【艦これ】 続 外地鎮守府管理番号88

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763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:10:20.75 ID:o6WlkERf0
今回のイベント難易度おかしくないですかね?
後、甲限定装備全般オーパーツ気味…
運営さん、ちょっと?さすがにおかC
すみません愚痴入りました、お時間宜しければ少し更新しますのでお読みいただけると幸いです
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:11:23.02 ID:o6WlkERf0

「うわっ、煙い」



そいつの部屋に入っての最初の感想はそれ。



「この部屋はバルサンでも焚いてるの?」



締め切った個室に充満する煙草の煙。

物流が死んだこの情勢で煙草をこれだけすきに吸えているって時点で

それなりに怪しい奴と気付くべきだったと今にして思う。

まぁ、あれよね、私が未熟だった。それにつきるわ。



「お嬢ちゃんが、叢雲かい。」

「提督候補生として今後とも宜しく。」



差し出してくる手は見た目の胡散臭さとは別にしっかりとした厚みがある手。



「わたしを選ぶなんて物好きね。」

「今までの経歴には目を通した実に立派な経歴だ。」



何かの皮肉かしら?私は今まで4回も秘書艦を首になってるんですけど?



「上官反抗の角で秘書艦解任。実に面白い。」



こいつ、意図的に地雷を踏み抜きに行く奴かしら?

765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:12:29.49 ID:o6WlkERf0

「意見具申として記録に残っているものに関して目を通させてもらった。」

「俺の意見を言えば叢雲。嬢ちゃんの意見が正しい。」

「広い視野、現場に出撃したものならではの戦況判断。」

「熟練の兵の指揮と言われても俺は納得するだろうな。」

「ただ、相手を説得するには言葉を選んだ方がいい。」

「美辞麗句でもって相手を褒めて煽てて

 きちんと思考誘導してやった方がいい。」

「人間、欠点を直で指摘されると腹立つもんだ。

 特にそれが正しい場合は尚更だ。」

「合理的に割り切れる人間ならいい。

 が、曲りなりに組織の長だ、顔を立ててやれ。」

「嬢ちゃんは恐ろしく頭が切れるのは俺には分かる。」

「だからな、少しは馬鹿の気持ち、そうだな下々の思考もちょいと配慮してやってくれ。」


なんだろう、この胡散臭い詐欺師みたいな奴の言葉が

この時はすっと入ってきたのよね。

例えるなら子を諭す親みたいな話し方に……、まぁ、いいわ。

どうせ深く考えた所で結論が出ない事だってあるわけだし。

それで、まっ、この詐欺師との共同生活がスタートしたってわけ。


766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:13:31.68 ID:o6WlkERf0

「えーっと。」



名前そういえば聞いてなかったわねと詐欺師の顔を見る。



「あぁ、俺の事なら好きに呼んでくれ。

 中二っぽくMr,CigaretteとかSmokingmanでも。」

「普通に候補生何某でも。呼び名に大した意味などないからな。」



顔に似合わず茶目っ気を、いや、これ私をおちょくってるじゃない!



「あんたなんか煙男(けむお)煙男で充分よ!」

「というかもうね!あんた呼びにしてやる!名前なんて勿体ないわ!」

「ひでぇや。だが、まぁ、それでいいか。」



で、まぁ、こいつとの候補生、その秘書艦生活がスタートしたって訳。

提督候補生といってもまぁやる事自体は普通に鎮守府運営でやる事と変わりないわ。

艦娘訓練課程の娘達が通うこの学校で所属艦娘を指揮して演習しての毎日。

後は座学で鎮守府運営の基礎や艦隊指揮を学ぶって訳。

そうしていくなかで当たり前のように……、

そう派閥って物も出来るのよね。

まったくめんどくさいったらありゃしない。馬鹿よね。馬鹿。


767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:14:37.91 ID:o6WlkERf0

「あー、これはこれは。」



講堂でおべっかを使うあいつ。

基本的に候補生同士の個人情報、

民間出身だとか軍大学出身だとか?

そういうのは学校側がばらすことは無い。

教官や艦娘達へも先入観の排除という事でわざわざ知らせることはない。

自分から吹聴して回らない限りは

誰がどんなご出身でございなんて分からない。

私から言えばそういうのを自分から吹聴して回るのって

いかにも小者って感じがするのよね。

あいつみたいにおべっかを使ってくれる相手が欲しいんでしょうね。

まったく。

にしてもまぁ、なんというかヨイショが堂に入ったものね……。

民間ならきっと上に気に入られるタイプなんだろうなぁ。

ああいう言葉づかいは見習わなきゃかしらね。

そしてあいつの部屋で細々とした話しをしていたときに一言。



「口が軽いやつは情報を得やすくて助かるな。」

「叢雲もそう思うだろ?豚もおだてればなんとやらだ。」



同意を求めるなっての!ほんと、厄介な奴だわ!

にしても……。

768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:16:00.80 ID:o6WlkERf0

「一体何者なの?」



直球で聞く。



「さぁて?」

「とぼけないで、私が4回も戻されている事が連絡されていたとしても。」



そう、初対面の時に感じた胡散臭さはこれ。



「どういう状況でどういう内容の意見具申をしたかなんてまでは

 候補生風情で調べられるわけがないわ。」



その断言に、にこにことした笑顔。



「やっと気付いたか。まっ、心して聞けよ?秘密だからな。」



結局ここで騙されたのよね。ほんと詐欺師なんだから。



「俺はな、海軍の特務機関、諜報畑の人間なんだよ。

 ちょいとな内部調査でな。」

「色々調べてるんだ。なに、叢雲。お前の立場に身分は保証しようじゃないか。」

「条件があるなら言ってくれ。可能な限り応じる。」

「条件ね。まぁ、それは後でもいいわ。」

「それより私にそんな事打ち明けて大丈夫なの?」

「なんだ?心配してくれるのか?

 この部屋は毎日『 掃除 』してるから安全だ。」

「相手を思いやれるたぁ、見かけよりずっといい女だな。」

「ばか!」



辻褄も合うしそれっぽいなと思ったのがすべての終わり。

769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:17:03.73 ID:o6WlkERf0

こいつがすべて終わって卒業した後で言った言葉。



『 嘘をつくときは相手が望む、信じたいと思っている嘘をつく事。 』



えぇ、騙されたって訳。

まっ、学校を卒業した後は私に対して嘘はつく事なかったから許してあげるって所かしらね。



「それで、なんで私はパシリの手伝いさせられているのかしら?」

「まぁ、まぁ。」



あいつが色々な連中におべっか使って取り入って…、

までは良かったんだけど。

いや、よくはないか。ううん、あいつだけで完結してたからいいのよ。

で、それで調子づいた連中があいつに色々本来するべき事を押し付けてきたのよね。

提督としての仕事を学ぶ為に色々な資材の手配のやり方とか、

指揮の実務経験を積む為に割り当てられた艦娘達の訓練、

演習カリキュラムを組んだりとか。

まぁ、めんどくさい事務仕事が色々あるわけよね。

それをあいつはぜ ――――――― んぶ引き受けたってわけ。

そしてあいつは私にもその片づけを手伝わせるんだから信じらんないわ!



「その候補生Aのところの戦艦だが命中率に難ありだ。」

「じゃぁ、砲撃訓練を集中強化ね。」

「あぁ、頼む。それとそれに伴う燃料、弾薬の手配もだな。」

「ついでで演習相手に候補生Bのとこを組むと相互でいい塩梅になる。」

「わかったわ。」



まっ、優秀な私に掛かればこの程度の手伝いなんて朝飯前ね。

770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:18:04.14 ID:o6WlkERf0
「きっちり、がっちり、俺たちは優秀だろぉ?」

「おべっかを使うのといらない仕事を増やす程度にはね!」



にたりと笑うあいつに怒りの返事。

私達が受け持った娘達の演習、

訓練カリキュラムもやらないといけないわけだし。

こういっちゃなんだけど同時に並行して

いくつものを鎮守府運営をやっているような気分になるわね。


「楽しくなってきただろ?」

「そんなわけあるか!」



図星の指摘をされ照れ隠し。

まっ、この作業が後々重要だったって気付くのもまた別の話し。

人生に余裕と無駄がない男って本当に退屈だわ。
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/28(火) 00:23:04.79 ID:o6WlkERf0
今日は此処まで
お気付きかとは思いますが小説形式になれるべく少し書き方を変えて練習をしております
こうしたらいいよとか、読みにくいとか色々意見をいただけるとありがたいなぁと…
にしても、今回のイベ色々おかC E2のラスダンまではいきました、はい
正直な話しボスへ陸攻を飛ばすより21熟練MAXや基地の陸戦で対空値高いのを大艇でのばすなどして飛ばした方が
空母おばさんの艦載機を枯らせますのでそっちの方がいいと思います、陸攻はどうせダメでません…
ぜかましさんなんかをみながら色々攻略サイトを見ながら試行錯誤
普段から予備艦などを鍛えていてよかったと思うことひとしおです、ですが、一言いいたい
運営、かげんしろ馬鹿と
ここまでお読み頂きありがとうございました、乙レス、感想レス気軽に残していただけるとイチが喜びます
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 00:34:23.32 ID:f4CPZcTI0
乙で。
今からE2輸送を始める身としましては戦力yゲージ攻略が恐ろしくて仕方ない次第です
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 00:53:07.42 ID:DrYnfxxx0
陸偵+陸戦を当てて涼月のCIが綺麗に入れば割とおばさんは黙らせられると計算したけど到達までのリスク管理が偶然頼みで実質無理と判断して噴進砲ルートで楽して叩き潰した
E3-2ラスダンなう

嘘は適度に真実を入れておくと信じやすくなるからそのさじ加減こそ腕の優劣だとどこぞの軍学署に書いてあったなあ
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 04:22:08.46 ID:82eRS9qA0
乙乙
難易度もそうだけど最終回域まで御札はお辛い
最後くらい何でもありの総力戦にして欲しい
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/30(木) 17:15:52.89 ID:wAudkZcn0
久し振りにブックマークで残して有った某纏めサイトで読み返ししてたら
>>459の次が>>466と端折られていたので
「あれ?あきつ丸?雲龍じゃ無かったの?」と混乱したわ
やっぱ、途中の雑談も大事よねー
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/01(土) 00:20:02.62 ID:PUP4laW20
特定の艦娘(故人)をイメージした香水を自作してその香りでトランス状態に入って故人を降ろし闘う降霊術系のオシャレなコマさんとかふと思いついた
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:32:58.74 ID:2HdN4PtG0
>>776様 シャーマン系でしょうか面白いですね今やってる候補生時代が終わりましたら
    ちょこっと書かせていただきたいなと思います

イベントも終り焦げ付いた資源をかき集め日々の艦隊運営を行っているイチの鎮守府
今月のEOもぼちぼちやらななーです、後、ネジ任務、イベについては他で触れたのでもう不知火
サーカスとかやるらしいですけど地方の田舎民なんでほーん状態、京本政樹さんには驚きましたが
行かれる方は是非楽しまれてください(リアイベよりゲーム内イベの方が嬉しいと思っているのは内緒)
では、すこしばかり更新させていただきます
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:34:26.47 ID:2HdN4PtG0

そして、私達はパシリ扱いをされながら候補生達の一大イベント。

卒業試験を兼ねた大演習大会を迎えたってわけ。

このイベントは連合艦隊としての最小単位である12人の艦娘を運用して

トーナメント式の勝ちあがり方式で対戦していく形ね。

で、優勝者は当然ながら色々優遇を受けて赴任先へって訳。

最下位も当然ながら決められてその最下位は卒業不可判定になる。

早い話、あなたは永遠に提督になれませんよって奴かしら。

この演習の対戦相手については今までの戦績などで公平に決められる形になるわ。

そして海軍のお偉いさん達も招いて、そうね、さながら観閲式ね。



「のんびりいこうぜ?」



その一大イベントが数ヵ月後に控えているっていうのに……。



「はぁ、不幸だわ……。」

「そうか?山城。お前さんの砲撃の腕前は一級だ。」

「俺の言うとおりにやれば三面六臂の活躍ができるぞ?」

「あなたの言うとおりに動いていたら負担が酷いのだけど。」

「戦艦には期待してるよ?戦艦だものなぁ。」

「不幸だわ……。」

「山城、頑張りましょう……。」

「姉さま……。」



ニタリと笑顔を向ける相手は扶桑型戦艦の妹山城。

そしてそれを励ますのは姉の扶桑。

あの気難しいマイナスガール達を上手く手懐けたのか

上手くあしらいながら訓練させているのは口先が上手いあいつならではね。

779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:36:29.72 ID:2HdN4PtG0

「候補生さん!だいぶなれてきたなのね!」

「潜水艦は体が冷えやすいからな。温まっとけよ?」

「イク、お前さんの魚雷の精度は抜群だ。頼りにする。」

「お褒めの言葉ありがとうなの。それと、カイロありがとうなのね!」

「はぁー、あったまるぅ。」

「イムヤ、お前もっともってけ。」

「なんか見ていて寒い。」

「ありがとうございます!」



なぜか、いや、艦隊運営という事であれば

潜水艦も居ておかしくないんだけど……。



「先日いただいた本、大変いいものでした。」

「だろ?温故知新。古き軍略家達の思考ってのは面白い。」

「なにか気付いた事あれば教えてもらいたい。」

「あの、はっちゃんとしてここが気になりました。」

「ん?どれどれ?」



連合艦隊の12人を選抜するうえで何故4人も最大に潜水艦娘達を入れた。

と、貴重な枠を潰す事への疑問を抱えていれば。



「おーい、ゴーヤ。」

「なんでち?」

「潜水艦隊の隊長として動いているお前の総評を聞きたい。」

「郡狼作戦への水上艦との連携はどうだ?」



こいつ最悪だわと納得。

つまりはやろうとしていることは敵を誘引撃滅という事かしらね。
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:37:50.58 ID:2HdN4PtG0

「あんた手心とか。」

「叢雲。実戦形式に手心なんてしてたら相手に失礼だろ。」

「教育ってのは痛い目をみて覚えるって事も大事だとはおもわねぇか?」

「じゃぁ、教育というかご教授いただきたい事があるんだけどいいかしら?」

「さて?」

「空母姉妹が飛鷹、隼鷹。そして駆逐艦が特V型三姉妹。」



叢雲の指摘は当然としてしたり顔で返す提督。



「制服、背格好。みなよく似てる、そして似せて貰っている。」

「目的はなにかしら?」



ある程度は分かっているけどきちんと確認したいわけで。



「答えは出ているんだろ?」

「あの、私は艦影を似せる事での混乱を狙ってのものだと思うんです。」



猫を1000匹くらい被った隼鷹が口を挟む。

全体に知られた隼鷹って艦娘と180度違う感じなのよね。

飛鷹が二人いると言われれば

納得できるくらいのお淑やかな感じ。

話しをしてみればこいつの渋い中年顔に一目惚れとか言ってたけど……。

恋は盲目と誰がいったものかしらね。



「なかなか理解が早くて助かる。その通りだ。」

「目視下での艦種、艦名判断だと似ている艦娘が多いと攪乱できるからな。」

「つまり艦隊を分けて動かした際に

 どちらがどっちか分かりにくくするという事ですね。」

「そして、そのまま罠、潜水艦の娘達がある所へ連れて行くという訳ですね。」

「隼鷹は賢いな。」

「いえ〜。そんな〜。」



デレデレ顔がなんというか腹立つ。

781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:38:52.94 ID:2HdN4PtG0

「でも、叢雲がいるとまずくないのかしら?」



冷静に指摘するのは飛鷹。

私が指摘したかったのに……、

ってなによこれじゃ私が隼鷹に嫉妬してるみたいじゃない?!



「いい所に気付いた。だが、それはわざとだ。」

「わざと?」



あいつの答えに疑問を返す飛鷹。



「あぁ。そうだな。すべて教えても勉強にはならねぇな。」

「次回の訓練までに考えておいてくれ。」



そういい踵を返してあいつは自室へと向っていく。



「響は分かる?」

「あぁ、暁には難しかったかい?」

「なによ!響は正解分かったの!?」

「あぁ、私の考えが正しければあの候補生さんは相当な策士。」

「あるいは稀代の詐欺師だね。相当に曲者なのは確かだよ。」



暁と響の姉妹の会話。

782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:41:25.19 ID:2HdN4PtG0

「ねぇねぇ、響、後で教えて頂戴!」

「雷も少しは考えた方がいいと思うのだけれど。」



電が初期艦として外れている為特V型姉妹が三人だけ。

そういえば響は私と同じ髪色だったわね。



「叢雲は答えが出ているんだろ?」



私の方を見ながら響が確かめるように質問。



「えぇ、まぁね。たぶん響と同じよ。」

「あいつはとことん人の心をもてあそぶやり方が好みみたいね。」

「とはいっても多用は出来ないと思う。」



響はなかなか鋭いと思う。



「えぇ、その通りよ。」

「叢雲、暁に雷に説明してもらってもいいかい?」

「いいわよ。あいつから強奪した特A甘味配給券で

 羊羹貰ってきてそれでも食べながら話しをしましょう。」



共に演習大会を戦い抜くのであれば打ち合わせも大切よね。

あいつから奪った特A甘味配給券(通称間宮券)で

貴重品の甘味を貰ってこよう。

にしてもどういう伝手で入手してるのかしらね。

まっ、他の連中を手伝ったりした礼で手に入れているんでしょうけど。

秘書として艦隊を円滑に動くように裏から支えるのは重要よね。

783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:42:19.57 ID:2HdN4PtG0

「いひひ、イク達もお世話になるのね。」

「あら、勿論私達もお誘いいただけるわよね?」



結局艦隊全員に奢ることとなり強奪した配給券がすべてなくなったのよね。

迂闊だったわ。


784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/04(木) 00:49:02.53 ID:2HdN4PtG0
叢雲はなんというか恋女房とか古女房とか相棒とか
そんな感じの言葉がしっくりくる艦娘、他の初期艦と一味違う雰囲気が好きです
本編では故人ですが………
第三部!需要あるかどうかしらんが第三部!書いてまーす!(一応宣伝)
第一話はアブーンがでます、みんなの鎮守府で過労死寸前の阿武隈ですよ!
大体の予想されるとおりな癖が酷い、一癖も二癖もある感じのキャラ付けでございますが
他に書いてるのを早めにけり付けないとですね
更新期間がどんどん空いていってるのでレスが付かないくらいに忘れ去られた状況に
先日更新したのなんて2レスもつけていただきホント忘れられていなくてよかったと胸を撫で下ろした始末
なるべく更新期間を短めに頑張らないとだめですね、では次回もお付き合いいただけると幸いです
感想、他、お気軽にレスいただけるとイチがよろこびます、どうぞよろしくお願いいたします
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/04(木) 02:41:00.37 ID:inENqlmm0
前の鎮守府で酷使されすぎ壊れて多重人格になり赤疲労になると次の人格が出てきて働き続ける阿武隈(うちはトリプル阿武隈だからかなりホワイトですよニッコリ

しかしまあお若い士官候補生様から見たら卑怯もお経もあったもんじゃない策を用意するもんだ
もうこの時期から情勢が悪くなる前提で運用実験してるのかな
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/04(木) 03:19:59.89 ID:KLGGXsonO
乙!
待ってるぜ!
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/04(木) 09:55:58.26 ID:reh7MeH0O
続き楽しみ
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/04(木) 22:57:52.47 ID:inENqlmm0
何かしらの理由で絶対に提督にするわけにはいかない奴を確実に不適格者にするために師匠に送り込まれたのかも知れぬ
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/08(月) 04:23:59.86 ID:YX4H6MyE0
乙乙
見た目の偽装って深海棲艦にも効果あるのだろうか
阿武隈の服とか着させたら真っ先に狙われたりして
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/15(月) 00:59:43.95 ID:ZkrAgJQR0
8月下旬にイベでーす!
まじかよ……(真顔)
資材カンスト無理そうデース!(やけ)
更新デース!
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/15(月) 01:01:16.34 ID:ZkrAgJQR0

それから暫くして卒業検定代わりの演習試験が始まったわ。

一番端っこの最下位から始まったにもかかわらず

勝ちあがっていく度にメンバーの皆が盛り上がる。


「のはいいんだが俺の部屋は談話室じゃねぇぞ?」

「候補生さん。あの、候補生さんのおかげで

 旧式といわれている私達姉妹がもの凄く注目を浴びる事が出来ています。」

「ほんとうに感謝いたします。」

「扶桑、やめてくれ。拝むな。」



提督を拝みだす扶桑。



「まぁ、姉さまが凄いだけだけど?あなたも頑張ってるんじゃない?」



扶桑に続き山城がまあまあねといった具合に褒め始める。

実際、演習のトーナメント表は順調に勝ちあがっている。

勝つほどに結束も強まり、いつのまにかこいつの部屋で反省会やら

次回に向けての打ち合わせが全員で自主的に行われるようになってきたのよね。

792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/15(月) 01:01:59.58 ID:ZkrAgJQR0

「叢雲。すまねえ。ちょっと外に出てくる。」

「ちょっと。」

「流石にちび達がいる部屋で煙草はまずいだろ?」



私には遠慮しなかったくせに…。

そういいあいつは外へと出て行った。



「叢雲。」

「響?どうしたの?」

「候補生さん、ライターを忘れていっているみたいだから届けてくるね。」

「あっ。」



私が持っていくわと言う前に出て行っちゃった…。

そして、養成学校近くの港にて提督は煙草を吸おうと

ポケットから煙草入れを取り出したところで、ライターがない事に気付いた。

793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/15(月) 01:03:17.59 ID:ZkrAgJQR0

「まいったね。」

「候補生さん。忘れ物だよ。」

「………、響かありがとう。」

「となり、座ってもいいかい?」

「あぁ、いいぞ。」

「煙草、吸わないのかい?」

「ちびっこが近くにいるのなら遠慮するのが大人のマナーだ。」

「私はちびっこになるのかな?」

「少なくとも俺の中ではな。それで、何か用か?」

「うん。候補生さんに二三聞きたいことがあってね。」

「答えられる範囲内でならいいぞ。」



提督が座るベンチの横に腰掛ける響。



「候補生さんはこの卒業試験を

 外部から調整する任務かなにかを受けているの?」

「さて、どうしてそう思った?」

「叢雲の言がヒントになったのだけれど、彼女曰く、らしくない。」

「短期間での付き合いにも関わらず叢雲にあそこまで言わせるなんてね。」

「候補生さんはかなり叢雲に信頼されているようだね。」

「そうならありがたいね。」



続きがあるんだろ?と目で促す提督。

当たり前だが響が感じた疑念の根拠というにはまだ薄い。

794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/15(月) 01:05:00.72 ID:ZkrAgJQR0

「候補生さんは追撃すれば圧勝できる状況でわざと見逃し相手の被害を抑えた。」

「或いは此方に被害を出せずに勝てる状況でわざとに軽微な被害を食らう。」

「それら一つづつは違和感なく行われているし最もな理由付けも可能だよ。」

「例えば追撃をせずとも此方の勝利は確定しているため被害軽減に努めた。」

「多少の被害を出すことにはなったが

 強引に進めたため勝利を確実に物にすることが出来た。とかね。」



響の説明は尚も続く。



「演習はこれまでのテスト等で成績上位者が

 演習海域もしくは勝利条件を選択して、残った方をもう一人が選択する。」

「成績最下位でスタートした候補生さんは

 相手が有利に進められるはずの条件全てにおいて勝ってきている。」

「辛勝という風に見せかけた試合運びから

 圧勝という試合運びのものまで自在に演習結果を操作しながらね。」

「その手際は熟練の司令官に並ぶとも劣らないと思う。」

「そして試合内容と対戦相手を改めて見比べれば

 私達艦娘候補生の間で評判が宜しくない相手には容赦なく

 逆の相手には手心を加えている。」

「私も叢雲が『 らしくない 』といわない限りは見比べようとは思わなかった。」



響がいい終わると提督の顔を見た。



「なかなか叢雲はよくみてるな。」



響の説明に相槌を打つ提督。

その表情は生徒が正しい答えを述べるのを満足そうに見つめる教師の様である。

795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/15(月) 01:07:55.01 ID:ZkrAgJQR0

「その事を踏まえて本来は私達に知らされていない採点基準があって

 候補生さんはそれを調整しているのじゃないかなと思ったんだ。」

「叢雲がらしくないと言ったのも相手に加点、或いは減点させるものだった。

 候補生さんが採点基準を知る立場にあると仮定すれば……。」

「不自然な艦隊指揮にも納得がいくと。」



それはある種の確信を持った結論。



「それに、候補生さんはあまりにも指揮が慣れすぎているのだもの。

 暁や私が司令官と呼びそうになるくらいにね。」

「それほど堂に入っていると思われているわけか。」

「そうだね。」



そして少しばかりの間が空き提督が笑う。



「まっ、いいだろ。及第点という所か。もう少し早く気付くかと思ったがな。」

「その推測の通り俺は採点基準を知っている。

 当たり前だが勝ち負けだけで艦隊運営されちゃ敵わんからな。」

「敵を殲滅したが自分の艦隊も壊滅しました、じゃ話しにならんだろ?」

「それはそうだね。」

「さらに言えば敵拠点を破壊、確保したとしても

 今度は敵が奪い返しにくるのに対して

 守る為の余力が無いと奪ってもまた直ぐに取り返されてしまう。」

「艦隊を動かすってのは1つ終ればそこで終了ではない。

 連続で次がある。それを見据えた指揮が必要なんだ。」

「時には負けて勝ちをとる必要もあるっていうことだ。」

「敵の被害を多くすることを主目的として

 積極的に勝ちに行かない事も必要という事だね。」

「そういう事。ただの試合の勝ち負けよりそういう将来を見据えた指揮が

 出来ているかどうかのほうに成績の採点は重きを置いている。」

「さらに言えば鎮守府運営を模擬的にさせることで部下へ仕事を投げる事、

 早い話采配上手か独善的に全てを自分でやりたがる残念さんかを見分けたりとかな。」

「人となりも採点されているという事なんだね。」

「工場出荷の製品が足りないからといって不良品を出荷するわけにはいかないだろ?」

「なるほど、司令官は不良品を取り除く検査員という事なんだね。」

「俺は、ただの候補生にすぎんよ。司令官呼びはやめてくれ。

 まぁ、俺の役割としてはそんな所だ。」

「ふふ、油断すると司令官呼びしてしまうね。」

「私達は既に皆、卒業後も貴方、候補生さんの部下でありたいという部分で意見は一致しているのだけど?」



続く言葉は可能かという事。
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/15(月) 01:10:14.05 ID:ZkrAgJQR0

「すまねぇ。そいつは無理だ。

 俺の立場上、一つの鎮守府に納まり指揮する事はない。」

「そっか。」

「代わりに一線級の精鋭が集まる鎮守府に配属されるように手引きはしてやる。」

「俺の下でいる間は色々勉強になっただろ?」

「それは間違いなく。」

「それを役立てて欲しい。

 そしてその言を入れないような無能な上なら教育してやって欲しい。」

「まぁ、傲慢かもしれんがな。」

「確かに傲慢だね。」



そして隣に座る響の顔を覗きこむ提督。



「そして、本題に移るか。」



提督の言に体をこわばらせる響。



「電から情報の提供を頼まれたんだろ?」

「隠し事は出来ないね。」

「隠し事というよりバレバレだ。諜報活動は基本のきだしな。」

「卑怯だとかは言わないんだね。」

「戦争にルールはある、が、だからといって

 卑劣な手を使うなという訳じゃないだろ?」

「それを入れての採点だ。諜報にしてもされる事前提で動いているかどうかも一つの基準だよ。」

「妹の電に頼まれたんだろ?流したいだけ流すといい。」

「暁は俺に隠し事できないだろうし肝心の情報を抜くには頼りない。」

「雷だと俺に直接聞けとつれてきそうだしな。それはそれで楽しそうだが。」



くっくっくと笑いながら響の顔を見る提督。
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/15(月) 01:10:45.92 ID:ZkrAgJQR0
「ま、そういう訳でこっそりどういう戦術をとるのか

 聞き出してくれと頼めるのがお前さんという単純な消去法だ。」

「いいのかい?」

「いいさ。ただ、俺はお前さんの妹を秘書艦に選んだ候補生を徹底的に叩き潰すつもりでいる。」

「そいつはどうあがいても変えられない必定だ。」

「知ったからこそ負けを悟るという事もあると言う奴だ。

 しかし、電が秘書艦を勤める候補生にはそれを望めるほどの才はねぇ。」



そして、煙草を咥え、火をつける仕草をしようとしてやはり止め。



「無能の七光りは刈り取らねぇといかん。

 すまねぇがお前の妹には辛い目に遭ってもらう。」

「妹から聞いちゃいると思うが最終戦の相手は『 屑 』だからな…。」

「うん。」

「電に聞かれたことはすべて教えてやれ。俺はそれを上回る。」

「傲岸不遜と笑うならそれでもいい。だが、勝つのは俺だ。」



圧倒的強者の余裕。その言葉を聞き何かに納得したのか安心したのか響は席を立ち帰って行った。
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/15(月) 01:12:37.76 ID:ZkrAgJQR0

そして、提督が煙草に火をつけ一服。



「叢雲?いるんだろ?」



建物の物陰に一言。



「あんたは…。」



気付いてたのと言いたそうに出てくる叢雲。



「やっぱりいた。」



煙草を手に持ち替え、笑い声を上げる提督。



「ちょっと、かまかけたっていうの!?」

「その通りだ。まんまと引っかかったな。」



はーっと溜息を一つつく叢雲。



「凡そは聞いていたんだろ?」

「えぇ、まぁ。」

「響に手の内を全部教えてやれ。どうせ使わん。」

「あんたって本当に性質が悪いわね。」

「なに、相手が勝手に踊ってくれるんだ。

 こっちは踊りを鑑賞すればいいのさ。」

「それにこっちが流した情報を馬鹿正直に信じるアホなら、

 はなから提督業なんぞ務まらんよ。」

「あっきれた。」



そして、提督は脳裏に思い出す。

叢雲が今まで秘書艦を務めその能力に問題有りとした提督連中の

所属する派閥の長が今度対戦する演習相手の血縁である事を。


「叢雲。」

「なによぉ。」

「勝つぞ。」

「当たり前よ!」

「いい返事だ。」


この演習が後に卑劣上等、型破りな演習で

敵を圧倒したとして記録に残ったのはまた別の話しである。

そして、一人の提督とその秘書艦が、

悪名でその後有名になる切欠となる最初でもあった。
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 01:19:27.86 ID:ZkrAgJQR0
次回オシオキデース!
試験の採点はナルトの中忍試験をイメージいただければいいでしょうか?
勝ち負けで提督の資質を判断してるわけじゃないよという奴ですね
レスで篩にかける&落さないといけないやつをつぶすために来たとのレス
良くお読みいただいた上での考察ありがたいと思っております
お読みいただいている皆様のレスはこの先の展開を色々推察していただいていてというのが前から多く
本当に感謝です、とはいっても次回はうわ、これは卑劣だわという戦い方になります
屑を相手どる以上仕方無いね!
ここまでお読み頂きありがとうございました、乙レス、感想レスいつもありがとうございます
励みになっております、他のも頑張って更新するべく頑張っておりますので更新の際は呼んでいただけるとありがたいです
では次回の更新もよろしくお願いいたします
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 02:40:33.80 ID:BfU/kMLOo
乙しか言えなくて悪いがいつも楽しみにしてますよ
乙!
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 06:35:00.52 ID:1+v62k180
乙。
もっと早くに続きが読みたいわ
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 10:07:35.70 ID:Ju8Z49gj0
乙!
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 11:49:24.17 ID:a16hG/ur0
完全に叩き潰し将器がないとレッテル貼るとなると艦娘へ調略仕掛けておいて演習中に次々と離反させるくらいしか思い付かないがそれだと群狼戦術のフリが勿体無いなあ、展開が楽しみだ

この提督適性は軍学者に見えるがやってることは軍師の仕事なんだよな
この歪みがいつか大きな失敗招きそうで怖い
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:23:44.38 ID:1e9/xGBr0
暖かいレス、ありがとうございます
更新速度をあげれるよう頑張りたいものの相変わらずの亀更新
本当に申訳ありません、という訳で今回の更新です
お時間宜しければお付き合いくださいますと嬉しいです
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:25:36.24 ID:1e9/xGBr0

そして、決勝戦の時が来た。

その日はいつになく軍令部や艦隊司令部から、

所謂お偉いさんの方々が養成学校へと集まってきていた。



「これはこれは元帥まで……。」

「軍令部参謀総長に誘われてな。」



養成学校の校長が摩擦から火を起こせるのではないかという勢いで揉み手し迎える。



「養成学校はいくつかあるが此処の決勝戦はレベルが高いと元帥と話しをしていてね。」



元帥と気さくに会話をするのは

軍令部参謀総長にして戦略参謀長の大将。



「将来有望な艦娘候補生がいれば横須賀にいただきたいものですな。」

「君の所は充分だろう。なかなか欲張りだな。」



元帥と参謀長の会話に加わるのは

横須賀連合艦隊司令部長官にしてこれもまた同じく大将。

そして。



「決勝進出の提督候補生だが三重尾(みえお)中将の息子が出ているそうですね。」



司令長官が水を向ければ。



「ええ、息子の春蔵(はるぞう)が出ます。」

「これはなかなか優秀なんでしょうな。さすがですね。」

「卒業後は南方方面軍で中将の右腕として活躍してくれそうですな。」



中将と階級で呼ばれた相手は

今だ戦線整理を進めている南方方面を指揮する司令長官である。

806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:27:05.75 ID:1e9/xGBr0

「えぇ、いずれその様にはと考えています。

 それにしても対戦相手はなんとも……。」



お茶を濁すがその言葉にはいかにも見下した印象が伺える。

一番下から勝ち上がってきているとはいえ

一見すれば運がいいだけのような勝ちあがり方。



「息子の対戦相手には力不足ですな。」

「これはしかり。

 中将の息子殿にとってこの様な未熟者の相手は役不足でしょうなぁ。」



中将が息子を褒めればその腰巾着の大佐が言葉を重ねる。



「はは。まぁ、ここまで頑張ってきたんだ。

 それなりには実力もあるのだろう。」



参謀長がその中将の言葉に理解を示しつつも嗜め。



「運も実力のうちといいますからな。」



司令長官がそれにつづけば。



「圧倒的格上に当れば今までのメッキも剥げるだろう。

 我らはそれを見ていればいい。」



元帥が会話を纏めた。

そして、演習の開始時間が迫る中。

二人の候補生はそれぞれが選んだ出撃地点近くに移動を完了していた。

807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:28:18.10 ID:1e9/xGBr0

「随分と上層部の方々がいらしていたな。」

「勝てば上層部への覚えも目出度くなる事間違いなし。」



自分の父親以外にも上層部の重鎮達が集まっていたことを思い出し。



「おい、電。演習相手が使う戦術とかすべて間違いないんだろうな?」

「はっはい。間違いないのです。」

「もし間違えていたら『 罰 』を覚悟していろよ?」



下卑た顔とそしてねちっこい視線を電へと向ける。

彼が言う罰とは精神的、性的な苦痛。

彼はそれを自己の親、

寅の威を借るなんとやらでそれを外へ漏らさないようにしている。



「雑魚の三下が生意気なマネをしやがって。思い出すだけで腹が立つ。」



提督が俺が勝つと挑発したこともありこの三重尾候補生は

成績上位者が先に選ぶ演習海域、もしくは勝利条件で勝利条件を選択していた。

その選択した勝利条件とは敵艦隊の殲滅である。

そして提督が後から選んだ演習海域は

国際海峡であるマラッカ、シンガポール海峡を想定した多島海海域。

島がそれなりに点在する形の演習海域である。


808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:29:27.49 ID:1e9/xGBr0

「小型艦に旧式のポンコツ戦艦を抱えている連中だけあって頭が回るな。」

「だが、連中の潜水艦に気をつけていればこっちの艦隊の敵じゃない。」



自身が率いる艦娘は大和型に翔鶴型。最新鋭の艦娘達に駆逐にしても島風。

軽巡は球磨、長良と火力重視、おまけに重巡は摩耶、鳥海と

成績優秀な娘達を自分の親の立場を利用して選んでいる。

対潜、火力、制空。全てにおいて、万に一つも負ける理由がない。



「そろそろ演習開始です。」



不正が無いかの監視役として来ている教官の鹿島が開始時刻の到来を告げた。

そして。

演習は午前9時きっかりに始まった。



「全艦娘、出撃!」



出撃地点に設けられた出撃ドックから

次々と艦娘達が出撃していくのを見送り始めた次の瞬間だった。

海面に雷跡が走り、最初に出撃していった駆逐、軽巡の艦娘達に魚雷が命中。

複数本の魚雷による水柱が派手にあがる。



「馬鹿な!?相手は出撃地点をどうやって!?」



双方の出撃地点は幾つかある中から

公平性を期すために養成学校側がランダムで選ぶ。

だからそれを知る事ができる訳が無い。まさか。

809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:31:50.65 ID:1e9/xGBr0

「買収して出撃地点を事前に知っていただと!?」


狼狽し、とんでもない独り言をつい口走る候補生。


「言葉には気をつけていただけますか?

その様な工作は受け付けていませんよ。」

「それとも御自分がされている事の自己紹介ですか?」



冷ややかな笑顔で候補生の独り言を即座に否定する鹿島。



「駆逐艦 電、大破、軽巡 球磨、長良、大破、重巡 鳥海、中破。」

「駆逐艦島風 小破、重巡 摩耶 小破。被害判定は以上ですね。」



淡々と被害を確認し告げる鹿島。



「こっ、こんなの無効だ!無効試合だ!!」



演習開始と同時の潜水艦による攻撃。

相手の準備が終ってないところを攻撃する卑劣な一手。

無効な攻撃であると言いたくなるのも分からないではないが

鹿島が次に口を開け述べた言葉は呆れだった。

810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:33:05.87 ID:1e9/xGBr0

「随分とよく喋る無能さんですね?」

「なっ!?貴様!誰に口を聞いていると……。」

「思っているか?ですか?

 当然、目の前にいる状況を把握していないお馬鹿さんですよ?」



銀色のふんわりとウエーブの掛かった髪が、

その腹のそこから来る笑いを抑えているのが分かる程に揺れる。



「いいでしょう、理解出来ていないようなので特別に教えて差し上げます。」

「私達がお知らせしている演習日時、

 演習の開始時刻はあくまで開始時刻に過ぎません。」



蟲惑的笑みを浮かべ、口の前に指を一本立てて鹿島は解説を始める。



「開始時刻は開始する時刻であって出撃する事を表す時間ではありません。」



鹿島のこの言葉にいまだに要領を得ないという顔を見せる候補生。

その候補生の顔をみて、

やれやれとでもいいたげに眉根を寄せてさらに説明を続ける。
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:35:02.93 ID:1e9/xGBr0

「演習の開始時刻はあくまで作戦開始時刻に過ぎないという事です。」

「今まで皆が皆、開始時刻に出撃を律儀に守ってきた事もあってか

 開始時刻=出撃時間と勘違いが進んでいたようですがね。」

「開始時刻前に攻撃をしたりしなければ

 演習海域の何処に潜んでいても

 それはルール違反にはならないという事です。」

「じゃっ、じゃぁ、何故それを全員に言わない!?」



鹿島の言葉に反駁しようとする候補生。

しかし、それを遮り言葉を続ける鹿島。



「私達学校側になんら不都合もありませんので

 それをいちいち訂正、説明する必要性が無かったという事です。」



つまりは勝手にやれという事。

そして、目を細く、獲物を見つけこれから嬲る心算の捕食動物の顔をして鹿島は続ける。



「その程度の事を気付けない、

 見抜けない方が実戦でものになるとでも?」

「改めてお伝えします、この演習開始と同時の攻撃には

 なんらルール違反はありません。」



鹿島はこの事態を予感していた。

対戦相手の候補生に最初に会った時に戦場帰りの香りを感じていた為。

実戦の現場に立った経験があるかどうかは別として

その相手からは実戦を知っている人間が纏う独特の香りがしていた。

だからこそ。

この演習時刻が作戦開始時刻に過ぎないことを踏まえ演習をぶつけてくる事を見抜いていた。
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:36:17.16 ID:1e9/xGBr0

(とはいえ、最後の最後で見せて来るというのは

 他に真似をされて自分に使われる事を防ぐ目的もあるという事でしょうね。)



だけに。



(提督に任官されている方であれば

 ここで冷静に作戦中止の判断を下されるのでしょうか?)

(最も実戦であればそもそもの対潜哨戒網が抜かれているという時点で

 間抜けどころではないでしょう。)



ここでの演習終了は鹿島にとって面白くない。

鹿島はもっと、もっと、この面白い状況を見たいのだ。

人の不幸は蜜の味。

それも、親の権力、権威を傘に着て

好き勝手してきた相手が不幸に墜ちるさまを見るのは………。

至極。愉悦である。

813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:37:25.43 ID:1e9/xGBr0

(で、あれば。私が演じるべき役割も自然と決まるものですね。)

「それで、候補生さんは演習を続行されますか?」



この手の無駄に自己評価が高い相手を引けなくさせるためには煽る事が一番。



「ここで演習の終了を選択する事も良いと思いますよ。」

「御来賓の皆様がどう思われるかは分からないですけれど……。」



海軍上層部がこの演習を見ているという事実を思い出させてやる。

そうすればこの手の無能は頭に血が上り冷静な判断は下せなくなるだろう。



「続行に決まっているだろうが!!

 まだ、大和型戦艦の2人に空母の五航戦の2人も無傷。」

「重巡の2人にしたところで中破と小破だ!

 対潜にしても島風が残っている!

 演習を続けるのに支障なんぞない!」

「了解いたしました。では、演習続行という事ですね。」

「大破判定を出した子達については規定どおりに

 演習海域から離脱させ学校の方へ向わせます。」



所謂ゾンビ行為を防ぐ為である。

そして、鹿島は目の前の候補生が安い挑発に乗せルビコンを渡らせる。

その返答を聞いた鹿島の笑顔は実に恍惚であった。

814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/25(木) 00:42:36.63 ID:1e9/xGBr0
鹿島がS女王
お馬鹿島もいいですしエロ女王なのもいいです
実際他の作者様での鹿島は割とそんな感じの役どころが多いですし…
ですが、こういう知恵が回り尚且つサドっ気のある鹿島もいいなぁって思うんです
物語の進みが遅くて本当に申訳ありません、香港のなんか現実がやばい事なっててあれれ?な状況
中国そこまで馬鹿じゃないと思っていたんですが現実は小説よりも奇なり……
いつも乙レス、感想レス本当にありがとうございます
前回の更新の後にいただいたいくつかの暖かいレス、固定で読んでくださっている事のありがたみを
改めて実感いたしました、なるべく更新を早めに行えるよう頑張っていきますのでこれからもお付き合いの程
どうぞ、宜しくお願いいたします
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/25(木) 01:30:47.21 ID:t9cxth530
回りこみやすい島だらけの地形を選んだか
これは似たもの艦隊が生きるね
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/25(木) 06:09:55.11 ID:TrT726nr0

固定観念にとらわれると現場に出てから困ることはよくある。
欺いてかわして隙きを突かねばこの先生き残れないね。
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/25(木) 08:11:47.34 ID:usIqfFKPO
携帯からですが1です
相手側の人数足りていないことに今更気付きました
長門、陸奥がいる事にしてください
申し訳ありません
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/25(木) 20:33:43.02 ID:4j9W/cXN0
乙乙
立ち絵だけ見た時の鹿島のイメージが完全にこれだ
サド鹿島いいよね
でもやはり本家のゆるふわ鹿島を二次創作で見ない
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:14:41.08 ID:xNtdGOdc0
このスレを使い切る勢いで提督の過去編を頑張るぞ…
暑い毎日が辛い、少しだけ更新いたします
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:16:14.07 ID:xNtdGOdc0

私、今回の演習の監視員である練習巡洋艦香取は考える。

目の前の候補生という人物について。

今まで見てきた候補生と比べ明らかにそれは異質だった。

そして、それが異質であると気付く相手がいるかどうかを

本人は観察して楽しんでいるようでもある。

さらに言えば。



「あっ、香取先生。そろそろ移動しますので無線機もっていきますね?」


開始時刻を過ぎて僅か10分ほどで

艦娘達への指示を出すのに使用する無線機のみもち移動を開始しようとするありさま。



「どちらへ移動されるおつもりですか?」



「はぁ。演習におけるルールブックを読む限り演習開始後は

 開始地点にいなくてもよいようですので

 司令部としての機能を他所へ移動しようかと思ったしだいです。」



演習開始時、候補生は所定の開始地点にいる事。

この一文の解釈をそうとるかと腹の中で笑う。

確かに妹として一緒に教官を務める鹿島が気に入る訳だ。

この候補生はルールの穴を解釈の仕方でいかようにも取れるというやり方を心得ている。

この手の人物は相当な曲者なのだ。

821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:17:36.06 ID:xNtdGOdc0

「いずれ敵がここを直接殴りに来るでしょう。敵司令部の破壊は基本ですからね。」

「はて。そう思われる根拠は?」



あれ?という顔で此方を見てくる。

しまったかしら?どうやら相手はこちらを高く評価してくれていたらしい。

これは下手をうったかしら?



「教官はなかなか点数を与えるおつもりが無いようですな。

 さすがに手厳しい方と評判なだけある。」



あっ、黙っていたら何か勝手に解釈してもらえてみたい。

これはいい兆候ね。



「成程。今までの演習の記録を見る程度の注意力のある候補生であれば

 同じ演習海域の使いまわしくらいには気が付きます。」

「出撃ドックにしても帰還ドックにしても設備を一朝一夕で設ける事はできません。」

「簡易的、その時だけ使えればいいやという事で作る事も可能でしょうが

 学校として卒業試験以外の様々な訓練での使用を考えると

 固定で作ってしまう方が楽なのは自明の理。」

「どうぞ。続けてください。」



ここはもう少し喋らせた方がよさそうね。存外饒舌に語る人物の様ね。
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:18:50.44 ID:xNtdGOdc0

「演習時のドックの選び方にあえての法則性を作っているように見ました。」

「お答えしかねますね。」

「気付くものが気付けば勝手に利用してくれというやり方ですね。

 まさしく事前にどれだけの情報を仕入れ、

 それを分析し己の優位性を確保できるかどうか。」



候補生の情報収集、分析能力についても

裏での採点ポイントなのを気付いているみたいね。

この候補生さんはやるわね……。



「過去のデーターにアクセスできるようにしているのも、

 やってみろと言っている様で。なかなか楽しめました。」

「あらあら、これは、なかなか。」

「私程度の者が考え付くのであれば相手も考え付くというのはまた真理かと思います。」



そんなわけないだろと突っ込みを入れたくもある。

よっぽど丹念に複数年分の演習記録を見ないと

法則性など分からないだろうに。



「演習開始時点での開始位置。

 司令部を置いている位置が分かれば、私なら殴りに行きます。」



確かに敵司令部を殴ってはいけないというルールには書いていないけれど。

清々しい笑顔で爽やかにルールに違反していませんよねと

言外に含むのは悪党だなと思わずにはいられないわね。

823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:20:34.89 ID:xNtdGOdc0

「コロンブスの卵とは言いますが自分が一番であるかどうかはまた別ですから。」

「となれば敵にやられる前に尻に帆をかけて三十六計逃げるになんとかですよ。」

「部下にやることは伝えていますから面倒がやってくる前に雲隠れです。」



なんとまぁ、この候補生は指揮をとる気が無いらしい。呆れた。

いえ、これはあれね。戦が始まった時には既に終っている。

ここまで丹念に情報を分析しそれに対処すべく細工を終らせているという事。

開始直後の相手被害状況も考えれば後はやる事が無いという事ね。

準備段階での差が勝敗を決めるとはよく言ったものね。



「了解いたしました。候補生さんとご一緒しましょう。何が手伝えますか?」

「あっ、お手伝いいただくようなことはなにも……。」


恐縮したような態度を見せるがこれは絶対にそう思ってないやつね。

なんて油断の置けない相手であろうか。

本当に恐ろしい相手だわ。
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:22:22.25 ID:xNtdGOdc0

香取が提督と会話をして提督の人となりを改めて分析していた時。

提督もまた、候補生として考えていた。

目の前にいるこの練習巡洋艦香取という女性は恐ろしく侮れない相手だと。

なんせ、あの雰囲気だけで人を殺せそうなものを漂わせていた鹿島の姉妹艦娘だ。

そのおっとりとした雰囲気は紛れも無い欺瞞という奴だ。

見た目だけの妹と違いその雰囲気までもおっとりとかつ言葉は悪いが凡庸に見せかける。

並大抵のものじゃ出来ない。

先程の質問への答えに対してもそうだ。

移動を開始すると告げる前のやり取りに対してもそうだ。

何故かと問うて来た。

その質問の意図が分からずに間抜けな顔を見せてしまったに違いない。

これは恐ろしく減点をされているかもしれない。

825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:23:43.78 ID:xNtdGOdc0

なぜなら試験の答案用紙に

その答えに至った課程を一切書かずに答えのみを書くようなものだからだ。

論理的にその答えに至った過程も見るのがこういった演習型の試験にも関わらず

答えのみしか答えない生徒というのは非常にまずいだろう。

その答えに至った理由を説明できないというのは

理解が悪い自分の部下に対して何も説明できないという事。

早い話指揮官能力に問題ありと言える。

自分の指示を部下に納得の行く形で説明が出来ないというのは実に不味い。

命令の一言で済ませることが出来るというのが軍人ではあるが

部下へ嚙んで含んで理解、納得した上で動いてもらわないと

その成果は芳しくないのが当たり前。

さらに言えば人徳、人望など望むべく無く、

戦場の露となるべく後ろ弾を拝領するという事になりかねない。

だが、提督はまた、香取教官は以外に慈悲深い相手なのやもしれないと思った。

826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:25:01.00 ID:xNtdGOdc0

というのも質問の後に敢えて沈黙という間を作ってくれたからだ。

これがこちらをとがめる心算であれば

即時に何故その考えに至った事を説明しないなどととがめられただろう。

間を作って敢えてこちらに答えを促したという事は

こちらに多少なりとも好意的であるということ。

となればやることは一つ。

説明の不足を一気に語り、減点されることのなきようにというやつだな。

身分を校長以外知らない以上、流石に上の面子を潰すわけには行かない

饒舌に喋りすぎていないかが心配だ。

なんせ下から這い上がる演出の為にわざとに成績を落とした状態である。

これ以上減点を貰おうものなら幾ら自分の実力を上が把握しているといっても

渋顔の一つくらい覚悟しなければならないだろう。

無能に座らせる椅子は無いというのが上の立場だからだ。

説明は終ったが……、どうだ?満足してくれたかな?

………、よし、了解してくれた!

まったく。この教官は何を考えているか分からないから恐ろしい相手だ。

827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:25:40.88 ID:xNtdGOdc0

そして、提督が香取の底知れなさについて畏怖の念を覚えている時。

この候補生さんの思考の柔軟さはなんとも恐ろしいわね。

香取もまた、候補生である提督に畏怖の念を覚えていた。

結果、お互いの考えは同じであるがため、抱く感想はまた同じ。



((まったく、油断の出来ない相手だ(ね)、苦笑しかでない))



提督と香取はお互いの顔を見てひきった笑顔で笑い合うのであった。

828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:26:54.98 ID:xNtdGOdc0

提督達が笑い合っていた丁度その頃、

山城は腕時計で作戦開始時刻になったことを確認し動き出す。

彼女が立つのは海面………。

ではなく、演習海域のとある丘の茂みの中である。



「虫が多くて気持ち悪い……、はぁ−、不幸だわ……。」



と、いつもの愚痴をいい。

事前に提督から伝えられた作戦内容を思い出しつつ。



「ほんと、相手が不幸だわ……。」



彼女はにんまりとその口唇を吊り上げたのだった。
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 00:30:21.62 ID:xNtdGOdc0
ここまでお読み頂きありがとうございました
皆様、熱中症にはお気をつけください、経口保水液がおいしいとか感じられるような状況はアウトです
いつも感想レス、乙レス、ありがとうございます
周りこめる地形条件、ウルフパック作戦、そして色々
卑怯だろ!というやつです、まさしく勝てばよかろうなのだ!を時で行く糞野郎を提督はやります
ではでは、次回の更新もお読みいただけると幸いです、ここまでお読み頂きありがとうございました
夏イベント、ほんとどこいくんでしょうね?バケツが不安だわ…
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 07:52:51.12 ID:6nwtO7WdO
乙!
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 09:45:32.06 ID:33TPt9nPo
香取からそこはかとないポンコツ臭がして笑った
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 11:31:04.13 ID:f1uEgEbX0
乙乙
別にポンコツではないんだろうけど比較対象がずば抜けてるせいでポンコツに見える
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 12:11:39.44 ID:ONkDfwo2O
乙です。
猛暑でおかしくなりそうですが
続きをはやくはやく希望します
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 13:07:59.41 ID:PVnQXPBi0
このお互いに先の先まで読みすぎて結局普通の結論に落ち着くところが好き
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 13:09:54.60 ID:gAoWBJj30
提督賢しすぎて回りこみすぎた挙句一周回ってお互いいいところに落ち着いとるw

孫子をしっかり修めてなお将たる素養のうち五分の二が片鱗も現れないとこ見るとこの時点では響に言った通り腰落ち着けて艦隊指揮する気なかったんだろうなあ
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:27:28.30 ID:pvOQ4SiX0
毎週何曜日に更新とか出来る程に筆が早いといいんでしょうけれど…
などなど思いつつちまちました更新速度です
お時間宜しければお読みいただけると幸いです
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:29:47.98 ID:pvOQ4SiX0
扶桑、山城達が別行動をとっている際、

叢雲たちもまた行動を開始していた。



「それにしてもこう、ばらばらでいいのかねぇ」



猫かぶりの口調から普段の口調に戻り隼鷹が分隊の旗艦を務める叢雲に聞く。



「戦力の分散、逐次投入は無能と言いたいのは分かるわよ。」

「実際私も馬鹿じゃないのって具申したわよ。」



そして叢雲へ提督が返した言葉は。



「あいつったらこう言うのよ?

 まともに敵を圧倒的暴力で殴れるなら策を練ったりする必要なんかねぇ。」



提督の口調を真似しつつ。



「圧倒的な暴力の前には戦術、戦略なんか意味がねぇんだ。

 って開きなおるのよ?!」

「あー、確かにあの提督なら言いそうだわ。」



艦隊内では既に候補生という呼び方ではなく提督、

司令官呼びで通っているらしく隼鷹が叢雲の物まねに相槌を入れる。



「俺達みたいな弱小戦力の寄せ集めじゃ奇手奇策。相手を出しぬかねぇと勝てねぇ。」

「なら相手を徹底的に虚仮にしつつ怒らせるのが重要だ。怒りは最も我を忘れさせるからな。」

「怒りに我を忘れた相手を潰すのは簡単だ。」

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。だそうよ。」



提督の口調を真似しつつ隼鷹に話す叢雲。



「負けない要素をがっつりつくって相手のミスをまつか……。」

「負けた相手の精神を食い破るえげつなさ。惚れるねぇ。」

「千年殺しでもするつもりかね。」


相手にトラウマでも与える心算かという隼鷹の指摘。


「さてと、出番はそろそろかしらね。」


叢雲が片手をあげ近くにいる暁に出番が近いことを教える。


「待ちに待った出番ね!」

「えぇ、そうよレディ。幕はあがったわよ。」


そして、叢雲達が待ち構えるなかまた演習相手も動き出した。
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:30:50.18 ID:pvOQ4SiX0

「この演習は既に負け戦なのではなかろうか?」



最初の不意打ちを受けて艦隊の被害甚大にあるにも関わらず

指揮官の候補生が演習続行を選択した事に疑義を唱える長門。



「行けといわれた以上は行かねばなるまいよ。」



長門の疑義を命令であるがゆえに仕方なしと答える武蔵。



「翔鶴さんに瑞鶴さん。偵察機の索敵状況はどうですか?」



空母の二人に敵艦を見つけたかどうかを尋ねる大和。



「偵察機が敵を見つけたわ!駆逐2の軽空母1よ!」



瑞鶴が報告を上げる。



「敵の部隊として随分と細かく戦力を分けているな……。」



長門がいぶかしむのも無理ない。

初手で潜水艦娘達による奇襲を受けたのだ。

戦力的に見て劣勢である叢雲達がその戦力を更に細切れにさせて行動しているという事は

何某かの策、伏兵なりが存在していると考えるに難くない。

839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:32:39.94 ID:pvOQ4SiX0

「潜水艦を何処かに潜ませておいて伏せ撃でしょうね。」



敵の今までの演習内容をみれば

俗に言う郡狼戦術を好んで利用している事が分かる。

ましてや自分達の対潜能力のある艦娘達が

最初にそのほとんどを退場させられている事を考えればその意図は明らか。



「でしたら空母艦載機での遠距離攻撃のみで、艦砲射撃は止めますか?」

「今回のMVPも私達姉妹が貰う事になりそうですね。」



含みのある笑みと共に翔鶴が言う。

演習大会については当たり前だが提督候補生の指揮能力だけではなく、

その指揮下にある艦娘の能力も当然、考査の対象となる。

成績最優秀で卒業するには当たり前だが

優勝したチーム内で当然の様に戦績を重ねる事が重要。

候補生の調整能力が長けていればチームとなる艦隊内での役割分担や

演習後の報告書での手心などで不満が出ないようする事も出来るであろう。

そういったマネジメントが上に立つものには欠かせないのである。

それを疎かにすれば鎮守府ないで戦果を争う者達で派閥が出来たあげくの

足のひっぱりあい等が起こるというもの。

だが、この艦隊を率いる候補生はその辺が実にお粗末だったようで

空母の姉妹は戦艦の砲撃よりも長射程である艦載機の攻撃を生かし

常に戦果をほしいままにしていた。

島風や大破判定で退場した娘達はまだ対潜での活躍の場もあったが

長門や陸奥、大和や武蔵。

そして重巡の二人からすれば空母の姉妹に

活躍の場の殆どを取られている状況が大会中ずっと続いている。

その胸奥に渦巻く感情は一体どれほどのものかといえよう。

840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:34:25.88 ID:pvOQ4SiX0

一方その頃、提督と香取は既に移動した先でポーカーに興じていた。



「これは随分ブラフを効かせていたのですね。」



香取が降りた後に提督が出した手札はただのワンペア。

それに対して香取の手札はスリーカード。

何試合目かの感想戦。香取は提督が口八丁、手八丁。

そして顔の表情を目まぐるしく変えて

その表情を読むことを難しくさせていたことへ驚嘆を込め言葉を語る。


「そうですね。私は顔に出やすいですから。」

「とはいえ、これでやっと五分ですか。」


香取と提督のポーカーは勝敗がやっと同じになった。



「続けますか?」



香取の問いに対して提督は答える。



「止めときましょう。

 どうも勝ちを譲っていただいているような節もありますし。」

「五分に持ち込めて気持ちよく終れる間に終るのがマナーというものでしょう。」

「遊びは禍根を残さないようにという事ですか。」

「えぇ、今後も気持ちよく付き合いたいのであればですね。」



香取は提督の言葉の含みを捉える。


「成程、足るを知る者は富む、ですか。」


香取が中国の故事で応じれば。


「和を持って尊しを為すでもあります。」



提督は日本の故事で応じる。
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:35:59.67 ID:pvOQ4SiX0

「ですが、やろうとしていることは風林火山ですね。」



提督の行動がその実、間逆である事を香取は指摘。



「敵と味方の区別は大事ですですから。」



そして提督はその理由を述べる。



「気持ちは分かりますが……。」



しかし、と指を一本立て香取は語る。



「組織の中に敵を作りすぎるのはよくないと思いますよ?」

「この演習の結果は既に見えている通りでしょう。」

「ですが相手の候補生は提督として着任する事は間違いないと思います。」



香取が語る。


「………、それを私に語っても大丈夫なのですか?」


提督が疑問をぶつける。



「話せる範囲内で、機密漏洩に当たらない

 ぎりぎりのサービスではありますが心配はご無用です。」



香取が語る内容は提督にとっては既知の事。

そして提督はそれを阻止する為に動いているわけだが

香取がそれを知ることは無い。

重要なのは香取が語ったという事にこそある。



「意味の分かる方と見込んだ上ですので。」



こともなげに言うと思うが。



842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:36:46.39 ID:pvOQ4SiX0

「………。そこまで私を買っていただく理由はなんでしょうか?」

「そうですね。

 妹ほど私は戦闘能力が高いわけでは有りませんので

 観察能力を高めた結果といった所でしょうか?」

「教師という職務上、人を見る目がないと勤まらないのは当然ですが

 それを更にどう選別、育成するかというのは経験以外の部分も必要です。」



香取がメガネをくいと持ち上げる。



「文字通りにお眼鏡にかなったと?」

「そうですね、個人的に応援をさせていただきたくなる程度には、です。」

「………。今後も精進いたします。」



提督が香取と友誼を結ぶ。

それはあくまで個人としてだが、

後々を考えればお互いの利を見据えてでもあった。

843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:38:52.99 ID:pvOQ4SiX0


「じゃぁ、まっ、私と翔鶴姉ぇがさくっと倒すのを見てて貰いましょうか。」



悪気を感じさせはしないのだが…、

だけに性質が悪く、聞くものによっては癪に障る。

びんと音を立て放たれた矢が艦爆、

艦攻へと変化するのを長門達は見届け動き出す。



「隼鷹、そろそろお客さんが来る頃よ。」

「任せときなって。陰陽型の取り得はねぇ……。」



ばざりと巻物を一気に広げ祝詞を言祝ぐ。



「迎撃が早いってことさねぇ。」



彼女の巻物から召喚されたそれは戦闘機のみであった。

しかし、その数は。



「あたしの扱う艦載機は全て戦闘機だ。

 腹に魚雷、爆弾抱えた鈍重どもには遅れをとらないよぉ!」



まして提督がその操作の癖を見、

悪い所を相手へ付け入る隙に見せかける騙しを教え、

長所を徹底して伸ばさせた騙しの出来る艦載機妖精達。

そしてそれでいて本流は外れない。

あくまで応用は基礎の上に成り立つ。


「へへへ。さぁてぇ、性能に胡坐をかいたお嬢さん方にどれだけ通用する事かねぇ。」


ひゃっはぁ!と特大の感嘆詞をあげ全機無事発艦させたのだった。

程なくして演習相手の偵察機が自分達の方へ再度やってくるのを見届け

叢雲は自分達の艦隊内で使われている周波数で無線を飛ばした。


「こちらチェックメイト、ホワイトルーク!」

「キング!クイーン!ビショップ!ナイト!応答願うわ!」


チームとしての呼称、小隊、

といっても少ない戦力を更に細かくしているだけなのだが。

それを呼びかけ、叢雲の呼び出しに艦娘達が応ずる。


「虎は檻に入った!繰り返す!虎は檻に入った!」


提督が最初の奇襲で演習を相手がリタイアしなかった場合の、

もっとも続行するだろうがと付け加えた上で叢雲へ語った作戦を実行に移す。

その上で思い出すのは。
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:40:20.86 ID:pvOQ4SiX0

「俺の艦隊指揮での仕事は作戦立案の参謀職だ。

 現場で即応して人員を動かす上での指揮官はお前さんだな。」

「指揮官とはいってもだ、現実その場にいるわけじゃないからな。

 お前さん達には独断専行してもらった方がいい。

 責は俺が負うから好きにしろ。」

「臨機応変、場合によっちゃ勝ちをくれてやれ。

 お前達を何かで失う方がおしい。」



勝つつもりではあるがその中心にすえる価値観の天秤はつねにぶれない。

そういう提督の真摯な態度が好ましいなと改めて思い、

できない事は出来る相手に投げるというなんとも鷹揚な態度を思い出す。

相手が任せると投げてくるなら、こっちはやる事をやるだけと

今まで司令官と仰いだ連中との違いに少し頬が緩むのを感じる。



「さて、みんな!締めて掛かるわよ!」



叢雲が掛け声を掛ければそれに応と一同が答えるのだった。

猛獣とて檻に入れば逃げられない。敵は既に術中にある。

最初に異変を感じたのは当然ながら空母姉妹だった。



「あれ?攻撃隊が全部おとされちゃった。」

「軽空母の搭載機数にしちゃ数が多い気がする。」



瑞鶴が攻撃隊の第一陣があっさりと撃墜された事に感想を漏らす。



「こちらへの攻撃は考えずに全艦載機を戦闘機にしているようですね。」



冷静に自己の艦載機を動かしながら翔鶴が分析する。



「あたしらが一方的にスコアで負けてるもんなぁ。」



摩耶のこの一言は余計だった。

現状の認識として実に正しいのだが、余計な一言だった。



「確かに負けていますね。」


大和が言えば。
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:42:18.72 ID:pvOQ4SiX0

「流石に何日も演習に時間を割くことは無いだろうしな。」

「艦隊殲滅が勝利条件として設定されてはいるが

 せいぜい掛けて一昼夜といった所か。」



と大和の言葉をひきとり武蔵が言う。



「まさかとは思いますが敵はこちらを適当にあしらい

 時間が来るまで逃げる気でしょうか?」



大和が懸念を述べれば。



「夜戦となれば向うに分がある。

 ましてや潜水艦が残っている事を考えれば日が落ちれば此方は分が悪い。」



冷静に分析するのは長門。

ちっと盛大に舌打ちするのは誰であったか。



「敵は戦力を分散して逃げ回る事で

 此方を戦果で上回させることなく判定勝ちを狙う心算ですか。」

「随分と腰抜けで卑怯な作戦ねぇ。」



大和が叢雲達はそうと目論んでいる物と断定し

翔鶴がそれを軟弱者となじる。

もっとも時間切れによる判定勝ちを狙う心算なのであれば

叢雲達が戦闘に消極的であり戦力を細かく分散させて

ひたすら逃げるというのは一見、理に適っている。

(だが、果たしてそうであろうか?

 初手でこちらに潜水艦がいるという事を特に印象づけた相手が

 その様な単純な考えで動くのであろうか?)

(確かに初手のあれは卑怯ではあるが実に有効であり

 こちらの耳を奪うという意味でも重要であったし。)

(何より、戦力でみれば潰した方がいい戦艦である私達ではなく

 対潜艦を先に狙うという明確な意思が見られた。)

(しかし、それほどの相手がその様な稚拙な策をとるのであろうか?)

(こちらが既成概念に捕らわれているのを馬鹿にしたような戦術だが……)



勘という奴だろうか、長門は大和と翔鶴の考えに疑問を感じた。

艦隊の旗艦は大和である。なので、長門が出来たのはあくまで助言。

846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:43:19.50 ID:pvOQ4SiX0

「敵の意図が分かりかねる。

 一旦どうするか指揮官の候補生殿に指示を仰いではどうだろうか?」

「そうね、長門の言う事ももっともだと思うわ。

 慎重に進めるべきではないかしら?」



陸奥の援護射撃。そして。



「私も摩耶もここは慎重に行くべきだと意見は一致しています。」

「潜水艦に対する備えは今の私達には薄いです。」



鳥海が懸念を述べた。

叢雲達であればわざわざ提督に指示を仰がずとも意思決定が出来ただろう、

また、提督に判断を仰いだとして提督ならば相手の企みを看破、

或いは単純に乗らないという選択をしたのだろうが……。

提督との、その指揮官の差がここでも運命を分けた。



「小細工があったところでお前達の戦力なら蹂躪できるだろうが!」

「いいから敵をぶっつぶしてこい!

 戦力を分散しているなら各個撃破しやすいだろうが!」

「これ以上俺に恥をかかせるな!」



候補生からの怒気と苛立ち交じりの無線が返ってくる。

そしてそれを聞いた大和が長門へよこす視線は余計な事を聞いた所為で

いらぬ叱責を受けたといわんばかりのそれである。

結果、彼女達は指揮官である候補生が命じるまま叢雲達に対峙することとなったのだった。

847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/21(水) 00:48:15.29 ID:pvOQ4SiX0
ここまでお読み頂きありがとうございました、本日の更新終了です
欧州3海域かぁ…、有用艦娘掘り放題!(尚掘れるとは)だといいのですが
前回みたいなうぇぇ…、じゃない事を祈るばかりです
作品中で少し鶴姉妹の性格が感じ悪いのは申訳ありません、
あくまで作中の演出的な部分なので嫁にされてる方には本当に申訳ありません
お分かりかと思いますが既に内部分裂の兆しがががが……
いつも乙レス、感想レスありがとうございます、お読みくださっている皆さんからの暖かいレス本当に感謝しております
次回の更新もお時間よろしければお読みいただけると幸いです
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/21(水) 02:29:08.04 ID:uVpe+Wos0
社会学者が講演会でいってた「3人集まれば文殊の知恵というが馬鹿は何人集まろうが烏合の衆です」が実に刺さる未来が見える
そして聞きたかった作戦時間がかなり長いことがわかって楽しみが増えた
霧などの気象確率もリサーチ済みだろうしまだまだブッ込んできそう
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/21(水) 03:34:26.60 ID:jeokajMT0
おつです
候補生のうちにいやらしい相手との戦闘を経験できている大和たちは
運が良いのかもしれませんね。
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/21(水) 23:46:59.62 ID:GNzJAKyY0
乙乙
ゲームだとMVPだけだけど実際妬み僻みとかありそうだよなあ
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 00:47:46.46 ID:sON5tDsC0
皆様こんばんは
イベントにつっこんでおりますいっちです
サブ欧州艦が豊富だったためさっそくリシュリューのサブでE1やってます
今回は楽に全てが終るといいなぁと、終りよければ全て良しでいきたいですね
今回の分の更新となります、お時間宜しければお読みいただきますようお願いいたします
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 00:49:09.32 ID:sON5tDsC0

「敵、攻撃機部隊第一陣撤収を確認!」

「了解!私達ホワイトルーク小隊は

 手はずどおりに水道を抜ける形に進路を取るわよ!」



隼鷹が翔鶴達正規空母の攻撃隊に自己の全艦載機を

戦闘機に振り分けた上での迎撃に成功した旨を旗艦の叢雲に報告。

それを受けて叢雲達は島と島の間、彼女達中小型艦艇が小回りを利かせやすい水路、

一般に言う水道を通る進路を選択する。



「隼鷹!艦載機の収容は!?」

「完了!」

「レディ!目標は!?」



叢雲の呼びかけに少し先を先行する暁が応える。



「偽装ブイを発見したわ!」

「了解!さぁ、かくれんぼの時間よ!」



叢雲達はある意味で大和達を相手する心算はなかった。

先にも述べたが横綱相手に幕下がまともに戦って勝てるか?という奴である。

番狂わせなんてものはそうそう起こるものではない、

起こり得ないからこそ番狂わせなのだ。

そして、それを起こす為の下準備はきっちりとしてきていた。



「偽装ブイ確認、各員無線、電探使用は敵艦隊をやり過ごすまで禁止よ!」



枝、葉をこんもりと生やし、一見すれば島の一部のように見せかけたただのブイ。

よっ、と、そのブイの枝を掻き分け中にある空間の中に身を潜ませる一同。

853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 00:50:08.48 ID:sON5tDsC0

「第二次攻撃隊、目標ロスト。」



第一次攻撃隊が全滅したため改めて発艦させた

二次攻撃隊から目標とする相手の失跡報告。



(どこへ雲隠れした?)



翔鶴が第一次攻撃隊が居た海域周辺を探る。

程なくして、駆逐2、軽空母1の敵編成を見つけた。



「居たわね……、雑魚は大人しくやられるといいわ。」



敵の小隊へ向け艦隊全体を移動させている最中で

翔鶴の下卑た笑顔に長門は嫌気する。

味方であるはずの仲間に対して嫌気がさすとはな、

と、やや自嘲気味に今の境遇を考えれば。



(最初に負けが確定しているのに続けるこの演習になんの意味があろうものか。)



今やっているのは負けを認められずに悪戯に時間を引き延ばすだけの行動。

実戦であれば撤退戦に移るべき局面なのだ。



(忌々しい。)



戦局を見極められない軍隊の結末は相場が決まっている。
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 00:51:33.64 ID:sON5tDsC0

そもそも。



(第一次攻撃隊が向って全滅の後、第二次攻撃隊が見つけた敵の位置は

 敵が移動していると考えたとしても距離が離れすぎている。)

(連中の編成をみれば軽空母は低速に分類される飛鷹型。移動速度があり得ん。)

(となれば、この小隊は先のとは別物と考えるが妥当。)



と考えを纏めるも先の意見具申の結果を思えば。



(せん無きことか。)



「長門さん、この先は島と島の間の狭くなっている水路をゆく事になります。」

「複縦陣で中央に翔鶴さん達を配置する形で進軍しようと思います。」



大和の声に意識を戻し意図を理解する。



「島風に先陣を切らせ対潜哨戒に当たらせ

 我ら長門型が先頭警戒、前衛という事か。」

「えぇ。摩耶さんと鳥海さんのお二人は中央側へ回し、

 私達姉妹は後方警戒、後衛を行います。」



妥当。狭い水路を通るのであれば最も脅威となるのは潜水艦での待ち伏せ。

こちらの対潜能力を初手で削っている状態であればそれを狙わない訳は無い。

だが、こちらとしては最も長距離攻撃に長ける空母が生きていれば良い為、逆転を期待する事は出来る。

演習相手の艦娘は自分達砲撃に長ける戦艦達とまともに組み合える戦力ではない。

敵艦隊直掩航空隊を奪う、あるいは戦艦の射程内にとらえてしまえばこちらが蹂躪できるのだ。



(だが、それをさせてくれる相手ではないだろうな。)

(そして付け加えるなら潜水艦娘達の逃げ道が無くなるような場所で伏撃は行わないだろう。)

(だろう、だろうの推論ばかりか……。まったく。)



負けと悟り自身の指揮官の無能さをしればこそ

第三者的視点で客観的に現状を分析できるだけに

敵の愚に期待するのは無能だろうと思う。
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 00:52:41.09 ID:sON5tDsC0

「了解した、陸奥との二人で前衛を任された。」



隊列を組みなおし改めての進撃。



「ホワイトビショップよりキング、クイーンへどうぞ!」

「敵の釣り上げに成功!といっても食べても鉄と脂でしょうけどね!」

「こちらキング。了解。配置についているわ。」

「釣り上げお疲れ様。戦域離脱を確認次第砲撃へ移行するわ。」



飛鷹の呼び出しに扶桑が答える。



「同じくクイーン。

 これからは私達がおもてなしの時間という事ね。」



飛鷹が翔鶴達空母の第二次攻撃隊からの攻撃をかわしながら

扶桑と山城へ無線を飛ばす。



「前方に敵潜水艦の脅威は今の所見当たらないよ!」



島風が聴音機、探信儀それぞれの反応で潜水艦がいない事を連絡。

艦隊が警戒しながら水道へと進んでゆく。

攻撃隊が見つけた敵目掛けてわき目も振らずに……。

そして、その時は来た。



「ようこそ、お客様。お客様をお迎えできた事は実に無上の喜び……。」

「さぁ、貴方達を歓待するために私達姉妹がお贈り致しますは、素晴らしき。」

「あなた方の為の……、極上のランチ。」



まさにこれから敵を蹂躙する事への喜びからか山城がうきうきと歌いだす。

856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 00:54:21.67 ID:sON5tDsC0

「Be our guest 」



熱い、鉄の、それも砲弾という名のプレゼントによるおもてなし。

時刻は丁度昼時に差し掛かる。



「Be our guest 」



扶桑、山城、両名が歌う歌が無線から聞こえてくる。



「あらら、ご機嫌ね。」



とは大和達を釣りあげた飛鷹。



「うちの砲火力の女神達がご機嫌だと相手にとってご愁傷さまね。」

「そうだね、戦場の女神といえばいつだって勝利の女神。」



飛鷹が相手を気遣う台詞をいうのを引き取り響が更に続ける。



「敵にとっては死神かもしれないね。」

「戦士をあの世へと連れて行く戦乙女(ヴァルキリー)には

 人数が足りないのじゃないかしら?」



戦乙女は9人、対して扶桑達は2人。



「飛鷹さん。だからこそ私達にとっては勝利の女神なんじゃないかしら?」



飛鷹と響が扶桑達を勝利の女神か死神かと話している所に雷が結論づける。



「確かに雷の言うとおりだね。」



大和達がもしも、島へ注意を向けていれば違和感に気付いたかもしれない。

偵察機たちが飛鷹達を追うだけではなく周囲の島の地形を

注意深く見ていれば気付けたかもしれない。

だが、彼女達の注意は潜水艦へのそれと、駆逐艦が有する長距離射程武器である魚雷、

自分達が現在負けているスコアを逆転させる為に飛鷹達を叩き潰す事へ向けられていたため

その注意が左右の島へ向けられる事はなかった。

結果、彼女達は再び一方的に殴りつけられることとなった。

857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 00:55:38.50 ID:sON5tDsC0

雷鳴の如き砲声が海峡に響く。



「あ゛ぁ゛!?」



それは実にタイミングをきっかりと合わせた砲撃。

右の島の山の山頂付近と左の島の丘陵地帯のやはり頂上付近からの砲撃。

初弾は翔鶴の眼前に着弾。



「初弾から本射だと!?」



目標物への観測用の砲撃もなくいきなり当ててくる本射、

効力射に驚愕する長門。

砲撃の一発目が撃たれたという事は続く運命は……。



「総員、耐砲撃態勢!各員左右の敵砲撃に応戦!」



前衛の長門が指示を出すが。



「当たり前といえば当たり前だけど……、敵の位置には当てずらいわね……。」



陸奥が扶桑達が居るであろう場所を睨みながら呻く。

海上から陸上にある目標物への砲撃は

戦艦同士での砲撃と比べ当たり前だが当てづらくなる。

沿岸要塞に設置される沿岸砲の攻略には艦船での攻撃は向いておらず

真珠湾攻撃が航空機による奇襲作戦になったのもオアフ島に揚陸できる場所が見つけられなかった結果、

要塞の無数の沿岸砲の前に艦船での攻撃は全滅と判断された経緯がある程である。

それほど陸に固定された、特に高所に設置された砲というは厄介なのである。


858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 00:57:00.30 ID:sON5tDsC0

「上から下を狙うのと、下から上を狙うのではまた威力が違うものよね。」



くすりと笑い砲を撃ち続ける扶桑。



「欠陥だ、時代遅れだ、色々口さがない事を言う人達も多いけれど

 戦艦の主砲の威力は本物よ?」



山城の主砲が火を噴き、砲声が雷鳴の如く響く。



「散布界が狭いだと!?」



当ててくるその砲撃に長門が驚愕する。

戦艦の主砲の命中は良くて撃った弾の2〜3%と言われる。

これをカバーする為に数を撃つのが本来の戦艦同士での砲撃戦である。

そして、目標に対して最も遠い着弾点と

最も近い着弾点の距離を表したものが散布界と呼ばれる物だが。

それが狭いという事は当然ながら目標物に対して集弾されているという事であり。



「左舷に被弾!」



瑞鶴が悲鳴をあげ、被弾の報告。



「みなさん!左右の島の砲撃地点へ向けて砲撃を行ってください!」



旗艦の大和が指示をだす。



「ちぃ!」



武蔵が苛立ち舌打ちをする。

左右の島からの砲撃は丁度、その散布界が重なるように砲撃をされており

特に砲弾が集約するように狙われている。

その狙いは明確。そう、空母の鶴姉妹である。

艦隊で目となる高空からの視野を持つ二人。

散布界が重なれば命中弾も増える。まして左右からの挟み撃ちによる砲撃。

当てないほうが難しい状況である。

859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 00:58:18.10 ID:sON5tDsC0

「させるかよ!」



武蔵が砲弾の雨の中、左の島の丘陵地を狙うが目立った効果を挙げることはない。

先程から続く島からの艦砲射撃は海面を揺らし照準が揺れる大和達は正確な砲撃が出来ない。

火力がいかにあろうと狙いが悪ければ効果は望めない。



「砲撃を休む事無く行い弾幕をはり敵からこちらを見えなくするんだ!」

「敵の位置を把握できない以上は手数を稼ぐ形で敵の反撃を防ぐんだ!」

「皆!この海峡を早く抜けるぞ!」



大和が指示を出しきれていない事をみてとった長門が矢継ぎ早に指示をだす。



「島風、水道の出口が一番危険になる!

 先に抜けて周囲に敵潜水艦が居ないか確認を頼む!」



長門が島風に指示をだす。島風は既に扶桑達の砲撃の範囲外にある。

潜水艦を伏せるなら一番効果が認められる位置が水道の出口。

その付近に潜水艦が居ない事を唯一残っている対潜艦の島風に

急ぎ確認させている間に砲撃は止んだ。

860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 01:00:12.15 ID:sON5tDsC0

「敵に砲撃をさせないためこのまま砲撃を行いつつ離脱だ!」



長門が陸奥達へと指示。



「大和!水路を抜けた後一旦全体の被害の確認を行う事を進言する!」

「……、わかりました。」



砲撃が途中で止んだのは長門達の砲撃が

扶桑達に当たり黙らせる事に成功した訳では無いことを長門は理解している。



「戦艦の私達を移動砲台として機動的砲撃、

 機動火力として陸上戦力として組み込むやり方。」

「提督は柔軟な思考をされる方と思わない?」



大和や長門達の砲撃が本格化して被害を出す前に悠々と離脱せしめ、

海上を移動する扶桑が近くを並走する山城に言葉をかける。



「そうですね。私達姉妹の能力を考えた上で

 これが最も適切と言ってきたのには少々腹が立ちますが。」


姉の扶桑へ返す言葉には含みがある。



「ですが、姉さまもそうだと思いますが。

 私達よりずっと性能が上とされる娘達を一方的に砲撃して蹂躪できたというのは

 実に楽しく気分が高揚しました。」

「貴方は正直ね。でも、私もそうよ。」

「それに、随分と無駄に弾薬の消費もさせる事ができたわ。」



その表情は実に晴れやかかつ誇らしく堂々としたものである。



「はい。私達が退いた後も無人の場所への砲撃で無駄に弾薬を消費してくれていましたね。」

「えぇ、そうね。山城。これは実に大きなアドバンテージになると思わない?」

「はい、姉さまの言うとおりです。」



そして、無事役割を果たした事を叢雲達仲間へと無線にて連絡したのだった。

861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 01:01:08.93 ID:sON5tDsC0

「翔鶴は大破か……。」

「電探に敵艦影は反応なしよ…。」



長門が被害を確認している間に陸奥が周囲の状況確認。



「あたしと鳥海も大破だな。敵さんの砲撃は恐ろしく精度が高かったかんな。」

「多島海での演習ですから敵の方々がまた同じような作戦をとる可能性はあると思います。」

「まっ、あたし達は大破だからここで演習終了だ。」

「茶番劇を終れると思うと清々するね。じゃ鳥海いこうぜ。」

「そうですね……、皆様。御疲れ様です。」



そういい、摩耶と鳥海は艦隊を離れていった。



「翔鶴姉。」

「瑞鶴?貴方をとっさに庇ったおかげで貴方は発着艦が出来る程度の損害で済んでるわね。」

「大破で抜ける私達の仇、しっかりとって頂戴。」



がしっと瑞鶴の肩をつかみ気合を入れる翔鶴。

その目は自分を大破に追い込んだ敵を許すなと物語る。

そして、潜水艦への周囲警戒を行いつつ

大和達は自分達の被害確認を行い再度指揮官の候補生へ連絡を行った。

862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/01(日) 01:03:02.03 ID:sON5tDsC0

「………、お前達から相手はみえなかったんだろ?」

「なら、どうせ誰が大破したかなんか見えてないだろ。」

「違反行為だ?監視の教官をどうするか?……、お前達が考える事じゃない!」

「翔鶴は中破だ。改二改装相当の艤装を持たせてるんだぞ!?」

「あっさりやられてるんじゃない!敵は周囲にまだいるだろ!?」

「待ち伏せしてこそこそやっている様な卑怯な連中だ!実弾つかってでも倒して来い!」



鹿島が席を外す…、花を詰みに行っている間に

大和達から来た無線での連絡に違反行為をしろと指示を下す候補生。



(なぜ傍受されていないと思うのでしょうか?理解に苦しみます。)

(それに艤装の被害状況も逐一モニターされているというのに馬鹿極まってますね。)

(しかし、このままの放置したほうが楽しいのでしょうが、

 放置しておくと今後の問題になりますし。)

(さて、いかにしたものでしょうか……。)



鹿島はこの状況に一人頭を悩ませるのであった。

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