【安価・コンマ】離島の魔法女学院でダンジョン探索 Part 2【百合】

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874 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:05:37.89 ID:qCQZO/Pd0
―寮
 リアンの部屋前

生徒A「着いたよ〜。それじゃあピンポン鳴らそっか」

マリン「ぴんぽん?」

 ピンポーン

マリン「わっ……」


リエム『どちらさまでしょうか』

生徒B「うちらで〜す! マリンちゃん連れて来たよ〜」

リアン『えっマリンちゃん!? 開けるね〜!』


 ガチャッ


リアン「おはよ、二人とも! マリンちゃんも!」

生徒A「おはよ〜」

生徒B「迷子になってたみたいだから連れて来た! リアンちゃんに会いたいって言っててね」

マリン「ん……」コク

生徒B「んじゃ、マリンちゃんを無事に送り届けたところでウチらはお暇しますか」

生徒A「だね〜。春休みもこれからだし、お互い楽しんでこーね!」

リアン「あ、うん! えっと、二人ともありがとう!」

生徒B「いいってことよ! バイバ〜イ」ヒラヒラ

生徒A「またね〜」ヒラヒラ

 ◇
875 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:06:13.10 ID:qCQZO/Pd0
―リアンの部屋

リエム「それでは改めまして。いらっしゃいませ、マリンさま」

マリン「ん」

アリム「今日はどうしたの? あなたの方からここに来るなんて」

マリン「……マリン、お腹すいた」

アリム「なるほどね」

リアン「それじゃあブランチにしよっか?」

リエム「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」スッ

アリム「ふふ、仕方ないわねえ」スッ

 ◇

 色とりどりのサンドイッチ「」

リエム「お待たせいたしました。おかわりもたくさんありますので、遠慮せずご賞味くださいませ」

リアン「ありがとうリエムちゃん、アリムちゃん」

マリン「食べていい? 食べていい?」ジュルリ

アリム「いいけど、ちゃんといただきますって言うのよ?」

マリン「いただきます!」

リアン「あはは……それじゃあ私も、いただきます!」

 ◇
876 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:06:46.14 ID:qCQZO/Pd0
―昼
 リアンの部屋

マリン「ふわぁ……」ウトウト

リエム「マリンさま。眠いようでしたら、ここで休んでいかれてはいかがでしょうか」

マリン「んゅ……」コク


アリム「ふふ……こうして見ると海竜だってことを忘れそうになるわ……」

リアン「本当にね……」

アリム「ところで、お土産はどうする? 今週末帰省でしょ?」

リアン「あ、うん。どうしようか……」

リエム「日持ちするお菓子などであれば、まず間違いはないかと存じます」

リアン「そうだね。小さい子も多いし、お姉ちゃんも甘いのは大好きだから、やっぱりお菓子かな?」

リエム「チョコレートの日に作った、わたしたちのチョコ人形はどうでしょうか。クロリアさまに時間凍結処理をしていただいたので、保存期間も申し分ありません」

アリム「え、えっ!? あれを持っていくの!?」ガタッ

リエム「そう申し上げているのですが……」

リアン「いいと思う! リエムちゃんとアリムちゃんが作ったことも言えば、素敵な紹介にもなるし……!」

アリム「で、でも……あれを面識のない相手に渡すのは、その……恥ずかしい、というか……」

リエム「わたしたちとリアンさまの関係を知ってもらう良い機会です。恥ずかしがる必要はありません」フンス

アリム「な、なんであんたはそんなに自信満々なのよ……!?」

リアン「あはは……でも楽しみだな……。みんなに、リエムちゃんとアリムちゃんのことを知ってもらうの」

 ◆
877 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:07:27.74 ID:qCQZO/Pd0
―3月3週 某日 夜
 バー

エンシァン「乾杯」カチャン

ルウェイン「乾杯!」カチャン

シャーロット「……乾杯」カチャン


ルウェイン「こんなとこがあったんだねえ。初めて知ったよ」

エンシァン「数年前に新しくできたんだ。君が行方不明になっている間にな」

ルウェイン「なるほど……時代の移ろいかあ」

エンシァン「ああ。時の流れは人を待ってくれんからな」

シャーロット「……そうね。ちっとも……待ってくれないわ」

ルウェイン「シャーロット……。悩み、あるんでしょ?」

シャーロット「……」

エンシァン「ここには守るべき後進も、へつらうべき上役もいない。我々だけだ。思うことあらば存分に吐き出せ」

シャーロット「…………うん」
878 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:07:57.84 ID:qCQZO/Pd0
シャーロット「最近ね……。楽しそうに活動しているルウェリアちゃんやリアンちゃんたち……学生のみんなを見ていると……。ものすごく、羨ましくなるの……」

シャーロット「私だって元々は、あの子たちみたいに……。ううん、違う。あの子たちは、遺跡探索の中でたくさんの苦労やかなしみを背負っちゃったから……。私の方があの子たちよりもずっと、気楽で恵まれた学生時代を過ごしたのよ……。それなのに……私はまだ、学生時代の輝きを求めてしまう……。ただただ、未来への希望と、仲間との友情を胸に抱いて過ごした……あの日々を……」

エンシァン「……」

シャーロット「ふふ……根っから探求者気質のエンちゃんにはわからないわよね。お金も権利もある今の方が、エンちゃんにとっては魅力的なはずだもの……」

エンシァン「それがそうでもない。教員としての仕事が嫌いなわけではないが、如何せん拘束時間が長すぎるからな。私だって欲を言えば、あいつらと一緒に夢中で遺跡を駆けずり回りたいさ」

シャーロット「……意外、でもないか。エンちゃんらしいな……」

ルウェイン「………私は……どうだろう。好きなことを仕事にできたは良いけれど……仕事になっちゃった時点で、やっぱりどうしても自由にはやれないし。シャーロットみたいに趣味で追いかけるくらいのスタンスの方が本心から遺跡探索を楽しめた気もするんだよね。それに実のところ……調査チームでの仕事より、アイリスちゃんの下で働いてる時の方が楽しかったというか……」

シャーロット「……私もアイリスちゃんに頼んで魔法人形にしてもらおうかしら……」

ルウェイン「そ、それはどうだろ……。了承してくれるかなあ……」

エンシァン「…………」

シャーロット「……エンちゃんはどう思う?」

エンシァン「……シャーロットの人生だ。シャーロットのしたいようにするのが良い」

シャーロット「……そうね。ありがと、エンちゃん……」

ルウェイン「…………」


ルウェイン(……別に人間心理に詳しいわけじゃないけれど……何か今、寂しいすれ違いがあったような気がする……)

ルウェイン(でもそれがどんなものか上手く言語化できない……。私はこの七年間、シャーロットとエンシァン先生がどう過ごしてきたのかも知らないし……)

ルウェイン(うう、でもすっごくモヤモヤする……!)


 ガタッ!

ルウェイン「……ね、ねえ! エンシァン先生自身は……シャーロットの意思とかは抜きにして、シャーロットにどうなって欲しいと思っているの!?」

シャーロット「え、ええ!?」

エンシァン「私自身がどうか、だと?」

ルウェイン「そう! 先生自身がシャーロットをどうしたいか……考えてみて!」

エンシァン「…………」
879 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:08:41.28 ID:qCQZO/Pd0
エンシァン「…………」

エンシァン「…………」

エンシァン「…………」

シャーロット「……え、エンちゃん……?」


エンシァン「……シャーロットには、私の隣にいて欲しい」


シャーロット「……え?」

ルウェイン「!!」

エンシァン「人造種になろうと、仕事を辞めようと、これからも私の傍にいてくれるならそれで良い」

シャーロット「あ……///」

エンシァン「いや……違うな。これからも私と共にいろ、シャーロット」

シャーロット「……うん///」


ルウェイン(決まった! 空気を読まずに無理した甲斐があったよ私!)

ルウェイン(せっかくだからダメ押しだ!)

ルウェイン「ハグ! ハグだよここは二人とも! ほらほら!」グイグイ

エンシァン「うおっ!?」

シャーロット「きゃっ……///」

 ぎゅっ…

 ◆
880 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:09:23.79 ID:qCQZO/Pd0
―3月4週
 列車

 ガタンゴトン…

リアン(車窓からは、未だ雪の残る美しい山々が遠くに見える)

リアン(ユリトー山も凄かったけれど、故郷の山々もこうして久しぶりに見るととても懐かしい……)


アリム「……」ウズウズ

リエム「アリム、はしゃいでも大丈夫です。ここにはわたしたちしかいません」

アリム「は、はあ? はしゃぐとか、なんでわたしが……」

リエム「アリムは初めて島の外に出て、今とても興奮しています。わたしにはわかります」

アリム「こ、興奮なんかしてないわ……! ちょ、ちょっとわくわくしてるだけで……」

リアン「ふふ、私も久しぶりの帰郷にちょっとわくわくしてるなあ。リエムちゃんとアリムちゃんも一緒だし」

リエム「わたしがお側にいない間、リアンさまがどのような環境でお育ちになったのか……わたしもとても気になっております」

 キャッキャ

 ガタンゴトン…

 ◆
881 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:09:53.83 ID:qCQZO/Pd0
―高原の孤児院

リアン(いくつかの山を越えた先――高原に広がる湖のほとりに、その孤児院は立っている)

リアン(すぐ隣には教会があり、孤児院はその教会が維持、運営しているとかなんとか……。寄付の前にその辺りをちゃんと確認しといた方が良いかもしれない)

リアン(何にせよ、私は帰ってきた。ダブル優勝者リアン・ロールセン、堂々の凱旋!! なんて言えるほどの自信はまだないけれど……)

リアン(でも、やれるだけのことはやってきたよ。だから……胸を張って、戸を開けるね……!)


 ガチャッ

リアン「たっ、ただい――」

こどもたち「おかえりーー!!」「わああ!!」ドドドド
     「リアンねーたん!!」「りあんおねえちゃん……」ドドド
     「リエムちゃんだ!!」「あれ、リエムちゃん二人いない!?」キャピキャピ
     「………!!///」「おいお前なに赤くなってんだよ〜!」ゲシゲシ

リアン「ふわわわ!!」ギュギュッ

リエム「リアンさま……!」

アリム「こ、これは……凄い人気ね、リアン」

リアン「ひえええ、人気なの私!?」

 ワーワー キャッキャ

シスター「おかえりなさい、リアン」

リアン「お姉ちゃん!」

シスター「それと……あなたたちがリアンの大切な家族の、リエムちゃんとアリムちゃん?」

リエム「はい。お初にお目にかかります、シスターさま」ペコリ

アリム「まあ……そうね。初めまして」ペコ

シスター「遠慮せずくつろいでいってね。リアンの家族なら私たちの家族も同然だもの」

 ◇

―孤児院 リビング

こどもたち「チョコだー!!」「すご!!!」
     「リアンねーたんのが欲しい!!!」「わたしも……りあんおねえちゃんの……」
     「じゃーあたしはリエムちゃん!!」「なら私はアリムちゃん!!」
     「ぼ、ぼくは……やっぱいい……///」「なに照れてんだよ〜!!」

シスター「一人づつ順番ですよ〜」


リアン「あはは、すっごい人気! 持ってきて良かったねえ」ニコニコ

アリム「いや、やっぱり恥ずかしくないかしらこれ……///」

リエム「わたしたちのことも受け入れてくれたようで、何よりです」

 ◆
882 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:10:50.72 ID:qCQZO/Pd0
―夜
 孤児院 リビング

リアン(その後私たちは子どもたちに島でのことを根掘り葉掘り聞かれたり、私たちの関係を問いただされたりした)

リアン(どこに行っても子どもたちの注目の的となってしまったが、夕飯と入浴を終えた今ようやく一息つけそうだ……)


シスター「お疲れ様、リアン。ごめんね、長旅で疲れているところに……」

リアン「あ、ううん! 今まで全然連絡しなくて寂しがらせちゃった私の責任でもあるし……」

シスター「……ふふ。そうやってすぐ自分を責める癖、変わってないね」

リアン「あっ……う、うぅ……」

シスター「あなたの真っ直ぐすぎる優しさは素晴らしい美徳だけど……そのままじゃ、いつかあなた自身が傷付いて倒れてしまう。他者を責めろとは言わないけれど、もう少し自分に甘くなっても良いと思うの……」

リアン「……うん。えへへ……ありがと、お姉ちゃん……。でも私、最近はすっごく自分に甘いよ? だって――」

アリム「家事は全部わたしたちに頼り切りだものね?」ヌッ

リアン「アリムちゃん!」

シスター「まあ……リアン、あなたアリムちゃんとリエムちゃんに家事をさせているの……?」

リアン「あ、ええと、こ、これには理由があって……」ワタワタ

リエム「リアンさまのお役に立つことが、わたしたちの存在意義なのです」ヌッ

リアン「り、リエムちゃ……」

シスター「……リアン。あなた……この子たちに、一体どういう教育をしているのですか?」ジッ

リアン「ひっ、ひええええ……!!」


リアン(結局、シスターにはリエムちゃんとアリムちゃんの秘密の事情を話すことになってしまったが、それで誤解(?)はすぐに解けた)

リアン(リエムちゃんとアリムちゃんの出自だけじゃなく……私のことや、島のことも話した)

リアン(ママのこと……大きなかなしみが島を滅ぼしたこと……今、なんとか前を向こうとしている人造種たちのこと……)

リアン(そして、これから私がどう生きたいか――)

 ◇
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 22:11:10.60 ID:LdVeLRu/0
作者の報告がない状態で2ヶ月が過ぎると放置されたスレと見做される

依頼したところでスレを落とす人がいないので最早あってないようなルールだけども
884 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:11:37.99 ID:qCQZO/Pd0
シスター「……ありがとう。話してくれて」

リアン「……うん。お姉ちゃんも……信じてくれてありがとう」

シスター「信じますよ。リアンはそんな嘘をつく子じゃないって知っていますから」

リアン「お姉ちゃん……!」

シスター「……本当に、立派になりましたね。リアン」

リアン「…………ね、ねえ……お姉ちゃん」

シスター「はい」

リアン「その……えっとね……」モジモジ

シスター「……! ふふ、こっちにいらっしゃい。リアン」

リアン「! う、うん……!」スス

 ぎゅっ
 なでなで

リアン「ふわ……」

シスター「よく頑張りましたね……。偉いですよ、リアン……」

リアン「うん……」

シスター「……これくらいなら、いくらでもしてあげるから。いつでも帰ってらっしゃいね……」

リアン「うん……」



リエム「…………」

アリム「……羨ましい?」

リエム「少しだけ。それほど大きな感情ではありません」

アリム「強がり……でもなさそうね」

リエム「シスターさまは、実質的なリアンさまのお母さまのような存在です。その立場は現在のわたしとは根本的に異なります」

アリム「ええ。リアンはわたしたちのことを、守るべきもの……庇護対象みたいに思ってるフシがある。リアンの保護者である彼女とは確かに立場が違うわ」

リエム「はい。わたしはわたしの立場からリアンさまに尽くし、愛されることができます。それはシスターさまにはできないことです」

アリム「へえ……器用に考えられるようになったじゃない」

リエム「日進月歩です」

 ◆
885 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:12:45.25 ID:qCQZO/Pd0
―次の日 朝
 高原の孤児院 庭

 チュンチュン

リアン(孤児院の庭には草花が芽吹き、遠くの山々には瑞々しい新緑が広がっている。春はもう、この地にも訪れている)

リアン(孤児院のみんなで管理している畑にも、春の作物が小さな芽を覗かせていた。この畑の作物は大きく美味しく育つからきっと大丈夫)


アリム「良いところね……。空気も水も澄んでいて、大地も肥沃で……」

リエム「……だからこそ、あの人はここを選んだのかもしれません」

リアン「あの人……?」

リエム「はい。幼き日のリアンさまを、この地へ運んだ――」



シスター「リアン! リエムちゃんに、アリムちゃんも!」タッタッタ

リアン「お姉ちゃん!? どうしたのそんなに慌てて!」

シスター「はあ、はあ……あなたたちに見せたいものがあって……急ぐ必要はなかったかもしれませんが……」

リアン「私たちに、見せたいもの……?」

シスター「これです」スッ

 ひび割れた白い魔核「」
886 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:13:20.51 ID:qCQZO/Pd0

リアン「!! こ、これって……」

アリム「これは……!」

リエム「…………」

シスター「あなたが発見された古代遺物の中にあった宝玉だそうです。当時、眠っていた幼いあなたを守るように寄り添い、淡く輝いていたそうなのですけれど……。発見者があなたを拾い上げたら、役目を終えたかのように輝きを失い、ひびが入ってしまったらしくて。昨日の話を聞いて、もしやと思ったのです。これは……」

リエム「……はい。これは……あの人の、魔核です」

シスター「!」

リエム「リアンさまをこの地に送り届け……時を凍らせて、この時代までずっと……リアンさまをお守りし続けた………」

リアン「あ……」

 ひび割れた白い魔核「」


リアン(手を伸ばし、そのひび割れた表面に触れる)

リアン(冷たくて、無機質で。そこにはもう何も、残っていなかった)


リアン「……」ポロポロ

リアン(私はその白い魔核を受け取り、胸に抱いて泣いた……)


 チュンチュン…


リアン(たくさんの命と想いに、守られて。生かされて。託されて。私はここに、立っているんだ)

リアン(ありがとう。ごめんなさい。ありがとう)

リアン(私、がんばるよ。この時代に生きる最期の古代人として……人造種のみんなが、心からしあわせだって思えるような、優しい世界を作るために……)グッ

 ◆
887 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/10/22(日) 22:13:56.11 ID:qCQZO/Pd0
本日はここまで
次回の更新も間があくかと思われます。気長に待っていただけると幸いです
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 22:34:20.02 ID:VOsTzzb40
待ってました
乙なのです
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 23:05:05.96 ID:XVoxksWwo
おつおつ
帰還に感謝
ほっこり沢山やったぜ。
性の目覚めをしてる子がおる……厳しい道になりそうだがw
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 23:09:35.45 ID:k6ed5bvg0
乙彼様
リアンちゃん何気にスタイル良いものね
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/23(月) 07:28:03.88 ID:5+zsBpH9O

アリムちゃ修学旅行でも島の外出てなかったっけ
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/04(月) 23:17:33.64 ID:2UHX1MePO
1か月過ぎとる

保守
893 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 05:05:19.67 ID:4k+PfppA0
お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。乙と保守ありがとうございます
リアンを好きになるのは実際負け戦にございます。敗北を知り、恋に敗れて、少年は大人になるのでしょう
孤児院ではシスターおねえちゃんで初めてを迎える子が多いですが、最近はリアンおねえちゃんの割合も高くなってきているそうです
しかし>>1は修学旅行で島外に出ていたことを忘れておりました。申し訳ありません。なんか良い感じに脳内で修正しておいていただければ幸いです
894 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 05:05:48.20 ID:4k+PfppA0
―孤児院 玄関

リアン「それじゃあ行ってきます!」

リエム「行って参ります、シスターさま」ペコリ

アリム「行ってきます……、ってわたしたちが言うのは正しいのかしら……?」

シスター「三人とも、行ってらっしゃい! 元気で過ごすんですよ〜!」

こどもたち「いってらっしゃい〜!」「またチョコもってきてね〜!」
     「リアンねーたんいっちゃやらあああ!!」ジタバタ「りあんおねえちゃん……」ウルウル
     「こら、リアン姉ちゃんを困らせないの!」「よしよし、今夜は私たちと一緒に寝ようね」
     「ぼくも……大きくなったら魔法女学院に……!」グッ「お前は男だろ!!」ゲシッ

 ◇

 ガタンゴトン…

アリム「……」ウツラウツラ

リエム「アリム、覚醒状態の維持が困難なのであれば無理せずスリープモードへ……」

アリム「はっ……ね、眠くなんてないわよ……! ただ、車内の空調と断続的な振動に感心していただけで……!」

リエム「では、わたしは眠いのでスリープモードに移行します……」カクン

アリム「うわっ、わたしに寄り掛かるな!」

リアン「あはは、二人とも寝てていいよ。私は眠くないから、駅に着いたら起こすよ」

アリム「主人に気を遣わせるなんて魔法人形にあるまじき無能じゃない……!」

リアン「……? え、私ってアリムちゃんの……」

アリム「あ、あー!! 気を遣う必要なんてなかったわね!! それじゃあ私も少し寝るわね!! ……」カクン

リアン「う、うん……?」

 ◇

 ガタンゴトン…

リアン(こうして私たちは、孤児院をあとにした)

リアン(みんなとても元気で、リエムちゃんとアリムちゃんも問題なく馴染めて、久しぶりにお姉ちゃんに甘えられて……本当に良かった)

 ひび割れた白い魔核「」

リアン(……かつて、私を愛して、守ってくれた人がいたこと……。今、私を愛して、守ってくれている人たちがいること……)

リアン(噛み締めて、生きていこう……)ギュッ

 ガタンゴトン…

リアン(春休みももう残り僅かだ。そして春休みが終われば、また慌ただしくも楽しい学校生活が始まる……)

リアン(……寮に帰ったら、準備を始めなきゃ!)


アリムに寄りかかるリエム「すう、すう……」zzz

リエムに寄りかかるアリム「すう、すう……」zzz


リアン(それにしても……ふふ……。リエムちゃんとアリムちゃん、とっても仲良しな双子姉妹みたい……)

 ガタンゴトン…

 ◆
895 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 05:06:17.90 ID:4k+PfppA0
―春休み某日 昼
 地方都市の住宅街

 スタスタ スタスタ

ルウェイン「っていう感じで、シャーロットとエンシァン先生がくっついちゃったってわけ」

ルウェリア「そんなことが……」

ルウェイン「シャーロットの悩みが解決したわけじゃないけど、愛の力があればどうにかなるでしょ」

ルウェリア「ええ、適当すぎない?」

ルウェイン「実際のところ、円満な解決策はちょっと思いつかないし……。どうにもならない問題はどうにもならないんだから、我慢して受け入れて生きていくしかない……大人の世界ってそんなのがいっぱいあるんだよ」

ルウェリア「大人の世界……。でも私、納得できないことを我慢して受け入れるなんて嫌だな」

ルウェイン「……ふふふ。確かに私が今ここに立ってるのは、ルウェリアちゃんが諦めないでいてくれたからだよね」

ルウェリア「あっ……そ、そうかも?」

ルウェイン「本当にありがとうね。……あ」ピタッ

 モース姉妹の実家「」

ルウェリア「……着いたね」

ルウェイン「……い、今更すごく緊張してきた……! どんな顔で会えば……」

ルウェリア「どんな顔でも母さんなら喜ぶよ」ポチッ

 ピンポーン

ルウェイン「わああ! ルウェリアちゃん判断が早い!」アタフタ

ルウェリア「ふふ、一刻も早く再会させてあげようと思って」テヘペロ

 ガチャッ!!!

ラーチェル(前スレ>498)「ルウェイン! ルウェリア!」

ルウェイン「か、母さ――」

 ぎゅっ…

ラーチェル「おかえりなさい……。本当に……本当に、無事で……」グスッ

ルウェイン「母さん……。うん……ただいま……」ギュッ


ルウェリア(……私の頭には、我慢して受け入れるとか、諦めるとか、そういう選択肢はなかった。それは私が大人じゃなかったからなのかもしれない)

ルウェリア(でも……それなら私は、大人じゃなくて良かったと思う。そのお陰で、この結末へたどり着けたのだから)


ルウェリア「ただいま、母さん。おかえり、姉さん……!」ザッ

 ◆
896 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 05:06:46.62 ID:4k+PfppA0
ー春休み某日 夕
 ウィンド本邸 食堂

 ワイワイ

サーナ「そこでわたくしの会心のマクロバーストが炸裂! わたくしは勝利を確信したんですの!」

ルル「したんですの!」

見習いメイド「おお〜!」キラキラ

サーナ母「まあ〜」ニコニコ

サーナ父「フッ……」ドヤ

サーナ「しかしなんと……それでもなお、リアンは立っていたのですわ! 足をふらつかせながらも、闘志は衰えず……!」

ルル「リアン、つよかった……!」

サーナ父「む……」

見習いメイド「そ、それでどうなったのですか!?」

サーナ「今度はリアンの雨を喚ぶ新魔法が炸裂! それが痛恨の一撃となり……わたくしはついに膝を突いたのですわ……」

ルル「ついたのですわ……」

見習いメイド「そんなあ〜!」

サーナ父「むう……」

サーナ母「あらあ……。手紙でも聞いてはいたけれど、やっぱり残念ねえ……」

サーナ兄「飛行魔法を使えるサーナも凄いけど、天候魔法を使える子までいるのか。サーナの代は粒揃いどころじゃないね」

サーナ「ふふふ、わたくしの友人はみんな凄い人ばかりですわ! しかも後輩にも学外にも凄い子たちがいますのよ! 日々切磋琢磨ですわ!」

サーナ父「……うむ」

サーナ母「うふふ、みんな将来が楽しみねえ」

ルル「ルルは?」

サーナ母「ルルちゃんの将来ももちろん楽しみよお」ニコニコ ナデナデ

ルル「んへへ……」

見習いメイド「はわ……。わ、私はそんなハイレベルな学校で皆さんに付いていけるのでしょうか……?」

サーナ「大丈夫ですわ! 先生方はみんな教え上手で手厚いですし、わたくしとルルもおりますもの!」

ルル「ん! エンしゃんもいる! だから大丈夫!」

見習いメイド「サーナ様、ルル様……!」ウルウル

サーナ「ふふ……新学期はもう目前ですわ!」

 ◆
897 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 05:07:17.90 ID:4k+PfppA0
ー春休み某日 夜
 郊外のマンション ハーベスト家リビング

ノルン「それでね、ギリギリのところで耐えたリアンちゃんのティアーズスコールが炸裂してーー」

ノルン母「うんうん」ニコニコ

ノルン父「フフ」ニコニコ

ノルン「……? なあに、二人ともニヤニヤして」

ノルン母「ふふ、ノルンがとっても嬉しそうに話してくれるんだもの。リアンちゃんのお話」

ノルン父「はは、すまん。リアンちゃんを大好きな気持ちが伝わってきて、つい」

ノルン「あ、え、えと……!///」

ノルン母「大丈夫。ママはわかっているつもりよ」

ノルン父「パパもわかっているつもりだぞ」

ノルン「もー! お風呂入ってくる!///」ガタンッ

 ◇

ーハーベスト家 浴室

 カポーン

ノルン「はあ……もう……」チャプン

ノルン「…………」

ノルン(……そういえば、お母さんとお父さんにあんな風に友達の話をしたのっていつ以来だろ)

ノルン(………中等学校の時にはもう……親しいと言える友達なんていなかったし……)

ノルン(……もしかしたら、心配かけてたのかな。だから二人ともあんなに嬉しそうに……)

ノルン(…………ふふ)

ノルン(こんなにも幸せで楽しい学園生活を送れてるのは、リアンちゃんのお陰だよね)

ノルン(高等部を卒業して、大学部に行って……その先どうなるかはわからないけれど……)

ノルン(今はこの幸せな時間を、大切にしよう)


ノルン「……よし!」バシャン


ノルン(来年度の準備、進めなきゃ!)

 ◆
898 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 05:07:53.16 ID:4k+PfppA0
ー春休み某日 昼
 部室

シャーロット「エンちゃんエンちゃん、春休みが終わったらどこを探索するの?」スリスリ

エンシァン「リエムくんマップを参考に、次はーーおい、何をしている」

シャーロット「えっへへ〜、エンちゃんにすりすりしてま〜す」スリスリ

エンシァン「ったく……。ま、塞ぎ込んでいるよりは全然良いか」

シャーロット「うふふ、責任取ってね?」

エンシァン「責任? 何のだ?」

シャーロット「んもー、とぼけないでよお。プロポーズしてくれたでしょ?」

エンシァン「は?」

シャーロット「え?」

エンシァン「……」

シャーロット「………」

エンシァン「…………あ! あれ、プロポーズに当たるのか!?」

シャーロット「プロポーズのつもりじゃなかったの!!?」

エンシァン「……いや、よくよく考えればどう聞いてもプロポーズだな」

シャーロット「エンちゃん……」ジト

エンシァン「……よし、結婚するぞシャーロット!!」バン!!

シャーロット「ふふ……! でもエンちゃんのそういうとこも大好き……!!」

 ぎゅっ…///

 ◆
899 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 05:08:23.31 ID:4k+PfppA0
とりあえずここまで
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/24(日) 14:43:28.29 ID:CcZDOGCAo
おつおつ
更新のクリスマスプレゼントだぁありがとう
ルウェ姉妹ママきちゃ!本当に二人揃って会えて良かったなって
901 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 21:00:16.14 ID:4k+PfppA0
まだ読んでくれる人が残っていてくれて嬉しく思います。乙ありがとうございます
ルウェリアちゃんは実際のところ第二の主人公と言っても過言ではないくらいにはいろいろと因縁のある人物だったため、こうして円満な結末へ辿り着けたのは本当に良かったことと思います。モース家族は、これからゆっくりと失った時間を取り戻していくことができるでしょう
902 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 21:00:44.93 ID:4k+PfppA0
ー春休み某日 夕
 南海岸

 ザァーン… ザザァーン…

マリン「…………」

マリン「潮の流れ……変わってきてる……」

マリン「…………」

マリン「……マリンは……どこに行けば………」


「マリンちゃーん!」

マリン「!」クルッ

リアン「マリンちゃん、ただいま〜! 元気にしてた?」タッタッタッ

マリン「あ……うん……。おかえり、リアン……」

リアン「……あんまり、元気ない……?」

マリン「あ……えっと……」

リアン「……じゃあ、夕飯食べに来ない?」

マリン「………行く」

リアン「決まりだね!」

 リアンの手「」スッ
 マリンの手「」ギュッ

マリン「あっ……」

リアン「それじゃあ一緒に行こ!」

マリン「……うん」

 トコトコ…

マリン(…………)

マリン(マリンは……弱虫だから……)

マリン(強いリアンに……これからも守ってもらう……?)

マリン(でも、それじゃあ……)

マリン(本当の本当に、弱虫になっちゃう……)

マリン(マリン……どうしたら………)

マリン(…………)

マリン(……お腹すいた)

マリン(ご飯を食べれば……なんとかなるよね……)

 ◆
903 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 21:01:13.30 ID:4k+PfppA0
ー春休み某日
 東区 山間部 ニワトリ農場

 ニワトリたちの墓「」

ララ「……」ナムナム

スイス「……」ナムナム グスッ

ヒーティ「……」ナムナム

スイス「ヒーティさン……お墓参り、これでいイの……?」グスッ

ヒーティ「うん。でも、人間の作法で良かったの?」

ララ「……わかりません。ただ、私たち人造種には固有の作法がないので」

スイス「ニワトリさンの作法も、わかんないかラ……」

ヒーティ「そっか……。うん、でも良いと思う! 気持ちが一番大事だと思うし……!」

ララ「気持ち……。私たち人造種の気持ちでも、彼らへの弔いになり得るのでしょうか」

ヒーティ「なるよ! 誰かを想う気持ちに、人も動物も人造種も関係ないもん!」

スイス「スイスの、想い……ニワトリさんたちに、届ク……?」

ヒーティ「届くよ、きっと……!」

スイス「……うん! ありがト、ヒーティさん!」

ララ「ありがとうございます、ヒーティさん……」

ヒーティ「ううん……! 喪うつらさは、私にもわかるつもりだから……。私にできることがあったら何でも言ってね」

 ◆

ー数日後
 北側 渓谷

 ヒュオオオ…
 ドドドド…

ララ「生命浄化装置が、この辺りに?」

クロリア「はい。正確に言えば、古代ユリトー文明の生命浄化装置が現存している可能性のあるフォルト、ですね」

ロロナ「アイリスらによれば管理放棄されて久しいらしいから望みは薄いがな」

クロリア「こら、水を差さないの!」

ロロナ「すまん」

ヒーティ「その、生命浄化装置というのがあれば、ニワトリを傷つけることなく悪い細菌やウイルスだけを殺菌できるんですよね?」

クロリア「はい。ニワトリだけでなく他の動物や人間にも使えます。この時代の病原菌に合わせた調整は必要ですが、上手く機能すれば現代医療に大きく貢献できるかもしれません」

スイス「人間さマのお役に立つ……ニワトリさんも助ける……!!」

ララ「ええ。やりましょう、スイス」

ヒーティ「一緒にがんばろ!」

スイス「うん!!!」

ロロナ「戦闘や斥候の経験ならそれなりにあるつもりだ。遠慮なく頼ってくれ」

クロリア「サポートは私に任せてくださいね。具合が悪くなったらすぐに申告するように」

スイス「うん……!!!! みんな……がんばロ!!!」

 おー!!!

 ◆
904 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 21:01:43.85 ID:4k+PfppA0
ー春休み某日
 セントラルフォルト

イエリア「じゃーん!」(E:ユリトー魔法女学院の制服)ファサッ

アイリス「ちょ、ま、まッ……!」

イエリア「入学の手筈もバッチリだよ〜! リエムちゃんにお願いしてちょちょいとハッキングしてもらったの!」

アイリス「あなたみたいな愚鈍が人間の群れの中で上手くやれるわけないと言ったでしょう! 早く取り消しーー」

フィー「ご安心を。イエリア様は私がお守り致しますので」(E:ユリトー魔法女学院の制服)ビシッ

アイリス「……そ、それならまあ……」

イエリア「ちなみにお姉ちゃんもだよー」スッ

 アイリス用の制服「」ピカピカ

アイリス「はあっ!!? な、なんで私まで……」

イエリア「やっぱりこの時代で生きていく以上、いろいろと学ぶべきことは多いと思うの」

フィー「そういう点で言えば学校という場が適切というわけです」

イエリア「うん。それに私……通うなら、お姉ちゃんと一緒がいい」

アイリス「…………仕方ないですね。私がいればいろいろと融通も効かせられるでしょうし」

イエリア「やった!」ピョン

フィー(アイリス様も随分とチョロくなったなあ)

アイリス「……何ですかフィー、その生暖かい目は」

フィー「いえいえ、姉妹仲がよろしくて何よりと思っただけです」

アイリス「……ふん。不出来な妹ですが今となってはいろいろと不可欠な存在ですからね」

イエリア「えへへ……ありがとう、お姉ちゃん。お姉ちゃんも私に不可欠だよ……!」

 ぎゅっ!

アイリス「あっこら抱きつくな……!」

イエリア「えへへ〜」

フィー「フフ……よきかなよきかな」

 ◆
905 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 21:02:11.41 ID:4k+PfppA0
ー春休み某日
 ルアンの工房

ルアン『わかった。エピカがそう決めたのなら、私は応援するよ』

エピカ「……うん。ごめんね……。約束……果たせなくて……」

ルアン『いいのいいの。私は本人じゃないし、本人だとしてもきっとあなたを縛り付けたくないって思うはずだから』

エピカ「……そうだね……。ルアンなら……きっと、そう言う……」

ルアン『そういうこと。だから、あなたはあなた自身の目で、耳で、今の世界を感じてね。死者の想いだけでなく……あなた自身の身体と、心で』

エピカ「うん……。今のところ……かなしみに溢れたどうしようもない世界だっていう認識は、ほとんど変わっていないけれどね……」

ルアン『あはは、そう簡単に変わるわけないよね。でも結論はまだ先なんだよね?』

エピカ「うん……。もうちょっと……見て、考えたい………」

ルアン『そっか。うん、それで良いと思う。困った時はいつでもここに来てね。ここの設備ならあなたのメンテナンスもできるし、相談にも乗れるから』

エピカ「……ありがと、ルアン……」

ルアン『いいの。リアンたちのことも大事だけれど、あなたのことも同じくらい大事だもの……』

エピカ「…………」

 ぐすっ……

エピカ「……」ポロポロ

ルアン『……ごめんね。先に逝っちゃって』

エピカ「…………」ポロポロ

ルアン『ごめんね…………』

 ◆
906 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 21:03:08.54 ID:4k+PfppA0
ー春休み最終日
 断崖の岬

 ザァーン… ザザァーン…

 草花の芽「」ヒョコ

リアン「わあ、芽が出てきてる……!」

リエム「はい……。春の訪れ、です」

リアン「すっかり暖かくなってきたし、春だねえ」

リエム「はい……。リアンさまとここで春を迎えられること……心より嬉しく思います……」

リアン「うん……! 私も嬉しいよ……!」

リエム「はい……」

 ザァーン… ザザァーン…

リアン「そういえば、リエムちゃんと初めて会ったのは丁度一年前だったね」

リエム「はい。あの日、リアンさまに見つけていただきました」

リアン「リエムちゃんが私を呼んでくれたからね。あの日からもう一年かあ……」

リエム「いろいろなことがありました……」

リアン「うん……。一年間、本当にありがとうね。リエムちゃんがいてくれたから、ここまで来れたよ」

リエム「はい……。こちらこそ……リアンさまのお陰で、わたしはわたしとして存在することができました」

リアン「ふふ……うん! これからもいっぱい迷惑をかけると思うけれど、一緒にいてね!」

リエム「はい。お傍におります。お傍で、これからもリアンさまにお仕えいたします……」

リアン「うん……! これからもよろしくね、リエムちゃん……!」

リエム「はい……! これからもよろしくお願いいたします、リアンさま……!」



アリム「わたしを抜きにしてそんなやり取りをするなんて、良い度胸してるじゃない……」

リエム「アリム」

ノルン「私もいるよ……!」

リアン「ノルンさん!」

アリム「こんな良い場所で二人きりでいちゃいちゃするなんて不誠実じゃない? わたしたちのことも忘れないで欲しいわね」

ノルン「わ、私は……私も、リアンちゃんとこれからもよろしくしたい、かな……?」

リアン「わ……ご、ごめんね! 仲間外れにしたかったとかじゃなくて……!」

アリム「ふふっ、わかってるわよ。あんたがめちゃくちゃに鈍感なことくらい」

リエム「ふふ……リアンさまは、分け隔てなくわたしたちを愛しているだけなのです……」

ノルン「あはは……でも、そんなリアンちゃんが好きになっちゃったんだもん……」

リアン「へ……? ええ、と……?」

ノルン「これからも、ずっと、ずっと、よろしくね。リアンちゃん……」

アリム「……わたしも……一生、いてあげるわ。あんたの傍に……」

リアン「あ……。う、うん……!! 私も……!!」

リエム「ふふ……みんなで、ハグです……」

 ぎゅーっ


ーー離島の魔法女学院でダンジョン探索 完
907 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/24(日) 21:04:12.00 ID:4k+PfppA0
これにて「離島の魔法女学院でダンジョン探索」は完結となります。
最後の辺りで>>1の多忙や心身の不調が重なり更新が遅くなってしまって申し訳ありませんでした。見ている人もだいぶ減ってしまったかと思いますが、それでも懲りずに見に来てくれた人へ心より感謝を申し上げます。
長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/24(日) 21:06:07.54 ID:pADAleke0
乙!

校内が人造種だらけになるけど現生徒会長がなんとかしてくれそう
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 00:20:20.68 ID:nd5jXIKfo

無事に完結して良かった
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 20:26:55.89 ID:rrDmEnnsO
乙!!!!
みんな幸せになれてよかった……
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 22:45:31.36 ID:Oa8l2Xug0
乙でした、完結おめでとうございます
やっぱりハッピーエンドは良いものです
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/27(水) 12:32:31.84 ID:8fReEJxLo
乙でした
キャラ案から魅力を引き出すのがとても上手くて更新毎楽しみでした
御身体労って、できたらまた貴方の物語が読みたい
完結ありがとうございました!
913 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/28(木) 22:51:57.89 ID:X64kpvte0
改めましてありがとうございます。皆さまの温かい労いの言葉が五臓六腑に染み渡るかのようです
リアンたちの未来には様々な困難が待ち受けているかもしれませんが、彼女たちならきっと大丈夫でしょう。どうしようもないことはどうにもなりませんが、どうにかなることはどうにかなるものです
このような大団円へ至れたのも、皆さまのキャラクター案や安価、そしてコンマ運に恵まれたからです。どのキャラクターも書いてみると生き生きとして、とても楽しく書くことができました。素敵なキャラクター案、安価をありがとうございます

というわけで、いつになるかはわかりませんが次回作についてなどのアンケートを取ろうかと思います。よろしくおねがいします

・今作の難易度は
1.丁度よかった
2.ぬるかった
3.難しかった

・次にやるとしたらどんなのが良いか
A.現代魔法少女
B.近未来異能バトル
C.魔法系ファンタジー

また、今作や次回作に関する質問、意見、感想なども受け付けております。もちろん関係ない質問や意見でも大丈夫です。お気軽にお申し付けくださいませ
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/28(木) 23:12:37.84 ID:c4veyHLI0
1,B

ルルちゃ将来的にウインド家の養子になるのかな
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/28(木) 23:16:10.24 ID:2kxZIV5Fo
難易度:1
結果だけ見ればぬるめに感じるがちょいちょいコンマに救われた場面があったので
個人的には>>1のグッド展開ストーリーが好きなので甘々でも良い位

次回作:C
今作で人造種と人間の関係を描ききって頂いたので次はもっと多くの種族間のやり取りを見てみたい(あと人外出しやすそうなので)


個人的に気になったんですがラーチェルママ未亡人です?
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/28(木) 23:29:47.07 ID:Qcb8PoqUo
難易度 1
安価コンマ系は難度低めでも運が悪いと判定失敗し続けたりするから基本的に緩い方が話進みやすくていいと思う
今回も運命変えたとはいえ武闘会で一度負けてたり

次回作 C
主さんの作風は好みなので例えどれになっても次作があるのなら読みます
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/28(木) 23:57:55.47 ID:eeDjCraw0
1 c
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/29(金) 00:12:09.96 ID:6BITbsYS0
今更新があって完結したのに気付いて、ゆっくり読み直します 本当にお疲れさまでした
アンケートは1Aで
919 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/29(金) 00:52:53.43 ID:vwVSZyB80
ルルさんがウインド家の養子になるかどうかはわかりませんが、人造種が人造種として人の養子になるのは現状とても難しいと思われます。また、サーナさんもルルさんも法的な意味で家族になることにこだわりはないので、ルルさんは養子になるよりはウインド家の食客として居座る可能性の方が高いかもしれません

モース家の父親はあえて描写しなかったのですが、実のところ仰るとおり未亡人の想定でした。女手一つで二人の姉妹を育て、ようやく上の子が独り立ちした矢先に行方不明、下の子は血眼になって姉の行方を追う……ラーチェルママンの心労は実際はかりしれないものがありました。最愛の人と最愛の長女を喪ってもなお気を強くもっていられたのは、最愛の次女であるルウェリアちゃんがいたからかもしれません。しかし本編に関わることはなかったため、その辺りのことを書くことはありませんでした……

作風が好みと言っていただけるのは嬉しい限りです(なお自分で自分の作風をよくわかっていません)。まあ多分今後もこんなようにしか書けないとは思うので、こんな作風のまま精進していきたいと思います

コンマはどうしようもない時は本当にどうしようもないので、確かに少し緩いくらいの方がスムーズに進むかもしれませんね。今作はまあまあ緩めかと個人的には思っていたのですが、今のところのアンケートを見てみるとその緩さが実際丁度良かったと考えられそうです。難易度はこのままで良さそうな気がしてきました

そして次のジャンルは、今のところ魔法系ファンタジーが優勢のようです。考えてみるとこのスレも魔法系ファンタジーなのですが、意味合いとしては剣と魔法の世界のファンタジー的なものを想像していただければと思います

アンケートはもう少し継続したいと思いますので、よろしくおねがいします
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 04:00:55.17 ID:h/g4aU4so
おお、完結していたとは
>>1さんお疲れ様でした!

難易度に関しては1(安価スレはぬるめの方がいい)
読みたいものはCかな
個人的には>>1さんの描く魔法少女ものも見たいけど、どれか一つならCで
921 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2023/12/31(日) 18:51:17.97 ID:kVHaUEm40
皆さま、アンケートのご回答ありがとうございます。この辺りで締め切らせていただきたいと思います
というわけで難易度は据え置き、題材はファンタジーで書きたいと思います。立ったらご案内いたします
質問や要望などは引き続き受け付けておりますので、何かあればお気軽にどうぞ

それでは良いお年を
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 19:54:19.53 ID:QltxPdqoo
良いお年を〜
923 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/02(火) 20:52:35.94 ID:Qx+l7VEo0
新スレです。よろしくお願いします
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