梨子「私はレクイエムを捧げる」

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90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/17(日) 21:08:58.75 ID:Es4CjQnR0
果南「話したい事?」

花丸「そうずら。 実は・・・」

花丸はポケットから一枚の紙を取り出した。

梨子「それは?」

花丸「鞠莉ちゃんが託してくれた紙ずら」

果南「鞠莉が…何て書いてあるの」

花丸「マルも知らないずら・・・」

花丸は鞠莉から受け取った紙を広げた。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/17(日) 21:49:41.60 ID:Es4CjQnR0


アザミ 復讐

オダマキ 愚か

レンギョウ 言いなり

一人 レンギョウ
触れた者
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/17(日) 22:40:32.24 ID:Es4CjQnR0
果南「・・・?」

梨子「どういう事?」

花丸「鞠莉ちゃん、何かの本を見ながら書いてたずら」

果南「アザミ、オダマキ、レンギョウ…どれも聞いた事・・・」

三人「あ!」

梨子「アザミって、最初みんなで入った山道…」

花丸「オダマキは確か、マル達がいた館に・・・」

果南「でも、レンギョウっていうのは見てないね…」

梨子「うん…」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/17(日) 23:32:56.32 ID:Es4CjQnR0
「きゃーっ」


果南「今の悲鳴…」

梨子「千歌ちゃん! 急がないと…」

花丸「梨子ちゃん、ちょっと待って」

梨子「どうしたの? 」

花丸「梨子ちゃん、これだけ・・・」

花丸は梨子に小声で、ある事を言った。

梨子「本当?」

花丸「分からない。でも、そうとも考えられるずら」

果南「二人共早く行くよ!」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/17(日) 23:48:50.65 ID:Es4CjQnR0
ーーーーーー
善子「しっかり、しっかりしなさい!」

曜「千歌ちゃん、大丈夫?!」

三人が着いた時、善子と曜はすでに来ていた。

果南「何が起こったの…」

辺りには仮面が多く倒れていた。

梨子「千歌ちゃんは…」

曜「梨子ちゃん…こっち…」

梨子「そ、そんな!」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/18(月) 00:13:34.54 ID:In8H0fju0
千歌は目を瞑ったまま、倒れている。

梨子「ち、千歌ちゃん…」

応えは無い。

今まで堪えていた涙がまた流れてきた。

梨子「ち、千歌ちゃん…うぅ…千歌ちゃん…」

千歌だけではなかった。

花丸「ルビィ…ちゃん?」

花丸「また、また寝ちゃっただけずらよね…」

善子「ずら丸……ルビィが、ルビィが……」


果南「千歌…ルビィちゃん…」

果南にとっては千歌は幼馴染でまるで妹のようだった。

ルビィもまた、妹のように可愛がってきた。

果南(いつも遊んで…いつも楽しくて……)

果南(何で…)

果南は深い悲しみ襲われた。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/18(月) 00:47:03.12 ID:In8H0fju0
しばらく経つと沈黙が訪れた。


善子(ルビィ…ん、これ、手の跡?)

ギイィ

梨子「!」

梨子「今、音がしなかった?門が開くような…」

曜「確かに…」

曜「どうする?」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/18(月) 00:53:16.91 ID:In8H0fju0
果南「行こう」

花丸「果南ちゃん…?」

果南「私の大切な友達達が殺されて・・・この悪夢を終わらせるてやる…」

果南は落ちていた日本刀を握り締めた。

善子「果南、私も」

善子はルビィが持っていた短剣を取った。

曜「みんなが行くなら私も行くよ」

果南「二人はどうする?」

梨子「私も…行きます」

花丸「マルも…」

果南「終わらせよう、この悪夢を…みんなで」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/18(月) 01:22:15.24 ID:In8H0fju0
ーーーーーー
果南「ここみたいだね」

五人はそびえ立つ門の前に立っていた。

門の前には立て札がある。

立て札には、

『ここが終われば全てが終わる。』

とだけ書かれていた。


果南「鞠莉・・・」

花丸「ルビィちゃん・・・」

梨子「千歌ちゃん・・・」

善子「ダイヤ・・・」

曜「・・・」

果南「みんな、準備は?」

梨子「一つだけ・・・善子ちゃん、ちょっと」

善子「何?」


善子「それは確実なの?」

梨子「うん」

善子「分かった…」

果南「大丈夫みたいだね」

果南「みんな、また、後で・・・」

花丸「ずら」

果南「突撃!」

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/18(月) 02:26:48.03 ID:In8H0fju0
ーーーーーー

ここが異世界だという事はすでに皆気付いていた。

異世界での死が本当の世界ではどうなるか分からない。

生き返るかもしれない。そのままかもしれない。

そんな恐怖が襲ってくる。


門を通り抜けると大きな屋敷があった。

そこにはまた立て札だ。

『カンパネラを鳴らせ 元の世界へと帰る』

曜「カンパネラって何?」

善子「・・・」

果南「誰か意味知らない?」

梨子「確か、ピアノの曲でカンパネラってあった気が・・・」

梨子「思い出した!リストの『ラ・カンパネラ』、日本語訳は『鐘』!」

果南「つまり、鐘を見つけて鳴らせって事だね」


「ソウハ……イカナイ…」

100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/18(月) 06:42:06.21 ID:In8H0fju0
屋敷の扉の前には仮面達が立ちはだかった。

果南「邪魔するんだったら無理矢理通る!」

仮面「カカレ…」

罵声飛び交う中で、果南は指示を出した。

果南「今だよ!」

他の四人は扉を開き、中に入っていった。

仮面「マテ……」

果南「余所見しない方が良いよ」

ガンッ

果南は仮面を真っ二つに割った。

果南「え・・・うそ」

仮面「フッフッフッ…」

仮面の裏には若い女性の顔があった。

果南「ダ、ダイヤ!」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/18(月) 06:50:19.87 ID:In8H0fju0
ーーーーーー

善子「何、ここ…」

扉の先には長い廊下が一本だけあった。

梨子「行ってみよ」

曜「うん」


仮面「イカセヌ…」


花丸「ここにもずらか」

梨子「みんな走って!」

梨子(善子ちゃんの短剣以外武器は無い…捕まったら殺される…」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/18(月) 07:03:12.04 ID:In8H0fju0
ーーーーーー

果南「でも、ダイヤは・・・」

ダイヤ「タシカニ…クロサワダイヤハ…シンダ……」

果南「なら、どうして…」

ダイヤ「ヨイシンタイ……ダッタカラナ…ツカッテイル」

果南「くっ・・・ダイヤの身体を……返せ!」

ダイヤ「オソイ…」

果南はダイヤの首に刃を向けた。

果南「私を舐めないで欲しいな」

ダイヤ「チッ…」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/18(月) 22:12:16.53 ID:In8H0fju0
果南「無駄に動いたら首がとぶよ?」

ダイヤ「フッフッフッ…ワタシヲ…タオセルカナ?」

果南「どういう意味?」

ダイヤ「イマ…クビヲ…ハネレバ…ワタシハキエル」

ダイヤ「シカシ…ソレハドウジ二…オマエノシンユウノクビヲ…ミズカラハネルコトニ…ナルゾ」

果南「あ…」

ダイヤ「オソイ…」

ダイヤの身体は持っていた短剣を果南に刺した。

果南「ぐはっ…」

果南は地面に倒れこむ。

ダイヤ「アンシンシロ…ノコリノサンニンモ…スグニ…オクッテヤル」

ダイヤの身体は短剣を構えた。

ダイヤ「さよなら…」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/19(火) 04:16:20.54 ID:Dmp9kPLR0
|c||;.- ;||
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/19(火) 23:35:38.77 ID:EQ+5A4+J0
テスト週間なので、1週間休みます。
全教科のテスト終了後、投下していきます。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/20(水) 23:46:56.82 ID:LjDvr0Mu0
テスト頑張れよ!
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/27(水) 15:08:22.80 ID:j4u7AEkp0
テストが終わったので、始めます。
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/27(水) 15:26:16.63 ID:j4u7AEkp0
ーーーーーー
『果南起きて』

果南「うっ・・・ここは…」

果南「周りが花でいっぱい…」

果南「ははっ…私、死んじゃったか・・・」

果南を囲んでいるのは無数の花達。そこは楽園のように美しかった。

果南「でも、ダイヤの身体に殺されただけ良いかな…」

『全く、果南は無茶ばかりするんだから』
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/27(水) 15:47:21.10 ID:j4u7AEkp0
果南「この声…鞠莉!」

鞠莉『Yes』

ダイヤ『私も居ますわよ』

ルビィ『ル、ルビィも・・・』

果南「みんな…」

ダイヤ『ほら、ルビィ』

ルビィ『あ、あの、指示に…勝手に行動して…ごめん…なさい』

果南「ルビィちゃん…」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/27(水) 15:54:19.36 ID:j4u7AEkp0
ダイヤ『それにしても果南さん、良く頑張りましたわね』

鞠莉『みんなをまとめていて、格好良かったよ』

鞠莉『特に・・・』

ダイヤ『突撃!』

鞠莉『ぐふっwww』

果南「や、やめてよ!」

ルビィ(いつもの三人だ)
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/27(水) 16:13:02.92 ID:j4u7AEkp0
果南「そういえば、私は最後どこを刺されたの?』

鞠莉『それが…』

沈黙が流れる。

ルビィ『果南さん、まだ死んでないんだよ…』

果南「どういう事?』

ダイヤ『貴方は今、大量出血で意識を失っていますわ』

鞠莉『つまり、ここは三途の川みたいなものね』

果南「死んでないって…でも、刺されたんじゃ…』

ダイヤ『短剣を構えた後、私の身体は自らの胸に短剣を刺しましたわ』

果南「?』
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/28(木) 00:23:45.99 ID:G9TE299q0
|c||^.- ^|| お疲れ様ですわ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/28(木) 00:59:25.94 ID:GGB2oOcb0
ダイヤ『私の身体は仮面に乗っ取られていましたが、多少の自我はありました』

ダイヤ『しかし、仮面に操られていたので、自分の身体を止める事が出来ませんでした…』

ダイヤ『必死に抵抗した結果、数秒ですが自分の身体を取り返す事ができたので…その一瞬で自分の胸を刺しましたわ』

果南「・・・』


果南「無茶するのはダイヤもじゃん!』

鞠莉『ふふっ、確かに』

果南「何笑ってるの?鞠莉もだよ』

ダイヤ『まぁ、無茶するのは元々ですからね』

鞠莉『そうだよ!』
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/30(土) 01:19:48.48 ID:vWrl8uti0

果南「私、これからどうしたら良いの?』

鞠莉『今なら、まだ戻れるよ?」

ダイヤ『それを決めるのは果南さん、あなたですわ』

果南「・・・』


果南「決めた・・・私は戻らない』

果南「二人が居ない世界なんか嫌だ』

果南「二人と同じ世界に居たい』


ダイヤ『・・・分かりましたわ』

鞠莉『果南、こっちに』

果南は鞠莉とダイヤが居る所に歩き出した。

ダイヤ『果南さん』

鞠莉『果南!』

果南『ダイヤ、鞠莉、いつも一緒だよ!』

ーーーーーー
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/06/30(土) 22:50:12.52 ID:vWrl8uti0
ーーーーーー
四人は真っ直ぐな廊下をひたすら走っていた。

後ろから迫る仮面達との距離はわずか数メートル。少しでもスピードを落とすと追い付かれてしまう。

善子「まずい…追い付かれる…」

花丸(こうなったら…やるしかないずら・・・)

曜「花丸ちゃん?」

花丸は急に立ち止まると、身体の向きを変えた。

善子「まさか…ずら丸!」


花丸「梨子ちゃん、曜ちゃん、そして、善子ちゃん。今までありがとうずら」


善子「やめなさい!」

花丸は仮面達の方へ突っ込んだ。

花丸「みんな、早く!」

梨子「花丸ちゃん…みんな、行くよ」

三人はまた廊下を走り出した。

仮面「ジャマ…ダ……」

花丸「こ、ここから先は、マルが…国木田花丸が通らせないずら!」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 00:06:25.71 ID:CT6W1oD00
ーーーーーー
梨子「ハァハァ…」

曜「ここが終わりだね…」

廊下の果てには左右に分かれている階段があった。

中央には立て札。

善子「真実は右へ、カンパネラは左へ…」

曜「じゃあ、左の階段に進もう」


梨子「私は右に行く」


曜「梨子ちゃん?」

梨子「私は真実を知りたい。この悪夢の正体を」

曜「・・・」

善子「私は左に進むわ。もうこの世界には居たくない」

曜「梨子ちゃん…そっか」

曜「善子ちゃん、早くいこ」


梨子(善子ちゃん…)

善子(梨子、無事にかえって来て…)
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 10:28:45.46 ID:CT6W1oD00
ーーーーーー
梨子は一人、真実の階段を登っている。

梨子(確か、あの時・・・)

彼女は今までの事をまとめていた。
そうすれば真実に段々と近づける気がしたからだ。

梨子(だとすると…やっぱり…)
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 10:55:09.81 ID:CT6W1oD00
ーーーーーー
梨子「ここね」

階段の先には巨大な扉と立て札があった。

梨子「『真実を知る者、扉を開け』」

梨子「真実…」

彼女は真実への扉を開いた。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 13:24:01.05 ID:CT6W1oD00
九つの青い炎が燃えている。

炎に囲まれた舞台に立っているのは二人。

桜内梨子と赤い仮面を被った者だ。

赤仮面「待っていたよ…」

赤仮面は梨子の目の前に来る。

赤仮面「真実は分かった?」

梨子「も、勿論…」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 13:45:06.19 ID:CT6W1oD00
梨子(みんな…)

梨子は一回、大きな深呼吸をして、語り始めた。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 14:15:42.99 ID:CT6W1oD00
梨子「まず、この悪夢は人間と他のものが関わっているわ」

赤仮面「ふふっ。何でかな?」

梨子「鞠莉さんが残した紙。そこには幾つかの花の名前と花言葉のような事が書いてあった」

梨子「その中で、アザミについて書かれていた。復讐って」

梨子「そして仮面達。仮面の中には人間に何か恨みがあるような事も言っていた」

梨子「つまり、これは何かによる、人間への復讐・・・だと思う」

梨子「私達がターゲットになったのはアザミ山道に入ってきたから…」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 14:46:59.52 ID:CT6W1oD00
梨子「ターゲットを思い通りに動かすには一人、人間が必要だった」

梨子「入って来た九人の中から一人選んで、取り憑いた」

梨子「方法は多分、トンネルの前で吹いた風」

梨子「そして一人の人間は仮面に取り憑かれてしまった」


梨子「それは…千歌ちゃん」


梨子「貴方が千歌ちゃんに取り憑いたのね」

赤仮面「ハッハッハッ…」

赤仮面は仮面を捨てた。

千歌「おっしゃる通り…」

千歌の身体から何かがすっーっと出た。


現れたのは黒いドロドロした球体。

梨子「私の夢に出てきたのは…」

「イカニモ…ワタシダ…」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 15:32:46.72 ID:CT6W1oD00
梨子「詳しく教えて」

「ヨカロウ…」



「ニンゲンハ…ジブンカッテダ…」

「ジブンタチノタメナラ…ナンデモスル 」

「ミズヤ…クウキオセン、シゼンハカイ…」

「サマザマナイキモノガクルシミ…ソシテシンダ」

梨子「・・・」

「ワタシハ…ソノ…ウラミガ…アツマリデキタ…コノセカイノ…オウダ…」

梨子「それが、私達とどう関係あるの?」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 15:41:20.36 ID:CT6W1oD00
「ワタシハニンゲンヲ…ノロウタメ…ギシキノザイリョウヲ…アツメタ」

「ヒツヨウナモノハ…ホトンドテニイレタ…」

「シカシ…ドウシテモヒツヨウナ…ニンゲンのヒャクコノ…ニクガ…テニハイラナカッタ」

梨子「だから、こんな事を?」

「ソウダ…」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 18:01:38.86 ID:CT6W1oD00
「アトハ…フタツ…」

「ザンネンダガ…オマエノナカマモ…ソロソロダ…」

梨子「それは…こっちのセリフよ」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 18:13:48.34 ID:CT6W1oD00
ーーーーーー
左階段

曜「クッ…」

善子「ハァハァ…」

曜の胸には一本の短剣が刺さっていた。

善子「曜…」

曜「ウウウ…ナゼ…ダ…」

曜は倒れこむ。

善子「梨子、言われた通りやったわよ」

善子(まさか、曜を短剣で刺せって言うなんて…)

この屋敷に入る前、梨子にそう伝えられた。

彼女は曜が油断している時に後ろから刺したのだ。
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 22:02:32.55 ID:CT6W1oD00
善子「うぅ…」

「モウシワケ…ゴザイマ…セン」

善子「だ、誰?」

善子は周りを見渡すが姿は見えなかった。

善子(何処からか視線を感じる…)

ーーーーーー
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 22:16:01.78 ID:CT6W1oD00
ーーーーーー
その光景は炎の中に映し出されていた。

「クソ…」

梨子(善子ちゃん、やってくれたのね…)


梨子「貴方の今回の計画は誤算が多かった」

梨子「私達がとても行動的だったり、カンパネラの意味を知っていたり、今までの人とは違っていた」

「ダマ……レ」

梨子「そして、自分の正体も知られてしまった」

「ダマレ!」

「ワタシハ…ニンゲンタチヲ…ケシサル」

「オマエタチ…ヤレ」

球体の後ろから仮面達が現れる。
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 22:30:10.65 ID:CT6W1oD00
梨子「!」

無数の仮面達は梨子に襲いかかる。

梨子(まずい…)

しかし、仮面達が彼女に触れようとしたその時、周りを水色の光が囲った。

梨子「えっ・・・」

「友達を傷付ける奴は絶対に…許さない!」

仮面達は全員吹き飛ぶ。

梨子「よ、曜ちゃん?」

姿はないが、はっきりと分かる。

間違いなく今の声は曜だった。
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 22:46:47.44 ID:CT6W1oD00
「ナニヲ…ヤッテイル…カカレ」

仮面達は再度襲いかかる。

「もう…こうするしかないかな」

「梨子ちゃん、今までありがとう。これが私の出来ること…」

梨子「待って!」

水色の光は仮面達を再び囲むと、一気に消滅した。


一瞬の出来事だった。

梨子「曜ちゃん…」

良く理解出来なかったが、これだけは分かった。

曜が身体を張って守ってくれたのだ。


梨子「うぅ…」

シュッ

何かが梨子の腕を擦り切った。
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/01(日) 22:59:44.25 ID:CT6W1oD00
梨子「何をしたの?」

「ノロイノヤ…ダ」

「オマエノ…ヒダリウデニ…ノロイヲカケタ」

「オマエハ…ナガクナイゾ」

梨子「そう。でも、私はこの悪夢、この世界を終わらせる」

梨子「そのためなら…」

彼女は球体に体当たりした。

梨子「私がどうなっても構わない!」

「バカメ…タイアタリデワタシヲ…タオセルトデモ?」

梨子「今よ!」

善子「うぉー」

ベチャ

「ウゥゥ…」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/02(月) 00:28:22.19 ID:C+NOR3FR0
梨子「私だけしか視界に入っていなかったわね」

善子「みんなの仇…」

「グォ……」

黒いドロドロとした球体は黒い煙のようなものを出しながら、段々と小さくなっていった。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/02(月) 00:58:20.70 ID:C+NOR3FR0
やがて、球体の中から出てきたのはボロボロの古びた仮面だった。

善子「こいつが…元凶」

善子は短剣を仮面に突き刺そうとした。

「マテ…モシココデ…ワタシヲコワシタラ…オマエタチモ…ミチヅレダ」

「ココハ…ワタシノ…クウソウノヨウナ…セカイダ…」

「ワタシガ…キエルトトモニ…コノセカイハ…キエルノダ」

梨子「う、嘘・・・」

「タノシマセテ…モラッタ…」

善子「・・・」


善子「梨子、早く鐘へ向かって」

梨子「善子ちゃん、だめだよ!」

善子「平気。ダイヤや果南、鞠莉、千歌に曜に梨子、そしてルビィとずら丸」

善子「私はみんなとAqoursをやってこれて幸せだった」

善子「でも、もう戻らない」

善子「私はもう何も出来ない…」

梨子「わ、私も」

善子「あなたは作曲ができるでしょ」

善子「みんなのために…犠牲者のために…追悼の曲を作って」

善子「何も出来ない私より、梨子に任せたい」

善子「だから…あなたは鐘を鳴らして元の世界に戻って」

梨子「善子ちゃん…」

善子「早く!」

梨子「うっ…今まで…ありがとう…楽しかったよ…」

善子「私もよ!さよならリリー」

梨子は鐘に向かって走り出した。

目には涙が溢れ、今にも泣き叫びたかった。だが、それを我慢し走り続けた。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/02(月) 01:10:02.22 ID:C+NOR3FR0
ーーーーーー
左階段の先には大きな鐘があった。

梨子「これを鳴らせば、全てが終わる…」

ゆっくりと鐘の前に立つ。

梨子「ダイヤさん、果南さん、鞠莉さん、ルビィちゃんに花丸ちゃん、善子ちゃん、曜ちゃん、千歌ちゃん」

梨子は皆の名前を呟いた。

そして彼女は決心し、鐘を鳴らした。

ーーーーーー
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/02(月) 01:21:38.69 ID:C+NOR3FR0
ーーーーーー
ゴーン ゴーン

鐘の音が近くで鳴り響いている。

善子(梨子…終わらせたみたいね)

善子「こいつを壊せば、本当に全てが終わる」

善子(最後くらいは、一人はやだったな…)

『大丈夫。一人じゃないよ』

善子を暖かなオレンジ色の光が包む。

善子「ふふっ。ありがと、千歌」

善子は七人に見守られながら短剣を仮面に突き刺した。

ーーーーーー
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/02(月) 01:37:30.27 ID:C+NOR3FR0
ーーーーーー現在

梨子(私はあの後、道路で倒れている所を発見された)

梨子(警察は残りの八人の行方を捜索したけど、見つからなかった)

梨子(アザミ山道にも行ってみたけど、そこは立ち入り禁止。地主に聞くと、ここに入った人達が続々と行方不明になったから前に封鎖したみたい)

梨子(神社についても聞いたけど、だいぶ昔に取り壊されたらしい…)
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/02(月) 01:42:34.94 ID:C+NOR3FR0
彼女は目をゆっくり開いた。

日はすっかり沈み、辺りは暗くなっている。

梨子「私も、もうそろそろかな」

彼女は楽譜にある言葉を書き遺すと、暗闇へと姿を消した。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/02(月) 01:47:23.21 ID:C+NOR3FR0

楽譜にはこう書かれていた。

『亡き八人の仲間と九十一人の犠牲者、そして全ての生き物に捧げるレクイエム』と。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage sage]:2018/07/02(月) 01:59:25.09 ID:C+NOR3FR0

終わりです。

最後までありがとうございました。
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