安価とコンマで異世界転生!その10

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481 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/21(火) 02:18:23.43 ID:v+5/PAPE0
本日はここまでです
ありがとうございました
482 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/21(火) 19:32:33.67 ID:v+5/PAPE0
市長「では、平和なのですか?」

男「こっちよりは平和かも。でも科学が魔法みたいなものだから、結局戦えば人は沢山死ぬ」

少女「街や地方を丸々一つ吹き飛ばすような兵器がありますからね……」

市長「そんなバカな……眉唾な古代兵器でもそうありませんよ、それほどの破壊規模のものは」

男「なんと、量産されている」

市長「……なぜ滅んでいないのでしょうか」

男「使ったら滅ぶからだ。だからこっちよりちょっと平和なんだよね」
483 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/21(火) 19:48:25.40 ID:v+5/PAPE0
市長「なるほど、参考になります」

少女「それはよかったです……参考?」

市長「なんでもありませんよ」

男「怖……」

少女「私からも男さんに聞きたいことがあるんですが……」

男「おう、なんでも聞いてくれ。この世界に来てから、まだ日が浅いだろうしな」

少女「>>下1」
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/21(火) 20:05:48.48 ID:/UQW3Tio0
…私の年号は『平成15年』でした。男さんはいつの『平成』で来ましたか?
485 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/22(水) 02:12:45.46 ID:oHwUDrAR0
少女「…私の年号は『平成15年』でした。男さんはいつの『平成』で来ましたか?」


一瞬、なにを言われているのか分からなかった
しかし、すぐに男はそれを理解した


男「どうかな、一つ前かもしれないぞ」

少女「えっ!?……そんなタイプには見えませんが」

男「それは正しいな、俺は『平成』より後だし」

少女「ええっ!?そ、そんな!未来人!?」
486 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/22(水) 02:15:26.22 ID:oHwUDrAR0
本日はここまでです
ありがとうございました
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/22(水) 03:40:39.06 ID:/YNWON5D0
平成15年というと静岡市と清水市が合併した年だな
488 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/22(水) 19:28:05.30 ID:oHwUDrAR0
男「ああ、15年以上先の未来から俺は来ている」

市長「なんと興味深い……空間のみならず、時間をも超越してここにいるのですね」

少女「へぇー……」

男「まぁ、言うほど世界は変わってないさ。ちょっと厳格になったくらい」

少女「ないんですか?空飛ぶ車とか」

男「ないねぇ。飛ぶ車も、コールドスリープも、宇宙エレベーターもない」
489 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/23(木) 01:59:33.92 ID:/aoWNDuk0
市長「面白い空想ですね、私も研究してみたいです」

少女「宇宙エレベーターは無理そうですが……」

市長「そうですね。ですが飛ぶ車やコールドスリープは魔法も応用すればできそうです」

男「というか、封印なんてコールドスリープみたいなもんじゃないか?」

市長「伝説の強力な魔法使いがやるような封印であれば、そういう効力もあるかもしれませんが……普通はそうもいきませんね」
490 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/23(木) 02:04:26.24 ID:/aoWNDuk0
本日はここまでです
ありがとうございました
491 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/23(木) 19:50:05.90 ID:/aoWNDuk0
少女「……私はどうなのでしょうか……?」

男「魔神の力じゃないか?」

市長「そうでしょうね。それより、あなたたちの世界の発明が知りたくなってきました」

男「思い付くだけ教えるけど……こっちの世界には市長ほど高性能のAIはいない。あんまり参考にならないか、そもそも世界の仕組みが違うかもしれないけど……いいですか?」

市長「構いませんよ」
492 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/23(木) 20:38:06.94 ID:/aoWNDuk0
それから、男は様々な発明品について話した
とはいえ、その構造まで知っているわけではないので、こういう機械があるとか、こういう兵器があるという話しかできなかった


男「こ……こんなところですかね」

市長「面白いですね」

少女「ほとんど、私も知っているものでした」

市長「特に、>>下1は作ってみたいところです」
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/23(木) 21:26:54.64 ID:t77RUa3b0
全自動大根おろしや手動式包機とかの調理器具全般
494 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/24(金) 01:15:56.70 ID:KKtyFig00
市長「全自動大根おろしや手動式包機とかの調理器具全般は作ってみたいところです」

男「平和的でよかった」

市長「強力な兵器は抑止にこそなれ、平和は作らないというのは分かりましたから」

少女「そうですね、私もそう思います」

男「しかし、調理器具か……中華が喜びそうだな」

市長「そういえば、料理人の方がパーティにいらっしゃいましたね。試作品完成の暁には、ぜひ使用感を教えていただきたいものです」
495 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/24(金) 01:35:01.22 ID:KKtyFig00
本日はここまでです
ありがとうございました
496 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/24(金) 19:47:14.49 ID:iBTz22iUO
夜も更けてきたので、そろそろ解散することになった


男「そろそろ寝たいしな」

市長「そういえば男さん、言っておきたいことがあります」

男「……なんですか?」

市長「あなたはギルドの方々に対し、できるだけ誠実でいようとしているようですが……そのつもりなら、あなたが異なる世界から来ていることを告白すべきです」
497 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/24(金) 21:31:33.85 ID:iBTz22iUO
男「……それは、あまりにも……大きすぎる特徴だ」

少女「ですね」

市長「みなさんとの関係が変わることを恐れているのですか?」

男「そう……ですね」

市長「……みなさんは、あなたを信じてついてきたはずです。それこそ、関係が変わってしまうかもしれないようなことをあなたに打ち明けた人だっているでしょう」

男「……それでも、怖い……みんなを信じるのが、俺のするべきことだと分かっていても、それでも……」
498 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/25(土) 03:54:02.09 ID:8jm+WKLV0
市長「……意外です」

男「俺のこともAIだと思ってました?」

市長「首尾一貫していたので」

男「……俺は、ここに来る前は誰も顧みることをしなかった。だから、人付き合いと呼べるものはほぼなかった」

市長「だから、今のようになったのですね」

男「他人を大切にする。それだけでどれだけ人生が豊かになるかということを実証しているんです」

市長「それは、自分を大切にしないということではありません。……辛いと思ったなら、恐れず打ち明けて下さい」
499 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/25(土) 03:57:47.59 ID:8jm+WKLV0
本日はここまでです
ありがとうございました
500 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/25(土) 19:25:02.99 ID:JEG5Ys6GO
男は心に重大なしこりを作ったまま部屋に戻り、眠った


〜翌日・陰週金曜日〜


中華「……おっ、早いね」

男「相変わらず中華も起きるのが早い。まぁなんだ、眠れなかったんだ」

中華「もしかして……」

男「!?」


なにかを察したような彼の顔に、不安がよぎる


中華「……恋!?」

男「違うわ!」
501 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/26(日) 04:36:17.80 ID:h7ay7hyS0
そして準備を整え、再び地下へ向かうのだった


市長「あの生体結界を探査するレーダーを製作しました」


彼女はラジコンの操縦桿のような物体を操作している
周期的に音を放っており、ダウジングマシンのようなシステムのようだ


氷魔「……音で分かる……ということでしょうか……」

市長「小さいながら、モニターもつけています。二つの機構で効率的に探せますよ」
502 : ◆cUhskXlNTw :2024/05/26(日) 04:36:47.45 ID:h7ay7hySo
本日はここまでです
ありがとうございました
503 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/26(日) 19:57:51.35 ID:h7ay7hyS0
そして、レーダーを携えながら歩き始めた
ここで新たな情報が手に入る


やる気「お、音が大きくなってきたっすね?」

市長「……おかしいですね。かなり離れているはずなのですが、いつの間にか接近しています」

ぶりっ子「地下全体に空間の歪みがあるってことでしょうかぁ」

怪盗「その可能性は高そうです」
504 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/26(日) 23:14:31.26 ID:h7ay7hyS0
もう少し近寄ると、道端にそれは落ちていた


狙撃少女「あ、ありましたね」

男「時間はかかるが、この前のようにして破壊するか」


例のごとく、炎魔に温めてもらい、
それから氷魔が冷やして破壊した


炎魔「楽しいですね、これ」
505 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/27(月) 03:42:03.20 ID:VtTJDeV20
市長「よかったです。結構負担を強いているので」

炎魔「みなさんの役に立てるのが嬉しいんですよ」

中華「空間が歪んでいて、結界を構成するあれへの接近が容易ってことは……この近くから外に出たら、ものすごい遠くの街に出たりするのかな」

氷魔「……その可能性はかなりあります……オークション会場を襲撃した集団が逃走のために用いた理由も分かりますね……」
506 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/27(月) 03:52:52.38 ID:VtTJDeV20
本日はここまでです
ありがとうございました
507 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/27(月) 19:10:46.05 ID:VtTJDeV20
それからさらにレーダーを伝って生体結界のパーツを探して歩いた


市長「……また、動いてますね」


手元のモニターではパーツが動いている様子が映し出されている


やる気「……あれっすね」


>>下1……パーツはどうなっていた?
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/27(月) 20:03:07.08 ID:s003qYsq0
中身のない鎧の騎士がパーツを装飾品として胸辺りに着けていた
509 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/28(火) 02:04:45.98 ID:KnkxuLK80
リビングアーマー「ガコン……ガコン……」


そこにいたのは、がらんどうの騎士
ひとりでに動き回る鎧で、リビングアーマーと呼ばれる存在だ


ぶりっ子「げ……填まってますね……」


そして、その胸の辺りには丁度いい穴が開いていて、
そこにかの生体結界のパーツがつけられていたのだ
510 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/28(火) 02:07:43.54 ID:KnkxuLK80
怪盗「あれって、意志疎通できるんですか?」

やる気「多分できるっすね。ただ……」

狙撃少女「なにか問題があるんですか?」

中華「ちょっと、堅物な感じかも。交渉とかできるかな……」


目的もなくただ彷徨っているように見えるそれだが、
実の所かなりの威圧感を放っている
新米冒険者が出くわしたら、
とりあえず逃げるべき相手だろう
511 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/28(火) 19:44:19.96 ID:KnkxuLK80
すみません寝落ちしました


炎魔「とにかく、話してみましょう!」

中華「うーん、分かった。じゃあ、話しかけてみるね」


一撃で首をはねられないよう注意しながら、注意はリビングアーマーに近寄る


リビングアーマー「………………」

中華「あの〜すみませ〜ん……その胸の石をいただくことってできませんか……?」

リビングアーマー「>>下1」
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/28(火) 20:56:45.04 ID:p+WvabWf0
『モールス信号』「・−・・ −・− −−・ ・・−− ・− −−・−・ ・・−・・ −−−− ・・− ・−・・ ・−・−・ −・ ・・ (かわりのいしとこうかんだ)」
513 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/29(水) 01:56:04.78 ID:2glHhqtb0
リビングアーマー「・−・・ −・− −−・ ・・−− ・− −−・−・ ・・−・・ −−−− ・・− ・−・・ ・−・−・ −・ ・・ (かわりのいしとこうかんだ)」

中華「……?なにを言っているんですか?」

やる気「あぁ、モールス信号ってやつっすね」

男「分かるのか、モールス信号が」

やる気「実家じゃ必修っすよ。ともかく……代わりになる石と交換して欲しいみたいっすね」
514 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/29(水) 02:03:17.41 ID:2glHhqtb0
氷魔「……石といえば……アレがありましたね……」


彼女はバッグから、深紅に輝く魔石を取り出した
今やその効力を失っていると目されるものの、
あらゆるモノの方向をねじ曲げる凶悪な赤石だ


ぶりっ子「確かに!めちゃくちゃ綺麗ですし、いいんじゃないでしょうか」

怪盗「……えっ、なんですかそれ。見たことないんですけど」
515 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/29(水) 02:17:13.19 ID:2glHhqtb0
本日はここまでです
ありがとうございました
516 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/29(水) 19:16:08.81 ID:2glHhqtb0
リビングアーマー「(それならいいだろう)」


カタカタと身を震わせて信号を発するリビングアーマーは、破砕音を立てて胸部から結界のパーツを出した


氷魔「……それでは……失礼して……」


そして、氷魔が赤石を窪みに嵌め込む
すると、変化が起こった


リビングアーマー「ガ……ガガ……!!」
517 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/29(水) 22:57:55.75 ID:2glHhqtb0
すると、洞窟内が深紅の光に照らされる
そして、その光が晴れると、
そこには赤熱する鎧があった


リビングアーマー「(力が満ちてくる。……ありがとう)」


その顔があるべき場所にはなに一つありはしないが、
上機嫌であることが誰にでも分かるほど楽しげにそれは去っていった


狙撃少女「……うまくいったようですね!」
518 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/30(木) 00:32:22.18 ID:ke7LLYcm0
それから、またもその結界パーツを破壊した


市長「……そろそろ、あの結界の先に進める頃だと思いますよ」

炎魔「ついにですね!」

男「なにがあるんだろうな?」

市長「まず間違いないのは……この結界の本体です。それを破壊すれば、完璧に結界の効力は消え去るでしょう」

中華「へぇ〜」
519 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/30(木) 00:41:10.43 ID:ke7LLYcm0
本日はここまでです
ありがとうございました
520 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/30(木) 19:22:38.40 ID:ke7LLYcm0
話しながら、結界の本体まで移動することにした


氷魔「……術師がいる可能性も……高いでしょうか……」

市長「低くはありません。外へ抜ける穴が結界の中にあり、かつ自分の結界ならすり抜けられる使い手であればこれ以上なく安全ですから」

氷魔「……そうだと……困りますね……結界が弱まっているのは明らかのはず……」

市長「えぇ、戦闘も覚悟すべきです。ということで、これを」
521 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/30(木) 19:25:57.28 ID:ke7LLYcm0
彼女は氷魔に瓶を渡した


氷魔「……ポーション……でしょうか……」

市長「はい。後々、魔力を回復させる効能が効くはずです」

氷魔「……ありがとう……ございます……」


氷魔はそれをちびちびと飲みながら歩いた
しばらく歩けば、結界のある場所の前だった


ぶりっ子「これは……」


以前まで視認できなかった道があり、
その先には目に見える水色の膜……結界の本体があった
522 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/30(木) 19:28:12.12 ID:ke7LLYcm0
市長「あれを破壊すれば結界は完全に壊れます」

やる気「っしゃ!任せるっすよ!」


彼は槍を片手に走りだし、結界に飛びかかった
それは膜に食い込み、ひびを入れた


怪盗「流石の破壊力!」

やる気「うりゃぁぁっっ!!」


そして、ひびに向かって鈍器のように槍を叩きつけると、それは砕け散った
523 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/30(木) 19:31:15.66 ID:ke7LLYcm0
砕け散ったそれは、ふわりと浮かんだかと思えば、
氷魔に流れるように吸い込まれていった


狙撃少女「え?大丈夫なやつですか?」

市長「さっきのは結界のかけらを魔力として補給できるようになる薬なので、安心してください」


彼女が持つ予備の瓶には、
効力が持つのは二時間だと書いてあった
それから、砕けた結界の奥へと進んでいく


>>下1……結界の先にはなにがあった?
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/30(木) 19:37:10.80 ID:GC2MrhADO
d
(雪名ハウスで、ショタ晃と結婚したい灯里がイヤイヤしているのを輝莉が宥めてた?or窓で灯里と輝莉が覗いてた?or輝莉がR-18展開へ持ってこうとする灯里とベランダで異能バトルしてた?(&様子詳細 &雪名説教セリフ):窓で灯里と輝莉が覗いてた )
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/30(木) 21:04:18.62 ID:bk+EuGFyo
禁域の雰囲気がする空間
526 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/31(金) 01:07:39.08 ID:NRp6XAWW0
炎魔「……空気が違います。これは……」

男「さ……最悪……多分禁域だぞここ……」


男たちにはそこがなんなのか分かってしまった
あの極寒の地に比べれば寒さこそないものの、
大気の組成すら違うのではないかと思わせる異様な空気


市長「ここがそうなのですか?話には聞いていましたが……ふむ、ほほう……面白いデータが取れそうです」

中華「能天気なことで……」
527 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/05/31(金) 19:25:54.56 ID:2flysmO5O
すみません寝落ちしました


氷魔「……ここから先は……理が通用しません……警戒しましょう……」


だが、少なくとも通路の見た目自体はこれまで歩いてきた地下道と変わらなかった


やる気「なにかを隠すために結界が張られているとばかり思ってたっすけど、これもしかしたら破っちゃいけないやつだったのかもしれないっすね」

ぶりっ子「でも、破っちゃったなら責任は取らないといけませんよねぇ……憂鬱ですぅ」
528 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/01(土) 03:19:58.61 ID:d7TRE9640
警戒しながら歩いていると、梯子があった
行き止まりになっていて、周りにはなにもない


怪盗「えっ、この上どうなってるんですか?」

市長「全く分かりません。結界が空間を歪ませていた可能性も高いですし、私たちのいた街の近くに出る可能性は低そうです」

狙撃少女「……ですが、行くしかありませんね」
529 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/01(土) 03:25:39.12 ID:d7TRE9640
本日はここまでです
ありがとうございました
530 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/01(土) 19:30:59.59 ID:m0JaKbNtO
禁域特有の緊張感に包まれながら、梯子を上っていく


男「これでお宝がありました、とかで終わってくれればいいんだけどな」

中華「いや〜……厳しいんじゃない?」

氷魔「……そろそろ上りきりますよ……」


>>下1……梯子の上にはなにがあった?
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/01(土) 20:12:18.03 ID:vZ/xIU9L0
禁書になった魔法の
秘伝書を集めた書庫
532 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/02(日) 02:06:24.63 ID:XqUoOTWC0
むせ返るほどの紙の匂いが漂う
そこは大きな書庫のようだった


やる気「……書庫?市長、ここ知らないっすか?」

市長「ふむ……データにありません。うちの市内ではないと見ていいでしょう」

ぶりっ子「どれどれ……うわっ、すっごい古い本ですねぇ……しかも、やたら難しいですぅ」


一冊の本をぶりっ子が手に取ってみせる
確かに古そうであることが全員に伝わるし、
表紙に書いてある文字列は、現代では使われていない古代のものだった
533 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/02(日) 02:09:04.61 ID:XqUoOTWC0
男「……でも読めるな」

怪盗「え!?なんて書いてあるんですか?」


彼はいつの間にか手に入れていた万能通訳の力で、そのタイトルを読み取った


男「『封魂の魔術』……だな」

狙撃少女「よく分かりませんね」

市長「……もう本当だとしたら大変ですよ」
534 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/02(日) 02:12:19.61 ID:XqUoOTWC0
炎魔「そうなんですか?」

市長「ええ、そのタイトルは『禁書一覧』にあったと記録しています」

男「……というと?」

市長「とてつもなく危険な魔術……その極意が記されているとみていいでしょう」

中華「と、とんでもないね……」

氷魔「……名前から察するに……生き物の魂を瓶などに封じ込め……保存や使役を行う……といったものでしょうか……」

市長「伝承にはときおり、そのような魔術もありますから……おそらく、その類でしょう」
535 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/02(日) 02:14:31.42 ID:XqUoOTWC0
本日はここまでです
ありがとうございました
536 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/02(日) 19:47:26.44 ID:XqUoOTWC0
怪盗「へっへっへ、いただいていきましょう」

ぶりっ子「悪い顔してますねぇ」

炎魔「本に化物とか封じられてないといいんですけどね」

怪盗「……あ、そういうのあるんですか?」


何冊か抱えていた本を、恐る恐る本棚に戻した


男「お、この本……」


男は、禁書となった魔術書の中のうち、ある一冊に惹かれた
そのタイトルは、>>下1
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/02(日) 19:55:15.70 ID:1qVNq6EDO
『鍵』の書
538 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/02(日) 21:10:22.98 ID:XqUoOTWC0
『鍵』の書とあった


狙撃少女「なにか、気になる本でもあったんですか?」


禁書となるほどに危険な魔法、その秘伝が集積されているとおぼしきこの書庫において、『鍵』とは些か迫力に欠ける名詞だった
だからこそ、その内容が男は気になったのだ


男「ああ、『鍵』の書というらしい。解錠魔法といえば、上級の魔法使いなら使える者も少なくはないが……禁書になるほどの『鍵』って、なんなんだろう?」
539 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/03(月) 03:24:20.79 ID:3AKFdH3o0
本日はここまでです
ありがとうございました
540 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/03(月) 19:58:43.86 ID:3AKFdH3o0
男は早速『鍵』の書を読み出した
知らない言語が沢山記されているが、
問題なく読み進めていく


氷魔「……鍵……?」

男「あぁ、普通になんでも開ける鍵魔法なんかも載っているが……?」

中華「なにかあったの?」

男「よく分からない。何らかの『鍵』で虚空に扉を開けて、どこかへと行こうとする実験が多いな」
541 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/03(月) 21:54:20.24 ID:3AKFdH3o0
やる気「へぇ、面白そうっすね」

男「最終的には、次元を超えて異世界に行くことを目指しているらしいな」

市長「異世界、ねぇ……」

男「………………」

ぶりっ子「どうかしましたかぁ?」

男「いや、なんでもない」

怪盗「それで、どうやったらその『鍵』は作れるんですか?」

男「複雑な手順を踏む必要があるな……例えば、>>下1とか」
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/03(月) 22:04:49.41 ID:YushOLD+o
禁域の深部にいる虹色の球体の連なりに啓示を受ける
543 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/04(火) 01:16:37.02 ID:ARJxpG3y0
男「禁域の深部にいる虹色の球体の連なりに啓示を受けるとか」

狙撃少女「?」

男「不思議そうな顔しないでくれよ!俺だってよく分からんのに」

炎魔「よく分かんないですけど、多分それは生きてるんでしょうね」

市長「それよりも恐ろしいのは……それが記されている事実ですね。どうにかそこへたどり着き、そしてそれを記した者がいるということです」

中華「魔術師っていうのは、やっぱりすごい執念があるものなんだね」


言われてみれば、一文字一文字に、なんらかの妄執が込められているような気がする
544 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/04(火) 01:19:50.39 ID:ARJxpG3y0
本日はここまでです
ありがとうございました
545 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/04(火) 18:53:42.35 ID:ARJxpG3y0
氷魔「……すごい価値のある書庫です……誰のものなのでしょうか……」

やる気「確かめてみるっすか?」

市長「そうですね……誰のものでもなければ、面白いのですが」


市長は書庫の入り口である、古びた木製のドアを開く


>>下1……どこに続いていた?
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/04(火) 19:11:44.27 ID:s4YSX64Zo
紫の海と緑色の砂浜
空は黄色で太陽が黒の海辺
547 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/04(火) 19:54:44.13 ID:ARJxpG3y0
その瞬間、異様な空気が外から流入するのを誰もが感じた


ぶりっ子「……!?」

市長「データにありません……!」


そこは海辺だった
だが、その海は紫に染まっており、
父なる海とは呼びがたい恐ろしいものだった
足元は緑が占めているが、踏み出してみれば、
それは植物の茂る大地ではなく砂であることが分かる
548 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/04(火) 20:01:10.09 ID:ARJxpG3y0
怪盗「上も下も、全部おかしいです!」


空を見やれば、ジュースのように黄色が満ちており、
帝王のように黒き太陽は一行を見下していた


狙撃少女「これが……禁域……!?」

男「確かに、禁域じゃこれぐらいあってもおかしくはないが……あそこが最後の禁域のはすで、ここは明らかに違う場所のはず……なんだが……」

中華「増えたか、あるいは……」

氷魔「……現実と隣りあった……禁域が染み出してきた時空に……入り込んでしまった……といったところでしょうか……」
549 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/05(水) 02:24:11.13 ID:jiV/9Ye70
本日はここまでです
ありがとうございました
550 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/05(水) 19:20:26.26 ID:jiV/9Ye70
やる気「探索したい気持ちはやまやまっすけど……これ、一介のパーティが単独で首を突っ込んでもいいんすかね?」

ぶりっ子「難しいところですね……」

市長「いずれにしても、脅威度は知っておく必要があります。そのためには、わずかにでも調査をせねばなりません」


そこにいるのは、ただの高性能AIではなく、市長である
自らの街で調査をするつもりであるからこそ、
ここで退く判断はなかった
551 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/05(水) 22:20:18.01 ID:jiV/9Ye70
意を決して、一行は外へと踏み出した
太陽は鬱陶しいほどに輝いていたが、
どこか肌寒かった
市長は砂や水を採集し、いろいろと考えている


怪盗「なにもかも異常なこの世界で、私たちが来た小屋だけが普通ですね」

狙撃少女「この世界にとっては異物なのでしょうね。嘆かわしいことです」


波打ち際の数メートル内側を歩き続け、奇妙な模様の岩場までやってきた
そして、いくつかの岩の上には>>下1
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/05(水) 22:24:32.44 ID:e+duL4XYo
様々な形のドアノブが群生している
553 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/06(木) 02:44:55.68 ID:7CCvJ2qq0
いくつかの岩の上では、様々な形のドアノブが群生していた


男「あっ、あれは!」

市長「ご存知なのですか?岩にドアノブが付いているようにしか見えませんが」

男「俺たちも持ってるんだ、禁域のドアノブ」

中華「そうそう、なんでも開けてくれる生き物なんだ」

市長「そ……そんなものを持っていたのですか!?早く教えて欲しかったですね」

炎魔「……あれも生きてるんでしょうか?」
554 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/06(木) 02:47:00.81 ID:7CCvJ2qq0
本日はここまでです
ありがとうございました
555 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/06(木) 19:34:52.72 ID:7CCvJ2qq0
氷魔「……確か……生きていたはずです……なにを食べているのか……そもそも新陳代謝があるのかも怪しいですが……」

市長「検証したいですね、あれでもモノは開くのでしょうか」

やる気「うーん、なんか開きそうなものがあるといいんすけど」

炎魔「私開けます?」

男「………………」


こう、笑えない冗談はあるものだ
笑えなくしたのは男なのだが


炎魔「そ、そんな神妙な顔しないで!?」
556 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/06(木) 20:48:16.05 ID:7CCvJ2qq0
市長「……人体も開けられるのですか?」

ぶりっ子「そうですねぇ」


市長は驚きながらも、
自生しているドアノブを採集した


怪盗「どうやら、そこの川がこの海に注いでいるようですね」


海沿いを歩き続け、川を見つけた
557 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/07(金) 03:51:31.44 ID:9u49Cp0k0
川の水もやはり紫だった
その濃さは海に比べればすこし淡いが、
それでも毒のように見えて気味が悪い


狙撃少女「川の流域に文明があると、本で読んだことがあります」

男「俺も聞いたことがある話だ。……あまり、会いたくないが」

中華「やっぱり、色合いが全体的におかしいね……」
558 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/07(金) 04:24:40.19 ID:9u49Cp0k0
本日はここまでです
ありがとうございました
559 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/07(金) 19:39:09.82 ID:YPxsAqlrO
川があれば、そこには木が生えるのも道理だ
オレンジ色の木々が林を形成し、川の脇を固めている


炎魔「燃やしてやりたくなりますね、こんな森」

氷魔「……さすがに……蛮族の所業ですね……」

やる気「ん!?」


川沿いを歩く一行の頭上を、飛翔体が過ぎ去った
普段ならただの鳥だろうと思うところだが、
ここは禁域であり、あらゆるものに油断ならない
その飛翔体は>>下1であった
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/07(金) 19:49:52.79 ID:IvgScF/DO
翼の生えた深海魚
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/07(金) 19:50:07.20 ID:Tdc9U2UV0
紙飛行機(鋼鉄製)
562 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/08(土) 03:45:57.29 ID:NN54Xtc60
振り向き、空を見れば、奇妙な魚が飛んでいた
翼が生えてこそいるものの、見た目は鳥よりも魚に近い


男「深海には、ああいう魚が住むそうだな」

市長「ええ、あれは深海魚です」

ぶりっ子「深海魚って飛ぶ……わけないですよねぇ」

怪盗「まぁ、襲われる感じではなさそうでよかったです」
563 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/08(土) 04:26:00.26 ID:NN54Xtc60
本日はここまでです
ありがとうございました
564 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/08(土) 19:45:58.87 ID:NN54Xtc60
奇妙な飛翔体に思いを馳せながら、ただ歩く
川のせせらぎは不気味なほどにこちらと同じで、
心の拠り所となった


狙撃少女「あ……家でしょうか?」


そこには白い立方体がぽつんとあった
明らかに人工的であり、無機質だが文明的だ


市長「困りましたね、知的生命体との接触は、もう少し下調べをしてからのほうがよかったのですが」
565 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/08(土) 21:02:37.92 ID:NN54Xtc60
男「……淡白だが、異様さは薄いな」

中華「もしかしたら、僕たちの世界と関係あるかもしれないね」

氷魔「……入り口はありませんが……」


立方体をぐるりと回って、氷魔はそう溢す


やる気「なけりゃ作るっすよ」

市長「でしたら、どうぞ」


市長はドアノブを立方体に装着する
やる気はそれを確認し、引き開けた


>>下1……立方体の中身
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/08(土) 21:30:11.21 ID:AlCIIF2o0
プルトニウム
567 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/09(日) 04:25:54.32 ID:FcXoFk6K0
そして、その瞬間けたたましい音が鳴り響いた
まさか、警報器でもあったのかと身構えたが、
それが発せられたのは市長の体だった


ぶりっ子「え?」


驚く間もなく市長は扉に体当たりし、
それを閉じてドアノブを取り外した


市長「……危うく死ぬところでしたね」

怪盗「え……なんかあったんですか?なんもなさそうでしたけど」
568 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/09(日) 04:39:17.81 ID:FcXoFk6K0
本日はここまでです
ありがとうございました
569 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/09(日) 19:32:47.23 ID:FcXoFk6K0
市長「プルトニウムがありましたよ」

男「……そりゃ死ぬわ」

市長「一度帰りましょう。念のため、治療をすべきです」

狙撃少女「いや、なにもダメージを受けていませんが……」

市長「なんと説明すればよいか……猛毒で、溶けない呪いのようなものです。本体があり、接近するだけで致死性があります」


そう説明すると、男以外の全員は青ざめた


男「治せるのか?治療と言ったけれど」

市長「こう、細かい原理を説明すると長くなるのですが……蘇生魔法が治療効果を持つということが分かっています」
570 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/09(日) 19:35:25.47 ID:FcXoFk6K0
来た道を戻る最中、炎魔は不安そうに口を開いた


炎魔「私も死ぬんでしょうか」

市長「フェニックスの力が本当にあるなら、死なないと思いますよ。影響もあまりないかと」

中華「……まったく原理が分からない。けど、すごいんだなぁ」

氷魔「……しかし……どうしてあんなものが……」
571 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/10(月) 02:35:49.18 ID:sY9F2Rww0
やる気「さぁ……」


それは誰にも分からなかった
だが、男だけはいくつかの仮説を持ってはいた


ぶりっ子「しかし、そんなわけ分からない……毒?みたいのも治療法が分かってるんですねぇ」

市長「自立学習を始める前に、私を設計した人物が入れたデータの中にあったのです。なぜそんなことを知っていたのか……」
572 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/10(月) 03:32:24.75 ID:sY9F2Rww0
本日はここまでです
ありがとうございました
573 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/10(月) 18:57:39.11 ID:sY9F2Rww0
一行は不気味な世界を後にして、
地下水道を歩き、ようやく市長のオフィスに戻ってきた


怪盗「早く治療を受けたいですね」

市長「ええ、別の私に連絡を取って、優秀な術師を手配しておきました」


どこまでも用意のいい彼女が合図をすると、
部屋の扉が開いて術師が入ってきた


>>下1……術師の外見
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/10(月) 19:15:19.51 ID:vyutY5vDO
ライオンの着ぐるみを来ている
575 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/10(月) 19:35:23.22 ID:sY9F2Rww0
蘇生術師「どうも」


その姿を見て、炎魔以外の全員が絶句した
ライオンの着ぐるみを着たその人物は、
それこそ王者のように威風堂々と部屋に入ってきたのだ
自分の衣装が奇怪であることなど、
一切気にしていなかった


炎魔「かっこいいですね!」

蘇生術師「それほどでも……ある」

狙撃少女「あるんですね……」
576 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/11(火) 01:29:51.16 ID:nBlU+hiy0
市長「彼は外見から他人に敬遠されることが多いそうですが……腕は確かです」

男「へぇ……まぁ、シャーマンなんかは野生派の人も多いしな」

蘇生術師「別にシャーマンじゃないが……ともかく、市長に頼まれたのならやってやる」

中華「そういう制度?」

蘇生術師「いや、我が姿を見ても態度を変えなかったのは市長のみ。仕事も貰っていて、恩義がある」

氷魔「……人間でないので……偏見もないのですね……」
577 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/11(火) 02:11:34.15 ID:nBlU+hiy0
本日はここまでです
ありがとうございました
578 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/11(火) 18:57:06.17 ID:nBlU+hiy0
それから、蘇生術師は一人ずつ蘇生魔法をかけていった
最後に、念のため炎魔にもかけることにした


蘇生術師「きえーい!」

炎魔「ぬはぁーっ!」


その背中からは火柱が迸った
だが、それ以外に変化はなさそうだ


蘇生術師「吸血鬼が闇の力を吸収するみたいな原理だ」
579 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/11(火) 19:32:46.17 ID:nBlU+hiy0
蘇生術師は市長から報酬金を貰い、
笑顔で帰っていった


市長「という訳で治療は終わりました。また宿泊部屋にお戻り下さい」


一行は素直に従い、部屋に戻った
そして、夕食が届くのを待つ


>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と話す
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.市長と話す
9.平成の少女に会いに行く
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/11(火) 20:00:12.52 ID:0oXVh6uDO
9
581 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/12(水) 02:25:32.39 ID:aR7SV7zy0
男「いるか?」

平成少女「はい、なんですか?」


いつも特に理由もなく他人の部屋を訪ねるのが恒例となっていたが、
今日ばかりは話しておくべきことがあった


男「色々あって、今日は禁域ってところに行ったんだが……それで、面白いものを見つけたんだ」

平成少女「そうですか……ちょっと部屋片付けるので待ってて下さいね……」
582 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/12(水) 02:40:23.79 ID:aR7SV7zy0
本日はここまでです
ありがとうございました
583 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/12(水) 19:18:22.50 ID:aR7SV7zy0
しばらくして部屋に通された
市長に貰ったのか、雑貨がいくつか置かれている


男「清潔感があるな」

平成少女「そりゃあ、そうでしょうよ。それより、面白いものってなんですか?」

男「禁域は異空間みたいなところなんだが……そこで、プルトニウムの入った真っ白な立方体を見つけたんだ」

平成少女「プルトニウム?」

男「……お前は知っとけよ……」
584 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/13(木) 01:00:01.82 ID:cU5GJHmJ0
平成少女「なんか、サイエンスな感じはしますね!」

男「ああ、危険な物質で、作るのは偶然では難しい」

平成少女「誰かが作ったんですね?」

男「そうだ。そして、危険だから残りかすの部分は廃棄されるんだが……それが、俺たちが見つけたプルトニウムの正体じゃないかと思うんだ」


やけに整然とした立方体の不自然さも、
それが禁域由来でないことを支持しているように思われた
585 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/13(木) 01:03:23.84 ID:cU5GJHmJ0
平成少女「つまり……どういうことですか?」

男「誰かが廃棄したんだ」

平成少女「そんな科学技術を持った人がいるんですか?……もしかして、あの市長を制作した方でしょうか?」

男「可能性としてありうるが……市長はプルトニウムのデータは持っていたが、その利用法については知らなかった」

平成少女「へ、へー……」

男「つまりだ、プルトニウムを利用できる世界……俺たちがもといた世界から、あの禁域は繋がっているんじゃないかと、俺は考えたんだ」
586 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/13(木) 19:37:38.26 ID:cU5GJHmJ0
すみません寝落ちしました


平成少女「元の世界に帰れるかもしれない……ってことですか?」

男「ああ、そうだ」

平成少女「でも、私たちも違う時代から来ましたし……同じ時間に帰れる保証はありませんよね」

男「その通りだ。そこで、どうしたい?帰りたいのか、そうじゃないのか」

平成少女「>>下1」
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/13(木) 19:38:50.24 ID:prm8tWr6o
正直な所悩んでいます
588 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/14(金) 01:47:25.22 ID:S9SBUK/Z0
平成少女「正直な所悩んでいます」


消え入りそうな声でそう告げた


男「……そうか。たっぷり悩んで欲しい」

平成少女「……急かさないんですか?説得も」

男「俺だってそうだし」

平成少女「……意外です。この世界が好きそうでしたから」

男「ああ、好きだ。……はぁ……いや、それより、君はなぜ?」
589 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/14(金) 01:54:01.75 ID:S9SBUK/Z0
平成少女「別に、元の世界でもいい暮らししてたわけじゃないですからね」

男「……そうか。こっちにいれば、望みはあるだろうな」

平成少女「そう……だといいんですけど。怖いです」

男「市長を頼ろう。彼女ならきっと、守ってくれる」

平成少女「私が怖いのは、そのことなんです」

男「市長は悪いやつじゃないと思うが……」

平成少女「そうではなく、環境に失望し、諦めていた私にチャンスがある……その状況でもなにもできずに、ただ庇護されるだけの無能だったらと思うと、私は……」
590 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2024/06/14(金) 01:55:57.05 ID:S9SBUK/Z0
本日はここまでです
ありがとうございました
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