【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」

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106 : ◆axPwtNeSoU [saga !red_res]:2018/12/20(木) 00:07:14.34 ID:dKCyvHSA0


それを何と呼ぶべきか――船霊と捉えるべきなのか、付喪神と理解するべきなのかは、未だに判らない。


ただ、それを何と呼ぼうと――確かにあの頃の【軽巡・北上】には、既に、意識が、感情が、心が存在していた。


もちろんそれが、【艦娘】として生まれ変わってからの意識や心とは似て非なる……いや、おそらくは全く別のものである事は間違いない。


――だがそれは、今の自分、【艦娘・北上】に確かに地続きでつながっている。水底で結びついている。






――それがいつ頃「生まれた」のかは、いまだにひどく曖昧だ。


最初は夢見心地にいるような、ぼんやりとした意識だったと思う。


鉄の塊として、道具として、船として、兵器として――ただ与えられた役割を与えられたままに淡々とこなし受け入れる、鉱物のような心。


決戦用戦力として期待され、重雷装巡洋艦として改装された時も――ああ、そうなのか、と思っただけだった。


結局その役割を一度も果たさないまま、高速輸送艦としての任務に従事するようになった時も――ああ、そうなのか、と思っただけだった。



ほんの少しだけ、残念な気持ちにはなったかも知れない。


だが結局は全てを、あるがままをあるがままに受け入れた。


兵器として、船として、道具として、鉄の塊として――それが当然のことだ。




モノクロの世界の中、灰色の意識の中、ただ歳月が流れていく。




そしてある時――世界に、色が付いた。

107 : ◆axPwtNeSoU [saga !red_res]:2018/12/20(木) 00:08:50.25 ID:dKCyvHSA0


「北上さんは――【軽巡・北上】はね、乗組員たちの話からあなた達がやり遂げたキスカ撤退作戦のことを聞いて――とても、とても憧れたの」



多くの敵艦を沈めた訳でも、多くの敵兵を殺した訳でもなく。


それでもなお、奇跡と呼ばれたその作戦。


完全に包囲され、封鎖された絶望的な状況の中から、ただの一人も死なせずに、全ての仲間を連れ帰ったその奇跡。



……しかも、その作戦の旗艦をつとめたのは、かつて自分に衝突したこともあるあの艦なのだという。


なんだか少し愉快な気がして。


鉄の塊の鈍く重い心に、温かい光が灯ったような気がした。


白黒だった世界に、色が付いたような気がした。




――嗚呼。


――なんて凄い艦なんだろう。


――なんて凄いことをやってのけるのだろう。



――そんな風になりたい。

――そんな風で在りたい。



――いつかはなれるだろうか。


――いつかは辿り着けるだろうか。




――その高みに。その輝きに。


――自分の手は――――届くのだろうか。


108 : ◆axPwtNeSoU [saga !red_res]:2018/12/20(木) 00:10:13.06 ID:dKCyvHSA0

「……もちろん、北上さんがどう思おうと、それで何かが変わった訳じゃないわ」


「鋼鉄で出来た単なる軍艦として、それまで通り、与えられた軍務につくことしかできないのは、何も変わらなかった」


「でも……だからこそ、余計に、あなた達がキスカで示したあの奇跡は、北上さんの心を支える光として輝き続けたんだと思う」


「……たとえ第一線で活躍することはできなくても、輸送艦としての役割のまま艦歴を終えることになったとしても、それが味方を救い仲間を支えることになるのなら――その在り方は、きっとあの憧れの艦の姿につながっているはず……そう思えたのね」



「……だけどね。 北上さんの――【軽巡・北上】のその想いは、最悪の形で踏みにじられることになるわ」




「……口にするのもおぞましいあの兵器」




「あの最悪の――味方殺しの兵器の搭載母艦として改装されることでね」

109 :>>107ミス黒字に変更 ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 00:14:15.33 ID:dKCyvHSA0


「北上さんは――【軽巡・北上】はね、乗組員たちの話からあなた達がやり遂げたキスカ撤退作戦のことを聞いて――とても、とても憧れたの」



多くの敵艦を沈めた訳でも、多くの敵兵を殺した訳でもなく。


それでもなお、奇跡と呼ばれたその作戦。


完全に包囲され、封鎖された絶望的な状況の中から、ただの一人も死なせずに、全ての仲間を連れ帰ったその奇跡。



……しかも、その作戦の旗艦をつとめたのは、かつて自分に衝突したこともあるあの艦なのだという。


なんだか少し愉快な気がして。


鉄の塊の鈍く重い心に、温かい光が灯ったような気がした。


白黒だった世界に、色が付いたような気がした。




――嗚呼。


――なんて凄い艦なんだろう。


――なんて凄いことをやってのけるのだろう。



――そんな風になりたい。

――そんな風で在りたい。



――いつかはなれるだろうか。


――いつかは辿り着けるだろうか。




――その高みに。その輝きに。


――自分の手は――――届くのだろうか。


110 :>>108ミス黒字に変更 ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 00:15:08.63 ID:dKCyvHSA0


「……もちろん、北上さんがどう思おうと、それで何かが変わった訳じゃないわ」


「鋼鉄で出来た単なる軍艦として、それまで通り、与えられた軍務につくことしかできないのは、何も変わらなかった」


「でも……だからこそ、余計に、あなた達がキスカで示したあの奇跡は、北上さんの心を支える光として輝き続けたんだと思う」


「……たとえ第一線で活躍することはできなくても、輸送艦としての役割のまま艦歴を終えることになったとしても、それが味方を救い仲間を支えることになるのなら――その在り方は、きっとあの憧れの艦の姿につながっているはず……そう思えたのね」



「……だけどね。 北上さんの――【軽巡・北上】のその想いは、最悪の形で踏みにじられることになるわ」




「……口にするのもおぞましいあの兵器」




「あの最悪の――味方殺しの兵器の搭載母艦として改装されることでね」

111 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 00:19:47.14 ID:dKCyvHSA0


「……ねえ、阿武隈さん、五十鈴。 あなた達に想像できる? その時の北上さんの気持ちが」

「――心を持たない、ただの鉄の塊のままだったなら――たとえどんな理不尽な命令だったとしても従容として受け入れることが出来たでしょう。 ……実際、私たちは皆、『あちらの世界』で、そうやって過ごしてきた」

「――たとえ生まれ変わった後でその記憶にさいなまれる事があったとしても――それはどうしようもない過去の出来事として、なんとか前を向くことが出来たでしょう。……実際、私たちは皆、『こちらの世界』でそうやって過ごしている」


――確かに『あの戦争』『あの敗戦』の記憶によって何らかの心の傷を負っていない艦娘など一人もいない。

だが、それは――あくまでも遠い過去の、鋼鉄の記憶だ。艦娘として生まれ変わってからの、心や感情に裏打ちされた記憶とは訳が違う。

例えば、阿武隈や五十鈴自身にも、もちろん過去の自分の記憶は存在する。 だがそれは、言わば断片的なフラッシュバックが色褪せたコマ落としのフィルムのような形で幾つか存在する程度。 艦娘に生まれ変わってからの生き生きとした記憶とは全くの別物だ。



「……もしも今、『アレ』を積むようにと命令されたら、私たちは断固として拒むでしょう。 泣いて、暴れて、わめいて、拒絶して、逆らって……何がなんでも抗うでしょう。 そんな装備を積むのは嫌だと主張して。 積まれたとしても投げ捨てて」


「……その気にさえなれば、今の私たちには、自ら解体処分や自沈処分を選んででも、理不尽な命令から逃れることができる」


「……だけどもし、それさえも許されなかったらどう?」


「意志もある。感情もある。心もある。……なのに、異を唱えることも自分の身体を思い通りに動かすことさえもできず、かつてと同じように兵器として、道具として、命じられた通りの行動しか取れないとしたら?」




「ねえ……あなた達は、それに耐えられる?」




喩えるならば、声も出せず身動きも取れないまま、辱められ、汚され、陵辱され。涙を流すことさえ禁じられたのも同然だろう。






「そんなの……そんなの無理に決まってる。耐えられっこない……」


五十鈴が瞳に恐怖の色を浮かべて、呆然とつぶやく。

阿武隈も同感だった。

112 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 00:22:25.40 ID:dKCyvHSA0


「……そうね。そうよね」


暗い目で大井が呟く。


「北上さんも……耐えられなかった」


大井が膝の上で握りしめた拳に、ぎゅっと力が込められた。


「よりにもよってちょうどその頃……北上さんの改装が進む中、あなた――【軽巡・阿武隈】が、ネグロス島沖に沈んだ」


阿武隈は言葉を失う。


「……目標としていたあなたにはもう追いつけない。……それどころか、このままいけば遠からず『アレ』を積まされて、憧れとしていたあなたからは、一番遠い存在になってしまう。 そう思った北上さんは、無駄だと知りつつ心の中で叫び続けた」


「嫌だ。嫌だ。それだけは嫌だ。やめて。やめて。お願いだから。……だけど、そう叫び続けた北上さんの心の声は、結局、誰にも届かなかった」




「……そして、その声が誰にも届くことはないと悟った時、北上さんが望んだのは――」




大井の声が震えた。




「自分が『アレ』を使わされることになる前に……一刻も早く、自分を沈めて欲しいということ、それだけだった」


113 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 00:25:40.42 ID:dKCyvHSA0


「……あとは知っての通りよ」


大井は深く溜め息をついた。


「ちょうどこの時期、7月の終わり頃……『アレ』を積まれたまま停泊中だった北上さんは、呉軍港を襲った大空襲に遭遇した」

「……北上さんはむしろ、ほっとしたそうよ。……これで自分は、ちゃんと沈むことができる。これで自分は、憧れたあの姿を汚さずに沈むことができるんだ、って」

「……でも、そんな北上さんを嘲笑うかのように……敵の空爆は他の艦にばかり集中した」

「……大破し、動けなくなった北上さんをそのままにして、飛来した敵の爆撃機は次々と他の艦を沈めていった」

「榛名さん、伊勢さん、利根さん、天城さん……仲間達が次々と炎上し、着底していく姿を……北上さんはずっと見せつけられた。見せつけられ続けた」




助けたくても身体が動くことはなく。

叫びたくても声を出すことはできず。

泣きたくても流せる涙は存在しない。




――こんなのは違う。こんなのは間違いだ。


――こんな事を望んだんじゃない。


――こんな事を願った訳じゃない。


――沈むべきは自分なのに。自分だけだったのに。




目を逸らすことも目を閉じることも許されず、北上は――全てを見届けることになった。


114 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 00:34:50.19 ID:dKCyvHSA0


「……もちろん北上さんは何も悪くない。北上さんの想いに関係なく、あの空襲は起こっていたでしょうし、結果は何も変わらなかったでしょう」


「でもあの時北上さんは……誰を巻き添えにしようと構わないから沈みたい、どうか自分を終わらせて下さいと望んでしまった。願ってしまった。祈ってしまった。……それがあの子にとっての事実」


「最後まで憧れに手が届かなかった後悔と、最後の最後で憧れから手を離してしまった罪悪感。それが今でもあの子を苦しめてる」


「……生まれ変わって以来、北上さんはよく言ってたわ。 なんで自分だけ、こんな記憶を持って生まれ変わらなきゃならなかったんだろうって。どうせなら、記憶なんか全部捨て去って、戦艦とか重巡とかに生まれ変われてれば良かったのに……って」


「……神様とやらがいるんなら、そいつはきっと、あたしの事が嫌いなんだねって……寂しそうに笑ってた」


「いつも飄々として、笑いながら過ごしてるように見えるけど……あの子の傷は凄く深い。 そしてその傷から……今も血を流し続けてる」

115 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 00:36:53.58 ID:dKCyvHSA0


「……でもね、阿武隈さん。そんな北上さんが……あなたが着任すると知った時、すごく嬉しそうにはしゃいでた」




――ねえねえ、大井っち、聞いた? あの【阿武隈】が、うちの鎮守府に着任してくるんだって!

――どんな艦娘になってるんだろね? どんなやつなんだろね?

――ああ、楽しみだなあ。

――あたし、教導やらせてもらえるかなあ。

――ううん、絶対あたしがやる。 提督が駄目って言おうがどうしようが、留守の間に勝手に決めちゃうから。

――ねえ大井っち。提督には内緒だよ?




「……正直、私は反対だった」


大井の声は苦しげだった。


「……北上さんは【軽巡・阿武隈】に憧れを抱き過ぎてた。理想の艦娘のイメージが、北上さんの中で膨らみ過ぎてた。 あなたは――ううん、あなただけじゃない。【軽巡・阿武隈】も、別に特別な艦じゃない。弱さも欠点も抱えたただの普通の軽巡洋艦だったはず」

「……いつか、北上さんの中での【軽巡・阿武隈】のイメージと、艦娘としてのあなたの姿にズレが生まれた時――北上さんがひどく傷つくことは判ってた」

「……でも、それでも……あんなにはしゃいで、あんなに嬉しそうにしてる北上さんを止めることは……私にはできなかった」


「……そして阿武隈さん。あなたは、北上さんの期待通りの素敵な艦だったわ」

「……何があっても諦めない。どんな難題でもまっすぐ立ち向かっていく。そして何より、仲間を絶対に傷つけず、必ず生きて連れ帰る……そんな艦になれるんだ、って北上さんが信じてしまったくらいに」


「……もちろん、理想の艦娘なんてイメージとは、程遠かったみたいよ? 生意気だし、泣き虫だし、口は悪いし、ね」


大井は困ったような笑みを阿武隈に向ける。


「……でも、そんなあなたの事を語る北上さんは、楽しそうだった」

「……私が、あなたには関わり過ぎない方がいいっていくら言っても、聞いてくれなかった」

116 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 00:39:44.75 ID:dKCyvHSA0


「今回……あなたは確かに旗艦としては大きなミスを犯したわ。……でも、それは誰にでも起き得ることよ。北上さんの態度は、あまりにも厳しすぎた」

「……次に、あなたは最初、確かに自分のミスに気付けず、勘違いしてた。……でもこれも、頑なにあなたへの説明を拒んで自分自身で気付かせようとした北上さんに問題があったと思う」

「あなたの北上さんへの最後の暴言……是非は別として、心情的には理解できるわ。……さっきも言ったけど、北上さんもあなたの暴言そのものに腹を立てて、それで教導を降りるなんて言いだした訳じゃない。あなたに暴言を吐かせるようなことをしてしまった、自分自身が許せなかったのよ」

「……厳しい言い方をすれば……勝手な理想をあなたに押し付けて、勝手に北上さんが傷ついただけ」

「……そのことはもう、多分北上さんも解ってる。だから……自分から、あなたの教導を降りるなんて言い出したんだと思う」



「……こんなことを言えた義理じゃないのは判ってる。だけど阿武隈さん……どうか、北上さんを許してあげて」


「そしていつか――北上さんが望んだような、素晴らしい艦娘になってあげて。そうすれば……北上さんの気持ちも少しは救われるんじゃないかって……そう思うから」



大井は目を伏せ――長い、長い話が終わった。


117 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 00:45:23.91 ID:dKCyvHSA0
※とりあえず今夜はここまで
この先は前回のスレ立て時とちょこちょこ変わっていきます
完結まで書きため自体は既に終わってますのでお楽しみに
コメントや感想ありがとうございました
今後もご自由にコメント、雑談等どうぞ
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 01:17:53.48 ID:bXkFejL6o
乙。重い話だった……
思えば北上さん、大和型をホテルと言って(挑発のためではあるが)侮辱したり、阿武隈をキスカをあげつらえながら非難してたけど、
それらは他の艦娘との艦船時代の記憶の密度の差に対する劣等感から来る行いだったのかも、と思った。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 01:38:48.55 ID:Q1Bn2wZc0
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 14:53:58.50 ID:/ImG5jcu0
乙!
タイトルと冒頭からほのぼのあぶきたものかと思ったらハラハラドキドキきたあぶものだったでござる
121 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:02:10.79 ID:dKCyvHSA0

――――
――




大井が去り、五十鈴も部屋を出て行った後。

阿武隈は部屋の中で膝を抱えて座り込んでいた。

窓の外から、かすかに庇に当たる雨の音が届いてくる。




大井の話から、北上の不可解な態度の理由について、納得はできないまでも理解はできた。

だが、それをどう受け止めればいいのか、頭の中がぐちゃぐちゃで考えがまとまらない。



――あたしは……どうすればいいんだろう。


――どうするべきなんだろう。


――何が出来るんだろう。



……答えは簡単だ。 どうしようもない。 すべきことも、できることも、何もない。


北上が抱えたものは、他人が気安く触れようとするには、あまりに大き過ぎる。重すぎる。


『前世』から抱え続けた心の傷。その深さを、その重みを、その痛みを、本人以外に理解出来ようはずがない。


恐らくは北上自身、ただの代償行為と自覚した上で――それでもなお、阿武隈を育て上げる事で何か答が出せるのでは、何かに決着を付ける事が出来るのではと、一縷の望みに縋ったのだろう。


それが正しいかどうかは問題ではない。


正誤で言うなら――最初から間違っているのだから。



(だけど…………)


122 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:03:33.46 ID:dKCyvHSA0


だからといって、大井の言ったように、そっとしておく事が最善なのか。

自分自身が今よりましな自分に成長するまで、距離を置くのが正解なのか。


何度も何度も自問して、


(……それじゃ駄目だ)


阿武隈は唇をかみしめる。


(……だって、それじゃあ、あの人は……)


――それでは北上は、阿武隈と出会う前の日々に逆戻りすることになる。

――また独りで、抱えた傷から血を流しながら生きていくことになる。

……あの、へらへらした笑いをずっと顔に貼り付けて。


(……そんなのは駄目だ)

(……あたしはたった一晩)

(……たった一晩だけでも、あんなにつらかったのに)


だが、ならばどうする。

いったい自分に何が出来る。

あの人に対して何が言える。



阿武隈は自分の膝を抱きしめるようにぎゅっと抱えて、考え込んだ。



堂々巡りを繰り返しながら、考えて、考えて、考えて考えて考え抜いて――――。




――――そして阿武隈は、考えるのをやめた。


123 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:05:44.89 ID:dKCyvHSA0


――――
――




「……本気か?」

「はい! お願いします!」


雨の中、傘も差さずに走って来たのだろう。

提督の執務室にいきなり飛び込んできた阿武隈は、自慢の髪や制服からぽたぽたと水滴を滴らせていた。

だがその両の瞳には、絶対に引き下がるものかという強い意志が宿っている。


「……阿武隈。大井から聞いたと思うが、北上はお前の教導を……」

「まだです!」


提督の言葉を遮って阿武隈は言い返す。


「大井さんはさっき、五十鈴お姉ちゃんに言ってました! 『明後日から』教導を引き継げって! 今日と明日、北上さんはまだあたしの教導です!」

「……確かにその通りですね」


視線を向けた提督に対し、神妙な顔つきで大井が答える。その口元が……ほんの少しほころんでいるのは気のせいだろうか?


「ふむ……。 だが目的はなんだ? 個人的にけじめを付けたい、というだけか?」

「……それもあります」


ふむ、と提督は顎を撫でる。


「……だけど、それだけじゃありません。これは……救出作戦なんです」

「……どういう意味だ?」


阿武隈は一瞬目を閉じて息を吸い込むと――目を見開いて、まっすぐ提督と視線を合わせた。


「……馬鹿な雷巡が一人、迷子になっています」


提督の眉がぴくりと動く。


「……過去に閉じこめられて動けずにいるその馬鹿を、あたしは助けたい」

「……」


提督は無言のまま、阿武隈の目を見つめる。

阿武隈がしっかりとその視線を受け止める。


「……成功させる自信はあるのか?」

「自信じゃありません。あるのは、覚悟です」


阿武隈が言い切った後、部屋の中に沈黙が満ちる。

数秒か、数十秒か、数分か。


そして―――提督は、断を下した。


「いいだろう、軽巡阿武隈、作戦を許可する! ……馬鹿を救い出して、必ず連れ帰って来い!」

「ありがとうございます、提督! 阿武隈……ご期待に応えます!!」

124 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:09:50.68 ID:dKCyvHSA0


――――
――




夜の工廠裏。

建物の外に据え付けられた飲み物の自販機が、傍らの空き地に光を投げかけている。

1日降り続いた雨は夜になってようやく勢いを弱めていたが、今もなお、ぱらつく小雨が、空き地に生い茂る雑草の葉をそれとわからぬほどに揺らしている。

傘を持たずに来たのは失敗だったかも、と思いながら、北上は人待ち顔で立ち尽くしていた。


「おっそいなー、大井っち……」


しっとりと湿り気を帯び始めた制服のスカーフを指先で弄びながら、小雨に煙る遠くの景色にぼんやりと視線を向ける。

こうして独りで待っている時間はやけに苦痛で、早く終わって欲しかった。


(詳しいとこまでは大井っちから聞けなかったけど……あいつは、ちゃんと独りで正解に辿り着いたっていうのに)

(あたしはずっと変わらず……こうしておんなじところに立ち止まったまんまだ)


――早く大井っちに来て欲しい。早くこの時間を終わらせて欲しい。


――独りでいると、余計な事ばかり考えてしまう。


――自分のした決断は正しかったはずなのに。


――後悔はしないと決めたはずなのに。



(いや、後悔じゃないね。これは…………未練だ)



と、その時。

濡れた地面を踏む革靴の音が、背後から耳に届いた。

やっと来たか、と北上はほっとしたように振り返り……僅かにその表情を固くする。



「…………阿武隈」


「大井さんは……来ません。……あたしがお願いして、北上さんをここに呼び出してもらったんです」

125 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:16:28.36 ID:dKCyvHSA0


自販機の光が互いの半身とまばらに降り注ぐ小雨の粒だけを照らす中、夜の空き地で2人の艦娘が対峙する。


「……手の込んだ真似してくれるじゃん」


沈黙に耐えかねたように、視線を逸らしながら先に口を開いたのは、北上の方だった。


「奇襲としては、割と効果的だったよ。うん、偉い偉い。 で……何の用さ? 聞いたと思うけど、あたしはもう……」

「……大井さんから聞きました。北上さんの、記憶のこと。前世でのこと」

「っ……!」


自分の言葉を遮って放たれたその声に、へらへらと薄笑いを浮かべようとしていた北上の表情が一瞬こわばる。

そのこわばりが解けるに従って、代わりに浮かぶのは……力ない笑み。


「あ〜……。そっか、話したんだ、大井っち……。……うん。ま、しゃーないか。知らないままってのも、フェアじゃないだろし。……うん、しょうがないよね」


居心地悪げに左手でスカーフを弄びながら、北上は足元の地面に視線を落とす。


「……まあ、何ていうかさ……。 悪かったよ。……あたしの、くっだらない、個人的な感傷に巻き込んじゃってさ。 ……あんたにしてみりゃ、たまったもんじゃないよね。自分の知らないところで勝手に期待を積み上げられて。挙げ句の果てには勝手に失望されて、責められてさ。……はは、旗艦失格だなんて……どの口で言えたんだか、って話だよね」


阿武隈は応えず、ゆっくりと北上に向かって歩みを進める。


「……今回の件で、あたしもとことん、骨身にしみたよ。反省した。あたしの方こそ、教導失格だった。……うん。だから、もうおしまい。 あたしは、あんたの教導を降りる。二度とあんたに関わらない。……それで、万事解決」


近づいてくる阿武隈は、無言のまま。


「ほんっと、ごめん。悪かったよ……阿武隈」


阿武隈の顔から視線を逸らすように、目の前でぱん、と両手を打ち合わせて、北上は頭を下げる。


その北上の前に、阿武隈が立つ。

126 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:18:18.35 ID:dKCyvHSA0


「……大井さんからいろいろ聞いて……あたし、考えました」


北上の言葉を聞いていなかったかのように、固い口調で阿武隈が口を開く。


「……あたしはいったい、どうすればいいんだろうって。……何ができるんだろうって。……いっぱいいっぱい考えました」


北上は、目の前で合わせていた両手を下ろし……しかし、阿武隈と視線を合わせることは出来ずに、足元の水溜まりに目を向ける。



……ああ、そうだ。


……こいつはこういう奴だった。


……力が足りなくてもいつだって。


……他人のために、その足りない自分のありったけを尽くそうとする。




「考えて、考えて、考えて、考えて……何にも考えつかなかった」



――当然だ。


――いくら頭を絞ろうと、いくら気持ちを尽くそうと。


――他人がどうこうできるような問題ではない。


――だから、もう充分だ。その気持ちだけで充分だ。


――これは自分の問題。自分だけの問題。それを阿武隈が背負うことなんてない。出来るはずがない。許されるはずがない。

127 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:21:04.26 ID:dKCyvHSA0


「……だから決めたの。するべき事も、出来る事も無いんなら、やりたい事をやってやるって」


阿武隈の言葉に違和感を覚え、北上は顔を上げた。


「北上さん。……あそこにあるもの、北上さんに見える?」


目の前に立つ阿武隈は、左手で北上の右後方を真っ直ぐ指差している。

つられて北上もそちらの方向に目を凝らす。変わったものは何も見当たらない。自販機の光が明るく輝いているだけだ。


「……? 別に何も……」


振り返ろうとした北上の懐に。

バシャリと水溜まりを踏み散らして飛び込んでくる気配。


「……っ!」


それまで自販機の光に目を向けていたために、明から暗への急激な光量の変化に目が追いつかず、視界が効かない。

とっさに後ろに下がろうとするが、阿武隈の全力での踏み込みがそれを許さなかった。


「だあっ!」

「ごふっ!?」


黒くぼやけた視界の隅から、阿武隈の拳が北上の腹に突き刺さる。

小柄とは言え体重の乗った強烈な一撃。北上の肺から、かはっ、と空気が絞り出された。


「な……っ、あんた、なに……!」


身体を曲げて脇腹を押さえ、よろよろと後ずさる北上を、阿武隈が傲然と見下ろしている。


「……言ったでしょ、やりたいことをやってやる、って」


顔の前に垂れたツインテールの片割れをばさりと右手で跳ね上げ、左手の人差し指を北上に向かって正面から突きつける。


「とりあえず……ムカついたから北上さん! 今からあんたをぶっとばす! 言っとくけど! あたし、怒ってるんだから! 覚悟してかかって来なさい!」


128 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:24:27.71 ID:dKCyvHSA0


――――
――




「何、やってんのよっ!」


何度も、殴られる。


「かかって、来なさいよっ!」


倒れては、引き起こされ。


「やり返して、来なさいよっ!」


立ち上がっては、また殴られる。


制服は泥と雨水でまだらに染まり、お下げの片方はとうに解けてしまっている。草の切れ端や小石混じりの土が頬と言わず身体と言わずあちこちにへばり付いて酷いありさまだ。

しかし北上は、その痛みや衝撃を、どこか遠くを見るような冷めた感覚で受け止め続けていた。

……思えば北上は、この場に阿武隈が現れた時――心のどこかで、阿武隈にまたしても期待……いや、依存しかけていたのだろう。


ひょっとしたら阿武隈ならば、どうにかして自分を救ってくれるのではないかと。

そこまではいかずとも、阿武隈ならば、自分の気持ちを汲んでくれて、いつかはどうにか、自分を許してくれるのではないかと。

いつかはまた……元のように話せるようになるのではないかと。


――そんな都合のいいこと、起こるはずが無いのに。


――あまりの自分の度し難さに、吐き気よりも先に薄笑いがこみ上げてくる。


「……何へらへら笑ってんのよ」


阿武隈の怒りはおさまらない。まだおさまっていない。

ならば……立たなくては。


「……何でやられっぱなしなのよ。何で殴り返して来ないのよ……」


立ち上がるのはこれで何度目だったろうか。工廠の壁に手をついて立ち上がり、ふらつく足に力を込める。


「そりゃ、だって、さ……」


手の甲で口元を拭えば、ぬるりとした鼻血の感触。


「――これくらい、されても当然だって思うしさ」

「ばっ……!」


阿武隈の顔が青ざめた。小さな拳を握り締め、わなわなと震える。


「馬っ鹿に……すんなあっ!!」


阿武隈の拳が頬に突き刺さり、北上は後ろに吹き飛ばされた。

よろめきながら数歩ほどたたらを踏んで……結局踏みとどまれず、水溜まりにばしゃりと尻餅をつく。

殴られ続けた痛みよりも、スカートや下着に染み込む泥水の冷たい感触が不快だった。

前方では、拳を振り切った体勢のまま、ふーっ、ふーっと毛を逆立てた猫のような怒りの形相で、阿武隈が肩を大きく上下させている。

129 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:30:33.99 ID:dKCyvHSA0


「……気が済むまで殴りなよ」


自暴自棄な気分を自覚しながら、北上は阿武隈を見上げる。


「あんたにゃその権利がある。 ……後腐れないよう、気が晴れるまで、念入りにあたしをぶちのして……それで終わりにすればいい」

「……まだそんな寝ぼけたこと言ってるの?」


阿武隈の表情が険しく歪む。


「ムカついたんでしょ? 当然だよ。無理ないよ。 ……あたしなんかが、勝手に期待して、無理やりあんたに関わったりしなきゃ、こんな嫌な思いせずに済んだんだから……」

「ああっもうっ! 解ってないっ! そうじゃないっ! そんな事、言ってないっ! 全然、なんにも、解ってないっ!」


降り注ぐ雨の雫と北上の言葉を振り払い、阿武隈が地団駄を踏む。細い腕から、頬から、雫が飛び散る。


「なんで解んないのよ! どこまで馬鹿なのよ! 解ってよ!」

「いやだから、悪かったって……」

「謝るなあぁっ!」


駆け寄る勢いそのままに、両手でどんと突き飛ばされ、押し倒される。

阿武隈は北上に馬乗りになって制服の襟を両手で掴むと、北上をぐいと引き起こし、顔を近づけて無理やり視線を合わせた。


「そんな事謝って欲しいんじゃないっ! そんな事反省して欲しい訳じゃないんだよっ! 何で、何でそれが解んないのよっ!?」


大粒の涙の滲む瞳が激情に燃えている。

噛みつくような声が震えている。

北上は混乱した。


「なに、なんだってのよあんた、意味解んない……」

「解んないのが悪いっ! 解んない北上さんが悪いっ!」


無茶苦茶だ。元々血の気が多く、激昂しやすい質ではあるが、これではまるで駄々っ子だ。

理解の及ばぬ北上に苛立ちを抑え切れぬように阿武隈が言葉を浴びせかける。


「なんで謝るのよ! 何を謝ってんのよ!」

「何を……って、そりゃ、あんたに勝手な期待を押し付けて……」

「それのっ!!」


阿武隈の叫びが北上の言葉を叩き斬る。




「それのっ! どこが悪いって言うのよっ!」


「…………え」



――頭を、がつんと殴られたような気がした。


130 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:34:51.43 ID:dKCyvHSA0


――自分は阿武隈に、勝手な幻想を押し付けて。


「期待してくれたじゃないっ!」


――身勝手な期待のために、過剰に訓練や責任を押し付けて。


「鍛えてくれたじゃないっ!」


――存在もしない【軽巡・阿武隈】の理想の姿への憧れを、【艦娘・阿武隈】に勝手に重ねて。押しつけようとして。


「だから何よ! あなたがあたしじゃなくて! 【軽巡・阿武隈】しか見てなかったのにはムカついたけど! 許せないけど! ……でも、憧れて! 目指して! 追いかけたのはあたしも同じなのに! それも全部、間違いだって言うの!? ウソにするの!?」


がつん。がつんと。拳以上の衝撃で。

阿武隈の言葉が、北上の頭を揺らす。


「今までなに見てたのよっ! あたしを見てよっ! 今あなたの前にいる、あたしを見てよっ! あなたが鍛えて、あなたが育てた、今のあたしを見なさいよっ!」


言葉を叩きつけられるたびに、胸に染み込んでくるものがある。


「あなたに負けたくないから頑張ったのに! あなたに勝ちたいから強くなったのに! それをあなたが! 諦めろって、間違いだったって、終わりにしたいって、そう言うの!?」


身体を揺さぶられるたびに、心の中で剥がれ落ちていくものがある。


「あなたの後悔? 罪悪感? 自分の代わりに? そんなの関係ないわよ! 知ったこっちゃ無いわよ! だって! それはもう! とっくの昔に! あなたのじゃなくて、あたしの夢になってるんだから!」


――ああ。そうか。

――焦がれる程に憧れて。狂おしい程に追い求めて。

――それを押しつけようとしたことは、確かに自分の我が儘だったとしても。


――あの日のあの憧れが、輝きが。阿武隈(アイツ)に求めたあの姿が。阿武隈(コイツ)が求めようとするその姿が。


――間違いであるはずがない。間違いにしていい訳がない。


「なのに、ふざけないでよっ! 馬鹿にしないでよっ! あなたの理想の【阿武隈】なんか、絶対あたしが超えてやるのにっ! ……何で諦めようとするのよっ! 何で取り上げようとするのよっ!」


北上の胸元に額を押し付けるようにして叫び続ける阿武隈の声が、姿が、自分と重なる。かつての自分と重なり合って、錆びた心に火を点す。


131 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:37:21.76 ID:dKCyvHSA0


「好きなだけ期待すればいいじゃないっ! 夢見ればいいじゃないっ! その程度っ! あなたが憧れた【阿武隈】程度っ! 目じゃないくらい凄い艦娘に、すぐにあたしがなってあげるわよっ!」


勝手な憧れを押し付けて、傷つけたのだと思っていた。

理不尽な期待や重圧を負わせたことを、責めているのだと思っていた。

夢からは早く醒めるべきなのだと。諦めて、忘れて、無かったことにしてしまうのが一番なのだと思っていた。


――なのに、こいつは。


「……なのに! あなたが! 勝手にあたしを諦めないでよっ!」


――憧れを、期待を、夢を勝手に押しつけたことではなく。


「あたしがあたしに――『阿武隈』になるところを、ちゃんと見ててよっ!」


――それを勝手に捨て去ろうとしたことにこそ、激しい怒りを燃やしている。


「今はっ! まだ、全然だけどっ!」


阿武隈の小さな拳が胸を打つ。

そのたびに、じわじわと腹の中に熱が広がる。広がって、溢れ出して、駆け巡る。


「すぐに、追いついて、超えてみせるわよっ!」


視界がクリアになり、頭が急激に冴えてくる。さっきまでまともに見れなかった阿武隈の姿が、今ならはっきりと目に映る。


「あなたが【阿武隈】に憧れたみたいに! あたしは……北上さん! あなたに憧れたんだからっ!」




――ああ、そうか。


――だったら、あたしは。


132 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:40:28.39 ID:dKCyvHSA0


「……わかった……よ! 阿武隈あぁっ!!」

「きゃうんっ!」


のしかかる阿武隈の襟を掴み返して、顔面に頭突き。

子犬のような悲鳴を小さくあげて、阿武隈がのけぞる。

相手の手が緩んだところで互いの身体の間に曲げた足を差し込んで、思い切り蹴りはがし、立ち上がった。


「あいっ……たぁーっ……」


尻餅をついた阿武隈は顔を押さえて涙目になっているが、知ったことじゃない。


「よーくもまぁ……好き放題やってくれちゃったよねえ」


頭はくらくらするし、髪はぐしゃぐしゃ。制服はずぶ濡れの泥まみれ。身体中あちこちがずきずき痛むし、口の中には鉄臭い血の味。


だけどこいつが。阿武隈が。自分の『阿武隈』を見せつけると言うのなら。

あたしの【憧れ】なんか、すぐに超えて見せると言うのなら。

あたしなんかを【憧れ】なのだと、まだ思ってくれているのなら。



――あたしだってこれ以上、こいつにぶざまな『北上』を見せられない。



「かかって来い? やり返して来い? ……上等じゃんか」


制服の袖で顔にこびりついた血と泥を拭い、両の足で濡れた地面を踏みしめる。


「……ここまではハンデでくれてやったけどさぁ。……こっから先は、そうはいかないから」

「なによ。……急にそれらしくなってきたじゃない」


……ああ、身体が熱い。血が、熱が、こみ上げる激情が。全身を駆け回り、身体中の血液を沸騰させる。


133 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:43:53.70 ID:dKCyvHSA0


――ずっと。ずっと。


――誰かに救われたいと、そう思っていた。


――絶対に自分は救われないと、そうも思っていた。


――でも、そうじゃなかった。救われる必要なんて、初めからなかった。


――確かに後悔もあった。罪悪感もあった。抱えこんだ記憶と想いをこじらせて、やらかした部分も確かにあった。


――だが、それがどうした。


――それがあったからこそ今の自分がいる。それがあったからこそ今目の前のこいつがいてくれる。


――だから、さあ。背筋を伸ばせ。胸を張れ。不敵に笑って、拳を握れ。


――それができる相手がいることが。それができる自分がいることが。


――それが今、たまらなく、嬉しい。



「……そんじゃあ、今から第二ラウンド、いってみよ―かぁっ! 当然付き合えるよねぇっ、阿武隈ぁっ!!」

「望むところよっ!!」

「いいねえっ、しびれるねえっ!!」



――だから告げよう。伝えよう。全身で、拳で。


――照れ臭いから、絶対口には出さないけれど。


――ごめんねじゃなくて、この言葉を。






『…………ありがとね、阿武隈』


134 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 15:55:41.95 ID:dKCyvHSA0
※しまった、誤字発見
>>129
「念入りにぶちのして」→「念入りにぶちのめして」
135 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 16:09:07.63 ID:dKCyvHSA0


――――
――



そこからはもう、酷いものだった。

さんざんに殴り合い、蹴り合い、掴み合って、転げ回って。

最後の方は、お互い髪は引っ張り合うわ爪は立て合うわ泥は投げつけ合うわ訳の分からないことを喚きながら罵り合うわで……何というかもう……グダグダだった。


今は、二人とも息も絶え絶えといった体で、大の字になって並んで転がっている。

雨はとうに止み、雲の切れ間からは夏の星空が久しぶりに顔を覗かせていた。

熱を持った身体に、吹き抜ける風と冷たい濡れた地面が、むしろ心地いい。


「くっそぉ引き分けかぁっ……。……結局、勝てなかったぁっ……」

「まあっ……あたしが、ちょっと本気出せばっ……こんなもんよっ……」


悔しそうな阿武隈に、荒い息をつきながらも北上がどうにか強がりを返す。


「っていうかあんた……見た目の割に、喧嘩慣れし過ぎでしょ……」

「あのお姉ちゃんたち相手に、反抗してきた……末っ子の底力、舐めないでよね……」

「あ―、なる程……」


そーいやあたし、大井っちとはもちろん、球磨姉や多摩姉、木曾っちとも、まともに喧嘩したことなかったっけ……と、これまでの自分を振り返り、こっそり反省する北上である。


「けど、まあ、あれだ……その」


あちこち痛む身体を起こして地面に座り直し、改めて北上は阿武隈と向かい合う。


「……とりあえず、あたしはあんたを、もう舐めない。だから、まあ、その……また、追いかけて来なよ」


不意を突かれたようにきょとんとした阿武隈が、一拍おいて、にやりと笑った。


「それじゃ……左手での握手だね」


左手を出し合い、軽く握り合って、すぐ離す。


仲直りではない。これは――ライバル宣言だ。


「……しっかし、こりゃ、明日は酷いことになりそうだよねぇ……」

「覚悟はしてる……」


照れ隠しのように話題を変える。

普通の人間に比べれば回復力も遥かに高い艦娘とはいえ、これだけやらかせば、おそらく、まる1日やそこらは痛みに呻くことになるだろう。


「大っぴらにする訳にもいかないだろうし……こーなりゃ、秘書艦権限でこっそり資材置き場からバケツちょろまかして……」


何やら悪だくみをはじめた北上の背後から。

非常に聞き覚えのある声がかけられた。


「ほう……興味深い話だな?」

136 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 16:11:03.55 ID:dKCyvHSA0


「げっ! 提督っ!? ……って、あだだだだ」


大井や五十鈴ほか数名の艦娘をぞろぞろと連れ立って現れた提督の姿に、慌てて立ち上がろうとした北上が、全身の痛みに呻きながら悶絶する。

その姿を見て吹き出しそうになった阿武隈が、同じく顔面をおさえて悶えてたりするのだが、そんな事を気にしている場合ではない。


『艦娘同士ノ私ノ闘争ヲ禁ズ』


――あくまでも建前上のこととは言え、これは軍規にも明記されているルールだ。場合によっては営倉入りや外出止めの処分も有り得る。この状況は、あまりにもまずい。

だが、必死で言い訳を考えようとしていた北上をよそに、阿武隈は、


「あ、提督、お疲れさまですぅー」


と、座り込んだまま、緊張感のない様子でへろへろと手を振った。

さらには、それに対する提督の方までもが、


「おう、派手にやったみたいだな。……あ、北上。立たなくていいぞ。座っとけ座っとけ」


とあっけらかんとした態度で声をかける。

理解が及ばないでいる北上に、傍らから進み出た大井が、


「北上さん、夜間演習、遅くまでお疲れさまでした」


と澄まし顔で濡れタオルを手渡してきた。


「え……なに、どゆこと」

「なにって……阿武隈から申請のあった、白兵戦技の演習だったんだろ? いや〜、与えられた休暇を潰してまで自主的に訓練に励むとは、感心感心」

「ええ、さすがは北上さんです」


白々しい会話と、その向こうで妙に自慢げなドヤ顔をかましている阿武隈に、そういうことか、と察して北上も苦笑する。

どうやら、自分の知らないところで、いろいろと根回し済みだったらしい。


「意外と周到……っていうか、腹黒……っていうか……。うん、前言撤回するわ。……あんた、やっぱ、旗艦向きかもね」


「でしょでしょ! 北上さんを遠慮なくぶん殴るためだもん! あたし、頑張った!」

「こ、こいつっ……!」


ひょっとしてこいつ、本当にただ口実つけてあたしをぶん殴りたかっただけなんじゃあ……と北上が複雑な表情を見せる。


「……それで北上さん。北上さんが出してた教導艦の交代申請の件ですが……」

「あ〜、そっちも撤回。ポイしちゃって、ポイ」


北上は大井にひらひらと手を振って溜め息をつくと、空を見上げ……そして、そのまま動きを止めた。



「うわ……」

137 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 16:12:48.65 ID:dKCyvHSA0


「何これ、すご―い!」

「流星雨? そういえばニュースで……」

「綺麗……」


周りの艦娘たちも次々に空を見上げ、指差しては歓声をあげている。


雲が晴れ、広く開けた夏の夜空。


その夜空に、無数の流星が尾を引いて流れていた。


まるで星々を夜空に留めていた糸が次々と切られ、ぱらぱらと天からこぼれ落ちてくるような一大スペクタクル。


それは夢の景色のように、ただひたすらに、美しい眺めだった。




声もなく見とれる北上の隣に、阿武隈が近寄って来た。

目の前で両手を合わせ、空を見上げると、すうっと大きく息を吸い込む。


「絶対、絶対! 北上さんが予想もできないような! 凄い艦娘になれますようにっ!」


いつ聞いても甘ったるくて、甲高い……しかし、どこまでも遠くに響いていくような、大きくて、力強くて、迷いのない声だった。


ちらりと横目で北上を見て、ど―よ? と言わんばかりに、花が開くような満面の笑みを見せる。


それに応えて北上も、苦笑し、頭を振りながら、やれやれとばかりに立ち上がった。


阿武隈と同じく、両手を合わせ、空を見上げ。


やはり大きく、力強く、迷いのない声をあげる。



「改二になっても! 阿武隈の胸が! あたしより小さいままでありますよ―にっ!!」


「んなあああああっ!?」


満面の笑顔を凍りつかせ。阿武隈の絶叫が響き渡った。


138 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 16:17:57.28 ID:dKCyvHSA0


「嘘でしょおぉっ!? なんて事お願いすんのよっ! 信じらんない、この人! 馬鹿! 意地悪! 根性悪! この大北上っ!」

「へっへ―ん、もうお願いしちゃったもんね―。取り消しは効かないよ―、だ」

「北上さんなんか、大っ嫌い! 1ヶ月くらいずっと口内炎になればいいのに! みんなから『最近なんか太った?』って訊かれるようになればいいのに!」

「あ、ちょ、こらぁっ! 地味にダメージでかい呪い、今かけてくんじゃないよ!」

「先にやったのはそっちでしょぉ!?」


ぎゃいぎゃいと騒ぎ立てる二人を眺めて、提督と大井、五十鈴が溜め息をつく。


「なんと言うか……うん、平和だな」

「現実逃避してんじゃないわよ」


五十鈴のツッコミに、提督がははは、と乾いた笑みを浮かべる。

五十鈴が再び溜め息をついて、大井に目を向けた。


「……にしても、正直、あんたが阿武隈の味方してくれるとは思わなかったわ」

「……あら、何の話? 私はいつだって、北上さんの味方よ?」


大井の言葉に首を傾げる五十鈴。それに向かって大井が笑みを返す。


「……私は北上さんの味方よ。何があってもそれは変わらないわ。北上さんを傷つける者は、誰であろうと私の敵。……たとえそれが、北上さん自身であったとしてもね」

「……あんたのそういうところ、いっそ尊敬するわ」

「あら、ありがと」


肩をすくめる五十鈴に澄まし顔で微笑む大井。その視線の先では、未だに怒鳴り合っている北上と阿武隈。


「もお怒った! 絶対許さないっ! 第3ラウンドよっ!」

「ああ、やったろうじゃん! ギッタギッタにしてあげるよっ!」

「……明日からも、賑やかな毎日が続くことになりそうね」


微笑みながらそう呟いて。

大井と五十鈴は提督とともに、騒がしい二人の艦娘の争いを止めるため、歩き出すのだった。



139 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 16:20:24.79 ID:dKCyvHSA0


――――
――





――そして、月日は流れ。季節が巡る。




「いや〜……お星さまへのお願いが、まさか、こんなに効果あるとはねえ……」


北上が、感心したようにしみじみと呟いた。


「うっさい馬鹿ぁっ! これ、絶対北上さんの呪いのせいだからねっ! 絶対に許さないからっ!」


その前で顔を赤くしながら涙目できゃんきゃんと吠えているのは、見事改二への改装を果たし、その姿をお披露目したばかりの阿武隈である。

短い袖のジャケットとブリーツスカート、黒スパッツから伸びた手足はすらりと長く、以前と比べてほんの少しだけ、大人びた姿になっている。

鈴を転がすような甘く高い声と、体型の一部……胸部装甲だけは、まるで変わった様子を見せていなかったが。


「……あんたたち、ま―たやってんの?」

「毎日飽きないよね―。装備も北上さんの真似っこで甲標的使えるようになったみたいだし、ほ―んと、仲良いよね―」

「真似じゃないっ! 仲良くもないっ!」


呆れたように声をかける五十鈴と鬼怒に、阿武隈がむき―っと眉を逆立てる。


「そんな事より、時間は大丈夫なの? 武蔵さんたちが出稽古……じゃなくて、演習に来るのって、今日なんでしょ?」

「えっ? そんな話聞いてないよ?」


五十鈴に対してきょとんとする阿武隈。



「え―。でもさあ、さっき演習場行った時、武蔵さん、か―な―り、こめかみピクピクさせてたよ―? 『ここまで私を待たせるとは、小次郎を待たせた武蔵の戦法にちなんだあてつけか……?』とかなんとか言って」

「……あっ、そ―いや今日だったっけ。ごめん、すっかり忘れてたわ」


鬼怒の言葉と、めんごめんご、と両手を合わせる北上に、阿武隈の顔がさあっと青ざめる。


「きゃあああっ! 嘘でしょおぉっ!?」


泡を食って飛び上がる阿武隈と対照的に、北上はのんびりしたものだ。


「ま―ま―、ここまで遅れちゃったら、少しくらい変わんないって」

「そういう問題じゃないっ! 北上さん急いで支度して! ほら早く制服の裾直して! ……んうぅ、も―っ! あたしの指示に、従ってくださぁ―いっ!」


ばたばた騒ぐ二人を前に、鬼怒と五十鈴が顔を見合わせる。


「……やっぱり、仲良しだよね?」

「……よねえ」

140 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 16:22:21.37 ID:dKCyvHSA0


「違うもんっ! 全然仲良しなんかじゃないもん!」


ぐいぐいと北上を部屋から押し出そうとしていた阿武隈が振り返り、噛みつくようにいきり立つ。


「あたしはっ! あたしはねえっ! 何があろうと、絶対にっ!」

「なにやってんの阿武隈―。先行くよ―」

「ああっ! ズルいっ! 待ってよ北上さんっ!」




にやにや笑う五十鈴と鬼怒を後にして。



さっさと走り出した北上の後を追いながら。



今日もまた阿武隈の叫び声が、抜けるような青空の下、鎮守府に響き渡る。




「……北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」








〜阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」〜


〜FIN.〜

141 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/12/20(木) 16:31:32.30 ID:dKCyvHSA0
※以上、完結です
お目汚し失礼しました
機会があればまたよろしくお願いします
HTML依頼までは日を空けますので、感想、質問、雑談、ご自由にどうぞ

※過去作

【艦これ】ハイパーズ と こたつ。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422850179/

【艦これ】天龍「龍田のオサレポエムのノートを見つけちまった」【短編】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434803418/

【艦これ】北上さまの悪戯〜ターゲットは阿武隈〜【短編】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492521586/

【安価・コンマ】提督「……腹減ったな。なんか作るか」秘書艦「提督の手料理……?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516100745/

北上さまとの温泉旅行
(R18作品のためURLは割愛)


◆オリジナル系◆

転生者「鋼の肉体」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524122067/

【イヴ】と【蛇】と【サリエリ】〜世界で一番美しい生き物〜
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529421907/


【オリジナル】カッコつけた言葉はいつだって、堂々めぐりを繰り返す【短編】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1543330519/

142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 17:34:10.25 ID:/ImG5jcu0

クライマックスの熱さがくっそやばかった
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 23:18:42.49 ID:EPyGss4K0
乙でした!
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/21(金) 00:45:31.50 ID:lHenRMuP0
ただただドキドキして面白かった! 乙です!
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/21(金) 00:51:59.58 ID:lHenRMuP0
いいタイトル回収
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/21(金) 07:15:49.17 ID:h/e0wwxDO
おつ
今回読むの初めてだったけど書いてくれてありがとうと言いたい
おかげで良い物語が読めた
赤字は最初阿武隈のかと思ったけど過去北上だったのかな
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/21(金) 09:28:34.46 ID:e5KGTC4A0
※コメント返しぃ―

>54
その部分は自分でもお気に入りですw
割り箸ネタは以前兄にやったら笑顔でパンチされました

>>83
完結前に「>>1、ご期待に応えます!」と即座に阿武隈台詞ネタで返す度胸は流石に無かった……

>>90
シリアスとほのぼのの落差はこの話で頑張ってみたところのひとつ
最終的な展開でカタルシスがちゃんとあったなら幸い

>>91
ある意味こうしたコメントが特に嬉しかった
待たせてすまなかった……そして覚えててくれた事に感謝

>>92
コメント感謝
「意外な展開」「意外な真相」は意識して組み込んでたので、うまくミスリードにかかってくれたようで嬉しい

>>118
コメント感謝
あれは純粋に作戦
チラ裏設定ですが、あの侮辱というか挑発をせず、最初に大和型を分断できていなかった場合、ハイパーズが「無傷で」完全勝利できる可能性はそれなりに下がります
流石にケッコン艦と1レベルでは練度差有りすぎるので、お互い無傷で殴り合ったとしても、負けはしなかったでしょうが
>>119>>143
乙感謝
乙ひとつ増えるだけでモチベが変わる
SS作者とは悲しい生き物やでえ……

>>120
百合成分はほのかに薫る程度が好み(「やがて君になる」超面白いけど)

>>142
「考えても答が出ないから、とりあえず北上さんぶん殴ってスッキリしてから出たとこ勝負でまっすぐぶつかろう!」
阿武隈ちゃんは実は脳筋というか長良型は全員が脳筋
なおまっすぐぶつかった結果はクリティカルで刺さった模様

>>144>>145
楽しんでいただけたなら幸い
「王道」っていうか「ベタ」って大好き
「ラストでタイトル回収」もやりたかったことのうちのそのひとつ

>>146
ありがとうございます
はい、その通り、赤字は「阿武隈の未来かと思わせといて実は北上の過去」のミスリード
途中の>>107>108赤字外して黒字に戻すの失敗しちゃったのが悔やまれる……
148 : ◆axPwtNeSoU [sage]:2018/12/21(金) 09:32:43.97 ID:e5KGTC4A0

>>147酉付け忘れ&ageてしまった
すまぬ…… すまぬ……
コメントは随時受け付け中
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/12/21(金) 12:56:02.34 ID:h/e0wwxDO
参考までに聞きたいけど書き込みを赤くするのってどうやるんでしょうか

少なくとも自分は色着けて書いてる人は初めて見たけどこういうのとかホラー展開には効果的ですね

作品とは関係無い質問なので面倒ならスルーしても結構です
150 : ◆axPwtNeSoU [!red_res sage]:2018/12/21(金) 13:48:54.57 ID:e5KGTC4A0
>>149
メール欄に【!red_res】と打ち込めばOK
【saga】【sage】などと併用も可です
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/12/21(金) 14:16:39.72 ID:KLB+9+ll0
完結おめ乙です
ベタっていいねえしびれるねえ
クライマックスのやり取り読んでなんかFateのアーチャー思い出したわ
152 : ◆axPwtNeSoU [sage]:2018/12/21(金) 17:29:07.52 ID:e5KGTC4A0

>>151
コメント感謝です
お察しの通り、Fateからも刺激は受けています
ただ北上さまのイメージというかポジションは、アーチャーというよりむしろ切嗣……おっと誰か来たようだ
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/21(金) 22:21:33.57 ID:vj9WGJ9NO
悪口にセンスある阿武隈覚えてる
完結してよかった
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga !red_res]:2018/12/21(金) 23:16:47.58 ID:h/e0wwxDO
>>150
ありがとうございます

こうかな
155 : ◆axPwtNeSoU [sage]:2018/12/22(土) 00:20:54.60 ID:AnjU0lbA0
>>153
おお、ありがとうございます
案外当時の人残ってるのね
雑談スレ盛り上がってた頃が懐かしい

>>154
そうそう
けど全編これだと目に優しくないので注意
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