バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2019/05/05(日) 08:36:50.94 ID:FaWDZooU0


この世界のバットマンとスーパーマンの知名度の差...
まぁ確かにブルースは目立ちたがり屋では無いけどさ...
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 09:01:31.22 ID:qME01EVA0
乙、メイヴ生き残ったのか
スーパーマンとバットマンはやってることが真逆だから仕方ないよね

これの亡きF先生のパロ地味に有名だよね
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 15:02:20.02 ID:J+Wglt22o
恐怖を与えるためにはバットマンは噂話というか都市伝説のような存在であるべきだからな
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 15:36:46.37 ID:ZXUX/1bAO
ジャスティスリーグで勲章もらった時思い切り姿出してなかったか?
645 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:33:47.01 ID:blXc9I6X0


………………

ピピピ!! ピピピ!!

ブルース「……」ムクリ

ブルース「……」チラ

時計『06:00』ピピピ!! ピピピ!!


ブルース「……フー」ググッ、ムクリ


ドア「」コンコン


ブルース「入って良いぞ」

「失礼します」スタスタ


ドア「」ウィーン

マシュ「おはようございます、マスター」

ブルース「ああ、おはよう」スクッ


646 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:34:16.80 ID:blXc9I6X0



………………


レオナルド「……」チュィィィィィィィィ……


電灯「」チカチカ、パッ


レオナルド「……ふー。よしよし、これでC区画の電力は復旧したね」

マシュ「おはようございます、ダ・ヴィンチちゃん!」

レオナルド「おや、おはよう。二人とも朝早いね」

ブルース「ああ、おはよう。カルデアの復旧作業の進捗はどうだ?」

レオナルド「7割ってところかなぁ。ベインのヤツ、何処を破壊すれば効率的かよく把握してたらしい」

ブルース「……しかし、襲撃直後よりはかなりマシになったな。復旧、残るはあと1区画のみか」

レオナルド「もうすぐ終わるよ、大丈夫。そういえば、二人とも今日は休息日だったかな?」

マシュ「はいっ!」ニコニコ

レオナルド「ふふ、楽しむと良い。大事なのはメリハリだ、ちゃんと休んでね」

ブルース「ああ、ありがとう」


647 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:34:44.59 ID:blXc9I6X0


マシュ「どうしましょうか、マスター!」ニコニコ

ブルース「私は図書館で過ごす。ではな」スタスタ

マシュ「えっ」ガァン

ブルース「……どうした?」クル

マシュ「いっ、いっしょ……」

ブルース「……イッショ?」

ドクター「やあブルースくん、マシュ! 廊下の真ん中で向かい合ってどうしたの?」スタスタ

ブルース「……??」

マシュ「……イッショ……」

ドクター「……ホントにどうしたの?」


648 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:35:11.62 ID:blXc9I6X0



………………


職員C「それはブルースさん、気持ちを汲まなきゃダメッスよ」

職員B「そうですよー。言葉に出さなくても分からなきゃ」

職員A「それが信頼関係ってものでしょう」

ブルース「……そうなのか」

ドクター「まあ、マシュも苦労するよね……」

マシュ「……」モジモジ

ブルース「……悪かった、傷付ける意図は無かったんだ」


職員達(((だから厄介なんだよ!)))


ブルース「今日は何がしたい、マシュ。お前に付き合おう」

マシュ「え、えっと、マスターがしたい事が良いです……」モジ

ブルース「……」


ブルース(……マシュが休む事が出来て、なおかつ私のやりたい事だと……?)ジッ


ドクター「そ、そんな真剣に考えこむとこなの?」

ブルース「……ドクターならどうする」

ドクター「え? ええっと、そうだな……」


649 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:35:40.77 ID:blXc9I6X0


………………

〜レクリエーションスペース〜


テレビ「」グワハハハハ、カンネンセイ!!


マシュ「映画を観るのは初めてです!」キラキラ

ブルース「初めて?」

マシュ「はいっ、これみたいな長編の放送プログラムの事ですよね!」

ブルース「まあ……間違いではない。ポップコーンが余っているぞ、食べるといい」ガサ

マシュ「ありがとうございます!」パァァァァ


………………


テレビ「」ガッズィーラ……


マシュ「こ、怖い怪獣ですね……」ビクビク

ブルース「そうだな。放射線を浴びたからといって、イグアナがああなるとは考えられんが」

マシュ「でもこんなに強くて脚が速いんですよ!? もし本当にこんなのが出たらどうすれば……」


ブルース(……ディックと映画を観た時の事を思い出すな……)


ブルース「……確かに、対処は困難を極めるだろうな」

マシュ「ですよね!?」


650 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:36:10.31 ID:blXc9I6X0


テレビ「」バーラムユー バーラムユー

マシュ「うぅっ、子豚さんの想いが……」

ブルース「豚が喋る世界か……」

マシュ「動物さんは皆お互いに語り掛けているのかもしれませんね……人間に聞こえていないだけで」

ブルース「それは動物学上の観点から……いや、ゴホン、そうかもしれないな」

マシュ「可愛いです……」

ブルース(……明日の朝食がベーコンなのは黙っておこう)


………………


テレビ「」ヤツニハ「ミャク」ガナイトイエ!!

マシュ「スパイってかっこいいですよね……」

ブルース「スパイか……私も何度か相手にした事があるが、連中は手強いんだ」

マシュ「ああいうお洒落さには憧れます……」

ブルース「何事にもああいった余裕は必要だな」


………………


テレビ「」ヒトノホンシツハ、コウドウデキマル

マシュ「……」

ブルース「……」

マシュ「……この人、マスターに似てますよね?」

ブルース「……何の話だ」



………………


テレビ「」クルー、キットクルー


マシュ「……」ビクビク

ブルース「……マシュ、あまり腕にしがみつくのは」

テレビ「」キャァァァァァァァァ!!

マシュ「きゃあああああああ!!!」グググググググ

ブルース「マシュ、落ち着け! マシュ!!」グググググググ


ドクター「おーい、晩御飯だから呼びに……って、ちょっと!? マシュ、いくらブルースが鈍いからって殺すのは……ちょっと!!」


651 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:36:38.76 ID:blXc9I6X0


………………

〜食堂〜


所長「遅かったわね」

ブルース「すまない」

所長「別に、良いけど。休めたかしら?」

マシュ「はいっ、しっかり休みました!」

所長「なら良いわ。今日も全員揃ったわね?」

職員A「はい」

職員B「居ます」

職員C「ウッス!」

ドクター「揃いましたね」

レオナルド「居るよ〜」

所長「では、今日もご飯を食べられる事に感謝して。頂きましょう」


652 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:37:09.00 ID:blXc9I6X0



カチャカチャ、カチャカチャ

職員A「久々の牛肉ですね」

所長「ええ。味わって食べなさい」

レオナルド「うまく再現出来てるか不安だけど、どうだい?」

職員B「とっても美味しいです!」モグモグ

レオナルド「ははは、良かった!」

職員C「うめえ……うめえ」ガツガツ

ドクター「のどに詰まらせるぞぅ、水は十分かい?」



653 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:37:37.50 ID:blXc9I6X0



マシュ「美味しいですね、マスター」

ブルース「ああ、とても良い味だ。……今日はゆっくり休めたか、マシュ」

マシュ「はいっ、楽しい休日で……した……?」

ブルース「……? どうした、ま……」

マシュ「……」ドサッ

ブルース「!? マシュ!?」


ドクター「どうした!?」

レオナルド「何があった、ブルース」

ブルース「分からない……マシュ、聞こえるか!? マシュ!?」ユサユサ

マシュ「……」グタッ

所長「っ、ロマニ! 早く治療室へ! 所員達は担架を用意しなさい! 急いで!」

職員A「は、はい!」

ブルース「マシュ……マシュ! マシュ!!」

マシュ「……」



654 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2019/05/06(月) 08:38:05.37 ID:blXc9I6X0



第六章

神聖円卓領域 キャメロット
655 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/06(月) 08:39:32.32 ID:blXc9I6X0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。

メイヴは消滅させたつもりだったのですが、私の描写力不足が原因で誤解を与えているかもしれませんね……
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 02:38:12.20 ID:C2GCXxpco
いや、普通判るから気にすんな
見落としにまで一々気を使ってたら精神力持たないぞ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 20:26:28.26 ID:Hk2TEWCYO
あー……そういえば6章はその前にマシュの真実が語られるシーンがあったな……
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 15:28:30.92 ID:+ROhUZ4A0
おつおつ!
5章最後、敵味方入り交じっての総力戦ってやっぱりシビれる……みんなよかった(コナミ
マシュと映画見るブルースさんにほのぼのしてたら急展開に震えてるぜ
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/10(金) 20:12:36.79 ID:l64krlNl0
多分、ジョーカーにまた人間から怪物に戻されるんだろうなぁ
660 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:39:39.61 ID:RF0g7SSA0


………………


扉「」ガチャリ


ドクター「……」スタ、スタ

ブルース「……ドクター」

ドクター「ブルースくん」

ブルース「マシュは。無事なのか」

ドクター「ああ、今は安定してる。……少し、彼女の事について話そう。皆も知る必要があるから、管制室で」

ブルース「……」



661 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:40:06.64 ID:RF0g7SSA0



………………


職員A「ドクター、マシュは大丈夫なんですか?」

職員B「マシュちゃん、もう目は覚めましたか?」

職員C「アイツ、無理してたんじゃないんですか!?」

所長「落ち着きなさい、全員よ。……ロマニ、こうして集めたって事は、大事な話ね?」

ドクター「……はい、かなり大事な話です。今後のレイシフトの運用にも関わって来る」

レオナルド「なら、皆座って。落ち着かなきゃ、話も聞けないよ」

ブルース「……」


662 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:40:36.23 ID:RF0g7SSA0


ドクター「今回のマシュの急な昏倒の原因について、先程ようやく解明が済んだ」

ブルース「……」

ドクター「……彼女の魔力回路を精査した結果、マシュの肉体は『サーヴァント化』による急激な消耗の下にあったようだ。彼女、大分無理をして戦ってたみたいだ」

ブルース「……」

所長「……」

ドクター「恐らくそれは、寿命を削って戦うのと同じ意味だ。……彼女は文字通り、命を燃料のように扱って戦っていたのだと思う。今回の昏倒は、その反動だ」

レオナルド「ふぅーむ……」

ドクター「こんなところだよ。彼女には、この理由はまだ知らせていない。……そこで重要になってくるのが、」

ブルース「マシュを、次の特異点攻略に参加させるか否か。という事だな」

ドクター「……うん、そうなる」



663 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:41:03.02 ID:RF0g7SSA0




職員A「現実的ではないですね。次の特異点で昏倒が起きたなら、それは致命的な隙になる」

職員B「で、でも、マシュちゃんはずっとブルースさんの隣で戦って来て……」

職員A「感情で世界の命運を左右するわけにはいかない……お前はどう思う?」

職員C「お、俺? 俺は、その……分からない」


所長「……」

ドクター「僕も、正直、あの状態のマシュを特異点攻略に向かわせるのは賛成しかねる。彼女の身体はとうに限界と言って差し支えない」

レオナルド「しかし、今や彼女はカルデアに欠かせない戦力の一人だ。カルデアの復旧もまだ十全じゃない。新たなサーヴァント召喚も出来ないような状態で、ブルース一人を特異点に向かわせるのこそ現実的ではない」

ブルース「では、カルデアの復旧を完璧にしてから新たなサーヴァントを呼べばいい。私も、今のマシュを出撃させるのには反対だ」

所長「……けど、いつ敵の人理焼却準備が整ってしまうか分からない現状、素早い解決が求められるわ。それに、カルデアごと虚数空間を漂ってるこの状態も、正直言って望ましくない。長期の漂流が、人体にいかなる影響を及ぼすかも分からないのに」


664 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:41:29.53 ID:RF0g7SSA0



ブルース「では、彼女が死にかけているのをおしてでも、死地に向かわせるという事か」

所長「そうは言ってないわ……」

レオナルド「ブルース、冷静になってくれ。キミはそれが得意だったハズだ」

ブルース「私は冷静だ。いいか、現実的でないというのなら、いつ倒れるか分からない仲間を柱にして戦う事ほど現実的でない策はない」

所長「でも、このままじゃどうにもならないわよ」

ブルース「必要ならば、私一人で行こう」

レオナルド「それこそ現実的ではない。やはり冷静ではないね」

ブルース「ならどうしろというんだ。マシュを無理に連れ出し、死んでゆくのを後ろから見ていろとでも……!」


扉「」ガタッ


職員達「「「!!」」」

ドクター「え!?」クルッ

ブルース「!」バッ


マシュ「……」ヨロ、ヨロ……

ブルース「……マシュ」


665 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:41:58.72 ID:RF0g7SSA0



マシュ「ます、たー……」ヨロヨロ

ブルース「マシュ、何故……」タタッ、ガシッ

マシュ「マスター……」ヒシッ

ブルース「……ドクター、これは……」

ドクター「ま、マシュ、キミは安静にしてなきゃ駄目なのに……麻酔も打ったし、眠ったとばかり……」

マシュ「マスター、私、戦えます。歩いてます、今も、歩けます」ヨロヨロ

ブルース「マシュ、しかし……」

マシュ「戦えます、大丈夫です、お願いします……置いて行かないでください、戦えます……」

ブルース「……」

レオナルド「……マシュ、とにかくキミは休まなくちゃ。不安にさせてすまないね、きっとキミの意見も反映させるよ」ポン

マシュ「……」グタッ

ブルース「……」

ドクター「……気絶、した?」

レオナルド「元々、麻酔で意識が朦朧としてるのに歩いてきたんだ。無茶をするよ……」


666 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:42:41.69 ID:RF0g7SSA0




所長「……皆、今日はあまり冷静ではないわね。時間も遅いし、休んで明日これを協議するものとします。良いわね」

職員A「……はい」

職員B「はい……」

職員C「……分かりました」

ドクター「……」

レオナルド「……」

ブルース「……」


667 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:43:09.38 ID:RF0g7SSA0


レオナルド「……マシュを運んで来るよ。今日はキミもゆっくり休んでくれ、ブルース」

ブルース「……ああ、すまない」

レオナルド「謝る事じゃないさ。……また明日にね」スタスタ

ブルース「……」


668 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:43:41.58 ID:RF0g7SSA0


………………

時計「」カチ、カチ、カチ、カチ


ブルース「……」


時計「」カチ、カチ、カチ、カチ


ブルース(……マシュをもっとよく観察していれば、気付けただろう。当然彼女が無茶をしているという事に)

ブルース(デスストローク。クー・フーリン。ドゥームズデイ。無茶をしない訳がない。分かっていたハズだ)

ブルース(……マスターだと? 笑わせる、その資格すらない……)


時計「」カチ、カチ、カチ、カチ


ブルース(結局、こうなる。ディックも、ジェイソンも、ティムも……壊れる寸前まで負担をかけて、ようやく気付くんだ。マシュも)



ブルース「……ふー……」


ブルース(言われた通り、冷静ではない。少し頭を冷やしに行こう)スクッ


669 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:44:13.31 ID:RF0g7SSA0



………………

ブルース「……」スタスタ


ブルース(……)


(((マスター、私、戦えます)))


ブルース「……」


ブルース(……信じるとは、どういう事だったか……)


670 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:44:40.75 ID:RF0g7SSA0



自動ドア「」ウィーン

ブルース「……」スタスタ

職員C「……あ」

ブルース「む」

職員C「ど、どうも」

ブルース「……すまない、邪魔だったか」

職員C「いえ、そんな事はないッス……ですよ」

ブルース「……そうか」


671 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:45:22.17 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……」

職員C「……」

ブルース「…………」

職員C「…………」

ブルース「………………」

職員C「……ぶ、ブルースさんも、眠れなかったんスか?」

ブルース「……そうだな。キミも?」

職員C「俺、その……はい、俺もッス」

ブルース「……そうか」

職員C「……」


672 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:45:52.58 ID:RF0g7SSA0



(((お願いします……置いて行かないでください)))


職員C「……あんなの見ちゃったら、眠れないッスよ……」

ブルース「……そうだな」

職員C「……皆、自分の意見っていうか、自分の根っこを持ってるし。しっかりしてるし、俺なんかが此処に居て良いのかって、時々思っちゃいます」

ブルース「いつも助かってる。キミ達のサポート無しでは、ここまで来れていないだろう」

職員C「……そう、ッスかね」

ブルース「そうだ」

職員C「……」


673 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:46:21.35 ID:RF0g7SSA0



職員C「……俺、」

ブルース「……」

職員C「俺、実は、世界が炎に包まれた最初の頃は、諦めてたんです。もう世界は焼かれたのに、どうして一生懸命にならなきゃダメなんだ。どうせ死ぬんだから、諦めりゃあ良いのにって」

ブルース「……」

職員C「でも……アナタが来た。黒いスーツ着て、死ぬなんて恐怖、まるでないみたいにコフィンに入って行った。俺、理解出来なかったッス。今でも出来てないんスよ」

ブルース「……」

職員C「……でも、最近、ようやく分かって来たんです。マシュもブルースさんも、きっと、未来とか、相棒とかを信じてるから強いんだって」

ブルース「……どうかな」

職員C「俺はそう思います。……だから、マシュの想いの強さが、俺は怖い。死なんて怖がらないほどの強さは、きっと、諸刃の剣です」


674 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:46:55.57 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……キミはよく見ているな」

職員C「ははは……観測してたら、自然と分かって来ます。俺、シバのレンズ係だし」

ブルース「そう、だな。マシュはきっと、死も恐れていない」

職員C「……」

ブルース「……だが、世界には、死ぬより恐ろしい事など山ほどある」

職員C「想像つかないっすよ」

ブルース「たとえばそれは、手が届かない恐怖だ。何か行動を起こせるハズの場面で、手を伸ばす事すら出来ないのは、想像を絶する苦痛だ」


ブルース(ああ、そうか。マシュ、私とお前はよく似ているな)


ブルース「……きっと、分かる時が来る」

職員C「……」


675 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:47:36.35 ID:RF0g7SSA0



職員C「時々、ブルースさんが分からなくなるッス」

ブルース「私も、自分が分からなくなる。……話し相手になってくれてありがとう、私は休むよ」

職員C「おやすみなさいッス」

ブルース「ああ、おやすみ」スタスタ


職員C「……死ぬより怖い事、か」

職員C「……」

職員C「……分かんねえよ……」


676 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:48:15.16 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……」スタスタ


ブルース(理性は、やめた方が良いと叫んでいる。分かっている。マシュを連れて行けば、彼女への負担は計り知れない。元々短い寿命を、薪のように使っているんだ)

ブルース(……しかし、感情は彼女を連れて行くことを支持している。全く鈍ったものだ)フー……


ブルース「……これを望んだのは、お前自身だ。マシュ・キリエライト」


ブルース(やりようは、いくらでもあるさ。覚悟するんだな)

677 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:48:58.61 ID:RF0g7SSA0



………………


マシュ「……」パチリ


時計『07:00』ピピピ! ピピピ!


マシュ「……ここ、は……」ムクリ


扉「」コン、コン


「入っていいか」


マシュ「マスター? ど、どうぞ……」ムクリ


ガチャリ

ブルース「目覚めたか。調子はどうだ」

マシュ「だ、大丈夫です。あの、何がどうなっているのか……昨日の記憶が無くて」

ブルース「これから説明する。理解しろ」


678 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:49:42.55 ID:RF0g7SSA0



………………


ブルース「……という訳だ。今、お前を特異点に連れて行くか行かないかで意見が割れている」

マシュ「そ、そんな……私は大丈夫です!」

ブルース「だが、現実的な話、お前は無茶をしていた。それに気付けなかった私にも責任はあるし、報告を怠ったお前にも責任はある」

マシュ「……」

ブルース「……お前は、戦いたいか。マシュ」

マシュ「私……私、戦いたいです。だって、そうじゃなきゃマスターを守れない……」

ブルース「なら立て。シミュレーションルームへ行くぞ」

マシュ「えっ」


679 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:50:34.48 ID:RF0g7SSA0


ブルース「つまるところ、無理をせざるをえないお前の実力の不足が原因とも言える。まだトレーニングの期間はある」

マシュ「つ、つまり?」スクッ

ブルース「お前を鍛え上げる。無理をする余地も残らないほどに、極限の戦士になってもらう」

マシュ「きょ、極限の……」

ブルース「それはもはや膂力だけの話にはとどまらない。……お前には私を超えてもらう。そうでなければ、次の特異点攻略には連れて行けない」

マシュ「……!!」

ブルース「やるのか。やらないのか。どちらだ、マシュ・キリエライト」

マシュ「やります! やらせてください!」

ブルース「ならば、来い。泣き言は一切受け付けないぞ」


680 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:51:22.62 ID:RF0g7SSA0


………………

ブルース「……」ピッピッピッ

コンピューター『カルデアサポートシステム、起動。対象の魔力回路を確認中』シュォォォォォォォ……


ピーンポーンパーンポーン

館内放送『おぉーい、ブルースかい? ちょっと、そのサポート機能は未調整なんだけど』

ブルース「もしもし、レオナルド。シミュレータールーム内ならなんとかいけないか。マシュを鍛えたい、私もサーヴァント並の身体能力にならねば」ピッピッ

レオナルド『うーん……わかった、短波に変換してやってみよう。ダメ元だし、身体への負担は半端じゃない。もし成功しても馴染むまで苦痛だろうけど、ホントに本気?』

ブルース「私は常に本気だ」

レオナルド『まあ、知ってたよ……オッケー、調整完了。サポート魔力を回すよ』ピピピッ


シュォォォォォォォ……

ブルース「ぐっ……!!」ミキミキミキミキ……

レオナルド『キミの身体機能も観測を開始した。……うーん、結構負担かかってるな』

ブルース「……いや、この程度の痛みならばたいした事はない。このまま訓練に移行する」ミキミキミキ……

レオナルド『本気? ……まあ、こっちはデータがとれるから良いんだけど』



681 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:51:49.94 ID:RF0g7SSA0




ブルース「マシュ、構えろ。この状態の、フー、私を打ち倒してみせろ……」ミキミキミキ……

マシュ「……」ガシャリ

ブルース「良いか、手加減は無用だ。私はお前を『殺すつもり』で攻撃する。お前も、『殺すつもり』で来い」

マシュ「それは……」

ブルース「私は敵だ。使える手を全て使い、私を倒しに来い」

マシュ「……」

ブルース「……行くぞ」バッ


682 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:52:18.77 ID:RF0g7SSA0



………………


マシュ「か、はっ……」ボロッ

ブルース「立て。今すぐに」ポキポキ

マシュ「う、うぅ……!!」グググッ、スク

ブルース「来い。いいか、敵がお前を待つと思うな」

マシュ「う……」ガシャリ

ブルース「……」ゲシィッ

盾「」ガシャァァァァァ……

マシュ「あっ……!」

ブルース「甘ったれるな。お前の得意な武器をみすみす使わせると思うか」ガシッ、グイッ



監視カメラ「」ジジジジ……


683 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:53:02.69 ID:RF0g7SSA0



カメラ映像『』ジジジジ……


職員A「……やりすぎですよ、アレは」

職員B「マシュちゃんが、死んじゃう……」

職員C「……」

ドクター「……ブルースくんへのサポート魔力は安定した」ポチポチ

レオナルド「うーん……」

所長「少なくとも、今の私達には何を言う権利もないわ。実際にレイシフトを行うのは、彼ら自身よ。彼らの中で決着をつけてもらうしかない」



カメラ映像『』ジジジジ……



684 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:53:37.88 ID:RF0g7SSA0



マシュ「う、うぅっ……」フラフラ

ブルース「そんな実力で私を倒すつもりか? 笑わせる」ジリジリ

マシュ「スーッ……」ヨロ


マシュ(命を……いのちを、燃やして……でも、相手は、守るべきマスター……)


ブルース「無茶な力は使えないだろう。それも計算づくだ。お前の手の内は把握している」ガシッ、ドスッ

マシュ「がっ……」ビチャチャッ

ブルース「……素の力で、今の私を超えてみせろ。そうでなくては、任せられない」

マシュ「う、うああああ!!」ブオンッ

ブルース「それが攻撃のつもりか」パシッ


685 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:54:15.17 ID:RF0g7SSA0


ブルース「……ナイチンゲール、デスストローク、メイヴ、クー・フーリン」

マシュ「はあっ、はあっ……」ヨロッ

ブルース「何故彼らが強かったか、分かるか」

マシュ「……」ジリッ

ブルース「彼らには狂気が宿っていた。狂気的な信念があった。お前には何がある、マシュ。お前は何を柱とする」

マシュ「私は……」

ブルース「かつてお前は、私の戦う理由を聞いたな。私の目には土砂降りの路地裏が未だに焼き付いている。あの日、両親を撃ち殺した弾丸が私の原動力だ」

マシュ「私は……!!」

ブルース「お前は何故立つ。死地を前にし、命すらも省みないその力の源は何だ」

マシュ「あなたを、守りたい!!」

ブルース「なら証明してみせろ!! お前はその力を持ち、私と共に来る事が出来ると!!」


686 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:55:00.65 ID:RF0g7SSA0



ブルース(殺意をもって敵と対する。これまで教えて来なかった戦闘方法だ。私が、良しとしなかった戦闘方法だ)

ブルース(……だが、それをしなければ、もはやこの先の特異点は超えられまい。……これしかできない私を許してくれ、マシュ)

ブルース(お前に殺意を教える事を、許してくれ)


ブルース「立て。お前が遠慮するならば、私はお前を殺す」ザシ

マシュ「……!」ヒュー、フー


マシュ(マスターは本気だ。当然、いつだって本気だった)

マシュ(なら、私は? 覚悟、できてる?)


ブルース「……マシュ」

マシュ「……」

ブルース「お前を、信じているぞ」バッ

マシュ「……!!」ググッ


687 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:56:29.38 ID:RF0g7SSA0



 ブルースは瞬時に身を沈め、相手の心臓目掛けて掌底を繰り出した。彼は矜持を曲げ、信念を曲げ、殺意のこもった一撃を放つ。それは一重に、相棒を信じているからである。


 マシュもまた、それを汲み取る。強くならねばならない。手を伸ばさねば。デミ・サーヴァントとして生まれた意味を、守りたい人を守るという自由を……。


 では、マシュの原動力とは何だ。

 彼女のマスターは、それを恐怖だと語った。

 かつてアメリカで共に戦った看護師は、地獄を作らないためと言った。
 
 ロンドンで共闘した剣士は、恐怖をもひねりつぶす怒りを体現していた。

 共に航海した女海賊は、エゴを謳歌し、一瞬を全力で生きる事。

 とある国の皇帝は、凍てつく永遠を否定し、皇帝たる者となるため。

 遠い国の聖女は、人の美しい面を肯定するために。



 では、マシュの力は何だ。彼女が盾を持ったのは何ゆえだ。


 マシュの全身の細胞が沸き立ち、時間が引き伸ばされる。ブルースの掌底が極度にゆっくりとマシュの心臓を目掛ける。


マシュは一瞬、恐ろしい想像に身を浸した。彼女の盾の後ろが害され、なすすべもなく蹂躙されてゆく様を思い描いた。


 直後、彼女は目を見開き、決死の思いでブルースの腕を弾いた。ブルースは、身体強化の魔術をかけられてなお追い切れないマシュの動きに、目を見開いた。


 マシュは身体を捻り、地面に突き刺すように足を振り下ろす。そして、腰の捻りを解放し、巨人の鉄槌じみた盾の一撃を繰り出した。


(『本物』だ)


 その一撃を目前にし、ブルースはぞっと背筋を粟立たせる。彼の相棒は『殺意』を覚えた。その最初の一撃が、彼を目掛けている。


「くっ」


 ブルースは両腕を開き、広い面積で衝撃を受ける。そして吹き飛ばされ、壁に叩き付けられるようにして全身で衝撃を流した。


(やはり彼女は天才だ。手加減せず、良かったと言うべきか)


 ブルースは膝をつき、口の端の血を拭って目の前の少女を見る。彼女が素の力で自分を超える日は遠くない。いや、もうじき超えられる。


 だが、今は。


「……やはり、詰めが甘い」


 ブルースは手の中の起爆スイッチを押した。直後、マシュの盾に塗布された爆破ジェルが爆発し、彼女は弾き飛ばされた。


688 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:57:04.26 ID:RF0g7SSA0



マシュ「あぐっ」ドシャッ

ドクター『……マシュ・キリエライト、気絶』

ブルース「サポートの魔力を打ち切れ。ここまでだ」ハァ、ハァ

レオナルド『……了解』ピッピッ

ブルース「……」シュオォォォォォ……


マシュ「……」グッタリ


ブルース「……」


ブルース(……)クル、スタスタ



689 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:57:33.40 ID:RF0g7SSA0



………………



所長「……」

職員A「……」

職員B「……」

職員C「……」

レオナルド「……」

ドクター「……」

ブルース「……」



AI『特異点、特定完了。特異点、特定完了。所長、職員は結果の確認をしてください』

ブルース「……」


690 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:58:00.63 ID:RF0g7SSA0



ガガガガ……ピラッ

所長「……今回のレイシフト先を観測、シバのレンズも角度調整が完了しました。この観測結果によると、予想される脅威度はEXクラス。前回のアメリカ大陸は、AA+でした」

ブルース「……」

所長「非常に高濃度かつ多彩な性質の魔力が入り乱れており、今回もレイシフト後の環境については予断を許さないでしょう」

レオナルド「ブルースくんのスーツなら、調整すれば極限環境にも対応できるようになる。だが、問題は」

ドクター「……マシュ」

ブルース「……」


691 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:58:37.30 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……私個人の見解を述べるとするなら」

ドクター「……」

レオナルド「……」

所長「……」

ブルース「彼女は、やはり連れて行かない方が良いだろう。今回のレイシフト先で彼女が昏倒すれば、今度こそマシュは死ぬ。実力もまだ十分とは言えない。未熟な部分がある」

職員A「……」

職員B「……」

職員C「……」


692 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:59:04.60 ID:RF0g7SSA0



ブルース「だが、戦力的な観点から言うなら、彼女を連れて行くべきだと私は思う」

所長「その理由は?」

ブルース「天秤にかけ続けてきた。彼女を連れて行くリスクと、連れて行かないリスクを。彼女はこれまで何度も死ぬような目に遭いながら、切り抜けてきている」

ブルース「……私も、戦えないワケではない。彼女が数瞬戦線を離脱したところで、それをカバーする程度の働きは出来る」

ドクター「……しかし、それは……」


レオナルド「んっん〜〜、ゴホン! ちょっとイイかな、私すっごく良い案思いついちゃったんだけど!!」


所長「あの、レオナルド……いますごく真面目な話をしてるから、そういうのは」

レオナルド「いやいやいや! なにさ、皆して辛気臭い顔してるけど、一人レイシフトできそうな人の事を忘れてませんか!?」

ドクター「?? どういう事だい?」

レオナルド「いやまあ、かくいう私もさっきまで忘れてたんだけどね!? どうよブルース、ちょっと聞いてみないか?」

ブルース「……話してみてくれ」



693 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 22:59:44.19 ID:RF0g7SSA0



………………



マシュ「……」パチリ


マシュ(ここ、は……)キョロキョロ

マシュ(ああ、私、マスターと戦って……負けたんでした……)


扉「」コン、コン

マシュ「あっ……は、はい」


「マシュ、私だ。入るぞ」

マシュ「はい、どうぞ」

ガチャ


ブルース「……おはよう。体は大丈夫か」

マシュ「はい……身体は、大丈夫です」

ブルース「……」


694 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:00:12.50 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……見事な一撃だった」

マシュ「ですが、負けました」

ブルース「そう結論を急ぐことはない……少なくとも、今回はサポートが付いてくれる事になった」

マシュ「サポ……え? でも、召喚に必要な電力が足りないって……」

ブルース「その件は、解決した。……マシュ、恐らく私は、とても困難な道をお前に歩ませることになる」

マシュ「……」

ブルース「……私と共に来てくれるか。特異点を、ともに解決してくれるか」

マシュ「っ、はい!!!」


695 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:00:39.67 ID:RF0g7SSA0



ブルース「なら、今日はもう休んでくれ。急ぐようだが、明日にはレイシフトだ。協議も済んでいる」

マシュ「分かりました!」

ブルース「ああ。……おやすみ」スタスタ

マシュ「……あの!」

ブルース「……どうした?」クル

マシュ「……絶対に、失望させません。信頼に応えてみせます」

ブルース「……疑っていないさ、マシュ」フッ


696 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:01:23.28 ID:RF0g7SSA0



………………


ブルース「……」シュドッ、シュドドッ

サンドバッグ「」グラァ、グラグラ……

木人「」ガラララララ……


ブルース「……」シュタタタ、ドシュシュ、バシ、ドゴォッ


ブルース(マシュだけには頼れない。私が強くならねばならない)

ブルース(彼女に負担を強いて来たのは確かだ。強くあらねば)


ブルース「……」シュバッ、ゴギィ、バッシィ


ブルース(……少し前の俺なら、絶対にマシュを連れて行くことは無かっただろう。認めねばならない。俺は、揺らいでいる)

ブルース(問題は、何処までその揺らぎを認める事が出来るのか。信じるという意味と、依存するという意味は違う)


(((まともなフリをするなよ、バッツ! 俺達は化け物だ! ウフフフフッ、ゲームに他人を巻き込んで殺すのは良くない事だって習わなかったのか?)))


ブルース(……何故やつを思い出す)ドゴォッ


サンドバッグ「」バッギャァァァァ、ドシャシャシャァ……


ブルース「……」


カラン……カラン……


697 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:01:53.42 ID:RF0g7SSA0




………………


所長「今回のレイシフト先は、13世紀後半のエルサレムです」

レオナルド「うわぁ、また宗教的に面倒な時期だし、場所だし……」


ブルース(エルサレム……また、ゲーティアと縁深い場所だな)


所長「ええ、とても厄介な時期よ。恐らく、第八、第九十字軍が遠征をおこなっていた年代の周辺です。戦火には十分に注意し、できるだけ介入を避ける事」

ブルース「了解した」

マシュ「はい!」

698 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:02:21.84 ID:RF0g7SSA0



所長「レイシフト要員、分かったわね? では……」

職員C「待ってください。少し、知らせておきたい情報が」

所長「何?」

職員C「えっと、先程シバのレンズの焦点がかなり精確に絞られた時があって、少しだけ地表を見る事ができたのですが……観測結果によると、本来村や町があった場所には、大きなクレーターじみたものが出来ているようです」

ブルース「クレーター?」

職員C「はい、直径は……えっと、観測した限りでは、どれも5キロ四方ほどの」

マシュ「5キロ……」

ブルース「とてつもなく巨大な破壊エネルギーだな……」

職員C「何が待ち受けているかはまだ分かりませんが、この情報は耳に入れておくべきかと思いました。以上です」

所長「……分かりました。ブルース、マシュ、良いわね? いつでも防御に回れるよう、今回も気を付けておく事」

マシュ「はい!」

ブルース「了解した」


699 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:02:55.87 ID:RF0g7SSA0



所長「では、レイシフト班への説明を終わります。9時までにコフィンへのスタンバイを終える事、良いわね! 次、サポート班!! ……」



ブルース「……初のレイシフトか?」

レオナルド「ああ、ワクワクしちゃうね! 未知を体験するのって快感だよ!」

マシュ「今回はよろしくお願いします、ダ・ヴィンチちゃん!」

レオナルド「こちらこそ! 色々と世話になるし、世話をする事にもなるだろうね!」

ブルース「頼りにしているぞ、メカニック」

レオナルド「私にお任せさ!」ドンッ


700 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:03:23.09 ID:RF0g7SSA0



ブルース「……」ガチャガチャ、カチャリ

ブルース「……」カチャリ、ガシッ、スルッ


マスク「」


ブルース「……」スッ


バットマン「……では、あちらで会おう」

マシュ「はい。失礼しますね、マスター」ペコリ

レオナルド「うん、じゃああっちでね!」スタスタ



701 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:04:11.05 ID:RF0g7SSA0



………………


ドクター「時刻、08:55。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライト、レオナルド・ダ・ヴィンチの三名がコフィンにスタンバイ完了」

職員A「存在証明式、スタートしました! 肉体の証明は順調です!」

職員B「電子機器類には異常なし! 電力量もクリア、ハッキングも無し!」

職員C「シバ、時代特定良好! レンズの角度固定!」


所長「では、エルサレムへのレイシフト、カウントダウンを開始しなさい!」

職員達「「「了解、カウントダウン開始!!」」」


ドクター(……よしよしよし。マシュのバイタルは正常、ブルースもレオナルドもオッケーだ……)

ドクター(隣にレオナルドが居ないの、なんだか違和感あるなぁ……不安だ……)

ドクター(……エルサレム、かぁ……)


ドクター「……」ソワソワソワ

所長「そわそわしない!!」

ドクター「はいぃっ!!」ビクゥッ

702 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:04:43.29 ID:RF0g7SSA0



………………


バットマン「……」


ドクター『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』


バットマン(……マシュは、私が守らねば)

ドクター『3! 2! 1!』

バットマン「……」グッ


『0』




703 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:05:10.54 ID:RF0g7SSA0



………………


ギュォォォォォォオオォッ

ドサササァッ!!!


マシュ「くっ……」ムクリ

レオナルド「いたたた、あんなに乱暴に落とされるとはね。これは改良の余地ありかも……落ちた先が砂漠で助かったよ」ムクッ

マシュ「段々慣れてきました……マスター? 何処ですか?」キョロキョロ

???「俺の上から退きな……おい、お嬢ちゃん」

マシュ「え? は、はわ!? ごめんなさい!?」バッ

???「ったく、いきなり上から降ってくるとはな。洒落た登場だ、ブルースを思い出すぜ」

マシュ「ごめんなさい、人が居るとは……って、え? マスターを、ご存知なんですか?」

???「あ? お前、奴を知ってんのか?」


704 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/05/10(金) 23:05:38.21 ID:RF0g7SSA0



レオナルド「おや、早速味方を発見かい? こんな時にブルースは何処へ行ったんだか」

マシュ「えっと、ブルースさんは私の……相棒というか、何と言うか」

???「……ハン、アイツはまた相棒を変えやがったのか。節操のない男だぜ」

マシュ「そ、そういうアナタは一体」

???「俺? 俺は、そうだな……」


レッドフード「ひとまずは、レッドフードとでも呼びな」




705 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2019/05/10(金) 23:10:30.53 ID:RF0g7SSA0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。

今回のアンチヒーローの参考資料です

レッドフード

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 07:44:32.17 ID:yRVfvDI9o
バット次郎くんではないか!
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 09:06:05.07 ID:4XK+QwuPO
ディックに恥ずかしい手紙送ったジェイソンじゃないか
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 17:07:36.39 ID:aIjI05SA0
レッドフードいつ和解したんだっけ
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 18:03:21.22 ID:36sP4kC+O
レッドフード&アウトローズの未邦訳話で和解したはず
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/14(火) 15:43:42.85 ID:Gk2GWiJA0
おっつ!!!
バットマンはいったいどこに……
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/24(月) 23:42:18.38 ID:VAzsXjno0
不穏だなぁ
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/26(水) 01:54:06.85 ID:mDkARzjl0
えたった?
713 :sage :2019/07/04(木) 23:17:21.91 ID:Ag8sWtj70
えたりましたお疲れ様でした
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/16(火) 02:51:28.56 ID:tq2R/duL0
おつかれっした
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 10:55:07.33 ID:pqYaz+eQo
1スレ目から振り替えると、メタルが出たりホワイトナイトが出たり、いろんな事があったんだなぁ
いつかダークナイツが出てきそう
716 : ◆GmHi5G5d.E [sage saga]:2019/08/08(木) 16:06:18.85 ID:yywmM9fPO
更新が遅れて申し訳ありません。決して忘れているというわけではなく、今更ながら「キャラクターを私物化している」という悩みにぶち当たり、どうにかして解釈の補正を行おうと四苦八苦しています。双方のファンから不快に思っているという意見が出ているのを見ましたので、どうにか直したいです。もしお待ちくださっている方が居るなら申し訳ないです。
717 : ◆GmHi5G5d.E [sage saga]:2019/08/08(木) 16:29:38.36 ID:yywmM9fPO
すみません、気が変わりました。気にしないでいきます
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 17:05:57.41 ID:mPKWwLQk0
そこは2次創作なんで好きにやってよろしいかと
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 22:55:52.53 ID:XLwZRfXbo
真面目な話、既存のストーリーを元にしたオリジナル展開をやってる時点で、読者からの解釈違いを受けるのは避けようがないからね……
そこは好き勝手していいとまではいかなくとも、自分の納得出来る範囲でやればそれでいいと思う
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 23:44:40.41 ID:VKDXRkAmo
あくまで二次創作な上に5chのSS板は自分の好きなものを好きなだけ書ける場所だからね
金とってるわけでも無いし嫌なら見るなで良いんですよ
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 23:56:34.16 ID:tyAX0xPAo
バットマンしか知らんからfgoの元の話とどれぐらい差異があるかわかんねぇべ
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/09(金) 01:31:04.27 ID:9c3xRElD0
不快に思ってる人間もいるかもしれんけど
楽しみに待っている人間もいることを忘れんでくれ
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/11(日) 14:38:39.77 ID:Qipw4GTm0
待ってるやつはここにもいるゾ〜
俺はこのシリーズ好きだから続けてくれたら嬉しいなって
無論イッチの負担にならない範囲でね
724 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:47:33.19 ID:5un44TpH0


………………

バットマン「……っぐ、む……」ムクリ


バットマン(……ここは。マシュは? レオナルドは……?)キョロ

バットマン(……まさか、はぐれてしまったのか。マシュを必ず守ると誓っておきながら、なんとも間の悪い)


バットマン「ともかく、ドクターに連絡を……」スッ

潰れた通信端末「」バチチチィッ、キュゥーン……

バットマン「……不幸は重なるとは言うが、全く」


725 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:48:24.64 ID:5un44TpH0


バットマン(さて、困ったことになった。ここには私ひとり、他に頼れるサーヴァントはおらず、カルデア頼りだった探知器の類も使えない)

バットマン(……だが、諦めるには少し早い。周囲を観察し、状況を把握して最善の動きを取るとしよう)


バットマン「……」グルリ


荒野「」ヒュオォォォォォォオォォ……


バットマン(なんとも味気ない灰色の荒野だ。詩人がこれを見れば、『地獄』と形容するのだろう。……しかし、ここまでの荒れ地は……)

バットマン(雲の動きや温度から判断して、今は夏頃か。太陽は……南中する少し前。この風の吹き方は、近くに山でもあるな)


バットマン(……そして何より異常なのが、『アレ』だ)


726 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:49:09.32 ID:5un44TpH0



巨大な城「」ズォォォォォォォォォ……


バットマン(……距離感が狂いそうだ。あんなに巨大な城は、少し普通ではないな)

バットマン(明らかに、エルサレム史上に存在しないものだ。まさか私だけ、おかしな場所にレイシフトしたというワケでもないだろう)


バットマン「……さて、どうしたものかな」


バットマン(ここからの行動候補、その1。城へ向かう。……いや、これは却下だな。危険が大きすぎる)

バットマン(行動候補、その2。集落を探す。事情聴取が可能で、さらにはマシュたちと合流できる可能性もある。ふむ、これは考えておいて良いな)

バットマン(行動候補、その3。……ここはエルサレムに近い。なら、『例の場所』も近いということだ。少し寄ってみる、ということも可能だが……)

バットマン(……いいや、どちらにせよ『あの場所』には戦力が不十分なまま行きたくはない。ここは行動候補その2に従おう)


727 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:49:37.06 ID:5un44TpH0


バットマン「……」スタスタ

道「」

バットマン「……」スタスタ


バットマン(いかに荒野とはいえ、このように人の使っていた道の痕跡はある。辿っていれば、いつかは集落にたどり着くだろう)スタスタ


荒野「」ヒュオォォォォォォオォォォ……


バットマン「……」スタスタ……ピタッ


巨大なクレーター「」グオォォォォォォ……


バットマン「……」


728 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:50:12.01 ID:5un44TpH0



バットマン(……これはまた、巨大なクレーターだ。ちょうど集落がありそうだ、と思った箇所をえぐるようにできている)

バットマン(こうして見てみれば、この荒野にはクレーターだらけか。……どうにも、このクレーターは『集落があったであろう』場所への攻撃痕にしか見えないな)

バットマン(つまり、誰かがこの特異点の集落を破壊しているということか? 何故だ?)

バットマン(まさか、前回の特異点のような戦争狂が居るのか? ……いや、まさかな)


バットマン「……」フム


バットマン(しかし、参ったな。このままでは事情聴取もままならない)

ザシ、ザシ。ザシ、ザシ

バットマン「……誰だ」スッ

???「お待ちを。敵意はありません。ただ、話をしたいだけなのです」

バットマン「……」ジリッ


バットマン(目深にかぶったフード。ブロンドの髪。片腕は……義手か?)


バットマン「……何者だ」

???「我が名はルキウス。放浪の旅人」

バットマン(偽名だ。……だが、この男から殺気が感じられないのは事実)


729 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:50:39.17 ID:5un44TpH0


バットマン「……そうか、ルキウス。私はブルース・ウェインという」

ルキウス(?)「ブルース。質問をお許しいただけますか」

バットマン「質問はするといい。答えるとは限らないが」

ルキウス「……確かに、それもそうだ。いえ、その……この惨劇について、何かご存知ではないかと思ったのですが」チラ


クレーター「」グオォォォォォ……


バットマン「……残念だが、私も今ここに来たばかりだ。知っていることはあまりない」

ルキウス「そう、なのですね。時間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした。これで失礼を……」


ガシャリ、ガシャリ、ガシャリ


鎧の騎士「」ガシャリ、ガシャリ、ガシャリ


バットマン「……!!」ピリピリピリッ


バットマン(肌に感じるほどの殺気。……これは)


ルキウス「っ、ブルース、下がってください。危険です」バッ

バットマン「馬鹿を言うな、ルキウス。お前こそ下がっていろ」ババッ


730 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:51:06.05 ID:5un44TpH0



鎧の騎士A「」ガシャリ、ガシャリ……

鎧の騎士B「」ガシャ……

鎧の騎士C「」ガシャリ……

鎧の騎士D「」ガシャン、ギシィ……



バットマン「……囲まれたか」ジリッ

ルキウス「申し訳ありません、ブルース。悠長に会話していなければ、気付けたものを……」

バットマン「過去は過去だ。……ルキウス、腕に覚えはあるか」

ルキウス「多少は」

バットマン「なら、そちらの二人は頼めるな」

ルキウス「勿論。お任せを」

バットマン「では私はこちらの二人だ。いくぞ」バッ


731 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:51:35.91 ID:5un44TpH0



ルキウス「ハッ!!」シュバッ

鎧の騎士A「!」ガッギャァァァ!!

鎧の騎士B「!!」ブオンッ

ルキウス「セイッ!!」ガギャギャッ、ヒュヒュンッ

鎧の騎士B「!?」ギャリリィ、ヨロッ

ルキウス「そこ!!」バババババババッ

鎧の騎士B「」ゴシャアアアアアドシャシャシャシャ……



バットマン(見事な剣さばきだ。あれほどの使い手となると、何処かの騎士か)


鎧の騎士C「っ!!」ブウン!!

バットマン「フッ、」トトッ

鎧の騎士C「……!?」ヨロッ

バットマン「……フンッ!!」ギュゴォッ

鎧の騎士C「っ」ドゴシャァァァァ!!

鎧の騎士D「!!」ズオォッ

バットマン「遅い!!」バッ

マント「」グワアッ

鎧の騎士D「!?」グラッ

バットマン「シィッ……」シュド、ド、ド、ドドドドドドドドドドドドッ

鎧の騎士D「っ、……」ヨロ、ヨロ……

バットマン「……リアッ!」ドッゴォッ

鎧の騎士D「」ドシャァッ


732 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:52:06.29 ID:5un44TpH0



ルキウス「ふうっ」カチャリ

バットマン「……フゥー……」

ルキウス「驚きましたよ、ブルース。いえ、おこがましいと思われるかもしれませんが、まさかここまでお強いとは」

バットマン「お互い様だな。お前もすさまじい腕前じゃないか、一体どこの騎士なんだ?」

ルキウス「……それは、申し訳ありませんが、言えません」

バットマン「そうか。……なんにせよ、助かった。あの数相手に私ひとりは少しきつかっただろうからな」

ルキウス「ふふ、それは私もです。……私はもう行きますが、貴方の旅路が良いものでありますよう……」スタスタ

バットマン「……ああ。さらばだ」


バットマン(……謎多き騎士か。正体は一目瞭然のような気もするが、彼が露呈を望まないなら余計な口出しも不要だろう……)

バットマン(しかし、彼なら良い戦力になってくれると踏んだのだが。……彼には彼の目的がある以上、止めるわけにもいかないか)


733 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:52:34.24 ID:5un44TpH0



バットマン(しかし参った。集落が無いなら、私もどこか適当な場所を見繕って……)


……ぃ〜〜〜〜や〜〜〜〜……


バットマン「……」


???「いやぁぁーっ、何なのよこの化け物! だからこの国って好きじゃないのよ〜〜っ!!」タッタッタッ

目玉の化け物「」スイスイスイスイ

目玉の化け物2「」スイスイスイスイ

???「ぎもぢわるいいぃぃ……!!」タッタッタッタッ


バットマン「……」


バットマン(誰かは知らないが、助けないわけにもいかん)グッ、ダダッ



734 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:53:02.78 ID:5un44TpH0


………………

砂嵐「」ビュオォォォォォオォォォ……オォォォォ……


マシュ「な、なるほど……つまりマスターの相棒だった人なのですね?」スタスタ

レッドフード「ああ、そうさ。あっちの世界じゃ、そりゃあ仲の良い相棒だった」

レオナルド「うーん、なんだろうか。『仲の良い相棒だった』のところ、すっごい皮肉を感じたんだけど」

レッドフード「……へッ、どうだかな。アンタ、名前は?」

レオナルド「私かい? 私はレオナルド・ダ・ヴィンチ! あの天才さ、聞いたことない?」

レッドフード「まさか。聞いたことくらいあるさ、死刑囚をデッサンして有名になった趣味のいい画家崩れだろ?」

マシュ「あ、あはは……」

レオナルド「うーん、これはブルースに似た厄介コミュニケーション者と見た!」

レッドフード「悪いな、場を和ませようとした冗談ってヤツさ……」ククッ


735 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:53:30.04 ID:5un44TpH0


レッドフード「にしても、急に虚空から出てきたのには驚いたよ。あれがレイシフトってやつか?」

レオナルド「おや、詳しいね。そうとも、あれこそ我らがカルデアの誇る技術、レイシフト! 調整とかはかなり大変だけど、自分で体験してみると案外楽しいもんだね!」

マシュ「……マスターと連絡が取れないのが心配ですが、大丈夫なんでしょうか」

レッドフード「あいつは殺しても死ぬようなヤツじゃない。心配なんてするだけ無駄な男だ」

レオナルド「ふふ、その意見には同意しそうになっちゃうなあ。まあ、この砂嵐の中に出てこなかったのは逆に幸運とも言えるかも……」


砂嵐「」ビュオオォォォォォォォォォォォ……ォォォォォォオオオオオ……


レッドフード「……なあ、頼みがあるんだが。万が一連絡が取れても、俺のことはあいつに言わないでくれるか?」

マシュ「え? な、なぜでしょうか?」

レッドフード「……なあ、人には人の事情ってモンがあるんだ。あいつの相棒だったとはいえ、決して仲の良い時期ばっかりじゃなかった。……頼むよ、話すのは直接会ってからだ」

マシュ「え……えっと……」

レオナルド「まあまあマシュ、いいじゃないか。そもそも現状じゃ、ブルースと合流しなきゃ連絡の取りようもないんだし」

マシュ「……それもそうですね」コクリ


736 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:53:57.10 ID:5un44TpH0


砂嵐「」ビュオォォォォォォオオォォォ……


レオナルド「さて、しかしこの砂嵐にはまいったね。どうにかして抜けたいものだが」

レッドフード「参ってるのはこっちもさ。天才さんよ、秘密の道具でも発明してくれて構わないぜ?」

レオナルド「あはは、信頼してもらえるのは嬉しいけど、そもそも材料がないことにはね……っ、マシュ、レーダーに感あり。動体だ」

マシュ「え!? ……! き、聞こえます! 三時の方向から何か来ます!」ガシャリ

レッドフード「息をひそめろ。……おっと、こいつはさっそく狙ってたヤツが来たかもな……」カチャリ



737 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:54:26.53 ID:5un44TpH0



???「むー! むーーー!!」モゴモゴ

???2「ええい、暴れるな! 全くこの砂嵐、息が詰まるような敵意を持っている……!」タタタッ

???3「……百貌様、前方に何か!」タタッ

マシュ「ストップ! 待ってください、少し話を……」バッ

???2「!!」ババッ、シュババババッ


ナイフ「「「「」」」」ヒュオォォォォォッ

マシュ「なっ」

レッドフード「退きな」バッ、タタタタタタァン!!


ナイフ「「「「」」」」ギャリリリィ、カララララァン……


レオナルド「ワオ、銃使いだったのかキミ。いい腕してる」

レッドフード「大したモンだろ? まあバットマンは喜ばねえけどな」

マシュ「あ、ありがとうございます」

レッドフード「ひとつ貸しだ、嬢ちゃん。しゃきっと立て、殺気くらいは感じ取れるだろ」

マシュ「は、はい!」

部下「百貌様、ご無事ですか!?」

部下2「おのれ何奴!?」

百貌「……? 貴様……レッドフード?」

レッドフード「……」


738 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:55:01.61 ID:5un44TpH0


百貌「どういう事だ。ここで何をしている、レッドフード」

部下「……? れ、レッドフード様?」

部下2「なにゆえレッドフード様がここに?」

???「むー!! むーーー!!!」モゴモゴ

マシュ「え、え、えっ……ど、どういう事ですか? お知り合いですか?」

レッドフード「……あぁそう、そうだった、知り合いだ知り合い! 久しぶりだな、えぇっと……どの『ハサン』だったかな、お前は」

百貌「……いつもの冗談なのか、本気なのか、それとも……」チャキリ

レッドフード「おいおい、つれねえヤツだぜ。嬢ちゃんからも一言いってやってくれ……ああ、初対面だったか、お前ら」

マシュ「え、ええっと、……ど、どういったご関係です?」

レッドフード「仲間さ、分かるだろ。はは、城相手にレジスタンスやってたんだったか?」

レオナルド「ほう、城? というと、……なるほどね、砂嵐で視認しにくいが、向こうのアレか」


砂漠の向こうの城「」ズオォォォォォォ……


百貌「……貴様、本当にレッドフードか。だとすれば、牢の解放任務はどうした」ジリイ……

レッドフード「なんだ、知らないのか? 作戦の変更があったんだ。俺たちは今から聖都へ向かう」

百貌「何を馬鹿な……貴様、気でも狂ったのか?」

レッドフード「……ククククク、疑うのか?」カチャリ

マシュ「……?」ゾワリ

739 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:55:30.49 ID:5un44TpH0


マシュ「ま、待ってください、とにかく仲間だという事で良いのですね?」

レッドフード「そう言ってるだろ、なあ?」

百貌「……仲間ではない。単に利害の一致から行動を共にしていただけだ」

レッドフード「へッ、つれねえやつだ」

レオナルド「うーん、まあ即座に殺しあう関係ではないってだけで十分かな。色黒アサシンくん、少し質問良い?」

百貌「……待て。貴様、そこの娘」

マシュ「……え? あ、わ、私ですか!?」

百貌「その盾の紋様……貴様、さては『聖都』の」


???「ムグ……プハッ! スフィンクスよ、此処へ!」ジタバタ


部下「なっ、こ、コイツ……申し訳ありません百貌様! すぐに黙らせます!」

百貌「な、何をやっている! 愚か者、召喚を許してしまったのか!?」

???「さらにホルスの名において……むぐぅっ!?」

部下2「黙れ!」ガシッ


百貌「ちいっ、なんと面倒な……!! 全員散開! 各々目の届く距離から離れず、異変を感じたら即座に知らせろ!」

部下1〜20「「「はっ!!」」」ザザザザザァ

レッドフード「おいおい、間抜けな部下をずいぶんたくさん抱えてるな?」

百貌「黙れ貴様!」

マシュ「ど、どうしたら……」

レオナルド「マシュ、レッドフード、私のそばから離れないように。ミニレーダーを持ってきた、今はこっちのほうが視界より有能だ」スッ



740 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2019/08/12(月) 01:55:57.49 ID:5un44TpH0



砂嵐「」ビュオォォォォォオオォォォォォオオオオオ!!!ビュゴゴゴオオオオオオオオオオオ!!!

部下4「くっ、こ、これでは視界も、聴覚も……!」ジリッ

部下5「い、いま何か動いたように……き、気のせいか」

百貌「くそっ、砂嵐がひどくなってゆく……貴様ら、これが終わったらゆっくりと話を聞かせてもらうぞ!」

レオナルド「それはどうも! 全く、こんな状況でもたくましいアサシンだね!」


レオナルド(全く状況は好ましくない。いや、最悪と言っていい。スフィンクスを、魔獣を相手にする、だって? それは幻獣の上位存在、竜種すら凌ぐ怪物だ。この人数でどうにかできるとは思えない……! 本来ならもっと装備を整えてから挑むべきなんだ)

レオナルド(……いいや、今は考えすぎるのは良くない。しっかりレーダーを確認して……)


マシュ「……!!」ピリピリピリッ


マシュ(殺気。来る)


マシュ「ダヴィンチちゃん!!!」

レオナルド「!? っ」

レーダー「」ポーン……ポーン……

レオナルド「ほんとに来た!? 二時の方向、そこのキミ気を付けて!!」

部下6「!?」バッ


551.48 KB Speed:0.4   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)