シン・エヴァ もう一つの終わり

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24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:12:57.82 ID:YgtehLUf0
シンジ「綾波、代わるよ」

レイ「うん」

 シートを立つレイ

 シートに滑り込むシンジ

シンジ「すごいな……本当に初号機そのまんまだ」

 左側にせり出し式の小さな補助席を出し、そこに座るレイ

 インダクションレバーを握り、目を閉じるシンジ

 プラグの内面モニタが何度か極彩色に明滅して外の風景が現れ、シンクロ状態になる。

 プラグ内が低い作動音で満たされる

シンジ「つっ!……」

 思わず顔をしかめて右手をひっこめるシンジ

レイ「大丈夫?」

シンジ「うん……なんとか……」

 苦笑するシンジ

シンジ「すごいね、綾波。よく我慢したね」

 微笑むレイ

 迷路の表示画面、輝度最強のエリアを囲むように白い円形のカーソルが現れる

 同じ画面の離れた場所に現在地を示す赤いカーソルが現れ、2地点を

結ぶジグザグの経路が何通りか描き出される

 内面モニタに映る外の風景に方角表示が重なる

シンジ「行こう」

レイ「うん」

 起き上がる初号機

 右手で剣を拾い上げ、暗がりに向かって歩き出す

 小走りになり、やがて全力で走り出す

  :
  :


25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:13:50.78 ID:YgtehLUf0
=== 第三村 ===

 広場を慌ただしくゆきかう人々

 一隅でクレーディトのマークをつけた数人と、トウジほか村の大人たち数人が話し込んでいる

 南の空を振り仰ぎ、眉をひそめるトウジ

 極彩色の模様が地平近くの低い空にかすかにはためいている

  :
  :

===ゴルゴダ・オブジェクト内部===

 何かを探すように歩いている初号機

 通路の一隅で立ち止まる

 プラグ内、インダクションレバーを握ってシートについているシンジ

 左隣の補助席で同じく前方を見つめているレイ

 プラグ内壁モニタに映し出されるおぼろな迷路

 最大輝度の領域のすぐ近くに現在位置を示すカーソルが明滅している

 壁に手をあてて調べている初号機

 少し下がって勢いをつけ、足の裏で蹴りつける

 轟音とともに分厚い壁面が四角く抜けて前方へ倒れ、

 その向こうに広い暗がりが現れる

 プラグ内、眼下に広がる空間に目を凝らすシンジとレイ

 開口部の縁に進み出る初号機

 足元から先は急な下り坂になっている

 小石がいくつか斜面を転がり落ちていく

 高い天井 巨大なすり鉢状の空間

 地表は荒れ果てた岩肌のよう

 丸い天井は暗く、星のような無数の弱々しい光点が音もなく瞬いている

 プラグ内、画面の輝度が切り替わり、明るく細部が見えるようになる

 すり鉢状の地面の中央は盛り上がり、頂部が平らな丘をなしている。

 別ウィンドウが開き、視野の一部がズームアップされる

 中央丘の頂部には、五つの巨大な十字架が不ぞろいに立っている

 目を見張るシンジとレイ

シンジ「きっとあそこだ」

レイ「うん」

 眼下を見ると、先ほどの壁面材が土煙を上げて転がり落ちていく
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:14:33.40 ID:YgtehLUf0

 かかとを滑らせるようにして坂を下りはじめる初号機

 やがて傾斜が緩やかになる

 さきほどの壁面材が横たわっている

 丘に向かって走りだす初号機

 中央の十字架にだけ、白い巨大な人型が磔になっているのが見えてくる

シンジ「あれだ!」

 丘の斜面を登り始める初号機

 しだいにきつくなる傾斜

 傾斜に隠れていったん見えなくなった白い巨人の姿が、丘の縁からふたたび見え始める

 うなだれた頭部には仮面がはまっている

 以前、ネルフ本部の地下でミサトに見せられたリリスに酷似している

シンジ「まただ……これも僕のイメージなのか?」

 丘の頂部は平地になっている

 その端に立ち上がる初号機

 エヴァが歩くのにちょうどいい広さの石畳の道が白い巨人の十字架の

ほうへ続いている

 AAから託された剣を握りなおす初号機

 プラグ内、インダクションレバーを握ったまま、正面を見据えているシンジ

 何かをためらう表情

レイ「どうしたの」

シンジ「僕は……僕にはマリさんを責める資格がないんだ」

 シンジの横顔を見るレイ

シンジ「あのとき……綾波を助けてなかったとわかって――」

(回想)

   アヤナミレイ(仮)のうつろなまなざし

   壁に投げつけられるヘッドフォンステレオ

シンジ「やりなおしたいって思ったんだ」

   プラグスーツの圧着スイッチを押すカヲルとシンジの後ろ姿

シンジ「これでやりなおせる……カヲル君といっしょにネルフ本部の地下に

    おりたとき……そのことで頭がいっぱいだった」

   ネルフ本部の地下

   無数のしゃれこうべに埋め尽くされた穴の底に立つ第13号機
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:15:27.62 ID:YgtehLUf0

シンジ「そうするつもりだったんだ。そうすれば、ミサトさんや、アスカや――」

   傍らのレイを見る

シンジ「――綾波を助けられると思って。でも――」

   2本の槍を握って浮かぶ覚醒した第13号機のシルエット

   空に広がっていく同心円状の極彩色のパターン

シンジ「僕は、もう少しでみんなを……」

 顔をそむけるシンジ

シンジ「きょうだってそうだ。綾波が来てくれなかったら、今頃――」

 その横顔を見ているレイ

 右手をのばし、シンジの左の頬にそっと触れる

 びくりと身を縮めるシンジ

レイ「碇くんは、悪くない」

 目を開くシンジ

 レイを見るシンジ

レイ「悪くない」

 寂しげに笑うシンジ

シンジ「ありがとう、綾波」

 頬に触れるレイの手に自分の手を重ねるシンジ

 シンジの顔を見るレイ

 正面に向き直るシンジ

 インダクションレバーを握りなおす

シンジ「終わらせよう」

レイ「うん」

マリの声『待ちな、わんこくん!』

シンジ「えっ!?」

 振り返るシンジとレイ

 振り返る初号機

 初号機の下方、いま登ってきた崖の中腹に8号機が立っている

 頭の半分と左腕を失い、あちこち装甲が脱落して血まみれ姿

 右手に先ほどの槍を携えている

 8号機プラグ内、肩で息をしているマリ

マリ「やらせるわけにはいかない」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:16:23.91 ID:YgtehLUf0

 眼鏡の片方のレンズの縁にひびが入っている

マリ「悪く思わないでよ……ね!」

 予備動作もなく初号機に槍を放つ8号機

 思わず正面に左手を突き出す初号機

 展開されるA.T.フィールドの輝き

 フィールドがガラスのように砕け散り、槍が、かばう左腕もろとも初号機の頭部を吹き飛ばす

 激しく揺れる初号機プラグ内

シンジ「うわあああ!」

レイ「きゃあああ!」

 悲鳴を上げるシンジとレイ

 内壁モニタがバチバチと閃光を放って消える

 ブラックアウトするプラグ内

 広間の反対側の壁に突き刺さる槍

 貫かれた初号機の腕と頭部がぶら下がって揺れる

 どうと地面に倒れる初号機

 崖の最後の傾斜を這うように登り、その縁に手をかけて停止する8号機

 頸のカバーが開き、エントリープラグが半ばせり出す

 プラグから這い出し、8号機の肩を伝って丘の頂部に降り立つ制服姿のマリ

 初号機の残骸の横をすり抜け、リリスのほうへ走っていくマリ

 リリスの十字架の根元に台座を成す神殿のような建物があり、入り口が黒々と開いている

 その前に立ち、リリスを見上げるマリ

マリ「またこいつか……ん?」

 リリスの仮面がゆっくりとはがれ始める

マリ「あっ!」

 あわてて後退するマリ

 仮面が糸を引きながら顔からはがれ、轟音とともにマリがいた場所に落下する

 恐ろしげに仮面を見つめているマリ

 おそるおそるリリスの顔を見上げる

マリ「ん?」

 目をすがめる

 仮面の下から現れたのっぺりとした顔が、次第に人の顔のような凹凸をなしていく

 同時に、だぶついていた体の線が引き締まっていく
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:17:42.85 ID:YgtehLUf0

 呆然と見守るマリ

  :
  :

 マリのはるか後方、初号機の頸部から半ばせり出したエントリープラグ

 側面ハッチが蹴破られ、シンジとレイが助け合いながら這い出してくる

 立ち上がってリリスのほうを見上げ、息をのむ

シンジ「あれは……」

 中央の十字架に両掌を打ち付けられているリリス

 その顔立ちが次第に女性の顔立ちとなり、長い髪が形作られていく

シンジ「人間……マリ……さん?」

 リリスが、目を閉じ、首をうなだれた巨大なマリの姿になっていく

  :
  :

 呆然とリリスの顔を見上げているマリ

マリ「何これ……どういうこと……」

 首を振るマリ

マリ「ううん、こんな手に乗るか!」

 建物の入り口に走るマリ

  :
  :


=== 神殿のような建物内 ===

 息を切らして入ってくるマリ

 高い天井の広間

 内面のすべてが古びた石造り

 正面の石壁、翼を広げた始祖鳥の化石のような巨大な紋様

 よくみると背中から6対の翼を広げたヒトの姿

マリ「ハァ……ハァ……ここか……『天使の間』!」

 首元からペンダントを取り出すマリ

 円形のペンダントの縁を親指で抑えると二枚貝のように開く

 中に金色の指輪が収められている

 指を差し込む面に複雑な紋様が刻まれている

 それをそっと摘まみ上げるマリ

 再び前方の天使の像を見上げるマリ
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:19:09.82 ID:YgtehLUf0

マリ「文書のとおりだ……あそこに、これを収めるところが――」

 ふと、足元に視線を移すマリ

 広いフロアの一面に、石造りの細長い箱が並んでいる

 蓋のない小さな棺のように見える

 立ち尽くし、あたりを見回すマリ

 眉をひそめる

マリ「私……ここ、知ってる?……どうして?」ハッ

 部屋の向こう、いま入ってきたのとは別の入り口の暗がりで光が揺れ、足音が近づいてくる

 やがて、背の低い人影が歩み入る

 人物の背景は半ば透けており、かすかに光にふちどられている

マリ「ホログラム?」

 防寒着を着込み、ときおり白い息を吐いている短躯の男性

 懐中電灯であたりを照らしながら見回している

男性『何ということだ……』

マリ「!」

 声を聴き、体をこわばらせるマリ

マリ「……え?」

 あたりを見回している男性

 光の加減で男性の顔が一瞬浮かび上がる

 息をのむマリ

マリ「お父さん……」

ゲンドウの声『そうだ』

マリ「!」

 さっと振り返るマリ

 ゲンドウとユイが立っている

 男性と同様、背景が透けて見え、かすかに光に縁どられている

ゲンドウ『きみの父君……そしてこの調査隊の隊長、真希波博士だ』

マリ「!」

 ぎこちなく男性のいるほうを振り返るマリ

マリ「お父さんが……ここへ?……」

 マリたちに気づく様子もなく探索を続けている真希波博士

 ふと、動きを止める博士
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:20:18.65 ID:YgtehLUf0

 目の前の棺を恐る恐るのぞき込み、息をのむ

 顔を上げる博士

真希波博士『誰か! おおーい!!』

調査員の声『はい、先生!』

 暗がりに反響する別の男性の声

 靴音の響きに続いて懐中電灯の光が現れる

調査員『どうしたんです?……あっ――』

 博士の前の棺を覗き込み声を失う

 自分の防寒着を脱ぎ始める真希波博士

真希波博士『予備の防寒着をたのむ! それとカイロを……早く!』

調査員『は、はい!』

 走り去る調査員

 身をかがめて棺の底に両手を差し伸べ、今脱いだ防寒着に包んだ何かを持ち上げる

マリ「!」

 博士の腕に、防寒着にくるまれた幼女が抱かれている

 まだ1歳くらい、純白のワンピースのような服

 すやすやと眠っている

マリ「なにこれ……何なの、ここは――」

ゲンドウ「君が保護された場所だ」

マリ「!」

ゲンドウ「真希波博士は、ここで君を見つけた」

マリ「ちがう! 私は――」

ゲンドウ「ユーロのとある孤児院で真希波博士に引き取られ、養子となった。そういうことになっている」

マリ「うそだ……」

ゲンドウ「ここをだれが、何のために作ったのか、今でもわからない」

調査員『博士! 持ってきました』

 幼女を調査員に預け、震えながら予備の防寒服を着込む真希波博士

 周囲を見回す調査員

調査員『なんてことだ……これが全部そうですか?』

真希波博士『ああ。しかし、息があるのは、この子だけのようだ』

 幼女が収められていた棺の隣

 別の棺の底に小さな骸が横たわっている
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:44:21.14 ID:YgtehLUf0

 同様に骸を収めた棺が一面に並べられたフロアの俯瞰

ゲンドウ「彼らは、後に真希波タイプと呼ばれるようになった。君はその生き残りだ。

     君が外典の記述に素晴らしい洞察を働かせることができたのは、恐らく偶然ではない」 

 眠っている幼女の顔を覗き込んでいる博士

ゲンドウ「君は委員会を……ゼーレを利用した。しかし、彼らもまた、君の力を利用していたのだ。

     いや、君自身が運命の一部だった」

 唇を震わせて目を見開いているマリ

ゲンドウ「ネオンジェネシスは、存在しない」

マリ「存在……しない?」

ゲンドウ「君がここへ来るには、それが必要だった。それだけのことだ」

 言葉を失うマリ

ゲンドウ「人類の補完を行うか否か。選択肢は初めからそれしかなかった。そして――」

 部屋を出ていく真希波博士と調査員

ゲンドウ「ここが、最後の選択がなされる場所……君が帰ることを運命づけられた場所だ」

マリ「存在しない……」

 力なく床に座り込むマリ

 手のひらに指輪が載っている

(回想)

   冬月「人には“希望”という光が与えられている」

   2番艦のブリッジに立つ冬月

   その後ろ姿を見ているマリ

 声を震わせるマリ

マリ「存在……しない……」

   冬月「だが希望という病にすがり、溺れるのも人の常だ」

 石棺の並ぶ床を見回すマリ

   マリ「人類全てを巻き添えにするのは御免こうむりたいにゃ」

マリ「同じだったんだ……私も……」

 すがるような目でユイを見上げるマリ

マリ「ユイさん……」

 涙を浮かべて問いかけるマリ

マリ「どうしたら……私は……私はどうしたらいい? ユイさん!」

 寂しげな笑みを浮かべてマリの前に膝をつくユイ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:45:04.34 ID:YgtehLUf0

 同様に骸を収めた棺が一面に並べられたフロアの俯瞰

ゲンドウ「彼らは、後に真希波タイプと呼ばれるようになった。君はその生き残りだ。

     君が外典の記述に素晴らしい洞察を働かせることができたのは、恐らく偶然ではない」 

 眠っている幼女の顔を覗き込んでいる博士

ゲンドウ「君は委員会を……ゼーレを利用した。しかし、彼らもまた、君の力を利用していたのだ。

     いや、君自身が運命の一部だった」

 唇を震わせて目を見開いているマリ

ゲンドウ「ネオンジェネシスは、存在しない」

マリ「存在……しない?」

ゲンドウ「君がここへ来るには、それが必要だった。それだけのことだ」

 言葉を失うマリ

ゲンドウ「人類の補完を行うか否か。選択肢は初めからそれしかなかった。そして――」

 部屋を出ていく真希波博士と調査員

ゲンドウ「ここが、最後の選択がなされる場所……君が帰ることを運命づけられた場所だ」

マリ「存在しない……」

 力なく床に座り込むマリ

 手のひらに指輪が載っている

(回想)

   冬月「人には“希望”という光が与えられている」

   2番艦のブリッジに立つ冬月

   その後ろ姿を見ているマリ

 声を震わせるマリ

マリ「存在……しない……」

   冬月「だが希望という病にすがり、溺れるのも人の常だ」

 石棺の並ぶ床を見回すマリ

   マリ「人類全てを巻き添えにするのは御免こうむりたいにゃ」

マリ「同じだったんだ……私も……」

 すがるような目でユイを見上げるマリ

マリ「ユイさん……」

 涙を浮かべて問いかけるマリ

マリ「どうしたら……私は……私はどうしたらいい? ユイさん!」

 寂しげな笑みを浮かべてマリの前に膝をつくユイ
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:46:34.59 ID:YgtehLUf0

 額にかかった前髪をそっとかき上げてやる

ユイ「あなたはもう、答えを知っているはずよ、真希波さん」

  :
  :

=== リリスの前 ===

 息を切らせて石畳を走るシンジとレイ

シンジ「あそこだ! マリさんが入っていった――」

 《神殿》の入り口が大きくなってくる

シンジ「どうしよう……マリさんを止めないと!」

 ふと眉をひそめるシンジ

 建物の入り口に人影が現れるのを見て歩度を緩める

 声を潜めるシンジ

シンジ「誰か来る!」

 薄明りのもとに歩み出るゲンドウ

シンジ「父さん……母さん!」

 ゲンドウの後方、神殿の入り口に立つユイ

 その傍ら、入り口の柱材に身を預けてかろうじて立っているマリ

シンジ「マリさん……」

 シンジの前に立つゲンドウ

ゲンドウ「よく来たな、シンジ」

シンジ「リツコさんが……みんなが助けてくれたんだ」

ゲンドウ「そうか」

 口元に、かすかに誇らしげな笑みを浮かべるゲンドウ

ゲンドウ「時間がない。これが最後だ」

 マリのほうをみるゲンドウ

 シンジたちに気づき、視線を上げるマリ

マリ「シンジくん……」

 こちらを見ているシンジとレイ

ユイ「さあ、真希波さん」

 ユイの顔を見るマリ

 微笑んでいるユイ

 あきらめたようにかすかにうなずき、ユイの手のひらに指輪を預ける

35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:47:08.28 ID:YgtehLUf0
 シンジたちのほうに歩いてくるユイ

ユイ「シンジ、これを」

 指輪を差し出すユイ

 その手を見つめるシンジ

 唇を引き結ぶ

シンジ「うん」

 指輪を受け取り、握り締めるシンジ

 ユイの目を見上げるシンジ

 うなずくユイ

 背後を振り返るシンジ

 首のない初号機が横たわっている

 初号機に向き直るシンジ

 重々しい音とともに、初号機が身を縮め、起き上がろうとする

 そちらへ歩き始めるシンジ

 続くレイ

 身を起こし、傍らに転がっていた剣に手を伸ばす初号機

 膝を立て、シンジたちの前に剣の基部を差し出す初号機

 歩み寄り、樋の基部、中心線近く、使徒が崩壊した際に現れる光の十字架の

 ような紋様の中心のくぼみに指輪をはめ込むシンジ

 紋様の複雑な溝部が輝き始める

 立ち上がる初号機

 初号機の足元で、リリスのほうに向きなおるシンジ

 右腕をまっすぐ前に伸ばすシンジ

 少し遅れてその動きをなぞり、剣を握った右腕を正面に伸ばす首のない初号機

 剣先がマリの姿をしたリリスの額にぴたりと据えられる

 ふと《神殿》の入り口に目をやるシンジ

 座り込み、両腕を地面について体を支え、泣き出しそうな表情で

 何か言いたげにその様子を見ているマリ

 少し後ろめたそうな表情を浮かべるシンジ

 その横顔を見ているレイ

 シンジに歩み寄り、右腕に手を添える

レイ「碇くんだけで、背負わなくてもいい」

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:47:41.66 ID:YgtehLUf0
シンジ「綾波……」

 シンジの右に寄り添うレイ

レイ「私も、いっしょにする」

 左手で、シンジの右手を手のひらから包み込むように握る

レイ「碇くんが背負っているものを、半分、引き受ける」

 レイの横顔を見るシンジ

レイ「14年前、碇くんがエヴァ初号機に乗らなかったら……私が乗っていたら……だから――」

 微笑むシンジ

シンジ「ありがとう、綾波」

 リリスに向き直るシンジとレイ

 初号機が掲げる剣が輝き出す

 剣の根本から光の筋が伸びあがり、初号機の右手を包むように幾重もの結び目を描き出す

 たがいの腕を頭上に振り上げるシンジとレイ

 それにならい、頭上に剣を振り上げる初号機

  :
  :


37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:48:26.08 ID:YgtehLUf0
=== 丘の広間の入り口 ===

 広間の斜面上、初号機が開けた穴の縁に立つ満身創痍の12号機

 あちこちの装甲がはがれ、ほぐれた筋繊維のようなものがところどころではみ出している

 その掌に乗る3人のAA

 手をひさしのように目の上にかざし、見晴るかすAA1

AA1「あちゃー、もう始まってる!?」

AA2「ほんとだ! 急がないと!」

 斜面を下り始める12号機

 丘の上、リリスの前で剣を振り上げて立つ首のない初号機の後ろ姿が見える

AA3「ねえ、なんか、ケーキ入刀って感じ?」

 揺られながら、12号機の顔を見上げ、楽しげに言うAA3

AA4の声『馬鹿言ってないで、しっかりつかまって!』

  :
  :

=== リリスの前 ===

 すっと腕を振り下ろすシンジとレイ

 初号機の輝く剣が振り下ろされ、先端がリリスの顔の正中線をかすめる

 正中線に細い光の筋が残る

 筋が輝きを増し始めた次の瞬間、強烈な輝きを放つ

シンジ「うっ!」

 思わず顔をかばうシンジとレイ

 まばゆい光を全身に浴び、初号機の装甲が蒸発するよう後方に尾を引きながら失われていく

 黒ずんだ素体だけになった初号機が、轟音とともに仰向けに倒れこみ動かなくなる

 リリスの外皮が正中線から水風船のように内破し、L.C.Lと化して四散する

 一同の頭上から降り注ぐL.C.Lの雨

 髪や衣類の裾からL.C.Lを滴らせながら立ち尽くすシンジとレイ

 L.C.Lの雨が小降りになり、やがて収まる

 《神殿》の入り口に歩み寄るシンジ

シンジ「これで……本当に終わったんだね」

ゲンドウ「ああ」

 足元でL.C.Lが小さな川となり、地面のくぼみを縫って流れていく

 と、低い地鳴りが始まる

 あたりを見回すシンジとレイ

  :
  :

38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:49:12.75 ID:YgtehLUf0
=== 丘の広間 俯瞰 ===

 地鳴りとともに、天井や壁面から細かな砂埃が落ち始める

 斜面から小石がいくつか転がり落ちる

  :
  :

===《神殿》の入り口 ===

 シンジとレイを見下ろすゲンドウ

ゲンドウ「行け、シンジ、レイ。ここはもう終わりだ」

シンジ「父さん……」

 次第に大きくなる地鳴り

 倒れたまま動かない初号機を振り返るシンジ

シンジ「でも……どうしよう――」

AAの声『ヘイカノジョ! 乗ってかなーい?』

シンジ「!」

 崖の縁から姿を現す12号機の巨体

 差し出した左手のひらに乗る3人のAAたち

 AA1が快活に手を振っている

ユイ「シンジ」

シンジ「母さん……」

ユイ「真希波さんを」

 力なく座り込んでいるマリ

 うなずくシンジ

 歩み寄るシンジ

シンジ「マリさん」

マリ「行って、シンジくん。いまさら、どの面さげて出て行けって言うの……」

シンジの顔を見ようとせず、力なく首を振る

マリ「どんな顔して、アスカに会えって――」

ユイ「真希波さん」

 マリの手を握るユイ

ユイ「生きて、真希波マリさん」

 首を振っているマリ

ユイ「生きて。そして、すべてを見届けて。これからのこと、全部。私たちの代わりに」

 すすり泣いているマリ
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:49:45.61 ID:YgtehLUf0

ユイ「あの子の――式波さんのことも」

 ユイの顔を見上げるマリ

 微笑むユイ

 ずり落ちたマリの眼鏡をそっと直してやる

 かがんでマリに手を差しのべるシンジとレイ

シンジ「さあ、行こう。マリさん」

 観念したようにうつむき、右手を差し出すマリ

マリ「うん……行こう」

 その手を握るシンジ

 立ち上がろうと身をかがめるマリ

 その左手を握り、力を貸すレイ

 振り返るシンジ

シンジ「さようなら。父さん、母さん」

ゲンドウ『さらばだ、シンジ』

 輝き、薄らいでいくゲンドウとユイ

 息をのむシンジ

シンジ「父さん!」

 次第に薄らぎ、光の粒子となって消える

シンジ「ありがとう……父さん、母さん」

 光の名残を見て立ちつくすシンジ、レイ、マリ

AA1の声「おーい! いそいでいそいで!」

 声のほうを見るシンジたち

 AA1がメガホンのように口に手を添え、こちらに手を振っている

 その向こう、12号機がひざまずき、初号機の素体からエントリープラグを引き出している

 その様子をAAたちが見あげている

 駆け寄るシンジたち

 自ら首のエントリープラグを引き抜いて地面に横たえる12号機

 引き抜かれたプラグのハッチからAA4が這い出して来る

シンジ「何やってるの?」

 立ち上がるAA4

 スカートのほこりを払うしぐさ

 親指で後方を指す
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:50:29.40 ID:YgtehLUf0

AA4「だってあれがないと、出口、わかんないでしょ?」

 12号機が初号機のエントリープラグを自らの首元に射し込もうとしている

 きょとんとするシンジ

 レイに伴われて追いついてくるマリ

 集まってくるAAたち

AA4「さ、乗った乗った! 帰りは頼んだよ、碇くん」

 シンジの肩をぽんぽんと叩くAA4

 12号機が身をかがめ、一同の前に左手を差し出す

  :
  :


41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:50:59.85 ID:YgtehLUf0
 斜面を駆け降りていく12号機の後ろ姿

 絶え間なく続く地鳴り

 天井から落ちてくる大小の瓦礫

 突如、12号機の近くの地面が敗れ、白い噴気があがる

 すり鉢状の地形のあちこちから噴気が上がり始める 

  :
  :

 丘の縁、その姿を見守っているゲンドウとユイ

 緑色の輝きに縁どられている

 後ろから歩いてきた別の人影が、二人の傍らに立つ

 振り返るゲンドウとユイ

 同様に輝きをまとった、防寒着姿の真希波博士が立っている

ゲンドウ「お久しぶりです、真希波博士。いや――」

 博士を見下ろしているゲンドウ

ゲンドウ「――議長」

博士「うん?」

 ゲンドウを見上げる真希波博士

 いつのまにかバイザーをかけている

博士「ああ、真希波というのは母方の名でな、いや失敬」

 黒装束をまとい、伸びた白髪を肩から垂らしている

議長「私は夢を……長い夢を見ていたような気がする」

ゲンドウ「そうかもしれません」

 議長がいた場所に赤い紋様が光る黒い石板が浮かんでいる

ゲンドウ「結局、我々が理想とした結末は、どれひとつとしてかないませんでしたな」

真希波博士「そのようだな」

 また優しい目をした防寒着姿の男性が立っている

ユイ「あとは……彼らが決めることです」

真希波博士「そのとおりだ」

 顔をほころばせる真希波博士

真希波博士「よい。全ては、これでよい」

 砂埃を上げながら小さくなっていく12号機の後ろ姿を見送っている3人の人影

   :
   : 
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:51:35.21 ID:YgtehLUf0
=== ゴルゴタ・オブジェクト内の通路 ===

 暗い通路を走る12号機

 エントリープラグ内

 インダクションレバーを握り、モニタの一隅のマップ表示を

 目で時折たしかめながらエヴァを駆るシンジ

 内部は両側の補助席に着くレイ、マリ、その後ろから肩越しに身を乗り出して

いる4人のAAですし詰め状態

 絶え間なく響く地鳴り、降り注ぐ大小の瓦礫

 突然、12号機の足元の床が崩れ、深い穴が口を開く

 滑り落ちる12号機

AA1「きゃあああ!!」

 大きく揺さぶられるエントリープラグ内

 伸ばした手がかろうじて穴の縁をつかみ、ぶら下がる12号機

 プラグ内、ひっくり返っている面々

シンジ「いてて……」

AA1「痛ったーい……」

 口々に不満をもらすAAたち

 シンジの前に仰向けにひっくり返っているAA1

 はっとシンジの顔を見てスカートのすそを抑える

 シンジを指さして、

AA1「あー!パンツ見たなあ!」

シンジ「み、見てないよ!」

 もがいているAAたち

 右の補助シートを見るシンジ

シンジ「大丈夫? マリさん」

マリ「えっ?」

 額を押さえて顔をしかめているマリ

マリ「うん、なんとかね」

 ごそごそと定位置に戻ろうとするAAたちを見るマリ

AA1「……なに?」

マリ「たくましいね、君たち」

 顔を見合わせるAAたち

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:52:14.05 ID:YgtehLUf0
AA1「あったりまえでしょ?」

 にっと笑うAA1

AA1「呪わしきセカンドインパクト後のうまれですから」

 きょとんとし、苦笑するマリ

 穴の縁に這い上がり、また駆け出す12号機

  :
  :

=== ゴルゴダ・オブジェクト外観 ===

 濁った色とりどりの曇に覆われた空間

 紋様が刻まれた石板のようなもので埋め尽くされた壁

 その一角、何度かくぐもった衝撃音に続いて壁面の一部が

 外に向かって吹き飛び、巨大な足が蹴り出される

 身を乗り出す12号機

  :

 プラグ内

 暗い壁にぽっかり空いた四角い穴から空が見えている

 一同の顔がぱっと明るくなる

AA1「やった! 出口だー!!」

 レイのうしろ、こぶしを突き上げるAA1

  :

 オブジェクト外観
 
 薄明るい空を背景にゆっくりと回転する巨大な十字架

 その壁面の一隅にぽつんと黒い開口部が見える

 ときどき外壁が震動し、大小の瓦礫が周囲に散らばっていく

  :

 プラグ内

AA1「どっちに飛び出せばいいの」

 マップ画面、構造物の周囲をめぐるように緑色の輝点がゆっくりと回転している

 圏界面を表す文字表示

 それを指さすシンジ

シンジ「あっちだ!!」

 内壁モニタの映像、オブジェクトの自転に伴い、背景の雲が移ろってゆく

 いったん通路の奥へ後ずさる12号機
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:52:53.08 ID:YgtehLUf0

 頸部のカバーが開き、シンジたちが乗ったエントリープラグがシュッとせり出す

 それをつかみだす12号機

 また揺れるプラグ内

AA1「うわあ〜!」

シンジ「しっかりつかまって!」

 輝点がマップ上で正面にまわってくるタイミングを計るシンジ

シンジ「3……2……1……いまだ!」

 インダクションレバーを勢いよく押し込むシンジ

 軽やかに助走をつけ、外壁の縁でプラグを投擲する12号機

 長軸まわりをゆっくりスピンしながら、灰色の空間を矢のように

 切り裂いていくエントリープラグ

 プラグを投げたあと、糸が切れた操り人形ように力なく外壁の縁にくずれおち、

 そのまま外に落下していく12号機

 極彩色の竪穴を突き進むエントリープラグ

 上昇していくプラグの上方に、赤紫に波打つ水面のようなものが迫ってくる

 マイナス宇宙との圏界面を貫いて飛び出すエントリープラグ

 後端のジェットが点火し、急激に加速してさらに上昇する

シンジ「うううう!!」

 ガタガタと激しく震動するプラグ内

 目をつぶって耐えるシンジたち

 氷原のようなL結界面を突き破って飛び出すプラグ

 六角形のタイルのような板が舞い散る

 後端から灰色の煙の尾を引いて、みるみる加速しながら赤い空へ斜めに昇っていくプラグ

 噴射炎が途切れ、弾道を描いて地平の向こうに小さくなっていく

  :
  :

 オブジェクトの外壁の接合部を縫うように何度も電気火花が駆け抜ける

 外壁材が接合部でばらばらに分解し、重心に向かってつぶれていくゴルゴダ・オブジェクト

 崩壊に伴って次第に回転が速くなる

 さらに縮んでいくオブジェクト

 閃光

 崩壊するマイナス宇宙

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:53:32.91 ID:YgtehLUf0
 大爆発

 南極大陸に屹立する巨大な光の十字 その上にかかる虹

 宇宙空間に達する爆炎がゆっくりと変形しながら広がっていき、

 煙の尾を引いた無数の赤熱した岩塊が弾道を描いて周囲に落下していく

 南極大陸周辺の赤く染まった海域につぎつぎに立ち上る巨大な水柱

  :
  :

46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:54:00.37 ID:YgtehLUf0
=== 浜辺 ===

 波の音

 打ち寄せる青い波

 砂浜に打ち上げられ、半ば水に浸かっているエントリープラグ

 開いたパラシュートがプラグの近くの海面で波にもてあそばれている

 プラグ側面のハッチが開いており、内部は浸水している

 波打ち際にたたずむマリ

 右手に握られたペンダントを見つめている

 海岸線から少し離れた荒れはてた丘

 その上に立つ壊れかけた看板

 かろうじて「昭和基…」と読める

 晴れ渡る空

 内陸のほうには黒々とした巨大な雲の塊があり、時折稲妻がまとわりついている

 遠雷がかすかに轟いている

 砂浜

 目を閉じ、仰向けに横たわるシンジの顔

シンジ「う……」

 少しうめいて眉をしかめる

  :
  :
 
 暗闇

 次第に上下に開けていくシンジの視界

 髪の長いレイが心配そうにのぞき込んでいる

 砂浜に座るレイに膝枕されているシンジ

シンジ「綾波……」

 安心したように微笑むレイ

 身を起こすシンジ

 海岸線を歩いてくるAAたち

 手を振っているAA1

 立ち上がり、手を振り返すシンジ

 と、かすかに響き渡る爆音

 上空を見上げるシンジとレイ

 マリとAAたちも空を振り仰ぐ
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:54:32.71 ID:YgtehLUf0

 爆音がしだいに大きくなる

 近づいてくる数機のティルトローター機

 窓から顔を出しているリツコ、マヤたち

 浜辺で手を振っているシンジたちの俯瞰

 浜辺に向かって高度を下げていくティルトローター機

  :
  :


48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:55:09.34 ID:YgtehLUf0
=== エンドロール ===

(音楽 「One Last Kiss」別アレンジ)

ベッドの上 朝

 目を開けるアスカ

 頭に包帯が巻かれている

 ぼんやりと顔をめぐらす

 少し離れた台所で何かしているケンスケの後ろ姿

  :

第三村の船着き場

 降り立つシンジ、レイ、マリ、AAたち

 周りに集まってくる村人たち

 涙を流しているおばさんもいる

 後ろから加わるリツコ、マヤたち

 ふと顔を上げるマリ

 人並みの向こう、腕組みをしたアスカがこちらをみている

 ふと悲しげな顔になるマリ

 マリの様子に気づいて、そちらを見るシンジ

 問いかけるようにシンジを見るマリ

 真顔でマリを見つめ返すシンジ

 目を伏せ、アスカの方へ歩き出すマリ

 その姿を目で追うシンジとレイ

 アスカと相対するマリの後ろ姿

 大げさな身振りでアスカを抱き締めるマリ

 驚いて抜け出そうとするアスカ

 マリの表情を見てもがくのを止める

 マリの肩が少し震えている

 目を閉じ、大人しく抱きしめられているアスカ

 マリの背中を少しさすってやる

 その様子を見ているシンジとレイ

 後ろで村の女性たちに質問攻めにされているAAたち

共同墓地

 目を閉じてアヤナミレイ(仮)の墓標に手を合わせるシンジとレイ

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:55:40.50 ID:YgtehLUf0
 立ち上がるシンジとレイ

 隣を見る

 別のふたつの墓標に手を合わせているリョウジ

 一方には十字のペンダント

 その後ろでこうべを垂れているリツコ、ヴンダーのメンバー

  :

第三村 朝

 降り注ぐ陽光

 操車場広場をあわただしく行き来する人々

  :

とあるバラック

 数人がかりで据え付けられる大きなガラス製の円筒容器

 多くの配線が取り付けられたガラス管にL.C.Lが満たされている

 目を閉じてL.C.Lに浸かっているレイ

 配線の先の端末でモニタを監視しているマヤとリツコ

 その傍らに並べられたパイプ椅子に腰かけ、順番を待っているラフな服装のAAたち

 戸口から恐る恐る顔をのぞかせる小学生くらいの男の子たち

 その前に腰に手をあてて立ちふさがるアスカの後ろ姿

 慌てて逃げていく男の子たち

  :

村の学校

 子供たちに混じって、席についているAAたちの後ろ姿

 伸びをして大あくびをするAA1

 その額に飛んできたチョークが命中する

 不満そうな顔で額をさするAA1

 笑う周囲の子供たち

  :

棚田

 村人たちと並んで稲刈りをしているレイ、AAたち

 額の汗をぬぐうレイ

 作業後の共同浴場で村の女性たちと談笑するレイ、AAたち

  :

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:56:18.68 ID:YgtehLUf0
村外れの荒地

 崩れた道路の復旧作業をしている男たち

 首からタオルを下げたシンジ、リョウジも混じる

  :

村の建物の一室

 机を囲む大人たち ケンスケ、トウジも

 机に広げられている芦ノ湖周辺の地図を指さし、何かさかんに相談している

  :

 コア化が消えた緑の山々 日が暮れていく

 季節がうつろい、落葉し、雪が積もり、消えていき、また新緑が芽吹く

  :

 傾いた道路案内標識 直進方向は「新第三東京」「Tokyo III」

 標識の下の荒れ果てた舗装路を、車と徒歩で移動していく村人たち

 道路わきに立つ機能停止した巨大なL結界阻止装置

 悪路に揺られながらゆっくり走るトラック

 その荷台ではしゃいでいる子供たち

 ザックを背負って歩いていくケンスケとアスカ、マリの後ろ姿

  :



 野営する人々

 揺れる焚火の明かりを囲むように並んだ車両、テント群

 黒々と横たわる山々のシルエットの向こうに満天の星空

  :



 国道の坂を登り切り、峠に立つ人々

 あたたかな陽光が降り注いでいる

 眼下に視界が開ける

 木々が芽吹き始めた芦ノ湖畔を見下ろしている人々

 シンジ、レイ、アスカ、マリ、ケンスケ、後ろにAAたち

  :

荒れ果てた湖畔

 青い湖水から突き出た建物の白い残骸

51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:56:59.28 ID:YgtehLUf0
 首と片側の翼が失われた天使の像の上

 ワイシャツと学生ズボン姿で腰かけているカヲル

 顔を上げ、一同がやってくるはずの方角を見て微笑む

 峠道を下ってくる人々と車の列

 再び天使の像

 誰もいない

  :

 峠を下る人々の後ろ姿

 最後尾、快活に歩きながら、隣を歩くレイを見るシンジ

 気づいて微笑み返すレイ

 麦わら帽子の下、長い青い髪が風に揺れる

 差し出されるシンジの左手

 それを握るレイの右手

 顔を見合わせ、走り出すシンジとレイ

 人と車の列を追い越し、坂を下っていくシンジとレイの後ろ姿

 その向こうで芦ノ湖の湖面がキラキラと輝いている

 晴れ渡る空 白い筋雲

 崩壊した山体からかすかに湯気をたなびかせる富士山と、青く輝く駿河湾


〔終劇〕

  :
  :


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:57:40.46 ID:YgtehLUf0
〜〜〜〜〜〜

 黒地に画面いっぱいの白い文字「予告」

(予告編BGM)

 次々に映し出されるテレビ版、漫画版、新旧劇場版の短いカットに挟まって、

レイ「エヴァンゲリオンのお話は、」

シンジ「ひとまずこれで終わりです」

ヒカリ「長いあいだご視聴いただき」

トウジ「ほんまに、ありがとさん」

ツバメ「アー」

サクラ「じょうずー!」

アスカ「あたしたちの物語は、」

ケンスケ「まだまだ続いていきますが、」

加持「それはまた、」

カヲル「別の話」

ゲンドウ「ああ、問題な――」

ユイ「あなた!」

マリ「まーまー」

冬月「恥をかかせおって…」

ペンペン「クェー」

リツコ「でも、いつかまた、」

ミサト「どこかでお会いすることがあったら、」

マヤ、マコト、シゲル「その時は」

スミレ、ミドリ、ヒデキ、高 雄「きっと」

議長、委員たち「ぜひとも」

AAたち「全身全霊」

カントク「全力で」

(全員集合俯瞰絵)

全員「サービスサービス!!」

(BGM終わり)

〔映倫〕

おしまい

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/20(土) 23:58:39.34 ID:YgtehLUf0
■備忘録

 シンエヴァは、あれはあれでいいと思うんですが、やっぱり

 シンジとレイがいい感じになるのが見たかったのと、

 せっかく出てきたのに絵だけでいっこもセリフがなかった

アドバンスド・アヤナミシリーズの活躍が見たかったなということで

書いたもの。

書き出しは某スレに一度投下したのですが、結末まで形になるのに

えらい時間がかかってしまいました。


■過去スレ

〇最近の主な過去スレ(新しい順)

 もしもあの時貞本エヴァでシンジのサルベージがうまく行かなかったら
 https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420824210/

 もしもあの時綾波レイの怪我が本編より少しだけ軽かったら
 https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1402415123/

 シンジ「エヴァ最終号機?」(Bルート)
 https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1390831079/


〇とりあえずのまとめスレのようなもの
 「もしも〜」のエヴァSSを振り返るスレ
 https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1614857995/

 その他、これまでに投下したものは、これらの文中リンクからだいたい
 たどれると思います
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2022/08/21(日) 10:30:11.02 ID:LM7jDALNo
『モーニングVALORANT』アイアンレート
(9:03〜放送開始)

https://www.twitch.tv/kato_junichi0817
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/21(日) 10:34:42.26 ID:0C1rSnus0
〇最近の主な過去スレ(追記)

 エヴァ Omit Scenes
 https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433040632/

 ※テレビ版〜旧劇場版の追加シーン
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2022/08/21(日) 23:52:27.14 ID:LM7jDALNo
『第2回UNKちゃんvsオープン参加99人/PUBGカップ』
(23:00〜放送開始)

https://www.twitch.tv/kato_junichi0817
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 06:04:23.90 ID:x65UslG10
>>1です。

誤記修正と、思うところあり修正加筆した差分を再投下します。
修正、加筆したコメントはまるまる置き換えてお読みください。

■正誤表

>>33 削除(32と重複)

以下、修正、加筆箇所があるコメを丸ごと再掲します。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:03:51.81 ID:x65UslG10
>>10(修正)

   眼鏡にモニタの光が反射している

   手を止め髪をかきむしり、力なくうなだれるマリ

   首から下げたペンダントを握り締める手が震えている

マリ「そこでユイさんの事故……」

 目を見張るシンジ

   透明な隔壁の向こう、液体の中でさかさまに浮かぶユイ

   窓に手をつき、恐怖の表情でユイのほうを見ている白衣のゲンドウ

マリ「プロジェクトはかろうじて踏みとどまったけど……」

   研究室に並ぶ机の一つにうずくまっているゲンドウ

マリ「わかっちゃったんだ。どこまで行っても、これはだめだって。だからあとは――

   あとは元に戻すしかないんだよ。そのための『ネオンジェネシス』」

 息をのむシンジ

マリ「でも、それにはアディショナルインパクトの一歩手前まで行かなければならなかった」

   声をあげて泣くシンジを置いて去るゲンドウ

マリ「私がすることは、もう何もなかった。誰がやっても、そこへ行きつくのはもうわかってた」

   デスクにつくゲンドウのシルエット 眼鏡だけが光っている

   「人類補完計画」の冊子の表紙

   暗い通路に姿を消すマリ

マリ「だから、待つことにしたんだよ」

   何本ものチューブがつながれたプラグスーツのようなものを着て、

   棺桶のような装置に横たわり、自ら蓋を閉じるマリ

   重々しい音とともに闇に包まれる

   地吹雪が吹きすさぶ極夜の大地――

  :
  :

 呆然とマリの横顔を見ているシンジ

マリ「ま、実際は冷や冷やもんだったけどねー」

 自嘲気味に笑うマリ

マリ「びっくりした?」

 申し訳なさそうにシンジを振り返るマリ

マリ「黙ってて悪かったね。でも、それももうすぐ終わりだから」

シンジ「マリさん……」

少女の声「なーるほど、そういうことかあ」

マリ、シンジ「!」

 声のほうを振り向くマリとシンジ

(>>11に続く)
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:12:54.15 ID:x65UslG10
>>18(修正)

 家屋の屋根材が飛び散る

マリ「うっ!」

 折り重なって倒れた9号機と8号機を、10号機が見下ろしている

マリ「!」

 さっととなりを振り向くマリ

 別のアドバンスド・アヤナミシリーズ(AA2)が立っている

 AA1と同じ制服姿、右腕に青い腕時計

 得意げな笑みを浮かべる

AA2「お待たせー!」

AA1「げほっげほっ……遅ーい!!」

 涙目でまだ喉を抑えているAA1

マリ「あんたは!」ハッ…

 マリをはさんで反対側にも、いつの間にか、もう2人のAAたちが立っている

 同じ制服、それぞれ黄色と緑の腕時計

 4人目のAAだけは、銀ぶち・白いつるのスリムな眼鏡をかけている

 立ち上がる9号機

 青空を背景に4体のエヴァ・オップファータイプが8号機を囲んで見下ろしている

AA3「碇くんの――」

AA4「――邪魔はさせないんだから!」

 4体が一斉にとびかかり、8号機を組み伏せる

マリ「うわっ!!」

 ホームの上、もがくように身をよじるマリ

マリ「お前らぁ!!」

 怒りをあらわにするマリ

 もがく8号機

AA1「碇くん! 早く!」

 隣のシンジを見て叫ぶAA1

シンジ「えっ?」

 少し離れた場所で立ち上がろうとしている初号機

 シンジの前に初号機の左手が差し出される

シンジ「でも、君たちは!?」

AA1「心配ご無用! 今のうちに――きゃああ!」

 9号機を押しのけて起き上がる8号機

 仰向けに倒れる9号機

>>19に続く)
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:13:47.63 ID:x65UslG10
>>23>>24を加筆修正し、>>25に続きます。 次から
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:14:48.62 ID:x65UslG10
>>23(修正)

 モニタの一角に進捗バーが現れ、100%に向かって伸びていく

シンジ「いつのまにこんな……」

リツコ『あなたたちからの信号そのものがヒントになったのよ。衛星が可視から外れる前に、

    何とか間に合いそうね』

 インストールが終了し、モニタの一角に起動画面が現れる

レイ「起動しました」

 起動画面が消え、点群でできた迷路を俯瞰したような表示が現れる

マコトの声『問題なさそうです』

リツコ『よかった。シンジ君、何が起ころうとしているか、私たちにも正確にはわからない。

    でも、止めなければならない。それだけは確かよ』

シンジ「は、はい!」

レイ「はい」

リツコ『頼んだわよ、二人とも――』

 リツコの声が急速にノイズに飲まれて途切れ、「NO SIGNAL」の表示が残る

  :
  :


===ネルフ第二支部 N109棟跡地===

 「NO SIGNAL」と表示されたミドリの端末のモニタを囲んでいる面々

 背後では緑に覆われた山々と水辺に陽光が降り注いでいる

 立ち上がり、南の空を振り仰ぐリツコ

リツコ「頼んだわよ。シンジくん、レイ」

  :
  :


=== ゴルゴダ・オブジェクト内部 ===

 暗い通路の床に横たわっている初号機

 そのプラグ内

 先ほどのマップ画面に多層状の構造が描き出され、疑似カラーで何らかの信号強度が

表現されている

 その一角が、最強を表す紫に縁どられた白に明滅している

シンジ「あれかな」

 うなずくレイ

 レイの顔を見るシンジ
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:15:56.28 ID:x65UslG10
>>24(修正)

シンジ「綾波、代わるよ」

レイ「うん」

 シートを立つレイ

 シートに滑り込むシンジ

シンジ「すごいな……本当に初号機そのまんまだ」

 左側にせり出し式の小さな補助席を出し、そこに座るレイ

 インダクションレバーを握り、目を閉じるシンジ

 プラグの内面モニタが何度か極彩色に明滅して外の風景が現れ、シンクロ状態になる。

 プラグ内が低い作動音で満たされる

シンジ「つっ!……」

 思わず顔をしかめて右手をひっこめるシンジ

レイ「大丈夫?」

シンジ「うん……なんとか……」

 苦笑するシンジ

シンジ「すごいね、綾波。よく我慢したね」

 わずかに照れた笑みを浮かべるレイ

 迷路の表示画面、輝度最強のエリアを囲むように白い円形のカーソルが現れる

 同じ画面の離れた場所に現在地を示す赤いカーソルが現れ、2地点を

結ぶジグザグの経路が何通りか描き出される

 内面モニタに映る外の風景に方角表示が重なる

シンジ「行こう」

レイ「うん」

 起き上がる初号機

 右手で剣を拾い上げ、暗がりに向かって歩き出す

 小走りになり、やがて全力で走り出す

  :
  :


(>>25に続く) 
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:16:27.91 ID:x65UslG10
>>27 〜 >>30まで加筆修正し、>>31に続きます。次から
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:17:16.72 ID:x65UslG10
>>27(修正)

シンジ「そうするつもりだったんだ。そうすれば、ミサトさんや、アスカや――」

   傍らのレイを見る

シンジ「――綾波を助けられると思って。でも――」

   2本の槍を握って浮かぶ覚醒した第13号機のシルエット

   空に広がっていく同心円状の極彩色のパターン

シンジ「僕は、もう少しでみんなを……」

 顔をそむけるシンジ

シンジ「きょうだってそうだ。綾波が来てくれなかったら、今頃――」

 その横顔を見ているレイ

 右手をのばし、シンジの左の頬にそっと触れる

 びくりと身を縮めるシンジ

レイ「碇くんは、悪くない」

 目を開くシンジ

 レイを見るシンジ

レイ「悪くない」

 寂しげに笑うシンジ

シンジ「ありがとう、綾波」

 頬に触れるレイの手に自分の手を重ねるシンジ

 シンジの顔を見るレイ

 正面に向き直るシンジ

 インダクションレバーを握りなおす

シンジ「終わらせよう」

レイ「うん」

マリの声『待ちな、わんこくん!』

シンジ「えっ!?」

 振り返るシンジとレイ

 振り返る初号機

 初号機の下方、いま登ってきた崖の中腹に8号機が立っている

 頭の半分と左腕を失い、あちこち装甲が脱落して血まみれの姿

 右手に先ほどの槍を携えている

 8号機プラグ内、肩で息をしているマリ

マリ「やらせるわけにはいかない」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:18:08.01 ID:x65UslG10
>>28(修正)

 眼鏡の片方のレンズの縁にひびが入っている

マリ「悪く思わないでよ……ね!」

 予備動作もなく初号機に槍を放つ8号機

 思わず正面に左手を突き出す初号機

 展開されるA.T.フィールドの輝き

 フィールドがガラスのように砕け散り、槍が、かばう左腕もろとも初号機の頭部を吹き飛ばす

 激しく揺れる初号機プラグ内

シンジ「うわあああ!」

レイ「きゃあああ!」

 悲鳴を上げるシンジとレイ

 内壁モニタがバチバチと閃光を放って消える

 ブラックアウトするプラグ内

 広間の反対側の壁に突き刺さる槍

 貫かれた初号機の腕と頭部がぶら下がって揺れる

 首と左肩の断面から噴水のように体液を吹き出しながら、どうと地面に倒れる初号機

 崖の最後の傾斜を這うように登り、その縁に手をかけて停止する8号機

 頸のカバーが開き、エントリープラグが半ばせり出す

 プラグから這い出し、8号機の肩を伝って丘の頂部に降り立つ制服姿のマリ

 右手に銃を握っている

 断面から体液を滴らせている初号機の残骸の横を通り抜け、リリスのほうへ走っていくマリ

 リリスの十字架の根元に台座を成す神殿のような建物があり、入り口が黒々と開いている

 その前に立ち、リリスを見上げるマリ

マリ「またこいつか……ん?」

 リリスの仮面がゆっくりとはがれ始める

マリ「あっ!」

 あわてて後退するマリ

 仮面が糸を引きながら顔からはがれ、轟音とともにマリがいた場所に落下する

 恐ろしげに仮面を見つめているマリ

 おそるおそるリリスの顔を見上げる

マリ「ん?」

 目をすがめる

 仮面の下から現れたのっぺりとした顔が、次第に人の顔のような凹凸をなしていく

 同時に、だぶついていた体の線が引き締まっていく

66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:18:56.55 ID:x65UslG10
>>29(修正)

 呆然と見守るマリ

  :
  :

 マリのはるか後方、初号機の頸部から半ばせり出したエントリープラグ

 側面ハッチが蹴破られ、シンジとレイが助け合いながら這い出してくる

 立ち上がってリリスのほうを見上げ、息をのむ

シンジ「あれは……」

 中央の十字架に両掌を打ち付けられているリリス

 その顔立ちが次第に女性の顔立ちとなり、長い髪が形作られていく

シンジ「人間……マリ……さん?」

 リリスが、目を閉じ、首をうなだれた巨大なマリの姿になっていく

  :
  :

 呆然とリリスの顔を見上げているマリ

マリ「何これ……どういうこと……」

 首を振るマリ

マリ「ううん、こんな手に乗るか!」

 建物の入り口に走るマリ

  :
  :


=== 神殿のような建物内 ===

 息を切らして入ってくるマリ

 高い天井の広間

 内面のすべてが古びた石造り

 正面の石壁、翼を広げた始祖鳥の化石のような巨大な紋様

 よくみると背中から6対の翼を広げたヒトの姿

マリ「ハァ……ハァ……ここか……『天使の間』!」

 首元からペンダントを取り出すマリ

 円形のペンダントの縁を親指で抑えると二枚貝のように開く

 中に金色の指輪が収められている

指を差し込む面に複雑な紋様が刻まれている

 銃を背中のブラウスとスカートの隙間に挟み、右手で指輪をそっと摘まみ上げるマリ

 再び前方の天使の像を見上げるマリ

67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:19:28.12 ID:x65UslG10
>>30(修正)

マリ「文書のとおりだ……あそこに、これを収めるところが――」

 指輪を左手に持ち替え、右手でふたたび銃をとる

 ふと、足元に視線を移すマリ

 広いフロアの一面に、石造りの細長い箱が並んでいる

 蓋のない小さな棺のように見える

 立ち尽くし、あたりを見回すマリ

 眉をひそめる

マリ「私……ここ、知ってる?……どうして?」ハッ

 部屋の向こう、いま入ってきたのとは別の入り口の暗がりで光が揺れ、足音が近づいてくる

 さっと振り向き、音のほうに銃を向けるマリ

 やがて、背の低い人影が歩み入る

 人物の背景は半ば透けており、かすかに光にふちどられている

マリ「ホログラム?」

 マリの銃口が少し下を向く

 防寒着を着込み、ときおり白い息を吐いている短躯の男性

 懐中電灯であたりを照らしながら見回している

男性『何ということだ……』

マリ「!」

 声を聴き、体をこわばらせるマリ

マリ「……え?」

 あたりを見回している男性

 光の加減で男性の顔が一瞬浮かび上がる

 息をのむマリ

マリ「お父さん……」

ゲンドウの声『そうだ』

マリ「!」

 さっと振り返るマリ

 ゲンドウとユイが立っている

男性と同様、背景が透けて見え、かすかに光に縁どられている

ゲンドウ『きみの父君……そしてこの調査隊の隊長、真希波博士だ』

マリ「!」

 ぎこちなく男性のいるほうを振り返るマリ

マリ「お父さんが……ここへ?……」

 マリたちに気づく様子もなく探索を続けている真希波博士

 ふと、動きを止める博士

(>>31に続く)

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:20:55.58 ID:x65UslG10
>>31修正なし
>>32(修正)

 同様に骸を収めた棺が一面に並べられたフロアの俯瞰

ゲンドウ「彼らは、後に真希波タイプと呼ばれるようになった。君はその生き残りだ。

     君が外典の記述に素晴らしい洞察を働かせることができたのは、恐らく偶然ではない」 

 眠っている幼女の顔を覗き込んでいる博士

ゲンドウ「君は委員会を……ゼーレを利用した。しかし、彼らもまた、君の力を利用していたのだ。

     いや、君自身が運命の一部だった」

 唇を震わせて目を見開いているマリ

ゲンドウ「ネオンジェネシスは、存在しない」

マリ「存在……しない?」

ゲンドウ「君がここへ来るには、それが必要だった。それだけのことだ」

 言葉を失うマリ

ゲンドウ「人類の補完を行うか否か。選択肢は初めからそれしかなかった。そして――」

 部屋を出ていく真希波博士と調査員

ゲンドウ「ここが、最後の選択がなされる場所……君が帰ることを運命づけられた場所だ」

マリ「存在しない……」

 力なく床に座り込むマリ

 左の手のひらに指輪が載っている

(回想)

   冬月「人には“希望”という光が与えられている」

   2番艦のブリッジに立つ冬月

   その後ろ姿を見ているマリ

 声を震わせるマリ

マリ「存在……しない……」

   冬月「だが希望という病にすがり、溺れるのも人の常だ」

 石棺の並ぶ床を見回すマリ

マリ「同じだ……」

床に転がるマリの銃 右手で顔を覆うマリ

   マリ「人類全てを巻き添えにするのは御免こうむりたいにゃ」

マリ「同じだったんだ……私も……」

 すがるような目でユイを見上げるマリ

マリ「ユイさん……」

 涙を浮かべて問いかけるマリ

マリ「どうしたら……私は……私はどうしたらいい? ユイさん!」

 寂しげな笑みを浮かべてマリの前に膝をつくユイ

>>33に続く)

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:21:23.95 ID:x65UslG10
>>39 〜 >>44まで加筆修正のうえ、>>45に続きます。次から
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:22:15.13 ID:x65UslG10
>>39(修正)

ユイ「あの子の――式波さんのことも」

 ユイの顔を見上げるマリ

 微笑むユイ

 ずり落ちたマリの眼鏡をそっと直してやる

 かがんでマリに手を差しのべるシンジとレイ

シンジ「さあ、行こう。マリさん」

 観念したようにうつむき、右手を差し出すマリ

マリ「うん……行こう」

 その手を握るシンジ

 立ち上がろうと身をかがめるマリ

 その左手を握り、力を貸すレイ

 振り返るシンジ

シンジ「さようなら。父さん、母さん」

ゲンドウ『さらばだ、シンジ』

 輝き、薄らいでいくゲンドウとユイ

 息をのむシンジ

シンジ「父さん!」

 次第に薄らぎ、光の粒子となって消える

シンジ「ありがとう……父さん、母さん」

 光の名残を見て立ちつくすシンジ、レイ、マリ

AA1の声「おーい! いそいでいそいで!」

 声のほうを見るシンジたち

 AA1がメガホンのように口に手を添え、こちらに手を振っている

 その向こう、12号機がひざまずき、初号機の素体からエントリープラグを引き出している

 その様子をAAたちが見あげている

 駆け寄るシンジたち

 自ら首のエントリープラグを引き抜いて地面に横たえる12号機

 引き抜かれたプラグのハッチからAA4が這い出して来る

 眼鏡が少し曲がっている

シンジ「何やってるの?」

 立ち上がるAA4

 スカートのほこりを払うしぐさ

 親指で後方を指す
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:22:55.95 ID:x65UslG10
>>40(修正)

AA4「だってあれがないと、出口、わかんないでしょ?」

 12号機が初号機のエントリープラグを自らの首元に射し込もうとしている

 きょとんとするシンジ

 レイに伴われて追いついてくるマリ

 集まってくるAAたち

AA4「さ、乗った乗った! ナビよろしくね、碇くん」

 シンジの肩をぽんぽんと叩くAA4

 12号機が身をかがめ、一同の前に左手を差し出す

  :
  :



72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:23:23.81 ID:x65UslG10
>>41(修正)

 斜面を駆け降りていく12号機の後ろ姿

 絶え間なく続く地鳴り

 天井から落ちてくる大小の瓦礫

 突如、12号機の近くの地面が破れ、白い噴気があがる

 すり鉢状の地形のあちこちから噴気が上がり始める 

  :
  :

 丘の縁、その姿を見守っているゲンドウとユイ

 緑色の輝きに縁どられている

 後ろから歩いてきた別の人影が、二人の傍らに立つ

 振り返るゲンドウとユイ

 同様に輝きをまとった、防寒着姿の真希波博士が立っている

ゲンドウ「お久しぶりです、真希波博士。いや――」

 博士を見下ろしているゲンドウ

ゲンドウ「――議長」

博士「うん?」

 ゲンドウを見上げる真希波博士

 いつのまにかバイザーをかけている

博士「ああ、真希波というのは母方の名でな。いや失敬」

 黒装束をまとい、伸びた白髪を肩から垂らしている

議長「私は夢を……長い夢を見ていたような気がする」

ゲンドウ「そうかもしれません」

 議長がいた場所に赤い紋様が光る黒い石板が浮かんでいる

ゲンドウ「結局、我々が理想とした結末は、どれひとつとしてかないませんでしたな」

真希波博士「そのようだな」

 また優しい目をした防寒着姿の男性が立っている

ユイ「あとは……彼らが決めることです」

真希波博士「そのとおりだ」

 顔をほころばせる真希波博士

真希波博士「よい。全ては、これでよい」

 砂埃を上げながら小さくなっていく12号機の後ろ姿を見送っている3人の人影

   :
   : 

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:23:50.58 ID:x65UslG10
>>42(修正)

=== ゴルゴタ・オブジェクト内の通路 ===

 暗い通路を走る12号機

 エントリープラグ内

 インダクションレバーを握り、モニタの一隅のマップ表示を

 目で時折たしかめながらエヴァを駆るAA4

 内部は4人のAAとシンジたち3人ですし詰め状態

右側の補助席にシンジ、その後ろにAA1、マリ

左側の補助席にレイ、その後ろにAA2、AA3

 絶え間なく響く地鳴り、降り注ぐ大小の瓦礫

 突然、12号機の足元の床が崩れ、深い穴が口を開く

 滑り落ちる12号機

AA1「きゃあああ!!」

 大きく揺さぶられるエントリープラグ内

AA4「くっ!」

 歯を食いしばってインダクションレバーを引くAA4

 伸ばした手がかろうじて穴の縁をつかみ、ぶら下がる12号機

 プラグ内、ひっくり返っている面々

シンジ「いてて……」

AA1「痛ったーい……」

 口々に不満をもらすAAたち

 シンジの前に仰向けにひっくり返っているAA1

 はっとシンジの顔を見てスカートのすそを抑える

 シンジを指さして、

AA1「あー!パンツ見たなあ!」

シンジ「み、見てないよ!」

なにごとかと身を乗り出すレイとAAたち

AA4「馬鹿なこと言ってないで、さっさと戻りなさーい!」

AA1「何だよー…」

 頬を膨らますAA1

 後方を振り返るシンジ

シンジ「大丈夫? マリさん」

マリ「えっ?」

 額を押さえて顔をしかめているマリ

マリ「うん、なんとかね」

 ごそごそと定位置に戻ってくるAA1を見るマリ

AA1「……なに?」

マリ「たくましいね、君たち」

 顔を見合わせるAAたち
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:24:18.23 ID:x65UslG10
>>43(修正)

AA1「あったりまえでしょ?」

 にっと笑うAA1

AA1「呪わしきセカンドインパクト後のうまれですから」

 きょとんとし、苦笑するマリ

 穴の縁に這い上がり、また駆け出す12号機

  :
  :

=== ゴルゴダ・オブジェクト外観 ===

 濁った色とりどりの曇に覆われた空間

 紋様が刻まれた石板のようなもので埋め尽くされた壁

 その一角、何度かくぐもった衝撃音に続いて壁面の一部が

 外に向かって吹き飛び、巨大な足が蹴り出される

 身を乗り出す12号機

  :

 プラグ内

 暗い壁にぽっかり空いた四角い穴から空が見えている

 一同の顔がぱっと明るくなる

AA1「やった! 出口だー!!」

 シンジの肩越しに、こぶしを突き上げるAA1

  :

 オブジェクト外観
 
 薄明るい空を背景にゆっくりと回転する巨大な十字架

 その壁面の一隅にぽつんと黒い開口部が見える

 ときどき外壁が震動し、大小の瓦礫が周囲に散らばっていく

  :

 プラグ内

 右後ろのシンジを振り返るAA4

AA4「どっちに飛び出せばいいの?」

 マップ画面上、圏界面の方向をあらわす文字がついた矢印が、

オブジェクトの自転に伴い、12号機の位置を中心にゆっくりと向きを変えていく

 それを指さすシンジ

シンジ「あっちだ!」

AA4「オーケー……」

 内壁モニタの映像、背景の雲が移ろってゆく

 いったん通路の奥へ後ずさる12号機

75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:25:15.45 ID:x65UslG10
>>44(修正)

 頸部のカバーが開き、シンジたちが乗ったエントリープラグがシュッとせり出す

 それをつかみだす12号機

 また揺れるプラグ内

AA1「うわあ〜!」

AA4「しっかりつかまって!」

 AA4の右に身を乗り出し、マップ上で矢印が正面にまわってくるタイミングを計るシンジ

シンジ「3……2……1……いまだ!」

 インダクションレバーを勢いよく押し込むAA4

 軽やかに助走をつけ、外壁の縁でプラグを投擲する12号機

 長軸まわりをゆっくりスピンしながら、灰色の空間を矢のように

 切り裂いていくエントリープラグ

 プラグを投げたあと、糸が切れた操り人形ように力なく外壁の縁にくずれおち、

 そのままオブジェクトの外に落下していく12号機

 プラグ内、回転する視野の後方、落ちていく12号機の姿を振り返りつぶやくAA4
 
AA4「さよなら、エヴァ12号機。 最後までありがとね」

 極彩色の竪穴を上に向かって突き進むエントリープラグ

 上昇していくプラグの先に、赤紫に波打つ水面のようなものが迫ってくる

 マイナス宇宙との圏界面を貫いて飛び出すエントリープラグ

 後端のジェットが点火し、急激に加速してさらに上昇する

シンジ「うううう!!」

 ガタガタと激しく震動するプラグ内

 目をつぶって耐えるシンジたち

 氷原のようなL結界面を突き破って飛び出すプラグ

 敷き詰められていた六角形のタイルのような板が舞い散る

 後端から灰色の煙の尾を引いて、みるみる加速しながら赤い空へ斜めに昇っていくプラグ

 噴射炎が途切れ、弾道を描いて地平の向こうに小さくなっていく

  :
  :

 オブジェクトの外壁の接合部を縫うように何度も電気火花が駆け抜ける

 外壁材が接合部でばらばらに分解し、重心に向かってつぶれていくゴルゴダ・オブジェクト

 崩壊に伴って次第に回転が速くなる

 さらに縮んでいくオブジェクト

 閃光

 崩壊するマイナス宇宙

>>45に続く)
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/25(木) 22:25:56.31 ID:x65UslG10
加筆修正はとりあえずここまで。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/27(土) 14:17:42.37 ID:PCFSAeKv0
蛇足)
修正なしが1.00
修正ありが1.11
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/28(日) 00:51:04.04 ID:tF+ELJIJ0
修正反映して下さりありがとうございます
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/09/01(木) 09:34:31.45 ID:/l27QeMS0
元版と加筆版2連まとめていただけるとは・・・
ありがとうございます。(´;ω;`)
80 :KAI :2022/09/10(土) 12:22:16.15 ID:hThwznb60
随分遅くなりましたが、拝見いたしました。作品については、いつものように素晴らしいの一言です。「もしもシリーズ」大好き人間の一人として、LRSを愛する人間の一人として、お礼を申し上げます。貴方様が創り上げた世界は、私が触れた中で格別です。ありがとうございました。最後にこんなことを言うのは大変恐縮ですが、いつの日か新作を読めることを楽しみにしています。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/09/15(木) 12:00:16.19 ID:RQu5cgT0O
>>80
しばらく見てなかったので返事が遅くなりました。
なんというか身に余るお褒めをありがとうございます。
この話は本編のイフでもなく一から十まで一個人の妄想なので、共有してもらえたのがほんとに嬉しいです。
エヴァ自体が一年半前に完結ということで、もう新しいネタはそんなにないと思ってますが、このスレの話の足りない部分の増補版をそのうち投下したいと思ってます。その節はよろしかったら一読してもらえると嬉しいです。
あとはかつて某chに投下した断片でまとめてないやつなど。
振り返りスレもHTML化されてないので書けるうちは書き足していこうと思います。
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