渋谷凛「高峯のあの事件簿・星とアネモネ」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

202 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 22:51:03.72 ID:HFCwBUJw0
のあ「夏美、足の様子を見せて」

夏美「うん、どうぞ」

のあ「応急処置は自分でしたのね」

夏美「そう。上手くできてる?」

のあ「ええ。痛みはどうかしら」

夏美「かなり、やばいわ。強がってるの、わかるでしょ?」

のあ「やっぱりね」

夏美「せっかく間に合ったのに。やっぱり、ダメね」

のあ「まだ強がっているべき。まずは、恵磨を連れて行かなかったのは失敗よ。怒られなさい」

夏美「そっか、覚悟しておかないと」

のあ「話していた方がいいかしら」

夏美「そうして。気絶も出来そうもなくて」

のあ「わかったわ」

夏美「ごめん。間に合ったのに止められなかった」

のあ「古澤頼子は、最初から水野翠を殺すつもりだった。あなたが無事で良かったわ」

夏美「……そうかな」

のあ「水野翠を呼び出したのは古澤頼子よ。そうでなければ、タイミングが良すぎる」

夏美「それも止められたかも、しれない」

のあ「どういうことかしら、話してちょうだい」

夏美「身元もわかってるから、口封じもいらない。殺すに値する相手じゃなくしてあげないと、いけなかった」

のあ「古澤頼子の思考を考えるのは辞めた方がいいわ。理解すべきじゃない」

夏美「水野さん、罰を欲しがっていたそうよ」

のあ「本人が言ったのかしら。それとも、古澤頼子の言い訳かしら」

夏美「本人よ……たぶん、本心だった」

のあ「罰なんて、この世には幾らでもあるわ。少し手を抜けば、彼女は罰や叱責を得られた。古澤頼子の詭弁でしょう」

夏美「違うと思う、わかるの」

のあ「……何が」

夏美「演技だったら、本気では取り合ってくれない。適当な悪事は本気を産み出さない。悩みは解決しない」

のあ「……」

夏美「そういうものでしょ、わかる?」

のあ「水野翠については、同意しかねるわ」

夏美「気づいた時に、殴れば良かった。そうしたら、事件もなかった」

のあ「それも同意しかねるわ。警察にもいられなくなるのだから」

夏美「経験則だもの。存分に経験してきた」
203 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 22:51:42.06 ID:HFCwBUJw0
のあ「多くいるタイプなのかしら、問題を起こす少女に」

夏美「多くはないと思うわ」

のあ「会ったことがあるの?」

夏美「私」

のあ「問題児だったの?」

夏美「違う違う。優等生で、学校内では注目されてなかった」

のあ「水野翠とは違うわね。彼女は注目の的だった」

夏美「気づかれないのは一緒。優等生って、つまらないもの」

のあ「程度が違うわ」

夏美「……そうかしら」

のあ「そうよ」

夏美「次は、がんばるわ。被害者の罪滅ぼしにはならないけれど、警察官として」

のあ「それなら、任せたい人物がいるわ」

夏美「……今回の共犯者?」

のあ「今回は、共犯じゃない。渋谷凛、覚えてるかしら」

夏美「西園寺邸の犯人?」

のあ「生きてたわ。警察が身柄を保護してる」

夏美「……」

のあ「島村卯月と関係があるみたい。ショックを受けてるわ」

夏美「そう、わかった。夜の公園で会ったの、そういうことね」

のあ「渋谷凛に?」

夏美「生きてるのは、今知ったわ。私が会ったのは島村卯月ちゃんの方、秘密の友達がいたのね」

のあ「お願いできるかしら」

夏美「ええ、渋谷さんは反省してるの?」

のあ「私には、そう見えたわ」

夏美「それじゃあ、怪我が良くなったら会いに行く。約束ね」

のあ「夏美、公園の名前を教えてくれるかしら」

夏美「良楠公園。花屋が目の前にあるわ」

のあ「ありがとう。先に調べておくわ……何か聞こえるわね」

夏美「恵磨ちゃんの声が聞こえたわ。声は抑えて、って言ってるのに。特に感情が高ぶる時は」

のあ「バディへの要求はお互い様ね」

夏美「そうみたい。ありがと、のあさん」

のあ「何も出来てないわ。殺されたのに……穏やかな眠り顔ね、水野翠は」

夏美「せめてもの幸運に、なるわけないわ……」

のあ「……ええ」

夏美「あたたた……痛みの方に意識が行った。ダメね、ほんと」

のあ「そんなことはないわ。あなたは必要な人物よ」

夏美「そうなれていると、いいけれど」

のあ「なれてるわ。ゆっくり休みなさい、おそらく入院だから」

夏美「そうね、ベッドでのんびりさせてもらおうかしら」
204 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 22:53:01.20 ID:HFCwBUJw0
123

清路警察署・留置場

のあ「こんばんは」

凛「探偵か……来たんだ」

のあ「少しだけ話に来たわ」

凛「そう……1人なの?」

のあ「今は。助手の集めた情報を警察に渡している所よ。今日は長居せずに帰るわ。水野翠については聞いてるかしら」

凛「……聞いた」

のあ「あなたはこうして生きているわ、渋谷凛と名乗って」

凛「……でも、だから、卯月を巻き込んだ」

のあ「今日は島村卯月の話を。少し調べたから、聞いてちょうだい」

凛「早いね」

のあ「いいえ、遅いわ。良楠公園で会っていたのは間違いないかしら」

凛「……合ってる」

のあ「初めて会ったのは、公園前の花屋、風花ね」

凛「そう。卯月は花を選んでた、嬉しそうに」

のあ「センターであることが、公表された日ね。買った花は」

凛「……アネモネ」

のあ「渋谷生花店の跡地に、島村卯月が備えた花と一緒」

凛「あれ……卯月だったんだ」

のあ「花言葉は、期待や希望」

凛「詳しくなったね」

のあ「さっき、電話で聞いたわ。相葉夕美に」

凛「……」

のあ「謝らないといけない人がいるわね、たくさん」

凛「……うん」

のあ「洋食フレッチャに島村卯月のサインが飾られていたわ。一緒にいたのは、あなたかしら」

凛「そう、私」

のあ「ご主人がお喋りだから、それはわかってるわ。問題は、あの店に盗聴器があること」

凛「……」

のあ「知らなかったようね。電気工事の際に取り付けられたと推測」

凛「つまり、古澤頼子は知ってた。当たり前か、教えてくれたんだから」

のあ「あなたを標的にしたのなら、公園にも何かあったのでしょう」

凛「……そうかもね、私が標的なら」
205 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 22:53:52.04 ID:HFCwBUJw0
のあ「おそらく、あなたが知らないことを2つ。あなた、誰かを見張ってたの?」

凛「そう。これは、刑事さんに言ったかな」

のあ「横領犯かしら」

凛「そう、横領犯の愛人と隠し子」

のあ「横領犯は殺されてるわ。凶器は弓矢、古澤頼子が相馬夏美巡査部長と水野翠を打ったものと似ていた」

凛「え……何時?」

のあ「12月20日よ。あなたは、それ以降も張り込みを続けている」

凛「……そういうことか」

のあ「夜、島村卯月に会えるように、障害は取り除いた」
206 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 22:54:20.56 ID:HFCwBUJw0
凛「私の知ってる古澤頼子は、もう少し賢かった」

のあ「ええ。直接手を下すことはなかった」

凛「何か……おかしくなってる。最初からおかしいけど、もっと」

のあ「私の話はこれで最後。島村卯月の日記帳は知っているかしら」

凛「日記は、知らない」

のあ「ある時、日記をつけるようになった。自分自身に嘘をつかないように」

凛「……卯月に聞いた」

のあ「あなたのことも書かれていたわ。現物は渡せないけれど、写真を何枚か。どうぞ」

凛「……くれるの」

のあ「私は、その方が良いと思ったわ」

凛「……ありがと」

のあ「渋谷凛、あなたが犯したことに対して、贖罪の機会が与えられるか、どうかもわからないわ」

凛「……」

のあ「それでも、渋谷凛でいなさい。島村卯月の友人で、彼女が……取り戻したかった渋谷凛で」

凛「……これ、本当に読んでいいの?」

のあ「その答えは自分で出しなさい」

凛「……わかった。読む、全部」

のあ「今日は休みなさい。疲れが取れたら、協力してもらうわ」

凛「ねぇ、聞いていいかな」

のあ「私の話は終わり。構わないわ」

凛「もしも、だよ」

のあ「仮定の話、得意分野ね」
207 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 22:55:51.32 ID:HFCwBUJw0
凛「卯月に会ってなければ……声をかけなければ、卯月は死なずに済んだのかな」

のあ「もしもの話は未来にだけするべきよ。過去は変えられないのだから」

凛「正論だけど、さ。他に言い方はないの?」

のあ「私の両親が死ななかったイフをずっと考えていたわ。考えていても、変わらない。だけれど、変えようと思う行動は未来を変えられる」

凛「……」

のあ「未来は変わったわ。そうして出来た、変わった過去を背負って、人は進むしかないの」

凛「最悪の結末……でも?」

のあ「そうよ。この事件について言うのなら、あなたは完全に被害者だもの。島村卯月の情報を古澤頼子には流していないのでしょう?」

凛「うん。話す必要なんか、なかったから」

のあ「渋谷凛は戻って来れたわ。誰かのおかげで」

凛「そう……卯月のおかげ。私、やっと、自分になれた」

のあ「あなたがなれたあなたに期待しているわ。贖罪をし、この連鎖を止めることを」

凛「……そうする」

のあ「今のあなたに聞いておくことを思い出したわ。答えられるでしょう」

凛「何?」

のあ「西園寺琴歌を蜂毒で殺害したのは、渋谷凛、あなたね」

凛「……そうだよ。蜂を温室に放ったのは、私」

のあ「被疑者死亡で逃げられなくて、良かったわ。さようなら、また来るわ」
208 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 22:56:27.15 ID:HFCwBUJw0
124

清路警察署・ロビー

のあ「留美、お疲れ様」

留美「お疲れ様。渋谷凛の様子はどうだったかしら」

のあ「協力はしてくれそうよ。西園寺邸の事件についても自白したわ」

留美「そこまでやったのね。私はもう疲れたわ、明日は休もうと思って」

のあ「あら、留美にも珍しいこともあるのね」

留美「私だって、有休くらいとるのよ」

のあ「それなら、高垣楓が家に来るわ。どうかしら」

留美「遠慮しておくわ」

まゆ「のあさん……お疲れ様です」

真奈美「こっちは終わりだ」

留美「助手さんが迎えに来たわ。さよなら、探偵さん」

のあ「留美、また会いましょう」

まゆ「お疲れ様でした……おやすみなさい」

真奈美「さて、帰るとしようか」

まゆ「そうですねぇ……お腹が空きました」

真奈美「朝から働きづめだったのを思い出した。エネルギー補給が必要だ」

まゆ「朝から……あぁ」

のあ「どうしたの、変な声を出して」

まゆ「素敵なステージだったのに……色々あって記憶が」

のあ「記憶は良く飛ぶわ、仕方ないの。ええ、逃れられないのよ」

真奈美「のあが言うのと意味は違うと思うぞ」
209 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 22:57:52.93 ID:HFCwBUJw0
まゆ「事件は残念ですけれど……卯月ちゃんも、みんな、素敵でした」

真奈美「ああ、私も誇れるよ。彼女の魔法の時間は、こんなことでは奪われるべきではなかった」

のあ「……そうね」

まゆ「ふふふ、みくちゃんと仲良くなりましたぁ。次は一緒にライブに行きたいです」

のあ「あら、そうしましょう。真奈美、会場はアリーナで頼むわ」

真奈美「私が決めることじゃない」

のあ「それもそうね」

真奈美「さて、今日はラーメンでも食べに行こうか」

のあ「こんな時間に?」

真奈美「こんな時間だから、さ」

のあ「私は構わないわ」

真奈美「佐久間君はどうかな?」

まゆ「私も……食べたいです」

真奈美「決まりだ」

まゆ「ライブのことを少し話したいな……」

真奈美「付き合おう」

のあ「私、見ていないのだけれど」

真奈美「見ていないといけないのか?同居人の世間話だよ」

のあ「確かに、ファン目線が抜けきらなかったわ」

真奈美「食事が優先だ。さぁ、行くとしようか」

のあ「英気を養いましょう。事件の解決と、次を止めるために」

まゆ「……はい」

真奈美「ああ」

のあ「次はないわよ、古澤頼子」

エンディングテーマ

探し人
歌 前川みく
210 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 22:59:42.01 ID:HFCwBUJw0
125

エピローグ

1月25日(月)

夕方

高峯探偵事務所

楓「こんにちは〜」

真奈美「高垣君か、いらっしゃい」

のあ「待っていたわ。休暇は楽しんでいるかしら」

楓「はい、久しぶりの都会もいいものです。これ、つまらないものですが」

のあ「あら、ありがとう。真奈美、受け取って」

真奈美「高垣君、いただくよ」

のあ「紙袋の中には何が入っているのかしら」

楓「希砂島の新しいギフトセットです。宣伝も兼ねて、配っているんですよ」

のあ「相変わらず、馴染んでいるようで何より。真奈美、お茶でもいれて」

真奈美「貰った中に茶葉があった。これを出してもいいかい?」

楓「希砂島のハーブをたくさん使った、ハーブティーです。二日酔いには最適なんです」

真奈美「淹れてみよう」

のあ「楓、飲み過ぎてないかしら」

楓「大丈夫。待機日が2日に一度来ますから」

のあ「休み中は」

楓「この通り、お昼からちょびっと。そうだ、お酒も持ってきましたよ」

のあ「私はいらないわ。真奈美は?」

真奈美「後でいただくよ。それなら、雪乃君も呼ぼうか」

楓「下のカフェの店長さんでしたね、この機会にお知り合いに」

のあ「来たら、紹介するわ。暇だったら、寄ってあげて」

楓「ぜひ。昨日は大変だったみたいですね」

のあ「ええ。犯人は殺されて、昨日の事件は終わり」
211 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:01:17.39 ID:HFCwBUJw0
楓「ニュースで見たので、留美さんに協力を申し出たのですが」

のあ「断られた?」

楓「はい。休暇中に働かせるわけないでしょう、と」

のあ「留美らしい言い方だけど、同感ね」

楓「しかし……希砂二島の事件と同じ手口だった、とお聞きしました」

のあ「水野翠の両親については、そうよ」

楓「犯人は、あの場所にいた人物でしょうか」

のあ「そうでしょうね」

楓「つまり……」

のあ「犯人は古澤頼子でしょう。逃げるのも隠れるのも得意ね。ヘレンが調べた結果、2回の陽動で視線を逸らすことだけで水野翠を逃がしたそうよ。自身は水野翠になりすまして」

楓「彼女は……私達の島にも事件をもたらしました。協力させてくれますか?」

のあ「気持ちはわかるわ。だけれど、今は休暇に専念なさい」

楓「不思議な言い方ですね」

のあ「その気持ちだけ受け取っておくわ、ありがとう」

真奈美「淹れてみた。香りは……そうだな、効きそうだ」

のあ「ありがとう……効きそうね、確かに」

真奈美「高垣君もどうぞ」

楓「いただきます。ちょっとスパイシーで独特な風味なんですよ」
212 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:02:32.26 ID:HFCwBUJw0
のあ「ふむ……言った通りね。悪くないわ」

真奈美「最初は刺激的だが、後味は悪くない。仕事中に飲むといいかもな」

楓「ふむふむ、お土産屋さんに伝えておきます」

のあ「確かに後味は良いわね。後味が悪いほど、効きそうな感じもするけれど」

真奈美「ははっ。その気持ちはわかるが、実際は良いことじゃないな」

楓「終わり良ければ総て良し、と言いますから」

のあ「そうね。でも、全てが気分よく終わるとは限らない」

楓「……はい。知っています」

のあ「そうなるように努めるだけね。今日の寝つきが良くなりますように」

真奈美「ああ。夕食は豪勢に行こうじゃないか」

楓「ふふ、楽しみです」

のあ「菜々にも手伝ってもらうわ」

楓「菜々?」

ピンポーン……

真奈美「来客か。ウワサをすれば、菜々君だ」

のあ「あげてちょうだい。何か用かしら?」

真奈美「菜々君、あがってくれ」
213 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:04:29.52 ID:HFCwBUJw0
菜々「のあさん、大変ですっ!」

楓「こんにちは」

菜々「こちらの美人さんは……あっ、今日来る元刑事さんですねっ。はじめまして!」

楓「はじめまして。希砂本島に駐在しています、高垣楓巡査部長です」

菜々「そう、刑事!のあさん、テレビつけてください!」

のあ「テレビ?真奈美、お願い」

真奈美「わかった。チャンネルは」

菜々「緊急ニュースなら、どこでも!」

真奈美「これで、いいな」

楓「ヘリからの映像、ですね」

のあ「見覚えのある場所だわ、鷹富士神社の近くかしら」

テレビ『先ほど鷹富士神社近辺の建物内で射殺体が発見されました。遺体は建物内に入っていたGP社、社長の桐生つかささんとみられています。桐生つかささんは女子高生社長として近所では有名で……』

真奈美「桐生つかさ?殺されるような動機はあるか?」

のあ「事業的に殺人に巻き込まれるようなこともやってないと思うのだけれど」

楓「存じ上げませんが、銃殺は気になりますね」

菜々「疑われてる人が、その、知ってる人で!」

のあ「知り合い?」

テレビ『現場の遺留品から、清路警察署刑事一課、新田美波巡査が関わっているとみられています。現在連絡が取れず、警察が足取りを追っています』

楓「留美さんの……部下」

のあ「真奈美、感想は」

真奈美「何が何だかわからないが、マズイことが起こっているのはわかる」

のあ「同感。のんびりはしていられなさそうね」

エピローグ 了


製作 tv〇sahi
214 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:06:07.64 ID:HFCwBUJw0
次回

最終話

銀の銃から、弾丸は放たれた。

古澤頼子「高峯のあの事件簿・マスターピース」(完)
215 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:07:10.01 ID:HFCwBUJw0
オマケ

撮影中の一幕・その1・妥協をしていては世界レベルには到達しないわ!

ステージ上

未央「うわぁ、しまむーが串刺しだよ……」

凛「凄いね……これ」

卯月「あっ!未央ちゃん、凛ちゃん」

凛「卯月、お疲れ様」

卯月「あの、写真を撮ってくれませんか?」

未央「いいよー」

卯月「ぶいっ!」

凛「そのメイクで笑顔だと……」

未央「しまむースマイルを消し去るとは……何たるメイク術!」

凛「海外から美術スタッフが来たって、本当なの、プロデューサー?」

CoP「本当です」

未央「コレ、かかってますなぁ」

CoP「そのポーズは土屋さんにお任せしましょう」

凛「費用とか大丈夫なの?」

CoP「いや、ダメ。本当は、寝かされた後しか撮らないつもりだったんだけど」

卯月「そうなんですか?」

未央「しまむー、お水飲む?1時間くらい、その恰好だよね?」

卯月「ありがとうございますっ」

未央「ストロー、ストローっと。はい、しまむー」

卯月「ちゅー……」

凛「死体が水飲んでる……」

CoP「何だったらライブシーンも取るつもりないし、ステージを借りるつもりもないし、きらりちゃんのシーンを撮る予定もなかったんですが……」

凛「何か、あったの?」

CoP「いつの間にか海外から特殊メイクチームが来るのも、会場も決まってて」

ヘレン「ヘイ!ニュージェネレーション!撮影は順調かしら?」

凛「あー……大体わかった」
216 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:07:36.10 ID:HFCwBUJw0
撮影中の一幕・その2・安らぎの香り

射手の地下通路

カットカット!

夏美「はい、お疲れ様!」

のあ「お疲れ様……水野翠、起きれるかしら」

翠「ありがとうございます。この通り、立てました」

のあ「穏やかな死に顔……文脈が示す感性通り」

夏美「演技が上手よね。何か、秘訣でもあるの?」

翠「いいえ、この血糊は安らぐ香りがするので」

夏美「そうなの……あ、ホントだ。花の香りがする……」

のあ「人間は不思議……示された感情を見間違える」

翠「この香りが好きなので、血糊が使うシーンが増えると嬉しいかもしれません」

夏美「それ、誤解されないようにね?」
217 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:10:20.00 ID:HFCwBUJw0
オマケ・CGプロ所属のアイドル一覧

赤西瑛梨華
ラブリーバラドル。東郷邸でまゆと暮らしていた。上京時は別の事務所だったとのこと。

五十嵐響子
卯月、響子とユニットを結成している。真奈美が彼女のモノマネを得意とする。

小日向美穂
カワイイ。みくにゃんがソロ曲をカバーしてライブで歌っていた。

神谷奈緒
真奈美を師匠と慕っているらしい。みくにゃんがソロ曲をカバーしてライブで歌っていた。

服部瞳子
のあのかつての依頼人。CGプロで芸能活動を再開した。頼れるお姉さんとのこと。

速水奏
人気急上昇中のアイドル。卯月に立ち直るきっかけを与えてくれた。

大槻唯
相川先生が好きなアイドル。彼女の存在が相川先生の価値観を変えたらしい。

日野茜
梅木音葉が気になっているアイドル。志希によると声を真似る練習を音葉がしているとか。

本田未央
卯月と仲の良いアイドル。とはいえ、ユニット活動はないとのこと。

諸星きらり
CGプロのAランクアイドル。彼女の活躍により、今の事務所と女子寮が備えられた。

前川みく
カワイイネコちゃんアイドル。悲劇の後に気丈に耐えていたが、帰りの車で泣いてしまったらしい。
218 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:12:23.42 ID:HFCwBUJw0
P達の視聴後

PaP「費用だが、何とかなった」

CoP「良かった、助かりました」

PaP「企画の方に入ると、気苦労が増えるな」

CoP「はい。ですが、これが仕事ですから」

CuP「疑問があります。何故、まゆがセンターでないのでしょう?」

PaP「こういう奴もいるからな。大変だ」

CoP「劇中の設定ですから、ご勘弁ください」

PaP「ちゃんと回答するんだな。準主役だし、良い役だものな」

CuP「それはそれ、これはこれです」

CoP「そうなると、私の出る幕が……」

PaP「事務所的にはセンターとなると、きらりちゃんか卯月ちゃんしかいないと思うけどね」

CuP「まさか、まゆの魅力を全然わかってないのですか?センターに相応しくないと?」

PaP「実力は認めるさ、そうだ!」

CoP「何か思いつきましたか?」

PaP「まゆちゃん、センターにしよう。だから、ライブツアーの地方公演1つはお前に任せた」

CuP「……はい?」

CoP「唐突ですけど、賛成です。がんばりましょう」

おしまい
219 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:14:17.19 ID:HFCwBUJw0
あとがき

渋谷凛の未来は、出会い次第。

次回、最終話。決着の時。

次回は、
古澤頼子「高峯のあの事件簿・マスターピース」(完)
です。

それでは。
220 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/04/29(水) 23:16:47.75 ID:HFCwBUJw0
シリーズリスト・公開前のものは全て仮題

高峯のあの事件簿

第1話・ユメの芸術
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472563544/
第2話・毒花
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475582733/
第3話・爆弾魔の本心
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480507649/
第4話・コイン、ロッカー
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1484475237/
第5話・夏と孤島と洋館と殺人事件と探偵と探偵
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503557618/
第6話・プレゼント/フォー/ユー
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513078349/
第7話・都心迷宮
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521022496/
第8話・『佐久間まゆの殺人』
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1550664151/
第9話・高峯のあの失踪
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1570101339/
第10話・星とアネモネ
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1588154916/
最終話・マスターピース

更新情報は、ツイッター@AtarukaPで。
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/29(水) 23:20:37.32 ID:tOg5V9uXo
おつー
>>57 >>58 の間は飛んでる?
それとも番号ミスかな
222 : ◆ty.IaxZULXr/ [sage saga]:2020/04/30(木) 10:25:22.57 ID:QoT4gyfw0
>>221
番号ミスです
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/01(金) 04:17:06.46 ID:B2NMqZiXO
おつおつ
ずっと音沙汰無かったから忘れ去られてる訳じゃなくて良かったよ

更新情報ツイートではいいんだけど出来れば固定ツイか何かに現在の最新話的なのほしいかな
画像ツイートやRTとかで流石にTL遡って更新情報確認しきれないや
224 : ◆ty.IaxZULXr/ [sage]:2020/05/19(火) 18:03:44.85 ID:qGVq5RR20
>>223
遅くなりましたが、更新情報を既作リストをプロフィール欄に追加しました
293.75 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)