バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」

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590 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:23:28.61 ID:69VCOY9o0



………………


エジソン「む! ロボット達の対空レーダー網に感あり! 飛来物だ!」

エレナ「エジソン、無茶よ! 逃げましょう、今なら間に合うわ!」グイグイ

エジソン「……エレナ女史、キミを巻き込むつもりはない! だが、私はきっと、どんな逆境の中でも立って戦うだろう!」バッ

エジソン「こんな言葉を知っているかね!! 『私たちの最大の弱点は、諦める事にある』と!!!」ガオオッ

エレナ「……!」

エジソン「今の人類史は!! 守るべき発明品であり、私達の宝である! そうは思わないか、エレナ女史! 先達として、世界を見守るのは私達の役割であり……!!」

エジソン「それを守る機会が我々に回って来たというのは、とてつもない名誉であると!」


591 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:24:04.07 ID:69VCOY9o0



エレナ「……言っておくけど、貴方の格言を皆が知ってると思ったらダメよ」

エジソン「うむ、それは反省しておこう!!」

エレナ「でも、名誉はそうね。マハトマに選ばれたのなら、相応の働きをしなきゃ……」

エジソン「うむ! 自分が決して曲げられぬと思うものにすがり、戦うのが一番だ! 逃げてもどうせ追いつかれるしな! 電流戦争みたいに!!」

エレナ「……はぁ。それさえなければ、あなたたちの事はもっと好きよ……」

エジソン「全ロボット、対空砲火よーーーーい!!」


ロボット達「「「」」」ガシャシャシャシャシャシャシャ……


エジソン「……放てエ!!!」


ドドドドドドドドドドドドドドォォォォォ……


ドゥームズデイ「……」ギギギギギギギィン……ドッサァァァン……


エジソン「……弾丸が全部体表で弾かれたように見えたが」

エレナ「ええ、そうね」

エジソン「やはり撤退も一考して良かったやも……」

エレナ「今更何言ってるの。私はもう覚悟を決めたわよ」

エジソン「うむぅ……」



592 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:24:32.34 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」ムクリ、ドシ、ドシ

エジソン「えーと、エレナ女史は格闘戦はイケる口……」

エレナ「ムリよ! あなたこそ、そんな良い体格なのにダメなの!?」

ドゥームズデイ「……」ググッ

エジソン「む、むむ……私は本来サポート型なのだが……ここは直流式格闘術をご覧に入れるとしよう!」スッ


ダダッ


ヒュォンッ!!!


ドゥームズデイ「!?」バッシィィィ、ユラッ

「フン、あのスーパーマンを殺したと聞いていたが、俺の聞き間違いだったか?」クルリ、スタッ


エジソン「なに!?」

エレナ「あ、あなた!?」

デスストローク「随分腑抜けと戦う事になっちまったもんだ」ガシャリ


593 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:25:04.37 ID:69VCOY9o0



エジソン「キミは敵だと思っていたが、仮面の紳士よ!」

デスストローク「……フン、何のために戦おうが俺の勝手だろう。しっかり役割を果たせ、サポート型共」チラ

エジソン「サポート型共ではなく、エジソンである! その辺の名前はきちっと呼んでもらいたい!」

エレナ「そうよ、人の名前を呼ばないのは失礼よミスター!」

デスストローク「ちっ、面倒な奴らだ」イライラ

ドゥームズデイ「……」ドシドシ、ダンッ

デスストローク「!!」バッ、


ドゴォッ!!


デスストローク「うっぐぉ……!?」ドシャシャシャシャ……


エジソン「!! しまった、唯一の格闘可能戦力が!」

エレナ「サポートしましょう、サポート!」


デスストローク「ええい……!」バッ、クルクル、スタッ


デスストローク(なんという怪力だ。俺が不死身でなければ死んでいたぞ)ゴキ、ゴキリ


ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ、ドシ


594 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:25:31.62 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」ググッ


デスストローク(……? なんだ、上体を逸らした?)


ドゥームズデイ「……!!」ギュゴォォォォォォオォォォォォ!!!

デスストローク「!!!」ガッギャァァァァァァァドシュシュシュシュシュシュシュゥゥゥゥ!!!!


エジソン「何! 目からビーム!?」ギュオオオオオッ

エレナ「あの原理は興味深いわね、後で考察しましょう!」ギュドドドッ


光弾「「「「「」」」」ギュオオオオオッ


ドゥームズデイ「……」ドシュシュゥッ、クルリ


ビーム「」ビィィィィィィィイィィィィィ!!


ロボット達「「「」」」ドガァァァァァガッシャァァァァ!!!


エジソン「まずいっ、伏せたまえ!」ガバッ

エレナ「きゃっ!?」ドドッ


ビーム「」ビィィィィィィイィィィゴシャァァァァァァ!!!


エジソン「うむぅ、迂闊に振り向かせたのは下策だったか!」ジリジリ

エレナ「そ、そうはいっても、なんとかしないと!」



595 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:26:02.58 ID:69VCOY9o0



デスストローク(あの、野郎め。やってくれやがる……!)ジュウウウウウゥゥゥ……

デスストローク(ああ、クソ、意識が、途切れそうだ……)


(((……この子が死んだのはアンタのせいよ……)))

(((スレイド・ウィルソン。被検体番号、80218……)))

(((……畜生め、クソ喰らえ。死ぬだと、俺は、ここで……)))


デスストローク(ダメだ。起きろ、スレイド・ウィルソン、下らない感傷にはノーを突きつけろ。立つのに理由は要らん。命を燃やすのに、理由は要らん)ググッ、ムクリ


ドゥームズデイ「……?」クルリ

デスストローク「……」フラフラ、ユラリ


596 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:26:34.91 ID:69VCOY9o0



デスストローク「オレを、殺したと思ったか。スーパーマンのように?」

ドゥームズデイ「……」

デスストローク「下らんぞ。俺はデスストロークだ。最強の暗殺者だ。俺は奴のように誰かを守る事なんぞ無い。ただ……」


デスストローク「俺はただ、生きると決めた。何も残らん、空虚な生だとしても」

ドゥームズデイ「……?」

デスストローク「笑いたいか。笑うと良い。そもそも、ナパーム弾一発で何十もの命が消えるのを見て来た俺だ」


(((嫌だ! 助けてくれ!!)))
(((スレイド、頼む、俺はまだ……)))

(((お父さん、また行くの……?)))

(((アンタのせいよ!!)))

(((……何故、俺は死ねない。何故俺は死ねないんだ。命とは何だ。それは今まで、何より軽んじられてきたものだったハズだ)))

(((……ならば、)))


デスストローク(ならば、この俺に言い訳がましい死など不要! この世に永遠の命など不要!!)


597 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:27:11.72 ID:69VCOY9o0




デスストローク「生きている幸運くらい、自由に使わせてもらう」フッ

ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ

デスストローク「かかってこい。この世を滅ぼすだと? お前には少し荷が重いぜ、兄弟」カチャ、シュリイィィィ……


デスストローク(さあ、何秒時間稼ぎが出来るかはお前達に掛かってる。しっかりやるんだぞ、サポート型共)スッ


エジソン「ま、待て、今サポートのロボット達を呼び寄せる……」

エレナ「エジソン! 今からは間に合わないわ、援護射撃とサポートに徹して!」

エジソン「ええいっ、駄目か!!」



デスストローク「……!!」ダッ、ブォンッ

ドゥームズデイ「……」ジッ



598 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:27:43.84 ID:69VCOY9o0


 デスストロークは跳びかかり、目にも止まらぬ神速の一閃を繰り出した。が、ドゥームズデイは防御すらせず、それを首で受け止める。火花が散り、甲高い音が鳴り響く。


(固い表皮。ならば)


 デスストロークは剣を放り捨て、棍を構えた。怪物は身動き一つなく、目の前の羽虫じみた敵の動きを見る。


 スレイドは身体を捻り、跳躍と共に棍を振り抜く。速度と威力が十分に乗った一撃がドゥームズデイの首筋を捉え……そして、鉄の棒が折れた。破片が飛び散り、スレイドは驚愕に目を見開く。


 ドゥームズデイの無造作な前蹴りが、デスストロークに叩き付けられる。咄嗟にガードしたものの数メートル弾かれ、彼は歯を食いしばって威力に耐える。


(無理だ)


 遠方から見ていたエジソンが不可能を悟り、助勢に駆け付けようとする。が、察したデスストロークは、それを手で制した。

「余計な、フゥー……余計な助太刀だ。俺はまだ倒れていないぞ」


 冷たい声色で拒否しながら、デスストロークは拳を構える。実際、彼は今の蹴り一発で既に意識が朦朧としており、危険な状態だった。


 だが、彼は他者の介入を拒んだ。おぼろげな意識の中で、スレイド・ウィルソンは仮面の奥、笑みを浮かべる。


 絶望的な敵を前に、スレイドは拳を繰り出す。直撃した拳が逆に砕け、血を撒き散らす。ドゥームズデイは首を傾げ、虫けらじみた敵を見下ろす。

 が、スレイドが拳を止める事はない。拳が砕けたならば逆の拳で、それも砕けたならば脚で、脚が砕けたならば再生が始まった拳で……絶え間ない激痛が彼の意識をたびたび揺り戻し、また彼岸へと押し流し、彼を死と生のはざまで行き来させる。


 スレイドの視界には幻が映る。殴る先に居るのは、これまで殺した者達、大物、小物、何の罪もない市民、バットマン、盾を持った少女、そして、あの日に殺された息子。

 
 ならばこれは罰か。スレイドはしかし、決して認めなかった。


「なにが罰だ」


 仮面の奥から声が漏れる。ドゥームズデイが煩わしげに手で払うのを躱し、スレイドは両拳を敵の脇腹へと叩き込む。


 ここで初めて、ドゥームズデイの姿勢が揺らいだ。効果あったか。……いや、体勢のバランスを崩したか。ならば畳みかける!


「知っているか、ドゥームズ・デイ。人はお前が手を下さずとも、死んでゆく」


 デスストロークは跳躍、回転しながら蹴りをドゥームズデイの頬へ叩き込む。怪物はよろめき、崩れて膝をつく。エジソンたちのサポート効果もピークを迎えつつある。ここで決める。デスストロークは着地する。


「ジャングルで、朝早くに、丸焼きにされるヤツも居る。モルモットのように、薬の実験台になって死ぬヤツも居る」


 デスストロークは踏み込み、強烈な正拳突きを繰り出す。が、ドゥームズデイはそのパンチを捉え、握り込んで潰し、離さない。

 しかしデスストロークは、一切の迷いなく手首を千切って自由を取り戻すと、もう一方の腕で鋭い突きを繰り出した。ドゥームズデイは目を突かれ、苦悶の声と共に仰け反る。


「あるいは、父親の犯した愚かな罪で、復讐として殺されるヤツも居る。お前が手を下さずとも、ここは地獄だ」


 ドゥームズデイは怒りを露に、デスストロークを睨み付ける。デスストロークは怯まず、真向から見返す。


「だが、天国にどんな生き甲斐がある?」


 ドゥームズデイは吼え、目を発光させながらレーザーを発射した。スレイドは減衰してゆくサポートの力を感じながら、絶望的なガード姿勢を取ろうとし……


 両者の間に白髪の男が割り入り、槍でレーザーを防御した。


599 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:28:10.94 ID:69VCOY9o0



白髪の男「ぐっ……アルジュナ、急げ!」ガガガガガガガガガ……

黒髪の男「フ、良い眺めだ。もっと苦しめ」

小太りの男「おいっ、夫婦漫才は後でやれ! さっさとカルナを助けろ、アルジュナ!」

アルジュナ「……フン、今回限りだぞ」シュパパパパッ


雷の矢「「「」」」バヂヂヂヂヂヂィィィィッ!!


ドゥームズデイ「……」ドシュシュシュッ、シュゥゥゥゥゥ……



カルナ「……効いていないように見えるな。鈍ったか、アルジュナ」

アルジュナ「黙れ。奴が規格外なだけだ」

デスストローク「な、貴様……」


ペンギン「カハハハハハハハ、貸しひとつだデスストローク!!」

アルジュナ「正確には、私からの貸しだ」

カルナ「……更に正確に言うと、俺が助けた」

デスストローク「なんだこいつらは……」


600 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:28:44.53 ID:69VCOY9o0



………………


デッドショット「……」ピクリ、ガバッ


デッドショット(ちくしょう、なんだ?! どうなって……置いて行かれたのか!? クソ、バットマンめ、相変わらずな野郎だ……!!)ムクリ

デッドショット「ぐ、くっ……」ヨロ

デッドショット(聖杯を……いや、聖杯がドゥームズデイになって……ああクソ、今まで分からんなりに耐えてきたが、いよいよ理解の範疇を超えそうだ……)


カタッ


デッドショット「!! 誰だ!?」カチャリ


デッドショット(誰か残ってやがったか!?)



601 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:29:13.38 ID:69VCOY9o0



ヒソヒソ……ヒソヒソ……


デッドショット「……?」カチャ、ジリジリ


(……でも、あのおじちゃん、魔王を倒したんだよ)

(馬鹿! 声を出したら気付かれるだろ、黙ってろよ!)

(ホントだよ、怖くないよ。絶対、大丈夫だから。声を掛けてみようよ)


デッドショット「……誰かいるのか、そこに」


シーン……


デッドショット(……幻聴じゃねえ。誰か居る)



602 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:29:41.32 ID:69VCOY9o0



デッドショット(……この、玉座の目の前の壁が、少し違和感があるな)コツコツ


壁「」ブワァァァァァァ……


デッドショット「!? 何、なんだこいつは……!?」

牢屋「」ズォォォォォォ……

デッドショット「馬鹿な……」


デッドショット(玉座の間のすぐ前に、牢屋だと? どんな構造をしてやがる)

デッドショット(……しかも)


子供達「「「……」」」ジッ


デッドショット「……」


デッドショット(……中に居るのは、子供達ばかり?)


603 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:30:16.95 ID:69VCOY9o0



子供A「……」

デッドショット「……おい、ここで何してやがる」

子供A「ヒッ……」ジリッ


子供B「大丈夫、大丈夫よ。怖くない。おじさん、助けに来てくれたんだよね?」

デッドショット「ここで何をやってるか教えてくれりゃあな。何をしてやがる」

子供B「何もしてないの。ホントなの。魔王がね、赤いマントのお兄さんの抵抗をやめさせるために、私達をいつでも殺せるようにしてたって……」

デッドショット「……??」


デッドショット(赤いマントのお兄さん……スーパーマン? 魔王は、つまり、クー・フーリン……って事は、コイツらは……)


デッドショット「……お前ら、人質か。だからスーパーマンは負けたんだな」

子供C「あの青いお兄さんは無事なの!? 僕らを助けてくれたのに、僕らのせいで捕まっちゃったんだ!!」

デッドショット「ああ、無事だ。ぴんぴんしてやがる、忌々しい……出ろ。さっさと親の元に帰れ」カチャカチャ、バァン


牢屋「」ギィィィィ……



604 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:30:47.04 ID:69VCOY9o0


子供A「や、やったぁ!! 帰れるんだ!!」ダダッ

子供B「ありがとうおじさん!」タタッ、ギュッ

子供C「ありがとう、おじちゃん!!」ダッ、ギュウッ


デッドショット「おい、やめろ、離せ。ガキ共……」


子供D「ぼ、僕、家が壊されちゃって……お父さんとお母さんと離れちゃったんだ。どうすればいいの?」

子供E「僕の家は焼かれちゃった……おばあちゃんが寝たきりだったのに、焼かれて……もう、知ってる人が居ないよぅ……」グスグス


デッドショット「……」


605 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:31:29.27 ID:69VCOY9o0



デッドショット「おい、坊主。泣くな。良いか、これが全部終わったら『エジソン』って野郎のところへ行け。そこに皆居る」

子供D「ほ、ほんとう?」

子供E「おばあちゃんも、そこにいるの?」グシグシ

デッドショット「……そうだ。皆居る。だから泣くな。男だろ」グシャグシャ

子供E「う、うん……泣かない」グシャグシャ

デッドショット「……」

子供B「おじさんは、どうするの?」

デッドショット「俺は……俺は、片付ける仕事がある。行かなきゃならん」

子供A「え……」

子供C「い、嫌だよ。おじちゃんまで居なくなったら、どうすればいいの……」


デッドショット「……」


(((パパ、お願い、もう行かないで……)))


デッドショット「……」


606 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:31:56.31 ID:69VCOY9o0



デッドショット「……ハートがチクチク 箱入り浪漫 それは乙女のアイアンメイデン」

子供B「……え?」

デッドショット「愛しいアナタを閉じ込めて……あー……なんとかかんとか、キスの嵐と洒落込むの……」

子供C「な、なに?」

デッドショット「元気が湧いて来る歌だろ。俺の周りで流行ってた歌だ」

子供A「……そ、そうなの?」

デッドショット「そうだ。良いか、皆で歌いながら、とにかく東を目指せ。東っていうのは、つまり、今お日様があるのと反対側だ」

子供D「で、でも」

デッドショット「いいか、この歌は特別な歌なんだ。歌っていれば、どんな困難も、どんな怪物も、怯えて寄り付かねえ。本当だ。だから、」


(((本当、駄目ね。アンタは、アタシが居ないと)))


デッドショット「……だから、とにかく走れ。大丈夫だ、俺が知る限り一番の加護が付くさ」


子供達「「「……」」」


デッドショット「……さあ、行け。立ち止まるな。大きな音がしても、振り返らずにな」

子供達「「「……」」」ゾロゾロ……


607 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:32:28.55 ID:69VCOY9o0


デッドショット「お前、待て。少し」

子供B「わ、わたし?」

デッドショット「……お前、見たところ、子供達のリーダー格だな? コイツを渡しておく」カチャ

拳銃「」ズシ……

子供B「こ、これは……?」

デッドショット「……良いか、コイツを使うのは、あまり良い事じゃねえ。使い方はこうだ。ここを引いて、この『引き金』を引く」カチャカチャ、カチッ

子供B「……こ、こう?」カチャカチャ、カチッ

デッドショット「そうだ。いいか、じゃあ……いま、安全装置を外した」カチッ

子供B「……」

デッドショット「……良いか、本当に危ない時に、本当に覚悟を持って、背負い込みすぎないように撃つんだ。敵に狙いを定めて、深呼吸して、……お前が一番守りたいと思うものを想像して撃て」

子供B「……そしたら、どうなるの?」

デッドショット「……最低な事が起きる。これは本当に最悪の手段だ。ギリギリまで使わずに居るんだぞ」

子供B「……う、うん」

デッドショット「分かったなら、良い。行け、アイツらを東に導いてやってくれ」


608 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:33:05.70 ID:69VCOY9o0



デッドショット「……フー……」


デッドショット(……今からすべき事は、バットマン達を追いかけ、ドゥームズデイとの戦いで疲弊した連中を片っ端から撃ち殺し、聖杯を手に入れ……)

デッドショット(……家族と、エリザベートを蘇らせて……)


(((ぼ、僕、家が壊されちゃって……お父さんとお母さんと離れちゃったんだ。どうすればいいの?)))

(((僕の家は焼かれちゃった……おばあちゃんが寝たきりだったのに、焼かれて……もう、知ってる人が居ないよぅ……)))



デッドショット(……ああ、クソっ!! いつからこんなに脆弱になっちまった、フロイド!)


デッドショット「どうしてこうなる!! ああ、クソッ!!」ドガッ!!


デッドショット(……)


デッドショット(……クソ、エリザベートめ。あの世で笑ってやがるだろうな)カチャリ


デッドショット「行かねえと……」スッ


ガラン……


デッドショット「……?」


緑の槍「」ジジジジジジ……


デッドショット「……クソ、エリザベートめ。お前、今頃、あの世で笑い死んでるだろ……」



609 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:33:37.29 ID:69VCOY9o0



………………



ドゥームズデイ「……」ギュゴォォォォォォオォォォォォ!!!


カルナ「ムチャクチャな」ガギィィィィィィ!!

アルジュナ「この程度で音を上げるのか? 笑えるな」シュパパパパッ


ドゥームズデイ「……」ドシュシュシュシュッ、シュゥゥゥゥゥ……


カルナ「少しは有効打を放ったらどうだ?」ギギギギギギギギギギィィィィ!!

アルジュナ「私の攻撃はひとつひとつが次への布石なのだ」

カルナ「だとしたら布石が多すぎるぞ」


ペンギン「カハハハ、ここまで滅茶苦茶だと逆にせいせいするぜ! どうだエジソン、一本吸うか!?」ボロッ

エジソン「戦場で葉巻を吸うな! どこまで豪胆なのだ!!」ボロボロ


エレナ「く、ううぅっ……ごめんなさいエジソン、そろそろ限界よ……!!」シュウシュウシュウ……

エジソン「!! エレナ女史!!」

エレナ「アナタの理念、立派だったわ。一緒に戦えて、良かった……」シュゥゥゥゥゥ……

エジソン「何たることだ! 戦場の柱が一本折れたに等しい……!」

ペンギン「ええい、俺も少々気張るしかねえか! デスストローク!」

デスストローク「……」

ペンギン「死んだふりはよせ! 不死身の癖しやがって!」

デスストローク「……いくら不死身でも、限度がある」ムクリ

ペンギン「行くぞ、隙を開いてやらにゃならん! 手間のかかる神話出身者共め!」


610 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:34:09.64 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」ダンッ、ブォンッ

カルナ「!? ぐお……!」ゴッシャァァァァァズシャシャシャシャ……

ドゥームズデイ「……」ブオンッ

アルジュナ「うっ、ぐあ……!!」グシャァッ、ヒュオンッドガァァァァァ!!!


デスストローク「せやっ!!」ガッ、ドガガッ

ドゥームズデイ「……」ヨロ

ペンギン「食らいやがれ!!」シュドッ

ドゥームズデイ「……」ガシッ、ブオンッ

ペンギン「おおぉ!?」ドッシャァァァァン……

デスストローク「使えんテディベアだ!」ダッ

ペンギン「お前の、ゴホッ、お前の踏み込みが足りんかったんだ!」パラパラ……



ドゥームズデイ「……」グググッ


高圧水流「」ピシァァァァァアアアアア!!!


ドゥームズデイ「!!」ガガッ、ズシャシャシャ……


フィン「間に合ったか!」ザザァッ


ドゥームズデイ「……」ズシャシャシャァ……ピタッ




611 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:34:48.05 ID:69VCOY9o0



冷気「」パキ……パキパキ……


ドゥームズデイ「……」パキパキ……

フリーズ「動くな、怪物め」パキパキィ……

フィン「どうですか、奴を凍らせられそうですかな」

フリーズ「コンマ数秒ならな。たとえ全身を凍り付かせても、奴にとってはいかほどのダメージにもなるまい……」

ペンギン「こいつは驚いた! 全身冷蔵庫野郎め、まだ干からびてなかったのか!」

フリーズ「驚いたぞ、コブルポット。貴様は今頃魚の餌になっているかと」

フィン「ははは、仲良き事は美しきかな! ですがご注意を、未だ敵は健在です!」

デスストローク「……うるさいのが来たな」



612 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:35:21.72 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「……」グ、グググ、パキィ、パキ……



カルナ「……アルジュナ」スッ

アルジュナ「黙れ、みなまで言うな。方法なら、私も浮かんだ」

ペンギン「なんだ、ようやく神話らしいところでも見せてくれるってのか? 待ちくたびれるぜ、下々の民はよ!!」

カルナ「時間が掛かる。コブルポット、皆を率いて少しでも時間稼ぎをしてくれ」

ペンギン「どれくらいだ?」

アルジュナ「できる限り長くだ。これは『神話』の再現であり、太陽への冒涜であり、その失墜だ。私も、カルナも、時間が掛かる」

ペンギン「カーッ、その気取った訳の分からねえ説明はどうにかならねえのか! ……良いぞ、乗ってやる!」

デスストローク「フン、力を貸してやる。これで貸し借り無しか?」

ペンギン「……働き次第で考えてやる」



613 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:35:51.55 ID:69VCOY9o0


ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ

フィン「やはり怪物……」

フリーズ「大した化け物だ。薄皮一枚凍らせた程度ではどうにもならないという訳か」

フィン「……おかしいですな、親指を舐めても何の解決策も浮かびません」

フリーズ「時に、人は思考以上の何かを求められる。今こそその時だ」

フィン「ははは、全く怖がる隙も無い!」

フリーズ「最期まで生きるという事だ。難しい話ではないよ、フィン」

フィン「……ふ」


エジソン(……エレナ女史の犠牲は決して無駄にできん! アメリカを守り、もって世界を守る!)

エジソン「嘗めるな、怪物め! 大人しく白熱電球の光も届かぬ闇の中へ引っ込んでいるがいい!!」ガオオッ



614 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:36:30.42 ID:69VCOY9o0



 エジソンも、もはや消滅の危機に瀕していた。背中から光の粒が立ち昇り、彼の身体は削られて行く。

 だが、それでも、彼は集中した。愛する彼の故郷を守るため……世界を、守るため。枯渇する魔力、身を絞られるような苦痛に、彼は呻きながら抗う。天才とは、1%の閃きであり、99%の努力である。ならば戦うべし。


 そうして全力で放たれたサポートの光を、デスストロークは背に受けた。彼もまた、とうに限界を迎えた身体に鞭打ち、拳を構えてドゥームズデイに向き合う。


「審判の日か。さしずめここは裁判所だな」
「笑えるジョークだ」


 軽口を叩くペンギンに、デスストロークは真顔で返す。二人は互い違いにすり足で移動し、ドゥームズデイの周囲を衛星じみて回り出す。ペンギンもまた、油断ならない戦闘力の持ち主。


 だが、ドゥームズデイは小癪とばかりに吼えた。空気の震えが戦士たちの肌を打ち、一瞬の怯懦を生んだ。一瞬。十分すぎる隙。


 直後、ペンギンの腹部に拳がめり込んだ。何が起きたか理解する暇もなく、彼は吹き飛ばされ、地面深くへとめり込んで行った。


 デスストロークは低姿勢で駆け、今しがたコブルポットを殴りつけたドゥームズデイへと拳を叩き付けようとする。だがドゥームズデイは信じがたい速度でデスストロークへと向き直り、カウンターの蹴りを……


「っぜええええい!!」


 そこへ、ギリギリでフィンが割って入り、横に構えた槍で蹴りを受け止めた。衝撃が彼の全身を突き抜け、大きく弾き飛ばす。


 デスストロークは瞬時に判断し、流麗な動作でフィンを回避。回し蹴りでドゥームズデイの顔を狙う。


 ドゥームズデイはこれに反撃しようと、腕を持ち上げようとした。が、動かない。凍結している。コンマ数秒の遅れが生じ、ムチのような蹴りがドゥームズデイの頬を打った。


 手応え、あり。デスストロークは反動に耐えながら、姿勢を戻そうとする。だが直後、隕石のような拳が彼を直撃し、スレイドの体構造を滅茶苦茶に破壊しながら振り下ろされた。


 デスストロークは吐血にまみれながら、それを見る。ドゥームズデイの、怒りに見開かれた瞳を。所詮は焼け石に水だったか。


 しかしそこへ、電撃じみた速度で何かが飛来。それはライオンのたてがみをたなびかせながら、ドゥームズデイへ拳を叩き込む。

 エジソンである。彼は消滅しながら肉弾戦を挑んだのだ。


「う、グアァァァァァァァア!!」


 苦悶の声と共に、拳が振り抜かれる。直撃した拳は砕け、儚い光粒となって消える。だが、それでも、エジソンは最期の一瞬まで、責任を放棄する事はなかった。


 ドゥームズデイは反撃のビームを目から射出した。そのエネルギーの奔流はエジソンを直撃し、粉々に打ち砕いた。


 光の粒の残滓が舞う中、スレイドは自らを支えていた最後の魔力が消えた事を知った。もはや彼の肉体は原動力を失い、不死性のみが残る苦痛の檻と化した。


 だが、それでも、スレイドは彼が見た命の輝きに殉じると決めた。もはや人間とさほど変わらぬ肉体になり果てても、否、なり果てたからこそ、彼は起き上がる。


(見たのだ。俺は命の真実を見たのだ)


 ナパーム! 生きたまま焼かれる仲間! 右目に飛来する弾丸! 血塗れの息子! 今、立ち上がる自分の怒り! それらに何の違いがあろう? 怒る権利ならば持ち得るハズだ! 怒り、命を燃やす権利ならば!!


 デスストロークは地面に手を突き、叫びながら起き上がる! フィンも体勢を立て直し、ドゥームズデイへと飛び掛かる。だがもはや、残った数人だけでは何の時間稼ぎにもならない事は明白であった。


 そんな中、カルナとアルジュナは、戦況が絶望的であると知りながらも集中を深めて行く。



615 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:37:00.63 ID:69VCOY9o0



カルナ「……」ゴゴゥッ、ゴゴゴゴゴゥ……

アルジュナ「……」バチチチィ……バチ、バチバチバチ……


アルジュナ「……あの日、不本意でもお前を射った」バチバチバチ……

カルナ「……」ゴゥゥゥ……ゴゴゴゴゥッ……

アルジュナ「神々がお前を弱らせていると知りながらも、それでも弓引いた。そうして、お前を殺した。カルナ」バチバチバチバチィ、バチバチバチ……

カルナ「……知っている。覚えている」

アルジュナ「私はあの日の出来事を、クリシュナ(黒)のせいにしてきた。己の中に潜む黒のせいに」

カルナ「そうか」

アルジュナ「だからこそ、私はもう一度貴様を殺す。やり直しが効かぬのは承知している。だが、それでも……それでも、私は『これ』と向き合わねばならないのだ」

カルナ「……俺としては、お前が鈍っていないのを願うばかりだ」

アルジュナ「……フン」バチチチチチチチチィ!!



ペンギン「おいっ、まだかかるのか!」ズリズリ


カルナ「……まだだ。まだ、掛かる……」ゴゴゴゥッ、ゴゴゴゴ……

アルジュナ「……」バチバチバチチチチチチチヂヂヂヂヂヂ……!!!



616 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:37:39.32 ID:69VCOY9o0


ドゥームズデイ「……」ブォンッ

デスストローク「ぐおぉぉ……っ」ゴシャシャシャシャァ……

フィン「くっ、フリーズ殿!」

フリーズ「待て、今撃つ!」ビィィィィィ……

ドゥームズデイ「……」パキィッ……バキン、ドシドシ

フィン「くっ、この怪物ももはや本気という事か……!」

フリーズ「フィン! 退け!」

フィン「まさか! 今や私がただ一人の近接戦闘役! 友を背に庇い、おめおめと逃げるワケにもいきますまい!」スッ

ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ

フリーズ「フィン! 本当に死ぬぞ!」

フィン「……ならば、私も所詮そこまでの……!」

???「少し落ち着いた方が良い」ポン

フィン「?? え、っと、誰でしたか……」

スーパーマン「大丈夫、間に合った。もう安心して良いよ」ニコッ


フリーズ「す……」

ペンギン「な……」

デスストローク「は……?」

カルナ「む……」

アルジュナ「なんだ、この力は……」



ドゥームズデイ「……」ジリッ

スーパーマン「安心して。世界は僕が守る」グッ


ドッッッッガァァァァァァァァァ!!!



617 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:38:09.23 ID:69VCOY9o0



「マシュッ! 宝具発動、衝撃波から全員をガードしろ!」

「はい!!」ギュォォォォォォオオッ!!!


衝撃波「「「」」」ゴォォォォオォッ!!!

マシュ「う、ううぅぅう!?」ビリビリビリビリビリッ


バットマン「エジソン! エレナ! 何処だ!!」ダダッ

ペンギン「てめえっ、バットマン!?」ビクゥッ

バットマン「コブルポット!?」

フリーズ「……お前まで来たのか、バットマン」

バットマン「ヴィクター……それに、そこに居るのは」


デスストローク「……フン、何か言いたそうだな」

バットマン「……スレイド、何故ここに」


デスストローク「下らんな。俺の願いは世界無しでは成就せん、そういう事だ」

バットマン「……」



618 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:38:35.47 ID:69VCOY9o0



スーパーマン「フンッ!」ドゴォオォ!!

ドゥームズデイ「!!」ガシィッ、ドッゴォ!!

スーパーマン「うっぐわ!?」ヒュオンッ、ゴシャァッ!!


バットマン「……詳しい話はあとだ! マシュ、ガードを解除してスーパーマンのサポートに! ビリー、ジェロニモ、ラーマ、シータ! 行けるか!」

ラーマ「ああ!」ザッ

シータ「いけます!」スッ

ビリー「オッケー!」チャキッ

ジェロニモ「行くとしよう!」ザザッ




ナイチンゲール「アナタを治療します」ガシッ

デスストローク「……恐ろしい話だな」




619 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:39:07.08 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「■■■■■■■■■■■■■■!!!」ゴォォォォォッ!!!


ビリー「ハッハー、耳元で大砲鳴らされたみたいだ! ビリビリ来るね!」

ジェロニモ「油断するなよ! ラーマ、いけるか!?」

ラーマ「無論だ! 行くぞ、クラークに後れを取るな!!」ダダッ

シータ「はいっ!!」シュパパパッ

ジェロニモ「よし! ……大地の精霊よ、この地を作りし息吹よ……!!」ググググッ


ジェロニモ(二度と誰にも汚させまい。二度と誰にも壊させまい。この地を。悠久の命根付くこの大陸を!!)


ジェロニモ「今ひと時、我に力を貸し与えたまえ!!! 『大地を創りし者』(ツァゴ・デジ・ナレヤ)!!」



ビリー「……えっと、何も起きないんだけど」

ジェロニモ「……」



―――ァァァォォォォォオオ……



ビリー「え?」


……ッ、ルドッ、ドドッ、ドドッ、ドドッ!!


大狼「グルルルァ!!」ドドッ、ドドッ、ドドッ!!


ビリー「えぇ!?」


ジェロニモ「さあ行くぞ! 恐れはいまや無用と化した!!」

ビリー「ハハ、ムチャクチャだなぁ!」


大狼「グルアァァァオオオオオオ!!!」ゴォォォオッ



620 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:39:35.76 ID:69VCOY9o0



ラーマ「せいっ!」ズバァッ

ドゥームズデイ「っ!」ヨロッ

ラーマ「やはり通用する! シータ!」

シータ「はい!」シュパパパッ

ドゥームズデイ「……!!」ドシュシュゥッ、グラリ


大狼「ガァルッ!!」ガブゥ

ドゥームズデイ「■■■■……」ガシッ、グォンッ

大狼「グラッ……」ドッシャァァァ……

ラーマ「ぬわあっ!?」ドッシャァァァ!!

シータ「ラーマ様!?」ギョッ


621 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:40:03.05 ID:69VCOY9o0



マシュ「たああっ!」ドシュゥッ

ドゥームズデイ「……」ガシィッ、ドゴォ!!

マシュ「っきゃぁ……」ドガァァァァ!!

ガシッ!!


マシュ「……って、あれ?」ピタッ

フィン「無事、でしたか?」キラリ

マシュ「あ、ど、どうも……」ペコリ

フィン「ふっ、気にする事はない。そも、花を守ろうとするのは自然な行いですから!」キラリ

マシュ「は、はあ……」



フリーズ「フィン! 悪い癖が出かかっているぞ、今は我慢するんだ!」



フィン「これは手厳しい! ではお嬢さん、後ほど!」ダッ

マシュ「は、はあ……じゃなくて、私も戦います!!」ガシャリ


622 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:40:30.06 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「■■■■■■■!!」

大狼「グルルルル……」ゴロリ、ムクッ

ラーマ「ぜえ、はあ、狼の下敷きで死ぬかと思った……」ムクリ

シータ「ご、ご無事ですか?」

ラーマ「うむ、余は平気だ!」チャキリ


ビリー「弾丸は弾かれるけど、弾丸の威力で相手の身体に圧力がかけられるね。よーし、これなら戦いようはある……!」

ジェロニモ「……よし、私も準備が整った。いざ、精霊と舞うとしようか」フーッ


地面「」ドゴォンッ


スーパーマン「おおおおおおおぉぉぉおぉぉ!!」ドッゴォォォォォォ!!!

ドゥームズデイ「■■■■■■■……!!!」ドッシャシャシャシャシャ……



623 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:41:06.57 ID:69VCOY9o0



ヒュォンッ

ドガァァァァァ!!

ドゴシャァァァァァ!!


ナイチンゲール「……」カチャカチャ、クルクル

デスストローク「……」

ナイチンゲール「……心変わりをしたものですね」カチャカチャ

デスストローク「……黙って仕事をしろ。治りゃあ戦える」

ナイチンゲール「アナタの身体の治癒力はけた外れに高い。軽い処置で完治までいくでしょう」

デスストローク「なら行くぞ」ムクリ

ナイチンゲール「……ですが、アナタの根本の病気までは治せません」

デスストローク「……」ピタッ



624 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:41:34.82 ID:69VCOY9o0



ナイチンゲール「アナタは病気です。根本の部分で、生への意味を見出せていない」

デスストローク「……」

ナイチンゲール「アナタは、死にたいと思っているのですね。自分に裁きが下される事を望んでいる」

デスストローク「ハッ、治療の次はメンタリストの真似事か? 当ててやろう、看護師。お前も病気だ。不治の病だ」

ナイチンゲール「……」

デスストローク「……お互い、絶対に手に入らないものを手に入れようと必死になっているんだろう。なら、お互い口出しは無しだ」

ナイチンゲール「……良いでしょう」

デスストローク「話の分かる女だ」

ナイチンゲール「私の事を怒っている、と言いましたね」

デスストローク「……」

ナイチンゲール「自分を棚上げするのは良くない事です」

デスストローク「ハン!」


625 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:42:16.75 ID:69VCOY9o0



スーパーマン「ぐっ、ふう……」ツー……ポタ、ポタ


スーパーマン(これは、ちょっとキツイかもしれないな。ブルースが心配するわけだ)ドサリ


ガシッ

バットマン「クラーク! 無事か!」グイッ

スーパーマン「あ、あぁ、大丈夫……というか、キミはここに居ない方が良いぞ!? 戦いの衝撃波で死んでしまう!!」ギョッ

バットマン「仲間が命を懸けているんだ、クラーク。それに私はスーツで守られている、しばらくは死なずに済むさ。さあ、手を掴め」スッ

スーパーマン「な……」


スーパーマン(何処からツッコめばいいんだ!? キミってそんなキャラじゃなかったよな、とか、しばらくは死なずに済むなんて、確証の無い事を……)


スーパーマン「……ぷっ」

バットマン「……??」

スーパーマン「は、ははははは!! ははは、は、いたたたた、傷が……!」

バットマン「こ、この大事な時に何を笑って……キミを時折本当に図りかねるぞ、クラーク」ガシッ、グイッ

スーパーマン「ははははは……あぁ、すまない。ありがとう、ブルース」ムクリ

バットマン「無事か。この程度で音を上げるキミではないな?」

スーパーマン「勿論だ。キミが立つなら、僕も立つよ」

バットマン「なら、私ももう少し踏ん張るとしよう」ニヤリ

スーパーマン「ふふ、任せろ!」ニッ



626 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:42:46.31 ID:69VCOY9o0



マシュ「たああっ!!」ゴォッ!!

ラーマ「でやああっ!!」ズバァッ!!

ドゥームズデイ「……!!」ズシャシャシャァッ

シータ「そこっ!!」シュパパパパッ

ビリー「くたばれ!!」タァンタァン、タァン!!

大狼「グルォァアアウッ!!!」ドシィッ!!

ジェロニモ「せやっ!!」シュババッ!!

ドゥームズデイ「■■■■■■……!!!」ドシ、ドシィ、グラァ……


フィン「これが最後の、魔力だ……!!」ギュィィィィィィイイイッ!!

フィン「『無敗の紫靫草』(マク・ア・ルイン)!!」ズバシャァァァァァァァァ!!!


高圧水流「」ピシァァァァァアアアアア!!!


ドゥームズデイ「!!」バッ、ドシャシャシャシャ、ズシィ



627 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:43:13.06 ID:69VCOY9o0



カルナ「……いけるか」ゴゴゴゴゥ……

アルジュナ「いける」バヂヂヂヂヂヂヂィ……

カルナ「コブルポット。いけるぞ」ゴゥゥ……


ペンギン「よし、やっとだ! テメェら全員、そのデカブツの動きをできるだけ長く止めろ!! デカいのを撃つぞ!!」


フィン「フリーズ殿!!」シュウシュウシュウ……

フリーズ「フィン!!」

フィン「私の最後の魔力です! どうか有効に!!」シュゥゥゥゥゥ……

フリーズ「……!!」ガシャリ


フリーズ(フィン・マックール。愛と武勇に生きた騎士。私はお前を忘れないだろう……!)キュイィィィィィィ!!


フリーズ「怪物め……!」

フリーズ「動くなァァァ!!(Freeeeeeeeeeeeeze!)」ギュオォオォォォォオオオオオォォォ!!!


628 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:43:47.95 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「!!」バキバキバキィィィィ……ン

スーパーマン「うおおおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!!」ガシッ、グググググ……

ドゥームズデイ「……!!」グググググ……

スーパーマン「僕なら大丈夫だ! その『デカいの』を撃ってくれ! 早く!!」グググググ……



カルナ「行くぞ、アルジュナ」フワリ

アルジュナ「……ああ」スッ



629 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:44:17.08 ID:69VCOY9o0



 アルジュナは弓を構え、電撃迸る矢を弦へ番えた。そうして、空中、燃える太陽じみて力を発するカルナへと狙いを定める。


 アルジュナは生前、卑怯な方法でカルナの命を奪った。めぐり合わせとはいえ、神々の思し召しとはいえ、それは卑怯であり、アルジュナの心に深い傷を残した。


 そして今、アルジュナはまたしてもカルナを殺そうとしている。だが、彼の矢じりが震える事は無かった。


(ならば、それが結果ならば、立ち向かうほかあるまい。それが取り返しのつかぬ一線であり、消せぬ罪であるというのなら……)

「己を受け入れろ」


 アルジュナは目を見開き、空中に浮かぶカルナを見た。太陽のような存在は、燃えながら、微笑みながら、あの時のようにアルジュナを見ていた。


「己を受け入れろ。英雄よ」
「……全く、貴様は度し難いほどに憎たらしい奴だ」


 アルジュナは思わず歪んだ笑みを浮かべ……そして、全身全霊を込めた一矢を、太陽を射落とす最高の一矢を放った。


 それは雷めいて空を翔け、過たずカルナの胸を刺し貫いた。カルナはそれを受け入れるかのように両手を広げ……そして、燃える炎の中に飲まれて行った。


 アルジュナはもはや全魔力を込めた一矢により存在を保てず、光とともに消えて行く。カルナもまた、その一撃を受け、炎の塊となりながら燃え尽きて行く。


 だが空中の炎塊は消えない。それどころか、あたりに雷を撒き散らしながら、もっと大きくなってゆく。まるで本物の太陽じみて、大きく、強く、そして深く。


 太陽は『射落とされた』。標的めがけ、その強大な力の塊はゆっくりと落ちて行く。ドゥームズ・デイへと。


630 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:44:43.41 ID:69VCOY9o0




「うぅぅぅぅぅぅうおおぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」


 スーパーマンは吼えながら、ドゥームズデイを拘束する力を強める。だがドゥームズデイも必死である。己を阻む氷塊と格闘しながら、スーパーマンを押しのけようと力を込める。



 その間にも、ジリジリと太陽が迫る。ドゥームズデイはとうとう氷塊を破壊し、スーパーマンを叩き伏せようと拳を振り上げる。

 だが、そこへ、宝具を解放したマシュが突っ込んだ。全身を光の防護で覆い、ドゥームズデイの片手を塞ぐべく決死の突進を行う。


 ドゥームズデイは煩わしげに片手で払おうとする。そこへ、ラーマが剣を振り抜き、ジェロニモと大狼が加勢する。三人と一匹でようやく一つの腕が止まりかける。


 太陽が迫り、ドゥームズデイの背中が焦げ付き始める。破滅が、近い。


「■■■■■■■!!」


 しかし、ドゥームズデイは目を光らせ、全エネルギーで拘束に対抗する。マシュ達が圧され、スーパーマンですらあまりの力に目を見開く。


 そこへ、ビリーが銃を連射し、ラーマの剣を、ジェロニモのナイフを、マシュの盾を後押しし始める。


「■■■■■■■……」


 そんな努力をあざ笑うかのように、ドゥームズデイの両目が激しく発光を始める。だが、


「撃て! 目だ!」


 バットマンの声が響くと同時に、シータの矢が、ペンギンの弾丸が、それぞれドゥームズデイの両目に命中し、閉じさせてレーザーを封じ込めた。


 ドゥームズデイは今の戦況を、こうなった理由を、己の慢心を探ろうとした。だがその時すでに、彼の背中を太陽が呑み込んだ。


「やった……」


 一瞬の気のゆるみ。そこを突かれ、まずラーマが弾き飛ばされた。

「ラーマさッ」
「■■■■■■■!!!」
「キャインッ!?」


 そして、マシュ、ジェロニモ、大狼が吹き飛ばされる。


「なんて化け物だ……!!」


 スーパーマンは肌を焼かれながら、その怪物を見上げた。背にプラズマ太陽を背負い、全身を燃やしながら、それでも敵意と憎悪を止めぬ怪物を。


「なすすべはないのか……」


 バットマンですら絶望しかけた、その時。遠くで発砲音が響いた。



631 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:45:34.83 ID:69VCOY9o0



 『その発砲』の直前、デッドショットは最適な着弾ポイントを探す必要があった。その一発は最高の一発でなくてはならず、そして世界を救う一発でなくてはならないからだ。


(おいおいおい、頼むぞ。悪党ですら世界を救う気になってんだ、ヒーローが負けてんじゃねえ)


 刻一刻と悪化してゆく状況を俯瞰しながら、デッドショットはスナイパーライフルを組み立てる。そして、作業を終え、スコープを覗き込み、そして、……そして一瞬、祈るように目を閉じる。彼の娘を想う。


(すまねえ)


 デッドショット。死の射撃。だが彼は、フロイド・ロートンでもある。だからこそその瞬間、彼は謝罪する。そうして、付け加えるように思考する。


(……おい、世界最高の暗殺者。同業者なら、ちったあ根性見せろよ……!)


 直後に、『それ』は撃ちだされた。




 ――全員が、その発砲音を聞き、意識を一瞬そちらへ向け、何が射出されたのかを見た。


 発射されたのは、緑に光る槍だった。バットマンは察する。アレはクリプトナイト製の槍であると。

 戦場へと走るデスストロークは、苦笑いの後に唇を引き結ぶ。アレは『自分宛て』だ。


 槍は正確にデスストロークの頭上へと飛来した。死の傭兵は走りながら跳躍し、それを掴み、破滅へと飛び掛かった。

 そして、クリプトナイトの槍を、ドゥームズデイの胸へと突き刺した。

「悪党の力も必要だろう」
「……」

 スーパーマンは驚きに目を開く。ドゥームズデイは吐血する。


「■■、■■■■■■■!!」

「ぐ、ううぅ!!」

 ドゥームズデイが苦痛に怯む。一方、スーパーマンも無事ではない。クリプトナイトはただその存在だけで彼らに悪影響をおよぼすのだ。


 両者の力が減じ、均衡は破られないかに思われた。しかし、スーパーマンの背後から、マシュが突撃した。マシュの光の防護の内側から、ジェロニモが、ビリーが、ラーマが、シータが、バットマンが突撃した。それが違いだった。


 ドゥームズデイはもはや抵抗する力もなく、よろめき、プラズマ太陽の中へと後退って行く。デスストロークは緑の槍を突き刺したまま、踏ん張ってドゥームズデイを押し込んで行く。

「スレイド! 戻れ!」
「断る」


 素っ気なく言い放ち、デスストロークはクリプトナイトの槍と共に太陽の中へ沈んで行く。ドゥームズデイは苦悶し、地獄から這い出ようともがく。しかし槍が、それを許さない。


「念のためだ。化け物と死ぬのは、化け物の宿命だな」


 ひとりごち、デスストロークは更に踏み込む。彼は全身が焼かれるのを感じながら、一瞬だけ、家族の幻影を見た。


(これがお前の怒りか)


 誰に向けた懺悔だっただろうか。スレイド・ウィルソンはようやく心からの笑みを漏らし、……直後に、太陽ごと、二人の化け物は消滅した。



632 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:46:19.32 ID:69VCOY9o0




聖杯「」カラン……


バットマン「……やっ、たのか」フー、フー

スーパーマン「ふう、ちょっと、きつい相手だったな」ドサリ

マシュ「聖杯、確認。回収します」ゼエゼエ



フリーズ「……終わったか」シュウシュウシュウ……

ペンギン「カハハ、俺のおかげだ。知ってたか?」

フリーズ「置物ペンギンめ。手柄を誇張する事にだけは長けているな」シュウシュウシュウ……

ペンギン「フン、ここにはナマイキな野郎しか居ねえな……」シュウシュウシュウ……

ペンギン「……あー、なんだ? 俺の身体はどうなってる……」シュウウウゥゥゥゥゥゥ……

フリーズ「……成程、そうなるのか」シュゥゥゥゥゥ……


633 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:46:48.51 ID:69VCOY9o0



ビリー「ふう、ようやく終わりかぁ。次はもっと気ままに遊んで襲って、って感じにやりたいなあ」シュウシュウシュウ……

ジェロニモ「私の故郷でそれは許さないぞ、ビリー」シュウシュウシュウ……

ビリー「ちぇー、冗談だよ。半分はね。……ブルース、一緒に戦えて良かった。また何処かで」シュウウウゥゥゥゥゥゥ……

バットマン「……ああ、また同じ側でな」

ジェロニモ「ふふ、私もまたキミ達と出会えるだろうかな。精霊の導きは気まぐれだ」シュウシュウシュウ……

バットマン「……旅を続けていれば、また必ず会う日が来る」

ジェロニモ「ああ、その答えは気に入った。今度使わせてもらうよ、ははは……」シュウゥゥゥゥゥ……


634 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:47:15.32 ID:69VCOY9o0



ラーマ「……ふむ」シュウシュウシュウ……

シータ「あ……」シュウシュウシュウ……

ラーマ「……そう悲しそうな顔をするな、シータ。こうして一度、我らは出会った。ならば、二度目は遠くない」

シータ「……はい……」

ラーマ「……次に会ったなら、今度はもっとゆっくりしよう。二人で茶を飲み、甘味を楽しみ、心行くまで共に語らおう。お前のために歌を作るのも良い。きっと、そうしよう」

シータ「!! ……か、必ずですよ?」シュウゥゥゥゥゥ……

ラーマ「ああ……きっとだ」シュウゥゥゥゥゥ……



635 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:47:42.04 ID:69VCOY9o0



ナイチンゲール「ご苦労さまでした」スタスタ

バットマン「世話になったな、フローレンス」シュウシュウシュウ……

マシュ「私達はあまり長く、この世界に留まれません。もう、行かねば……」シュウシュウシュウ……

ナイチンゲール「……ええ、そうなのでしょう。ですが、これだけは。まず、毎回の外出が終わり、室内へ戻った時は手洗い・うがいを忘れず。室内にこもりがちな作業の時は換気を。何かものを食べる時は、手を洗うように。殺菌に余念なく、傷口を洗うのは迅速に」

バットマン「あ、ああ、……うむ……」

マシュ「そ、そうします……」

ナイチンゲール「……それから、決して死なない事。良いですね」

バットマン「……」

ナイチンゲール「良いですね?」ガシッ

バットマン「……約束する」グッ

ナイチンゲール「ならばよいでしょう」パッ


636 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:48:11.51 ID:69VCOY9o0



スーパーマン「あはは、なんだか言いたい事はだいたい言われてしまったな……なあ、ブルース、キミはリーダーに向いてないと言ってたかな?」

バットマン「ああ」

スーパーマン「……ふふ、キミに鏡を見せてやりたいよ」

マシュ「(深い頷き)」

バットマン「……どういう、」

スーパーマン「おや! そろそろ時間切れか、全く思うようにならないな!」

バットマン「……」シュウシュウシュウ……

スーパーマン「……バットマン、正義はひとつじゃない。キミになら、出来るよ」

バットマン「……分かっている」シュウゥゥゥゥゥ……

スーパーマン「まあ、だろうね。……彼の事、よろしくたのむよ」

マシュ「あっ、は、はい! 任せて下さい!! あとよろしければ、盾の裏側にサインを……」シュウゥゥゥゥゥ……


637 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:48:39.87 ID:69VCOY9o0



スーパーマン「……やれやれ。一仕事終わったな」ググッ

ナイチンゲール「動かないでください。治療を開始します」ガシッ

スーパーマン「え、本気か? もう戦わなくて良いのに」

ナイチンゲール「平和を楽しむ体を残さず、何のために戦うのですか」カチャカチャ

スーパーマン「……確かにね」ポリポリ



638 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:49:07.61 ID:69VCOY9o0



………………


デッドショット「……」ドサッ


デッドショット(どうだよ、エリザベート。あの世で見てやがったか、これを)シュウシュウシュウ……


ハートガチクチク アイアンメイデン……


デッドショット「……」チラ



子供の集団「」キスノアラシトシャレコムノ……



デッドショット「……ハッ」シュウゥゥゥゥゥ……


デッドショット(まあ、悪くなかったと言える出来だろ?)



639 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:49:51.48 ID:69VCOY9o0



第五章


北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム


生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト

死者 無し



640 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/05(日) 03:50:25.59 ID:69VCOY9o0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2019/05/05(日) 08:36:50.94 ID:FaWDZooU0


この世界のバットマンとスーパーマンの知名度の差...
まぁ確かにブルースは目立ちたがり屋では無いけどさ...
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 09:01:31.22 ID:qME01EVA0
乙、メイヴ生き残ったのか
スーパーマンとバットマンはやってることが真逆だから仕方ないよね

これの亡きF先生のパロ地味に有名だよね
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 15:02:20.02 ID:J+Wglt22o
恐怖を与えるためにはバットマンは噂話というか都市伝説のような存在であるべきだからな
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 15:36:46.37 ID:ZXUX/1bAO
ジャスティスリーグで勲章もらった時思い切り姿出してなかったか?
645 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:33:47.01 ID:blXc9I6X0


………………

ピピピ!! ピピピ!!

ブルース「……」ムクリ

ブルース「……」チラ

時計『06:00』ピピピ!! ピピピ!!


ブルース「……フー」ググッ、ムクリ


ドア「」コンコン


ブルース「入って良いぞ」

「失礼します」スタスタ


ドア「」ウィーン

マシュ「おはようございます、マスター」

ブルース「ああ、おはよう」スクッ


646 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:34:16.80 ID:blXc9I6X0



………………


レオナルド「……」チュィィィィィィィィ……


電灯「」チカチカ、パッ


レオナルド「……ふー。よしよし、これでC区画の電力は復旧したね」

マシュ「おはようございます、ダ・ヴィンチちゃん!」

レオナルド「おや、おはよう。二人とも朝早いね」

ブルース「ああ、おはよう。カルデアの復旧作業の進捗はどうだ?」

レオナルド「7割ってところかなぁ。ベインのヤツ、何処を破壊すれば効率的かよく把握してたらしい」

ブルース「……しかし、襲撃直後よりはかなりマシになったな。復旧、残るはあと1区画のみか」

レオナルド「もうすぐ終わるよ、大丈夫。そういえば、二人とも今日は休息日だったかな?」

マシュ「はいっ!」ニコニコ

レオナルド「ふふ、楽しむと良い。大事なのはメリハリだ、ちゃんと休んでね」

ブルース「ああ、ありがとう」


647 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:34:44.59 ID:blXc9I6X0


マシュ「どうしましょうか、マスター!」ニコニコ

ブルース「私は図書館で過ごす。ではな」スタスタ

マシュ「えっ」ガァン

ブルース「……どうした?」クル

マシュ「いっ、いっしょ……」

ブルース「……イッショ?」

ドクター「やあブルースくん、マシュ! 廊下の真ん中で向かい合ってどうしたの?」スタスタ

ブルース「……??」

マシュ「……イッショ……」

ドクター「……ホントにどうしたの?」


648 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:35:11.62 ID:blXc9I6X0



………………


職員C「それはブルースさん、気持ちを汲まなきゃダメッスよ」

職員B「そうですよー。言葉に出さなくても分からなきゃ」

職員A「それが信頼関係ってものでしょう」

ブルース「……そうなのか」

ドクター「まあ、マシュも苦労するよね……」

マシュ「……」モジモジ

ブルース「……悪かった、傷付ける意図は無かったんだ」


職員達(((だから厄介なんだよ!)))


ブルース「今日は何がしたい、マシュ。お前に付き合おう」

マシュ「え、えっと、マスターがしたい事が良いです……」モジ

ブルース「……」


ブルース(……マシュが休む事が出来て、なおかつ私のやりたい事だと……?)ジッ


ドクター「そ、そんな真剣に考えこむとこなの?」

ブルース「……ドクターならどうする」

ドクター「え? ええっと、そうだな……」


649 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:35:40.77 ID:blXc9I6X0


………………

〜レクリエーションスペース〜


テレビ「」グワハハハハ、カンネンセイ!!


マシュ「映画を観るのは初めてです!」キラキラ

ブルース「初めて?」

マシュ「はいっ、これみたいな長編の放送プログラムの事ですよね!」

ブルース「まあ……間違いではない。ポップコーンが余っているぞ、食べるといい」ガサ

マシュ「ありがとうございます!」パァァァァ


………………


テレビ「」ガッズィーラ……


マシュ「こ、怖い怪獣ですね……」ビクビク

ブルース「そうだな。放射線を浴びたからといって、イグアナがああなるとは考えられんが」

マシュ「でもこんなに強くて脚が速いんですよ!? もし本当にこんなのが出たらどうすれば……」


ブルース(……ディックと映画を観た時の事を思い出すな……)


ブルース「……確かに、対処は困難を極めるだろうな」

マシュ「ですよね!?」


650 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:36:10.31 ID:blXc9I6X0


テレビ「」バーラムユー バーラムユー

マシュ「うぅっ、子豚さんの想いが……」

ブルース「豚が喋る世界か……」

マシュ「動物さんは皆お互いに語り掛けているのかもしれませんね……人間に聞こえていないだけで」

ブルース「それは動物学上の観点から……いや、ゴホン、そうかもしれないな」

マシュ「可愛いです……」

ブルース(……明日の朝食がベーコンなのは黙っておこう)


………………


テレビ「」ヤツニハ「ミャク」ガナイトイエ!!

マシュ「スパイってかっこいいですよね……」

ブルース「スパイか……私も何度か相手にした事があるが、連中は手強いんだ」

マシュ「ああいうお洒落さには憧れます……」

ブルース「何事にもああいった余裕は必要だな」


………………


テレビ「」ヒトノホンシツハ、コウドウデキマル

マシュ「……」

ブルース「……」

マシュ「……この人、マスターに似てますよね?」

ブルース「……何の話だ」



………………


テレビ「」クルー、キットクルー


マシュ「……」ビクビク

ブルース「……マシュ、あまり腕にしがみつくのは」

テレビ「」キャァァァァァァァァ!!

マシュ「きゃあああああああ!!!」グググググググ

ブルース「マシュ、落ち着け! マシュ!!」グググググググ


ドクター「おーい、晩御飯だから呼びに……って、ちょっと!? マシュ、いくらブルースが鈍いからって殺すのは……ちょっと!!」


651 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:36:38.76 ID:blXc9I6X0


………………

〜食堂〜


所長「遅かったわね」

ブルース「すまない」

所長「別に、良いけど。休めたかしら?」

マシュ「はいっ、しっかり休みました!」

所長「なら良いわ。今日も全員揃ったわね?」

職員A「はい」

職員B「居ます」

職員C「ウッス!」

ドクター「揃いましたね」

レオナルド「居るよ〜」

所長「では、今日もご飯を食べられる事に感謝して。頂きましょう」


652 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:37:09.00 ID:blXc9I6X0



カチャカチャ、カチャカチャ

職員A「久々の牛肉ですね」

所長「ええ。味わって食べなさい」

レオナルド「うまく再現出来てるか不安だけど、どうだい?」

職員B「とっても美味しいです!」モグモグ

レオナルド「ははは、良かった!」

職員C「うめえ……うめえ」ガツガツ

ドクター「のどに詰まらせるぞぅ、水は十分かい?」



653 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:37:37.50 ID:blXc9I6X0



マシュ「美味しいですね、マスター」

ブルース「ああ、とても良い味だ。……今日はゆっくり休めたか、マシュ」

マシュ「はいっ、楽しい休日で……した……?」

ブルース「……? どうした、ま……」

マシュ「……」ドサッ

ブルース「!? マシュ!?」


ドクター「どうした!?」

レオナルド「何があった、ブルース」

ブルース「分からない……マシュ、聞こえるか!? マシュ!?」ユサユサ

マシュ「……」グタッ

所長「っ、ロマニ! 早く治療室へ! 所員達は担架を用意しなさい! 急いで!」

職員A「は、はい!」

ブルース「マシュ……マシュ! マシュ!!」

マシュ「……」



654 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2019/05/06(月) 08:38:05.37 ID:blXc9I6X0



第六章

神聖円卓領域 キャメロット
655 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:39:32.32 ID:blXc9I6X0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。

メイヴは消滅させたつもりだったのですが、私の描写力不足が原因で誤解を与えているかもしれませんね……
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 02:38:12.20 ID:C2GCXxpco
いや、普通判るから気にすんな
見落としにまで一々気を使ってたら精神力持たないぞ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 20:26:28.26 ID:Hk2TEWCYO
あー……そういえば6章はその前にマシュの真実が語られるシーンがあったな……
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 15:28:30.92 ID:+ROhUZ4A0
おつおつ!
5章最後、敵味方入り交じっての総力戦ってやっぱりシビれる……みんなよかった(コナミ
マシュと映画見るブルースさんにほのぼのしてたら急展開に震えてるぜ
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/10(金) 20:12:36.79 ID:l64krlNl0
多分、ジョーカーにまた人間から怪物に戻されるんだろうなぁ
660 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:39:39.61 ID:RF0g7SSA0


………………


扉「」ガチャリ


ドクター「……」スタ、スタ

ブルース「……ドクター」

ドクター「ブルースくん」

ブルース「マシュは。無事なのか」

ドクター「ああ、今は安定してる。……少し、彼女の事について話そう。皆も知る必要があるから、管制室で」

ブルース「……」



661 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:40:06.64 ID:RF0g7SSA0



………………


職員A「ドクター、マシュは大丈夫なんですか?」

職員B「マシュちゃん、もう目は覚めましたか?」

職員C「アイツ、無理してたんじゃないんですか!?」

所長「落ち着きなさい、全員よ。……ロマニ、こうして集めたって事は、大事な話ね?」

ドクター「……はい、かなり大事な話です。今後のレイシフトの運用にも関わって来る」

レオナルド「なら、皆座って。落ち着かなきゃ、話も聞けないよ」

ブルース「……」


662 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:40:36.23 ID:RF0g7SSA0


ドクター「今回のマシュの急な昏倒の原因について、先程ようやく解明が済んだ」

ブルース「……」

ドクター「……彼女の魔力回路を精査した結果、マシュの肉体は『サーヴァント化』による急激な消耗の下にあったようだ。彼女、大分無理をして戦ってたみたいだ」

ブルース「……」

所長「……」

ドクター「恐らくそれは、寿命を削って戦うのと同じ意味だ。……彼女は文字通り、命を燃料のように扱って戦っていたのだと思う。今回の昏倒は、その反動だ」

レオナルド「ふぅーむ……」

ドクター「こんなところだよ。彼女には、この理由はまだ知らせていない。……そこで重要になってくるのが、」

ブルース「マシュを、次の特異点攻略に参加させるか否か。という事だな」

ドクター「……うん、そうなる」



663 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:41:03.02 ID:RF0g7SSA0




職員A「現実的ではないですね。次の特異点で昏倒が起きたなら、それは致命的な隙になる」

職員B「で、でも、マシュちゃんはずっとブルースさんの隣で戦って来て……」

職員A「感情で世界の命運を左右するわけにはいかない……お前はどう思う?」

職員C「お、俺? 俺は、その……分からない」


所長「……」

ドクター「僕も、正直、あの状態のマシュを特異点攻略に向かわせるのは賛成しかねる。彼女の身体はとうに限界と言って差し支えない」

レオナルド「しかし、今や彼女はカルデアに欠かせない戦力の一人だ。カルデアの復旧もまだ十全じゃない。新たなサーヴァント召喚も出来ないような状態で、ブルース一人を特異点に向かわせるのこそ現実的ではない」

ブルース「では、カルデアの復旧を完璧にしてから新たなサーヴァントを呼べばいい。私も、今のマシュを出撃させるのには反対だ」

所長「……けど、いつ敵の人理焼却準備が整ってしまうか分からない現状、素早い解決が求められるわ。それに、カルデアごと虚数空間を漂ってるこの状態も、正直言って望ましくない。長期の漂流が、人体にいかなる影響を及ぼすかも分からないのに」


664 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:41:29.53 ID:RF0g7SSA0



ブルース「では、彼女が死にかけているのをおしてでも、死地に向かわせるという事か」

所長「そうは言ってないわ……」

レオナルド「ブルース、冷静になってくれ。キミはそれが得意だったハズだ」

ブルース「私は冷静だ。いいか、現実的でないというのなら、いつ倒れるか分からない仲間を柱にして戦う事ほど現実的でない策はない」

所長「でも、このままじゃどうにもならないわよ」

ブルース「必要ならば、私一人で行こう」

レオナルド「それこそ現実的ではない。やはり冷静ではないね」

ブルース「ならどうしろというんだ。マシュを無理に連れ出し、死んでゆくのを後ろから見ていろとでも……!」


扉「」ガタッ


職員達「「「!!」」」

ドクター「え!?」クルッ

ブルース「!」バッ


マシュ「……」ヨロ、ヨロ……

ブルース「……マシュ」


665 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:41:58.72 ID:RF0g7SSA0



マシュ「ます、たー……」ヨロヨロ

ブルース「マシュ、何故……」タタッ、ガシッ

マシュ「マスター……」ヒシッ

ブルース「……ドクター、これは……」

ドクター「ま、マシュ、キミは安静にしてなきゃ駄目なのに……麻酔も打ったし、眠ったとばかり……」

マシュ「マスター、私、戦えます。歩いてます、今も、歩けます」ヨロヨロ

ブルース「マシュ、しかし……」

マシュ「戦えます、大丈夫です、お願いします……置いて行かないでください、戦えます……」

ブルース「……」

レオナルド「……マシュ、とにかくキミは休まなくちゃ。不安にさせてすまないね、きっとキミの意見も反映させるよ」ポン

マシュ「……」グタッ

ブルース「……」

ドクター「……気絶、した?」

レオナルド「元々、麻酔で意識が朦朧としてるのに歩いてきたんだ。無茶をするよ……」


666 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:42:41.69 ID:RF0g7SSA0




所長「……皆、今日はあまり冷静ではないわね。時間も遅いし、休んで明日これを協議するものとします。良いわね」

職員A「……はい」

職員B「はい……」

職員C「……分かりました」

ドクター「……」

レオナルド「……」

ブルース「……」


667 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:43:09.38 ID:RF0g7SSA0


レオナルド「……マシュを運んで来るよ。今日はキミもゆっくり休んでくれ、ブルース」

ブルース「……ああ、すまない」

レオナルド「謝る事じゃないさ。……また明日にね」スタスタ

ブルース「……」


668 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:43:41.58 ID:RF0g7SSA0


………………

時計「」カチ、カチ、カチ、カチ


ブルース「……」


時計「」カチ、カチ、カチ、カチ


ブルース(……マシュをもっとよく観察していれば、気付けただろう。当然彼女が無茶をしているという事に)

ブルース(デスストローク。クー・フーリン。ドゥームズデイ。無茶をしない訳がない。分かっていたハズだ)

ブルース(……マスターだと? 笑わせる、その資格すらない……)


時計「」カチ、カチ、カチ、カチ


ブルース(結局、こうなる。ディックも、ジェイソンも、ティムも……壊れる寸前まで負担をかけて、ようやく気付くんだ。マシュも)



ブルース「……ふー……」


ブルース(言われた通り、冷静ではない。少し頭を冷やしに行こう)スクッ


669 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:44:13.31 ID:RF0g7SSA0



………………

ブルース「……」スタスタ


ブルース(……)


(((マスター、私、戦えます)))


ブルース「……」


ブルース(……信じるとは、どういう事だったか……)


670 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:44:40.75 ID:RF0g7SSA0



自動ドア「」ウィーン

ブルース「……」スタスタ

職員C「……あ」

ブルース「む」

職員C「ど、どうも」

ブルース「……すまない、邪魔だったか」

職員C「いえ、そんな事はないッス……ですよ」

ブルース「……そうか」


671 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:45:22.17 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……」

職員C「……」

ブルース「…………」

職員C「…………」

ブルース「………………」

職員C「……ぶ、ブルースさんも、眠れなかったんスか?」

ブルース「……そうだな。キミも?」

職員C「俺、その……はい、俺もッス」

ブルース「……そうか」

職員C「……」


672 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:45:52.58 ID:RF0g7SSA0



(((お願いします……置いて行かないでください)))


職員C「……あんなの見ちゃったら、眠れないッスよ……」

ブルース「……そうだな」

職員C「……皆、自分の意見っていうか、自分の根っこを持ってるし。しっかりしてるし、俺なんかが此処に居て良いのかって、時々思っちゃいます」

ブルース「いつも助かってる。キミ達のサポート無しでは、ここまで来れていないだろう」

職員C「……そう、ッスかね」

ブルース「そうだ」

職員C「……」


673 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:46:21.35 ID:RF0g7SSA0



職員C「……俺、」

ブルース「……」

職員C「俺、実は、世界が炎に包まれた最初の頃は、諦めてたんです。もう世界は焼かれたのに、どうして一生懸命にならなきゃダメなんだ。どうせ死ぬんだから、諦めりゃあ良いのにって」

ブルース「……」

職員C「でも……アナタが来た。黒いスーツ着て、死ぬなんて恐怖、まるでないみたいにコフィンに入って行った。俺、理解出来なかったッス。今でも出来てないんスよ」

ブルース「……」

職員C「……でも、最近、ようやく分かって来たんです。マシュもブルースさんも、きっと、未来とか、相棒とかを信じてるから強いんだって」

ブルース「……どうかな」

職員C「俺はそう思います。……だから、マシュの想いの強さが、俺は怖い。死なんて怖がらないほどの強さは、きっと、諸刃の剣です」


674 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:46:55.57 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……キミはよく見ているな」

職員C「ははは……観測してたら、自然と分かって来ます。俺、シバのレンズ係だし」

ブルース「そう、だな。マシュはきっと、死も恐れていない」

職員C「……」

ブルース「……だが、世界には、死ぬより恐ろしい事など山ほどある」

職員C「想像つかないっすよ」

ブルース「たとえばそれは、手が届かない恐怖だ。何か行動を起こせるハズの場面で、手を伸ばす事すら出来ないのは、想像を絶する苦痛だ」


ブルース(ああ、そうか。マシュ、私とお前はよく似ているな)


ブルース「……きっと、分かる時が来る」

職員C「……」


675 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:47:36.35 ID:RF0g7SSA0



職員C「時々、ブルースさんが分からなくなるッス」

ブルース「私も、自分が分からなくなる。……話し相手になってくれてありがとう、私は休むよ」

職員C「おやすみなさいッス」

ブルース「ああ、おやすみ」スタスタ


職員C「……死ぬより怖い事、か」

職員C「……」

職員C「……分かんねえよ……」


676 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:48:15.16 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……」スタスタ


ブルース(理性は、やめた方が良いと叫んでいる。分かっている。マシュを連れて行けば、彼女への負担は計り知れない。元々短い寿命を、薪のように使っているんだ)

ブルース(……しかし、感情は彼女を連れて行くことを支持している。全く鈍ったものだ)フー……


ブルース「……これを望んだのは、お前自身だ。マシュ・キリエライト」


ブルース(やりようは、いくらでもあるさ。覚悟するんだな)

677 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:48:58.61 ID:RF0g7SSA0



………………


マシュ「……」パチリ


時計『07:00』ピピピ! ピピピ!


マシュ「……ここ、は……」ムクリ


扉「」コン、コン


「入っていいか」


マシュ「マスター? ど、どうぞ……」ムクリ


ガチャリ

ブルース「目覚めたか。調子はどうだ」

マシュ「だ、大丈夫です。あの、何がどうなっているのか……昨日の記憶が無くて」

ブルース「これから説明する。理解しろ」


678 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:49:42.55 ID:RF0g7SSA0



………………


ブルース「……という訳だ。今、お前を特異点に連れて行くか行かないかで意見が割れている」

マシュ「そ、そんな……私は大丈夫です!」

ブルース「だが、現実的な話、お前は無茶をしていた。それに気付けなかった私にも責任はあるし、報告を怠ったお前にも責任はある」

マシュ「……」

ブルース「……お前は、戦いたいか。マシュ」

マシュ「私……私、戦いたいです。だって、そうじゃなきゃマスターを守れない……」

ブルース「なら立て。シミュレーションルームへ行くぞ」

マシュ「えっ」


679 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:50:34.48 ID:RF0g7SSA0


ブルース「つまるところ、無理をせざるをえないお前の実力の不足が原因とも言える。まだトレーニングの期間はある」

マシュ「つ、つまり?」スクッ

ブルース「お前を鍛え上げる。無理をする余地も残らないほどに、極限の戦士になってもらう」

マシュ「きょ、極限の……」

ブルース「それはもはや膂力だけの話にはとどまらない。……お前には私を超えてもらう。そうでなければ、次の特異点攻略には連れて行けない」

マシュ「……!!」

ブルース「やるのか。やらないのか。どちらだ、マシュ・キリエライト」

マシュ「やります! やらせてください!」

ブルース「ならば、来い。泣き言は一切受け付けないぞ」


680 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:51:22.62 ID:RF0g7SSA0


………………

ブルース「……」ピッピッピッ

コンピューター『カルデアサポートシステム、起動。対象の魔力回路を確認中』シュォォォォォォォ……


ピーンポーンパーンポーン

館内放送『おぉーい、ブルースかい? ちょっと、そのサポート機能は未調整なんだけど』

ブルース「もしもし、レオナルド。シミュレータールーム内ならなんとかいけないか。マシュを鍛えたい、私もサーヴァント並の身体能力にならねば」ピッピッ

レオナルド『うーん……わかった、短波に変換してやってみよう。ダメ元だし、身体への負担は半端じゃない。もし成功しても馴染むまで苦痛だろうけど、ホントに本気?』

ブルース「私は常に本気だ」

レオナルド『まあ、知ってたよ……オッケー、調整完了。サポート魔力を回すよ』ピピピッ


シュォォォォォォォ……

ブルース「ぐっ……!!」ミキミキミキミキ……

レオナルド『キミの身体機能も観測を開始した。……うーん、結構負担かかってるな』

ブルース「……いや、この程度の痛みならばたいした事はない。このまま訓練に移行する」ミキミキミキ……

レオナルド『本気? ……まあ、こっちはデータがとれるから良いんだけど』



681 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:51:49.94 ID:RF0g7SSA0




ブルース「マシュ、構えろ。この状態の、フー、私を打ち倒してみせろ……」ミキミキミキ……

マシュ「……」ガシャリ

ブルース「良いか、手加減は無用だ。私はお前を『殺すつもり』で攻撃する。お前も、『殺すつもり』で来い」

マシュ「それは……」

ブルース「私は敵だ。使える手を全て使い、私を倒しに来い」

マシュ「……」

ブルース「……行くぞ」バッ


682 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:52:18.77 ID:RF0g7SSA0



………………


マシュ「か、はっ……」ボロッ

ブルース「立て。今すぐに」ポキポキ

マシュ「う、うぅ……!!」グググッ、スク

ブルース「来い。いいか、敵がお前を待つと思うな」

マシュ「う……」ガシャリ

ブルース「……」ゲシィッ

盾「」ガシャァァァァァ……

マシュ「あっ……!」

ブルース「甘ったれるな。お前の得意な武器をみすみす使わせると思うか」ガシッ、グイッ



監視カメラ「」ジジジジ……


683 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:53:02.69 ID:RF0g7SSA0



カメラ映像『』ジジジジ……


職員A「……やりすぎですよ、アレは」

職員B「マシュちゃんが、死んじゃう……」

職員C「……」

ドクター「……ブルースくんへのサポート魔力は安定した」ポチポチ

レオナルド「うーん……」

所長「少なくとも、今の私達には何を言う権利もないわ。実際にレイシフトを行うのは、彼ら自身よ。彼らの中で決着をつけてもらうしかない」



カメラ映像『』ジジジジ……



684 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:53:37.88 ID:RF0g7SSA0



マシュ「う、うぅっ……」フラフラ

ブルース「そんな実力で私を倒すつもりか? 笑わせる」ジリジリ

マシュ「スーッ……」ヨロ


マシュ(命を……いのちを、燃やして……でも、相手は、守るべきマスター……)


ブルース「無茶な力は使えないだろう。それも計算づくだ。お前の手の内は把握している」ガシッ、ドスッ

マシュ「がっ……」ビチャチャッ

ブルース「……素の力で、今の私を超えてみせろ。そうでなくては、任せられない」

マシュ「う、うああああ!!」ブオンッ

ブルース「それが攻撃のつもりか」パシッ


685 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:54:15.17 ID:RF0g7SSA0


ブルース「……ナイチンゲール、デスストローク、メイヴ、クー・フーリン」

マシュ「はあっ、はあっ……」ヨロッ

ブルース「何故彼らが強かったか、分かるか」

マシュ「……」ジリッ

ブルース「彼らには狂気が宿っていた。狂気的な信念があった。お前には何がある、マシュ。お前は何を柱とする」

マシュ「私は……」

ブルース「かつてお前は、私の戦う理由を聞いたな。私の目には土砂降りの路地裏が未だに焼き付いている。あの日、両親を撃ち殺した弾丸が私の原動力だ」

マシュ「私は……!!」

ブルース「お前は何故立つ。死地を前にし、命すらも省みないその力の源は何だ」

マシュ「あなたを、守りたい!!」

ブルース「なら証明してみせろ!! お前はその力を持ち、私と共に来る事が出来ると!!」


686 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:55:00.65 ID:RF0g7SSA0



ブルース(殺意をもって敵と対する。これまで教えて来なかった戦闘方法だ。私が、良しとしなかった戦闘方法だ)

ブルース(……だが、それをしなければ、もはやこの先の特異点は超えられまい。……これしかできない私を許してくれ、マシュ)

ブルース(お前に殺意を教える事を、許してくれ)


ブルース「立て。お前が遠慮するならば、私はお前を殺す」ザシ

マシュ「……!」ヒュー、フー


マシュ(マスターは本気だ。当然、いつだって本気だった)

マシュ(なら、私は? 覚悟、できてる?)


ブルース「……マシュ」

マシュ「……」

ブルース「お前を、信じているぞ」バッ

マシュ「……!!」ググッ


687 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:56:29.38 ID:RF0g7SSA0



 ブルースは瞬時に身を沈め、相手の心臓目掛けて掌底を繰り出した。彼は矜持を曲げ、信念を曲げ、殺意のこもった一撃を放つ。それは一重に、相棒を信じているからである。


 マシュもまた、それを汲み取る。強くならねばならない。手を伸ばさねば。デミ・サーヴァントとして生まれた意味を、守りたい人を守るという自由を……。


 では、マシュの原動力とは何だ。

 彼女のマスターは、それを恐怖だと語った。

 かつてアメリカで共に戦った看護師は、地獄を作らないためと言った。
 
 ロンドンで共闘した剣士は、恐怖をもひねりつぶす怒りを体現していた。

 共に航海した女海賊は、エゴを謳歌し、一瞬を全力で生きる事。

 とある国の皇帝は、凍てつく永遠を否定し、皇帝たる者となるため。

 遠い国の聖女は、人の美しい面を肯定するために。



 では、マシュの力は何だ。彼女が盾を持ったのは何ゆえだ。


 マシュの全身の細胞が沸き立ち、時間が引き伸ばされる。ブルースの掌底が極度にゆっくりとマシュの心臓を目掛ける。


マシュは一瞬、恐ろしい想像に身を浸した。彼女の盾の後ろが害され、なすすべもなく蹂躙されてゆく様を思い描いた。


 直後、彼女は目を見開き、決死の思いでブルースの腕を弾いた。ブルースは、身体強化の魔術をかけられてなお追い切れないマシュの動きに、目を見開いた。


 マシュは身体を捻り、地面に突き刺すように足を振り下ろす。そして、腰の捻りを解放し、巨人の鉄槌じみた盾の一撃を繰り出した。


(『本物』だ)


 その一撃を目前にし、ブルースはぞっと背筋を粟立たせる。彼の相棒は『殺意』を覚えた。その最初の一撃が、彼を目掛けている。


「くっ」


 ブルースは両腕を開き、広い面積で衝撃を受ける。そして吹き飛ばされ、壁に叩き付けられるようにして全身で衝撃を流した。


(やはり彼女は天才だ。手加減せず、良かったと言うべきか)


 ブルースは膝をつき、口の端の血を拭って目の前の少女を見る。彼女が素の力で自分を超える日は遠くない。いや、もうじき超えられる。


 だが、今は。


「……やはり、詰めが甘い」


 ブルースは手の中の起爆スイッチを押した。直後、マシュの盾に塗布された爆破ジェルが爆発し、彼女は弾き飛ばされた。


688 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:57:04.26 ID:RF0g7SSA0



マシュ「あぐっ」ドシャッ

ドクター『……マシュ・キリエライト、気絶』

ブルース「サポートの魔力を打ち切れ。ここまでだ」ハァ、ハァ

レオナルド『……了解』ピッピッ

ブルース「……」シュオォォォォォ……


マシュ「……」グッタリ


ブルース「……」


ブルース(……)クル、スタスタ



689 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:57:33.40 ID:RF0g7SSA0



………………



所長「……」

職員A「……」

職員B「……」

職員C「……」

レオナルド「……」

ドクター「……」

ブルース「……」



AI『特異点、特定完了。特異点、特定完了。所長、職員は結果の確認をしてください』

ブルース「……」


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