岡部「俺は鈴羽を――お前の事を救えたか……?」鈴羽「――」

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52 : ◆mcn/WZ3k0ZKj [sage saga]:2018/08/31(金) 00:14:02.05 ID:frLsnDXL0
「――なあ、どうして天王寺さんにあんな事を言ったんだ?」


天王寺さんの家から離れ、再び秋葉原に向かう為に乗った電車の中。俺はそう鈴羽に尋ねた。
あの言葉は確か。α世界戦の鈴羽が橋田鈴として、若かりし頃の天王寺さんに伝えた言葉のはず。


「さあて、何でだろうね?
 昔の――前の世界線のあたしの事を覚えている人が居て欲しかったのかも。」

「それならここに俺がいるじゃないか。……ちょっと理由があってな。
 あまり天王寺さんに関しては、前の世界線の事を思い出して欲しくないんだ。」

「そうだったの?ごめんごめん!それに岡部倫太郎の事、忘れてた訳じゃないよ。
 確かに君は前の世界線の事を覚えててくれてる。
 ……でも君は、あたしが過去にタイムマシンで飛んでからの事はよく知らないでしょ?」

「それは……。」


確かにそれはそうだった。タイムマシンに乗って、
1975年に行った後の事を俺は詳しく知らない。
俺の知らない鈴羽……そのワードは何故か俺の心を強く揺さぶった。
俺よりも年齢を重ねて人生を終えた鈴羽か……どうにも複雑、だ、な……?ん……?待てよ……?

俺の中である一つの疑問がわく、俺は率直にその疑問を鈴羽にぶつけた。


「お前はタイムマシンに乗った後の事を覚えているのか……?」

「……変な事言うんだね。
 確かにあたしがタイムマシンで過去に向かった時、その記憶は消えてしまった。
 そして世界線の収束なのかどうかはわからないけど。最終的には記憶を思い出し、
 2000年代には自殺か病死などであたしは死ぬ――」

「でもさ。岡部倫太郎の言った通りなら、
 今のあたしにはリーディングシュタイナーがあるんだ。
 それならあたしが死ぬ前の出来事を思い出しても不思議じゃないでしょ?」

「そう、だな……。」


いや、それはおかしいんだ鈴羽。
お前は俺の記憶を元にあの鈴羽を再現した存在――。
なら何故こいつは俺の知っていない事を知っている……?

だがそんな事はこいつには話せるわけもない。
俺は納得した風に呟くと、鈴羽から目を逸らした。


「………。」


何かが引っかかるがわからない……俺は何か致命的な勘違いをしている気がする……。
考えても答えは出ず、俺の思考回路はぐるぐると空回りをし続けている。

その時、俺の思考を中断させるかの様に、
秋葉原に着いたという電車のアナウンスの声が鳴り響いていた。
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