
サーカスとかやるらしいですけど地方の田舎民なんでほーん状態、京本政樹さんには驚きましたが
行かれる方は是非楽しまれてください(リアイベよりゲーム内イベの方が嬉しいと思っているのは内緒)
では、すこしばかり更新させていただきます
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:34:26.47 ID:2HdN4PtG0

そして、私達はパシリ扱いをされながら候補生達の一大イベント。

卒業試験を兼ねた大演習大会を迎えたってわけ。

このイベントは連合艦隊としての最小単位である12人の艦娘を運用して

トーナメント式の勝ちあがり方式で対戦していく形ね。

で、優勝者は当然ながら色々優遇を受けて赴任先へって訳。

最下位も当然ながら決められてその最下位は卒業不可判定になる。

早い話、あなたは永遠に提督になれませんよって奴かしら。

この演習の対戦相手については今までの戦績などで公平に決められる形になるわ。

そして海軍のお偉いさん達も招いて、そうね、さながら観閲式ね。



「のんびりいこうぜ?」



その一大イベントが数ヵ月後に控えているっていうのに……。



「はぁ、不幸だわ……。」

「そうか?山城。お前さんの砲撃の腕前は一級だ。」

「俺の言うとおりにやれば三面六臂の活躍ができるぞ?」

「あなたの言うとおりに動いていたら負担が酷いのだけど。」

「戦艦には期待してるよ?戦艦だものなぁ。」

「不幸だわ……。」

「山城、頑張りましょう……。」

「姉さま……。」



ニタリと笑顔を向ける相手は扶桑型戦艦の妹山城。

そしてそれを励ますのは姉の扶桑。

あの気難しいマイナスガール達を上手く手懐けたのか

上手くあしらいながら訓練させているのは口先が上手いあいつならではね。

779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:36:29.72 ID:2HdN4PtG0

「候補生さん!だいぶなれてきたなのね!」

「潜水艦は体が冷えやすいからな。温まっとけよ?」

「イク、お前さんの魚雷の精度は抜群だ。頼りにする。」

「お褒めの言葉ありがとうなの。それと、カイロありがとうなのね!」

「はぁー、あったまるぅ。」

「イムヤ、お前もっともってけ。」

「なんか見ていて寒い。」

「ありがとうございます!」



なぜか、いや、艦隊運営という事であれば

潜水艦も居ておかしくないんだけど……。



「先日いただいた本、大変いいものでした。」

「だろ?温故知新。古き軍略家達の思考ってのは面白い。」

「なにか気付いた事あれば教えてもらいたい。」

「あの、はっちゃんとしてここが気になりました。」

「ん?どれどれ?」



連合艦隊の12人を選抜するうえで何故4人も最大に潜水艦娘達を入れた。

と、貴重な枠を潰す事への疑問を抱えていれば。



「おーい、ゴーヤ。」

「なんでち?」

「潜水艦隊の隊長として動いているお前の総評を聞きたい。」

「郡狼作戦への水上艦との連携はどうだ?」



こいつ最悪だわと納得。

つまりはやろうとしていることは敵を誘引撃滅という事かしらね。
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:37:50.58 ID:2HdN4PtG0

「あんた手心とか。」

「叢雲。実戦形式に手心なんてしてたら相手に失礼だろ。」

「教育ってのは痛い目をみて覚えるって事も大事だとはおもわねぇか?」

「じゃぁ、教育というかご教授いただきたい事があるんだけどいいかしら?」

「さて?」

「空母姉妹が飛鷹、隼鷹。そして駆逐艦が特V型三姉妹。」



叢雲の指摘は当然としてしたり顔で返す提督。



「制服、背格好。みなよく似てる、そして似せて貰っている。」

「目的はなにかしら?」



ある程度は分かっているけどきちんと確認したいわけで。



「答えは出ているんだろ?」

「あの、私は艦影を似せる事での混乱を狙ってのものだと思うんです。」



猫を1000匹くらい被った隼鷹が口を挟む。

全体に知られた隼鷹って艦娘と180度違う感じなのよね。

飛鷹が二人いると言われれば

納得できるくらいのお淑やかな感じ。

話しをしてみればこいつの渋い中年顔に一目惚れとか言ってたけど……。

恋は盲目と誰がいったものかしらね。



「なかなか理解が早くて助かる。その通りだ。」

「目視下での艦種、艦名判断だと似ている艦娘が多いと攪乱できるからな。」

「つまり艦隊を分けて動かした際に

 どちらがどっちか分かりにくくするという事ですね。」

「そして、そのまま罠、潜水艦の娘達がある所へ連れて行くという訳ですね。」

「隼鷹は賢いな。」

「いえ〜。そんな〜。」



デレデレ顔がなんというか腹立つ。

781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:38:52.94 ID:2HdN4PtG0

「でも、叢雲がいるとまずくないのかしら?」



冷静に指摘するのは飛鷹。

私が指摘したかったのに……、

ってなによこれじゃ私が隼鷹に嫉妬してるみたいじゃない?!



「いい所に気付いた。だが、それはわざとだ。」

「わざと?」



あいつの答えに疑問を返す飛鷹。



「あぁ。そうだな。すべて教えても勉強にはならねぇな。」

「次回の訓練までに考えておいてくれ。」



そういい踵を返してあいつは自室へと向っていく。



「響は分かる?」

「あぁ、暁には難しかったかい?」

「なによ!響は正解分かったの!?」

「あぁ、私の考えが正しければあの候補生さんは相当な策士。」

「あるいは稀代の詐欺師だね。相当に曲者なのは確かだよ。」



暁と響の姉妹の会話。

782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:41:25.19 ID:2HdN4PtG0

「ねぇねぇ、響、後で教えて頂戴!」

「雷も少しは考えた方がいいと思うのだけれど。」



電が初期艦として外れている為特V型姉妹が三人だけ。

そういえば響は私と同じ髪色だったわね。



「叢雲は答えが出ているんだろ?」



私の方を見ながら響が確かめるように質問。



「えぇ、まぁね。たぶん響と同じよ。」

「あいつはとことん人の心をもてあそぶやり方が好みみたいね。」

「とはいっても多用は出来ないと思う。」



響はなかなか鋭いと思う。



「えぇ、その通りよ。」

「叢雲、暁に雷に説明してもらってもいいかい?」

「いいわよ。あいつから強奪した特A甘味配給券で

 羊羹貰ってきてそれでも食べながら話しをしましょう。」



共に演習大会を戦い抜くのであれば打ち合わせも大切よね。

あいつから奪った特A甘味配給券(通称間宮券)で

貴重品の甘味を貰ってこよう。

にしてもどういう伝手で入手してるのかしらね。

まっ、他の連中を手伝ったりした礼で手に入れているんでしょうけど。

秘書として艦隊を円滑に動くように裏から支えるのは重要よね。

783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:42:19.57 ID:2HdN4PtG0

「いひひ、イク達もお世話になるのね。」

「あら、勿論私達もお誘いいただけるわよね?」



結局艦隊全員に奢ることとなり強奪した配給券がすべてなくなったのよね。

迂闊だったわ。


784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:49:02.53 ID:2HdN4PtG0
叢雲はなんというか恋女房とか古女房とか相棒とか
そんな感じの言葉がしっくりくる艦娘、他の初期艦と一味違う雰囲気が好きです
本編では故人ですが………
第三部!需要あるかどうかしらんが第三部!書いてまーす!(一応宣伝)
第一話はアブーンがでます、みんなの鎮守府で過労死寸前の阿武隈ですよ!
大体の予想されるとおりな癖が酷い、一癖も二癖もある感じのキャラ付けでございますが
他に書いてるのを早めにけり付けないとですね
更新期間がどんどん空いていってるのでレスが付かないくらいに忘れ去られた状況に
先日更新したのなんて2レスもつけていただきホント忘れられていなくてよかったと胸を撫で下ろした始末
なるべく更新期間を短めに頑張らないとだめですね、では次回もお付き合いいただけると幸いです
感想、他、お気軽にレスいただけるとイチがよろこびます、どうぞよろしくお願いいたします
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/04(木) 02:41:00.37 ID:inENqlmm0
前の鎮守府で酷使されすぎ壊れて多重人格になり赤疲労になると次の人格が出てきて働き続ける阿武隈(うちはトリプル阿武隈だからかなりホワイトですよニッコリ

しかしまあお若い士官候補生様から見たら卑怯もお経もあったもんじゃない策を用意するもんだ
もうこの時期から情勢が悪くなる前提で運用実験してるのかな
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/04(木) 03:19:59.89 ID:KLGGXsonO
乙!
待ってるぜ!
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/04(木) 09:55:58.26 ID:reh7MeH0O
続き楽しみ
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