眼鏡娘「私は重力が嫌い」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:47:24.10 ID:z4mjw2N10
SS4作目です。

いつものようにとある歌を参考にしています。

物語的にキリのいいところまで書き溜めがあるので、投下していきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1566301643
2 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:51:51.97 ID:z4mjw2N10
ーーー学校 教室ーーー



──ポトッ



眼鏡娘「あ……」

眼鏡娘(消しゴム落ちた)

眼鏡娘「……」ヒロイアゲ

眼鏡娘「……はぁ」

眼鏡娘(やっぱりダメだー…待ってる間に宿題終わらせちゃおうかと思ったけど全然集中できないよ)

眼鏡娘(元気娘ちゃんまだかな)

眼鏡娘「」グデー

ピロリン

眼鏡娘「!」

眼鏡娘(LINEだ)

スッスッ



☆元気娘☆『ごめん!先帰ってて!まだ委員の仕事長引きそう_(:3 」∠ )_』



眼鏡娘「……」ポカン

眼鏡娘(……私の一時間を返せー……)

眼鏡娘「……帰ろ」ボソッ

イソイソ

眼鏡娘(もう他の皆はとっくにいないし、残ってるのなんて私と……)

眼鏡娘「……」チラッ



男「」スースー...



眼鏡娘(男くん……)

男「……んぁ…」パチッ

男「やば、寝てた…ってこんな時間か」

男「ん?」チラッ

眼鏡娘「」ドキッ

男「あれ、眼鏡娘さんももしかして寝過ごしちゃったの?」

眼鏡娘「あ、その私は……友達を……」タジタジ

眼鏡娘「……さ、さようならっ!」タッタッタッ...

男「えっ」

男「行っちゃった……」




3 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:54:13.40 ID:z4mjw2N10
ーーー昇降口ーーー

眼鏡娘「うぅ…逃げてきちゃった」トボトボ

眼鏡娘(男くん…ほんとはちゃんと話したいのに…)

眼鏡娘「さっきので喉乾いてきちゃったし…」クツハキカエ

眼鏡娘「外の自販機で何か買お」

テクテク

眼鏡娘「……」ガサゴソ

チャリンチャリン ガコン!

眼鏡娘「フタ固っ……」グググ...

カシュッ



──ツルン



眼鏡娘「あっ!」

ボトッ

トポトポトポ...

眼鏡娘「」サッ!

眼鏡娘「よりによって土の上に落ちるなんて……飲み口は汚れてないから平気かな…?」

眼鏡娘「……はぁ……」

眼鏡娘(さっきの消しゴムといい、これといい、本当)

眼鏡娘(──重力って嫌い)

眼鏡娘(昔からそう。私を強く縛り付けるこの重力が好きじゃなかった)

眼鏡娘(重力があるから物が落ちる、つまづいて転ぶ、ジャンプしても天井に届かないし……気分だって沈む)

眼鏡娘(でも人に打ち明けてもまともに取り合ってくれたことがないから、これは私だけの悩みみたい)

眼鏡娘「……いいや、もう一本買っちゃおう」




4 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:55:23.01 ID:z4mjw2N10
ーーー翌日 学校ーーー

元気娘「眼鏡娘ちゃん、昨日はごめん!」

眼鏡娘「いいよいいよ、学級委員のお仕事大変だったんでしょ?」

元気娘「それはそうなんだけど……結構待たせちゃったよね…?」

眼鏡娘「まあ……一時間くらいは」

元気娘「うぬぬ…」

元気娘「あ、そうだ!」

元気娘「じゃあさ、お詫びとしてこの辺りに最近出来たっていう話題のカフェがあるんだけど、そこのパフェ奢ったげる!すごい人気なんだって!」

眼鏡娘「パフェ?」

元気娘「うんうん。…あれ?スイーツ苦手だっけ?」

眼鏡娘「苦手じゃないけど…」

元気娘「じゃあ決まり!今日の放課後急いで向かうよー!平日でも混んでることが多いらしいから」

眼鏡娘「え、混雑してるなら別に無理してそこに行かなくてもいいよ?というかお詫びとかも…私は気にしてないから」

元気娘「だめだめ!もう決定したんだから!眼鏡娘ちゃんは素直に奢られてればいいの!分かった?」

眼鏡娘「う、うん」

元気娘「よろしい♪」

元気娘「楽しみだなぁ、あそこのパフェ…」

眼鏡娘「……もしかして元気娘ちゃんが食べたいだけなんじゃ……」

元気娘「……」

元気娘「えへっ♪」


5 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 20:56:52.00 ID:z4mjw2N10



ガララ



先生「朝の会始めるぞー」

元気娘「先生おはようございまーす!」

先生「おうおはよう。元気があって何よりだが、早く席に付けなー」

元気娘「はーい!」テテテッ

元気娘「あ、男くんもおはよう!」

男「おはようさん」

眼鏡娘(相変わらずだなぁ元気娘ちゃん……)

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「……」チラリ

男「……?」チラッ

眼鏡娘「っ!」フイッ

眼鏡娘(目、合っちゃった。見てることバレちゃったよね…?)ドキドキ

眼鏡娘(昨日もいきなり逃げちゃったし……変な子だって思われてないかな……)

眼鏡娘「ぅー……」

元気娘「?」




6 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:00:12.21 ID:z4mjw2N10
ーーー放課後 カフェーーー

元気娘「いただきます!」

眼鏡娘「いただきます」

元気娘「」パクパク

元気娘「おいしー!」

眼鏡娘「…ん、本当」

元気娘「だよねだよね!」ハムハム

眼鏡娘「正直予想してたよりずっと好きな味かも」アム

元気娘「…!」

元気娘「…えへへ、来てよかったでしょ」ピース

眼鏡娘「……うん」ニコッ

元気娘「じゃ、どっちが早く食べられるか競争でもする?」パクパク

眼鏡娘「もっと味わって食べなって。それにそんなにハイペースで食べてたら──」

元気娘「ん〜!」キーン

眼鏡娘「言わんこっちゃない…」

眼鏡娘(……ふふ)

眼鏡娘(元気娘ちゃん。私の一番仲のいい友達)

眼鏡娘(こんな地味な私に初めて声を掛けてくれたのもこの子で……あの時はちょっとびっくりしたな)


7 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:03:02.95 ID:z4mjw2N10



ーー入学式当日ーー

先生「──よし、皆自己紹介済んだよな?じゃ、最後は俺だな」

先生「俺の名前はこう書くんだが…」コクバンカキカキ

「へー。なんかちょっと面白い苗字ですね」

先生「言ってくれるな。子供の頃散々いじられたんだから」

「何て言われてたんですかー!」

先生「知りたいか?教えてもいいが、俺に向かって言ったら数学特別課題が追加されるからそのつもりでな。…昔の俺のあだ名は──」

ワハハ! エーウソー!

眼鏡娘(……何が面白いんだろう)

眼鏡娘(あーあ…せっかく高校生になったのに、なんか馴染めそうにないかも…このクラス)

眼鏡娘(……ちっちゃい頃は誰とでも仲良くなれてたのになー…)

先生「はいはい!んじゃ、今日はこれで終わりだから礼して帰宅な!今日は俺が号令かけるけど、明日からは日直がやるやつだから覚えておけよ」

先生「起立!…気を付け、礼!」

「「「さようなら!」」」

ガヤガヤ

眼鏡娘「……」

眼鏡娘(…私も帰ろう。駅までの道、覚えてるかな)



──テクテクテク



元気娘「……」ニコニコ

眼鏡娘「…?」

眼鏡娘(え、なに…?)

眼鏡娘(この子、確か元気娘さんだっけ。…こっちずっと見てるけど…)

眼鏡娘「……あの、なにか…?」

元気娘「眼鏡娘ちゃんって言うんだね」ニコニコ

眼鏡娘「は、はい…」

元気娘「ね!この後一緒に遊びに行こ!」

眼鏡娘「えっ」

元気娘「ついでにこの辺りのことも教えて欲しいなー!私この間ここに越してきたばっかりなんだ!」ガシッ

眼鏡娘「!?」

元気娘「ほらほら行くよー!今日という日はまだこれからじゃー!」ピューン

眼鏡娘「えーー!?」ツレサラレー

先生「おーい!廊下を走るなー!」

ーーーーー


8 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:04:20.43 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘(……最初から強引なところしかなかったっけ)

眼鏡娘「…クスッ」

元気娘「んー?」ハムハム

元気娘「あ!」

眼鏡娘「どうしたの?」

元気娘「眼鏡娘ちゃん、ほっぺにクリーム付いてるよ」フフッ

眼鏡娘「どこ?ここ?」フキフキ

元気娘「違う違う。こっち」グイッ(身を乗り出す)



チョイッ



元気娘「はい、取れた!」

眼鏡娘「ありがと……わざわざ指で掬わなくても、言ってくれれば自分で拭いたのに」

元気娘「気にしない気にしない♪」

元気娘「……」ジッ

元気娘「」ペロ

眼鏡娘「!?」

眼鏡娘「ななっ…!なんで舐めたの!?」

元気娘「いやー美味しそうだったからつい」

眼鏡娘「拭きとってよ!私の顔に付いたクリームなんて…!」

元気娘「……眼鏡娘ちゃんの味がした」ニヤ

眼鏡娘「〜〜!」

眼鏡娘「顔貸して!私も仕返しする!!」バタバタ

元気娘「わわっ!危ないよ!ちょっとした冗談だって!そんなにスプーン振り回さないで…!」

ワーワー!



.........




9 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:06:21.55 ID:z4mjw2N10
ーーー翌日 放課後ーーー

眼鏡娘「……」テクテク

眼鏡娘(何してんだろ私…昨日あんなに取り乱して……店員さんにも注意されちゃったし)

眼鏡娘(元凶の元気娘ちゃんは私が図書委員の仕事があると聞くやささっと帰っちゃうし)

眼鏡娘(……絶対お返ししてやるんだから)

眼鏡娘「……」テク...



札『職員室』



眼鏡娘「」コンコン

眼鏡娘「失礼します」ガラッ

図書教諭「あ、来た来た」

眼鏡娘「今日することって何ですか?職員室に集まるって珍しいですよね」

図書教諭「うん、今日はねぇ、ここに積まれた本たちを図書室まで運んでいって欲しいのよ」

ズラッ...

眼鏡娘「こ、こんなに…?」

図書教諭「そうなの!いつもなら三年生の男の子にやってもらってたんだけど、一人は部活の大会、もう一人は風邪でお休み……あと今いる図書委員ってあなただけだったのよ」

図書教諭「ごめんね…女の子一人に任せるような仕事じゃないのは分かってるんだけどね。私も手が離せなくて……ゆっくりでいいからお願いできるかしら…?」

眼鏡娘「お仕事ならやりますけど…」

図書教諭「ありがとう!後で好きな飲み物買ってあげる」

眼鏡娘「どうもです」

図書教諭「よろしくね。私は資料室にいるけど、時々様子見に来るから」スタスタ...

眼鏡娘「はい」

眼鏡娘「………」



(数十冊と積まれた本)



眼鏡娘(……ここから図書室って結構遠いよね…階も違うし)

眼鏡娘「……はぁ」

眼鏡娘(何往復で終わるかな……)




10 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:09:04.93 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー

眼鏡娘「……」テク..テク..

眼鏡娘(お、重い……)

眼鏡娘(運んでも運んでも減らないからってちょっと持ち過ぎた…)

眼鏡娘「……腕痛い……」テク..テク..

眼鏡娘「ん゙ー……」テク..テク..

ヨロ..

眼鏡娘「っ!」

バラバラッ

眼鏡娘「あー…」

眼鏡娘(重力さえなかったらこんなもの全部浮かせて持っていけるのに…!)

眼鏡娘(…どうしよう、分けて持ってこっかな)シャガミコミ



──スッ



眼鏡娘「?」

男「大丈夫?こんなに持ってたら前見えないでしょ」ヒョイッ、ヒョイッ

眼鏡娘「男くんっ!?」

男「はいはい男ですよー」ヒョイッ、ヒョイッ

眼鏡娘「なんで…」

男「なんでって、フラフラな足取りで歩いてる危なっかしい人が見えたから」

男「……ふぅ、こんなもんかな」

眼鏡娘「拾ってくれてありがと。この上に乗っけてくれれば…」

男「ん?持ってくよ?どこに行けばいいん?」

眼鏡娘「えっ!?悪いよ!図書委員でもないのに」

男「なーに言ってんの。また酔っ払いさんみたいにうろつくつもり?それに一緒に運んだ方が早く終わるよ」

眼鏡娘「あ……じゃ、じゃあ…お願いします……」

男「オーケー」ニッ



.........




11 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:12:16.15 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「……」テクテク

男「……」テクテク

眼鏡娘(男くんが隣に……)ドキドキ

眼鏡娘「……ありがとね、男くん」

男「気にしないで。俺暇だったし、眼鏡娘さんとも話したいなーって思ってたし」

眼鏡娘「!?……そうなの?」

男「イエス」

男「一昨日結構遅くまで残ってたよね?すぐ帰っちゃったけど……何かやってたの?」

眼鏡娘「あの時逃げちゃってごめん……友達を待ってただけなの」

男「友達って元気娘さん?」

眼鏡娘「うん」

男「仲良いよねぇ。幼馴染とか?」

眼鏡娘「ううん、高校から知り合ったの。って言っても私はいつも連れ回されてるだけなんだけどね」

男「あはは、見てる分には飽きないよ。昨日も学校終わってすぐ飛び出していってたっけ」

眼鏡娘「新しくできたカフェに連れてかれてました」

男「カフェ…?あぁ!あのパフェが人気の!いいね、俺も食べてみようかなって思ってたんだよね」

眼鏡娘「男くんスイーツとか食べるんだ?」

男「もち。結構甘党だからさ、そういうのに目がないんだー」

眼鏡娘「へぇ…意外かも」フフッ

男「よく言われる」クスッ


12 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:12:53.02 ID:z4mjw2N10

男「じゃ、そのカフェの先駆者たる眼鏡娘さんに今度案内でもしてもらおうかな」

眼鏡娘「案内……?」

眼鏡娘(…!それって)

眼鏡娘「い、一緒に行く…ってことでしょうか…?」

男「そそ。どうかな?」

眼鏡娘「え、あ……」

眼鏡娘(男くんと一緒にカフェに……もしかしなくてもそれは)

眼鏡娘(……デートなのでは)

眼鏡娘「……」プシュー

男「あれ?眼鏡娘さん?」

眼鏡娘「……その、私なんかで良ければ……」

男「ほんと!サンキュー。ああいう店、男一人で入るのも気後れしちゃってさ」

男「日にちいつにしよっか?」

眼鏡娘「えと、お任せ致します」

男「今週の土曜日とか空いてる?」

眼鏡娘「空いております」

男「なんでさっきから敬語?」

眼鏡娘「ハッ!」

眼鏡娘「いや、何でもないよ…?」

眼鏡娘(男くんとデート……デー、ト……)

眼鏡娘(……♪)



.........




13 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:13:44.24 ID:z4mjw2N10
ーーー職員室ーーー

図書教諭「おー!綺麗になってる!」

図書教諭「ありがとー二人とも!」

男「俺は偶々見かけただけですから」

図書教諭「大助かりだよー。眼鏡娘さん一人だとやっぱりきつかっただろうからねぇ」

眼鏡娘「ははは……まさしくその通りでした」

図書教諭「それじゃ…はい!飲み物代」スッ



(手渡される200円)



男「へ…?」

眼鏡娘「あの、好きな飲み物って…」

図書教諭「これで好きな飲み物でも買いなさいな」ニシシ

眼鏡娘「えぇ…」

眼鏡娘(現金て…)

図書教諭「でも周りには飲み物買ってもらったことにしといてね。お金渡したなんて知られたらちょっと、ね」

眼鏡娘(買ってくる手間の方がマシなんじゃ)

図書教諭「お疲れさん。今日はこれだけだから帰っていいよー。次はちゃんと男手揃えておくからご安心を!」




14 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:14:42.52 ID:z4mjw2N10
ーーー昇降口ーーー

眼鏡娘「まさかお金を直に渡されるなんて」クツハキカエ

男「図書委員の先生だよね?結構ゆるい人なんだ」クツハキカエ

眼鏡娘「これが労働に支払われる対価……?」

男「対価って。まあ間違ってないけども」

テクテク

男「ここで何か買ってく?」

眼鏡娘(この自販機……)

眼鏡娘「…私はいいかな。こいつにはちょっと苦い思いをさせられたから」

男「苦い思い…?」

男(ブラックコーヒーでも出てきたとか?)

男「俺は、これ飲もうかな」ピッ

ガコン! カシュッ

男「」ゴクゴク

眼鏡娘「…今日はほんとにありがとう」

男「んー?」ゴク...

男「どういたしまして。どの道あの量を一人だと暗くなる前に先生が手伝いに入ってくれてたかもだけどね」

眼鏡娘「でも男くん私よりたくさん運んでくれたし…!」

眼鏡娘「……手伝ってくれたのが男くんで嬉しかったから……」ボソッ

男「?」ゴクゴク

眼鏡娘(……今日は男くんとちゃんと話せた。いっぱい話せた。……デートの約束もしちゃった)

眼鏡娘「……」ムフー

男「あ、もしかして俺を待ってくれてる?」

男「ごめんごめん。気にせず帰っていいよ。俺の家、あっちだから」ユビサシ

眼鏡娘(私の家と逆方向…)

眼鏡娘(……でも途中までなら一緒に帰れるかな)

眼鏡娘(言うのよ私!せっかくだし一緒に帰ろうって!)

眼鏡娘「……男くんっ」

男「ん?」

眼鏡娘「あの……」

眼鏡娘「……また、明日」

男「おう。また明日なー」テフリフリ



テクテクテク...



眼鏡娘「……私のバカ」




15 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:15:53.04 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー

眼鏡娘「……」テクテク

眼鏡娘「……」テクテク

眼鏡娘(…なんか、見慣れたはずの帰り道なのに、今日はちょっと寂しいかも……)

眼鏡娘(私にもう少し勇気があれば今も男くんと並んで歩いてたのかな)

眼鏡娘「……はー……」





眼鏡娘「──もう一度やり直せたらなぁ」





眼鏡娘(なんて、たらればたられば)

不良A「ねぇ、君今帰り?」

眼鏡娘「」ビクッ

眼鏡娘「……私ですか?」カオアゲル

不良A「そうそう」

不良B「お、君結構かわいいじゃん。俺好みかも。ねね、この後時間ある?俺らと少し遊んでかない?」

眼鏡娘「え、や……私もう帰らないといけないので……」

不良B「えー、いいじゃん!ちょっとだけでいいからさー!」ガシッ

眼鏡娘「!?…は、離してください…!」

不良A「おいおい、あんまり乱暴にするなよ?」

不良B「だーいじょうぶ。俺合意なしとか嫌な人だから」

眼鏡娘「合意、なんてしてないです……!」ググ...

不良B「絶対楽しいからさ!ほら行こ!」グイッ

眼鏡娘「やめて…!」



──スタッ、スタッ!



黒猫「」バッ!

不良B「うわっ!なんだ!?」

黒猫「フシャー!」ガリガリ

不良B「いでで!」パッ

眼鏡娘(あ…!離れた…!)

不良A「なんだこいつ!失せろ!」

眼鏡娘(猫……?)

眼鏡娘(…!今のうちに!)

眼鏡娘「」タッタッタッ!

不良B「あっ!ちょっと君!!」

黒猫「」パッ

スタッ、スタッ、スタッ...




16 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:16:42.28 ID:z4mjw2N10
ーーー駅前ーーー

眼鏡娘「はぁ……はぁ……」

眼鏡娘(ここまで来れば平気…?)

眼鏡娘(さすがに電車の中までは追いかけてこないよね…)

眼鏡娘「……怖かった。今度から別の道使おうかな」



テテテッ



黒猫「ナーオ」

眼鏡娘「!」

眼鏡娘「あなたさっきの…」

眼鏡娘「……」ナデナデ

黒猫「」ナデラレナデラレ

眼鏡娘「助けてくれてありがと。ちっちゃなヒーローさん」

黒猫「……」

黒猫「」ピョンッ

眼鏡娘「あ」

スタッ、スタッ、スタッ

眼鏡娘「……」

眼鏡娘「ん、次の電車来ちゃう」



スタスタスタ...




17 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:18:11.40 ID:z4mjw2N10
ーーーショッピングモールーーー

元気娘「──ねー!こっちのワンピとかどうかな?似合うと思う?」

眼鏡娘「元気娘ちゃん何着ても似合ってるよ」

元気娘「ちゃんと見てよー!今これにするか、そっちの明るい色のにするかで悩んでるんだからー!」

眼鏡娘「だって私、服とかあんまり分からないから……元気娘ちゃんの方が詳しいでしょ」

元気娘「それじゃ眼鏡娘ちゃん連れてきた意味ないじゃない!」

眼鏡娘「だからなんで私を連れてきたの…」

眼鏡娘(今日は日曜日)

眼鏡娘(朝目が覚めて、昨日のデートの余韻に浸りながらウトウト二度寝しそうになってたらいきなりこの子が押しかけてきて)

眼鏡娘(気付いたらここに居ました)



ーー朝ーー

眼鏡娘「……んー……」

眼鏡娘「眠いー…」ゴロン

眼鏡娘(……楽しかったなぁ、昨日)

眼鏡娘(パフェ食べてすぐ解散しちゃったけど、男くんのあんなにはしゃいでるところ初めて見れた)

眼鏡娘(ちょっと可愛かった)

眼鏡娘「……」ゴロ...

眼鏡娘(……もし、元気娘ちゃんがやった、アレを)



ーーーーー

元気娘「」ペロ

眼鏡娘「!?」

ーーーーー



眼鏡娘(男くんにやられてたら……)

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「」ゴロゴロバタバタッ

眼鏡娘(今度いつ遊べるかな)

眼鏡娘「……」アオムケー

眼鏡娘「9時……もう一眠り……」


18 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:20:57.60 ID:z4mjw2N10

ピロリン

眼鏡娘「…?」



☆元気娘☆『起きてる??』



眼鏡娘「………」



眼鏡★娘『寝てる』

☆元気娘☆『[壁]д=) 』

眼鏡★娘『どうかしたの?』

☆元気娘☆『お出掛けしよ!買い物付き合って欲しい!(>人<)』

眼鏡★娘『いいけど、どこ行くの?』

☆元気娘☆『いつも行くデパート!時間は今からね!』



眼鏡娘「え…」



☆元気娘☆『外をご覧なさい( ̄▽ ̄)』



眼鏡娘「外…?」

ノソ...

シャッ(カーテンを開ける)

眼鏡娘「あ」



[壁]元気娘「……」ジー



眼鏡娘「…顔文字再現してる」

元気娘「」ピンポーン

眼鏡娘「え」

ハーイ アライラッシャイ

オハヨーゴザイマス! メガネムスメチャンオキテマスカー?

タブンオキテルトオモウケド...アガッテク?

ハイ!

眼鏡娘「ちょっと何であげちゃうのママ…!」

ドタドタドタッ ガチャ!

眼鏡娘「はやっ!」

元気娘「やっほ!おは……おぉ」ジロジロ

眼鏡娘「な、なに?」

元気娘「……うむ」ダキッ

眼鏡娘「ふぇ!?」

元気娘「パジャマの眼鏡娘ちゃんかわいー!」ギュー

眼鏡娘「〜〜……」

眼鏡娘「もー!まだ着替えてもないんだからちょっと待ってて!」

ーーーーー
19 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:22:21.24 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘(さすがに元気娘ちゃんは大人しくリビングで待たせました)

眼鏡娘(ちなみにLINE名の"★"も元気娘ちゃんに入れられたものなんだけど……別に嫌じゃないから戻してないだけ)

元気娘「んー…どっちも捨てがたいけど、やっぱり明るい色の方がいいかなぁ」

眼鏡娘「うん、いいかもね。いっつも走り回ってる元気娘ちゃんにぴったり」クスッ

元気娘「むむ?それはどういう意味かな眼鏡ガール?」

眼鏡娘「眼鏡ガールってなに……ま、そのままの意味」

眼鏡娘「ちょっとそれ貸して」

元気娘「ほい」スッ

眼鏡娘「ん」

ピトッ(ワンピースを元気娘の身体に当てる)

眼鏡娘「…そうだね、こっちの方が似合ってる。元気に咲くひまわりって感じがする」

元気娘「!…本当?」

元気娘「でもひまわりって褒められてる?からかわれてる?」ハテナ

眼鏡娘「褒めてるの。私は明るい元気娘ちゃんしか想像できないから、そっちのワンピースの方がしっくりくるんだ」

元気娘「……じゃこれにしよ!」

眼鏡娘「即決だね…」

元気娘「眼鏡娘ちゃんのお墨付きをいただいたからね」ニシシ




20 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:24:37.34 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー

店員「ありがとうございましたー」

元気娘「いい買い物が出来ました」ニコニコ

眼鏡娘「それは何より」

眼鏡娘「次は何買うの?服一着だけ会計したってことは別のお店でアクセか何か?」

元気娘「何言ってるの?次は眼鏡娘ちゃんの服選びだよ?」

眼鏡娘「………はい?」

眼鏡娘「いやいやいや、私は元気娘ちゃんの付き添いに来てるだけだよね!?その前にまずそんなお金持ってきてないし…!」

眼鏡娘「……あと、恥ずかしい……」

元気娘「大丈夫大丈夫!試着するだけならタダだしさ!恥ずかしいのなんて最初だけだよー。服選び、段々楽しくなってくるから!」

元気娘「今度は私が眼鏡娘ちゃんにぴったりなコーディネートを見繕ってあげる」ワキワキ

眼鏡娘「その手の動きやめなさい……え、本当にするの?」

元気娘「」ニッコリ

ガシッ

眼鏡娘(あ、なんかデジャヴ)

元気娘「レッツゴー!」ピューン

眼鏡娘「せめて歩いて連れてってーー!」ツレサラレー



.........





眼鏡娘「うぅ…これ変じゃない…?」ワンピース

元気娘「全っ然変じゃない!かわいい!」

元気娘「さっき迷ってたやつ、眼鏡娘ちゃんに似合うんじゃないかなーってちょっと思ってたんだよね〜」

元気娘「私の見立てに間違いはなかった!」



.........





眼鏡娘「ど、どう?」クールビューティー

元気娘「わー……」

元気娘「すごい!大人!これはかわいいというより綺麗の部類に入りますなー」

眼鏡娘「……ごきげんよう、皆様」キリッ

元気娘「あはは!それだとどっちかっていうとお嬢様な感じ!」



.........




21 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:25:53.42 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「……これ、なんか違くない……?」ネコミミスタイル

元気娘「」パシャッ

眼鏡娘「あっ!?何撮ってるの!!」

元気娘「えっへへー。手が勝手に」テヘ

眼鏡娘「今すぐ消して──」スッ

元気娘「ストップ!…そんな格好で試着室から出ていいのかなぁ?」ニヤニヤ

眼鏡娘「ぐっ……」

眼鏡娘「後で覚えといてよ…」



.........







ーーー夕方ーーー

元気娘「んー…!たーのしかったー!」テクテク

眼鏡娘「結局昼過ぎから普通に遊んでた……」テクテク

元気娘「いいじゃんいいじゃん。けどまさか眼鏡娘ちゃんがカラオケ初めてだったなんてねー」

眼鏡娘「だって今までカラオケ行く機会なんてなかったんだもん……元気娘ちゃんは歌すっごく上手だし…」

元気娘「眼鏡娘ちゃんだってかわいかったよ?特に最初に歌ってた、確か……ハロー、プr」

眼鏡娘「あれは忘れてっ!何歌えばいいのか分かんなくて入れちゃっただけだから!」

眼鏡娘「もう、今日は遊ぶというか遊ばれてばっかりだった気がする……」

元気娘「……もしかして、迷惑だったかな…?朝早くからいきなり押し掛けたり……」

眼鏡娘「……」

眼鏡娘「そんなことない。楽しかったよ」

眼鏡娘「なんだかんだこんな私といつも一緒に居てくれて。元気娘ちゃんのおかげで最近笑うことが多くなった気もする」

眼鏡娘「ありがとうね」ニコッ

元気娘「……!」パァァ

元気娘「眼鏡娘ちゃーん!!」ダキッ!

眼鏡娘「ちょっ、こんなところで抱き着かれても困るんだけど…!」

元気娘「知りませーん!えへへー」

眼鏡娘「歩きづらいし…」

眼鏡娘(……たまには好きにさせてあげようかな)


22 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:27:10.90 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「………あ」ピタッ

元気娘「おっとっと」ヨロ...

元気娘「どうしたの?」

眼鏡娘「……この道……」

眼鏡娘(あのときの……)

元気娘「…怖いって顔してるよ。ここで何かあったの?」

眼鏡娘「……ちょっと前にね、変な男の人二人組に絡まれて、どっか連れてかれそうになったの。それからここを通るのが少し怖くて…」

元気娘「!?そんな……大丈夫だったの!?」

眼鏡娘「うん。そのときは親切な猫ちゃんが助けてくれたから」

元気娘「猫ちゃん…?」

眼鏡娘「何ともなかったよ。その人たちともそれ以来出くわしてないし」

元気娘「ならよかったけど……」

眼鏡娘(………)

元気娘「……」ギュ

眼鏡娘「え…?」

元気娘「手、ちょっと震えてる」

元気娘「そんなことがあったら誰だって怖くなるに決まってるよ。無理しないで」

元気娘「大丈夫!私が居るから!今は私が眼鏡娘ちゃんを守ってあげる番だから!」

眼鏡娘「元気娘ちゃん……」

眼鏡娘「うん、それじゃあよろしくね」

元気娘「よろしく任されました!」エヘヘ

元気娘「あ!そうそう忘れるところだった」

ガサゴソ

元気娘「…あった」

元気娘「はいこれ!」スッ

眼鏡娘「これは…?」

元気娘「プレゼントだよ!」

眼鏡娘「なんでいきなり…」

元気娘「いきなりじゃないよ、忘れたの?今日眼鏡娘ちゃんのお誕生日じゃん!」

眼鏡娘「──!」

眼鏡娘(そういえば……)


23 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:28:01.95 ID:z4mjw2N10

元気娘「なんて、実は私もつい昨日まで忘れてたんだけどねー。だから今朝思い出して、急いで眼鏡娘ちゃんを連れ出しに来たのです。ちょっとでもいい思い出になってくれればなーって」

眼鏡娘「……中、見てもいい?」

元気娘「もちろん!」

眼鏡娘「」ゴソゴソ

眼鏡娘「髪留めと、服…」

眼鏡娘(…!これ、さっき試着したワンピースだ)

元気娘「あんまり意外性なくてごめんね。そのワンピース着た眼鏡娘ちゃん私好きだったからプレゼントにしちゃった」

元気娘「でもでも!そっちの髪留めは正真正銘私だけで選んだものだよ!」

眼鏡娘(青の髪留め……私の髪に合いそうな色)

眼鏡娘「…ありがとう、元気娘ちゃん。すっごく嬉しい」

眼鏡娘「私も、元気娘ちゃんのこと大好き」

元気娘「!!」

元気娘「やったぁ!」ピョンッ

眼鏡娘「ふふっ」

眼鏡娘(本当に、この子のおかげで私の今はとっても充実してる。最初の頃は面倒そうな人に目付けられたなんて思ってたけど、今ではこの子がいない高校生活なんて想像も出来ない)

眼鏡娘(強いて最近の悩みと言えば……)

眼鏡娘(……男くん……)

元気娘「ねぇ眼鏡娘ちゃん」

眼鏡娘「ん?」

元気娘「私たちさ、そのさ……」





元気娘「ずっと友達でいようねっ」





眼鏡娘「…!」

眼鏡娘(何言ってるのかな、この子は。そんなの……)

眼鏡娘(こっちからお願いしたいくらいなのに)

眼鏡娘「うん、そうだね」ニコッ




24 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:28:56.48 ID:z4mjw2N10
ーーー数日後 図書室ーーー

眼鏡娘「……誰も来ない」

眼鏡娘(まあこのご時世、本を借りに来る人なんてそうそういないよね)

眼鏡娘(今日は普通に図書委員としての仕事でよかった。前は人手不足の影響で肉体労働に駆り出されたから……社会の縮図を見た気がした)

眼鏡娘(……けど前のときは、男くんが手伝ってくれた)

眼鏡娘(男くんとは近頃教室でも少し話をするようになった。また前みたいにどこか出掛けたりとかはしてないけど、会話が出来るだけでも私の胸はあったかくなる…)

眼鏡娘(今日なんて元気娘ちゃんのくれた髪留め付けてきたら、ちゃんと気付いてくれた)

眼鏡娘(……かわいいって、言われちゃった)

眼鏡娘「……」ニマニマ

眼鏡娘(やっぱり私好きなんだなぁ、男くんのこと)



ガララ



図書教諭「や、元気にやってるー?」

眼鏡娘「ぼちぼちです」

図書教諭「利用者は……やっぱいないか」

眼鏡娘「先生はどうしたんですか?生徒の代わりに図書室使いに来たんですか?」

図書教諭「いやー?眼鏡娘さんの働きぶりを見に来たんだよ。そしておめでとう、合格です!今日はもう終わりにして帰ってよし!」

眼鏡娘「図書室開放時間ってまだ1時間はありましたよね…?」

図書教諭「いーのいーの。どうせ誰も来ないんだから。図書室が空いてる時間すら知らない子の方が多いだろうし」

図書教諭「それに、私も早く帰れる」

眼鏡娘(それでいいの?先生……)

図書教諭「さ、帰った帰ったー。浮いた時間で好きなこと出来るかもよ?彼氏とデートとか」ニヤリ

眼鏡娘「か、彼氏なんていません」

眼鏡娘(……まだ)

眼鏡娘「…そんなに言うなら帰りますけど、何か言われたら先生の言う通りにしただけって言いますからね?」

図書教諭「う……まあ、教頭以外なら……」

図書教諭「教頭はネチネチうるさいんだよね……だからそこだけは誤魔化して!ね!?」

眼鏡娘「……そうそう会いませんし、平気だと思いますけど、一応気にしといてあげます」

図書教諭「さすが話が分かる!」

眼鏡娘「では先生、さようなら」

図書教諭「はーい、さよならー」




25 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:31:28.31 ID:z4mjw2N10
ーーー電車内ーーー



ツギハー ニホンバシー



眼鏡娘「……」スマホイジリー

眼鏡娘「……」スッスッ

眼鏡娘(……!)



『夏にオススメのデートスポット十選!!』



眼鏡娘「………」

眼鏡娘「」ススッ



プシュー

ゴジョウシャアリガトウゴザイヤシター



眼鏡娘(お祭り……花火……海……)

眼鏡娘(いつもしないようなことばっかり……)

眼鏡娘(でも男くんと一緒に行けたら)

眼鏡娘「……」

眼鏡娘(……決めた)

眼鏡娘(月末…丁度夏休み中にやってるこの夏祭り。これに男くんを誘おう)

眼鏡娘(前に買ってもらった浴衣着て、色んな屋台周って、あんまり混んでないらしい神社の境内から花火見て、それで)





眼鏡娘(男くんに告白しよう)




26 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:32:41.76 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「……」ドキ..ドキ..

眼鏡娘(私は、変わりたい)

眼鏡娘(このままずっと引っ込み思案で厭世的な自分でいるのは嫌)

眼鏡娘(せめて昔みたいに、自分に素直な私に……)

眼鏡娘(……大丈夫。もう、ちょっとずつ変わってきてるんだから)

眼鏡娘「……」カミイジリ



ーーーーー

元気娘「──ね!この後一緒に遊びに行こ!」

ーーーーー



眼鏡娘(…あの子のおかげで)

眼鏡娘(この髪留めが私に勇気をくれる。そんな気がする)

眼鏡娘(……男くん、いつ誘おうかな)



「──へぇ、そりゃまた随分胡散臭い噂話だなー」



眼鏡娘「!」カオアゲル

眼鏡娘(この声……男くん…!)



男「けどま、お前そういうの信じそうだよな」

元気娘「バカにしてるな!?証拠だってあるんだから!」

男「ほー、どんなん?」

元気娘「私のじゃないけど……これ。スマホのスクショ」スッ

男「どれどれ…」



眼鏡娘(元気娘ちゃんも一緒…?)


27 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:33:38.74 ID:z4mjw2N10



元気娘「ほらここにあるでしょ?見たことないアプリ」

男「これが"願いを叶えてくれるアプリ"?……確かに検索しても引っかからないけど、どうせ合成写真とかの類だろ。今の時代こんな加工いくらでも出来るしな」

元気娘「もー!男って本当ロマンがないなー!」

男「お前にゃ言われたくない台詞だ」



眼鏡娘(なんかすごく仲良さそう…)



プシュー

ゴジョウシャアリガトウゴザイヤシター

元気娘「…あ、ここだよ降りるとこ!」

男「そうだったスルーするとこだったな」

元気娘「行きましょー!」ヒシッ

男「おいおいここで腕組むなって」

元気娘「いいじゃん別にー」





元気娘「──付き合ってるんだしさ!」





眼鏡娘(……………え)



男「うちの生徒に見られたら絶対──」テクテク...

元気娘「むしろ言いふらしちゃって──」テクテク...



眼鏡娘(………え………?)




28 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:34:46.78 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー

眼鏡娘「……」トボトボ

眼鏡娘「……」トボトボ

眼鏡娘(………)

眼鏡娘(……………)

眼鏡娘「……」トボトボ

黒猫「」テクテク

眼鏡娘「……」トボトボ

黒猫「」テクテク

眼鏡娘「……あなた……」チラリ

黒猫「……」ミアゲル

眼鏡娘「……ごめんなさい。今あなたと遊んであげる元気はないの」トボトボ...

黒猫「……」



黒猫「………」




29 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:35:46.51 ID:z4mjw2N10
ーーー自室ーーー

眼鏡娘「………」ゴロン...

眼鏡娘「………あー………」

眼鏡娘(……そうだよね……)

眼鏡娘(所詮私なんて……)

眼鏡娘(……男くんの隣には、元気娘ちゃんみたいに明るい子の方が相応しい)

眼鏡娘(そんなの、分かってた)

眼鏡娘(少し相手にしてもらえただけで舞い上がって、一人勝手に告白しようだとか盛り上がって……バカみたい)

眼鏡娘「………」

眼鏡娘(……どうしようもなかったの。私が入り込む余地なんてなかったんだって)

眼鏡娘(そう思わせてくれてもいいじゃない……)

眼鏡娘「……やっぱり、嫌い」

眼鏡娘(重力なんて嫌い)

眼鏡娘(こんなに沈んだ気持ちにさせられる……)

眼鏡娘(もうこんな世界みんな浮いちゃえばいいのに)


30 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:36:30.93 ID:z4mjw2N10



ヴー!



眼鏡娘「…?」

眼鏡娘「なんだろ…メール…?」スッ、スッ...



[受信メール]
━━━━━━━━━━━━━━━
from:
sub:アンケートにご協力ください
━━━━━━━━━━━━━━━
Q. 嫌いなものは何ですか?


━━━━━━━━━━━━━━━



眼鏡娘「……なにこれ」

眼鏡娘(………)

眼鏡娘「」スッスッ、スススッ



[受信メール]
━━━━━━━━━━━━━━━
from:
sub:アンケートにご協力ください
━━━━━━━━━━━━━━━
Q. 嫌いなものは何ですか?
重力。

━━━━━━━━━━━━━━━



眼鏡娘「……」

スッ(メール送信)

眼鏡娘「………はぁ」パタッ

眼鏡娘(……もうどうでもよくなってきちゃった)

眼鏡娘(今日あったことも、明日が来ることも、全部…)

眼鏡娘(どうせ私は、この重力の下でなるようにしかならない日を過ごしていくだけ)

眼鏡娘(昔から、変わらない……変えられない……)

眼鏡娘(………空っぽな私の……生き様………)ウトウト



眼鏡娘「……」スースー...




31 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:38:15.25 ID:z4mjw2N10
ーーーーー

「──それでね、わたしって必要とされてないんじゃないのかなって思っちゃうの」

──そんなわけないじゃん

「──え…?」

──だってまず私が必要としてるもん。あなたの笑った顔。…ね、ニッコリ笑ってみてよ

「──……こーお?」

──プッ…あはは!なんかそれこわいよー!

「──ひどーい!もうしてあげないもん!」

──ごめんってば。バカにする気はなくて──



.........



ーーーーー


32 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:41:32.92 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー



──ポトッ



眼鏡娘「……ん……?」

眼鏡娘(私、いつの間に寝て……って)

眼鏡娘「……」キョロ..キョロ..

眼鏡娘(………学校?)

眼鏡娘(あ、消しゴム落ちてる)

眼鏡娘「……」ヒロイアゲ

眼鏡娘(…おかしいな、いつ登校したんだっけ…?)

眼鏡娘(それに教室にいるのは私と)



男「」スースー...



眼鏡娘(……男、くん……)ズキッ

ピロリン

眼鏡娘「!」

眼鏡娘(元気娘ちゃんからのLINE…)

スッ..スッ..




☆元気娘☆『ごめん!先帰ってて!まだ委員の仕事長引きそう_(:3 」∠ )_』



眼鏡娘「……え、これって……」

眼鏡娘(少し前にも同じこと送ってきてたよね。確か一ヶ月くらい前の………!?)

眼鏡娘(あれ……?スマホ壊れたかな……)





眼鏡娘(日付、一ヶ月前に戻ってる)




33 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:43:08.92 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「……設定とかいじったっけ?」

眼鏡娘(でもやっぱり変だ……元気娘ちゃんに買い物誘われた時のトークがなくなってる。消した覚えなんてないのに)

男「……んぁ…」パチッ

男「やば、寝てた…ってこんな時間か」

男「ん?」チラッ

眼鏡娘「……」

男「あれ、眼鏡娘さんももしかして寝過ごしちゃったの?」

眼鏡娘「男くん、今日って何月何日だっけ?」

男「へ?そりゃ、カレンダー見れば分かる──」

眼鏡娘「教えて」

男「……6月18日だけど」

眼鏡娘「!!」

眼鏡娘(なんで……昨日は7月後半、もうすぐ終業式だったはずじゃ……)

眼鏡娘(どういうこと…?)

眼鏡娘「……」

男「眼鏡娘さん?その、大丈夫?」

眼鏡娘「」タッタッタッ...

男「えっ」

男「行っちゃった……」




34 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:44:20.21 ID:z4mjw2N10
ーーー昇降口ーーー

眼鏡娘「……よく分かんない」テクテク

眼鏡娘(ニュースとかSNSとか調べてみたけど、今日本当に7月じゃないみたい)

眼鏡娘(というより、7月がこれからやって来る、夏本番だ…みたいな話題ばっかり…)クツハキカエ

眼鏡娘(信じられないけどこれって……)

眼鏡娘「……時間が巻き戻ってる」

眼鏡娘(そうとしか考えられない。世界規模のドッキリを仕掛けられてるっていうんじゃないなら、一ヶ月前の日に戻ってきちゃったんだ…!)

テクテク

眼鏡娘「…とりあえず、落ち着いて考えよう」ガサゴソ

眼鏡娘「なんか変な汗かいてきちゃった」チャリンチャリン

ピッ ガコン!

眼鏡娘「ふぅ……そもそもこれって夢じゃないよね…?」グ...

眼鏡娘「ん…やけに固いフタ…」グググ...

眼鏡娘(…あ、これ)

カシュッ



──ツルン



眼鏡娘「っ!」

ボトッ

トポトポトポ...

眼鏡娘「」サッ!

眼鏡娘「うぅ…あの時も同じことしてたのに。学ばない私…」

眼鏡娘(前とった行動と同じ行動をすれば同じことが起きる……ってこと?)



ガサッ



黒猫「ナーオ」トコトコ

眼鏡娘「!…あなた、私を助けてくれた…」

眼鏡娘(あれ、まだこの時は助けてもらってないんだっけ)


35 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:46:04.49 ID:z4mjw2N10

黒猫「……」ジッ...

黒猫「」ペロペロ

眼鏡娘「そんなの舐めたらダメだよ!」ダキアゲー

黒猫「ニャー…」

眼鏡娘「ジュースなんて、動物が飲んだら身体壊しちゃうんだからね。分かる?」

黒猫「ミャー」

眼鏡娘「まったく……喉が渇いてるの?」

黒猫「ミャミャー」

眼鏡娘「何か飲みたい?」

黒猫「ニャ」

眼鏡娘「……私の言ってること分かるの?」

黒猫「ミャー」

眼鏡娘「……」

黒猫「……」

眼鏡娘「……にゃー」

黒猫「ニャー」

眼鏡娘「ふふっ」

眼鏡娘「お水買ってあげるから、それで我慢してね」チャリンチャリン

ピッ ガコン!

眼鏡娘「今度は落とさないように…」カシッ

眼鏡娘「よし」



(フタに水を注ぐ)



眼鏡娘「はい、どうぞ」スッ

黒猫「」ペロペロ

眼鏡娘「…おいしいですかー?」

黒猫「」ペロペロ

眼鏡娘「そんなに喉渇いてたの?」

黒猫「」ペロッ...

黒猫「……ニャ」

眼鏡娘「はいはい。慌てなくてもまだたくさんあるからね」トポトポ

黒猫「」ペロペロ

眼鏡娘「……」

黒猫(CV:眼鏡娘)「いやぁたまらんにゃー。生き返るにゃー」ペロペロ

黒猫(CV:眼鏡娘)「まさにオアシスだにゃー。お水を恵んでくれた優しい女の子に感謝しなくちゃいけないにゃ!」ペロペロ

眼鏡娘「なーんて」フフッ


36 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:47:45.35 ID:z4mjw2N10



「…ありがとうだにゃー」ボソッ



眼鏡娘「」バッ!

男「」ニヤニヤ

眼鏡娘「……男くん」

男「どもども。お水を恵む優しい眼鏡娘さん」ニヤニヤ

眼鏡娘「…いつからいたの?」

男「んー、そこの猫ちゃんが茂みから出てきたところ辺りかな」

眼鏡娘「ほとんど最初からじゃない!」

眼鏡娘(うー…見られた見られた…あんな恥ずかしいところぉ……)

眼鏡娘「……忘れて」

男「ん?」

眼鏡娘「今さっき見たこと聞いたこと、全部忘れて」

男「えー、そんな無茶な……」

眼鏡娘「」ジー

男「…安心してよ!俺口堅いから、絶対言いふらしたりしないって」

男「このことは俺と眼鏡娘さんだけの秘密にするからさ。それで勘弁してくれにゃいかなー?……ンフッ」

眼鏡娘「〜〜!」

眼鏡娘「……頭に強い衝撃加えると記憶が飛ぶってほんとなのかなぁ…」ユラァ...

男「わー!待った待った!からかって悪かったよ!言いふらしたりしないのは本当だからその重そうなカバン振り上げるのはやめて!」

眼鏡娘「……」

眼鏡娘「なんで私を見てたの?」

男「ちょっと心配で、追いかけてきたんだ」

男「眼鏡娘さん、さっき教室で日付がどうのとか混乱したり急に出てったりしたから、何かあったのかなって」

眼鏡娘(!…心配してくれてたんだ。やっぱり優しいな、男くん)

眼鏡娘(でも……)

男「そしたら猫ちゃんと戯れてる女子がいたもんだからつい観察を──」

眼鏡娘「大丈夫だよ。さっきは少し寝ぼけてただけだから」

男「…そう?」

眼鏡娘「うん。わざわざありがと」

眼鏡娘「けど、男くんのその優しさはさ……彼女さんに向けてあげた方がいいと思うよ」

眼鏡娘(私なんかじゃなくて、男くんにぴったりなあの子に…)


37 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:48:44.85 ID:z4mjw2N10

男「……へ?」

男「俺、彼女なんていないけど」

眼鏡娘「……?……!?」

眼鏡娘「そう、なの…?」

男「あ、あぁ…」

眼鏡娘(どうなってるの…嘘ついてるとは思えないし……このときはまだ付き合ってないってこと?)

眼鏡娘(……だったら)

眼鏡娘「男くん」

男「おう?」

眼鏡娘「私は怒ってます」

男「え」

眼鏡娘「背後から忍び寄って女の子の恥ずかしいところを盗み見ていた、その悪行に」

男「誤解を招く言い方じゃありませんかね」

眼鏡娘「これは何かお詫びをしてもらわないといけないと思うんです!」

男「あ…そゆこと」

男「えーと、俺は何をすればいいですかな?お嬢さん」

眼鏡娘「ふふん。そうだなー…じゃあ、最近オープンしたっていうカフェでごちそうしてくれたらいいかな」

男「お、それ聞いたことあるよ。確か人気のパフェがあるんだよね」

眼鏡娘「うん。それ頼もうかなって」

男「なら丁度いいや。俺もそのパフェ食べたいと思ってたから。一緒に行こっか」

眼鏡娘「男くん結構甘党なんだっけ?」

男「そうなんだよね〜。よく分かったね」

眼鏡娘「ふふ、そんな話を聞いたことがあったから」

眼鏡娘(男くんから直接ね)


38 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:49:56.72 ID:z4mjw2N10

男「ほぉ……で、今から向かう?」

眼鏡娘「今日はやめときましょう。もう遅いし、混んでるかもしれないし」

眼鏡娘「明日はどう?学校終わってすぐ行けば、多少混んでても入れると思うの」

男「いいね。明日特に用事ないし、そうしよっか」

眼鏡娘「それじゃ決まりね。さーて、どれくらい頼もうかなー」ワクワク

男「え!?…あの、俺の懐事情も考えてくださると嬉しいのですが…」

眼鏡娘「冗談♪私がそんながめつい人に見える?」

男「……猫ちゃんに水を恵んでアテレコしちゃうような人だもんなー。外道じみたことするわけないよな!」

眼鏡娘「……諭吉さんを使ってもらうことになりそうね?」

男「ジョークです。勘弁してください」

眼鏡娘(私、こんなに物怖じせず男くんと話せてる)

眼鏡娘(自分からデートに誘えたし、もっと積極的に勇気出していけば)

眼鏡娘(……私にだってチャンスが……)

眼鏡娘「……!」グッ




39 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:51:25.51 ID:z4mjw2N10
ーーー翌日 学校ーーー



ガラッ



眼鏡娘「……」テクテク

男「おはよ、眼鏡娘さん」

眼鏡娘「あっ、おはよう」

眼鏡娘(…♪)

眼鏡娘「」スッ(自席に着く)

元気娘「待ってたよー!」テテテッ

元気娘「眼鏡娘ちゃん、昨日はごめん!」

眼鏡娘(……)

眼鏡娘「…いいよいいよ。委員のお仕事が大変なのは分かってるから。私も長引くことあるし」

元気娘「それはそうなんだけど……結構待たせちゃったよね…?」

眼鏡娘「大したことないよ。その間に宿題進めてたおかげで昨日は家に帰ってから伸び伸び出来たくらいです」

元気娘「そうなの?」

眼鏡娘「うん。だから気にしないで。また時間合うとき一緒に帰ろ」

元気娘「眼鏡娘ちゃん……」ウルウル

元気娘「天使!」

元気娘「あ!じゃあさじゃあさ!早速今日出掛けたいとこ思い付いたから行こ!この辺りに最近出来たって──」

眼鏡娘「あー、ごめんね。今日は他の人と用事が入っちゃってて、行けないの」

元気娘「そうなんだ……残念」



ガララ



先生「朝の会始めるぞー」

眼鏡娘「ほら、先生来たよ。席着かないと」

元気娘「また誘うから一緒に行こうね!絶対ね!!」テテテッ

眼鏡娘「はいはい」

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「……」チラリ

男「……?」チラッ

眼鏡娘「……」テフリフリ

男「??」フリカエス

眼鏡娘(楽しみだな…)




40 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:52:50.21 ID:z4mjw2N10
ーーー放課後 カフェーーー

店員「お待たせしました」

ゴトッ ゴトッ

男「おぉ…」キラキラ

眼鏡娘「来た来た」

眼鏡娘(食べるのが初めてじゃなくても、涎って勝手に出てくるものね)

男「こいつはいいな…!メニュー見た時から旨そうだとは思ってたけど、実物はこれまた…」ゴクリ

男「なあなあ!早く食べようぜ!」

眼鏡娘(相変わらずはしゃいじゃって…可愛いなー)

眼鏡娘「慌て過ぎてこぼさないようにね」

男「んな勿体ないことしないって!」

男「じゃ…」

眼鏡娘・男「「いただきます」」

男「」パク

眼鏡娘「」アム

男「んー!さすがだ!この甘くてクリーミーながらしつこ過ぎない味わい……そうこれはまるで……とにかく旨い!」パクパク

眼鏡娘「ね。おいしい…」

男「今日来といて正解だったね〜。平日なだけあってそれほど並ばずに入れたし、眼鏡娘さんて意外とこういうのに詳しいんだ?」

眼鏡娘「たまたまだよ。このカフェのことだって前に小耳にはさんだだけだから」

男「ほーん」パクパク


41 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:53:54.22 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「……クスッ。それよりさ、男くん」

眼鏡娘「頬、リスみたいになってるよ」

男「へ?ひょんはにおはひぃかおひはっへう?」モゴモゴ

眼鏡娘「ンッフフ…飲み込んでから喋りなよ。パフェってそんなに口に詰め込むようなものでもないでしょうに」

男「おいひふへふい…」モグモグ

眼鏡娘「…あと、顔にクリーム付いてる」

男「」ゴクン

男「どこどこ?」

眼鏡娘「じっとしてて」グイッ(身を乗り出す)



チョイッ



男「!?」

眼鏡娘「取れたよ」ニコッ

男「…あ、ありがと」

眼鏡娘「もう、子供みたい」

男「俺らまだまだ子供な歳だよ」

眼鏡娘「……」ジッ

男「……眼鏡娘さん?」

眼鏡娘「……」

眼鏡娘「」フキフキ

男(びっくりした……指で取ったクリーム舐めるのかと思った……)

眼鏡娘「ん?」キョトン

男「あ、いや何でも」




42 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:55:04.06 ID:z4mjw2N10
ーーー翌日ーーー

「──起立、気を付けー、礼」

「「「さようなら」」」

ガタッ ザワザワ

眼鏡娘(今日の図書委員の仕事は職員室で、か……確かアレだよね……)

眼鏡娘(あの肉体労働……)

元気娘「眼鏡娘ちゃーん!今日はこの後空いておりますかなー?」

眼鏡娘「…空いてないよー。今日は図書委員があるから、それで遅くなっちゃう」

元気娘「え〜、そんなのパパッと終わらせられないの?」

眼鏡娘「……終わらせられるかも」

元気娘「ほんと!!」

眼鏡娘「今日の仕事はいつもと違って何冊も本を運ぶだけの力仕事らしいんだよね。…きっと元気娘ちゃんが手伝ってくれたら何倍も早く終わるんだろうなー」

元気娘「え……」

元気娘「…わ、分かった!それで眼鏡娘ちゃんと遊べるなら──」

眼鏡娘「なんて冗談冗談。元気娘ちゃん、図書委員でもない女の子なんだから、無理して肉体労働なんてさせられないよ」

眼鏡娘「今日は先に帰ってて」

元気娘「あ……でも」

眼鏡娘「いいからいいから。誰か力のありそうな先生とかに手伝ってもらうつもりだから」

元気娘「そう……?」

元気娘「…じゃあまたね!」テクテク

眼鏡娘「」テフリフリ

眼鏡娘「………」

テクテク

眼鏡娘「おーとーこーくん♪」

男「はい?」

眼鏡娘「ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど……」




43 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:56:27.44 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー

男「手伝って欲しいこと……図書委員の仕事だから何かと思ったら……」テクテク

眼鏡娘「本当に助かるよ男くん。先生もすごく有難いって言ってくれてた」テクテク

男「…まあ、眼鏡娘さん一人でこれをやるなんて相当きつかったろうから、どっちにしろ手伝ってたかもしれんなー」

眼鏡娘(…その通り。前のときは見兼ねた男くんが途中から助けてくれた)

眼鏡娘「そういう優しいところ好きだなー……」ボソッ

男「ん?」

眼鏡娘「な、なんでもない!」

男「……けどさ、ちょっと驚いてるんだ、俺」

眼鏡娘「何に?」

男「ここ何日か眼鏡娘さんと話したり遊んだりしてて、眼鏡娘さんに対する印象がすっかり変わっちゃったから」

男「もっとこう、物静かで大人しい…みたいなイメージだったんだよね」

眼鏡娘「……それは……」

眼鏡娘(実は、私自身も驚いてる)

眼鏡娘(今までの私なら絶対に言い出したりしないようなデートの誘いとか、クリームを指で取ったりとか、自分からグイグイいったりとか……)

眼鏡娘(とにかく、悪い方にじゃないけど、変わった気がする)

眼鏡娘(私は嫌な変化じゃない……でも……)

眼鏡娘「……おかしい、かな」

男「いーや?むしろ嬉しいかも」

眼鏡娘「え…?」

男「なんか俺しか知らない眼鏡娘さんの本性…みたいな感じで、ちょっと特別感あってさ」ヘヘッ

男「色んな眼鏡娘さん見てるの俺好きだし」

眼鏡娘「─!」ドキッ

眼鏡娘(〜〜〜)

眼鏡娘「…そ、そんなこと言ったら、私だって男くんがちっちゃい子みたいにはしゃいでる姿とか、可愛いなーって思って見てたよっ」

男「えー?それとこれとは少し違くないかなー」

眼鏡娘「違いませんー。男くんが歳に似合わない行動を──」

男「──。───、─?」



.........




44 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 21:58:21.69 ID:z4mjw2N10
ーーー昇降口ーーー

男「いやはやびっくりしたよ。好きな飲み物買ってくれるの意味がまさかこういうことだったとは」クツハキカエ

(100円硬貨二枚)

眼鏡娘「あの先生結構大雑把なところあるからね…」クツハキカエ

男「これってやっぱりバレるとまずいのかな」

眼鏡娘「どうだろう。少なくとも褒められたことじゃないんだろうけど」

テクテク

男「ここで何か買ってく?」

眼鏡娘「……ん、私これ」チャリンチャリン

ピッ ガコン!

男「何だかんだ眼鏡娘さんも甘いジュースとか好きだよね」チャリンチャリン

ピッ ガコン!

眼鏡娘「女の子は甘いもので出来てるって聞いたことない?」カシュッ

男「おーおー、またメルヘンチックなこと言っちゃって」カシュッ

ゴクゴク

男「……あ゙ぁ!労働の後の一杯は最高だな!」

眼鏡娘「なんで急におじさんみたくなってるの」クスッ

眼鏡娘(……)

眼鏡娘「……ねぇ、いつもありがとう」

男「いつも?」ゴクゴク

眼鏡娘「!いやその…いつも私に付き合ってくれてさ。心配してくれたり一緒に出掛けてくれたり。今日なんか二つ返事で引き受けてくれたから」

男「なんだそんなこと。全部俺がしたいからやってるだけだよ。大仰に感謝されるとかえって恥ずかしいって」

眼鏡娘(したいからやってる……)

眼鏡娘(♪)

眼鏡娘(そうだ!前は言えなかったけど今なら……)

眼鏡娘「……あの、男くん」

男「ん?」

眼鏡娘「この後、一緒に帰らない?」

眼鏡娘(言えた!)

男「オーケーだけど、俺ん家あっち方向だよ。眼鏡娘さんは?」

眼鏡娘「私は向こうの駅で電車に乗るの」ユビサシ

男「なぬ?逆方向じゃん」

眼鏡娘「平気!途中までなら男くんについて行っても大して遠回りにならないから」

男「そうなん?…ならそこまで一緒に行くか」

眼鏡娘「うんっ」

男「ちょいと待ってな。俺これ飲み終わってから行っちゃいたいからさ」ゴクゴク

眼鏡娘「いくらでも待ちますよー」




45 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:00:03.66 ID:z4mjw2N10
ーーーーーーー

男「──じゃあ本が好きだから図書委員になったわけじゃないんだ」テクテク

眼鏡娘「うん。ただ一番楽そうだからって理由で選んだだけ」テクテク

男「今日のは楽って言えるのかなぁ」

眼鏡娘「……ああいう仕事もあるなんて知らなかったの。でもそういうものでしょ?実際やってみないと分からないことばっかり」

男「ま、そうだな。けど多分クラスの奴のほとんどが、眼鏡娘さんのこと本の虫だと思ってるんじゃないかなー」

眼鏡娘「…イメージって大きいよね。私がこんななりだからっていうのもあると思うけども」

男「眼鏡娘さんの?……ちょっとこっち向いてみて」

眼鏡娘「?」

男「ふむ……」ジッ...

眼鏡娘「えと…何か変?」

男「」スッ



ヒョイッ(眼鏡を取る)



眼鏡娘「…!?」

男「うむ、やっぱり」

眼鏡娘「ちょっ、やっ…!何するの返して…!」アタフタ

男「えー?そんなになんも見えない?」

眼鏡娘「そ、それもあるけど…!」

眼鏡娘(裸眼姿なんて、お化粧したことないけどすっぴん見られてるみたいで恥ずかしい…!)

男「もうちょっとだけ!ね?」

眼鏡娘「ね?じゃなくて早く──」

男「眼鏡外した顔もかわいいからさ」

眼鏡娘「っ」

男「試しに一日はずして学校に来てみなよ。図書委員のイメージ消えるどころか、謎の美少女転校生みたいな感じで話題になりそう」ククッ

眼鏡娘「………//」

男「……あれ、赤くなってる…?」ニヤニヤ

眼鏡娘「!!」

眼鏡娘「返してっ」シュバッ

男「おっと」

眼鏡娘「もー……男くんって結構意地悪なところあるよね」ジトー

男「あっはは、ごめんごめん。眼鏡娘さんからかい甲斐があるからつい」

眼鏡娘「どういう意味なのそれ……」

眼鏡娘(……でも嫌な気はしない)

眼鏡娘「……あ」ピタ

眼鏡娘「私この道で曲がらないと」

男「おう、そっか。ならまた明日だな」

眼鏡娘「うん、また明日」

男「…美少女転校生、楽しみにしてるよ!」テフリフリ

眼鏡娘「しないからね!」テフリフリ

眼鏡娘「……」テフリフリ...


46 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:01:47.67 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘「………」

眼鏡娘「」クル



テクテク



眼鏡娘「……」テクテク

眼鏡娘(………)

眼鏡娘(………ふふ)

眼鏡娘「ん〜〜!」テクテク

眼鏡娘(すごい……すごいすごい!)

眼鏡娘(私今すごく幸せ…!)

眼鏡娘(今までずっと見てることしか出来なかった男くんと、あんなに近い距離でお話して、イタズラされたりして……)

眼鏡娘(皆が過去をやり直したいって言う気持ちが分かるなー。こんなに理想の未来が掴めるなら誰だって願っちゃうよね)

眼鏡娘(あー!何の神様か分からないけど、感謝しなくっちゃ)

眼鏡娘「♪」テクテク

眼鏡娘(男くんと次会えるのは明日かー。前の時は土曜日まで何もなかったけど──)

眼鏡娘「」テク...

眼鏡娘(…あれ、待って、この後って確か──)





不良A「ねぇ、君今帰り?」





眼鏡娘「」ビクッ

眼鏡娘(……そう、だった)


47 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:02:36.06 ID:z4mjw2N10

不良A「おーい、聞こえてる?」

不良B「無視されてんじゃねーの?お前」ハハッ

眼鏡娘「……ごめんなさい、私急いでるので」ササッ

不良B「そうつれないこと言わないでさ、少しくらいお話してくれてもいいじゃん」ガシッ

眼鏡娘「っ……やめてください」キッ

不良B「お、君結構かわいいじゃん。俺好みかも。ねね、この後さ、少し時間ちょうだいよ。お茶しない?その辺のカフェとかで」

眼鏡娘「…そんな古臭い台詞で付いてく人なんかこの時代にいませんよ」

不良A「ぷっ、ははは!言われてんの!お前そういう誘い文句ヘッタクソだもんな!」

不良B「チッ…んなでけー声で笑うな、俺だって気にしてんだよ」

不良B「でもさ、君と遊びたいっていうのは本気だよ?おちょくってると思われたのなら傷つくなぁ」グイッ

眼鏡娘「やっ…!」

不良B「かわいい声だね。……もっとそういう声聞きたいなー」ササヤキ

眼鏡娘「」ゾクッ

眼鏡娘「や、めてください!もう離して…!」ググ...

眼鏡娘(前の時より怖い…でもそろそろあの猫ちゃんが来て……)

不良B「ほら、行こ?あんまり駄々こねてるとお兄さんたち何するか分かんないよ??」グイグイ

眼鏡娘「…!」ピクッ

眼鏡娘(……嫌……)

不良B「お。……へへ、じゃあ行きますか」

不良A「あんまり怖がらせるようなこと言うなよな」

眼鏡娘(……どうして来ないの……?)

不良B「いいのいいの。最終的に"合意"があれば問題ないっしょ」

眼鏡娘(やだ…やだよ……助けて………!)

眼鏡娘(──男くん…!)


48 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:03:38.28 ID:z4mjw2N10





「おーいおいおい、ちょっと人の彼女に何してんのー?」





眼鏡娘「!」

不良B「あ?」

男「遅くなってごめん…って声でも掛けようとして来てみたら……ナンパ?」

不良B「見て分かんねぇか?」

男「どう見ても嫌がる女の子を連れ去ろうとしてたね」

男「あ、さっきも言ったけど、その子俺の彼女ね。付き合ってんの。他人の彼女取るくらい飢えてんの?君ら」

不良B「…あんま気取ってんなよ、てめぇ…」ザッ

男「待って待って。俺は別に喧嘩したいわけじゃないんだって。その子返して欲しいだけで」

男「あとさ、君らこの辺あんま詳しくないでしょ」

不良B「…は?」

男「いやだって、この近くって見えにくいけど交番があんだよね。常駐のお巡りさんが暇そうに警備してんの」

男「…俺もさ、そんなに事を大きくするのって好きじゃないからさ、諦めてくれないかな、その子のこと」

不良A・B「「………」」

男「………」

不良B「………チッ」ドンッ

眼鏡娘「わっ」ヨロッ

男「おっと、危ない」ウケトメ

不良B「はぁ……萎えるわ……」

テクテク

不良A「だーから言ったろ、慣れないことするもんじゃないって」

不良B「うっせーよ。……ねぇ!そんな奴飽きたらいつでも俺のとこ来ていいからね!」

不良A「やめろや恥ずいな」ビシッ

不良B「ってーな!」



テクテク...


49 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:04:43.88 ID:z4mjw2N10

男「………」

眼鏡娘「………」

男「……ふぅ、行ったかな」

男「眼鏡娘さん、大丈──」

眼鏡娘「」ギュー!

男「──夫ではなさそう…?」

眼鏡娘「……怖かった……」

男「……」

眼鏡娘「怖かったよ……男くん……」

男「…もう平気だから」ナデナデ

眼鏡娘「うん……」ギュ...

眼鏡娘(さっきの人たちと全然違う…男くんに触れてるとこんなに安心する……)

眼鏡娘(男くん……)

眼鏡娘「……好き」

男「え?」

眼鏡娘「えっ!?」

眼鏡娘(声に出てた…!)

男「……今のって…」

眼鏡娘「や、その、今のはね…!つい口から出たっていうかあの…!」

眼鏡娘(……あぁもういい!決めた!)

眼鏡娘「」スー..ハー..

眼鏡娘「…男くん、助けてくれてありがと」

男「あー、いやまあ、単に後ろから驚かしたらどんな反応するのか気になって追ってきたんですがね…」

眼鏡娘「ふふ、なにそれ。そんな理由で助かったの私?」

男「でも結果オーライだったろ?俺の華麗な話術も披露出来たし!」

眼鏡娘「本当ね。この辺りに交番なんてないもんね」クスッ

眼鏡娘「……あのね、男くんが来てくれて私すっごく嬉しかった」

眼鏡娘「けどもっと嬉しかったのは──」

眼鏡娘「──男くんが私を彼女って言ってくれたこと…」

男「……」

眼鏡娘「……」





眼鏡娘「私男くんのことが好きです。私と付き合ってくれませんかっ?」




50 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:05:59.95 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘(……言っ…ちゃった……!)

男「……」

眼鏡娘「……」ドキドキ

男「………」

眼鏡娘「……」ドキドキ

男「……」ナデナデ

眼鏡娘「…?」

男「」ワシャワシャ

眼鏡娘「な、なになに?髪乱れちゃう…!」

男「やー!なんか……いじらしくて本当こう、胸に来るね」ワシャワシャ!

眼鏡娘「いじらしいって何……いい加減髪止めてっ」

男「おー悪い悪い。責任取って戻してあげるから怒んないで」

眼鏡娘「……そういうのマッチポンプって言うんだよ」ムー

眼鏡娘(せっかく勇気出して言ったのに)

男「ごめんて……茶化す気はなくてさ」ナデツケ

眼鏡娘「………じゃあ、なに…?」

男「眼鏡娘さんの告白、俺も嬉しくなっちゃって」

眼鏡娘「……!」

眼鏡娘「それ…は……」カオアゲル





男「こっちこそ、俺と付き合って欲しい」ニコッ




51 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:09:36.25 ID:z4mjw2N10
ーーー自室ーーー

眼鏡娘「……」ボー

眼鏡娘「……」ボー

眼鏡娘「………」



ーーーーー

男「──俺と付き合って欲しい」ニコッ

ーーーーー



眼鏡娘「……」ジンワリ

眼鏡娘「」ニヘラ

眼鏡娘「……」ゴロンッ

眼鏡娘「……」ゴロンッ

眼鏡娘「……えへへー」

眼鏡娘「男くんと恋人同士……」

眼鏡娘(………)

眼鏡娘「……にゃー」ゴロンッ

眼鏡娘(猫の真似だってしたくなるよ!男くんと…男くんと……!)

眼鏡娘「夢みたい…!こんな夢なら覚めなくてもいいけど!」

眼鏡娘(あれからちょっと照れながら帰ってった男くんも可愛かったし…)

眼鏡娘(思い出せば思い出すほど、好きって気持ちが溢れてくる)

眼鏡娘「そうだっ!」

眼鏡娘(LINEしちゃおっと!)

眼鏡娘(この前交換だけして何も送ってなかったけど…彼氏彼女になった今なら遠慮なく送っちゃってもいいよね)

眼鏡娘「男くんなんて返してくれるんだろうなー♪」スマホツカミ

眼鏡娘「……ん?」スッ

眼鏡娘(……入れた覚えのないアプリがある…)

眼鏡娘「"Gravities"…?」

眼鏡娘「なんだろう…」スッ



◆Gravities◆ INFLUENCER:眼鏡娘
━━━━━━━━━━━━━━━━━
NAME     STATUS
━━━━━━━━━━━━━━━━━
男       Gravity
元気娘     AntiGravity
眼鏡娘母    OFF
眼鏡娘父    OFF
同級生A     OFF
 ・      ・
 ・      ・
 ・      ・



眼鏡娘「………?」

眼鏡娘「」スッスッ



『眼鏡娘母    AntiGravity』



眼鏡娘(……タップするとステータス?っていうのが切り替わるみたい)
52 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:10:58.11 ID:z4mjw2N10

眼鏡娘(でもこれどういうことだろう……Gravityは分かるけど、AntiGravity……反重力?)

眼鏡娘「知ってる人の名前ばっかりだし、新しいSNSか何かかな…」

眼鏡娘(とりあえず変にいじりたくないからママのステータスは戻しておいて、と)スッ

眼鏡娘(元気娘ちゃん辺りがまた知らない内にインストールしたのかも)

眼鏡娘「……余計なことしてくれて……」

眼鏡娘(ま!そんなことより男くんにLINE送らないと!)

眼鏡娘(初めてのLINE、何て送ろうかなー♪)

眼鏡娘「♪」スッススッ



スッスッ...




53 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:12:04.68 ID:z4mjw2N10
ーーー日曜日ーーー

眼鏡娘「……」スースー

眼鏡娘「……」スースー

眼鏡娘「」パチッ

眼鏡娘「……今何時……?」モゾ...



スマホ『AM 07:00』



眼鏡娘「待ち合わせまであと3時間……」

眼鏡娘(ちょっと早く起きちゃったかな)

眼鏡娘(今日は朝から一日男くんとデート)

眼鏡娘(一世一代の告白をしたあの日から、前の時なんかとは比較にならないくらい男くんと一緒に居る時間は長くなりました)

眼鏡娘(学校でも遊びに行ってる時でも、よく話してよくからかわれてよく笑って…)

眼鏡娘(青春てこういうことを言うんだなーと実感する毎日です)

眼鏡娘(それと、今日のデートはちょっと特別)

眼鏡娘「……」チラリ



(日曜日に丸を付けたカレンダー)



眼鏡娘(──今日は私の誕生日)

眼鏡娘(そのことをさらっと伝えたときの男くんの反応は少し面白かった)



ーーーーー

男「──え、そうなん?おめでとう!……ってまだか。だったら今週の日曜、遊びに行くか!サプライズとかあんま得意じゃないけど、俺なりに何か用意しとくから楽しみにしといてよ。……言ったら意味無いか!?」

ーーーーー



眼鏡娘「……ふふ」

眼鏡娘(サプライズかぁ……どんなことしてくれるのかな)

眼鏡娘(勝手にハードルあげといちゃおう♪)

眼鏡娘「出掛ける準備だけしとこっと」



.........




54 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:13:31.11 ID:z4mjw2N10
ーーー2時間後ーーー

眼鏡娘「──あぁもうこんな時間!忘れ物とか…はさっき散々確認したし、髪型とか変じゃないよね…?」ドタバタ

チョットー アンマリチラカシテカナイデヨー

眼鏡娘「分かってるー!」

眼鏡娘「うぅ、余裕ぶってシャワーなんか浴びるんじゃなかった……」

眼鏡娘「えっと、髪よし、服よし、後は……あ、LINE来てる」スッ



☆元気娘☆『起きてる??』



眼鏡娘「………」



眼鏡★娘『起きてるよ。けどごめん!今急いでるんだ。何か用件があったら後で聞くから!』

☆元気娘☆『そかそか!こっちもいきなりごめんね!また夜くらいになったらLINEしていい?』



眼鏡娘「夜なら、まあ…」



眼鏡★娘『(OKのスタンプ)』



眼鏡娘「……」

眼鏡娘「!っと、早くしなきゃ…!」タタタッ

眼鏡娘「行ってきまーす!」



ガチャ...




55 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:15:24.07 ID:z4mjw2N10
ーーー夕方 駅構内ーーー



テクテク



元気娘「……」テクテク

元気娘「……」テクテク

元気娘(……最近つまんないなー)

元気娘「……」テクテク

元気娘(そりゃ、好きなとこ行ったり友達とてきとーに遊んだりするのは楽しいんだけど…)

元気娘「……」

(スマホを取り出す)



眼鏡★娘『(OKのスタンプ)』



元気娘「………」

元気娘(眼鏡娘ちゃん……あんまり遊べてない)

元気娘(それどころか最近ほとんど話せてもないよー……)

元気娘(せっかく今日、眼鏡娘ちゃんの誕生日だって思い出したから色々してあげよーと思ったのにな)

元気娘(プレゼントだって……)

元気娘「……」ガサ...

元気娘(この青い髪留め、眼鏡娘ちゃんに絶対似合うと思う)

元気娘(……まー、普通誕生日の休日なんて予定入ってるもんだよね…)

元気娘「……」テクテク


56 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/08/20(火) 22:18:09.08 ID:z4mjw2N10



ーーーーー

「──じゃあわたしが友達になってあげるよ!」

ーーーーー



元気娘「……」テクテク

元気娘(髪留め、いつ渡せるかな)

元気娘(誕生日は過ぎちゃうけど、喜んでくれるよね)

元気娘(眼鏡娘ちゃんのことだから驚いたリアクションは見れないかもだけど、きっと照れ臭そうに笑って、ありがとうって…)

元気娘(そしたらまた手引っ張って連れ出して遊びに行っちゃおうかな!髪留め付けてもらって、話題のあのカフェに行って、二人でパフェ食べて!)

元気娘(不慣れな髪留めしたせいで、髪をパフェに浸しちゃう眼鏡娘ちゃんが見れたりして)ヌフフ

元気娘「…♪」テクテク

元気娘(……明日……明日渡そう!朝一番で突撃してやるー!眼鏡娘ちゃんちょっとは驚いてくれるかな〜)





──スルッ





元気娘「あれ……?」フラ...



ズタン! ゴロゴロ!

ガンッ ドタッ ゴロゴロゴロッ!



ドサ...



「や…!なに…?」

「おい、誰か階段から落ちたぞ!」

「女の子が動いてない!救急車呼んでくれ!あと駅員も!もしもーし!!大丈夫ですか!?聞こえますかー!?」



ザワザワ...





元気娘「」




57 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/08/20(火) 22:20:20.59 ID:z4mjw2N10
書き溜めはここまでです。

この後は随時更新していきます。
185.35 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)