貴方「僕がヒロインを攻略するまどか☆マギカ…オカルト?」マミ「それは終わったわ」

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371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/20(土) 23:29:18.18 ID:BxmlES1b0
正直、修羅場ルート見たい...見たくない?
372 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/20(土) 23:56:38.01 ID:ucngeEQf0


 最近、佐倉さんは一日のうちどこかで学校に来てくれていた。

 今日は授業中だった。授業中には話せないけど……放課後、会う約束をとりつけた。


 ――――放課後、今日は暁美さんとの下校も断って、昨日と同じ訓練場所の土手へと向かった。

 暁美さんは何かを悟った表情だった。



 人の立ち入らない穏やかな場所だ。風が草木を撫でる音が静かに響いている。



杏子「で? 話ってなにさ? 改まって」

貴方「俺……考えたんだ。佐倉さんがこの先安心して、悪い事もしないで生きていけるようになる方法ってやつを」

杏子「色々考えてくれんのは嬉しいけどさ……そんな方法」

貴方「俺と結婚してくれないか」

杏子「……え!?」

貴方「表向きに無理なら、二人の間の約束だけでいいから。さすがに今すぐってわけにはいかないから、まだ婚約になるけど……」

貴方「佐倉さんの未来を良い方向に変えるなら、それは他の何かに任せておきたくない。自分でありたいって」


 佐倉さんは驚いた表情だ。

 それもそうか。いきなりこんなこと言われたら。……『結婚』なんて俺もずっと先のことだと思ってたもんな。

 でも、未来を約束した佐倉さんとなら。


杏子「ほ、本気で言ってんの……?」

貴方「もちろん本気だよ。好きな人を幸せにしたいと思うのは当然、だろ? その気持ちに気付いたんだ」

杏子「そんなこと言われるなんて思ってなかったよ。これからもずっとないと思ってた。……自分が人を好きになることすら、な」

貴方「!」

杏子「でもなんかすっごい嬉しいわ。……ありがと、【貴方】! やっぱり、人生って何が起きるかわかんないもんだな!」


 佐倉さんは本当に可愛らしい笑顔を浮かべていた。見てるとこっちも笑顔になる。

 彼女とだったら、これから先もきっとたくさん笑顔を作っていけるだろうな。



 ――――こうして俺らは、二人で未来を誓った。



―――――――――――――――
分岐1 ☆杏子と恋人ルート☆
―――――――――――――――
373 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/20(土) 23:58:53.64 ID:ucngeEQf0
>修羅場ルート
まずはシナリオクリア優先ということで、おまけに期待しててくれるとやる可能性アリ
さすがに刺すほど過激な恨みもないのでこのままだと長い事地味なギスギス継続になりそうで
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――――
15日目


 朝は昨日と同じだ。さやかたちが席に来て、一緒に話す。

 そしてそういう時には決まって嫌な空気が漂ってた。


 ……暁美さんに昨日の夜言われたことを思い出す。


貴方(正直、一番って表現はあまり良くないと思う……)

貴方(でも、『特別な気持ち』なら伝えるのは今だ)



・(ほむら/さやか/まどか/仁美/マミ)
※条件は全員満たしてるので、未攻略キャラの攻略が完了するまではこの分岐に戻ります
※一応攻略済みキャラも入れてるのはこの話での展開が気になる人向け

 下2レス
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/02/21(日) 00:11:40.39 ID:R98iikLf0
もう全員分みよう
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 00:15:55.61 ID:FKup9l3G0
はむら
全員は最後で
376 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 01:08:54.22 ID:JiCsVdQ+0
未攻略キャラの攻略が完了するまでは戻る、ということで、
ほむらを選ぶともう戻らないつもりだったんですが…

もういいか、全員いっちゃうか! わりとあっさりのもあるけど
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――――
――――


 放課後になると、今日も暁美さんが席に来た。


ほむら「……【貴方】くん」

貴方「うん。一緒に帰ろう」



 断る理由はない。……昨日、暁美さんに言われたから俺は決心したんだ。



貴方「暁美さん、昨日誰が一番かって言ってたけどさ」

貴方「みんなは友達なんだ。友情に順番なんてつけられないよ。俺はみんな大事だと思ってる」

ほむら「……そう」

貴方「でも……暁美さんのことは特別なんだよ。みんなとは違う気持ちで暁美さんのことが好きだ」

貴方「暁美さんにはただの友達じゃなくて、恋人になってほしい」

ほむら「!」

貴方「これが俺の伝えたい素直な気持ちだ。それじゃ納得できないかな?」

ほむら「いえ……いいわ。わかったわよ。私は思ってたよりも恵まれていたのね」


 暁美さんの表情は今までにないほど穏やかに見えた。


ほむら「考えてみれば、今まで周りを妬んでばかりで私は本当に未熟だった。あなたにも当たってしまったわね」

ほむら「でも、【貴方】くんはそんな私にも優しくしてくれた。そんなあなたが……最初は嫌いだった」

貴方「えっ!」

ほむら「今は違うわよ」
377 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 01:29:07.89 ID:JiCsVdQ+0

ほむら「今になって気づけたの。そんな自分の気持ちに。……それもあなたのおかげよ」

ほむら「じゃないとずっと、私は自分のことしか考えられなかった」

貴方「ということは……?」

ほむら「……こんな私でもいいなら。恋人同士になるのなら、もう少しくらいは優先しなさい」

貴方「うん! 約束するから」


 暁美さんはいつもよりすっきりとした顔をしていた。

 ……実際に、なにか心の中にあった重いものを一つ消せたのかもしれない。


―――――――――――――――
分岐2 ☆ほむらと恋人ルート☆
―――――――――――――――
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 17:28:53.15 ID:0nnTsiPS0
早く女同士の醜い争いが見たい
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 17:36:25.47 ID:FKup9l3G0
このほむらはループしていなかったの?
380 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 18:27:26.89 ID:JiCsVdQ+0
(さやか)



さやか「本当に? 本当にあたしでいいの?」

貴方「ああ。俺が好きなのはさやかだよ」

さやか「じ、じつはね……あたしもずっと好きだったの!」

貴方「!」


 思いたち、すぐに決心をした。

 いつもは三人で話してるけど、その中から一人だけ呼び出して思いを伝えた。

 ……こんなにあっさりと両想いになれるんなら、もっと早くに伝えておけばよかった。


さやか「最近【貴方】はほむらのほうにばっかり行っちゃうしさ」

貴方「……もしかして、嫉妬してたとか?」

さやか「……うん。その余計に悪者だって思ってたとこはあるかもしんない。なんであいつなんかに、って」

貴方「……」


――――
――――
381 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 18:28:07.15 ID:JiCsVdQ+0


 ――――それから放課後、暁美さんが席に来て、帰る途中にこんな話をした。



貴方「俺、暁美さんに言われたから決心できたんだ。俺……さやかと付き合うことになった」

ほむら「……そんなこと、なぜわざわざ私に言いに来たの?」

貴方「でも、俺にとってはみんなは友達なんだ。暁美さんは誰が一番かって言ったけど……友情に順番なんてつけられない」

貴方「暁美さんのこともみんな大事だと思ってるから。それだけ、ちゃんと伝えたくてさ」

ほむら「!」

貴方「これが俺の素直な気持ちだ。それじゃ、納得できないかな?」

ほむら「いえ……いいわ。わかったわよ。私は思ってたよりも恵まれていたのね」


 暁美さんは、祝福するでもなく、逆に落ち込むでもなく……ただ穏やかな表情をしていた。

 この反応は正直意外だった。


ほむら「私、最初はあなたが嫌いだったの。それは妬みだった。あなたにも当たってしまったわね」

ほむら「そんな私にもあなたは優しくしてくれた。話しかけてくれた。……そんなのあなたと、キュゥべえくらいよ」

貴方「ああ、あいつ……」


 あいつもなんだかんだで暁美さんのことを気にかけていた。

 朝俺がさやかたちと話すようになってからはキュゥべえは暁美さんとよく話していたようだし、少しは仲良くなったのかな。


ほむら「ずっと嫌いだったけど、嬉しかった。甘えてたの。それで今度はやっとできた友達が取られるって、周りまで妬みはじめて……」

ほむら「自分から動きはしないけど一人は嫌、だなんて。自分勝手もいいところだわ」

ほむら「今になって気づけたの。そんな自分の気持ちに。……それもあなたのおかげよ。じゃないとずっと、私は自分のことしか考えられなかった」

貴方「一人が嫌なのなんて、そんなのみんな当たり前だよ。暁美さんも普通の人だったってだけだ」

ほむら「……ええ。やっぱりあなたは私の友達よ」



 やっと暁美さんと、本当の友達に――親友になれた。


 暁美さんはいつもよりすっきりとした顔をしていた。

 心の中にあった重いものを一つ消すことができたんだ。



―――――――――――――――
分岐3 ☆さやかと恋人ルート☆
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382 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 18:32:58.65 ID:JiCsVdQ+0
(まどか)



まどか「【貴方】くん、そ、それって……!」

貴方「ああ。俺が好きなのは鹿目さんだよ」

まどか「は、はわわわ……」

貴方「ごめん、あの……困らせちゃった?」

まどか「う、ううん! 逆! ……とっても嬉しいの。わたしも【貴方】くんのこと、好きだったから」

貴方「!」


 思いたち、すぐに決心をした。

 いつもは三人で話してるけど、その中から一人だけ呼び出して思いを伝えた。

 ……こんなにあっさりと両想いになれるんなら、もっと早くに伝えておけばよかった。


まどか「……でも、本当はほむらちゃんのことももっと気にしなきゃいけなかったのに」

まどか「ほむらちゃんのことを見ると……今までに感じたことのないような、複雑な気持ちがして。行かないでほしいなって思っちゃってた」

貴方「……」


――――
――――

(略)>>381

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分岐4 ☆まどかと恋人ルート☆
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ほむらに告白しなかったルート>>381は名前だけ変えて他は共通

こっちのが心情がより詳細に語られるまである感じなんですが、
実のところ今回友情と恋愛の境界が曖昧な感じで恋愛感薄めなのが理由
(一人は嫌だという負の感情強めの独占、だから一見ヤンデレ臭くなってる)
…もう少し甘みのあるのを見るには選択肢を完全正解しないといけないかも
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383 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 18:34:11.09 ID:JiCsVdQ+0
(仁美)



仁美「【貴方】くん、本当に私でよろしいんですの……?」

貴方「ああ。俺が好きなのは仁美だよ」

仁美「ありがとうございます! 実は……私もなんです。お慕いしておりました。あの時からずっと!」

貴方「!」


 思いたち、すぐに決心をした。

 いつもは三人で話してるけど、その中から一人だけ呼び出して思いを伝えた。

 ……こんなにあっさりと両想いになれるんなら、もっと早くに伝えておけばよかった。


仁美「……最近、教室内の空気がよくありませんわよね。といってもわたしたちだけですが。まるで敵を見ているかのようで」

貴方「さやかか……」

仁美「お二人の間に何があったのかよくわかってませんが、さやかさんがあんな目を向けることは普通はないはずなんです」

仁美「でも私も【貴方】くんが暁美さんのほうに行ってしまうのは嫌で、蔑ろにしてしまってました」

仁美「【貴方】くんの特別はこれからも譲る気はないですが、変わらず気にかけてくださいませんか?」

仁美「私もそんな【貴方】くんを好きになってしまったのですから」

貴方「……」


――――
――――

(略)>>381


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分岐5 ☆仁美と恋人ルート☆
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384 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 18:34:39.17 ID:JiCsVdQ+0
(マミ)
特に個別に話も進んでなかったのでいちばんあっさり。

――――
――――
数日後



さやか「――にしても、【貴方】がまさかマミさんと付き合うなんてね」

貴方「まさかって何だよ」

まどか「変な意味じゃないんだけど、いきなりだったから驚いたかな……」


 朝、三人で話してた。

 暁美さんのこちらを見る視線も険しさが前よりなくなった気がする。

 さやかはまだ暁美さんのことを怪しんでいるし、まだ仲直りとはいかないけど……。


貴方「今日の昼、マミさんが弁当作ってくれたからそっちで一緒に食べられないけど、いい?」

さやか「あたりまえでしょ。行ってこい!マミさんのこと悲しませるなよ!」


 気恥ずかしい思いをしつつも、応援してくれる人がいるのはうれしいことだ。


――――
――――

(略)>>381

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分岐6 ☆マミと恋人ルート☆
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385 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 18:54:25.72 ID:JiCsVdQ+0

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五回目【貴方】 15日目終了


[攻略済]
Compelete!!


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貴方(明日は休みか……)

貴方(今日は良い一日だった。早めに寝よう)



どのルートで続ける?
・(杏子/ほむら/さやか/まどか/仁美/マミ)

 下3レス中多数決
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 18:56:39.32 ID:FKup9l3G0
ほむら
このメンバーでは一番その後が想像できない
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 19:29:49.27 ID:qq+IPZDa0
ほむほむ
それより、はようソウルジェムを濁りまくらせようや(ゲス顔)
388 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 20:03:30.41 ID:JiCsVdQ+0
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分岐2 ☆ほむらと恋人ルート☆
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――――
三週目 週末


 休日になると、暁美さんを誘ってパトロールに出ていた。

 どうせ予定もない日だ。魔法少年として精を出す一日があったっていいだろう。

 朝からはじめてもう夕方になろうとしていた。


ほむら「今日は頑張るわね」

貴方「あ、長いこと付き合ってもらっちゃってごめんね。暁美さんは疲れてない?」

ほむら「私は全然。やることがない時に魔女を探しに行くことはよくあるもの」

貴方「それはすごいね……」


 暁美さんはそういう時一人で行ってたんだろう。でも、あまり無茶なことはしないでほしいと思う。

 実力不足とはまったく思えないけど、今は俺の恋人でもあるんだから。


貴方「……」

ほむら「次の場所に回る?」

貴方「あ、うん。回るけど。……ちょっと気になって」

ほむら「なにを……?」

貴方「闇雲に魔女を倒していくだけじゃ、魔女を倒しつくすことが出来ないのかもしれないって」

ほむら「魔女を倒しつくすこと……。それが【貴方】くんの目標だったわね」

貴方「弱音を吐くわけじゃないんだ。次の場所いこっか」


――――
――――
389 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 20:24:58.66 ID:JiCsVdQ+0
――――
16日目 教室



 ――――パトロールの時から気にかかっていた。

 昨日だってかなり回った。これまでも、みんながこんなに色んな場所を回って、それでもまた魔女は現れる。

 それはなぜなんだろうか?


 魔女の生んだ使い魔が魔女になるという話は聞かされている。

 狩り尽くしたつもりでもどこかに芽が残っていて、そこから魔女に成長するケースはあるだろうけど……。


貴方(魔女は人の負の感情を好む……らしい)

貴方(もし、魔女が人々の感情の闇からも自然に生まれるんだとしたら……狩り尽くすことは不可能になる)


 悪い想像をしてしまったが、根拠はない。――――そうだ。考えてみれば俺たちは魔女を倒してるだけで、敵の実態を何も知らないじゃないか。

 こんな状態で魔女を倒しつくして真の平和を手に入れるなんて夢物語だ。


 たとえばこういうものにありがちな悪の組織だとか。元凶を潰さない限りはこの戦いは一生続くんだろう。


貴方(でもどうやって魔女のことを知れば?)


 魔女のことを聞くならキュゥべえだ。あいつなら俺たちよりは詳しいかもしれない。


貴方『おい、キュゥべえ。話があるんだけど』


 テレパシーで呼んでみる。キュゥべえは相変わらず日の当たる場所で寝ていた。

 呼びかけてみると、眼が開いたと思ったが、またすぐに瞼が下がっていった。


貴方『キュゥべえったら、起きてよ。サポートは?』

QB「眠いんだ……寝かせてよ」

貴方『…………』


――――
――――
390 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 22:09:59.65 ID:JiCsVdQ+0
放課後



ほむら「【貴方】くん、今日は?」

貴方「パトロールにいこうかな」

ほむら「……今日も?」

貴方「うん。倒すことももちろん目的なんだけど……少しでも魔女を知るためにはやっぱりパトロールしかないと思って」


 ただ、これまでもパトロールしてきて、もっと長く活動してる巴さんや佐倉さんもいるのに

 今から新しい情報を見つけられることがあるのかとも思う。


貴方「そういえば、暁美さんは魔女が現れる瞬間って見たことある? グリーフシードからじゃなく」

貴方「魔力で察知しづらいからっていうのもあるけど……そもそも、パトロールしててもグリーフシードってほとんど見ることないと思うんだ」

貴方「この街のメンバーは使い魔もちゃんと倒してるし、それなのに変わらないペースで見つかるのっておかしい気がするんだよ」

貴方「……とんでもない妄言だって思うかもしれないけど」


 不思議な話を聞いたような反応……だろうか。急に何を言ってるんだと思われてそうでちょっと怖い。

 でも、暁美さんはちゃんと考えてくれてた。


ほむら「……少し前にはいなかったはずのの場所に、いきなり現れたことならあるわよ」

ほむら「使い魔も植え付けられたグリーフシードも確かになかったわ」

貴方「……! 本当に!?」

ほむら「街に居る魔女がどうやって発生しているのか、というのを調べるのは悪い考えじゃないのかもね」


 暁美さんが賛同してくれたのは心強かった。

 となると、すでにいる魔女は他の人に任せるとして、俺たちが探すのは魔女が『いない』場所だ。

 今までのパトロールとは違う行動だしまったく無意味に終わるかもしれない。けど、新たな方針が出来たのはわずかな希望になった。

391 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/21(日) 22:40:29.88 ID:JiCsVdQ+0


 ――――現時点で魔女がいないものの、居ることの多い場所に張ることにした。

 薄暗い廃墟の中、暁美さんと二人。

 恋人という関係に進展しても、相変わらず口数は少ないままだった。


貴方(というか、暁美さん告白する前とまったく雰囲気変わんないんだよな)

貴方(まだなって三日とはいえ、恋人らしい空気になったことないし……)

貴方(……いや、むしろこっちのほうこそ暁美さんからしたらそういう風に映ってるんじゃねーか!?)


 しかし、こんなことを考えるにはこの場所はムードがなさすぎる。

 そんな時、暁美さんがぽつりと話しはじめた。


ほむら「……今日は珍しくキュゥべえが一度も話しにこなかったわ」

貴方「え? ああ、あいつ……」


 あいつもなんだかんだで暁美さんのことを気にかけていた。

 朝俺がさやかたちと話すようになってからは、キュゥべえは暁美さんとよく話していたはずだ。

 でも今朝は一日中窓辺のほうにいたんだった。で、俺は話しかけても、寝られた。


ほむら「私と深く付き合って話してくれるのって、あなたとキュゥべえくらいだったから」

貴方「明日文句言うか。俺も聞きたいことあったのに。キュゥべえに聞いたら少しはわかることあるんじゃないかって」



 ……それからしばらくボーっとして過ごした。

 もう結構時間が経つが、なにも様子が変わることはない。

 他の場所から使い魔や魔女が近づいて来たりすれば反応でわかるんだ。もしそれ以外でこの場所に現れることがあれば。



貴方「……やっぱり、無駄足だったかな」

ほむら「そうだとしても仕方ないわ」

貴方「まあ、そうだな……」


 明日、キュゥべえやみんなにも話を聞いてみるか。

 今日はもう諦めかかって明日のことを考え始めた時、ソウルジェムが魔力に反応しはじめた。

 ……それは、とても微かな。

392 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/22(月) 00:10:44.63 ID:Pu2jQAVq0


ほむら「この反応、近づいてくる」

貴方「本当だ。まだ小さいけど、段々……」


 微かだった反応は大きくなっていく。これは他の場所から来る魔女の反応だ。どこへいく? ここに来るのか?

 新しいことが知れたわけではないが、こんなふうにやってくるのは初めて見ることだった。

 廃墟の外へと駆けだす。


貴方「迎え打つか!」


 反応を見て進行方向を探り、魔女が動きを止めてからすぐに結界に入る。

 まるで地獄をイメージしたかのような刺々しいだった。

 使い魔を倒しながら道中を進み、魔女のいる深層を目指す。ここまではスムーズだ。


 そうして結界を進んでいくと、重く閉ざされた最後の扉へと手をかけた。


貴方「よし……いっせーので開けるよ」

ほむら「ええ」


 開けた先にあるのは、まさに地獄の最奥にふさわしい部屋。こんな場所に似合いそうな大柄な怪物が魔女だろう。

 大柄な魔女というのもいくつか相手にしてきてる。大体こういうのは、力は強いがのろくて、しぶとい奴が多い。


貴方「まずは使い魔倒す?」

ほむら「私が時間を止めて攻撃すればこのままでも……」


 まだ安全な距離を保って作戦を練っているつもりだった。

 その気になれば暁美さんならどんな距離からでも先手を打ち一瞬で追い詰められる。

 しかし―――そのアドバンテージがこちらだけにあると思い込むのはよくなかった。


貴方(!? いま魔女が消えっ……)


 どこに行ったかわからない。考えている余裕も見回している余裕もない。だが最悪なのは背後だ。

 それでもここは戦闘の場。不意を突かれた状況でも、暁美さんはすぐさま振り向いて盾を持つ腕を上げる。


ほむら「なっ……――――」


 その時、何かが割れた派手な破壊音が腕元から鳴り響く。


 それと同時に感じ取ったのは僅かな魔力の霧散、消滅。

 暁美さんの変身が解けたということだった。

393 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/22(月) 00:14:40.43 ID:Pu2jQAVq0
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今回はここまでよ
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 21:29:59.80 ID:X7pcQo1t0
乙です
いったい何が・・・?
395 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/23(火) 19:06:42.64 ID:HUrNMwxm0


貴方「そんな――!」


 暁美さんはもう戦える状況じゃない。もたもたしていればやられる。

 だったら今やるしかない! 構えも万全じゃないが武器を向けていった。


 魔女の魔法が暁美さんと同じ時間停止だったらと思ったが、時間を止めている間の攻撃や行動をしてこないってことは違うんだろう。

 第一印象は半分は当たってた。瞬間移動以外の普段の動きはのろい。

 瞬間移動からの大振りな攻撃で確実に殺そうとしてくるタイプらしい。それさえ警戒していればいい。動きは思ったよりも単調だ。


 避けられるけど攻撃が当てづらい。それこそ時間さえ止められれば相性が良かったはずなんだろうけど……!


貴方「くそっ……ちょこちょこと逃げやがって!」

ほむら「……引き付けて動作の隙を狙って」

貴方「わ、わかった!」


 そうだ、訓練の時のように動きをよく見るんだ。暁美さんのアドバイスを意識して動く。

 ――ようやく魔女を倒すことができた。



 結界が消滅して、やっとゆっくり暁美さんを見ることができる。

 暁美さんは腕から血を流していた。衝撃に耐えきれなくて盾が割れたんだ。それと同時に――。

 じゃあ、ソウルジェムはどうなったんだ?


貴方「……ない…………これから魔法少女としてどうなるんだ……?」

ほむら「…………」

貴方「でも、盾があったからこれで済んだんだね。よかった……」

ほむら「……そうね」



 とりあえず俺の魔法で傷を治すことはできる。しかし、変身状態で壊され跡形もなくなったソウルジェムは戻らない。

 暁美さんは終始、どこか実感しきれていないような茫然とした様子だった。


――――
――――
396 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/23(火) 19:51:54.20 ID:HUrNMwxm0
――――
17日目 朝



貴方『キュゥべえ、聞きたいことがあるんだ』

貴方『……本当に大事な話があるんだよ! 聞こえてるんだろ!?』


 教室で姿を見つけてからテレパシーで呼びかけてるのに、キュゥべえは今日も窓辺で寝ている。

 今キュゥべえには聞きたいことがいっぱいある。なにより一番は暁美さんのソウルジェムのことだ。

 呼び続けていると、キュゥべえはやっと薄目を開けた。


QB『眠い…………』


 ……寝ぼけた声でそれだけ言ってまた眠ってしまった。


貴方『お、おいっ! 契約者のサポートがお前の役目なんだろ? ちゃんと仕事しろよ……!!』


 いつも暇そうだしちゃんと仕事してるか怪しいと思ってたけど、こんな大事な時にサボるなんて。

 休日は会ってないけど、知ってる限りじゃ昨日からだ。

 何か異常が起きてる? まさか変な病気にでもかかったのか?


貴方(……あいつ、起きたらとびっきり変な言葉でも教えてやるからな。そんでみんなの前で恥かかせてやる)


 いつのまにかいつもの三人が横にいた。

 今日は少し早く来たはずだったけど、もう彼女たちが登校してくる時間になってたらしい。


さやか「【貴方】、おはよ。……どうしたの? なんか険しい顔してない?」


 なんだかみんな、心配してるような顔してた。

 キュゥべえのことは今は諦めて、二人には話をしておくか。志筑さんには悪いけど……。

 さやかと鹿目さんに廊下までついてきてもらった。

397 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/23(火) 20:27:00.10 ID:HUrNMwxm0

まどか「わたしたちだけ呼ぶってことは、魔法少女のことなんだよね?」

さやか「キュゥべえを見てなかった? なんか話してたの?」

貴方「それが、キュゥべえは呼んでもずっと寝ててまともに話せる状態じゃなくてさ……昨日からなんだ」


 基本的にはキュゥべえは学校がある間はずっと学校にいる。

 鹿目さんたちは学校にいるときは誰かと一緒にいることが多いから、キュゥべえともあまり話さないんだろう。

 ……学校にいる時以外はどうだろう? たしかにわざわざ用事がある時っていうのは少ないが…………。


貴方「実は、暁美さんのソウルジェムがなくなったんだ。魔女と戦ってる時に壊されて……」

さやか「……は!?」

まどか「ほむらちゃん、もう魔法少女じゃないの……?」

貴方「魔法は使えないみたいだ。変身さえ」

貴方「こういう時どうすればいいか聞こうと思ってたんだけどさ。……キュゥべえに言ったら予備をくれるかもしれないし」

まどか「予備とかあるの……?」

貴方「いや、知らないけど。でもそうでもなきゃ本当に魔法少女引退になるだろ?」

さやか「あ!そしたら二個目の願い叶えられたりしない!? 壊すたびに願い叶え放題とか!」

貴方「…………」


 さすがにそれはどうかと思った。

 ……でも、たとえそうだったとしても暁美さんからは興味も欲望も感じなくて、叶えたい願いって思い浮かばないとも思う。

 さやかたちに対する敵対心ももう薄まったみたいだし。……そういえば、さやかの暁美さんへの疑念もどうにかならないかな。


貴方「二人に聞こうと思ってたことはもう一つあるんだ。二人は魔女が現れるところって見たことある?」

まどか「現れるって、グリーフシードから?」

貴方「グリーフシードからでも、どこか違う場所からやってくるでも……それ以外でも」

貴方「この街に沸く魔女がどうやってきてるのか調べたほうが闇雲に魔女を倒すよりいいと思うし、そういう意味も込めてさ」

さやか「……もしかして、【貴方】は“それ以外”ってやつを知ってるの?」
398 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/23(火) 21:29:45.05 ID:HUrNMwxm0


 たしかにこれは、“それ以外”がある可能性を考えての質問だった。

 その意図に気づいただけにしては、さやかの顔はいやに真剣だった。


貴方「知らないけど、ないとは言い切れないと思ってるんだ。全部が全部、使い魔から成長するか他の街から来てるとは思えなくて……」

さやか「あたし、昨日見たんだ。なにもなかったとこから急に魔女の結界が現れたの」

さやか「その近くにほむらが居たんだ。でも戦わないでどこかに行っちゃった」

貴方「えっと、ちょっと待てよ……昨日? 暁美さん?」

さやか「最初はもう暗かったし人違いかと思ったんだけど、やっぱほむらだと思うんだ! だって……――!」

さやか「消えたから! そんなのできるのってあいつの時間停止くらいでしょ!」


 魔女が急に現れた話は暁美さんからも聞いてたが、そこで暁美さんの名前が出るとは思ってなかった。

 昨日の夜ならソウルジェムがなくなったから戦えなかったのはわかるけど、時間停止?


貴方「見間違えじゃないのか? それ。暁美さんはもう魔法を使えないのに」

さやか「魔法が使えないのも嘘なんじゃないの?」

貴方「嘘って…… そんな嘘ついてどうするんだよ」

さやか「戦えるなら使い魔だったらまだしも魔女と戦わないのはおかしいし、魔女もあいつが出したって考えたらどう?」

貴方「え……」

さやか「だとしたら、あいつって本当に魔法少女なのかな?」

さやか「キュゥべえが契約した覚えがないって言ってたよね? つながるって思わない?」

まどか「そんな、本当に? でもそう考えれば………… 本当にほむらちゃんが魔女を? 魔法少女じゃなかったら……なに?」

さやか「さあ。魔女の親玉、とかね……」


 俺を置いて勝手に話が進んでいく。

 暁美さんは心を開いてくれた。仲良くなれた。……恋人にもなれた。

 でもまだ暁美さんが語らない部分があるのは事実だ。魔法少女としての暁美さんには多くの謎がある。


 さやかの暁美さんへの疑念は、薄まるどころかより濃くなっていた。


さやか「……【貴方】は誰にでも優しいもんね。ほむらのことも大事に思ってるのはわかってるよ」

さやか「あたしたちと同じくらいに……いや、もっと特別に?」

貴方「……」

さやか「でもほむらのことは信じすぎないほうがいいよ。あたしは……!いや……あたしたちも、【貴方】のことが好きだから」


 …………いつのまにか廊下に人はいなくなってた。

 HRが始まるチャイムが鳴って、教室に戻っていった。

 心の整理が追いつかないまま。


――――
――――
399 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/23(火) 22:00:13.74 ID:HUrNMwxm0
放課後



 朝はギリギリまで廊下で話していて遅れてしまい、先生から怒られてしまった。

 でもまさかあんな話になるとは思ってなかったんだ。今でも考えがまとまらない。

 キュゥべえも一日中寝てる。


 ……本当に暁美さんが魔女の出現と関わってるのか?

 『ほむらのことは信じすぎないほうがいいよ』――さやかの忠告は必死だった。さやかの疑念は俺たちを守ろうとしてのことだ。


ほむら「【貴方】くん……今日は?」

貴方「あ、ああ。そろそろ行くか」

ほむら「……昨日はごめんなさい。これから私はパトロールについて行っても足手まといね」

貴方「い、いや。何も謝ることなんて……」


 暁美さんは落ち込んでいる、ように見える。魔法少女としての力に自信があったから。



1暁美さんに朝のことを聞いてみる
2巴さんに魔女のことを相談しにいく
3佐倉さんに魔女のことを相談しにいく
4自由安価

 下2レス
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 22:07:13.26 ID:BVLzXe3O0
2
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 22:29:24.18 ID:VUgAnin90
3
402 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/23(火) 23:49:10.20 ID:HUrNMwxm0


 今日のところはとりあえず、ベテランにも話を聞きにいったほうがいいかもしれない。

 そうだ、佐倉さんは今日は来てるだろうか。


 校門の方で待ってるかもしれないと思いテレパシーを飛ばしてみると、返事があった。


貴方「今日はちょっとやりたいことがあるんだ。魔女のこと、他の人にも聞きたいから」

ほむら「……ええ」


 暁美さんの意気消沈した顔を見るとやっぱり胸が締め付けられた。

 暁美さんのどこまでが本当でどこまでが嘘なのかはわからない。でも、全部演技なんてできるだろうか。


貴方「おまたせ、佐倉さん」

杏子「なんか話があるって?」

貴方「うん……」



 『魔女が現れる瞬間を見たことがあるか』――佐倉さんにも、みんなにしたのと同じ質問をしてみることにした。



杏子「使い魔の産み落としたグリーフシードが孵る様子ならしょちゅう見たぞ」

杏子「生まれる寸前を狙うと使い魔もいなくて魔女を倒しやすいんだ。……風見野にいた頃の話だけどな」

貴方「こっちじゃどう?」

杏子「全然。これだけの魔法少女がみんなで使い魔倒してれば当たり前だな。その割に本当によく育つ街だよ」

杏子「都会だから魔女が育ちやすいだろうとは思ってたけど、これだけグリーフシードが手に入るならどこも奪い合いなんか起きないだろうね」


 まさか、他の街よりも魔女がいるのは暁美さんのせい?

 佐倉さんは育ちやすいからと理由を挙げたけど、グリーフシードは全然見ないって言った。


 なにより、佐倉さんは魔女が突然自然発生するケースについて言及しなかった。


――――
――――
403 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/24(水) 00:23:23.32 ID:8xbdRGvi0
--------------------
>>402
みんなで使い魔倒してれば当たり前=育たないって言ってるのによく育つって普通に矛盾してるから
「よく出る」とかに脳内置換しといてください

今回はここまで
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 22:35:43.37 ID:EOaB0VqL0
そろそろドロドロの女の闘いが始まるかな?
405 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/27(土) 21:14:08.62 ID:A0siUgHw0
18日目



 ……佐倉さんの話を聞くに、この街は他の街よりも魔女が多いらしい。


 佐倉さんには暁美さんのことは言えなかった。

 不確定な情報で混乱させたくなかったし、なによりそんなことが広まれば暁美さんが不利になるだろうから。


 でも、少なくとも魔女が繁殖せずに発生することがあるというのはほぼ確信していた。


 この前から気になっていた。魔女はどこからくるのかと。

 考えてみればこの街以外でもそうだ。魔女は同系統の使い魔しか生まない。最初に生まれた魔女がいるはずだ。



ほむら「【貴方】くん」


 気付けばもう放課後だ。暁美さんが席に来ていた。


貴方「ああ、暁美さん……もう帰る?」

ほむら「ええ。そうなんだけど」


貴方(まさか、その元凶も…………暁美さんが?)


ほむら「……?」


 たった一人で全ての魔女を生み出してるとは考えにくいけど、前に考えたみたいに組織でもあったとすれば?



1暁美さんは信用できない
2さやかの言ったことはきっと勘違いだ
3もう少し考えてみよう

 下2レス
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 21:22:51.10 ID:8sPD96aN0
3
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 21:36:10.92 ID:+T9d/bUk0
408 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/27(土) 22:27:28.67 ID:A0siUgHw0


 ……いや、疑心暗鬼に駆られちゃ駄目だ。

 魔法少女としての、暁美さんの謎――暁美さんの『正体』が何だったとしても、今まで見てきた暁美さんも『本当』だ。


 そんなに器用な人じゃないのはよく知ってる。そもそも、魔女の自然発生の話を聞いたのは暁美さんが最初だったじゃないか?


貴方「うん、一緒に帰ろうか」

ほむら「……今日はうちに来ない? ……何もなくてつまらないと思うけど」

貴方「そ、そんな気を遣わなくていいよ。誘ってもらえるのは嬉しいよ」


 さっきから何かを言いかけてたってことに今気づいたが、意外な誘いだった。

 暁美さんの家を訪れるのは二度目。前はさやかたちが居た。


ほむら「私もつまらないのよ、一人で家にいても。前だったらパトロールに出ていたけれど今は何もすることがない」

貴方「ああ……何かいい暇つぶしでも見つかればいいね。それか、とりあえずキュゥべえが起きてくれたら聞けるんだけど」

ほむら「キュゥべえ、どうしたのかしらね」


 ソウルジェムを失ってから暁美さんは時間が余っているようだった。

 キュゥべえのことも気になるが、このまま魔法少女としての力が戻ればそれで全て解決になるのだろうか――とも思ってしまう。

 この先、魔女を全て倒した後は? 一生魔法少女としての力に囚われたままというのはあまりに空虚すぎる。

409 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/27(土) 22:40:46.73 ID:A0siUgHw0

貴方「おじゃまします」

ほむら「ええ、とりあえずそこに掛けて」


 家に上がらせてもらうと、第一印象はやはり生活感がない部屋――ってことだった。

 何もないとは言っていたが、謙遜ではなく無駄なものどころか必要なものすらないように見えた。

 だからかわからないが、アパートの一室にしては外観より広く思える。


 円を描くように並んだ椅子。その中央にあるテーブルを挟んで二人で座っている。

 四面を覆う白い壁と、規則的な振り子時計の音にどことなく圧迫感を感じる。


 あの時と違って二人だけで静かな部屋だから余計に気になるんだろうか。


貴方「……この椅子の並びって時計?」

ほむら「多分」

貴方「あ、もしかして時間操作の魔法だから?」

ほむら「……多分」

貴方「そのへんで寝てるの?」

ほむら「ええ……適当に」

貴方「身体痛くならない?」

ほむら「よく転げ落ちるわ」

貴方「……」


 もう少し快適にしようと思えば出来るだろうに、それも興味がないのかな……。

410 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/27(土) 23:09:53.33 ID:A0siUgHw0

貴方「物増やしたりしないの? ……あれ?その箱は?」

ほむら「昨日やることがなくて掃除をしていた時に見つけたの」


 部屋の隅にダンボールが1箱置かれているのを見つけた。

 すでに封は開いているようだった。


貴方「ダンボール? 何か頼んだの?」

ほむら「いえ」

貴方「宅配便じゃないってことは、引っ越しの時のダンボールとか?」

ほむら「……多分」

貴方「……前から思ってたけど、暁美さんって不思議な言い方をするよね。自分のことなのによく『多分』なんて言い方をするから」

ほむら「え……?」


 暁美さんについての『違和感』……それは前まで明確じゃなかったけれど、いつからか自分の中ではっきりとしていた。

 それが『自分のことなのに推測のような言い方をすること』――だった。


貴方「暁美さんに何か聞いても『さあね』なんて言って誤魔化されちゃうこと多いけど、もしかして、さ」


 もしかして俺の推測が全部間違ってて本当に悪いことを隠してるんだったらどうしようって思ったけど、

 自分の見てきた暁美さんへの思いを信じることにした。


貴方「本当に答えられないんじゃない? ……自分でも知らないから」

ほむら「………………」

ほむら「……どうして」

ほむら「…………どうして、そのくらいのことも誰にも相談できなかったのかしらね」
411 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 00:08:21.99 ID:3DbugbAB0

ほむら「気付いたら私はこういう人だったのよ。魔法少女としての力以外、自分と言えるものが何もなかった」

ほむら「それと……『まどか』」

貴方「……鹿目さん?」

ほむら「ええ。『まどかを救う』のが自分の役目だと。それだけ意識にあったの」

ほむら「でも、そんな必要なかったのよ。【貴方】くんも知っての通り」

貴方「ああ……そうだな。鹿目さんは強い人だよ」


 暁美さんはついに心の奥にしまっていたものを話してくれた。


 それなら鹿目さんに執着していたのも、魔法少女としての力以外に自信がないのも無理はない。

 それだけが自分を作るものだったのだから。


ほむら「どうしてまどかを救おうとしていたのか、私も結局わからなかった」

ほむら「あの子のことなんて私は本当はどうでもよかったのでしょうね。友達にもなれなかった」

貴方「今からでも友達にはなれるんじゃない……? ほら、魔法少女じゃなくなったってクラスメイトなんだしさ」


 しかしそれも、暁美さんにその気があるならの話だ。それにさやかのこともある。


ほむら「このことを相談したら、美樹さんもわかってくれるのかしら?」

貴方「……いや、残念だけど、それは無理かもしれないと思う」


 さやかは一昨日の一件から暁美さんを疑ってる。

 今更暁美さんが知らないことを話したところで、嘘をついてると思われてもおかしくない。


貴方「そうだ、一昨日の夜って家に帰ってからどうしてた? 何か変なことはなかった? ……魔女とか見なかった?」

ほむら「外には出ていないわ。変なことは何も」

貴方「……そっか。あと、魔法はやっぱり使えないんだよね?」

ほむら「ええ。ソウルジェムは魔力の源だもの。あれがないと使えないのでしょう」


 じゃあ、あの話は本当に見間違い? 消えたっていうのは?

 謎は謎のままだ。

412 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 00:38:29.26 ID:3DbugbAB0

ほむら「……水も出せてなかったわね」

貴方「本当にそんなに気を遣わなくていいよ」


 ……思ったより話しこんでいたようだ。

 いつのまにか夕方になっている。


貴方「夕食はいつもどうしてるの?」

ほむら「買うか外で食べてるわ。……食べないこともあるけど」

貴方「ちゃんと食べないと駄目だよ! 一緒にどっかいく?」

ほむら「それでもいいわね」


 この辺なら、少し歩けば色々と店はある。

 佐倉さんと一緒に居てせっかく料理屋事情にも多少は詳しくなれたんだ。


 暁美さんの家を出る前に、蓋の開いたダンボールの中身が見えた。


貴方「それって眼鏡? 暁美さん、目悪いの?」

ほむら「いいえ……困ったことはないわ。私も昨日見つけて」

貴方「近眼用じゃないんじゃない? お洒落用とか、ブルーライトカットとか」

ほむら「私はそんなのにこだわる人だったのかしら……」


 暁美さんがケースを手に取る。言ってはみたもののたしかにそういうイメージは思い浮かばない。

 中身は赤縁の眼鏡だ。


貴方「近眼か遠視かわからないけど視力補正用みたいだね。レンズのむこうが歪んでる」


 可愛らしいケースの雰囲気からして、暁美さんのイメージとは離れたものだった。

 ダンボール箱の中には他にも似たような印象の小物類が目についた。


ほむら「どこのお店に行くの? 行きつけとかあるの?」

貴方「ああ、まあ最近気に入った店ならあるかな」


 いつのまにか暁美さんもケースを元の位置に戻している。

 中身は気になったが、ジロジロ見るのもあまりよくない。

 これから行く店のことに思考を移した。


――――
――――
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 07:57:49.64 ID:HD7QHusI0
眼鏡掛けてって頼んだらしてくれるかな?
414 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 19:52:09.09 ID:3DbugbAB0
19日目



 ――朝、教室に行くとなんだか騒がしかった。

 廊下からでも人だかりが出来てるのが見える。

 そこにある席って、たしか……。


*「どうしたの? 暁美さんそれ、イメ……チェン?」

*「それ度が入ってるの?」


貴方(やっぱり暁美さんの席だ……)


 暁美さんはみんなの憧れの的だ。彼女の周りに集まるのはクラスでも積極的で派手目なタイプの人が多かった。

 今も男女問わず集まっているが、聞こえるのはどちらかというと、ざわめきや心配するような声だった。


 ……それをさやかたちは遠巻きに見ていた。


さやか「……なにあれ? アイツいきなりどうしちゃったのさ?」

まどか「ずいぶん雰囲気変わっちゃったね……」

仁美「このイメチェンは予想外でしたわ。【貴方】くんは何かご存知ですか?」

貴方「いや……」


 俺だって予想外だった。

 でも、昨日話した中で思い当たることなら。


貴方(……眼鏡?)

415 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 20:22:18.85 ID:3DbugbAB0


 ――――それから、暁美さんとちゃんと話せたのは昼休みになってからだった。

 半日も経つと、物珍しさで集まっていた生徒もすでに去っていた。


ほむら「【貴方】くん、あの、あの……話してもいいですか?」

貴方「は、はあ。どうぞ?」

ほむら「昨日帰ったあと、試しにこの眼鏡をかけてみたら……記憶が戻ったんですよ!」

ほむら「ついに自分を取り戻せたんです。今なら自分がどんな人かも、どうやって育ったかも、いつ契約したかも……ちゃんと言えます」


 直接話してみると、朝心配されてたのがよくわかるくらいには雰囲気が違った。

 これがなくしていたものを取り戻した、本来の暁美さん。


 ――やっぱ、唐突に言われると困惑のほうが大きかった。

 俺からしたら、今まで見てきたのが暁美さんのイメージだったから。


貴方「……それはよかったけど、そんな感じだったの?」

ほむら「…………」


 そう言うと、暁美さんはおもむろに眼鏡を外した。


ほむら「話そうと思えば今まで通りにも話せるわよ。もうこっちでも慣れたから」

貴方「あ、そうなん……」

ほむら「でも……どっちにしても、そう大きくは変わってなかったのよ。人付き合いが得意じゃないのは元から。暗いのも元から」

ほむら「他の人にはそうは見えないのかもしれないけどね」

貴方「……ところで、眼鏡を外す必要は?」

ほむら「気持ちを切り替える何かが欲しいだけ」


 そう言うと、暁美さんはふたたび眼鏡をつけた。

 視力で困ったことはないと言ってたけど、不思議とつけても外しても過ごせるみたいだ。

416 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 20:54:59.66 ID:3DbugbAB0


貴方「それより、いつ契約したかも思い出したって言ったよね。それについては!?」

ほむら「あ……はい。それは放課後にみなさんの前で言います」

ほむら「私がはっきり事情を言わなかったせいで疑われるようなことになったんです。他の人ともちゃんと話したほうがいいと思って」

ほむら「私も実は、みんなとどう接したらいいかわからなくて……【貴方】くんとはこうやって話せたんですけど……」

貴方「俺と話せたんなら大丈夫だと思うよ? ゆ、勇気持って!」

ほむら「は、はい」


 ……やっぱり慣れないな。

 そう思いながらも、オドオドと自信なさげにしてる暁美さんを元気づけた。


――――
――――



 それから放課後、訓練場所の土手にみんなを呼んで集まった。

 合同訓練は休日にやってたから、平日に集まることはそうそうない。今日は訓練じゃなく話。

 ここに来るまでにもみんな特別な空気は感じ取ってたみたいだ。



 キュゥべえも引っ張って連れてきたけどまだ寝たまま。

 ……いや、引っ張ってというのは正しくない。実際には暁美さんの腕の中ですやすやしてる。正直羨ましい。


貴方「……ここまで運んで来ても、やっぱキュゥべえは寝たままか」

ほむら「でも寝顔見てるとかわいい」

マミ「それで、暁美さんから話があるって聞いたんだけど……今日はどうしたの?その格好は?」

さやか「今日は朝からこうなんですよ。で、何を話すの?」

ほむら「と、とりあえず聞いてください……今まで話せなかった、私のことを」

417 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 21:31:04.88 ID:3DbugbAB0


 暁美さんはまず、俺が昨日聞いた記憶喪失のことと、記憶を取り戻した経緯を話した。

 そして、話は暁美さんの過去のことに入る。


ほむら「小さい頃から身体が弱くて、入院生活ばかりだった私にはなかなか友達ができませんでした」

ほむら「でも魔女に襲われた時、鹿目さんと巴さんに助けてもらって……そこから鹿目さんとも仲良くなれたんです」

ほむら「鹿目さんは、私にとってはじめてできた友達だった。だから大切だった。……今度は自分が助けたいと思った」

まどか「え、えっと……?」

さやか「なんでまどかが知らないのよ!」


 話の途中で割り込まれると、暁美さんは一瞬口ごもり、そして片手で眼鏡を取った。


ほむら「い、いいから話を聞きなさい!」

貴方「ま、まあまあ。先を聞こう」


 オドオドから一変した強気な一喝はなかなかに効いたようだ。……まあ、眼鏡取っただけなんだけど。

 そして、さっきの豹変など何もなかったかのように続けた。


ほむら「……二人はその後、大きな魔女と戦ったせいで死んでしまった。それをなかったことにするためにキュゥべえと契約して過去に戻ったんです」

杏子「なるほどねえ、だからキュゥべえも契約した覚えがないと……。肝心のキュゥべえは寝てるけどな。おーい、話聞いてた?」

QB「きゅ…………?」

マミ「いつからこんな寝坊助さんになってしまったのかしら。うちにもほとんど顔を見せなくなったし……」

さやか「まあでも、ちゃんとキュゥべえと契約して魔法少女になったっていうのね」

マミ「それで、大きな魔女っていうのはどんなものなの? 私と鹿目さんでやられるくらいだし、対策が必要になるかもしれないわよ」

ほむら「たしか、ワルプルギスの夜――って聞いたような」

杏子「来んのかよ! いつ?」

ほむら「で、でもそれってずっと前のはずなので……多分もう大丈夫なんだと思います」

マミ「時間を戻ったらワルプルギスの夜がくることもなかったことになったのかしら?」

ほむら「多分……」

杏子「そりゃよかった。最悪死ぬかもしれない相手とやりあいたくなんてないよ。まあ、その時と違ってこんだけの人数がいれば勝てそうだけど」


 話に出てこなかった人がいたのは気になったが、その過去自体がずっと前の話のようだ。

 すでに過ぎ去った危機と考えてもいいんだろうか。

418 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 21:58:45.66 ID:3DbugbAB0


貴方「それでその話って終わり?」

ほむら「はい。これ以上はとくにないですけど……」

貴方「そっか。ありがとう。じゃあ、時間を戻ったときに記憶が飛んじゃったのかな……?」

マミ「時間と一緒に自分の記憶も戻される……そのせいで記憶に混乱が起きたとか?」

まどか「ワルプルギスの夜さんがこなくなったのはいいけど、あんまり意味ないね……。むしろマイナスかも」

杏子「ちょっとキュゥべえ」

QB「むにゅ……」


 佐倉さんがキュゥべえを突っつくがほぼ無反応だ。


まどか「ま、まあ……なんだか急すぎてびっくりしたけど、今のほむらちゃんならちょっと親近感湧くかも」

ほむら「…………」


 鹿目さんはそう言ったが、暁美さんはどうしたらいいかわからなさそうにしてた。

 ……時間を戻る前と違ってこれまでのことがあるんだから、当然だろうか。


 そういえば、いつのまにか呼び方も変わってる。他の人に対する時と同じ、苗字呼びだ。


さやか「……あたしもアンタのことあからさまに疑いすぎてたよ。その話、忘れてることくらいちゃんと話してくれればよかったのに」

ほむら「ご、ごめんなさい。きっと私が臆病だから変な意地を張ってたんです」

さやか「今ならともかく、前の姿見て臆病なんてイメージ出てこないわよ!」


 ……と言いつつも、さやかはまだ何かを考えるようにしてた。


 暁美さんの話は終わったが、まだ解散するには早い時間だ。

 せっかくみんな揃ってるんだから訓練でもするか?


1みんなと訓練
2さやかと話す
3ほむらと帰る
4自由安価

 下2レス
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 22:09:28.18 ID:zcYksC6x0
2
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 02:11:50.64 ID:CGmQTY1N0
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