バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

623 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:41:06.57 ID:69VCOY9o0



ヒュォンッ

ドガァァァァァ!!

ドゴシャァァァァァ!!


ナイチンゲール「……」カチャカチャ、クルクル

デスストローク「……」

ナイチンゲール「……心変わりをしたものですね」カチャカチャ

デスストローク「……黙って仕事をしろ。治りゃあ戦える」

ナイチンゲール「アナタの身体の治癒力はけた外れに高い。軽い処置で完治までいくでしょう」

デスストローク「なら行くぞ」ムクリ

ナイチンゲール「……ですが、アナタの根本の病気までは治せません」

デスストローク「……」ピタッ



624 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:41:34.82 ID:69VCOY9o0



ナイチンゲール「アナタは病気です。根本の部分で、生への意味を見出せていない」

デスストローク「……」

ナイチンゲール「アナタは、死にたいと思っているのですね。自分に裁きが下される事を望んでいる」

デスストローク「ハッ、治療の次はメンタリストの真似事か? 当ててやろう、看護師。お前も病気だ。不治の病だ」

ナイチンゲール「……」

デスストローク「……お互い、絶対に手に入らないものを手に入れようと必死になっているんだろう。なら、お互い口出しは無しだ」

ナイチンゲール「……良いでしょう」

デスストローク「話の分かる女だ」

ナイチンゲール「私の事を怒っている、と言いましたね」

デスストローク「……」

ナイチンゲール「自分を棚上げするのは良くない事です」

デスストローク「ハン!」


625 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:42:16.75 ID:69VCOY9o0



スーパーマン「ぐっ、ふう……」ツー……ポタ、ポタ


スーパーマン(これは、ちょっとキツイかもしれないな。ブルースが心配するわけだ)ドサリ


ガシッ

バットマン「クラーク! 無事か!」グイッ

スーパーマン「あ、あぁ、大丈夫……というか、キミはここに居ない方が良いぞ!? 戦いの衝撃波で死んでしまう!!」ギョッ

バットマン「仲間が命を懸けているんだ、クラーク。それに私はスーツで守られている、しばらくは死なずに済むさ。さあ、手を掴め」スッ

スーパーマン「な……」


スーパーマン(何処からツッコめばいいんだ!? キミってそんなキャラじゃなかったよな、とか、しばらくは死なずに済むなんて、確証の無い事を……)


スーパーマン「……ぷっ」

バットマン「……??」

スーパーマン「は、ははははは!! ははは、は、いたたたた、傷が……!」

バットマン「こ、この大事な時に何を笑って……キミを時折本当に図りかねるぞ、クラーク」ガシッ、グイッ

スーパーマン「ははははは……あぁ、すまない。ありがとう、ブルース」ムクリ

バットマン「無事か。この程度で音を上げるキミではないな?」

スーパーマン「勿論だ。キミが立つなら、僕も立つよ」

バットマン「なら、私ももう少し踏ん張るとしよう」ニヤリ

スーパーマン「ふふ、任せろ!」ニッ



626 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:42:46.31 ID:69VCOY9o0



マシュ「たああっ!!」ゴォッ!!

ラーマ「でやああっ!!」ズバァッ!!

ドゥームズデイ「……!!」ズシャシャシャァッ

シータ「そこっ!!」シュパパパパッ

ビリー「くたばれ!!」タァンタァン、タァン!!

大狼「グルォァアアウッ!!!」ドシィッ!!

ジェロニモ「せやっ!!」シュババッ!!

ドゥームズデイ「■■■■■■……!!!」ドシ、ドシィ、グラァ……


フィン「これが最後の、魔力だ……!!」ギュィィィィィィイイイッ!!

フィン「『無敗の紫靫草』(マク・ア・ルイン)!!」ズバシャァァァァァァァァ!!!


高圧水流「」ピシァァァァァアアアアア!!!


ドゥームズデイ「!!」バッ、ドシャシャシャシャ、ズシィ



627 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:43:13.06 ID:69VCOY9o0



カルナ「……いけるか」ゴゴゴゴゥ……

アルジュナ「いける」バヂヂヂヂヂヂヂィ……

カルナ「コブルポット。いけるぞ」ゴゥゥ……


ペンギン「よし、やっとだ! テメェら全員、そのデカブツの動きをできるだけ長く止めろ!! デカいのを撃つぞ!!」


フィン「フリーズ殿!!」シュウシュウシュウ……

フリーズ「フィン!!」

フィン「私の最後の魔力です! どうか有効に!!」シュゥゥゥゥゥ……

フリーズ「……!!」ガシャリ


フリーズ(フィン・マックール。愛と武勇に生きた騎士。私はお前を忘れないだろう……!)キュイィィィィィィ!!


フリーズ「怪物め……!」

フリーズ「動くなァァァ!!(Freeeeeeeeeeeeeze!)」ギュオォオォォォォオオオオオォォォ!!!


628 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:43:47.95 ID:69VCOY9o0



ドゥームズデイ「!!」バキバキバキィィィィ……ン

スーパーマン「うおおおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!!」ガシッ、グググググ……

ドゥームズデイ「……!!」グググググ……

スーパーマン「僕なら大丈夫だ! その『デカいの』を撃ってくれ! 早く!!」グググググ……



カルナ「行くぞ、アルジュナ」フワリ

アルジュナ「……ああ」スッ



629 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:44:17.08 ID:69VCOY9o0



 アルジュナは弓を構え、電撃迸る矢を弦へ番えた。そうして、空中、燃える太陽じみて力を発するカルナへと狙いを定める。


 アルジュナは生前、卑怯な方法でカルナの命を奪った。めぐり合わせとはいえ、神々の思し召しとはいえ、それは卑怯であり、アルジュナの心に深い傷を残した。


 そして今、アルジュナはまたしてもカルナを殺そうとしている。だが、彼の矢じりが震える事は無かった。


(ならば、それが結果ならば、立ち向かうほかあるまい。それが取り返しのつかぬ一線であり、消せぬ罪であるというのなら……)

「己を受け入れろ」


 アルジュナは目を見開き、空中に浮かぶカルナを見た。太陽のような存在は、燃えながら、微笑みながら、あの時のようにアルジュナを見ていた。


「己を受け入れろ。英雄よ」
「……全く、貴様は度し難いほどに憎たらしい奴だ」


 アルジュナは思わず歪んだ笑みを浮かべ……そして、全身全霊を込めた一矢を、太陽を射落とす最高の一矢を放った。


 それは雷めいて空を翔け、過たずカルナの胸を刺し貫いた。カルナはそれを受け入れるかのように両手を広げ……そして、燃える炎の中に飲まれて行った。


 アルジュナはもはや全魔力を込めた一矢により存在を保てず、光とともに消えて行く。カルナもまた、その一撃を受け、炎の塊となりながら燃え尽きて行く。


 だが空中の炎塊は消えない。それどころか、あたりに雷を撒き散らしながら、もっと大きくなってゆく。まるで本物の太陽じみて、大きく、強く、そして深く。


 太陽は『射落とされた』。標的めがけ、その強大な力の塊はゆっくりと落ちて行く。ドゥームズ・デイへと。


630 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:44:43.41 ID:69VCOY9o0




「うぅぅぅぅぅぅうおおぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」


 スーパーマンは吼えながら、ドゥームズデイを拘束する力を強める。だがドゥームズデイも必死である。己を阻む氷塊と格闘しながら、スーパーマンを押しのけようと力を込める。



 その間にも、ジリジリと太陽が迫る。ドゥームズデイはとうとう氷塊を破壊し、スーパーマンを叩き伏せようと拳を振り上げる。

 だが、そこへ、宝具を解放したマシュが突っ込んだ。全身を光の防護で覆い、ドゥームズデイの片手を塞ぐべく決死の突進を行う。


 ドゥームズデイは煩わしげに片手で払おうとする。そこへ、ラーマが剣を振り抜き、ジェロニモと大狼が加勢する。三人と一匹でようやく一つの腕が止まりかける。


 太陽が迫り、ドゥームズデイの背中が焦げ付き始める。破滅が、近い。


「■■■■■■■!!」


 しかし、ドゥームズデイは目を光らせ、全エネルギーで拘束に対抗する。マシュ達が圧され、スーパーマンですらあまりの力に目を見開く。


 そこへ、ビリーが銃を連射し、ラーマの剣を、ジェロニモのナイフを、マシュの盾を後押しし始める。


「■■■■■■■……」


 そんな努力をあざ笑うかのように、ドゥームズデイの両目が激しく発光を始める。だが、


「撃て! 目だ!」


 バットマンの声が響くと同時に、シータの矢が、ペンギンの弾丸が、それぞれドゥームズデイの両目に命中し、閉じさせてレーザーを封じ込めた。


 ドゥームズデイは今の戦況を、こうなった理由を、己の慢心を探ろうとした。だがその時すでに、彼の背中を太陽が呑み込んだ。


「やった……」


 一瞬の気のゆるみ。そこを突かれ、まずラーマが弾き飛ばされた。

「ラーマさッ」
「■■■■■■■!!!」
「キャインッ!?」


 そして、マシュ、ジェロニモ、大狼が吹き飛ばされる。


「なんて化け物だ……!!」


 スーパーマンは肌を焼かれながら、その怪物を見上げた。背にプラズマ太陽を背負い、全身を燃やしながら、それでも敵意と憎悪を止めぬ怪物を。


「なすすべはないのか……」


 バットマンですら絶望しかけた、その時。遠くで発砲音が響いた。



631 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:45:34.83 ID:69VCOY9o0



 『その発砲』の直前、デッドショットは最適な着弾ポイントを探す必要があった。その一発は最高の一発でなくてはならず、そして世界を救う一発でなくてはならないからだ。


(おいおいおい、頼むぞ。悪党ですら世界を救う気になってんだ、ヒーローが負けてんじゃねえ)


 刻一刻と悪化してゆく状況を俯瞰しながら、デッドショットはスナイパーライフルを組み立てる。そして、作業を終え、スコープを覗き込み、そして、……そして一瞬、祈るように目を閉じる。彼の娘を想う。


(すまねえ)


 デッドショット。死の射撃。だが彼は、フロイド・ロートンでもある。だからこそその瞬間、彼は謝罪する。そうして、付け加えるように思考する。


(……おい、世界最高の暗殺者。同業者なら、ちったあ根性見せろよ……!)


 直後に、『それ』は撃ちだされた。




 ――全員が、その発砲音を聞き、意識を一瞬そちらへ向け、何が射出されたのかを見た。


 発射されたのは、緑に光る槍だった。バットマンは察する。アレはクリプトナイト製の槍であると。

 戦場へと走るデスストロークは、苦笑いの後に唇を引き結ぶ。アレは『自分宛て』だ。


 槍は正確にデスストロークの頭上へと飛来した。死の傭兵は走りながら跳躍し、それを掴み、破滅へと飛び掛かった。

 そして、クリプトナイトの槍を、ドゥームズデイの胸へと突き刺した。

「悪党の力も必要だろう」
「……」

 スーパーマンは驚きに目を開く。ドゥームズデイは吐血する。


「■■、■■■■■■■!!」

「ぐ、ううぅ!!」

 ドゥームズデイが苦痛に怯む。一方、スーパーマンも無事ではない。クリプトナイトはただその存在だけで彼らに悪影響をおよぼすのだ。


 両者の力が減じ、均衡は破られないかに思われた。しかし、スーパーマンの背後から、マシュが突撃した。マシュの光の防護の内側から、ジェロニモが、ビリーが、ラーマが、シータが、バットマンが突撃した。それが違いだった。


 ドゥームズデイはもはや抵抗する力もなく、よろめき、プラズマ太陽の中へと後退って行く。デスストロークは緑の槍を突き刺したまま、踏ん張ってドゥームズデイを押し込んで行く。

「スレイド! 戻れ!」
「断る」


 素っ気なく言い放ち、デスストロークはクリプトナイトの槍と共に太陽の中へ沈んで行く。ドゥームズデイは苦悶し、地獄から這い出ようともがく。しかし槍が、それを許さない。


「念のためだ。化け物と死ぬのは、化け物の宿命だな」


 ひとりごち、デスストロークは更に踏み込む。彼は全身が焼かれるのを感じながら、一瞬だけ、家族の幻影を見た。


(これがお前の怒りか)


 誰に向けた懺悔だっただろうか。スレイド・ウィルソンはようやく心からの笑みを漏らし、……直後に、太陽ごと、二人の化け物は消滅した。



632 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:46:19.32 ID:69VCOY9o0




聖杯「」カラン……


バットマン「……やっ、たのか」フー、フー

スーパーマン「ふう、ちょっと、きつい相手だったな」ドサリ

マシュ「聖杯、確認。回収します」ゼエゼエ



フリーズ「……終わったか」シュウシュウシュウ……

ペンギン「カハハ、俺のおかげだ。知ってたか?」

フリーズ「置物ペンギンめ。手柄を誇張する事にだけは長けているな」シュウシュウシュウ……

ペンギン「フン、ここにはナマイキな野郎しか居ねえな……」シュウシュウシュウ……

ペンギン「……あー、なんだ? 俺の身体はどうなってる……」シュウウウゥゥゥゥゥゥ……

フリーズ「……成程、そうなるのか」シュゥゥゥゥゥ……


633 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:46:48.51 ID:69VCOY9o0



ビリー「ふう、ようやく終わりかぁ。次はもっと気ままに遊んで襲って、って感じにやりたいなあ」シュウシュウシュウ……

ジェロニモ「私の故郷でそれは許さないぞ、ビリー」シュウシュウシュウ……

ビリー「ちぇー、冗談だよ。半分はね。……ブルース、一緒に戦えて良かった。また何処かで」シュウウウゥゥゥゥゥゥ……

バットマン「……ああ、また同じ側でな」

ジェロニモ「ふふ、私もまたキミ達と出会えるだろうかな。精霊の導きは気まぐれだ」シュウシュウシュウ……

バットマン「……旅を続けていれば、また必ず会う日が来る」

ジェロニモ「ああ、その答えは気に入った。今度使わせてもらうよ、ははは……」シュウゥゥゥゥゥ……


634 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:47:15.32 ID:69VCOY9o0



ラーマ「……ふむ」シュウシュウシュウ……

シータ「あ……」シュウシュウシュウ……

ラーマ「……そう悲しそうな顔をするな、シータ。こうして一度、我らは出会った。ならば、二度目は遠くない」

シータ「……はい……」

ラーマ「……次に会ったなら、今度はもっとゆっくりしよう。二人で茶を飲み、甘味を楽しみ、心行くまで共に語らおう。お前のために歌を作るのも良い。きっと、そうしよう」

シータ「!! ……か、必ずですよ?」シュウゥゥゥゥゥ……

ラーマ「ああ……きっとだ」シュウゥゥゥゥゥ……



635 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:47:42.04 ID:69VCOY9o0



ナイチンゲール「ご苦労さまでした」スタスタ

バットマン「世話になったな、フローレンス」シュウシュウシュウ……

マシュ「私達はあまり長く、この世界に留まれません。もう、行かねば……」シュウシュウシュウ……

ナイチンゲール「……ええ、そうなのでしょう。ですが、これだけは。まず、毎回の外出が終わり、室内へ戻った時は手洗い・うがいを忘れず。室内にこもりがちな作業の時は換気を。何かものを食べる時は、手を洗うように。殺菌に余念なく、傷口を洗うのは迅速に」

バットマン「あ、ああ、……うむ……」

マシュ「そ、そうします……」

ナイチンゲール「……それから、決して死なない事。良いですね」

バットマン「……」

ナイチンゲール「良いですね?」ガシッ

バットマン「……約束する」グッ

ナイチンゲール「ならばよいでしょう」パッ


636 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:48:11.51 ID:69VCOY9o0



スーパーマン「あはは、なんだか言いたい事はだいたい言われてしまったな……なあ、ブルース、キミはリーダーに向いてないと言ってたかな?」

バットマン「ああ」

スーパーマン「……ふふ、キミに鏡を見せてやりたいよ」

マシュ「(深い頷き)」

バットマン「……どういう、」

スーパーマン「おや! そろそろ時間切れか、全く思うようにならないな!」

バットマン「……」シュウシュウシュウ……

スーパーマン「……バットマン、正義はひとつじゃない。キミになら、出来るよ」

バットマン「……分かっている」シュウゥゥゥゥゥ……

スーパーマン「まあ、だろうね。……彼の事、よろしくたのむよ」

マシュ「あっ、は、はい! 任せて下さい!! あとよろしければ、盾の裏側にサインを……」シュウゥゥゥゥゥ……


637 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:48:39.87 ID:69VCOY9o0



スーパーマン「……やれやれ。一仕事終わったな」ググッ

ナイチンゲール「動かないでください。治療を開始します」ガシッ

スーパーマン「え、本気か? もう戦わなくて良いのに」

ナイチンゲール「平和を楽しむ体を残さず、何のために戦うのですか」カチャカチャ

スーパーマン「……確かにね」ポリポリ



638 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:49:07.61 ID:69VCOY9o0



………………


デッドショット「……」ドサッ


デッドショット(どうだよ、エリザベート。あの世で見てやがったか、これを)シュウシュウシュウ……


ハートガチクチク アイアンメイデン……


デッドショット「……」チラ



子供の集団「」キスノアラシトシャレコムノ……



デッドショット「……ハッ」シュウゥゥゥゥゥ……


デッドショット(まあ、悪くなかったと言える出来だろ?)



639 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/05(日) 03:49:51.48 ID:69VCOY9o0



第五章


北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム


生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト

死者 無し



640 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/05(日) 03:50:25.59 ID:69VCOY9o0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2019/05/05(日) 08:36:50.94 ID:FaWDZooU0


この世界のバットマンとスーパーマンの知名度の差...
まぁ確かにブルースは目立ちたがり屋では無いけどさ...
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 09:01:31.22 ID:qME01EVA0
乙、メイヴ生き残ったのか
スーパーマンとバットマンはやってることが真逆だから仕方ないよね

これの亡きF先生のパロ地味に有名だよね
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 15:02:20.02 ID:J+Wglt22o
恐怖を与えるためにはバットマンは噂話というか都市伝説のような存在であるべきだからな
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 15:36:46.37 ID:ZXUX/1bAO
ジャスティスリーグで勲章もらった時思い切り姿出してなかったか?
645 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:33:47.01 ID:blXc9I6X0


………………

ピピピ!! ピピピ!!

ブルース「……」ムクリ

ブルース「……」チラ

時計『06:00』ピピピ!! ピピピ!!


ブルース「……フー」ググッ、ムクリ


ドア「」コンコン


ブルース「入って良いぞ」

「失礼します」スタスタ


ドア「」ウィーン

マシュ「おはようございます、マスター」

ブルース「ああ、おはよう」スクッ


646 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:34:16.80 ID:blXc9I6X0



………………


レオナルド「……」チュィィィィィィィィ……


電灯「」チカチカ、パッ


レオナルド「……ふー。よしよし、これでC区画の電力は復旧したね」

マシュ「おはようございます、ダ・ヴィンチちゃん!」

レオナルド「おや、おはよう。二人とも朝早いね」

ブルース「ああ、おはよう。カルデアの復旧作業の進捗はどうだ?」

レオナルド「7割ってところかなぁ。ベインのヤツ、何処を破壊すれば効率的かよく把握してたらしい」

ブルース「……しかし、襲撃直後よりはかなりマシになったな。復旧、残るはあと1区画のみか」

レオナルド「もうすぐ終わるよ、大丈夫。そういえば、二人とも今日は休息日だったかな?」

マシュ「はいっ!」ニコニコ

レオナルド「ふふ、楽しむと良い。大事なのはメリハリだ、ちゃんと休んでね」

ブルース「ああ、ありがとう」


647 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:34:44.59 ID:blXc9I6X0


マシュ「どうしましょうか、マスター!」ニコニコ

ブルース「私は図書館で過ごす。ではな」スタスタ

マシュ「えっ」ガァン

ブルース「……どうした?」クル

マシュ「いっ、いっしょ……」

ブルース「……イッショ?」

ドクター「やあブルースくん、マシュ! 廊下の真ん中で向かい合ってどうしたの?」スタスタ

ブルース「……??」

マシュ「……イッショ……」

ドクター「……ホントにどうしたの?」


648 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:35:11.62 ID:blXc9I6X0



………………


職員C「それはブルースさん、気持ちを汲まなきゃダメッスよ」

職員B「そうですよー。言葉に出さなくても分からなきゃ」

職員A「それが信頼関係ってものでしょう」

ブルース「……そうなのか」

ドクター「まあ、マシュも苦労するよね……」

マシュ「……」モジモジ

ブルース「……悪かった、傷付ける意図は無かったんだ」


職員達(((だから厄介なんだよ!)))


ブルース「今日は何がしたい、マシュ。お前に付き合おう」

マシュ「え、えっと、マスターがしたい事が良いです……」モジ

ブルース「……」


ブルース(……マシュが休む事が出来て、なおかつ私のやりたい事だと……?)ジッ


ドクター「そ、そんな真剣に考えこむとこなの?」

ブルース「……ドクターならどうする」

ドクター「え? ええっと、そうだな……」


649 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:35:40.77 ID:blXc9I6X0


………………

〜レクリエーションスペース〜


テレビ「」グワハハハハ、カンネンセイ!!


マシュ「映画を観るのは初めてです!」キラキラ

ブルース「初めて?」

マシュ「はいっ、これみたいな長編の放送プログラムの事ですよね!」

ブルース「まあ……間違いではない。ポップコーンが余っているぞ、食べるといい」ガサ

マシュ「ありがとうございます!」パァァァァ


………………


テレビ「」ガッズィーラ……


マシュ「こ、怖い怪獣ですね……」ビクビク

ブルース「そうだな。放射線を浴びたからといって、イグアナがああなるとは考えられんが」

マシュ「でもこんなに強くて脚が速いんですよ!? もし本当にこんなのが出たらどうすれば……」


ブルース(……ディックと映画を観た時の事を思い出すな……)


ブルース「……確かに、対処は困難を極めるだろうな」

マシュ「ですよね!?」


650 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:36:10.31 ID:blXc9I6X0


テレビ「」バーラムユー バーラムユー

マシュ「うぅっ、子豚さんの想いが……」

ブルース「豚が喋る世界か……」

マシュ「動物さんは皆お互いに語り掛けているのかもしれませんね……人間に聞こえていないだけで」

ブルース「それは動物学上の観点から……いや、ゴホン、そうかもしれないな」

マシュ「可愛いです……」

ブルース(……明日の朝食がベーコンなのは黙っておこう)


………………


テレビ「」ヤツニハ「ミャク」ガナイトイエ!!

マシュ「スパイってかっこいいですよね……」

ブルース「スパイか……私も何度か相手にした事があるが、連中は手強いんだ」

マシュ「ああいうお洒落さには憧れます……」

ブルース「何事にもああいった余裕は必要だな」


………………


テレビ「」ヒトノホンシツハ、コウドウデキマル

マシュ「……」

ブルース「……」

マシュ「……この人、マスターに似てますよね?」

ブルース「……何の話だ」



………………


テレビ「」クルー、キットクルー


マシュ「……」ビクビク

ブルース「……マシュ、あまり腕にしがみつくのは」

テレビ「」キャァァァァァァァァ!!

マシュ「きゃあああああああ!!!」グググググググ

ブルース「マシュ、落ち着け! マシュ!!」グググググググ


ドクター「おーい、晩御飯だから呼びに……って、ちょっと!? マシュ、いくらブルースが鈍いからって殺すのは……ちょっと!!」


651 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:36:38.76 ID:blXc9I6X0


………………

〜食堂〜


所長「遅かったわね」

ブルース「すまない」

所長「別に、良いけど。休めたかしら?」

マシュ「はいっ、しっかり休みました!」

所長「なら良いわ。今日も全員揃ったわね?」

職員A「はい」

職員B「居ます」

職員C「ウッス!」

ドクター「揃いましたね」

レオナルド「居るよ〜」

所長「では、今日もご飯を食べられる事に感謝して。頂きましょう」


652 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:37:09.00 ID:blXc9I6X0



カチャカチャ、カチャカチャ

職員A「久々の牛肉ですね」

所長「ええ。味わって食べなさい」

レオナルド「うまく再現出来てるか不安だけど、どうだい?」

職員B「とっても美味しいです!」モグモグ

レオナルド「ははは、良かった!」

職員C「うめえ……うめえ」ガツガツ

ドクター「のどに詰まらせるぞぅ、水は十分かい?」



653 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:37:37.50 ID:blXc9I6X0



マシュ「美味しいですね、マスター」

ブルース「ああ、とても良い味だ。……今日はゆっくり休めたか、マシュ」

マシュ「はいっ、楽しい休日で……した……?」

ブルース「……? どうした、ま……」

マシュ「……」ドサッ

ブルース「!? マシュ!?」


ドクター「どうした!?」

レオナルド「何があった、ブルース」

ブルース「分からない……マシュ、聞こえるか!? マシュ!?」ユサユサ

マシュ「……」グタッ

所長「っ、ロマニ! 早く治療室へ! 所員達は担架を用意しなさい! 急いで!」

職員A「は、はい!」

ブルース「マシュ……マシュ! マシュ!!」

マシュ「……」



654 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2019/05/06(月) 08:38:05.37 ID:blXc9I6X0



第六章

神聖円卓領域 キャメロット
655 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:39:32.32 ID:blXc9I6X0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。

メイヴは消滅させたつもりだったのですが、私の描写力不足が原因で誤解を与えているかもしれませんね……
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 02:38:12.20 ID:C2GCXxpco
いや、普通判るから気にすんな
見落としにまで一々気を使ってたら精神力持たないぞ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 20:26:28.26 ID:Hk2TEWCYO
あー……そういえば6章はその前にマシュの真実が語られるシーンがあったな……
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 15:28:30.92 ID:+ROhUZ4A0
おつおつ!
5章最後、敵味方入り交じっての総力戦ってやっぱりシビれる……みんなよかった(コナミ
マシュと映画見るブルースさんにほのぼのしてたら急展開に震えてるぜ
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/10(金) 20:12:36.79 ID:l64krlNl0
多分、ジョーカーにまた人間から怪物に戻されるんだろうなぁ
660 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:39:39.61 ID:RF0g7SSA0


………………


扉「」ガチャリ


ドクター「……」スタ、スタ

ブルース「……ドクター」

ドクター「ブルースくん」

ブルース「マシュは。無事なのか」

ドクター「ああ、今は安定してる。……少し、彼女の事について話そう。皆も知る必要があるから、管制室で」

ブルース「……」



661 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:40:06.64 ID:RF0g7SSA0



………………


職員A「ドクター、マシュは大丈夫なんですか?」

職員B「マシュちゃん、もう目は覚めましたか?」

職員C「アイツ、無理してたんじゃないんですか!?」

所長「落ち着きなさい、全員よ。……ロマニ、こうして集めたって事は、大事な話ね?」

ドクター「……はい、かなり大事な話です。今後のレイシフトの運用にも関わって来る」

レオナルド「なら、皆座って。落ち着かなきゃ、話も聞けないよ」

ブルース「……」


662 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:40:36.23 ID:RF0g7SSA0


ドクター「今回のマシュの急な昏倒の原因について、先程ようやく解明が済んだ」

ブルース「……」

ドクター「……彼女の魔力回路を精査した結果、マシュの肉体は『サーヴァント化』による急激な消耗の下にあったようだ。彼女、大分無理をして戦ってたみたいだ」

ブルース「……」

所長「……」

ドクター「恐らくそれは、寿命を削って戦うのと同じ意味だ。……彼女は文字通り、命を燃料のように扱って戦っていたのだと思う。今回の昏倒は、その反動だ」

レオナルド「ふぅーむ……」

ドクター「こんなところだよ。彼女には、この理由はまだ知らせていない。……そこで重要になってくるのが、」

ブルース「マシュを、次の特異点攻略に参加させるか否か。という事だな」

ドクター「……うん、そうなる」



663 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:41:03.02 ID:RF0g7SSA0




職員A「現実的ではないですね。次の特異点で昏倒が起きたなら、それは致命的な隙になる」

職員B「で、でも、マシュちゃんはずっとブルースさんの隣で戦って来て……」

職員A「感情で世界の命運を左右するわけにはいかない……お前はどう思う?」

職員C「お、俺? 俺は、その……分からない」


所長「……」

ドクター「僕も、正直、あの状態のマシュを特異点攻略に向かわせるのは賛成しかねる。彼女の身体はとうに限界と言って差し支えない」

レオナルド「しかし、今や彼女はカルデアに欠かせない戦力の一人だ。カルデアの復旧もまだ十全じゃない。新たなサーヴァント召喚も出来ないような状態で、ブルース一人を特異点に向かわせるのこそ現実的ではない」

ブルース「では、カルデアの復旧を完璧にしてから新たなサーヴァントを呼べばいい。私も、今のマシュを出撃させるのには反対だ」

所長「……けど、いつ敵の人理焼却準備が整ってしまうか分からない現状、素早い解決が求められるわ。それに、カルデアごと虚数空間を漂ってるこの状態も、正直言って望ましくない。長期の漂流が、人体にいかなる影響を及ぼすかも分からないのに」


664 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:41:29.53 ID:RF0g7SSA0



ブルース「では、彼女が死にかけているのをおしてでも、死地に向かわせるという事か」

所長「そうは言ってないわ……」

レオナルド「ブルース、冷静になってくれ。キミはそれが得意だったハズだ」

ブルース「私は冷静だ。いいか、現実的でないというのなら、いつ倒れるか分からない仲間を柱にして戦う事ほど現実的でない策はない」

所長「でも、このままじゃどうにもならないわよ」

ブルース「必要ならば、私一人で行こう」

レオナルド「それこそ現実的ではない。やはり冷静ではないね」

ブルース「ならどうしろというんだ。マシュを無理に連れ出し、死んでゆくのを後ろから見ていろとでも……!」


扉「」ガタッ


職員達「「「!!」」」

ドクター「え!?」クルッ

ブルース「!」バッ


マシュ「……」ヨロ、ヨロ……

ブルース「……マシュ」


665 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:41:58.72 ID:RF0g7SSA0



マシュ「ます、たー……」ヨロヨロ

ブルース「マシュ、何故……」タタッ、ガシッ

マシュ「マスター……」ヒシッ

ブルース「……ドクター、これは……」

ドクター「ま、マシュ、キミは安静にしてなきゃ駄目なのに……麻酔も打ったし、眠ったとばかり……」

マシュ「マスター、私、戦えます。歩いてます、今も、歩けます」ヨロヨロ

ブルース「マシュ、しかし……」

マシュ「戦えます、大丈夫です、お願いします……置いて行かないでください、戦えます……」

ブルース「……」

レオナルド「……マシュ、とにかくキミは休まなくちゃ。不安にさせてすまないね、きっとキミの意見も反映させるよ」ポン

マシュ「……」グタッ

ブルース「……」

ドクター「……気絶、した?」

レオナルド「元々、麻酔で意識が朦朧としてるのに歩いてきたんだ。無茶をするよ……」


666 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:42:41.69 ID:RF0g7SSA0




所長「……皆、今日はあまり冷静ではないわね。時間も遅いし、休んで明日これを協議するものとします。良いわね」

職員A「……はい」

職員B「はい……」

職員C「……分かりました」

ドクター「……」

レオナルド「……」

ブルース「……」


667 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:43:09.38 ID:RF0g7SSA0


レオナルド「……マシュを運んで来るよ。今日はキミもゆっくり休んでくれ、ブルース」

ブルース「……ああ、すまない」

レオナルド「謝る事じゃないさ。……また明日にね」スタスタ

ブルース「……」


668 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:43:41.58 ID:RF0g7SSA0


………………

時計「」カチ、カチ、カチ、カチ


ブルース「……」


時計「」カチ、カチ、カチ、カチ


ブルース(……マシュをもっとよく観察していれば、気付けただろう。当然彼女が無茶をしているという事に)

ブルース(デスストローク。クー・フーリン。ドゥームズデイ。無茶をしない訳がない。分かっていたハズだ)

ブルース(……マスターだと? 笑わせる、その資格すらない……)


時計「」カチ、カチ、カチ、カチ


ブルース(結局、こうなる。ディックも、ジェイソンも、ティムも……壊れる寸前まで負担をかけて、ようやく気付くんだ。マシュも)



ブルース「……ふー……」


ブルース(言われた通り、冷静ではない。少し頭を冷やしに行こう)スクッ


669 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:44:13.31 ID:RF0g7SSA0



………………

ブルース「……」スタスタ


ブルース(……)


(((マスター、私、戦えます)))


ブルース「……」


ブルース(……信じるとは、どういう事だったか……)


670 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:44:40.75 ID:RF0g7SSA0



自動ドア「」ウィーン

ブルース「……」スタスタ

職員C「……あ」

ブルース「む」

職員C「ど、どうも」

ブルース「……すまない、邪魔だったか」

職員C「いえ、そんな事はないッス……ですよ」

ブルース「……そうか」


671 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:45:22.17 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……」

職員C「……」

ブルース「…………」

職員C「…………」

ブルース「………………」

職員C「……ぶ、ブルースさんも、眠れなかったんスか?」

ブルース「……そうだな。キミも?」

職員C「俺、その……はい、俺もッス」

ブルース「……そうか」

職員C「……」


672 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:45:52.58 ID:RF0g7SSA0



(((お願いします……置いて行かないでください)))


職員C「……あんなの見ちゃったら、眠れないッスよ……」

ブルース「……そうだな」

職員C「……皆、自分の意見っていうか、自分の根っこを持ってるし。しっかりしてるし、俺なんかが此処に居て良いのかって、時々思っちゃいます」

ブルース「いつも助かってる。キミ達のサポート無しでは、ここまで来れていないだろう」

職員C「……そう、ッスかね」

ブルース「そうだ」

職員C「……」


673 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:46:21.35 ID:RF0g7SSA0



職員C「……俺、」

ブルース「……」

職員C「俺、実は、世界が炎に包まれた最初の頃は、諦めてたんです。もう世界は焼かれたのに、どうして一生懸命にならなきゃダメなんだ。どうせ死ぬんだから、諦めりゃあ良いのにって」

ブルース「……」

職員C「でも……アナタが来た。黒いスーツ着て、死ぬなんて恐怖、まるでないみたいにコフィンに入って行った。俺、理解出来なかったッス。今でも出来てないんスよ」

ブルース「……」

職員C「……でも、最近、ようやく分かって来たんです。マシュもブルースさんも、きっと、未来とか、相棒とかを信じてるから強いんだって」

ブルース「……どうかな」

職員C「俺はそう思います。……だから、マシュの想いの強さが、俺は怖い。死なんて怖がらないほどの強さは、きっと、諸刃の剣です」


674 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:46:55.57 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……キミはよく見ているな」

職員C「ははは……観測してたら、自然と分かって来ます。俺、シバのレンズ係だし」

ブルース「そう、だな。マシュはきっと、死も恐れていない」

職員C「……」

ブルース「……だが、世界には、死ぬより恐ろしい事など山ほどある」

職員C「想像つかないっすよ」

ブルース「たとえばそれは、手が届かない恐怖だ。何か行動を起こせるハズの場面で、手を伸ばす事すら出来ないのは、想像を絶する苦痛だ」


ブルース(ああ、そうか。マシュ、私とお前はよく似ているな)


ブルース「……きっと、分かる時が来る」

職員C「……」


675 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:47:36.35 ID:RF0g7SSA0



職員C「時々、ブルースさんが分からなくなるッス」

ブルース「私も、自分が分からなくなる。……話し相手になってくれてありがとう、私は休むよ」

職員C「おやすみなさいッス」

ブルース「ああ、おやすみ」スタスタ


職員C「……死ぬより怖い事、か」

職員C「……」

職員C「……分かんねえよ……」


676 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:48:15.16 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……」スタスタ


ブルース(理性は、やめた方が良いと叫んでいる。分かっている。マシュを連れて行けば、彼女への負担は計り知れない。元々短い寿命を、薪のように使っているんだ)

ブルース(……しかし、感情は彼女を連れて行くことを支持している。全く鈍ったものだ)フー……


ブルース「……これを望んだのは、お前自身だ。マシュ・キリエライト」


ブルース(やりようは、いくらでもあるさ。覚悟するんだな)

677 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:48:58.61 ID:RF0g7SSA0



………………


マシュ「……」パチリ


時計『07:00』ピピピ! ピピピ!


マシュ「……ここ、は……」ムクリ


扉「」コン、コン


「入っていいか」


マシュ「マスター? ど、どうぞ……」ムクリ


ガチャリ

ブルース「目覚めたか。調子はどうだ」

マシュ「だ、大丈夫です。あの、何がどうなっているのか……昨日の記憶が無くて」

ブルース「これから説明する。理解しろ」


678 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:49:42.55 ID:RF0g7SSA0



………………


ブルース「……という訳だ。今、お前を特異点に連れて行くか行かないかで意見が割れている」

マシュ「そ、そんな……私は大丈夫です!」

ブルース「だが、現実的な話、お前は無茶をしていた。それに気付けなかった私にも責任はあるし、報告を怠ったお前にも責任はある」

マシュ「……」

ブルース「……お前は、戦いたいか。マシュ」

マシュ「私……私、戦いたいです。だって、そうじゃなきゃマスターを守れない……」

ブルース「なら立て。シミュレーションルームへ行くぞ」

マシュ「えっ」


679 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:50:34.48 ID:RF0g7SSA0


ブルース「つまるところ、無理をせざるをえないお前の実力の不足が原因とも言える。まだトレーニングの期間はある」

マシュ「つ、つまり?」スクッ

ブルース「お前を鍛え上げる。無理をする余地も残らないほどに、極限の戦士になってもらう」

マシュ「きょ、極限の……」

ブルース「それはもはや膂力だけの話にはとどまらない。……お前には私を超えてもらう。そうでなければ、次の特異点攻略には連れて行けない」

マシュ「……!!」

ブルース「やるのか。やらないのか。どちらだ、マシュ・キリエライト」

マシュ「やります! やらせてください!」

ブルース「ならば、来い。泣き言は一切受け付けないぞ」


680 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:51:22.62 ID:RF0g7SSA0


………………

ブルース「……」ピッピッピッ

コンピューター『カルデアサポートシステム、起動。対象の魔力回路を確認中』シュォォォォォォォ……


ピーンポーンパーンポーン

館内放送『おぉーい、ブルースかい? ちょっと、そのサポート機能は未調整なんだけど』

ブルース「もしもし、レオナルド。シミュレータールーム内ならなんとかいけないか。マシュを鍛えたい、私もサーヴァント並の身体能力にならねば」ピッピッ

レオナルド『うーん……わかった、短波に変換してやってみよう。ダメ元だし、身体への負担は半端じゃない。もし成功しても馴染むまで苦痛だろうけど、ホントに本気?』

ブルース「私は常に本気だ」

レオナルド『まあ、知ってたよ……オッケー、調整完了。サポート魔力を回すよ』ピピピッ


シュォォォォォォォ……

ブルース「ぐっ……!!」ミキミキミキミキ……

レオナルド『キミの身体機能も観測を開始した。……うーん、結構負担かかってるな』

ブルース「……いや、この程度の痛みならばたいした事はない。このまま訓練に移行する」ミキミキミキ……

レオナルド『本気? ……まあ、こっちはデータがとれるから良いんだけど』



681 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:51:49.94 ID:RF0g7SSA0




ブルース「マシュ、構えろ。この状態の、フー、私を打ち倒してみせろ……」ミキミキミキ……

マシュ「……」ガシャリ

ブルース「良いか、手加減は無用だ。私はお前を『殺すつもり』で攻撃する。お前も、『殺すつもり』で来い」

マシュ「それは……」

ブルース「私は敵だ。使える手を全て使い、私を倒しに来い」

マシュ「……」

ブルース「……行くぞ」バッ


682 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:52:18.77 ID:RF0g7SSA0



………………


マシュ「か、はっ……」ボロッ

ブルース「立て。今すぐに」ポキポキ

マシュ「う、うぅ……!!」グググッ、スク

ブルース「来い。いいか、敵がお前を待つと思うな」

マシュ「う……」ガシャリ

ブルース「……」ゲシィッ

盾「」ガシャァァァァァ……

マシュ「あっ……!」

ブルース「甘ったれるな。お前の得意な武器をみすみす使わせると思うか」ガシッ、グイッ



監視カメラ「」ジジジジ……


683 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:53:02.69 ID:RF0g7SSA0



カメラ映像『』ジジジジ……


職員A「……やりすぎですよ、アレは」

職員B「マシュちゃんが、死んじゃう……」

職員C「……」

ドクター「……ブルースくんへのサポート魔力は安定した」ポチポチ

レオナルド「うーん……」

所長「少なくとも、今の私達には何を言う権利もないわ。実際にレイシフトを行うのは、彼ら自身よ。彼らの中で決着をつけてもらうしかない」



カメラ映像『』ジジジジ……



684 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:53:37.88 ID:RF0g7SSA0



マシュ「う、うぅっ……」フラフラ

ブルース「そんな実力で私を倒すつもりか? 笑わせる」ジリジリ

マシュ「スーッ……」ヨロ


マシュ(命を……いのちを、燃やして……でも、相手は、守るべきマスター……)


ブルース「無茶な力は使えないだろう。それも計算づくだ。お前の手の内は把握している」ガシッ、ドスッ

マシュ「がっ……」ビチャチャッ

ブルース「……素の力で、今の私を超えてみせろ。そうでなくては、任せられない」

マシュ「う、うああああ!!」ブオンッ

ブルース「それが攻撃のつもりか」パシッ


685 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:54:15.17 ID:RF0g7SSA0


ブルース「……ナイチンゲール、デスストローク、メイヴ、クー・フーリン」

マシュ「はあっ、はあっ……」ヨロッ

ブルース「何故彼らが強かったか、分かるか」

マシュ「……」ジリッ

ブルース「彼らには狂気が宿っていた。狂気的な信念があった。お前には何がある、マシュ。お前は何を柱とする」

マシュ「私は……」

ブルース「かつてお前は、私の戦う理由を聞いたな。私の目には土砂降りの路地裏が未だに焼き付いている。あの日、両親を撃ち殺した弾丸が私の原動力だ」

マシュ「私は……!!」

ブルース「お前は何故立つ。死地を前にし、命すらも省みないその力の源は何だ」

マシュ「あなたを、守りたい!!」

ブルース「なら証明してみせろ!! お前はその力を持ち、私と共に来る事が出来ると!!」


686 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:55:00.65 ID:RF0g7SSA0



ブルース(殺意をもって敵と対する。これまで教えて来なかった戦闘方法だ。私が、良しとしなかった戦闘方法だ)

ブルース(……だが、それをしなければ、もはやこの先の特異点は超えられまい。……これしかできない私を許してくれ、マシュ)

ブルース(お前に殺意を教える事を、許してくれ)


ブルース「立て。お前が遠慮するならば、私はお前を殺す」ザシ

マシュ「……!」ヒュー、フー


マシュ(マスターは本気だ。当然、いつだって本気だった)

マシュ(なら、私は? 覚悟、できてる?)


ブルース「……マシュ」

マシュ「……」

ブルース「お前を、信じているぞ」バッ

マシュ「……!!」ググッ


687 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:56:29.38 ID:RF0g7SSA0



 ブルースは瞬時に身を沈め、相手の心臓目掛けて掌底を繰り出した。彼は矜持を曲げ、信念を曲げ、殺意のこもった一撃を放つ。それは一重に、相棒を信じているからである。


 マシュもまた、それを汲み取る。強くならねばならない。手を伸ばさねば。デミ・サーヴァントとして生まれた意味を、守りたい人を守るという自由を……。


 では、マシュの原動力とは何だ。

 彼女のマスターは、それを恐怖だと語った。

 かつてアメリカで共に戦った看護師は、地獄を作らないためと言った。
 
 ロンドンで共闘した剣士は、恐怖をもひねりつぶす怒りを体現していた。

 共に航海した女海賊は、エゴを謳歌し、一瞬を全力で生きる事。

 とある国の皇帝は、凍てつく永遠を否定し、皇帝たる者となるため。

 遠い国の聖女は、人の美しい面を肯定するために。



 では、マシュの力は何だ。彼女が盾を持ったのは何ゆえだ。


 マシュの全身の細胞が沸き立ち、時間が引き伸ばされる。ブルースの掌底が極度にゆっくりとマシュの心臓を目掛ける。


マシュは一瞬、恐ろしい想像に身を浸した。彼女の盾の後ろが害され、なすすべもなく蹂躙されてゆく様を思い描いた。


 直後、彼女は目を見開き、決死の思いでブルースの腕を弾いた。ブルースは、身体強化の魔術をかけられてなお追い切れないマシュの動きに、目を見開いた。


 マシュは身体を捻り、地面に突き刺すように足を振り下ろす。そして、腰の捻りを解放し、巨人の鉄槌じみた盾の一撃を繰り出した。


(『本物』だ)


 その一撃を目前にし、ブルースはぞっと背筋を粟立たせる。彼の相棒は『殺意』を覚えた。その最初の一撃が、彼を目掛けている。


「くっ」


 ブルースは両腕を開き、広い面積で衝撃を受ける。そして吹き飛ばされ、壁に叩き付けられるようにして全身で衝撃を流した。


(やはり彼女は天才だ。手加減せず、良かったと言うべきか)


 ブルースは膝をつき、口の端の血を拭って目の前の少女を見る。彼女が素の力で自分を超える日は遠くない。いや、もうじき超えられる。


 だが、今は。


「……やはり、詰めが甘い」


 ブルースは手の中の起爆スイッチを押した。直後、マシュの盾に塗布された爆破ジェルが爆発し、彼女は弾き飛ばされた。


688 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:57:04.26 ID:RF0g7SSA0



マシュ「あぐっ」ドシャッ

ドクター『……マシュ・キリエライト、気絶』

ブルース「サポートの魔力を打ち切れ。ここまでだ」ハァ、ハァ

レオナルド『……了解』ピッピッ

ブルース「……」シュオォォォォォ……


マシュ「……」グッタリ


ブルース「……」


ブルース(……)クル、スタスタ



689 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:57:33.40 ID:RF0g7SSA0



………………



所長「……」

職員A「……」

職員B「……」

職員C「……」

レオナルド「……」

ドクター「……」

ブルース「……」



AI『特異点、特定完了。特異点、特定完了。所長、職員は結果の確認をしてください』

ブルース「……」


690 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:58:00.63 ID:RF0g7SSA0



ガガガガ……ピラッ

所長「……今回のレイシフト先を観測、シバのレンズも角度調整が完了しました。この観測結果によると、予想される脅威度はEXクラス。前回のアメリカ大陸は、AA+でした」

ブルース「……」

所長「非常に高濃度かつ多彩な性質の魔力が入り乱れており、今回もレイシフト後の環境については予断を許さないでしょう」

レオナルド「ブルースくんのスーツなら、調整すれば極限環境にも対応できるようになる。だが、問題は」

ドクター「……マシュ」

ブルース「……」


691 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:58:37.30 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……私個人の見解を述べるとするなら」

ドクター「……」

レオナルド「……」

所長「……」

ブルース「彼女は、やはり連れて行かない方が良いだろう。今回のレイシフト先で彼女が昏倒すれば、今度こそマシュは死ぬ。実力もまだ十分とは言えない。未熟な部分がある」

職員A「……」

職員B「……」

職員C「……」


692 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:59:04.60 ID:RF0g7SSA0



ブルース「だが、戦力的な観点から言うなら、彼女を連れて行くべきだと私は思う」

所長「その理由は?」

ブルース「天秤にかけ続けてきた。彼女を連れて行くリスクと、連れて行かないリスクを。彼女はこれまで何度も死ぬような目に遭いながら、切り抜けてきている」

ブルース「……私も、戦えないワケではない。彼女が数瞬戦線を離脱したところで、それをカバーする程度の働きは出来る」

ドクター「……しかし、それは……」


レオナルド「んっん〜〜、ゴホン! ちょっとイイかな、私すっごく良い案思いついちゃったんだけど!!」


所長「あの、レオナルド……いますごく真面目な話をしてるから、そういうのは」

レオナルド「いやいやいや! なにさ、皆して辛気臭い顔してるけど、一人レイシフトできそうな人の事を忘れてませんか!?」

ドクター「?? どういう事だい?」

レオナルド「いやまあ、かくいう私もさっきまで忘れてたんだけどね!? どうよブルース、ちょっと聞いてみないか?」

ブルース「……話してみてくれ」



693 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:59:44.19 ID:RF0g7SSA0



………………



マシュ「……」パチリ


マシュ(ここ、は……)キョロキョロ

マシュ(ああ、私、マスターと戦って……負けたんでした……)


扉「」コン、コン

マシュ「あっ……は、はい」


「マシュ、私だ。入るぞ」

マシュ「はい、どうぞ」

ガチャ


ブルース「……おはよう。体は大丈夫か」

マシュ「はい……身体は、大丈夫です」

ブルース「……」


694 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:00:12.50 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……見事な一撃だった」

マシュ「ですが、負けました」

ブルース「そう結論を急ぐことはない……少なくとも、今回はサポートが付いてくれる事になった」

マシュ「サポ……え? でも、召喚に必要な電力が足りないって……」

ブルース「その件は、解決した。……マシュ、恐らく私は、とても困難な道をお前に歩ませることになる」

マシュ「……」

ブルース「……私と共に来てくれるか。特異点を、ともに解決してくれるか」

マシュ「っ、はい!!!」


695 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:00:39.67 ID:RF0g7SSA0



ブルース「なら、今日はもう休んでくれ。急ぐようだが、明日にはレイシフトだ。協議も済んでいる」

マシュ「分かりました!」

ブルース「ああ。……おやすみ」スタスタ

マシュ「……あの!」

ブルース「……どうした?」クル

マシュ「……絶対に、失望させません。信頼に応えてみせます」

ブルース「……疑っていないさ、マシュ」フッ


696 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:01:23.28 ID:RF0g7SSA0



………………


ブルース「……」シュドッ、シュドドッ

サンドバッグ「」グラァ、グラグラ……

木人「」ガラララララ……


ブルース「……」シュタタタ、ドシュシュ、バシ、ドゴォッ


ブルース(マシュだけには頼れない。私が強くならねばならない)

ブルース(彼女に負担を強いて来たのは確かだ。強くあらねば)


ブルース「……」シュバッ、ゴギィ、バッシィ


ブルース(……少し前の俺なら、絶対にマシュを連れて行くことは無かっただろう。認めねばならない。俺は、揺らいでいる)

ブルース(問題は、何処までその揺らぎを認める事が出来るのか。信じるという意味と、依存するという意味は違う)


(((まともなフリをするなよ、バッツ! 俺達は化け物だ! ウフフフフッ、ゲームに他人を巻き込んで殺すのは良くない事だって習わなかったのか?)))


ブルース(……何故やつを思い出す)ドゴォッ


サンドバッグ「」バッギャァァァァ、ドシャシャシャァ……


ブルース「……」


カラン……カラン……


697 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:01:53.42 ID:RF0g7SSA0




………………


所長「今回のレイシフト先は、13世紀後半のエルサレムです」

レオナルド「うわぁ、また宗教的に面倒な時期だし、場所だし……」


ブルース(エルサレム……また、ゲーティアと縁深い場所だな)


所長「ええ、とても厄介な時期よ。恐らく、第八、第九十字軍が遠征をおこなっていた年代の周辺です。戦火には十分に注意し、できるだけ介入を避ける事」

ブルース「了解した」

マシュ「はい!」

698 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:02:21.84 ID:RF0g7SSA0



所長「レイシフト要員、分かったわね? では……」

職員C「待ってください。少し、知らせておきたい情報が」

所長「何?」

職員C「えっと、先程シバのレンズの焦点がかなり精確に絞られた時があって、少しだけ地表を見る事ができたのですが……観測結果によると、本来村や町があった場所には、大きなクレーターじみたものが出来ているようです」

ブルース「クレーター?」

職員C「はい、直径は……えっと、観測した限りでは、どれも5キロ四方ほどの」

マシュ「5キロ……」

ブルース「とてつもなく巨大な破壊エネルギーだな……」

職員C「何が待ち受けているかはまだ分かりませんが、この情報は耳に入れておくべきかと思いました。以上です」

所長「……分かりました。ブルース、マシュ、良いわね? いつでも防御に回れるよう、今回も気を付けておく事」

マシュ「はい!」

ブルース「了解した」


699 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:02:55.87 ID:RF0g7SSA0



所長「では、レイシフト班への説明を終わります。9時までにコフィンへのスタンバイを終える事、良いわね! 次、サポート班!! ……」



ブルース「……初のレイシフトか?」

レオナルド「ああ、ワクワクしちゃうね! 未知を体験するのって快感だよ!」

マシュ「今回はよろしくお願いします、ダ・ヴィンチちゃん!」

レオナルド「こちらこそ! 色々と世話になるし、世話をする事にもなるだろうね!」

ブルース「頼りにしているぞ、メカニック」

レオナルド「私にお任せさ!」ドンッ


700 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:03:23.09 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……」ガチャガチャ、カチャリ

ブルース「……」カチャリ、ガシッ、スルッ


マスク「」


ブルース「……」スッ


バットマン「……では、あちらで会おう」

マシュ「はい。失礼しますね、マスター」ペコリ

レオナルド「うん、じゃああっちでね!」スタスタ



701 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:04:11.05 ID:RF0g7SSA0



………………


ドクター「時刻、08:55。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライト、レオナルド・ダ・ヴィンチの三名がコフィンにスタンバイ完了」

職員A「存在証明式、スタートしました! 肉体の証明は順調です!」

職員B「電子機器類には異常なし! 電力量もクリア、ハッキングも無し!」

職員C「シバ、時代特定良好! レンズの角度固定!」


所長「では、エルサレムへのレイシフト、カウントダウンを開始しなさい!」

職員達「「「了解、カウントダウン開始!!」」」


ドクター(……よしよしよし。マシュのバイタルは正常、ブルースもレオナルドもオッケーだ……)

ドクター(隣にレオナルドが居ないの、なんだか違和感あるなぁ……不安だ……)

ドクター(……エルサレム、かぁ……)


ドクター「……」ソワソワソワ

所長「そわそわしない!!」

ドクター「はいぃっ!!」ビクゥッ

702 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:04:43.29 ID:RF0g7SSA0



………………


バットマン「……」


ドクター『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』


バットマン(……マシュは、私が守らねば)

ドクター『3! 2! 1!』

バットマン「……」グッ


『0』




703 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:05:10.54 ID:RF0g7SSA0



………………


ギュォォォォォォオオォッ

ドサササァッ!!!


マシュ「くっ……」ムクリ

レオナルド「いたたた、あんなに乱暴に落とされるとはね。これは改良の余地ありかも……落ちた先が砂漠で助かったよ」ムクッ

マシュ「段々慣れてきました……マスター? 何処ですか?」キョロキョロ

???「俺の上から退きな……おい、お嬢ちゃん」

マシュ「え? は、はわ!? ごめんなさい!?」バッ

???「ったく、いきなり上から降ってくるとはな。洒落た登場だ、ブルースを思い出すぜ」

マシュ「ごめんなさい、人が居るとは……って、え? マスターを、ご存知なんですか?」

???「あ? お前、奴を知ってんのか?」


704 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:05:38.21 ID:RF0g7SSA0



レオナルド「おや、早速味方を発見かい? こんな時にブルースは何処へ行ったんだか」

マシュ「えっと、ブルースさんは私の……相棒というか、何と言うか」

???「……ハン、アイツはまた相棒を変えやがったのか。節操のない男だぜ」

マシュ「そ、そういうアナタは一体」

???「俺? 俺は、そうだな……」


レッドフード「ひとまずは、レッドフードとでも呼びな」




705 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/10(金) 23:10:30.53 ID:RF0g7SSA0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。

今回のアンチヒーローの参考資料です

レッドフード

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 07:44:32.17 ID:yRVfvDI9o
バット次郎くんではないか!
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 09:06:05.07 ID:4XK+QwuPO
ディックに恥ずかしい手紙送ったジェイソンじゃないか
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 17:07:36.39 ID:aIjI05SA0
レッドフードいつ和解したんだっけ
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 18:03:21.22 ID:36sP4kC+O
レッドフード&アウトローズの未邦訳話で和解したはず
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/14(火) 15:43:42.85 ID:Gk2GWiJA0
おっつ!!!
バットマンはいったいどこに……
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/24(月) 23:42:18.38 ID:VAzsXjno0
不穏だなぁ
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/26(水) 01:54:06.85 ID:mDkARzjl0
えたった?
713 :sage :2019/07/04(木) 23:17:21.91 ID:Ag8sWtj70
えたりましたお疲れ様でした
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/16(火) 02:51:28.56 ID:tq2R/duL0
おつかれっした
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 10:55:07.33 ID:pqYaz+eQo
1スレ目から振り替えると、メタルが出たりホワイトナイトが出たり、いろんな事があったんだなぁ
いつかダークナイツが出てきそう
716 : ◆GmHi5G5d.E [sage saga]:2019/08/08(木) 16:06:18.85 ID:yywmM9fPO
更新が遅れて申し訳ありません。決して忘れているというわけではなく、今更ながら「キャラクターを私物化している」という悩みにぶち当たり、どうにかして解釈の補正を行おうと四苦八苦しています。双方のファンから不快に思っているという意見が出ているのを見ましたので、どうにか直したいです。もしお待ちくださっている方が居るなら申し訳ないです。
717 : ◆GmHi5G5d.E [sage saga]:2019/08/08(木) 16:29:38.36 ID:yywmM9fPO
すみません、気が変わりました。気にしないでいきます
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 17:05:57.41 ID:mPKWwLQk0
そこは2次創作なんで好きにやってよろしいかと
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 22:55:52.53 ID:XLwZRfXbo
真面目な話、既存のストーリーを元にしたオリジナル展開をやってる時点で、読者からの解釈違いを受けるのは避けようがないからね……
そこは好き勝手していいとまではいかなくとも、自分の納得出来る範囲でやればそれでいいと思う
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 23:44:40.41 ID:VKDXRkAmo
あくまで二次創作な上に5chのSS板は自分の好きなものを好きなだけ書ける場所だからね
金とってるわけでも無いし嫌なら見るなで良いんですよ
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 23:56:34.16 ID:tyAX0xPAo
バットマンしか知らんからfgoの元の話とどれぐらい差異があるかわかんねぇべ
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/09(金) 01:31:04.27 ID:9c3xRElD0
不快に思ってる人間もいるかもしれんけど
楽しみに待っている人間もいることを忘れんでくれ
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/11(日) 14:38:39.77 ID:Qipw4GTm0
待ってるやつはここにもいるゾ〜
俺はこのシリーズ好きだから続けてくれたら嬉しいなって
無論イッチの負担にならない範囲でね
724 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:47:33.19 ID:5un44TpH0


………………

バットマン「……っぐ、む……」ムクリ


バットマン(……ここは。マシュは? レオナルドは……?)キョロ

バットマン(……まさか、はぐれてしまったのか。マシュを必ず守ると誓っておきながら、なんとも間の悪い)


バットマン「ともかく、ドクターに連絡を……」スッ

潰れた通信端末「」バチチチィッ、キュゥーン……

バットマン「……不幸は重なるとは言うが、全く」


725 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:48:24.64 ID:5un44TpH0


バットマン(さて、困ったことになった。ここには私ひとり、他に頼れるサーヴァントはおらず、カルデア頼りだった探知器の類も使えない)

バットマン(……だが、諦めるには少し早い。周囲を観察し、状況を把握して最善の動きを取るとしよう)


バットマン「……」グルリ


荒野「」ヒュオォォォォォォオォォ……


バットマン(なんとも味気ない灰色の荒野だ。詩人がこれを見れば、『地獄』と形容するのだろう。……しかし、ここまでの荒れ地は……)

バットマン(雲の動きや温度から判断して、今は夏頃か。太陽は……南中する少し前。この風の吹き方は、近くに山でもあるな)


バットマン(……そして何より異常なのが、『アレ』だ)


726 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:49:09.32 ID:5un44TpH0



巨大な城「」ズォォォォォォォォォ……


バットマン(……距離感が狂いそうだ。あんなに巨大な城は、少し普通ではないな)

バットマン(明らかに、エルサレム史上に存在しないものだ。まさか私だけ、おかしな場所にレイシフトしたというワケでもないだろう)


バットマン「……さて、どうしたものかな」


バットマン(ここからの行動候補、その1。城へ向かう。……いや、これは却下だな。危険が大きすぎる)

バットマン(行動候補、その2。集落を探す。事情聴取が可能で、さらにはマシュたちと合流できる可能性もある。ふむ、これは考えておいて良いな)

バットマン(行動候補、その3。……ここはエルサレムに近い。なら、『例の場所』も近いということだ。少し寄ってみる、ということも可能だが……)

バットマン(……いいや、どちらにせよ『あの場所』には戦力が不十分なまま行きたくはない。ここは行動候補その2に従おう)


727 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:49:37.06 ID:5un44TpH0


バットマン「……」スタスタ

道「」

バットマン「……」スタスタ


バットマン(いかに荒野とはいえ、このように人の使っていた道の痕跡はある。辿っていれば、いつかは集落にたどり着くだろう)スタスタ


荒野「」ヒュオォォォォォォオォォォ……


バットマン「……」スタスタ……ピタッ


巨大なクレーター「」グオォォォォォォ……


バットマン「……」


728 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:50:12.01 ID:5un44TpH0



バットマン(……これはまた、巨大なクレーターだ。ちょうど集落がありそうだ、と思った箇所をえぐるようにできている)

バットマン(こうして見てみれば、この荒野にはクレーターだらけか。……どうにも、このクレーターは『集落があったであろう』場所への攻撃痕にしか見えないな)

バットマン(つまり、誰かがこの特異点の集落を破壊しているということか? 何故だ?)

バットマン(まさか、前回の特異点のような戦争狂が居るのか? ……いや、まさかな)


バットマン「……」フム


バットマン(しかし、参ったな。このままでは事情聴取もままならない)

ザシ、ザシ。ザシ、ザシ

バットマン「……誰だ」スッ

???「お待ちを。敵意はありません。ただ、話をしたいだけなのです」

バットマン「……」ジリッ


バットマン(目深にかぶったフード。ブロンドの髪。片腕は……義手か?)


バットマン「……何者だ」

???「我が名はルキウス。放浪の旅人」

バットマン(偽名だ。……だが、この男から殺気が感じられないのは事実)


729 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:50:39.17 ID:5un44TpH0


バットマン「……そうか、ルキウス。私はブルース・ウェインという」

ルキウス(?)「ブルース。質問をお許しいただけますか」

バットマン「質問はするといい。答えるとは限らないが」

ルキウス「……確かに、それもそうだ。いえ、その……この惨劇について、何かご存知ではないかと思ったのですが」チラ


クレーター「」グオォォォォォ……


バットマン「……残念だが、私も今ここに来たばかりだ。知っていることはあまりない」

ルキウス「そう、なのですね。時間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした。これで失礼を……」


ガシャリ、ガシャリ、ガシャリ


鎧の騎士「」ガシャリ、ガシャリ、ガシャリ


バットマン「……!!」ピリピリピリッ


バットマン(肌に感じるほどの殺気。……これは)


ルキウス「っ、ブルース、下がってください。危険です」バッ

バットマン「馬鹿を言うな、ルキウス。お前こそ下がっていろ」ババッ


730 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:51:06.05 ID:5un44TpH0



鎧の騎士A「」ガシャリ、ガシャリ……

鎧の騎士B「」ガシャ……

鎧の騎士C「」ガシャリ……

鎧の騎士D「」ガシャン、ギシィ……



バットマン「……囲まれたか」ジリッ

ルキウス「申し訳ありません、ブルース。悠長に会話していなければ、気付けたものを……」

バットマン「過去は過去だ。……ルキウス、腕に覚えはあるか」

ルキウス「多少は」

バットマン「なら、そちらの二人は頼めるな」

ルキウス「勿論。お任せを」

バットマン「では私はこちらの二人だ。いくぞ」バッ


731 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:51:35.91 ID:5un44TpH0



ルキウス「ハッ!!」シュバッ

鎧の騎士A「!」ガッギャァァァ!!

鎧の騎士B「!!」ブオンッ

ルキウス「セイッ!!」ガギャギャッ、ヒュヒュンッ

鎧の騎士B「!?」ギャリリィ、ヨロッ

ルキウス「そこ!!」バババババババッ

鎧の騎士B「」ゴシャアアアアアドシャシャシャシャ……



バットマン(見事な剣さばきだ。あれほどの使い手となると、何処かの騎士か)


鎧の騎士C「っ!!」ブウン!!

バットマン「フッ、」トトッ

鎧の騎士C「……!?」ヨロッ

バットマン「……フンッ!!」ギュゴォッ

鎧の騎士C「っ」ドゴシャァァァァ!!

鎧の騎士D「!!」ズオォッ

バットマン「遅い!!」バッ

マント「」グワアッ

鎧の騎士D「!?」グラッ

バットマン「シィッ……」シュド、ド、ド、ドドドドドドドドドドドドッ

鎧の騎士D「っ、……」ヨロ、ヨロ……

バットマン「……リアッ!」ドッゴォッ

鎧の騎士D「」ドシャァッ


732 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:52:06.29 ID:5un44TpH0



ルキウス「ふうっ」カチャリ

バットマン「……フゥー……」

ルキウス「驚きましたよ、ブルース。いえ、おこがましいと思われるかもしれませんが、まさかここまでお強いとは」

バットマン「お互い様だな。お前もすさまじい腕前じゃないか、一体どこの騎士なんだ?」

ルキウス「……それは、申し訳ありませんが、言えません」

バットマン「そうか。……なんにせよ、助かった。あの数相手に私ひとりは少しきつかっただろうからな」

ルキウス「ふふ、それは私もです。……私はもう行きますが、貴方の旅路が良いものでありますよう……」スタスタ

バットマン「……ああ。さらばだ」


バットマン(……謎多き騎士か。正体は一目瞭然のような気もするが、彼が露呈を望まないなら余計な口出しも不要だろう……)

バットマン(しかし、彼なら良い戦力になってくれると踏んだのだが。……彼には彼の目的がある以上、止めるわけにもいかないか)


733 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:52:34.24 ID:5un44TpH0



バットマン(しかし参った。集落が無いなら、私もどこか適当な場所を見繕って……)


……ぃ〜〜〜〜や〜〜〜〜……


バットマン「……」


???「いやぁぁーっ、何なのよこの化け物! だからこの国って好きじゃないのよ〜〜っ!!」タッタッタッ

目玉の化け物「」スイスイスイスイ

目玉の化け物2「」スイスイスイスイ

???「ぎもぢわるいいぃぃ……!!」タッタッタッタッ


バットマン「……」


バットマン(誰かは知らないが、助けないわけにもいかん)グッ、ダダッ



734 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:53:02.78 ID:5un44TpH0


………………

砂嵐「」ビュオォォォォォオォォォ……オォォォォ……


マシュ「な、なるほど……つまりマスターの相棒だった人なのですね?」スタスタ

レッドフード「ああ、そうさ。あっちの世界じゃ、そりゃあ仲の良い相棒だった」

レオナルド「うーん、なんだろうか。『仲の良い相棒だった』のところ、すっごい皮肉を感じたんだけど」

レッドフード「……へッ、どうだかな。アンタ、名前は?」

レオナルド「私かい? 私はレオナルド・ダ・ヴィンチ! あの天才さ、聞いたことない?」

レッドフード「まさか。聞いたことくらいあるさ、死刑囚をデッサンして有名になった趣味のいい画家崩れだろ?」

マシュ「あ、あはは……」

レオナルド「うーん、これはブルースに似た厄介コミュニケーション者と見た!」

レッドフード「悪いな、場を和ませようとした冗談ってヤツさ……」ククッ


735 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:53:30.04 ID:5un44TpH0


レッドフード「にしても、急に虚空から出てきたのには驚いたよ。あれがレイシフトってやつか?」

レオナルド「おや、詳しいね。そうとも、あれこそ我らがカルデアの誇る技術、レイシフト! 調整とかはかなり大変だけど、自分で体験してみると案外楽しいもんだね!」

マシュ「……マスターと連絡が取れないのが心配ですが、大丈夫なんでしょうか」

レッドフード「あいつは殺しても死ぬようなヤツじゃない。心配なんてするだけ無駄な男だ」

レオナルド「ふふ、その意見には同意しそうになっちゃうなあ。まあ、この砂嵐の中に出てこなかったのは逆に幸運とも言えるかも……」


砂嵐「」ビュオオォォォォォォォォォォォ……ォォォォォォオオオオオ……


レッドフード「……なあ、頼みがあるんだが。万が一連絡が取れても、俺のことはあいつに言わないでくれるか?」

マシュ「え? な、なぜでしょうか?」

レッドフード「……なあ、人には人の事情ってモンがあるんだ。あいつの相棒だったとはいえ、決して仲の良い時期ばっかりじゃなかった。……頼むよ、話すのは直接会ってからだ」

マシュ「え……えっと……」

レオナルド「まあまあマシュ、いいじゃないか。そもそも現状じゃ、ブルースと合流しなきゃ連絡の取りようもないんだし」

マシュ「……それもそうですね」コクリ


736 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:53:57.10 ID:5un44TpH0


砂嵐「」ビュオォォォォォォオオォォォ……


レオナルド「さて、しかしこの砂嵐にはまいったね。どうにかして抜けたいものだが」

レッドフード「参ってるのはこっちもさ。天才さんよ、秘密の道具でも発明してくれて構わないぜ?」

レオナルド「あはは、信頼してもらえるのは嬉しいけど、そもそも材料がないことにはね……っ、マシュ、レーダーに感あり。動体だ」

マシュ「え!? ……! き、聞こえます! 三時の方向から何か来ます!」ガシャリ

レッドフード「息をひそめろ。……おっと、こいつはさっそく狙ってたヤツが来たかもな……」カチャリ



737 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:54:26.53 ID:5un44TpH0



???「むー! むーーー!!」モゴモゴ

???2「ええい、暴れるな! 全くこの砂嵐、息が詰まるような敵意を持っている……!」タタタッ

???3「……百貌様、前方に何か!」タタッ

マシュ「ストップ! 待ってください、少し話を……」バッ

???2「!!」ババッ、シュババババッ


ナイフ「「「「」」」」ヒュオォォォォォッ

マシュ「なっ」

レッドフード「退きな」バッ、タタタタタタァン!!


ナイフ「「「「」」」」ギャリリリィ、カララララァン……


レオナルド「ワオ、銃使いだったのかキミ。いい腕してる」

レッドフード「大したモンだろ? まあバットマンは喜ばねえけどな」

マシュ「あ、ありがとうございます」

レッドフード「ひとつ貸しだ、嬢ちゃん。しゃきっと立て、殺気くらいは感じ取れるだろ」

マシュ「は、はい!」

部下「百貌様、ご無事ですか!?」

部下2「おのれ何奴!?」

百貌「……? 貴様……レッドフード?」

レッドフード「……」


738 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:55:01.61 ID:5un44TpH0


百貌「どういう事だ。ここで何をしている、レッドフード」

部下「……? れ、レッドフード様?」

部下2「なにゆえレッドフード様がここに?」

???「むー!! むーーー!!!」モゴモゴ

マシュ「え、え、えっ……ど、どういう事ですか? お知り合いですか?」

レッドフード「……あぁそう、そうだった、知り合いだ知り合い! 久しぶりだな、えぇっと……どの『ハサン』だったかな、お前は」

百貌「……いつもの冗談なのか、本気なのか、それとも……」チャキリ

レッドフード「おいおい、つれねえヤツだぜ。嬢ちゃんからも一言いってやってくれ……ああ、初対面だったか、お前ら」

マシュ「え、ええっと、……ど、どういったご関係です?」

レッドフード「仲間さ、分かるだろ。はは、城相手にレジスタンスやってたんだったか?」

レオナルド「ほう、城? というと、……なるほどね、砂嵐で視認しにくいが、向こうのアレか」


砂漠の向こうの城「」ズオォォォォォォ……


百貌「……貴様、本当にレッドフードか。だとすれば、牢の解放任務はどうした」ジリイ……

レッドフード「なんだ、知らないのか? 作戦の変更があったんだ。俺たちは今から聖都へ向かう」

百貌「何を馬鹿な……貴様、気でも狂ったのか?」

レッドフード「……ククククク、疑うのか?」カチャリ

マシュ「……?」ゾワリ

739 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:55:30.49 ID:5un44TpH0


マシュ「ま、待ってください、とにかく仲間だという事で良いのですね?」

レッドフード「そう言ってるだろ、なあ?」

百貌「……仲間ではない。単に利害の一致から行動を共にしていただけだ」

レッドフード「へッ、つれねえやつだ」

レオナルド「うーん、まあ即座に殺しあう関係ではないってだけで十分かな。色黒アサシンくん、少し質問良い?」

百貌「……待て。貴様、そこの娘」

マシュ「……え? あ、わ、私ですか!?」

百貌「その盾の紋様……貴様、さては『聖都』の」


???「ムグ……プハッ! スフィンクスよ、此処へ!」ジタバタ


部下「なっ、こ、コイツ……申し訳ありません百貌様! すぐに黙らせます!」

百貌「な、何をやっている! 愚か者、召喚を許してしまったのか!?」

???「さらにホルスの名において……むぐぅっ!?」

部下2「黙れ!」ガシッ


百貌「ちいっ、なんと面倒な……!! 全員散開! 各々目の届く距離から離れず、異変を感じたら即座に知らせろ!」

部下1〜20「「「はっ!!」」」ザザザザザァ

レッドフード「おいおい、間抜けな部下をずいぶんたくさん抱えてるな?」

百貌「黙れ貴様!」

マシュ「ど、どうしたら……」

レオナルド「マシュ、レッドフード、私のそばから離れないように。ミニレーダーを持ってきた、今はこっちのほうが視界より有能だ」スッ



740 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:55:57.49 ID:5un44TpH0



砂嵐「」ビュオォォォォォオオォォォォォオオオオオ!!!ビュゴゴゴオオオオオオオオオオオ!!!

部下4「くっ、こ、これでは視界も、聴覚も……!」ジリッ

部下5「い、いま何か動いたように……き、気のせいか」

百貌「くそっ、砂嵐がひどくなってゆく……貴様ら、これが終わったらゆっくりと話を聞かせてもらうぞ!」

レオナルド「それはどうも! 全く、こんな状況でもたくましいアサシンだね!」


レオナルド(全く状況は好ましくない。いや、最悪と言っていい。スフィンクスを、魔獣を相手にする、だって? それは幻獣の上位存在、竜種すら凌ぐ怪物だ。この人数でどうにかできるとは思えない……! 本来ならもっと装備を整えてから挑むべきなんだ)

レオナルド(……いいや、今は考えすぎるのは良くない。しっかりレーダーを確認して……)


マシュ「……!!」ピリピリピリッ


マシュ(殺気。来る)


マシュ「ダヴィンチちゃん!!!」

レオナルド「!? っ」

レーダー「」ポーン……ポーン……

レオナルド「ほんとに来た!? 二時の方向、そこのキミ気を付けて!!」

部下6「!?」バッ


741 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:56:29.02 ID:5un44TpH0


砂塵「」ドバッサァァァァァァァァァアアアア!!

スフィンクス「ゴグガアアアアアアアアアア!!!」ルドッ、ドゴォッ

部下6「うわああ!?」ドシャッ

マシュ「ッ退いて!!!」バッ、ガギャアアアアアア!!!

スフィンクス「グググググググ……!!」ギャリギャリギャリギャリ……

マシュ「うぐぐぐうううううう!!!!!」グググググググ……

部下6「な、な、貴様……」ワタワタ


レッドフード「ほお! 助けるのか!!」

レオナルド「感心してる場合じゃないよ、加勢加勢!!」

レッドフード「あ? ああ、もちろんだ。人助けはイイことだしな」カチャ、ダタタタタタタタタ……


スフィンクス「ゴグッ、ガァァァアアアアア!」ドシュシュシュシュシュッ、ヨロォ

マシュ「ったああああああ!!」グイッ、シュドッ

スフィンクス「ッギ……!!」ヨロッ、ジリィ……

マシュ「お、重い……!?」ビリビリ

スフィンクス「グガアアアッ!!!」ガオオッ

マシュ「きゃっ!?」バッ

レオナルド「おっとぉ!」ガギイィィィィィ!!!


742 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:56:57.78 ID:5un44TpH0


マシュ「あ、ありがとうございます、ダヴィンチちゃん!」

レオナルド「キミのサポートに入ったんだ、私だって戦えるさ! この万能の籠手でねっ!!」カチャッ、ブシューッ!!

籠手「」ガチャガチャァッ、ブシューゥゥゥゥ……!!!

スフィンクス「!? ッギアアァ!?」ジリィッ

マシュ「おお、かっこいい……!!」キラキラ

レッドフード「ほらよ!」タァン!!

スフィンクス「ギッ、ギアオオオオオオオ!!!」ダンッ!!

レッドフード「おっと、こりゃまずい」タタンッ、スルッ

マシュ「っ」


マシュ(レッドフードさん、かなり強い……! 通常時のジョーク多めの言動からは想像もできなかったけど、あの身のこなしは尋常じゃない!)


743 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:57:26.99 ID:5un44TpH0


百貌「そらっ!!」ヒュオンッ

ナイフ「「「「」」」」ヒュオオオオオッ

スフィンクス「っ……」グササササッ

百貌「何をぼさっとしている! 動け貴様ら!!」

部下3「あ、は、はい!!」チャキリ

部下2「無論!」チャキッ

スフィンクス「グギギ、ギ、ギギギィ……」グググググ……ダンッ


部下4「っぐっ」ドサッ

部下2「えっ?」



744 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:57:55.62 ID:5un44TpH0


マシュ「っ」


影「」ヒュンッ


部下7「ぐげっ」ドシャッ

部下8「あが……」ドッシャァ

百貌「! 全員下がれ、固まれ!! くそ、ここまで……っぐ!?」バッシィィィ、ズシャシャシャシャァ

部下9「百貌さm……うが!?」ドゴシャァ


マシュ「……!!」


マシュ(敵の動きがわかる。気が他に逸れたり、次にとびかかりやすかったりする対象を選別して、一番狩りやすい人から倒してるんだ)


レッドフード「おっと、コイツは面倒だな」チャキッ

レオナルド「いよいよスフィンクスも本気ってところか! 油断しないようにね!」ジリッ

???「……」モゴモゴ……ドヤァ

百貌「貴様、拘束されているくせにその得意満面の顔はなんだ!!」

レオナルド「ちょっと、漫才はあと!!」

マシュ「……」ジッ


マシュ(次はどう来る? 敵の考え。筋肉の動き。アレは疾風じゃない、スフィンクスだ。では次に来る場所は? ……違う、考えるべきなのはスフィンクスじゃない。視点を変えなきゃ)キョロッ

マシュ(味方を見なきゃ。あの人は注意散漫。だけどスフィンクスからは遠い)キョロッ

マシュ(あの人は警戒できてる。けど、砂嵐で視界が塞がれがち)キョロッ

マシュ(あの人は視野が狭まってる。肩に力が入りすぎなんだ)キョロッ


マシュ(考えて、マシュ。いま、一番狙われるのは誰?)キョロッ。キョロッ。キョロッ。キョロッ

マシュ(いま、一番、殺しやすいのは誰?)


レオナルド「まsy……!?」ゾワリ

百貌「……っ」ゾワアッ

レッドフード「……!!」ゾクゾク




745 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:58:25.03 ID:5un44TpH0



影「」ヒュンッ

部下18「えっ……」

マシュ「ったああああああああああああああああ!!!!」ババッ、ガッギャァアアアアァァァアアア!!!

スフィンクス「ゴアアアアアアアアオオオオオオオオ!!!」ギャリリリリリリリィ!!!

マシュ「捉、えた……」グググググッ



レオナルド「うっそ、はや……」

レッドフード「……イイじゃねえか」

百貌「なんたる……」



マシュ「ぐぅぅぅぅうう!!!!」

マシュ(一撃を。この重い魔獣にも通用するような、強い一撃を!!)ググゥッ!!


ドクンッ!!

マシュ「っそこ!!!」ギュドドドォッ!!!

スフィンクス「……、……、……」ヨロ、ヨロロッ


マシュ「ッハアーッ、ッハアーッ……」ジリ、ジリィ


マシュ(……だめ、また一瞬だけ命を使ってブーストしてしまった。こんなのじゃ、だめなのに……)ヨロ



スフィンクス「グル、ロアァ……」ヨロ、ドシャアッ

百貌「……修羅か……」ジリッ

???「……!」モゴモゴ……ピタァッ


746 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:58:53.63 ID:5un44TpH0



マシュ「はあっ……」スッ

レオナルド「す、すごいじゃないか、マシュ……」

レーダー「」ピピー!! ピピー!!

レオナルド「!? おっと、えっと、この反応は何だったかな……!?」

ドクター『もしもしレオナルド、聞こえるかい!? 聖杯反応がゆっくりとだが接近中だ、気を付けてくれ!』

レオナルド「おおっとマジ!? マシュ、レッドフードくん、百貌くん! ちょっと今いいかな……っていうか、この魔力反応ヤバいな……!! ちょちょ、その、説明の時間がないんだけど!」

マシュ「どうしたんですか、ダヴィンチちゃん!?」

レオナルド「聖杯持ちのサーヴァントだ! それも、素の魔力が規格外の怪物だよ!!」

レーダー「」ピピピピピピピ!! ピピピピピピピ!!



747 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:59:27.14 ID:5un44TpH0



レッドフード「へえ、そいつは……ああー、不味いか?」

レオナルド「不味いね! 正直言って魔獣なんてメじゃないよ!」

マシュ「どどど、どどっ、どうしましょうか」フラ

レオナルド「……! 百貌くん、部下を下がらせて! 撤退の準備を!」

百貌「ちっ……! 全員、この場から退くぞ!」

部下1「し、しかし、負傷者たちが……!」

百貌「速度は下がっても構わん、互いにカバーして退却するのだ!」


マシュ「どうしましょうか!?」

レオナルド「彼らが仲間なら致し方ない。砂嵐がひどいが、我々がしんがりを努めつつ、極力聖杯持ちとの接触を避けて……」


ザシ、ザシ。ザシ、ザシ。


砂嵐「」ビュオオオォォォォォォオオオォォォ……ピタッ


レッドフード「……おっ、砂嵐がやんでくれたぜ。ジャストタイミングだな」

レオナルド「……あ、あー、……」

マシュ「……う……」ゴクリ

レッドフード「……ああ、まあ、そんな都合の良い話はないだろうよ……」



夕陽「」ジリジリジリィ……

ザシ、ザシィ。ザシ、ザシィ。

「まさかファラオを出向かせるとはな。暗殺者風情が、誇ると良い」ザシ、ザシ。ザシ、ザシ

百貌「……オジマンディアス……!!」

オジマンディアス「身構えるな。余は戦いに来たのではない。ただ、我がピラミッドの内にあるべきものを、取り戻しに来ただけのこと」ザシィ……


748 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:59:59.01 ID:5un44TpH0



???「……」モゴモゴ……

オジマンディアス「そこに居たか、ニトクリスよ。いまその戒めを解いてやろう」スッ

百貌「させるな! 全員警戒を……」

???「ぷはあっ!!」ハラリ

百貌「な……」

オジマンディアス「『させるな』? 余になにをさせぬというのだ、影に生きる者よ。余は太陽だ。太陽の行いは当然、民を照らすかの如く絶対である」

百貌「くっ、て、撤退だ……!! ニトクリスは捨て置け! 全員撤退しろ!!」

部下1〜20「「「「はっ!!」」」」ザザザァッ


ニトクリス「も、申し訳ありません、ファラオ・オジマンディアス……」

オジマンディアス「頭を下げるな、ニトクリス。そも、このような事態は未然に防ぐのが余の役目。起きてしまったこと自体が不足なのだ」

マシュ「……」

レッドフード「ははは、こいつはまともじゃねえな。さっさと逃げるか?」

レオナルド「あ、ああ、何にせよ敵意はないようだ! 今の内!!」

マシュ「……はい!」ダッ



749 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:00:28.01 ID:5un44TpH0



百貌「くっ、貴様らが現れてから歯車が狂ったのだぞ! きちんと説明しろ!! なぜここに居る、レッドフード!?」ダダダダダ

レッドフード「おいおい、俺は知らねえよ。けど、『山の』から直接命令が下ったらしいぜ?」タタタタッ

百貌「な、しょ、初代様からの……!?」

マシュ「え、えっと、全然話が把握できないのですが!」タタタタタ

レオナルド「うーん、察するに……キミたちはあのファラオたちと敵対してるのかな?」

百貌「……ファラオだけではないがな。とにかく、レッドフード、詳しく聞かせろ。作戦は?」



750 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:00:56.29 ID:5un44TpH0


………………

オジマンディアス「……ふむ、しかし手ひどくやられたな。まさか我がスフィンクスがこうも痛めつけられるとは」

スフィンクス「……」ピクピク

ニトクリス「はい……恐ろしいほどの腕前でした。確かあの娘は、マシュと呼ばれていたようです」

オジマンディアス「ほう、マシュか! その名は知っている。ふむ、しかし……この弾丸は、なんだ?」

弾丸「「「」」」ポロポロ……ドロォ……

ニトクリス「……なんでしょうか。泥のように見えますが」

オジマンディアス「……まあ良い。玉座の間に戻るぞ、ニトクリス。そろそろ『首』も限界だ」ザッ、ザッ

ニトクリス「は、はっ! 重ね重ね、申し訳なく……」テテテッ

オジマンディアス「やめよ。ファラオは太陽の如く堂々としておればよいのだ。……無論、本当の太陽は余であるが」


オジマンディアス(……マシュか。その身にとりつく虫、厄介なものだ)

オジマンディアス(しかし、奴らがカルデアからの勢力なら……それなら、もう一人の黒猫の男はどこに居る?)


751 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:01:24.15 ID:5un44TpH0


………………

バットマン「……さて」

目玉の化け物「」チーン

目玉の化け物2「」ピクピク

袈裟の女性「はあ〜、助かっちゃった……こう、目はイイんだけど、このにょろにょろがダメなのよね。あ、助けてくれてありがと! 命の恩人だわっ!」

バットマン「いや、大したことではない。……それよりも、こんな場所でひとり、何をしている」

袈裟の女性「あ、そ、それはその……えっと、ほんとは一人じゃなくて、弟子が居たんだけど。話すと長くなるんだけど、いい?」

バットマン「……聞こう」


752 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:02:06.72 ID:5un44TpH0


………………

バットマン「……つまり、今の話を要約すると……お前は、あの『城』で賓客としてもてなされていた。それも約二か月」

女性「はい」

バットマン「だが、拘束された生活が嫌になったのと、この特異点の実態を探るために半ば無理やり抜け出してきた。これが一週間ほど前」

女性「その通りです」

バットマン「……その一週間の間に、放浪していたと。道中で弟子を取っていたものの、砂漠の砂嵐の中で怪物たちに襲われ、すぐに弟子ともはぐれた。そういう事か?」

女性「ぎゃてえ……だって、あんなにすごい砂嵐見たことなかったんだもの! 黄風大王だってあんなにひどい砂嵐を巻き起こさなかったし!」

バットマン「責めているわけではない……名前は?」

女性「あ、私? 私はね、玄奘三蔵っていうの! 今は仏典のオリジナルを持ち帰ろうと……」

バットマン「……玄奘三蔵? 『西遊記』の、三蔵法師か?」

三蔵「? ええ、そうよ? まあ、自分で『法師』なんて名乗っちゃうのはちょっとむずがゆいけど」

バットマン「……サーヴァントなのか?」

三蔵「……あぁ、そのこと。ええ、はい、確かに私は『召喚』されました。この地獄のような世界で目覚めたのは、半年ほど前よ」

バットマン「半年だと」


バットマン(半年も前だと……この特異点は、一体どこまで『進んで』しまっているんだ……)


753 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:02:38.24 ID:5un44TpH0


三蔵「アナタは? なんだか、その、個性的な恰好だけど」

バットマン「私はブルース。ブルース・ウェインだ」

三蔵「へえ、ブルース・ウェイン! 変な名前……あ、ごめんなさい! 別に馬鹿にするつもりじゃなくて……」

バットマン「分かっている。この辺りではなじみのない名前だろう」

三蔵「うんうん、そうそう、それだけだから! うんうん、アナタっていい人ね!」

バットマン「……それは分からないな」

三蔵「分かります。これでもそこそこ長く御仏に仕えてきた身なんだから、言葉を交わした人間の人となりなんて見えてきちゃうものなの」

バットマン「それは……厄介だな。生きにくい」

三蔵「だから宣言します! アナタを私の一番弟子に……あれ? 二番弟子? まあいいわ、弟子にしてあげる!」

バットマン「……」


バットマン(正直に言って、このパターンは全く予測していなかった)


754 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:03:06.09 ID:5un44TpH0


バットマン「そうか、法師の弟子にしてもらえるのは光栄だ」

三蔵「あ、はぐれた弟子も同じことを言ってたわ! そういえば、恰好もアナタとちょっと似てたかも……えっと、なんて名前だったかしら……」

バットマン「……私に似ていた?」

三蔵「そうそう、すっごく似てた。えっと、顔っていうか、雰囲気っていうか……なんだか物悲しげで、赤い兜みたいなのをかぶってて……そう、銃っていうのかしら! そうよ、銃を使ってたわ! 御仏的にすっごくNGだから叱ったんだけど、ぜんぜん聞いてくれなくて……」

バットマン「……」


バットマン(……いや、まさかな。まさか……)


755 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:03:37.74 ID:5un44TpH0



三蔵「……〜〜だったんだけど、もう雰囲気がそっくり! まるで親子みたいね、アナタたち」

バットマン「そうか……他人の空似というヤツだろうが、そこまで似ているというのは面白い。ところで、先ほど助けた貸しを返してもらっても良いか」

三蔵「え? えぇ、構わないけど……何かしてほしいの?」

バットマン「ここからそう遠くない場所に、とある施設がある。そこへ共に来てほしい」

三蔵「しせつ? どんな?」

バットマン「『アトラス院』と呼ばれる……っ!?」ピリピリピリッ


バットマン(殺気……!?)バッ


スタ、スタ、スタ……


「……こんなところにいたのか。探したぜ、法師サマよお」スタ、スタ


三蔵「え? ……あ、あなた……」

バットマン「……三蔵、下がれ。危険だ」

三蔵「えぇっと、多分いまはサーヴァントじゃないキミの方が下がるべきだよね?」

「ああ? なんだてめぇ、余計なヤツまでついてやがるな……まあいいか、揃って首を取りゃいい話だ」スタ、シュリィィィィ……

バットマン「……変わらんな。なぜここに居る、モードレッド」

モードレッド「……なんだと?」チャキッ


756 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:04:16.49 ID:5un44TpH0


………………

月「」シィィィ……ン

ザシ、ザシ。ザシ、ザシ

百貌「つまり、我々が門の前で騒ぎを起こしている間に、初代様が来て聖都に侵入してくださると?」ザシ、ザシ。ザシ

レッドフード「そういう事だ。要約が上手いな、さすがアサシン……いや、それは関係ないか」ザシザシ

百貌「無駄口が多いヤツだ。ともかく、そういう話なら最初から言え。……フン、私も前々からあそこのやり方は気に食わなかったんだ。民を避難させるついでになって良い」

マシュ「え、ええっと……つまり、どういう事です?」

レッドフード「あそこの城が見えるだろ、嬢ちゃん」


巨大な城「」ズオォォォォォォオオォォォ……


マシュ「は、はい。砂漠に居たときから大きかったですが、荒野に入ってからは見え方が大きすぎて距離感が狂いそうになります……」

レッドフード「あそこの城主様がそれはもう悪いヤツなんだ。人を殺してなんとも思わないサイコパスの集団がいる……おっと、悪いな。お前らのことじゃないぜ」

百貌「……分かっている」

レオナルド「うーん、対象物との距離……は、およそ5キロくらいかな? それでももうすぐ到着するよ、門があるならそろそろだ」

レッドフード「……まあ、実態は自分の目で確かめてくれ。かなり酷いからな……」プルプル

マシュ「……」



757 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:04:43.49 ID:5un44TpH0


百貌「しかし、今日は『聖抜』の日なのか?」

レッドフード「おいおい、俺を誰だと思ってやがる。情報収集は抜かりなく、ブルースから学んだことさ」

マシュ「あの、すみません。その『聖抜』とは?」

百貌「……ああ。まず説明せねばならないのは、あの『城』の周囲には都が広がってるという事だな。それは『聖都』と呼ばれる街なのだが」

レオナルド「ほうほう、城下町ってところか。あれだけ立派なお城の周りの街なんだ、立派な都なんだろうね」

レッドフード「噂じゃ『理想郷』って言われるほどらしい。無いものが無いとか……へッ、誰が流した噂だろうな」

百貌「当然だが……いや、少し待て。到着したぞ」


758 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:05:10.57 ID:5un44TpH0


人々「「「」」」ワイワイ……ガヤガヤ……

レオナルド「……ワオ。予想はしてたけど、やっぱり多いね。すごいな、まるでこの辺りに住んでた人々が皆ここに集まったみたいだ」

マシュ「うわわ、夜なのにすごい活気ですね……テントを張ってキャンプしてる人もいます」

レッドフード「ここも完全に安全ってわけじゃねえ。うろつく怪物に襲われることだってあるだろうに、もうここしかねえのさ。酷い話だろ」

百貌「全員、そのままでは目立つ。この外套をまとえ」スッ

マシュ「あ、ありがとうございます!」

レオナルド「おお、これはまたそれらしい服装だ」


759 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:05:45.82 ID:5un44TpH0



マシュ「……そ、それにしても、こんなに人が居るなんて……」

レッドフード「大した話じゃない。生きる希望がここしかないのさ。砂漠の砂嵐はきついし、かといって荒野にとどまっていればいつかは干からびて死んじまう。狂ってるぜ、この世界も」

マシュ「……ひどい」

レオナルド「うーん、荒野にいくつかクレーターが開いているのを見たけど、アレは一体?」

レッドフード「……ああ、アレは『流れ星』さ」

レオナルド「流れ……?」


門「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


レッドフード「おっと」


難民A「おお……おお、聖抜が始まる……!!」

難民B「ありがたや、どうか『獅子王』のめぐみを、どうか……!!」

難民C「どけ! 俺が一番前に出るんだ!!」


百貌「……当然だが、その都に入れる者はそう多くない。あそこに入れる機会といえば、騎士共が『聖抜』と呼ぶ見定めを行う、このタイミングに限られる」スッ

レッドフード「飛び出すタイミングは?」

百貌「……どうかな。誰が出てくるかによる」

マシュ「え……?」

レオナルド「おっと、レーダーに反応あり。魔力を持った存在が出てくるぞ」


レーダー「」ポーン……ポーン……


760 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:06:13.33 ID:5un44TpH0



太陽「」パアァァァ……


マシュ「っ、ダヴィンチちゃん、私の記憶では先ほどまで夜だったと思いますが」

レオナルド「うーんちょっとタンマ。……ああ、これは厄介な反応だな。『場』に影響を及ぼす魔力を帯びてる。強力だ」

レッドフード「ふーむ……ってことは」

百貌「ああ、ヤツだ。全員、待機しろ」

部下1〜20「「「はっ」」」ゾロゾロ



難民D「ど、どうなってるんだ? さっきまで夜だったのに……」

人々「「「」」」ザワザワ……


騎士A「」ガシャリ、ガシャン

騎士B「」ガシャン、ガシャン、ガシャン


「落ち着きなさい。これは、獅子王がもたらす奇蹟」スタ、スタ

「常に太陽の祝福あれ、と。我が王が、私に与えたもうた祝福(ギフト)なのです」



レッドフード「やっぱりアイツだ」

百貌「ガウェイン……!!!」

レオナルド「ガウェイン? それってあの『円卓の騎士』のガウェインで合ってるかな?」

百貌「ああ、そうだ。太陽が出ている間はまさに無敵じみて強い男……それを『獅子王』め、ギフトでヤツの周囲に常に陽の光を呼び出すようにしたのか……!」


マシュ「……??」ドクン


マシュ(なに、この、感覚……)ドクン、ドクン



761 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:06:43.56 ID:5un44TpH0


難民E「よ、よかった、円卓の騎士、ガウェイン卿!」

難民F「やった! 聖抜が始まるんだ! 聖都に入れるんだ、俺たち!!」



マシュ「……っ」ピリピリピリッ

マシュ(殺気!? なんで!? どうして、何か、おかしい、私)ドクン、ドクン


レッドフード「いつ出る」

百貌「待て、もう少し……! 隙をさらした直後でなければ」

レオナルド「……っ、ああ、そうか。聖抜というのは、そういう事か……!!」



ガウェイン「皆さん。自ら聖都に集まっていただいた事、感謝します」

ガウェイン「人間の時代は滅び、また、この小さな世界も滅びようとしています。
主の審判は下りました。もはや地上のいかなる土地にも、人の住まう余地はありません」

ガウェイン「……そう。この聖都キャメロットを除いて、どこにも」


マシュ「……」ドクン、ドクン、ドクン

マシュ(ああ、だめ。そんな、それではダメだ。ガウェイン卿、そんなやり方をしては)ググッ


762 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:07:12.93 ID:5un44TpH0


レッドフード「おい、まだか」

百貌「まだだ! 我慢しろ、もう少し隙を伺うんだ!」

レオナルド「……! マシュ?」

マシュ「……」ブツブツ……

レオナルド「……マシュ、どうしたんだ」



ガウェイン「我らが聖都は完全、完璧なる純白の千年王国。この正門を抜けた先には理想の世界が待っています」

難民G「噂は本当だったんだ……!!」

難民H「円卓の騎士……なんと神々しい……異郷の騎士だとしても、あの輝きは本物だ……」

ガウェイン「……ありがとうございます。ですが、あなた方を受け入れる前に……」

難民I「……なんだ? 門の上に、誰か立っているぞ……?」

ガウェイン「……我が王からの、見定めを受けてください」



門「」ズゥゥゥゥゥゥゥゥ……ン……


???「……」ジッ


763 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:07:52.46 ID:5un44TpH0


???「……最果てに導かれる者は、限られている。
人の根は、腐り落ちるもの。
ゆえに、私は選び取る。決して穢れない魂。あらゆる悪にも乱れぬ魂。
……生まれながらにして不変の、永劫無垢なる人間を」


ガウェイン「……」

人々「「「……」」」


マシュ「……」ゾワァ

レオナルド「あ、アレ、は、ヤバい、レーダーが振り切れちゃってる」

百貌「馬鹿、黙っていろ……!」ダラダラ

レッドフード「……いつ見ても壮観だな、王サマってのは……」


???「……」ブゥン……

???「……残念だ、今回は一人たりとも居ない。ガウェイン卿」クルリ


ガウェイン「……は」


難民A「……え? あ、あの王様、何処行ったんだ……?」


騎士D「」ガシャリガシャリ、カチャ……


難民A「……え?」

騎士D「」ズバァッ

難民A「うぎっ」ドシャァ


764 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:08:48.95 ID:5un44TpH0


難民B「う、嘘だろ!? 嘘、嘘だ!?」

難民C「う、うわああああああああ!! こ、殺しやがった、殺したんだ! ちくしょう、なんで!?」

難民D「理想郷じゃないの!? なんで、どうして……うッ」ドシャッ


騎士E「」ズバァッ、ズバン

騎士F「」ガシャリ、ガシャリ、ズバァ

人々「「「」」」キャアアアア!! タスケテクレ!! ダレカァ!!



レオナルド「やっぱりか! 奴らめ、『聖抜』で選ばれなかった人々をあんな風に……!!」

レッドフード「まだか」

百貌「まだだ! まだだ、ガウェインが隙を見せない……!」

レオナルド「……っ、マシュ!? マシュ、何処だい!?」

百貌「なに、あの小娘はこんな時に何処へ……!?」


765 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:09:35.88 ID:5un44TpH0


ガウェイン「……」ピクリ、バッ


ガッギャァァアアアアァァァァァァアア!!


マシュ「……!!!」ギリギリギリギリギリ……!!

ガウェイン「……おや、貴女は」グググググ……

マシュ「サー・ガウェイン。今すぐにこれを止めてください」グググググッ

ガウェイン「……ほう」


タァン!!


ガウェイン「っ」ババッ、ガギャギャギャァ!!

弾丸「「」」ポロポロッ

レッドフード「お前なら飛び出すって思ってたぜ、嬢ちゃん」カチャリ

百貌「全く、なんという事をしてくれたのだ貴様……! 目先の犠牲を止める事だけにとらわれたか!? コイツがどれだけの強敵か分かって……」

レオナルド「はいはい、責任探しはあとだ! 今はどうにかこの虐殺を止める!」

百貌「言われなくともわかっている! お前たち!」


部下1〜20「「「はっ!!」」」ゾロゾロッ

百貌「民たちを山へ誘導しろ! 一人でも多く逃がすのだ!」


766 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:10:05.34 ID:5un44TpH0



ガウェイン「……なるほど、では貴方たちが噂に聞いていた『レジスタンス』の者ですか」

百貌「残念だがここまでだ、騎士よ。初代様が来る」

レッドフード「フン、まあ年貢の納め時って事だ」

ガウェイン「……? 失礼、貴方はどこかで?」

レッドフード「……ククッ、どうかな?」

ガウェイン「……」


マシュ「サー・ガウェイン。なぜこのような事をしているのです」

ガウェイン「それが我が王の望みなれば。そこに疑問をさしはさむ余地はない」

マシュ「民を守ってこその騎士だったはずです!」

ガウェイン「もはや死んだ人理の中、人を守る方法はこれしかない」

マシュ「……どういう事ですか」


ガウェイン「さて、貴女が知る事ができるでしょうか……」ガチャ、チャキリ

767 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 02:10:33.18 ID:5un44TpH0



レオナルド「マシュ。何があったのかは分からないが、アレは敵だ。警戒するんだ」

マシュ「……はい」ガシャリ

ガウェイン「私の前に出たからには、相応の覚悟を示していただきましょう。どうか剣の一振りで倒れる事のなきよう」ジリッ

レッドフード「賭けるか? 俺は5回耐えられると思うぜ、30ドルだ」

百貌「黙って警戒しろ! アイツの実力は本物だ!」

ガウェイン「では、行きましょうか」ダッ



768 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/08/12(月) 02:11:54.15 ID:5un44TpH0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。

また、読んでくださっている方にこのような情けない愚痴を吐いて申し訳ありませんでした。今後は無いように努めます。
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/12(月) 12:30:36.85 ID:KN0p6jFpo

これからも楽しみに読ませてもらうわ
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/13(火) 15:10:32.59 ID:PyyDZ7fUo

アメコミ勢から誰が出てくるのかとてもとても楽しみにしながら読んでおります
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/13(火) 19:59:11.14 ID:pox4kIwZ0
おつおつ!
レッドフードさんが何だか不穏な感じ?
レイシフト開始から別行動って何が起こるかわかんなくてわくわくするな〜これからも楽しみに待ってます!
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 10:39:17.78 ID:JyMV3ApO0
このジェイソンのりのりだな
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/15(火) 23:36:57.81 ID:TCef99+ro
やっぱFateのマスターは少しぐらい頭おかしい方が面白いな
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/30(水) 21:36:17.89 ID:xM/yOAD00
待ってる
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/17(月) 18:45:44.90 ID:tOfrfu1uo
CIA職員「んほぉ〜〜この娘を持って心が和らぎ始めたバッツたまんねぇ〜」
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/23(土) 22:01:42.27 ID:m+I2YS33O
待ってます
777 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 15:59:48.33 ID:LW5FqCKG0

………………

ピッピッピッ……クオォォォォォォオン……


所長「……」

ドクター「……」ソワソワ……

職員A「……」ハァ

職員B「……」キョロキョロ、ソワソワ

職員C「……」イライライライラ

所長「それで、ブルースの位置は。特定できたの」


778 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:00:19.56 ID:LW5FqCKG0


職員C「いえ、その……いまシバのレンズを最大限に活用していますが、しかしそもそも特異点をそのまま映すというのは非常に負担が大きく……」カチャカチャカチャ、タン

所長「そう」

職員C「……えと、その……できうる限りの努力はしていますが、この特異点は大気中の魔力の濃度が高く、これ以上焦点を合わせてしまうとレンズが耐え切れず割れる危険性があり……その、今のところ、全く成果が無いというのが現状です」

所長「ふむ……」

ドクター「……ブルースくんのスーツから送られてくるバイタルサインに問題はない。生きているようだ。……だが、先ほどから何度か交戦を示すシグナルが送られてきている。マシュとはぐれて、一人で戦っているのかもしれない」

所長「……」

所長(ムードメーカーであるレオナルドが居ない今、私がシャキッとするしかないのよね。……いえ、そもそもこれは所長である私の役目だわ)


779 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:00:48.01 ID:LW5FqCKG0



所長「……全員、聞いて」

職員A「……?」

職員B「は、はい」ソワソワ、クルリ

職員C「……」イライライラ

ドクター「……」

所長「ブルースが心配なのは分かります。けど、お通夜みたいな雰囲気になるのは良くないわ。気を引き締め直して。我々のサポート如何で、彼らの生死が決まるのよ」

職員A「……」

職員B「……すみません」

職員C「で、でも……」

所長「自分のチームを信頼しなさい。ブルースやマシュ、レオナルドはこんな事では絶対に負けないわ」

職員C「……」


780 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:01:17.22 ID:LW5FqCKG0



職員A「……なあ、大丈夫か」

職員B「え、ブルースさん? 大丈夫でしょ、あの人が参ってるところなんて想像できないし……」ソワソワ

職員A「違う、お前だよ。さっきから、何度も爪を噛んでる。冷静じゃないんだろ」

職員B「……だって、心配だし……」

職員C「……」

職員A「……なあ、お前も。大丈夫か?」

職員C「え? ああ、大丈夫。俺は平気だから……」

職員A「……」


781 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:01:43.78 ID:LW5FqCKG0


職員C(……最初はイカれ野郎だと思ってた。猫の仮装して世界を救う? よっぽどの狂人か、あるいは誇大妄想にとらわれた馬鹿野郎だ)

職員C(……でも、だんだんと、あの人の事がわかっていった。わかってしまったんだ。ブルースさんはいつだって本気で、俺たちの事をずっと見てて、冗談が下手で、心配性の男なんだ)

職員C(くそ、なんでこうなった。諦めて、死にゆく世界で、気楽に最期を迎えられたらってずっと思ってたのに。焼かれた世界で、人の心配をするなんて)


職員C「……無事で居てください、ブルースさん……」カタカタ、カタカタ、タンッ


782 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:02:14.25 ID:LW5FqCKG0



………………


バットマン「……私の事を覚えていないのか、モードレッド」

モードレッド「はあ? 何言ってやがる、初対面だろうが。覚えてるもクソもあるか」

三蔵「ブルース、下がって。あの子、すっごい魔力を秘めてる」

モードレッド「へッ、城に居る時は気に食わなかったが、なかなかどうして……こうして殺す気で向かい合ってそのツラ見ると、悪くねえ顔してるじゃねえか。覚悟ができてやがる」

バットマン「なぜだ。なぜ殺す。誰に命令された」

モードレッド「てめぇは正反対だな! 何かを殺す覚悟もねえツラしてやがる! ムカつくぜ、前に会った時も……ぐうっ!?」ズキン

バットマン「……『前に会った時』?」

モードレッド「う、うぐ、頭、が……畜生てめえ、何しやがった……!?」ヨロッ

バットマン「……???」

783 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:02:41.28 ID:LW5FqCKG0



(((行け。世界を救ってこい)))

(((……私も、お前達と共に戦えるのは光栄だ)))

(((恐怖に飲まれるな)))


モードレッド「……くうっ、誰だ……てめえ……誰だ、てめえは!!?」ヨロヨロッ

バットマン「……」


バットマン(何が起きているかは全くの不明。だが、チャンスに違いない)


バットマン「三蔵、こっちだ」

三蔵「えっ?」

バットマン「逃げるぞ」ダッ

三蔵「え、え、ちょっちょっと!?」ダダッ

モードレッド「……! てめ、待て!!!」ダンッ


784 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:03:08.08 ID:LW5FqCKG0



バットマン(ルート取り。山の方角、星座の位置から判断して、西南西へ向かうこのルートが最も『近い』)


三蔵「どこに向かってるの〜!?」タッタッタッタッ

バットマン「アトラス院。迷宮だ、ヤツを撒くにはちょうど良い」タタタタタ


バットマン(しかし、砂で足が取られる……)


モードレッド「この野郎、逃げるなんてそれでも男かてめえ!! 真っ向から向かってきやがれ!!」ダダダダダッ


バットマン(無茶を言うところも全く変わっていない。アレは間違いなくモードレッドだ)


785 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:03:44.62 ID:LW5FqCKG0



バットマン「フッ!」シュパパパッ


バットラング「「「」」」ヒュオオオォォォオッ!!!


モードレッド「こんなもんっ……!?」ガギギギィッ、プシューーウゥゥゥゥゥ……

煙幕「」モクモク……

モードレッド「な、なんだ!? 煙!? げほっ、くそっ、なんだコレ!?」


三蔵「ええ、何あれ何あれ! 面白い事になってるじゃない!?」

バットマン「バットラングにスモークペレットを混ぜて投げた。剣に貼り付いて、しばらくは視界を曇らせる……それより走れ」ダッ

三蔵「あ、ちょっと待ってって!」タタッ


786 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:04:12.25 ID:LW5FqCKG0


モードレッド「げほっ、くそっ、きたねえ搦め手使いやがって……!」ズキン


モードレッド(クソっ、なんなんだ! 頭がいてえ……!! 何か、思い出しそうな、気がする……)


(((お前の行動が士気を乱すものになると言っている)))

(((私が気に食わないだけか?)))

(((何か異論があるなら聞くが)))


モードレッド(……なんだか無性に腹が立ってきやがった。あいつ、さては相当なクソ野郎だな……??)


モードレッド「……ぶっ殺してやる!!」ダダンッ、ダダダダダダ


787 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:04:48.30 ID:LW5FqCKG0



三蔵「ねえねえ、他には!? なんだか神器みたいで貴方の道具がすっごく気になるんだけど!」タタタタッ

バットマン「神器ではない。これはユーティリティベルトと言って、私の活動を補助してくれる道具が多く納められており、」ダダダダダ……

三蔵「うーん? 難しいのね? あ、この玉は!?」スッ、カチャ

バットマン「!! 何を、今すぐ投げろ! 危険だ!」

三蔵「えっえっ、ええぇ!? えいっ!」ポイッ


球体「」ヒュゥゥゥゥウ……ドッガァァァァァァアアアアアァァァァン……


モードレッド「ぐわああっ!?」ゴオオッ


三蔵「えええ!? なにあれ、すっごい爆発!?」

バットマン「……アレはスーツ越しでも自決できるようにしていた爆弾だ……!!」


バットマン(なんという事だ、もしもの事態に備えてカルデアに秘密で少しずつ作成していたというのに……!)


三蔵「自決!? いけません、自殺なんて御仏的にNGもいいところよ!!」

バットマン「ああ、そうかもしれんな……」


バットマン(……これで情報を引き出されそうになった場合の最終防衛手段は無くなったか。自分を信じるしかないのは、少し心細いものだ。いや、心細すぎる)


三蔵「……なんだか貴方って、結構捻じれてる?」

バットマン「法師のカウンセリングか? またあとにしてくれ」ダダダダダッ


モードレッド「野ッ郎、爆弾やら煙幕やら卑怯くせえ!!!」ブチィッ


三蔵「うわあああああん、ごめんなさーい!? わざとじゃなかったのよ!!」タタタタタタ


788 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:05:25.40 ID:LW5FqCKG0



モードレッド「逃がすか、この野郎……!! 『是こそは、我が父を滅ぼせし邪剣』……」シュゴォォォォォォォォォオォォォ……


バットマン(いかん!!)


バットマン「三蔵、掴んで引けっ!!」バッ、シュポッガシッ

三蔵「え!? え、は、はいっ!!」ガシッ



モードレッド「ッ『我が麗しき父への叛逆』(クラレント・ブラッドアーサー)!!!」ゴゴゴゴオオオオオォォォォォォォォォッ!!!


バットマン(ここだ!)グィィィッ


ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!


789 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:05:54.78 ID:LW5FqCKG0



パラパラパラパラ……


モードレッド「……いってえ……!!」ギチギチギチギチ


ロープ「」ビイィィィィィィィィィ……ン


バットマン「……!!!」ギチギチギチギチギチ


モードレッド(くそったれが、放出の寸前に肩に何か撃ってきやがった……!?)ギチギチギチギチ

バットマン(どんな大砲も、発射前に砲の向きを変えれば無力。グラップネルガンは改良してある、ロープもそうそう千切れはしない……!)ギチギチギチギチ


バットマン「三蔵、タイミングを合わせるんだ。激突から5秒後で良い、地面を叩け!!」ギチギチギチ、グイィィィッ

三蔵「なんだか分からないけど、了解ッ!!」グイィィィンッ


モードレッド「っちくしょ……!?」ヨロォッ


バットマン「フッ」ダンッ、フワアッ


790 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:06:59.58 ID:LW5FqCKG0


バットマン「……シィッ」バサササッ、シュバッ

モードレッド「ちっ」ババッ、ズササァ

バットマン「逃がさん」ダダン、ズシャシャ、バッ

モードレッド「、しつけえ、野郎だ!」ババッ、ズバァッ

バットマン「ふっ……相変わらず直線的な剣の軌道だ、モードレッド」ババッ、ヒュンッ

モードレッド「余裕のつもりか、むかつく野郎だな!」シュバババババババッ

バットマン「っ、直線的で力強い。やはりお前は世界を救った騎士だ」ギャリリリリィ、ズササシャシャシャ、ババッ

モードレッド「ワケわかんねーなお前! 貶してんのか褒めてんのかどっちなんだ!」ダンッ

バットマン「分析している。お前の剣を」ダダッ


モードレッド(くそっ、コイツ、やりづれえ。懐かしい感じもするし、けど、俺は覚えてねえし……!! ダメだ、内心で迷いが生まれる!!)

バットマン(三蔵の膂力で肩を負傷させているのは大きい。宝具の連発は不可能だろう。ならばここで畳みかけ、撃退もしくは打倒する)

791 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:07:38.04 ID:LW5FqCKG0


バットマン「フッ!」ガッギャアアア!!

モードレッド「ゼェアッ!!」ガギギィィィィ!!

バットマン「グッ……今回は……誰に仕えている、モードレッド」ドシャァッ、ギリギリギリギリ

モードレッド「ああ? 父上以外の誰に仕えるんだ、俺が」

バットマン「…………なんだと。父上とは、つまり、アーサー王か?」

モードレッド「おう、そうだ。あのアルトリアだ。悪いか、陰気顔」ギリギリギリィ……

バットマン「……意外だな。叛逆はしないのか」

モードレッド「……てめえ……はは、殺したくなってきたぜ」ギュギュウウゥゥゥ、ギュウォォォォオオオオオオ!!!

バットマン「! なにっ」


バットマン(モードレッドの剣が輝きを増して……まさか、宝具は供給源がなくともノータイムで連発可能なものだったのか!?)


792 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:08:08.54 ID:LW5FqCKG0




三蔵「ブルース!! 行くわよ!!!」ギュオオオオオオオオオッ



モードレッド「あぁ!?」

バットマン「ああ! やれ、三蔵!!」ギャリリィ!!

三蔵「どっせい!!」ビュゴッ!!


モードレッド(なんだ!? 地面に攻撃……いや違う!)


バットマン「相変わらず、搦め手への意識が低いようだな。サー・モードレッド」バッ

モードレッド「テメッ……」

バットマン「さらばだ」


地面「」ビキィ、ビキビキビキビキ……ガラガラガラガラッ


793 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:08:49.14 ID:LW5FqCKG0


モードレッド「崩落!? これを狙ってやがったのか!?」グラグラ

バットマン「三蔵! 掴まれ!!」バッ

三蔵「わわわわわ、どうなってんのよぉ!」ガシッ

モードレッド「……!! てめえ、勝ったと思うな……!!」

バットマン「お前は」バサッ

モードレッド「っ」

バットマン「負けてからが強い。油断しないようにしよう」バササササササ……


ヒュオォォォォォォォォォォォ……



794 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:09:21.18 ID:LW5FqCKG0



モードレッド「……落ちていきやがった……」


(相変わらず、搦め手への意識が低いようだな。サー・モードレッド)


モードレッド「……!!」


(お前は負けてからが強い。油断しないようにしよう)


モードレッド「……るっせーバーカ!!! バーカ!! なんでテメーにそんなこと言われなきゃならねえんだ!! そもそも負けてねえよ!!」


砂漠「」シーン……


モードレッド「……クソが! 絶対逃がしてたまるか!」ザッ


795 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:09:52.67 ID:LW5FqCKG0



………………

ガウェイン「……さて」ガシャリ


マシュ「……っ、は、っ……」プルプル

百貌「……、……」ピクッ、ピクッ……

レオナルド「……ここまで、とは……」ボロッ

レッドフード「あーあー、参ったなこりゃ」トットッ


796 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:10:19.82 ID:LW5FqCKG0


ガウェイン「我が部下である粛清騎士が全滅。それは賞賛に値するでしょう。私と戦いながら、素晴らしい動きだったと言える」


太陽「」ジリジリジリ……


ガウェイン「だが、場所が悪い。条件が悪い。実力もまだまだ甘い。そこの赤い兜の方以外は、ここに来るべきではなかったでしょう」ジャキッ

レッドフード「褒められるってのは悪くない気分だが、俺はお前と真っ向勝負なんてのはごめん被るぜ」ジリ、ジリ


ガウェイン「さて、どうでしょうか。私は未だに貴方の実力を測りかねています」ジリ

レッドフード「ははは、ずいぶん買われたな。俺はそんなに大したモンじゃないさ。何処まで行っても、アイツの『裏』の存在でしかない」ジリジリ、ジリィ

ガウェイン「……アイツ?」ジリッ、ズサッ

レッドフード「知らねえか? 知らねえか。オイ、そろそろ良いだろ。位置も完璧だぜ」

ガウェイン「? !!」


マシュ「たああっ!!!」バッ

ガウェイン「ちぃッ」ガッギャア!!!


797 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:11:03.61 ID:LW5FqCKG0


ガウェイン(しまった……! 奴との対話に夢中になるあまり、立ち位置を調整されて、)


レオナルド「そこだねっ!!」プシューーーーーー!!!

ガウェイン「ち、ぃっ……!?」パキパキィ、パキ……ン


ガウェイン(凍結? 相手にするまでもない!)


ガウェイン「舐めないでいただきたいッ!」バキィ、ブゥンッ

マシュ「せあっ!!」ガッギャアアアア!!!

ガウェイン「……!!」ギリギリギリ

マシュ「ぐうううううううう!!!!」ギャギャギャギャギャ


798 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:11:34.91 ID:LW5FqCKG0


マシュ(ここだっ、この力を利用して!)グッ

マシュ「っ」シュッ

ガウェイン「なに」グラッ

マシュ「せええいっ!!」ド、ドドドッ、シュドゴォ!!!


レオナルド「よし完璧に入った!! 相手の霊子解析も89%!」ダダッ、ピッピッ


マシュ「……!!」ググッ

マシュ(ダメだ。やっぱり、完璧に入ったのに)


ガウェイン「良い動きです。そこまでの武を持ちうるとは、よほど鍛えたと見える」シュゥゥゥゥゥゥ……


マシュ(まるで無敵じみた防御力。こちらが打ち込んだ数十発を、何もなかったかのように耐えてる)


ガウェイン「……ですが、やはり、陽光の元で私を相手取るというのは、そちらにとっていささか分が悪いようですね」グググ、グググググ……


799 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:12:30.13 ID:LW5FqCKG0


百貌「ぜえいっ!」シュパパッ

ガウェイン「もはや、底は知れた」ガギィ……ン

百貌「なっ、見もせずに……」

ガウェイン「鍛錬とは、仰ぎ見る山頂へ登ろうとする行為に他ならない。登り切ったと思えば、またそこに登る余地は生まれてくる」グググググググ……シュゴウッ、ゴゴゴゴ

マシュ「くっ……!」ガシャリ

ガウェイン「そして貴女は今、きっと私よりよほど大きな頂を見ているのだろう。危険な存在だ。貴女ほどの存在を生かしておけば、必ずや我が王の妨げとなる」

マシュ「王は、こんな虐殺を望むはずが……!!」ドクンッ


マシュ(王とは、何……!? 私は、彼らの言う『王』なんて、知らないはず……)ドク、ドクン、ドクン……


(マシュ。我が名は■■■■■■)
(我が名を呼べ。力を貸せよう)
(ながらく眠っていたが、それでも)
(騎士として)
(負けるわけには、いかないのだ)
(マシュ。我が名を呼べ)


800 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:13:08.41 ID:LW5FqCKG0



マシュ「ウ、ア、アァ……ぐっ……!?」ジリ、ジリ、ドシャリ

ガウェイン「……?」

レオナルド「ま、マシュ!? どうし……」

レーダー「」ピピー!! ピピー!! ピピピピビビビビビビビビビbbbbbb


レオナルド「……!! こ、この反応……まさか、『発作』!?」


レオナルド(にしたって、こんな魔力反応は尋常じゃない……! マシュの意識が耐え切れない、潰されてしまう!!)


百貌「クソッ、撤退を……!」



難民X「ひ、ひぃ……!」

難民Y「あの子が居ないんです、あの子がどこかへ消えてしまったんです!! お願いします、助けてください……!」

難民Z「おかあさん!! おかあさーん!!」

百貌の部下A「こちらへ、ともかくこっちへ! 多すぎる、手が回らない!!」


百貌「……まだかかるか……!!」



801 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:13:43.39 ID:LW5FqCKG0



ガウェイン「……ふむ。なんにせよ、こちらにとっての『チャンス』でしょうね」ガシャリ


百貌「……山の……初代様のご到着には、まだかかるか……」ジリッ

レッドフード「……」カチャリ


ガウェイン「何を期待しているのかは知りませんが、あなた方の敗因は『それ』だ」

百貌「……」

ガウェイン「おのれの実力を信じず、他の要素にすがり、共に戦う仲間にすら、背中を預けられない状態で来てしまった」

マシュ「……!!」プルプル


マシュ(起き上がれない……!! マスターが……マスターが居たら、こんな状況には……)


ガウェイン「これにて幕引きとしましょう。『この剣は太陽の……』」


「ちょっと待ったぁあああああ!!」


ガウェイン「……?」


レオナルド「なんだか勝敗が決したみたいなセリフだけど、それはちょっと気が早いんじゃないかな!? ホラこれを見なよ!」ポイッ


黒い塊「」ヒュンッ


ガウェイン「なんです、それは……」


ガウェイン(……否。不味い、コレは……)


スタングレネード「」カッ



802 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:14:10.83 ID:LW5FqCKG0



ガウェイン(いかん、目をやられ……)ヨロッ


ヒュンッ


ガウェイン「ッ」ババッ、ガガァン!!


ヒュヒュヒュンッ


ガウェイン「チッ……」ガッギッギギギギィ、ギギィン!!!


レオナルド「……いや、目をつむった状態で弾きすぎじゃないかなキミ」


ガウェイン「五感を駆使して戦う。風切り音でどこへの攻撃かは分かります……」スッ


レオナルド「成程ね、やっぱり武人タイプってどうも苦手だ。ところでそろそろ目は治ったかな?」

ガウェイン「ご心配どうも。おかげさまでよく見えますよ」

レオナルド「ならキミ、自分の剣を見てみる事をオススメするよ。……まあ、もう遅いけど」

ガウェイン「……?」


吸着型爆弾「」ピッ、ピッ、ピッ……ピピピピピピピピピ


ガウェイン「……!!」バッ



ドッガガガガガガガァ……!!



803 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:14:53.57 ID:LW5FqCKG0



レオナルド「今しかない! 撤退だ、マシュ、歩けるかい!?」

レッドフード「あの爆弾はクールだな、いいアイデアしてるぜ」

レオナルド「これでも生前は兵器の開発案とかも出してたんだ、多少はやれなくちゃね。さあ走ろう!!」

マシュ「くっ、ぐぅっ……!!」フラフラ

レオナルド「……さあ、掴まって! 走るよ!!」ガシッ

レッドフード「ああ、OK」


804 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:15:21.39 ID:LW5FqCKG0


百貌「……先に行け!!」

レオナルド「へっ?」

百貌「山に行けば『ハサン達』が出迎えてくれる! さっさと行け!!」

レオナルド「き、キミは!? キミはどうするのさ!?」

百貌「……ッ……」チラッ


難民たち「「「……! ……!!」」」ザワザワ、ゾロゾロ


百貌「……まだ、避難が済んでいない……! まだここから退くわけにはいかん!」


805 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:16:01.26 ID:LW5FqCKG0



レオナルド「……くっ、すぐに逃げないと……すまないが、こちらは離脱させてもらうよ!」

百貌「元よりそう言っているだろうが! さっさと行け!!」

マシュ「……っ、……」プルプル

レオナルド「……悪いけど、マシュ、ここは我慢してもらう。世界を救うには、私たちが生き残らないとダメなんだ。行くよ」ダッ

マシュ「…………」ズルズル……


爆煙「」モクモク……


部下A「ひゃ、百貌様……」

百貌「……行け。後は任せたぞ」

部下B「……はっ。お任せ下さい」ダダッ

部下C「おさらば……」ダッ


806 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:16:41.16 ID:LW5FqCKG0



レッドフード「……チッ」ピタリ

レオナルド「っ、レッドフードくん!?」

レッドフード「悪いな、先に行っててくれ。俺は残る」クルリ

レオナルド「……それは……」

レッドフード「ブルースには俺の事は伝えないでおいてくれよ? 露骨に落ち込みやがるからな」

レオナルド「……分かった」

レッドフード「くくッ、ちなみに今のはジョークだ。じゃあな」ザッ


807 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:17:08.85 ID:LW5FqCKG0


部下E「こっちだ! 全員行くぞ!!」

難民たち「「「……」」」ゾロゾロ……


部下F「その盾の少女は!? 負傷したのか!?」

レオナルド「いや、発作だ。復帰すれば戦力になるんだが、今は無理そう」

部下F「……こちらで抱える、お前は民衆を守る位置についてくれ!」

レオナルド「成程、それは助かるね……」

マシュ「……っ」ギリィ……


マシュ(……盾に、なるって、誓ったのに……! 今度こそ、守るべきものを……)


レオナルド「……行こう。託されたものを無駄には出来ない」



808 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:18:11.74 ID:LW5FqCKG0


百貌「……」

レッドフード「よう。雨に降られた犬みたいな顔してるぜ」

百貌「黙れ。腹の立つヤツだ」キッ

レッドフード「そっちの方がいい顔だ。どうだ、勝算があって残ったのか?」

百貌「あると思うのか。さっさと逃げれば良かったものを、貴様まで何故残った?」

レッドフード「1人より2人の方が、時間稼ぎも捗ると思ってね……」

百貌「……」


809 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:19:00.03 ID:LW5FqCKG0


百貌「……貴様が『初代様』の名を出した時」

レッドフード「……」

百貌「正直言って、安堵してしまった。ようやくこの戦も終わる、そう思ってしまった」

レッドフード「……」

百貌「だが、やはり、恥だな。私は自分の力不足を暗に認めてしまっていたのだ。『初代様』の力を借りねば倒せない相手だと、情けなくもそう思っていた」

レッドフード「……そうか」

百貌「今回、初代様が来られなかったのも……きっと私達を試しての事だろう。我ながら愚かな事だが、それでも」


百貌「それでも、あの盾の少女の真っすぐな瞳を見ていて、思い出したよ。私も、負けるわけにはいかない」


810 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:20:14.61 ID:LW5FqCKG0



爆煙「」モクモク……ザアアアッ


スタ、スタ、スタ


ガウェイン「……どうやら、まんまと逃げられたようですね。正直に言って、侮りがあった事を認めざるをえません」

レッドフード「あっちは元気が余ってそうだぜ」

百貌「まだまだ。ここから時間稼ぎに付き合ってもらうとしよう」

ガウェイン「……彼らにはすぐに追手が出るでしょう。無駄な事は、おやめになるよう」ガシャリ



811 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:20:43.14 ID:LW5FqCKG0


………………

バットマン「……」バサササササ……スタ

三蔵「ほわぁ……すごいのね。ていうか、ここ何処?」スタ

バットマン「アトラス院と呼ばれる施設の入り口だ。落とし穴から入ってきたが」スクッ

三蔵「なんていうか、妙な感じ……なんだかムズムズして……」

バットマン「……乱暴な入場になった。何かトラップが発動してもおかしくない、注意しろ……」



812 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:21:10.60 ID:LW5FqCKG0



砂「」サラサラ……パラパラパラ……


洞穴「」シィ……ン


三蔵「……静かね」

バットマン「……静かだな」

三蔵「ねえ。気付いてる?」

バットマン「まあ、気付いていないと言ったら嘘になる」

三蔵「どうする?」

バットマン「つまり……そうだな。右を頼む」スッ

三蔵「じゃ、左は任せるわね」バッ



813 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:22:21.40 ID:LW5FqCKG0



 ブルースは……つまり、推測を重ねていた。アトラス院とは魔術のるつぼ。このように乱暴な入場を果たした存在に対し、罠が発動しないというのは通常、考えられない事だ。

 ということは、罠が解除されている可能性が高い。解除されているという事はつまり、先客が居る。


 そして、暗闇の中から息遣いが聞こえていた。複数。三蔵は躊躇の無い動きで闇へ向かっていく。複数の気配が身じろぎする。


 バットマンはマントを翻し、手元を隠しながらバットラングを投擲した。目にも止まらぬ飛来物は、しかし、闇の中から伸びる刃によってすべて千々に切り裂かれ、地に落ちた。


 三蔵の向かいの闇から、影が飛び出した。口元をマスクで覆ったその人物は、空中で回転すると、法師の首めがけて刀を振るう。

「ほっ」

 三蔵は錫杖でこの斬撃をいなし、相手のみぞおち目がけて反撃の一撃を突き込む。空中で衝撃を食らったその人影は、柔軟に体を曲げると、素晴らしい身体制御能力で着地し、後転で距離を取った。


 バットマンの向かいの闇からも一体、同じような人影が現れ、バク転で跳びすさる。そして法師と向かい合う影に並び立ち、刀を構えた。


 その立ち振る舞いを見たバットマンは、眉をひそめる。彼にとって覚えのある集団の構えだ。

「……リーグ・オブ・アサシン?」


 ピクリ。その名を聞き、2名の暗殺者たちはかすかに震える。三蔵は油断なく錫杖を構え、敵の実力を見極めようとしている。


「ここで何をしている。ラーズ・アル・グールの指示か」
「……民草ごときが、あのお方の名を口にするな」

 ミシリ。刀の柄が握り締められ、軋む。

「奴は何を企んでいる」
「お前が知る事はない。死ね」


 次の瞬間、2人の暗殺者は一斉に膂力を解放し、完璧な対の角度で刀を打ち込んだ。
814 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:23:01.19 ID:LW5FqCKG0


 破裂するような甲高い音の直後、二刀を受け止めた錫杖から火花が散った。三蔵法師だ。バットマンを庇うように割り込み、瞬時に二刀と拮抗状態を作る。


 そして既にバットマンは斬撃の軌道上には居ない。彼は三蔵を跳び越え、2人の頭へとバットラングを投げつける。


 暗殺者たちは同時に頭を傾けて躱し、似通った体捌きでするりと適切な距離へ逃れる。三蔵が一方を追い、黒い騎士は万全の構えでもう一方と向かい合う。


「……」
「……」

 ジリリ。暗殺者が重心を落とし、バットマンは僅かに構えを変化させる。暗殺者のこめかみを脂汗が伝う。


「……私達を待ち伏せていた訳ではないな? 目的は何だ」
「……ッ」


 一瞬の後、暗殺者が打ち込んだ。だが蝙蝠はこの一撃を完全に見切っており、手甲で刀を叩き下げると、逆の手で掌打を繰り出す。


 暗殺者はこれを躱す……否。バットマンの手のひらから何かしらのスプレーが散布され、暗殺者の腹部へ付着した。


「ちっ……」


 バックステップで距離を取ろうとしたその瞬間、暗殺者の腹部に付着したジェル状の『何か』は爆発。空気が歪むほどの衝撃でもって片割れを吹き飛ばし、壁に叩きつけた。



(やはり)

 一方、バットマン。彼は超スピードの思考の中で、相手に打ち込んだ際の微かな違和感を反芻していた。


 それはすなわち、『敵は魔力を帯びた存在ではない』という事だ。暗殺者たちの身のこなしは驚異的だが、しかしそれは人間にも可能な動きばかり。


 証拠に、三蔵と戦っている1人は既に追い詰められ、壁を背に戦っている。もう5秒もあれば決着がつくだろう。


「……お前達は、この時代の人間だな」
「……」
「ラーズ・アル・グールは召喚された存在ではない。お前達も、元々ここに居たんだな?」
「……答える必要はない!」


 語気も激しく言い返したアサシンはしかし、冷静だった。彼女らは同時に足元に煙玉を叩きつけると、一瞬の視界混濁に乗じて撤退を開始する。

「ブルース、見えてるけど追う?」
「……いいや、追うな」


 煙が晴れる中で、バットマンと三蔵法師はアサシンが逃げて行った方を見つめ、しばらく構えて立っていた。が、彼女らが逃げ、戻らない事を悟ると、やがてその構えを解いた。


815 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:23:53.03 ID:LW5FqCKG0



三蔵「なんだったのかしら、ホント! あれがもしかして忍者ってやつ?」

バットマン「あれは……まぁ、説明すると長くなるが……ともかく、殺人集団だ。今回は何のために動いているか知らんが、警戒するに越したことはない」

三蔵「因縁浅からぬ仲ってやつ? 大変ね〜」

バットマン「私にとっては見慣れた集団だ……連中にとっては、どうやら私は新顔のようだが」

三蔵「……んん〜? まあいっか。貴方がもっとあたしを信頼してくれた時にでも、分かりやすく話して!」

バットマン「……分かった」



816 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:24:31.69 ID:LW5FqCKG0



三蔵「にしても、真っ暗ね〜。人間のあなたは結構進みづらいんじゃない?」

バットマン「平気だ」スタスタ

三蔵「そう?」スタスタ

バットマン「……」スタスタ

三蔵「……」スタスタ

バットマン「…………」スタスタ

三蔵「…………」スタスタ

バットマン「……音と足裏の……いや……夜目が利くんだ、私は」

三蔵「そうなんだ! 凄い事じゃない、闇も見通せるって便利ね」

バットマン「ああ。……お気遣いありがとう」

三蔵「どういたしまして。フフ」


817 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:25:08.03 ID:LW5FqCKG0



三蔵「んん〜? ……なんか、水の音が聞こえるような……川でも流れてるのかしら?」

バットマン「水? ……地下湖でもあるのか……」

三蔵「ううん、違うの。なんか、そうじゃなくて…………ええっと、なんて言えばいいんだろ。もっと、ドロッとしてる何かって言うか……粘液? みたいなのが、流れてる音が聞こえる」

バットマン「粘液?」

三蔵「……ドロドロで、ブクブク泡が立ってて……なんだか、嫌な感じの音」

バットマン「……」


バットマン(通信機が健在なら、間違いなくドクターに解析を頼んだだろうが……一体、この地下には何がある?)


818 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:25:36.45 ID:LW5FqCKG0



三蔵「変な遺跡ね。振り返れば、それまでに見えなかった大量の通路が見える」

バットマン「フェイクのチューブが、本筋に次々に合流する仕組みなのだろう。行きは楽で、帰りが難しい仕組みになっている」

三蔵「これ、大丈夫? 帰れるかしら?」

バットマン「安心しろ。スーツのコンピューターが常にマッピングを行っている」

ブルース(それに、私も記憶している……滞りなく地下へ数十メートル進めているはずだが、まだ底が見えないな)


三蔵「もしその鎧が壊れちゃったら、この錫杖を立てて、倒れた方向に進みましょ!」

バットマン「……まぁ、考えておこう」

三蔵「あ! その顔、あたしの運の良さを信じてないわね? ふふん、貴方もその時になったら御仏の導きを信じるようになっちゃうんだから!」

バットマン「……」


ブルース(まったく宗教的に込み入った特異点だ……)


819 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:26:08.14 ID:LW5FqCKG0



バットマン「ひとつ訊いておくことがある、三蔵」

三蔵「ん? なぁに? 答えられる事ならなんでも答えちゃうわよー!」

バットマン「城に居る時だが……『ラーズ・アル・グール』という名前を聞いたことはなかったか?」

三蔵「ラーズ……レイシュの事かしら?」

バットマン「レイシュ? ……居るのか、その男が」

三蔵「ええ。城の中でも、かなりの上位に位置してて……見てた感じ、城主である『獅子王』、その補佐官である『アグラヴェイン』と同等くらいの力を持っていたと思うわ」


820 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:26:42.40 ID:LW5FqCKG0



三蔵「普通に話している時でも、ちょっと怖いくらい目つきが鋭かったのを覚えてる。あ、そういう所は貴方に似てるかも」

バットマン「……私に似ている者が多いな……」

三蔵「ホントにそうね! でも、なんだか、ちょっと違ったと思う。……なんて言うのかしら。ぱっと感じるフィーリング?」

バットマン「……そうか。レイシュは、何か言っていたか」

三蔵「うぅん、城の騎士たちと同じよ。『人類を守る』って」

バットマン「……」


821 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:27:19.08 ID:LW5FqCKG0



バットマン「……人類を守るのが目的なら、お前も残れたんじゃないか?」

三蔵「うーん……なんていうか、自分の居場所じゃないって感じがしたの」

バットマン「居場所じゃない?」

三蔵「うん。皆笑顔で、のびのびしてて、悪い人なんてひとりも居なかったんだけど……騎士さんに何か尋ねても『知らなくていい』『くつろいでいるだけでいい』って言われるばっかりだったから」

バットマン「……」

三蔵「くつろいでるの、嫌いじゃないけど……でもあたし、何かムズムズしちゃうのよ。だって、荒野が外に広がってるなら、その荒野にもくつろぎを届けたーい! って思っちゃうじゃない?」

バットマン「……まあ、分からない事もない」

三蔵「そういうコト! だってあたしはいずれ仏様まで成り上がる玄奘三蔵ですもの! ドーンと掌で人を救っちゃわなきゃね!」

バットマン「……フ」


ブルース(別のお人好しを思い出すものだな)


822 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:28:27.05 ID:LW5FqCKG0



バットマン(それにしても、ラーズ・アル・グールがこの時代に居るとは……いや、不思議はないか。ヤツは不老不死だ。この時代も、ヤツにとっては通過した過去だろう)

バットマン(きっと我々と接触した事は報告が行く。その時、連中がどう動くか……。現代と変わっていないのなら、『デーモン』は未だ危険なテロ集団のハズだ)

バットマン(気を引き締めていかねばなるまい。そして、そんな組織と動きを同じくしている『城』の騎士たちも……やはり、危険と考えて相違ないだろう)

バットマン(……敵は多い。マシュも居ない今、どう動くのが最善だ……)



823 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:28:54.42 ID:LW5FqCKG0


…………


「……、……」

「…………!! ……!! ……」

「………………!!!」

「……」


マシュ「……うぅっ……」ぴくり


824 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:29:26.59 ID:LW5FqCKG0



レオナルド「!! マシュ、起きたかい!?」ダダダダ

マシュ「……ダヴィンチちゃん、ここは……」

レオナルド「起きたばかりで悪いが、撤退戦だ! 聖都から追手が来てる、しつこいったら……!」

マシュ「!! 追手……くっ、お、起きます!!」ヨロッ、グラァ……


825 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:29:54.99 ID:LW5FqCKG0



騎士A「逃がすな!! 追え!!」ダカダッ、ダカダッ

騎士B「囲い込め!! 1人残らず殺すのだ!」ダダッダダッダダッ

難民A「ひ、ヒィィィッ」

難民B「お助けください!! 聖都にはもう関わりません!! どうか!!」


レオナルド「馬と人じゃ流石に機動力が違いすぎる……このままじゃ共倒れだ」ガシャリ

マシュ「ですが難民の方を見捨てるわけにはいきません! 私が出ま……!?」ヨロヨロ、ズシャァッ


マシュ(ど、どうして……意識があるのに、体が、動かない……?)

826 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:30:25.60 ID:LW5FqCKG0



レオナルド「マシュ!? ……くっ、ガウェインとの戦いが負担だったのか……下がって! 全員下がるんだ!! 私がやる!!」


百貌の部下A「いや、我々もやれる!!」ジャキリ

百貌の部下B「百貌様がおられずとも、私達が……!!」カチャ

レオナルド「いいから下がるんだ!!! 騎士たちの中に強烈な反応がある、これは……ガウェインに、似て……」ポーン……ポーン……


ズバァッ

百貌の部下A「ぐっ……」ドシャリ


827 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:31:13.87 ID:LW5FqCKG0



レオナルド「!? 何処から……」


ポロン♪ ポロンポロン♪


ズバァッ!

難民A「……え……」グシャリ

難民B「う、うわあああああああぐッ」ドシャ


レオナルド「……!!!」


「……トリスタン卿、貴公は右を。私は左を担当しよう」

「実に悲しい……彼らにとって、この死の音満ちる荒野が最後に見る光景とは。せめて、痛みは与えぬよう殺しましょう」


828 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:31:56.47 ID:LW5FqCKG0



レオナルド(ここに、2人……サーヴァント! よほど我々の事を逃がしたくないらしいな、聖都の連中……!)


トリスタン「ランスロット。今回は、手を抜かないでいただきたい」

ランスロット「……何の話か分からないな、トリスタン。それよりも集中すべきだ。あのご婦人は、やるぞ」

レオナルド「くっ」ジャキリ

トリスタン「ふむ……呼吸の音、心拍、そして何よりもその怒り……危険な存在ですね、貴女は」

ランスロット「……」ガシャリ

レオナルド「……見逃してくれたりしないかな……って言っても無駄だよね、勿論」


829 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:32:41.91 ID:LW5FqCKG0


レオナルド(トリスタン、ランスロット、ガウェイン……ここまでの敵は、どれも知っている。アーサー王率いる『円卓の騎士』のメンバーたちだ)

レオナルド(そして今、立ち塞がっているのは『ランスロット』『トリスタン』……ランスロットは円卓の中でも最も武勇に優れた者とうたわれる騎士。第1特異点でブルースが遭遇したものとは違い、理性があるようだ……厄介だな)

レオナルド(もう一方、トリスタンは……ハッキリとは分からないが、あの竪琴から危険な気配がする。先ほども、竪琴の音色と共に斬撃が発生していた……ように見えた。つまり、アレは……)

通信機「」ピピピピピ!!


ドクター『レオナルド、解析結果を伝える。ランスロット、トリスタン、どちらも霊基に異常が見受けられる』

レオナルド「異常?」

ドクター『どう形容していいのか……ランスロットも、トリスタンも、通常のサーヴァント以上の性能を持っている事は間違いない。そのうえで、ランスロットは霊基が拡張されている……セイバーというよりは、まるでルーラーだ』

レオナルド「成程……」

ドクター『トリスタンは……アーチャーだったのは分かるんだが、これも奇妙だ。霊基が……反転している、と言えばいいのか……ともかく、そこに居る騎士たちが、「通常の思考」を持っていると考えない方がいい。歪まされた存在だ』

レオナルド「了解。……まぁ、難民を襲う時点で普通の交渉は期待していなかったさ」


830 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:33:34.35 ID:LW5FqCKG0


マシュ「……ぐ……うぅ……!!」プルプル

レオナルド「マシュ、今キミが復帰してもフラフラだろう。足手まといになりたくなかったら、そこでじっとしていること」

マシュ「……!!」

レオナルド「どーんと任せとくんだ! なんたって、私は天才なんだからね!!」ニッ



トリスタン「話は終わりましたか」

レオナルド「待っててくれてありがとう。……そうだね、そろそろやろうか」

ランスロット「……」ザシ、ジリジリ

百貌の部下B「……」ジリ

百貌の部下C「……」ジリィッ



831 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:34:05.70 ID:LW5FqCKG0



レオナルド(カッコいいことは言ったけど、これじゃ勝負にもならないのが正直なところだな……霊基が拡張、反転してるだって? 敵の正体が分からないんじゃ、どうしようもない)

レオナルド(囲まれてる。……詰みか? ……ブルース、キミならどうした?)

トリスタン「……」ス……

レオナルド「!!」ガシャリ


レオナルド(竪琴を構えた! 来る!!)


832 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:34:54.57 ID:LW5FqCKG0



ドガッシャァァァァァァァァ!!!! ゴシャシャシャシャシャシャァ!!!


レオナルド「!!!?」ビクゥッ


トリスタン「!!!」バッ

ランスロット「!?」ザザァッ


巨大な拳の痕が付いた鎧騎士「ぐ……」ゴシャシャシャシャ……ズシャ……



ランスロット「何者だ!?」

レオナルド「な……」

探知機「」ピピーッ!!ピピーッ!!ピピピピピピビビビビビビbbbbb



833 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:35:39.55 ID:LW5FqCKG0


ドシリ、ドシリ。ドシリ、ドシリ。

834 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:36:14.06 ID:LW5FqCKG0
ドシリ、ドシリ。ドシリ、ドシリ……

「フフフ……臆病者の匂いがするぞ、ここは……いずれ来る『破滅』に、抗いもせず引きこもる腰抜け共の匂いだ」


レオナルド「き……キミは……!」

マシュ「……!!!」


「それが自然の摂理とはいえ、悲しいものだな。騎士も、恐怖には抗えないらしい……」ドシリ、ドシリ。ドシリ、ドシリ……


ランスロット「……」ガシャリ

トリスタン「……」スッ


「安心しろ。俺は『やつ』のように残酷ではない……貴様らには、優しくしてやろう」


ドシリ!!!


ベイン「……さぁ、どちらから殺してほしいんだ?」


835 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:37:16.74 ID:LW5FqCKG0



………………


ガウェイン「……貴方は、一体」ガシャ

百貌「き、さま……違う……違う……!! レッドフードでは、ない……!?」ドロォ

レッドフード?「……クックッ、ようやく隙を見せたなァ。ほんの少し弱らせたトコに、ほんのチョッピリ優しい言葉をかけられたくらいで、お前らは……」


泥「」グジュ……グジュル、グジュジュ


百貌「あが……ぐ……、こ、この、おぞましい……気配……貴様……違う、サーヴァントですらない……!?」ドロ、ドロォ

レッドフード?「へへ、苦しいかい? 分かるよ、キツイよなァ。最初だけさ、すぐに良くなる……俺から目を逸らすな……ウフフ、ここからがイイところだ……」

百貌「……!!」


百貌(ここまでか……この泥が、体を溶かす感覚……徐々に、心地よく感じ始めてしまった。浸食されている……)

百貌(……申し訳ありません、初代様。すまない、呪腕、静謐の……レッドフード、気付けなかった……これが、『お前ではない』という事に……)

百貌(……百の貌を持つ、私ですら……)ドロォ


ベチャッ


836 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2022/03/12(土) 16:38:32.52 ID:LW5FqCKG0


レッドフード?「……フゥ! コイツを片せたら後は怖いモノ無しだぜ」

ガウェイン「……」ガシャリ

レッドフード?「あン? ……へっへ、厄介な敵を倒してやったんだ、コイツの首を手土産に聖都に入れてもらえねえモンかね?」

ガウェイン「戯れを。王の選定なくとも、気配だけで伝わってきます。貴方は『純粋なる悪』そのもの……ここで滅すべき『敵』です」

レッドフード?「ひ、ヒヒヒヒハハハハハハ! そうだよなァ、バレるよなぁ。……しっかし酷えと思わねえか? 『レッドフード』は俺が先に名乗ってたんだ。パクり疑惑なんてのは、コメディアンにとっちゃ致命傷だぜ」

ガウェイン「……」

レッドフード?「……けどま、許してやるさ。他にもウケるネタは沢山抱えてる……そうだ、一つとっておきのジョークを教えてやろうか?」ガシィ、ズルリ


赤いヘルメット「」ドシャァッ


ガウェイン「結構です。貴方とは笑いのセンスが違いそうだ……!」ダッ

ジョーカー「ハッハハハハハハハハハ!!! 騎士サマってのはどいつもこいつもおカタいねェ!」ジャキリ



837 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2022/03/12(土) 16:40:03.40 ID:LW5FqCKG0
今回の更新はここまでです。お付き合い有難うございました。

あけましておめでとうございます(震え声)
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/12(土) 18:46:18.68 ID:yNEfTzxCo
夜空に浮かぶシグナルは合図じゃない
>>1乙だ
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/16(水) 22:02:10.37 ID:SZLjXS/U0
提督「嫌われスイッチ?」明石「はいっ」
http://hayabusa3.open2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1427368381/
提督「嫌われスイッチだと?」夕張「そうです!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428849410/
魔剣転生というスレの作者ですが、断筆する事に致しました。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1602503948/

外野の反応に負けてエタった先人たち
彼らの冥福を祈りつつ我々は二の舞を演じない様に注意しよう
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/06(水) 11:16:03.28 ID:548vUPYH0
乙、やっと追いついたわ
エタった作品かと思ってたが、(3年ぶりとはいえ)最終更新は最近で良かった
面白いから最後まで書ききってくれることを祈る
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/06/26(日) 21:33:30.55 ID:AskqzvRg0
おー久しぶりに来てみたら!!
帰ってきてくれて嬉しいよ、のんびりでいいからまた書いてほしいな! 乙でした!!
551.48 KB Speed:0.4   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)